第7回救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会(議事録)

医政局地域医療計画課 救急・周産期医療等対策室

日時

平成30年8月1日(水)
14:00~16:00

場所

全国町村会館

議事

下記のとおり
○野口救急医療対策専門官 それでは、定刻になりましたので始めたいと思います。
ただいまから、第7回「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会」を開催させていただきます。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中を御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
まず、構成員の変更がございましたので、御紹介いたします。
日本病院会を代表されていた岡留構成員にかわりまして、高木構成員となります。
本日、坂本構成員から御欠席の連絡をいただいております。
なお、本日は、高知県健康政策部医療政策課課長、清水貴也参考人、大阪急性期総合医療センター高度救命救急センター救急診療科主任部長、藤見聡参考人にお越しいただいております。
また、オブザーバーとして、総務省消防庁救急企画室、小谷聡司様にお越しいただいております。
なお、事務局の異動がありましたので、御紹介いたします。
医政局長、武田かわりまして吉田でございますが、公務のため欠席しております。
大臣官房審議官、椎葉にかわりまして迫井でございます。
地域医療計画課課長、佐々木にかわりまして鈴木でございます。
まず、お手元の資料の確認をさせていただきます。 お手元に議事次第、座席表、構成員名簿のほか、資料1~5、参考資料1~3をお配りしております。
不足等がございましたら、お知らせください。
報道の方で、冒頭カメラ撮り等をしておられる方がおられましたら、ここまででお願いいたします。
それでは、遠藤座長に以後の議事運営をお願いいたします。
〇遠藤座長 それでは、議事に入りたいと思います。
第1の議題は「災害を考慮した事前体制整備について」ということでございますが、これに関連して、資料1について清水参考人より、資料2について森村構成員より御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
〇清水参考人 それで、高知県医療政策課長の清水と申します。本日は、このような貴重な場をいただき、まことにありがとうございます。
また、先月の豪雨に関しましては、関係者の皆様から温かい言葉をいただくとともに、まだ、被害も残っており、高知県としても全力で対応に当たっているところでございます。
なお、大変恐縮なのですが、こちら発表して質疑の後、私、所用のため途中で中座させていただくことを、どうぞ、お許しください。
それでは、お手元の資料の「災害時医療救護の抜本強化について」の資料について説明をさせていただこうと思っております。
1枚おめくりください。
「南海トラフ地震の被害想定」ということで、日本の全国地図のほうを掲載させていただいております。
こちらのデータ、死者数、被害額等は、南海トラフ巨大地震の被害想定についてということで、中央防災会議のほう、2012年、2003年と各1回ずつ出しましていましたが、こちらのデータのほうを借用させていただいて、このような形で掲載をさせていただいております。
経済的被害が国家予算の2倍以上になるとともに、想定死者数が30万人以上と、従来の2003年の中央防災会議の資料と比べて大幅に上がっております。
こちらは、2003年と比べて2012年の被害想定については、仮定もかえ、また、東日本大震災を踏まえた後に内閣府のほうでさまざまな最新の知見等を取りまとめながら、このような形で新しく取りまとめていただいたと聞いております。
そのためでもあって、被害のほうも各県ふえておりまして、既にこちらにお示しのとおり、赤棒で書いておりますのが、最新の2012年の被害想定とさせていただいております。
ごらんのとおりですが、高知県、東海地方、高知県も含みますが和歌山県、愛知県、静岡県と太平洋沿いにあります各県のほうで大きな被害が出るということが一目でわかるかと思っております。
続きまして、1枚おめくりいただいて「医療資源が絶対的に不足する事態を回避するための災害時における医療救護体制の強化」という資料について説明をさせていただきます。
こちらは、今、高知県として行っているさまざまな取り組みについて簡単にまとめさせていただいたものとなっております。
南海トラフ地震発生時の医療救護、こちらは、今は応急期のほうということで掲載をさせていただいているのですが、同時に広域で大量の負傷者が発生します。被害は当然、高知県のみにとどまらず、隣県、近県、本来であれば支援を受けたいと思われる、こういった隣県にでも多くの被害が発生することと見込まれております。
結果として、インフラやライフラインが寸断され、医療機関ですとか、医療機能、また、被災地内の搬送能力の低下は十分予想されることだと思っており、また、外部からの支援も当然時間を要するものだと考えられると思います。
このような大きな被害に比べて、現在の支援機能は、まだ十分ではないと考えておりまして、救われた命をつなぐためのさまざまな取り組みを行っておりまして、左の端のほうからお目を通していただければと思います。
まず、後方搬送だけに頼らず、より負傷者に近い場所での医療救護活動を強化する必要があると考えております。
特に、真ん中ですが、地域をバックアップする体制づくりとして、まずはDMATが考えられると思っていまして、参集拠点から地域へ運ぶ仕組みの構築ということで、医療従事者の搬送計画のほうを策定させていただくとともに、高知県も災害時の救護計画のほうを策定させていただいております。
そういった中で、SCU、広域搬送の拠点となる拠点の機能整備ですとか、そういった強化も行うとともに、地域への支援とありますが、地域独自による医療救護体制の策定というのも大事だと考えておりまして、市町村における医療救護活動の具体化。
といいますと、具体的には、各市町村で災害が発生した際に、どういった病院に集まって、どのような形で人が動いていくか、そういったものをまとめているようなものでありまして、現在、策定中のものもあります。
さらに、医療救護の人材確保ということもありまして、県民に対する啓発であったり、医療従事者に対する研修活動等もあわせて行わせていただいております。
これとは別に、医療機関の災害対応力の強化、こちらは、当然大事なことでありまして、震災で医療機関の医療機能低下をなるべく抑えるようにということで、県としても財政的な措置ということで、さまざまな施設整備、設備整備、備品の構築などを県の予算を使って後押しさせていただいているところとなっております。
右端のほうに少し目を移していただければと思うのですが、緑枠であります「被災地外から被災地への迅速かつ大量の支援投入を可能とすることが必要」と記載しておりまして、もちろん県の中でも頑張っていくのですが、同時に、今回予想される大規模地震の際には、県内のみならず、県外からの支援もぜひとも切にお願いしているところとなっております。
「被災地外からの支援機能の強化」ということで(1)(2)(3)とありますように、DMATの養成であったりですとか、搬送機能の抜本強化、これは、当然ヘリですとか、さまざまな搬送手段が考えられると思います。
また、医療資源が乏しい場合には、医療モジュール、それを運営するための人材を迅速に配備する体制の整備、ぜひとも国を挙げて支援体制をつくっていただければと思っておりまして、この緑枠で書いているところは、これまでも高知県のほう、また、都道府県知事会のほうでも先月決意されましたように、国を挙げて取り組んでいただきたいという形で、さまざまな機会を通して提言、また、陳情等などをさせていただいているところとなっております。
こういったところも踏まえて、一番下の黄色枠にありますように、各県における被災地内の医療救護体制の充実を図る取り組みへの支援について、ぜひとも財政面を含めた一層の強化をお願いするとともに、被災地外からの人的・物的支援の強化に必要な体制の早急な構築をぜひともお願いできればと考えております。
2枚目の資料の説明については、以上となっておりますので、続きまして、3枚目のほうに移らせていただこうと思っております。
「災害時医療救護体制の検討」ということで記載をさせていただいております。
これは、どういうものかというと、多分、推計というものは、さまざまな手段があると思っておりますが、あくまでも一例ということで、若干粗い推計にはなっておりますが、1つのモデル、考え方というものを示したものとなっております。
南海トラフ地震が発生した場合には、負傷者が、こちら内閣府の想定によりますと、4万7,000人、死者が2万5,000人というものが考えられております。これは、L2を想定しております。
うちの重症者・中等症者、これはトリアージで言うと、赤、黄色に該当すると思われますが、大体30%とした場合、1万4,000人程度の方が、こういったカテゴリーに分類されるものだと思っております。
災害拠点病院等で処置可能者数というものを、県内の、あくまでも少し粗い推計になっているのですけれども、専門家等の意見を伺うと、大体この程度になるのかなというような感じになっておりまして、それが4,000人。そうすると、残った方々がまだ1万人程度いらっしゃいます。
仮に被災地外からDMATが派遣されるとした場合、これもあくまでも仮定にすぎないのですけれども、大体その方々が2,000人対応していただけることになると、残った重症者・中等症者の方が8,000人程度になるという1つのモデルもあるのかなと考えております。
こういった場合、これらの方々を対応するためには、170チーム以上のDMATが必要になってくると思っておりまして、あくまでも1つの推計なのですが、こういった推計等を求めると、まだまだ少しDMATが現時点では充足していないのではないかといったような考えを持っております。
続きまして、1枚おめくりください。
こちらも、今回は、これを全国スケールに当てはめた場合に、どのような形になるかということを推測させていただいたものとなっております。
これは、現在、高知県に派遣されるDMATが43チームと仮定とした場合、全体の7.57%。実際、高知県に必要なDMAT数が214チームであるということを考えますと、必要なのが214、それに対して来るのが43チームとすると、大体5倍程度になるのですが、全国で必要なチームというものを逆算させていただきますと、2,800程度になるのかなと。
それを現在、派遣可能なDMATと考えますと、2,000チーム以上の被災地外でのDMATが必要になるということも考えられるかと思います。
もちろん、私たち、この推計が幾つか問題があるとか、なかなか課題もあるかと思っておりまして、推計自体難しいと思っているのですが、今回のポイントは、どういうことかと言いますと、被害想定等について真正面に向き合っていただいて、どの程度の医療救護体制が必要で、DMATが必要になって、また、DMAT以外にも災害対策というのは、さまざまなハード、ソフトの整備が必要だと思っております。医療人材の育成から搬送機能などさまざまありますが、想定等をつくっていただいて、それに対してどのようなものが必要になるかということを、ぜひ国のほうでもお願いして、そういったものを策定していただければと切にお願いしたいと考えております。
少し駆け足となってしまいましたが、私からの説明は、以上になります。
御清聴、どうもありがとうございました。
〇遠藤座長 ありがとうございました。
それで、森村構成員、引き続き、お願いいたします。
〇森村構成員 それでは、資料2をごらんください。
私は「災害時の医療のリスクとリソースに係わる学術的検討」の現段階での報告の概略を御説明したいと思います。
ここに書かれているリスクというのは、予測の段階ではリスクでありますが、発災した場合にはニーズという言葉になると思います。
1ページおめくりください。
私たちが、この検討をしていく中で一番重視したのが、医療にかかわるリスクがマスデータとして提供されますけれども、実際には個々の医療機関に対し、強い当事者意識を与えてこなかったという点です。
実際、医療面から見た災害時のニーズというのは、地域の中でも濃淡がありますし、それに対応する医療機関も碁盤目状に一律になっているわけでは、もちろんありません。
また、災害によるインパクトも地域によって違うということもあり、地域の中あるいは地域間の比較、すなわち、どこが弱いのかということを需要と供給のバランスから見た指標の策定に関する検討はされていないところに着目しまして、地域においてどの程度需要と供給のバランスが崩れるのかというのを可視化できないかという視点で検討してまいりました。
次の2ページをごらんください。
まず、先行研究を簡単に御紹介させていただきたいと思います。
もともとは神奈川県内の4つの大学病院による検討に端を発しておりまして、以降、東京の災害拠点病院の有識者の方々も交えて、首都直下地震を想定して検討を重ねてきました。
3ページをご覧ください。
新しい用語がたくさん出てきております。これらは、まだ十分にコンセンサスが得られたものではありませんが、以降、リスクとリソースの割合、比率を、Risk-Resource-Ratioの略をとりましてRRRと呼称させていただきたいと思います。
リスクというのは、需要のことを指していますけれども、主に傷病者数あるいは重症度あるいは属性によって、その係数を少し重みづけをした、属性というのは年齢あるいは基礎疾患といったところで層別化した、簡単に言うと、傷病者の数をリスクとしました。それに対応するリソースはなるべくシンプルにかつ全ての行政からデータが容易に得られるものでしようということで、超急性期における災害拠点病院ごとの空少数としました。災害拠点病院のみがその地域で機能するという最悪のシナリオで、かつ瞬間は多くの病院は病床利用率が8割から8割5分ということになりますので、十数パーセントしか空床がないという仮定にしました。1ベッドを運用するためには、スタッフがそれ相応必要になりますので、最初の検討の時点では、ベッド数がリソースの代表という形で検討をしてみました。
4ページをごらんください。
学術論文誌に3ないし4報ほど英文誌も含めて一部報告を出していますが、その中で初期のものを示します。
これは、横浜市だけが被災したと考えた場合のもので、円の大きさが、このRRRの大きさを示しています。
左側の横浜市の地図上に、傷病者総数に対する発災早期のリスクとリソースの比が災害拠点病院ごとに示されています。
右側は、重症例だけをとった場合の重症用ベッドとの関係を見ているわけですけれども、例えば、右側の絵の図のJという災害拠点病院がカバーする地域には、発災直後においては、1空床ベッド当たり434人の傷病者を診なければならないというインパクトがかかるということを示しています。
隣のHという病院は62人を診なければならないという状況にあるという、相対評価指標として使えと思います。
次のページをごらんください。
このRRRというものの考え方をしますと、それぞれの病院の負荷がどれぐらいかかっているか、どれぐらい繁忙になっているのかというのがあらわされるわけですけれども、左の下のシェーマがありますように、大きな器を持った病院が、例えば、RRRという数字が4、すなわち1ベッド当たり4人診なければいけないという病院において、これを1ベッド当たり2にするために、どれぐらいベッド数をつぎ込めばいいのか、それによってどれぐらい回復するかというのを示しているシェーマです。
左側の大きいグラスにつぐ場合には、2まで戻すためにはたくさんの量が必要になりますし、小さい規模の病院ですと、同じ繁忙度ですけれども、少ない量を支援するだけで戻るだろうということになります。
なぜ、この検討をしたかというと、支援の優先度の1つの指標策定のためです。まだ、結論は出ておりませんけれども、ここで少なくとも言えることは、支援をする実際の量の差別化ができるだろうということで、このような概念を提唱しています。
この支援量については、NMRという用語を使っています。これは、ニーズ・オブ・メディカル・リソースの略です。支援が必要とされる実際の量というものを、このように定量化したということになります。
次のページをお願いします。
6ページは、検討結果ですが、今度は東京と神奈川、合わせて113病院の首都直下のときに、それぞれの病院の需給バランスがどれぐらい崩れているかをみてみました。中央値のRRRが非常に高く、かつ、支援必要量であるNMRの高い病院群がこのように赤カテゴリーとして示してあります。それらの病院をみてみました。RRRが5前後であることが分かります。
ただ、これだけですとわかりにくいので、その次のページですが、ちょっとビジーですけれども、7ページ、東京と神奈川だけで見ますと、このように赤が最優先で支援すべきところ、黄色が次に支援が必要であると考えられるところ、を示しています。その次が灰色、最後がブルーであり、円の大きさが、その不均衡度の大きさを示しています。
このように医療の観点からの不均衡の程度の濃淡がはっきりしてきます。
次の8ページです。
これらの解析の結果は、それぞれの拠点病院に置かれている地域の特性を明確に示しますので、HubやSCUの場所や広域搬送のための航路あるいは陸路、海路といったアクセスを含めた計画策定に資するだろうということでやってまいりました。
残り簡単でございますが、10ページをごらんください。
先行研究では、リソースは、空きベッド数というシンプルなもので説明してきたわけですけれども、今回はもう少し掘り下げてみました。
また、先行研究においては、少なくとも病院は一律に全て平常どおり機能するという仮定で検討してまいりましたが、実際は、病院そのものも一部機能を失う。病院そのもののインフラ機能が低下する。例え病院の建物が無傷であっても、医療機器や機材など、いわゆる医療資機材の流通が途絶えるといった事態が起きますので、それらの影響を含めた検討を開始しております。
11ページです。これは今年度の厚生労働科研で検討しているものですが「①医療需要の定量化」のところです。まず、需要の定量化指標を今一度見直した上で、ふだんの医療提供力すなわち供給力を定量化した上で、災害時にインフラストラクチャー機能の低下に基づく医療供給力の低下を加味した医療の供力と定義し、実際に起こるであろう医療需要を過去のデータから推測して、最終的に需給不均衡の度合いを出します。アンバランスは、脆弱度という表現にもなります。地域を500メートル間隔メッシュとして区分、シミュレーションモデルの策定を検討を進めています。
12ページです。
現時点では、医療の補給、輸送力を定量化するのが一番難しいです。Space、Staff、Stuff、Systemの4つのカテゴリーの中で、道路の損壊状況あるいは輸送にかかわること、そのシステムといったところの定量化を、現在進めています。
その中で、簡単に御紹介するのが13ページですが、これは、道路損壊に伴う輸送力の低下の指標の1つとして、消防隊が火元に行くまでの間の到達性の定量化があります。例えば、東京都の中では、すでにこれに関するマッピングができておりますので、この地域は、そもそも行きにくい、あるいはアクセスしにくいといったことがわかっていますので、こういったデータを使う予定です。
14ページを見てください。
これは、全体のポンチ絵ですが、需要は数、これは変わりませんが、供給に関しては、従来のベッド数や人員だけではなく、補給力や輸送力を加味して、それによって対応力を推しはかる。この対応力と需要との関係を見てみようという試みです。
その結果、1枚飛ばして16ページでございますが、このような、いわゆるメディカルハザードマップ、医療の需給バランスにかかわるハザードマップを作ることもできます。
最後の19ページをごらんください。
このように定量化指標を視覚化することができますと、国土強靱化計画や防災計画の策定の際の大いなる助けになります。
メッシュ化した想定被災地域内の定量的な医療需給均衡指標の値を算出して、そのばらつきを分けることによって、地域内の相対的な脆弱度がはっきりしてきますので、それによって支援をどこに行っていくのかというのがわかりやすくなるだろうと思います。
また、今回の手法の開発に当たっては、全国どの地域でも利用できるように、汎用性、網羅性が高いものにするよう、進めてておりますことを最後に申し添えたいと思います。
以上でございます。
〇遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの資料1、資料2について御意見、御質問等があれば、承りたいと思います。いかがでございましょうか。
山本委員、どうぞ。
〇山本構成員 今のタイトルが「災害を考慮した事前体制の整備について」と、従来だと、厚労省が御議論をいただきたい内容というのを示していたのですけれども、今回、それがないのでちょっとどうなのか、私自身思っていますのは、もし、この議題の事前体制整備という議論であれば、例えば、高知県庁さんのお出しになった資料1の2ページのところの図の中で、幾つかの視点が書いてあるのです。「地域ごとの医療救護の体制づくり」。多分、これはこれで事前体制として、まずは地域の中でどういうふうにして体制を強化できるのかという議論をしていくべきだと思っています。
例えば、ここに県民というキーワードはすごく重要で、私、阪神・淡路の担当補佐なので、当時実感したのは、地域の中で相当程度、最初の急性期は頑張っているのです。そうすると、そのインフラの高い、たまたま人材がいたところで、例えば、ある保健所の管内で、東灘の保健所と長田の保健所というのが、たまたますごくいい所長さんがいて、それがいろんな外からの救護班の受け入れから、そういったことのコーディネートを本当にやっていったと。
それを成功事例として、実は、当時平成8年に出した通知では、保健所というものが、まず、行政機関としてふだんから地域体制づくりを推進すべきだということを書いたのです。
また、医療関係団体と郡市医師会というのが、必ずどの地域にも存在していますので、例えば、郡市医師会と保健所といったものが、ふだんからどういうふうにして地域住民も巻き込んで、どう地域ごとの体制を強化するかという話は、かなり重要かなと思っています。
次に、2点目で「地域をバックアップする体制づくり」。恐らく、きょうは森村先生のお話も含めて、ここを一番議論したいというのが、厚労省の趣旨かなと思っていますが、そういうDMATの体制をどうしていくのかとか、そういうことも含めて、地域をバックアップする体制づくりというのと、それぞれ議論を深めていったほうがいいのではないかというのが、私の印象です。
あと、事前体制ということになった場合に、もう一点、阪神のときの経験でびっくりしたのは、5,000人の御遺体が突然あらわれたわけですから、御遺体に関しての体制を、当時、特に兵庫県のほうはつくっていなかったのです。
そのために何が起きたかというと、死体検案に関して、地元の開業医の先生方を緊急動員してやったのですが、結果的に多くの課題が出てきたのが、死体検案になれていらっしゃらないドクターが書いた死体検案書の、いわゆる診断名あるいは死亡時刻の書き方が非常に問題があった事例が出たということから、後に何が起きるかというと、生命保険とか遺産相続とか、そういうことに対して死因が何であったか、あるいは死亡時刻がいつであったかというのが非常に大きなテーマになったのです。
そのときに、平成8年の通知で書いたのが、死体検案体制の強化という柱をつくって、それで、日本法医学会には、なるべく簡便なマニュアルをつくってくれという話とあわせて、死体検案に関する研修ということが必要だという柱をつくったのです。
今回も、先ほど南海トラフで2万5,000人の死者が出るという話になった場合に、恐らく、そういう死体検案ということに関してのことも必要ですし、もしも真夏であれば、御遺体がどんどん腐敗していくわけですから、ここは、少なくとも死体検案までは医政局所管だと思っていますし、後は、今の生活衛生の関係のほうでしょうけれども、そういう御遺体に関する、何といいますか、安全に対応していくのかという話は、多分、これは医政局とは違う局が考えることだと思いますが、そういう部分の幾つかの論点というのは、改めて御議論して、きょうは、外からの支援体制に絞ってもいいのかもしれませんが、できれば、少なくとも事前体制整備というような議題であれば、できれば、そういう御議論も、全体で何を議論すべきか、少しあったほうがいいのかなというのが私の意見です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ただいまの山本構成員の御意見に関連してでも結構ですし、資料1、資料2に対する御質問でも結構です。いかがでございましょうか。
島崎構成員、どうぞ。
○島崎構成員 今の山本委員の御意見、もっともだと思うのですが、時間も限られているようなので、具体的に今の発言に即して、2つばかり聞きたいのですけれども、まず、バックアップということなのですけれども、高知の場合、空港が海沿いにありますね。そうすると、例えば、津波とかが発生したときに、空港そのものが損壊してしまうということがあり得ますし、それから、2ページ目の資料の4つの総合防災拠点とありますけれども、高知市内の病院もそうだし、一番南西の、多分、土佐清水の病院だと思うのですけれども、ここもたしか海沿いではなかったかと思うのです。
まず、お聞きしたいのは、外からのバックアップといったときに、どういう経路を考えているのでしょうか。海からというのは、なかなか難しいと思うのです。そうすると、空路か陸路かという話になりますが、陸路にしても、例えば、どこでもいいのですけれども、広島から後援部隊を派遣するときに、どういうルートを考えているのでしょうか。
○遠藤座長 では、清水参考人、お願いいたします。
○清水参考人 貴重な御質問をありがとうございます。ただいまの質問について御回答させていただきます。
まず、搬送についての御指摘ですが、まさに御指摘のとおり、かなり高知県の病院は海岸に面しているところが多くありまして、また、津波の影響もあるということで、当然浸水地区にある病院はあります。
実際、具体的にどのような搬送手段になるかと言われますと、その当時、程度程度、ケース・バイ・ケースによって動き方は変わってくると思っております。
まず、ポイントとしては、連絡体制、リエゾン体制ができるように県庁内にコーディネーターの医師が集まっていただいて、道路関係者、自衛隊、消防などがさまざまな情報を集めて、持てる限りの総力を動員して、では、そのケース、ケースに応じてどのような手段があり得るのかなということがありますが、こうなってしまうと、結構、今、アブストラクトな言い方になってしまって、もう少し具体的な言い方になりますと、今度、8月4日に内閣府のほうで、高知県等を主催とした訓練を行う予定になっております。
例えば、そこでは、まず、ヘリコプターでチヌークですとか、イロコイスのようなものが、高知大学附属病院、こちらは若干山のほうにありますので、津波の影響は出ないかなと考えております。
そこに来ていただくのが、まず、空路搬送、道路で言うと、香川県の豊浜サービスエリア、少しローカルな言葉になって大変恐縮なのですが、香川県のほうに一回集散したDMATのほうが、香川から高知のほうに車で降りていただいて、高知大学に一回集積して、そこからさまざまに散らばっていくというか、展開していくというようなことも1つの例として考えております。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
○島崎構成員 私が聞きたかったのは、別に病人とかDMATの搬送だけではなくて、もっといろんな広域的な物資であるとか、水がありますとか、例えば、いろんなことがあると思うのですけれども、そことの物量のロジスティックがきちんと設計されているのかというのが聞きたかったところなのですが。
2つ目の話として、今回、高知の問題を取り上げるということで、地域医療構想とかも見てきたのですけれども、改めて感じたのは、4つ医療圏がありますけれども、高知市が含まれる中央のところに、特に高度急性期の病床が非常に集中していますね。
そうすると、きょうのテーマの事前体制整備といったときに、各後方搬送だけに頼らない、より負傷者に高い場所での医療・救護活動といったときに、日常的に、つまり平時の状態でも、ほかの3医療圏というのはかなり脆弱なのではないかと、数字から見る限りは、そう見えるのですけれども、その点については、どうですか。
○遠藤座長 清水参考人、どうぞ。
○清水参考人 ただいまの御質問について回答をさせていただきます。
確かにおっしゃるとおり、高度急性期につきましては、全て中央圏というところに集中しておりまして、医療従事者もそうですが、病院、そういった医療機関は中央圏に集中しているというのはあります。
ただ、そうは言っても、やはり、津波の浸水等とか、道路もやられてしまうということもあれば、地域に本当にすぐに送り込めるのかという問題は出てきます。
当然、災害が発生した際には、トリアージで赤のような患者さんも出てきますので、現場、現場で直ちに迅速に対応していく力というのを一定程度県内でも構築していくことは大事だと思っておりまして、こちらも各地域にある、ちょっと具体名を申し上げて申しわけないのですけれども、幡多ですとか、安芸といった圏域には、しっかりと県立病院というのを持っておりまして、そこで、当然、日ごろから訓練を行うとともに、BCPの策定を進めていただくと同時に、当然、耐震のための予算も、先ほど申し上げましたが、整備させていただいて、そういった地域、地域にある病院でも県の予算事業、また、研修等を活用して、ぜひとも一定程度対応できるような体制の構築を目指していただきたいと思っておりますが、当然、高知県のみで対応できるのはなかなか難しいと思っておりまして、そこもできれば、国のほう等を中心に被害想定を見積もっていただき、ぜひとも救護体制構築に資するような体制構築をお願いできればと切に考えている次第でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
では、手短にお願いします。
○島崎構成員 今のことについて意見はありますが、それはちょっと時間の関係もありますので、さておき、南海トラフの場合、別に高知県だけで発生するわけではなくて、例えば、和歌山であるとか、愛知であるとか、そこも全部やられる、そういう想定に立ったときに、これは、むしろ事務局に聞くべきなのかもしれませんけれども、例えば、高知のところには、どこからどういう形でもって応援体制を組んでいくということになっているのでしょうか。
つまり、東京と大阪のDMATの事務局みたいなところが、それをその都度コントロールするような形になっているのか、そうではなくて、あらかじめ、例えば、こういう想定であれば、高知のところについてはどこの県とかというのがある程度決まっているような形になっているのでしょうか、少し初歩的な質問かもしれませんが、お答えいただきたいと思います。
○遠藤座長 それでは、事務局、お願いいたします。
○伊藤災害時医師等派遣調整専門官 事務局より答えさせていただきます。
南海トラフ地震に関しましては、南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画が国で定められていまして、それによると、DMATの参集に関しましては、参集拠点の候補地というものは決定していますが、具体的にどこの都道府県がどこに支援に行くというものは、計画としては定められておりません。
ただし、北海道、東北など遠隔地に存在するDMATに関しては、DMATの参集は原則空路で行い、空路の参集拠点は定められていますが、実際に、どこからどこというような具体的な計画は、現時点では決められてはおりません。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでございましょうか、何かございますか。
それでは、加納構成員、お願いします。
○加納構成員 ありがとうございます。
高知の場合、日ごろの救急体制が絡んでくるかなと思っています。以前から、拠点化病院の話は、森村先生の資料で今回出てきたRRRによって、どの病院を災害時にどういうふうにして考えていくかというのが非常にわかりやすくなってくるのですけれども、もしかしたら、このRRRの印は、全部災害拠点病院なのでしょうか。まず、お聞きしたいと思います。
○遠藤座長 森村構成員、お願いします。
○森村構成員 先行研究においては災害拠点病院のみ、そして、今年度は、中等症以上が対応できる平時の救急医療機関全てを考えて、今、検討を続けています。
○加納構成員 ありがとうございます。
これは、非常に大事なところだと思っております。実際に、私が、阪神大震災のときに経験したのですが、震度7の地点にいたところ、サイレンの音も無く、本当に静かな状態でした。というのはアクセスが全然できないのです。道路がでこぼこで、また、車が通れる状態ではない。搬送などもできないのです。
そういうときに何が起こったかといいますと、やはり、拠点病院にどうのこうのというよりは、やはり、我々が知っている救急を日頃やっている病院へ皆さん方が担ぎ込んで行ったというのが実態でありまして、そういうアナログ的な動きをすると言えばとおかしいですが、そうなるのが実際の災害時の状況ではないかなと思うのです。
そういう意味で、拠点病院を中心とするだけの、点で考えると、現実とはまた違った形になるのではないかということで、今お話しいただいた、2つ目の、今後面として受け入れる病院も考えていくということで納得しました。これは、そういった面をふだんから考えて、拠点病院だけではなくて、面的に受け入れる病院に関しても支援、または用意をしていくような考え方を、ぜひとも災害時の対策として考えていただきたいというのが、私の意見です。
1つの考え方として、二次救急病院とか、大阪でいくと災害支援病院と言うのですが、そういった病院に、実際には発災した直後は、多くの患者さんが流れ込むということもありますので、拠点病院だけで全てが、患者さんが動いていくかということは、起こった時点ではまず考えにくいのではないかと思います。
そういうことも考えて、現実的にどういうことが起こるかという形で、森村先生、ぜひとも進めていただきたいと思います。
○遠藤座長 重要な御指摘をありがとうございました。
それでは、山本構成員、お願いいたします。
○山本構成員 今、まさに加納先生がおっしゃったことは、阪神淡路のときも、被災地が万遍なく被災して、万遍なく病院の機能が落ちるということはないのです。必ずモザイクのように、本当に狭い地域のところでは悲惨な状況になっている一方、片や一方は、さっき言った、被災がほとんどないといったような感じのところも出てくるというのがあって、当時、まさに加納先生がおっしゃった、にわかに、多分、地域の住民は、地域のふだん行く病院のほうに集まってしまう。だから、今言ったEMISで被災状況とかを把握した場合に、どこに今、患者がどうなっているかも含めてやっていこうという発想だと思うのです。
それから、今、災害拠点病院という言い方をしていたのですが、当時は、災害医療支援拠点病院という言い方をしていたのです。だから、あくまでも拠点病院が中心になって災害を対応するのではなくて、災害医療の、あくまでも支援をするときの中核のイメージだというので、コンセプト的には、今、加納先生がおっしゃった、災害医療の支援拠点病院という設計思想だったのです。
だから、もしあれでしたら、改めて災害拠点病院に関しての考え方自体も、本当に地域での支援ということを、当初の設計のほうの議論に戻ってもいいのかなという気がしています。
○遠藤座長 ありがとうございます。
次のアジェンダもあるものですから、あとお一人ぐらいあれば、それでは、森村構成員、お願いします。
○森村構成員 今のを簡単に。
実は、災害拠点病院を選択した理由は、病院の損壊度が最もだろうというところから、一番初めに選択しただけでありまして、現在の策定は、小さい病院そのものが県内の全ての病院の損壊度を、どれぐらい被災するのかというのを加味して、生き残るであろう域内全ての病院の医療提供力を加味して検討しております。
○遠藤座長 ありがとうございます。
では、加納構成員、どうぞ。
○加納構成員 やはり、そこは大事だと思います。得てして、こういう理論でいきますと、少し懸念されるのが、災害拠点病院を優先的にとか、そういう話になってしまうことです。現実的に、東北の震災のときでもそうでしたが、周りの病院が、放ったらかし状態になって、そこにも患者さんがたくさん収容されていて、維持していかなければいけない、医療を守っていかなければいけない、という状態がありました。そのように置いてきぼりになるようなことがないように、全ての病院も考慮していただいての配置をお願いしたいと思っております。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、まだ御意見があるかもしれませんけれども、もし、時間が余れば、最後にまたさかのぼっていただければと思います。
続きまして、議題の2に移りたいと思います。
議題の2は「大阪北部を震源とする地震における医療対応について」。これに関連して、資料3につきましては藤見参考人、資料4については、事務局よりそれぞれ御説明をお願いしたいと思います。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
○藤見参考人 大阪急性期・総合医療センターの藤見と申します。本日は、お招きいただき、ありがとうございました。
また、大阪北部地震では、各方面の皆様からの多大なる御協力をいただき、御礼を申し上げます。
では、早速ですが、始めさせていただきます。
資料3の1ページ目をごらんください。
大阪北部地震の概要を示しています。
6月18日月曜日の午前7時58分に最大震度6弱、地域が大阪北部の高槻、茨木、枚方、箕面で、私がいた大阪市内の病院は震度4でございました。
2ページ目をごらんください。
これは、私自身の初動になるのですけれども、院内の災害対策本部を立ち上げて、総長、院長と救急のスタッフに後を任せて、9時に当センターのスタッフ4人とともに、病院の救急車で府庁のほうに向かいました。
実際、余り道は混んでいなくて、9時35分には府庁に到着して、右下に府庁内の医療本部の間取りを載せています。赤線で囲んだ部位に我々の医療部門の机を置きました。
下の中央の写真に、手前から柱が3本見えると思うのですけれども、結構広い範囲を医療で分捕ることができて、何だかんだ、最終50人以上の医療スタッフがここに来てございました。
3ページ目をごらんください。
上半分に、6月18日から3日間の大阪府庁での医療本部での活動概略を記載しております。
右下に大阪で行っている訓練における急性期を含めた保健医療調整本部の組織図というのを示しております。
この組織図の橙色の部分にDMAT、コーディネーター、あと医師会、日赤、DPAT、小児周産期、透析という専門コーディネーターが書かれていて、それをまとめる形で災害医療コーディネーターが右上のところに「副本部長」と書いてあるのですけれども、そういうような形の組織図になっております。
DMATのコーディネーターが管轄するのが赤点線部分で、これが、いわゆるDMAT調整本部というイメージで、これまで訓練を行ってまいりました。
という意味で、先ほど上半分の白黒のところで書いてあるのが、専門コーディネーターが、この3日間行った内容を記載しております。
左下は、DMAT調整本部を立ち上げ直後の6月18日のDMATのみの組織図になります。
調整本部そのものには、DMAT隊員が10名で、私のいる大阪急総から6名と、DMAT事務局のある国立大阪医療センターから3名、当センターから府庁に出向している1名の計10名のDMAT隊員と、大阪府庁の行政の職員で本部運営をいたしました。
そして、2つの活動拠点本部というのを置いて、1つは、豊能医療圏活動本部を阪大病院内に、そこには大阪のDMAT5チーム、兵庫県のDMAT5チーム、それと、もともと阪大の2チーム、計12チームで活動をしてもらいました。
もう一つは、三島医療圏と言われている活動拠点本部を三島救命センターに置いて、京都府から5チーム、滋賀県から8チーム、大阪府から1チーム、それと三島を合わせて計15チームで活動をしてもらいました。
4ページ目をごらんください。
これは、2日間のDMAT調整本部の活動方針を示しています。毎日3回ほど全体ミーティングを行って、このような活動方針でいくことを本部内で周知しておりました。
保健医療にかかわることを、少し見にくいですけれども、紫色にしています。この後、個々の活動方針を自己評価してまいりたいと思います。
5ページ目をごらんください。
初日、発災当日10時、発災直後の活動方針を左の上に青色のところに書いてあります。
1つ目ですけれども、活動方針はDMAT調整本部を立ち上げるということで、よかった点では緑色に書いてあるのですけれども、1つ目に関しては、先ほどあったように、スペースが比較的広くとれて、自分の施設から6名のスタッフを連れていけたこと。
そして、2つの活動拠点本部を比較的早期に設置ができて、左下の図にあるようなDMATの投入フローというのをすることができました。
一方、改善点としては、もう少し近隣の兵庫とか京都のDMATのインストラクターを府省に招聘すればよかったなと考えております。
あと、府庁内で働く我々のセンターを含めた、私を除く5人の身分が今一はっきりしなかったということが後でわかりました。
2つ目の活動方針は、災害拠点病院と二次病院間の連絡確認と、それと3つ目にも書いていますように、保健所による非救急告示病院の調査です。
よかったことは、2017年度、1年間に計4回ぐらい訓練が行われたということがあって、EMISを入力する施設並びに入力をサポートする拠点病院が十分にあったということです。
右下の図は、発災当日10時のEMISの入力状況です。
大阪府全体では、左の円グラフにあるように、入力率は42%と低く、発災から2時間後ですので、震度6弱の豊能、三島の入力率も42%と39%というふうに低かったです。
改善点は、府庁内で10時半ごろにEMISの動きが遅くなったということです。
4つ目の耐震化データに関しては、今回は省きます。
6ページをごらんください。
これは、左上から先ほどのEMISの入力率を時間ごとに示しています。
右上、左から順番に行っていただいて、12時の時点で、右上ですけれども、豊能医療圏では、もう100%、47病院が47全部入力している。三島医療圏でも38病院のうち86%が入力しているということになります。そして、18時の時点では、大阪府全域でほぼ100%。
これは、実は各施設が入れているというだけではなくて、保健所とか災害拠点病院が中心となって電話のローラー作戦をしたということになっています。
7ページをお願いします。
初日の午後1時の活動方針で、1つ目は、各病院の水のニーズの収集をしました。
左下の図は、EMISの緊急時入力から調査した豊能医療圏が青、三島医療圏の水が使用不可の病院数を示しています。
各拠点病院で、三島と豊能にお願いをしたのですけれども、結果的には、改善点にも書いていますように、DMAT調整本部でも同じようなことをしていたので、それは二度手間だったかなと思っています。
2つ目の活動方針にある、国立循環器病研究センターのNICU10名の転院の調整ですけれども、これに関しては、恐らく別途報告されるときが来ると思いますが、よかった点としては、豊能の活動拠点本部に、先ほどの阪大のところに参集した10チームのDMATがありましたので、活動して充実していたこと。
小児周産期チームが独自の方法で転院搬送を自己完結をされていました。
それに関する改善点は、国循の情報が大阪大学と小児周産期コーディネーターと、我々のところでは一本化できていなくて、余り府庁として関与ができませんでした。
3つ目の活動方針は、水の問題がありましたので、転院が必要な透析患者の把握と、搬送手段の調整をしました。
これは、EMISで情報を集めていましたが、行政の透析コーディネーターが本部にいましたので、とりあえず、移送は不要という結果だけ本部には入ってきていまして、詳細は確認できていなかったというのが、今の改善点になっています。
右下は、最終的に取りまとめられた透析ネットワークからの情報で、結果的には、透析不可は6施設のみで、府内の308施設が透析可能であるということが翌日にはわかりました。
8ページをお願いします。
これは、初日の23時の活動方針で、1つ目と3つ目は保健医療調整本部についてです。
保健医療に関しては、府庁の健康医療総務課というところと調整をして、災害拠点病院にコーディネーターとしての役割をお願いできたというのがよかった点だと思います。
左下に、そのときの初日の夜の保健医療調整本部のイメージを記載しています。
最大震度が6弱であった豊能医療圏、三島医療圏、北河内医療圏に避難所がつくられていたので、豊能医療圏は、リーダー的役割を吹田保健所が持って、HCと書いてあるのは保健所の意味なのですけれども、そのカウンターパートとして阪大の災害医療コーディネーターと相談して、保健所の吹田市と、その下に池田保健所が管轄する池田市、箕面、豊能町など、そして、豊中の保健所をまとめて豊中市ということで、吹田保健所が豊能全体を大阪府に連絡してもらうイメージでつくりました。
同じように三島医療圏も、茨木保健所が代表保健所として三島医療圏をまとめる。北河内医療圏も同様と、こちらで考えていたのですけれども、そこの表の改善点にもあるように、やはり、大阪府直轄の保健所と、中核市の保健所は温度差があるということを、我々が理解できていなかったので、そのときは、代用保健所という考え方を、私らは持っていたのですけれども、そういう考えが難しいということを、我々が認識できていませんでした。
また、全ての保健所、この場合は9つなのですけれども、全ての災害医療コーディネーターが災害拠点病院から、その9つに全て派遣することは難しく、そのあたりキーとなる病院と保健所の数のアンマッチというのが課題であると思われました。
活動方針の2つ目のところにある開設している避難所をEMIS上に箱をつくるということですけれども、これは少し説明が長くなってしまうのであれですけれども、要諦して190個つくったということになります。
次に9ページ、あと2ページです。
最後に2日目の活動方針を、ここにまとめています。
災害医療調整本部の立ち上げの継続と、2つ目のところに書いてありますように、保健所を中心とした地域災害医療体制の確立というのを、本部での目的にしていました。
先ほどもあった豊能医療圏、北河内、三島の医療圏にDMAT隊員を、そのまま災害医療コーディネーターとして活動してもらうようにお願いしたので、府庁と比較強固な災害医療コーディネーターとの連携はとれたのですけれども、保健医療の中心である保健所の方々と府庁での我々とはなかなか意思疎通というのが図られていませんでした。
左下の組織図は、2日目の夕方の組織図になります。やはり、代表保健所という考え方は成り立たず、保健所がほぼ横並びに9つ並んでいるというような組織図になりました。
そして4人の災害医療コーディネーターは、吹田の保健所、枚方、守口、茨木というように4つに分かれて会議を行ってはいただいたのですけれども、DMAT活動や避難所のアセスメントの申し送りなどを保健所の職員に、その4カ所では行いました。
会議そのものが行われたことは、当時よかったのですけれども、やはり改善点として、保健所でDMATとして活動していた者が、名前を変えて災害医療コーディネーターとなって、同じ人が名前が変わって、そのまま保健所に入ることに関して、少し向こう側には違和感があったような感じがありました。やはり、訓練等を通して、顔の見える関係がより一層必要だと思いました。
最後に4つ目の活動方針の「避難所スクリーニング」と書いてあるのですけれども、これも後で問題になるのですけれども、DMATの考えで行うのか、保健師さんたちの考えで避難所のスクリーニングを行うのかというのに、やはり温度差がありました。
最後の10ページです。
結果として、経験から見た特長と課題ということで、よかった点は、訓練の経験によってEMISの情報入力と収集が早期にできて、府庁内にオープンスペース、それで行政職員との協同が可能になった。
被害が大きくなく、限局的な作戦を立案できたこと。
3つ目としてよかったのは、日常使っているネットワークで国循の転院作業が行われたということだと思います。
課題なのですけれども、府庁で活動するスタッフの派遣病院と行政との間に、やはり、労務に関する事前取り決めがなかったということ。
2つ目として、救急非告示病院、保健所などがEMISそのものを熟知するということが、少し難しいのかなと思いました。
これは、きょうは呼んでいないのですけれども、多数ある介護施設の安否確認情報というのを調査する方法がなかった。
4つ目、DMAT調整本部を閉鎖した後の府保健医療調整本部への移行・引き継ぎに関してのルール化がされていなかった。
急性期のDMAT隊員の身分から、亜急性の災害医療コーディネーターの身分への移行に関する取り決めも明らかではなかった。
6つ目で、地域の医療資源である、診療所やクリニックの開院状況を把握するためのツールというのがほしかった。これは、きょうは話をしていないのですけれども。
7番目として、府内DMATを保健所や市町に派遣することを考慮できませんでした。
最後に、避難所のスクリーニングに関してDMATと保健所、保健師さんとの考え方に相違がありました。
以上です。どうもありがとうございました。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
それでは、事務局、お願いいたします。
○伊藤災害時医師等派遣調整専門官 資料4に関しまして、事務局より説明させていただきます。
1ページ目ですが、こちらは平成29年7月5日に厚生労働省より出された「大規模災害時の保健医療活動に係る体制の整備について」という通知の中での参考資料の図を明記しております。
こちらは、熊本地震での反省を生かして、都道府県には保健医療調整本部、医務、保健衛生、薬務、精神保健それぞれの主管課での横のつながりを、相互の連携を強くすること。その下に保健所があるような形でとっております。
都道府県災害医療コーディネーターは、主に都道府県の保健医療調整本部で活動することになり、地域災害医療コーディネーターは保健所等を主な活動の場所としております。
2ページ目ですけれども、今回御議論をいただきたい内容についてお話ししたいと思います。
災害医療コーディネーターが機能的に活動するためには、災害医療コーディネーターにどのような役割が期待されるか。
また、保健医療調整本部内においてどのような位置づけにするのがよいか。こちらについて御議論をいただきたいと考えております。
以上になります。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、ただいま御報告いただきました資料3及び4につきまして、御質問、御意見等をいただきたいと思います。いかがでございましょうか。
加納構成員、それから横田構成員の順番でお願いします。
○加納構成員 ありがとうございます。
資料4ですが、1ページの下のところに凡例という形で、保健医療活動チームとしてDMAT等々がずらり書かれているわけなのですが、これは、熊本の震災のときの状況をもとに書かれているとすれば、実は、あのときAMATは非常に大きな活動をしたと、私どもは自負しておるわけなのですが、これがなぜ載っていないのかというのが1つ疑問としてあるわけなのですが、どうでしょうか。
○遠藤座長 それでは、事務局、お願いします。
○伊藤災害時医師等派遣調整専門官 事務局よりお答えさせていただきます。
こちらの図のもととしましては、防災基本計画と、あとは指定公共機関をもとに作成しております。
医師チームは多々ありますが、その中で、こちらに載せているものは指定公共機関をもとに作成しております。
以上となります。
○遠藤座長 加納構成員、どうぞ。
○加納構成員 そうすると、国立病院機構の医療班という言葉も、その中には入っているわけなのですか。
○遠藤座長 事務局、どうぞ。
○伊藤災害時医師等派遣調整専門官 独立行政法人国立病院機構は、指定公共機関とされていますので、こちらに記載をさせていただいております。
○加納構成員 こういう記載が出てきますと、我々AMATは非常に頑張って活動したと思っているのですが、そういう評価がされず、そこに記載されなければ載らないという話ということで理解するわけなのですけれども、我々はそういう活動を評価してもらうために、どういう活動をすれば載る、というようなそういう条件があるのでしょうか。
○遠藤座長 どうぞ。
○伊藤災害時医師等派遣調整専門官 そちらに関しては、今、さまざまな医療チームがありますので、指定公共機関ということで載せさせていただきました。
○加納構成員 指定公共機関に載せていただくための条件というのは、どういうことなのでしょうかということをお聞きしたかったのですが。
○伊藤災害時医師等派遣調整専門官 指定公共機関に関しましては、内閣総理大臣が指定する指定公共機関、災害対策基本法に基づいて指定されているものになりますので、そちらのほうで指定を受けることになります。
○加納構成員 その細目を見れば、その条件というものが理解できるということでよろしいでしょうか。
○徳本救急・周産期医療等対策室長 事務局でございます。
今、御説明申し上げましたとおり、今回、29年7月にまとめました通知に関しては、指定公共機関にある位置づけ、もしくは防災基本計画にある位置づけをもとにやらせていただきましたところでございます。
熊本を初め、今回の西日本の豪雨を初め、さまざまなチームが活躍していただいたというのは、皆さん御案内のとおりでございますので、今回、通知としては、そういった形で線引きをさせていただいたところでございます。
今、加納構成員からの御質問の指定公共機関などの位置づけに関しては、正式には、厚生労働省が所管しているものではないと承知しておりますので、次回以降の検討会のときにしっかりと御説明できるように準備させていただきたいと思います。
○遠藤座長 よろしくお願いします。
○加納構成員 ありがとうございます。
○遠藤座長 では、横田構成員、それから、山本構成員、山崎構成員の順番でお願いします。
○横田構成員 藤見先生、どうも御説明ありがとうございます。
資料3の藤見先生の資料で質問をさせていただきたいのですが、6ページのEMISの入力状況、経時的にデータをお示しいただいているのですが、要支援の数のところが、例えば、一番左上の最初の10時の時点から12時の時点で21から35にふえた。これは、入力率がふえたということで理解ができるのですが、その後、16時の時点で35が17に減って、さらに18時の時点では、また27にふえていると、これは、具体的にどういった支援が必要だったかと、もし、把握しているのなら教えてほしい。
あと、次のページに、多分、水の使用不可という部分が支援のところにも入っていたかと思うのですが、この数字と、先ほどの要支援の数が大分乖離があるので、具体的に病院の建物の損傷だとか、そういった要支援だったのか、その辺のデータがあったら教えてほしいと思います。
○藤見参考人 ありがとうございます。
実は、一番わかりやすいところでいくと、16時で豊能の医療圏は4つなのが、18時で12赤になっていると思うのですけれども、これは、実は15時に厚労省さんのほうがエレベーターと御飯のことをEMISに入力してくれということを言われて、それで、緊急時入力のところのその他のところに入れた病院があって、その結果、ここがふえたということがあって、この後、またそれを詳細に、入力のほうに日本語で書いてくれというようなメッセージを出して、また、下がりました。
ですので、先生がおっしゃるように、三島の12というのは、水とその他のところに何か入っていたというようなことを、こちらのほうでは把握をしているということであります。
○横田構成員 病院の機能、それこそ資料4の事務局から議論をいただきたい内容にもかかわると思うのですが、病院の建物自体が大きく損傷したと、そういう要支援は、ここには入っていないという理解ですか。
○藤見参考人 豊能の国循はずっと入っていたのですけれども。
○横田構成員 わかりました。ありがとうございます。
○遠藤座長 関連で、少し先ほどの順番と変わりますけれども。
○加納構成員 申しわけないです。
私も当院は、大阪市北区の震度6弱のところにありまして、今回の活動に関しまして、いろんな指示を出す立場でありましたので、AMATに関しては、その時点で確認しましたところ、各病院に関しては大丈夫だという連絡がありましたので、AMAT活動は、今回はなしという決定をさせていただきました。
一番困ったのが、実はエレベーターなのです。各病院、結構市内の病院というのは高層の病院が多いので、エレベーターがとまると各フロアの連絡が全く途絶えてしまうという大きな問題が起こりました。そこで厚労省へお願いしまして、早速、指示を受けてからすぐに、まずは閉じ込められている方の救出が優先ということで、これはよく理解できるのですが、病院のエレベーターというのも、病院機能を維持するためには非常に大事だということで、今回は、厚労省からの指示では、恐らく、すぐエレベーター関係者の派遣を行っていただきましたので助かりました。
もう一つ、給食については、地震のときはガスがとまるのです。ガスの復旧に結構時間がかかりまして、厨房が動かないとことからで食事がストップしました。これも厚労省にお願いをしましたところ、いろんな対応を即時していただいたというのが今回の地震の結果であったかと思っております。
○遠藤座長 ありがとうございます。
では、お待たせいたしました、山本委員、どうぞ。
○山本構成員 先ほどの加納先生のほうの災害指定公共機関の話なのですが、内閣府の部分に固執しなくていいのではないかと思っているのが、もともと災害医療というのは総力戦だと思っていて、少なくとも保健医療に関するいろんな団体、例えば、看護協会だって、今回、派遣をすることをやっていますし、日本栄養士会だって、そういうチームをつくっていますし、内閣府の指定を受けるという議論よりも、厚生労働省の保健医療調整本部の分については、ありとあらゆる協力をいただけるところを全部巻き込んでいくほうがいいのではないかという気がしているのです。
指定公共機関も、民間企業などもぞろぞろ入っていて、御存じのように、コンビニエンスチェーンが、個別会社を今回も追加されていますし、全国的に見ると、運輸業などもみんな個別の運輸業者が入っている。
そうなってみると、何も内閣府にこだわる必要はなくて、厚労省独自の保健医療の総力戦のために関係していただける団体は、全て入っていただければいいのではないかという気がしているのですけれども。
○遠藤座長 ありがとうございました。
では、山崎構成員、お待たせしました。
〇山崎構成員 先ほどの資料4なのですけれども、1ページの体制整備の通知で、社会・援護局障害保健福祉部長もここに入っているのに、どうしてここにDPATが入っていないのでしょうか。下のところに、DPATが抜けているのですけれども。
〇遠藤座長 では、事務局、コメントをお願いします。
〇徳本救急・周産期医療等対策室長 資料4の1ページ目ですけれども、凡例のところで、DPATは一番最後のところに、等の前に入っていると思います。御確認をいただければと思います。
〇遠藤座長 よろしゅうございますか。ほかに何か。
大友構成員、どうぞ。
〇大友構成員 大阪府の直轄の保健所と、それ以外の政令区の保健所で温度差があったと、どっちがどうだったのですか。
〇藤見参考人 府にいると、府直轄のほうがやりやすいのです。ですから、中核市は中核市で独立しますので、例えば、枚方であるとか、もちろん堺もそうですし、そういうところは、どちらかというと、自分たちで解決しようということをされる。
〇大友構成員 温度差というか、コミュニケーションのやりにくさと。
〇藤見参考人 それが難しいですね。
〇大友構成員 もう一つ、それに関連してなのですけれども、各地域で代表保健所というのを指定しようとしたけれども、それがうまくいかなかったというのは、やはり、ある保健所の下に違う保健所が入るというところに抵抗感があったということですか。
〇藤見参考人 はい。やっぱり、彼らは横並びです。
〇大友構成員 やっぱり、代表にさせたほうが本当はうまく。
〇藤見参考人 我々も大阪で、全部で19あるのですけれども、19の球を投げられると困るので、どこかで4つぐらいに分けて受け取りたいなというのでお願いしたのです。やはり、それは、なかなかできない。
〇大友構成員 ありがとうございました。
〇遠藤座長 井本構成員、どうぞ。
〇井本構成員 藤見先生、ありがとうございました。
資料3の10ページの課題8のところに「DMATと保健所、保健師の間に考え方の相違があった」と書かれていますが、ここをもう少し詳しく教えていただければと思います。
〇藤見参考人 保健師さんが悪いというわけでは全くなくて、保健師さんは本当によく働かれて、避難所でいろんなサーベイをされるのですけれども、DMATはDMATでEMISに入っている項目を集めろと言うのです。
一方、保健師さんたちは保健師さんで日ごろやっている、保健師さんにも、もちろん感染症対策の人もいれば、赤ちゃんを診ている保健師さんもいて、その人たちは、その人たちのやり方で情報を何とか集めようとしてこられて、それをがっちゃんこすることができなくて、ですので、DMATがどうしても保健師さんに、これを入れてと結構たくさんの量がEMIS上ではありますので、そのあたりが事前に十分にコミュニケーションがとれていなかったと。
府の保健所に関する保健師さんにまでは大分いっているのですけれども、やはり、府管轄ではない中核市には、保健センターには、なかなか僕らも入れていないということが今回わかって、次回、訓練でそういうことをやろうかということにはなっています。
〇井本構成員 ありがとうございました。
〇遠藤座長 ほかに、猪口構成員、どうぞ。
〇猪口構成員 質問なのですけれども、大阪の例を考えると、DMATの調整本部から保健医療の調整本部に移行していますが、資料4のほうで見ますと、保健医療調整本部の中にコーディネーターがいる。
これは、DMATの調整本部の統括のDMATがコーディネーター、当初、大阪では、これがいわばDMATの統括の方がコーディネーターをやっていたということでよろしいのでしょうか。
〇藤見参考人 資料3の3ページの右下の参考というところに書いているのですけれども、今回は副本部長の災害医療コーディネーターとDMATコーディネーター、この2つを僕がやっていたというような形になります。
〇猪口構成員 そうすると、資料4の議論は、求められているところの災害医療コーディネーターは、DMATのコーディネーターということではなくて、その他、たくさん書いてある保健医療活動チーム全体の統括の話、議論をしていけばいいということでよろしいのでしょうか。
事務局の方へ。
〇遠藤座長 事務局、コメントをお願いします。
〇徳本救急・周産期医療等対策室長 まず、資料について補足でございます。
資料4の1枚目でございます。この図に関しては、基本的には、29年7月に出させていただいた通知ですが、この図の中で「都道府県災害医療コーディネーター」と書いてある部分と「地域災害医療コーディネーター」という部分については、今回の検討会のために通知につけ加えさせてもらってものでございます。
今、猪口構成員からの御質問の内容は、都道府県災害医療コーディネーターと統括DMATの位置関係でございますけれども、我々の考えている災害医療コーディネーターというのは、DMAT以外の、例えば、下の凡例に書いています保健医療活動チームのチームを全てオーガナイズする者としての立ち位置を考えているものでございます。
〇遠藤座長 よろしいでしょうか。
猪口構成員、どうぞ。
〇猪口構成員 とすると、今のはDMATを含めた保健医療活動チームですね。
〇徳本救急・周産期医療等対策室長 はい。
〇猪口構成員 そういうふうにとなえたときに、都道府県の災害医療コーディネーターと地域の災害医療コーディネーターの仕事、職務内容が全く同じではないという印象を持ちます。
今回の岡山に出たときに、都道府県のほうは、確かにそういう医療チームを統括していけばいい感じだったのですけれども、地域の保健所のほうに出ていきますと、現地の医療機関をかなり熟知して、そして、患者をどのように搬送するかという部分が出てくるのですが、地方から参集してきたDMATの統括が、そのままコーディネーターのように働いているわけなのですけれども、それではなかなかわからない。
現地の医療機関の先生、この方たちは、特に災害医療の研修を受けたわけではないので、現地で、非常に現地の医療事情に詳しい方たちが入ったことによってコーディネートされているのです。
だから、コーディネーターという言葉がはまるとすると、どちらかというと、地域のほうは現地の医療をよく知っていて、なおかつ本当は災害医療も詳しく知っている人というのがふさわしいような印象を持ちます。
〇遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、森村構成員、どうぞ。
〇森村構成員 今のことに関連して、藤見先生、御尽力、本当に御腐心されたことと思います。資料提供ありがとうございました。
先生の資料3の3ページのところで、今の猪口構成員からの話と少し関連しますけれども、右下の参考では、大阪府における訓練の本部組織図と理解するのですが、専門コーディネーターチームとあるところの上に、恐らくコーディネーターチームには、チームリーダーというものが存在するのだと思うのですけれども、このリーダーというのは、誰が担うのかということを教えていただきたいと思います。
〇藤見参考人 一応、これは、この中のリーダーとなるのが副本部長の、本来は行政がやるのですけれども、行政とペアで災害医療コーディネーターとして、私がしています。
〇森村構成員 私の実災害経験から申し上げますが、以前神奈川県の災害医療コーディネーターと統括DMATの双方の立場で、県庁で活動したことがありました。災害医療コーディネーターは、大所高所から県全体を含めたことを包括的に考えると後回りであり、DMATを含める形で全体の方向性を示すものと思います。
他方、DMATの部隊運用そのものを統括していくのが統括DMATの役割であるというような認識であります。
その意味での組織図というのは、はっきりわかっていないということが、今回、事務局のほうが提示しているところなのかなと思いました。
最後に、猪口構成員が言われたように、地域に行くコーディネーターというのは、さらに保健医療、あと保健所とか、そういったところにニーズが物すごく高まりますので、まさに、先ほど井本構成員もおっしゃられていましたけれども、混乱は絶対生じるから、コーディネートが必要なので、そのためのコーディネート業務を、藤見先生はよくやられたと思いました。そういう意味では、そういうレベルの全体のコーディネートを災害医療コーディネーターがやって、DMATはDMATの仕事を、そして、保健師さんたちは、保健師さんの従来の仕事それぞれ行いながら連携していくと思いましたので、そういった意味で組織図の整理が絶対必要であると思います。
以上です。
〇遠藤座長 ありがとうございます。
ちょうど、議論していただきたい内容と資料4に書いてあることのコーディネーターについて議論が進んでおりますので、少しこれにフォーカスを絞って議論を進めていただきたいと思います。いかがでしょうか。
大友構成員、どうぞ。
〇大友構成員 大阪の問題点ということで、DMAT調整本部の閉鎖後に、府の保健医療調整本部となっていますが、これは、本当は最初から設置されていなければいけないのだと思うのです。府の保健医療調整本部は、DMATの調整本部と同時に立ち上がっていなければいけないということなのです。
実は、広島でも、それが遅れたと言っていましたので、発災直後から保健医療調整本部を立ち上げると、そういう考え方をしていかなければいけないのではないかと思います。
〇遠藤座長 それでは、小井土参考人、お願いします。
〇小井土参考人 オブザーバーですけれども、まさに、今、大友先生と森村先生がおっしゃったように、3.11以降は、県レベルでは派遣調整本部ということで、DMAT調整本部が急性期、そして、亜急性期に派遣医療調整本部というような考え方だったのですけれども、熊本を受けて、それではだめだということで、最初から保健医療調整本部を立てて、その中の一部にDMAT調整本部を立てて、まさに全体を担うのがコーディネーターで、DMATの動きに関してはDMAT調整本部の統括というような形が提示されたと理解しています。
〇遠藤座長 ありがとうございます。
石川構成員、どうぞ。
〇石川構成員 私たちも、災害の初期のときに、どういうふうな命令指揮系統で行くのかということを、2年来ずっと考えてきているわけなのですけれども、例えば、この間の岡山のところにしてみますと、猪口構成員が言われましたように、現地の方は、余り訓練されていない、災害だとか、そういったものです。
ところが、DMATの非常に訓練をされている方が、そこで会議をやって、あそこはクラドロだったのですけれども、クラドロの会議をやって、非常にそこで地域の知識とまとまりがついているわけです。
だから、これは、都道府県の保健医療調整本部が一番トップになっていますけれども、あのときはもう少し小さくて、地域だったわけなのですけれども、地域の中でもコーディネーターというのが、1日目たつと、かなり機能としてコーディネートできている。最初
のところは、非常になれているDMATのコーディネーターあるいは私たちはすぐJMATのコーディネーターを兵庫県から入っていただいたりしたのですけれども、そういうのが入って土地勘のある医師会の先生方と一緒になると、そこで強力な地域保健医療調整本部というのができる。そこで、この図のような形がつくれると思うのです。
最初のときに、例えば、熊本にしてみると、二十幾つだとか、そういう医療支援がばっと入ってくるわけです。僕らも聞いたことのないような名前のところも含めて、アドレナリンがいっぱい出ている人たちばかりなので、そこをどうやってコーディネートするのかというのも現地の混乱の中では非常に大事なことになると思うのです。
その後、DHEATという話がありまして、保健所の先生が、これが一番ふさわしいのだという話があったのですけれども、本当にそのときにいてくれるかというのは、一番最初のときに、我々はすごく問題にしたのです。なかなか難しいかもしれないということもあって、では、現地の人だけではなくて、誰がその場でコーディネートをするのかということをちゃんと決めて当たったほうがいいと思いました。それは、熊本のときも、それから、倉敷のときです。
〇遠藤座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
山本構成員、どうぞ。
〇山本構成員 兵庫のJMAT、少し石川先生おっしゃられたのですが、兵庫にたまたま行った県の副会長の先生で、岡山大学出身なのです。ですから、そういった意味では、いろんな意味でのつながりがあるということは、日ごろからのいろんなネットワークが重要かなと思います。たまたま、兵庫のJMATは比較的うまく入れたというのは、多分、そういうような背景もあるのです。
だから、こういうのは、余り表立って言う話ではないのかもしれませんけれども、そういった意味でも、いろんな顔が見える関係とか、いろんなつながりというのは、ふだんからのいろんな延長上にあるのかなという気がしていると、済みません、感想をちょっと述べました。
〇遠藤座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでございましょうか。
大友構成員、どうぞ。
〇大友構成員 地域の災害医療コーディネーターは、やはり、地元の方が任命されていて、ですから、地域のことを知っている方、熟知している方が指名されていて、そこに外部からのDMATとか、そういう支援チームが入ってきて、その指揮下に入るということで、いいのではないかと思います。
ですから、あくまでも地元の先生で、災害医療に関して余り知らない方でも、責任は、その方が持っていて、いろんなアドバイスをしたり、支援したりする、外部から入ってきた災害医療に関してわかっている方が支援する、そういう構図でいいのではないかと。
実際、東京も区市町村災害医療コーディネーターというのが指名されつつありますけれども、区の医師会長であったり、もしくは保健所長だったり、各区市町村で地域にふさわしい人を指名しているということになっております。
〇遠藤座長 ありがとうございました。
猪口構成員、どうぞ。
〇猪口構成員 そのとおりで、そういう仕組みをつくっていかなければいけないのだろうと思うのですが、都道府県も地域も、東京の場合は、区市町村も含めて三層構造になってコーディネーターが現地の方たちで任命されている。この保健医療活動チームのチームリーダーが、それをきちんと補佐するというか、テクニックとして、このチームをまとめ上げるということは非常に大事だと思うのですけれども、やはり、現地の名のもとに、コーディネーターの補佐するような位置づけにしていかないと、混乱がなかなか収束していかない。それから、テクニックに走ってしまうというような印象を持ちます。
ぜひ、コーディネーターは現地で、そして、テクニックを持っている方たちがアシストするというような仕組みがいいのではないかと思います。
〇遠藤座長 ありがとうございました。
どうぞ。
〇小井土参考人 参考人ですけれども、まさに、猪口先生おっしゃったように、これまでも熊本のアドロもそうでしたし、今回の倉敷のクラドロもそうですけれども、私たち、地元の長をサポートするために、DMATのロジスティックチームを出したり、あるいは、その後は、日本災害学会の災害医療コーディネートサポートチームというのを出しまして、まさにその人たちの指揮下に入って専門的なアドバイスをするということをずっとやっています。
今後、どこで災害が起きても、早めに、なかなかひとえに災害医療コーディネーターと言っても、3日か4日研修を受けただけではなかなかうまくできないですし、また、マンパワーが足りませんので、どうしてもサポートが必要ということになりますので、そのサポート体制というのは、DMATの中にも、あるいは私たちの学会の中にもできているというようなことになります。そして、そのことが、今回の豪雨災害でも実践されているというようなことになります。
〇遠藤座長 ありがとうございます。
石川構成員、関連ですか。
〇石川構成員 今のです。
〇遠藤座長 では、石川構成員を先にさせていただきたいと思います。
〇石川構成員 私たちも、コーディネーターが地域でいっぱい同じように研修をして、一定のレベルを持っていることは大事だということで、そこで多くの先生方にコーディネーター研修に参加していただいています。
それを基本に、その先生方を助けるDMATの訓練をされた人たち、そういう形で災害には対応していこうと考えています。
〇遠藤座長 ありがとうございます。
では、大友構成員、どうぞ。
〇大友構成員 資料4の1ページの図ですけれども、ここにDHEATがどう書き込めるのかなというのを考えているのですが、恐らく各保健所に入って、保健所の方々を支援する。それから、市町村の衛生主管部局の、もしくは保健医療担当の方々を支援する、そういうことでよろしいのでしょうか。そうなるのかなと思うのですけれども、厚労省としては、どうですか。
〇遠藤座長 では、事務局、お願いします。
〇伊藤災害時医師等派遣調整専門官 事務局より、お答えさせていただきます。
DHEATの活動要領の中では、一応、DHEATの定義として災害が発生した際に被災都道府県の保健医療調整本部及び被災都道府県等の保健所が行う被災地法公共団体の保健医療行政の指揮調整機能等を応援するために派遣されるというようなことが書かれていますので、業務としましては、災害発生時の健康危機管理に必要な情報収集、分析とか全体調整などが円滑に実施されるように、被災都道府県の保健医療調整本部及び保健所を応援することが業務となっております。
〇遠藤座長 大友構成員、よろしいですか。
〇大友構成員 はい。
〇遠藤座長 ほかに、山本構成員、どうぞ。
〇山本構成員 今、DHEATのことが出たので、実は西日本集中豪雨のものは、現在進行形なのですが、多分、いずれここの検討会で検証とかをお願いしたいと思っていることの1つに、うちの県が、地域保健室のほうから最初保健師のチームを派遣してくれということで、すぐ広島に派遣して、それで回しだした横で、次はDHEATが派遣できないかと後で来たのです。
実はDHEATは、保健師もセットで送らざるを得ないときに、その保健師のチームを送ったがゆえに、ほかの職種は全部待機できているのに、DHEATが送れないという状況の中で、多分、今後、保健師としての活動というのとDHEATは全く違う活動なのですが、実は、それに対する人材が結構共通化しているところがあるので、今後、それぞれの派遣依頼があったときにも、どう割り振っていくべきなのかとか、そういったのが、ちょうど今回の西日本集中豪雨のときの対応については、クラドロのこともいろいろ話題になったところもあるので、できれば、豪雨のあれが落ち着いたら、少し検証できればなと思います。
〇遠藤座長 山崎構成員、お願いします。
〇山崎構成員 DHEATの件なのですけれども、DMATとかJMATというのは、災害が発生したときに、短期集中で入って、収束した時点で撤収するというのが、やはり、基本だと思うのです。いつまでもずっと入っているということではなくて、地域の医療体制が復旧したらば、そこでもって当然撤収するということになるのだと思うのですけれども、DHEATというのは、初期に情報収集で入るのは構いませんけれども、DMATとかJMATが撤収後の心のケアを長期的にするのが、私はDHEATかなと考えているのです。
したがって、そんなに初期に入ってアクティブにああしろ、こうしろという話ではないような気がします。
〇遠藤座長 ありがとうございます。
大友構成員、どうぞ。
〇大友構成員 今、DHEATに関して山本構成員からの御指摘は大事な話で、DHEATはどういう活動をするべきかという議論を初期のころに、私は参加していたのですが、実働部隊なのか、調整機能のところを支援するのかという話なのですけれども、まさしく後者であるということです。さまざまな医療チームは現場で医療を提供する実働部隊で、保健師もやはり実働部隊なのです。ですから、保健師とDHEATは切り分けないと、実際に活動をする保健師と、それから保健所の行政機能を支援するDHEATとは分けなければいけないと思いますので、そういう整理が大事だと思います。
〇遠藤座長 ありがとうございます。
山崎構成員、どうぞ。
〇山崎構成員 東日本のときに、DMATで入って、その延長線でもってずっと長期に心のケアと称して長期に遠隔地から入っていったわけですけれども、本来、そこの都道府県とか市町村の保健婦が中心になって心のケアというのは長期的にするべきであって、殊に方言で、言葉を十分聞き取ってあげられないとか、そういう地域的な事情もあるので、やはり、地域の保健婦の活躍の機能をどういうふうに強化していくかというのがDHEATの一番大事なところかと思っています。
〇遠藤座長 ありがとうございます。
石川構成員、どうぞ。
〇石川構成員 昨年、資料4の1ページ目の図が出てきた、このときにDHEATという名前で出てきたと思うのです。このポンチ絵です。要するに1ページ目の中には、DHEATという言葉はないのですけれども、確かにDHEATの説明のときに、このポンチ絵が出てきたのです。
それで、どういうことをするのかといったら、その地域の保健衛生行政がよくわかっているから、その保健所の方たちが最初のときから、集中して本部に入って、その後、公衆衛生的なことも含めて長くやっていくという形で出てきたのがDHEATだと考えておりますけれども、そうではなかったかしら。
〇遠藤座長 事務局、お願いします。
〇徳本救急・周産期医療等対策室長 事務局です。
時間関係で言いますと、今回、資料4の1ページで提示をさせていただいたものは、昨年の7月に出させていただいた通知に基づくものです。
DHEATの活動要領は30年3月に通知を発出していますが、通知では本日出させてもらっている絵の中にDHEATも組み込まれたような絵になっております。本日は、昨年の通知に出させてもらったものをベースにしていますので、DHEATの記載はございません。
〇遠藤座長 よろしいですか。
ほかに何か御意見はございますか。よろしゅうございますか。
では、大体御意見をいただいたということで、この議題につきましては、このぐらいにさせていただきたいと思います。
次の議題でございますが、議題の3、今後の進め方について、事務局より資料が出されておりますので、説明をお願いします。
〇徳本救急・周産期医療等対策室長 事務局でございます。資料5の説明をさせていただきます。
今回、第7回ということですが、第6回に「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会における議論の整理」をまとめさせていただいております。
今回の参考資料2のほうに確定版という形で載せさせていただいておりますけれども、今後、議論をどのように進めていくかということに関して、資料5のほうで書かせていただきました。
災害と救急ということで議論に関しては大きく分けて行っていますけれども、今後、早い段階で議論を進めていく予定のもの、議論予定の中で本年秋ごろと書かせていただいているような内容を考えております。秋ごろというのは、実際に議論をいただいております都道府県災害医療コーディネーターについてというテーマでありますとか、災害拠点精神科病院の話でありますとか、あとは、ドクターヘリの効率的な運用について、今後、早い段階の議事次第の中に入れていこうと考えている次第であります。
なお、新たな早急な議論が必要な項目が発生した際には、優先して、そちらの議論を行うものとして、進め方として提示をさせていただきます。
事務局としては、以上です。
〇遠藤座長 ありがとうございます。
事務局としては、こういう段取りで進めていきたいということですけれども、これについて、御質問、御意見があれば、承りたいと思います。
山本構成員、どうぞ。
〇山本構成員 今までのずっと回を重ねたのが、まさに参考資料2だと思っているのですが、実は、きょうもしていると、DHEATが新たにできたシステムについてどう位置づけていくのかというのが、きょう、また新たな論点になったし、事前体制整備であれば、変な話ですけれども、大量の死者が出たときの死体検案というのも個別的事項の1つかもしれませんし、今後、いろんな議論のときに、さらにその他の個別事項というのが幾つか出てくると思うのですが、それは、今後、どのような感じでやっていくようなイメージなのでしょうか。
〇遠藤座長 事務局、お願いします。
〇徳本救急・周産期医療等対策室長 事務局でございます。
資料5につきましては、参考資料2、こちら前回の議論を踏まえ取りまとめをさせていただきました。まことにありがとうございます。
この資料の中で、「方向性を検討すべき論点」に挙げられました、今後議論すべきものについてのものについて挙げさせていただいているところでございます。
資料5の2ポツ目に書いていますように、新たに早急な議論が必要な項目というのは、今回のここに挙がっていないものであっても、きょうお話がありました、平成30年の7月豪雨などの議論というのも、今回の大阪の地震と同じように議論をするといってもまだ現地はどたばたしている大変な状況でございますので、もう少し落ち着いた段階で取りまとめいただき、報告、そして皆さんから我々に学びというものを御示唆いただけるのだと思っておりまして、そういったところで、先ほどお話がありました山本構成員からの提案といいますか、論点の提示なども拾えるものを拾っていきたいと考えているものでございます。
あくまで資料5については、取りまとめました論点の整理で、今後、方向性を検討すべき論点について並べさせてもらったものの中で、分野として災害と救急がごっちゃになると議論がしにくいという話もありましたし、ものとして早急に議論しなければいけないものと、中長期的に腰を据えて議論をしなければいけないもの等を色分けしたものでございます。
〇遠藤座長 山本構成員、どうぞ。
〇山本構成員 資料は、このままで結構ですし、問題は参考資料2のバージョンアップというのは行われるのかなというだけの話です。例えば、平成31年3月という年度末に、また、議論の整理、追加みたいな、そういうものをされるのかどうかという趣旨でございます。
〇遠藤座長 事務局、どうぞ。
〇徳本救急・周産期医療等対策室長 これに関しましては、これまで第5回までいただいたものの議論の整理でございますので、当然、今後方向性を検討すべき課題が、方向性が明確化された論点に上がっていくものもありますし、新たに議論すべきものというのが加わってくるというのはあるかと思いますが、これはこれでセットされたものだと理解しております。
〇山本構成員 また、いずれバージョンアップされたものをつくる可能性はあるという理解でいいですか。
〇徳本救急・周産期医療等対策室長 それは、バージョンなのか、別途新たにつくるかは、今後の検討ということになるかと思います。
〇遠藤座長 ほかに何かございますか。
では、野口構成員。
〇野口構成員 大変いい議論を聞かせていただきまして、参考にもなりましたし、ただ、山本先生は少し触れられましたけれども、災害拠点病院の定義というか、要するに各県によって、そのレベルがばらばらなのです。それは、何と近いかと思いますと、救命救急センターの定義に近いと思います。やたらめったら愛知県などは救命センターが多いのですけれども、外傷はやれないとか、子供はできないとか、15歳の生徒さんの外傷はどうするのだとか、ばかみたいな議論をしなければならないので、この際だから、その辺のところも事前体制の整備というところで、きょうも第1テーマのところにもございましたけれども、ぜひ山本先生もおっしゃっていただいたものと全く同じことですから、先ほど発言をいたしませんでしたけれども、この辺は、ナショナルでやる以上、その辺の定義づけはきっちりしないと、森村先生から、これから物すごいデータを出されますので、そのときにも、愛知県の場合は、災害拠点病院レベルが3つの群に分けて、支援病院というのも久しぶりに聞きましたけれども、そんなようなところは、よそなどは患者さんを受け入れるだけであって、人は派遣できませんよとか、もし、そうならば、きちんと病院の評価のところ、災害拠点病院の評価、あるいは救命救急センターの評価のところでランク分けをきちんと公表できるような格好にしていただきたいと思います。
要望でございます。
〇遠藤座長 御意見として承りました。ありがとうございました。
ほかに、阿真構成員、どうぞ。
〇阿真構成員 先ほど藤見先生や加納先生からも御指摘があったかもしれないのですけれども、災害のときに病院で、ふだんはこっちに行っているけれども、災害のときにはこっちだよというようなお話が少し出ていたかと思うのですけれども、今、豪雨災害などで住民の意識もすごく高まっている時期なので、厚労省はもちろんなのですけれども、市区町村とか、都道府県とか、病院側も災害のときはこっちに来てねというような発信は住民に対して、今、日本中のみんなが高まっている時期なので、そういう発信を少し強めに出していただけるとつかめるのではないかと思うのでお願いしたいと思います。
〇遠藤座長 ありがとうございました。
大体よろしゅうございますか。それでは、この議題は、これぐらいにさせていただきまして、続きまして、議題の4、その他でございますけれども、事務局より説明したいことがあるということですので、説明をお願いしたいと思います。
〇野口救急医療対策専門官 事務局でございます。
これまでの検討会の中で御指摘があった内容に関して、少し資料を提示させていただきたいと思いますので、参考資料1をお手元に御準備ください。
2点説明させていただきます。
救急の議論をした際に、質問があった点に関して、スライド9を見ていただければと思います。
救急医療の議論をさせていただいた際に、傷病者の来院方法と受診後の結果に関して、表を提示しましたが、追加の情報を注釈として赤で囲ったような形で追加をさせていただいております。
そもそも来院方法として、救急車で救命救急センターに搬送され受診した患者が104万人いるというところですが、この中で、実際に救命救急センターとして受けなければならない数が、少し違うのではないかという御指摘がありました。
それに関してなのですけれども、地域医療計画課は重篤患者の条件を示したうえで毎年調査を行っています。
調査結果では、来院時の年間重篤患者数は、27万1,252人であり、実際に救急車で救命救急センターに搬送された患者数104万人のうち、重篤患者数は27万人であるということを明示させていただきたいと思います。
1つ目は、以上になります。
2つ目でございますけれども、スライド51になります。
こちらは、災害の議論をさせていただいた際に、災害拠点病院の要件に関しての質問がございました。災害拠点病院における自家発電機に関して、実際、どれぐらいの発電容量が求められているのかといった御質問がありまして、災害拠点病院の要件としては、「通常時の6割程度の発電容量のある自家発電機等を保有し、3日分程度の燃料を確保しておくこと」と記載しております。
通常の6割程度というところに質問がありましたけれども、この指定要件の通知を出す際に検討された内容としては、下に書いてあります「災害医療等のあり方に関する検討会」の報告書、平成23年の10月でございますけれども、こちらで検討された内容として、災害拠点病院で自家発電機の設置があるのが99.8%、所有する自家発電機は、平均で通常の71%の発電能力があるということ。備蓄燃料での自家発電機の稼働時間は2~3日が47%、4~7日が13%という状況が報告されました。また、救急医療や手術等の急性期の医療機能を発揮できる発電容量として、通常の5~6割といった検討がされ、報告書をもとに指定要件として「通常の6割程度の発電容量である自家発電機の保有が必要」という記載をさせていただいたという経緯でございました。
以上でございます。
〇遠藤座長 ありがとうございます。
何か御質問はございますか。
加納構成員、どうぞ。
〇加納構成員 明確な数字をありがとうございます。
そういうことで確認しますが、9のスライドでいきますと、25%の4分の1、大体6%ぐらいが本来の重篤な患者、本来救命センターで診なければいけなかった患者という認識でいいわけでしょうか。残り94%は、やはり、二次救でも対応できた患者という形で理解すべきなのかなと思うのですが、どうでしょうか。
〇遠藤座長 では、事務局、お願いします。
〇野口救急医療対策専門官 実際、そのままの数字をとってよろしいかというのは、少し検討が必要かと思います。
と言いますのも、スライド9に来院方法ごとの数を示させていただいているのですけれども、実際に入院するのは、下にありますように、救命救急センターを受診した中で14.5%となっています。
ただ、逆に、入院した患者様がどのような来院方法だったかが、調査結果から解析できない状況でございます。
ただ、常識的に考えまして、重篤患者という条件の方々が歩いてくるというのは、頻度としては少ない可能性はあると思いますので、近しいものだと考えていいと思われます。
〇遠藤座長 それでは、森村構成員、どうぞ。
〇森村構成員 今の点について、ぜひお願いというか、検討して挙げていただきたいのは、前も申し上げたかもしれませんが、初診時程度分類という呪縛を取り払わない限りは、これは、院内外のデータ突合上、もう診療の質評価もできないので、来た瞬間に重症度を推しはかれといってチェックする、あのシステムだけで、この傷病者の搬送がよかったのか、よくなかったかというのを判断するには、余りにも難しいので、まず、取っかかりとしては、初診時程度を残したとしても、緊急性があったかどうかといった、最終的に入院には至らなくても、非常に重症化する可能性を秘めていたけれども、それを回避できたような、そういったケースも多々あるので、そのあたりを、きょう、オブザーバーで総務省消防庁救急企画室も来られていますけれども、ぜひ、コラボレーションをしていっていただきたいなという、これは強い要望でございます。具体的には、「初診時緊急度」の判定とその判断に関する検討です。
加えて1点質問です。今度は災害の話ですが、災害拠点病院のふだんのときの60%キープできればいいという指針を出されていると思うのですけれども、つい先だって、私どもの病院が文科省の基準によると、最大限で持っている、ふだん使っていなくても、我々の病院が持っている100%分をキープできないとまずい指導を受けているのです。
最悪のシナリオを考えたほうがいいと思うのですけれども、そのあたりも整合性を少し省庁間でも図っていただけると助かります。
〇遠藤座長 ありがとうございます。
山崎構成員、どうぞ。
〇山崎構成員 問題は、災害拠点病院の非常時の発電が6割という前提が下にも書いてあるように、救急医療や手術等の急性期の医療機能を発揮するための発電容量というふうに書いてあるわけでして、災害精神科拠点病院にも、この情報が横並びで、そのまま入ってしまっているのです。
そうすると、災害精神科の拠点病院は、別段手術をするわけではないし、救急をするわけではないし、あと、問題点は、公的資金でもって全額公費でつくっている国公立の病院というのは、最初からそれだけの余裕があってつくりますけれども、民間の精神科の病院の自家発電能力というのは、せいぜい15%とか20%ですよ。
したがって、そういうところでもって基準というのをつくっていただかないと、精神科の民間の拠点病院は、1件も災害拠点精神科病院として手を挙げられないという実態があるわけです。
そうしたら、国公立のDPATを持っている災害拠点病院を災害精神科拠点病院に指定するような話が、今、進んでいるのですけれども、そんなことをやったら、実際、災害が起きたときに全然効果がないというか、熊本の地震のときも、精神科病院協会で全部各地の精神科病院に協力をしていただいて、患者様の何百人というのを2日間で自衛隊の援助でもって搬送をしているのです。
したがって、災害精神科拠点病院の自家発電の条件というのは外してもらわないと、実際にうちの協会として全く協力ができないというようなことになります。
〇遠藤座長 御意見として承りました。
ほかに、何かございますか。
それでは、横田構成員、どうぞ。
〇横田構成員 先ほどの事務局からの説明のところの9ページの部分です。これは、まさに、本当にこれから考えなければいけない部分だと思います。
私、機会があるごとに申し上げているのですけれども、やはり、病院前のデータと病院のデータというのは、膨大な作業をして突合をすれば、それは可能性としてはデータが一致するのでしょうけれども、やはり、システムとして一本化をするというのは、こういう機会に本格的に考えないと、いつまでたっても効率の悪い、あるいは本当の意味のクリアカットなデータが出てこないと思います。
ですから、こういう検討会からも発信してよろしいのではないかと思います。
以上です。
〇遠藤座長 どうもありがとうございます。
何か事務局、コメントありますか。
お願いします。
〇徳本救急・周産期医療等対策室長 スライド9について多く御意見をいただきましてありがとうございます。
まず、加納構成員からいただいた27万人というのが三次救急に行くべき患者と考えていいのかどうかということについても、この27万人についても、いわゆるある特定の分野で頑張っている二次救急でも受け入れる患者も多々入っていると思いますので、そういった意味では、しっかりと数を解析すると、違った側面が見られるのではないかと思っておりますので、今後、もっと議論をしていけばいいと思っております。
森村構成員及び横田構成員からいただいた重症重篤の評価というのを今までどおり、初診時の医師の判断でいいのかということについても、我々はそういった課題意識もございますので、前回、病院前のデータと病院に入った後のデータの突合について、どのような形が考えられるのかということについて御発表いただいたのだと思っております。
しかしながら、全国一律で、ある程度共通でできなければいけないものだと思っておりますので、そういったフィージビリティーと、あるべき姿のデータの確かさというのをどこで両立するかということについては、引き続き議論をいただく必要があると思っておりますので、そういった意味でも資料5にございます、III-4、救急医療体制ということで、本年度中に、さらにそこを深掘りしていきたいと思いますので、引き続き、よろしくお願いいたします。
〇遠藤座長 ありがとうございます。
ほかに何かございますか。よろしゅうございますか。
ありがとうございます。
それでは、大体本日用意した議題につきましては、議論が行われたということにさせていただきたいと思います。
事務局においては、本日の検討会の御質問、御意見を踏まえまして、論点の整理を含め、さらに検討をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
それでは、第7回の議論は、これにて終了したいと思います。
事務局から何か連絡事項はありますか。
事務局、どうぞ。
〇野口救急医療対策専門官 第8回に関しましては、日程が決まり次第、お知らせいたします。よろしくお願いいたします。
〇遠藤座長 それでは、これにて第7回を終了したいと思います。
どうも長時間、ありがとうございました。
 

照会先

【照会先】

医政局地域医療計画課
救急・周産期医療等対策室
救急医療対策専門官 野口(2556)
災害医療対策専門官 北久保(2558)