第10回救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会(議事録)

医政局地域医療計画課 救急・周産期医療等対策室

日時

平成30年12月20日(木)
14:00~17:00

場所

主婦会館プラザエフ カトレア(7F)

議事

下記のとおり
○野口救急医療対策専門官 ただいまから、第10回「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会」を開催させていただきます。
構成員の皆様におかれましては、お忙しい中を御出席くださいまして誠にありがとうございます。
本日、嶋津構成員、山崎構成員から御欠席の連絡をいただいております。
なお、本日は参考人として、一般社団法人日本救命救急士協会会長の鈴木哲司様にお越しいただいております。
なお、もう一方、一般社団法人全国救命救急士教育施設協議会代表理事の田中秀治様から遅れる旨、連絡をいただいております。
また、オブザーバーとして、内閣府災害緊急事態対処担当参事官補佐の伊藤孝様、総務省消防庁救急企画室の小谷聡司様にお越しいただいております。
それでは、お手元の資料を御確認ください。
まず、議事次第、座席表、構成員名簿のほか、資料1~7、参考資料1~4をお配りしております。不足等がございましたら、事務局までお知らせください。
報道の方で冒頭のカメラ撮り等をしている方がおられましたら、ここまででお願いします。
(冒頭カメラ撮り終了)
○野口救急医療対策専門官 それでは、遠藤座長に以後の議事進行をお願いいたします。
○遠藤座長 それでは、議事に移りたいと思います。
今回は、主に救急のテーマを行うという予定でございましたけれども、事務局より、昨今の北海道胆振東部地震等の災害を踏まえまして、早急に議論いただきたい事項があるということでございますので、災害に関する議題から始めたいと思います。
議題の1、「重要インフラの緊急点検の結果及び対策について」、資料1について事務局からの説明をお願いします。
○北久保災害医療対策専門官 それでは、資料1に沿って説明させていただきます。
1ページ目をおめくりください。「重要インフラの緊急点検の概要」について、9月28日の内閣官房国土強靭化推進室プレスリリース資料より抜粋してございます。
「緊急点検の背景・目的」としましては、平成30年7月豪雨、平成30年台風21号、平成30年北海道胆振東部地震等により、これまで経験したことのない事象が起こり、重要インフラの機能に支障を来すなど、国民経済や国民生活に重大な影響が発生したため、その重要インフラがあらゆる災害に際してその機能を発揮できるよう、全国で緊急点検を実施するということになったものでありまして、実施の概要が下にありますけれども、これは9月28日時点のプレスリリース資料ですが、最終的には12府省庁において重要インフラの機能確保について、当初は118項目でしたが、132項目の点検を実施いたしました。
その中で、点検対象の重要インフラということで真ん中の四角の中に囲ってありますが、3で「自然災害時に人命を守るために機能を確保する必要がある重要インフラ」ということで、厚生労働省では災害拠点病院、救命救急センター、周産期母子医療センターの自家発電設備及び給水設備の整備状況について緊急点検を行ったものでございます。
2ページ目をおめくりください。そもそも災害拠点病院等の電気、水の確保に関する規定について資料に記載してございます。
最初のピンクの枠に囲ってありますが、災害拠点病院については東日本大震災の後に開催された「災害医療等のあり方に関する検討会」の報告書を踏まえ、電気につきましては自家発電の保有、3日間程度の燃料備蓄が要件に定められてございます。
水の確保につきましては受水槽の保有や井戸設備の整備、優先的な給水協定の整備を例示し、水の確保を要件としておりますが、飲料水の備蓄を除いて具体的な数値は定めてはおりません。
詳細は、真ん中の青囲みに書いてございます。
救命救急センター、周産期母子医療センターにつきましては自家発電機、備蓄する燃料含めますが、それから受水槽、備蓄する飲料水も含めての保有について、指定要件等で求める規定は現在ございません。
3ページ目、4ページ目に、緊急点検の結果について概要がついてございます。
3ページ目は、「災害拠点病院等に関する自家発電設備の緊急点検の結果」でございます。災害拠点病院、救命救急センター、周産期母子医療センター、計822病院を対象に点検を実施し、対応が必要な個所を抽出いたしました。
抽出の考え方としては、一番下段に点線の枠で囲っておりますが、「長期間(3日程度)の停電の際に、診療機能を維持するために必要な電力の確保が自力でできないおそれのある病院」、ちなみにブラックアウトが起こった北海道胆振東部地震では、停電戸数の99%が停電後に約50時間で解消ということですので、3日間程度というのは一つのメルクマールになるかと思いまして、それで抽出してございます。
その結果でございますが、非常用自家発電設備の増設等が必要な病院が157病院ございました。
内訳としては、非常用自家発電設備の燃料タンクの容量で、病院の診療機能を維持できる期間が3日未満だと回答したところが144病院、また、非常用自家発電設備の燃料がガスのみと、ガスが悪いというわけではなくて当然備蓄があったりすればいいのですが、ガスボンベ等で3日間程度維持する備蓄がなかったといったところが13病院ございまして、計157病院ございました。
続きまして4ページ目ですが、「災害拠点病院等に関する給水設備の緊急点検の結果」をあらわしてございます。こちらも同様に822病院の点検を実施し、対応が必要な個所を抽出してございます。
抽出の考え方は長期間、3日程度の断水の際に診療機能を維持するための水の確保が自力でできないおそれのある病院を抽出してございます。
災害拠点病院におきましては、飲料水の3日程度の確保を要件としておりますので、そういったことも考慮して抽出してございます。
その結果でございますが、給水設備の増設等が必要な病院、以下のどちらにも該当する病院ということで207病院ございました。これは下に括弧でくくっておりますが、地下水、井戸水ですが、上水道がやられたとき、断水したときに使えないといったところ、かつ保有する受水槽の水の容量で病院の診療機能を維持できる期間が3日未満だったといったところを抽出して、計207病院ございました。
詳細は、5ページのほうをおめくりください。
まず「自家発電設備の状況」でございます。「緊急点検結果の詳細」としておりますが、総数が822、内訳は災害拠点病院736、救命救急センター7、周産期母子医療センター79ということで、これは「※」印で書いておりますとおり重複は除いておりますので、災害拠点病院であるところは全てこちらでカウントしております。それで、災害拠点病院ではない救命センターというのは、救命救急センターの数としてカウントしますし、これら両方に該当しなくて周産期母子医療センターのところはそれぞれ79ということでカウントしてございます。
その結果でございます。まず右側ですが、「非常用自家発電設備の燃料タンクの容量で病院の診療機能を維持できる期間が3日未満」と答えたところが、あわせて144病院ございました。それから、「非常用自家発電設備の燃料がガスのみ」と答えたところが13、あわせて157といったところでございます。
そのうち、赤で囲っておりますが、災害拠点病院114病院については燃料タンクの容量で診療機能を維持できる期間が3日未満だと回答した病院でございます。
その下に、「給水設備の状況」と「受水槽の水確保の状況」も記してございます。受水槽なし、かつ地下水利用もないところというのがあわせて3病院、それから右下ですけれども、受水槽を持っているとしても容量が3日未満、さらに地下水の利用もないといったところが204ありまして、これで計207あったということが結果の内訳でございます。
6ページ目に、緊急対策をまとめて記してございます。こちらにつきましては、12月14日、国土強靭化推進室のほうで関係閣僚会議を開催いたしまして、「防災・減災、国土強靭化のための3か年の緊急対策」というものが12月14日にまとめられ、閣議決定されておりますが、そこの概要を示したものでございます。
まず、「災害拠点病院等の自家発電設備の燃料確保に関する緊急対策」でございます。こちらにつきましては、災害時において病院の診療機能を3日程度維持するために設備の増設等が必要な災害拠点病院等に対して、整備に要する経費の一部を支援するものでございまして、具体的には非常用自家発電機の燃料タンクの増設や、病院内に燃料備蓄が可能な非常用自家発電機の更新等を対象にしてございます。
「箇所数」としては125病院、実施主体は民間等の災害拠点病院、救命救急センター及び周産期母子医療センターを対象に支援することとしております。
なお、公立病院につきましては、総務省において地方財政措置を講じる予定と聞いております。
「達成目標」としては、災害時に特に重要な医療機能を担う災害拠点病院等において、病院の診療機能を3日程度維持できる非常用自家発電設備の整備を完了すると、こういったことをこの対策の中で考えております。
次に、7ページでございます。こちらは、「災害拠点病院等の給水設備の強化に関する緊急対策」でございます。こちらにつきましては、災害時において病院の診療機能を3日程度維持するために、設備の増設等が必要な災害拠点病院に対して、整備に要する経費の一部を支援するものでございます。
具体的には受水槽の増設、地下水利用設備の整備、右下の絵とか写真が参考になるかと思いますが、こういったものの整備について支援の対象にするものでございます。
こちらも「実施主体」は民間等の災害拠点病院、救命センター及び周産期母子医療センターを対象にしてございます。公立病院につきましては、同様に総務省において地方財政措置を講じる予定と聞いております。
「達成目標」は、災害時に特に重要な医療機能を担う災害拠点病院等において、病院の診療機能を3日程度維持できる給水設備の設備を完了することを考えておりまして、こういった緊急対策によりこのような整備をしていきたいと考えてございます。
最後に8ページですが、本日御議論いただきたい内容としましてはこちらに示しております。自家発電設備の燃料タンク容量で病院の診療機能を維持できる期間が3日未満と回答した災害拠点病院が114病院ございました。災害拠点病院の指定要件には、都道府県は、指定した災害拠点病院が要件に合致しているか確認し、要件を満たさなくなった場合には指定の解除を行う旨の規定がありまして、以下の青枠にそれを記載しておりますが、このとおりでございます。
今回の点検結果を踏まえて、都道府県等に状況の再確認を依頼する必要があると考えておりまして、仮に要件を満たさない場合というのは、病院や都道府県に今後の対応方針を聴取してはどうかと考えております。こういったことについて、どういうふうにするかということも御議論いただきたいと思っております。
もう一つですが、長期の断水に備え、飲料水の備蓄以外にも、災害拠点病院の水の確保について定量的な要件を定めるべきではないかと考えてございます。先ほど2ページにありましたとおり、現在、指定要件にありますが、必ずしも定量的な数量等の規定が明確になっていないといったところがございまして、こういったことも考えてはどうかと考えてございます。
最後ですが、災害拠点病院は水、それから燃料に関して電気、自家発電に関しての規定がございますが、これらと同様に救命救急センター、周産期母子医療センターについても自家発電機や受水槽、または地下水の利用について何らかの規定を検討してはどうかというふうに考えてございます。こちらのほうを御議論いただければと考えております。
事務局からは、以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ただいま事務局から重要インフラの緊急点検の結果の御報告、それからそれに関連しまして事務局としての方針が資料1の8ページに3つほど挙げられておりますけれども、これについて御議論いただきたいということでございますので、この3点に関連する内容を中心に御質問、御意見等をいただければと思いますが、いかがでございましょうか。
山本構成員、どうぞ。
○山本構成員 都道府県に対しての報告のものですが、実は今回12月の議会もあった中で、やはりこの関連の質問が非常に多くございました。
それで、私どものほうの答弁としては、本来入院機能を持つような病院、あるいは診療所も含めて入院機能を持つようなところはBCP、少なくともその事業継続性についてしっかりと検討してほしいという形と、そして当然なかなか小規模なところは難しゅうございますので、そこをどう応援できるのかはしっかりと県としても支援していきたいという話ですね。
それから、災害拠点病院と救命救急ですが、救命救急を持っている方は大体災害拠点病院になっているところが多いと思いますが、やはり周産期母子医療センターも最後のとりで的な機能を持っているところですので、基本的に災害拠点病院、救命センター、周産期母子医療センター、これらについては少なくともしっかりとそれができるような整備が必要かなというときに、今後こういった規定をした中で、特に助成といいますか、先ほど一部そういう災害拠点病院については経費を負担することもされているようですので、ぜひこういったところは財政的な措置も含めてしっかり対応していく必要があるんじゃないかと思います。
私どもは、やはり入院機能を持つところは、基本的には全ての医療機関が受け入れができるようにし、しかしそうでないところは最後のとりである災害拠点病院とかにある意味では患者を移すということも想定しながら、地域全体の対応を常々検討していくことが必要かという気がしています。
○遠藤座長 ありがとうございました。ほかに御意見いかがですか。
石川構成員、どうぞ。
○石川構成員 今回は822ということで、災害拠点病院を中心にというお話なんですけれども、今のお話にもありましたように、同様の被害が中小のところも病院にもあるわけですね。
それから、重要インフラということで、今回は水と電気ということでおやりになったわけなんですけれども、実は道路状況だとか、これも非常に重要インフラとして大事だということは私の経験というか、3.11と、それから熊本などを見ても同じなんですね。もちろんどういう液状化が起こるかということもあって、とてもそこまで行けない。そうすると、患者の搬送も何もできないで終わってしまうという事実が実際にはあります。
そういうことも含めて、災害時の病院周辺のハザードマップといいますか、水だとか電気も含めてどのような被害が想定できるのかということの全体像みたいなものを浮き彫りにする必要があるのではないかと思うんです。
そうした上で、この規模の災害であればこういうところが生き残ってBCPが早く対応できるとか、そういうふうな計画が練れるのではないかと思うので、ぜひ822だけじゃなくて、その調査をもう少しやっていただいて、望ましいのはこうだとか、それから周辺の道路だとか、そういったことについてもこういうのは望ましいということをぜひ指標を出していただきたいと思うところでございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、お待たせいたしました。加納構成員、どうぞ。
○加納構成員 ありがとうございます。今の御発言どおりで、東日本大震災後の計画停電のときに災害拠点病院は外すということを決められたのですが、その後、お願いしまして、二次救急病院も計画停電から外すということを認めていただいたということがあります。
そういう意味では、今後二次救急病院も災害時にはしっかりと役割を果たしておりますので、ぜひともそういった意味での支援をいただいた前向きな対応をさせていただく方向性での補助金等の対応をしていただきたいと思います。
その上で、6ページにあります、今回必要な経費の補助を行うということが書いてあるのですが、どの程度の補助なのでしょうか。
○遠藤座長 事務局、お願いします。
○北久保災害医療対策専門官 私のほうからお答えいたします。
最終的に決定するのは明日の予算案の閣議決定とか、そういったところで最終的に決定することでございますので、金額的なものはまだ最終的には決まっておりませんが、通常の補助金と同様に経費の3分の1程度を補助できればと考えております。以上でございます。
○遠藤座長 加納構成員、どうぞ。
○加納構成員 多分、これはかなりの高額な費用になるかと思うんです。民間の災害拠点病院であれば、その3分の2なりを負担をするのはかなりの負担になるかと思われますので、いろいろな形での負担に対する支援を考えていただきたいのと、先ほど申し上げましたように二次救急とかの病院に対してもそういった補助がとれるような制度を考えていただきたいかと思います。よろしくお願いします。
○遠藤座長 ありがとうございました。ほかにいかがですか。
それでは、大友構成員どうぞ。
○大友構成員 2点あります。
今の補助金の話ですけれども、既に自前の資金で整備している病院には補助がいかなくて、整備してこなかったところに補助が出るというのは不公平感がないのかなというのが1点です。
もう一つは、この拠点病院の要件を満たさなくなった場合に指定を解除するというお話になっていますが、そもそも指定したときには要件を満たしていたのかどうか。指定したときに満たしていたのに、今、満たさなくなったというのはどういうことなのか。その2点、そこも確認させてください。
○遠藤座長 では、事務局からお願いします。
○北久保災害医療対策専門官 まず、なかったところということで、これは自助でやっていただいたり、または災害拠点病院に関してはもう既に自家発電設備の新設等の補助金メニューがございましたので、こういったものでやっていただいたりというのがあると思うのですけれども、個々それぞれ事情があると思いますが、まずは強靭な災害医療体制をつくるということがありますので、できないところは何とか底上げして今後強化していく必要があるので、そこは御寛恕いただければと思います。
もう一点、指定要件の話ですけれども、2ページをもう一回見ていただければと思いますが、この自家発電設備の保有とか燃料の確保ということにつきましては、東日本大震災のときの後の検討会を経て、平成24年3月からの改正でやったものでございます。この当時、もう既に災害拠点病院というのは平成23年7月時点で618病院ございました。
この時点で、恐らくこういったところがまだ十分ではなかったというところがあったものだと思いますが、今後こういったところは何らかの対応を考えていただく必要がありますので。
○大友構成員 わかりました。では、新しい要件ができた後はもう満たしている拠点病院しかないはずだ。その前に認められたものに関しては、もともとそういう要件がなかったので満たしていなかった。今回チェックしたらそれが満たしていない病院があったと、そういうことでよろしいですか。
○北久保災害医療対策専門官 個々の回答された病院をもう一回精査して確認しますので、それも踏まえてですけれども、まずそういった改正前のところの「※」印で青枠の下に書いておりますが、最初のころの改正前につきましては、漠とした要件の中から指定された病院が600以上あったというところにしてございまして、こういったところからやはりそういうことが考えられますが、具体的に状況を確認する必要がありますので、まずは都道府県に状況を再確認することが必要だと考えております。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかにございますか。よろしゅうございますか。
それでは、大友構成員どうぞ。
○大友構成員 今回、自家発電装置、燃料、それから水の話ですけれども、この災害拠点病院の新しい要件の中には敷地内のヘリポートというのがあって、それも満たさないと指定解除となるとかなりの数になってしまう気がするんですが、ある要件は満たしていなくてもよくて、ある要件は満たさないと解除という議論でいいのかなと、そこを整理する必要があるかなと思います。
○遠藤座長 これは、御意見として承ればよろしいですか。事務局からコメントいただきますか。
○大友構成員 いただければと思います。
○遠藤座長 では、何かあればお願いします。
○北久保災害医療対策専門官 ヘリポートとかも確かに要件としてあるのは事実でございまして、望ましいレベルのものからちゃんとこれをやらなくちゃいけないと、例えばBCPなどは今年度末に策定されないとだめということは我々も明言していますので、指導の濃淡はあると思いますけれども、そういったことも踏まえて改めてその指定要件等の状況を踏まえて、もう一度こちらの中で御報告できればと考えております。以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。ほかにございますか。
それでは、医政局長どうぞ。
○吉田医政局長 事務局の医政局長でございます。
きょう御説明をし、御議論をいただきましたように、ことしのように災害の多かった年のみならず、一旦、事が起こった場合に、重要インフラとして医療機関、あるいは医療関係者の方々のお取り組みにより、それぞれの地域の多くの方々の生命が守られているということに対して改めて御礼、感謝を申し上げるとともに、それをどう強化するかということを、この一連の経験を踏まえて取り組ませていただきたいと思っております。
きょう申し上げましたように、政府全体としての国土強靭化という流れもある中で、医療分野についても今回取り組みを進めさせていただきますが、先ほど来、山本構成員からお話がありましたように、この3類型の病院に限らず、地域の医療機関全体のBCP、ビジネス・コンティニュー・プランという考え方については、別途、政府全体の取り組みとは離れて私どもとしても実態を把握するべく、今、取り組ませていただいております。
また、石川構成員からお話ございましたように、実際には医療機関だけではなくて地域も含めて、例えば道路を初めとする状況の中で、どのようにそれぞれの重要インフラを守れるかという問題意識についても、きょうこの場に内閣府のオブザーブをしていただいておりますけれども、政府全体のいろいろな取り組みの中と協力をして、私どもとして問題意識を持って取り組みたいと思います。
なかなか一気に全て財政的な支援も含めてというところにまでは至っていない点については、私どもとして着実に一歩一歩ということを申し上げながらも、こういう機会、あるいはそれ以外において集まっておられる皆様方から、防災に向けてのいろいろな御提案、あるいは気づきというものをいただきながら、私どもとして、そして政府全体としての取り組みの中に反映したいと思っておりますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
では、事務局どうぞ。
○北久保災害医療対策専門官 もう一点、御紹介なのですけれども、今回、参考資料の3ということで3-1と3-2というものも添付してございまして、こちらのほうも紹介させていただければと思います。
先ほど説明の中にありました、防災・減災、国土強靭化のための緊急対策というものも今回添付させていただいております。こちらのほうで政府全体の緊急対策の取り組みが載っていますので、御参考にしていただければと思います。
8ページと13ページに先ほどの災害拠点病院や自家発電や給水設備、それから前々回でしょうか、9月で御議論いただいたEMISの話とかも緊急対策に載っておりますので、こちらのほうも御参照いただければと思います。
3-2は医政局分の抜粋ということで、今回の緊急対策に載った各種対策の説明資料が概要資料としてついていますので、こちらのほうも御参照いただければと思います。以上です。
○遠藤座長 このような参考資料があるということでございますので、またごらんになっていただければと思います。
それでは、話を戻しますけれども、事務局のほうから3つほど、検討事項というものが挙がっておりますが、特段これについては御発言もなかったかと思います。関連の御発言は幾つかありましたけれども、反対の御意見はなかったと思いますので、このような対応方法については御承認いただけたということで、そのような対応でよろしゅうございますか。
(委員 異議なし)
○遠藤座長 ありがとうございます。それでは、事務局におかれましては適正な対応をよろしくお願いします。
それでは、次の議題に移りたいと思います。これは、救急の問題でございます。議題2は「救急医療における評価指標の現状と課題について」、資料2と3について事務局から説明をお願いします。
○野口救急医療対策専門官 事務局でございます。資料の説明をさせていただきます。
資料2をごらんください。こちらに「救急医療体制の全体像について」という形でまとめさせていただいております。縦軸に「コト」「ヒト」「モノ」として整理、横軸のほうに時間軸に沿って「病院前医療相談・救護・搬送」、病院の中に入る段階の「受入・救命医療提供」、「転院・転床・退院」という形で、フェーズごとに分けて全体像をまとめております。
各施策は赤字で囲ってある枠であり、黒字がその詳細でございます。赤字の内容が、本検討会において構成員もしくは参考人の先生方から御意見をいただいているものとして、整理しています。
本日は、縦軸でいくと「コト」、横軸でいくと「救命医療提供」のところで、「救急医療機関の機能分化・連携の推進」にかかわるテーマを扱う予定です。救急の話題の後半では「ヒト」のテーマに関して扱う予定です。
続きまして、資料3の説明をさせていただきます。「救急医療における評価指標の現状と課題について」です。
スライド1でございます。医療計画における救急医療に関しては5疾病・5事業に含まれております。
スライド2以降でございますけれども、医療計画の中に救急医療が含まれておりますので、「医療計画の見直し等に関する検討会」において関連する話題を扱っているところです。9月28日に開催された第13回における資料をこちらで再掲し、ご意見をいただきたいと思っております。
スライド3でございます。「第7次医療計画における「救急医療」の見直しのポイント」になります。
「概要」としまして、1つ目の「○」にありますような、「円滑な受け入れ体勢の整備や、いわゆる出口問題へ対応するため、救急医療機関とかかりつけ医や介護施設等との関係機関との連携を協議する体制を構築する。また、日ごろからかかりつけ医を持つこと、救急車の適正利用等についての理解を深めるための取り組みを進める」という点です。
2つ目は救命救急センターの充実段階評価の話であり、昨年度、見直しの方向性を了承いただきまして、本年度から見直しをする予定です。
3つ目の「○」は、「初期救急医療機関の整備とともに休日夜間対応できる薬局、精神科救急と一般救急の連携等をさらに進める」ということで、キーワードとしては連携ということがテーマになっております。
スライド4でございます。こちらは医療計画に関する課長通知からの引用で、「救急医療の体制構築に係る現状把握のための指標例」として示しているものを一般例として出させていただいております。これは各都道府県が指標として集めるものの例示でございまして、これらは地域によって項目を追加したり、削除したりしているという現状です。
5ページ以降でございますけれども、現時点で、救急医療提供体制における指標はどのようなものがあるか、ということの説明です。5ページにありますような、救急医療圏の設定は、基本的には救急医療圏と二次医療圏が同一であるところが多く、一部は細分化や統合しているところもあります。
6ページは「協議体制」でございますけれども、救急医療体制に関する議論が年に1回以上行われているところが41都道府県あるということです。
下の段でございますけれども、地域医療構想調整会議において救急医療体制に関する議論が行われているのは26都道府県という結果です。
7ページ、「第7次医療計画における救急医療の目標設定の状況」ですが、1年に1回以上評価予定がある指標を目標と設定しているのは42都道府県です。
8ページ以降ですが、フェーズごとの「目標項目」として、ストラクチャー、プロセス、アウトカムに分けておりますが、どのような指標を都道府県が目標として設定しているか集計しております。オレンジのバーは現状把握、青は目標設定の指標として用いていることを示しています。
9ページは「救命医療」、10ページは「入院救急医療」、11ページは「初期救急医療」、12ページは「救命後の医療」とフェーズが進んでいきます。
確認いただきたいのは、項目において施設数等はかなり多くの都道府県で把握されていますが、プロセスやアウトカムも含め、どのフェーズにおいても目標項目で全都道府県が指標として用いている項目がないという点が、注目すべきポイントと考えております。
13ページですが、例示した指標以外の記載があった目標項目の例です。地域における救急医療の課題を議論するための指標として、各都道府県においてさまざまな項目が散見されると推察され、提示させていただきました。
14ページでございます。この13回の「医療計画の見直し等に関する検討会」における意見ですが、円滑な受け入れ体制の整備や出口問題に対応するため、救急医療機関とかかりつけ医や介護施設等の関係機関との連携を協議する体制が求められていますが、対応する指標である下に4つ「・」がありますけれども、こういった項目を目標設定として用いている都道府県が少ないという現状があります。
また、2つ目の「○」ですが、救急医療機関について受け入れ実績及びその他の要因を考慮した客観的かつ定量的な指標を策定している都道府県はほとんどないという現状です。
15ページですが、本検討会における議論の整理を7月にしていますが、救急医療体制については主な意見として、「地域の救急医療体制に係る指標として傷病者受け入れ要請に対し、断らずに受け入れる体制、地域内の医療機関で受け入れた割合、救急車受け入れ台数、生命予後や機能予後への寄与等を含めた総合的評価があるのではないか」「救急医療機関の評価の指標として傷病者の受け入れ数だけではなく、傷病者の緊急度、重症度、生命予後や機能予後への寄与等、客観的なデータを用いた質の評価があるのではないか。」「消防機関等の把握しているデータと医療機関が把握しているデータを連結し、評価等に活用することは、救急医療の質の向上につながるのではないか」という意見を整理しています。
16ページ以降が事務局としての整理で、「救急医療におけるデータ連携と指標の方向性」についてです。
17ページですが、「第7次医療計画における救急医療の指標について」、これは先ほど細かく提示させていただきましたが、全体図となります。
「課題」として救急医療の地域性を見るための全国共通の必須項目は設定されていないという現状です。
スライド18です。救急医療に係る指標については患者個人、消防機関、医療機関に関する各種データベースが存在しているという状況です。これらの情報に関しては、消防機関や医療機関、行政において情報収集されているが、多くは連結されていない。これらのデータが連結されていないことが、健康アウトカム評価に活用されていないのではないかというところでます。
図に関しては、赤字は消防本部が主に持っている情報、青字は医療機関が持っている情報、オレンジは都道府県が持つ情報として整理をしています。
スライド19ページですが、「今後議論すべき方向性について」です。事務局としては、大きく3つあると考えております。
1つ目は「評価を行うためのデータの収集について」です。救急医療に係る指標については消防機関、医療機関に患者個人ごとの情報に関する各種データベースが存在する。各種データベースの活用や連携に関する方策を検討してはどうか、ということです。
2つ目は、「全国共通の必須指標について」です。
1つ目の「・」は再掲でございますが、2つ目の「・」で、地域性を踏まえた救急医療の質の向上のために、相対的な現状把握が可能な全国共通の必須指標が必要ではないか、ということです。
3つ目は、「救急医療におけるアウトカム評価について」です。これまで救急医療においては介入実験等が困難であるため、アウトカム評価が難しく、代理指標としてストラクチャー、プロセス評価を使ってきたが、今後は近年の技術革新を踏まえ、データ収集と分析を駆使し、さらなるアウトカム評価の検討を進めてはどうか、ということです。
2つ目の「・」で、救急医療の評価指標に資するデータについて、既存のデータの活用や新たに必要なデータ収集を検討すべきではないかということについて御議論いただきたいと考えております。
なお、参考資料としまして、議論の1つ目にあるような評価を行うためのデータ収集についての事例について御紹介させていただきます。
21ページは大阪府様から資料をいただいておりますけれども、救急医療情報システムに新たなシステム「ORION」というものを構築しています。これは救急搬送の支援、情報収集、収集分析システムです。大都市圏では先駆的な取り組みということで、目的としては22ページにあるように、改正消防法で定められた「実施基準」を運用するに当たっての課題及び取り組みについて、集計を行い実施基準を検証することが求められておりますので、ICTを使った実施基準の検証体制を構築するという目的でORIONはつくられているところでございます。
最後に23ページにありますように、搬送から受け入れに関して、医療機関や消防機関が患者情報や受け入れ情報、病院での情報等をシステムに入れることになりますが、こちらを提示しましたのは下にありますように、医療機関や消防機関はその収集された情報をもとに分析をして、各地域においてこの情報を利活用するということが想定されているというものでございます。
参考資料の説明は以上でございますけれども、スライド19にありました「今後議論すべき方向性について」、御意見をいただければと思っております。以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
事務局から御意見あったように、この19ページにある方向性を中心に御意見をいただければと思いますけれども、いかがでございましょうか。これに関連しなくても、幅広の議論でももちろん結構でございます。
横田構成員、お願いします。
○横田構成員 横田です。資料2の後ろの部分で「救急医療機関における人材育成・人材確保」、私はこの検討会で毎回お願いしている部分ではあるんですけれども、ここに関する議論は今やってよろしいんですか。それとも、後でまたあるというふうな理解でよろしいのでしょうか。
○遠藤座長 事務局、何かコメントありますか。
○野口救急医療対策専門官 可能でありましたら、資料3のほうを先に少し議論させていただきまして、資料2についての御意見に関しては最後にいただきたいと思っております。
○遠藤座長 ほかにいかがでしょうか。
では、石川構成員、坂本構成員、加納構成員。
○石川構成員 資料3の14ページなんですけれども、この「現状」のところで円滑な受け入れ体制の整備ということがあります。救急医療機関とかかりつけ医等が連携・協議する体制ということがここで求められているわけなんですけれども、現実の話をしますと、患者さんが急変、あるいは急激に状態が悪くなったとき、かかりつけ医が診療所だとしますと、そこに直接電話がいくよりは救急医療機関、あるいは救急車のほうに電話がいくケースが圧倒に多いわけですね。
それで、私たちかかりつけ医として普段やっている人間からすると、別の情報のところから、実は先生のところの患者さんが入院しましたというふうな情報を聞くわけですね。これでは、全然遅いわけです。今いろいろ議論されているACPの問題なども、かかりつけ医が十分に知っているわけですから、まずはかかりつけ医に相談をいただけるような急変時の対応だとか、急性増悪の対応ができれば、一番情報量としてはあるに違いないんです。
それで、システムとして私などは例えば自分の診療所で増悪するような慢性心不全の方とか、ぜんそくの方には、マイカルテというのをつくってもらって延々とやっているわけです。
そういうシステムができればいいんですけれども、そうではなくてもちょっと悪くなりそうだ、ここ1カ月のうちに悪くなりそうだなという患者さんがいた場合、かかりつけ医の先生のお電話、あるいはどういった形でも連絡できるというシステムをつくってもらえば、これは一番患者さんにもいいし、救急医療のところでも無駄がない形をつくれると思うんですよ。こういうことを、ぜひ厚労省のほうで検討していただきたい。
今はやりの加算などということは私は言いませんので、ぜひそういうシステムを検討していただきたいと思います。以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、坂本構成員お願いいたします。
○坂本構成員 19ページの最初の「評価を行うためのデータの収集について」ということで、先ほど事務局からもございましたけれども、我が国では消防は救急搬送、心停止に関して非常によいデータ収集を行っていて、それを振り返ることで非常に日本の消防の救急活動の中での蘇生率の向上、社会復帰率の向上等がきたわけですけれども、医療の側で救急医療の質をどのように評価するかというときに、ずっとなかなかそれができないでいるというのが実情だと思います。
先ほどの消防のデータと病院、あるいは医療のデータを連結するということは非常に重要なんですけれども、これについては研究をベースとしてやろう思いますと、個人情報の問題であるとか、あるいは研究の継続性というようなことが非常に難しいということがございます。これについては、ぜひ行政のほうで日本の公衆衛生上のデータの1つとして、救急に関するデータを消防と連結した形で継続的に収集するということを、しかもできるだけ現場の医師に入力の手間とかをかけずに、DPCデータ等も使いながら、既に入力されているものはそのまま使える形で組んでいただいて、そして医療の質を評価していただけると非常にいいのではないかと思っております。コメントです。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、加納構成員、お願いいたします。
○加納構成員 ありがとうございます。参考資料で出されましたORIONなんですが、これは当初、大阪でスタートした時点から実は大阪ではずっと議論されているシステムでございます。まずORIONをつくった段階で、三次救の先生方が中心におつくりになられたせいで、23ページのところを見ていただくとわかるんですが、ICTを用いた病院検索というところで、二次救の先生方からはどうも三次救へ誘導するような内容じゃないかということをずっと議論されており、いまだにその議論が続いております。
そういうことから、データをとるという意味では最後のいろいろな情報を集めていくシステムとしては非常に優秀なところもあるんですが、一方では先程のような評価がされていることを御理解いただいて考えていただきたいかと思います。
もう一つは、このORIONが出たときからなんですが、ORIONを使うのかどうかわかりませんが、得てしてこういう情報システムというのは、国がどこかで画一的にやっていかず全国あちこちで出ますと、ORIONがどれぐらいの経費でなされているかは存じませんが、非常な費用負担になることもあります。こういったことをスタートするであれば統一的な形で一斉にスタートしていただきたいと思います。またあちこちのデータがあり、そのデータをとるのは非常に大事なことなんですが、非常に費用がかかる。また、ベンダーのほうに強く誘導された形態になるとまずいかと思いますので、そこら辺を御注意して御判断いただきたいかと思っております。
○遠藤座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
それでは、島崎構成員、横田構成員の順番でお願いします。
○島崎構成員 私は地域医療計画で47都道府県のものをつぶさに見ているわけではなくて、ぱらぱらと見ているだけなのですけれども、救急に関していいますと、例えば救急搬送の時間が長くなっている要因をきちんと分析したり、あるいは現実問題として以前ここで申し上げたかもしれませんが、GISのデータを使いますと、どこの地域は例えば30分以内で搬送できるかとか、いろいろなことがわかるわけですけれども、必ずしもそういう分析に基づいて議論をしているところは少ないという印象はあります。
それから、先ほどの石川先生がおっしゃることはまことにそのとおりだと思いますが、現実問題として、私の比較的身近なケースでもそうだったんですけれども、かかりつけ医までいっているかどうかわかりませんが、普段かかっているという意味でのお医者さんのところに電話をしたときに、まず救急車を呼んでくれと言われたようなことも現実にはあるわけです。
それから、それぞれ地域のシステムとか、医師会の協力体制とかということも関係しますので、国全体としてそういう方針を出していくということも重要だと思いますけれども、あわせてやはり各地域、二次医療圏、あるいはもうちょっと広くてもいいのかもしれませんが、地域の二次医療圏の設定によってはそういうところできちんとそれぞれの地域の特性も踏まえた対応を考えていくことが必要なのではないか。その中には、当然医師会もコミットする形で対応していくことが必要だと思います。
それから、評価指標の方向性については、ぜひこういう分析をしていただきたい。先ほど申しましたように、地域医療計画の中で必ずしもそのデータに基づいて分析を丹念に積み上げてやっているところばかりではないというか、むしろそういうところは少ないわけでありますので、そういう評価指標をぜひつくって建設的な議論を進めていただきたいと思います。
その際、先ほど八王子の例がありましたけれども、若干、図の中にありましたが、例えば東京ルールというのがありますよね。何回かあれしても対応しないときに、その地域の基幹的な病院が責任を持って対応するということになっているわけですけれども、東京ルールが東京の全部の地域にまで徹底しているかというと、必ずしもそうではないんだろうと思います。
何を申し上げたいかというと、たらい回しというのは語弊があるのは十分承知の上で申し上げれば、お互いにもたれかかっているような状態を見るにつけ、最終的に重症の患者を責任を持ってその地域の中できちんと受けとめたところと、そうではないところが識別できるような、そういう実態が浮かび上がるような評価指標をぜひつくっていただければ、建設的な議論ができるのではないかというふうに思います。以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
お待たせしました、横田構成員どうぞ。
○横田構成員 横田です。先ほどの議論に、私は全く賛成であります。
私も調べたことがあって、今、医療機関と、それから病院前、これは在宅だとか高齢者施設も含めて、それから救急消防署のこのデータをネットワーク化するというふうなシステムは全国で数十とも、場合によっては数百とも言われています。
それぞれのシステム、先ほど幾つかの例が出ましたけれども、それぞれ優れたところがあるんですが、私が危惧しているのは、患者さんも人もダイナミックに動くというところで、たくさんのシステムがまだ本当に1割ぐらいしか動いていないようなのですが、これからどんどん個別にそういうシステムが動いていくと、それは閉ざされた空間ではいいんでしょうけれども、恐らく患者さんも人も動くということになると、やはり共有できるシステムがないとコストばかり、あるいはそれを検索するのに極めて手間がかかる事態になってしまうので、今こそやはり主導していただいて、可能であれば全国一律のシステムを導入していただきたいと思いますし、その重要性というのはあるのではないかと思っています。
○遠藤座長 ありがとうございます。
石川構成員、どうぞ。
○石川構成員 先ほどの追加なんですけれども、島崎構成員のお話もちょっとあったのですが、実は私ども地域包括ケアシステムの中での救急だとか災害対応、防災ですね。この辺のところは、これからの課題だと思っているわけです。
そうやって考えますと、かかりつけ医がやはり地域包括ケアシステムの中で高齢者の防災、あるいは救急をどうやって考えていくのかということなんですね。先ほど、主治医のところに電話があっても、それはすぐ救急者を呼んでくれと、そのときにこの人はACPがあるのかないのかとか、そういうことについてきちんと救急隊に言えよ、この一言でもいいと思うんです。
つまり、主治医機能というものを大事にして患者さん、そして医療機関、そういったところが救急にも対応するということが大事なんじゃないかというふうに思うわけです。
ですから、何も担当の先生だけじゃなくても、いわゆるステーションですね。訪看ステーションだとか、そういったところに連絡することでもいいです。いずれにしても、かかりつけ医機能みたいなものを、その救急の中で発揮できれば、よりいい救急対応ができるんじゃないかというようなことで発言いたしました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
では、お待たせいたしました。高木構成員、どうぞ。
○高木構成員 私も、21ページの救急医療情報システムのことは非常に賛成で、この大阪のORIONというシステムは本当にすばらしいと思うんですけれども、私もかつて脳卒中を専門にしてやっていたもので、東京都の中で脳卒中の救急搬送の現状を調べるために、ある一週間だけですけれども、全てのそういう救急搬送例を調査して、その中で実際に脳卒中がどうかということでいろいろなことを調査しましたけれども、非常に情報量が膨大で、例えば脳卒中と気がついてから119番するまでの時間の問題だとか、どこに問題があるかということが非常に明確になったということもあります。やはりそういうデータがちゃんとあることが非常にこの救急のシステムの発展に大事だと思うので、なかなか全国一律にすぐ始めるというのは難しいかもしれませんけれども、まず土台をつくっていただきたいということが1つです。
もう一つは、地域ごとのこういう救急の実態のデータというものをできるだけ公開していただきたいというか、公表していただきたいというところがありまして、私ども脳卒中の例えば地域でそういう連携の協議会とかをやっていても、ではどの医療機関にどれだけ実際に脳卒中の患者が運ばれているのか、なかなか公開していただけないということがあって話が進まないということもありますので、ぜひこういう情報システムを構築して、それを積極的に公開して活用していく。全体的にそういうことで進めていただければと思います。以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。ほかに、いかがですか。
それでは、森村構成員。
○森村構成員 19ページの議論の評価指標のことでコメントを2つというか、お願いが2つです。
1つ目は、やはりアウトカム指標を徹底的に今後は収集していく方向でいかないと、最終的に得られるアウトカムが悪いので、そこにプロセスが問題なのか、ストラクチャーが問題なのかという思考過程だと思うんです。今まで一番難しかったところですけれども、そのためにデータの連結は絶対に必要だという理屈だと思います。
その中で、いわゆるアウトカムの中では、当然ながら地域の死亡率であるとか、あるいは予後といったところが代表的だと思いますけれども、もう一つのアウトカムはユーザーの満足度と言われています。これについても、定期的にフォローができるような悉皆性を持った指標があれば、地域間比較ができて、より全体がよくなるのではないかと思いますので、これはお願いといいますか、意見です。
それから、1番目のことに関して最後に予後やアウトカムを図るに当たって、もう一つは重要度分類といったところが今までよく使われてきました。初心時程度分類がそれにかわるものだと思うんですけれども、重症度のみならず、緊急性が高かったかどうかという尺度、入院したかどうかというのが1つの大きなその類型のカットオフになっていますけれども、たとえ入院しなくても緊急性が高い病態で、初期診療によってよくなったケースというのは実は緊急性の高いケースですので、そういったところの定義を図った上で、類型化していってデータを使う。そこら辺が、今後の検証も含めて鍵になると思っております。
最後に2つ目なんですけれども、これはプロセスの指標になるのかなと1つ思いました。地域包括ケアも含めてなんですが、かかりつけにどれぐらいかかっているかというところの議論の中でぜひ整理していただきたいのは、私は東京ですけれども、地域包括ケアは周辺が森で囲まれていたり、あるいは山で囲まれているような区画がはっきりしているところは議論しやすいと思うんですけれども、ある場所では隣の他府県とか、そういったところでかかりつけ医の方がいらっしゃっていますので、現在それぞれ自治体において計画がなされるものですから、ある自治体においての範囲内で、ある区内の範囲内でそれが展開できるけれども、その中に住まれている人は実はかかりつけのドクターは違う県から来られているという実態がだんだんわかってきましたものですから、都市部に関しては少しそのあたりをもし御検討されているんでしたら、今後見据えた上でそういう指標をつくっていくといいのかなと思います。
2番目は、少しコメントがありましたら伺いたいと思います。以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。では、事務局、何か関連でコメントがありますか。
○高崎救急・周産期医療等対策室長 ありがとうございます。
坂本先生がおっしゃっていただいたように、研究ですと、どうしても研究費が途絶えてしまうとデータベースが続いていかないという問題、これは救急だけに限らず全ての公衆衛生、疫学研究であると思います。都は既存のほかのデータベースや、このICTに関する施策が進んでおりますので、それらと我々の事業と照らしてどのような位置づけ、またはどのようなあり方が適切なのかということをきょう御了解いただきましたら、より詳細な議論を進めてまいりたいと思っております。
あとは、アウトカム評価の重要性について、森村先生に御発言いただきありがとうございます。かかりつけ医、地域の中での閉じられた空間というのは、変数がふえたり減ったりしないということで扱いやすいということでありますけれども、横田先生がおっしゃっていただきましたように、今後は全国展開を見据えながらもやはりフィージビリティーをある地域で確かめつつ、進めていかないといけないと思いますので、その中でユニークアイデンティファイアーがどうあるべきか、どのようにデータの連結があるべきかという課題を踏まえて、地域から地域間の連携という議論を進めていくことによって、全国でそういうデータのアウトカム評価ができるような仕組みというのを、より事務局で詳細を詰めていきたいと思います。以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。ほかに何かございますか。よろしいでしょうか。
それでは、石川構成員どうぞ。
○石川構成員 もう12~13年前になるんですけれども、千葉県は600万県民なのですが、そこで2カ月、全ての救急車が覚知から患者さんを病院に入院に置くところまで全部の時間を細かくはかったデータがございます。
これはすごく大変で、1カ月2万6000とか2万7000の事例を全県で展開するわけですから大変だったんですけれども、そこからわかることは、このICTのところで応需情報をしっかりやってくれないとこれは全然だめだということと、この応需情報が本当にまばらにある郡部のところだと、覚知してから距離はあるんだけれども一発で決まる。
ところが、大都市ですと、この応需情報が結構いいかげんですので、患者さんを収容してから圧倒的に30分ぐらい時間がかかっちゃってから患者さんを収容する。要するに、このICTのところでも人間の手を煩わす応需情報の入力というのは極めて重要だということがわかったわけです。
山本尚子さんというのが厚労省から来ているときのあれなので、よく聞いてみると、そういう分析がわかると思うので、参考にしていただければと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。ほかにいかがでございましょうか。
それでは、大友構成員お願いします。
○大友構成員 アウトカム指標、もしくはアウトカムの評価が大事である。我々科学者の立場からぜひそれは大事だというふうに認識するわけですけれども、一方で、行政にどういうふうに施策に反映するかというときに、同じ重症度の患者を50人見て、その中で生存率が高い病院はいい評価というふうにするのはなかなか行政的には難しくて、いいアウトカムを出せる体制を持っている病院はどういう病院なのかというのをまた引っ張り出してきて、そういう体制に持っていかせるような、つまりストラクチャー、プロセスのほうに持っていかせるようにしていくということで、行政的にはよろしいですか。
○遠藤座長 では、事務局からコメントがあれば。
○高崎救急・周産期医療等対策室長 ありがとうございます。
大友先生の問題意識は、恐らく重症が集まる病院というのがやはり地域の中でできてしまう。そうなったときに、アウトカムだけで評価をしてしまうと結果をミスリードしてしまうのではないかというところで、我々としてもプロセス、ストラクチャー、こちらは行政で介入ができる部分でありますので、やはりプロセス、ストラクチャーについてきちんと我々は見ていかないといけないと考えております。
○大友構成員 結果的に行政的に何かを方針をもっと打ち出すためには、結局はストラクチャーとプロセスのほうにまた戻していかないと、それで重症が集まるほうが地域全体としては、同じ疾病でその治療成績がよくなるということであれば、集約化を進めるということにしなければいけないでしょうし、そういうことを評価するために、今は例えば看護師の数とか医師の数、その専門性ということで、何となくそちらのほうがいいだろうということでやっているのを、実際にそういうふうにすると成績が上がるということを確認して、それをまたそのプロセス、ストラクチャーのほうに落とし込んでくる。そういう手法、考え方でいいんでしょうか。
○高崎救急・周産期医療等対策室長 先生のおっしゃるとおりでございます。アウトカムをよくするためのプロセス、ストラクチャーに対する介入というのは、行政としてどういうことが可能かという視点で施策として反映していくことが重要かと思っております。
○遠藤座長 大友構成員、よろしいですか。
○大友構成員 はい。
○遠藤座長 アウトカムの評価というのは、なかなか難しい。技術的に難しいことだけじゃなくて、それを施策にどう反映させるかということが難しくて、副作用がいろいろ出てくるものもあるかと思います。これは恐らく十分議論はされていると思いますので、慎重な御検討をいただきたいと思います。
事務局からは、そのような形で3つほど御提案がありますけれども、今、大変参考になる重要な御指摘をいただきました。
ただ、この方向性については、基本的にはお認めいただくということでよろしゅうございますか。
(委員 異議なし)
○遠藤座長 ありがとうございます。ただいま、さまざまな御意見がありましたので、それを踏まえまして、事務局としましては所要の対応をお願いしたいと思います。
それでは、次の議題に移りたいと思います。次は、議題3になります。「地域の救急医療資源の有効活用について」、資料4と5が出ておりまして、4につきましては事務局から御説明をし、資料5につきましては田中参考人より御説明をお願いしたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。
○飯塚病院前医療対策専門官 事務局でございます。まず、資料4のほうから説明させていただきます。
こちらは「地域の救急医療資源の有効活用について」というところでございまして、今回は消防機関以外に属する救急救命士の業務の質の向上ということで、救急救命士制度の概要と、消防機関以外に属する救急救命士の課題の2点について議論していただこうと思います。
おめくりいただきまして「救急救命士制度概要」でございます。
「救急救命士とは」ですが、救急救命士とは資格法でありまして、救急救命処置を行うに当たり、救急救命士の所属機関を限定するものではないものでございます。
救急救命士法第2条第2項におきまして、厚生労働大臣の免許を受けて、救急救命士の名称を用いて、医師の指示の下に救急救命処置を行うことを業とする者をいうところでございます。
次のページでございますけれども、「救急救命士が業務を行う場所の規定」というものがございます。こちらにつきましては、救急救命士法第44条第2項におきまして、救急救命士は緊急用自動車その他の重度傷病者を搬送するためのものであって、厚生労働省令で定めるもの以外の場所においてその業務を行ってはならない。
ただし、病院または診療所への搬送のため、重度傷病者を救急用自動車等に乗せるまでの間において救急救命処置を行うことが必要と認められる場合はこの限りではないというところでございます。
まとめますと、現場と救急自動車等、こちらには船ですとか航空機も含まれますけれども、現場と救急自動車等以外のところではできない。医療機関内では、救急救命士は救急救命処置を行うことはできないという整理になっております。
次のページでございますけれども、救急救命処置の範囲というのは、医師の具体的な指示を必要とする特定行為を含めまして現在33項目となっているところでございます。
次のページで「救急救命士年度別国家試験合格者数」というところでございますけれども、平成4年に初めての合格者が生まれましてから、大体毎年2,500人程度の救命士が世に出ております。
次のページは、「救急救命士の養成と消防機関への採用の現状について」です。先ほど2,500人と申しましたが、約半数は基本的には最初に消防職員として救急隊員となっておりまして、その後、5年間ですとか、2,000時間の救急業務を経て、半年の過程を経て救急救命士になるというのが半数でございます。残りの半数は大学や専門学校等で2年~4年の教育を受けて、救急救命士国家試験に受かるというところでございます。
その合格者のうち、地方公務員として消防職員として採用されるのが800人ぐらいで、600人ぐらいはほかのところにいっているのが現状です。こちらに関しましては、平成27年度の厚生労働科学研究の報告を抜粋したものでございます。
次のページでございます。「消防機関以外に属する救急救命士の課題について」というところで御説明させていただこうと思います。こちらにつきましては、救急救命処置の質の確保と地域の連携という2点につきまして説明させていただきます。
「救急救命士の実施する救急救命処置の質の確保に係る議論」といたしましては、平成12年、「病院前救護体制のあり方に関する検討会」、こちらは厚生省でございますけれども、それに対して救急救命士に対する医師の指示に際して単なる処置の「許可」ではなくて「メディカルコントロール」による質の確保という観点から見直してはどうかということが提言されています。
ここで、初めて「メディカルコントロール」という言葉が出てきたわけでございますけれども、メディカルコントロールというのは何かと申しますと、「救急現場から医療機関へ搬送されるまでの間において、救急救命士が医行為を実施する場合、当該医行為が指示又は指導・助言及び検証してそれらの医行為の質を保障すること。」となっております。
こちらにつきましては、検討会の報告書が下のほうにありますけれども、その抜粋を見ますと、やはり救急救命士は医療機関にいないため、医療機関において医師の直接指示または指導のもとに業務を行う他の医療関係職種とは違う。ですので、医師の指示と消防機関における指揮命令系統との関係が曖昧になっている、という書き方になっており、基本的には消防の救急隊員を念頭に置かれて書かれているものでございます。
次のページでございます。このような議論を経まして、メディコントロール協議会というものが整備されることになります。こちらは「消防機関に属する救急救命士を念頭において」とございますけれども、メディカルコントロール協議会の内容というものはこちらの平成13年7月の消防庁の救急救助課長通知において内容が決められているといったところでございます。
このような形で、全国においてメディカルコントロール協議会というのが整備されるということになっておりますけれども、では、それ以降どのような形で救急救命士の質の確保というものを都道府県にお願いしてきたか、につきましては、基本的には特定行為、先ほど説明させていただきました、具体的な指示を必要とするような救急救命処置がございますけれども、その特定行為が新規追加されるたびにメディカルコントロール体制の充実、強化というのを依頼してきたということでございます。
「概要」としましては、特定行為が新規追加されるごとに、まずは「メディカルコントロール体制の整備の必要性の周知」、こちらに関しましては、特定行為の実施に関しては常時医師の具体的な指示を受けられる体制の整備ですとか、プロトコールの作成ですとか、事後検証体制とかを実施の前提条件にするように留意されたいといったものでございます。
それらにつきまして、具体的には「メディカルコントロール体制の充実強化を依頼」ということでございますけれども、プロトコールについては地域メディカルコントロール協議会で作成すること、特定行為の実施については地域メディカルコントロール協議会が設置されていること、あとは特定行為の新規の追加に関しては追加講習が必要になってまいりますけれども、追加講習の対象者も地域のメディカルコントロール協議会と協議をすること、実習を修了した者につきましては協議会で認定を行うということとなっております。
これらにつきましては、基本的にはメディカルコントロール協議会が関与しているというところでございますけれども、裏を返せば、メディカルコントロール協議会に属していない、消防機関に属していない、つまり消防機関以外に属しているような救命士の特定行為の実施に係るメディカルコントロール体制というものは今まで明示してこなかったというところでございます。
次のページでございます。さらに申し上げますと、救急救命士におきましては、消防機関に属する救命士におきましては特定行為のみならず、救急救命処置全般においてメディカルコントロール協議会で質の確保をしているところではございますけれども、先ほどから申し上げておりますように、消防機関以外に属する救急救命士につきましては今まで規定をしてこなかったというところでございます。
次でございますけれども、「地域の消防機関との適正な連携について」、説明したいと思います。こちらにつきましては、平成27年度に消防庁で、消防機関以外に属する救急救命士と消防機関の連携に対する課題というものを議論しておりまして、そこでは現場引き継ぎ者の連携においては「プロトコールの違い」というものを挙げているものが一番多かったということになっております。ですので、やはりこの地域で救急救命を連携するには消防機関との連携が必要ですけれども、それ以降、消防機関以外に属する救命士が傷病者を現場及び医療機関において消防機関と引き継ぐ際の連携体制のあり方については、こちらもまだ明確ではないというところでございます。
最後に「まとめ(論点)」でございます。
「課題」につきましては今、述べましたように、質の確保のあり方、消防機関以外に属する救命士の質の確保のあり方及び消防機関以外に属する救命士が地域の消防機関との連携のあり方については明示してこなかったというところでございます。
「議論いただきたい内容」としましては、1点目でございますけれども、まず「質の確保」という意味で、消防機関以外に属する救急救命士による救急救命処置の質の確保、メディカルコントロール体制はどうあるべきか。こちらに関しましては、どうあるべきか及びその類型により、そのあり方が異なるかというのを御議論いただきたいと思っております。
具体的には、メディカルコントロール体制が所属機関内で構築可能、医療機関を想定していますけれども、医療機関に属する救急救命士が、例えば医師の臨場がある。その場に、目の前に医師がいるような、例えばドクターカー等で活躍する場合に対するメディカルコントロール体制、またはその医療機関に属する救命士が医師の臨場がないような、例えば病院救急車が医師臨場なしで転院搬送を行うような場合に、そのときのメディカルコントロール体制は異なるのか、同じなのか。
また、そもそもメディカルコントロール体制が所属機関内で構築が難しい場合、それは例えば大規模集客施設等で活躍される救命士さんも今いらっしゃると聞いていますけれども、そのようなところには医者がいませんので、外からメディカルコントロール体制を構築していると思いますが、そういった場合に事後検証はどうかとか、そういったところを議論いただければと思います。
また、特定行為実施に係る講習につきましては、消防機関以外に属する救急救命士が特定行為を実施する場合、消防機関と同程度のプログラムを所属機関で策定の上、救急救命士が受講することと整備してはどうかというふうに考えております。
「適切な連携」につきましては、消防機関以外に属する救急救命士と、消防機関との適正な連携はどうあるべきか。こちらは、プロトコールの調整等が必要になるかどうかということに関しまして御議論いただければと思います。
事務局からは、以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、引き続きまして田中参考人よりよろしくお願いいたします。
○田中参考人 田中でございます。私のほうからは、「消防機関以外に属する救急救命士の利活用の現状」について、またメディカルコントロールの現状について御説明をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
1枚めくっていただきますと、ちょっと古いデータになりますが、平成28年度救急救命士の総数は5万3857と書いてあります。今は6万人弱ということになっておりますが、実はそのうちの40%弱が非消防職員でございます。非消防職員のうち、海上保安庁、自衛隊、警察等に就職している者を除きますと、全くの民間の救急救命士ということで、民間救急救命士という言い方をさせていただきたいと思いますが、こういうような状況であるということです。
そして、その次のページでございますが、救急救命士の養成施設の協議会がございまして、現在40を超えた大学あるいは3年生、2年生の養成機関から年間1,200から、恐らくこの先1,400くらいまでふえてくると思いますが、卒業してまいります。この公的機関に進むのが約60%で、残りの40%は救急救命士としての民間企業への就職をしているような状況です。多くは病院であったり、あるいは高齢者施設であったり、警備会社であったりということで、こういったような民間の搬送機関等々への職域が今は広がっているような状況でございます。
1つめくっていただきまして、先ほども飯塚専門官から御説明がありました平成27年の総務省消防庁の救急業務のあり方の検討会の中で、このような消防機関以外の救急救命士にどのような活躍が期待できるかということが議論されました。
4枚目のところに書かれておりますのがおおむね検討されたことですが、やはり現場に多く所属する救急救命士が活躍する価値はあるだろうというもとで、しかしながら、メディカルコントロール体制をどういうふうに担保していくか、あるいは事後検証であったり、消防との連携であったり、プロトコルの共有というところに今後の課題が残ったということで、27年度の報告は閉じられております。
これを受けまして、数々の議論のもとに、平成29年度5月に病院前救護統括体制認定機構というものが設立されました。1つおめくりください。この認定機構でございますが、具体的には消防に所属しない民間の救急救命士の再教育であったり、あるいは雇用施設であったり、またはこれに指示、指導をする医師の認定を主に行うのがこの機構の役割でございます。理事会には日本医師会、日本救急医学会、日本臨床救急医学会、災害医学会を含めたさまざまな救急救命士にかかわる学会が理事会を構成していただきまして、また厚生労働省を含めてオブザーバーをいただいているような状況でございます。
次のページをごらんください。それでは、民間の救急救命士はどういうような方が認定となるかということですが、先ほど申しましたマル1~マル5までのところで、医療機関や教育機関などに所属される方、また本機構の教育認定を受けている、施設認定を受けている企業に勤務される方、またはこれ以外でも1項、2項以外の会社企業に勤務される方、そしてさらにそれ以外で認定を希望される方、理事会での適当と思われる方ということで、消防機関や医療機関に所属する救急救命士はこの民間の認定の対象ではございませんが、本人が希望すればそれを否定するものではございません。
1つおめくりください。この認定のプロセスでございますが、消防機関に属している救急救命士は2年間で128時間の生涯教育の時間を設けられております。民間のほうにおきましても、全く同じような2年間128時間の認定内容を用意しております。基礎教育で24時間以上、また臨地実習としてシミュレーションや病院実習で64時間以上、そして生涯教育で40時間ということで、この3つが十分満たされること、そして筆記試験等を行いまして合格した者をこの認定の民間救急救命士とさせていただいております。
次のページには先ほどもちょっと説明がありましたが、民間救命士を活用すべきときに救急救命士法を理解しておかなければならないということで、重要な点としましては、救急救命士の所属機関や搬送能力をもってこの法律は処置範囲やそういったものを限定しているものではないということ、すなわち救急救命士法の2項1条に書かれている内容は民間であっても消防機関であっても同じであるということ。
それと、2条2項で書かれています緊急自動車の認可を受けた救急車でなければ救急救命士の活動ができないかというと、ここで書かれておりますのは救急用自動車と書かれておりますので、ここのところについても注意が必要かと思われます。
あとは、44条2項並びに46条、47条と書かれておりますが、大事なことは民間であっても消防であっても、救急救命処置録にきちんと記載をし、記録を5年間保管しなければならないということでございます。これができないと、救急救命士法に抵触することになります。
さて、次をおめくりください。では、具体的にどういう形で民間で活用されているかの例を少しお持ちいたしました。地域包括ケアの中での活用であったり、集客イベントであったり、あるいは役場救急という中での活用であったりということで、少し御説明をさせていただきます。
10ページのところは、まずは役場救急というところでの活用です。これは、常備消防が非設置されている自治体がまだ30弱ほど全国にございます。こういったところでの活動は役場救急といいまして、役場の職員が実際に救急車を動かしているところがまだございます。ここに日本救急システム株式会社というところが救急救命業務の民間委託を受けておりまして、こういう救命士の活用を図っているところでございます。
次のページをおめくりください。では、実際にどういうことをやっているかというと、宮崎県の美郷町というところで実際に救急車を運行し、2名のドライバー、役場職員と2名の救急救命士の4名で活動しております。宮崎県のドクターヘリとの連携、または災害時の応援対応等は従来の消防機関と同じように実際にできているということです。
次のページをごらんください。ここでのメディカルコントロール体制ですが、指示・指導、助言体制は町の医療機関から、また事後検証は町内の医療機関で全出場事案の事後検証、そして再教育は先ほどの2年間128時間というものを守って実施をされております。
同じようなものが徳島県の勝浦町でも行われておりまして、メディカルコントロール協議会の中で活動しているもの、そうでないもの、さまざまございますが、現在は地域での救急救命業務を実施しているようになります。
次をおめくりください。次は、一般財団法人の日本救護救急財団が行っております民間商業施設、東京スカイツリーでの救護室の運営の状況です。救護室内に2名~3名の救命士が常時待機しておりまして、具合が悪くなった方への対応をするというようなことになっております。救命士が実際に500メートル以上のスカイツリーの上の部分に常時おりますので、そこで倒れた方、CPAになった方等への迅速な処置が可能となっております。
ここでのメディカルコントロール体制が、次のページにございます。オンラインのMCは、財団で契約されている救急医に電話による指示・指導、助言を受けております。また、オフラインでは全活動に対する事後検証を一次検証から三次検証まで、そして継続教育やプロトコルの作成、症例検討会ということで、消防機関で行っているような内容とほぼ同じような内容をPDCAサイクルに乗せまして実施をしているというものでございます。
次をおめくりください。次は「マラソン大会での救急救命士の活用」ということで、例えば東京マラソンを含めたさまざまな救護イベントでございますが、国士舘大学が行っておりますこういったファーストレスポンダーとしての活動で、現在まで35例中33例の心停止の方が社会復帰をされているというような状況でございます。
ここにつきましても、次のページにメディカルコントロール体制が書かれております。
さらに次のページをおめくりください。具体的なオフラインの事後検証対象でございますが、全例病院搬送された症例を一次検証、二次検証、三次検証という形で行われておりまして、ここでの三次検証以降、プロトコールの逸脱やインシデンスのケースに関してはさらに調査を行っていくというような体制となっております。
次のページをごらんください。これは、その事後検証に使われますような検証用紙となっております。
次をおめくりください。さらに、救急救命士がドクターカーに乗っております日本医科大学多摩永山病院での救急救命士の活用事例をお示しします。
ドクターアンビュランスの乗務員として平日の17時から翌日の9時まで、日曜祝日は24時間体制で出動するような体制となっておりまして、ドクターアンビュランスが東京消防庁のキーワード方式での出動要請で出ますが、医師、看護師、救命士の3名で出動することとなっております。
救急業務としましては、アンビュランスの運転並びに現場での安全管理業務、さらに同乗の医師にオンラインMCで救急救命処置を実施するということとなっております。
活動記録ないし事後検証につきましては、ここに書かれているとおりでございます。
次のページをごらんください。このように、病院に所属する救急救命士におきましても、院内業務、院外業務がございますが、院外業務としましては包括医療での患者搬送やドクターカーを使って活動をしている病院がふえてきているということでございますが、重要な点は救急救命士法では院内では業として救急救命処置を行ってはいけないとなっておりますので、これに準拠し、必ず守るように機構では指導をしている次第でございます。
次のページは「民間救急救命士の活用範囲」についてですが、大事なことは、地域のシームレスなメディカルコントロール協議会、あるいは消防機関との連携が必要になっております。プロトコールが違っていたり、あるいは指導内容について違いが出てまいりますとそごが生じますので、こういったようなところが、今後の課題ではないかと考えております。
22ページ目は、現在この病院前救護統括認定機構の考える地域MC協議会との連携のあり方でございます。先ほども、医師の統括のある医療機関、医師の統括のない機関、それぞれ差がございますが、こういった機関に消防機関とのシームレスな連携体制を構築し、また、救急救命士が法律を準拠しまして民間での活動ができるような体制がこのような形ではないかと現在は検討を進めているところでございます。
最後になりますが、私たち救急救命士の病院前の救護の統括体制認定機構といたしましても、この救急救命士をさらに活用するということで、高齢化社会へ向けて包括医療がますます進んでいく日本の中で、また医療資格を有する病院前のスペシャリストとして活躍が期待できるのではないかと考えております。
以上でございます。ありがとうございました。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。大変わかりやすい御説明をありがとうございました。
それでは、ただいまありました事務局からの御説明及び田中参考人の御説明につきまして御意見、御質問をいただきたいと思います。いかがでございましょうか。
山本構成員、どうぞ。
○山本構成員 私は、この救命制度が発足した直後にこの制度を運用する課長補佐を担当したということから、当時の時代背景と四半世紀たった中で私自身感じていることをお話ししたいと思います。
まず、今回の議論は現行法を前提としてどう活用するかということで、きょうはそれに限定なのでしょうが、私自身、当時と違うというのは、当時は例えばこの救急救命士の養成所というのは2年課程、わずか2年というような制度でしたけれども、今は3年制の養成所、さらには今、大学で4年課程まである中で、かなりこの救急救命士の養成課程の品質は向上しているのではないか。いわゆる期間がそれだけ長くなっていることも含めてですね。
もう一点、当時は今ほど医師、看護師不足という議論がそうなかった時代でした。そうすると、新しい職種をつくる、新たに創設する場合にかなり限定的にやるという発想もあったのかなという気がしています。その中で、今5万人も出てきている中で、国家資格を有する方々をどうさらに持っている能力を生かしていけるかという非常に大きな課題の中で、現行法を一切いじらない前提での議論というのはまた別に、この搬送過程に限定している、そもそもこれがどうかという論点の議論をすべきじゃないかという気がしています。
当時から非常に、より厳しい環境下である搬送途上という場に限定よりも、本来、より環境がしっかりしている、例えば病院内の救命救急センターでのちゃんとした仕事ができる人間こそ、ある意味では搬送途上という厳しい条件下で活躍もよりできるんじゃないかという議論は当時もあったわけです。
ですので、本日はそういった意味で現行法の中での議論な絞ることですけれども、どこかの機会でそもそもこのいわゆる養成課程の状況、カリキュラム等を含め、そして活躍する場についてのあるべき議論とかを別途される予定があるのかどうかだけ、事務局にお尋ねしたいと思うのですが。
○遠藤座長 そういう幅広い議論、重要な議論だと思いますけれども、そういうことについて事務局としてどういう対応をとっているのかということですが、いかがでしょうか。
○高崎救急・周産期医療等対策室長 大変重要な御指摘、ありがとうございます。まだブレーンストーミング過程でございますけれども、我々としても当時の法律の状況と現在の状況を照らして、活躍される場のあり方ということも事務局内では検討はしております。
また、それについては今後、より精査して準備が整いましたら先生方に御議論いただく場があるかと存じております。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、高木構成員どうぞ。
○高木構成員 私も、山本委員の意見に全く大賛成です。私も病院の立場で救命救急士とかは職員としていますけれども、なかなか彼らの活躍できないところというのが、今の院内の中での救急業務ができないという制限があるということが非常にハードルになっているので、ぜひそこは改革していただきたいと思うんです。
それで、御存じのように救急の現場というのは非常に医師や看護師の過重労働が問題になっておりまして、働き方改革の議論を盛んにされているわけですけれども、この救命救急士がそういう業務をできることは十分に我々も把握はしておりますので、ぜひその業務範囲をまず拡大していただきたい。
メディカルコントロールも非常に重要だとは思うので、もちろん院内にしっかりとしたメディカルコントロールの場というものをつくっていかないといけないとは思うんですけれども、何よりもまずは法律がハードルになっているところを御理解いただければと思います。
それからもう一つ、教育ということに関しては、やはり民間の消防士で実際の救急の搬送も余り経験がないのはよくないと思うので、医師の卒後研修と同じように卒業後の国家試験を合格した後、例えば研修を何カ月とか、1年とか義務化して、救急搬送の場と、あるいはまた病院の救命救急センターとか、そういうところでの研修を必修化するとか、もう少しすることによってクオリティーのコントロールができるのではないかと思います。以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
事務局が出された課題、検討事項よりも幅広の議論になっていますが、せっかくこの議論になりましたので、ちょっとそれに関連した話ですね。法律改正も含めての話について、まずお話いただきたいと思います。
それでは、加納構成員どうぞ。
○加納構成員 ありがとうございます。先ほどの議論ですが、私どもも二次救急病院で、やはり救急の現場で彼らにぜひとも活躍していただきたいと思っています。まさしく医師の働き方の中でもこれから一番問題になるのは救急や小児、周産期等と言われているわけでして、そこでのタスクシェアリングという中ではやはり救命士が今の法律等で院内で救命措置を行ってはいけないという、これがやはり大きな足かせになっておりますので、何とかここはやはり一度議論する時期にきているのではないかということで、御検討をよろしくお願いしたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、島崎構成員お願いします。
○島崎構成員 私も、皆さんの意見に全く賛成です。
そもそも事務局のほうが出されている15ページの論点なのですけれども、この論点を議論していくということになると、その前提をどうするかということを捨象してできないんじゃないかと思うんです。つまり、法律的にいうと資料4のスライドの3ですか。救急救命士法を見ると、結局場所の限定性が非常に強いわけです。確かにただし書きがあるので、そこの読み方で多少工夫をしているといえば工夫しているのかもしれませんが、それにしてもはっきりいえば救急車の中で仕事をする。例外として、ごく例外があるという建て付けになっているわけです。
その一方で、先ほどの話だと、これだけたくさん救命救急士を養成している。なおかつ、民間でいえば2年ないしは4年でしょう。なおかつ消防機関のほうから研修を受ける場合も7カ月ですよね。その間、通常の救命救急の業務には携わっていないはずです。研修に専属でしょう。そういうことになると、その機会費用まで考えると膨大な金額ですよね。
ですから、その考え方として、本当に費用対効果に見合っているのかどうなのかということでは見合っていない。そうだとすると、そこのところの養成を店じまいというのはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、縮小の方向に向かっていくのか。そうではなくて、でもそれは一定の有用性があるから、それに見合ったふうに法的な規制も含めて再考していくべきだというのは、これは当然の議論だと思います。
いずれにしても、ここの論点のところはそうした議論と無関係に、では民間で働いているからそこのメディカルコントロールをどうしましょうかというのは、ある意味では変な話なので、そこまでさかのぼらないとだめだという気がします。
○遠藤座長 それでは、野口構成員どうぞ。
○野口構成員 野口です。皆さんと同意見だから余り発言する必要はないかもしれませんけれども、平成2年にこれが議論されたころに、私もそれ以来ずっと携わってまいりましたが、一時、去年でしたか、調べたことがあって、社会労働委員会か、ちょっと名前が違うかもしれませんが、そこで議論されていて、その当時からいずれ民間で雇用される人が出るだろう。そのときのためにいろいろ準備しなければいけないよということを、草川昭三という人が質問しています。それに対して、当時の厚生省のほうもそのように努めますという話になって、ある面では遅きに失する気がして仕方ないんですね。
今、構成員の方々の御意見を伺って、全くむべなるかなで、難しければ既存の地域のメディカルコントロール体制にぶち込んでしまってもいいわけです。だから、法改正となるとまた大変な労力が要るんじゃないかという気もしますけれども、それはぜひやっていただきたいことではありますが、何万人という人を一生懸命教育してももったいないですね。我々は教育にも携わってきましたので、ぜひこれは早い解決をお願いしたいです。以上でございます。
○遠藤座長 それでは、森村構成員お願いします。
○森村構成員 今の議論に少し関係するんですけれども、そもそもどれくらいふやせばいいのか。養成している、あるいは養成してきたのは国の施策の一環の中で年間何万人ふやすとか、そういった形ではなかったように思います。それで、結果として今ふえている職種に対して利活用しようという議論だというふうに私は理解しています。
ただ、タスクシフトも含めて今、救急医療に関しては非常に逼迫しているので、その打開策の一環としてこの議論は進めていくべきだろうと思うんですが、ちゃんと計画的にそれはやるべきだ。
それで、1点きょうは皆さん救急としている二次救急のお話、あるいはいろいろなプレホスピタルの現場でのお立場でお話をされているので、あえてきょう私は大学のほうの立場で言うのならば、医学生、臨床研修医、あるいは看護師といったところと、かなり拮抗する競合的な環境の中での教育環境を提供していくことになろうかと思っています。したがって、どれぐらいの量をどれくらいの期間で教育していくのかという視点からも、これは計画的にしなければいけないと思っていますので、救急救命士が活躍するためには医師のメディカルコントロールが不可欠であり、そのメディカルコントロールの質を担保するのは教育であり、医師側がしっかりしていないとだめですので、そこもあわせて考えていかなければいけないだろうと思うので、ぜひともその視点で御検討いただきたいということです。
それから、法改正が難しいということで後にするのは、私は反対です。そうすると、先送りして、結局また同じようなことが何年後かに起こり、一番迷惑をするのは国民だと思いますので、これは絶対やりながら拡大解釈をして、こうやったらできるんじゃないかというのは、そういう現場に苦労させないで、やはり課題を解決した上でそういったことを考えていくことをしないといけないんじゃないかと思っております。以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、順番からして大友構成員、それから阿真構成員の順でお願いします。
○大友構成員 事務局が用意した議題、論点とちょっとずれていて、職域拡大の話になっているのですが、その話でよろしいですか。
○遠藤座長 今は、わざとそこのお話をしていただいています。
○大友構成員 そこでお話をさせていただくのですけれども、医療の国家資格者としての医師、看護師、どちらも不足していて、各病院でもその確保が困難で、なおかつ救急医療の現場では非常に不足している状況の中で、医療の国家資格としての救急救命士だけは余っているという状況がある。
ですので、救急の現場で救急救命士を活用するべきだという皆さんの意見はそのとおりなのですが、実際にはすでに多くの病院で働いています。
ただ、業として救急救命の行為は実際できませんが、救急救命士としての医療職としての知識、技能を大いに活用して雇用している立場としても非常に助かっている状況です。
ただ、雇用はできるんですけれども、一番の問題点は、救急救命士を雇っても病院にとって収入には全然プラスにならないという状況です。つまり、持ち出しで雇っているということになっているのが問題で、結局は救急救命士を雇うのは看護補助職みたいな給与で働かせているというところが問題で、きちんと救急救命士を働かせると病院の収益面でも何らかのプラスになるというふうにしないと、これから職域拡大をやっても結局救急救命士を病院が雇うというところになかなか広がっていかないと思います。
○遠藤座長 制度上の問題も十分大切だということですね。
阿真構成員、お待たせしました。
○阿真構成員 皆さんとほとんど同じ意見なんですけれども、救急救命士法の第2条1項、事務局の資料の2ページですが、何度読んでもすごく現状に即していないなと思っています。業務自体を広げようとか、拡大しようという話ではなくて、場を変えようという話なので、これは変えることができるのではないかと、私は素人ですけれども思います。
それで、田中先生が出してくださった資料の9ページの活用範囲を見ても、これをよくよく読んでみると、これと法律と、何かちょっとグレーな部分とかが出てきたりするのも、グレーというか、そういう形で堂々とできないというようなことはすごくおかしな感じがするので、そこはやはり法律を現代の時代に即した形にして、堂々と生き生きと病院前のスペシャリストとして本当に活躍していただけるのではないかと思います。
私が救急救命士さんに医療従事者ですからというようなことを言ったときに、自分は医療従事者ではないということを強くおっしゃられたことがあって、でも私たちからするともちろん医療従事者というふうに認識しているところがあるので、そういうふうに表立って言えるようになったらいいのではないか。別に業務を拡大する話ではないんじゃないかと思っています。以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
坂本構成員、どうぞ。
○坂本構成員 今、阿真構成員からグレーな部分というお話が出ましたけれども、実際に例えば医師が1人しかいないようなところに救急救命士が傷病者を運んできて、心肺蘇生を続けて病院に来たときに、病院に入ったら、ではすぐにぴたっと手をとめて、ここから先は心臓マッサージが私たちはできませんからということは恐らくなくて、そこにいる医師と協力しながら蘇生をしているというのが実態だと思うんです。
それで、消防職員が、自分が連れて行った患者さんを病院の中で着いた後も医師と協力してやるのは、患者のためにはそのほうがいいはずなのでやっているわけですけれども、一方で病院で雇用されている場合にはできないというところは、もう既に解決しなければいけない問題の一つではないかと思います。
もう一つ、私は今、救急救命士の国家試験の委員会の委員でございますけれども、そういうことをやっていくのであれば、救急救命士の国家試験の中でやはり彼らの知識、技術を変えていかなければいけない部分もありますし、ちょっと遠回りでもきちんとそこのところは法改正をして、国家試験の内容もそれに対応できるようなものに変えていくような方向が必要ではないかと思います。
○遠藤座長 では、井本構成員どうぞ。
○井本構成員 看護協会の井本でございます。今の議論で森村先生もおっしゃったように、現状の体制における課題を明確にしていただいた上で、データに基づいて議論をしていただきたいということを要望いたします。以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。ほかにございますか。
なかなか職域の拡大の議論ですから、本格的な議論になればさまざまな課題が出てくることは目に見えていますけれども、このメンバーの中でも御意見があれば承りたいと思います。よろしゅうございますか。
それでは、そういうことで、まず事務局におかれましてはこういうような意見が極めて大きかったというようなことで、抜本的な検討を進めてほしいと、大多数の意見がそうだったということであります。
では、事務局からそれに対してコメントをお願いします。
○高崎救急・周産期医療等対策室長 ありがとうございます。加納先生のタスクシェアリングでありますとか、島崎先生の場の拡大、または民間での実際に活動されている現状、また野口先生からの法改正が必要であるのではないかなどなど、御意見をいただきました。事務局としてもまさに先生方がおっしゃっていただきました問題意識を持っておりまして、事務局でもどうあるべきかということを考えておりました。
おっしゃっていただきましたように、法改正が必要でありますし、森村先生がおっしゃっていただきましたように労働市場に与える影響も大変大きいかと思います。また、坂本先生がおっしゃっていただきましたように、現状では、救急車に乗ったところまでで、病院内については法律では明記されていないというところですけれども、やはり救急医療の一貫性の観点からはしっかりと病状が安定するまで救命士さんの関与があったほうが医療のアウトカムとしても大変よく、患者さんにとってもメリットであるという現状はあるかと思います。
他方で、法改正が必要であることもありまして、職域、能力の拡大というのはほかに与える影響も多くありますので、我々としても慎重に議論していかなければいけないと思います。
今回は、まず救命士さんがさまざまな場で、現時点においても活躍されているものの、その質の確保のあり方については必ずしも一貫した共通の質の確保のあり方というものが現在ないのではないかという問題意識に立ちまして、場を拡大する前にきちんと救命士さんの質というものの均てん化、または共通化という議論があった上で、場の拡大の議論というものはあるべきではないかと考えております。今回は、先生方に質の担保のあり方について御議論いただくことがまずは重要であろうという事務局の考えで、議題として御提案させていただきました次第です。
きょうの御議論は、立法府の議員の先生方にも御指導いただきながら進めていかなければならない事項だと思っておりますので、きょうの御意見を踏まえまして、事務局でもしっかりと検討してまいりたいと思います。ありがとうございます。
○遠藤座長 よろしくお願いします。
それでは、せっかく事務局から議題が3つ出されております。広い議論がありましたので、それも踏まえましてこの3つの課題ですね。15ページにあるものですけれども、これについて何か御意見はございますか。
では、大友構成員どうぞ。
○大友構成員 事務局側から、消防に属さない救急救命士の救命救急行為に関する、もしくはいろいろな行為に関する質の確保をしっかりしなければいけないという問題提起だと思いますが、田中先生の取り組みはかなり大がかりにしっかりやっているんですけれども、あそこまでやらなければならない、そこまでしっかりやっていると法律に照らしてほぼ問題ない、もしくは引き継ぎの観点からもきちんとできるのではないか。
逆に言うと、そこまでやらないとなかなか満足いくところまでいかないのだということだと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
あとは、具体的に事務局から出されている課題について何かございますか。
それでは、森村構成員どうぞ。
○森村構成員 メディカルコントロール体制の中で、質の保障というふうに書かれておりますので、この3つに全部かかわる総論的な話の中で御提案させていただきたいんですが、消防機関以外が属する救急救命士が行う業務に対するメディカルコントロールと、通常の救急業務におけるその地域におけるメディカルコントロールの質に差が出ないようにするのは当然だと思います。それに対する仕組みがどうなっていくのか。これは、まさにメディカルコントロールの質そのものをどうやって担保してあげるのかというところにあろうかと思います。
これは私の意見ですが、その地域、地域によって考え方がちょっと違うかもしれませんけれども、例えば地域のメディカルコントロールの協議会が全体の地域の責任を負うというような視点であるのならば、それと同じ方略や尺度を持って、実際に消防機関以外で行われる救命士の方々のメディカルコントロールの手法、あるいはそのやり方に対するMCにかかわる、そこの民間のところにかかわっている医師への関与、このような形でMCをしたほうがいい。あるいは、こういった形でやってくださいという認証といいますか、そういったものが必要なのではないかと強く思います。
横並びではなくて、どこかが全体を統括しているような、そういうシステムが必要ではないかと思いますし、そうでないといろいろなところで、いろいろな会社で私がMCである、医者であるということが言える。それを認定するものが、やはり公的な機関である必要があると思います。すなわち、地域の自治体を含めた公的なところがそれを担保するべきだろうというふうに私は思います。意見です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、島崎構成員どうぞ。
○島崎構成員 さっき申し上げたこととちょっと関係するのですけれども、資料の論点の最初のところに、「消防機関以外に属する救急救命士が地域で活躍するにあたり」と書いてありますよね。揚げ足をとるようなのですけれども、そもそも救急救命士は地域で活躍をするという評価をしているのですか。法令上、私の救急救命士法の読み方がちょっと違っているのかもしれませんが、救急車の中で活躍をします。ただし、例外的にそこに至るところまではやることはできますよということなので、社会的に地域で、先ほど田中参考人が御紹介されたことの一般的な意味での評価をしているわけではないです。
そもそも法令上、ここで「救急救命士がその地域で活躍するにあたり」という表現は大丈夫なのですか。
○飯塚病院前医療対策専門官 事務局でございます。この「地域で活躍するにあたり」という意味でございますと、基本的には今、病院に属する救急救命士が一番多いと思いますが、その病院に属する救急救命士が救急用自動車、つまり病院の救急車に乗って現場に出て行って、例えば在宅の患者さんを自分の病院に搬送してくるですとか、そういった意味での地域の活躍というのを想定して書かせていただきました。
○島崎構成員 先ほどの話だと、御紹介いただいている田中参考人の紹介事例はもうちょっと広いですよね。
例えば、集客施設とか、いろいろありますよね。揚げ足をとるような聞き方で申しわけないのですけれども、それはここで言っている地域で活躍をしているということとはちょっと違うということですか。
○飯塚病院前医療対策専門官 それももちろん含んでおります。
法令の解釈でいいますと、やはり救急車内での活動が中心でありますが、現場で活躍することも可能です。なお、現場で活動する際は、その後必ず救急搬送を実施しなくてはならないわけではないという解釈で考えております。
○高崎救急・周産期医療等対策室長 補足をしますけれども、例えばマラソンや駅伝では救命士さんが会場にいて、救急医療へつなげていく前提で救急車に乗せるまでであるとか、大規模集客施設、スカイツリーでは救急隊が搬送するまでなどを含めて地域という表現をさせていただきまして、そういう意味では法律面でグレーなところがあるとは考えておりません。
○遠藤座長 ありがとうございます。ほかにございますか。
それでは、横田構成員どうぞ。
○横田構成員 横田です。田中参考人の資料に質問させていただきたいと思うんですが、22ページの図にある真ん中の「民間を含めた地域MC体制」というところは、救命士の皆さんの検証だとか、恐らく教育とかというのもあるんでしょうけれども、具体的にどういうことを想定しているのか。あるいは、もう既にこういった組織があって、一部もう取り組まれているのか。その辺は、今どういうふうな活動をされているかを質問したい思いますが、いかがでしょうか。
○遠藤座長 田中参考人、お願いします。
○田中参考人 お答えさせていただきます。これはまだ案の段階ではございますが、ごくごく一部の組織では、医師の統括がない警備会社であったり、学校や、あるいはまたスカイツリーのような医師が常時いない場所での救命士の活動が始まっております。
そこに対して、民間のこの機構で認定をされた医師が指示・指導をするというような状況になっておりますが、そこで何か救急搬送事例が生じたり、あるいは実際に心停止が生じたりしますと、119番での消防機関との連携ということが出てまいります。
そういったところで、使用した機材や、そういったものをきちんと申し継ぎをしたり、あるいは事後検証に耐えるような資料を伝達していくというようなものがここのイメージでございます。
○横田構成員 現時点でも数は少ないですけれども、先ほどグラフにありましたように警備会社に勤務されている方などもおられますよね。そういう方々は、現時点ではまだそういう事例がないからというふうな理解でよろしいのでしょうか。それとも、もう既にこういった検証は、数は少ないですけれどもやっているということですか。
○田中参考人 数は少ないですが、実際に発生していることは、心停止に対してAEDを使ったりといったような救急救命処置に該当するものは既に生じております。
○遠藤座長 ありがとうございます。ほかにいかがでございましょうか。
大友構成員、どうぞ。
○大友構成員 田中先生がやっていらっしゃるメディカルコントロールは、地域のメディカルコントロール体制、もしくは県とか地域のメディカルコントロール体制よりもレベルが高い内容でしっかりやっていると私は思うんですけれども、先ほど森村先生がおっしゃった法的な機関がやらないとまずいという話なのか、民間でも内容はしっかりしていれば問題ないのか、これはどちらになるんでしょうか。
実際始まっており、会議には厚労省と消防庁からもオブザーバーで参加していてこの話が進んでいるので恐らく大丈夫なのでしょうが、民間がやることは問題ないということでよろしいですか。
○遠藤座長 田中参考人からコメントをいただきますか。
○大友構成員 厚労省にお願いします。
○遠藤座長 では、厚労省お願いします。
○高崎救急・周産期医療等対策室長 現時点においては、先ほどこちらの資料でも御説明差し上げたように規定がありませんので、この場でどういうあり方が適切かというのを御議論いただきたいと考えております。別な言い方をすれば、民間であるからいい、悪いということすらもまず基準がありませんので、そこから含めて御議論いただきたいと思います。
○遠藤座長 森村構成員どうぞ。
○森村構成員 私が先ほど申し上げたのは、公がいいのか、民間がいいのか、どちらがいいかという話ではなくて、どちらがレベルが高いかとか、そういう話ではなくて、認証をすべきが公的機関ではないかというふうに申し上げたんです。
すなわち、これだったらメディカルコントロールとしていいんじゃないでしょうかというものを例えば決める、あるいはシステムとしてそれを決める。この医師だったらいいといったような、そういった要件を決める仕組みというのは地域のほうがいいのではないかというような意味でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
坂本構成員、どうぞ。
○坂本構成員 ちょっと厚労省のほうにお伺いしたいんですけれども、先ほどのドクターカーに同乗して現場に行って行う救急救命処置の整理ですが、もしドクターカーに看護師がついていって、看護師が医師の指示のもとでやれば保助看法による診療の補助ということになると思うんですけれども、救急救命士制度自体も当初はそういう保助看法の診療の補助の特別な例が救急救命処置だというような形でスタートして、多くの看護師さんが救急救命士の資格を取られていたと思うんですけれども、今この状況で救急救命士が行うときはやはり救急救命処置としてそういう診療の補助とはまた別のものと見るのかどうかということは、そのメディカルコントロールかどうかということを医師の診療の補助としてやっているのか、救急救命士の業務としてメディカルコントロールからやっているか。そこを少し整理しておく必要があるかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○遠藤座長 では、事務局からコメントをお願いします。
○飯塚病院前医療対策専門官 救急救命士の行う救急救命処置は、保健師助産師看護師法の例外規定として定められており、原則変わっておりません。
○遠藤座長 ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。非常に重要な課題で、随分エネルギーを使い果たされたということかと思います。
それでは、事務局におかれましては、こういった御議論を反映した形で適切な御対応をお願いしたいと思います。ありがとうございました。
では、続きまして議題4「その他」でございますけれども、事務局から議題があるということですので説明をお願いします。
○野口救急医療対策専門官 事務局でございます。資料6をその他として御説明させていただきたいのと、あともう一つありますので、まず資料6から説明をさせていただきたいと思います。
表題は「大型連休に対する対応について」ということですが、スライドの1枚目にありますように、「天皇の即位の日及び即位礼正殿の儀が行われる日を休日とする法律」が成立しています。
「概要」ですけれども、下のカレンダーを見ながら見ていただきたいのですが、天皇の即位の日が来年の5月1日でございます。及び即位礼正殿の儀が行われる日、来年の10月22日になりますが、ここが休日となります。この法律の規定は、皇室典範特例法第2条の規程による天皇の即位に関して適用するとなっております。
マル2でございますけれども、それに準じてもう一つ祝日法が適用になるので説明をさせていただきたいと思います。
上記の休日については、休日法に規定する「国民の祝日」として、同法第3条第2項及び第3項の規程の適用があるものとするということでございまして、下にありますように5月1日の前日の4月30日、5月2日は休日となります。そうなりますので、国や地方公共団体、銀行等が業務を行わない日となるということでございます。
スライドをめくっていただきまして、2ページです。そういった状況で、2019年のゴールデンウイークは土曜日を入れたら10連休となります。これまで年末年始などの連休では地域ごとに必要な救急医療体制を組まれるなど、対応がなされてきたのですが、今回の連休は過去最長であり、必要な医療機能が提供されるよう、万全を期す必要があると考えております。
今後、都道府県等の協力を得て、地域ごとに組まれた連休中の医療提供体制の確認を行うこととしてはどうか。また、各自治体が住民に対する十分な周知期間を確保する観点から、確認作業は19年3月上旬までとし、自治体が住民に対して周知する情報を整理しておく必要があるのではないか、と事務局としては考えております。
この場を借りまして、この件に関して御確認いただき、御了承いただければと考えております。
○遠藤座長 いかがでしょうか。何かございますか。
○高木構成員 この10連休の問題は、病院としても非常に問題なので、もう既に日本病院会の中の理事会等でも話し合って、何かそういう病院団体としての方針を出してほしいというような意見もあったんですけれども、なかなか病院のそれぞれの背景も違うし、地域性も違うので、団体として統一した見解は難しいと思われるんですね。
ですから、やはりその医療圏というか、都道府県、それから二次医療圏等の単位である程度検討していったらいいと思うので、こういう調査をして周知させていくことに関して私は賛成です。
○遠藤座長 ありがとうございます。ほかにございますか。
山本構成員、島崎構成員、お願いします。
○山本構成員 私も、県のほうとして把握の仕方をどうしようか悩んでいるところがあって、救急体制をしいているという話だと年末年始と同じで、例えばこういうところが当番病院ですと言えるのですが、例えば議論が4月30日と5月2日というのは休日になるとはいえ、何となくみんな別にその日は特別な日ではなく、5月1日は改元の日ですから祝日記念でそういう意識はあって、そこは休むにしても、通常の外来を普通どおりにやるかどうかというのが病院によって悩みがあります。
病院にとってはある程度、営業日が減ると全体の収入も減るわけですから、そこが少し悩ましい中で、一方、当然、休日扱いなので職員はシフトさせて労務管理上のいろいろな工夫はしなくてはいけなくなる中で、通常の外来にするのかとかいうことも含めて、県としてはどういうふうな把握が理想なんでしょうか。いわゆる救急体制をとっているという話と、通常の外来を行いますよと、例えば通常にオペの予定を入れますよとか、そういうことまで把握するほうがいいのか。そこら辺はどのようなものか、思いつきでもコメントでも教えていただけると、私どももどう把握していくべきかということがちょっと悩ましい状況です。
○遠藤座長 事務局、コメントをお願いします。
○鈴木地域医療計画課長 この問題は行政といいますか、厚生労働省といたしましては、少なくとも国民の皆様がこの連休中にきちんとした医療が受けられる体制を確保していただきたい。体制確保に関しては各地域で高木委員がおっしゃったように全然違うと思いますので、地域の中でいろいろと決定していただきたい。その中で、例えば医師会の中で話し合ったときに、ではこの地域は外来をしましょう、この地域は外来ではなくて救急対応にしましょうという話し合いが出ると思いますので、そういった点を後で都道府県のほうにお聞かせいただいて、そういった点を都道府県と一緒に周知させていただきたいと考えているところでございます。
○遠藤座長 では、島崎構成員どうぞ。
○島崎構成員 ここの主語はどこになるのですか。つまり、今後都道府県等の協力を得て確認を行うこととしてはどうかとなっていますけれども、誰が確認を行うという意味なのですか。それは、都道府県とかいろんな医療団体の協力を得て、厚生労働省が確認をすべきだということを言っているのですか。そうではなくて、各都道府県において遺漏がないようにちゃんと確認しておいてくださいねということを言っているのですか。これは、どういう意味なのでしょうか。
○遠藤座長 事務局、お願いします。
○野口救急医療対策専門官 事務局としては、やはり都道府県の方々にも把握をお願いしたいということです。厚生労働省としては、その点に関してもしっかり都道府県を通じて確認をさせていただければと思っております。
ですから、事務局のお答えとしては、主語は厚生労働省と考えております。
○遠藤座長 では、加納構成員どうぞ。
○加納構成員 これは、私ども病院団体としましても非常に議論をしているところであります。特に、救急に関しましては入り口の問題だけではなくて回復期、慢性期への転送、転院の場合の問題も大きく関与してきますし、手術をどうするのかという問題、または緊急手術の体制の問題があるかと思います。
これらをしっかりと議論していかなければいけないかと思いますが、その中で休日加算の問題、もし開いたらどういうふうになるか。ここで、二次救急に関しまして夜間・休日救急搬送医薬管理料ですね。あれも平日並みに開かれれば多分とれなくなるとか、いろんな話が出てくるかと思うんです。この休日加算と一体化して、ぜひとも確認事項として検討していただきたいと思っております。よろしくお願いします。
○遠藤座長 ありがとうございます。ほかにございますか。
それでは、事務局からの提案といいましょうか。ここで御承認いただきたいという内容につきましては2ページの、特に「○」の2番目と3番目ということになりまして、今はそれについて御質問が出たわけですけれども、この方向でよろしいかどうかということを確認させていただこうと思いますが、いかがですか。
特段、反対はないということであれば、それでは確認をさせていただいたということにさせていただきます。ありがとうございました。
それでは、もう一つアジェンダがあるということですが、いかがですか。
○鈴木地域医療計画課長 それでは、資料7になります。これは、御報告ということにさせていただきたいと思います。
いわゆるこれまでACP、アドバンスド・ケア・プランニングと言っておりましたが、この名称が非常に国民にとってわかりづらいということがございましたので、それも含めてACPに関する取り組みについて一覧にしているところでございます。
2ページを御覧ください。これまで厚生労働省におきまして「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」というものを平成29年から行ってきていました。それで、この検討会におきまして、上の括弧の一番下に「主なとりまとめ内容」とありますけれども、人生の最終段階における医療・ケアについて事前に繰り返し話し合う取り組み、ACPが医療・介護現場だけではなく、国民一人一人の生活の中に浸透するよう、一層の普及・啓発が必要であるということがこの検討会でまとまっていったところでございます。
それに付随しまして、やはりこのACPにつきましてリーフレットの作成ですとか、国民になじみやすい名称の検討というものを行うべきということで事務局のほうに宿題がきているところでございました。
これを踏まえまして、次の4ページでございますけれども、厚生労働省といたしましてはまず1つはこのACPに関します普及・啓発のためのリーフレットということで、この右半分にあるようなリーフレットを今、作成いたしておりまして、それを都道府県、それから医療、介護関係団体に対して御活用いただくよう周知徹底を図っているところでございます。
それからもう一つは5ページになりますが、先ほど名称の問題がございましたけれども、名称につきまして厚生労働省におきましてことしの8月~9月にかけて1カ月間ですけれども、一般公募をさせていただきました。約1,000の応募がございまして、その中から検討委員会を立ち上げて、そこで審査していただいた結果、愛称がここにあります「人生会議」というふうに決定されたということになります。
また、あわせまして記念日というわけではないのですけれども、このACPを考える日ということで、11月30日を「(いい看取り・看取られ)は「人生会議の日」」ということで、11月30日を人生会議の日というふうに設定させていただいたところでございます。
また、6ページにつきましては、在宅のセミナーの中でもACPの取り組みというものも一番右側のほうにありますけれども、こういったことを推進するためにこのような研修も行っているというところで、総合的にこのような人生の最終段階におきます医療、介護、ケアを進めるための取り組みということで御紹介させていただいたところでございます。以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。報告事項ではありますけれども、御意見、御質問があれば承ります。
島崎構成員、どうぞ。
○島崎構成員 啓蒙と言ってはいけないかもしれませんが、啓発・普及運動を進めていくことについてはもちろん重要なのですけれども、それとあわせてこれは前にも申し上げたかもしれませんが、実際にそういう事前の意思表示をしたとしても、それが例えば救急車を呼んだときに、救急車を呼んだことで延命治療を望んだんだという解釈がなされたりしないように、そのあたりの法制的な整理をきっちりしておかなければいけない。
これは前にも申し上げて、消防庁のほうと厚生労働省のほうでもそういう問題意識は十分持っているのでというお話は聞いたのですけれども、ぜひそういう面での詰めというか、検討をきちんとしていかないと、結局幾ら一生懸命関係者がつくったとしてもそれが役に立たないという話になると、ここでは全然普及しないことになると思います。それが1つです。
それから2つ目として、確かにこういう事前の意思表示をしておくことは重要なのですけれども、実際にこれは日々刻々というか、変わるわけですね。そうなると、それをたまたまつくった時点でのお医者さんの一時的な関与だけでは、これは本当に真正な意思かどうかもわからないわけですよね。
そういうことになりますと、先ほど石川先生と私と、実はかかりつけ機能が非常に重要だというのは全く異論のないところでありまして、そこのコミットメントをきちんとこの中にしていかないと、これは実際に機能することにはならないと思います。そういう観点で、ぜひ関係の、特に医師会ですけれども、指導と言ってはいけないかもしれませんが、その地区の医師会までそういうことを浸透させていっていただきたいと思います。これは、希望でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。ほかにございますか。
高木構成員、どうぞ。
○高木構成員 私も、基本的にはこの趣旨に関しては全く賛成なんですけれども、具体的にこの議論の中で、例えば医療機関がどういうふうにこういうACPの作成というか、そういうものに関与すべきなのか、あるいはしてもらいたいと思っているのか。我々としても、どういうふうにこれに関与していったらいいのか。そして今、島崎先生がおっしゃったように、実際にそういう意思表示があったときにそれをどういうふうに病院の中へ取り込んでいくのかという具体的なことがよくわからないんですけれども、もしその辺についてのお考えがあればお願いします。
○遠藤座長 では、事務局からお答えをお願いします。
○鈴木地域医療計画課長 御質問ありがとうございます。
まず、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)という形で、意思表示カードみたいなものをつくるというわけではなくて、日ごろからそういったことを考えながら、家族もしくは関係者の中で話し合うというきっかけをどうやってつくっていくか、ということを主眼に、今回こういったリーフレットですとか、ロゴですとか、そういったものをつくらせていただいております。
それで、おっしゃるとおり、ではその後にどうするか。実際にそれがうまく機能するようにという話になりますと、やはり島崎先生におっしゃっていただいたとおり、かかりつけ医の先生ですとか、そういったところと患者さんとのコミュニケーションというのは非常に重要になってくると思いますので、我々としてもどういう形がベストなのかというのはまだ議論が終わっていないのでございますが、そういったところも今後きちんと考えていきたいと思っております。
○遠藤座長 ありがとうございます。今後の検討ということですね。ほかにいかがですか。
それでは、大友構成員どうぞ。
○大友構成員 今、意思表示カードとありましたけれども、救急の観点からすると、それがないと結局しっかりと話し合いが終わっていて、延命治療を望まないということを本人が希望していても、患者さんだけが来ることがあって、そのとき意識がないので、患者さんの意思というのがなかなか救急の診療をする立場には伝わってきません。
最終的には、やはり意思表示カードというものを持つようにしないと、せっかくの本人の意思が伝わらない、もしくはそれに基づいた医療が行われないということになると思いますので、ぜひそこまでお願いしたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。御意見として承りました。ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。
ありがとうございました。それでは、本日用意いたしましたアジェンダは全て終了いたしました。長時間、どうもありがとうございました。事務局におかれましては、本日いろいろな御意見がありましたので、それを踏まえまして論点の整理を含めて必要な手続を行っていただきたいと思いますのでよろしくお願いします。
それでは、事務局から何か最後にございますか。
○野口救急医療対策専門官 事務局でございます。参考資料1に関して、補足をさせていただきます。
前回、検討会で御発言いただいた内容についてまとめさせていただいております。記載等について御意見のある場合は、後日でも構いませんので連絡いただきますようよろしくお願いします。以上です。
○遠藤座長 皆様、よろしくお願いいたします。
では、どうぞ。
○横田構成員 冒頭に発言しようと思ったのですが、1枚ぺらの資料2でございますが、裏面の「ヒト」のところの人材の育成、人材確保という部分です。
これは、先ほど申し上げたように私はこの検討会で出席するたびに強調してきたところなのですが、そもそも救急医療というのはある意味、医療スタッフの集約化といいますか、非常に人的資源を必要とするそもそもの診療科であります。そういう中で、一番下のところは救命士さんの活用というところで先ほど議論したところかと思うのですが、その1つ上のところですね。さっきACPの議論がありましたが、ACPはあくまでも人生の最終段階というのが前提でそういった事前意思を確認する、あるいは表明するというプロセスだと思うのですが、我々は実際の救急の重症の患者さんに対応するときに、もちろん時間をとって看護師さんと一緒に連携をして家族に接するわけですけれども、細かな説明をしようと思ってもなかなか時間がとれない。あるいは、説明しているときに次のホットラインが鳴るというのが日常なんですね。ですから、重症の予後がどうなるかわからないような患者さんに対していつも寄り添っていただくような、そんな人材というものがもし確保できれば、非常に救急医療の質も上がってくると思います。
今はIC、説明と同意からSDM、シェアド・デシジョン・メーキング、共同意思決定というプロセスが重要になっていますけれども、まさに救急医療も質を問われている中で、こういった人材が将来的にぜひ必要なのではないかと思いますので、この4つ目の「・」も入れていただきたいというか、ここに書いてあるんですけれども、御理解いただければと思います。以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。御意見として承りました。事務局も、所要の対応をよろしくお願いします。
全体を通してほかに何かございますか。
○森村構成員 もう一点だけいいですか。ちょうど私もこれを冒頭に言おうと思ったのですが、今の同じページで「コト」というところの下から3番目の「♯8000の充実」です。この項目は医療計画における病院前医療相談、救護、搬送という枠組みですので、担当省庁が異なるところがあるのかもわかりませんけれども、先行している救急安心センター事業、救急相談センター事業、あるいはそれと違う番号で頑張っているところ、これは♯7119であったり、あるいは自己判断ツールとしての救急受診ガイドや、あるいは総務省消防がなされているQ助といったものがあると思います。
これは、みんな実は医療の部分であると思いますので、これは強い連携とか電話相談事業、あるいは自己判断の事業というような大きなくくりでの検討をお願いしたいと思って、そういった書き込みをしていただければというのが提案でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかに全体を通じて何か御発言ございますか。よろしゅうございますか。
ありがとうございました。それでは、議論のほうはこれくらいにさせていただきたいと思います。
次回の日程等について、何か事務局からありますか。
○野口救急医療対策専門官 次回、第11回につきましては、日程が決まり次第、お知らせいたします。よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 それでは、本日はどうもありがとうございました。

照会先

【照会先】

医政局地域医療計画課
救急・周産期医療等対策室
救急医療対策専門官 野口(2556)
災害医療対策専門官 北久保(2558)