2019年7月25日 独立行政法人評価に関する有識者会議 国立病院WG(第6回) 議事録

日時

令和元年7月25日(木) 12:59~15:21

場所

中央労働委員会講堂(7階)

出席者

松尾主査、亀岡構成員、河村構成員、斎藤構成員、髙瀬構成員、田極構成員、富田構成員、山口構成員

議事

 
 
○松尾主査
 こんにちは。お忙しいところ、ありがとうございます。定刻より若干早いのですが、今日、御出席予定の皆様方がおそろいになられたということでございますので、ただいまから、「第6回独立行政法人評価に関する有識者会議国立病院WG」を開催したいと思います。構成員の皆様におかれましては、今日は本当に暑いのですが、きっとディスカッションもホットになると思います。よろしくお願いいたします。本日は大西構成員が御欠席と伺っています。それでは、本日の議事につきまして事務局から説明していただきます。よろしくお願いします。
 
○政策評価官室長補佐
 政策評価官室長補佐の加藤と申します。よろしくお願いいたします。御説明の前に、事務局で異動がありましたので御報告させていただきます。政策評価官の溝口でございます。
 それでは、本日の議事について御説明いたします。初めに、議事次第にあります参考資料1~9に関しては、お手元のタブレットに収納してございますので、そちらを御覧ください。画面がスリープ状態になっている場合は、右上の電源ボタンを軽く指で押してください。本日は、「国立病院機構」につきまして、「平成30年度業務実績評価」及び「中期目標期間実績評価」に係る意見聴取を行うこととなっています。御意見を頂くに当たり、今年は、3月12日付けで総務省における「目標・評価の両指針」の改定が行われていますので、その中で、評価の枠組みに関わる事項について、簡単に御説明いたします。
 評価指針においては、「年度評価」について、「当該目標期間中の各年度において、中期目標の着実な達成を確保する上で支障となると考えられるものなどの業務運営上の課題を的確に抽出できることが重要である」との考え方から、評価書作成に当たり、「事務事業の特性や目標の内容、目標の重要性等、目標・計画の達成状況に応じて、重点化して評価を行う」こととされたところです。この「重点化」につきましては、お手元のタブレットでございますけれども、参考資料2の2ページ目の「評価項目」の中に記載していますとおり、「目標期間終了時における目標達成の上で重要なもののみ従来の単位・精度で評価を行うこととする一方、それ以外の項目については、簡素・効率的な評価となるような工夫を促すことにより、評価にメリハリをつけようとするもの」と評価指針において示されております。その上で、重要度又は難易度が高いと設定している目標については、必ず重点化の対象とすることとされております。
 なお、改定後の評定基準「S」「A」「B」「C」「D」への当てはめ基準の適用時期については、改定後の指針に基づいた新目標期間の開始時からとなりますので、当面の間は、従来どおりとなっております。その考え方は、参考資料2の2ページ目下段の※をしている所ですが、改定後の目標指針の下で目標を策定して以降の評価について改定後の評定ルールを提供するということになります。国立病院機構の場合は、今年度からの目標の次の目標期間の開始年度の翌年度、すなわち令和7年度に実施される6年度の評価からとなります。
 また、「中期目標期間実績評価」においては、参考資料2の2ページ目の上段ですが、「見込評価時に使用した中期目標期間終了時の実績見込みと実績との間に大幅な乖離がなく、かつ考慮が必要な状況変化もない場合には、数字の更新等必要な修正を行った上で、見込評価を活用することができる」とされたところです。
 これらの点を踏まえまして、今年度のWGにおきましては、「年度評価」において、重点化の対象とする項目を中心に御意見を伺うこととしたいと考えております。そのため、初めに法人所管課室より、「重点化対象項目選定の考え方」を説明いただいた後に、続けて、法人から「重点化対象項目」の業務実績及び自己評価を説明の上、有識者の皆様から御意見、御質問を頂きたいと存じます。その際、「重点化」の趣旨を踏まえまして、単に、例えば「A」という評定が適切かというだけでなく、法人の取組の中で、中期目標の達成に向けて、優良と思われる点や、逆に課題があると思われる点については、評定に直接影響しない場合であっても、積極的に御指摘を頂ければ幸いです。
 重点化対象以外の項目については、法人からの説明は行いませんが、御意見がある場合には、議事の最後にまとめてお伺いすることとさせていただきます。
 次に、「中期目標期間実績評価」においては、法人より、見込評価と比べ、実績等に変化があった項目を中心に、複数ある場合は、重要度、難易度が高いとしている項目を優先的に、業務実績及び自己評価を説明の上、有識者の皆様から御意見、御質問を頂きたいと存じます。
 それ以外の項目については、「年度評価」と同様、議事の最後にまとめてお伺いすることとさせていただきます。
 法人からの説明項目は、資料1になりますけれども、「国立病院機構評価項目一覧(年度評価・期間実績評価)」中の「網掛け」されているものとなります。
 最後に、参考資料9について、若干御説明いたします。これは、平成29年度の業務実績に係る年度評価等について、A以上の評定の場合に、その根拠が具体的に説明されているか等の観点から点検した結果を、総務省が整理したものです。こうした点検は、毎年度行われていますが、今回、全体として、著しく適正を欠く評価の実施と考えられるものはなかったとした上で、今後の評価のための参考例として別紙1、2が示されています。例えば、A以上の評定において、難易度の高い項目について、定量的指標の達成状況は120%未満であるけれども、根拠を具体的かつ明確に記述した上で、A以上の評定としている例だとか、本来の定量的指標に加えて、定量的には把握が難しい業務の達成状況も含めて、根拠を合理的かつ明確に記述した上で、A以上の評定としている例などについて、詳細にまとめられています。評定に十分な根拠があるかどうかは、本WGでも議論となる場合がありますが、総務省の側で考えられているレベル観として、参考にしていただければと思います。
 なお、例年どおり、各府省別の評定の状況も、「参考」として示されていますけれども、かつて問題となった「A」以上の割合について、前回の評価では、年度評価において高いほうから2番目ではあるものの、特に突出はしていないということです。事務局からの説明は以上です。
 
○松尾主査
 ありがとうございました。今の説明に何か御質問等がありましたら構成員の皆様からよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、大体、御理解いただけたということですので議事に入りたいと思います。まず、「平成30年度業務実績評価」に係る意見について、それから、「中期目標期間実績評価」に係る意見について、御審議をお願いします。初めに、法人所管課室から「重点化対象項目選定の考え方」について説明をお願いします。
 
○医政局医療経営支援課医療独立行政法人管理室長
 医療経営支援課でございます。資料1、国立病院機構評価項目一覧という資料がございます。左に評価項目が並んでいまして、右のほうにまいりますと重要度、難易度、重点化項目ということで印が付けてございます。国立病院機構の評価項目につきましては、重要度あるいは難易度が付いている項目は、重点化項目として、本日、法人側から説明をしていただくこととしています。具体的には、機構の業務の柱である診療事業、臨床研究事業、教育研修事業を中心としまして、医療の質の向上等の観点から医療の提供、そして災害医療やセーフティネット医療等の重要性から国の医療政策への貢献、そして地域で求められる医療の重要性から地域医療への一層の貢献、あるいは医療データの活用とか質の高い治験などの重要性から臨床研究事業、医療関係職種の質の向上等の観点から教育研修事業、さらに業務運営等の効率化とか予算・収支計画及び資金計画につきましても、重点化項目として位置付けているところです。私からは以上です。
 
○松尾主査
 続いて、法人から「法人の業務概要」及び「重点化対象項目」の業務実績及び自己評価」について、「年度評価」及び「中期目標期間実績評価」と併せて説明していただきます。なお、この「期間実績評価」につきましては、法人所管課室としては、見込評価の活用はしないこととしたと伺っておりますので、法人より、「期間実績評価」を説明の際は、見込評価と比べ、実績等に変化があった項目を中心に、複数ある場合は、重要度、難易度が高いとしている項目を優先的に、業務実績及び自己評価の御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
 
○国立病院機構理事長
 御説明申し上げますが、担当からの説明に先立ちまして、私のほうから一言、申し上げさせていただきます。長時間労働が原因で都城医療センターの職員が亡くなられた労災事案につきまして、昨年のこの会議において私から報告し、当法人として、今後、このようなことが起こらないよう真摯に取り組んでいくことを御説明申し上げました。その後、本年1月に労働基準法違反で略式起訴され、当法人として罰金50万円の略式命令を受けており、このような事態になったことについて法人を代表して改めて心からお詫び申し上げます。当法人としては、この事案を速やかにホームページ上で公表し、二度とこのようなことを起こさないよう、組織を挙げて真摯に取り組んでいくことを説明しているところでございます。具体的な取組等につきましては後ほど御説明申し上げますが、当法人としては引き続き、長時間労働削減を最優先課題として取り組んでいく考えでございます。よろしくお願いいたします。
 
○松尾主査
 ありがとうございます。それでは、説明をお願いいたします。
 
○国立病院機構企画経営部長
 企画経営部長です。私のほうから資料に基づき御説明させていただきます。基本的に、平成30年度業務実績評価説明資料に基づき御説明させていただきます。中期計画の期間実績評価につきましては、基本的に同様のものだということで御理解いただければと思っています。
 平成30年度業務実績評価説明資料の1ページを御覧ください。皆様、既に御承知のとおり、我々国立病院機構は医療の提供、調査及び研究、技術者の研修、この三本の柱で業務を行っています。組織の規模としましては、1ページの3.にありますとおり、現在、141病院ございます。これにつきましては、昨年4月の段階では142病院ございましたけれども、同年5月に長野の松本病院と中信松本病院の2病院が統合して1病院になったことにより、1病院減ということでございます。運営病床数は約5万床ということで、全国の病床のうち約3%を占めている状況はそのままです。
 右のほうを御覧いただき、1日平均患者数等につきましては書かれているとおりですが、職員数につきましては6万2,178人ということで、少しずつではありますが、毎年度、増加してきているところです。財務につきましては、各病院が自己の診療収入により経常収支率を100%以上とすることを目指しており、後ほど御説明しますような経営改善に向けた努力を引き続き行っているところです。その結果、平成30年度において、機構全体の経常収支が84億円となり、2期連続の赤字から脱却して黒字に転換しているところです。次の2ページを御覧いただくと、これも既に皆様御承知のとおり、全国141の病院ネットワークを活用し、先ほど申し上げた三本柱により事業を行っているところです。そのような事業の取組を行った結果として、次の3ページに整理しているのが、平成30年度の業務実績です。個別の項目につきましては次ページ以降から御説明させていただきます。
 
○国立病院機構企画役(医療機能担当)
 引き続き、4ページを御覧ください。診療事業(医療の提供)です。難易度が高いとした理由ですが、患者さんの多様なニーズに応えるため、医療の提供全般にわたって不断の見直しが必要なこと。また、我々の診療事業全体に共通の課題であり、繰り返し強調させていただきますが、障害者医療から高度急性期まで各病院の医療機能が多様である国立病院機構において、医療の実践の手順の変更や職員の意識改革を図り、医療の質を高めていくことは容易なことではありません。さらに、そのためのスタッフへの研修、電子カルテをはじめとしたインフラの整備を継続して行うために、多大な時間と資金を要することから、難易度が高い項目とさせていただいています。
 6ページ、実績です。1の患者の目線に立った医療の提供です。患者満足度調査を実施した結果、入院(総合評価)では平成29年度に比べ少し低下していますが、高い水準を維持しています。入院に比べてやや低い評価の外来(総合評価)は、平成30年度は逆に少し改善することができました。外来の総合評価が低い原因として、待ち時間に対する不満が指摘されていますが、この待ち時間対策に関する取組として、平成30年度には会計窓口においてクレジットカード等の使用が、ほぼ全ての140病院で可能となり、医療費後払いサービスも4病院において実施できるようになりました。
 7ページ、安心・安全な医療の提供です。いろいろな取組がされていますけれども、特に平成25年度から取り組んでいる病院間相互チェック体制の拡充では、1巡目の距離の近い病院同士のチェックに対して、機能のより近い病院同士を2巡目に行い、平成30年度までに全ての病院が終了しています。平成30年度の診療報酬改定において、「国立病院機構医療安全チェックシート」を参考とした、相互に医療安全対策に関する評価を行う「医療安全対策地域連携加算」が新設されるなど、国の医療安全施策に貢献してきています。
 8ページを御覧ください。院内感染防止体制の強化です。感染管理認定看護師は配置病院、配置人数を増やしてきていますが、未だ13病院で配置ができていません。そのため平成30年度は、これら不在の病院でアウトブレイクが発生した事例に対して、グループが関与し、他病院の院内感染対策チームを早期に派遣して鎮静化を図っています。
 8ページの右ですが、質の高い医療の提供です。複数の専門職種による協働チームの設置状況を表に示しています。◆は平成30年5月の松本病院、中信松本病院の統合による1病院減少の影響を示しています。NSTにおいては、担当者の退職等により補充が間に合わなかった病院等によって減っていますが、摂食・嚥下サポートチーム、精神科リエゾンチームでは増やすことができています。
 9ページを御覧ください。国立病院機構としては病棟薬剤師の配置、診療看護師(JNP)の配置、専門・認定看護師の配置を積極的に進めてきています。特に特定行為が全てできる診療看護師においては、医師の働き方改革でのタスクシフティングに顕著な効果があり、配置を進めているところです。しかし、大学院2年コースの養成で時間も掛かり、多数の養成・配置は困難ですので、後に述べます特定行為研修も併せて進めているところです。
 10ページを御覧ください。定量的指標のクリティカルパスの実施件数です。平成30年度は、目標の30万2,824件に対して31万9,661件で達成度は105.6%です。各病院で継続的にパスのバリアンス分析、見直しをするなど、不断の努力が実ったものと考えています。
 右の項を御覧ください。臨床評価指標です。これは平成30年度に新たに「Ver.4」を検討・開発し、本年8月より測定結果が出始めますので、Ver.3.1からVer.4に移行いたします。Ver.4においては電子カルテ情報も利用可能となり、電子カルテ情報が取れる病院に限られますが、アウトカム指標も増やすことができています。指標の計測マニュアルはまだVer.3.1のものですが、Webサイトに無料公開されており、公開以降の延べアクセス数は117万超となっており、広く活用されています。
 11ページを御覧ください。もう1つの定量的指標の医療の質向上委員会、クオリティマネジメント委員会の設置数です。グラフのように中期計画中に全病院で達成を目指しましたが、各病院の熱意が高く、平成28年度で目標を達成しており、平成30年度は100%の達成率になっています。この委員会の取組による改善例は、全病院平均では、左の下にあるような良性卵巣腫瘍患者に対する腹腔鏡下手術の実施率があります。また、個別病院の取組では、右の上にあるような重症心身障害児(者)に対する骨密度測定の実施率などがあり、改善がみられます。
 12ページを御覧ください。療養環境の改善です。患者さんの療養環境の改善のために平成30年度は、全面建替整備を3病院、病棟等建替整備を5病院、外来等建替整備を4病院行っています。以上より、重要度が高く、かつ難易度が高いと考量していますので、自己評価をAとさせていただいています。
 13ページを御覧ください。診療事業(国の医療政策への貢献)です。こちらも難易度は「高」とさせていただいています。先ほどの各病院の機能が多様である国立病院機構の状況の中、災害発生時など、国の危機管理に際して求められる医療を迅速に提供できるよう、人材育成訓練、災害対応体制の整備を実施することは難易度が高いと考えています。また、後発医薬品に関しても、医師・薬剤師などの医療従事者側と患者側の理解を一層深めることが必要となりますので、難易度を「高」とさせていただきました。
 15ページを御覧ください。国の危機管理に際して求められる医療の提供です。防災業務計画に基づきまして基幹災害拠点病院12病院、災害拠点病院25病院の37病院体制を維持しています。平成30年度、新たに初動医療班が携行すべき機材の目安として、初動医療班標準資器材リストを策定して、準備を行っています。
 右の欄を見てください。厚生労働省の委託を受けてのDMAT活動の指揮をするために、災害医療センター、大阪医療センターの2病院に事務局を持っていますが、42病院で141チーム、729名のDMAT隊員を有しており、平成30年度の活動に関しては、その下に記載していますので御参照ください。
 16ページを御覧ください。2のセーフティネット分野の医療の確実な提供です。他の設置主体では必ずしも実施されないおそれのあるセーフティネット分野の医療の提供については、重症心身障害、筋ジストロフィーを主とする療養介助病棟への療養介助職の配置を進めています。また、NICUの後方支援病院の取組としては、1病院を加えて23病院で対応することができています。重症難病患者さんの在宅療養を支援するために、自治体からの委託を受けて、難病医療連絡協議会事務局も1病院を加えた6病院に、難病相談支援センターも新たに3病院を加えた7病院に設置することができ、支援体制を推進しています。
 右側を見ていただくと、精神医療です。こちらは薬物依存症やアルコール依存症などの治療困難な患者の受入れに取り組んだほか、昨今、増加しているギャンブル依存症、ネット依存症に対しても、依存症対策の全国拠点である久里浜医療センターを中心に対応するとともに、多職種に対する研修・育成も実施しています。心神喪失者等医療観察法に基づく医療の実施でも、14病院(421床)を維持しています。
 17ページを御覧ください。重点課題に対応するモデル事業等の実施です。定量的指標になっている後発医薬品の使用割合をグラフに示しています。平成30年度は、目標の70%に対して86.2%と123.1%の達成度になり、令和2年9月までに80%とする政府目標を既に達成しています。
 18ページを御覧ください。アレルギー疾患対策都道府県拠点モデル3病院に三重病院が選定されています。アレルギー相談センターを設置し、主訴別にどの医療機関を受診したらよいか明示したことや、開業医、患者さん、三重病院の専門医がオンライン診療システムを利用しての症例検証を行うなど、次世代病診連携にも取り組んでおり、国のアレルギー疾患治療政策に貢献しています。
 右の項のエイズへの取組推進は、ブロック拠点病院において全科対応による総合的診療を実施するとともに、中核病院などへの研修などを通じてエイズ医療の均てん化を図っています。以上より、重要度が高く、かつ難易度が高いと考えていますので、自己評価はAとさせていただいています。
 19ページを御覧ください。地域医療への貢献です。こちらの難易度「高」の理由は、各病院の機能が多様であるという中、さらに地域の実情に合わせて、それぞれの地域で異なった連携デザインを構築する必要があること。そのような状況で国立病院全体としての例えば紹介率・逆紹介率を上げていくことは容易でないため、難易度を「高」とさせていただいています。
 21ページを御覧ください。医療計画等で求められる機能の発揮です。5疾病5事業のうち、5事業の最後に書いている小児医療に関しては97病院と大幅に増えております。これは、都道府県の国立病院機構が提供している重症心身障害児(者)に対する医療を評価して、新たに医療計画に書き込んでいただいたということが理由です。
 右の項で、地域における他の設置主体医療機関等との機能再編です。こちらは岩手県からの要請を受けまして、民間のもりおかこども病院の医療機能を受け入れて、盛岡医療センターで療養介護施設の新設並びに小児専門医療及び救急医療を開始しています。重症心身障害児(者)の病棟は改修により7月中に完成、8月から受入れを始めるという状況になっています。
 22ページを御覧ください。青森県の医療構想に関してです。弘前市立病院と当方の弘前病院を統合・再編する県の地域医療構想に従いまして、引き続きの交渉の結果、県、弘前市、大学、国立病院機構の4者の基本協定を平成30年10月に締結することができました。令和4年の早期開設を目指しています。
 右の項で、定量的指標の地域連携クリティカルパスの実施総件数です。平成30年度は目標の6,937件に対して8,786件、126.7%の達成度でした。自己努力だけでなく、相手との協力のもとに向上する必要があり、難易度も高い項目ですが、平成30年度は各病院の継続的な努力が実り大幅に伸ばすことができました。
 23ページを御覧ください。2つ目の定量的指標の紹介率ですけれども、平成30年度の目標の67.9%に対し78.1%と、平成29年度に比して更に伸ばすことができ、達成度は115%でした。
 右の項ですが、地域の救急医療体制の取組です。救急医療受入患者数自体は減っていますが、救急受診後の入院患者数、救急車の受入数、救急車による受入後の入院患者数はともに増加しており、より重篤な患者や小児患者等の受入れを行い、地域の救急医療体制の中での役割を果たしています。
 24ページを御覧ください。在宅医療との連携など地域包括ケアシステムへの貢献です。在宅療養支援の取組は、平成30年度末時点で1病院が在宅療養支援病院、1病院増えて25病院が在宅療養後方支援病院、3病院増えて36病院が地域包括ケア病棟を導入しています。また、都道府県が実施している「難病医療提供体制事業」において、難病医療拠点病院が26病院、難病医療協力病院が55病院で、入院治療が必要な難病患者さんが、適宜、入院できるという役割を担うよう、地域の在宅支援ネットワークへの協力を継続的に行っています。在宅療養患者さんの増悪時の対応として、平成30年度では122病院で対応できるようにいたしましたし、1病院増えた99病院でレスパイト入院にも対応しています。
 右の項で、訪問診療・訪問看護に関しては、各病院の診療機能と地域の医療ニーズに応じて、在宅療養患者さんに対して、例えば訪問診療であれば2病院を加えた36病院、訪問看護は新たに15病院加えて65病院が取り組んでいます。訪問看護ステーションも平成30年度、九州がんセンターにおいて新たに1病院が開設し10病院となっています。以上より、重要度、難易度も「高」と考え、自己評価をAとさせていただいています。
 25ページを御覧ください。臨床研究事業です。こちらも難易度は「高」とさせていただいていますが、これは電子カルテ情報の収集分析推進のためのSS-MIX2を用いたデータ様式の標準化に、国内では初めて取り組んでいること。病院やメーカーごとに仕様や様式が異なるので、膨大な量の調査と変換の作業が必要なことになります。また、大規模臨床研究や治験を実施するにはハイレベルのコーディネートを図る必要があるため、難易度を「高」とさせていただいています。
 28ページを御覧ください。診療情報の収集・分析と情報発信機能の強化です。国立病院機構診療情報集積基盤(NCDA)で、電子カルテデータの標準化のためのIT基盤構築事業を発展・充実させるために、平成30年度に事業参加病院を5病院追加して63病院とすることができました。患者データ数も平成29年の162万人から190万人に増加しています。対応ベンダ数も7社とし、診療経過記録や退院時サマリ、紹介状データについても集積し、より精度の高い臨床研究等の実施が可能となるデータベースとして運用しています。
 29ページを御覧ください。定量的指標の英語論文掲載数です。平成30年度の目標が、論文数2,043本に対して2,568本となり、達成度が125.7%になりました。目標を超える結果となっています。また、インパクトファクターも平均値が2.81と高いレベルを維持しています。
 30ページを御覧ください。京都大学iPS細胞研究所等の外部機関との連携です。京都大学iPS細胞研究所との連携では、iPS細胞を用いた難治性疾患等の病因・病態の解明や新たな治療の開発のため、「疾患特異的iPS細胞樹立促進のための基盤形成」事業において、指定難病を対象とした症例登録で、159疾患・457症例の登録実績を国立病院機構は上げています。こちらは、iPS細胞研究所の疾患特異的iPS細胞を樹立できた243疾患・403症例に対して、最も貢献した医療機関となっています。平成30年度は、引き続き樹立された細胞を使用しての基礎研究を進めています。
 31ページを御覧ください。迅速で質の高い治験の推進です。平成30年度は治験・臨床研究コーディネーター(CRC)の配置を増やすとともに、治験審査の効率化、迅速化を図るため、本部に設置している中央治験審査委員会において、新規課題21課題、継続課題75課題の審査を行っています。治験実績については右の下の表に示しましたように、平成26年度から堅調に推移していましたが、世界的な治験の動向もあり、昨年度から引き続き実施症例数、請求金額も減少傾向にあります。
 32ページを御覧ください。先進医療技術の臨床導入の推進です。高度先進医療技術の臨床導入では、引き続き理化学研究所とNKT細胞の共同研究を継続しています。
 33ページを御覧ください。平成29年度に先進医療Bに承認された、「筋ジストロフィー心筋障害に対するTRPV2阻害薬内服療法」については、現在、国立病院機構を中心とする15施設で実施しています。
 次に、右側の臨床研究や治験に従事する人材の育成です。eAPRIN(旧CITI Japan)教育研修プログラムを活用し、研究者だけでなく、CRC事務局も対象としたe-learningによる研究倫理教育を引き続き実施していて、平成30年度は1万4,689名がこの研修プログラムを修了しています。以上より、重要度が高く難易度も高いということを考え、自己評価をAとさせていただいています。
 34ページを御覧ください。教育研修事業です。こちらも難易度が高いと設定させていただいていますが、その理由は、医療技術の進歩や地域の医療ニーズの変化に的確に対応していくためには、通常の診療業務も行いながら、かつ、教育体制の不断の見直し、維持を行っていくことが必要であること。また、講師の育成・確保、研修ツールの作成を継続的に行っていくということは難易度が高いと判断し、難易度は高いという設定にさせていただいています。
 36ページを御覧ください。質の高い医療従事者の育成・確保です。医師の育成に関して、臨床研修病院の指定状況は基幹型も協力型も維持しています。また、初期研修医の受入数は見てのとおり基幹型、協力型でもコンスタントに増加してきています。後期研修医もレジデントベースでは受入れが増えています。機構独自の専修医の修了者数において少し減ってきていることについては、次に述べます新専門医制度への移行ということがあります。
 右の項に新専門医制度について記載していますが、平成30年度は基幹プログラムが、16領域から1領域増やして17領域、107プログラムと少し増えています。実際の登録結果では平成29年度が13領域に対して、今回、16領域ということで、領域的には広がった形での登録をしていますが、総数では平成29年度の137名に対して133名で登録が確定していまして、4名ほど減った状況になっています。
 37ページを御覧ください。定量的指標の看護師の国家試験合格率です。平成30年度の目標とした全国平均の合格率94.7%に対して、98.1%になり、達成度は103.6%でした。今回は難しかったこともあり、大学等もかなり合格率を減らしているなかで、目標を達成した状況となっています。
 右の項に関しては看護師のキャリアパス制度の充実ですが、昨年度始めたACTyナースVer.2の運用を引き続き行っています。医療・看護の質の向上に貢献できる看護管理者を育成するため、能力開発プログラムの「CREATE」を平成30年度から運用を開始しています。
 38ページの左側で、特定行為研修に関してです。平成30年度は四国こどもとおとなの医療センターに加え、熊本医療センターが指定研修機関となりまして、実習の協力病院も新たに9病院加え25病院となり、養成を強化してきています。こちらは先ほどのJNPでも指摘しましたように、今後の医師のタスクシフティング等を睨んだ対応です。
 39ページを御覧ください。メディカルスタッフの各種専門資格のキャリア支援です。こちらも継続的に取り組んでおり、特に真ん中の所に示した、がん専門薬剤師に関しては懸案でしたが、やっと増やすことができるようになってきました。
 右の項を見ていただいて、2の地域医療に貢献する研修事業の実施です。定量的指標としての地域医療従事者等を対象とした地域研修会の開催件数ですが、平成30年度までに10%増加させる設定で1年に2%の増加を目標としています。平成30年度は5,000件の目標に対して5,197件となり、達成度は103.9%になりました。以上より、重要度が高く、かつ難易度が高いという設定に対して、自己評価をAとさせていただきました。
 
○国立病院機構企画経営部長
 引き続きまして、40ページを御覧いただければと思います。評価項目2-1、業務運営等の効率化です。この評価項目2-1につきましては、中期目標といたしまして、効率的な業務運営体制の確立、経営の推進と投資の促進などにつきまして整理させていただいておりますが、これにつきましては、やはり難易度が高いものと位置付けております。理由といたしましては、40ページの下に書いてございます。一般管理費の節減につきましては、既に第1期、第2期の中期目標期間におきまして、高い削減実績を上げてきておりますけれども、それを更に第3期におきまして削減する形になっております。しかし、昨今の様々な外的要因による影響がある中で、これ以上の削減が極めて厳しい状況となっていることから、難易度については高いものとさせていただいております。そのような中、具体的な取組につきましては42ページ以降を御覧いただければと思います。
 まず、効率的な業務運営体制の中で、本部による病院支援・指導機能の強化という点です。これにつきましては、例えば第1段落にございますように、教育研修課を新設して一元的な検討のできる体制を作ったほか、その次の段落にございますように、本部におきましてリアルタイムで病院預金残高の確認を行った上で、本部側の操作により本部と病院の間の資金移動が可能となるような体制を、平成30年度に整備いたしました。なお、個々の資金移動の金額や期間等につきましては、あらかじめ病院側と調整して行う形になります。
 続きまして、コンプライアンス徹底への取組につきましては、雇用担当理事から説明いたします。
 
○国立病院機構理事(雇用管理担当)
 冒頭、理事長から御発言のありました都城医療センターの関係もございますので、労働環境改善に係る取組の関係ということで、私から少し詳細に説明させていただきます。
 平成29年10月に、その1年前に都城医療センターに自死事案があったということもありますが、国の働き方改革への対応も踏まえまして、理事長トップとして、病院職員とか社会保険労務士といった外部有識者を含めた労働環境改善対策本部というものを、もともと立ち上げてございます。この本部の中には3つのWGがございまして、医師等長時間労働削減WG、事務職長時間労働削減WG、勤務時間管理方法検討WGという3つを設置いたしまして、平成30年3月になりますが、労働環境改善に係る取組の中間報告という形で取りまとめてございます。この取りまとめにつきましては、翌月に各病院にこの内容を踏まえて様々な指示をしてございます。
 具体的には勤務時間管理のルールの周知の徹底、こういう方法を徹底しなさい、36協定に定める時間数を超えて時間外労働をさせていないか、各病院で定期的に点検をしなさい、できる限り時間外労働時間が生じない形の勤務線表を徹底しなさい、会議などの時間を見直しなさい、こういうことを指示してございます。併せて、もともと労働安全衛生法では、時間外休日労働が100時間を超える、若しくは2か月から6か月の平均で80時間を超えた職員については、職員から申出があった場合には面接指導をするということになってございますが、これを、申出がなくてもこの時間を超えたらしなさいという指導をしてございます。
 あと、平成29年度から各病院に指示をしたことの徹底を再度させています。具体的には、定期的に点検対象を選定して、パソコンのログなどの時間と勤務時間管理簿をしっかり突合しなさいということとか、当然、時間外勤務が特定の職員に集中しているような場合については、36協定に違反することのないよう徹底していただくわけですが、業務の見直し等、長時間労働の解消に向けて取り組んでくださいという指示をしてございます。
 それと、都城医療センターの関係ですが、冒頭に理事長からお話がありましたが、平成30年7月に労基法違反ということで書類送検を受けました。そのときには、理事長から全職員に向けて、長時間労働の削減とか職員の健康確保に向けて強い決意を持って取り組んでいくことを伝えさせていただいたところです。その後、各病院長、事務部長、看護部長を召集した会議においても、これは平成30年9月と平成31年2月に開催してございますが、取組の推進を指示してきてございます。平成31年1月には都城医療センターの関係で略式起訴、略式命令で罰金50万円を受けたわけですが、速やかにホームページを通じて、当該事実、今回のような事態になったことを極めて厳粛に受け止めて、二度とこのようなことのないよう長時間労働の削減を最優先課題ということで、その対策に真摯に取り組んでいくことを表明させていただいています。
 ちょっと順番が前後いたしますが、そこの2にあるところですが、確実かつ効果的な勤務時間を把握するということで、ICカードを活用して職員の出退勤時間を客観的に把握する、それで、職員本人に時間を自己申告させた上で、その内容を上司が確認して、部下の勤務時間を管理していくという新たな勤務時間管理方法の導入に向けて、モデル病院7病院を選定いたしまして、平成30年10月から施行を開始してございます。現在は、この効果を検証した上で全病院へ本格導入するための準備を進めているところです。また、本年4月から労働基準法が改正になったわけですが、それを見据えまして、昨年の9月から12月において、時間外労働が多い職員が在籍する病院と、年休取得の少ない職員が在籍する病院を合計25病院選定いたしまして、延べでいきますと約100人体制で、本部・グループが直接その病院に出向いて指導をしてきてございます。繰り返しになりますが、今回の労働基準法違反の書類送検、略式起訴、略式命令を厳粛に受け止めまして、このようなことを繰り返さないよう、勤務環境改善を進めて、労働法制の遵守の徹底を図るということで考えてございます。以上です。
 
○国立病院機構企画経営部長
 引き続きまして、43ページを御覧いただければと思います。次は、効率的な経営の推進と投資の促進という点です。簡単に申し上げますが、43ページに書かれておりますように、医薬品の共同購入や大型医療機器の共同入札の実施、さらには、医療材料費の適正化などを進めることにより、より効率的な投資費用の削減を図る形としております。さらに、収入の確保策といたしまして、右下ですが、債権管理業務の効率化を図るために、新たに医業未収金管理システムの導入とか、医業未収金の回収に関する各病院に対する指導などを実施しているところです。
 次に、44ページを御覧いただければと思います。業務量の変化に対応した柔軟な配置です。先ほど御説明いたしましたように、左上ですが、必要な職員の配置は着実に行ってきておりまして、平成30年度におきましては、平成29年度と比べて約280人の増員を行っているところです。その一方、次の段落に書かせていただいておりますように、人件費の増加を抑えるという観点から、職員定数の管理を厳格化するという対応も併せて行っておりまして、看護師に関する個別病院の見込み採用者数のチェックの厳格化などを進めているところです。
 その下がQC活動奨励表彰ということで、QC活動につきましては、引き続き進めております。特に近年におきましては、水平展開の促進を図るために、事務部長会議での周知や、職員用の掲示板において情報提供をするなどの取組も進めております。さらに、今年度からは働き方改革の一環として、QC活動においても働き方改革を1つのテーマとすることも進めているところです。そのような取組を進めている中で応募件数につきましては、44ページの右上にございますように、達成度としては残念ながら100%は超えておりませんが、業務との関係でなかなか難しいところはございますが、一定の実績を上げていると考えております。
 45ページです。一般管理費の節減には引き続き努めているところですが、先ほども申しましたような、もろもろの外部要因、例えば情報セキュリティ対策の強化ですとか、システムの更新などもございまして、その結果といたしまして一般管理費が増加する中で、達成度につきましては45ページの左下にあるような状況です。このような形で、目標自体につきましては達成度100%を満たしていない状況ではございます。先ほども申し上げましたように、これまでの実績を更に超える一般管理費の節減につきましては難易度が高く、効率化のための様々な取組を進めているところではございますが、平成30年度もシステム更新などのためにやむを得ない出費の増加がございました。また、先ほど理事長及び雇用管理担当理事から申し上げましたように、都城医療センターの事例につきましても重く受け止めつつ、再発防止のための勤務環境改善を進めているところです。それらの点を全体として総合的に捉えて、当法人といたしましては、評価項目2-1につきましては、自己評価はBとさせていただいているところです。
 引き続き、46ページを御覧いただければと思います。予算、収支計画及び資金計画です。これにつきましては、中期目標といたしましては、国病機構全体で経常収支率100%以上とするという目標を掲げております。ただ、これにつきましても、やはり難易度が高いと我々は考えております。理由としては、46ページに書かせていただいておりますが、基本的に、やはり公的医療機関は全体として極めて厳しい経営環境にあるということ、その中でも当法人といたしましては、長期公経済負担などについて診療収入で賄わなければいけないということ。さらに、国の機関であるときに建てた建物が老朽化するなど、更新のための投資需要が増大しているということ。そういう状況の中で目標を達成するということは極めて困難でして、難易度を高いとさせていただいているところです。
 そのような中の取組につきましては48ページを御覧いただければと思います。経常収支につきましては、簡単に申し上げますと、経営改善に取り組んだ結果、収益の伸びが費用の伸びを上回り、経常収支は前年度比で105億円改善いたしまして、84億円の黒字となっております。なお、この105億円の改善分のうち76億円が診療事業における収入の増加です。結果といたしまして、経常収支率につきましては、達成度100.8%となっている状況です。
 次に右を御覧いただきますと、個別の病院の経営改善計画の実施及び支援です。投資を計画する病院のうち特に資金不足が見込まれるような病院につきましては、経営改善計画を個別に作成させた上で、その進捗管理も合わせて行う形としております。さらに、本部・グループにおいて個別支援を行っているわけですけれども、経営状態が悪化傾向にあるような28病院を特に重点改善病院と指定しまして、更に重点的な指導、経営改善に取り組んでいるところです。その結果、平成30年度におきまして経常収支が改善された病院の数は、48ページの右下のとおりです。これにつきましては、恐縮ですが、補足資料ということで、紙で席上に配布させていただいておりますので、それを別途、御参照いただければと思います。題名が「NHO病院の経営改善状況について(補足資料)」というものです。参考資料の上に置かせていただいております。それに基づいて簡単に御説明させていただきます。
 この資料自体は、経営改善計画作成時に想定していない要因などもあり、黒字から赤字になった病院もございますので、あくまでもその時点での、その年度の黒字病院、赤字病院の合計数ということで御覧いただければと思います。御覧いただきますとおり、経営改善計画の作成対象病院108病院の中で、平成29年度と平成30年度で黒字病院と赤字病院の数は御覧のとおりとなっております。特に平成30年度の経常収支が前年度のそれを上回った病院が、黒字病院のカテゴリーと赤字病院のカテゴリーを合わせまして合計74病院ございまして、改善額の合計は約127億円です。そのうち赤字から黒字となった病院、すなわち、74病院のカテゴリーから45病院のカテゴリーに移った病院ということで御理解いただければと思いますが、それが21病院ということです。さらに、重点改善病院の状況は下のほうですが、28病院のうち、これは全てが赤字でしたけれども、3病院が黒字に転換したと。さらに、平成30年度も引き続き赤字だった25病院のうち、赤字幅が縮小した病院が19病院ございまして、黒字となった3病院も含めた22病院の経常収支の改善額の合計が約50億円ということです。このような形で、経営がなかなかうまくいっていない所の底上げを、個別の病院に対する指導などを行うことによって図ってきているということです。
 次に、49ページを御覧いただければと思います。医療機器・建物整備に関する計画です。左を御覧いただきますと、当機構といたしましては、厳しい経営状況、悪化した投資環境がある中で、平成29年度以降分につきましては、地域医療構想に基づく機能変更ですとか法令対応に係る投資を除きまして、基本的には、各病院の資金状況によっては投資不可とするなど、厳しい投資判断を行ってきております。平成30年度におきましても、多少の微修正はございますが、基本的には同じような形で投資の抑制を図ってきているところです。
 その中で定量的指標の左下の所を御覧いただきますと、医療機器につきましては、中期計画期間におきまして1,494億円を投資することといたしまして、平成30年度には292億円として設定しておりましたが、先ほど申しました判断、抑制により、右上の達成度、達成状況となっております。しかし、先ほど申しましたように、適切な診療を行うために必要な投資、必要な分についての判断はきちんとさせていただいておりまして、その枠に基づく投資自体は100%行わせていただいているところです。
 49ページの右下ですが、建物につきましては御覧のとおりです。平成30年度の目標値を設定したものにつきまして見直しを行っていった一方、建築コストが高止まり状態であること等も含めて、最終的には達成度が101.8%になっております。
 以上、評価項目3-1につきまして、定量的指標のうち投資額に関するものにつきましては、事前に設定された計画値を満たしていない部分もございますが、それは先ほど申しましたように、厳しい経営状況ですとか悪化した投資環境に鑑みて、臨時的に抑制を図ったものです。その中でも適切な診療を行うために必要な投資は行えているものと考えております。そして、診療事業を中心としました収入の増に加えまして、様々な取組により費用を圧縮し、3年ぶりに経常黒字に転換したものであることから、評価項目3-1につきましては、平成30年度につきましては自己評価はAとさせていただいているところです。なお、この点につきまして、ここだけは中期目標期間の自己評価と異なっておりまして、中期目標期間につきましては5年間全てを見るものですので、それにつきましてはBということで自己評価しているところです。説明は以上です。ありがとうございます。
 
○松尾主査
 大変膨大な内容の説明をありがとうございました。ただいまから約1時間弱ですが、構成員の皆様から御意見あるいは御質問を頂きたいと思います。どなたからでも結構ですのでお願いします。
 
○河村構成員
 御説明ありがとうございました。昨年度から入らせていただいて、今年度の御説明を伺って、昨年度と比べいろいろ努力をされたのだろうなと、大きく改善されている項目も幾つもございましたし、大変厳しい環境の中で高い業績を引き続き続けていらっしゃるという感じはいたします。
 その中でお尋ねしたい点が大きく見て2つあります。1つは、前段の国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項の所の評価の考え方についてです。そちらを先にお尋ねさせていただいて、あと残り半分は業務運営の効率化の事項の所でお尋ねしたいと思います。
 最初に、国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項の所で、今回いろいろ御説明を伺って、NHOとして難易度も高いと考えている項目がたくさんおありの中で、指標等について達成状況も目標に対して100何パーセントという御説明も頂いたのですが、昨年と比較しますと評価を上げているのが2つあって、医療の提供の部分、教育研修の部分です。今の御説明を伺っていますと、教育研修は確かに去年に比べてパフォーマンスが上がっているところがあるという感じで理解できますが、最初の診療事業でAの自己評価を付けていて、去年の大臣評価はBだと思いますが、それに比べてどこがどう改善して、国の独法評価の考え方としてもA評価を取るのは難しいと考え方が示されていると思いますが、その辺りをまず御説明いただけたらと思います。
 
○国立病院機構企画役(医療機能担当)
 まず最初の医療の提供の所です。昨年度よりもより力を入れて改善したところとしては、9ページで示したように、診療看護師の数は微増ですが、前回御説明したように、例えば救急やICUというクリティカル領域での医師の活動のサポートは非常に強力であるということが分かりました。そこで、今回増やしてきた所は、ある意味障害者病棟を持つような病院においても、医師の包括的指示で動けるということもありまして、数としては急に増えることはできないのですが、そういう病院においても配置ができるようになったというのが新しいと考えております。
 質の向上の10ページ、こちらは、前回からも御指摘を頂いたように、アウトカム指標をなかなか出せない状況だったところを、63病院ということはありますが、実際に電子カルテからデータを取ることによって、例えば、ヘモグロビンA1cの数字が今後取れるようになって、その改善結果をアウトカムとして出せるようになってきております。平成30年度はそれを策定した上で準備をしておりますので、実際の数字は8月から出てまいりますが、ただ平成30年度の決定がなければ令和元年度の今回はありませんので、そういう意味では実際には余り目立たないかもしれませんが、新しい試みも行ってきたということから、それなりの努力によって改善したというところを出しました。
 それから、非常に財政状況が厳しい中でも、何とか患者さんの療養環境をということで、今いろいろな意味でも投資は厳しいのですが、粛々と必要なところは、12ページにもありますが、やってきております。そういうところを含めて、去年B評価ということは重々分かった上ですが、A評価とさせていただいたとお考えいただければと思います。
 
○河村構成員
 ありがとうございました。続きまして、業務運営の効率化の所で幾つかお尋ねした上で、意見を申し上げたいと思います。例の都城医療センターの件については、役員の方からも細かく取組の状況を御説明いただいて、ありがとうございました。こちらの評価書の本体も併せて今拝見しながらお話を伺っていたのですが、いろいろ書かれております。今回の件は非常に大変なことになってしまったと思いますが、こういう件はこれだけですか。ほかにはなかったのですか。
 
○国立病院機構理事(雇用管理担当)
 都城医療センターのように、書類送検をされて略式までいった件は都城医療センターだけです。これは一部報道がされていますが、名前だけは控えさせていただきますが、関東で自死事件があったというのが2件あります。
 
○河村構成員
 私も先週、今回の御説明を伺ったときに、都城医療センターのことも新聞などの報道でもちろん見ていましたが、しかし、あれと思って、私の記憶でも、ほかにも新聞などで見た記憶があるよなと思って、実は今日ここに来る前に日経テレコンで検索もしてきたのですが、今、理事がおっしゃられた件も、『日経新聞』や『毎日新聞』に報道が実際に出ております。この方は新潟出身の病院の職員の方で、自死された案件が、紆余曲折あったようですが、労保審で労災だと認定されたという件で、刑事上の責任を問われるところまではいっていないと思いますが、そういう件もあったと。私が調べただけではそれがありましたが、今、理事は2件とおっしゃいましたので、ほかにもあったのだなということですが、その辺りのことを今回の資料にお書きにならなかったのはなぜですか。
 
○国立病院機構理事(雇用管理担当)
 今回の都城医療センターの件については、先ほどから御説明をさせていただいているとおり、労基法違反ということで書類送検をされて、その結果、最終的に罰金まで処されたということです。そういう経緯があって、私どもはしっかりやっていかなければならない、厳粛に受け止めているということもありまして、この委員会の場でその経緯と対策について、しっかり説明をさせていただいたというところです。
 一方、先ほど言った2件は、そういう意味では司法判断まで当然至ってません。あともう1つは、詳細な情報公開を望まれていないという御遺族の御意向もありまして、改めて報告書には記載をしていないということです。
 
○河村構成員
 分かりました。ありがとうございました。さはさりながら、今回の事態は非常に重い事態だと思います。司法からもこういう判断があって、罰金まであってということだと思います。この評価に際しての考え方が、タブレットで配られている参考資料2にも出ておりますが、国全体として、厚生労働省の所管の法人に限らず、独立行政法人の中期目標管理法人の評価について取られている考え方がここに示されていて、2ページに書いてあると思いますが、総合評定の四角の中の○の下にあるポツの2つ目、「法人の信用失墜事象が生じた場合、その程度に応じ、項目別評定を基礎とした評定から引下げ。特に、法人組織全体のマネジメントの改善を求める場合、是正措置が実施されるまでは「A」以上の総合評定は不可」ということです。
 去年も申し上げたと思いますが、私は前の総務省の政独委に10年おりましたし、それは旧通則法の下での評価をやっていたのですが、似たような考え方にどう対応するかという整理を旧政独委でもやっておりましたし、ほかの府省の所管の独法についても、いろいろな事例を見てまいりました。そのときの経験から見た私自身の判断として申し上げますと、今回の事態というのは法人の信用失墜事象に該当するのではないかと思います。そういった辺りは、実際にほかの法人の例でどういうような事態があったときに、どういう評価になっているかということは、今後最終的に厚生労働大臣としてどういう評価をされるかということを政策評価官室のほうで御判断、御検討されると思いますが、ほかの府省の例、総務省の考え方等はよく御確認いただいた上で、これに該当するということに本当になるのであれば、それにしかるべき評価をすることがいいのではないか。それが国としての考え方ではないかと思います。ですから、これがもし該当するということになった場合には、この項目についても、ここだけではなくほかのいろいろな評価の観点の項目もおありだと思いますが、やはり、こういう事象が入っているということになると、正直申し上げてB評価は難しいのではないかと思います。
 ここに「是正措置が実施されるまでは」うんぬんと書いてありますが、どこまでをもって是正措置かということも、よく考えなければいけないのではないかと思います。先ほど理事が細かく御説明くださいましたし、検討のための会議を立ち上げられたりとか、思わしくない病院に対して本部から行かれて御指導されているとか、いろいろ御対応されていたのですが、そのレベルで果たしていいのかどうか、やはり、正直言って疑問かなと思います。別にこれは国立病院機構だけの問題ではなく、恐らく、昨今、新聞やテレビなどで問題にされている報道を見ていても、病院という医療の業界の全体の問題なのかなという感じもします。その勤務時間の管理の在り方、先生方、今回大変悲しいことになられた職員の方々についても、どういうふうに勤務の状況を把握するのか。今、伺っているとICカードでの把握とかもこれからなさると、しかし、それはまだモデル病院として7病院でやられているだけであるとか、そのレベルで是正措置に果たしてなるのかなと。
 私は民間の会社に勤めておりますが、もちろんパソコンのログは全部残ります。在宅勤務の併用とかも認められていますが、全部残ります。会社によってフラッパーゲートを通って入る会社は、パソコンのログオン・ログオフ以外にフラッパーゲートのオン・オフは全部それで管理されている、そういう厳しい組織もあります。世の中全体がそういうほうに変わってきている中で、普通の我々のようなサラリーマンと違って、先生方が人の命に関わるお仕事をしてくださるお蔭で、我々患者がどれほど救われているかということを思ったら、本当にそれはどんなに感謝してもし切れないのですが、それで病院で働かれている先生方、事務職員の方々の健康を著しく損なうようなことになってはいけないということで、やはり、きちんとした管理をできるところまで持っていかなければいけないのではないかと。ですから、何もやっていないなどと申し上げるつもりはなくて、既に取組は始められているのだなということはよく分かりますが、これで是正措置が全部できたという感じではない、まだ正直申し上げて私は全然だなと思います。
 本当にもし今後の評価でそういった辺りを御説明いただけるのであれば、時間外労働、すごくオーバーしている方がどれぐらいいらっしゃるのか、それがこういう御指導を入れられるようになったことによって、どれぐらい減ってきたかとか、そういうことの数字を来年以降お見せいただけるような機会があれば、こうやっていろいろ取組をされて、今後こういったことを招かないために実効性のある取組ができているなと考えられるかなと思います。申し訳ないのですが、今日の段階で頂いた御説明では、もう始められているとは思いますが、是正措置が完全に実施し切れているというか、十分な実効性があるものまでなっているかどうかということは、正直言って私は個人的にはちょっとまだそこまで判断はし切れないところではないかと思います。
 ですから、ここの部分の評価、全体の評価にも関わるところもあり、それを平成30年度の評価、この後、中期目標期間の通期の評価があると思いますが、どこの部分でどう最終的に判断していくべきかというところは、厚労省のほうでもよくお考えを頂ければと思います。
 
○松尾主査
 ありがとうございました。大変重要な御指摘だと思います。構成員の皆さんにお願いしたいのですが、発言の時間を、なるべくたくさんの方から意見を頂きたいと思いますので簡潔にお願いいたします。
 今、河村構成員から御指摘いただいた点は、私も大変重要だと思っています。この点について、若干時間を取って、ほかの委員の皆様の御意見を頂きたいと思いますが、いかがですか。
 
○髙瀬構成員
 評価の点というよりも、再発防止策の所ですが、ICカードで管理するというのはどういうことですか。
 
○国立病院機構理事(雇用管理担当)
 現在は、勤務時間は通常の方は8時半から17時15分という形で、通常出勤をすると出勤簿を押して、そこから、この人は8時半から17時15分まで勤めていますという管理を、勤務時間管理の人がしていると。ICを使うというのは、パソコンのログと基本的に同じようなものだと考えていただいたほうがいいと思います。入るときに、ICカードでピッとそこをすると、その人が何時にここを通った、帰るときは、何時にここを最後通ったということをするようにして、出勤退勤時間がそこで管理ができると。
 
○髙瀬構成員
 それはタイムカードと同じものですか。
 
○国立病院機構理事(雇用管理担当)
 それをもっと簡単にした形、個人ごとに全て時間が分かるということです。
 
○髙瀬構成員
 それがあって、なおかつ自己申告というのはどういう意味ですか。
 
○国立病院機構理事(雇用管理担当)
 全てそれが勤務になっている方と、そうではない方と。例えば自己研鑽をされている方等がいますので、あとは当然勤務は終わったのですが、休憩室で30分ほど休憩して帰るという方もいますので、実際、帰った時間と仕事が終わった時間に乖離があるということで、そこを現在は本人と勤務時間管理の人がきちんと確認をするということを指しております。
 
○髙瀬構成員
 別の全く民間の病院で書類送検された病院の視察に行ったことがあるのですが、例えば、タイムカードできちんといつからいつまでという時間は当然出てきますよね、それに加えて自己申告という、自己申告で本当に言えるのかどうか。つまり、例えば少し遅れて出たとします、その時間が休憩なのか、あるいは残務整理なのかというのを職員の方が言えるのかどうかというのは非常に問題になって、そこはきちんとタイムカードで管理するとしてしまった所もあるのです。
 よく言われるのは、師長さんの人柄と言ったらおかしいですが、それによって、例えば、看護師さんが当然時間一杯まで仕事をして、いろいろな記録を最後にやるのですが、それは仕事の一環でしょうみたいな形で認めない師長さんとか、あるいはまあまあそれもそうですと言う師長さんもいて、ものすごくばらばらになっていたということがあって、そこは出勤時間と出た時間とタイムカードできちんとやるようにしているということも聞いたことがあります。お医者さんの場合はかなり難しいでしょうが、自己研鑽の時間も当然あるでしょうから、しかし職員の方については、きちんとタイムカードで管理されていたと思うのです。
 もう1つは、そういう意味で患者さんの満足度調査というのがありますが、職員の満足度調査というのもやったらどうかと思いますが、どうでしょうか。
 
○松尾主査
 まとめて答えていただきますので、ほかにこの件に関して御質問、御意見ある方はいらっしゃいますか。
 
○国立病院機構理事(雇用管理担当)
 1点だけ説明を付け加えさせていただきたいと思います。時間外勤務をする場合には、基本は事前に命令をすると。今日、勤務時間が17時15分までで、1時間時間外労働でこういう内容の仕事をしますという場合は、通常は勤務管理者である師長さんに、こういう業務をしますと言って、事前に逆にこういう仕事をしなさいという命令をして、この仕事を何時までやったという確認を基本、看護師さんはさせているという状態なのです。今、先生がおっしゃられたとおり、通常の会社であれば何時に出勤して何時に帰った、そこが勤務時間になるのですが、どうしても看護師さんで仕事が終わった時間と帰る時間に差があったときには、そこをちゃんと確認しておかないと、時間外に本当に仕事をしていたのか、仕事がなくて残っていたのかということがあるので、基本は事前命令で事後確認という形でやっているのが今の実情です。
 
○松尾主査
 私のほうから一言あります。42ページの左の下ですが、平成30年3月に労働環境改善の取組について中間報告を行って、モデル病院で取組を始めましたということで、1年半近くたっていますが、これはどうなのですか。本当に効果があったのか。
 
○国立病院機構理事(雇用管理担当)
 実はこれを入れる際に、先ほど申し上げたICカードと、これを認証するそもそもの機械、それで、1つのもので実はできなくて、出勤と退勤を分けてやらなければいけないのです。というのは、普通の会社と違いますので、24時間。
 
○松尾主査
 細かいことはいいのですが、要するに中間報告があって、恐らく、具体的なアクションプランも立てられたと思いますが、それが実際どの程度やられていて、改善の方向に向かっているのか、ただ決めたけれども、みんな余り守っていないのか、これはどうなのですか。
 
○国立病院機構理事(雇用管理担当)
 改善方向には向かっておりますが、先ほど申し上げようと思ったのですが、契約をしっかりしなければいけない関係上、導入まで半年近く掛かってやっているもので、一番遅くやり始めた所はまだ2、3か月しか実証していないので、もう少し時間が掛かるというのが今の現状です。
 
○松尾主査
 それから、時間管理はそうですが、私も今同じようなことを大学でやっているのです。そうしますと、事務の人については業務フローの分析をやって、無駄を徹底的に省いていると。ですから、会議を3分の1に減らしても、多分、私の大学ではできるのではないかということで、そうするとどうやって減らすかとか、書類作成などは、在宅勤務でできないのかとか、いろいろなことを検討しているのです。今、ツールとしてはいろいろなものが出ているので、こういったものを複合的に入れていかないと、今日説明していただいたように、国立病院機構全体では極めて多くのミッションをしっかり本当にやっていただいていると思いますが、仕事が増える一方ですと。しかし、片一方で職員は減らして、なるべく効率的にやりますということですが、これは方法論を具体的に変えないと、結局は職員に負担、どんどんしわ寄せがいくという構図になりますから、そういう具体的なところをもう少し検討して、本当に実行するというふうにしないと、これは各病院長に気を付けろと指令を出すだけでは、なかなかいかないのではないですか。
 それから、そういったところにある程度投資が必要ということと、この業務運営等の効率化は、先ほど河村構成員の意見もありましたが、非常に重要な事態であると私も思います。そうしますと、この位置付けは難易度が高いとだけ書いてありますが、これはやはり重要度も「高」に位置付けないといけないのではないですか。42ページの一番上に、赤いので括って「難」と書いてありますが、ここに「重」も是非付けてもらって、最重要事項として。
 
○国立病院機構理事長
 すみません、重要度、難易度は中期計画の中で決めておりますので、途中での変更ができません。ですから、時期とともに重要度、難易度が変化しておりますが、それに応じて重要度、難易度を変えることが仕組みの上でできない形になっておりますので、このままになっているような状況です。ですから、決して重要度が低いという認識にはなっておりません。
 
○松尾主査
 であれば、所轄官庁には、そのシステムはおかしいので是非改善をお願いします。これは期間が5年間で、5年もたてば随分状況は変わって、重要度も変わってくると思いますので、本当に重要な事態が起こったら、これは変更できるようにしないと、位置付けは高くならないと思いますので、是非、その辺は所轄官庁でもよろしくお願いします。
 
○斎藤構成員
 私が伺って感じたのは、9ページの診療事業の所です。レベルの高い看護師の数を増やしていらっしゃいます。これは1人育成するだけでも大変なのに今年5人増えている。というのは、看護師のレベルが上がったというだけではなくて、医師の負担を軽減する、そしてレベルの高い診療をするということかと理解しました。働き方改革、労働時間数を減らすというだけではなくて、もっと包括的なアプローチで教育を考え、みんなの負担軽減を考えていらっしゃるのだなと勝手に受け止めていたのですが、そういう狙いも当然おありだったのでしょうか。それを確認したいです。
 
○松尾主査
 もうお一方から、御意見をお聞きしてからお答えいただきます。
 
○山口構成員
 診療とか教育とか、そのことについては後から議論ということですので、河村委員のおっしゃったことに付随してということでよろしいですか。今回確かに都城医療センターであったことは大変なことですし、改善が必要なことだと思いますが、ちょうど時期から見ても、いろいろな病院で労働基準監督署が入り始めたその時期と重なっているのではないかという気がします。先ほど信用を失墜する事態とおっしゃったのですが、これは恐らく国立病院機構だけの問題ではなくて、医療全体が特殊性もあって、なかなか働き方改革にそぐわないという中で起きてきた、それで逆に注目された事件ではないかと私は思っています。
 今年の4月からドクター以外の職種の方の働き方改革はもちろん始まりましたが、先ほどのICチップが入った自己申告というのも、恐らく5年後には、保留されているドクターのことが問題になってきますので行われているのだと思います。例えば医師の働き方で言いますと、一日の仕事に費やす時間に緩急があったり、診療科によってかなり時間の使い方に差があったりという特殊な領域ではないかと私は思っています。そういう中で、確かにそんなすぐに効果が目に見えて出てくるということは難しいかもしれませんので、今後に期待をしたいと思っています。それだけに、私は今回のことを全ての評価に反映させるというところまでは必要ないのではないかと。法人全体が信用を失墜したというところまで言えないのではないかと思いましたので、そのことだけを最初にお伝えしたいと思いました。
 
○松尾主査
 ありがとうございます。それではまとめてなるべく簡潔にお願いします。
 
○国立病院機構企画役(医療機能担当)
 JNPだけではなく、後からも強調させていただいたように、特定行為研修もこれから大きく取り組んでいこうということを考えております。仕事自体がほかの職種に移るだけでは駄目で、全体としてうまく効率的にいけるようにということがあります。そういう意味では、JNP以外にも特定行為のほうの研修も、後段で御説明したように、今後進めていこうということです。また、特定行為のほうも麻酔や外科のパッケージとか、いろいろなものが考えられて新たに出てきておりますので、そういうものを含めて総合的に業務を効率化する、かつ質を上げることを考えて、我々も養成していきたいと考えております。
 
○国立病院機構副理事長
 先ほど何名かの方々から御質問を頂きましたので、簡潔に説明させていただきます。職員の満足度調査などもやったらどうかという御質問がありました。ストレートにお答えできているかどうか分かりませんが、今の仕事で減らせるものはないかとか、見直せるものはないかということを徹底的にやろうとしておりまして、私はキーワードとして仕事を2割減らすと掲げております。まず本部の中で、特に若手に1人2つ意見を出してくれと言いながら、仕事の項目を見直すということを徹底してやろうと既に始めているところです。
 また、先ほど河村構成員からも、今の取組はまだまだ不十分であるという御指摘を頂きました。私どももこれで終わりとは当然思っておりませんので、まずできるところから取り組んでいるということです。ICカードを使うということもありますが、更に踏み込んでiPhoneを活用して、また、ビーコンなどを使ってより細かく確実に記録ができるような、負担を軽くしつつ、しかも勤務時間がどのくらいかを正確に把握できる試みも検討したいと思っております。
 先ほど引継ぎの話も出ましたが、それについてもより簡潔にできるようICTを活用した工夫も、できないことはないと思っておりますので、それも実際にモデル的にいろいろトライをしてみようと思っております。そうした積み重ねを重ねる中で、医療の質を落とさず、かつ働き方改革への対応との両立を目指したいと思っております。
 
○松尾主査
 ありがとうございます。他の事項のディスカッションもしないといけないので、この事項はこれで終わりたいと思います。今回の事例は良い警鐘事例として、恐らく構成員の皆さんはそれだから全然駄目だと言っているわけではないですし、レビュテーションが落ちるということも多分ないと思うのです。ちょうどこういうことが起こったときは、組織内の回復をするのにすごくいいチャンスになるものですから、大変難しいと思うのですが、是非模範になるような改革に取り組んでいただければと思います。
 それでは、これ以外の所で何かありますか。
 
○亀岡構成員
 まず42ページの業務運営等の効率化についてお聞きします。1の効率的な業務運営体制にシステムを導入ということで、法人全体の資金の有効活用を図る観点から、本部においてリアルタイムで病院の残高を見て、迅速な本部病院間の資金移動が可能となると。書かれていることは、そのとおりだと思います。ですが、実際は資金の動きというのは本部と病院との間で行われるものであり、病院と病院との間で行われることはないと思うのです。また、本部と病院間の資金移動については、年間資金繰り計画の中でやるわけなので、リアルに押さえておかないと資金を動かせないとか、資金がショートするなどということは、通常は考えづらいのです。ですから、本部においてリアルタイムで病院の残高を押さえておく必要があり、そのための導入だということについて、もちろん導入することは良いことではあると思いますが、その理由は少し違うのではないのかと思っていますので、御説明を伺いたいと思います。
 それから43ページの右下に、収入の確保とあります。これは新たに14病院を導入して合計46病院となっております。それを見ますと、実際に昨年と比べて14病院増えて、どれだけ不良債権等の残高等が残ったかというと、昨年と比較すると0.0045%とほとんど変わらなくて、どれだけの効果をもたらしているのでしょうか。先ほどの資金の運用のほうのシステムについては、平成30年で全ての病院に導入できたと。いわゆる未収金の管理システムもそんなに複雑なものではありませんが、これがなぜ段階的にしか導入できないのか。なおかつ、段階的に導入した結果、ほとんど効果が出ているようには見えないのですが、この辺りについて御説明を伺いたいと思っています。
 併せて、財務の所ですのでお答えしていただいたほうがいいと思いますが、48ページの経営の改善、予算収支計画及び資金計画の所です。先ほども新たな表を見せていただいて、右側の図の上にある「重点改善病院である28病院のうち、22病院の経常収支が改善された」と、そのとおりで良く分かりましたが、一方、残りの6病院は重点的に何かやろうとしたのに改善されなかったということでしょうか。もちろん赤字が減ったというのも改善だと思っておりますが、改善されなかったということは更に赤字が増えたと私は理解したのですが。重点的にやっていて何でより悪くなっていったのかという辺りを、どういう努力をされたのかということと合わせてお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
 
○松尾主査
 ではお願いします。
 
○国立病院機構財務部長
 最初の資金管理システムについては、亀岡構成員におっしゃっていただいたとおり、リアルタイムで法人全体の資金状況がどうなっているのかということは、基本中の基本ではあるかと思うのです。ただ、いかんせんどうしても各病院と本部それぞれが管理している中で、若干のタイミングのずれで、必ずしも資金状況の把握がリアルタイムでしきれていない状況があります。そこで今回このシステムを導入することにより、各病院が持っているものが日々、時々刻々と分かるようなシステムを導入できることで、法人全体の資金管理が効率的にできてくると。幸いにも今はそのような状態にはなっておりませんが、やはり法人全体で資金が厳しくなったときに、瞬間的に病院から病院に対しての資金の融通ができるようにするシステムを導入しようということで、導入をしたものです。
 
○国立病院機構企画経営部長
 それでは、その他の質問について私から説明いたします。まず医業未収金の管理システムの導入の関係ですが、なぜ未収金の管理システム自体が全ての所に導入されていないのかという御質問があったと思います。これは今の導入の仕方を申し上げますと、実は本部から全ての病院に導入することを指示しているというよりも、まずはそれぞれの病院から手挙げをしていただいて、希望がある所で進めている形でやっております。そのため、今の段階では全ての病院には至っていないというのが1点です。
 その他、効果額が財政の点で余り上がっていないのではないかという御指摘もありました。確かにその点については、システムを導入している病院と導入していない病院との間での未収金の額などについて、多少は効果がありますが、余り大きな効果になっていないというところは、我々も認識をしております。ただ、これについては具体的な財政面での効果というものもありますが、もう1つは、例えば医事の担当の職員が逐一全体をチェックしなくても、そのシステムによっていろいろとタイムリーに情報を把握できるとか、そういう業務負担の改善の点も考えているところはあります。さらに、例えば医事会計システムとの連携ですとか、全体の医事業務の中でそのようなことをやることによって、業務負担を改善することも含めた形でやっておりますので、全体としての効果はそれなりに上がっているものではないかと考えております。
 さらに、重点改善病院の中で実際に平成29年と30年度を比較しましたが、6病院については赤字幅が増えたということで、正に御指摘のとおりです。これは最初に少しだけ申し上げましたが、141病院ありますと、それぞれの病院の状況で、個別のケースについてのコメントは控えますが、例えば医師がやめてしまっていきなり収入が減ってしまったりですとか、その他かなり突発的な事情で収入がいきなり減ってしまうというような所もあります。そのような所もありますので、我々として重点的指導を行ったとしても、外的な要因によって収支状況が悪化してしまう場合もあり、残念ながら重点改善病院の中でも6病院については赤字幅が増えているということです。そういう意味で、我々とすると当然全ての病院についてきちんと指導をしながら経営改善をしていきたいと考えておりますが、そういう未確定要因というものもあるというところは御理解を頂ければと思います。
 
○亀岡構成員
 ありがとうございます。1つだけ確認なのですが、先ほどの最初のほうの資金のシステムの件です。タイムリーに見えるとおっしゃって、そのとおりかもしれませんが、こちらの分厚いほうの141ページの表を見ると、要するに「病院・本部間の短期・長期貸付金制度を見直して、病院の資金状況を見える化した」ということが、第一義的に書いてあります。ですから、ショートする、うんぬんという議論とは全然違うレベルの話がここには書いてあるのですが。先ほどの回答とは、随分乖離しているのですが、私は141ページに記載されている内容で理解していたのですが、その理解でよろしいですか。
 
○松尾主査
 今の件で、理事長からお答えを頂いてよろしいですか。
 
○国立病院機構理事長
 まず病院と本部の資金上のやり取りの件です。国立病院が独法化して15年がたった状況ですが、この15年間、病院が個別にいろいろな事業を行う上に、本部が乗るというような形をずっと取ってきました。その延長上として、今回、各病院の資金状況、要するに病院の中の財布の状況までを本部が把握するというようなことになったのは、財務部長が申し上げたように、つい最近の話です。それまでは、資金状況の報告を受けて、それに対して本部から資金の送受に関する要請を出すというタイムラグがありました。どうしても病院としては現金を手元に残しておきたいという安全思考があるために、客観的に考えて余剰と思われるようなものも病院のほうに残っていて、その間本部がそれを利用できないというようなことによる全体的な不合理が発生しておりました。大分遅いと言われれば遅いわけですが、今回このようなシステムを導入することによって、病院の資金状況を判断しながら、もう少し本部とのやり取りがスムーズにいく、そのために導入したような形です。そういう意味で、見える化というような形になっていると御理解いただければと思います。
 それから未収金の効果が悪いという件ですが、システムとしては、先ほど部長から報告がありましたように、業務の改善、軽減が1つあります。と申しますのは、未収金に関しては今までかなり積極的に取り組んできましたし、例えば高額療養費制度の代理受領を行うとか、産科の一時金の代理受領を行うといったいろいろなことをやってきたので、未収金そのものが独法化直後から比べて、相当減っております。そのために、今度は回収に対する手間が逆にものすごく掛かる。回収コストよりも回収金額のほうが少ないというような状況も発生している中で、担当者の労務を減らすという意味で、このシステムを入れている。ですので、これを入れたからすぐに回収効果が上がるというような期待を持って入れたものでは、若干ないところです。そうしますと、コストパフォーマンスが悪いじゃないかと言われてしまうのですが、先ほど申し上げたようなお金のやり取り以外の業務改善等を含めて、今まで紙ベースでやっていたものをこのようなもので一元化するというようなことで入れています。ただ各病院の財務状況もありますので、なかなか一斉には導入できないというのが現状です。
 それから、最後に赤字が継続している病院です。これは各病院でいろいろな事情があるのですが、基本的に構造的問題を抱えている病院ということになってしまうと思います。これをどうするかということは、我々にとっても非常に大きな問題ですが、では軽々しく潰すかというような判断はなかなかできる問題ではありませんので、個別に重点化して力を入れながら、少しずつ改善を図っていく所存です。この中で、現在の地域医療構想等において、我々もドラスティックな改善を求められる可能性も十分考慮して、今後どうやっていくかを考えていこうとしているところです。
 
○松尾主査
 よろしいですか。では短くお願いします。
 
○亀岡構成員
 ありがとうございました。大変よく分かりました。あと1つだけ確認させてください。それは、病院ごとの財務状況によって未収金の管理システムを入れられる病院と入れられない病院があると。逆に今は、法人が1つなのだからこそ、タイムリーにどこに資金があって、ないのかが分かるのであれば、資金のある病院から資金のない病院に資金を貸し付けることによってなど、この未収金の管理システムが大変有用なのだということであるならば、何か工夫の余地があるような気もいたします。いかがでしょうか。
 
○国立病院機構理事長
 検討させていただきます。ありがとうございました。
 
○田極構成員
 私からはコメントをさせていただきたいと思います。まず医療の提供の所ですが、入院、外来とも、若干入院が下がった所はありますが、満足度を継続してとても高く維持していらっしゃるところ。それから看護師についても、認定看護師、専門看護師、JNPの取組など、看護師の方にとってもキャリアパスを考えていける環境を作っていただいて、その結果国民にとって質の高い医療が提供できているという、すばらしいローテーションができていると評価したいと思います。また、クリティカルパスや臨床評価指標などについても、着実な取組がなされているところや、他の病院ではなかなかできないような取組、例えば、災害医療に対してのDMATの体制の整備や、実際に出動もされているというのが15ページに書かれています。それから、セーフティネット分野の医療にも着実に取り組んでいただいているところは、評価できます。
 長年この評価をやっていますと、当初、国立病院ということで、なかなか地域の中で地域医療というところから掛け離れているという指摘も、最初の頃はあったと思うのですが、地域医療計画の中にも、5疾病・5事業の中で国立病院機構の病院がきちんと位置付けられていて、地域の中でもなくてはならない病院となって機能していると。救急についても、必要な患者に対してのサービスがきちんと提供できているというのが、23ページに書かれています。また、他の医療機関からの紹介患者も増えて、紹介率も上がっているというところなど、細かく見ていくと非常に評価できるということで、6万2,000人以上の職員の方々が必死に努力された成果だと、私は評価したいと思っております。
 その中で、私も最近患者になったばかりなのですが、患者の立場からすると、働いている人たちが生き生きと働いている姿を見るだけでも元気になるというところがありまして、医療というのは本当に人が大事な所だと思います。労働環境の所でありましたように、不幸なことが起こってしまいましたけれども、やはり従業員の方を大切にというのは基本だと思っております。とはいえ、国立病院機構単独では、なかなか改善が難しいところもあるかと思っております。例えば、今は国に対して報告を出さなければいけないことも増えていますし、データを出さなければいけないことも増えているという状況も理解しておりますので、そういったところについては国立病院機構のほうでも、どんどん国にもっと効率化できる方法がないかを提案していっていただきたいと思っています。チェック体制のシートや医療安全対策地域連携加算の基になったチェックシート、後発医薬品の使用率など、国の政策にも率先して貢献していらっしゃるので、そういった業務効率化のところも国に対していろいろと提案していっていただきたいというのが、私からのコメントです。
 
○山口構成員
 私も田極構成員と同じで、急性期はもちろんのこと、重心や難病、精神やアレルギー、エイズ、依存症など、それぞれの特性をいかして全体で前進していらっしゃる取組は、本当に高く評価できることではないかと思っています。例えばデータを集めるということであれば、141病院あることが有利に働くような面もあると思うのですが、どちらかと言うと有利に働くより、141あるということで達成することが難しい項目の方が多いのではないかと思っております。
 その中で、私もいろいろな病院の評価委員などを務めておりますが、例えば後発品が86.2%を、141病院の平均で達成している。これは1病院で達成するのもとても大変なことだと思うので、86.2%というのはびっくりするような数字ではないかと私は思っています。クリティカルパスも105.6%の達成度であるとか、紹介率78.1%も維持しておられる、これを141病院でしていらっしゃるということには、本当に敬意を表したいと思います。特に臨床評価指標については、これは国立病院機構だけではなくて、外部からも高く評価されていて参考にされているという意見を随所で聞きますので、これもここで見ている以上に外部からは評価されているところではないかなと思っています。
 ということから考えても、特に達成度が100%に満たないものがあるということですが、それも理由や原因をお聞きした上で私は理解できたなと思っています。その中で3つほど質問をさせていただきます。まず6ページの患者満足度調査ですが、全体として入院は若干減って、外来は少し増えたということでした。141病院ということで、病院によってのばらつきがなかなか見えなくなっておりますが、実際にばらつきがあるのかどうかと、低い所に対して本部から何か対応していらっしゃるのかどうかを、お聞きしたいと思います。
 2つ目は、9ページに病棟薬剤師の配置状況があります。私は病棟の薬剤師配置は非常に大事だと思っており、アクシデントにしてもインシデントにしても薬が3分の1を占める中で、患者さんの状態を分かった上での入院患者さんの監査をするということは、かなりリスクを減らすことにつながるのではないかと思っています。病院の数から考えたときに、76病院での配置が78病院に増えて、452病棟が472病棟と上がってはいるのですが、なかなか病棟配置が進まない病院もあると思うのです。将来的にどれぐらいを目標にしていらっしゃるのか、そういう目標がもしあるのであれば聞かせていただきたいと思っております。今どれぐらい到達しているのかを知るためという意味で捉えていただければと思います。
 最後に23ページですが、先ほど申し上げた紹介率78.1%、恐らくこれも病院によって差があると思うのです。一番高い所でどれぐらいの紹介率で、低い所でどれぐらいなのかがもし分かれば。平均すると非常に高いと思うのですが、かなり高い所が低い所をカバーしていらっしゃるのかどうかということも含めて、少し気になりました。その3点を質問したいと思います。よろしくお願いいたします。
 
○国立病院機構企画役(医療機能担当)
 ありがとうございます。まず第1に患者満足度です。これは当然ばらつきがあります。ただ我々としてもうれしいのは、患者満足度の低い病院でも、全部公表して全病院を見ておりますので、低いときにはどうやったらいいのだということで、他の病院の取組を非常に参考にされて、次の年はそれを基に良くしたり。あるいは直接ではないまでもQC活動などでの改善例を、私どもでやっております学会で発表して表彰したりということの積み重ねが、ここに出るのだと思います。本部として何か指示を出して、あれをしろ、これをしろというわけではないのですが、特に落ちた所、あるいは悪いと思った所は改善してくださっているので、そういう形を維持しているような状況です。
 
○山口構成員
 今それを伺って、本部からの指示ではなく自発的にいい取組を探していらっしゃるということは、より良いことだなと思いました。
 
○国立病院機構企画役(医療機能担当)
 2点目については、これは申し訳ありませんが、まだ目標に到達できるような状況ではないです。今は持参薬等が非常にリスクが高いので、そういう意味で病棟薬剤師が全部鑑別をする、というような形での導入もやっております。ただ、そういう事故が減ってきているかというと、まだ無理なところはあります。一番困っているのは、薬剤師の採用が欠員の状況であることで、これは給与などのいろいろな問題があると思いますが、そこを何とかという状況でやっておりますので、今後どれだけの人をどれだけという目標に関しては、これから全体の人員要請も含めて検討に入ろうとしております。別の所にもありましたように、教育研修課を独立させましたので、そこでもそういうことを検討していこうと考えております。
 それから、個別病院の数値ではありませんが、病院群の平均として、紹介率の一番高い所が一般病床中心350~500床で91.6%、一番低い所が精神病床中心で42.4%、といった状況です。
 
○山口構成員
 ありがとうございました。思っていた以上に低い所のパーセンテージが高いなという印象を受けました。
 
○松尾主査
 あらかじめ申し上げておきますが、ディスカッションは全部で3時10分までとなっております。ここからは重点項目でもない項目でも何か気が付かれたことがあれば、質問可ということにいたします。
 
○斎藤構成員
 私がとても高く評価したのは、弘前と岩手県の違う施設の統合や提携です。これは、ものすごくマネジメントの能力がないとなかなかできなくて、交渉するのも大変なことだろうと思います。それがきちんとできているというのは、医療を超えたマネジメント体制ができていて、そういうことをできる人材が育っているのだなと感じました。
 それと、地域医療という言い方をしておりますが、昨今、外国人の方が増えてきて、地域によっては外国人の比率が非常に多いと。例えば埼玉県の川口などは、公用語が韓国語と中国語だと聞きます。そのように地域といっても、今までとはいろいろと違う形での対応を迫られてきているのだろうと思います。その辺りの御苦労が特に書かれていないのですが、何かあったらお話を伺いたいと思いました。
 
○松尾主査
 いかがでしょうか。病院がこれから非常に多様になるということで。
 
○国立病院機構企画役(医療機能担当)
 一応、盛岡も弘前も担当しましたが、やはり非常に難しいです。地域医療の中で、それぞれのニーズや事情もありますので、個人的な部分が入っておりますが、どれだけ相手のことや地域の医療のことなどの事情が分かった上で粘り強くやるかではないかなと。それから、やはり国立病院の医療というものをそれなりに評価していただけないと、なかなかこれもまとまりません。そういう意味では、難易度が高いので説明しておりますが、セーフティネットから高度急性期まで、幅の広い医療をやっているというところは、それぞれの地域で対応ができるところになっているのかなとも思っております。
 それから外国人のほうですが、いろいろな領域において外国人の方が増えており、それぞれ特殊な対応が必要になっております。それと言葉の問題に関してどう対応するかは、恐らくこれからだろうと思います。電話回線を通じての通訳であったり、いろいろな方法もあるので、そういうものを病院として導入できているとは思えませんが、そういう仕組みもあるのは分かっておりますし、看護師たちが手作りで結構辞書的なものを作ったりして、結核病棟でも対応しておりました。そういう意味でも、これもQCと同じで、現場での努力を積み重ねたものを集合的にやるのが、私どもの組織ではいいのではないかと思っております。
 
○松尾主査
 ほかにいかがですか。
 
○髙瀬構成員
 待ち時間の関係ですが、詳しいほうを見ると予約の変更を電話でできるようになったと書いてあります。これは前にできなくて、私などは随分困っていたのです。現場でもいろいろと言って、それができるようになったのは非常に便利なのです。
 もう1つ、クレジットカードの医療費後払いサービスは、前年と比べても4病院しか増えていないように思うのですが、これは早急に全病院に普及させていただきたいなと思っています。これは要望です。
 
○松尾主査
 よろしいですか。ほかにありますか。
 
○富田構成員
 同じくらいの、90の病院を束ねている日赤の者として、むしろ教えていただきたいのですが、収入と支出の収支の関係です。今の時代に収入を増やすことは、みんな頑張るとできるのですけれども、多くの所はそれ以上に費用が膨らんでしまって最終的に収支が悪くなる、こういったことを今ずっと、どの病院も続けているのですね。私たちも同じ傾向です。収入はみんな頑張れば増えるのです。ただそうすると、たくさんの患者さんを速いスピードで診ないといけないので、たくさんの薬を使い、たくさんの手術をし、そうすると働く時間が長くなる、今は非常に厳しく時間外の制限があるので、やはり人を増やさないとできないということで、収入を増やすためにはより費用が掛かるというのが今の仕組みになってはいるのです。その中で、収入が増えたにもかかわらず、支出の増え方が収入の増え方よりも100億も少なかったというのは驚異的なのです。なかなかこんなことはできないので、もしこれだけを評価しようと思ったら、Sを差し上げてもいいぐらいのことだと思います。そのコツですね、私はむしろコツを伺いたい。
 ちょうどこの評価参考資料の260ページに、その内訳が書かれてはいますけれども、まず人件費、要するに約300億も収入を増やしながら人件費が66億しか増えてない。人も増やしてないし、恐らく時間外もしないで済んでいるのだろうと思うのです。それから材料費が50億しか増えていない。今は高額医療、高い薬が増えているので、収入が増えると必然的に高額の薬を使うので、材料費は増えるのですけれども、これも私たちの組織の半分ぐらいしか増えてないのです。こういうところが非常に目を見張るような内容で、経営している立場としてみれば、これだけのことがなぜできたのか、本当に教えていただきたいような内容ですし、参考にしたいと思うのです。恐らく、病院の経営をしてないと、ここのところは分からないと思うので、是非何か私の参考になるものを学んで帰りたいと思っております。
 
○松尾主査
 大変難しい質問だと思いますが、取組をお願いします。
 
○国立病院機構財務部長
 全てについてお答えできるかどうか。まず、人件費について言えば、やはり先生がおっしゃるように、今後、その収入が増えていくということについて、なかなか見込みづらい中で、費用をできるだけ減らしていかなければいけない。特に、費用といったときに固定費をどのように減らしていくのかというのが1つ、重要なポイントになってきて、そこで、おっしゃっていただいたように、やはり人件費をどのようにするのかということかと思います。一部説明の中でも少しさせていただいたかと思いますけれども、特に人件費の中で一番大きなスペースを占めるのが看護師であります。実はこれまでも経営改善をしていく中で、国立病院機構の中でも、看護師の必要人員を超えたという言い方はおかしいかもしれませんが、我々業界用語で過員という言い方をしていますけれども、通常、定めた人よりも少し多くの看護師を雇用しておったという状況が見て取れました。これは各病院の行動としては、やはりどうしてもその年度途中に辞めてしまう看護師とか、産休に入ってしまうという看護師がいますので、そういう部分をカバーするために、あらかじめ少し規定人員以上に看護師を採用しているという状況があったわけです。そこを、もう少し病院と個別の会話をしていく中で、ここまでの年度当初の看護師の数というのは必ずしも必要ないのではないかという会話をしていく中で、年度当初における看護師の数をかなり減らして、いわゆる定数というものと現実の看護師の数との乖離幅というのをかなり小さくしていく取組を、昨年度、行っていったということが1つあります。その結果として、収入は増えつつも人件費の増え方はかなり抑制的になっているということが、効果として表われているのではないかと考えております。
 あと、医薬品については、確かに高額な医薬品を活用する中で、収入と費用というのがとんとんになってくるわけではありますけれども、医薬品についてもやはり徹底的に共同購入のようなものをやっていく。いろいろな工夫をしながら、エリアの工夫、それから、そもそもの仕様書の作り方の固まりをどのようにするのかという工夫を行いながら取り組んでいく結果として、かなり効果が出てきているということがあるかと思います。そのような総合的な取組を行っていく中で、平成30年度の経常収支とその実績が出てきているのではないかと考えております。
 
○国立病院機構企画経営部長
 すみません。1点だけ追加をさせてください。実はこれは労使交渉の関係もございますので、恒常的なというところではない部分もございます。平成30年度の給与の関係で言うと、実は今回、ベースアップをしておりませんので、人件費につきましてはその分、増えてない部分というのはあろうかと思います。それも恐らく1つの要素ではないかと考えております。
 
○国立病院機構副理事長
 少し補足をさせていただきます。先ほど職員数について、過員という話を申し上げましたけれども、例年増え続けていたところでございますが、令和元年度と平成30年度を比較いたしますと、△169名ということでマイナスに転じているところです。職員についても、過員を解消する形で効率よく運用するという体制を取りつつあります。併せて、どうしても空いているベッドというものがありますので、3年間で約1,100床程度、かなりの規模だと思っておりますけれども、それを一旦閉じるという形で、効率的に病院を運営しているということもあるのではないかと考えております。
 ちなみにベアの話を今、少し申し上げましたけれども、ベアをしなかったということ自体は事実でございます。ただし、そのベア相当分を一時金で払っておりますので、その意味では、御説明がやや足りなかったところがあるかもしれませんけれども、平成30年度の人件費については、前年度比で増額しております。
 
○松尾主査
 富田構成員、よろしいですか。ほかにいかがですか。
 
○亀岡構成員
 内部統制と外部監査等の充実ということで、これを読む限り大変非常によくできていると書いてあるのですが、こちらの資料2-2の143ページに臨時監査というのが書かれております。ここで、会計事務手続に関する不備があった1病院に対して臨時監査を実施したということですが、どのような不備があって急にこういう監査をされたのかということ。もう1つは、144ページの(3)内部統制の3にリスク管理の徹底とありますけれども、考えておられる一番のリスクとは何なのでしょうか。それについて具体的にご説明ください。
 
○国立病院機構副理事長
 臨時監査につきましては、関西のほうの病院で、本部に説明、了解のない段階で、ある診療機能を持たせたいということで、不適切な対応が行われていたため、その状況についてきちんとチェックをする監査を行ったというものです。
 
○亀岡構成員
 すみません。今の会計事務手続の話ですよね。
 
○国立病院機構副理事長
 はい。会計手法が適切ではなかったということでございます。会計事務手続が不適切に行われていたということなので、チェックをしたということでございます。
 
○松尾主査
 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
 
○国立病院機構副理事長
 リスク管理につきましては、平成30年度から病院単位で取組を行うということで、リスクについて病院単位でできるようにチェック項目を設定いたしまして、それを対応していただくということで始めているということでございます。
 
○亀岡構成員
 すみません。十分に理解できなかったものですから、今、説明されたリスクの部分をもう一度ご説明ください。
 
○国立病院機構副理事長
リスク管理につきましては、各病院ごとでそれぞれ重要なもの、軽微でも優先度の高いものをチェック項目として設定いたしまして、まずできるところから確実にやってもらいたいということで、病院でできるもの、まず優先的にやるものを整理をして、何をすべきか、優先的にやれるものは何かというのを整理した上で、各病院としてリスクをきちんと把握していただけるような取組を進めていただく。そのための準備も含めて、本部から提供させていただき、対応いただいているところでございます。
 
○亀岡構成員
 機構として、ここがリスクなのだと、何が一番大きなリスクだと思われているかを聞きたいのです。書かれていることは全くその通りなのですけれども、具体的にリスクとは何でしょうか。わざわざここに管理の徹底とあるのですが、具体的には何をリスクだと感じられているのでしょうか。
 
○国立病院機構副理事長
 失礼いたしました。まずやはり医療安全が何よりも大事だということでございますし、併せまして昨今、災害などが多くなっておりますので、災害危機対応について準備がきちんとできているかというものを、優先的にチェックをすることにしております。
 
○松尾主査
 ありがとうございました。ほぼ時間になりましたが、どうしてもここだけ聞いておきたいというのがありましたら、よろしいですか。多分、まだまだお聞きになりたいことはたくさんあるかと思うのですが、ほぼ時間になりましたので、これで御質問、御意見の時間は終わりたいと思います。
 それでは続きまして、法人の監事及び理事長から、年度・中期目標期間における目標の達成状況等を踏まえて、今後の法人の業務運営等についてコメントを頂ければと思います。最初に法人の監事からよろしくお願いいたします。
 
○国立病院機構監事(伊勢)
 監事でございます。平成30年度の監査結果につきましては、お手元の監査報告のとおり全て適正であり、特に問題はございません。次に法人の業務運営の状況でございますが、国立病院機構では監事、会計監査人による監査に加えまして、内部監査部門が定期的な監査を行うなど、適切な業務運営の確保に努めていると考えております。平成30年度も引き続き、理事長の業務運営方針及び本部指示の周知徹底を通じまして、内部統制システムの充実・強化に努めたところでありまして、またリスク管理につきましても、先ほど出ましたとおり、病院ごとのリスクマップの作成を開始するなど、内部統制に関する取組は着実に進んでいるものと考えております。加えて平成30年度決算におきましては、理事長のリーダーシップの下、職員の皆さんが経営改善のために日々の努力を重ね、さらには、給与・賞与の改定を見送るなどの赤字脱却に向けた懸命な取組を行い、3期ぶりに経常収支、総収支の黒字を達成したことは、大いに評価すべきものと思っております。また、こうした厳しい環境下にありながらも、職員の皆さんが国から付託を受けた責務を果すべく、真摯に経営目標に取り組んでいますことは、監事監査を通じて確認しているところでございまして、監事といたしましては、当機構の業務運営状況は評価されるべきものと考えております。
 なお、先ほど来、御議論がございましたが、平成30年7月に労働基準法違反の容疑で国立病院機構及び職員が書類送検され、平成31年1月には同違反で法人が略式起訴、略式命令を受けたことにつきましては、監事としましても非常に深刻に受け止めてございます。国立病院機構におきましては、先ほども説明がありましたとおり、平成30年度から労働環境改善に係る取組を法人を挙げて実施しているところでございますが、監事としてもそういった取組は極めて重要なことと考えておりますので、引き続き、その取組状況について定期的に報告を求め、注視してまいります。
 最後に今後の課題でございますが、今年度が初年度になります第4期中期目標期間においても、公的病院として地域医療構想の中で国及び地域から求められる医療の提供をしっかりと継続すること、職員が健康的に安心して働くことができるような働き方改革にしっかり取り組むことなど、対応すべき課題は山積しているものと認識しております。また、これらの課題を乗り越え中期目標を達成していくためにも、業務運営に係る不断の改善の取組を行い、業務の適正を確保し、将来にわたって安定的な法人経営を行っていくことが重要であると考えております。以上でございます。
 
○松尾主査
 ありがとうございました。それでは続きまして、理事長からよろしくお願いいたします。
 
○国立病院機構理事長
 理事長でございます。まずは、冒頭に申し上げましたとおり、都城医療センターの事例及び他病院における同様の労災事案について、お亡くなりになられた事例を深く心に刻み、法人全体として働き方改革の推進に更に注力していく考えでございます。先ほど取組方のスピードが少しのろいのではないかという御指摘を受けた点に関しましても、鋭意専心、スピードアップを図っていきたいと考えております。
 当法人の事業全体といたしましては、全国141病院のネットワークを活用しつつ、診療、臨床研究、教育研修を柱として各種の事業を実施し、地域医療及び国の医療政策等に貢献してきているものと考えております。引き続き、昨今の医療情勢をめぐる極めて厳しい環境の変化にも対応しつつ、職員一同、努力を重ね、厚生労働大臣から示されている中期目標の内容を確実に達成していきたいと考えております。
 第3期中期計画期間の経営状況を振り返りますと、平成28年度に、法人設立以来初めて経常収支が赤字となり、平成29年度は改善傾向としたものの2期連続の赤字となりましたが、平成30年度には先ほど御報告したとおり、病院、グループ、本部が一丸となって経営改善に取り組んだ結果、3年ぶりの黒字化を達成することができました。また、第3期中期計画期間を通じた経常収支率においても100%以上を達成することができました。しかしながら、平成30年度の診療報酬改定や平成26年度に引き上げられた消費税の影響、建設コストの大幅な上昇や過去の投資に関わる支払いなど、近年、病院経営をめぐる環境の厳しさはますます増しております。さらに私どもは、基礎年金の国庫負担に相当する長期公経済負担という年間約143億、機構全体の収益の1.5%以上の重い負担を、他の独立行政法人にはない形で課せられるとともに、平成27年度の非公務員化に伴う労働保険料の負担増などの費用の増加要因につきましても、自己収入で賄う形となっております。このような厳しい状況下におきましても、我々は診療事業等において更なる取組を進めており、紹介率や地域連携クリティカルパスの向上といった数字での結果からも、地域の方々からの信頼を得てきているものと考えております。また、医療の質向上や患者の療養環境改善と健全な経営とのバランスを図りながら、老朽建物の更新等を行いつつ、中長期的に安定した投資を継続するために、昨年度から法人全体の経営状況を踏まえた投資枠を設定し、その下で各病院の財務状況に応じ、法人として適切な環境で積極的な投資を行っていくことといたしました。現在、新規投資は金額ベースで大幅に圧縮する形となっておりますが、今後の経営状況を踏まえつつ、財務体力を取り戻したあかつきには、医療の高度化を図るための機器整備についても積極的に取り組みたいと考えております。
 本年4月からは第4期中期計画が始まっております。国立病院機構では、今年度から2023年度までの中期計画期間を変革期と位置付け、高齢者人口がピークとなる2040年も視野に入れた業務運営を行うこととしております。具体的には、今後も地域等の患者、住民が必要とする医療を安定的かつ継続的に提供し、全ての職員にとって安全、安心に働ける環境とし、災害時等の危機管理においても迅速、確実に対応できる組織であるとともに、これまでと同様、セーフティネット分野の医療などを着実に実施いたします。また、現在、国において進められている地域医療構想に対しても、当法人として積極的に参画し、地域の医療需要の変化に自主的に対応することで、病院の機能に応じて地域から求められる医療を進めてまいります。また、拡大する介護・福祉ニーズに対応するため、従来の治す医療から、治し生活を支える医療への転換を図り、地域医療に一層貢献してまいりたいと思っています。
 さらに、働き方改革を進めることを通じて、職員が安全、安心に働ける職場環境の改善を図っていくことが、よりよい医療を提供することに結び付くものと考えております。そのために、先ほど御報告いたしましたが、新たな勤務時間管理方法の導入や、業務効率化のために、医療サービスの生産性向上に向けたテクノロジーの実用化推進、医師のタスクシフティングを担う人材育成などに取り組み、労働環境の改善について、より一層重点的に推し進めていきたいと思っております。
 終わりに、我々は今後とも、国立病院機構の使命である医療の提供、臨床研究、教育研修などを積極的に継続的に的確に果たし、我が国の医療の向上に貢献してまいります。その中で、患者さんをはじめとする地域の方々に信頼され、職員の一人一人が誇りを持って働ける国立病院機構を引き続き発展させていくため、質の高い医療の提供とその基盤となる経営改善に取り組んでまいります。引き続き、本有識者会議の構成員の方々の御指導、御鞭撻をよろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。
 
○松尾主査
 どうもありがとうございました。それではただいまの御発言内容につきまして、もし、構成員のほうから何か御質問、御意見ありましたらお願いします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。では、ないようですので、以上で本日の議事を終了したいと思います。最後に、事務局からアナウンスをお願いします。
 
○政策評価官室長補佐
 今後の流れについて御連絡いたします。本日、御議論いただきました国立病院機構の「平成30年度業務実績評価」並びに「中期目標期間実績評価」につきましては、この後、本WGにおける御意見や法人の監事及び理事長のコメント等を踏まえ、厚生労働大臣による評価を決定し、法人及び独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに、公表いたします。決定したそれぞれの内容につきましては、後日、構成員の皆様にもお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。最後に構成員の皆様におかれましては、本日、配布した資料の送付を御希望される場合は、机上にそのままにして御退席いただきますようお願いいたします。事務局からは以上でございます。
 
○松尾主査
 ありがとうございました。それではこれで終了とさせていただきます。今日はいつもにも増して、構成員の皆様方には大変活発な御意見を頂きました。ありがとうございます。では、これで終了いたします。 
 
(了)