第19回 地域医療構想に関するワーキンググループー議事録

日時

平成31年2月22日(金)13:00~15:00

場所

厚生労働省 中央合同庁舎第5号館 省議室(9階)
東京都千代田区霞が関1-2-2

議事

○横山課長補佐 ただいまから、第19回「地域医療構想に関するワーキンググループ」を開会させていただきます。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいましてまことにありがとうございます。
本日は、岡留構成員、野原構成員より欠席との御連絡をいただいております。
参考人として、独立行政法人国立病院機構本部の古都賢一副理事長、同じく国立病院機構弘前病院の藤哲特別統括病院長、独立行政法人山形県・酒田市病院機構の栗谷義樹理事長の3名をお呼びしております。
また、オブザーバーとして総務省自治財政局公営企業課準公営企業室より佐藤係長に御出席いただいております。
また、本日、事前に大口厚生労働副大臣が出席するとしておりましたが、公務のため急遽欠席となりました。
それでは、議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。お手元に、議事次第、座席表、構成員名簿のほか、資料1-1、資料1-2、資料1-3、資料1-4、資料1-5、資料2をお配りしております。資料の不足や御不明点等がございましたら、お知らせください。
それでは、以降の進行は尾形座長にお願いいたします。
もし報道の方で、カメラ撮りをしておられる方がおられましたら、ここまででお願いいたします。
(カメラ撮り終了)
○尾形座長 こんにちは。それでは、早速議事に入らせていただきます。
まず、議事の1つ目でございますが、「地域医療構想の実現に向けた一層の取組について(その3)」を議論したいと思います。
資料1-1の説明を事務局のほうからお願いいたします。
○松本課長補佐 事務局でございます。資料1-1「これまでのヒアリングにおけるご意見・ご指摘の整理」をごらんください。
おめくりいただきまして1ページでございますけれども、これは12月のワーキングに出させていただいた資料でございますが、今後の進め方ということで、特に2の1つ目の○の3行目をごらんいただきたいのですけれども、この2年間で合意に至りました公立病院・公的医療機関籐の具体的対応方針の内容を検証した上で、今後、必要な対策をするということになっております。
2つ目の○でございますけれども、このため、本ワーキングにおきまして、平成30年度末、3月までに具体的対応方針の検証方法や実現に向けた課題を整理するということを考えております。
現時点では、この中間的な整理をした後、いわゆる親会、医療計画見直しの検討会に報告をしたいと考えております。
続きまして、2ページでございます。まず、視点の一つとしまして、単なる病床数や機能だけではないものとして、どういうことを論点にするかということで、手術の件数等の競合について議論してきたりしましたけれども、下の青いところ、18回の指摘事項としまして、地域性の問題や患者さんの状態像が異なれば、症例数が同じくらいであっても競合かすみ分けかは異なるということが1点目です。
2点目に、1つの手術だけでまずは見るのですけれども、その後、全ての外科分野やいろいろな内科の化学療法も含めて見るのが大事ではないか。
3つ目に、立地条件、アクセスということで、今回、資料1-2で議論の整理を目指しております。
おめくりいただきまして、3ページでございますけれども、公立・公的でなければ担えない機能への重点化ということで、前々回、首長の意向は優先されるということではないかとか、2つ目に補助金の話、3つ目に裾野が必要だという話もございましたけれども、前回の意見としまして2つありまして、1点目が、設立母体が違うところの再編統合の協議が簡単には進まないということと、類型化といっても、開設主体別に考え方が異なるのではないかということがございますので、本日、国立病院機構の参考人にお越しいただいて、ヒアリングをします。山形県で県立病院と市立病院の統合再編を行った事例を参考人に御発表いただくような段取りにしております。
以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、ただいま御説明がありました資料1-1につきまして、御意見・御質問等を承りたいと思います。
よろしいですか。また何かお気づきの点があれば、戻っていただいても結構かと思いますが、きょうは資料がたくさんありますので、とりあえず先に進めさせていただきます。
続きまして、資料1-2の説明を事務局のほうからお願いします。
○松本課長補佐 事務局でございます。資料1-2をごらんください。「公立・公的医療機関等と民間医療機関の競合状況等について(その2)」でございます。
今回、この資料を出している経緯は、先ほど資料1-1で申し上げたとおりです。
それでは、1ページをごらんいただきまして、前回のワーキングのまとめでございますけれども、主たる手術件数の競合のパターンということで、これが全てではないという前置きをしながらも、4つのパターン、(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)をお示しさせていただきました。
次の2ページをごらんいただきたいのですけれども、考えられる視点が幾つかある中で、一番下、手術実績の比較に加え、手術以外の診療実績や、構想区域ごとのアクセス、地理的条件などを加味して、さらに議論を深めていくべきであるということでございます。
3ページでございますけれども、本日御議論いただきたい事項としまして、手術以外の診療実績や患者の状態像が1点目、2つ目は地理的な条件ということでございます。
なお、これに加えまして、回復期における影響や、補助金についてということで、後ろで御説明がございます。それでは、順番にマル1から言っていきます。
4ページでございますけれども、まずは「手術以外の診療実績や患者の状態像」ということで、おめくりいただきまして5ページでございます。これはある構想区域Aの実情をごらんいただいております。左上に胃・結腸・直腸悪性腫瘍手術の月間の症例数が載っておりまして、これはパターン(ウ)に該当しますけれども、公立・公的病院として4つございまして、民間としては実績は多くないという状況でございます。
前回の御指摘に従いまして、まず左下、手術以外の診療実績をごらんください。左が経皮的冠動脈形成術ということで、いわゆる心筋梗塞や狭心症へのカテーテル的な治療になります。これはA、B、C病院で実績がほぼ同じような傾向にある。真ん中が、がんに対する化学療法ですけれども、A、B、C病院で同じような傾向にある。3つ目が放射線治療ですけれども、A、B、C病院で一定の実績があり、A病院でさらに多いということになってございます。
その右側に、患者像の比較ということで、一定の見解がある中での比較になりますけれども、こちらは胃・結腸・直腸悪性腫瘍手術を実施している病棟におきまして、1床当たりの算定ということで、観血的動脈測定、いわゆるAラインといわれる重症患者のモニター、2つ目のオレンジが人工呼吸で、3つ目が人工腎臓、いわゆる透析や血液浄化の関係になりますけれども、このような重症への対応を行うようなものを1床当たりの算定回数にして患者像を比較しているものでございます。A、B、CとDの間にはやや違いがあるところが見てとれるかと思います。
6ページでございますけれども、さらに幅広く、A構想区域の診療実績を比べております。A、B、CとDという対比でいきますと、先ほど申し上げたような構造になっていて、A、B、Cで何らか拮抗する実績がありながら、Dではやや下がっている。
新しい情報としまして、右下の救急車の受け入れ件数がCで突出しておりますが、Dでは年間1,000件を切っている状況でございます。
これが、A構想区域で、ある手術以外の幅広い実績を見てみたパターン、患者像を比較してみたパターンとなります。
次に7ページで、B構想区域の例をごらんください。こちらはパターン(ア)に該当しますけれども、A病院、B病院が民間と公立・公的医療機関で2つ実績が突出しているということになります。
左下をごらんいただきますと、経皮的冠動脈形成術についてはA病院とB病院ではかなりの実績差があり、化学療法、放射線治療も同様の状況となっております。
右側に行っていただいて、患者像でございますが、A病院とB病院で胃・結腸・直腸悪性腫瘍手術を実施している病棟の患者像を比較しますと、A病院のほうがやや重症度が高い傾向にあるということであります。
これらを総合して見ますと、消化器の悪性腫瘍手術につきましてはA、Bが同様に見えますけれども、幅広く見てみると、A病院でほとんどのものが実施されているようにも見えます。
8ページに行って、より広くごらんいただきますと、急性期病棟を持っている医療機関は幅広くございますが、特に左のほうに実績がある病院が並んでいますけれども、AとBの比較でいいますと、A病院のほうが実績として上回るものがほとんどということでございます。
例えば、幅広く見られる左中段の全身麻酔の手術を見ましても、AとBには大きな開きがあるということであります。一番右の救急車の受け入れ件数を見ても、3倍ほどの開きがあるということであります。
A、Bの2つの構想区域でそれぞれ見てきましたけれども、特にBでは、中で大きな実績差があるということがわかります。
続きまして、9ページ以降で今度は地理的条件を同じ構想区域で見てみることにいたします。
今回、距離や所要時間を書いているのですけれども、こちらは地図情報を見ながら、事務局のほうで概算をしたものでございまして、今後、必要に応じて精査をしてまいります。所要時間に関しては、有料道路を使った場合ということを念頭に置いてごらんいただければと考えております。
10ページに参ります。再びA構想区域の事例を出しておりまして、左側に、先ほど申し上げた実績を提示してございます。特にA、B、C病院とD病院の関係でございますけれども、右側の地理的条件をごらんいただきますと、A、B、C病院がいずれも15~25分圏内にございます。さらに、D病院はA病院と非常に近接しているという状況、C病院ともおよそ10分という距離感ということでございます。
実際の構想区域の事情として、一つつけ加えますと、C病院とD病院につきましては、実際に再編統合の検討をしているという状況でございます。
11ページでございますが、先ほどA病院とB病院の比較で申し上げましたけれども、A病院、B病院では、消化器だけ取り出すと拮抗しているように見えるのですが、ほかの実績を見ますとAのほうが大きな実績があるということでございます。
A病院、B病院間につきましては、約25分という距離でございまして、もう一つ、実は公立・公的病院がございまして、Dというのがあるのですが、これはAから20分程度でございます。
12ページでございますが、これは新しい構想区域になりますけれども、C構想区域でございまして、A病院、B病院が消化器の悪性腫瘍でも3倍ほどの差はついていますけれども、両方で実績があり、左下の急性心筋梗塞、狭心症に対しても、双方がカテーテル治療をやっているという状況でございます。
右側を見ていただきますと、地理的条件のところですが、同じ構想区域にあるA病院、B病院ですけれども、実際は80キロ、80分ほど離れているという状況でございまして、例えば前回、藤森参考人の御発表で、急性心筋梗塞につきまして、来院から治療まで90分という縛りもあるということを参考に、60分程度の開きがあるとなかなか再編統合が難しいというお話もありましたけれども、今回、80分ということで、なかなか難しいかもしれませんが、このあたりの御議論をいただきたいと考えています。
まとめになりますが、14ページでございますけれども、今後、複数の公立・公的医療機関または公民の競合という観点で具体的対応方針の評価を行う場合の基本的なイメージになります。
視点1でございますが、まずは前回ワーキングで比較したような代表的な手術の実績を確認するというのを入り口にするということでございまして、(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)というパターンがございます。
さらに、視点2としまして、特定の手術以外の幅広い診療実績を確認するということで、両方ともそれぞれやっているのか、片方が大幅に引き受けているのかということがわかるということであります。
それに加えて、視点3でございますけれども、地理的条件ということで、どれぐらい離れているのかということを考慮するということでございます。
一番下に、4つまとめを書いてございますけれども、1点目は、同じような実績の医療機関が複数存在するという場合につきましては、公立・公的医療機関は地域の医療需要やそれぞれの病院が診療する患者像等を確認しまして、公立・公的が地域の民間医療機関では担うことができない医療提供に重点化されているかをまず確認するというのが1点目。
2点目ですけれども、その際、一個一個の手術も重要ですけれども、特定の手術のみならず、手術以外の診療実績も含めて、公立・公的が民間では担うことができないものをやっているのかどうかを確認するというのが2点目です。
3点目としましては、診療実績が少ないとか、確たる役割がない場合の公立・公的医療機関につきまして、地理的条件を踏まえて検討する。
これら3点を踏まえまして、最後、本当に当該医療機関でなければ担うことができない機能に重点化が図られているか。そうでないならば、そう言い難い公立・公的医療機関では、再編統合やダウンサイジング、転換といった対応策を念頭に、調整会議での議論をしていただくというのが適当ではないかと考えております。
続きまして、15ページでございます。前回、回復期における競合について御指摘をいただいております。また、回復期につきまして、回復期リハビリテーション病棟と地域包括ケア病棟のそれぞれで、公立・公的医療機関と民間医療機関の競合状況を分析するべきではないかという御指摘をいただいています。
16ページでございますけれども、今回、まず入り口としまして、必要量との関係も重要だと思うのですけれども、まずは65歳人口10万人当たりの回復期機能を持つ病棟の病床数を、全国で比較いたしまして、特に多いと考えられる上位約4分の1の地域から、幾つかの競合といえる、いえないパターンを見出して、提示をしております。
回復期リハビリテーションの比較と地域包括ケア病棟の比較を念頭に置いて、提示をいたします。
まず、17ページでございますけれども、D構想区域は、全ての回復期リハビリテーションにつきまして、民間医療機関で提供されているということで、これが競合のない状態として、まず参考でお見せしております。
18ページに行っていただきまして、まず、回復期リハビリテーション病棟のほうの競合の状況になりますけれども、左上を見ていただきまして、回復期リハビリテーション病棟の入院料がどれぐらい算定されているのかを見ますと、A病院、B病院、片や民間、片や公立・公的医療機関ですけれども、同じような状況でございます。
しかし、回復期リハビリテーションで行われているリハビリテーションの内訳になりますが、下をごらんいただきますと、やや差があるということで、特に運動器リハにつきましては主としてB病院でやられているというところがございます。
19ページですけれども、F構想区域になりますが、こちらも回復期リハビリテーションの状況を分析しているものでございますけれども、A病院、B病院の両方ともが公立・公的医療機関になりまして、回復期リハビリテーションの算定につきまして、Aのほうが多いということと、リハビリテーションの内訳として、脳血管も運動器もほとんどAで実施されているということで、脳血管リハにつきましては、B病院ではほとんどやられていないということになります。
地理的条件を見ますと、45分ほど離れているということで、アクセスの観点からどうかということを御議論いただければと思います。
20ページにつきましては、A病院の回復期リハビリテーション病棟入院料は民間のもので、B病院は公立・公的となりますけれども、リハビリテーション病棟入院料の算定自体、A病院のほうが多いということで、リハの中身を見ますと、脳血管も運動器もA病院のほうがかなり大きいということで、さらに地理的条件のほうで、A病院、B病院も15分程度ということで、近接しているという例でございます。
最後、21ページになりますが、こちらは地域包括ケア病棟入院料の算定実績の状況でございまして、F病院までありますけれども、F病院ではほとんど算定されていませんが、A病院、D病院が一定の算定があるという状況で、片や地理的条件を見てみますと、A病院、D病院は近接して、ほかの民間病院も一定程度近いということになります。
もちろん、地域包括ケア病棟入院料ですので、例えば急性期といって選択しているようなほかの病棟との兼ね合い等、幾つか論点はあると思うのですけれども、今回はシンプルに比較を行ったというのがまず入り口であります。
以上が、回復期と地域包括ケアの競合状況です。
22ページ以降は、補助金を勘案した収支ということで、前回いただいている御指摘に関して、資料を出しています。
23ページは、再びA構想区域でございますけれども、公的医療機関が2つ、BとCがございまして、こちらは現在、収支の状況を調べられておりません。申しわけございません。こういうところも公的医療機関でございますので、基本的には調べていくということが考えられますが、今後、精査をしていきたいと考えております。
A病院、D病院は公立病院ということで、収支状況が公表されているので、こちらに転記をいたしております。
経常収益と医業収益を、附随する利益率とともに載せておりますが、一番最後の25ページをごらんいただいて、概要を御説明したいのですけれども、左の柱が収益で、右の柱が費用ということで、構造を見ていて、これは損失のほうです。赤字病院という意味でモデルにしています。収益から費用を抜いたところが利益となるのですけれども、医業収益と経常収益ということで、2つベースがございまして、まず、医業収益(A)というのが、収益のところは下から緑で入院収益、外来収益、その他医業収益ということで、3つ重ねたものが医業収益ですが、ここから医業費用を引いたものが医業利益または医業損失となります。
右側を見ていただきますと、人件費、材料費、減価償却費に、その他医業経費を足したものが医業費用になりますけれども、これを差し引いて、左のバーについている(E)がちょうど医業損失になります。プラスであれば医業利益となります。これを、損失のほうが何パーセント出ているかということで、100から引いたのが医業利益比率ということで出しています。
これに経常収益と経常費用を乗せて、また差し引きしたものが経常利益または経常損失ということですが、今回は赤字病院のケースということで、経常損失という例示になっていますけれども、(F)のところが経常収益から経常費用を引いた分となります。
お戻りいただきまして、23ページですけれども、A病院、D病院につきまして、A病院は経常収益が164億円、医業収益は144億円ということで、例えば医業利益率はマイナス12%ですので、12%分経費が上回っているということになります。D病院は9%、医業費用が上回っているということになります。
経常収益のほうですけれども、164億円と31億円という形になっています。
Cが、先ほど距離の事例で出てきましたけれども、A病院は公的病院で、収支状況について調べられておりませんけれども、B病院につきましては公表されているということで、経常収益82億円に対して、マイナス8%の利益率、医業収益75%に対して、マイナス11%の利益率ということをお示ししております。
これらがどの程度参考になるかというところは、構想区域によってそれぞれであると思いますけれども、調整会議において、このようなデータを調べて、出していただくことが必要ではないかということを、御指摘を踏まえて例としてお見せしているということでございます。
以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、ただいま説明がありました資料1-2につきまして、御質問・御意見を承りたいと思います。
今村構成員、どうぞ。
○今村構成員 御説明ありがとうございます。
地理的要因を見ることが重要だということは、全くそのとおりだと思うのですけれども、資料の11ページに出ている例を見てみますと、同じ二次医療圏だけで見ているのですが、隣の二次医療圏の状況をもう少し勘案していく必要があるのではないかと思います。
ここは多分、うちの地元なのですけれども、山際に病院がばっと建っていて、大都市をその山から見るように、違う方向に2つあるのです。ですから、A病院、C病院が見ている方向とB病院が見ている方向が違うという状況があって、それを勘案するべきかなと思います。
これは重要な情報なのですけれども、そういった面の観点が、実際の調整をしていくときには重要になってくると思います。
それと、ここはA病院が民間病院であると整理されていますけれども、私の目からは果てしなく公的に近い病院のように見えます。非常に高機能な病院で、高名な病院なのですけれども。
○中川構成員 経営母体は。
○今村構成員 経営母体は何ですかね。宗教法人だと思うのですが。
○中川構成員 民間でしょう。
○今村構成員 民間なのですけれども、非常に高機能で、恐らく地域支援病院もとる必要がないからとっていないだけで、その機能を持っているところなのだと思います。
そのような面があるのかなと思いました。
あと、24ページの収支のところで、公立病院の収支の計算が出ているのですけれども、議論するときに注意しなければいけないと思うのは、公立病院は、部分適用と全部適用と、法人下で会計のやり方が違うのです。例えば、退職金の引当金を乗せている、乗せていないとか、退職金は本体の市役所に返って出しているということがあって、単純にここの数字だけで黒か赤かが見えないという背景があると思います。
それを統一して出すというのはなかなか難しいのですけれども、会計を見るときには、そういうふうなことに注意しなければいけないということを常に認識しておく必要があるのではないかと思います。
以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
本多構成員、どうぞ。
○本多構成員 1ページや14ページに示されていますけれども、4つの競合パターンがありますが、パターン(イ)などには、都市部に多いと記載されています。イメージはできますが、構想区域の議論に関しては、それぞれの地域がどのパターンであるかということは明示したほうが、より議論が進むのではないかと思いますので、そういう方向でやっていただければと思います。
それから、10ページなのですが、ここに示されておりますように、特に近接した地域で複数の公的・公立が急性期機能を担っている場合については、再編統合による機能強化の検討の視点として明示したほうがいいと思います。
その際、再編統合による急性期機能の強化が地域住民にとってプラスをもたらした好事例がもしあれば、そういったものもあわせて提示していただくと、より効果的ではないかと思います。
いずれにしろ、なかなかそういった再編統合が困難な事例もあるかもしれませんけれども、当たり前と思えるようなことについても、マッピングして示していただくと、地域住民や自治体にも理解しやすい材料になりますので、そういう方向で進めていただければと思います。
また、前回も申し上げましたとおり、保険者の代表委員からも、他の構想区域の比較など、参考を示してほしいという声もありますので、地理的条件を含めて、構想区域のパターンごとに、検討の視点とそれに見合った、先行した好事例を明示していただければ、そういった課題も明らかになって、議論がより進むのではないかと思います。
繰り返しになりますけれども、地域における医療の課題を住民や自治体等の関係者にもわかりやすく理解してもらうために、構想区域のパターンごとの共通課題や、構想区域の独自の課題を、わかりやすいデータとそれに基づく検討の視点をセットで公表して、議論のきっかけにすべきだと思っております。
また、後ろのほうに、回復期についても示されて、これも同様でございますけれども、特に将来の必要病床数を超えている構想区域について、競合のパターンごとに検討の視点を示してくことは非常に有用だと思っております。
大病院の地域包括ケア病棟につきましては、1病棟に限られているということもありますので、そういったことを踏まえますと、公民の競合の場合については、公立・公的が担う必要があるのかという観点も含めて、役割分担の検討の視点となるのではないかと思いますので、そういったところも進めていただければと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
中川構成員、どうぞ。
○中川構成員 細かいことで恐縮ですが、経皮的冠動脈形成術というのは、手術以外ではなくて手術のど真ん中でしょう。分離が違うと思います。
○松本課長補佐 診療報酬上は手術に分類されていると承知しておりまして、今回、開腹・開頭のようなものを手術と呼んでしまいましたけれども、御指摘のとおり、こういう意味では。
○中川構成員 意味も何も、手術以外の何物でもない。
○松本課長補佐 わかりました。そのような整理をしていきたいと思います。
○中川構成員 それと、いろいろなパターンがあるけれども、例えば7ページの胃・結腸・直腸悪性腫瘍手術のところで、A病院、B病院と。これは、見た感じは競合していますが、その構想区域内で2つの病院のやっている手術の数が足りているのかどうか。まだまだ需要があるのか。需要があるのでC病院、D病院にもやっているというのか、どうなのか。
仮に、B病院が撤退すると、AとDがもっと伸びるのかということは、現場の地域医療構想調整会議の皆さんでないとわからないわけです。ですから、それを常に強調しながら、こういうパターンを示していくことが大事だと思います。
全国一律の指標では全くない。こういうふうに自分の構想区域を分析して、議論を始めましょうね、考えましょうねという指標だと、常に言ってほしいと思います。
○尾形座長 事務局、どうぞ。
○松本課長補佐 事務局でございます。
きょうはなかなか盛りだくさんで、1-5までたどり着かない可能性がありますので、簡単に触れさせていただきます。もし今回時間がなければ、次回こういうものを議論していきたいということで、たたき台としてつくっておりますけれども、1ページの下から2つ目の○です。今後、3月までに整理して、医療計画の見直し検討会にも報告するということを申し上げていますけれども、2ページのこれまでの議論における視点ということで、今、中川構成員がおっしゃったような構想区域ごとの議論の重要性というのは、まず申し述べておりまして、1つ目の○ですが、分析は重要だけれども、どうしても地域の実情が反映されない側面があり、地域でしかわかり合えないということにつきまして、最後は地域医療構想調整会議が決定するという原則の重要性をまず申し上げています。
そこから3つ下、一番最後の○ですけれども、定量的なデータ分析というのは、あくまでも構想区域ごとに実態を把握するためのものであって、機械的に方針を決定するものであってはならないということを書いておりますので、次回の御議論だと思いますけれども、まずこういうところがあってということで、進めていくということだと考えております。
○尾形座長 中川構成員。
○中川構成員 結構です。
○尾形座長 よろしいですか。
織田構成員、どうぞ。
○織田構成員 先ほど今村構成員も言われましたけれども、11ページと12ページですが、B構想区域、C構想区域などを見てみますと、今回、県での調整会議も推奨されていますね。ある意味では、流入・流出も含めて、構想区域でどうしても結論を出せない部分が出てくると思うのです。そういう場合は、県の調整会議にかけるということもあり得るのかなと思って、聞かせてもらいました。
○尾形座長 小熊構成員、どうぞ。
○小熊構成員 質問したいと思うのですけれども、14ページをごらんいただきたいのですが、視点1、2、3と分かれているのですけれども、視点1は(ア)から(エ)までの4つのパターンということなのですが、これが本当に4パターンだけでいいのかどうかが私には一抹の不安が残る。
多分、全ての広いところを全部見たわけではないと思うので、見た範囲で4分類というように私には解釈できるのですけれども、これが6つとか7つになる可能性はないのかということ。
それから、視点2で、固有の役割なしというのが右側にあるのですが、民間のほうの真ん中の黄色は固有の役割があるとみなしていいわけですね。
○松本課長補佐 3つあるのですけれども。
○小熊構成員 その真ん中で、青のものは大した固有の機能はないかもしれないけれども、逆に民間の黄色の病院は、この疾患に対してはこういう役割があるというふうに解釈しなければいけないと思うのです。
その隣の2つも、なしとしてしまっていいのか、それぞれにそれなりの役割を果たしていると見ることもできるのではないかと思ったものですから。
○尾形座長 事務局、どうぞ。
○松本課長補佐 2点の御質問ですが、まさにおっしゃるとおりで、まず、このパターンは4つに限定されるものではないと考えておりまして、今までの御議論で、方向性が定まった暁には、全国339の構想区域、津々浦々を見てみて、考え方を実際に整理する必要があると思います。
その際に、これにはどうもおさまらないというものにつきましては、追加的にパターン認識が必要だと考えております。
2点目ですけれども、こちらはあくまで固有かどうかという点で申し上げておりまして、役割がないというわけではなくて、代替性について議論の余地があるという観点であるので、役割なしという意味ではないということであります。
○尾形座長 小熊構成員、よろしいですか。
○小熊構成員 結構です。
○尾形座長 中川構成員、どうぞ。
○中川構成員 小熊先生がおっしゃるように、パターンは無数にあると思います。ただ、代表的なものがこうではないかという提示だと思う。
それから、固有の役割あり、なしのところで、赤で囲ったのはどういう意味ですか。役割があるのが3つの病院ですか。
○松本課長補佐 固有かどうかという点でございまして、これのみをもってという判断ではないのですけれども、例えば、一番左につきまして、これは公立・公的という色でお示ししていますが、ここの切り取りだけを見ると1つ突出しているということでございます。
真ん中を見ますと、公立・公的のほうには、その面では固有の役割はないと言えるのではないかということでありまして、右のほうは、2つに丸がしてありますけれども、固有かどうかというと、固有ではないかもしれない。
○中川構成員 固有とは何ですか。
○松本課長補佐 かなり端折って申し上げてしまいましたけれども、もともとの議論の経緯としましては、公立・公的病院については、地域の民間では担えないものに重点化をするというのがそもそもの始まりになってございましたので、その地域で、ほかでは担えないものに重点化しているかという観点とあわせて、固有という言葉を使わせていただきましたが、重点化のほうに近い言葉として捉えていただければと考えております。
○中川構成員 しつこいようだけれども、これは固有の役割があるのが3つの病院で、固有の役割がないのが2つプラス2つというふうに見るのか。違うでしょう。
○松本課長補佐 はい。
○中川構成員 これはそもそもが変です。
○松本課長補佐 丸のつけ方は、あくまでもここを見てくださいという趣旨でつけました。
○中川構成員 丸のところが固有の役割がありそうで、右のほうがなさそうなわけですか。
○松本課長補佐 はい。なしのほうに丸がついているのが右で、左はありのほうに丸がついているということで、逆になっておりまして、申しわけありません。もう少しわかりやすくします。
○尾形座長 ほかはいかがでしょうか。
中川構成員、どうぞ。
○中川構成員 その公立・公的医療機関でなければ担えない医療というのは、そこの医療機関にいる例えば手術だと外科医の能力というか特殊性に非常に左右されるので、その先生がほかに転勤したとか、おやめになったとかでがらっと変わってしまいますね。そういうことが実は非常に重要で、それは現場の調整会議しか知り得ないことなので、繰り返しますが、そういうふうに考えるべきだと。
これは非常に微妙なことになるので、ある手術の権威が、ある公立病院に赴任したと。そうすると、当然ですが、その疾患がその先生のところに集まるわけです。難易度の高い技術を持っている先生だとすると、その公立病院でした担えない医療機能ということになるわけです。また転勤するとそうでもなくなるといったことになるので、この辺は小熊先生がおっしゃるように、その手術だけをやっていたら、その公立病院はやっていけないというのはそのとおりなので、本当に繊細なバランスというか、舵とりは大事だなということは我々は理解したいと思います。
○尾形座長 きょうはこういう形で、たたき台ということでお示しいただいたので、まだ細かい点についてはいろいろと精査すべき点があるように思います。また次回もこれについて御議論いただくことは十分可能だと思います。
ただ、きょうはほかの議題がいろいろと入っていますので、とりあえず資料1-2の議論はこの辺にしたいと思います。
それでは、引き続きまして、資料1-3の御説明を、国立病院機構の古都参考人からお願いいたします。
○古都参考人 国立病院機構の古都です。きょうはこのような機会をいただき、感謝申し上げたいと思います。資料1-3を御説明させていただきます。
基本的に、私どもの地域医療構想への対応といたしましては、各病院とも構想会議に積極的に参加させていただいて、議論に加わらせていただいているということでございます。
1ページ目、私どもの機構の特色をまず御理解いただきたいと思いますが、私どもは平成16年に独法化いたしまして、業務としましては、医療の提供、それから調査及び研究、そして技術者の研修、育成といったことを3本柱としてやっております。
病院数は、現在のところ141病院、およそ5万床で運営をいたしておりますし、そのほか、ここに付記したとおりの研究センターあるいは看護師養成等を行っております。
特色としましては、その下の四角でございますけれども、他の設置主体ではなかなか実施されてこなかった部分、結核や重症心身障害等の、いわゆる私どもはセーフティーネット分野と呼んでおりますけれども、こういう分野についての医療を確実に実施することが私どもの責務の一つだと思っております。
また、災害あるいは感染症など、国の危機管理に必要な医療も積極的に提供しようとしておりますし、地域の医療需要、5疾病・5事業の提供も右の上のようにやっております。
さらに、地域の診療拠点といたしまして、例えば地域医療支援病院、救命救急センター、総合周産期母子医療センターあるいはがん拠点といったものも、病院数としては日本全体から見ればわずかでありますけれども、こういう地域の診療拠点としての役割も積極的に担おうとしておるところでございます。
2ページでございます。私どもは平成16年に独法化しました。それ以前は国の時代でございましたが、経営の考え方は国の時代とは全く異なっております。一つは独立採算です。国の時代については、赤字補填が相当されておりましたけれども、現在、診療事業に関しましては、国から特別な補助金は入っておりません。もちろん公的・公立あるいは民間医療機関全てがもらわれるような地域の補助金等は機能に応じて払われておりますので、そういったものは受けておりますけれども、そうではなくて、経営のための特別な補助金は入っておりません。
運営費交付金はいただいておりますが、これは国時代の退職手当の債務でございます。これは年々減っていく分野でございます。
一方、臨床研究事業などにつきましては、それを積極的にやるべしということで、これらについて運営費交付金を充てているということでございます。
2つ目、私どもは歴史的な経緯で、いわゆる公経済負担、要は年金の国庫負担相当を、公的病院あるいは民間病院にはない負担として担っております。これは、年金保険料の事業主負担ではありません。それは当然、年金保険料の2分の1は事業主負担をしておりますけれども、それ以外に平成30年度であれば143億円、これは31年度になれば150億を超える額の負担をしているという状況にございます。
それから、長期借入金、国時代の債務が7,400億ほどございましたけれども、これは経営改善して新たな投資をしつつ、着実な返済を行ってきておるということでございます。経常収支は28年、29年は赤字でしたので、今、経営改善に努力しているところでございます。
3ページでございます。地域医療構想への対応方針は、私どもは5年を1期とする中期計画をつくっております。これは、国から中期目標を厚生労働大臣から指示をいただきまして、それに応じて我々がやっているものですが、これまで3期こなしまして、平成31年度からは次期と書きましたが、第4期の中期計画になります。この中でも、地域医療構想の実現に向け、地域における医療機能分化あるいは地域の医療需要の変化への自主的な対応、そして私ども病院が実施したい医療というよりも、地域から求められる医療への転換を進めていきたい。さらには、在宅医療連携をやりながら、地域医療に貢献をしていきたいと考えております。これを明記する予定でございます。
4ページでございます。地域医療構想調整会議への対応、先ほど申しましたように、国のほうから公的医療機関等2025プランの作成を指示されておりますので、これについては、各病院で作成し、都道府県から求められたところについては、全て提出しております。
やはり地域に何が求められるのか。現在、調整会議で議論されておるわけですが、そこの中で、私どもの病院が持っている医療機能や役割を再点検した上で、参加させていただいております。さらに、病床機能報告につきましては、御議論がありましたように、急性期医療を全く提供しない病棟については当然、そのような報告はしないということを全病院に徹底をさせております。
議論全体としては、まだ半分が協議中ということでございます。
具体の例でございます。5ページでございますが、地域医療構想調整会議で、いろいろと御議論がございまして、例えば病床の変換あるいは地域に必要な医療として求めた医療機能への転換例として、東佐賀病院は、休棟中の病棟を、回復期が圏域として不足するということですので、可能だという提案をしたところ、それは民間病院の今後の取り組みで充足するだろうということでしたので、これについては返上することにいたしました。
それから、嬉野医療センターというところでは、むしろ地域の民間病院からの御意見として、できるだけ地域完結型を目指そうということでしたので、高度急性は縮小あるいは急性期機能を減らすということで提案をさせていただいたのですが、地域完結型という御議論になり、高度急性期を充実してもらいたいということで、御議論いただきましたので、そのように合意をした。
さらに、緩和ケアも必要であるということでしたので、議論の経過として、急性期をさらに減らして、緩和ケアを提案いたしまして、これは圏域内に、実は緩和ケア病床がないのだということでございましたので、それはそういう対応をしたいということを提案して、賛同を得て了承をいただいた。
調整会議の議論が進んでいるところにつきましては、このように合意を経て、役割を改めております。
6ページ、地域医療構想調整会議などでの了承を経て、医療機能移転あるいは病院再編を行った事例でございます。
平成25年3月、鹿児島県保健医療計画に基づきまして、鹿児島県、鹿児島大学、鹿児島市市立病院、それから第3極としての高度医療提供体制が必要だということでございましたので、鹿児島逓信病院の機能を鹿児島医療センターに移して、その機能の充実を図ったという事例でございます。
2つ目が、岩手県のほうから、もりおかこども病院、重症心身障害児等の医療をやっておられたのですが、これがもう診療所化するということでございまして、ぜひ受け皿として対応していただきたいというお話がございましたので、これにつきましても、小児救急を含め、あるいは療養介護施設の設置ということになりますけれども、新たにこの森岡病院で重症心身障害の医療を展開するために、療養介護施設の設置、短期入所事業を実施するとして、休床していたところを今、改修をしておりまして、でき次第、そちらに重症心身障害の患者さんを受け入れたいと考えております。
それから、後ほど私の右におります藤参考人からも補足していただきますけれども、弘前市立病院と私どもの弘前病院の病院再編の事例でございます。これは、医師不足等で病院群輪番参加病院の減少等、それから中規模の病院が2つあって、ドクターの配置もなかなか厳しい状況であるということがございまして、平成28年10月、弘前市を含む津軽医療圏全体につきまして、青森県からNHO弘前病院と弘前市立病院の機能統合、NHOが一体的な運営を行うという新中核病院構想が提案されました。
当然、青森県、弘前市、弘前大学、私どもの4者で実務協議を重ねまして、昨年10月に二次救急医療体制の強化を行う新中核病院を整備するということで、基本協定を4者で締結し、今年度から整備に着手し、34年早期には運営開始をしたいと考えております。
当然、規模的には将来の医療需要などを見て、450床程度ということでございます。
いずれにしましても、地域住民の立場に立って、効率よく安心・安全で良質な医療の提供をできる体制を将来にわたって整備するというテーマで、関係者で合意が得られたものと考えております。
その上で、最後、地域医療構想を進める上での課題でございますけれども、やはり各病院、私どもは141ございますけれども、600床を超える大きな病院から200床未満の病院、あるいは精神単科病院などさまざまございますので、我々全体として、5疾病・5事業をしっかり担う急性期病院と、セーフティーネット系の医療といったものを、この141のネットワークの中で人材・資源・ノウハウなどを共有しながら維持しております。
そういう意味で、急性期医療を担う病院とセーフティーネット医療を担う病院が経営面や人員面でネットワークがあって、支え合っているからこそできますので、部分最適のような議論で、その機能を阻害されるようなダウンサイジングや役割変更は、場合によっては地域医療あるいはセーフティーネット分野の医療の維持に大きな影響を与えるのではないかと思っておりますし、そういう意味では、これを独立財政で運営しているところが他の病院とは性格が異なると思っております。
したがいまして、各地域で条件、事情、さまざまなものが違いますので、一律の議論ではなく、私どもの病院が各地域で果たしている医療機能を丁寧に説明いたしますので、その中で、丁寧な議論をお願いしたいと思っております。
それから、もう十分御理解されていると思うわけですが、再編統合を行う場合は非常に課題が多うございます。そもそも2つの病院ということは、雇用条件あるいは労働条件など、さまざま違っておりますし、そういった職員の声あるいは残った借入金債務の整理が重要な課題になりますし、すぐに統廃合できるわけではございませんので、その時間の間に、地域の医療が崩壊しないというのは非常に課題でありますし、特に人材確保、特に障害者医療はなかなかドクターのなり手もない中で、いろいろと確保を全体としてやっておりますので、そういったことについても懸念を持っておりますので、その辺について丁寧な御議論をお願いしたいと思っております。
藤参考人のほうから、若干補足をさせていただきたいと思います。
○藤参考人 国立病院機構弘前病院病院長の藤と申します。
簡単に補足しますと、この津軽医療圏は、人口30万人で、3市3町2村から成っております。先ほどのパターン化でいいますと、2つの公立病院がありますが、その上に、もう一つ特定機能病院の大学病院がありますので、ちょっとあのパターンの中では形が違うかと思います。
統合がうまくいった一つの要点は、医師に関しては、弘前病院から全て供給されているという点が大きな点だと思います。
たまたま、この市立病院と国立病院は建物が古くなって、老朽化し、市立病院は災害拠点病院に指定されているのですが、いわゆる震度6の耐震をカバーできていない。国立病院のほうは、ほとんどの建物が昭和にできた建物で、もう建てかえなければいけない。さらに、十分な医師の供給ができていないというところがありまして、統合の話が出たというところがあります。
先ほど話がありましたが、両者合わせて592床の病棟なのですが、これを450床にして、約24%の急性期病院を減少させるということで、津軽地区のベッドの調整に関しては、かなりうまくいっているのではないかと考えております。
ただ、先ほど古都参考人のほうから説明がありましたが、人の関係は、ドクターだけではないので、看護師さんを含めたパラメディカルのいわゆる統合における異動に関しては、協定を結んだ後も、現在も、市立病院のほうの看護職員が離職するとか、ほかに移ってしまうという問題もありまして、統合までの間、どのように両者の機能を保持していくかが大きな問題点となっております。
簡単ですけれども、あとは質問に答えたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、ただいま御説明いただきました資料1-3につきまして、御質問、御意見を承りたいと思います。
伊藤構成員、どうぞ。
○伊藤構成員 今、再編統合の成功事例ということでお話を伺ったのですけれども、平成30年10月に協定書をつくられたということで、恐らくもう既に地域医療構想の協議会が動き出しているところだったと思うのですが、今回の再編統合、機能転換に関して、地域の医療機能に関する協議会のかかわりはどうであったかということを教えていただけますでしょうか。
○藤参考人 実はおとといも、青森県の県が主導で、津軽地区の地域調整会議の今年度第2回目が開かれました。その前にはもちろん、この協定を結んだ10月前にも1回ほどやりまして、この統合をベースにした形での調整会議という流れになっております。
ただ、弘前は、御存じのように大学病院がありますので、昔は弘前というのは桜と医者とやくざの町と言われたくらいで、医者が多いところでございまして、開業医あるいは私的な病院もたくさんあります。
県のほうは、公的な病院だけではなくて、私的な病院にも気配りをして、いろいろとプランを全部出させて、2回目はほとんど公的病院を除いた私的病院における調整に向けた方針を聞くとか、そういう配慮をして、進んでおります。
質問の答えになったかどうかわかりませんが。
○尾形座長 伊藤構成員、どうぞ。
○伊藤構成員 ということは、この再編に関しては、地域医療構想会議の中で、再編の是非というか可否について、民間病院も含めた中で御議論をされて、全体の合意を得たということでよろしいですか。
○藤参考人 最初のころやりまして、受けております。
○伊藤構成員 わかりました。ありがとうございました。
○尾形座長 よろしいでしょうか。
ほかはいかがでしょうか。
本多構成員、どうぞ。
○本多構成員 こういった再編統合の事例なのですけれども、古都参考人にお伺いしたいのですが、個別の病院のそういった再編統合の案件が出てきたときに、その病院の個々の判断でやられているのか、それとも機構本部として何かかかわられているのか、その辺をお伺いさせていただければと思います。
○古都参考人 ありがとうございます。
まず、第1段階で、各院長が地域の構想会議に入っているということがございます。それから、こういう再編統合の話になりますと、さまざまな条件や関係者の議論も行わなければいけないということで、先ほどありましたように、我々は141のネットワークで考えておりますので、結論から言えば、当然、そういう話が病院にあったということであれば、本部まで話をいただきまして、そして全体の問題も考えながら、一緒に方向性を考えて、対応するようにしております。
○本多構成員 ありがとうございます。
○尾形座長 よろしいですか。
○本多構成員 その関連で、事務局にも質問なのですけれども、国立病院機構だけではなくて、例えば済生会とか日赤とか地域医療機能推進機構といった公的な病院があるかと思いますけれども、その辺も、本部と実際の病院の関係がどうなっているのか、今後、そういったヒアリングもやる予定なのかどうか、確認したいと思います。
○尾形座長 事務局、お願いします。
○松本課長補佐 お求めと思いますので、ヒアリングをしていくというふうに考えております。
○尾形座長 よろしいですか。
中川構成員、どうぞ。
○中川構成員 2ページの法人運営は独立採算と書いてありますけれども、独法国立病院機構が独立採算なのですか。個々の病院が独立採算なのですか。どちらですか。
○古都参考人 まず、法人が独立採算だということで、国の時代のように、1割、2割の赤字補填はないというのが前提です。
その上で、141病院が基本的には自立した経営をしていただくということになりますので、法人全体としても独立採算、個々の病院も自立できるようにやるということなのですが、もちろん病院によっては経営状態のいい病院も悪い病院もありますので、そういうところは、機能維持のために支えをしている部分はございます。
○中川構成員 ちょっと失礼な質問かもしれませんが、古都副理事長は、いつから国立病院機構にお勤めですか。
○古都参考人 私は、独法化の時点で、平成14年、15年で独法化の準備をし、16、17年として、最初おりました。その後、1回離れておりますけれども、26年から独法のほうにおります。
○中川構成員 医師ではないですね。
○古都参考人 はい。事務局でございます。
○中川構成員 私はいろいろと国立病院の院長先生方とお話をして、議論をする機会があって、いろいろな情報を得たのですが、国立病院の院長方は、自分で判断するという権限が非常に少ない、国立病院機構本部の意向をまずは聞かなければいけないというようなことを伝え聞いているのです。
今の古都さんの報告、説明を聞いていると、ああ、そうなのだなという気がしました。申しわけないが、かなりの上から目線ですね。独法国立病院機構はちゃんとやっているぞと。どうだというような表現に聞こえたのです。これはちょっと違うなと。
独立採算とおっしゃいますが、まずは公立・公的、民間というふうに今、議論しています。民間の医療法人と違って、まずは一番大きいのは法人税を全く払っていないのです。まるで同じ土俵かのような表現が、特別は補助金は入っていないと書かれていて、そのほか、負担までしていると書かれていますが、そもそもそれが違うという意識があるのかどうか。
あなたを責めているわけではないですよ。正しい認識を持ちましょうということを申し上げているのです。
聞きますが、例えば6ページの鹿児島ですが、鹿児島逓信病院の50床を、鹿児島医療センター370床に吸収したのですか。
○古都参考人 統合ということになります。吸収したということになります。
○中川構成員 そのときには、これはまだ30年4月ですから、もう地域医療構想が進んでいるときですね。もう調整会議も設置されていますね。調整会議でどういう議論があったのでしょうか。
○古都参考人 これは25年3月の鹿児島県保健医療計画です。それ以前に、医師会あるいは行政など、さまざまな関係者にも入っていただきまして、鹿児島医療センターの機能をどうするのかと。先ほど申しましたけれども、鹿児島地域は3極、鹿児島大学病院、鹿児島市立病院、そして第3極として鹿児島医療センターの機能を強化しようという検討会の報告が出まして、それらを踏まえて鹿児島県保健医療計画に入れてきたということですので、確かに先に話は始まっておりました。それを計画の中では報告をしたということでございます。
○中川構成員 ここの二次医療圏は、オーバーベッドですか、アンダーベッドですか。
○古都参考人 過剰地域だと思います。
ですが、そのときの議論は、3つの拠点をつくろうということで、関係者の合意があった。その前提でこれを行ったということになります。ですので、一方を減らして、一方に移したという形。
○中川構成員 50床の逓信病院が、吸収前はどのような状態だったのでしょうか。
○古都参考人 50床の病院は、内科系の病院でございました。統合した際に、全体としては50床を10床減らして、40床の移転をしております。機能としては、内科の機能だけだということでございます。
○中川構成員 40床もらったのですか。それで、370床が410床になったのですか。
○古都参考人 そうなります。
○中川構成員 10床残した。
○古都参考人 いえ、10床は減らしております。
○中川構成員 この議論にあなたは参加していますか。
○古都参考人 これについては、報告を受けておりました。
○中川構成員 わかりました。
私は、詳しいことはわからないので、これ以上のことは申し上げませんが、なかなか本部機能がどうも強過ぎるのではないかという気がします。
やはり国立病院機構の病院であろうと、現場の実情が最大限優先されなければいけないので、現場の院長先生に権限をもっと与えるべきだと。本部がうるさいなという感じは出ないような、そういう仕組みになったらもっといいかなという気がしました。
印象です。失礼しました。
○古都参考人 一言よろしいでしょうか。
今、中川先生の話もよく受けとめながら、基本的に各病院の先生方の意見をよく聞いて、させていただきたいと思っております。
もちろん当初するときには、外から借り入れをしますので、我々全体として資金確保をして、そこに提供するという形にしておりまして、基本的には、全体として何とかそこが困らないような配慮をするという立場でおりますけれども、今の先生のお話もありますので、しっかり受けとめて、十分議論をして、できるだけ次はよく話ができるようになったと言われるように頑張っていきたいと思います。
ありがとうございました。
○尾形座長 ほかはいかがでしょうか。
今村構成員、どうぞ。
○今村構成員 古都参考人に、国立病院機構の全体の方針を教えてもらいたいのです。
これから、人口構成が大きく変化していくわけで、団塊の世代の方々が年をとっていって、人口が減るのに高齢者の病気はふえるという状況があって、その後またその方がいなくなる。さすがに140も病院があると、各地域で現状に対して対応していると、全体を追いかけ切れなくなっていくのではないかという心配をしています。すると、機構として、全体としてはこういう人口構成の変化に対して、どう対応していくのかということを、ビジョンとして持っておられるか、もしくはそのような研修なり情報提供なりを機構としてどれぐらい積極的にされているのかは、ぜひ教えていただければと思います。
○古都参考人 ありがとうございます。
我々としては、2040年を見据えてという議論もありますし、地域で人口が減っていくということもございますので、例えば公的医療プランについても、各病院ごとに、各地域の人口構造がどうなるのか。特にどの機能を維持しなければいけないのかということは、それぞれ検討していただいているということですので、それはまさに地域、地域の中で、我々が持っている機能のどこを残していくのか、あるいは維持していかなければいけないのかということを考えてやっていくというようにしております。
一律にどうこうしろということは、決して決めているわけではありませんので、各病院の地域における役割を尊重しながらやっていくということになります。
その上で、確かに人口が減少していく中で、どの機能を残すのか、それから、我々が全部やっているわけではございませんので、例えば障害者医療を中心にやるのかとか、それをさらに地域展開するのかとか、その分、一般病床の機能は障害機能に移しましょうとか、そういう議論は個々でやっていくことになりますし、病院によっては、私どもは公立病院もなくて、そこだけが救命救急をやっているというと、人口減少したとして、将来ダウンサイズするとしても、最後の砦として救命救急センターを維持しなければいけないのだろうなというところもございますので、そういったところはそれなりに機能維持できるような形にしていくというふうに考えております。
かつ、5年ごとに計画を立てます。視野としては長期を見据えながらも、この5年間をどのように経営するかというのは、国のほうから目標設定、指示がございますので、それに沿いながらも、今は5年先ですけれども、2040年も視野に入れながら考えていこうという考え方で、各院長、各病院にもそういうことは情報提供していきますし、それは年に2回の会議あるいは折々の会議でもやっていきたいと思っております。
○尾形座長 今村構成員、どうぞ。
○今村構成員 ありがとうございます。
その方針で考えていくと、私はいろいろな病院の統合再編の御相談を受けると、国立病院と済生会や日赤は、ほかの公的病院とは相並んでいるところがたくさんあって、最終的にはそれぞれ本部と話し合わなければなかなか難しいという状況があります。
今、公立病院の本部として、済生会や日赤といった公的な機関の本部との話し合いは持たれているような状況なのでしょうか。それとも、それぞれ個別にやるという状況なのでしょうか。
○古都参考人 基本的には、各現場の状況がみな異なりますので、各現場からの話を基本にしながらやるということですので、一律に本部同士で何かをするということはしておりません。
○尾形座長 よろしいですか。
小熊構成員、どうぞ。
○小熊構成員 今、古都参考人のお話を聞いて、国立病院機構も地域で求められる医療を全面に取り入れようという御努力をされているというのがすごく印象深く聞こえました。
といいますのも、私が自治体病院の会員病院に強く望んでいるのは、地域で求められる医療をやってくれということを私みずから言っておりますので、まさに古都参考人がおっしゃったことが、公立・公的病院として必要なのだろうと思っているところなのです。
ただ、国の定めた4機能には、地域に求められる医療という言葉は一つも出てこないのです。公立病院と公的病院に重点化してほしいという4機能があるのですけれども、その中では、地域に求められる医療という言葉は出てこないのです。私は、それをぜひ入れて欲しいと常々思っているのですけれども、そういう機能を明らかに文章として、言葉として入れていただくと、そういったことを地域で協議しなさいという前提が当然出てくるわけですので、そういった地域医療構想の活発化するのではないかと思うのですけれども、これは事務局にお聞きしてよろしいでしょうか。そういうのは入れられないものなのでしょうか。
○尾形座長 事務局いかがでしょうか。
○松本課長補佐 今、おっしゃっているのは、地域医療構想の中でうたわれている病床の必要量における4つの機能のことですか。
○小熊構成員 4つの機能というのは、自治体病院とか公的病院に民間では担えないような地域の医療や高度専門的医療などがあるではないですか。それから、不採算医療とか、もう一つは、医療人の養成・派遣機能と4つ挙げられていますね。それに重点化しているかどうかが今、我々に求められている先ほどからのお話だと思うのですけれども、私としては、それに地域が求めている医療を提供するということも、実は入れてほしいと思っていたので、今、そういう質問をしているわけです。
○松本課長補佐 もともとの中には、民間医療機関の立地が困難なところで、一般の医療を提供するというのは、公立・公的でなければ担えないという整理になっておりますので、そこの中で今、構成員の問題意識は開いているというふうに、基本的には考えています。
○尾形座長 中川構成員、どうぞ。
○中川構成員 小熊先生、今、おっしゃったのは、国立病院機構の病院が地域で求められている医療を目指すのですか。先生がそうしたほうがいいと。
○小熊構成員 私はそれでいいと思います。
○中川構成員 国立病院機構でなければ担えない、かつ求められる医療ですね。
○小熊構成員 そうです。
○中川構成員 民間でもできる医療を国立病院でやるわけではないのですね。
○小熊構成員 そういう意味です。
○中川構成員 そこまで言っていただかないと、誤解されるような気がします。
○小熊構成員 ちょっと言葉足らずでした。
例えば筋ジストロフィーなどの難病の病棟とかは、ほかにどこも担えないわけですし、それ以外は、1ページ目に書いてあるような機能ということです。
○尾形座長 よろしいでしょうか。
織田構成員、どうぞ。
○織田構成員 4ページです。
5ページの東佐賀病院で回復期を提案したけれども、調整会議でそれは変えたほうがいいのではないかということだったと思います。4ページを見ますと、回復期と慢性期は結構多いですね。これは一般と違うような、国立病院機構でないと担えないようなものになっていますか。
○古都参考人 現在、先ほどお話がありました筋ジストロフィーの方を入れている病棟とか、全国で約3割強のベッドがありますけれども、重症心身障害児(者)あるいは結核とか、特に私たちは重心・筋ジス、神経難病などと呼んでおりますが、こういったものでございます。
○織田構成員 今、合意ではなくて協議中というのが、回復期が1,800、慢性期が8,000ということなのですけれども、回復期は議論が難航しているという状況ですか。
○古都参考人 説明をさせていただくと、各調整会議に出席させていただいて、公的プランなどいろいろと説明をしていて、ここがまだ、各調整会議の中で結論が出ていないというものが協議中ということでございますので、例えば、筋ジストロフィーの病床が問題だとか、そういう議論が起きているわけではございません。
○織田構成員 慢性期はわかりましたけれども、回復期に関しても、特殊な、国立病院機構でないと担えないような機能だということですね。
○古都参考人 回復期についても、その地域の中で足りないものがあるとして、提案をしている。例えば地域包括ケアが必要ではないかとか、そういった中で協議が行われている。場合によっては、先ほどの東佐賀で例を示しましたように、地域の民間でこれから充実していくだろうという合意になりましたので、我々はそれは削除しましょうというふうに話し合いの中で決定している。
○織田構成員 これはあくまでも、調整会議の中で議論されたことを優先していくということに尽きますね。
○古都参考人 そうです。
○織田構成員 わかりました。
○尾形座長 よろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは、古都参考人、藤参考人、きょうは本当にどうもありがとうございました。
それでは、先へ行きたいと思います。続きまして、資料1-4の御説明を栗谷参考人からお願いいたします。
○栗谷参考人 山形県酒田市病院機構の栗谷でございます。
御指示いただきましたのは、2008年に行われた県立、私立、2つの自治体病院の統合再編と、その後の運営状況ということでございましたので、これについて説明させていただきます。写真は統合再編の前の県立病院と市立病院です。
県立病院は、平成5年の竣工で、ことしで25年経過して、市立病院は昭和44年の竣工ですので、再編したときには償還を終えておりました。
1ページ目です。医療圏の概要を説明します。当病院機構の位置する山形県庄内二次医療圏は、県の4つの二次医療圏のうち、日本海側に位置している地域です。
2015年、医療県全体の人口が27万9000人ほどで、過疎高齢少子化が続く典型的な地方でございます。
医療圏としては一つですけれども、これまでは南の鶴岡市と北の酒田市でサブ医療圏を形成して、比較的患者さんの流れが固定されていましたが、最近ではこれが少し流動化しつつあります。
次のページです。2018年、日本医師会とJMP資料から自分でまとめたものです。二次医療圏全体の面積は広くて、神奈川県とほぼ同じ面積がありますけれども、人口はその33分の1ぐらいで、人口10万人当たりの病床数は642床、全国平均の694よりも少な目ですけれども、過疎化の進行が早くて、この一般病床数も早晩、過剰になるのではないかと思っています。
ただ、都市部から遠い地域にあるために、他の医療圏への患者さんの流出がほとんど見られず、当面は三次医療まで完結しないとならない地理的な位置にはあります。
次に行きます。こちらは酒田市の人口推移です。かつて昭和55年の酒田市は、人口が12万5000人、高齢化率は10.9%でした。しかし、平成17年に1市2町が合併しても、平成30年の現在では人口は10万4000人余りと2万人以上減少して、高齢化率は3倍以上の34%になっています。
国の2040年の高齢化率が36%と推計されていますが、20年以上前倒しで、ほぼ同じ数字になっているということです。
現在と比較した今後の人口減少率は、2025年で12%減、40年では31.7%減という予測になっています。
当法人の病院統合を行ったのは2008年ですけれども、この10年間で既に1万人以上減少しています。
次のページです。これも日本医師会の資料から抜粋した二次医療圏の医療需要の予測です。
全国平均を大幅に下回って、2014年比で40年までに2割近い落ち込みがあるだろうという予測です。
次に行きます。統合再編前、平成17年当時の2つの病院の状況です。
診療科数は両病院で違いがありますけれども、病床の稼働率や外来患者数に大きな違いはなくて、市立病院の診療科は全て県立と重複して、競合関係にありました。
一般病床数も、北庄内地域で、この当時で100床程度、過剰でしたけれども、一方、療養病床は少ないということになっておりました。
次の資料です。この時点の両病院の経営状況です。
県立病院は、単年度1億7000万ぐらいの純損益、累積欠損はこの時点で106億まで積み上がっていました。
一方、市立病院は、2億1000万ほどの単年度黒字で、累損は平成17年の1市2町合併時に内部留保で解消したために、ゼロになっています。
次の資料です。統合再編の協議となった当時の背景です。
1つ目は、市立病院の老朽化であります。築40年たっていましたけれども、建てかえた場合には、病床数を減少せざるを得ない状況で、この病床レベルだと、経営的に非常に厳しくなるということが予測されていました。
2つ目は、県立病院の経営状況です。開院以来、赤字経営が続いて、この当時で資金不足が既に発生しておりました。
3つ目は、北庄内地域における課題として、当初の県立の設立目的であった三次救急医療が、この当時でまだ十分に整備されていないことなどから、対応が求められていたということがございます。
次の資料です。平成17年に市立病院は改築のための外部委員会を立ち上げましたけれども、答申は改築をやめて、県立病院と再編統合すべきだというものでした。
これを受けまして、酒田市は、県に両病院の統合の申し入れを行いましたけれども、県は当時の県立5病院の外部監査を行って、その答申をもって決定するという回答でした。
半年後に、外部監査報告が出されまして、県立の経営難、不良債務、二重投資の解消等を目的にして、市立病院改築外部委員会と同様に、両病院は統合すべきだという報告書が提出されています。
平成18年の9月に、当時の知事と市長が再編統合に合意をして、平成20年4月に地方独立行政法人の設立と、2病院の再編統合が実現しております。
次に行きます。統合再編の基本構想です。移行期間を3年にして、両病院の機能分担を行って、県立日本海病院は救命救急センターを増設した急性期の中核病院にすると。酒田市立病院は、回復期と療養領域を担うことになりました。
最終的には、この時点で過剰になっていた100床程度の病床に加えて、将来の人口減少を見据えて、全体で168床の減少となる病床調整を行っています。
次の資料です。病床数の算定に当たっての考え方ですが、人口減少などによる患者数の増減を考慮して、必要とされる病床数を想定しています。平成22年までの患者数について、人口減少、高齢化、平均在院日数の短縮などから8.9%減、必要病床数を700と見込んで、今から思うと完全にとんちんかんな見通しですけれども、病床利用率を93%にして、758床程度を必要病床数と、この時点では見込んでおります。
次の資料です。市立酒田病院は、回復、リハ、療養病床へ変更することになりましたけれども、理由としては、療養病床が不足していた背景もありますが、何よりも急性期医療を一つの病院に集約化して、機能強化を図るために、急性期からの受け手として、市立病院側が療養機能を担う必要があると、この時点で判断したためです。現在においても、その役割は維持されております。
次です。この再編統合は、単純に両病院を統合して、大きな病院をつくるのではなくて、医療機能の分化を行ったということが特徴です。
ポイントをまとめましたけれども、移行期間を3年に設定したことや、営業しながら病床数を段階的に削減したということ、運営形態を非公務員型の地方独法にしたこと、統合前の不良債務解消と財政基盤づくりが重要でしたけれども、このための国の支援措置を利用できたということ、給与制度は国立病院機構に準拠したこと等が特徴といえます。
次の資料です。現在の病院です。急性期の日本海総合病院は、救命救急センターを含む646床、27診療科、平成28年4月からDPCII群病院になって、去年の4月から特定病院群に更新されて、回復期医療を担う酒田リハビリテーション病院は、114床での運営になっています。
平成29年度の法人全体の経常収益は213億ほどであります。
次に行きます。また、当独法は、去年4月に平成17年に酒田市と合併した旧八幡町というところが運営していた市立八幡病院(46床)を無床診療所にして、関連する5つの診療所とともに独法に編入したところです。
現在、当独法は2つの病院と離島の飛島診療所を含む6カ所の診療所、それに酒田市から委託された看護学校を運営しています。
次に行きます。この10年間における地域の病床数の変化をあらわしたものですが、北庄内地域では328床、病床を削減したということになります。
次に行きます。統合前年から本年4月までの研修医を含む常勤医師数の推移です。
統合翌年には、統合前の両病院の合計医師数から9人減少しました。その後、平成28年から増加に転じて、今年度の初めには初期研修医22名、専門研修医36名を含む157名になりまして、結果的には統合前の両病院の合計医師数よりも45人ふえました。
次に行きます。統合前と統合後10年を経過した日本海総合病院の患者動態の比較です。
再編前後で病診連携を積極的に進めた結果、両病院を合算した延べ外来患者数はマイナス16.4%、新外来患者数はマイナス30.4%、それぞれ減少しましたけれども、新入院患者数は11.5%ほど増加しました。平均在院日数は6.1日と大幅に短くなっています。
次に行きます。平均在院日数の年次推移です。急性期の日本海総合は順調に在院日数が短縮されて、6日以上の短縮になりましたが、回復期を担うことになった酒田リハビリテーション病院は、急性期診療科の移行が完了した平成23年度から大幅に在院日数が伸びています。
次です。日本海総合病院の紹介・逆紹介率の推移です。平成24年に地域医療支援病院の施設基準を取得したことに伴い、計算方法が違ったので、同じスケール比較ではありませんけれども、地方の急性期基幹病院としては、紹介状を持たない初診患者が選定療養費を徴収してもまだ若干多いと判断しておりまして、現在も内部で対応を継続しております。
ただ、地方では、医師会の専門診療科が満遍なく開業されているというわけではないので、専門科の診療所数が少ない診療科はどうしても病院に初診患者が少し来てしまう状況になります。
次に行きます。統合前後の救急搬送の人員数の推移です。
酒田消防署管内の搬送人員数は、最近では減少傾向ですけれども、管内の搬送数に占める病院機構としての搬送受け入れ比率は、統合直後の2008年が最も高くて84.2%、最近では60%台になっています。
要因としては、2011年に日本海総合病院救命救急センターが開設されて、市内の民間病院の救急告示の再指定があったこと、三次救急医療機能の保持の意味から、県は傷病者の搬送受け入れの実施基準を策定して、それに基づいた救急隊の医療機関選定が進んだことによります。
ほかには、急性期治療を終えたフレイル高齢者の再入院は、民間病院への積極的な搬送を地域医療連携推進法人の協働事業として推進していることも、搬送シェアが低下する理由になっています。
ただ、二次医療圏全体の患者数の流動化によりまして、昨年からシェアが若干ふえる傾向にあります。
次に行きます。手術件数の年次推移です。統合前の両病院手術件数の合計は、5,227件でしたが、統合翌年には4,846件まで低下しました。その後、医師数もふえて、紹介率も向上したことに伴って、手術件数は統合後4年目から6,000件を超えて、昨年度で6,304件と、過去では一番大きくなっております。
次に行きます。入院単価については、日本海総合病院、酒田リハビリテーションともに近年では上昇傾向で、特に日本海総合病院では各施設基準を新たに届け出たことなどにより、上昇傾向になっています。
次に行きます。外来単価についても、入院単価と同様に推移しておりまして、日本海総合病院では上昇傾向が続いています。
次に行きます。日本海総合病院の経常収益と経常費用の年次推移です。統合前の19年度までは、経常損失を計上していましたけれども、統合初年度の平成20年から継続して経常利益を出すことができています。
次に行きます。両病院統合後の法人全体の医業収支比率及び経常収支比率の推移です。
統合再編は、劇的な経営改善効果をもたらしましたが、回復期医療を担う酒田リハビリテーション病院は、経常黒字とまではいかず、独法全体としてバランスを何とかとっているという状態です。
次です。日本海総合病院の再編前と設立10年後の昨年度決算を比較した各財務諸表の比較です。
当独法は、みなし償却は長期前受金戻入処理をしていませんので、全額経費に計上されて、減価償却費は再編前より大幅にふえています。
病床回転率、平均在院日数、入院単価、外来単価等の変化を見れば、再編後の業務構造に大きな変化が起きたことがおわかりいただけるかと思います。
この単価も、都市部の急性期の基幹病院と比較すると、はるかに低い価格ですけれども、田舎でこれを達成するのは実はかなり難しいことでありまして、統合再編後から、それに続く連携推進法人設立と、地域の医療機能の分化、地域医療構想を前倒しで、ある程度実現していたということが大きな理由だと考えています。
次に行きます。日本海総合病院の再編後の繰入金比率、人件費比率の推移です。
平成23年度は、救命救急センターの開設で関連の交付金が少しついたので、比率が上がっていましたけれども、その後の業務量の拡大により、繰入比率は順調に低下して、昨年度は6.3%でした。
人件費比率は、再編前の59.5%から、去年は41.6%まで低下が見られています。
次に行きます。独立行政法人化がもたらした繰入金への影響をまとめたものです。
地方公営企業法3条予算の繰り出しは、統合前年と統合後10年目を比較すると、36.6%減少していました。
一方、4条予算、施設整備や高額医療機器等にかかる資本助成は60%ふえていましたけれども、うち8割は病院再編による施設改修と、これを契機に耐用年数を超えていた医療機器を一気に更新したためによるものです。
次に行きます。ここでいう地方公営企業3条4条予算についての説明です。
当機構の3条繰り入れは、政策医療分とされ、救急医療や感染症医療など、高度専門医療等への繰り出しとされています。
4条繰り入れは、施設整備、高額医療機器等への繰り出しで、資本的収支といわれて、当独法は損益計算上の収益には計上していません。
次に行きます。公立化が急上昇して、加速が進む中での、当院の経営対応について述べます。
急性期機能が集約化された日本海総合病院は、DPCII群になったことによるケース増による収益増は、初年度で約1億2000万でした。資料に特定病院群として更新された後の今期の医療機関係数を示していますけれども、係数増は合計で0.0671でした。
薬価を除く、昨年度改定の影響は、対前年比で年2億7000万ほどと推計されて、特定病院群の維持は重要性を増してきています。
しかし、その維持は、厳しくなるハードルをクリアしなければならないということと、過疎化の進む地域で、新入院患者数の確保が継続して行われることが条件になります。
このためには、より広域な医療圏で競争に生き残るか、医療機関の統廃合を含む地域医療構想のさらなる進展を進める以外に選択肢はありません。
次に行きます。実際の当院の新入院患者数の年次推移です。
総計では、統合再編完了の2011年から2016年まで、年マイナス1.5%減というゆるやかな減少に見えますけれども、北と南に分けますと、地元北庄内の患者数がマイナス年3%と急激に減っているのがわかります。
統計で一見ゆるやかな減少は、南庄内地域からの患者流入が若干ふえて、習熟されているためです。昨年少しふえていますけれども、これは地域医療連携推進法人の前倒し事業で行った入退院パスの共同運用が功を奏した一時的なもので、持続性はないと判断しています。
せっかく呼んでいただきましたので、人口減少時代の病院のあり方について、体験から私見を述べさせていただきます。
急性期医療の提供には多額の費用と多くの人材が必要で、過疎化が進んで業務量全体が縮小しつつある地方で、従来型の限られた機能を分散するやり方は、既に限界を迎えています。適切な集約化は、費用の効率化をもたらして、経営改善にも医療レベルの向上にもつながると思います。
若手医師は、専門医制度などのキャリアパスに対応可能な基幹病院の整備がなされないと、地方には来てくれません。そのためには、人口推移や疾病構成の将来見通しをもとに、医療圏を再構成して、再編統合を含む基幹病院の再整備を行う必要があると考えます。
これによって生じる過疎化地域の医師・医療の確保には、強力なハブ機能と責任を基幹病院にちゃんと与えて、一体的医療体制の管理に当たるべきで、行政はアクセス整備に予算を特化したほうが、コストを効率的に運用できると考えます。
特に、過疎化が進む地方ほど、医療圏を見直しして、集約化を急がないと、早晩、手おくれになる地域が今後、続出する危険があるのではないかと懸念します。
御説明は以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、ただいま御説明がありました資料1-4につきまして、御質問、御意見を承りたいと思います。
伊藤構成員、どうぞ。
○伊藤構成員 大変すばらしい公立病院、公的病院の再編統合ということなのですが、ちょっと私はうがった聞き方をしていたからそう感じるのかもしれません。ちょっと教えていただきたいのですが、今のお話を聞いておりますと、日本海総合病院がひとり勝ちをしたという形にどうしても聞こえてしまうわけです。同じ構想区域あるいはその周辺の構想区域を含めて、公的も一部含まれるかもしれませんが、他の民間病院の状況はどうなったか。これを見ますと、語弊があるかもしれませんが、急性期の疾患の症例を全部吸い上げてしまって、平均在院日数が物すごく短くなって、当然単価も高くなる。
そうなりますと、周辺の民間病院はどういう形で全体の医療構造の中で生き残っていくかというか、同じように共存共栄していくのかということは、どんな形で考えられているのか。恐らく地域医療構想会議の中で、このようなデータも公表されておると思いますし、またそれを民間病院が見ながら、自分たちのことも考えておると思うのですが、そこら辺の状況を教えていただければと思います。
○栗谷参考人 まず、県立日本海病院が結果的にひとり勝ちしたのではないかという御質問ですけれども、私は病院の再編統合をしてから、そこの理事長を務めさせていただいておりますが、私は旧市立病院の院長なのです。形の上では、旧日本海病院に急性期医療を集約化していますけれども、人員は全くフュージョンされていて、勝った、負けたというような話は少なくとも表面上は出ていません。
この統合再編がうまくいったのは、どちらが勝ったかわからなかったからなのです。
もう一つは、民間病院の経営に多大な影響を及ぼしているのではないかというお話でしたけれども、一般病床を持っている民間病院はたった一つだけです。それも、民医連系の病院です。そこの手術件数は、年間70~80ぐらい。日本海総合病院の手術件数は、1週間でそれをはるかに超えますので、手術件数が民間病院にとってとてもダメージというのは、少なくともこの場合は当たらないということが一つ。
それから、経営的には余り芳しくない状況がこの5年ぐらい続いていて、きょうは述べませんでしたけれども、共通の入退院パスを一緒に動かすとかということをしていますので、先ほど救急搬送も、意識的に向こうのほうに回すようにしていますし、あとは連携推進法人をつくって、維持透析を全部向こうに回すなどということをしています。
実際に、去年とことしの上半期の決算を見ますと、病院機構からのサポートが効果を上げていて、経営赤字であったのが黒字に転換しています。だから、通常で行われる、勝った、負けたというところから、少し先に来ているのではないかと自分たちでは考えています。
○尾形座長 よろしいですか。
ほかはいかがでしょうか。
今村構成員、どうぞ。
○今村構成員 すばらしい取り組みだと思いました。
15ページの病床の関係をぜひ教えてもらいたいのですけれども、今回、646の日本海総合病院は、11日の平均在院日数で、それに対して、酒田リハビリ病院が111床ということは、急性期の方に病院を移っていただくということを基本として、バックアップベッドとして運用されているのか。もしそうであれば、それがスムーズに行われているのかということ。
そして、646も平均在院日数は11で回すと、バックアップベッドがこれで足りるとは思えないところがあって、どのように患者さんの退院の支援をしているのか。
この2点をぜひ教えてください。
○栗谷参考人 同じ運営する2つの病院の中で、ポストアキュートとしての機能はしっかり果たしている。もう一つは、特徴としては、医療療養よりも、リハビリのほうが主ですので、そちらに重点を置いた2つの病院の連携をしているということが一つ。
もう一つは、療養病床として見たときは、全然足りません。それは民間病院に、入退院パスを共同で、2年以上前から動かしています。これは民間病院にとっても収益的にはとてもメリットがありますので、共同でも、入退院のカンファレンスをどちらかの病院で日常的に行って、実態はほぼフュージョンしているようなやり方を、2つの病院でやっているということです。
○尾形座長 よろしいですか。
ほかはいかがでしょうか。
本多構成員、どうぞ。
○本多構成員 先生の取り組みに敬意を表したいと思います。
先生のほうで統合再編のポイントを12ページにまとめられて、また最後の32ページに、先生のお考えをちょっと述べられておるのですけれども、このほかにも、日本海側の地域は似たようなところがいっぱい出てくるかと思うのですが、参考になるポイントみたいなものがさらになるのか。また、特にこの辺が重要な点かというところを、もしお聞かせいただければと思います。
○栗谷参考人 一言ではなかなか言いあらわせないのですけれども、ただ、我々の場合には、統合再編から地区の医師会が深くかかわって、これに協力した。それがうまくいった理由の一つに挙げられると思います。
もう一つは、これは答えにはならないかもしれませんけれども、最近の自治体病院、特に公的病院のうちの自治体病院は、経営的に苦難の状況が10年ぐらい前と随分変わっている。何が変わっているのかというと、資金不足になっている状況が、随分出てきていて、こうなる前に手を打たないと、手おくれではないかと個人的には思う。
○尾形座長 よろしいですか。
中川構成員、どうぞ。
○中川構成員 栗谷先生、これは非常によくやったと私は思います。
この再編統合、市の市立病院と県立病院がこのようにうまくいったというのは、私の今の先生のお話の理解では、わかりやすく言うと、酒田市長と山形県知事の顔を両方立てて、そして地域医師会が協力した。これだからうまくいったのだと思うのです。そういう理解でよろしいですか。
○栗谷参考人 個人的には、そういう理解ではないのですけれども、ただ、それをべらべらこういう法的なところでしゃべるわけにもいきませんので、それは飲んだときにでも、あとでゆっくりと。
○中川構成員 今度、お願いします。
○尾形座長 小熊構成員、どうぞ。
○小熊構成員 栗谷先生には、何回か直接お聞きすることができなかったので、確認の意味なのですけれども、北庄内と南庄内がありますね。北は先生が今、お話しになったとおり。当初から、南を一体化するということは、距離的にも、それから向こうには鶴岡病院があると思うのですが、向こうの基幹病院もあるということで、そういった全体を一体化するという考えはお持ちでなかったのでしょうか。地理的にも無理でしょうか。
○栗谷参考人 当初の病院再編のときに、南庄内のことまでは考えなかったです。
ただ、先ほどお話ししたように、二次医療圏の業務量が縮んでいくのが余りにも早いので、これは私の次の代の仕事になるだろうけれども、二次医療圏全体での地域最適化をどうやって図っていくのかというのは、もうすぐそこで、プランニングというか、グランドデザインみたいなものを考えなければいけない時期に、もう入っていると思います。
○小熊構成員 ありがとうございます。
○尾形座長 よろしいでしょうか。
織田構成員、どうぞ。
○織田構成員 すごい取り組みだなと思って、聞かせていただきました。
一つは、この地域は多分高齢化が物すごく進んでいると思うのです。そういう意味では、多分、みとりの人も救急の中にまじったりすると思うのです。
20ページで、救急の受け入れ自体が少し減ってきたということなのですけれども、これはメディカルコントロール部会みたいなところで、積極的にそういう話し合いをしておられるのですか。
○栗谷参考人 おっしゃるとおりです。メディカルコントロール部会で話をして、先ほども少し話しましたけれども、フレイルの高齢者の再入院をどう扱うかというのが急性期病院にとっても慢性期にとっても地域にとっても、社会問題になっている重大な問題なので、このマネージについて、救急対応をどうするのかということを、細かく取り決めたわけではないのだけれども、何しろ交渉相手の病院が一つしかありませんから、そのあたりは話しは進めやすかったです。
みとりなのか、先延ばしなのか、積極的に治療するケースなのかを、その場その場で、毎日毎日のように向き合わないといけないわけです。ただ、この話を大っぴらに論議すると、必ず国民批判を浴びるので、そういうことは現場の中ではシリアスな問題ですので、してはいても、一般的な話として話題に乗せるのは、デリケートな問題なので、それはどうしようかというのは迷っているところです。
○織田構成員 わかりました。どうもありがとうございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、栗谷参考人、どうもありがとうございました。
続きまして、資料1-5でございますが、先ほど事務局からもお話がありましたけれども、本日は時間が足りませんので、資料1-5につきましては、必要な修正を行った上で、また次回のワーキンググループで御議論いただきたいと思います。
議題の2つ目です。「病床機能報告の見直しについて」を議論したいと思います。資料2の説明を、事務局からお願いいたします。
○松本課長補佐 資料2でございますけれども、病床機能報告につきましては、毎年、告示、通知等でお示ししているところでございますが、今の時期に見直しについて御議論をいただいているところでございます。
1ページに、本日の論点は3つあるということで、まずは築年数のところの論点でございます。3ページをごらんいただきまして、今、栗谷参考人からもございましたが、再編統合に至る主要な契機としまして、建物の老朽化が挙げられます。
4ページをごらんいただきまして、日々、るる着工されているということを考えますと、下のところに耐用年数がございまして、償却が終わった後の建てかえが課題になることから、再編統合の一つの契機として築年数は重要であるということが、改めて述べられるかと思います。
5ページをごらんいただきまして、まとめでございますけれども、病棟の築年数の論点としましては、○の1つ目にあるように、重要な論点で、再編統合の大きな契機であるということと、2点目、耐用年数からおおむね建てかえのタイミングが想定できるということから、御提案の一つとしまして、機能転換やダウンサイジングに関する意思決定の重要な契機となり得る病棟の築年数を報告項目としてとることとしてはどうかということで、見直しの時期としましては、次回の報告からの対応という御提案でございます。
2点目の論点は、稼働病床数でございまして、前回のワーキングでも話題として出ておりますが、7ページをごらんいただけますでしょうか。現在、病床機能報告におきましては、稼働病床数をとっておりまして、こちらにつきましては、1年間で最も多くの入院患者を収容した日の使用した病床数となってございます。
一方、8ページでございますけれども、経営の指標としましては、病床の利用率や、場合によっては稼働率ということで、1年間述べて見たときに、平均何割病床が埋まっているかという利用率が、より経営や実態に近い数値として使われているというところでございます。
9ページに模式図がございまして、これはあくまでも1カ月ということで、病床機能報告は年でとっていますけれども、上が稼働病床数の定義でございまして、左の模式図で言うところ、30日間で一番多く入院患者がいたのは55床分となりますので、稼働病床数としては55床で、全体の92%が稼働病床数だという計算になりますが、1カ月のちゃんとした平均をとりますと、病床利用率としては72%になるということで、左側のようなでこぼこがあると、数字上は20%の差ができるということになります。
これを、全国の病床機能報告で見たのが10ページでございまして、こちらは縦軸が稼働病床数の比率、つまり許可病床100%に対して、先ほど申し上げた稼働病床数、1年で一番いた日の病床数ということでいうと何割でしょうかというところでございまして、横軸が実際の病床利用率になりますけれども、縦軸で一番上のところ、100%が線のようになっているのは、多数の病棟で100%に張り付いているということがわかるということで、右下に数字がございますけれども、左側が縦軸のものを数字であらわしたもので、平均97.4%、中央値は100となってございますけれども、実際の利用率で見ますと、平均は76%、中央値は80%というのが現実でございます。
めくっていただきまして、公立、公的、その他ということで見ていますけれども、病床利用率としましては、公立が69、公的が73.8、民間が72.3となっていますが、稼働病床数の実際に報告されている割合については97~98%程度ということで、ギャップがあるということがわかるかと思います。
以上を踏まえまして、12ページでございますけれども、稼働病床数についての論点の提示としましては、稼働病床数というのが、本来、入院患者がちゃんと入っているかを判断する目的でつくらせていただいた数字でございます。一方、病床利用率というのは、1年間の平均で、さらに実態に即した値としては出てくるということですが、○の3つ目にございますように、大きな乖離がございますので、どうしましょうということ。あとは、報告項目を減らすということは重要であるということを踏まえて、論点2で御提案でございますが、稼働病床数につきましては、一般的な診療実績指標である病床利用率とのギャップが大きいということと、許可病床数に張り付いているということから、項目廃止自体を念頭に、見直しに向けた検討をしたいと考えておりまして、念のため、利活用状況廃止の影響を踏まえるために、1年ほどお時間をいただきまして、2020年度の報告から見直しをするということを念頭に、調整してはどうかと考えております。
次に、14ページでございますが、手術等の診療実績の報告対象期間ということで、今回お出ししたパターンの例示がございますけれども、現実問題としまして、現在、1カ月分の診療報告をいただいているところでございます。
15ページをごらんいただきますと、以前から複数の構成員から御指摘をいただいていますように、1カ月分ですと、どうしても季節変動の影響などが考慮されないということになります。
おめくりいただきまして、16ページですが、現在、報告いただいている項目のかなりの部分、特に右側、入院患者の実際の医療内容につきましては、ほとんどが1カ月分となってございまして、1年分とっているのは患者延べ数のようなもの、救急車の台数のようなものにとどまっているところでございます。
17ページをごらんいただきまして、平成28年から病棟コードを入力いただきまして、データをとっているところでございますけれども、仮に御指摘をいただいているように、診療実績を1カ月から、例えば1年分等に移していくということになりますと、実際、今、病棟コードを入力いただいているところでございますが、例えば、2020年度に診療報酬改定がございますということで、こちらでレセプトの請求コンピュータを改修するところに合わせますれば、効率的な対応が可能ではないかということを考えて、このような図をお示ししていますけれども、2020年度から病棟コードを打ち始めれば、通年分となると、それが次の年までとなりますので、例えばこのデータをとれば2021年の病床機能報告には間に合うというようなスケジュール感になるかと思います。
18ページは、現在の通知について、抜粋をして、参考としていただきたいと思います。
最後、19ページをごらんいただきたいのですけれども、現在、競合の状況等を実際の数字に基づいて議論していくことになってございますが、1カ月分の診療実績ですと、落ちてしまうものがかなりある。見直しに向けた作業工程上の課題でございますが、3つ目の○にございますように、報酬改定等、適切なタイミングを捉えることで、効率化ができる可能性がございます。
最後、論点でございますけれども、手術の実績等につきまして、通年化に向けた御議論をいただきたいと思っていますけれども、少しお時間をいただいて、2021年度の報告からの見直しということを念頭にすると、必要な予算の確保や支払基金との調整等が現実的になるのかなと考えての御提案でございます。
以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
きょうは大変盛りだくさんな内容でございまして、既に予定の時間を過ぎておりますけれども、一つ提案させていただきたいのですが、10分程度、延長させていただければと思います。
それでは、ただいま御説明がありました資料2につきまして、3つの論点が示されておりますが、御質問・御意見を承りたいと思います。
中川構成員、どうぞ。
○中川構成員 前回も質問して、宿題を出していただきましたが、稼働病床数が10ページ、11ページにあるように、いかに問題かというか、実態をあらわしていないなと思っています。
まず、1つ目の提案ですが、今までの病床機能報告は、病棟単位で報告しますから、4つの機能の病床数が、許可病床数そのままになりますね。構想区域単位で病床数をまとめたとしても、許可病床数そのものになるので、それに病床機能報告では患者数が出ていますので、いわゆる利用率がわかっていると思います。今までのものを、早急に、次のワーキンググループまでに掛け直して、修正してもらえませんか。
要するに、これまでの病床機能報告の全国の構想区域の4つの機能の病床数と、病床利用率で補正した病床機能報告、これはできるはずですから、そうすると、今まで単純に比較してはいけないといっても全国で比較し続けて、急性期病床、急性期機能が多過ぎて、回復期が足りないというのが、見た目ですけれども、多少なりとも是正されてくると思うのです。それが、まず一つの提案です。
どうですか。
○尾形座長 事務局、お願いします。
○松本課長補佐 年度内の取りまとめの作業もある中ですけれども、重要な御指摘だと思いますので、前向きに対応したいと思っております。
○中川構成員 それと、2つ目は、先ほど報告の見直しは2020年度からというのんびりしたことを言っていましたけれども、稼働病床数をやめるのは、ことしの報告からにしましょう。こういうことは、すぐにできるはずです。2つ目はそれです。
3つ目が質問です。総務省の佐藤係長がオブザーバーでいらしているので、本当は坂越室長に聞きたかったのですが、きょうは来られなかったので、お聞きしますけれども、前回、坂越室長が、交付税の対象は病床数と無関係に決まるのだという答弁でした。そうすると、例えば、ある公立病院、50床の公立病院と500床の公立病院がほとんど変わらない金額になるということになりますか。まず、1つ目が、その質問です。
それから、もう一つは、公立病院には年間で5000億円以上の一般会計からの繰入金があります。その繰入金は、総務省からの地方交付税と、地方自治体財源が一緒になって一般会計に入り、そこから公立病院に繰入金という形で入っておると思いますが、自治体財源と交付税の額はどのぐらいの比率なのかということをお聞きしたいと思います。
まずは、病床数と交付税の額は関係ないというのはどうかというお答えをいただきたいと思います。
○尾形座長 佐藤係長、よろしいですか。
○佐藤係長 しっかり持ち帰りまして、検討させていただきます。
○中川構成員 多分、保健衛生費というものの関係なので、余り額は変わらないのだと室長はおっしゃりたかったのだと思うのですが、これは非常に大事なことで、年間5000億円以上の法定外の繰入金がほぼ地方自治体財源が大半を占めるのだと。8~9割占めるのだというのか、それとも交付税と半々だとか、そのぐらいの比率まで行っているかというのが、非常に知りたいところです。ぜひよろしくお願いします。
その上で、さっき栗谷先生の報告は、よかったなと。よかったなといいますか、そういう交付税だとか、一般会計の繰入金もありながら、市長と知事がよく決断したなと、よく頑張ったなと思っています。
○尾形座長 よろしいですか。
今村構成員、どうぞ。
○今村構成員 幾つか確認させてもらいたいことがあるのですけれども、まず、稼働病床数が認可病床数とほとんど一緒というのは、稼働病床数の定義を各病院が、今の定義と違う定義でとっているのではないかと思うのですけれども、普通、病院で認可病床数ともう一つ使うのは、届け出病床数という、7対1だったらそのうちの何床を動かしていますかということを、地方厚生局に届けていると思うのですが、それのことだと誤解して、出しているのではないでしょうか。
1年間のうちで、マックスに入れた人数という認識をどれだけしているかというのは、私は疑問に思ったのです。
○尾形座長 事務局、お願いします。
○松本課長補佐 届け出病床数と稼働病床数は別にとっておりまして。
○今村構成員 それは別にとって、それで100%と言ってくるのですか。
○松本課長補佐 98とか97とか。
○今村構成員 それは、同日入退院の場合は2と数えるから。
○松本課長補佐 いえ、許可病床数と稼働病床数の関係は、こちらにありますように、稼働病床数というのは1年間で最も患者さんがいた日に使っていた病床数ということになります。
○今村構成員 わかりました。
もう一つ、建てかえの病棟ごとの築年数のことなのですけれども、本当に建物を建てた年数と、例えば耐震改築した年数と、中の改装をした年数とは大分違うのです。ですから、どの年数が欲しいのかということを、ちゃんと言わないと、それぞれ違う数字を挙げてくると思うので、そこら辺を分けて聞くのか、こういうのだけ教えてくださいと言うのかを、ぜひ明確にしたほうがいいと思います。
○松本課長補佐 マニュアル上の記載をする際に、恐らくその前に現場の御意見を聞いて、どういうふうな運用をされているかは少しつぶさに見てから、マニュアルを書きたいと考えています。
○尾形座長 中川構成員、どうぞ。
○中川構成員 確認ですが、10ページのグラフは、さっき言った縦軸の100%の横線がずっと直線になっているのは、ここに100%がいっぱいいるということですね。
○松本課長補佐 中央値が100%ですので、少なくとも半分は上に張り付いている。
○中川構成員 例えば、病床利用率が10%、20%でも稼働病床数比率は100%がこうなっているということですね。
○松本課長補佐 利用率ですけれども、委員御指摘のとおりです。
○中川構成員 これはどなたが見ても異常だと思うと思うので、早急に改善しましょう。
○尾形座長 小熊構成員、どうぞ。
○小熊構成員 今、今村先生と中川先生から御質問があったのですけれども、やはりどうも、報告する医療機関で稼働病床率の解釈が違っているのではないかと思うのです。
要は、今、基準病床数があって、そのうち全く動かない休床数を除いて、それ以外が稼働病床数ですよという報告をしているのではないかという気がするのですけれども、違いますか。それでなければ、例えば病床利用率が10%のところで稼働病床数が100なんて行かないのではないですか。
○松本課長補佐 もちろん、もう少し確認は必要なのかもしれませんけれども、一般論、常識的な考え方で、実際の稼働率が1~2割のところに、届け出で看護師を9割分配置してということが、果たして現実的なのかどうかと考えますと、恐らく稼働病床数に関する届け出は、届け出病床とは違う概念でされているということなのかと思っています。
○尾形座長 中川構成員、どうぞ。
○中川構成員 小熊先生、これは違うのですよ。使う病室を毎月変えれば、1年間で一度も使わなかった病床でなくなるのです。だから100になるのですよ。そういうばかげた定義なのですよ。
だから、10%、20%の病床利用率でも、この式でやると100になるのです。
○尾形座長 ほかはよろしいでしょうか。
それでは、もう時間が大分超過しておりますので、本日の議論はこの辺にしたいと思います。
本日いただきました御意見も踏まえまして、事務局においては病床機能報告の見直しということについて、さらに進めていただきたいと思います。
最後に、事務局のほうから何かございますか。
○横山課長補佐 次回のワーキンググループにつきましては、詳細が決まり次第、御連絡いたします。よろしくお願いいたします。
○尾形座長 それでは、本日のワーキンググループは以上とさせていただきます。
長時間にわたります御議論を、どうもありがとうございました。
 

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