第20回 地域医療構想に関するワーキンググループー議事録

日時

平成31年3月20日(水)10:00~12:00

場所

厚生労働省 中央合同庁舎第5号館 専用第15会議室(12階)
東京都千代田区霞が関1-2-2

議事

○横山課長補佐 定刻より少し早いですが、構成員の皆様方がおそろいですので、これから第20回「地域医療構想に関するワーキンググループ」を開会させていただきます。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして、まことにありがとうございます。
本日は、伊藤構成員、今村構成員より、欠席との御連絡をいただいております。
また、参考人といたしまして、弘前市健康福祉部の外川吉彦部長、日本赤十字社医療事業推進本部の田渕典之技監のお2人をお呼びしております。
本日、私どもの医政局長、審議官、総務課長などは、別の公務のために遅参する予定でございます。
また、オブザーバーとして、総務省自治財政局公営企業課準公営企業室より、桑原理事官に御出席いただいております。
議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。
お手元に、議事次第、座席表、構成員名簿のほか、資料1、資料2、資料3をお配りしております。資料の不足や御不明点がございましたら、お知らせください。
それでは、以降の進行は尾形座長にお願いいたします。
○尾形座長 おはようございます。
議事に入らせていただく前に、代理出席の御承認をいただきたいと思います。
団体を代表して御参加いただいている構成員の方が欠席の際には、かわりに出席される方について、事前に事務局を通じて座長の了解を得ること及び当日の会合において承認を得ることにより、参考人として参加し、議題について発言することを認めることにしております。本日の会議におきまして、伊藤構成員に代理として、一般社団法人日本医療法人協会の太田圭洋副会長の参考人としての参加及び御発言をお認めいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○尾形座長 ありがとうございます。
そのようにさせていただきます。
それでは、早速、議事に入らせていただきます。
まず、議事の1つ目の「地域医療構想の実現に向けた一層の取組について(その4)」を議論したいと思います。
まず、資料1の説明を外川参考人からお願いいたします。
○外川参考人 私、青森県弘前市から参りました、外川と申します。よろしくお願いいたします。
本日は、このような機会をいただきまして、ありがとうございます。
早速、資料に基づきまして説明をさせていただきます。「津軽地域保健医療圏における中核病院の整備について」、今、国立病院機構弘前病院と当市の弘前市立病院が統合・再編の準備をしているところでございますので、その経緯と課題ということでお話しさせていただきたいと思います。
資料の1ページをお開きください。まず、中核病院整備の必要性と背景で、津軽保健医療圏においては、3市3町2村で8市町村が圏域となってございます。ごらんいただいているとおり、自治体病院が4病院になってございました。この中では、青森県が策定いたしました地域医療構想では1,200床ほど病床が過剰という地域になってございます。人口は約30万人の圏域でございます。この中においては、各自治体病院において医師の不足が常態化している。そのことで二次救急においても輪番制などをとっておりますが、なかなか維持が苦しい状況になっております。中小の病院が多いもので、診療科が偏在しておりまして、単独の病院で完結型の医療提供が困難な状況であることと、それに伴い、病院の健全な経営が大きな課題となってございました。この中においても、平川市、藤崎町というところも、現在、診療所となっておるのですが、以前は公立病院が開設しておったものでございます。
2ページをお願いいたします。こうした中で、定住自立圏という範囲も同じでございますので、その中において、自治体病院を再編成して中核病院をつくろうという案が、お隣の黒石市から提案を受けました。その提案に基づきまして、公立病院、自治体病院を開設している4つの市町でまずはその可能性について協議をしてございます。これについては、青森県や弘前大学医学部から助言をいただきながら、意見交換を進めておりました。おおむね4市町の中ではそういう方向でいこうということになって、圏域8市町村全体での協議を目指したものでありますが、そこから全体協議に移るまでに1年を要しております。これについては、なかなか賛同を得られなかった自治体もあったということでございます。そこから全市町村が合意した後にいろいろと協議を重ねておりまして、任意の再編成協議会を設立して本格的な協議に移っておったのですが、その中で、医療介護総合確保推進法が成立しまして、各県で地域医療構想を策定しなければならないことになりました。青森県におきましても、平成27年中に医療構想を策定することにしたため、その県が策定する医療構想とそごが生じてはいけないということで、圏域による協議をこの段階で一旦中止してございます。
3ページをお願いいたします。青森県が地域医療構想を策定いたしましたのは28年3月で、その中で、自治体病院等が機能再編成をして、中核病院を整備することが示されてございます。この段階では、具体的な提案ではございませんでした。その次の段の28年10月におきまして、具体的な案としまして、国立病院機構弘前病院と当市の弘前市立病院の統合が提案されました。それを受けまして、我々は国立病院機構と市と県などの助言を得ながら協議を開始してございます。主な協議の項目といたしましては、中核病院の診療機能・病床規模、設備・施設等の管理形態・費用負担、弘前市立病院はなくなる病院ということになりますので、その市立病院の職員の受け入れというか、中核病院での受け入れ・雇用ということで、自治体病院ではなくなるわけですので、その地域の意見を聞く仕組みづくりも必要であろうということで、そういう点について協議を行っておりました。
4ページ、5ページは、青森県が開催いたしました地域医療構想の調整会議、津軽地域の分を総合的に提示された資料をそのまま載せております。5ページにおいて、目指す姿、イメージを提示されておりまして、2病院を統合して中核病院をつくる。その他の自治体病院は、回復期、慢性期等の機能へ転換するということを示されてございます。構想の中では、急性期病床が1,200床過剰とされている中で、一方で、回復期や慢性期病床が不足しているという状態でございましたので、このような案となってございました。既に議論は進んでいるかと思うのですが、こういった展開に当たっても診療報酬での誘導も必要かなとは思ってございます。
続いて、6ページをお願いいたします。6ページ、7ページは、協議のポイントということで、当市として考えました協議のポイントでございます。まず、診療機能・規模でございますが、単に統合するだけではなくて、診療科目の充実や診療機能の高度化が図られないといけない。市民、住民に対しまして、自治体病院を閉めてもなお、それを上回る医療提供体制が確保できなければならない。その当時の提案では440~450床という提案でございましたが、そういう病床数で今までの患者の受け入れすることができるのか。二次救急医療が地域の非常に大きな課題でございましたので、それが24時間365日分運営できる体制になるのかということがまず1つでございます。次に、先ほども申し上げましたが、地元の意見を聞く仕組みづくり。自治体病院でなくなることから、市議会などの関与がないということで、市民の意見を届ける仕組みづくりが必要であろうということでございます。それから、その当時、提案をいただいていたものが、一部を弘前市が区分所有してはどうかというお話でございましたので、それについて医療法上の基準を満たすのかとか、それにどのような形で指定管理を行うのか、費用負担はどうするのかということでございます。
7ページをお開きください。続いて、市立病院で働く職員の中核病院への受け入れがポイントとなっております。その次、その整備がされるまでの間の市立病院の運営も、ごらんのとおり、いろいろポイントがございまして、それも協議してございます。
このような形で協議ポイントを定めてお話ししてまいったのですが、正直、当時はなかなかうまくいかない場面もいろいろございまして、そのようなことから、当時の市長が市民の意見も聞いてみようということで、8ページに参ります。市民会議を立ち上げまして、医療関係者だけではなくて、福祉関係者や一般の町会関係者などに集まっていただきまして、平成29年9~11月、毎月1回ほど、4回開催してございました。この中では、短命県を脱却しよう、健康寿命を延伸しなければならないということから、この地域においても地域包括ケアシステムの構築が不可欠であろうと。その地域包括ケアシステムの中においては、市が中心となって行わなければならないと。その中においても中核病院が果たす役割も重要であることから、市が責任を持って病院を運営してはどうかというような御意見も出ております。専門的な意見も聞いた上で取り組むべきというお話もございました。そうした意見を受けまして、当時の市長が、市議会において、弘前市がその統合中核病院の運営主体、整備主体となる可能性も示したところでございます。
9ページをごらんください。市民会議におきまして、専門的な機関の方からも意見を聞くということがございましたので、市において附属機関を設置してございます。それが地域包括ケア検討委員会でございまして、この中では、地元の関係者、弘前大学医学部関係者のほか、中医協の委員の先生方にも御参画いただくなど、より専門的な見地からいろいろ議論を重ねていこうということで、平成30年2月、3月と2回開催してございます。この中で、我々が考えておりました地域包括ケアシステムは、介護分野の取り組みだけではなくて、それを一歩進めまして、中核病院を起点に医療の知識を活用した健康づくりや介護予防といったものを進めたいというものでございました。この会議においては、地域医療連携推進法人ということも提案をされておりました。ただ、結論、決着点がなかなか見えない中で市長の改選期に入ってしまいまして、この病院の統合に係る課題がその争点にもなったものでございます。
その次のページをお開きください。選挙戦が終わりまして、それまで市が主体でやる可能性についても考えておった市長から市長が交代いたしました。新しい市長は、厳しい現在の状況を危惧されまして、早急に中核病院の整備を進めるためにはどうしたらよいかということをお考えになりまして、現在ある青森県の提案をベースに進めることで、より速く整備が進められるというお考えから、青森県の提案を国立病院機構と確認しながら、中核病院の整備を優先的に進めることにいたしました。市長から指示がありました協議を進めるポイントで、中核病院の整備・運営につきましては、国立病院が主体となって行う。市としては施設等を所有しない。それから、二次救急医療の対応と初期救急ですね。一次救急についても連携をしっかり行うこと。現在、弘前病院が置かれている場所が、道路網が少しいびつな形になってございますので、それの整備もしなければいけない。それから、弘前市立病院が駅の近くにございまして、バスターミナルも近くにあるので、すごく交通の便がよいところでしたので、それに負けないような公共交通も整備しなければいけないということでございました。当然でございますが、整備費・運営費にかかる市の負担額、市立病院の職員の処遇について協議を進めておりました。協議を進める中で、大体8月上旬ぐらいにはおおむね協議が整い、それ以降、基本協定に向けまして、さまざまな準備をさせていただいた上で、平成30年、昨年10月4日に、青森県、弘前大学を含めて関係業者で基本協定を締結いたしました。協定の主な内容は記載のとおりでございますが、中核病院の整備・運営については、国立病院機構が主体となって行う。緊急搬送路、周辺道路の整備については、市と県が責任を持って行う。弘前市の整備費の負担は40億円、運営費として2億5000万円を開設後、40年間負担するという協定になっております。それから、地域の意見を聞く仕組みとしまして、運営委員会を中核病院に設置する。弘前市立に病院に勤務する職員が新しく中核病院に勤務を希望する場合は、原則として採用する。それまでの勤務経験も通算した上で、最終的に退職するときに退職金を支払っていただけるなど、このような形で協定を結ぶことができました。
11ページをお願いいたします。このような協定に基づきまして、今、国立病院機構とともに鋭意中核病院の整備を進めているところでございますが、市が抱えている課題を最後にお話ししたいと思います。これについては、財政的負担は、長期的な観点で見ると、中核病院の整備費・運営費を一部負担しても、市の財政負担が将来的には軽減されるとは見込んでございますが、現在、その整備までの過渡期ということで、以下のような課題がございます。まずは、病院職員の処遇・モチベーションの維持ということで、すぐに中核病院ができるわけでございませんので、それまで市立病院としても診療機能を維持ししていかなければいけないということがあるのですが、統合決定ということで、職員の間では地方公務員から独立行政法人の職員となることで、転勤の可能性があるとか、そういうことでモチベーションがなかなか維持できないという声が上がってございました。中核病院勤務への移行を希望しない職員については、退職してしまって、圏外、青森県外に医療資源が流出することが懸念されてございます。中核病院開院までの市立病院の運営ということで、統合が決まったことによりまして、職員の退職が発生しまして、診療機能を縮小する状況になってございます。これについては、救急輪番などについては弘前病院や弘前大学の協力を得まして何とか維持はしてございますが、医業収益の減少は避けられませんので、市が一般会計から補っているような状況でございます。中核病院に移行しない職員については、退職手当についても資金の捻出をしなければいけないと思っております。
最後、12ページをお願いいたします。これらについて、弘前市としての対応でございますが、統合に伴い廃止される病院職員への対応を書かせていただいていますが、当市といたしましては、そういう病院の職員に対して十分な情報提供をしなければいけない。それから、意見交換を重ねておいて、できるだけ職員の要望をかなえていくことが必要だと考えてございます。次に、資金不足や残債務への対応でございますが、これも経過期間での資金不足や閉鎖時の資金不足が懸念されてございます。財政的な問題については、青森県を初め、総務省にも相談に乗っていただいてアドバイスをいただいているところでございますが、それによって具体策が見えているものもあるのですが、まだ見えていないものもありますので、さらに精査して対応を決定していきたいと考えてございます。これらは、我々なくなる側である当市の課題でございまして、病院を廃止するに当たって資金不足が発生するであろうというのは我々も見込んでおり、かなり強目な対応策を立てておったのですが、現実にその金額がそのままという形で出てまいりますとかなりつらいというものがございます。同じようなパターンが全国的にあるのかどうか、私はちょっとわからないのですが、取り組みを行うにはそれなりに覚悟が必要かと思っております。職員の対応であったり、財政面であったり、それなりの覚悟が必要となってまいります。それを、今、少しでも軽くしようということで、取り組んでまいりたいと思っております。
以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、ただいま御説明いただきました資料1につきまして、御質問、御意見をお願いしたいと思います。
織田構成員、どうぞ。
○織田構成員 それでは、質問させていただきます。
まず、この1ページ目なのですけれども、この津軽地域保健医療圏の病院・診療所をマッピングしてありますけれども、民間病院や医師会の診療所等もここに書いてあるのですか。これはみんな公的ですか。
○外川参考人 こちらに書かせていただいているものはあくまで自治体が開設しているものだけで、このほかに、国立病院機構で開設している病院も当市にございますし、弘前大学附属病院もあるということなのですが、民間の病院もあるのですが、200床前後の小さい病院が多く、先ほど申し上げましたとおり、なかなかそれを自己完結型でできないという状態になっておりました。
○織田構成員 基本的に自己完結型でなくても、地域完結型であればいいわけなのですよね。今回、地域医療構想の一番のあれは、民間で負えない部分を公的が負う、重点化していくということになっていますので、そこら辺で見てくると、公的病院完結型みたいな感じで、そこでまた回復期と慢性期機能の転換を検討すること自体が、ちょっと問題かなと思いますけれども、そこら辺はいかがでしょうか。
○外川参考人 今、地域医療構想に基づきまして圏域の調整会議も開いておるのですが、それは自治体病院はもちろん、民間の病院も参加してやっているところで、その中において全体で今は地域完結型の医療を目指して役割分担をしようということで話し合われております。まずは基点となる中核病院をつくりましょうということがなかなか進まなかったもので、それについてなかなか議論が深まっていなかったのですが、今、道が見えましたので、それを踏まえて、今度は圏域内での役割分担を議論させていただいているところです。
○織田構成員 わかりました。
あと、今回、市立病院を廃止するという意味で、いろいろな財務的な問題が起こっているということなのですけれども、ここら辺は今の地域医療介護総合確保基金がダウンサイジングに関しては手当が出るという形になっておりますけれども、そこら辺の検討はされておられますか。
○外川参考人 はい。青森県に要望させていただいており、申請もしておるのですが、まだ決定はしていない状況です。
○織田構成員 わかりました。
○尾形座長 よろしいですか。
ほか、いかがでしょうか。
小熊構成員、どうぞ。
○小熊構成員 ただいま、詳しく御説明いただき、ありがとうございました。
弘前市立病院と国立病院のことはお話でわかったのですけれども、ほかの、例えば、国保の黒石といったものの方向性が、今、織田先生のお話にもありました介護や慢性期に行くということですけれども、そちらのほうの病院の対応といいましょうか、反応はいかがなものだったでしょうか。わかる範囲で。
○外川参考人 今年度は2回圏域の調整会議があったのですが、その中でも、中核病院の道筋ができたので、例えば、国保黒石病院などというのは、病床の転換をしていくとか、一部介護のほうに転換するとかということで、各病院で進めております。また、この町立大鰐病院も書いてあるのですが、こちらは現在60床となっているのですが、こちらについても19床に縮小して有床の診療所にしようということで進めておられます。詳しくは、今、資料がなくて申し上げられないのですけれども、大体そのような状況でございます。
○小熊構成員 そのダウンサイジングなり、病院機能の変更なりということに関しては、スムーズにいかれていますか。
○外川参考人 はい。おおむねスムーズにいっていると認識してございます。
○小熊構成員 ありがとうございました。
○尾形座長 本多構成員、どうぞ。
○本多構成員 外川参考人、詳細な説明をどうもありがとうございました。弘前市の取り組みは先駆的だと思うのですが、いろいろ御苦労があったことはこの資料から推察いたします。今後、こういった検討を進めなければいけない地域がかなり出てくるかと思いますので、そういった意味で、ポイントを幾つか示されておりますが、こういう点を留意したらいいとか、この辺を注視して進めていったらいいというポイントがさらに幾つかあったら御紹介いただければと思います。
○外川参考人 資料には載せていなかったのですが、結局、最初も最後も同じ相手方と話をしてきたわけなのですが、それが急にうまくいくかいかないかという部分はあるかと思うのですが、最初はお互いに譲り合わなかったというのが正直なところでございまして、今はお互いに譲歩する環境が整ったということで、そういうどちらか一方だけが主導してやるのではなくて、それぞれの意見を聞きながら、譲歩し合いながらということで環境が整いましたので、一気に進んだのかなとは思っております。
○尾形座長 どうぞ。
○本多構成員 その際、例えば、協議する中で、データみたいなものが特に決め手になったのか、また、折衝ですので、接触した回数に効果があったのか、その点、もしポイントがありましたらお願いいたします。
○外川参考人 もちろん我々が協議再開ということで始めるに当たっては、国立病院機構にお話ししに行って、データを示してもいただいておりますけれども、顔を合わせていろいろ自分たちが思うことを話す回数が格段にふえておりますので、その段階でこちらの思うことも機構さんが考えることもいろいろわかってまいりましたので、目指すところは一緒なのだろうなということで、最終的には協定まで進んだのかなとは思っておりました。
○本多構成員 ありがとうございました。
○尾形座長 中川構成員。
○中川構成員 去年の4月に市長選挙があったのですね。
○外川参考人 はい。
○中川構成員 旧市長と新市長の医療提供体制に関する方針の違いをもう一回教えてもらえますか。
○外川参考人 私が思うに、それほど大きな違いがないのだろうなと思います。
ただ、どちらが主体となって行うかということがあって、前市長は弘前市として責任を持って行ったほうがいいのだろうというお考えであったもので、今の市長はそうではなくて任せる部分は任せてもよいということになりましたので、国立病院機構さんに運営していただくということで協議が整ったものでございます。
○中川構成員 中核病院の運営は、最初から国立病院機構ではないのですか。5ページ。
○外川参考人 県から御提案があったのは、最初からそのようなことでございましたけれども、その協議を進める過程で前市長もいろいろお考えになったと思いますので、最終的には市が中核病院を行う可能性についても考えておられましたので、その点でなかなかうまく進まなかったものと思います。
○中川構成員 聞きたいのは、市長選挙の争点、論点になったのかということです。
○外川参考人 そうです。
○中川構成員 なったのですか。
○外川参考人 はい。
○中川構成員 新しい中核病院を市がやるのか国病機構がやるのかという論争になったのですか。
○外川参考人 考え方が違いますので、今の市長は、県の提案をちゃんと確認した上ですが、国立病院機構でやるのがいいだろうという形で、選挙でも争点にはなってございます。
○中川構成員 県が弘前市立病院にと。
○外川参考人 8ページのあたりをごらんいただければと思うのですが、8ページの最後のところに、これは前市長の考えですが、赤字で書いているところが、市が主体となる可能性についても示したというお考えになったということでございます。
○中川構成員 今の市長、新しく選挙に勝った市長さんは、国病にやってもらいましょうというのが最初から選挙の論点ですか。
○外川参考人 そうです。
○中川構成員 では、市民はそっちのほうを選んだのですね。
○外川参考人 そっちを選んだというより。
○中川構成員 ほかにもたくさん論点があって、争点があって、総合的に新しい方が勝ったと。
○外川参考人 それが一番の争点であったことには間違いないのですが、どうすることで早く新しい病院ができるだろうかということを考えられた市民の投票だとは思います。以前の路線でいくとまだ時間がかかっただろうとは思いますので、そういう観点から選ばれたものと私も思います。
○中川構成員 よく言われるのは、首長さんの選挙で、市立病院を守らなければ負けるのだということが一般的に言われているのだけれども、この場合は逆だったのですね。
○外川参考人 そうです。
○中川構成員 そこでお聞きしますけれども、これまで弘前市立病院に一般会計からの繰入金は毎年幾ら入っていましたか。
○外川参考人 多いときと少ないときがございますが、大体5~7億だと思います。
○中川構成員 5~7億の内訳は。
○外川参考人 内訳といいますと。
○中川構成員 地方交付税と一般財源です。
○外川参考人 交付税措置をされている部分を除きますと、一般財源は大体10年間平均ベースで4億程度だと思います。
○中川構成員 毎年5億円ね。
○外川参考人 はい。
○中川構成員 毎年5億円で、10年間だと単純に50億となりますね。
○外川参考人 そうですね。
○中川構成員 50億のうちの交付税は幾らですか。
○外川参考人 交付税を除いて、大体毎年平年ベースで4億です。
○中川構成員 それでは、交付税は1億なのですか。
○外川参考人 いや、5~7億ですので、多いとき、多くないときはございます。大体交付税は3億弱ぐらいだと思っています。
○中川構成員 毎年ですか。
○外川参考人 はい。
○中川構成員 結構な比率ですね。
総務省の方、そんな感じですか。
○桑原理事官 弘前病院の実際の状況を把握しているわけではございませんので、幾らかということはこの場ではお答えしかねます。
○中川構成員 少しは答えてください。
○桑原理事官 内容がわかりませんので、お答えしかねます。
○中川構成員 一般論でいいですから。
○桑原理事官 一般論でも、我々は正しい数字をお答えする必要があるかと思いますので、この場では数字についてはお答えしかねます。
○中川構成員 では、次回、お願いします。いいですか。
○松本課長補佐 個別の御質問と一般論の御質問とあると思うので、ちょっと整理が必要かと思うところです。
○中川構成員 わかりました。質問を変えます。
それで、弘前市立病院の病床利用率はどのぐらいでしたか。
○外川参考人 ピークのときで90%を超えるぐらいだったと思います。平年ベースでいくと80%ぐらいだったように記憶しております。
○中川構成員 いわゆる稼働率でなくて、実際の在院患者数は満床に比べて何%ぐらいですか。
○外川参考人 申しわけありません。今、ちょっと資料を持ってきておりませんので、そこまでは。
○中川構成員 事務局、この前の計算式のやり方で出しているのですか。前回示された。
○松本課長補佐 現在、個別の病床機能報告の答えを持ち合わせていないのですけれども、今のやりとりを横から拝見いたしますと、弘前市さんは、一般論で言うところの病床利用率、稼働率でお答えになっているのかなと思います。
○中川構成員 80%、90%であると、決して低くないですよ。それで再編統合して、250床と342床の合わせて592床を450床にして国病機構に移管するというのは、なかなか思い切ったことをやったなというか、結構な決断で、そっちのほうが選挙に勝つと。表面的に考えると、非常に革新的なことをやったのかなと思うのですよ。それで市民が納得したのかなという気もしないでもなくて、もう少し正確なというか、実態を知りたいですね。それは、全国のモデルケースになるかもしれないので、知りたいのです。別に根掘り葉掘り聞いて何か問題点をあらわにしようというつもりは全くないのですよ。
○松本課長補佐 今回お呼びしたのも、まさに今、中川構成員がおっしゃったように、先駆的な部分というか、参考になる部分が非常に多いということで御苦労も多々ある中、また、再編統合のオン・ザ・ウエーというか、道すがらである中でも、課題がある中でもいろいろな解決をされているということで、今回、いらしていただいてお話を伺ったということです。
○中川構成員 もう一つ、回復期と慢性期が足りないとおっしゃいましたけれども、その根拠は。
○外川参考人 私が申し上げたのは、地域医療構想の中で足りないという形で示されていたということをお話ししたということでございます。
○中川構成員 多分足りないというのは、病床機能報告制度の病床数と病床数の必要量を比較して足りないとおっしゃっていたのだと思いますけれども、現場からの声として回復期が足りないという声がありましたか。
○外川参考人 実態として、使われ方として急性期の病院であっても回復期に使われているという部分は多々あったかと思います。
○尾形座長 よろしいですか。
○中川構成員 これ以上お聞きしても申しわけないので。
○尾形座長 それでは、太田参考人、どうぞ。
○太田参考人 今の話と少しつながるのですけれども、先ほど織田先生もおっしゃいましたけれども、私は中核病院の再編・整備は非常にすばらしい仕事をやられていると思いますけれども、それ以外のいわゆる公立病院の再編のところが少し気になるものですから、御質問させていただければと思います。
板柳の病院、国保黒石、大鰐が、5ページの資料がそのまま続けるとすると、回復期・慢性期のほうに機能を転換するという形で地域医療構想調整会議が進んでいるということだと思いますが、公立・公的というのは、この地域医療構想の中ではいわゆる公立・公的でやらなければできないものに重点化をしているか確認していくことになっています。当然その周りに同じような病院がなければ、そういうようなものを公立・公的がやることは、調整会議の中で認められていくべきものだと思うのですけれども、ここの部分に関しまして、例えば、地域のいろいろな民間病院さんとの話し合いは非常にスムーズにいったものなのか、まだいろいろとディスカッションが残っている状況なのかということをお聞かせいただければと思います。
○外川参考人 他の公立病院においても、完全に急性期がなくなるとか、そういうものではなくて、5ページに示されているのは、将来的な姿、転換、このようにして誘導していこうと青森県が示したものでございますので、これイコールの形で全てが進んでいるわけでもございません。まだいろいろ考えていかなければならない課題も各病院で抱えておられると思いますので、全てがこの姿でいくというというものではないと思っております。
○尾形座長 どうぞ。
○太田参考人 これは弘前市の方に聞くのもいかがなものかと思うのですけれども、これらは多分全部自治体立の病院だったと思うのですが、本来は、こういうものに関しましては、もし民間でできるところがあるならば、そちらに機能としてはお譲りするべきものですし、場合によっては、これだけラジカルな再編統合をやられるとすると、いわゆる運営母体そのものを、公立のままでいくのか、場合によると独法やいろいろな民間譲渡なども考えていくことも、プランとしては非常にいいのではないかと思うのですが、その辺のほかの市町村の動きは何か議論になっているようものはございますでしょうか。
○外川参考人 民間といいますか、そういう大きな受け皿になる民間がなかなか当地域はございませんので、そういうことから自治体で病院を運営してきた経緯がありますので、もしそういう全体の経営体を一つにするということであれば、例えば、広域連合方式や一部事務組合方式などといった形になっていくのだろうと。そのまま民間にお願いすることがなかなか難しい地域でございます。
○太田参考人 ありがとうございました。
○尾形座長 織田構成員。
○織田構成員 民間にお願いするのは難しいということなのですけれども、まず、官公立を再編統合をされるときに、県、市、国立病院機構、大学病院、そこで話されて、ある程度決まった、固まったものを出すのではなくて、そこに実際の県の病院団体なり医師会なりが入って、実際に地域包括ケアを実現しようと思うならば、地域に根差しているところと一緒に話し合わないと、多分絵に描いた餅になりますね。これから、高齢社会ですから、超高齢社会ですから、圧倒的に地域に密着した患者さんが多いのですよ。中小病院の役割はかなり大きくなるのです。大きくないと役に立たないという考え方だとうまくいかない。だから、みんなを仲間に入れるという基本的な考え方でこれに取り組まれたほうがいいのではないかと思います。
○尾形座長 これは御意見としてと。
中川構成員。
○中川構成員 何度も済みません。調整会議という言葉が一つも出ないのですけれども、地域医療構想調整会議が全く出ていないのですけれども、その開催はされていないのですか。
○外川参考人 少しお話ししたと思うのですが、調整会議は開催されております。今年度は2回開催してございます。
○中川構成員 そこではこれは議題にならないのですか。
○外川参考人 まずは当事者同士での話ということになりましたので、統合の話は我々と機構さんというお話です。全体像については調整会議でという話にはなってございません。
○中川構成員 それと、織田構成員も言いましたけれども、民間医療機関の影が全然見えないのですけれども、これは市立病院と国病機構で相談して統合することだからほかは関係ないということではなくて、民間医療機関がこのポンチ絵にも全く出てこない、これはちょっと問題だと思うのですよ。この構想区域に、100床、200床の民間病院もあるわけですよね。決してそんなに小さくないですよ。それが全く出てこなくて、ここだけでやってしまったと見えてしまうので、ちょっと心配はしているのです。
それで、申しわけないけれども、野原さん、岩手県は公立病院が非常に多くて民間の医療機関が少ないですよね。その形とこの津軽地域は似ているのですか。参考までに御意見を。
○野原構成員 北東北は3県ございますけれども、3県とも公的医療機関の割合が多いことは共通していますが、事情が少々違います。
岩手県は、県立病院が全国で一番多い20病院6診療所を持ち、県が医療提供に関してデザイナーとサプライヤーの役を担っています。
青森県さんに関しては、公的医療機関としては市町村立病院がほぼその役割を担ってきた。
秋田県さんは、厚生連さんが担っています。
岩手県でもこれまで病院の統合・再編はしておりましたけれども、県立病院間または県立病院と市立病院の統合である釜石の事例もございますけれども、ある程度県が直接関与してきました。一方で、青森県さんは主に市町村立病院間の統合再編が多く、複数の自治体の公立病院の調整について、それぞれ首長さんの思いや議会への対応、組合への対応等がありますので、県や当該市町村では非常に御苦労されているのかなと思います。
○中川構成員 県立病院が20ですか。
○野原構成員 20です。
○中川構成員 市立病院は。
○野原構成員 市立病院で申しますと、病院という形になりますと、盛岡市、奥州市、一関市及び八幡平市にございますが、あとは国保診療所などになります。
○中川構成員 また聞きにくいことですけれども、一般会計からの繰入金は毎年どのぐらい入っていますか。
○野原構成員 県立病院ということでしょうか。
○中川構成員 はい。
○野原構成員 約200億です。
○中川構成員 20病院で200億ですか。
○野原構成員 はい。
○中川構成員 その内訳を教えてもらえませんか。
○野原構成員 内訳につきましては、今、資料を持ち合わせておらず、これは正確にお話ししなければなりませんので、先ほど弘前市さんから御説明があったような割合と理解していただければと思います。
○中川構成員 ありがとうございます。
○尾形座長 岡留構成員、どうぞ。
○岡留構成員 外川さん、非常に詳しい説明をいただきまして、ありがとうございました。
ただ、1点、非常に軽微な、ちょっと心配事なのですが、12ページなのです。病院の資金不足や残債務への対応というところですらっと書いておられますけれども、こういった再編統合に伴うときの資金の脱落はいつも非常に大きいのですよね。この辺のところの重要性をどのように考えておられるか。これを間違うと、財政収支破綻になって、病院を続けていけなくなることは目に見えているのですよ。この辺についてのお考えはございますか。
○外川参考人 過渡期ということで、現在もそういう状態であるのですが、そこは我々市の一般会計で支えるしかないので、今はそういうふうにしてございますけれども、市でも支えるためにはなかなか厳しい部分があるので、どこか何かの資金をうまく使って平準化したいとは思っておりました。
○岡留構成員 中川構成員がいつも重視しておられますけれども、一般会計からの繰り入れ、いつもその話が出てくるのですよね。私たちが心配しているのは、その辺のところが本当にこれから持続可能なのかということです。例えば、先ほど病床利用率が80~90%とおっしゃいましたけれども、それはそれでいいのですけれども、どうしても平年でいくと恐らくそれよりは下がっているだろうと思います。その辺の心配をちょっとしているものですから質問させていただきました。
○尾形座長 中川構成員。
○中川構成員 もう一回確認しますけれども、市長選挙は、市立病院を国病機構にお願いして弘前市が財政的に身軽になるのだということを市民が選択したという理解でいいですか。
○外川参考人 私は、そこまでは申し上げられません。
○中川構成員 感覚としては。これは非常に大事なことなのですよ。
○外川参考人 私の感覚というお話であれば、早く中核病院ができる姿を市民が見たかったのだと思います。その前ですといつになるのだろうということでしたので、明確にこのようにして、今、県から提案があったものをベースに協議を進めていきますとお話しになられた今の市長が当選されたのかなとは思います。財政的な面という部分については、それほど大きな議論にはなっていないと思います。
○中川構成員 ありがとうございます。
○尾形座長 よろしいですか。
小熊構成員。
○小熊構成員 自治体病院に関係している者として、弘前市立病院のありようというか、方向性、あるいはこの医療圏のありようを高く評価したいと思うのですね。現時点のままでいくと弘前市民病院の一般会計からの補塡がかなりきつくて、それが統合することによって新しい病院で医療の内容も高まって地域の機能分担も進んで、もちろん民間さんの場合も含めて、そういったものを考えながら英断されたと私は評価していると。
岡留先生のおっしゃった財政面においても、例えば、毎年2億5000万が今は4億以上出ているわけですから、そういった意味でも多少はいい方向に行けるのだろうと思うのですね。先ほど中川先生もおっしゃったように、これがモデルケースになるだろうと思いますので、ぜひそういった意味で頑張っていただきたいと私は思います。
コメントです。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、長時間にわたりまして、外川参考人、どうもありがとうございました。
続きまして、資料2の説明を田渕参考人からお願いいたします。
○田渕参考人 赤十字の田渕です。
それでは、赤十字社として、この2年間、地域医療構想への取り組みを行ったことと、その結果、いろいろ感じた阻害点、問題点について、きょうは発表させていただきます。まだ公表できないことが幾つかありまして、その点は文章だけで口頭で説明させていただくということで御了承ください。
2ページですけれども、全国の92の赤十字病院の診療機能ということで大まかにまとめさせていただきました。基幹災害拠点病院が10、地域災害拠点病院が54、救命救急センターが34、DPC特定病院が21等々と診療機能がありまして、それぞれ全国の病院の中での赤十字病院の割合が、一番右端に、16%、8%、11%と記入しております。そういうことで、雑駁ですけれども、赤十字病院グループは、災害拠点、救命救急、DPC特定病院等に指定された多くの病院を保有している病院グループであり、しかも全国ではこの急性期から回復期、慢性期までの病床を持っている病院グループであるといえると思います。
3ページをお願いします。赤十字の特徴は、病院事業以外に災害救護事業がありますので、そのことに触れさせていただきますと、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震、いずれもこの発災地区の至近にあって、被害を受けたけれども、診療機能は維持できました2病院です。2011年は石巻赤十字病院、2016年は熊本赤十字病院というところに赤十字の全国からの救護班が入って、診療を数カ月にわたって行う拠点になったことの経験から、災害発生時の赤十字の救護活動の拠点としての赤十字病院を捉えるという捉え方で、今、社として方針を立てております。
4ページをお願いします。単位は入っていないのですけれども、この5年間、最後は見込み額ですけれども、投資キャッシュフローと業務キャッシュフローの総額のグラフなのです。前ページまでで御説明したように、赤十字グループ全体の方針として災害時の赤十字活動が中心にあるものですから、今、赤十字基準での防災機能の維持という考えに基づいて積極的に施設を営繕している時期に当たっていることが理解していただけるかと思います。
5ページ以降は、3枚は統合事例について紹介できるものを御紹介して、そのポイント、問題点を述べさせていただきます。まず、統合事例ですけれども、兵庫県の柏原赤十字病院と県立柏原病院の統合で、これは、統合の検討開始から6年にわたって、準備期間、営繕を始める期間がありまして、この2019年春に晴れて統合になるという形で、県立丹波医療センターという県立病院として320床で発足する形になっております。この柏原赤十字病院は、病床数が167と決して大きな病院ではありませんけれども、この病院を6年にわたって統合プロセスをした経験から、今後、より大型の急性期病院を統合するに当たってその統合コストをどう考えるかというところで、社内の議論がありましたので、この後のスライドでまた説明させていただきます。
ページの6ですけれども、連携推進法人への参加の事例、これは広島県の北部山間地区にあります庄原赤十字病院、310床の病院ですけれども、この病院が市立三次中央病院を中核とした備北メディカルネットワークという地域医療連携推進法人に2018年に参加しております。ここから学んだことなのですけれども、この地域医療連携推進法人備北メディカルは、その法人の機能、目的は、医療人の教育・研修と共同購買に限局している法人ということで参加しているわけなのですけれども、この連携推進法人への参加で我々が学んだ経験といいますと、赤十字は日本赤十字社と法律に全国で1法人として登録されているものですから、例えば、連携推進法人に入ってもう少し機能を拡大して、例えば、病床再編や、あるいは営繕など、そういうことがもしかかわってくると、それに対する資金の出どころ、ガバナンス、決定のプロセス、決定した後の責任、もし赤字が発生した場合にどこが責任を持つのか、連携推進法人が責任を持つのか、赤十字本社が責任を持つのかという二重ガバナンスの問題に直面しておりまして、この連携推進法人を少なくとも赤十字病院のような全国統一のガバナンス、1法人でやっている公的病院グループが、今のままで取り組むには非常に限定されたものになってしまうだろうというところで、これは根本的にこの連携推進法人の考え方、規定を我々も含めて要望していく必要があるだろうというところが、今のところの結論であります。
その次、指定管理、7番です。この期間、指定管理を行ったのは、北海道の道立北見病院の指定管理でありまして、70床の道立北見病院は循環専門病院ですけれども、これが532床の北見赤十字病院と機能的統合という形で、道立北見病院を赤十字が指定管理をするという形で一括管理を行うことになりました。これが2018年です。ほかの地区では余り参考にならないかもしれませんけれども、北海道の道東地区で、過疎がこれから進み、あらゆる医療資源、医師、看護師、そのほかの職種、どの職種もこれから確保に苦労するであろうという地区での統合事例です。これも6~8年ぐらい前から統合の話が湧いては消え湧いては消えというところで、公立病院と公的病院の診療文化の違い等々、職員の処遇の問題等々、たくさんの問題を乗り越えてこの指定管理という形での機能的統合に至ったというのが2018年です。そこで、いい点も悪い点もありまして、学んだことは、このように医療資源の非常に限られたところで、救急病院として機能できないような大きな人員の脱落が発生した場合には取り返しがつかないことになるという中での選択であったわけなのです。指定管理後1年間、見事に脱落は非常に少ない状態で、人員が確保されながら診療が続いているという状態なのですけれども、この2つの病院が並列しているという形で、中のガバナンスは統一されていますけれども、医療法上は2つの病院が並列しているということで、DPCの係数の取得や医療機能、細かくいいますと、医療安全を専従で置くかとか、感染を専従で置くかとか、全てのことがこの2つの病院が並列しているというところで問題点を抱えております。施設指定ということで、細かい話ですけれども、ペースメーカー症例数とか、学会基準を通すこともこの2つの病院で症例が分割されてしまいますので、この指定管理方式は、ベストのチョイスではないだろう、ただ、ベターなチョイスだというところで赤十字の中で認識しておりますし、そういう意味での我々の中での学びがあったというところです。
8ページですけれども、全国の赤十字病院の中で、急性期病床を抱えている地区が多いものですから、そういう意味での、一般病床、急性期病床の削減という形でそこにリストを示しました。全国で3万4000病床の病院ベッド数を持っているわけなのですけれども、2年間で296床の削減ということになりました。とどまったというべきなのか、これだけ削減できたのかということは、いろいろ個々の病床の事情がありますので、全体の数を示すことになります。個々の事例を見ますと、主に病床削減をしているときは、新たに病院が営繕をしたとき、あるいは病床機能を変更するときに当たって同時に病床削減をする事例が多い印象です。ここで2年間の我々の中での学びは、2025年の必要病床数で急性期病床が過剰だという数字は各地区で見るのですけれども、この急性期病床の過度なダウンサイジングは、診療機能そのものにも影響を及ぼす可能性がありますし、雇用の維持という面でも問題があると基本的に認識しておりまして、病床削減とどこまでのリミットで行うかということはかなりデリケートな問題だと思っています。近年、医師不足や医師の過剰労働や急性期病院での労働形態などいろいろなことが話題になっておりまが、我々の病院グループの中でもそのあたりの視点からも調査に入ろうとしているのですけれども、その場合の一つの目安は、高度急性期病院とすると、1つの病院の全体の医師数が200人・150人・100人・60人を一つの目安として、それぞれの病院の特徴、救急機能としてできること、医師の働き方をどう考えるか、目安をつくろうとしているところでありまして、例えば、200人の医師を抱える、150人の医師を抱える病院として、その病床数あるいは診療報酬額を逆算しますと、簡単にはサイズダウンという方向には行けないだろうというところで、統廃合という選択肢は避けて通れないだろうということが、今、我々の持っている感覚であります。
9ページ、10ページは、今までの3つの事例と、全国で、1桁ですけれども、少なからず統廃合の打診が赤十字病院に来ているところがありまして、まだ交渉に入る前の段階で今後いろいろな障害があると予想するのですけれども、9ページに我々の課題としてまとめさせていただきました。
まず、1番目ですけれども、全国に展開する赤十字事業との整合性。これは言うまでもなく災害救護という赤十字の使命を負っている中での赤十字病院の役割ということなのですけれども、簡単に説明しますと、発災後の医療需要が一番高い時期は、全国でDMAT組織ができていまして、我々も参加しているのですけれども、大体発災して1週間か2週間ぐらいがDMATの主な活動でありまして、その後、数カ月にわたる救護支援は、今、赤十字救護グループの一つのテーマになっております。そういう意味での救護の拠点としての赤十字病院を社内では考えておりますので、この統廃合との整合性を、社内・社外とどのように考えていくかということが大きなテーマということが一つはあります。
2番目に書いてある市場縮小局面での急性期病院の統廃合に伴う経営的問題なのですけれども、要するに、これは大型の急性期病院の統合コストをどう考えるかです。先ほどの弘前の例でもありましたけれども、統合コストをどのように処理するか、あるいはどう考えていくかというところが、今後、来ている案件をこれから処理するにおいては、整理しなくてはいけない問題だと認識しています。例えば、営利企業のM&Aでは事業撤退には当然コストがかかるわけなのですけれども、そのコストをかけても、その後、数年後、統合後に収益部門が大幅に収益がアップをして、それで統合コストをカバーするという計画のもとでM&Aが行われていると思うのですけれども、非営利事業である病院事業では、どんなに頑張っても利益率が数%という世界で、その統合コストをカバーする仕組みには、そもそも診療報酬ができていないと考えられます。そういう意味では、今後、発生し得る比較的大型な急性期病院の統合がどのようになっていくかという場合は、民間も含めて、この統合コストをどう考えるかというところに一つ大きなキーがあるのではないかと思っています。逆に、例えば、日本海総合病院でもそうですし、弘前市の事例でもそうですけれども、過去に成功している大型病院の統廃合の事例はほぼ全て自治体病院が片方にかんでいるのですね。大きな財布を持っている、エクストラの支出に対する財布を持っていることが事例で示されています。公的病院、医療財団法人の病院に統廃合をもっと広げていくためには、この統合コストは特に大型の病院の場合はどう考えるかということが一番大事になってくると思います。もう少しこの急性期病院の統合コストについて我々の考えを説明させていただきますと、特に高度急性期の病院の生産現場の特徴だと思います。高度急性期の病院は、専門性が高い職員が生産の原動力になっている労働集約型の産業で、彼らの専門性が高ければ高いほど、養成に時間がかかります。専門医だってそうですし、専門性が高いナースでもそうです。病棟薬剤師でもそうです。それぞれの職場でオン・ザ・ジョブ・トレーニングを行うわけなのですけれども、専門性を得るためには数年以上は時間がかかり、得た人たちは仕事に非常に高いプライドを持っていることも特徴だと思うのですね。そういう状況の中で、単なる配置転換だけでは解決できない細分化された生産部分を持っているのが高度急性期病院の特徴で、もしそれが数年間の中で統廃合という過程に入った場合には、統合する発表をした後、統合の前の段階で、恐らく歯抜け状態でぼろぼろと専門性の高い職員が抜けていくことは目に見えています。抜けた途端に病院の機能が落ちてしまうことは一番危惧するところであります。それと同時に、今度は統合した後、特に対等合併の場合では、統合した後に、部門によってたくさんの専門性の高い職員が集まってしまっている部門と足りない部分とすごく凸凹ができて、それをうまく調整しながら病院を建て直していくには、数年はかかると思うのですね。そういう意味も含めた統合コストは、これから我々はどの病院も経験していく高度急性期病院の特徴だと思っていまして、それについてどう考えるか、高いモチベーションを持った職員のモチベーションにどう対処していくかという問題を抱えていると考えております。文章のほうに戻りますと、9ページですけれども、そういう意味では、市場縮小局面は、マーケット自体が小さくなっていく中で、例えば、統廃合に際しての過去債務、主に営繕に絡む過去債務をどう考えていくか、処理していくか、職員のモチベーションを含めた処遇をどう考えていくかということが一つ大きな直面している問題点だと思います。
最後の欄になりますけれども、統廃合促進の起爆剤になる仕組みづくりの提案なのですけれども、先ほど述べた地域医療連携推進法人ですけれども、これが何らかの形で全国組織の法人が加入しやすい形態にできれば、しかも、今、言った統合コストをカバーできる資金力を持つことができるような組織であれば、今、我々が経験している問題点が大幅に改善されるのではないかと感じております。もう一つは、モチベーションに絡むのですけれども、特に人口減少の地区で、診療機能、救急機能を維持して住民の医療・安全を守るという観点からすると、新しい統合した病院になったらこんなによくなるのだという、職員に対しても、住民に対しても、ある意味では旗頭になるような新しい病院の形態があればなおいいのではないかと思っているのですけれども、具体的な提案はできません。
最後のスライドです。
これは、もっと大きな視点からの我々の感覚なのですけれども、医療提供体制の市場寡占状態のかじ取りと申し上げますのは、ちょっとデリケートな表現ですけれども、いろいろな都市で人口減少が起こって、高齢者はふえるということはあるのですけれども、20年、30年のスパンで考えると、人口は減ってしまう、医療の需要は減ってしまうというところで、それに対処する方法は、統廃合が一つの切り札であることは間違いがないのですけれども、マーケットの理論からいいますと、例えば、1つの医療圏の中で4つあった病院が3つになる、3つあったものが2つになる、2つあるものが1つになるという意味では、寡占状態にかじを切っていると言わざるを得ない状態でありまして、そういうところでいかに透明性を確保するかというところが気になるところであります。先ほど来、公的病院、公立病院、医療法人といういろいろな開設者の違いについての議論をお聞きしているのですけれども、恐らくこの市場寡占状態方向にかじを切っているからには、時代とともにこの開設者の違いによる事業環境の相違をどう考えどう整理していくかということを、国として考えていかなくてはいけないのではないかと思っています。事業に対する公的資金援助しかり、営利事業への許可、附帯事業への許可の範囲もしかり、そういうものも含めた整理やすり合わせが恐らく必要になってくるのではないかと思っております。
資料は間に合わなかったのですけれども、今みたいな考えに至っている一つの例を挙げて申し上げますと、北海道に南空知医療圏という二次医療圏があるのですけれども、この医療圏の中で、岩見沢市内以外では、救急病院はほぼ1市町村1病院なのですね。この中に、赤十字は栗山赤十字病院という180床ぐらいの病院があるのですけれども、ほかの市町村の中にある病院は、市立病院、町立病院がほとんど全てなのです。それに対する地方交付金からの補助金の年間の額を総務省のデータから調べてみますと、どの病院も赤十字病院よりも公立病院のほうがはるかに多い補助金をもらっている。180床の栗山赤十字病院と同規模の病院を比較しますと、大体2~3倍ぐらいの補助金が年間に入っているということがわかります。それ事態に関して、今、どうこうと特に異論を申し上げるつもりは全くないのですけれども、例えば、今みたいな事例は、一つ、市場が寡占状態にかじ取りをされた際に、いろいろなところでこれから発生すると思うのですね。いろいろな歴史的事情があって補助金の額が違うことは十分に理解していますし、それ自体に関して、今、ここですぐに異論を唱えるつもりはないのですけれども、例えば、栗山赤十字病院がある南空知医療圏の住民にとっては、自分の市町村にある病院が公立病院か赤十字病院かによって、間接的に税の補助が全然違う。そういう意味では、税の公平性という点からも、この格差は将来的には少しずつ是正していかなくてはいけないのではないかという気がしております。
ただ、それぞれに医療の事情がありますし、それぞれに歴史がありますので、今すぐにこれが大きな問題だと異論を唱えるつもりはありませんけれども、そういうことも含めて、ここにお書きしたように、開設者の違いによる事業環境の相違は、将来的に少しずつすり合わせていく必要があるのではないかと考えております。2番目ですけれども、二次医療圏を支える基幹病院としての役割と責任は、赤十字病院の中で、その医療圏の中をリードする高度急性期病院が別にあって赤十字病院が中小病院としてそれに附属しているという医療圏からの経験なのです。今のDPCの制度では、各病院のパフォーマンスをはかるのは病院個別のパフォーマンスがほとんどだと思うのですね。その医療圏の中での基幹病院の立ち位置の指標は、恐らく紹介率・逆紹介率の数値ぐらいでしか把握されていないと思うのですけれども、この市場が将来寡占状態にかじを取られた場合の暁には、その寡占状態で勝ち残った病院というのは、民間にしても、公的にしても、公立にしても、その医療圏の高度急性期の全責任を負うわけなので、そういう意味での医療圏を面で押さえてそこの基幹病院になっているという指標の作成と、その指標の明確な住民への表示が必要になってくるのではないかと思います。3番目のポツは、簡単にいきますけれども、県立病院の開設者である県が多くあるのですけれども、地域医療構想推進の中心は県知事でありますので、県知事が域内の地域医療構想推進も行い、しかも県立病院の開設者でもあるという県がありまして、公平性をいかに確保するかということは一つテーマとしてウオッチしておいたほうがいいのではないかと思っております。
その他の課題は、簡単にいきます。都道府県・市町村の地域医療構想への認識のばらつきは、今、主に中小の赤十字病院の場合のケースですけれども、統廃合に関する大きなネックは、市町村を超える病院の問題点と思っているのですけれども、このように市町村圏域を超えた病院の統廃合は、市であり、町であり、村である長の考え方に大きく左右されるという問題点があります。この地域医療構想に絡む受益者、すなわち住民・患者さんが、理解がまだ不足しております。その辺の啓蒙活動も必要ですし、保険者の方々が地域医療構想に関与する工程がもう少し明確化されるとありがたいと思っております。

○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、ただいま御説明のありました資料2につきまして、御質問、御意見を承りたいと思います。
織田構成員、どうぞ。
○織田構成員 詳しいお話を聞かせていただいて、ありがとうございます。
この開設母体が違う法人が統合したり、また、地域医療連携推進法人になったりということで、いろいろなメリット・デメリットもあるのでしょうけれども、統合したときは相当のコストがかかってくるということです。
あと一つ、地域医療連携推進法人になったときに、二重ガバナンス、我々が心配するのは、地域、あくまでもこれは医療圏、構想区域の中で地域医療連携推進法人は組まれますから、地域の医療のことを知った上で話し合いの中から連携などは生まれてくるはずなのですね。そこに全国の開設母体から意見がどんどん入ってくることは非常に問題があるのだろうと思うのですけれども、そこら辺はどのようにしておられますか。例えば、そこで話し合われたことを追認するという形であればいいのでしょうけれども、そこで話し合われたことを否定してしまうということが起こってくると、なかなかうまくいかないのではないかという気がします。
○田渕参考人 織田先生がおっしゃられたとおりだと思います。地域での医療の重要性を理解しているものは地域の病院ですので、全国組織である本部、本社機能がそれをどう考えるかということは、地域の意思を尊重することは大事なのですけれども、特に赤十字病院で言うと、先ほどお話ししたように、赤十字事業がありますので、それとの整合性、事業には必ずコストも発生しますし、責任も発生しますし、いざ赤になったときにどのように負担するかという問題点、そういう問題点をこれから整理していかなくてはいけないと思っております。原則は、織田先生がおっしゃるとおりだと思っています。
○尾形座長 よろしいですか。
中川構成員。
○中川構成員 田渕さんの今のお話ですけれども、日本赤十字社の本部の方針なのですか。あなた個人の考えも含まれているのですか。
○田渕参考人 発表する内容については、本部の認証を得ております。
○中川構成員 非常に違和感を覚えるのですよ。日本赤十字社が全国の地域医療提供体制をつくってやるのだと聞こえました。
連携推進法人の仕組みが、赤十字病院が参加するには非常にやりにくい、見直すべきだと。それはそもそも本末転倒な話です。地域医療を支えるのは現場の医療機関なのですよ。もしそれぞれの赤十字病院単体が本部からの指令で動いていて、方針も全て本部にお伺いを立てて医療の提供をしているという仕組みであれば、連携推進法人に入ってはいけないのです。そういうものをつくったのです。赤十字病院が連携推進法人をやりやすいようにつくったわけではないのです。そもそもそれが違うと思いますよ。
それから、公立病院には税金が投入されていて、公的医療機関等の中に赤十字病院は入るのですけれども、それと補助金が大幅に違うから問題だとおっしゃいましたけれども、医療法人から見ると、法人税も払わないですし、はるかにあなたたちのほうが優遇されているのです。ですから、医療提供体制、地域医療構想を考えるときには、地域医療構想区域単位で物を考えなくてはいけないのです。全国展開で、赤十字社本部が、例えば、岩見沢市の話が出たりいろいろなことが出ていますけれども、本部の指示で全国の地域医療構想を進めるのだと考えているのであれば、これは決定的な間違いです。
いかがですか。
○田渕参考人 まず、最初に誤解を解きたいのですけれども、赤十字の社内の2年間で経験したことが、全て筋が正しいから全国の地域医療構想に反映させてほしいというつもりは毛頭ありません。我々の中での経験で、我々の中で地域医療構想の中でうまく対応しようとしているのだけれども、いろいろな阻害される問題点に直面していると。それをそのまま素直に御報告しただけで、それ以上の意図はありませんので、その部分は誤解を解いていただきたいと思います。
○中川構成員 誤解しているつもりは全くございません。あなたの言葉どおり受け取っているだけです。
DMATの活動期間、DMATに日赤が非常に頑張っていることは高く評価していますが、例えば、DMATの活動期間が2週間とおっしゃいましたけれども、本当に2週間ですか。
○田渕参考人 2週間のときは、赤十字救護班はその後を引き続いて数カ月カバーをすると申し上げただけで、全てが2週間と決まっているわけではありません。状況によって違うと思います。
○中川構成員 一般的には、DMATは数日ですよ。その間、私どものJMATや病院団体などのいろいろなところがカバーをするのです。そもそもそういう認識もちょっと違うなという気がして心配になりました。
それから、それぞれ全国の赤十字病院は公的医療機関等ですから、2025プランを策定しなければなりません。もちろんしていますけれども、それを地域医療構想調整会議に提出して議論をしなければなりません。そのときに、これも一般的なこと、一般常識ですが、民間医療機関と競合している場合は、例えば、日赤病院でなければ担えない医療に特化しているかという検証が必要なのです。そういうことを考えると、全国展開で病院の統廃合に関与しようという趣旨でしたが、それは方向性が違うと思いますよ。統合コストの問題や市場寡占状態などという言葉がどんどん出ますが、マーケティングなど、そういうことは業界が違います。ちょっとそれは考え直していただきたいなと強く思いました。
○田渕参考人 誤解がないように訂正しておかなくてはいけないのですけれども、DMAT、JMATの活動は、我々も非常に感謝しておりまして、時間軸ではその後を追う形で赤十字救護班が活動するという体制に間違いありませんので、JMATの活動も非常に我々にとっては助けになっておりますし、今の日本で考えられている災害救護体制を否定するものでは全くありません。
○松本課長補佐 DMATのところについて、DMATそのものの方針としましては、中川構成員がおっしゃったように、72時間や数日というところでDMATの体制を組んでいることは事実でございますけれども、例えば、昨年の水害や北海道の地震において、保健医療調整本部ということで、保健や救護へのつなぎの時期に、DMATという形ではないにせよ、DMATでいらした先生方とほぼ同じようなメンバーで保健医療調整や救護、JMATへの引き継ぎという期間が2週間程度あったことは事実ですので、DMAT自体の趣旨としては中川構成員のおっしゃるような期間が制度の趣旨でございますけれども、実態として2週間程度御活躍いただいたことはあるのかなと感じております。
○尾形座長 どうぞ。
○田渕参考人 もう一つ、2つ目の中川先生のことに関しての答えなのですけれども、赤十字の基本的な考えとして、本部が主導してやろうという考えは全くありません。各地域での赤十字病院のその地域の中、地域医療構想の中でいろいろな調整を経て2025年プランが実現するわけですから、過去、今、3つの事例を挙げましたし、水面下で起ころうとしている事例についても、地元の医師会の方々とも十分にお話ししながらその地域の中で、一番、よりよい医療体制をつくるという、その考えには相違はありません。本部がそれを全てリードして決めていくということは全くありませんので、申し伝えておきます。
○尾形座長 岡留構成員。
○岡留構成員 日赤の大体の業務が、私たちはライバルですから、済生会を代表して言いますと、いろいろ見えてくるのですけれども、これは一法人一定款であるがゆえの非常に悩ましいジレンマがあるのですよね。例えば、最近、済生会が地域の医師会の方々と一緒になって山陰地方で地域医療連携推進法人を起こそうという予定でおるのですが、それはどういうことかというと、あなたが6ページに書いてくれた連携推進法人の機能が、研修教育と共同購買に限定とありますね。私たちの島根の済生会病院は、地域の医師会の先生方と一緒に人材交流と研修推進と機能を限定しているのですね。そういうところでないと、昔、岡山のホールディングカンパニーで非常に手痛い目に遭いましたので、懲り懲りだと本部は思っているわけです。ですから、現地の医療事情に精通した中で、リスクの少ないところで連携推進法人をやるならばいいよというようなスタンスで、あくまでも本部は手を出さないということで、私たち院長会としては申し込んでいるわけですけれども、そういう方向ですね。
それと、さっき言いました、私たちの福岡の医療圏では福岡日赤と私たちはライバル関係にあるのですけれども、ナショナル・データ・ベース、DPCデータ、全部を網羅してベンチマークを毎月出しているのですね。これはどこがどの疾患が多いかというのは、一目瞭然なのです。強いところ、弱み、そういったところを総合的に考えていかないと、今後の医療展開はスムーズにいかないのではないかと思っています。
以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
ほかはよろしいでしょうか。
本多構成員、どうぞ。
○本多構成員 今、お話を聞いていると、この赤十字事業の考え方を見直していかないと、なかなか難しい部分が出てくるのかなと思いました。住民側からしますと、病院の経営形態は余り関係なくて、必要な医療を必要に受けられればいいと思っているのですが、赤十字病院はかなり大きなところもありまして、地方を見ますと大病院で競合しているところがあると思うので、今後、人口減少が起きてくると、我々としても気になるのは共倒れになりかねないのではないかかということです。そうなってきたときに、医療のあり方として、できるのかできないのかわからないのですが、赤十字事業自体の見直しやそういった方向性を考えられることはあるのかという点をお伺いします。
もう一点は、我々は保険者の代表として出ていますが、資料の最後に、先生から「保険者が地域医療構想へ関与する工程の明確化」とありましたので、どういう点が問題点、課題としてあるのかということをお聞かせいただければと思います。
○田渕参考人 最初の点ですが日本赤十字社は、法律で赤十字の事業は細かく定められておりますので、ご指摘頂いた点も含めて、今後、検討していかなくてはいけない課題だと思っております。
2つ目の保険者というものは、ヨーロッパ型の医療は保険者機能が強いと理解しておりまして、医療費の支出という財布を握っている保険者がいろいろな形でデータも持ち、コストパフォーマンスを見て、医療提供体制にも関与するという形で活動していることを拝見すると、全く同じではないでしょうけれども、いずれ日本もいろいろ形が変わってくるのではないかと思っております。現にこのように地域医療構想の中でもいろいろな意見をいただいておりますので、それが、今後、どういう工程で活動をされてくるかというところが、もう少し今後は見えてくるのかなと思って書かせていただきました。
○尾形座長 よろしいですか。
中川構成員。
○中川構成員 具体的に聞きますけれども、資料の3ページ、石巻赤十字病院は東日本大震災のときに災害の拠点になって物すごく頑張ったということは本当に高く評価しているのですが、現在、この石巻の医療提供体制の中でどういう役割を果たしているのか。わかりやすく言うと、寡占状態になっていると思います。石巻市立病院が駅前に新築をした。しかし、患者さんは石巻赤十字病院のほうばかりに行っているという状態になっているのですよ。これが石巻市にとっていいことなのかどうなのかということも考えなければいけないと思うのです。あの大震災で津波の大変な被害を受けた石巻を復興するには、嫌な言い方をしますけれども、赤十字ファーストの考えではなくて、その地域にどういう役割を果たしたら石巻市民にとっていいのかという方向で考えていただかないと、名門の日本赤十字社ですから、そういう視点にぜひ考え方を改めていただきたいなと強く要望します。
○尾形座長 どうぞ。
○田渕参考人 おっしゃるとおりで、法律で定められて募金と社資で赤十字事業は成り立っているものですから、そういう意味では、より皆さんの意見を聞きながら、修正するところは修正していかなくてはいけないと、そのように感じております。御指摘ありがとうございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、事務局においては、本日の参考人報告内容あるいは構成員の意見を踏まえまして、必要に応じ、さらなる課題や対策の整理をお願いしたいと思います。
続いて、議題の2つ目でありますけれども、「具体的対応方針の検証に向けた議論の整理について(その1)」を議論したいと思います。
資料3の説明をお願いします。
○松本課長補佐 事務局でございます。
資料3をごらんいただければと思います。
これまで数回にわたってこちらのワーキングで議論をしていただきました具体的対応方針の今後の取り扱いでございますけれども、これまでお示ししてきましたように、3月中に議論の整理を行って、来年度、検証に移りたいと考えておりますので、議論の整理をしたものでございます。前回、こちらはたたき台として資料はお出ししましたが、議論する時間がございませんでした。それも含めて、今まで、例えば、公立・公的病院の重点化、競合等の議論をしてきて、先生方から御議論いただいたものをまとめたものでございます。こちらに基づきまして、議論の整理がかないましたならば、途中にございましたけれども、分析・検証というプロセスに入っていきたいと考えておりますので、御議論をお願いしたいと思います。
「1.はじめに」でございますが、「地域医療構想の実現に向けては」ということでございますが、改めて地域医療構想の趣旨を申し上げますと、団塊の世代が後期高齢者になる2025年に向けて、人口構造・疾病構造の変化を踏まえて医療体制を整備していくことが構想の趣旨でございますけれども、言うなれば、将来を見据えて、話し合いの上、地域で歩み寄るところは歩み寄っていただいてというところを進めていくということでございますが、特に公立・公的病院について2年間の集中的な検討をしてきたわけでございます。○の2つ目にございますように、民間では担えない役割に重点化していくことを確認していただいているところでございます。○を1つ飛ばして4つ目ですけれども、今まで中心的に活発な議論をしていただいたわけでございますけれども、3行目にございますように、実現に向けましてPDCAサイクルを着実に実施していく観点から、この2年間で合意に至った特に公立・公的の具体対応方針の内容を検証した上で、必要な対策を行っていきたいと考えております。繰り返しになりますが、この議論の整理は具体的対応方針の検証やその結果を踏まえた取り組みについて一定の整理を行うものでございます。
それでは、こちらの検証について具体的なステップをお話ししますけれども、「(1)基本的な考え方」ですが、○の1つ目にございますように、これまで病床数を機械的に比較することが議論されて批判をされてきたわけですけれども、おめくりいただいたところにございますように、実際は診療内容が重要ですので、詳細なデータにも着目した上で、住民に必要な医療を、質が高く効率的な形で不足なく提供できているかという視点を御議論いただくことが重要であると考えております。次の○でございますけれども、地域の実情が最も重要で、それについては繰り返し指摘がありましたが、地域の関係者にしかわかり合えない実情という側面があることは理解しておりますけれども、各構想区域の議論が現状追認、機械的で形骸化された議論ということが再度繰り返されることがないように、我々としては注意を促したいと思っておりまして、厚生労働省においてまずは診療実績等の一定の指標を設定した上で、各構想区域の提供体制の現状について分析を行わせていただきたいと思っています。その上で、厚生労働省から各都道府県に対しまして、この分析の結果を踏まえて、全ての公立・公的病院ではなくて、一定の基準に合致した場合につきまして限定して、これまでの構想区域の具体的対応方針の合意の内容が真の構想の実現に沿ったものかということを、地域医療構想調整会議が主体となって検証していただくというところで要請するものになっております。改めてたてつけを申し上げますと、まずは厚生労働省において一定の指標を設定して分析を行った上で、一定の基準に合致した場合について検証を要請して、最終的には調整会議で決めていただくというたてつけでございます。次のなお書きにございますように、こちらについては民間では担えない役割の重点化されているかという観点での分析になります。次の○にございますように、この分析につきましては、あくまでも現状把握とデータの分析にとどまるものでございますので、この結果をもちまして機械的に公立・公的病院が将来に向けて担うべき役割をどうするとか、再編統合、ダウンサイジングを機械的に決定するなど、そういうものではございませんので、あくまでも議論のきっかけでございますけれども、最後の○にございますように、地域の実情を補いながら議論を尽くしていただく必要があるかと思います。
続きまして、「(2)分析の手法」でございます。まずは、分析は疾患ごとというか、診療項目ごとに行いたいと考えておりますので、○の1つ目にございますように、地域医療構想につきましては、五疾病・五事業も踏まえることにされておりますので、これを踏まえることが1点。2つ目の○にございますように、新公立病院改革ガイドラインや骨太の方針におきましては、以下の4点、ア、イ、ウ、エ、オとございますけれども、アの高度急性期・急性期等の不採算部門や、イにございますように民間がないところにおける一般医療については公立・公的の役割とされています。ウでございますように救急・小児・周産期・災害・精神医療などがかかわってくるということでございまして、以下、エ、オが例示されているわけでございますけれども、これらの分野を踏まえまして、これらの領域の中にさらに細かく分析項目を設定していきたいと考えています。
具体的には9ページに飛んでいただきたいのですけれども、別紙とございまして、案としましては、こちらの領域、がん、心筋梗塞、脳卒中、救急、小児、周産期、災害、へき地、研修・医師派遣機能という領域を設定いたしまして、がんや心筋梗塞、脳卒中、救急につきましてはさらに細分化された項目を設定して、合計17項目での分析を個々で行わせていただきたいと思っております。
お戻りいただきまして、3ページの下の分析の視点でございますけれども、これは今までワーキングで御議論いただきましたように、公立・公的医療機関単位でいくということで、病棟単位ではなく、地域単位ではなく、病院単位であることと、分析項目ごとですので、先ほど申し上げた臓器のさらに細か目の分析項目ごとにそれぞれ代替可能性があるかを分析していくことになります。それにつきまして、A、Bと2つの基準がございまして、このどちらかということになるのですけれども、Aにつきましては、機能ごとに重複がないか、競合がないかというところを占有率等を用いて判断していく。かつ、地理的条件が今まで議論されましたけれども、お互いの所在地を確認することが1点。Bにつきましては、特に診療実績が少ないということで、こちらについては地理的条件に関係なく、実績の低さに着目したいと考えています。次の○にございますように、緊急性が高い疾患と、がんのようなある程度長距離まで行けるものもありますので、分析についてはここで行いたいと思っています。次の○でございますけれども、分析に当たりまして、公立・公的と民間の関係性のみならず、公・公での代替可能性についても分析を行わせていただきたいと思っています。
次の4ページのマル3、マル4は、これらの分析の結果でございますが、マル3は他の医療機関による役割の代替の可能性があるという公立・公的医療機関になっていますけれども、こちらは先ほどの分析の結果、1つ以上の分析項目・機能について代替可能性があると分析された公立・公的医療機関を、そのままほかの医療機関による役割の代替可能性がある公立・公的医療機関と位置づけるとしております。※のところにございますように、この「代替可能性」を判断する水準につきましては、我々がこれから分析作業を進める過程で、先生方にお話を聞いたり、個別に御相談をしながら進めていきたいと考えています。この代替可能性につきましては、お話ししながらということもございますし、言葉の意味でございますけれども、今回は分析でございますので、あくまで機能ごとに、重複や競合、著しく低い実績がないかを見ているものでございまして、隣のところにキャパシティーがあるという観点で見ているものではございませんので、そこにつきましては誤解のないようにやっていきたいと思っておりますので、留意点として引き続き注意をしていきたいと思っています。
マル4でございますけれども、再編統合の必要性について特に議論が必要な公立・公的医療機関でございますけれども、先ほどの機能ごとの分析のうち、大半の項目について「代替可能性がある」と分析されたものについて、再編統合の必要性について特に議論が必要な公立・公的医療機関と位置づけたいと考えております。これらの考え方については、例えば、こども病院につきましては、幾つかの項目で代替可能性がある可能性がございますけれども、そういうものを機械的に判断するのではなくて、各項目の特性を十分に考慮していきたいと考えています。
分析結果の公表につきましては、個別の医療機関に対しまして、都道府県やアドバイザーを通じてお知らせするとともに、それとはまた別の形で分析結果を公表したいと考えておりまして、わかりやすく可視化したものをつくりたいと考えております。次の○でございますが、機械的な分析結果の比較等があったりということがないようにということもありますけれども、可視化の際等には、人口規模を勘案して同様の人口規模の構想区域の状況を取りまとめる等の対応を考えたいと思っています。
次のマル6ですが、分析の留意事項でございますけれども、1点目が、患者の重症度が違うという御指摘を今までいただいておりますので、こちらは疾患別に病棟ごとにデータが全然違いますので、全ては難しいかもしれませんけれども、可能な限り対応したいと思っています。2点目ですが、一度議論をいただきましたが、地域包括ケアや回リハについて、公立・公的でなくても担うことがいいのかどうかという議論はあるということがございましたので、可能な限りデータ分析をしたいと考えております。また、病床機能報告につきまして、1カ月の実績ではなく広げるという議論もありましたけれども、速やかに更新を行っていきたいと考えております。また、最後の○にございますけれども、都道府県職員に対してもわかりやすい提供を考えていきたいと思います。
続きまして、この分析結果を、厚労省が、各都道府県、各医療機関に検証の要請をしていくわけでございますけれども、その進め方でございます。5ページの一番下の3(1)、○の1つ目でございますけれども、他の医療機関による役割の代替可能性がある公立・公的医療機関等とされた場合でございますが、構想区域の実績や将来の動向を十分に踏まえていただいて、他の医療機関の統合を、臓器など機能ごとの統合でございますけれども、議論をしていただきたいと思っていまして、一定の期間を経て結論を得ていただきたいと考えております。おめくりいただきまして、次の○ですけれども、新たな結論を得た場合は、具体的対応方針の書き直しと合意達成を再度していただきたいと思っています。※のところにございますけれども、協議のスケジュールにつきましては、新公立病院改革プランの対象機関が2020年度を終期としていることを踏まえて、先生方の意見をまた聞きながら設定していきたいと思っています。
次のですけれども、複数の機能を持ちまして、「(2)再編統合の必要性について特に議論が必要な公立・公的医療機関等」につきましても、将来の需要動向を踏まえまして、他の医療機関と統合することについて議論をしていただきまして、一定期間を経て結論を得ていただきたいと思っています。また、同様に具体的対応方針も修正いただいて、合意を達成していただきたいと考えています。ここの点ですけれども、厚生労働省では分析を行うことは行うのですけれども、地域の議論が最も重要だということで、結論は地域で出していただくことになるのですけれども、しかしながら、これまで同様、地域の議論が結局現状追認になっているということを繰り返さないように、今回の検証を再度行うという趣旨を踏まえまして、一定レベルの結論が必要になると考えていますので、ここの結論を得ることもなかなか程度が幅広い言葉でございますけれども、次のページで厚労省の定期的な報告の項目はございますけれども、そこと進捗の見える化という中で、支援、PDCAを行っていきながら、この結論の程度に関しては御相談の上、設定していきたいと思っております。
「(3)その他の医療機関」につきましては、必要に応じて見直しが生じた場合には、速やかに協議をして合意をいただきたいと思っています。
次の「(4)協議にあたり留意すべき事項」でございますけれども、現在、医療提供体制改革の流れで、医師の働き方改革と医師偏在対策が新たに打ち出されておりますけれども、これらの3つは互いに連関しますので、お互いを踏まえた対応が重要だということでございます。次の○でございますけれども、今回、構想区域内の分析を主で行いますけれども、これまで議論してきたように、都道府県単位の調整会議をぜひ活用していただきたいと思っております。次の○でございますけれども、透明性の確保は非常に重要でございますが、忌憚のない意見交換が大事だという観点から、非公開の協議の場もかなり活用していっていただきたいと思っております。また、次の○にございますけれども、先ほどから議論になっておりますが、公立・公的同士の再編統合に関する協議でありましても、民間医療機関を初め、構想区域内の関係者の意見を適宜聞いて進めることが重要だと考えています。次の2つの○ですけれども、過去の再編統合事例ですけれども、以前御発言がありましたが、統合前後での病床数の合計が余り変わらないことがないようにということで、しっかりとした分析をお願いしたいと思うと同時に、再編統合を実際にやるとなった場合は、時間がかかりますので、速やかに議論が進むようにしていただきたいということ。次の○にございますように、先ほどから御議論になっていますけれども、設立母体が違う場合に関しても一層の留意が必要でございます。また、連携推進法人の活用や厚生労働省からの助言も適宜活用していただきたいと思っています。前回の2月のワーキングで示したたたき台には書いていたのですけれども、今回、明確に書いていませんが、これまで御議論いただいたように、公立・公的にしか担えない分野に重点化をし過ぎてしまうと経営上持続可能ではないという観点から、合理的な範囲で周辺の診療を担って経営の安定を図るという観点もあるという御議論もあったところでございます。
「(5)厚生労働省への報告」でございますけれども、定期的な報告をいただいてまたやっていくということと、具体的なやり方につきまして、2019年年央までに厚生労働省から改めて通知をしたいと考えています。
さらなる検討課題としましては、8ページの○の1つ目ですけれども、これまで実施してきたアドバイザーや定量基準についてのフォローアップが必要だということと、次の○ですけれども、再編統合やダウンサイジングのことについて、首長の意向とバッティングをして進まないということがないように、首長の理解が得られるように、必要な対策をとる必要があることや、補助金の可視化についてさらにわかりやすくすることと、次の○ですけれども、再編統合における職員の雇用に係る課題や債務の課題につきまして、公的医療機関の本部とも連携していきたいと考えているところでございます。
「5.おわりに」にございますけれども、再度繰り返しになりますが、ダウンサイジング等の方向性を機械的に決定するものではないということで、検証自体は調整会議にお願いするということで、必要な対策に効果的につながる医療にしていくことが重要であると考えておりますので、今回、議論の整理を行いますけれども、今後、どのように実施していくかが非常に重要ですので、引き続き御議論いただくとともに、きょう整理をいただいて、一定程度、御意見がまとまるようでしたら早速分析に入りたいと事務局としては考えております。
それでは、御議論をよろしくお願いいたします。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、この資料3について議論したいと思いますが、申しわけありません。時間があと5分になってしまいましたが、よろしければ、15分程度延長をして議論したいと思います。
それでは、本多構成員、どうぞ。
○本多構成員 「(4)協議にあたり留意すべき事項」として、7ページの一番上の○に、「再編統合に関する率直で忌憚のない意見交換を阻害しないよう、非公開の協議の場の設定等についても検討することが重要である」とありますが、当該医療機関にとっては非公開の場での協議が重要であることはもっともであると思っておりますが、ただ当事者同士で協議をしても、双方とも経営問題や労使問題などがあって平行線に終わる可能性も十分に考えられるのではないかと思っております。その場には当該自治体の関係者が入るとは思いますが、その地域以外の利害関係のない行司役が必要ではないかと思っております。
私が知る限りにおいても、知事や市町村長の中には、選挙の際の後援会長が医療関係者というケースが多い場合がございます。そういった場合、客観的な判断がなされないことも予想されますので、その地域に直接関係のない外部のニュートラルな調整役が必要だと思うので、ぜひともそこは御検討いただきたいと思っております。場合によっては、厚労省がしっかりサポートをすることも考えられるのではないかと思っております。
ほかにもこの「(4)協議にあたり留意すべき事項」に、記載されておりますが、これだけでは心もとないという感じを受けます。各都道府県の調整会議においても、きちんと議論が進むように、進捗管理や議論のサポートを行う仕組みをしっかりつくるべきであると思っております。また、統合・再編に際して、どの病院を主力にするかとか、医療従事者の役割、配置などがとかく着目されますけれども、病院には、例えば、食堂運営業者やシーツやパジャマなどのクリーニング業者、さらには葬儀屋など、周辺の事業者の経営にも大きな影響を与えますので、そういう点も考慮した再編統合を議論していかないと、後でもめることも予想されます。特に自治体関係者には、異なる病院の単なる統廃合だけの視野で考えないように留意していただければと思っております。
資料3に戻りまして、5ページの「3.分析を踏まえた地域医療構想調整会議における協議・検証の進め方」の中で、年月が記載されておりません。6ページの※印では、「新公立病院改革プランの対象機関が2020年度を終期とする」と記載されておりますが、これは2020年度末では遅過ぎると思います。特に再編統合を要するケースは難しいと予想しているところではございます。先ほどの参考人の御説明にもあったように、余り長引くとかえって不安をあおることになって、優秀な医師や医療従事者が離れていくことも予想されますので、決断をされた際には、可及的速やかに計画を明らかにするほうがいいと思われますので、そういった点も考慮した形で期限を決めていただければと思っております。
○尾形座長 ありがとうございました。
中川構成員。
○中川構成員 まず、今、本多構成員がおっしゃったことの最初のほうですけれども、7ページの最初の○、「非公開の協議の場の設定」は、地域医療構想調整会議の定例開催と随時開催のうち、ガイドラインでは随時開催を指しているのです。これは、医療機関同士の財務内容やいろいろな公開がはばかられる問題もたくさんあるので、そういうことを指しているのです。調整会議の議長は、当事者でなくて、病院同士でなくて、中立性を保たれるように、例えば、地域医師会の会長など、そういうふうに決めたではないですか。それを言っているのですよ。逆に、これを全部、その地域のことを知らないで、第三者が行司などをやると、その地域のことは全くわからないのです。かえって大混乱をすると思います。
6ページの2020年を終期とすることは遅過ぎるとおっしゃいましたけれども、今の新改革プランと2025プランが調整会議に提出されて、合意となっていますけれども、さしたる議論もなく通過したから、特に異論がなかったから合意ということは見直そうとこの会議でも決めたわけですから、それは決して拙速にならないように、しっかりとやったほうがいいと思います。
○尾形座長 本多構成員。
○本多構成員 私も、非公開の場で当事者同士で議論していただくことはまさにそのとおりだと思っておりますが、先ほど来、聞いているとおり、なかなか調整がつかない場合は利害関係者のない行司役が入ったほうがいいケースも考えられるのではないかということで申し上げております。
先ほどの期限については、私もかなり難航する話だと思います。この中にも出ていますが、拙速に終わらないようにという部分は十分に理解いたしますが、先ほど申し上げた医療従事者などが他地域へ流れていってしまう等の点を懸念して、可能なものについては出来るだけ速やかに行ったほうがいいという観点で申し上げたわけでございます。
○尾形座長 ほか、いかがでしょうか。
野原構成員。
○野原構成員 今後、厚生労働省のほうで、資料3の9ページにあります17の領域につきまして診療実績等の一定の指標を設定いたしまして、都道府県に対し、公的医療機関の機能等の観点から検証を要請するものであります。調整会議を主催する都道府県では、その検証に当たりまして、地域の医療関係団体や市町村、住民の方々に丁寧な説明が求められるところでございます。
したがいまして、2019年、年央までに示される予定となる指標について、その数値の考え方や算定の根拠、また、来年度示される分析結果については、1カ月分の診療データに基づくものと理解しておりますが、季節変動等を加味した通年の分析は2021年度からということでございますので、そうした点も含めた解釈などについても、丁寧に御説明いただくようお願いいたします。
また、5ページに示されてございますとおり、今後の検討内容につきましては、都道府県への説明や意見交換の機会につきましてもきめ細かく設定していただくようお願いいたします。
以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。
太田参考人、どうぞ。
○太田参考人 今後、公立・公的に関しましてさまざまな分析が行われて、地域で協議・検証を進めていくという方針が、今、示されたということだと思いますが、一番最後、7ページから「4.更なる検討が必要な課題」というところに○が4つございます。その2ページ前には「(4)協議にあたり留意すべき事項」があるわけですが、この8ページの3つ目の部分、公立・公的医療機関の補助金の活用についてという部分が、今回の協議・検証の段階ではなかなか整理がつかないので、間に合わないということになるのではないかとちょっと危惧をしています。ただ、実際にこれは分析がおりてきまして、各調整会議においてさまざまな議論が行われていく段階で、全くそこの部分の議論がなしで決めていくことは、効率的な医療提供体制を考えていく上において、ちょっと問題があるのではないかと思います。できることならば、協議に当たり留意すべき事項にもそういうような財政的な観点も少し検討するようにという形で入れていただければと思います。
意見でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
小熊構成員。
○小熊構成員 今の太田先生のお話ですけれども、この8ページの公立・公的医療機関の補助金等の活用状況などがきちんとしていないという文章なのですけれども、少なくとも自治体病院につきましては、地方公営企業法に基づいて、繰入金として支給されるもの、その病院の収支の状況、これは全て公表しておりますので、ですから、それをごらんいただければ明らかになっておりますので、ちょっと誤解を招く文章かなという印象を私は持っております。
○尾形座長 中川構成員。
○中川構成員 小熊先生のおっしゃるとおりです。公開されているので、当会の日医総研も頻繁に使って分析をしております。そこで、公開されているのですが、個別の医療機関にどのぐらい入っているのかということがわかると、どういう算定をしているのかと何回聞いても教えてくれないので、そっちのほうが問題なのですよ。この文章の「活用状況について、十分に可視化されておらず」という意味はどういう意味ですか。金額はわかっているけれども、その金額をどう使ったかがわからないという意味ですか。
○松本課長補佐 少し幅広く書かせていただきましたけれども、活用状況でございますので、どうやって入っているかの額だけではなくて活用についても趣旨としては入っておりますけれども、なかなか難しいところでございまして、今、中川構成員がおっしゃったように、その先の話がどうかということも含めてなのですが、一義的には、小熊先生がおっしゃったように、公表されているけれどもわからないという声はよく聞かれますので、まずはきれいにするという面もあるのかなということで書かせていただいています。
○中川構成員 これは「公立・公的医療機関等の補助金等の投入・活用状況」にしてはどうですか。ポツでも点でもいいです。それだと本当に可視化されていないので。
○松本課長補佐 また書きぶりを整理して、座長と相談して書かせていただきます。
○尾形座長 ほか、いかがでしょうか。
太田参考人。
○太田参考人 一部誤解があったのでつけ加えますが、実際に公立・公的で、今、分類されて地域医療構想調整会議で議論されているものの中に、地域医療支援病院がございます。今、地域医療支援病院全体、543の中の60幾つは民間の医療法人が地域医療支援病院をやっているわけでございます。もちろんそれなりの診療報酬上のサポートはあるわけですけれども、今回、このような形で分析が出てきたものが全く同じ基準で再編統合、機能の何ちゃらということが議論になることに懸念を感じます。どれぐらいの財政的なサポートが同じ公立・公的と分類されているところでもあるのかは、地域で効率的な医療を提供するためには議論しなければいけない案件の一つであろうということで、その段階で何らかの形で議論の中に含めるような形での資料づくりをお願いできたらと思っているところでございます。
以上です。
○松本課長補佐 地域医療支援病院につきましては、その設立趣旨が地域医療の支援で、主に診療所で診療している先生方の支援等が設立趣旨でございまして、それに診療報酬もついていることを理解しておりますので、要は、ここでいう公的プランの対象ではございますけれども、いわゆる重点化で言っているような、高度急性期、急性期医療など、民間では担えないようなというところを地域医療支援病院の民間病院が背負っているかということについては、十分に配慮した対応が必要になるのかなということを考えています。税制優遇など、そういうことを受けているわけではないことは承知をしておりますので、プラン上もそういう形での整理となると思います。
○尾形座長 よろしいですか。
織田構成員、どうぞ。
○織田構成員 公立・公的の統合の話なのですけれども、全国で統合されているものは結構ありますよね。大分ふえてきましたね。そういう意味では、うまくいった例ではなくて、非常にまずかった例、統合した結果、大変な状況になったというものはかなりあるのではないかと思うのですね。そういうものを把握した上で、統合のやり方は我々も考えていかなくてはいけないのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○小熊構成員 織田構成員のお話ですけれども、総務省の調べでは、今、867自治体病院があると思うのですけれども、平成29年度までに400近くが何らかの形で既に再編統合をしたり、あるいは経営形態の移行が終わっている。今後も、さらに平成32年度までに、私の記憶が正しければ、たしか50数個がそういうことに移行するということですから、結構な率で公立病院としては今のところは動いているということで、先生がおっしゃったように、それがうまくいっているかうまくいっていないかは別にして、そういう状況だと思います。
○尾形座長 織田構成員。
○織田構成員 1つは、ベッドを持たなくていい病院がいっぱいあるのではないかと。診療所にそのままなってもいいのではないかということがあると思うのですね。そういうことも含めて、単に統合というだけではなくて、廃院とまではいかなくても、診療所になるという方向もかなりあるのではないかという気がします。
○尾形座長 中川構成員。
○中川構成員 これはきょうで終わりですか。
○尾形座長 事務局、どうぞ。
○松本課長補佐 議論の整理のたてつけでございますけれども、今回、分析と検証という2段階のたてつけを御提案させていただきましたけれども、この分析に関して、よろしければ、入らせていただきながら、この検証やその具体的なプロセスについて追加すべきとか、どうやって進めるのか。先ほど本多構成員からもございましたけれども、どうやって進めるのかの部分に関しては、4月、5月以降の議論でさらに追加してもいいと思っているのですけれども、この大きな流れ、方向性について、よろしければ、分析に関して始めさせていただきたいなということが事務局の意向でございます。
○中川構成員 JCHOから話を聞いていなかったのではないかな。
○松本課長補佐 公的医療機関等の類型が幾つかございますけれども、今までヒアリングをさせていただいた日本赤十字社、国立病院機構とありますけれども、さらにヒアリングの必要があるのではないかという声を、私は先生方からも内々にいただいていますけれども、座長と整理して進めていきたいと思います。
地域医療構想の進め方に関しての議論がきょうで終わるというわけではありませんので、今、議論に中にも書きましたけれども、どうやって検証を進めるのかということに関しては、具体的な方策が必要だと思いますので、引き続き検討は必要だと思うのですけれども、議論の整理として、2年間の具体的対応方針の合意が3月締めで出てくるわけですので、その検証に際して厚生労働省で分析をして、検証について要請をすることをことしの年央までにたてつけるということが、大きな流れとしていいかどうかというところで、御確認いただきたいと思っています。
○中川構成員 3月いっぱいにこだわる必要はないのではないですか。地域医療構想を進めるのはずっと続くわけですから。
○松本課長補佐 座長とも御相談になりますけれども、この議論の中間的な整理に関しまして、きょうたたき台として出させていただいていますので、大きな方向性がよければ、ページ数でいいますと、2ページの上から見えている○の1つ目と2つ目のところで、1つ目でまずは厚生労働省で分析をする、次の○で検証の要請を行うという2段階になっていますので、きょう、このたてつけ、分析を行って検証の要請について年央までにやるという方向性がよければ、その作業には入らせていただきながら、並行して先生がおっしゃるような構想の進め方に関する議論を継続するという形でやっていくということでいかがでしょうかというところでございます。
○中川構成員 新改革プランと、2025プランが調整会議に出されて、さしたる議論もなく通過してしまったことを検証すると決めたではないですか。それを着実にやるということは、一回戻るということなのですよ。
○松本課長補佐 議論の整理という文言が、もしかすると中川構成員の問題意識に。今、おっしゃったことをそのまま踏まえると、例えば、今回は中間整理ということで、分析はするけれども、今、中川構成員がおっしゃったように、どうやって検証するのかというところに関して、もう少し上積みというか。
○中川構成員 検証というのはすごい大仕事ですよ。ちょこちょことやって済むものではありません。一からやり直すのですから。そのためには、地域医療構想調整会議を数段活性化されなければいけない。それも至難のわざなのです。それがわかっていてこのたたき台をきょうでと言っているわけではないのですか。
○松本課長補佐 このたたき台をきょうでクローズするという趣旨ではございませんので、分析に入りながらこのたたき台を議論していくということで、並行して進められないかというお話でございます。
○中川構成員 座長に一任して、相談しましょう。
○尾形座長 一任ということもありますけれども、たたき台となっているので、まさにたたいていただければいいのだろうと思うのですね。
最終的な成案にするというのは多分時期尚早なのだろうとは思いますが、ここで提案していることは、分析は並行して進めていかなければいけないので、そこは事務局にお願いして進めていただく。また、この議論の整理については、文言等をまた考えなければいけないところもいろいろ出てくるのではないかと思いますので、そこは並行して進めていくということでよろしいでしょうか。
きょうは、これが示されて、どうですかといっても、細かい文言等についてわからないということもあるでしょうし、実際に分析を進めてみないとわからないところもあると思いますので、そういう意味では、並行して進めていくということでいきたいと思います。そういう意味で、このたたき台はしばらく成案という形はとらないということで進めていきたいと思います。
ただ、一方で、今月末に親会であります医療計画の見直し等に関する検討会が予定されておりますので、そこにこれまでの議論はこんなことをしていますということは、御報告をしなければいけないので、これで決まったということではなくて、こういう議論が出ていますという報告はさせていただきたいと思いますが、それはよろしいでしょうか。
どうぞ。
○中川構成員 報告の仕方を、くれぐれも、今、座長の言ったことを一言一句漏らさずにしてくださいね。一応整理がつきましたなどということはだめですよ。
○松本課長補佐 承知しておりますし、尾形座長も検討会の委員でございますので、御相談しながら報告をしたいと思います。
○尾形座長 そういうことで、信頼をしていただいて進めていきたいと思います。
よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、最後に、全体を通して、何か御意見、御質問等があれば承りたいと思います。
よろしいですか。
それでは、本日の議論はこれまでとさせていただきたいと思います。
最後、事務局から何かございますか。
○横山課長補佐 次回のワーキンググループにつきましては、詳細が決まり次第、御連絡をいたします。よろしくお願いいたします。
○尾形座長 それでは、本日のワーキンググループは以上とさせていただきます。
長時間にわたります御議論をどうもありがとうございました。
 

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