第11回救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会(議事録)

医政局地域医療計画課 救急・周産期医療等対策室

日時

平成31年2月6日(水)
13:00~15:00

場所

TKP虎ノ門駅前カンファレンスセンター ホール3A

議事

下記のとおり
○野口救急医療対策専門官 それでは、定刻になりましたので、始めさせていただきたいと思います。ただいまから、第11回「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会」を開催させていただきます。
構成員の皆様におかれましては、お忙しい中を御出席くださいまして、まことにありがとうございます。
本日、坂本構成員から御欠席の連絡をいただいております。また、猪口構成員からおくれる旨、連絡いただいております。
なお、本日は参考人として、厚生労働省DMAT事務局長の小井土雄一様にお越しいただいております。また、オブザーバーとしては、内閣府災害緊急事態対策担当参事官補佐 伊藤孝様、総務省消防庁救急企画室新井善洋様にお越しいただいております。それでは、お手元の資料を御確認ください。まず、議事次第、座席表、構成員名簿のほか、資料1と2、参考資料1~6をお配りしております。不足等がございましたら、事務局までお知らせください。
報道の方で冒頭カメラ撮り等をしている方がおられましたら、ここまででお願いいたします。
(冒頭カメラ撮り終了)
○野口救急医療対策専門官 それでは、遠藤座長に以降の議事進行をお願いいたします。
○遠藤座長 それでは、議事に入りたいと思います。
議題の(1)「災害拠点精神科病院の指定要件(案)と整備方針(案)について」を議題としたいと思います。資料1について事務局から説明をお願いします。
○松岡医師確保等地域医療対策室長 それでは、説明させていただきます。
まず、資料1でございますが、今回、災害拠点精神科病院の指定要件と整備の方針について皆様には御議論いただき、この場で指定要件を決めることができればありがたいと思っております。
それで、以前、第4回でございますけれども、この災害拠点精神科病院の指定要件につきましては議論していただきました。その中で出てきた意見というのが、この1ページ目に書いてあるものでございまして、地域の患者の受入れや入院を受ける機能が必要である。
こころのケアセンターとか精神保健福祉センターとかとの連携が課題であるという御意見。
それから、全ての医療機関は耐震構造(可能なら免震)であるべきという御意見や、ライフラインに対して二重三重のセーフティネットが必要であるという御意見を賜ったところでございます。
このような御意見を踏まえまして、災害拠点精神科病院の指定要件というものを事務局のほうでもう一遍考え直すということで整理させていただきました。整理するに当たりまして、災害時における医療体制の構築に係る指針の中に、災害拠点精神科病院についての記載がございます。これは、この資料の25ページ、災害拠点精神科病院の目標と求められる事項というものが通知されているところでございます。この内容に沿った形で、かつそれを明確化するという意図をもって、今回の指定要件をつくったところでございます。
その目標に書いてあることをまとめますと、マル1からマル5が災害拠点精神科病院の目標となります。
1つは、被害状況や診療継続可否等の情報について、EMIS等を用いて都道府県災害対策本部へ共有すること。
それから、災害時において、医療保護入院、措置入院等といった精神科医療を継続して行うための診療機能を持つということ。
それから、精神疾患を有する患者の受入れ、一時的避難場所としての機能を有すること。
DPATの派遣機能を有すること。
それから、被災しても、早期に診療機能が回復できるよう、業務継続計画などを備えているという5つの目標がございます。
DPATとは何だったのかということの、おさらいと言うとおかしいのですけれども、DPAT活動要領に書いてあります、DPATについての記載を引いてまいりました。
これが3ページ目でございますけれども、都道府県等DPATというのが、まず基本的なDPATの単位としてございます。この都道府県DPATは、各都道府県が整備しているDPATでございまして、主に被災地の精神科医療の提供や精神保健活動への専門的支援等々を行うという任務を帯びているものでございます。
これらの中から都道府県が選ぶといった形で、DPAT先遣隊というものを選んでおります。これは、DPAT先遣隊のトレーニングを受けたものでございますけれども、発災から概ね48時間以内に、被災した都道府県等において活動できる班ということで、都道府県が指定しております。これらのDPAT先遣隊は、主に本部機能の立ち上げやニーズアセスメント、急性期の精神科医療ニーズへの対応等の役割を担っております。
また、都道府県は、DPAT統括者という者を統括業務を担うために指定しておりまして、このような三者がどのような形で都道府県に配備されているかというのが4ページでございます。これは、DMATが左側でございまして、DPATが右側でございますけれども、鏡のような形で同じような構造をとって整備しているという状況にございます。この中で、災害拠点精神科病院がどこに位置づけられるかということになりますと、真ん中の段、DPAT活動拠点本部を立ち上げる場所として機能するということが期待されているわけでございます。
こういったことを踏まえまして、5ページ目に移りますが、今回の災害拠点精神科病院の指定要件で明確にすべき点ということで私どもが考えておりますのは、1つは、災害拠点精神科病院で行われる災害時精神科医療というのはどういったものなのか。
それから、災害拠点精神科病院を中心に展開されるDPAT活動は何なのか。
3つ目は、それらの活動に必要な施設・設備等の整備はどういったものなのか。その中でも、特にaからfといったところが議論になり得ると考えておりまして、1つずつ検討したところでございます。
まず、災害拠点精神科病院で行われる災害時精神科医療というのは、災害拠点精神科病院は、24時間緊急対応し、災害発生時に、以下のとおり精神科医療の提供を行うということになると考えております。
被災地内にある災害拠点精神科病院は、精神科医療の必要な患者の受入れと治療及び搬出を行う。地域の精神科医療の必要な患者さんを受け入れたり、治療したり、搬出したり。もしくは、被災した精神科病院に入院されている方も受け入れるということも担っているわけでございます。
また、被災地域外にある災害拠点精神科病院は、被災地から搬送される精神科疾患を有する患者の受入れを行うということが求められると考えております。
次のページでございますが、それでは、災害拠点精神科病院を中心に展開されるDPAT活動とはどういったものなのかということで、被災地内の場合では、DPATは、原則、被災地域内のDPAT活動拠点本部に参集することとされております。そういったところで、DPAT活動拠点を設けた災害拠点精神科病院は、参集拠点の一つとして機能しなければならないということがまず挙げられます。
また、被災地域内にある災害拠点精神科病院は、被災時に、院内にいるDPAT先遣隊を中心として、DPAT活動拠点本部を立ち上げることが求められます。
DPAT先遣隊は、被災地域における精神科医療機関等の被災状況や精神保健医療ニーズを把握し、DPAT都道府県調整本部に報告するという任務を帯びております。
また、他県から支援に来たDPAT先遣隊は、本部機能やニーズ把握の他に、災害拠点精神科病院が行っている精神科医療の提供を支援するということが想定されると考えております。
次のページでございますが、それでは、被災地外、平時の場合はどのようなDPAT活動がなされているのかということでございます。
平時は、都道府県におけるDPATの訓練拠点として、災害拠点精神科病院は、教育・訓練を提供する機能を持つ必要があると考えております。
一方、被災地外の病院につきましては、他の地域で災害が起きた場合、最初に災害拠点精神科病院のDPAT先遣隊が被災地に派遣されるので、災害拠点精神科病院は、24時間、DPAT先遣隊を派遣できる体制にあることが求められると考えております。
次のページ、9ページです。それでは、災害拠点精神科病院に先ほどから申しておりますような機能を付与するためには、どのような施設・設備の整備が必要なのかということでございます。aからfまでございまして、一つずつ説明させていただきたいと思います。
10ページです。耐震性の確保に関する記載を明確化する必要があると思っております。これは、25ページにあります指針の中にも、耐震性ということについては記載があるのでございますけれども、どのようなということがありませんので、災害拠点病院の記載と合わせながら考えております。そういったときに、考え方としては、災害拠点病院と同様の環境下で協同して災害対応に当たることから、災害拠点病院と同等の水準を求めることが適切ではないかと考えております。
なお、下のほうに災害拠点病院指定要件も引いておりますが、ア.施設、(イ)のところでございまして、診療機能を有する施設は耐震構造を有することとし、病院機能を維持するために必要な全ての施設が耐震構造を有することが望ましいという記載がございます。この記載を引くことが適切ではないかと考えております。
11ページで、b.自家発電機の発電容量でございます。これは、災害拠点精神科病院が自立して活動できるために、電力をどの程度確保する必要があるのかということでございますが、災害時の精神科医療におきましては、災害拠点病院のような大型医療機器や人口呼吸器、手術といった大規模な電力需要は想定されないだろうと考えております。このような中、自家発電機等により、「主な診療施設、入院施設及び一時的避難場所を運営できる程度の容量を確保」するという表現にとどめておくことは差し支えないのではないかと考えております。また、目標値についても、当面の間は設けないこととしたいと思っております。
ただし、北海道の胆振東部における地震で大規模停電が発生し、皆さん、大変お困りになったということも考えますと、災害拠点病院と同様に3日分程度の燃料備蓄は必要であるということで、燃料備蓄については、災害拠点病院と同水準を求めたいと考えております。
次、12ページ、c.水・食料・医薬品の備蓄でございます。こちらにつきましても、災害拠点精神科病院が自立した活動を行うための備蓄ということでございますが、災害拠点病院と同様の環境下で協同して災害対応に当たるため、災害拠点病院と同様に3日分程度の備蓄を求めたいと考えております。
また、ライフラインの二重化・三重化の観点から、必要な協定の締結も求めるということで、災害拠点病院と同様に、地域や関係団体との協定を結ぶことを求めたいと考えております。
次、13ページ、d.DPAT先遣隊の活動内容に関係する施設整備ということで、DPAT先遣隊の活動内容は、本部活動、情報収集、ニーズアセスメント、情報発信、精神科医療の提供とされており、自立して活動を行うことが求められております。
これらも、DMATと同じような環境下で協同して災害対応に当たることから、災害拠点病院においてDMATのために整備されているものと同等の水準を求めたいと考えております。
指定要件としては、災害拠点病院の指定要件と同等としたいと考えております。トリアージ・タッグも、身体的なところではございますが、DMATと協同しながら搬送・搬出などを行うことも考えますと、災害拠点精神科病院にトリアージ・タッグを持たせておくというのは必要なことだと考えておりますので、備えさせたいと考えております。
14ページ、e.DMATその他の支援団体との連携に資する施設整備等ということでございます。DPAT活動拠点本部が災害拠点精神科病院に設置された場合に必要となる、他の支援団体との連絡・調整を行うための通信手段については、災害拠点病院と同等の水準を求めたいと考えております。すなわち、衛星電話を保有し、衛星回線インターネットが利用できる環境を整備することと、EMISに参加し、EMISを活用できるような状況にしておくということでございます。災害拠点病院と同じということでございます。
次、15ページ、f.搬送手段についてでございます。ヘリコプターの離発着場や車両の整備についての項目です。
災害拠点病院はヘリコプターの離発着場を敷地内に持つことが必要とされておりますが、精神科の医療が必要な患者さんで長距離輸送を緊急に必要とされるケースは少ないであろうと考えられるため、近隣にヘリパッドなどが存在することを把握しておくことが対応としては適切ではないかと考えており、ヘリコプターの離発着場を敷地内に持つことを条件にはしないと考えております。
また、DPAT先遣隊の派遣に備えまして、人員と資機材を輸送するための車輌を有することが望ましいと考えております。
なお、被災時の患者搬送手段につきましては、DMATに協力を依頼し、DPATとDMATの協同で実際上、行われるということを考えておりますので、患者搬送用の緊急車輌を有することは必須としないとしております。
一方、一時的避難場所の確保ということ、16ページになります。被災地域内から精神科医療を必要とする多数の患者さんが、災害拠点精神科病院に搬送されてきた場合、広域搬送を持つ間には、患者の安全が確保された一時的避難場所が必要となるような場合があると考えております。
一時的な避難場所は、耐震性のある既存施設を活用するか、予め災害拠点精神科病院の近隣に、活用可能な耐震性の確保された施設を選定すること等によって準備しておくことが必要な条件かと考えております。
次のページに移ります。先ほどまでのところで、議論すべき災害拠点精神科病院の指定要件のポイントは終了でございますが、それでは、どのように整備していくのかというのが、この17ページの整備方針のページでございます。
災害拠点精神科病院は、都道府県内に1カ所を原則としたいと考えておりますが、「但し」としております。人口規模や地理的条件などを勘案し、都道府県内に複数整備することも可能にしたいと考えております。これは、県土が広い場合や人口密集地が複数あるといった所々の事情があり、災害拠点精神科病院が1つでは適切ではないと考えるような県があるならば、それは複数整備することも可能にしたいと考えているところでございます。
また、災害拠点精神科病院は、DPAT先遣隊を派遣できる医療機関としたいと考えております。ただ、DPAT先遣隊は、現在、42自治体で整備されておりまして、まだ整備されていない県がございます。当面の間、DPAT先遣隊が未整備の医療機関も指定することとし、その場合には、都道府県等DPATを整備した上で、2年以内にDPAT先遣隊の整備を義務づけたいと考えております。このような形で、DPAT先遣隊を備えつけるまでの間の緩和措置ということをとりたいと考えております。
整備方針は別でございますけれども、以上のような論点とかを踏まえて、18ページ以降が災害拠点精神科病院の指定要件になります。文章として全て書き起こしたものとなります。これの構造としては、災害拠点病院と同じような構造をとっております。通知としては、同じような構造をとっております。そして、災害拠点病院と違うところについて論点として書き出して、先ほど整理したところでございますので、御一読いただければ幸いでございます。
あと、資料としては「災害拠点病院指定要件」を24ページにつけておりまして、25ページは「災害時における医療体制の構築に係る指針」にあります災害拠点精神科病院の目標と求められる事項についてのペーパー。
26ページは、DPAT先遣隊を組織できる機関として、DPAT事務局からの情報提供に基づき整理したものでございます。このような機関が現時点ではDPAT先遣隊を派遣・組織できると聞いているところでございます。
私のほうからは以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ただいま、災害拠点精神科病院の指定要件と整備方針についての事務局原案が示されたわけでありますけれども、これについて御質問、御意見あれば承りたいと思います。いかがでございましょう。
山本構成員、どうぞ。
○山本構成員 質問ということで、2ページのマル3に、まさにこの精神科病院をこれから議論するにしても、精神疾患を有する患者の受入れというときに、精神疾患を有する患者というのはどういうものを想定しているのか。一般のときには、恐らく重篤な重症患者を受け入れることができるというイメージで、軽症患者の方を拠点病院に集めるというのは想定していないと思います。精神疾患の中にも、重症から軽症がある中で、精神疾患としての重症度のときに、どういった精神疾患、全部を想定しているのか、それともというのと。
もう一点お聞きしたいのが、災害時とした場合に、例えば震災の際に外傷を負われた精神疾患患者がいた場合に、外傷を負った精神疾患患者は想定するのかしないのかとか。あと、もともと身体合併、重篤な内臓疾患があるとか、がんとかを含めたときに、精神疾患を有する患者にもいろいろなバリエーションがあると思うのですが、少なくともこの拠点病院が受け入れようとしている精神疾患患者は、どのようなイメージの方を一番中心と考えていらっしゃって、後の制度設計をされたのか、これは質問です。
○遠藤座長 では、事務局、お願いします。
○松岡医師確保等地域医療対策室長 現時点ではという言い方をさせていただきます。現時点では、重症度は基本的には余り頓着しておりません。軽症から重症まであるだろうと考えているところでございます。
あと、外傷や内部疾患などを所有する患者さんというのは、当然運ばれてくることもあろうかと思います。そのような場合には、DMATと協力しながら域外搬送などの措置をとるということもあり得ると考えております。
○山本構成員 そうすると、かなり広範だと思うのです。そうすると、後の機能で、このハードは必要か、必要でないかという議論と密接なところになっていくと思っているところと。
それから、どこの病院がどこまでのキャパシティを受け入れるのか。たしか一般救急のイメージは、通常の病床数の2倍程度のイメージで簡易ベッドを用意しようとかを、当時、私、制度設計した気がするのです。そのときにもどの程度の受入れ数。軽症であれば、寝泊まりするに近い軽症患者なので簡易ベッドだけでいいと思いますけれども、相当数の重症を入れるとすれば、それに対応できるような保護室とか、その辺の余裕がどこまであるのか。この受け入れる患者に関して、よほどみんながイメージできていないと、後の要件設定ができない気がするのですけれどもね。
○遠藤座長 事務局、何かコメントありますか。
○松岡医師確保等地域医療対策室長 それは、重要な議論のポイントだと私も思います。ただ、重症者がたくさん来るということを想定して、保護室をたくさんつくっておくというのは、それはないだろうと思っておりますので、それはDPATの運用の中で重症患者がたくさん来たときに、どう域外に搬送するかといったこととあわせて考えていくということが必要になるかと思っております。
○遠藤座長 山本構成員、よろしいですか。はい。
山崎構成員、どうぞ。
○山崎構成員 17ページの災害拠点精神科病院の整備方針のところですが、都道府県内に1カ所を原則とすると書いてありますが、これで言うと、災害拠点精神科病院が被災することは全くないという前提で1カ所を指定しているわけですか。災害拠点精神科病院が被災する可能性はあるわけですね。そうすると、1カ所指定しておいて、そこの病院が被災してしまったらどうするのですかというのが1点。
もう一つは、9ページです。災害拠点精神科病院に必要な施設・設備等の整備で、耐震性の確保と書いてありますが、木造であっても何でも耐震設備がない病院などはないわけです。だから、この耐震性というのはどこまでの耐震性、建築基準法で言う何年にあれした耐震構造なのかというのが、どうも漠然としているのかなというのが1点。
それと、21ページ、災害拠点精神科病院指定要件です。指定病院の設備の(エ)トリアージ・タッグというのがありますが、先ほどもお話があったように、トリアージは身体疾患に対するトリアージなのか、精神疾患に対するトリアージなのかということです。その辺をちょっと教えていただきたいと思います。
○遠藤座長 では、事務局、3点御質問がありましたので、対応をお願いします。
○松岡医師確保等地域医療対策室長 まず、ページ数が若いほうから参ります。10ページでございます。耐震性の確保に関してのところですが、これにつきましては、災害拠点病院と並びの形になりますので、同じような記載になっているということでございまして、どの基準を適用するかということについては、災害拠点病院と並びになります。
それから、17ページ、1カ所を原則とするというところで、被災することもあろうかと思うけれども、どうなのかという御質問だったと思います。確かに災害拠点精神科病院自身が1カ所しかなくて被災してしまうということも、当然、それは可能性としてはあり得ると思っております。そのような場合にどうするのかということを都道府県の中で考えていただいた上で、バックアップ機能として必要だという場合には複数になるだろうと思っておりますし、42自治体しかまだDPAT先遣隊がないような状況で、少なくとも1カ所は最低でもやらないといけないという観点からも、原則1カ所はつくってくださいという言い方になっているとお考えいただければと思います。
最後、トリアージ・タッグのお話でございますが、これは身体のほうであります。身体の状況でトリアージをするためのタッグでございまして、DMATと協同して作業する、支援するときに使われることを想定しているものです。
○山崎構成員 そうすると、このトリアージ・タッグは、原則としてDMATのドクターがやるということですね。
○松岡医師確保等地域医療対策室長 DMATのドクターがやっていただくということになろうかと思いますが、DPATの活動の中で身体疾患を診るということが実際書き込まれていないので、実態は多分そうなるのだろうなと思います。
○山崎構成員 それと、1つ質問があります。26ページにDPAT先遣隊を組織できる機関というのが、ここに64機関あるわけですが、これしかないのですか。というのは、日精協でDPATの事務局が出場っていってDPATの研修をやったりして、もっとかなりの数のDPATの派遣ができる病院というのはあるはずだと思うのと。これでおかしいなと思ったのは、例えば東京が一つもないのです。こんなものが現実なのですか。
○松岡医師確保等地域医療対策室長 DPAT事務局のほうに問い合わせて、DPAT先遣隊が組織できる機関がどれぐらいあるかということで、この資料をいただいておりますので、私どもとしては、このような把握でございます。
○山崎構成員 ただ、これはすごくちゃんとやっている会員病院はもっとたくさんあって、これに全然入っていない病院というのはかなりありますよ。だから、組織できる機関というものがこういう検討会の公文書で出ると、ふざけるんじゃないみたいな意見が相当出ますよ。
○松岡医師確保等地域医療対策室長 DPAT事務局に聞いている話で、DPAT事務局がDPAT先遣隊のトレーニングを受けたチームのいる医療機関を挙げているわけですので、このような現実なのだと受けとめています。
○山崎構成員 大阪にしても、福島にしても、東京にしても、すぐにでも派遣できる病院はたくさんあるわけで、いかにもこれで見ると全然ないような形になっているけれども、何か現状の状態をミスリードするような資料かなと思います。
○遠藤座長 事務局、何かコメントありますか。先ほどのとおり、ここではDPAT事務局からの資料という限定されたもので、今の御発言は議事録にもきちんと載るということでございますので、また何か追加の情報があれば、事務局としてはそろえていただきたいと思います。
今の話に関連することであれば、石川構成員、山本構成員、それからこちらのほうへ回したいと思います。では、まず石川構成員。
○石川構成員 このDPAT先遣隊という定義について、ちょっとそごがあるのではないかと思っているのです。つまり、DPAT先遣隊というのは、DPAT事務局がきちんと一定のカリキュラムを持って教育されて、ここに出してきたものだと認識しているのです。そうでなくて、例えば山崎先生がおっしゃるように、準備している大きな病院はもちろんあるけれども、先遣隊のトレーニングを現時点で受けていないということで、こういう提出があったものだと思っているので、DPAT先遣隊の定義を、例えば3ページ目のところで、どういうものがDPAT先遣隊で、その中にカリキュラムがあって、きちんとトレーニングを受けたものとかということを言わない限りは、こういうそごが出てくるのではないかと思います。
私たちもJMATのところで、そういう定義をつけてやっておりますので、そういうふうに思っております。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ただいまの発言について、何か事務局、コメントはありますか。定義をもう少し明確にという。では、いろいろ考えていただくということで。
それでは、引き続きまして、山本構成員。
○山本構成員 私、17ページで都道府県のことに触れられたので、私自身、提案したいと思っています。
先ほど山崎先生がおっしゃったのは、災害時における話なのですが、この拠点病院というのは、もともと平時と災害時、2つあって、平時の最大の機能は研修・教育機能だと思っているのです。研修・教育機能を平時にやっていることが、常日ごろから、それぞれの想定した訓練をし、重ねることによって、県内のそれぞれの関係者がいざというときに対応できる。少なくとも、今、言った研修・教育機能を持っている病院は、基本的に都道府県に原則1カ所にすべきだと思います。例えば、それは基幹拠点病院と言ってもいいかもしれません。
ところが、一方、山崎先生の懸念もまさにそのとおりで、そこが被災することを想定するときには、幾つかそういった受け入れが可能とか、研修・教育機能を除く機能を少なくとも持っているところを指定できる都道府県は指定して、そこは連携病院という言い方をするとか、名称は何とでもできると思うのですけれども、少なくとも構造的には研修・教育機能という平時の重要な機能は、原則1カ所どこかにするべきであり、また、災害時は、複数保有できるところはして、ふだんからの強いネットワークを研修・教育の機会を通じてやっていくような構造にしたほうがいいのではないか。
だから、基幹施設と連携・協力施設みたいなものの2つのカテゴリーがあってもいいのではないかというのが、私のある意味で御提案であります。
○遠藤座長 ありがとうございます。
お待たせしました。加納構成員、お願いします。
○加納構成員 ありがとうございます。
先ほどの26ページで、大阪や東京が少ないというのは、これからいろいろな形で注意しなければいけないところだと思います。
そもそも論ですけれども、この災害拠点精神科病院ができた理由というのは、26ページを見ますと、熊本の益城病院や希望ヶ丘病院など、一度経験なさったところはちゃんと準備しているということがわかるわけですけれども、今回の熊本の震災時に起こったことが拠点病院の発想になったと思っております。あのとき一番大事だったのは、速やかに入院患者さんを被災した精神科病院から移して、その患者さんの状態に応じた対応ができるように、あのときは、残念ながらそういうところがなかったので、体育館等でたしかなされたと思いますが、それに準ずる施設をつくるのがそもそも論だったかと思います。
そういう意味で、さっきちらっと出たのですが、大阪などはまさしく規模の大きな精神科病院があるわけなので、そこが被災したときに、果たして今の拠点病院で対応できるのかどうか。都道府県ごとに精神科病院の規模とか状況によって違うのではないか。そういう配慮が1つ必要じゃないかということと。
先ほど山崎構成員もおっしゃったように、1カ所でいいのかということだと思います。災害時における拠点病院のときにも発言したのですが、3次救急に行くだけじゃなくて、2次救急も災害時には活躍するという形で、もしかしたらそれに準ずるような精神科病院があれば、災害拠点じゃなくて、支援精神科病院等を指定していただいて、地域によってはそういうことが必要になってくるところがあるのではないかと思いますが、それはどうでしょうか。
○遠藤座長 事務局にコメントを求めておられるわけですね。事務局、コメント、お願いします。
○松岡医師確保等地域医療対策室長 私どもといたしましては、まずは基幹と言うか、拠点と言うかわかりませんけれども、そういった機能はまずつくらないといけないと思っております。その後の支援するような下部のピラミッドのような構成というのはあり得るだろうなと思っておりますけれども、もう少し実態を把握したいというか、どれぐらいの量が必要なのかとか、どのような単位でつくらないといけないかということも考えないといけないと思っておりますので、この段階で基幹ともう一つの支援みたいな感じの構造をつくるということについては、まだ今後検討させていただきたいと言うにとどめたいと思っております。
○遠藤座長 関連するのであれば、山崎構成員。
○山崎構成員 一般の救急災害で基幹とか連携というのはわかるのですけれども、精神科の場合、一般医療と違うのです。横並びなのです。1個基幹があって、下に連携病院があるという仕組みじゃないと僕は思う。主従じゃなくて、横並びで必要だと思います。
○遠藤座長 連携という言葉を使った山本構成員、どうぞ。
○山本構成員 私の先ほどの提案は、そういうピラミッドじゃありません。私が挙げたのは、研修・教育でみんながそこで訓練し合うところは、どこか1カ所、幹事役がいたらいいのではないか。あとは、その受け入れのことは、先生おっしゃるように、まさにそれは並列でいいと思っております。私はピラミッドという発想ではない御提案です。
○山崎構成員 これは、実は認知症のモデルで言うと、認知症疾患医療センターという制度があるわけですけれども、あれも基幹と連携になっているのです。そうすると、基幹病院というのは大体、大学病院とか公立病院がなって、下に連携病院みたいな格好で入るのですけれども、実際、その活動をしているのは連携病院なのです。基幹病院は、ほとんど何もしていなくて、それで補助金というか、運営費は基幹病院のほうにどかんと入っていくという、認知症疾患医療センターのモデルが非常におかしくなっているので、そうなっては困るなと思ったので言っているのです。
○遠藤座長 わかりました。ありがとうございます。
直接関係しますか。それでは、加納構成員。
○加納構成員 済みません、申しわけないです。
さっき私の言った支援病院というのは、いわゆる拠点病院が今回、被災された他の病院からの患者さんを収容できるという形態を、ほかの民間病院でも体育館等を持っていらっしゃる精神科病院がありますので、そういった病院が私のところもできるよという話があれば。えてして、こういう制度になりますと、拠点病院だけにお金が行ってしまうという話になりますので、準備できた病院、耐震も含めて、近い病院であれば、そういった意味での指定を受けて、できる制度もあってもいいのではないかという提案でありました。
○遠藤座長 ありがとうございます。
では、大友構成員。
○大友構成員 関連です。
東京都の災害医療コーディネーターとして、ちょっと補足させていただきます。DPATに関しては、東京都では1年以上前からかなり議論が進んでおりまして、去年、2回、22の指定医療機関に対して研修も行われていて、これから恐らく先遣隊のほうも研修を行っていくのだと思います。ですから、DPATに関しては体制がかなり先行して進んでいるというのが1点と。
それから、災害拠点精神科病院に関してですけれども、これも東京都でかなり議論しておりまして、都立松沢病院とか国立精神・神経センターとか、あの辺がなるのでしょうけれども、ニーズは措置入院が年間1516件。熊本だと123件なので、圧倒的に措置入院の患者の数が違うということになりますので、災害拠点精神科病院は措置入院中の患者さんの受入れ等々に、要するに先ほど精神科的な重症度という話がありましたけれども、措置入院中の患者さんに特化して受け入れるようにするしかないのではないか。措置入院中及び隔離・拘束中の患者さんを優先して受け入れなければならないと。
ただ、そうすると、一、二カ所の拠点病院では全くキャパが足りないので、御提案あったように、東京都としては、都独自で災害拠点精神科連携病院というものを別に指定して、それで拠点病院を支援する。もしくは、拠点病院に入り切れない患者さんをそちらのほうに入れていこうという体制を整えているところでございます。
なので、2ページの災害拠点精神科病院のマル2、「医療保護入院、措置入院等の」と書いてありますので、少なくとも災害拠点精神科病院は措置指定病院じゃないといけないのではないかと思いますので、要件の中に措置指定病院とするべきだと思います。ぜひ、それは加えていただきたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
何か事務局、今までの議論を通じてコメントがあればお願いしたいと思います。
○松岡医師確保等地域医療対策室長 大友先生、ありがとうございました。東京都の状況がよくわかって、大変助かりました。
それで、措置ができる病院ということで申し上げますと、19ページの指定要件の案を見ていただきますと、マル4でございますが、精神保健福祉法第19条の8に基づく精神科指定病院であることというのは、当然のことだと思って入れさせていただいておりますので、補足させていただきます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
森村構成員、どうぞ。
○森村構成員 指定要件について議論せよということで、3点、簡単に。
今までの議論の中で、この災害拠点精神科病院の指定要件を考える上で、外部支援の視点、すなわち外部支援者がその病院に来たときの受入れ体制に関する要件、並びにこの文章を見ますと、地域の精神科体制の関連の患者さんの受入れに関する機能という、この2点かと理解しております。
そのうちの後者のほうですけれども、これらの仕組みを考える一つの背景になったのは、恐らく周辺の精神科病院が被災したときに大量にその患者さんが既存の災害拠点病院に流れる可能性があり、今の体制のままでは難しいのではないかという学術集会等々での議論が1つの背景であるのだと思います。研究班報告でもそのようなことが報告しているのを覚えています。
その上で、1点目の確認ですが、指定要件を書く際に、既存の災害拠点病院の要件の中に附属としてつけ加えて指定要件に書けるものもあるでしょうし、災害拠点病院でない病院に対して新たにつくる場合の二通りがあるのではないかと思います。先ほどの重症度のことも踏まえて、少し分類していかなければいけない。指定要件については、災害拠点病院の機能に準ずるものがあればいいと書いておけば、もともと災害拠点病院で精神科の機能を持っているところは、それで済むと思います。これは1点提案であります。よろしいでしょうか。後ほどコメントいただければと思います。
もう2点は簡単なことですが、確認だけです。
これは文言の話ですが、19ページの災害拠点精神科病院指定要件に書かれているのは要件ですから、必要な条件と読めば、マル2は「患者を受け入れること」という、やることについて書いてありますので、これは恐らく受け入れる機能を有することといったことを求めていくのかなというのが1点。
最後になりますが、マル4です。ここをずっと見ていますと、ドクターの数やナースの体制、病床数、それから法律のほうまで行くと4対1以上が望ましい等々、書かれているようですけれども、そういった診療するスタッフにかかわる要件というのは、最後は質問ですが、マル4の法律の中に全部書き込まれているということでよろしいのでしょうか。
以上です。
○遠藤座長 事務局、よろしくお願いします。
○松岡医師確保等地域医療対策室長 まず、災害拠点病院であるところが精神科の機能を持っているときに、災害拠点のもともとの機能にプラスアルファ、オンで書き込んだほうがわかりやすいような場合もあるのではないかというお話だったと思います。確かに災害拠点病院で精神科を持っておられるところが、こういうものになるということも想定されますが、単科の精神科病院が災害拠点精神科病院になるケースというのは結構多いのではないかと私、思っております。そういった意味では、一から書いたというか、災害拠点病院を参考にしながら、一からつくれるような形で書いているものでございます。
それから、先ほどの文言につきましては、御指摘いただきまして、ありがとうございました。
それから、精神科指定病院の要件の中には、当然人員配置などもありますので、それをクリアしているならばいいのではないかと考えております。あくまでもスタッフの数とか、どのようなスタッフがいないといけないかということにつきましては、精神科指定病院のほうをクリアしていただくことを、まず最初のハードルとしておりますので、問題はないのではないかと考えています。
以上です。
○遠藤座長 森村構成員、よろしいですか。はい。
ほかに何かございますか。
大友構成員、どうぞ。
○大友構成員 都での議論の中でわかってきたことで、これは全国でこれから整備していこうとすると多分同じような問題が出てくると思いますが、1つは、先ほど森村構成員がおっしゃったように、災害拠点病院が精神科を持っている場合はいいのですが、精神科の単科の病院だと、緊急対応に関して、あまり習熟していないというか、備えられていない。私たちも患者さんとやりとりをするのですけれども、緊急というと、我々は遅くとも半日ぐらいの話ですけれども、精神科の病院だと1週間とか、そういう話なので、24時間緊急対応というところに関して、精神科単科の病院は実はかなり難しいのではないかなと。
同じように、ロジの方々の動き、フットワークも相当違うので、そこは能力に関して、拠点病院と同じ基準を適用しようとすると、相当ハードルが高くなるように私は思います。
同じように、医者の数が物すごく少ないのです。受け持ちの患者に対する医師の数が圧倒的に少なくて、DPATを出すのも実はかなり厳しいと言っていました。大きな病院でも、出してしまったら病院のほうの診療が立ち行かなくなると言っている病院もありましたので、その辺もまた確認いただいたほうが。多分、医師の数がかなりネックになってくると思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
山崎構成員、どうぞ。
○山崎構成員 精神科の災害の場合、考えなければいけないのは2つあって、災害によって新たに発生する精神科関係の障害者の人たちへの対応が1つです。あと、熊本がそうだったのですが、精神科病院自体が被災して倒壊のおそれがあって、患者さんを全部転院させなければいけないという2つだったと思います。
熊本の災害のときに、私は協会の6階にあるDPAT事務局にすぐ行ったのです。行ったら、困っているのは、ちょうど週末だったのかな。どこの病院も責任者がいなくて、転院などさせられないというか、受け入れてくれなかったのです。あのとき、搬送する患者さんが700人ぐらいいた。熊本県内ではほとんど対応できないというので、鹿児島とか大分とか宮崎、福岡、佐賀、長崎まで、全部の会員病院に電話して割り振って、終わったら、その日の晩、また本震があって、新たに四、五百名の患者さんの転院ということで、また次の日やったのですけれどもね。
そういう病院本体が災害に遭った人たちを大量に移すというか、たくさんの患者さんを移すという対応と、地域で急性ストレス障害みたいな形で発生した精神障害者とか、引きこもっていて避難しない患者さんをどうするかとか、そういう2つに分かれると思うのです。したがって、これを考えるときに両方の面から考えないと、1つの面だけで考えていると、熊本みたいに大量に何百人という転院みたいな話になると全然できなくなってしまうと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
では、島崎構成員、お待たせしました。
○島崎構成員 今までの議論と全然違う観点の質問ですが、もっと違うところで聞けばよかったかもしれません。
そもそもこの災害の関係の業務というのは、法定受託事務みたいな形になっているのか、自治事務なのか、どういう事務になっているのでしょうか。というのは、何を聞きたいかというと、例えば17ページの災害拠点精神科病院の整備方針のところで、都道府県内に1カ所を原則とするとか、都道府県内に複数整備することもできますと書いてあるわけです。それから、その下のところでは、DPAT先遣隊の整備を義務づけるとか書いてあるじゃないですか。つまり、これは通知ですね。要するに、法律に何か委任の根拠があってという話じゃないですね。
しかも、仮にこれが自治事務だとすると、ある県は、うちはこういう方針なので、こうしますとか、例えば兵庫県はこういう方針で、大阪府はこういう方針ですというのは、仮にこういう整備方針なり指定基準みたいなものを出したときに、それはどういう拘束力を持つものなのでしょうか。一方で、国はどこまでいろいろな実情について統一的に把握しておかなければいけないのか。
もう一つ、私は何も県によってばらばらでよいということを言っているわけじゃありませんよ。特に、情報系のものだと、隣の県とこちらの県でシステムが全然違うので混乱するということがあってはいけないので、むしろそこのところは統一的にやったほうがいいと思いますけれども、そもそもこういう災害関係の事務の体系がどういう法令的な仕組みの中で動いているのかということについて、済みません、必ずしも法令の専門ではないかもしれませんが、コメントいただけるとありがたいのですが。
ということをはっきりさせないと、一体何を議論しているのか。つまり、ガイドラインの議論をしているのか、県に対して、違う例で言うと、参考資料5「大規模災害時の保健医療活動に関する体制の整備」というのがあって、2ページの上のところを見ると、この通知というのは、地方自治法の245条4第1項の規定に基づく技術的助言ですと書いてあるわけです。つまり、技術的な助言であって、これに従わなかったからといって代執行できるという性格のものじゃありませんよということをわざわざ書いてあるわけです。
そうすると、どこまで各県で統一していくのかとか、あるいは国のほうとしてどこまで強制力を持って整備させていくのか、その辺のところについての基本的な認識を教えていただいたほうがよろしいのではないかと思って質問しているのです。
○遠藤座長 重要な御指摘だと思いますので、事務局、いかがでしょうか。
○松岡医師確保等地域医療対策室長 突然のことで、今、頭が真っ白になっていますけれども、どうしたものかなと思うのですが。あくまでもこれは指定要件でございまして、私どもは医療法に基づいて医療計画をつくっていただく。医療計画の中には、災害拠点精神科病院をつくりなさいという指針があって、その指針を明確化するための文章でございますので、あくまでも技術的な助言なのだろうと私は思っております。
ただ、これをもって、私どもは何をするかというと、当然、補助金とかの支出根拠にもなりますし、これがないと、どんな形になるかよくわかりませんけれども、多分都道府県は勝手につくっていくであろうと考えておりますので、ある程度のというか、我々が補助金などでつくってください、つくることを支援しますよという根拠としては、これは機能していくものだと私は考えております。
個数というか、整備カ所数等々につきましては、当然県によって事情が違うわけですから、原則とするとは言いながらも、都道府県の判断というものはあって、それを我々は縛るものではないものだと思っております。何々に根拠があってということが今、お話できなくて申しわけないですけれどもね。
○遠藤座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○高崎救急・周産期医療等対策室長 補足でございます。
先生方、御案内のとおり、災害対策基本法という法律がございまして、この法律の中で災害対策の主体、例えば国や都道府県、市町村、それぞれ記載されてございます。災害対策基本法とは別に地方自治法という法律もございますけれども、そちらには防災業務について記載は特段ありませんで、個別の医療や母子保健、精神保健等に分かれて自治体が行う事務ということが記載されてございます。
他方、例えば、我々が災害拠点病院を整備するときに補助金を都道府県に支援していますが、その中でさまざまな要件を補助金を受ける要件と規定していて、それを我々が自治体にお願いしたい事項として書いてある場合が多くございます。ただ、こちらは箱物の整備が主でありまして、運営自体は自治体に任されているというのが現状でございます。現時点で法律のつぶさな条項については申し上げられませんけれども、大きな体制としてはそのような状況でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
では、関連で島崎構成員。
○島崎構成員 そうすると、例えば災害拠点精神科病院の指定というのは都道府県がするわけですね。その指定をしたときに、現状でそれに対して補助金がおりるということなのですか。
○松岡医師確保等地域医療対策室長 一応、次年度予算として、そのような補助金の項目を考えておりまして、まだ通っていないからあれですけれども、少なくとも補助金の中には、この災害拠点精神科病院の整備補助というものはございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかにございますか。大体予定した時間にはなりましたけれども、御意見は大体出たと理解してよろしゅうございますね。非常にいろいろな御意見が出ました。事務局もそれに対応して、また少し作業していただかなければいけないこともあるかもしれませんので、ただいまの御質問、御意見等々を踏まえまして、所要の対応を事務局にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、続きまして、議題の(2)に移りたいと思います。「災害医療コーディネーター及び災害時小児周産期リエゾンの活動要領について」というものでございます。こちらも第9回の検討会に引き続いての議論ということになります。資料2について事務局から説明をお願いします。
○伊藤災害時医師等派遣調整専門官 資料2について事務局より説明いたします。
まず、1ページ目ですが、こちらは第9回検討会のときの資料になります。災害医療コーディネート体制についての論点ということで、平成26年度から災害医療コーディネーター研修を開始、平成28年度から災害時小児周産期リエゾン養成研修を開始し、それぞれ683名、259名が受講しています。
しかし、平成30年5月の時点では、災害医療コーディネーターや災害時小児周産期リエゾンを任命していない都道府県がありました。
また、文書による委嘱や災害補償の付与、訓練への参加依頼等が行われていないということもありますし、その役割や運用等を明確化した活動要領がないという現状がありました。
そこについて、いろいろ御議論いただきましたが、2ページ目に、その御議論をもとに、前回いただいた主な意見を掲載しております。
活動要領を作成し、災害医療コーディネーター及び災害時小児周産期リエゾンの役割を明確化することにより、任命等が進むのではないか。
災害医療コーディネーターの活動要領においては、研究班が提示した三層構造を踏まえて、市町村も記載したほうがよいのではないか。
それから、市町村に関しては、各都道府県の実情により違うので、各地域で調整できるような幅を持たせることが重要ではないか。
また、活動要領を作成した後には、活動要領を元にした研修の在り方についても検討すべきではないか。
都道府県災害医療コーディネーター及び地域災害医療コーディネーターの任命状況が都道府県でかなりばらつきがありましたので、そこについて分析が必要ではないかという御意見をいただきました。
このいただいた御意見をもとに、活動要領の案を事務局で作成いたしました。参考資料3に「災害医療コーディネーター活動要領(案)」を添付しております。また、参考資料4に「災害時小児周産期リエゾン活動要領(案)」を添付しております。
災害医療コーディネーター活動要領の概要について説明したいと思います。こちらは、参考資料3の活動要領の概要を示したものになっております。
この活動要領の中で、災害医療コーディネーターの定義としては、「災害時に、都道府県並びに保健所及び市町村が保健医療活動の総合調整等を適切かつ円滑に行えるよう、保健医療調整本部並びに保健所及び市町村における保健医療活動の調整等を担う本部において、被災地の保健医療ニーズの把握、保健医療活動チームの派遣調整等に係る助言及び支援を行うことを目的として、都道府県により任命された者である」と、前回いただいた御意見をもとに修正しています。
また、災害医療コーディネーターは、平常時から当該都道府県における医療提供体制に精通しており、専門的な研修を受け、災害対応を担う関係機関等と連携を構築している者が望ましいという定義を示しております。
左下に活動要領の内容が書いてありますが、それぞれこの中身を項目立てして書いたものとなっています。
右下は、災害医療コーディネーターを活用した、大規模災害時の体制のモデルになっており、こちらは平成29年7月5日に発出された通知の図に災害医療コーディネーターを配置したものとなっています。災害医療コーディネーターは、あくまでも本部長に対して助言及び支援を行うことを目的としています。都道府県の保健医療調整本部では、本部長の下にひもづいて助言及び支援を行う者となっています。また、保健所や市町村では、地域医療災害コーディネーターが同じような役割を担うものとなっています。
続きまして、災害時小児周産期リエゾンの活動要領の概要について説明します。こちらは、参考資料4の活動要領についての概要を示したものとなっています。
この中で、災害時小児周産期リエゾンの定義は、「災害時に、都道府県が小児・周産期医療に係る保健医療活動の総合調整を適切かつ円滑に行えるよう、保健医療調整本部において、被災地の保健医療ニーズの把握、保健医療活動チームの派遣調整等に係る助言及び支援を行う都道府県災害医療コーディネーターをサポートすることを目的として、都道府県により任命された者である。平常時から当該都道府県における小児・周産期医療提供体制に精通しており、専門的な研修を受け、災害対応を担う関係機関等と連携を構築している者が望ましい」となっています。
左下には活動要領の内容が書かれています。
右下に災害時小児周産期リエゾンを活用した、大規模災害時の体制のモデルとありますが、災害時小児周産期リエゾンは、あくまでも小児・周産期医療に係る分野において災害医療コーディネーターをサポートすることを目的としています。また、小児周産期リエゾンにおきましては、保健所、市町村で活動することを想定しておらず、都道府県単位で活動することを想定していますので、活動の場としては都道府県保健医療調整本部を想定しています。
続きまして、災害時における被災地外からの医療・保健に関わるチームの一例を示させていただきました。こちらは、前回の検討会のときにも示した図となっていますが、この中には、被災地内のチームではなくて、被災地外からのチームの一例が示されています。
都道府県災害医療コーディネーター、地域災害医療コーディネーターは一番上にありますが、この中で連携して活動することになり、都道府県保健医療調整本部または保健所等にはDHEATが支援として入っています。
それぞれの現場では、下のようなさまざまなチームが活動しています。
続きまして、最後のページには、災害医療コーディネーター及び災害時小児周産期リエゾンの養成、技能維持・向上等に係る今後の方向性。
今回御議論いただいた後に活動要領を発出したいと考えています。活動要領発出後の方向性としては、既存の政策の中で災害医療コーディネーター及び災害時小児周産期リエゾンの役割を明確化していく必要があると思います。そのためには、この活動要領を国の防災基本計画、厚生労働省防災業務計画等へ反映していくことを考えています。
また、研修カリキュラムについてですが、今までも研修が行われてきてはいますが、この活動要領を踏まえた講義、シミュレーション等が行われるように、カリキュラムを更新していきたいと考えています。
また、知識及び技能の向上につきましては、国またはそれぞれの訓練において、災害医療コーディネーター及び災害時小児周産期リエゾンの参加について検討していきたいと考えています。
以上、事務局から御報告いたしました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、ただいま報告のあった内容について御質問、御意見等あれば承りたいと思います。
横田構成員、お願いいたします。
○横田構成員 横田でございます。
前回、第9回のときにも申し上げた記憶があるのですけれども、そこの部分が多分、今、御説明していただいた資料の2ページ目の○の一番下の部分ではないかと思うのですが、三層構造の中で、都道府県コーディネーターあるいは地域コーディネーターの役割というか、定義といいますか、そこの部分の整理というのが必要ではないかと思っています。
この参考資料6の26ページですが、都道府県災害コーディネーターが非常にたくさんいる地区とか、あるいは一方で地域災害コーディネーターがゼロのところとか、非常にばらつきがあって、先ほどの資料1の4ページで、都道府県コーディネーターが担う役割というのは非常に大きいと認識しています。DMATあるいはDPAT、あるいはほかのチームを全て統括しなくてはいけないという中で、ここの定義といいますか、役割。あるいは、地域の実情によっても違うのでしょうけれども、大体の人数があっていいのかなと思います。参考資料5の26ページを見ると、余りにばらばらで、これではコマンドコントロールがなかなか難しいのではないかと思って聞いていました。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかに何かございますか。
○横田構成員 今の部分は何か事務局では。
○遠藤座長 失礼しました。事務局から、ただいまのことに関してコメントか何かあればお願いいたします。
○伊藤災害時医師等派遣調整専門官 事務局より回答させていただきます。
資料2の災害医療コーディネーター活動要領の概要にありますように、災害医療コーディネーターの役割としましては、あくまでも助言及び支援を行うものとなっておりますので、統括するものではないということを補足させていただきます。地域によって、都道府県災害医療コーディネーター、地域災害医療コーディネーターの任命人数にかなりばらつきがありますが、今まで活動要領がなかった中で定義もはっきりしていなかった、実際、兼任している場合もあるかもしれませんし、それぞれ別々の場合もあるかもしれませんし、その詳細については把握してきておりません。
今回、活動要領できちんと定義を示すことによって、それぞれの役割を考え、都道府県の中でどういう人材がどれぐらい必要かということを考えていただければと思っております。
○遠藤座長 横田構成員、よろしいですか。
○横田構成員 はい。
○遠藤座長 それでは、ほかに何かあれば。
石川構成員、どうぞ。
○石川構成員 コーディネーターとか先遣隊、統括とか、いろいろとありますので、ちょっと混乱するのですけれども、実は私どももJMATという組織立てについて先遣隊とか統括とかいう文言を使って、もう既に研修を随分やっているわけです。その段階で、例えば今日の資料2の災害医療コーディネーター活動要領の概要の右側にある図です。特に、都道府県の保健医療調整本部の中に入って、本部長のもとにどういう命令、指揮系統を遵守していくのかということが一番大事だと思っているのです。
それは、大変混乱するのは、この命令、指揮系統のところでございまして、そこのところで私たちは、例えば統括JMATという非常に経験のある方たちも含めて、こういうところに入ったら、あるいはこの下の地域の保健所の調整本部に入ったら、そこの一番の指示者のもとにつきなさいという指示をしているわけです。ですから、それがこのコーディネーターと呼ばれるものなのかどうなのかということもはっきりしておいたらいいと思います。
それで、DMATの数時間前に、発災後数時間後ぐらいに行っている、熊本のときもそうだったわけですけれども、その方たちは非常に経験があるので、そのもとで命令、指揮系統に加わるとか、自然にそういう形になればいいのですけれども、そこがこういう文言の整理と同時に、被災地に行った場合にきちんと皆さん、経験ある人たちばかり集まって、どの人にちゃんと指示を仰ぐかということを明確にするためにも、この用語のことについてはきちんとしていただいたほうがいいと思います。
○遠藤座長 事務局、お願いします。
○伊藤災害時医師等派遣調整専門官 事務局よりお答えさせていただきます。
指揮、命令系統の中でトップにいるのは、保健医療調整本部の本部長、自治体の職員と考えております。都道府県災害医療コーディネーターは、あくまでも助言及び支援を行う者ですので、決定したり、統括したりするような役割を担っている者は、行政職である本部長と考えております。
○遠藤座長 石川構成員、どうぞ。
○石川構成員 わかりました。
それで、都道府県の保健医療調整本部が発災時からたちまちのうちにできるということはよくわかるのですけれども、地域のほうにおいて、保健所にそういった保健医療調整本部がたちまちのうちにできて、そこにコーディネーターが入るという図式になっていますね。これについては、ここはどうなっているのですか。そういったところの細かな命令、指揮系統もないと、熊本のときには、ある面では県庁と寸断された発災地があって、ごちゃごちゃになるということを言ったわけでございます。
○遠藤座長 事務局、コメントをお願いします。
○伊藤災害時医師等派遣調整専門官 事務局より説明いたします。
参考資料3の活動要領の本文中にも書かれていますが、資料2に抜粋が書かれております。災害医療コーディネーター活動要領の概要という資料の、活動要領の内容、左下になりますが、その「第3 災害時の活動」というところがあり、「1 災害医療コーディネーターの招集、配置、運用」で、被災都道府県は、都道府県災害対策本部の下に、保健医療調整本部を設置とありますが、地域においては、必要に応じて保健所に地域災害医療コーディネーターを配置する。地域の実情や災害の規模等を踏まえて、市町村と協議を行い、必要に応じて市町村に地域災害医療コーディネーターを配置することができると記載されています
○石川構成員 そこで誰が指揮をするのかということを言っているのです。
○遠藤座長 ほかに何かございますか。あるいは、ただいまのことに関連してでも結構でございます。
大友構成員。
○大友構成員 今の石川構成員の質問に対して、私なりの考え、保健所のところです。これは、災害医療コーディネーター活動要領の概要の右下の図ですけれども、局長通知でこういう体制にしますという新しい、主に都道府県の本部の構成と、あと保健所をしっかり活用しましょうとなったところに、このコーディネーターを書き込んだものになるわけです。ですから、このコーディネーターを外してみると、保健所長の指揮下でいろいろな枠組みで入ってくる医療チームが活動するという、もともとがそうなっていて、保健所長の指揮下に入るのですけれども、保健所長を助言、支援するのが地域の災害医療コーディネーターということじゃないかと私は理解していますけれども、それでよろしいですね。
○遠藤座長 事務局、いかがでしょう。
○伊藤災害時医師等派遣調整専門官 そのようになっております。
○遠藤座長 小井土参考人、どうぞ。
○小井土参考人 実際、熊本のときには4つの2次医療圏がありましたけれども、益城を初め、多くのコーディネーターの方々はもともと保健所長だったということで、それ以降も2次医療圏のトップは災害医療コーディネーターという名前ですけれども、保健所長さんが中心になっていきますので、外から入ったチームは、その保健所長であり、災害医療コーディネーターの指揮下に入ることになってくるのではないかなと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかに何かございますでしょうか。大体、御意見は出尽くしたということでよろしゅうございますか。
失礼しました。森村構成員、どうぞ。
○森村構成員 細かな点ですが、実際、神奈川県で災害医療コーディネーターをやっていたときに、平時の準備をしているときにいろいろな備品が必要になってくる。特に、通信体制の強化。個人個人の通信体制の強化が重要です。
活動要領の平時のところですけれども、参考資料3の5ページの任命及び協定のところで、(5)都道府県と災害医療コーディネーター所属施設との協定は、以下の事項を含むというところで、災害発生時の招集の方法、活動費用、事故への補償等々とありますが、今、言った通信手段の確保とか参集手段の確保の取り決めとか。まさかヘリコプターで来てくださいというのではないのですけれども、コーディネーターの数が非常に少ない場合には、ある一定の優先性をもってコーディネーターを県庁に運ばなければいけないだろうというのは、リスクアセスメント上、かなり協議されました。
神奈川の場合は、そのときは日割りというか、週割でコーディネーターのシフトを決めておりましたので、そのときは余り遠くに行かないようにする。その際も県庁にまで赴く際の手段や連絡手段をどうする、搬送手段をどうするということが議論されましたので、そのあたりのところがわかるように、もう少し書き込んでいただけるといいかなと思いました。今申し上げたことは、アの招集の方法というところに含まれることと思いますが、具体的な通信手段あるいは参集手段の書き込みについて、御検討いただければなと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
何か事務局、コメントありますか。
○伊藤災害時医師等派遣調整専門官 ありがとうございます。
5ページ目の先ほど森村構成員のほうから御指摘のあった2の(5)のところですが、協定につきましては、以下の事項を含むものとするとありますので、アの災害発生時の招集の方法には、先ほどおっしゃったようなことが含まれるのではないかと思われます。
また、4ページに運用の基本方針がありますが、5の(3)都道府県は、平常時に、災害医療コーディネーターの運用計画の策定、災害医療コーディネーター及び災害医療コーディネーターの所属する医療機関等との協定の締結を行い、災害時に、災害医療コーディネーターの助言及び支援を受けて保健医療活動の総合調整を行うとありますが、災害医療コーディネーターの運用計画の中に、各都道府県において必要な事項を盛り込んでいただければと考えております。
○遠藤座長 はい。
○森村構成員 済みません、1点だけ言い忘れました。より具体的に書き込んでいただかないと、拡大解釈とか、いろいろな解釈があるので、括弧づけで具体的な例を書き込んでいただくと良いと思います。そうしますと、資機材が補てんされやすいと申し上げた次第です。総論しか書かれていないので、例えば、括弧、こういったものというものが必要といった表記をお願いした次第です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
猪口構成員、どうぞ。
○猪口構成員 活動要領の概要、1ページです。その図のところに市町村のコーディネーターを必要に応じてと書いていただいたのは、人口集中部、東京のようなところでは非常にありがたい話なのですが。そうすると、その市町村のコーディネーターに関する書き込みが、参考資料3の活動要領等にははっきり書かれているわけではないので、例えば教育・研修などでは、都道府県のコーディネーターに準ずるとか、そういう教育内容はかなり一定にしておかないと、先ほどの連絡・伝達もうまくいきませんので、そちらの書き込みもよろしくお願いしたいと思います。
○遠藤座長 事務局、何かあれば。
○伊藤災害時医師等派遣調整専門官 先ほど御指摘いただいた5ページ目の研修、訓練等の実施というところで、都道府県の役割が4の(2)に書かれていますが、この中で記載されている災害医療コーディネーターは、都道府県災害医療コーディネーターと地域災害医療コーディネーターをあわせたものとなっていますので、研修、訓練におきましては、都道府県災害医療コーディネーターだけではなく、地域災害医療コーディネーターも同様のものをやるという形で記載しています。
○猪口構成員 ですから、市町村は市町村で独立の任命権があるだろうと思いますので、市町村も同じような教育を受けているという書きぶり、準ずるとか、そういうものが入ったほうがいいのではないかという意見です。
○遠藤座長 事務局、どうぞ。
○伊藤災害時医師等派遣調整専門官 市町村の災害医療コーディネーターは、地域災害医療コーディネーターというところに書かれておりますので、地域災害医療コーディネーターを市町村に任命するのは、あくまでも都道府県の役割ということで活動要領の中では記載しております。
○猪口構成員 市町村のコーディネーターを都道府県から任命するというのは、市町村は納得するのですか。要するに、市町村の災害対策本部の中に入って、都道府県のコーディネーターが助言、支援をするというのは、違う階層の人間が入ってしまっているような気がしますけれども、それで大丈夫ですか。
○遠藤座長 事務局、どうぞ。
○高崎救急・周産期医療等対策室長 お答えいたします。
資料2の1ページの概要のところにも簡単に記載がございますが、地域の実情や災害の規模を踏まえてということで、それぞれ市町村と都道府県の関係性があると思いますので、市町村と協議を行い、必要に応じて個別に御検討いただくのが適切かと考えてございます。
○遠藤座長 森村構成員。
○森村構成員 今、ちょっと思ったのですけれども、大きな政令指定都市についてはどういうふうに考えられていますか。市町村と一括りでもいろいろあると思いますが、いかがでしょうか。
○遠藤座長 事務局、いかがでしょうか。
○森村構成員 困らせるつもりで言ったのではないのですけれども、例えば神奈川県における横浜市、兵庫県における神戸市であったり、愛知県における名古屋市といった大きな政令指定都市と県との関係というのは、連携するプロセスがすごく多いということで、なかなかいろいろなものを進めるときにスピードがそれほどアップしないのですけれどもね。
○遠藤座長 関連で山本構成員、どうぞ。
○山本構成員 兵庫県と言われたので。うちの場合、たまたま兵庫県と神戸市、両方とも知事、市長が旧自治省御出身で、非常にいい関係に今なっているのです。基本的には神戸市がすごく力を持っていますので、県としては医療行政に関しても、かなり神戸市のほうに事実上、いろいろなことをお願いしていて、それを兵庫県知事が応請することが必要であれば、もし知事が指名しろといえば、基本的に神戸市から推薦をもらって、神戸市がやりたいようなものを県がお墨つきを与えるという構造でやれるので、今のような案が出てきてもいいのですが。今、私どもは指定都市と非常にいい関係なので、それが全国そうだと言い切れないところがあると思いますので、森村構成員がおっしゃる懸念はあるかもしれません。
○遠藤座長 事務局、どうぞ。
○高崎救急・周産期医療等対策室長 ありがとうございます。
我々、前回御議論いただきまして、さまざまな非常に貴重で重要な意見をいただきまして修文いたしたのですけれども、その中で、どこまで細かく書くべきなのかということについて、最大限、細心の注意を払って修正させていただきました。その中で、細かく書き過ぎることが地方自治体にとって足かせにならないだろうか。今、山本構成員、おっしゃいましたように、兵庫県におきましては非常にいい関係がある。
他方で、そうじゃないところもあるかと思いますので、一概に自治体の中での在り方を国が書いてしまうことについての弊害もあるのではないかと考えまして、政令指定都市でありますとか、先ほどの市町村の関係、猪口構成員の御発言、我々も重々承知しておるのですけれども、これが現場でうまく回るために、国としては最大公約数のような表現というものが、地方自治体の皆さんにとっては非常に柔軟で運用しやすいのではないかという考えで修文させていただきました。我々の修文の基本的な考え方ですので、その点は御理解いただければと存じます。
○遠藤座長 島崎構成員、どうぞ。
○島崎構成員 先ほどの話とも関係するのですけれども、どこまで本当に整然と軍隊のように、特に災害という、情報的にも時間的にも制約がある中で整然とやっていくのか。その一方で、確かにおっしゃるように、各都道府県によって実情が全然違うので、それをどう調整していけばいいのかという話だろうと思います。
率直に言うと、例えば保健所のレベルだけ考えてみても、中核市は保健所は必置で、なおかつ、それ以外に厚生労働省の場合には保健所政令市みたいなものまであるわけですね。さらに、東京都の場合には区の位置づけというのもちょっと独自のところがありますし、私のあれとしては、これは幾つかアテストしているのですよね。
つまり、さっき言ったように、典型的なところがあるじゃないですか。どこの県と具体的には申し上げませんけれども、県と指定都市の関係がぎくしゃくしているところであるとか、非常に広域的なところとか、あるいは県が市町村なりに対して一体的にやっていこうとしている、例えば奈良県とか高知県みたいなところで、これが実際にどういうふうに動くのかというぐらいのシミュレーションはおやりになった上で出しているのですよね。
確認ですが、そうしておかないと、さっきみたいに、ここはどう読めますということを言っていても、実際機能しないのではないかと私は思いますけれども、その点、ちょっと心配しています。ということより、これでちゃんと通知を出して、あとは都道府県で勝手にやってくださいよということでは、現場はかえって混乱するのではないかという懸念を持ちますが、いかがですか。その辺のアテストみたいなことは多少なりともやっているのでしょうか。
○遠藤座長 事務局、お願いします。
○高崎救急・周産期医療等対策室長 ありがとうございます。
大変重要な御意見でございまして、山本構成員にお話を伺ったり、内部でも検討はしました。実際、災害が起こるときは有事でありますし、柔軟性が問われる。それは、地方自治体の話だけではなくて、国においても部署を超えた連携でありますとか、柔軟な対応が必要になります。繰り返しで恐縮ですけれども、この活動要領が自治体がみずからの地域を守るという積極的な活動を制限するものであってはならないという理念を、この活動要領の2ページ目の本要領の位置付けのなお書きのところにも、自治体の活動を制限するものではないという記載として、哲学のようなものを記載させていただいております。
災害時、復旧時、復興時には、自治体の活動が最も重要であり、また地方分権という大きな流れの中、地方自治体がそれぞれの災害の特性や人口構造、経済状態に合わせた被災時の対策ができるよう、国としてもそれを支援するという立場で、この活動要領を書いているということは御理解いただきたいと思います。お答えになっていないということは承知しながら、我々の哲学としては、そのように書いているということをどうぞ御理解いただければと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
○野口構成員 済みません、恐縮ですけれども、今、大変立派な御意見をお聞きして大変勉強になりましたけれども、小井土先生に大変失礼ですけれども、いろいろとシミュレーションといいますか、訓練を全国レベルでやってこられた。それと、実際の被災されたところの現場にも出られた。その上でのかなり検証的なこと、今、島崎先生がおっしゃったようなシミュレーション的なことを見られたから、もう一度御意見を言われたらどうでしょうか。申しわけございません、大変僣越ですけれどもね。
○遠藤座長 小井土参考人、お願いします。
○小井土参考人 熊本から災害医療コーディネーターが本格的に活動して、今回の西日本豪雨でも胆振でも活動しています。その中で、さまざまな課題とか、あるいはテーマが出てきます。確かに地域、地域で、全く。熊本でも標準化していこうということもあるのですけれどもね。また、西日本豪雨でも3県で全く違ったということで、それを今後どうやっていくか。
一方で、今、厚労省の方も言われたように、地域の現状というのも非常に重要ということで、そこをどうマッチングしていくかというのが一番大きな課題だと思いますけれども、私たち研究班としては、あるべき姿というか、こうしたほうがよろしいのではないですかということを提言していくのが仕事かなと思っています。
幾つかの課題が出ましたので、今、各県が一生懸命やっているのは、地域でそのようなことの検討を始めているということが、以前と全く違うところかなと思っています。訓練を通して課題を出してPDCAサイクルを回せるように、行政自体がそういうことに取り組んでいるというのが一番大きな違いかなと思っています。答えになっていないかもしれませんけれどもね。
○遠藤座長 ありがとうございます。
では、森村構成員、お願いします。
○森村構成員 ありがとうございます。
今の議論を聞いていて、ちょっと思ったのですけれども、フィロソフィー、哲学とおっしゃったので、その中でもうちょっと入れていただきたいのは、地域の実情に応じてという一言では伝わらない部分があって、実情に応じて何が問題だから、こういうふうにしなさいというゴールをしっかり見つめなければいけない。そのゴールのフィロソフィーが余り書かれていない。連携する機関が多ければ多いほど協働しにくい。
兵庫が今、うまくいっているとおっしゃっていましたけれども、人と人の関係性に依存するのではなく、仕組みとしてうまく継続的になっていかなければいけないと思います。例えば今、研究所のお話しをされていましたけれども、政令指定都市を抱えている大きなところのモデル連携プランといったものを今後出していく必要があると思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
事務局、どうぞ。
○高崎救急・周産期医療等対策室長 大変貴重な御意見、ありがとうございます。
説明の中でも担当から申し上げましたように、国の防災対策については、防災基本計画や災害対策基本法という大きな法律もあります。このコーディネーターの活動要領だけで日本の地域における災害対策を全て書き切ろうということではなく、災害医療コーディネーターや小児周産期リエゾンの活動について書くというのが、この活動要領の一義的な役割でございます。森村先生がおっしゃっていただいたようなこと、きょう、会議で出たようなことは、今後の国の防災基本計画や災害対策基本法等の関連の施策の中で、いただいた貴重な御意見を反映していくということを内部でも検討していきたいと思います。
○遠藤座長 大友構成員、どうぞ。
○大友構成員 参考資料5の一番最後の図が一番わかりやすいので、これを見て説明したいと思うのですが、今まで都道府県には医療調整本部が設置されて、DMATも、そのほかの枠組みで入ってくる医療チームもそこで調整するとなっていたところを、熊本地震の後に医務主管と保健衛生主管と薬務と一体化しましょうということになった。つまりは、都道府県のレベルでは、医療の調整も避難生活者の保健医療も全部所掌するということになっているわけですけれども、下のほうに行くと、実は業務が大分明確に分かれていると思います。つまり、保健所は複数の市町村を所掌する。一方で、市町村は避難所もしくは避難生活者のことだけやるということになって、保健所のレベルでは病院の被害状況とかを把握しながら、どの病院に支援チームをより多く派遣するか、どの病院からどの病院に患者を転送するかという調整を行う。つまり医療の調整です
つまり、医療の調整をやる保健所の機能と、避難生活者に対する支援を行う市町村の機能というのは、二層目と三層目で明確に違ってくると思います。そのことをコーディネーターの業務の中に、医療の調整のことと避難生活者の支援のためのコーディネート機能というものを明確に区別して書き込んでおいたほうが、各災害医療コーディネーターの役割に関して混乱が回避できるのではないかと思います。
○遠藤座長 事務局、どうぞ。
○高崎救急・周産期医療等対策室長 今、大友先生がおっしゃっていただいたのは、通称7月5日通知と我々が呼んでいる、2年前の厚労省内の多部局をまたがる通知でございます。この通知を発出したときには、我々が今、御提案申し上げている災害医療コーディネーターであるとか、他部局ですけれども、DHEATのようなものについても記載がございません。ですので、今後、災害医療コーディネーターのほうを変えるというよりは、各施策のアップデートの際に、こちらの7月5日通知のほうがアップデートされるべきものであると考えてございます。
○大友構成員 このこと自体は、これで特に問題ないように私は思います。ただ、保健所・市町村のそれぞれにコーディネーターがついて助言、支援するとなっているので、市町村のコーディネーターがやるべきことと、市町村の医務主管局がやるべきことと、保健所のレベルでやるべきことというものの業務が違うので、おのずとコーディネーターに求められる業務も違ってくると思うので、その違いというのは、さっき言ったように、市町村のほうは避難所もしくは避難生活をしている方の生活もしくは保健を支える、健康を支える。
一方で、保健所は、その管轄する医療機関の調整をするということで、おのずと業務が違うので、先ほど猪口構成員も言っていましたけれども、市町村の役割と県の役割は違うので、そこを一緒くたにしていると、また混乱するのではないか。つまり、業務、やるべきことを、医療の支援・医療機関の調整と、避難生活者の支援と、そこはもう少し明確に役割を整理しておいたほうがいいのではないかと思いました。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかに何か御意見ございますか。
御意見は大体出尽くしたということですね。わかりました。ありがとうございました。
それでは、さまざまな御意見が出ましたので、事務局におかれましては、本日の御意見等を踏まえまして所要の対応をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
それでは、議題の(3)「その他」でございますけれども、事務局から何かございますか。事務局、どうぞ。
○野口救急医療対策専門官 参考資料についての補足ですけれども、参考資料1で、前回検討会で御発言いただきました内容に関しまして提供させていただいております。記載等に関しまして御意見がある先生方は、後日でも構いませんので、連絡いただきますようよろしくお願いいたします。 以上です。
○遠藤座長 よろしくお願いいたします。
それでは、本日用意いたしました議題は全て終了いたしましたので、これをもちまして本日の検討会を終了したいと思います。事務局においては、本日の検討会の御意見を踏まえて、論点の整理を含め、必要な事項を進めていただきたいと思います。
それでは、事務局から何かございますか。はい。
○野口救急医療対策専門官 次回、第12回につきましては、日程が決まり次第、お知らせいたします。よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 それでは、これをもちまして第11回検討会を終了したいと思います。
どうもありがとうございました。

照会先

【照会先】

医政局地域医療計画課
救急・周産期医療等対策室
救急医療対策専門官 野口(2556)
災害医療対策専門官 北久保(2558)