2019年8月7日 独立行政法人評価に関する有識者会議 医療・福祉WG(第20回) 議事録

日時

令和元年8月7日(水)12:53~14:55

場所

中央労働委員会会館第612会議室(6階)

出席者

真野主査、石井構成員、河村構成員、名里構成員、橋田構成員

議事

 
 
○真野主査
 定刻より少し早いのですが、非常に暑いですし、メンバーもそろいましたので、第20回独立行政法人評価に関する有識者会議医療・福祉WGを始めます。先生方におかれましては、何日か前に18回と19回をやっておりますので、引き続きよろしくお願いします。欠席の先生が五十嵐構成員、石渡構成員、梅里構成員、松原構成員、三田構成員で、始めていきたいと思います。最初に、事務局から説明をお願いします。
 
○政策評価官室長補佐
 政策評価官室長補佐の加藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、本日の議事について説明します。はじめに、議事次第にあります、参考資料1~9に関しては、お手元のタブレットに収納してありますので、そちらを御覧ください。画面がスリープ状態になっている場合は、右上の電源ボタンを軽く指で押してください。
 本日は、医薬品医療機器総合機構につきまして、平成30年度業務実績評価及び中期目標期間実績評価に係る意見聴取を行うこととなっております。構成員の皆様には重ねての御説明となり恐縮ですが、御意見を頂くに当たり、今年は、3月12日付けの総務省における「目標・評価の両指針」の改定が行われておりますので、その中で、評価の枠組みに関わる事項について簡単に説明します。評価指針においては、「年度評価」について、「当該目標期間中の各年度において、中期目標の着実な達成を確保する上で支障となると考えられるものなどの業務運営上の課題を的確に抽出できることが重要である」との考え方から、評価書作成に当たり、「事務事業の特性や目標の内容、目標の重要性等、目標・計画の達成状況に応じて、重点化して評価を行う」こととされたところです。この「重点化」については、「目標期間終了時における目標達成の上で重要なもののみ従来の単位・精度で評価を行うこととする一方、それ以外の項目については、簡素・効率的な評価となるよう工夫を促すことにより、評価にメリハリをつけようとするもの」と評価指針において示されております。その上で重要度又は難易度が高いと設定している目標については、必ず重点化の対象とすることとされております。なお、改定後の評定基準の適用時期については、改定後の指針に基づいた新目標期間の開始時からとなりますので、当面の間、従来どおりとなっております。
 その考え方は、改定後の目標指針の下で目標を策定して以降の評価について改定後の評定ルールを適用するということになります。医薬品医療機器総合機構の場合は、今年度からの目標の次の目標期間の開始年度の翌年度、すなわち令和7年度に実施される年度評価からとなります。また、「中期目標期間実績評価」においては、「見込評価時に使用した中期目標期間終了時の実績見込みと実績との間に大幅な乖離がなく、かつ考慮が必要な状況変化もない場合には、数値の更新等必要な修正を行った上で、見込評価を活用することができる」とされたところです。
 WGにおいては、「年度評価」において、重点化の対象とする項目を中心に御意見を伺うこととしたいと考えております。そのため、はじめに法人所管課室より、「重点化対象項目選定の考え方」を説明いただいた後、続けて法人から「重点化対象項目」の業務実績及び自己評価を説明の上、有識者の皆様から御意見、御質問を頂きたいと存じます。
  その際「重点化」の趣旨を踏まえ、単に、例えば「A」という評定が適切かというだけでなく、法人の取組の中で、中期目標の達成に向けて、優良と思われる点や、逆に課題があると思われる点については、評定に直接影響しない場合であっても、積極的に御指摘をいただければ幸いです。重点化対象以外の項目については、法人からの説明は行いませんが、御意見がある場合には、議事の最後にまとめてお伺いすることとさせていただきます。
 次に、「中期目標期間実績評価」においては、法人より見込評価と比べ、実績等に変化があった項目を中心に、複数ある場合には、重要度、難易度が高いとしている項目を優先的に、業務実績及び自己評価を説明の上、有識者の皆様から御意見、御質問を頂きたいと存じます。それ以外の項目については、「年度評価」と同様、議事の最後にまとめてお伺いすることとさせていただきます。
法人からの説明項目は資料1の「医薬品医療機器総合機構評価項目一欄(年度評価・期間実績評価)」中の網掛けをされているものとなります。議事の流れとしては年度評価の各項目について一通り意見を頂いた後で、「中期目標期間実績評価」の意見を伺いますので、中期目標期間実績評価における法人の説明については、既に「年度評価」で説明された内容は極力省略の上、御説明をよろしくお願いします。
 最後に、参考資料9について若干説明します。これは、平成29年度の業務の実績に係る年度評価等について、A以上の表定の場合にその根拠が具体的に説明されているか等の観点から点検した結果を、総務省が整理したものです。こうした点検は毎年度行われておりますが、今回全体として著しく適正を欠く評価の実施と考えられるものはなかったとした上で、今後の評価のための参考例として別紙1、2が示されております。評価に十分な根拠があるかどうかは、本WGでも議論となる場合がありますが、総務省側の考えられているレベル感として参考にしていただければと思います。なお、例年どおり、各府省別の評定の状況も「参考」として示されておりますが、かつて問題となった「A」以上の割合について、前回の評価では、年度評価において高いほうから2番目であったものの、特に突出していない状況でした。事務局からの説明は以上です。
 
○真野主査
 ありがとうございました。御質問はよろしいですか。それでは議事に入ります。先ほど既に説明いただきましたが、今日は平成30年度業務実績評価について意見交換をすることになるわけですが、最初に法人所管から重点化対象項目の選定の考え方について御説明をお願いします。
 
○医薬・生活衛生局総務課長
 所管課です。医薬・生活衛生局総務課の鳥井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。まず、重点化項目の考え方について説明いたします。資料1.医薬品医療機器総合機構評価項目一覧を御覧ください。PMDAの第3期の中期目標期間における評価項目は全部で15項目ありますが、そのうち9項目、かなりの部分を占めますが、これを重点化項目といたしております。上から順番に、1つ目は、業務の迅速な処理及び体制整備(救済)です。医薬品等の副作用・感染による健康被害の迅速な救済というのは、もともとPMDAの設立された当初の目的そのものでして、極めて重要性が高いということです。標準的事務処理期間の目標の達成というものが重要性が非常に高いと。事例ごとに臨床経過等の調査・整理をする必要がありますので、難易度も高いということでこのように位置付けております。
 2つ目が、業務の迅速な処理及び体制整備(医薬品)です。重要性については、これは「日本再興戦略」の工程表においても、2020年までに審査ラグ「0」が達成すべき成果目標として設定されているところで、重要度は非常に高いと。それから総審査期間の目標達成項目を5割から8割に引き上げるというのは、審査の効率的な実施、その他、多面的な活動が必要であるため、極めて難易度も高いと位置付けられると考えております。
 3つ目は、同様に業務の迅速な処理及び体制整備(医療機器、再生医療等製品)です。医薬品と同様、重要度、難易度は高い項目としております。
 4つ目が世界に先駆けた革新的医薬品・医療機器・再生医療等製品の実用化促進のための支援です。これにつきましても健康医療戦略とか、その重点化理由の所にありますが、「健康医療戦略」とか「日本再興戦略」にもそれぞれ関係する記載がありますが、アカデミア等において、有望シーズを見極め、円滑に実用化に導くことを支援するための薬事戦略相談の充実。前例のない革新的製品に関する新たな審査基準の策定、更には、再生医療等製品の特性を踏まえた新たな承認制度への対応等々があるため、これはいずれも重要度、難易が高いと考えております。
 5点目は、副作用・不具合情報収集の強化並びに整理及び評価分析の体系化です。これも「日本再興戦略」において関係する記載がありますが、言うまでもなく市販後の安全対策の着実な実施は審査の迅速化の大前提です。また、「MID-NETの診療データやNC等の疾患登録情報の解析、企業や医療機関でのMID-NETの活用促進を通じて安全対策の強化」も今後非常に重要となってくると考え、そのように位置付けしております。
 6つ目は、企業・医療関係者への安全性情報の提供とフォローアップ、患者、一般消費者への安全性情報の提供です。安全性情報の提供は言うまでもなく極めて迅速に行うことが必要でして、厳しいタイムラインを設定しております。また、その情報は医療機関等で様々な形で活用できるようにするというニーズへの対応。一般消費者や患者さんへの情報提供を充実、こういったものにも対応していく必要がありますので、業務は重要性がありますし、複雑化・困難化していると考えておりますので、このような位置付けとしております。
 7つ目が、国際化等の推進です。これは製薬のグローバル化の背景として、「健康医療戦略」においても「日本発の高品質な医薬品、医療機器等の国際展開の拡大を念頭に、我が国の規制・基準等への理解度向上に向けて、新興国等を中心とした規制当局との対話を強化し、我が国の承認許可制度の理解を促して、国レベルでの信頼関係の強化を図ること」とされております。これに沿いまして、PMDAが世界各国の規制当局と信頼関係を築き、積極的な国際貢献を行うことは重要度、難易度が非常に高いものと考えております。
 8つ目は、目標管理による業務運営・トップマネジメント、審査期間の設置による透明性の確保、相談体制の整備等です。この項目は法人の自己評価はCで、これは昨年もCだったわけですが、独法の評価に関する指針に基づき、当該法人の業務運営上の課題として重点化項目に入れることにしております。
 最後9つ目は、人事に関する事項及びセキュリティの強化です。これも当然ではありますが、「日本再興戦略」においても質・量両面での体制強化がうたわれておりますし、もとより優秀な人材の確保は極めて重要性が高いものです。また、情報漏洩等リスクへの対策も重要であることは言うまでもないと考えております。このため、ここでの重点化項目とさせていただいております。私からの説明は以上です。
 
○真野主査
 それでは、法人から業務概要及び重点化対象項目の業務実績及び自己評価についての説明をお願いいたします。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
 PMDAの上席審議役の稲川でございます。よろしくお願いいたします。私からまず、平成30年度の業務実績の評価について、資料2-1と資料4を適宜参照しながら御説明させていただきます。大体20分ぐらいと承知しておりますので、ちょっと掻い摘んで御説明いたします。まず、資料2-1になりますが、2ページ目が30年度の自己評価ということで、先ほど鳥井課長から御説明がありました15項目についての自己評価結果を表にしております。後ほど、それぞれ御説明させていただこうと思います。3、4ページ目はPMDAの概要、それからこれまでの組織の変遷ということです。5ページ目が人員体制の推移です。この4月にも新たに職員を迎えまして、4月1日現在で936名の正役職員となっています。それ以外に期間雇用の職員が約400名近くおりますので、1,300人ぐらいの体制でやっているということです。
 続きまして、個別の項目に入ります。No1-2、救済の業務の関係の迅速な処理及び体制整備です。ここにつきましては、2の所ですが、この30年度も全体の処理件数の60%以上を6か月以内で処理するという目標を掲げております。30年度の実績値は65.7%となっており、達成率は109.5%です。昨年もここで議論になりましたが、最近非常に医学的な高度な判断がいるような事案なども増えてきているということと、ここ数年子宮頸がんワクチンの救済事例につきまして、本来であれば救済制度が入院相当のものの判断をするのですが、外来もPMDAで判断することになっておりますので、そういう意味で1件1件が非常に大変なものを処理しながらの実績です。私どもとしましては、達成率は109.5%ですが、かなり頑張ったと思っております。昨年度69.3%でB評価を頂いたということもありますので、気持ち的にはAという感じはしているのですが、自己評価はBとさせていただいております。
 8ページ、医薬品の審査の関係です。今年度もS評価で自己評価しております。中身につきましては新薬から始まりまして、審査期間の目標が定まっており、その達成率ですが、新薬の関係は優先、通常ともにほぼ120%というところを達成しております。あと下のほうの、ジェネリック医薬品の目標設定についても達成度が139%。要指導・一般用医薬品、いわゆるOTC医薬品ですが、それについては達成度が169%、医薬部外品、PMDAでは化粧品とか殺虫剤とかを審査しておりますが、達成度が181%で、120%以上のかなり上回るところの目標を達成したと思っております。
 例年この場でも御説明しています資料4を御覧ください。8ページですが、主要先進国の、いわゆる新有効成分を含有した新薬の審査期間の中央値を比較したものです。PMDAもかつては非常に長かったのですが、2014年から2016年については世界で最速ということで、この場でも御説明させていただきました。2017年はFDAが巻き返しまして、2018年は中央値で見ますと、FDAがPMDAよりは期間が短かったことにはなっております。ただ、我々としましては、確かにこういう結果は出ているのですが、審査当局の体制と比べますと、PMDAは新薬の審査が大体300人ぐらいですが、FDAはその10倍ぐらいの体制でやっていると承知していますので、その中で見れば、かなり頑張ったと思っております。あと9ページ目の、25%タイル値と75%タイル値の比較ですが、PMDAは昨年もそうでしたが、非常に幅が狭いということで、企業にして見ては特に大切な要素である予見可能性という意味では、世界でもトップクラスと言えるかと思っております。
 10ページ目に優先審査品目と通常品目を分けて期間を書いています。FDAは確か優先品目の割合が7割ぐらいあると聞いていますので、そういう意味ではそれが効いているということですが、優先・通常だけで見ますと、それほど差異はない、特に通常品目については日本が最速ですので、国際的に見てもプラスの実績と言えるかと思っております。
 資料2-1に戻って9ページですが、それ以外にも先駆け審査品目として、医療上の必要性の高い医薬品ということで、急性骨髄性白血病の治療薬を承認しており、質的に見ましてもPMDAの使命である、いち早く医療現場に必要性の高い医薬品を届けるという使命は果たせたのではないかと思っております。それ以外でも世界で同時に治験をして同時に承認するというのを目指した国際共同治験ですが、これについても5年前に比べて、1.5倍の相談を受けています。あとGMP実地調査についても5年前の1.6倍、実地に行って調査をしているということで、かなり海外も含めて対応しているところです。私どもとしましてはS評価を頂きました昨年度と比較しても、遜色のない成果だと思っておりまして、Sの自己評価をしております。
 次の10ページが医療機器と再生医療等製品の関係です。これについてもそれぞれ目標値が定められており、30年度の達成度については、いずれも医療機器申請区分ごとに5種類ありますが、いずれも120%を超えておりまして、120%をかなり上回っているものもあります。それから再生医療等製品についても、昨年度は4件の新しいものを承認したということで、その期間も、これは行政側の審査期間の目標値になっていますが、3.7月ということで、目標値から大幅に短い期間で承認をしているということです。
 また、11ページ目の2つ目のポツです。医療上の必要性の高いというと、1つはこれからかなり活発になってくるだろう、がんゲノム医療に使います遺伝子プロファイリング検査関係の医療機器等を初めて2件承認をしたということです。
あと資料4の25ページ目になりますが、AIを使った内視鏡の画像診断プログラムも昨年度初めて承認をしており、そういう意味では中身的にも非常に世の中から求められるものを、承認までこぎ着けたと理解をしているところです。それ以外についても下のほうの2つ目になりますが、治験相談についても5年前と比較するとかなり多くの件数をこなしているという意味で、PMDAの相談についてはかなりの評価を頂いているかと思っております。
 定量的な目標でも120%を上回っておりまして、中身的にも新しい治療法を提供するような医療機器等の承認もできたということで、私どもとしてはS評価、顕著な成果があったのではないかということで、Sの自己評価とさせていただいております。
 次の12ページがサイエンスレベルの維持向上と、革新的医薬品の実用化に向けたアカデミア等の支援という項目です。定量的目標としましては、新薬とか新医療機器の資料概要を承認後3か月以内に公表するという目標を掲げておりまして、これについてはいずれも全部達成をしております。それから新たな取組として13ページのイノベーション実用化連携相談の実施で、これは薬価収載や保険適用を見据えた形で臨床試験のデザインを行うこと、薬事も承認を得つつ、保険でも高い評価を得られるということを目的として、保険サイドと連携をしながら臨床試験デザインの相談を受けるという仕組みで、これは昨年度4件実施いたしました。
 革新的な医療機器、医薬品等の実用化を促進するためのガイドラインの作成について、最終的には厚労省の通知ということになるのですが、中身についてはPMDAもかなり貢献をしたということです。
それから昨年度は4月にレギュラトリーサイエンスセンターを設置しまして、サイエンスレベル向上に努めたところです。単に箱物だけ作ったわけではなくて、ここの2以降にありますように、科学委員会という場において、これから臨床でも重要になってくるであろう薬剤耐性菌感染症治療薬の臨床評価についての専門部会、あとはゲノム編集技術を応用した医薬品のリスク評価に関する専門部会を設置して議論、検討を開始しているところです。あとホライゾン・スキャニング手法、これはこれから出てくるであろう技術を捉えてマッピングした上で、規制手法を早期に明らかにするプロジェクトですが、これは前例のない新たな取組で、情報収集を積極的に行っております。あとは国際共同治験のガイドラインをはじめとして、9つのガイドラインの作成にも協力をしております。ここにつきましては定性的な内容であり、目標は達成したであろうということでB評価とさせていただいております。
 14ページが副作用、不具合情報の収集の強化並びに整理及び評価分析をするところまでの評価です。これまでもこの場でも説明させていただいておりますが、MID-NETという医療情報データベースの実運用を昨年4月にスタートいたしました。データ規模も12月末で470万件の集積が完了したということと、あと260項目の検査についての対応ができるようになっております。あと試行調査というのをやっておりましたが、欧米のかなり有力な査読付き学術誌に原著論文として公表できたということもあります。具体的な利活用としても行政利活用で33の調査を行いました。それ以外に製薬企業の製造販売後調査として2品目、企業やアカデミアの利活用が2調査ありまして、問題なく活用できている状況です。MID-NETについてもしっかり運用開始して、きちんと運用ができたというところは、医療情報データベースの先駆けとして、非常に高く評価される成果だと思っております。
 それ以外に医療機関とか医薬関係者からの報告として、資料4の44ページを御覧ください。医療機関や薬局からの報告で、平成28年度までは6,500件前後できていましたが、平成29年度、30年度とかなり増加をしており、昨年度は、医療機器と合わせれば1万件の大台を初めて超えたというところまで大幅に増加をすることができました。それ以外にも、下の45ページにありますように年間、医薬品であれば国内の症例の報告は6万件強、海外の症例が49万件です。次のページが医療機器の不具合になりますが、このうち、国内症例については増えていく中で精査をしたということです。新たに患者副作用報告についても、今年3月に運用を開始いたしました。定性的なところではありますが、MID-NETの構築を成功させて、実運用もうまくいったということもあります。先ほどの医療機関報告の増とかもありますので、我々としてはAの評価が適切と考えております。
 16ページは、PMDAが分析した情報を医療現場に提供するという、医療現場や一般消費者の方に提供するという部分です。こちらは、自己評価をBとしております。数値目標として、PMDAメディナビという、医療関係者に対していろいろな情報をお知らせするメールがありますが、この登録件数が15万4,000件という目標を立て、現実には17万4,800件と、達成率は113%です。それ以外に一般向けのシンポジウムを開催とか、PMDAのホームページで、医療現場で医療関係者が使うような患者向けの医薬品のガイドなど、あるいは添付文書の情報等を情報提供をいたしました。先ほどのメディナビの件数と併せて目標は達成しているということでB評価としております。
 17ページが国際化の推進です。自己評価はAとさせていただいております。その理由としては、「アジア医薬品・医療機器トレーニングセンター」の成果です。昨年度も、資料4の64ページにありますように、日本に来ていただく、あるいは日本から台北とかミャンマーとか、インドネシアに出向いて、10回の研修を行いました。31の国から延べ267名の方に参加いただきました。実際これは参加希望者はもっと多かったのですが、ちょっとキャパシティーの関係で絞らざるを得なかったということで、大変、海外からも高く評価されている証左ではないかと思っております。受講者全てから総合評価3以上の評価を頂いております。さらに、客観的なところでも、昨年度は、これまで医薬品の分野についてはAPECという、アジア太平洋地域の会合において、優良研修センターとして認めていただいたのですが、昨年度、今年2月に新たに医療機器分野においてもパイロット認定をしていただいたということで、これも評価が高いことの証左なのかと思っております。
 18ページは多国間の規制調和活動です。先ほど別の項目でも触れましたが、ホライゾン・スキャニングの方法論の分析ということで、日本が国際的に指導をしてやっているプロジェクトです。それについて全体の議論を指導して、報告書を3月に取りまとめたところです。これは非常にサイエンスレベルが高くなくてはできない実績だと思っておりまして、そういう意味でも国際的にも評価されることであると思っています。あと2国間の取組についても、我々としては規制調和、最終的には日本で承認したものについては日本の審査結果を活用して、その国で簡略な審査で承認を頂くというところを目指して取り組んでおりますが、2国間で信頼関係を醸成するというところについても、いろいろなシンポジウム等を開催して成果が上がっていますし、昨年度も医薬品関係でインド、機器関係でオーストラリアが新たに日本の審査結果を参照するという形になっております。19ページ、その他の実績としては、審査報告書の英訳、これは先ほどの規制調和を進めていく上でも重要ですが、目標値の40件を達成しております。以上、これは定性的な部分が中心になりますので、ちょっとうまく伝えられていない所もあって申し訳ないのですが、大変国際的にも高く評価されており、いわゆるワールドワイドというか、世界的にみてもチャレンジングな取組があり、ホライゾン・スキャニングのところについても報告書を取りまとめるところまで行ったということについては、かなり高い成果があったと思っておりまして、A評価としております。
 次が、大変申し訳ない所ですが、C評価の部分になります。目標管理による業務運営、マネジメントです。これは一昨年も不祥事案が続いたこともありまして、C評価ということにしまして、昨年度こそは評価をBに戻そうということで組織を上げて取り組んでまいりましたが、資料4の最終ページ、74ページになります。昨年度も、2つ事案があります。このうち特に後者の、不適切な兼業を行った職員への懲戒処分については、国際部門に所属している係長級の職員が就業規則違反の兼業、これは具体的には翻訳の請負を無断でやっていた。更にそれに加えて、製薬企業にコンサルティングを行う会社から個別に請け負って仕事をしていたことが分かりました。この職員については懲戒解雇という処分をいたしましたが、PMDAは非常に業務の中立性、公正性が求められる機関でもありますし、この部分については設立時にもいろいろ議論があったところで、こういう事案を起こしたことは大変重く受け止めなければならないということで、C評価とさせていただいております。
 21ページ、この間一昨年から書類をなくすとか、支払いのミスとかいろいろありました。それを受けまして、ここに書いてあるような取組を進めてきております。特にリスク管理全般で言いますと、4月に新理事長に藤原が就任しまして、これまでどちらかというと既に起きた事案に対する対策を中心に対応していたのですが、組識のリスク要因を俯瞰してみて、全体最適な観点からPDCAサイクルが機能するリスク管理対策の見直しの検討をすべきではないかということで、この検討を既に開始しているところです。そのほか今回の不適切な兼業の事案の関係の取組、それから文書管理の徹底の所については、トレーサビリティーの関係もありますが、併せて文書が紙であるからなくなるというところもありますので、電子化の推進についても取り組んでまいっているところです。もう1つは、ミスを防ぐためにはシステム化できるところはシステム化するというところが必要だと思っておりまして、今年度から更に業務システムの見直作業をスタートしており、単なる個別システムだけではなく、全体最適な観点からシステム、あるいは業務のフローを見直して、効率化、あとはミスの少ない体制をつくっていきたいと思っております。
 最後に25ページ、人事に関する事項です。PMDAは先ほども総務課長から御指摘がありましたが、人材の確保というのが組織のパフォーマンスに影響しますので、リクルーティングも含めて対応し、今年4月、製薬企業等々と競合が厳しい中で、44名を採用し、あとは今後採用が決まっているのが12名いるという状況です。あとしっかり職員一人一人が成長をしていくために、人事評価制度の在り方についても見直すべきではないかという議論がありまして、昨年度1年間掛けて、評価の検討を行い、新たに人事評価制度を構築し、この4月からスタートしているところです。
職員のサイエンスレベルの向上のための支援策もいろいろ取り組んでおりまして、併せて当機構は女性の職員、若い職員が非常に多い職場でもありますので、働きやすい職場づくりということで、フレックスタイムを昨年5月にスタートいたしました。テレワークについてもこの7月から試行を行っていますが、昨年度来いろいろ検討をしてきたというところです。情報セキュリティについても効率的なシステムということで、今いろいろな対応をしております。これについては目標を達成していると考えまして、一応B評価としております。私からは以上です。
 
○真野主査
 それでは、議論に入っていきたいと思います。今の御説明に対して、御意見、御質問があればお願いいたします。
 
○河村構成員
 去年も申し上げたかもしれませんが、私も総務省の政独委の頃からPMDAさんの話をいろいろと伺う機会があって、当時は審査の期間の短縮で、欧米に追い付け追い付けという感じでやっていらしたのが、今はもうこれだけの実績になられて、だけど、それがなぜできたかと言うと、これだけ組織が、先ほど人員のグラフがありましたが、急激に大きくなってやってこられて、それでいろいろな項目を伺っていますと、本当に次から次へと、1つの目標を達成されると次から次へと高い目標がどんどん出てきて、MID-NETもできてスタートすれば、また次の目標があって、国際化のところもそうですし、ホライゾン・スキャニングの話も出てきますし、どんどん次から次へと目標が高くなっていくのを、常に追い駆けて、すごく高いパフォーマンスを挙げていらっしゃるのではないかという感じで話を伺っておりました。
 細かいところを幾つかお尋ねしたいところがあります。1つ目は、今回、医療機器のところで昨年度のA評価からSに上げられた10ページ、11ページの御説明を頂いたところです。なかなか総務省のほうで、政府全体で考えている指針上も、Sを付けるというのはなかなか大変なところがあると思うのですが、定量目標については達成の度合いというのはここにお書きくださったとおりで、高い数字で達成されていると思いますし、あと定性的な判断というか、そういうところが必要という辺りなのですが、先ほどの御説明ですと、例の内視鏡のところですよね。AIを搭載したプログラムを承認なされたということで、今までにはなかったようなものについても、審査ができてというようなことをお話されていましたが、その辺りについて、もう少し突っ込んで御説明いただければというのが1か所です。
 もう1つがMID-NETのところです。これも1年前から稼働されてということで、いろいろ進めていらっしゃるということなのですが、利活用のところでお尋ねしたいのですが、14ページに行政の利活用の調査が33調査、製薬企業は2品目、その他企業、アカデミアの利活用は2調査ということですが、大体これはスタートの年としては、このようなものなのでしょうか。今後、要するにこのままうまく回っていくためには、こういった辺りがもう少し増えないといけないことになるのかという感じもしますが、その辺りはどう見ていらっしゃるのか、利活用が更に進んいでいく見通しというのはお持ちになっているのか、その2点からお尋ねさせていただければと思います。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(矢守)
 まず、AIを搭載した内視鏡に関してですが、資料4の25ページを御覧ください。これはAIを搭載した内視鏡画像診断支援プログラムの例を示しています。この写真にございますように、こういった腫瘍を目視で見つけるかわりに、AIによって見つけるわけですが、ここのページの左下に臨床性能試験の結果が示されています。
 例えば一番上の正診率というのを見ていただきますと、非専門医がやった場合には69%の正診率のところが、この機器を使いますと98%正診率が得られるということです。これがオールマイティとは申しませんが、診断の支援システムとしては、かなり強力なものになると考えます。AIを搭載した医療機器として、これは、初めて承認をしたものです。
 それから、もう1点ですが、この前のページの24ページを御覧ください。これは、体外診断薬として、有効な抗がん剤を選別する遺伝子パネルです。特定の遺伝子異常がある場合に、こういう薬が効くという予測をするコンパニオン診断ですね。然るべき患者に然るべき薬を使うための手段として、次世代シークェンサーを使った先進的システムで、複数の遺伝子異常を一挙に解析するというシステムです。これは先駆けに指定した品目で、今回承認をしたものです。こういったイノベーティブなものを積極的に医療現場に送り出せるように、PMDAは努力しているということを御理解いただければと思います。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(林)
 2点目に御質問いただきましたMID-NETの利用の状況ですが、現状は行政利活用が35調査、製薬企業3品目、その他企業やアカデミアの利活用が2調査ということで、ちょっと事前に見込んでいたよりは少ないと感じる部分もありますが、実際に本稼働を開始したのが昨年の4月からですので、今後、MID-MNETのこれまでの試行的利活用の成果の公表等を更に進めていきたいと思います。また、使い勝手のよさをもっとアピールしていかないといけないということも考えておりまして、企業を対象としたアンケートとか、利活用していただく方の意見も踏まえて、手続の見直しやパンフレットの作成を行うほか、今年中にシンポジウムを開催して、これまでの成果やMID-NETの特徴について、一層活用が進むように周知活動を充実していきたいと考えています。
 
○河村構成員
 利活用していただく先からフィーみたいなものを頂くのですよね。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(林)
 そうです。
 
○河村構成員
 お金の話で恐縮ですが、どのぐらいの利用があれば、これが将来的に回っていくのかが心配な気もしておりまして、スタートしたらこのぐらいで、このまま徐々に増えていけば、MID-NETがこれから回っていく上で、そんなにコスト面では問題はないという感じですか。それとも、もっと増えないと回らないという感じなのでしょうか。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(林)
 やはり、更に増えていかないと、回らないという感じです。
 
○河村構成員
 ああ、そうですか。ペースはそれなりに上がらないと、という感じですね。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(林)
 はい。
 
○真野主査
 去年でしたか、MID-NETの費用が高いみたいな話があったのですが、結局幾らぐらいでというのは、当初の議論と同じ値段ですか。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(林)
 現状は当初と同じ値段です。ただ、その辺りの費用の構成などは現在検討しておりまして、もちろん私どもだけでそれができるわけではなくて、厚生労働省とも相談しながら、安定的に維持していけるような体系の在り方というものを、今後も検討していきたいと考えています。
 
○真野主査
 当たり前だけれど、安ければたくさん来るかもしれないけれども、高いと来ないかもしれないけれども、余り安いと今度は赤字になってしまうかもしれないということですね。
 
○橋田構成員
 その場合に、例えば1年間に新有効成分医薬品が開発されました。何品目もありますが、大体どのぐらいを目標に置いておられますか。MID-NETで申込みがあるような場合は。
 
○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
 MID-NETが使えるだろうというのが、大体年間に新薬は40品目ぐらい承認していますが、そのうちの15品目ぐらいになります。ただ、実際にその中でMID-NETを使っていただけるかどうかというのは、個々の判断になってきますので、それがせいぜいマックスの数字という感じかと思っています。
 
○橋田構成員
 それが1つの目標でもあるということですね。
 
○真野主査
 MID-NETは常に議論になりますから、ほかのことでもよろしいですし、何か補足があれば。
 
○石井構成員
 ほかの点ですが、資料2-1の8ページの所です。迅速な体制として、すごく皆さん頑張っていらっしゃると思います。すごく迅速にやっていらっしゃるのですが、こういった場合は迅速にするというのは、人を投入してやっていくのか、それともしっかりエデュケートされた方たちをそちらに投入するのかはどちらでしょうか。今非常にPMDAの人数が増えてきまして、そこもうまく回していかなければならないところだと思います。どのようにやっておられて、これが今順調なのかというところを御説明いただきたいと思います。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(矢守)
 リソースを増やすことと質を高めることの両方でやってきました。具体的には、グラフでお示ししましたが、PMDAは15年前に約200名でスタートして、今は900名以上になっています。その間、15年間かけて組織全体の審査に関するナレッジレベルが上がってきており、かつ人数も増えてきています。現在審査担当職員が500人ぐらいいると思うのですが、創設時と比べ人数が増え、かつ組織全体の知識と経験が上がったという状況です。
 また、審査をきちんと進めていくための指令塔として、審査マネジメント部というものがございまして、ここにPegasusという進捗状況管理システムを導入したことで、品目ごとに、審査の進捗状況が俯瞰的に見られるようになっています。これを管理職が常に参照しながら、審査部門ごとに抱えている品目の進捗状況をチェックしています。
 それから、これから先にどういった品目がくるかについては、アンケート等によっていろいろと情報が得られているので、申請品目の波がどの辺でくるかが予測できます。
 そうしますと、それに対応した形で各審査部門がリソースの手当をする、あるいはリソースを融通し合うことで、少ないリソースを回しながら効率よく審査をすることができます。だんだんその辺のノウハウも確立してきているというところです。
 
○石井構成員
 もう1つですが、私どもは薬学部のある学部にいますと、PMDAは学生に非常に人気の職場です。特に、女性にとても人気の職場です。やはりそうすると結婚、出産といった点で、上手に育休、産休を取りながら、お示しくださった業務を回しておられることについては、私などはむしろ習いたいようなところがあります。是非そういった高い技術とかスキルや知識を持ちながら、うまく両立ができるというお手本を示していただくと、周りに非常にいいのではないかと考えます。そこをうまくやっておられる気がしますので、そういうことも示してくださると、もっと充実度が伝わるような気がします。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(矢守)
 まず、私からお答えします。今、PMDAの職員の男女比率は大体50%ずつです。女性が多い職場であるということは間違いないです。そういう環境でより働きやすい状況を作るために、ワークライフバランスというところで、職員の声をいろいろと拾い上げるということをやっています。そこで出てきた要求に対して、できるだけ応えられるようなことを皆でディスカッションしながら進めていくと。
 ただ、おっしゃるように、これは決して簡単なことではなくて、産休、育休というのは、私どもの組織が抱えている非常に大きなマネジメント上の課題です。既に克服できたわけではなく、これをいかに克服していくかは、PMDAの現在進行形の課題です。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(末岡)
 審査担当理事から説明がありましたが、総務担当としましても、御指摘いただいた人材確保という面で、ワークライフバランスの推進は大変重要だと考えており、また、職員のスキルアップを継続して進めていくということが大変重要だと考えています。そこで先ほどの資料2-1の25ページの下の方を御覧いただきますと、人事に関する事項ということで、職員のスキルアップについての取組やワークライフバランスを推進するための具体的な方策として、フレックスタイム制の導入、テレワークの試行を目指した検討を実施してきたという状況です。
 
○石井構成員
 具体的にテレワークの試行というのはいかがでしょうか。私たちは医療現場におりますので、なかなか想像はしにくいので、何か分かりやすい結果などがあれば、試行の部分をお伝えいただけると。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(末岡)
 テレワークの試行については、どういった業務がテレワークになり得るのかということについて、昨年ぐらいから検討してきたところですが、この7月1日から各部局において試行を開始したところです。その中でも、特に子育てといったような事情をお持ちの方については、積極的に参加していただいて試行を進めながら、今後その成果について改めて精査をしていきたいという状況です。
 
○真野主査
 人の話も常に議論に出るところで、どなたかにお聞きしたのですが、今も言われましたが、薬系には割と人気があるという話はよく聞くのですが、工学部系とか医学部系ではどうでしょうか、前に近藤理事長もいろいろと言われておりましたが、最近は様子が変わりましたか。採りやすくなったとか採りにくくなったとか。
 
○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
 採用の関係で申し上げますと、やはり薬学部の方が引き続き多いのですが、臨床工学ですとか、工学系の方もだんだん増えてきている印象になっています。MDの方は、現状でうちの組織には60名強おられまして、スタートしたときに比べるとかなり数も増えてきていますし、やはりPMDAにおいて臨床研究とか、そういう部分の規制を学びたいということで、むしろ医療機関側から積極的にPMDAのほうに派遣を頂いているということもあります。そういう意味では組織の中の様々な専門性バリエーションというのは、発足したときに比べるとかなり広がっていると言えると思います。
 
○真野主査
 医療機関からの派遣というのは、大学ではなくて病院から派遣されるケースもあるのですか。
 
○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
 大学もございますし、病院からもございます。
 
○真野主査
 そうですか。それはすばらしいですね。ほかはどうでしょうか。
 
○河村構成員
 御説明くださった評価項目2-1のCの付いた所と、今も少しお話に出ていた評価項目4-1の人事運営を絡めてお尋ねしたいと思います。2-1の所は御説明くださったようにいろいろと事案が出てしまったと。去年もいろいろ課題があって、急激に大きくなった組織なので、こういういろいろな問題が出てくるのは、そういうこともあるかなという感じがしますけれども、いろいろと厳しく考えていかなければいけないということに変わりはなくて、C評価というように自己評価をお付けになられているのも妥当であるというように思います。
 大事なのは今後のほうだと思っています。ただ、思いますに、PMDAさんのように非常に専門性の高い職場で、人の出入りがあることも想定されているわけですよね。国のほかの役所などを見ても、例えば公平中立性が求められるような審査をするような職場で、専門性が高くて、それを新卒から採用して、ずっと終身雇用というのも変ですが、ずっと長く勤める中で公平中立な、行政マンと言うと独法と違うのかもしれませんが、養成してというのとはちょっと違う組織の立て付けになっているのではないか。そういう職場の中で柔軟な人事管理が求められていて、それが恐らく今の話にもありましたが、多くの人が働き続けやすくなり、能力を出しやすくなり、それで結果的にPMDA全体としてのパフォーマンスを上げることにつながるとは思うのですが、柔軟なことの一方で、公平性が求められる、それから民間とか製薬会社との関係で、きちんと襟を正していかなければいけないような人事管理が求められる。それをどう両立させるかというのは実はすごく難しい課題なのではないかと。ほかの役所を見ても、役所との比較は余りよくないのかもしれませんが、こういう組織というのは余りないのではないかと思うのです。そこら辺をどう把握していかれようとしているのか。柔軟にするのはいいのだけれども、柔軟でも押さえるべきところは押さえなければいけない。
 私などは、ただの文系の人間にすぎませんが、こういう職場なので20年以上業績評価の年俸制の、裁量労働制ですから、労働時間の制約はないのですが、だけれどもログなどの把握は全部ガッチリとやられる中で生きてきてはいるのですが、それで別に審査うんぬんとかに関わる仕事ではないので、うちの会社などはたいしたことはないのですが、いろいろなリスクが業務運営上はあるので、そういうところに引っ掛かることがないようにというのは、いろいろなチェックはそれなりに受けるようなことでもあるのです。
 PMDAさんの場合は全然次元が違うと言うか、扱っている仕事を社会的に見たときに、きちんとした立場でやらなければいけないというところを、どう組織の運営上と言うか、人事運営上担保していかれるかといったところ、そこは余りほかに例がないことなのかなという気もするのですが、新たに講じられて、ガッチリやっていかれないと、なかなかこういういろいろな事例というのが押さえきれないと言うか、特にこれだけ急激に人の数も増やしてやっている組織だと思いますので、そこを変えていかないとなかなか大変でいらっしゃるのではないかなという気もしますが、その辺のお考えについては、どのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。
 
○医薬品医療機器総合機構理事長
 病院の運営からこちらに来たのですが、病院は中立公正性というのは間違いなくて、患者に差別はせずに運用しているのです。病院の中には、医師をはじめ、看護師も薬剤師も検査技士も、それ以外に事務職も様々な職種がいるので、運営の方式としてはPMDAに非常によく似ています。
 その中でどうやってガバナンスをしているかというと、まずは組織の管理を、ちゃんとラインを作って、それぞれの責任をはっきりさせてやっていくというのが第一だと思うのです。私は病院方式を導入したいと思っています。
 昨今、リスク管理は病院では非常に厳しく要求されていますが、ヒヤリハットなど、広いサーベイをして、どこにリスク要因があるかというのを常に見ているわけですし、管理職もヒエラルキーをきちんとして、一番参考になるのは病棟だと思いますけれども、看護師の頂点に看護師長がいて、師長と担当の病棟の医長とか課長が常にコミュニケーションを取りながら、看護師が常に20人、30人が1つの病棟で働いていますから、そこの中からの情報を吸い上げて、リスクを未然に検出して、それに病院として対応していくというのが、大体どこの病院もやっているのです。それを参考にしながら、PMDAもやっていこうと思っています。
 整理すれば、私が来たときに思ったのは、管理職もたくさん階層があるのですが、今一つ管理職それぞれの役割がはっきりしていないのと、管理職自身がどこまで責任を持っているかというのを自分で自覚していないようなイメージを持ちましたので、そこは改めて考え直してもらって、それぞれがどういうパフォーマンスで、自分がどういう責任を持って仕事をしているのかというのを自覚してもらった上で、仕事をこれからやっていこうかなというようには話をしてあります。
 それから、あとは風通しのよさですね。私がPMDAに来て思ったのが、真面目な人が多いのですが、気軽に上司とか同僚に自分の悩みを話せるかというところに関して、まだまだ限界のところもあるような感じで、真面目な上に、自分でため込んでしまうような気配も感じるところもあるので、そこをどう風通しよく、自分たちのそれぞれの現場で抱えている悩みなどを検出してあげて、それに対応していくかということを、上司がそれぞれの段階で、課長も部長も審議役、今日来ている理事クラスも考えてくれという話をしています。
 さっき稲川も申しましたが、ヒューマンエラーが過去に多いのです。ヒューマンエラーはどうしても、ヒヤリハットだけでは対応できないので、ITシステムはきちんと導入しないといけないと。ただ、PMDAの予算を見ると、なかなか大型の黒字というのは期待できないような組織ですね。運営費交付金と企業からの拠出金だけでやっていますから。そういう中で、どれだけITに投資できるかというところは、非常に難しいところもありますが、過去の中期計画、それから次の4期の中期計画を見ても、一応ITシステムに投資は、これから5年で140億ぐらいかな、結構積んであるのです。そういうものを使いながら、ITの整備、特に私が来て問題だと思ったのは、いろいろな部門のシステムが結構細分化されていて、横の統一が取れてないところもあるので、それをきちんと合理的にコンバインして、1つのシステムとして運用していけば、もう少しヒューマンエラーを減らすことができるだろうと。そうすると、少ない人員で頑張っている現場の業務をITに入れ替えて、ヒューマンエラーを減らすような仕組みになるんじゃないかと思っています。ITのところと、風通しのよさと、個々の責任をもう少しそれぞれのところで中間管理職を含めて自覚してもらう。このようなところで対応しようかなと思っていますが、来年にその成果が分かるわけなので、もう少し待っていただければと思います。
 
○河村構成員
 ありがとうございます。理事長が最初におっしゃった中間管理職の個々の責任うんぬんということで、そこも大事かなと。御説明くださった問題があった事例で、不適切な兼業が表れた方なども、最初は勤務管理などでいろいろと問題がなくはなかったのに、未然に防ぐことができなかったという話を伺ったこともあって、そういった辺りを当該の上司が見過ごしてしまったのかどうか。それを会社として、人事部門とかで勤務などはある程度パソコンのログなどでいろいろと出てくるところもあると思いますし、おかしくないかというのはチェックできるのではないかと。そういったところの体制がどうなっていたのかなという感じもしますし、専門的な、本当に各分野の専門家の方がたくさんいらっしゃる組織なのだろうなというように想像しますけれども、そこをどう組織として把握していかれるかというのも、必要なのかなという感じもいたしました。ありがとうございました。
 
○真野主査
 ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。それでは次に行きたいと思います。先ほど重点ということでいろいろ議論させていただいたのですが、今回説明がなかったような項目とか、あるいは年度評価全般に関して何か御意見ございますか。よろしいですか。
 それでは次に移りたいと思います。次は、中期目標の期間実績評価に係る意見ということです。中期目標期間実績評価に関して法人所管課としては見込評価の活用はしないと、伺っております。そこで、法人から見込評価と比べて実績に変化があった項目を中心に、複数ある可能性もあると思いますが、その場合は重要度、難易度が高いとされている項目を優先的に業務実績及び自己評価の御説明をお願いしたいと思います。
 
○医薬品医療機器総合機構上席審議役
 それでは資料3-1を使いまして御説明をいたします。2ページ、一番右側に見込評価がございます。昨年度頂いた見込評価、最終的な評価についての自己評価です。これについては基本的には見込評価どおりにしておりますが、2-1については今年度Cということですと、Cなのかなと思っており、そこだけ変わった形になっております。
 簡単に御説明いたしますと、3ページ目が救済です。この5年間、6か月以内に処理した件数を60%以上にするということで取り組んでまいりました。5年間続けて60%は達成したということもあります。あと、この5年間は、特に平成28年度をピークにHPVの症例もかなり処理をしましたが、そういう中で達成したということで、当初の目的は達成したのではないかということでBにしております。
 5ページが審査の関係です。長くなりますが、各項目について5年間の達成の数値を書いております。特に、新薬の関係で言いますと、先ほど御説明いたしましたが平成26年から28年までは世界最速であったということ。平成29年、平成30年も最速レベルです。中期年度計画の目標の達成率についても、大きく120%、もしくはそれを超える達成率で達成をしています。6ページにも一部書いていますが、医学的にも幾つか大変話題になりましたものも含め、承認をすることができたこともあり、ここについては仮に、今年度S評価を頂けるとしたら、5年間の評価結果としてもSということで自己評価をしたということです。
 医療機器の関係が7ページです。年度単位に見ますと幾つか100を切っているところもあるのですが、昨年度は非常に高い水準の目標を達成したこともあり、総じて見ますと達成率は120%を超えているところも結構あります。8ページ、それ以外です。先ほど理事の矢守が説明した重要品目に加え、再生医療等製品についてもこの5年間で、ここにある5品目を含む7品目を承認しました。平成26年度に施行された新しい再生医療等製品の制度の下でこういう形で実績を上げたということです。それ以外にも国際的な場でも、様々な案件について我々の主導で検討したということで、これについてはAとしております。
 資料概要の公表までの期間については、一部達成度100%を割っているところもありますが、平成30年度については達成度100%です。先ほど説明しましたイノベーション実用化支援相談の数、レギュラトリーサイエンスセンターを設置して、科学委員会なども含め、先ほど説明したような成果も5年間では上がってきているということで、全体としてB評価としているところです。
 11ページ以降は安全対策の関係です。この5年間、MID-NETの整備に我々としては大変汗をかいてまいりまして、一口で言うのは難しいのですが、大変困難なプロジェクトであったわけです。平成30年度に利活用にこぎつけたところについては高く評価を頂けないかと思っております。それ以外にも、先ほど説明しました医薬関係者からの報告件数も着実に増えてきていることもあり、MID-NETについては、これから正に正念場ですが、この5年間についてはA評価と自己評価させていただいたということです。
 1-9情報提供についてはBということで、5年間でメディナビの登録件数も目標達成したこと、副作用、医薬品関係の情報も着実にホームページで提供したということで、目標を達成したということで、Bでいいのではないかと思っております。
それから国際化についても、先ほど説明しました成果が平成30年度に上がっておりますが、例えばアジアトレーニングセンターは平成28年度に立ち上げたこともあります。多国間、2国間でも、多国間の関係で言うと、一昨年の平成29年度には日本で薬事規制当局サミットも開催をして、成功を納めたこともありますので、そういうところも含めると、この5年間の取組としてはAということで自己評価をしております。
 それから2-1が昨年度の評価から変わっているところです。これについてはやはり平成29年度、平成30年度と最後の2年間にCが付いたことは、全体としての評価もCにせざるを得ないのではないかということです。先ほど理事長からも説明しましたような形で、この4期においてはガバナンスも含めた取組をしっかりやりまして、こういう評価を頂かないようにしたいとは思っております。
 最後に人事の関係です。この5年間で製薬企業とも競合しながら、300名以上の職員を採用しました。先ほども出ていたような職員の育成の関係の取組とか、人事評価制度の構築、働きやすい職場環境作りということで、先ほどのフレックスタイムの導入やテレワークの試行に加え、ここに書いておりませんが、平成27年度にかなり先進的な子育て支援の企業なども参考にして、ルールを手厚くしたこともありますので、そういうところも含めてBと評価しております。簡単ですが、以上でございます。
 
○真野主査
 御意見等いかがですか。今の話とは直接関係ないのかもしれないのですが、むしろこの前にも御説明あったのですが、例のFDAとか、ほかの審査機関との比較という話で、スピードの話は何回も聞いたのですが、質的な部分で、もちろん定量的な評価は難しいと思うのだけれども、何か質的なところの考え方の違いみたいな、オーストラリアとか、スイスとか、ほかにも比較を幾つかしていますね。何かそういう違いみたいなのは結構あるものなのですか。スピードはよく分かるのだけども、やはり質が大事なところもあるではないですか。だから、一般的に海外のそういう審査機関と比べて特徴というか、何かありますか。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(矢守)
 事例としては、同じ審査申請データを例えばFDA、EMA、PMDAでそれぞれ見て、結果が違うということがときにはあります。それはその国の事情として、例えば医療環境の違いとか、社会的な問題とか、いろいろな背景によるものと思います。例えば日本人のデータがないとか、民族性、地域性の問題とか、提出されたデータに依存して生じる判断の違いはあると思います。一方で、審査員の質の均一性も重要とおもわれます。これに関しては経験しか申し上げられませんが、PMDAは先ほど申しましたように15年でかなり進歩したと思います。初期の頃の申請者だった方で、今のPMDAのことも御存じという方々から、昔と比べると相談対応等が非常に良くなっている。つまり、人によって言うことが違うというようなことがなくなってきているという話を、漏れ聞くことがあります。
 各国おのおの審査については悩ましい課題があると思われますが、PMDAとしては、まず対象としている医療、イノベーションが非常に速いので、それをキャッチアップしながらやっていかなくてはいけないという悩みはあります。PMDAでは、科学委員会というものを作り、近々やって来るイノベーションの波として、目ぼしいものをあらかじめ学習して、審査体制を整えようという努力をやってきています。
 例えば、希少がんの医薬品開発をどう進めるのかとか、産業界とアカデミアの創薬に関する連携がなかなかうまく行かないのはどうしてかというような問題について議論して、レポートをまとめています。あるいは今AIが非常にポピュラーになってきていますが、3、4年前にこれからAIがやって来るだろうと予測し、科学委員会でAI搭載医療機器の審査上のポイントはどこかについて議論を行い、レポートにまとめ、PMDAの審査員に還元するということをやってきています。以上、ストレートなお答えにはなってないかもしれませんが、PMDAとして努力していることについて一端を述べさせていただきました。
 
○真野主査
 よくその3極ですが、たまたまこの論文の比較で、オーストリアとカナダとかスイスとか出て来ますが、そういうところとは別に交流はしてないわけですね。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(矢守)
 いや、交流はあります。
 
○真野主査
 予定とか、どうでしょうか。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(矢守)
 例えば、人材交流を他機関と行っています。例えば、スイスメディック等から短期派遣で人が来ることもあります。
 
○真野主査
 そういうこともあるわけですね。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(矢守)
 常時PMDAがやっていることとしては、EMAにリエゾンを1人継続的に派遣しています。それから、これは審査機関ではないですが、アメリカの薬局方の機関であるUSPへ1人、PMDAから継続的に派遣しています。逆に、FDAやEMAほか海外の規制当局からテンポラリーにPMDAに派遣されて、視察に見えることもあり、そういう意味での交流はあります。それから、審査に関してテレカンを使って、問題を共有することも、場合によってはあります。
 
○真野主査
 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。
 
○医薬品医療機器総合機構理事長
 私が赴任したときに、最初に職員にお願いしたのは質の評価、一番良いのは、私は国際誕生日と言って、世界で初めて承認を与えるというのが、一番難易度が高いというように考えているのです。これは2017年に『The New England Journal of Medicine』にレターを書いたのですが、日本のPMDAの審査スピードは世界一流になったのですと。FDAとEMAのデータを示して、エールとハーバードの先生が自慢気に諸説書いていたので、それは日本だって同じですよというふうにコメントしたのです。それに対して彼らが反駁したのは、例えば2009年から2014年の5年間で、世界で国際誕生日、その当時の日本のPMDAは5%くらいなのですね。まだまだ国際誕生日を与えられる規制当局というのは、FDAとEMAとPMDAしか多分ないのです。ほかのスイスメディックとか、TGAとか、カナダとかは世界で初めて承認するというのはなかなか、彼らのマンパワーと技術力からすると無理なのです。とにかくその3局の中で、審査スピードが今はもう世界一になっています。
 次は、世界で初めて承認を与えるものをもっと増やしましょうというふうにお願いしています。それが増えてくれば、非常に緊張感を持ってやらないといけないですし、余り拙速に審査すると、市販後の安全性で回収の問題とか出て来ては患者さんに非常に危害を与えてしまいますから、製販後の安全対策もガッチリやらないといけない。それから科学性も非常に高くして、審査も進めていかないといけないので、恐らく質を見るためには、世界で最初にどれだけの品目を世の中に出しているかというところが一番良いかなと、今の時点では思っています。
 
○真野主査
 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。結構時間もまだありますので。
 
○橋田構成員
 今の話ですけれども、正に日本が誕生日にというか、世界で最初にということであれば、それは非常に大事なことですし、緊張感を持ってということもそのとおりだと伺います。正にそれだけ質を非常に問題にされる面があると思いますので、これは要望ですが、特に今先駆けであっても、期限条件付きであっても動いていますので、そういったものに対する質という点では是非きっちりした、レベルの高いことをお願いしたいというふうに思っているということが1つです。
 もう1つは、アジアトレーニングセンターなどでいろいろなアクティビティをしておられますが、その場合はむしろアジアの中では日本がある種、あるいはPMDAがリーダー的役割を果たしておられるということで、よろしいのでしょうか。人材の育成ということも当然ありますし、同時に日本の審査等が、アジアで広くアクセスされるような形のいろいろな活動をしておられるのかと思いますが、その辺り御意見を伺えればお願いします。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(林)
 国際担当の理事の林です。アジアトレーニングセンターの活動ですが、これまで4年間やってきて、毎年約10種類のトレーニングセミナーを開催し、それを日本国内だけでなく、アジア諸国にも出向いて行っています。恐らくこのようなセミナーをこの頻度で恒常的に行っている規制当局はほかになく、FDAやEMAでもやっていないと思います。アジアというふうに名前は付いていますが、アジアに限らず、中南米やアフリカ、中東からも参加があります。そういう所との間で日本がこれまで取り組んできたことの成果をシェアし、それを自国に持ち帰って、自国の規制のレベルアップに生かしてもらうことを目指してやっております。ですので、そういう意味では日本が中心となって、アジア諸国のレベルアップに貢献していると御理解頂ければと思います。最近は、テーマによってはPMDAだけでなく、米国FDAから講師に来てもらったり、WHOが共催という形で加わったりということで、いろいろな機関とも協力しながらやっており、だんだんその活動の幅を広げていっているというのが現状でございます。
 それともう1点、日本が世界で初めて承認するような品目が出てくるようになっており、そのような品目には、迅速に承認することと引き替えに、製造販売後の調査を強化することが重要になります。実際に、私どもの取り組んでいる中でも、日本が世界に先駆けて安全対策を措置したケースも幾つか出てきておりますので、そういう点はこれからもしっかり力を入れてやっていきたいと思っております。
 
○真野主査
 今の後半の話で行くと、ちょっとバズワードっぽくなってしまっていますが、リアルワールドデータですね。そちらはMID-NETもちろんあると思うのですが、そのリアルワールドデータの活用というのは、あれはPMDAでと言うよりも、一般的にほかの所でやるという話になるのでしょうか。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(林)
 いえ、基本的にはPMDAが関わっています。MID-NETもそうですし、それからCIN、クリニカルイノベーションネットワークというレジストリーデータを使って、特に希少疾患等の場合はなかなか試験を実施するのは困難ということもあり、ヒストリカルデータをいろいろな安全対策とか、あるいは将来的には承認審査に活用できないかということで、そういったことの検討も今、PMDAで行っております。AMED研究班という形ですが、そういう場を使って取り組んでおりますので、それが成果としてまとまれば、リアルワールドデータの活用ということも、今後広がっていくと思います。
 
○真野主査
 勘違いもあるかもしれませんけれども、厚労省の資料なんか見ていると、さっきのいろいろなレジストリーが、希少疾患もありますし、PMDAのMID-NETも、並列でたくさんデータベースが出て来ているような感じも受けて。そういう意味でいくと、リアルワールドだから、それはたくさんのデータベースがあってもいいのかもしれませんが、何かちょっと統一が取れてないのかな、なんていうふうに思ってお聞きしたのですが。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(林)
 研究班の中では、今日本でどのようなリアルワールドデータベースがあるのかというところの調査もやっていただいておりますので、それも併せてどういうものがどういうことに活用できるのかといったことが、今後明らかにできるのではないかと思っています。
 
○真野主査
 楽しみにしています。ほかはいかがですか。
 
○石井構成員
 No2-1のところ、マネジメントのところなのですが、自己評価Cを付けられていらっしゃいます。先般から課題になっていますけれども、人数が増えればそれだけ何かイレギュラーなことを犯してしまう人の割合というか、確率は高くなってしまうのも仕方がないことかなとも思うのですが、これをもう少し具体的にどのような対策を立てているとか。私どもの病院も何かあったときに全員を集めて講義というのもやるのですが、なかなか個々の自覚に促すことができないということもありますので、何か具体的にやっていることを教えていただければと思います。

○医薬品医療機器総合機構理事(末岡)
 マネジメントの関係というのは、私どもにとって非常に重要と考えています。特に、業務の公正性・中立性を確保して、国民の信頼を得ていくということは私どもの業務の根幹をなすもので、このマネジメント部分については非常に重要と考えています。その上で、今御指摘頂いた点については、こういったリスク事案を起こさせないような仕組みをいかに改善していくかということが大事でございます。また、業務に携わる職員の意識を改革していく。こういった両面の取組を進めていくことが必要だと考えています。
 そういう意味では、私どもが今進めている事項については、個別具体的なこととしましては、お手元の資料4の72ページを御覧ください。72ページの資料の中ほどに、1.とあります。御指摘頂いた大規模な組織、「1,300人の組織にふさわしい意思決定、統制体制の構築」ということです。リスクマネジメントの強化ということで、研修を強化するということ、また、リスク事案検証・再発防止策の策定プロセスを改善するといった取組。先ほども少し話題になりましたがITを活用したIT統制、あるいはセキュリティ対策の実施といった事項について対応していくことにしており、また、職員の日々の意識について定期的にコンプライアンスに関する取組の重要性について、きっちり喚起を図っていくことを継続して実施しているところです。
 
○真野主査
 よろしいですか。
 
○石井構成員
 個々の意識を伝えるほうはいいのですが、受け取った側はきちんと受け取っているかというのはどういう確認をされていらっしゃいますか。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(末岡)
 各種の研修を実施したときには、その研修の理解度というのを確認するということで、職員に対して研修後その中身についての質問をした上で、それに対する正答率がどうだったか。あるいは、職員の研修について、未受講の者がいないかどうかということを常に点検しながら進めています。
 
○石井構成員
 ありがとうございます。
 
○真野主査
 その点に関して言うと、先ほど河村先生から御指摘がありましたが、PMDAみたいに専門性は高い職種が集まっている場合はターンオーバーと言いますか、平均在職年数というのは短くなりがちだと思うのですね。どれぐらいでしょうか、平均の在職年数ですね、入職されてから、要するに専門職が多いので。
 
○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
 データを取ったことがないので、また私ども組織も発足して10年ちょっとでございますので、まだちょっと一般の会社と比較できる状況にはなってないと思います。大体現状見ていますと、年間うちの職を離職される方が20人ぐらい、1,300人に対して20人ぐらいの割合で。また入って来られる方が40人強ぐらいというのは、ここ数年の傾向という感じです。
 
○真野主査
 私もイメージですけれども、医師にしても、薬学部系の人も、特に医師がそうなのですかね、さっきの話、医療機関から派遣されて戻るみたいな話もあるので、そうするとなかなかその組織ロイヤリティとか、組織文化を理解してもらうのは大変かなと思って、お聞きしているのです。
 
○医薬品医療機器総合機構理事長
 そこは細かい点で、これから多分僕が見て足りないなと思うものはコンピテンシーというか、自分の組織に対する愛をもう少し醸成しないといけないと思っています。そのためにはもう少し時間は掛かるだろう。あとは自分の職責、やっていることに対して誇りを与えてあげるということが、これまでやはり業務の期限に追われているところがあって誇りにまでいかないうちに、何か自分の目の前の仕事をやるだけで必死になってきたところはある。僕はなるべく彼ら、彼女らに伝えたいのは、皆さんがやっている仕事は素晴らしいのだと、お国のために勧迎されているのだと。裏方の仕事だけど、目に見えないかもしれないけれども、あなた方は誇りを持って仕事をして、人の命を預かっているのですよというところを、もう少しすり込む努力をしていきたいというふうには思っています。それは研修も然り、その後の小テストも然り、PMDAへの愛につなげたい。
 近藤前理事長が理念をしっかり植えられた、あれは非常によく書いてあるのですけれども、自分の腹にストンと落ちるようにもう少し管理職以下が話していかなければいけないだろうというふうには思っています。その一環としてこの22日から始めますが、1,300は多いと言われますけれども、そんなに私は多いとは思っていなく、企業は何万人もいるわけだし、病院でも1,500人、2,000人なんていうのはたくさんあります。私は、中間管理職以下の職員に関してなるべく個別面接を理事長1人でやろうかなと思っています。私の顔を覚えていない人が多いので、職場を歩いても、皆、誰、どこのおっさんなんてヒソヒソが多いので。私自己紹介をしたいので、まずはそういう人たちと会ってみたい。管理職の人たちは皆覚えましたけども、一般職員とか、非常勤の人たちが実際にどういうところが問題になっているのかという話を、個別に10分でも話を聞きながら、その中で、あなたの仕事は素晴らしいですよとか、我々の使命はこうですよとか、というのを直に話す。従前の体制でも理事長室に集まってもらったりとか、小集団を用いてやって来られたところはあるのですが、そこだけでもなかなか改善できてない。今は飲み会文化というのもありませんから、まずは個別に面談をしながらそういうのを少し、これから1年、半年くらいかけてやろうかと思っています。それをやって、コンピテンシーとか、自分たちの誇りを取り戻す所作をしたいなというふうには考えています。
 
○真野主査
 ありがとうございました。
 
○河村構成員
 先ほどの研修の理解度をどうするのかなというところですが、やはりコンプライアンスのところというのはきっちりやっていいことと、やっていけないこと。そして組織的に外からいろいろな誘惑が来るのは前提にしなくてはいけないと思うのですよね。先ほどの研究の話じゃないですが、やはりいろいろ情報も持っているだろうし、こういうのしませんかと余り良くない誘いが来るものなのかもしれませんから、それを前提に、でも、やっていけないことに、あるまじきことというのは誓約書とかはきちんと取る。毎年毎年その都度その都度確認してもらって誓約書みたいなものをきちんと書いてもらうとかは、それは普通の企業でもやったりすることでもあるのではないかと思います。
 あと心配なのは勤務の柔軟化もとても大事なのですが、テレワークの話もさっき出ていましたが、テレワークになったときに、一体どこのデータにアクセスできるようにするのか。それは、要するに職場を離れたところからでも、何でもアクセスできるようなことにすると、それはある意味、諸刃の何とかというか、やはりいろいろ危険も増すわけです。ですから、その柔軟性のところと、それからいろいろな意味での職場の管理というか、勤務の管理とかというところの両立のさせ方って、とても難しいのではないかなとは思うのですが、是非御検討頂ければ。
 規制当局として、真野主査がさっきおっしゃったような、決して勤務年数が必ずしも長いとは限らない。終身雇用みたいなのとは限らないというようなところで、余り多分ほかにないと思う。金融庁が最近少し下がっているのかも分かりませんが、でも、PMDAはそこまでは行ってない。とてもユニークなというか、独特の組織だと思いますので、是非そういう中でも、ではどういう組織文化をうまく作り、醸成していって、それを各職員の方に本当に腑に落ちる形で認識していただくかというところは、余りほかに例がない。とてもチャレンジングな取組なのかなと思いますが、是非そういったところもよく検討頂けるとありがたいかなと思います。
 
○名里構成員
 今、理事長さんの話のあとで、とても何かおこがましいのですが、共感したというか、本当に職員の方たちが素晴らしい仕事をしているのだということを何か感じにくそうに思うのです。早く仕事ができたら、それが本当にいいのかどうかというのも分かりにくいお仕事なのだなというふうに思っています。私の仕事の中でも、本当に突然何か大変な病気になって、お薬はできないのかというようなことをずっと待っているけど、どうもできなくてどんどん厳しくなっていくというような人たちと関わっているので、何でしょう、具体的にこういうふうに意味のある、とても大切な人のためになっている仕事なのだということが分かるようになるので、何か難しいのだろうなと思いながら、どのようにされていくのかも是非教えていただきたい。今後なのかもしれないですが、思いました。ありがとうございます。
 
○医薬品医療機器総合機構理事長
 私の前職は病院ですが、病院でも結構そういう試みはしていまして。例えば、製薬企業さんの研究所の職員を毎年何社かお迎えして、1日とか2日とか病院病棟とか外来とか入院とか手術とかを見てもらうのです。慣れた患者さんと少し話してもらったりすると、私、あの薬でこんなに良くなりました。あの手術でこんなに良くなりましたということを、直に話してくれる人って、結構いるのです。そういうのを聞くと、製薬企業の社員は、自分は今まで企業の中にいただけではそれが実感できなかったのが、たまたま自分の製品をこんなに使って良かったんですという話を直にされると、ものすごくテンションが上がるらしい。
 だから、そういう具体的な事例をそれぞれの職員に対して、例えば救済をやっている方々であれば、副作用があったけれども救済されて、少し落ち着きましたという事例が本当あるのですよとか。医薬品とか医療機器でも、この薬が世に出たために、こんなにたくさんの患者さんが、新聞記事とかよく出ていますね。そういうのでもちょっとずつでも紹介してあげて、お話してあげれば、多分実感するのだと思います。なかなか実感する機会というのは審査だけやっていると難しいので、そこは医療現場にいる人たち、あるいは医療現場から来た人たちがそういうのをどんどん還元されると、大分違うのではないかなと。過去そういうのをいろいろやって来ましたので、それをまた個別にやってあげればいいかと、今は思っています。
 
○真野主査
 ほかはどうでしょうか。大体よろしいでしょうか。それでは、少しペースが速いのですが、始めたのも早かったということもありますが、次に移ります。今も大分、幅広に議論してしまったのですが、中期目標期間の実績評価に関して、先ほど説明がなかった項目について、要は全体について何か言い足りなかったことや確認したいことはございますか。全体で見ると2-1だけがBがCだったというお話ですし、それも理由がかなり明確なので、余り御意見はないでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、非常にサクサクと進んでおりますが、次は、法人理事長、監事からのヒアリングです。監事及び理事長から、年度中期目標期間における目標の達成状況を踏まえて、今後の法人の業務運営についてコメントを頂ければと思います。最初に、監事の方からお願いいたします。
 
○医薬品医療機器総合機構監事(寺林)
 こんにちは。この7月からPMDAで監事としてお世話になっている寺林と申します。どうぞよろしくお願いいたします。こちらが矢野でございます。
 
○医薬品医療機器総合機構監事(矢野)
 矢野と申します。よろしくお願いいたします。
 
○医薬品医療機器総合機構監事(寺林)
 PMDA平成30事業年度の監事監査報告をいたします。お手元の資料2-4は7ページからになっています。構成が大項目5つでございます。1ページが、大きな1として監査の方法及びその内容、1ページから5ページにかけて大きな2として監査結果を報告させていただいています。同じく5ページに大きな3で独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針等、過去の閣議決定において定められた監査事項についての意見、6ページが大きな4で過年度の監事監査における指摘事項に係る改善状況について、6ページ、7ページに大きな5番、是正又は改善が望まれる事項ということで、この大項目5つで7ページにわたって報告をさせていただいています。資料2-4に基づきまして私のほうから御報告させていただきますが、時間の関係もありますのでポイントを絞って御報告させていただきます。
 1ページ、大きな2の監査結果です。1.法令遵守状況及び中期目標達成状況ですが、中期目標につきましては先ほど御説明があったとおりです。また、各部門とも業務は法令等に従い、効果的かつ効率的に遂行されていることを御報告申し上げます。一方で、各部門ともに各々課題がございます。ただ、その課題は明確であり、オープンになっており、課題解決に向けて適切に対応されていることを報告いたします。
 2ページに行きまして下のほうです。2.PMDAの内部統制システムの整備とその運用状況ですが、理事長はPMDAの理念に基づき、組織を正しい方向へと導くべくリーダーシップを発揮しております。また、平成30年10月に制定された「PMDA行動基準」を役職員等へ浸透させるべく、あらゆる機会、先ほど新理事長からありました、本年度から始めます理事長による全員面談などもその1つですが、こういったあらゆる機会を有効に活用しているということも御報告いたします。
 また、先ほどちょっと話題になりました「PMDA組織基盤プロシーディングプロジェクト」ですが、これは経営企画部の設置を含めた組織改編やオフィス改革など多くの実績を上げました。現在も幾つかの重要な課題が挙がってきております。この課題はPMDAの将来に極めて重要な項目が複数あります。現在も議論、検討されておりますが、スケジュール感をしっかり持って着実に実行フェーズへと移ることを期待します。
 次、3ページ目のリスクの評価と対応です。リスク対応につきましても、リスク管理委員会を中心に適切に運営されております。また、先ほど説明がありましたけれども、着手しました潜在的なリスク、目に見えない潜在的なリスクも含めて高い目線で全体を俯瞰して行うリスクマネジメントの構築、そして、このPDCAをしっかり回すという体制への移行を望んでおります。この高い目線でのリスクマネジメントのPDCAも非常に重要だと思っておりますので、この体制への早期移行というのを私のほうでは強く望んでおります。
 3ページの3の統制活動、4ページ、4の情報と伝達、5のモニタリング体制、6のICTへの対応につきましても適切に運用されており、内部統制システムが全体的に適切に運用されていると認められます。ただ、一方で、重要書類の紛失や不適切な兼業等、重大リスク案件も再発していることから、具体的な再発防止策の徹底とともに、理事長からもお話がありましたヒューマンエラーを発生させないシステム、プロセスの構築をプロシーディングプロジェクトなどにより行うべきと考えております。
 こちらの件は6ページにあります、4の過年度の監事監査事項における指摘事項に係る改善状況と、5の是正又は改善が望まれる事項と重なり、繰り返しになりますが、今年度に入りまして既に具体的に決められた取組方針である1の文書管理テーマの取組、継続並びに電子化、2の不適正な兼業などの再発防止策、勤務不良者に対する監督の早期の対処ができる管理体制の強化、3の全体最適の観点から高い視点でのリスクマネジメントのPDCAの実現等を着実に実行するとともに、経営層自らの率先垂範により、PMDAの理念並びに行動基準の全役職員への徹底と、ヒューマンエラーを発生させないシステム、プロセスの構築を早期に実現させたいと思っております。インシデント、アクシデントが発生したときに「人を憎むな、プロセス見直せ」という言葉がありますが、是非ともこの精神でやっていただきたいと思っております。
 最後に、MID-NETの安定的な運営は社会的な意義も高く、また、同時にPMDAの経営にも大きなインパクトを与えるものであり、既に具体的な取組方針として6つが走っております。1として利用見込み状況の可視化、2が利活用の促進、3が競合データベースの理解、4が他拠点との連携等によるデータの拡充、5が安定した経営基盤の構築、6が計画的な事業運営などの取組方針が明確になっており、早期に安定運営となるよう、しっかりとしたマネジメントを期待している次第です。私からは以上です。

○真野主査
 ありがとうございました。かなり詳細にお話いただきましたが、何か御質問、御意見とかございますか。私からいいですか。監事さんに聞くべきかどうか分かりませんけれども、今、MID-NETがどうしても議論の中心になったりしたことがあったので、今、競合というお言葉がありましたが、MID-NETと同じことをやっている所はないのではないかと思いますけど、どういう意味合いで使われているのですか。
 
○医薬品医療機器総合機構監事(寺林)
 現場から上がってきているのですが、競合データベースの理解で商用データベースです。
 
○真野主査
 全く同じではないけれども、要はリアルワールドデータの、かつ、公的でないものが出てきている。そういう意味合いですか。
 
○医薬品医療機器総合機構監事(寺林)
 はい、そうです。MID-NETの特徴とか相違点、こういったものをしっかり勉強し、PRできるようにしましょうというのが課題の1つとして明確になっています。
 
○真野主査
 よく分かりました。ほかはよろしいですか。では、次に、理事長のほうからお願いいたします。
 
○医薬品医療機器総合機構理事長
 理事長の藤原でございます。今年の4月1日に来たので、まだ修業中の身ではございますけれども、この5年間を踏まえて次の5年間、PMDAがどういう方向性にあるべきかということで少しお話させていただきたいと思います。
 近藤前理事長に言われましたのは2点です。先ほどから話題になっているMID-NETのところで、MID-NETをいかに安定的に運用していく体制を作るかというところ、それから、国際化への対応です。アジアを引っ張るというよりも、アジアの人たちと一緒にアジアの国民の医薬品・医療機器や新しい医療技術のアクセスを改善する。この2点が、この次の5年間の主たる目標になるのではないかなと私は思っています。
 その中で、どういう点に注意していけばいいかというと、1つは、先ほど矢守理事も言及していましたけれども、レギュラトリーサイエンス、あるいはサイエンスの充実です。PMDAがもしカッティングエンジな審査をして、新しいイノベーションの療法を日本の医療にもたらすとすると、サイエンスが高くないと、それは危険な行為になりますから、そのサイエンスはこれまで以上に高めるということはしていきたい。そのためには、東大から新井教授に来ていただいたレギュラトリーサイエンスセンター、この役割は非常に大きいというふうに思っています。その中で私が最初に、そのレギュラトリーサイエンスセンターの人たち、新井先生にお願いしたのは、個別企業とか個別品目が分からないようにしっかり配慮した上で、そこで得られたいろいろな情報を海外の学術論文に発信してほしいと。新しい審査の手法であったり、新しい安全対策の手法であったり、そういうものを提案する論文を発信してほしいということをお願いしています。それをしないと、日本語でいくら書いても世界の人たちは気付きませんので、しかも臨床系の論文ですね。臨床医が、あるいは臨床現場にいる人たちが、医療者が見るような学術雑誌にどんどん発信してくれということをお願いしていますので、それによって職員のマインドも高まるだろうと思っています。
 さらに、レギュラトリーサイエンスが向上するためには、MID-NETの充実が非常に大事だと思っていまして、先ほど真野主査からも、リアルワールドエビデンス、リアルワールドデータのお話がありましたが、世界各国を見てみても、まだリアルエビデンスの薬事への活用というのは非常に少ない状況にあります。それはなぜかというと、診療情報の特に検査とか画像診断とかゲノムの情報は機械が測定しますから、それを集めるのは簡単なのですが、患者さんの声であったり、理学的所見で例えば皮膚の色であったり爪の色であったり、その人がどういうふうに感じているかをカルテには書きますけれども、そういう情報に関してのデータベースの集積が非常に危ういところがあって、EMAもFDAも全面的にリアルワールドエビデンスを薬事に取り入れることには逡巡しているところがあります。今年2月に初めてFDAがリアルワールドエビデンスを使った承認を出しましたけれども、あれもその当時のコミッショナーが、かなり前のめりになって承認の方向へいったということも聞いていますので、もう少し地に足を着けてそういう診療情報を、カルテの2号様式と言いますけれども、そういう所に書いてある情報を、いかに信頼性高く収集してデータベースに取り込んでいくかということが、今後、課題になるかなと思っています。
 現実問題として、私、ここへ来る前にAMEDのCIN事業ですね、先ほど林理事からもありましたけれども、日本のリアルエビデンスを総括するCIN事業のプログラムオフィサーをやっていましたので、問題点も大体把握していますし、それをどう活用するかということも、その当時はいろいろ思っていましたので、これを薬事に生かすようなことはしていこうと思っています。
 国際活動は、今日、何度もお話が出ていますアジアトレーニングセンターですね、この役割が非常に大きい。今年は先ほど林さんからも話がありましたけれども、WHO、FDAからも講師を迎えてやっていまして、対象はアジアに限らず南アメリカであったり、アフリカであったり様々な所から、今、来ています。大体、来ているのは30代前半の若い人たちなので、彼ら、彼女らが20年後、30年後、自分たちの国で中間管理職になる頃には、PMDAでこういうトレーニングを受けてよかったなという時代になる。そうなればPMDAがやっている薬事のやり方が世界、特にICHの内のヨーロッパとアメリカ以外の所はPMDAの手法を活用した体制になるのではないかと思って、そこはしっかり投資していこうと思っています。
もう1つ大事なのは、フェース・トゥ・フェースのミーティングが大事かなと思っています。メールでのやり取りが最近は流行っていますけれども、私、PMDAに赴任して最初に1か月やったのは、アジアの主な規制当局のトップと会うことと、世界の多くの規制当局のトップと会うことをやりましたけれども、顔を見て実際に肉声で話してみないと、どんな人かというのはなかなか分からないので、これは継続してやっていきながら、WHOで今、リライアンスという言葉が、この薬事の領域ではよく語られていますけれども、共に進んでいくためには、お互いの信頼感の醸成が非常に大事だということをWHOも言っていますし、私もそのとおりだと思うので、そういうアジアトレセンを通じたトレーニングとともに、トップ同士のつながり、あるいは職員同士がフェース・トゥ・フェースで会って、お互いを信頼してやっていくというICHのヒューマンの上での実現、人間的な実現ですね、これをやりたいな、やらなければいけないと思っています。
 過去、近藤先生がやられてきたそのときのいろいろな成果が、実際、この6月に2つ大きな事例として結実しました。1つは、5年以上前からやっている日本薬局方をタイがそのまま認めるということを、タイがようやく決めてくれました。そうすると日本の製品を輸出する際に非常に製薬企業ととってはメリットがあるらしくて、この薬局方をタイのFDAが認めてくれたということは、過去、PMDAが長らくやってきた事業が結実したのだと思います。インドネシアも、この6月に確か、日本のPMDAが承認した品目であれば簡略的に向こうで審査をして承認しますということを官報の上で明示してくれましたので、それも大きなこれまでの成果だと思います。それを今から東南アジアとかインドも含めてかもしれませんが、やっていかなければいけないなと考えています。
 最後に、組織ガバナンスは途中で述べさせていただきましたので、皆さん方の懸念は私と同じ懸念ですが、働けば働くだけ追い込まれている職員ではいけないなというのがあります。その声をどうやって耳を済まして聞いてあげるかというのが今後の課題ですし、組織規定とか教育・研修だけではそういうものは改善してこないので、風土の改善をどうやっていくかということを理事の人たちと、あるいは中間管理職の人たちともこれから考えて、来年度以降に関してはビーングが取れるようにやっていかなければいけないと思っています。
 最後は、この4期の中期計画、結構、厳しいハードルが与えられていますけれども、それをいかに財政的に赤にならずに維持していくかというところが、中長期的には大きな課題だと私も思っていますので、診療報酬で金を儲けるような組織ではないPMDAがどうやっていくかというところは、治験相談の件数を増やすとか審査の件数が増えないと収入は増えてきませんので、そのためには製薬企業がPMDAに行きたいと思う。あるいはアカデミアの人たちがPMDAに相談したいと思われるような環境が大事ですから、サイエンスあるいは国際化にしっかり対応し、件数が増えて安定的な経営ができる体制の構築を更に進めていきたいと思っています。以上です。
 
○真野主査
 ありがとうございました。何か御質問とかございますか。新理事長になられて期待もいろいろございますし、一丸となっていろいろやっていただけるのかなと思っております。そういう意味もあってか、いつもより質問が少なくてちょっと早目に終わりそうですが、今後への期待だということで次に移りますけれども、一応、議事はこれで終わりということになります。最後に、今後の流れについて事務局からお願いします。
 
○政策評価官室長補佐
 今後の流れについて御連絡いたします。本日、御議論いただきました医薬品医療機器総合機構の平成30年度業務実績評価並びに中期目標期間実績評価につきましては、この後、本ワーキンググループにおける御意見や、法人の監事及び理事長のコメント等を踏まえまして、厚生労働大臣による評価を決定いたしまして、法人及び独立行政法人評価制度委員会に通知しますとともに公表いたします。決定しましたそれぞれの内容につきましては、後日、構成員の皆様にお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。最後に、構成員の皆様におかれましては、本日、配布した資料の送付を御希望される場合には、机上にそのままにして御退席いただきますよう、お願いいたします。事務局から以上です。
 
○真野主査
 ありがとうございました。それでは、本日はこれで終了させていただきます。長時間、ありがとうございました。
(了)