2019年8月5日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

日時

令和元年8月5日(月)16:00~

場所

新橋8E会議室(8階)

出席者

出席委員(20名)五十音順

(注)◎部会長 ○部会長代理
 他参考人2名
 

欠席委員(3名)
 
行政機関出席者
 
 樽見英樹(医薬・生活衛生局長)
 森和彦(大臣官房審議官)
 中井清人(医療機器審査管理課長)
 新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
 森口裕(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
 櫻井信豪(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
 木下勝美(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
 鈴木章記(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役) 他
 
 

議事

○医療機器審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会を開催させていただきます。委員の先生方には極めて暑い中をどうもありがとうございます。現時点で田島先生からはまだ連絡を頂いておりませんがもうすぐ来られるかと思います。中島先生は若干遅れるとのことです。23名中20名に御出席いただいておりますので、定足数を満たしていることを御報告申し上げます。本日の審議に参考人としてお越しいただいている先生を御紹介いたします。議題1については、独立行政法人静岡県立病院機構静岡県立こども病院循環器科医長の金成海先生です。議題2については、東海大学医学部医学科専門診療学系画像診断学領域教授の長谷部光泉先生です。

 事務局に異動がありましたので御紹介させていただきます。7月9日付けで医薬・生活衛生局長に樽見が着任しております。一言お願いいたします。

○医薬・生活衛生局長 医薬・生活衛生局長の樽見です。どうぞよろしくお願いいたします。

○医療機器審査管理課長 部会を開始する前に事務局より、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について御報告申し上げます。第11条において「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には辞任する」ということになっております。今回は全ての委員の先生方より、適合している旨を御申告いただいておりますので御報告させていただきます。何度も御提出いただいており、御負担をおかけしていますがなにとぞよろしくお願いいたします。

○事務局 本日の議題の公開・非公開の取扱いについて説明いたします。平成13年1月23日付け薬事・食品衛生審議会決議に基づき、本日の全ての議題について、医療機器の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容などが含まれるため非公開といたします。

 続いてタブレットの操作方法について御説明いたします。タブレットの操作方法については、タブレットの右側に一枚紙で使い方の資料があります。基本的にはマイプライベートファイルと書かれている画面の右側に資料一覧がありますので、議題に応じて必要な資料をタップしてお開きいただき、スクロールして見ていただければと思います。その他御不明な点がありましたら、事務局までお申し付けいただければお伺いしますので、遠慮なくお申し付けください。

 続いて配布資料を説明させていただきます。本日は事前にお知らせしているとおり、ペーパーレスで会議をさせていただきますので、お手元には議事次第と座席表、タブレットの使い方の資料のみで、タブレットの中に資料1から資料10まで及び議事次第と座席表を格納しております。委員名簿についてはタブレットの方にも入れております。

 本部会の利益相反について御報告いたします。議題1の「AMPLATZER ピッコロオクルーダー」に関してですが、先天性心疾患である動脈管開存症に対し、経カテーテル的に動脈管を閉鎖する機器であり、同様の効能、効果等を有する製品としてCook Japan株式会社が競合企業として提出されております。

 議題2の「ゴア バイアバーン ステントグラフト」は、慢性腎不全患者の血液透析のために作製された人工血管内シャントの人工血管と自己静脈の吻合部狭錯又は閉錯病変への適応追加に係る審議であり、同様の効能、効果を有する製品は存在しないため、競合品目はなしとなっております。

 議題3の「MRガイド下集束超音波治療器ExAblate 4000」ですが、淡蒼球を治療ターゲットとした薬物治療で十分な効果を得られないパーキンソン病における運動症状の緩和及び視床を治療ターゲットとした薬物治療で十分な効果が得られないパーキンソン病における振戦症状の緩和に対する適応拡大に係る審議であり、同様の効能、効果等を有する製品は存在しないため、競合品目はなしとなっております。

 議題4の「FRED システム」ですが、内頸動脈の錐体部から中大脳動脈、前大脳動脈の近位部、脳底動脈及び椎骨動脈に位置する外科的手術や他の血管内治療での治療が困難な形態をもつ頭蓋内動脈瘤に使用される「フローダイバーターシステム」であり、同様の効能、効果等を有する製品、企業として日本メドトロニック株式会社及び日本ストライカー株式会社が競合企業として提出されております。

 議題5の「iStent injectトラベキュラーマイクロバイパス システム」ですが、チタン合金製の緑内障インプラントで、房水の排出路である経シュレム管流出路の開存を維持することによる眼圧下降を目的として、線維柱帯及びシュレム管内に埋植する機器であり、同様の効能、効果等を有する企業としてアルコン及びイバンティスが競合企業として提出されております。

 その他一般的名称に係る影響企業については、委員の先生方に既にお伺いしたとおりですので割愛させていただきます。

 本日の審議事項に係る競合企業として、委員の皆様から寄附金・契約金等の受取状況についてお伺いしたところ、薬事分科会審議参加規程第12条の「審議不参加の基準」に基づく、審議に参加できない委員はいらっしゃいませんでした。ただし、薬事分科会審議参加規程第13条の「議決不参加の基準」に基づき、議決に参加できない委員は、議題5について山上委員となっております。この際に御退室いただく必要はありません。

 以上御報告とさせていただき、以降の議事進行は荒井部会長にお願いいたします。

○荒井部会長 まず、ただいまの事務局からの説明について御質問、あるいは資料の不備等はありますか。よろしければ、これから議題に入ります。議題1、「医療機器「AMPLATZERピッコロオクルーダー」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否」を始めます。本議題については先ほどお話がありましたように、金成海先生に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。まず、機構から説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。マイプライベートファイルの中の資料1をお開きください。資料1の冒頭、専門協議委員一覧を御覧ください。本審査に当たり、3名の専門委員から御意見を頂戴いたしました。審査の内容について御説明いたします。以降の説明は、審査報告書の緑色の番号で御説明いたします。

 はじめに、品目の概要について御説明いたします。

 9ページの上段1.審議品目の概要より御説明いたします。本品は、先天性心疾患である動脈管開存症(PDA)に対し、経カテーテル的に動脈管を閉塞することを目的とした医療機器です。本品は、図1左にお示ししますような、中心部のウエストの両端に同形状の保持ディスクを備えたダクトオクルーダーと、図1及び図2でお示ししておりますダクトオクルーダーを動脈管に送達するためのデリバリーワイヤー及びデリバリーシステムから構成されています。本品は、大腿静脈又は大腿動脈よりデリバリーカテーテルを挿入し、ダクトオクルーダーを動脈管に展開、留置することで動脈管を閉鎖します。

 次に本品の開発の経緯について御説明いたします。10ページを御覧ください。下段()開発の経緯より御説明いたします。動脈管とは、胎児期において肺動脈と大動脈とをつなぐ血管です。通常、動脈管は出生後の肺呼吸の開始に伴って収縮し閉鎖されますが、動脈管が開存したままであるPDAでは、動脈管を通して大動脈から肺動脈に短絡血流が発生することで、うっ血性心不全を引き起こします。本品は、本品と同様に経カテーテル的にPDAを閉鎖する「PDA閉鎖セット」及び「PDA閉鎖セットⅡ」の類似品として開発されました。本品は、既承認品では治療が困難であったPDA形状や、組織が脆弱なため、経カテーテル治療そのものが困難であり、これまで外科的治療が行われてきた体重2.5kg未満の患者の動脈管にも使用できることを目的に開発されました。

 なお、本品は平成29年4月28日開催の第27回医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会において、早期導入すべき医療機器に指定されており、平成301019日付け、薬生機審発1019第2号にて希少疾病用医療機器にも指定されております。

 続いて11ページを御覧ください。上段()外国における使用状況より御説明いたします。本品は、米国において2019年1月に承認を取得しており、現在までに○○個の販売実績があります。また、欧州では体重6kg以上、生後6か月以上の患者を適応対象として、2011年にCEマークを取得しており、約○○○個の販売実績があります。なお、現在適応対象を、米国と同じ体重700g以上、生後3日以上にするための申請を行っております。

 本品の非臨床試験については、特段の問題は認められませんでしたので、臨床試験成績について御説明いたします。始めに17ページを御覧ください。中段()ADOⅡAS臨床試験の表3より御説明いたします。本品の臨床試験成績に関する資料として、本品のピポタル試験であるADOⅡAS臨床試験の成績に加え、参考資料としてContinued Access Protocol試験(CAP試験)の成績及び公表論文に基づく患者レベルのメタ解析結果が提出されました。ADOⅡAS臨床試験は、米国8施設にて実施された多施設共同単群試験で、生後3日以上、体重700g以上の患者を対象に、50症例が登録されました。本臨床試験の主要評価項目は、留置成功例における6か月時の経胸壁心エコーによる動脈管の有効閉鎖率及び留置施行後180日までの機器又は手技に関連する重大な合併症の発現率と設定されました。

 次に、ADOⅡAS臨床試験の結果について御説明いたします。18ページの上段を御覧ください。本臨床試験では、体重2kg以下の患者において、心臓カテーテル手技中の有害事象発現率が増加するとの報告を参考に、対象患者を体重「2kg以下」と、「2kg超」の2群に分けて評価が行われました。

 次のページの表6でもお示ししておりますとおり、主要有効性評価項目である「動脈管の有効閉鎖率」は、いずれの群でも100%であり、主要安全性評価項目である「機器又は手技に関連する重大な合併症の発現率」は0%でした。

 続いて表6の下、「臨床事象判定委員会(CEC)」から始まる段落を御覧ください。本臨床試験では、臨床事象判定委員会により、重篤と判定された有害事象として、酸素飽和度低下が1件、大動脈縮窄が1件確認されました。酸素飽和度低下を生じた症例は、留置手技に関連する重篤な有害事象と判定されましたが、翌日には回復しております。また、大動脈縮窄を生じた症例は、留置前から縮窄が確認されており、本臨床試験の除外基準にも抵触していましたが、医師の判断によって手技が行われました。なお、当該事象と機器及び留置手技との関連は否定されております。

 続いて20ページを御覧ください。中段1.留置成功より御説明いたします。本臨床試験における留置成功率は92%でした。留置不成功となった4例は全て「2kg超」の群であり、その内訳は留置直後のデバイス塞栓が2例、被験者の動脈管形態により安定した位置を確保できなかった症例が2例でした。デバイス塞栓2例は、本品を経カテーテル的に摘出後、既承認品により動脈管が閉鎖されました。また、被験者の動脈管形態により、安定した位置を確保できなかった2例については、いずれも本品はリリースされず、1例は既承認品を用いて閉鎖され、残りの1例は外科的に結紮されました。

 次に、総合機構における審査の概要を御説明いたします。本品の審査における主な論点は3点あります。1つ目の論点は、本品の臨床的位置づけについてです。23ページを御覧ください。下段()本品の臨床的位置づけについてより御説明いたします。体重2.5kg以上の患者に対する経カテーテル的動脈管閉鎖術は、本邦の先天性心疾患に対する治療ガイドラインでも推奨され、国内でも一定程度確立した治療と考えられることから、本品を体重2.5kg以上の患者に用いる際の臨床的位置づけは、既承認品と同等と考えます。一方、体重2.5kg未満の低出生体重児に対しては、現状、外科的結紮術が推奨されており、その成績は比較的良好とされておりますが、留置後長期的に慢性肺疾患、死亡若しくは神経発達障害などのリスクと関連がある可能性も報告されております。これらの現状を踏まえ、総合機構はPDAを有する体重2.5kg未満の低出生体重児においても、本品の有効性及び安全性が体重2.5kg以上の患者への経カテーテル的動脈管閉鎖術と遜色なく、臨床上許容できる成績であることが示されるのであれば、本品を治療選択肢の1つとして本邦へ導入する臨床的意義はあると考えました。

 2つ目の論点は、本品の有効性及び安全性についてです。25ページを御覧ください。下段1)本品の有効性より御説明いたします。本品の有効性については、提出された臨床試験から、体重2kg以下の群と、2kg超の群で留置成功率、動脈管閉鎖率ともに良好な成績であり、2kg以下の患者への治療成績が2kg超の患者への治療成績と比べて大きく劣らないことが確認されました。以上のことから、総合機構は体重にかかわらず、本品の有効性は確認されたと判断いたしました。

 次に、本品の安全性についてです。26ページを御覧ください。上段1.体重2kg超群における安全性より御説明いたします。ADOⅡAS臨床試験では、体重2kg超の患者におけるCECにより重篤と判定された有害事象として、酸素飽和度低下が1件報告されておりますが、翌日には回復しておりました。また、参考資料として提出されたCAP試験やメタ解析において、機器又は手技との関連性がある重篤な有害事象の発現率は150例のCAP試験で2.9%、175例のメタ解析では1.2%と良好な成績が確認されました。当成績は、既承認品「PDA閉鎖セットⅡ」の承認申請時に提出された、体重6kg以上、かつ生後6か月以上のPDA患者を対象としたADOⅡ臨床試験の成績と同等であり、既承認品で確認されていない未知の有害事象の発生もなかったことから、総合機構は体重2kg超の患者における本品の安全性は臨床上許容できると判断いたしました。

 同ページの下段2.体重2kg以下群における安全を御覧ください。ADOⅡAS臨床試験において、体重2kg以下の患者におけるCECにより重篤と判定された有害事象は、機器又は手技との関連性がない大動脈縮窄が1件のみでした。また、CAP試験及びメタ解析における機器又は手技との関連性がある重篤な有害事象の発現率は4.9%と7.9%であり、体重2kg以下の方が、体重2kg超より発現率が高くなる傾向が認められました。

 27ページを御覧ください。下段、上から6行目の「CAP試験及び」から始まる文章より御説明いたします。CAP試験及びメタ解析において、2kg以下の患者では、2kg超の患者と比較して有害事象発現率が高い傾向が認められましたが、既承認品でも確認されていない未知の有害事象の発生はなく、確認された有害事象は主に手技に起因する事象でした。以上より、総合機構は、実施施設及び術者基準等により本品に必要とされる技術や緊急時の体制を確保した上で、適切な留置方法などについて周知徹底することにより、本品に想定されるリスクの低減化は可能と考えられることから、体重2kg以下の患者における本品の安全性についても、臨床上許容可能と判断いたしました。

 3つ目の論点は、市販後の安全対策についてです。28ページを御覧ください。最後の段落、体重2.5kg以上の患者に対する対策より御説明いたします。体重2.5kg以上の患者については、現在既承認品で実施されている対策と同様に、関連学会が定める基準「経皮的動脈管閉鎖キット使用に関する施設基準とプログラム」に沿って本品が使用されることが適切と判断いたしました。

 次のページのはじめの段落を御覧ください。体重2.5kg未満の患者に対しては、身体の脆弱性やカテーテル手技の技術的な困難さを考慮し、本品を用いた治療に伴う合併症や緊急時への対応が可能な医療機関において、先天性心疾患に対する経カテーテル治療に関する十分な経験のある医師により本品が使用される必要があると考えます。また、国内における外科的結紮術の成績も比較的良好とされていることを踏まえ、小児循環器内科、小児心臓外科、新生児科を含む専門の医療チームにより、外科的結紮術を含めた治療戦略が慎重に検討・判断されることも重要と考えました。

 なお、体重2.5kg未満の患者に対する施設基準、医師基準及び教育プログラムや適切な患者選択については、日本Pediatric Iterventional Cardiology学会、小児循環器学会及び日本新生児成育医学会と連携し、適正使用指針を作成しております。

 以上のことから、体重2.5kg未満及び2.5kg以上のいずれの患者においても、本品を用いた経カテーテル治療を行うに当たっては、トレーニングにより必要な知識及び技術を修得するとともに、PDA治療に関する十分な知識と経験を有し、緊急時や合併症などへの適切な対応が可能となる医師及び医療機関で実施されることが必要となることから、これを承認条件1として付すことといたしました。

 最後に使用成績評価について御説明いたします。30ページの表17を御覧ください。こちらが、申請者が計画している使用成績調査()になります。()では、本品の留置に成功した体重2.5kg未満の患者を32例以上含む70例までを全例登録として、観察期間3年の調査が予定されています。

 次のページの始めの段落を御覧ください。使用成績評価について総合機構は、体重2.5kg未満の患者に対する経カテーテル的動脈管閉鎖術は本邦初であること、本邦における本品の対象患者や、長期成績に関するデータはないこと、体重2.5kg未満の患者における本品のリスク低減措置の適切性を確認する必要があることから、国内での臨床使用実態下において、一定症例数に達するまで本品を使用した全症例の情報を収集して、安全性及び有効性を評価するとともに、本品の対象となる患者背景及び解剖学的特徴についても情報収集を行い、必要に応じて追加のリスク低減化措置を講ずる必要があると判断いたしました。以上より、総合機構は70例の全症例において調査を実施するとする申請者の計画案は妥当と判断し、使用成績調査の実施を承認条件2として付すことといたしました。

 以上の審査を踏まえ、総合機構は、審査報告書33ページ上段に記載している使用目的にて本品を承認して差し支えないと判断し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。本品は、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。また、使用成績評価の調査期間は6年とすることが妥当と判断いたしました。なお、薬事分科会では報告を予定しております。総合機構からの報告は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○荒井部会長 ありがとうございます。それでは、まず初めに、参考人としてお越しいただいている金先生から御発言を頂けますか。

○金参考人 本品について専門委員を務めた参考人の立場から追加説明をさせていただきます。機構の審査部の説明と一部重なる部分がありますが、よろしくお願いいたします。本品の利点と、既存治療と比較して期待される点、並びに医療現場でのニーズ等を中心に御説明させていただきます。

 カテーテル治療による動脈管閉鎖術は、1994年にFlipperというコイル形状のものによって、1mm前後の小さな動脈管を対象として、我が国でも徐々に一般的な治療となりつつありました。そして、今では従来の開胸による外科治療に取って替わる第一選択の治療となっています。2009年にPDA閉鎖セットの導入と同時に、日本Pediatric Iterventional Cardiology学会、すなわちJPIC学会は、その適正使用のために施設基準及び術者基準を策定し、安全な治療の普及に努めてまいりました。

 これらを遵守しながら、体重6kg以上、生後6か月以上から成人、高齢者にわたるまで、最小径2mmから10mm以上を超えるような大きな動脈管開存を含め、ほとんどの例でカテーテル閉鎖術が行われるようになりました。さらに本年1月からPDA閉鎖セットⅡが導入され、体重2.5kg以上の乳児が治療の対象となるなど、経験を蓄積し、安全に留意しながら治療適応が広がってまいりました。

 一般的に、出生体重2.5kg未満の新生児を低出生体重児と言います。低出生体重児の動脈管開存が持続すると心不全、呼吸不全に陥り、結果として成長障害や壊死性腸炎、敗血症などより重篤な合併症を併発します。本疾患の第一選択は、新生児領域でシクロオキシゲナーゼ阻害剤という薬物療法による閉鎖促進が古くから行われていますが、薬剤抵抗性で動脈管が閉鎖しない場合や、また薬物療法に伴う急性腎不全や壊死性腸炎などの合併症の危険性が生じる場合は、次の手段として脇の下から側開胸による外科的な動脈管結紮術が行われます。外科的治療の治療成績は先ほどの説明のように確立していて安定はしているものの、切開創は残り、重度の胸腔内出血の危険性や肺損傷、感染症、そして乳び胸や反回神経麻痺、胸郭変形、側弯症といった合併症が少ないながらも一定の割合で生じ得ます。

 今回提示されているAMPLATZERピッコロオクルーダーは、低出生体重児の動脈管開存に対して開発されたデバイスであり、非常に細いニチノール合金のワイヤーを編み込んだ1層構造で構成されていて、先ほどの説明のように、病変部に送達されるカテーテルシステムを含めて従来のカテーテルの閉鎖デバイス以上に、極めて小径で柔軟性の高いものになっています。そのため、従来品では対応できなかった体重が小さな対象、具体的には700g以上の新生児・乳児を主な対象として、安全で効果的な治療が期待されています。

 2017年6月から米国で行われた多施設単相臨床試験(ADOⅡAS臨床試験)では、文献報告にて2kg以下と2kg超では、心臓カテーテル手技中の有害事象の発現率が2kg以下で増加するとされていたことから、この米国のADOⅡAS臨床試験でも2kg以下と2kg超の2群に分けて評価されていました。

 我が国で導入する際には、手技時の体重2.5kg未満という、いわゆる低出生体重児の定義に沿って、JPIC学会が中心となり、日本小児循環器学会、日本新生児成育医学会の承認を得て、先ほども説明のありました適正使用の手引きが作成されています。本手技は、その手引きに沿って、認定を受けた施設、術者により施行されることとなります。また、その指針の中では、いわゆるラーニングカーブを軽減するために、各施設において導入期に対象患児の体重を段階的に下げていくことが定められています。

 従来の標準治療である外科的結紮術の成績も比較的良好とされていることから、小児循環器内科、小児心臓外科、新生児科を含む専門の周産期医療チームにより、外科的結紮術を含めた治療指針の適応が慎重に判断されることが重要と考えられます。

 さらに、体重1,000g未満の超低出生体重児では、動脈管を含む全身の血管組織が非常に脆弱であり、本品やその留置手技による組織損傷が生じた際には、外科的対処をするにしても相当な困難を伴うことが予想されます。したがって、体重1,000g未満の例に対しては、原則外科的結紮術を検討し、全身状態、呼吸状態において、それが適応できない例に限定して本品が適応されるべきと考えております。以上です。

○荒井部会長 金先生、ありがとうございました。それでは、委員の方々から御意見、御質問はいかがでしょうか。

○小西委員 ありがとうございました。既に外科的手術ではなくて、そのインターベンションでほとんどやられているという理解でよろしいでしょうか。

○金参考人 そうですね。体重6kg以上、生後6か月以上は標準的にカテーテル治療になっていますが、今回対象となっているのはそれよりも小さい群に対して適応拡大していこうというものになります。

○小西委員 現在、日本でJPIC学会で認定されているそういった施設、専門医は多く行き渡っているのか、あるいはかなり限定された施設なのか、数を教えていただけますか。

○金参考人 この認定は学会でさせていただいているのですけれども、現時点で全国で63施設あります。

○小西委員 結構多いですね。

○金参考人 それをインストラクターとして教育する医師も確定されていて、全国に22名おります。

○小西委員 もう1つよろしいでしょうか。失敗例というところで、塞栓があったと思います。これが一番怖いのではないかと思うのです。そういうことが起こり得るかどうかということ。1例起こって取りにいったということが書いてありました。それが可能かどうか、リカバリーできるのかどうか。

○金参考人 経カテーテル的に脱落した場合には、それを回収するスネアや回収するForceps、鉗子などがありますので、そういうことで解消する場合があります。

○小西委員 通常、大動脈に乗ってビューッと末梢まで行ってしまうということですか。

○金参考人 大動脈の末梢の下肢の血管、あるいは逆に肺動脈の末梢に脱落する可能性があります。それを予防するための教育システムがとても大事です。動脈管の形態を、先ほど審査の経緯の中にKrichenko分類というのがあったと思いますが、A型からF型というのがあります。そういった形の形態の分類や、画像診断による径の計測などを正確にして、それにマッチしたデバイスサイズ、今回のピッコロオクルーダーは9種類あるのですけれども、それを適切に選択することによって、そういったミスマッチによる脱落を防ぐということが非常に重要になります。

○小西委員 ありがとうございました。

○梅津委員 承認条件で、トレーニングをそれぞれ専門の学会で行うということですが、小さなものをどのようにトレーニングするのかイメージが湧かないので教えていただけますか。どのようなことを考えておられるのですか。

○金参考人 実際にこれは大きな患者さんでは、プロクタリングと言いまして、指導できる医師が、最初は外国の経験を積んだ医師が日本に来てさせていただきました。それから、教育担当医師というのが日本でもできてきましたので、そういった医師がプロクタリングと言いまして教育をしていくことになります。このピッコロオクルーダーに関しては、そこが非常に難しい点で、主に急性心不全を起こしている低出生体重児、生まれて間もない方がいるので、そのプロクタリングという教育システムのプランニングがなかなかできないのです。ですので、このピッコロオクルーダーを適応する施設は、もともと教育担当医師が日本で22人いると言いましたけれども定められています。そこの施設において、かつ心臓血管外科のバックアップ体制があり、そして新生児科がここでいるのですけれども、中でも周産期センターとして認定されている病院、NICUが確立している、そういった病院によって行われます。

○梅津委員 それは、患者さんを直接使ってと言っては失礼ですけれども、何かそれ以前に、例えばもう少し別の何か物を使ってトレーニングするなど、そういうことは考えていないのですか。

○金参考人 もちろんそのシミュレーションのトレーニング、いわゆるハンズオンというものを体外でトレーニングを積んだりします。本日の当日配布資料にある、上から3番目の適正使用の中に非常に詳しく書いてあります。今言った施設や医師の対象以外に、それを適応しようとする医師が、新生児のカテーテル検査やカテーテル治療を十分経験を積んでいるとか、そもそも動脈管開存症の既存の閉塞栓の教育担当医師はそれなりにかなりの経験を積んでいますので、そういった教育を担当できるレベルの者が行います。

○梅津委員 もう1つは、なぜこの留置不成功というのが、体重の小さい例ではなくて大きい例に発生したのでしょうか。

○金参考人 逆説的に、普通は体重が小さい方の方が不成功が起こりやすいと考えやすいです。大きい患者さんで起こりやすいのは、恐らく先ほど説明したサイズミスマッチがあって、サイズを過小評価していて、実際に留置した動脈管が大きな患者さんでは実際にはより大きいと。そうすると、その閉鎖が浮いてしまった形になって固定が悪くなるということが発生したのではないかと思われます。

○梅津委員 経験のある医師だったらこういうことが起きなかったということですか。

○金参考人 恐らくはそうです。

○長島委員 体重が700gから1kg未満の間の場合に、どのようなケースが適応となり得るのかというのはいかがでしょうか。

○金参考人 最後に私から説明させていただいたように、原則従来の外科的な開胸結紮術が適応になることを中心に考えた方がいいと考えています。それが適応できない患者さんというのは、恐らくは全身状態でDIC凝固系の異常が非常に多く、開胸をする際に皮膚から胸腔の出血が非常に危惧される場合、血管内治療の方が優位と考えられる場合、それからもともと動脈管開存症で低出生体重児の場合、肺出血を来している場合があります。そういう場合には開胸して、肺を分けて、動脈管に到達するという外科的従来の治療法が非常に危険を伴う可能性がありますので、そういう場合には血管治療の方が優位と判断される可能性があるかと思います。

○長島委員 ありがとうございました。

○荒井部会長 その他に、御質問はいかがでしょうか。

○中谷委員 この試験自身が、最初に挙げたのが700g以上という形でやられているのですけれども、このシステムの大きさから700gと決められたのか、そこのところが今ひとつよく分からないのです。説明を聞いていて、1kg以下700g以上で、今のような状態の人に使った方がいいだろうというのはよく分かるのです。では655kgだったらどうなのか、少し細かい話なのですけれども、現場ではその辺のところは大分悩むところだと思うのです。700gというのはどこから出てきたのかをお聞きしたいと思います。

○金参考人 私たちも日本で体感したことはないのですが、欧米の報告で、試験で700g以上とされているところが始まりです。といいますのは、600g台で治療をトライした例があるらしいのですが、それは死亡したということがあったようです。そのため、安全にできた基準というのが700gだったという線引きで、それを応用されたものだと考えられています。

○中谷委員 そういう御報告があれば分かるのですけれども、何もなかったものですからお聞きしました。分かりました。

○荒井部会長 追加しなくてもいいですか。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○荒井部会長 その他にはよろしいですか。かなり詳細なデータと学会等で万全の構えで準備をしていただいているというように伺いました。よろしいでしょうか。よろしければ議決を行います。医療機器AMPLATZERピッコロオクルーダーについて、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定を不要としてよろしいでしょうか。また、使用成績評価は、期間を6年とすることとしてよろしいでしょうか。

 御異議はないようですので、このように議決させていただきます。本件は、次回の分科会にて報告をさせていただきます。これで議題1を終了いたします。金先生どうもありがとうございました。

-金参考人退席-

○荒井部会長 引き続き議題2に入ります。「医療機器「ゴア バイアバーン ステントグラフト」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否」を始めさせていただきます。本議題については参考人として長谷部光泉先生にお越しいただいています。よろしくお願いいたします。まず、機構の方から説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。資料2をお開きください。冒頭の専門協議委員一覧を御覧ください。本審査に当たり、3名の専門委員から御意見を頂戴いたしました。それでは、審査の内容について御説明いたします。以後の説明においては緑色の通し番号3ページ以降にございます審査報告書に関し、緑色の通し番号に基づいて御説明いたします。

 初めに、品目の概要について御説明いたします。通し番号7ページの図1を御覧ください。本品は、ポリテトラフルオロエチレン製のグラフトの外側に、ニチノール製のステントワイヤーが巻かれたステントグラフトと、デリバリーカテーテルから構成されるステントグラフトシステムです。

 次の8ページ上段を御覧ください。本品は、平成28年に既に承認を取得している製品であり、「外傷性又は医原性血管損傷の緊急処置」及び「浅大腿動脈の症候性末梢動脈疾患の血流改善」の2つの適応を有しています。今回、本品の新たな適応として、慢性腎不全患者の血液透析のために作製された人工血管内シャント、以降、「AVG」と言いますが、AVGの人工血管と自己静脈の吻合部の狭窄又は閉塞病変の治療への適応を追加するための申請が行われました。本追加適応を、以降、「AVG適応」と呼びます。本品は、同じページの図2の左側に示しますように、患者の上腕又は前腕のAVGに留置され、同じ図の右側に示しますように、人工血管と自己静脈の吻合部、以降、「静脈側吻合部」と呼びますが、静脈側吻合部の病変を覆うように本品の留置を行います。

 次に、開発の経緯を御説明いたします。通し番号9ページ中段、()開発の経緯を御覧ください。血液透析は慢性腎不全患者の腎機能を代替するために実施されますが、その血液透析の際に、透析回路への脱血及び返血のために十分な血液量を確保するための患者側のアクセスルートとして、上腕又は前腕にバスキュラーアクセスが作製されます。バスキュラーアクセスのうち、本邦のガイドラインにおいて第一選択として推奨されているのは、患者自身の動脈と静脈を皮下で直接繋ぐ自己血管内シャント、「AVF」です。しかしながら、本邦では、高齢化に伴い長期透析患者が増加しており、作製したAVFが使用できなくなり、新たなAVFの作製も困難となった患者は人工血管によるシャント、すなわちAVGに移行することになります。透析期間の長期化に伴い、このAVGの患者数も年々増加しており、2017年時点の集計では全血液透析患者の7.3%に当たる約2万人まで達しています。

 バスキュラーアクセスの維持管理における主な課題は、頻回に発生する狭窄又は閉塞です。狭窄又は閉塞の発生原因として、静脈に人工的に動脈血を流入させることにより非生理的な血流が生じ、その刺激により新生内膜肥厚が生じることで、狭窄に至るとされています。特にAVGにおいては、静脈側吻合部の狭窄・閉塞発生率が高く、ほぼ必然的に発生することが知られています。バスキュラーアクセスの狭窄・閉塞に対する標準治療として、経皮的血管形成術用バルーンカテーテル、「PTAバルーン」を用いた血管拡張術が実施されていますが、PTAバルーンによる治療は狭窄部の一時的な拡張であるため長期的な開存の維持は困難です。AVGにおけるPTAバルーンによる血管拡張後3か月以内の再狭窄発生率は約40%、半年以内の再狭窄発生率は約80%と報告されており、より開存性の維持に優れた医療機器の導入が求められている医療状況を背景として、本品の適応追加の申請が行われました。

 続きまして、通し番号10ページ上段、()外国における使用状況を御覧ください。本品は、米国において2013年、欧州において2014年にAVG適応に関連する使用目的の許認可を取得しています。販売数については適応ごとの情報が収集されていないため全適応における販売数となりますが、合計約○○本が販売されています。なお、米国においては全販売数の約○%がAVG適応に使用されていると申請者により推定されています。

 本品の非臨床試験については特段の問題は認められませんでしたので、臨床試験成績について説明いたします。通し番号17ページ中段、AVR06-01試験の概略を御覧ください。米国の31施設において多施設共同前向き無作為化比較試験として、AVR06-01試験が実施されました。以降、この試験を「本試験」と呼びます。本試験においては血管造影で50%を超える狭窄を有し、AVGの機能不全を来した患者289例が登録され、本品群に143例、対照群として設定されたPTAバルーン群に146例が割り付けられました。

 次に、本試験の結果について御説明いたします。通し番号19ページ上段、(3)試験結果を御覧ください。本試験においては、有効性に関する主要評価項目として「標的病変の一次開存期間」が設定されました。結果として、本品群の中央値は203日、対照群の中央値は108日であり、観察期間である24か月にわたって本品群の対照群に対する優越性が検証されました。さらに、標的病変への再治療の累積施行回数の推定値は、同じ19ページの表7に示すとおりで、本品群における施行回数は対照群より有意に少ないことが示されました。

 また、安全性に関しては、その下の2)主要安全性評価項目及び有害事象を御覧ください。主要評価項目として設定された「初回治療後30日目までのデバイス、手技及び治療部位関連の主要な有害事象」の発生率は、本品群0.0%、対照群1.4%であり、本品群の対照群に対する非劣性が検証されました。一方で、報告された全ての有害事象のうち、心筋梗塞については、本品群の発生率は7.1%であり、対照群の0.8%と比較し有意に高い結果となりました。

 次に、本品の審査における主な4つの論点について説明いたします。1つ目の論点は本品の有効性及び安全性についてです。通し番号21ページ上段、1)有効性についてを御覧ください。本試験の有効性に関する主要評価項目については、本品の特徴を踏まえ、一次開存の有無だけではなく、一次開存の維持された期間が評価可能な定義となっており、結果として本品群の対照群に対する優越性が検証されたことから、特段の問題は認められないと考えています。

 安全性については、同じ21ページ下段、2)安全性についてを御覧ください。本試験における安全性に関する成績については、主要安全性評価項目において対照群との非劣性が示されました。また、術後2年までの長期成績においても、心筋梗塞を除き、本品群における有害事象の発生率は対照群と比較して同等以下でありました。一方、本品群で有意に発生率の高かった心筋梗塞に関して、血液透析患者の患者背景や本試験における心筋梗塞発生症例の詳細を基に検討を行いました。通し番号22ページの表9を御覧ください。1点目として、本品群で発生した心筋梗塞の全例において機器又は手技との関連性は否定され、1例を除き回復しています。回復せず死亡した1例についても、BMIが47と高く、高度な肥満体型であり、心筋梗塞の発生リスクを複数有する患者でした。

 2点目として、血液透析の対象となる患者の多くは、もともと心機能等の全身状態が悪化しており、本邦の血液透析患者における血液透析導入前の心筋梗塞の既応を有する割合は約10%、心筋梗塞を含む虚血性心疾患の既応を有する血液透析患者の割合は約20%と報告されています。血液透析患者におけるこうした心疾患の発生率の高さは、バスキュラーアクセス作製により心拍出量が増加するという観点からも理解できるため、本品がバスキュラーアクセスの開存性を向上させることにより、PTA群と比較して心筋梗塞の発生率が増加した可能性は否定できないと考えています。しかしながら、次の論点である海外臨床試験成績の外挿性においても詳しく述べますが、本試験の対象集団においては心筋梗塞のリスク因子である糖尿病及び高血圧の既応を有する割合が、本邦の患者集団と比較して著しく高かったこと。さらに、AVGの大半が血流量の少ない前腕に作製される本邦の患者と比較して、本試験では上腕にAVGを有する患者の割合が多かったことから、本試験の患者集団の方が本邦の患者集団と比較し、心筋梗塞のリスクの高い集団であったと考えています。

 3点目として、先ほどの22ページの表9をもう一度御覧ください。本品群において心筋梗塞を発生した7例のうち、本邦の大半の患者に当たる前腕のAVGの患者は、症例番号132-013及び480-005の2例のみであり、ともにBMIが高く、さらに心筋梗塞の発生日は術後500日を超えていることから、本品以外の要因による発生の可能性が高いと考えています。

 以上を踏まえ、心筋梗塞の発生に関しても臨床上、許容可能と判断いたしましたが、心筋梗塞の発生には、患者の心機能や血液透析の条件といった患者背景も複合的に関与していると考えられることから、本事象を含めた有害事象については、使用成績評価においても患者背景と併せ、引き続き評価を行うことが適切と判断いたしました。

 2つ目の論点は、海外臨床試験成績を本邦へ外挿することの妥当性についてです。通し番号22ページ下段から次のページにかけて表10を御覧ください。総合機構は、血液透析の医療環境や対象患者の患者背景に関連して、AVGの作製部位・形状及び血流量、透析期間、患者背景、シャント狭窄・閉塞の好発部位、シャント狭窄・閉塞に対する標準治療について、本試験成績に影響を与える医療環境差及び民族的要因の有無を検討いたしました。

 その結果、AVGの作製部位、形状及び血流量については、米国においては前腕と比較し高流量となる上腕のバスキュラーアクセスの作製が多く行われると考えました。また、透析期間については、本邦においては腎移植の実施率が低いことも背景に、米国と比較し透析期間の長い患者が多いと考えました。患者背景については、先ほどの論点で触れましたとおり、高血圧、糖尿病等において米国の患者の方が過酷な条件となっています。加えて、本試験の本品群において糖尿病の既往を有する患者の割合は64.3%、高血圧患者の割合は98.6%であったことからも、併存疾患に関しては本試験の患者集団に対する評価をもって、本邦の集団に対する評価を行うことは可能と考えました。一方、BMIについては本邦の患者の方が小さく、血管径についても本邦の患者の方が細いことが想定されます。

 以上から、AVGの作製部位・形状、透析期間、BMI及び血管径の4点について、本試験の試験集団と本邦の患者集団の患者背景の違いが本試験結果に及ぼす影響について、申請者に説明を求めました。

 申請者から得られた説明に関しては、通し番号24ページから26ページを御覧ください。表1114にかけて本試験における標的病変の一次開存率について、上述の各患者背景因子に基づいた部分集団解析結果が示され、患者背景の違いが一次開存に大きな影響を及ぼしていないことが示されました。なお、表14の血管径に関しては、本邦で主に使用されることが想定される6mm径を使用した症例数は限られていましたが、本邦と患者背景が類似していると想定される台湾で実施された本品の臨床研究においても、一次開存期間の平均値は6mm径で303.9日、7mm径で377.0日であり、径の違いによる統計学的な差は認められていませんでした。

 以上の申請者の説明を踏まえた総合機構の判断については、同じ25ページ下段、「総合機構は」から始まる段落を御覧ください。総合機構は、シャント狭窄・閉塞の発生部位や治療介入を行う判断基準、標準治療等の基本的な医療環境は本邦と米国で同等であること。AVGの作製部位・形状や透析期間等の患者背景の分布の違いについても、本邦の患者に相当する患者が本試験に一定数組み入れられており、各事項に関する患者背景の違いが試験成績に大きな影響を及ぼしていないことから、本試験成績を本邦に外挿することは可能と判断いたしました。

 3つ目の論点は、本品の臨床的意義についてです。通し番号25ページの()本品の臨床的意義についてを御覧ください。これまで述べました試験成績を踏まえ、本品のリスクベネフィットのバランスに関する総合機構の判断を御説明いたします。前提として、AVGを有する患者においては、同一肢に対する新たなバスキュラーアクセス作製の選択肢が限られるため、使用中のAVGの開存を維持することが患者の生命維持のために重要となります。本試験においては標準治療であるPTAバルーンと比較し、本品群の一次開存期間は有意に延長され、中央値は約2倍となり、再治療の回数も有意に低減されました。また、安全性においても埋植機器として想定される感染、マイグレーション、デバイスの破損等の有害事象の発生率については対照群と有意な差は確認されませんでした。

 以上を踏まえ、総合機構は、AVG静脈側吻合部におけるシャント狭窄・閉塞に対する治療の選択肢の一つとして、本品を臨床現場に提供する臨床的意義はあると判断いたしました。

 4つ目の論点は、市販後安全対策及び使用成績評価についてです。通し番号27ページ上段を御覧ください。本品の適応として、AVG適応が追加された際には主に透析施設の医師が本品を初めて使用することになると想定されます。これらの医師も含めた本品の適正使用のための取組として、関連学会との連携により適正使用指針が策定され、製品トレーニングが義務付けられることとなっています。なお、製品トレーニングについては既承認適応において行われている内容を基に、AVGにおける使用方法に合わせて実施される予定です。総合機構は、これらの対策により、AVG適応にて本品を初めて取り扱う医師及び施設におけるリスクの低減化を図ることについて妥当と判断しました。なお、AVG適応においては、既承認適応とは異なり、本品の留置を行う施設とその後の透析治療を行う施設が異なる場合があり、本品の埋植部位への誤穿刺のリスク等が想定されます。この点については、本品の埋植部位や本品への穿刺を行わないことに関する注意事項等を記載した患者カードを患者に交付し、本品の留置を行う施設以外の医療従事者が確認できるよう対策が行われることから、特段の問題はないと判断いたしました。

 最後に、使用成績評価について、通し番号28ページの表17を御覧ください。総合機構は、これまでに説明した安全対策の充足性、及び本邦の臨床使用実態下における本品の有効性及び安全性を確認することを目的として、使用成績評価を実施する必要があると判断いたしました。症例数については、有害事象の発生を評価可能な症例数として100例と設定いたしました。なお、その中には、本品を初めて使用することが想定される透析施設の医師の症例が一定数組み入れられるよう計画する予定です。また、調査項目及び追跡調査期間に関しても、本試験と同等の内容を設定しています。以上を踏まえ、追跡調査期間2年として販売準備期間○か月、症例登録期間○か月、解析期間○年と想定し、計4年間とすることが妥当と判断いたしました。

 以上の審査を踏まえ、総合機構は本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。本品は初回承認時と同様、生物由来製品に該当すると判断しています。なお、薬事分科会では報告を予定しています。総合機構からの報告は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○荒井部会長 ありがとうございました。様々な御意見が出るかと思われますが、まず初めに、参考人の長谷部先生から追加の御発言をお願いいたします。

○長谷部参考人 長谷部でございます。私、日本IVR学会で実際にこのような、いわゆるカテーテル・インターベンションをしている医師として、臨床的な背景も含めて少し補足させていただきます。このゴア バイアバーンという製品は、近年、他の領域では結構使われていて、外傷性の血管の破綻であるとかですが、これは漏れを防ぐためにグラフトにステントが巻いてあり、それが経皮的にできるということで、近年、非常に使われている製品です。もう1つは、足の浅大腿動脈という大腿の所の動脈が詰まった時に入れる製品となっています。表面にはヘパリンが付けてあり血栓が付きにくいような構造になっています。そして拡張力を保てます。

 このバスキュラーアクセスというものは、特に今、透析の場合のファーストチョイスは御存じのように自家静脈であり、動脈と静脈を前腕の所の皮下で繋ぐというのが第一選択としてされています。それでも詰まったりしてPTAと呼ばれるバルーン拡張ですね、バルーンで拡張することが行われています。このようなAVFは日本で非常に盛んに行われていて海外よりも多い。もちろん手技もうまいですし、もともと伝統的に日本が優れている分野です。

 ただ、長寿社会になりまして、長期の透析で10年以上の透析歴の人が9万人ということが2017年時点で既に言われていますので、その中では動静脈がうまく体表で繋げない、若しくは血管径が合わないということで、人工血管を介して動静脈を繋いできてシャントを作る。これがAVGと呼ばれているものです。

 このAVGの患者さんは問題点がありまして、再狭窄率が大体3か月で40%、半年では80%ぐらい詰まってしまうと言われています。長年やっていて、どうしても詰まった場合はまた別に作り替えるということをしているのですが、AVGの患者さんはかなり作った挙句の果てに、最後、作るようなところにあると思います。そういった中で、より開存性の維持に優れた、特に吻合部周辺ですね、静脈の吻合部の周辺で詰まることが多くて、そこを裏打ちして開存率を高めるという製品になっています。

 細かいことは、今、機構の方が言われたことで間違いないですが、主にこの試験は2008年から2013年に米国のRandomized Controlled Trialですね、RCTがAVR06-01と呼ばれるスタディがされていて、それは米国の31施設で行われています。その当時は吻合部及び3cm以内にある病変に対し、50%以上詰まったものに対して広げるという適応でされています。本品は143例、対照群は146例で割り付けられていて、一次開存率が24か月にわたって評価されています。その24か月の評価でゴア バイアバーンですね、この本品群が優れているということで有効性は証明されています。

 ただ、有害事象のところで話がありましたように、他の有害事象は大してないのですが、心筋梗塞の発生率が本品群で7.1%、対照群では0.8%ということで、ここだけが少し多い形になっています。これは先ほど御説明があったようにBMIがアメリカ人でものすごく高い場合や、もともと透析しているような患者さんは、心筋梗塞が透析前で10%ぐらいありますし、若しくは虚血を含めればもともと20%以上ありますので許容される数だと思いますが、広げることによって心負荷が増える可能性がある。返血されてきますから、負荷が増えることで心筋梗塞が増えないかという懸念がございますが、この試験においては直接的因果関係は証明されていません。しかしながら、少し多いことはありますので、これに関しては日本の市販後全例のデータをしっかりと調査し、それで判断すべきかと思われます。

 先ほど機構の方から説明がありましたけれども、このAVGを作るにしても、日本では前腕に作ることが多くて、大体、8割ぐらいは前腕で作っています。欧米では30%ぐらいしか前腕で作らないという現状がありますし、開けた場合、血流量は前腕の方が上腕の85%ぐらいしかありませんので、比較的少ない心筋梗塞の発生率というのが予測されますけれども、これに関しては分かりませんので、今後のデータをきちんと集積すべきかと思われます。

 手技に関しては、CVITと呼ばれる心血管インターベンション学会、若しくはIVR学会や血管外科学会等の先生方は、日頃、本品を使う前にハンズオンであるなどのトレーニングを受けた上で使用していますし、臨床で使われているのと同じものですから問題はないと思いますが、特に透析ですね、透析というのは透析の施設でやられることが多いので、透析医でこのステントを扱ったことがないという先生がいらっしゃるかもしれません。その先生方には、より一層のしっかりとしたハンズオンであるとか、そういった御説明等が必要かと思われます。以上です。

○荒井部会長 ありがとうございます。それでは、委員の方々より御意見、御質問はいかがでしょうか。

○中島委員 お伺いしたいのは、確かに本品の方が対照群よりも成績はいいのですが、しかしながら再狭窄は免れないという現実の中で、再狭窄の時に通常はバルーンなのかもしれませんが、追加留置というものが許容されるのかどうか。あるいは、範囲がどのぐらいまでなのか。その辺のお考えがあれば教えていただきたいのです。

○長谷部参考人 先生のおっしゃるとおり、これはPTAをファーストトライするというのが常識的だと思いますので、大体の先生はPTAをトライして、それで20%、30%の方は1年以上保つと思います。今の保険だと3か月ルールというのがあって、3か月に1回ぐらいPTAを行うことまでは保険で許されていますが、臨床で複数回、PTAをしても効かない方に関して本品を置くという位置付けにあると思います。ですから、基本的にはPTAを行った人でということだと思います。

○中島委員 要するに留置後の再狭窄の話を、今。

○長谷部参考人 なるほど。留置後の再狭窄の場合に関しては、本品は、またPTAをその部位に施行するということは可能かと思われます。

○中島委員 追加質問ですが2本目を置いたり、3本目を置いたり、その辺は許容される状況なのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 総合機構からお答えします。今の御質問は、本品留置後の再治療に本品を使用することができるのかと理解しましたが、試験の中で再治療は基本的にPTAで行われています。本試験では本品による再治療も許容されていて、本品群では再治療が行われた患者の15例、全体の10%程度は本品が再治療に使われています。ただ、大半は本邦でも既に行われているPTA、または血栓除去術等の手技で対応は可能と考えています。

 補足として試験成績に関してですが、審査報告書の通し番号19ページを御覧ください。表7に、本試験で標的病変の再治療の合計回数の推定値が記載されています。24か月で本品群が2.6回、対象群が3.7回でしたけれども、本品群のうち、PTAのみによる再治療を行った集団でも再治療累積回数は約2.2回だったという報告がありまして、本品群全体での2.4回と大きな差はございません。なので、再治療の内容にかかわらず、初回治療時に本品を使用した結果としてPTAより良い結果が出ていると考えています。

○中島委員 そういうことではなく同一部位に2つ目を入れることや、3つ目を入れることは許容されるのかということを伺いたいのですが。

○医薬品医療機器総合機構 そちらに関しては、許容できないと言い切ることは難しいのですが、本試験で使用されていた15例を見ますと、おおむね半年以内の早いうちに本品留置後の再狭窄が生じていた症例で、最初の留置の位置等が一番うまい所にいかなかったようにも想定されていて、まずは最初の留置をしっかりすることに関して企業からしっかりトレーニングをさせるということと、この結果から再治療に関して本品を使う時、どのように使うことで有効性が保てるか、なかなか明言は難しいと考えています。

○荒井部会長 少し整理しましょう。生存期間ではよくある話ですが、カプラン・マイヤー曲線で比較すれば優越性は明らかだけど、中央値の延び分は「2.5か月だけ」みたいな話です。薬の世界ではよくある話です。しかし、本件の場合、長谷部先生から御説明頂いたように、はじめはPTAを行って、それで駄目だったら、これを使うということなのですが、それだとしても患者さんが生きている期間よりも、かなり早い時期にまた詰まってしまう。長谷部先生によれば、「そのような場合にはPTAを追加する」とのお話だったわけですが、中島先生が言われたのは、「もう1回そこにステントを追加することはどうなのか」という点についての御質問です。この点についての明確な答えは今のところないという理解でいいのでしょうか。実際にやられた症例もあるということですが。

○医薬品医療機器総合機構 そうです。内挿されている症例はこの試験でございますが、基本的にこれでは3cm以内という縛りがあって、置いた所の部位以外にも詰まることがありますから、そこには駄目ということは明確に専門協議会でも話されていまして、それは適応外使用だと。だから、そこだけ文言を日本では変えていまして、3cmというよりはその吻合部ですね、吻合部に関する所だけは置くことが許されると。より厳しい縛りにはなっていますが、中島先生がおっしゃったことは、要するに詰まったらそこにまた内挿していいのかという御質問だと思いますが、この試験自体はそういうことがされています。ただ、非常に少ないパーセントで、日本で想定されるのは、そういったことをする場合はステント・イン・ステントですから、ものすごく再狭窄が沢山きてしまう人、そういった特殊な例に限られると思います。常識的には最初にPTAを行ってから血栓除去をするといった方向ですが、それは学会等でガイドラインを含めて検討する必要があると思います。

○荒井部会長 ありがとうございます。この機器については、このような点は確かに懸念されます。いつもこの部会で問題になりますが、「でたらめに、次から次へと入れてしまう人が出たらどうしよう」という不安がどうしても残ります。この点については、是非、学会の方でも取決めをしていただければと思います。

○永井委員 心筋梗塞の件ですが、日本では米国に比べて、一般的にBMIも低ければ糖尿病、高血圧も少ないから大丈夫だろうとのこと、そこはOKなのです。ただ、この臨床試験の中で比較した場合、表6がそのベースラインデータが、実はBMIも糖尿病も高血圧も人工血管の位置も、両群できれいにバランスされています。バランスされているにもかかわらず、試験群で心筋梗塞が7例も出て、対照群では恐らく1例かそこらだと思います。そのことから、糖尿病、高血圧といったもの以外の何らかの要因が、そこに関与しているということは容易に想像が付くわけです。その1つがVA作製による心拍出量の増加ではないかとのことですが、心拍出量の増加が、なぜ心筋梗塞に直接結び付くかはよく分からない。むしろ、ステントを入れることによってその血管は詰まりそうもないからということで、薬剤、例えば抗凝固剤、抗血小板剤の加減が変わるのか、あるいは全身に対するケアが迂闊になる可能性が考えられます。市販後の話になりますけれども、何か別の要因があるのだと思います。

○荒井部会長 今の御指摘について何かありますか。

○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。総合機構としても、御指摘の点に関しては、とても気にして検討を進めてまいりました。おっしゃるとおり、患者背景としてRCTが行われて偏りがないにもかかわらず、本品群の心筋梗塞の発生率が高かったということで、例えば心拍出量の増加が起因しているのではないかという疑いも持っていますが、この試験の結果のみから結論を出すことは困難と考えています。他にもベースライン時の心機能がどうであったか、透析はどういった流量で回されていたのかといったところも、心筋梗塞の発生に関して関与してくるのではということで、専門医の先生方からも御指摘を頂いています。PMS、使用成績評価においては、そういった情報も含めて情報収集をしっかりいたしまして、心筋梗塞が起きた際にその原因分析が十分行えるように取組をするということで考えています。

○永井委員 薬剤の影響も結構あるのかもしれませんね。

○長谷部参考人 そうですね。先生がおっしゃるように、本品群を入れた場合に主に9か月ぐらいのDAPT(dual antiplatelet therapy)、要するに2剤の抗血小板剤を使うというのはもともとあるのですが、そこが若干、甘くなっている可能性もございますので、このデータは許容される範囲ですけれども無視できない。先生がおっしゃったように心拍出量若しくは心負荷が上がったことで、なぜ心筋梗塞が増えるのかというメカニズムも、なかなか医学的に説明が付かない部分もございますし、先生がおっしゃる血栓関係の何らかのイベントが起きている可能性もございますので、本邦のDAPTと併せたようなデータの収集を学会でするべきだと考えています。

○一色部会長代理 本件に関してですが、FDAは承認をしているのですね。

○医薬品医療機器総合機構 はい、されています。

○一色部会長代理 FDAの方で、この結果についてはどのような考察がされていたのか、もし分ったら教えていただきたいのですが。

○医薬品医療機器総合機構 申し訳ございません。今、情報を持ち合わせていないのですが、特にこの点が問題になってということはなかったと考えています。

○長谷部参考人 そうですね。特にFDAから勧告も出ていませんし、これに関する細かなコメントはございません。

○一色部会長代理 かなりうるさいはずなのに、ここでの議論ぐらいは出ているはずだと思ったのですが、もし御確認できたらお願いしたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構 承知いたしました。

○荒井部会長 その他、御意見はございますか。私の方から1つ、市販後調査ですけれども、特に今、御指摘があった心筋梗塞も含めて本当に24か月でいいのですか。

○医薬品医療機器総合機構 その点に関しては、24か月で問題ないと考えています。理由としましては、先ほど本治験で発生した心筋梗塞の症例に関しても御説明申し上げましたが、本邦で大半の症例を占める前腕のAVGに関しても発生500日前後ということで、その2年以内の発生でありますし、また、あまり留置から時間が経ってしまいますと本品によるものかどうかなかなか判別が難しい。他の色々な条件や要素が関連してきてしまうと考えますので、本試験と同等の2年間で本試験での結果と比べてどうかということを見ることで十分と判断しています。

○荒井部会長 ここはどうしても皆さん、神経質にならざるを得ないところだと思われます。例えば心筋梗塞だけだと引っ掛からないですが、亡くなった場合には機器についての不具合検討会がありますから、そちらの方に引っ掛かってくるという理解でよろしいですか。

○医薬品医療機器総合機構 御理解のとおりで間違いございません。

○荒井部会長 長谷部先生の御発言にもありましたように、もしかするとローフローであるが故に時間はかかるのかもしれないけれども、実は後になって心筋梗塞がいっぱい出てくるかもしれない。そうなると2年では短いのではないかと感じたので、伺いました。この臨床試験に基づく限りは2年見ておけばいいだろうということですね。確かに、これをいたずらに長くしても他の色々な雑音が入ってきますから、本当の原因かどうか分からなくなってしまうところがありますね。その他、何か御意見、いかがでしょうか。

○北澤委員 審査報告書では、アメリカで行われた臨床試験を日本にも外挿できると言っていますね。にもかかわらず、心筋梗塞を起こした人の話になるとアメリカ人は太っているからなどという。アメリカ人でのRCTの結果を、本当に日本に外挿できるのか、私の中では今ひとつ納得できませんでした。

 更に読んでいくと、台湾でのRandomized Controlled Studyの結果が、文献番号の21番ですけれども、そこで出ていると書いてあります。素人考えですけれども、台湾人の方が日本人に近いのではないか。できましたら、この21番の結果がどのようなものであったのかについて教えていただければと思います。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘、ありがとうございます。今の御質問は、21番の文献で心筋梗塞等の有害事象がどうであったかという御質問になりますか。

○北澤委員 それにかかわらず、全体的な結果について。

○医薬品医療機器総合機構 まず有効性に関しては説明の中でもお伝えをしましたが、通し番号25ページを再度御覧ください。表14の下の段落に台湾の研究の結果を記載していますが、有効性に関して一次開存期間の平均値は、本邦でも使用が多いと推定される6mm径でも303.9日で、本試験での中央値が203日でしたから、それと同等以上の成績が出ていると考えています。また、安全性に関して有害事象の情報は収集されていたのですが、ここには記載していません。少々お待ちください。手技や本品に起因した有害事象といったものについて文献上の報告はございませんでした。関連性を含めない心筋梗塞に関しても、文献の記載上に報告はございませんでした。こちらで確認できた情報は以上になります。

○北澤委員 実際に比較群との結果で本品群の方が優越的だったという結果だったのですか。

○医薬品医療機器総合機構 それは間違いございません。

○北澤委員 ありがとうございます。

○荒井部会長 その他、いかがですか。よろしいですか。今の北澤委員の御指摘はとても重要だと思います。先ほどのカプラン・マイヤーで明らかに差があるのでいいだろう思われる反面、細かな所に関しては色々違う部分もあり、そのまま外挿できるのか。さらに、その後どうなるのか。たまたまかもしれないけれども、統計学的な有意差が出た部分について目をつぶってしまって本当にいいのか。その辺の不安感といいますか疑問が残っていると思われます。

そこのところについては、きちんと市販後に調査をしていただくことを確認しておきたいと思います。とは言え、これらを理由に、本品の承認を「見送りましょう」という判断も、臨床現場のニーズを考えれば適切でないと思われます。その他に、御意見はよろしいでしょうか。よろしければ議決に入らせていただきたいと思います。医療機器「ゴア バイアバーン ステントグラフト」につきまして、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定を必要として、よろしいでしょうか。また、使用成績評価は期間を4年として指定することとして、よろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異議がないようですのでそのように議決させていただきます。本件は次回の分科会にて報告させていただきます。

 それでは、これで議題2を終了させていただきます。長谷部先生、どうもありがとうございました。

-長谷部参考人退席-

 続きまして、議題3に進ませていただきます。議題3、「医療機器「MRガイド下集束超音波治療器 Exablate 4000」の使用成績評価の指定の要否」を始めさせていただきます。事務局の方から説明をお願いいたします。

○事務局 それでは事務局より議題3について説明いたします。資料3、1ページを御覧ください。今回、使用成績評価の指定について御審議いただく品目の概要となっております。申請者はInSightec社となります。続きまして同じページ、品目の概要欄です。本品は、頭蓋外部から集束超音波を照射することにより、脳深部の標的組織を加熱・壊死させる医療機器となっております。本品はすでに視床を標的とした薬物療法で十分な効果が得られない本態性振戦における症状緩和を適応といたしまして、平成2812月に承認を取得しており、現在使用成績評価期間中です。

 今回、新たに淡蒼球を標的とした薬物治療で十分な効果が得られないパーキンソン病における運動症状の緩和及び視床を標的とした薬物治療で十分な効果が得られないパーキンソン病における振戦症状の緩和に対する適応拡大を目的として今回、一部変更承認申請がされております。

 続いて1ページから、使用成績評価の指定に係る根拠についてを御覧ください。本品の有効性及び安全性は、単蒼球を標的とした既存の高周波を用いた治療の臨床実績等における臨床評価報告書及び米国で実施されました薬物療法で効果が得られないパーキンソン病患者を対象とした臨床試験成績から確認されておりますが、2年以上の有効性及び安全性については確認されておりません。そのため平成28年承認の本態性振戦の適応と同様に、本適応についても使用成績評価の対象とすることが妥当と考えております。なお、視床を標的とした振戦症状の緩和適応につきましては、既承認と標的部位が同一であり、安全性に関するリスクも同様と考えられるため、新たな使用成績評価は不要と判断しております。

 2ページ、一番上です。調査期間につきましては販売準備期間0.5年、症例登録期間3年、症例追跡期間2年、解析期間0.5年の計6年間を課すことが妥当であると考えております。また、本適応の追加に伴いまして、適正使用指針につきましても併せて改訂する予定となっております。説明は以上となります。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○荒井部会長 これは指定の要否についてです。委員の皆様から御意見、御質問はいかがでしょうか。よろしいですか。それでは特に御意見ないようですので、議決させていただきます。医療機器MRガイド下集束超音波治療器Exablate4000の使用成績評価は期間を6年として指定することとしてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。本件も次回、分科会にて報告させていただきます。これで議題3を終了いたします。

 引き続き、議題4に入ります。「医療機器「FRED システム」の使用成績評価の指定の要否」です。それでは説明をお願いいたします。

○事務局 議題4について御説明いたします。本議題では医療機器、FRED システムの使用成績評価の指定の要否について御審議をお願いします。資料4を御用意ください。1ページ、今回、御審議いただく医療機器の品目の内容となっております。申請者はテルモ株式会社です。本品目は「内頸動脈の錐体部から中大脳動脈、前大脳動脈の近位部、脳底動脈及び椎骨動脈に位置する外科的手術や他の血管内治療での治療が困難な形態をもつ頭蓋内動脈瘤に使用される「フローダイバーターシステム」です。

 2ページ、これは平成27年に承認の可否も含め御審議を頂いた「Pipline Flex フローダイバーターシステム」と同一の原理に基づくものであるため、その際の使用成績評価の指定の考え方と同様に考えまして、調査期間として6年を課すことが妥当と考えております。なお、前例品のパイプラインと比較すると、全体の期間が1年ほど長くなっておりますが、これは既にパイプラインが市場にあることで、本品の登録に一定程度、多少時間が掛かることを踏まえて長くなっているものでして、留置後の患者追跡期間自体は3年ということで同一となっております。御説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 御意見、御質問、よろしいでしょうか。それでは御意見がないようですので、議決をさせていただきます。医療機器、FRED システムの使用成績評価は期間を6年として指定することとしてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異議がないようですのでそのように議決させていただきます。本件も次回、分科会にて報告させていただきます。これで議題4を終了いたします。

 議題5に進みます。「医療機器「iStent inject トラベキュラー マイクロバイパス システム」の使用成績評価の指定の要否」を始めさせていただきます。それでは御説明をお願いいたします。

○事務局 事務局より議題5、医療機器「iStent inject トラベキュラー マイクロバイパス システムの使用成績評価の指定について」御説明いたします。資料5、1ページです。今回、使用成績評価の指定について御審議いただく品目の概要となっております。申請者はGlaukos社です。品目の概要の欄を御覧ください。本品は、房水が前房からシュレム管に流れ、自然と正常な流出路に向かうよう、線維柱帯を通る流出路の開存を維持するように設計されたチタン合金製の緑内障インプラントであり、ブタ由来のステアルコニウム・ヘパリンコーティングが施されている医療機器となります。

 こちらの機器は1ページ、使用成績評価の指定に係る根拠の所にもありますように、平成28年の部会において御審議いただいた「iStent トラベキュラー マイクロバイパス ステント システム」と同一の作用原理であり、本品の臨床的位置付けも同等であるため、iStent トラベキュラー マイクロバイパス ステント システムに対して、使用成績評価を指定した際と同様の考え方に基づき、本品についても使用成績評価を指定することが妥当だと考えております。

 調査期間についてですが、4年を課すことが妥当であると考えております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 御意見、御質問、よろしいでしょうか。いかがですか。それでは、これも議決に進ませていただきます。医療機器「iStent inject トラベキュラー マイクロバイパス システム」の使用成績評価を期間を4年として指定することとしてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。本件も次回、分科会にて報告をさせていただきます。

 これで議題5が終了ですので、引き続き議題6に進ませていただきます。議題6、「医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否について」を始めさせていただきます。事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 議題6につきまして、資料6に基づき御説明いたします。既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器があり、新たに一般的名称を申請する際には、「いずれのクラス分類に該当するかについて」、また「その保守管理に専門的な知識を要するものとして、特定保守管理医療機器に指定するか否か」について御審議いただいております。今回は医療機器の承認に際し、一般的名称の新設が必要なものが3品目ございます。また、既存の一般的名称に関わる特定保守管理医療機器の指定の要否について、改めて御審議いただきたいものが1品目ございます。

 まず、資料6-1、「新設する一般的名称()について」を御覧ください。新設予定の一般的名称は、「眼瞼加温加圧装置」です。定義は「眼瞼を加温及び加圧するする機器をいう。例えば、電熱及び空気の圧力を用いる。」です。本品はクラスⅡ、管理医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については、本品は保守点検を行う必要がある医療機器と考えております。具体的には資料3ページから4ページにかけて御覧いただきたいと思います。

 5ページからの資料6-2を御覧ください。新設予定の一般的名称は「歯科根管用治療支援プログラム」です。定義は「歯科根管治療において、画像診断装置等から得られた情報を基に、治療計画の策定を支援する医療機器プログラム。当概プログラムは記録した記録媒体を含む場合もある。」です。参考資料としては5から6ページの所を御覧ください。本品はクラスⅡ、管理医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定につきましては、保守点検を行う必要のある医療機器ではないため、不要と考えております。

 7ページからの資料6-3を御覧ください。新設予定の一般的名称は「歯科根管治療用手術器具」です。定義は「歯科の根管治療に用いる手術器具をいう。手動式で非侵襲的に使用する器具も含む。本品は再使用可能である。」です。具体的なものとしましては、8ページ、下の外観図などを御覧いただければと思います。本品はクラスⅠ、一般医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については、本品は保守点検を行う必要のある医療機器ではないため、不要と考えております。

 9ページ、資料6-4を御覧ください。本品は、これまでに御説明した新設の3品目とは異なり、既存の一般的名称「加熱式加湿器」の特定保守管理医療機器の指定の要否について、改めて御審議いただきたいものです。定義としましては、平成16年に行われた薬事法改正に伴う一般的名称の網羅的な整理において、一般的名称「加熱式加湿器」の基となった旧一般的名称が、特定保守管理医療機器に非該当である「滅菌済み人工鼻」であったために、そのまま特定保守管理医療機器の指定がなされず、現在まで至っているものです。しかしながら、製品の構造としては、加温加湿器という構造を含んでいることから加温加湿器と同等に特定保守管理医療機器該当とすべきものと考えられます。現在、販売業者らが、自主的に特定保守管理医療機器として対応されている状況です。今般、添付文書や表示の記載において特定保守管理医療機器と明記できないため、製造販売業者より改正の希望が出されたものです。なお、本変更に併せて、一般的名称の定義も一部変更をすることが要請されております。本品は保守点検を行う必要のある医療機器として、特定保守管理医療機器に指定されるべきものと考えております。説明は以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 以上、4つの品目について御説明いただきましたが、特に最後の加湿器に関しましては良心的といいますか、きちんと定義、すなわち納める箱を決めておかないといけないということで、今回、名称の変更等を行うとの説明を頂きました。御質問いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、順番に議決させていただきます。最初、眼瞼加温加圧装置を管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定することとしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 次、2つ目です。歯科根管用治療支援プログラムを管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器としては指定しないこととしてよろしいでしょうか。はい。

 次、行きます。歯科根管治療用手術器具を一般医療機器として指定し、特定保守管理医療機器としては指定しないとしてよろしいでしょうか。

 最後、4番目です。加熱式加湿器を特定保守管理医療機器として、指定することとしてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。本件は分科会で文書報告をさせていただくとなっております。これで議題6を終了いたします。

 引き続きまして議題7に進ませていただきます。それでは議題7、「医療機器の再審査結果について」を始めさせていただきます。事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 事務局より議題7、「医療機器の再審査結果について」御報告いたします。資料7を御用意ください。再審査は改正前の薬事法第14条の4に基づき、原則新しい医療機器について再審査期間を定め、承認後の使用成績等の調査を行わせるもので、その調査資料に基づいて有効性及び安全性の再確認を行うことを目的とした制度です。今回は再審査結果の報告が4件ございます。

 資料7-1を御覧ください。販売名「TALENT 胸部ステンドグラフトシステム」です。申請者は、日本メドトロニック株式会社です。本品は、胸部大動脈瘤の瘤内部への血流を遮断することにより、動脈瘤の拡大、破裂を予防することを目的として使用される医療機器で、平成21年4月9日に承認されました。本使用成績調査では、本品の臨床使用実態下における医療機器の不具合発生状況、安全性、有効性等を確認することを目的として、623例が評価対象となりました。医療機器の不具合発生、有効性及び安全性について調査したところ、特段の問題はありませんでした。このため、薬事法第14条第2項第3項イからハまでのいずれにも該当しないこと、すなわち、再審査の結果の区分を効能効価、用法用量などの承認事項について変更の必要がないカテゴリー1と判断しております。

 続きまして、緑色通し番号12ページ、資料7-2を御覧ください。販売名「コンテグラ肺動脈用弁付きコンデュイット」です。申請者は日本メドトロニック株式会社です。本品は生体個有の弁を備えたウシ頚静脈由来の肺動脈用弁付きコンデュイットであり、先天性心奇形における右室流出路の整又は再建、ロス手術における肺動脈弁置換、正常に機能しなくなった植込み済み肺動脈ホモグラフト又は破損した人工肺動脈グラフトの置換が必要な患者に対して使用される医療機器であり、平成24年9月28日に承認されました。本使用成績調査では、70例が評価対象となりました。医療機器の不具合発生、有効性及び安全性について調査したところ、特段の問題はありませんでした。このため、薬事法第14条第2項第3号イからハまでのいずれにも該当せず、カテゴリー1と判断しております。

 25ページ、資料7-3です。販売名「ナビスター RMT サーモクール」他2品目です。申請者は、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社及び株式会社メディクスジャパンです。「ナビスター RMT サーモクール」、「ナビスター RMT」及び「マグネティクナビゲーションシステム ナイオビ」は、頻脈性不整脈に対する心臓電気生理学的検査及び心筋焼灼術を実施することを目的とする医療機器であり、平成25年3月22日に承認されました。「ナビスター RMT サーモクール」及び「ナビスター RMT」は、アブレーションカテーテルであり、マグネティクナビゲーションシステム ナイオビは、それらの操作装置です。アブレーションカテーテル先端部にはマグネットが内蔵されており、操作装置で発生する磁場により、アブレーションカテーテル先端の屈曲を制御します。

 本使用成績調査では、123例が評価対象となりました。医療機器の不具合発生、有効性及び安全性について調査したところ、特段の問題はありませんでした。このため、薬事法第14条第2項第3号イからハまでのいずれにも該当せず、カテゴリー1と判断しております。

 最後に、通し番号38ページ、資料7-4を御覧ください。販売名「アクセント MRI RF」他7品目です。申請者は、アボットメディカルジャパン株式会社です。本品は心筋に長時間連続して電気刺激を与え、心臓のリズムを補正する事を目的として機能する植込み型心臓ペースメーカー及びその付属品です。なお、本品は特定の使用条件下でMRIスキャンを実施できるMR Conditional ペースメーカーです。平成21年6月8日に最初の製品が承認されました。個別の品目の承認年月日は別紙2にまとめております。本使用成績調査では、344例が評価対象となりました。医療機器の不具合発生、有効性及び安全性について調査したところ、特段の問題はありませんでした。このため、薬事法第14条第2項第3号イからハまでのいずれにも該当せず、カテゴリー1と判断しております。以上の報告については、事前に委員の先生方に資料をお送りさせていただいておりますので、簡単な説明とさせていただきました。以上、御報告いたします。

○荒井部会長 4つの品目について、いずれも今、御説明ありましたようにカテゴリー1ということです。何か御質問、御意見ありますでしょうか。よろしいですか。

 よろしければ、これで今、御説明について皆さん御承認いただきましたので、議題7を終了させていただきます。

 引き続き議題8、「医療機器の使用成績評価の報告について」移らせていただきます。説明をお願いいたします。

○事務局 事務局より議題8、医療機器の使用成績評価について御報告いたします。資料8をお開きください。医療機器の成績使用評価は平成25年の薬事法改正時に再審査に代わって、機器の特性に合った制度として新設されたものです。再審査は法律上の要件を満した場合、自動的に付与されますが、使用成績評価は部会の審議をへて指定するものとなっております。法律上の内容といたしましては、薬機法の第23条の2の9にも示されておりますが、再審査と同等に使用成績等の調査を行わせるもので、その調査資料に基づいて有効性及び安全性の再確認を行うことを目的とした制度となっております。今回は、使用成績評価として初めての結果報告が1件ございます。

 資料8に記載されているとおり、販売名「S-ICD パルスジェネレーター」及び「S-ICD リード」の2品目となります。申請者は、ボストン・サイエンティフィック・ジャパン株式会社です。本品は中腋窩線上に植え込まれるS-ICD パルスジェネレーターと前胸部皮下に植え込まれるS-ICD リードからなる皮下植え込み型の除細動器で、平成27年4月17日に承認されました。

 本使用成績調査では、本品の臨床使用実態下における医療機器の不具合発生状況、安全性、有効性等を確認することを目的として174例が評価対象となりました。医療機器の不具合発生、有効性及び安全性について調査したところ、特段の問題はありませんでした。このため、薬機法第23条の2の5、第2項第3号イからハまでのいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量などの承認事項について、変更の必要はないと判断しております。なお、使用成績評価に関しては再審査制度とは異なる制度であることから、これまで慣例的に使用していた、カテゴリーという表現は行わないものとしております。以上の御報告については、事前に委員の先生方に資料をお送りさせていただきましたので、簡単な説明とさせていただきました。以上、御報告いたします。

○荒井部会長 委員の方々から御意見、御質問はよろしいですか。よろしければ、これで議題の8を終了いたします。最後の議題9、部会報告品目を始めさせていただきます。説明をお願いいたします。

○事務局 議題9、「部会報告品目について」資料9に沿って御説明いたします。横向きの資料となっております。平成31年1月から平成31年3月末までの3か月間に承認された品目のうち、クラスⅣの医療機器、臨床評価が必要なクラスⅢの医療機器、承認基準外の体外診断用医薬品など本部会への報告対象となっている品目についてまとめております。医療機器全44品目につきましては、事前送付をもって報告とさせていただき、詳細の説明は割愛させていただきます。また、16ページには体外診断用医薬品4品目が記載されており、新規検査項目、コンパニオン診断薬・新規の使用目的の追加など、重要なものについては販売名欄及び品目概要欄に記載しておりますが、こちらも詳細については割愛させていただきます。以上、御報告させていただきます。

○荒井部会長 最後の議題の9の報告品目につきまして、御意見、確認事項、よろしいでしょうか。ありがとうございます。それではこれで議題9を終了させていただきます。本日予定されておりました議題は、これで全て終了となります。事務局の方から何か連絡等ございますか。

○医療機器審査管理課長 次回の部会につきまして、10月中旬の開催を予定しておりますが、詳細については後日、メールにて御連絡を申し上げたいと思います。以上であります。

○荒井部会長 それでは、これをもちまして本日の医療機器対外診断薬部会を閉会させていただきます。ありがとうございました。

( 了 )

備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医療機器審査管理課 

再生医療等製品審査管理室 室長 大原(内線4226)