労働基準局安全衛生部労働衛生課
   電離放射線労働者健康対策室
 室  長  髙山 啓
 室長補佐  川越 俊治
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眼の水晶体の被ばく限度の見直し等に関する検討会の報告書を取りまとめました

 厚生労働省では、このたび、「眼の水晶体の被ばく限度の見直し等に関する検討会」(座長:永井良三自治医科大学学長)の報告書を取りまとめましたので、公表します。
 放射線審議会※1は、平成23(2011)年4月「組織反応に関するICRP声明」※2における勧告や諸外国での被ばく限度に係る法令の施行状況等を踏まえ、平成30(2018)年3月2日に「眼の水晶体に係る放射線防護の在り方について(意見具申)」※3を取りまとめて、関係省庁宛てに通知しています。
 このため、厚生労働省においても、電離放射線障害防止規則(以下「電離則」といいます。)における眼の水晶体の被ばく限度の見直し等に伴う所要の改正の方向について、昨年12月から検討を行ってきました。検討の結果は、以下のとおりです。
 
報告書の主な概要

1 新たな水晶体の等価線量限度の取り入れ
 (1) 眼の水晶体の等価線量限度を5年間の平均で20ミリシーベルト/年かついずれの1年においても50ミリシーベルトを超えないこととすることが適当。
 (2)十分な放射線防護措置を講じても、なお高い被ばく線量を眼の水晶体に受ける可能性のある者(注1)については、一定の期間(注2)、眼の水晶体の等価線量限度を50ミリシーベルト/年を超えないこととすることが適当(注3)
  (注1) 管理区域において医学的処置又は手術を行う医師のうち、当該業務に欠くことのできない高度の専門的な知識及び経験を有するものであって、眼の水晶体が受ける等価線量が20mSv/年を超えるおそれのあるもので、かつ、後任者を容易に得ることができない場合等が考えられる。
  (注2) 一定の期間は、ガイドライン等の周知や専門家の指導等により改善するまでに要する期間や新たな放射線防護用品が開発されるまでの期間として、約3年が見込まれる。
  (注3) 事業者は、対象となる労働者について、可能な限り早期に新たな水晶体の等価線量限度を遵守することが可能となるよう努めることが望ましい。
 (3) 眼の水晶体に受ける等価線量が、継続的に1年間に20ミリシーベルトを超えるおそれのある者に対しては、健康診断の項目の白内障に関する眼の検査の省略(電離則第56条第3項)は認めないことが適当。
 (4) 眼の水晶体の等価線量限度の1年間及び5年間の始期は、実効線量の1年間及び5年間の始期と同じ日を始期とすることが適当。
 (5) 施行時期は、電離則以外の法令の施行時期と整合を図ることが適当。

2 水晶体の等価線量を算定するための実用量
 (1) 外部被ばくによる線量の測定を、実効線量及び人体の組織別の等価線量を算定するため、放射線の種類及びエネルギーに応じて、1センチメートル線量当量、3ミリメートル線量当量又は70マイクロメートル線量当量のうち適切なものについて行うことが適当。
 (2) 眼の水晶体の等価線量を正確に評価するためには、眼の近傍や全面マスクの内側に放射線測定器を装着して測定することが適当。
 (3) 眼の水晶体の等価線量の算定は、放射線の種類及びエネルギーに応じて、1センチメートル線量当量、3ミリメートル線量当量又は70マイクロメートル線量当量のうちいずれか適切なものによって行うこととすることが適当。
 (4) 眼の水晶体の等価線量の算定及び記録の期間は、3月ごと、1年ごと及び5年ごとに行うこととすることが適当。
 
    ※1  「放射線障害防止の技術的基準に関する法律」に基づき、放射線障害の防止に関する技術的基準の斉一を図ることを目的として、原子力規制委員会に設置されている機関です。
   
    ※2  2011年4月21日にICRP(International Commission on Radiological Protection:国際放射線防護委員会)主委員会により承認されたものです。

    ※3  電離放射線障害防止規則において、眼の水晶体の等価線量限度が現行で150ミリシーベルト/年のところ、職業被ばくに関する水晶体の等価線量限度を5年間の平均で20ミリシーベルト/年、かつ、いずれの1年においても50ミリシーベルトを超えないこととすることが適当であることなどが示されています。