令和元年9月13日 第3回障害児入所施設の在り方に関する検討会 医療ワーキンググループ(議事録)

日時

令和元年9月13日(金)
10:00~12:30

場所

厚生労働省 11階 共用第8会議室

出席者

構成員

議題

(1)地域支援機能の課題について
(2)その他(福祉型との共通課題)の課題について
(3)その他

第3回 障害児入所施設の在り方に関する検討会 医療型ワーキンググループ 議事録

 
○刀根障害福祉専門官 皆様、おはようございます。
 定刻になりましたので、これより第3回「障害児入所施設の在り方に関する検討会 医療型ワーキンググループ」を開催いたします。
 構成員の皆様におかれましては、大変お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 本日も先回に引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
 なお、宇佐美構成員につきましては、御都合により、御欠席との御連絡をいただいております。
 本会議は、資料、議事ともに原則公開としており、議事録につきましては、後日厚生労働省のホームページに掲載予定となっております。
 また、ホームページでも御案内しておりますが、厚生労働省における審議会等のペーパーレス化の推進の一環として、本検討会の資料は紙配付を行っておりません。御不便をおかけいたしますが、御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 構成員の皆様には、卓上にタブレットを設置しております。使い方等について、御不明な点がございましたら、事務局までお問い合わせください。
 議事に先立ちまして、このたび、障害児・発達障害者支援室の山口室長が異動となりました。
 新たに本後室長が着任いたしましたので、一言御挨拶申し上げます。

○本後障害児・発達障害者支援室室長 今、御紹介をいただきました、新しく室長になりました本後と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 着任したのが昨日でございますので、これから勉強してまいりたいと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。

○刀根障害福祉専門官 それでは、カメラ等の撮影はここまでとなります。
 それでは、以後の進行は田村主査、よろしくお願いいたします。

○田村主査 それでは、本日もよろしくお願いしたいと思います。
 早速、きょうの議題ですが、1番「地域支援機能の課題について」が挙がっていますので、1番から進めていきたいと思います。
 まず、「地域支援機能の課題について」の資料の説明を事務局よりお願いします。

○刀根障害福祉専門官 事務局より御説明させていただきます。
 「(資料1)地域支援機能の課題」をご覧下さい。
 「地域支援機能の課題」につきましては、本会の中で、現に入所している障害児だけではなく、入所施設の機能を用いて、在宅障害児、その家族への支援の必要性等について御議論をしていただきました。その内容をまとめたものになります。
 課題といたしましては、四角の囲みの中に書いてあるところが主なものとなりますが、論点として、まず、家族のレスパイト機能としての短期入所の確保をどうしていくか。そして、NICU退院後における在宅生活を支えるための短期入所の確保や、有期有目的支援の在り方(支援方法や手技・心構え等)をどうしていくか。そして、ヒアリングにもありましたけれども、動ける医療的ケア児の方についての短期入所の確保をどうしていくか。在宅で生活する子供とその家族への支援を行っている事業所へのバックアップ機能についてどのように考えていくか。
 以上のようなことが、本会の中でヒアリング等を通して議論されてきた内容となります。
 参考資料についても御説明させていただきます。
 参考資料4をごらんください。14番「参考資料4 医療型短期入所事業所数・延利用日数」と書いてあるものになります。
 こちらの参考資料4「医療型短期入所事業所数・延利用日数」につきましては、先回も参考資料として添付したものを再度添付させていただいております。
 先回も御説明をさせていただきましたけれども、こちらの事業所数、それから延べ利用日数につきましては、国保連の請求データ平成31年3月サービス提供分の掲載となりますので、1カ月分のものとなっております。
 2ページ目をごらんください。
 こちらは、今回新たにつけさせていただいた資料です。、「短期入所における緊急時の受け入れ・対応の機能について」ということで、平成30年の障害福祉サービス等報酬改定における改定検討チームにおいて、地域生活支援拠点等の対応、機能の中で、緊急時受け入れについて論点となっております。
 こ内容としては、緊急時について、どのように短期入所を確保していくか、緊急時という局面を勘案していくと、定員を超えて受けていく必要性もある。
 定員を超えて受け入れた場合については、期間を区切った上で、特例的に加算することにしつつ、その間は現行の定員超過利用減算は適用しないことにしてはどうか。
 また、これらの加算の取り扱いについては、拠点との機能を「担う」・「担わない」で算定の可否を分けることはしないということが示されております。
 このような議論を得まして、平成30年度障害福祉サービス等報酬改定においては「定員超過特例加算」というものが創設されました。こちらは、介護者の急病等の緊急時において、定員を超えて受け入れた場合に加算するものとするということで、日数としては10日を限度としております。
 現在、こちらの算定事業所数につきましては、国保連データの平成31年3月サービス提供分で調べますと、全国30カ所を算定しているということですが、医療型は0カ所ということで、全て福祉型の事業所となっております。
 参考資料として今回つけさせていただきました。
 説明は以上となります。

○田村主査 ありがとうございました。
 ただいま、議事1の、特に資料のところを用いながら論点あるいは論点の背景にある経過みたいなことについて説明をいただきました。
 そのことにかかわって、事前に朝貝構成員、児玉構成員、石橋構成員、小﨑構成員より資料提出がありましたので、それぞれより説明をお願いしたいと思います。
 まず、資料3を朝貝構成員のほうからお願いします。

○朝貝構成員 ありがとうございます。
 全国肢体不自由児施設運営協議会の朝貝でございます。
 資料3-1の一番最後のDが地域支援機能ということで「旧肢体不自由児施設の拠点化と療育の標準化」をあげています。
 「子供の持つ能力を最大限伸ばすための必要な時期に必要な量と質の療育を提供するために旧肢体不自由児施設が地域の拠点としての役割を担い、地域格差のない療育を標準化していく必要がある」という中で、医療型障害児入所施設になって、入所児が重症化し、入所も長期化してきているという中で、子供はだんだん者(成人)になっていくわけですので、子供の療育の機能が低下してきている施設が多くなってきているという現状がございます。
 次に、前回お出しした資料3-2をごらんください。
 前回この資料の代表例でもお話ししたように、機能向上、特に運動機能向上には適切な時期と適切な量と質の療育が必要になります。
 運動機能は重心レベルであっても、3歳ごろまでに座位が可能になれば、支持歩行まで向上できる可能性があるという代表例を1、2、3ページで示しております。
 4ページは「大島分類と重心周辺児」という資料でございます。
 その下に書いてありますように、3歳ごろまでに座れれば支持歩行へ、3歳ごろ座れなくても、何とか起立保持具などで立位姿勢を保持して、下肢体幹の支持性を高める必要があるという中で、このレベルの子供たちの入所が減ってきている状況です。それは参考資料2の22ページにありますので、後でごらんください。
 特に、10歳未満の有期有目的入所が必要な子供たちの入所が減少して、地域で生活していても、持っている力を最大限伸ばすための地域支援機能が弱体化してきているという中で、この現在2段階の給付費に重心周辺児を加えて3段階としていただきたいというお願いを前回したところでございます。
 そのほかに、MSWの配置加算、退院時地域支援移行加算、外泊支援加算などの新設など地域支援に重要な項目となるので、要望しているところでございます。
 以上でございます。

○田村主査 ありがとうございました。
 続きまして、児玉構成員のほうからお願いします。

○児玉構成員 私のほうは、資料4-1と4-2と2つございます。
 4-1のほうから御説明させていただきます。
 4-1は「短期入所について」から始まります。
 最初のページで、前回提出の資料でも、児童期の施設入所のニーズは大きく減少しており、この時期必要なのは在宅地域生活とのかかわりであり、特に短期入所は重要であります。
 全国の私たちの仲間である重症障害の施設は平成31年4月現在で134ございますけれども、その中で132、ほとんどのところは何らかの形で短期入所受け入れを行っております。しかし、その内容を見ますと、それぞれさまざまであります。
 次に行きます。短期入所は、本体としての医療型障害児入所施設、年齢が上になりますと療養介護になりますけれども、その余力の中で親の休息のために受け入れるとされていた時期がございました。すなわち、プラスアルファということです。そのころは施設入所で受け入れた児・者のケアが最優先であり、短期入所利用児・者への対応は副次的なものであるという時期がございました。
 まだかなり昔のことですけれども、今も歴史が古く、200、300床以上といった施設の中にはそうした思考が残り、短期入所としては数名以内の受け入れしかできていないところもございます。人工呼吸器使用や、かなり複雑なケアが必要な児・者の受け入れができないというところも少なくありません。
 しかし、その中で積極的な受け入れを開始した場合、病棟の職員の動きや勤務に混乱を生じたり、柔軟な対応が可能な病棟構造や、スムーズな受け入れを可能にするマネジメントが不備で、しばしば受け入れ制限になってしまうこともあります。
 また、施設運営者が熱意を持って病棟を短期入所対応の構造にし、スタッフを充実させても、今度は収益面の保証が不十分で、マイナスになることを覚悟しなければならなくなります。
 短期入所は、施設長期入所の病棟運営と本来は同等レベルの位置づけがなされ、そのための施設整備、スタッフ配置の必要があり、当然かかるコストも長期入所同等か、それ以上に評価してもらう必要もございます。
 かなり今は改善されましたけれども、短期に滞在してもらうだけだからという意識で診療報酬請求も制限されていたころの規制がまだ残っております。そういう把握の仕方は根本から改めていただきたい。
 また、短期入所は、施設単位でというよりは、地域全体の中で把握、計画、運営されなければならないし、単に親のレスパイト利用というだけではなくて、家庭・家族の生活を支えるようにマネジメントされる必要性があるのではないでしょうか。
 以下、実例で皆様に御理解していただきたいと思いまして、実際の短期入所事例を見ていただきます。なお、写真の使用につきましては、御家族からどうぞ使ってくださいということで御了解を得ています。
 最初の例は、令和元年の段階ですけれども、ことし9歳の女児、新生児段階から低酸素脳症等になり、水頭症もでき、気管切開、胃ろう造設を行い、3歳半で重症肺炎となり、しかも間質性肺炎なりまして、肺のダメージが大きく、呼吸器の吸気圧を上げたり、アンビューバッグでバギングすると肺が破れてしまうということで、非常にデリケートな扱いが必要になっております。9歳から呼吸状態が悪化して、やむを得ず常時人工呼吸管理となっております。
 短期入所受け入れ側は、非常にきめ細かな観察チェックを続けながら、適宜呼吸器の条件を変更したり、酸素の流量調節などを実施して、体位変換も頻回に行い、気管吸引も頻回に必要ですが、そのために酸素をとめるとすぐにSpO2(酸素濃度)が低下してしまう。
 しかも、骨折のリスクが非常に高いので、細心の注意を行って、体温管理も行い、褥瘡防止も行い、酸素飽和度のセンサーを足指につけても、そのわずかな熱でやけどとなってしまいますので、物すごく細かい注意が必要で、生活面でもきめ細かなケアを求められております。入浴は欠かせませんし、口腔ケアは5本のブラシで順を追って丁寧にするようにとの御要望をいただいています。
 次に写真がございます。入浴の場面ですけれども、私どもは週に3回入浴しております。男女は別です。
 この子の個室から抱えて出す段階でも、骨折のリスクもありますし、慎重に慎重に3~4人がかりでトランスファーするための台に乗せております。
 次のページに行きますと、実際の浴室に入ったところですけれども、この場合も呼吸器を一緒につけておりますので、右の下のほうに臨床工学士がすぐに状況を検討しながら、上は総勢ではナースが3人と、それから支援員が1名加わって、左の下のように、これはミスト浴という特殊な装置ですけれども、そこに入っていきます。またここで抱えて戻ってきて、丁寧にセットしなければいけませんし、右の上の方に頭の褥瘡防止、水頭症で頭が飛び出しておりますので、油断するとすぐ褥瘡ができます。1時間に1回以上は頭の向きを変えてあげなければいけませんし、右の下のように指につけた酸素のモニターのセンサーもそのままではやけどのもとになるので、サージカルテープを巻いた上に頻回につけかえなければいけません。
 その次のページに行きますと、バッグで空気を送り込みますと、肺が破損する恐れがあるので、日常は禁止ですけれども、どうしてもやむを得ない場合は、右の下のように、圧が20cmH2O以下にキープできるような特殊な装置をつけたもので丁寧に丁寧にバギングしなければいけませんし、左のほうは取りかえ用の回路ですけれども、非常に複雑な回路を取りかえなければいけません。
 次のページに行きますと、5本のブラシと1つの鏡がありますけれども、順番を追ってこのブラシで口の中を丁寧に、歯も口腔の粘膜も拭わなければいけません。これがお帰りのときには、鼻腔の中が汚れていた、耳の中に汚れが残っていた、口腔の奥の方に粘膜に汚れがまだ残っていたとか、そういう御指摘をお母様から受けます。
 これは私どもにとって非常に負担ですけれども、お家ではそうしていたということを私どもは守らせていただいております。何回か御利用で、最近ようやく合格をいただいたところです。
 その次のページに行きますと、持ち込まれるお薬の量です。全部で29番までありますけれども、17番までが胃に注入するお薬です。18、19、20番などはダイアップの座薬であるとか、浣腸の液です。熱が出たときの処置として、例えば21番目に抗生剤が3種類持ち込まれております。それぞれこういうときにはこの抗生剤、こういうときにはこの抗生剤、その判断は全て私どもで行わなければなりません。それからいろいろな塗り薬、気管切開の管理であるとか、そういうことを行います。
 薬の類はこの例に限らず、短期入所では大勢の方々がたくさんの薬を持ち込まれますので、しばしば間違いが生じてトラブルのもとになります。
 当方では、短期入所利用前の診察で薬剤処置についての確認を医師が行い、持参薬は全て薬剤師がチェックしてセットしております。
 その次のページに行きます。
 このお子さんの次のお子さんを産むということになりまして、そうしたらこのお子さんをどうするかということで、堺市と大阪市の複数の施設と病院が協力し、1カ月以上このお子さんを短期でそれぞれ交代して預かってバックアップをして、無事に次のお子さんが生まれました。しかも、このお子さんは地域の普通小学校に通っています。
 別に、お母様が特別支援学校が嫌だというわけではなくて、しかし、そこに通うとすると非常に長時間の、片道40分車で送り迎えしなければならないと。とてもそれではできないということで、地元の学校に相談したらオーケーですということで、この子のために看護師を配置してくれました。
 ある程度経験のある看護師が来て、後はお任せで、送り届ければ後は日中の学校の生活は全部その看護師がバックアップしてくれます。
 普通の学級ですので、子供たちも取り囲んで、すごく人気になりまして、学級新聞もできて毎回特集が組まれております。入院したときは子供たちも見舞いに来るというような形で、先生たちもこのお子さんを受け入れたことによって非常にいい刺激が得られたということで、命について考えるという、お母様を交えての講演会も行ったりしています。
 個室で密な観察とケアを続け、入浴等では多数の看護師や支援員が参加し、臨床工学士や薬剤師が関与し、さらに状態次第では処置や処方も必要になります。リハビリも参加します。
 それでも、平成28年度の診療報酬改訂まで呼吸器管理などの請求を認められず、医師の診察や処置があっても、再診料請求についてはいまだ否定的な保険審査期間も存在します。こういう条件下では、この子のようなケースの受け入れは非常に難しいと言わざるを得ません。
 残念ながら、このお子さんは、つい最近亡くなられたのです。
 状態像は超重症の重症心身障害児でありますけれども、御両親は施設入所は考えておりませんでした。生活もごく普通に他児と同様に送るという、むしろ「医療的ケア児」して考えてもよいケースかもしれません。
 両親に後悔はなく、この子が生きた10年足らずが充実した思い出となる。こういった在宅支援もあってよいのではないかと感じた次第です。
 2例目は、また全然別のケースですけれども、人工呼吸器使用だが、動いて行動面でも大変なケースで、自傷、他傷、パニックを伴い、動きも活発、ベッド上でもはねたりいたします。26歳の時に肺炎となり、気管切開、酸素使用で、その後は誤嚥性肺炎を繰り返したりしましたので、呼吸器の使用になっています。発作もあり、多くは短時間だが呼吸停止もあります。以前利用した短期入所は、呼吸器使用以降は使えなくなりました。いろいろな所で断られた上で当方に申し込まれました。
 もちろん、当方の短期入所は重症障害対象ですが、療育手帳はA判定で、かなり動けますけれども身障手帳も2級ということで重症障害の枠の中に一応入っております。
 次の写真を見ていただきますと、ベッドの上で跳びはねております。また、反り返ったりしております。
 ここに「呼吸器からの管」とありますけれども、こういう呼吸器の管がついておりますけれども、跳びはねたり寝返りをすると外れてしまいますので、腹巻きをして服の下に通しまして、申しわけありませんけれども、ミトンなどを使っていただいて、気管カニューレを取り外すのは防ぐようにしております。
 その次に行きますと、入浴の着がえも大変で、呼吸器の回路を外すので、回路を腹巻きで固定しております。右手でカニューレをとるので、ミトンを使用して、落下防止に柵つきベッドを使っております。
 その次のページに行きますと、動き回り、跳びはねたり、飛び上がったりもするので、個室対応が必要で、酸素モニターのセンサーは手足が激しく動くので装着できません。寝返りした上に、カニューレを抜いて窒息状態になるリスクは常にあり、このような方を短期入所で受け入れる所はなかなかないでしょう。動いてパニックになり、食事も食べさせにくいということで、ケアは不能、転がって呼吸器回路も外れ、自分で外してしまうということで、安全確保ができない。物音に敏感、光にも敏感、他の人にも敏感ということで、適した部屋環境を用意できない。
 私たちもこの方を受け入れるに当たっては、個室環境を整え、接し方を検討し、安全確保での監視体制を強め、スタッフの勤務を調整し、さらにほかの短期利用者も制限する。受け入れ人数を減らしてこの子に集中しなければならないので、そのためにはしっかり受けとめるチームが必要です。通常の病棟スタッフに委ねるのは、とても無理ですという反応が返ってくるでしょう。しっかりした専用チームが必要。短期利用者を減らし、個室を用意し、スタッフを増強し、しかし、コストはどうなるのでしょうということがここでも出てきます。
 この方は残念ながら、御自宅で亡くなっておられます。
 うつ伏せになって、カニューレも外して、窒息状態になったようで、呼吸器の警報は鳴ったかもしれませんけれども、お母様はつい寝込んでしまって、気づくのが一瞬遅れたということでした。
 逆に言うと、短期入所ではそういうリスクを抱えて常に見守らなければいけないということで、このお子さんは場合によっては医療的ケア児をどう受け入れるかということに大いに関連してくる。医療的ケア児の多くが聞き分けがいい子で、全ておとなしくしているという保証は全くないわけで、普通の短期入所にさらに加えていろいろな検討が必要であるというケースになります。
 また、次のページになりますと、左のほうは、日光を浴びるとどんどん病気が進行するという進行性の疾患の方の短期入所ですけれども、その場合は部屋を暗くしてお受けするとか、右のほうの方は逆にごろごろ転がっているのが好きという方で、部屋の環境というのは、常に受け入れる方に応じて変えなければいけないと。
 その次のページは、福山型筋ジストロフィー症という一種の筋肉疾患ですけれども、この疾患の場合、知的にはいい方から重度な方までいろいろな幅があります。
 この方はある程度理解力があるけれども、全身が硬直して、もう病気としては進行している状態で、短期入所でお受けするときには、タブレットやDVDをセットして、わずかな指の動きで操作できるようなセットもいたしまして、こういう万全のセットをしてこのお子さんが生活として短期入所で過ごすことができる。そのためには、リハビリスタッフも含めて、皆様に協力していただいて、このお子さんのセットを行っております。
 幸い、このお子さんは短期入所については、積極的にそこに行ってもいいという形で受けてくれています。
 次のページは、呼吸器を利用している超重症児で、これは典型的な例ですけれども、人工呼吸器を使って、しかし体温は低体温の傾向がありまして、33度台にもなることがあります。部屋の温度設定が必要です。
 神経因性膀胱で導尿が5回くらい必要です。
 しばしば感染症、特に尿路系の感染症を起こしますので、その治療も時には必要になります。
 しかし、短期入所は入所ではありませんので、日常生活を維持できますので、この方は訪問教育の先生が来て、この部屋で教育を行うこともできるということです。
 しかし、このお子さんは18歳を過ぎると行くところがないと。どうするかということになりまして、堺市民であれば、私どもが併設している生活介護のほうに呼吸器であってもいいですよということで送り迎えをするのですけれども、堺市ではないもので、それができないということで困っていたところに、生活介護事業所という形をとりますけれども、堺市内にそういう方をぜひ受け入れたいという有志的な意欲を持った看護師さんたちが集まって、こういう通所をつくってくれました。
 堺市の外にありますけれども、そこで送り迎えつきでこの子を迎え入れて受け入れるところができ、そういうふうに少しずつ地域が充実してくると、本当に地域と施設が協力し合ったことができるということがわかってきます。
 短期入所は重症心身障害施設の付随的な事業ではありません。地域ケアにとっても大事な事業であり、施設としても重要な事業であるべきでしょう。
 しかし、そのためにより本格的な支援の施策が必要で、これは次にまた出てきますけれども、診療報酬の請求上も、酸素を使っても、喀痰を吸引しても、今のところそういうのが全部請求できないことになっています。これは日常的に行うことであります。
 さらに、リハビリテーションを行っても、ほかの病院で行っている場合は、同一のリハビリの基準で、同一の病名でリハビリを行ってはならないという基準があります。入院あるいは入所であればいいのですけれども、短期入所ではできません。しかし、リハビリは要求されるわけです。
 次のページに行きますと、このように1とあるのは個室ですけれども、私どもの施設は全部で個室が10で、2人部屋、4人部屋という構成になっていますが、さまざまな方をお受けするためには、こういった部屋の配置も必要になってきます。そのためには病棟の建築のコストも、いろいろな職員の配置にも非常に配慮が必要になってきます。
 後でまた出てきますけれども、短期入所について私どもに対して払われる報酬ということでは、超重症の方々、呼吸器をつけているような方々を普通にお受けすると、1日の必要コストは4万3000円以上と見られていますけれども、それにはかなり及ばないということで、しかもこれだけいろいろな居室の環境を整えたり、いろいろな療育的サービスを行うとなると、それに対しての加算もあってもいいのではないかと。
 その次のページは「家族の生活を支援する短期入所」です。
 短期入所は、レスパイトとしてとにかく預かるだけと、それだけで親を休息させるのでそれでいいというよりは、そのお子さんにとっても大事なことである必要があるし、その御家族にとっても障害を持ったお子さんがいるために、普通の人生を送れないということであってもいけない。
 ある御夫妻の場合は、御夫妻でお父様とお母様が長くずっと一緒には住めなかったのがようやく一緒になれたので、この際外国旅行をしてみたいということで、この方には1週間くらいの短期入所を御用意して、フランスに行ってこられました。また恐らくこれから10年、20年とこのお子さんを見られていくでしょう。
 あるお母さんの場合は、一生に1度のお願いで、ぜひインドを回ってみたいという御要望が出ていて、そのためには10日間くらいということで、今、私どもで調整を行って、2カ月後にはインドに行っていただきます。
 このように、障害を持った方の生活全体を援助するという短期入所もあっていいと思っております。
地域と短期入所、年ごとに増加する人工呼吸器使用の超重症児・者を療育機関の短期入所で対応し切るのは、数としては無理です。
 地域の医療機関と療育機関、相談機関、行政、それに民間諸事業所の連携した対応が必要となってきます。
 そういう目的で、大阪では「ショートステイ連絡協議会」というものを開催しておりまして、これは厚生労働省の重症心身障害者の地域生活支援モデル事業ということをお受けして、研究を行った大阪発達総合療育センター船戸先生がその後も継続して呼びかけて行っていることです。
 次のページに行っていただきますと、ショートステイ連絡協議会にはこれだけの療育機関と病院が参加しておりまして、年に1回あるいはそれ以上に全体で集まって協議を行いまして、ネットワークをつくるべく努力しているところでございます。
 その次のページ以降は、全部のそういった協力機関が集まってお受けしたショートステイの統計が出ております。
 それは詳しく説明しますとまた長くなりますので、省かせていただきますけれども、一つ二つの療育機関ではカバーしきれない数を、こういった地域全体で協力し合えれば、受けていけるということを御了解いただきたいと思います。
 何ページか先になりますけれども、次子出産のためのショートステイ利用というのがどこかに出てくると思いますけれども、ショートステイを多くの機関が協力して預かることによって、次のお子さんを産むという条件も整えることができました。
 次に、病院の写真が出ている「愛仁会リハビリテーション病院」というのがあります。大変失礼ながら愛仁会の「仁」という字が「人」ではなくて、仁徳の「仁」、仁丹の「仁」でございました。これは非常に謝らなければいけません。
 その隣にあります高槻病院というのが大規模なNICUを持っております。そこから発生した在宅医療を必要とするお子さんたちとそれ以外のお子さんたちも引き受けて、このリハビリテーション病院の1フロアを障害児・者のための病棟フロアとして、積極的にそういう方々のショートステイを受け入れる形で協力していただいています。
 その次のページで、その中の病棟の一角が出ております。
 私が訪問した時も20人近くのお子さんが入っていましたけれども、そのうち8割が呼吸器をつけているというお子さんたちで、そういう施設の協力なしには、地域でのバックアップができないと思っています。
 次の幾つかは、愛仁会リハビリテーション病院の在宅支援のためのいろいろな試みが出ておりますけれども、詳しくは省略させていただきまして、取り組みとして多くのスタッフがそろって、訪問看護ステーションも含めてこういう方々のバックアップを行っているということを御理解いただきたいと思います。
 改めて、課題としてということの次に、今度は写真が2つ出ているページが出てきます。
 「大きな拠点の大阪母子医療センター」、大阪におけます小児病院ですけれども、そこではおよそ70人の在宅人工呼吸器の方々をその病院がバックアップしております。
 右のほうは、医療型とは言えないのです。単独で、意欲ある看護師が自分たちで開いた呼吸器の方を受け入れるための短期入所の事業なのです。ですから、区分としては福祉型に入ってしまいますけれども、そこでは最大5名の人工呼吸器の方々を送迎つきでお受けして、そこで診ているというような活動も地域の中で始まっています。
 次に行きますと「医療型障害児入所施設の有期有目的利用」になりますけれども、これは前回御説明したと思いますので、これから先は割愛させていただきます。
 以上、短期入所につきまして、短期入所は医療型障害児入所施設において行われているし、行われていくべきでありますけれども、その内容につきましては、さまざまな医療処置等々が必要であると同時に、いろいろな部屋の環境も整える、療育的な支援であるとか、さまざまなことが必要になってきます。
 そういうことを全部カバーするような報酬があってしかるべきではないかということを申し上げたとともに、地域においてもそういうことが活発に行われるような、地域の病院もそういうことが行われるようにまたバックアップをぜひ行っていただきたいと申し上げて、この項についての説明を終わらせていただきます。
 関連しておりますので、続けますか。資料4-2になりますけれども「課題分析と提言」という形で用意させていただいています。よろしいでしょうか。

○田村主査 一旦、そこで切ってもらって、全体の意見交流の時にもう一度そこでお願いします。
 次、石橋構成員のほうからお願いします。

○石橋構成員 全肢連の石橋です。
 私はそこに書きましたように、これまでヒアリングでどうなのだろうということを、皆様からまたお知恵をいただければという思いで、感想的な意味合いで、意見として書かせていただきました。
 これまであまり相談というか、入り口から障害児入所施設の中、それからそこを退所していく過程について余り御意見がなかったので、いかがなものかと思いまして、僭越ですけれども「連携不足」という表題をつけてしまいました。
 多分、児童相談所なり福祉事務所で心理相談という形で受けておられると思うのです。
 措置や契約というのは、私の頭の中では、費用精算をするときの手段ではないかと思っております。
 入り口は、心理相談というところがそもそもの始まりではないかということで、そこのところがきちんとできていて、それを受けて、今度は入所施設側が将来を見据えた個別支援計画を立てる。
 その個別支援計画が、ステージごとに変わっていくのは当たり前で、変わるときに関係する方々ときちんと意見交換ができているのかと、チームできちんとなされているのかということがやはりお聞きしていて疑問に思いました。
 障害児入所施設は、制度的には児童福祉法で、旧名称で言いますと、重心施設が児と者で、者になりましたら障害者総合支援法が利用できるというふうに今はなっておりますけれども、その移行するときのシステムで、かぶりをきちんとされているのか。
 私の住んでいる神奈川県は、18歳になる2年前くらいからそれをかぶせて、移行に向けての作業をお願いしていると。ですから、通達ではなくて、口頭指導みたいな形でお願いしているということ。
 費用的なところも突っ込んだのですが、そこについては明確な答えはいただいていません。少なくとも、かぶりをかけながら移行に向けて、18歳以降に向けて、ある意味では加齢児対策ということで進めているとお聞きしました。
 それから「医療型」という名前なのですが、先ほどもありました「動ける医療的ケア児」という「動ける」というのは、今、児玉先生が言われたように、医療機器をつけていて動けるという方と、そういうものをつけていないで動けるという、いろいろな形があるかと思います。
 そういう意味では、この医療型の「医療」というのは、一体どういう範囲を基準にして言われているのか。ここに書いてございませんけれども、退所するときに措置の場合は、措置解除ということがなされるわけですが、その措置解除をするときに、関係者がきちんとそこでチームとして措置解除を出すというのは、契約の方々に対してもそういう手段がなされているのか。
 これも神奈川県のある施設からいただいた資料では、入所してくる主たる原因は虐待と養育放棄ということです。
 医療的な方でも、何年かは在宅で生活してきたけれども、親のほうが心労で虐待に走って、それを措置で行政が受けとめていると。そうなると、これまでいただいている資料に何歳で入所施設に関わったかというところも、これからのあり方を検討するときには参考になるのではと感じています。
 18歳目がけて中学3年ぐらいから入所してくる方々というのは、私は別なプログラムで、別な扱いをしないといけないのではないかと思っております。
 特に川崎が私どものホームグラウンドですけれども、緊急時の扱いについて、「緊急時」というのは、何をもって緊急時にするかということを行政と話をし、現在それを利用しています。119番的なものでなければ緊急時には値しないというのは、私どもの考え方です。葬祭等、母親の3日前の急病とか、非常に狭い範囲と言えば狭い範囲なのですけれども、いざという時に助けてもらえるというのが緊急ではないかと思っております。
 本当に専門の方々との意見ではなくて、これまでお聞きした中での雑駁な意見でございます。
 以上です。

○田村主査 幾つかこれについてはどうなのかということもありましたけれども、そのあたりはまた後半の意見交換のところで答えていただける方、あるいは自分の考えとしてはこうだということがあれば、自分の地域支援機能に係っての意見とともに、今の御意見に対しても答えていただければと思いますので、よろしくお願いします。
 次は、小﨑構成員のほうからお願いします。

○小﨑構成員 よろしくお願いします。全国肢体不自由児施設運営協議会の小﨑です。
 地域療育支援について、旧肢体不自由児施設の取り組みの例を御紹介したいと思います。
 私は前回の会議には、お子さんの手術ということで欠席をさせていただきました。大変失礼しました。
 ちょうど夏休みの最後の時期ということで、やはり地域で暮らしている学童のお子さんはできるだけ休まずに治療を受けたいという希望もあります。そういったことへの対応ということで御理解いただければと思います。
 次のスライドに行きたいと思います。
 教科書的な図にはなりますが、お子さん、御家族を中心として、医療型障害児入所施設、その他各種の機関が協力をしながらお子さんの療育を支えるという図でありますが、例えば、先ほどの朝貝構成員からあった集中リハ等について、あるいは今回の術後のリハビリテーションに関しても入院前あるいは退院後の生活に関してはそれぞれの機関と情報交換をしながら行っていることは言うまでもありません。
 また、その際に、次の3枚目の図にありますが、各施設の不足している情報、あるいは状況によってはリハビリ等についてのいろいろな技術的な助言・支援といったことで、後でも出てきますが、必要に応じて、実際に訪問をしたりすることによってカバーしているということもあるのです。やはりそこに関してはなかなか十分な経済的な裏づけが不足しているのではないかと思っています。
 また、こういう多数の施設を整理して、情報を整理するには、前回の会議の議事録を拝見しますと、キーになるところのソーシャルワーカーの機能というか能力をもっと上げるべきだという御指摘がありましたが、これもやはりそういったものに対して積極的に経済的な裏づけがあって初めてそういったことが可能になるのではないかと考えています。
 次のスライドに移ります。
 これは昨年度、肢体不自由児施設の集まりのほうで実施した地域の療育支援の実施実態に関してなのですが、療育等支援施設の指定を受けているものが約半数くらいで、指定を受けている中での数字を見ますと、施設当たりの対応人数については、必ずしも多いというわけではないかというところも印象としては持たれるかもしれませんが、実際のところ、各施設で担当している職員の数はそれほど多くない、せいぜい数名だったりということがあります。あるいは、入所のほうの業務と兼務している者も多いという事情があるかと思います。
 次のスライドのほうで、拠点施設事業のほうがさらに数が少なくなってきますが、こういったことに関しても、地域へのリーチアウト機能の重要性というのはそれぞれの施設で認識はしておりますが、入所時の重度化に伴って、マンパワーを十分に割けていないということを反映しているのではないかと考えています。
 次のスライドは通所支援ですが、これに関しては70%程度の施設が併設をしているということになります。
 運営形態についてもさまざまな状況があります。これは地域ごとの特性を反映しているのかと思います。
 次のスライドですが、実際にそこで担当しているスタッフの数を見ますと、必ずしも多くない。それから、規模別に言っても必ずしも定員を満たし切っていないという状況がありますが、ここも調べますと、利用時の重度化に伴う体調不良によっての欠席ということもありますし、あるいは兄弟や介護者の体調不良、その他の用事による欠席ということも多く、必ずしも利用効率が上がっていないということも、結果としては収入が落ちているということにつながっている部分であります。
 ここ以降が、児玉構成員と違って具体的な施設名等お示ししておりませんが、各地域で特色のある取り組みということで紹介をしたいと思います。
 事例1は福島県の取り組みなのですけれども、中核となっている療育施設が、地域の医療機関や療育施設に専門職員を定期的に派遣してコンサルテーションを行うということで、どうしても通うのが大変なお子さん、あるいは地域で頻繁にサービスを受けたいという方に対するいろいろな支援を行っているということで、その下に支援内容として挙げられております。
 ただ、ここにかかるコストは、中核施設が県立施設ということで、全く公的な予算を使って行っているという状況なのですが、例えば私どものような民営の施設でここまでやるということは実際難しいことになります。
 事例2は宮崎県の事例なのですが、実際になかなか施設まで通ってこられない方に対し、スタッフに対して研修を行い、技術を拡散させるという取り組みになります。
 全国規模ということで言いますと、こういったことに関しては、私どもの施設でも研修所を設けて、全国からいろいろな受講をしていただいて、技術移転をしているところでありますが、各地域ごとにもそういったことをやっていただいている。
 これも実際問題としては、公立施設が行っていることによる経済的な裏づけがあるところで、これを全国規模で同じようにやるということは、なかなか現状では難しいということになります。
 最後になりますが、3番目は具体的に言いますと沖縄県になりますが、比較的コンパクトに療育施設、入所施設を持っているところと、通所機能のみを持っているところが集まって、定期的にカンファレンスをする。こちらの特色は、当事者であるお子さんや家族も参加して、先ほど石橋構成員からありましたような、今後の方針をきちんとみんなで共通理解を持ちながら、治療なり対応を考えていくというような取り組みをしているというところになります。
 短期入所等についてのお話はしませんでしたが、以上になります。
 最後なのですが、こういった取り組みというのは、本来、地域で障害のあるお子さんが過ごしていくためには必要なことなのですが、その中核となる技術的な経験や知識というのは、先ほど児玉構成員からも紹介されましたが、入所の中で程度の重いお子さんたちをいろいろと経験していくことによって、知識なり経験を積んでいくという部分があるので、そういったことを含めて、入所機能をきちんと支えていっていただく必要があるかと考えています。
 以上になります。

○田村主査 ありがとうございました。
 出されている資料についての御説明あるいは御意見については、一定ここでお伺いができたかと思います。
 もしそれぞれの構成員からの説明で質問がある方がいらっしゃいましたら、今、少し出していただければと思いますが、ありませんか。

○石橋構成員 石橋ですけれども、今、小﨑さんの意見の中で、事例3の合同カンファレンスを主宰する火つけ役はどなたなのか。県がやるのか。誰が旗を振ったのか。

○小﨑構成員 これは、入所施設の側になります。
 どちらかというと、医療的な対応に関することが中心になっているような現状ではありますけれども、朝貝構成員が申し上げたように、お子さん自身の機能を上げていくという、比較的年齢が低い段階での対応に対するものになります。

○田村主査 ほかにありますか。
 なければ、各構成員から出していただいた地域支援機能にかかわる御意見などを踏まえながら、それぞれ御自分の御意見を出していただきたい。あるいは、説明いただいた構成員のところでは、説明した以上にこのような意味や意義があるということで、少し説明がいただければと思いますし、石橋構成員のほうから出ていた幾つかの御質問について、それぞれ答えていただける構成員から答えていただきたいと思います。
 基本は論点である障害児入所施設の地域支援機能、特にバックアップ機能であったり短期入所であったりという形で、今、各構成員から御意見を伺ったわけですけれども、それを深める形で御議論できればと思いますので、それぞれよろしくお願いします。
 では、御発言のほうをお願いします。

○植松構成員 全肢連から来ております、植松と申します。
 最初の御説明にあったと思うのですけれども、緊急の加算を診療報酬か介護報酬につけて、緊急の人たちを受け入れるような制度ができたけれども、医療型については、まだそれを算定していない、0カ所であるという御発言があったと思うのですが、その0カ所であったという原因の分析はいかがなものでしょうか。

○刀根障害福祉専門官 分析まではしておりません。

○植松構成員 では、どのように想定されますか。
 加算をつくっているのに、0カ所であったという結果をどう受けとめられますか。

○刀根障害福祉専門官 個人的な見解ですが、新たな加算ですので、もしかしたらこの加算自体がきちんと御理解されていないといったところがあったかも知れないのがまず一点。
 次に、医療型の場合ですと、緊急的な受け入れは意外とあると思っています。。ですが、定員を超えて受け入れるかということについては、受け入れられるキャパがあるのかどうかとか、人手の問題だとか、もしかしたらそういうことはあるのかもしれないとは個人的には思っています。

○植松構成員 今、個人的な見解を述べられたのは、まさしくそのとおりだと思うのです。
 空床利用で加算をつけて運用するということの想定自体が、現状が認識されていないことだったのかなと。
 それと、各構成員の先生方からも出ているように、もともとそういう空床を利用しながら受け入れればいいというだけの話ではなくて、超重症児等を受け入れるときには、それなりの覚悟が施設側には当然伴うのです。
 それを、覚悟を受けて一生懸命にやっていただける施設は、横出しの、自分たちの中での持ち出しを覚悟してやっておられると。それがこれまで紹介された幾つもの事例報告かと思うのですけれども、大多数のところはそこまで馬力がないので、受け入れるキャパがつくれないというのが現状だと私は思ってはいます。
 この施設ではなくても、例えば、夜間に看護師を配置すれば夜でも受けられるでしょうということで、大人の施設ではありますけれども、看護師の体制加算とかいったものも組み込まれて、その加算をとったとしても、看護師を1人夜間に配置するだけの人件費には相当しないのです。
 ですから、加算という表現は加算なのでしょうけれども、運営側からすると、少し補助をしていただいているという程度のものでしかないので、そこを踏ん張って人を入れていくというのには相当な覚悟が必要になっているというのが現状ではないかと思っています。
 さまざまなよい事例を教えていただいて、非常に感動しているのですけれども、もしこれが標準型になっていくべき姿であるというふうになるのであれば、加算では対応できない。もうそういう状況ではないのかなと、今、お話を聞いていて感じているところです。
 現状も加算では回らないし、こういうよい事例を本当に標準化していこうとした場合は、加算では到底回らない話なのではないかと感じたところです。

○田村主査 加算型の課題みたいなところの御意見だったかと思いますが、ほかに何かありませんか。
 児玉先生、お願いします。

○児玉構成員 先ほどの私の説明に追加させていただきます。
 これは後ほどの提言でも出てくることですけれども、医療型障害児入所施設で短期入所を積極的に受け入れるとどうなるかということで、これは施設名を出してもいいとは思うのですが、埼玉にカルガモの家というところがございます。
 そこは、埼玉医科大学の総合医療センターのNICUから出た、呼吸器を持ったような方々がたくさんおります。その方々をお受けすると同時に、埼玉県及びその周辺の医療的な重度の方々を育てている所からの短期入所及び入所を受けるためにつくられた施設でございますので、今のところ児童しか見ておりません。
 入所としては30人規模ですけれども、それ以外に短期入所を多数受けております。入所のほとんどは超重症でございます。
 ところが、短期入所、例えば10名を受け入れて、実際そうですけれども、全部人工呼吸器つきの超重症児であるとすれば、先ほど申しましたように、実際のかかる費用と比べて、少し前までは1万円以上の差がありました。1万円以上の差が10名になりますと10万円です。それが365日になりますと、3650万円です。
 実際上、相当な赤字が出ておりまして、このままでは施設の存続が危ぶまれている状態になります。
 幸いに、最近、埼玉県内におけます自治体のほうから、その差額分を補塡するというような形で何らかの支援が得られましたので、維持ができておりますけれども、全国の施設が全部そういう補助が得られるわけではありません。
 このままでは医療型障害児入所施設で積極的に短期入所を、しかも超重症の方を受け入れるというところが存続できるかどうかということになってしまいます。本体が大きいところで数ベッド程度が限度ということにまた戻しかねない状態であります。
 そのことを少し追加して申し上げると同時に、今、市中の小児科の病棟は、急性期の疾患が随分減ってきましたので、入院ベッドに余裕ができる所が少しずつ出てきております。そういう所が短期入所ということで、一斉にそういうほうに動き出しますと、かなりの数の方々の受け入れができるわけですけれども、この際そういうところも成り立つような御配慮をぜひお願いしたいというのをまた追加で述べさせていただきました。

○田村主査 ほかにありますか。

○石井構成員 日本重症心身障害福祉協会の石井です。千葉から来ました。
 御存じのように、千葉は今回の台風で停電が長引き、現在も停電が続いている地域があります。
 うちもそうですけれども、医療機関も停電が1日、長いところでは2日間続いておりました。ただ、医療機関そのものは崩壊せずに機能しておりました。
 その中で、病院の子供やNICUの子供たちを転院するという事態はなかったのですが、在宅の障害児・者、医療的ケア児・者がどうなったかということが、実はこんなに停電が長引くとは思わなかったので、我々も月曜日、火曜日あたりはのんきにしていたのですが、水曜日になって東電の見込みは甘いということがわかって、これは大変だということで、水曜日から始まったのです。
 私どものほうで、関係している利用者あるいは関係機関に調査したところ、呼吸器のあるお子さんは早々にかかりつけ医療機関に入院しておりました。これはかなりの数入院しておりましたし、医療機関のほうでは、この事態ということで、優先的にいわゆる緊急入院、治療入院ではないのですけれども、短期入所と同様で医療入院しておりました。
 それは一つ安心だったのですが、地域支援ということで言いますと、お子さん以上の成人の方々は、入院できるような医療機関を持っていない。訪問医療だけでやっていたり、余り定期的に医療機関にかかっていないような方たちはどうしていたかというと、日常的に通っている生活介護の事業所に日中行って、吸引器等の充電をしながら、あるいは冷房の効いたところで過ごしながら、夜は家に帰って頑張る。
 あるいは頑張り切れないと、生活介護の通所事業所でありながら、夜間泊まっている。家族が一緒に泊まる分には、ケアしてもらうということで泊まっている。家族も泊まらないケースには、職員が手弁当で泊まって見ているということで、地域のそれぞれのところで支えられているということがわかりました。
 しかし、そうやってかかりつけ病院がある人、あるいは自分が通っていた生活介護の事業所に電気が来ているところはいいのですけれども、そうではない人たちはどうなるのかということで、実は水曜日のお昼に、私どもの施設から各市町村に電話を入れまして、医療的ケア児、障害児・者で重症心身障害者などで困っていることがあった人はいませんかということで調査をしました。
 もう市町村が動いているところもありましたが、まだまだ市町村はそこまで目が回っていない中、実際それをどこに相談していいかわからないということだったので、では何かありましたら、うちの施設のほうに連絡してくださいということにしました。
 また、うちの施設のほうからも、特に成人の障害者を中心に電話の連絡を入れましたところ、結果的にうちの施設では4名受け入れ、そして短期入所の延期等も4名ありましたが、うちの施設だけでは受け入れ切れませんので、県内の重症心身障害施設のほうに、こちらの施設であれば受けてくれるからということで紹介をした次第です。
 見て思ったのは、医療機関や生活介護の事業所というのは、自分がふだんから診ている患者あるいは利用者に対しては手厚い支援ができるのですけれども、そういうところからあぶれた人たちを、私たちのような重症心身障害施設はふだん見ていない人でもこの場合にはお受けすることができたらということで、私も紹介状とかをたくさん書きましたが、こういう方ですのでお願いしますということで、いわゆる一見さんですけれども、こういう事態の時に受け入れてくれるというのが、医療型障害児施設の強みなのかなと思いました。
 また、病院とかですと入院という形になりますけれども、ある医療型障害児入所施設では、その施設の大広間を開放して、一番多かったのは冷房が効いているということだと思うのですけれども、短期入所ではないけれども、御家族で来ていただければ、ここで家族がケアをしながらというような形で5~6組の家族に提供したというようなこともありまして、そういう柔軟な対応ができるのが医療型障害児入所施設の強みであり、地域支援ということで言いますと、短期入所の延長線上にあります、このような緊急事態のときに、我々医療型障害児入所施設が果たせる役割というのが少し見えてきたような気がいたします。
 以上、御報告です。

○田村主査 ありがとうございました。
 実際にあふれてくるということの対応というか、セーフティーネットの機能をどんなふうに働かせていくのかというふうなことでは、日常の地域の中でのネットワークが、特に災害時対応としてはすごく大事になってくる。
 東北の大震災のときもそうでしたけれども、入所施設の会議室とか、食堂を開放して、そこに地域の人たちを受け入れていくということも、教訓がずっと生かされてきているということだったのかなと思いますが、ほかにありますでしょうか。

○宮野前副主査 副主査の宮野前です。
 児玉先生にお尋ねしたいのですけれども、大阪のショートステイ連絡協議会は、参加施設が急性期の病院と重心の施設になっているのです。医療型の入所施設というのは、肢体不自由児施設からなったところもあると思うので、そこのほうは参加はされていないのですか。

○児玉構成員 医療型の障害児入所施設で主に肢体不自由となりますと、大阪発達総合療育センターが昔から南大阪療育園という肢体不自由児の施設を持っていましたけれども、これは全部大阪発達総合療育センターとしてさっきの表の中に入っております。
 そのほかに、昔から肢体不自由のほうでしたけれども、大手前整肢学園というところは短期入所そのものをやっておりません。ただし、代表は送ってきております。
 そのほかに大阪整肢学院がございますけれども、ここは主に養護性を持ったお子さんが対象で、肢体不自由のお子さんを長期に預かるという施設に特化しておりまして、こういう医療型の短期入所ということは行っておりません。
 大阪におけます旧肢体不自由児施設はそれだけだと思います。

○宮野前副主査 ありがとうございます。
 それから、この協議会で、行政の関与というのはどの程度ありますか。

○児玉構成員 これは先ほど申しましたように、厚生労働省の特別な研究事業を受けて、船戸先生が主宰されて、その時から大阪府及び大阪市、特に大阪府の参加がございます。
 構成員として参加して、いつも参考人という形ですけれども、常にそこで大阪府の立場ということを述べて、また意見交換し、行政に反映していただいております。
 さらに、医師会や看護協会の参加がある時もあります。
 ただ、行政が主導権を握っているものではございませんけれども、今度10月に開催されますが、そのときも大阪府のほうからの報告をいただくことになっています。

○宮野前副主査 ありがとうございます。
 私の勤めている南京都病院もモデル事業を受けさせていただいて、京都市以南の小さな協議会ですけれどもスタートさせていただいて、今まで知らなかった資源も非常にあるという、本当に大切なネットワークだろうと思うのですが、全国的に見て、こういった形を持っているところはどの程度あるのか、厚労省のほうは何か。
 モデル事業を受けたところは、そういった地域は恐らくつくられているとは思うのですが、そのほかどうなのかなと。

○刀根障害福祉専門官 具体的な数については、こういうショートステイ連絡協議会のようなものがどのくらいあるのかというところまでは把握はしておりません。

○宮野前副主査 それと、京都府は京都市という政令指定都市と、京都府というのがあって、なかなかそのあたりの行政の壁と言うと語弊があるのですが、同じようなことをやっているのに別々の、単純に言うと研修会も別々にやるというようなところがあって、非常に現場の人間としては隔靴搔痒なところがありまして、現場のほうが頑張っても、行政サイドの熱意というのか、これは協議会だけでなくて、正直かなり温度差があることではないかと。これは現場のほうの中核となる施設等の頑張りにもよるのかわかりませんけれども、そのあたりが現場の人間としては少し課題があるのかなと、個人的な感想ですけれども思ったりしています。

○児玉構成員 今のお答えに追加させていただきますけれども、大阪府と大阪市が短期入所の要望等を受けまして、親御さんたちの訴えなどを受けまして、大阪市の場合は市立病院に、大阪府の場合は民間病院にそれぞれベッド確保と補助金というものを出すようになっております。ただし、数はまだ非常に少ないので、全体のニーズをカバーするほどになってはおりませんけれども、そういう形で参加していただいています。

○宮野前副主査 先ほど先生が言われたように、急性期病院に短期入所というのは、本当にこれは地域で生活している在宅の方にとって非常に必須なことなのですが、なかなか急性期病院もベッドのあきが少なくなったということなのですけれども、利用したい時にあいているかどうかという別の課題もあって、さまざまなそういったことをクリアしていく必要が今後もあるのかなと。
 ただ、急性期病院で受けていくということを、しっかりそれぞれの病院が理解していただいて、小児科として受ける、病院としてもきちんと受けるというシステムづくりということ。そのためには、入院に比べて単価は低いですから、行政のサポートなども含めた支援が必要かと思いました。

○田村主査 お願いします。

○朝貝構成員 災害対応のことで少し追加させていただきたいのですが、東日本大震災の時に、具体的にはいわきの施設ですけれども、原発で施設を閉鎖して、入所している子供たちを緊急でどこかで受け入れないといけないという事態になりまして、その時に、関東ブロックの肢体不自由児施設で分散して子供たちを受け入れました。
 具体的には信濃医療福祉センターでも2人受け入れましたが、特別支援学校もありますし、同じような障害の子供たちもいるので、スムーズに受け入れられたと考えています。セーフティーネットとしての役割が果たせたのではないかと思っています。

○田村主査 ありがとうございます。

○植松構成員 先ほどの連絡協議会の話は非常にいいお話かなというふうに聞いていました。私も、船戸先生の所で見学させていただいて、そのシステムを立ち上げているという話は以前から知っておりましたので、私が住んでいる滋賀県のほうでも、そういったものができないのかなということを今、仲間たちと協議している最中ではあります。
 ただ、先ほど急性期の病院もベッドがあいてきているという話もちらほら出てきていますけれども、実際に滋賀県の中の協議をしている中で、先行的にいわゆる日赤病院であるとか、大きな市民病院であるとか、そういったところの小児科の先生方にも一緒に検討会に入っていただいて、1床、2床といった形の中でレスパイトを始めています。
 ただ、反省会をすると必ず出てくるのは、やはり急性期病院という体制が残っていますので、そこで急性期でない、維持期の子供たちがやって来ると、現場の職員が非常に戸惑う。何をしてあげたらよいのかがよくわからない。
 肺炎であるとか何か疾病があれば、それに向けて集中して治療をするという訓練は、病棟ナースは全部できていますけれども、特別にそういう疾病がなくて、呼吸器管理だけをしたらいいとか、全体の健康管理だけをしておけばいいとか言われると、逆にどうしてあげたらいいのかがわからないということで、別の意味での病棟スタッフの疲弊が報告されているようなのです。
 内々の話までいってしまうと、受けたくないという話にまで進んでくるところまであるのが現状なのです。
 ですから、救急の病院でそういった形の方々を受けていくという受け皿を進めていくというのは、私たちも非常に大事だと思っているのですけれども、同時にスタッフの頭の切りかえというか、病棟体制の切りかえというか、そういったことも同時に示していってあげないと、場所だけあいていたらいいという話には決してならないと思っています。
 もし、そういった連絡協議会等を立ち上げた中で、病棟スタッフ間の中でそういう研修をもう既にやっておられるというのであれば、そういったこともこの場で教えていただけたらと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○児玉構成員 私が御紹介した中で、幾つかの病院が在宅の方々の短期入所に力を入れておりますけれども、確かに御指摘がありましたように、一般病院の小児科としてやってきたのが、緊急にそういう方を受け入れることを始めた場合は、非常に反発を受けたり、あるいはトラブルが起きたりいたします。継続が困難になることはよくあります。
 ただ、御紹介しました愛仁会リハビリテーション病院は1フロアを障害児・者のフロアにして、したがってスタッフもそういうつもりで配置されて、リハビリも参加してということになっております。
 ある市中病院は、小児科病棟の中の2つの部屋、4人部屋を2つですから8人になります。そこをそういうものとして設定して、最初のうちは非常に反発もあったようですけれども、親御さんたちもそこで感謝を述べることによって、スタッフのほうも一つの励みになって、育っていったという経過があります。
 したがいまして、急性期の病院に、あいているところにぽんぽん放り込めば済むというわけではありませんので、ナースのトレーニングもありますし、本格的にそういう準備をして、先ほど申しました、後の病院のほうは私どものほうに、お風呂の入れ方であるとか、食事であるとか、いろいろなことを体験して学びに来られました。そういう準備をして開いていくということが重要だと思います。
 小児病院あたりが積極的にそれに対応すればいいのですけれども、小児病院全部が対応しているとはいえない。千葉県の場合はなかなかそこまでいかないようですけれども、これは先ほど申しましたように、地域全体と、行政と、病院の理事長あるいは主体がそういう気にならなければいけません。
 そういうインセンティブな要素を含める意味でも、こういうことをやって、収益上はマイナスにならないということもぜひお願いしたい。両方あわせて説明させていただきました。

○田村主査 どうぞ。

○小﨑構成員 今、短期入所のほうであきをつくってということなのですが、逆に需要の変動という要素も当然あるわけで、児玉構成員がおっしゃった、子供の場合と大人の場合で違うということ。
 子供の場合、例えば兄弟の学校行事のために短期入所をするという需要が非常にあって、例えば入学式とか、運動会とか、結局皆様が同じ時期に使いたいという形になってくると、そこのところの需要を全部受け入れるということになると、相当な余裕を持たせなければいけないという話になってしまうので、そこもなかなか悩ましいところかなとは思っているのです。
 そういった場合、恥ずかしながら、例えば、東京都の区部に関しては余り協議会的なものがありませんので、利用者側でダブって申し込みをするとか、結果的に資源が有効に利用し切れないという部分もあるので、今後、そこは少し整理をしていかなければならないと考えているところではあります。

○児玉構成員 そのことでよろしいでしょうか。

○田村主査 どうぞ。

○児玉構成員 確かに、入学式であるとか、運動会であるとか、重なるのです。
 しかし、私どもの短期入所は、2カ月前から受付を行っております。早いもの順ではなくて、2カ月前に受け付けた中で、調整をするという形です。
 私どもと、あと私ども以上に受けている大阪発達総合療育センターも2カ月前からの受付で、幾つかのところで、いついつから受付という事前受付がありますし、法事等々によりましては半年前からも受け付けますよと。
 そうすると、御家族のほうが、どこどこは半年後、あるいは2カ月後はいっぱいだったけれども、別の所で受けられたという形で、それぞれ調整をして、その時には皆様がおさまるという形でできるようになっております。
 ただ、別に大阪全体のコントロールセンターがあるわけではありませんので、お互いがあのケースはこうだと知り合っているという情報交換は行っていることで、何らかに役立っていると思います。

○田村主査 どうぞ。

○石井構成員 短期入所の医療機関でのという話で、千葉県では大阪のようなシステムは組んでいないのですが、今回の災害時の対応もそうですけれども、自分のかかりつけの患者に関すれば、ベッドがあいていればということですが比較的受けてくれる。かかりつけ病院、例えば子供病院とかがあったとしても、うちのほうの短期入所を利用したいという方も多いのです。
 なぜかというと、言葉は悪いですけれども、病院ですとベッドに寝かせっ放し、プラスアルファの部分がないです。でも一番安心、安全、命が守られるという点では安心かもしれません。
 ですから、そういうことを求めるのであれば病院でのレスパイトはありだと思うのですけれども、今のお母さん方はそれプラスアルファを求めますので、保育活動に参加させてほしいとか、行事があれば参加してほしいとか、日中はデイルームに出してほしいとか、やはり子供ですから、親の都合で寝かせっ放しにすると非常に心苦しいということです。
 この間の発達支援とも絡みますけれども、医療型障害児入所施設の短期入所というのは、そういった部分も込みでのお預かりだということを理解していただきたい。そこが病院との大きな違いであるということです。
 以上です。

○田村主査 短期入所に求められていることの中身みたいなことも、変動してきているということですね。
 大変な時に預かってくれればいいということだけではなくて、その子そのものもきちんと楽しんで短期入所してほしいという思いも込められてきているということだと思うのですが、ほかに何かございませんか。

○菊池構成員 菊池です。
 地域支援機能を充実しているかということを誰が評価するかというと、やはり利用している御家族が評価することが一番大事だと思うのです。
 そうした場合には、家族のQOLをどう考えていくかという視点に立って、こうした地域支援機能を捉えていくことが大事かなと思います。
 先ほど、御本人の療育であるとか、あるいは受け入れる側、施設の側の疲弊状況や対応などとありましたけれども、実際に利用している本人あるいは兄弟や親が短期入所等を利用することによって、どのように自分たちの気持ちが明るくなっていったか、あるいは先ほど言ったQOLが向上していったかということの評価のものというのは多分今までなかったのではないかなと。
 実際、それをみんなで共通して可視化できるような仕組みというものがなくて、それを共有できるようなあり方というのも多分なかったのではないかという感じがするのです。
 ですから、さまざまな地域支援を利用したことによって、こんなに私たちは助かっていますという言い方は語弊があるかもしれませんが、地域生活が非常に充実するようになりましたといった指標づくりというか、それを各施設がとるのはなかなか難しいでしょうから、実際にそうした家族が住んでいる地域の行政がうまくそういうことを集約して、施設にフィードバックできるようなあり方というか、それが先ほどの協議会のようなことにつながってくるのかもしれませんが、そうしたものをもう少し大きな枠で捉えていくと、本来の意味での家族のQOL支援ということにつながっていくのではないのかと思いました。
 以上です。

○田村主査 どうぞ。

○石橋構成員 今の評価という意味合いからしますと、親の評価は結局、親同士の情報交換で評価されていくのです。なぜ病院を短期入所で、公的な病院で一床ずつ用意しているとか、行政も言われます。
 なぜ、そこを利用しないのかといったら、病人ではないのですと。だから、病人でないということを前提にして、病院の中にほかのことも具備した、要するに療育というものを具備した。
 者になれば当然、日常の生活のところに行けるようにするという前提がなければ、なかなか病院というのは、使いたがらない。いい、悪いは間違いなく個人的な評価です。それは、個人がおいしい、おいしくないという評価の伝聞ゲームで伝わっていくことですから、数がものすごくあれば淘汰されていくと思います。間違いなく淘汰されていきます。
 会のほうに要望が上がってくるのは、やはり病院は療育がないから使いたくない。よほどでない限りは使いたくない。
 ですから、言い方がきついかもしれませんが、それは短期入所の主旨が親のレスパイトであって、子供にとっては何ら関係ないことですよね。それは、日常生活を維持してくれる所が短期入所の場所というように誰もが思っているのですが、なかなかそれは言えない。だから、子供たちに対してのケアが現状では、特に病院にはなかなか難しいのかなと。制度的に難しいのでしょうね。
 だから私は、評価は行政ではなく親がするのだと思います。

○菊池構成員 私が言ったのは、病院や施設に対して、親が評価するということではなくて、家族自身が、自身の生活にどの程度満足しているかといったようなQOLの指標というか、そういうことをしっかりと親御さんに確認をしていくことが大事ではないのかと。それが、こういう部分のニーズが高くて、こういうところが低くてというところが地域ごとによってまた違ってくるような感じもするので、保護者の本質的な満足度というところもとっていくことが、先ほど言ったように、それが行政の役割ではないのかと私個人は思っているというところになります。
 以上です。

○田村主査 では、今の話について。
 どうぞ。

○児玉構成員 しばしば発言させていただいておりますけれども、親御さんの評価というのも結構難しい問題がありまして、親御さんは何を求めるかによって、親御さんもいろいろな短期入所の事業所あるいは施設、病院であるとかをよく知っておりまして、こういうときはあそこを使う、こういうときはこう使うと。それぞれに応じて、使った目的は満足させてくれたということはあるけれども、全体としてはまた別のものを求めているけれども、それはそこの施設には求めていないとか、そういうことがいろいろございます。
 私どもの中には、非常に大きな施設の中で、短期入所のキャパも非常に何十床を持っているところもあるのですけれども、そこの利用率は4分の1以下なのです。どうしてかというとリピーターが少ないのです。本当に困ったらあそこを利用するけれども、普段の生活では余り利用したくないというところもございます。
 ですから、評価は、その方々の生活に本当に寄与しているという意味でのリピーターが多くて、いつも満床に近い形になっているかどうかということが一つと、私どもは必ず親御さんに事後のアンケートをいただいておりますけれども、そのアンケートの分析ということが両方あるとは思います。この世界さまざまでございます。

○田村主査 ちょうど時間も時間になってきているので、あと御意見を一つ、二ついただいて、そこで閉めたいと思います。
 どうぞ。

○石井構成員 先ほどちょっとありました、動ける医療的ケア児の短期入所というのは、恐らく病院では困難だろうと思います。
 特に動けて、知的に問題があって、自分の行動をコントロールできないようなお子さんというのは、先ほど児玉構成員が申しましたように、うちでも特別なシフトを組みまして、何時から何時は誰々さんということで、マンツーマン体制を組まないとお預かりできないような状況です。
 これは採算度外視ですが、具合が悪ければ病院でしょうけれども、恐らく、具合がよいときのこの子をお預かりできるのは、こういう医療型障害児入所施設しかないという自負といいますか責任もありますので預かっておりますが、超重症児ではありませんので、さまざまな加算の対象にはならず、でも大変だということを、何らかの形で評価してくれるような制度があるといいかなと思っております。

○田村主査 有村先生。

○有村構成員 有村でございます。
 先ほど、QOLとか指標のお話のところにちょっとは関連しているのかもしれませんけれども、全く関連しないかもしれませんが、社会的養護とかのところの領域でのいろいろな議論なんかを踏まえて考えていきますと、そういった部分というのは、QOLのところにもあるのですけれども、前回出た子供の虐待の予防、あるいはそういうところに至らないための支援というところでは、積極的な権利擁護であったりとか、どう権利を守っていくのか、特別なニーズを抱えたお子さん方に対して、あるいはその御家庭に対して、どういうふうに権利を守っていくのかというところもやはり大きいのかなと思います。
 だから、生活がどう変わったかというところとあわせて、権利というところで考えていくことが必要なのかなと思いましたし、そういう意味でお話をいろいろ聞いていて思うのですけれども、提供側と利用する側をつなぐ何かを、前回までの話でも、思いのある病院が積極的に担っていらっしゃったりとか、親御さんが頑張って調整されていたりとか、あるいは自治体が頑張ってそこをやっていらっしゃったりとか、いろいろな形はあるのかなと思いましたが、そこの部分というのが一つあるのかなという感想を強く持ちましたので、発言させていただきました。
 以上でございます。

○田村主査 あとは、ございませんか。
 今、割と短期入所だけではなくて、地域の中で社会支援として広げていくときに、そういう医療型の入所施設だけではない部分と手をつないでいくというふうなことが起こってきているけれども、一方でそれは親御さんのニーズや本人のニーズになかなか至らないことも多いことを乗り越えて、地域全体としてその質を高めていくことが大事だということ。
 その時に、日常生活を維持できるかどうかだとか、あるいは権利が守られているかどうかだとか、家庭というか家族の生活そのものがそれによって安定、維持できるということになっているかどうかなど、評価というか、少し点検をするというふうなことなども大事になってきているのかなと。
 それと同時に今、有村先生からもありましたけれども、提供側と利用する側をつなぐ仕組み、それは連絡協議会なのかもしれないし、コーディネーターなのかもしれないし、何かそこをつないで整理をする、あるいは社会資源を広げるような動きをつくっていくようなものが要るのではないかという御意見もあったかと思います。
 御意見全部をまとめるということはしませんが、そういう意見も最後のほうはお話があったかなと思いました。あと、言い足りないことはありませんか。いいですか。
 そうしましたら、前半の議論はここで一旦閉めたいと思います。
 今、32分になりましたので、あの時計で40分まで休憩をしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 
(休  憩)
 
○田村主査 それでは、40分になりましたので再開をしたいと思います。
 レジュメを見ていただいたらわかるように、「(2)その他(福祉型との共通課題)の課題について」の議題に入っていきたいと思います。
 それでは、事務局より資料の説明をお願いします。

○刀根障害福祉専門官 事務局より御説明させていただきます。
 資料2をごらんください。その他医療型との共通課題ということで、このたび整理させていただいたものになります。
 全部で5点挙がっておりまして、まず1点目「入所時の措置と契約の在り方について、どう考えるか」ということで、これまでの検討会における意見においては、措置と契約について曖昧性があるのではないかといった意見が出ておりました。
 参考資料6をごらんください。こちらは平成19年に「障害児施設給付費等の支給決定について」の通知です。
 3ページの「第三 障害児に係る支給決定の方法」に、支給決定に係る留意事項ということで考え方が書かれております。
 1番の「障害児に係る支給決定に係る留意事項」の下の段のところ、「なお、次のいずれかに該当する場合であって、児童福祉法第27条第1項第3号に係る措置が適当であると児童相談所が判断した場合にあっては、『措置制度』に基づく施設利用となり、この通知の適用外の扱いとなる」ということで、3点記載がされております。
 続きまして、参考資料7をごらんください。こちらは平成21年に「障害児施設の入所に係る契約及び措置の運用について」という通知を出させていただいているものでございます。こちらについては、先ほど見ていただきました参考資料6、平成19年の通知の措置の考え方の箇所をさらに詳細に判断基準としてお示ししているものになります。
 今回つけさせていただいたのは、入所時の措置と契約のあり方についてということが論点として挙がっておりますので、参考資料として、この通知を添付させていただきました。
 続いて、課題の2点目ということで、人員配置や人材育成についてどう考えるかといったことが意見として挙がっておりました。課題の3点目、名称について「発達支援入所施設」に変更すべきではないか、「児童発達支援入所施設」と名称を改めたらどうかといった御意見が挙がっております。
 4点目、児童の意見表明権の保障についてどう考えるかということで、こちらは参考資料5をごらんください。これは先回以来つけさせていただいております社会的養護の現状の資料になります。こちらの11ページ、12ページをごらんください。児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律の概要を今回つけさせていただきました。その中で、12ページの「3.検討規定そのほか他所要の規定の整備」の5に児童の意見表明権について記載がされております。検討については今後行われていくということで御承知おきいただければと思います。
 課題の5点目につきましては、これまでの検討課題の議論を踏まえまして、追加課題として出させていただいたものです。障害児入所施設の質の維持向上やその担保の仕組みについてどう考えるかということで、こちらも同じく参考資料5の8ページをごらんください。
 現在、障害児施策のほうでは、質の向上を図る上で、児童発達支援ガイドライン、また放課後等デイサービスガイドラインがあります。そのガイドラインの中におきましては、現在、各事業所が自己評価を行い、公表する仕組みとなっているということで、社会的養護のほうの施設のほうでも、施設種別ごとに運営指針があるということで、自己評価と第三者評価を義務づけしております。第三者評価につきましては3年に1回行うこととなっている。その間の2年間は自己評価を行うこととなっているということでございますが、障害児入所施設に関しましては、いわゆる全施設を網羅するようなガイドラインが現在ない状況ということで、さらに10ページのほうをごらんいただきますと、施設長に関しましては、施設長の研修を義務化して、専門性の向上を図る仕組みとしているということで、こちらのほうを今回の課題の参考資料としてつけさせていただきましたので、御活用いただければと思います。
 以上です。

○田村主査 ありがとうございました。
 議論していただく課題が5つぐらいありますので、それぞれ順番に行こうかと思うので、少し錯綜しないように議論していきたいと思います。
 ここの議題について、児玉構成員から資料が出ていますので、資料の説明をお願いします。

○児玉構成員 私のこれからの御説明は、若干先ほどの短期入所も入ってきますので、その辺、お許しください。
 資料4-2、最初のほうは数字ばかりが出てくる短期入所と入院の報酬比較なんていうのが出ておりますけれども、これは詳しくは後で資料として見ていただければ結構です。
 平成28年の改定で、呼吸器などの使用について診療報酬請求ができるようになったので、多少、実際の入院の費用と短期入所の費用の差が縮まったことは事実ですけれども、しかし、まだまだ差があることもあります。2ページ目は数字ばかりのグラフになっていますけれども、短期入所で10対1看護という標準的なところですけれども、そういうところで受けた場合は一番右の下のほうで3,893単位という、呼吸器をつけた6歳未満の超重症を受けた場合ですが、実際に必要とされる額は4万3000円以上ということで、まだまだ開きがあるのも現実です。
 それに対して、一般の病院のほうで、小児入院医療管理料を持っている病院ですと、その基準が5まであります。一番最後から少し上に上がって4の基準でいいますと、10対1の看護で常勤小児科医師が3名以上いればいいということで、かなりの小児科病棟がこれをとっております。
 そこで、先ほど申しましたように、16歳以下で呼吸器がついているような超重症を短期入所で受けますと、4,460単位プラスアルファということで、これは収入としては、普通の我々の受けたところに比べるとかなり上なわけです。そういうことをぜひ見ておいていただきたいと思います。
 次のページで、それぞれの方式ごとに収支を比べるとということが載っておりますけれども、これも詳しくはまた後で見ていただければと思います。そういうことで、医療型障害児入所福祉施設に福祉制度の短期入所を行った場合は、一般病院の入院として受ける普通の入院に比べるとまだまだ差があるということを御理解いただきたいと思います。
 その次に表がありますけれども、平成28年度の改定で医療型障害入所施設の短期入所でこれだけは請求してもいいですよと認められた項目があります。それを一覧に並べておきますけれども、その段階で、赤にしたのは割としょっちゅう使うような措置であるとか診療内容です。その中で、人工呼吸が認められたのは非常に大きなことで、これは感謝申し上げます。
 次のページに行きますと、まだ認められていない項目があります。喀痰吸引などは日常的に、場合によっては1時間に何回も行うことですけれども、これも認められておりませんし、酸素の吸入も認められておりませんので、酸素を使用する超重症の方はたくさんおられますし、それが請求できないプラス使った酸素そのものの材料代も請求できないことになってしまいます。そのほかにこれだけの項目がまだ残っておりますので、これはこういうことが積み重なりますとまたマイナスポイントになっていきますので、ぜひ改定についてよろしくお願いします。
 あと、先ほど申しましたリハビリテーションも、同じリハビリテーション、私どもは脳血管疾患等Ⅰという基準で行っております。同じ基準でほかの病院がそれを行っているときには、うちでリハビリを行っても、その点数は請求できないことになっております。
 入院であるとできるわけですけれども、それで急いでという課題として、今、市中病院の医療機関も含めて地域全体で受けていくことが緊急の課題ですと先ほど申しましたように、医療機関だけでは需要を満たすことはできません。
 そういうことで、では短期入所における医療型障害児入所施設の役割は何かということになりますと、市中あるいは地域にショートステイを受けてくれる医療機関がない場合は、我々の療育機関が中心を担っていかなければなりません。
 2番目に、ほかの協力してくださるところがあるときであっても、地域的なネットワークの中心を私たちの療育機関が担っていくことになるでしょうということ。
 3番目、何よりも医療型障害児入所施設は単にベッドを提供することではなくて、療育を含めた受け入れが行われている。そういうことで大きく異なります。ただベッドを提供するということではなくてということで、次の写真がございます。短期入所の事例の追加ということで、この事例の方は筋ジストロフィー症であります。進行性筋ジストロフィー症のデュシェンヌ型ということで、知的にはいい場合が多いので、広い意味でも重症障害の中には入らないかもしれませんけれども、呼吸器をつけているという意味では医療ケアです。この方をお受けするためには、これだけのスタッフがかかわりながら、次のページに行きますけれども、この方は生活を非常にエンジョイしなければいけない方なので、個室を用意して、テレビを置いて、そしていろいろなサービスができるようにいろいろなコントローラーも用意して、スタッフが常に付き添ってこういう生活を送っていただく。右のはバギングをしてお風呂に入れているところです。
 療育といういわゆる活動とはちょっと違うかもしれませんけれども、これだけの施設ならではのサービスを行って受けていただくということも理解していただきたいし、そういう拠点としての役割を私どもが担っているということで、その次のページに行きますと、先ほどの収入と支出の比較になってしまいますが、私どもはこれだけの短期入所を受け入れた方々に、療育サービスを行うということになりますと、普通の入所で受けますと医療型障害入所施設は1人1日909単位という重症障害児の場合です。それから、療養介護サービスであっても833~943単位という生活活動のための支出が行われるわけです。
 短期入所の場合には、こういう形での名目はないわけです。しかし、短期入所の場合でも、療育提供ということをしなさいという形で言われておりますし、私どもはそれについて努力しようと思っていますけれども、そうすればするほど、それほどそれに対しての見合いがあってもいいのではないか。
 例えば、普通のベッドを提供する以外の入浴サービスであるとか、それから個室環境加算であるとか、そういうことについては、ぜひいろいろな御配慮を願いたい。また、これは含めるのを忘れてしまいましたけれども、短期入所の場合は、常にキャンセルがあるわけです。当日キャンセルとかそれぞれの御事情があるので、親にキャンセル料を求めるというのはなかなか酷なことがございます。少なくとも当日あるいは前日のキャンセルの場合は、それより前のキャンセルですとほかの方をお誘いして入れるということもしているのですけれども、当日及び前日のキャンセルについては、通所に関してはそれがあると思いますが、それに対して何らかの見合いということをぜひお願いしたいと思います。
 続きまして、「自立と移行について」ということで、これは今回の議題とも関係してきますけれども、過去の重症障害児施設とはかなり理解度が高いケースで、動けるケースも入所していてということで、昔の施設、本当に歩けるケースもおりますし、活動におきましても、裏山に行って散歩をしに行くとか、キノコ狩りをするとか、そういうことをやっている施設もございました。そして陶芸や絵画、園芸活動であるとかそういうことも活発に行われていましたけれども、もはや我々のような重症心身障害の方だけをお受けするようなところでは、そういう方々がほとんどおられなくなりました。寝たきりで、大島分類で言えば1という方が大分になってきました。
 そうしますと、多様な集団ではなくなるわけです。その中に、医療が必要だからということで、そこに入ってきた方々、多少理解力があったり、交流したりということが本来望ましい方が療養介護という中に入ってきますと、ほかのサービスは二重には受けられないわけで、普通の場合は一生預かるという形になってきますので、一生その方はほかの世界と交わることができない。病院における療養介護事業所において、24時間のケアを受けながら、そこの療養介護サービスを受けるのがあなたの宿命ですよということになってしまいます。
 前であれば、中にいろいろな活動ができる人がいたので、いろいろな多様な活動ができるわけですけれども、そういうことで、外の世界、ほかの人たちも交わり自分の可能性を伸ばしていくには、グループホームなどをつくって、そこに移行していく道もございます。そういうことをしている施設も幾つかございまして、代表的には福岡県の久山療育センターなどがそういうことをしております。
 しかし、医療面、看護面、体力面など、グループホーム移行などが無理な人の場合はどうするか。そうしますと、本来は医療型障害児入所施設に入所を続けながら、日中は少なくとも週に何日かは療養介護ではなく、ほかの生活介護や作業所に通ったり、多様な人たちと交わる豊かな人生を体験してあげたいけれども、それはできないというのが今の仕組みでございます。
 療養介護では、他の福祉サービスを併用利用することはできない制度である。その人たちを一生療養介護の中に閉じ込めておいてよいのだろうか。また、グループホーム移行の可能性を持っていても、一定の社会的トレーニングが必要な人たちも多い。その人たちのトレーニングとして生活介護の体験を積み重ねる方法は、療養介護支援を受けている限り選択できない。
 移行の問題で、今はまだ社会性がないので移行できないけれども、そういう体験を積み重ねて、いずれは移行させてあげたいといういずれの準備も、療養介護に移ってしまってはできない。積極的に外の世界や外の人たちと交わる機会を提供していくべきではないか。
 医療面では、施設生活、入院生活で支援し、活動面では外に出してあげたい。そうした場合、病院において行われるのは療養介護支援であるというだけではなく、入院はしていても条件次第では生活介護なども選択できる柔軟性があってもよいのではないか。
 これが実は18歳になったとき、移行のときに、本人の移行進路をどう選択してもらうかということにかかわってきます。本人としては、医療的には重いとか、実際、重症障害であるけれども、少しでもほかの人と交わる可能性があるし、その意欲を持っている人の場合、ほかに選択肢はないと。生活介護の入所支援の場合は、医療はほとんど見られない状態である。そうなってくると、療養介護しか選択せざるを得ない。しかし、療養介護に行ったら、一生そこだけですよという枠をしておいて、さあどれがいいですかという選択を迫るということは、今の制度としては少なくとも酷ではないかと思う次第でございます。
 「施設内環境の見直しを」というのが次に入ってきます。しかし、それでも入ってきた方々を少しでも個性豊かな生活を送ってくれるためには、前回も話が出てきましたけれども、少なくとも小グループ単位でということが非常に言われています。施設環境におきましても、極端に言えば大部屋に詰め込むという状態ではなくて、ゆとりを持った生活を送っていただくということでは、個室及び多くても4名程度のお部屋の中で生活をしていただく。生活単位の小規模化ということを、本当に施設としてもただ望みたいと思うのです。
 全体としては、医療を伴う施設そのものを小規模化ということは難しいですけれども、医療と看護の仕組みとしては、どうしても一定以上が必要になります。そういうバランスの研究などもぜひ進めていただきたいということです。
 次が「地域支援機能、福祉型・医療型共通課題」。そこまで含めてお話しさせていただきます。
 地域に開かれた施設ということで、在宅ケアや地域生活と、施設入所は対立するものであってはならない。少なくとも今まであるいはかつては、施設に入れてしまったとか、入れてしまう、あるいは実際に施設そのものが人里離れたところにあるとかいうことで、施設に入るということで、地域と施設が対立するという形で見られがちでありましたけれども、地域が活用する施設、地域に活用してもらえる施設でなければならない。これは福祉型でも医療型でも言えることでしょう。在宅や地域生活を送っていても、短期入所は時に本人の休養目的入所利用、本人の状態改善という有目的の入所などもあっていいでしょう。
 こうした面では、有期限有目的入所は、児童を対象だけではなくて、者についても考えてほしい。幾つかの施設では、ベッドのシェア利用やローリングベッドという名前で実施しておりますが、そういうことを積極的に支援するような施策が児童だけではなくて者であってもいいのではないか。入所していても、地域のさまざまな活動を利用できるようにしてあげたい。さきに記した療養介護でも、外の活動を体験し、利用できるようにしてあげたい。
 特に者の施設に入所した場合でも、最低10年に一度、10年では長過ぎますね。できれば5年に一度はその処遇が適切かどうか、他の選択はないかどうかを強制的に検討してほしいと思うのです。施設にその責任を全部負わされても、家族は絶対にだめだと言った場合に、地域のほうも、それに対して家族には抵抗できないという場合に、施設単独で強制的には行うことができませんので、そのことをぜひお願いしたい。
 「医療支援について」、最近では特に障害者支援の福祉施設において、医療的ケアを必要とする人たちがふえてきております。生活介護の通所でも、医療的ケアを必要とする方々、特に胃ろうは常識的になってきましたし、気管切開の方もふえております。中には呼吸器の方が通う生活介護の通所もございます。入所支援を利用する障害者でも、胃ろうの人がふえてきているのが問題になってきております。
 多くの場合の生活介護の入所支援のところは、胃ろうになったらもうここではいられないよというところがまだまだたくさんございます。さらに気管切開を必要とする方も、福祉系の施設でできています。福祉系と医療系の境がなくなりかけています。今、生活介護の重症心身障害化が非常に進んでおります。こうした医療面での支援は、医療機関との連携も含め、地域的に解決していくべきことですけれども、医療型障害児入所施設はその支援ネットワークの中核を担うこともあります。
 また出ますけれども、重症障害者については大阪市の委託を受けて、大阪発達総合療育センターで開始された「重症心身障がい児者の医療コーディネート事業」などがあります。この場合は、それぞれの在宅の方々の医療の問題に応じて、そのコーディネートのほうがいろいろなお世話をしていくということで、この場合は、福祉型であるとか医療型であるとかという大きな差はございません。福祉系の施設の看護力の向上は、同時に医療系施設に入ってはいるが、本人のためには生活系の活動体験をさせてあげたいケースの受け入れにも結びつきます。そうした地域の障害者支援活動の連携、交流、学習の場をつくり出している地域もふえています。
 また、私のところになってしまいますけれども、堺市では堺ミーティングという形で、福祉系が大部分ですけれども、堺市内の主な事業所も含めた勉強会と、それから活動実践や体験の会を定例的に開いております。
 厚生労働省が行った重症障害者の地域生活モデル事業は、こうした点でも大いに意義があったと思います。医療系、福祉系をまたがったニーズの調査もできれば行ってほしいと思います。
 最後に、障害児・者支援のあり方が変化しつつあることは実感として感じられますので、本検討会が実りあるものとなることを望みます。
 そういう形で終わらせていただきます。

○田村主査 ありがとうございました。
 児玉構成員の御意見の中にもあったような、例えば生活単位の小規模化だとか、移行の中身、質的な検討、例えばそれは5年ごとというような具体的な提案もありましたけれども、そういうことは1番の措置と契約のあり方でいろいろまた御議論いただきたいと思います。
 特に小規模な生活単位の話は、2番目の人員配置あるいは地域の中のネットワークの話とかかわって、人材育成あるいは地域そのものを醸成させていくという仕組みとの絡みで御意見があれば出していただければと思いますので、それぞれ順番に1番から行きたいと思います。余り時間がない中で5つの論点をするのはなかなか酷ですけれども、次々と御意見をいただければと思います。
 まず、1番目で入所のときの措置と契約のあり方ということで、この間、いろいろ御意見が出ていたわけですけれども、そのあたりも含めてどうでしょうか。

○小﨑構成員 旧肢体不自由児施設のほうですと、当然、手術や短期集中リハビリとかも目的が明らかにわかっていて、お子さんを含めた御家族の生活を支える部分では間違いなく契約ということになるのですが、やはり在宅生活は困難だけれどもというところで、契約で入所はされてきても、例えばその後の家庭状況が変化してしまって、連絡がつきにくいということになって、なかなか措置に移行していくということが困難な場合があって、そのあたりに関しては児相も含め、定期的にきちんと協議をしていただきたいなとは考えているところです。

○田村主査 ほかにございませんでしょうか。

○植松構成員 言葉の定義もあるのでしょうけれども、契約という概念になると、本人もしくはその家族がこの子はどうあってほしいとか、この子はどのような生活を保障してほしいといったことの主張もしやすくなる環境になっていると思うのです。それが措置となると、そのことに対して第三者的に考えたときも、この子の生活のあり方はどうあるべきだとかいうのは、誰が代弁してくださることになっているのでしょうか。その辺が曖昧になっていると、措置で入ってしまうと余り何も言えないのかなとなってしまうと、本人の権利という意味においては相当阻害されているのではないかと思うので、その措置で入った場合の本人の権利を担保する、あるいは代弁していただく方は、一体どのようになっているのか教えていただきたいです。

○田村主査 実際に今、受けとめているところではどうですか。措置として入ってくるときに、御本人のここの課題でいくと意見表明権みたいなことをきちんと含み込んだ形で計画を立てたりということが、実際に誰がどこでどうやっているのかみたいな。

○石井構成員 うちも医療型障害児入所施設で、虐待など不適切療育で初めから措置で入ってくる方がかなりいらっしゃいます。前回のワーキングでも話しましたが、一番は、担当のソーシャルワーカーが権利を主張すべき立場かなということで、ワーカーには、時には施設の職員を敵に回してでも当事者の権利を守れと。同じ施設内であっても、あなたは当事者の立場に立つということで意見を交わしているところです。
 あと、児童相談所も年に1回は契約、措置にかかわらず入って、その子の状況確認を、千葉県の場合は来てくれています。その中で状況を確認し、中には親御さんのほうが大分状況が変わって、親御さんが代理者として機能できそうな場合には、措置であって入っても、途中から契約になるケースはあります。それはそれでいいことなのかなと思っております。
 以上です。

○田村主査 どうぞ。

○宮野前副主査 私自身も、いわゆる御両親もいなくて誰もいないというときに入所されている方が、わかりやすく言えば親がわりのような形をやっていたわけですけれども、18歳以上は第三者後見人という制度もあるのですが、児の場合はそれがないのです。そういった中で、今言われたケースワーカーの方あるいは児相の方が入ってくださってというケースであればまだいいのですが、現実に、特に長期入院になっているような重症児、特に医療的ケアの高い方はほとんどそういったことがないわけです。ですから、その施設の中で対応せざるを得ないという現実もあって、そこをどういった形で第三者が見て、ちゃんとやっているかどうかという評価も、外の目、視線が必要かなと、現場の人間としてちょっと感じました。
 先生のところは、そういう意味でソーシャルワーカーの方とか児相の方が結構積極的に入られているという理解でよろしいのでしょうか。

○石井構成員 前回も言いましたが、うちは本当にワーカーがキーパーソンだと思っていますので、ワーカーは非常に細かく入っています。誰よりもワーカーが、家庭状況であるとか、今、児相の考えがどうなっているかとか、児相の会議がどういうふうに進行しているかということを一番把握していますので、その人たちを中心に、子供にとって最善の状況をつくっていくということが必要かなと思っています。

○田村主査 ほかに何かございませんか。措置と契約のところで御意見はありませんでしょうか。

○石橋構成員 1に関しましては、状態から言いますと、安定期というか維持期の子供が在宅で生活していてから入所という道につながるときのあり方ということとして捉えればいいのですか。
 先ほども言いましたように、措置や契約という言葉は、そこへたどり着く過程が子供にとってはみんな同じはずなのです。医療的ケアが物すごく大切だといったら、ひょっとしたらまた安定期に入っていないのかもしれないし、在宅で生活していた方がこの施設を利用するときの方法論的なあり方というのはどうなのですか。

○石井構成員 原則契約です。在宅で生活している方たちが何らかの理由で入る場合、有期限であっても、有目的であっても、社会的養護であっても、やはり親御さんとの契約が原則としてある。
 ただ、親御さんが契約を結べないケースに限って措置という考え方で私たちは受けています。ルートとしましては児童相談所が絡みますけれども、最終的には契約できるケースに関しては、施設と親御さんで契約します。
 それでよろしいでしょうか。

○石橋構成員 契約であっても、児童相談所が必ずかかわるよというふうにも耳学で聞いたものですから、実体験はしていないのであれなのですが、そうなると、親も契約という2文字のことをきちんと理解していないと、今度はQOLにどう結びつけていくのかということに全てかかってくると思うのです。

○石井構成員 先ほど、児童相談所がかかわるのは措置のケースだけです。うちの施設は、児の場合には3分の1ぐらい、半分くらいは措置ですかね。本当に児で入ってくる方というのは相当わけありの方なので、契約が基本なのですけれども、契約できる方は半分くらいで、半分くらいはもう措置という形でしか入れないような方がいます。
 その方たちに関しては、児相が毎年入ります。ただし、ずっと措置ではないように、お互い努力はしますけれども、中には契約に移る方もいます。
 でも、一応、児の施設に入るためには、児童相談所を介しなければ発行してもらえませんので、児相は1回は絡むのですけれども、そこで契約になってしまえば、ある意味、児相は手を引きますというか、お任せしますということになります。
 先ほどの説明が混乱させてしまいましたが、児相が継続的に絡むのは措置のケースだけです。

○田村主査 参考資料2に障害児入所施設の現状ということで、施設の福祉型と医療型での契約か措置かみたいな状況がグラフとして載っていますので、また見ておいてください。医療型は、明らかに赤の契約が多くて、福祉型のほうは逆に青い措置で入所をするという人が多いという現状をどう見るのかということもあるわけですけれども、現状としてはそうなっていると思います。
 そこにある背景だとか、家庭的な要因だとか、そういう福祉型の子供さんの社会的な養護の基盤みたいな、家庭状況とのかかわりみたいなことが逆に大きく影響しやすいということがあるのかもしれません。
 とりあえず今、現状はそういうことだと思います。
 そうしたら、時間もだんだんなくなってきましたので、一つ一つ行くとまたかなりの時間オーバーしてしまうので、質の向上をどういうふうに担保していくのか。あるいは、どのようなものがあれば質の向上につながっていくのかということで、ガイドラインの話なども少し、ほかの協会のところでの例なども先ほど説明いただいたかと思いますので、2、3、4、5にかかわって少し御意見を伺いたいと思います。
 2番目は、先ほど言ったように人員配置です。小規模な生活単位ということなども先ほどあったようにどうなのかということです。あるいは、先ほど児玉構成員のほうからあったように、子供のときはできないのだけれども、大人になってからの分割利用というか、そういうふうな課題なども御意見としてほかにあれば出していただけたらいいかなと思います。
 それがここで決定だとかいうことではなくて、一つの意見、今の現状の中でのこういうふうなことが工夫できたらもっと豊かな生活が提供できるのではないか。でも、こういうふうなことが課題だということで出していただけるといいかなと思いますが、どうでしょうか。

○植松構成員 人員配置のところの課題で、一番最初に配置基準の哲学がはっきりしないという哲学的な意味合いで表現されていますけれども、これは的を射ている話、私はそうだと、哲学かどうかはわかりませんけれども、今回、ずっと議論していただいているようにあり方を考えていくときに、今、現行の基準配置がありきで、実際はこういう人たちがたくさん利用しているので、この配置では足りないので、前回もお話ししたのですけれども、加算を足したりとか、しっかりと人員配置の意味合いを克服してほしいとか、ソーシャルワーカーが必要であるとか、そのような足し算のような形の議論が今、現実問題としてはあるのですけれども、こういう子供たちを支えるためには、これだけの人たちが要るのですよということでの御意見で哲学という意味で出ているのかなと私たちは解釈していますので、まさしく配置基準ありきではなくて、こういう子供たちで支えるにはどうあるべきかという部分で人員的な配備が議論されていくのではないかと思ったりしています。
 そういう意味では、個別対応的な意味合いがやはり強くなるのかなと。余り手がかからなくても、とりあえず虐待を避けるためには入っていただかないといけないという子供の場合は、そんなに手厚くなくても行けるだろうけれども、でもそこに医療的なケアがあれば、絶対にこれだけの人が要るのだよというような個別の中での配置が支える側の全体像として必要ではないのかなと思うので、哲学になるのかどうかわかりませんけれども、その辺がしっかりと定まっていくべき必要性はあるのかなと思います。
 それと、同じ項目の中に、医師の人材育成が課題と書いていただいていますので、今の医学教育の中で、障害福祉や障害児医療ということに学生時代からしっかりと基礎講座として勉強しているというところはほとんどないのです。卒業されて、実際に目の前に患者さんあるいは障害のある方があらわれて初めてどうしたらいいのだろうかという形で、気持ちのある人はそういう道へ進んでいますけれども、医学教育、18歳、19歳で入ったところからそういう意識が育っていないと、それまで分離教育をされてきている世代の人たちにとってみたら、目の前に障害のある子供たちがいない世界でずっと勉強してきているということになって、職業倫理だけで子供たちの医療をするとなると、なかなか手が出ないというのは現実的だと思うので、人材育成というのは卒後の臨床研修ではなくて、基礎のところからの人材育成を入れていただきたいと思っています。
 以上です。

○田村主査 ほかに。
 どうぞ。

○小﨑構成員 今、植松構成員の中で、ちょっと誤解を招かれる表現があったかなと思うのですが、虐待防止のために入所が手がかからないというのはちょっと誤解があるのかなと。それは医療的なケアという点では手がかからないとしても、その子が家庭から離され、心理的なサポートは必要で、そうすると、お子さんごとに必要なサービスはおっしゃるように個別的に考えられなければいけないという話になると思いますし、そのあたりは我々は共通認識としては持っていなければいけないのかなと。
 あるいは、肢体不自由があるお子さんはお子さんなりに、社会に出ていくためにいろいろなトレーニング、先ほども児玉構成員から話がありましたように、社会経験を積むためのいろいろな方策が必要になるし、そうすると、お子さんあるいは利用されている成人の方も含めて、それぞれの特性をきちんと分析して、それぞれの必要なサービスを個別に提供していけるという体制が必要だと思います。

○植松構成員 済みません、例として挙げたものが唐突過ぎて、私も間違っていると思います。おわびして訂正させていただきます。虐待の方が手がかからないということは決してありませんので、例として挙げたのがおかしかったと思います。申しわけございません。

○小﨑構成員 ありがとうございます。
 もう一つ、医師の育成ということですが、確かに私の施設は地理的なこともあって、比較的若い、低学年の学生さんたちが来て、実際に直接利用者さんと接して、場合によっては介護とかそういうことを、私が学生だったときとはかなり違ってきている部分があるかと思います。
 他方で、やはり要求される医療的ケアとかいろいろな手段というものの専門性が高くなっていますので、そういう意味で言うと、早期からそういう世界に入っていくというのが果たして本当にいいのかという部分もあって、一定の技術的なこと、知識といったものをバックグラウンドにして、そういう医師としての一定の成長をした上で入っていくということも必要かと思うし、そういう意味では、教育の中で、こういった世界に触れたという経験をしていくというのはとても大切ですが、その人たちが即卒後、すぐに入っていっていいかということはまた別の話かなと思っています。

○宮野前副主査 医師の教育についてですけれども、小児科の場合、小児科というのは最初に障害児に接する診療科になると思うのですが、卒後で、専門医を取るために、小児科はそれぞれ基幹病院があって、それぞれのプログラムをつくっておられますけれども、その中で、いわゆる障害児とか重症心身障害のプログラムを入れている本当にまだまだ少ないだろうと思います。
 今、基幹病院が170ぐらい、大学病院プラス子供病院クラスということで、例えば滋賀医科大学なんかは小児科の専門医のプログラムの中に、重症の施設を必ず3カ月研修するといったことが入っています。同じ小児科でもいろいろ専門分科していますけれども、必ず障害を持った方に接する機会があるということで、そういったことを基幹病院などにも訴えていく必要があるのかなと感じました。
 あと、先ほど児玉先生が言われた福祉型と医療型入所施設も垣根がなくなってきているというか、私自身も重症心身障害の施設で、福祉型の施設に関してはほとんど無知と言ったら語弊がありますが、知らないというか、そこで行われているノウハウはわからないし、福祉のほうから見ると、医療的ケアが垣根が高いのです。そこをいかに低くして、共通認識というか情報交換をしながら、あるいは持っているノウハウをいかにつなげるかというシステムづくりも、各施設での頑張りにもよるのだろうと思うのですが、この検討会で方向性を出していくことができれば、現場のほうも動きやすくなるのかなと思います。

○田村主査 有村さん。

○有村構成員 今の話とは少し違ってしまうのかもしれませんけれども、人員配置や人材育成のところ、特に人材配置のところについて、私は社会的養護のところしか研究していないのでわからないところでもあるのですけれども、例えば一時保護所のタイムスタディーなんかをとっても、日常を見ていると見えないところがあるのですが、ただ、危機場面、職員さんたちがどうしても手が回らなかったという側面を見て、その場面だけを収集して見てみると、また全然違う状況、人材不足の状況が出ております。
 社会的養護だけを見ると、私は障害の施設を十分に知っているわけではないので、社会的養護のところだけを挙げると、やはり1人のお子さんで全体が崩れるような要素がいっぱい出てきていて、その中での人員配置というのが大きな課題だなと思っているところなのですが、先ほどの児玉先生の事例のお話で言っても、あるいは災害に対しての対応のところでのお話で言っても、そういう危機場面のときにどれぐらい人が足りないのかという事例の収集と、場面をどうやって分析するかということに関しては、研究したりあるいは何か根拠となるような基礎資料をつくっていくことが大変重要なのかなと思っておりまして、その点だけ発言をさせていただければと思います。
 以上です。

○田村主査 児玉先生。

○児玉構成員 人材のところで、先ほど医師の教育のことがありましたけれども、私どものところも、ある大学から後期研修の小児科の先生たちが来られていますが、その方々がうちに就職してくれるという期待はほとんど持てないです。ただし、その方々がいろいろな病院に行きますね。そういったところに在宅の重症心身障害の方が病院に行ったときに、こんなのは見ていられないやというのは昔の話ですけれども、非常にアフィニティーを持って接してくれる。そういう町なかのいろいろな病院に、重症心身障害のお子さんや人たちをよく知ったドクターがたくさん生まれるという意味では非常に効果があると思っております。そういう意味での教育があってもいいのではないかと思います。
 もう一つだけ人材のことで、今度はちょっと立場が違いますけれども、看護師の研修で特に訪問看護師の研修で、大阪府の委託を受けて私どもは行いましたけれども、訪問看護師で在宅の呼吸器等々を持っているケースにも入れる事業所をふやそうということで、訪問看護師の教育を担いました。
 随分熱心な人たちもたくさん出てきました。そうであるならば、先ほど生活介護と医療型の障害児入所施設療養介護との差がだんだん縮まってきたと。生活介護のほうでは、看護が不足しているために見られないと。では、生活介護の入所支援のところに訪問看護師が入れるかというと、今の制度では入れないわけです。入ってさえくれればかなり救われる人がたくさん出てきます。そういったところでも、その地域に生まれた人たちがそういうところに入っていけるような柔軟性をお願いしたいと思う次第です。

○田村主査 時間が過ぎていますけれども、あともしあれば3、4、あと質の向上というところで御意見が一つ、二つあればお話をいただければと思います。
 なければ、特に質の向上の話をしてもらえるといいかなと思うのですけれども、時間もないので、なければ、質の向上にかかっては全体の中間のところで福祉型とあわせてするときに御意見を伺えればと思いますので、とりあえずここで2つ目の議題について終わりにしたいと思います。
 それでは、3番目の議題でその他ということなのですが、何かございますでしょうか。

○児玉構成員 本当にその他なのですけれども、医療型障害児入所施設といいましても、主に肢体不自由と主に重症障害とは相当違っているので、主に肢体不自由の場合は、昔の肢体不自由児施設は入所、退所を繰り返すところで、家庭に戻ることを前提に訓練あるいは手術や生活体験を受けるということで、入所、退所を繰り返すところが主体なもので、そこでは有期限有目的入所もたくさん行われているということをこの前申し上げましたけれども、主に重症児障害の場合は、そこにいた方がほとんどの場合は療養介護に移行することは前提としております。そういう有期限有目的の利用というのはかなり幅が狭くなってきております。
 そのかわり、療養介護に入ってから有期限有目的のことを使わせていただきたいという面と、資料2の10ページぐらいになりますけれども、移行先というのがあります。医療型障害児入所施設からどのように移行していくかという円グラフがありますけれども、そこを見ますと、82.8%が家庭に戻る、家庭に行くという形になっています。緑のところの8%がありますけれども、これは療養介護になっています。これは肢体不自由と重症障害と合わせてしまったからで、主に肢体不自由ですと家庭に戻るというのが圧倒的に多くなりますが、主に重症障害のところを見ると、圧倒的に多くは療養介護に移行するわけです。そういう形で、少し主に肢体不自由と主に重症児障害をこういう統計あるいはいろいろお示しなさるときに、ちょっと使い分けを心得ていただければと思う次第でございます。

○田村主査 ありがとうございました。
 そのあたりも、移行だというところのいろいろな課題だったり、移行した後のモニタリングだったり、あるいは刻み方みたいなことの中で、振り返りをもって生きることを支えていくという仕組みに大人になっても継続していくというところも、今のところ強めていく課題でもあるのかなという意見も、児玉先生の説明にもあったかと思います。
 時間も来ましたので、一応、本日の議事は全て終了ということになります。事務局より今後のスケジュールについて説明をお願いします。

○刀根障害福祉専門官 活発な御議論をありがとうございました。
 今後のスケジュールでございますが、本会の中間報告会が10月16日水曜日、15時から予定されております。会場は厚生労働省内17階専用21会議室になります。また改めて詳細の御案内はお出しさせていただきますので、本会の構成員の皆様は、10月16日の御出席、大変お忙しいかとは思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 なお、次回のワーキングの開催ですが、10月の本会終了後に予定しております。また日程が確定次第、皆様には御案内いたしますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それと、本会のほうが次回、中間報告会ということですので、福祉型、医療型それぞれの議論の中間取りまとめを事務局のほうでさせていただきたいと思っております。またワーキングの委員の皆様には、こちらで作成したものを見ていただく形になろうかと思いますが、そちらも改めて御連絡させていただきますので、その際はどうぞ御協力のほどよろしくお願いいたします。
 それでは、これで第3回「障害児入所施設の在り方に関する検討会 医療型ワーキンググループ」を終了いたします。本日は大変お忙しい中、御出席いただきまして、ありがとうございました。

<了>