2019年07月19日 第3回一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会 議事録

老健局老人保健課

日時

令和元年07月19日(金)13:00~15:00

場所

全国都市会館 大ホール
(東京都千代田区平河町2-4-2)

出席者

荒井、安藤、石田、鵜飼、江澤、遠藤、岡島、黒岩(代理:柏崎参考人)、小玉、近藤(克)、近藤(尚)、齋藤、田中、辻、濵田、藤原(忠)、藤原(佳)、山田

議題

1  介護予防(主に通いの場)に関するエビデンスの現状について
2  一般介護予防事業等の推進方策について
3  中間取りまとめ骨子案について

議事

 

○北原介護保険データ分析室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第3回「一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会」を開催いたします。
構成員の皆様方におかれましては、大変お忙しいところ、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
本日は、大西構成員、河本構成員、津下構成員から御欠席の連絡をいただいております。また、堀田構成員におかれましては、先ほど急遽御欠席の連絡をいただきました。
本日、黒岩構成員の代理として柏崎参考人が御出席でございますので、お認めいただけましたらと思いますが、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
また、事務局でございますが、局長の大島は、本日ほかの公務のため欠席となります。
また、人事異動に伴いまして事務局に変更がございましたので、紹介させていただきます。
介護保険計画課長に着任いたしました山口でございます。後ほど御紹介いたします。
認知症施策推進室長に着任いたしました岡野でございます。
企画官に着任いたしました栗原でございます。
また、本日、議題の関係で、保険局高齢者医療課より込山が出席しております。
報道関係の方々には、冒頭のカメラ撮影等々はここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
では、議題に入る前に、本日の資料の確認をさせていただきます。
厚生労働省では、審議会等のペーパーレス化を推進しており、今回の会議もタブレットの御用意という形で開催をさせていただきます。
タブレットの資料の確認方法等につきましては、お手元の資料を御参照いただければと思います。また、操作等で御不明な点がございましたら、適宜、事務局がサポートいたしますので、お知らせくださいますようお願いいたします。
それでは、資料の確認をさせていただきます。
まず、本日の座席表、そして議事次第、構成員の名簿がございます。
資料1-1が、近藤先生の御発表資料、
資料1-2が、荒井先生、山田先生の御発表資料、
資料2-1が、一般介護予防事業等の推進方策について、
資料2-2が、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施について、
資料3が、中間取りまとめ骨子案、
参考資料1が、河本構成員の提出資料となってございます。
不備等がございましたら、事務局までお申しつけください。
それでは、特に問題がないようでしたら、これより先は遠藤座長に議事進行をお願いできればと思いますが、よろしいでしょうか。
○遠藤座長 それでは、議題に移りたいと思います。
まず、議題1「介護予防(主に通いの場)に関するエビデンスの現状について」、本日は2名の構成員の方からそれぞれ10分程度情報提供していただきます。
まず、近藤克則構成員から資料1-1の「「通いの場」の介護予防効果」について御報告をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○近藤(克)構成員 それでは、着座にて失礼させていただきます。
資料1-1をごらんいただければと思います。
1枚めくっていただきまして、目次があると思います。まず簡単に背景を振り返った後、2013年の社会保障審議会当時、既にわかっていたこと、まだ当時はやってみないとわからないといったことがありましたので、それを簡単に確認した後、その後6年たち、どんなことがわかってきたのかというのを御紹介したいと思います。
1枚めくっていただきますと、第47回の社会保障審議会の資料が入っているかと思います。それまでは基本チェックリストで、ハイリスクな「個人」を探して対策する方法であったけれども、それでは期待したほど人が集まらなかった。それを踏まえ、言うならばハイリスクな「まち」があるということがわかってきたので、住民主体の通いの場をふやすことで健康なまちづくりができないかと、大きく方向を転換した、あるいは拡張した。つまり、一次予防を強化しようとなった大もとの資料でございます。
これには3つグラフがありますけれども、いずれも社会参加、スポーツの会だったり、趣味の会だったり、いろいろですが、そういうところに参加している高齢者が多いまち、散布図で言うと右側になりますけれども、そちらでは転倒、鬱、認知症、いずれもリスクを持った人が少ない。このような関係が見えてきたというのが当時でした。
実際にまちづくりできるのかということにつきましては、次のページに当時の厚労省の介護予防マニュアルから抜粋を持ってまいりましたが、ボランティア等を養成して通いの場をつくるというようなことが幾つかの町で取り組まれていた。そのプロセスが、当時、マニュアル化されておりました。
1枚めくって5枚目に行っていただくと、これは武豊町の写真ですけれども、こんな形で住民の人たちに集まってもらって、いろいろ知恵を絞ってもらって、次の青いスライドにあるように、さまざまな企画を練ってもらって、それを準備して、子供たちとも交流しながら楽しんでもらう。こんなことをやりました。
次の7ページ目に棒グラフがありますけれども、これは武豊町でずっとデータをとらせていただいたものです。楽しいというのが口コミで広がって、下の紫色の棒がボランティアの数ですが、最初は20人から始まったのですけれども、300人を超える規模になった。参加者は町の高齢者全体の1割になった。そんな経緯を示したものです。
8枚目に、導入時にわかっていたことというので、こういう通いの場、やればできるらしいと。一方、わかっていなかったこととしては、そういうのは研究者が丁寧に関わっているからできるのだと言われたことがありまして、果たしてほかの町にも、全国にも広げられるのかとかですね。あるいは当時も調べてみて、効果がありそうだと御紹介したことはあるのですが、それは元気な人が行っているだけではないのかとか、逆の因果関係ではないのかというような御指摘がありました。当時はそれに十分お答えできるだけのデータがそろっていませんでした。その後、データを集めた結果を今から駆け足で御紹介しようと思います。
あと、費用対効果も関心があったので、費用データを集めてみました。
次の9ページ目をごらんいただきたいのですけれども、これが効果評価をどうやってやるか、AMED等から研究費をいただいて、3つほど試した方法の比較表です。A、B、Cとありますが、いずれも一長一短があるということがわかってきました。
まず、左の緑のAの名簿方式、これは誰が参加している人で、誰が参加していない人なのか。それを名簿で確認して、その人たちを追跡して、効果がある、ないを決着つけようというものです。これが医学系の研究者にしてみると一番なじみのある方法で納得感はあるのですが、難点がありました。こういうことをやりたいのでデータを御提供くださいと、39の市町村に御連絡したところ、そんな名簿をつくっていないというところが圧倒的でして、名簿を入手できるのが5自治体にとどまった。これがたいへんなネックになります。
これは受付でボランティアの人に名簿をつくってもらうだけのように聞こえますが、いざやってみると大変面倒くさくて、「こんなに面倒くさいことをやらされるのだったらボランティアをやめる」と言われたこともあって、そう簡単ではないということがわかっております。
2番目のBの参加者にアンケートをとる方法。これはどういうプログラムに何回参加しているとか、どういうことを感じているかとか、詳細にわかるのはいいのですが、比較対照群がありませんので、果たしてそれで効果と言えるのかという問題が残ります。
Cの方法は、そうやって試行錯誤する中で、どうやらこいつが一番効率がいいぞとわかってきたのが、3年に1回やられているニーズ調査を上手に使うという方法です。これであればニーズ調査の調査票のひな型を厚労省が示しておりますが、そこに「これを全国入れてください」ということを指定してしまえば、全国一斉に効果評価が可能になる。これが一番現実味があっていいのではないかと考えております。
全部御紹介したくてスライドを56枚も用意したのですが、「10分ですよ」と言われた時間の兼ね合いで、きょうはCのニーズ調査でわかったところだけにフォーカスを当てて御紹介します。
1枚めくっていただくと10ページ目ですけれども、これは高齢者に、「あなたはサロンに行っていますか」とお尋ねしたものです。厚労省が市町村を通じて把握したものですと、今5%足らずですけれども、高齢者に直接聞くと、何と15%の人が「私はサロンに行っています」と答えるのですね。これは参加頻度が少ないとか、あるいは行政が把握していない、住民たちが自主的にやっているサロンがあったり、そういうものの組み合わせで3倍近く乖離があるのかなと解釈しています。自治体間に3倍ぐらい参加率に差があります。こういう実態を把握するという意味では、ニーズ調査を使って把握するという方法も今後は使うべきではないかと思われます。
次の図は、ニーズ調査で「あなたは参加していますか」とお尋ねして、「参加している」と答えた方を赤い棒で、グレーの棒は参加していないと答えた方です。縦軸は基本チェックリストで、20問のうち10項目が該当したという虚弱の定義を満たした方ですけれども、何%の人が虚弱と判定されたかというものです。ごらんのとおり参加している人たちで虚弱と判定される人が半分以下です。つまり参加している人たちでは虚弱が少ないというところまでは、これでわかります。しかし、これだけですと、「これは元気な人が行っているだけでしょう?」と言われると、「そうかもしれませんね」ということで、これでは効果検証とは言えないのではないか。無記名でやってしまうと永遠にここから抜け出せない。これを乗り超えるためには、ニーズ調査で個人を追跡できる形で調査をしていただかないと、ということになります。
それで、一部の自治体に御協力いただいて追跡できたものが12ページからになります。これは追跡できた24市町村の7,000名ぐらいの方に、「参加していますか?」と聞きますと、11%ぐらいの人が「1年以上参加している」とお答えになりました。この人たちと参加していない人たちで、3年前の状態を統計学的に揃えた上で、果たして3年後、差が出てくるかというのを見たのが次のスライドです。そうしますと、参加していない人を1とすると、参加して3年未満の人で0.87倍、3年以上の人で0.47倍、フレイルと判定される人が少なかった。やはり通いの場に参加することにはフレイル予防に意味がありそうだということが縦断追跡で確認できました。
これは24市町村で、特に頑張っている自治体を選んだわけではなくて、御協力いただけた自治体での調査票に入っていた項目を使ってやりましたので、多くの自治体において、どうやら効果がありそうだと考えております。
次の14枚目は費用についてです。医療費について、予防をしても生涯医療費でみると変わらない場合も多いという御意見があって、私もそう思います。では、介護費用はどうかというので、これは11年間追跡したデータです。11年ですので生涯介護費用とは言いがたいですが、その後亡くなった方もいらっしゃって、亡くなった方については生涯介護費用が把握できたという言い方ができます。亡くなった方だけ取り出した分析もしていますが、似たような傾向です。11年前にスポーツとか趣味の会に参加していた頻度が多い人たちほど、その後11年間、累積の介護費用の総額が少なかったということが確認できました。ですから、介護予防を広くやることで、総介護費用の抑制が期待できると考えております。
15ページ目にニーズ調査でわかったことを文章で簡単にまとめました。まず、行政が把握する割合よりも高齢者に直接聞いたほうが手っ取り早いですし、実態がわかるのではないかと思われること。あとは横断調査だけでは効果の評価が難しくて、追跡がぜひとも必要だということ。それをニーズ調査を上手に使えばどうやらできそうだということ、やってみると3年以上通いの場に行っている人でフレイルに転落する確率がおよそ半分に減っていた。別の健康指標でもいろいろ見ておりますので、後半の補足資料に入れてありますので、ごらんいただければと思います。
立ち上げのときに相応の費用、補助金をつけていらっしゃる自治体は多いですけれども、武豊町で5年間追跡したところ、だんだん必要経費は下がってくるということもわかりました。
後ろのほうに画面を1枚だけ入れておりますが、こういう効果評価を見える化しようということで、今、マネジメントを支援するためのシステムのプロトタイプを開発中でございます。
最後のスライドです。6年前にはわかっていなかったことについていろいろ調べた結果、これはごく一部の町でのみ展開可能な政策ではなくて、いろいろな市町村でできそうで、追跡してみると、参加している人においては、もともとの健康状態の違い等を差し引いても効果がありそうだと。なおかつ武豊町以外の多くの市町村でも効果がありそうだということがわかっております。いろいろな方法があるかと思いますが、今までの経験を踏まえて進め方をまとめた本をことしの4月に日本看護協会出版会から出しました。机の上に「楽しい「通いの場」」と書いてあるチラシが置いてあるかと思います。そのような形でマニュアルにまとめております。あと費用対効果も良さそうです。緻密な分析はしていませんけれども、ざくっと見て、良さそうです。今後、こういう検証を、自治体によって効果が違うということも見えてきていますので、効果を比較検証する仕組みをつくってしまうことが必要かなと考えております。
以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、引き続きまして、山田構成員から資料1-2「通いの場に関するエビデンス」につきまして、御報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○山田構成員 よろしくお願いします。筑波大学の山田です。
私たちは、構成員の荒井先生と一緒に、先ほど近藤先生が報告されたような内容にも類似するところがあるのですけれども、通いの場の効果検証を行っておりますので、それについて御報告させていただければと思います。
2枚目のスライドから3枚目、4枚目にかけて、いわゆる介護予防事業、通いの場の効果検証を示したスライドになります。方法としては、この3枚のスライドはほとんど同じような方法で検討を行っております。
まず、このハイリスク介入から説明したいと思いますが、これは当時、二次予防事業として行われていたものになります。対象者数が先ほどの近藤委員のものと比べると随分と少なくなってしまうという限界はあるのですけれども、当時、介護予防事業に参加されていた61名の高齢者にマッチングしたコントロール群を抽出した61名同士を比較して、その後、7年半かけて要介護の発生を追跡したものになります。
実線が参加者、点線が非参加者になりますが、こちらを見ていただくと分かるように、大体2年から3年ぐらい経過時点というのは非常に大きな開きがありまして、二次予防事業に参加することによって介護予防の効果がしっかり得られるのではないかということを我々は考えておりましたが、7年半たったときにはこの差が完全に消失しているということで、ハイリスク介入でいわゆる一時的な運動介入にとどまった場合というのは、効果の持続というのが非常に難しいのではないだろうかという結論に至っております。
なお、ここのスライドで言う右下のところには、7年間における累積の介護給付費用を示しておりますが、こちらも両群間で差は全く認められないという結果になっておりました。
次のスライドになります。一方で、通いの場については、先ほどのように一定期間の介護予防、運動介入にとどまるものではなくて、住民主体になりますので、どちらかというと永続的に実施可能であるものということになります。こちらは1,620名同士を比較したものになります。7年ではなくて、こちらは4年間の追跡データになりますけれども、実線部分が参加者、点線部分が非参加者になります。2年経過時点での分析では、実は両群間で要介護の発生に全く差がないという状況でしたけれども、2年以降経過することによって、こちらは逆に少しずつ差が出てくる。結果、4年たったときにはある程度の差が出ていたということがわかっております。
次のスライドになります。今度は運動を実施しているような通いの場ではなくて、運動中心ではないですけれども、会食・喫茶・趣味といったような通いの場を実施されている自治体を例にとって分析しております。113名の参加者と113名の対象者群を比較した結果になります。こちらも先ほどの運動と非常に似ているように、3年経過時点というのは両群間では目立った差はそれほど認められていないにもかかわらず、3年経過して以降、ここでは6年経過した時点での分析になりますけれども、両群間での差が認められるようになったということがわかっております。また、右下の部分では6年間の介護給付費用の比較を粉っておりますけれども、おおむね25万円程度の差額が生じているということもわかっております。
最後、5枚目のスライドになります。ボランティアの効果ということで、こちらは先ほどの近藤委員の紹介からありましたデータ集積方法でいきますと、C型といいますか、アンケート調査でボランティアに参加しているという形で自己申告された方々をボランティア参加者という形で定義して、分析を行ったものになります。
こちらは先ほどまでの分析と異なり、マッチングしたコントロール群を設けたのではなくて、あくまでボランティアの参加、非参加の2群に分けて分析を行っております。十分な調整はできていないと思うのですけれども、このようにボランティア非参加者とボランティア参加者では介護予防の効果が経年的に認められるような傾向がありました。また、右下に示しますように、介護給付費用についても大きな差があったということがわかっております。
次のスライドをお願いします。ここまでが通いの場、介護予防の効果を示したものになりますが、運動を行おうというようなグループにおいては、どのような運動を実施すればいいかということが非常に大きな課題になっているということは常々言われておりまして、私たちのほうで昨年度、この運動の効果のシステマティックレビューを行いましたので、それについて概要を紹介したいと思います。
CQについては、65歳以上の高齢者に対する運動、ここでの運動というのはレジスタンス運動、いわゆる筋力トレーニング、バランストレーニング、ウオーキング等の運動を行うことによって何らかの効果があるかという形でのCQを設定して、システマティックレビューを行いました。
アウトカムについては複数準備しておりますけれども、左下に示しますように、入院、要介護認定、転倒等々、代表的な身体機能の項目を列挙しております。
次のスライドをお願いします。
結果、151の文献が包含されまして、総対象者数が2万2585名となっておりました。また、運動プログラムの内訳としましては、レジスタンス運動を実施していた、いわゆる筋力トレーニングを行っていたという研究が最も多く、159件という形で、それに次いでおりました。右のほうに円グラフを示しておりますが、例えば1回当たりの運動が15~30分というものが比較的少なくて、おおよそ30~60分間の運動をしていたものが圧倒的に多いという結果になっておりました。
その右側、介入頻度につきましては、週2~3回という形で運動を行っているものが多かったということになります。
その左に行きまして、介入期間においては2~12週間、または13~24週間というものが非常に多かったということになります。
なお、ここで右にあります介入期間全体の総実施時間というものがありますが、我々はもともとこの分析を行う際に、1回当たりどの程度運動していればいいか、また、どれぐらいの頻度で行えばいいか、どれぐらいの期間行えばいいかというものを別々に検討する予定で検討しておりましたけれども、この組み合わせが無数にあり過ぎて、その分析が十分にできないということから、1回当たりの運動時間と頻度、そして期間を掛け合わせた総実施時間というものを算出しまして、これをもとに分析しようということで、右下に示しております。これを見ますと、13~24時間、また25~36時間、そして37~48時間というものが比較的多くありました。
次のスライドをお願いします。次がメタ解析した結果の概要になります。一番左側、運動プログラム(全般)という形で赤字で示しておりますけれども、こちらは入院のところにバツ、また、要介護のところにはマイナスの棒が引いてありますけれども、こちらは入院においては運動を実施することによって、入院を予防することができていなかったという意味でバツをつけております。
マイナスの線を引っ張っておりますのは、要介護をアウトカムにしたRCTが見つけられなかったことから、検討できなかったという意味の横線を引いております。
その以下、転倒から骨格筋量については全てマルがついておりますけれども、何らかの運動を実施することによって、これらのアウトカムに対する効果が認められたということを示しております。ですので、運動には、何らかの運動を実施することによって、これらのアウトカムに対しては効果があるであろうということが言えそうです。
ただ、どのような運動をすればいいか、また、どれぐらいの量をすればいいかということについてはよくわかりませんので、その右側、サブグループ解析というものをごらんいただければと思います。まず、サブグループ解析(運動種目)というところですけれども、ここではおおむねレジスタンス運動、またはマルチコンポーネントという複数種類の運動を含むような運動、例えばレジスタンス運動とバランス運動、レジスタンス運動とウオーキングというような形で2種目以上の運動種目を含めたような運動プログラムの構成で実施することによって、よりアウトカムに対しては貢献度が大きかったということがわかっております。
ですので、運動するときには、レジスタンス運動を含む、できれば2種目以上の運動を行えばいいのではないかということになります。また、右側のサブグループ解析、総実施時間のほうでは、おおむね25時間以上となるようなプログラムとすることによって、より効果が大きかったということがわかっております。ですので、頻度や1回当たりの時間、期間、それぞれさまざまな組み合わせがあると思いますが、25時間以上となるような設定でトレーニングを行うのが、より効果が得られやすいのではないかということがわかりました。
最後のスライドになります。まとめですが、今回、最初にお示ししましたいわゆる短期集中的な運動介入におきますと、その効果の持続というものが難しくて、要介護の抑制効果も限定的となっておりました。現在では、このようなハイリスクの後には自主グループ化していくような動きも比較的多くありますので、やはりそういった形で運動の機会を担保していく必要があるのではないかと思っております。
また、通いの場の形態としては、決して運動だけにかかわらず、食事会や茶話会、趣味活動など、何らかの機会を設けて社会参加していくことが介護予防に重要であったということがわかりました。また、同じようにボランティア活動についても要介護の予防に重要となると考えております。
また、こういった中で行う運動プログラムとしては、できればレジスタンス運動の要素を含めるということ。そして、総実施時間がおおむね1年以内で25時間以上となるように設定するということが重要になってくるのではないかということがわかりました。
駆け足ですが、以上になります。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまのお二方からの御報告を受けまして、御質問等があれば承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
○鵜飼構成員 御発表ありがとうございました。
エビデンスに基づいた詳細な発表で、わかりやすく発表されているのですけれども、お二人の先生にちょっとお聞きしたいのですが、実際に行った方へのアンケートとかそういうことの結果は出ているのですけれども、ここに行かせるための方策ということについて、何か調べられたことがあったり、もしお話ししていて聞き漏らしていたら済みませんけれども、お話しいただければと思います。
○遠藤座長 それでは、近藤先生から何かコメントがあればお願いします。
○近藤(克)構成員 先ほど、大きな流れとしては、ボランティアを募って「楽しいですよ」というのが周りに伝わると、「私も行ってみようかしら」といって来る人がふえてきた。そのための方法を本にまとめましたので、ぜひお買い上げいただけるとうれしいなということが1つ。
あとは、この間やってみてわかってきたのは、随分いろいろな波及効果があるということです。必ずしもそこに来ていない人にまでいろいろな影響が及んでいるようだということが見えてきています。1つだけ例を挙げると、「私はそういうところは苦手だから」といって行きたがらなかった人のところに、定期的に集まっている人たちの中から、「あのおばあちゃんが心配だから帰りに見に行こう」と、見守りの活動がこのサロンに来ている参加者の中から自然発生的に出てきた。通いの場に直接来ない人たちの見守りも進んだ。例えばそんなエピソードが、いろいろ聞いて回ると、そこそこあるなということがわかってきています。
だから、これをやるとなったら町の高齢者の95%を集めなければだめだみたいなことを言う必要はないのではないかと。そうすると「健康を強制するのか」という意見も出てきて論議になります。「そういう場があるのだったら行きたい」という人が来る、そういう人たちの選択肢をいっぱい用意するという形が目指すところではないかと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
山田先生、何かあれば。
○山田構成員 ありがとうございます。
私たちのほうでは、通いの場の立ち上げ自体には直接的に関与しておりません。基本的には各自治体の主導でというか、各自治体で推進されている方法に従っているといいますか、それをうかがっている形になりますので、特に私たちのほうでのノウハウはないのですけれども、幾つかの自治体を見させていただく中で、非常にうまくいっているなと思うのは、保健師さんの活動とか、そういった方が非常に熱心に動かれているとか、各地区単位での保健師を設定して非常にきめ細かな対応ができている、そういったところのほうが数としては延びやすいのかなという印象は持っておりますが、十分な分析はできておりません。
○遠藤座長 ありがとうございます。
○鵜飼構成員 ありがとうございました。
本当にそこに行ってもらうということがとても大変で、前回も4自治体に発表してもらって、いろいろな活動をされているなと思ったのですけれども、各地域に三師会、あと地域包括ケアシステムに関連して、看護師さんたちを含めた多職種の連携が結構でき上がっているのですね。そういうところに行政の方から声をかけていただいて、多くの方へ声をかけることができるのかなと。
ちょっと自慢話になってしまいますけれども、今、薬局ではコンビニより数が多いと言われて、なかなか数はふえているのですけれども見えていないと言われていますが、健康サポート薬局というものがありまして、そこについては、今まさに一般介護予防事業に向けて少しでも役立つことができると思っておりますので、各自治体においてそういうことを利用していただければと思っております。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
では、齋藤構成員、どうぞ。
○齋藤構成員 ありがとうございます。
効果検証に関して両先生に御質問したいのですが、方法論についてはABC方式で近藤先生からお話があって、一長一短あるということは理解できたのですが、どれぐらいの検証期間が必要かということに関してなのですが、発表の中では、期間が必要なものが多そうだなという印象を受けたのです。今後自治体で取り組んでいただきますときに、効果を早く見たいとか、効果があるのかとか、費用との関係とかいろいろ効果についての疑念を持たれたりするということが多々あるのではないかと思いますが、短期間では可能なものが限定されるのではないかと思っておりまして、今の御発表の中に関連して、一定期間、対象をどう見るかによっていろいろな調査のやり方もあると思いますけれども、その辺は実際にやっておられてどのように感じておられたか、両先生からお聞きしたいと思います。
○遠藤座長 それでは、近藤克則先生からお願いします。
○近藤(克)構成員 効果評価を何で見るか、効果指標にはいろいろ考えられます。介護予防なので、多くの人が納得するのは実際に要介護認定を受ける人が多いのか少ないのかだと思うのですが、そうなると新規要介護認定率は年間3~4%ですので、100人追跡しても3人。それが半分に減って1.5人だとかいっても、そんなの誤差範囲だろという話になってしまう。そうであれば、認定を予測する力がある指標を使って、その中間アウトカム指標で評価する。恐らくそこで差が出たということは、観察期間を伸ばせばいずれ認定率にも差が出てくるでしょうと、そう期待するという考え方があります。
資料1-1の中のスライド38にその例を、そういう質問が出るかかなと思って入れておきました。これは要支援・要介護リスク尺度と言いまして、左上にあります10問に答えていただくだけで、こう答えた人では、その後、認定を受ける確率がこれくらい高い、低いというのをいろいろ分析して、この10問に1~3点をつけて合計点を出します。すると、右にグラフが並んでおりますが、これが10点だった人が3年以内に認定を受ける確率は3%。しかし、これが40点の場合には56.7%が認定を受ける。このような予測ができるということがわかってきています。
これをある町でつくったら、「ほかの町にも当てはまるかどかわからないのではないか」と言われて、後ろの49ページ、これは24市町村のデータを使ってやったものですけれども、ほぼ同じようなものができるということがわかりました。
こういう、いわゆる先行指標を使うことで、これに答えていただいた後、3年間に要介護認定に至る確率が予測できます。これを使って評価をしてみようということでやったのがスライドの51ページ、52ページです。この点数が5点以上悪化した人の確率を見てみると、参加している人たちで24%ぐらい低いとか、次のでいきますと、特に後期高齢者でそういう確率がより抑えられているようだとか、このような分析は可能になります。これを使うときももちろん観察年数が長いほど差がくっきりとするわけですが、1年以上前から参加している人でも有意な差が出たので、これであれば1年の追跡でも対象者数が多くなれば評価ができるのではないかと考えております。
○遠藤座長 ありがとうございます。
山田構成員、お願いいたします。
○山田構成員 ありがとうございます。
近藤先生の御意見は非常に参考になりました。ありがとうございます。
私どもとしましては、あくまで要介護の発生しか追えていないというところがありまして、何回も調査をするということが難しいところにありましたので、となると、やはり要介護の発生という形でのデータの追跡となりました。そのようにして見ていくと、あくまでこれも1自治体、2自治体という話になりますので、限定的ではありますけれども、見ていくと2年、3年というのは通いの場に行こうが行くまいが、余り差が出ていないというのが複数の自治体で同様の傾向がありましたので、それを見ていくと、もう少し長い期間見ないと明確な効果が見えないのではないか。
一方で、3年以内で効果分析をしてしまうと、行っていても余り関係ないのではないかということに陥りかねないので、そのように見ると少し長目に見たほうがいいのかなというのが私の考えです。
○遠藤座長 ありがとうございます。
藤原構成員、お願いいたします。
○藤原(佳)構成員 お二人の先生、ありがとうございました。
私どももよくアンケート調査をするときに、いつも迷うのですけれども、そもそもの今回の通いの場の定義にもかかわってくるかと思うのですが、通いの場にどのくらい通っているかとか、あるいはサロンへどのくらい通っているかといったところの用語の統一です。例えば、サロンというと、本当に屋根があって、ちゃんと屋内のものである必要があるのか。同じような体操をやっていても、例えば屋外で公園体操などをメインにやっているかと思うのですけれども、そういうものが例えば回答者によって省かれていないのかとか、最近ですと、社会福祉法人さんが御自身の特養ですとかデイサービスの空き時間とか、あるいは一角で地域開放されたりしている場合もあるかと思うのです。そういったものを回答者のほうがどこまで含めているのか、含めていないのか、これはアンケートなので限界があるかと思うのですけれども、どこまでそういったリード文といいますか、ただし書きで統制すべきものなのか。その辺の御意見を教えていただければと思います。
○遠藤座長 では、近藤先生、お願いします。
○近藤(克)構成員 さすが藤原先生、こういうことの難しさをよく御存じだなと思いました。
先ほどニーズ調査で把握するのがいいのではないかと言ったものの、質問も相当工夫といいますか、試行錯誤しないと簡単ではないかなと私も思っています。というのは、サロンという名前を一切使っていない市町村もあります。例えばある町は元気応援クラブと呼んでいたり、あるところは活き活きクラブとか、自治体ごとに名前が違う。比較的多くの自治体で通じるのは、社協が20年以上前からやっている「サロン」というものが比較的通りがいいという感じだと思います。
厚労省も工夫されて、「通いの場」という総称をつくられたわけですが、住民たちが「今から「通いの場」に行ってくる」というのは聞いたことがありません。なので、「「通いの場」に行っていますか」というのは多分だめで、そこはどのようにするのがいいか、幾つか試験的にやりながら、最もよさそうなものを見つけていくしかないかなと思います。
あと、おっしゃるとおり、建物の中ではなくて、どこでやっていますかというのをいろいろ調査したら、神社の境内から河川敷などというのまであって、実にいろいろなところでやっていらっしゃるなというところも把握できております。
○遠藤座長 ありがとうございます。
山田先生、いかがでしょうか。
○山田構成員 ありがとうございます。
まず、住民の方に調査をする場合には、近藤先生もおっしゃったように、そこの自治体の中でどういう用語を使っているかというのを聞いて用語を入れるようにしております。自治体の方に対する調査というのは、あくまで住民主体でという形で聞いておりますので、同じ意見になりますけれども、この用語の定義というのは非常に難しいなと考えております。
○遠藤座長 ありがとうございます。
まだ御意見あるかと思いますけれども、予定していた時間になりますので、また後ほどディスカッションの時間もありますので、場合によってはそこでまた御質問いただくか、あるいは個人的に御質問していただくということでお願いしたいと思います。
両先生におかれましては、大変豊富な内容にもかかわらず、時間が限定されていまして、エッセンスを効率的にお話しいただきまして、どうもありがとうございました。
それでは、次に、本日の主に御議論いただく内容ということで、議題2「一般介護予防事業等の推進方策について」に移りたいと思います。
事務局から資料2-1と2-2について、関連ですので、説明をお願いしたいと思います。
○日名子介護予防栄養調整官 よろしくお願いいたします。
では、資料2-1をごらんください。これまで第1回、第2回と先生方から御意見いただきました論点に沿いまして、御意見を再度整理したものと、関連する資料、そして対応案ということで、今回、資料を取りまとめさせていただいております。
まず、論点1でございますが、通いの場について現状果たしている機能等を踏まえ、今後求められる機能をどう考えるかということについてでございます。
これまでいただいた御意見といたしましては、まず、通いの場の定義の整理、あとはほかの事業とうまく組み合わせた事例についての実態把握、民間企業との連携、庁内の連携体制の確保、年代別に対応すること、就労を含めた介護予防といったところで御意見をいただいております。
3ページ目をごらんください。こちらは通いの場について現状の数値、また、行っている取り組みの割合などをお示ししております。
4ページ目につきましては、地域支援事業の実施要綱において、通いの場がどのように書かれているかということと、その下につきましては、先ほどの数値を把握するための調査において、どのような形で調査を行っているかということでお示しさせていただいております。
5ページ目につきましては、前回のヒアリングで豊明市から紹介いただきました地域のあらゆる資源を活用した通いの場ということで御紹介させていただいておりまして、6ページ目につきましては、新潟市の地域の茶の間ということで、子供から高齢者まで幅広い世代がかかわる通いの場の事例です。
7ページ目、先ほどのお話にもありましたが、公民館など屋根があるところだけではなくて、こういった公園などで行われている通いの場の取り組みもあるということで御紹介をさせていただいております。
8ページ目につきましては、庁内の連携ということで、生駒市の体制をお示ししておりますけれども、介護福祉分野だけではなくて、予防のところでは生涯学習の部署であるとか、生活支援のところでは環境保全や消防などのところもかかわっているような体制を紹介しております。
9ページ目につきましては、赤枠で囲っているところでございますけれども、通いの場の参加率という目標を掲げておりますが、介護・フレイル予防というところでも、重要な一つの取り組みとして通いの場が位置づけられているということと、10ページ目につきましては、認知症大綱におきましても、この通いの場が位置づけられておりますので、御紹介させていただいております。
11ページ目をごらんください。こちらはまとめとして対応案を整理させていただいておりますけれども、まず1点目としまして、通いの場の取り組みにつきましては、市町村が財政支援を行っているものに限らず、地域介護予防活動支援事業における考え方に基づいて把握をしております。通いの場の数、参加率、ともに増加傾向がございまして、主な取り組み内容といたしましては、体操、茶話活動、趣味活動、認知症予防、会食の順に多くなっている現状でございます。
一方、この中で把握できているものは、介護予防の担当部局が通いの場の取り組みを行っているようなものにとどまっているのではないかという声もございますが、自治体においては、スポーツや生涯学習に関する取り組み、公園や農園を活用した取り組みなど、介護予防につながると考えられる取り組みが行われておりますとともに、一部の自治体では、民間企業や社会福祉協議会などさまざまな主体と連携した取り組みも進められておりまして、こうした取り組みも把握していくことが必要ではないかということです。
通いの場の取り組みについては、フレイル予防、認知症予防という観点からも期待が高まっております。また、就労といったこれまで通いの場であまり取り組みが進められなかったものも含め、検討すべきとの声もあるということです。
4点目、このような状況を踏まえというところが対応案になりますけれども、1点目といたしまして、効果的・効率的な介護予防の取り組みを一層進めるに当たり、通いの場の例示の追加や類型化を含む定義等の整理を行うこととしてはどうか。2点目といたしまして、市町村における多様な主体と連携した取り組みを進める体制のあり方についても検討を進めてはどうかということで整理をさせていただいております。
続きまして、12ページ目、論点2でございます。論点2につきましては、通いの場など介護予防につながる取り組みへの参加促進について、どのように考えるか。また、高齢期においても役割や出番が重要であり、そのような点も踏まえ、介護予防の取り組みへの参加の捉え方について、どのように考えるかとさせていただいております。
これまでいただきました主な御意見としましては、高齢者の保健事業と介護予防が一体的に取り組まれる中で、健診等の情報から介護予防が必要な人が把握できるようになるのではないか。また、2点目といたしまして、利用者としての参加だけではなく、支える側での参加も大事といった御意見をいただきました。
続きまして、介護予防の普及啓発に関して事業を行っておりまして、そのデータをお示しさせていただいております。ほぼ全ての市町村でこういった普及啓発の取り組みが行われているところです。
続きまして、14ページ目は、前回御発表いただきました新潟市の地域の茶の間の開設の手引きということですが、こういった形で参加者を集めるポイントをお示しいただいていたりですとか、15ページ目、世田谷区の事例ですけれども、男性の参加が少ないということで、男性だけの通いの場を開催するなどといった工夫が行われているところもございます。
16ページ目につきましては、参加促進の取り組みとして、ポイント付与というところを御紹介させていただいております。一般介護予防事業の地域介護予防活動支援事業においても、マル4のところですけれども、介護予防に資する取り組みへの参加やボランティア等への付与というところでお示しさせていただいておるところでございます。
下にデータをお示ししておりますけれども、こういった介護予防に資する取り組みへの参加やボランティア等のポイントの付与というところは、25.6%の市町村が実施しているという状況でございます。
その次の17ページにつきましては、介護支援ボランティアの具体的な取り組みということで、稲城市の事例を紹介しております。
18ページ目には、社会参加活動や認知症予防のための体制整備に関する予算事業、こういったものも行っておりますので、紹介しております。
19ページ目が論点2についてまとめた部分でございます。まず1点目としまして、ほとんどの市町村で介護予防の普及啓発を行っており、通いの場への参加促進のために、さまざまな工夫を行っている事例もございます。
また、一般介護予防事業においては、介護予防に資する取り組みへの参加やボランティア等への参加を促すためのポイントを付与する取り組みを推進していますが、取り組みを行っている市町村は約25%という状況でございます。また、有償ボランティアを行った場合に謝金をお支払いすることも可能としているところでございます。
このような状況も踏まえまして、通いの場を初めとする介護予防の取り組みへの参加促進を図るため、ポイント付与の取り組みのさらなる推進の検討を進めてはどうかというのが1点目。2点目につきましては、担い手としての参加など役割がある形での介護予防の取り組みを進めていくため、有償ボランティアなどポイント付与に限らない取り組みについてもさらに検討してはどうかということで、2点、対応案を整理させていただいております。
続きまして、論点3でございます。論点3につきましては、高齢者の特性を踏まえ、住民主体の通いの場という点は維持しつつ効果的な介護予防の取り組みを進めるため、専門職の関与の方策や医療機関等との連携の方策について、どのように考えるかということでございます。
主な御意見といたしましては、医療機関を受診したときに、何らかのチェックを行って、介護予防の場につなげることも可能ではないか。また、専門職がかかわることで、参加者に合った支援が可能となり、効果も期待できる。通いの場からもニーズがある。通いの場の質の確保が重要ということで、職能団体や専門職と連携して、エビデンスに基づいたプログラムが全国で実施されるよう整備してもらいたいといった御意見をいただきました。
21ページ目には、介護が必要となった主な原因についてお示しをしております。データといたしましては、特に要支援、要介護1、2という通いの場の対象となるような方々の原因を見てみますと、高齢による衰弱や骨折・転倒等が多く、フレイル対策が重要であるということです。
続きまして、22ページ目ですけれども、入院外の受診率でございますが、80歳代前半がピークということで、こちらも通いの場に参加されるような年代の方々については受診率が高くなっており、医療機関との接点が重要となるということでお示ししております。
続きまして、23ページ目ですけれども、健康保険法等の一部を改正する法律の概要ということで、4点目のところに、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施等ということをお示ししております。こちらにつきましては、後ほど担当課から詳しく御説明させていただきます。
次に、24ページ目に診療情報提供書について御紹介をさせていただいております。生駒市の取り組みですけれども、総合事業を利用するときに、主治医の先生に記載していただいているというもので、医師会との連携が行われているという事例でございます。
続きまして、25ページ目でございます。こちらは一般介護予防事業の中の地域リハビリテーション活動支援事業ということで概要をお示ししております。地域ケア会議や訪問、通所、そして住民主体の通いの場というところで専門職が関与するという取り組みでございます。
続きまして、26ページ目、そのデータということでお示しをしております。一番左の上ですけれども、派遣実績といたしまして、派遣されている市町村は55.8%という状況でございます。
続きまして、27ページ目でございます。こちらは先日のヒアリングで御紹介いただきました大河原町の資料でございますが、実際に市町村で行われている地域リハビリテーション活動支援事業の状況ということでお示しをしております。
続きまして、28ページ目でございます。28ページ目は県として地域リハビリテーションの推進体制を整備している取り組みということで、熊本県の事例を御紹介させていただいております。
続きまして、29ページ目が論点3についてまとめたスライドでございます。まず1点目ですけれども、介護が必要となった主な要因を見ますと、認知症、脳血管疾患、高齢による衰弱、骨折・転倒、関節疾患の順に多い。特に要支援、要介護1、2のところで見ますと、高齢による衰弱や骨折・転倒等が多く、フレイル予防が重要であるとか、また、年齢が上がるごとに受診率というのが高く、80歳代前半がピークである。
このため、介護予防の取り組みを進めるに当たって、医療保険における生活習慣病に関する疾病・重症化予防等を主な内容と保健事業と連携していくことも重要である。また、さきの通常国会では、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に関する内容を含む健康保険法等の一部改正法が成立しておりますので、この中で後期高齢者広域連合は、市町村に保健事業が委託できることとされておりまして、医療専門職の関与の重要性も指摘されているところでございます。
また、先ほども御紹介しましたとおり、医療機関等との連携も重要でありまして、総合事業の参加に当たって、かかりつけ医との連携を進めている事例もございます。
さらに、介護予防の取り組みの機能強化を図るために、通いの場等に定期的に医療専門職等が関与できるよう、一般介護予防事業においては地域リハビリテーション活動支援事業というのを進めておりまして、これの状況が今、50%程度でございます。
こうした状況を踏まえまして、高齢者の保健事業、介護予防の一体的な実施の中で医療専門職の関与というのは重要性が指摘されておりますので、現場において連携した取り組みがさらに推進されるよう検討を進めることとしてはどうかということが1点目。2点目につきましては、医師会等の医療関係団体や医療機関との連携も重要ということで、こうした事例の把握に努めて、専門的な知見を活用したプログラムの実施や具体的な連携方策について、さらに検討を進めることとしてはどうか。3点目が、通いの場への定期的な医療専門職の関与を初めとしまして、地域リハビリテーション活動支援事業に医師会等との医療関係団体とも連携しつつ、さらなる活用の促進を図ることとしてはどうかというのが3点目でございます。
続きまして、論点4でございます。こちらがPDCAサイクルに沿ったさらなる推進方策について、どのように考えるかということでございます。こちらの主な意見といたしましては、通いの場の効果や成果を図る指標がない、また、ニーズ調査の活用、そしてどのような通いの場にどの程度参加していたかといったような高齢者の活動実態が簡単にできる仕組みの必要性、また、PDCAサイクルに沿った取り組みを進めるために、マニュアルの作成やKDBの活用、介護予防に関するデータベースの構築等について御意見をいただいております。
また、費用とその効果の両面で、被保険者の理解が得られるかという視点も大事ということですとか、総合事業の上限額の範囲というところについても御意見をいただいております。また、ヒアリングの中で自治体では、地域診断をして独自の指標を設定して評価しているところであり、国が一律に示すような指標はそぐわない場合もあるですとか、通いの場は住民主体となるため、運営者の視点からすると細かい年齢区分や要介護度などの把握は負担であったり、個人情報の管理が必要となるという課題もあるということも御意見をいただきました。
次のページからは、介護予防に関するこれまでの経緯を少し紹介させていただいております。これまでの事業の変遷ですとか、平成26年度のところ、32ページ目、34ページ目になりますけれども、平成26年度までは一次予防事業、二次予防事業ということで行っておりまして、基本チェックリストを使って全対象者の状況を把握するようなことも行っておりましたが、その後、26年には法改正が行われまして、そこでチェックリストが任意になったりですとか、流動的な活用がされるようになったという状況の変化もお示ししております。
また、35ページ目ですけれども、現在、一般介護予防事業評価事業というのがございまして、その中においても、年度ごとに評価をすることが望ましいということはお示しをしておりまして、評価指標といたしましても、ストラクチャー指標、プロセス指標、アウトカム指標をお示ししているところでございます。
具体的な記載ぶりにつきましては、36ページ以降に御紹介しておりますが、細かい説明は省略をさせていただきます。
40ページ目をごらんください。総合事業の評価の実施状況ということでデータをお示しさせていただいていますが、一番上、総合事業実施効果の点検・評価につきましては、行っている市町村が約3割という状況でございます。
引き続きまして、41ページ目でございます。地域包括ケアシステム強化のための介護保険法等の一部を改正する法律のポイントということでお示ししておりますが、1点目としまして、自立支援・重度化防止に向けた保険者機能の強化等というのが推進されているところでございます。
42ページ目をごらんください。概要のところですけれども、市町村分としましては200億円のうちの190億円程度、都道府県につきましては200億円のうちの10億円程度ということで予算がございまして、それぞれ評価指標の達成状況ということで細かい指標について得点化をいたしまして、その総合得点に応じて予算を交付するという仕組みもございます。その評価指標の中には、右下、赤い線で囲っているところでございますが、介護予防の推進に関する指標というのも設けられているところでございます。
43ページですけれども、いわゆる骨太というものですが、この中においても介護予防の促進については、インセンティブの強化を図るということで、インセンティブ交付金についても抜本的に強化することが示されているところでございます。
先ほどシステムのお話もございましたので、44ページには地域包括ケア「見える化」システムについて、45ページにはKDBシステムについて、少し紹介させていただいております。
最後に46ページ目が論点4のまとめとなっております。一般介護予防事業を含め総合事業全体を評価し、その評価結果に基づき事業全体の改善につなげることを目的として、一般介護予防事業評価事業というのを設けております。その中で、ストラクチャー指標、プロセス指標、アウトカム指標を示して、年度ごとに評価することが望ましいとしているところではございますが、一方で、総合事業実施の効果の点検・評価を行っている市町村は約3割にとどまっているという状況でございます。
介護保険における自治体への財政的インセンティブであります保険者機能強化推進交付金、いわゆるインセンティブ交付金において、介護予防に資する指標が設けられており、この交付金については、さらに介護予防について強化を図ることとしております。
このような状況を踏まえまして、1点目といたしまして、これまでの事業の変遷の経緯や自治体の業務負担もう考慮しつつ、プロセス指標やアウトカム指標の設定を含め、PDCAサイクルに沿った取り組みの推進について、さらに検討することとしてはどうか。あわせて評価に使用可能なデータに関するシステムの活用方策等についても検討してはどうか。その際に、介護保険における自治体への財政的にインセンティブである保健機能強化推進交付金について、介護予防に関して抜本的に強化を図るということにしておりますので、そのことと整合をとりながら検討を進めていくこととしてはどうかということで整理をさせていただいております。
論点については以上でございますが、続きまして、先ほどの高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施について、保険局高齢者医療課長から御説明をさせていただきます。
○込山高齢者医療課長(保険局) 続きまして、保健事業と介護予防の一体的な実施について、御説明申し上げます。
この一体的な実施につきましては、昨年、遠藤座長や関係委員の先生方を初め、皆様方の御協力をいただきまして、有識者会議の報告書を頂戴したところでございます。その有識者会議の報告書に基づきまして、改正法案を提出いたしまして、おかげさまをもちまして5月22日にこの法律が公布された次第でございます。
1ページ目をおめくりいただきたいと思います。こちらは今申し上げた法律の概要でございます。先ほども御紹介がございましたけれども、この改正の概要の4点目でございます。保健事業と介護予防の一体的な実施というところでございまして、高齢者に対する保健事業を市町村の地域支援事業や国保の保健事業と一体的に実施するということを法律上明記いたしました。あわせまして、高齢者の保健事業につきまして、国、広域連合、市町村の役割について明記しました。さらに、医療や介護、健診の情報、これはKDBを通じてということになりますが、これを市町村において一括して把握・分析できるよう、規定の整備を行った次第でございます。
御案内のとおり、疾病予防やフレイル予防、ヘルスプロモーションといった分野におきましても、社会参加の必要性、重要性というのは非常に高まっておりまして、保健事業といたしましても、こうした通いの場などにお邪魔することによって、保健事業と介護予防が両者あわせて持って、さらなる効果を上げていきたいという趣旨でこういった法律の改正をさせていただいた次第でございます。
具体的に次の2ページ目をごらんいただきたいと思います。保健事業等の現状と課題というものでございます。今、申し上げたように、高齢者の保健事業の充実を図るということが非常に喫緊の課題となっております。ただ、その前提として幾つか問題点が現状ございます。この図で申し上げますと、右上の箱になりますが、こちらが後期高齢者の保健事業の仕組みをあらわしております。御案内のとおり、後期高齢者の事業につきましては、広域連合が保険者として責任主体となっております。ただ、この広域連合は、都道府県に1カ所ずつということでございまして、住民に寄り添う、被保険者に寄り添うという形でのきめ細かい保健事業が展開できないという状況でございます。
そこで、市町村さんにお願いするということになるのですが、現状ではなかなか市町村の厚意にお願いするという状況でございまして、委託などはございますけれども、その実施の内容は、健康診査を行うことのみにとどまっていることも多うございます。
そういった問題と、さらに、75歳の断絶問題がございまして、いわゆる国保の保険者は市町村さんなのですけれども、国保の被保険者さんだった方が広域連合の被保険者に移ることによって主体が変わりますので、保健事業としてもそこが断絶してしまう。そういったような問題がございます。
それとあわせて介護との関係でございますけれども、先ほど申し上げたように、とりわけ高齢者の保健事業につきましても、社会参加という面が保健事業の立場からも必要になってきているわけですが、そこを介護予防といかに一体的に進めていく必要があるか。介護予防とヘルスの事業を一体的にコーディネートしていく。こういったことの重要性が高まってきているところでございます。
そういった問題を解決するために、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施、さらに申し上げれば、国保の保健事業と高齢者の保健事業の一体的な実施、さらに、広域連合と市町村の一体的な体制といったことをこの法案の中に盛り込んだ次第でございます。
続きまして、今、申し上げた法律事項の具体的な内容でございます。3ページでございます。ざくっと申し上げますと、後期高齢者の保健事業の責任主体である広域連合が市町村にこの事業を委託すると、委託の根拠を法律上明確化しました。そのかわり、広域連合といたしましては、市町村さんに対して、この保健事業に要する市町村にお願いする部分についての、例えば専門職の方の人件費などの費用を保険料や特別調整交付金などを用いて交付する。こういった仕組みにしてございます。
付言申し上げますと、市町村においては、この事業を展開するに当たって、介護予防などと一体的に実施しますので、先ほど申し上げたKDBなども活用して、情報の面でも一体的な分析を市町村にしていただくという内容になっています。
さらに申し上げますと、恐縮ですが、3ページの一番下でございますが、こうした事業を展開するに当たりまして、地域の三師会さんなどの御協力もいただく。助言などをいただくといったこともスキーム上、示しているところでございます。
続きまして、次のページでございますけれども、具体的な事業内容としてのスキームのイメージでございます。この具体的な個々の事業内容につきましては、さらに今後、検討を進めていかなければならないのでございますが、現状お示ししている図はこういった内容でございます。それぞれ右から左に番号を振ってございます。先ほど申し上げたとおり、広域連合から必要な医療専門職の方の人件費などを交付する。その費用をもとに市町村に医療専門職の方をさらに配置していただくという内容でございます。そういった医療専門職の方がKDBなどを活用して医療・介護・健診、さらにフレイルのチェックなど、そういったデータを一括して分析していただいて、まず、地区の健康課題を分析していただく。さらに加えて、高齢者お一人お一人の課題を把握していただく。こういったことをやっていただきたいと考えています。
そういった分析の結果として、例えばアウトリーチが必要な方に出向いていくとか、こういった面につきましては、ヘルスだけではとどまらない仕事だと思います。介護部局、福祉部局との関係も必要になると思いますが、そういった連携を進めていくといったこと。
さらに、5番、6番でございますけれども、国保の保健事業と接続した、例えば重症化予防などの個別的な支援というのを、高齢者になられても引き続き市町村で担っていただくということが一つ。
それと、通いの場などに医療専門職の方が出向いていただいて、通いの場のメニューを強化していただくとか、また、通いの場での健康相談とか専門的なアドバイスをしていただくとか、さらには必要がある方につきましては、必要な医療機関、介護サービスにつないでいただくとか、そういった医療専門職としての役割をこの介護の場でもやっていただくといったような内容でございます。そういったことによりまして、通いの場のある意味保健医療の視点からの付加価値を高めていただいて、さらなる効果的な取り組みにつなげていただきたいと考えているものでございます。
5ページからでございますが、先ほど申し上げたとおり、具体的な事業内容につきましては、今後、さらに検討させていただいて、この文章の真ん中あたりに書いてございますが、10月ごろをめどに、保健事業のガイドラインを改定させていただくことを予定しております。ただ、この点につきまして、広域連合や市町村において、いろいろ御準備をしていただく必要がございますので、現段階で申し上げられる範囲でこの7月5日に事務連絡を発出させていただきました。事業のイメージをお示しさせていただいたものでございます。
6ページをごらんください。重要な点だけ申し上げますけれども、まず箱の2点目でございます。先ほど申し上げた医療専門職の配置という点でございます。先ほど来申し上げているような趣旨での取り組みをしていただく新たな医療専門職を配置していただく。さらに具体的に申し上げますと、一体的実施も含め、事業全体の企画・調整・分析を行うような方を配置するということと、さらに、各地域に出向いて行かれて、各地域に配置される医療専門職の方、こういった方をさらに確保したい。そういった方々が、例えば通いの場などへ積極的に関与するといった仕組みでございます。
こうしたことを前提に、一番上の箱に戻って恐縮でございますが、後期高齢者医療制度から財源を拠出させていただきますが、その拠出の要件といたしまして3点示しております。1つは、KDBシステムなどを活用して地域の健康課題や個別訪問などを必要とする対象者の把握等をしていただく。要するに、KDBを用いた分析をしていただきたいということが1つ。2点目は、国保の保健事業との連続的な支援を含む重症化予防など、いわば個別的なアプローチでございますが、こういった取り組みをやっていただきたいということが2点。3点目が、今回ここにも関連いたしますが、介護予防等の地域支援事業との連携、通いの場への積極関与などでございますが、こういったある意味社会的なアプローチ、集団的なアプローチにも取り組んでいただきたい。そういったことによって、後期高齢者の医療保険のほうからも、こういったお手伝いとしての費用を拠出させていただきたいということを考えている次第でございます。
その他の事項については、ちょっと細かい点でございますので割愛いたしますけれども、8ページで付言申し上げます。今、申し上げたような新たな事業を市町村さんにお願いすることになります。その市町村においても、いろいろもろもろ体制を検討していただくことになりますが、この仕事は介護の仕事なのか、ヘルスの仕事なのか、国保の仕事なのか、いろいろそれぞれの市町村での捉え方があろうかと思いますけれども、これはどこだけの仕事ではなくて、全庁的な仕事であるという形で捉えていただくことが大事だということをお示ししております。いわば庁内各部局の連携をきちんとはかっていただきたいということを強調させていただいている次第でございます。
つけ加えて恐縮です。9ページでございますが、この事業を展開するに当たりましては、医師会さんなどを初めとする三師会や地域の医療関係団体の方の御協力が必要でございます。そういったことで事業のプランニングの段階からきちんとそういったところでの御相談、連携というのを図っていただきたいということも書かせていただいている次第でございます。
最後の御紹介でございます。次のページ、10ページでございますけれども、このたび整備いたしました保健事業で活用する質問票について御紹介申し上げたいと思います。健診の際に、御案内のとおり質問票ということでアンケートに答えていただくということをやってございますが、これまで高齢者の健康診査におきましても、メタボ健診と同じものを使わせていただいていたという事情がございます。なので、高齢者の方の全人的な健康課題を把握するに当たりまして、メタボ健診の内容ですとなかなかきちんとかゆいところに手が届かないということもございまして、このたび高齢者の保健事業用、高齢者の健診用の質問票というのを改めて整備させていただきました。
内容につきましては次以降のページにございますが、考え方でございます。一番下の枠でございますけれども、フレイルなどを初めといたしまして、高齢者の方の健康課題を多面的、全人的、かつ簡潔に捉えるという視点で、質問項目もかなり絞っております。15項目に絞ってございますが、この15項目の中でフレイルの多面性ということも初めとして、こういった全体的な健康課題を捉えたいというふうに考えております。
この質問票を健康診査の場面、健診ではもちろん活用していただきますが、可能であれば、例えば通いの場などでも活用していただき、また、通いの場以外のところで、街中のどこかとか、そういったところもあろうかと思いますが、いろいろなところで活用していただいて、高齢者の方の状況、地域の課題も把握していただく。
この質問票の内容につきましては、KDBシステムの中にデータとして入れ込むことが可能でございますので、当該の高齢者の方におきまして、医療レセプトの内容、介護レセプトの内容に加えて、この質問票のお答えの内容も統一的に把握することができるということの準備をしている次第でございます。
最後のページにもございますように、来年4月の施行を予定しております。それに向けたもろもろの準備を進めている段階でございます。
雑駁で恐縮ですが、御説明は以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、今、議題2でございますけれども、実は議題3の中間取りまとめ骨子案は、この議題2と関連いたしますので、続けて、資料3についても説明をお願いしたいと思います。
○日名子介護予防栄養調整官 資料3をごらんください。資料3としまして、中間取りまとめの骨子案をお示しさせていただいております。検討の経緯をお示しした上で、主な論点というところが先ほど資料2-1で御紹介しました各論点の最後のスライド、対応案というところの抜粋となっております。本日、こちらに御意見を伺いまして、次回の検討会において中間取りまとめという形で文章にしたものを御議論いただく予定となっておりますので、本日につきましては、資料2-1を中心に御意見をいただければと思います。
また、本日御欠席の健康保険組合連合会の河本構成員から参考資料1の意見書を御提出いただいていますので、この場で簡単に御説明させていただきます。参考資料1をごらんください。
主な論点について3点ございまして、1つ目、今後求められる機能については、通いの場の形態はさまざまということで、要介護抑制効果も取り組み内容により違うため、定義をしっかりとするということや、効果検証が可能な仕組みを構築し、効果のある事業に重点化することが必要であるということと、専門職の関与といたしましては、後半の部分ですけれども、高齢者の保健事業には、後期高齢者の保険料のほか、各種補助金等を充てることになっており、一般介護予防事業の財源とは異なるので混同しないようにということと、3点目、PDCAサイクルにつきましては、次のページになりますけれども、インセンティブ交付金によってPDCAサイクルに沿った取り組みをさらに推進し、効率的・効果的な事業の実施を目指すべきであるということと、一般介護予防事業については、第2号被保険者の保険料が充てられているということで、費用負担者に対して事業の費用対効果を明確にすることが必要であるという御意見をいただいております。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
そういうことですので、中間取りまとめの骨子案、次回議論するわけですけれども、その内容が先ほどありました資料2-1の各論点ごとの特に対応案というところと関連があるので、その辺を中心に各論点ごとに御意見等があれば承りたいと思いますが、いかがでございましょうか。
それでは、安藤構成員、どうぞ。
○安藤構成員 ありがとうございます。
ただいまの中間取りまとめの論点に関しましては、ほぼ賛成なのですけれども、その中で、何点か意見を申し上げさせていただきたいと思います。
まず、通いの場ということなのですけれども、先ほど近藤先生からのお話にもあったように、この名称を何か公募でやって、皆さんが行きやすい、行きたいと思うような名称にしたらいいのかなというのを意見として述べさせていただきます。
あと、近藤先生、荒井先生、山田先生のほうから資料をたくさん提供してくださいまして、ありがとうございます。これでかなりこのことがもう既にわかったのかなとは感じております。
その中で、やはり大事なのは、これはただ単に短期的にやるということではなくて、長期的に継続をすることが非常に重要かなと思います。その中でも、いろいろな形で、まずそこの、通いの場という言葉を使わせてもらいますけれども、その通いの場に行くこと自体が非常に有用であると。それも、そこに行って、それでなおかつボランティアの効果ということで、資料1-2の4ページにボランティアで参加された方の介護給付費のグラフが載っているのですけれども、これだけ大きな差があるということにつきましては、逆に言うと、我々、被用者保険の40歳以上の方たちが第2号被保険者ということで介護保険料を負担していますが、その負担する保険料がこういうことで、将来伸び続けるであろう、拡大し続けるであろうと思われる介護給付費の抑制につながるエビデンスがあるのであれば、40歳以上の保険料を負担している方たちの理解も得られるのかなと感じました。
その中で、資料2-1の40ページに示されている効果検証の部分については、総合的な部分で30%、あと費用対効果については10%というところの分析しかまだできていないということで、ここの部分についてはまだまだ足りないのかなということが感じられます。ですから、そこの部分については、費用対効果であるとかいろいろな検証が簡単にできるようにするためにも、名称の統一というのも必要かなと思っております。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
辻座長代理、お願いいたします。
○辻座長代理 今の安藤構成員のお話に続けてなのですけれども、資料2-1の40ページで評価しているところが3割も満たないということについてです。これは、理由がありまして、市町村の立場からすると、どうやって評価していいかわからないというのが一つです。もう一つは、望ましいと書かれていますが、国から望ましいと言われたら、市町村の立場からすると、必須ではないのだなということも含めて、正直必要性を感じない。この2つだと思うのです。何をやっていいかわからないということと、必要性を感じない。
この辺は、国としてどういった項目を抽出して、どういったような評価をするのだという、必要最小限の項目を設定して、その評価のやり方を確立して、市町村に伝えたほうがいいと思うのです。そしてまた、それで各市町村のパフォーマンスを、ある意味でランキングといったらあれなのですけれども、スコアリングしていくような、全国の中で、あるいは同じ人口規模の中で、あるいは同じ都道府県の中で、自分たちの市町村が何番目にいるのか、どういった立ち位置にいるのかというところを見える化して、それを最終的にはインセンティブにつなげていく、そういった一連の流れを作っていただきたいと思います。
そういった意味で、安藤さんもおっしゃいましたけれども、費用対効果を見える化して、やるだけの価値があるのだということを保険者も、そして我々被保険者も、みんなが理解できるような、そういった仕組みをつくっていただければと思います。よろしくお願いします。
○遠藤座長 ありがとうございます。
では、近藤尚己構成員、お願いいたします。
○近藤(尚)構成員 2点ほどお伝えします。
基本的に中間取りまとめの内容は非常に妥当だと思いました。まず、ポイント付与を推進するというお話があったのですけれども、その理由と全体の取りまとめ案の中での位置づけがちょっとまだふわっとしているなという印象があります。つまり、まず一つは、ポイント付与で本当に通いの場の参加がふえるのか、エビデンスがないですよね。ポイント付与に関しては、それこそ一体的に実施できる。つまり、健康施策だけではないところと、自治体全体でいろいろな市民の活動にポイント付与できるということで、すごくいいと思うのですが、これから始めようとするとそれなりにお金がかかることですので、もうちょっとこういう目的でやってくださいということを明確にしておいたほうがいいかなと思っています。
私が考えるのに、一つは、ポイント付与というのは個人へのインセンティブの一つのやり方。つまり、通いの場に行きましょうということを促すということですけれども、もう一つはPDCAとアカウンタビリティーに資するということです。つまり、ポイント付与の仕組みを使っているとその人のデータが集まりますので、それを通いの場の効果検証に使えるということができます。
さらには、多様な組織連携をうむための一つの仕組みになると思います。通いの場を促すだけではなくて、自治体で行ういろいろなイベントへの参加のポイントとか、その他の健康施策とか、そういったものにもポイントを使えますので、そこでの横連携が進む。あとは企業の参入ですね。そういったところも促せるツールになると思います。
1つ懸念があるのは、今、既に起きていると思うのですが、いろいろな自治体がポイント制度をやる中で、うまくいっているところといっていないところでかなり差が激しくなっていると思います。結構莫大な投資をしているのですが、全然リターンしていないというところも聞いていますので、ここはうまくノウハウを横展開できるような、そしてまた、その効果をアカウンタブルにしていくような取り組みが必要なのではないかと思います。これは中間取りまとめ以降の議論になると思いますが、今の段階でお伝えしたいと思いました。
もう一つ、医療機関の関与について、これも非常に重要な視点だと思うのですけれども、一つは、医療従事者がどんな形で患者さんを地域の資源につなげるか。例えば、現場で病院に来た患者に対して、医療従事者が「孤立の問題があって、通いの場を紹介したらいいのでは」と思うときに、それを誰が実際につなげるかですね。診療した医師が、あなたはサロンに行ったほうがいいですよと一言声をかけるだけでいいのかということがあるのですが、私の経験と周りのいろいろな医師からの意見で言うと、それだとやりっ放しになってしまって、むしろ、例えば複雑な事情で孤立している方の中には、医者に見捨てられたという感覚を持ってしまって、実際にサロンに行ってみるといろいろとその場で嫌なことがあって、さらに孤立を深めてしまったなどという事例も聞きます。やはりそのつなげる役目とつなげるやり方、この辺の議論も必要かなと思います。
イギリスで今、積極的に推進されている社会的処方、ソーシャルプレスクライビングという取り組みが参考になるかなと思っています。イギリスではリンクワーカーという社会福祉士のような立場の方々がいて、医師が孤立とか貧困の問題がある患者を診察した場合に、リンクワーカーへ、この方を地域につなげてくださいという指示を行う形でリンクワーカーが対応します。リンクワーカーは面談をして、その人に必要な社会的資源へとつなげていく。そして、その活動に伴走していくというようなことを、NHSがそれなりの予算を使ってやっているようです。そんなことを参考にしながら、効果的な医療機関の関与の仕方を考えていけるといいのではないかと思っています。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
いかがでしょうか。
それでは、近藤克則構成員。
○近藤(克)構成員 3点あります。
まず、就労については、きょう私の資料1-1の最後にスライドをつけておきましたけれども、いろいろな通いの場、スポーツの会、趣味の会などに比べても、就労している方のその後の機能の低下が少なかったというのが大変きれいに出ております。ですので、ぜひ就労も介護予防の取り組みとして位置づけていただきたいなというのが1点です。
2点目の専門職の関与、これは基本的にはいいと思うのですけれども、ただ、気をつけないと、格好いい理学療法士のお兄さんがやってきて盛り上がったのはいいのだけれども、あの先生が来ないのだったらもうやらないみたいな専門職依存を生んでしまったみたいな話を聞くことがあって、専門職が余り力を入れてやりすぎると、住民主体のはずが専門職依存になってしまう。そういうリスクがあることを踏まえた上で、あくまで「上手な間接的支援」という表現を一言入れておいたほうがいいのではないかなというのが2点目です。
3点目の評価を簡便にできるシステム化できないか。これはまさに私たちがやりたいと取り組んでいることですけれども、これは簡単ではありません。介護保険総合データベースは個人を識別できる形でデータを集めるのが難しいというので、個人を追跡できないので縦断分析ができません。KDBの活用というのも、KDBにはニーズ調査のデータを入れる器がありません。後期高齢者医療の問診項目が見直され、今後に、期待はしているのですけれども、受診率が4割とかのレベルで地域の代表性があるのか、それで果たして地域の課題を分析できるのかという問題もあります。いずれも中途半端といいますか、効果評価に必要な個人を追跡できる条件とか、地域の代表性であるとか、そういうものが現状のKDBや介護保険の総合データベース、どちらも欠落しています。既存のデータだけで、ちゃちゃっとできるようなものではありません。それらのデータベースの見直しもあわせて御検討いただきたいと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、石田構成員、岡島構成員の順番で。
○石田構成員 ありがとうございます。
先ほどちょうど近藤先生と山田先生の御報告をいただきまして、こういった調査内容の結果については、今、実際に通いの場のような活動をしていらっしゃる市民の方々にも伝わるような形でぜひ広報を進めていってほしいと思っています。といいますのも、自分たちは好きで集まって、知り合いに誘われたのでたまたまお茶を飲みに行っているけれども、こういった活動が実は介護予防に非常に効果があるのだということを、より多くの方に知っていただくことが重要なのではないかと思っております。
もう一つは、ただ運動しろとか体力をつけて鍛えろということではなく、それにプラスしてみんなで集まったり、わいわい賑やかに体を動かすということのほうが効果があり、さらにそれを主体的に自分が取り組むこと、誰かに言われたわけではなく、自主的に行こうかなと思うこと、つまり、ボランタリーなそういった活動のほうがより効果があるということも、やはり多くの人に知っていただきたい重要な情報ではないかなと思います。
これは大事なことと思うのですが、先ほど近藤先生が出してくださいました資料56ページです。最後、それでもやはり「仕事」というのが非常にリスクを低下させるということが示されておりました。全てのことがらを「仕事」にする必要はないと思いますけれども、こういった通いの場のような活動を住民主体型で自主的にやる中で、一部、例えば意欲のある方々が責任を持って「仕事」として担うということも考えていく必要があるのではないかと思います。例えば資料2-1の19ページには、有償ボランティアのような形もあるというようなことが記されてあります。それから、資料2-1の2ページにあります主な意見の中の最後に就労のことが述べられております。いろいろな就労の形がありますから、それは柔軟に捉えたほうがいいとは思いますけれども、こういったことを自分の役目として、責務として、仕事の一つとして、いろいろな方々に広報しながら仲間づくりを始めていこうというようなことも考えていくことが非常に重要なことではないかと思っております。
ですから、せっかくこの事業が新たに進められていく中で、自治体が、例えば地域支援事業等を行っていく場合にも、その事業費から住民への人件費等として拠出するときにどのようにしたらいいのか、まだまだ迷っているところも多いのではないかと思います。ボランティアといっても有償にするのだったら、どのぐらいの金額が一番適正であろうかと、いろいろ悩むところがあるというように聞いております。このような状況を鑑みて、現場であるそれぞれの自治体が運用しやすい仕組みを考えていただけると、これまで以上に自治体における介護予防や生活支援事業などの事業への取り組みが積極的になっていくのではないかと思います。自治体からの独自の工夫による事業運営案などが提出された場合には、ぜひそれを後押しするような仕組みも御検討いただきたいなと思いますし、今後、これらの事業を進めていく中でそういったことも少なからず出てくるのではないかと思っております。
将来的にいろいろな方々がかかわる中で、全部が全部就労という必要はないと思います。趣味でやっているのだし、楽しみでやっているのだからという人は、それはそれでいいのですけれども、それにプラス、働くという形も探っていくことが必要なのではないかと思いますし、これからの時代に求められる新しい働き方を見つけていくということについて、ぜひこの事業には、それも1つ含めていただければということで、要望させていただきます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
お待たせしました。岡島構成員、どうぞ。
○岡島構成員 近藤先生、山田先生の御報告は効果評価の仕方ということで、全国の自治体の参考になるお示しをいただきまして、ありがとうございました。
中間取りまとめの骨子案に沿って意見を述べさせていただきますけれども、まず、一般介護予防事業の今後求められる機能に関してですが、前回の御発表で豊明市さんからお話がありましたように、普通の暮らしに戻っていくことを支援することが大事だと。ここは私も同じように思っています。通いの場が運動機能の回復だけではなくて、生活能力の維持向上であるとか、人との交流や社会参加の回復、こういったことを目指すことも非常に重要ですので、プログラムは一律ではなくて、ニーズに応じてバリエーションが必要かと思いますので、今後は、こういった生活そのものに焦点を当てた例示も必要かと思います。
例えば、ある自治体では、配偶者に先立たれて男性の単身高齢者が炊事、洗濯という家事の課題に直面するということを見て、そういった高齢者を集めてお掃除事業者に、最近は掃除機以外にこんな便利なお掃除の道具がありますというような家事講座を開いたことで、ヘルパーへの移行を食いとめて、生活自立を維持できたというような自治体もございます。ですので、一般介護予防、通いの場のメニューの中には、運動だけではなく、こういう生活の維持向上を含めていただくとよいのではないかと思います。
あと、専門職の関与についてでございますけれども、先ほど近藤先生からお話もありましたとおり、一定の専門職が濃厚に支援し続けるというのは、実際には自治体側でも不可能だと思うのです。ですので、スポット的に活動をプッシュする。あるいはノウハウを伝達して、あとは住民が自主的に頑張っていただく。あるいは効果評価のときに専門職が応援、支援するということも大事かと思います。
ですので、ぜひ、私ども日本看護協会としては、自治体の市町村の保健師がこういった事業の企画、運営、専門職の活用、そして事業への組み入れ方、予算の確保などにもっと関与すべきかと思います。ヘルス部門だけではなくて、国保や介護部門にも保健師を配置して、後期高齢者の広域連合の抱える課題も含めて、町として高齢者の健康をどう回復していくのかということに関与すべきではないかと思います。
企画段階から対象者の把握なども含めて、各市町村で取り組みやすいようなスキームを考えていただければと思います。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
では、江澤構成員、それから藤原構成員の順番で。
○江澤構成員 ありがとうございます。
対応案にも書いていただいて、ありがたく思っておりますけれども、通いの場の質を高めるために、ぜひ医師会や関係団体、かかりつけ医、その他専門職が深く関与すること、そして定期的に関与することを、我々医師会の立場としましても、ぜひ積極的に協力できればと思っております。
その中で、きょう、山田構成員の、私も非常に共感しているのは、やはりレジスタンスエクササイズの如く、ある程度エビデンスがあるもの、有効性、効果的であると思われるものについては、通いの場で標準メニューとして取り入れることも必要ではないかと思っております。例えばポイント付加に、昔、子供のときにラジオ体操で印鑑を押してもらっていたのを思い出しますけれども、そういった形でレジスタンスエクササイズでポイント付加を考えるとか、あるいはどうしても生活習慣に大きく影響しますから、栄養の関係、あるいは食事摂取のところ、そういったところも含めて、付加してくようなことを標準的に考えていければいいかなと思っておりますし、例えばかかりつけ医とか専門職が関与することで、お一人お一人の個別メニューも、提供可能であり、個別メニューでちょっとした気づきを与えることが私は非常に期待できると思うので、ぜひ専門職の関与については大賛成でございます。
続きまして、2点目は介護予防のデータベースの話です。市町村には統計学的な分析ができる人材とか、あるいは今そこに仕事の分量を割ける人材はなかなかいないのが実情だと思いますので、ある程度国のほうでプロセス指標とかアウトカム指標は大まかなラインを設定して、将来的に地域間の群間比較ができるとか、きょうKDBの活用というのも大分出てきましたけれども、そのあたりも精度の高いものを最初から求めるのは大変難しいところでございますので、まずは手に入るデータ、できることからデータを構築して、収集して、データベースの構築に向けて一歩踏み出していただきたいかなと思っています。
最後に3点目は、当然、ここにいらっしゃる方は共通の概念だと思いますけれども、通いの場に行く人は恐らく予後も比較的いいだろうということがわかっております。では、一番リスクが高いのは誰かというと、やはり通わない人、通いたくない人たちであり、大勢いらっしゃるので、このあたりのことについては検討の場、もちろん地域支援事業とか保健師さんの地域のラウンドとかいろいろなことがあると思いますけれども、特に通いの場に行かない人、行けない人、行きたがらない人、この方については今後検討の場が必要かと思っております。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
では、お待たせしました。まず、藤原佳典構成員からお願いいたします。
○藤原(佳)構成員 ありがとうございます。
2点ございまして、1つは、先ほど岡島委員もおっしゃっていた、生活と介護予防の一元化が非常に大事な視点だと思っておりまして、今、実際の新総合事業を考えましても、生活支援の部分と介護予防というのが、厚労省としては二輪のように、両輪でというようなイメージで啓発されているのですけれども、なかなか現場のほうは、介護予防は介護予防、生活支援は生活支援と連動しないことが多いのです。
一方、生活支援のほうは、なかなか協議体がうまくいかないという課題がある中で、この介護予防をうまく進めていく中でも、先ほどからの住民主体とか住民の声をといったときに、何らかの協議体のようなものが必要だと。そういったときに既に生活支援というものを拡大解釈すれば、何もこれはごみ出しとか電球交換だけが生活支援ではなくて、お互いの健康支援ですとか見守りということも幅広く捉えるべきですので、そういったところで生活支援の協議体とか、生活支援のいろいろな今の取り組みと介護予防を一元化していくということが効率的です。これは私が実際に共同研究などでかかわっている自治体で職員の方と一生懸命考えていった中で、自然に介護予防と一体化することが一番効率的かなということになってきたので、せっかくやらなければいけないような事業があるなら、うまく一体化していくところが大事なのではないかなと思っております。
それに派生しまして、このポイント制度のところでもいろいろな介護予防の取り組みとか、あるいは通いの場の類型化も御提案されておりますが、これも非常に大事でありまして、現場の職員の方からすると、通いの場イコール体操がメインでないといけないとか、ちょっと固定観念が入っているのですね。そこを幅広く、何かそこで学習のプログラムであろうが、趣味であろうが、そこに何か集って通えるものがあれば、基本はオーケーでありまして、昨年度、私どものほうで老人保健健康増進事業をいただきまして、それで全国の通いの場のユニークな事例を御紹介させていただいたところでございます。
そういう中では、うまくやっていらっしゃるところは民間の企業さんと連携していたりとか、あるいは共生型でいろいろな人たちが来られたりというところもありまして、そういうものを他の自治体の現場の方は、これを見て初めて、こんな通いの場もオーケーなのかと目からうろこで包容される部分があるかと思うのです。ですので、やはり通いの場の入り口を多様にして類型化していくことを、今後もう少し事例なども集めてやっていくのが大事なのではないかと思います。
もう一点、医療とか専門職との連携でございますが、これは私の個人的な経験なのですけれども、私自身は今、週1回だけうちの医療センターで物忘れ外来を担当しているのです。やはりひとり暮らしの方とか、そういった方はかなり虚弱も合併している方も多くて、本来、こういった方が家で日中独居であるとちょっとまずいなと思ったりして、サロンに行ったほうがいい方は多々いらっしゃるかと思います。
そういったときに、私は幸いこういう仕事をしていますので、サロンの重要性ですとか、地域で社会福祉協議会がどうだとか、地域包括がどうだといったことをわかっているので、割とアドバイスができるのですけれども、かかりつけの先生方が、投薬で対応できないこととか、あるいは介護保険でカバーできないようなインフォーマルなサービスもあるということを頭の隅っこにおいていただいて、アドバイスしていただければいいのではないか。でも、そこはアドバイスといっても、「どこどこへ聞いてみたら」といった抽象的な情報ではなかなか行動に結びつきませんので、社会福祉協議会ですとか地元の包括からパンフレットみたいなものをいただいておかれて、ここへ電話してごらんなさいと一言おっしゃっていただくと、スムーズに結びつく部分があるかと思います。通いの場を勧奨する入口として、かかりつけの先生方は貢献いただけるところもあるのではないかと思っております。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
お待たせしました。藤原忠彦構成員、お願いします。
○藤原(忠)構成員 町村側から若干意見を申し上げたいと思います。
まず、1点目の資料2-1の46ページ、最後のページです。それから、資料3のPDCAサイクルに沿った推進方策の今後の方向性の1つ目に、自治体の業務負担も考慮しつつとありますが、評価をして改善につなげることの必要性については理解ができます。しかし、評価に時間がとられ、日々の介護保険業務に時間がさけないという事態にならないよう、一般介護予防事業評価事業の評価、または、保険者機能強化推進交付金の評価も含めまして、自治体の業務負担に十分配慮をしていただきたいと思います。
また、今後の方向性の2つ目の、保険者機能強化推進交付金の介護予防に関する抜本的強化について、介護保険部会における論点として、指標のめり張りづけが掲げられております。国保の保険者努力新制度については、めり張り強化の一環としてマイナス評価の導入が検討されております。また、介護保険についても既に今年度から都道府県の指標においてはマイナス評価が導入されております。しかしながら、特に町村においては高齢者の自立支援や重度化防止等に向けまして、人材等が限られる中で、地域の実情に応じて優先順位をつけながら、懸命に取り組んでおります。例え取り組みにおくれたものがあったとしても、それに対する評価が別の取り組みのプラス評価を打ち消すようなことがあってはならないと考えます。
したがって、保険者機能強化推進交付金において、決してマイナス評価を導入することのないよう、特にお願いをしたいと思います。
2点目でありますが、市町村が介護予防にしっかり取り組んでいくためには、十分な財源確保が不可欠でありまして、資料2-1の30ページの主な意見の6番目に、総合事業の上限額について記載がありますが、この上限設定方法の見直しについても、資料3の骨子案に明確に記載していただければと思いますので、その辺、よろしくお願いをしたいと思います。
○遠藤座長 御要望として承りました。
それでは、濵田構成員、どうぞ。
○濵田構成員 ありがとうございます。
論点にあります通いの場への参加促進につきまして、幾つか意見を述べさせていただきたいと存じます。
やはり一番よいのは、通いの場の拠点がそれぞれの地域にふえていくということでありますが、それに当たりましては、ちょうど前回の豊明市さんの発表にもありますように、民間事業者の方などといろいろ連携をしまして、自宅から通いの場までのアクセスをどう確保していくかということが重要ではないかと思っております。
実際に都市部で歩いて通える範囲にそれぞれ通いの場があるというのが一番理想ではございますが、なかなかそれだけの数を確保できないということがありますので、民間事業者の方、豊明市の事例のほうでは1社にうまくお願いできたということでございますが、なかなか都市部で特定の会社にだけうまくお願いがしにくいというケースも想定できますので、地域の例えば介護保険の事業者協会でありますとか、関係団体と、そこはうまく協力関係なども活用しながら確保することが重要ではないかと思っております。
もう一点ですが、先ほど岡島委員からも家事講座のお話がございましたが、ニーズに合ったメニューを通いの場で設定するということが参加促進には重要ではないかなと思っております。
それぞれの地域性もあろうかと思っておりますが、そのあたりで専門職の活用も含めたメニュー設定を行っていく。あと、評価につきましては、先ほど近藤構成員からも御発表の中でございましたけれども、例えばニーズ調査とかそういう方式などがうまく活用できてメニュー設定に反映されればよいのではないかと思っております。
あと、実は3年前に近藤委員の御発表を大阪府でお伺いしました。質問の追加で大変恐縮でございますが、当時、対象者の方の経済的要因でありますとか教育歴、こういうものが要介護状態等の改善や悪化とも一定の相関があるということをお伺いしまして、3年前でしたので、その後、もしかすると例えば通いの場へ行かないこととの相関があるのかもしれないなと少し思いましたものですから、追加で御質問させていただければと思っております。
○遠藤座長 では、近藤克則構成員、どうぞ。
○近藤(克)構成員 スポーツの会、趣味の会は高所得の人のほうが行っている。あとは、昔、教育を受ける機会がなかった人ほどそういうところに行っていない傾向があります。ですから、教育を受けてから50年分の蓄積があってのことなので、「参加しましょう」と言ったぐらいではその人たちはなかなか行けないという実態があります。
サロンについては、まだデータが集まり始めたところなので、数自治体のデータしかありませんが、ある町のサロンでは、逆に低学歴、低所得の人たちのほうの参加率が高いという結果が出て驚きました。ヒアリング等をしてみますと、経済的に余裕のある方は、1カ月8,000円のフィットネスクラブでも別にいいじゃないかと行き先が既にあるのです。ところが、経済的に余裕のない方は行き先がない。そういう人たちにとって、徒歩圏内で楽しいところができたというので、その人たちが来ているようだと、そんな実態が見えております。全ての自治体がそうかどうかは、今後検証が必要だと思います。
○濵田構成員 今のお話もございましたけれども、先ほど私、ニーズに合った通いの場のメニュー設定ということを申し上げましたが、恐らくは日常生活圏域まではなかなか調査は難しいかもしれませんが、自治体ごとに結構一定の、個々の世帯における経済的要因等などそのあたりのニーズの違いがある可能性もありますので、そこに合ったメニュー設定が必要かと思っております。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、お待たせしました、田中構成員、どうぞ。
○田中構成員 ありがとうございます。
各先生方のお話を聞いて、大分考えがまとまってきたり、感じることがありまして、私のほうは専門職が通いの場で一体的に実施することについて、ちょっと感じたところというか、思いついたところをお話しさせていただきたいと思います。
今、私がかかわっている自治体も少しやっているところなのですが、来年の4月から後期高齢者の質問票にフレイルの内容や基本チェックリストの内容みたいなものがかなり含まれているものが実施されるということで、あの質問票を、例えば通いの場、管理栄養士とか保健師などの専門職が行って聞いてくるようなこともいいのかなと思いました。そうすると、かなりその方がわかるのかなと。アンケート調査員のようになってはいけないのですけれども、あくまでも自主的な場なのでお邪魔しない程度にということと、そのときに健診の内容を、もし可能なら同意していただければ、その健診のデータを見ることができる。ただし、個人情報の問題もあるので、最初から委託で全部というわけにはいかなくて、最初は自治体の職員がかかわることが前提になるかとは思うのですけれども、そのようにすると医師会の先生方とも連携がとれたりする一つの形にもなるのかなと感じました。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、山田構成員、お願いいたします。
○山田構成員 私のほうからは、参加促進と専門職の関与について2点コメントさせていただきたいのですけれども、まず、参加促進についてですが、私たちも実際に参加、どのような形で促進していけばいいかということを調査しておりますが、どうも見ておりますと、現状参加しておられるという方が大体10%ぐらいで、知らないけれども、そういったものがあるのだったら参加してみていという方と、知っているけれども、別に興味がないから行かないという方はかなりのボリュームが、同等数おられることがわかっておりますので、先生方のお話の中にもありましたけれども、広報をいかにしていくかというのが今後、すごく重要になってくるのではないかと感じております。
もう一点、専門職の関与についてですけれども、特に保健師の方というのはそもそも自治体におられるケースが多いと思うのですが、例えばリハビリの専門職であったりすると、自治体の職員としては在席しておられないですので、現状としては、例えば各地方の職能団体、または医療機関からの派遣というものが一般的に行われているかと思うのです。恐らくこれがかなり高頻度でいくというのは、今後もどう考えても難しいのではないかと思いますので、今後進めていく中で、例えば半年に1回ぐらいは専門職、特にリハビリの専門職がかかわったほうがいいのではないかとかいう何らかの目安があると、ある程度は動きやすくなるのかなと感じております。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでございましょうか。
では、小玉構成員から齋藤構成員の順番でお願いします。
○小玉構成員 ありがとうございます。
通いの場に集まられる国民の皆さんのニーズが、例えば趣味でいろいろやりたいということと、やはり生活支援をしなければいけないという場合と、あと医療のニーズが高い、介護のニーズが高いというところ、いろいろあると思います。先ほどもお話がありましたけれども、そのニーズを、このニーズ調査の設問でももちろん把握できるのですが、それをコーディネートする役目というのが非常に重要だと思います。保健師さんができる場合もありますし、あと、介護的なところや生活のニーズとかは社会福祉士さんがかかわるところもあると思います。そういったところで、いかに効率的に専門職につなげていって、そこのかかわる期間をどれぐらいやればどういった効果が出てくるというところまでわかると非常にいいのではないかと思います。
先ほどの近藤先生のニーズ調査の設問追加方式という11ページのところで、これは数で75歳以上からのところで有意差が出ているのですけれども、ターゲットは75歳から85歳ぐらいのところがいろいろ課題も多く、いろいろな課題が集まってくるところなのだと思いますので、そういったところでの対応をよく考えていただけるとありがたいと思います。
先ほどから、なかなか来られない人、サロンに集まらない人をどうするかという話なのですけれども、これは我々も在宅に行くと、やはり認知症が進まれた方はちょっと栄養の部分が足りなくなって、外に出たくても出ない。そうしたときには、明らかに外に出るためには医療的な対応が必要になってくると思いますので、そのあたりの見きわめがまずあって、そういったサロンへ集まっていただけるような環境の整備、生活の整備をしていただくという考え方も一つ大事なのではないかと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
では、齋藤構成員、お願いします。
○齋藤構成員 ありがとうございます。
前回と今回を通じて感じましたことは、通いの場というのは非常に多様性があるなと思いましたし、類型化を考える上では幅広い類型化をしていっていただきたいと思います。その中で、全てに専門職や、また事業効果を全てにおいて検証するということは現実的に不可能なので、介入していただきたい類型の部分と、そうでない部分があってもいいのだろうと思いました。
それから、内容的にも必ずしも運動系だけが効果があるということではなくて、非運動系でも非常に効果が期待できるということでありますので、余り四角四面に捉えたり、お仕着せにならないようにしなければ、長続きしないのだろうと感じました。
そういう意味では、ここでは一般介護予防ということの切り口で言っているわけでありますけれども、ある種、ポジティブな国民運動的な観点から、健康寿命を延ばそうと。これは厚労省の大きな目標でもありますけれども、寿命を延ばそうということは、高齢者、ひとしく大変興味関心のあるところであります。しかも、楽しみながら健康寿命を延ばしますよと。それは可能ですよと。外出機会をふやすことに心がけましょうとか、例えば人との交流を積極的にしましょうとか、継続することがより効果的ですとか、参加よりも参画するとさらに効果が上がりますよ。先生たちの言葉を庶民的な言葉に置きかえながら、ぜひPR活動をしていただく必要があるのではないかと。その上で、各自治体がこういうプログラムもありますと。また、こういうプログラムもあります。民間ではカラオケもありますということの幅広い類型化、そういう整理が大事ではないか。
狭く狭くいくと、これは集まる人が限定的になりますし、好き嫌いもありますから、当然それは幾ら努力しても、なかなか努力に見合ったようなことにならない。そういうことではなくて、できるだけたくさんの方々が自分の関心のあるところに出ていけるのだと。そういう場をつくることは、狭い捉え方ではなかなか難しいので、むしろ厚労省として大きな国民運動、ポジティブな国民運動として展開していただくように、ぜひ御検討いただければと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
大体予定していた時間になりましたけれども、大体よろしゅうございますか。
ありがとうございます。大変積極的な御議論をいただきました。次回は、この中間取りまとめ案について議論をするという形になりますけれども、本日多様な御意見が出ましたので、事務局におかれましては、それらを踏まえた形で資料等の作成をお願いしたいと思います。
それでは、用意いたしました議題は全て終了いたしましたので、本日の検討会はこれまでにさせていただきたいと思います。
日程等について、事務局から何かありますか。
○北原介護保険データ分析室長 ありがとうございます。
次回は8月7日水曜日の14時から16時を予定しております。詳細につきましては、追って御連絡をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○遠藤座長 ということですので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の検討会はこれにて終了したいと思います。
どうも長時間ありがとうございました。

                                              (了)