2019年7月30日 独立行政法人評価に関する有識者会議 労働WG(第32回) 議事録

日時

令和元年7月30日(火)14:00~15:21

場所

中央労働委員会講堂(7階)

出席者

今村主査、土井構成員、戸田構成員、中村構成員、宮崎構成員

議事

 
 
○今村主査
 それでは定刻になりましたので、ただいまから第32回独立行政法人評価に関する有識者会議労働WGを開催いたします。構成員の皆様におかれましては、お忙しい中お集りいただきまして、また突然の暑さの中、本当にありがとうございます。本日は志藤構成員、関口構成員、高田構成員、三宅構成員が御欠席です。次に、本日の議事について事務局から説明をお願いいたします。
 
○政策評価官室長補佐 
 政策評価官室長補佐の加藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。御説明の前に事務局で異動がありましたので報告させていただきます。政策評価官の溝口です。
 それでは、本日の議事について御説明します。はじめに、議事次第にあります参考資料1~9に関しては、お手元のタブレットに収納してありますので、そちらを御覧ください。画面がスリープ状態になっている場合は、右上の電源ボタンを軽く指で押してください。
 本日は、労働政策研究・研修機構について、平成30年度業務実績評価に係る意見聴取を行うこととなっています。構成員の皆様には、重ねての御説明となり恐縮ですが、御意見を頂くにあたり、今年は3月12日付けで総務省における目標・評価の両指針の改定が行われていますので、その中で、評価の枠組に関わる事項について簡単に御説明します。
 評価指針においては、年度評価について当概目標期間中の各年度おいて、中期目標の着実な達成を確保する上で、支障となると考えられるものなどの業務運営上の課題を的確に抽出できることが重要であるとの考え方から、評価書作成にあたり、事務事業の特性や目標の内容、目標の重要性等、目標・計画の達成状況に応じて重点化して評価を行うこととされたところです。この重点化については、タブレットの中にあります参考資料2の2ページに評価項目の中に記載しているとおり、目標期間終了時における目標達成の上で重要なもののみ、従来の単位・精度で評価を行うこととする一方、それ以外の項目については、簡素・効率的な評価となるような工夫を促すことにより、評価にメリハリをつけようとするものと評価指針において示されております。その上で、重要度又は難易度が高いと設定している目標については、必ず重点化の対象とすることとされています。
 改定後の評定基準S、A、B、C、Dへの当てはめ基準の適用時期については、改定後の指針に基づいた新目標期間の開始時からとなりますので、当面の間、従来どおりとなっています。その考え方は、参考資料2の2ページ目下段の※のとおりで、改定後の目標指針の下で目標を策定して以降の評価について、改定後の評定ルールを適用することになります。労働政策研究・研修機構の場合は、平成29年度からの目標の次の目標期間の開始年度の翌年度、すなわち令和5年度に実施される年度評価からとなります。
 また、意見聴取対象とはなっていませんが、中期目標期間実績評価においては、参考資料2の2ページ目の上段に記載しておりますとおり、見込評価時に使用した中期目標期間終了時の実績見込みと実績との間に大幅な乖離がなく、かつ考慮が必要な状況変化もない場合には、数値の更新等必要な修正を行った上で、見込評価を活用することができるとされたところです。
 これらの点を踏まえ、今年度WGにおいては、年度評価において重点化の対象とする項目を中心に御意見を伺うこととしたいと考えております。そのため、はじめに法人所管課室より、重点化対象項目選定の考え方を説明いただいた後、続けて法人から重点化対象項目の業務実績及び自己評価を説明の上、有識者の皆様から御意見、御質問を頂きたいと存じます。その際、重点化の趣旨を踏まえ、例えばAという評定が適切かというだけではなく、法人の取組の中で、中期目標の達成に向けて優良と思われる点や、逆に課題があると思われる点については、評定に直接影響しないような場合であっても、積極的に御指摘いただければ幸いです。重点化対象以外の項目については、法人からの説明は行いませんが、御意見がある場合には、議事の最後にまとめてお伺いすることとさせていただきます。法人からの説明項目は、資料1の労働政策研究・研修機構評価項目一覧(年度評価)中の網掛けされているものとなります。
 最後に、参考資料9ですが、若干御説明いたします。これは、平成29年度の業務の実績に係る年度評価等について、A以上の評定の場合にその根拠が具体的に説明されているか等の観点から点検した結果を総務省が整理したものです。
 こうした点検は、毎年度行われておりますが、今回、全体として著しく適正を欠く評価の実施と考えられるものはなかったとした上で、今後の評価のための参考例として別紙1、2が示されています。例えば、A以上の評定において、難易度の高い項目について定量的指標の達成状況は120%未満であるが、根拠を具体的かつ明確に記述した上で、A以上の評定としている例や、本来の定量的指標に加え、定量的には把握は難しい業務の達成状況も含めて、根拠を具体的かつ明確にした上でA以上の評定としている例などがあり、詳細がまとめられています。評定に十分な根拠があるかどうかは本WGでも議論となる場合がありますが、総務省の側で考えられているレベル感として参考にしていただければと思います。なお、例年通り各府省別の評定の状況も参考として示させていただいておりますが、かつて問題となったA以上の割合について、前回の評価では年度評価において高いほうから2番目であるものの、特に突出はしていない状況です。事務局からの説明は以上です。
 
○今村主査
 ただいま事務局から御説明がございましたが、皆様、何か御質問がありましたらお願いいたします。よろしいですか。
 それでは、議事に入りたいと思います。労働政策研究・研修機構の平成30年度業務実績評価について御議論いただきたいと思います。先ほど説明がありましたとおり、はじめに法人所管課から重点化対象項目選定の考え方について御説明いただきます。
 
○政策統括官室参事官
 法人所管課です。政策統括官室参事官の田中です。私から重点化対象項目選定の考え方について、御説明をさせていただきます。資料1にありますが、労働政策研究・研修機構評価項目の一覧です。第4期の中期目標期間における評価項目、全部で8項目ありますが、そのうち一番上に網掛けをされている労働政策研究の実施について、重点化対象項目としています。この項目を重点化対象項目とした理由としては、厚生労働省の労働政策の企画立案及び推進に貢献することができる質の高い研究を実施すること、また、中長期的な課題を含め、労働政策の動向を適切に把握し対応するとともに、現時点では想定していない様々な政策課題が生じた際にも適切に対応ができるよう、労働政策の基礎となる研究を体系的・継続的に推進することは、本機構の業務として重要であるためです。
 また、中期目標においては、本項目について重要度高、難易度高の指標を設定をしており、目標期間終了時における目標達成の上でも重要です。こうしたことから、これにつきまして重点化対象項目としています。私からは以上です。
 
○今村主査
 ありがとうございます。続いて法人のほうから、法人の業務概要及び重点化対象項目の業務実績及び自己評価について説明をお願いします。
 
○労働政策研究・研修機構総務部長
 総務部長の中井と申します。どうぞよろしくお願いいたします。私からは法人の業務概要及び重点化対象項目の業務実績及び自己評価について御説明させていただきます。資料につきましては、先ほどの資料1とともに、資料2-1を使わせていただき、資料2-1については2種類ありますが、評価の要約と補足資料となっておりますので、よろしくお願いいたします。
 まず、法人の業務概要ですが、資料2-1「評価の要約」をめくっていただきまして、2ページに「独立行政法人労働政策研究・研修機構について」という資料が入っています。これについて簡単に御説明いたします。
 まず、上段、法人の概要の所から御覧ください。目的は、内外の労働に関する事情及び労働政策について、総合的な調査研究等を行うこと。併せてその成果を活用した労働行政担当職員等に対する研修を実施するという2つの目的を柱として、事業を実施しています。
 設立年次は、平成15年10月でございまして、当時の特殊法人である、日本労働研究機構と厚生労働省の施設等機関であった、労働研修所を統合し発足しております。
 所在地は、本部が練馬区の上石神井、大学校が埼玉県の朝霞市にあります。理事長は、平成30年4月より樋口美雄慶應義塾大学名誉教授に就任いただきまして、理事長を含め5人の役員で構成しております。職員数は昨年度末時点で103名、予算額は昨年度ベースで約27億円となっております。
 上段右側は、組織図です。役員の横に労働政策研究所とあります。所長の下で、研究調整部、調査部があり、研究調整部は、横に研究6部門を記載していますけれども、この研究6部門の研究の進捗管理等を主に行い、それに加えて成果の普及、政策提言といった業務を担当している部署になります。調査部の中には、国内及び海外の労働事情の収集整理を担当する部署と、統計解析を担当する部署があります。
 その下の労働大学校は、校長の下で教育担当として教授及び准教授、更に大学校事務局ということで、研修推進課を配置しています。
 法人本部事務局として、総務部があり、加えて内部統制推進室が理事長の直属として、コンプライアンス統制を司っているという体制になっています。
 下の段に移っていただきまして、法人の業務の概要の所です。先ほど、業務の概要で2つの目的の柱を申し上げましたが、労働政策の総合的な調査研究では、時宜に応じた政策課題に基づき、労働政策を支援するための研究を実施すること、更に体系的・継続的な基礎研究を実施すること等を通じて、政策の企画立案及び推進をサポートしております。更に労働行政職員については、具体的にはハローワーク、労働基準監督署、また労働局の各ポジションの職員を対象に、階層ごとに一般研修、労働安全、労働衛生、障害者、生活保護などの部分に対する専門研修、更には所長や課長などのような管理監督者の研修を実施しておりまして、年間で昨年度は89コース、4,257名と4,000人を超える受講者、職員を対象に実施させていただきました。以上が法人の概要についての説明です。
 続きまして、平成30年度の業務実績及び自己評価について御説明いたします。最初に、評価項目の説明をさせていただきます。先ほどから御覧になっていただいている資料1の評価項目一覧を改めて御覧ください。先ほども項目についても確認を頂いたところですが、今般、評価制度委員会並びに会計検査院から全ての独立行政法人を対象に、一定の事業のまとまりを単位のとおり評価を行うという指摘を頂いたところでありまして、それを踏まえて従来1-2と1-3に分かれていた、情報収集のシートを統合するよう、表示方法を改めているということです。補足の説明させていただきました。これについては以上です。
 再度資料2-1の3ページを御覧ください。重点化項目である1-1、労働政策研究の実施を中心に御説明をさせていただきます。まず、中期目標の内容について、Ⅰで示した点線の四角で囲んだ部分を御覧ください。1から6まで記載しています。簡単に御説明いたしますと、1の1点目ですが、リサーチ・アドバイザー部会での外部評価において、研究成果評価の平均点を2.0以上得るということです。配点はそこに書いてあるとおりですが、この項目に関して、重要度高、難易度高とさせていただいております。その理由としましては、赤字でも記載しているとおり、高評価を得ることは当該研究結果が労働政策に貢献する質の高いものかどうかを客観的に判断するために、極めて重要であること。また、常に厳正に評価されており、A評価を得ることが困難であることを挙げさせていただいています。
 2です。厚生労働省より政策貢献が期待できるとの評価を受けたプロジェクト研究サブテーマを中期目標期間中に、テーマ総数の80%以上を確保すること。
 3労働関係法令・指針・ガイドラインの制定・改正、予算・事業の創設・見直し、政策評価、審議会・検討会、政党・労使団体等への説明への活用、政府の法案提出につながった研究成果を成果総数の85%以上を得ること。
 4ですが、労働政策研究の成果についての有識者を対象としたアンケート調査を実施し、「大変有意義」、これは3ということになりますが、以下「有意義でない」の、0ということまでで計算しまして、2.0以上の評価を得ること。
 5ですが、労働政策担当者向け勉強会等への政策関係者の参加者数を中期目標期間中に、年225人以上確保すること。
 6最後ですが、国際会議、国際学会等において、研究成果等の発表を積極的に行うとともに、会議等での交流を踏まえつつ、幅広く海外の研究機関との連携体制を構築して、英語での情報発信を図るということで、以上が中期目標の内容となっています。
 下に移っていただき、Ⅱの箇所ですが、目標と実績との比較を示しております。まず1から御説明申し上げますと、リサーチ・アドバイザー部会の外部評価については、目標値2.0に対して、実績値が2.0、達成度100%ということで対象となった研究成果ですが、ここにも掲載しているとおり、『「日本的高卒就職システム」の現在 1997年・2007年・2017年の事例調査から』、『中国におけるシェアリング・エコノミー下の「新たな就労形態」と就労者保護 その光と影』、『職業訓練及びキャリアコンサルティングの統計的手法による効果検証』、以上3点です。このうち、日本的高卒就職システムに関する報告書についてですが、1997年・2007年・2017年に実施した事例調査から、日本的高卒就職システムの20年間の変化を浮き彫りにしたもので、当機構の前身である日本労働研究機構時代の蓄積があり、初めて可能となったプロジェクトです。若年の労働市場に一貫して、着目してきた当機構でなければ、成し遂げられない業績として高い評価をいただいたものです。
 続きまして、4ページです。2点目の厚生労働省より、政策貢献が期待できるとの評価を受けたプロジェクト研究サブテーマということで、このサブテーマの内容につきましては、資料2-1の補足資料の3ページ目に1から14ということで、テーマが14あります。その内容ですが、結果として全てのテーマについて高い評価を得ることができ、資料2-1の4ページ、実績値100、達成率125%となっているところです。
 次の3点目です。労働関係法令・指針・ガイドラインの制定・改正等の活用等につながった研究成果ということですが、成果総数の85%以上という目標に対して、23本中21本ということで、実績値が91.3%、達成率が107.4%となっております。ちなみに23分の21と申し上げましたが、ここに入っていない2つのものについてですが、補足資料の4ページ目に記載しております。御覧いただきますと、左側の下から8行目辺りに、「活用予定なし」とされた研究成果の評価という所に、DP、ディスカッションペーパーを2本記載しています。『人々は、いつ、どこで仕事をするときにスマートフォンやパソコンなどを使用するのか』、また、『生産性の上昇が労働需要に与えるマクロ影響評価(2)』という所でございます。これに関しましては、直ちに具体的な活用はないものの、精緻な分析については、我が国の労働政策の立案に大きく寄与するものであると高く評価いただいているということを補足させていただきます。
 また、資料2-1本体の4ページですが、4点目の有識者アンケートによる評価と、下の所にありますが、目標値は有意義度の平均点2.0以上ということで、これにつきましては実績値は2.4、達成率は120%ということです。内訳にも示しておりますとおり、特に学識経験者から高い評価をいただいたところです。
 続きまして、5ページの5です。数値目標としては、最後の項目となりますが、労働政策担当者向け勉強会等への厚生労働省等の政策関係者の参加者数です。目標値が225人以上に対して、実績値が315人、達成率140%となっております。政策的関心の高いテーマの設定に努めるとともに、積極的に開催周知するなどして、12の部局から多くの参加者を得て、目標を大幅に上回った状態です。
 最後に、6点目ですが、これは定性的な指標ですが、海外研究者・機関等とのネットワーク形成についてです。これにつきましては、国際会議等への研究員等の派遣や海外研究者の招聘、機構が主催する国際セミナー等における研究員の発表を積極的に実施いたしました。赤字で強調させていただいていますが、国際比較労働政策セミナーということで、アジア諸国の若手研究者の質的向上に寄与し、機構がアジア諸国における労働政策研究の拠点としてのプレゼンスを高める。こういったことを目標に機構が発案して、平成28年度より開催しているものです。また、英文ジャーナル、『Japan Labor Issues』では、掲載された論文がOECDの報告書にも活用されているということです。以上の総括としまして5ページの一番下ですが、Ⅲのその他考慮すべき要素の箇所を御覧ください。定量的目標に関しては、数値目標の全て100%の達成度となり、目標を上回る実績となっております。政府の働き方改革の実現などに対応した資料、データを必要に応じて迅速に提供できるよう、時宜を得た研究に取り組んだ結果、厚生労働省で、それらの成果が多数活用され、労働政策の企画立案に大きく貢献できたと考えております。当機構の様々な研究成果、個々の研究員の報告が、いろいろな審議会、会議等で活用されているほか、海外研究者等とのネットワークの拡充・強化も行っています。以上のことから、重点化項目である1-1労働政策研究の実施に関しましては、自己評価をA評価とさせていただいております。なお、1-2以降の評価項目につきましては、全て自己評価をB評価とさせていただいておりますが、詳細な説明は割愛させていただきます。説明は以上です。どうぞよろしくお願いします。
 
○今村主査
 ありがとうございました。それでは、ただいま御説明がありました事項について、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。
 
○戸田構成員
 御説明ありがとうございました。説明資料が分かりやすく、補足までいろいろと付けていただいて、よく内容等を理解させていただきました。1点少し、これは以前の有識者会議でもお伺いした質問かもしれないのですが、確認として再度お伺いしてしまうかもしれません。定量的指標の1のリサーチ・アドバイザー部会の外部評価の対象となっているレポートなり報告書について質問させていただきたいのですが、3本挙げていただいて評価されていると。ただ、ほかの、例えば資料2-1の4ページの3の政府等での活用という所では23本中ということで、分母をどう決めていらっしゃるのかと。つまり、リサーチ・アドバイザー部会の外部評価で、労働政策研究報告書と労働政策レポートを対象にされているかと思うのですが、それ以外にもいろいろと資料シリーズとか、調査シリーズとかいろいろとJILPTの中でアウトプットされているものがあるかと思うのですけれども、その辺の対象としている出版物の基準について教えていただければと思います。
 
○労働政策研究・研修機構研究所長
 所長の濱口です。御質問ありがとうございます。今、戸田構成員がおっしゃったように、我々は毎年20なり30なりといった数の成果物を出しておりますが、今回リサーチ・アドバイザー部会に掛けているのは労働政策研究報告書、そして労働政策レポートの2種類です。リサーチ・アドバイザー部会というのは、労働法、労働経済、社会学といった各分野の専門の先生方から学問的な観点からその成果物について評価いただく場ですので、基本的には単に事実を調べて数字が並んでいる、あるいはいろいろな事実が並んでいるというものではなくて、更にそれを深く突っ込んで分析をし、検討しているというものについて評価いただくと。
 一方で、政策研究機関ということで、正に厚生労働省等から至急にとか、できるだけ早くこういったことについて調べてほしいというようなこともありまして、こういったものについては分析、検討といったところまでやっていると時間が掛かりますので、審議会なり国会での議論のときに、そういったデータが使えるような形で早く出す必要があると。例えば、ここにあります資料シリーズとか調査シリーズ等といったような形になりまして、政策に貢献するという観点からはそういった形で出す必要があるわけなのですが、リサーチ・アドバイザー部会で先生方にアカデミックな観点から御評価いただくには足りないということで、そこにはちょっと差ができております。
 昨年度は、そういった観点でリサーチ・アドバイザー部会に係るものが3点と若干少ない感もあるかもしれません。これは5年間の中期目標期間の中で、どちらかというと早い時期にはこういったいろいろな蓄積を基にした研究報告書が出にくいところもありますが、5年間の中期目標期間全体の中では相当の数の研究報告書が出てまいります。これは前の第3期、あるいはその前の第2期でもそういった状況です。

○戸田構成員
 確認ということで、やはり評価は厳選に行うべきものです。どういうものを対象にされているかというところを恣意的にやってしまうと、評価が甘くなってしまうということがありますので、確認のためにお伺いいたしました。
 もう一点、今おっしゃっていただいたように、中期目標期間で、30年度で2か年目だと思うのですが、中期目標期間の途中なので、まだ本数としてはそれほど多くないと。でも、現在進行形で研究を進めていらっしゃっていて、いずれ報告書という形でまとめるという理解でよろしいでしょうか。
 
○労働政策研究・研修機構研究所長
 先ほどは、どちらかというと審議会や国会で御利用いただくための調査シリーズ、資料シリーズといったことに注目してお話いたしました。一方で、完全な成果物としては熟していないけれどアカデミックな観点からの新たな議論を提起しようというものについて、ディスカッションペーパーという形を取っております。どちらかというと1年目なり2年目は、このディスカッションペーパーという形を取っているものが多いです。
 ただ、ディスカッションペーパーについても、厚労省の審議会等で着目いただき、研究員から報告させていただいたものも幾つかあります。
 
○今村主査
 これは、どこにお伺いしたらいいか分からないのですが、今の戸田構成員の質問に関連してです。資料1には重要度、難易度のマルが労働政策検究の実施という全体に付いているのですが、補足資料の2ページでは、1のリサーチ・アドバイザー部会等の外部評価による研究成果の評価実績の所だけ重要度高、難易度高、重点化項目とありますけれども、これはどちらが正しいのでしょうか。それによって、数が少ないと今の戸田構成員の指摘が重くなったり軽くなったりしますので、重要だと思います。
 
○労働政策研究・研修機構総務部長
 それについては、今日御説明させていただいた内容が、正に労働政策研究の実施という所全般にわたるものでして、研究評価の平均点を2.0得るということは特にということですが、それ以外も含めてそれぞれ評価を得るということで頂いていて、その評価についてはABCの中で120%以上得られるかどうかということも、これまでも御議論いただいていたかと思います。そういう立て付けになっていると理解しております。
 
○今村主査
 従来から、資料1の評価項目全体を通じて重要度、難易度というふうに理解していたのですが、そうではなくて1のみが重要度と難易度が高いので、労働政策研究の実施の所にマルが付いているという解釈でよいのですよね。
 
○労働政策研究・研修機構総務部長
 そういう意味で申し上げると、資料1の重点化理由という所に書かせていただいた、ちょっと繰り返しになるかもしれませんが、ここがやはり一番重要だということです。厚生労働省の労働政策の企画立案及び推進に貢献することができる質の高い研究を実施するということ、中長期的な課題を含めて労働政策の動向を適切に把握し、対応するということと、現時点で想定していない様々な政策課題が生じたときにも適切な対応ができるようにということで、労働政策の基礎となる研究を体系的・継続的に推進すると。この業務が当機構の基幹業務として最も重要であるということと、先ほどの繰り返しになりますが、高い評価を得るというのは非常に困難であるということを含めて、ここを重要度高、難易度高というふうに設定して重点化項目にさせていただいているという、そういう立て付けになっているということです。
 
○今村主査
 評価シート1-1全体をAという評価で御提案されているわけですが、その中で唯一難易度、重要度が1にウエイト付けされていますので、是非とも今後ともこの数を増やして、しっかりと評価を高めるという方向で御検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。土井構成員、何かありますか。
 
○土井構成員
 今の御質問と関係するのですが、やはり今の御説明ではまだ理解ができません。資料1では、1-1となっている労働政策研究の実施が全体として難易度、重要度が高となっていると理解できるのですが、なぜその中で1の所だけを重要度高、難易度高とされて、ほかの所はなっていないのかというのは、私は今の説明では理解できませんでした。なぜかというと、やはり労働政策研究を実施すること自体が、リサーチ・アドバイザー部会で外部評価を頂くよりは時間が掛かるものであると思いますし、機構の多くの方がそこに一番携わっているのだと思います。その結果に対して、リサーチ・アドバイザー部会で外部評価を受けるという立て付けになっていると理解しております。なので、実施の結果の評価が難易度高、重要度高となるのではなく、その下にある2から、アンケートもちょっと違うと思いますが、特に2とか3という所が労働政策研究の実施をするというところでは、重要度も難易度も非常に高いのではないかと思います。
 機構としては、1に重要度高、難易度高を付けるのであれば、なぜ2、3にも同様に重要度高、難易度高とされないのか、その辺りの理由を教えていただきたいのですが。
 
○労働政策研究・研修機構総務部長
 ここを重要度、難易度高にした理由というのは、先ほどからの繰り返しになってしまうのですが、ここの評価は高い評価を頂くのが非常に厳しいということと、先ほど所長の濱口からも説明がありましたとおり、研究のレベルにいろいろレベル感がありまして、政策的に必要だから調べるということもニーズに応じてやらせていただいているということです。そういう中で、学術的なレベルが最も高いものということで研究報告書、研究レポート、そこに絞って評価を頂くという、我々がやっている研究の中で最も高い水準のものを評価いただいている、そういう立て付けにしているので、そこを重点にしたと、我々の現段階での整理ということでは、そうさせていただいています。
 当然、2とか3というのも政策に使っていただいて、いろいろな形で貢献させていただいていることを数値評価していただいているので重要ではありますし、そこに示しているような数値目標を実績として、きちんとクリアしていかなければ全体の評価の足を引っ張ることになろうかと思いますので、当然重視しているわけですが、現在の立て付けが先ほど申し上げたような研究の水準を見た上で評価いただいているというのが今の全体の整理になっているということです。現状についていろいろ御指摘、御意見があろうかと思いますが、現状はそういうことであるということで御説明させていただきました。
 
○労働政策研究・研修機構研究所長
 何を重要度、難易度高にするかという立場ではありませんので、研究部門を統括している立場から一言申し上げますと、その時々の政策課題に必要な情報は、常に真っ先に調べてやっていく。ただ、かつ同時にアカデミックな先生方の高い評価を頂くというのは、正直なかなか難易度の高いものかなと思います。その時々の政策課題に対応したことをきちんと調べて出していくというのは、難しいなどと言うべきものではないと考えています。恐らく土井構成員の御質問に対する適切なお答えにはなっていないかと思いますが、研究する立場から言うと、そのような観点で日々やっています。
 
○土井構成員
 厚生労働省の担当課のほうから教えてください。担当課の先ほどの御説明で、1-1の所を重要度、難易度にマルを付けて重点化項目と位置付けられたということですが、それは今、機構のほうから御説明のあった1-1のうち、リサーチ・アドバイザーの所だけを意図されていたのでしょうか。
 
○政策統括官室参事官
 評価項目の重点項目をどこにするかということについては、評価項目単位ですので、ここの重点化項目として選定しているものは1も含めた全体ということで考えております。
 
○土井構成員
 だから、なぜ全体ではなく多くある項目のうちの1つだけなのかというところで、やはり主務省庁と機構との間にちょっと考え方の違いがあるように思います。今、私は両方のお答えを聞いて理解いたしました。
 
○戸田構成員
 その点は、第4期の中期目標を立てる際にコメントさせていただいたので、記憶している限りのことを申し上げると、重要度高と難易度高を設定されている理由は若干ニュアンスが違って、重要度高は正に一言で言えば、JILPTの存在意義としてここの項目を挙げているという、それに尽きるのではないかと。ただ、難易度高については、中期目標を設定する際に議論もありましたが、リサーチ・アドバイザー部会で高い評価を得ること自体が難しいということで、第3期の中期目標より引き上げたかどうかは覚えがないのですが、そういった観点で難易度を高く付けられているという、そういう理解だと思います。少し話題を変えたいなと思いますが、よろしいでしょうか。
 
○今村主査
 どうぞ。
 
○戸田構成員
 海外との研究についてお伺いしたいのですが。
 
○今村主査
 これは、1-1ですか。
 
○戸田構成員
 1-1の6番です。機構としても海外との共同研究なり、国際的な観点でネットワークを形成するとか、いろいろと研究の知見を広げていくということをやっていらっしゃることは理解しているつもりです。お話を伺っていると、着実に進めていらっしゃるということは理解したのですが、平成30年度の中で特に力を入れてやられた点とか、特徴のある点というのは、赤字で書かれた点はよく分かったのですけれども、それ以外でもし何かあれば教えていただければと思います。
 
○労働政策研究・研修機構研究所副所長
 海外を担当しております天瀬と申します。よろしくお願いいたします。特にという御質問だったと思いますが、1つは全体の御説明の中でも触れましたけれども、国際セミナーというところで、国際比較労働政策セミナー、アジア諸国の若手研究者の質的向上に寄与、そして機構がアジア諸国における労働政策研究拠点としてのプレゼンスを高めるという取組です。これが第3回目を迎えて、質的にも非常にかみ合った議論ができるようになりました。前回は女性の雇用問題について取り上げたのですが、多くのアジアの方々、研究者の方々に御参加いただいて、それぞれの国に当該の成果を持ち帰っていただくといったことが1つあったと思います。
 もう1つは、逆に派遣というか、当機構の研究員を海外に派遣するという事業もやっており、これについては国際雇用労使関係学会、ILERAという学会がありまして、第18回世界大会をソウルでやったのですが、ここに機構から多くの研究員を派遣しております。これについては、資料2-1の補足資料の6ページの(1)の1ですが、60か国が集まる世界大会、世界会議だったのですけれども、ここに機構の研究者15名を派遣して、ここで共通のセッションを担当するということをいたしまして、テーマが「日本における女性の働き方の多様化」というセッションをもって、それぞれの研究員が報告するといったことをやっております。以上です。
 
○今村主査
 どうぞ。
 
○労働政策研究・研修機構研究所副所長
 もう1つ補足させてください。EHESSフランス国立社会科学高等研究院、日仏財団という組織がありまして、こちらと共同でワークショップを行っております。6ページの右側の箱の(2)の2の所ですが、テーマが「働き方改革・生産性向上・well-being at work」ということで、これは今、ヨーロッパで非常に関心を集めているテーマです。日本でもこの観点で働き方改革を議論すればどうなるかという議論をいたしまして、これは大変面白い議論ができたと思っています。もしよろしければ8月号のBLTで特集しておりますので、是非御覧になっていただければと思っています。以上です。
 
○中村構成員
 ちょっと視点を変えます。構成員の中村です。よくやられているとは思うのですが、1、2、3についても、「テーマに対してこういう理由で評価がこうなのだ」というようなまとめ方をしています。しかし、書かれている内容を見ると、「アンケートを取ったところ、幾つでした」とか、例えば2ですと、「政策貢献が期待できるとの評価を受けたプロジェクト、研究テーマがうんぬん」とあるのですが、全てのテーマにおいて、単に、厚生労働省の担当課室から政策貢献が期待できるとの高い評価を得ることができたというような説明に留まっている。具体的に、評価されたものが何なのかというのを我々は知りたいのですが、それが読み取れません。ただ、付属資料には、事細かく書いてあるわけです。要約の仕方が、もうちょっと中身が分かるようにしていただきたかったですね。単に「監督官庁から100パーセント貢献が期待できると言われた」とか、そういう数字にとどまらず、皆さん方がやっている努力が分かるような形で、記述に工夫していただければという気がしております。コメントです。
 
○労働政策研究・研修機構研究所長
 1点だけです。指標がここに書いてありますように設定しておりますので、それに対するものについては若干抽象化した形になっています。ただ、当然のことながら、そのバックとなるデータがあるわけでして、例えば資料2-2の3ページ以降には研究成果の活用状況が労働政策審議会から始まって、厚生労働省以外の所でもこのような形で活用したといったことを踏まえて厚生労働省のそれぞれの担当部局から活用したとか、活用する予定という評価を頂いているわけです。
 
○中村構成員
 内容が伝わらない抽象化ですね。よくやられていることが分厚い資料からは伺えます。それから付属資料にも要約して結構内容が書いてあります。それが資料での説明では伺えない。ちょっとまとめすぎかなという気がいたしま。
 
○労働政策研究・研修機構研究所長
 作成の仕方については、また総務部長とも相談していろいろ考えてまいりたいと思います。
 
○労働政策研究・研修機構総務部長
 多分、数値目標で高い評価を得るというのは、クリアしなければいけない問題にしても、具体的にどういう内容がどう貢献できたのかというようなリアリティーのある成果を、全部を示すことはできなくても、やはり端的なものをもう少しうまく説明したほうがよいというアドバイスだと理解して、今後の。
 
○中村構成員
 そのとおりです。我々は単に数字だけで、120%ですのでOKとかというのではなくて、具体的にどういうことをやられているのかということを把握したいのです。そういう意味では、せっかくやられているのに、その内容が伝わらないのはもったいないという印象を持ったということです。
 
○労働政策研究・研修機構総務部長
 そこについては、是非今後の検討の参考にさせていただきます。ありがとうございます。
 
○今村主査
 ちょうど、たまたま出てきたので今の資料2-2の4ページの所で、御説明によると、上の「業務に関する政策・施策」という項目が下に降りてきて、それで難易度という理解で良いのですか、今聞き取れなかったので、すみません。つまり、資料2-2の4ページです。「労働政策研究の実施」と書いてあって、「業務に関する政策・施策」といろいろ書いてありますよね。「労使関係が安定的に維持されるように」と書いてあって「当該項目の重要度・難易度」と書いてあるということは、先ほど来問題になっている、何で3つを選択したのかということとも関連するのだけれども、これを見ると、政策的に重要度があるからという視点もあるというように読めるのです。純粋にリサーチとしてクオリティが高いかどうかということだけではなくてというように読めるのですけれども、これはどのように理解したらいいのでしょうか。資料2-2の4ページです。ただ、必ずしも3つを選ぶと、中国のシェアリングエコノミーというのはこの中には余り関係ない項目ですよね。
 
○労働政策研究・研修機構総務部長
 テーマとしては、そこは先ほど濱口から御説明したとおり、そこは2種類のテーマでお諮りするということで整理してやっているという、そういうことで進めているという中で頂いた評価だということです。
 
○今村主査
 時間も限られていますのでシンプルに申し上げますと、労働政策研究・研修機構というのは、やはり政策研究のアウトカムが重要だと思うのです。純粋にリサーチとして評価するということを重点項目に置くのはもちろんいいのですけれども、まず、そこがどのようにアウトプットがアウトカムとして、現実の患部というか、そういうところに浸透していくかというポリシーのスタンスがあって、そしてアウトカムがフィードバックしましたというビジョンがあれば、このプレゼンテーションはすごく分かりやすいなという、多分そういうことになるかと思います。それがこのプレゼンテーション資料ではちょっと分からないということだけで、我々は、よくやっていらっしゃるということは、多分、間接的に非常に見ております。
 
○労働政策研究・研修機構総務部長
 いろいろな指標でアウトカム、質の高い研究をどのように有効活用されているかということについて、我々は、当然それを意識して仕事をしているわけではありますが、そういうことについて全体をまとめるときに見えにくくなってしまうということですね。そこは今後、うまいプレゼンの仕方は考えたいと思います。
 
○戸田構成員
 今のお話に関連してですが、評価の要約の補足資料の最後のページを拝見しますと、審議会、研究会等での活用という参考指標の所が、今回、289件と前年度の206件を大きく上回っている。これは釈迦に説法かもしれないですけれども、研究というのは、1年間で成果を出して、それが例えば政策に反映されるとか審議会で活用されるというのは時間的にも難しい中で機構が長年取り組んでいらっしゃる研究成果がいろいろ社会に活用されているということを端的に示す良い例だと思っていて、ここはかなり評価できるポイントであるのかなとは思っています。プレゼンという話で申し上げると、206件が289件になった背景としていろいろと右側に評価事例という形で書いていらっしゃいますけれども、世の中の動きに対してどういう貢献をしたのかみたいなことをおっしゃっていただくと、機構が着実に進めていらっしゃる研究が世の中にも活用されているということがより伝わるのかなと思うので、是非そういうところも御検討いただければと思うのです。質問としては、この増えた背景について教えていただければと思います。
 
○労働政策研究・研修機構研究所長
 200以上は恒常的に活用されているわけです。昨年度の場合、1つは、働き方改革の関係でいろいろと制度を細かく作っていくという意味で我々の研究成果が使われることが多かった。もう1つは、これは、特にここ数年来、我々の機構としても重点的に研究しているテーマです。いわゆる第4次産業革命に対応する新たな就業形態といったようなことについてかなりいろいろやっておりまして、これがいろいろな審議会とか研究会といったような所で、ほかに余りそういったデータがないということもありまして、多く使われるということがございました。そういう意味で、昨年度は特にその2つのことが背景となって例年度よりも多く活用されることになったのかなと見ております。
 
○労働政策研究・研修機構研究調整部長
 若干補足いたしますと、今、戸田先生がおっしゃった資料の5ページに審議会、検討会等における活用というものがございまして、どのような審議会や、どのような検討会、また、厚生労働省以外でどのように活用されたかという一覧を載せさせていただいております。それから、先ほどおっしゃっていただいたように、今やっているものが、すぐ活用されるものも多いですが、その他、これまでやってきたものが改めて活用されるものも多いです。以上です。

○今村主査
 ありがとうございます。ほかには何かございますか。よろしいですか。
 それでは続いて、年度評価について、今回、説明がなかった評価項目について引き続き、御意見等がございましたらよろしくお願いいたします。というのは、評価項目がBで並んでいますが、内外の労働事情、労働環境、労働政策に関する情報の収集・整理とか、労働事情、労働政策に関する情報の収集、国内と内外ですね、それから海外、それから成果及び政策提言の普及等々ですが、いかがでしょうか。
 先ほど来、いろいろと質問されている成果は、具体的にどのように普及されていくかというプロセスについても、これを見るとかなり詳細に把握することができるかと思いますが、いかがでしょうか。
 
○戸田構成員
 1点質問なのですが、評価項目で言えば、1-4の研修に当たる項目に関する質問をさせていただければと思います。機構の場合は、研究と研修を一緒にやっているというところが特徴の1つかなと認識しています。研究と研修のシナジーというところを出していくというところは、やはり独立行政法人としても重要な位置付けだと思っているのですが、その研究と研修のシナジーという観点で平成30年度に取り組まれてきたこと等がもしありましたら、教えていただければと思います。
 
○労働政策研究・研修機構労働大学校長
 労働大学校長、永田でございます。説明資料の1-4、12ページからになると思いますけれども労働行政担当職員に対する研修の項目です。そこで研究と研修との連携ということでいいますと、中期目標でいうと3、イブニングセッションを毎年度30回以上開催し、そこで得た知見を基にして教材の開発・改善を毎年度3件以上得るという、こういった内容です。イブニングセッションというのは本来の研修の時間枠外に機構の研究所の研究員に来ていただきまして、研修生も残業になりますので、任意参加ですがかなりの参加率でもって時間外にこういう最新の研究成果を基にして講義を行っていただいて、それに研修生が参加するということです。
 それで、教材開発ということになりますと、その中におきましても安定行政系の職員に対する、特に職業相談に関するものにつきまして研究している研究員のイブニングセッションの中で、現場においてこういった相談業務をしている中でこういった知見があるということは、現在使っている教材をこのように最近の事例に当てはめて変えていく必要があるのではないかというような、そういう形のフィードバックで研修教材の改訂といったことを行っていると、これが1番のシナジーです。特に平成30年度という御質問でしたけれども、平成29年度と大きく変わったところはございませんで、件数的にもほとんど変わっておりませんので、引き続き堅実にこういったことを実施してまいりたいと考えております。以上です。
 
○今村主査
 いかがでしょうか。
 
○中村構成員
 Bになっている、1-3の所ですが、「労働政策研究等の成果及び政策提言の普及」というものは、機構さんにとっては大事なテーマかと思います。それをこの要約で見ますと、中期目標の内容として、メールマガジンの週2回発行、労働政策フォーラム年間6回開催、フォーラム参加への有意義度評価で2.0以上の評価を得るということが書かれており、中身ではなくて数値そのものが目標になってしまっている。では、そもそもの計画の中でどのように言われていたかというと、ホームページにしても、「何々を目的としてホームページはこのぐらい」とありますし、ほかも同じです。しかし、その目的が全部抜けて、ホームページのアクセス回数とか、そういった数が目標にすり替わっている印象を持ちます。皆さんの活動の意図や目的が伝わらないのはもったいないと思います。これもコメントです。
 
○今村主査
 数値目標達成はもちろん大事なのだけれども、何のために達成しているかという、そういう説明を逆にそちら側は出してほしいという、そういう趣旨だと思うのです。
 
○労働政策研究・研修機構理事
 先ほどの研修と研究のシナジー効果について、資料としては13ページに研修教材の開発・改善という形で、求職者の自立的な求職活動を支援するという意味での研究を職業安定行政の現場に還元するということも研究と研修の融合という形でやっておりますので併せて説明させていただきます。
 
○今村主査
 若干時間があるようなのでちょっと付け加えさせていただきますと、全体として縦割り、横の連携が少し足りないのかなという印象を受けております。曖昧な表現ですけれども、JILPTのエコシステムというのですか、研究開発、それを研修したり、実際に政策の現場で有効に活用するときの横の連携のエコシステムみたいなものがどうなっているのかとすごく関心があるのです。
 なぜかというと、高障求機構が今回の評価で印象をガラリと変えたのです。つまり、理事長のリーダーシップの下でシナジー効果を発揮しようということで、組織の壁を越えてお互いに資源を有効利用しようという場を作ってきた。プレゼンテーションを見ても今回は非常に横の連携がきちっと機能して良い印象を受けたということを我々は申し上げたところです。ですから、すごくよく分かるのです、研究が大事だと。そこからその原動力として機構の存在感、影響力、アウトカム、インパクトを実施しようということはよく分かるのですが、先ほど構成員が何回か指摘している、その辺の目標を各組織ごとで共有して、全体としてビジョンが出来上がっているかというところが今回のプレゼンでは印象がちょっと出てこなかったという、そういうことになるかと思います。良いものとしてコンピテンスみたいなものはしっかり持っていらっしゃるので、それをどうアウトカムに伝えていくかということ。それから、非常によく分かっておりますが、シンクタンクという、独立したシンクタンクではなくて厚労省からの委託を受けてやるという、そういう自立の問題も根本にあるかと思うのですけれども、何かそこでもう少しプレゼンテーションに帰着することは、全部は帰着できないかもしれませんが、そういう意味の何か伝わってくるものがあれば非常に印象深く受け止められたのではないかというように、ちょっと生意気なことを申し上げて申し訳ありませんが、是非その辺を次回のプレゼンではいかしていただければと思います。
 
○労働政策研究・研修機構研究所長
 ありがとうございます。大学校はハローワークや労働基準監督署の方々の研修ということで、教えなければならないということがフィックスされているというところはございます。ただ、我々は1つの組織として、できるだけそのシナジーをいかしたいということで、私自身も、例えば新任の監督官研修あるいは安定所長研修に、正に、先ほど大学校長が申し上げたようなイブニングセッションという形でいろいろな研究に関わる、あるいは政策に関わるお話をさせていただいております。そして、限られたところではあるのですが、できるだけそういったことを今後とも更に増やしながら1つの組織としてのシナジー効果をより高めるようこれからも努めてまいりたいと思っております。
 
○今村主査
 ありがとうございます。理事長の御発言、その前にちょっとだけ付け加えさせていただくと、これは、自家薬籠中のものだと思うのですけれども、雇用システムの御研究の本家本元です。ただ、私は、海外のイノベーションの調査に行くと、アジアの国のJETROの支部に行くと、新卒一括採用がなくならない限り日本にイノベーションは起こらないということを言われたりします。ですから、やはりそこは是非自家薬籠中、本家本元としてイノベーションの源泉になるような、今、研究所長がおっしゃったように、そういう気構えを是非よろしくお願いしたいということです。
 
○労働政策研究・研修機構理事長
 ありがとうございます。御挨拶の前に今村先生から御指摘いただいた、相乗効果をどのように出していくか、特に縦割りの壁をどのように取り除くかというのは、非常に重要なテーマだろうと思います。私が1年前からこの理事長になって、あるいはそれ以前から、菅野先生の時代からやっておりますのが、それぞれの研究で分かったこと、その成果をやはり国民に還元するべきだというようなことで、先ほども出ました政策フォーラムに結果として何人というのは参加者とか満足度というのがあるのですが、テーマを決めるときにも研究の成果に基づいてフォーラムを開きたいということで、例えば働き方改革についても、それぞれ労使にとっての働き方改革というようなものについて研究を進めてきた上で、それをテーマに皆さんに、この問題はどう考えていったらいいのかというような政策的なことも含めたフォーラムという形で非常に好評を得ているという、ああ、そういう考え方があるのかという、そういう見方が新たに展開できているのかなと思っております。まだちょっと足りないところがございますので、そういったところをまた強調していこうと考えております。
 
○今村主査
 ありがとうございます。また後ほど、よろしくお願いいたします。特になければ、ここまでの議論はこれで終了させていただきます。
 それでは続いて、法人の監事及び理事長から年度中期目標期間における目標の達成状況等を踏まえ、今後の法人の業務運営等についてコメントを頂ければと思います。最初に法人の監事から、続いて、法人の理事長よりお願いいたします。
 
○労働政策研究・研修機構監事
 監事の東ヶ崎でございます。当機構の平成30事業年度に係る監査報告はお手元の資料2-4に、二枚ものですけれどもまとめております。6月19日付けにて理事長宛てに報告いたしました。
 それでは当機構の監査結果をかいつまんで御報告申し上げます。お手元の資料の記載のとおり、監査計画に基づき、業務監査にあっては役職員からその職務の執行状況について聴取するとともに、全ての理事長決裁書類の内容確認を行ったほか、経営会議等重要会議への出席などを通じて当機構の意思決定過程や業務活動状況を監査いたしました。さらに、会計監査にあっては当該独立行政法人の契約した監査法人の監査結果を聴取し、会計に関する帳簿、証拠書類及び計算書類を閲覧、点検、資産の実地監査を行うとともに、会計責任者から聴取を行いました。
 その結果ですけれども、法人の業務は法令等に従い適正に実施され、また、中期計画の着実な達成に向け、効果的かつ効率的に実施されているものと認めます。また、内部統制に関すること、役員の不正行為、法令違反、財務諸表等の内容、事業報告書の内容につきましても、詳細は割愛いたしますが、いずれも適正に行われており、指摘すべき事項及び特段の意見はございません。監査は私と非常勤の小林監事の2名で実施しておりますが、両監事間での意見の相違はございません。監査の報告は以上です。
 さて、今後、更に効果的かつ効率的な業務運営を遂行していくに当たり、日常及び監査期間中に気付いた点を少し述べておきます。各職員の努力により年度初めに掲げた諸目標は、質を落とすことなく達成されたところと認識するところです。しかし、組織を構成する人材の高齢化等に起因する人材配置、陣容の柔軟な形成が難しくなりつつあることが懸念されるところです。このような状況を打開するためにも、新規の採用はもとより、有能な人材の積極的な登用等も視野に入れた組織の一層の活性化、さらには、業務遂行に当たっての見える化等、情報の共有化の推進が望まれるところと感じております。独法を取り巻く経営環境は厳しいものと承知しておりますが、我々監事としても、理事長、理事との意見交換等の場を通じて助言を行ってまいりたいと考えております。以上で監事からの報告を終わります。
 
○今村主査
 貴重な御指摘、ありがとうございます。それでは、理事長、よろしくお願いいたします。
 
○労働政策研究・研修機構理事長
 どうもありがとうございました。理事長の樋口でございます。構成員の皆様におかれましては、本日の業務実績評価を通じて多くの貴重な御意見を頂きました。是非、参考にさせていただきたいと考えるとともに、感謝申し上げたいと思います。
 ただいま東ヶ崎監事から、採用活動をはじめ、組織の活性化を一層図るようにとの御助言を頂きました。この点につきましても、定年退職者の見通しも十分踏まえた上で、可能な限り計画的に行ってまいりたいと考えております。また、今後の業務運営につきまして、引き続き厚生労働省の要請に応じた喫緊の政策課題に対する個別的な調査研究を遂行するという、それだけではなく、法律学、経済学、社会学、心理学等の多様な専門分野の研究者を擁する当機構の正に強みをいかしながら、労働政策の企画立案やその効果検証の基礎となるようなエビデンスに基づく調査研究を一層進めていきたいと考えております。
 昨年4月から当機構の理事長になりましたが、この1年間の率直な感想としまして、研究員のやっている研究は非常に質が高いと私も実感しております。今後は、社会が必要とするような基礎的、構造的な調査研究の水準を向上させたいと思っておりますと同時に、やはり、国民の皆様に向けた一層の情報発信機能といったものを強化していきたいと考えております。
 本日、皆様から頂きました御意見を業務運営の改善に反映させるとともに、より質の高い調査研究、研修事業の実施、そして、そういったものの相乗効果を引き出すべく努力していきたいと考えておりますので、御指導のほど、よろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。
 
○今村主査
 どうもありがとうございました。ただいまのお二人の御発言内容について御意見、御質問等がありましたら、よろしくお願いいたします。よろしいですか。経団連やトヨタ自動車が終身雇用を維持できないとされてきたり、一方でスタートアップとかフリーランスが非常に活性化しているという日本の労働市場の中で機構に期待される役割はものすごく重要ですし、是非、今後とも、引き続き御努力を頂ければと思います。
 それでは、本日の議事を終了させていただきます。最後に事務局からお願いいたします。
 
○政策評価官室長補佐
 今後の流れについて御連絡いたします。本日御議論いただきました労働政策研究・研修機構の平成30年度業務実績評価につきましては、この後、本WGにおける御意見や法人監事及び理事長のコメント等を踏まえ、厚生労働大臣による評価を決定しまして法人及び独立行政法人評価制度委員会に通知しますとともに、公表いたします。決定したそれぞれの内容につきましては、後日、構成員の皆様にもお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。また、構成員の皆様におかれましては、本日配布した資料の送付を御希望される場合は机上にそのままにして御退席いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 最後に、この後、引き続き同会場にて別法人の有識者会議を開催いたしますので、法人関係者の皆様におかれましては、恐れ入りますが、速やかな入れ替わりの御協力をよろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
 
○今村主査
 それでは、本日の第1ラウンドはこれで終了させていただきます。まだ外は暑いので中にとどまって、引き続きよろしくお願いいたします。長時間にわたり御熱心な議論を頂きまして、ありがとうございました。どうもお疲れさまでした。 
 
(了)