2019年8月2日 独立行政法人評価に関する有識者会議 医療・福祉WG(第19回) 議事録

日時

令和元年8月2日(金)14:40~16:11

場所

中央労働委員会講堂(7階)

出席者

真野主査、石渡構成員、五十嵐構成員、河村構成員、名里構成員、橋田構成員、松原構成員、三田構成員

議事

 
 
○真野主査
 それでは定刻より5分ほど早いですが、18回から延長での引き続きの19回ということもあり、メンバーがそろっておりますので、始めていきたいと思います。第19回の独立行政法人評価に関する有識者会議医療・福祉WGです。石井構成員、梅里構成員お二人が御欠席ということになります。それでは、最初に、本日の議事について事務局から御説明をお願いします。
 
○政策評価官室長補佐
 政策評価官室長補佐の加藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、本日の議事について説明します。初めに、議事次第にあります参考資料1~9に関しては、お手元のタブレットの中に収納してありますので、そちらを御覧ください。画面がスリープ状態になっている場合は、右上の電源ボタンを軽く指で押してください。
 本日は、「国立重度知的障害者総合施設のぞみの園」について、「平成30年度業務実績評価」に係る意見聴取を行うこととなっております。構成員の皆様には重ねての御説明となり恐縮ですが、御意見を頂くに当たり、今年は3月12日付けの総務省における「目標・評価の両指針」の改定が行われておりますので、その中で評価の枠組みに関わる事項について簡単に説明します。
 評価指針においては、「年度評価」について、「当該目標期間中の各年度において、中期目標の着実な達成を確保する上で支障となると考えられるものなどの業務運営上の課題を的確に抽出できることが重要である」との考え方から、評価書作成に当たり、「事務事業の特性や目標の内容、目標の重要性等、目標・計画の達成状況に応じて、重点化して評価を行う」こととされたところです。この「重点化」については、「目標期間終了時における目標達成の上で重要なもののみ従来の単位・精度で評価を行うこととする一方、それ以外の項目については、簡素・効率的な評価となるような工夫を促すことにより、評価にメリハリをつけようとするもの」と評価指針において示されております。その上で重要度又は難易度が高いと設定している目標については、必ず重点化の対象とすることとされております。なお、改定後の認定基準の適用時期については、改定後の指針に基づいた新目標期間の開始時となりますので、当面の間、従来どおりとなっております。
 その考え方は、改定後の目標指針の下で目標を策定して、以降の評価について、改定後の評定ルールを適用するということになります。国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の場合は、平成30年度からの目標の次の目標期間の開始年度の翌年度、すなわち令和6年度に実施される年度評価からとなります。また、今回意見聴取の対象となっておりませんが、「中期目標期間実績評価」においては、「見込評価時に使用した中期目標期間終了時の実績見込みと実績との間に大幅な乖離がなく、かつ考慮が必要な状況変化もない場合には、数値の更新等必要な修正を行った上で、見込評価を活用することができる」とされているところです。
 これらの点を踏まえ、今年度のWGにおいては、「年度評価」において重点化の対象とする項目を中心に御意見を伺うこととしたいと考えております。そのため、初めに法人所管課室より、「重点化対象項目選定の考え方」を説明いただいた後、続けて法人から「重点化対象項目」の業務実績及び自己評価を説明の上、有識者の皆様から御意見、御質問を頂きたいと存じます。その際、「重点化」の趣旨を踏まえて、単に例えば「A」という評定が適切かというだけではなく、法人の取組の中で中期目標の達成に向けて優良と思われる点や、逆に課題があると思われる点については、評定に直接影響しない場合であっても、積極的に御指摘を頂ければ幸いです。重点化対象以外の項目については法人から説明は行いませんが、御意見がある場合には、議事の最後にまとめてお伺いすることとさせていただきます。
 法人からの説明項目は、資料1の「国立重度知的障害者総合施設のぞみの園評価項目及び重点化対象項目の考え方」の中の「網掛け」されているものとなります。
 最後に、参考資料9について若干説明します。これは、平成29年度業務実績に係る年度評価等についてA以上の評定の場合に、その根拠が具体的に説明されているか等の観点から点検した結果を、総務省が整理したものです。こうした点検は毎年度行われておりますが、今回、全体として著しい適正を欠く評価の実施と考えられるものはなかったとした上で、今後の評価のための参考例として別紙1、2が示されています。評定に十分な根拠があるかどうかは、本WGでも議論となる場合がありますが、総務省の側で考えているレベル観として、参考にしていただければと思います。
 なお、例年どおり、各府省別の評定の状況も「参考」として示されておりますが、かつて問題となった「A」以上の割合について、前回の評価では、年度評価において高いほうから2番目であるものの、特に突出していない状況です。事務局からの説明は以上です。
 
○真野主査
 ありがとうございました。何か御質問とかございますか。よろしいですか。それでは早速入っていきたいと思います。最初に、平成30年度業務実績評価に関係する意見ということで、のぞみの園の平成30年度業務実績評価について議論していきたいと思います。最初に、先ほど話に出ました法人所管課から、重点化対象項目選定の考え方について説明をお願いします。
 
○社会・援護局障害保健福祉部企画課施設管理室長
 のぞみの園を所管しております厚生労働省障害保健福祉部施設管理室の川久保と申します。よろしくお願いをいたします。それでは私のほうから、資料1に基づきまして、のぞみの園の評価項目、重点化対象項目について説明させていただきます。
 初めに、のぞみの園の第4期中期目標における評価項目ですが、表の左から3列目に評価項目という欄がありますが、こちらに記載していますとおり、一番上の「自立支援のための取組」以降、全部で8項目を設定しております。昨年度の評価項目は、その表に29年度(参考)という欄がありますが、18項目あったものに比べ8項目ということで、まとめているところです。このようにまとめて整理した理由ですが、平成30年度を初年度としますのぞみの園の第4期中期目標においては、その前の平成27年度に改定された総務省の目標策定指針に基づいて、一定の事業のまとまりの単位で目標を策定していたために、評価についても、この目標で定められた一定の事業のまとまりの単位で行うことになったものと、御理解いただければと思います。
 続いて重点化項目の考え方を説明します。中期目標において重要度が高い、若しくは難易度が高いと設定している項目は、この表のブルーの網掛けをしている項目の3つです。具体的には「自立支援のための取組」、「調査・研究」、「援助・助言」の3項目ということです。重点化対象項目に設定した理由については、この表の一番右の欄に掲載させていただいておりますが、順次説明をさせていただきたいと思います。
 初めに、1つ目の項目の「自立支援のための取組」についてですが、この件については、2つの視点から重要度・難易度の高い項目ということで設定させていただいております。視点の1つ目としては、「施設入所利用者の地域移行の推進」です。障害のある方が地域で日常生活、社会生活を営むことができるように支援することというのは、障害者総合支援法の基本理念にも明記されており、のぞみの園においても、独立行政法人となる前から入所されている方について、引き続き地域移行を進めることは、非常に重要度が高い業務と考えているところです。また、利用者の高齢化が進んでおり、機能低下・重症化により、常時医療的な支援が必要な方など、特別な支援が必要な方も多くなってきていることから、受入先となる事業所を探すことも、難易度が高い業務とさせていただいております。
 2つ目の視点ですが、「著しい行動障害を有する者等への支援」ということです。著しい行動障害を有する方は支援が難しく、地域での受入れに当たり課題を抱えていることが多いということがありますので、そういう方に対する地域での支援が進むように、モデル的支援を構築することが必要となってきております。こうしたモデル的支援を構築して普及させることによって、障害のある方が地域で生活できるように支援するということは、重要度が高い業務と考えております。また、著しい行動障害等を有する方については、地域で受け入れる施設等がない、あるいは受け入れた施設において支援が困難となっているケースもあります。加えて、刑務所等の矯正施設を退所した知的障害者の方は、複雑で多岐にわたる課題を抱えておられることが多く、その支援に当たっては、福祉サービスというものだけではなくて、関係機関等との連携が必要になっております。さらに、その対応については、医療・福祉の両面からの支援が必要となっていますので、こうした方々について、本人の特性を考慮して、個別対応をはじめ、期間を設定して課題を整理・改善し、地域での生活を実現させることは、非常に難易度が高い業務と考えております。
 次に、「調査・研究」について、重要度が高い項目として設定しております。その理由ですが、のぞみの園が運営しています施設や事業における実践を活用した調査・研究について、その成果を全国の知的障害者の施設に普及させるということは、障害者支援の質の底上げに貢献することになるということで、この項目についても重要度が高い業務と考えております。
 最後に3つ目ですが、「援助・助言」について重要度が高い項目としております。これについては、全国の知的障害関係施設等において、障害者の支援ニーズが多様化する中で、個々の機関で課題を解決することが困難な場合があります。のぞみの園における知見を活用して援助・助言を行うということは、のぞみの園の重要な役割となっております。こうした取組は、障害者支援の質の向上、人材の養成にもつながるということから、重要度が高い業務と考えております。私からの説明は以上です。
 
○真野主査
 ありがとうございました。それでは法人から続いて、法人の業務概要及び重点化対象項目の業務実績及び自己評価について、御説明をお願いします。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園総務企画局長
 国立重度知的障害者総合施設のぞみの園でございます。本日説明させていただきます総務企画局長の齋藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。それでは資料2-1、平成30年度業務実績に関する説明資料によりまして、法人の業務概要及び重点化対象項目の業務実績、自己評価について説明させていただきます。この資料の3ページです。事業体系図です。法人の目的につきましては、のぞみの園におきまして規定されております。のぞみの園では、重度の知的障害者に対する自立のための先導的かつ総合的な支援の提供、調査及び研究等を行い、知的障害者の福祉の向上を図る取組を行っております。評価の項目につきましては、5項目に分類させていただいております。1-1から1-5までです。 
 1-1、自立支援のための取組ですが、4つの支援に分けております。1つは施設入所利用者の地域移行の推進。2つ目が、高齢の施設入所利用者に対する支援。3つ目が、著しい行動障害等を有する者への支援。4つ目が、矯正施設を退所した知的障害者への支援。1番、3番、4番につきましては、今ほど説明しました重要度、難易度が高いという整理をさせていただいておりまして、重点化項目に挙げております。
それから隣の1-2、調査・研究ですが、のぞみの園のフィールドを活用した調査・研究の成果を、全国の知的障害関係施設に情報提供するものです。重要度が高いということで、これについても重点化項目に整理させていただいております。
 1-3、養成・研修です。障害者福祉や保健医療に従事する者の資質の向上のため、研修会、セミナーの開催をしているところです。これによりまして、専門職員の養成・研修を行っております。
 1-4、援助・助言です。全国の知的障害者を支援する関係者からの相談に対しまして、研究部の研究実績を踏まえた専門スタッフにより、援助・助言を行っております。これについても重要度が高いということで、重点化項目と整理させていただいております。
 1-5、その他の業務ということで、診療所の運営、発達障害児・者への支援、地域の障害者に対する支援を行っております。地域への貢献ということで、事業を行っているところです。
 4ページ、施設入所利用者の状況です。平成31年3月31日現在のデータです。1番の入所者数につきましては、3月31日現在で225人となっております。2番の平均年齢ですが、63歳、有期限の方を除いた平均年齢は67歳となっておりまして、60代以上の入所者が約7割というような状況です。3番の平均入所期間ですが、37.6年、有期限の方を除くと42.7年と長期に及んでいるという状況でして、入所期間が30年以上の者については、約8割を占めている状況です。
 5ページ、利用者等に対して実施しているサービスの状況です。参考で載せておりますので、御確認いただければと思います。
評価項目に移ります。6ページ、1-1、自立支援のための取組です。自立支援のための取組につきましては、地域移行の推進、高齢者に対する支援、それから著しい行動障害を有する者への支援、矯正施設を退所した知的障害者の支援を行っておりまして、支援の難易度、重要度等を踏まえて、総合的に判断し、自己評価をBとさせていただいております。
 続いて、その4つの支援につきまして説明をさせていただきます。1-1-1.施設入所利用者の地域移行の推進です。重度知的障害者のモデル的な支援を行うことにより、施設入所利用者の地域移行を推進するということで、地域移行を毎年度5人以上とするということになっております。指標の考え方につきましては、地域移行者について高齢化・重症化が進み、地域移行について課題が多く、引き続き取り組むということで、平成28年度の実績5人以上を指標としております。地域移行の推進に関する指標につきましては、地域移行につながるプロセスに関する指標も重要ということで、地域生活体験の実施日数、それから保護者懇談会の説明回数を指標としております。重要度、難易度につきましては、先ほども説明した高いという整理です。
 実績ですが、指標1の地域移行者数につきましては、目標5人に対しまして実績が2人ということで、達成度は40%です。指標2の地域生活体験の実施日数につきましては、401日ということで、達成度200%。保護者懇談会での説明回数については、各寮1回を実施しておりまして、目標どおりの達成ということです。地域移行した者の数につきましては、平成30年度実績値においては、目標達成とならなかったところではありますが、加齢による機能低下・重症化の進行、親族の高齢化、受入事業所の確保など、地域移行については困難を極める中、本人及び保護者へのきめ細かい粘り強い働きかけ、関係自治体との綿密な連絡調整などを着実に取り組んだところです。
 その他考慮すべき要素につきまして、地域移行の取組については、本人及び家族の同意の下で実施することを原則として実施しておりますが、本人の高齢化、重症化の進行で車椅子を利用する者も増えており、また、親の高齢化等により、同意が困難な状況も見受けられるところです。それから介護度の高さ、医療的ケアが必要な者も多く、受入先を見つけることが困難な状況となっております。
 7ページ目、取組結果です。右上の平成30年度地域移行した2人の状況です。Aさんにつきましては64歳男性で、入所期間47年5か月、障害支援区分が6、車椅子を利用ということですが、保護者を粘り強く説得することに加えて施設見学、宿泊体験、短期入所と丁寧に取組を進めたことで、同意を得ることができ、地元への地域移行が実現できました。Bさんは70歳男性ですが、入所期間47年3か月、この方も支援区分が6、車椅子利用ということです。個別面談を粘り強く実施し、働きかけを行った結果、同意にこぎつけたということです。県内全ての入所施設に連絡をしましたけれども、なかなか施設探しが難航し、ようやく見つかった重度者対応可能のグループホームにおきまして、保護者と見学、体験利用をした結果、地域移行が実現できたということです。
 8ページです。地域移行を推進するためには、本人、保護者への働きかけが必要でして、その内容を記載しております。保護者懇談会にて100家族150人に対しての説明、個人面談等を実施しております。それから宿泊体験等の実施、支援計画等の作成などを行っております。施設入所利用者につきましては、年々、加齢による機能低下・重症化が進み、常時医療的ケアを必要とする者など、特別な配慮を必要とする利用者が増えております。保護者の高齢化や死亡等により同意を取ることが難しいことから、地域移行については非常に難易度が高いと考えております。
それから一番下に赤い字で書いてありますが、地域移行に結び付かなかった事情ということで、移行先は確保できたものの、高齢化が進んで重症化してしまい、移行が困難になったといったケースや、保護者等の同意が得られなかったというケースが多いということです。
 9ページです。1-1-2.高齢の施設入所利用者に対する支援ということで、高齢の利用者に対する専門性の高い支援を実践するということになっております。指標につきましては、職員研修会の開催を毎年度12回以上ということで、目標設定しております。実績ですが、職員研修会の開催は実績14回ということで、達成度117%。それからリハビリ的活動・文化的活動を取り入れた日中活動の提供は、これは参考指標ですが、リハビリ活動につきましては1人月6回、達成度150%、文化的活動につきましては1人月8回、達成度200%ということです。職員研修会につきましては、介護技術、褥瘡予防、感染予防研修を各1回、それから救命救急講習会を毎月、1月はインフルエンザのために中止になっておりますので、ここで11回、合計で14回の研修を実施したところです。リハビリ的活動・文化的活動の提供につきましては、各寮で様々な工夫をして毎月4回以上の実現を実施したというところです。様々な工夫につきましては、利用者の能力、特性等を踏まえての実施ですし、車椅子を使用している場合などについては、上肢を使った活動などを行ったというところです。
 10ページ、取組状況です。一番上の枠ですが、高齢化により、従来の重度知的障害者の支援に併せて、一般より早い加齢現象への支援の必要度が増大しているということです。具体的には、身体機能低下による介護の必要度が増大、転倒、骨折のリスクは増大、嚥下機能低下による喉詰めのリスクが増大、疾病の増大による通院支援、それから医療的ケアの必要度が増しているという状況です。
2つ目の枠ですが、研修会の開催です。高齢化に伴う容態の急変ということで、これにつきましては救急蘇生AEDの研修を実施しております。それから窒息・誤嚥の救急時の対応ということで、喉詰め、誤嚥時の対応の研修を、各月、交互に実施しているというような状況です。
 11ページ目です。1-1-3.著しい行動障害等を有する者への支援ということです。著しい行動障害を有する者につきましては、モデル的支援として拡充を図るということで、指標につきましては、第4期中期目標期間の施設入所利用者の受入れを78人まで拡充するということで、このうち平成30年度は10人の受入れを目標としております。それからモデル的支援の実践を測る指標として、地域移行の割合を指標とするということで、受入れから3年以内に地域移行した割合を100%とするという指標です。これにつきましても、重要度、難易度はともに高いという整理です。実績ですが、受入者数の拡充ということで10人、達成度100%、受入れ後3年以内の移行率につきましては、33%ということです。支援について非常に難易度が高い中、受入者数は10人を達成することができておりますが、平成30年度の地域移行者数は3人となっておりまして、受入れ後3年以内の移行者は1人という結果でした。受入れ後3年を超えた2名につきましては、関係機関と連携して、利用者の受入先確保に取り組んでおりますが、利用者の障害特性から受入れに難色を示す事業所が多く、3年以内の移行の実現には至らなかったというところです。
 12ページ目、取組の内容です。医師との連携による支援、相談支援事業所、行政、受入事業所等の関係機関を含めた個別支援会議の開催を39回行っております。地域移行に当たっては、移行予定者についてのサポートブックを作成して、情報・支援方法を共有しているという状況です。2番目、受け入れた利用者の事例につきましては、1~6に書かれているとおりです。3番目、地域移行者3人の状況を記載しています。1は、母親への暴行で精神病院に入院していました20代の女性ということで、支援の構造化により粗暴行為は減少し、障害者支援施設(短期入所でグループホーム入居予定)ということで、この方の在籍は3年10か月と、若干3年をオーバーしています。2は、激しい自傷で精神科病院に入院していた20代男性ですが、自傷の治療、機能訓練と生活支援を並行して行って、身体機能は走れるまでに回復し、障害者支援施設に移行したと。この方がちょうど在籍3年ということです。3は、著しい器物損壊行為で精神科病院に入退院を繰り返していた20代の男性です。これにつきましては、日中活動を中心に生活のリズムを整えて、環境調整を行うことで改善しまして、障害者支援施設に移行しました。この方も、若干3年をオーバーした在籍3年2か月という結果でした。
 13ページ、1-1-4.矯正施設を退所した知的障害者への支援です。福祉の支援を必要とする矯正施設を退所した知的障害者について、モデル的支援として拡充を図るということです。定量的指標につきましては、まず1つが、第4期中期目標期間の施設入所利用者の受入れを35人まで拡充するということで、平成30年度の目標につきましては、7人となっております。それから、モデル的支援の実践を測る指標としまして、受入れから2年以内に地域移行した割合を100%とするという指標となっています。これにつきましても、重要度、難易度につきましては、ともに高いという整理になっています。実績ですが、定量的指標1の受入者の拡充も実績が7人ということで、達成度100%、指標2の受入れ後2年以内の移行率についても、100%の達成ということになっています。平成30年度の退所者数は5人ということで、このうちの1人につきましては、入所利用中の犯罪行為により起訴されて退所、そのほかの4人につきましては、受入後2年以内の移行が達成できたということです。考慮すべき要素としましては、家庭内における問題から愛着形成に課題を抱えるケースについては、家族への支援も関係機関とともに協力して対応する必要がある、それから人間関係の構築に困難を抱えるケースが多いということでして、この方々については、社会生活機能を獲得するための訓練が必要ということになっております。
 14ページ、地域移行等の状況です。2番目の受け入れた利用者の特徴ですが、その枠の一番下、平成30年度に受け入れた利用者については7名、この方々については窃盗、器物破損、傷害、性加害行為等、罪名も多岐にわたっており、また、犯罪に至る要因も複合的なことから、支援上の対応に困難が伴うということです。3番目の地域移行とフォローアップですが、入所利用中に犯罪に至るケースもあるということで、これに先ほど説明した1人が該当。そのほかの4名につきましては、この下にありますけれども、後ほど御説明させていただきます。4行目ですが、移行後につきましては、関係機関との連携のもと、本人訪問、電話連絡、支援会議等、必要なフォローアップを行っております。4名についての状況ですが、1番目は強制わいせつ・窃盗・建造物侵入ということで矯正施設に入所していた20代男性ですが、生活訓練と支援の構造化により改善して、障害者支援施設への移行が実現したということで、在籍は1年10か月です。2番目の方は放火ということでして、40代男性です。生活訓練と医療との連携により改善し、地域障害者施設への移行ができたということで、在籍は1年10か月です。3番目が建物侵入・窃盗等による20代男性です。生活環境設定と支援の構造化、学習プログラムの導入により改善し、グループホームへの移行ができたということで、在籍10か月です。4番目の方は窃盗でして、50代男性です。この方については、安心できる生活環境の提供と生活訓練を行いまして、グループホームへの移行が実現したと。在籍6か月という状況でした。
 15ページです。連携・調整ということで、その枠の一番下、平成30年度の入退所等に関わる関係機関との連携調整は、1,057件という状況でした。
 16ページです。1-2、調査・研究です。自己評価Aということになっております。後ほど理由は説明しますが、知的障害に関する国の政策課題等について、のぞみの園でなければ実現できないものに特化して具体的なテーマを設定して調査・研究を行うこととしております。調査・研究の基本的な方針や内容につきましては、適正な調査・研究の内容になっているかなど、研究会議等で評価を受ける必要があると考えておりまして、指標につきましては、研究会議の開催を毎年度2回以上実施する、外部研究者と協働した研究を毎年4テーマ以上実施するということになっております。調査・研究の成果につきましては、研究成果を分かりやすく解説した情報発信を行うことによりまして、全国に普及・活用を図るということで、指標につきましては、ホームページの研究成果のアクセス件数を毎年度2万件以上とする、それから各種学会等における成果の発表回数を毎年度22回以上とするということです。重要度につきましては、高いという整理になっております。
 実績です。まず、指標1の研究会議の回数ですが、2回、達成度100%です。指標2の外部研究者と協働した研究テーマの数につきましては、7テーマ実施しております。達成度175%です。指標3の研究成果のアクセス件数ですが、目標2万件に対しまして実績は2万9,392件、達成度147%です。各種学会等への成果の発表回数は34回で、達成度158%です。参考指標ですが、調査・研究テーマの設定数ですが、11テーマで達成度157%ということです。法人内外の関係者から助言を受け協力を得て、妥当性や実用性の高い調査・研究となるように努めてきたところです。これにつきましては、外部有識者を委員とした研究会議を開催しておりまして、その2回のうちの1回は、研究開催時に研究内容、それから方法に対してアドバイスを受けております。もう一回につきましては、終了時に研究成果の評価を適切に受けておりまして、貴重な研究との高い評価を受けているところです。それから、全国の自治体やサービス事業所等の状況の把握・分析、全国の現場で活用できるガイドラインや事例集の作成を行ったというところで、初期の目標を大きく上回る成果が得られたということで、自己評価をAとさせていただいたところです。
 17ページ、今ほど説明した調査・研究内容につきまして整理した表です。後ほど御確認いただければと思います。
 18ページ、1-4、援助・助言です。支援技術については、専門的・先駆的な取組や調査・研究の成果等に基づいて、援助・助言を行っているところです。定量的指標につきましては、援助・助言の件数を毎年度350件以上、それから講師派遣件数を毎年度130件以上とさせていただいております。これらにつきましても、重要度が高いという整理です。実績につきましては、まず、指標1、援助・助言の件数ですが、459件で達成度131%です。指標2、講師の派遣件数ですが、169件の達成度130%となっております。援助・助言の提供に当たりましては、当法人が積極的に進めるところでして、多岐にわたる課題について、要請者のニーズに沿った効果的な方法を選択して助言をしているというところです。それから、ホームページやニュースレターによって広報活動の充実も図っております。以上によりまして、初期の目標を上回る成果が得られているという判断をしまして、自己評価をAとさせていただいたところです。考慮すべき要素につきましては、平成30年度は、障害者支援法の改正により新しく創設された共生型サービス等の新しいサービスが普及していくことに留意して、援助・助言を行ったところです。
 19ページです。援助・助言の実施件数の推移につきましては、表にありますとおり、毎年度、増加をしているという状況となっております。それから、中段にあります主な内容ですが、左から4番目の行動障害、矯正、発達障害につきましては、昨年度より伸びているという状況ですし、一番左の総合支援法につきましても、昨年度よりも伸びているという状況になっております。私からの説明は以上になります。
 
○真野主査
 ありがとうございました。それでは、構成員のほうから何か御意見や御質問があればお願いします。
 
○三田構成員
 少し確認をさせていただきたいのですが、まず、今の資料2-1の7ページの所に、地域移行を今年度された方は、少し目標まではいかなかったということで、2人の状況というのがAさん、Bさんというように2つ書いてあるのですが、Aさんの所に「障害者支援支設への移行」と書いてあるのは、入所施設への移行ということでよろしいのでしょうか。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事(寺澤)
 のぞみの園の理事の寺澤です。ここに書かれている障害者支援施設というのは入所施設のことになります。
 
○三田構成員
 そうですよね。次は12ページ、著しい行動障害を有する方の地域移行の状況と書いてある所の3番目に、地域移行者数3名ということで、1、2、3と事例が書いてありますが、お2人目、3人目も他の入所施設へ移行したということでよろしいわけですよね。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事(寺澤)
 そのとおりです。
 
○三田構成員
 もう1つですが、14ページの矯正施設を退所した知的障害者の地域移行についてということで、3番目に地域移行とフォローアップと書いてあり、5名のうち1名は、入所中にまた犯罪行為ということで刑務所に戻られたということでよろしいわけですよね。そのような読解でいいわけですよね。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事(寺澤)
 そうです。
 
○三田構成員
 でも、それも地域移行の中に入っているんですよね、5名のうちの。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事(寺澤)
 今、おっしゃられたケースについては、この数には入っていないです。
 
○三田構成員
 入っていないのですか。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事(寺澤)
 いないです、はい。
 
○三田構成員
 では、その上に移行者数5名と書いてあるのは。その下に1、2、3、4と4人の方のことが書いてあるのですが、もう1人の分は。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事(寺澤)
 一応、ここに5人と書いてある所の少し左に小さく書いてあるのですが、※で「入所利用中の犯罪行為により起訴され、退所となった者を含む」ということで、この5人の中には、犯罪行為が行われた結果、それによって起訴されて退所になった方が含まれています。
 
○三田構成員
 刑務所には行っていないけど、起訴されて退所になった方も、この5名の中には入っているということですね。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事(寺澤)
 ここには入っています。地域移行の例の中で書かせていただいたのは、それ以外の方の例を書かせていただいております。
 
○三田構成員
 すみません、ちょっと分かりづらかったので、すみません。
 
○三田構成員
 分かりました。その下の1から4と書いてある在籍何年と書いてある方のうちの1と2も、他の入所施設へ移行したということになっていると思うのですが。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事(寺澤)
はい。
 
○三田構成員
 先ほどの資料1を拝見すると、重点化理由の所の一番上に、とにかく地域移行の促進、推進ということで毎年やられてきて、それは総合支援法の基本理念にも明記されていると、それが地域移行の考え方だとすると、「障害者が地域で日常生活又は社会生活を営むことができるように」というので、すみません、私の理解だと、他の入所施設に移動していただくことを地域移行といつから言ってきたのかなというのを聞きたいところなのですが。それは全然問題はないのでしょうか。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事(寺澤)
 私どもの地域移行の考え方ですが、やはり重度で長期入所されていて、行動障害の症状があったり、そのような難しい方ということもあって、そのまま地域の自宅に戻るとか、グループホームなどのような所に戻るまでに、一段階置かないといけないケースもあるという状況があります。施設に入られたとしても、地元のほうの施設に戻られるということですので、例えば保護者に近い所の施設に行かれて、保護者がより面会しやすいようにする、そのような効果が期待されるということです。私どもの地域移行の考え方からすると、施設も地元の施設に戻られた上で、保護者との関わりも増やしていただく、それで、施設にある程度落ち着いたら、その施設から地元のグループホームに移るということも考えられますし、自宅に戻られるという可能性もあるということで、私どもが行っている地域移行というのは、そのような形にさせていただいています。
 
○三田構成員
 それ、ずっとここで評価している間は、ずっとそうだったということなのですか。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事(寺澤)
 考え方としてはそうです。
 
○三田構成員
 なるほど。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事(寺澤)
 平成15年から、私どもは、このような地域移行を進めていますが、全体としてはグループホームが40%ぐらいの割合になっていて、施設のほうも50%ぐらい、全体で170名ぐらい移行しているのですが、その内訳とすると、そのような数字になっています。
 
○三田構成員
 だとしたら、一時期、例えば公立ではなくて、民間の多分法人が多いかと思いますが、そちらの入所施設に行かれた後に、本当にその後にグループホームなり、あるいはほかの暮らしに行ったかどうかという把握というのはされているのですか。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事(寺澤)
 フォローアップという形でしております。
 
○三田構成員
 そのときに、もしそれがなかなかかなわなくて、結果的には形を変えただけの入所施設の生活がずっと続いているという方もいらっしゃるのか。 
 その場合には、それはそちらの法人のことなので、もうのぞみとしては何もできないという状況なのでしょうか。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事(寺澤)
 実際どのくらいのデータがあるかについては、担当のほうから御説明します。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画部長
 お世話になります。地域移行を担当しています、事業企画部の古川と申します。今の三田委員の御質問ですが、施設のほうに移られて、その後グループホームに出た方については、今、10名いらっしゃいます。87名中10名が地域移行されています。
 
○三田構成員
 ごめんなさい。その80何名は、何年間の。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画部長
 平成15年からのものになります。
 
○三田構成員
 17年ぐらいですね。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画部長
 17年ですね、はい。その中で10名移られています。それと、施設に移られた後に高齢化が進んで、介護保険のほうの仕組みに移られた方もある程度出てきています。先ほどお話があったように、移行した後にのぞみの園が関わらないかということに関しては、全くそうではなく、いまだにいろいろ係わらせていただきながら、取りあえず御本人にとってどこがいいのかということについては、お話をさせていただいています。移行先からほかに移っていただくというようなケースに関しては、必ず法人のスタッフを行かせ、現状の確認と、その後どこの場所に住んで、どのような支援を受けるか、またそれについて御家族がどのように考えているかについての確認をさせていただくようにしています。
 
○三田構成員
 例えば、行動障害が激しい方とか、触法の方が入所されていて、その方をグループホームなり、あるいは一人暮らしなりということで支援をしている施設というのは、小さな民間の法人でも全国にあると思うのですね。のぞみが助言とかあるいはモデルケースとしてやっていただくのであれば、ほかの施設に入れて、それが大半なわけですよね、17年のうち10名ぐらいしかそこから動かない。そうすると、ほかの施設に動かすことを地域移行というようにするのは、私はその総合支援法にそのように書いていないと思っているものですから、何か根幹のところで、今、衝撃を受けているのですが。とにかく受けてくれる所を探すということが地域移行でずっときたのであれば、しかも、それもどんどん多分厳しくなってきているのではないかと思っているので、これはのぞみさんの話なのか、この目標設定がどうなのかという話になってくると思うのです。本当に受けてくれる所を必死に探すというのが地域移行で、それがのぞみの評価の中心であるというのは、非常にびっくりしたというようなところがあると思っています。
 それと、例えば12ページの著しい行動障害の方の地域移行者の1の例の方です。その方は粗暴行為が減少して、障害者支援施設に入っていただいて、短期入所を体験しながら、今後グループホームに入居予定と書いてあるのですが、このグループホームを運営する法人と支援施設というのは同じ法人なのでしょうか。すみません、細かい話で。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事(寺澤)
 ここで予定しているグループホームは、同じ法人が運営するグループホームになります。
 
○三田構成員
 そうすると、この方は地域移行というか、そちらに移られた感じなのですが、そのフォローアップの具体的な内容として、どのように行われているのか。グループホームにいつ行きますかとか、あるいはそこで支援、ショートステイでも困った場合には出向いていって、のぞみの方がちょっと落ち着くまで一緒にいるとか、どのような形のフォローアップを行っているのですか。この例で結構ですので、教えていただけますか。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画部長
 ありがとうございます。今、三田委員がおっしゃったように、向こうからSOSが出た場合には、とにかく当法人のスタッフが行って現状把握をしながら、こちらで取りあえず落ち着くまで、支援をした経過があるので、一緒にあちらのスタッフと御本人が落ち着けるような状況設定を行います。 
 あとは移行前に、当然環境の設定もこちらからスタッフが行って一緒に行うのですが、移った後も、何かあればうちのスタッフが、取りあえずは援助、助言の部分で済めばという形では行います。それで無理な場合には出向きます。それと、次のグループホームに移る場合の環境設定も一緒にやらせていただくということで、お願いしています。
 
○三田構成員
 分かりました。取りあえず。
 
○真野主査
 よろしいですか。ほかの構成員はいかがでしょうか。
 
○名里構成員
 7ページの地域移行の所なのですが、どのような経過で移行ということになったか、そのプロセスというところが大事ですよねというお話が、この場でも本当に毎年のように出てきたかなと思うのです。私がイメージしているプロセスというのは、7ページの具体的なAさん、Bさんの内容、こんなに厳しい人だったけど、ようやく同意にこぎつけて、地域移行に至りましたということを、そういうことをのぞみの園に示してほしいのではなく、この方の希望として、どのような暮らしを望んでいるというようにのぞみが受け止めて、そのことの実現に向けていった結果、御家族も御理解をされ、それでこのような形になったのだというプロセス、そのプロセスを私はずっと言っていたつもりなのですが。今、意思決定支援という言葉というか考え方が、重い障害の人たちの中では、そういうことをきちんとやっていこうということが考えられていると思うのですが、少なくともこの中にはその言葉が出てきていなくて、どのように御本人の希望を受け止めたのだろうということを私は一番求めたい。そのようなことを表現していただきたいなと思います。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事(寺澤)
 御意見ありがとうございます。ここで説明させていただくものとして、全体の流れをこのぐらい、いろいろな保護者の同意としてこういうことを行ったとか、自治体との調整でこのようなことをやったというようなことを、少し具体的に書いているイメージで書かせていただいたのですが、先生がお求めのような内容というのが確かにここに含まれていないので、大変申し訳ないと思います。基本的には、御本人の意思というか、そのようなものを確認するときには、例えば私どものグループホームや、移行先の場所で、例えば宿泊体験とか日中の体験をしていただき、私どもの職員であったり保護者であったり、そこで過ごすときの担当する職員の方、そのような複数の目でその方の様子を見させていただく。よく言うところでは笑顔の数とか表情とか、そのようなところをいろいろな目で見て、今、現状いる生活寮での生活ぶりと比較して、ここで生活すること自体良さそうだということが分かったら本人の意思と考えているところで、そのようなやり方をさせていただいています。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画部長
 このお二人については、本当に意思表出の難しい方であって、お二人ともほとんど言葉のない方でした。
簡単に意思決定の部分をお伝えすると、最初のAさんの場合は、鳥取の方で島根の施設に移っていただいていますが、御家族が来ると、何というのでしょう、非常に体全体で喜びを表わしてくれるタイプの方でした。町の中の体験というのも、うちの体験ホームがあるときにやっていただいているのですが、町の中の変化よりも、やはり家族がお見えになったときのとにかくその喜びといいますか、それを御家族のほうも感じていてくださり、家族が来たいけれども遠くて来れないという中で、何とか近くに移せませんかということでお話があったケースです。御本人の意思表出については、今お伝えしたように、御家族が来たときの意思については、みんなで職員が共有していましたので、取りあえず近くに移っていただいたときに生活する場所に対しての御本人の意思がどうなのかというところに重きを置いて、体験、経験を積んでいただきながら、近くの入所施設でありましたが、そこでの支援について御本人がどう受け入れてくれるかというところを、少し丁寧に酌み取らせていただきました。相手の事業所の方と我々のほうのスタッフ、あと御家族にも入っていただき、最後、御本人がここの施設で暮らすことに関しては、基本的にはのぞみの園と比較して、特に不利益を被っているとか、御本人から嫌な意思表出がないということを確認した上で移っていただきました。これがAさんです。
 Bさんについては、体験の中で、実は町の中で暮らしたいという意思表出はあった方なのですが、どんどん症状が重くなっていき、介護の状態が非常に増えてしまったために、我々もグループホームを想定できなかったケースです。最初に御説明したように、御家族には故郷に戻したいという意向もあったので、入所施設ということで調査したのですが、入所施設のほうでは空きがないという状況でした。改めてグループホームのほうを細かく打診していったら、身障対応のグループホームがあって、そこも我々で調査させていただいたら、地域でも非常に評価の高い、身体障害や強度行動障害の方も全部支援できているようなグループホームだったということで、そこに移っていただく段取りでした。これについても、佐賀の方でしたので、行ったり来たりが非常に難しいので、取りあえず一旦行ってもらうということで、そこは丁寧に情報をお互いに共有し、行っていただいて、やはりそこで2週間暮らしていただき、その暮らしぶりを御家族と一緒に確認させていただき、最終的には御家族ものぞみにいたときよりいい暮らしができていますねということでした。本人も、たった2週間なのですが、言葉がないのですが、非常に意思表出、声が非常に出てきたりとか。すみません、30日体験をしたということです。その中で、今お伝えしたような変化が見られたということで、それはうちの現場のスタッフも確認し、明らかにのぞみにいるときよりも、かなりいろいろな意思表出が出てきていますよねということで、それをあちらと確認して、御家族にも確認していただいた上で移っていただいた。そのようなプロセスを経ています。申し訳ありませんでした。
 
○真野主査
 ほかの方はいいでしょうか。
 
○石渡構成員
 地域移行という言葉をどう使うかという問題提起が今、三田構成員からあったかと理解しています。今までの事例についてのお話を聞くと、今日の午前中、別の自治体で地域移行の話をしてきたときに、精神科の病院に50年入院していた方が、お兄さんとの関係性を築くということで特養に移ったという話をしていたのですが、私はやはり、そこでお兄さんとの関係性を大事にしながらお兄さんが亡くなっていき、御本人も高齢になっているというのは、その方の思いをかなえたというところでは大事な支援だったのではないかと。今お話をお聞きした方々についても、のぞみとして、そういうところを大事にしながら住む場を変えていらっしゃるということは、とても意味のあることだと思います。ただ、地域移行という言葉が一般に使われていることとか、総合支援法での使い方のようなところを三田構成員がおっしゃっていますので、そこら辺は誤解がない言葉を使われたほうがよいのかなとちょっと思いました。
 でも、そういう御本人が望まれていると理解できる生活を新たに築き上げていらっしゃるということはとても大事なことで、私はむしろ、そういうことが地域レベルでできるということがまず大事だと思います。先ほどの意思決定支援という言葉についても名里構成員がおっしゃっていたのですが、やはりそういうことを意思決定支援だというように位置付けて、こういう実践をしていらっしゃるのだというところは、その考え方にどなたも合意するかどうかは置いておいても、そういう実践をやっているということについては、もっと発信を適切にしていただくということになるのかもしれないのですが、こういう実践が増えていくことというのは、障害がある御本人にとって、先ほど場を変えた後の変化について語っていらっしゃいましたけれども、そこはすごく重要なことなのではないかなと思います。
 そこら辺を今まで使っていた地域移行という言葉との関係でどう整理していくかというのは、独立行政法人であるのぞみの園の課題にもなってくるのかなと改めて思いました。そういうこともできないまま長期いらっしゃって、御本人の意向も確認できていないというところを、どのように問題提起していくかというのが、障害福祉では大事になってくるかなと思います。
 というところから、調査・研究については私も研究会議等に関わらせていただいているので、ここをA評価としていらっしゃるというのは賛同したいところです。やはり、のぞみの園の調査・研究が評価できるのは、例えば新しい共生型サービスのようなのが出てきたときに、それがどういう実態なのかというところ、実際に事業所の状況等をしっかり調査して、きちんと今後の在り方などについて提言できている。調査・研究が障害のある方の生活とかに直接意味のある研究になっているところを、私はとても評価いたしますし、こういう調査・研究が行政等に対して、悉皆調査をやったときに、のぞみの園がやるからちゃんと行政も応えて100%に近い回収率になるというようなことにもなってきています。独立行政法人であることをいかして現場に還元できる調査・研究ができているというのは、私は非常に意味のあることだなと思っていますので、是非今後も障害がある方の支援に意味のある調査・研究を続けていただきたいなと思っています。余り整理し切れていないところで意見を申し上げているかとも思うのですが、整理し切れていないところの整理は今後、のぞみとしてやっていただきたいというお願いも含めて申し上げさせていただきました。
 
○真野主査
 ありがとうございました。
 
○三田構成員
 何度もすみません。私の理解が今まで甘かったのかもしれません。要するに、総合支援法で言っている地域移行と、のぞみが言っている地域移行は違うということが、どこまで世の中に伝わっているのかよく分からないですが、調査実践の中で書かれたり、まとめられている地域移行は、どちらのことを使っていらっしゃるのか。施設から施設に移すというのも地域移行としてカウントしてきたということであったとしたら、そのことについて結局現状ではそれしかできないのだと、かえって発信していただきたいぐらいかなとも思ったりしています。
 私は、取りあえずのぞみから移ったその施設の地域移行だと思うのです、その後にその方がグループホームに行ったり。それをのぞみが地域移行とカウントしてそれで評価されるということは、本当に大きな問題だと改めて思いました。資料が今までちょっと分かりづらくて、今年はすごく分かりやすくなったのですよ。そうしたら、かえってそれが浮き彫りになってしまって、私がこんなに突いてしまったのですが。もう問題提起するぐらいしかできないのですけれども、恐らくのぞみがやっている地域移行は施設に移すことというのを、どれぐらいの人が知っているだろうかということで、意見です。
 それと、先ほど名里構成員が言った支援のプロセスです。つまり、どこどこ出身の何さんがどうかというのは、どうでもいいのですよ。こういう方においても、のぞみで支援したらこのように変化があって、このように地域移行をしたり、中でも認知症を抱えながらもこのようなことに取り組めたのだというような関わりのプロセスを全国に示すのがのぞみの役割ではないかと、毎年言っているにもかかわらず、また今年も資料が出てこないというのは、どうして伝わらないのだろうと。事例の話ではないのですよ。それが全国の現場で頑張っている方たちにとって参考になるからです。あんな高齢で40何年も入所していて認知症も発症したのに、このようなことに取り組んでこのように生き生きと暮らしていると。それは職員がこのようなプロセスで関わり、いろいろな人を巻き込んで、このような取組をしたのだと。それが多分、たくさんの人が待っていることだと思っていますので、そういうのをまとめる、調査・研究のほうを見ればそういうのがあるのかもしれないのですが、そういうのが説明資料の中にも出てきていただけるとよく分かるなと思います。以上です。
 
○真野主査
 非常に本質的なところの御指摘を頂いたのかなと思います。いろいろな所でこういった議論をしていければなと思います。ほかはよろしいですか。
 それでは次に、先ほどの話ですね。重点項目ではない所、今回、説明のなかった評価項目について、何か構成員から御議論があればと思いますが、いかがでしょうか。
 
○橋田構成員
 それでは、養成・研修、いつも私はこの話をさせていただくのですが、のぞみの園が非常に重要なお仕事をしておられるということと、いろいろな成果を社会に還元されるというお立場からは、関わる人材の養成あるいは研修が非常に大事だということだと思っております。その意味で、例えば最初に3ページの表を見せていただいたときに、研修会とか実習生の受入数とかが目標に対して少しずつ足らないとか、そういう形でしたので、どういうことかとちょっと思っていたのですが、業務実績評価書というほうを見せていただくと、天候不良でボランティアがどうしても出られなかったから数が少し少なく出ているとか、そういうことをいろいろ説明していただいています。逆に言えば本来のニーズと、施設側のキャパシティ等をよく考えて計画しておられるのだと、それに対して、結果として何かそういう天候なり何なりの問題があったことで変動があるのだと理解いたしました。
 ただ同時に、研修会参加者の満足度というのがありますが、これが56%ということで出ていて、これはどうしてだろうとちょっと思いました。これも業績評価書を見せていただくと、アンケートに対してアクセスが悪いとかエアコンが何とかとか、そういうのもあって、そういうのが反映されているのではないかという記述があるように思うのです。これについては、もうすこしきっちりアンケートを上手にというか、丁寧に取られて、そういうことに対する要望は当然出てくるでしょうけれども、やはり大事なのは内容だと思いますので、その辺のことをきっちり抽出して次にいかしていかれるような、何かそういうシステムというか、やり方が必要なのではないかなと思いました。
 
○真野主査
 アドバイスでもありますが、何か御意見はございますか。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長
 満足度は5段階、「満足」「やや満足」「ふつう」、その下は「やや不満」「不満」という5段階評価で取っておりまして、一番上の満足が80%いくようにという目標でした。やや満足を加えると87%ぐらいにはなるのですが、これが全部満足にいくというのが理想だと思っています。今、先生におっしゃっていただいたように、アンケートをしっかり分析して次につなげるようにはしたいと思っています。ただ、基本的に研修内容を伝えたときというのでしょうか、募集したときに対象が明確ではなかったり、期待していたものとやや違ったり、出てきたときに講演内容と資料が多少不一致というか不十分であったり、あるいは多すぎたり、というようなことが満足でないという理由に多く出てきているような気もいたしますので、そういうところを今年からできるだけ注意してやるように努力しているところです。
 
○真野主査
 ほかはいかがでしょうか。全体を通して、よろしいですか。
 
○河村構成員
 その他の業務の所でお尋ねいたします。評価書のほうにあるように事故防止対策委員会とか、虐待防止対策委員会とか、感染症対策委員会とか、いろいろな観点からやってくださっていると思います。こういった辺りというのは、のぞみとしてやっていらっしゃること、自分たちの組織としてやっていらっしゃることと、こういった辺りのことについて助言とか相談に応じたりされるときに、全国のいろいろな施設がおありになると思いますが、こういった観点からのこともやっていらっしゃるのかどうかということを、ちょっとお尋ねできればと思います。リスクの観点、いろいろここで出ていると思いますが、それこそ虐待防止から感染症から、防犯とかという話もありますよね。いろいろな不幸な事件が起こったりしていることもありますから、そういったことについては指導とか助言の対象になっているのかどうかということもお伺いできればと思います。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事(寺澤)
 今の御質問というのは、私どものこういったリスク関係の取組を、全国の施設とか事業所とかに、今、指導とおっしゃいましたが、そういう観点での御質問ということでよろしいわけですか。一応私どもでは、先ほど御説明させていただいた評価項目の中で援助・助言という業務がありますが、その中で要望があれば対応するという形だと思います。具体的には担当部長から御説明いたします。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画部長
 昨年度の実績ですが、虐待関係では4件ですけれども、ほかの事業所からお問合せを頂いて、やはり組織としてのリスクマネジメントの在り方とか、そういったことについての援助・助言を求められて、のぞみの園での実際の実績等をお伝えいたしました。あと、見学においでいただいて、誤与薬とかそういったところのリスクマネジメントについて実際に見学とか、援助・助言も含めてやらせていただいたケースがあります。事故防止も、正に誤与薬もそうなのですが、それ以外にも実際には入浴等の事故に関してどのようなリスクマネジメントを行っているかとか、そういったことの御質問があって、それについてのぞみの実績をお答えしたという結果があります。
 
○真野主査
 よろしいですか。
 
○河村構成員
 はい。
 
○真野主査
 ほかはいかがでしょうか。
 
○三田構成員
 ちょっと教えていただきたいのですが、診療所の利用状況です。いろいろ見ているのですが、診療件数が増えてきているという数字は見付けたのですけれども、増えている中身として、高齢化とか重度化に伴ってのぞみの入所者の方が何度も診てもらう必要が、というところがメインなのか。あるいは外部の方も、前のお話だとなかなか利用が難しいぐらい待ち時間があってというお話だったかと思います。外部の方の利用率は昨年、一昨年と比べて、大体で結構ですがどのぐらい増えたのか減ったのか、横ばいかとか教えていただけたらと思います。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事(寺澤)
 全体の件数は、先生がおっしゃられたように、平成30年度は前年度より数が増えています。1,000件弱ほど増えている状況です。その内訳は、今、先生のお話にもありましたように、利用者の関係できめ細かく、いろいろな状態の変化に対して健康管理上必要な所を手当するということで、診療件数が増えているということと、外部の方も増えております。前年度と比較しますと100件まではいかないのですが、増えている状況です。
 
○三田構成員
 予約をすると、かなり待っていたという感じのことを前にお聞きしたかと思うのですが、今も混み気味になっているということでしょうか。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事(寺澤)
 やはり、利用者はかなり重度というか、難しい方もいらっしゃいますので、それぞれ診療を行う上では少し時間が掛かる状況というのは、今も変わっていません。
 
○三田構成員
 でも、診療所だけで全て完結することはできないと思いますので、他の地域の病院とかクリニックとか、いろいろな所と連携ということは、その分職員の方が送り迎えをしたり、あるいはそのときにヘルパーさんを利用したりしているのかとか、ちょっとだけ教えていただけますか。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事(寺澤)
 例えば骨折とかそういったケースについては、診療所の中でなかなか対応できないようなケースもありますので、そういった場合には外の病院に連れていって診察を受けるということをやっております。いずれにしても、そういったときには私どもの職員が付いていく形にしていまして、病院側からも職員が付いてきてくれるようにという依頼を受けて対応しているという状況です。
 
○真野主査
 ほかはよろしいですか。診療所は前から話題によく出ているわけですが、そうすると収益的にも多少は良かったということですかね。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事(寺澤)
 数字が資料として載っていなくて大変申し訳ないのですが、口頭で申し上げます。収入については、平成30年度は1億2,500万という数字になっており、支出については4億2,000万という数字です。収支差は2億9,000万という数字がありまして、残念ながら前年度と比較すると収支差のほうは大きくなっているという状況があります。理由といたしますと、診療件数自体は収入としては増えているのですが、支出のほうで今回、画像診断装置とかレセプト関係の大型機器の更新等があり、そういった部分で支出が増えているということで、結果的には収支差が少し大きくなったという状況です。
 
○真野主査
 分かりました。よろしいですかね。では以上です。
 次に、法人の監事及び理事長から、年度中期目標期間における目標の達成状況を踏まえて、今後の法人の業務運営についてコメントを頂ければと思います。お願いいたします。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園監事(佐藤)
 のぞみの園の監事の佐藤と、隣の堀口です。どうぞよろしくお願いいたします。まず、平成30年度の監査について御報告ですが、資料4-2に付けられておりますので、御覧いただけたらと思います。私たち2人の監事は、週2日勤務の非常勤ですが、出勤日に合わせて理事会等の重要な会議を開催していただいており、それに出席するほか、役職員から各事業の説明をしていただき、年間を通じて監査業務を行っております。また、5月と12月には現場に出向き、実地の監査を行っています。
 会計監査に当たっては、会計監査人が適切な監査を行っているか監視、検証して、また会計監査人から説明を受けて監査を行ってまいりました。そのような方法で監査をした結果ですが、平成30事業年度の法人の業務については、関係法令等に従って適切に実施されており、中期目標の達成に向けて効果的、効率的に実施されているものと認められ、内部統制等の状況についても特に指摘すべき問題点はありませんでした。また、会計監査人の監査の方法及び結果についても、相当であると認められました。裏面にありますが、独立行政法人改革等に関する基本的な方針等過去の閣議決定において定められた事項についても、特に指摘事項はありませんでした。
 今日は、地域移行等に関して構成員の皆様からたくさんの御意見を頂いたわけですが、独立行政法人になる前からの利用者の方たちは、皆様も御承知のとおり高齢化や重度化、医療的なケアが必要であったり、保護者の方々の高齢化、あるいは代替わりというような状況があって、移行というのが非常に難しくなっています。私どもも現地に行っていると、車椅子の利用者が増えたり日々症状が変わってきたりということで、移行の難しさというのも感じているところです。そのような中でも職員は、地域の経験を積ませるなどして本人の意思を確認して寄り添い粘り強く支援をしているところです。本日、構成員の皆様方から御意見を頂きましたので、移行のことについても整理して、更に取り組んでいっていただきたい、私たちもそういう形で監査していきたいと考えております。
 また、高齢知的障害者への支援とか、あるいは著しい行動障害のある方々へのモデル的な支援については、総合施設ということなので現場と研究と医療が連携した形で取組を進めているところで、全国からも援助・助言の要請が非常に多く来ております。これについては、のぞみの園として取組が一定の評価を得ていると思っており、全国の知的障害者福祉の向上のために、国立の施設として一定の役割を果たすことができていると考えているところです。のぞみの園は長い歴史があるのですが、障害者福祉を取り巻く環境の変化の中で、これまでも時代の課題とか要請に取り組んできたところです。今の高齢知的障害者の支援とか、著しい行動障害など困難を抱える方々への支援というのは、全国の知的障害福祉の共通の課題になっているところでもあります。これからも知的障害者福祉に関する新たな課題が起こってくるかと思いますが、それに対してものぞみの園のフィールドと、専門的な知識や技術の蓄積をいかして、様々な機関と連携して全国の知的障害者福祉の向上のために取組を進めていっていただきたいと、監事として期待しております。以上です。
 
○真野主査
 続いて、理事長からよろしくお願いいたします。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長
 構成員の皆様には、大変貴重な御意見を頂戴いたしまして、ありがとうございます。また、御助言を頂きまして、ありがとうございます。第4期の目標期間初年度については、全体としてほぼ目標は達成できたのではないかと考えているところです。ただし、個別に見ますと先ほど御助言を頂きましたように、目標数値に達していないところもありますし、その捉え方はどうなのだという御意見もあったと認識しております。
 そういう中で、のぞみの園としてこれまで取り組んできた地域移行の推進に関してですが、今回は2人ということでした。ただ、宿泊体験あるいは保護者会等での説明を丁寧に行うことで、のぞみの園からの移行でありますが、移行について保護者の方から新たに同意を頂くケースも出てきています。今後とも、本人を中心に据えながら、プロセスを大切にして進めていきたいと思っております。また、障害者支援施設等に移った後も、フォローアップをしっかりしてまいりたいと思っております。
 次に、著しい行動障害を有する方についてです。かなり困難なケースもありますが、本人の落ち着いた生活を目指した支援をしっかり行うとともに、入所時から関係者、関係機関と連携を密にし、今年は33%という結果でしたけれども、期限内での移行に努めてまいりたいと考えております。
 診療所の運営に関しては、平成30年度に収支の改善を果たすことはできませんでしたが、プロジェクトチームを設置して診療所の経営改善に向けた検討を進めるとともに、外部有識者から意見を伺う機会を設けてきたところです。これらを踏まえて、平成31年度からですが、皮膚科、整形外科の診療日を月2回から月1回とする見直しを予定するほか、非常勤医師2名を削減したところです。今年度は経営改善に向け、更に議論を加速させていきたいと思っております。
 その他、調査・研究、養成・研修、援助・助言にも引き続き真摯に取り組み、関係する皆様から信頼され、頼りにされる存在であり続けられるよう努力していきたいと思っておりますので、引き続き皆様の御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
 
○真野主査
 何か御質問とか、よろしいですか。構成員の皆さんからも御質問とか御意見がありましたが、やはり全国のいろいろな施設のモデルであってほしいという話もあったと思いますので、是非そういう気持ちで引き続きやっていただければなと思っております。よろしいですか。
では、これで本日の議事、18と19と連続でしたが、第19回の議事を終了したいと思います。最後に事務局から連絡をお願いいたします。
 
○政策評価官室長補佐
 今後の流れについて御連絡いたします。本日御議論いただきました国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の「平成30年度業務実績評価」については、この後、本WGにおける御意見や法人の監事及び理事長のコメント等を踏まえ、厚生労働大臣による評価を決定し、法人及び独立行政法人評価制度委員会に通知しますとともに、公表いたします。決定したそれぞれの内容については、後日、構成員の皆様にもお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。また、構成員の皆様におかれましては、本日配布した資料の送付を御希望される場合は、机上にそのままにして御退席いただきますよう、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
 
○真野主査
 それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。長時間にわたり、どうもありがとうございました。
(了)