第8回救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会(議事録)

医政局地域医療計画課 救急・周産期医療等対策室

日時

平成30年9月27日(木)
10:00~12:00

場所

航空会館 7F 702+703会議室
 

議事

下記のとおり
○野口救急医療対策専門官 それでは、時間になりましたので始めさせていただきたいと思います。
ただいまから、第8回「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会」を開催させていただきます。構成員の皆様におかれましては、お忙しい中を御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
本日、猪口構成員、大友構成員、山崎構成員、山本構成員、横田構成員より御欠席の連絡をいただいております。
団体を代表して参加いただいている構成員である山崎構成員、山本構成員から代理の連絡を事前にいただき、座長の了解をいただいております。山崎構成員の代理として、DPAT事務局次長の渡路子参考人、山本構成員の代理として、兵庫県健康福祉部健康局医務課企画調整班医療体制担当の新林正哉参考人にお越しいただいております。
事務局の御出席について承諾いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
(首肯する委員あり)
なお、本日は参考人として、厚生労働省DMAT事務局長の小井土雄一様、兵庫県災害医療センター長の中山伸一様、公立豊岡病院但馬救命救急センター長の小林誠人様、東海大学医学部救命救急医学教授の猪口貞樹様、一般社団法人全日本航空事業連合会ヘリコプター部会ドクターヘリ分科会委員長の辻康二様にお越しいただいております。
また、オブザーバーとして、総務省消防庁救急企画室の小谷聡司様、国土交通省航空局交通管制部交通管制企画課の山野周朗様にお越しいただいております。
また、事務局に人事異動がありましたので、御報告いたします。
救急・周産期医療等対策室長ですが、徳本の後任として高崎が8月31日に着任しております。
それでは、お手元の資料の御確認をいただきたいと思います。
まず、議事次第、座席表、構成員名簿のほか、資料1~6、参考資料1~4をお配りしております。不足等がございましたら事務局までお知らせください。
報道の方で、冒頭のカメラ撮り等をしている方がおられましたら、ここまででお願いします。
それでは、遠藤座長に以後の議事進行をお願いいたします。
○遠藤座長 皆様、おはようございます。
それでは、議事に入らせていただきます。
今回は主に救急のテーマを扱う予定でありましたが、事務局より、昨今の北海道胆振東部地震等の災害を踏まえまして、早急に議論いただきたい事項があるとのことですので、災害に関する議題から始めたいと思います。
資料1について、事務局から説明をお願いします。
○北久保災害医療対策専門官 それでは、事務局から、資料1「広域災害・救急医療情報システム(EMIS)を活用した情報収集体制の強化について」を説明させていただきます。1ページ目と2ページ目を見開きでごらんになっていただければと思います。
広域災害・救急医療情報システムは、御案内のとおり、病院をはじめとした医療機関、医療関係団体、消防機関、保健所、市町村、都道府県等を情報ネットワークでつなげて、国、都道府県の広域情報ネットワークを図り、災害時における被災地内、被災地外における医療機関の活動状況、被害状況といった情報を早期に共有して、各医療機関の支援、DMAT等の医療チームの派遣のために使うシステムでございます。2ページ目に簡単な概略をつけさせていただいております。
先ほど座長から御案内がありましたとおり、EMISというのは発災時における医療機関が必要とする支援情報を迅速に収集することを目的としておりますが、平成30年の7月豪雨、台風21号、今月発生しました北海道胆振東部地震等々におきまして、停電や断水が長期にわたりましてライフラインが途絶した際に、必要な情報が必ずしも十分に把握できず、電話での確認やDMATや保健所職員の方が直接現地に赴いて確認するなどの全数調査を余儀なくされました。1ページの「課題」のほうに書かせていただいています。
全数調査をしたことに関しては、必ずしも否定するものではございませんが、あらかじめ収集できた情報等があり、もっと効果的な全数調査ができたのではないかと認識しております。
1ページの「課題」に書いてございますが、この要因としては、現行EMISというものは、従前より言われていることですが、システムの操作性が悪いこと、入力を促す仕組みというものがないといったことから、病院での入力が少なかった。また、必要な情報があらかじめ登録されていなかった、不足していたのではないかということが考えられております。
こういった課題を踏まえまして、EMISの操作性、機能の改善、情報項目の追加等について、改善をしていく余地があるのではないかと考えまして、今回、急遽、こちらのほうの資料に基づいて提言をさせていただければと考えております。
資料の3ページに課題と対応案の整理をしてございます。
この表の中の左側の枠に「これまで指摘されていた課題」ということで整理しておりますが、EMISに関しては、この救急災害の第2回の検討会の中でも議論いただきましたが、その中での課題として、まだ病院の登録が、全て登録されているわけではないということ、入力率が必ずしも初期の段階では高くないということ、やはり通信環境が悪い野外でも操作しやすい設定が必要ではないかと言われておりました。
その右側に、今回の豪雨や北海道の地震で顕在した課題を整理してございます。
登録機関におきましては、長期の停電が想定される事態でありましたが、病院のみならず有床診療所や透析を行う無床の診療所、在宅療養支援診療所の情報収集も必要になりました。ライフラインだけではなく、生命維持に必要な医療機器等を使っている患者さん等が多かったので、こういったところの情報収集があらためて必要になった次第でございます。
入力率に関してですが、医療機関においてみずから被災状況を入力していないと、かねてより指摘されておりましたが、今回もそういった事態がありました。北海道におきましては有床の医療機関では全部で982の医療機関がございますが、今回の取りまとめ方等で、EMISに基づいて、いわゆる停電の情報発信があった病院は最大で376でございました。
こういったところを見ますと、当時、北海道においては、離島を除き、ほぼ全医療機関が停電による何らかの影響を受けたものと思われますが、この中で全ての病院がEMISのほうに情報を入力しなかったことに関して、やはり何かしらの課題があるのではないかと考えております。今般の地震においても、情報収集のために電話やDMAT、保健所職員等が直接現地に赴くなどで全数調査をして被害状況の全容を把握できたということがございました。
入力項目も、長期間の断水や停電の際の医療機関の支援に必要な情報が不足していたのではないかという課題も顕在化いたしました。
その下で、停電でパソコン等が使えない、または固定回線が不通であっても入力や閲覧可能な環境が必要ではないかと。こういったことも懸念されました。
右側に対応策の案を示してございます。
まず登録機関の網羅性に関しての課題ですけれども、登録基準を設け、ライフラインの途絶が生命の危険に直結する患者を受け入れる病院や診療所の登録を義務化してはどうかと考えております。無床も含めた診療所の全てを義務化するかということもございますが、まずは生命の危険に直結する患者を受け入れる病院や診療所の登録を義務化してはどうかと考えております。必要に応じて登録のインセンティブまたはディスインセンティブを検討してはどうかと考えております。
入力につきましては、かねてから言われていますが、やはり操作性やデザインの改善、プッシュ型システムやアプリの開発、日常使いができるような仕組み、例えば、e-learningを用いたプログラムの開発や訓練モードの設定といったことも考えてはどうか。
入力項目につきましては、具体的なイメージとして4ページ以降に書いておりますが、平時から入力する基礎情報の項目、発災時に入力する情報項目を追加してはどうかと考えています。
4ページの「情報項目追加のイメージ」ですが、左側の緑色の枠に囲んでおりますが、従前、基本情報として、EMISに医療機関の基礎的な情報としてあらかじめ登録されている情報というのは、簡略化しておりますが、マル1からマル11までが主なものとしてあらかじめ医療機関で入力されて登録されてございます。
今回、検討すべき追加情報の項目として、ピンクの枠のほうで右側に書かせていただきますが、これらのうち厳密に言いますと、災害拠点病院に関してだけは既に基礎情報として入力できる項目がありますが、全ての医療機関はこのピンクの枠の項目については入力されておりません。
今回、電気、水、生命に必要な医療機器の台数といったものの情報というものは、全数調査、ローラーで全数に電話をかけて調べましたが、こういったものは平時から調べて基本情報として入力してもらえれば、もっと効果的な全数調査ができたのではないかと考えおりまして、こういったことを医療機関であらかじめ調べて登録し、被災時に調べる必要がないように備えてはどうかと考えております。
5ページ目は、発災後、緊急時入力が終わった後、病院の全体を見回して詳細な状況を入力する欄でございます。
ここにも、左側の緑の枠で囲んでおりますが、ライフラインの不足状況が個別に入力できるようにはなってございます。具体的に自家発電が半日とか1日で切れるかどうかという、ちょっと粗い形になっておりますが、こういったことが入力できるようになっています。
今回、検討すべきではないかと考えておりますのは、右側の欄ですが、電気に関しては、例えば自家発電機の燃料の残量といったものが、今、項目としてはございません。
自家発電機の残り稼働時間は、先ほど言いましたとおり半日とか1日という単位ではあるのですが、時間単位で情報入力できるようにすると、より細かく切迫性がわかったりするのではないかと考えております。
自家発電があったときも燃料が切れる等の状況が考えられますので、電源車の派遣の要否を発信できるようにしてはどうかと考えております
水に関しても同じです。残量の情報があったほうがいいですし、あとどのぐらいの時間もつのかといった情報も、より詳細な情報を発信できるようにすればと考えております。
給水車の派遣の要否といったことも発信できればと思いますので、こういったことを、今後、被災したときに医療機関が自らの被災状況を発信し、外部機関に支援を求めるような項目をつくってはどうかと考えてございます。
3ページに戻っていただきますが、通信環境のところで、一番右下の対応策のところですが、先ほど、通信環境が悪いところでの改善、停電でパソコン等が使えない、固定回線が不通のときでの入力や閲覧可能な環境ということの課題がありました。
これを踏まえまして、いわゆる停電やオフラインでも使えるスマートフォンアプリの開発等も、できれば進めてはどうかと考えております。
6ページ目に簡単に絵をつけさせていただきますが、やはりデザインだけではなくて、オフラインでの操作も可能なシステム、南海トラフ地震等での通信途絶の予測もございますし、こういったことも踏まえると、アプリの開発や通信環境を踏まえた操作性の改善、インターフェースの改善も考えてはどうかと思っております。
昨今の災害の起きている頻度を考えますと、こういった改善に関しましては、緊急性、切迫性が高いものと考えておりまして、今回、急きょ、事務局より資料を提出いたしました。皆様方の御意見を賜ればと思います。
事務局からは以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの報告に関しまして、御意見、御質問があれば承りたいと思います。いかがでしょうか。
石川構成員、どうぞ。
○石川構成員 今のEMISのお話ですけれども、スマホということが随分言われているのですけれども、スマホの場合に、大きな災害であると、いろいろな誤情報といったものがあるので、真正性はどうやって確保するのかはすごく大事だと思うのです。これが、施設コードと、要するに、ID、パスワードだけのものでいいのかどうかとか、そういうのも検討したほうがいいと思うのです。
スマートフォンというか携帯も、今回の北海道では中継基地がうまくいかなくて、うまく通じなかったというのはもう普通の話になっておりますので、その辺のところはどうするのかということも考えないといけないのではないかと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
事務局で何かコメントがあれば、お願いします。
○北久保災害医療対策専門官 真正性におきましては、そういった課題もあるとは認識してございます。
やはり、ローラー作戦というか、最終的にEMISだけをうのみにするのではなくて、全数、あらかじめ発信があったものに関しては確認するという必要がありますが、こういったところで情報の真正性に関して補完していければと思います。もちろん、パスワード、IDについても、関係事業者等とどういった形が望ましいかということは検討できればと思います。
携帯に関してもアプリとかで、リスクを全て遮断するのはなかなか難しいと認識しておりますが、何かしかるべき適正な方法がないかということを、今後、検討してまいりたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかに何かございますか。
高木構成員、どうぞ。
○高木構成員 EMISの操作性の向上等についての提案は全く賛成なのですけれども、EMISの入力は、結構、病院等の災害対策訓練などでも入力の訓練をしていると思うのですけれども、どうしても入力する人が病院の中でも限られてしまって、いざその人が実際の画面ですぐに入力できるかどうかは疑問なところもあるので、やはり操作性がよくなれば、いろいろな人がなれて、入力できるようになるし、そのことによって早く情報が収集できると思いますので、できるだけ病院の中で入力ができる人を教育する体制というか啓発ということも必要ではないか。病院側からの立場からの意見です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
それでは、新林参考人、渡参考人の順でお願いします。
○新林参考人 山本構成員の代理として出席しております、兵庫県庁の新林と申します。
本日の議題につきまして、山本から意見を言づかっておりますので、私のほうから紹介をさせていただきます。
今回の集中豪雨とか地震における医療機関等のライフラインの途絶を踏まえますと、EMISの機能強化は喫緊の課題と認識しております。ライフラインの途絶につきましては、阪神・淡路大震災の際にも大きな課題となりまして、当時、そのことについての考察等も発表しておるところでございます。
そのような中、今回、入力項目の充実とかスマホ入力アプリを活用した入力方法の改善等、ハード面での取り組みを検討されておりまして、それは大変重要だと考えておるところですが、保健所職員がバイクや自転車で発信できていない医療機関に行って、情報発信の支援を行うような対応も、大規模災害においては当然発生する可能性のあるものということで想定をいたしまして、ソフト面での検討というものをあわせて議論していく必要があると考えております。
また、情報システムによる報告事項の充実等の取り組みとあわせまして、各医療機関における防災計画やBCPの策定に当たってのポイントや課題についても、あわせて検討していくことが重要だと考えております。
電力ポンプを利用して地下水を利用しているような施設が、長期の停電の際、その地下水をどのぐらい利用できるようになるのかといったことにつきまして、当然、事前の想定ということで検討を行うことに加えまして、実際、日ごろからの訓練を重ねることで、常に確認、備えを強化していくことが求められていると考えておりまして、また、それによりましてスムーズな状況の把握とか正確な状況報告といったことも可能になると考えておるところでございます。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、渡参考人、お待たせしました。
○渡参考人 DPAT事務局の渡と申します。
精神科の分野から2点お願いがございまして、まず、先ほどの操作性の、要は使える人をふやしたほうがいいのではないかという御意見は全くそのとおりで、今、EMISは、基本、DMATは隊員にEMISでひもづいているので、DMATの先生方は組織図をつくったりするのは非常に簡単にできるのですが、我々、それ以外の救護班、DPATやJMATさんというのは、恐らく、組織図をつくるときに隊員にひもづかないので、本部長の名前を入れられなかったり、操作性が非常に悪いので、DMAT以外の救護班でもきちんと使えるような操作性を御検討いただきたいというのが1点。
もう一つは、病院のところなのですが、精神科の病院は実は東日本大震災でかなり被災をしまして、その後登録率ををかなり上げてきています。今、東京都以外で、全都道府県で100%、精神科病院は入りました。1,600、ほとんど入っています。
ですので、我々としてはきっちり情報を上げていきたいと思っているのですけれども、精神科の病院だけを抽出するというのは非常に困難で、もちろん細かい全ての診療科を入れる必要はないとは思いますけれども、搬送ルートが全然別になるので、精神病床だけでも抽出できるような仕組みを御検討いただきたいなと思っております。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
では、森村構成員、お願いいたします。
○森村構成員 おはようございます。私からは2点です。
EMISの性能に関する今回のこの取り組みの方向性については、全面的に賛成するものです。その上で2つ要望がございます。
1つは、今後、このテーマの議論を進めていく際に、情報を入力支援するシステムと情報を共有するシステムというのを分けた形で検討を進めていただいて、これらが混在しますと非常に議論が複雑になりますので、その面を強調してやっていただきたいというのが1点目です。
もう一点は、定期的なシステムの改善に向けた検証、並びにその結果の改修ができる仕組みづくりを念頭に置きながらやっていっていただきたいというのが2点目です。特に、EMIS本体のアプリケーションの所有者が誰であろうと、定期的な改善に向けた検討を組織的にできる仕組みが必要だと思います。
例えば、EMIS運用協議会あるいはEMISに係る運用検討委員会などといったような組織を設置していただいて、定期的に開催することで課題の抽出が容易になります。それに基づき、改修が必要であるならば、適宜改定をしていく。このような業務を実施する会議体並びに組織が必要だと思います。その際に、必要に応じて、有識者による研究班等を設定していただいて開催するのも一法であろうかと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかにございますか。
では、小井土参考人、お願いいたします。
○小井土参考人 DMAT事務局の小井土です。よろしくお願いします。
ことしの災害のEMISの課題に関しまして、非常にきれいにまとめていただきまして、ありがとうございます。この対応策に関しても、DMAT事務局としてもこのようにしていただければ非常に助かります。
2点あります。
1つは、今、全病院化というのが進んでいますけれども、今回の災害でも問題になったのは、施設の名前しか出てきませんので、それが病院なのかクリニックなのか、あるいは有床なのか、全く外からではわからないので、今後、改善する中では、どのような医療施設なのか、例えば、先ほど精神科病院の有床というのが渡先生からありましたけれども、そのように、施設の名前だけではなくて内容がわかるような形に改善していただければと思います。
また、今後、このデータを改善して何を入れるかということでもう一回検討になると思いますけれども、現状としては都道府県が入れているシステムと厚労省が持っているデータベースが違いますので、ぜひ、そこのところに何を入れるかというデータに関して統一していただければと思っています。
また、通信に関しまして、災害拠点病院はもちろん衛星電話を持っていまして、その衛星電話を介してEMIS発信ということですけれども、全病院化をすると、今回はアプリの方向でいくということですけれども、それに関してはもちろん賛成ですけれども、そういう中で衛星電話というものに関して、災害拠点病院だけでいいのかということをもう一回検討すべきかなと思っています。衛星電話を持たなければいけない病院を、拠点病院だけではなくて、基幹の病院に関してはもう少し広げてもいいのかなと思っています。
また、アプリに関しては、もう既にDPATに関してはアプリを導入していますけれども、この導入に関しては、DMATのJ-SPEEDというものがありますので、J-SPEEDとの役割分担を。既にJ-SPEEDのほうでは避難所のアセスメントというものを入れることができるようになっていますので、そういうものと役割を明確にしたほうがいいかなと思いました。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
阿真構成員、石川構成員、加納構成員の順でお願いします。
○阿真構成員 国内で災害がすごく多発していて、御自身とか御家族が被災されたりする中で、医療関係者の方々、救急や消防にかかわる方々、情報収集のために尽力してくださっている役所の方々とか行政の皆さん、さまざまな方々に市民として心から感謝の気持ちをまずはお伝えしたいと思います。
そして、今回、喫緊の課題として出されていたものは、どれも本当にすぐに必要になることだとは思うのですけれども、既に検討されていることだとは思いますが、例えば、人工呼吸器とか人工透析器の台数とか、自家発電の有無などの追加情報を加えていくということは短期ですぐにできることで、システムの改善などはちょっと時間がかかったりすると思うのですけれども、短期で、すぐに次の災害に備えてやったほうがいいことと、中長期的にやることということは、既に検討いただいていることだとは思いますけれども、すぐできることからまず始めていただくということが次の災害に備えてできることかなと思うので、お願いしたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
石川構成員、お願いします。
○石川構成員 先ほど、真正性の話をしたのですけれども、入力するのは私たち医療機関なのです。今、お話の中にも入力のしやすさとか操作性の問題が出てきたと思いますけれども、こういう提案はよろしいと思うし、全体的には支持するのですけれども、やはり実際に入力者、我々を入れた開発というのをぜひお願いしたいと思うのです。
それをやらないと、できあがって出てきてから、あそこがやりにくいとか何とかと言ってもしようがありませんので、ぜひ開発のところから現場の人間を入れてもらいたいことがございます。
3ページ目ところに、対応策で「診療所の登録を義務化」ということがあります。診療所にもEMISの発信ということも前々から言われているのですけれども、この後にインセンティブの検討とありますけれども、実は真備町のときもそうだったのですけれども、あのときに洪水で何件の医療機関がやられたのかというのは、実際に現場に連絡してみなければわからなかったのです。もちろん、診療所も含めて11件、全滅しているわけです。あれは、もちろんEMISなどは全然届かないし、あそこはEMISを打とうと思っても無理だったと思うのです。
やはり、この登録のインセンティブ云々かんぬんよりも、災害が起こったときに、現地のEMISを打つ先生方は何を欲しているかといったら、自分たちも情報を出すけれども、まずはリターンです。双方向性の情報のやりとりというのをインセンティブに入れてもらったほうがいいと思うのです。情報をくれるから自分たちも入れるというようなことでやりとりできるという災害情報の収集の仕方、情報もあげるからということで、そういう計画をしてもらいたい。これは設計の段階のところだと思います。収集するだけではなくてということが大事だと思っております。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
では、加納構成員、お願いします。
○加納構成員 ありがとうございます。
今回、北海道の全道停電が起こったときの実際のEMISへの影響度というのは、今調べられているかと思うのですが、これはぜひともまた教えていただきたいと思います。非常電源を使って連絡ができたのかどうかといったことも、また経時的に教えていただけたらありがたいと思います。
それとはまた別に、実は我々AMATの派遣という形でいろいろ対応を考えるときにも、ぜひともこのEMISをしっかりと使っていきたいのですが、DMAT等、派遣される組織と違って、まだ病院団体のほうにはEMISの全面開示というのがなされていないというところがあります。災害支援チームを派遣する組織等々、全てというわけにはいかないでしょうけれども、段階的にぜひとも全面開示をしていただけるようにお願いしたいと思います。
我々の病院がどういう状況で被害を受けているのか、また、支援の必要性があるのかどうかを確認するときに、EMISというのは今回も我々は非常に大事なものだと認識しておりますので、ぜひともその点を確認していただきたいと思っております。よろしくお願いします。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかにございますか。
それでは、事務局からまずレスポンスをいただけますか。
○高崎救急・周産期医療等対策室長 貴重な御意見を多数いただき、ありがとうございました。
森村先生からは入力支援の共有を分けて議論するようなこと、また、検証、改善のPDCAサイクルを回すということ。
また、石川先生からおっしゃっていただいたように、ユーザビリティーの改善としましては、今後、システムの改修に当たっては、ベータ版を実際に使っていただいて、改善にフィードバックするという改修のサイクルを考えていきたいと思います。
また、訓練の重要性についても何名かの先生方から御指摘をいただきましたけれども、事務局のほうではさらに、人の介する入力も重要でありますけれども、人を介さない方法で入力する、最近のイノベーションを使えばそういうことも可能になってきておりますので、そういうことを考えております。
具体的には、最近ではAPI、Application Programming Interfaceというような情報をシェアする機能というのがさまざまな業界で実装されつつあります。このAPIというものを活用すると、自治体でも実証されているかと思いますけれども、例えばスマートメーターのようなところから停電の情報が人を介することなくEMISに入力されるとか、電子カルテの情報とつなぐことによって、人の手を介することなく医療機関の情報がわかるようになる。将来的には医療機器とつなぐことによって、病院におけるデータインフラがEMISをハブとして整うことも想定される。言ってみれば、スマートホスピタルのようなことが今の技術を考えれば可能になってきてまいりますので、人を介するシステムに加えて、それを補完するような、人を介さないシステム、情報や技術のイノベーションを活用しつつ検討するということも、事務局ではあわせて進めていきたいと考えてございます。
以上でございます。
○遠藤座長 中山参考人、お願いします。
○中山参考人 時間の関係があるかもしれませんが、参考人としてお招きいただきましたので、大体意見は出て重なるところもありますが、一部出ていないところも踏まえて少し参考意見を申し上げたいと思います。
私自身は、23年前の神戸での被災から、兵庫県でこういったシステム構築にはかんでいまして、その後、国レベルでこういうEMISの取り組みが発達してきたことは非常にいいことだと思います。その中で毎回思うのは、入力率が本当に上がらないというか、その重要性を認識していない各医療機関の方々がいまだに多いというところが本当に頭が痛いのです。 つまり、システム自体の問題とヒューマンの問題、人間的な問題が常に介在するのですが、人間的なところでは、今、言われたようなスマートなことが導入されたらいいと思いますが、やはりこのシステムが何のためにあるかということを各自治体も病院もわからないといけないということになります。
ただ、御指摘いただいたとおりで、特に最終ページにあるところは、私が小井土先生の研究班会議でずっと指摘してきたことなので、これを何とか、すぐできること、先ほど言われましたけれども、アプリなどは時間がかかるかもしれませんが、要はEMIS自体を何でもかんでも大きくしてしまうのではなくて、アプリケーションやさまざまなスマートなことを使って、私はその辺はわかりませんけれども、EMISには情報がとにかく集まってくる、森村先生も言われましたけれども、それを何らかの集まり、分析をするようなところと分けたり、それをまたEMISに反映するといったようなことができればいいのかなとは考えております。
全病院化については東京都を除いてほぼできてきているのですが、全病院化の副作用としては、ヒューマン的な問題ですけれども、入力しない病院がふえてかえって実際見にくい。それから、ソーティングができない等々で、そこでローラー作戦などを行うとえらいことになるので、要は、ソーティングとかインセンティブをつけるかどうかは別にして、全病院化の中で被害がないところほどしっかり発信する。そこにはスマートな考え方も入れられるかもしれません。
入力項目は、この23年間でかなりふえてきています。多くすればよいものではありませんが、今回、問題となったところは非常に問題でありましたし、これを基本情報で、しっかりとBCPをつくるということが災害拠点病院には義務づけられていて、これを全病院に対して、これがわかっていないと。
例えば、燃料のこと、重油、軽油、ガソリン、供給の口とかタンクの容量などということは、本当はわかっているはずなのですが、それをしっかりとふだんから分析してもらうということで、これをしっかりとやる。
ただ、この基本情報が、実はほとんど定期更新されていないのです。数年前の情報だったりするので、要は被災しないとこの重さがわからないというところでぐるぐる回りなのですが、ヒューマンのファクターをどうするかというところも踏まえて、この委員会から御発信いただければいいかと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
大変貴重な御意見をどうもありがとうございます。
大体、御意見は出尽くしたと思いますので、事務局におかれましては、ただいまの御意見等を踏まえまして、情報収集体制の強化について進んでいただければ思いますが、そういう対応でよろしゅうございますね。
では、そのように事務局はお願いいたします。
続きまして、議題(2)「ドクターヘリの現状と課題について」に移ります。
資料2につきまして、事務局から説明をお願いしたいと思います。
○野口救急医療対策専門官 事務局でございます。
資料2の説明をさせていただきます。
そもそも、ドクターヘリの議論に関しましては、第3回の本検討会で一部させていただきましたが、ドクターヘリという観点でどのように取りまとめていくのか、現状と課題について、もう一度事務局のほうから説明させていただきたいと思います。
スライド1ですが、資料の整理としましては最初に「以前の検討会の概要及び対応状況について」ということを最初に説明をさせていただきます。その後、2として「以前の検討会以降の現状と新たな課題について」、主に第3回の議題に関して再掲をさせていただきます。最後に3として「今回議論が必要な内容について」、最後に説明をさせていただきます。
スライド2は、前回の検討会の対応状況についてです。
スライド3には「ドクターヘリの経緯」に関して再掲させていただいております。平成20年に「救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法」に規定する助成金事業の省令を出すために、「救急医療用ヘリコプターの導入促進に係る諸課題に関する検討会」を開催しております。
スライド4が、検討会報告書の概要になります。「助成金交付事業に関する制度のあり方」「ドクターヘリの配備のあり方」「ドクターヘリの運用のあり方」という形でまとめております。
助成金交付事業に関しましては、先ほど説明しました省令を制定するということで行われておりますので、解決しているという考えでございます。残りの2つに関して、詳細を記載しております。
スライド5は、ドクターヘリの配備のあり方に関しては、都道府県がドクターヘリを配備する際に検討が必要な内容について整理したということでございます。ア、イ、ウにありますような項目を、導入の際には検討していただきたいということでございますが、右に現在の取り組み状況を示しています。イの共同運用に関しましては、厚生労働科学研究にて検討中という状況でございます。
スライド6が、現在のドクターヘリの導入状況でございます。以前の第3回の資料よりも更新されておりまして、石川県で運航が始まりましたので、43道府県、53機にて事業を実施となっております。
スライド7は、効率的な運用ということで、相互応援、共同運用の現状を昔と比較をしている資料の再掲でございます。
スライド8で、ドクターヘリの運用のあり方ということに関して、全国的な配備を推進するために、運用面の工夫等について考え方を整理しております。
「(1)運用上の工夫」としましては、左にあるような考え方もあるということで、右にある複数医療機関の共同運用とか、実際、救命救急センターに隣接するヘリポートではないヘリポートを利用している都道府県もあるというところでございます。
「(2)高速道路における離着陸について」もまとめておりますが、右側にあるような現状でございます。
「(3)ドクターヘリ運用に必要な体制」でございますが、平成20年の段階で、全国配備が進む中で、安全性確保に関する意識、ドクターヘリの効果を高めることが必要となってくると提言されております。そのためには「運航実績、救命効果、患者の予後等を継続的に検証し、関係機関が協力し改善に努めることが、効果的・効率的な運用のため重要である」と示唆されておりまして、こちらに関しては、厚生労働科学研究にて検討を引き続き行っているところでございます。
夜間飛行に関しても触れられておりましたけれども、地域の理解を得つつ、実施する必要があるということで、現在も検討中でございます。
スライド9ですが、災害時のドクターヘリ運用に関して検討が必要であると提言がされておりまして、右側にあるように平成28年に通知を発出しております。
「(5)運航費用について」は、現在の補助基準額については平成20年の当時より引き上げて、引き続き必要な予算の確保に努めているという状況でございます。
まとめでございますが、平成20年の検討会以降、引き続き検討が必要な事項として下にまとめさせていただきました。
スライド10以降に関しましては、簡単に説明をさせていただきますけれども、第3回でも扱った議題でございます。第3回で指摘された内容は、11ページにありますような、ドクターヘリ、ドクターカーやメディカルジェット等、病院前医療の提供手段が多様化しているが、地域の関係者間で十分に協議がされていないのではないかという御指摘があったというところでございます。
この検討の際に使われた資料に関して、スライド12から再掲しております。
12ページが、ドクターヘリ全体の実績。
13ページは、基地病院ごとにその実績もかなり異なると。
14ページには、ドクターカーの累計。
15ページに、ドクターカーの実績及び16ページには病院ごとでどれぐらい差があるかということを提示させていただいております。
17ページは、地域における病院前医療の提供手段の効率的な活用方法について議論がされているのかといった内容で、そちらに赤字で囲んであるような、協議がなかなかされていないという現状を踏まえまして、18ページにありますように、第3回の議論を受けまして、7月に今回の検討会における議論の整理というところで「現状と課題」「方針」という形でまとめさせていただいております。
スライド19は、それ以外のことで、ドクターヘリの安全な運用・運航についてということで、スライド20のような落着事故もありましたということを踏まえて、安全管理体制を求める方針を示すということで、21ページに議論の整理としてまとめております。
その後、ドクターヘリの安全運航のための取り組みに関しての通知を発出しております。
ドクターヘリの安全運航のための取り組みについて、内容に関しましては検討会で議論された内容でございますが、スライド22にありますように、新たに変わった点に関しましては、通常は「運航調整委員会」というものを設置することを求めていたのですけれども、ドクターヘリの安全に関する調査検討等を行う場として「安全管理部会」というものを新たに設けること。
次の23ページのスライドにありますように、運航要領というような大まかな要請基準や要請方法等、基本事項を定めることとなっておりましたけれども、日常業務の手順や運航手順を定めた運用手順書をつくるように新たに求めると。
それ以外にも、安全教育について、多職種ミーティングについて。
あと、スライド24にありますように、インシデント・アクシデント情報に関しましては、速やかに報告する内容に関してはしっかりと上げていただきたいということ。及び、それ以外のものに関しましても、しっかり情報は収集して、全国の基地病院と共有いただきたいという内容で通知を発出しております。
スライド25が「今回議論が必要な内容について」で、スライド26で、大きく「ドクターヘリの配備のあり方について」「ドクターヘリの運用のあり方について」ということを議論いただきたいと考えております。
左側の青字にありますような「手段の効果的活用に係る地域の協議について」とか「ドクターヘリ運用における安全管理体制について」は、第3回で議論済みと考えております。残りの内容について今回の検討会の中で議論いただきたいと事務局は考えております。
事務局としては以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
引き続き、資料の説明をお願いしたいと思います。資料3は小林参考人から、資料4は猪口参考人から、資料5は辻参考人から、また、資料6は事務局からそれぞれ御説明をいただきたいと思います。
なお、御発表は続けてお願いいたしまして、全体を通して議論の最後にまとめて質疑応答をしたいと考えております。
では、資料3について、小林参考人から御説明をお願いします。
○小林参考人 公立豊岡病院但馬救急救命センターの小林でございます。
では、資料の説明をさせていただきます。お手元の資料を見ていただきながら参考にしていただければと思います。
まず、先ほどお話がありました「現状の課題」につきまして、私ども非都市部の基地病院、そして、地域がどのように取り組んでいるかということを参考としてお示ししたいと思います。
まずは2ページ目の「病院前救急診療を担う手段の選択は?」といった内容でございますが、私どもの基地病院、地域のバックグラウンド等は3ページ目に示しているとおりでございまして、北近畿エリアと言われている兵庫県の4分の1の面積を占めて、東京都とほぼ同じ面積に救命救急センターが1カ所しかない地域でございます。
ドクターヘリが配備されている80km圏内の中でも、複数の救急医がいる救命センターはここしかないというような地域の中で、4ページ目以降のドクターヘリ事業が2010年4月から始まっております。
現行、私ども、10の消防本部、5つのメディカルコントロール協議会を管轄するところでドクターヘリ事業を展開しております。半径80km、8時から日没まで、そして、救急医2名と看護師1名が運航スタッフとともに現場へ飛んでいくというシステムでございます。
5ページ目、私どものドクターヘリ事業は、関西広域連合のドクターヘリ事業の一部という形で、この地域の事業を担っております。
スライドの6ページから9ページまでがドクターヘリ事業の運航の状況でございますが、まず6ページ目が私どもの2010年から2017年までの運航状況でございます。昨年度は2,000件を超える出動で、1,500件近い現場出動が主な事業展開の目的となっております。
7ページ目が、どこの地域でどれぐらい活用されているかになりますが、75%が但馬地域と言われている、私どもの基地病院がメディカルコントロール協議会の中心となっている地域でございます。この地域の救急搬送の7割が私どもの救命救急センターに搬送されますので、このような数値となっております。
それぞれの地域ごとの中心となる病院がございますので、その病院に搬送するかドクターヘリを活用するかといったところを消防に判断していただいて、このような活用の数字になっております。
8ページ目は、私どもドクターヘリの診療実績です。
9ページ目は、日本航空医療学会がまとめています、全国のドクターヘリ事業の時間経過と、私どもの8年間の事業展開の数字でございます。
特徴的なのは、119番通報からドクターヘリまでの要請時間が全国平均の半分以下、現場滞在時間も半分以下ということで、119番通報から基地病院に搬入するまでが30分台で終わっているというのが私どものドクターヘリ事業の一番の特徴かと思われます。この理由に関しましては、後ほどお話しいたします。
スライドのページ10~12が、私どもがもう一つ行っていますドクターカー事業の概要で、10ページ目に示しておりますが、3市2町の補助金事業で、公的事業として行っております。半径50kmを管轄といたしまして、24時間運行、医師1名、専用ドライバーが1名という形での基本の出動形態をとっておりまして、但馬地域メディカルコントロール協議会の1事業として行っています。
11~12ページ目が、このドクターカー事業の概要でございます。
ドクターカー事業も2,000件を超える出動実績がありますし、時間経過としてもかなりコンパクトにまとまっている事業です。
13~14ページ目、私どもの地域の病院前救急診療は、ドクターヘリ、ドクターカーを、メディカルコントロール協議会のもと、しっかりと運用している地域でございますし、14ページ目のドクターヘリ、ドクターカーともに、9割を超える基地病院のUターン率を現行とっておりまして、集約化を図って質の担保を行っています。
15ページ目に、今度は要請基準はどうかといった課題に対する取り組みでありますし、あと、重複対応はどうしているかといったところの紹介でございます。16ページ目に、ドクターヘリ、ドクターカーというのは消防職員、消防が要請することが原則となっております。
17~19ページが、私どものドクターヘリ、ドクターカーの共通した要請基準になっています。
後でまた御清覧をしていただければ思いますが、20ページ目に、緊急度、重症度をいかに早く判断するかということで、キーワード方式ということで、47のキーワードを使って119番通報同時要請ということを徹底している事業でございます。
21~22ページ目に、キーワード方式を使うと、覚知要請率がどれぐらいになるか、119番通報とともにドクターヘリ、ドクターカーが何%くらい呼ばれるかというと、ドクターヘリが85%、ドクターカーが89%ということで、結果的に119番通報から要請の時間短縮に寄与しているという結果でございます。
23ページ目が、では、重複対応がふえていくということは目に見えておりますので、実際に私どもの8年間のドクターヘリに関する離陸前キャンセルの数字でございます。
日本海側は非常に天候が悪いといった現状がございますので、天候不良の離陸前キャンセルというのはいたし方ない部分はございますが、では、重複要請に対してどのぐらい未出動があるかといったところは、白抜きの大文字で書いておりますが、実は要請件数がふえて出動件数がふえても、年々そんなに必ずは変わらないといったところがございます。
この数を抑えている一つの取り組みといたしましては、医師2名を現場出動させておりますので、1事案にドクター1名をドロップし、もう一事案にドクターもう一名がヘリで飛んでいくというような形で、病院前救急診療は早期医療介入を行うという目的のもと、医師を現場派遣するという事業展開を骨子としておりますので、そのような形で患者の未対応をできるだけ少なくするという形で行っております。
また、ドクターカーを補完的に50km圏内で行っておりますので、ヘリが出られなければドクターカーを出していく。あるいはドクターカーを先行させて、ドクターヘリで後追いで補完していくという形で、75%のドクターヘリ離陸前キャンセルの事案をドクターカーがカバーしているといった事業展開を行っております。
24ページ目の事後検証体制と救命効果というものは、ひっつけて考えて行っております。事後検証を行うことで救命効果が検証されますので、以下を説明させていただきます。
26ページ目は私どもの検証体制でございますが、基本的にはメディカルコントロール体制のもとでやっております。地域メディカルコントロール協議会の事後検証会を年6回行っておりまして、それ以外に、私どもが10の消防本部に半年に1回ずつ出向いて行って、計20回、消防本部ごとに症例検討会を行い、事後検証を行う。
そして、全体の事後検証を年2回行うということで、計22回の事後検証会を、ドクターヘリ事業、ドクターカー事業に関して特化して行っています。
この中で重要視しているのは、ドクターヘリ、ドクターカーの要請適用があるのに行われなかった未要請事案、アンダートリアージ事案ということを徹底的に潰していくということを行っております。これは消防の出動統計をもとに、消防職員からの発表で行っている形でございます。
27ページ目以降は、実際にドクターヘリ、ドクターカーがどれぐらいの事業効果があるかというものを、内因性、外因性の疾病・疾患、そして外因性のものをもとにして救急車搬送群とドクターヘリ搬送群あるいはドクターカー搬送群で比較対照した結果でございます。
数が多うございますので、ざくっとした結果を申し上げます。
院外心肺停止、急性冠症候群、脳梗塞、外傷といったところで分けております。内容はまた御清覧していただければと思いますが、院外心肺停止に関しましては、ドクターヘリ、ドクターカーともに、救急車搬送群よりも社会復帰率を上げている。特にドクターヘリは、院外心肺停止患者の社会復帰に関しましては、オッズ比が統計学有意差をもって非常に高いという事業展開になっております。
急性冠症候群に関しましては、今回はドクターヘリのデータのみをお示ししておりますが、現行、救急車搬送群もドクターヘリ搬送群も、ドクターヘリは重症群を扱っておりますけれども、予後効果としては陸路搬送も空路搬送も余り変わらないという結果でございました。
脳梗塞に関しましては、私どもは脳梗塞の症例を集約化しておりますので、効果判定としては非常にいい数字が出ておりますけれども、陸路搬送と空路搬送を比べていきますと、陸路搬送群に比べて空路搬送群は非常に遠い地域から患者搬送をしておりますけれども、神経学的予後は変わらないということで、非常に遠い地域、陸路であれば医療が提供できない患者群に対しても、ドクターヘリを活用することで高度医療を提供し、神経学的予後を改善するという結果が得られております。
その距離をどこで分けるかというと、39ページ目にグラフを示しておりますが、共分散解析を行うと、基地病院から8.4kmより遠いところではドクターヘリを活用したほうが神経学的予後を改善する可能性があるという結果でございます。
外傷群に関しましては、ドクターヘリ、ドクターカー、救急車群で比較しておりますが、40ページ目以降を御清覧していただければと思いますが、外傷は予測生存率50%以上と50%未満で分ける形となっております。予測生存率50%以上の症例群に関しては、私ども地域は全例助かっておりますので、いわゆる防げた外傷死は0%ということで、この群に関しての搬送手段に対する変わりはございませんが、予測生存率50%未満の重症外傷群に関しましては、ドクターカー、ドクターヘリともに、救急車搬送群よりも予後は改善している。
ドクターカーに関しては、オッズ比が1.8ということで、統計学な有意差はございませんが、予後を改善する効果があるかもしれない。
ドクターヘリに関しましては、43ページに記載しておりますけれども、予後効果改善と、オッズ比6.3ということで、ドクターヘリを用いると重症外傷を救命できる可能性があるということが示されました。
最後の課題でございますが、安全運行に関する取り組みということで、2,000件以上飛んでいると、飛び過ぎて危険ではないかということを言われておりますが、本当にそうかということを検証してまいりましたし、私どもが1件も事故を起こさず安全にやっている取り組みの一端を少し御紹介させていただきます。
46ページにも示しておりますが、年1回、多職種を一堂に会しまして院外講師を用いた安全講習会を必ず行うようにしております。もちろん、朝、晩の多職種間のデブリーフィング等々の安全講習は必須でございますので、このような形で安全講習に取り組んでいっているということ。
48ページ目以降に、私ども基地病院のハード面の推移を示しておりますが、実は運航1年目は、基地病院内にドクターヘリを駐機させているにもかかわらず、格納庫と給油施設はございませんでした。
そこで、1年目の4カ月間と2年目の4カ月間、同期間を比較してどれぐらい無駄な飛行があったか、いわゆる給油に対して空港に飛んでいかないといけない、あるいは朝、昼の駐機のための退避等々にどれぐらい時間を費やしているかということを検討してみたところでございますが、その結果が49ページでございます。
そうすると、初年度は2,141分で、その次の年度、ハード面を整備したところは61分と、明らかに無駄な飛行時間を抑制することができて、なおかつ1事案ごとに給油をいたしますので、実運航掛ける2の離発着を初年度は強いられていたということで、初年度は850件近い出動でございましたが、実際は2,000件近い離発着を繰り返しているということで、実は昨年度と同じぐらいの離発着になっていたというところでございますので、言ってみれば、基地病院、あるいは駐機しているところに格納庫、給油施設は必須であろう、それが運航の安全につながっているものであろうということを考察しております。
51ページに、最後、課題を解決するため、私どもの地域が取り組んできた内容をまとめておりますが、広域のメディカルコントロール体制ということを基地病院を中心に行ってきたということ。そして、消防にシンプルかつ具体的なキーワード方式をきっかけとして与えて、あとはメディカルコントロール体制下の司令課員教育を行って、要請の質の担保、向上を図っているということ。
基地病院が弾力的な運用を行って、重複対応をできるだけ行っているということ。
そして、事後検証を年複数回、徹底的に行って、予後の検証を行い、それを地域にフィードバックし、病病連携、病診連携といったところの信用につなげているということ。
そして、安全運航に対する取り組みもしっかりと行って、このような事業展開を行ってきたといったところの資料を提供させていただきます。
ありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
引き続き、資料4につきまして、猪口参考人から御説明をお願いします。
○猪口参考人 それでは、御説明させていただきます。
前回に引き続きまして、幾つかの課題について研究しておりますので、それの報告になります。
まず「I.ドクターヘリの配置とカバー人口」についてです。
スライドの2枚目は、先ほど事務局から説明がございましたように、現在のドクターヘリの配置状況でございます。
本年3月は、42道府県52機で、石川県が追加になりますので、43道府県に53機が今年度稼働しているということです。
京都府は隣県との関西広域連合とのカバーと行うということで、未配備は東京都、福井県、香川県の3件というのが現状であります。
3ページ、この状況で、現在、ドクターヘリがどれぐらいの人口をカバーしているかということと、基地病院の場所を変えたり運用を変えたりしたときに、どれぐらいカバー人口が変化するかということをモデルを使って調べました。
現在、ドクターヘリのカバー範囲はどれぐらいかということになりますけれども、以前の厚生労働科学研究で本邦では半径50~70㎞がカバー範囲だろうということになっておりまして、ドイツでは70㎞、スイスでは50㎞が上限になっています。
7㎞以内というのは、救急車のほうが早く介入できるので、ここは適用外になりますので、基地病院から7~50㎞、50~75㎞、75㎞超という3つに区分いたしまして、75㎞超はカバーされていない範囲、7~50㎞と50~75㎞はカバーされていて、その効果が2対1ぐらいのウエートをつけて最適化をして計算しております。
4ページ目は、現状の配置を示したものです。
現在、本邦の人口1億2700万人のうち、搬送先から7㎞以内に住んでおられる方が73.75%で、7㎞超の方が3370万人で対象人口になります。このうち、7~50㎞に2420万人、50~75㎞に530万人、75㎞超が385万人でございまして、この385万人が現在ヘリによってカバーされていない人口になります。全体で対象人口が3400万人で、そのうちカバーされていないのが385万人で、おおむね対象人口の1割がカバーされていないということです。
左側の地図で赤くなっているところが、カバーされていない方の1㎞メッシュで打ったマップになります。ざっとごらんいただくと、県境とかかなり人口密度の低い地域になります。
5ページ、各都道府県内で、都道府県ごとに配置された機体の数を変えないで、配置場所を先ほどの指標を用いて最適化した場合の増減を示すマップになります。この青くなっているのが、基地病院の場所を変えるとカバーされていないところがカバーされるようになる地域で、茶色いほうは逆にカバーされなくなる地域です。
差し引きになりますので、右をごらんいただきますと、最適化後の75㎞超、いわゆる非カバー人口は314万人で、この差が71万人になりますので、基地病院の場所を変えても、71万人減少しますけれども、これは比率にいたしますと現在の非カバーの11.55%が9.4%になるだけなので、大規模なことをやっても、配置を変えても余り大きくは変化しないということです。
もう一枚、次の6番目のスライドになりますが、こちらは配置を全く変えずに、県境を全部取っ払って統合運用したらどうなるかということでございます。この場合は減るところはございませんので、青いところが全てカバーの範囲が変わって、カバー域に入るということになります。
この方法ですと、全体でカバー人口が220万人減少して、非カバー人口が半分になりますので、配置をかえるより、県境を取っ払って統合運用したほうがはるかに有効だということになります。
7ページめおめくりいただきますと、さらに県境を取っ払った上で、全国の基地病院を最適化配置した場合です。この場合、さらに75万人減少いたしますが、162万人が87万人と、半分ぐらいにはなるのですけれども、これ以上最適化することはできないので、非常に大規模に基地病院を動かしてもこの程度の効果しかないということで、現状では県境なしの統合運用を進めるのが最も効率がいいだろうということと、現在の配置はそれほど問題はないということが結論でございます。
8ページ目にまとめが書いてございます。ドクターヘリの対象人口が3400万人で、うち、カバーされていない方が385万人。これに対して、県境なしで運用すると約220万人で、60%、非カバー人口が減ります。したがって、今後も都道府県間の連携運用を強化するということが望ましいということです。そのほかに、さまざまなほかのファクターも運用あるいは連携等にはかかわってくるので、そこも含めながら考慮する必要があるという結論です。
続きまして、ドクターヘリの要請方式と重複要請に関する検討について、説明いたします。
前回も説明いたしましたけれども、現在、ドクターヘリの要請を、救急隊が現場に到着いて、病状程度を判断してから要請する場合と、現場に到着する前に、例えば消防に119番が入った時点で判断する方式という方式と、2つ方式があります。先ほど、小林先生から御説明のあった豊岡の方式は、9割ぐらいが救急隊現場到着前の要請でやっているということでございます。
これは地域によってどのぐらいの比率でやっているかというのが異なるのですけれども、この状況がいろいろなところに影響するので、これについて検討しています。
11枚目に、では、どれぐらい現場に到着するまでの時間にこれが影響しているのかというのを、航空医療学会のレジストリを使って見たものです。
消防覚知をした後、救急車はそのまま現場に到着して、現場を出発して医療機関へ運ぶというのは普通の流れですけれども、このとき、消防覚知の段階で要請するのが、真ん中にあります現場到着前要請になります。
この場合、消防覚知から中央値で5分で出動要請が来ています。その後、ヘリはそれから中央値5分で基地病院を出発しておりまして、トータルで見ますと11分で出ております。すなわち119番が入ってから11分後に離陸しているということです。
右側にありますのが現場到着後の要請で、従来行った方法ですけれども、この場合、消防が覚知してから救急隊が現場に行って、それから判断して要請しますので、覚知からヘリの出動要請までが17分で、12分遅くなります。さらに出動要請後、実際にヘリが飛ぶまでに中央値で4分かかりますので、トータルで22分かかっております。したがいまして、この22分が真ん中のやり方をやりますと11分になりますので、全体に11分早くヘリが離陸するということになります。
ここから先は距離によって所要時間が異なりますので、次のページをごらんいただければと思います。縦軸が、消防が覚知してから、ヘリが行って医師が接触するまでの時間になります。横軸が、基地病院から現場までの距離になります。赤いのが、救急隊接触後に要請してくる従来の方法で、青いのが、救急隊が現場に着く前に要請してくる覚知要請です。
これを見ますと、15㎞以下では差がございませんけれども、15㎞から先は大体5~10分、救急隊接触後要請よりも接触前要請のほうが早いということがわかりますので、最初のヘリが離陸する前の10分ぐらいの差をずっとそのまま引きずっているということです。
左側にある青い線が、救急車が走っていった場合に、医師接触までにどれぐらいかかるかというものの線形モデルの線を引いてあります。15分ぐらいまではヘリとそれほど変わらないのですけれども、その後、やはりヘリは速いので、圧倒的に所要時間が短くなってくるのがおわかりいただけるかと思います。
右側は、現場から戻ってくるときの時間で、これは要請方式が変わっても全く変わらない。当然だと思います。
13ページで、次は転帰にどんな影響があったのかということになるのですけれども、現在のところ、左側の死亡確率に対する影響、右側がCPCという脳機能予後に対する影響を見ているもので、左側のほうは死亡確率が低いほうが成績がいいことになりますけれども、救急隊現着前要請は30㎞を超えると多少よい傾向が見られる。
右側のCPCのほうは上のほうがよいのですけれども、これも救急隊現着前要請は30㎞ぐらい先になると多少よい傾向が見られるということですが、交互作用は有意ですけれども、全体的には有意ではないので、どちらの要請方式のほうがよいと断言できる状況にはございません。これについては、もう少し検討する必要があると考えています。
そういうことで、消防覚知から医師接触までの所要時間は、距離15㎞以上ですと現着前要請のほうが5~10分短いということがわかって、これでどれぐらい効果があるかということは現在検討中というのが現状でございます。
次は重複要請の問題でございまして、15枚目のスライドは前回も提示いたしましたけれども、平成28年度の全要請に対してどういうリアクションがあったかというグラフになります。
3万2800件の要請があって、そのうち、実際に離陸したのが右側にあるバーになります。出ていないのがその下になります。未出動が23.5%あったうちの、重複要請が7,716件分の2,544件ございます。実際、飛んだ後に出動後キャンセルになった事案というのが3,134件ございます。
これで、現場出動したうちの大体半数が、先ほどの要請方式で言いますと救急隊現着前要請になっておりますので、出動後のキャンセルというのは救急隊が現場に行ってからの要請でほとんどございませんので、現着前要請で全部発生したと仮定しますと、現場到着前要請の出動後キャンセル率が30%になります。
16ページに進めていただいて、基地病院の全要請事案の出動後キャンセル率は中央値が9.5%ですけれども、病院間のばらつきが非常に多いのがおわかりいただけます。
重症度を見ますと、これはISSという外傷の重症度を示す指標と要請方式の分布の差を見たものですけれども、ISS9点以下というのは死亡する可能性の低い外傷ということになりますが、これの構成比率が救急隊現着前要請ですと37.0%で、現着後要請だと32.5%で、現着前要請のほうが4.5%多くなっています。これは不要な要請に該当しますので、少しその比率が高くなります。
次のスライドのほうは、実際に搬送した事案が入院したかどうかというのを見ております。入院率が6%ぐらい救急隊現着前要請のほうが低くなっていまして、少し過剰に要請がされていることがわかります。
それをまとめますと、おおむね出動後キャンセル率が30%あるのと、軽症を搬送している率が5%ぐらい現着前要請のほうが多いので、恐らく35%ぐらいオーバートリアージになっているのではないかと予想されます。この部分が、現着して判断する前に要請したときの無駄になります。
次に重複要請ですけれども、全要請数の中央値が7.8%になります。これも基地病院によるばらつきが非常に大きいということがわかります。
21枚目は、左側は都道府県内のヘリのカバー人口と機体当たりの要請数をプロットしたものですけれども、ほぼ無相関で、必ずしもカバー人口が多いからたくさん要請しているわけではなくて、地域の実情とか要請方式に影響されています。
右側は要請数がふえたときに、重複要請の発生率が実際にどれぐらいふえるかというのをプロットしたもので、これは比例してふえていきます。ただ、先ほど発表がありました豊岡とかは、要請数の割に極めて重複発生率が低いということがわかります。
非常に重複要請率のばらつきが大きいので、2つモデルをつくって比較をしてみました。1つは、要請があれば飛ぶし、出動してしまったら一切受けないというシンプルなモデルです。
2つ目は豊岡の方式で、これはどうやっているかといいますと、医師2名と看護師が搭乗していて、離陸してから現場に行くまでの間にもう一件要請が入ると、現場に医療クルーと資機材を落として、ヘリは次の要請先に行くという方式で、3件目には応えないという方式です。
この2つのモデルで、現状がどれぐらいの状況にあるかというのをプロットしてみますと、これはモデル1の通常方式でやった場合です。ほぼ直線になるのですけれども、豊岡だけ少しずれているのがおわかりいただけるかと思います。
24枚目が、実際の重複発生率と推定重複発生率をプロットしたもので、一致していればこの黒い線の上に乗るのですけれども、大半が線より上にございまして、つまりモデルから予測されるよりも実際の重複発生率が若干低いということがわかります。豊岡はうんと低いです。
右側は豊岡モデルで運用した場合の理論的な値と現状を比較したもので、これはほとんどの基地病院がこの方式よりは重複要請率は多く発生しています。したがって、このどちらかの間にあるということで、要請方式とかいろいろな状況に違いがありそうなので、現在、各基地病院にアンケートをとっておりまして、これに影響している要素をもう少し細かく分析する予定でおります。
重複要請率は、現在、中央値で7.8%ぐらい発生していて、カバー人口とは直接的な関係が明瞭ではないということ。要請数がふえれば当然ふえまして、1,000件要請があると11%ぐらい発生します。
数理モデル的には、通常方式でやれば1,000件で20%ぐらい発生すると推測されております。
以上の結果を踏まえて地域差が想定されるので、さらに検討しているということであります。
まとめますと、救急隊現着前の要請というのは、これをやりますと覚知から医師接触までの所要時間が5~10分短くなります。一方、キャンセル率がふえ、かつ、軽症の搬送率がふえるので、35%ぐらいがオーバートリアージになります。
重複要請による未出動の率、重複要請率は非常に地域差があって、現在、もう少し調査を行っておるという状況でございます。
この件については以上でございます。
あと、今後の提案が何点かございます。
1つは、ドクターヘリの症例登録システムです。こちらはドクターヘリの効果の検証ということで、2015年から昨年9月までの症例については、学会がこの登録事業を行いました。これはドクターヘリの効果の検証が目的であります。参加施設が52で、100件以上登録している施設が41で、現在、5万5000件が登録されています。実際に航空医療学会が集計している実質出動例の74%ぐらいが把握されているという状況でございます。
これは多施設共同研究で行ったものですので、今年度をもってこの登録は終了する予定でおるのですけれども、ドクターヘリだけの登録をきちんと継続していったほうがいいのではないかというのが提案になります。
ドクターヘリの全体像とか効果を捉えるのは、DPCのデータ等、データ量の多いデータベースが有効でございますし、私どもも27年度の厚生労働科学研究では、日本外傷データバンクというところのデータを用いて効果検証を行っております。
一方、これらのデータは基本的に匿名化された入院データベースになっていて、病院前の情報とか非入院例は含まれていないという問題があります。ヘリの要請方式とか、先ほどの消防覚知からの時間経緯あるいは搬送の距離、重複要請に対してどうしたのか、あるいは出動後キャンセルをしたかどうかとか、外来の転帰というようなデータはこれらからはほとんど得られません。したがって、ドクターヘリ特有の問題とか運用方式等を検討しようと思うと、既存のデータベースだけだと不十分ではないかと考えております。
30枚目に、これまでのさまざまなデータベースの比較がございます。
一番下が、今、提案しているドクターヘリのレジストリになりますけれども、目的がドクターヘリの運用の継続的な統計をとるということと、運用方式等について検証するということになります。
救急車との比較をしようと思うと、救急車データをとらないといけなくて、これはもう昨年で終了しておりますので、ドクターヘリだけのデータを集積したいということでございます。特にデータとして、ドクターヘリの病院前のデータを重点的に取り入れるということで、転帰としては初診時から退院時までのものを登録したデータを集積するとよいのではないかと考えております。
もう一点は、外国の状況と夜間飛行についてで、27年度の厚生労働科学研究で諸外国の状況を調査しております。
幾つか説明をさせていただきますと、スイスはREGAという非営利団体が主に航空機による救急搬送を行っておりますけれども、これは全天候・24時間運航をやっております。全天候といっても嵐の中はもちろん飛べません。
これは8,739件、年間出動件数があって、うち20%が夜間。計器飛行方式により飛行経路が一度構築されていて、Rega’s visionというコンピュータグラフィックで視界不良でも運用できるようになっています。
あと、さまざまなインフラが整備されたり、訓練プログラム等が整備されて、非常にコストのかかるシステムですけれども、やろうと思うと24時間運用ができるということでございます。
32ページ目がドイツの状況ですけれども、ドイツはADACとかDRFとか6つの組織で77基地を現在運用しています。このうち、一部の地域で夜間運航とか24時間運航が実施されるようになってきたということがございます。
これは、やはり過疎化で、救急医療機関の中核的な医療機関が維持できなくなると広域搬送せざるを得ないので、そうするとどうしても夜間も飛ばなければいけないということで始まっております。
現在、夜間飛行は年間900件で、24時間運航をやっているのが4基地ありまして、ここで700件、それ以下のところで200件という状況です。
夜間飛行の場合、パイロットが2名で、暗視ゴーグルを装着して有視界飛行で運用しているということです。暗視ゴーグルを使うと有視界飛行という扱いにドイツではなるようでございます。
深夜は効率が悪いので、6~24時でいいのではないかということも検討しているということでございました。
航空事故は10年間に4件あって、うち2件が死亡事故ですけれども、そのうち1件が夜間であったということでございます。
一方、イギリスとかは夜間運航は一切しておりません。
基本的にイギリスの場合は、19の団体が33機の救急ヘリを運用しておりますけれども、多くはパラメディックが乗っていて、医師は乗っていないところが多いのが特徴で、その中でロンドンHEMSというロンドン市内の外傷を対象にしたヘリとドクターカーの運用組織がございますけれども、これは全件、日本のドクターヘリと同じような運用になっております。
これは1,800件出ていて、ドクターヘリが3分1、ドクターカーが3分の2ということです。
夜間飛行は実施していなくて、ドクターカーを使っています。これは範囲が狭いからだということだと思います。
最後に医療関連ヘリについてです。まず、双発エンジンではない機体は使えないのかということで調査をいたしましたけれども、これにつきましては本邦では使用できないというのが結論であります。
あと、離島・僻地について、1点、実態調査をしておりまして、これは長崎県で運航している離島医師搬送システムです。
これは自家用運航でヘリを運航しておりまして、しかしながら、離島を飛んでおりますので、やはり相当度の安全装備がないと実施できないというのが結論でございます。
提言といたしましては「ドクターヘリの症例登録システム」をつくったほうがいいのではないかということ。今後に備えて、夜間飛行や24時間飛行に関する検討も行っておいてはどうかということと。ドクターヘリは双発エンジンで十分な安全装備があることが必須である。単発エンジン機も利用できる可能性もあるけれども、洋上飛行等では難しいということでございます。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
続きまして、資料5につきまして辻参考人からお願いします。
○辻参考人 全航連ドクター分科会から参りました辻でございます。
今回は「ドクターヘリ夜間運航に関する課題」で、どうすればこれが実現できるのかといったことで、説明資料を用意してまいりました。医療とは余り関係ない話が続きますが、簡単に説明したいと思います。
まずヘリコプターですけれども、実際に夜間飛行している例というのは多々ございます。よく見かけるのは報道ヘリで、夜であっても事故現場を飛行しておりますし、特に、きれいな映像などを夜間でも撮ってくれたりしていることもあり、ヘリコプターが夜に飛べないかというとそんなことはなくて、実際に飛んでいる例がございます。
1ページ目ですけれども、では、ヘリコプターが夜に飛ぼうとしたらどうしたらいいかということを、いろいろ切り口を考えてみました。
まず、ドクターヘリが昼間に飛んでおりますけれども、昼間時間帯、一番上の欄に「VFR 有視界飛行方式」の昼間、真ん中に、同じですけれども「VFR 有視界飛行方式」で夜間、一番右側に「IFR 計器飛行方式」と、飛行方式の区分を書いてございます。
この「VFR 有視界方式」は、今さらですけれども、外の障害物、地面、ほかの機体との間隔などを全部パイロットが目で見て飛行しているものでございます。これは普通のヘリコプターの飛び方です。
夜間VFRでは何が違うかということなのですけれども、パイロットが地面であったり、地上の障害物であったり、ほかの機体を視認できる限りにおいては、夜間もVFRで飛行することができます。実際、地面の景色とか地形によっては、例えば山間部などでは昼間よりも非常に見えにくくなりますので、そういったところがきちんと見えるかというところが問題となります。
もう一つ「IFR 計器飛行方式」ですけれども、ヘリコプターの中の計器を見ながら飛んでいるのが計器飛行方式であろうと考えられる方も多々おられると思いますけれども、実際に何をやっているかというと、管制官が常に飛行している飛行機であったりヘリコプターをレーダーで監視しております。監視して、きちんと他機との間隔をとり、障害物にもぶつからない経路を管制官が無線で指示をして、パイロットがそれに従って飛ぶということです。
ですから、2ページ目にもありますけれども、右側に「計器飛行方式(IFR)」と書いてございます。真ん中辺に空港の管制塔みたいなものや円筒があったりしますけれども、常に航空管制官が飛行中の機体を全てレーダーでモニターをして、無線連絡によって飛行経路等を指示することができる。この中にあって従う限り、例えば霧が出ていて視程が悪い場合であっても、夜間であっても、場合によっては雨の中であっても飛行することができるというものでございます。
3ページ目は、これもまた繰り返しになるのですけれども、有視界飛行は「目視により姿勢、高度、位置及び針路の測定を行う」と。これはパイロットがやります。
実際にヘリコプターが現在使っているヘリポート、ドクターヘリが使っておりますランデブーポイントといったところは、計器による着陸、出発の経路というものが設定されておりませんので、基本的には全部VFRで飛行しております。
隣に「計器飛行」がありますけれども、基本的には外が見えないときには計器飛行を行います、IFRとなりますということなのですけれども、「計器のみで姿勢、高度、位置及び針路の測定を行う」ということで、エアラインが使っている飛行場ですけれども、こちらは当然のように計器による出発・進入方式が設定されておりますので、かなり視程が悪い場合、霧の中であっても離着陸が可能というものであります。
4ページ目は「3.運行方式の違い(昼間/夜間)」ですけれども、夜間と昼間の写真を出しております。
最初に申し上げたとおり、夜間であってもVFRでの飛行は可能ですけれども、この写真にありますとおり、昼間はよく見えていた景色というのが、当然のことながら夜になりますと見えないものが多々出てきます。都市部におきましては、航空照明に限らずかなり明かりがありますので、地面の様子、ビルの様子などはわかりますけれども、余り人家のないところになりますと、一番右下の写真のように、どこに何があるのかわからないという状況になってまいります。
5ページ目は「4.ドクターヘリ夜間運航の課題(運航関係VFR)」で、今までは大体、運行方式がこういうものですという御説明に終始したのですけれども、列記してありますけれども、まず運航可能な最低気象条件(視程・雲高)が昼間より厳しくなります。
天候情報は、現在、ドクターヘリを飛ばしている各社は、各地のライブカメラとか民間がやっております気象情報といったもので、病院周辺とかランデブーポイントの気象状況といったものを入手しているのですけれども、夜間になりますと、普通の肉眼で見るようなテレビカメラでは全くものが見えなくなりますので、夜間のライブカメラの入手が困難となります。
現場直近の離着陸ですけれども、場所によりますけれども、夜間でも安全確保、明かりがあったりとか周辺の物件が見えやすいといったものがないと、限りなく不可能に近いと書いてあります。
そのため、着陸できるランデブーポイントが、現在、各都道府県200~300カ所ぐらいのランデブーポイントを使っておりますけれども、大幅に減少するのではないか。なぜかと言いますと、夜間照明が設置できる場所というものがどれぐらいあるのか、航空障害灯火などによって周辺の障害物が視認できることになっているか、「ヘリコプター仮想着陸帯」「1/4進入表面」とか書いてありますけれども、単純に言うと手でやりますと、垂直にヘリコプターが離着陸することは余りなくて、飛行機のように水平に飛びながら高度を下げていって着陸するのですけれども、この角度が4分の1まではいいというのが昼間のVFRです。
実際、夜間になりますと、その4分の1は、細かくはいろいろなルールで定められておりますけれども、8分の1の平面をとりなさい、その範囲に障害物があるとぶつかってしまいますといった、角度が下がっていきますので、昼間に比べるとその条件が非常に厳しくなるということでございます。
操縦士の暗順応は、皆様のほうが専門ですので省略します。
あとは、直接、飛行機の安全運航ではないのですけれども、騒音に関する苦情等々は夜間のほうが多いのではないかということです。
6ページ目で、IFRで飛行するためにはどういったものが必要なのかといいますと、それぞれ、追加地上援助施設で、夜間照明であったり無線誘導設備というものがあると非常にいいと。
機体の装備品は、現行のドクターヘリで使っている機体は、基本的にはIFR飛行ができる装備類はつけていますけれども、IFRの方式によっては追加で設備が必要になる可能性があるということです。
IFRは、どの会社でも、現在、ドクターヘリのパイロットというのは計器飛行証明を取得したクラスの人が乗っていますけれども、これが完全に義務化されるということと、機体によってはIFR飛行をするにはパイロット2名での操縦が義務化されるというような感じになります。
以降、夜間も飛ぼうとすると、現在、昼間だけのクルー配置というのをやっていますけれども、夜間、時間が延びた分だけ2クルー配置または3クルー配置となります。
7ページ目、後方支援体制のあたりは、夜間に整備可能な環境、補給といったものが必要ですし、現在、RNAVの航法というものがかなり普及しておりまして、必ずしも地上無線設備がなくてもIFRができるのですけれども、このあたりをヘリコプターが飛ぶルートに整備していけるかどうかというところでございます。
あとは、細かい話ですけれども、航空運送事業でドクターヘリを飛ばしておりますので、夜間飛行する際における規程類の整備と、夜間労働となりますので労務環境整備。
また、現在、ドクターヘリは飛行前、飛行後に整備点検を行っておりますけれども、夜間も飛行することとなると、整備の時間をどこに設定するかといったことです。
また、飛行時間が当然延びますから、予備機を含む運航体制といったものも変化してまいります。
一番下はNight Vision Gogglesですけれども、こちらは我が国ではまだ民間運用に関する検証が行われておりませんので、これを使用するとなると、法制的なものも必要かなということでございます。
8ページ目は、ほぼ結論ですけれども、ドクターヘリが夜間に飛行することは可能ですけれども、現在、財政負担とか要員育成に関して、国レベルの計画的な支援が必要となってまいります。
2つ目は昼間だけの要件ですので、夜間の要件をこれから考えなければいけないということがございます。
3つ目は、運航会社としては一番大きいのですけれども、現状、運航経費がとんとんという基地が多いと思いますけれども、今後、夜間の飛行をすると飛行時間が延びる、必要なパイロット数がふえるということで、必要経費がふえてまいります。
雑駁となりましたけれども、主な夜間飛行にかかわる課題といいますか、今後何をすれば可能となるのかといったあたりを述べさせていただきました。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
最後になりますが、資料6について、事務局から説明をお願いします。
○野口救急医療対策専門官 事務局でございます。
今までの話を受けまして、今後、ドクターヘリの配備、運用に関して議論が必要な内容に関して、こちらとしてまとめさせていただいております。
スライド1、1つ目でございますが「ドクターヘリの配備のあり方について」で、現状と課題に関して、今、参考人からお話をいただきました。
議論をいただきたい内容としましては、ドクターヘリの配備については、地域における救急医療の確保状況を考慮し、都道府県間の連携運用の強化等の検討をすべきではないかというところを議論いただきたいと考えております。
次のページで「ドクターヘリの運用のあり方について」で、現状と課題をいろいろいただきましたけれども、議論いただきたい内容としまして、特性を考慮した地域ごとの要請方式や要請基準等について地域で協議してはどうかということ。あと、効果検証のために、全国ドクターヘリ症例登録による運用面の検証や患者の転帰等の検証を進めてはどうかということでございます。
3番目は、ドクターヘリの安全な運用、運航について、今、お話しいただきましたけれども、議論いただきたい内容としましては、安全な運用、運航のために求められるドクターヘリの機体は、双発エンジンの機体が望ましいのではないかということ。それ以外に関しても議論をいただければと思います。
夜間運航に関しては、安全性を考慮し、必要に応じて整備ができるよう、引き続き検討が必要ではないかということを検討いただきたいと考えております。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、これまでのプレゼンテーションに対して、御意見、御質問をいただきたいのですが、事務局から議論していただきたいことについて3つほど出ておりますので、こういう視点から御意見をいただければ大変助かると思います。
また、プレゼンテーションなども、実はこういう視点からのプレゼンテーションだったと思いますので、ぜひ御協力をお願いしたいと思います。
それでは、よろしくお願いいたします。
加納構成員、どうぞ。
○加納構成員 ありがとうございます。
但馬の小林先生にお聞きしたいのですが、ドクターヘリ、また、ドクターカーも、地域によっては、医療過疎と言ったらおかしいですが、但馬地域において非常に有効に使われている、また効率的に使われているなと。実はドクターカーに関しては、前回の事例では少しどうかなというところが多々あったのですが、地域によってはやはり有効かなというのが御説明でよくわかりました。
先ほど、ご説明がありましたが、但馬の場合ですと、夜間の要請があったときに関して、今はドクターヘリが飛んでいないとは思います。結果的には、先ほどいろいろな疾病の予後の話も含めてあったのですが、夜間に急変すると、ドクターヘリが飛ばないことによって、かなり差があるといったこともあり得るのでしょうか。先生、どう思われますでしょうか。
○遠藤座長 小林参考人、お願いいたします。
○小林参考人 結論から申し上げますと、そのような事案もあり得ます。やはり、ドクターヘリによる早期医療介入と搬送時間短縮で恐らく救命効果があったであろうという事案もございますが、先ほどもお話がございましたとおり、夜間の危険性は非常に大きいところがございますので、それを補完する意味でもドクターカーを当初から活用しているところがございます。やはり、あるべき医療資源を有効活用するための方略を地域メディカルコントロール協議会のもと考えていく。その結果が地域にフィードバックされるものであろうと考えてございます。
○遠藤座長 石川構成員、どうぞ。
○石川構成員 プレゼンテーション、どうもありがとうございました。
ちょっとお聞きしたいのですけれども、プレホスピタルケアの場合に、ドクターヘリが行ったはいいのですけれども、ランデブーのポイントがどこにあるのかということは一番大事です。
今回の発表は余りなかったのですけれども、ランデブーのポイントといいますか、ドクターヘリがどこにとまって、基地病院は、行くところですから大体決まっていると思うのですけれども、どこに行ってということはあらかじめ決められていると思うのです。それが但馬の場合は今までどうだったのかということと、夜間のときに一番大事なのはどこにランデブーするかということだと思うのですけれども、この辺についてはどうでしょうか。
○遠藤座長 引き続き、小林参考人、お願いします。
○小林参考人 ありがとうございます。
ランデブーポイントに関しましては、ドクターヘリの事業を開始する前に、消防と地域にお願いをさせていただいて、全ての地域に満遍なくランデブーポイントを設置しておりますので、ドクターヘリというのは、要請があって着陸ポイントが設定されなければ上がれませんので、消防機関、地域が協力していただいて、そのようなところはもうクリアをしておりますし、現在も新たなランデブーポイントがあれば、どんどん設定していって、非常にショートスパンでランデブーポイントを設定して、医療介入が早くできるという努力を引き続き行っております。
また、夜間飛行に関しましては、私どもの事業としましてはやるつもりは全くございません。むしろリスクのほうが高いですし、あと、ランデブーポイントの夜間照明とか、消防職員が夜間はどうしても少なくなりますので、安全確保ができない。パイロットの問題等々。ドクターカーを有効活用するということ。そして、半径80km圏内でドクターカーは50㎞圏内しかカバーできておりませんので、それ以外のところをどうするかというと、現行、病病連携の中で各地域の病院にドクターカーを配備し、我々がそこをお手伝いしに行き、あるいはドクターデリバリーという形で補完できないかという方略を立てるというのが現実的だと思っております。
○遠藤座長 ありがとうございます。
よろしいですか。
ほかにございますか。
では、島崎構成員、どうぞ。
○島崎構成員 先ほどのドクターヘリの配備の話なのですけれども、御説明だと、都道府県間でその垣根を取っ払えば、カバーされる人口が多くなるということですね。
きょうは時間がないので、余りきちんと聞けないのですけれども、実際、ドクターヘリにどのくらいのコストがかかっているのかということについて、よく2億とか3億のランニングコストがかかると言われますけれども、イニシャルコストとしてどのぐらいかかっているのか。費用の取り方によって、かなり数字が違ってくるのだろうと思うのです。もし、簡単に答えられるのであれば、ざっくりとどのぐらいドクターヘリの関係でコストがかかっているのですか。
もし答えられないようであれば結構なのですけれども、つまり、都道府県間の垣根を撤廃してやることのデメリットが余り感じられないというか、つまり、取っ払うことによって全体のコスト、カバーされる人口もふえるということであれば、むしろそれをちゅうちょする理由は全くないと私は思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
コストの問題はともかくとしまして、地域間の問題ということで、これは御質問ということで事務局ですか、それとも猪口参考人ですか。
では、事務局どうぞ。
○野口救急医療対策専門官 事務局でございます。
予算に関して、資料2のスライド6の左下に書いてあるのですけれども、医療提供体制推進事業費補助金が229.2億ありますが、その内数としてドクターヘリの予算は66.4億円が確保されています。1機当たり2.5億円という形で基本的に計上しており、事業者にそのまま執行いただくというものです。そのため、件数に応じて額が変わるという設定ではございませんので、1年当たりに2.5億ということでございます。
○島崎構成員 きょうここで議論をしませんけれども、それは補助額であって、それ以外に、実際にどのぐらいのコストがかかっているかというのは別の話だし、私の記憶が違っていればあれですけれども、たしか地方交付税でも算定基礎の対象になっているのではないかと思います。これは違うかもしれませんが。
そういうコスト全体を含めて一度議論しないと、お金が無尽蔵にあるわけではありませんので、効率性ということをよく考えていく必要があるだろうと思います。
○遠藤座長 では、事務局、お願いします。
○野口救急医療対策専門官 事務局です。補助率ですが、国としては2分の1だけ補助する。2.5億のうちの残り2分1に関しては、事業をする都道府県が負担する。そちらが国庫の話と思っております。
詳細に関して、希望に応じて提示させていただきたいと思います。
○遠藤座長 ほかにございますか。
では、森村構成員、どうぞ。
○森村構成員 ありがとうございます。
2点、簡潔にお話ししたいと思います。
議論いただきたい内容という項目の1点目で、地域ごとの要請方式、特に要請のタイミングを今後議論するに当たり、これは猪口参考人にお聞きしたいのですけれども、オーバートリアージ率35%を容認するためには、恐らくアンダートリアージがどれぐらいになっているのか、あるいは死亡率がどうなっているのかというところが、今後、焦点になると思います。
特にきょうお示しになった死亡率に関しては、重症度の層別化をされたデータの中で、ある一定の重症度以上であるならば死亡率が低いといったような、きょうはデータで差はないとお示しされましたが、そのような御検討はされているのかが1点目でございます。
○遠藤座長 猪口参考人、お願いいたします。
○猪口参考人 最初の死亡率についてですけれども、重症度はもちろん調整した上で比較しております。
しかしながら、今回、全体で症例数が5,000件ぐらいの検討ですので、わずかな差は非常に検出しにくい。全死亡率が4%ぐらいしかありませんので、なかなか検出しにくいということと、距離とか何かほかの要素で、非常に近いのに飛んでいるとか、効果に影響を与えてしまうような交互作用があるような項目が幾つかあるので、そこをもう少し細かく区分してサブグループで検討する必要があると思っていまして、まだ結論を出すのは早いかなとは思っています。
○遠藤座長 森村参考人、あと1個、引き続きどうぞ。
○森村構成員 ありがとうございます。
もう一点は、先ほど島崎構成員がお話しされたことと少し関連しますけれども、コストパフォーマンスも含め、今後はこの事業そのものの質の評価をしていかなければいけない。その中で適応基準の再検討あるいは見直しに関する検討が必要になり、それを官・学といいますか、一方では行政の設置した委員会による継続的な検討を推進するとともに、一方では学術団体によるこういったデータバンク、すなわち症例登録を推進していくということが必要だと思いますので、これは意見としてお話ししたいと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでございましょうか。
嶋津構成員、お願いします。
○嶋津構成員 本日のドクターヘリの運用、評価の件で、1点、災害時の活用ということが出ていなかったと思うのです。
東日本のときにも熊本の際にも、ドクターヘリは全国といいますか、いろいろなところに飛んでいっていますし、私たちの施設からも行っております。また、DMATの搬送というものでもドクターヘリは活用されますので、平時の救急体制がもちろん中心だと思いますけれども、大規模災害の場合の活用といった意味での視点というのも入れていただいたらいいのではないかと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
何かそれについて、コメントはございますか。
よろしゅうございますか。
では、御意見として承りました。ありがとうございました。
ほかに何かございますか。
それでは、加納構成員、どうぞ。
○加納構成員 但馬の状況をもう一度確認したいのですが、救命センターは1つなのですね。人口的には22万人のエリアで1つということなのですが、ここのエリアで、2次救急病院として形での救急活動をしている病院というのはどれぐらいあるのですか。
○遠藤座長 小林参考人、お願いします。
○小林参考人 ありがとうございます。
まず、但馬地域は、私ども病院以外に公立病院のみ7つございますが、常勤医が3~5名ぐらいの1次か1.5次の病院でございます。2次をやっている病院が1カ所のみございますが、救急搬送に関しましては1次からかかりつけのみですので、1.5~3次は救命救急センターに一括搬送されるという地域でございます。
かつ、私どもの地域以外のところは、救命救急センターが鳥取に1カ所、京都に1カ所、それも地域救命センターで、救急の先生が1~2名ぐらいで、24時間体制ではないという現状でございます。
○遠藤座長 よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
ほかに何かございますか。よろしゅうございますか。
大変すばらしいプレゼンテーション、また、積極的な御意見、ありがとうございます。
それでは、事務局におかれましては、本日の御意見等を踏まえまして、今回の内容について取りまとめを行うという方向でお願いしたいと思います。
では、石川構成員、どうぞ。
○石川構成員 また台風が近づいてくるのですけれども、今回、北海道で大規模な停電の状態がありまして、医療機関も停電によってかなり迷惑な状況になったと思うのです。電子カルテももちろん動かなくなったりしたところもあります。UPSは数十分とかそんな感じでしか作動しませんので、医療機関の停電対策ということについて、ぜひいろいろな方策を考えていただかないといけないかと思っています。
3.11のときは、計画停電があったときにびっくりしたのですけれども、在宅の方とか、実際に医療機関ではないところで医療を受けている方の電源確保というのは大変苦労したのです。
今回も、実は計画停電の兆候があったので、北海道医師会には早目に対応するようにこちらからお願いしたりしております。ですから、災害時の停電対策ということについて、ぜひ1つポイントを入れていただいて議論してもらいたいと思うのです。これは会からの要望でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
大変重要な御指摘だと思いますので、事務局としても十分考慮するようにしていただきたいと思います。
ほかにはよろしゅうございますか。
それでは、事務局にはしかるべき対応をお願いしたいと思います。
議題(3)に「その他」とありますけれども、何か事務局からございますか。
どうぞ。
○野口救急医療対策専門官 事務局でございます。
今回、説明をしていない参考資料について、補足だけさせていただきます。
これまでの検討会では、前回検討会で発言した内容に関しては資料として提示してきましたが、今回からは参考資料として扱っております。記載等について御意見がある先生方は、後日でも構いませんので連絡をいただけますようよろしくお願いいたします。
また、本検討会に関連する平成31年度の概算要求を参考資料4として提示しております。御参照ください。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、先ほども申し上げましたけれども、本日の検討会の御意見等を踏まえまして、論点の整理を含めて必要な事項を進めていただきたいと思います。
第8回の議論はこれまでとさせていただきますけれども、次回に関しまして、事務局から何かありますか。
○野口救急医療対策専門官 事務局ですが、第9回については、日程が決まり次第、お知らせします。よろしくお願いします。
○遠藤座長 それでは、これにて終了したいと思います。
どうも、長時間ありがとうございました。

照会先

【照会先】

医政局地域医療計画課
救急・周産期医療等対策室
救急医療対策専門官 野口(2556)
災害医療対策専門官 北久保(2558)