第284回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録

日時

2019年(令和元年)6月25日(火)13:00~

 

場所

労働委員会会館 第612会議室
 

出席者

(公益代表委員)
・小野 晶子
・鎌田 耕一(部会長)
・松浦 民恵

(労働者代表委員)
・木住野 徹
・永井 幸子
・奈良 統一
・村上 陽子

(使用者代表委員)
・佐久間 一浩
・中西 志保美
・正木 義久
・森川 誠
 

議題

(1)労働者派遣制度について(公開)
(2)労働者派遣事業の許可等について(非公開)
(3)有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の許可について(非公開)

議事

議事内容
○鎌田部会長 定刻となりましたので、ただいまから第284回労働力需給制度部会を開催いたします。前回、非公開の場でしたが、前回から各側4人ということでメンバーを追加し、このような部会体制を取っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。前回、既に新しい委員の方には御挨拶いただきましたので、改めてということはいたしませんが、このような体制で進めたいと思います。
今日は、議題(1)の労働者派遣制度についてを公開で行い、その後、許可の諮問に係る審査を行うこととしています。後者については、資産の状況等、事業主に関する個別の事項を扱うことから非公開とさせていただきます。その際、傍聴されている方々には退席をお願いいたしますので、あらかじめ御承知おきいただければと思います。なお、本日は公益代表の藤本委員が所用により御欠席されております。
それでは議事に入ります。最初の議題は、労働者派遣制度の在り方についてです。まずは、土屋職業安定局長より御発言をお願いいたします。よろしくお願いします。
 
○土屋局長 職業安定局長の土屋でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。委員の皆様方には、日頃から労働力需給調整制度に関し、様々な御協力、御指導を賜っています。誠にありがとうございます。
労働者派遣制度については、昭和60年に創設されて以降、これまで、経済・産業構造の変化や価値観の多様化に伴う企業や労働者の多様な働き方のニーズに対応するため、数次の改正を行ってきました。近年では、平成24年、平成27年、そして昨年と労働者派遣法を改正しているところです。昨年の改正では、派遣労働者の待遇の改善を図るために、不合理な待遇差を解消するための規定の整備等を行うこととされ、来年4月1日から施行される予定です。一方、平成24年の改正事項については、平成26年1月に頂いている労働政策審議会の建議において、施行状況についての情報の蓄積を図りつつ、見直しについて引き続き当審議会で検討を行うことが適当であるとされているところです。また、平成27年の改正において、平成27年改正法の附則で、施行後3年を目途として、施行状況を勘案して検討を行う旨が規定されていまして、附帯決議も付されているところです。
これらの状況を踏まえ、事務局としては部会での御議論を深めていただきたいと考えており、まずは部会での御議論も踏まえつつ、最新の時点での施行状況の把握や、派遣で働く方々、事業者の方々の声を伺うなど、実態の把握を進めていきたいと考えています。委員の皆様方には、精力的な御議論を頂ければと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 
○鎌田部会長 どうもありがとうございました。本日の部会では、事務局より今後の労働者派遣制度についての関係資料を説明していただき、この部会の今後の進め方について御議論いただきたいと思います。それでは、事務局から説明をお願いいたします。
 
○古屋調査官 調査官の古屋と申します。どうぞよろしくお願いいたします。労働者派遣法の改正経緯と検討事項案について御説明させていただきます。
資料1-1の1ページです。労働者派遣については、「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させること」で、派遣禁止業務や派遣期間の制限が設けられており、派遣事業については許可制となっています。
2ページです。労働者派遣法については、昭和60年に制定され、その後、経済・産業構造の変化や価値観の多様化に伴う企業や労働者の多様な働き方に対するニーズに対応すべく、改正を実施してきたところです。昭和60年においては、常用代替のおそれの少ない専門的知識等を必要とする13業務を適用対象として、施行後に16業務としたところです。平成8年に、適用業務を26業務に拡大するなどし、平成11年には、適用対象業務を建設、港湾運送、警備、医療、物の製造を除き、原則的に自由化するとともに、26業務以外の業務については、派遣受入期間を1年に制限し、派遣制度を臨時的・一時的な労働力の需給調整に関する対策と位置付けるなどしたところです。平成15年には、物の製造業務への派遣の解禁、26業務以外の業務について、派遣受入期間を1年から最大3年まで延長することとしています。その後、平成24年、平成27年、平成30年に改正を行っているところです。
具体的な内容については3ページを御覧ください。まず、平成24年改正についてです。改正法は平成24年10月1日に施行し、労働契約申込みみなし制度については平成27年10月1日に施行されたところです。具体的には、事業規制の強化として、日雇派遣について、適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められる業務や、雇用機会の確保が特に困難な場合等を除いて、原則禁止としました。また、グループ企業内派遣の8割規制、離職後1年以内の派遣労働者としての受入れの禁止を定めたところです。
派遣労働者の無期雇用化や待遇の改善のため、一定の有期雇用の派遣労働者についての無期雇用への転換推進措置を努力義務化し、マージン率等の情報提供や雇入時の派遣労働者への派遣料金額の明示などを定めたところです。また、違法派遣に対する迅速・的確な対処として、違法派遣の場合に、派遣先が違法であることを知りながら派遣労働者を受け入れている場合の派遣先の労働契約の申込みみなし制度を設けたところです。この際に、「登録型派遣の在り方」、「製造業務派遣の在り方」、「特定労働者派遣事業の在り方」については、検討事項とされているところです。
4ページです。平成27年改正については、大きく分けて4つの改正を行い、平成27年9月30日に施行されたところです。まず、派遣事業の健全化のため、労働者が常時雇用される届出制の特定労働者派遣事業と、それ以外で許可制の一般労働者派遣事業の区分を廃止し、許可制に一本化したところです。次に、派遣労働者の雇用安定とキャリアアップのため、点線で囲んだ4つの雇用安定措置の義務や、計画的な教育訓練やキャリアコンサルティングを派遣元に課すこととしました。第3に、派遣期間規制を見直し、26業務の区分を廃止し、個人単位での期間制限として、同一の組織単位における継続的な受入れの上限を3年とするとともに、事業所単位の期間制限として、派遣先の同一の事業所における継続的な受入れの上限を3年とし、これを超えて受け入れようとするときは、過半数組合等から意見聴取し、意見があった場合は説明義務を課すこととしています。第4に、派遣労働者の均衡待遇措置の強化をしているところです。
5ページです。平成30年の法改正については、「働き方改革実行計画」に基づき、同一企業内の正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の是正を図るというもので、施行については2020年4月1日です。派遣労働者については、1つ目としては派遣先での均等・均衡待遇、2つ目としては労使協定による待遇のいずれかを確保するということを義務化し、派遣元に待遇差の説明義務を課すこととしているところです。
6ページです。平成24年以降の労働者派遣法の見直しの経緯を図に示したものです。一番左ですが、平成24年改正では、施行後3年の検討、派遣先の責任の在り方の検討、登録型派遣、製造業派遣、特定労働者派遣事業の見直しの検討規定、期間制限の在り方の見直しの検討などが求められております。平成26年の労政審の建議では、真ん中の点線で示している3の一部と4、5の内容について、平成27年改正法に盛り込み、1の見直しについて需給部会で引き続き検討するとなっているところです。平成27年改正では、施行状況を踏まえた施行後3年を目途の検討が求められているところです。また、職務待遇確保法で、派遣先の労働者との均等待遇の実現のための法政上の措置が求められているところで、働き方改革法に反映させているところです。
続いて、資料1-2を御覧ください。平成24年改正と平成27年改正の改正事項などから考えられる検討事項について御説明します。平成24年改正については5項目、平成27年改正については8項目を挙げています。
2ページです。まず、日雇派遣については、現行制度では一部の例外を除き、日雇労働者の労働者派遣を禁止しているところです。禁止の例外については、1で示しているように、適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められるソフトウェア開発や通訳などのいわゆる17.5業務と、2の雇用機会の確保が特に困難な労働者等として、60歳以上の方、昼間学生の方、生業収入500万円以上の副業として従事する方、世帯収入500万円以上の主たる生計者以外の方がいらっしゃるところです。(2)ですが、日雇派遣については、平成26年の建議において、法改正を行わずに実施できる見直しについて、今回の制度全体に係る見直しと併せて実施することを検討することが適当とされています。留意すべき点ですが、1として、日雇派遣による収入に生計が頼ることがないようにしつつも、年収要件を見直すことにより、雇用機会の拡大を図ること、2として、教育訓練が不十分な労働者が日雇派遣に従事することによる労災の発生の防止をすることが挙げられているところです。また、今月21日に閣議決定された規制改革実施計画においては、福祉及び介護施設における看護師の日雇派遣のニーズについて、本年度上期調査開始、今年度内に公表が求められており、副業としての日雇派遣の年収要件については、本年度検討開始とされているところです。
4ページです。グループ企業内の派遣については、派遣元事業主の親会社・派遣元事業主の親会社の子会社などの割合を8割以下とすることとされており、平成26年の建議では、平成24年改正の内容について引き続き検討とされているところです。
5ページです。派遣に関する料金額と派遣労働者の賃金額の差額の料金額に占める割合、いわゆるマージン率の情報提供については、平成27年の改正法の附帯決議において、派遣労働者保護の観点から社会通念上適切な範囲があると考えられることに鑑み、その規制の在り方について検討することとされているところです。
6ページです。労働契約の申込みみなしについては、平成27年改正法の附帯決議において、派遣労働者への周知とともに制度を利用できる状態にあることを認識できる仕組みを設けること、また離職後1年以内の受入れの禁止、派遣労働者の特定目的行為、グループ企業内派遣規制の違反等について、みなし制度の対象拡大を検討することが求められています。
7ページです。離職後1年以内の労働者の派遣禁止については、平成26年の建議で、平成24年改正法の規定について引き続き検討とされているところです。
8ページです。ここからは、平成27年改正の事項となります。許可制度への一本化についてですが、こちらについては特に指摘はありません。
9ページです。労働者派遣事業の許可の有効期間については、新期3年、更新5年としています。平成27年改正法の附帯決議においては、最初の許可、更新の際に、当該更新を受けようとする派遣元事業主が、許可基準を満たしているということを労政審に報告し、その効果を検証した上で、初回許可の有効期間の3年の短縮についても検討することとされているところです。
10ページです。雇用安定措置については、特に指摘事項はありません。11ページです。派遣受入期間の制限については、平成27年改正法の附帯決議において、過半数組合のある事業所の割合、意見聴取において過半数組合等から反対意見が出された割合と、その内容等の実態把握のための調査と分析を行うこと。労働者が過半数代表としてした正当な行為を理由とする不利益取扱いの禁止を省令で定め、違反についての厳正な対処と、状況によっては規制の在り方についての検討をすることとしています。
12ページです。計画的な教育訓練・相談機会の確保についてですが、こちらについては特に指摘等はありません。
13ページです。労働者派遣を受ける際の特定目的行為の禁止については、平成27年改正法の附帯決議において、特定行為の禁止の義務化について検討するとされているところです。
14ページです。法令違反を繰り返す派遣元事業主の公表についてですが、平成27年改正法の附帯決議において、厳正なる指導監督の強化、許可の取消しを含めた処分の徹底とともに、企業名の公表についても検討するとされているところです。
15ページです。派遣先の団体交渉応諾義務については、平成27年改正法の附帯決議において、法制化も含めた検討を行うこととし、その際、労働時間管理、安全衛生、福利厚生、職場におけるハラスメント、労働契約申込みみなし制度の適用等に関する事項に係る団体交渉における派遣先の応諾義務についても検討するとされています。
16ページは、参考として付けております。平成27年の改正法の附帯決議において、平成24年改正法の見直しの検討に当たっては、派遣労働者の保護や待遇が後退することとならないようにすること、労働者派遣法改正について、施行後の状況を踏まえ、その見直しについての検討を行う際には、今回の改正により新設された個人単位及び事業所単位の期間制限、雇用安定措置等の改正規定について、常用代替防止、派遣労働者の保護、雇用の安定等の観点から検討を行うものとするといったことが指摘されているところです。参考資料に、今回御紹介した附帯決議あるいは建議についての資料を付けていますので、御参照いただければと思います。説明については以上です。御審議いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 
○鎌田部会長 ありがとうございました。なお、資料1-2については、今後この部会で検討すべき事項に漏れがないかという観点で、御意見を頂ければと思います。ただいまの説明に対する御質問、御意見がありましたらお願いいたします。
 
○正木委員 漏れがないかという観点でとおっしゃいましたので、一応整理をお願いしたい点が1件あります。経団連では毎年、規制改革要望を出しております。昨年出しているものの中で、どちらかと言うと請負の話かもしれないのですけれども、派遣と請負によって行われる、事業区分の基準の見直しをお願いしております。
具体的には、顧客のニーズが多様化したり、市場変化のスピードが非常に加速したりする中で、開発の仕方が「ウォーターフォール型」と言っていた従来型から、最近は発注者と委託先のエンジニアとで共同開発チームを作って、短期間でのトライアンドエラーと言うのですか、最近は3Dプリンターですぐに試作品などができるものですから、開発の現場は「アジャイル型」開発という手法をやるようになってきております。その場合、発注者と委託先の綿密な意思疎通とか、協同が欠かせないのですが、これが現行の法制で直接的な作業指示と判断され、偽装請負とされると、なかなか厳しいものがあります。
委託先は、もともと技術者派遣を事業として想定しているわけではないため、派遣業の許可を有しておらず、派遣契約に切り替えるのはなかなか現実的ではありません。協同が直接的な作業指示に当たらないということを、Q&Aなどに追加していただくだけで結構ですが、アジャイル型の開発手法が請負の範疇の業務委託だということを、規制改革要望として出しております。この並びに入るかというと、ちょっと違うような気もするのですが、どこかでお願いしますということで、1項目だけ追加をお願いいたします。
 
○鎌田部会長 この件について、事務局として何かコメントはありますか。
 
○牛島課長 今、正木委員から御指摘のあった件ですが、コメントの中にもありましたように、むしろ解釈の明確化といったことで、制度の見直しなどとは一線を画する話かという気がしております。ですから、この部会で御議論いただくというよりは、むしろ事務方のほうで宿題として受けとめさせていただきます。当然、やり方によっては偽装請負の可能性は出てくるかと思いますので、どういったことが注意事項としてあるのかといったところを整理した上で、また個別に御相談をさせていただければと思っているところです。そういうことで、この制度見直しの検討と並行して、折に触れて御相談をさせていただければと思っております。もし、そういう進め方ではいかんということであれば、御指摘等を賜れればと思っております。
 
○鎌田部会長 請負についてはこれに関連して、ほかにも要望があるかもしれませんので、それを含めて、また検討させていただきます。それ以外でも結構です。何か御意見、御質問はありますか。
 
○奈良委員 幾つか検討事項が示されたのですが、この部会としてどのぐらいのスピードで期日的な目途をもって検討するかというのを、最初に教えていただきたいのです。
 
○鎌田部会長 事務局のほうでコメントをお願いします。
 
○牛島課長 今回の見直しというのは、平成24年・平成27年改正法のフォローアップというところで考えております。議論次第ではありますが、期限を区切っていつまでに必ず結論を出さなければならないというものとは、一線を画するものではないかと思っております。そういう意味では、いつまでに取りまとめるかと言われますと、そこは議論の推移を見ながらということになります。ただ事務方としても、いつまでもずっとズルズルとフォローアップし続けるのかと言われると、それはまた委員の皆様方のお考え等もありますので、できるだけ効率的に議論を進めながら。ただ現時点においては、いつまでに結論をまとめるというところは、ニュートラルにという考えをベースに進めさせていただければと考えています。そこら辺も当然のことながら、委員の皆様方のお考えや御議論に委ねて、事務方としては必要な汗をかいていきたいという考えでいることを申し添えておきます。
 
○鎌田部会長 よろしいですか。ほかにありますか。
 
○村上委員 本日の進行の確認です。今、資料1-1と資料1-2を御説明いただいて、座長からは資料1-2の検討事項に漏れがないか御意見をいうようにと言われました。資料1-3は、労働者派遣の現状について、検討項目などに沿った形で出されているのですが、資料1-3は、資料1-2が終わってから御説明いただいて議論をするのでしょうか。それとも併せて御意見を申し上げてよろしいのでしょうか。
 
○鎌田部会長 もしそのほうが好都合であれば、資料1-3について先に御説明を頂いて、改めてということでもよろしいです。そのほうがよろしいですか。
 
○村上委員 はい。
 
○鎌田部会長 では、ほかの委員も御異論がなければ、資料1-3を先に御説明を頂くということで、事務局はそれでよろしいですか。
 
○古屋調査官 はい、構いません。
 
○鎌田部会長 進行に関わることですから、私もそのように判断いたしますので、よろしくお願いしたいと思います。
 
○古屋調査官 それでは、労働者派遣の現状について御説明させていただきます。資料1-3の1ページを御覧ください。労働力調査によりますと、パート、アルバイト、派遣社員、契約社員等の非正規雇用労働者については、平成6年以降現在まで緩やかに増加し、平成30年の平均で役員を除く雇用者全体の37.9%となっております。派遣社員は非正規雇用労働者の6.4%の136万人とされています。
2ページを御覧ください。派遣労働者数の推移についてです。派遣労働者は、昭和61年の労働者派遣制度が始まって以降、労働者数、登録者数ともに平成20年まで増加しており、その後、減少傾向となっています。直近の平成30年6月1日の派遣労働者数は134万人で、このうち有期雇用が95万人、無期雇用が39万人となっております。
3ページを御覧ください。派遣元事業所数については、昭和61年度に合計6,681事業所だったところ、平成20年度においては8万3,605事業所、平成27年には8万5,649事業所となりました。この数字については(旧)特定派遣事業所でしたが、平成27年の法改正により、一般の労働者派遣事業所への移行が済み、平成30年度には(旧)特定が1,218事業所、労働者派遣事業所が4万2,118事業所、合計4万3,336事業所になっているところです。
4ページを御覧ください。派遣先事業所数については、平成20年度の127万6,030か所が最高となっており、平成29年は70万7,319か所でした。そのうち64万1,103か所が、労働者派遣事業所からの派遣です。
5ページを御覧ください。平均の時間給については、平成17年度において(旧)特定が1,782円、一般が1,315円だったところ、両者ともに増加し、平成29年度には(旧)特定が2,033円、一般が1,729円となっています。
6ページを御覧ください。派遣労働者の多い派遣先業種については、昨年6月1日現在の数字ですが、製品製造・加工処理従事者19%、一般事務従事者15%、情報処理・通信技術者9%、事業用機器操作員6%、製造技術者4%となっています。
続いて、項目ごとに御説明をさせていただきます。まず、日雇派遣について説明いたします。8ページを御覧ください。日雇派遣労働者については、平成24年改正で原則禁止とされて以降急減し、平成29年を除いておおむね3万人前後で推移してきており、平成30年には2万5,433人となっています。
この内訳については9ページに示しています。属性別においては、4の主たる生計者でない方が43.0%で一番高く、2の昼間学生が25.4%、1から4以外が15.1%となっています。その下の業務別については日雇派遣が認められている業務のうち、添乗が最も多く33.3%、受付・案内が27.4%、事務用機器操作が14.0%などとなっています。
10ページを御覧ください。日雇派遣労働者の派遣料金・賃金の推移について示しています。平成24年改正後、派遣料金・賃金ともに上昇しており、平成29年度の派遣料金が2,308円、派遣賃金が1,636円となっています。
12ページを御覧ください。関係派遣先への派遣割合の実績についてです。労働者派遣の実績があった派遣元事業主における、関係派遣先への派遣割合です。制度導入の平成27年度以降、80%を超える事業主は減少し、平成29年度には4%となっております。また、0%~20%とする事業主も、43%まで増加しています。
14ページを御覧ください。一般労働者派遣事業者のマージン率についてです。こちらは平成17年度以降30%台を推移しており、平成29年度には34.6%となっています。
15ページを御覧ください。(旧)特定派遣事業については平成16年度以降、35%前後を推移しており、平成29年度は37%となっています。
16ページを御覧ください。登録型派遣について派遣事業者の団体のホームページで示している、派遣料金の内訳の推計です。賃金が70%程度、社会保険料が10%程度、派遣社員の有給休暇の代替の人員確保等の費用が4.2%、教育訓練等を含む派遣会社の諸経費が13.7%、営業利益が1.2%とされています。
17ページを御覧ください。直近のマージン率の情報公開の方法別の実施率を示しています。インターネット、書類の備えつけ、その他のいずれの方法も、改正法施行の平成27年度以降増加しており、平成29年度にはいずれの方法も50%を超えています。
19ページを御覧ください。労働契約申込みみなしの対象条項の平成30年度の指導状況については、無許可派遣が109件と最も多く、次に偽装請負の36件、3番目が禁止業務派遣で19件となっています。
20ページを御覧ください。平成27年法改正の附帯決議で検討対象条項になっている条項について、過去3年の指導件数です。平成30年度においては、グループ企業派遣の8割規制が41件と最も多くなっており、次に特定目的行為が39件、3番目に離職後1年以内の派遣受入が4件となっております。
22ページを御覧ください。こちらは雇用されていた企業からの離職後1年以内の労働者派遣に関連して、労働力調査によって、平成30年平均の派遣労働者の1年以内の前職の雇用形態を示しました。正規の職員・従業員が6万人で21.4%、パート・アルバイトが7万人で25.0%、契約社員が12万人で42.9%、契約社員・嘱託が3万人で10.7%ということで、直接雇用が16万人で57.1%を占めており、残りの42.9%が派遣社員という結果となっています。
24ページを御覧ください。許可への一本化に当たり、昨年11月末時点において(旧)特定労働者派遣事業を行っていた事業所で、切替申請も廃止届も提出されていない事業所に対し、昨年12月末時点に調査した結果を示しております。調査表を回収した事業所のうち、許可申請を行っていない事業所が82.5%でした。その理由は、dの「実績がなく、今後も行う見込みがない」が52.2%、hの「請負へ転換」が22.0%、jの「基準資産額が満たない」が21.2%などとなっております。
26ページを御覧ください。今年1~5月までに初回更新となった783の派遣元事業所のうち、更新した事業所が83.5%で654所、更新しなかった事業所のうち、有効期間終了前に廃止届を提出した事業所が7.3%で57所、有効期間の更新を行わなかった事業所が9.2%で72所でした。これらの理由ですが、有効期間の更新を行わなかった事業所においては、9の「基準資産額を満たさなくなったため」が24所と最も多く、2番目が4の「労働者派遣事業の実績がなく、今後も行う見込みがないため」で17所でした。また、廃止届を受理した事業所では、4の「労働者派遣事業の実績がなく、今後も行う見込みがないため」が最も多く、次が「吸収・合併されたため」の15所、3番目が6の「倒産・解散のため」等で4事業所でした。
28ページを御覧ください。平成29年度の雇用安定措置の実績を示しました。努力義務も含めた雇用安定措置の対象派遣労働者数は125万417人で、第1号措置、派遣先への直接雇用の依頼が7万2,241人で5.8%でした。このうち派遣先で雇用された方が29.3%の2万1,137人でした。第2号措置、新たな派遣先の提供(同一派遣元での無期雇用を含む)が38.6%の48万2,756人、第3号措置、派遣元での派遣労働者以外の労働者としての無期雇用が0.8%の9,524人、第4号措置が4.4%の5万5,051人で、第4号措置のうち12.3%の6,757人が紹介予定派遣という形でした。3年見込みの義務対象の対象派遣労働者は5万2,946人で、第1号措置は13.6%の7,178人でした。このうち41.0%の2,946人が、派遣先で雇用されています。第2号措置は19.5%の1万302人、第3号措置は6.3%の3,356人、第4号措置は15.4%の8,175人となっており、第4号措置のうち2.8%の227人が紹介予定派遣となっています。
29ページを御覧ください。平成30年4月1日~12月末日までの派遣労働者の動向について、都道府県労働局を通じて、今年2月~3月15日の間に派遣元の324事業所に対し、指導監督の際にヒアリングをした結果を示しております。昨年4月1日時点で、調査対象の事業所に雇用される派遣労働者は4万6,716人で、このうち有期雇用は86.3%、無期雇用は13.7%という状況でした。12月末時点の派遣労働者は4万9,740人で、このうち有期雇用が78.6%、無期雇用が21.4%でした。無期雇用である1万654人のうち、4月1日~12月末日までの間に無期化して無期雇用となられた方は4,479人でした。
対象となる期間において離職された方については、無期雇用が918人、有期雇用が2万5,312人でした。無期雇用のうち、会社都合での中途解除が3.2%、自己都合での中途解除が96.8%でした。有期雇用のうち、会社都合での中途解除が0.4%、自己都合での中途解除が52.3%、契約が更新されなかった方が47.3%でした。有期雇用のうち、1として同一の組織単位への就業継続見込みが3年という方が2,351人で、このうち会社都合での中途解除が0.5%、自己都合の中途解除が38.6%、契約の不更新が60.9%でした。続いて2として、あと1回の更新で1の状況に達する見込みの方が716人で、このうち会社都合での中途解除が0.3%、自己都合での中途解除が31.3%、契約の不更新が68.4%でした。その他の方が2万2,245人で、会社都合での中途解除が0.4%、自己都合での中途解除が54.4%、契約不更新が45.1%という結果でした。
30ページを御覧ください。雇用安定措置の実施状況について、先ほどの調査対象事業所に対し、平成30年12月末日までの間に、同一組織単位への継続就業が3年に到達した有期雇用派遣労働者であって、引き続き就業することを希望した方に、どのような措置を実施したかといったことを調査しております。結果については第1号措置が33.5%、第2号措置が59.6%、第3号措置が6.0%、第4号措置が0.8%、未対応が0.2%でした。
31ページを御覧ください。雇用安定措置義務対象者の希望した雇用安定措置と、その実施状況を示しております。こちらは平成30年12月末日までで、平均すると希望人数に対する実施人数の割合が95%を超えているという状況です。
32ページを御覧ください。平成30年12月末日までに第1号措置を実施した方のその後の状況について、派遣元事業所にヒアリングを実施しております。派遣先に有期雇用で雇用された方が37.5%、派遣先に無期雇用で雇用された方が10.2%、雇用されずに第2号措置となった方が46.1%、同じく第3号措置となった方が1.3%、同じく第4号措置となった方が0.3%、離職された方が4.6%でした。
33ページを御覧ください。第1号措置で派遣先に雇用されなかった原因を、派遣元にヒアリングした結果です。派遣先の業務が旧26業務等の専門的業務であって、派遣先がその業務への直接雇用を想定していないといった、派遣先の業務の性質を理由とするものが42.3%、続いて派遣先で直接雇用される場合の労働条件が、派遣労働者の希望に沿わなかったとするものが25.1%、派遣労働者の業務遂行能力によるものが18.6%となっています。
続いて、派遣受入期間の制限に関する現状について御説明申し上げます。35ページを御覧ください。平成29年10月1日現在の過半数労働者等の意見聴取の状況について示したものです。この段階においては派遣受入期間制限未到来の事業所もあってか、意見聴取を実施したのが21.6%、実施していない事業所が60.9%、契約が全て平成27年9月29日以前という所が2.7%という状況でした。
36ページを御覧ください。平成29年10月1日時点の過半数組合の有無と、過半数代表者の選任状況についてです。過半数組合があると回答している所が25.7%、ないと回答している所が59.8%、分からないが10.9%でした。過半数組合がないと答えた59.8%の中では、過半数代表者がいないとする労働者が23.9%、挙手が11.8%、労働者の話合いが10.8%、投票が7.5%という結果でした。
37ページを御覧ください。派遣可能期間の延長が必要な理由の、平成29年10月1日時点の数字を示しております。最も多いのが「欠員補充等必要な人員を迅速に確保できるため」といったもので75.9%、「一時的・季節的な業務量の変動に対処するため」が33.7%、「専門性を活かした人材を活用するため」が24.6%でした。
39ページを御覧ください。計画的な教育訓練、相談支援について御説明申し上げます。教育訓練の受講状況について、39ページにお示ししております。平成28年10月~平成29年9月までの1年間に教育訓練を受けたことがあるとする労働者は50.6%でした。この内訳ですけれども、派遣元で入職時訓練、OJT、OFF-JTを受けたことがある方が29.7%、派遣先でOJT、OFF-JTを受けた方が28.2%、社外でのOFF-JTが3.5%、派遣元又は派遣先で受けたeラーニングが21.6%という結果でした。派遣事業主に対する調査では、コースの延べ件数が6万1,777件で、1年目の派遣労働者への教育訓練が一番多くなっているという状況です。
40ページを御覧ください。キャリアコンサルティングの実施状況についてです。派遣労働者向けの調査では、相談窓口が置かれていると答えた方が34.8%、置かれてない又は分からないとお答えになった方が62.2%という状況でした。相談窓口については、営業担当者が担当されている場合が67.0%、社内のキャリアコンサルタントが37.0%、コーディネーターが22.1%などという結果となっております。派遣元に対する調査については、希望を実施した35万9,687人に対し、実施した方が35万4,961人です。
42ページを御覧ください。指導監督の実施状況について御説明させていただきます。指導監督の実施状況については平成23年度以降、1万2,000件から1万4,000件で推移しており、文書指導実施件数は8,000件から9,000件で推移しています。これらのうち8割が派遣元に対するもので、1割程度が派遣先に対するものです。
この内訳については、43ページを御覧ください。平成30年度の法令の内容別の上位5位までの違反を示しております。派遣元については就業条件明示、派遣元管理台帳、契約締結の際の記載事項、派遣先への通知、事業報告等が多くなっています。派遣先については派遣先管理台帳、労働者契約締結の際の記載事項、派遣元事業主に対する抵触日の通知、派遣元以外の派遣業を行う事業主からの派遣受入禁止、過半数組合への意見聴取が多くなっています。
44ページを御覧ください。行政処分の件数について、直近3年のものを示しています。届出事業者である(旧)特定事業所においては、関係派遣先報告の未提出による事業廃止が多くなっており、件数も平成28年度に486件でした。平成30年度には50件に減少しております。また、許可事業者の処分件数は10件前後となっています。
最後に、派遣先の団体交渉義務の主な裁判例・中労委命令について御説明申し上げます。46ページを御覧ください。労働組合法において、使用者は、使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由なく拒んではならないとされています。労働者派遣法制定前の平成7年の最高裁判決では、労働者の基本的な労働条件等について、雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にある場合には、その限りにおいて使用者に当たる者と解するのが相当であるとされています。また、労働者派遣に関する裁判例等については、平成25年の東京地裁判決や平成24年の中労委命令があります。これらについては派遣法の原則的な枠組みにおいて、派遣先は、原則として組合法の使用者には当たらないと解するのが相当としつつも、一定の場合には、派遣先であっても組合法第7条の使用者に該当する場合もあるという判断が示されています。説明は以上です。御審議いただけますよう、よろしくお願いします。
 
○鎌田部会長 それでは、資料1-3を踏まえた上で、改めて御意見、御質問があればお願いいたします。そうですね、どう区切りますか。
 
○正木委員 上から順にということでしょうか。
 
○鎌田部会長 今言ったのは、資料1-2のあれを見ながら区切ると言っているのですか。大まかでは駄目ですか。平成24年改正部分とか、それでいいですか。では、まず平成24年改正関連部分で御質問、御意見を頂ければと思います。
 
○正木委員 資料1-3の9ページの日雇派遣労働者の内訳に関連して発言させていただきます。日雇派遣労働が原則禁止になった経緯等を勉強させていただきましたけれども、禁止となった趣旨を踏まえても、雇用管理等に問題がないといえる職種がいろいろあるものだなと思っています。今、現場では、正に60歳以上の高齢者とか昼間学生とか、そういう人を工夫しながら使っておられると聞いているのですが、では、それをどういう職種と申し上げるのかがなかなか難しくて、この後の資料1-5の状況把握のところでよく把握してほしいと思います。
私は、単発の急に発生する仕事へのニーズが非常に高いと聞いています。具体的には選挙です。参議院議員選挙のように解散がないものでさえも、来月なのにいまだにいつ選挙があるのか分からないわけですが、地方自治体から請け負う投票場等の事務の話と、候補者から請け負う選挙関係の事務の話、マスコミとか調査会社から請け負う出口調査等の話、いずれもこういうニーズが非常に高いと聞いていて、それを60歳以上の人や学生などを探しながらやっていると聞いています。ほかに、イベントスタッフとか、イベント設営・撤去などの軽作業、試験監督、不良品が出たときのチェックで緊急対応で人手が要るとか、お中元、お歳暮の販売・梱包、年末年始の試食・試飲販売とか、流通加工、チラシ配布等でニーズがあるそうです。では、これを9ページ下段の業務でいうと、どう名付ければいいのか難しいのですが、是非ニーズ調査をして、資料1-5の議論の段階でするべき話だったかもしれませんけれども、調べてほしいと思います。
今言った例えば選挙関連の仕事などは、9ページの下の段の中ではどれに入っているのですか。受付・案内ですかね。調べるときに、どうやっておられるのかを教えてほしいなと思います。
 
○鎌田部会長 今のは内訳ですよね。事務局で分かりますか。
 
○牛島課長 今、正木委員が言われた選挙の開票作業とか出口調査ですと、恐らく業務別の所のいずれにも該当しない形になり、もし日雇派遣としてやられているのであれば、9ページの上段にある属性の中で対応されていると捉えるのが自然ではないかと思います。
 
○正木委員 そうすると、属性で認められているに過ぎない業務だから、下段の日雇派遣の認められている仕事の業務別統計には出てこないのですね。
 
○牛島課長 あくまでこれは、現状の認められている範囲内の実態ですので、そういった形で捉えるのが自然かと思っております。
 
○正木委員 なるほど、分かりました。そういう意味では、資料1-5についての発言になってしまうのですが、60歳以上の方とか昼間学生が日雇派遣に従事している職務が正にニーズがある職務であり、それをお調べいただきたいということです。お願いいたします。
 
○鎌田部会長 これは要望ということでね。
 
○正木委員 そうですね、資料1-5の話ですみません。
 
○鎌田部会長 結構です。今、日雇派遣のことで話題になっていますので、それで。
 
○村上委員 正木委員がおっしゃった様々な業務について、ニーズが急に発生するということは理解できるのですが、派遣でなくてはならないということではなくて、直接雇用すればよいのではないかと考えており、なぜ日雇派遣で拡大しなければいけないのかというところは疑問があります。そもそも日雇派遣は日々という超短期の雇用と間接雇用が合わさった不安定雇用の最たるものであるから原則禁止としているのであって、拡大すべきではないと考えています。
平成24年改正の際の労働政策審議会の当初の議論では、専門性があって安全衛生等の労働者保護の面で問題がない業務として、資料1-3の9ページにある17.5業務を禁止の例外としたわけですが、その後の議論の中で雇用機会の確保が困難な場合が付け加わって、昼間学生や年収要件を付した上で17.5業務に限定されない業務での日雇派遣が認められたわけです。そもそもの労政審建議の趣旨からすると、禁止の例外は17.5業務のみであるべきではないかと思います。
また、今後の調査等でデータを収集いただきたいと思っているのですが、先ほど正木委員のおっしゃった資料1-5になるのかもしれませんが、資料1-2の2ページでは平成26年の建議の文章が引かれていて、その中の(2)の2に、「教育訓練を十分に受けていない労働者が日雇派遣に従事することによる労働災害の発生を防ぐこと」とあります。このように、日々安全面等の教育をきちんと受けていないことによって、事故などが発生するということがないように、日雇派遣は業務を限定しているわけです。そういった中で、昼間学生や60歳以上の高齢者等については、それ以外の業務での日雇派遣を認めているわけですが、17.5以外の業務の日雇派遣でどのような労災事故が発生しているのかといった状況を是非教えていただきたいと思います。差し当たりは以上です。
 
○鎌田部会長 御意見と、調査の項目についての要望ということでよろしいですか。
 
○村上委員 はい。
 
○木住野委員 関連するのですが、日雇派遣を使う側と日雇派遣労働者の両方にニーズなどの調査をするということです。どのような意見が出てくるのかは結果を見ないと分からない部分等はあるのですが、調査で出た意見や結果をどのようにいかしていくのかという観点で言えば、やはり原則禁止を緩和していく方向で議論するのは、まずいのではないかという意見を持っています。派遣労働とはいかにあるべきかということを踏まえた上で、回答者がきちんと答えられるかどうかは難しい部分があるわけですから、調査結果や意見の解釈は慎重になすべきではないか。これは意見です。
 
○正木委員 今の段階は、意見を述べる場面ではないとは思っていますが、今、村上委員のおっしゃった資料1-2の2ページの(2)2「教育訓練を十分に受けていない労働者が日雇派遣に従事することによる労働災害の発生を防ぐこと」等が正に禁止の趣旨ですので、そこを踏み外すつもりはありません。したがって、選挙関連のお仕事など、それで労働災害の発生と言われてもピンと来ない種類の仕事についてお調べいただいて、こんな労働災害があるという部分があれば、それはそれで禁止するなり、あるいは防止するためのいろいろな措置を講じるという議論になろうかと思います。先ほど私がずらずらと述べた仕事のニーズは、どこが禁止の趣旨に沿って禁止すべき仕事なのかと感じるものばかりでしたので、お調べいただきたいということです。
 
○鎌田部会長 御意見に当たる部分については、御意見ということで承ります。そのほか、資料1-5に関わることかもしれませんが、調査の視点での要望があればおっしゃっていただいて、平成24年改正部分ですので、ほかの部分についても御指摘いただければ有り難いと思います。
 
○正木委員 日雇派遣について、資料1-5の検討の際に言及したほうがよいものは後にいたします。グループ派遣について、今の資料1-3の12ページに紹介されています。8割規制がありながら8割を超えているという派遣元事業主が、例えば平成29年度であれば4%いる。4%はルールに抵触していることになるのですが、罰則とか是正に向けた指導はどうなっているのかというのが1つ伺いたい点です。
それから、この4%の事業主は、前の年度にも6%の抵触している事業主がいるわけですが、その年度でも抵触していて、毎年度抵触している状態なのか、それとも単年度で関係先への派遣が8割を下回った年もあるけれども、再び8割を上回るとかいう状態なのか。要するに、それまで8割規制をクリアしていたのに、グループ外の企業の取引先がゴソッと取引をやめてしまうと8割を超えてしまうが、また新しい取引先への派遣が始まると満たすようになるといった状況なのか。そうした状況が12ページだけでは読み取れないので、状況が分かれば教えていただきたいです。
 
○鎌田部会長 データの質問に関わるところなので、グループ派遣について追加的に御質問があればまとめていただいて、それで事務局に回答を求めたいと思いますが、グループ派遣に関してはどうですか。ほかにないですか。では、今この場で分かるかどうか分かりませんが。
 
○牛島課長 答えから申し上げますと、この場ですぐにはお示しできるものはありません。ただ、御案内のとおり、関係派遣先割合の報告というのを、事業報告と並んで派遣元から取っておりますが、継続的に1つの事業所が違反し続けているのか、はたまたどういう出入りがあるのかは原票を当たらないといけないということもありますので、どこまでのものを把握できるかは、ちょっとお時間を頂いて、精査させていただきたいと思います。当然のことながら、8割を超えて関係派遣先に派遣している派遣会社は法違反ですので、労働局においては、関係派遣先割合報告を基に指導を行い、適切に是正を図っているはずではあります。原則から申し上げますと、基本的に同じ所が違反し続けているというのは、ほぼあり得ないのではないかと思っておりますが、ちょっとそこは確認させていただければと思っています。
 
○鎌田部会長 では、確認するということでよろしいですか。ほかにありますか。
 
○中西委員 質問ですが、資料1-3の17ページです。資料1-5の3つ目の○、いわゆるマージン率等の情報提供の中の、マージン率の情報提供の方法についてです。平成27、28、29年度とお示しいただいておりますが、平成28年度、29年度を比較いたしますと、当該項目の調査においては複数回答を可能としているとありますが、その他の回答が非常に増加しているように見て取れます。その他の回答について具体的にお示しいただけるのかどうかということです。
 
○鎌田部会長 マージン率に関わるところで、関連ということでどうぞ。
 
○永井委員 資料1-3の16ページには、業界団体調べのマージン率の内訳が記載されています。これで見ますと、7割が派遣社員賃金ですので、マージン率は30%であると見て取れますが、14、15ページを見ますと、一般労働者派遣事業のマージン率は34.6%、(旧)特定労働者派遣事業のマージン率は37.0%と、16ページの数値とは差が出ています。マージン率は低ければ良いとか、高ければ悪いという単純なものではないですけれども、今後の施行状況の把握では、厚生労働省として詳細な内訳を把握していただきたいと思います。併せて、マージン率の公表については派遣労働者本人への開示も含めていただいて、規制の在り方を検討すべきだと考えております。意見です。
 
○鎌田部会長 ほかにマージン率に関わるところで御意見、御質問はありますか。それでは、今の御質問の部分は、その他のことですかね。17ページのその他が増えているのですが、内容的に内訳というか、どういうものですか。ここで分かればということなのですが。
 
○牛島課長 この事業報告で取っておりますその他というのは、その他という形でしか取っていなかったかと思いますので、その内訳が何かというところは、ここのデータの中だけでは分からないのが現状です。もし、そこを把握するということであれば、資料1-5にありますが、そういったところも把握していく必要があるのかどうか、ここは御議論いただければと思っています。ちなみに要領上、その他の方法としては、例えばリーフレットを配布するといったことが認められているという形になっております。
すみません、私、不正確なことを申し上げました。事業報告の中で、括弧書きでその他は一体何かというのを原票で取っておりますので、改めて調査するというよりは、平成29年度の直近のものについてどういったものが多いのか、全数を把握するのは物理的には困難ですが、どういったやり方があるのかも含めて、事務方で少し整理したいと思います。先ほど申し上げたのは、全く違う答えになってしまっていましたので、訂正させていただきます。
 
○鎌田部会長 では、後日お知らせいただくということですね。
 
○牛島課長 恐れ入ります。
 
○鎌田部会長 ということですので。ほかに、平成24年改正部分についてありますか。
 
○永井委員 労働契約申込みみなしの所です。資料1-3の19ページでは申込みみなし規定の対象条項にかかわる指導件数が記載されておりますが、実際にみなし規定の効力が発動された件数や事例を今の時点で把握されているのかどうかをお伺いしたいと思っています。個別労働紛争解決促進法に基づいて、労働局でも相談を受け付けていますが、みなし規定が発動されるような事例等の相談はあるのかお伺いしたいと思っております。
みなし規定は民事規定であるので、行政による把握が難しい面もあると思いますが、同じ民事規定である労契法第18条の無期転換ルール等は、厚生労働省としても一程程度把握されていると認識しています。把握方法の工夫は必要だと思いますが、今後の施行状況の把握等においても、行政として発動状況の把握を行うべきという意見も添えたいと思います。以上です。
 
○鎌田部会長 みなしの部分に関わって、ではどうぞ。
 
○正木委員 資料1-2でいうと6ページで、資料1-3でいうと20ページに、労働契約申込みみなしの対象拡大の検討対象として、グループ企業派遣の8割規制が入っています。しかし考えてみると、グループ企業派遣の8割規制に違反したときに、誰が誰に対して労働契約を申込んだとみなすべきなのか、さっぱり分かりません。どういうことか、もし分かれば教えてください。
 
○佐久間委員 今の「みなし」の関係です。労働契約申込みみなしのところで、私の不勉強もあり経緯を教えていただきたいのですが、この資料1-2の6ページの○の2つ目ですけれども、見直しに係る指摘等の中に平成27年改正法附帯決議があります。ここで、離職した労働者を離職後1年以内に派遣労働者として受け入れてはならないとあるのですが、一方でクーリングオフの関係で6か月というのがあります。この議論が出たときに、期間が長い短いというのは置いておいて、クーリングオフの関係、またこの1年間というのを、一致させなかった理由のようなものは何かあるのでしょうか。1年間又は半年としなかった理由とか。半年と1年と食い違うというか、期間がちょっと違うので、そこの何か理由がもし分かれば教えていただきたいと思います。
 
○鎌田部会長 今、3つほど調査の要望も含めてありましたが、現状で分かることについてはお答えいただきたいと思います。
 
○牛島課長 まず、みなしの適用状況については、永井委員御指摘のとおり民事の関係でして、労働局においてそこを網羅的に把握するということは、現状においてはやっておりませんし、民事の世界で動いている話なので、それを確認するというのは行政としては困難な状況にあるということは御理解いただきたいと思います。一方で、労働局においても相談件数とか、そういったものは一定程度把握しておりますので、その件数等を整理した上で、その後実際みなしが発動されているのかどうか、それを確認できるのかどうか、ここら辺は宿題として、できるできないを含めて少し整理したいと思っております。
正木委員が言われているグループ8割の規制に違反した場合に、派遣先にみなしというところを考えていくときの論点としては、確かに御指摘のとおりです。現状、基本的に並んでいますみなしの適用の対象になるのは、派遣先にも違反しないように義務が掛かっているものでして、グループ8割の規制というのは、8割を超えて受け入れた派遣先に何か法違反が問われるということには構造上なっていないというところがあります。それをみなしの対象にすることが適当なのかどうかというところは、この場での御議論の事項ではないかと思っています。ですので、8割を超えて受け入れ始めた1社目がみなしの対象になるのか、たまたまそういうことになるのか、はたまた、もともと8割の中の大宗を占めている大所が責任を負うべきなのか、そもそも派遣先に義務が掛かっていないものについて、みなしの対象にするのが適当なのかどうか。こういったところは、個別の御議論の中で是非消化させていただければというところです。
佐久間委員の言われていたクーリングの話は、派遣のクーリングは基本的には3か月というのがあり、3か月を超えて空白期間が出たときは、その派遣はまたゼロカウントからスタートするという構造になっております。1年以内の離職者を雇い入れてはいけないというのは、クーリングとは別に、従来派遣先において直接雇用していた方を、派遣に切り替えてまた受け入れるといったことをやってはいけないというところでして、そこに1年という期間を設定したのは、平成24年改正法の部会における議論の中で、常用代替防止の観点からは、それぐらいの期間はやはり直接雇用から派遣への切替えは抑制すべきだという結論になって、現状のような仕組みになっていると思います。ですので、クーリングの話と1年の話とは、直接はリンクしないのではないかなというのが私の考えですが。
 
 
○鎌田部会長 ほかにありますか。平成24年改正に関わる部分ということですので、よろしいですか。また戻っても結構ですが。
 
○木住野委員 離職後1年以内の派遣の禁止に関連する意見です。資料3の22ページの派遣労働者の前職のデータになりますが、この規定の目的というのは、離職した同一職場への派遣を禁止するというものですので、22ページのデータだけだと分からないという印象を持っています。今後どのようにフォローしていくのかという問題意識があります。
あと、20ページのみなし規定の対象条項の指導状況については、離職後1年以内の派遣受入れ禁止のの指導件数は一番数が少なくて7件とされています。これは少ないのではないかという印象を持っていまして、指導件数が余り増えてはいけないのですけれども、捕捉の仕方の工夫がいるのではないかということです。以上です。
 
○鎌田部会長 調査の仕方ということで、御要望ということでよろしいですか。
 
○木住野委員 はい。
 
○鎌田部会長 それでは、ちょっと時間も押しておりますので、平成27年改正のところで、主にデータの読み解き、それから、今後調査をする上での視点に重点を置いて御発言いただければと思います。平成27年法についてです。
 
○永井委員 28ページの雇用安定措置の平成29年度実績を見せていただくと、雇用安定措置が義務となっている3年見込みの方が5万2,946人いらっしゃいます。その中で、第1~4号の措置を全て単純に合算してみますと、2万9,011人ということで半分程度となっています。これは、調査が平成29年度であり雇用安定措置の規定の本格発動前であるから半分程度という認識でよいのでしょうか。一方で、そもそも派遣労働者がまだ雇用安定措置を正しく理解していないので、措置が講じられていない可能性もあるのではないかと思っております。これも先ほど来と同じになりますが、今後の調査で、そもそも派遣労働者がきちんと雇用安定措置を理解しているのかや、派遣元からどのように就業希望を確認されたのか、派遣元から雇用安定措置についてどのような説明を受けたのかといったことも調査していただきたいということです。以上です。
 
○鎌田部会長 調査の御意見ということです。ほかにありますか。
 
○村上委員 3点あります。
1点目は、資料1-2の14ページに、法令違反を繰り返す派遣元の公表について項目が挙がっていて、これは附帯決議で公表について検討することとされたからであると思います。ただ、上にあるように、現在も運用上は行政処分を行ったときに、その旨公表していると思います。附帯決議の内容なので、ここでお答えいただけるかどうかはわかりませんが、「企業名の公表についても検討すること」というのは、公表の根拠規定を置くという意図なのかを確認したいと思います。
2点目は、今後の調査に関わるところですが、資料1-1の事業所単位の派遣受入期間の制限についてです。資料1-3の36ページで過半数代表者の選任状況についてグラフにしていただいておりますが、附帯決議では過半数労働組合等から反対意見が出された割合やその内容などについても調査及び分析を行うこととされています。加えて、過半数労働組合等の意見を踏まえて派遣先としてどのような対応をしたのかということなどについても、調査を行うべきではないかという意見です。
3点目は、資料1-2の15ページの13項目目の、派遣先の団体交渉応諾義務についてです。こちらについては、平成27年改正の附帯決議で具体的な方向性が示されており、今回の議論の中で一歩前進させるべきであると考えています。どのような方策が妥当なのかは知恵を絞らなくてはいけないと思っておりますが、中労委命令や裁判例の紹介だけでは、派遣労働者や派遣労働者を組織する労働組合の団体交渉権が実質的に制限されるのではないかと考えています。労働現場の問題は交渉で話し合って解決していく機能をより発揮させる方向で動くべきと考えております。そのためにどういったことができるのかということを、少し時間を掛けて検討することが必要ではないかという意見です。以上です。
 
○鎌田部会長 第2、第3の部分は意見ということで、第1は附帯決議なので分かるかどうか分かりませんが、どういった御趣旨なのか分かる範囲で事務局に御説明いただければと思います。
 
○牛島課長 ここは、むしろ審議会、部会のこの場に、どういうやり方が考えられるのかの宿題が投げ掛けられていると御理解いただければと思います。ただ、そのときに考慮していただきたいことなのですが、既に行政処分を行った場合は、運用上公表していると、ただ、この運用上公表というのは、本当に運用上公表ですので、取扱要領等にも特には何も示されていません。そういう意味では、慣例的にやっているだけなのですが、そういったものをきちんと体系的にやるということであれば、例えば要領なのか指針なのか、行政のこういうものなので指針で書くというのもちょっとなじまないかなと思いますけれども、そういった書き物に何か残すというのは1つの方法かと思いますし、より恒久というか、きちんとした形に制度化するということであれば、法律に書き込むということも選択肢としては否定されるものではないと思っております。ただ、現状においてもこういった扱いをやっているところですので、それを踏まえて具体的にどういうことをやっていくのか。あと、繰り返し違反についてどの程度のものを繰り返しというように評価するのかというところも、論点としてあろうかと思いますので、ここも個別の御議論の中で、労使の御議論を踏まえながら着地をしていくべき課題かなと認識しております。
 
○鎌田部会長 よろしいですか。ほかにありますか。
 
○木住野委員 実態調査についてはいろいろテーマがあるわけですが、平成27年改正の附帯決議では、派遣労働者の育児・介護休業の実態や、派遣労働者の賃金不払いの実態も調査せよとされていますけれども、それは今回の調査で行われるのでしょうか。
 
○鎌田部会長 調査項目に、賃金不払いについての項目を加えてほしいということですね。
 
○木住野委員 はい。
 
○奈良委員 実態調査を、今後の施行状況等、実態を把握していきながら進めるということなので、そこに絡んで。例えば雇用安定措置等々でも、事業所からの聞き取り調査なのですよね、ここの資料1-3で示されているのですが。できればこういった部分について、非常にデリケートな問題でもあるので、手法はなかなか大変かと思うのですけれども、実際の派遣労働者の方から聞き取りをするなど調査ができればということだと思います。事業所としては第1号措置を講じたとつかんでいたとしても、例えば28ページの資料の辺りですが、本人からすれば、そうした手当てはされていなかったというような受け止めがあるかもしれないので、是非ここは労働者側からの調査もお願いをしたいと思っています。
ちょっと後の資料になりますけれども、教育訓練の受講状況等については、これは恐らく労働者本人に尋ねているのだろうと思うのですが、そうすると例えばキャリアコンサルティングの実施状況について、窓口がどこにあるのか分からないという率直な回答も出てくるわけです。やはり、こういうものが実態に近いのだろうと思っています。是非、調査を進める上では労働者本人へのアンケートなり、聞き取りなりというものをお願いをしたいと思います。
 
○鎌田部会長 要望ということで。このデータは今おっしゃったとおり、事業所に宛てたアンケート調査ということでよろしいですね、今の部分は。
 
○牛島課長 今日、お示ししていますのは、いろいろなデータを、例えば派遣実態調査は、派遣先と派遣労働者から聞いている内容になります。雇用安定措置について、私どもが2、3月に調べた内容というものは、派遣元に聞いているものということになります。今後、実態把握をする上では、派遣元、派遣先、派遣労働者それぞれにアンケート形式で把握していくべきだと認識をしています。ですので、あれもこれもとなりますと調査量が非常に膨大になってしまいますので、どこまで絞り込みをしていくか、でも必要なものは調査をするという観点で、少し設計をさせていただければと思っているところです。
木住野委員が仰った、育介法の附帯決議等々については、こちらは担当、担当と言っては恐縮ですけれども、それぞれ育介法の部分については、雇均局で必要な検討と言いますか、派遣実態調査の中での実態把握というものを、一定程度やっております。今般のここでの議論というのは、附帯決議にもいろいろ書かれていますが、需給部会の中でこなしていく話について、ここを重点的に取り組んでいくというところが中心ではないかというところです。そこの辺りの整理は引き続きしていきたいと思っています。
 
○鎌田部会長 ほかにありますか。
 
○正木委員 先ほどの村上委員の御意見にあった法令違反を繰り返す派遣元の公表という項目なのですが、現在は行政処分のうち、つまり資料1-3でいうと44ページにある許可取消・事業廃止、事業停止命令などのときには公表していますということだと思います。見直しに関する指摘は、こういう行政処分に至らないかは分かりませんが、これまでの基準で公表にまで至らないにせよ、法令違反を繰り返すということなので、この資料では見えにくい部分のことが書かれていると認識しています。その上で、やはり罪刑法定主義ではありませんけれども、もし何らかの処分の徹底ということで、公表といったことをやるのであれば、法令違反とは何ぞや、それを繰り返すというのはどういうことかという要件を明確に示すことが重要だと思います。今回のデータでは、繰り返している人は誰か、どれが繰り返しているというデータはないのですけれども、具体的にどういう実態があるのかが分からないと、ちょっと具体の検討はできないのかなと思っています。意見です。
 
○鎌田部会長 今後、議論を詰めていくということで、今日、大切なのは議論を詰める上で必要なデータをどう集めるか、あるいはどのように用意するかということですので、そのようなことで御発言いただければと。
 
○小野委員 資料1-2の冒頭の所ですけれども、平成24年改正関係と平成27年改正関係が並べて書かれています。私の考え方としては、平成27年度改正というのは施行になったのはこの間ですから、まだ実態把握のレベルでとどめざるを得ないだろうと思っています。アンケートをこの項目で三者全てやるとなると、恐ろしく膨大な数になるわけですので、何を重点として、どういう項目を作っていくかをかなり詰めてから調査設計をしないと破綻すると思うのです。その中で、派遣事業報告書が、毎年、各派遣元から来ると思うのですけれども、とてもいいデータだと思うので、それを集計、分析して得られる情報も多いと思います。そこの中に雇用安定措置の例えば資料1-3の28ページのデータなどは出てくるわけです。事業報告書で使えるものは使う、やみくもに聞かないということをしたほうがいいと思います。
そう考えていくと、今後、期限を切らないで検討していっていいよという話であったのですけれども、アンケート調査も無理して調査設計をちゃんとしないままスタートして、突っ込み所が出るような、お金を掛けてそんな調査をしたのかという話になっても、元も子もないので、そこは時間を掛けてやられたほうがいいのではないかなと思っています。
ちなみにJILPTでは、今、私の持っているあくまでもプロジェクトの中ですけれども、雇用安定措置の問題とキャリア形成支援の問題については、調査をする予定になっています。これも9月に実査をしますけれども、集計は恐らく急いでも12月ぐらいです。そのめどで、動き始めて、そのぐらいのスケジューリングなので、議論の時間を持つことをお考えになってからやられたほうがいいのではないかと思っています。以上です。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。
 
○牛島課長 今の点は、非常に重要な御指摘だと認識しています。先ほど締切りを切るものではないということは申し上げましたけれども、さはさりながら、いつまでも議論し続けるというわけにもいかないということもありますので、どういうタイミングでどういうデータが取れるのか、そういったところもちょっと整理をした上で、議題設定というところを秋以降、そこは部会長とも御相談しながらしていきたいと思っています。また、調査の内容やその妥当性等については、いろいろな場面で委員の皆様方の御意見等も頂きながら、言われたとおり、せっかく調査したのに何だこれはとなってしまっては、元も子もない話になってしまいますので、そういったところもきちっと踏まえながら検討作業は進めていきたいと思っていますので、引き続き御支援を賜れればと思っています。
 
○鎌田部会長 ということは、あれですか、今日の段階で、いろいろデータ項目や調査してほしいことの意見を頂いているのですが、更にそういった意見を頂く機会があるという認識でよろしいですか、この部会として。データの調査のやり方や調査項目について。
 
○牛島課長 私どもといたしましては、でき得ればこの夏の間に調査をやっていきたいというところがありますので、おかしな形にならない形でそういったものが実施できるようにするために、こういった部会の中でお聞きするのか、個別に御相談させていただくのか、そこはやり方だと思いますけれども、少しお知恵も頂きながら進めさせていただければと思っているところです。
 
○鎌田部会長 そうすると、網羅的に全て調査を完了させるのはいつという言葉はないけれども、夏の間に実施するということを、今、スケジュールとしては入れているわけですね。
 
○牛島課長 事務方としては、そういうスケジューリングでやっていきたいと思います。
 
○鎌田部会長 そうすると、今日、頂いた御意見を踏まえながら、事務局に調査の概略を作っていただく。その中で、いろいろなことについて意見を、個別にでもお聞きするということですかね。
 
○牛島課長 そのような形で、はい。
 
○鎌田部会長 小野委員もそういう形で問題提起を、できない。
 
○小野委員 夏、難しいのではないかなというのが。すみません、それはかなりきついですよ。
 
○鎌田部会長 今、言ってください。
 
○小野委員 調査を度々やっている人間からしたら、ちょっと今の段階で調査設計ができていないものを、夏、もう夏ではないですか。それを夏にやるというのは。期限を切っていないとおっしゃったのとはかなり齟齬のある調査スケジュールだと私は感じますけれども。
 
○牛島課長 御指摘は理解しているつもりですので、どういったやり方でできるのかというところを少し整理をさせていただければと思います。ただ効率的に議論を進めていくというためには、一定のスピード感を持って調査はしていただけないかなとは思っています。ただ繰り返しになりますけれども、穴のある調査をやるということは本意ではないので、そこをきちっと塞いだ形でどういったことができるのかというところは、事務方として整理をしていきたいと思っています。
 
○松浦委員 小野委員と似たような意見なのですけれども、多分、今、出てきた問題提起だけでも相当なボリュームになると思います。果たして、アンケートでやるべきことなのか、既存のデータの二次分析でやるべきことなのか、あるいは労働局のヒアリングなどで分かることなのかということの整理をまずしていただいた上で、調査をするとなると正直、私も夏にやるのはタイト過ぎるのではないかと思います。後々あれも調べておけばよかった、これだけでは分からないというような事態に陥る可能性が非常に高いと思いますので、もう少し先、せめて秋などということも含めて、御検討いただいたほうがいいのではないかと思います。これは意見ですけれども、こういった意見も踏まえて御判断いただければと思います。
 
○牛島課長 もし、部会の委員の皆様方の総意がそういうことであれば、事務方としてもそれに沿って対応はしていきたいとは思っていますが。
 
○鎌田部会長 何か今のスケジュールに関連して、御意見があれば頂きたいと思います。今のは、公益の立場から技術的に大変だという御意見だったと思いますが。
 
○佐久間委員 私も両先生のおっしゃることは確かだと思います。今、この議論が出た中で、現状をまとめていただいた調査表から、こういう項目も、こういう項目もというのが出てきています。かなり問題点が絞られないで、どういう調査表になるのかというのが非常に難しいのかと思っています。ですから言われたように、今、整理ができる項目などをまとめていただく、できないところはヒアリングに委ねるなど、そのようにやっていくのがいいのではないかと。
私も手を挙げましたので、どこの項目かと言いますと、例えば一番最後のほうでキャリアコンサルティングなどがあります。ここも実施しているか、実施していないかで、どういうことが本当に役に立っているものか、どういうをやっているのかなどを聞きたいところなのですけれども、こういう項目を入れていくと本当に膨大になってしまいます。あるいは現状この項目を一応頂いて、それで分析できるところを、もう一度、再分析していただいて、それでまた議論をしていくという方策が一番いいのではないのかなと思います。ヒアリング等々も次に実施される予定かもしれませんけれども、疑問のある項目はそこで聞いていくというのがよいのではないのかと考えています。
 
○鎌田部会長 これに関連して御意見・・・
 
○正木委員 皆さんのおっしゃることは、よく分かります。一方で、この機会に検討しましょうと言っていて、ボールを我々がずっと握り続けているのは非常に気持ちが悪いと思っています。例えば、派遣労働者本人、派遣先、派遣元に聞いたほうがいい項目に問題を切り分けていく。切り分けて、ある程度グルーピングができたら、例えば派遣元に聞く内容が先に決まったら、そこから始めればよく、調査を同時並行で全部一遍にやらなければいけないということはないと思います。専門の先生などに協力を頂いて切り分けをして、できるものからどんどんやっていって、議論は進めていったほうがいいと思います。
 
○鎌田部会長 ほかに御意見は、労働側から何かありますか。
 
○村上委員 皆様方の御意見に賛同します。既存のデータから再分析できるもの、再集計、再分析できるものもあるかと思います。そうでなく改めて聞くもの、また数字だけではなく実態というものも把握すべきであり、必ずしもデータだけではなくいろいろな事例というものもエビデンスの1つだと思っています。そういった意味で、ヒアリングも重要であると思っています。切り分けていただくことが大事だと思っています。審議会のデータの扱いは議論になりますので、性急に調査して後で問題が起こるということがないようにしていくことが重要だと思います。以上です。
 
○鎌田部会長 それでは、今、技術的に大変なものではないかという御懸念、それから、議論もこの部会として進めなくてはいけない、データも切り分けながら調査をしていくというやり方もあるのではないかと、こういう御意見がありました。そういうことで、私と事務局で相談しながら進めていくということでよろしいでしょうか。
 
○小野委員 質問票というか、設問は皆さんにお示ししていただけるのでしょうか。
 
○鎌田部会長 それはどうですか。
 
○牛島課長 恐縮です。質問表という形で設計をした場合には、いろいろと整理をする必要があります。ただ、聞くべき項目としては、こういう項目が必要だというところ、ここはある程度、絞り込みをかけていく必要があると思いますので、委託業者の立場に立ちましても。ですので、そういったところは、是非、御意見と言いますか、次回に向けて少し私どもとしても、部会長と相談しながら整理をしたいと思いますけれども、この審議会の中で、調査表をこういう形でフィックスするというところまでは、なかなか難しい事情があるというところは、御理解を賜れればと思っています。ただ、きちっとこういう項目は聞くべきだというところは、皆様方の御意見を頂いて整理をしていきたいと思っているところです。
 
○鎌田部会長 よろしいですか。またその折々に、個別に御相談をさせていただくということを織り込みながら、できるだけ後でしまったということがないように進めたいと思います。では、資料1-1、資料1-2、資料1-3については、以上ということでよろしいでしょうか。資料1-4、資料1-5が残っているのですけれども、これもまとめて御報告して、再度、議論いただきたいと思います。どうぞ、お願いいたします。
 
○古屋調査官 それでは、今後の実態把握方法について、御説明させていただきます。まず、資料1-4を御覧ください。今後、関係者へのヒアリングを実施することを検討しています。労働者、派遣元、派遣先、それぞれからヒアリングを実施することとしまして、労働者については、派遣労働者を組織する団体と、それから派遣労働者個人、派遣元については、労働者派遣事業者団体、派遣先については、実際に派遣労働者を受け入れた企業にヒアリングを実施する予定です。
続きまして、資料1-5を御覧ください。先ほど来、御意見を頂いています、今後の施行状況の把握のための調査の内容です。実態把握を行う事項ですが、平成24年改正の事項については、日雇派遣の就業実態を把握するとともに、派遣労働者にとって安全衛生面などの雇用管理上の課題とはどういった実態になっているのか、派遣先、派遣労働者にとって日雇派遣に対してどういったニーズがあるのかを把握する必要があるというように考えています。また、グループ企業内派遣については、実施している理由について。マージン率等の情報提供については、マージン率の内訳やその他の情報の情報提供の方法、それから派遣労働者と派遣先にとっての情報提供のニーズ。離職後1年以内の労働者派遣の禁止については、この規制に該当するような事案の状況について把握をできればと思っています。
平成27年改正の関係等については、雇用安定措置については、その実施状況と離職状況、雇用安定措置の実施後の労働条件、派遣先の直接雇用につながらなかった理由について。派遣受入期間の制限については、事業所単位の期間延長手続の実施状況と、個人単位の期間制限の効果等について。それから、計画的な教育訓練・相談機会の確保については、教育訓練の内容、実施状況、効果と、キャリアコンサルティングの実施体制、実施状況、効果と、派遣労働者が教育訓練等を受けていない場合の理由について。こういったことを把握することを考えているところです。説明については以上です。
 
○鎌田部会長 この資料1-5というのは、調査項目を挙げたということですよね。先ほど来の意見を踏まえて、ここにも当然、付け加えるということです。また、先ほど公益委員からもありました、そもそもどのように具体的にこの項目を調査していくかということについては、更に検討していくということですよね。
 
○牛島課長 先ほどの御審議を踏まえまして、もう少しこの把握の方法については、具体的にお示しした形で、次回以降、もう一回、御確認を頂くというところが必要ではないかと、事務方としては考えています。部会長とも御相談をさせていただいて、少し整理をさせていただければと思っているところです。
 
○鎌田部会長 それでは次回以降、調査について御意見を伺う機会があるということですね。
 
○牛島課長 そういった形で、少し日程をどのように組めるかというところがありますので、相談をさせていただければと。
 
○鎌田部会長 それで夏にできるかどうかというのは、よく分からないところなのですが。取りあえず、そういう御意見を伺う機会があるということでよろしいですね。
 
○正木委員 日雇派遣の働くほうのニーズをどう把握するかというのはなかなか難しいのですけれども、業界団体の人から頂いた資料で、Twitterなどで、日雇派遣の原則禁止についていろいろなコメントを集めたものがあります。もちろんこれにはアルバイトと派遣の違いが分かってないものなど、内容は種々いろいろあるわけですけれども、「浪人生が冬期講習代が払えないから働こうと思ったら、収入が500万円ない家の予備校生は駄目なのか」などのコメントが束になっています。厚労省さんには、お客様窓口のようなもので、クレームや政策に対する意見などを記録したりして、数や内容などを整理している部署はないのですか。そういう国民の声などは、どうされているのですか。
 
○牛島課長 ちょっと直接の担当ではありませんので、受付をした上で、お答えをしているところは認識しているのですけれども、どういう形で記録を残しているかというところまでは、今、つぶさには存じ上げていません。そういった所に日雇いの派遣の関係での声というのが、どの程度、上がってきているのかというところは、担当の部署にも確認をして、もしお示しできるものがあれば、考えていきたいとは思っています。
 
○正木委員 多分そういう形でないと、アンケート調査で潜在的ニーズを把握するのは至難の業なので、もしそういう窓口があって、そういうものを把握しているのであれば、御紹介いただければ少しでも役立つかなと思いました。
 
○鎌田部会長 どうぞ。
 
○松浦委員 すみません、先ほどの御指摘に関係するお話と、もう1つ御検討いただきたいことと2点あります。
まず1点目です。日雇派遣については、平成24年改正によって、当時実際に日雇派遣であった方々に関して、規制の目的に沿った雇用安定化等がなされているのかどうかという点が、時間が相当経過していることもあり、調査としては技術的に調べにくい面もあります。ですので、重ねてのお願いになりますけれども、日雇派遣について行政に届いた声は、是非拾っていただきたいと思います。拾っていただく際に、併せて御検討いただきたいのですが、日雇派遣と似たような形態として、日々紹介という働き方があります。日雇派遣から例えば日々紹介にシフトして、新たな課題が出てきていないかという点も懸念されます。つまり日雇派遣だけでなく、日雇派遣と類似した働き方についても、調査としては非常に難しいところがあるのですが、目配りしていただけると有り難いというのが、1つ目の要望です。
もう1つは、検討事項の中に入っていた初回許可の有効期間についてです。この審議会の中で許可に関する審議をするわけですが、特に新規、初回の許可については実績がないので、書いてあることを信頼して審議することになります。ただ、これが果たして本当に申請どおりやっていただいているのかどうかという辺りは、非常に気になるところです。例えば、業務改善命令や業務停止命令といった行政指導のタイミングと、初回許可からの期間との関係性を、可能な範囲で教えていただけると、今後の検討の材料になるのではないかと思っています。以上です。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。こういった御要望もあるということです。
 
○牛島課長 どういったデータが取れるのかは、ちょっと整理をして、次回以降にお示しできればと思います。
 
○鎌田部会長 ほかに。
 
○村上委員 今、松浦委員のおっしゃった日雇派遣と日々紹介の話は、御指摘のとおりだと思います。日々紹介でのトラブルとして、労働者はスタンバイしていたのだけれども、仕事が当日キャンセルになり、結局、賃金が払われなかったというような事例もありました。そういうことへの対処は必要であるということは申し上げてきたところではあります。そういった問題への対策も併せて検討する必要がありますし、日雇派遣とともに日々紹介のトラブル事例などについても十分把握する必要があると思います。
また、行政窓口への国民の声というのも、もちろん把握していく必要はあると思いますが、そればかり重視しているとどうなのかというところはありますので、そこは十分データの性質というものを踏まえた上で、見ていく必要があると思います。
 
○鎌田部会長 ほかにありますか。
 
○小野委員 資料1-5の日雇派遣の部分についてなのですけれども、これの一番下のポツ、日雇派遣に対するニーズを把握するという所があると思いますが、ニーズの把握というのは、ものすごい難しいですよね。要は日雇い派遣を今やっていない人たちにも、調査を打たないとニーズは分からない。例えば、先ほどおっしゃっていたように、日々紹介みたいなことをやっている人が、日雇派遣をやりたいというニーズはあるだろうと思います。要は日雇いの問題と派遣の問題というのは、それぞれ問題があって、それが重なったところに日雇派遣というものがあるのです。日雇派遣をやっている人というのは、恐らく普通の日雇いもやっているのです。ですから、サンプルを、どこの母集団をすくい上げるかによって、そのニーズの割合というかパーセンテージが大きく変わってくると思います。調査が終わってから、その母集団でよかったのかという議論が出てきかねないなと。非常に懸念しているというか、ちゃんと考えなくてはいけないところだなと思っています。これまで過去1年ぐらい日雇派遣をやった人を、調査対象にするというような安易な取り方でいいのか、それとも、もう少し日雇い全般をやっている人で、その人たちがもし日雇派遣を解禁したときに、どれだけ流れてくるのかということを想定したような調査にするのか。最終のニーズの落とし所をどのように考えるかによって、取ってくる母集団は変わってくると思うので、そこはやはりよくお考えになったほうがいいかなとは思います。意見です。
 
○鎌田部会長 ほかにありますか。私からも日雇派遣について少し検討して調査をしていただきたいと思うのは、先ほど日雇派遣と日々紹介の話もありましたけれども、外国で言うと、オンコールワーカー的な使い方。つまり日雇派遣でも、継続的に30日未満で使うという、それなりの雇用が確保されている場合もありますし、そうではなく本当に待機状態で、必要なときに必要な範囲で呼び出して、常に待っているというような就労形態もあるのではないかと思います。多分、紹介や派遣という形であるのではないかと思います。雇用管理の仕方でもあるのでしょうけれども、そういう働き方が今後、問題になる可能性もありますので、派遣と紹介について、オンコールワーカーというのを日本では何と言うのか分かりませんけれども、随時呼び出し労働と言うのですかね、そういった働き方がどれだけあるのかということを、調査をしていただければ有り難いと思います。ほかにありますか。なければ、前段でもいろいろと御意見を頂いたこと、あるいはこの調査の仕組みについていろいろと宿題もあると思いますので、こういったことを含めて事務局で御検討いただいて、更に御意見を頂くということにしたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、公開部分は以上となります。議事録の署名は、正木委員、永井委員にお願いしたいと思います。事務局から連絡事項はありますか。
 
○永島補佐 傍聴の皆様方に御連絡申し上げます。これより許可諮問の審議となりますので、委員の随行の方が退席した後に事務局の誘導に従って御退席ください。よろしくお願いいたします。
 
○鎌田部会長 よろしくお願いします。
 
(委員随行退席後、傍聴者退席)