2019年8月5日 独立行政法人評価に関する有識者会議 地域医療機能推進WG(第6回) 議事録

日時

令和元年8月5日(月)14:55~16:47

場所

中央労働委員会講堂(7階)

出席者

福井主査、大西構成員、柿崎構成員、亀岡構成員、河村構成員、坂井構成員

議事

 
 
○福井主査
 全員おそろいのようですので、ただいまから第6回独立行政法人評価に関する有識者会議地域医療機能推進WGを開催します。構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、また外に出れば病気になるんじゃないかと思われるような暑さの中、お出掛けいただきありがとうございます。
本日は押淵構成員が御欠席です。議事に入ります前に新任の構成員を御紹介させていただきます。本日はたまたま御都合により御欠席ということになりましたが、4月1日付けで認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOMLの山口育子理事長に、構成員として御就任いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、本日の議事について事務局から説明をお願いします。
 
○政策評価官室長補佐
 政策評価官室長補佐の加藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、本日の議事について説明します。初めに、議事次第にあります参考資料1~9に関しては、お手元のタブレットに収納してありますので、そちらを御覧ください。画面がスリープ状態になっている場合は、右上の電源ボタンを軽く指で押してください。
 本日は、「地域医療機能推進機構」について、「平成30年度業務実績評価」及び「中期目標期間実績評価」に係る意見聴取を行うこととなっています。御意見を頂くに当たり、今年は、3月12日付けで総務省における「目標・評価の両指針」の改定が行われておりますので、その中で、評価の枠組みに関わる事項について簡単に説明します。評価指針においては、「年度評価」について、「当該目標期間中の各年度において、中期目標の着実な達成を確保する上で支障となると考えられるものなどの業務運営上の課題を的確に抽出できることが重要である」との考え方から、評価書作成に当たり、「事務事業の特性や目標の内容、目標の重要性等、目標・計画の達成状況に応じて、重点化して評価を行う」こととされたところです。この「重点化」については、「目標期間終了時における目標達成の上で重要なもののみ従来の単位・精度で評価を行うこととする一方、それ以外の項目については、簡素・効率的な評価となるような工夫を促すことにより、評価にメリハリをつけようとするもの」と評価指針において示されております。その上で、重要度又は難易度が高いと設定している目標については、必ず重点化の対象とすることとされています。
 なお、改定後の評定基準の適用時期については、改定後の指針に基づいた新目標期間の開始時からとなりますので、当面の間、従来どおりとなっております。その考え方は、改定後の目標指針の下で目標を策定して以降の評価について、改定後の評定ルールを適用することになります。地域医療機能推進機構の場合は、今年度からの目標の次の目標期間の開始年度の翌年度、すなわち令和7年度に実施される年度評価からとなります。また、「中期目標期間実績評価」においては、「見込評価時に使用した中期目標期間終了時の実績見込みと実績との間に大幅な乖離がなく、かつ考慮が必要な状況変化もない場合には、数値の更新等必要な修正を行った上で、見込評価を活用することができる」とされたところです。
 これらの点を踏まえ、今年度のWGにおいては、「年度評価」において重点化の対象とする項目を中心に御意見を伺うこととしたいと考えております。そのため、初めに法人所管課室より、「重点化対象項目選定の考え方」を説明いただいた後、続けて法人から「重点化対象項目」の業務実績及び自己評価を説明の上、有識者の皆様から御意見、御質問を頂きたいと存じます。その際、「重点化」の趣旨を踏まえ、単に例えば「A」という評定が適切かというだけではなく、法人の取組の中で、中期目標の達成に向けて優良と思われる点や、逆に課題があると思われる点については、評定に直接影響しないような場合であっても、積極的に御指摘いただければ幸いです。重点化対象以外の項目については、法人からの説明は行いませんが、御意見がある場合には、議事の最後にまとめてお伺いすることとさせていただきます。
 次に、「中期目標期間実績評価」においては、法人より見込評価と比べて実績等に変化があった項目を中心に、複数ある場合には重要度、難易度が高いとしている項目を優先的に、業務実績及び自己評価を説明の上、有識者の皆様から御意見、御質問を頂きたいと存じます。それ以外の項目については、「年度評価」と同様に議事の最後にまとめてお伺いすることとさせていただきます。法人からの説明項目は、資料1の「地域医療機能推進機構評価項目一覧(年度評価・期間実績評価)」中の「網掛け」されているものとなります。
 議事の流れとしては、「年度評価」の各項目について一通り意見を頂いた後で、「中期目標期間実績評価」の意見をお伺いしますので、「中期目標期間実績評価」における法人の説明につきましては、既に「年度評価」で説明した内容は極力省略の上、御説明のほどよろしくお願いいたします。
 最後に、参考資料9ですが、若干御説明いたします。これは、平成29年度の業務の実績に係る年度評価等について、A以上の評定の場合にその根拠が具体的に説明されているか等の観点から点検した結果を、総務省が整理したものです。こうした点検は、毎年度行われておりますが、今回、全体として著しく適正を欠く評価の実施と考えられるものはなかったとした上で、今後の評価のための参考例として別紙1、2が示されています。評定に十分な根拠があるかどうかは、本WGでも議論となる場合がありますが、総務省の側で考えられているレベル観として参考にしていただければと思います。なお、例年通り、各府省別の評定の状況も「参考」として示されておりますが、かつて問題となった「A」以上の割合について、前回の評価では、年度評価において高いほうから2番目であるものの、特に突出はしていない状況です。事務局からの説明は以上です。
 
○福井主査
 ありがとうございます。ただいまの事務局からの説明につきまして、何か御質問等ありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。できるだけ効率的にということで、いろいろな改革といいますか提案がなされておりますけれども、これにのっとって今回は行いたいと思います。もしないようでしたら、議事に入りたいと思います。最初に「平成30年度業務実績評価」に係る意見について、御議論いただきたいと思います。初めに法人所管課室から「重点化対象項目選定の考え方」について説明をお願いいたします。
 
○医政局医療経営支援課医療独立行政法人管理室長
 医療経営支援課です。それでは、資料1の評価項目一覧という資料を御覧いただければと思います。左側のほうに評価項目が並んでおり、右側のほうに重要度、難易度、重点化項目ということで並んでいる資料です。地域医療機能推進機構の評価項目については、重要度あるいは難易度がついている項目は、重点化項目として本日、法人側から説明していただくこととしております。具体的には、診療事業等や教育研修事業を中心として、地域のニーズを把握した医療提供等の重要性から、地域において必要とされる医療等の提供、良質かつ適切な医療を効率的に提供する観点から、質の高い医療の提供、地域包括ケアシステム構築の重要性から、高齢社会に対応した地域包括ケアの実施、質の高い医療従事者育成の観点から、教育研修事業、医療におけるICT化推進の重要性から、業務運営体制(IT化に関する事項)、さらに財務内容の改善に関する事項についても、重点化項目として位置付けているところです。説明は以上です。
 
○福井主査
 それでは続きまして、法人から「法人の業務概要」及び「重点化対象項目」の業務実績及び自己評価についての説明をお願いいたします。
 
○地域医療機能推進機構企画経営部長
 地域医療機能推進機構の山田と申します。説明に使う資料は、資料2-1になります。まず、平成30年度業務実績評価の説明です。この制度の仕組みとしましては、当機構の第1期の中期計画に書いたとおりに取り組むということで、中期計画を所与のものとして評価することになりますので、それに沿って自己評価をしたということになっております。
 まず、重点項目について説明ということですので、早速、説明に入りたいと思います。3ページから始まるのが評価項目1-1ということになります。こちらは診療事業ということで、自己評価をBとさせていただいております。中期目標の内容が3ページ、そして総括となります目標と実績との比較が4ページになります。時間が全部で15分ということですので、かなり説明を省略させていただきます。5ページから、1-1の具体的な実績ということで書いてあります。まず1つ目が、地域において必要とされる医療等の提供の中で、地域のニーズに対応した病床機能の見直しということがあります。その中で本日、説明いたしますのが、地域包括ケア病棟です。こちらは理事長がよく申しておりますが、7対1のベッドだけが病院ではないということもありまして、地域包括ケア病棟を作るということが地域のニーズにマッチしている所は作ってきたということになります。昨年度は平成29年度よりも4病院、合計106床増えた43病院で、地域包括ケア病棟を導入したという実績があります。
 6ページ、自治体と連携した移転建替えの推進というのがあります。こちらは定性的に評価せざるを得ない項目でありまして、総務省の指針では定量とかいいますけれども、1つの移転計画が2つになったとか、そういった無計画なことはあり得ませんので、定性的な評価というところですが、昨年度の実績としましては、さいたま北部医療センターにつきまして、平成31年3月に予定どおり開院したということがあります。昨年、平成29年度について説明を差し上げたときは、伊万里松浦病院につきまして、佐賀県から長崎県への移転という困難な目標を達成したということを説明申し上げましたが、昨年はそういったことはなく、さいたま北部医療センターについて開院ということになります。ちなみに残り3病院については、昨年は建物を建てているということが業績としてある、予定どおり進んでいるというのがあります。
 7ページ、地域協議会があります。こちらは、当機構の根拠法律であります地域医療機能推進機構法に書いてある条文ということで、オリジナルなものでありますが、地域協議会を全ての病院において設置して、地域の意見を聞いたということを書いております。
 最後、8ページです。定量的指標で評価するというところで、ポイントとして囲まれている真ん中の表です。①、②、③、④について、昨年度は中期目標の最終年度ということで、全ての病院が①、②、③、④を達成するということが目標となっております。その結果ですが、②、③、④につきましては、平成28年度から3年連続で達成している状況になっております。①につきましては、平成29年度は46病院で、昨年度は56病院ということで、目標より1病院、達成しなかったというのが実績ということになっております。達成しなかった病院は200床未満の小規模な病院で、元々の紹介率がそういう規模の病院にしては高かったという事情に加えまして、医師の引上げ及び院長の交代など、いろいろな事情がありまして、達成しなかったということがあります。達成しなかったとはいえ、一応、平成29年度よりも10病院増やした56病院までもってきたというところについては、評価していただきたいと思っています。8ページの一番下の評価に当たって考慮すべき要素の所にありますが、大半が地方に立地する中小規模の病院であり、医師を始めとする職員の確保が厳しさを増す中で、地域から期待される機能を発揮するための病院の体制整備をきちんと計画どおりに、おおむね達成したということで、ここの自己評価はBとしております。
 次は1-2です。こちらは自己評価Aとしております。11ページ、5事業の1つ目として、救急医療のことが書いてあります。こちらは中期計画に、最終年度の昨年度は平成25年度の82,877件と比べて5%以上の増加ということで、87,021件という目標を掲げておりましたが、これに対しまして実績は、10.3%増加の91,451件で、目標を達成したというものです。単純に割り算をしますと105.1%ということですけれども、繰り返しませんが、こちらは実績として初期の目標をかなり上回る成果を上げたと考えています。
 12ページ、災害医療とへき地医療が書かれています。災害医療については昨年は記載の災害があったということで、本日は説明を省略いたします。ウのへき地医療につきましては、昨年と同じ説明になりますけれども、右下の棒グラフ、平成26年度、5,342人日という派遣実績があったわけですけれども、この頃に厚生労働省の報告書で、地域医療機構はよくやっているという高い評価を頂いておりました。それに比べまして約1.2倍の6,000人日を超える派遣を3年連続で実施してきまして、昨年度は平成28年度、平成29年度よりも多い6,728人日の派遣というのを実績として上げたということがあります。しかも6割以上はへき地ということで、これは高く評価いただけるのではないかと考えているものです。
 14ページ、残りの周産期医療と小児医療が掲げられております。こちらについては、やはり産科、小児科の集約ということで、目標を達成していないものが多いのですが、平成29年度と平成30年度は数値目標を追うのではなくて、しっかりと地域で求められる周産期医療を実施してきたというものです。2行目、特に6つの地域周産期母子医療センターが、これは集約化された先ということですが、当機構にもありまして、そこにおいてはハイリスク分娩数や母体搬送患者の受入数を平成25年度よりも多い数にして、きちんと役割を果したと考えているというものです。
 15ページの下に考慮すべき要素というのがありまして、救急車による救急患者の受入数については、中小規模のため苦しいという中、10%以上の増加を達成した。また、医師確保が厳しい中で、へき地等にある病院に医師等の派遣をしたということについて、評価に当たって考慮いただきたいと考えています。
 16ページ以降、1-3です。こちらは自己評価Aとしております。理由が18ページからになります。1つ目ですが、市町村の事業であります地域包括支援センターを受託しているかどうかにつきまして、平成30年度は新たに秋田県能代市から1センター委託を受けました。その結果、12病院、13センターの委託を受けているという実績を上げております。19ページが定量的指標になります。老健施設と訪問看護の件数になります。まず、老健施設につきましては、在宅復帰率を目標に掲げております。年度計画では50%の目標を掲げまして、実績は平成29年度の実績よりも2.9ポイント上回る53.4%を達成したというものです。達成度の割り算でしますと御覧のような数字になりますけれども、下の棒グラフの在宅復帰率について全国平均より20ポイント程度上回るということで、高く評価いただけるのではないかと思っております。もちろんこれは1年ずれておりますが、全国平均が仮に伸びているとしても、多分37、8%ぐらいですから、それでも15ポイントは上回っているということで、高く評価できると思っております。訪問看護の件数につきましては、右下の数字のとおりなのですけれども、計画では124,377件というところを実績は158,235件ということで1.2倍、127%の業績を上げることができたと考えております。20ページに認知症対策がありますが、認知症対策も含めまして、以上、自己評価Aと考えているというものになります。
 次は1-5、教育研修事業になります。こちらの説明は24ページからです。24ページには、質の高い医師の育成ということで、JCHO版病院総合医の養成をしましたということを書いております。25ページ、質の高い看護師の育成ということで、こちらは昨年も厚生労働大臣から高く評価いただきましたが、保健師助産師看護師法に書かれている特定行為に係る看護師につきまして、当機構としては法人自体が指定研修機関となって育成に努めたということがあります。上のほうのポイントの所、各指定研修機関が全国で今は113機関ありますけれども、各指定研修機関においては募集人数が約30人前後というところを、当機構では年間130人の研修を可能にする体制を整備しております。このことは制度の普及や国の目標達成にも大きく貢献していると考えております。国の目標は2025年に向けて10万人以上の養成です。枠のことだけ書いてありますけれども、実績としましては平成29年度が81人、平成30年度が51人、参考までに今年度が57人ということで、189人が研修を受けております。先月に33名、延べ人数でいいますと50名に対して修了を認定したという実績を上げております。
 次の行、特定行為の研修は、各病院で診療している医師が研修を受けている看護師に対しまして講義をして、実際の患者との症例の実技を実施するということになっております。そういうわけで現場の医師の負担が重いわけですけれども、今日、こちらにお持ちしましたこういったテキストを作りまして、当機構の小さな病院でも研修ができるようにしたということになっております。その結果、これから研修がスムーズに進んでいくのではないかと考えています。
 26ページ、看護師の養成については、ほかにも認定看護管理者の教育過程もしっかりと実施していますし、当機構には看護学校の運営というのもあり、法律上の事業と書いてありますが、全国平均を上回る国家試験の合格率を5年連続で達成したということで、しっかりと看護師の養成も頑張ったと思っています。なお、当機構の看護学校を卒業後に就職した242人のうち196人、81%が当機構の病院に就職したということにもなっております。以上をもちまして、自己評価Aとしているものです。
 続きまして、内部管理事務の中の1つ、31ページの評価項目2-2になります。こちらはITに関する事項ということで、実際のページとしては32ページです。右上のほう、第1期のクラウド型病院基幹システムというのを当機構は実施しましたけれども、その反省を踏まえまして、第2期のクラウド型病院基幹システムの構築というのを昨年度実施しました。第2期クラウド型病院基幹システムといいますのは、単に電子カルテを導入するだけではなくて、そこにJCHO統一モデルとありますが、電子カルテシステムに限らず、それにつながる医事会計システム、看護管理支援システム、手術システム、オーダリングといったもののフォーマットを統一したり、ほかのシステムとのカスタマイズといった作業を減らすという統一モデルを包括したシステムのことです。平成30年6月に宮崎市内にある宮崎江南病院をパイロット病院とし、ここでクラウド型のこのJCHO統一モデルを作るというのを昨年は実施しました。結果としては、今年度になりますけれどもパイロット病院でのシステムができましたので、パイロット病院では運用を開始しているという状況です。こういった状況ですので自己評価はBとしております。
 最後、3-1です。38ページからになりまして、39ページに結論が書いてありますけれども、経営の改善ということで、定量的指標が掲げられています。経常収支率を100%以上にするということですが、経常収支率は101.1%となりまして、年度計画に定められた目標を達成しております。そのために何をしたかですが、収益と費用と書かれている所にある取組をしたということです。考慮すべき要素にありますが、人件費増は避けて通れないというのが多くの公的医療機関の状況で、当機構も例外なくですけれども、その厳しい経営状況にある中で収益増加と費用削減に取り組みまして、5期連続で経常収支率100%以上を達成したということは、評価に値するのではないかと考えているものです。
 40ページ、財務状況の具体的な数字です。損益計算書が左側に挙がっていますが、診療業務収益、これは専ら病院ということですが、収益が32億増えまして、全体として黒字が58.3億円となっております。少し飛びまして介護業務収益とあります。これは主に老健ですが、収益は2.8億増えまして、全体の利益として3.7億円になっております。教育業務収益、これは看護学校ですが、これ自体は5.6億円の赤字となっております。全体を足しまして、かつ本部のような管理部門がありますので、管理部門の経費も引きますと、表にあるとおり、経常収支が39億9,000万円、四捨五入しまして40億円ということになります。15分で説明をするために、かなり早口で申しましたけれども、以上になります。よろしくお願いします。
 
○福井主査
 ありがとうございます。ただいま説明された事項について、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。構成員の皆様、いかがでしょうか。
 
○河村構成員
 御説明ありがとうございます。幾つかお尋ねしたいのですが、資料の19ページが高く評価できるのではないかというポイントの1つであったと思うのです。老健施設の在宅復帰率が全国平均よりもかなり高い状況というのが達成できていると。全国平均と比べてですが、こういったことがJCHOさんでできる要因や背景、取組については、特にどういう点があるかをお尋ねできればと思います。
 
○地域医療機能推進機構企画経営部長
 19ページを御覧ください。19ページの左の表に、超強化型老健施設から始まって、基本型老健施設、その他型老健施設とあります。こちらは、在宅復帰率によって分類されている介護報酬上の制度です。今の河村委員の御質問に対しては、元々介護保険法が改正されて、老健は在宅復帰を支援する施設なのだということが、介護保険法の条文に明確に書かれるようになりました。元々そういう施設だったこともあり、当機構の老健には基本型という、強化型より在宅復帰が余り進んでいない施設が幾つもあったわけですが、やはり在宅復帰を支援するのが老健施設の本来の目的なのだという原点に立ち返り、各施設に対して、とにかく在宅復帰を支援するという本来の事業をしてくれということを主に働き掛けたというのが、大きな要因だと思っています。その結果、基本型老健施設が、正確に言いますと介護報酬改定の前後で名前が変わってしまいましたので、5年前はこのような類型別ではないのですが、今は基本型老健施設が当機構はゼロとなっているところが、当機構の平均が上がっている要因だと思っております。
 
○河村構成員
 素人の質問で恐縮なのですが、実際にJCHOさんの老健施設にいらっしゃる間の働き掛けが主な要因なのか。それとも、御自宅に復帰されてからのことは、御本人も御家族もとてもとても心配だと思うのですが、そういったところのケアなども充実されているという辺りの要因がどんな感じになっているかをお尋ねできればと思います。
 
○地域医療機能推進機構企画経営部長
 今の御指摘のとおりで、当機構は、病院や訪問看護ステーションからも在宅で生活できるというものを支援しております。もちろん病院そのものも運営しておりますので、安心して家に帰れる、体調が悪くなったら病院や老健に来られるといった組織間の連携もして、うまく在宅復帰ができていると思っています。
 
○福井主査
 ほかにはいかがでしょうか。
 
○亀岡構成員
 私からは、7ページ目の地域協議会についてです。一番最初に、全ての病院において地域協議会を設置したと書かれております。複数開催する病院は54病院で、開催回数が124回と書いてあります。1ページ目を見せていただきますと、病院数は57病院あるということです。何を伺いたいかというと、57病院全てにおいて地域協議会を設置していると、ただし54病院については複数回ということで、124回ですと2、3回以上開催している所もあるわけですが、逆に3病院は1回しかしていないということになるのかと思うのです。なぜ3回開催するような病院があり、1回しか開催しない病院があるのかその違いと、JCHOさんは、地域協議会における中心的立場に立つと思うのですが、地域協議会の位置付けを御説明願いますか。
 
○地域医療機能推進機構企画経営部長
 1回しか開催していない病院が2つあるのですが、申し訳ありませんが正確な理由は把握しておらず、お答えすることができません。複数開催する病院は、地域医療支援病院など、地域から意見を聞くという病院で、より積極的に実施しています。今、私はあえて申しましたが、開催していない病院が1つあり、そちらは6ページに書いてあります伊万里松浦病院です。こちらは移転問題でいろいろとあったということもあり、ここでいう地域協議会は開催していないのですが、新病院の開設準備協議会を作り、松浦市と松浦医師会、それから佐世保医師会にも入っていただいて、そういった方々と昨年は3回開いたということがあります。
 
○地域医療機能推進機構理事(西辻)
 亀岡委員の御指摘は皆さん多分そう思われるのではないかと思いますので、簡単に地域協議会について申し上げます。これは法律で、一応全病院に置くということになっています。ただ、実際にそのエリアの病院を取り巻く環境の中で、行政主催や医師会主催などのいろいろな会議体がほかにもあり、そういうものが活発に活動していると、JCHOの協議会でやらなくても、そこで必要な意見交換ができるという所もあります。ですから、それぞれの地域のロケーションの中でJCHOの地域協議会を中心としたものを、どの程度開催するニーズがあるのかというところに、影響されてくるところがあります。1回しか開催していない所も2つあるのですが、院長が他の病院団体や地域の協議会みたいなものの構成員になっていて、結果的にはJCHOの地域協議会の開催は少ないというケースも散見されるという感じです。
 
○福井主査
 よろしいですか。
 
○柿崎構成員
 今と全く同じところで、開催回数だけを書かれると、できるだけたくさんやられたほうがいいというように受け取ってしまうと思うのです。別の角度から極端に言うと、必要であればゼロでもいいということですよね。私は、そうだと思うのです。つまり回数が高く評価されるというような印象を私は受けてしまったのですが、しかし違うとなれば、もう少し書き方を変えたほうがいいのではないかと。回数イコールいいことだというようにしないほうがいいのではないかと思います。
 
○地域医療機能推進機構理事(西辻)
 我々として回数を増やしてくれという言い方は、病院にはしておりません。地域協議会は、その地域の医療関係者、行政関係者、介護、福祉の関係者の皆さんが病院にどういうことを期待していて、病院とどういうディスカッションをしたいのか、そういう場があるかないかということ次第だと思っています。そういう意味では先ほど申し上げましたように、開催の回数が多いから良い、少ないから駄目ということではないと思っています。むしろ資料の作り方として、下に書いてあるように、どのようなことがその会議で議論になって、どのようなものが成果として上がったかということを中心に書いたほうがいいのかなと。それは、あえて言うと多分、地域協議会での議論ではなくても、別にそれ以外の場で病院に対して要望があったものが実現できたものも含めてもいいのかなという感じがしますので、来年以降の資料の作り方については検討してみたいと思います。
 
○柿崎構成員
 正に対応事例の上から2つ目の横浜の保土ケ谷の事例ですが、「救急車お断り理由報告書」を作ってもらってミーティングで精査するということは、「救急車お断り理由報告書」が断ることの歯止めになるということなのでしょうか。つまり中身がどんな感じになっていて、そういうことになるのかなというのが、分かるようで分からないと。
 
○地域医療機能推進機構理事(西辻)
 ちょっと書き方がいまいちかもしれませんけれども、要するに、断られたというようなことは救急隊、消防隊の側からすると、コールをしたのだけれども、そこが受け入れてくれなくて、また別の所にコールするというようなことで、時間の無駄が発生してしまうということだと思うのです。むしろ病院サイドがこういう体制なのでこういうものでしたら受け入れますよ、又は、こういう診療科のものについては我々の病院ではなかなか救急対応ができませんよみたいなことを、具体的な報告書として書いて、それを地域に提供することによって、救急隊の皆さんに横浜保土ケ谷中央病院はこういうものだったら大体受けられるけれども、こういうものは駄目なのだなということを理解していただくというような趣旨です。
 
○福井主査
 ちなみに私たちの病院では、医師が今日は働きたくないから断るとか、訳の分からない理由で断るような事例があったりしたものですから、毎朝、断った理由を全部チェックしています。そうすると、あっという間に断る件数が減ってきました。そういうこともあるのではないかと思いますが。
 
○大西委員
 今のお話の延長線になりますが、救急医療のところでは救急搬送の患者の受入れが増えたというお話がありました。逆に、お断りになった事例というのは減っているのかとか、その理由というのは、受け入れられる理由をもってお断りになられているとかというような指標はありますか。
 
○地域医療機能推進機構企画経営部長
 今の御質問は、恐らく応需率という考え方だと思います。救急隊から100件電話が掛かってきたときに、何件受け入れたか、その反対が断ったかという数です。応需率については、評価書の34ページに載っているのですが、平成29年度は82.5%、平成30年度は83.2%ということで、全体としては一応上がっています。つまり、断った割合は下がったという形にはなっております。
 
○福井主査
 ほかにはいかがでしょうか。
 
○坂井構成員
 いろいろ成果を出していらっしゃって、年々すばらしいなと思っています。8ページ、評価の実際の実績はこうなのですが、考慮すべき要素の所に、医師の確保の問題があり、いろいろと取組を進めていらっしゃるとは思っております、例えば、JCHOとして何か特筆みたいなことがあったりとか、これからなさろうとすることとか。医師でも最近は女医の割合も高くなっていますので、主治医も二人制になさったり、育児等をされているような先生方には短時間といった、いろいろな取組を進めていらっしゃるというようなところもあります。そのようなことで、この確保がきちんとされて、地域から求められる医療について対応ができるというような点がありましたら、教えていただきたいと思います。
 
○地域医療機能推進機構企画経営部長
 医師の働き方改革については、全体的に取り組んでいる所はあります。特に女医については、大阪病院が10年か15年前から女医が働きやすい病院を作るのだということで、かなり女性医師に人気だということは維持していると聞いております。
 
○地域医療機能推進機構理事長
 坂井委員、極めて重要な御質問をありがとうございます。実際に医師の確保をどのように行っているのか、どういう状況の中で、今、救急なども断らないで行っているのかという、一丁目一番地の御質問です。実は前にも私が申し上げましたが、JCHOの病院は、いわゆる都会のブランド病院というのが幾つかありますが、基本的には元々は民間の病院です。ここの病院は非常にすばらしい、これだけは世界のどこにも負けないというような病院から成っているわけではなくて、地方の病院は本当に普通の民間の病院で、特にブランド性がほとんどありません。医療として行っていることも、特に心臓の外科の手術がうまいということがない、一般の、民間の病院でも行っていることです。そういう中で、医師の確保というのは、JCHOあるいはRFOの頃から、実は本当に一番頭の痛い問題です。けれども、そういう中で難しいからといって手をこまねいているわけにいきませんから、言ってみればできることは何でも実施してきたということです。
 先ほど伊万里松浦病院の話が出ましたが、これもなかなか医師が集まらないのです。今年度のことで過去のことではありませんが、これは、本部の職員が一丸になると同時に、地区の理事あるいはそこの院長たちも、みんなが一丸になり取り組んでいます。福井先生などは一番御存じですが、いわゆる専門医制度ということで、他の病院ではできない、いわば得意技を持たない病院に医師を集めるのは、JCHOだけではないと思いますが、極めて大変です。そういう中で、医師の確保は最大のプライオリティーだということで、限界はあるのですが、新しい医学生の奨学金制度などを今、検討しているところです。
 そういう中で、なぜ救急搬送の応需率が増えているかですが、5年間を振り返りますと、正直に申し上げて、民間の病院ということで当初はやればできる病院もあったのです。ところが親方体質みたいな部分がありましたので、患者が来るのだけれども断るみたいなところが現実にありました。福井先生がおっしゃったとおりです。これを4年間を通して、国から与えられている目標もありますし、我々は心臓の外科の手術で世界トップにはなれないけれども、一般の病気についてぐらいは最低できないと、独法として何の意味があるかというメッセージが各病院に伝わって、医者が足りない中で、意識改革で、このことが一丁目一番地の1つなのだということが少しずつ理解されてきているのだと思います。
 
○河村構成員
 私からは、項目1-2、5事業5疾病の評価を今回BからAに上げられたところです。幾つか御説明くださった項目があって、特に高く評価できるのが、昨年もお話を伺った救急応需のところと、へき地のところなのかなと。周産期などについては、いろいろと御事情があるということは理解しました。特にへき地医療の大きい資料のほうも拝見しましたが、非常に細かく書いてあります。拝見しますと、それこそJCHOさん自身のドクターの方々をやりくりするだけでも大変なのに、これだけ離れた所にこれだけの頻度でお出掛けになるのがどれだけ大変なことかということは、本当に拝察申し上げます。
 例えば実際に北海道なら北海道から要請が来て、いろいろな所からいろいろな要請が来ているのかなと思いますが、結構そういう要請に応えられた結果でこういう感じなのか。実はこれだけたくさん応じられていても、応じ切れていない要請が各地からたくさんあるような状態なのか、そういった辺りの御事情を、少し御説明いただけると有り難いです。
 
○地域医療機能推進機構企画経営部長
 評価書の36ページに一覧が載っています。各病院からどれだけ断ったかというデータを報告させておりませんので、量的にはよく分からないというのが正直なところです。一方で本部にも聞こえてくるのは、ここには書いていないですが、やはり産婦人科医などを派遣してほしいという要望はあったけれども断ったというのは、中にはあります。
 
○福井主査
 ほかにはいかがでしょうか。今の項目について確認ですが、評価項目1-2の診療事業等の自己評価が今回Aになっています。昨年はBだったのですが、その違いをポイントだけで結構ですので、もう一回説明していただいてよろしいですか。
 
○地域医療機能推進機構企画経営部長
 昨年も自己評価はAとしております。大きな違いとして法人側として認識しているのは、救急医療の定量的指標の120%の考え方と、周産期と小児医療について、中期計画に書いてあるが年度計画には数値目標を書いていないので、こちらとしては周産期、小児医療を度外視して評価したかの違いだとは思っております。
 
○福井主査
 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。
 
○坂井構成員
 25、26ページ等で、特に看護師等の人材育成をなさっているのは、本当にすばらしいと思います。特定行為の関係、また、御自分の所で育成された方の80何パーセントにもわたる方を職員にされるような取組をなさっている部分で、全部で50人以上の方が特定行為の研修を終えられているのですよね、3回目までで。この方々が、実際上病院に配置をされた中で、この特定行為が発揮できている部分がどういう感じなのかを、少しお伺いしたいと思います。
 
○地域医療機能推進機構企画経営部長
 研修を修了したのが先月ですので、具体的な状況はこれからだと考えております。正に坂井構成員のお話のとおり、どのように活用して、どのように医師の働き方改革につながったか、患者への看護、医療サービスの提供の改善につながったかといったことは、これからデータを取っていきたいと思っております。
 
○坂井構成員
 せっかく修了しても、そこの配置等とはまた違うようなこともあったりしているようなことも、ここではないですが、いろいろな所の状況を聞きますと。それがうまくいかされるということで、全体に非常にいい形になっていくのではないかと思います。期待しております。よろしくお願いします。
 
○地域医療機能推進機構事務局
 特定行為研修を担当しております、吉浪と申します。1点だけ補足させてください。各病院においては、研修実施病院管理委員会を設置しております。その中で配置、活用については毎月検討しておりまして、どこに異動して活用するか等も含めて議題とするようにということは、本部からも伝えており、病院としてうまく活用できるようにしたいと考えています。
 
○福井主査
 よろしいでしょうか。最後に、JCHOの電子カルテの統一モデルが全部の病院で統一されるのは、いつ頃なのでしょうか。
 
○地域医療機能推進機構企画経営部長
 今のところ57全病院に導入するということではありません。やはり大きな病院はそれぞれ特殊事情がありますので、まず200床未満、200床台の病院について導入していこうとしております。7年掛けて23病院に導入するというのが計画です。
 
○福井主査
 そうですか。事業全般で、私個人的には誠実に業務の目標を達成されていると思います。今回のJCHO統一モデルがたくさんの病院で導入されれば、医療の質を高める上でも研究でも、他の単独の病院ではとてもできないようないろいろなことができるのではないかと思いますので、是非進めていただければと思います。
 ほかには何かありますか。よろしいですか。なければ、今説明していただいた年度評価の中で説明がなかった評価項目について、構成員の皆様から御質問なり御意見がありましたら伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
 
○河村構成員
 今、御説明がなかった中で、評価項目2-3、業務運営の見直しや効率化による収支改善、これも自己評価をBからAに今年度は上げていらっしゃいますが、これは先ほど御説明くださった財務内容の改善にも非常に関係するところだと思いますので、できればちょっとここを御説明いただけると有り難いです。
 
○地域医療機能推進機構企画経営部長
 それでは、資料2-1の35ページを開いていただければと思います。今、河村構成員からありましたように、3-1で財務内容の改善というものをきちんと実施したということとの兼ね合いで、プロセスにおいてもしっかりと実施したということで、自己評価をAとしているものです。35ページのポイントの所ですが、先ほど理事長からもありましたけれども、民間病院が独立行政法人になるということについて、各病院がしっかりと独法としてしなければいけないということをしてきたというものがあります。その中で、平成30年度から本部に経営改善委員会を作り、前年度の決算の赤字が1億円以上や、前年同月よりも年度の途中で1億円悪化してきたと、そういった経営状況の芳しくない病院に対してヒアリングをして、経営改善の取組の指導などを実施してまいりました。
 その結果、矢印の下ですが、8つの病院にヒアリングしましたけれども、4病院については平成29年度と比べて収支の改善を図ることができたということは挙げられます。その後もフォローアップを実施していくということになっています。その結果が、また更に矢印でポイントにあります。データの分析やデータに基づく改善策の検討ということで、病院職員の意識改革を行ったことはかなり評価できるのではないかということですし、平成29年度の赤字病院は13病院ありましたけれども、13病院のうち6病院が黒字化し、4病院が経常収支率の改善を図ったということも評価できると思っています。他方、黒字病院数は同数の44病院ということで、残念ながら6病院はいろいろな事情で赤字になってしまったというのもありますが、経営改善の取組は引き続き実施してきたということがあります。
 36ページに定量的指標のことが幾つか書いてあり、1つ目が後発医薬品の数量シェアです。これは、国の数値目標が平成32年9月までに80%以上というのに対し、当機構は平成30年度に達成したということで、前倒しで達成ということは評価できるのではないかと。あと、調達の合理化というところで、目標値20%以下にすることに対して実績は15.0%、これは先ほどの割り算でいくと75%ですから、1.2倍以上の成績を上げたと思っているということ。一般管理費については、15%削減を5年連続で達成したということで、定量的指標からも経営改善を図ったというプロセスを評価いただけるのではないかと考えています。
 最後、37ページ、そういったもろもろも含めて「第1期5年間の総括と新たな第2期に向けて」という文書を作ったというのが昨年度の業績としてあります。これは、文書を作ったからAだという意味ではないのですが、そこにありますように、独立行政法人として自ら病院等を運営してきた5年間の過程、問題点等について、第1期、初めての5年間が終わったということを踏まえて総括したものです。問題点については、情報共有・コミュニケーション、組織の意思決定、その決定した事項の実行、人事異動、病院の財政的自立等です。これらは、社会保険病院と全く違う仕組みになったり、当機構は2万人以上の職員がいますけれども、これほど大規模な独立行政法人はほかに国立病院機構しかないというぐらい、やはりコミュニケーションとか組織内部は大変だということもあります。あと、当機構オリジナルですが、機構法には運営費交付金が入らないということが明文で書かれておりますので、やはり病院の財政自立は必要なのだと、しっかりと意識改革を行ってきたということがあると書いております。というわけで、自己評価Aとしています。
 
○河村構成員
 今の点、よく分かりました。昨年度のこの評価の会議の場でも、尾身理事長がまだいろいろできることがあるとおっしゃっていたことを、このような形でやられたのだなと理解いたしました。できればもう少しお伺いしたいのが、赤字病院が平成29年度で13あったうち、いろいろ良くなった先もあれば、まだまだという所もありということなのですが、今日お配りくださった資料に個別病院ごとの実績というのもあって、それも併せて拝見はしておりますけれども、4病院はいろいろあって、なかなか厳しいというお話でした。具体的に個別病院ごとの実績を見ても、桁数を含めて収益の状況は病院ごとにすごく振れがあるのだなということが非常によく分かりますが、どういう御事情があったのかということを簡単で結構ですので、御説明いただければと思います。
 もう一点は36ページの所で、今、御説明はなかったのですが、これだけいろいろ病院ごとの経営状況に大きな開きが出ている中で、給与とか賞与の数字について、各病院の経営状況に応じてメリハリのある形でとなっています。これもやはり職員のモラルというか、やる気を維持していく上で大事な取組ではないかなと思いますが、どのような感じで進めていらっしゃるのかということを簡単で結構ですので、御説明いただけると有り難いです。
 
○地域医療機能推進機構企画経営部長
 分かりやすい例で説明しますと、大分県にある湯布院病院が経営改善の取組をしたのですが、平成29年度より悪くなったというのがあります。その一番大きな理由は、平成29年度と平成30年度を比べて医師が撤退したというのがあります。それもありまして、平成29年度よりも平成30年度は明らかに悪くなるということは分かっていたわけです。計画では約4億円の赤字になりそうだという感じだったわけですが、ある意味、止血効果を狙って経営改善の取組を実施したということです。結果的には平成29年度より赤字幅が拡大しましたが、経営改善の取組を実施しないよりは良い結果だったと思っております。
 もう1つ、赤字化した病院で典型的なのは、一番最初に説明したさいたま北部医療センターです。こちらは移転しましたので、平成29年度とは違い、移転に伴う追加費用があり、臨時の損失以外に経常のほうにもはねる費用がありましたので、その結果、赤字に転落したのはやむを得ないかなと思っています。
 2つ目にありました賞与水準については、この資料では簡潔に書いてありますが、正に3.5月が最低保障の中、黒字を出せば出すだけ国家公務員と同じ4.45月、それに加えて大黒字を出せば年度末賞与という形で、各職員の収入にもはね返ってくると。そういったところで大きくモチベーションを持ってもらおうという制度が、功を奏している部分はあるかなと思っております。
 
○亀岡構成員
 少し話が戻るかもしれませんが、いいでしょうか。地域包括支援センターの件です。これは、特に老健施設を運営されている皆さんにとって大変重要な、なおかつ今、厚生労働省でも非常に力を入れている部分だと思うのですが、増加の仕方が、今12病院ということです。今後中心的にやっていくとなると、この辺が非常に重要になっていくかと思うのですけれども、これは、やはり地域からの具体的な委託がないというのが現状なのか、それとも今後増えていくのか、この辺の方向性についてちょっと教えていただけませんでしょうか。
 
○地域医療機能推進機構企画経営部長
 これは、市町村の意向によりますので、こちらから目標で幾つ増やすというのはやはり難しいですから、正に地域のニーズに応じていくことが重要だと考えております。一方で、経営のことも考えないといけませんので、委託の内容を精査して、その事業なら当機構が少し背伸びすればできるというものは、積極的に取っていくと、そういったことをやりたいと思っています。18ページに平成30年度の秋田病院のことが書いてありますが、正に認知症やアルコール依存症とか、そういった方について能代市が困っていたということでして、それに対して秋田病院としてできる体制を整えてから受託したという形になっております。
 
○福井主査
 よろしいでしょうか。それでは、議事2に移ります。「中期目標期間実績評価」について御議論いただきたいと思います。法人所管課室としては、見込評価の活用はしないこととしたと伺っております。そこで法人より、見込評価と比べて実績等に変化があった項目を中心に、複数ある場合は重要度、難易度が高いとしている項目を優先的に、業務実績及び自己評価の説明をお願いいたします。
 
○地域医療機能推進機構企画経営部長
 では、資料3-1を御覧ください。こちらが5年間の実績評価で、ページとしては2ページです。全体としては、そこにあります項目一覧の中で、右のほうに見込評価という欄と期間実績評価という欄があります。御覧いただきますとおり、昨年、厚生労働大臣から頂いた見込評価と全く同じ評語を今回付けています。B、B、A、B、A、B、B、B、B、A、Bとなっています。
 具体的にはどういうことかというと、評価項目1-1については、違いという意味では9ページです。先ほどの説明とほぼ重複しますが、当時、当機構として見込評価をAと出しておりました。その理由は、ここの定量的指標について、平成30年度は中期計画どおりに57病院全て達成するということを前提に評価したわけです。しかし、実際には56病院ということで1病院落としたということです。それも踏まえて、主務大臣から頂いた見込評価どおりということで考えています。
 評価項目1-2については、平成30年度はAという評価を自己評価でしましたが、5年間についてはBとなっております。こちらも資料としては平成30年度とほとんど一緒なのですが、違いという説明においては16ページを御覧ください。先ほど口頭で申したことですが、周産期医療と17ページの小児医療について、中期計画には数値目標、定量的指標が掲げられております。16ページの表を御覧いただくと、対基準値増減率という3つ目の欄が3%以上だと目標達成なのですが、御覧いただきますとおり、ハイリスク分娩数は平成30年度の1回だけ、母体搬送患者の受入数は平成26年度と平成29年度の2回、この計3つという言い方が適切かどうかあれですけれども、これだけが目標を超えているということです。17ページの小児医療については5%ということでして、5年間どれも5%を達成していないということになっております。中期計画には一応このように数値目標が掲げられていますし、平成28年度までは現に当機構も数値目標の達成のために頑張るということを年度計画でも書いていましたので、この辺りを合わせて5年間の評価はBとしているというものです。
 評価項目1-3の地域包括ケア関係は、先ほどの説明とほぼ一緒です。老健の在宅復帰、こちらは御記憶にあればですが、今期、第2期の中期目標には数値目標として掲げられておりますけれども、第1期の中期計画には何も数値目標はありません。しかし、総務省指針上、定量的指標で評価すべきだということで、平成29年度から数値目標を掲げており、きちんと目標を達成しております。あと、先ほど河村構成員からもありましたが、全国平均より上回っている理由ということで、特に法律の趣旨に沿って現場に頑張っていただいて法人として達成したということは、やはり見込評価と同様、高く評価いただけるのではないかと考えています。
 あとは、ほぼ同様です。評価項目1-5の教育研修事業についても昨年、特定行為研修について国の施策に貢献しているということを見込評価で高く評価いただきました。それについて、平成30年度も51人の受講者を集めたということもありますし、評価の年度には全然入らないわけですが、今年度修了者を33人、延べ50人出したということで、国の施策にきちんと貢献していると言えるのではないかと考えています。
評価項目2-2の部分についてですが、クラウド・プロジェクトシステムは、先ほど福井主査からもありましたが、これから導入していくことになっておりますので、自己評価はBとしておりますし、44、45ページの評価項目3-1については、100%以上という数値目標に対して、5年連続で経常収支100%以上を達成したということで、評価いただけると思っています。
 ちょっと評価とは関係ないですが、46ページに平成26年度から平成30年度までの5年間の財務状況という表があります。損益計算書で平成26年度には臨時損失が110億円ということで大赤字を出しまして、これはほとんど初年度のボーナスのことなのですが、こういった臨時損失があったにもかかわらず、平成27年度以降はきちんと純利益を上げてきまして、昨年度末では次期繰越金が43.1億円と、そこまで利益を確保することができたということは、やはり高く評価できるところではないかと思っています。
 
○福井主査
 それでは、ただいまの説明について御意見、御質問等がございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。結果的には見込評価とほとんど同じということになるのでしょうか。
 
○地域医療機能推進機構企画経営部長
 標語は全く同じです。
 
○福井主査
 そうですね。いかがでしょうか。よろしいですか。もしないようでしたら次に移りたいと思いますが、何か質問もないでしょうか。
 それでは、次の事項に移りますが、ただいまの説明で扱われなかった項目についての御質問、御意見がございましたらお願いいたします。中期全般にわたって、成果としてはかなり上がっているということになると思いますが、いかがでしょうか。少し項目から離れますが、57病院あって、それぞれの地域でJCHOの病院があることで地域の方々にどれぐらい貢献しているかというのが、何かの方法で分かるといいなと思います。これは全ての医療施設に関わることなのですが、その地域の死亡率など、実際に住民の方々の健康や疾病の治療という側面でどれぐらい貢献しているのかというのをうまくアピールできると、医療者側としてはいいと思います。理事長、どうぞ。
 
○地域医療機能推進機構理事長
 JCHOの各病院が地域に貢献したものを、客観的な指標、数値で表すのはなかなか難しいので、定性的でもいいから表わせないかということですが、現段階では死亡率がどうこうということは、ちょっと時期尚早だと思います。先ほど福井先生がいみじくもおっしゃった、例えば20何病院が共通のシステムを作ること。これは恐らく日本の病院グループでは、各地域で個別のことは取り組んでいるけれども、県をまたいでのこれだけの仕組みは、多分JCHOが初めてだと思います。そういう意味では、そういうことが1つのデータの見える化、可視化ということにつながって、それがいずれはということだと思います。
 福井先生の御質問で、貢献というのを私の5年間でずっと考えて、どういうことかというと、やや大雑把に言うと、病院によって2つの群に分けられます。例えば一番象徴的な例は、熊本総合病院です。熊本の八代市にある病院ですが、熊本大学がJCHOの病院を大学として応援しているし、地域の医師会もうちの病院のことを、いわゆるセントラル病院として十分認識しているということで、地域における文字どおり中核病院としてのリーダーシップをとっている。だから、地域医療構想等でも恐らく中心的な役割を、ほかの医療機関とも連携しながら果たしていると思います。もう1つの病院は、地域のリーダーというよりも、むしろ大きな地域医療構想の中の一部の役割を果たしていくということです。今のところはそれぞれの期待される役割があって、我々の設立趣旨から共通の要素があるのをピックアップして57病院やったわけではないので、それぞれの地域に求められる役割を最大限、ほかの医療機関、自治体、行政等と連携してやることが今は求められていると思います。ただ、もう少しするとITなどで先生のおっしゃる見える化ができる、そうなればいいなと思っています。
 
○福井主査
 いかがでしょうか。ほかに何かございませんか。
 
○坂井構成員
 元に戻ったようで申し訳ないのですが、今の19ページですかね、老健の分です。先ほど説明を受けた資料の19ページにも、超強化型とかいろいろありますよね。特に在宅復帰の関係で、やはり非常に良い数値を出していらっしゃるので、例えば超強化だったら70以上、ほかに要件がいっぱいありますよね、リハだとかベッド回転率とかあります。平成30年の今の御説明の部分で、今が平成26年から平成30年か、では同じ説明になるのですかね。そうですね、いいです。超強化型の中で、例えばリハの職員を増やしていろいろな対応をしたから、ここの9施設といったようなのも要件がうまくいったとか、何かあったら聞かせていただこうかなと思ったのですが、何かございますか。
 
○地域医療機能推進機構事務局
 老健施設を担当しております。先ほど御説明したとおり、在宅復帰については非常に頑張っているというデータもお出ししております。今お話いただいたように、ベッド回転率とか、入所前後、退院時の指導とか様々な要件がある中で、要件ごとの全国の平均を国が公表した数字というのはまだないのですが、老健施設の全国団体が国の補助金を使って研究事業をしたものがありまして、その中のデータと比較してみたところ、当機構のリハ職員の職員数はむしろ標準的な感じでした。何を頑張っているかというと、やはり在宅復帰のため、単に自宅に帰すのではなく、退院前後の訪問指導などきめ細かな支援を行っているというところで、退所されてもすぐ施設に再入所することがないなど、そういう対応ができているのではないかなと思っております。
 
○坂井構成員
 先ほどの河村委員の御質問ともダブるのではないかなと思いますが、介護度4、5の人はどうなっていますか。細かいことを聞いて申し訳ないです。
 
○地域医療機能推進機構事務局
 私どもの施設の平均ですと、介護度4、5の方が50%以上いるという施設が全体の1/4程度で、ここは全国とも余り変わらない数字でした。
 
○坂井構成員
 むしろ、それがないといけなくて、かつ在宅復帰率を求められているので、なかなか厳しいのではないかなと思うのですが。ありがとうございます。
 
○福井主査
 ほかにはいかがでしょうか。
 
○亀岡構成員
 資料2-3なのですが、7ページに載っている損益計算書です。先ほどから財務状況の改善という話があるのですが、ここで見ると減損損失というのが15億ほど出ています。減損損失を出すということは、将来キャッシュフローは見込めないということだと思うのですが、先ほどおっしゃっていた業務改善ということと、ここで言う減損を出すということ、もちろん会計上は将来見込みがなければ出すでよいと思うのですけれども、この関係について若干御説明いただけますでしょうか。
 
○地域医療機能推進機構企画経営部長
 減損損失については、今、移転建替えを進めていて、建替えを決めたら今ある建物は近い将来使わなくなるという定義に沿って減損するということですので、問題視していないというところになります。
 
○福井主査
 ありがとうございます。よろしいですか。それでは最後になりますが、法人の監事及び理事長から年度・中期目標期間における目標の達成状況等を踏まえて、今後の法人の業務運営等についてコメントを頂ければと思います。最初に法人の監事から、続いて法人の理事長よりお願いします。よろしいですか。
 
○地域医療機能推進機構監事(石尾)
 監事の石尾です。当年度の監査報告については、資料2-4にあるとおりです。全て適正であり、特に問題があることはありませんでした。御指定のありました監査等を踏まえた現在の法人の業務運営の状況や今後の課題、改善方法について述べさせていただきます。
 地域医療機能推進機構では、監事、会計監査人による監査に加え、内部監査部門が定期的な監査を行うなど、適切な業務運営の確保に努めていると考えております。また、診療事業については、地域において必要とされる5事業や地域包括ケアを実施し、さらにJCHO版病院総合医育成プログラムや、先ほどからお話がある特定行為に係る看護師研修の推進のほか、平成30年度におきましては調査研究事業の補助制度を開始するなど、質の高い医師、看護師を育成する体制整備も確実に進められていると考えております。加えて、平成30年度の決算におきましては、昨年までの方針に引き続き、独自のメリハリのある給与、賞与水準の維持による人件費の適正化や、物品購入などにおける共同入札を推し進めるなどの経営改善に努めたことにより、年度計画で定めた経常収支率100%以上を達成し、経常利益40億円を確保したこと。また、第1期中期計画期間における5年間においても、連続して安定的な黒字経営がなされたことは大いに評価すべきものと考えております。また、厳しい経営環境の下にありながらも、職員の皆さんが国から付託を受けた責務を果たすべく、真摯に経営目標に取り組んでいることは、監事監査を通じて確認しているところで、監事としては、当機構の業務運営状況は評価されるべきものと考えております。
 今年度が初年度となる第2中期計画期間へ移行したことを踏まえて、公的医療機関として機構に課せられた使命を継続して果たしていく、職員が健康的に安心して働くことができるよう、働き方改革にしっかり取り組んでいくなど、対応すべき課題は山積しているものと認識しております。これからも本部の指示や中期計画の目標達成に向けた取組等が、病院や老人保健施設の全職員に確実に伝達、浸透するように、より的確な指導を進めていくことが必要であると考えている所存です。以上です。
 
○福井主査
 ありがとうございます。それでは尾身理事長からお願いします。
 
○地域医療機能推進機構理事長
 本日は平成30年度及び第1期中期計画の5年間についての業務実績につき、貴重なアドバイス、助言を本当にありがとうございました。これからの運営にいかしていきたいと思います。さて、5年間が終わりましたので、簡単に5年間を振り返ってみたいと思います。良かった点とこれから課題として残った点、それぞれ3点を簡単に述べさせていただきます。まず良かった点の1点目は、これは何度も申し上げたように、組織、文化、ガバナンス、給与体系の違う3つの団体がひとつになって、無事に船出ができたということだと思います。2点目は、急性期医療信仰、7対1信仰というものから脱却できたということだと思います。3点目は、経常収支が5年間ずっと黒字でいられたということです。この3点だと思います。
 課題については、むしろこちらのほうが大事だと思いますが、先ほども委員の先生から議論がありましたが、1点目は、特に地方の中小病院における医師確保がこれからも大きな課題であると思いますので、これについては全力を注入したいと思います。2点目は、先ほど全体としては経常収支は5年間ずっと良い成績が出たと申しましたが、実は健全な経営ができている病院が一方であると同時に、他方、赤字体質を脱却できない病院があり、言ってみれば二極化が今起きている。このことが、私はこれから取り組むべき2番目の課題だと思います。3点目は、先ほど石尾監事から、去年もおっしゃって今年も言及していただきましたが、随分改善はしてきましたが、本部と現場とのコミュニケーションにまだ改善の余地がたくさんあると思います。
 5年間を経過した今、先ほど言った幾つか誇るべき点もありますが、今申し上げた3点を含めて、先ほど山田から5年間の総括をしたということがありましたが、これはかなりエネルギーを費やしましたが、その5年間の総括でもかなりいろいろな点が明らかになりましたので、本日の先生方の御助言を肝に銘じて、これからもこうした課題の解決に向けて職員一堂頑張りたいと思いますので、これからも御指導のほど、よろしくお願いします。今日は本当にどうもありがとうございました。
 
○福井主査
 ありがとうございます。もしよろしければ、構成員の皆様から御意見なり御質問なりありますか。
 
○柿崎構成員
 いずれも話を飛び越える話で今できなかったのですが、この評価というのは例えばSとありますが、今回しみじみ見たのですが、120%以上を達成して質的に顕著な成果、又は100%以上プラス困難度が「高」プラス質的に顕著な成果というレベルがあるのですが、これは現実的にどういうイメージですか。何か存在するのかなというのが率直な感想で、どう考えればいいのかが、たった今思い立った次第です。
 
○福井主査
 厚生労働省のほうから説明されますか、それとも。例えば研究ですと、今まで全くなかったような治療法を開発して、今まで亡くなっていた患者さんを救済する率が明らかに上がってくる、そういうふうな画期的な研究が開発されたとか、そういうレベルを考えています。ただ地域医療では難しいですね。Sというのはどういうイメージを抱くか、難しいですよね。
 
○柿崎構成員
 想像しにくいですよね。
 
○福井主査
 難しいですね。20%以上目標を達成していて、加えて質的にも今までなかったようなレベルのものを、Sと評価しています。ですから、S評価を付けることはものすごく難しくなっています。基本的には目標を達成したらBで、それにプラス20%くらいのイメージで、それをプラスしているところをAと考えてやっているのが実情ですが、いかがですか。
 
○政策評価官室長補佐
 主査からお話があったとおり、世界初とか、先駆けとか、そういうものが事例としてある。具体的に事例の添付がないのですが、そういう評価が各省で公表されておりまして、厚生労働省の中でも研究開発のところでS評価が出たのは画期的なもの、研究成果が進んだというところでSが付けられているようです。すみません、具体的な例が手持ちにないので。
 
○福井主査
 河村構成員、どうぞ。
 
○河村構成員
 今の通則法の評価の体制になるまでの最初の独法通則法のときは、各府省ごとで評価の基準がばらばらで、5段階の府省もあれば4段階の所もあって、ばらばらだった時代があって、今とは形式が一緒ではないのですが、その当時私は総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会に長くおりましたので、そのときの記憶で申し上げます。必ずしも今のS評価と同じ物差しではないと思いますが、当時、独法の移行がいろいろ始まって評価をやっていた最初の頃で、今で言うようなS評価に近い高い評価を得られたのは、第1期の国立病院機構です。あのときは、本当に毎年度ずっと特別会計時代に大きな赤字を出していた病院が、矢崎理事長の下で収支相償に持っていかれて、厚生労働省の方もそうだったと思いますが、他の府省、私たちのように総務省側にいた人間から見ても、本当にもうみんな衆目一致するところで、極めて高い評価が付いたことがありますので、そういう事例もあったかなと。ただ、難しいのはそのとき国立病院機構が収支相償になられて、その後も基本的に維持されて、最近は少し厳しい年度もあったりもしますが、何だか国の病院は収支相償が当然という感じになってしまっている。しかし、JCHOさんも、また違う土壌の中で3種類の民間の病院を束ねられて、こういう結果というのは、非常に高い成果ではないかと思っております。かつてで言えば、そういうケースもあったかなと。ですから、今の評価の基準で当てはまるかどうかというのは分からないですが、しかし、それに近いぐらい高い成果を上げられているのではないかと個人的には思います。
 
○福井主査
 医療で言いますと、私のイメージでは、病院がある地域の皆さんがものすごく高く評価して、その病院がなければ本当に生活に困るという評価をしてくれるかどうかが、すごく重要だと思います。当然入院した患者さんや、外来にかかった患者さんの満足度評価というのも重要だとは思いますが、地域全体で存在価値がどれぐらいあるのかというのも、医療という意味ではあってもいいのかなとは個人的には思っています、なかなか難しいことではありますが。理事長と監事に何か伺いたいことはありませんか。
 
○大西構成員
 理事長のお話の中で課題の1つとして挙げられていましたが、現場と本部とのコミュニケーションの課題について、もう少し詳しくお話を頂くことは可能ですか。
 
○地域医療機能推進機構理事長
 現場と本部のコミュニケーションのことですが、本部からこういうことをしてくださいと指示を出す、これは当然こういう世の中ですから、本部が上から目線で一方的に指示するということは基本的になくて、現場の院長も十分納得して議論をして、じゃあ、やりましょうと言って、これをやってくださいと言って、全ての職員に出すのです。私はこの5年間を見てきて、現場の目線というのは、常に患者を見ているわけです。介護の患者、病院の患者、入退院をどうするかなど事務長、病院長、看護師長、みんな基本的には99%患者を見ている。しかし本部の目線は、やはり本部の言うこと、指示を聞いてもらいたいというのがある。これは良い悪いではなくて、本質的に彼らのエネルギーはほとんど患者にいっていますが、本部は紙を出すという、このギャップがあるから、本質的にこれはなかなか難しい問題ということがまず基本的にあります。特にこれは大きな会社とは違います。病院の仕事と現場の仕事は基本的には違いますので、そこの中でのコミュニケーションがなかなか難しいというのが一般的にあると思います。
 実はこれは当初からあって、本部の職員は病院がやると言ったことをやらないでフラストレーションが溜まる。逆に、現場のほうは現場のほうで、例えば医療機器を買いたいと言ってくるのですが、本部がそれについてはなかなか判断ができなくて、これは我々の言葉で言う「塩漬け」みたいになってしまうことが実はずっとあったのです。そういう中で、こういうことは組織が幾ら何でももう5年たったわけですから、最初の2、3年ならこういうこともあってもしょうがないと思いますが、もう5年たった今、まだそんなことというのは組織の運営上あってはいけないことです。
 そういうことで、実は約半年ぐらい掛けて、先ほど山田部長からあった5年間の総括というのを行い、理事長及び理事だけでなく現場の院長なども十分入ってもらった。この特徴は、組織ですから言いたいことはそれぞれありますが、これは率直に本部の反省すべき点、病院の反省すべき点、こういうことを全部オープンにしている。総括にはかなり詳しくそれぞれ具体的な例、こういうことがあって、これは本部が課題として直すべき、病院が直すべき、もっと意識改革の問題を詰めてやりまして、かなり具体的なサジェスチョン、こういうことがあったということを率直に文章にしています。これは全職員に回っています。こういうことで様々なことがありましたが、これからはそういうことがないようにということで、これは私が客観的に見ても随分改善をされてきています。しかし、まだ道半ばというところもありますので、これについては先ほどの病院経営が二極化している、あとは医師の確保が難しいということと同時に、ある意味では三本柱と言ってもいいほど重要です。この総括の文章はみんなで書きましたが、これにはかなり事細かく、こういうことがあったので、本部はどうしよう、現場はどうしようということで、少しずつ改善に向かっている。そんなところです。
 
○大西構成員
 本当に現場を引っ張っていかれる御苦労、57の病院ですから、院長さんだけでも57人いらっしゃるわけです、その方々と一緒に組織をまとめていくことの御苦労の一端を聞かせていただいたような気がします。ありがとうございました。
 
○亀岡構成員
 私のほうは、同じ課題の中の二極化という点です。頑張ってもほとんど良くならない所がある、しかし、全体としては黒字になっているということですが、今後の方向性とありますが、例えば二極化というのは、そのまま引っ張っていこうとされるのか、悪い所は良い所と一緒に、統合と言っていいのかよく分かりませんが、そういう方向性を考えているのか、また他の組織体と一緒にしていくみたいなことも含めるのか。二極化というのはやむを得ないところもあるのでしょうけれども、決して良い方向性ではないと今私は思っております。法人全体として運営していく上では、やはり全体として底上げがないといけないと思いますが、これについてはどのようにお考えですか。
 
○地域医療機能推進機構理事長
 二極化については、ポイントとしては5つあると思います。1つ目は、少し意外な感じをされるかもしれませんが、JCHOの病院で、多分ほかの病院グループでもそうだと思いますが、経営がうまくいくかいかないかというのは、職員全体の努力の総体です。誰か一人が頑張ったからといってできるものでもない。しかし、それはそうですが、基本的には私の5年間、6年間、あるいはほかの病院でも、これは実感と同時に、実際にそういうところがあるのですが、特にベッド数200前後の病院があって、ここは言葉が適切かどうか分かりませんが、企業に例えれば中小企業です、ここは病院のトップの人のやる気、見識、リーダーシップ、これで随分変わってくるのです。
 実際にある院長が行くと、悪くなる、残念ながら任期途中ですが代えるということがあります。人情的にはそれはつらい判断ですが、この人に任せるのはということで、新しい人を送る。そうすると良くなる。こういうことで院長のリーダーシップというか、経営に対する取組の意識がものすごくある。ある意味では一番重要なファクターですから、私どもが今一番気を付けているのは、院長の人事であり、しっかりした人を送るということです。良い人はほかの病院でみんな働いてしまっていますから、それが1点目です。
 2点目は、先ほどの救急の話で、坂井構成員が質問された医師探しはどうかということです。二極化で、今苦戦しているほうは、基本的には地元の大学病院の医局の若い人を送ってみたいという魅力にどうしても欠けるのです。これは実態です。それはなぜかと言いますと、今の大学の医局は専門医、例えば心臓外科、カテーテルの技術、内視鏡、こういうことを学んでもらいたいと考えている。ところが、うちの病院はほかの県立病院とかと比べて症例数がないので、大学のほうとしては余り送るインセンティブがない、これは明らかです。ということで、今、そういう医師探しの中の1つの努力としては給与体系などを、独法が最初に5年前に立ち上がったときよりも、もちろん独立行政法人ですから限界がありますが、会計検査、あるいは厚生労働省、どこからも非難が出ない範囲でフレキシブルに行い、医師の確保をしております。
 それから、先ほどもあったかもしれませんが、5年間の総括を実施したときもそうですが、やはり、各病院の今の財務の状況がどういうふうにあるのか把握すること。つまり、普段の経営さえも借金をして運用しているのか。あるいは自前でできているのか。余剰金があるのか。こういうことも、当該病院にとってはみんなの前でオープンになるのは多分快くないし、私どもも少しそこには決断を要しましたが、これは全部オープンにしました。どれだけ借金があるのか、どれだけ本部から借りているのか。こういう財務の体力がどれくらいあるかということを全てオープンにして、みんなが自分の今の立ち位置が分かるようにした。
 それから、二極化ということで、業務指針が書いてありますが、特に赤字病院を中心に、かなり詳しくこれとこれを行うようにと、これは石尾監事等々に相談もして実施した。例えば、地域の院長には地域の医師会などや先ほどの連絡協議会などではもちろん会いますが、それ以外にももっとマーケティングをしてもらって、うちはこういう患者ならしっかり診られると。先ほど福井先生が、魅力、うちはここはできないが、ここはできるということをしっかり伝えるよう言っている。基本的には、今苦戦している病院は1億、2億も黒字を出すことはできませんが、最低限赤字だけは出さないように、こういう指針を出しているということです。
 それから、最後の5番目は、経営改善委員会を立てて、問題があって本部と一緒に知恵を絞らなければいけない病院には、病院長だけではなくて、事務長、看護部長などにも来てもらって、一緒になってどうしたらいいのか検討する。さらに加えて、本部の担当理事等が一緒に更にフォローアップする。そんなことで二極化についてだんだんと解消できればという方向で、今努力をしている最中です。
 
○福井主査
 ありがとうございます。最後に、最も重要なのはどういう人を院長にするかだと思いますが、本部の意向というのは十分反映された人事になっているのですか。
 
○地域医療機能推進機構理事長
 それは福井先生、答えはイエスしかなくて、つまり、本部の意向というか、これは規則的には理事長が任命することになっていますから。実際には院長は候補者がいると、大学などでも必ず2名ぐらい候補者を挙げてもらうのです。今までは、ある意味では力の強い大学がこの人と言えば、この人を無条件に採用していたのですが、今は、どこの大学でも、有力な大学が結構多いのですが、我々はどういう人が欲しいのかということをはっきり申し上げています。それはどういうことかと言いますと、大学から送ってくる場合は、学問的に優秀な人が多いのです。学者で、大学の教授で、学会で非常に有名。しかし、私どもは学者というよりも医師として尊敬されている人、若い医師も「あの先生が院長なら行ってみたい」という、医学者というよりも医師としてまずは尊敬される人というのは当然です。これは言わずもがなことで、大学から送ってくる先生は、まず大学あるいはみんなが候補者としてくる、それはクリアしている。
 2番目で、これが実は一番大事なのですが、我々は経営をしてほしいので、財務の諸表の全て、ディテールについて分かる必要はないが、経営についての感覚を持って、自分の病院が赤字だったら何とか黒字にするように、事務長、あるいは本部、どこかうまくいっている病院に聞きに行くとか、そういう態度を持っている人、心構えのある人、そういう人をとかなりはっきり言っています。それで、送ってもらった人を、私一人では判断ミスがありますから、ここにおられる両理事と面接をして、この人ならいいということで判断します。もちろん時々は我々の判断が間違えることは、神様ではありませんからありますが、そういう方向で今行っています。最後の結論になりますが、院長の人事については、かなり神経とエネルギーを費やしているという感じです。
 
○福井主査
 会議体、選考委員会みたいなものを立ち上げて決めるという形には、特別なっていないわけですね。
 
○地域医療機能推進機構理事長
 それはなっていないです。外から来てもらうか、中から上げるか、大きく分けて2つです。候補者が出ます、そのときは最初から2人などと絞られていますから、選考委員会みたいなものは今のところはなくて、もし必要があれば立ち上げて行います。今のところは3人の理事で面接をしていますが、もしそういう組織の体制として、院長何とか会議というのがあったほうがいいのであれば、それは私としてはやぶさかではありません。
 
○福井主査
 ほかにはいかがですか。よろしいですか。それでは、以上で本日の議事を終わりたいと思います。最後に事務局からお願いします。
 
○政策評価官室長補佐
 今後の流れについて御連絡します。本日御議論いただいた地域医療機能推進機構の「平成30年度業務実績評価」並びに「中期目標期間実績評価」については、この後、本WGにおける御意見や法人の監事及び理事長のコメント等踏まえて、厚生労働大臣による評価を決定して、法人及び独立行政法人評価制度委員会に通知しますとともに、公表いたします。決定したそれぞれの内容については、後日、構成員の皆様にもお送りしますので、よろしくお願いいたします。最後に構成員の皆様におかれましては、本日配布した資料の送付を御希望される場合は、机上にそのままにして御退席いただきますようお願いいたします。事務局からは以上です。
 
○福井主査
 それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。長時間にわたり熱心御議論をありがとうございました。
 
(了)