2019年度第3回化学物質のリスク評価検討会(有害性評価小検討会)議事録

厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

日時

2019年9月5日(木) 13:30~15:30

場所

中央合同庁舎第5号館20階 共用第9会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

議題

  1. リスク評価対象物質の有害性評価について
    1. トリクロロ酢酸
    2. イソホロン
    3. クロロピクリン
    4. しよう脳
    5. チオ尿素
    6. テトラメチルチウラムジスルフィド(別名チウラム)
  2. その他

議事

 
○阿部中央労働衛生専門官 そうしましたら、定刻よりもちょっと早いですけれども、先生方もおそろいですし、傍聴の方もおそろいということですので、第3回有害性評価書検討会を開催させていただきたいと思います。委員の方々は今いらしているメンバーで全員です。
本日、ペーパーレス会議ということでタブレットのほうに資料をお配りしていますので、不備がありましたらおっしゃっていただければと思います。
議事進行については、以下、座長の大前先生にお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
○大前座長 それでは、事務局から資料の確認をお願いします。
○阿部中央労働衛生専門官 委員各位におかれては、配付させていただいておりますタブレットを御覧いただければと思います。傍聴者の方々向けにはWeb上に資料を載せてございますのでそちらをご確認ください。資料の1-1から1-6として、個別物質のリスク評価書の案の有害性評価部分を、トリクロロ酢酸、イソホロン、クロロピクリン、しょう脳、チオ尿素、テトラメチルチウラムジスルフィドと、この6物質分をご用意しています。
それから、資料2として、「リスク評価の手法」について、5月に本年度第1回の有害性評価小検討会の開催を行っておりまして、その際に一度改定を実施しておりますけれども、その後にいろいろいただきました御意見を踏まえまして、事務局の方でとりまとめた追加改訂案をご用意しているところでございます。
その他、参考としては検討会の開催要綱とか名簿とか、リスク評価の実施状況というところをおつけしてございます。なお、机上配付という形なのですけれども、タブレットの方には、後ほど中身の御説明の際にも別途御説明させていただきますけれども、資料1-1~1-6のリスク評価書案に対して、特別参集でお声がけさせていただきましたが、本日ちょっと御都合が合わなかった西川先生から御意見をいただいておりまして、そちらに関するメモも入れさせていただいているところでございます。
以上です。
○大前座長 ありがとうございました。
それでは、本日の議題に入ります。本日は、6物質に関するリスク評価を行いまして、一次評価値、二次評価値を決めるというのがメーンでございますけれども、その前に、リスク評価の手法につきまして、追加改訂した部分の残りがございますので、これを、まず事務局のほうから説明をお願いします。資料が二つありますけど、これ、コメントつきがいいのか、見え消しがいいのか、どっちですか。
○阿部中央労働衛生専門官 ええ、どちらでも見やすいほうにと、はい。コメントつきのほうですと、改定案の趣旨を併せて見ていただけるのですが、コメントにスペースを取られる分、全体としては若干字が小さくなってしまうので。見え消しのみのもののほうでもよろしければ、そちらを御覧いただいたほうが、ちょっと字が大きくて読みやすいかなと思います。
内容につきましては、細かいところを先に申し上げますと、前回、第2回の際に一度お諮りしたときに御指摘いただきました「無毒性量」という記述を「NOAEL」に統一するというところは、一通り全部反映させているところでございます。
そのほか、34行目ですかね、「2 リスク評価の手法の詳細」のうち、「(1) 有害性の種類及びその程度の把握」というところで、こちらも西川先生から御意見いただきまして、「生殖発生毒性及び臓器毒性・全身毒性」という記述にコメントをつけていただいております。この後ろの「(2) 量―反応関係等の把握」というところの項目が、原案といいますか、現行の表現ですと、「臓器毒性・全身毒性又は生殖毒性」という項目、今回の改定案では、6に改めておりますが、これが、多分、説明の中身が一番長いということもあってか、順番としては最初の1に配置されていたのですね。この並びを、(1)の毒性の記述の順番と合わせるべきではないかという御意見をいただきまして、順番を改めさせていただきました。(1)と(2)のどちらをどちらに合わせるかについては、コメントに記載しておりますが、GHS分類で出てくる順番をベースに考えた方がシンプルかと思われたところ、(1)の毒性の並びは概ねそのままにし、(2)の項目を並べ替えるアプローチをとっています。
結果として、41行目以降、「急性毒性」のところを1に改めましたとか、そういったところが手を入れているところでございます。緑になっているところは、もともと現行の版で書きぶり自体はフィックスされていた表現を移し変えただけのものですので、表現自体は従前の版のままだというふうに御理解いただければと思います。
そのほか、この考え方で(2)の項目の順番を改めていきますと、1個余る、いや、余ると言うと若干語弊があるかもしれないのですが、並べてみると、(1)で列挙している毒性とは一致しない項目がございまして。具体的には96行目、現行の版では7に位置付けられていた「データの信頼性の検討」というところなのですけれども、こちら、GHS分類の毒性の並びと比べると余るような形になってしまったので、こちらは(2)の毒性の項目を並べているところからは移動させまして、今回お示ししている改定案でいきますと36行目、なお書きとして文章のほうに落とし込んでみています。字の色が緑になっている部分は、先のご説明同様、もともと7の位置で使われていた表現をそのまま持ってきている部分だとご理解いただければと思います。
その他に手を入れておりますのが……NOAEL、NOAEL、NOAELと直しているところがずっと下の方まで、つらつらと続いておりますが……次に中身があるのは126行目の辺り、PDFだと5ページ目ですね。「なお」という出だしで、「以下、評価の対象とする有害性の種類によらず」云々というところを記載してございます。先にご指摘いただいていたものの中に、GLP等を満たした動物実験施設で、OECDのガイドライン等に則って行った試験だけじゃなくて、その他信頼できる試験の結果であれば適宜採用するという考え方を反映すべき、というようなお話がございました。この御指摘をいただいた点、ちょこちょこと気付きの範囲で手を入れてお出ししたのが前回、本年度第2回の有害性評価小検討会でお諮りした改定案だったのですけれども、いや、これは特定の毒性に限られる話ではなくて、広く一般にかかる話だろうというご指摘を頂きまして、それはまあそうですよね、という話をさせていただいておりました。そこで、今回の改定案では、下の項目全体に一番大きくかかるところ、柱書きといいますか、のところにばさっと書かせていただきました。日本語としては、一部青字になっている箇所、西川先生から御指摘いただいている点がございますけれども、ともあれ、ざっくり、こういった形で、その他の信頼できる試験によるものを良しとするというところを前提にした書き方でばさっと置かせていただいた上で、現行の版でそれぞれの毒性の種類に応じて立てている項目の中に同様の記述があった部分については、全てこちらに集約するという形で改めさせていただきました。
ただ、こういった編集作業をいろいろやっていると、他のところでも、何か、あちこちで同じことを書いているところがあるよね、というのがちょっと気になったものですから、事務局側で手を入れてみている箇所がございます。具体的には159行目の辺り、PDFだと6ページ目ですね、緑で挿入されている箇所ですが、「個人ばく露測定結果の最大値が一次評価値を超える場合は、2の二次評価に移行する」云々と、こういった記述が幾つかの箇所に分散して記載されていましたので、該当の項目の根っこといいますか、冒頭のところに集約する形で手を入れているところでございます。
最後に、219行目なのですけれども、こちらも項目の整理をしておりましたときに気づきまして。もともと、「米国のREL、ドイツのMAK、英国のWELその他の外国機関において定められた職場環境に関する濃度基準」云々と、こういった記述が並んでいるところです。この辺りのもともとの表現は、最初にaで「外国機関において職場環境に関する濃度基準が定められている場合は、最新の知見を考慮していずれかの値を用いる」とした上で、次のbの中で「aの値が設定されていない場合は」というような書き方をしていて、それ以降も同じようにcの中に「a及びbの値が設定されていない場合は』云々という形式の記述が続いている。非常に読みにくい文面になっているように思うわけですが、要はこれ、採用すべき値を項目立てして、上から順に優先的に採用していくようにしているということですよね、というところがございましたので、そういった考え方が分かりやすくなるように、ちょっと整形だけさせていただきました。
その際、一部、なお書きということで231行目に書いてございますけれども、もともと現行の版ですと、「構造的に類似した」云々という出だしになっているeのところで、「化学物質の許容濃度等がない場合については、個別に検討を行って二次評価値を決定する」ということが書かれていたのですが、このeで書かれている内容は、a、b、c、dまでに記載されている具体的に採用すべき値と比べてみますと、ちょっと位置づけが違うものなのかなというところがございましたので、こちらは採用すべき値を項目として列挙した中からは外して、文章の形に落とし込んでいるところでございます。
今回の改定案で現行の版から手を入れましたのは──NOAELのところは逐一御説明しませんで[したけれども──内容としましては以上になります。もろもろ手を入れさせていただきまして、御指摘も一通り反映させていただきましたつもりですし、これでだいぶ文章としても全体的にすっきりした形にできるかなと思っているところでございます。
なお、本改定案は、委員各位に事前に展開させていただいておりましたけれども、先にご意見を頂いていた西川先生からはこちらの改定案でご了解を頂いております。
以上になります。
○大前座長 ありがとうございました。
いかがでしょうか、今の御説明。はい、どうぞ。
○吉成委員 すみません、ちょっと質問で、有害性のその現象というか、その区分のところで文章のとおりの順番に入れかえられたというのですけど、前回も議論があったかと思いますが、その生殖発生毒性とするんでしたっけ。生殖毒性で、項目の文章のほうは生殖発生毒性及び臓器毒性・全身毒性で、6で項目立てているところは、ちょっとそれも順番が変わっているのですけど、臓器毒性・全身毒性または生殖毒性となっているんですけど、これ、ちょっと議論が、前回か前々回であったと思うんですね、発生がどうなったのかなと。これ、何か違うのは、意図がありますか。
○阿部中央労働衛生専門官 率直に申し上げます、すみません、失念していました。そうか、そうですね。これは、もう揃えてしまってよろしいでしょうか。
○宮川委員 よろしいですか、すみません、40行目のところに、全体としてGHSで示される有害性に係る区分等を把握するというのが頭に来ているのだとすると、それに沿った考え方で下が並んでいると思います。幾つかまとめたのがありますけど、ずっとこのGHSの中では生殖毒性という言い方で本来の繁殖に関わる毒性と発生毒性を含めて生殖毒性と言うということになっているので、それを読んでいただければ、それがすっきりするのかなというように思います。
○平林委員 そこでは、臓器毒性も全身毒性に含まれるということでしょうか?
○宮川委員 臓器毒性については、STOTと言っているのですけど、Specific Target Organ Toxicityという言い方で、単回ばく露の場合と反復ばく露という場合となんですね。だから、その全身毒性に直接対応する言葉では、ちょっとないのですけれども、システミックな臓器毒性のことを取り上げていくのが実態ではあります。なので、あまり細かいことにこだわる必要もないとは思いますけれども。
○平林委員 そうすると、生殖毒性を前にしたほうがよいのですか。それとも、この順番にして、上を変えたほうがよろしいのでしょうか。
○大前座長 34行目と56行目の書き方ということですよね。
○平林委員 順番がね。
○大前座長 しかもこれ、これに従ってというところで、GHSは生殖毒性というふうになっているので、じゃあ34行目も生殖毒性にするという。
並べるとすれば、臓器毒性・全身毒性または生殖毒性にするということで、ここだけちょっと、はい。
○阿部中央労働衛生専門官 ちょっと、すみません、確認で。上からいきますと、33行目、34行目に並べているものと、41行目以降の個々の項目の対照を順次見ていきますと、「急性毒性」がまず1ですと。その次に「皮膚腐食性・刺激性」と「眼に対する重篤な損傷性・刺激性」、こちらは2でまとめて書いてございます。「呼吸器感作性又は皮膚感作性」、こちらが3で、「生殖細胞変異原性」が4ですと。「発がん性・遺伝毒性」が5で、残る「臓器毒性・全身毒性又は生殖毒性」としているところが、6の項目名だと「生殖発生毒性及び臓器毒性・全身毒性」になっていて、こちらは一致してないよねと。そこのところを、6の項目名のほうを「生殖毒性又は臓器毒性・全身毒性」にしますというのが一つ。それから、それに逆に34行目についてもそれに合わせて「臓器毒性・全身毒性及び生殖毒性」にすると。それで統一ということでよろしかったでしょうか。
○宮川委員 順番を強いて言うのであれば、生殖毒性が頭で。
○阿部中央労働衛生専門官 すみません。そうすると、34行目が「生殖毒性及び臓器毒性・全身毒性」。これに合わせて、6の項目名についても、「生殖毒性又は臓器毒性・全身毒性」にすると。
○宮川委員 そうですね、はい。
○阿部中央労働衛生専門官 わかりました。ありがとうございます。
○大前座長 そのほか、いかがでしょうか。
有害性評価書の中の生殖発生毒性と統一しているんじゃなかったでしたっけ。
○江馬委員 生殖毒性と言ったと思うのですが、はい。文章中で発生があったり、生殖があったり。
○大前座長 そうですか、逆ですか。
○江馬委員 ええ。
○吉成委員 すみません、何か言葉じりみたいになってはいけないのですけど、こういう公的に近い文書のときに、6番の「又は」と書いてしまってよろしいんですかね。「及び」ではないのですか。
○大前座長 なるほど、なるほど、そういうことですね。
○阿部中央労働衛生専門官 これ、実は「及び」と「又は」は非常に、私も正直、法令を見ていると途中でわからなくなる瞬間があるのですけど。要は、例えば2つの項目があるときに、どちらかであればよい、あるいは、どちらかである可能性がある、というような話であれば、基本的に「又は」だというふうに理解しています。
○吉成委員 含まないときはあるんでしたっけ。
○阿部中央労働衛生専門官 例えば33行目、34行目の「及び」については、把握する有害性の種類としてみると、リスク評価の実施に当たってはこれを必ず一通り把握せよということであって、どれかではないので、「及び」になります。「(2) 量―反応関係等の把握」の6の方は、これは「又は」になっているのですけれども、基本的にはどっちか、当該対象物質をリスク評価の対象として選定した際に着目した有害性の種類等を勘案し、次によりNOAEL等を把握するということですので、ここで押さえられる毒性の種類は「臓器毒性・全身毒性」か「生殖毒性」のどっちかだよね、という理屈で見るのであれば、「又は」でよいかと思います。この2つをセットで見るのが標準だよねということであれば、「及び」かもしれません。実際にこのケースでどちらが当てはまるのかという点は、ちょっとどういうものなのかがよくわかってない部分があるのですが……。
○大前座長 言っている意味はわかるのですけど、「又は」にするか「及び」にするか。あるいは、もう中間を取って、「又は/及び」にするか。基本的には、全身毒性も生殖毒性も全部見ていますから、及びでいいのかもしれませんね。
○阿部中央労働衛生専門官 その辺が微妙なところでしたら、この際、普通に読点で、「、」でつないでおくとかでしょうか。
○大前座長 それでもいいですね。
○阿部中央労働衛生専門官 いいですか。じゃあ、よろしければ、それで。
○大前座長 清書するときには、中黒ですね。
○阿部中央労働衛生専門官 はい。
そうしましたら、ええ、2のほうについても同様に改めさせていただきます。
○大前座長 はい。
○津田委員 いいですか。
○大前座長 はい、どうぞ。
○津田委員 51行目の生殖細胞変異原性、「人の生殖細胞に、遺伝する可能性のある突然変異を誘発する可能性を把握する。」と、どういう、例えば、どうです。生殖細胞が遺伝子に作用して、それが遺伝する可能性がある何らかが実際にあるのでしょうか。勉強不足で申し訳ないけど、知りません。
○大前座長 これはいかがでしょうか。
○宮川委員 多分、GHSの文章の直訳に近い表現がこうなっていると思いますけれども、heritable mutation in germ cellsとなっていますので。
○津田委員 あるんですか、そういうものが。
○宮川委員 ええ、それが使われています。ただし、人では、まだ1例も見つかってないと言われていました。私もそれ以来聞いてないので、人で明らかになっている例は、多分まだないんだと思います。
○津田委員 ないんですね。あったら大変ですね。
○宮川委員 ただ、動物実験では、in vivoの試験で陽性結果が出るような場合に、それが生殖細胞でも影響があるということがあれば、動物実験の上からは疑いがあるものとして判断をするというふうには言われています。
○津田委員 動物実験ではあるわけですね。
○宮川委員 いえ、動物実験で遺伝病の原因になったということがはっきりとしているのもないと思います。
○津田委員 じゃあ可能性だけの話ですね、これは。
○江馬委員 可能性です。実際にvivoでこういうこと、動物実験で証明するのは非常に難しいのでしょうね。
○宮川委員 ただ強いて言えば、この遺伝性というのが、遺伝病として病的な異常を持った個体が次の世代で生まれてくるということまでではなくて、途中で死んでしまう場合も含めれば、優性致死試験で陽性となったような場合には考えられるのかなということです。つまり、雄のほうにばく露して、妊娠して、発生の途中で死亡ということになります。
○津田委員 もし、こんなことが起これば、そのgerm cellはほとんど死にますよね。
○江馬委員 受精しても致死になると思います。
○津田委員 受精しても、いや、受精もしないかもしれないし、ほとんどは殺されますよ。
  まあいいです。本当にあるのかなと思いました。
○大前座長 そのほか、いかがですか。159行目のところで、「個人ばく露測定結果の最大値が
一次評価値を超える場合は、2の二次評価値に移行する。」、ちょっとここが意味がわからなかったのですけれども、これは何でしたっけ。
○阿部中央労働衛生専門官 はい。実は、これ、この有害性評価小検討会でご議論いただいている際には、先に二次評価値をどう設定するかという話をした上で、次に一次評価値をどうしましょうかという流れになっているような感じなのですけど、このペーパーの文面としては、もともとこういう表現で書いてあった部分なんですね。実は、西川先生からも、これ、逆じゃない?という御指摘をいただいていたのですが、実際の進め方との関係では特に混乱も生じていないと思いますので……というところの認識をご説明させていただいて、ご了解を頂いておりました。
○大前座長 これ、個人ばく露測定評価だから、ばく露測定をした後じゃないと結果が出てこないということですよね。
○阿部中央労働衛生専門官 単純に読むとそうです、はい。
○大前座長 それが、一次評価値を超える場合は、二次評価値に移行するというの。これ詳細評価とか何だかんだだったらわかるのですけど。
○宮川委員 よろしいですか。この一次評価、二次評価という言い方と、それから1回目の評価と、それから詳細評価とが、それがちょっと混乱しやすいのですけれども、ここで言っている二次評価というのは詳細評価に移行するということではなくて。
○阿部中央労働衛生専門官 有害性評価書における二次評価値のことです。
○宮川委員 二次評価値を使って、そこも超えているかどうかを判断するということですね。
○阿部中央労働衛生専門官 その認識です、はい。ですので、その辺りの話は、この検討会の構成がどう整理されるものなのかという話にも多分影響してくるのですけれども。有害性とばく露の両面から成るリスク評価検討会の総体としてやっていることは何なのかという観点で俯瞰して見ると、有害性の方で一次評価値をまず決めましょう、それをばく露の実態と比較した結果によって二次評価に移行して値も決めましょう、そうして決めた二次評価値とばく露の状況とから最終的なリスク評価としましょうと。全体としては、これをやることになっているんですね。ただ、このプロセスを有害性の方とばく露の方でそれぞれ分けて一つずつやっていこうとすると、一次評価値を有害性の方でとりあえず決めてもらいました、それをばく露の方に持ってきてばく露評価をしました、その結果によってまた有害性の方に持ってきて二次評価値を決めてもらいました……というような形で、有害性とばく露の間の往復が増えてしまうわけですね。そうすると、実際の運用としましては、先に有害性の方で二次評価値まで、便宜上、仮置きをしていただいた上で、ばく露評価をやって、最終的に合同でまとめてやるという進め方のほうが話が早いと。要は、そういうことなのかなと、私は理解しておりまして……
○宮川委員 よろしいですか、途中で。考え方としては、やっぱり一次評価は相当、デフォルトの安全係数等を使って、相当低い値が出てくることをばっさりとやっていると。それよりも、実際のばく露が低ければ、問題にすることはないだろう。そこで一旦おしまいにしますが、そこを超えている場合には、もう少し慎重に、いわゆる許容濃度と実際のばく露で比較をして、問題があるかどうかを判断するというのが今までやってきたということで、そういう意味で、ここは、だから二次評価に移行するというのは、詳細評価という意味ではなくて、本来の二次評価値を使った評価をするんだということでよければ、今までやってきたことと矛盾もしませんし、本来の考え方だと思います。
○大前座長 その二次評価に移行するのではなくて、二次評価値に移行する。
○宮川委員 二次評価値を用いて評価をする。
○大前座長 そういうことですよね。
○阿部中央労働衛生専門官 宮川先生から御説明いただきました、その流れを、先ほど申し上げたような検討会を何往復もする形ではなくて、有害性とばく露のそれぞれで最小回数でかたをつけるという運用になっているという意味で、実態としてもやっていることは変わらないんだと思うんですけれども。
○大前座長 そのほか、何かございますか。
では、先ほどの生殖毒性のところは、その修正だけでよろしゅうございますか。はい、ありがとうございました。
それでは、今日の問題ですが、6物質に関してです。最初はトリクロロ酢酸です。説明をお願いします。
○阿部中央労働衛生専門官 はい、ありがとうございます。
そうしましたら。資料1-1ということで、トリクロロ酢酸を御覧いただければと思います。今、一応、画面にも出しましたトリクロロ酢酸です。
内容としましては、先に結論といいますか、二次評価値のところの御説明ですけれども、215行目、216行目に書いておりますけれども、二次評価値としては0.5ppmと、ACGIHの勧告しているTLV-TWAを二次評価値と設定しております。
一次評価値につきましては、動物試験から導き出されたNOAELから不確実係数を考慮して算定した評価レベルが二次評価値の十分の一以上であるので、「なし」という設定をさせていただいているところでございます。
値としましては、同じページの202行目に、DFGが2015年に設定しているMAKの値が0.2 ppm、ACGIHのTWAが2014年で0.5 ppmですので、ちょっと1年差でDFGのほうが小さい値をつけているのですけれども、とりあえず、まずはACGIHというところをベースにという前提ですので、ACGIHのTWAをセットしているところでございます。
ただ、そのACGIHのTWAの根拠の説明のところが、私も一応読んではいるのですが、若干よくわからんところがありまして。一応、ACGIHを採用ということで事務局案をお示ししているところではございます。
以上です。
○大前座長 ありがとうございます。
いかがでしょうか。これ、もとの実験がナトリウムを加えてpH7にしてやっている実験が多いので、その実験結果が本当にトリクロロ酢酸かというのは若干疑問があるのですが。実際、それやらないと、恐らく酸が強過ぎて、飲んだ瞬間に、あっという間にたんぱく質が凝固してアウトになるという、そういう物質なので、こういうやり方でせざるを得なかったのじゃないかと思うんですけれども。
特に御意見がなければ、二次評価値、この数字でよろしゅうございますか。ありがとうございます。
それでは、次、イソホロン。
○江馬委員 先生、すみません。
○大前座長 どうぞ。
○江馬委員 135行目なのですが、生殖毒性。これ、生殖毒性ありと判断なしと、判断できないとか、書かないといけないと思うのですが、この下の文面で読むと、判断できないということになるのだろうと思うのですが、その下のほうの有害性総合評価表の生殖毒性のところが「あり」ということになっています。
○大前座長 これはいかがでしょうか。前のほうは何も書いていない。
○江馬委員 前のほうは何も書いてなくて。
○大前座長 それで評価表のほうで。
○江馬委員 ありということになっていて。
○大前座長 これの結果を見ただろうということで。
○江馬委員 根拠の文章を読むと、判断できないというふうに読めると僕は思うのですけれども。
○大前座長 いかがでしょう、この生殖毒性の根拠。
○江馬委員 根拠のところは母体毒性に起因しているというふうな記述になっておりますので、この記述からすると、判断できないという結果になるのだろうと思います。
○阿部中央労働衛生専門官 すみません、有害性総合評価表の方に記載されているものがリスク評価書(案)のほうに書いていないのは、単純にこちらの転記漏れだと思います。
○江馬委員 そういうことですか。
○阿部中央労働衛生専門官 ですので、判断の是非については、その有害性総合評価表の記述が妥当であって、本体の方に転記するに能うものなのか、あるいは、そもそもこの総合評価表の表現を見直すべきものなのかについて、ちょっと御議論いただいたほうがいいのかもしれません。
○大前座長 この毒性の母体毒性によるから、子供のほうの毒性、要は発生毒性でしょうけれども、これは評価できないのではないかという御意見ですが、いかがでしょうか。ありでしたら毒性で、母体毒性の結果だというふうに評価していて、MAKのほうもそんなような形であるので。
○宮川委員 よろしいですか。
○大前座長 はい。
○宮川委員 この本文の記載だと……
○大前座長 何行目でしょう。
○宮川委員 146行目ですけれども、母体毒性のNOAELも発生毒性のLOAELも330mg/kgを超したというのをそのまま読むと、発生毒性について、一応これがLOAELと書いているということになるような気がするのですけれども、もう一つはですね、リスク評価の関係から言うと、結局それを生殖毒性ありと考えて、そこから評価値を求めて見たほうが、より安全だろうということなのですけど。それをとっても、特に先ほどの許容濃度から来たものよりも低い値にならないのじゃないか。特段取り上げる必要もないのなら消しますけれども、あり・なしをここで書いてしまうと、厚生労働省の結論が、この物質の、例えば生殖毒性あり、なしという結果となって、この程度の母体毒性のときに、それをどう評価するかというのは、非常に難しくて微妙なところなのかなという気がしておりまして。最近のそのGHSの考え方では、母体毒性が相当強くなる場合以外は、わからないこともあるだろうから、一応生殖毒性としてとっておく。あるいは、1段階下げて疑いがあるとしておくというのが基本的な考え方だとしていますので、その辺りを検討いただければと。
○大前座長 いかがでしょうか。この文章、非常に不思議な文章で、IRISは母体毒性の結果であるとしていながら、IRISは、同じところは母体毒性および発生毒性のLOAELというふうに書いてあるので、非常に、IRISの細かなモデルとしてね。
  こういうようなことなので、一応、今の考え方から、GHSの考え方からいくと、ありにしておいたほうがいいのじゃないかと。
○宮川委員 あるいは、このGHSの場合の疑いというのがあるので、ええ、その中間もとれるのですけれども、だから、その辺りが微妙なところで。あり・なしだけというのが、非常に困るということで。
○大前座長 そういうことですね。
そうすると、お互いに、これ、ルールブック上そういうような判定は今のところないのですよね。なければ、こういう例が出てきたので、つくればいいと思いますけれども。
○宮川委員 それから、実際のことを考えると、もしこの程度のばく露であって、これが許容濃度に、仮に以下でこういう影響があったときに、それはもう無視できるかというと、労働者を守る観点からは、そういうわけにはいかないので。その厳密な意味での、その生殖あるいは発生自体へのものかどうかわからない場合も、ある程度のことが対応できるようなことにしておくのがよろしいかと思います。
○大前座長 この委員会の結論としては、疑いでよろしいですか。ありとは言い切れない、もちろんなしとも言い切れないと。要するに判断できない、判断できないでしたっけ……
○江馬委員 判断できないと疑いがあるのとちょっと違いますけれども。
○大前座長 違いますね。
○江馬委員 判断できないということになると思います。GHSの区分では、疑いがあるとするケースになるかなというふうに思います。
○大前座長 「判断できない」ということは、結構たくさんこの委員会で使っていますので、判断できないにしましょうか。
はい、じゃあ、評価表のところのありは、判断できないというふうに書きかえて、それから、二次評価書もそのままでいいと。はい、ありがとうございます。
○阿部中央労働衛生専門官 すみません、確認をさせていただければ。今、御指摘いただいた点を踏まえますと、有害性評価書、総合評価表それぞれを、ちょっと、今の御指摘を踏まえて……
○大前座長 「判断できない」と。
○阿部中央労働衛生専門官 「判断できない」という形にアップデートさせていただいて、ルールブックとの関係というところにつきましては、後で確認しておきますので、必要に応じて改訂を考えるかどうかを精査すると。一旦、本件については、それに該当する「判断できない」「疑いあり」に相当するものを文言としては入れておくという形でアップデートを図るということで。わかりました。
○大前座長 それでは、2物質目、イソホロン。説明をお願いします。
○阿部中央労働衛生専門官 イソホロンです。物質としては、細々とした物性のところに関する記述については、先ほどと同様飛ばせていただきます。実際の根拠のところは、長々と書いてあるのですけれども、一応、事務局からお示しする案としましては243行目、PDFで8ページ目ですね。下の番号で言うと7ページになっていますけど。243行目ということで、二次評価値5 ppmと、ACGIHの勧告しているTLV-Ceilingを二次評価値として御提案をしているという状況でございます。一次評価値につきましては、こちら、記載のとおりに「なし」ということにしております。ただ、この根拠の数字については、複数の機関でそれぞれ若干異なっているところがございまして。184行目がそのACGIHの5 ppmのところですね。根拠をいろいろ書いていただいてございますが、ちょっとすみません、どこがポイントなのか、私自身は正直よく分かっていないところがあるのですけれども、ACGIHとしては、ともあれ、もろもろの結論として5 ppmというのを出していると。
それに対して、他の機関ではという話なのですが、DFGは2 ppmということで、ちょっと小さい値になっています。NIOSHが4 ppmで、OSHAが25 ppmと、それぞれ結構ばらつきがあるのかなというところもございまして、とりあえず一旦の事務局案としては、ACGIHで5 ppmという形をお示ししておるのですけれども、他の毒性とかその評価レベルとか、もろもろの記載等を鑑みて、これでよろしいのかどうなのかというところが、ご確認いただく必要があるところかなと思っているところでございます。
以上です。
○大前座長 タブレットの方に入っている西川先生の御意見メモというのでは、それが一番最初にありますけれども、概要ですね。これを見ると、西川先生は、まずは、今のMAKが2015年に2になっていると。ACGIHはCeilingで5なのだけれども、Ceilingというのは5が最高濃度という意味なので、それも平均濃度の意味のMAKの2のほうがいいのではないかというのが西川先生の御指摘で、これは、矢印以降は、これは事務局の回答になるのですか。
○阿部中央労働衛生専門官 はい。すみません、ちょっと、先ほどのトリクロロ酢酸のところで御説明ができていなくて申し訳なかったのですけれども、事前に資料を展開させていただいていた際に西川先生から各資料について付していただいていたコメントを、机上配付ということで、タブレットのほうにはWordでお配りしてございます。そのコメントに対して矢印で記載しておりますのは、個々の資料に付けていただいていたコメントをテクノヒル社の方で一枚のペーパーに整理していただいた際に、有害性評価書作成の事業の方での議論などを踏まえると考えられる要素を書いていただいているだけですので、きっちりとした事務局としての回答というような性質のものではありません。
 例えば、1つめのトリクロロ酢酸ですと、西川先生からは、ACGIHの許容濃度やDFG MAKの値の設定には、IARCが2014年に2Bと評価していることが反映されていないのではないかと御指摘いただいているのですが、このご指摘に対して、ACGIHの発がん性の評価はIARCとおおよそ同等、DFGはMAK値の提案に際して発がん性は見ていない、といった点を参考情報として記載しています。また、一次評価値については、「閾値なしの発がん性に対する適切なユニットリスクがないため?」というコメントを頂いていましたが、この点については、53行目以降のIRISの記述との関係に留意が必要かと。ただ、こういった要素については、先ほどの御議論の中で要素としては押さえていただいていた範囲かなと思っていました。すみません、ちょっと直接御説明していなくて申し訳なかったのですけれども。
問題はイソホロンですね。イソホロンにつきましては、西川先生からは、まず32行目と42行目以降の記述を対照させると情報ありと整理されるのではないか、といった趣旨のコメントを頂いておりました。この点については、1986年のNTP TR 291で、「雄F344ラットで尿細管、包皮腺、膵臓の腫瘍発生率の増加を認めsome evidenceとしている」が結論としては、NTPは「発がん性区分に分類していない」といった情報をメモとして付記しています。また、243行目については、西川先生からは「同じ2015年のMAKの評価では、ヒトでの強い刺激性を重視し、より低い2 ppmとなっている」といった点に注意すべきというご指摘を頂いておりました。先ほど大前先生にも御指摘いただきましたけれども、各機関が何に注目して値を設定しているのかというと、こういう視点なのであろうという、そういったコメントをいただいていたものと理解しています。
ただ、もろもろ御指摘を踏まえると、そのMAKの2 ppmというところをとるべきなのか、どうなのでしょうかというところが、ちょっと事務局としてもよくわからないところがございまして。
○大前座長 これ、以前も、このCeilingの値をとったこともあるのですよね、現実的に。それしか数字がない場合という、そういうことでしたけれども。今回の場合はMAKというTLV値で、Ceilingの値と、それからMAKですから、時間荷重平均の両方があるので、どっちが妥当かという判断を、今までしたことはなかったと思うんですね。Ceilingがある場合、Ceilingしかない場合もCeilingの値をとろうということでやっていましたけれども、どうしましょうか、これ、考え方の問題なのですが。
○宮川委員 一応、確認しておきたいのは、MAKの値のほうが小さいから、こちらのほうが厳しい評価をしているというわけではないですよね。
○大前座長 ないです、はい。
○宮川委員 Ceilingのほうが、平均すれば、もっと低いところになるように抑えられるかもしれないということ。
○大前座長 見てる影響が、やっぱり刺激なので、刺激を見ているのだったらCeilingでいいのではないかという、そういう影響の種類から見たらCeilingでいいんじゃないかという気もするんですけれどもね。どうしましょうか。今までもCeilingをとっていますし、原則は産衛もしくはACGIHが優先という原則のルールがあるので、今回もCeilingの5ppmでよろしいですか。5にすると、少し甘目の数字になることになるのですけれども。
じゃあ、それ以外に何か、いかがでしょうか。特に御意見がなければ、じゃあ、イソホロンに関しましては、二次評価値は5でいきたいと思います。
次、クロロピクリン、これにつきましては、机上配付で食品安全委員会の農薬評価書の案が今回出てきております。このことも含めて御説明していただけますか。
○阿部中央労働衛生専門官 そうしましたらクロロピクリン、資料1-3を御覧いただければと思うのですけれども。先に二次評価値のところの御説明だけさせていただくと、PDFでいくと7ページ目、193行目に二次評価値0.1 ppmということで、ACGIHと産衛が一致して0.1 ppmという値を設定しておりますので、こちらをそのまま採用しているところでございます。
それから、一次評価値につきましては、188行目のところですね、発がん性以外の有害性について、動物試験から導き出されたNOAELから不確実係数を考慮して算定した評価レベル0.0075 ppmというところを一旦御提案させていただいているところでございます。
それに対して、農薬評価書については、発がん性の評価という観点で西川先生からご指摘を頂いています。発がん性については、リスク評価書案、資料1-3の24行目に項目を立ててございますけれども、ここの事務局案としては、「ヒトに対する発がん性は判断できない」、その根拠は、ACGIHが発がん性分類をA4としているため、といった形にしています。「ICRマウスに対して78週間吸入ばく露した試験で」云々のところですが、結論として、「ヒトに対する発がん性は調査した範囲内で報告はなかった」と。こういったIARCの評価の状況、産衛の評価の状況などを踏まえると、「ヒトに対する発がん性は判断できない」という書き方をさせていただいているところでございます。
これに対して、西川先生から御指摘といいますか、御示唆をいただいたのが、食品安全委員会の農薬評価書、事務局でぱっと確認できたのは2018年の時点での案までなのですけれども、マウスの肺・前胃に腫瘍の発生増加ありとなっている点をどのように考慮するか検討が必要だろうといったところだと理解しています。
他方、リスク評価書案の184行目、先ほどもちょっと申し上げました一次評価値ですね、事務局案では一旦0.0075 ppmという案を書いておりますが、これは188行目にも書いてございますとおり、発がん性以外の有害性について注目してピックアップしてきたものになっています。それを、先ほどの発がん性の評価のところ、食品安全委員会の農薬評価とかの状況を踏まえたときに、見直す必要があるのか、ないのか、こういったところが御確認、御検討いただくベきであろうというところを、西川先生から御指摘いただいているというのが現状です。
一応、とりあえず手元で用意できたその農薬評価書(案)だけは、机上配付という形でタブレットの中に入れさせていただいております。正式な資料の名前としては、2018年の10月12日付け、第164回農薬専門調査会幹事会というのがありまして、そこでの資料1として、クロロピクリン評価書(案)というものが使われていたと。
○吉成委員 すみません、途中なのですけど、1点、よろしいですか。
○阿部中央労働衛生専門官 はい。
○吉成委員 12月に正式文書として公開されていますので。評価書として。なので、公開されている情報です。12月に確認しました。なので、(案)ではないです。正式案が出ているのです。内容は、ちょっと確認していません。
○阿部中央労働衛生専門官 わかりました。確認が漏れており申し訳ありません。そちらは追って確認をさせていただきます。
  というわけで、すみません、とりあえず机上配布として一旦御用意をしていたのは案段階のものなのですけれども、この農薬評価書の中で、もろもろの試験の情報が、安全性にかかる試験の概要のところで記載されていると。目次のところ、16行目の辺りとかを見ていただきますと、各試験が行われている状況が並んでございます。それで、具体的な試験の結果のページのところをもろもろ見ていただいたときに、先ほどポイントだけ申し上げましたが、マウスの肺・前胃に腫瘍の発生増加ありというところを、西川先生から御指摘いただいているということでございます。
○大前座長 そうしますと、食品安全委員会のその評価書は、もう案ではなくて正式な状態になっているということですので、このクロロピクリンに関しては、その食品安全委員会の評価書を引用して、記述をし直す必要があるというふうに思うのですが、いかがですか。それによって、ちょっと評価の中身が変わってくる可能性があるのですけれども。食品安全委員会の中で、肺と前胃ですか、前胃にあると。前胃の場合は、ちょっとどうとるかは別にして、肺に関してあるということになると、やはり考え方も違ってくるということになりますよね。
はい、どうぞ。
○吉成委員 すみません、ちょっと今、公開されているので内容を確認したのですけれども、今の34ページに要約が、食品安全委員会の評価書に出ているのですが、食品安全委員会で、農薬ですので、遺伝性があるかないかの問題なので、34ページの27行目からに発がん試験、正式の結果が書いてあって、今、公開されているものと文章が変わりませんので、認められたということを明確に書かれておって、遺伝毒性はないから閾値が設定できるという結論が出ていますので、発がん性ありという考え方でやらないといけないかなと思いますね。
○大前座長 そういう御意見でよろしいですか。この評価書、ちょっと、その今の食品安全委員会のやつを引用して、まあ引用ですね。少し中身を書き直す必要があると。もとの評価書、有害性評価書は、もともと今の食品安全委員会の資料になかったわけですから、これは仕方がないとして、今回それが出たということ、去年の12月とおっしゃいましたか。
○吉成委員 12月です。
○大前座長 そうすると、もう半年くらい前に出たということですので、やはりそれは、やっぱり取り入れる必要があるということで、ちょっとこれはペンディングということでよろしいですか。数字が最終的に変わるかどうかは、ちょっと中身を見てみないとわからないところがありますけれども。二次評価値に関しては、多分、そんなに簡単に、一次評価値と変わらないと思うので。あまり変わらないかもしれないのですけれども、でも一応、発がんのことに関しては、ちゃんと書いてなくてはまずいですので、ですからよろしいですね。
じゃあ、これに関しては、ちょっとペンディングと、食品安全委員会の評価書を参考にして書き直していただくと。
○阿部中央労働衛生専門官 そうしましたら、有害性評価書のほうのアップデートがてら、ちょっと。
○大前座長 そうですね。
○阿部中央労働衛生専門官 委託事業の中でアップデートしていただいて、リスク評価書案のほうにどこまで反映できるかというところを考えるような形で進めておきたいと思います。
○大前座長 それから、このクロロピクリン、カルフォルニアEPAの文献をいっぱい引用してあるのですけれども、この本体のほうの。これしかなかったのですかね。基本的にカルフォルニアEPAは使わないという、そういうような大体方針でここをやっているのにもかかわらず、カルフォルニアEPAの引用がいっぱい出ているので、なかったのか。なかったのなら仕方ないかなという気がしておりますけれども。ひょっとしたら食品安全委員会に書きかえちゃってもいいかもしれませんね。これ、急ぎますか。例えば今年度中に出したいという……
○阿部中央労働衛生専門官 順調に決まれば、とりあえず来週ばく露評価を、今日やる6物質についてかける予定でした。
○大前座長 そうか。
○阿部中央労働衛生専門官 ただ、端的に申し上げると、今、クロロピクリンのこのばく露実態調査の結果を反映した資料の作成も順次進めているんですね。で、その用意しているラインでいきますと、これは二次評価値よりも若干高い値になっているんですよ。
○大前座長 そうですか。
○阿部中央労働衛生専門官 ばく露実態調査の結果をまとめると、8時間TWAの最大値が一応0.13ppm。
○大前座長 0.13。
○阿部中央労働衛生専門官 はい。さらに区間推定をとると、0.3 ppmというような値になるはずです。本当にその値で大丈夫かというところは、ばく露評価の場で改めて確認いただく必要があるんですけれども、一応、ばく露実態調査の委託事業の方の報告書ベースで素直に数字をとっていきますと、そういう結果が出てきているという状況ですので、とりあえず詳細の方にひっかかるかなという発想ではおります。
○大前座長 そう。向こうのほうの進捗状況ということもありますので、だから、二次評価値は、恐らくあまり、そんなに急には変わらないと思うので。じゃあ、この現在、今ここにあるリスク評価書は、食品安全委員会のを見て書き直していただくということにして、二次評価値に関しては0.1ppmですか、これでいってよろしいということでよろしいですか。一番最初のばく露評価書には、とりあえず今回は戻らない。必要に応じて来年、再来年に戻るかもしれないけれども、今回は戻らないで、今出てきているリスク評価書(案)は書きかえると。
○阿部中央労働衛生専門官 合同のリスク評価検討会にお諮りするタイミングはちょっとどうするか別に考えますが、とりあえず来週予定しておりますばく露評価のほうだけ先にやらせていただくことができればありがたいです。あとは農薬評価書などの情報を踏まえたアップデートもろもろを進めまして、ちょっと合同にかけるタイミングは今回の6物質とはずれるかもしれませんけれども、そういう進め方でよろしければ、順次。
○大前座長 それでよろしいですね。じゃあ、そういうことで進めてください。
そのほか、何かクロロピクリンで御意見はございますか。
じゃあ、なければ、次はしょう脳。
○阿部中央労働衛生専門官 そうしましたら、資料1-4を御覧いただければと思います。ちょっと今、資料を改めて見返していて、「しょう脳」と「よ」が促音になっているところをどうしようかなというのがちょっと。「しよう脳」が、多分、一応法令上の用語になっていたんじゃないかと思うのですけど、これはちょっと告示の表記に合わせてもろもろ更新させていただくかもしれませんが、内容としては、いわゆるしょう脳です。
二次評価値のところの案につきましては、221行目、PDFでいきますと7ページぐらいですね、に書かせていただいておるのですけれども、こちら、ACGIHのTLV-TWAが勧告されているということで、当該値の2 ppmを一応採用ということで御提案をしているところでございます。
一次評価値につきましては、先ほどのクロロピクリンなんかと同じですけれども、「なし」という案をお示ししているのが215行目です。ACGIHのTLV-TWAとかの値については、同じページの196行目に根拠等を書いてございまして、TLV-TWAは2 ppm、こちらが1969年の値です。TLV-STELが3 ppmで、これは1976年の値です。値の設定の根拠としましては、「2 ppmより高い濃度で労働者に起こる眼及び鼻刺激性、嗅覚障害のリスクを最小とするため」というような書き方をしていただいているところでございます。この2 ppmにつきましては、mg/m3に換算しますと、ここに書いてあるように12 mg/m3になっているんですね。これに比べると、NIOSHとかOSHAは、若干……というか6分の1ぐらいですか、小さい値が示されておりますが、産衛は設定なしと。もろもろこういったところを踏まえつつも、一旦ACGIHを採用ということで御提案しているところでございます。
以上です。
○大前座長 いかがでしょうか。
この物質が流産誘発に使われたというのは全然知らなかったのですけれども、こんなことがあったのですね。
○津田委員 昔あった、ビタカンの主成分でしょう。
○大前座長 そうなんですか。
○津田委員 ええ、カンフルを打つとかやったでしょう。死ぬか生きるかのときにカンフル、これがしょう脳です。
○平林委員 そうなんですか。
○大前座長 カンファーという発音。
○津田委員 カンファー、ビタカンのカンファーです。
○大前座長 知りませんでした。
○津田委員 死にそうな人でも、これ静注されたら生き返る。
○平林委員 とりあえずショックを起こさせるということですね。
○阿部中央労働衛生専門官 手元で検索しましたら、ビタカンファー、しょう脳からつくる強心剤の商標、とのことです。
○大前座長 何か御意見いかが……。はい、どうぞ。
○江馬委員 164行目ですが、しょう脳を「妊娠日に経口投与した。」、妊娠何日というのはわからないのですか。それで、あとの方の文章も全部こうなっているのですが、それがわからないからはっきりしない。
○津田委員 妊娠した日。
○江馬委員 そういうことですか。
○大前座長 そうですよね。
○津田委員 その後にやっているから。
○江馬委員 わかりました。妊娠確認日ですね。
○津田委員 そのほうがいいですね。
○大前座長 なるほど、なるほど。用語としては妊確日。
○津田委員 なるほど、プラークが見えた日ですね。
○大前座長 ええ。じゃあ、164は妊娠確認日というふうに。
○阿部中央労働衛生専門官 はい。今、御指摘いただきました点は、例えば総合評価表なんかでも、PDFのページでいきますと11ページですかね。下の数字だと10ページになっていますが、こちらで、まさにそのリスク評価書案の本文中の記述のもとになった材料が書かれています。この辺も、もろもろ全部含めて妊娠確認日に修正しておきます。
○大前座長 これ、生殖毒性は判断できないという言葉を使っていますね。では、さっきのトリクロロ酢酸の生殖毒性のところは「判断できない」でいいですね。
○阿部中央労働衛生専門官 わかりました。そのようにさせていただきます。
○吉成委員 それから有害性評価表の根拠のところ、種差(10)NOAEL→LOAELと書いてあるのですけど、LOAEL→NOAELに。
○大前座長 あ、はい。
○吉成委員 両方そうですね、本文のほうと表のほう、両方がNOAEL→LOAELになっております。
○大前座長 本当だ、これ、逆にしてください。
○阿部中央労働衛生専門官 すみません、誤記がありましたか、失礼しました。
○大前座長 あるいは矢印を逆向きにするか。いずれにしても、修正してください。
○阿部中央労働衛生専門官 すみません、はい。ちょっと確認いたします。
○平林委員 そうすると、神経毒性のところ、LOAEL→NOAELに変える必要は、こっちは変えなくて良いのですね。
○大前座長 これはLOAEL→NOAELですから、はい。
○平林委員 これはいいのですね。
○大前座長 はい。
○平林委員 これと同じようにする。
○大前座長 はい、そうです。
そうしましたら、しょう脳に関しましては、二次評価値が2 ppmということでよろしゅうございますか。はい、ありがとうございました。
じゃあ、次がチオ尿素、お願いします。
○阿部中央労働衛生専門官 すみません、ちょっと手元でLOAEL→NOAELの記述があるのはどこだっけと言いながら見ていて、次の資料の準備をしていませんでした。今、チオ尿素を開きます。
チオ尿素は、委員各位に資料を御展開させていただいたときにも、ちょっとどうしようかなという点、悩ましいポイントですという話をさせていただいておりました。
そのどうしようかな具合と言いますか、ちょっと悩ましいなと思っておりましたのは、資料1-5、PDFの7ページ目にある193行目、この部分にだけちょっと黄色のマーカーを引かせていただいておりまして。いや、本当にどうしようかなということで書かせていただいているのですが、「調査した範囲で許容濃度等を設定、勧告している機関はなかった」と。そこで致し方ないので、「構造的に類似した化学物質である尿素についてはAIHAが8hr TWA 10 mg/m3」という、これを仮にチオ尿素に換算したとすると12.7 mg/m3になりますかねということを、一応書いてはございます。
ただ、西川先生からも「尿素を構造類似物質とみなしてよいかがポイントになると思います。」と御指摘をいただいているのですが、まさにここのところ、事務局側としてもどうしたものかなと、御相談をさせていただきたいと思っていたものでございます。
一次評価値につきましては、二次評価値が決まってみないと如何ともという部分もあるかもしれませんけれども、一旦、何らか数字を置くとするとこうですね、ということを書いてございますのが186行目でして、「発がん性については、動物試験において限定的なデータはあるが、人における発がん性の報告はない」と。そこで、「発がん性以外の毒性について、ヒト職業ばく露における甲状腺機能低下のLOAELから不確実係数を考慮して算定した評価レベル」を一次評価値とすることにしますと、0.019 ppmになるのかなと書かせていただいているところでございます。本当に、ちょっとこれ材料がなくて、どの値をどうとるかというところ、皆さまから御意見いただければと。
以上です。
○大前座長 まず、尿素をチオ尿素に代替するのは、これはまずいですよね。これは圧倒的にまずいので、そういう御意見は却下ですね。
それで、したがって、二次評価値に該当するACGIH等の数字がないということなので、前もたしか1物質あったと思うのですが、それがなかったら、この評価書の中で出てきた数字を二次評価値の代用にしようということをやったと思うので、この0.019、一次評価値になっている0.019が妥当かどうかは、ちょっと後で議論ですけれども、二次評価値は一次評価値、ここにあります0.019をとりあえず入れておいて、その0.019でいいかどうかについては御議論をお願いしたいと思います。
これは反復投与のヒトのデータから来ているやつですよね。
○阿部中央労働衛生専門官 はい。PDFでいきますと、9ページ目とかですかね。総合評価表の表現でいきますと、反復投与毒性云々、LOAELが0.19 ppmと。このロシアのチオ尿素生産工場作業員の調査ですということで根拠を書いていただいておりますが、このLOAELの0.19ppmからNOAELを出すと10分の1で0.019 ppmですねと、そういう形で評価レベルが算出されておりますので、一次評価値の方には、一応この値を書いてみてはいます。
○大前座長 もう甲状腺抑制、甲状腺機能の抑制があるので、こういうふうになるのでしょうけれども。ロシアだと、ソ連よりも信頼性が高いと思うのですけれども。それと、もとの論文、これは環境省かどこかでしたっけ。どこかのやつを持ってきているので、多分MAKじゃない、ごめんなさい。CICADですね、CICADの2003年から持ってきている。ヒトのデータベース、これも使うのがベターかなと思いますけれども、御意見はいかがでしょうか。
○阿部中央労働衛生専門官 今おっしゃっていただいたCICADというところの記述は、資料でいうと502行目、PDFの21から22頁ぐらいまでのところですね。496行目からロシアの情報が2つ並んでいるのですけれども、大前先生から御指摘いただきましたチオ尿素生産工場作業員の調査の甲状腺機能の低下というのは502行目以降に書いている方でございます。
○大前座長 これを持ってきて、二次評価値を0.019でよろしゅうございますか。数字は、二次評価値はこれとして、そのほか何か、この物質について御意見があればと思いますけれども。これも、医薬品として使われたみたいなので、こういうものなんでしょうね。一応、チオシアン系は甲状腺機能の抑制になって……
○津田委員 甲状腺内です。
○大前座長 そうですね。
はい、ありがとうございました。じゃあ、今の0.019を二次評価値として、一次評価値は、したがってなしということになろうかと思います。
それでは6物質目、テトラメチルチウラムジスルフィド、お願いします。
○阿部中央労働衛生専門官 資料1-6を御覧いただければと思います。すみません、事前の資料展開の際、委員各位に最初、リスク評価済の「テトラエチルチウラムジスルフィド」の資料を送ってしまいまして、大変失礼いたしました。今回ご議論いただきたいのはテトラメチルチウラムジスルフィド、別名チウラムでございます。
二次評価値につきましては、PDFで8ページ目、数字だと7ページ目というのがフッターに書いていますけれども、257行目に二次評価値の案をお示ししているところでございます。値としては、0.05 mg/m3ということで、ACGIHの勧告しているTLV-TWAを二次評価値とすると。一次評価値につきましては、記載の理由で「なし」ということにしているところでございます。
この0.05 mg/m3という値、ACGIHの根拠が、ちょっと上の173行目辺りに書いてございます。175行目、「チウラムは、急性毒性は低~中程度、刺激性は軽~中等度であり、皮膚感作性が動物モデルとヒトの両方で認められた」というふうな入り口で書いております、もろもろ踏まえまして、最終的に0.05 mg/m3とされているということですね。
それに対して、産衛学会の方は、次のページの頭、194行目ですけれども、ACGIHに比べてちょっと大きい0.1 mg/m3という値が2008年に提案されています。ACGIHが2014年ということですので、ちょっとACGIHのほうが新しい値ですけれども、新しいACGIHの方が値としてはちょっと下がっているという状況ですね。
一応その他機関の数字を見ますと、DFGが1 mg/m3、NIOSHが5 mg/m3、OSHAも5ですね、ということですので、大分値に差があるのかなというところもございますが、差し当たり事務局案としましては、産衛とACGIHの新しいほうということで、一旦0.05という値を置いてみているところでございます。
以上になります。
○大前座長 いかがでしょうか。これ、ACGIHはレスピラブルダスト及び蒸気ということで、肺への吸入、肺胞まで到達する部分と蒸気という形で出しているのですが、それでいいかどうかですね。体内に入って同じようなことを起こすと、この数字だと厳し過ぎるわけですよね。0.05だと、小さ過ぎるということになりますけれども。
それで、312行目を見ると、「チウラムは、腸管や肺から直ちに吸収され、体内に広く分布する。」とあるのですよね。それレスピラブルの分画だけでいいのかどうかという、ちょっと疑問なのですけれどもね。今日、見ているのは全身毒性なので、全身毒性を見るのに消化管吸収のところを無視できるのかというと、なかなか、これ、判断が難しいと思うんですよね。
これ、可吸入画分って、レスピラブルダストのことですよね。インハラブルではないですよね。これ、ACGIHのもとの原文って、そこでインハラブルと書いてあるのか、レスピラブルと書いてあるのか。
○阿部中央労働衛生専門官 ちょっとすみません。ぱっと原典が出ませんで。
○大前座長 要するに吸入、可吸入画分という日本語が、どういう言語から訳されているのかということなのですけれども。
○阿部中央労働衛生専門官 追って確認しておきます。
○大前座長 すみません、もっと早く気がつけばよかったのですが。
○阿部中央労働衛生専門官 用意が足りず申し訳ありません。
○大前座長 今のことはちょっと別にして、その他のところで何か御意見があれば。
この蒸気圧が2.3×10-3㎩なので、ほとんどもう蒸発しないようにしたから、粉体、ダストとして存在すると思うんですけれども。もしレスピラブルダストと書いてあった場合は、これ、採用しますか。インハラブルなら採用してもいいと思うのですけれども、レスピラブルになっちゃうと、これ、採用すると厳しいのじゃないかと思うのですけれどもね。
○阿部中央労働衛生専門官 すみません、やっぱり原文がすぐ出ません、申し訳ないです。
○大前座長 出てこないですね。わかりました。そうしたら、仮定のことで議論を進めたいと思いますけれども、インハラブルダストと書いてあれば、これはこのまま使っていいと。もしレスピラブルダストというふうに書いてあった場合は、ちょっとこの0.05ですか、0.05は、少し厳し過ぎるというような判断になるので、産衛の0.1を使うという2段階構えで、よろしいですか。
今日はそういうふうに決めておいて、レスピラブルかインハラブルかでACGIHをとるか、産衛をとるかという判断をする。
○阿部中央労働衛生専門官 どっちかということになるわけですね。
○大前座長 もちろんどっちかです。インハラブルと書いてあればACGIHをとるし、レスピラブルと書いてあれば産衛をとる。
○宮川委員 ちなみに質問ですけれども、現場調査のときには、どうやってサンプリングはされているんですか。
○阿部中央労働衛生専門官 サンプリングはPTFEろ紙を用いて捕集。高速液体クロマトグラフで分析を行っています。
○大前座長 粒径による分離をしているかどうか。要するに、トータルと、それからレスピラブルとを分けてサンプリングしているかどうか。
○阿部中央労働衛生専門官 もうちょっと細かく書いているところも探してみます。
○宮川委員 いずれにしろ、もしこれをしてないのであれば、レスピラブルでもって基準をつくられても困ると思いますので、初めから産衛学会を使ってしまったりしてもいいような気がします。
○阿部中央労働衛生専門官 これは変則的なお話で大変恐縮なのですが、来週の検討会に向けて準備しているばく露評価の値のところを見ますと、どっちみち最大ばく露は超える見込みとなっています。
○大前座長 その値のところにレスピラブルとトータルを分けて数字が出てくる。
○阿部中央労働衛生専門官 いえいえ、委託の報告書ベースでいきますと、どっちみち、区間推定が最大ばく露になる見込みなのですが、その値が2.4 mg/m3になっているので、どっちみち超えるなという。
○大前座長 圧倒的に多いので、詳細評価にはひっかかるんですけれどもね。それは0.1であろうが、0.05であろうが、詳細評価に……
○阿部中央労働衛生専門官 はい、どっちみち詳細になるかなとちょっと思っただけなのです。
測定の手法につきましては、ちょっとすみません、今、根拠の資料がぱっと出てこなくて大変恐縮ですが、ばく露評価のほうで測定手法の検討をしていただいているところがございますので、これが、そのインハラブルなのか、レスピラブルなのかというところについては、ばく露評価の方の検討状況をもう一回整理させていただきたいと思います。
今御指摘の点としては、有害性評価の枠組で産衛の値をとるのか、ACGIHの値をとるのかに関しては、ACGIHの設定がレスピラブルな値なのか、インハラブルな値なのかによって影響が変わるので確認が必要ですと。
ただ、結論としては、ばく露の状況も考慮すると詳細評価が必要になるという話なのは変わらないかなとも思うんですけれども、具体的に二次評価値をどこに置くのかというところについては、現場で使える測定手法の方にも引っ張られざるを得ないよと。
○大前座長 そうですね、はい。
○阿部中央労働衛生専門官 この測定手法がどっちをとっているのかというところは、最終的な二次評価値の設定に際してあわせて評価する必要があるよというところを踏まえて、ちょっと検討させていただくような方向にしたいと思います。
○大前座長 基本的にレスピラブルダクションだけとるのはいけないと思うのですけれどもね、この物質はね。だから、トータルで、日本でトータルダスト、インハラブルダストでサンプリングしてくれているとありがたいなと思いますけれども。
○津田委員 すみません、これが実際にどういうふうに使われるのですか。農薬として使われているのでしょうか。
○阿部中央労働衛生専門官 はい、はい。
○津田委員 これは加硫促進剤ですか、それとも何か他の……。
○大前座長 チウラム。この……
○津田委員 はい、この……
○大前座長 チウラムですね、これは、一つは加硫促進剤なんかじゃなかったでしたっけ。
○津田委員 ゴムの。
○大前座長 それから、もう一つは、これ、除草剤なんかでしたっけね。
○津田委員 除草剤みたいですね。そうするとスプレーするんじゃないですか。
○大前座長 スプレーでしょうね。きっとそうでしょうね。
○津田委員 そうすると、そのまま蒸気を吸うことでしょうか。
○大前座長 多分、粉体になるんじゃないかと思うんです。溶剤か何かに溶かして、それで噴霧すると、溶剤が飛んで、多分、粉体か何かですると思うんですけど。でも、ほとんど蒸発しない物質なので。むしろ、蒸発しちゃうと農薬にならないので。あるいは、粉体をサスペンドしてやるんですかね。いずれにしても、ばく露するのは粉体ですよね、農業に従事している方がね。
○阿部中央労働衛生専門官 一応、はい。結晶という表現で書いていますので、多分そうなんですよね。
○津田委員 溶けないわけですね。
○阿部中央労働衛生専門官 ええと……
○津田委員 溶けた水を吸えば、これはどうなるんですか。
○大前座長 これは、溶けた水は恐らくミストです。
○阿部中央労働衛生専門官 用途としましては、「触媒又は添加剤」、ないし「他の製剤等の原料」としての使い方が多いですというのがばく露作業報告ベースのお話です。ばく露実態調査については、先ほどおっしゃっていただいた加硫促進剤として、ゴム製品への添加剤みたいなものというのもございます。その他、詳細な作業の中身や使い方は、だいぶマニアックな話になってきますし、非公開の議論の内容も入ってくる可能性がありますので、ここではちょっと。
○大前座長 そうしましたら確認していただいて、一つは、そのさっきのレスピラブルかインハラブルかというところを確認していただくと。それから、もう一つはサンプリングの方法で、インハラブルをとってサンプルしているのか、あるいは分離をして、レスピラブルとしてサンプリングしたかということを確認していただくと。
それで、結果としては、もしレスピラブルだとまずいので、基本的には産衛をとるということだけれども、もしそのサンプリングのほうでレスピラブル分をはかっているのだったら、これはもう仕方ないから、ACGIHを取ると。ちょっと何か、影響のほうからも多分見なくちゃいけないので、議論を逆にしていると思うんですけれども。
○阿部中央労働衛生専門官 そこは、次にお諮りするのがその合同の場なのかどうなのかを含めて、取りまとめを進めさせていただく中で御相談をさせていただくのかなという気はいたします。
○大前座長 あるいは、この議論、座長一任でいいですか。そんなに皆さんに、また新たに諮るようなことでもないような気がしたので。それは情報を集めていただいて、じゃあ座長一任で、どっちをやるかというのは、そういうことでよろしいですかね。ACGIHか産衛かどちらかというのは、よろしいですか。
○津田委員 もう1件。
○大前座長 はい、どうぞ。
○津田委員 名前、ここはチウラムの名で出てきていますけれども、IARCになるとチラムになっているので、両方併記されたらどうですか。
○大前座長 4行目に、別名でチラムが一応書いてあるので。
○津田委員 本当ですね。表紙、頭のところに書いて……
○大前座長 頭のところに、表紙ですね。別名チウラム、ここですね。
○津田委員 チラムというのは知っていたんですけれども、チウラムを知らなかったので、どういうものかと思って資料をあたっていたらチラム、チラウムが出てきました。
○阿部中央労働衛生専門官 これはですね、いや、まあ決めがあるかというと、正直、そんなにない気はするんですけれども、別名を1個書いて、その別名チウラムでばく露作業報告をとっていたと思います。ですので、報告の際の物質名をそのまま書くと、「(別名チウラム)」までがセットで一つの名称になっているというのが一応、役所的な名称のとり方になっているんですよね。
○大前座長 では、そういうことなので、このままにしておいて、別なところで一応書いてあるからということで勘弁していただくと。国際的には、チラムでないと通じないかもしれないという津田先生の御意見ですので。
ほかにチウラムで何か御意見、よろしいですか。じゃあ、これに関しては、座長に判断を一任していただいて、報告だけはしていただく。
一応これで6物質の議事の終わりですけれども、そのほか、何か、事務局のほうからございますか。
○阿部中央労働衛生専門官 一応、次回といいますか、今後のリスク評価全般のスケジュール感の御案内だけさせていただこうと思います。
今日ちょっと変則的なやり方になってしまって大変恐縮でしたが、今回やらせていただいた6物質につきましては、ちょこちょこ申し上げておりましたとおり、一旦、来週11日にばく露評価をやらせていただく予定です。こちら、個別物質のばく露評価は非公開でやらせていただくんですけれども、そういうスケジュールで検討しているものですよというところだけご参考に。また、別途御案内させていただいておりますが、前回御議論いただきました5物質については、合同の検討会を9月30日に予定してございます。
有害性評価小検討会そのものについては、第4回を今のところ10月の上旬を想定して準備を進めています。
そのさらに次が、今回やらせていただきました6物質について合同検討会で諮らせていただくタイミングが、恐らく10月の末ごろになるでしょうと。ただ、今回いろいろ御指摘いただきました情報のアップデートとか、どこまで載せられるか、反映できるかによっては合同検討会にお諮りする物質が、ちょっと前後するかもしれません。
さらにさらにで大変恐縮なんですけれども、その先の日取りとして、合同の検討会は2月初旬に想定しているところでございます。有害性評価とあわせてもろもろ日程調整させていただくかと思います。
今後のスケジュール感としましては、およそ以上かと思います。以上です。
○大前座長 最初は9月30日。
○阿部中央労働衛生専門官 一応、合同検討会で、はい。
○大前座長 これは午前、午後どちらかわかる。
○阿部中央労働衛生専門官 午後ですね、はい。
○大前座長 ということだそうでございます。
○阿部中央労働衛生専門官 具体的な日程調整は別途テクノヒル社のほうからご連絡させていただきます。
○大前座長 はい、どうもありがとうございました。
先生方から何か、そのほか御意見等々ございますか。特にないようでしたら、今日の小検討会は、これで終了いたしますけれども、よろしゅうございますか。
どうもありがとうございました。