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薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食品規格部会(2019年9月13日)
日時
令和元年9月13日(金)
10時00分~12時00分
10時00分~12時00分
場所
TKP新橋カンファレンスセンター 14階ホール14E
(東京都千代田区内幸町1-3-1 幸ビルディング)
(東京都千代田区内幸町1-3-1 幸ビルディング)
出席者
委員
五十君部会長 | 明石委員 | 畝山委員 | 小川委員 |
工藤委員 | 小坂委員 | 下村委員 | 戸田委員 |
中野委員 |
事務局
吉田食品基準審査課長 | 井上室長 | 出口専門官 |
津田主査 | 小玉主査 |
議題
(1)酒精飲料中のメタノールの規制値について
(2)清涼飲料水の規格基準の改正について
(2)清涼飲料水の規格基準の改正について
議事
- ○井上室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食品規格部会を開催いたします。委員の皆様におかれましては、御多忙のところ本部会に御出席いただき誠にありがとうございます。審議に入るまでの間、事務局にて議事を進行いたします。よろしくお願いいたします。
まず、初めに部会委員の異動等について報告いたします。平成31年1月に部会委員の改選があり、東京農業大学応用生物科学部教授の五十君靜信委員が、本部会長に着任されております。
○五十君部会長 東京農大の五十君と申します。本年度から、食品規格部会を担当することになりましたので、どうぞよろしくお願いします。私は、もともと国立感染症研究所、国立医薬品食品衛生研究所を歴任して、現在、東京農大で教鞭を執っております。どうぞよろしくお願いします。
○井上室長 ありがとうございました。続いて、国立保健医療科学院上席主任研究官の小坂浩司委員ですが、本日は遅れていらっしゃいます。
続いて、東北大学大学院農学研究科食品化学分野教授の戸田雅子委員です。
○戸田委員 東北大学農学研究科の戸田と申します。これからどうぞよろしくお願いいたします。
○井上室長 ありがとうございました。続いて、慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室専任講師の中野真規子委員です。
○中野委員 慶應大学の中野と申します。以前は呼吸器内科をしており、その後、公衆衛生学教室に入り産業衛生を主にやっております。どうぞよろしくお願いいたします。
○井上室長 ありがとうございました。また、本日、御欠席されておりますが、国立医薬品食品衛生研究所衛生微生物部第四室主任研究官の吉成知也委員が、本部会委員に着任されております。
続いて、本日の部会委員の出席状況です。本日は、苅田委員、二村委員、堀端委員、吉成委員から御欠席の御連絡をいただいております。本日、部会委員の小坂委員が遅れておりますが、13名中8名の委員に御出席いただいておりますので、当部会は成立していることを報告申し上げます。
続いて、事務局に異動がありましたので紹介いたします。本日、公務にて欠席しておりますが、本年の7月9日に生活衛生・食品安全審議官に浅沼が着任しております。また、食品基準審査課の出口です。同じく、津田です。同じく小玉です。私は井上です。よろしくお願いいたします。
それでは、この後、議事に入りますのでカメラ撮影はここまでとさせていただきます。以後の進行は、五十君部会長にお願いいたします。
○五十君部会長 それでは、早速、審議に入ります。本日の審議、よろしくお願いいたします。まず、事務局から配布資料の確認をお願いします。
○井上室長 それでは、お手元の資料の確認をいたします。本日の部会は、ペーパーレスでの開催としております。資料はタブレットでデータを閲覧する方式で実施いたします。お手元のタブレットのマイプライベートファイルを開いてください。議事次第、座席表、委員名簿、資料1、資料2、参考資料1~11をPDFファイルで掲載しております。タブレットの操作の不明点、また、資料の保存の不備等がありましたら、事務局までお知らせいただければと思います。
○五十君部会長 それでは、審議に入る前に、事務局から、本日の部会の審議事項に関する利益相反の確認結果について報告をお願いします。
○井上室長 本日の部会においては、利益相反の確認対象はございませんので、退室が必要な委員又は議決に参加できない委員はいないことを確認しております。以上です。
○五十君部会長 それでは、審議事項(1)「酒精飲料中のメタノールの規制値について」です。事務局より、資料1「酒精飲料中のメタノールの取扱いについて」の説明をお願いします。
○事務局 タブレット中では、資料1、参考資料1-1、1-2がありますが、資料1に基づいて説明いたします。今回は、酒精飲料中のメタノールの規制値の改正に関する御検討をお願いしたいというところです。1ページの1.経緯です。現在、我が国において、酒精飲料(酒精分1容量パーセント以上を含有する飲料をいう。)中のメタノールについては、昭和29年7月15日付け衛食第182号「有害飲食物等取締令の廃止について」及び昭和60年1月31日付け衛検第42号「酒精飲料中のメタノール含有量について」により取り扱っております。具体的な規制としては、酒精飲料中1 mg/1 cm3以上のメタノールを検出した直接飲用に供することを目的とした酒精飲料は、食品衛生法第6条第2号違反として措置しているところです。
このメタノールは、果実等を原料とする酒精飲料に多く含まれるということが知られておりますが、一部の酒精飲料については、果実等その原料に由来するメタノールのために、我が国の現在の規制値である1 mg/1 cm3を超えることが避けられないという実態があり、そのために日本国内では現在流通できないということ、また、我が国の規制値が諸外国と比較して低い傾向にあることから見直しに係る要請がありました。この要請ですが、特に一部のメキシコ産テキーラについて、こうした実態があるということを踏まえて要請されております。したがって、厚生労働省において、メキシコにおける規制値と同程度の1.2 mg/mlに変更することについて検討を開始したものです。
次のページです。この1.2 mg/mlの根拠です。表1、諸外国におけるメタノールの規制状況にありますが、メキシコにおける規制値は、エタノール当たりのメタノールの量で規定されており、1lのエタノール当たり3gのメタノールが規制値で、テキーラで想定されるアルコール分40度とした場合に、酒精飲料中のメタノールとして換算すると1.2 mg/mlということで、今回、1.2 mg/mlに変更することについて検討を開始したものです。
一方、食品安全委員会において、添加物「二炭酸ジメチル」の食品健康影響評価が行われております。二炭酸ジメチルの加水分解物としてメタノールが生じることから、添加物「二炭酸ジメチル」の評価の際に併せてメタノールについても評価が行われております。その評価結果が、平成31年1月に厚生労働大臣宛てに通知されております。このような状況を踏まえ、今回、酒精飲料中のメタノールの規制値の改正を行うことについて、御検討いただきたいと思っております。
メタノールの概要は、2.に記載しております。先ほども説明したとおり、果実や野菜中に天然に含まれるものであり、人体内においても代謝のプロセスで生成されることが知られております。酒精飲料中に関連しては、ペクチンを多く含むリンゴ等の果実を原料としたものについて、ペクチンが分解される際にメタノールが生じるために多く含まれるということになります。また、メタノールについては、一般的な蒸留の過程では、エタノールと同様の挙動を示すことから蒸留の過程で取り除くことは困難ということで、果実を原料とした蒸留工程を経て製造される酒精飲料中に多く含まれるとされております。
2ページです。メタノールの分布、代謝等です。経口、吸入、経皮等吸収されると、人体の水分に分布します。その後、アルコールデヒドロゲナーゼにより代謝され、ホルムアルデヒド、ギ酸を経て、最終的には二酸化炭素として排出されております。毒性としては、慢性的な影響に関する知見はほとんど報告されておりませんが、急性メタノール中毒の症状として、視覚障害、吐き気、腹痛、筋肉痛、意識障害が挙げられます。
(2)諸外国におけるメタノールの規制状況については、表1にまとめたとおりです。国・地域によっては、お酒の種類によって細かく規定が設けられている所があります。続いて、(3)メタノールに関連する食品健康影響評価についてです。二炭酸ジメチルの食品健康影響評価の際に、メタノールの評価が併せて行われております。この評価の中において、「メタノールは果物、野菜、果実ジュース、発酵飲料等の飲食物にも含まれている。」とされ、「果実ジュース及びアルコールからの推定一日摂取量については、国民平均及び小児について、1.93 mg/kg体重/日及び1.14 mg/kg体重/日と推計されるが、果物、野菜等から摂取するメタノールを考慮すると、実際の食品由来の摂取量はこれよりも多い可能性がある」。また、二炭酸ジメチルに由来するメタノールの推定一日摂取量については、後ほど改めて説明いたします。添加物「二炭酸ジメチル」の評価としては、メタノールの評価も含めて、添加物として適切に使用される限りにおいては、安全性に懸念がないと判断されているところです。
3~4ページの2)の前までが、食品安全委員会による二炭酸ジメチルの評価書の抜粋です。結論としては、4ページの2)の直前にある、二炭酸ジメチル由来メタノールは、通常の食事由来のメタノールと同様に吸収され、体内で代謝及び排泄されると考え、ヒトにおける知見、通常の食習慣でのメタノールの摂取量及びFDAにより設定されたADIの7.1~8.4 mg/kg体重/日との比較も含めて、添加物「二炭酸ジメチル」が添加物として適切に使用される限りにおいては、メタノールの安全性に懸念がないと判断しております。2)メタノールの食品健康影響評価に関する新たな知見についてです。二炭酸ジメチルの評価結果が通知された平成31年1月以降、メタノールの評価結果に影響を及ぼすと考えられる新たな科学的知見は確認されておりません。
(4)改正後のメタノールの摂取量についてです。現行の1 mg/1 cm3から1.2 mg/1 cm3に改正した場合のメタノールの一日摂取量について推計を行っております。その結果は、5ページの表2のとおりです。①から③にかけては、二炭酸ジメチルの評価の際に行われた摂取量の推計です。二炭酸ジメチルの評価の際には1.0 mg/mlとして評価が行われ、これに加え、増加分を足し合わせたものが④の下にある改正後の数値です。改正前の推計は3.142 mg/kg体重/日で、改正後は3.502 mg/kg体重/日です。
表2の④を含めた合計の推計値は、改正前の増加分と比べると増加分は約10%になっております。また、食品安全委員会の評価結果においても示されておりますが、通常、体内に存在する以上のギ酸の蓄積が起こらないとされている経口摂取量や、FDAが設定しているADIよりも低い値となっております。また、健康なヒトについては、1時間当たり1,500 mgのメタノールを問題なく代謝可能という知見がありまして、これを単純に1.2 mg/1 cm3の酒精飲料の摂取量に換算した場合は、約1,250 mlとなっております。
これらを踏まえた対応方針の案ですが、5ページの表2の下にあります。2の(4)の摂取量の推計を踏まえると、直接飲用に供することを目的とした酒精飲料に係るメタノールの規制値を現行の1mg/1 cm3から1.2 mg/1 cm3にした場合であっても、メタノールの摂取によるヒトの健康へのリスクが高まることはないと考えられることから、規制値の改正を行ってはどうかというところで、検討を行っています。
また、併せまして、食品衛生法上の液体食品に関する汚染物質等の規制値の単位との整合性の点から、この規制値の単位を現在は「mg/cm3」として表記しておりますが、こちらについて「mg/ml」に改正する案を考えております。
御審議いただく事項としては、5ページの下段の「審議事項」の所に書いてあるとおり、メタノールの規制値についてです。酒精飲料中のメタノールについて、食品衛生法第6条第2号の違反に該当するものを「1 mg/1 cm3以上含むもの」から「1.2 mg/mlを超えて含むもの」に見直すことについて御審議いただきたいと考えております。
今後の対応ですが、以上の対応方針案について了承が得られた場合、食品安全委員会への食品健康影響評価の依頼を行い、その結果を受けた後、その評価結果に変更がなければ、現在の取扱いに関する通知の改正等のための所要の手続を進めることとしたいと考えております。御審議のほどお願いいたします。
○五十君部会長 ただいま事務局から資料1「酒精飲料中のメタノールの取扱いについて」に基づいて、酒精飲料中のメタノールの規制を見直す案について御説明をいただきました。主な内容としては、酒精飲料中のメタノールの規制値を1.0 mg/cm3が現状ですが、それを1.2 mgにしてはどうか。食品衛生法上の液体食品に関する汚染物質等の規制値の単位との整合性を取る観点から、当該規制値の単位を従来「mg/cm3」ということになっていましたが、「mg/ml」と改正してはどうかという御提案です。委員の皆様から、御質問、御意見がございましたらお願いしたいと思います。
○明石委員 3つほど御質問させていただきます。まず、健康影響については御説明があったとおり、特に影響がないということは理解できたのですが、実際に1から1.2にすることで、市場というのか、どのぐらいのそういう輸入量が増えるのかという点が第1点です。
それから、この2ページの表を見ますと、外国のアルコールの中にはもうちょっと高いものがあって、これについてはそういう要望とか、輸入できるようにしてほしいという要望はないのでしょうか。これが2点目です。
それから、3つ目は簡単な話で、同じ表でアメリカの項目の対象を見ていますと、「輸入ブランデー」と書いてあって、要するにアメリカは輸入するブランデーについては、こういう規制値を持っているけれども、もし国内で作っているものについてはないとすると、こういうダブルスタンダードのようなことを実際にやっていることがあるのかどうかということについて、御教示願えればと思います。
○五十君部会長 では、事務局から3点についてお願いしたいと思います。
○事務局 まず1点目の実際の市場影響ですが、実際にどのぐらい増えるのかというところは後になって判断ができることかと思いますが、メキシコ産のテキーラはメキシコが強く関心を示している事項で、この背景としては、経緯で御説明したのですが、メキシコ産テキーラで今の規制値を超えてしまう実態がございます。このテキーラのうち原料でアガベというのを使うのですが、この含量が多いものについて、今は違反になってしまうものが多く存在するというところで、これらの輸入については増える可能性がございます。
2点目ですが、2ページ目の表について、もう少しメタノールの規制値が高いものに関する要望ですが、現在のところは寄せられていません。
3点目のアメリカの輸入ブランデーについてですが、実際のFDAのホームページの紹介を見ますと、アメリカの国内で生産されるアルコール飲料中のメタノールにつきましては、0.1%を超えることはほとんどないというところで、輸入ブランデーに対して0.35%というところを公表しております。
○五十君部会長 よろしいですか。
○明石委員 はい。
○五十君部会長 メタノールはいろいろな所から来るということもあって複雑なところがございまして、果実等の種類によっていろいろと影響を与えるようです。ほかにございますか。
○下村委員 今回、お酒の中のメタノールの量ということで、エタノールと一緒に飲んだ場合にどういうことが起こるかというのが気になったものですから、調べてみました。同じ経路で代謝されて、はるかにエタノールのほうが代謝の速度が早いということで、むしろメタノールの代謝速度が遅くなって毒性物質が出にくくなるという状況があるらしいものですから、お酒の中のメタノールの量を少し増やしても、特に問題はないという結論に至りました。
○五十君部会長 実は、私もエタノールとメタノールが代謝系を共有するということで少し心配していたのですが、今のような情報をいただけましたので安心いたしました。ほかにはありますでしょうか。
○小川委員 あまり本質に関係ないかもしれないのですが、「アルコール飲料」という言い方と「酒精飲料」という言い方が記載されているのですが、それは全く同じということでよろしいのでしょうか。
○事務局 同じものです。ただし、アルコール飲料と言っても国によって、何パーセント以上の飲料をアルコール飲料と呼ぶかということが若干違う場合があります。日本においては1%以上というところでやっておりますが、国によっては違う場合があります。
○小川委員 趣旨としては、何かの形で混乱を、海外に対してとか、国内でも招かないように記載方法を注意いただければという事です。
○事務局 御意見ありがとうございます。
○五十君部会長 統一していただいたほうがよろしいということとは違うということですか。
○事務局 日本においては、1%以上というもので扱っているというところで、そこは明確化した上で通知等したいと思います。
○五十君部会長 資料中に両方が混在しているということで、表現を統一していただきたいということだと思いますので、よろしくお願いします。
○中野委員 教えていただきたいのですが、5ページの表2の②の、これまでのアルコール飲料なのですが、その中に今回問題となっているテキーラは、既に加味されていなかったのでしょうか。付け加えるということが、これまで加味されていたのに、更に付け加えるとなると、過剰に付け加えているのではないかという印象を持つのですが。
○事務局 摂取量については、アルコール飲料の摂取量に本来メタノールを含まない日本酒やビール等が含まれていることから、若干過剰気味な推計には確かになっております。また、テキーラについて、今回飲用に供するテキーラに関する規制値の引上げの改正について御審議いただいているのですが、現在、1.0以上の部分については、日本では食品衛生法第6条違反ということになりますので、摂取はされないということになりますので、超える部分については流通しておらず、①から③の中では考慮していないというところになっています。したがって、今回の規制値の改正により、増加すると推定される分の④について足し合わせて推計しています。
○五十君部会長 よろしいでしょうか。
○中野委員 それが輸入されていないから、上乗せされていることはないはずだという理解でしょうか。
○五十君部会長 はい。ほかにございますでしょうか。御意見、御質問等は以上でしょうか。
それでは、酒精飲料のメタノールの規制値の見直しについては、今の御質問等の状況から、事務局案を了承するということとしたいと思いますが、いかがでしょうか。
ありがとうございました。それでは、今後の予定について、事務局より御説明をお願いしたいと思います。
○井上室長 ありがとうございました。今般の部会での審議を踏まえて、今後、食品安全委員会の評価依頼、パブリックコメント、WTO通報等の必要な手続を進めさせていただければと考えております。以上です。
○五十君部会長 という予定で進めることになると思います。それでは、2番目の議題に入ります。次の案件について、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、審議事項の2つ目の、清涼飲料水の規格基準の改正について御説明いたします。資料2-1から2-4に基づいて御説明したいと思います。まず資料2-1を御覧ください。1.経緯です。清涼飲料水は、昭和34年に食品添加物の規格基準の第1食品の部D各条において規定されており、必要に応じて所要の見直しが行われてきております。平成14年に、Codex委員会におけるナチュラルミネラルウォーター等の規格の設定や我が国の水道法の水質基準改正の動きを受け、薬事・食品衛生審議会の食品規格部会、本部会において、清涼飲料水の規格基準の改正について御審議いただきました。平成15年の内閣府の食品安全委員会の発足とともに、化学物質48項目等について食品健康影響評価を依頼しております。その後、平成21年より、食品健康影響評価の結果が得られた物質等について、順次、当部会において御審議いただいて規格基準の改正を行っているところです。今般、新たに食品安全委員会からの答申が得られた物質に係る清涼飲料水の規格基準の改正について、厚生労働大臣から薬事・食品衛生審議会長宛てに、令和元年、本年の9月9日付けで諮問をさせていただいたところです。
2.審議事項となります。食品安全委員会の評価が終了した六価クロムについて、「ミネラルウォーター類のうち殺菌又は除菌を行わないもの」と「ミネラルウォーター類のうち殺菌又は除菌を行うもの」について、平成22年12月14日に開催された当部会において決定をされている「ミネラルウォーター類における化学物質等の成分規格の設定等について」も考慮しつつ、別紙のとおりの基準値案で設定することを御審議いただきたいと考えております。別紙は2ページ目にあります。こちらに、事務局の基準値案をお示ししております。ミネラルウォーター類のうち殺菌又は除菌を行わないものと行うものということで成分規格上分かれておりますので、それぞれで表を作成しております。現行の基準値が0.05 mg/lを、改正案としては、いずれも0.02 mg/lにしたいと考えているところです。
この基準値案の根拠については、資料2-2から資料2-4で記載しておりますが、その前に、基準値設定の原則についてはこれまでの部会でも御説明していますが、また改めて御説明しておきたいと思います。参考資料2-2を御覧ください。こちらが、先ほども少し触れましたが、平成22年12月に当部会において決定されたものです。「ミネラルウォーター類における化学物質等の成分規格の設定等について」ということで、成分規格の設定に係る基本方針や設定方針等の原則的な考え方を取りまとめていただいたものです。Ⅰに基本方針があり、Ⅱから成分規格の設定の具体的な方針を記載されております。
まず、Ⅱ.ミネラルウォーター類(殺菌・除菌有)の成分規格設定方針です。本日、御審議いただく部分で該当する箇所については、まず項目の選定としては、1(1)健康関連項目の①の部分です。水質基準及び水質基準を補完する意味で水道水に関して設定されている水質管理目標において、人の健康の保護の観点からの評価値に基づき基準等が設定されている項目のうち、水質基準とされている項目については成分規格の項目として選定するということです。この六価クロムについては、水道水の水質基準が設定されていることから①に該当します。
次ページ、2.基準値の設定です。(1)健康関連項目の①が、基準値設定の内容としては該当します。食品安全委員会の健康影響評価の結果、耐容一日摂取量が示されておりますので、これに該当し、暴露推計については以下の数字を用いて考える、TDIの範囲内で基準値を設定するということとされています。
次ページ、Ⅲ.ミネラルウォーター類(殺菌・除菌無)の成分規格の設定方針です。現行のミネラルウォーター類の原水基準を基に、当時は、ミネラルウォーター類に原水基準があったということですが、それを基に、原則としてCodexのナチュラルミネラルウォーターの規格に準拠して、成分規格に設定する項目の選定と基準値の設定等を行うとされています。
これを踏まえて、今回の基準値案に関しての御説明になります。今回は、まず殺菌・除菌を行うものについて資料2-3を御覧ください。左から2つ目に食品安全委員会の評価結果を記載しております。非発がん性・発がん性に関しては、非発がん性影響については、げっ歯類を用いた試験において、十二指腸のびまん性上皮過形成や貧血等が見られているということです。発がんの影響については、げっ歯類を用いた飲水投与試験で、マウスでは小腸で、ラットでは口腔粘膜及び舌で発がん頻度の有意な増加が見られています。この結果から、六価クロムは発がん物質ということで取りまとめられております。一方で、マウスの小腸腫瘍の発生メカニズムやトランスジェニック動物を用いた飲水投与試験の結果等から、六価クロムの飲水投与試験において認められた腫瘍発生は遺伝毒性によるものとは考え難い。動物試験の結果を用いてTDIを設定することが適切であると判断されております。その下、TDI設定については、2年間の飲水投与試験にベンチマークドーズ法を適用して検討されております。
結論となります。次ページです。2年間の飲水投与試験において見られた雄マウスの十二指腸のびまん性上皮過形成に基づいて算出された0.11 mg/kg体重/日を基準点として、不確実係数の100を適用した上で、TDIを1.1 µg/kg体重/日と算定されて答申いただいています。
また1ページに戻り、水道法水質基準等の評価結果です。過去の経緯から申し上げますと、1958年にWHOにおいて六価クロムの健康影響に基づく最大耐容濃度として、0.05 mg/lが提案されております。それ以降、新たな知見が報告されていないということから、平成15年の水質基準の見直しの際にも、同じく0.05 mg/lが水質基準として採用されております。その後、清涼飲料水の関係で食品安全委員会に諮問をしておりますが、その結果が得られた昨年9月の内容を踏まえまして、水質基準では議論を既に先に進めております。その中で、新評価値が0.02 mg/lと算出されており、今後、必要な手続を経て基準値改正が予定されているところです。その1つ右がWHOの飲料水の水質ガイドラインです。こちらは、総クロムとして0.05 mg/lとのガイドライン値を設定しておりますが、毒性上のデータベースに不確実性があるために、ガイドライン値としては暫定とされている状況です。その右が、今回、提案させていただいている基準値案です。先ほど御説明しました参考資料2-2の原則を基に、水道水の水質基準値を参考にして、もともと0.05 mg/lであったところを0.02 mg/lと改正する案等を提案しております。
暴露評価を考えた結果を記載しております。0.02 mg/lの水を体重50 kgの人が1日当たり2 l摂水するとした場合に、1日の体重1 kg当たりの六価クロムの摂取量というのは0.8 µg/kg体重/日となります。一方で、暴露評価を考えるときには、通常、水以外、食品からの摂取というものも考えられますので、水経路の暴露割合を、TDIに対する、いわゆる寄与率と言っておりますが、それを考慮することになっております。この寄与率に関しては、その下の※の部分ですが、WHOやアメリカのEPAにおいて、飲料水以外からの摂取がないというデータがある場合には80%を採用することができるとされております。食品安全委員会の食品健康影響評価の中で、食品中から六価クロムがほぼ検出されなかったこと等の知見を踏まえて、食品中に六価クロムは含まれないと仮定した上で考えられていますので、当方としても、この寄与率に関しては80%を採用したいと考えております。この寄与率を踏まえますと、TDIの1.1 µg/kg体重/日は0.88 µg/kg体重/日という値になります。先ほど試算をした基準、0.8 µg/kg体重/日を上回っている、収まっているということになりますので、暴露評価の観点からも、この0.02 mg/lというのは妥当ではないかと考えております。
資料2-2に戻り、こちらは、ミネラルウォーター類のうち殺菌又は除菌を行わないものの検討項目として取りまとめております。内容としては、先ほど資料2-3で御説明したものとほぼ同じです。こちらは、Codexの基準を採用することが基本方針ということですので、右から2つ目のセルについてはCodexの基準を記載しているところです。ただ、国際的にもクロムの毒性については六価クロムに着目することが妥当とWHOでも示されていることと、今回は食品安全委員会から六価クロムで評価いただいていることも踏まえて、先ほどの殺菌・除菌を行うものと同様に、0.02 mg/lという値を提案させていただいているところです。
続いて、資料2-4を御覧ください。こちらは、ミネラルウォーター類中の六価クロムの含有濃度実態調査です。平成30年度に国内に流通する品目を調査した結果です。国内外の155銘柄を調査しております。外国産が42銘柄、国産が113銘柄です。結果については、こちらの表と、あと、この下のヒストグラムに記載しております。155銘柄のうち54銘柄から六価クロムが検出されておりまして、最小値が0.0001 mg/lで、最大値が0.045 mg/l、基準値案0.02 mg/lを超過する検体は1件ありました。この検出原因について関係者に聴取りをしましたが、正確なところは不明ということでした。一方、分析時には総クロム濃度も測っておりまして、総クロム濃度に対する六価クロム濃度が100%でありました。基本的に天然に存在するクロムの原子価はほぼ三価のものに限られており、六価のものは人為的な工業的に使われたようなものから生じるのが一般的と考えられておりますので、これについては、そういったところが原因だと考えられるかと思います。
資料1に戻り、こちらの一番最後の所に「今後の対応」を記載しております。今回の基準値案については、食品健康影響評価を踏まえて行っているものですので、新たに評価依頼を行うものではなく、今回、この基準値案を当部会で御了承いただいた場合においては、パブリックコメント等の所要の手続を経て告示の改正手続を進めていきたいと考えております。事務局からの説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いします。
○五十君部会長 ありがとうございました。ただいま、事務局から資料2-1から2-4、それから参考資料2-2について解説がありました。六価クロムの基準値を見直す案について御説明いただいたわけですが、内容としては、ミネラルウォーター類の殺菌又は除菌を行うもの、行わないもの、いずれの六価クロムについても、現行基準の0.05 mg/lから、基準値案の0.02 mg/lに改正するという御提案です。委員の皆様から、御質問、御意見がございましたらよろしくお願いします。
○工藤委員 資料2-4の所で実態調査のデータが出ておりますが、基準値案を超過するものが1つあるということなので、こちらを分かる範囲で詳細を教えていただければと思います。
○事務局 品目としては国内で生産されたものです。3検体ほど測定した結果、いずれも0.02を超えていたというものです。
○五十君部会長 国内産のということです。よろしいですか、そのぐらいの情報で。
○工藤委員 はい。
○五十君部会長 ほかにございますでしょうか。
○戸田委員 六価クロムの分析法についてお伺いしたいのです。これは、各社が結構、各々分析しているということか、若しくは、この分析法についてしっかり規格があるとかなのでしょうか。あと、改正案の0.02になっても現行の分析法でしっかり検出できるということなのかをお聞かせいただきたいのですが。
○事務局 現状、試験法は通知でお示しをしております。ただ、その試験法は総クロムで測るものになっております。今回、この実態調査をするに当たりまして、試験法の新たな開発を進めていただいたところです。今後、その試験法をこの改正に合わせて通知していきたいと思っております。その新しい試験法の結果は、先ほどの資料2-4でお示ししたところですので、定量下限も取れております。
○五十君部会長 よろしいですか。試験法を新たに示すことになるかと思います。ほかに御質問はございますでしょうか。
○小坂委員 すみません、同じく試験法に関してなのです。今までが総クロムでされていたということで、今までの方法でも総クロムで測るのはOKで、超えた場合に分別で測るという二段階がOKなのか、それとも、今回、御提示される方法で常に測りなさいと考えているのか、そこら辺はどのようになるのでしょうか。
○事務局 六価クロムはあまり高く出るものでもないので、現状の方法でスクリーニング的にしていただいて、仮に高く出たときに精緻に測っていただくという考え方もあるかと思いますが、その辺りは、また通知するまでに整理させていただきたいと思っております。
○五十君部会長 スクリーニング方式にするかどうかについては、通知でまた示されることになるかと思います。ほかにはございますでしょうか。ございませんでしょうか。恐らく、先ほどの参考資料からいきますと、方針としましては、WHOのガイドラインに従う方針が出されていたかと思いますが、先ほどの御説明の中では、ミネラルウォーター類のうちの除菌を行うものについては、水道法の関係でWHOで、行わないものは、これは食品としてCodexのほうになるという、ちょっとややこしいことになっているようですが、いずれも、Codex、それからWHOのガイドラインにつきましては、0.05 mg/lでトータルクロムという形での基準となっております。食品の分野では、国際整合性は非常に重要なことでありますので、この辺についても御意見を少し確認の意味でいただけるとよろしいかと思います。ただ、WHOは、どうやらまだ暫定基準というスタイルを取っているようですので、恐らく日本はこれよりもう少し厳しいという値を取ったとしても、WHOに科学的根拠を出せば特に問題はないかと思います。その辺りについて何かコメント等ございますでしょうか。より日本は科学的根拠に基づいて正確に基準を設定することになるかと思うのです。
○小川委員 日本におきましては、食品安全委員会で非常にたくさんの資料を検討されて、発がん性に至る可能性のあるような小腸の増殖性変化がマウスの実験では見られているけれども、その発生機序については、トランスジェニックマウスを用いた検討から遺伝毒性とは関係ないだろうというところを議論された上でこの数字を出されていることになりますので、根拠を持ったデータからの数値と私は認識しております。
○五十君部会長 ありがとうございます。ほかの委員の方はいかがですか。一応、国内では、水道法上はこの値をも取っていることもありますので、混乱を生じる等々のことも考えますと、食品のこういったミネラルウォーターも同じ基準に合わせていくのも1つ重要かと思いますが、いかがですか。よろしいですか。特に御質問、御意見はもうないようですので、それでは、こちらについても事務局案を了承することで進めたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
(異議なし)
○五十君部会長 どうもありがとうございます。それでは、今後の予定について事務局より説明をお願いします。
○井上室長 御審議いただきましてありがとうございました。本日の御審議の結果を踏まえまして、部会報告書の取りまとめ、またその内容については部会長にご確認をいただきたいと思っております。その後、所要の手続を踏まえまして、食品衛生分科会における審議事項に該当しますので、分科会においても御審議いただく予定です。以上です。
○五十君部会長 本日の議題のうち審議事項については以上となります。(2)に「その他」とありますが、事務局から何かありますでしょうか。
○井上室長 「その他」に関しては特にございません。
○五十君部会長 ありがとうございます。それでは、スムースに進みまして、本日の議題等は全て終わりましたので、次回の予定について事務局より説明をお願いします。
○井上室長 次回の部会の開催日時等については、また後日、事務局より追って御連絡をしたいと思います。なお、タブレット、また委員の皆様に配布しておりますお手元の必要事項連絡票については、事務局が回収しますので机の上に置いておいていただければと思います。本日はどうもありがとうございました。
○五十君部会長 それでは、以上をもちまして、本日の食品規格部会を終了いたします。ありがとうございました。