令和元年8月28日 第2回障害児入所施設の在り方に関する検討会 医療ワーキンググループ(議事録)

日時

令和元年8月28日(水)
10:00~12:30

場所

中央労働委員会会館 6階 612会議室

出席者

構成員

議題

  1. (1)自立支援機能の課題について
  2. (2)社会的養護機能の課題について
  3. (3)その他

第2回 障害児入所施設の在り方に関する検討会 医療型ワーキンググループ 議事録

 
○刀根障害福祉専門官 皆様、おはようございます。
定刻になりましたので、ただいまより第2回「障害児入所施設の在り方に関する検討会 医療型ワーキンググループ」を開催いたします。
構成員の皆様におかれましては、大変お忙しいところ、また、足元がお悪い中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
本日、小﨑構成員につきましては、御都合により御欠席との御連絡をいただいております。
なお、本会議は、資料、議事ともに原則公開としております。
議事録につきましては、後日、厚生労働省のホームページに掲載予定となっております。
また、ホームページでも御案内いたしておりますとおり、厚生労働省における審議会等のペーパーレス化の推進の一環として、本検討会の資料は紙配付を行っておりません。ご不便をおかけいたしますが、どうぞ御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
構成員の皆様には、卓上にタブレットを設置しております。使い方等について、御不明な点がございましたら、事務局までお問い合わせください。
カメラ等の撮影はここまでとなります。
それでは、以後の進行は、田村主査、よろしくお願いいたします。

○田村主査 ちょっと声が出ないので、ひどい声で申しわけないです。
本日は、議事は3点です。「自立支援機能の課題について」が1点、「社会的養護機能の課題について」が1点、あとは「その他」ということになりますので、福祉型に比べると意見が少ないという声も聞きますので、きょうはたくさん御意見を出していただければいいかなと思います。
まず、議事の1点目です。「自立支援機能の課題について」ということで、事務局より資料の説明をお願いします。

○刀根障害福祉専門官 先回も御説明をさせていただきましたけれども、改めて自立支援機能の課題について御説明をさせていただきます。
資料1をごらんください。
自立支援機能について、今まで、本会が計4回行われました意見を取りまとめたものになります。
意見の中で、入所・退所の仕組みを含めて支援の在り方や課題について御意見をいただいたところではございますけれども、その中で、まず、課題の論点として、1点目として、療養介護との児者一貫の仕組みの中で、成人移行期における支援の在り方をどう考えるか。成人期に移行する際の本人の状況に応じた支援の在り方(暮らしの場・日中活動の場等)。次に、都道府県・市町村や児童相談所、相談支援など障害福祉サービスの連携強化・仕組みづくりといった点が論点として挙げられるかと思います。いただいた御意見の中で、重症児施設はついの住みかになっているのが現実であるといった御意見などもあったりとか、その中で特に医療的ニーズの高い方はなかなか在宅復帰は難しい。また、そこにプラスして地域資源が乏しいとさらに難しいといった御意見等もありました。一方で、相談支援や市区町村が障害児入所施設に入るときのプロセスに余り関与されていないのが大きな課題なのではないかとか、それこそ児相も含めて、市町村、施設、相談支援事業所等が一堂に会して、退所に向けての自立支援会議、また、入所する際の入所調整会議をシステム化していく。事業所と行政関係がネットワークを組むことが必要なのではないかといった御意見などもいただいております。また、利用中においては、利用中にどういう理由のされ方あるいはどういう本人主体の支援ができているのかを共有する仕組みが必要なのではないかといった御意見をいただいたところで、1点目の論点としてまとめさせていただきました。
次に、2点目につきまして、療養介護との児者一貫の仕組みの中で、医療型障害児入所施設の役割・機能についてどう考えるか。この点につきましては、まず、有期有目的支援の在り方、そして、受け入れが難しい障害児者のセーフティーネットとしての役割、こちらを論点として挙げさせていただいております。こちらにつきましては、適切な時期に適切な量と質の療育を行う必要性があるといった御意見。また、障害全般において支援・療育の効果を整理すべきではないか。必要な時期に必要な量と質の支援を受けて、子供の持つ能力を最大限伸ばせる療育を標準化していく必要性があるといった御意見もいただいております。
この1点目、2点目、こちらを論点としてまとめさせていただきました。また活発な御議論をよろしくお願いいたします。
続きまして、参考資料につきましても、御説明をさせていただきたいと思います。
まず、参考資料1をごらんください。こちらの参考資料1につきましては、先回もおつけさせていただいた資料ですが、今回、新たに5ページと6ページの内容のものを追加でつけさせていただきました。こちらにつきましては、平成24年の主管課長会議で、障害児施設がどういうふうに体系化されていくのかというところにつきましてお示しをしたもので、医療型につきましては児者一貫という形になっておりますので、主に福祉型に関係する資料ではありますが、こちらを参考までにおつけさせていただいております。
続きまして、参考資料2をごらんください。ページ数でいきますと12ページ、こちらも主に福祉型の内容になっておりますが、障害児入所施設の18歳以上で入所している方の推移ということで、こちらは日本知的障害者福祉協会さんが出されている資料でありますが、平成24年度から平成29年度にかけてどういう形で入所者の数が推移しているかといったものをお示しした資料になります。こちらも、今回新たにつけさせていただきます。
続きまして、参考資料4をごらんください。こちらは「障害児入所施設における移行支援の現状」につきまして、この検討会が始まる前に、障害児・発達障害者支援室のほうで各事業所から調査をしておりますので、そちらを取りまとめたものを今回つけさせていただきました。
まず、資料ページでいきますと2ページ目、移行に関する具体的な取り組み内容ということで、医療型268事業所から回答がありまして、一番多かったのが会議等ということで、外部の関係機関等との移行に向けた個別支援会議などを行っていますといったところの回答が一番多い結果でした。
4ページ目をごらんください。それでは、実際にその個別支援会議等について、どういった関係機関が参加しているのかといったものをお示しした表になります。こちらについては、学校、児童相談所、相談支援事業所が一番多い現状でした。また、市町村行政の43事業所に関しては、参加してもらっていますという回答をいただいております。ただ、相談支援事業所に関しては、法人内で事業を設置しているところも多い関係があって、ここは法人内の相談支援事業所なのか、それとも外部の相談支援事業所なのかというところまでは、申しわけありませんが、そこまでは調べておりませんので、そこはちょっと不明確なのですが、非常に参加は多いという結果でございました。
6ページ目をごらんください。事業所における家庭復帰に向けた支援内容ということで、一番多かったのは「面会、懇談」、「外出、帰省、家庭訪問」ということで、流れとしては面会または懇談を繰り返す中で、外出、帰省をして家庭復帰をしていくというプロセスを踏んでいるのではないかなということがわかるかと思います。
8ページをごらんください。事業所における保護者に向けた取り組みということで、こちらも「懇談、情報提供」が一番多いという結果でした。
10ページをごらんください。事業所において移行を進める上での主な課題ということで、医療型につきましては、満床や行動上の課題があるため成人施設への移行が困難、児童相談所等や相談支援との連携の課題、こういったところに課題を抱えているというところと、本会の中でもいろいろ御意見が出ていましたけれども、医療的ケアがある方に関しては、それに対応する地域資源が非常に不足しているといったところの御意見が多い結果でした。
11ページをごらんください。こちらは、福祉型の対比でお示ししておりますけれども、左が福祉型、右が医療型、事業所における移行に関する職員の配置状況をお示しした図になります。医療型につきましては、移行に関する職員の配置状況については、約半数、51%が配置をしていますという回答をいただいております。その回答をいただいた事業所については、専任か兼任かをお聞きしているものが下のほうの図になりますけれども、大体約7割が兼任という状況でした。
最後に、13ページをごらんください。事業所における移行を支援する職員の配置人数をお示ししたものになります。こちらについては、また見ていただければ結構かと思いますけれども、主に職種的には医療ソーシャルワーカーの記述が非常に多くて、独自配置をしているといったところが、こちらの配置から読み取れるところでございました。
参考資料4については、以上になります。
参考資料5をごらんください。こちらは、自治体における移行に向けた連絡調整会議の実施状況ということで、回答があったものを載せさせていただいております。内容については抜粋という形になっておりますが、こちらも参考までに今回つけさせていただきましたので、また議論の際に御活用いただければと思います。
参考資料7につきましては、先回、第1回目のときに構成員の皆様から提出していただいた資料について、今回もつけさせていただいておりますので、また議論の際に御活用いただければと思っております。
最後に、参考資料8をごらんください。こちらは恐らく次回の地域支援機能のときに活用していただく形になろうかと思いますけれども、先回、「その他」の中で御意見も出ておりました医療型短期入所事業所数につきまして全国都道府県別でまとめたものになります。内容としては、国保連データの3月分のデータをこちらに載せさせていただいておりますので、事業所数、延べ利用日数とも1カ月分という形になりますので、よろしくお願いいたします。
事務局からの説明は、以上になります。

○田村主査 ありがとうございました。
議事の1番目の自立支援機能について、御説明いただきました。前回、朝貝構成員、児玉構成員、石橋構成員より、資料の提出と説明をしてもらっているところではあるのですが、きょうはもう一回説明をするということではなくて、そこを踏まえてもらって、論点に沿いながら、追加意見、追加説明等があれば、議論の中でお願いしたいと思います。
そうしましたら、自立支援機能の議論なのですが、事務局からまとめていただいている論点2つに沿いながら御意見をいただければと思っています。
1点目の課題のところですが、児者一貫の仕組みの中で、成人移行期における支援の在り方をどう考えるのか、成人期に移行する際の本人の状況に応じた支援の在り方の課題はないのか等について、あるいは先ほどあった入所にかかわるプロセスのところとかという、全体的な入るところと出口のところの移行期における施設の取り組みというか、課題みたいなことはないのかということで少し御議論いただけたらと思いますので、どなたからでも結構ですので、よろしくお願いします。

○植松構成員 父母の会の植松です。
1つ、言葉の意味を皆さんで共有させていただきたいのですけれども、以前いただいた資料、このワーキンググループではないのですけれども、障害児入所施設の機能として、「自立支援機能」という定義の中に、退所後の地域生活、障害者支援施設への円滑な移行就労へ向けた対応。施設退所後のアフターケアをおこなう相談支援などが考えられる。重症心身障害児者への入所支援については、その特性から本人をよく知る職員が継続してかかわれるように、児者一貫した支援などが望ましいというまとめの資料をいただいているのですけれども、重度の障害のある方にとっての「自立支援」という言葉の意味合いを明確にしていただきたいなと思うのです。
今、読み上げた自立支援機能の項目は、どう考えても退所させていくための方向性をどうするかとしか読み取れないので、退所すれば自立したと捉えているということであれば、障害児入所施設からの自立というものが出て行くことと単純に示してしまっていいのかどうかというのを私は知りたいので、ここの会議でいう「自立支援機能」とは何を指して私たちは議論を進めていくべきか、皆さん方の御意見を少し伺いたいなと。それがないと、私の論点がずれてしまうような気がして仕方がないので、よろしくお願いしたいと思います。

○水津構成員 ただいまの御意見に対して、重症者を持っている親の立場として、まさに今、おっしゃった、自立というのは、御存じのように、重症児者というのは本当に縦の成長はないわけですね。横にわずかながら伸びていくということになるわけです。そういうことからして、自立というのは一つ上のステップを目指す。次の一つのステップを目指すというのが、それぞれ重症児者にとっての自立ではないかと考えます。
そういうことからして、自立というのはすなわち地域移行であるというのは、私どもは全くそう思っていません。先ほど言いましたように、成長の過程で一歩でも伸びていくというのが自立だなと考えております。そういうことが重症児者の親の立場としての意見でございます。

○児玉構成員 重症心身障害福祉協会の児玉です。
今の御発言は、もっともであるとともに、どう考えたらいいのかということですね。医療型障害児入所施設といいましても、主に自閉、主に肢体不自由、主に重症心身障害とあるわけで、主に重症心身障害の場合は、児者一体運営とあるように、者に移行することも大部分があり得るというか、それを前提としたような形でございますね。そこと、主に肢体不自由、今は肢体不自由のほうもかなり重症心身障害の方がふえていることは事実ですけれども、しかし、18歳を区切りとしてその後を考えなければならないというところと、しかし、その後を考えなければならないところは療養介護として続いていくのだというところと、一体にはできないのではないかということと、それならば、療養介護のほうに移行した場合に、児の施設とそのまま移行という形でずっと施設生活を送るということを大前提として、それ以上は進まないのでいいのかどうかというと、前回も私は申し上げましたけれども、自立ということは本人が自分で参加し活動する力を備えるということで、それは施設に預けられて施設の中で受動的に生きるのではなくて、自分を見つけるということをどこまで伸ばせるかということで、それを自立と考えれば施設を出るとは限らないわけで、施設生活の中で自分の生活を送れるということをどれだけつくれるかということを意味すると思うのです。
そのときに、今の制度で一番の問題は、療養介護は療養介護でしかあり得ないということで、例えば、私どものところにおられる方を、外の世界も少し経験してみようということで、生活介護の通所に行くとか、作業所に行くとか、ほかの制度を利用しようと思っても、それはできないわけですね。しかも病院であるという中で、そこから動けないという形。制度が、それ以外に発展する、外に出て退所するしかないという形でしかつくられていない。
私どもの考えは、私どものところにいていただきながら、しかし、外の生活介護を体験してくるとか、外の生活もあるよというところで自分の意欲を高めるということをできれば実現していってあげたいと思います。
今の制度の仕組みの中では、したがって、自立ということは退所としか考えられていないと受けとめられていますので、その辺の幅を皆さんの議論の中で深めていただければと思っております。
先ほど、前回申し上げましたように、重症児障害の場合は、昔はともかく、現在は児童期においてはほとんど入所というのは優先順位の中では後になってきます。入所してくるのは主に18歳を過ぎてからで、もう移行という段階は終わってからですね。したがいまして、18歳までの段階は、いかに地域生活・家庭生活を維持できるように私たちがバックアップをするかということが大きな課題になっていて、それを広い意味で自立と言えば、それぞれ、御家庭の生活、地域の生活が自立するということで考えていきたいと私は思っております。

○菊池構成員 三重大学の菊池です。
今、お2人の構成員からもお話がございましたように、私自身も自立というのは施設を出ていくことだけではないと思います。
御本人さんの意思表出の機会をどのように保障して、それを周りがどのように捉えていくかということが、まず一つ、こうした障害の重い方々の支援をしていくに当たっては非常に大事だと思うのですね。施設等においては、さまざまな療育が展開されておりますけれども、発達という観点を見た場合には、あくまでも個人の発達というところで個人に依存する部分が大きいと思うのですけれども、一方で、そうした子供さんたちの自立や意思表明の機会を保障していく上では、かかわっていく職員の見方もどう変えていくかというところもすごく大事だと思うのですね。
ですから、自立というのは、御本人さんのモデル、そうした御本人さんのところに依存するのではなくて、周りとの環境の中で、対職員あるいは親御さんとの関係の中で、その自立をどうしっかりとお互いに共通理解にしていくか。その中で意思表出をどのように保障していくかというところが、本当に障害の重い方々にとっての第一歩になるのではないかと考えております。
以上です。

○石井構成員 重症心身障害福祉協会の理事という形で来ました、石井と申します。今回、初めて参加させていただきます。
私は、これまでの議論とかを見ていてちょっと混乱しているなと思うのは、医療型障害児入所施設といいましても、いろいろな対象の方を見ている、いろいろな施設があるので、議論がぐちゃぐちゃになっているなと感じまして、ただ、私の施設は、重症心身障害児の入所施設でもありますが、肢体不自由の機能も維持しておりまして、肢体不自由の方の入所機能、有目的入所、親子入所、短期入所、昨今は医療型障害児入所施設になってから、知的障害のみの医療的ケア児とか、知的障害も身体障害もないのですけれども、腹膜透析ということで内部障害があって養護児童とか、いろいろな方が入っているものですから、逆に、私の立場ですと、このごちゃごちゃの議論の中でちょっと整理して考えた場合に、こういうお子さんたちの自立というものが、これは言葉のあやかもしれませんけれども、小児から成人へのバックとなる法制度も変わる中で、一旦、18のところで、このお子さんたちのその先の人生をどう考えるかというところが自立支援なのかなと思いまして、まさにこの課題のところに書いてあります「成人移行期における支援の在り方」というものが自立支援という捉え方でいいのかなと思います。
そういう意味でいいますと、非常に障害が重くて医療ケアが濃厚な方の場合、私たちのところにもたくさんいますけれども、うちも療養介護をやっていますから、何もしなくてもそのままいられると思ってしまいますが、うちは決してそういうことはしないで、18になる前に、本当にこのままこの施設でいいのかということは親御さんとも一回議論します。大概の場合にはここが一番いいかなということになることも多いのですけれども、中には、親御さんが転居されて九州のほうに行っているとか北海道のほうに行っている場合には、親御さんの近くのほうの療養介護のほうがいいのではないかという議論もありますし、また、肢体不自由などの自立度が比較高い子の場合には、判定すれば重心に相当するかもしれないけれども、このレベルであれば、もっと生活介護とか、あるいはグループホームとか。ちょっと医療的ケアがあるとグループホームなどは考えなかったのですけれども、昨今は、ちょっとした医療的ケアであれば、受けてくれるグループホームもだんだん出てきているのですね。だから、思い込みで決めるのではなくて、その都度、そのお子さんにとって一番いい方法はどこかということを考えることが、とても自立支援ということのポイントかなと思っていました。
以上です。

○田村主査 どうでしょうか。
何人かの構成員の方から御意見をいただいたところでは、入所施設を退所して違うところに行くことがいわゆる自立という捉え方ではなくて、年齢的なライフステージの節目みたいなところを一定の意識をしながら、その人がどうその人らしく生きていくのかということについて共有して、議論して、その人の生活を考えていくということなのではないかという御意見だったかなと思うのですけれども、植松先生、どうですか。

○植松構成員 ありがとうございます。私も少し整理はできてきたかなと思います。
整理してきた中で、私の整理の中身をお伝えしたい。間違っていたらまた教えてほしいのですけれども、つまり、自立というものは、最後の御発言にもあったように、成人移行期のその次の支援の在り方ということも踏まえながらの機能を考えていこうというような話。それは児者一貫という場合であったとしても、ある一定の年齢になったときに、療養介護は療養介護でしかないという現状に対して何らかの変革が必要であろうという御意見だったのかなとは思います。
そこでもう一つ、私の疑問点は、今回のワーキンググループの与えられたテーマは、障害児入所施設と枠が決められた在り方をどうするかということですので、既にある重心の児者一体型でもいいよというものも当然障害児入所施設という枠の中には入っているのでしょうけれども、それは特例的な扱いだけであって、障害児入所施設の在り方ということであれば、18歳までの子供たちを、まず、どう発達保障していくのかということなのではないかなと思ってはきたのです。さらにそこから18歳以降の方たちについて必要な支援があるというときは、2段構えで、そこから先は、障害児入所施設がそのまま引き受けるのか、違うところでもう一度きちんと支援の在り方を立て直すのか、そういった形のものではないのかなと私自身は整理して見てきたのですね。
つまり、私たちというか、私に与えられたテーマは、あくまでも障害児入所施設の在り方をどうするか。既に児者一体でやっているものは、一旦障害児という枠の中から少し外れていただいて、その中で子供たちの発達保障をどうするのか。そういうところに論点が本当はあるべきではないのかなと思うのです。
さらに、18歳以降に関しては、それを継続して、どこでどういうふうに発達保障を兼ねていくのかと分けて考えていく必要性はあるのではないのかなと思ったりもしています。それが少し自分の中では整理してきた内容になるかなと思います。その辺の御意見は伺わせていただけたらありがたいと思います。

○田村主査 どうでしょうか。

○石井構成員 重症者福祉協会の石井です。
今の植松様の御意見は、私もワーキングの議事録とかで趣旨を感じたのですけれども、障害児入所施設の最大のテーマが発達支援ということではなくて、私は障害児の発達支援というのは教育も地域も家庭もいろいろなところでトータルにやる中の一つのパーツとして施設があるのだと思うのですね。特に昨今は、地域の資源とか、障害児教育とかが充実していますから、必ずしも施設に入らずとも発達支援というのはほぼ充実した形で提供されている。20年前、30年前とは全然違うと思います。その中で、施設という選択肢を、一時的になのか、あるいは18歳までなのか、選ばなければならなかった方というのは、またある種特殊な事情があってということなので、この医療型障害児入所施設に求める機能を発達支援だけに求めてしまうと、またちょっと違うのかなという気がしまして、もちろんその中に発達支援の要素は必要かもしれないけれども、発達支援と本当に地域全体・国全体で支えていかなければならない障害児の支援ツールの一つとしての医療型障害児の施設だと、私は位置づけております。

○児玉構成員 今、石井構成員が話したことは、今の時代ではそうなってきているようで、私がこういう分野に参画しましたのは40年ぐらい前ですけれども、そのころは障害児は障害児施設でいろいろなことを学んで、生活力を身につけて、教育も身につけて、要するに、発達していくんだと、発達の場は施設だという時代がずっとあったわけですね。今は、それと逆転いたしまして、石井構成員が言いましたように、それは地域・教育・家庭でかなり満たされていて、何らかの理由があって施設を利用している。
そうなってくると、私どもはその方々の何らかの理由に対して、それをカバーできるようなサービスを提供しなければいけないのではないかということで、これは前回の私の資料のところで申し上げてありますけれども、家庭と一体となって、その方を、たとえ呼吸器がついて全く反応がないような方でも、親がそこに来てくつろげる、親が自分の子供を育てているという感情を持てる、私どもがお手伝いして一緒に外に出るとか、そういうことを提供していくということ、あるいは、虐待等々で入ってこられた方々も、それから出て行けるようないろいろな準備をしていく。うちにいてずっと発達しなさいよというのが第一目的ではない。ただ、いざるを得ない方についてのいろいろなサービスはもちろんありますけれども、それのさまざまな施策を模索するのが、今の私どもの課題ではないかと思ってはおります。

○菊池構成員 その発達支援という観点から、私は大学で障害のある人たちを教員として送り出していく機関におりますけれども、発達というとどうしても児童期の発達という観点があると思うのですが、今はやはり生涯発達ですね。ライフスパンというか、一生涯を通してどう発達していくかということを考えていったときに、こうした障害の重い人たちのことを、大学もそうなのですけれども、教育機関もそうですし、あるいは医療や福祉機関において、まず、一つは、重症心身障害の人たちについてしっかりと教育を行っている機関がないのではないかと。個人的にこれは思っているのです。
例えば、特別支援教育の世界では、重症心身障害を専攻しているとか研究をしている研究者は少ない現状にあります。恐らく、定かなことははっきりと申し上げられませんけれども、福祉のところにおいても重症児のことを専門に研究している研究者はそんなに多くないのではないかなとは思いますし、ただ、それを研究をしていたとしても、どちらかというと、児童期の発達というか、その教育的なかかわりをどうしていくかというところを主にやっていると思うのですね。
ところが、施設で入所している方々、特に児童期から成人期に移行していくような方々に関するような支援について、将来、病院や医療福祉現場で働いているから、その職員に対する教育の現状というのは、そうした教育機関では行えていないような感じがいたします。それは実際に医療や福祉の現場で働いている職員さんの指導員や保育士の実情を見てみますと、30歳、40歳を過ぎた重症心身障害のある方々に対して、本当に童謡をかけていたりとか、1歳、2歳の子供さんたちに対して行われるような療育がいまだ現在展開されているような施設も幾つか散見されますので、その年齢ごとに応じた支援の在り方を考えていく上での発達ということも、送り出し側の教育機関もしっかりと考えていかなければいけないのかなとは思っています。
以上です。

○田村主査 ほかにありませんか。
障害児入所施設は、石井さんと児玉先生と語られましたけれども、障害児そのものを全て丸抱えしていくという時代から、いろいろな関係機関で受けとめることができて、チームで受けとめられるようになってきた時代の中で何が求められているのか。児玉先生のところでは、ああいう家庭の話だったり、DVの話だったりということも発言があったように、新たに求められてきていることに対して何をどうそこの施策みたいなことをもう一度練り上げていくのかということが課題なのではないかという発言があったかと思うのですね。
そういうことも含めて、植松先生、どうですか。

○植松構成員 済みません。話題を振ってしまったので、私ばかり発言してしまいますけれども、私も発達保障だけが障害児入所施設に必要なものではないということは重々理解しているのですけれども、そうなれば今回はいい機会だと思ってはいるのです。在り方を検討するワーキンググループということですから、今までの法の概念とか、設置基準とか、そういったものを全部取っ払って、本当にこういう子供たちが自立を獲得するためにこういうようなものを絵に描いていくという話ができればありがたいなと思っているのです。今ある制度をこねてどうあるかという話ではなくて、例えば、今、「障害児入所支援の概要」という以前もらったプリントを見ていたのですけれども、法律の中で、医療型障害児入所施設の提供するサービスは、保護、日常生活の指導、独立・自活に必要な知識技能の付与及び治療という形の枠があるみたいなのですよね。だから、それを逸脱していくような広い意味での自立支援が本当は必要だということであると、この法律の規定されていること自体が既に時代に合っていないということになっているのではないかなと、私はずっと思ってはいるのですよね。
ですから、今ある体系の中で、こういうふうに、例えば、こういう機能を付与したいので、加配の人数をふやしてほしいとか、こういう看護師の手厚い者が要るとかというもので、足し算をしていくような、そういう話ではなくて、私たちは在り方の検討会なので、こういう在り方であるべきだという話になっていただけると、非常に私はありがたいなとは思ってはいるのです。
ですから、今、おっしゃっていただいているような、そういう発達を保障するという側面、そういう子供たちだけの支援の在り方はこうあるべき、あるいは、これから出てくるような社会的養護が必要な子供たちの在り方、支援の在り方はこうあるべきという形の中で、障害児の入所施設をどう再編成をしていくのかと議論を進めていただくとありがたいなと思ってはいます。

○田村主査 大分整理ができてきたかと思うのですが、その中で、例えば、先ほど児玉先生のところからも、療養介護という枠組みが続くならば、例えば、地域に移行するという話が前段でありましたけれども、地域に移行していくときには退所しかないのだとかというところの課題があるのではないかという話もあったかと思うのですが、今のいわゆる制度的な枠組みの中で求められていることとのずれというものがどこかにありはしないか。そのあたりを少し御意見いただけるといいのかなとは思うのですが、いかがでしょうか。
この辺はもうちょっと。

○児玉構成員 1人の例をちょっと挙げさせてもらいますけれども、呼吸器がついていて、膀胱瘻、おしっこがちゃんと出ないので、管をずっと入れたままで、ちょっと発達障害的な要素がありますけれども、ある程度理解力があって、しかし、四肢麻痺という方で、ある程度、理解力があるために家庭内で親に反抗してパニックを起こしたり、居場所がないということで、私どもの施設の短期入所を使いながら、ようやく私どもの生活介護の通所に来て何とか居場所を確保できていて、その方のお父様は前からで、お母様も重病になられて、その方をどう処遇するか。ある程度、理解力があるもので、とてもこれはうちの施設で入所させて一生ということはふさわしくない。ただし、地域は行く場所がないから入所と勧めてくる。
しかし、入所してしまうと、短期入所を使えないわけですね。今までは短期入所を使いながら、私どもの併設してある生活介護の通所に行って、外の世界と交わって、それで満足している面もあったのですけれども、入所してしまいますと生活介護も行けない。療養介護では、周りは全部ベッドで寝たきりの人ばかりになる。そこに入らざるを得ない。結局、最終的には地域の中に呼吸器の方もどうぞというグループホームができたのですね。そこで受けてもらえたからいいのですけれども、ぎりぎりまで私どもは入所という形で迫られてきましたよね。もし療養介護でほかは一切使ってはならないというのではなくて、私どもの医療機能を使いながら、私どものところにいてもらいながら、生活介護とか、いろいろなところを使えれば、その方も初めから自立生活そのものは送れたわけですね。逆に、私どもの中にいる方も、外に出そうと思うと、一かゼロか、オール・オア・ナッシングという形になってしまいます。先ほどから申しましたように、そういう移行のための機能のフレキシビリティーというのは本当に用意していただきたいと思っている次第でございます。
先ほどの児童期の発達というのは、いろいろなところでいろいろ満たされている面もあると申しましたけれども、前回も御紹介しましたけれども、現在、その施設によって違いますけれども、私どものところに入所している方々で、発達年齢で1歳以上を持っている方はおりません。大部分は6カ月未満です。その中のまた多くは3カ月未満です。要するに、反応がほとんどないような方々。この前、その中にまた発達を7つの段階と申しましたけれども、そういうことの気づきがないと、親もわからない。学校の先生も周りの方もわからない。わからないと、全体の中にただ置いておくだけになってしまうわけですね。その方々の個別的な発達とか、親との関係も含めて伸ばすために、生活環境そのものも考えていかなければいけない。
私どもは、個室とか、いろいろなことを用意してと申しましたけれども、その方々に合った生活環境と外のつながりも、これも医療型障害児入所施設の中において、施設に入れたからみんなと一緒でというよりは、それぞれの需要に応じた環境は用意しなければいけないと思っていると。そういうふうに、制度としてフレキシビリティーと受け入れる環境として個々に配慮した環境の両方を提案したいと思っております。前回に引き続いてですけれども。

○田村主査 ほか、ありませんか。

○石井構成員 石井です。
今回の課題の自立支援、成人移行期の支援と、次の社会的養護機能とも関連するのですが、これからの医療型障害児入所施設の重要なキーパーソンは、私はソーシャルワーカーだと思います。特にこの支援の課題のところで都道府県や児童相談所などの連携といいますけれども、入るときは児童相談所から絡んで入るのですが、昨今、児童相談所は虐待の扱いで忙しくて、そういう大変な人を施設に入れると、失礼ですけれども、もう私たちの役割は終わったみたいな感じで、余り関心を持っていただけないのですね。施設に入ればそれでいいではないかという感じで、その先のことまでは一緒にとても考えてくださる余裕もないということが現実です。
また、児童相談所は、地域にどういうサービスがあるかということは余り存じませんので、成人期の移行期においては私は児童相談所を余り当てにしておりません。大事なのは、施設の中のソーシャルワーカーだと思います。何よりも、その御家族のこと、本人のことを一番よく知っている職員であることと同時に、うちの施設の場合には、小児区分は全部で132床なのですけれども、外来も含め、通園、病棟担当、短期入所、10名のソーシャルワーカーが配置されております。もっとも、持ち出しでやるのは当然ですが、その10名のうちの3人くらいは外来の相談支援事業をやっておりますので、地域、県内のいろいろなところの福祉サービスの新しい資源とか、いろいろと情報を持っていますので、そういう職員と連携しながら、地域にどういうサービスがあるのかということは、病棟の担当のワーカーも、そういう情報を得ながら、よりよい地域支援、療養介護に自動的に移行するのではなくて、もっとほかに道があるのではないか、自立度の高い子にはもっといい生活があるのではないかということを提案できるのは、施設の中のそういう経験を積んだというか、情報を集めることのできるソーシャルワーカーが私はキーパーソンになると思います。
これはいきなり地域の相談支援専門員に丸投げをしたり、あるいは市町村に投げても、きっと混乱すると思います。まして医療的ケアがあったりすると。ですから、ある程度、施設のソーシャルワーカーがお膳立てというか、情報を収集した上で、必要な段階で市町村と連携をする。該当する市町村の相談支援専門員を巻き込むというシステムが、私は今後は必要ではないかと感じております。
以上です。

○田村主査 ほかにありますか。
今、出ていたのは、そういう制度的な一体型で完結型という形ではなくて、その子・その人に合わせて、フレキシビリティーに、いわゆる日中活動やその他のサービスを用意できるような法律にならないかという話と、あとは、施設の在り方として、そういう子だから逆に虐待も含めて多様なニーズを持って地域で生活をされている方が多くなっているがゆえに、その多様さに応えられるような配置も含めた施設の機能が必要という御意見と、そういうことも含めてになりますが、施設と地域とを別に分けるわけではありませんが、そこの壁をつくるのではなくて、あくまでもその人がいわゆるその人らしく生きていくときにどういうことが必要なのかということを、単に施設の中だけで考えるのではなくて、ソーシャルワーカーをきちんと配置して、それで個別支援計画の議論の中で共有化を図っていくというような進め方をきちんとすべきではないか。したがって、キーパーソンというのは、今は持ち出しだけれども、ソーシャルワーカーなのではないかという御意見だったかと思います。
だから、もっと単刀直入に言うと、ソーシャルワーカーの配置を制度化してほしいということなのだろうと思います。
ほかにありますか。

○児玉構成員 児玉ですけれども、先ほどまで私が述べていたことも含めて、施設の在り方は、背景となる地域が決めていくと思っても間違いないのではないかと思いますけれどもね。私のところのできているところが、例えば、北海道のような広大なところで、次の町に行くために来るまで1時間・2時間と走らなければいけないようなところで、冬は雪で行き来ができないようなところで、そういう同じことを求めるのは難しいですし、それぞれのところのアイデアとこれからの工夫があると思いますので、そういうものを多面的に支援できるような施策が求められているのではないかと思いますので、全国一律に一つのやり方で、全てそれに従えということは、私ども協会としても言えないと思っています。
ただ、精神としては、子供一人一人のそれこそ心身ともに自立ということで、これは退所ということではなくて、自分が活動に参加し、また、生きていくということを私どもがバックアップをするという仕組みだと思っております。地域差は余り今まで議論になっていなかったのですけれども、非常に大きいので、一言申し上げたい。

○田村主査 ありがとうございました。
柔軟にとか、その人に合わせてというときに、地域そのものの背景がどうなのかということを捉えながら、地域づくりも含めた進め方を成長していく必要があるということでもあるのかなと思いました。
ほか、ありませんか。
時間もなくなってきてはいるので、この課題の論点2番目のところも含めて、有期有目的支援の在り方とか、セーフティーネットとしての施設の役割、一部これも児玉先生の発言の中にはあったわけですけれども、そのあたりのことの御意見なども出していただければと思います。

○朝貝構成員 全国肢体不自由児施設運営協議会の朝貝です。自立支援機能の課題に関して、資料3を説明させていただいてよろしいでしょうか。
「有期有目的入所のあり方」ということで、資料3をごらんください。地域で生活していても、地域生活を後方支援するための施設の役割ということで、有期有目的入所を充実させていきたいということをお話ししたいと思います。
まず、1ページ目は、近年、痙直型の脳性麻痺に対して緊張を緩める治療がいろいろできてきまして、ボツリヌス注射とか、下肢筋解離手術などもございます。こういうものをやりながら集中訓練をすると、機能が向上することがございます。
2ページ目をごらんください。上段の方は、筋解離手術をして、24歳になっても実用的に杖歩行ができて、社会生活が自立している方です。下段の方は、車椅子生活が主体になって、だんだん下肢の関節拘縮が強くなって、つかまり立ちも自分でできないようになってしまった例です。この両者を比較すると、3歳ごろまでに座位ができたということで、同じような運動レベルのケースだったのですけれども、次のページをごらんください。
療育による運動機能予後の違いということが書いてあります。3歳ごろに座位が可能ですと杖歩行の可能性があるということが言われておりますが、このころにターニングポイントがあって、6~8歳ごろに杖歩行が可能になるか、つかまり立ちもできなくなってしまうという違いがございます。支持歩行可能になるには、入院集中訓練を繰り返したり、日常で使えるレベルまでに機能を向上させなければいけないという中で、ボツリヌス治療とか、整形外科手術なども有用でございます。つかまり立ちもできなくなってしまうのは、歩けないので移動は車椅子にしましょうということで、頻度の少ない、訓練室内だけの訓練をしていくと、機能の向上する時期を逸してしまうということがございます。ただ、どっちを選ぶかは、インフォームド・コンセントが重要でしっかり説明して、親に選択してもらう必要があります。支持歩行レベルに向上させるには、繰り返しの有期有目的入所集中訓練とか、手術治療の必要性も出てきます。ただ、機能予後について説明はしっかりしなくてはいけない、選択ができる説明をしなくてはいけないと考えます。
次のページですが、重心1~4が大島分類の重心ですが、その周りに、境界領域として5~9、重度肢体不自由として14~16、23~25という群がありますが、これらを我々は「重心周辺児」と呼びまして、この子供たちをしっかり有期有目的入所でできるだけ持っている機能を伸ばしたいと考えます。下に書いてありますように、3歳ごろまでに座れれば支持歩行へ持っていきたい。3歳ごろ座れなくても、何とかつかまって支持立位、起立保持具を使っても起立ができるように持っていきたいということを考えております。また、3歳ごろまで座れた子が、歩行障害のレベルに移行してきたときには、有期有目的入所を繰り返して、日常で使えるレベルに向上するということをしていかなくてはいけないので、重心周辺児に対して、前回、お願いしたように、給付費を3段階としてほしいということがございます。
参考資料2の22ページに医療型障害児入所施設における大島分類別人数がございます。これを計算してみますと、主に肢体不自由児の施設で重心の方が665人、我々の言っている重心周辺が301人で、約重心の45%の数になっています。10歳未満で見ますと、それが39%でさらに減るということで、我々の運協実態調査でも、年々この重心周辺の子供たちが減ってきてしまっているという実態がございます。
次のページの有期有目的入所のアンケートの結果です。親子入所を実施している施設が56%、単独入所実施が75%です。実施できない理由は、外来対応でニーズか満たされている、あるいは設備が整わないという施設が多かったのですが、ニーズが満たされているということに関しては、療育の標準化が必要と考えています。設備が整わないというのは、長期入所が優先されると、ベッドの空きがないなどの理由で有期有目的までできないというのが実態としてあるかと思います。
次は、話題が変わるのですけれども短期入所の実施の状況は、肢体不自由児施設ですと、空床利用型で行われていて、短期入所専用の施設を有している施設は少ないという実態がございます。
7ページ目は、年間1人当たりの平均利用回数が1回弱、0.93という数字が出ております。
8ページ目は、利用の日数ですけれども、1週間以内の利用が多くて、肢体不自由では1~2泊が特に多いという実態がございました。
次のページは、今までは北住班で検討した内容ですけれども、また別の我々が行った調査ですと、肢体不自由児施設は空床型利用が多い。45という数字が出ておりますし、年間の1人当たりの利用数は4.3回というのが最後のページに出ております。
以上でございます。

○田村主査 ほかに何かありませんか。
特に何かという形で限定しませんので、ここの論点にかかわって何かまだ言い足りないことがあれば、御発言をお願いします。

○児玉構成員 有期有目的ということに集中してお話ししたほうがよろしいでしょうかね。私が用意してきました資料は前半で短期入所がかなりの割合を占めておりますけれども、これは次回行われると解釈いたしまして、私のほうのスライドが全部で50枚ありますけれども、その40枚目からで、40という番号がこれは入っていないので下から数えたほうがいいかもしれませんけれども、「医療型障害児入所施設の有期有目的利用」という形のスライドで、「特に在宅移行援助に関連して」としておりますけれども、ここにありますように、現在の医療型障害児入所施設となる以前、肢体不自由児施設では、親子入園(中心は母子入園)のプログラムがあった。そこではこれから家庭で障害児を育てていくのに必要な知識や技術、接し方などを学んでいた。児の多くは3歳前で期間は1~3カ月が一般的であった。また、肢体不自由児施設には、集中リハビリテーションや手術自立生活学習などの目的の入所が多く、期間は6カ月以内が中心である。近年は虐待児の一時受け入れや家庭事情による一時預かりも少なくない。こうした支援は現在も主に肢体不自由児を対象とする施設ではかなり継続して行われていると思います。
しかし、旧重症心身障害児施設・病棟での有期有目的利用は、今のところ、多用されているとは言いがたいという面がありまして、これも北住班がまとめたものですけれども、有期有目的をどれだけ利用したかということでは、全体、知的、医療の肢体、重心、国療の重心と分けた中で、重症障害のところでは、非常に利用日数、回数が少なくなっています。肢体の場合は、家庭ケアの途中での入所利用で、家に戻る前提で行われております。目的があってのことですので、そこで長期間、あとは連れて帰らないということは、ないとは言えませんけれども、非常に少ないわけで、虐待の場合でも、次の機関への移行時期の利用などで有期限の状態であるが、重心の場合は、家庭ケアが困難なケースの利用が中心で、有期限で家庭や他に移る保証が乏しいこと、何より空きベッドが確保できないことなどにより利用が限られている。重症障害児での活用は目的と次の移行が確実に保証されていることが重要となる。さらに大きな因子は、入所すると手当類の支給がとまることで、影響は無視できない。これは本当に無視できないことですし、民間の施設の場合には、空きベッドをたくさん置いておくわけにはいきませんので、1ベッドぐらいをそれに充てた場合に、有期有目的で入っても、契約としては重心の入所ですので、これは永続的に親が連れて帰れないからそっちで見てくれと言われれば、言葉はきついですけれども、施設の側から帰れと追い返すということはできないわけですね。したがいまして、結局、そこのベッドが埋まってしまうと次に進まないということがあります。
制度としての有期有目的利用が開始される前から在宅移行のために実施していた大阪発達総合療育センターをちょっと見ていただきますけれども、NICU・小児病棟などから在宅移行の支援の依頼を受け、2~3カ月の期間転院をしてもらう。入所ではなくて、この当時は有期有目的がありませんから入院です。この間に在宅移行に必要な医療的ケアの親指導や接し方、遊び方、リハビリ、その他の指導を行う。通常の病院とは異なり、経験のある保育士、リハビリスタッフ、遊びの専門スタッフなどによる療育体験をしてもらうことが、その後の家庭ケアの大きな支えになる。有期有目的利用の制度ができた現在も、基本は入院です。さっき申しました入所としてのベッドの空きがないこと、入所した場合、有期限で移行が確実に行われるとは限らない。現在の制度を使って入っている方はおられるのですけれども、その方は退所が難しくなってしまいました。180日を超えて、このままでは永久的に受け入れざるを得なくなる。そうすると、ベッドは埋まってしまうわけですね。そのため、依頼元の医療機関とは、期日が来れば必ずその医療機関に戻り、そこから在宅に移行し、抱える医療問題の対応責任はその機関が担うことが前提となる。結果として、療育的体験を積んで在宅移行する意義は非常に大きく、その後の集まりも継続しているということで、あとはざっと見てもらいます。
次の背景がブルーのところは、これだけのことを入院している間に学んでもらいますと。
その次は、そういうことによって在宅移行できた方々がこれだけおられますと。そういうことで、提携を結んでいる医療機関は、府立から、民間から、これだけの病院と提携を結んで在宅移行を支援している。病院から直接在宅へ移行する例もあるのですけれども、そうすると、生活、発達及び育児という総合的なことを学んでということではなくて、医療的なバックアップのみですので、療育機関でそういうことを行う意義は非常にあるわけです。
飛んで、いろいろな場面ですけれども、各職種が議論しながら、親も交えていろいろな体験をし、外に出たり、いろいろな経験をしてということで、今、ここにそれを卒業して、在宅に戻った方々の同窓会みたいなものもたくさんあるわけです。
同様の報告が、全く背景地域が異なる北海道療育園からもいただきました。ここでも、制度ができる前、平成24年4月以降に入所し、その後、退所した例をお聞きしましたら、4名、5事例ですけれども、いずれもまた旭川医大から道医大に戻るとか、虐待保護で他の園に行くとか、あるいは、肢体不自由のほうから回ってきて、そこで一定程度のベースを見た上で、また肢体不自由に戻っていくとか、そういう形で行き来がはっきりしている例ですね。そういう形についてあり得ることで、したがいまして、主に重症児障害のところで使っていただくためには、その施設がやるというよりも、その地域がバックアップをして、あるいは医療機関がバックアップをして、協力し合うことが絶対に必要で、いい制度ではありますけれども、これがない場合には、たとえ1ベッドや2ベッドを用意しましても、あっという間に埋まってしまう可能性がありますし、そうしますと、もっと本当に緊急に入所を待っている方々が、一時期入れるだけですよと入った方が、そのままいてしまうと、もっと必要な方が入れないとか、そういうことがございます。
したがいまして、私どもの分野においては、いい制度でありますけれども、もっと研究することがたくさんあるような感じがしております。これはあくまで主に重症児障害の立場からで、主に肢体不自由その他のほうではもっと活用があると思っています。

○田村主査 いいですか。
どうぞ。

○石井構成員 石井です。
先ほど言いましたように、うちは元肢体不自由児施設と重症心身障害児施設が一体化して運営しているので、重症心身障害児だけでなくて、肢体不自由の有目的入園もやっております。具体的に、数というか、割合を申しますと、132床のうち、約3分の2、66%ぐらいが長期社会的入院です。これは障害の種別を問いません。さっき言ったように、肢体不自由でない人も含めて、社会的な入院、当分帰れない方が約3分の2です。
それ以外に、短期入所とか、有目的といいますか、お母さんの出産とか、お母さんのがんの治療の長期入院とかで、期間をある程度区切られて、契約入院する場合も含めて、中短期の社会的入所になりますけれども、これが大体14%ぐらいです。これは、もっとニーズはあると思うのですけれども、今、言った、有目的入院が大体20%くらい、ベッド数にして27くらいあけています。それは、さっき朝貝先生がおっしゃったような集中リハビリとか、手術のための入院とか、急性期病院からの在宅移行のためのリハビリ入院とか、あとは親子入院を7床やっております。
昔は、もっとたくさんベッドをあけていたのですね。私たちとしては、肢体不自由の機能を失ってはいけないということであけていたのですけれども、昨今の少子化と肢体不自由に対する医療の進歩ですね。ボトックスとボツリヌス治療法とかがありますと、手術をする方が少なくなったといいますか、手術の時期も遅くなったとか、そういう集中リハビリを必要とする方自身が非常に少なくなっているということで、今は昔よりもだんだんそういう有目的入院の方がちょっと減ってきているのは事実です。経営的なことを考えれば、全部社会的入院で見るのが一番安定経営なのですが、一定数の有目的入所のニーズがあるし、また、それは残すべきだと私は考えているので、あえてベッドを20%はそこに充てるようにして、社会的入院で埋めないようにして運営しています。
ですから、施設側も、うちの場合は県立というところもありますし、母数が132という大きい数になりますので、そのくらい確保することが可能なのですけれども、そういう意図的な目的を明確にした形でのベッドをあけておくというのも、先ほどから言っております発達支援とか自立支援ということに非常に必要なことではないかと思いました。
以上です。

○田村主査 ありがとうございました。
ないようでしたら、大分議論も長くなってきていますので、ちょっとここで一度休憩をして、議事1についてはここで一旦区切りとさせていただきたいと思います。
そうしましたら、今、私の時計で11時13分なので、20分まで7分間休憩をとりたいと思います。20分から再開します。
 
(休 憩)
 
○田村主査 そしたら、20分になりますので、再開をしたいと思いますので、それぞれ席にお戻りください。
そうしましたら、議事の2番目に入りたいと思います。事務局より、社会的養護機能の課題ということでこれまでの議論を整理したものがありますので、資料の説明をお願いします。

○刀根障害福祉専門官 資料2について、御説明をさせていただきます。
社会的養護機能について、今までの御議論の中での論点を、四角の中に囲んでおりますが、まとめさせていただいております。社会的養護を必要とする障害をお持ちのお子さんが入所しているという現状を踏まえまして、障害児入所施設の社会的養護機能についてどう考えるか。また、これを推進するための方策についてどう考えていくべきかということで、まず、1点目として、被虐待児及びその家族への支援を適切に行うための専門性の確保とか、2点目として、児童相談所や教育との連携強化ということで、論点としてまとめさせていただきました。
なお、参考資料6につきまして、今回、つけさせていただいております。社会的養護の現状ということで参考までにつけさせていただいておりますので、また御議論の中で活用していただければと思います。よろしくお願いいたします。

○田村主査 ありがとうございました。
それでは、事前に資料提出があった構成員より、資料の説明をお願いしたいと思います。
今回の資料提出につきましては、地域支援機能、福祉型との共通課題についても提出してもらっておりますけれども、地域支援機能とか福祉型との共通課題については、次回、議論を行いますので、きょうにつきましては、社会的養護にポイントを絞った形で御発言をお願いしたいと思います。時間としては、5~6分を目安にお願いをしたいと思いますので、よろしくお願いします。
順番としましては、朝貝構成員、児玉構成員、宇佐美構成員、植松構成員の順番で御意見をお願いしたいと思います。
まず、朝貝構成員。

○朝貝構成員 参考資料7、朝貝の資料をごらんください。
Cのところに社会的養護機能という中で、被虐待障害児、家庭養育困難児への加算と適応拡大ということを要望しております。
被虐待児に関しては、現行の制度はあるのですけれども、加算が1回限りであったり、ほかの施設において既に加算の対象となっていた児童については原則として加算を行わないということがあったり、入所後あるいは児相が認めた月から1年間を適応期間とされており、適応期間が限定されているというのが現状でございます。北住班で調査した内容でも、我々の旧肢体不自由児施設の中で被虐待児はかなり入所しておりまして、14.1%、疑いも含めますと16.6%と多く入所しております。
育てにくい因子を持った障害児は、親からの虐待リスクが高く、障害が重度でみずから訴えられないために深刻化しやすいということがございますので、入所施設は社会のセーフティーネットとして必要となってきております。現状の加算と適応拡大をお願いしたいと思います。
以上です。

○田村主査 次、児玉構成員、お願いします。

○児玉構成員 私が用意した今回の資料は、先ほど申しましたように、前半、主に短期入所でありまして、今の養護性、あるいは虐待関係は、むしろ前回提出した資料の中にございます。前回提出した資料の「児玉構成員」というところの中で事例として出してありますけれども、重症児障害の分野において、虐待で入所したという方々の数は14%ぐらいですけれども、その方々を私どもはどう受けるかということで、私どもへ入所してくるということは、重症児障害状態になったということでかなり障害が重い状態ですので、安易にほかの機関に移行するとかという形は出てきませんので、私どもの中で、どれだけその虐待の背景になったことに対して私どもがそれをカバーしていけるかどうかということです。
この前、申し上げました事例では、1人はお母様が精神的な疾患で見ていけないということで、ネグレクトとして虐待してこられましたけれども、お子様は非常に重い知的障害と重症児障害で、その方のお母様に少しでも子供の変化を認めてもらうために、いろいろなかかわり方をして、その都度、お母様にいろいろ御報告をして、お母様と面会をふやす中で、そのお母様の中に子供を愛する気持ちが湧いてきて、私どもの行事のほうに来ていただける。生活の場としてお受けして、トランスファーの次に移行するための一時預かりという話に、ここで本格的に、重い障害を持っても、ほかから、あるいは、特に親から認めてもらえるような状態にしていこうということが大きな働きかけです。
もう一人の事例につきましても、この方はある程度動けて、知的障害は重いのですけれども、できれば18歳を境に外に出してあげたい。出してあげるための自立生活のために、部屋の環境を整えて、その方がその施設の中でも自分の生活ができるように、居場所を定め、生活を自分で自立できるような工夫をしてさしあげて、そういうことの成長を親御さんのほうにお伝えすることによって、最近は親御さんの面接もできてきたという状態にあります。私ども重心の中では、どうしても重い障害、脳挫傷とか、いろいろなものを伴ってきた方々をお預かりするという面になってしまう傾向があるのですけれども、その中でも、そういう方々の発達やら変化ということを導き出して、特に御家庭、そうでなくてもほかの受け入れ先の中で、こういうお子さんたちの変化を私たちも認めてあげようという輪をつくっていく。そういう形の場として私どもを使っていただければと思っております。
それから、別の重心のところでの事例でございますけれども、先ほど申し上げました北海道の例などでは、虐待で一時避難的にお預かりして次のところに移行していただくという機能を、持っていることは持っております。そういう方々をお預かりするという形の機能も果たしているところでございます。
ただし、虐待全般について私どもが非常に多くの事例という形ではなしに、重心の方々に限定しているという面が非常に強うございますので、その件は限界があるかと思っております。

○田村主査 次、宇佐美構成員。

○宇佐美構成員 全国重症児を守る会の宇佐美と申します。
私どもは親の会でございますので、先ほど座長から社会的養護についてということをお話しするようにということを言われましたけれども、そうではないものが多く含まれておりますことを御理解いただきたいと思います。「意見」と書いてありますけれども、意見ばかりではなくて要望事項も多少入っております。
まず、「1.重症心身障害児(者)の実態」でございますけれども、皆様は御存じだと思いますが、約4万3000人と推計されておりまして、近年、増加傾向にあると言われております。そのうち33%に当たります約1万4000人が国立施設、公立・法人立施設に入所しております。逆に、77%、約2万9000人が在宅生活をしているという実態がございます。日本重症心身障害福祉協会が平成30年度に実施した調査の結果を見ますと、公立・法人立の施設に入っている18歳未満のお子さんは10.8%ということで、子供さんの入所率が非常に低いという実態があります。厚生労働省で先ほど事前に準備されております調査結果とほぼ一致しておると思っています。
2つ目でございますけれども、「2.重症児者とその保護者の生活実態」について御説明させていただきたいと思います。
まず初めに、重症児者に対する児者一貫制度の特例措置を恒久化していただきましたことにお礼を申し上げたいと思います。私どもは、この法律が変わったときに、18歳以上の人は成人の施設にという方針が示されましたが、行き先がないということで親たちは非常に不安を持ちました。この特例措置が恒久化されたことによりまして、安堵をしておるということでございます。
2つ目ですけれども、国では障害児者の地域移行を推進しておられますけれども、私どもはそれについて異を唱えるつもりは全くございませんけれども、地域移行できる障害児者とできない障害児者がいることを御理解いただきたいと思っております。濃厚な医療的ケアを受けて施設で暮らしている重症児者が施設を退所して地域で暮らすとなれば、多くの重症児者は命を失うことになるのではないかと思っております。
先ほどの重症児者の実態のところでも御説明しましたけれども、重症児者の4分3は親の介護を受けて自宅で暮らしております。しかしながら、親の病気とか、高齢化、子供の障害の重度化によりまして、自宅での介護が困難になったときに施設入所を決断いたします。私どもが平成23年度に実施しました調査では、全国で約3,700人の入所待機者がいることがわかっております。入所待機者は都市部に集中しておりまして、申し上げました東京都内では、1人入所者が死亡してベッドが1つあきますと、その募集に100名を超える申し込みがあるとお聞きしております。多くの親たちは、自分たちが元気なうちは自分たちで介護をしていきたいと考えておりますけれども、短期入所、通所、その他の福祉サービスを利用しながら、そういうことを思いながら暮らしておるところでございます。
また、近年、濃厚な医療的ケアを必要とする重症児者がNICUから在宅移行をする事例が多くなっております。そのような家庭では、主たる介護者は母親でございますけれども、この母親が子供のお世話をするのに極限状態で毎日を過ごしております。
このたびの検討会は、障害児入所施設の在り方を検討するという会であることは十分承知をしておりますけれども、私たちは、施設入所施策と在宅福祉施策がバランスよく整備されることによって重症児者が安心して暮らせる社会が構築されると思っておりますことから、その双方について意見を述べさせていただきたいと思っております。
3番目ですが、「3.親の願い」でございます。
入所施設に関連いたしますことですが、施設入所を希望する親の理由は、2つに大きく分かれます。1番目は、医療的ケアが非常に重くて、重症児を家で介護することが困難で、すぐに入所させたいという親。2つ目は、親の高齢化・病気、障害の重度化、親亡き後に備えて、いずれは施設に入所させたいという2つに分かれます。都市部においては、入所待機者が多く存在します。ニーズに応じた病床の確保をお願いしたいと思っております。全ての重症児施設・療養介護事業所で、医師・看護師の確保が困難であるとともに、重症児者に対応できる職員の育成が重要な課題となっていると感じております。医師・看護師の養成課程におけるカリキュラムの中に重症児者のことを含んでいただくような見直しをお願いしたいと思っております。
2つ目は、短期入所でございます。重症児施設、療養介護事業所では、その施設に入所している障害児者の介護のみならず、地域で生活している重症児者への支援を期待されております。中でも、短期入所事業は、在宅の重症児者を支える大きな役割を果たしていると考えております。地域によって違いがあると思いますけれども、短期入所の申し込みは2~3カ月前に申し込みをしなければなりません。それでも申し込みが殺到いたしまして、利用日数を制限されるとか、断られるという場合があります。短期入所ベッドがふえない理由は、報酬単価が低廉であることが大きな要因となっているとお聞きしております。在宅の重症児者を支える短期入所ベッドの増床をお願いしたいと思っております。
3つ目ですが、児童発達支援事業・放課後等デイサービスでございます。近年、市区町村による重症児者を対象とした児童発達支援、放課後等デイサービス、生活介護の取り組みが顕著になってきております。これは、障害福祉施策が市区町村に移行したことによること、それから、障害児福祉計画の中での通所施設をできるだけ多くつくるようにということが影響しているものと思っておりまして、私ども親としましては大変ありがたく思っているところでございます。これらの在宅福祉政策を実施することによりまして、施設入所を希望する者の減少につながることが期待されます。
最後に、4つ目ですけれども、医療的ケア児等総合支援事業でございます。従来から個々に実施しておりました医療的ケアのコーディネーター養成事業、医療的ケア児の支援促進モデル事業等々の事業をこのたびまとめまして、医療的ケア児総合支援事業が創設されました。これは、医療的ケアを必要とする重症児に対して、重症児者のライフステージに応じた地域の関係機関が一体となって支援していくための事業で、自宅で介護している家族にとりましては、非常にありがたい事業であります。この事業に取り組み始めている自治体、既に始めているところもありますけれども、まだ緒についたばかりの自治体もあるようです。この事業を推進するためには、先ほど石井構成員からもお話がありましたが、重症児施設とか重症児の通所事業所で相談支援事業を実施している相談支援専門員の方がこの協議会の中核となって組織していただくことが一番望まれることだと思っております。入所施設や通所施設の皆様によるこの事業への御協力を切にお願いしたいと思っています。
以上でございます。

○田村主査 そうしましたら、植松構成員。

○植松構成員 私は、最初に自立支援の機能というところで、発達保障を最優先にという話も申し上げていたこともありまして、その障害児の入所施設の在り方という、先ほど言いましたように、18歳までの施設としての在り方はどうあるべきで、そこから先、卒業をしていくときを自立の一つの一過程として捉えるというのであれば、そこから先の次の支援の在り方というものをどうあるべきかというものを2段階で考えてほしいなと思って、今回の資料はつくらせていただいています。
ざくっと言いますと、児玉先生もおっしゃっていたように、結局は自由度を保障していく。そういう一人一人のニーズに応じた自由度を制度としても保障していくということなのだろうなと思います。一人一人のサービスと利用計画、あるいは在宅の人はそういった言い方をしますけれども、施設に行っていると、個別支援計画という言い方をしていますように、一人一人の支援の在り方というものが、脚光を浴びてそれに対して支援を構築していく必要性はあるのだろうなと思っています。
そういう意味で、これまでの肢体不自由児施設、この施設の現行の中でいきますと、障害児入所施設の医療型というもの、主に重心の施設と旧肢体不自由児施設と分類をされている制度の中で、もう一度考えをめぐらせてみました。そういった意味では、子供の発達段階や障害特性を適切に診断していただいた上で、現在、その子供がどういったレベルにあるのかをきちんと決めていただいて、その発達のレベルをどう一段階アップさせていくのかという個別支援計画や、そういった教育計画を立てていただいて、それに基づいて支援をしていただきたいなと思っています。特に医療型の入所施設という枠で捉えるのであれば、その発達のレベルに応じたさまざまなリハビリテーション、リハビリテーションという言葉が適切かどうかわかりませんけれども、機能的な、あるいは、教育的な、社会的な、そういったものをその発達のレベルに応じてきちんと提供して発達を保障してあげてほしいなと思っています。それぞれの段階は、自立ということをゴールにしていただいた上で、今、その子供たちが18歳になったときに、どの段階にまで発達しているのかを見きわめた上で、さらにそれを次はどうしていくのかというようなステップになっていただけたらなと思っています。
下の段にありますように、個別支援計画をつくっていただき、そのゴールを設定した上で、そのゴールにもし達したのであれば、退所の方向で調整していっていただければいいし、その際、地域での生活や社会的要因でさらに整理すべき課題がある場合は、入所施設とは別に、地域連携を専門とする部署がその解決に協同で当たってほしいなと。
先ほどソーシャルワーカーが施設にいるほうがいいという御意見もありましたけれども、ソーシャルワーカーと地域の相談支援とは、またちょっと似て非なるものではないかと思っています。成熟した本当に優秀なソーシャルワークは、地域に目を向けて、地域に帰すことを前提として設定をしていただけると思いますけれども、余り熟成されていないワーカーであれば、結局は施設の中にとどめておこうと働きかけてしまうような方も現実としては見聞きしていますので、そういった意味では、しっかりとソーシャルワークをしていただけるような体制というものを、施設の中にあってもいいですし、外にあってもいいですけれども、その意味合いというものをしっかりと育てていただいたものが必要ではないかと思っています。
在宅の大人の世界での相談支援専門員というのは、基本的には施設から出て、中立の立場でつないでいくということが原則になっていますので、そういう意味では、社会的な機能をしっかりと網羅できるような体制を組んでいただけるような相談支援専門員が必要ではないかと思っています。
最後に、今回の社会的養護機能ということですけれども、被虐待児を、現状はたくさん受け入れていらっしゃるという現実はあるのですけれども、子供の立場に立った場合は、被虐待児は、「被」と言われているように、被害者ですよね。加害者は誰かというと、それを支援していた親であり、支援者であるという構図は明らかであるわけで、子供の成長を促進させて、子供を受け入れてもらえるようなという御発言もちょっとありましたけれども、子供には何ら責任はないわけでありまして、あくまでも子供の発達を保障してあげてほしいなというのが、私の気持ちでもあります。
私自身も、重心の親としてずっと活動を続けていますけれども、親というものも、ある種、当事者、障害を持った子供を授かった瞬間に当事者という位置づけで、心が疲弊していたり、心が折れていたり、あるいは社会的に自立できない親もたくさんいらっしゃるわけで、その中で虐待が起こったとした場合、加害者とはなっていますけれども、その親自身も助けを求めておられることには間違いがないわけですから、社会的養護を、発達を保障するような入所施設に求めるのではなくて、そういった原因となっている親御さんの社会的環境や、そういったものをしっかりとサポートできる、きちんとしたものがしっかり働いて、それで子供たちとつないでいくという役割は、別の組織でしっかりとやっていただきたいなと思っていたりします。
退所のタイミングとか、地域との連携というものを図る場合でも、そういった親御さんたちがしっかりと受け入れるような精神状態であり、家庭環境であり、そういうふうに育っていかないと、家庭の介護力が育たない限りは、子供たちは受け入れていただけないということが現実としてありますので、それを入所施設で担うとすると、ちょっと責任が重いのではないかなと、私自身は感じたりしています。それよりも相当強い社会援護力が本当は必要なのではないかと思っていますので、その辺もあわせて議論していただければありがたいなと思います。特に医療的な入所施設の在り方ということであれば、社会的養護というのはしっかりと子供を受け入れていただけるような親の精神力の育成が必要ではないかと感じています。
以上です。

○田村主査 ありがとうございました。
そうしましたら、今、御発言いただいた4名の構成員の発言を受けながら、なおかつ、課題の整理をしていただいた部分ですね。社会的養護について、障害児入所施設についてはどういうふうに受けとめたり考えたりしていくのか、どういう推進方策があるのかということなども御意見をいただければと思います。
大体30分から40分ぐらい議論の時間をとりたいと思いますので、よろしくお願いします。

○有村構成員 有村でございます。
きょう、最初の資料1の自立支援機能の課題のところからどこで発言しようかと迷っていたのですけれども、社会的養護のところで発言させていただきます。
さまざまな取り組みのお話とかをいろいろ聞いていますと、かなりソーシャルワークの機能というか、社会的養護の機能は既に大分担われている様子がよく伝わってきます。そういう意味では、例えば、問題が起きる前に家族をどうされていくかというところでは、一時的に、例えば、レスパイトをしたりという意味では、予防の機能であったりとか、防止の機能であったりとか、あるいは家族をどう維持していくのか、分離していても家族とのつながりをどうつくっていくのかというのを含めまして、家族維持の機能を果たしていったりとか、さまざまな既に社会的養護にまつわるような機能を果たしていらっしゃるというのが現状なのではないかなというのを少し思うところです。社会的養護の中でも、全て、例えば、子供の虐待対応でやっているようなものを全て取り込めばよいということではなくて、むしろ今までやっていらっしゃるものの中に、医療型の施設だからこそできることはかなりあるのかなと思いました。
児玉先生の事例などを聞いていて思ったのですけれども、ソーシャルワークの機能を果たしていくときに、児童養護施設の側でもソーシャルワークが配置されているわけですけれども、児童相談所の介入だったりとか、親支援というところもありますけれども、一方で、施設は子供たちの生活を見ているからこそ、むしろその情報があって子供たちがわかっているからこそできる。だから、それがどちらか一方にということではなくて、それぞれの機能があるのではないのかなというのは、お話を聞いていて強く思ったところです。
ただ、実際にやっていく中では、地域だったりとか、ソーシャルワークの力量だったり、さまざまなものが影響しているのだなというのは、先生方のお話を聞いていても思ったところなのですけれども、むしろいろいろやっていらっしゃるサービスの捉え直しというころなども、結構考えていったらいいのかなと思うのです。
参考資料4の6ページをごらんいただければ、載っているところで、例えば、家族再統合プログラムとあるところがゼロになっているのですね。でも、先ほどのお話を聞いていますと、親に、子供の存在というか、力を認めてもらう、知ってもらうというところも含めまして、そういう意味では、家族の再統合、それは一緒に暮らすということだけではなくて、つなげるためのアプローチをされているところもあるのかなと思いますし、そういう意味では、今、やっていらっしゃる、実際に取り組まれている実践の中にも、いろいろなソーシャルワークの機能だったりとか、社会的養護の中での機能の重要な部分を果たされているかなと思いましたので、そこら辺は社会的養護の部分の話をしていく上では大変重要なのかなと思いました。
とりあえず以上でございます。

○田村主査 あとはありますか。
どうぞ。

○石井構成員 石井です。
うちも肢体不自由の機能が多いので、虐待のお子さんがたくさん入所されてきます。虐待といっても、身体的虐待からネグレクト、程度の差はあれ、今、おっしゃられたように、私たちは虐待のお子さんたちへの支援ということではお子さんよりも家族への支援ということにかなりエネルギーを注いでいます。
それは小児科という存在そのものが、もともと子供1割親9割みたいな感じで、家族へいかに支援するかということから始まっていますので、恐らく看護のほうも、家族看護とか、そういったものですごく力をつけていますので、虐待ということではなくて、親御さんにどうアプローチをするかということは、有目的以前からずっと歴史的にあります。ですから、潜在的にそういう力はあると思います。
主に看護師さんとか保育士さんは、子供の成長を促す。子供は、虐待を受けた片麻痺の子でも学校を上がるまでには歩けるようになったりとか、本当に劇的な変化をするのですね。反応がないようでも、愛着形成とかですごく表情がよくなって、そういうところを引き出し、それを親御さんに伝えるという、多分子供自身へのアプローチが中心になると思うのですけれども、うちは心理療法士が3人ぐらいいるのです。心理療法士というと子供の発達検査をするようなイメージがありますが、うちの心理療法士は家族カウンセリングのほうに物すごくエネルギーを注いでいまして、虐待の親御さんはもちろんのこと、そうでなくても、養育困難感を抱えているとか、在宅移行がなかなか進まないお母さんへのカウンセリングを定期的にやって、検査をしたほうがお金になるかもしれませんけれども、物すごくカウンセリングに力を入れて、そこで専門的な立場で親御さんの本音を引き出したり家族関係を調整したりということをやってくれています。そこは社会的養護期の中でとても重要だと私は思っています。
もう一つは、先ほどから言っているソーシャルワーカーで、決定的に帰るのが難しいケースは別として、家族の能力とその子の障害のバランスで、もう少しサポートがしっかり入れば地域で見られるなという場合には、ソーシャルワーカーが地域の資源を最大限に、訪問看護師を入れるとか、あるいはデイサービスに週5日ではなくて土曜も入れられるような手配をするとか、とにかく地域でこの家族を支えるという体制をすごく整えることで、児相がこの子は地域に帰るのは無理だと言ったようなケースが、私たちのほうでは何例も地域に帰せているのですね。
児相は多分子供を保護するところが一義的であって、その家族をサポートするのは多分別の機関であると海外では言われていますが、その家族をサポートする機関が医療型障害児入所施設ではないかなと私は思っていまして、そこにある資源である、心理療法士、ソーシャルワーカー、専門的な家族支援の経験のある看護師さんとか、保育士さんが、多角的にアプローチをすることで、かなり今ある資源を使って養護支援の子供たちの家族を支え、再構築をして、うまくいけば地域に戻せるのではないかと感じております。
以上です。

○児玉構成員 児玉ですけれども、今、石井構成員が言ったことは、非常にうらやましいですね。民間のところ、私どもは堺市立ですけれども、委託は民間委託で、運営、収支は民間並みということになっていますので、そういろいろなスタッフは置けないのですね。ソーシャルワーカーにしましても、心理にしましても、収益をもたらさないところはそんなに置けないわけで、したがって、公立は本当に頑張ってほしいということと、できれば、そういうことが民間あるいは地域の担うところに、補助あるいは何らかの形で、加算等々で、今もある程度は出てはおりますけれども、より手厚く見ていただきたい。
出入りが盛んなのは主に旧肢体不自由のところですけれども、そういうところが虐待等々をたくさん担っているにもかかわらず、設置基準を見ますと、主に肢体不自由のところの必要な職員の中に心理担当職員は入っていないのですね。主に重症障害のところに心理担当職員を置くことになっていますけれども、主に肢体不自由には入っていないのですね。一番出入りがたくさんあってそういうことをカバーしなければいけないところに義務として置かなくてもいいことになっているというのは、これは制度として矛盾していると私は思っております。少なくともそういう点から少しでも一歩でもカバーをしていただければと思っております。
もう一つ、私のほうから申し上げたいのは、主に重症障害のほうは低床が決まっておりまして、それを満床にすることが大前提になっていますので、さっきの有期目的もそうですし、虐待で話を持ち込まれることはあるのですけれども、そのときにあきがない限りは入れないわけですね。あきがあっても、ほかに優先する方がいるのに押しのけて入れても、次に行き場がないと受けられないということがありますので、それと有目的の利用も含めて、何らかの形で空床時期があっても構わない空床保障的なベッドを、何か制度上認めてもらえないかどうか。今まで、自治体によっては、そういうことを、あきを認めるような、空床保障みたいなベッドを設けているところもありましたけれども、それがないとフレキシブルに動けないということが一つはあります。
もう一つは、虐待のほうでは、非常にボーダーゾーンで闇の部分がありまして、中期に病院に入院している、超重症の方が大部分ですけれども、呼吸器をつけているような方々が、病院のほうも家庭引き取りは難しいと。施設を推薦していただいて、私どもも伺って、これは私どもでお受けしましょうと言っても、親はオーケーをしない。
親は、しょっちゅう病院に来るので、ネグレクトではないと。だけれども、どうして施設に入れないかというと、施設に入れると手当がなくなる。そういうことは指導の場においては隠れた事実でかなり広く知れ渡っていることで、それがネグレクトあるいは虐待として浮かび上がってこないけれども、お子さんにとっては実際の扱いはそういうふうに使われている。これは数字で表に出せるか出せないか、出したところでどういう手当ができるかどうかわかりませんけれども、ボーダーゾーンの虐待というのもたくさんあることもちょっと知っておいていただきたいと思います。

○田村主査 あとはありませんか。

○植松構成員 まさしく先生方がおっしゃっているのは、現状の枠組みでは絶対にできない取り組みだと思っています。だから、最初に私が言っていますように、在り方を考えるのであれば、現状の中でどうこうやるという話ではなくて、こうあるべきだという議論になっていただいて、それを加算でやるなら、一時はそれでいいかもしれないけれども、そうではなくて、こうあるべきだという形の中で、法の概念も含めて、サービスの提供の在り方も含めて、抜本的に何かいいアイデアを捻出できればいいのではないかなと思ったりしています。
先ほどからずっと聞いていると、臨床心理士がいるとか、ソーシャルワーカーも5人か何人かいるとか、そういうところはほとんどないです。それは必要だと思うのです。ですから、そういうようなよい事例を全国にいろいろ広めるためにどうあるべきかというような、最終的な御意見があればありがたいなと思ってはいます。
先ほどちょっと私も言いましたように、親も当事者の一人であるということなので、親に対するサポートを、別のジャンルになるかもしれませんけれども、子供のことを考えたときに、親も一緒に育てないと、それは無理だよという話の中で、親に対するサポート体制というのもしっかりとつくっていただきたいなと、この際、強く思っているところです。

○田村主査 これは、例えば、親のサポート体制というのはどういうことになりますか。

○植松構成員 基本的には、虐待とか被虐待という話になっては、結局、欧米諸国ではよく虐待が見つかったら子供を引き離して親の再教育をきちんとしていくというシステムがあると聞いていますので、一緒になって何かをやるというのではなくて、子供を離さなければならないというつらい精神状況になっているということをきちんと向き合えるような、親独自のシェルターをしっかりと立ち上げてフォローをしていくようなものは、あるのかないのか知りませんけれども、多分ないのではないかと思うので、ぜひそういったものを立ち上げていただきたいなと。
今までは、例えば、そういう重度の障害を持った子供たちの親の精神のフォローは、私たち親の会が一翼を担ってはいたはずなのです。だけれども、時代が進むにつれて、核家族化が進むにつれて、なかなかそういう親の会のいわゆるピアサポートのようなかかわり方ができなくなってきつつありますので、以前よりは孤立している親御さんがたくさん本当はいらっしゃるのではないかと思いますので、そういうような親をサポートするような組織も一緒になって考えていただけたらありがたいなと思ったりします。

○石井構成員 それが私は医療型障害児入所施設でできるのではないかと思うのですけれども、児相は親から子供を引き離した悪い立場の存在であるのですけれども、お子さんがうちの施設に来た場合は、児相さんの許可を得て、例えば、施設内で職員立ち会いあるいは児相の職員立ち会いのもとで親御さんと面会ができますよということが初めてできるのですね。親御さんの心のケアをしたり再教育するには、子供と愛着をつくっていかなくては、多分子供の姿を見ていかなければ絶対に変わらないと思うのです。だから、引き離すだけでは全然治療にならないと私は常々思っていて、できるだけ早く子供と面会の時間を確保、長くし、制限を少なくするような方向で、児相さんにお願いしているのです。それはもちろん実績を積みながらです。
だから、子供が施設に入っているという安全な場所が確保された上での親御さんとのアタッチメントというのですか。それができるのがこの医療型障害児入所施設と思いますので、あえて別の施設、機関を設けて、親御さんを離して再教育をするのではなくて、そういうところを生かして、ぜひ虐待の家族の再構築というところに今後も生かしていけたらいいのではないかなと私は思います。

○有村構成員 ありがとうございます。
今の御発言とちょっとかぶるところもあるのかなと思うのですけれども、私もかなりそういった意味では可能性があるなと思うところで、今、先ほど植松構成員がおっしゃったところで言うと、国の社会的養護とはという、ホームページにも載っているのですけれども、社会的養護は予防的な側面も入っていまして、「保護者のない児童や、保護者に監護させることが適当でない児童を、公的責任で社会的に養育し、保護するとともに」の後に、「養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うこと」が載っているわけですね。そういう意味では、社会的養護の部分の概念と重ね合わせることで、予防的な機能のところは大きいのかなと。効果が出る部分はあるのかなと思いました。
あと、話がちょっとずれてしまうのかもしれませんけれども、それだけニーズがあるという意味では、被虐待というのは子供の責任ではないという御意見がありましたけれども、それが親の責任かというと、親とも言えないということになる。では、どこかというと、社会的な面が大変大きいところがあるのかなと思います。親がそれだけぎりぎりのところで高いニーズを持っていても、そこに対して社会的にサポートができないということであれば、これは社会の責任になってくるというところだと思いますので、そういった意味でも、社会的養護の中での予防機能というか、介護を支える機能をどうつくっていくのかというのは大変重要なところかなと思いました。
もう一点、これもかなりずれてしまうかもしれませんけれども、そういう意味では、かなり長期的なかかわりをしながら、子供の成長、特に親御さんも成長していただくようなアプローチが必要なんだということになってきます。あるいは、親御さんの、子供ってこんなもので、こういう生き方をすべきというもの自体も変わっていかないといけないもの、それはある意味、エンパワメントを通して変わっていかないといけないところもあるのかなと思うのですが、一方で、お子さん方のレスパイトとかも、いろいろな機能を考えていきますと、レスパイト用のあいているベッドをつくるという議論もそうですけれども、もうちょっと積極的に、これは過去に社会的養護であった議論でいうと、全養協が、かなり前なのですけれども、児童養護施設近未来像Ⅱとまとめているのですけれども、里親さんだったりとか施設とかに子供たちが預けられても、それを支援する機能を大きな施設とかで本体に持って、そこがバックアップをしたりレスパイトをしたりというものを、契約しながら、約束しながら役割を果たしていくということも議論に出ていたことがあるのですけれども、そういった意味では、かなり入所率が低くなっている地方の施設なども、もっと積極的に、バックアップの機能だったりとか予防的機能のところで、社会的養護と重なる部分もあるし重ならない部分もあるのかもしれませんけれども、可能性みたいな部分は感じながらデータ等も見させていただいたところです。
以上でございます。

○田村主査 今の有村構成員の話でもありますけれども、つまり、入所率が落ちてきている中で、逆に障害児入所施設の役割や機能がより先鋭に求められているということなのかなと。だから、積極的に地域をバックアップするということができるようにならないかということだったと思います。
あと、何かありますか。例えば、その課題のところの整理してあるところの児相や教育との連携強化というところで、何か御発言等がある方はいらっしゃいませんか。いいですか。

○菊池構成員 数字としてもし御存じの方がいらっしゃったら教えていただきたいのですけれども、こうした社会的養護を必要とされる子供さんたちが施設に入所するときに、私は過去に病院に勤務していたのですけれども、必ずしも地元のその子が住んでいる県の施設等に入所するケースではなくて、結構他県から来る方が多かったように思うのです。そうすると、保護者を支援していく上で、隣県あるいはもう少し離れた県からだと、なかなか保護者支援はうまくいかないのではないかと思うのですよね。
具体的な数字ですよね。こうした社会的養護が必要で入ってきた子供さんたちが、自分が住んでいる県ではないところに実際にどれぐらい行っているのか、そういう方々に対してどれぐらいうまく支援機能が働いているのかということも明らかにしていかないと、本当に同じ自治体の中に住んでいる子供さんたち、保護者に対する支援であれば、ある程度、距離的な関係もあるので、うまくいくのかもしれないけれども、そうではない可能性もあるので、もう少し数字をはっきりとしていく必要があるのではないかなということを、今、聞いていて思いました。
以上です。

○田村主査 これは数字か何かは出るのですか。

○刀根障害福祉専門官 現在では持っていないですね。

○田村主査 あるいは、施設の施設長さん等で、自分の施設のところではどうかということは何かありますか。他県から措置みたいな。

○石井構成員 他県からではないのですけれども、虐待で、親御さんが分離されることに同意していなかったりして、もし分離した場合に施設のほうに押しかけてくるのではないかみたいな、親御さんが納得していないようなケースは、あえて他県に移します。内緒です。ただし、親御さんはそこまでではなくて、再構築の可能性がありそうなケースは私たちの近くで支援します。一口に虐待といっても程度の差があると思いますので、運用の仕方も違うと思います。

○植松構成員 虐待の家族更生、再統合をするというプログラムがないという話が出ていましたけれども、実際に再統合させていこうとすると、その親御さんの持っている虐待に至る背景、そういったものは、ただ単に子供を受け入れられないという、そういう障害特性に応じた心理的な背景だけではなくて、家族の中にほかにサポートをする人がいないとか、あるいは働きたいのに働けないというような、ある種、精神的なジレンマとか、そういったお母さん方やお父さん方が抱えている社会的要因というのも当然あると思うのですよね。その社会的要因というものが解消されないままで子供の発育を見て受け入れるとなったときは、再発をする可能性はあると思うのですよね。
そういう意味も含めて、子供の発育だけを頑張って見せて愛着形成をつくっていくということではなくて、そういった家族の社会的背景まで施設のサポーターがやるとすると、相当なパワーは必要になってくるのではないかなと思うのですけれども、それは大丈夫なのですか。

○石井構成員 時間はかかると思います。よくあるのは、父親が加害者であって、それをとめられなかった母親も責任を問われたりするのですけれども、一番いいのは、共依存関係を断ち切って、離婚して、親御さんが自分の祖父母と一緒に生活するというパターンが一番よくあります。でも、そこに持っていくまでにすごく時間がかかります。あるいは、親御さんがちょっと知的に弱くて十分な支援ができていなかった場合には、シングルマザーだったりすると、新しいいいパートナーが見つかりますと、そのサポーターによって、この人なら大丈夫だなと見きわめるのにすごく時間がかかります。だから、虐待の親御さんを再構築するというのは、本当に年の単位です。その間に子供も発達します。
だから、全部が全部うまくいくとは言いませんし、それは運もありますし、祖父母とか、親戚、あるいは本当に新しい出会いとか、本当に運に任されている部分はありますが、そういったことを見きわめて、再婚したから大丈夫だと私たちは決して思いません。よくあるのは、またそういう男の人と結婚したのみたいな方もいらっしゃいますから、そこら辺はしっかり見きわめた上で、私たちも、もちろんそこに関しては児童相談所がそこに入って、本当にこの新しいファミリーで大丈夫かということをしっかり面談をして見きわめ、外泊とか外出とかを重ねた上でありますので、これは本当にパワーというよりも時間のかかる課題だと私は感じております。

○児玉構成員 そういう虐待のケースの場合は確かにさまざまでして、本当に肉体的虐待で親が刑務所に入るような例もあるわけですね。そういった場合は、親と連絡一つとるかどうかも、親に一切ここにいることは隠さなければいけない場合と、一つ一つ、目的とどういうことが行われるはずだということも含めて、あるいは児相の立ち会いも含めて、一回一回了解を得なければいけない場合、その限界というものはあります。
それと、欧米でも盛んでしょうけれども、里親というものがありますね。里親も含めた社会的な資源もどこかで蓄えていかなければいけないと思います。そういったところと一緒に交流をするような場面も設けていくというほうにもチャンネルを切りかえることもあります。
ケースワーカーは私どものところはそんなにいるわけではありませんけれども、これはしようがないから私どもスタッフ一同で考えて、検討会を続けながら、児相も招いてやっていることですけれども、そういう親が100%ではない場合も含めた地域の活性化ということも本当に考えなければいけないと思います。

○朝貝構成員 教育のことで少しお話ししたいのですが、長野県の場合は、子供の数が少なくなってきていて、肢体不自由児が地域の特別支援学級に入ろうとすると、数が少なくて肢体不自由の学級ができない状況があります。そうすると、今、多い情緒障害学級の中に肢体不自由が入ってしまうと、先生が情緒障害児に手がかかって、動きの少ない静かな肢体不自由児には手がかけられないという状況も出てきていて、その中で有期有目的入所で入ってきて、隣接・併設の特別支援学校で適切な課題を出すと、その子の教育面も伸びるということがあり、有期有目的入所の効果として今迄以上に教育のことも出てきています。

○田村主査 あとはありますか。
今までの議論の中で随分いろいろな意見が出されてきているかと思います。専門職の配置の話とか、あるいは、そのこととかかわって、御本人さんへのアプローチだけではない、いわゆる家族に対する支援のいわゆるスタッフがどうなのか。そのことも含めて、あるいは、それを心理職の方が担っていたりするということも含めて、そういう家族への支援ということの専門職や専門性はどういう人がいいのだろうねということなどもあったかと思いますし、児玉先生からは、肢体のところは心理はもともと入っていないということがあるので、それはどうなのかという意見もございました。ですから、本人だけではなくて、家族も含めたいわゆる社会的養護に対するアプローチの、いわゆる専門性と職員配置みたいなことでも議論がまずはありました。
あるいは、その背景にある家族ということの中で、例えば、施設に入ると特児がなくなるとか、そういうようなことがあって、親としての判断みたいなことが正常にならないという実態もある中で、いわゆる親が親らしく生活できていくためのアプローチみたいなことももうちょっと検討が要るのかなという話でした。
あとは、施設としては、そういうアプローチを行っていくときに、空床保障などができると、一旦見ながら、いわゆるアプローチをかけるということもフレキシブルにできるのではないかという御意見などもあったかと思います。
実態としては、いろいろな施設の中で、できている、やれているよというお墨つきもあったかと思いますし、そういう予防機能とか、あるいは、そういう被虐待の子も、一方のいわゆる被害者である親に対する意識みたいなことなども持てているわけだから、問題はそこをどういうふうに、いろいろなところがそれが多様にできるようにするのかということなのではないかという話などもあったように思います。社会的養護のところはまだ十分に議論できているわけではないわけですけれども、このあたりかなとは思うわけですけれども、どうでしょうか。

○児玉構成員 児玉ですけれども、地域の中を見ますと、福祉型ですね。福祉型の知的障害児入所施設などでも、結構重度化して、医療度がだんだん高まっている傾向がございまして、日中の胃瘻ぐらいはしていますよというところもぽつぽつ出てきております。それから、大人のほうになりますと、生活介護と入所支援がついた昔の身体障害者療護施設のあたりでも、これも重心と同じように若いころの入所が非常に少なくなってきて、若いころの入所は実質は重心相当で、胃瘻だけでも十何人も抱えている子もふえてきまして、虐待という場合でも、それらを全部またがっているわけですね。
ですから、虐待という養護性のことを考えるときに、医療型だけで見ていかないで、医療型の中でも肢体不自由のほうで、出入りがいろいろありますから、空きベッドもありますので、しばらくお預かりいただいて、ころを見て重心のほうで引き取るとか、あるいは、逆もありますけれども、そういう資源間の協力のし合いと、それをまとめるコーディネートも必要ですけれども、そういうことも、次回のテーマになるのかもしれませんけれども、福祉とあわさったものを、今、養護の問題ではつくづく感じております。

○田村主査 具体的には、次回のところでまた御発言をいただけたらと思います。そういう資源間の中での協力とコーディネートの在り方みたいな、そういうふうなことが、もっといろいろな、それこそ何度も出てきますが、フレキシブルに、あるいは、いわゆる組織といったらおかしいけれども、どういうものがあればそういうことがもっとできていくのかも含めて、次回、またそれぞれ御意見をいただければいいかなと思います。
どうでしょうか。

○菊池構成員 三重大学の菊池です。
指定医療機関に勤務する職員から聞いたのですけれども、こうした社会的養護を必要とされる子供さんたちを指定医療機関で預かっている場合に、現在、小規模グループのケア加算体制というものが肢体不自由児の医療型障害児入所施設においては行われている、加算があるという話なのですが、指定医療機関等においては、そういうことは認められていない。今後、実施していきたいと考えているのだけれども、なかなか制度的な面で難しいところがあるので、そういうところも検討していただけるとありがたいかなという御意見があったことをお伝えさせていただきます。
以上です。

○田村主査 ほかに、「その他」を含めて社会的養護の枠を超えても構いませんので、次回の御意見以外であれば構いませんので、どうですか。
いいですか。
ありがとうございました。
これで議事2と、「その他」、3のところを終了ということで、本日の議事については全て終了ということにしたいと思います。
事務局より今後のスケジュールについて御説明をお願いします。

○刀根障害福祉専門官 活発な御議論をありがとうございました。
次回の開催につきましては、9月13日の金曜日、10時からを予定しております。
会場は、厚生労働省内の11階にございます、共用第8会議室となっております。
また、事前提出資料につきましては、次回分も含めまして、今回、既に御提出いただいたところでありますけれども、もし追加で御提出をしたいという構成員の方がいらっしゃいましたら、9月6日の金曜日までにお願いしたいと思います。こちらにつきましては、また追ってメールで御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
それでは、これで第2回「障害児入所施設の在り方に関する検討会 医療型ワーキンググループ」を終了いたします。
本日は、大変お忙しい中、御出席いただきまして、ありがとうございました。
 


〈了〉