第7回働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会議事録

日時:令和元年9月2日(月)15:00~17:00
場所:全国都市会館
議題
(1)働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する議論の整理
(2)その他
議事
○遠藤座長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第7回「働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会」を開催したいと思います。
皆様におかれましては、お忙しい中、御出席を賜りまして、どうもありがとうございます。
本日の懇談会ですが、海老原構成員、大澤構成員、河本構成員、永井構成員、村上構成員より御欠席との御案内をいただいております。また、岡崎構成員が御欠席のため、高知市より村岡参考人に御出席をいただいております。
なお、佐久間構成員は所用のため途中で御退席の御予定です。
本日の資料について、事務局から確認をお願いしたいと思いますが、その前に、事務局におきまして異動があったと聞いておりますので、御紹介も含めてよろしくお願いいたします。
では、事務局、どうぞ。
○古川年金局年金課企画官 年金局年金課企画官、古川と申します。よろしくお願いいたします。
座長からお話しいただきましたとおり、事務局の異動がありましたので、新たに着任した者を保険局、年金局の順番に紹介させていただきたいと思います。
保険局長の濵谷でございます。
大臣官房審議官、医療保険担当の横幕でございます。
保険局総務課長の宮崎でございます。
保険局保険課長の姫野でございます。
年金局長の高橋でございます。
年金局総務課長の竹林でございます。
年金局年金課課長補佐、関口でございます。
以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
続きまして、本日の資料を確認させていただきたいと思います。
お手元に、資料としまして議事次第、座席表、構成員の名簿のほか、資料1として「これまでの議論の整理」、資料2として「2019(令和元)年財政検証の結果について、また、これまで懇談会でお配りした資料をまとめたものを参考資料としてお配りしております。資料の不備等がございましたら、事務局までお申しつけください。
なお、本日御欠席の河本構成員よりメモが提出されております。座長の許可をいただきまして、構成員限りとしてお配りしておりますので、ご覧いただければと思います。
資料等々についてはよろしいでしょうか。
事務局からの御案内は以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、議事に入らせていただきます。カメラの頭撮りにつきましては、これまでにさせてください。
まず、本日配付されております資料につきまして、事務局から説明をお願いしたいと思います。
○古川年金局年金課企画官 資料1「これまでの議論の整理」、資料2「2019(令和元)年財政検証の結果について」という順番で御説明させていただきたいと思います。
まず、お手元の資料1をご覧ください。1枚おめくりいただきまして、目次をつけさせていただいております。
この懇談会は、2018年、昨年の12月からスタートしまして、前回までに6回議論をいただいてきております。本日が7回目でございますが、1ポツ目の「短時間労働者に対するこれまでの適用拡大の結果及び影響の検証」で、これまでの議論を振り返りつつ、2ポツ目の「今後の検討の方向性」で、これまでの議論を踏まえてどういった方向性が示されたのかというものを記載し、資料を構成させていただいております。
おめくりいただきまして、順番に説明させていただきます。
2ページ目は、まず「適用拡大の施行状況について」ということで、2016年10月からの義務的な適用拡大の対象者は、制度施行後、一貫して増加傾向で推移しています。加えて、2017年4月からの従業員500人以下の民間企業を対象とした任意適用の適用拡大に関しましても、制度施行後、対象事業者数・短時間被保険者数ともに増加傾向で推移しています。
こうしたことから、先般の2回の適用拡大によって新たに適用対象に含まれたのは、週労働時間20~30時間雇用者の450万人中の40万人程度の規模になっています。
適用拡大を通じて被保険者となった短時間被保険者の属性を性、年齢階級別に見ますと、40代から50代の女性に加えて、60歳以上の高齢者が非常に多いということがわかりました。
また、短時間被保険者の拡大前の公的年金の加入状況を見ますと、国民年金第1号被保険者であった方が4割と一番多くなっておりまして、そのほか、国民年金の第3号被保険者、適用拡大以前から厚生年金の被保険者であった方、被保険者となっていなかった方といった方がいずれも2割程度となっております。
国民年金第1号被保険者であった方が一番多かったと申しましたけれども、この方々の国民年金の保険料の納付状況について見てみますと、約半数の方が免除または未納という状態であったこともわかりました。
適用拡大に関しましては、国民年金第1号被保険者の中でも未納のリスクが相当程度高い層を新たに厚生年金の適用対象に加えたことで、これらの方々の将来の年金権の確保という観点から、かなりの効果をもたらしたことがわかっています。
また、適用拡大対象者を業種別分布で見ますと、短時間労働者の比率の高い、卸売・小売、医療・福祉、運輸業、郵便業といった一部の業種に偏在していることが特徴として見られました。
3ページ目でございます。「労働政策研究・研修機構(JILPT)による調査結果」についてまとめたものをこちらに記載せていただいております。
まず、1つ目でございますけれども、義務的な適用拡大対象事業者の動向を見ますと、雇用管理上の見直しを行った事業所が相当数、3~4割程度存在しております。この事業所のうち、労働時間延長等の適用拡大策を講じたところ、労働時間短縮等の適用回避策を講じたところが、それぞれ約半数程度に及んでいます。そして、こうした見直しを行った理由としましては、短時間労働者の希望を踏まえたとの回答が多くを占めておりました。
労使合意に基づく任意的な適用拡大制度、つまり企業規模500人以下のところでございますけれども、任意の適用拡大制度の存在については、多くの事業所に認知されているものの、利用意向を有している事業所はごく一部であったといったこともわかりました。
そして、今後、さらなる適用拡大が行われた場合の対応意向について調査したところ、短時間労働者自身の希望に基づいてできる限り加入してもらうといった回答が最多で、4割を超えておりました。こうした前向きの回答をした理由としては、人材の定着の必要性や人手不足である現状への対応といった回答が多かったです。
適用拡大に伴う短時間労働者の働き方の変化についてでございますが、全体的に見ますと、働き方を変えなかった労働者が約8割といった結果でございました。残りの働き方を変えた労働者の方々については、被用者保険適用拡大のために労働時間を短縮するといった動きがあったものの、半数強は適用を受け入れた上で、手取り収入が減少しないように労働時間を延長するといった動きをしたということもわかりました。
被用者保険の適用を受ける方向で働き方を変更した理由について、元国民年金第1号被保険者の方につきましては、保険料の負担が軽くなるからといった理由が最多、元国民年金の第3号被保険者の方々では、もっと働いて収入をふやしたい、ないしは維持したいといった理由が最多でございました。
一方、適用を回避する方向で働き方を変更した第3号被保険者にその理由を聞いたところ、配偶者控除が受けられなくなるからといった理由や、健康保険の扶養から外れてしまうといった、税・社会保険制度上の理由を挙げる者が多かったという状況でございました。
このように、被用者保険の適用のメリットを認識して、積極的に適用対象になる働き方を選ぶ短時間労働者が相当程度見られた一方で、税・社会保険制度の存在が依然として就業調整の要因になっている場合があるといったことも確認されました。
また、こうした適用拡大の個々の労働者の方々の動き方として、やはり家計に対する影響というのが非常に大きくあります。家計に対する影響と適用拡大に伴う働き方の関係を見ますと、家計への影響が大きいと考えられる短時間労働者ほど、2016年、2017年の適用拡大に際しても、被用者保険が適用されるように働き方を変更して、家計に余裕がある人は適用を回避した傾向といった状況でございまして、家計への影響が非常に大きく影響しているということもわかりました。
4ページ目でございますが、マル3としまして「関係団体に対するヒアリング結果」を載せさせていただいております。御案内のとおり、第2回から第4回にかけて合計13団体からヒアリングを行った結果の概要でございます。
まず、多くの使用者の団体からは、近年のパート労働市場における需給逼迫によって、事業運営に必要な労働力確保が極めて重要な経営課題であるといった御指摘がありました。また、短時間労働者のうち、主婦(主夫)層やシニア層については、手取り収入の維持を重視して、保険料負担が発生しない範囲で就労しようとする傾向が多く見られるといったことや、そういったことが企業の事業運営の制約要因になり、正社員等の他の従業員の負担にもなったといった御意見がありました。
適用拡大に際しまして、多くの企業は労働力確保を優先して、できるだけ労働時間を延長・維持してもらう方向で対応したといった御意見をいただきました。
使用者団体からは、労働時間を短縮する動きが目立ち、労働不足に拍車がかかったという意見と、労働時間を短縮する動きは限定的であったといった意見の双方の意見をいただいたところでございます。
また、短時間労働者を多く雇用する労働集約的な産業からは、収益率が低い中で、適用拡大に伴う社会保険料負担の増は企業経営に対して無視できない影響を与えたといった御意見もいただいたところでございます。
続きまして、マル4といたしまして「適用拡大企業に対するアンケート結果」を行っております。今年の2月から3月に、大企業49、中小企業280に対して年金局においてアンケート調査を行っておりますが、1つ目としまして、従業員501人以上の企業における適用拡大の影響を確認しております。
確認したところ、年金シミュレーターの活用とか、制度変更の周知徹底、個々の労働者との面談等を通じて、労働者数・労働時間の確保に成功して、影響は軽微であったといった回答がありました。
また、労働時間を短縮する短時間労働者がいて、他の社員に負担がかかったといった御意見がありました。
また、適用拡大によって社会保険料の増加が企業経営に与える影響が大きいといった御意見をいただいております。
企業規模要件の501人という基準については、同じ働き方をしても他社では被用者保険への加入が不要であるという理由で転職した者がいたといった意見がありました。また、グループ企業内での適用状況の違いによって、人事異動が柔軟にできないといった御意見がありました。
また、月額賃金要件の8.8万円以上という賃金要件につきましては、短時間労働者の就業調整を招くといった御意見をいだたきました。
また、事務負担が大きいことや、賃金要件の設定について、賃金の地域差を勘案すべきといった御意見もいただきました。
従業員規模500人以下の労使合意に基づいて任意で適用拡大を実施した企業の導入目的・経緯を確認したところ、人員確保とか従業員の保障を厚くする、福利厚生を手厚くするといった観点から導入したといった御意見をいただきました。また、中小企業でも週20時間以上で社会保険に加入できるということで、大企業と同じスタートラインに立てると考えて導入したといった御意見をいただきました。
5ページ目でございますが、こちらから第2章ということで「今後の検討の方向性」に入らせていただきたいと思います。
基本的な建て付けとしまして、左側に懇談会における議論を紹介させていただいて、懇談会における議論から導き出される今後の検討の方向性はこういうことなのかといったものを右側に記載させていただいております。
まず、「基本的な考え方」としまして、懇談会における議論として、雇用形態や企業規模の違いによって社会保険の適用の有無が異なるということは、働く者にとって不合理である。被用者保険適用によるセーフティネット整備が重要であり、さらなる適用拡大を実施すべき。本来ならば、企業規模や業種・業態に関係なく、働く側の人の立場で考えるべき。適用拡大は将来の貧困対策としても重要、今、取り組むべき問題である。
被用者保険の適用対象となれば、年金水準の向上につながる。また、健康保険については、傷病手当金や出産手当金が受けられるようになる。こうした労働者のメリットという観点からも、被用者保険の適用拡大を進めていくべきである。
適用拡大は、国民年金保険料の未納を減少させ、被用者保険の年金水準を引き上げ、働き方にもニュートラルな制度にしていくものであり、政策方針として厚生年金被保険者をふやすのは正しいといった意見をいただいています。
また、適用拡大が低所得者や社会的困難に直面している方の就労につながったことを総合的に考えれば、慎重に行う必要があるという留保はつけますが、方向性には賛同だといった意見をいただいています。
また、多様化する働き方に対応するために、社会保険制度を見直すことは重要である。ただし、中小企業・中小事業者の厳しい実情を総合的に勘案しつつ検討すべきであるといった御意見もいただいています。
最後でございますが、適用拡大は被用者保険の担い手を増やし、被用者保険の安定性が向上するというプラス面がある一方で、事業主負担や業種による負担差、深刻な人手不足という事情を念頭に置きつつ議論する必要があるといった御意見をいただいております。
こうした御意見を踏まえまして、右側でございますが、被用者として働く者について被用者保険に加入するという基本的な考え方が示されたのではないかと考えております。
ただし、具体的な適用拡大の進め方については、人手不足や社会保険料負担を通じた企業経営への影響に留意して丁寧に議論を行う必要がある、こういった必要性について示されました。
おめくりいただきまして、各論に入らせていただきたいと思います。まず、企業規模要件についてでございます。企業規模要件につきましては、先ほども書かせていただきましたが、被用者保険適用によるセーフティネット整備が重要であり、さらなる適用拡大を実施すべきという御意見をいただきました。
また、本来ならば企業規模や業種・業態に関係なく、働く側の立場で考えるべきという御意見もいただいております。
従業員数の501人以上かどうかを公表情報ではわからないことが多い、パート労働者が自分の仕事を選ぶ際に、保険加入の有無は重要であるが、それを自由に選べないのは問題ではないか、といった意見をいただいております。
また、企業規模要件の存在が一定程度、労働者の就業選択にゆがみ・変化をもたらしていると感じている、労働者による就業先選択やグループ企業内での人事異動等への影響を少なくする観点から、企業への影響を十分に検証した上で対応していくのが適当ではないか、といった意見をいただいております。
また、企業規模要件は引き下げていくべきであるが、中小企業の負担面を考慮して、何らかの支援が必要であれば検討すべきではないかといった意見をいただいております。
企業規模要件は、そもそも法律の位置づけとしてはあくまで経過措置である、他方で、中小企業の負担増についてはしっかり支援すべきであるといった意見をいだたいております。
こうした御意見を踏まえまして、企業規模要件については被用者にふさわしい保障の確保や経済活動への中立性の維持、経過措置としての位置づけといった観点から、見直しを検討する必要性が示されたと考えております。
また、見直しに伴う事業主負担が過重なものにならないように、施行の時期・あり方に配慮するなど、何らかの支援措置を講じる必要性についても指摘がありました。
続きまして、労働時間要件でございます。労働時間要件、勤務期間要件、学生要件については、実務面での障害も考慮しつつ、一定以上の給与収入がある者については被用者保険を適用するという原則的な考えのもとで検討すべきであるといった御意見や、また、賃金や労働時間に着目したさらなる適用拡大は、少ない手取りの人々にとって労働時間を減らす誘因になってしまうのではないかといった御意見、まずは週労働時間20時間以上の方へ適用拡大を検討するのが優先的課題なのではないかといった御意見をいただいております。
これも踏まえまして、労働時間要件につきましては、被用者にふさわしい保障を確保するという趣旨を踏まえつつ、他の論点との優先順位や短時間労働者の就業に与える影響等も考慮しながら慎重な検討を行う必要性が示されたのではないかと考えております。
7ページ目、賃金要件でございます。賃金水準は、一般的に都市部と地方の間で差異が見られるので、同じ労働時間でも被用者保険の適用に差が生じます。それが不公平ではないかといった御意見をいただいています。
また、労働時間要件に加えて賃金要件があると二重の要件であり、複雑、煩雑である。また、賃金要件が就業調整のラインとして強く意識されている現状があるので、見直しを検討すべきではないかといった御意見をいただいています。
また、月額賃金8.8万円未満の短時間労働者は、8.8万円以上と性質が異なっている。前者には、健康保険の被扶養者・国民年金第3号被保険者が高い割合で含まれているといった御意見をいただいております。
また、国民年金第1号被保険者との負担・給付面でのバランスを図るべきといった御意見をいただいております。
最低賃金の推移を見ますと、近いうちに週20時間労働で月額賃金8.8万円を超えてくることも想定されるのではないか、国民年金の保険料とのバランスに関する議論もあり、今回、賃金要件の見直しは不要なのではないか、といった御意見もいただいております。
こうした御意見を踏まえまして、賃金要件につきましては就業調整の要因となるなどの課題も示されましたが、一方で国民年金第1号被保険者とのバランス、短時間労働者の就業に与える影響、賃金要件と最低賃金の水準との関係も踏まえて、制度の見直しの緊要性の程度も念頭に置いた上で検討する必要性が示されたと考えております。
続きまして、勤務期間要件でございます。勤務期間要件は、1年未満の方の多くが契約更新の結果として1年以上在籍しているなど、契約当初時点では判断困難であり、そもそも1年以上か否かといった、この基準の必要性に疑問があるといった御意見をいただいております。
勤務期間要件は古い雇用保険の基準を参考にした要件と認識しているが、実務としては2カ月勤務が見込まれるなら適用されるといった状況もあると聞いている、また、例えば現行雇用保険の基準、31日以上とありますが、その雇用保険の基準に合わせる報告で見直してはどうか、といった御意見もいただいております。
こういった御意見を踏まえまして、勤務期間要件については事業主負担が過重にならないようにするという趣旨や、実務上の取り扱いの現状を踏まえて、要件の見直しを検討する必要性というものが共有されたのではないかと考えております。
8ページ目、学生除外要件でございます。学生は、社会人になれば社会保険が適用されていくので、パート労働者と同じ枠組みで議論すべきではない、今までの取り扱いを変更した際の事務負担も考慮すべきであるといった御意見をいただいています。
また、学生でありながら本格的な就労に近い働き方をする苦学生のような人々については、適用拡大策で解決を図るようなものではないといった御意見をいただいております。
学生像・学生の就労も多様化している、苦学生だけではなく、インターンシップや高齢非正規労働者の学び直しのケースなどもあるので、学生を一律に適用除外とするのは不合理なのではないかといった御意見をいただいております。
月額8.8万円を稼ぐ学生は相当程度就労している。外国人留学生との関係もあるが、基本的には適用対象としていくべきといった御意見もいただいております。
また、学生は短期間で資格変更が生じるため手続が煩雑というのが要件の存在理由とされているが、若い人々は学生でなくても転職を頻繁にしている。学生を理由に適用除外にすることは違和感があるのではないか。学生についても適用とすることが適当ではないかといった御意見もいただいております。また、保険料負担が浮くことで、企業が安価な労働力として利用することを抑止することについても考える必要があるという意見をいただいております。
こうした御意見を踏まえまして、学生除外要件につきましては、事業主の事務負担への配慮という制度趣旨を念頭に置きながら、近時の学生の就労状況の多様化や労働市場の情勢等も踏まえて、見直しの可否について検討する必要性が示されたと思っております。
続きまして、健康保険における対応でございます。健康保険と厚生年金保険とは給付と負担の関係、特性が異なることから、両制度を一括して適用する妥当性について議論する必要があるのではないかといった御意見をいただいております。
一方で、健康保険と厚生年金保険の適用を分離した場合には、制度が煩雑、複雑になり、適用事務を行う企業の事務負担も増加し、新たな就業調整が生じ得る可能性も懸念される、できる限り一体となって進めていくことが必要なのではないか、といった御意見もいただいております。
また、短時間労働者の適用拡大によって、医療保険者の財政の悪化が懸念されるため、医療保険財政に与える影響について試算した上で議論することが適当ではないかといった御意見をいただいております。また、これまでの適用拡大と同様に、財政支援を行うべきといった御意見もありました。
こうしたことを踏まえまして、健康保険との関係については、厚生年金との制度上の差異に係る指摘があった一方で、実務上の便宜を踏まえ、一体的適用を維持することの必要性も指摘がありました。また、医療保険財政についても考えられる影響について適切な試算を行った上で、所要の対策を講じる必要性が指摘されました。
おめくりいただきまして、第3号被保険者制度に関しまして、自ら被用者保険に加入することは、より充実した保障を得て生活の安定につながっただけでなく、被用者による支え合いの仕組みに自ら参加することで、働く上での意識にも少なからぬ影響を与えたということも考えられるといった御意見をいただいております。
また、第3号被保険者は、子育てや介護といった事情がある方や、配偶者の扶養の範囲内で就労を希望する方など、多様な方が存在しているので、それぞれ就業調整しながら働いているといったものが現状である、これほど多様な状況の中で、本人や世帯収入が安定し、将来の安心につなげていくために柔軟に対応できる仕組みを考えていく必要がある、といった御意見をいただいております。
また、第3号被保険者については、どうしても就業調整の問題が残ってしまうことから、第3号被保険者制度をどのように考えるか議論すべきであるといった御意見をいただいております。
こうしたことを踏まえまして、健康保険の被扶養者・国民年金第3号被保険者制度については、働き方、ライフスタイルの選択を阻害しない制度とするために、まずは更なる適用拡大を通じて、ある程度働く短時間労働者についてみずから被用者保険に加入する形を目指す、その上で、制度のあり方についての将来像を議論していく必要性が指摘されたのではないかと考えております。
10ページ目でございますが、被用者保険の適用事業所の範囲でございます。法定16業種や従業員5人要件といった個人事業所の適用範囲に関する線引きは、相当程度前に決められたものである、そうした事業所にもフルタイム就労者がいるわけなので、現代、現状に合ったような形で見直し、検討が必要なのではないか、といった御意見をいただいております。
また、労働者保護や労働者の老後の安定を考えたときに、今の適用事業所の範囲に関する状態はふさわしくないのではないか、昔から適用拡大をしてこなかったという経緯もあるが、適用事業所の範囲を拡大していく方向で検討、議論し、5人以上の個人事業所は強制加入とすべきなのではないか、といった御議論がありました。
また、非適用業種の存在には歴史的経緯がある、現代は近代化されて、今残っている業種がなぜ非適用なのかといった議論をすべきであるが、強制適用としたときにその経営に実際にどういう影響を与えるのか、きちんと議論すべきである、といった御意見をいただいております。
従業員の利益や人材確保の観点から言えば、適用事業所の範囲を拡大する利点は総論として理解はできる、一方で、そういった該当業種には小規模事業所も多く、事務負担、保険料負担というものが適用拡大した場合には重くなってくる、このため、現状の個別の状況に応じた任意適用を広げていけばいいのではないか、といった御意見をいだたいております。
また、個人事業主は被保険者資格を得ることができない、この個人事業主について対応を検討すべき、といった御意見もいただいております。
また、制度上、適用要件を満たしているにもかかわらず、実際には未適用となっている事業所の問題について、日本年金機構の取り組みが強化されて着実に成果を上げてきているとはいうものの、引き続き、未適用事業所に対する適用促進を徹底すべきなのではないかといった御意見をいただいております。
適用事業所の範囲の拡大に際しては、国民健康保険の財政に対する影響も勘案して、全体が納得できる制度としての方向性を図っていくことが必要であるといった御意見もいただいております。
こうした御意見を踏まえまして、右側でございますが、本来、事業形態、業種、従業員数などにかかわらず、被用者にふさわしい保障を確保すべき、「べき論」としてあるが、各業種それぞれの経営・雇用環境、非適用とされた制度創設時の考え方と現状との状況を個別に踏まえて検討すべきという認識が共有されたのではないかと考えております。
また、関連して、個人事業主本人に対する保障のあり方、未適用事業所に対する年金機構の対応の継続、被保険者の移動による国保財政への影響についての御指摘もありました。
最後のページでございますが、マル4としまして複数事業所就業者に対する被用者保険の適用のあり方について、複数事業所就業者の保障は重要であるが、一方で、Aという事業所、Bという事業所、複数の事業所で働いていると、労働時間をどういうふうに合算するのか、合算する方策を検討していくべきではないか、といった御意見をいただいております。
また、複数事業所における労働時間や賃金をどうやって継続的に把握するのかといったものは難しい課題である、雇用保険における議論も参考にしながら、実務が成り立つのかどうかということについて慎重に検討すべき、といった御意見をいただいております。
複数事業所で適用要件を満たす場合の手続は、現状もう既に事業者に相当程度負担がかかっているので、負担軽減のために制度全体として効率化を図るべきではないかといった御意見をいだたいております。
こうしたことを踏まえまして、複数事業所で就業する方につきましては、該当する労働者についてふさわしい保障を確保する方策について、実務上の実行可能性も踏まえて、引き続き議論していく必要性、また今まさに適用事務を行っている、今の事務についての効率化を図っていく必要があるのではないか、といった御指摘もいただいております。
最後でございますが、雇用類似の働き方への対応としまして、まずは個人事業主について、被用者性が高い方については被用者保険適用による保障を検討していくべきではないかといった御意見をいただいております。また、今の柔軟な働き方を選べる時代であって、誰もがフリーランス的な働き方になる可能性がある現状であります。こうした現状について、働き方に中立な社会保険制度を構築していくべきではないかといった御意見をいただいております。
また、フリーランスのような雇用者類似の者に対する被用者保険による保障の重要性は理解できるが、自営業者との公平性という問題もあるので、そういったものともセットで考えていかなければならないのではないかといった御意見をいただいております。
こうした御議論を踏まえまして、雇用類似の働き方対応については、被用者性の高い個人事業主の保護を図る観点から、制度上、また実務上の課題も踏まえながら、働き方の多様化の進展に応じてどういった対応ができるのか、引き続き議論していく必要があるのではないかと書かせていただいております。
資料1の説明は以上でございます。
引き続き、資料2の説明をさせていただきます。資料2は、8月27日に公表させていただきました令和元年の財政検証の結果についてでございます。
2ページ目でございますが、こちらに「2019(令和元)年財政検証結果のポイント」というふうに記載させていただいております。財政検証について本日御議論いただくものではありませんが、こちらに関しましては、財政検証の中に前回の財政検証からオプション試算というものを入れており、被用者保険の更なる適用拡大というオプション試算Aがありますので、その部分だけかいつまんで紹介させていただきます。
3ページ目でございますが、オプション試算Aではどういう試算をしているかということについての御紹介でございます。オプション試算Aは、申し上げたように、被用者保険の更なる適用拡大をした場合の試算です。
適用拡大のマル1としては、被用者保険の適用対象となる現行の企業規模要件を廃止した場合、約125万人ベースで適用拡大になります。この場合の所得代替率がどうなるか、適用拡大マル2、325万人ベースとありますけれども、被用者保険の適用対象となる現行の賃金要件と企業規模要件を廃止した場合にはどうなるかといったものでございます。適用拡大マル3については、1050万人ベースとありますけれども、一定の賃金収入(月5.8万円以上)があるもの全ての被用者へ適用拡大した場合にどうなるかといったものでございます。
4ページ目が、それを模式図化したものでございます。簡単に申し上げれば、被用者保険の適用拡大が年金の給付水準を確保する上でプラスになる。特に基礎年金にプラスであるといったことが確認できたということでございます。4ページ目の右側の試算結果のところをご覧いただければと思いますけれども、例えば現行のケース3だと所得代替率が50.8%だったところを、例えば適用拡大マル1(125万人ベース)だと51.4%、適用拡大マル2だと51.9%、適用拡大マル3だと55.7%というふうに所得代替率が上がっております。
その下に、それぞれ基礎年金分を記載させていただいておりますが、基礎年金分だと、26.2%だったのが26.8%、27.6%、31.9%ということで、こちらをご欄いただければ、報酬比例のところよりは基礎年金の所得代替率の引き上げに適用拡大の効果があるといったオプションの試算結果となったといったことでございます。
資料の説明は以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、ただいま説明のありました2つの資料に関して、皆様から御質問、御意見等を承りたいと思います。とりわけ資料1は、事務局が議論を整理していただいて、今後の方向性というものまで示しているわけでありますが、これをベースに、本日の御意見も踏まえながら、取りまとめ案のほうへ収れんさせていくということになると思いますので、ぜひ御意見等をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
それでは、平川構成員、お願いします。
○平川構成員 最初に質問ですが、議論の整理というところですが、「今後の検討の方向性」の記載の位置づけについて、どういう位置づけなのかを教えていただきたいと思います。
○遠藤座長 事務局、お願いします。
○古川年金局年金課企画官 「今後の検討の方向性」ですけれども、これまで6回議論いただいて、本日7回目でございますが、今後まとめていく中で、これまでいただいた様々な方々からの御意見やヒアリングでの御意見などを踏まえて、社会保険の適用に関して、実際にどういった方向性としていくべきなのかといったものを懇談会としておまとめいただきたいという趣旨でございます。
○遠藤座長 平川構成員、どうぞ。
○平川構成員 そういう意味では、方向性がどうも具体的なものになっていないという印象を受けていまして、本当にこれでいいのかという疑問を強く持たざるを得ないと思います。
まずは前回の適用拡大は、大変限られたものでありました。いろいろな議論があって、前回の適用拡大があったと思いますが、今回の検討はそこをどうやって大きく踏み出していくのかという方向性になると思います。この検討の方向性の書きぶりはかなり物足りないというか、踏み込み不足だと思います。
基本的な考え方としては、改めて今回の議論はどういう位置づけで、どういう背景でこの議論がされているのかというのを押さえておく必要があるのではないかと思います。
この間、年金改革の課題が世の中で大きな議論になる中で、どうやって高齢によるリスクをみんなでヘッジをしていくかといいますか、支え合っていくのか、そういう議論がまず柱にあるべきであって、最初からここまで、もしくは、ここまで適用拡大すれば事業主にとって問題ないのかというふうな限定的な議論では、この問題は解決できないのではないかなと思います。
原則的な話で大変申しわけないのですけれども、先ほど言いましたように、平均寿命は延びておりますし、さらに延びていくという中で、長い老後生活を送る上でどうやって生活を支えていくか、もしくは支え合っていくかということの中での公的年金制度の議論であって、その延長線上にこの適用拡大の問題が議論されるべきだと思っているところであります。
そういった意味で、同じ雇用労働者でありながら厚生年金に加入できないということに関しては、まずはこれを解消していくという大原則のもとで議論していく必要があるのではないかと思います。
ですから、前回の適用拡大の中で、限られた適用拡大でありましたけれども、それであっても対象者はもともと1号の方も多く、その中でも未納者が一定数いるということもこの中で明らかになっております。そして、それによって多くの方々が厚生年金の適用になることによって、老後に向けて、完全ではないですけれども、一定程度の安心を獲得できるということの効果をしっかり押さえていく必要があると思っているところであります。
最優先すべき視点は、適用拡大をどうしていくかということをまず原則とし、その上でいろいろな課題があれば一つずつ解決をしていくという議論にしていかなければならないと思いますが、残念ながら、この資料1では、今あるところからどうやって少しずつ拡大していこうかというふうな議論でしかないのではないでしょうか。書きぶりとしては物足りないというか、問題があると言わざるを得ないと思っているところであります。
個別の課題はまた後で意見を言わせていただきますけれども、とりあえず本当にこの書き方でいいのかどうかということについて、事務局の考え方を改めてお聞きしたいと思います。
○遠藤座長 それでは、事務局、お尋ねですので、このレベルの書き方、恐らくはこの段階でまだ事務局として余り踏み込んだことを書ける段階ではないだろうということで、いろいろな意見があったのでそれを整理して、まさに本日の御議論等々で方向性を固めていこうという流れではないかなと私は推察しますが、事務局のお考えをお聞きしたいと思います。
○古川年金局年金課企画官 まさに座長がおっしゃったとおりでございますけれども、平川構成員がおっしゃった大原則論については、物足りないという御指摘ではあるものの、5ページ目の「基本的な考え方」のところに記載をしているつもりです。
「今後の検討の方向性」の一番上のところですけれども、原則論としてどうだと御指摘いただきましたけれども、同じ雇用労働者で加入できない、これを解消していくのだという御意見をいただいていますが、まさに被用者として働く者については被用者保険に加入するというのが基本的な考え方なのだというところに御指摘の大原則をお示ししたつもりです。
○遠藤座長 ありがとうございます。
平川構成員、よろしいですか。
まさにいろいろと御意見を言っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。ほかにいかがでしょうか。
海上構成員、お願いいたします。
○海上構成員 事務局の方々、お取りまとめいただきありがとうございました。
今の平川構成員のお話からもあるように、ちょっと具体性がないのではという点もありましたけれども、よく読んでみると多少の温度差があって、例えば「見直しを検討する必要性が示された」というのは、つまり「見直そう」という意味で。それから、「見直しの“可否”を検討する必要性が・・」という表現があったり、また、「必要性が指摘された」で終わらせている表現もあり、一応温度差をつけていらっしゃる感じが見受けられます。その中で見直す方向性が強いと受け取れる部分が、今言ったように「見直しを検討する必要性が示された」と書いているところだという読み方でよろしいのか。これは質問というよりも、そういうふうに読むという一種のニュアンスだと思いますけれども、そういうことですか。
○遠藤座長 事務局、書きぶりについてのお考えがあるかどうかです。
○古川年金局年金課企画官 現在、懇談会でどういう意見があったのかというのをまとめていくというプロセスなのですけれども、まさに懇談会の御意見として、強かったものと、一部の方の御意見であったものを、それぞれのトーンで書き分けているわけでございまして、見直しを検討する必要性を示されたと書いてあるからやるとか、可否が云々と書いてあるからやらないとか、そういったことの含意があるわけではございません。
○遠藤座長 ここでの議論のトーンを反映したのだということですね。
○海上構成員 だから、表現ぶりの違いはあるが、それは懇談会の言っていることの数なり、強さなりを反映したものである。何かそこに事務局さんの意見を示唆したわけではないということですね。
○古川年金局年金課企画官 そのような趣旨はございません。
○海上構成員 わかりました。ありがとうございます。
○遠藤座長 ほかに何かございますか。
それでは、佐久間構成員、どうぞ。
○佐久間構成員 佐久間でございます。ありがとうございます。きょうは中座をさせていただきますので、先に発言をさせていただきたいと思います。
事務局の案を賜りまして、当初から拡大の方向とか、そういうもので示されてきているのではないかと思います。そこの中で、今、先生方から御指摘があったように、やはり今後の方向性のところが、どういう表現なのか、例えば「検討された」というのはやらないことなのかとか、そういうのは非常に読みにくいので、次回に提示をされていくときに、もうちょっと踏み込んだ記載が今回の議論を通して出てくるというのがよろしいのかなと私は考えております。
そこの中で、私ども使用者の関係の組合等がある以上、今までの議論を通しまして、任意の包括適用の業種というのは、個別の事業者、従業員が少ない状況があります。ここを一挙に適用していくとか、5人以上というのは非常に厳しい状況があると思いますので、現状のまま、そして5人以上とか、適用をされない5人未満の事業者とか、そういう事業者の方々にとっては自分たちが選択できるようにということをお願いできないかなと思います。
もう一点、ここの中の表現で、最後のページにもあったのですけれども、今、法人企業ですと経営者も加入ができる。5人以上の個人の方々というのは、労働者の方々には入っていただいたとしても、雇用主である個人の事業主は資格がないという状況があります。このときに、ここもどういう費用負担をするかという問題もあるのですが、例えば会社側の使用者負担の分、またその方も従業員としての同じ割合、9.15%ずつを払っていくのかという次の問題があるかもしれませんけれども、そういう雇用した事業主も入れるような個人の資格というのも、これから改正をしていただく検討材料にしていただきたいと考えております。
あとは、先日、各地域の最低賃金も続々と決まってきたわけでございます。今、901円ということで27円、過去最高のアップ額ということになりまして、これだけでも大変な状況だと。そして、この率が18.3%に、ここでは上がるという議論はありませんでしたけれども、適用を拡大されるということは、本当に使用者側の負担というのはかなり厳しい問題もあると思いますので、ここの中でお示しされた項目で、できるだけ現状のままというか、範囲を広げないような工夫もお願いをしたいと思っています。
例えば留学生の関係があって、学生の8万8000円というのがあります。留学生も28時間働くと10万数千円になってきまして、目いっぱい働いている方があると思います。実際には適用拡大というのは好ましくないと思うのですけれども、財源の問題から見れば、そういう方からも負担をいただくという方策もある程度見られるのかなと考えております。
ちょっと長くなって申しわけありませんけれども、以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ぜひほかの方からも御意見をいただきたいと思います。あるいは、平川構成員、先ほど個別の話はまたとおっしゃっていましたけれども、例えば今のようなお話で何かありますか。
○平川構成員 先ほどの話の続きですけれども、そういった意味で「今後の検討の方向性」を個別に読んでいますと、一つ、企業規模要件は経過措置なので撤廃というのは当たり前の話だと思います。その他の課題ですが、どうも方向性がよく見えないという印象であります。特に労働時間要件についても、そんなに意見がなかったということで、これしか書いていないのかもしれませんけれども、なぜ労働時間要件があるのかということを含めてしっかりと検討すべきです。例えば、時間要件ですが、なぜ20時間なのかと言われたら、その根拠はどうなのかということも含めてしっかりと検討し、例えば少なくとも労働時間要件または年収要件のいずれに該当すれば適用させるとか、そういうことも含めた形で見直していくという前向きの議論が必要だと思います。しかし、残念ながら、「今後の検討の方向性」を読んでいると、どうもそういうふうに捉えることができないと思います。
それから、勤務期間要件も、これはやや前向きに書いてありますけれども、基本的には雇用保険の適用基準に合わせて31日以上ということで明確にしていくべきではないかなと思います。
あと、学生の関係でありますけれども、学生像が多様化していますし、それがさらに進むのではないかなと思います。リカレント教育の推進という問題もありますし、学生を一律に適用除外するという要件は見直していくことは重要かと思っているところであります。
それから、適用事業所の範囲の問題です。業種によって差をつけるということが、私は全く理解ができないのです。歴史的に経過があるからということで書いてあるのですが、それが本当に理由になるのか疑問です。社会保険は支え合う制度でありますので、業種によって差をつけるという仕組みは当然なくしていくべきで、非適用業種を撤廃しつつ、さらに常時5人未満の個人事業所も、雇用しているということであればしっかり適用にしていくことが重要かと思っています。
また、複数事業所の問題でありますが、これは実務的にどうしていくのかという課題があるというのは承知をしておりますけれども、就労の実態に合わせてどう適正に適用していくかというのは、さらにしっかりと対策を講じる、そのためにどうすべきかというのはしっかりと研究していくべきだと思います。
あとは、少しは議論の中にあるのですけれども、「今後の検討の方向性」の中に入っていませんが、適用の促進というのも実務としてどうしていくのか、年金機構の体制を強化していくのかというのは重要だと思います。
これは前にも何回も私は言っていますけれども、年金機構の適用の促進によって250万ぐらい新たに厚生年金に適用になったということでありまして、これは制度改革以上に大きな成果を上げているということもあります。また、別の調査によると、160万人近くが、本来は厚生年金が適用されるべきにもかかわらず、国民年金にとどまっているという調査結果もありますので、実務としての適用の促進というのは大変重要だと思いますけれども、これも「今後の検討の方向性」の中にしっかりと明記をしていただくということをお願いできればと思っているところであります。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
それでは、荒井構成員、お願いいたします。
○荒井構成員 日本商工会議所の荒井でございます。ありがとうございます。
まず、資料1の「これまでの議論の整理」の1ポツのところです。そこに、調査結果とかこれまでのヒアリングの結果とか、この会議の報告があるのですが、このまとめと違和感があるため、幾つか指摘をさせていただきたいと思っています。
まず、2ページ目の下から4行目に、第1号被保険者の中でも未納のリスクの高い人への対策になるような効果があるということを書かれていますけれども、そもそも国民年金の未納の問題は別の方策で検討するべき話であって、余り適用拡大にいろいろな効果を求めるというのはどうなのかなと。これはあたかも万能な機能を有しているような前提で、いろいろな解をそこに全て寄せるということに誤解を招くのではないかと思っています。
それから、3ページの調査結果のほうですけれども、最初の○に、「雇用管理上の見直しを行った事業所が相当数存在し」という記載がありますけれども、調査結果によれば、実際に見直しを行ったのは3分の1ぐらいということなので、「相当数」と言うと、かなり多い数を示すときに使う言葉かなと思っていまして、そこは言葉としてはふさわしくないのではないかと思っています。
その次の2つ目の○の2行目の後ろのほうに、「同制度の利用・不利用の理由について、いずれも短時間労働者の意向を理由にあげている」という記載がありますけれども、これも調査結果を見ると、利用した場合の一番の理由は、処遇改善による人材の確保・定着が圧倒的に多いわけで、そこはファクトとして違うかなと思っています。
その次の3つ目の○で、「『短時間労働者自身の希望に基づき、出来るだけ加入してもらう』との回答が最多で4割を超えた」とありますけれども、調査の選択肢を見ると、正確には、「内容や時期等にも依るが」というのが頭についているということですので、これはその前提の内容によって結果は大きく変わる可能性があるので、そこはきちっと書いたほうがいいのかなということであります。
細かくて恐縮ですが、その次の4つ目の○ですけれども、これも適用拡大については、「短時間労働者が労働時間を延ばしつつ、能力発揮の機会を広げるという方向に作用したことがうかがえる」ということですけれども、そもそも6割の人が変えていなくて、変える予定もないという回答をしているということで、変わったと回答をしているのは15%ぐらいなのです。その中で延長した人と短縮した人と両方いるので、少なくともそれで能力発揮の機会を広げる方向性に作用したと言い切れるかというところが誤解を招くかなと思っています。
同じ調査で、3号被保険者の4割近くが就労調整をしたという結果が出ていますので、そこを少し書いたほうがいいかなと思います。やはり就労調整は無視できないですし、最後のところで少しぼんやり書いていますけれども、3号被保険者の問題をどうするのかという議論に、これは今後の議論だと思いますけれども、その芽出しにつながっていくのかなと思っています。
5つ目の○に、「相当数」と書いてあるのも、さっき申し上げたところであります。やはりしっかり分析をしたうえで、「積極的」とか「相当数」という言葉を使ったほうがいいかなと思っています。長くなって恐縮ですが、それが1ポツのほうの話であります。
2ポツの「今後の検討の方向性」については、この議論の中で適用拡大していくべきだという議論がある一方で、そうは言っても、負担なり経営へのインパクトがあるということだと思っていますので、改めて経営のインパクトの話を少しだけ申し上げたいと思います。
前回の適用拡大の結果、計算すると、1人当たり年間24万ぐらい負担が発生するということだったと思います。先ほど最賃のお話がありましたけれども、この間、決着がつきましたが、その前、今年の初めの段階だと874円だったのですが、これについて1,000円を目指すということになっていますから、その差額が126円で、これを1年分にすると27~28万から30万近く負担が増える。賃上げ率にすると15%アップということになります。24万円とほぼニアリーな数字で、適用拡大のほうは当然業種に偏りがあるというのはありますけれども、両方足し上げると3割に近い実質的な人件費増になってくる。最賃1,000円を目指すのは、今のまま3%ぐらいで仮に毎年いくと、2023年ぐらいに到達すると思いますけれども、そういう意味ではむしろ適用拡大のほうが最賃よりも大きな影響があるのかなと思っています。
経済財政諮問会議で安倍総理が最賃の議論の際に、生産性の向上を通じて、中小・小規模事業者が賃金を引き上げる環境づくりを進めるようにということを指示されていますけれども、それも結局、負担がそれだけ大きいということの裏返しだと思っております。やはり、企業の活動を阻害するということでありますので、適用拡大の議論に当たって、企業経営に影響を大きく及ぼすので、そこは慎重な議論、突っ込んだ議論をしたいと思っています。
社会保障のためというのもありますけれども、負担にも限界がありますし、年金制度は今非常に関心が高まっていると思います。だからこそ実際の、現実問題としての負担の面を含め、地に足のついた議論、目配りをした議論をこの懇談会で行って、世の中にしっかり問うていくということが大事なのかなと思っています。
済みません。長くなりました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
いかがでしょうか。菅原構成員、どうぞ。
○菅原構成員 ありがとうございます。
私も今さまざまな委員の方々の意見を伺っていて、第一印象として、確かに回数を重ねた懇談会の割には、方向性についての書き込み方がやや踏み込み不足のところもあるかなと率直に感じました。もちろん、さまざまな意見が並立しているわけで、今後の方向性ということについて細かく書くことは難しい部分はあるのですが、「基本的な考え方」のところで恐らく構成員みんながある程度共有できたところもあって、そこの原理原則に照らした上で、もう少し踏み込んだ書き方ができる論点もあったのではないかなと感じております。
個人的には、幾つか申し上げたいのですが、まず適用拡大の対象企業の範囲については、先ほども平川構成員からありましたけれども、これはあくまでも経過措置ということで今501人以上ということが書かれていますので、その点も考えまして、原則論から言うと、例えば雇用形態による差別的取り扱いがないように、働き方改革でも同一労働同一賃金ということが既に言われていて、こういった理念に立ち上って言えば、雇用される企業の規模によって社会保険の適用状況が変わるという、この合理性は全く乏しいと思います。
もちろん産業構造の変化によって、必ずしも従業員数の多い少ないというのは、企業の社会保険に対する負担能力を意味するわけでも全くありませんし、仮に地域によってたまたま近くに500人以上の規模の就業先があった場合とない場合、たまたまそこに就業できた場合、しなかった場合で、社会保険の適用に差があるということについても、社会的な説明がつかないと思います。
そういった原理原則からすると、基本的には今の500人以上というのは当然見直されるべきで、中長期的には基本的にはなくしていくべきだというところまで書いてもいいのではないかというのが私の個人的な見解です。
もちろん、いきなりではまずいですから、それには一定期間の段階的な措置を設けるということはそうですけれども、それを経ながらも最終的にはなくすべきだという到達点はきちんと方向性として書いてもいいのでないかというのが私の意見でございます。
2番目ですが、私自身が割と積極的に発言をさせていただいた部分ですが、私は大学教員で非常に多くの学生を預かっておりますから、学生除外要件についてはさまざまな発言をさせていただきました。
今、まさしく就職氷河期世代へのリカレントだとか就業支援ということが言われていますけれども、学生として、リカレントでそういった方々が学ばれている例も実際にございます。そういった方々を一律に適用除外するという話になりますと、今の政策の方向性と著しく相反するような要素もあるように感じます。
ここにもう既に幾つか書かれていますので、あえて申し上げませんけれども、全体的な適用除外の話をしていく中で、学生の除外要件だけを存続させるということになりますと、学生の安い労働力という側面を際立たせることになりますから、学業をあずかる立場からしますと、教室から学生がさらにいなくなる。今、就職活動だとかさまざまな側面で、学生の修学期間の確保が学校としては非常に大事な問題にもなっておりますので、なるべくこういった差別的な取り扱いはなくしていく方向が望ましいということを考えております。これは2番目です。
3番目ですが、先ほど佐久間構成員からも御発言がございましたが、被用者保険の適用事業所の範囲ということで、これはさまざまな御意見や状況の差異があるということを十分理解した上で、その中でも、これは社会的にどう考えても今の段階で見直しが必要ではないかという業種もあるように思います。一律全て急に見直せということではありませんけれども、具体的に言いますと、「士業」が入っております。社会保険労務士や弁護士や公認会計士、税理士などといった専門職の方々の事業所が今外れているというのは、こういった適用除外の議論を進めていく上でも、社会的な納得性、同意性は低いのではないかと考えます。方向性として全てを一律に外していくという話ではなくて、時代あるいは状況に応じて外していく、なるべく範囲を縮小していくという議論が必要だと思いますけれども、特に少なくとも「士業」に関しては早急にこの範囲から外していくという議論が必要ではないかと思います。
以上、3点申し上げます。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。それでは、原構成員、お願いいたします。
○原構成員 私も、「これまで議論の整理」、構成員の皆様のお話も聞いて、「今後の検討の方向性」というところの書き方のニュアンスがいろいろ違うという部分は確かにそうだなと思いました。
一つ大きなところで言うと、8ページですけれども、ほかにも今おっしゃった被用者保険の適用事業所とかもそうなのですが、まず、この議論の中で出てきたかと思うのですけれども、8ページの下のところに「健康保険における対応」という部分をまとめていただいたのですが、この懇談会における議論が左側で、右側に今後の検討の方向性ということで出ていて、先に今後の検討の方向性の上の矢印を見てみると、「健康保険との関係については、厚生年金との制度上の差異に係る指摘があった一方」と書かれていまして、「実務上の便宜を踏まえた一体的適用を維持することの必要性も指摘された」と、2つの指摘が併記されていると思われます。その理由が左側に、もちろん下にも、財政について考えられる影響について試算を行った上でということが指摘されたという2個目の矢印もあるわけですが、その根拠になった議論の中に、健康保険と厚生年金保険とでは給付と負担の関係などの特性が異なるということで、これから両制度を一括して適用する妥当性について議論する必要があるのではないかという意見があったかと思います。その下にその反対の意見があったと思うのですが、個人的な意見を言わせていただくと、健康保険と厚生年金保険は社会保険でありますし、例えば給付について見てもそんなに違いがないと言う人と、あると言う人、その人によって考え方が違うと思うのですが、病気で働けなくなったときの所得保障、傷病手当金がそこに書いてあります。出産時に仕事ができなくなる間の所得保障、出産手当金というものが健康保険に入ればあります。これは説明するときはメリットというふうに説明していますが、これしか差異がないと感じられる方もいらっしゃるかと思います。
ただ、何よりも、やはり健康保険と厚生年金というのは、その下に書いてあるとおりで、一体的に維持することがいいのではないかと思うのです。これも併記されているので、どっちのスタンスをとっていくのかというのがまだ不明確だと思うのですけれども、もし仮に別々にしてしまうと、何よりも制度が複雑になってしまうので、人手不足が続く中小企業において事務手続の負担というのが今も大変だと思いますが、さらに健保と厚生年金で適用が異なると非常にまた複雑になるということと、あとは501人以上の企業はもう20時間以上、一定要件を全て満たせば、厚生年金も健康保険も一体的に適用していく中で、それ以下の企業が仮に健保だけは現状のままとしたときに、先ほどもどなたかがおっしゃっていましたけれども、原理原則というか、公平性に欠くものになるのではないかと懸念します。
企業の福利厚生として、雇用形態とか企業の規模とか、どこで働くかということにかかわらず、社会保険の適用が違うということにならないように、同じ保障が受けられるような社会を目指すのであれば、これは働く側にとってみると混乱する部分もありますし、8ページ目の左側の2個目の丸に書いてありますけれども、これも新たな就業調整が生じるというのは十分懸念されると思いますので、また損得のような話になってしまったり、例えば、500人以下だと健保だけは現状の扶養のままでいられるというような損得論みたいなことですが、しかし、何が損で何が得だかわかりませんけれども、そういう方向性になってしまうかもしれないので、働く方は中立的な制度であることが必要と考えます。
この辺については医療保険の財政とかについて影響があるところかと思いますので、そういった点は、適用拡大していくに当たって今後の姿に合ったような形に、財源とかいろいろな支援の部分についても検討していきながら、ここは一体的に、適用拡大していくときには、健康保険と厚生年金は適用を進めていくということは必要だと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、藤井構成員、どうぞ。
○藤井構成員 今、原構成員がおっしゃったことと同じ流れになるのですが、私どもも8ページの「健康保険における対応」のところに2つ書いていただいている中で、健保と厚年を分けるということを議論するのはちょっとどうかなと思っています。
前回申し上げたのですけれども、今の被扶養者は被扶養者のままでとどまって、国保からの流入だけが起こってくるような構図にもなるのかなというのも思いますし、何より、原構成員もおっしゃったとおりなのですけれども、これを実際に分けるとなると、私ども保険者もそうですけれども、事業主とか加入者に対する実務上の負担が、かなり大きな課題を抱えることになるのではないかと思いますので、私どもは健保と厚年は一体的に議論をするべきではないかと考えます。それが1点。
もう一点は、8ページの「健康保険における対応」の下のほうですけれども、きょう健保連の河本構成員が来られていませんが、ペーパーが出ており、そこにも書いてありますけれども、私ども保険者としては財政試算をきめ細かくお願いをしたいということを、これも繰り返しですけれども、改めてお願いをしたいと思います。
この懇談会の場でどこまで具体的な議論をしていくのかというのはまだわからないところもございますが、この懇談会の場にかかわらずということかもしれませんけれども、今後、具体的な案というか、パターンというか、幾つか恐らく事務局から示されていくような流れにいずれなってくるのだと思いますから、その際にできるだけきめ細かな財政試算をお願いできればありがたいなと思います。
以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
それでは、平田構成員、お願いします。
○平田構成員 いろいろな議論が出ているのですけれども、全体としては企業規模要件については撤廃だなと思っています。20時間以上というものについて、前回の適用拡大の議論のときに、被用者性をどこに求めるか。結果的には雇用保険のところと同じラインということに、わかりやすさということでなったわけですが、事業主が負担をして、そして被用者性ですよね、そこが10時間なのか、線引きは難しいですけれども、20時間となった以上、働いている企業によってその人の被用者性が変わるというのは、これはやはりおかしなことだなと思っています。
同時に、先ほど荒井構成員から、1号のほうに大分移ったということに対し、今回の適用拡大に関して、打ち出の小槌のように見るべきではないという意見があり、私はそれに同意なのですけれども、一定層の1号の方が被用者保険に入られたということは大きなことだと思っています。
というのは、1号はそもそも自営業の方、つまり一般の雇用されている人が定年になった後も、つまりそういう年齢になってもなお、収入がある人のための保険というふうに伺っておりまして、そうであれば、1号は本来1号に入るべき方が加入する、という形になるのがいいのではないかと思っています。
以上は「べき論」なわけですけれども、その上で、資料の書きぶりというよりは、今後の改正の方向性において、こういったところにも目配せをしていただきたいなという願いを、働く側、企業側の双方について申し上げたいと思います。
まず、働く側につきまして、先ほど平川構成員より、学生といっても多様化しているというものがありましたが、多様化しているのは学生だけではないという点だと思います。今日はまだ出ていないことで、例えば複数事業就労者、ダブルワーカーの方ですけれども、これは今の流れで、自己成長を高めたり、収入を少し補塡するという形でのダブルワーカーの方もいらっしゃる反面、18時間、18時間で36時間であるというふうに、1カ所で長く働けない、雇用してもらえないからダブルワークをしているという人がいます。そうした人の声実際にヒアリングやインタビューで、最近、聞いています。両者は同じ複数事業就労者ですが、やはり一緒くたにはできないなというところ。これは、ここで議論することが妥当というわけではないと思いますけれども、そういった方々、つまり少数だけれども、非常に困っている方について見ていただきたい。これに関しては、フリーランス、雇用類似においても、同様の状況があり得ると思います。
同じ3号に関しても、とても裕福でこれ以上働く必要がないという方もいらっしゃれば、子育てや介護に追われてこれ以上働くのはもう無理だけれども、家計が厳しいという方もいらっしゃいます。そこを一緒くたに議論するのは、議論せざるを得ないのかもしれない、どこかで線引きせざるを得ないのかもしれないけれども、個別の事情は大分違うということを見ておかないと、この国の今後を考えたときに、10年後、20年後にどうなのだろう、私たちの子供世代がどうなのだろうというふうに考えます。
同時に、企業側に関してですけれども、やはり配慮が必要になると思っています。先ほど事業者による負担差というふうに資料にありましたが、これは負担増差ということで、これまで短時間労働者をたくさん雇用してきたところが負担増になっている。これも適用拡大自体を議論した、前回議論にあったところで、正社員、フルタイムワーカーばかりを雇っていたところは関係ないという話でもあります。でも、そういった方々に活躍してもらって、私たちの生活が成り立っている。例えばスーパーさんですとか飲食業、そういったところで私たちは食事をしながら生きている、いろいろな買い物をしながら生きているわけですけれども、そこがものすごく巨額の利益を得ているかと言えばそうではなくて、いきなりの負担増は耐えづらいというのもあると思います。 中小企業が大企業の下請的になっていて、中小企業が低コストで大企業の仕事をすることが、大企業の利益のもとになっていることもあると思います。ですので、そこに関しましてはやはり相応の支援が必要で、それも生産性向上に関しての支援がやはり大事なのではないかと思います。
ここに関しては、生産性向上のための機能的な支援もそうなのですけれども、人の心の部分ですね。私は企業の働き方改革を支援しておりますが、今、会社の中で、会話がなくなったり、対話がなくなることで、さまざまな意思疎通のそごが生じていて、そのことがすごく生産性を阻害しているという実感があります。なので、もしかしたら企業に対する支援というものも、対話とかコミュニケーションとか、一見、漠としたものでありますが、そんなものが効くのではないかと思っています。
いずれにしても大事なのは、これも平川構成員がおっしゃったことですけれども、今回の適用拡大は、人口であり、経済状況であり、大きな環境の変化の中で我々がどういうふうに日本を支え合っていくのかという議論だ、という認識を持つことだと思います。なので、まずはそのことが国民全員に理解されること。とはいえ、だから働けと言われても働きたくない、などは一人一人の自由なので、働いていることがいいなと思えるような、今の働くことがつらいというような社会とか、思いとか、そんなことが変わるということが、もしかしたら必要なのではないかと思っています。
少し長くなりましたが、以上です。

○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、土井構成員、その次に酒向構成員の順番でお願いします。
○土井構成員 ありがとうございます。
既に事業主の立場から何人かお話しされましたので、簡潔に申し上げたいと思います。
中小・小規模事業者の経営というのは非常に厳しい状況といいますか、いろいろな面で負担が重くなっているのは事実でございます。中小・小規模事業者の側も、従業員に良い環境で働いていただきたいといったことには異論はございませんけれども、企業の使命として大切なのは、安定した雇用を提供して企業は存続し続けるといったことだと思いますので、正直、どこまで企業として負担できるかといったところについて、今後の議論の中で慎重かつ丁寧に御検討いただければと思います。
先ほど来ございましたが、これは年金だけの話ではございませんで、年金については今回の財政見通しでもそれなりの結果が出ましたけれども、今後、健康保険のほうは先行きがかなり悲観的というか、厳しい財政見通しがありますので、年金保険料自体は上昇が一時止まっておりますけれども、今後、健康保険料のほうが上昇していきますと、従業員、事業主の負担というのはまた重くなっていきますし、それは今、賃金が上がっている状況においてはさらに厚みを持って負担になってくるといったことでございますので、その点もお含みおき、御検討いただければと思います。
また、今回検討している幾つかの項目で、仮に適用拡大をする場合でございますけれども、今、任意適用をされている事業者におかれましても、かなりの時間をかけて対応されているといった状況がアンケート等でも見てとれますので、仮に実施するに当たっても十分な準備期間等を確保していただくといったことと、あるいは当然、今よりも規模の小さい事業者が適用の対象となっていくことが予想されますので、中小・小規模事業者に対する十分な支援策もお願いしたいと思っております。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
では、お待たせしました。酒向構成員、どうぞ。
○酒向構成員 ありがとうございます。
まず、前半部分のこれまでの適用拡大にかかわる影響について、2ページ目から4ページ目あたりだと思うのですが、これを一読したとき、先ほど荒井構成員もおっしゃっていましたが、もう少し工夫してもいいという印象を受けたところでございます。
例えば、2ページ目につきましては、どれぐらいの規模感で適用されてきたかといったことを中心に書かれていますが、この部分に関連して、例えば第1回目の資料において、約850億円の負担増になったという推計もあったと思います。企業の負担がどれぐらいかという数字もあっても良いという印象を受けたところでございます。
また、3ページ目の記述について、これも指摘があったところでございますが、「相当数」など、いろいろな書きぶりについて疑問に思うところがあります。そこで、報告書をまとめられるときに、このJILPTの調査結果を引用するときには、もう少し丁寧に、調査結果を併記していただいて、誤解のないようにする方が良いと思ったところです。先ほど、例えば「多数」ということについて、80%というように補足で説明されていたと思いますが、数字があるものは数字を書いた方が良いと思います。
さらに、5つ目の○の「このように」というところですが、積極的に適用対象となるような働き方を選ぶ短時間労働者が相当数見られた一方で、就業調整の要因になっている場合があることも確認される結果となったという記述について、こういった点を気にされる方々もいるので、数字を交えて丁寧に記述した方が良いのではないかという印象を受けたところでございます。
次に、後半の肝心の方向性の議論のところでございますが、まず、基本的な考え方として、雇用形態や企業規模の違いによって社会保険適用の有無が異なる、働き方の多様性に応じて被用者保険のさらなる適用拡大をしていくという方向性については我々も賛同するところでございます。
その前提ですが、6ページ目のところ、まず企業規模要件につきまして、これは働く方にとって合理性がないということはもっともでございますし、労働者の選択にゆがみが生じるとか、人事異動等への影響があるということもありますので、なくしていくという形ではないかと思うところでございます。ただ、書きぶりとして今後の方向性として書かれているところについて、施行の時期・あり方に配慮するということについては、この記述でよろしいのではないかと思うところでございます。
7ページ目、賃金の要件のところで、8.8万円というところでございます。これは繰り返しになりますが、第1回目の会合で申し上げたとおり、国会におきまして、国民年金第1号被保険者とのバランスについての指摘があって8.8万円におさまったということもありますので、それを覆すようなものは今は状況感としてないと思っております。これはこのままで良いのではないかと思っております。
8ページ目の健康保険のところについて、こちらは複数の方から健保への影響についてきちんと見ていただきたいという指摘がなされ、私も同じ指摘をさせていただいているところでございます。この点につきまして、この検討会である程度の一定の条件を置いて試算をしていただき、それも踏まえながらこの要件の見直しについて議論があることを期待していたところでございますが、その試算については今後という形になっていることは残念だと思っております。試算を踏まえた議論ができることが重要であると思っているところでございます。
あとは、重要な点として、適用事業所の範囲につきまして、合理性のある形に変えていかなければいけないので、既にいろいろな方から御指摘があったところでございますが、時代に合った形に変えるという方向性が重要ではないかと思っております。
最後に、複数事業所の就労者についてでございます。この議論の中の3つ目の○でございますが、事業者に相当負担がかかっているところがございますので、法律上の対応に加えて、運用の中で直せるところは直していただきたいと思っております。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかに。では、初めての方を優先させていただきますので、山田構成員、村岡参考人、その後に原構成員。
では、山田構成員、どうぞ。
○山田構成員 ありがとうございます。
先ほど来、規模要件の拡大についての議論が出ていますので、これについて意見を申し上げたいと思います。
原則論は、6ページのところに書いておられるように、経済活動への中立性というところを考えますと、適用拡大という方向なのではないかな、要件をなくしていくという方向かなというのが「べき論」ではないかなと思います。
もう一つつけ加えますと、経済状況がかなり変わって、かつ労働人口が減っている中で、短期的にはなかなか難しいのでしょうけれども、長期的に見たときに考えれば、処遇を改善していくこと自体が人材確保やモチベーション向上につながり、結局企業活動にとってプラスになっていく。そういう方向も考えますと、大きな方向性としては規模要件の撤廃を明記していくということが改めて重要ではないかと考えております。
ただ、先ほど来、事業者サイドの代表からさまざまな意見があったように、現実はなかなか難しいというのも確かなのだと思います。そういう意味では、一つありますように、それなりの猶予期間を設けていくことが重要だと思いますし、もう一つ重要なのは、少し議論もあり、ここにも書かれているのですけれども、全体としての生産性の向上の支援策―、ここに対して、政府もいろいろな形で対応をとり始めているということだと思うのですけれども、例えば最低賃金の問題にしろ、それ以外も含めて、コストが上がっていく、ここに対して事業者がしっかり耐えていくような総合的な対応策を政府としてより強力に進めていくということが、改めて今必要になっているのではないかと思います。
ですから、若干、この検討会の枠から外れるかもしれませんけれども、これを機に、例えば地域別であったり、あるいは産業別に、全体として人材育成をどうしていくのか、あるいは商慣行をどう見直していくのか、あるいはどう事業の協力体制を進めていくのか、そういう総合的な対策を進めていくための、例えば政府の連絡会議をつくっていくような、そういうことも重要な局面になっているのではないかと。そういうところをどこまでここに入れるかはわかりませんけれども、改めてそういうところを強調したいと思いました。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
では、村岡参考人、お願いいたします。
○村岡参考人 ありがとうございます。
市町村、自治体の立場から少し意見を申し上げます。
基本的には短時間労働者の適用拡大については、これまでの適用拡大をしてきた検証結果の中でも、40歳から50歳の女性の加入が多かったというデータもありますけれども、特にこれから少子高齢化が進展をしていく中で、女性の高齢単身世帯の増加というのが地方の自治体の現場では非常に大きな課題となってきていますので、そういった女性の方々が社会保険の適用になって将来の生活が安定をしていくということは、施策の方向性としては大変重要な課題ではないかと考えています。
一方で、若者、いわゆる学生の適用除外の関係ですが、今、自治体の現場ではいわゆる若者の世代というのがこれまでは将来の支え手になるということだったのですが、現在、さまざまな課題を抱える方々もいますので、実際には若者の世代であっても支えられる側になるという実態がありまして、そういった方々に対してどのような支援をしていくのかというのも非常に大きなテーマでございます。
そういう視点からすると、学生時代からしっかりと社会保険の適用にしながら、将来の生活の安定性を確保していく。就職氷河期の問題というのもありますけれども、しっかりとそういう施策としては拡大していくということの方向ではないかと思いますし、一方で事業所の規模の問題ですけれども、自治体によって事業所というのは非常に大きな違いがあります。東京の都会のような環境だとか、我々、高知県の地方都市になれば大企業というのはほとんどありませんので、ほとんどが中小企業という実態もありますので、そういう地域の環境の中で社会保険の適用になるならないという違いが出てくるということは避けていくということが必要ではないかなと思いますので、住民の目線から見れば、適用拡大というのが大変重要な大きなテーマではないかと思っているところです。
一方で、地域の足元を見ていきますと、先ほど言いましたように、地域経済を支えているのが中小企業という実態もありますので、適用拡大したときに本当に地域の経済がどうなっていくのかというのも、自治体の目線から見れば、しっかり検証していかなくてはならない。適用拡大したことによる経済活動への影響も懸念されるところですので、そういった課題については、これからの拡大をしていく施策の中で、中小企業への支援というのもしっかりと議論をしていただかなくてはならないだろうと思っています。
今回の取りまとめで、この懇談会の中で具体的に方向性を決めるというのは、それぞれの立場の違いもありますから、なかなか難しい点もあろうかと思いますので、しっかりとこれまで議論をされてきた課題はどういうものがあって、それを解決しないとなかなか適用拡大にもならないのだよということが理解できるように、書きぶりについてもまた検討していただいて書いていただくということが重要ではないかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
お待たせしました。原構成員、どうぞ。
○原構成員 もう一点だけ、先ほどつけ加えるのを忘れてしまったのですけれども、資料の10ページで、先ほど何名の方からも御発言がございましたが、個人事業所の被用者保険の適用事業所の範囲について追加で述べさせていただきます。
参考資料の118ページに、今までの資料の中にきちんとなっているのですが、これはあくまでも個人事業所の範囲ということであるのですが、「懇談会における議論」の上から2つ目の○の後半で、「昔からずっと範囲の拡大をしてこなかったという経過もあるが、適用事業所の範囲を拡大していく方向で議論し、5人以上の個人事業所は強制加入とすべき」といった意見がこれまで出てきたということです。
その方向でということになるかと思うのですが、確かにいきなりは難しいかと思いますので、この118ページの個人事業主のところで、先ほどもありましたけれども、今の時代とちょっと前とで大分変わっているところですね、個人でやられている方でも、さすがに5人以上使用しているところは、個人でやっているところでは規模としては大きいところかと思いますので、そういったところからまずは順番に拡大していくという方向でいいと思います。
先ほど、法務業というのが出てきましたけれども、もう一つ挙げるのであれば、今、サービス業というくくりがよく労働保険のほうでも出てくると思うのですが、いろいろな種類のサービス業があって、ここには飲食店、理美容店と書いてありますけれども、ほかにもいろいろな新しい業種・形態が出てきています。あと昔ながらのやり方でやっているところと、若い方が独立されて新しい形でやっているところと、個人事業主の中でも多少違う部分があるかと思いますので、そういった意味では少しずつでもヒアリング等を重ねながら、難しい部分はあるかもしれませんけれども、今の時流というか、現代社会に合ったような形で検討を進めてほしいです。また、少なくとも5人というラインは私は残したほうがいいと思います。
それはどうしてかというと、これから起業しようとか、独立しようという方たちも出てくるかと思いますので、いきなりというのは厳しいかと思うので、5人以上となってくるとそれなりに安定した経営をなさっていると思いますので、そういったところでこの部分についての適用範囲の部分は考えて検討していくべきだと思っております。
以上でございます。ありがとうございました。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
ほかに何かございますか。海上構成員、どうぞ。
○海上構成員 議論の大きなポイントの一つである企業規模要件についてだけ一言お話しいたします。
「経過措置である」、また「働く者にとっての不平等な部分がある」という点から、これが長いスパンでいずれ撤廃されていくべきということは、皆さんから、多分コンセンサスを得ているのではないかと思うのですけれども、そのときの経営への影響度に関していうと、逆に企業に対しての支援措置とか補助には別に差があってもいいと思うのです。手厚さに差があってもいい。だから、先ほど平田構成員がおっしゃったように、フルタイムワーカーしか雇用していなければ、もともと影響はないし、パートタイマーの雇用が多いところは大きな影響を受ける。また、正社員対パートタイマーとの割合でも違いが出る。そういう意味では、負担に応じた補助措置、例えば、税制優遇、低利融資、補助金、経営指導、いろいろ経営のための支援ツールがございますので、そういったものを活用して、負担が重い方たちには手厚く、そうでないところにはそれなりにというものでも、不平等はないと思うのです。今の状態は不平等でも、その後の措置は手厚く盛ればいいので、そういう方向で検討してはどうかという意見を付記していただきたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
荒井構成員、どうぞ。
○荒井構成員 2回目で申しわけありません。先ほど、各論のお話を申し上げなかったので、お話したいと思います。
中小企業への影響ということを申し上げましたので、まさに企業規模要件のところは中小企業への適用をどうするかという本丸だと思います。先ほど申し上げましたけれども、経営のインパクトを十分に考慮して、私は、そこは慎重に考えていくべきだと思っております。
それから、賃金要件のところですけれども、これも従前からいろいろ御指摘されていましたけれども、国民年金保険料より安い保険料負担で報酬比例部分も受け取れるのは、やはり矛盾をすると思いますので、そこは見直すべきではないと思っています。
それから、余り御議論がないですが、勤務期間要件です。これは手続の簡素化が大事かなと思っていまして、電子手続もスタートしていますけれども、正直、使い勝手がいま一つよくないという声も聞いておりますので、それは簡素化の状況を見ながら検討していくのが必要かなと思います。
それから、学生の話は前回の会議のときに、私は除外を継続すべきと申し上げたのですけれども、今日資料を拝見していて、外国人留学生の問題がどうしても出てくるかなと思っていますので、そこを議論して、外国人問題に議論が波及していくというのは避けたほうがいいのかなと思っています。今回、取り扱うのはなかなか難しいかなという感じであります。
あと、強制適用のところについては、業種について、これは資料にもありましたけれども、そこは実態をよく踏まえるということかなと思います。
それから、副業・兼業がこれから増えていくので、そこをどう対応していくのかというのは非常に大きな問題だと思います。これは労働政策も含めて、雇用に関する政策の中で考えていく話であるので、適用拡大が先頭を切って議論をしていくというのは難しいかなと思っています。
以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。では、平川構成員、どうぞ。
○平川構成員 きょう、被保険者代表が1人なので、3回目で申しわけありません。
これは余り議論になっていなかったのですけれども、参考資料の17枚目、「短時間被保険者の性別・年齢階級別分布」があります。これを見てみますと問題点としてあるのは、一つは生活保護の現場で、今、単身高齢者、女性の生活保護の受給者数が相当高くなってきているということがあります。それはなぜかというと、働いているときに社会保険の適用除外であったということによって、高齢期になって無年金、低年金者となり生活保護になってしまっているという問題があるのかと思っています。それは現在、地域の中で、まちづくりも含めてさまざまな課題を生んでいるということがあるかと思います。
そういった意味で17枚目のスライドを見ると、特に女子のところですけれども、将来の無年金者、低年金者をここで相当程度防げているということが言えるのではないかと思っています。それが実態として、18ページに書いてあるとおり、元第1号被保険者の国民年金保険料の納付状況を見ても、その効果があらわれているということであります。
今後、さらに例えば、ここに大きな課題となっていますが、就職氷河期世代に対しての支援というのもあるかと思いますけれども、多分、非正規であったりという方も大変多いかと思いますが、そういう就職氷河期世代の方々が高齢者になってくる、2040年問題と言われていますけれども、そういうときに無年金であったり、低年金であったりということをどうやって防いでいくかというのを、今のこの時代、我々の世代でしっかりと解決をしていくことも求められているのではないかと思います。これまでなかった視点なので、「これまでの議論の整理」の中に入れられるかどうかわかりませんけれども、そういう面もあるということも指摘をさせていただきたいと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
大体よろしゅうございますか。積極的な御発言をいただきましてありがとうございました。
それでは、事務局におかれましては、本日の御意見を反映した形で、次回の懇談会までには取りまとめの原案を作成していただきたいと思いますので、今後、それをベースに議論していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
それでは、本日の懇談会は以上で終了したいと思います。
次回の開催予定等について、何か事務局からありますか。
○古川年金局年金課企画官 次回につきましては、具体的な日程につきまして追って皆様に御連絡させていただきたいと思います。
ただいま座長からお話がありましたように、事務局において本日の議論を踏まえて取りまとめの原案を作成させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
なお、この後、事務局から本日の懇談会の模様について記者の皆様にブリーフィングを行いますので、あらかじめ御了承いただきたいと思います。
以上です。
○遠藤座長 それでは、これをもちまして、本日の懇談会を終了したいと思います。
積極的な御発言、どうもありがとうございました。