2019年8月2日 独立行政法人評価に関する有識者会議 医療・福祉WG(第18回) 議事録

日時

令和元年8月2日(金)13:01~14:29

場所

中央労働委員会講堂(7階)

出席者

真野主査、石渡構成員、五十嵐構成員、河村構成員、名里構成員、橋田構成員、松原構成員、三田構成員

議事

 
 
○真野主査
 定刻になりましたので、石渡委員が遅れるということと、松原委員がまだ来られていませんが、始めていきたいと思います。「第18回独立行政法人評価に関する有識者会議医療・福祉WG」でございます。構成員の皆様には、お忙しくお暑い中をお集まりいただき、ありがとうございます。最初に少し審査の話もありますので、事務局から説明をお願いいたします。
 
○政策評価官室長補佐
 政策評価官室長補佐の加藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、本日の議事について御説明いたします。はじめに、議事次第にあります参考資料1~9に関してはお手元のタブレットに収納してありますので、そちらを御覧ください。画面がスリープ状態になっている場合は、右上の電源ボタンを指で軽く押してください。
 本日は「福祉医療機構」につきまして、「平成30年度業務実績評価」に係る意見聴取を行うこととなっております。御意見を頂くにあたり、今年は、3月12日付けで総務省における「目標・評価の両指針」の改定が行われておりますので、その中で、評価の枠組みに関わる事項について簡単に御説明いたします。
 評価指針においては、「年度評価」について、「当該目標期間中の各年度において、中期目標の着実な達成を確保する上で支障となると考えられるものなどの業務運営上の課題を的確に抽出できることが重要である」との考え方から、評価書作成にあたっては、「事務事業の特性や目標の内容、目標の重要性等、目標・計画の達成状況に応じて、重点化して評価を行う」こととされています。この「重点化」については、「目標期間終了時における目標達成の上で重要なもののみ従来の単位・精度で評価を行うこととする一方、それ以外の項目については、簡素・効率的な評価となるような工夫を促すことにより、評価にメリハリを付けようとするもの」と評価指針において示されております。その上で、重要度又は難易度が高いと設定している目標については、必ず重点化の対象とすることとされております。
 なお、改定後の評定基準の適用時期については、改定後の指針に基づいた新目標期間の開始時からとなりますので、当面の間、従来どおりとなっております。その考え方は、改定後の目標指針の下で目標を策定して以降の評価について改定後の評定ルールを適用することになります。福祉医療機構の場合は、平成30年度からの目標の次の目標期間の開始年度の翌年度、すなわち、令和6年度に実施される年度評価からとなります。
 また、今回意見聴取の対象とはなっておりませんが、「中期目標期間実績評価」においては、「見込評価時に使用した中期目標期間終了時の実績見込みと実績との間に大幅な乖離がなく、かつ、考慮が必要な状況変化もない場合には、数値の更新等必要な修正を行った上で、見込評価を活用することができる」とされています。
 これらの点を踏まえまして、今年度のWGにおいては、「年度評価」において、重点化の対象とする項目を中心に御意見を伺いたいと考えております。そのため、はじめに法人所管課室より、「重点化対象項目選定の考え方」を御説明いただいた後、続けて、法人から「重点化対象項目」の業務実績及び自己評価を説明の上、有識者の皆様から御意見、御質問を頂きたいと存じます。
その際、「重点化」の趣旨を踏まえまして、単に例えば、「A」という評定が適切かどうかということだけでなく、法人の取組の中で、中期目標の達成に向けて、優良と思われる点や、逆に課題があると思われる点については、評定に直接影響しない場合であっても、積極的に御指摘いただければ幸いです。
 重点化対象以外の項目については、法人からの説明は行いませんが、御意見がある場合には、議事の最後にまとめてお伺いすることといたします。法人からの説明項目は、資料1にある「福祉医療機構評価項目一覧(年度評価)」中の「網掛け」されているものとなります。
最後に、参考資料9について、若干御説明いたします。これは平成29年度の業務実績に係る年度評価等について、A以上の評定の場合に、その根拠が具体的に説明されているか等の観点から点検した結果を、総務省が整理したものです。こうした点検は、毎年度行われておりますが、  今回、全体として、著しく適正を欠く評価の実施と考えられているものはなかったとした上で、今後の評価のための参考例として別紙1、2が示されております。評定に十分な根拠があるかどうかは本WGでも議論となる場合がありますが、総務省側の考えているレベル観として参考にしていただければと思います。
 なお、例年どおり、各府省別の評定の状況も「参考」として示されておりますが、かつて問題となった「A」以上の割合について、今回の評価では、年度評価において高いほうから2番目であるものの、特に突出していない状況です。事務局からの説明は以上でございます。
 
○真野主査
 ありがとうございました。御質問等ありますか。よろしいですね。それでは、議事に入りたいと思います。最初に、平成30年度の業務実績評価に関してですが、最初に法人所管課から、「重点化対象項目選定の考え方」についてお教えください。お願いします。
 
○社会・援護局福祉基盤課長
 福祉医療機構を所管している社会・援護局福祉基盤課長の宇野と申します。私のほうから、今、お手元の資料の中にある資料1の「福祉医療機構評価項目一覧」を使って、今年度の重点化対象項目の選定の考え方を説明させていただきます。
 福祉医療機構の重点化対象項目は5点あります。まず第1ですが、福祉医療貸付事業です。資料1でいうと、重点化項目に○が付いている所が  今回の選定された所ですが、まず1番目の福祉医療貸付事業です。これは、少子高齢化が進展する中、福祉、介護及び医療サービスの安定的かつ効率的な提供体制を構築することが喫緊の課題となっているということで、「ニッポン一億総活躍プラン」等の政策方針に挙げられていることもあります。そういったことを踏まえまして、民間の社会福祉施設及び医療関係施設等の整備に対する長期・固定・低利の資金の提供となることがこうしたような政府方針に寄与するので、本事業は重要度が高いので、重点化の項目として挙げております。
 続きまして2点目が、その下にある福祉医療経営指導事業です。先ほどの福祉医療貸付事業と同様の理由になっておりますが、福祉、介護、医療サービスが安定的かつ効率的に提供できることが必要です。そのためには、直接、間接を問わず、施設の経営を支援することが、こうした安定的かつ効率的な提供体制の構築に寄与すると考えておりますので、この取組に寄与する本事業は重要度が高いものと考えております。
 続きまして3点目が、退職手当共済事業、2つ下の欄です。これは福祉サービスの担い手である福祉人材の確保に資する事業です。これは社会福祉施設等に従事する職員の処遇改善を図り、福祉人材の確保を目的とした社会福祉施設職員等退職手当共済制度、これを安定的に運営することは重要度が高いものと考えておりますし、最近、保育・介護サービスの人材確保の対策が進む中で、本事業の加入者数の増加が進んでおります。そうした中で、処理件数も増加傾向にあるとのことですので、平均処理期間を前中期目標期間と同水準に維持することは難易度が高いことから、両方の観点から重点化項目として挙げております。
 4点目ですが、福祉保健医療情報サービス、WAM NET事業です。利用者に対する一元的かつ正確な情報の提供とか、地域共生社会の実現に向けた情報提供体制の整備の支援などの取組が重要かつ必要とされております。国においても各種関連法律で、いわゆる見える化というものを進めています。このため、情報システムの整備、管理を行いまして、幅広く総合的に福祉保健医療関連の各種情報を提供していくというこの事業については、重要度が高いものと考えています。
 最後に5点目、経費の節減という項目です。下から6つ目の欄です。これは、重要度、難易度には○が付いていませんが、中期目標の最終事業年度において、平成29年度と比べて、一般管理費は15%程度、業務経費は5%程度の額を節減する定量目標があります。一方で、平成30年度については計画値が未達成の水準となっていますので、再雇用職員、人材派遣職員の適材適所等を含めた人員配置の最適化によって経費の削減に努め、定量目標を達成する必要があることから、本取組を重点化項目として設定したところです。以上、雑駁ですが、重点化項目を設定した理由について説明を終わります。
 
○真野主査
 ありがとうございました。それでは、法人のほうから、法人の業務概要及び重点化対象項目の業務実績及び自己評価について説明をお願いします。
 
○福祉医療機構企画管理部長
 福祉医療機構企画管理部長の佐藤と申します。本日はよろしくお願いいたします。それでは、平成30年度業務実績について御説明をいたします。お手元の資料2-1のパワーポイントの資料がありますので、こちらで御説明をさせていただきます。
 最初に2ページをお開きください。まず、当機構の事業体系図ですが、国における憲法の理念や社会福祉法など、個別法の目的に照らし、国によって策定された地域共生社会の実現や地域医療構想による提供体制の再編のための各種計画を支援するものとして、当機構のそれぞれの事業はミッションを与えられております。結果として、一番下のニッポン一億総活躍プランなどの国の施策実現の一助となるよう、事業展開をしていくことが当機構に与えられた大きな役割となっております。
 3ページをお願いいたします。当機構では、それら役割に応じ8つの事業を行っておりますが、それらを含め全部で14項目の評価項目がございます。平成30年度は、ただいま福祉基盤課長からもご説明いただきましたとおり、1-1の福祉医療貸付事業、1-2の福祉医療経営指導事業、1-6の福祉保健医療情報サービス事業、いわゆるWAM NET事業の3事業をA評定としています。
 なお、2-2の経費の節減については、残念ながら今回目標未達成のためC評定で、残り10項目についてB評定と自己評価をしております。本日はこちらに記載しております重要度「高」の4項目とC評定とした経費の節減について御説明をさせていただきます。
 4ページをお願いいたします。1つ目、重要度「高」の事業で、福祉医療貸付事業については自己評定をAとしております。目標については(1)の政策優先度に応じた融資、(2)のそれらを実施するための周知・広報、(3)の民間金融機関へのノウハウ提供や協調融資の普及、(5)以下で、債権の適切、かつきめ細かな管理を掲げております。
 5ページです。その中で(8)の定量目標については、3項目平均で120%を上回る結果となっておりますことから、自己評定をAとしております。その他、定性面を含めた具体的な内容は6ページです。まずこのスライドの構成について御説明をさせていただきます。背景が水色の部分には、評価の視点として、中期目標でどのような指示がされているのかを記載しております。また、緑色の破線の部分には、定量目標の設定根拠や達成度を記載し、その他の部分で、定性面を含め委員の皆様に特にお聞きいただきたい事項などをまとめる構成としています。
 まず1つ目、周知・広報の実施状況については、昨年度は近年の中でも非常に災害が多かったこともあり、激甚災害のたびに現地に赴き、被災状況の確認とともに、制度周知に努め、更に激甚災害に対する恒久的な融資制度を設けるなど、災害対応を重点的に実施しています。それらを含めまして、下の表のとおり、福祉貸付では、子育て安心プランや介護離職ゼロ等の推進、医療貸付では国土強靱化アクションプランや地域医療構想の推進など、政策優先度に応じた融資を実施しています。
 7ページです。協調融資制度の利用促進に関する取組として、(1)5,000㎡を超える大型案件の協調融資の原則化、(2)全ての相談案件に対し、各法人がメインバンクを持つことの重要性を理解していただく支援、更には(3)の全国地銀協など、各上部団体との個別の意見交換会や、(4)民間金融機関の研修会でのデータ提供など、ノウハウの共有化に努めたところです。例えば一番下にありますように、補助金が手厚く、借入規模が小さい保育所などの児童関連施設においては、5年前に比べ11ポイントも利用割合は増加しており、当機構の民間金融機関との協調が不可欠ということが、法人の経営者にも浸透してきているものと考えております。
 8ページです。こちらには協調融資の事例を記載しております。左側、保育所の新設計画を例に取りますと、潤沢な補助金や贈与金があるために、民間金融機関との取引に関心が薄い法人に対して、日常的支援のための民間金融機関との取引の必要性を説明し、借入金の一部を当該金融機関に切り替えた上で計画を進めたものや、右側、ケース②のように、近年は赤字であるが過去の利益蓄積もあり、経営陣の危機意識が希薄な法人に対し、メインバンクと一緒になって経営改善を促し、その後、経営改善計画の進捗状況を相互に連携してモニタリング体制を構築したものなど、法人にとって最良の見直しプランを提案することで、民間金融機関とウィンウィンの関係を築いております。また、下の表のとおり、直近10年間において当機構の融資額は横ばいで推移しておりますが、民間の福祉医療分野に対する貸出額は顕著に増加しております。一方で右側、リーマンショックや東日本大震災等の緊急時には、運転資金の需要にも迅速に対応するなど、民業補完を徹底しているところです。
 9ページですが、こちらは福祉医療を取り巻く厳しい経営環境についてまとめております。福祉医療施設の経営の特徴として、例えばヒトの面では、有資格者が一定基準以上いなければならず、モノの面としても、設備・床面積等の基準を遵守できなければいけません。また、カネのところにあるとおり、公定価格である介護報酬や診療報酬は、コスト増を利用者に転嫁しにくいという状況があるため、一気に経営を圧迫する事態になるという特殊な業態です。特に近年は、右側にありますとおり、有効求人倍率は、総じて右肩上がりで、一般職に比べ非常に高く、介護報酬、診療報酬はマイナス改定やプラスでも微増改定である中、利益率は年々悪化しておりまして、倒産件数も増加しているという状況です。したがいまして、当機構においては、一番下にありますが、事業計画の早い段階から、無理のない事業計画となるよう融資相談会や訪問相談を実施するとともに、経営悪化時には貸出条件緩和にとどまらず、経営改善支援をするなど、福祉医療基盤の維持存続を最優先に取り組んでいるところです。
 10ページです。こちらでは、適切な期中管理の実施についてまとめております。経営状況を逸早く把握するために、記載のとおり様々な個社別管理を実施しています。事例で記載しておりますとおり、法人経営者に一刻も早く、法人の抱える課題に気付いていただき、改善のために、更に継続的に取り組んでいただけるよう、一番下にありますが、個別の事情に応じた課題を迅速に把握し、WAMのノウハウを活用して経営改善を促すとともに、貸出条件緩和を含め、福祉医療施設の維持存続を最優先とした支援を実施しているところです。
 以上が福祉医療貸付事業で、次の11ページは福祉医療経営指導事業についてです。こちらも重要度「高」、自己評定をAとしております。目標では(1)のセミナーの情報提供、(2)の経営状況の分析・公表、(3)の経営診断における施設の課題解決のための診断・手法など、それぞれ充実を図るという目標です。最下段の実績の中の(4)の定量目標については、平均で120%を超えていることから、A評定としております。
 具体的には12ページをお願いいたします。セミナー提供情報等の内容充実ということでは、平成30年度は受講者の要望を反映し、セミナー開催回数を大幅に増やしたことに加えまして、右側に記載していますが、最新の政策動向、先駆的な取組事例、独自データに基づく経営状況など、お客様の関心事に応じた様々なテーマ設定をするとともに、新たに自治体の行政担当者向け事業者支援セミナーを実施し、行政担当者が所管する法人の経営状況を把握した有用な助言が可能となるよう情報提供するなどの充実を図っております。また、下段にあります経営状況に関する調査・分析・公表ということでも、要員不足や報酬改定による影響など、経営上の課題を浮き彫りにすることを念頭に、リサーチレポートを作成した結果、福祉医療関係を中心としたマスコミにも評価を頂いたと考えております。
 13ページです。そのほかにも、社会福祉法人経営動向調査という実際の法人経営者の現場感覚を伝える調査を実施しております。それらが好評であったことを踏まえ、今般、新たに病院についても実施すること、また、様々な場面での外部講演や執筆などを通じ、経営基盤強化に向けた支援についても充実を図っております。また、中段、個別経営診断については、貸付先の財務データ等を活用し、広く一般に利用できる簡易経営診断に加え、法人個々の経営状況や課題に対し具体的改善案を提示するコンサルメニューを用意し、きめ細かな診断支援を実施しております。それらの実績を評価いただき、近年では自治体等からの受託事業も増えてきており、今後、この分野で様々な需要に応えてまいりたいと考えております。
 2ページ飛んでいただき、16ページをお願いいたします。退職手当共済事業については、重要度「高」の項目ですが、自己評定をBとしております。目標としては(2)のとおり、利用者の利便性の向上や事務負担の軽減を図るため、ICTの活用を推進し、結果として(1)の事務処理期間を短縮すること、(3)自治体とも緊密に連携し、制度周知を図ることとしており、具体的には次の17ページです。
 1つ目、処理期間短縮の取組としては、右側のとおり、近年支給件数は右肩上りとなっておりますので、初めて利用する方の立場に立った、よくある誤りによる適切な記入方法の周知や、検索機能を加えたQ&AなどをHP上で公開するとともに、ICT化の促進により、誤記入による不備の根絶を目指しまして、一番下にありますとおり、未使用の全法人に対する利用案内や被共済職員数が多い法人に対する電話案内など周知に取り組んでおります。その結果、右側のとおり、利用者の利便性向上とともに、エラー発生率の低下により、事務の効率化が図られております。
 18ページです。この共済制度を安定的に運営するためには、現在、社会福祉法人の約8割の方に御加入いただいておりますが、更に多くの法人にも加入していただくことも重要であります。したがいまして、例えば福祉職養成校協会の加盟校に対する制度周知であるとか、自治体等が主催する福祉業界合同採用説明会でのPR、さらに、福祉人材センターや都道府県の協力を頂き、新設法人向けPRチラシの設置やHPの相互リンクを実施し周知に努めているところです。また、参考として記載しておりますとおり、この共済制度加入者の離職率は、ほかの制度に比べてかなり低く抑えられていることからも、従事する職員の処遇改善や福祉人材確保を、より効果的に支援する仕組みとして重要であると考えております。
 2ページ飛んでいただきまして、21ページをお願いいたします。福祉保健医療情報サービス事業、WAM NET事業については、重要度「高」の項目で、自己評定Aとしております。目標としては(1)提供情報の質の向上、利用者の利便性の向上に努めること、(2)国の施策に基づく情報システムについて安定的に運営すること、(3)施策や業務の効率化などのためWAM NETの活用を図ることとしておりまして、実績については次のページです。
 提供情報の整備充実及び機能見直しについては、下の表のとおり、様々な社会のニーズに応じたコンテンツの充実や、利用者側の分かりやすさや便利さを向上させるための機能見直しなどを行っております。例えば、1つ目の「地域共生社会実現関連情報」では、厚生労働省が推進する「我が事・丸ごと」の地域共生社会に関する施策等の説明に加え、モデル事業やWAM助成事例の紹介など、各地域の成果や課題などの最新情報を掲載しています。また、2番目の「介護離職ゼロの実現に向けて」では、各地域の相談窓口や介護休業制度など、仕事と介護の両立制度について、家族の介護に直面した方、ケアマネージャーを対象としたコンテンツの充実を図っており、利用者の方からも高い評価を頂いております。
 23ページです。国の施策に基づく情報システムの運用管理といたしましては、平成30年度から開始した「障害福祉サービス等情報公表システム」について、初年度から国と密接に連携を図り、利用率が77.4%、一昨年から開始しております「社会福祉法人の財務諸表等電子開示システム」については、2年目で利用率98.5%と、使いやすさを念頭にシステム化を図るとともに、ヘルプデスクなどの設置により、国民の皆様が充実した情報を一元的に入手できる環境を構築した結果、高い利用率となっています。また、WAM NET基盤の活用ということでは、登録しているメールへの一括配信機能を活用し、被災先に向けた災害復旧資金や返済相談等の御案内に加え、当機構における様々な調査やアンケートを実施しており、結果的にヒット件数は、右下にありますが、平成30年度は障害のシステムで新旧システムが同時に稼働していたという特殊事情を考慮しても、達成度は129%と高い率を上げることができたと考えております。
 最後になりますが、30ページをお願いいたします。経費の節減については、自己評定をCとしております。目標としては(1)の経費の節減、(2)は調達等合理化計画に基づく公正かつ透明な調達、(3)で役職員の給与水準の適正化を掲げておりまして、実績としては次のページです。
 1つ目の一般管理費等の節減については、中期目標期間終了時点で、一般管理費はマイナス15%、業務経費はマイナス5%を削減することとなっておりまして、単年度でそれぞれマイナス3%、マイナス1%が達成基準となっております。下の表のとおり、平成30年度は業務量の増大に伴う人材派遣料の増加や、高年齢者雇用安定法に基づく再雇用職員の増加の影響で目標は未達成となっておりますが、今後5年間の中長期のスパンで、ICT化による一層の事務の効率化を行った上で、人員配置の最適化を推進し、経費の節減に努めたいと考えております。
なお、下の調達等合理化計画に基づく取組といたしましては、入札情報等を配信する「調達情報メールマガジン」や、入札辞退した事業者にアンケート調査を実施するなどの取組を実施しています。また、右側の給与水準の取組状況についても、機構独自の取組として、特別都市手当の据え置きや役職手当の減額により、ラスパイレス指数は3期連続で100を切っている状況となっております。私からの説明は以上です。
 
○真野主査
 今、幾つか重点項目等を説明いただきましたが、これについて意見や質問がございましたらお願いします。
 
○河村構成員
 幾つかあるのですが、最初に直前に御説明くださった経費のところから御質問いたします。自己評価も厳しく付けられてということで、目標の数字は結構高いですよね。一般管理費が平成29年度と比べてマイナス15%で、業務経費はマイナス5%というのは、なかなか厳しい目標が課されているとは思います。ただ、お取組をいろいろと拝見していると、人件費の面と調達の面と、それぞれ課題がおありかなというような感じがするのですが、調達のところは昨年度もお話をしたのではないかと思いますが、一者応札がまだこれだけあったり、競争性のない随意契約がまだこれだけあるということで、私は独法の評価もやっていますし行革の仕事もしていますので、こういう事例を拝見する機会がいろいろな府省についてあるのですが、どういうお取組をされているのかというところからお尋ねしたいと思います。
 入札等に関して、WAMさんの機構の中でいろいろとチェックするような委員会といったものを設けてやっていらっしゃるのかどうか。まずそこからお尋ねしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 
○福祉医療機構企画管理部長
 まず、調達に関しては、調達等合理化推進委員会という委員会を独自に立ち上げております。それは内部職員で構成しておりまして、その中で、例えば前回一者応札であったものについてどう取り組むかということや、入札するに当たって、この調達仕様書だと全ての業者が入りにくいのではないかなどについて、事前に検証した上で、結果としてこのようになっているというところです。
 
○河村構成員
 委員会は作っていらっしゃるということなのですが、内部の方だけでということで、やはり31ページに書かれているような結果を見ると、もう結果が出てしまっているのではないですかね。チェック不十分というか、外部の方の目も入れて、入っていただくということをしないと、随契にしても、その年によって調達されるものは違うかもしれませんが、件数も金額も増えてしまっていますし、一者応札についても件数ベースで見ると、そんなに大きく減っているという感じでもないですし、その辺のチェックが甘いと言うか、そういうことは経費のところにこういう結果となって表れてきてしまっているのではないかという気がいたします。
 もう1つの人件費のほうなのですが、いろいろとお仕事が非常に増える中でということで、それは業務環境として大変でいらっしゃるというのは分からなくはないのですが、これほど目標と懸け離れるような結果になってきてしまうと、このまま、ずるずる同じようなやり方を続けても、多分次の年度、そのまた次の年度とも同じような結果になってしまいかねないのではないかという気がしますが、その辺のところは、これからどのようにやっていらっしゃるお考えなのかを、もう少し先ほどの御説明よりも詳しくお伺いできればと思いますが、いかがでしょうか。
 
○福祉医療機構企画管理部長
 まず調達の件ですが、一般競争入札になりますと安かろう悪かろうということにもなりかねませんので、主に企画コンペでの総合評価落札方式を取り入れようという取組みをしております。その総合評価落札方式では、外部の方をお招きして、外部の方の意見を聞きながら、企画コンペとして調達しています。
 それから、一者応札になっています契約は、全てシステム関係です。したがいまして、システムについては、どうしても知的所有権を相手方のベンダーさんがお持ちであるということで、1度システムを組み上げてしまうと、例えば改元対応等のシステム改修というところも、どうしてもその業者にお願いせざるを得ないというような事情があるので、この一者応札というのはなかなか数も減らせないという状況になっております。
 それから、人件費のことですが、私どもとしましては、再雇用職員というのは当然のことながら人数も将来的にどうなるか分かっておりますが、致し方ない義務的経費だろうと考えております。人材派遣につきましては、近年業務量が増えていますが、それに見合った正職員を配置するのは難しいということもあるので、ある程度急場凌ぎ的に人材派遣に頼っているという部分があります。これについては、正に退職手当共済事業などで既に取り組んでいますが、事務の堅確化とともに、業務の見直しなどを行いながら、人材派遣の背負っている仕事量を簡略化、効率化していくことも含め、中期目標は5年のスパンがありますので、その中で対応できないかということについて検討を開始したという状況です。
 
○河村構成員
 話を区切ってやったほうがよかったかもしれませんが、先に入札のほうからお伺いします。総合評価方式というのは、要するに質の面と価格の面とのウエイトを決めてやるというものだと思いますが、それをそんなに入れられるのだったら、どうしてこんなに平成30年度は競争性のない随意契約が残ってしまったのかなという気がします。これからやられるというような表現をされていましたが、そういうところでもっと努力いただく余地があるのではないかと思います。
 システムのお話は、私もほかの府省で入札の管理の仕事はやったことがありますので、同じような悩みが、他の機関や府省であることは承知していますが、そういうところは皆さんもっと工夫されていますよ。やはり、最初に1回大きなシステムを受注されてしまうと、その後のメンテというのは同じ所になって外し難いという事情は、どこにもおありになるのですが、然は然りながら、やはり最初にオファーするところでいろいろ企画で区切って分けるとか、なるべく1つの所ではなくて、どこかに投げたらそのままずっと大きな経費がずるずるといって、よそも手が出せないような一者応札がずるずると続くと、一体それがどこが適正な経費なのかというところが結局分からなくなってきてしまうのです。結局、ほとんど言い値で払うような感じになってしまって、それがこういう結果、要するに目標とされたような一般管理費の節減目標に達せないという結果に陥ってしまっているのではないかと思いますので、システムのところも含めて、おっしゃっていることが分からなくはないのですが、同じような問題に直面したほかの機関なり、府省なりでいろいろ考えていらっしゃる所はあると思いますから、そういうところをお考えになられたらいいと思います。
 あと、雇用のほうの面なのですが、再雇用職員が増えたからもうやむを得ないという話なのですが、再雇用の方というのは、どういうようなお給料の水準で雇っていらっしゃるのかというところを、まずお聞きしたいと思います。そこがそのまま正規の定年までのところの延長に近い形で増えたら、それはどんな機関でも人件費が増えてしようがないだろうなと思うのですが、まずそこをどうお考えになっていらっしゃいますか。
 
○福祉医療機構企画管理部長
 再雇用職員は、基本的には正職員だった頃の8割(※)を基準としております。
 
(※)「8割」は福祉医療機構の参事制度における、55歳を超えて参事に移行した場合の給与水準であり、再雇用職員となった場合は「4割」である。
   有識者会議終了後、各構成員に対して訂正を行い、了承済み。
 
○河村構成員
 日数とか、時間などは特に大きく変えずにということで8割ということですか。
 
○福祉医療機構企画管理部長
 勤務内容は、もともと役職付きだった方ですが、内容的にはもっと細かな事務を担当するようになるので、給与を下げた上で再雇用としています。
 
○河村構成員
 私はほかの独法でも承知していることもあるのです。個々の事例について申し上げることはしませんが、高すぎるのではないでしょうか。世間相場に対比してよくお調べになったことはありますか。60歳で仮に定年となったときに、60歳以降も8割をもらえている。大学は最近はお給料の水準を変えないで定年をどんどん上げるというのを国立大学もやっていて、国の顰蹙を買っていますが、そういう所は別にすると、民間企業であって、賃金カーブが60歳の定年までどのようになってくるかというところにもよりますが、ピークがどこか、60歳の定年がピークなのか、その前にピークがきているかというところにもよりますが、60歳を過ぎて8掛けというのは、ちょっとなかなかない。特に、金融機関などでお比べになられたらいいのではないでしょうか。やはり世間相場対比でかなり高いのではないか。そういったところの抜本的な人事制度の見直しをされない限り、やはりここのところの目標を達成するということは難しいのではないかなと。その再雇用の方が増えれば増えるほど人件費が増えてしまってということで、このままいったら毎年C評価が続いて、内容の改善もできないということになってしまいかねないので、そういったところの見直しに今後お取り組みいただくことが必要なのではないかと思います。
 
○真野主査
 今の最後のところで、こういう表現が一般的かどうか分かりませんが、役職定年みたいなもので、例えば57歳とか55歳になると給与が減るというような仕組みはあるのでしょうか。
 
○福祉医療機構企画管理部長
 55歳以上になりますと昇給を停止しまして、先ほども御説明いたしましたが、役職手当をカットする取組はさせていただいております。
 先ほど河村先生がおっしゃったような、ほかの団体と比べてというようなところは、確かにちょっと努力が足りない部分があるのかもしれませんが、基本的に昇給停止であるとか手当のカットということには取り組んでおります。そこが十分かどうかという議論はまた違うところにあるのだろうと思いますけれども。
 
○真野主査
 役職は、60歳まではそれまでの役職でと。もちろん能力のあるなしはあるでしょうけれども、そのまま継続するという仕組みなのですね。
 
○福祉医療機構企画管理部長
 そうです。
 
○真野主査
 役職手当がなくなるというのは、役職もなくなるということですか。
 
○福祉医療機構企画管理部長
 基本的には、定年まではその役職です。ただ、その前に58歳で勧奨退職であるとか、いろいろなシチュエーションがございます。
 
○福祉医療機構総務部長
 総務部長です。少し補足させていただきます。役職定年につきましては、1つは55歳で課長職定年ということで役職も外れていただいて減額をするということと、58歳で部長職定年がございまして、役職を離れていただいて減額をするという取組を行っているところです。
 それから、今回の一般管理費と業務経費に占める人材派遣や賃金の割合が大きいということで、どうしても人事面に踏み込まざるを得ないというのが現状というように思っております。人事ですので、そもそも福祉医療機構の使命を踏まえた業務が適切にできるかどうかという点、それからそれぞれの人の適材適所の配置というような観点も踏まえて、それと同時に経費の削減を進めていく必要がありますので、そこは慎重に当たっていかなければならないというように思っております。
 その上で、実際には例えば再雇用職員も義務的経費だからそのままということではなくて、対象外経費を含めた人員配置の見直しとか、あるいは派遣業務についての外部委託化といったことについても併せて検討しながら、目標を達成する方策を考えているところですので、その結果を今後の具体的な人事に反映していくということが必要かと考えています。以上です。
 
○福祉医療機構監事(吉野)
 福祉医療機構監事の吉野でございますが、先ほどの調達の件につきまして若干補足説明させていただきます。外部のチェックがないのかという御質問がありましたが、私どもでは契約監視委員会という会議体において、外部の弁護士、学識経験者などに委員となっていただきまして、年に1度、前年度の契約の状況についてチェックをしていただいております。その中で、先ほどおっしゃっていただいたように、ここの部分とここの部分を分けた入札にしたら、一者応札ではなくて複数の入札ができるのではないかというような御提案も頂いたりしておりますので、今後も委員会を活用して改善を図っていきたいと考えております。
 
○真野主査
 ありがとうございました。ほかの御意見はどうでしょうか。
 では私から、直接の話ではないのかもしれませんが、9ページに「医療福祉事業の倒産件数」というのがあって、これは増えているように見えるのですが、私もときどきそういう記事なり情報を頂くことがあるのですが、これは多分東京商工リサーチなので事実だと思うのですけれども、直接WAMさんだけの仕事ではないわけですが、単純に見ると非常に経営状況が悪くなっているというように理解できるのですが、これに対してリスク管理はまた別の項目にしてあるとは思うのですが、リスク管理ではなくて、ここは経営の支援の話なのですが、何か具体的にこの辺の状況をどのように理解されていて、何か手を打たれているのだったら、打てないのかもしれませんが、何かお考えがあればお教えいただければと思います。
 
○福祉医療機構企画管理部長
 お貸しした法人からは、毎年1回決算書も含めて事業報告書という形で提出頂いております。そこを分析する中で、先ほど債権管理のところでも申しましたが、個社別管理により、一刻も早く運営状況を把握しようということで、財務分析を行っています。例えば、債務償還年数というキャッシュフローに対する借入金の大きさであるとか、経常利益率といった指標を使いまして、これらが少し下方に動いているという兆候があれば、早めに状況を確認していこうということで、相手方に連絡をし、そこから本当に経営改善が必要であれば、経営改善の方策を模索していくというような流れにしております。基本的に倒産をするに至る予防を重視して、期中管理をさせていただいております。
 
○真野主査
 そうしますと、さっきのコンサルとか、そういうことはあるにせよ、やはり経営環境自体が厳しいというのは、WAMさんだけでもちろん対応できることではないわけですが、今の予防というのは、あくまでも貸している個社の話ですが、もう少し幅広く、お立場は半分公的な独法ということですけれども、金利を安くするとか、具体的に何か医療機関の経営に資するアドバイスでもいいのですが、そういうことはちょっと難しいということでしょうね。
 
○福祉医療機構企画管理部長
 お貸ししていない所には、この福祉医療経営指導事業というのはかなり力を入れておりまして、セミナーであるとか、そのテーマに応じて広く一般的にお伝えしたい内容についてはお示しさせていただいておりますけれども、セミナーであるとか経営指導、経営サポートに全く関わっていなくて、何が支援できるかというと、なかなかそれは難しいので、例えば私どものセミナーのPRを含めて、充実・拡大をしていくというような動きをさせていただいています。
 
○真野主査
 ほかの委員の方からはいかがでしょうか。
 
○河村構成員
 本業でやっている事業についても幾つか御質問させていただければと思います。最初に7ページの所です。福祉医療貸付の所で、いろいろと民間との関係などについても協調融資の促進とかでお取組になっていらっしゃるということで、アウトプットの指標について、いろいろと達成されているのでということで、こういう自己評価になっているということは理解するのですが、今後どういうところを目指してやっていくかというところを考えたときに、7ページに資金構成の割合、実際に協調融資を使ってくださった案件がこれだけになっていて、その中での割合ということを見ると、まだ民間が1割なのです。ですから、こういった辺りのところを、今後のことを考えると、もう少しWAMさんが退いていくというか、なるべくもっと民間にできるところは民間にというところで、今、しかもこれだけゆるゆるの全体的な金融情勢、あれだけ異様なほどの金融緩和をやっているような状況にありますから、そういう意味での民間のほうの資金制約というのはほとんどないに等しいような状況ではないかと思いますので、こういう時代だからこそ、そういうところをやっていっていただければと思います。まず、この点についていかがでしょうか。
 
○福祉医療機構企画管理部長
 民間にできることは民間に委ねるというのは、ある意味、民業補完ということでは大変重要な1つの項目であるとは思っております。ただ、協調融資の普及により、民間金融機関の融資額を拡大していくというのは、WAMのアウトカムの1つの側面であるとは思っておりますが、必ずしもそれだけではないのだろうと思っております。
 WAMにとってもっと重要なことは、福祉医療基盤が安定経営することです。そのためには、民間金融機関が単純に企業会計による評価手法を導入して、医療法人、社会福祉法人を評価するのではなく、これらの法人は一般企業とは少し異なる特殊な業態ですから、機構との協調融資により、それを民間金融機関の方々にも御理解いただいた上で、融資態度を決定していただくような取組が必要です。こうしたノウハウをお伝えしていくことが、我々の重要な1つのアウトカムであると考えています。
 
○河村構成員
 もちろん、そうやっていろいろな考え方というか、貸出先が普通の企業ではないということはおっしゃるとおりだと思います。ただ、そういったところを民間にもっと理解していただく努力を増やすためにも、例えば1金融機関当たりで、もっと与信を引き出すということではなくて、同じ協調融資の案件に参加してくれるほかの金融機関、もう少し多くの民間金融機関に入ってもらえないかということになると、もう少し民間が引き受けられる分のシェアというのが上がってくるのではないかという感じもしますので、是非そういった感じで、今後はお取組をお願いできると有り難いかなと思います。
 続けてお尋ねしたいのは13ページの所です。福祉とか医療機関に対して、いろいろと経営診断とかコンサルティングをしてくださっていて、これは非常に重要なことだと思います。特殊な業態であるがゆえに、いろいろと人繰りの面でも先ほどの有効求人倍率を見ても、本当にぎょっとするような数字が出ていますし、これだけ大変な中でやっていらっしゃるのだなということがよく分かりますが、そういう特殊な業態であるからこそ、経営診断、コンサルティングは重要であろうと。
 その件数については、本当に目標のところを達成するだけの件数をやってくださっているということなのですが、これも今回がどうということよりは、今後を見据えてということなのですが、今後こうやっていろいろと関わってくださる中では、経営診断とかコンサルティングにWAMさんとして応じられた先の全部について捉えることは、もしかしたら難しいかもしれないのですが、個別の事例で、例えばこうやっていろいろと相談に応じたりコンサルティングしたことによって、経年で見たときに、どういうように先様の経営状況が改善していったかということを把握できる所はしていただいて、そういう経営指導の結果、相手方の経営状況がいろいろ改善することにつながったということを確認することができれば。なかなか全数を定量的に把握することは難しいのかなと思うのですが、そこが確認できると、これはアウトプットではなくて完全なアウトカムになってくると思いますので、WAMさんにしても、お仕事としてこれだけ福祉とか、医療の業界というか、セクター全体の質を押し上げるというような形でつながったということになると思うのですが、そういった辺りはどうでしょうか。お取組としてできるものかどうかといった辺りをお尋ねできればと思います。
 
○福祉医療機構企画管理部長
 私どもがこの経営サポートに本当に力を入れ出したというのは、平成26年度からです。それまでは、例えば頂いた財務諸表を分析するというような程度のものでしたが、もっと法人様の経営にコミットしていこうということで、やらせていただき出したのが3、4年前ということです。
 私どもとしましても、経営状況がどのような推移をたどっていったかということを把握するということは非常に重要なことだろうと思っておりますが、なかなかまだ客体母数がそろわないということもありまして、まだそこまでは至っていないというのが現状です。今後、おっしゃられたとおり、正にそういったアウトカムについて考えていかなければいけないと考えています。
 
○河村構成員
 もう1つお伺いします。21ページ以降のWAM NETのことについてお尋ねします。いろいろと定量指標は掲げていらして、達成度が160%、175%というように出てくるのですが、ここは御説明を伺っていても、過去の平成28年度、平成29年度と大臣評価がB評定だったのをAに上げられてということなので、A評定に上げるというのは、いろいろとちゃんとした根拠付けがないといけないということになっていると思いますので、この21ページに赤字で書いている目標の所以外で、平成29年度と違って平成30年度の所で、自己評価として1段上げてAとされたところの理由が、先ほどの御説明だと理解できなかったので、もう少し御説明いただけると有り難いと思います。
 
○福祉医療機構企画管理部長
 まず、一番大きな理由としては、WAM NETというのは、私どもが実施している事業の中でも、近年、「社会福祉法人の財務諸表等電子開示システム」であるとか、「障害福祉サービス等情報公表システム」を運用していることに加え、来年度からは子ども・子育て関係で、保育所と認定こども園の情報公開制度も私どもが受託することになって、今、システムを開発しております。
 このWAM NETというもののプレゼンスがどんどん高まってきているという傍証としては、政府関係の方々からWAM NETの信頼性というものを御評価いただきまして、これらのシステムを受注できるような状況であるということが1つ挙げられるのではないかと思っています。
ヒット件数についても、これらのシステムと相まって、かなり高い数値が出ています。こちらについても、決して容易な目標設定をしているわけではなくて、かなりチャレンジングな目標設定をしたつもりでしたが、その上で、さらにヒット件数が増加したということですので、広く皆様にいろいろなコンテンツをご覧いただいたものと考えています。
 それから、まだ余り成果になっていないので、資料には記載していませんが、各企業を回りまして、介護離職ゼロのコンテンツについて、相互リンクを張っていただけないかといった企業向けのPR活動もしております。確かにWAM NET事業はここ数年A評定ではありませんでしたが、そういったことを含めて、今回定性面も含めてA評定としております。
 
○松原構成員
 誤解がなければということなのですが、先ほど委員がおっしゃっていた、協調融資が1割ぐらいしかなくて、これをもっと増やせないのかという御質問があったと思います。私も、この協調融資はもっと進めていくべきだという考えに立っておりますが、一方で、ここの構成員の皆が共有したほうがいい点として、病院の場合には民間金融機関は基本的には病院に入り込みたい気持ちでいっぱいで、美味しいところは民間金融機関が全部取ってしまっているのです。WAMの場合には、民間金融機関が手を出したくないというところを一生懸命フォローしているというところがあるというのと、あと社会福祉法人の場合には、建物を建てるときに、そもそも補助金が入っているところで、担保をどうするのかという話がある中で、やはり民間金融機関がここでメインになるわけにはいかなくて、WAMがメインとならざるを得ないという中での協調融資の結果、つまり協調融資が1割程度というところも、例えば病院だったらそもそもWAMとも付き合っていない所がたくさんいる中で、たまたまWAMと付き合っている所だけの数値ということを付け足しておきます。
 
○真野主査
 分かりました。では、ほかになければ。
 
○石渡構成員
 先ほど、WAM NETの評価がBからAになったということについて、御質問と回答を頂いたのですが、私は特に障害福祉関係のサービスに関わることが多いのですが、そういう分野の調査や研究というのが、WAM NETの事業所としてどんなところがあるかと抽出するときに、非常にたくさん使われています。研究論文の基盤的なところの情報を、このWAM NETがすごく提供してくださっている、そしてそういう研究が、やはり制度としてのサービスをどう評価するか、これからどういう方向に変わらなくてはいけないかというところに、とても寄与する研究成果になっているなと。この後の国立のぞみの園の研究なども、そういう研究がすごく多いなと感じています。私はこのWAM NETが、自己評定Aにされているというのはとても納得できるのです。やはり、これから子ども・子育てというところにも進出をされるということですので、またこの分野の情報というのを求めていらっしゃる方々、利用する立場の方にもとても切実な情報だと思いますので、更に充実していただけたらというところをちょっと感じています。
 ここで紹介されている、地域共生社会実現関連情報という所について御質問したいのですが、実際、こういう情報を使っているのが、どういう組織でどんな活用の仕方をされているかというのは把握していらっしゃいますか。
 
○福祉医療機構理事
 理事の原口です。地域共生社会実現関連情報に関して申し上げますと、これは平成30年度の事業として作りましたので、これをどう活用していただけるかということを、今、努力しているところです。具体的には、「地域共生社会推進全国サミット」という、介護保険推進全国サミットの後身として、今年2回目の大会が開かれる行事があります。例えば、そういった行事の場での活用方法を大会の主催者と相談してみたり、それからその場で私どもが何かコンテンツを活用してやれることがないかということを、今年度も相談させていただいているというところです。これをお使いいただいてという、そういう具体的な話はまだ頂いてないところで、これからの私どもの努力だと思っています。
 
○石渡構成員
 ありがとうございました。地域共生社会というのは、本当に福祉の分野で大きなテーマで、どういう領域でも気になっているところかと思いますので、今後、そういうところでどんな成果が上がったかというところについて、また御報告を頂けると有り難いなと思いました。
 
○真野主査
 よろしいですか。ありがとうございました。それでは、次に今回、説明がなかった項目というのが重点以外に結構あったと思うのですが、そちらについて何か構成員から御意見があれば伺いたいと思います。いかがでしょうか。
 
○名里構成員
 お疲れさまです。今の福祉人材の確保が困難ということが、私は社会福祉法人の経験者ですけれども、本当にひしひしと感じているわけですが、何年か前に、福祉医療機構さんでも人材確保に向けて、いろいろな取組をされていますということをお話いただいたことがあったと思うのです。少しその辺りを、どんな取組をされているかをお話いただいてもいいですか。
 
○福祉医療機構企画管理部長
 それは、私どもの福祉人材の確保に向けた取組ということですか。お貸しするときに、その法人様が施設で雇われる職員をどう確保されるのかというお話ではなくてということですか。
 
○名里構成員
 福祉医療機構さんで、例えば就職情報や何かここにヒットするとどこかにつながるなど、何かやっていらっしゃったのを以前に聞いたような気がするのですが。それともう1つ、何かの福祉人材の拡大に向けてのキャンペーンも何年か前にやられていなかったかなと思うのですが。
 
○福祉医療機構総務部長
 直接的なお答えにはならないかもしれませんが、今年度から上席推進役という部門を新しく設けました。ここは、報酬改定などの動向や、昨今の人材確保の問題などがあって、社会福祉法人、医療法人の経営が厳しくなっているということを踏まえて、そこをいかに支援するかという観点から作った部署です。直接的にどういうパーツがあるかというのは、今ここで御説明できないのですが、正にそういう経営に関わる面で、人材確保というのは大きなことですから、経営サポートの中でそういう情報も活用しながら法人支援をしていくということかと思っています。
 
○社会・援護局福祉基盤課長
 福祉基盤課長です。福祉人材確保も所管しています。私どもの課としては、福祉人材確保については、各都道府県の社協さんが、福祉人材のセンターという形で無料の職業紹介の事業も取っています。そこで福祉人材のマッチングをお願いしています。それも全社協さんで、中央の組織として、都道府県に対して支援をしているということです。私どものほうからは、特に福祉医療機構さんというわけではなく、全社協さんなり都道府県の社協さん、そこは都道府県とも連携しながら。実際、都道府県社協ではハローワークとも、福祉人材のハローワークがありますので、そういった所と連携して、福祉人材の確保に向けて努力している状況です。
 
○真野主査
 よろしいですか。
 
○福祉医療機構理事長
 人材確保というのは、大変重要な課題です。我々が実施している「1.セミナー」の中でも、昨年、人材確保を重要テーマの一つとして取り上げました。社会福祉法人さんの人材確保の好事例を紹介し、どうやって①人材を集めているのか、更には募集のところのテクニックだけではなく、②入ってからどういう育成をしているか、どちらかというと処遇というよりは育成に軸足をおいたテーマも取り上げました。それから、③組織のカルチャー(風土)づくりをうまくやっているところのお話をしてもらっています。社会福祉法人の一部では、日本人だけではなく、④海外からも人材を取り入れています。その事例や費用面も紹介しております。お話を聞いていると面白いのですが、海外からの人材の間ではスマホで情報がものすごいスピードで流れており、この法人が良いという評判が流れたら、みんなそこの募集に殺到するというようなこともあるようです。
 あともう1つは、「2.社会福祉法人等の人事制度確立には、コンサルティング」で対応しています。人事制度が確立していないと、1回入ったけれども長く続かないということがあります。最近、経営サポートセンターのコンサルティングで対応していますが、人事制度をしっかり作りたいという御相談も多いです。
 更に、社会福祉施設への人材の定着という面では、「3.退職手当共済制度」をWAMは運営しています。被共済職員数は約85万人です。この退職手当共済制度に加入していただいている法人の退職率というのは、全産業平均と比べて4%強低いです。全介護職平均と比べても約5.4%低くなっています。これは仕組みとして、退職手当共済法が法整備されており、その仕組みは国(行政府及び立法府)で作られ、その毎年毎年の運営をきっちりやっているのが福祉医療機構です。社会福祉法人の人材確保という面では、「1.セミナー等での好事例紹介」と「2.時代に即した人事制度の定着に向けたコンサルティング」というのは、まだまだこれから充実させていかなければいけないところだと思っています。そこのところと、大きな仕組みの中では、「3.退職手当共済の制度」で皆さんが安定的に安心して働いていただいている、それが大きな3つの観点だと思っています。以上です。
 
○真野主査
 ありがとうございました、ほかはよろしいですか。それでは、いろいろ議論が出ましたが、やはり先ほどから出ていますように、医療機関及び福祉施設だけではないかもしれませんが、非常に関連の経営が厳しくなっている様子が見て取れるデータも幾つかあります。そこに対してWAMさんも非常にいろいろな面で努力をされている。特に人材は、最低賃金もまた上がるということで、いろいろな意味で、常勤は関係ないかもしれないですが、大変な時代を迎えているのかなという感じもするところです。そういった話もあるわけですが、続いて、法人の監事及び理事長から、機関における年度中期目標の達成状況を踏まえて、今後の法人運営についてコメントを頂ければと思います。最初に法人の監事の方から、次いで法人の理事長の方からお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 
○福祉医療機構監事(吉野)
 改めまして、福祉医療機構監事の吉野です。私より平成30年度の監事監査結果など、当機構の業務運営状況等について説明申し上げます。
 まず、平成30年度の監事監査結果について、お手元の資料2-4の監査報告に記載のとおりです。こちらは厚生労働省令で定められた記載事項に準拠し、総務省発出の記載例等を参考に作成しております。
私ども監事は、役員会、経営企画会議、ガバナンス委員会のほか、融資決定の場である貸付審査会などの主要な会議や委員会に出席して、積極的に意見を述べるとともに、全ての理事長決裁文書の内容確認等を通じて、当機構の意思決定過程や業務執行状況を常に確認しております。
 その中でも特に、当機構の業務が法令等に従い適正に実施されているか、中期目標の達成のため効果的かつ効率的に実施されているか。さらに、業務の適正を確保するための内部統制システムが機能しているかなどに着目し、会計監査人や内部監査部門と協力しながら毎年度、重層的な監査を実施しております。
 当機構においては、先ほど申し上げた経営企画会議及びガバナンス委員会を軸とした、適切なガバナンス体制の下に業務運営がなされており、目標に対する業務の進捗状況や実績管理を経営陣がマネジメントし、理事長のリーダーシップの下、各部門それぞれが求められる役割を適切に果たし、しっかりと成果に結び付けていると評価しております。
 なお当機構のお客様である社会福祉法人や医療法人は、近年、職員の採用難、あるいは建築費の高騰などにより、総じて厳しい経営環境にあります。当機構においては、地域の福祉医療基盤の維持、存続を最優先のミッションとしつつ、併せて信用リスク管理にも注力しております。当機構内の各部門が連携、協力して、福祉医療を取り巻く環境の変化を逸早く捉え、それらの情報の発信などにより、福祉医療事業者を総合的に支援する体制を一層強化していくことが現在の課題と考えております。以上、簡単ですが、監事の意見とさせていただきます。
 
○真野主査
 ありがとうございました。それでは、続いて理事長先生からお願いします。
 
○福祉医療機構理事長
 理事長の中村です。有識者会議委員の皆様には、業務実績評価を通じて貴重な御意見を賜り誠にありがとうございました。本日頂きました様々な見地からの御意見は、今後の業務運営の改善と機構としての更なる進化のための指針とさせていただきたいと存じます。
 今年3月、独立行政法人全般に関して、総務大臣の発言が閣僚懇談会であったという報道がありました。それは「国の行政の実施機能を担う独立行政法人の能力を、国の政策課題解決のために最大限活用していくことが重要。」というものでした。この発言は、独立行政法人の持つ執行力の重要性に加えて、独立行政法人に対する大きな期待を表したものと考えています。私ども機構の使命は、国の政策実施機関として「地域の福祉医療基盤の安定と発展」に貢献することです。これは、まず憲法25条2項に定める福祉、公衆衛生等の増進についての国の責務の履行であり、次に医療法、老人福祉法、児童福祉法、障害者総合支援法等々、関連各法に定めるその詳細の責務の遂行でもあります。
 第4期中期計画期間においても、憲法及び関連各法における福祉医療分野での国の責務の履行に加えて、政府が推進する重要政策、つまり「ニッポン一億総活躍プラン」や、「まち・ひと・しごと創生基本方針」などに基づき策定される少子高齢化対策、地域包括ケアシステムの整備、地域医療構想の推進などに注力をしていきます。国の政策の一翼を担う独立行政法人として、環境変化も常に捉えながら、まず中期目標を達成し、さらに独法のミッションである「公共の利益の増進」に努めて参ります。
 福祉医療基盤は、国民全てにとって重要度の高い「社会的共通資本」です。この基盤における諸課題に対し、機構の各事業を確実に実施していくことで、施設の「利用者」やその「経営者」の受益のみならず、「利用者家族」の離職防止や「施設従事者」の安定的就業の確保など、我が国の抱える課題にしっかりと対峙をしていきます。
 機構の運営に当たりましては、経営理念には福祉医療基盤における「民間活動応援宣言」を抱え、機構の運営哲学としては「永続する進化」を明示しています。業務の更なる有効性、効率性の追求をはじめ、内部統制も含め、立ち止まることなく機構の使命全うのため進化し続けることが最も重要であると認識をしています。
 さらに、課題に迅速かつ適切に取り組むため、全役職員に対して3つの行動指針を示しています。1つは、受け身や待ちの姿勢になることなく自ら解決に向けて動きだす「能動性」です。2番目には、社会経済情勢や今後の福祉医療基盤の在り方、更には、それぞれの社会福祉法人などが抱える個々の問題について、将来の姿、展開を想定しながら活動する「将来予見」です。加えて3番目には、目的遂行のため、機構内外の知恵や執行力を最大限活用する「ダイバーシティの活用」を示しています。役員会をはじめとする諸々の会議体の様々な局面において、この行動の指針を明示することにより更なる実践力の強化につなげています。
 最後になりますが、私ども役職員の一人一人が、国の政策の一翼を担うという意識を持ち、身近で信頼でき、より役立つ組織となるよう一丸となって業務に取り組む所存です。委員の先生方におかれましては、今後も引き続き当機構に対して、御指導、御鞭撻を賜りますようお願いを申し上げます。本日は、誠にありがとうございました。
 
○真野主査
 ありがとうございました。それでは最後に、今の御発言内容等について、何か御意見のある方はいらっしゃいますか。よろしいですか。
 
○福祉医療機構理事長
 主査のほうから、いろいろ福祉医療の経営環境が厳しくなっているというお話がありましたが、私も少しお話を申し上げたいのですが、お時間は大丈夫でしょうか。
 
○真野主査
 全然、大丈夫です。
 
○福祉医療機構理事長
 福祉医療の経営環境は厳しくなっています。では、それに対し機構がどういうことをやっているかですが、融資のポートフォリオについては、まずは予兆の把握、悪化の未然防止ということで、我々自身も外部コンサルタントと相談しながら、過去の実績からイエローゾーン先(リスク管理債権化するおそれのある先)をモデルを使って抽出しています。これらの先を早く指導すれば、悪くならなくて済むということで、こういうことをやっています。当初、複数の経営指標を用いたモデルを開発し、更に、昨年度、「旧モデルの検証」と「有効性向上」のため、変数の入れ替えを行いました。イエローゾーン先を抽出するモデルを検証し、しっかり有効性の向上を図り、更に抽出された先を早期に実際に指導するというアクションを起こさないと何の意味もありませんので、電話等で、なるべく早く指導しています。また、必要に応じて現地訪問ということも対応します。悪くなってしまったところは、改善するまでに結構、手間がかかります。既にリスク管理債権化したものは、リスクの大きいものから、民間のメインバンクと一緒になって、再建計画の実現を支援しています。
 機構の強みですが、やはり長期・固定・低利の融資が強みです。長期ということは、元本の返済ストレスは少ないわけです。そういう環境の中で、貸出条件緩和も、もちろん必要に応じて実施しています。それから我々のミッションは民間金融機関とは異なり、株主利益の最大化ではなく、国民のため、公共の利益としての「福祉医療基盤の安定の維持」で、もう1つのミッションは、財投資金の償還確実性です。これら2つの荷物を背負っているわけです。中期目標上の語順で言うと、「福祉医療施設等の維持存続を図ることを最優先としつつ」というのが、まず来て、それから「貸付債権の適正な管理を行う」と続きます。我々はこの2つの目的のためにいろいろな指導、支援を実践しています。国の政策融資は、もともと20年や30年の長期の償還期間の融資で対応していますから、年間元本弁済負担は少なくなっています。その上で、償還緩和の手続を必要に応じて行うと、借入人の福祉医療施設にとっての大きな支援となります。もともと審査の段階から、法人経営のキャッシュフローリスクの極小化を目指して対応しています。これは正に国が福祉医療基盤に対して憲法25条2項や、医療法、老人福祉法、更には児童や障害者の方々に対して負う責務を含めて、機構が政策融資の仕組みを通じて施設整備に貢献することが私どもの役割だからです。我々の所は、審査時の指導や融資実行後のモニタリング、指導、支援もあり、主査ご指摘の民間のデータバンクの示すような倒産の急増は起こっていませんが、ただ施設を取り巻く環境は様々な理由で厳しくなっています。そういう意味では、いろいろなことをやっていかないといけないなということです。
 もう1つ、これはまだ1か所しかやっていませんが、行政の福祉監査・指導担当者の社会福祉施設に対する指導の実効性を高める支援として、行政向けのセミナーも試験的にスタートさせています。去年、1か所ですが、行政さんの担当の方が監査に入られたときに、経営の見方やPDCAの回し方を更に効果的に出来るようセミナーを開始しました。これはまだ実験段階ですが、そういうことを始めています。そこも少し広めていくと、福祉医療機構が単独で活動するわけではなく、所轄庁(行政)とも力をあわせながら、日本全体の「面」の中でいろいろ早期発見、指導ができていればいいなと思っています。そのようなことで、真野主査の質問に答えられたかどうかは分からないですが、そんな思いで運営をしているところです。
 
○真野主査
 ありがとうございました。私も問題意識として、本当に何か最近そういう余りよくない話が多いので、私が何かできるわけではないですが、何か一致してやっていけるといいなと思ったということです。
 
○福祉医療機構理事長
 補足として言わせていただきますと、いろいろな方がいろいろな議論をされる中で、日本の福祉や医療の費用のトピックスがございます。もちろん効率化やコストの削減は常に求められる課題です。また、単純な金額や伸び率だけでの議論も本質に迫れない所があります。OECDがヘルスケアのためのGDP比などのデータを出しています。もちろん、国別ヘルスケア費用のトータルの対GDP比というのは、2018年基準(2018 or latest available)では日本はOECDで6位ぐらいです。日本より大きいところは、1位から米、スイス、独、仏、スウェーデンです。ところがパーキャピタ(国民一人当たり)で見ると、15位なのです。これだけすばらしい皆保険をやっていて、平均寿命もトップクラスです。それで国民一人当たりのコストは15位というのは、現場でやっている方たちにも、相当バーデンシェアリングのバーデン(荷物)を背負っていただいて、必死になって運営をしていただいているからです。もちろん総量は大きいですし、デモグラフィックのダイナミクス(人口動態)からいったら、これからも増えることは確かなのですが、パーキャピタ(国民一人当たり)で見たら、これだけのサービスが、こういう現状で賄われているというのは、これは本当に現場でやられている方みんながものすごい苦労されてやっているのだと思います。また、先人達の時代から築き続けている制度も素晴らしいものだと思っています。そういう形での発信もしたいなと思いまして、ちょっと補足させていただきました。ありがとうございました。
 
○真野主査
 心強いお言葉、ありがとうございました。時間にもなりましたので、また今後を期待して、取りあえず、次は19回なのですか、18回の続きになるのですか。いずれにしても、これで本日の議事としては、18回の議事なのか、議事がどうなるのか分かりませんが、次また別の法人があるものですから、事務局にお願いします。
 
○政策評価官室長補佐
 今後の流れについて御連絡します。本日、御議論いただきました福祉医療機構の「平成30年度業務実績評価」について、この後、本WGにおける御意見や法人の監事及び理事長のコメント等を踏まえて、厚生労働大臣による評価を決定し、法人及び独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに、公表します。決定したそれぞれの内容については、後日、構成員の皆様にもお送りしますので、よろしくお願いいたします。
最後に、この後、引き続き同会場において、別法人の有識者会議を開催しますので、法人の関係者の方々におかれましては、恐れ入りますが速やかな入れ替わり、御協力のほどをよろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
 
○真野主査
 今、確認したところ18回は、これで終わりなのですね。次は19回ということです。引き続き行いますけれども、18回の有識者会議の議事はこれで終了ということになります。長時間にわたり、どうもありがとうございました。