第5回建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会ワーキンググループ 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

日時

令和元年6月4日(火)15:00~17:00

場所

中央合同庁舎5号館 共用第6会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

議題

  1. 1.建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等の技術的事項について
  2. 2.その他

議事

○中央労働衛生専門官 本日はお忙しい中を御参集いただきまして誠にありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまより「第5回建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会ワーキンググループ」を開催します。本日の委員の出席状況ですが、皆様、御出席いただいております。本ワーキンググループから住宅生産団体連合会からの委員に交代がございまして、中丸委員から村井委員へ交代されております。よろしくお願いします。私は事務局の高村と申します。小林の後任として4月から着任しております。よろしくお願いします。それでは、以下の議事進行については豊澤座長にお願いします。
○豊澤座長 こんにちは。議事に入る前に事務局から資料の確認をまずお願いします。
○中央労働衛生専門官 資料については、委員の皆様には目の前のタブレットの所に御用意をしております。資料は1種類、建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等の検討における技術的事項に係る対応の方向性案ということで御用意しております。委員のお手元のタブレットには過去のワーキンググループ、検討会で提出しております資料についても全てタブレットの中に入っておりますので、適宜御参照いただければと思います。傍聴者の皆様には、昨日16時までにホームページにアップするというところがちょっと間に合いませんでしたので、皆様方に紙で資料を用意させていただいております。お手元にない方がいらっしゃいましたら挙手でお願いします。
○豊澤座長 よろしいですか、それでは本日の議事に入りたいと思います。まず(1)建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等の技術的事項についてです。前回までのワーキンググループで、第2回の合同会議で確認した論点に関する技術的事項についての御意見を一通り頂いておりますので、それらを踏まえて事務局で対応の方向性案として整理した資料をまとめていただいております。本日の資料は1から10までですけれども、幾つか関連する事項ごとに区切って議論を進めて参りたいと思います。
 まず、1から3まで、事務局から説明いただければ有り難いと思います。よろしくお願いします。
○中央労働衛生専門官 それでは、資料1の1から3まで御説明させていただきます。資料1の2ページ目を御覧ください。1から3までについては、事前調査に係る事項について御検討いただいた、この辺りをまとめたものです。
 1の「事前調査の方法」についてですが、検討の背景としては、事前調査については石綿則第3条第1項において目視、設計図書等による調査をすることとされており、技術上の指針において、建築物に使用されている建材等の使用箇所や種類等、網羅的に把握できるように行うこととされ、石綿飛散・漏洩防止対策設定マニュアル等において解体・改修等を行う全ての建材が対象であり、必要がある場合は切断等による取壊し等も行うことなどとされておりますが、必ずしもこの石綿則第3条の調査として行うべき具体的方法(範囲)が示されていないという状況がございます。
 そのような中で、平成28年、総務省の勧告において、石綿建材の調査が不十分で、必要な処置が講じられずに解体等が行われている事例が見られるなど、適切な事前調査の徹底が必要な状況にあり、それらの要因として、調査を行うべき方法に関する認識不足などが指摘されております。こうした状況を踏まえ、事前調査の範囲・方法の明確化についてワーキンググループで御議論いただきました。その対応の方向性案として次のとおりまとめております。
 1)として、石綿則第3条第1項に基づく石綿の事前調査の適切な実施の徹底を図るため、法令上の義務となる事前調査の方法(範囲)を一層明確にすること。
 2)、建築物の事前調査の方法(範囲)について、現地調査を必須化するとともに、以下のように調査内容を明確化すること。以下、○については、調査内容としてお示しするものです。
 1つ目の○ですが、現地調査について、外観からでは直接確認できない部分も含め、解体・改修作業に関わる全ての部位を対象とする。ただし、事前調査が困難な箇所については着工後確認を行うこと。
 2つ目の○、同一と考えられる材料の範囲について、同一ロットのものなどを例示するとともに、例えば表面仕上げが同一色であることをもって同一と考えられる材料の範囲だとは判断せず、天井板であれば点検口から裏面を確認するなどの客観的かつ合理的な判断方法を示すこと。
 3つ目の○、石綿を含有する可能性のある建材について、石綿含有なしと判断する方法としては分析による方法のほか、〇1当該建材について商品を特定し、かつ〇2当該商品についてメーカー証明・情報と照合する方法によることとする。上記〇1の特定方法として、〇1建材の表示(印字等)の確認、〇2印字等のない建材については専門知識を有する者が商品を判断することを示す。上記〇2の証明に関しては、例えば原材料の変動性、生産ラインにおける異物混入防止措置の状況、分析による原材料又は製品の品質確認状況などのメーカーが証明する際に考慮すべき事項を示すこととしております。
 4つ目の○としては、3ページ、分析のための試料採取に当たっては、同一と考えられる材料の範囲内においても石綿の含有状況は一様ではないことから、吹付け材であれば当該同一範囲を3等分して計3か所から採取するなど、材料の変動性・均一性を適切に考慮して採取箇所を選定することを示すこと。こうした形で、事前調査の範囲・方法については対応の方向性案としてまとめさせていただいております。
 続きまして、同じく事前調査に係る事項ですけれども、4ページに進んでいただき、2「石綿の事前調査を行う者の講習制度等」です。技術上の指針においては、事前調査について一定の知見を有し、的確な判断ができる者が行うよう示し、通知においては、こうした者については建築物石綿含有建材調査者の講習を修了した者が含まれると例示しておりますが、規則等においては調査を行う者の要件を明確に示してはおらず、一方、石綿含有建材の事前調査に関する知見・ノウハウ等の集積等により、適切な事前調査のためには石綿に関し一定の知見を有する者による質の高い事前調査が従前以上に求められている状況にある。
 一方、解体業者は4万社を数え、今後、石綿含有建築物の解体が増加することが見込まれる中、先ほどの調査者制度による調査者の数は、平成30年度末の時点においては約1,200人と必ずしも調査能力を有する者を確保していない状況にあると考えられております。
 こうした状況の中、適切な能力を有する事前調査者が着実に育成・確保されるよう、事前調査者の具体的な要件等を明確にするとともに、能力修得方法のための講習制度等を整備することについて、これまでのワーキンググループで御議論いただいたところです。
 この御議論を踏まえ、次のように対応の方向性案をまとめております。1つ目として、石綿含有建材を使用する建築物の解体等が今後増加することも念頭に、適切な能力を有する事前調査者が着実に育成・確保されるよう、事前調査者の具体的な要件を明確にするとともに、能力修得のための講習制度等を整備すること。
 2)として、事前調査者の具体的な要件等としては、建築物石綿含有建材調査者又はそれと同等以上の知識・経験を有する者とする。ただし、木造戸建てについては鉄骨構造のビル等と比較して石綿含有建材の種類は限定的であり、必要な知識・範囲も限られることなどの理由から、建築物石綿含有建材調査者の講習内容から、鉄骨構造等ビルに係る講習内容は除くなど、木造戸建ての事前調査に特化した内容の石綿作業主任者などに対する講習とした上で、当該講習を受けた者も事前調査を行うことを可能とすること。
 3)として、特定建築物や大規模の建築物調査は、構造が複雑であったり使用されている石綿含有建材も多様であることなどから、特定調査者又は一定の実地経験を積んだ一般調査者によることを推奨すること。
 4)として、解体工事等を行う事業者は非常に多いことから、できるだけ多くの者が事前調査を行うための知識・能力を修得できるよう、講習実施体制及び修得のための期間を確保すること。解体工事等を行う事業者は小規模事業者が多いことなどから、講習の受講について必要に応じて支援を行うことが必要であるということで対応の方向性案をまとめさせていただいております。
 次のページの5)に、3)でお示しをしております木造戸建てに係る事前調査の講習の内容を、案ということで、その時間も含めお示ししております。科目としては、石綿含有建材の建築図面調査を3時間程度、現場調査の実施と実際の留意点を3時間程度、建築物石綿含有建材調査報告書の作成を1時間程度としています。注のところにございますが、これは石綿作業主任者向けの講習ということで、安全衛生法令、建築物、石綿、石綿関連疾患等の基礎知識に係る科目をもう既に受講されているということで外しておりますが、それ以外の方が受講する場合はそれらを受講することとしております。
 修了コースについても、筆記試験を講義のあとに実施し、受講資格については石綿作業主任者技能講習を修了した者など、現在の建築物石綿含有建材調査者の受講資格と同じとしてはどうかということでお示ししております。
 続きまして3番目、「石綿含有分析を行う者の講習制度等」です。石綿則第3条第2項において、建築物の解体等を行う際、事前調査で石綿使用の有無が不明だった場合については分析を行うとされており、技術上の指針においては十分な経験及び必要な能力を有する者が行うことと示しております。ですが、分析を行う者の要件については法令上明確には示されていないということで、石綿分析を行っている者の中には十分な基礎知識のない者が散見されるなど、必ずしも必要な能力を有する者が分析を行っていない状況にある。こういった背景を踏まえ、適切な能力を有する分析者が着実に育成・確保されるよう、分析者の具体的な要点等を明確にするとともに、能力修得のための講習制度等を整備することについてワーキンググループで御議論いただいております。
 その議論を踏まえ、次のように対応の方向性案を取りまとめております。1つ目として、石綿含有建材を使用する建築物の解体等が今後増加することを念頭に、適切な能力を有する分析者が着実に育成・確保されるよう、分析者の具体的な要件等を明確にするとともに、能力修得のための講習制度等を整備すること。
 2)として、分析者の具体的な要件としては、以下に示す講習内容を修了した者又はそれと同等以上の知識・経験を有する者とする。なお、分析方法によって用いる分析機器が異なることから、少なくともどちらか一方の分析方法に係る講習を受講することとしてはどうか。
 3)として、分析者の要件とする講習の内容の案をお示ししております。講習時間数については、ワーキンググループに資料として御提示いただきました民間の講習機関によるJISの1による定性分析法とJISの4による定量分析法に係る講習内容、時間を参考とし、一方、平成28年度の厚生労働省の委託事業で検討されましたJISの1及び4による定性・定量方法、JISの2、JISの3による定性・定量方法に係る能力向上研修のカリキュラム等も参考として時間数については設定しております。以上、1から3までの説明です。
○豊澤座長 ありがとうございました。ただいま御説明のあった資料1の1から3について、事前調査に関する事項ですけれども、御意見を頂ければと思います。ただ、御意見を頂く際は1から3、対応の方向性の1)から3)のどの部分について御意見を言われているのかを明確にした上でお話いただければ有り難いと思います。よろしくお願いします。それでは、御意見を承りたいと思います。
○亀元委員 6ページ、分析の講習制度が出ているのですが、日本環境測定分析協会、日本作業環境測定協会では分析の技能試験をやっています。厚生労働省の徹底マニュアルで、ちゃんと技能試験を受けた所を使うようにというようなことを書いているので、講習をやってから、かつ技能試験をやる流れをきちんと維持してもらったほうがいいと思います。授業を受けたからといって分析ができるようになるわけではありません。やはりたくさんのサンプルをきちんとやって、その上で技能試験に臨むというのが一般的な分析者の研鑽方法です。そういった技能試験の体制が日本環境測定分析協会、日本作業環境測定協会に確立しているので、それをきちんと制度に入れてほしいと思っています。
○豊澤座長 ありがとうございます。今の意見についてプラスアルファ、1、2についても意見をお受けしたいと思います。事務局から何かありますか、特にないですか。
○亀元委員 4ページの前書きに解体業者が4万社いらっしゃると書いてあります。4万社の方たちをトレーニングするのは大変というご意見も以前出ていたと思います。
 この前の長野県飯田市の保育園の事件は、解体業者は「私は知らなかった」と言いながら入り、天井を外して作業するときはタイベックを着ていたそうです。こういったことから、4万社の解体業者のレベルアップというよりも、ライセンス制にして、悪いことをする業者は即ライセンスはく奪で、そういった仕事を受けてはいけないといった制度にしたほうがもっと効率よく管理できるのではないかと思います。
 せっかく講習をやるにしても、資格制度みたいなものを作ってライセンス制度にして、もし違法行為があった場合は仕事をできなくするようなことにしない限り、飯田市の保育園のようなことは再発するのではないでしょうか。一生懸命調査の仕方を教えても、養生なしで撤去する業者がいるということは、なかなかアスベストのばく露は減らないです。ここはよく考えたほうが良いです。厚労省が立入りもするということであれば、4万社全部を対象にするよりも、ライセンスを持った業者に立入りをするほうがずっと効率的です。そういった制度に切り替えたほうがいいのではないかと、今更ですが思いました。
○豊澤座長 ありがとうございます。今の意見も含めて何か、1から3についてありますか。
○姫野委員 今の意見と同じになるかもしれませんが、対応の方向性案の2)で、建築物石綿含有建材調査者又はそれと同等以上の知識・経験を有する者、これは何で分かるのですか、何でこの人を規定できるのですか。試験もせず。私はこれだけ持っていますよと言えばいいのですか。こういう文章の書き方が多いから、さっき言ったように東京文京区「さしがや保育園」、今回長野県飯田市「明星保育園」があり、神奈川県藤沢市「浜見保育園」もあった。これ、全国繰り返されているわけですよね。もういい加減にしましょう。きちんとライセンス制にするか。そして先ほど言ったように、解体工事がピークを迎える。だから、こういう制度が必要。だから、何月何日までにこういう制度に切り替えます。要するに需要と供給の関係ですよ。このような制度は、前もって告知すれば受講者は増えるわけですよ。恐らく、これを発表しても誰も受けないですよ。私はそれだけ能力がありますと言えばそれでいいのでしょう。この文章はそういうことでしょう。違いますか。
○中央労働衛生専門官 そこについては、同等以上の知識・経験を有する者ということで、誰でもということではございません。調査者と同等以上の知識・経験を有する者の要件については、告示で定めるという形が適当ではないかというように考えております。
○姫野委員 それだと、きちんとライセンス制にしたほうが早いのではないですか。それと、規制を掛ければ、需要があるわけですから、必要性があるわけですから、当然そういう仕事をする人はそういう資格を取っていくわけですから。ただ、その期間を設ければいいわけです。皆さん、取得する期間を設ければ受けるわけですから。そうされたらどうでしょうか、そうしたら同じことを繰り返さなくて済むと思いますよ。
○豊澤座長 今のは、(2)というのは戸建て住宅については。
○姫野委員 いや、2)、対応の方向性案。4ページです。それともう1つは、よく言うのですが、石綿の調査や工事は、知識があっても経験がなかったら駄目なのです。現場を知らない人が何回調査しても、見落とすのです。その辺、ここにいらっしゃるほとんどの方は分かっているはずです。やはり、そういうきちんとした制度の中でそういうものを育てなければ同じ事故を繰り返すという、事故が起こったことの反省、これを何もやっていないというのは余りいいことではないのではないですか。皆さんよく分かっているはずですよ。
○豊澤座長 事務局、よろしくお願いします。
○課長補佐 すみません、ちょっと補足させていただきます。この「同等以上の方」というのは、石綿建材調査者の方に一本化していくというのが基本だと思いますが、例えば、新しい仕組みを入れたときに、既にこれまでいろいろな経験を持っている方とか、既に今、指針などで示していますが、特定の資格を持っていて、十分に調査をする能力がある方をもう一回講習を受けさせる必要があるのかという議論はあり得ると思います。ですので、完全に一本化して、それまでの方を全部排除するということが本当にいいのかどうかという議論もあると思いますので、そういう意味で同等の能力・知識を有する方とさせていただきました。それ以外に広げようとか、そういうことを別に考えているわけではないということは御理解いただければと思います。
○外山委員 少し関連して、長野県飯田市の事件というのは私も衝撃を受けました。20年前に文京区で同じような事件が起きていて、園児がアスベストにばく露するということがあった。全く同じように、天井板を外して改修工事をする中で発生しているというのは、やはり大変重く受け止めなくてはならない。この20年間の間、2005年に石綿則が施行されて大気汚染防止法も改正された中で、こういうことが起きてしまっているということを考えなくてはいけないと思います。
 今日の国会、午前中の内閣委員会の中でも質問が出て、厚生労働副大臣も再発防止に努める、この委員会を通じて、今、法改正を検討しているということをはっきりおっしゃられているので、ここは改めて考えなければいけないと思います。
 亀元委員が除去のライセンス制ということを言われたと思うのですが、今回の検討会の中で必ずしも議論になってはいないのですが、やはり私はこれは必要だと思っています。環境省の小委員会の中でも次回、6月24日にそれを検討する予定となっていますので、そういった動向を見ながら、ライセンス制というのはどういうことになるか、影も形もないわけですし、今回の改正でできるかどうか分かりませんけれども、逆に将来的にはそれを決定していく必要があると思います。
 今、検討している中で少し私の意見ですが、3ページ目、分析のための試料採取です。2行目、吹付け材であれば当該同一範囲を3等分して計3か所からという辺り、この辺はあまり合理的ではないというか、3等分してというのが果たしていいのか。現場現場によって違うので、その状況に応じて結構これはいろいろな採り方というか、判断の仕方があるということと、やはり代表的な建材を採るというのが大事ですので、その辺り、せっかく調査の資格者を作っていくわけですから、ある程度そちらに任せるというか、資格を重くして、そちらの判断に任せるというような方向性を考えたほうがいいのかなと思いました。今の分析マニュアルや徹底マニュアルの中では、一律的に成形板も3か所からとなっているのですが、これは合理的ではないという声が分析者や調査者の間から上がってきています。その辺り、もう少しフレキシブルに考えたほうがいいのかなと思っています。
 もう一点、事前調査の信頼性という点で技術的な検討も大事だと思うのですが、例えば石綿則の第8条には発注者の努力義務というのがあって、ちょっと略しますが、発注者は当該工事に係る建築物等における石綿等の使用状況等を通知するように努めなければならないとなっています。これは努力義務で罰則もないのですが、ここは「通知しなければならない」とすっきりすれば罰則も掛かってきますし、先ほどの飯田市の保育園の事例だと発注者、石綿則上は何の罰則、処罰も掛からないわけですが、そういったことも対応ができる。調査しなければいけないという法律がないので十分ではないかもしれませんが、例えば建築基準法の中の定期報告義務、そういったような情報があれば、発注者から事業者に伝えなければいけないという義務が発生してきますので、一定の効果はあると思います。以上です。
○本山(幸)委員 3ページの、今の木造戸建てに係る事前調査講習の内容という所で、意見を申し上げたいと思っております。この石綿作業主任者に対して、7時間程度の講習をすることで調査ができるようになる。ただし、木造戸建てに限るということにはなるのですけれども、恐らく件数的には非常に多い件数になると思いますので、そうなってくると一般調査者を受ける人たちが激減するのではないかと感じられます。
 それともう1つは、木造戸建てにおいての調査というのが、例えばハウスメーカーさんで作られるような質の高い仕様書、仕上表が書かれている建物と、一般の町場の大工さんが建てる、何も管理がされていないと言っても過言ではないような建材を使う木造の戸建て住宅においては、全く調査の手法が変わらざるを得ないようなレベルの違いが大きく出るような感じがしておりまして、この辺に差を付けるのは、余り得策ではないのではないか。
 特に、平成29年度に厚労省で実施された石綿作業主任者に向けての事前調査ということは、半日ぐらい掛けて講習が開催されましたけれども、あのとき私も講師として参加させていただきましたが、非常に手応え的には薄いものがあって、もっと大事なポイントを絞り込んでいくべきではないのかなと感じております。その件につきましては以上です。
 それと、基本的なことにはなるのですけれども、1ページの対応の方向性案の2)の○の1つ目ですが、事前調査が困難な箇所は、着工後に確認を行うと。これは恐らく解体工事のことを言われているのだと思いますけれども、解体工事をやることと、除去工事をやることというのを、基本的に今回の改正でどうのこうのということではありませんが、区別をきちんとやらないと、解体工事イコール除去工事の状態になっていて、その区別がないばかりに、対応が取れていない部分を感じております。それと、できれば解体工事と除去工事を区別して発注をしていただくことで、より安全な対策が打てるのではないかと。
 それともう1つは、このワーキングでも議論されましたけれども、除去工事後の完了検査というものを考えたときに、これは是非実施されるべきものでありますし、資格も必要であると感じます。それをやるためにも解体工事と除去工事というのは、別発注で発注されないと、解体工事が終わった後は何も残っていないということになるわけでありますので、是非ともここは仕分けして区別してという、お考えができるようにしていただければと思います。以上です。
○豊澤座長 ありがとうございます。
○亀元委員 今の本山さんの発言に大賛成です。私も解体工事と除去工事は別々のほうがいいと思うのです。除去工事をやっている最中に解体工事が始まると、そのバックグラウンドのエアの値を拾ってしまって、セキュリティゾーンで1本/Lを超えて出てしまうことが良くあります。また除去と解体工事が同時だといろいろ現場がぐちゃぐちゃになります。除去が終わって直ぐに解体工事が入ってしまうと、取り残しがあっても何も分からなくなってしまうのです。だから、きちんと完了検査をやるためにも除去と解体工事を分けるのはすごく意味があります。
 話を戻しますが、調査の資格制度をきちんとライセンス制度にして、何か悪いことをしたら、ライセンスはく奪という罰則を与える仕組みにしておかないと、一生懸命教育してもだめだと思います。
 長野の事件というのは確信犯みたいな状況になっていると思います。厚労省の委員会でこうやって一生懸命新しい制度を作っていますが、一番大事なポイントを抜かしている状況になってしまうのではないかという、そこがこの1番、2番、3番に共通する残念な状況になっているような気がするのです。だから、ライセンス制をちゃんとやらない限り、繰り返し同じような事故が起きてしまうのではないかということを強調したいと思います。
○豊澤座長 一応これはライセンス制というか、個人に教育をさせると。そこはライセンス制に似ていると思うのですけれども、亀元委員が言っているのは、企業にライセンス制を与えたいということなのでしょうか。それプラス個人にも、そういうライセンスを、これは正にライセンス制だと思うのだけれども。
○亀元委員 自動車免許で悪いことをしたら免停になると同じです。1年間仕事ができなくなるぐらいの罰則がない限り、ちゃんとした調査も工事もされないのではないかと思うのです。
○課長補佐 一応、御意見としては、いろいろお伺いできると思うのですけれども、業そのもののライセンスという点は、ここの場で議論する話とは、ちょっとずれていると思います。それは御意見としては、お伺いしたいと思います。
○亀元委員 動物病院の看護師さんの国家資格ができたということで、ニュースでやっていたのですが、それはそれで私も愛犬家なので、すごく大事だと思うのですけれども、アスベストは亡くなる方のほうがすごく多いので、真面目にライセンス制を作らないといけないと思うわけです。
 今、多く亡くなっている方は、当時、建材を作っていらっしゃる方と、当時それを使って建築工事をされていたかたです。そういう建築中の建物にはテナントがいませんでした。今、これから発生するのは、テナントとしていらっしゃるかたがばく露しておこる被害です。今回の保育園もそうですが、アスベスト対策をしないまま耐震工事をやっている4か月の間、隣で園児が保育されていたわけです。その園児たちや先生が被害を受けるわけです。そしてそんな工事をやっている方たち自身も被害を受けるわけです。だから、昔と被害を受ける対象が変わって、広がってきているのです。園児がばく露することを真面目に防ぐためにも、やはり「画竜点睛を欠く」ではないですが、ちゃんと目を入れるためにもこの委員会で、罰則制度をきちんと検討したほうがいいと思うのです。
○浅見委員 まず、4ページですけれども、対応の方向性案の2)の4行目辺りです。木造戸建てと鉄骨構造のビルなどという区分が出ていますけれども、これは最終的には、言葉をちょっと気を付けるといいますか、直していただければと思います。戸建てで鉄骨構造もありますしRC造もありますので、木造その他なのか、あるいは耐火被覆があるのかないのか、そのような観点で、もう一度言葉を整理していただければいいかなと思います。
 あと、6ページですけれども、分析者の要件とする講習の内容の、特に私の関係で申しますと、建材に含まれる材料の性質と組成辺りは、分析する方にとって非常に参考になると思いますので、これは是非、入れていただければと思います。例えば昔の石綿のクリソタイルと代替品のセルロース繊維、これを光学顕微鏡で見ると、非常によく似ているのです。その他、よく似ているものがありますので、この辺りをやはり講義などで教育していただければと思います。以上です。
○豊澤座長 ありがとうございます。
○出野委員 全解工連の出野と申します。もう既に発言が出ておりまして、重複する部分が多いかと思いますけれども、ちょっと意見を述べさせていただきます。4ページ目の事前調査の講習制度についてなのですけれども、基本的にはこの講習制度に賛成したいと思います。現場担当者、現場関係者、非常に知識が危ういという状況には違いないと思っておりますので、是非やっていただきたいと、これが1点目です。
 2点目は、やる以上は、先ほど発言がありましたように、きちんとやっていただきたいと。望ましいとか推奨しますとか、そんなレベルの講習ではなくて、講習を受けないと仕事ができないと、そういう形にやっていただきたいと。これを徹底していかないと、はっきり言いまして、何をやっても駄目だと思います。解体業者の性悪説というつもりではありませんけれども、そういう傾向がなきにしもあらずということで、是非、強力にやっていただきたいと、これが2点目です。
 それから3点目が、これも何回も申し上げているのですけれども、解体業者は4万社という発言がありましたけれども、私の認識では延べ70万社です。建設業の許可を入れましたら46万社なのですけれども、皆さん、複数の許可をたくさん持っています。誰が解体をやっているのか、解体工事用の許可だけだと4万5,000社です。それ以外にゼネコンの方、要するに建築工事業で、現在約15万社ぐらいですか。これも解体工事をやります。
 それから、各専門工事業者も全部解体をやります。管工事、大工、設備、それぞれ自分の解体をやります。そこにもちろん石綿があります。建設工事の許可がない方、500万円未満の工事しかやらない方は建設業の許可は要りません。こういう方は登録業者になっています。こういう方も解体はやります。
 延べ、全部計算しますと、大体70万社になるのです。そういう方をきちんと捕捉した上で、きちんと講習制度を作って、きちんと受けさせると。受けなかったら仕事をさせないと、違反をしたら業許可を取り消すのは、ちょっと制度的には難しいかもしれませんけれども、何らかの罰則を科すと、二度とそういうことはさせないと。そういう強い姿勢で是非やっていただきたい。真面目な業者はきちんとやるけれども、真面目ではない業者はいつまでたってもやらないという状況のないように、是非お願いしたいと思います。以上です。
○豊澤座長 ありがとうございます。
○笠井委員 全建の笠井です。どうぞよろしくお願いします。皆さんからもご意見が出ていますが、2ページ目の「同一と考えられる材料の範囲について」という箇所につきまして、同一ロットのものなど括弧書きして、「耐火時間などの仕様が同一など」と書いてありますが、耐火時間というのは、その性能が必要であることから、ここの部位は耐火時間が1時間以上の性能を有する建材を使わないといけないとか、あるいは2時間以上のものを使わないといけないということになるので、これが同一ロットであるかの判断には、ならないと思います。ですので、ここの書き方は検討が必要かと思っています。
 2つ目として、その下の「石綿含有なし」と判断する方法について、これは材料メーカーがここに書かれてあることをもって照合する方法とおっしゃっているのかどうか分かりませんが、我々としては材料メーカーから、「石綿含有のない建材です」という証明書をもらったら、それが一つの証明書と捉えているので、その証明をするのに、資料の1ページ目の〇1とか〇2に書いてあるような内容のことまで確認しなければならないとなると、これはハードルが高いですし、現実的な話かどうかを、材料メーカーに確認してみないと分かりませんが、当時のものの生産ラインにおける異物混入防止装置の状況とか、材料の変動性などが分かるものなのか疑問をもっています。
 3つ目に、これは外山委員が非常にお詳しいと思いますが、例え専門知識を持った人が材料を見て、その商品がこれこれに該当するというように特定できるかということについても、非常に難しいことだと思います。したがいまして、ここはメーカーに、どのような証明が出せるか、問合せをしていく必要があると思っています。
 4つ目に、3ページ目の調査者に関する論点ですが、皆さんもご発言されていますが、これについては「事前調査の具体的な要件を明確にする」と書かれていながら、あまり具体的ではありません。3)に唯一、「特定建築物とか大規模建築物の調査は、(中略)特定又は一般調査者・・・」と書いていますけれども、ここでも特定と一般の区別がなく、その差が何なのかがよく分かりません。
 加えて、戸建てについてですが、浅見委員がご指摘されたように、戸建てというのは木造だけではなくて、RC造もあるし鉄骨造もありますので、これらの用語の定義の整理が必要であることと、特定調査者と一般調査者というのは、やはりもう少し明確にしていただかないと、今、調査者の講習会の受講者数の推移を聞いても、頭打ちになっていて、期待したほど人数が増えないという状況に陥っているようです。その原因としてはやはり、この辺のことが明確になっていないこと、あるいは、この講習を受けないと調査できないということになっていないからだとも感じていますので、今後どのように調査者を育成していくかの工夫は必要だと思っています。
 最後に分析については、私は分析のことは素人ですので、よく分かりませんが、いずれにしましても、厚労省から出している「アスベストの分析マニュアル」に則った分析をすることと明確にしていただければ、我々、分析を依頼する立場からすると、「アスベストの分析マニュアル」に則ってやってくださいという発注の仕方ができるので、それは1つの明確な方法として、分析機関に要求できると思っています。以上です。ありがとうございました。
○豊澤座長 ありがとうございます。
○姫野委員 今の発言の中で、ちょっと反論があるのですが、メーカーさんの不含有証明の件で、これは私の経験ですが、レベル3の天井材、これは当時、同じラインで含有製品、非含有製品を作っていたわけです。それで、当時はラインをフラッシングしていないのです。それで石綿含有建材として調査したら出てくるのです。明らかにメーカーさんの証明書はありました。だけど、面積が広いから、1か所か2か所、安全サイドでサンプリング採取した天井材に石綿がが出てきたわけです。お客さんは怒るわけですよね。不含有という証明書があって、何で入っているのだと、お前の所のミスじゃないかと。メーカーさん自体は、当時フラッシングしていなくて、しゃあしゃあと不含有ですという証明を出しているから、やはりメーカーさんにそこまでして、ちゃんとやっていますかという問合せは必要だろうと思います。ハードルが高いのではなくて、実際にもし自分たちが解体して、第三者が分析して、あそこの会社は含有製品を不含有で捨てているとなったら、そこの会社はおかしくなりますから。以上です。
○豊澤座長 ありがとうございました。
○米谷委員 日建連の米谷です。2点、意見を述べさせていただきたいと思います。1点目は、先ほど笠井委員もおっしゃられた、1ページ目の最後の○の含有なしに関しての根拠についての記載ということなのですけれども、私自身も、多くの部分は、その建物の竣工年による判断というのが、まず第一にあるのかなと思っております。それに加えて、建材の表示の確認、あるいはメーカーが発表している情報といったところであって、それ以外の部分というのは、あまり現実的ではないのかなという気がしています。
 併せて申し上げますと、「なし」と判断した根拠というのを、全て個別に記録するというと、かなり手間になってしまいます。そういう意味で、ちょっと先走った話になってしまうのですけれども、資料の13ページ目に簡易届の書式があります。ここの中では、最初から「石綿含有あり」のものだけを対象にした記載が、データという形になっています。ここの中に逆に、石綿含有があるかどうかにかかわらず、左側の建材というのが使われているかどうか。使われていたとした場合に、石綿があるかないか、ないとしたら、何を根拠に、そのような判断をしたのかというのを、チェックボックスで選ぶような形で届出の中に入れてしまえれば、別にそういった記録を残しておくという手間は省けるのかなという気がしております。それが1点目です。
 もう一点ですけれども、これはあまり議論がされていない部分になりますが、4ページ目の3)です。特定調査者又は一定の実地経験を積んだ一般調査者による調査、これも推奨なのですね。これもできれば推奨ではなく、「ねばならない」にしていただいたほうがいいのかなと思います。この対象というのが、「特定建築物や大規模の建築物の調査は」というような形で書かれています。特定建築物の中身が、この注意書きの所で書かれていますけれども、3,000平米以上というのは、この興業場、百貨店うんぬんというので、学校に関しては8,000平米以上というような書き方になっています。
 とりあえずは、この形で始めるというのは、ありかなと思うのですけれども、これでいきますと、集合住宅とか、かなり大規模なもの、恐らくここで8,000平米が出てきているので、それよりも大きな規模のものが、この大規模な建築物というほうには出てくるのかなと、勝手に想像しております。そうしますと、相当大規模なものだけが対象となるものとして、集合住宅など、あるいは工場といったような所が出てくるのかなと思っています。逆に言いますと、先ほど来、話が出ている幼稚園とか保育園といったような所は、一切、この対象にはなってこないということになるように思えます。そういった所が、かなり気になります。
 とりあえずこれで、ということかもしれませんけれども、その後の状況を見て、更に拡大するとか、そこまでに一般調査者も、かなり実力を上げてきて、誰がやってもいいようになっているという状況であれば、もしかしたらこのままでもいいという判断もあるかもしれませんが、そういったことを、少なくとも、もし今回このままで通るとしたら、将来的な課題として残していただきたいと思います。以上です。
○豊澤座長 ありがとうございます。大分時間も押してきましたが、1から3について、幾つか貴重な修正意見を頂きました。あとはプラスアルファの意見として、制度を徹底するとか、ライセンス制度にするとか、罰則を強化するとか、きちんとやるべきだという御意見を頂きましたけれども、一応、私の感じだと、皆さん、この方向性については、大筋では賛成すると理解しましたが、それでよろしいですか。
 今日、頂いた意見は、まとめて次回の委員会のほうに報告するという形になるかと思いますけれども、まずは、この1から3については、よろしいでしょうか。
 それでは、資料の1の4から5までの説明を事務局にお願いして、4と5について議論していきたいと思います。事務局、よろしくお願いします。
○中央労働衛生専門官 それでは、資料7ページを御覧ください。4については、「事前調査結果の記録の内容」についてです。検討の背景といたしましては、解体・改修工事は年間約1,000万件であるなど、網羅的な解体現場、解体等の現場の指導は困難な状況にあり、一方、解体業者における石綿作業主任者の選任、石綿健康診断の実施等が徹底されていない等、先ほど御意見もありましたが、約4万社の解体事業者の石綿則に基づく基本的な管理対策が必ずしも徹底されていない状況にあること。それから、建築物の解体等における対策は、工場等での対策と異なり、解体工事が終わった後においては、石綿の事前調査や、これに対応した対策を実施したか否かを現場で確認することが困難といった状況から、解体業者にとって、事業者にとって適切に対策を実施しようとする動機付けが働きにくい状況にある。
 そんな中で必要な石綿ばく露防止対策を全く取らずに解体が行われている事例が複数指摘されるなど、解体業者の石綿対策の実施を確保するための環境整備が課題となっている。主に解体業者の店社への指導を行うとともに、店社への指導結果その他の状況から、石綿ばく露防止対策について問題のおそれがある解体現場などに対して、指導を行うための基礎資料となる事前調査の結果の記録の保存等を義務付けること及びその記録すべき調査結果、保存期間についてワーキンググループで御議論いただいた後、それについての対応の方向性としてまとめております。
 1)ですが、石綿の調査結果の概要については掲示の義務が課されているが、解体等の作業を行う労働者が石綿含有建材の場所と詳細情報を共有し、具体的に確認できるよう、調査結果を現場に備え付けること。
 2)として、調査結果については、行政による店社に対する指導において関係書類として検査できるよう、また、解体業者等が適切に石綿ばく露防止対策を講じる動機付けのため、解体等現場を記録した石綿含有建材の調査結果を保存すること。さらに、労働者の健康管理の観点から、労働者の作業内容・期間等の40年保存の作業記録の内容に、1)で記録する調査結果からまとめた調査結果の概要についても併せて40年の保存を求めるとともに、これらの記録の作成のため、また上記の先ほど申し上げた目的のため、調査結果について自主点検の記録の保存期間は3年ですが、こうしたことを踏まえ、一定の期間保存することということです。
 具体的な現地調査の結果の内容としては、(ⅰ)でアから8ページに向けてオの所でまとめております。まずアですが、調査結果、事前調査の結果、石綿含有建材の使用箇所を特定できる情報として写真などとする。かつ分析結果や、有りとみなしたことなども含めて残す。必要に応じて図面による調査結果を残すこととする。イですが、調査方法・調査箇所についても記録を残すこととしてはどうか。※ですが、石綿を含有する可能性のある建材について石綿含有なしと判断した場合は、その判断根拠とそれに対応する同一建材範囲、それから具体的に分析によらない場合は、特定した商品名及び特定商品等についてメーカーが非含有を証明した書面など。8ページに進みますが、分析を行った場合は、試料採取箇所の特定できる情報。これは写真・図面に記載など、こうしたことを含むものとする。ウですが、調査を行った社の名前。エですが、調査の範囲。改修等の場合に、調査範囲と作業範囲との一致状況を特定できる情報などを残す。オですが、その他の必要な情報として調査年月日、事業場の名称、建築物の種別など。
 (ⅱ)ですが、分析の結果についても残していただくということで、アの所で分析結果。石綿なしと判断した場合の判定基準とした含有率、対象の石綿の種類等を含めて分析結果を残していただくということ。イですが、具体的な分析の方法、分析を行った社のお名前。エですが、その他必要な情報として分析年月日、事業場の名称、分析結果と試料採取箇所の対応状況等が分かる情報など、こうしたものを調査結果として記録、そして保存を求めてはどうかということでまとめております。
 次の9ページですが、同じような今の事前調査の結果の記録と同様の目的に活用することを念頭に、記録の内容、保存期間等についてワーキンググループで御議論いただいたところです。それを踏まえ、次のように対応の方向性案としております。1)として、作業の実施状況及び従事労働者の記録については、特に法令に基づき実施が義務付けられている事項について記録することとし、保存期間については現行法令で40年保存が義務付けられている作業の記録のための前段の記録、6月以内ごとに行われる石綿健康診断の対象者を特定するための記録とし、店社への指導時に確認ができるよう、自主点検の記録の保存年数が3年であることを踏まえ、一定の期間保存すること。労働者の健康管理の観点から、労働者の作業内容・期間等の40年保存の作業記録の内容に、上記の作業の実施状況等の記録からまとめた湿潤化、保護具の着用など、ばく露防止対策の概要も併せて40年保存を求めることとしてはどうか。
 具体的な作業の実施状況等の記録については、(ⅰ)で示しております。すぐ下の所ですが、記録は現場ごとに次の事項について日時・撮影場所・各措置の内容が分かる形で写真等により行うこととしてはどうかということで示しております。具体的にはア、事前調査結果の概要に関する掲示、立入り禁止措置、喫煙等の禁止、有害性等に関する掲示、これについては掲示や表示の写真等を残していただいてはどうか。イは、隔離等の措置について、セキュリティゾーンや集じん・排気装置の写真、点検状況、結果が分かるような写真・データ等を残してはどうか。ウは、作業の順序ごとの作業状況、これは湿潤化、保護具などのばく露防止対策を含むもので、作業計画に記載されている作業の順序ごとに作業の状況、湿潤化の手段、湿潤化の状況、作業中の保護具等の着用状況が分かる写真・データなどを残していただいてはどうか。10ページは、同じくウの※です。この作業状況の記録については、同様な作業を行う場合は、作業する階や部屋が変わるごとに記録を求めてはどうか。エですが、石綿含有建材の運搬、貯蔵時等の確実な包装など。これについては、包装(荷姿)の写真などを残すことを求めてはどうか。オですが、作業場外に持ち出す際の器具、保護具等の付着物の除去又は梱包の状況、付着物の除去状況の写真又は梱包した場面の写真などを残していただいてはどうか。(ⅱ)は、従事労働者の記録についても残していただくことで、作業計画に記載されている石綿を取り扱う作業の順序ごとに、当該作業に従事した労働者、周辺労働者の氏名と当該作業日について残していただくことではどうかということで、取りまとめております。以上です。
○豊澤座長 ありがとうございました。それでは資料1の4と5について、御意見を承りたいと思います。よろしくお願いします。
○亀元委員 分析の結果ですが、どちらかというとエアモニの結果はここには余り明確に書いてないのですが、それをきちっと保存するのはすごく大事だと思います。最近いろいろな監視業務をやっているのですが、信用できない大気測定データが多すぎます。環境省の勧告93号法というのが、いまだに使われています。これはクリソタイルを測るということで生物顕微鏡とPCMで分析するのですが、今良く使われる400倍レンズで見るとほとんど消えないので、全部入っていないという結果になります。さらにまた今度アモサイトの現場に平気で使う状況があります。今日の厚労省の資料の後ろにも石綿繊維数や総繊維数となっていますが、この数字がすごく信用できないのです。分析の方法も明記せず曖昧だし、データも曖昧です。
この保管するものの1つとして、フィルターそのものを一緒に保管してもらいたいと思っています。分析するのは4分の1しか使いませんから、残せます。そうすると再確認、再分析できるし、もし何か被害があったとかそういったもので再検証できるので、そこの部分を加えていただけないかなと思っています。
なぜかというとやはり、93号法でやると出ないのを分析会社はよく知っていますし、JIS K 3850の位相差分散染色法でやると出なくなるというのをよく知っているので、現場のデータを飛散していない状況をつくるのに使われています。フィルターそのものを見ると、作業中のエアモニをやっているのにもかかわらず、すごくきれいなフィルターがあるのですね。それはポンプを動かしていないか、除去会社に、分析会社が今から測定するので動かないでくださいと言って測定していることもあります。東京都の環境確保条例のマニュアルにも書いてありますが、作業中の期間を養生撤去までの期間としています。これを悪用して除去工事が終わってその後飛散防止剤をまいて、まだ養生を撤去していないので取りあえず一応作業中という形でエアモニして、ほとんど繊維は不検出というデータで出されているのです。フィルターそのものを見れば、これはマックスの作業中のときにちゃんと測っている、これは全然人が動いた気配もないようなときにやっているということが分かります。是非フィルターの保管をお願いしたいのですが。
○豊澤座長 ありがとうございます。これを含めて意見を広くお伺いしたいと思いますが。よろしいですか。
○中央労働衛生専門官 今の御意見については、作業実施状況の隔離等の措置の点検状況等の結果が分かる写真・データなどの1例として、御意見を頂いたということでよろしいですか。
○亀元委員 そうです。フィルターもお願いしたい。
○豊澤座長 なるほど。了解です。
○亀元委員 今、現場ですごく不正データが作られているのが監視していると出てくるのです。不検出や、作業中1本も飛んでいないというデータもしょっちゅう出てきます。石綿繊維というふうな表現が出た瞬間に怪しいデータと認識しているのですが、厚労省の17ページのデータや、22ページのデータも、これは本当に総繊維だとどうなるのでしょう。石綿繊維は総繊維の大体100分の1、2桁ぐらい違う結果がしょっちゅう出てくるので、実際はどうなのかと思います。海外の同様の事例データを見ると、絶対この数字より大きいのです。
 ですから、やはりちゃんと採取方法と分析方法がしっかり分かるデータにしてもらわないと信じられないです。実際現場で測定すると、必ず何本か出てくるのです。一方、除去業者と解体業者の下に付いた分析屋がやると低めの値が出てくるのです。不検出、検出、限界以下としょっちゅう出てくるので、ちゃんとした監視をしないと本当に被害者が出たときに分からなくなってしまうのです。
○豊澤座長 そのほかございますか。
○姫野委員 9ページの(ⅰ)作業状況等の記録に、新たに厚労省の場合は新技術指針という指針を出していますよね。例えば作業を行う前に、作業を始めたら、すぐ負圧除じん装置の所で、排気口の排気をデジタル粉じん計でチェックしなさいと。そういう指針がありますよね。こういう良い指針があるのだから、その結果も残すようにされたらどうでしょうか。きちんと新技術指針を守れば、相当数の飛散事故が防げると思うのですよね。
 それともう1つ欲しいのは、負圧除じん装置のチェックをどういうふうにして現場に持ち込んだのか。これが、大きな飛散の原因にもなっておるわけです。ですから、その2つを加えていただきたいなと提案します。
○豊澤座長 ありがとうございます。その他。
○米谷委員 3、4点申し上げたいと思います。まず1点目は、謝罪です。先ほど私が1つ目として申し上げたことは、この6ページのイの所で申し上げるべき中身だったかなというふうに、調査結果の記録部分で申し上げるべき話を先ほど申し上げてしまいました。失礼しました。
 8から9ページの今話の出た実施状況等の記録に関してですが、これはレベル1、2だけではなく、レベル3についても全て適用するお考えでよろしいですね。そのようなお考えだとすると、9ページの1行目に、作業する階や部屋が変わるごとに記録と書いてありますが、例えば集合住宅のようなところで作業をする場合に、一つ一つの部屋ごとにやるほど馬鹿らしいことはありませんので、こういった辺りはフロアでやるのか部屋でやるのかは、施行者側の判断に任せられているということで解釈してよろしいでしょうか、確認が1点です。
 もう一点がその下の(2)で、周辺労働者に関しても記録を残す形で書かれていますが、その下の注書きで「石綿則第35条及び第40条の対象となり得る者」と書かれていますので、これは基本的には、常時石綿を取り扱う作業者、労働者のことという解釈でよろしいですね。たまたまその近傍で何か作業をしていた、日頃は石綿と全く関係のないような作業をされている方までが対象になるということではないという解釈でよろしいでしょうか。その2点を確認させていただきたいと思います。
○中央労働衛生専門官 まず同様な作業を行う場合の、作業する階や部屋が変わるごとに記録ということですが、集合住宅で全く同じような間取りで、かつ同じ建材を使っているような記録が残っている場所については、そうした御判断もあろうかとは考えておりますが、一方で集合住宅であっても間取りが全く違う、使っている建材が違うというような情報がある場合については、やはり作業が異なってきたり、実際の作業が異なることが考えられますので、そうしたものについては、こうした階や部屋が変わるごとに記録を求めることで考えております。また、この周辺労働者については、石綿がその周りで石綿作業とは全く関係のない作業をしていても、その周辺で石綿が発じんするような現場の近傍で作業をしている方、こうした方が対象になります。ですので、石綿作業に従事していない方も含めて、近傍にいらっしゃる方で考えております。
○豊澤座長 はい、村井さん。
○村井委員 住団連の村井と申します。今までの話と少し変わりますが、事前の調査の話と、作業記録の結果の保持の話とありますが、これまでそういった部分を見ていきますと、いわゆる今回は建築物の解体・修繕を議題にしておりますので、そうすると実は元請と下請の関係について余り明確になりにくいところがあるかなと思っています。実際、自治体によっては、実際は作業する部分が事業者になると思いますが、元請責任ということを非常に強く求める自治体も実際あり、そういった意味では掲示にしても作業記録にしても、実際そこの元請と下請の関係を明らかにしない限りでは、下請がまた知らない業者を使って3次、4次という形になってくると、本当にそこまでいろいろな部分が網羅できるかどうかが曖昧になりますし、そこのところを明確にすることにより、先ほどのライセンスがつながってくるかと思います。そういったことに付いてくる業者というのが、適正な処理ができることとして必然的に絞られるとも考えられますので、私どもは元請業者という立場でいうと業務が増えたりすることについては非常に負担はあるかなという自覚はありますが、それでもやはりやるべきことはあるかと思いますので、そこの辺りを議論いだだければなと思います。
○豊澤座長 そのほかございますか。時間も押しているので、もしなければ今頂きました御意見について事務局で整理した上で、検討会へ何かの形で御報告したいと思いますので、よろしいでしょうか。それでは次の資料の6から7までについて、事務局から説明をお願いいたします。
○中央労働衛生専門官 資料の11ページの6「新たな簡易届出の対象」の所を御覧ください。今、御議論を頂いた事前調査や作業状況の記録の保存に基づく店社指導のほか、現場への立入りにより、解体等の前に石綿の事前調査の実施状況を確認し、また解体等の作業中に事前調査結果に応じた石綿ばく露防止対策を実施しているか否かを確認することもできるよう、解体等の工事前に工事に関する一定の情報を記載した簡易な届出を提出することを求めること。また、その当該簡易届出の対象としては、いわゆるレベル1からレベル2の石綿含有吹付け材や保温材等が事前調査で適切に把握されず工事が開始された事例が見られるということ。こうした場合は石綿を含有する場合にリスクが高いことから、石綿含有建材の有無にかかわらず、これらの石綿含有の吹付け材や保温材等の除去等を伴うおそれのある解体・改修工事について、届出対象としてはどうかということで、また規模の大きな建物ほど石綿含有建材が使用されている可能性が高いことや事業者の利便性も考慮しつつ、建設リサイクル法では建築物の解体工事などにおいて発注者又は実施施行者から都道府県知事等に対して、特定建設資材の石綿を含む付着物の有無等を届けさせていることも踏まえ、建設リサイクル法の届出対象と同じ解体工事なども対象とすることなど、届出の対象の範囲、それから、その届出の記載事項について、ワーキングで御議論いただいております。
 それらを踏まえて対応の方向性として、次のとおりにまとめています。簡易届出の対象については、解体工事については、戸建ても含め解体工事の大部分をカバーし、かつ他の法令に基づく届出が既に行われている範囲と整合させることにより、事業者負担を軽減できるよう、建設リサイクル法で廃棄物の排出量が全体の94%となる規模基準として、届出対象としている床面積80平米以上の解体工事を対象とすることとしてはどうかと。
 また、修繕・模様替え工事については、建設リサイクル法で床面積80平米以上の解体工事と同量程度の廃棄物が出る範囲として、請負金額1億円以上の修繕・模様替え工事を届出対象としていることなどを踏まえて、同範囲としてはどうか。ただし、石綿含有建材の使用が禁止された平成18年9月1日以降に建築されたことが確認できたものは除いてはどうか。このようなことでまとめております。
 この考え方ですが、先ほどもございましたが、解体業者については、4万社以上あり、かつ床面積が80平米以上の解体が年間20万件、改装・改修などについては年間1,000万件という中で、監督署の監督官による労働条件、安全衛生、全ての監督件数が年間10万件という中で、事前調査等の適切な実施を図るため、建築物の解体、破砕・改修を行う場合は、石綿含有の調査を義務付けており、今般の検討においては、全ての調査結果の記録、作業状況等の記録を保存することを義務付けて、これらの記録を監督官が4万社の店社の監督指導等において確認することなどにより、事前調査の適切な実施の徹底を図る。そうしたことを検討しております。
 また、その中で、これらを補うものとして、解体・改修等が合計年間1,000万件となる中で、解体等の作業中の指導を行うことなどを目的に、既に義務付けている吹付け・保温材等の現場に加え、石綿含有の有無にかかわらず、簡易な届出の対象として、事前調査の結果は全て記録保存を義務付けることを前提にし、事前の届出はその活用目的等を勘案すると、リスクが高いものに限定することが必要である。そうしたことを踏まえて、建設リサイクル法の届出対象が廃棄物の量等を基に規定しており、廃棄物の量が多い場合は一般に石綿も多く、また石綿による健康リスクも高いと考えられることから、建設リサイクル法の基準を準用して、届出の範囲ということで示させていただいたところです。
 13ページで、この届出の記載事項について、具体的な案としてお示ししております。まず1)です。新たに義務付ける簡易届出の記載事項については、事前調査及びそれに基づいて予定している措置を把握できるよう、以下の(ⅰ)から(ⅲ)の内容とすること。また、同一工事の仕事を複数の請負事業者に行わせている場合は、元請事業者に提出させる。こうした内容としてはどうかということで、ローマ数字の基本情報として上から、解体又は修繕・模様替え工事の事業者の名称、これは先ほどの同一工事の仕事を複数の請負事業者に行わせている場合は、元請事業者の名称を掲載するとともに、全ての当該この解体工事、改修工事に関わる関係請負事業者の名称を添付することとする。それから、解体又は修繕・模様替え工事の期間、うち石綿の除去等に係る工事期間についても記載いただく。それから、この建物等の構造、これは建設リサイクル法に届出事項として規定される建造物の構造と同じ内容としてはどうか。また、修繕・模様替え工事の請負金額、石綿作業主任者の氏名、右のほうにいっていただいて、解体又は修繕・模様替え工事作業場所の所在地、それから解体工事の対象の床面積、解体又は修繕・模様替え工事を行う建造物の竣工年、解体又は修繕・模様替え工事を行う建造物の過去の修繕・模様替えの有無、この修繕・模様替えがあった場合は、その修繕・模様替え年月。
 (ⅱ)の所ですが、事前調査に関わる内容についても、記載事項としてはどうかということで、事前調査を行った者の氏名、所属、資格等。それから、分析を行った者の氏名、所属、資格等。それから、事前に調査しきれなかった所として、未調査の箇所の有無についても、記載事項としてはどうかと。
 (ⅲ)については、石綿等の調査結果及び予定する除去などに関わる措置の内容として、記号でチェックをしていただくような、それぞれの建材ごとで作業の破砕・切断の有り無し、その作業に関わる具体的な措置の内容について、選択方式でチェックを頂くというような形で届出をしていただいたらどうかということで、取りまとめをさせていただいております。以上です。
○豊澤座長 それでは、今御説明いただいた6と7について、御意見承りたいと思います。
○亀元委員 前も議論したのか覚えていないのですが、80平米以上と、修繕・模様替えの場合は1億円以上というのは、バランスがすごく違うような気がするのです。テナントがいながらにしての、レベル3も含んだアスベスト含有建材工事というのは、非常にリスクがあると思うのです。本当にきちんとしているかどうかを確認するのに、1億円以上の工事で、本当にテナントを被害に遭わないように守れるのかどうかという議論をしたような気がするのですが、ここがどうだったかというのを教えていただければと思います。
○米谷委員 最初に申し上げますと、6に関しては、私は基本的な方向自体に反対です。正に、今、亀元委員がおっしゃられたことと同じ理由です。この検討を行う事項等の所にも、いわゆるレベル1、レベル2に関して、事前調査で適切に把握されずに工事が開始された例が散見されておりと、こういったところも問題視されていますし、先ほどの御説明の中でも、リスクが高いものに限定をするというようなお話もされていました。それに対して、解体工事に関して床面積80平米以上のものから対象にする、一方で修繕・模様替え工事について、請負金額1億円以上というのは、全く御説明と合っていないというように思えます。
 先ほど亀元委員が、「過去の議論を覚えていない」とおっしゃったのですが、私ははっきりと覚えています。私は1回目のワーキングのときに、「解体工事について、建リ法の80平米以上というのは、それはそれでいいと思います。ただ、改修工事に関して1億円以上では全く話になりません」というように申し上げたことをはっきり記憶しております。
 なぜかと言いますと、まず解体工事の80平米以上というのは、建リ法の目的自体が、当時問題視されていたミンチ解体をやめさせて、ちゃんと分別解体させて、不法投棄をなくそう、コンクリートガラ、木くず、アスコンガラをリサイクルに回そうという、そういう思想の下に考えられている数字です。ですから、廃棄物量なのです。ここであえて「石綿を含む廃棄物量」と書かれていますが、それは事実ではありますが、実際問題として、80平米というような建物というのは、基本的にほとんどが木造戸建ての話だと思います。そこにレベル1、レベル2などというのはほとんど使われていません。
 一方で、廃棄物量としては、コンクリートガラや木くずがたくさん出れば、それなりに多くなります。改修工事の場合は、それほどコンクリートガラなどが大量に出ませんので、解体の80㎡と同じ量の廃棄物が出る規模と言うと、1億円という非常に規模の大きなものになってしまいます。しかし、実際はコンクリートガラなどをさほど扱うわけではありませんので、内装材とか、それこそ石綿などがより大量に、相対的に出るのが、改修工事ではないかと思っております。そういった意味合いで、及び改修工事こそがとは言いませんが、先ほどの幼稚園の例というのがあるように、あれも改修工事というお話です。改修工事での問題というのが、かなり報道されています。
 更に申し上げますと、ここの場では、とても解体業者がいけない、解体業者が知識がない、ちゃんとやっていないというように言われていますが、改修工事をやるのは解体業者とは全く別のジャンルの方たち、内装業者や設備業者なのです。その方たちに対して、スポットが余りに当たらなすぎていることが今の状況を生んでしまっているという面もあるのではないかとも感じます。そういった意味では、木造解体の届出を10何万件と大量に出してもらったところで、レベル1、レベル2をちゃんとやりましょうということに、そこの部分はほとんど寄与しないのです。
 本当にレベル1、レベル2の適正な取り扱いを目指したいのであれば、改修工事で、それに関しては金額で規定するのではなくて、これは解体も一緒でいいのかなとも思うのですが、逆に木造以外の建築物を対象として、そこで建物自体の規模要件で決めるとか、そういった形で考えるべきではないかと思います。そういった意味で、一番最初に私は「解体は80平米でいいです」ということを言ってしまった手前、卓袱台返しをするようで大変申し訳ないのですが、ここはかなり考え直していただいたほうがいいのではないかという気がしています。以上です。
○外山委員 今の米谷委員の意見に若干反論ですが、論点案の所に「レベル1、レベル2が把握されずに」と書いてありますが、基本的にはレベル3の対策だというように私は理解しています。そうなると、木造住宅、屋根材、外壁材はたくさんあるわけで、そういったものを届け出させることによって対策を促すという趣旨もあるので、1億円のほうがどうかというのはありますが、ここはやはり80平米以上の解体工事に関して届出をさせるというのは合理性があると私は思います。以上です。
○米谷委員 ここにも書いてあるように、世の中的に一番問題となるのがレベル1、レベル2を何の措置も施さずにやっている人たち、一番いけないのはそこですよね。まずはそこをしっかりとつかむというところから始めるべきではないのかなと考えております。
○外山委員 レベル1がどのぐらいあるのかははっきり把握されていないのですが、大体20万tということが言われていて、それに対してレベル3の建材というのは4,300万tぐらいということですから、200倍ぐらいあるわけです。中小の解体業の方というのは、そういうものを解体して、繰り返しばく露に遭われているということですので、規模観から言うと、やはりレベル3の部分を。おっしゃるとおりレベル1の飯田市のような事例をなくすというのは大事な目標ではありますが、やはり今回の改正の中ではレベル3もきちんと届出をさせて対策を促すというところは、私は重要性としては軽くはないというように思います。
○米谷委員 それに越したことはないのですが、届出をさせる意味合いということから言えば、やはり木造以外の建物をいじるケースの規模をもっと引き下げることのほうが、レベル1、レベル2を確実に捕捉できるという意味では有意義だと思います。それで、量が多いから健康障害が同じだけ出ているということではないわけです。それは含有成形板とレベル1とレベル2とでは、悪さの度合いがまるで違います。そこを大局的に見て判断していただくことが必要かなと思っております。
○笠井委員 あるべき姿としては、できるだけ対象範囲を大きくするべきであることは私も理解していますし、前回も改修工事において請求金額が1億円以上というのは、さすがに大きすぎるのではないかと申し上げたつもりです。ただ、実効性という意味から、本当に届出の数を理想的な範囲まで範囲を広げて、それを監督署等がどれぐらい対応可能なのかよく分かりませんが、その辺の実態はいかがでしょうか。まずは、この簡易届出の制度の枠組みを作り、半歩なのか半歩もいかないのかは分かりませんが、とにかく進めていくという観点で改修工事の対象範囲については行政側のリソースも勘案した現実的なものを考えていくことも場合によっては許容せざるを得ないのではないかと私は思っています。
○村井委員 1つ話が戻るのですが、届出の話ですが、現実問題として建設リサイクル法の届出というのは、私が知っているだけでも40近い自治体で届出のフォーマットを変更して、そこにアスベストの調査結果を明確に書かせるということを指導しているという所は多く存在しているわけですから、実際に届出をする内容ということ自体はそんなに変わらないと思っています。ですから、そこで数が膨大になるということにはなりません。
 ただ、提出先が労基という話だったと思いますので、そうするとその届ける場所が2か所になるということにはなると思いますから、そこでの煩雑さというのは出るとは思うのですが、レベル1、レベル2というところに限定してお話をしていくのであれば、現状の大気汚染防止法の条文では、レベル3に対しても書面で発注者に説明すると義務付けられるわけですし、実際に弊社も80平米以下とか80平米以上を問わず、建築請負契約を締結するときには、石綿調査シートを提出させるというのを社内ルール化しているところもあるのですが、そういった部分も含めて、整合性がまずくなりますから、やはりレベル3というのは対象になる部分ではないかなという考え方かと思います。実際には大変だというのは実感としてはあるのですが、そこはそうなるのかなという印象を持っています。
○亀元委員 この話は前回したかは覚えていないのですが、海外の事例でテキサス州などは、500ドルを出して届出書を出します。そのお金で対策計画書を知識を持っている専門家がレビューして、問題がある所に直接指導に行くというプロセスを踏んでいます。労基の職員だけが現場に監視に行かなくてはいけないというのはとても負荷がかかります。専門家が計画書レビューし、指導するプロセスがあれば、絞り込みができ、全部行かなければいけないというわけではなくなるという工夫ができるのではないでしょうか。どういう人たちがそれをできるかというと、調査者のメンバーの中には、結構除去業のプロの人たちもいます。何かそういった仕組みが現実的にできるのではないかという気がしています。
 もう1つは、何回も繰り返して申し訳ないのですが、修繕・模様替え工事が一番ばく露する可能性があります。マスクをしていない人たちにばく露する可能性がある工事なので、ここは規模要件を考えてもらいたいと思います。それと、11ページの3)「ただし、石綿含有建材の使用が禁止された以降に建築されたことが確認されたこと」で、平成18年の話をされましたが、国交省と経産省が作られたデータベースの中のただし書の所に、市場に流通していた期間があるので、それもプラスしてタイミングを決めてくださいというものがあったと思います。今でも残っているか覚えていないのですが、その辺は気を付けてもらったほうがいいかなと思っています。
○豊澤座長 そのほかにございますか。
○出野委員 届出の件ですが、米谷委員と反対になるかもしれませんが、基本的には簡易な届出であればレベル1、レベル2、レベル3はやってもいいのかなと。特に、レベル3についてどの程度簡易な届出の仕組みができるのかと。環境省、厚労省で共同してシステムを開発中と聞いていますが、そこの辺りをできるだけ簡易な形で届出制を作っていただいて、この届出を何のためにさせるのかという問題はあるのですが、私の感じでは、抑止力を狙っているのかなと。プレッシャーを掛けると。届出をしなければいけないのだから、現場をきちんとやらないと、いつ立入りがあるか分からないと。そういうプレッシャーを掛ける意味で届出をさせるのかなと理解はしているのですが、そうであれば、届出制度はありかなとは感じております。
 ただ、どういう仕組みにするかというのは、相当問題はあると思いますけれども、例えば先ほど申し上げたように、解体業者というのは非常にいろいろな業者がいます。個人事業者が相当います。こういう個人事業者が、幾ら簡単な簡易システムとは言え、例えばネット辺りの届出がきちんとできるかどうかとか、いろいろな具体的な問題はあるかと思いますが、基本的には賛成だと申し上げたいと思います。
 もう1つ、80平米が問題になっていますが、もちろん米谷委員がおっしゃったように、あれは廃棄物の量から決めたもので、80平米で大体40tぐらいと。解体工事の80平米で40tの廃棄物が出ると。それを新築に当てはめると500平米ぐらい、土木工事に当てはめると大体1,000万ぐらいだけれども、公共工事だから500万にしようと。そういう議論で決まったと私は記憶しています。改修工事については40tの廃棄物が出る、これは1億円ぐらいかなと。これは廃棄物の量から決めたので、これをそのままこれに適用するというのは問題があると思います。
 ついでに、建設リサイクル法では、例えば解体工事は80平米という話がありますが、もう1つ届出制度が国土交通省にはあります。除却届というのがあります。だから、建リ法の届出と建築基本法の届出と2種類があるのですが、除却届のほうは、10平米なのです。10平米以上は届出しなさいと。実は80平米よりも10平米のほうが届出件数は多いはずなのですが、実際には少ないと。なぜかと言うと、守られていないということなのだと思います。そういうことは現実問題としてはあるのですが、合わせるとしたらそちらの10のほうがいいのではないかと。労働者の健康問題とか、そういうことを考えたら、捕捉するほうは数が多いほうがいいのではないかと思いますけれども、例えばの例です。
 ですから、80平米にこだわる必要は全くないし、1億円にこだわる必要は全くないので、厚労省と環境省で考えていただいて、独自の数値を設定していただければと思います。以上です。
○米谷委員 繰り返しになりますが、私は解体の80平米を引き上げるということが主眼ではなくて、修繕・模様替えの1億円を引き下げるというほうが主眼ですので、勘違いなさらないでください。お願いいたします。
○豊澤座長 それでは、事務局にお伺いしますが、1億円以上についてはもう少し考えるということでよろしいですか。ほかのところについては、大筋で合意していただいたのかなと思いますが、6の2)については、事務局で整理した上で検討会に何らかの形で報告するということでよろしいですか。それでは、次に移りたいと思います。資料の8から10までの説明をお願いいたします。
○中央労働衛生専門官 資料の15ページの8、「隔離以外の作業現場(いわゆるレベル3)及び建築用仕上塗材に係る作業現場」について御説明いたします。検討の背景として、レベル3の隔離が不要な石綿作業現場においては、石綿則において湿潤化、呼吸用保護具の着用などを義務付けています。また、指針においては作業に応じた呼吸用保護具の選択、避散防止、養生といったものを、石綿飛散防止・漏洩対策徹底マニュアルにおいて、堆積した粉状の石綿の除去について指導・勧奨をしています。
 その他、石綿建材等を貯蔵する際の包装等による飛散防止措置、洗身の設備等の設置、工具や保護具等を作業場外に持ち出す前の付着物の除去についても義務付けているところですが、近年の測定においては、隔離不要なレベルの石綿含有成形板の除去作業において、床面に堆積した粉じんの再飛散や不十分な湿潤化等が原因で、高濃度で石綿が発散した事例が確認されるなど、石綿発散防止、ばく露防止対策が必ずしも徹底されていないという状況があります。この状況への対応として、作業に伴う堆積石綿粉じんの再飛散を防止するための清掃作業とか、湿潤化作業などの実施の徹底の方策について、ワーキングのほうで御議論を頂きましたので、それらを踏まえ、次のとおり対応の方向性について案を取りまとめております。
 1)です。いわゆるレベル3建材の切断等の作業に労働者を従事させるときは、湿潤化による発散抑制措置及び呼吸用保護具の着用を義務付けており、湿潤化が著しく困難なときは、湿潤化は適用除外となっております。しかしながら、石綿の発散抑制措置については近年、多様な措置が普及してきていることから、局所吸引等の措置についてその効果及び導入が可能か、それを確認の上、湿潤化が著しく困難な場合の措置として、保護具着用に加えて追加することを求めてはどうかと。また、いわゆるレベル3建材の除去作業を行う作業場所においては、石綿等の除去等以外の作業を行う場合の呼吸用保護具の着用とともに予防的観点から、その他の解体等の作業場においても、労働者に呼吸用保護具の着用を指導することとしてはどうかと。
 2)として、石綿含有成形板を除去する作業においては、指針に基づき、やむを得ない場合を除き破砕等を行わずに、手ばらしで除去すること、作業場所の周囲を養生シート等で囲うこと等の指導を行っているところです。破砕を行わずに除去することを原則とするとともに、特にケイ酸カルシウム板第1種の建材をやむを得ず破砕する場合については、比較的飛散性が高いこと、また、これは環境省の小委員会で出されていたデータかと思いますが、湿潤化及び負圧隔離ではない養生により、外部への飛散が抑えられる等の測定結果が得られていること等を踏まえ、作業場所の周囲を養生シート等で囲うことを徹底してはどうかということで取りまとめております。
 続いて16ページの3)です。一方、その他のレベル3の建材については、ケイ酸カルシウム板第1種と比べると、飛散性がかなり低いこと、湿潤化すれば飛散性が相当程度下がるといったデータがあることから、十分な湿潤化措置の徹底を図ることとしてはどうかと。
 4)ですが、これまでいわゆるレベル1ということで整理されていた仕上塗材については、吹き付けられたものか否かにかかわらず、吹き付けられた石綿等の飛散状況と異なる状況も見られることから、その実態及びこれに対する対策を確認・検証し、必要な措置を講ずることが必要ではないかと。
 5)として、レベル3建材の除去作業に伴う堆積粉じんの再飛散を防止するため、HEPAフィルタ付きの真空掃除機などによる清掃作業とともに、清掃後の堆積粉じんの除去の確認を指導することとしてはどうかと。
 6)として建築建材等の種類、解体作業等の種類ごとに、作業環境測定の結果を取りまとめた上で公表し、これらを参考にして各作業におけるリスクの把握、必要な呼吸用保護具の選定等を、事業者が行うことを促進してはどうかということで取りまとめております。
 9の「隔離・漏洩防止の具体的措置」です。19ページです。いわゆるレベル1、2の石綿含有建材の除去作業等を行う場合においては、健康リスクが高い作業であることから石綿則第6条において、当該作業場所をほかの作業場所から隔離し、集じん・排気装置を設置して負圧に保つこと、また、隔離の徹底を保持するため、当該作業場所で初めて作業を行う前に、集じん・排気装置の排気口からの石綿漏洩の有無を点検するとともに、その日に作業を開始する前の負圧保持を確認することなど、隔離・漏洩防止を義務付けるとしております。
 しかしながら、依然として石綿則第6条違反が跡を絶たず、また石綿吹付け除去等の隔離現場で石綿漏洩事例が見られるなどの状況にあります。こうした状況への対応として、石綿則第6条の措置の徹底を図るための具体的な対応について、ワーキンググループで御議論を頂いたということです。この御議論を踏まえ、対応の方向性について次のとおり案を取りまとめております。
 1)ですが、隔離・漏洩防止の具体的措置について、作業の実施状況等の記録を保存等のほか、以下により措置の徹底を図ります。
 (ⅰ)が隔離空間からの漏洩防止として、アの集じん・排気装置等の不備については、石綿則、大臣指針などに定めている措置について、引き続き実施の徹底等を求めるとともに、石綿作業主任者への能力向上のための研修等により、集じん機・排気装置の点検等の徹底を図ってはどうかと。
 イのダクト等の外れの対応は、作業中にダクト等に衝突しないよう、衝突した場合は応急措置を行うよう、注意事項を示してはどうかと。
 ウの隔離された場所の出入りの際の石綿付着の対応としては、石綿則、大臣指針等で定められている措置について、引き続き実施の徹底等を求めるとともに、特に労働者へ洗身室で十分な時間を取っていないという指摘もありましたので、労働者への特別教育において、洗身室の使用方法についても十分教育するよう、教材等の充実を図ってはどうかと。
 エの負圧隔離の不備への対応としては、規則や指針等で定める措置について、引き続き実施の徹底等を求めるとともに、負圧隔離の漏れの有無の確認方法として、目視やスモークテスターを使用する方法のほか、隔離した場所に煙を充満させて漏れた煙を見る方法や、触診などの方法といった御意見もありましたので、例示に加えてはどうかと。
 オの既に機材等に落下していた石綿の持出しの対応としては、吹付け材劣下による脱落などにより、既に機材等に落下・付着している石綿については、除去等の作業開始前に清掃作業や機材の搬出等を行うに当たって、石綿の持出し等を防止することについて注意事項等を示してはどうかと。
 カの除去建材の崩落による逆流への対応については、規則、マニュアル等で示している措置について、引き続き実施の徹底を求めるとともに、除去建材崩落等の際の作業方法について、留意事項を示してはどうかと。
 (ⅱ)のグローブバッグ工法については、既に広く用いられており、一方で不適切なグローブバッグを使用する事例も見られることから、石綿ばく露防止措置を徹底するため、グローブバッグ工法については、石綿障害予防規則第6条第1項の措置の同等以上の効果を有する措置に該当するものとして、通知等で明示されているわけです。そうしたものとして、以下のような具体的な措置内容を示してはどうかということで、グローブバッグの使用方法を明示してはどうかとまとめております。
 (ⅲ)がその他として、現場全体の隔離・漏洩防止を確実に機能させるため、主任技術者等の工事計画作成、工程管理等の技術上の管理等を行うものに、石綿ばく露防止対策に係る知識等を付与した上で、現場における石綿ばく露防止対策の全体管理を行わせるよう推奨してはどうかと。また、これは先ほどのレベル3の所でも出ておりましたが、同様に建材の種類、解体作業の種類ごとに、作業環境測定の結果を取りまとめて公表し、必要な呼吸用保護具の選定等を行うことを促進してはどうかということです。
 10が「計画作成参画者の要件」ということで、25ページです。現在、石綿含有保温材等の除去作業については、レベル2の作業ということで、作業届の対象になっておりますけれども、これを計画届に変更することについて、検討会において議論されたところです。変更する場合には、併せて望ましい計画届の作成に参画する者を示し、適切な隔離措置等の徹底を図ってはどうかということで、この辺りについて御議論を頂いた結果として、対応の方法性を以下のとおり案としてまとめております。
 1)として、石綿含有保温材等の除去作業について、望ましい計画届の作成に参画する者を示し、適切な隔離措置等の徹底を図ることが必要である。隔離を行う石綿作業現場では、様々な措置を講ずる必要があるが、作業計画の作成に参画する者は、次のような知識・経験を持つ者が担うことが望ましいことから、施工管理等、一般に関する知識等がある者が、以下に示す4つの知識を付与する講習を受講するよう指導してはどうかと。具体的な知識の内容としては、労働衛生に関する知識、石綿含有建材の除去方法や使用箇所に関する知識、建築物・建築空間などに関する知識、集じん・排気装置に関する知識の講習の受講を指導してはどうかということで取りまとめております。以上です。
○豊澤座長 それでは、御意見のある方はお願いします。
○古賀委員 16ページの4)ですが、これは少し語弊のある表現ではないかと思います。具体的には、仕上塗材については吹き付けられたものか否かにかかわらず、吹き付けられた石綿等に該当していると見なされることから、レベル1とレベル1相当の対応を余儀なくされてきたというのが実情ではないかと思います。ということでレベル1と整理されていたのは、少し実態と違うのではないかと、この文章から感じました。
 それで、「吹き付けられた石綿等の飛散状況と異なる状況も見られることから」というのは、ちょっと分かりにくい表現のように思いました。吹き付けられた石綿等には該当しないということを、はっきり発信していただくのがよろしいのではないかと思います。そういう意図ではないのかもしれませんが、そういう意図が書かれているならば、はっきりと書いていただけると混乱が防げるのではないかと思います。ただ、4)の後半に書かれている「実態及びこれに対する対策を確認、検証し、必要な措置を講ずることが必要である」というのは非常に大事なことだと思いますので、このような記述で書いていただくといいかと思います。
○亀元委員 16ページのデータで、レベル3建材の中で飛んでいるケイカル1種が、2,800~7,130本とあるのです。除じん機の性能というのは99.97%ですよね。あれはラテックス粒子で見ているからアスベスト繊維はもっと高くて大丈夫という意見はあるのでしょうけれども、そのままとると99.97%で集じん機の出口から1本/L未満を勝ち取るためには、養生内のレベルが3,333本未満でないとできないですよね。レベル3建材の数字は、数千本/Lで出ていますよね。
 日本ではエアラインマスクの基準というのが、ぼんやりしている状況です。アメリカの厚労省OSHAでは、個人ばく露で養生内で測って1,000本/L以上だと、空気ボンベのマスクに切り替えなさいとしているそうです。日本は電動ファン付きのマスクでOKですよね。イギリスの厚労省HSEだと600本です。これでは作業者は全面のエアラインマスクをしていても、結構吸っているのではないですか。日本の様に含浸湿潤化なしで何千本と飛ばしてしまうということは、作業者にとって結構危ないのではないでしょうか。厚労省は、やはり作業者を守るという観点から、これは非常にまずいのではないかと思うのです。日本のマスクの規定がどうなっているのだろうかというのが心配です。
 それと、環境省のほうでは飛散させないということですが、レベル3は外への隔離ができない状況になっているのです。やはり作業場内の粉じん濃度を下げていくということを、ちゃんと見なければいけないし、そもそも作業場内の個人モニタリングのデータが、日本にはほとんど存在しません。参考表の2で、塗材についてはND、ND、NDと出ているのですけれども、本当にそうかなと心配です。2番から13番は全部個人サンプラーで測ったけれども、1番は普通のモニタリングで測ったと書いてあります。データの信憑性もあるのですが、私はデータの量が全然足りないと思います。
 OSHAもHSEも、必ず個人ばく露のデータを測りなさいとなっています。それも除去作業中で最低午前と午後の2回、一番ばく露しやすい作業をしているというか、発じんさせている作業をモニタリングしなさいと。ドイツの業者に、養生内で2万本とかって出るのはどうなのと言ったら、「えっ、それは違法行為じゃないの」という感じで言われたのです。日本の場合は養生なしでも相当な濃度、数千本というのが出てくる。ドイツでは4,000本を超えたら、絶対にエアラインマスクに変えなければ駄目なのです。そういうことがあるので、ここはちょっと考えたほうがいいのではないかという気がします。
○外山委員 今の亀元さんの話とも関連しますが、第2回の検討会のときに私のほうから、現場での濃度測定とリスクアセスメントが必要だということを、かなり丁寧に時間を掛けて説明させていただいたのですが、今回の論点には載っていません。あえて繰り返しはしませんけれども、石綿則の第1条に「事業者は、石綿ばく露する労働者の人数並びに労働者がばく露される期間及び程度を最小限にするよう努めなければならない」と書いてあります。濃度測定とリスクアセスメントをしなければ、これについては、実際には果たせないわけです。
 亀元委員が言ったように、防じんマスクや保護具には防護係数というのがあります。レベル1の除去工事で日本の場合を見ていると、数万f/Lというのがあります。そうすると、通常の電動負圧式呼吸用保護具だと防護係数は100ですから、数百f/Lにばく露しているおそれがあります。そういったものは実際に測ってみないと分からないわけです。ですから、やはり現場での濃度測定とリスクアセスメントは必要です。
 リスクアセスメントに関しては、化学物質のリスクアセスメントが2016年に義務化されているわけですけれども、石綿は禁止物質ということで、そこからも除外されています。ですから、ここを改めて化学物質のリスクアセスメントの義務物質に加える。これはそんなに難しいことではなくて、安衛則と施行令の別表を変えれば済む話ですので、これを変えた上で、とりあえずリスクアセスメントを義務化する。その上でマニュアルやいろいろなものでリスクアセスメントのやり方とか。コンサルタントもいるでしょうし、調査者もいるでしょうし、作業環境測定士もいいですが、そういった専門家が手助けをして、現場でのリスクアセスメントをする。つまり、現場の労使がリスクを知った上で程度を最小限にするよう改善していくことが、やはり一番手っ取り早いというか、確実な方法ですし、それほどお金も掛からないので、これを是非入れていただきたいと思います。
 逆にこれが入らない理由が何なのかが、私にはよく理解できないのです。石綿を外してしまった理由がよく分からない。もしお分かりでしたら、説明していただけると有り難いと思います。
○課長補佐 今、リスクアセスメントについてお話があったので、考え方を御説明します。石綿だけではなく、例えば特定化学物質などほかのものも、おっしゃるようにリスクアセスメントの対象にはなっているのですけれども、実際にもう法令で個別に規制されているものは、それを守っていただければいいという取扱いになっているのです。石綿についても具体的には石綿則で、こういう場合はこういう措置を講じるようにと、個別的に規定されていて、基本的には石綿則を守っていただくというのが行政側の取組です。ですからリスクアセスメントをする必要がないとか、別にその理念を否定するわけではないのですけれども、実質的にはとにかく石綿則の遵守を求めていくということになるのではないかと思っています。
○外山委員 有機則で規制されている物質は、第1種も第2種もリスクアセスメントの対象になっていると思うのです。そうすると石綿則を外すというのは、そことの整合性が合わなくなると思うのです。
○課長補佐 ここでリスクアセスメントを義務化するしないという議論は控えたいと思いますが、考え方として、実質的には石綿則の規定でばく露防止対策を確保しているという考え方です。
○外山委員 分かるのですけれども、それを言うならば有機則だって、有機則を守っていればいいでしょということではなく、リスクアセスメントもやりなさいとなっているわけですから、石綿則もリスクアセスメントもやりなさいというようになるのが自然ではないか、整合性もあるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○課長補佐 ここで余りその議論を深くやろうとは思わないのですけれども、先ほど申し上げたように、リスクアセスメントの対象になっていても、個別に有機則とか特化則などで規定があるものは、それを守っていただければいいと。そこから更に何か検討をして、措置を考えてくださいという扱いにはなっていないので、そういう関係になっていますということだけは御説明させていただきます。
○外山委員 分かりましたが、リスクアセスメントという考え方は、石綿の管理の中で私は非常に重要だと考えていますし、これからの重要な切り札になっていくのではないかと思いますので、是非ここは考えていただきたいと思います。
○豊澤座長 リスクアセスメントと、一番危険な石綿についての法令という体系が、今の安衛法の中であるので、その中でどういう議論をするかということを今しているわけですから、リスクアセスメントを法令にするという議論は、ここでは控えていただければ有り難いと思います。リスクアセスメントを否定しているわけではありませんよ。
○小西委員 先ほど古賀委員からお話があった、いわゆる仕上塗材の件です。これは確か前回、建材のレベル1、2、3には含めないで、別途扱いでというお話があったような気がするのです。ここに書かれていることは、そういう扱いにするということでよろしいのですね。全然そんなものは含めないで、別途取り扱うという対策も考えるということですね。
○中央労働衛生専門官 そうですね。そこも含めて必要な対策、効果的な対策について、今は十分な情報等がありませんので、そうしたものを収集した上で、仕上塗材の対策等については検討させていただくということでまとめています。
○笠井委員 全建の笠井です。グローブバッグ工法のイ(資料P.19)で、スモークテストで漏れを確認すると限定されて書いてありますが、専門工事会社などに聞くと、スモークテストでうまく漏れを見ることはできないという話もよく聞きます。確かにグローブバッグのメーカーのカタログの中に、スモークテストで確認することが書かれていることも承知してますが、あまり限定的な書き方にはしないで、どのような方法が、密閉度の確認をするのに有効な手段なのかを、もう少し検討していただければと思います。
 それとその他の所で、全体の隔離・漏洩防止を確実に機能させるために、「主任技術者」という言葉が出てきます。主任技術者ということになりますと、恐らくイメージとしては元請、ゼネコンの管理責任者のことを言っていると理解していますが、その理解でよろしいのでしょうか。安衛法では、基本的には事業者が常に主語になっていますが、ここだけは受注者、すなわちゼネコンの工事管理者が参画することが望ましいという意味合いで理解してよろしいでしょうか。その確認です。
○中央労働衛生専門官 はい、工事全体を見る者ということで考えております。
○豊澤座長 よろしいでしょうか。そのほかにありますか。
○姫野委員 2点あります。19ページの対応の方向性の案の1)に、こういうことをやってくださいということを書いているのですが、これを5の作業の実施状況の記録にも残すべきだろうと思うのです。そのほうが整合性もありますから、5のほうにもこれを書き加えてほしいというのが1点です。
 もう1つは、隔離空間の大きさ、あるいは使用空間の規制が日本の場合はないのです。そうすると、どういうことが起こるかというと、大空間で2、3週間同一現場で除去をやっていると、その空間に毎日アスベスト粉じんが舞っているのです。そこで飛散防止剤をまくわけですが、そうしたら最初に取った所はどうなっていますか。粉じんが静電気で付着するわけです。それに飛散防止剤をかければ、アスベストの塗装をしているのと一緒なのです。だから除去する大きさを、少なくとも1日か2日以下に規制する必要があると思うのです。大空間を1つの換気ですればいいとおっしゃる方もいらっしゃるのですが、除去した後のアスベスト粉じんの付着も考慮して、隔離空間の大きさを規制する必要があると思います。これは提案です。
○出野委員 全解工の出野です。総論的な話で3点お願いします。1点目が、仕上塗材の話です。情報等がまだ少ないという話がありましたけれども、相当時間がたっており、現場は相当混乱しております。ですから、なるべく早くどういう届出で、どういう工法で、どういう養生が必要だということを是非、はっきりお示しいただきたいというお願いです。
 2点目が、計画の作成者うんぬんで、主任技術者という話が出ましたけれども、建設業法上は一般的に主任技術者で、少し大きい現場は管理技術者で、元請も当然で、下請も1次、2次、3次の主任技術者を置かなければいけないということです。最近は2次以下は置かなくてもいいという規制緩和もありますけれども、基本的には置かなければいけない。主任技術者になれる方はどういう方かというと、大体が建築施工管理士や土木施工管理士という資格をお持ちの方です。そういう資格をお持ちの方に、石綿の知識があるか。もちろんある方もいらっしゃいますけれども、一般論としては非常に少なかろう、知識がないんじゃなかろうかというのが我々の認識です。
 具体的には土木施工管理士や建設施工管理士の試験問題に、石綿の問題が出るか。ほとんど出たことはない。解体関係の問題ですら、1回の試験に1題出るか出ないかです。そのぐらいの取扱いです。ですから、そういう方々の教育はもうちょっときちんとやらないといけないのかなということで、これもお願いしたいと思います。対象者が非常に多いです。数十万人、土木辺りは100万人ぐらいですかね。非常に人数が多く、いかんともし難いかもしれませんけれども、お願いしたいと思います。
 3点目が、先ほどの笠井委員の話に関連するのですが、労働安全衛生法の主語は、大体事業者には事業者できますね。この「事業者」とは何ぞやということです。例えば廃棄物処理法の場合、排水業者は排水業者で出るのです。ところが、この「排水業者」とは何ぞや、これは元請なのか下請なのかということで裁判までやりましたけれども、グジャグジャで分かりません。そこで、最終的には法律的に決着をつけようということで、廃気物処理法上、建設工事について排水業者とは元請業者を指すと、はっきり明確にしました。
 それと同じように、難しいと思いますけれども、労働安全衛生法でも石綿則において、事業者とは元請事業者のことを言い、基本的には元請事業者が全責任を負え、下請業者はそれに従ってやるだけと。ですから元請業者が事前調査もやらなければいけないし、届出もやらなければいけないという責任を、きちんと明確にしてほしいなと。ちょっと言い過ぎかもしれませんけれども。もちろん解体工事現場の事業者とは、下請の解体業者のことを言うという結論でも構いませんが、元請業者としていただきたいという希望です。そこら辺りをはっきりしていただかないと、どうも現場的には曖昧と言いますか、もやもや感が残っているところがありますので、是非御考慮いただきたいと思います。
○浅見委員 18ページの9番です。特に吹付けの隔離・漏洩防止という辺りの除去ですけれども、やはり適正な業者とそうでない業者とあって、まず見積額が全然違うということで、なかなか適切な会社に工事を取れないという話も聞いています。そういう点も含め、先ほどからライセンス制の話がいろいろ出ていますけれども、吹付け等のいわゆるレベル1、レベル2の除去においては、そういうものも必要ではないかと思っています。
○豊澤座長 そのほかにありますか。なければ、いろいろ貴重な御意見を頂きましたので、頂いた御意見については整理をした上で、何らかの形で検討会へ報告するということにさせていただきたいと思います。御意見のなかった所については、おおむね了解を頂いたというように理解したいと思います。
 それでは議事(2)のその他です。事務局から何かありますか。
○中央労働衛生専門官 特にありません。
○豊澤座長 それでは、事務局にお返ししたいと思います。
○中央労働衛生専門官 本日は長時間にわたり、御審議をありがとうございました。本日の会議録については、各委員に御確認を頂いた上で公開することとさせていただきます。また、本日御議論いただいた対応の方向性案については、頂いた御意見等も踏まえ、事務局で整理し、座長へ御相談の上、検討会へ報告させていただきたいと考えております。
○豊澤座長 以上で、第5回建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会ワーキンググループを閉会したいと思います。ありがとうございました。