2019年度第1回化学物質のリスク評価検討会(遺伝毒性評価ワーキンググループ)議事録

厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

日時

令和元年9月26日(木)13:28~15:27

場所

中央合同庁舎第5号館20階 共用第9会議室

議題

  1. 微生物を用いる変異原性試験の具体的手法及び試験結果の評価方法について
  2. その他

議事

 
○阿部中央労働衛生専門官 そうしましたら、ちょっと3分ぐらい早いですけど、委員各位、傍聴者の方々もおそろいということですので、2019年度第1回化学物質のリスク評価検討会(遺伝毒性評価ワーキング)を開催させていただきたいと思います。
  本日は、委員の方々皆さんおそろいです。
  事務局側に異動がございましたので、御挨拶をと思っております。
  8月1日付で化学物質評価室長に着任しました内田です。
〇内田化学物質評価室長 新しく担当することになりました、内田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○阿部中央労働衛生専門官 他の検討会ではお会いしていますが、自分も遺伝毒性の枠組みでは初めてかもしれません。私、中央労働衛生専門官ということで、4月1日からですけれども、来ております、阿部でございます。よろしくお願いいたします。
  そうしましたら、以下、議事進行につきましては、座長の清水先生にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○清水座長 今日は、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。これからワーキンググループを開始するわけですけれども、まず、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○阿部中央労働衛生専門官 今回、もともとペーパーレス開催を想定しておりまして、資料についてはWebのほうには載せさせていただいておるんですが、すみません、タブレットの数が足りず手配できなかったということで、委員各位には、事前のご案内とは異なりますが、紙媒体で資料をお手元にお配りしてございます。
  配付資料としましては、表に議事次第と書いてあります紙の裏に「配付資料一覧」として一覧を目録的におつけしております。また、主な資料としては、資料1として、「変異原性試験等結果検討委員からの指摘について」ということで、今、画面のほうにも出力しましたような感じの紙を用意しています。各論点に対応する告示、通達等を並べたものがつらつらと何ページ分か続いていて、最後、(8)まで記載しているものになっています。
  その次に、参考1として、リスク評価検討会の開催要項・名簿。参考2-1から2-3までが、今回の議題に関係する化学物質調査課長事務連絡や、この有害性調査の制度に関する労働安全衛生法令等の関連条文。その次に、参考3-1及び3-2として、新規の届け出の際にここの取り扱いどうしたらいいですかというような御質問をいただいているものに関するQ&Aの基安化発の通達と、今現在、厚生労働省のホームページのほうに載せておりますQ&AをPDFに出力したもの。それから、最後に、参考4-1、4-2としまして、現在、国がスクリーニング試験を委託事業で実施しておりますけれども、そのうちの変異原性試験に関する事業の仕様書と、その仕様書内の試験の手法等に係る部分と課長事務連絡の記述を比較した横表をおつけしているところでございます。
  一つ一つの資料につきましては、ほぼほぼ御参考ということで、ポイントはもうこの資料1のみと。こちら一本勝負になっておりますので、こちらに欠けがなければよろしいかなと思いますが、参考でもし不足等ございましたら、後でも結構ですので、御指摘いただければと思います。
  以上です。
○清水座長 ありがとうございました。
  それでは、これから早速、議事に入りたいと思います。
  今日の議題は、まず、議題1の微生物を用いる変異原性試験の具体的手法及び試験結果の評価方法についての検討ということでございます。
   まず、これに関しまして、事務局から説明をお願いいたします。
○阿部中央労働衛生専門官 そうしましたら、資料1を御覧いただければと思います。
  皆様、ちょうど委員としては重なっている枠組みなので御承知と思いますけれども、傍聴者の方も含めて、改めておさらい的に御説明させていただきますと、労働安全衛生法の57条の4の規定に基づきまして、新規化学物質については、届け出を行っていただいております。その際に、変異原性試験、法律の用語でいきますと有害性の調査という言い方をしておりますけれども、内容としましては、変異原性試験をやっていただいていて、その結果について届け出をしていただいております。その届け出ていただいた結果につきましては、有識者から御意見をいただくということで、変異原性試験等結果検討委員という枠組みがございまして、そちらのほうに試験結果を見ていただいて、コメントをお返しいただくというような形で、有識者から御意見を得て、それを、届け出ていただいた事業者への指導に反映するという枠組みになってございます。
  そういった変異原性試験等結果検討委員の方々からいろいろ御指摘いただいているものがあるわけですが、それがたまたま特定の事業者さんの届出の内容に不備があるとか、そういったものであれば粛々と直してくれというだけなんですけれども、そういった個別の事案ではなくて、そもそも今、我々が制度として持っております変異原性試験の、有害性調査の制度そのものの、調査の基準の見直しが必要なものがあるのか、ないのかというようなところとかも踏まえて、皆様の御指摘の趣旨、背景ですとか、そういったものをお伺いしながら、今後の対処方針を御相談させていただきたいというふうに考えているものがあります。
  そうしましたら、資料1の内容のほうなんですけれども、項目としては、大きく1と2に分けております。1が委託事業の調達仕様書には反映済みの事項ということで、(1)ガスばく露法の導入というところから順次並べております。それから、2としましては、その他近年しばしば見られる指摘事項ということで、中身としましては、「プレインキュベーション法又はプレート法の選択」というのを(1)に記載しているところです。
  ざっくり申し上げますと、今までも、この遺伝毒性評価ワーキンググループの場も含めてなんですけれども、折々御指摘いただいている改善ポイントがございまして、例えば、ガスばく露法につきましては、被験物質が気体また揮発性である場合等にガスばく露法による試験を採用すべきと。こういった御指摘を、本ワーキングもそうですし、変異原性試験等結果検討委員のほうからも頂いている部分がございました。そこで、これまで、さまざまな場で御議論いただいた結果、先ほども御案内させていただきましたように、国がスクリーニング試験を委託事業でやっておるんですけれども、そのスクリーニング試験のほうの変異原性試験の調達仕様書にはいくつか反映済みの事項がありまして、それが1に挙げている範囲になります。他方、その調達仕様書にも出てこない、何も手当てができていないものが2以降と思っていただければと思います。
  具体的な論点につきましては、一つ一つ、現状の対応状況も含めて御説明させていただければと思うんですが。
  まず、1の(1)ガスばく露法の導入というところにつきましては、まさにガスばく露法による変異原性試験ですね、これを導入すべきというところにつきまして、委託事業の調達仕様書のほうには、「プレインキュベーション法、プレート法又はガスばく露法」ということで、ガスばく露法に関する規定を入れておるところでございます。このような文言につきましては、以前、本ワーキングの場で御確認いただいているというふうに認識しております。実際には、すみません、ガスばく露法を導入するに当たっての関連の記載はなにぶん量が多いので、これについては、冒頭部分だけ抜き書きしておりますけれども、実際には、標準の最大用量ですとか、そういったものについてもいろいろ書き込んでおります。……が、過去に御相談させていただいたときには、労働安全衛生法に基づく有害性調査、つまり届出制度のほうにもこのガスばく露法の導入を反映するというところを念頭に置いていたんだと思うんですけれども、この制度への反映についてはまだできていないというのが現状です。これが(1)になります。
  続きまして(2)になりますけれども、制度への反映の状況はほぼ同様です。調達仕様書には書いていますが、制度には未反映という段階ですね。内容としましては、S9mix条件下で、2-アミノアントラセン、「2AA」と書いていただいていることが多いですけれども、陽性対照物質として、2AA単剤にするなというところを御指摘いただいておりまして、他の適切な剤、具体的にはベンゾピレン又はジメチルベンズアントラセン、こういったものを併用するべきだと、御指摘いただいているところでございます。こちらも調達仕様書には、代謝活性化系を用いる場合、S9mixを必要とする陽性対照は、以下を考慮して選択せよということで、『2AAをS9mixの有効性の唯一の指標としてはならない』、『ベンゾピレン又はジメチルベンズアントラセンを加えることが望ましい』というような記述を反映しているところでございます。
  続きまして(3)、次のページに行っていただきまして、試験で使用するプレート数ですね。プレート数につきましては、用量設定試験、本試験、確認試験、いずれも2枚以上ということを求めております。現状のもろもろの告示の記述なんかでも、2枚以上というのが明記されているんですけれども、そうは言っても、2枚以上のプレートで2回本試験を行う場合には、用量設定まで2枚使用を必須にしなくていいんじゃないのというようなところを御指摘いただいたというふうに認識しておりまして、用量設定試験については、ここで記載した本試験で2枚を2回という条件に限ってですけれども、1枚のプレートとして差し支えないというような御意見をいただいていたと伺っております。こちらにつきましても、調達仕様書には反映しているところです。
  それから(4)、同じページの中ですけれども、菌凍結液の調製につきましては、少量ずつ凍結するべきと御指摘いただいているところでございます。
  (5)のテスト菌株の前培養ですとか、(6)被験物質の調製のところですね、こういったところもほぼほぼステータスとしては同様ですので、ちょっとすみません、細かい説明は割愛させていただきますが。調達仕様書のほうには、従前、先生方に御相談させていただいた文言で入れさせていただいているところなんですけれども、制度のほうには反映できていないというのが現状です。
  その次、2としてその他近年しばしば見られる指摘事項というのがございます。こちらにつきましては、制度云々というところを抜きにして、実際、届け出られた試験の結果を皆様に見ていただいている中で、実際、こういう御指摘をいただいたというものをとりあえず機械的に挙げさせていただいておるんですが。
  大臣告示で、試験方法につきましては「プレインキュベーション法若しくはプレート法又はこれらと同等以上の知見を得ることができる方法により行わなければならない」ということを書いておりまして、プレインキュベーション法とプレート法が示されていますよという中で、じゃあ、具体的にプレインキュベーション法って、どういうときにやらなきゃいけないんだっけとか、プレート法ってこれだけだとだめだよねとか、そういったところについては、あまり考え方が示されておりません。あえて言うなら、Q&Aベースなんですけれども、一番下にちょっと書かせていただきましたWebサイトの記載があるくらいです。「容易に加水分解する被験物質の場合には、分解物を試験すればよいでしょうか?」というQに対して、「分解物ではなく、分解前の物質を脱水した溶媒を用いて、プレインキュベーション法ですばやく試験を行ってください。」とお答えしている、こういうことがちょろっと書いてあるくらいしか、プレインキュベーション法を採用すべき場面のようなものを明示しているものは見当たらないんですけれども。実際には、委員の方々から折々御指摘いただいているものがありまして、プレート法のみで陰性と判定しているケースがちらほらあるけれども、こういう場合にはプレインキュベーション法で行うことが望ましいという御指摘をいただいているところでございます。もし、プレインキュベーション法を採用すべき条件みたいなものがあって、制度の方に反映できていないものがあるのでしたら、そうした条件を明確に書き加えていくというところはあり得るのかなと思っているところです。
  また、実は、この論点ペーパーにも明確に書いていない部分で申し訳ないんですけれども、実際には、プレインキュベーション法だけじゃなくて、いわゆる改良プレインキュベーション法というものもあると伺っておりまして、その辺り、ただのプレインキュベーション法ではなくて改良版のほうでやるべきだとか、そういったところもひょっとしたらあるかもしれないなというところもありますので、ある程度、こういう場合にはこういう試験方法を採用すべき、みたいな御意見をいただけるとありがたいのかなと。今後、そういった試験方法ごとに採用すべき場合をもうちょっと具体的に規定の方に書いていくことはあり得るかと思っているところです。
  次のページに行かせていただきまして、(2)生菌数が低い場合の対処についてなんですけれども、前培養液の生菌数が1×109/ml以上となっていないケースがございまして、結果的にそこまで至っていないものが多いんですけれども、場合によっては再試験を要請するべきではないかというようなニュアンスの御指摘をいただいているケースがちらほらございます。結果的に陽性の判断となっているから再試験の要請はまでは必要ない、としていただいているようなケースが多いんですが。端的に申し上げると、今、1×109というのが生菌数の目安とされていて、実際、1×109以上であることを確認せよというような文言はあるんですけれども、それを満たしていないものについては再試験が必要だというような規定は無いもので、もしそういった場合には再試験を要請するべきなのであれば、そのような取扱いについてもちゃんと書かないといけないのかもしれないなというようなところがございます。果たして、これが判断にどのぐらい影響するような要素なのか、例えばOECDのガイドライン上の何それの記述に照らしてみると、やっぱりここはマストなんだとか、そういったところとかがもうちょっとクリアになって、必要な部分は規定に書き込んでいくようにすると、委員各位からのコメントを届出事業者のほうにもお示ししやすいのかなと思っているところです。
  (3)の製造後6カ月以内のS9の使用というところも同様です。こちらも、製造から1年経過とまでは行かないまでも、6カ月は超えちゃっているようなS9を使っているケースがあって、そういったものを使うのはどないやねんと、そういう御指摘をいただいているケースがちらほらございまして。じゃあ、果たして、S9の製造から使用までの期間の制約があるかというと、少なくとも規定上はあまり明確には書いていないというのが現状です。課長事務連絡のほうでS9mixの組成についてはお示ししているんですけれども、使用期限みたいなものを設定しているわけではないと。
  (4)、次のページに行きまして、被験物質の純度換算というところです。こちらにつきましては、被験物質の純度が十分に高くないもの、例えば95%未満のものなんかでは純度換算を実施するべきじゃないかというふうに御指摘いただいているケースがございます。純度換算につきましては、これは実はあまりちゃんとした文章かというと微妙なんですけど、厚生労働省のホームページ上には不純物の取り扱いについて記述している部分がございまして。不純物がまじっているものをどうすればいいですかという御趣旨の御質問ですね。それに対して、できるだけ不純物を分離したものを用いるのが原則だけれども、限界がある場合、例えば不純物が分離できない場合には、純度95%以上であれば、主成分の単一物質としてよく、純度換算も要らないかな。95%を切ってくるようなら、ちょっと純度換算までしようかみたいな、そういう考え方は何となく示してあるんですけれども。具体的な換算の仕方ですとか、じゃあ本当に95%というラインでいいのかとか、そういったところがちょっとよくわからないような状況になっています。
  ページを二つばかりめくっていただきまして、(5)機器計測時の補正についてです。機器計測の場合には、補正を適切に実施すべき旨の御指摘をいただいています。具体的にどの機器の何をという話ではないんですけれども、機器計測に関して何も記載をしておりませんので、何らかの補正に関して、明確にしておくべきものがあるのか、ないのか。例えば、注意事項として、こういう点はよく抜けていることがあるので注意するべきだとか、今後、こういう機器については、これこれこういう補正の方法が必要だとか、そういったものがあるのか、ないのかみたいなところを御教示いただけるとありがたいかなと思っているところです。
  (6)は、すみません、こんなのもあるんやなというぐらいで気にしないでいただいてもいいのかもしれません。最終報告書で、和暦と西暦の表記が混在しているものをいずれかに統一すべきと御指摘いただいておりまして。これは、届出の際の報告書の様式なんかももちろん示しているんですけれども、和暦、西暦の記述は確かにないので、事業者さんから見ると、特に何も考えずに埋めてこられているだけだと思うんですね。これに対して、例えば、諸外国からの届出に和暦を要求するのも難しかろうと思われることを踏まえ、この際、西暦に統一するとか、何らかの考え方をお示ししていく必要があるのかなと思っているところです。こちらは、極めて事務的な話なので、有識者各位にご相談というよりは、事務局側で調整させていただく話かなと思っておりますが。
  次の(7)につきましては、使用する菌株の種類として、TA97Aという、すみません、ちょっと私も詳しく承知しておらんので申し訳ないんですが、使用実績が乏しいのではないかという御指摘をいただいているものがございます。有害性調査の制度の上で使用する菌株の種類につきましては、大臣告示で、一部ちょっと漢数字が混じっているので若干見にくいかもしれませんけれども、ネズミチフス菌TA九八、一〇〇、一五三五、一五三七などと並べて、TA九七又は九七aというのが一応書いてある、列挙されているんですね。そのほか、大腸菌のほうもあるんですけれども、大腸菌は、これはWP二なんですけど、漢数字の2がここにまじっているので非常に見にくいんですが、こういう菌株の種類が告示で挙げられております。
  告示下の労働基準局長通達ですとか、課長事務連絡なんかも、当然、この規定をベースにしておるんですけれども。私も有識者各位からのご意見の取りまとめなどをさせていただいていますが、その中で、確かにほぼほぼTA97Aを使っている例は見ないんですよね。そういった意味では、使用実績が乏しいというところは御指摘いただいているとおりなのかなと思うところもあるんですけども。じゃあ、果たしてTA97Aは使用実績が乏しいから使っちゃだめよと言えるかというと、それは流石に告示等の規定に相反する部分がございますので、妥当ではないと。そこで、例えば、そもそもこういう場合にはこういう菌株を使うべきだとか、逆に、こういうケースでこの菌株を使うのは不適当だとか、そういう何か目安みたいものがあるようでしたら、この際、Q&Aレベルの話にしかならないかもしれませんけれども、何らか考え方を示しておくのが親切なのかなというふうにも思っているところでございます。現状は、特に何も指定していない、根拠となるような文章がないというのが実態ですが。
  最後に(8)として、沈殿がない用量での実施というものを記載してございますけれども、全ての用量で沈殿が生じているケースで、沈殿がない用量でも試験を実施すべきだった、という御指摘をいただいているケースがございました。沈殿につきましては、下のほうに告示、施行通達等の関連の記述を並べて書いておるんですけれども、結論としましては、沈殿を目視により確認するというようなところはあるんですけれども、そもそも用量設定の際に、用量設定試験で被験物質が必ず沈殿するのはいいとして、沈殿しないところまでやれというような規定はあまり明確にないんですね。なので、結果として沈殿がない用量でも試験を実施するべきだとすると、そもそも、例えば用量設定の段階についてそういう考え方を示しておく必要があるのではないかとか、そういう話があるのかなと思っています。
  ここまで、御指摘の趣旨を機械的に挙げさせていただいておるんですが、ちょっと科学的、技術的にどういう御趣旨の指摘なのか、わかりかねているところもありまして。不備・不足等ですとか、そもそもこれは具体的に何と指摘されていたのとか、何かあれば是非おっしゃっていただければと思うんですけれども。
  以上、つらつらと論点を御説明させていただきましたが、これらの点について、今後、委託事業の調達仕様書に反映というのももちろんあるとは思うんですけれども、必要なものについては、最新の科学的知見に基づいて、有害性調査の制度のほうにも反映していくというところを考慮せないかんのだろうと考えておりますので、その点を、それぞれご教示いただければと。あるいは、これをこれこれこういうふうに制度に反映する際には、例えば、こういう点に注意するべきだとか、これこれとの整合性に留意するべきだとか、そういった点についても、論点ごとに御知見をいただけるとありがたいなということで、今回、御相談させていただいている次第です。
  長くなりましたが、私のほうからの資料の御説明は以上になります。
○清水座長 ありがとうございました。
  毎年、千数百物質の物質を評価いただいているわけですけれども、その中で、いろいろな質問が出てきて、こういうような問題点として、今日挙げられたものと思われます。
  それで、最初から順番に検討していきたいと思いますが、まず最初のガスばく露法の導入のところで、アンダーラインの引いたところが問題ということですよね。
○阿部中央労働衛生専門官 そうですね。関連の規定が書いてあるところになります。
○清水座長 はい。ということで、一番最近の資料、改善されたものといいますか、委託事業の調達仕様書が一番最近出されたものと考えていいわけですね。
○阿部中央労働衛生専門官 はい。
○清水座長 このように改定されてきたということなんでしょうけれども、この件に関して、何か御意見ございますか。
○荒木委員 基本的には、ガスの試験方法というのは、以前はなかった。プレート法かプレインキュベーションという、これは液体、固体を対象にしているので、ガスはどうやって試験するのという、労働環境はかなりガスが多かったので、一つはそういうことで入ってきた。わかってきたことは、結構揮発しやすいものを試験すると、プレート法、プレインキュベーション法だと、最初に高濃度にさらされて、その後、プレートの中から飛んでいってしまうという、そういう現象が起きていて、十分にいわゆる菌と接触していることができなくて、毒性だけが出てしまって、変異原性が出ない物質があるということがわかった。ある程度、揮発性の高いものについては、このガスばく露法を使うと、通常のやり方だと陰性なんだけど、陽性が出ますよというのがある。
  それで、ケース・バイ・ケースだけど、そういったものに関しては、ガスばく露法をやったほうがいいのではないですかという話ですね。ただ、ガスばく露法って、どこでも今できるというわけじゃなくて、やっぱり限られたところでしかできないから、その当時、ガイドラインまでつくってやらせるということはちょっとどうかというのもあった。もう一つは、揮発性の高い物質とかガス状の物質が世の中にこれから先にもたくさん出てくるのかというと、やっぱり既存でもうほとんどが試験されてきているので、限られたものだけをやればいいだろうということで、特に今まではちゃんとしたガイドラインみたいなものにもなっていないし、その都度、物質ごとに指示をして、やってもらっていたというのが現状だと思います。
○阿部中央労働衛生専門官 そうしますと、何というのか、例えば、試験方法の選択のところでガスばく露法を選ぶ場合として書いてあるんですけれども、被験物質が気体となるようなケースが、そもそも届出の対象として今時どの程度あり得るのかというのが、多分、今の御指摘だと思うんですが。そういうケースを考慮してガスばく露法を選択するオプションを届出の制度のほうに組み込んでいく必然性、必要性というのは、今のところそんなにないんじゃないか、というようなイメージですかね。
○荒木委員 だから、ガイドラインは持っていないといけないと思うのですけども。それを一般的なスクリーニングのガイドラインとして、通達のレベルまで落とすというのはどうかなと。今、委託のほうでは一応やってもらえるようになっているし、標準的な手法もちゃんと出ているので、それでも十分今までやってこれたので、それでもいいのかなという気はしないでもないです。
○本間委員 これは、比活性を計算しないですよね。
○荒木委員 比活性は計算しない。
○本間委員 比活性は計算しないということは、強い変異原性物質ということにはならないので、どっちみち公表の対象にはならないですよね。
○荒木委員 以前はガスでばく露されるというのは、労働ばく露だと危険性が高いから、そういうものについては、一応プラスになったら通達を出しましょうという考え方なんですよね。
○本間委員 じゃあガスばく露で陽性のやつは、Aと言う扱いになりますか。
○荒木委員 一応、Aと同じ扱いという形で出していますね。
○清水座長 たしか5%を基準にしていた。
○荒木委員 一応、5%。5%というと、大体のものがひっかかっちゃうんです。
○阿部中央労働衛生専門官 一応、お配りした資料の中にも入れてはおるんですけれども、実際、どういうことを書いてあるかというのを画面にもお出しします。これは、参考の4-2としておつけしておるものなんですけれども。技術的な内容がちょっと多かったので、今回、資料1のほうには抜粋しておりませんが、ガスばく露法の試験の手法に関する記述を多々入れ込んでいます。具体的には……ここからですね、被験物質の性状により、次のように行うということで、まさに被験物質が気体又は揮発性の場合、空気中にある程度安定に存在できる場合は空気を用いて、そうじゃなければ非活性のガスを使って、希釈して云々と。
  今、おっしゃっていただいた評価のところについては……、ガスばく露法の場合も最初は50%ぐらいの濃度でやりましょうという、この辺の記述は用量の話ですね。実際の手法として、滅菌された試験管に0.1molのナトリウムリン酸緩衝液を入れましょう、と書いている、ここはプレインキュベーション法と変わらない部分ですね。プレート上に被験物質を入れる、この辺りもプレインキュベーション法と同様です。最後、容器の中に被験物質のガスを充填してばく露させるとなっている、これがガスばく露法の特徴として特にお示ししているところになります。
  結果の評価については、今、御指摘いただいたような点で明文化されているところがあまり無いような気がするんですけど、最終的にこちらですかね。化学物質の変異原性の強さについては、陽性を示す最小用量により相対的比較を行うという記述のみ、一応存在しています。これはあれですね、プレートとプレインキュベーションのやつですね。
  ですので、何でしょう、具体的にここから先アウトみたいな記述はしていないのかなという理解はしていたんですが。
○荒木委員 1,3-ブタジエンは発がん性があると言われている物質で、これを試験すると大体5%で陽性になるので、そこの5%というのを一応、強いというふうにしましょうと。ここには書いていないですけど。あと、やっぱりガスなので、できるだけ陽性が出たものについては、通知文書を出したいというのが……。
○阿部中央労働衛生専門官 そうしますと、あれでしょうか。感覚的には、今、このタイミングで制度のほうに組み込まなくても、ということでしょうか。必要性の判断は、事業者さんから届出の対象として出てくるものの中に、ガスばく露法で実施する必要があるようなものが入ってくる可能性がどの程度あるかというところ次第だとは思うんですけれども。結論として、事業者さんにこういうケースはガスばく露法という選択肢もあるよということを予めお示しするところまではしないでもいいだろう……と。
○荒木委員 そこまではしないでもいいのではないかと思いますけどね。
  あと、この文章ですけど、プレインキュベーションもしくはプレート法、またはこれが同等以上の試験というのは、これは同等以上にはガスばく露法だけじゃなくて、例えば、非常に毒性の強いような抗生物質みたいなものは、菌を洗って巻き直すというようなプレート&トリート法とかというのもあるのですけれども。先ほど、ちょっと改良プレインキュベーションの話が出ましたけど、揮発性をできるだけ防ぎたいということで、密閉試験管でやるというような工夫をやられているところもあります。だから、それは同等以上というような考え方でいいのかなというふうには思います。
○阿部中央労働衛生専門官 そうしますと、とりあえず個別に変異原性試験の結果を見ていただいた中で、物によってはガスばく露法を個別に指示というか、お願いをするみたいな感じに。
○荒木委員 可能性もあるだろうとは思いますけども。できるところは、最初からガスばく露法でやるかもしれないですけどね。
○阿部中央労働衛生専門官 今の枠組みだと、制度上どっちか、プレインキュベーションか、プレートどっちかしかないので、ガスばく露法でとりあえず出してくるという選択は……。
○荒木委員 多分ないですか。
○阿部中央労働衛生専門官 ないですね。制度上、そのような取扱いは明確にはなっていないです。
○荒木委員 そうすると、ガスの場合だと多分できないから、出てこないという。
○清水座長 非常に揮発性の高い液体の場合に、ガスばく露法を一応考えて報告してくるというのはたしかあったと思うんですよね。
○阿部中央労働衛生専門官 ありましたか。すみません、直近、取りまとめている範囲ではなかったもので。
○清水座長 何か見たような気がした。ちょっと混乱しているかもしれない、ほかでも。
○内田化学物質評価室長 過去のこのワーキングで議論したときに、ガスばく露法を揮発性が高いものについては、それを適用するみたいな議論は一度したことはあるというふうに伺っておりますけど。
○荒木委員 多分、厚労省さんの窓口で、試験できるか、できないかというのを届け出るときに、きっと聞かれると思うのです。例えば、すぐ分解しちゃうんだけど、どうしたらいいですかとかというようなものについては、個別のケースで相談を受ければ。例えば、バイオだったらできますよとか、どこだったらできますよというのを御紹介するというのでもいいのかなという気がするんですけども。
○阿部中央労働衛生専門官 そうしますと、落としどころはちょっと考えますが、いわゆる告示の改定等を考慮して、ガスばく露法を制度化するというレベル感よりは、個々のケースによって必要な場合には、ガスばく露法という方向性を示せるようにしておくぐらいが妥当ではないか……というような感触ですかね。
○荒木委員 やり方のガイドラインみたいなものだけぐらいまでは示しておいたほうがいいと思うのですが。
○阿部中央労働衛生専門官 なるほど。わかりました。
○清水座長 簡便ガスばく露法というのがあったと思うんですね。何かキャップを閉めてね。
○荒木委員 ありましたね。改良プレインキュベーション。
○清水座長 何か飛ばないようにということだったと思うんですね、揮発性の高いものが。ふたをして、スクリューキャップに入れて、プレインキュベーションという。そういう報告だったと思うんです。
○荒木委員 そういうのも一応、ありかなという。ただ、必ずしも全てのものが検出できるわけじゃなくて、ガスばく露法のほうがやっぱり検出感度が高いですね。
○内田化学物質評価室長 今のこの資料で、課長通知のところで、プレインキュベーションまたはプレート法で実施するで、その後に、なお書きで揮発性、液体及びガス状物質については、物性に応じた適切な方法で試験を実施すると書いてあるので、そこのところで読み込んでということでございますかね。
○清水座長 そうですね。
○塚本化学物質対策課長 そこにガスばく露法等があるということを示すという形にしてよろしいですかね。
○清水座長 ええ。
○塚本化学物質対策課長 わかりました。
○荒木委員 あまりかっちりしないほうがいいですよね。
○清水座長 ほかに何かよろしいですか、じゃあ。事務局、いいですか。
○阿部中央労働衛生専門官 ありがとうございます。
○清水座長 じゃあ、次の2のほうに移ります。(2)で、S9mix条件下の陽性対照物質に関して、これに関しては、調達仕様書のほうに細かく書いてありますけども、この辺はいかがでしょうか。
○荒木委員 これは、この方法で行くのですよね。通達が出ていないだけで。
○阿部中央労働衛生専門官 まだ仕様書にしか反映していないだけなんですけど。通達にお示しをするレベルかどうかというところだと思っています。
○荒木委員 これも経緯があって、2-アミノアントラセンだけだとまずいよという話になったというのは、一つは、2-アミノアントラセンの至適濃度といいますか、S9の量が非常に少ないところにあって、活性が悪くなったS9のほうが復帰変異コロニー数が多くでるのです。見かけ上何となく強く見えちゃうので、失活しちゃったS9をうまく見ることは、多分このやり方ではできないだろうと。ただし、日本の場合は、市販されているS9については、ほとんどが2-アミノアントラセンだけじゃなくて、ベンゾピレンとかN,N-ジメチルニトロソアミンみたいなものでもちゃんとチェックをして、それを出していた。特にガイドラインにも書かないで、2-アミノアントラセンをずっと使っていたというのが経緯だと思います。ただ、その都度やったほうが確かに、S9の安定性をきちんと見ているという意味ではいいのかなと思いますけど。
○本間委員 試験結果を見ていると、大体、3分の2ぐらいの試験機関は単一でやっています。3分の1が2-アミノアントラセンとベンゾピレン等を陽性対照としているのが現実です。今言ったように、日本のS9は非常にクオリティーチェックがされているので、科学的に考えても、本当は2-アミノアントラセンだけでいいんだけども、OECDのガイドラインにも書いてあるんですよね。単一のものを使っちゃいけないって。それをちゃんと守っているラボがうちはちゃんと守っているのに、ほかは一つでも使っているのはおかしいんじゃないかということを言われて、そうだよねということで、もし書いてあるんだったら、それに従ったほうが統一がとれるかなということです。だけど、科学的には本当は問題ないと私は考えているので。そういうことを前に質問で……
○荒木委員 もともとこの2-アミノアントラセンを使うというのは、OECDガイドラインのS9の調製の項目で、誘導して活性化させたS9のクオリティーチェックに2-アミノアントラセンよりも、ベンゾピレンみたいな物質がいいという、文章が最初の案には入っていたのですが、最終的にふたをあけたら、陽性対照は陽性対照のところに全部まとめられちゃったので、OECDガイドラインには2-アミノアントラセンだけではだめよみたいな書き方になっちゃったという経緯もあるんですよね。
○阿部中央労働衛生専門官 何でしょう、実害がなければ、どっちでもというのもありつつも……
○荒木委員 これを書くことに関しては、受託機関もすごく負担がかかるというものではないから。
○阿部中央労働衛生専門官 そこはちょっと今、調達仕様書のほうにも書かせていただいているような、恐らくこういうようなラインになるんだと思うんですけれども、こういう取り扱いを便宜上明記するという路線で進めさせていただくのが、いろんな意味でクリアかなというような感じかなと思っていますが。
○荒木委員 OECDのガイドラインのほうも、ガイドラインを直さなくて済むから。OECDガイドラインを直すのは大変ですよね。本当に大変です。
○阿部中央労働衛生専門官 そこまでは書いていないんですけど。
○荒木委員 いや、科学的にいえば、別に直さないことはないわけだから。
○阿部中央労働衛生専門官 じゃあ、その路線であれば、皆さん的にもあんまり違和感ないかなという感じですかね。
○荒木委員 違和感はないんじゃないかなと思うのですけど。
○増村委員 すみません、この調達仕様書は、今現在有効な調達仕様書でしょうか。
○阿部中央労働衛生専門官 例年、変異原性試験の委託事業については、対象物質のところだけほぼほぼ書きかえたような形で調達をかけておりまして、本年度の調達に当たって実際に使っていた版が、今回、参考におつけしているものになります。ですので、今現在のステータスとしては、以前御議論をいただいて、この文面でいいよねというふうに御確認いただいた後に仕様書に反映したこの書きぶりが実際に有効になっている、ということになります。
○増村委員 じゃあ、実績として、毎年の委託事業で出てきた試験は陽性対照として二種類を使っている報告書が上がってきているはずだという。
○阿部中央労働衛生専門官 本ワーキングで年度末に事業の結果をご報告させていただいている変異原性試験の委託については、多分、ここ2年ぐらいはこれでやっているはずです。問題は、どちらかというと委託事業の方ではなく届出制度の話で、事業者さんから届け出られた変異原性試験の有害性調査の結果を委員各位に見ていただく中で、2AA単剤は不適当というコメントがざっと並ぶときがありますので、制度側でもこれを何とかせないかんのじゃないかという。
○本間委員 今まではそういった形で、一応、指摘はしてきましたが、再試験要求はしていないです。
○阿部中央労働衛生専門官 そうなんです。再試験の要請というほどにはなっていないんですけど、やっぱり御指摘の数が多いと、これは個別の対応というよりは、全体に影響するものとして……。
○本間委員 必ずしもこれを何というの、仕様書に書いてあるから守るのは当然なんだろうけども、守らなくても指摘するぐらいで、試験は有効と認めてもいいんですよねと。それでいいですかね。
○阿部中央労働衛生専門官 調達仕様書は、それはそれなんですけど。問題は有害性調査の制度のほうにどう組み込むかという話でして。有識者からの意見聴取で常に御指摘いただいているので、ガイドラインと言いますか、現行だと課長事務連絡のような──今から出すとすれば多分事務連絡ではなく通達になると思うんですが──何らかの形で、厚生労働省としてはこちらのほうが望ましいと考える、といった方向性をある程度明確にしておくべきではないかとも思われるわけです。また、そのほうが委員の方々からのコメントにおけるばらつきも少なくなるのではないかと。そういったことを考慮すると、ある程度、有識者の皆様から御了解いただけるような考え方があるのであれば、ガイドラインのほうに──ガイドラインというと、ちょっとふわっとしていますけども、具体的には課長通知のほうに落とし込んでいくというのが現実的なのではないかなとは思っているところです。
○荒木委員 あとは、指導していくというので逃げていけばいいじゃないですかね。そういうので結構いろんなものをやってきていると思うのですが。多分、本間先生はいろいろなところに行かれると両方使いなさいと指導されているのだと思うのですが。
○阿部中央労働衛生専門官 指導というのは、査察のほうの。
○荒木委員 査察とか、何かのそういった機会でやられるケース。
○阿部中央労働衛生専門官 そうしましたら、実際の調査の手法については、ここにもあるように、調達仕様書の方では、ベンゾピレン等との併用が望ましいとか、2AAを唯一の指標としてはならないというような記述を既にしてございますけれども、この辺りの記述を、調査の基準の捉え方を示す課長通達か何かになると思うんですけれども、そういった文書の方に書き加えていく。具体的な書きぶりは、またひょっとしたら制度に組み込む段階ではちょっと御相談させていただくかもしれませんが、ともあれ、こんなような文言をちょこちょこっと調整するような感じ進めさせていただくような方向性であれば、違和感ない感じですかね。
○荒木委員 実質的に二つ使われるようになれば、それでいいのではないかかと思うのですけども。
○増村委員 すみません、先ほど荒木先生がおっしゃっていたと思いますけど、市販のものはもうクオリティーチェックのときに、2種類使って、一応、ロットチェックというんですか、されたものが日本では市販されていて、それを使って実際の試験をするときに、あらためて2種類要るかどうかというところで、常に2種類必要なのかというのは、ここからではやっぱり読めないですよね。ですので、そこはどれだけ強く言っていいんだろうというのはちょっと思ってしまっていて。
○荒木委員 だから、そのほうが望ましいのじゃないですかといって、指導していくというのは、いいんじゃないかなと思いますけど。
○阿部中央労働衛生専門官 それはあれでしょうか。S9をどこの国でどうつくっているかという実態が、ひょっとして国ごとに違うという話だとすると、横断的な評価がなかなか難しいような気もするんですけれども……
○荒木委員 多分ちゃんとチェックしないと、やっぱりいけないのじゃないかと思いますけども。
○阿部中央労働衛生専門官 例えば、別の機会に2剤でチェックされているもの、S9を使う場合にはこれこれでよい。そうでなければ2剤使えとか、そういうような規定を……
○荒木委員 そこまで細かくは……
○阿部中央労働衛生専門官 そこまで細かくやると厳しいですか。逆に面倒くさいと。
○荒木委員 面倒くさいと思いますけどもね。
○太田委員 国内に今、違うのがありますか。
○荒木委員 多分、ないでしょうね。
○清水座長 海外のはある。
○太田委員 海外でも、受け入れていないですね、OECDだから、違っていても。
○阿部中央労働衛生専門官 OECD加盟国でGLPを持っているところの試験結果なら、普通に届出の際に使えます。
○太田委員 国内はもう問題ないんだから、そんな自前でつくるということを想定せずに考えてもいいんじゃないでしょうかね。
○阿部中央労働衛生専門官 そうしますと、あれでしょうか。まさに、海外の機関から出て来た試験結果も、OECDの枠組に則ったものである限り普通に受け取ります、というのが大前提です。我々としては、当然、海外の当該調査機関がGLPを持っているところであれば、その結果は普通に受け取らざるを得ないんですね。結果として、届け出られた試験結果を検討委員の方々に見ていただいたときに、コメントの嵐が返ってくるようなケースがあり得るわけですが、そういった実態を踏まえると、例えば、本来どのような形が望ましいと考えているのかということを何らかの形で行政のスタンスとしてお示しすることが考えられます。何となれば、出てきた届出の内容について、本当はこういった方向性が望ましいなと思う部分がありながらも、実際には対応がない状態の届出が引き続き出てきていた場合、もしくは、適切に対応されていることがちゃんと確認できない状態のものが変わらず出てきた場合に、委員の方々から同じようなコメントをずっと頂き続けるような感じになるのも、それはそれでどうかなと思われるところがあるもので。
○荒木委員 一応示しておいて、それで、できるだけ変えてもらう。1種類じゃなくて、2種類でやってもらうようなことをできるだけ言い続けるしかないと思うのですが。それで、クオリティーが確かに日本のやつはいいのだけども、実際にほかの状況のところまでは見ていないから。先ほどのこっちの半年というのが目安になっているというのがありましたよね。その問題とも絡んでくるのだけれども、実際には、指導するという形のほうがいいのじゃないですか。
○本間委員 指導はそういうことでして、評価する委員の先生にはこの議論を反映させて、今後、そういったような一義的なコメントは必要ないというようなことは言われてもいいんじゃないですか。ただ、場合によっては、菌株によって、非常にレスポンスが悪い場合も確かにあるかもしれない、これからは。特定の菌株において。その場合は、ちゃんと指摘したほうがいいわけだけれども。今、この場でやっていたような、実は私と多分、杉山先生だと思うんだけど、そういった一義的にもうこれしか使っていないからだめなんだと、指摘を一々するということは、もう必要ないというようなことを言えば、我々もそういったことをしませんから。
○阿部中央労働衛生専門官 ちょっとそこは指導の方針は後ほど御相談……
○本間委員 こちらで指導してくれればいい。
○阿部中央労働衛生専門官 あと、これは事実関係如何なんですけど、もし仮にOECDのガイドラインと整合していない部分があるとすると、それはそれでちょっとどうなのかなという部分がありまして。
○荒木委員 だから、整合させるための文章を入れればいい。
○阿部中央労働衛生専門官 ということですよね。そうしますと、具体的な文章の入れ方についてなんですが、例えばS9mixについて、2AAを有効性の唯一の指標としてはならないという委員各位からのご指摘の表現だけ見ると結構厳しいような気もするんですけれども、逆に言うと、どこか別の形で有効性が確認されておれば、それはそれで構わないと。つまり、先ほどおっしゃっていたように、日本国内ではクオリティーチェックがしっかりされているのであまり問題にならないということだったと思うんですけど、そういったクオリティーチェックなどを通して、使用するS9が有効だということが別途ちゃんと評価されておれば、2AA単剤でもいいよというところの考え方をどこかで、これはちょっとQ&Aレベルかもしれませんけれども、お示しするという方法があり得ると思うんですね。
  そのとき、陽性対照として必ずこのベンゾピレン又はジメチルベンズアントラセンのどっちかを使わなきゃいけないとまで言うと、ちょっときついよねというようなニュアンスだとすると、具体的な文言は別途調整しますが、どのような場合でも必ずどちらかを併せて使えというような厳しいことは言わないけれども、何らかの形でS9mixの有効性をちゃんと確認できている必要はありますよと。そして、その有効性を確認するためのアプローチとして、2AA単剤でなく他の物質を併用するような場合には、ベンゾピレンなどの物質を選ぶようにしましょうと。そんなようなことが結論として言えれば、OECDとの整合性もとれるし、皆様の御指摘とも整合性がとれるし、みたいな感じになりますかね。
  大丈夫ですかね。
○荒木委員 実質的に変わっていけば、問題はなくなると思うのですが。
○阿部中央労働衛生専門官 はい。ちょっとその路線で文言を調整させていただいて、お示しの仕方はちょっとまた御相談をさせていただきたいと思います。
○清水座長 よろしいですか、じゃあ。
  じゃあ、その次の(3)試験に使用するプレート数に関してですが、これは2枚以上、2回の本試験を行う場合は、用量設定試験は1枚でよいというようなアンダーラインが引いてありますけども、この点はいかがですか。
○荒木委員 たしかこれが入ったというのは、例えば、OECDで試験をやるときに、3枚使うというやり方のときに、いきなり3枚使って用量設定するというのはなかなか難しいので、最初に1枚で用量設定してやりましょうと。ただ、日本の場合だと、用量設定とかの試験を2枚ずつやっていっているのだけど、1枚でやっても、本試験が2回繰り返されていれば、別に1枚であってもそこは問題はないだろうという。たしかそういう考え方だったと思うのですが。
○阿部中央労働衛生専門官 考え方はおっしゃるとおりです。
○荒木委員 特にこれで支障がなければ。
○阿部中央労働衛生専門官 支障というとあれなんですけれども。
○荒木委員 その評価に対して。先生方から、これだと評価できないぞとかという指摘はあったのですか。
○阿部中央労働衛生専門官 先生方からのご指摘とは違うんですが、ちょっと微妙なのが、使用プレートの数って、告示のところを見ていただくと、2枚以上としなければならないとなっていますので、規定上は2枚以上とする必要があるんです。
○荒木委員 そういう書き方なんですか。
○阿部中央労働衛生専門官 ええ。有識者の皆さまからは、別に合理的なケースでは1枚でもいいんだよというふうに言っていただいているんですけど、現状の制度のほうはそうなっていないので。多分、事業者さんからすると、そうはいっても制度上2枚以上で試験しなきゃいけないんでしょう、みたいなふうに見えるんじゃないかと思うんですよ。なので、そういったケースが具体的に出ているわけではないんですが、もし、こういう場合は1枚でもいいんだけどねと御指摘をいただくケースがあったとして、それに対応して、こういう場合は1枚でもいいよ、というふうに事業者さんに行政側から言えないんです。したがって、そこのところが、もうちょっとちゃんと緩和してあげるべきポイントなのだとすれば、告示の改定も含めて検討する必要があるのかなと。これこれこういう場合には、1枚でもいいよみたいな一文を入れてあげるとかですね。
○本間委員 荒木先生が用量設定試験が1枚で、本試験2回やると言いましたか。
○荒木委員 本試験、2回。
○本間委員 本試験2回は必要ないんじゃない。
○荒木委員 いや、だから、OECDのガイドラインを使うときに、とりあえずそれに沿って、用量設定試験1枚でやって、本試験を2枚で2回繰り返すというやり方を使っているところは結構あると思います。
○本間委員 日本の場合は、用量設定試験をやって、本試験は1回ですよね。
○荒木委員 だから、普通は2枚、2枚でやっているので、それをやっているところのほうが多いと思うのですけれど。
○阿部中央労働衛生専門官 というか、規定が2枚、2枚になっているので。
○本間委員 だから、実際に、用量設定試験として本試験2回やっているみたいなものですよね、それは。日本の場合は。
○荒木委員 日本の場合ね。
○阿部中央労働衛生専門官 日本の現状はそうなっています。
○荒木委員 これで、何か問題があって……。
○阿部中央労働衛生専門官 いえ、どちらかというと、まさに用量設定試験1枚でいいんだけどなというコメントを例えば頂いたとして、我々はそれを事業者側にどう伝えればいいかなという。
○荒木委員 それは、ちょっとまずいのじゃないですか。
○太田委員 告示の文書も用量設定試験も2枚以上となっているのでね。
○阿部中央労働衛生専門官 そうなんです。
○太田委員 だから、仮にOECD方式であっても、用量設定試験、名前がついている試験は、2枚以上でやらなきゃいけないと。1枚でいけないということになっちゃうんですね。
○阿部中央労働衛生専門官 なってくるんですよ。
○太田委員 そこまで用量が来ていないのに、そう捉えて……
○阿部中央労働衛生専門官 なので、それが例えば、国際的なトレンドとして無視できないものであれば、我々としては、国際的なトレンドに合わせて、告示の緩和をするということを考えないと、実際、先ほどおっしゃっていただいたOECDの規定との整合性という観点で見ても、例えば、どこかの国で用量設定1枚で出してきましたという結果で届出がなされたとしましょう。単純にみると、告示には即していないことになっちゃうんですよ。なので、GLPを持っていれば受け取りはするんですけど、厳密にいうと、告示には違反しているよなとかいう、そういう悩ましい問題が出てきてしまうので、ちょっとそこのところは手当が必要かなと。そういった意味では、すみません、これは半分御報告なのかもしれないんですけれども、もうちょっとちゃんと制度の方に組み込むべき論点だとすると、告示を改定して、プレートの数を手当てしてあげるというところを考慮しなきゃいけないのかなという、そういう趣旨での御相談です。
○増村委員 用量設定試験とか本試験とか確認試験という用語はあまり実際のデータとは逐一合っているわけではなくて、要するに、2枚以上の試験が2回やられていて、再現性があればいいという話なわけですから。例えば、1枚でやってもいいけど、それを用量設定試験と言っちゃうとまずいという話になる。予備検討試験とか、何か別の名前で。
○荒木委員 そういう書き方はあるかもしれないですね。予備的に1枚のプレートを使って。
○阿部中央労働衛生専門官 理屈上は、言葉の整理だけで整理がつくところもあるかなという気は確かにします。ただ、悩ましいのが、用量設定試験で用量をまず明らかにした上で本試験に臨めという立てつけに、一応、現状の日本の制度がなっていますので、とにかく2枚で2セット試験をやっていればよいという解釈になるかというと、その用量設定ってどこでやったという話が出てきてしまうことになります。
○本間委員 本来は、用量設定試験というのは用量の設定であって、は求めないのが普通ですリバータントコロニー数は求めないんだそれをやるからから、ややこしくなったので。これは用量設定試験じゃないんですよ。用量設定試験はあくまで用量を設定する試験なんですよ。そこに変異原性試験の結果が出ちゃいけないんです。染色体異常試験だって、みんなそうですから。まず、それで用量を設定して、毒性を決めて、本試験をやるんですよ。それが本来の流れです。ところが、エームス試験は、用量設定試験なのに、試験結果があるのがおかしいんです。本当はね。だから、用量設定試験って言葉がおかしいんですよ。それを用量設定試験といったからには、我々としては、それは本試験じゃないんだねということで、これは実際の評価から外すべきなの、本当は。だって、それは用量設定試験ですから。
○太田委員 これは経緯を言うと、OECDが2回になって、やらなきゃいけない。大変だよねって。用量設定試験を1回目の試験と同等に扱えばいいんだよというのが、当時の先生のお考えで、そうすれば、負担が増えないと。そういうことでやったんですよね。
○阿部中央労働衛生専門官 なるほど。そうすると、端的に申し上げれば、別途用意をしている関連条文をご覧いただくと、告示のほうに用量設定試験という文言が出てきているのがおわかりいただけるかと思うんですが、用量設定試験と本試験というのは大臣告示で明記されているんですね。一方で、確認試験は、結果として告示には明記されておらず、「等」の中に含まれているものとして読む感じなんです。
  一方で、課長事務連絡の中では、今、おっしゃっていただいたとおり、用量設定試験と本試験の結果が合わなかったら確認試験をやれというふうになっているわけですが、これは逆に言えば、用量設定試験の結果を評価の際に考慮に入れることになっているのが今の枠組みだとも言えるんですね。この枠組を、用語の言い換えで何らか整理し直すことができるかというと、結構、どうしようかなと思う部分が残っているんですけど。今、ディスプレイの方にも関連の情報をお出ししますが、告示には、まず第1条で、この告示自体は有害性調査のうち変異原性試験、Amesですね、その調査について適用するということが明記されています。また、種類については、第1条の2の第1項で「変異原性試験は、用量設定試験及び本試験等によって行わなければならない。」、第2項で「用量設定試験は、本試験における被験物質の最高用量を決定する試験」だと明記されています。そして第3項で「本試験は、被験物質の変異原性の有無を検索する試験」だと言っているんですが、第2条以降では、用量設定試験と本試験は、それぞれプレインキュベーション法かプレート法のいずれか又は同等以上の方法で、S9あり・なしの両方──規定の表現では「代謝活性化」のあり・なし両方でやらなきゃいけません。使う菌株はこれこれでというのが第3条で規定されていて、用量設定試験ではこれこれこういう方法で最高用量を決めましょうという流れが第4条に書かれていて、そして使用プレートの数が第6条に規定されていると。評価については、第7条で「用量設定試験及び本試験においては、被験物質の菌株に対する生育阻害の状態及び被験物質の沈殿の状態を確認しなければならない」となっているので、先ほどの話でいきますと、「用量設定試験」でここまで中身を確認するのがおかしいという話になりかねないわけでして、用語の整理となると、ちょっとここをどうしようかという話になってくるんですけれども。告示の規定を素直に読むと、現状は、用量設定試験で用量を設定するのであるが、本試験の評価に当たっては、先に行った用量設定試験の結果も考慮する、というのが制度の立て付けになっていることだというのは、明らかなんですね。これをOECDガイドライン等との整合性に関して見ると、例えば、「用量設定試験」で2枚、「本試験」で2枚の2枚・2枚でやっているから、結論としては使っているプレートの数は合致しているよね、みたいなところで担保していることになるわけなんですけれども。
  ということで、今回事務局からご呈示したプレートの話は、単に使用するプレートの数の話だと思っていたら、何やら試験の位置づけにも影響し得る話だということのようなのでどうしようかなと思っているんですが。考え方としてはあれなんでしょうか。用量設定試験はもう明確に用量を設定するのみにしてしまって、そのほかにどこかで2枚・2枚の2回の本試験をやる形にしてしまった方がいいんでしょうか?
○本間委員 それは大変な労力です。
○阿部中央労働衛生専門官 大変ですか。それはちょっとやり過ぎだと。
○増村委員 これ、このままにして、海外報告書とかで用量1枚の用量設定試験があったときは、こちらでそれはプレの試験と読みかえて、どうせそれは別途2枚以上の試験をしているから。
○本間委員 何回やってもらってもいいじゃないですか。
○阿部中央労働衛生専門官 出口として想定をしておりましたのは、まさに今回お示ししました資料1のこの一番下の調達仕様書のほうに書いてありますただし書き、こんなような文言を、例えば告示のほうに一筆入れておきますと、これでもいいよということは明確になりますので、規定上も問題なく読めるかなとは思っておりました。逆に言うと、例えばこの辺を入れてあげるとかしないと、用量設定試験1枚でいいよとは言えないので。
  なので、御相談要素としましては、こういう場合にはプレート数1枚でもいいよ、というところを書き込んでいく方向で手当てさせていただく形で不備・不足等ないか、お伺いできればとは思っていたんですけれども。方向性はどうでしょう。
○清水座長 書いてあればいいんじゃないですかね。
○阿部中央労働衛生専門官 そうですか。わかりました。
○荒木委員 あえてここまでやるところは多分ないと思うのですが。2枚、2枚で済ませるんだったら、2枚、2枚で行くでしょうし。
○清水座長 いいですか、じゃあ。
  じゃあ、そういう方向で行ってください。
  4番目の菌凍結液の調製に関してですが、これは何が問題ですか。凍結させて保存、少量ですが保存しろということですね。
○阿部中央労働衛生専門官 はい。調査の手法について、現行なんですけれども、旧化学物質調査課があった時代ですね、化学物質調査課長の事務連絡という形で試験の手法を示していたというのが課長事務連絡です。その中で、菌凍結液の調製については、単に「凍結保存」という表現をしているんですけれども、以前、御相談させていただいていた中で文言を調整した結果として、調達仕様書の方では「少量ずつ凍結させたものを保存する」というような表現になっているところがございます。ですので、今後、例えば課長通知なりここの調査方法をお示しする中でも、やっぱり少量ずつ凍結させるという考え方を明記するべきなのかどうなのか……というようなところをお伺いできればと思っています。素直に読めば、調達仕様書の記述にならって、少量ずつ凍結させるというふうに一筆ちょっと入れればいいのかなとは思っておるんですが、何かその辺の注意点といいますか、もしあれば。
○荒木委員 もともとこれが出てきた経緯というのは、エームズ先生の原法は、いわゆる菌株の保存をプレートの上にストリークして、菌を生やしておいて、それを拾って植えるというやり方です。それだと、いろいろ問題があって、古くなるとどんどん復帰変異コロニーが増えてきたり、菌数も減ることもあるし。全培養の植え込み量が一定にならないということなので、一定数の菌株を毎回植え込めば、先ほど言ったグロースカーブの問題で、静止期の初期にうまく時間を合わせればとめられるということがあったので、こういうふうになったのです。
  もう一つ、海外では、割と大きな容器に菌を凍結させて保存しておいて、上の部分をスパチュラみたいなものでかきとって植えるというやり方もありました。それも植え込む量が変わるので、それだったら、小分けして凍結を溶かして、一定量植え込むというやり方のほうが、精度が高いだろうということで、こういうふうな書き方になっていると思うのですが。
○阿部中央労働衛生専門官 そうしますと、この後ろにつけました(5)のテスト菌株の前培養とある意味、対のお話ということなんですかね。
○清水座長 そうですよね。一度解凍したものはもう使うなということですよね。
○阿部中央労働衛生専門官 そうですね。
○清水座長 だから、これは対になっていますよね。だから、これはこれでいいと思うんですけどね。
○阿部中央労働衛生専門官 そうしましたら、ちょっと今後、こういう考え方はちゃんと明記していくというところで、ガイドラインの位置づけ的には……
○荒木委員 本当だと、ストリークから拾ってはだめよとか、大量に固めたものの表面をかきとって植えるのはだめよというのが、本来の意図なんですよね。
○阿部中央労働衛生専門官 まあ、本来の意図とは若干違うかもしれませんが、結果的にもうこれでやってくれということが明記されていますので、方向性が違うその他の選択肢はある意味最初から出てこないので。
○荒木委員 意図的に、裏に隠れている文章はそういうことで。
○清水座長 じゃあ、これではいいですか。
  じゃあ、次に、5番目のテスト菌株の前培養。これは何が問題ですか。
○阿部中央労働衛生専門官 考え方としては、今の(4)と同様です。現行の課長通知では「培養を止める」としか書かれていないのに対して、調達仕様書の方では、単に止めるというだけではなくて、「それ以上増殖しないようにする」という考え方を明記しておりますので。課長の通知なり、事務連絡なりのほうにも同様のところを今後反映させていただくということで、よろしかったですよねというところの念のための確認です。
○清水座長 これは問題ないですね。
○荒木委員 長年、厚生労働省が十数年ぐらい精度管理ということで、標準の物質を配って、試験をやってもらっていたという経緯があります。始めたばかりの頃は、全然レスポンスしないようなデータを出してきたところもあるし、出てきたデータがすごくばらついていたのです。そのばらついている原因が何かというのは、よくそのときはわからなかったのですが。いろいろ調べてくると、どうも菌の培養のところが一番問題だということになって、いろいろな材料も同じものを配ったりして、試験をやってみたりすると、どうも前培養が一番大きな揺れの原因になっているのがわかったのです。何かというと、静止期のところできちんととまっているかどうかだったのです。多くの場合は、培養し過ぎちゃって、ずっと静止期の後期のほうに行っちゃっているような場合も結構多かったのです。それで、今、最近は静止期の初期にとめるような方法を一応、皆さんが採用しているというのが現状です。
○阿部中央労働衛生専門官 先ほどおっしゃっていただいたのって、有害性調査の制度ができた当初の話ですか。
○荒木委員 そうですね。
○阿部中央労働衛生専門官 わかりました。じゃあ、ちょっとこれもあわせて、(4)と同様に今後、考え方をどこかで明記していくということで。
○清水座長 よろしいですか。
  それでは、次の6番目の被験物質の調製ですが。
○阿部中央労働衛生専門官 こちらも、考え方は先ほどの点と同様だと思われます。溶解または懸濁しているものに対して、溶解をまず優先すべきだという考え方を御指摘いただいて、今、その考え方を調達仕様書の方にはある程度明記しているところなんですけれども。今後、その辺を制度のほうでも考え方としては示していくということなのかなというふうに考えております。
○本間委員 これは、染色体異常試験の場合は、溶解しない場合は、懸濁する場合というのは水を優先することになっているはずなんですけども、なぜ、エームズの場合は、有機溶剤が優先されるんですか。
○荒木委員 滅菌の問題があるからですか。沈殿するようなものだったら、ろ過できない。
○本間委員 それは染色体異常も一緒です。
○荒木委員 多分、それは同じだけど、培養細胞の方は抗生物質を入れるのじゃないですか。
○本間委員 沈殿というのは。
○荒木委員 だから、ろ過滅菌みたいなものができないから。そうすると、菌が入った状態で試験せざるを得ない場合が出てくる。DMSOで調製している間に、かなりの菌が死ぬんですよね。あと、均一にやっぱりしやすいというのがある。
○阿部中央労働衛生専門官 一応、今、御指摘いただいた優先順位に関しては、ちょっと画面の方に参考4-2の比較資料を出力しましたが、この資料上、左側が現行の制度に係る課長事務連絡の記述になります。水又はDMSOに不安定な被験物質については、水で可溶であれば、水溶液として調製しろ。DMSO、水に難溶で、DMSOに可溶である場合には、DMSOの溶液にしろ。こういった考え方が順番に示されていますので、何か場合分けの記述が日本語的には若干微妙な気が個人的にはしますけれども、優先順位としては、まず水に溶けるなら水溶液を最優先にするという方針は、一応、明確になっているのかなと思います。それで、水の方が何ともならなかったら、次の選択肢はDMSOですよということになっているのかなと思います。
  これが、懸濁できない場合とか、そもそも水に不安定ですとか、そういったものについてはどうかということで、今、課長事務連絡の中では「溶解又は懸濁」という言い方をしているんですよね。これに対して、調達仕様書の方では、水又はDMSOに懸濁できない場合云々について、具体的には、まずできれば溶解させましょう。溶解が難しい場合には、しようがないので、有機溶剤に懸濁させたものを用いましょうというのが今、示している優先順位の考え方です。
  なので、溶解よりは懸濁のほうが優先順位が低いよねというのは、溶けるものはちゃんと溶かそうよという趣旨なのかなというぐらいの、すみません、ちょっと安直な理解を私はしていたんですが。
○荒木委員 調製するのも、正確に調製しやすいですよね。懸濁しているものは、希釈するのが難しいですから。
○太田委員 培養細胞はですね、DMSOにセンシティブですから。バクテリアの場合、エームズでも全然問題ないので。そういうところもある。培養細胞だったら水のほうがいい。
○本間委員 ただ、有機溶剤、ちょっと試験をするための無理やり感があるなというのはいつも思っています。DMSOって生理的なな条件ではありませんから。
○荒木委員 でも、水とDMSOは一応何というか。
○本間委員 同等と考えてほしいんですよね。
○増村委員 今の文言だと同等ですよね。
○本間委員 同等って考え方をしています。
○阿部中央労働衛生専門官 同等。
○荒木委員 ハのところですね。「又は」ですので。
○本間委員 ただ、もちろんそれはあれですよね。染色体異常もそうだけれども、検体との反応性というのは考慮した上で、発熱とか、そういったようなものがあった場合には、先ほどの。
○清水座長 そりゃそうでしょうね。
○阿部中央労働衛生専門官 そこのところ、同等という表現が合っているかどうか、ちょっと私も自信がないんですけれども。順番としては、多分上から見ていくと、水に可溶なら、とりあえず水溶液なので。最優先は水溶液なんだと思うんですね。
○荒木委員 水に懸濁できれば水を多分使われているところのほうが多いのじゃないかと思いますが。
○本間委員 実際、9割ぐらいは、でも、DMSOですよ。だから、オートマティックにやっているんじゃないかなと私は思うんだけどもね。
○太田委員 懸濁も、普通は懸濁状態を見て、それを維持できるような溶媒ということで、DMSOのほうが多いんですよね。
○荒木委員 多分、水のほうは懸濁の問題があるから。
○太田委員 すぐに誤認しちゃってね。やりにくいからと。
○阿部中央労働衛生専門官 そうしますと、あれですかね。実はこれ、今回課題の整理をしていた中でも、おっしゃっていただいている優先順位の考え方が、ここの文書の中に何かしらあるのかないのかがよくわからない書き方をしているなと正直思っていまして。
○荒木委員 細かいことをいうと、例えば、溶解度の違いがあって、DMSOには溶けるんだけど、最高用量のところでは沈殿しているというような場合もありますよね。
○本間委員 面倒くさいから、DMSOにしておけば、問題ないよねということのほうが多くて、必ずしも優先順位は守られていないと。あくまでも優先順位であって、そうじゃなきゃだめだとかじゃないんですから。
○阿部中央労働衛生専門官 なるほど。そうしますと、あれですかね。何かちょっとこれは書き方と優先順位の考え方みたいなのをもうちょっと表形式か何かにするとか。ちょっと考え方を整理させていただいて。
○太田委員 あんまりがっちり書かないほうがいいんじゃないですか。
○阿部中央労働衛生専門官 その方がいいですか。
○荒木委員 実際に挑戦してみると、水じゃというのもあるので。
○太田委員 だから、一般的には水に溶ければいい。溶けなきゃいけないです。その場合は懸濁しましょうというぐらいでね。適時、選んでくださいぐらいの。
○阿部中央労働衛生専門官 わかりました。多分、日本語としても、現状のこの表現だと読みにくい気がするので、そこは整理しようかなと思っていたんですけれども。そうしましたら、あれですかね。優先順位をがちがちに固めるというよりは、あくまで現場で適宜判断すべきものなんだけれども、大まかな考え方としては、もちろん溶けるんだったらちゃんと溶かしましょうよとか、水を使えるんなら使いましょうよとか、そういったところが全体として見えるような形に落とし込んでいくというようなイメージですかね。ちょっと日本語の整理の仕方は考えたいと思いますけど。実は、これは何とかである場合というのを整理していこうとすると、何か抜け漏れがあるような気がしてしようがなかったんですよね。
  わかりました。ちょっとそこは今の雰囲気を踏まえまして、何某か作文を検討したいと思います。ありがとうございます。
○清水座長 一番下のアンダーラインを引いたところは、水とかDMSO以外の何か有機溶剤を使った場合ということを言っているんでしょう。
○阿部中央労働衛生専門官 はい。今回ご用意した資料1の方では、関連の箇所を全部抜粋しようとすると後ろの方が長いので、途中で切らせていただいておりますが、資料1でアンダーラインを引いているところ、この「(イ)で選んだ有機溶剤に溶解しない場合」で指している「(イ)で選んだ有機溶剤」というのが具体的に何かというと、「水及びDMSOに懸濁できない場合又は水及びDMSOに不安定な被験物質」について、「適切な有機溶媒に溶解したもの」を使いましょうというのが、(イ)の書き方なんです。なので、「(イ)で選んだ有機溶剤に溶解しない場合」という書き方自体が、そもそもこれはどうなんだと、文言自体の整合性がどうも私は気になってしようがないんですけど。ともあれ、溶解しない場合は懸濁で行こうというふうな書き方になっていますので、とりあえずのベースとしては、「被験物質の溶解性及び安定性並びに」のところはちょっと置いておいて、恐らく「テスト菌株及びS9mixに対する毒性を考慮して」の方を主に考慮して、何か適当な有機溶媒を選べと。それにとりあえず溶かしてみて、ちゃんと溶ければよろしい。そうでなければ、懸濁でしようがないという読み方なのかなという気はしていました。
○清水座長 そういうことですよね。
○阿部中央労働衛生専門官 このような理解が大体合っていれば、ちょっとその路線で調整しようかなと思います。よく見ると、これ、(イ)については「場合」を項目としていながら、(ウ)は書き下しになっていますよね。気になってしようがない。ちょっとそこは調整させていただきたいと思います。
○清水座長 よろしいですか。
  じゃあ、次に進みます。今度は、2のほうですけれども、その他しばしば見られる指摘事項ということで、まず、(1)番はプレインキュベーション法又はプレート法の選択というところで、これは第2条にアンダーラインが引いてありますけど。
○阿部中央労働衛生専門官 プレインキュベーション法もしくはプレート法、どちらかでやれ、というのが原則で、「又は」として一応、「これらと同等以上の知見を得ることができる方法」も挙げられてはいますけれども、基本的にはどちらかの方法を選べというふうに書いてあるんですね、告示では。こういう場合にはプレインキュベーション法もやれとか、こういう場合にはプレート法だけではだめという考え方はどこにも示していないんですよ。一方で、現実的に、委員の方々から御指摘いただくケースが結構多いのが、ここに例示をさせていただきましたけれども、プレート法のみで陰性と判定しているケースではプレインキュベーション法でもやるべきだと。こういった御指摘を結構いただいているんですね。さらには、先ほどちょっと申し上げましたが、「改良プレインキュベーション法」というのもあるよとかという話もございますので、何かこう、これこれこういう場合にはプレインキュベーション法でも実施するべきだとか、あるいは、用量設定試験のときにプレート法でやってみて陰性だったら、本試験はプレインキュベーション法でやるべきだ、みたいな。例えば、そういった採用する試験の方法をどのように選択すべきかの考え方が一定程度存在するのであれば、予めそういう考え方を示しておくというオプションもあるのかもしれないとか、頭の体操としては思うわけでして……
○太田委員 用量設定にならなくなっちゃうんですよね、条件を変えちゃうから。
○本間委員 そういった議論を前しませんでしたっけ。基本的にはプレインキュベーションが優先だけども。だから、用量設定がプレートだったら、本試験はプレインキュベーションでやるという話をしたような気がする。そうですよね。
○阿部中央労働衛生専門官 実は、一度、そういう話をしていただいておるんですが、何か具体的にこういう場合はこっちをやるべきとか、そういう手順まで落とし込んだ形には現状なっていなくてですね。結果として、行政側からは何ら考え方を示せていない中、変異原性試験等結果検討委員の方々から個別に御指摘をいただいてしまっている状況なので。例えば、先ほどおっしゃっていだたいた――私のほうからも申し上げましたけれども──用量設定試験のときにプレート法でやってみて陰性だったら、本試験はプレインキュベーション法でやるべきだという考え方が確立するのであれば、それは、そういう考え方を試験の選択方法の中にちゃんと書いておくべきなんだろうなと。先ほどおっしゃっていただいたように、それは用量設定試験じゃないんじゃないかという話になると成立しないので、必ずしも今の解にこだわるものではなく、何某か確立する考え方があるのであれば、の話ではあるのですが。
○荒木委員 プレート法とプレインキュベーション法でやると、全然感度に差がある。やり方を考えれば、高濃度で酵素反応をやる手順と同じようなやり方で処理するので、プレインキュベーションのほうが接触する量が高いので、感度がいいんです。プレート法だと、検出できないような物質の変異原性が検出できるので、基本的には、やっぱりプレインキュベーション法を推奨したほうがいいです。ただし、もともとエームズ先生の開発されたやり方は、プレート法のやり方で、それが、スタンダードになっていて、そこにOECDガイドラインが後からプレインキュベーションをプラスしているので、基本的にはプレート法とプレインキュベーションは同等の試験という扱いになっています。ただ、どちらがすぐれているとかという議論は、そこではやっていなくて、いわゆるこういう物質については、プレインキュベーション法は感度がいいですよという書き方で一応推奨されているような形になっています。
  だから、もし書くのであれば、OECDの文章にある物質の~については、感度がいいから、プレインキュベーションのほうがいいですよというような選択肢としての書き方はできる。
  ただ、用量設定と本試験で変えるというのは、さっき言ったように、プレート法では全然検出できないから、プレインキュベーションでやったら陽性になる場合などでは、用量設定できなくなるのです。だから、用量設定の試験と本試験は同じ方法でやるべきだと思うのですけれど。そうしないと、プレート2枚たす2枚は4枚の話がおかしくなっちゃうような気がするのですが。
○阿部中央労働衛生専門官 そうしますと、プレート法とプレインキュベーション法に関する告示の規定は、現状、やっぱり明確に並列です。この2つの方法については何の区別もされていないという認識ですね。そして、実際の試験方法をどういうふうに選択するべきかというところに関して、現行の課長事務連絡で一部でも記載があるかないかというと、ここでもやっぱり特に何も書いておらず、並列なんですね、現状では。そういった現状に対して、例えば、先ほどおっしゃっていただいたOECDのガイドラインとかの記述を参照すると──具体的な該当箇所は追って探しておくようにしますけど──、これこれこういう性質の物質についてはプレインキュベーション法でやるべきだと。例えば、そういうような考え方を一筆、課長通知の中でお示ししていくというところが妥当なラインかなという感じですかね。その性質に該当しないものはどうすべきかについて、どういった書き方にするかは要検討ですが。
○荒木委員 推奨すると言っていいのじゃないですかね。
○阿部中央労働衛生専門官 今回資料を準備するに当たって変異原性試験等結果検討委員各位からのご意見の取りまとめなどしていた中では確か無かったと思うんですけど、ご意見の中には、再試験を要請するべきものなのかどうなのかとか、結構微妙なラインがあったりするような印象を受けるんですよ。おおまかに言えば、『これはプレート法のみでなくプレインキュベーション法でも実施すべき』というようなコメントであっても、実際に届出事業者さんにプレインキュベーション法でもやってくれと強く要請するべきなのかどうなのか、日本語の文面だけからは読み取れないような微妙なラインのコメントがたまに。
○太田委員 プレート法でやっていて、2倍は行かない。1.8倍で上がっているとかけて、これはひょっとしたら、プレインキュベーションだったら陽性、こういうことだと思うんですね。
○阿部中央労働衛生専門官 何かそんなようなニュアンスのところがあります。
○太田委員 そういうことがあるので、基本は、プレインキュベーションを推奨したほうがいいとは思います。
○阿部中央労働衛生専門官 そのような方向性であればいい感じですかね。そうしますと、○○の性質を有する物質など、なるべくプレインキュベーション法を推奨するよと。
○荒木委員 あと、感度がいいとか何かそういう書き方をしていることが知られているので、プレインキュベーション法が望ましいという……
○太田委員 ちょっと原則、それでいいんだよね、別に。こういう物質の場合はと書かずにね。プレインキュベーション法を推奨しますという書き方のほうがいいんじゃない。
○太田委員 やらなきゃいけないということじゃないけど、どっちか選ぶんであれば、こちらを推奨しますという。
○阿部中央労働衛生専門官 わかりました。別に、これじゃなきゃいけないという書き方でなければ、基本的にはOECDのガイドラインとの整合性という意味では、あんまり問題ないと思いますので、うちとしてはこれがお勧めよというところまでお示しする感じですかね。ちょっとその路線で何か文章を検討したいと思います。
  ちなみに、先ほどちょろっと申し上げましたが、改良プレインキュベーション法というのが、これまたちょっと取り扱いがよくわかっていないところがあって大変恐縮なんですが。例えばプレインキュベーション法でいくと、課長事務連絡の中で試験の手順が――ちょっと今ディスプレイの方にもお出ししましたが──書いてあるんですよね、一つ一つ。比べてみると、プレインキュベーション法とプレート法とで違っている手順はあんまりない気がするので、この文章をまとめられないかななんて思っているんですけど、それは置いておいて。その改良プレインキュベーション法についても、これこれこういった手順で実施すれば、事実上通常のプレインキュベーション法と同等のものとして問題なく受け取れるものだと、そう言えるような手順があるようでしたら、課長通知の中でもうちょっとちゃんと手順を書いてあげるとかという選択肢もあるのかなとは思っています。
  正味のところ、改良プレインキュベーション法というものをどう位置付けるべきか……。
○本間委員 OECDガイドラインを読み込まれればいいと思うんだけど、ない限り難しいんじゃないかな。
○荒木委員 ないですよね。ガスばく露法というのは、こういう方法もありますよというのは、ちゃんと文献で示されているんだけど、改良プレインキュベーションはこういうのがありますよというのはないんです。
○阿部中央労働衛生専門官 そうすると、現状、制度の中には取り込みがたい。
○荒木委員 難しいと思います。
○阿部中央労働衛生専門官 なるほど。
○荒木委員 ただ、さっき言ったように、揮発性のものを無理やり試験しようとするところがあって、本当だったら、ガスばく露法でやれば一番簡単だけど。プレート法、プレインキュベーション法でやれと書いてあるので、それに合わせてやろうとしたときに、揮発しないように工夫して、スクリューキャップで揮発しないようにしてやったというところは当然あると思うのですが。でも、それはだめだとは言えないと思います、工夫してやっているのだから。
○阿部中央労働衛生専門官 すると、あれですかね。改良プレインキュベーション法と呼ばれているものは、既存のプレインキュベーション法の調査方法などと同じようなイメージで、具体的にこれこれこういった手順に即してやるべしみたいなことを、何某か国のほうでかっちりお示しするようなステータスではそもそもなく、個々に性質が異なる物質ごとにどうやって試験をやるかという、頑張る工夫をしていく中で出てくるオーダーメードの範疇の話であって、既存の方法と同じようにガイドラインを示せるようなものではない。
○荒木委員 ないと思いますよ。
○阿部中央労働衛生専門官 ということですね。わかりました。そうすると、あれですね、改良プレインキュベーション法というのは、そもそも文言としても書きにくいですね。
○荒木委員 だから、特に触れなくてもいいのじゃないですか。
○阿部中央労働衛生専門官 というイメージですか。わかりました。
○増村委員 すみません、改良プレインキュベーション法って、改良というと、何かよくなっているようなイメージがありますけど、実質的には要するに密栓するという……
○荒木委員 改良プレインキュベーション法は単に密栓しているだけですね。だから、改良じゃなくて、改変。でも、英語でいうと、improveになっちゃうから、何となく……
○阿部中央労働衛生専門官 一応、私も今回資料を準備するに当たってWebで検索してみたりはしたんですが、プレインキュベーション法やプレート法と並んで、改良プレインキュベーション法について書いてあるページがありまして。どこの試験機関のページかというのをあんまり言うとあれなんですけど、率直に言って、プレインキュベーション法と改良プレインキュベーション法の違いがいまいちよくわからなかったんですけども。
○荒木委員 単に密栓して、飛びにくくしてやるという。だから、逆のことを言うと、試験をする人へのばく露防止対策にもなっているという意味では。
○阿部中央労働衛生専門官 確かに、自分が見ていたページでも密栓と書いてありますね。なるほど。わかりました。
  そうしましたら、要するに、今回ご議論いただいているような論点について、何某か課長通知等の形でガイドラインを示していく中で、改良プレインキュベーション法については、文言として明確に言及していくというような話でもないし、まして現状あるプレート法やプレインキュベーション法と同様の試験手順をちゃんと書いていくという話でもないだろうと。ただし、物質の性状に応じて試験をやっていく中で、結果として、工夫して出てきたものが、いわゆる「改良プレインキュベーション法」に該当するものだった場合、それはもう個々に先生方に見ていただいて、試験手順としては本当にこれでいいんだっけという点についてご意見いただくと。そうせざるを得ないという感じですかね。
○本間委員 と思いますけどもね。
○阿部中央労働衛生専門官 わかりました。
○荒木委員 密栓したからといって、ちゃんと変異原性を検出できるのというと、それも保証ができない。
○本間委員 いっぱい方法があります。フラクチュエーション法も。
○荒木委員 それはエキスパートジャッジですよね。
○阿部中央労働衛生専門官 わかりました。ありがとうございます。
○本間委員 今、OECDでミニエームズ法というのをつくっていますけど。
 横やりを入れてしまって申し訳ないです
○清水座長 じゃあ、次に進みます。
  2番目の生菌数が低い場合の対処ということで、これは1×109/ml以上が望ましいというわけなんですが。
○阿部中央労働衛生専門官 実は、今おっしゃっていただいた『望ましい』のような書き方とか、こうでなきゃいけないという書き方がちゃんとされてはいないんですよ。生菌数が1×109/ml以上であることを確認するということだけ、課長事務連絡に書いてあるんですけれども。例えば、生菌数を1×109/ml以上にする必要がある、みたいな明記はしていないんです。実は、その辺り、とある届出案件で108のオーダーにしかなっていなかったことがありまして、それに対して、109のオーダーまでしっかりやるべきだよねという御指摘をいただいています。その案件の場合、109のオーダーになっていることを確認していないことになるはずなので、問題があるのはその個別事案だと言うこともできなくはないと思うんですけど。我々としては、やっぱり109以上にしなきゃいかんのだということを、ちゃんと考え方として明確に示していくべきなのかどうなのか、というようなところですね。
○荒木委員 一応、OECDのガイドラインでも出てるのじゃないかと思うのですけれど。ただ、これ以上で、以下だったらだめとかという感じではないですよね。
○阿部中央労働衛生専門官 多分そうなんです。リジェクトするような表現は無かったんじゃないかと。
○荒木委員 エーム試験の場合、107からもう1010ぐらいまでの菌液をつくって、実際にレスポンスを見ると、あんまり変わらないのです。どうしてかというと、アミノ酸が微量に加えてあって、それを利用して分裂するので、最初に入れた菌数にかかわらず最後の菌数というのは大体合っているから。少なく入れれば、分裂回数が多くて、たくさん入れれば分裂回数が少なくなって、基本的には復帰変異率というか突然変異コロニー数は変わらないようになっていますよね。
○阿部中央労働衛生専門官 多少ほかしておいても、大体、その範囲の中で収まるところに収まるというイメージでしょうか。
○荒木委員 そうそう。あまり菌数の差によらないで、きちんとした結果で出てくれるというのがあるんです。すごく安定しているのですよ、そういう意味では。
○太田委員 あまりこの指摘も、そんなにこだわるような指摘じゃないと思うんですけどね。
○阿部中央労働衛生専門官 そうなんですか。
○太田委員 8乗ぐらいあれば別に、少なく見えるんだけども、評価には影響ないでしょう。
○荒木委員 多分、それで陽性対照がきちんと出ていると思います。
○阿部中央労働衛生専門官 はい。そのとある個別案件についてコメントを頂いていたのもそんな感じのニュアンスで、結果としては陽性が出ているから再試験までは求めないけど、108のオーダーなんだよなと、そのくらいのニュアンスでしたね。
○荒木委員 培養し終わった後に菌数を数えて、菌数当たりに化学物質をこれだけ入れて、突然変異がこれだけ出てきたからという、突然変異率を求めるというやり方でない試験法になっているというのは、入れた菌数の差にかかわらず、大体同じぐらいの復帰変異コロニー数が出るようになっている。それがこのエームス試験のすごくすぐれている点でもあるんです。
○太田委員 この菌数は確認だよね、ある意味ね。
○荒木委員 一応、ガイドラインの文書上は確認事項なので。結果として、これがちょっと少なかったからといって、評価に影響するものではないので、こういうコメントが出てきても、それは無視して。
○阿部中央労働衛生専門官 具体的なコメントの取り扱いは別の場で御相談させていただければ。
○荒木委員 ただ、本当に106とか5乗とか、本当に悪いものを使っちゃうと、やっぱり問題なので。
○阿部中央労働衛生専門官 なるほど。
○太田委員 その場合には、恐らく陽性対照でないですからね。
○阿部中央労働衛生専門官 そうしますと、とにかくちゃんと109というところを遵守しろというところをごりごり求めるような……
○太田委員 ことはしなくても。
○阿部中央労働衛生専門官 ないだろうと。なるほど。わかりました。ありがとうございます。
○清水座長 よろしいですか。
  じゃあ、次の3番目の製造後6カ月以内のS9の使用ということですが。
○阿部中央労働衛生専門官 これは単純にシンプルに6カ月過ぎているものを使っているのはどうなんだという御指摘をいただくケースがちょこちょこあるんですね。
○太田委員 でも、急にだめになることもないし、一応、6カ月以内と書いてあればそうだけど、何カ月になったから急に、これだと言えるようなこともないんじゃない。
○阿部中央労働衛生専門官 コメントいただくのも、その辺の気持ちというかニュアンスが結構出ているものになっている印象はあります。この資料1の上では類似のコメント複数をまとめて丸めて書きましたけれども、『製造から6カ月をちょっと超えている、問題は無いけどさあ……』というニュアンスのところもあれば、『もうぼちぼちこれは製造から1年経っているでしょ、そういうのをそのまま使うのはどうなんだろう』というような御指摘をいただくケースもあるんですよ。その辺り、我々としては、少なくとも6カ月以内という考え方はどこにも示していないので、何某か、例えば、目安としてでも製造から6カ月以内ぐらいのものが望ましいぐらい書いてあげるとか、あったほうがいいのかなという。
○荒木委員 その程度でいいと思いますよ。
○阿部中央労働衛生専門官 そのぐらいでよろしいですか。
○太田委員 別に1年だって、別にしっかり保存していれば。だって、そのために陽性対照をやっていますからね、毎回。活性がちゃんと担保されていれば、試験は有効ですよね。
○阿部中央労働衛生専門官 なるほど。
○本間委員 その辺は、GLPのラボなんだから、わかっていると思いますけどね。
○増村委員 現在売られているS9の製品に使用期限期間期限は書いてありますか。
○太田委員 ないですよ。
○増村委員 ない。
○荒木委員 概ね6カ月以内とすることとするといった文章を見たような気がしますけども。
○清水座長 書いていないんですね、これにはね。
○荒木委員 ここに書いていないんですね。
○阿部中央労働衛生専門官 現状は、少なくとも厚生労働省から何某かお示ししている文書で、製造から6カ月以内、もしくは6カ月目処、あるいは6カ月前後とか、とにかく期限について触れたものは全くないと思うんですよ。
○荒木委員 でも、査察のときにずっと行政指導みたいな形でやってきたかと思うのです。
○阿部中央労働衛生専門官 多分、その辺りの経緯も含めて、コメントとしては、変異原性試験等結果検討委員各位からはちょこちょこ頂いているんでしょうね。
  そうしましたら、先ほどの望ましいぐらいの考え方をどこかでちょっとお示しするイメージで。
○清水座長 そうですね。
○阿部中央労働衛生専門官 わかりました。ありがとうございます。
○清水座長 じゃあ、その次の4番目の被験物質の純度換算に対してですが、これはページが複数にわたっていますけれども。
○阿部中央労働衛生専門官 実は1ページに収まりきっていない部分は、あまり今回の論点には直接関係しない記述なんですが、まさに被験物質の純度が95%未満のものについては純度換算を実施すべきというふうに御指摘を頂いているものについてです。
  じゃあ、純度の話ってどこかで書いてないのかというと、現状では、ドキュメントというか文書となっているものはほぼ何もないんです。ただ、辛うじてというとなんですけれども、厚生労働省のWebサイトのほうにはQ&Aを載せているものがございまして、不純物が分離できない場合には、95%とか90%というところを仕切りとして、下回る場合には純度換算が必要ですみたいなことを書いていると。ただ、純度換算をやってくれということを明示的にオーダーしていく観点からは、とりあえずホームページに載っけてあるから、これを見ておくれよというわけにもいかんのでないかという気もしておりまして。例えば、このWebサイト上のQ&Aで示している95%や90%という仕切りがある程度確立した考え方なのであれば、もうちょっとちゃんとしたガイドラインに落とし込んでいくというところがあってもいいのかなという趣旨で、御相談させていただいた次第です。
○荒木委員 これが問題になったのは、不純物が分離できない場合にどうするかといったときに、純度換算の話がでた。基本的には新規化学物質の届け出は、いわゆる純物質ですよね、。
○阿部中央労働衛生専門官 本来はそうですね。
○荒木委員 いわゆる混合物としての届け出という考え方ではないのですよね。それは分離できない場合も。
○阿部中央労働衛生専門官 そうですね。AとBの混合物というような名称をつけているケースが結構あるにはあるんですが、おっしゃるとおり、単体としてそれが成立しないというか、AとBを混合したものとして一つの化学物質として成立しているようなものだと思います。
○荒木委員 化審法は混合物であっても、最終的な製品でやるという形にしている。
○太田委員 いや、でも、純度換算しますよ。
○荒木委員 純度換算しますか。そうすると、同じですかね、基本的な考え方は。
○阿部中央労働衛生専門官 そうしますと、この95%以上という仕切りは、まあ、そのまま採用していいかなというイメージでよろしかったでしょうか。……あれ、何か違いますか?
○本間委員 大した問題はない。95%以上だった場合。
○阿部中央労働衛生専門官 であれば。
○荒木委員 どこかで切らなきゃいけないから。
○阿部中央労働衛生専門官 だと思います。
○荒木委員 多分、それで95%になったんだと思います。
○本間委員 ただ、染色体異常試験の場合も、そういったことが問題になるんだけれども、普通、遺伝毒性試験では、毒性が最高用量のリミットになるんですよ。例えば、エームス試験の場合で、毒性があって、最高用量が1mg/plateだったら、純度がどうであろうが、もうそこまでしかできないんだから、純度は問題にはなりません。ところが、最高5mg/plateまでやったときに、純度が90%の時は、それってもしかすると、実濃度は5mg/plateじゃなくて、4.5mg/plateまでしかやっていないんじゃないのと言われるわけよ。その場合は……
○阿部中央労働衛生専門官 ぎりぎりのラインで。
○本間委員 そうそう。それで、その場合には、実際には最高濃度はガイドラインでは5ミリなんだけど、例えば6ミリまでやるとか、場合によっては10ミリまでやるということで、その純度が少ない分、補正するということをやる。だから、毒性がリミッターになった場合には、全くこれは問題ないし、染色体異常もそうなんです。ただ、おっしゃるように、95%ぐらいだったら、あんまり影響ないかなというような気がする。90とか80になると、さすがに、さらにそれで5ミリまでやって問題ないというのは、じゃあ、ちょっと5ミリまで本当はやっていないんじゃないということになると、ガイドライン上、問題になってくるんです。
○阿部中央労働衛生専門官 そうしますと、この純度換算を不要とする目安としての95%以上、ないし純度換算の必要となるラインとしての90%超え95%未満ですとか、さらに言えば、純度90%以下であれば、もう主成分と不純物の混合物として扱うんだと。こういうような考え方自体は、まあ、皆さまあまり違和感ないかなという感じですか。それはやっぱりある程度、明確にしておいたほうがよろしかろうというようなイメージですかね。
 ただ、その場合でも、先ほどおっしゃっていただいたように、全ての場合に必ず純度換算をやる必要があるということではなくて、微妙なラインのときには、しっかり手当してくれと。そんなような感じが見えてくればいい感じですかね。
 わかりました。ちょっと文言は何某か検討したいと思いますが、考え方はおよそ見えてきたかなと思います。ありがとうございます。
○本間委員 むしろそれで陽性が出た場合に、それがそのものなのか、不純物の影響なのか。そっちのほうが結構重要なんだけれども。
○阿部中央労働衛生専門官 よっぽど不純物がひどいものだったら、そういうことは確かにあり得そうですね。でも、届出を出してきていただいた事業者さんは、こいつクロですといって試験結果を出してこられるわけですからね。不純物のせいですという言い訳は、我々は聞きませんから。じゃあ、その子を黒として扱ってねというしかないので。
○清水座長 とりあえず95%で行きましょう。
○阿部中央労働衛生専門官 このぐらいの値を目処にすることで。何某かの形でもうちょっとちゃんと公式に考え方をお示しできるように調整します。
○清水座長 次、じゃあ、5番の機器計測時の補正の問題ですね。これは、再現性のあるものでなければならない。
○阿部中央労働衛生専門官 たまたま今回、直近の変異原性試験等結果検討委員各位からの意見のとりまとめを行っている中で、1件だけだったんですけど、機器計測の事例において補正が行われていないのではないかという御指摘をいただいたケースがございまして、そういえば確かに課長事務連絡等にも何も書いていないなと。そもそも機器計測というのがどのぐらい一般的なのかとか、日頃、試験機関の方で補正についてどのぐらい留意されているのかというのがちょっとよくわからなかったんですけれども、もし、機器計測に関して、何某か留意するべき点があるのであれば、今のうちに入れ込んでおくべきなのかな、ということで挙げさせていただきました。あえて言うなら、再現性のあるものでなければならないという告示の記述もございますので、それは機器を使うのに補正もできていなかったら出てくる結果もバラバラやんけとなりますし、当然ダメでしょう、とは思うんですけれども。果たしてどんなものなんでしょうかというご相談です。
○荒木委員 計測のこの補正というのが出てきたのは、コロニーカウンターが昔、テレビ線の方式で、走査線があって、コロニーがぶつかっている接点のところで、コロニーを認識して、接点終わっているところではコロニーがなくなっているというふうに計測していた。走査方向が一方向だから、コロニーがつながっていたりすると、コロニー数が違ってきちゃう。そういう数え落としを補正するという意味で、いわゆる補正係数で補正していた。最近は、画像処理装置が入ってきているので、物によっては補正しなくてもかなり正確に数えている機械が出てきているので、一律に機械計測だから、補正が必要だというわけではないと思います。
○阿部中央労働衛生専門官 そうしますと、あれですかね。書いておいて邪魔になる文言でもなさそうな気がするので、何か必要な範囲で適宜補正を行うみたいなことを書いてみたら。
○荒木委員 書いたらいいのじゃないですかね。
○阿部中央労働衛生専門官 今の話を伺いますと、一筆入れるぐらいかなという気がしています。具体的にAmes試験をやる上で、これはよくあるというような補正漏れによる失敗みたいな、そういうものが特に何かあるわけではないよという、そういうことですかね。
  わかりました。そうしましたら、今後、課長通知等の文言をいろいろ見直す中で、一筆軽く入れるような方向でちょっと考えようかなと思います。
○清水座長 よろしいですか、じゃあ。
○阿部中央労働衛生専門官 はい。ありがとうございます。
○清水座長 次の6番目、報告書中における年の表記の統一ですね。
○阿部中央労働衛生専門官 これは、すみません。資料の御説明の際にも申し上げましたけれども、割と頻出する御指摘を機械的にピックアップしてきましたので、これが一応リストの中に入っておりますが、事務的な話ですので、例えば西暦なら西暦に。特に外国機関から出てくるものを和暦でやってくれというわけにはいかないので、そうすると、西暦にならざるを得ないのかなという気はしておりますが、統一してくれということをどこかで考え方をお示しするのかなというところかと思っています。
○清水座長 これは、S9ですよね。製造年月日と試験の時期と見るときに、片一方が和暦で、片一方が西暦で書いてある。換算するのが面倒くさいというだけです。
○阿部中央労働衛生専門官 なるほど。でも、多分、そんなような感じだろうなという気はします。
○本間委員 全部西暦にしたらいいんじゃない。
○清水座長 どちらかに統一してあればいいわけです。
○阿部中央労働衛生専門官 形式的な話ですので。一応、機械的に論点を挙げさせていただいただけなので入っていますが、あまり気にしないでいただいていいかとは思います。
○清水座長 じゃあ、次に行ってよろしいですね。
  次に、7番目の使用する菌株の種類。
○阿部中央労働衛生専門官 これは、ついこの間の案件だったかな。TA97Aという菌株が使われていた案件がたまたまあったんですが、見ていただいた委員の方から、使用実績が乏しいのではないか、これって大丈夫なんだっけみたいな御趣旨の御指摘を頂いたものがございました。そもそもこのTA97Aが使われているケースってあんまりないよねと言われると、試験結果の検討委員の方々からの御意見の取りまとめをしている中でも、確かにあんまり見ないですね。なので、少ないっちゃ少ないのかなというのは感覚的にはちょっと思ったんですけど。他方で、告示にも名前が挙げられている菌株の種類ですので、これは不適当な菌株だというわけにもいかないわけですね。なので、まさにエキスパートジャッジの世界に入ってくる部分もあるのではないかとも思うんですけれども、例えば、こういう菌株はこういう場合に使うべし、若しくは、こういう場合には使うべきではないみたいな考え方で、もし何か定型的なもの、確立しているものがあるのであれば、課長通知等に書いておいたほうが話が早いなというところがございまして、ちょっと入れさせていただきました。果たして菌株の種類の選択についてはどんなものかという御相談です。
○増村委員 少ないからといって、ここから外す理由にはならないですよね。
○阿部中央労働衛生専門官 ならないです。少ないだけでは。ただ、不適当なのだとしたら、外してもいいのかもしれません。
○本間委員 海外って、さっき……
○太田委員 これはOECDで入っているから、もう入れざるを得ないんだよね。
○阿部中央労働衛生専門官 はい。
○太田委員 これはこれで日本では使っている人いないというだけの話なので、実際出てこない。だから、使用実績が少ないのはしようがない。
○清水座長 探求する必要もないですよね。
○阿部中央労働衛生専門官 誤解が無いように申し上げますと、事務局としては、どっちかというと削りたいという趣旨ではなくて、こういう場合には、こういうものを使うべきみたいなのがあるのかなという趣旨でご相談しました。
○荒木委員 あえて言えば、この1537というのはアントラキノンとか、そういうキノン類に感度がいいというので使われたんだけど、1537自体はちょっと使いにくい菌で、生育が悪い。生育が悪いのと、膜膜が弱いので、菌体が壊れやすい。それで、エームズ先生がそれにかわる菌株として、違う菌株を開発された。1537にプラスミドを入れた2637というのがあるんですけど、こっちの菌株はかなりすぐれたいい菌株なのだけど、それを推奨しないで、新しくつくった菌株を、論文で推奨したのです。それが97、97Aなのです。Aがついているというのは、これはグルコースの依存性を減らしているのが97Aなのですが。そういう歴史があって、キノン類に対しては、こういう菌株は必須だと思います。ただ、一応、セットでもやられていますから。特にそこまで書かなくてもいいのじゃないかと思うのですが。
○阿部中央労働衛生専門官 ああ、そうですか。
○荒木委員 それを書いちゃうと、じゃあ、ほかの菌株はという感じになっちゃうので。
○清水座長 よろしいですね。
○阿部中央労働衛生専門官 そうしましたら、ちょっとTA97Aのほうの御指摘は個別対応させていただくような感じになるかなと思うんですけれども。そこはあまりセンシティブにというか、逆に言うとあれですかね、確立した条件分岐があるというよりは、大体の傾向はある意味GLPの界隈で共有されている感覚が何某かあって、その雰囲気の中でもやってもらっている分には特に問題ないと。名前が挙がっている菌株の中には、使用実績でみるとレアだろうなというものもあるけれども、そこはちょっと個別に判断していくしかないなと。そういう感じで受けとめさせていただくのかなと思いました。
  ありがとうございます。
○清水座長 じゃあ、次に移ります。8番目の沈殿がない用量での実施ということですが。
○阿部中央労働衛生専門官 こちらは、とある案件で、全ての用量で沈殿が生じているケースがございましたと。沈殿がない用量でも試験を実施すべきだったなという御指摘をいただいていたものです。すみません、率直にいうと、沈殿の有無というのがどのぐらいクリティカルなのか、私自身あんまりよくわかっていないんですが、結論として、ちゃんと沈殿がない用量でも試験を実施すべきというのが確立された考え方なのであれば、用量設定の段階でしっかり沈殿がないところまで用量がおさめられるようにしてねということを示さなきゃいけないのかなという。……こうしてご説明させていただいている中でも、何か微妙な表情をされている方が多いので、別にそういうわけではないということなのかもしれませんけども。
○荒木委員 これは経緯を話すと、本来が5ミリグラム/プレートを最高用量としてやるべきなのですが。沈殿すると、復帰コロニーと沈殿が見分けられないような場合がある。普通だと、コロニーと思われるもの全部、プレートの上に拾っていって、復帰コロニーかどうかを調べるのですが。非常に面倒くさいので、通常そこまでやらないですね。あと、もう一つは、コロニーカウンターが使えない。だから、そこまでやりたくないという。あと、もう一つ、溶けないのだから、菌の中に取り込まれないのではないかという理論があった。実際には、S9に含まれる油に溶けるものは溶けるので、ベンゾピレンみたいなものでもある程度溶けるし、厚生労働省の届け出を見ても、沈殿領域でのみ陽性になる物質も結構ある。OECDガイドラインのほうは、最高用量を沈殿領域まででいいという書き方になっている。本当は最高用量5mgまで沈殿領域でやるというのをガイドラインに書きたかったのだけど、OECDガイドラインに合わせた書き方になっている。
  ただ、5mgまでやったほうがいいよというのは、指導でやりましょうというような形にたしかなったと思うんです。このガイドラインを変えるときに、そういう話だったと思うのですが。
○阿部中央労働衛生専門官 そうしますと、あれでしょうか。沈殿がない用量でも試験を実施すべきというのは。
○荒木委員 多分、それはちょっと当たらないような気がするのですけれど。そこのところで、復帰変異コロニーが増えているというなら別ですよ。そういう生物学的反応がいわゆる沈殿のない領域のところでは見られるが、沈殿領域では見られなくなった。そういう物質もあるのですが、そういう場合だったら、そういう指摘はあるかもしれないです。基本的には沈殿領域で最高用量5mgまで、やっているというのが望ましいとは思うのですが。
○阿部中央労働衛生専門官 そうしますと、必ずしも沈殿がない用量で実施していないことが問題になるわけではないということでしょうか。
○荒木委員 ないと思います。逆に、物によっては、5ミリまでやらないで、沈殿領域でやめちゃっているような試験もあります。でも、それが許されるのは、沈殿領域で全ての菌株で何らかの生物学的反応がないというのが条件になっていて、例えば、ある特定の菌株だけは毒性が沈殿領域で出るとかということになると、沈殿領域の最高用量にすることはできない。たしかそういう話を精度管理事業でしていたのではないかとかと思います。
○阿部中央労働衛生専門官 すみません。わかりました。
○荒木委員 ただ、文書に残っていないですよね。
○阿部中央労働衛生専門官 いや、なので、委員各位からいろいろコメントを頂いているんですけど、経緯が分かるものも一部あるにはあるんですが、果たしてどこの根拠に基づいて、何をどうすべきというご意見なのかというのが、事務方としてもようわからんところがあったもので。もし事業者さんに統一的に対応を求めるべき点なんだったら、ちゃんと考え方を示さなきゃいけないですし。そうではない、あくまで個別の事案でたまたま発生したご指摘なのであれば、そこは個別に御相談なのかなというところもあったんですけれども、なかなかその区別が付きませんで。
  そうしましたら、押さえるべきポイントとしては、今、まさにここに書いてある、大臣告示にも書いてありますけれども、プレート当たり次に定める用量とすることというのが本試験の最高用量にあるわけですね。用量設定試験で菌株に対する生育阻害が認められず、かつ、沈殿が認められる場合は、その沈殿の要領でやるというのが大前提でありますよと。沈殿が認められない場合でも、5ミリまではやれというのが明示されていますよということだと思いますけれども。逆にいうとこれが必要十分であって、追加的にというとあれですが、沈殿がない用量まで――までというか、沈殿がない用量も必ず試験の対象の中に含めろというのは、ちょっと過剰であるというような整理で。
○荒木委員 と思いますけど。
○阿部中央労働衛生専門官 了解しました。ちょっとそこを整理……
○本間委員 ここ、でも、さっき懸濁の方法と関係するのかもしれない。懸濁のやつをやるということは、全量で沈殿があるということなの。
○荒木委員 懸濁用量でやれば、当然、沈殿は出てきますよね。
○本間委員 ここの沈殿というのは、懸濁じゃないけども。
○荒木委員 最高プレートのプレートの中で、いわゆる沈殿の……
○本間委員 沈殿の析出ということですか。
○荒木委員 プレート上のいわゆる析出ですね、沈殿物の。
○阿部中央労働衛生専門官 その辺り、我々の方では、変異原性試験検討委員の方々に事業者さんから届け出ていただいた試験の結果をとりあえずお送りして、コメントいただいて、取りまとめてというプロセスをやっているんですけど、それぞれの結果について何をもってどう評価するのかというところで、一つ一つのご指摘の趣旨を、必ずしもちゃんと事務局が理解できているか微妙なところがございまして。今回、これまでに溜まっていたものをまとめていろいろ御相談させていただきましたが、今後、それぞれのご指摘が、個別事案として対処するべき話なのか、広く一般にちゃんと規定の改定等も含めて考慮するべき話なのかとかという、その辺りの認識が共有できるような形で御意見いただけるような御依頼の形を整理させていただいた上で、委員の皆さまとも認識合わせを図らせていただければなと思っております。その辺りは、今日御意見いただいた内容を改めて取りまとめさせていただいた上で、対処方針を御相談させていただきたいと思っております。
  ありがとうございます。
○清水座長 では、一応、検討はこれで終わったということですね。ということで、これから各種の規定への反映の方針を事務局のほうで取りまとめると。そして、順次対応を進めていただきたいというふうに思います。
  それでは、一応、議題のほうは終わったということでよろしいんですか。
  じゃあ、ほかに何かございましたらお願いいたします。
○阿部中央労働衛生専門官 今後のスケジュール感のお話しだけさせていただきます。
  もともと本件、変異原性試験の有害性調査の制度のほうのお話もありましたので、変異原性試験結果等検討委員の方々のほうの枠組みもどうするかという話もあったんですけれども。実際、今後どういう方針で進めるかとかについては、そちらと実会合をセットでやるような形とか、何らか対応方針を考えた上で、変異原性試験の検討結果を皆様に見ていただく際に、委員の方々それぞれの認識のずれがないように、もちろん事務局側がちゃんと認識できているかというのが一番肝なんですけど、そこをそろえさせていただいた上で、進められればと思っております。事業者の方々への指導の内容にもどう反映するかというのもあるかと思いますので、そこの認識合わせをさせていただく機会を、ちょっとタイミングが日程調整次第なのであれですけれども、年内にできればいいなと。そこは形式も含め、別途調整をさせていただきたいと思っております。
  それから、遺伝毒性評価ワーキンググループという枠組みの中でいきますと、例年、変異原性試験とかですかね、形質形質転換とか、委託事業のスクリーニング試験の結果について検討いただく場を設けております。そちらにつきましては、今、2月の下旬なら何とか調整できそうかな……みたいな話を支援事業者であるテクノヒル社としておるんですけれども、委託事業の調達が若干遅めだったもので、結果がそこまでにちゃんと揃えられるかというのが微妙なところがございまして、そこの調整次第で、2月下旬ないし3月に入ってから、どこかで1回やらせていただきたいと、こういうふうに考えているところでございます。具体的な日程につきましては、また改めてテクノヒル社なり、我々のほうから御連絡させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  以上です。
○清水座長 それでは、今日の委員会を、ワーキンググループですか、これで終了といたします。
  どうもありがとうございました。