2019年8月2日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

日時

令和元年8月2日(金)17:00~

場所

新橋8E会議室(8階)

出席者

出席委員(15名)五十音順


欠席委員(6名)  (注)◎部会長 ○部会長代理

 
行政機関出席者
 
 樽見英樹(医薬・生活衛生局長)
 山本史(医薬品審査管理課長)
 関野秀人(医薬安全対策課長)
 新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
 森口裕(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
 宇津忍(独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)
 鈴木章記(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役) 他


 

議事

○医薬品審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開催させていただきます。本日は大変暑い中、またお忙しい中御参集いただきまして誠にありがとうございます。本日の委員の御出席ですが、大曲委員、中野委員、半田委員、山口委員、山本委員、渡辺委員より御欠席との御連絡を頂いております。また、御到着が少し遅れておられる先生もおいでですが、本日は、現在のところ、当部会委員数21名のうち、14名の先生に御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。
続きまして、7月に事務局に人事異動がございましたので御紹介いたします。厚生労働省医薬・生活衛生局長に着任いたしました樽見でございます。
○医薬・生活衛生局長 7月9日付けで医薬・生活衛生局長になりました樽見でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 続きまして、部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果につきまして、御報告申し上げます。今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨の御申告を頂いております。開催の都度、委員の先生方には書面を御提出いただいており、大変御負担をおかけしておりますが、引き続き、何卒御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げます。
それでは、清田部会長に、以後の進行をお願したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○清田部会長 皆さん、こんにちは。それでは、本日の審議に移ります。まず、事務局から配布資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告いただきます。
○事務局 配布資料の確認を順番にさせていただきます。本日、机上には、議事次第、座席表、座席表の裏面に当部会委員の名簿を配布させていただいています。また、議事次第に記載されている資料1~9-4は、あらかじめお送りさせていただいております。会議のペーパーレス化に向けた取組として、本日の医薬品部会では、あらかじめお送りした紙資料と同様の内容の電子ファイルをタブレットに格納して閲覧していただけるようにするとともに、机上に配布する紙資料として、審議品目に係る諮問書、審査報告書及び添付文書とさせていただいております。この他に、資料10「審議品目の薬事分科会における取扱い等の(案)」を机上に配布させていただいており、また、タブレット内には、資料11として、各審議品目に係る専門協議の「専門委員リスト」を、資料12として、「競合品目・競合企業リスト」を格納しております。また、当日配布資料として「テセントリク点滴静注非小細胞肺癌の最適使用推進ガイドラインの改訂箇所」をタブレット内に格納しております。なお、タブレットの動作不良などがございましたら会議の途中でも結構ですので、事務局までお申し付けいただければと思います。
続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告させていただきます。資料12になります。資料12の1ページ目を御覧ください。「テセントリク点滴静注1,200mg」でございます。本品目は「進展型小細胞肺癌」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。2ページ目を御覧ください。「チラブルチニブ塩酸塩」でございますが、本品目は「中枢神経系原発リンパ腫」を予定効能・効果としておりまして、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に記載の2品目を競合品目として選定しております。以上でございます。
○清田部会長 ありがとうございます。ただいまの事務局からの御説明に特段の御意見等はございますか。よろしいでしょうか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストにつきましては、皆様の御了解を頂いたものといたします。それでは、委員からの申し出状況について御報告をお願いいたします。
○事務局 各委員からの申し出状況については、次のとおりでございます。議題1の「テセントリク」につきましては、退室委員が川上委員、議決には参加しない委員が亀田委員、清田委員、濱委員、南委員となっております。次に、議題2「チラブルチニブ」ですが、退室委員が南委員、議決には参加しない委員が亀田委員となっております。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。今の事務局からの御説明に特段の御意見はございますか。よろしいでしょうか。よろしければ皆様に御確認いただいたものといたします。本日は、審議事項2議題、報告事項6議題、その他事項1議題となっています。それでは、審議事項の議題1に移ります。川上委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして議題1の審議の間、別室で御待機を頂くこととなります。よろしくお願いいたします。
(川上委員退室)
○清田部会長 議題1につきまして、機構から概要を御説明いただきます。よろしくお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料番号1、医薬品テセントリク点滴静注1,200mgの製造販売承認の可否等について、説明いたします。タブレットを御覧になる際には、資料番号1のフォルダを開き、「審査報告書」のファイルをお開きください。
本剤は、programmed cell death-ligand1、以下、PD-L1と略させていただきますが、PD-L1に対する免疫グロブリンG1サブクラスのヒト化モノクローナル抗体であるアテゾリズマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤です。今般、本剤は、「治癒切除不能な小細胞肺癌」を効能・効果として承認申請されました。なお、本剤は、平成30年11月8日の当部会における審議を経て、希少疾病用医薬品に指定されております。また、令和元年5月時点において、本剤は、進展型小細胞肺癌に係る効能・効果にて、4カ国で承認されております。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料11にございますとおり4名の委員です。以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明いたします。
今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国際共同第I/III相試験であるIMpower133試験が提出されました。有効性については、審査報告書7ページの表2及び8ページの図1を御覧ください。化学療法歴のない進展型小細胞肺癌患者を対象としたIMpower133試験において、主要評価項目の一つとされた全生存期間について、プラセボ群に対する本剤群の優越性が示されたことから、本剤の有効性は示されたと判断しました。安全性については、審査報告書11ページ上から3行目以降を御覧ください。本剤、カルボプラチン及びエトポシドの併用投与時において注意すべき有害事象として、既承認の効能・効果に対する承認時に注意が必要と判断された事象に加え、心筋炎が認められております。これらの有害事象については、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察、過度の免疫反応による副作用を考慮した鑑別診断や管理、本剤及び併用する抗悪性腫瘍剤の休薬・減量・投与中止等の適切な対応により、忍容可能と判断しました。ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には使用成績調査の実施が必要であると判断しております。以上のような審査の結果、機構は、「進展型小細胞肺癌」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は、希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年とすることが適当であり、生物由来製品に該当し、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議の程、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問、御意見を承りたいと思います。いかがでしょうか。
○菊池委員 どなたもおっしゃらないので、いつものように気が付いたところを申し上げます。IMpower133試験の出発点は、化学療法歴のない進展型のsmall cell lung cancerで、企業が最初に出してきた効能・効果は治癒切除不能な小細胞肺癌が、最終的には進展型小細胞肺癌になっていますね。これはどういうロジックでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問、ありがとうございます。御質問の効能・効果については、審査報告書17/35ページの下から16行目を御覧ください。国内外の診療ガイドラインにおきまして、小細胞肺癌の治療体系が、進展型か限局型かによって明確に区別されております。具体的には、進展型小細胞肺癌であれば化学療法、限局型小細胞肺癌であれば化学放射線療法が行われております。このような治療体系が医療現場において広く受け入れられていること、また、IMpower133試験の対象患者が進展型小細胞肺癌患者であったことを踏まえ、本薬の投与対象が進展型小細胞肺癌の患者であるということを効能・効果で明確にする必要があると判断し、効能・効果を「進展型小細胞肺癌」と設定しました。
○清田部会長 菊池先生の御質問は、1ページ目を御覧いただいて効能又は効果という所で2行ありまして、今まで認められていたのは切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌なのです。今回は進展型小細胞肺癌ですね。ここの所の御質問だったのではないかと思いますけれども、違いますか。
○菊池委員 この133試験では、最初のときの患者さん集団が化学療法歴のないということから出発して、small cellの話はいいのですが、化学療法歴のない進展型というところから「化学療法歴がない」もなくなって、企業が出してきているのは報告書の1にある治癒切除不能な小細胞肺癌で申請してきたところが、最終的にはそれが進展型小細胞肺癌になったということで出発点とする効能・効果が変わっているわけです。そこら辺がどういうロジックですかということなので、今の説明の続きをしていただければ私の中では繋がっていますから、それでどうなのか。
○医薬品医療機器総合機構 少し補足しながら、機構からもう一度説明させていただきます。幾つかの要素が入っていますので、まず「化学療法歴のない」という記載の所から御説明させていただきます。本申請では、未治療の患者さんに対して試験成績は示されてきましたので、「化学療法歴のない」を効能・効果に記載するかどうかは論点になるかと思います。ただし、既存の抗悪性腫瘍剤の効能・効果でも、化学療法歴のない患者さんという内容を効能・効果で記載しているものもありませんので、機構としても「化学療法歴のない」と効能・効果で設定する必要はないと考えました。
次に、「治癒切除不能な」という文言については、一般的に進行癌の開発ですと、外科的な切除の対象にならない患者さんということを明確にするために、「治癒切除不能な」とか「切除不能な」というような文言を効能・効果に付けています。そういう意味で非小細胞肺癌では付けており、それに倣って、今回の申請にあたって申請者も「治癒切除不能な」と効能・効果に付けて申請してきました。それに対して、機構としては、小細胞肺癌は進展型と限局型に分かれまして、現在の治療体系を踏まえると、進展型小細胞肺癌に対しては外科手術の適応にならないという旨がガイドラインに記載されていますので、「進展型」ということを明確にすれば、手術の適応になることを明確にするための「治癒切除不能な」という文言を効能・効果に付ける必要はないと考えました。
以上の考えから、最終的に効能・効果としては進展型小細胞肺癌が適切であると判断しました。
○清田部会長 言葉の意味だと思いますね。
○菊池委員 そうなのですが、結局、他のPD-L1抗体の薬の効能・効果と横並びにしたということにもなるのですか。そういうことは考えていない。それではない。
○医薬品医療機器総合機構 本剤は、小細胞肺癌の適応で承認される、免疫チェックポイント阻害剤としては初めての薬剤となります。
○菊池委員 そうです。これは非小細胞肺癌でも最初でしたね。
○医薬品医療機器総合機構 非小細胞肺癌が最初の適応でしたが、今回の適応である小細胞肺癌では、近年承認された抗悪性腫瘍剤はないため、今回、久し振りに承認される適応に対してどういった効能・効果を付けることが適切か、検討させていただきました。その中で、現在の診療ガイドラインを踏まえると、「進展型」という文言を付けることで、「治癒切除不能な」という言葉は不要と考え、今回のような効能・効果が適切であると考えております。
○菊池委員 そうなのでしょうけれども、私が言いたかったのは、国際共同治験の場合のIMpower133試験で最初の患者対象が、化学療法歴のない進展型のsmall cell lung cancerなわけですね、海外も日本も。それでやっているところで申請の段階から、本当だったら化学療法歴のない進展のSCLCだったら、すごくいいわけですが、そこの段階から治癒切除不能なとなっているわけです。だから、そういう言葉のやり取りというか、そういう患者集団が初めにやったものとはずれますよね。多分、その場合は解釈が同じになって進展型のSCLCとsmall cell lung cancerは、今回の場合、同義に近いという判断であるというのが結論ですね。
○医薬品医療機器総合機構 そのような理解で差支えありません。
○菊池委員 それならいいと思います。
○南委員 確認ですが、治癒切除不能という表現は会社側が付けてきたのですよね。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○南委員 普通は、小細胞肺癌の薬物療法のときに手術することはまず念頭に置かないので、会社側が付けてきた治癒切除不能という概念が小細胞肺癌の実地診療からずれていると思います。適正な方向に戻していただいたと理解できますから、この文言で全然問題ないと思います。
○清田部会長 ありがとうございます。
○南委員 1つ質問、いいですか。化学療法未治療例というセッティングで、カルボプラチンとエトポシドとの併用で臨床試験が行われて有効性が示されたわけですが、添付文書上の制限はカルボプラチンとエトポシドとの併用という制限があるだけで、未治療、既治療については制限されていないですね。恐らく既治療例であっても有効性が理論的には期待できるという配慮から、制限していないのかもしれないのですが、併用する薬剤はカルボプラチンとエトポシドの組合せに制限しています。日本だとアムルビシンとかイリノテカンも使われるのですが、間質性肺炎の懸念はありますが、これらの薬剤と併用したいという現場のニーズはあると思います。既治療、未治療は制限ないのに、併用する薬剤を制限するのは何か理由があるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問、ありがとうございます。通常、治療ラインに関しては、前のラインでエビデンスが示されてきたときには、その後、新たな薬剤とか出てくると、そういった薬剤が後ろのラインへ移っていくことも考慮し、より後ろのラインでの使用は、できる限り制限しない形での効能・効果を設定しています。そういった意味での考慮はしております。
一方、併用薬剤に関しては、全ての併用薬剤についてエビデンスを作ってくることは難しいこともありますので、全ての併用薬剤に関するエビデンスを求めている状況ではなく、そういった意味での考慮はしております。ただし、本申請に関してはカルボプラチン及びエトポシドと併用投与した際のエビデンスしか得られていないことから、現時点ではこれらの薬剤に限定させていただいております。今後、得られてくるエビデンスも踏まえて用法・用量の変更は検討していきたいと考えています。
○南委員 おっしゃることはよく分かるのですが、今後、出てくるエビデンスを出すところが保険で制限されますと、これからは臨床試験でのエビデンスが非常に出しにくくなります。もちろん法律には従わないといけないのですが、少し御配慮いただければと現場サイドとしては思います。
○医薬品医療機器総合機構 ご意見も踏まえ、今後も引き続き検討させていただきたいと思います。
○南委員 今回は、これでいいと思います。
○清田部会長 ありがとうございます。ちなみに、会社は他の薬剤との組合せは、今後、やる気はあるのですか。
○南委員 現場のニーズは大きいと思います。これを検討するには適応外使用を含む臨床試験となりますので、今は非常に実施しにくい状況になっています。
○清田部会長 分かります。
○医薬品医療機器総合機構 現時点で企業は、併用薬剤を変えた試験を実施しておりませんが、医師主導治験等も含め、今後、試験が実施される可能性はありますので、そういった試験のエビデンスも踏まえて、用法・用量の変更は検討できるのではないかと期待しています。
○清田部会長 ありがとうございます。他によろしいでしょうか。
○浦野委員 2点ほど教えてほしいのですが、1つ目は筋炎の件です。この投与量の見方がちょっと分からないのですが、もし筋炎を発現してGrade2とか3になった場合は、1に落ちるまで休薬しなさいと書いてあります。見ると、1回の投与で死亡に至ってしまった方とかもいらっしゃるのかなと思いますが、そういう訳ではないのですかね。本薬の投与量という欄をどう見ていいのか分からなかったのです。15/35ページの表8と表9に死亡に至った筋炎の方々の例が並んでいると思いますが、ここの見方で、何回か連投していって筋炎を発症し、そこで休薬するというならまだ分かるのですけれども、もし1回でなってしまうとなるとコントロールしようがないと思います。この場合、こういった筋炎による死亡を減らすという意味での有効な手段として、休薬という設定が有効なのか分からなかったのですが、それに関してはどうでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 直接的なお答えになるかどうか分からないですが、実際には、患者さんによっては最初から不幸ながら死亡に至るような有害事象が起こってしまうことも全くないわけではないと思います。一方、実施された臨床試験では、ここに記載されているような設定でコントロールされて本剤の有用性が示されていますので、コントロールできる患者さんはいると考えています。
○浦野委員 今まで見てきた中で、ちゃんと覚えていないですが、今回の記載は比較的、死亡例のパーセンテージは高いかなと思ったのです。なので、これが表に出ることになったときにはいろいろと言われるデータかなと思いました。これに対して、もちろん有効性がある患者さんも多いので、これを通すことに全く私は反対ではないのですが、こういった形のものが出たときにどうするか。もちろん、こういった実施例をたくさん持っていらっしゃる先生方が的確に見るということでいいと思いますが、何か具体的な指示がもう少しシステマティックにできるといいと思いました。これぐらいが限界であるというのが機構側の考えですかね。
○清田部会長 初回の投与で心筋炎になって亡くなってしまった方というのは、いらっしゃるのですか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問、ありがとうございます。本薬の初回投与で心筋炎になり、それで死亡に至ったという患者さんの報告はございません。
○浦野委員 それはないのですね。
○医薬品医療機器総合機構 心筋炎という意味だと、報告はありません。
○浦野委員 心筋炎ではないということですね。なるほど、分かりました。もう1つはメカニズムの件で、結局、PD-L1の発現と関係ないという結論だったと思いますが、他のアンチPD-L1の抗体、たくさん承認されていますけど、それがどういうデータか私は覚えていないので分からないのですが、大体、こんな感じなのですか。普通にメカニスティックに考えると、PD-L1の発現にある程度相関があって然るべきかなと思うのですが、今回のKaplan-Meierとか全部分けて見たときに、どれも相関はないという結論になったと思います。これは、こういうものとして今でも認めてきているという考え方でしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問、ありがとうございます。現時点の理解としては、PD-L1は標的分子になりますので、重要な分子だということはコンセンサスが得られていると思っています。一方で、その他の因子も腫瘍免疫に関与することが知られており、何が重要な効果予測因子であるかについては、現状では臨床試験を実施してみないと分からない状況だと理解しています。今回に関しては事後的な解析も含めてPD-L1が、効果予測因子になっていないということを確認しましたので、今回の適応に関しては、そういったコンパニオン診断薬等の必要性はないと判断しています。
○浦野委員 これまでも関係ないという例は結構多いですか。
○医薬品医療機器総合機構 どちらかというと、PD-L1に係るコンパニオン診断薬がない適応の方が多いと思います。
○浦野委員 そうですか、分かりました。
○南委員 これは、がん種によっても違いますし、PD-L1の発現は臨床経過の中でもダイナミックに変化しますので、いつの時点の検体を用いるかによっても異なります。また、それぞれの製薬企業が開発する薬剤の臨床試験において使用していた抗体も違っていて、ある薬では良いバイオマーカーになっても、別の薬ではならないということが認められています。この薬に関しては、非小細胞肺癌に関してはPD-L1は明らかなバイオマーカーにはなっていません。細かいサブセット解析では、扁平上皮癌では発現により細かく分けていくとリスクリダクションが若干小さいフラクションはありますけれども、この薬に関しては、明らかにPD-L1がバイオマーカーになるとは今のところ言い切れないと思います。
○清田部会長 ありがとうございます。助かります。それでは、よろしいでしょうか。そろそろ議決に入りたいと思います。亀田委員、濱委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。私も同様でございます。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。事務局から引き続き説明をお願いいたします。
○事務局 審議事項、議題1、テセントリク点滴静注1,200mgにつきましては、最適使用推進ガイドライン作成品目となっておりまして、小細胞肺癌に関する効能・効果、用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認に伴い、最適使用推進ガイドラインの作成を予定しております。マイプライベートファイルに戻っていただきまして、その他議題のフォルダをクリックいただき、資料9-1のファイルをお開きください。
今回、作成するガイドラインの構成はこれまでに作成しているものと同じでございます。資料の最下部に付しているページ番号で3/12ページを御覧ください。枠内に対象となる効能・効果、用法・用量を示しています。6/12ページですが、こちらには先ほど御確認いただきました臨床成績を示しています。8/12ページ、「施設について」は、テセントリクにつきましては非小細胞肺癌に対して最適使用推進ガイドラインを作成しておりますので、そちらの内容と同様の内容としています。10/12ページの「投与対象となる患者」では、有効性に関する事項として、臨床試験において有効性が示されている患者及び有効性が確立していない患者をそれぞれ提示しています。安全性に関する事項は、非小細胞肺癌のガイドラインと同様の内容です。11/12ページから記載している、「投与に際して留意すべき事項」は、おおむね非小細胞肺癌と同じ内容ですけれども、マル3の主な副作用マネジメントについての3つ目に肝機能検査の記載を追加しています。また、4つ目の内分泌機能検査につきましては添付文書の重要な基本的注意の変更に伴い、甲状腺機能検査以外の内分泌機能検査も実施していただくよう変更しています。当該内容につきましては、非小細胞肺癌のガイドラインにおいても同様とする改訂を予定としており、本日、当日配布資料において変更箇所をお示ししています。説明は以上です。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問がございましたら、どうぞ。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、別室で待機されている川上委員をお呼びいただければと思います。
(川上委員入室)
○清田部会長 議題2に移ります。南先生におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして別室で待機をしていただきます。よろしくお願いいたします。
(南委員退室)
○清田部会長 議題2について、事務局から概要の説明をお願いいたします。
○事務局 議題2、資料2、チラブルチニブ塩酸塩を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。タブレットの資料2のフォルダをクリックしていただきまして、マル2希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書のファイルをお開きください。報告書1ページの中段を御覧ください。申請者は小野薬品工業株式会社、予定される効能・効果は中枢神経系原発リンパ腫になります。まず、対象患者数について御説明いたします。脳腫瘍全国集計の報告に基づくと、中枢神経系原発リンパ腫(以下、「PCNSL」)の年間発症者数は約980人と推定されます。また、厚生労働省における患者調査ではPCNSLに限定した集計は行われていないものの、本邦における中枢神経系の悪性新生物の総患者数は約8,000人と推測されております。以上より、患者数は5万人未満という基準を満たしているものと考えております。
次に、2ページの医療上の必要性について御説明いたします。未治療のPCNSLに対する治療として、高用量メトトレキサートを含む化学療法と放射線療法との併用が推奨されておりますが、再発率が高く、また再発又は難治性のPCNSLに対する標準的な治療は確立されていないことから、新たな治療薬の開発が望まれています。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
最後に、開発の可能性について御説明いたします。再発又は難治性のPCNSL患者を対象に本剤の有効性及び安全性等を検討することを目的とした国内第I/II相試験が実施され、中央判定による奏効率は○○○%でした。また、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○です。以上より、本剤の開発の可能性は高いと考えています。したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○清田部会長 それでは、委員の先生方から御質問、御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、議決に入りたいと思います。亀田委員におかれましては、利益相反に関するお申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。別室で待機されている南委員をお呼びいただけますでしょうか。
それでは報告事項に移ります。報告事項について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 報告事項の議題1から議題6までまとめて御説明させていただきます。資料3から資料8-7の報告議題のフォルダをお開きください。まず、報告事項の議題の1つ目は、医薬品ロンサーフ配合錠T15及び同配合錠T20の製造販売承認事項一部変更承認について、報告いたします。資料3です。本剤はトリフルリジンとチピラシル塩酸塩を2:1のモル比で含有する配合剤です。現在は治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌を効能・効果として承認されています。今般、大鵬薬品工業株式会社から、がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌の効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断されております。
続きまして、議題の2つ目、アレジオンLX点眼液0.1%の製造販売承認について御説明いたします。資料4を御覧ください。本剤の有効成分であるエピナスチン塩酸塩は、ヒスタミンH1受容体拮抗薬であり、同有効成分を0.05%の濃度で含有する点眼剤は、既存薬のアレジオン点眼液0.05%として、アレルギー性結膜炎に対して、1日4回点眼投与する用法・用量で承認されております。今回の品目ですが、アレルギー性結膜炎に対して有効成分濃度を2倍の0.1%とした本剤の1日2回の点眼投与による有用性が確認されたとして、本剤の1日2回点眼投与を用法・用量とする新用量及び剤形追加に係る医薬品として、製造販売承認申請がなされております。機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断されております。
続きまして、議題の3つ目で、医薬品マヴィレット配合錠の製造販売承認事項一部変更承認について御報告いたします。資料5を御覧ください。本剤は、グレカプレビル水和物及びピブレンタスビルを有効成分とする配合剤で、本邦においてC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善を効能・効果として成人に対する用法・用量が2017年9月に承認されております。今回、アッヴィ合同会社から12歳以上の小児に対する用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされており、機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断がされております。
続いて、議題4、医薬品ダラザレックス点滴静注100mg、同点滴静注400mgの製造販売承認事項一部変更承認についてと、議題5の医薬品ベルケイド注射用3mgの製造販売承認事項一部変更承認についてなのですが、両品目は併用されて投与されるので、併せて御報告させていただきます。
資料6と資料7を御覧ください。まず、ダラザレックスです。ヒトCD38に対するIgG1サブクラスのヒト型モノクローナル抗体のダラツムマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤でして、現在は再発又は難治性の多発性骨髄腫を効能・効果として承認されております。また、もう一方の議題5の品目のベルケイドですが、プロテアソーム活性に対する阻害作用を有するボルテゾミブを有効成分とする抗悪性腫瘍剤で、現在は多発性骨髄腫、マントル細胞リンパ腫及び原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫を効能・効果として承認されております。今般、ヤンセンファーマ株式会社から、ダラザレックスについては、未治療の多発性骨髄腫に係る効能・効果及び用法・用量を、ベルケイドについては、未治療の多発性骨髄腫に係る用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断されております。
報告事項の議題6、医療用医薬品の再審査結果についてです。資料8-1から資料8-7の医薬品再審査確認等結果通知書になります。資料8-1が有効成分名アムルビシン塩酸塩、販売名がカルセド注射用20mgと同50mgになります。資料8-2が有効成分ゾレドロン酸水和物、販売名がゾメタ点滴静注です。資料8-3が有効成分名ペラミビル水和物、販売名がラピアクタ点滴静注用バッグ300mgと同バイアル150mgです。資料8-4が有効成分フェキソフェナジン塩酸塩、販売名がアレグラドライシロップ5%、資料8-5が有効成分タクロリムス水和物、販売名がタリムス点眼液0.1%、資料8-6が有効成分名フルチカゾンフランカルボン酸エステル、販売名がアラミスト点鼻液、資料8-7が有効成分名ジクアホソルナトリウム、販売名が、ジクアス点眼液3%です。こちらの品目につきまして、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査及び製造販売後臨床試験に基づいて再審査申請が行われまして、審査の結果、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について、変更の必要のないカテゴリー1と判定されております。報告は以上になります。
○清田部会長 委員の先生方から御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
○宗林委員 アレジオンがあったと思うのですが、これはアレルギー性の結膜炎ということで出ていましたが、普通にアレジオンを経口投与されている場合も、重ねて点眼しても全然影響はないのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 経口剤と点眼剤を併用して投与しても問題ございません。
○宗林委員 あと年齢なのですが、12歳以下はデータがないと書いてありましたが、12歳以上ということでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 承認用法・用量は、年齢にかかわらず、高年齢の小児、12歳以上の小児のみの承認を意図しているものではございません。審査報告書の9ページ、10ページの図1、図2、図3をご覧ください。こちらに、今回実施された臨床試験における年齢区分別の有効性の推移をお示ししています。小児の年齢層というのは非常に限られた結果ではあるのですが、小児患者と成人患者、高齢患者における有効性の推移は同様の傾向を示しておりましたので、小児患者にも有効性は期待できると考えております。
○宗林委員 添付文書の9.7の小児等の所に、「12歳未満の小児等を対象にした臨床実験は実施していない」と書いてあったのでお聞きしたのです。
○医薬品医療機器総合機構 今回のアレジオンLX点眼液0.1%を用いた臨床試験は実施されておりませんが、既承認の0.05%製剤、1日4回投与する点眼剤のほうは、小児患者においても既に本邦で広く使用されております。
本邦で実施された0.05%製剤の使用成績調査において、アレルギー性結膜炎の病型、年齢によらず本剤が使われた成績が得られております。その中で、12歳未満の小児患者でのデータも得られておりまして、12歳未満の患者についても、12歳から15歳未満の患者、15歳以上の患者と同様に、眼そう痒感スコア、眼瞼結膜充血スコア、眼球結膜充血スコアの推移で、いずれも有効性の傾向が示されているということが報告されています。
また、安全性については、審査報告書の12ページ表18を御覧ください。0.05%製剤を用いた使用成績調査において、12歳未満の患者と他の年齢層の患者で、副作用の発現状況について大きな違いは認められておりません。
以上のことから、今回0.1%製剤の12歳未満の患者における使用経験は得られておりませんでしたが、12歳未満の患者に対しても本剤の有効性・安全性は期待できると考えて承認して差し支えないと考えました。
○島田委員 先ほど、内服しているときにこの製剤を使ってもいいかというような質問がありました。それは副作用に関してはそんなにないかもしれないのだけれども、要するに同効の薬を内服と外用で同時にやるというのは、保険では大体認められないことが多いのではないでしょうか。だから、安全性を聞かれて大丈夫と言うのはいいかもしれないけれども、保険では認められることになっているのですか。
○医薬品医療機器総合機構 0.1%製剤と経口剤との併用経験はありませんが、0.05%製剤の使用成績調査において、0.05%製剤と経口抗ヒスタミン剤の併用の実績として、併用例204例のデータが得られております。0.05%製剤と経口抗ヒスタミン剤を併用した患者さんと、これらを併用していない患者さんとで、副作用発現率に大きな違いは認められませんでした。
○島田委員 飲みながら点眼もやるというような臨床試験が行われていたのですか。
○医薬品医療機器総合機構 臨床試験ではなく、0.05%製剤を用いて実施した使用成績調査の中で得られた結果です。
○島田委員 使用成績調査の中で併用している人がいて、それについては何も起こらなかったということを言いたいのですか。
○医薬品医療機器総合機構 そのとおりです。
○島田委員 それは保険で認めているということですよね。
○事務局 有効性と安全性の観点からは、今まで経験があるということで併用して問題がないということなのだと思うのですが、保険上、実際に併用したときに通るか通らないかという話は、個別のそれぞれの患者の事情に応じて違ってきますので、この部会で保険の併用を認めていいか認めていないかというのは、スコープではないのですが、実際に現場でこれまで0.05%の製剤について併用されている実績自体はあるということで、そういう意味で薬事上は併用をしても問題はないのではないかというところで機構からはお答えさせていただいたと思います。
○島田委員 その点はいいのですが、そういう使い方をする人というのは、ちょっと普通ではないと言うか、普通はアレジオンを内服していれば、点眼のほうはステロイドを使うというのが常識だと私は思っているのですが、同じ薬を点眼するというのは二重の投与になってしまうので、普通は余り起こらないので、安全性のことだけを言うと安全だと思いますが、抗ヒスタミン剤の点眼薬は内服と一緒にやったからといって何か起こるかというのは、常識的に考えれば何も起こらないけれども、併用したということで。
○医薬品医療機器総合機構 既承認薬剤の効能・効果は、経口剤がアレルギー性鼻炎、点眼剤がアレルギー性結膜炎となりますので、症状が結膜に出ている場合には点眼剤を使われ、鼻炎の場合には経口剤が使われるものと思われます。症状が重なっている場合には、先ほど御説明させていただいたように、使用成績調査で併用しているような方もいたというところかと思われます。
○島田委員 それは、そちらでそのように決めているだけで、アレジオンを飲んだら結膜炎にも普通は効きますよね。でも、それは臨床試験をやって。きちんとしたデータが出ていなくて、あるいは会社がそういう適応を取らなかっただけの話で、内服したらそれは全部にいくわけですから。まあ、いいです。
○清田部会長 許していただいたということで。
○清田部会長 ほかに御意見はございますか。よろしいでしょうか。それでは、報告事項の議題1から議題6について御確認いただけたものといたします。それでは、その他事項の議題1に移ります。事務局より御説明頂きます。
○事務局 資料9-1から資料9-4のその他議題のフォルダをクリックしてください。資料9-1については、先ほど説明させていただきましたので、資料9-2から資料9-4、最適使用推進ガイドラインの対象となる医薬品の選定についてまとめて説明させていただきます。
資料9-2のファイルをお開きいただきまして、2ページを御覧ください。平成29年9月15日付け最適使用推進ガイドラインの取扱いに関する通知において、最適使用推進ガイドラインの対象医薬品の作成の手続等を示しており、作成対象となる医薬品を選定した場合には、直近の薬事・食品衛生審議会の担当部会に報告することとしております。今般、3品目について最適使用推進ガイドラインの対象とすることといたしましたので、御報告いたします。
1ページにお戻りください。1つ目は、バベンチオ点滴静注になります。今般、メルクバイオファーマ株式会社より、バベンチオ点滴静注について、腎細胞癌に関する効能・効果の追加に係る製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。資料9-3を御覧ください。2つ目は、キイトルーダ点滴静注になります。今般、MSD株式会社より、キイトルーダ点滴静注について、腎細胞癌及び頭頸部癌に関する効能・効果の追加に係る製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。資料9-4を御覧ください。3つ目はオプジーボ点滴静注になります。今般、小野薬品工業株式会社より、オプジーボ点滴静注について、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌及び食道癌に関する効能・効果の追加に係る製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。これら3品目について、最適使用推進ガイドラインの作成対象の医薬品として選定いたしました。今後、関係学会等にガイドライン(案)の検討依頼を行い、対象医薬品の承認について審議等を行う部会において、改めてガイドライン(案)を御説明することといたします。説明は以上です。
○清田部会長 委員の先生方から御意見、御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、この議題につきましては、御確認いただけたものといたします。本日の議題は以上ですが、事務局から何か御報告はございますでしょうか。
○事務局 次回の部会ですが、8月23日(金)の午後4時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 どうぞ。
○長島委員 本日の議題とは関係ないのですが、重要な問題ですので発言させていただきます。
本部会で承認されて、製造販売されたとしても、その後安定供給されないと、現場及び患者が困ってしまうわけです。最近、非常に医薬品の安定供給ができないという問題が多発しています。今年に入ってからだけでも、抗菌剤に関してもセファゾリン、パニペネム、タゾバクタム等、これが後発品だけでなく、先発品でも、あるいは大手企業でも生じている。その原因としては、海外の原薬などが問題になっていることが多いと。やはり安定供給のためには、そういうような原薬に関して、国内で確保する等のことも含めて、しっかり厚労省にて対策を講じていただかないといけない深刻な状態になっていると思いますので、是非よろしくお願い申し上げます。
○医薬品審査管理課長 御指摘ありがとうございます。残念なことに、先生が御指摘のように、幾つかのお薬について供給が滞る等が起きています。それを避けるためには、日頃から調達先をダブルソース、トリプルソースにしていただくなど、コスト面もあるのですが、企業のほうで確保していただくことが必要だと思いますし、安定供給に向けては医政局でも相談窓口を置いて、リスクがありそうであれば、できるだけ早く、御相談いただくというような体制も組んで対応したいと考えています。国内に持ってくるのが一概にいいかどうかというのが、ちょっと何とも言えないのですが、採算面も含め、今は原薬サイトが海外に出てしまっているというのが現状です。どうしてもそうなっている。諸外国でも同様です。
さらに、近頃は、原薬の更に上流、原薬を作るための中間体とか出発物質自体が、製造所としてはまた別の所にあって、そのどこかが止まると結局下流が全部止まるというような構図です。サプライチェーンが非常にグローバル化していたり、複雑化していたり長くなっていたりするということもあって、それらも全部込みで、安定供給ができるような体制をしっかりと企業の方々に組んでいただくというようなことを、我々も含めて考えなければいけない時代になっているのだなと強く認識しております。
○清田部会長 ありがとうございました。この部会のマターではないかもしれないのですね。ただし、今回のセファゾリンの6-APAの件に関しては、今回初めて中国だということが分かったのです。ですから、承認段階で機構でそこまで把握できるのかというのは、私も一緒に疑問に思っていますが、おそらく把握はできないですよね。
○医薬品審査管理課長 そうですね。例えば重要中間体が中国の製造所で製造される予定である、といったことは、申請内容で把握できるのですが、それが、承認を取れた後、行く行くトラブルが起きるかどうかということまでは把握できません。承認後の長い時間の中でトラブルは起きる可能性はあるので、やはりダブルソースやトリプルソースを掛けていただきたいというのが、供給面からいっても私ども、薬事と言うより厚生労働省としての企業へのお願いだと思うのです。一方で、そうすると当然コストアップというか、企業にとっての製造面でのコストアップになって、結局採算は取れなくなって、供給する企業がどんどん店をたたんでいくということにもなりかねないので、いろいろなことを考えないと、多分ボトルネックが解消できないのかなとは思っています。
○清田部会長 恐らく国側も深刻に捉えていまして、根が深いです。医療費を小さくしなければならないというところから始まっていますので。ただし、リスクですから。国防ですから、深刻に受け止められているのではないかと私は推察していますが、この分科会は通すだけの話なのですが、その通す段階で先ほどお答えのあった原流が大丈夫かという保証までは、将来にわたってできにくいというのが現状なのだろうという理解でよろしいでしょうか。ありがとうございます。局長よろしいでしょうか。
○医薬・生活衛生局長 ありがとうございます。
○清田部会長 そういうことで、どうもお疲れ様でした。
( 了 )
 
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 荒木(内線2746)