薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会(2019年9月18日)

日時

令和元年9月18日(水)
10時00分~12時00分

場所

中央合同庁舎第5号館 20階 共用第9会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

出席者

委員

佐藤部会長 石見委員 小川委員 工藤委員
笹本委員 杉本委員 瀧本委員 戸塚委員
中島委員 原委員 二村委員 三浦委員
吉成委員      

事務局

吉田食品基準審査課長 井上室長 中矢補佐
安増主査 林技官 小泉技官

議題

(1)ジフェノコナゾールの新規指定の可否等について
(2)食品添加物公定書追補作成のための食品、添加物等の規格基準の改正について
(3)消除予定添加物名簿について
(4)その他

議事

 

○事務局 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会を開催させていただきます。本日は御多忙のところ御参集いただきまして、誠にありがとうございます。よろしくお願いいたします。
初めに、本日の委員の皆様の出席状況を報告いたします。現時点で、添加物部会委員13名中13名全員に御出席いただいておりますので、本日の部会が成立いたしますことを御報告申し上げます。
本日の資料については、お手元のタブレットを操作して御覧いただくことになっております。机にはタブレット本体、スタンド、スタイラスペン、操作説明書が置かれております。タブレット内の資料等の確認をいたします。画面左上に「FB」と記載された青いアイコンがありますので、そちらをタッチし、左上の「マイプライベートファイル」をタッチしていただきますと、右側にファイルの一覧が出てきます。上から順に、資料1-1「諮問書」、資料1-2「部会報告書(案)」、資料1-3「食品健康影響評価の結果の通知について」、資料2-1「諮問書」、資料2-2「部会報告書(案)」、資料2-3「食品添加物公定書追補の作成のための『食品、添加物の規格基準』の改正に係る意見募集について(周知依頼)に寄せられた御意見について」、資料2-4「食品健康影響評価の結果の通知について」、資料3-1「諮問書」、資料3-2「部会報告書(案)」、資料3-3「食品健康影響評価を行うことが明らかに必要でないときについて(回答)」、資料4「第10版食品添加物公定書作成検討会(第3回)報告について」。その下に、委員名簿、座席表、議事次第とあります。配付物やタブレット内のファイルに不足や不備がありましたら、事務局までお申し付けください。また、議事の進行中においても、タブレットの動作不良などがございましたら、事務局の者にお申し付けください。
それでは、議事の進行を佐藤部会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○佐藤部会長 事務局から、本日の部会の審議品目に関する利益相反の確認結果について報告をお願いします。
○事務局 本日の部会においては、審議対象のジフェノコナゾールが利益相反確認対象品目となっております。当該品目につきまして、本日の部会において退室の必要な委員又は議決に参加できない委員はいらっしゃらないことを確認しております。
○佐藤部会長 それでは、議事に入りたいと思います。議題1の「ジフェノコナゾールの新規指定の可否等について」に関して審議を行います。事務局から説明をお願いします。
○事務局 本議題の資料は資料1-1、資料1-2、資料1-3となっております。資料1-2に基づいて御説明いたします。今般、指定を検討している品目はジフェノコナゾールです。構造式、分子式及び分子量については、資料1-2の1ページ目の2.にあるとおりです。3.用途については、防かび剤です。4.概要及び諸外国での使用状況等について御説明します。(1)概要です。ジフェノコナゾールは、トリアゾール系の浸透性殺菌剤であり、糸状菌の細胞膜のエルゴステロール生合成阻害により殺菌効果を示すものです。(2)諸外国での使用状況等についてです。コーデックス委員会による農薬残留基準では、収穫前及び収穫後の防かび目的での使用による残留基準が設定されております。収穫後の防かび目的として、2013年にばれいしょに対し、4ppmの残留基準での使用が認められております。また、JMPRでは、2007年に評価され、一日摂取許容量、以下ADIと略しますが、0.01mg/kg体重/日に設定されております。米国、カナダでは、収穫前の農薬として、小麦、とうもろこし、ばれいしょ等に使用されております。また、収穫後の防かびを目的として、キャッサバ、さといも、ばれいしょ等に対し、米国では4.0ppm、カナダでは4ppmの残留基準での使用が認められております。欧州連合では収穫前の農薬として、ぶどう、いちご等に使用されておりますが、収穫後の使用に関する基準は設定されておりません。我が国では、平成5年に農薬登録がなされ、収穫前の農薬としてトマト等に使用されておりますが、他方、食品添加物としては使用されておりません。
5.食品添加物としての有効性についてです。ジフェノコナゾールは、単剤又は他剤との併用により、子のう菌類、担子菌類及び不完全菌類に属する数多くの種類の糸状菌に対して防除活性を示すとされており、ばれいしょの乾腐病及び銀か病への有効性について以下の試験成績の結果が提出されております。試験成績を確認した結果、ジフェノコナゾールは銀か病に対しては明確な有効性は確認されておりませんが、乾腐病に対し、単剤又は他剤との併用により、一定範囲の有効性が確認されております。試験成績について御説明させていただきます。試験成績<1>ばれいしょの乾腐病、銀か病に対して、以下の投与群を設定し、Spray処理後、低温・暗所条件で最大8か月保存し、表面又は内部の病変の割合を測定する試験が実施されております。こちらの結果は、乾腐病について、2品種ではジフェノコナゾール単独及び3剤混合群において、長期間にわたり防除効果が認められ、ジフェノコナゾール濃度依存的に防除効果が向上したとされております。1品種については、病害圧力が高かったため、3剤混合剤のうち、最も薬量が高い処理群にのみ効果が認められたとされております。
また、銀か病については、2品種では無処理群での病害発生率が低かったため、処理群との有意差は認められておりませんが、1品種ではジフェノコナゾール単独及び3剤混合群において、長期間にわたり防除効果が認められたとされております。
試験成績<2>について御説明いたします。ばれいしょの乾腐病、銀か病に対し以下の投与群を設定し、Spray処理後、低温・暗所条件で最大3か月保存し、各病変の発生率及び重症度指数を測定する試験が実施されております。その結果、乾腐病について、2~4群のいずれにおいても長期間の防除効果が認められ、ジフェノコナゾール濃度依存的に防除効果が向上したとされており、4群は2及び3群と比較して防除効果が高かったとされております。また、銀か病については、2~4群のいずれにおいても長期間の防除効果が認められたとされております。
試験成績<3>です。こちらはばれいしょの銀か病に対して、以下の投与群を設定し、Spray処理後、低温・暗所条件で最大3か月保存し、銀か病の発生率、重症度指数等を測定する試験となっております。こちらの結果は、2~4群のいずれにおいても長期間の防除効果が認められたとされております。また、発生率については、各処理群において差は認められなかったものの、重症度指数及び胞子数においては、3群と4群は2群と比較して防除効果が高かったとされております。
試験成績<4>についてです。ばれいしょの銀か病に対して、以下の投与群を設定し、Spray処理後、低温・暗所条件で最大6か月保存し、銀か病の発生率、重症度指数等を測定する試験が実施されております。こちらの結果は、2~4群のいずれにおいても長期間の防除効果が認められたとされております。ジフェノコナゾール単剤では発生率を抑制しておりますが、重症度の進行抑制は認められず、3群及び4群の方が防除効果が高く、ジフェノコナゾールを加えた場合に対照薬剤の効果を減じた条件も認められたとされております。
試験成績<5>について御説明いたします。ばれいしょの乾腐病に対して、以下の投与群を設定し、Spray処理後、低温・暗所条件下で最大4か月保存し、乾腐病の発生率、重症度指数を測定する試験が実施されております。こちらの結果は、2~4及び6群のいずれにおいても長期間の防除効果が認められたとされております。
(3)食品中での安定性ですが、ばれいしょに対する作物残留試験の結果、最大の残留量となったのは、1回Spray処理を行った際の3.58mg/kgとなっております。
(4)食品中の栄養成分に及ぼす影響です。食品中の栄養成分に影響を及ぼすとの報告はないとしております。
6.食品安全委員会における評価結果について御説明いたします。平成31年2月20日付けで、食品安全委員会に対して意見を求めたところ、令和元年6月18日付けで結果が通知されております。以下に評価結果を抜粋しております。こちらについてかい摘んで御説明いたします。各種毒性試験結果を踏まえ、無毒性量のうち最小値は、ラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験の0.96mg/kg体重/日ということで、これを安全係数100で除した0.0096mg/kg体重/日をADIと設定しているものです。
7.摂取量の推計です。食品安全委員会の評価の結果を以下の表にお示ししております。国民平均、小児、妊婦、高齢者において、それぞれ163、134、166、164μg/人/日とされております。これらの値の食品安全委員会において設定されたADIに占める割合は、30.8%、84.6%、29.6%、30.5%となっております。なお、本推定摂取量の算定は、農薬として使用した部分は登録されている又は申請された使用方法からジフェノコナゾールが最大の残留を示す使用条件で、全ての適用作物に使用され、加工・調理による残留農薬の増減が全くないとの仮定の下に行われております。また、畜産物における推定摂取量の算定には、各試料の最大残留値を用いたとされております。
8.新規指定についてです。ジフェノコナゾールについては、食品安全委員会における食品健康影響評価を踏まえまして、食品衛生法第10条の規定に基づく添加物として指定することは差し支えないとしております。
9.規格基準の設定についてです。(1)使用基準について、食品安全委員会の評価結果及び米国において防除に必要とされる量から、ジフェノコナゾールは、ばれいしょ以外の食品に使用してはならない。ジフェノコナゾールは、ばれいしょにあっては、その1kgにつき0.004gを超えて残存しないように使用しなければならないとしております。(2)成分規格についてです。第9版食品添加物公定書、農薬規格及び実測値等を踏まえて、成分規格を別紙1のとおりに設定することが適当であるとさせていただいております。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○佐藤部会長 では、審議に入る前に、今回のジフェノコナゾールの食品安全委員会での評価結果について、各委員からコメントがあればお願いしたいと思います。体内動態について、吉成委員、いかがでしょうか。
○吉成委員 食品安全委員会の評価書について、簡単に御説明させていただきます。資料1-3を御覧ください。動物の体内運命試験で、ラットを用いた試験が、13ページから記載されています。下の印刷ページで言うと、19ページから畜産動物の試験が記載されております。非常に試験が長いので、概要を御説明させていただきたいと思いますが、概要は下の印刷ページで58ページです。
Ⅲ.食品健康影響評価というページを御覧ください。その2段落目に、ジフェノコナゾールのラットを用いた動物体内運命試験の結果の概略が記載されています。結論から言いますと、血中濃度の推移あるいは吸収率は、一般的な薬物と変わらず、特に問題となるようなところはございません。それから、体内で生じる代謝物に関しては、2段落目の最終行にある糞中の主要代謝物、これは主に胆汁を介して糞中に排泄されるのですが、それはF又はNと記載されていますが、他にB、D、Mが認められたということですが、これはいずれも水酸化の代謝物、あるいは加水分解を受けたような代謝物であり、特段問題となるような代謝物ではないと考えられます。
畜産動物に関しても記載がありますので簡単に御説明しますと、58ページの下から3段落目ぐらいに記載がありますが、こちらでは代謝物Dというのがよく出ていて、これはラットでも認められる代謝物です。これも加水分解を受けた水酸化体ですので、問題となるような代謝物ではございません。ということから、ジフェノコナゾールに関しては、ヒトのばく露においても、何ら問題となるような体内動態を示すとは考えにくいことと、安全性試験でラットにおいても問題となるような動態はないので、特に問題となるような懸念は無いと考えております。以上です。
○佐藤部会長 続いて、毒性の委員から、何かコメントがあればお願いいたします。戸塚委員、いかがでしょうか。
○戸塚委員 お手元の資料1-3の食品安全委員会からの評価書を基に、簡単に御説明させていただきます。遺伝毒性に関しては、52ページからになります。主に表40を御覧いただくと、まとまっておりますので分かりやすいと思います。この表40に記載されているように、ジフェノコナゾールを用いてバクテリアを使った遺伝毒性試験や哺乳動物細胞を使った遺伝毒性試験、染色体異常試験、UDS試験、小核試験、核異常誘発性試験などが行われています。
バクテリアを用いた突然変異誘発性試験は陰性なのですが、チャイニーズハムスター細胞を用いた染色体異常試験だけが陽性という結果になっています。しかしながら、in vivoを用いた小核試験では陰性という結果になっておりますので、この結果を取って、恐らくジフェノコナゾールに関しては生態にとって特段の問題があるような遺伝毒性は無いと考えたと記載されています。
また、このジフェノコナゾールの代謝物であるC、D及びGを用いて、バクテリアを使った遺伝毒性試験についても行われておりまして、その結果が表41に記載されています。いずれの結果も陰性となっていますので、こちらの代謝物に関しても、生体にとって特段の問題は無いと結論されています。以上です。
○佐藤部会長 続いて、遺伝毒性以外の部分を小川委員からお願いします。
○小川委員 同じ資料を用いまして、下の数字の40ページから一般の毒性試験が記載されています。急性毒性試験は40ページの下にタイトルがあって、41ページに原体の試験の結果があります。原体においては、最低でも1,000以上のLD50ということで、比較的大きな数字が得られております。次のページですが、代謝物についても検討されていますが、おおむね1,000程度のLD50であることが分かりますので、LD50自体は比較的大きなものだと考えます。
次に、急性神経毒性についても検討されています。42ページの一番下にあるように、高用量で投与すると、表19にまとめられていますが、200mg/kg体重以上で雄で握力の低下等が見られ、高用量になるとつま先歩行など、神経毒性に関する所見も見られており、それらの所見が見られていない20mg/kg体重を、1回投与で誘導される急性参照用量としております。
続いて、43ページに10.亜急性毒性試験の結果が記載されています。こちらも複数の試験が実施されていて、ラットの試験の1つ目が43ページにあります。肝絶対及び比重量の増加等が見られているということです。これは比較的高い用量で行われていて、44ページにもう少し用量を振り分けた試験が行われております。こちらについても、同様に肝臓に対する影響、体重増加抑制といった、一貫した所見が見られております。この試験からは、無毒性量は雌で1.67という数字が得られています。続いて45ページのマウスの試験についても、同じような肝臓への影響及び体重増加抑制が見られています。
次に、(4)としてイヌの試験が行われています。こちらは46ページに表がありますが、同じような肝臓と体重増加抑制の所見が見られておりますが、イヌにおいては3,000ppmで、雌雄ともに水晶体の混濁、白内障といった所見が見られています。こちらについては、後で確認の試験が行われています。
次に、90日のラットの神経毒性に関する試験が行われていまして、こちらにおいても握力の低下が見られるということで、先ほどの急性の所見が再現されている状況となっています。47ページには経皮試験がありますが、添加物においては、特に必要とされていない試験でありますが、同じような肝臓に対する影響等が見られています。
11.慢性毒性及び発がん性の試験が複数行われています。(1)として、イヌの1年間の試験が行われていますが、28週間の試験で見られた白内障は見られなかったということです。体重増加抑制が見られるということから、無毒性量が雄の3.4という数字が一番低いということになります。
(2)として、ラットの2年間慢性毒性/発がん性併合試験が行われていまして、こちらは次のページに表がありますが、500ppm以上で体重増加抑制及び肝細胞肥大といった所見が見られています。ラットにおいては、発がん性は認められておりません。これで見られている毒性の一番低い値が500ppm以上、それより低い用量が20ppmということで、雄の0.96mg/kg体重/日が、全体でも一番低い無毒性量ということになります。
次に49ページの(3)、マウスの試験があります。こちらについては50ページ表36に記載されています。一般毒性としては、300ppmまで肝臓及び体重増加抑制が見られています。マウスでは腫瘍の発生が見られていますが、試験途中で用量が変わっていて、3,000/2,500ppmの用量で、表37にあるように用量相関性をもって増加していて、そこで有意差が付く形で肝細胞腺腫と肝細胞がんが見られています。
一般毒性は300ppm以上ということになりますので、発がん性の見られた用量とはかなり大きな差があると考えていいと思います。この試験の無毒性量は30ppmの雄で4.56となります。したがいまして、十分なマージンはあると考えられますし、先ほど戸塚委員から御説明があったように、遺伝毒性機序に基づくものではないということで、ADIを取ることができると考えております。
50ページから生殖発生毒性についても検討されておりますが、高用量においては体重増加抑制とか発育の遅延に関わる所見が見られていますが、催奇形性は出ていないことが確認されています。
あと、下の数字で54ページに白内障の所見についても少し検討されております。18週の試験ということで、この試験では特に白内障は見られておりませんが、28週の試験で見られておりますので、こちらからは確実に白内障を誘発しないことを結論付けることはできないとされております。
そして、55ページに若齢のニワトリを用いた試験がありまして、こちらは種が異なりますが、ニワトリでも白内障を誘発すると考えられるということで、高用量においては白内障が懸念されると考えられます。56ページに免疫毒性に関して記載がありますが、特段問題となるような免疫毒性は無いと考えております。
以上のことから、一番低い用量としては、ラットの2年間試験の無毒性量である20ppmが0.96mg/kg体重/日となります。発がん性に関するところで、肝臓の酵素誘導について吉成委員から追加でご説明いただけると有り難いと思います。よろしくお願いします。
○吉成委員 追加で、55ページの(3)に肝臓における酵素誘導試験というのがあります。薬物代謝に関しては問題ないとお話をしたのですが、今、戸塚委員、小川委員から御説明がありましたように、本剤がマウスの試験では非遺伝毒性のメカニズムで肝腫瘍を発現するということでこの試験が行われています。肝腫瘍で酵素誘導試験というと、御専門でない先生には2つがつながらなかったというお話なのですが、非遺伝毒性メカニズムで肝腫瘍が発現する機構として、化学物質に応答して肝細胞増殖などを促進する転写因子があるのですが、それらを活性化すると、げっ歯動物における肝発がんだけではなく薬物代謝酵素の誘導も起こるということが知られています。したがいまして、この酵素誘導が起こるか否かで、その受容体、転写因子ですが、転写因子を活性化しているかどうかということが分かりますので、この非遺伝毒性メカニズムで肝腫瘍が発現したときには、この試験がよく行われます。その受容体には3種類の受容体が主に関与しているのですが、名前を読みますと、ちょっと細かいのですが、CAR、AhR、PPARαです。
次のページの表の43に、ジフェノコナゾール以外に、PBと書かれているのはフェノバルビタール、3-MCと書かれているのは3-メチルコランスレン、NAFがナフェノピンという物質です。これは陽性対照として用いられています。フェノバルビタールがCARという転写因子、3-メチルコランスレンがAhRという受容体を、NAFがPPARαの受容体を活性化しますので、これらとジフェノコナゾールを比較することによって、どのような転写因子を活性化しているかということが分かります。
結論から申しますと、ジフェノコナゾールはPBと同じようなパターンで酵素誘導を引き起こすということから、表43の上の文章にありますが、ジフェノコナゾール100mg/kg/日以上でバルビタール型及び/又はステロイド型と同様の可逆的な酵素誘導作用を示すということです。ということで、先ほど申しましたフェノバルビタールはCARという受容体を活性化しますので、その受容体を介して活性化する肝細胞増殖、並びに肝発がんを誘発しているだろうということが推察されています。また、この試験においては回復試験も行われていまして、薬剤ジフェノコナゾールの投与をやめますと、このような効果は消失するということも確認されています。
コナゾール類に関しては、フェノバルビタール型の酵素誘導を起こすことと、げっ歯動物において肝腫瘍を発現するということはよく知られている現象です。ジフェノコナゾールもそれと同様のメカニズムで、非遺伝毒性学的なメカニズムで肝腫瘍が生じているだろうということが、この試験で確認されているということになります。CARという受容体を介した肝腫瘍に関しては、ヒトへの外挿性はないとされていますので、これらの結果から考えまして、ジフェノコナゾールに関しては、ヒトにおける発がん性、肝発がんの懸念は無いと考えてよろしいかと思います。以上です。
○佐藤部会長 ありがとうございます。次に有効性について、工藤委員、中島委員にお願いしたいと思います。まず工藤委員、お願いします。
○工藤委員 今回、配付資料の中には無いのですが、微生物のところで詳細なデータについても頂いており、そこも確認させていただきました。そのことを踏まえてコメントですが、防カビ剤ということで、カビに対する効果を見るということですが、特に野菜を使った試験ということで、かなり評価が難しい系での試験だということを、まず前提として認識しています。その中で、試験を幾つかされています。いずれの試験においても、病気が乾腐病と銀か病という2つのカビによる病気なのですが、この2つに対して濃度依存的な防除効果があったという記載もあるのですが、かろうじて濃度依存的にという表現もできますが、どちらかというと濃度が高いほうが効果が高い条件もあったというような意味合いで理解しています。
資料1-2の具体的なページ数については、まず2ページを見ていただければと思います。試験成績<1>を見ていただきたいのですが、ここでは乾腐病と銀か病に対する効果を見ています。3ページの上から2、3行目のところが先ほど発言した濃度依存的というところの解釈です。「また、銀か病については」というところもありますが、ここに記載されているように、ある程度の長期間に渡る防除効果というのは認められていると、データを見て思いました。
試験成績<2>については、乾腐病と銀か病に対しての試験を行っています。この表の下の「ジフェノコナゾール濃度依存的に防除効果が向上したとされている」というところについても、先ほどの<1>の試験と同様に濃度の高いほうが効果が高いという条件があったという内容ということで、この表現かと思います。また銀か病についても、長期間について防除効果が認められたという解釈でよろしいかと思います。
<3>の試験成績については、銀か病に対する試験になっています。これについても、4ページの「その結果」という段落がありますが、最後に「3、4群」、3というのは対照薬剤だけのもの、それから4群については対照薬剤とジフェノコナゾールを加えたものということですが、それはジフェノコナゾールだけと比較して防除効果が高かったという結果が得られています。
<4>については、これも銀か病に対する多剤の試験になっています。この結果については、防除効果が認められたものもありましたが、ジフェノコナゾール単剤では抑制をしたものの、ジフェノコナゾールを加えることによって、その対照薬剤の効果を減じたという条件も見られています。
すみませんが、<3>に戻っていただいて、この部分についてですが、発言を訂正させてください。<3>については、防除効果がジフェノコナゾールによって認められない実験系も、この<3>の中には入っています。特にこの部分について、効果が明確ではないというような文言の根拠になっています。以上のように、訂正させてください。
試験成績<5>については、乾腐病に対しての効果を見ている実験です。これについてはジフェノコナゾールだけ、それから対照薬剤を使った場合、それについても長期間の防除効果が認められたということがあります。
2ページに戻っていただきたいのですが、5.食品添加物としての有効性の所で、2パラグラフの2番目の段落の所なのですが、「試験成績を確認した結果、ジフェノコナゾールは、銀か病に対しては明確な有効性が確認されなかった(試験成績<2>、<3>、<4>)」となっていますが、この部分は、「試験成績<3>を根拠にすると、明確な有効性が確認されなかった条件もあったが」としていただくほうが正しいのではと考えています。乾腐病に対して、単剤又は多剤の併用により一定範囲の有効性が確認された試験成績<1>、<2>、<5>ということでよろしいかと思います。私からは、以上です。
○佐藤部会長 ありがとうございます。それでは、中島委員、お願いします。
○中島委員 資料1-2の3ページの所、「いずれにおいても長期間の防除効果が認められたとされている」といった、いささか曖昧な表現で、工藤委員と同じ資料を寄せていただきまして、私も精査させていただきました。少々ばらつきもありますが、例えば、ばれいしょの銀か病について、無処理では93.1%発生するものが、ジフェノコナゾールを使うと69%にまで低減する。それから、乾腐病についても、これは接種しているのですが、無処理では70%発生するものが、ジフェノコナゾールで処理をすると20%にまで低減する。このように顕著に効いている例もあります。
それから、これは3か月ですが、内部ネクローシスは接種6か月で試したデータです。これについても、無処理では16%内部ネクローシスが発生するものが、ジフェノコナゾールを使うと3.7%にまで低減する。大体4分の1程度になる。これは実は、3種類の品種について試しています。そのうちの2種類については、このように顕著に効いていて、もう1つ全く効いていないように見えるものもあるので、その辺がこのばらつきと工藤委員からも御説明があったことだと思います。それでも効かなかった品種についても、多剤併用では明らかに効果が出ていますので、全般として有効性ありと判定してよろしいかと考えます。以上です。
○佐藤部会長 ありがとうございます。それでは、ジフェノコナゾールの新規指定等の可否について、御意見をお願いしたいと思います。
○中島委員 じゃがいもというのは、何しろ病気に弱いものですので、これに効く農薬というのはいつも必死に探されています。どう探してもクリアカットに効くものは、いくら探しても見つからない。ですので、このように次から次へという状況で、その状況では今回のジフェノコナゾールは、それなりに効いていると判定もできます。また、多剤併用で更に防除効果を上げている。それから、先ほどからお聞きしていると毒性などのそういったものについては許容範囲と考えられますので、私は、じゃがいもに限って使うということであればよろしいのではないかと考えます。
○佐藤部会長 中島委員、ありがとうございます。他にどなたかありますか。
○工藤委員 中島委員が言われたように、有効性については特に乾腐病では確認がされています。銀か病についても、一部試験条件が難しいところもありますので、有効性が少しクリアではない部分もありますが、全般的に有効性についてはあるということ。それから、先ほど来の毒性についても、問題は無いということで食品安全委員会からも出ていますし、問題は無いかと思います。
○佐藤部会長 ありがとうございます。他にどなたか。
○二村委員 私からは質問です。この効果の測定をしていただいたいろいろな試験の中で、対照薬剤A、Bというのが出てきているのですが、これは既に食品添加物として使用を認められている他の農薬というか、そういう剤だと考えてよろしいでしょうか。
○事務局 A、Bのうち1つは、昨年この添加物部会で御審議を頂いたフルジオキソニルです。もう1剤については、まだ日本で認められていませんが、今後、認められるように事業者で検討していると聞いています。
○佐藤部会長 ありがとうございます。他にどなたか、ありますか。
○三浦委員 有効性の評価で他剤と併用しているところがありますが、今回、ジフェノコナゾールの使用は単独で使うことを想定しているのですか。それとも、他のものと併用して使うことを想定されているのでしょうか。毒性試験などでは、単独で全て行われていましたので、もし他剤と使うのであれば、単独の毒性試験で十分なのかどうかということを少し質問させてください。
○佐藤部会長 事務局からお願いします。
○事務局 まず食品衛生法における規制については、このジフェノコナゾールのみで、ばれいしょに対して基準を設定しますので、単剤で使用することができることになります。一方で、事業者から聞いている範囲では、他剤との組合せで使用すると聞いています。
御指摘いただきました毒性試験については、要は多剤併用による複合影響の件と思いますが、平成18年度に食品安全委員会が実施した調査事業で検討しており、個々の食品添加物の評価を十分に行うことで、その複合影響についても実質的な安全性を十分確保することが可能と考えられると結論付けられているものと承知しています。
○佐藤部会長 ありがとうございます。
○三浦委員 もう1点、別のことですが、糞中の主な代謝物がF、N、B、D、Mという御報告でしたが、他の毒性試験C、D、Gという代謝物を主に使われたので、その辺が一致していないところは大丈夫ですか。
○佐藤部会長 どうでしょうか。
○小川委員 すみません、先ほどの農薬添加物食品安全委員会の評価書しかデータがないのですが、少なくとも急性毒性だけではありますが、そちらで代謝物C、D等について検討されている範囲においては、原体と大きな差はない。むしろC、Dについては高用量でないと毒性が出ないという状況です。また、何パーセントというところは規定があるのですか。どれぐらいの代謝物が産出されるかというところで、ある程度できるものについては検討するという決まりが確かあったと思うのですが、それを加味して検討する必要がなかったと認識しています。少なくとも急性毒性については、原体以上の変化はないと考えています。
○吉成委員 ちょっとこの剤は、農薬としても先日審議されたのですが、そこを調べた結果によりますと、植物の体内動態試験をやると、主な代謝物は未変化体ですが、他に記号だけになってしまいますが、K、E、C、D、G、IとC、D、Gが比較的、植物ではできる。ただ、これらの物質はマイナーなのですが、ラットでもできるということで、恐らくその試験が特段されているのは、植物でもできるからということだと思います。ラットでもできる代謝物ということで、植物由来で特殊な代謝物ではないということから、安全性試験ではそのC、D、Gの毒性も考慮されているということで、問題になるような代謝物ではないと思います。
○佐藤部会長 ありがとうございます。他にどなたかありますか。私から記載について、質問なのですが、3ページの試験成績<4>の所に3群と4群、塊茎の所に肩数字が2と入っているのですが、下を見ると脚注では「g/処理は、塊茎32個当たりの薬剤の量を指す」と書いてあって、この肩数字は不要でしょうか。すみません、4ページの試験成績<3>の一番上に2.処理の所に肩数字2というのが入っているのですが、そちらの脚注かなと思ったのですが。
○事務局 失礼いたしました。こちらの脚注の2ですが、この脚注の2は試験成績<3>のg/処理のところに本来記載するべきもので、試験成績<4>の3、4に付いている脚注というのは誤記になりますので、後ほど修正します。
○佐藤部会長 ありがとうございます。他に。
○原委員 すみません、細かいのですが、これ未接種、接種という試験成績だと、接種というのは菌を植えているということですよね。そうすると、後に出てくるのは、接種、未接種とないのは、接種しかしていないから、<3>や<4>は特に記載は無いということですか。
○中島委員 銀か病については、未接種でも山ほど発生するので、未接種で実験をやっているようです。未接種でも90数パーセント。
○原委員 そんなに生じてしまうものなのですね。
○中島委員 じゃがいもは、そこが恐ろしいところなのです。
○原委員 分かりました。ありがとうございます。
○佐藤部会長 よろしいでしょうか。
○吉成委員 全然、違うことでよろしいですか。5~6ページに食品健康影響評価書からの記載があるのですが、そこで2点確認なのですが、1点は5ページの大きく括弧で「食品健康影響評価」の後に括弧で「農薬・添加物評価書抜粋」と書いてあるのですが、これは農薬評価書の抜粋でよろしいですか。添加物評価も同じ記載があるのでしょうか。
○吉田食品基準審査課長 資料1-3を御覧いただくと、食品安全委員会としては、添加物の評価と農薬の評価を合わせて行っている形になりますので、こういう表記になっていると御理解いただきたいと思います。
○吉成委員 すみません、確認不足でした。もう1個は、全くそのまま引用されていると思うのですが、例えば6ページの段落で言うと4段落目なのですが、「各試験の無毒性量等は表45に」と表を引用しているのですが、結局、この報告書の中に表がないので、必要な部分だけ引用されたらよろしいのではないかなと思ったのですが、いかがでしょうか。
○事務局 おっしゃるとおりで、表現を改めたいと思います。ありがとうございます。
○佐藤部会長 他にどなたかありますか。それでは、工藤委員から幾つか御指摘があったのが大きいと思うのですが、これについては事務局で、再度、整備していただくということで、ジフェノコナゾールの新規指定の可否等について認めるということでよろしいでしょうか。事務局は、修正箇所はよろしいですか。
○事務局 修正については部会長、工藤委員、中島委員とも相談の上で対応させていただきます。
○佐藤部会長 それでいいと思います。その他に事務局から何かありますか。
○事務局 はい。その他、細かい文言の変更等の軽微な修正が必要になった場合については、同様に修正内容を佐藤部会長に御確認いただき、特に問題が無ければ手続を進めさせていただいてもよろしいでしょうか。
○佐藤部会長 ということでよろしいですね。ありがとうございます。
○事務局 本品目については新規添加物の指定であるため、分科会では審議事項とされておりますので、審議事項として進めさせていただくことにしております。
○佐藤部会長 こちらもよろしいでしょうか。では、今後のスケジュールについて、どのようになりますか。
○事務局 今回の審議結果については、食品衛生分科会での審議の他、所定の事務手続を開始したいと思っています。
○佐藤部会長 それでは適切に手続を進めてください。
続いて、議題2の「食品添加物公定書追補作成のための食品、添加物等の規格基準の改正について」に関して審議を行いたいと思います。事務局から説明をお願いします。
○事務局 本議題の資料は資料2-1~2-4です。資料2-2、「食品添加物公定書追補作成のための『食品、添加物等の規格基準』の改正に係る部会報告書(案)」を御覧ください。1.食品添加物の規格基準及び食品添加物公定書についてですが、食品衛生法第4条において、「添加物とは、食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用する物」とされており、食品衛生法第11条第1項に基づき、販売の用に供する食品添加物について、製造、加工、使用、調理又は保存の方法について基準を定めること、及び販売の用に供する食品添加物の成分について規格を定めることができるとされております。
2.食品添加物公定書の改正及び改正に伴う告示の改正の経緯についてです。平成31年2月27日開催の添加物部会において、9品目の成分規格設定及び1品目の成分規格改正について、第2回第10版食品添加物公定書作成検討会報告書が取りまとめられた旨の報告を行いました。これらの成分規格案については意見募集、食品安全委員会への食品健康影響評価の依頼等、告示改正に向けた作業を進めることと御報告させていただきました。
3.告示の改正案の概要です。(1)は既存添加物「イソアルファー苦味酸」、「高級脂肪酸(カプリル酸)」、「高級脂肪酸(カプリン酸)」、「高級脂肪酸(ステアリン酸)」、「高級脂肪酸(パルミチン酸)」、「高級脂肪酸(ベヘニン酸)」、「高級脂肪酸(ミリスチン酸)」、「高級脂肪酸(ラウリン酸))及び「生石灰」について、成分規格を新たに設定します。(2)は指定添加物「アセト酢酸エチル」に係る成分規格について、純度試験 酸価を「5.0以下(香料試験法)」から「5.0以下(香料試験法)ただし、指示薬には、ブロモクレゾールパープル試液を用い、指示薬を用いる場合の終点は、液の黄色が青紫色に変わるときとする。」へ改正するという案を考えております。
4.意見募集についてです。成分規格案については平成31年2月28日より1か月間意見募集を行ったところ、見直しを要する意見が4件寄せられております。こちらは資料2―3を用いて御説明させていただきます。資料2-3を御覧ください。資料2-3、「食品添加物公定書追補作成のための『食品、添加物等の規格基準』の改正に係る意見募集についてに寄せられた御意見について」となっており、頂いた御意見とその回答についてまとめております。
1ページ目、各高級脂肪酸の性状についてです。「本品は、無~淡黄色の液体、又は白~明るい灰みの黄色のペーストである」としていたところ、固体状のものも存在することから、固体に関する追記について御意見を頂きました。こちらについては、頂いた御意見及び流通実態を踏まえ、カプリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘニン酸、ミリスチン酸及びラウリン酸は、「性状 本品は、白~明るい灰みの黄色の粉末、薄片、粒又はろう状の塊である」というように、固体を含めた性状といたしました。なお、カプリル酸については柔らかい物質であることから、「液体又はペースト」とさせていただいており、「性状 本品は、無~淡黄色の液体、又は白~明るい灰みを帯びた黄色のペーストである。」と、第10版食品添加物公定書作成検討会報告書から一部文言を修正したものを設定させていただいております。
2ページ目は意見2の続きとなります。各高級脂肪酸の定量法の項目について、操作条件は一条件に設定されるべきではないという御意見を頂いております。こちらは「食品、添加物等の規格基準」中の「第2 添加物」「A 通則」中8.において、「規定の方法に代わる方法で、それが規定の方法以上の精度のある場合には、その方法を用いることができる。ただし、その結果について疑いのある場合には、規定の方法で最終の判定を行う。」と定められておりますので、案のとおりとさせていただいております。
3ページ目、高級脂肪酸(カプリル酸)及び高級脂肪酸(カプリン酸)について、御意見を頂きました。カプリル酸とカプリン酸は、抽出時に極微量の不純物が混入するため、カプリル酸、カプリン酸の純度向上・品質安定のため、不飽和結合を取り除くべく、加水分解後の脂肪酸に水素添加の処理を行うのが一般的であること。現在の規格基準には水素添加の有無は書かれておりませんので、カプリル酸、カプリン酸が主として水素添加を行った製品である旨の記載を頂きたいという御意見を頂いております。こちらの御意見について、今般、成分規格の設定を検討している高級脂肪酸(カプリル酸)、高級脂肪酸(カプリン酸)については、いずれも既存添加物「高級脂肪酸」に該当するものであり、既存添加物は化学的手段により元素又は化合物に分解反応以外の化学反応を起こさせて得られた物質は含まないことから、御指摘の「加水分解後の脂肪酸に水素処理」が行われたものは、今般成分規格の設定を検討している既存添加物には該当せず、水素処理についての追記は行わないこととさせていただきました。なお、御指摘の「加水分解後の脂肪酸に水素処理」が行われたものについては、指定添加物にも該当しない場合は、添加物として販売等を行うことはできないということを申し添えております。
4ページ目、高級脂肪酸(ステアリン酸)について、性状・定量法について御意見を頂いております。性状・定量法に関しては先ほど御説明したとおり、1、2ページ目の意見1、2と同様の回答とさせていただいております。さらにヨウ素価の分析法に関して、クロロホルムを使用しなければならないが、使用しない方法で検討いただきたいという御意見を頂いております。こちらにつきましては、次回以降の改正時に参考とさせていただきます。頂いた御意見及び回答については以上です。
資料2-2にお戻りください。資料2-2の2ページ目、5.食品安全委員会における評価結果です。令和元年7月30日付けで食品健康影響評価を依頼したところ、『食品安全基本法第11条第1項第2号の人の健康に及ぼす悪影響の内容及び程度が明らかであるときに該当すると認められる』旨を、令和元年8月6日付けで頂いております。こちらの判断の理由としては、以下に抜粋して記載しております。
1.既存添加物「イソアルファー苦味酸」、「カプリル酸」、「カプリン酸」、「ステアリン酸」、「パルミチン酸」、「ベヘニン酸」、「ミリスチン酸」、「ラウリン酸」及び「生石灰」に係る成分規格を作成することについて、既に使用されている添加物であり、当該添加物の品質をより確保するため新たに成分規格を設定するものである。したがって、人の健康に悪影響を及ぼすおそれは無いと考えられる。2.の指定添加物「アセト酢酸エチル」の成分規格について、純度試験の改正を行うことについては、一般試験法で規定された操作法との整合を目的としたものである。したがって、人の健康に悪影響を及ぼすおそれは無いと考えられるという御回答を頂いております。
6.告示の改正についてです。食品衛生法第11条第1項の規定に基づく規格基準については4ページ以降に、別紙のとおり改正することが適当であるとしております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○佐藤部会長 それでは、食品添加物公定書追補作成のための「食品、添加物等の規格基準」の改正について、御意見などをお願いしたいと思います。
○二村委員 評価そのものと言うよりは、パブリックコメントでの意見の回答のやり取りで、少し気になったので質問をさせていただきます。意見の3番目です。回答としてはこのとおりだと思うのですけれども、逆に意見が出ている中で、「水素添加の処理を行うのが一般的となっております。」と書いてあるのです。確か指定添加物にもないと思いますし、一般的といわれているが、指定添加物にもなく、既存添加物にも該当しないものが一般的なのだろうかと、少し心配になってしまいました。ここのやり取りはどういうように読むべきなのか、少し解説というか、補足をお願いできればと思います。
○佐藤部会長 事務局、お願いします。
○事務局 一般的というのは、意見提出者の主張ですが、その根拠については承知しておりません。一方で、本品目の成分規格案は、基本的に業界の意見も酌み取った上で、検討会で専門家によって議論された内容ですので、本案は市場に流通しているものを反映した内容と考えております。既存添加物、指定添加物は、それぞれ既存添加物名簿と食品衛生法施行規則別表第一で定められており、これらを逸脱しているものの販売等は違反ということになります。一方で、水素添加を行ったものは食品添加物としては販売等ができませんが、食品外の使用については食品衛生法上の問題はなく、水素添加したものが物質として存在自体が違法といったことではありません。
○二村委員 では、改めてこの回答をもって、食品添加物としてこの形では使えませんということを公知するという意味があるという理解をしてよろしいですか。
○事務局 「既存添加物としては」という意味になります。指定添加物に該当するものであれば、添加物として使用することは可能です。
○佐藤部会長 ちなみに、カプリル酸は、指定添加物のオクタン酸の別名で、香料と過酢酸製剤の製品としては認められています。
○二村委員 分かりました。
○佐藤部会長 他に何か御質問はありますか。それでは、二村委員から御意見がありましたけれども、これについては特段の議論は無いということで、食品添加物公定書追補作成のための「食品、添加物等の規格基準」の改正については、認めるということでよろしいでしょうか。では、部会報告書を取りまとめ、分科会へ報告する手続を取りたいと思います。事務局から、その他ありますか。
○事務局 細かい文言の変更等の軽微な修正が必要になった場合は、修正内容を佐藤部会長に御確認いただき、特に問題がなければ手続を進めてもよろしいでしょうか。
○佐藤部会長 事務局からの提案ですが、そのように進めてよろしいでしょうか。では、事務局から他に何かありますか。
○事務局 食品添加物公定書追補作成のための食品、添加物等の規格基準の改正については、イソアルファー苦味酸等の9品目については、新たに成分規格を設定することから、分科会では審議事項とされておりますので、審議事項として進めさせていただくこととしております。また、アセト酢酸エチルについては成分規格の改正であるため、「その基原、製法、用途等からみて慎重に審議する必要があるとの部会の意見に基づき、分科会長が決定するもの」を除き、分科会では審議事項ではなく、報告事項とされております。報告事項として進めさせていただいてもよろしいでしょうか。
○佐藤部会長 こちらもよろしいでしょうか。それでは、今後のスケジュールはどのようになりますか。
○事務局 今回の審議結果について、食品衛生分科会での審議及び報告の他、所定の事務手続を開始したいと思っております。
○佐藤部会長 それでは、適切に手続を進めてください。次に議題3、「消除予定添加物名簿について」に関して審議を行いたいと思います。事務局から説明をお願いします。
○事務局 本議題の資料は資料3-1の諮問書、資料3-2の部会報告書(案)、資料3-3の食品安全委員会の回答となっております。資料3-2の部会報告書(案)を用いて御説明いたします。
まず1.消除予定添加物名簿についてです。食品衛生法及び栄養改善法の一部を改正する法律附則第2条の3第1項の規定により、厚生労働大臣は、「既存添加物名簿」にその名称が記載されている添加物について、その販売等の状況からみて、当該添加物等が販売の用に供されていないと認める時は、当該添加物の名称を記載した表(以下「消除予定添加物名簿」という。)を作成することができることとされており、同条第2項の規定に基づき、平成31年2月28日に10品目を記載した「消除予定添加物名簿」を公示いたしました。
同条第3項の規定により、何人も「消除予定添加物名簿」に関し、訂正する必要があると認めるときは、公示の日から6か月以内に限り、その旨を厚生労働大臣に申し出ることができるとされております。こちらについては令和元年8月27日まで厚生労働省のホームページ及びWTO通報等を通じて、「消除予定添加物名簿」の訂正の申出を募集いたしました。結果として、ゴマ柄灰抽出物について「消除予定添加物名簿」からの消除の申出があり、内容について確認したところ、理由があると認めたことから、当該品目を「消除予定添加物名簿」から消除し、別紙1に示したとおり、残りの9品目を「既存添加物名簿」から消除することといたしました。
2.消除対象となった添加物のうち、告示の改正を伴うものです。消除対象となった添加物のうち、香辛料抽出物のうち、チャービルから抽出し、又はこれを水蒸気蒸留して得られたものについては、「食品、添加物等の規格基準」において製造基準が定められております。こちらについて、当該基準を削除する必要が生じました。
続いて、3.食品安全委員会における評価結果です。本告示の改正案については、食品安全基本法第24条第1項第1号に基づき、令和元年9月2日付け厚生労働省発生食0902第1号により、食品安全委員会に照会を行ったところ、『食品安全基本法第11条第1項第1号の食品健康影響評価を行うことが明らかに必要でないときに該当すると認められる』旨、令和元年9月10日付け府食第312号により通知されております。通知内容の詳細については、資料3-3のとおりです。
次のページですが、最後の4.告示の改正についてです。食品衛生法第11条第1項の規定に基づく規格基準については、別紙2のとおり改正することが適当であると考えております。別紙2を御覧ください。別紙2については、改正前の製造基準が表の右側に、改正後のものを左側にお示ししております。改正前の表の1枚目の下のほうに、下線が引いてある物質名があります。チャービルの所ですが、こちらの記載を削除することとなります。御説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○佐藤部会長 それでは「消除予定添加物名簿」について、御意見等をお願いしたいと思います。
○杉本委員 1つ質問します。上から20行目ぐらいに、ゴマ柄灰抽出物について「消除予定添加物名簿」からの消除の申出があり、内容について確認したところ、理由があると認めたことから、この消除リストから消除されたということですが、ここの「理由がある」というのは、所定の手続に従って流通の確認が取れたという意味でしょうか。
○事務局 はい、そのとおりです。
○佐藤部会長 他によろしいでしょうか。それでは一とおり審議を頂いたということで、「消除予定添加物名簿」については、認めるということでよろしいでしょうか。
では、部会報告を取りまとめて、分科会へ報告をする手続を取りたいと思います。事務局から、その他にありますか。
○事務局 細かい文言の変更等の軽微な修正が必要になった場合は、修正内容を部会長に御確認いただき、特に問題が無ければ手続を進めてよろしいでしょうか。
○佐藤部会長 事務局からの御提案はよろしいでしょうか。では、事務局から他にお願いします。
○事務局 本議題のうち、製造基準の改正については、「既に定められている基準の一部改正のうち、食品健康影響評価を行うことが必要でない場合に該当する改正」で、「その基原、製法、用途等からみて慎重に審議する必要があるとの部会の意見に基づき、分科会長が決定するもの」を除き、分科会では審議事項ではなく、報告事項とされています。報告事項として進めさせていただいてもよろしいでしょうか。
○佐藤部会長 こちらもよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、今後のスケジュールはどのようになりますか。
○事務局 今回の審議結果につき、食品衛生分科会での報告の他、所定の事務手続を開始したいと思っております。
○佐藤部会長 それでは、適切に手続を進めてください。続いて、報告事項「第10版食品添加物公定書作成検討会(第3回)報告書について」に関して、事務局より御説明をお願いします。
○事務局 資料4、「第10版食品添加物公定書作成検討会(第3回)報告書」を開いてください。こちらは第3回食品添加物公定書作成検討会で行った審議を報告いただいたものです。
3ページからごらんください。第3回検討会は、今年の1月15日に開催されました。検討結果としては(1)既存添加物9品目の成分規格の提案において、成分規格案が決定されました。これはまだ成分規格がない既存添加物について、新たに成分規格を提案するものです。3ページの没食子酸、4ページの1番下のジャマイカカッシア抽出物、5ページの下のほうのヒアルロン酸、6ページの一番下のグルコサミン、7ページの一番下のヒマワリ種子抽出物、8ページの下のほうの酵素処理レシチン、9ページの中頃のゲンチアナ抽出物、10ページの塩水湖水低塩化ナトリウム液、一番下のコメヌカロウの成分規格について、新たに御提案を頂いております。
また、11ページの中頃の(2)成分規格改正の提案において、現行の既存添加物の成分規格と試薬・試液について、最新の科学的知見や国際的状況に基づいた改正の提案を頂いているものです。11ページのL-グルタミン酸カルシウム、ラカンカ抽出物、12ページのプロピレングリコール脂肪酸エステル、アスパルテーム、13ページの中頃の二酸化チタン、14ページの中頃のキサンタンガム、同ページのアルギン酸と過酢酸製剤、15ページの次亜臭素酸水、テルピネオール、15ページの下のほうからは試薬・試液ということで、複数の試薬・試液の改正案を頂いています。具体的な成分規格案については、20ページ以降に全て並んでいるものです。
こちらの報告書の内容について、厚生労働省のWebサイトを通じて、意見募集を行います。その後、食品安全委員会で評価を頂き、再度、この部会において審議事項として改正が妥当かどうかの審議を頂く予定となっております。私からの報告は以上です。
○佐藤部会長 ただいまの報告について御質問、御意見はありますか。よろしいでしょうか。発言等がないようですので、次回の予定について、事務局より御説明をお願いします。
○事務局 次回の添加物部会は日程調整をさせていただきますので、日時、場所及び議題については、改めて御案内をさせていただきます。
○佐藤部会長 それでは、本日の添加物部会はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。