第17回 地域医療構想に関するワーキンググループー議事録

日時

平成30年12月21日(金)10:00~12:00

場所

全国都市会館(全国市長会館) 大ホール(2階)
東京都千代田区平河町2-4-2

議事

○横山課長補佐 時間になりましたので、ただいまから、第17回「地域医療構想に関するワーキンググループ」を開会させていただきます。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして、まことにありがとうございます。
本日は、全ての構成員が御出席されております。
また、本日は、参考人として国立大学法人山形大学の村上正泰先生、学校法人産業医科大学の村松圭司先生、大阪府私立病院協会の生野弘道会長をお呼びしております。
また、本日、医政局長の吉田、審議官の迫井、総務課長の北波につきましては、別の公務のために欠席とさせていただきます。
また、オブザーバーとして、総務省自治財政局公営企業課準公営企業室より、坂越室長に御出席いただいております。
議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。
お手元に、議事次第、座席表、構成員名簿のほか、資料1、資料2、資料3、資料4、参考資料1、参考資料2をお配りしております。資料の不足や御不明点がございましたら、お知らせください。
それでは、以降の進行は、尾形座長にお願いいたします。
もし報道の方で、冒頭カメラ撮り等をしておられる方がおりましたら、ここまでで、お願いいたします。
○尾形座長 おはようございます。
それでは、早速、議事に入りたいと思います。
本日の議事は1件でございまして「地域医療構想の実現に向けた一層の取組について」ということです。
まず、資料1の説明を、事務局のほうからお願いします。
○松本課長補佐 事務局でございます。資料1をごらんいただければと思います。
今回から、地域医療構想の実現に向けた一層の取り組みとしまして、ヒアリング等を進めていくということでございますけれども、その御趣旨について、まず、簡単に御説明をさせていただきます。
資料1の1.でございますけれども、これまでの取り組みのおさらいでございます。
1つ目の〇にございますように、最後の2行ですが、2年間程度で集中的な検討を進めるということでございます。
2つ目の〇にございますように、まずは、公立病院・公的医療機関等について進めていくということで、具体的対応方針を定めていただくということでございます。
また、3つ目の〇にございますように、アドバイザーの導入ですとか、構想調整会議の活性化を図るための多様な方策の導入をお願いしているところでございます。
ということで、今後の進め方でございますけれども、来年の3月で、この2年間の集中的検討が終わるわけですけれども、それについて、どうやって検証して、さらに進めていくかということでございますけれども、1つ目の〇でございますが、2行目、公立病院・公的医療機関の具体的対応方針を中心に活発な議論をしていただいていると考えておりますけれども、2025年の実現に向けまして、PDCAサイクルを着実に実施していく必要があろうかと思います。
そのため、この2年間で合意に至った公立・公的の具体的対応方針の内容を検証していくということになるということでございます。
2つ目の〇でございますけれども、来年の3月で出そろってしまいますので、それまでに、この具体的対応方針をどうやって検証するのか、その方法ですとか、実現に向けた課題を整理していきたいと考えております。
そのために、整理に当たって、また、ヒアリングを行いたいということでございまして、特に、今までは都道府県担当者が中心でしたけれども、病院関係者ですとか、今後、公的医療機関の本部、日赤本部とか済生会本部のようなものですけれども、そういうのも含めて多様な主体にヒアリングをしていくということを考えております。
さらに、どういう視点でヒアリングをしていくかということでございますけれども、一番下にございますように、どうやって、この具体的対応方針が出そろったものを評価するのかということでございます。
おめくりいただいて、少し飛びますけれども、2ページの下に参考2というのがございますけれども、これまでの構成員からの御指摘の中には、具体的対応方針をつくる上で、ほとんど協議らしい協議は行われていないというような御指摘もありますし、3ページのところにも、現実的には調整が進んでいないというようなところがあるのではないかということ。
その下で、中核的な病院とそれ以外で抱えている課題が違うと、それぞれ違うのではないのかという御指摘をいただいているところでございます。
2ページの上に戻っていただきまして、ヒアリングの視点としましては、ほかにも1.の1行目にございますように、まず、民間医療機関との競合ですとか、医療機能の散在、将来の病床数の必要量と単純な比較でははかることができない課題というのは、どういうものなのかということを踏まえて、最後のポツにありますように、どういう機能が、公立病院・公的医療機関でなければ担えないのか、また、それにどうやって重点化していくのか、それを具体的対応方針にどう整理しているのかということを評価、検証していきたいということで3月までの間に整理をしていきたいということでございます。
今後のヒアリングの予定としましては、今回、アドバイザーの先生や病院団体の先生にいらしていただいていますけれども、次回以降、そのような追加された視点をもとに都道府県担当者の話を聞いたり、公立・公的の本部の意向を聞いたりということをしていきたいと考えております。
参考資料のほう、簡単に御紹介をさせていただきたいのですけれども、参考資料2でございます。
こちらに詳しい参考資料をつけております。
おめくりいただいて1ページですが、具体的対応方針の内容についてどういう状況であるか。
2ページに、具体的対応方針の取りまとめ状況、おおよそ半分弱というところですけれども、前回御報告をしたところでございます。
3ページで、これまでの、いわゆる骨太の方針でございますけれども、2018年のところの2行目にございますように、公立・公的については、民間医療機関では担うことのできない高度急性期等へ重点化をするということをうたわれているわけでございます。
10ページ以降、こちら、公立・公的医療機関のところを少し詳しくということでございますが、11ページに公立・公的医療機関等の開設者の分類ということで、どういうものが入っているのかということを整理しているものでございます。
12ページですけれども、開設主体別の病院数であるとか、病床数の状況を御紹介しているものでございます。
13ページでございますけれども、こちらは、公立・公的病院の病床の占有率を構想区域ごとにまとめたものでございまして、左に行けば、行くほど占有率が高いということになっております。
公立・公的が多い、シェアが多いところというのは、例えば、80%以上というのは21区域しかございませんで、おおむね中央値41%ということで、公民が協力し合って医療を提供しているということでございますが、14ページをごらんいただきますと、こちら人口規模で公立・公的シェアがどういうふうに変わるかというところを見ているわけでございますけれども、左に行くほど人口が少ないということで、およそ10万人未満の構想区域ですと、公立・公的が大きな役割を占めているところと、そうではないというところと幅があるわけでございますけれども、人口がふえるごとに、先ほど申し上げた41%のほうに集約していくようなイメージで成り立っているということで御紹介をしております。
以上でございます。
〇尾形座長 ありがとうございました。
それでは、ただいま説明がありました資料1につきまして、御質問、御意見を承りたいと思います。
本多構成員、どうぞ。
〇本多構成員 今、御説明がありました資料1の今後の進め方に沿って進めていただきたいと思っております。
前回も申し上げましたけれども、今後も合意されたプランが、その構想区域の地域医療構想に資するものになっているかどうか、やはり、検証をする必要があると思っております。
そのためには、関係者にとっても、その地域の課題がわかりやすい一定の指標が必要だと思いますので、そういう点も含めて進めていただければと思っております。
〇尾形座長 ありがとうございました。
ほかに、いかがでしょうか。
伊藤構成員、どうぞ。
〇伊藤構成員 今、御説明をいただきましたように、今後の進め方のところなのですが、現在、定量的な基準ということで、自治体も含めていろんな参考事例をお聞きしているところですけれども、定量的基準といいますのも、同一の成果のみの比較、要するにアウトカムの比較だけでは、主張すべきところ、あるいは引き下がるべき役割というのがなかなか見えてこないというのが現実でございます。同時に、同じ地域の中で、ある意味、非常に利害関係が明確な公と民の問題も非常に検討が行いづらいというのが現実でございます。
したがいまして、本当に公立・公的でなければできないような役割かどうかを、今回と同じような、ある意味、定量的なデータとして示すことができないかと思っているのですが、ここは、何か工夫をしていただけないかという意見でございます。
〇尾形座長 事務局、どうぞ。
〇松本課長補佐 定量的な基準でございますけれども、各県で導入に向けて検討をしていただいているところでございますけれども、数字に基づいた一律の議論が、果たして、どれぐらい役に立っているかどうかというところも含めて検証していく必要があるのかなと思っておりますし、一律に考えるというのが、果たしてどうなのかという御指摘が、今までもあったところだと思いますので、まさに、構成員が今おっしゃったように、公立・公的でなければ担えない機能というのは、何なのかということを深掘りしていくということも必要なのかなと考えております。
〇尾形座長 伊藤構成員、よろしいですか。
〇伊藤構成員 今おっしゃっていただいたとおりなのですが、いわゆる議論のきっかけとなるための定量的な基準ということになるわけですから、ぜひ、公的性と言うのですか、言葉が正しいかどうかわかりませんが、公的でなければならない理由というのも、定量的なものの基準を示していただくと、非常に議論がしやすいのではないかというふうに思います。よろしくお願いいたします。
〇尾形座長 中川構成員、どうぞ。
〇中川構成員 これから、ヒアリングでも、また、お話が出るのだと思いますが、公立・公的と民間医療機関の機能が競合しているというときに、一定の定量的な目安といいますか、それは必要だとは思いますが、それが、その構想区域の中の病床機能がどのようになっているかという把握のためのものだという確認をずっと何回もしてきたわけですけれども、ぜひ、その辺のところを気をつけていただきたいなと。
最近、全国で定量的基準に少し振り回されているというか、翻弄されているところがあると思います。あくまでも自分の構想区域の中の実態を把握するためのもので、報告制度を限定するといいますか、やりにくくなるものではないのだということをぜひ御理解をいただきたいと思っています。
織田構成員、どうぞ。
〇織田構成員 2ページ目の一番上のところ、1行目に、将来の病床の必要量と病床機能報告の集計結果の単純比較でははかることができない地域の課題をどのように把握し、評価に反映するかということなのですけれども、考え方が、もともとこれは単純比較するべきではないと、あくまでも目安ということですから、これを見ると、できていないところの課題というような形に読み取れるのですけれども、そこら辺、どのように考えておられるのですか。
〇尾形座長 事務局、お願いします。
〇松本課長補佐 まさに、今、構成員がおっしゃったように、単純比較というのは、あくまでも最初の目安として行われていることもあると思いますけれども、そういう問題ではないと、いかに住民のために機能を提供するかということが論点だということを繰り返し御指摘いただいておりますので、そのときに、単純比較ではない観点で、どういうものを見ていけば、この構想区域はちゃんと議論しているということがわかるのかどうかということを、もう少し深掘りしていくのがいいのかなということを考えているというところでございます。
〇織田構成員 ということは、単純比較ありきではないということを言ってあるわけですね。わかりました。
〇尾形座長 よろしいですか。
ほかは、いかがでしょうか。
岡留構成員。
〇岡留構成員 私の勉強不足かもしれませんが、1ページの「今後の進め方」の中で、よく厚労省が方針としてPDCAサイクルを回してと、次のステップに移るというようなことをよく言うのですが、では、これは具体的にどういうことを指しているのでしょうか。非常に漠然とした表現で、いつも、これはどういう意味なのかなと、ちょっと私の頭では解釈できないのですが。
〇尾形座長 事務局、お願いします。
〇松本課長補佐 構想ガイドラインの中でも、PDCAサイクルの実施ということを申し上げておりますけれども、機能分化、連携または再編のような事業というのは、一朝一夕ではできないと考えておりますので、調整会議を繰り返していくということに、もちろんなると思うのですけれども、調整会議の議論が、こういうところはうまくいったとか、こういうところが課題だとかということを修正していったり、直していって次の年の調整会議で、さらにここは進めるとか、そういう形で2025年に構想が実現できるように構想調整会議を回していく、もしくは合意を達成したり、改革を進めていくという上で、前のところでやったものをチェックして、改めて、さらに議論とか政策に反映していっていただきたいというところを申し上げているつもりです。
〇岡留構成員 ここになると、各構想区域で、医療資源の多寡によっても非常に錯綜している部分があるので、もちろん一律にはいかないと思いますが、さっき中川委員がおっしゃったように、その構想区域の特性というか、その辺を考えないと、全国一律にはいかないだろうと考えているのですが、いかがでしょうか。
〇松本課長補佐 まさに3ページのところで、一番下に第8回の抜粋がございますけれども、10万人前後と3万人前後と県全体の医療を担うようなところでは違うというようなところで述べられていますけれども、どうやって、それぞれの違いというのを整理していったらいいかという観点で、本日もそういうプレゼンをいただけると思っていますけれども、有識者の先生からお話を伺っていくというのがいいのではないかということです。
〇岡留構成員 はい、わかりました。
〇尾形座長 中川構成員。
〇中川構成員 公立・公的でも民間でも担える機能で、競合しているのというときに、やはり、私はわかりやすく、例えば、ある術式の手術は、公立・公的で何例やっていて、同じ構想区域の民間で何例やっていると。この民間医療機関でも、公立・公的の症例数は十分こなせる能力がある、余力があるといったときは、これは競合しているなと、公立・公的が、やはり、お引きになるのではないかという方向に議論が収れんしていくべきなのではないかと、具体的に言うとですよ、そういう議論になってくるのだろうと思います。
公立・公的の先生がたくさんいらっしゃるので、非常に言いにくいのですが、そうかなと思うのです。
ただ、何度も言いますが、公立・公的しか、そこの構想区域にない場合は、引き続き公立・公的の病院が頑張っていただくというのは、もちろんそうなので、そういうことも理解しながら、ぜひ、基準をみんなで相談してつくって、それこそ全国一律で使える比較の仕方、これをつくっていくと、全国の皆さんは助かるのかなと思います。
〇尾形座長 小熊構成員、どうぞ。
〇小熊構成員 今、中川先生がおっしゃったこと、重点化ということに関係、それから、競合ということのお話だと思うのですが、先ほど、松本さんがお話しになったように、公立病院、自治体病院は、人口3万人以下のところが3割、それから、10万人以下のところが約7割近くという状況でして、そういったところであれば、余り競合もないでしょうし、それから、自治体病院としての地方での役割というのが結構できているのだろうと、私どもは考えております。
ですから、そちらのほうは余り問題がないのだろうと思うのですが、それ以上の大都会においてどうなのかということを厳しく言われるわけですけれども、ただ、私どもの立場から言わせていただくと、民間医療機関が担えないような高度先進医療に特化しろという話をされますと、山に例えると、山のてっぺんだけやれということでして、山のてっぺんだけというのは、医療の世界ではあり得ないと、裾野がなければてっぺんに向かっていくことはできないと、我々としては、どうしてもそういうふうに考えざるを得ない。
裾野があって初めて、高度専門的な、山で言えば、頂上のことが可能になると考えておりますので、その裾野の領域といいましょうか、あるいは中腹まででもいいのです、7合目まででもいいのですけれども、そういったところが民間の医療機関とどういうふうにすみ分けできるかという問題なのだろうと考えております。
もちろん、今の大都会の普通の市立病院クラスで高度専門医療に特化というのは、なかなかそれも厳しい話でして、県立中央病院とか、国循のようなところですと、特化はできると思うのですけれども、なかなか大都会の市立病院クラス、中核病院クラスに重点化しろというのも、ある意味では、少し医療としては厳しい要求だなと思っております。
決して競合しろとか、そういうことを私は言っているわけではないわけで、中川先生が言われたような意味も十分わかっていますけれども、そういう点も我々としては、ぜひ御理解をいただいて、今後のあり方というものに対して、少しお考えになっておいていただきたいなと思っております。
以上です。
〇尾形座長 ありがとうございました。
中川構成員。
〇中川構成員 小熊先生がおっしゃっていることと、私の主張は、そんなに齟齬はないのです。
もちろん、高度先進医療だけやる病院などあり得ないですよ。先生の表現をお借りすると、裾野というのは当然ですから、そして、最後、高度先進医療もかなりの症例をやっているというのが、我々が言う、あるべき公立・公的病院の姿なのです。
そこでですけれども、全国の公立病院の再編・統合を見ていると、わざわざ統合して、ほとんど病床数が変わらない病院をつくっているわけですね。そういうのが目に余ると言ったら、少し言い過ぎかもしれないけれども、すごく目につくのです。これは、片方は要らないでしょうと、どう見てもと、そういうのでも統合してほとんど病床数も変わらず、建物も新築へ移転して、これからもっと頑張るのかと。似た機能の民間病院が近くにあるのに、そういうところが、本当にたくさん目につくのです。そういうことを申し上げているのです。よろしくお願いします。
〇小熊構成員 わかりました。
〇尾形座長 ほかは、いかがでしょうか。
よろしいですか。
それでは、いろいろ皆様から貴重な御意見を頂戴いたしました。ぜひ、今後の検討に反映していきたいと思いますが、資料1については、特段大きな異論はなかったように思いますので、この方向で、今後、進めていくということにしたいと思います。
それでは、資料1についての議論は、この辺にしたいと思います。
続きまして、地域医療構想の実現に向けた一層の取り組みということで、資料2の説明を村上参考人からお願いします。
〇村上参考人 山形大学の村上でございます。
資料2に沿いまして、山形県での地域医療構想に関する取り組み状況と、地域医療構想アドバイザーとしてかかわっている中で、個人的に感じたりしている課題について私見も交えてお話をさせていただきたいと思います。
まず、最初に1ページ目ですけれども、大学の研究者としまして、地域医療構想アドバイザーもそうですし、その他、県内のさまざまな病院の改革プランの策定などにもかかわらせていただいておりまして、そうした中で、医学部なり大学と協力していくことの必要性ということを感じておりまして、まず、その点についてお話をさせていただきたいと思います。
まず、最近、厚労省から地域医療構想を検討したり、地域医療計画でもそうですけれども、データブックが提供されたり、また、公表データでもさまざまな実態分析が可能になっております。
ただ、それだけでは、なかなか地域ごとの受診行動の特性でありますとか、個別医療機関の視点による議論には限界があるということで、やはり、きちんとした議論をやっていくには、一定の独自のデータ分析が必要ではないかと感じております。
このあたりの取り組み事例は、後で紹介をさせていただきたいと思います。
また、データがあれば議論が進むかというと、必ずしもそういうわけではなくて、個別の背景事情、例えば、地理的条件だったり、歴史的な経緯、また、個々の病院がどういう機能を果たしているのかということを見る場合に、どういう医師がいるかどうかということで、かなりそれぞれの病院の診療機能も大きく異なってきたりということもありますので、そうした個別の背景事情に関する十分な解釈とか、解決策を検討しようと思えば、地域事情に精通した地元の専門家を活用することが有用ではないかと思っています。
各県に大学、医学部があって、社会医学系の講座もあるわけですので、そうした専門家を有効に活用し、連携していくことが重要ではないかと日々感じているところであります。
また、医療提供体制の見直し、地域医療構想もそうですし、そうした検討を進めていこうというときには、先ほどの話ではありませんけれども、医師配置と表裏一体の問題というのがあると思います。
逆に言えば、医師不足の問題なども医療提供体制と一体で考えていかないといけない部分があると思います。
そうした観点から、人材供給源としての医学部と一体的な取り組みが不可欠であると感じております。
もちろん、1つの県に1つの医学部であっても、他大学系統の病院があったりとか、また、1つの県で複数の大学があったりする県もあったり、さらには、大学の医局に入らない医師の先生もいるということで、これで全てうまく解決できるというわけではないにしても、そうした一体的な取り組みが必要ではないかと思っております。
そうした観点から、山形県の取り組みということで御紹介をさせていただきますと、2ページ目に書いておりますけれども、山形県では、蔵王協議会という組織を平成14年につくっております。
この蔵王協議会には、大学と関連病院会、さらに行政から県の健康福祉部、さらに県医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会などの県内の関係機関が入って医療提供体制もそうですし、さまざまな人材育成などについて県全体で協力し合うプラットフォームを形成しているところです。
この蔵王協議会は、以前は、山形大学蔵王協議会と称していたわけですけれども、県全体の問題をみんなで協議するということで、今は蔵王協議会という名前になっています。
3ページ目に掲載しておりますけれども、この蔵王協議会におきまして、今年度から、関連医療施設部会の中に、山形地域医療構想委員会というのを新たに設置しております。
後でも御説明をさせていただきますけれども、なかなか県の地域医療構想調整会議では、議論が十分になされていないところ、なかなか議論しにくいところ、県がなかなか提案しにくいような事柄もあると考えられますので、この地域医療構想委員会から県に対してさまざまな提言などもしていくという体制をとっております。
また、同じく関連医療施設部会に山形医師適正配置委員会というのをつくっておりまして、以前から医学部の組織として医師適正配置委員会というのがあったのですけれども、蔵王協議会のほうに移しまして、医師の病院間の移動であったりとか、大学に対する医師の派遣要望に対する対応を協議したりということで、ここには県民の代表も入れて議論するような形になっています。
そのほか、研修部会には、専門医制度対応委員会というのをつくっておりまして、この蔵王協議会というのを1つのプラットフォームとして、地域医療構想委員会、医師適正配置委員会、さらに専門医制度への対応などを整合的に検討、対応するという枠組みをさらに強化してつくっているところです。
4ページ目に記載しておりますけれども、そうした議論を進めていく上でエビデンスが必要であるということで、私の医療政策学講座におきまして、県内の医療機関別の診療機能や経営状況、患者の受診行動、医師の配置状況から勤務実態などについて継続的な調査をして、そうした議論に活用しております。
以下では、ごく一部ですけれども、具体的な事例ということで紹介をさせていただきたいと思います。
5ページ目をごらんいただきますと、山形県は、南東北の日本海側に位置しております。
4つの医療圏から形成されております。かなり県全体としても面積が広い中で、医療圏も4つということですので、1つの医療圏面積が非常に広くなっておりまして、二次医療圏といっても、医療圏内を細かく見ていく必要があります。
また、山形県は、自治体病院が占める病床数が、平成28年度では46.7%ということで、全国でも最も多いような形になっています。
他方で、県全体で人口が100万強なのですけれども、毎年1万人ずつ人口が減っておりまして、昨日、河北新報という新聞の1面では、山形県全体の人口を仙台市が抜いたというのが出ておりまして、東北全体、仙台一極集中という構図がありますけれども、山形県も人口減少がかなり加速している地域です。
具体的な独自の分析ということで御紹介をさせていただきますが、6ページ目をごらんいただきますと、先ほどの4つの二次医療圏の中で、置賜二次医療圏、福島のすぐ上の医療圏ですけれども、そこの状況を示しています。
この置賜二次医療圏には、後でも紹介しますけれども、一番規模の大きい基幹病院としては、置賜総合病院という520床の病院があります。
さらに、米沢市内にも公立と民間の2病院が急性期機能を担っているような形になっています。
よくこの地域の議論をしていますと、米沢の患者さんは、米沢市内に2つの病院があるからということもあるのでしょうけれども、普通であれば、置賜総合病院まで米沢市から車でも30分で行けますので、一番規模の大きい、機能もそろっている大きな病院にどんどん患者さんが行きそうなものなのですけれども、米沢藩の人たちは、米沢以外の病院に行かないのだということを、以前からよく聞いておりました。
本当にそれが理由かどうかはともかくとしても、どういう状況にあるのかということで、その辺の状況が二次医療圏全体で見た場合にはわかりませんので、私の講座で、県内の全てのDPC病院からDPCデータをいただいておりまして、それを独自に集計しました。
それが、7ページ目に掲載しておりますけれども、米沢の患者さんは、置賜総合病院に、大体1割ぐらいしか行っていない。
米沢市立病院、三友堂病院、三友堂は民間ですけれども、2つの病院がありますので、そこに主として行っているということで、これらの2つの病院が米沢の患者さんを二分しているような構図が見えます。
先ほど、置賜総合病院に余り行かないという話をしましたけれども、予定入院の手術の患者さんということで見ますと、置賜総合病院に行くよりも、県内のほかの医療圏、具体的には、山形市内の大学病院等ですけれども、そちらに行くほうがもっと多いということで、さらに置賜総合病院を飛び越えていくような構図も見えたりしているという形になっています。
他方で、置賜総合病院の主たる患者さんというのは、米沢市以外から来ているということになるのですけれども、それ以外の地域では、予定入院の手術の患者さんは、2、3割が山形市内のほうに行っているような形になっています。
8ページ目に、この地域の将来推計人口を、米沢市と米沢市以外で示していますけれども、米沢市以外のほうが、全部を合計すれば、人口は多いわけですけれども、実は、この地域というのは、これから後期高齢者数というのはほとんどふえなくて、一番多いときでも現状の6%ぐらいふえるだけという形になっています。
他方で、米沢市は、まだ、後期高齢者の人口というのが少しふえていて、13、14%ぐらいふえるという形になります。
他方で、75歳未満で見ますと、米沢市以外のほうが急激に人口減少が進んでいくという姿が見えています。
こうしたことから、まず、米沢市内も三友堂という民間の病院と米沢市立病院で急性期を分け合っている、二分しているという構造のままでは、今後、なかなかうまくいかないだろうということで、先ほどの6ページ目の地図の左側に書いていますけれども、米沢市立病院の建てかえに合わせまして、地域医療連携推進法人を設立して、米沢市立病院が急性期、三友堂病院が回復期を担うという役割分担を現在計画するという動きが出てきております。
さらに、置賜総合病院も、今、ごらんいただいたとおり、米沢の患者さんがほとんど来ていなくて、それ以外の地域から、ただ、それ以外の地域は予定入院手術だと山形市内の病院にもかなり行っているという状況の中で、病床数や機能などを検討しているということで、ここは、後でまた御紹介したいと思います。
ほかの医療圏ということで、庄内地域という日本海に面している地域を紹介させていただきたいと思います。9ページ目になります。
9ページ目をごらんいただきますと、庄内地域というのも、北のほうの酒田という市を中心とした北庄内と、南のほうが、鶴岡市を中心とした南庄内という地域になっています。
これらそれぞれ日本海総合病院と鶴岡市立庄内病院という2つの基幹病院が形成されております。
先ほどと同じような分析をしたのが10ページ目に掲載されています。
この庄内地域というのは、先ほどと違いまして、県内のほかの医療圏への流出がそれほど多くない状況になっています。
これは、地理的な要因もありまして、山形市内までも鉄道もなく、車で移動しようとすれば、2時間ぐらいかかりますし、これからの冬の時期とかだと、よく通行どめにもなったりということもありまして、なかなか流出しないということで完結率が高くなっています。
この北庄内と南庄内では、救急搬送入院は、それぞれ二次医療圏内でのサブ圏域ごとに完結して、それなりの件数があるという状況になっていますけれども、予定入院の手術、最近よく待てる急性期、待てない急性期という言い方もされますけれども、待てる急性期の機能というものを見ていきますと、南庄内のほうから、約4割の患者さんが北庄内の日本海総合病院にかかっていると、入院しているという実態が見えてきておりまして、救急が日本海総合病院と鶴岡市立庄内病院、それなりの件数を持ちながら、それぞれで完結していっている一方で、がんや難しい手術の症例などは、ある程度日本海総合病院に移行、集約が進んでいるといったような地域ごとのきめ細かな受診行動というのを把握しながら、その受診行動の特性に応じながら、各病院の今後のあり方とか、そうしたものを議論していただいているような状況になっています。
また、地域医療構想が実際につくられる前から、さまざまな将来推計を提示して関係者で認識を共有しておりまして、11ページに示していますけれども、もう2013年、2014年ごろからDPCのデータから将来の入院患者数はこうなりますよという姿を見せていました。最初は、これから患者数はどんどん減っていくのだという数値を示すと、一体何を言っているのだというような反応もされたこともあったのですけれども、最近は、やはり、だんだん減ってきたということで、いろいろ対応が進んでいるところです。
地域医療構想の策定の協議が進む前から、先ほど御紹介いたしました蔵王協議会などで、こうしたデータを示しながら、みんなで議論をして、地域医療構想にも、そのあたり基本的な考え方を反映していただいたというような流れになっています。
12ページ目に、将来推計ではなくて、これまでの山形県内での患者数の推移を示しているのですけれども、将来減っていくというだけではなくて、これまでの患者数の推移を見ても、延べ患者数自体は、平均在院日数の短縮で、どこの地域でも減少傾向が進んでいっていますけれども、新入院患者もほとんどふえない状況で、この10年ぐらいやってきているという状況があります。
現に、これまでも、こうした厳しい状況に直面しておりますので、山形県では、先進的な取り組みということで置賜総合病院の再編・統合というのを2000年にやっております。
日本海総合病院の再編・統合というのを2008年にやっている、それを13ページに示していますけれども、機能の再編をしながら、さらに全体での病床数もダウンサイジングしながら進めています。
ただ、これらの病院も再編・統合して終わりということではなくて、その後もさまざまな動きがあります。
14ページ目に示していますけれども、置賜総合病院の事例については、先ほども患者動態の特徴というのをお示ししましたけれども、これから、なかなか患者数がふえていくということも見込まれないような状況ということもありまして、病床の削減を検討しております。
こうした検討に当たって、先ほどお示ししたようなデータなどに基づきながら、それぞれの病院で検討していただいたということになっています。
さらに、日本海総合病院のほうでは、その地域のほかの病院や介護施設などとも連携しまして、地域医療連携推進法人を設立するなど、新たな取り組みもやっているということで、それぞれの病院が、こうした検討を進めていく、その協議を進めていく中で、こうしたさまざまなデータを活用していただいているという状況になっています。
山形県内の状況を15ページ、地域医療構想の協議の状況ですけれども、少しずつではありますけれども、変化が出てきていますが、まだまだ協議はこれからといったような形かと思います。
16ページ目に、診療報酬での話ですけれども、地域包括ケア病棟などに転換していくようなところもふえているというような状況にあります。
17ページ目から、こうした形で、蔵王協議会などもかかわりながら、地域医療構想をめぐる協議が進んでいる。そうした中で、アドバイザーとしてもかかわらせていただいている中で感じる問題点というのを幾つか指摘をさせていただきたいと思います。
まず、必要病床数の解釈であったりとか、病床機能の考え方というところについて、これは、制度的な問題というのもあるのかなと思うわけですけれども、依然として、いろんな誤解というものがあって、よく救急をやっているから、絶対うちは急性期なのだとか、回復期になると救急の患者も受け入れられなくなるとか、そうした誤解というのがまだまだありまして、そうした誤解を解くための解説に時間を浪費してしまうというような実態があります。
また、必要病床数だけでは、なかなか経営体制の問題というのが捉えられなくて、それぞれが等しくダウンサイジングしていて、例えば、それぞれが20、30床ずつ減らしていったりとか、あとは、機能を地域包括ケア病棟に転換するというのをそれぞれやっていくだけでいいのか、それとも再編・統合とか、あとは、機能の集約とか、そうしたことを考えないといけないのかというところが、必要病床数では、必ずしも明らかにならない部分というのがあるかと思います。
それぞれが等しくダウンサイジングしていても、なかなか全体最適になるとも限らないというところの協議がなかなか進んでいないのかなという感じを持っています。
18ページ目に「公立病院における政治的影響」ということで書いていますけれども、先ほど、お話をしたとおり、山形県は自治体病院が多いわけですけれども、首長の意向に左右されるということで、調整会議でいろいろ協議しようにも、病院長の先生もなかなか判断できず、首長の意向にも左右される。
あと、病床利用率が低下しても、なかなかダウンサイジングとか、再編・統合には消極的ということで、19ページ目に自治体病院の病床利用率を示していますけれども、かなり低下しているところがあります。
しかし、こうしたところも医師不足で患者数が減っているのだということで、むしろ配置する医師をふやしてくれといったような話も出てきたりということで、その辺の認識をきちんと持っていくことが必要で、その場合に、やや医師、看護師の人材育成とか、キャンパスのあり方への認識不足ということも感じられるようなこともありまして、その辺の政治的な影響というのを受けやすいところをどう考えるかという問題があろうかと思います。
あと、都道府県がさまざま地域医療構想の実現を推進していったりするわけですけれども、その医療政策担当部局と、あと、都道府県も都道府県立病院を持っているわけですけれども、その病院事業担当部局の間で、ある種、利益相反のようなところがあって、必ずしも県立病院自体が地域医療構想の方向性と合った行動をしているとは思えないような場合もあったりします。
そうすると、都道府県のちぐはぐな対応にほかの病院も不信感を感じるということもあるように感じています。
最後、20ページ目ですけれども、調整会議の進め方を見ておりましても、大体病床の削減とか、機能の転換の方針を決めた病院からの報告に終始しておりまして、やや、単なる報告会になってしまいがちで、まるで先に決めたほうが、もうそれで方針が決まってしまうという、早い者勝ちのような感じにもなってしまいかねず、地域全体での整合的な検討になっていないのではないかということがありまして、冒頭お話をしました蔵王協議会で、その辺の全体的なビジョンを含めた検討ということをやっていきたいということで取り組んでいるところです。
こうした状況もありますので、再編・統合は必要なのだけれども、いつ旗を振るのかとか、病院の機能は医師の配置次第だから、自分たちからは、なかなか動かないとか、あと、地域包括ケア病棟にしても、はしご外しに遭うのではないかといった将来の経営の不安の声とか、そうしたものもあって、わかってはいても当面は様子見の構図ということもあって、このあたりをより問題を解消しながら進めていく必要があるのではないかということで、今後、蔵王協議会と調整会議など、その辺が連携しながら取り組みを進めていきたいということでやっているところです。
以上になります。
〇尾形座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの村上先生の御説明につきまして、御質問、御意見を承りたいと思います。
岡留構成員、どうぞ。
〇岡留構成員 村上先生、非常にお答えにくい質問かもしれませんけれども、18ページの「公立病院における政治的影響」で「首長などの意向に左右される判断」と、非常に難しい表現で書かれたと思うのですが、もし、先生、ここでお答えできるのであれば、具体的には、どういうことになりますかね。お答えしにくいのだったらよろしいですけれども。
〇村上参考人 個別名称は抜きにしまして話しますと、例えば、私も県内のいろんな病院の経営改革の委員会とかにも入っているのですけれども、かなり、人口もどんどん減少していくと。実際、それほど急性期の密度が高くなるような患者がふえていくとは思われないような地域において、そこの構想区域でも、当然、急性期の必要病床数は減っていくわけですけれども、病院の移転、改修の議論などをしていると、その検討委員会でも、そんなに急性期機能をばりばり充実させるというよりも、むしろ現状維持ぐらいからもう少しダウンサイズしていってやっていくのが必要だろうという意見が出ていたにもかかわらず、その病院を設置している自治体の長の最終的な判断によって、そこに地域救命救急センター、今までなかったわけですけれども、新たに設置したりとか、診療科も10近くふやしたり、医師数ももっとふやさないといけないとか、そういう話が出てきたりして、それが、そこの検討委員会で議論していても、最後に、そういう方向に修正されたりということがあって、明らかに地域医療構想の方向性などともややずれる部分が感じられるわけですけれども、それが、首長の意向によって出てきたといったようなことがあったりとか、それは1つの例なのですけれども、そうしたことがある。
〇岡留構成員 そういった首長さんたちの非常に知識レスなところで、そういう方々が、こういう医療の部分で地方の医療を引っ張っていくということはおかしいわけですね。そのときに、アドバイザーとして、例えば、医師会とかアドバイザーを中心にした方々が強く言えないのかなと、これは、青二才の評論になりますけれども、その辺が変わらない限り、この問題は選挙のたびごとにずっと続くだろうと思うのです。医療をよくしようとみんな思っているわけで、国民の方々は一票を投じるために、そういう方々に入れますね。そこのところの改革というか、意識を変えない限り、これはずっと続くだろうと思うのです。
〇村上参考人 まさにおっしゃるとおりだと感じておりまして、ただ、そこをどういうふうにすると、その問題が解決するのかというのは難しい部分もあって、ほかでも、かなり病床利用率の低下している中小規模の公立病院が、比較的近隣に幾つかあったりするような地域で、やはり、病院関係者もみんな率直に話していると、再編・統合とか、その辺を考えないといけないだろうということは、みんな共通認識としては持っているのですけれども、やはり、それぞれの首長さんたちが、なかなか動けない。また、そういう話をしていても、いや、選挙前だからと言われ、選挙が終わったら何か動くのかなと思ったら、動かないまま、また、次の選挙がやってくるという状況も少なからずあるようでして、そのあたり、自治体のガバナンスなり、公立病院のガバナンスなりの問題にもなるのかと思うのですけれども、その辺は大きな問題だろうなと思っています。
〇岡留構成員 ありがとうございました。
〇尾形座長 ありがとうございます。
では、中川構成員、どうぞ。
〇中川構成員 村上先生から、今、お話をいただいた例ですけれども、そういう例は、新改革プランは調整会議に提出しているのですかね。患者もいないのに診療科をふやすとか、医師をふやすとか、救命救急センターを整備するとか。
〇村上参考人 それは、移転、改築のときの案なのですけれども、多分、調整会議には、報告はしていますけれども、そこでみんなで協議して、それに意見を出してという感じでは必ずしもない。
〇中川構成員 それは、事務局、新改革プランの中に含まれますね。そういうことを含んだ改革プランが調整会議に提出されて、それを了承されるかどうかという、その調整会議機能が機能していないということですね。
〇村上参考人 調整会議も、実質的には各病院の方針を聞いて、質問なりは多少いろいろ出てくるにしても、それの是非をそこで審議してという感じには、必ずしもなっていないのかなと感じています。
〇中川構成員 恐縮ですけれども、総務省から坂越室長がいらしているので、ちょっとお聞きしたいのですが、今の村上先生のお話になった例は、公立病院改革ガイドラインに抵触していませんか、何か私は、少し反しているような気がしますけれども、選挙のためにというのは、こういうところでは、そういうふうには言うべきではないのでしょうが、どうも選挙のためだけなのかというか、ほかにも何かあるのではないかという気がするのです。
公立病院改革ガイドラインで、例えば、許可病床に対して出していた特例交付金が、この公立病院の改革で、稼働病床に特例交付金が出されるとなって、病床利用率、稼働率が低いことが余り問題ではなくなったのだろうと解釈していたのですが、どうも稼働病棟に特例交付金が出ているという話もあって、その辺のところ、正確に教えてほしいのですけれども、いかがでしょうか。
〇尾形座長 坂越室長、お願いできますか。
〇坂越室長 オブザーバーの立場なので、ちょっと発言するのは恐縮なのですけれども、発言させていただきます。
まず、公立改革プランについては、先ほど御指摘の側面というのは、中にはあるのかもしれないのですけれども、基本は、地域において必要な医療をやるために改革が必要ということで、皆さん、かなり積極的に将来の姿を見据えて、お医者さんも減ってきている中、人口減少もある中、どうやって地域医療を確保していこうかということで、かなり一生懸命変えているという印象を受けていますので、基本的には、我々がつくっている公立病院改革ガイドラインに従ってやっていると考えております。
それから、病床の話なのですが、これは、稼働病床で、今、やらせていただいておりますので、稼働病棟という概念ではありません。あくまで医療法に基づいて病床機能報告というのを各病院がすることになっていて、それは、公信力のある数字になっております。
これは、すごい技術的な話になって恐縮ですが、地方交付税の仕組みとか、機能とか、地方交付税法に定められている趣旨にのっとって、我々は地方交付税の制度をつくって算定しておりまして、いろんな要請があります。
結局、基礎数値に何を使うかということになるのですけれども、公信力のあるもの、客観的なもの、政策誘導にならないもの、それから、非常に指定統計のようにしっかりとしたデータであるもの、裁量によって数値が変動しないものとか、いろんな要請がある中、今、医療法に基づいて病床機能報告の中で稼働病床という概念がありますので、それは、その趣旨や目的に合致するということで、病棟ではなくて稼働病床というもので措置させていただいておりますので、そこは大丈夫だと考えております。
以上です。
〇中川構成員 わかりました。
〇尾形座長 織田構成員、どうぞ。
〇織田構成員 今のお話に少しかぶるところがあるのですけれども、これは、実際に他会計からどれぐらいの金額が入ってきているのか、それは、把握しておられますか。
〇村上参考人 今は、データを持ってきていませんけれども、県内の自治体病院の収支とかのデータもいただいていますので、その辺は把握しています。
〇織田構成員 今、ここに首長さんたちの意向ということで、ダウンサイジングなどには消極的と、以前、拡大路線ということが、これは、あくまでも交付金とか補助金がどんどん出される限りは、これは、続くのだろうと思いますね。
そういう意味では、そこら辺は、やはり調整会議でも把握する必要があると思いますし、今、総務省の室長さんが言われましたけれども、基本的に、地域で公的病院しか担えない機能ということを言っていますので、そういうところには集中的に交付金を出してもいいと思うのですけれども、ここら辺は、やはり、根本的に見直さないと、幾ら議論しても、結果的には、幾らでも赤字の部分はかわせるのであれば、改善されないのではないかという気がして聞いていました。
〇尾形座長 小熊構成員、どうぞ。
〇小熊構成員 村上先生、どうも、大変詳しいお話をありがとうございます。
自治体病院を預かる立場から、今の先生の最後の首長、信じられません。そんな首長いるのですかね。我々としては、先ほど、坂越さんが言われたように、稼働病床で交付税というのは来ると理解して、今もどんどんそこから人口減ですから、将来の医療需要を見て病床をダウンサイジングしようという方向に自治体全体が動いているはずなのです。
なおかつ、それから、先ほど中川先生がおっしゃったように、地域に必要な医療を維持するためには、再編・統合しようという動きでいるのに、そんな自分の一存で考えられないというのが1つ。
それと、先生にお教えいただきたいのは、実際に調整会議で困っているのは、よその市の病院とかにはダウンサイジングしたらいいのになと思って、個人的には言っても、調整会議の場では、我々のほうは正式には言えないわけですね。
その場合に、先ほど、山形県の場合は、蔵王のがありますね、あれが、医師の配置とか調整会議をもっていて、どれぐらい関与して動いているのかをお教えいただけたらと思います。
といいますのも、一番の問題は、誰がイニシアティブをとって実行力があるプランにするかということが、今の調整会議の悩みだと思うのですけれども、今後、都道府県地域医療協議会ですか、それがどの程度の力で各地の調整会議に対応していくか、そこが鍵だと思うので、蔵王の場合を教えていただけますか。
〇村上参考人 まず、最初に、首長も全員が全員そういう首長ばりでも当然ありませんし、先ほどのさらに地域救命救急センターをつくったりというところも、病床数自体は減らすのですけれども、かなりより重装備化していくような感じにもなっていて、ややちくはぐな面もあるのかなという感じがしておりますが、病床数自体は減らしたりということはやっているという点は、補足をさせていただきたいと思います。
それで、蔵王協議会なのですけれども、蔵王協議会も、基本的には関係者が集まって、みんなでいろいろこれからの対応のあり方とかを協議して、方向性を出していくということですので、そこで何か強制的な権限を持って個々の病院の機能を左右するということまではできませんが、やはり、きょうの中でも何度か申し上げましたけれども、医療提供体制の問題は、結局、人材、人の配置と切り離せない問題があって、それが非常に重要なのかなと感じています。
特に医師の配置ということで言うと、そこにどういう医師をどれだけ配置するのかによって、当然、病院の機能というのが大きく変わってきますので、その辺を蔵王協議会として、どういうふうに県内の病院に医師を適正配置していくのかという議論の中で、恐らくおのずから、それぞれの病院の機能だったり病床数なりの見直しというのに、ダイレクトにつながっていく部分が出てくるのかなと思いますので、蔵王協議会は、特に医師の配置なりをどうしていくのかというところを中心に据えながら議論して、そこをうまくリンクさせていく中で、より実効的な見直しを進めていくような流れと御理解をいただければと思います。
〇小熊構成員 ありがとうございました。
〇尾形座長 織田構成員。
〇織田構成員 それでは、ちょっと別のことをお聞きしたいのですけれども、置賜二次医療圏の米沢市立病院と三友堂病院の地域医療連携推進法人の話が載っています。
この病院2つは、かなり隣接しているのですか、隣同士というか、道路を隔てて隣とか、それぐらいの距離ですか。
〇村上参考人 現状では、隣同士というところまではないですけれども、多分、車でも10分もかからないぐらいか、それぐらいだと思います。
米沢市立病院の改築に合わせまして、同じ敷地のほうに三友堂病院も移転してきて、完全に一体的な運営体制に今後していくと。
〇織田構成員 これは、開設母体が全然違うわけですけれども、そこら辺のことは、特に問題なく進むわけですね。
〇村上参考人 最初、いろいろ議論はあったみたいなのですけれども、ですので、完全に統合というところまでは、やはり、ハードルが高い分、地域医療連携推進法人をつくってという形で連携の協力体制を構築したということでございます。
〇織田構成員 ということは、これは、両方とも新しくつくり変えるということになりますか。
〇村上参考人 そうです。
〇織田構成員 この2つを見てみると、機能的にはほとんど変わらないですね。少しばかり米沢市立病院のほうが手術をしたり、救急が多いというぐらいで大きく変わらないのですけれども、三友堂病院の場合、今後、回復期という形で連携ができるという話し合いは十分できているわけですか。
〇村上参考人 それは、両方の病院が合意してということですし、かなり重複している部分もあるのですが、やはり、特に急性期の度合いは米沢市立病院のほうがやや高く、あと、三友堂病院のほうが同じ系列の病院でリハビリテーションの病院もあったりということで、もともと急性期もやりつつ、回復期の機能も持っている病院でしたので、その辺で連携推進法人での役割分担を議論するというときに、こうした分担になったということです。
〇織田構成員 あと、これは、病床の移転とか、そういうのはないのですか。
〇村上参考人 最終的には、まだ確定はしていないそうなのですけれども、おおよそ病床数も、その機能の再編に合わせて整理するとともに、2つの病院を合わせた合計の病床数は、現状よりも減らしていく方向になっております。
○織田構成員 こういう話し合いは、地区の医師会とか、そういうところの前でオープンで行われているということになりますか。
〇村上参考人 地域医療連携推進法人をつくる際も、検討委員会が立ち上がって、そこには、医師会の先生なども入っておられたと聞いております。
〇織田構成員 わかりました。どうもありがとうございます。
〇尾形座長 よろしいですか。
では、今村構成員、どうぞ。
〇今村構成員 地域で非常に苦労されていることがよくわかりました。私自身も、この課題に関しては、ほぼ同じ課題を感じているところです。
特に、先ほどから議論になっています、首長の資質ということは、強く感じているところでして、資質というよりは、どこまで首長に踏みとどまってもらえるかということに近いと思うのです。
最初、この数字を持っていって見たら、なるほど、そうだ、これではだめだ、ダウンサイズもしくは廃止ということに、大概の市長さんなり町長さんに同意してもらうのですけれども、実際、協議が始まってくると、物すごく反対運動が起こってきますね。極端な場合は、落選運動も起こるし、実際に落ちますね。
ですから、そういう状況の中で、いや、落ちてもいいけれども、つぶそうというふうに踏みとどまってもらえるかどうか。それで、実際に落ちてしまった場合には、存続の市長が来ますね。そういうときに、理屈の世界ではなくなってきてしまって、実際には、調整不能な状態になっていく。
その結果として、すごく過剰な病床を、それもガイドラインに抵触しないような形でつくってしまうというような、少し悲惨な状況が散見されると思うのです。
実際、先生のところで、こういう反対運動なり、首長さんがひるむような場面というのはあったでしょうか、そこまではいかなかったでしょうか。
〇村上参考人 そこまで大がかりな反対運動とかが起きたりとか、そこまでのは、山形県では、あまりないように思います。
あと、本当に再編・統合なり何なりを掲げて選挙になって、それで選挙落選してというところまでは、実際には例はないのですけれども、選挙中に病床機能の維持や充実を公約して、それを実現しなければとか、そういう流れは、ちらほら目にはします。
〇今村構成員 わかりました。でも、実際、そういう政治的というか、理屈の世界から外れてしまって、こちらの意図せざる方向に進むケースが結構自分自身も経験があるので、それは、うちの県以外のことをたくさんやっていますので、うちの県だけではなくて、ほかの県でも起こっていると思うので、ぜひ、そういう知見は共有していただければと思います。
〇尾形座長 ありがとうございました。
では、これで最後にしたいと思います。
野原構成員、どうぞ。
〇野原構成員 私の地元岩手も、人口減少でありますとか、医師不足を背景としており、また、公立病院も多いということで、先生の御発表、大変共感を持って拝聴させていただきました。
きょうは、さまざまな構成員の方々から御指摘があった地域で公立病院をめぐる議論を行う場合に政治的な側面があるのは事実でして、これは、なかなか行政からストレートに出せない論点なのですけれども、先生からお示しいただきまして、大変参考になりました。
20ページに調整会議の機能、今後の進め方について、その課題をお示しいただきましたが、私どもも同じような課題を抱えております。
具体的に今後、どのようなプロセス、また、論点を立てて調整会議を進めていったらいいのか、何か先生なりのお考えがあれば、お聞かせいただければと思います。
〇村上参考人 なかなかどう解決したらいいのかというところまでは、いいアイデアがあるわけではないのですけれども、やはり、県なりのオフィシャルな調整会議だったりとか、そういう場で議論しようとしても、やはり、県なりの出してくる資料も、一通りのありきたりの資料になりがちということもありますし、あとは、やはり、オフィシャルな場だと、なかなか率直な意見交換などもなりにくいということもあると思いまして、そのあたりが、山形県では、それを補おうということで、いろいろ議論しているのが蔵王協議会という組織でありまして、何らかの調整会議で議論し尽くせない、手の届かないところを一歩踏み込める枠組みなりが、やはり、必要なのかなというところは感じているところです。
〇尾形座長 どうぞ。
〇坂越室長 済みません、オブザーバーなのに質問をしていいかどうかわからないのですけれども、ぜひ、恐らくどの役所もそうだと思うのですけれども、総務省もそうですし、財務省さんも厚労省さんもそうだと思うのですけれども、都道府県が今後、非常に医療政策においてしっかり担っていかなければいけないという思いでいろんな制度をつくっていると思うのですけれども、そうなっていない実態もよくわかっているのですけれども、都道府県の利益相反、それで、うちで言うと、公営企業の担当部局と地域医療構想の、これは、保健福祉部とか、そういうところだと思いますけれども、ここが協力しなければいけないという問題は、私、ほかの公営企業もやっているのですけれども、全部共通なのです。
やはり、公営企業部局というのは知識がありますし、ノウハウとか人脈とかもあるので、そこと一緒にならなければいけないと、ここが連携とれていないということがすごい悪いところの一因になっている部分があって、逆に伸びしろとか、今後の解決策の有効な手段の1つになるかなと思っているのですけれども、ここら辺の実態なり、解決方法とか、どういうふうな課題が生じているのかとか、その状況を少し教えていただけたらありがたいと思います。
〇村上参考人 解決方法というところまでのアイデアがあるわけではないのですけれども、例えば、医療政策担当部局のほうは、やはり、地域医療構想推進ということで、病床の機能の見直しだったり、病床数の見直しの旗を振っているわけですけれども、では、県立病院がそこに掲げられている方向性のとおりになっているかというと、必ずしもそうではないこともあるのです。
ですので、県がこうやりましょうと言っているのだったら、県立病院きちんとやってよという感じを、恐らくほかの病院からしたら思うわけですが、県立病院自体が、それに沿った方向になっていなかったりすると、やはり、ほかの病院も、何だそれはという感じにもなりますので、その辺の足並みからしてそろっていない部分か多々感じられるということです。
というのが、地域医療構想に関連した部分で、それ以外も必ずしもいろんなノウハウとかも共有されていないとか、やはり、医療政策担当部局の人たちもどんどんローテーションでかわりますので、それまで医療政策とかにかかわっていなかった方が医療計画とか地域医療構想の担当とかになられると、また、基本的なところからやっていかないといけないということもあったりしますので、その辺のノウハウの蓄積もそうですし、部局間の連携も必要なのかなと思いますけれども、地域医療構想の話で言えば、その辺の足並みもそろっていないという点はあるのかなと思います。
〇尾形座長 ありがとうございました。
それでは、中川構成員。
〇中川構成員 一連のお話を聞いていて、公立病院の改革は首長さんの権限の範囲外にするしかないなと率直に思いました。
しっかりした資質のある、理解度の高い首長さんもいるのでしょうが、大部分が、御身大切の次の選挙が大事だということを基準に考えるのであれば、幾ら新改革プランを出せと言ったり、何かしても、もう無理だなと考えてしまいがちだけれども、諦めず頑張りましょうと思いました。
〇尾形座長 ありがとうございました。
ほかにも、まだ、いろいろ御意見、御質問等あろうかと思いますが、まだ、お二方の御発表がございますので、この辺にしたいと思います。
大変生々しい話も含めて、参考になる意見交換ができたかと思います。
村上参考人、どうもありがとうございました。
それでは、引き続きまして、資料3の説明を村松参考人からお願いいたします。
〇村松参考人 産業医科大学公衆衛生学教室の村松でございます。
本日は、このような機会を頂戴してありがとうございます。
それでは、資料3について御説明をさせていただきたいと思います。
おめくりいただきまして、1ページ目でございますが、当教室としては、これまでも地域医療構想策定前から福岡県医師会ですとか、福岡県と協力をして、地域医療構想に教室全体として協力をしてきたということでございます。
2ページ、本日、お話をする内容ですが、福岡県内の人口規模が約10万から20万以下の、人口規模が似ている、そして、人口の推移も、今後の将来の推計も似ている5つの構想区域について、きょうは、主に救急医療のみをお話をしますが、分析結果をお話ししたいと思います。
その後、今後の地域医療構想の実現に向けた取り組みについてということで、多様なデータを用いて、各病院が一堂に会して多角的な視点から地域の医療、介護の提供体制のあり方を検討すべきだという立場から提言をさせていただきたいと思います。
3ページ目でございますが、こちらのデータは、福岡県内の救急搬送の平均時間でございます。年齢階級は全ての年齢です。若い子供から高齢者まで全部含んでいるというものでございます。
きょうは、お話しする5つの区域を見てまいりますと、4007八女・筑後、4009飯塚、4013京築については30分以下というところで、比較的短くなっているというところでございます。
4010直方・鞍手、4011田川については、35分近くなっていてやや長いという傾向が、ここから見て取れるかと思います。
4ページ目、5つの構想区域におけるDPCの公開されているデータをグラフにしてまいりました。MDCと言いまして、おおよその診療科に相当するものでございますが、その救急搬送によって入院された患者さんの数のグラフでございます。
医療圏によってパターンがございまして、例えば、4009飯塚については、飯塚病院というところがほとんど受けているという状況でございます。
4007八女・筑後ですとか、4013京築につきましては、1つ目の病院と2つ目の病院が、大体ダブルスコアになっているというような状況でございます。
4010直方・鞍手、4011田川につきましては、1番目の病院と2番目の病院で余り差がないという状況になっています。
また、MDC別にお示しをしていますので、おおよその診療機能のすみ分けというのも、ここで見て取れるかと思います。
色の塗り分けが似ていますと、似たような診療科があるということを示しているということになろうかと思います。
5ページ目でございます。
これは、5つの構想区域における病床機能報告のデータを可視化したものでございますが、まず、5ページでお示しをしているのは、高度急性期及び急性期の病床の数でございます。
4009飯塚から見てまいりますと、飯塚病院が非常に多いという状況であります。他の病院は、それほどないという状況なります。
先ほど、DPCのデータで見たのと、飯塚医療圏は同じような状況かと思います。
それで、1番目の病院と2番目の病院がダブルスコアぐらいであった4007八女・筑後ですとか、4013京築を見てまいりますと、八女・筑後は、おおよそ救急搬送と同じぐらいの差がついているということになっています。
ただ、京築については、新行橋病院は、それほど、2番目の病院と病床数は変わらないのですので、非常に集中して、少ない病床数でたくさんの患者さんを診ているということで、ここの2つの医療機関は、少し機能が違うのかなということが、ここから見えてまいるかと思います。
4010直方・鞍手、4011田川につきましては、あまり飛び抜けた医療機関はないという状況になっております。
6ページ目、7ページ目を見ましても、同じような状況になっております。
6ページ目が、年間の救急車の受け入れ件数でございます。
八女・筑後では、公立八女総合病院の3分の2ぐらいを筑後市立病院が受けている。
新行橋病院と、京築の2番目の病院については、救急車の受け入れ台数という意味ではあまり差がないということでございます。
7ページ目は、ひと月の全身麻酔の手術の数でございます。
飯塚医療圏については、飯塚病院が集中的にやっていると。そして、飯塚市立病院も提供していると。
せき損センターがございまして、これは、少し機能が他の医療機関と異なりますし、福岡県のみならず、九州全域から患者さんが来る医療機関ですので、ここは少し医療の機能が違うのかなということがあるかと思います。
八女・筑後医療圏は、先ほどと同じような傾向であります。
京築の医療圏については、病床数は同じである、ほぼ、それほど変わらないですが、手術の件数は非常に差があるという状況で、機能の違いがあるのかなということが見て取れるかと思います。
田川医療圏については、社保田川病院と田川市立病院が、手術の件数は余り変わらない。
直方・鞍手の医療圏については、新公立プラン、公的2025プラン対象外の4010の3番という医療機関のほうが全身麻酔は多いという状況になっております。
ここまでが病床機能報告データでございます。
8ページ、福岡県では、地域医療構想策定当時からSCRを十分に活用してまいりまして、こちらは、策定前の2015年の時点の医療機関所在地ベースのSCRになりますが、SCRを用いると、より細かく可視化ができるというところでございます。
9ページ目以降は、こちらのワーキンググループの前回の資料を引用させていただいております。
まず、八女・筑後の医療圏ですが、地理の概要をごらんいただきますと、西の人口の中心があって、病院もそこに集中しているということが見て取れるかと思います。
人口の推移を見ていただきますと、単調に減少するというのが見て取れるかと思います。
10ページ、基本情報のところをごらんいただきますと、病院の数は変わっておりませんで、有床診の数が4つ減って、その分、一般病床数と療養病床数の合計が減少しているというのが見て取れるかと思います。
また、病床利用率は、この構想区域では80%程度と、一般病床については80%程度ということになっています。
公立・公的等の病床数と単純な比較というところをごらんいただきますと、高度急性期、急性期を1階として検討しますと、足し合わせると、現状の病床数と数十しか変わらないので、ここは、今、とんとんという状況かと思います。
回復期がやや足りなくて慢性期が多いという状況になろうかと思います。
11ページでございますが、具体的な対応方針というところで、この表は、地域医療計画課さんにおつくりいただいて、非常にわかりやすくて、我々も参考にさせていただいているのですが、一目見てわかることは、現状のところで○がついていないところも、たくさん○がついてきているというのは1つ見て取れるかと思います。
そして、公立八女総合病院については、急性期をばらして高度急性期と回復期に振るというプランを立てているというのが見て取れるかと思います。
12ページ、飯塚構想区域でございます。
飯塚構想区域は、下の県全体の地図を見ていただきますと、おわかりいただけますとおり、県のちょうど真ん中にあるところでございます。
麻生飯塚病院があって、非常にそこが集中的にやっているというところですが、人口の減少は、八女・筑後とか、そういった他の構想区域と同じということになります。
13ページ、基本情報ですが、こちらも有床診が少し減って、病床数がやや減少しているというところで、大きな変化はないというところ、病床数にがくっと落ちるということは、今のところは起きていないというところであります。
単純な比較のところをごらんいただきますと、急性期の病床数が、高度急性期、急性期を足し合わせるとやや過剰というところかと思います。
そして、回復期、慢性期は、今、ほぼとんとんという状況かと思います。
次に対応方針でございますが、飯塚病院が欠けている、○がついていないところに○が入っていますが、実際のところ、脳卒中ですとか、心血管疾患も今されていますので、今までやっていなかったというよりは、ここに○についていなかっただけかなということかと思います。
飯塚病院は、病床数が赤色になっていますが、どうもデータの誤り、公立プランのほうまで、私は確認をしてみましたが、単純な報告の誤りのようで、特段問題はなかったかなと思っています。
15ページ、直方・鞍手構想区域でございますが、飯塚医療圏の真上にございます。
飯塚の地図を見ていただきますと、ちょうど上のほうがパズルのようにはまるのがおわかりいただけるかと思います。
ここは、やや小さくて10万ほどの構想区域でして、単調に人口が減少するということが想定されています。
基本情報を見ていただきますと、特段変更はございませんで、公立・公的等病床数との単純な比較を見てみますと、高度急性期、急性期はやや多い、回復期が足りない、慢性期はほぼとんとんかなという状況になっています。
17ページ、各医療計画における役割、現状では救急しかない医療機関がございますが、そこがさらに何かをやると、○がふえているという状況でございます。
また、いずれの医療機関も回復期機能を担いたいということを回答しています。
次に、田川構想区域です。18ページでございますが、こちらは、飯塚の東側になります。
人口は、田川市を中心に住んでいるということがわかります。人口の推移は、単調に減少してまいります。
19ページでございます。
基本情報でございますが、有床診が1つ減りまして、その分、病床数がやや減っているということでございます。
この医療圏で特出すべきは、一般病床の病床稼働率でして、他の構想区域を比べて70%と、やや低いということになろうかと思います。
単純な比較で見てまいりますと、高度急性期、急性期の病床数が、単純な比較では多いと、回復期は少なくて、慢性期も多いという状況になっています。
20ページをごらんいただきますと、非常に○がふえているということと、非稼働病床が1番の医療機関と2番の医療機関、どちらもございますが、病床数、2025年の予定を見ていただきますと、稼働させるという対応方針となっているのが見て取れるかと思います。
21ページ、京築の構想区域でございます。
これは、福岡県の一番東側にありまして、大分県と接している医療圏でございます。
京築の医療圏も単調に人口が減少してまいります。
22ページ、基本情報をごらんいただきますと、有床診がやや減って、その分、病床数が減っている。
一般病床の病床利用率は、一般病床が約84%ということで、先ほどの田川と比べると、随分違いがあるというところでございます。
病床数の単純な比較を見てまいりますと、高度急性期、急性期は、やや多い、回復期は少ない、慢性期も少し多いという状況かと思います。
対応方針を見てみますと、ここは、プラン対象病院は1つしかありませんが、今までも十分よくやっていただいていますので、引き続き機能をどう保っていくかということが課題となるかと思います。
24ページ、5つの構想区域を見てみました、その考察でございますが、人口規模ですとか、救急搬送数、救急搬送時間等の状況が似ている構想区域におきましても、救急医療の医療提供体制というのは異なっているということが見て取れたかと思います。
各構想区域において、地域の実情に応じて医療提供体制のあり方を考えるということは、非常に有用です。地域医療構想調整会議を十分活用していくということは、非常に重要なことかと思います。
一方で、自区域の病床機能報告データのみで検討すると、地域医療構想の議論が始まったときに起きた数合わせの議論に陥りかねないと、私は思います。
また、自区域ばかり見ていますと、改善点を見出せずに、先ほど、村上先生のお話にあったとおりだと思います。それが、起きるかと思います。
したがって、地域の個別性というものは、もちろんあるものの、構想区域や医療機関の類型化ですとか、指標の作成等の分析の定型化は必要だと考えております。
福岡県では、これまでどのようなことをやってきたかといいますと、ポツの1個目は、病床機能報告データを核とした圏域内の医療資源がNDB、DPCデータを用いた、これまでの診療実績の可視化、人口の配置等の地理情報分析といった現状分析、1つ目は現状分析ということです。
2つ目は、外部環境分析として、隣接する区域の医療提供体制を考えなければ、地域医療構想を考えていくことが難しいだろうと思います。
3つ目は、未来の分析で、将来の推計人口とか、将来の患者推計を行うべきだと考えています。
25ページ、26ページは、まだ研究段階で、我々が行っている研究ですが、産業医大は、工学博士もデータサイエンスセンターというところにおりまして、その方がやっていらっしゃる研究ですが、高階自己組織化マップというものを使いまして、簡単に申しますと、医療機関の病床機能報告データを用いて、医療圏と医療圏の中の医療機関を同時に分類するということが行える方法でございます。
その病院のデータを用いて、まず、その医療圏、構想区域がどのような区域か、地方なのか、都市なのか、中核都市なのか、そういったことを分類して、それと同時に、その中の医療機関を主として急性期機能を有すると考えられる医療機関なのか、そして、回復期機能を有すると考えられる医療機関なのか、主として慢性期機能を有すると考えられる医療機関なのか、それぞれに同時に分類するということを行える手法でございます。
26ページをごらんいただきますと、こちらのワーキンググループだったと記憶していますが、随分前に入退院の情報を使って、レーダーチャートをたしか分析された資料があったかと思いますが、それと試しに同じものを使ってみて分類してまいりますと、我々としても実感に合ったような分類ができてくるということが行えたということの研究の御紹介でございます。
27ページ、28ページは、未来の推計ということで、私どもの教室のほうで、将来患者推計を行っております。患者調査のデータと将来推計人口のデータを掛け合わせて、外来の患者がどう動くか、入院の患者がどう動くかということを検討しています。
例えば、28ページ、これは、直方・鞍手医療圏ですが、赤い線は、妊娠、分娩及び産褥でございます。
2010年を100とした場合に、2025年で分娩件数は約75、2040年には65ぐらいに減ってくると。地域でどうお産ができる医療機関を確保するかみたいなことを検討するためには、どれぐらい減るのかということがわからないと検討しにくいと思いますので、こういったデータを提供していくのが有用と考えます。
29ページをごらんいただきますと、これは、福岡県の非常に有用な取り組みだったなと思いますが、医療職の人口ピラミッドを全構想区域ごとに作成しました。これは、直方・鞍手医療圏ですが、看護師さんは、比較的まだ真ん中が厚い形をしていますが、医師のピラミッドを見ていただきますと、ボリュームゾーンは60歳以上の先生方と、55から59の先生方ということになっています。
2025年を考えますと、60歳以上のピラミッドの棒の中にいらっしゃる先生方、多くの方はリタイアされている可能性が高いと考えますので、実際に、こういった医療を提供すると考えたとしても、それを提供できるだけの人的資源が確保できるのかどうかという点も含めて、どのような医療を提供していくかということは、各医療機関が考えなければならないと思っております。
30ページ、まとめでございますが、実際に地域の医療介護提供体制を再構築していくに当たっては、全医療機関、各医療機関が2025年のみずからのあり方を考える必要があると思います。
調整会議の委員の方々は、我々が調整会議にずっと入って、データの見方とかを御説明してまいりましたので、委員の方々は大分御理解をいただけたのですが、まだまだ全医療機関というわけにはいきませんし、基礎自治体の方々や住民の方々の理解なくしては進むことは難しいと思いますので、地域医療構想の考え方を浸透させていくことが、地域の公衆衛生の教室として求められていると考えています。
各医療機関が実際に提供できる医療機能や、各圏域の医療提供体制を踏まえて、プランは適宜修正されることが望ましいと、私は思います。1回つくったら終わりではなくて、不断の見直しが必要かと考えます。
福岡県では、公立・公的等が担う政策医療の範囲が定まらないと民間医療機関のプランの策定が始められないという声も聞かれています。公立・公的等のプランというものは、まず、公立・公的等プランを策定されたということですので、当該圏域の地域医療構想の実現に向けて、蹴り出しとして非常に重要な足がかりとなるのではないかと思っています。
長くなりましたが、以上でございます。
〇尾形座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの村松先生の御発表につきまして、御質問、御意見を承りたいと思います。
本多構成員、どうぞ。
○本多構成員 村松先生、詳細な説明をどうもありがとうございました。
先生にお伺いしたいのですが、きょう示されたデータでは、共通課題がわかりやすく可視化されておりまして、調整会議の議論の活性化だけではなくて、地域住民の説明にも有用ではないかと思っておりますが、調整会議以外で、こういったデータというのは、これまでお示しされたことはあるのでしょうか。
○村松参考人 御質問ありがとうございます。
これまで調整会議以外では、こういったデータをお示ししていませんが、福岡県の地域医療構想の本体には、こういったデータは十分盛り込んだというところでございます。地域におけるヘルスコミュニケーションは、我々の使命だと思っていますので、引き続き、そういった活動を行ってまいりたいと思っています。
〇尾形座長 よろしいですか。
岡留構成員、どうぞ。
○岡留構成員 村松先生、詳細な報告をありがとうございました。
福岡県の場合は、私、地元ですから、順次、公的・公立病院のヒアリングが、今、ずっと行われています。その順番を追いながら、年明けから全体の調整会議に、その意見を乗っけていくと、全くストップしているわけではございません。
それと、産業医大が出すデータを見ていて、本当に、これが現場の状況を反映しているのかなと、いつも思うのです。私は、少し厳しい意見かもしれませんけれども。
と申しますのは、例えば、21ページなどを見ると、京築構想区域における公立・公的病院等を中心とした機能分化・連携、人口の推移というのは、もうみんなわかっていることですね。こういうデータは要らない。もっと大事なことは、各病床機能あるいは病院の機能でどの程度の患者さんが収容されているのか具体的な数値をここに出す必要があるのではないかなと、私は前々から思っているのです。その辺について、もう少し詳しい情報分析、データ分析が必要になるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○村松参考人 御質問ありがとうございます。
御指摘のとおりだと思います。先ほど、資料1の際に、中川先生もおっしゃったかと思いますが、検討を進めていくと、最終的にたどり着くところは、非常に細かい分析になるかと思います。
例えば、中川先生がお出しになられたのが、私も非常にわかりやすかったと思いますが、ある手術をやっている医療機関が2つあると、それは何症例ずつあるといったような分析で、さらに、それに将来、その術式を必要とするような患者さんがどれぐらいふえるのか、また、減るのかということも検討していく、非常に細かい分析になろうかと思います。
そういった点では、DPCの公開されているデータは、どのような手術を行ったかというものがわかるように既になっていますので、既にもうオープンになっていますので、そういったものをわかりやすく伝えていくというのが、我々として必要な課題かと思います。
○岡留構成員 各病院ともDPCの公開データに基づいてベンチマークしているのです。手術あり、なしの群とか、非常に詳細な分析ができますので、これを県単位に落としたときに、この構想区域はどういう動きになっているのか、やはり、みんなが情報を共有していかないと、調整会議に幾らこういうのを乗っけても、わからない人はずっとわからない。その辺のちょっとした詰めのためのデータが必要なのではないかなと、私はいつも思っているので、ちょっときょうは発言させていただきました。
以上です。
〇尾形座長 ありがとうございました。
小熊構成員、どうぞ。
○小熊構成員 村松先生に、26ページの高階自己組織化マップというのですか、これは、縦と横と何をあらわしているのか、ちょっとお教えいただけますでしょうか。
○村松参考人 御質問ありがとうございます。
高階自己組織化マップは、自己組織化マップというものがあるのですが、多次元のものを無理やり二次元に落としているというふうにお考えいただければと思います。
例えば、3つ指標があったとしますと、その空間では表現することができますが、それをぺしゃんこにして二次元に表現したようなものだとお考えいただければと思います。
それが、3つではなくて、非常にたくさんのものをそのまま投入して、人間の目で理解できるように一旦二次元に落としているというものになります。
ですので、距離が遠いと、非常にタイプの違う医療圏だということにはなりますが、この中のデータの意味づけというものは、人間が目で見てする必要があるということになっています。
○小熊構成員 そうしますと、横は距離なのですか。
○村松参考人 御質問ありがとうございます。
マス目を何個に区切るかという話なのですが、試しに6個に分けてみると、上の真ん中には何も落ちなくて、この四角の中でも、それぞれ八女・筑後と田川の落ちている点の場所は異なりますので、この四角同士の単純な距離という比較はできませんが、遠いところの四角に入っているものは、例えば、福岡・糸島という構想区域は、北九州、飯塚というほうが京築、田川というよりは似ているというふうに御理解をいただければと思います。
○小熊構成員 この縦は、先生、何でしょうか、済みません、よく理解できなくて申しわけないです。
○村松参考人 申しわけないです、ありがとうございます。
縦と横、それぞれ何をあらわしているかというものは、ここでは出ていません。この縦が何なのか、横が何なのかというものは、人が見て意味づけをしていかなければならないということになっています。
○小熊構成員 ありがとうございました。
〇尾形座長 中川構成員。
○中川構成員 村松先生の教室のデータをいつも拝見するのですが、どうもデータを、ちょっと語弊がありますけれども、データで遊んでいるような気がするのです。ほとんど理解できないのですよ。やはり、ある程度アナログというか、手作業の部分も必要だと思うのです。ですから、ぜひ、その辺の改善をしていただきたいと思います。
それから、岡留先生がおっしゃいましたけれども、例えば、年間の救急車の受け入れ数だとか、全身麻酔だけでは、到底競合しているかどうかというのはわからないのです。
事務局には、今の村上と村松先生の意見を参考にしながら、具体的にどういう、私、さっき1つの例を言いましたが、どういうものをつくれば競合しているかどうかの判断ができるのかを、ぜひ考えてほしい。
それと、そういう出たデータを調整会議に参加していない医療機関が大部分ですから、その医療機関にどのように知らせるか、わからせるかということだと思います。
特に、公立・公的病院には、いち早く知らせる仕組みをつくって、ぜひ総務省のほうにもリアルタイムに報告するというか、市長のような方にも常に届くように、というふうにしてほしいなと思います。
〇尾形座長 ありがとうございました。
今村構成員、どうぞ。
○今村構成員 発表、ありがとうございました。
1つ簡単な質問で、8ページのSCRに空白があるのですけれども、その空白は、どういう意味なのでしょうかということが1つ。
2つ目は、質問というか、ちょっと怒られるかもしれないのですけれども、今の状況を教えてほしいことがあって、今、これを見るからに公的病院が拮抗しているところがあって、見るからに1つなくなると、ちょうどいいという感じのところがあるのですけれども、私、自分が、今までこういう統廃合に関与していて、その正論をぶつけていくと、では、1つつぶしましょうという話にはなかなかならなくて、それは、やはり、廃止すると、そこの市町村の死活問題があると。
そうすると、ダウンサイズしようという話になると、今度ダウンサイズすると、それぞれが採算が合わなくなるので、すると、統合しようという話になって、統合すると、より一層問題の多い病院が生まれる可能性があるのです。
ですから、こういう状況の中で、今、ここの議論の中では、そういう現象が起きようとしているのか、そういう可能性は、今のところ考えにくいという状況なのか、わかる範囲で教えていただければと。
○村松参考人 御質問ありがとうございます。
1点目のSCRの空白については、非常に算定が少なくて、たしかマスクされているセルなのだと理解しています。
2点目の競合している公的な医療圏、具体的には2つあるかと思いますが、それについても、今、まだ、それほど両者困っていない状況なのだと思います。ただ、この先、がくっと患者さんが減る状況が来ると思いますので、それに向けて考えていかなければならないのですが、その段階にまだ至っていないという状況かと思います。
〇尾形座長 本多構成員。
○本多構成員 先ほど、この資料を見させていただき、18ページみたいな資料、岡留先生などは、人口は要らないのではないかとおっしゃったのですけれども、調整会議の中に、健保組合とかの代表なども出ておりまして、医療関係者だけではありませんので、やはり、こういうデータは入れていただいたほうがいいのかなと、個人的には思っております。
特に18ページなどを見ますと、地図で示されて、非常に近隣に病院があるということも可視化されて非常にいいデータだと思いますので、最初の議論のところで私申し上げたとおり、調整会議がいろいろ活性化するためには、広く関係者がこういった課題みたいなものを共有できるように、やはり、こういうデータは出してほしいと思います。
また、住民にとっては救急搬送の状況なども非常に重要だと思いますので、そういったデータも示していただきたいと思います。先ほど、村上先生からも、自治体の長なども誤解が多いというお話がありましたが、自治体の長なども、忙しくてわからないでしょうが、自分の町の人口が減ってくるとか、こんな近隣に病院があって、似たような状況だということを見せれば、頑固な人も中にはいらっしゃるかもしれませんが、1つ説得の材料になると思いますし、住民に対しても、自分の町の将来のために、何か考えていかなければいけないという気運を醸し出すためにも、こういったわかりやすいデータは、やはり出していただきたいと思いますので、できるだけ、その辺、事務局で進めていただきたいと思います。
〇尾形座長 岡留構成員、どうぞ。
○岡留構成員 その人口構成比のグラフが、こういうのが真っ先に来ること自体が、私はおかしいと思うのです。地域医療構想には、もっと大事な指標があるのです。そして、ましてや、先生、今、首長の話をされましたけれども、こういうことに興味がない連中がほとんどなのです。地方行政は、それをいかに変えていくかのほうが先なのです。私は、そこら辺のところの後先が逆ではないかと、私は、そのことを言いたかったのです。ちょっと激しくなりましたけれども、済みません。
〇尾形座長 ほかは、よろしいでしょうか。
それでは、村松参考人、どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、資料4の御説明を生野参考人からお願いしたいと思います。
よろしくお願いします。
○生野参考人 それでは、大阪の地域医療構想の調整会議に向けてということで、大阪府私立病院協会として、そして、個人的には、社会医療法人弘道会の理事長として発表させていただきます。
まず、1ページ目では、大阪の医療、880万人で、狭いところで見ているのにいっぱい人口がいるのだと、9万人が大体今入院していて、2025年にもこの程度に抑えようかということであります。
4番の医療提供体制、438が一般病院であると。このうちの民間病院という病院の数だけですけれども、これは468で89.5%、9割が民間病院ということで、ここにはもちろん大学病院もみんな入って、これも民間の中に入った数字であります。
全国の民間病院の割合でいくと平均が8割ですので、かなり多いところであります。
規模別では、全国と余り変わりませんが、100床未満が39.1%、200床未満が29.6で、200床未満というのが7割を占めていて、半分以上は200床未満の病院。500床以下は25.3%ということであります。
利用率は結構です。
次のナンバー2に行きますと、大阪を8つの医療圏で分けて、下の人口で大阪市は270万人を1つの医療圏として検討している。
次に大きいのが、北河内で110万、実は私の病院が北河内に3つあって、大阪市内に1つあるということで、ここだけを注目していきたいと思います。
北河内は、57つの病院があって、大阪市は179ということです。
この地図を見ていただきますと、大阪市と北河内、守口、門真、寝屋川というのが京阪沿線で、ここは、やはり患者さんがたくさん集まるだけではなくて、お医者さんも、看護師さんも、いろんな人がこの地域に住みたいということで、非常に恵まれた地域だと考えております。
3ページでありますが、大阪の医療圏では、まず、2025年は10万1474床と、これが構想で出たと、実は、はるかに既存よりオーバーしていて、もっと増床しなければいけないのか、全国都道府県で病院が足りないところが6つあるという中の1個で、今までは病床は過剰地域だとされていたのに、今回の数値では足りないのだと思ったのですが、時間がたちますと、今年度第7次の地域医療計画では、またそれを上回ったという状況で、地域医療計画というのが、実は病床の必要量、病床数を採用していっているのも事実であります。
病床の機能ということが、これは全国と一緒で、急性期が34.5%、これを46.4%にパーセンテージではもっていく。それから、回復期は30.9が9.0、全国一緒で回復期にいかにもっていくか、急性期をどうするかということの、こっちのシフトを中心に機能分化のことを立てられて、みんなで考えているというのも事実であります。
これは、以下のことで説明しますので、4ページに行きますと、我々の大阪の地域医療構想の進め方というのは、これはもちろん、大阪府が中心になっていっているわけですが、大阪独特なのは、右の下の病院連絡会、全ての病院が参加してみんなで議論しようというのを7月から11月にかけて2回ずつやりました。全部データをいただいて、そして、みんなで議論する。そして、自分たちの病院のプランを述べるというのが、この病院連絡会で、全ての病院が、大体出席率99%あるいは100%に行くことが多くて、全てが出てきたというのも事実であります。
次の左へ、もう少し絞った医療圏ごとでありますが、大体70人ぐらいで医療・病床懇話会というのを行います。ここに病院、三師会とかいろんな政治家も来るという形であります。
それが済んだら、地区の調整会議でありますが、これが、いよいよ私の地区の北河内は、12月26日、年末年始にかけて3月までは精力的にやる計画があって、みんなも、これはやるぞとなっておりますが、何をやるのということが、この委員会の地域医療構想の進め方、大変注目しているところでもあります。期待しているわけですが、そこへ私が呼ばれてびっくりしております。
それから、大阪府医療審議会は、最終的には、これで行くということであります。
5ページに行きますと、まず、大阪の公立・公的医療機関とはということで、ここでもいろいろ定義されていたようですが、それで行きますと、公的医療機関が、先ほど民間が90と言ったように、公立・公的が23、27、そして、府立病院機構というのは独特なのですが、これももちろん自治体病院ですので、これで55あるわけであります。だから、10.5%となって、大体10割、我々は大変覚えやすくなっております。そして、民間が9割ということになります。
そこに、今回の考え方では、特定機能病院はもちろん入れるのだということで、7つ、5大学と2つのセンターがあって、これが中心に、公立・公的と考えながらいっている。そこへ今回は地域医療支援病院、35病院が加わったということで、これも点線が少し下りるかなと。
それから、社会医療法人もプランには、機構化ということで、これも1つは、税金に少し優遇されているので、これも公的とは言わないけれども、ここに入ってくるかということでの数字で、これが大阪では43病院ございます。
6枚目に行きますと、実は、そういうことで、先ほどから出ている公立・公的のプランは、2025年はどんな姿にするのかというのを公立・公的だけではだめだと、大阪は9割が民間だから、民間にも全て機構と同じ質問を与えて、これを全部回収して、答えを大阪府が持っている、その答えがこうなのです。
そして、2025年、将来、自分のところの病院は、どんなことをしたいのかということであります。
まず、左側は、大阪府が5疾病5事業というのをやっているわけですが、例えば、がんの現状は、薄いところまでは公立・公的のライン、これが、将来はどういう計画ですかという問いについては、公的・公立プランも一緒に問われているのですが、これは、現状維持、このまま行くのだということであります。
ところが、民間は、今ある60という数字をもう少しやっていきたい、民間はもっとさらにふやしたい。例えば、脳血管疾患も公的は同じ程度、そして、心血管も同じ程度、現状を将来も維持することが大変大事なことだという答えであります。
そして、どんどん伸ばしたいというのは民間でありました。
右側に行きますと、政策医療になるわけですが、精神、これは公的と民間も少し行きたいかなと、そんな伸びはない。むしろ、救急は、今も大変活躍している、だから、これも現状より少し上ということであります。
災害は、公が大分牛耳っているわけですが、ここを問題にしております。でも、これはもっと公も民も一緒にやらなければいかぬということであります。
周産期医療、ここを公がやらないかというところをやらないということで、現状は維持するけれども、民間しか頼るというのは、これはだめですということで、こういうところに入れてほしい。
小児医療も、これが大変困っている周辺について、これもなかなか入れない。全国的には同じ傾向なのですが、こういうデータで民間は将来担うのは、やはり、公立に任せたいところがいっぱいあるなということであります。
次の7ページに参りますと、2025年に、そのアンケートで、プランはどうかということの答えですが、民間病院の6割は、やはり回復期や慢性期、訪問診療などを担っていく、これが私らの役割だと、みんな○をつけておりました。
それから、政策医療に含まれる医療、これは、公立・公的が現状を維持し、民間では将来担うべきと回答している病院が、もっと私たちもやりたい、がんもやりたいとかいうことも多いということであります。
2025年の病床数の変更を、今から変えたいというのは、公立・公的は約5割、やはり、建てかえも含めて、いやいや、もっと機能を変えたいのだと、ダウンサイズの話もある、これも考えているのだということを、アンケートではうたっております。
民間病院は、そういう変化、もう既にできたところが3割ぐらいであります。建てかえについては、やはり、公も民も半分ぐらいは、これからしなければならないということで、民は大変苦しい、公はぜひ先にやってでも、という感じであります。
そこで、次の8ページは、北河内の二次医療圏で100万人を見ている医療提供体制で57つの病院があるわけでありますが、ここで、こういうのが主な医療機関と出ております。主な医療機関で、まず、公的機構で国がやっている、これは精神は別です、1番目。
2番目に出ているのが、ひらかた病院、これが新公立プランで問われたところで、327床あるところであります。
次が松下記念病院で300床、これは公的医療機関、国立に最終的にはなっているのです。
次、ここが地域医療支援病院になっています。枚方が313、星ヶ丘厚生年金病院、昔、そうですね、JCHOが580床ということで、公的・国立機構は、大体300以上のところで、そして、下のは、地域医療支援、そして、6つ目に関西医科大学附属病院というのが751で、公的医療プランに、特定機能病院に、これから入れられて、三次救命救急センター、災害医療をやっていると。それで、関西医大がこうやっているということであります。
あとは、結核が2つあって、10番以下7つ、大体8つの病院が社会医療法人で、全て救急を、ある件数の一定を満たしたところで、これをやっているのが8つの病院があります。こういうことの組み合わせで、この地域を見て、これも前から行われて、何も地域構想が始まったから、地域医療の区分などされていない、昔からそうやっているのだというのが実態であります。
そこで、地域医療構想で、詳細なことがわかって、もう少しみんなで考え合おうというのが、この構想だと考えております。
次の9ページで見ますと、北河内、先ほど、先生が言われたように、総数でありますが、救急車が真ん中にありますが、救急車で来て、入院の患者が155.6、KKRの枚方公済病院というのが、入院が一ヶ月に588人あった、そこに救急車が、155.6人が入院したということで26.4%が入院して、右のほうにすっと書いてありますが、疾患別で、この橙色は循環器の先生がいて、この先生が飛んできて、どんどんやって救急病院としても非常に多くなって、疾患も多くなって、いわゆる日の出の勢いの病院であります。
次が徳州会、これは、実は左の茶色が神経で、脳卒中、脳血管障害を中心に、そして、橙色の心筋、そして、右の端の薄い水色が外傷を中心とした、あるいは酔っ払いも含めたものが、こっちに入ってくるという形でデータが出ております。
そして、関西医科大学が、このような構想で、全領域について一応の役割を果たしている。そして、総合医療センター、そして、次に出てくるのが、私どもの守口の病院でありますが、これが、このデータは古いのですが、93.9で大体3分の1が救急の患者さんで、ここは茶色があるということで、脳卒中は、このあたりでは、24時間365日TPAを含めて来るのは、ここだということであります。
そして、橙色も全部、今は、心臓疾患はするということで、血管障害は、この地域では今1つということになっているぐらいです。というのは、関西大もちょっと弱いし、次の松下もちょっと弱いしということで、昔からある体制であります。
それから、次、JCHOの星ヶ丘も同じような形で頑張っているところであります。
寝屋川生野病院、これも特徴的なのですが、実は103床の病院が、救急をこれだけとっているのです。しかも、重傷も診ていますしということであります。
次に、ひらかた市民病院があったり、松下記念病院があったり、この敬仁会というのは民間でありますが、これは、グリーンがありますが、これは外科系の疾患で、外科は民間ではここということで、脳卒中はここ、それから、心筋梗塞が起こったらここ、民間、民間、民間ということで、違うところは三次救命救急センターに運ばれているというのが実態であります。
あとは、民間がずっと続いていて、こういう病院がなされているということであります。
次の大阪市のほうを見ますと、179の病院があって、18が、ここにランクされておりますが、18の病院でも、やはり医誠会とか、これは民間病院です。そして、北野病院とか、赤十字とか、多根病院、これも民間病院。警察病院、この警察病院は、今は医療法人になったので、もう民間でありますが、そして、急性期、淀川キリスト教病院、それから、総合医療センターと、初めて自治体病院が出てくる、あとは民間、民間ということで、中心は民間。
そして、なにわ生野病院というのは、93.1で18番目ぐらいランクですけれども、診ている重症者の数は、北河内より多い。ただ、もっと言いたいのは、リアルタイムのデータでないと、2年前、今、どんどん変わっているので、どんどん違うデータが出ると思うのですが、先ほどから出ているデータは、もう古いデータで会話してもなかなか難しいなと思っております。
次の13ページに行きますと、調整会議に向けて、いよいよ私たちも12月26日にあるのだけれども、みんなでどういうふうに考えたらいいのか、ここにあるように、やはり、公的・公立病院の機能をどうするかということ、これも大体決まってきているし、地域では全くそうだなと、これをもっとはっきり文書化したもの、あるいは物にしたものにしていけばいいなと思っているのですけれども、悲しいかな、先生が言ったところみたいに、大阪は5大学あるのだけれども、公衆衛生の先生は全然興味ない、データで見える化など見たことない、こんな分厚いデータをもらって、私たちが解釈してやる、DPCのデータを使ってちゃんとやれよというのが、大変な不満であります。
そこで、公的と比べにくいので、データが曖昧な中で、私の意見として14ページは、この会議に向けて行くのだけれども、民間の立場から、例えば、私立病院協会のいろいろな会話の中でどんなことを言っているのか、例えば、病床機能報告は、相変わらず、500床、700床、1,000床の病院が、全部、私のところは高度急性期の治療をやっているのだと言って全部出してくる、そんなことをするから構想が立たない。それで、むちゃくちゃだということがみんなの不満であります。
でも、内容はもっと別なのに、何で従わないのかなとみんなで言い合うのですけれども、なかなか難しいのであります。
それから、非稼働病床が、まず、議論されないと、大体100床ぐらいあるのですけれども、これが、まだ、調整会議で議論をしていくのですけれども、ウォーミングアップ中ですから、いろんなことが出てくる。こうしよう、ああしようという公的の先生があったりすることが耳ざわりかなということであります。
それから、公立・公的病院が、こういうふうにしてほしいと、今でもかなり言えるのですけれども、実は、こういうこと、民間では難しいということで、特に今、こんなことになっているのです。特定機能病院1,000床が二次医療圏をまたいでよそのほうへ行く、こんなことを、今、調整会議をやっているときに、地域を無視してやるのかと、1,000床ですよ、そして、市からも、これは急性期が行くということで、大反対運動が起こるのだけれども、もちろん病院協会も医師会も全部反対するのだけれども、なかなかうまいこといかない。最終的には、これが行くのです。そして、改めて地域構想を考え直さなければいかぬと、これは一例ではなくて、二例、三例あるいは病床の少ない地域ですので、どこか他府県からこっちへ行こうかというところもいっぱいあって、この辺の問題が、今、いろいろあります。
それから、政策医療とは考えないですが、実は、公的・公立病院も大変稼働率が落ちてきて苦しい、DPC、平均在院日数も10日にもっていくと、実は、悲しいかな、稼働率は70を割りそうになる。すると、地域包括ケア病棟をもってきて生き延びようというのが、これが、300床、400床の公的・公立病院が言う。
こんなの先生、おかしいのではないですかと言ったら、いやいや、我々のこともわかってくれよと、そうだなという話ぐらいで、でも、これは、ちょっとおかしいのではないかという話は、いつも議論するのですが、これから調整会議に入って、こういうことが本格的に話し合われるだろうということ。
それから、外来医療の機能は、やはり、公的・公立病院の、余りにも単価が高いので、2万円ぐらいしていたら、あんなのやめられないですね、ダウンサイズしろと言ってもしない。だけれども、これは外来医療が、昔から言われているが一個も直っていないのに地域医療構想、もちろん、入院のことはわかるのですけれども。
そして、もう少し最近腹が立つことは、公立・公的の病院が三次救急をやっているのですけれども、いわゆる患者さんが来たデータを出す、ORIONで、大阪ではデータを、患者さんの重症度からやっていく。
ある程度したら、これは三次救命救急へ先に運ばないといけない。これを反したら職務の違反だということで、本当に重傷であっても、そこの三次救命に運ばなければいかぬと、自分の職員の親戚が倒れて、脳外科はこっちしかだめだと言っても、いやいや、この状態はこれですと言って運んでいくということで、いろんなことを言いながら、こういうことを現場では話し合っているということもあります。
それから、問題は、やはり、小児・周産期、これが全然だめだと、我々も不採算で、患者さんも、家族も難しい、そういうところには、やはり、公立・公的病院がしてほしい、北河内などゼロであったのが、大阪市内の民間病院に全部行く、お正月など行ったら、300人ぐらい並んで、てんかんが起こっていったら、もう治っているということで帰るけれども、検査を受けて入院だという変な話になっているのが小児・周産期、これを自治体がみんなお金を出し合って、1個だけ、例えば、ひらかた市民病院にやって診るようになったことも事実であります。
それから、認知症と言っていたのですけれども、このプランがなかなか進まない、認知症医療疾患センターは、精神科を中心とした病院で、これを一般病院にもっと開放して、もっともっと地域で認知症疾患のほうを、オレンジプランを進めないと、もう時間がないという感じで、そういうことをいろいろ話し合っている。
でも、我々は公も民も一緒だと、同じ立場で仲よくやっていますし、ここに医師会も一緒にやって話し合ってやっていく、お互いに信頼関係になったら、なかなか地域で病病連携ができない。ただし、病病で、今、お互いに手を結んでいるときではなくて、競合、お互いが話し合って、自分たちのいいところを伸ばし合っている段階であります。
それを調整会議によって、これを連携できるようになったらいいのになと考えております。
そこで、最後に、調整会議に臨むには、これで見てわかるように、地域医療支援病院が35あって、社会医療法人が43、地域医療支援病院の中に民間が3分の1はあるわけですけれども、こういうふうなところが、やはり、民間が入って公的・公立と同じ考えで分け合っていかないといけない。
それで、税金がもったいない、あれで人間もダウンサイズするのだったらしても、こういうところでカバーできるのではないかと思っております。
そこで、上から決めていくのではなくて、診療所、病院、そして上に行って公的病院、公立病院の機能役割分担を話し合っていかないと、上から、ここがあるからこれは要らぬ、ここがあるから、おまえらこれをやっておけという体制では、全然うまいこといかないのも事実であります。
以上です。
〇尾形座長 ありがとうございました。
済みません、座長の不手際で、予定の時間を既にオーバーしてしまっております。御提案ですが、これから15分ほど質疑の時間をとりたいと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、そのように進めさせていただきます。
それでは、ただいまの生野参考人からの御発表につきまして、御質問、御意見を承りたいと思います。
今村構成員、どうぞ。
○今村構成員 御発表ありがとうございました。
私、昔、北河内で働いておりましたので、非常に懐かしく聞かせていただきました。
大阪府の方が、以前にもここで発表されて同じ質問をしたのですけれども、大阪は高齢者の方が急激にふえる地域で、ここ10年で2倍ぐらいにふえていくと。だから、今の病床数よりも必要病床数のほうが1万床以上多いという状況があると思うのです。
その中で、大阪は民間病院が主体ですから、これからふえてくる患者さんに対して、民間病院として対応してもらうのが、大阪の状況だと思うのですけれども、今、その取り組みとして、先ほどの問題点の中にも、それが入っていなかったので、今、どういうふうに取り組まれようとしているのかというところを教えていただければと思います。
○生野参考人 まず、現状のベッドを絶対に減らさないでおこうというのが医療機関の関係者、医師会、それから、我々病院協会の考え方です。
まず、ベッドを減らさないでおこうと、それから、過不足分は毎年毎年、地域医療病床機能報告で、その基準を決めていくと。足りないようなものは、2022年に、ひょっとしたら北河内が基準病床数より足りないという状況が起こったら、これは特例でふやすことにしようかというのがあります。
我々は、実は北河内の、これはほしいということで狙っているのですけれども、これが、実は大学病院も足りないのだ、150床要るのだということで、ここでの公民の争いはあるのですけれども、実は、それは現実かどうか、まだわからないですけれども、数値を変えていけば。
もう一個の民間の病院協会の考え方でいくと、他府県から来て、こういうところが来て、実は荒らされるから怖い、嫌だという意見もあって、病床はふやさないといけない、絶対というのもある。
ただ、1つは、地域医療構想は、みんなベッドが不足地域なので、この機能は変えなければいけないけれども、不足地域なのでということで、みんな公も民も安心しながら、この話し合いをしているというのも事実です。
○今村構成員 大阪は、医療だけではなくて介護のほうも同じようにどんとふえるのですけれども、それに対しての対応ができていないという状況で、両方からあふれてくると思うのです。
近隣の県が受けられるかといったら、多分受けられないという状況になってくるので、そうすると、行き場がない方が出てくるのではないかということを危惧しているのですけれども、その辺はいかがですか。
○生野参考人 介護のほうは、これはまた悪い政策ですけれども、サ高住が人口割りで大阪は1番なのです。サ高住がいっぱいあって、むしろ普通の介護保険施設が入らない、100%ならない、むしろこっちに行くと安いということだけで、というのが大阪の現状です。
でも、時代に合っているので、保険制度のもとで介護施設はふえていっています。
むしろ、やはり、急性期の後の、これだけ平均在院日数が短くなって、次の受け皿が不十分です。このために、患者さんらがむちゃくちゃだ、入ったら、入院、手術、すぐ出ていけという状況が、今あるのは、患者にとっては決してよくないと、こんなアホな制度は、もうやめなければいけないと、DPCで、平均在院日数をそろそろこの辺でとめなければいけないのではないかというのが我々の意見で、これを市民の立場あるいは住民の立場、患者さんにもう少し説明していかなければいけないというのが、今、話題です。
〇尾形座長 ほかは、いかがでしょうか。
どうぞ、小熊構成員。
○小熊構成員 先生、どうもありがとうございました。
公立ないし公的と、いろいろお話をしていただいて、6ページなのですけれども、公立・公的病院は、現状を維持し、民間は機能を拡充したいと解釈したのですけれども、今の今村先生のお話にもありましたように、2030年まではふえるけれども、その後、人口が減るということになったら、この拡充をされた施設というのは、どういうふうになるとお考えなのでしょうか。
○生野参考人 これは、2025年、あなた方はどう考えますかというプランで、今は、例えば、がんは余りしていないけれども、今度はやりたいのだと、こういう○ですので、先ほどからみんな○がついているというデータのもとで、真剣にやった話ではないと思います。だから、それで判断していくのは難しい。ただ、調整会議で話し合うには1つの材料だと思います。だから、公だけではなくて、民も全ての病院がこれで議論をするのだけれども、先生、こんなの無理だという話がだんだん出てくると思います、これをもとにね。
○小熊構成員 ありがとうございました。
〇尾形座長 よろしいですか。
ほかは、いかがでしょうか。
伊藤構成員、どうぞ。
○伊藤構成員 ちょっとお話を聞き間違えたかもしれませんけれども、ほとんどの病院が、1回は、この会議の中に出てきて100%近くというのですが、これは、今までの地域の中で実際に会議をやっている立場として、非常に困難といいますか、難しいのに、何かここに秘訣があれば、ぜひ教えていただきたいということ。
もう一点、非常に詳細なデータをお出しいただいているのですが、恐らくこのデータを用いて調整会議の中で、いろんなお話し合いが進んでいると思うのですけれども、このデータは、事務機能としては、どんな形でお出しになっているのか、ここを教えていただきたいと思います。
○生野参考人 いやいや、出ないですよ、先生、見える化ができていないのですよ、こんな資料を渡されて、こんな小さい文字を自分でやるのかということで、だから、きょう来られている先生の産業医大などの先生も言ったけれども、私は、あんな先生のデータがほしい、5大学に交渉しに行く、公衆衛生の先生、こういう研究をしろよと、我々にやれというよりもということで、本当は厚労省のデータが全部そこへ行って、大学病院に何千万飛び込んでデータを出すことになっていたのですけれども、出ない。地域化を見ろ、議論しろと言ったって、みんなこんな資料で、読むのが精一杯で、自分のところの病院を見るのが精一杯で、ここのところをもう少しみんなに広げてやるような方策をとってほしい。
そうでないと、調整会議などやっても、こんなところを見たってわかりませんよ。よろしくお願いします。
○伊藤構成員 まさに先生おっしゃるとおりで、このデータがなかったら、本当に話が一個も進まないというのは、私も同様に感じていまして、ぜひ、こういうものを出していくべきだと思います。
もう一点教えていただきたいのですが、物すごくフランクなお話がされているようにお見受けしたのですが、つまり、公立病院がやることではないだろうぐらいの議論が、その中でなされているように、私は感じたのですが、これは、なかなかやりたくてもできないことで、言ってしまうと禍根を残すといいますか、それが結構しこりになったりするということがあって、これは、どんなように解消されているのか。
もう一点は、補助金について、実は、なかなか公立病院は補助金について公開しろというのは、経営改善計画の中に載っているのですが、実は、それが全然なされていないというのが現状でして、ここのところを少し何か工夫をもってされているかどうかということをお尋ね申し上げます。
○生野参考人 私も1,000床の自治体病院の理事をして経営を見ているのですけれども、例えば、そこには月に5億円入るのですけれども、それは、どれが政策医療で、分散していったときに難しい、でも、そこに入って医療を見ていくと、これは政策医療ということ抜きに公的・公立病院でやらないといけない医療だなと、少し違うところもあるけれどもという程度で、やはり、ほぼ了解はできるのですけれども。
ということで、先生、余りよその病院のことは言わない、やはり、会議ではみんな言えない、言わないことは事実ですね。
でも、例えば、先ほどから言っているように、自治体の話、けしからぬ、こんなのやる、でも、反対しました、住民も反対して、病院も反対して、例えば、最後は、私は医療審議会のメンバーですけれども、これに反対して絶対にいけないと言って、都道府県がそれを言ったのに、これをまだ中央へ持っていって、政府と組んで、これは認めるというような話をして、それで、これをひっくり返したのです。けしからぬと、結局、実は思うようにはならなかったのですけれども、私たちは、最後、謝罪したのですけれども、ここぐらいまで自治体が、今、政治に左右されているのが気にくわないですね。医療を政治のおもちゃにするな、先ほど、これで選挙を出るのだとか、何を言っているのか、あなたは何もしていないではないか、自治体が救急医療の1つでも何か参加してやっているかと、補助金も何も応援もしているか、患者を診に来ているか、あるいはみんな話しているではないか、例えば、生活保護が入ってきても、飛んでいくのは、こっちのソーシャルワーカーなのに、昔は役所が飛んで来たのに、これは、今ないではないか。
というのは、やはり、自治体も市町村が頑張って、こういうことを助けないと、民間病院もばてるし、公的病院は、そんなのはできなくなるというのがあると思います。
〇尾形座長 織田構成員、どうぞ。
○織田構成員 大阪という非常に大きい、人口も大きいところで、どうやってこれを進めていこうかという話の中で、4ページの地域医療構想の進め方の中で、調整会議の前に、懇話会、連絡会、こういうのをつくって、繰り返し議論をすることが非常に重要なのだろうなと思います。
それと、周産期医療云々の6ページですね。これで、公的・公立がどういうことを今後やっていこうかとしているのが見えてくるのだろうと思うのですけれども、こういう中で、やはり、周産期医療とか、そういうところは、もっと公的がやるべきではないかとか、そういう議論に発展していくのかなと思いながら聞いていました。
ですから、こういう議論は、調整会議の前の議論は幾らでもやっていっていいと思いますし、データ的には、どちらかというと、シンプルなわかりやすいデータは幾らでも出てくると思いますから、そういうデータをもとに、さらに進めていかれたらいいなと思って聞かせていただきました。
〇尾形座長 ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
よろしいですか。
それでは、生野先生、どうもありがとうございました。
本日は、大変有意義な意見交換ができたのではないかと思います。3人の参考人の方々には、私からお礼を申し上げたいと思います。
本当に、どうもありがとうございました。
事務局においては、きょうの議論も踏まえて、地域医療構想の実現に向けた一層の取り組みの検討をお願いしたいと思います。
それでは、最後に全体を通して、何か御意見、御質問等があれば承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
どうぞ。
○織田構成員 これは、繰り返しになるのですけれども、今、公立・公的のプランが大体出そろってきましたね。我々の県では、それを徹底して県内の病院に知らそうということで、有床診療所も含めてやっていますけれども、これから、この徹底というか、この情報を、プランを民間病院も含めて徹底して知らせていくことが重要だろうなと思います。実際に、それができていないから進まない。我々は進んでいるように見えるのですけれども、それがなかなか徹底できていないのではないかと思います。そこをぜひ進めていただきたいと思います。
〇尾形座長 ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
それでは、ありがとうございました。
それでは、本日の議論は、これまでとさせていただきたいと思います。
最後に、事務局から何かありますか。
○松本課長補佐 次回の予定でございますけれども、未定でございますので、また、調整をさせていただいて御連絡をしたいと思います。よろしくお願いいたします。
〇尾形座長 それでは、本日のワーキンググループは、以上とさせていただきたいと思います。
皆さん、年末の本当にお忙しいところ、熱心に御議論いただきまして、本当にありがとうございました。
どうぞ、よいお年をお迎えください。
 

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