第124回労働政策審議会安全衛生分科会 議事録

労働基準局安全衛生部計画課

日時

令和元年10月4日(金) 15:00~17:00

場所

専用第22会議室(合同庁舎第5号館18階)

出席者

【公益代表委員】
    砂金伸治、熊﨑美枝子、城内博(分科会長)、三柴丈典
【労働者代表委員】
    漆原肇、袈裟丸暢子、佐藤和幸、中村恭士、縄野徳弘
【使用者代表委員】
    砂原和仁、中澤善美、増田将史、最川隆由、矢内美雪、輪島忍
(※五十音順、敬称略)
【事務局】
    村山誠(安全衛生部長)、小宅栄作(計画課長)、毛利正(安全課長)、井内努(労働衛生課長)、塚本勝利(化学物質対策課長)、
    和田訓(計画課調査官)、小島裕(機構団体管理室長)、黒澤朗(労働条件政策課長)

議題

(1)建設業労働災害防止規程変更案要綱について(諮問)
(2)クレーン等安全規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
(3)第13次労働災害防止計画の実施状況について(報告)
(4)副業・兼業の場合の健康確保措置について(報告)
(5)その他
 

議事

 
○城内分科会長 定刻になりましたので、ただいまから第124回労働政策審議会安全衛生分科会を開催いたします。本日の出欠状況ですが、公益代表委員は高田委員、水島委員、山口委員、労働者代表委員は勝野委員、使用者代表委員は中村委員が欠席されております。なお、使用者代表委員の矢内委員の代理として、キヤノン株式会社の白幡様が御着席されております。また、本日10月4日付けで資料5のとおり、労働者代表として新たに3名の委員に就任いただきましたので紹介いたします。青木委員が退任され、全国ガス労働組合連合会中央執行委員長の佐藤和幸委員が就任されました。水田委員が退任され、全国林野関連労働組合書記長の中村恭士委員が就任されました。佐保委員が退任され、全日本自治団体労働組合総合政治政策局社会福祉局長の門崎正樹委員が就任されましたが、本日は御欠席です。
次に、傍聴の方へのお願いです。カメラ撮影等はここまでとさせていただきますので、御協力をお願いします。では議題1、「建設業労働災害防止規程変更案要綱について」に関し、事務局から資料の説明をお願いします。
○小島機構・団体管理室長 お手元に資料1-1及び資料1-2を御用意しましたが、資料1-2、「建設業労働災害防止規程変更案要綱の概要」に沿って説明させていただきます。表紙に続いて次のページです。労働災害防止協会とは、事業主等による実質的な労働災害防止活動を促進し、労働災害の防止を目的として、労働災害防止団体法に基づき設立された団体です。なお、労働災害防止協会には全産業をカバーする中央労働災害防止協会のほか、特に災害が多発する業種として建設業、陸上貨物運送事業、林業・木材製造業、港湾貨物運送事業の4つの業種別協会があります。
次に、労働災害防止規程です。これは労働災害防止団体法において、業種別労働災害防止協会は労働災害防止規程を設定しなければならないこと、また、会員には災防規程の遵守義務が課せられていること、更に災防規程を変更するに当たっては、厚生労働大臣の認可を受けなければならず、変更認可をするときは労働政策審議会の意見を聞かなければならないことが定められております。
災防規程の位置付けですが、業種別災防団体の会員のみに適用される、法令プラスアルファーのルールということになります。仮に災防規程に定めがなくても当然、法令は守らねばならないこととなります。また、災防規程で定める事項については、こちらも労働災害防止団体法に規定があり、適用範囲に関する事項、労働災害防止に関して機械、機器、その他設備、作業方法について講ずべき具体的な措置に関する事項、また、具体的措置の実施を確保するための措置に関する事項を定めることとされております。
次のページで、今般お諮りする建設業労働災害防止規程の変更について御説明いたします。建設業労働災害防止規程は、昭和41年に制定・認可され、これまでも累次の変更を行ってきました。直近の変更は平成25年で、今回は6年ぶりの変更ということになります。また、今般の災防規程の変更に当たっては、協会内において現場からの意見等を集約し、有識者等の意見を反映させた上で、変更案として取りまとめたものとなっております。
変更内容について、1つ目は労働安全衛生法等の改正に伴うものです。例えば、安全帯に関連した規則の改正があり、フルハーネス型の安全帯を原則使用することとなりましたが、これを災防規程に盛り込んだということです。2つ目は告示、ガイドラインの改正等に伴うもの、3つ目は国の法令や告示とは別に、協会独自の上乗せ規程を盛り込むものがあります。いずれも直近の変更から現在に至るまでに行われた、改正等災防規程において整備させていただくものです。以上、私からの説明とさせていただきます。
○城内分科会長 ただいま御説明いただいた内容について質問等、発言のある方は挙手をお願いします。よろしいでしょうか。それでは、建設業労働災害防止規程変更案要綱については、妥当と認めることとしてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは事務局で答申の手続をお願いいたします。次に議題2、「クレーン等安全規則の一部を改正する省令案要綱について」に関し、事務局から資料の説明をお願いします。
○毛利安全課長 資料2-1です。本件は、クレーン等の安全規則の一部を改正する省令案についての諮問の件です。資料2-2に概要をまとめておりますので、こちらをもって説明させていただきます。まず制度の概要の1です。クレーン等安全規則において、積載荷重1t以上のエレベーターを設置する事業者は、設置届を労働基準監督署に提出すること、エレベーターの設置後に落成検査を受けることとされております。このうち、建築基準法に規定する一定の建築物のエレベーターについては、設置届と併せて、確認申請書と確認済証を提出することになっております。※印で、昇降機その他の建築設備を建築物に増設するときは、現在では確認済証の提出は不要となっております。
黒ポツの2点目は、エレベーターの設置後に検査済証を提出することとなっております。「また」以下ですが、積載荷重0.25t以上1t未満のエレベーターを設置する事業者は、設置報告書を労働基準監督署長に提出すること、建築基準法の規定による検査を行った場合を除き、荷重試験を行うこととされております。
今般の改正の内容ですけれども、建築基準法の改正があり、クレーン等安全規則が引用する建築基準法の条項にずれが生じたということで、これを手当てする必要があること、昇降機その他の建築設備を建築物に増設する場合も、確認済証の提出を義務として、荷重試験免除の対象とするよう改正したいと考えております。施行期日については、公布日を予定しているところです。
○城内分科会長 ただいま御説明いただいた内容について質問等、発言のある方は挙手をお願いいたします。
○輪島委員 施行期日ですけれども、順調に手続が済むといつぐらいに報告して、いつになるかを教えていただければと思います。
○毛利安全課長 本日答申が得られたら、10月の中旬以降と考えております。
○城内分科会長 ほかに何か御質問等はありますか。よろしいでしょうか。それでは、クレーン等安全規則の一部を改正する省令案要綱については、妥当と認めることとしてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、事務局で答申の手続をお願いいたします。それでは議題3、「第13次労働災害防止計画の実施状況について」に関し、事務局から報告をお願いします。
○和田調査官 私から、資料3に基づき説明させていただきます。第13次労働災害防止計画については、2018年度から2022年度までを計画期間として取り組んでおります。計画の主な目標に関する2018年の実績などについて、本日、御報告させていただければと思います。
2ページを御覧ください。まず死亡災害と死傷災害の全体です。死亡災害については死亡者数が2017年と比較し、2022年までには15%減少させること、同じく死傷災害については、死傷者数を5%以上減少させることを目標としております。2018年の実績ですが、死亡災害は7.1%の減少、死傷災害は5.7%の増加となっております。
次に、重点とする業種の目標です。死亡災害の撲滅を目指した対策を推進している建設業、製造業及び林業については、全体の目標と同じく、15%以上減少させることを目標としております。また、就業構造の変化や、働き方の多様化に対応した対策を推進している陸上貨物運送事業、小売業、社会福祉施設及び飲食店については、2017年と比較して2022年までに、労働者1,000人当たり1年間に発生する死傷者数である死傷年千人率を、5%以上減少させることを目標としております。これらに対して2018年の実績は、死亡災害は、建設業で4.3%の減少、林業で22.5%と大幅に減少している一方で、製造業は14.4%増となっております。また、重点業種の死傷年千人率については、陸上貨物運送事業で5.8%の増加、小売業で4.9%の増加、社会福祉施設で6.0%の増加となる一方で、飲食店については0.9%の減少となっております。
3ページを御覧ください。健康確保・健康障害防止に係る目標です。健康確保対策については、仕事上の不安、悩み又はストレスについて、職場に事業場外資源を含めた相談先がある労働者の割合を90%以上にするという目標に対し、2018年の実績は73.3%となっております。メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上にする目標に対しては59.2%、ストレスチェックの結果を集団分析し、その結果を活用した事業場の割合を60%以上にする目標に対しては63.7%となっております。
次に、健康障害防止対策の関係です。GHSによる分類の結果、危険又は有害性等を有するとされる全ての化学物質について、ラベル表示とSDSの交付を行っている化学物質譲渡・提供者の割合を80%以上にするという目標は、2018年の実績は集計中です。第三次産業と陸上貨物運送事業の腰痛による死傷者数について、2017年と比較して2022年までに死傷年千人率を5%以上減少させる目標に対しては、2018年の実績は第三次産業で0.08と前年と同じであり、陸上貨物運送事業では目標の0.33となっております。職場での熱中症による死亡者数を、2013年から2017年までの5年間と比較し、2018年から2022年の5年間で5%以上減少させるという目標に対しては、2018年の実績は28人となっております。
4ページを御覧ください。全産業の労働災害の発生状況です。死亡災害は前年に比べて製造業で増加し、建設業、林業、陸上貨物運送事業で減少しました。また、死傷災害については陸上貨物運送事業、小売業、社会福祉施設、飲食店など、13次防で重点業種として掲げている全てで増加しております。特に転倒災害は、全ての産業で前年を上回っており、全産業で対前年比10%以上の増加となっております。同じページの下段の参考で、令和元年度における労働災害の発生状況について、8月末の速報値を載せております。今年は死亡災害、死傷災害ともに、前年に比べて減少しております。
5ページ以降では重点として取り組んでいる対策について、13次防の初年度の取組と、令和元年度以降の取組を記載しております。時間の関係もありますので、簡単に御説明させていただきます。まず建設業です。発生状況を見ますと、死亡災害、死傷災害ともに墜落・転落が最も多くなっております。初年度は、墜落のおそれがある高所作業におけるフルハーネス型の墜落制止用器具の使用を原則化しました。令和元年度以降については中小規模の事業主を対象に、本年度創設した既存不適合機械等更新支援補助金の活用により、フルハーネス型への更新を促進していくこととしております。
6ページを御覧ください。製造業対策です。発生状況を見ますと、死亡者数、死傷者数ともに前年より増加し、事故の型では機械等によるはさまれ・巻き込まれが最も多くなっております。初年度は、機械によるはさまれ・巻き込まれ災害、特に食料品加工用機械について重点的に指導を実施するとともに、主要製造業の団体を対象に製造業安全対策官民協議会を開催するなどの取組を実施しました。令和元年度以降はこれらの取組に加え、IoTを活用した安全管理手法の調査・検討と普及、AI等を使用した自律的で自走可能な機械等の安全対策の検討などに取り組んでいくこととしております。
7ページを御覧ください。林業対策です。事故の型では、死亡災害が前年より減少しましたが、立木等による激突されが最も多くなっております。初年度は、安衛則と特別教育規程の改正により、伐木作業等の安全対策の強化を図ったところです。令和元年度以降は、この省令改正を踏まえ、伐木等作業の安全に係るガイドラインを作成し、それを踏まえたマニュアルを開発し、それらの周知を図っていくこととしております。
8ページを御覧ください。過労死等の防止などの労働者健康確保対策です。初年度は、働き方改革関連法により安衛法を改正し、長時間労働者への医師による面接指導の強化や労働者からの健康相談に適切に対応するため、必要な体制整備を行うとともに、全国の産業保健総合支援センター等において産業保健スタッフ等に対する研修を実施したり、メンタルヘルス対策に係る事業場への訪問支援を行ったりするなどの取組を行いました。令和元年度以降については、これらの取組に加え、職場環境改善が促進されるストレスチェックの項目の開発研究や、特定業種を中心としたメンタルヘルス対策の好事例に関する調査等事業において、事例集を作成する予定としております。
9ページを御覧ください。陸上貨物運送事業、第三次産業への対策です。死傷災害について、陸上貨物運送事業では荷役作業時の墜落・転落等が多く発生しております。小売業、社会福祉施設、飲食店では転倒が多く、全体の3分の2を占めて大幅に増加しております。また、社会福祉施設では腰痛等の無理な反動・無理な動作も多く発生し、増加しております。
その対策ですが、10ページを御覧ください。陸上貨物運送事業対策については、初年度は、多店舗展開する大規模小売業など、複数の拠点を有する荷主などを対象に専門家を派遣し、荷主ガイドラインに示された荷主等の実施事項について指導を行うなどの取組を行いました。令和元年以降は、これらの取組に加え、荷主等事業場の荷役災害防止担当者を対象に、安全衛生教育の実施などの取組を行うこととしております。第三次産業については、引き続き経営トップに対する意識啓発のセミナーを開催するなどのほか、3号業種における安全推進者養成講習を開催することとしております。
11ページを御覧ください。転倒災害の防止、腰痛、熱中症の予防、交通労働災害の防止です。発生状況を見ますと、転倒災害は全ての業種で前年を上回っております。対前年比で10%以上の増加となりました。
12ページを御覧ください。転倒災害の防止については、初年度は、「STOP!転倒災害防止プロジェクト」により、冬期での転倒対策の重要性について注意喚起を行うとともに、視聴覚教材を作成し、厚生労働省のホームページに公開したところです。腰痛予防については、保健衛生業に加え、今年度より陸上貨物運送事業者向けの講習会を全国で開催することとしております。熱中症予防については、今年度の「STOP! 熱中症 クールワークキャンペーン」において、WBGT値に応じた休憩時間の目安や、緊急時の早めの搬送について重点的に周知を行いました。
13ページを御覧ください。高齢者労働者、非正規雇用労働者、外国人労働者等の対策です。これまでの対策に加え、令和元年度以降は、高齢者労働者対策については、高齢者労働者が働きやすい職場環境の整備等のためのポイントをガイドラインに取りまとめます。また、高齢者の安全・健康確保のために努力する中小企業等への支援制度として、補助金の創設を検討するなどの取組を行うこととしております。外国人労働者対策については、外国人労働者向けの多言語での視聴覚教材の開発、外国人労働者に対する安全衛生に係る相談体制の充実を図ることとしております。
14ページを御覧ください。疾病を抱える労働者の健康確保対策です。働き方実行計画に基づき、コーディネーターの養成、企業・医療機関への連携マニュアルの作成などトライアングル型サポート体制の構築、普及啓発や助成金等による支援など企業文化の抜本改革などの取組を行っております。令和元年度以降の取組としてはこれらに加え、今年度は難病、来年度は糖尿病及び心疾患の企業・医療機関連携マニュアルを作成することとしております。また、治療と仕事の両立支援の認知度がまだ十分とは言えない状況が見られるため、今年度はシンポジウム等の開催地域を、昨年度の8か所から26か所に拡大し、更なる普及啓発を図ることとしております。
15ページを御覧ください。化学物質等による健康障害防止対策です。これまでの取組に加え、令和元年以降については、職場における化学物質等の管理の在り方に関する検討会を開催し、国によるリスク評価、事業場における化学物質等による労働災害防止対策、ラベル表示・SDS等の危険有害情報の伝達、化学物質等の管理に係る人材育成等の在り方について検討しているところです。
16ページを御覧ください。石綿対策については、建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会を開催し、対策の充実について検討しており、今後、この検討会の検討結果等を踏まえ、対策の対応を検討することとしております。受動喫煙防止対策については、喫煙室の設置等への助成や電話相談等の支援をしていますが、助成金の予算規模を拡大し、中小事業者等に対し、更なる支援を実施することとしております。
電離放射線対策については、東電福島第一原発の廃炉作業に従事する労働者の健康相談窓口の運営などの取組を行っています。粉じん対策については、トンネル工事に従事する労働者を対象に、建災防においてずい道等建設労働者健康情報管理システムの運用を開始したところです。
最後に、17ページを御覧ください。企業・業界単位での安全衛生の取組の強化、管理組織の強化、人材育成の推進、国民全体の安全・衛生意識の高揚等の関係です。ここでは労働安全衛生マネジメントシステムのISO規格化の発効を踏まえてJISが制定され、それらを踏まえマネジメントシステムの指針を改定したところです。令和元年度以降の取組としては、これまでの取組に加え、企業単位での安全衛生の管理の在り方について検討を行うとともに、事業場における労働者の健康保持増進のための指針、THP指針の見直しに向けた検討などを行うこととしております。13次防の実施状況についての説明は以上です。
○城内分科会長 本件については報告ということですが、質問等発言がある方は挙手をお願いいたします。
○増田委員 2点教えていただければと思います。10枚目に業界団体の安全衛生委員会というのがありますが、安全衛生委員会というのはそもそも事業場に設置されるものだと思いますので、どのような役割を業界団体の本部における安全衛生委員会に担わせて、何をやられるのかを確認させていただければと思います。これが1点目です。
○和田調査官 製造業の業界団体などですと、安全に関するノウハウなどが蓄積されており、団体主導で安全衛生委員会などを独自に開催して、その業界全体の安全管理の推進などについて議論しているというように伺っております。そういった製造業などでやっていることを第三次産業の業界団体の中で実施できないかということで、そういった取組への支援を今後、行わせていただきたいと考えております。
○増田委員 法令で出てくる安全衛生委員会ではないということですね。
○和田調査官 法令で出てくる安全衛生委員会ではございません。
○増田委員 もう一点は、14枚目で両立支援コーディネーターのお話が出てきまして、2,316人養成済とのことですが、では、2,316人のうちどの程度の人数がどのようなことを今やっているのか、そういうものが分かるデータ、資料等がありましたら、その内容を教えていただければと思います。
○井内労働衛生課長 今、御質問を頂きましたコーディネーターが、今、どこでどういうことをということですが、今、そのデータ自体は有るか無いかで言うと、ありません。おおむね医師であったり、看護師であったり、ソーシャルワーカーであったり、いわゆる専門職外とか、そういった内訳はありますが、その方が、今、現場でどのようなことをやっているかというデータはありません。
○増田委員 本当に必要な役割であるのであれば、その活動状況まで、やはり追跡していくべきだと思いますので、何らかの形で報告に入れていただければという気もいたします。ありがとうございます。
○城内分科会長 縄野委員、お願いいたします。
○縄野委員 9ページからの陸上貨物運送事業の対策についてです。9ページに災害の発生状況ということで、残念ながら死傷者数が3年連続で増加しています。その対策として先ほど説明がありましたように、10ページに専門家を派遣して荷主等に、前年以上の指導を行うということが主な取組として記載されております。これはこれで必要なことだと思いますが、併せて、例えば事故の発生件数の多い荷主事業場があるとすれば、それはやはり事故を誘発する何がしかの問題点があるというように捉えざるを得ないわけでして、そうした事業場での事故を減少させるためには、ここに記載の指導のほかに、事業場個々への指導といったものを実施していかないと、なかなか事故の発生件数というのは減少していかないのではないかと思っていますが、いかがでしょうか。○毛利安全課長 確かに陸上貨物運送事業において災害が増えているということで、今、災害が多い事業者について重点的に指導するとか、あるいは個々の事業者に対して指導を重点的に行っているところです。荷主を中心に見まして、問題がある所についても指導してはどうかという御意見でしたので、そういった点について、今後、検討させていただければと思います。ありがとうございます。
○城内分科会長 中村委員、よろしいでしょうか。
○中村委員 7ページの林業対策の関係についてです。令和元年度以降の主な取組ということで記載がありますが、上段で書いてあるとおり、労安則等改正になって、今、ガイドラインの改定中ということで、例えば労安則では浴びせ倒しといったものが禁止事項になっていますが、それのみで、この場でも多分御議論になったと思いますけれども、例えば元玉切りの作業とかといったことについてはガイドラインには明記されていますが、いわゆる罰則規定等はないのではないかと思っております。ということで、ガイドラインに盛り込まれた対策については、これをいかに確実に実践していくのかというところが今後問われるのではないかと思っております。
2018年については、死亡災害も減少していると言っていますけれども、2019年に入ってから、また、ここ数箇月立て続けで死亡災害が起きているのではないかと思っております。ということで、このガイドラインの改定を踏まえて、今後、どのように事業主に対してこの安全対策を徹底させていくのか。又は、最終的には労働者がきちんとそういった動作をしなければならない話ですので、そういったものを具体的に今後どのように取り組んでいくのかお聞かせ願えればと思います。以上です。
○毛利安全課長 お答えいたします。中村委員におっしゃっていただいたように、2019年に入りまして、林業の死亡災害が増えています。伐木作業等については、省令改正の段階から議論しまして、ようやくガイドラインを出せる一歩手前ぐらいまできているわけですので、これを実際にしっかりとやっていくということについて、災害防止の啓発をする絶好の機会と捉えまして、労働局、監督署を挙げましてしっかりと指導していきたい、個々の事業場に対しても指導していきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
○中村委員 分かりました。ありがとうございました。
○城内分科会長 ほかに御発言はありませんでしょうか。
○砂金委員 5ページを拝見させていただきましたけれども、建設業等では実際の計画の表から労基法災害の死亡者数ということで、減少させたいということで、実績としては減り方が、目標に届くのかなというところはあろうかと思いますが、例えば死亡者数の分析の中で、年齢構成といったようなことが分かるような形になっているのかどうかというところを教えていただければと思いました。
というのは、御存じのように、建設業は高齢化が進んでいて、となると、高齢化されている方が従事せざるを得ないという状況にもあろうかと思いますけれども、効果的な対策ということを少し御提案されるというのがいいのかなと感じたもので、教えていただければと思いました。よろしくお願いします。
○毛利安全課長 今、御指摘にありましたように、高齢者が占める労働災害の割合というのは、今、休業災害で言うと4分の1を超えているという実態もありまして、今年に入ってから高年齢労働者の労働災害についても有識者会議開催しております。その中で、今、御指摘にありました建設業などについても、どういった年齢の方が被災しているのかということもしっかりデータで把握しながら、今後、どういう対策が有効なのか。やはり法令で決まっていることは最低限という中で、どういうものをやっていただくのがよろしいかということについて、意見を頂きながら今後考えていくということにしております。以上でございます。よろしくお願いいたします。
○砂金委員 どうもありがとうございました。
○城内分科会長 ほかに何か御発言はありますでしょうか。よろしいですか。
では、議題4、副業・兼業の場合の健康確保措置に関して、事務局から報告をお願いします。
○小宅計画課長 私から御説明させていただきます。まず、副業・兼業の促進に関して参考資料2のほうですが、先般、副業・兼業の場合による労働時間管理の在り方に関する検討会報告書というものが取りまとめられました。資料4の1ページ目においては、その取りまとめまでの経緯を簡単にまとめております。平成29年の働き方実行計画の中で、問題意識としては、兼業・副業を希望する方が近年増加している一方、認める企業というのは少ないのが実態です。これを労働者の健康確保に留意しつつ、普及・促進を図るという問題意識の下に検討すべきということになりまして、柔軟な働き方に関する検討会というものが開かれまして、ガイドライン策定とか、モデル就業規則の改定といったことが行われました。また、平成30年の「未来投資戦略2018」においては、労働者が1つの企業に依存することなく、主体的に自身のキャリア形成をすることを支援するといった観点からの問題意識として、実効ある労働管理の在り方とか、労災補償の在り方について、労働者の健康確保に留意しつつ、労働政策審議会において検討を進めるといったようなこととされまして、参考資料2にあります副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会というのが設けられて、先般、報告書が取りまとめられたところです。
資料としては、次ページと、その次のページにガイドラインとモデル就業規則を付けておりますが、このようなものが取りまとまったところです。このいずれにおいても1ページ目にありますように、単に労働時間の問題ということではなくて、健康管理というものに注意して兼業・副業を進めていく必要があるということが強く言われておりまして、その関係で、本日、安全衛生分科会においてもこの検討会の御説明をさせていただくところです。報告書の内容ですが、資料の後ろから2枚目の所ですけれども、参集者は御覧のとおりでして、昨年7月から本年まで9回の検討会が開かれまして、取りまとめられたところです。
最後のページです。中身については、まず全体として兼業・副業の普及・促進に当たって健康確保の充実度、実効性のある労働管理が重要だという認識が示されております。その上で、労働法制の経緯とか、企業へのヒアリング、外国の状況などを踏まえて、今後の方針について考えられる選択肢の例示を整理したということです。あくまで選択肢の例示ということで、このようなものがあるのではないかというものだとされております。
その中で、健康管理については、まず、現状としては1つ目の○にありますように、労働安全衛生法においては、健康確保措置として面接指導等が義務付けられておりますけれども、それは当該事業場の労働者の労働時間が、何時間以上という場合には対象とするというような定められ方でして、複数の事業者での労働時間を足し合わせて何時間ということではないということになっています。副業・兼業を行う労働者の健康の確保の観点から、新たに労働者の自己申告を前提にして通算した労働時間、例えば月の労働時間を把握するというようなことも考えられるのではないか。そういったことを基に健康確保をするということも考えられるのではないかということが書かれています。ただ、その際の留意点としては、副業・兼業自体、余り使用者に把握されるということはいかがかと、プライバシーの問題もあるというような点も御意見が出されていました。
そういったことを踏まえて具体的に、例えば、どのような対策が考えられるかということで、マル1-1、マル1-2、マル2という3つの例示がされております。マル1-1は、兼業・副業している労働者について、自己申告でそういうことをしているということを把握をした場合に通算の労働時間の状況などを勘案して、面談ですとか、労働時間の短縮等の何がしかの健康確保措置を講じるように配慮するという責務規定を置いて、勤務実態に応じた対策を講じていただくということがあり得るのではないか。
マル1-2として、兼業・副業をしている労働者の自己申告によって把握して通算した労働時間の状況に基づいて一定の時間を働いている場合には、労働時間の短縮措置を講ずるといったこと。それから、自らの事業場における措置のみでは対応が困難だというような場合には、副業・兼業先と相談した上で適切な措置をするといったことを義務付ける。そういった少し具体的なことに義務付けるということがあるのではないか。
マル2として、労働時間の把握というよりは、労働者が兼業・副業しているということに着目しまして、そういった旨の自己申告があった場合に医師の面接指導、ストレスチェックの対象にするということで、何らかの形の対策を講じるということが考えられるのではないかということが言われております。
※にありますけれども、ただ、労働時間の上限規制とか、割増賃金でどのような形になるかというようなことと関連して健康管理の在り方も変わるのではないかということに、留意が必要ということが言われております。その他、直接健康確保とリンクするものではありませんが、上限規制の在り方についてどうするのか。割増賃金についても、例えばということで、どのようなものが考えられるのかということが報告されております。本日は、こういった報告書がまとめられたということで、御紹介させていただきました。以上でございます。
○城内分科会長 本件については報告ということですが、質問等発言のある方は挙手をお願いいたします。
○最川委員 根本的なところの質問をさせていただきます。働き方改革の時間外の上限規制で、2019年4月から既に施行されている一般的な残業時間の上限は、原則として、月45時間・年360時間となる対策が取られていますが、副業・兼業の場合の在り方でその労働時間を超えても推進していくといった考えは、あるのでしょうか。本来はその時間を超えないような対策を取るというのが前提で、この検討会の内容を見ると、超えた場合にどうするかというような検討事項が多いのですが、そもそも超えないような検討がされていたかどうかというのをお聞きしたいのです。
○黒澤労働条件政策課長 労働条件政策課長でございます。労働条件分科会のほうの事務局をさせていただいています。私から御説明申し上げます。この副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方という、そもそもの問題の発端としては、1つの政策の方向性として副業・兼業といったものを促進していくということでされているわけですが、一方でこの労働時間に関しては、そもそもが、できる限り短縮をするということで取り組んできておりますし、さらに、先般の働き方改革法によりまして、いわゆる上限規制というものが罰則付きで設けられたということです。
一方、労働時間に関しては、事業場が異なる場合、これは事業主が異なる場合も含まれますけれども、複数の所で働いているときは、この労働時間を通算をすると。これは労働基準法上に既に規定があります。そうしますと、今後、副業・兼業といったものはこれまでも必ずしもそれほど数が多くなかったとしても、現に希望される方なども増えてきている。そうしますと、会社が異なる場合にどうやって通算してその労働時間の管理をしていくのか、実効性のある管理の仕方といったものはどのようなものがあるのかといったことが、この検討会で検討することになった経過です。
御質問の点ですが、副業・兼業の場合であっても、当然ながらその法律上の上限規制は守る必要はありまして、副業・兼業の場合において上限など関係なく、際限なく働かせるといったような議論がされているわけでは決してありません。あくまで会社が異なる場合であっても、どうやってこの労働時間を適切に管理をしていくのかというのがここで議論されたものです。
○最川委員 この管理と言われているところですが、この分科会の中では労働安全衛生法の中の縛りで多分検討されていくのだと思っています。労働安全衛生法は事業主がどう管理していくかというような観点だと思いますけれども、そもそも労働者がその労働時間を超えないようにさせるためにどうすれば良いかという検討がなされていたのか、そういう事項がなかったのか。今回の検討会の中でも自己申告で時間を報告するようなことが書かれていましたけれども、海外で運用されている事例の中で労働時間を超えないように労働者へも義務を課しているような国も幾つかありますし、そのような検討というのは検討会の中でなされなかったのかというのをお聞きしたいと思います。
○黒澤労働条件政策課長 労働時間を超えないというのは、恐らく御質問の意図は上限という意味ではなくて、そもそもそこの会社で働くことになっている時間ということかと思います。それはある種、当然それぞれの会社の中で所定労働時間があり、もし法定の時間外労働であれば36協定もあるわけですので、それぞれの会社の中では当然その範囲内で労務を提供することになるわけでして、問題は、それぞれはそれぞれの36協定の範囲内で働いていたとしても、それぞれを足した場合において、先般の改正法によって導入されている上限の時間、すなわち、1か月であれば月100時間、複数月の平均であれば80時間、これを超えないようにしなければいけないと。そこの部分をどのように会社が異なる場合であっても把握、管理されていくべきかということですので、副業・兼業であっても、あくまでもそれぞれの事業場においてはそれぞれの労働契約関係なりに基づいて労務の提供がされる。そこは全く変わりはないということです。
○最川委員 それぞれの事業場の通算時間でフランスなども認められていますよね。その中で最長労働時間の規制というのはあります。そういうのは労働者自身が超えないようにしない限りは、それぞれの事業主では時間外で何をしても自由というような原則がありますので、その辺を管理できない中で、労働者自体が最長時間を超えないような対策を取るというような検討がなされたのかということをお聞きしたかったのです。
○黒澤労働条件政策課長 この議論の中においても、そういった労働時間をきちんと把握、管理していくためには労働者の自己申告というのが今回、1つのキーワードになっておりまして、やはりそれぞれきちんと管理していくに当たっては、働いている労働者自身がきちんと自らの働き方といったものを把握し、必要な報告、届出などを基にして事業場のほうでも把握していくというのが基本であるという考え方になっております。ただ、その場合でありましても、本当に自己申告といったやり方に依拠することができるのか。その内容の正しさ、あるいはその把握の頻度をどうするのかといったことに関しては、この検討会の報告書においても、引き続き検討が必要であるということで、そこまでの結論は、まだこの検討会でも整理されていないところでして、今後の課題という形で御指摘を頂いているということです。
○最川委員 もう一点ですが、多分、労働条件分科会と労働安全衛生分科会の両方で話し合いをされていくと思っています。先に労働条件分科会のほうで労働基準法の36協定とか、そちらのほうの管理の時間が決まってくると思いますけれども、その時点で健康管理についての検討では、超えた場合にどうするか、超えた場合の対策を、今度、安全衛生分科会の中でやらなければいけくなってしまう。事業主責任がどうなるのだと。それをどう管理していくかというようなことになってしまうのではないかという懸念があります。そもそも超えないような対策がまず必要だと思いますので、条件分科会で決まってから安全衛生分科会に掛けるのではなくて、やはりあくまでも同時進行で、健康管理の問題をまず、検討していただきたい。本当にちゃんとした申告ができるのかどうかというところを踏まえた検討を行っていただきたいという要望です。
○城内分科会長 中澤委員、お願いいたします。
○中澤委員 2点ほど教えていただきたいのですが、3ページにいわゆる副業・兼業に関する現行制度での取扱いということで、労基法の38条、それから昭和23年の局長通達が出ています。局長通達により事業主を異にする場合も含むということで、労働時間を通算するという解釈がなされています。そういう意味では時間管理に関する限り古くて新しい問題という感覚があるのですが、過去にこういったことについて議論されたということはあるのかないのかというのが、1点です。
それから、もう1つは報告書の中を細かく見ていないのですが、副業と兼業の概念の違いというのは、何か議論が行われているのでしょうか。この2点を教えていただきたいと思います。
○黒澤労働条件政策課長 労働時間のものという御理解の下に、私から御説明をさせていただきたいと思います。1点目、これまで議論があったかというところですが、労働政策審議会の中には、労働政策基本部会という本審に直結をしている部会があります。こちらでこの時間・空間・企業に縛られない働き方ということで、平成30年の前半に議論をされています。その中のあくまでも1つとして、副業・兼業に関しても御議論がされた経緯があります。その報告書といったものは、平成30年9月に労政審全体として公表をされているわけです。そちらにおいては、1つは先ほどの資料で説明があったようにガイドライン、モデル就業規則、そういったまず既存のものに関して効果的な周知を行うべきであるということで、併せて、ただいま御議論いただいているような労働時間管理の在り方などについて、十分な検討を進めるべきであるということとされています。あくまでどういった方向を目指していくのかというのは、それぞれの分科会の中での議論というところです。
それから2点目ですが、副業・兼業、あるいは兼業・副業といった言い方に関しては、特に労働関係法令上で何らか特定の定義規定が置かれているというわけではありません。一般的な言葉の意味として当然ながら、同時に2つの仕事をしている、あるいは特に副業という言い方で本業・副業の対応関係でいけば、主として収入を得ている仕事があり、余っている時間で更にもう1つ仕事をやるという感覚であろうとは思います。いずれにしても、法令上現在、定義があるものではありませんので、同時期に複数の仕事をしている状態、あるいはその仕事自体、それを副業なり兼業なりと呼んでいるところの理解であると考えています。
○中澤委員 兼業と副業のそれぞれの概念付けは特段していないということですね、それから、1点目に質問については、平成30年にそういう経緯があるというお話なのですが、非常に素朴な疑問ですが、労働基準法というのは昭和22年の法律で、局長通達も昭和23年に出ているということで、ある意味かなりの時間がたっているわけです。その中で、こういった問題は発生してこなかった、あるいは議論がされなかったというのは、そもそもそういう方々がいなかったということなのか、あるいは何かそういうところで、例えば今のお話ですと、労働時間管理問題や安全衛生問題も従来からあるわけですが、そういった観点で問題になった案件は過去にはなかったのでしょうか。
○黒澤労働条件政策課長 今の御指摘ですが、そういった解釈などに関しては、御指摘の昭和23年の解釈以外には解釈として示されているものはないというところです。先ほど事務局の説明にありましたように、働き方改革実行計画といったようなものの中で、1つこの副業・兼業といったものに着目がされ、そこのルールといったものについては改めて、問題がないかどうかといった観点から、着目をされているというようなところがあります。
もう1つですが、これはちょうど御指摘いただいた、この検討会報告書の3ページの1番の「はじめに」にもありますが、これまでは実態としてパート労働の掛け持ちや、あるいは副業としてアルバイトといったようなものもあったということは、事実であると思いますが、特にそういったルールが大きく問題になることも実態としてはなかった。ただ今回、そういった形で副業・兼業の促進をしていく、あるいはデータではこの検討会報告書の4ページにもありますが、副業・兼業を希望している方、あるいは実際に副業・兼業されている方も増加してきている、そのようなことを考えますと、1つ政策課題としても、このような複数の仕事をしている場合のワークルールといった問題については、やはり今一度、検討する必要があるのではないかと、そのような背景であろうと考えています。
○城内分科会長 よろしいでしょうか。
○輪島委員 計画課長からの先ほどの御説明は、この安全衛生分科会には本件について報告とあったのですが、その点の確認です。最川委員がおっしゃった点も気になる点で、若干整理のためにお伺いしたいと思いますが、9月26日の労働条件分科会並びに10月1日の労災保険部会についても、同じようにこの報告書が説明をされています。その2つの審議会では、どちらかというと報告をしてこれから議論のスタートというような位置付けでしたが、計画課長の御説明は安全衛生分科会については単なる報告という印象を受けましたが、その点の関係性はどのような整理を事務局でされているのかをお伺いします。
○漆原委員 すみません、今の輪島委員の意見と関連してということになるかと思うのですが、参考資料2の27ページに、そもそもこの検討会が設置をされた背景には、未来投資戦略2018で労政審等において検討を進め、速やかに結論を得るということを受けてとのことでした。そのうえで26ページの「おわりに」を見ると、「そこでの結論は労使の参画の場である労政審において引き続き積極的な議論」という形になっています。ここの最初の「速やかに結論を得る」というのは、具体的にどのくらいの時間的なレンジを想定をされていて、また、この検討会の報告書を受けて、この安衛分科会においては、どういうスケジュール感で検討をしていくのでしょうか。例えば、労災保険や雇用保険についてはすでに検討されていることも踏まえた、安衛分科会のスケジュール感も合わせてお聞かせいただければと思います。以上です。
○村山安全衛生部長 今、労使各側の委員から何点か御質問いただきましたので、私からお答えします。
まず最川委員から、労働条件分科会と安全衛生分科会で同時的な検討が必要ではないかという御意見があり、また輪島委員からは、そもそも本日の「報告」の位置付けに関する御質問がありました。今、漆原委員からは、今日の時点での労災、雇用保険、更に労働条件も含めて、全体のスケジュール感についてのお尋ねがありました。
まず、基本的な考え方を申し上げておきたいと思います。先ほど計画課長から説明しましたように、累次の閣議決定の中でも長時間労働の抑制や労働者の健康確保に留意しつつ、副業・兼業の普及促進を図るということが、政府の大きな方針として打ち出されております。私ども政府の一員として、この基本的な考え方にのっとるとともに、それぞれの法制度に関して、各分科会、部会が存在する中で整合性を取って議論していくことは、大変重要な課題であると考えております。その上で本日の「報告」の趣旨ですが、基本的に分科会に議題をお諮りするときに「諮問」するか、「報告」するかという分類にしております。本日の議題の中でも、省令案要綱を諮問し、皆様の御理解を得て、本日2つの御答申を頂く方向になりましたが、そういう諮問案件と報告する案件があるということです。その意味において、先ほど計画課長から本日は御報告する旨を申し上げたものです。この位置付け自体は、労働条件分科会で事務局から「報告」したということと、何ら変わるものではないと考えています。
スケジュール感に関して、検討会自体は先ほど計画課長からも説明したように、30年7月の時点で立ち上げた上で、漆原委員からお話がありましたように、様々な状況の変化ということもありましたので、途中の時点で「速やかに」という表現をどう解釈していたのかという論点はあると思いますが、私どもとしては、先ほど説明した成長戦略実行計画等の中で、本年6月に、改めて政府として労働政策審議会において議論を開始し、可能な限り速やかに結論を得るということを閣議決定した中で、本日、御報告を1つのスタートとして、今後どのように速やかにできるのかというスケジュール感や段取りも含めて、よく公労使各側の皆さんと意見を交換していきたいと考えているところです。その上で、最川委員からお話がありましたように、労働条件分科会等で話が進んでしまって、安全衛生分科会の委員の皆様方に、「議論の外堀が埋まる中で難しい話を決めることだけお願いします」ということになってはいけませんので、日程調整上、労働条件分科会が9月26日、安全衛生分科会が本日ということになりましたが、基本的には同時に、諮問ではない御報告の形で、まず有識者の方々にお取りまとめいただいたこの検討会の、必ずしも何か結論付けるものではなく、選択肢を示した報告書の内容について御報告をして、本日も多々、既に御意見も頂いていますので、これも踏まえて今後のスケジュール感、進め方については、よく各側の皆さんと御相談をしていきたいというのが、現時点での私どもの考え方ということです。更に御意見があれば、本日は御意見と御質問を広く伺えればというのが率直なところです。雑ぱくですが、以上です。
○城内分科会長 そのほか御発言は。
○熊崎委員 これから議論がスタートされるということですが、副業と兼業の普及促進に当たって健康確保、安全管理時間、労働時間管理。そのほかに安全確保も重要な問題かと存じます。そこで例えば、通勤災害といった副業と兼業がオーバーラップするようなところでの労災、そういったことについては、どのようにお考えになっているのか、あるいは検討される御予定があるのかについて、お教えいただきたいのですが。
○小宅計画課長 計画課長です。通勤災害に関しては、既に移動ということで基本的には整理済みだということだと思います。
○熊崎委員 もう少し御説明いただけますか。
○小宅計画課長 現行の労災の認定におきましては、移動の実態に応じてA事業所からB事業所に移動するところについても、労災認定される場合とされない場合というのが既に整理済みということです。基本的には新しい問題ではないのだろうと思います。現行でも既に、移動というところでの労災認定はされ得るということになっています。
○熊崎委員 今のお話ですと、同一企業内の事業所間の移動ということで、既に整理がされている。それと同じような形で、副業先と兼業先での移動も説明がつくと、同じように判断できるというような解釈でよろしいのでしょうか。
○小宅計画課長 はい、同一企業に限らず、他の企業においての場合も、なり得ることはあるということで、整理済みと。
○城内分科会長 そのほか御発言は。
○輪島委員 それでは労働条件分科会でも労災保険部会と同じことを申しましたので、安全衛生分科会でも同じことを申し上げたいと思いますが、企業の実態として兼業・副業をどのように考えているかということになりますと、正にこの資料4の最後のページにありますように、健康管理について、上限規制について、割増賃金について、どのように取扱いをしたらよろしいのかということについて、大変不安を感じているところです。現時点では、政府の大きな方向性については理解をしているわけですが、具体的なところについて心配事が多々あるという観点で、積極的に推進をしていくということについては、課題が大きいと認識をしているところです。
特に最後のページにあるように、安全衛生法上の健康管理について、どのようになるのか。労働基準法上の上限規制と割増賃金について、どのような整理になるのか。労災保険法上の兼業・副業、特に負荷の合算と給付の合算の論点について、それぞれについて同時進行的に議論が進まないと、やはり使用者側としては判断がつかないのではないかと思っています。上限規制と割増賃金は、ある意味でデジタルなので超えるか超えないのかについては、ここの論点にもありますが、過労死等々の状況からすると、健康管理について大変重要な論点があるのではないかと考えているところです。
その点で言うと、最川委員が先ほどおっしゃった、また今、村山部長から御指摘がありましたように、同時並行的ではあるとは言いつつ、やはり健康管理を少し先行して議論するということは大事なのではないかと思います。一方で、労災保険部会について言うと、この学者の検討会の前から、既に労災保険上の給付の合算について、負荷の合算について、議論が始まっていまして、先行しているという形になっていますが、これについては切り離さずに、パッケージとして、つまり労働基準法、安全衛生法、労災保険法等をパッケージで、この兼業・副業の議論で議論していくということが大事なのではないかと思っているところです。重ねて申し上げておきたいと思います。以上です。
○城内分科会長 そのほかは。
○漆原委員 現実には、兼業・副業をしないと生計費が維持できない方がおられます。それ自体がそもそも問題ではありますが、そういった働き方をされている方がいる以上、そうした方々も「保護」する必要があるという意味で、こういった法律の改正は必要であると思っています。ただし、兼業・副業は、少なくとも政府が積極的に推進するべきものではないというのが労働者側の基本的な考え方です。安衛分科会以外でも兼業・副業に関する検討がされておりますが、とりわけ「健康管理」は重要なところですので、その議論をしっかりやるべきではないかと考えております。
○城内分科会長 増田委員、お願いします。
○増田委員 資料4の最後のページに健康管理のことが載っています。現行の健康確保措置の枠組みに何らかの形で組み込むこと、とあるのですが、現行の健康確保措置の枠組みでキーパーソンになるのは、やはり産業医だろうと思っています。産業医が産業医として機能する、業務を遂行することを担保している要件の1つに産業医の勧告権があろうかと思います。ただ、あくまでも産業医の勧告権というのは、産業医として選任されている事業者に対してのみ有効だと、私は理解しています。兼業・副業先の企業に対しては、産業医はなかなか有効に機能できないのではないか。そういった点で、この現行の健康確保措置の枠組みで、兼業・副業の課題に対応するのは困難な点もあるかと思います。先ほど、最川委員等からもありましたが、まずは現行の健康確保措置の枠組みでできることを、先に議論してから進めていかないといけないのではないかと感じています。産業医の立場から申し上げさせていただけたらと思いました。以上です。
○城内分科会長 そのほか御発言はありますか。私のコメントというか印象だけ述べさせていただきたいと思います。産業革命以降、労働時間が非常に問題だというのは、世界各国で多分、議論されてきたと思うのですが、日本では労働基準法から労働安全衛生法が分かれたときに、有害因子の中に労働時間は入っていないのです。それはとても私は面白いなと思って、見ています。概念としてそのとき何で入らなかったのかとか、日本では労働時間というのはどういう位置付けだったのかというのは、とても面白いなと思っています。これはただのコメントです。
そのほか御発言はありますか。それでは、これで全ての議題は終了しました。本日も熱心に御議論いただきまして、ありがとうございました。最後に事務局から連絡事項をお願いします。
○小宅計画課長 次回の分科会ですが、日程については別途御連絡させていただきたいと思います。
○城内分科会長 それでは本日の分科会は、これで終了します。なお、議事録の署名については、労働者代表委員は袈裟丸委員、使用者代表委員は増田委員にお願いしたいと思います。本日はお忙しい中、ありがとうございました。