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2019年6月24日 第11回毎月勤労統計の「共通事業所」の賃金の実質化をめぐる論点に係る検討会 議事録
政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室 政策統括官付参事官付統計企画調整室
日時
場所
(中央合同庁舎第5号館21階2108号室)
出席者
構成員(五十音順、敬称略、○:座長)
石原 真三子 |
○今野 浩一郎 |
神林 龍 |
樋田 勉 |
野口 晴子 |
山田 久 |
事務局
藤澤政策統括官 |
吉永審議官 |
中井参事官(企画調整担当) |
瀧原統計管理官 |
細井統計企画調整官 |
田中審査解析官 |
井嶋労働施策情報分析官 |
村木雇用・賃金福祉統計室長補佐 |
議題
(2)その他
議事
○細井統計企画調整官
それでは、定刻となりましたので、ただいまより第11回毎月勤労統計の「共通事業所」の賃金の実質化をめぐる論点に係る検討会を開催いたします。
構成員の皆様方におかれましては、御多忙のところ、かつ、お足元の悪い中、御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
本日は、稲葉構成員から御欠席との御連絡をいただいております。
なお、神林構成員におかれましては、10時ごろ御退席の御予定であると伺っております。
それでは、これ以降の進行につきましては、座長にお願いをいたします。
カメラ撮りはここまでとさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○今野座長
おはようございます。
それでは、今日のメインは資料1と資料2になりますので、まず、資料の説明を順番にしていただいて、その都度、議論するということにしたいと思います。
では、資料1から、お願いします。
○瀧原統計管理官
では、資料1を御説明させていただきます。資料1「本系列と共通事業所の賃金の伸び率の比較」というものでございます。
これまで、本系列と共通事業所の比較は賃金の水準、賃金額の比較を中心に行ってまいりましたけれども、共通事業所系列が前年同期比を示すものでもありますので、伸び率というものを少し分析させていただきました。中間的整理の中でも、伸び率と水準は別物だという御指摘もありましたので、今回、伸び率についての比較というものでございます。
資料をめくっていただきまして、まず最初の2ページ目になります、1とあります、賃金額の規模別伸び率の比較というもので、これは29年と30年の各月につきまして、本系列と共通事業所の前年同期比、伸び率を示しております。これは通常の公表されているベースのものと同じでございますので、ここでの本系列の伸びはいわゆる前年同期比ですけれども、共通事業所の伸び率のほうも共通事業所の前年同期比として示されているものですので、ウェイトにつきましても調整をされて、例えば、29年と30年の比較でありますと、30年の労働者ウェイトを使って復元したものになりますので、その復元するウェイトの調整がされたものが共通事業所系列になっているというもので見ていただければと思います。
そこにありますように、29年の1月は両方とも0.5%ということで同じ数字になっておりますけれども、それ以降、月々を見ていただきますと、少し数字の違いというものが出ているということでございます。
右側に行きますと、規模別になっておりますけれども、規模別も違いが出ていて、ところによっては、片方がプラスで片方がマイナスというものもありますので、少しあらわれ方に違いが出ているというのがこれで見られるわけですけれども、これをもう少し分析したのが、以降のページになります。
2番のところは、これは共通事業所の分析をするために、どれぐらいのものが本系列のサンプル数になっているか、どれぐらいのものが共通事業所のサンプル数になっているかというものの数字で、左側の本系列、真ん中の共通事業所につきましては、以前の資料でも示しているものでございます。
この後、最後に説明いたします伸び率について、時間相関を計算したものがございまして、それについては、28年から29年の伸びと29年から30年の伸びという2つの伸びを使っておりますので、それを比較するために、28年と29年と30年の各月、1月ならば1月、それぞれに同じところに回答していただかないと伸びの比較ができないということがあります。そうすると、さらにサンプル数が減るというものが一番右側でございまして、28年の例えば1月、29年の1月、30年の1月、それぞれに対して同じ事業所からちゃんと回答があったということになりますと、共通事業所系列からさらに半分ぐらい減りまして、5人以上でいきますと産業計で5,014という数字が出るというもので、2時点の比較をやろうと思うと、これぐらいのサンプルになっているということを事前にお示ししております。
ちなみに、そうした場合に「5~29人」につきましては、18か月間が継続回答期間になりますので、この3時点での回答となると、全てがゼロになってしまうというのが、この表でわかるところでございます。
次が、本系列と共通事業所での伸びの比較をやっております。ここにつきましては、あくまでもサンプルでございます。復元はしておりませんので、生のサンプルの比較ということで見ていただければと思います。
これにつきましては、単位集計区分ごとにやっておりますので、単位集計区分1つがこのドット1つに当たるというのが以前の分析と同じですけれども、それで散布図をつくっているというものでございます。
30年1月時点での伸び率を本系列のほうで見たものが、この1つの散布図の横軸でございます。縦軸のほうは、同じ1年間での共通事業所のサンプルの伸びの平均値というものでございます。
少しスケールを見ていただくと、本系列のほうがぶれが大きいものになっているので、横軸のほうが大きなスケールになっているというところはございますけれども、R2を見ていただきますと、大体0.0幾つという数字になっておりまして、端的には相関はあまりないものになっております。
本系列で一定の伸びがあるところは、共通事業所がそのような伸びになっているかというと、どうもそうも言えないのかなというものでございます。規模別に書いておりますけれども、例えば真ん中の「100~499人」とか、あるいはその次の「30~99人」のところを見ていただきましても、かなりきれいにばらばらになっているものが見られるのかと。これを各月にずっと同じような形でやっておりますけれども、一応傾向線を引いておりますけれども、R2が小さいですので、あまり傾向線の傾きも強い意味はないのかなと思います。
それは各月で、次のページが4月から6月、さらに6ページが7月から9月、そして、最後、10月から12月までを示しておりますけれども、大体が0.0台、一部0.1台もございますけれども、全体的に見るとなかなか相関性は薄いということで、共通事業所の伸び自身と本系列の伸びはちょっと違う動きをしているのではないかというところがここから見られるところだと。このあたりの分析、見方は、ぜひ先生方の御意見をいただければと思います。
ここが本系列と共通事業所の伸びの比較というものでございまして、次の8ページからは、違った観点で、今度は共通事業所自身の中で、賃金と伸び、水準と伸びというのが、一定の何らかの関係が見受けられるかどうかという観点で見たものですので、これは縦横ともに共通事業所について見ております。1つの点につきましては、単位集計区分をあらわしているというのは変わりございません。この表でいきますと、横が賃金額になります。水準に当たるものですね。金額をあらわしておりまして、縦はその前年同月比ということで、伸び率になっております。
こちらも例えば賃金が高いところが伸び率が高いとか、低いところが低いとかとなっていれば、YイコールXの45度線のような形の相関が見受けられるかなとは思ったのですけれども、実態的にはそういう感じもなくて、賃金が高くても伸び率が高いところもあれば低いところもある、賃金水準が低くても高いところと低いところがあるというのは、各規模においても同じような状況であるということで、これも平均値が一番上のところですけれども、R2でいきますと0.0台という状況になっているところが今回の分析であります。
その他の標準偏差とか、変動係数も参考までに示しております。標準偏差につきましても、賃金額の標準偏差が高いところが伸びの偏差が高いかというと、そういう感じにもなっていなくて、賃金額の標準偏差と伸びの標準偏差自身にも一定の傾向はあまり見られなくなっております。
変動係数自身は標準偏差を平均値で割ったものですけれども、それで見た場合も、一番下にありますけれども、これは外れ値が出てしまっているので「100~499人」とか「30~99人」は読みにくいグラフになっておりますけれども、どちらもR2自身が非常に低くなっているというのが、この8ページの図で見られるものでございます。
これは月によって差があるかというところでは、今までの傾向で見ていただくとあまりそういうものはなかったのですけれども、今回も10ページが3月、11ページが4月ということで、各月において見ておりますので、そのあたりも含めて、月によって賃金額自身は結構動いているものですけれども、相関という傾向で見ると、あまり相関はないという数字が各月で見られるというのが、今回の分析の結果でございます。
以上の資料が19ページまで続いております。その後、20ページが5番ということで、共通事業所1人当たりのきまって支給する給与の伸び率の前年との相関ということで、これは前回、時間相関ということで、賃金額につきまして、2時点、1年前と当年との賃金額の相関があるかというところで、共通事業所で見た場合に非常に高い相関があった、YイコールXの45度線にかなり近い部分で点が集まったというのが見られましたけれども、伸びで見た場合にどうなっているか。伸びについても2時点間の相関があるのかどうかということで、前回今野座長からも御指摘がありまして、相関が若干あるかどうかという御指摘がありましたけれども、今回、分析しているものがそこでございます。30人以上につきまして、集計区分に。
地震ですね。大丈夫でしょうか。
○今野座長
この建物は平気なの。
○瀧原統計管理官
結構頑丈だと思います。
とりあえず、今は避難まではいかないと思います。状況を見てまた対応をさせていただきますが、説明を続けます。
ということで、各規模別にやったものですけれども、実はほとんどこちらのほうも相関がないということで、もしこれは相関があるとすると、1年前に賃金の伸びが高いところが今年も高いでありますとか、あるいは逆に高いところが低くなるという何らかの傾向があるかというと、これもあまり相関がなくて、R2は0.1ぐらいなのですけれども、そこについては、1年前が高くても、今年に高くなる、低くなるというのは、あまり傾向がない。どちらにぶれるのもあるかなと。
強いて言いますと、これはR2が低いので、あまり傾向線、近似直線にあまり意味はないのですけれども、計算上は、右下がりのラインがやや出てきておりまして、このこと自身で言うと、昨年、賃金の伸び率が高いところは翌年マイナスに出るという傾向が少しあるのかもしれませんけれども、実態的にはそういう傾向があるというまでの数字にはなっていないというのが、この数字かなと思っております。これも1月から順に、2月、3月、4月という形になっておりますけれども、どの月においても大体分散の状況は同じようなものになっているというものでございます。この資料で最後の31ページの12月分まで計算させていただきました。
資料1についての説明は以上でございます。
○今野座長
ありがとうございます。
それでは、御意見をお願いします。
どうぞ。
○神林構成員
計算の仕方の確認なのですが、共通事業所の賃金額の伸び率を計算するときに、どちらかの年で標本が見られない場合には、計算から外しているのでしたか。
○瀧原統計管理官
どちらかがない時点で、もう外しています。
○神林構成員
計算から外しているということですね。
そうすると、図の見方で確認なのですが、4ページ目から出てくる散布図と、2ページ目にある集計表との関係なのですけれども、共通のカテゴリーが、例えば、規模「100~499人」というのが共通のカテゴリーになっているのですが、2ページ目では、これが30年の1月に本系列2.0%、共通事業所1.3%と書いてあって、4ページ目の散布図を見ると、横のばらつきが本系列で、縦のばらつきが共通事業所ですね。これらの点が単位集計区分ですので、この単位集計区分のウエーテッドアベレージみたいな格好に計算をすると、2ページ目に出てくる2.0と1.3という数字が出てくるという理解でよろしいですか。
○瀧原統計管理官
2ページ目の数字のほうですけれども、これ自身は、伸び率を出すときにウェイトを、例えば30年の数値ですと、30年1月の数値に29年1月もそろえていますので、そろえた上での伸び率ですので、こちらの3のほうの散布図のほうは生の伸びですので、そこでのウェイト調整は行われていないというのはございます。
○神林構成員
4ページ目のそれぞれの生の点というのが、単位集計区分の平均値ですね。
○瀧原統計管理官
それぞれの点はそうです。
○神林構成員
なので、それぞれの点について、平成30年1月のウェイトというのが定義されていて、その定義を使って集計をすると2.0と1.3という数字が出てくるという計算の仕方になっているということですね。
○今野座長
どうぞ。
○井嶋労働施策情報分析官
実額のほうにウェイトをかけて、それで伸び率を出していますので、伸び率にウェイトをかけても同じにはならないかなと思います。
○神林構成員
そうか。それでおかしいのだ。わかりました。面倒くさいですね。
○今野座長
でも、この資料だと、本系列の伸び率と共通系列の伸び率は無相関ということだよね。ということは、共通系列で本系列を代替するというのは、どういう意味なの。素直に読むと、そう思ってしまうのだけれども。
○神林構成員
なので、4ページの散布図のほうを見ると、これは伸び率を直接計算して、それを単位集計区分あたりにプロットしてみると、全サンプルの伸び率と共通事業所だけの伸び率の関係は統計的に見るとほぼ無相関だろうというふうに見える。けれども、集計をした2ページ目の時系列を見ると、これは時系列方向ですけれども、当たり前ですが、明らかに本系列と共通事業所系列は正の相関を持っていますね。なので、どうしてこれが出てくるかを説明してあげるということになると、何が起こっているのかわかるのではないでしょうか。
○今野座長
2ページ目は。
○神林構成員
2ページ目は水準を復元して階差をとっているから。
○瀧原統計管理官
そこは確かにあると思います。3番の散布図は相関はないのですけれども、あくまでも比べているのが、本系列のほうは平均値の伸びなのですけれども、共通事業所のほうは伸びの平均値なので。
○神林構成員
こちらは伸び率をとって平均をとっているわけですね。
○瀧原統計管理官
はい。ですから、そこの定義の差は明らかにあるのです。
○神林構成員
全く頭が回っていないので申しわけないのですけれども、もし定義の差で挙動の変化が出てきているとすれば、この挙動の変化というのは、ウェイトの変化から出てきていると考えたほうがよいのですか。
○山田構成員
4ページのほうは、それぞれの時点の間のデータの関係を見ているわけですね。でも、伸びのほうは時系列なのですね。
○神林構成員
そうなのです。
○山田構成員
だから、私もはっきりはわからないのですけれども、でも、比べているものは違うというか。
○今野座長
その前に、2ページ目のこれは、神林さんは相関が高いと言ったけれども、相関は高いのだろうね。
○神林構成員
規模によって違いそうですね。
○今野座長
高いと言い切ったけれども。
○神林構成員
今見ていたのは「100~499人」だけだったので、そうかなとちょっと思ったのですけれども。
○今野座長
どうぞ。
○樋田構成員
今、山田先生がおっしゃったように、時系列では相関があるのだけれども、クロスセクションで見ると相関がないようだということなのですが、クロスセクションで相関がない状態で時間的に全体がシフトしていけば、時系列で相関が出ますね。
○今野座長
なるほど。
○神林構成員
それはそうなのですけれども。
○今野座長
今度は、逆に言うとクロスセクションで、例えば30年の1月とかというところを見ると、4ページ目を見ると無相関。そうすると、今度はこのクロスセクションのデータはどういう意味かということなのだね。
○神林構成員
クロスセクションでも伸び率をとっているのですよ。そこが混乱の原因で。
○樋田構成員
そうですね。
○神林構成員
このクロスセクションが本当のクロスセクション、全くのクロスセクションだったら、おっしゃっていることは全く100%正しいのですけれども。
○樋田構成員
わかりました。
○神林構成員
1階の階差をとって、それの相関があるのだけれども、それを1か月ずらすと相関がなくなってしまうと。
○今野座長
4ページ目は、例えば平成30年1月でもいいのですけれども、1月の対前年比を見たときには、本系列と共通系列は無相関です、これはそういう話ですね。
○神林構成員
そうです。
○今野座長
無相関の状況でウェイトをつけて足し上げたら、例えば4ページ目のこういう数字になりましたというお話だよね。
○山田構成員
でも、比べているものは違うのだと思うのですね。ここの伸び率。
○今野座長
やりたいことはそういうことなのだよね。そういうことをやるときに計算方法が違うのだったら違うでいいのですけれども。
○神林構成員
2ページ目の公表済みの系列をつくるときというのは、ウェイトは、例えば30年1月の「100~499人」の2.0と1.3という数字は、ウェイトは両方のウェイトを。
○今野座長
30年のウェイトを使っている。
○神林構成員
共通事業所のほうは、30年のウェイトを29年に当てはめて水準を計算しているのですね。本系列のほうは、29年は29年ですね。
○瀧原統計管理官
29年です。
4ページの図は、間が1個飛んでいるので読みにくくなっているというか、共通事業所の平均値の伸びを間に入れないとわかりにくくなってしまっているということですか。本系列と共通事業所のほうで比較しているものが、平均値の伸びと伸びの平均値を比べてしまっているので、共通事業所のほうの平均値の伸びを間に入れないと、それがどちらに寄っているかわからなくなっていると考えればいいのでしょうか。
○今野座長
2ページ目のほうは平均値の伸びだよね。
○瀧原統計管理官
両方とも平均値の伸びの比較です。
○今野座長
4ページは。
○瀧原統計管理官
平均値の伸びと伸びの平均値を比べてしまっているということですね。
○今野座長
そうなの。
○瀧原統計管理官
本系列のほうは、伸びの平均値が出ないのですね。本系列のほうは、相手がないということになります。
○今野座長
そうか。そういうことだね。
そうすると、平均の伸び率にすれば、2ページ目とやり方も合ってくる。
○瀧原統計管理官
そうですね。同じになるということです。
○神林構成員
確かに、まずそれは必要ですね。それは確かにそうです。いわば、この2ページ目の系列を、各単位集計区分について全部つくっていただくような格好になるのではないかと思うのです。それを1月時点でクロスセクション方向にプロットする図というものが描けて、そうすると、ウェイトのとり方でこの本系列と共通事業所が。
○今野座長
そういう計算方式にもし変えて、この4ページ目の図をつくり直して、無相関という結果になったときにはどのように解釈するか。相関が強いといったらどうかということですね。それからということですね。
○瀧原統計管理官
そもそも2ページの図自身の相関を計算していないのであれですけれども、これ自身に一定の相関があるときに、共通事業所のとり方は本系列と違うという点はありますけれども、平均値の伸びで見たときに少し関係があるとすると、最後は共通事業所において、平均値の伸びと伸びの平均値にかなり違いが見られるということなのかもしれません。
○今野座長
そのときに、混乱していると思うのだけれども、2ページ目のときに相関があるかどうかというのは、1月、2月、3月、4月、5月というデータを見比べたときに相関があるかどうかという話ですね。時系列でね。
○瀧原統計管理官
はい。
○今野座長
今、4ページ目で問題になっているのは、平成30年1月で計算し直した共通事業所と本系列がもし無相関になったときというのは、30年1月時点の問題なので、無相関の2つのものを積み上げたら、2ページ目の平成30年1月のデータになりましたということだよね。
○神林構成員
なるはずのように計算をしておくということですね。
○今野座長
そうすると、2ページ目の数字自身が全く相関のないもの、つまり、関係のないものを積み上げて同じ数字になったとしても、そんなの何の意味もないという話だよね。同じとは言えないというか。
言っている意味、わかってきましたか。
○神林構成員
共通ショックだけを拾っているということですね。
○今野座長
たまたま一緒だというだけですよね。これが無相関だったらですよ。違う。
○山田構成員
でも、個別の要素では無相関なのだけれども、集計すると相関が出てくるケースは、全くあり得ないかというと。
○神林構成員
全てのセクターに対して同じショックが、つまり、30年1月ショック、30年2月ショックというのがあって、全ての事業所に対して同じようにかかっていれば、そのショック自体の時系列の性質というのが、この2ページに出てくるはずですね。
○今野座長
整理できないのだけれども、今は時系列のことを言っているのだよね。
○神林構成員
そうです。
○今野座長
私の言っているのは、1月だけのデータの意味で言っているの。時系列ではなくて、それ自身のデータにどういう意味があるのだろうと。
○山田構成員
私は逆に比較するのであれば、4ページのこの散布図のやり方を、セルごとに時系列のデータを相関でとっていくというと、やるかどうかは別として。
○今野座長
そういう意味だよな。そうだな。
○山田構成員
それが無相関であれば。
私は本質的に、もし比較をするのであったら、4ページ以降の図を見るのであれば、2ページの1月を横に見ていくというのですか、「500人以上」とか、「100~499人」とか、「30~99人」との相関を見るのだったら、同じものを比較していると言えるのだと思うのですけれども、個別のクロスセクションのときのそれぞれの相関と時系列の相関は、基本的に比較できないのではないかと思うのですけれどもね。
○今野座長
いずれにしても、4ページ目以降の計算は先ほど言ったような計算方式でやったときにどうなるかですけれども、これは手間がかかるの。簡単ですか。
○瀧原統計管理官
それは大丈夫です。
○今野座長
あまり手間がかかるのだったら大変だけれども、それからだな。
○山田構成員
最終的に知りたいのはというか、問題意識は、2ページの2つの系列、すなわち、本系列と共通事業所の時系列で見たときの相関があるかないかを最終的に検証したいということですよね。そうではないですか。
というのは、共通事業所を本系列の代替系列として考えるときに、もともと時系列で見た動きを共通事業所が追っているかということだったのではないかと私は思っているのです。そうすると、2ページの本系列と共通事業所の時系列に相関があるのか、最終的にはそれを検証したいと。
そうすると、アプローチの仕方として、4ページ以降を分析されているということなのだと思うのですけれども、私は4ページ以降はあくまで、例えば30年の1月、2月、それぞれにクロスセクションで切っていったときに、もちろん伸び率は比較しているのですけれども、それを出すことによって、最初の時系列の動きが相関しているかどうかというのは、直接的に言えないのではないかと思ったのです。だから、もしあえてやるのであれば、先ほど申し上げたように、セルごとの時系列の相関をとって見てみると。
○瀧原統計管理官
確かに、今回やろうとしていること自身は、本系列の伸び率で見たときに、本系列の数字に対して共通事業所も一定の代替になり得るものなのかと。それは山田先生がおっしゃったとおりということで、そこを見たいのですけれども、この分析自身は、どちらかというと、これまでやってきた額でやったときのをなぞってやってみたというところはありまして、それは何かといいますと、一定の相関はある場合に、ただし、金額で言いますと、相関はあるのだけれども、一定のバイアスがあったと。同じ高いところは高いのだけれども、少しバイアスがかかっているので、その部分はどれぐらいあるだろうかという観点で見るときに、この4ページ以降の分析というのは、一定の相関があったときに、では、伸び率について、どれぐらい共通事業所というのは本系列に比べてちょっとプラスに出ているとか、ちょっとマイナスに出ているとかというのがあるのだろうか。共通事業所と本系列との伸びの差を見るのに、単位集計区分に落としたときに、その傾向が見られるかどうか。
ただ、比べるのが平均値の伸びと伸びの平均値という、そういうものではあったのですけれども、そこを見るのは、賃金額でやったときと同じような形でやってみるとどうなっているのかなというところが、この4ページ以降のイメージだったのです。ただ、こちらの議論ですと、伸びの平均値みたいなものについて考えるときに、そこは一足飛びにいくと、やはり違うものが出ているということなのかなと。
○山田構成員
おっしゃるとおり、これ自体は意味があると思うのですけれども、それと、そもそも恐らく最終的に結論を出したいところ、判断をしたいところには、一足飛びにはいかないのではないかという印象を私は持ちました。
○今野座長
いずれにしても、4ページ以降、平均の伸びにしたときに、そのほうが2ページ目との整合性がとれるので、そのときにどうなるのかなということですけれども。
○瀧原統計管理官
そういう意味では、確かに平均の伸びという形の分析が入っていないのは、我々として不十分になってしまったというか、わからなくなってしまったので、そこは入れた形のもので次回につくったものをお示ししたいと思いますけれども、そういう意味では、伸びの平均値というのは非常に分析しにくいのですが。
○石原構成員
それがどれぐらい違うのかを見たい感じがします。
○瀧原統計管理官
平均値の伸びと伸びの平均値が。
○石原構成員
はい。意味ないですかね。
○神林構成員
きちんと完結したパネルになっていれば、全く同じですね。共通事業所というのは、完全なパネルになっている事業所を共通事業所と定義しているので、ウェイトは置いておいて、ウェイトが全部等倍だとすると、共通事業所に関しては、伸びの平均値と平均値の伸びは一致する。
○今野座長
ということは、単位集計区分の中ではそれが成立するということ。
○神林構成員
しますよね。
○今野座長
するかな。
○野口構成員
しますかね。
○今野座長
私もしないのではないかと思うのだけれども。
○樋田構成員
比の平均と、平均の比ですね。これは対象がほぼ同質的な集団であれば同じような動きをすると思うのですけれども、事業所の集団内は異質性が高いわけですから、同じになるとは限らないのではないでしょうか。
○石原構成員
それはウェイトとかを除いても。
○樋田構成員
ウェイトは関係なくて、比の平均を分解して、平均の比になるのかという問題です。
○今野座長
直感的にはそう思うのだけれども。
○樋田構成員
一度計算をしていただいてはどうでしょう。
○瀧原統計管理官
もし、これが同じになるのであると、4ページ以降の散布図は同じになってしまうのだけれども、多分違うから違うものが出てくるということですね。
○今野座長
でも、今、言われたのは、近い感じにはなるだろうとすると、細かい数字は別にして、4ページ以降みたいに無相関の状況のデータが結局出てくるね。そうすると、そのときに山田さんが言った本系列と共通事業所との関連はどう考えるのか。共通系列は本系列の代理になり得るかどうかを検証するとかというよりは、本系列と共通系列の関連性はどういうことなのだろうという性質を明らかにしたいという、これはちょっと広目だと思うのです。
○神林構成員
話の筋としては、今野さんがおっしゃっていることに十分賛成するのですけれども、代替物になるかどうかという話であれば、単純に時系列、何がどういうふうにメカニカルに出てきているかはもう置いておいて、時系列の性質だけを見て後追いをしてしまうという考え方があり得ると思います。いまのところデータが蓄積されていないのでどこまでそういうことが言えるのかがわからないのですけれども。
ただ、本来、同じデータからつくっている2つの系列ですので、その2つの間には、何らかの関係があるはずですね。それは説明されるべきものだと自分は思いますので、もし関係があるのであれば、どういう理屈で関係づけられるのかを説明するというのが、自分は優先順位が高いだろうと思います。
○今野座長
そのときに、共通系列と本系列が水準が違ったりとか、ずれがあったりしたとしても、一定の相関で動いている。もしそうなったとしたときに、2つのことがあって、一つは、そんなのだったら、別に本系列で見ればいいではないか。わざわざ何で共通系列で見なければいけないのだという問題を一つクリアしなければいけない。
もう一つは、もう少し共通系列をすくうとすると、これこれの理由で本系列と違った意味でオールジャパンを表現していますと言わないと意味がないですね。今まで厚生労働省が言っていた共通系列の出し方は、ラスパイレスをして労働力構成の違いを調整したという点で、意味がありますというロジックでやっていたと思うのです。だから、今まではそこまで来ているのではないかと思うのですけれども、後者の何らかのロジックがないとすると、共通系列は要らない、別に本系列を見ればいいではないかということになるよね。そのときに、多分、神林さんが言った、この違いにはどういう性格があるのかを見きわめることが、私が言った2番目のことをつくるロジックになってくる。その中の一つとして、厚生労働省は、これまではラスパイレスで労働力構成の変化を除きましたという理屈にしてあるということだと思うのです。
○神林構成員
もう一つの側面が、共通事業所は、共通でとられているパネルだという性質ですね。全体の賃金変化率というのは、共通事業所の賃金変化率に新規参入の事業所とサンプルから出ていってしまった事業所の3つの部分に分解できるわけですので、その性質がデータ上どうなっているのかという接近方法はあって、恐らく統計委員会はこちらのほうを重視しているのではないかというのが、自分の考えです。
○今野座長
でも、ここの今までの議論の全体の流れからしてそうだと思うのですけれども、神林さんの今言ったようなことを共通系列に求めるとすると、それはもう新しい系列ということになる。要するに、本系列を代替するものではなくて、新しい共通系列で意味のあるものをつくりましょうという位置づけだと思います。何となくそちらのほうがいいのではないかと、みんなの意見はずっと続いてきたと思うのだけれども。
○石原構成員
お休みしていたので議論になかなかついていけないのですけれども、もともと別の性質を持つ系列だという感じにだんだん中間報告のときになっていた気がするのですけれども、私はこのアメリカのつくり方を見て、これは本系列と共通系列とは言えないのですけれども、つくり込んでデータを出しているわけですね。
違う系列のものを本系列と共通系列と2つ出して、1個は全体をレベルであらわし、もう一つは伸び率をあらわす系列とする。そして、これはかなり恣意的な感じというか、アドホックに数字を入れているのですが、例えば2つ数字を出して、例えば山田さんがαが0.9で、別の方は0.85だとかというふうにするような数字を、時系列の数字としてつくるためのものを出す。そのようにこれを見て思ったのですけれども、そういうつくってくださいみたいな、元データを出す感じにはならないですか。
以前は、厚労省が、こういう感じではないですけれども、ギャップを埋めるような数字を御自分でつくっていたのを、皆さん、ご自分でどうぞという感じ。
○山田構成員
実際、内閣府は雇用者報酬を推計しないとだめなのですね。そのときに、私が聞いたのは、直接今回の厚労省さんの出されている毎勤の本系列をそのまま単純に使うのではない。要は、経済センサスのところでいわゆるベンチマークが変わっていますから、一定の断層が生じているわけですね。そこを一応彼らなりに考えて修正をして、ですから、毎勤で出されているいろいろなデータを合成しながら、そのような形には使っていますね。だから、実際は結構やり方などをかなり理解している人たちは、自分なりに合理的なものだという形で使っているという事実はあります。
実は我々も、若干それはやっています。それでそうやって見ているのですけれども、ただ、毎勤に対して世の中が期待しているところで、そういうことではなくて、最も真実に近いようなところを期待されてしまっているので、そういうものができれば出そうという話に。
逆にそこはもう諦めて、石原先生がおっしゃるように、こういうものは限界があるので、こういう前提はこうなのでというふうにして出してしまうというのも、やり方ではあると思うのです。
○今野座長
その議論をとめさせてもらって、神林さんが帰ってしまうから、資料2も説明してもらって、ぱっと意見をもらって。
○神林構成員
いいですよ。
○今野座長
いいよ。言いたいことだけ言って帰って。
○瀧原統計管理官
伸び率のほうの議論はまた後でやっていただくかもしれませんけれども、次に資料2のほうを御説明させていただきます。
資料2は、今回の検討の中で、前回の中間的整理の中で、誤差をどう考えていくかという話があったと思うのですけれども、誤差を共通事業所についてどう出すかという点につきまして、前回の検討会の場で、稲葉先生、樋田先生からお話があったのが、共通事業所の母集団が何であるのかが定まらないと、誤差計算が難しいというお話があったかと思います。単純に標準誤差を計算するのは非常に困難な面があるのかなと思いますけれども、一方で、何らかの形で共通事業所と本系列の誤差のイメージをつかめないかということで、この資料2は変動係数を計算させていただきました。
変動係数自身は、今回も参考資料2で、一番最後に本系列と比較した共通事業所の集計値の特性という従来のものを配付しておりますけれども、これの5ページを見ていただければと思います。毎月勤労統計での標準誤差の計算方法についてということで、式を示しております。5ページのところの上に、第一種事業所の標準誤差の計算式として、Ci2がその式になるというところの、掛け算の2項目のほうの分数の分子ですね。ここにφiというものがありますけれども、これが変動係数に当たるものでして、それ以外は、母集団の事業所数あるいは回答事業所数で計算するという形になりますので、メインとしては、この変動係数の大小というのがきいてくるというものになっておりますので、そういう仕組みも踏まえて、母集団事業所数はわからないとしても、変動係数が本系列と共通事業所でどういうものになっているかというところを見たものが、この資料2でございます。
ですので、資料2に戻っていただきまして、2ページのところで御説明いたします。これは1人当たりきまって支給する給与について計算しております。変動係数は標準偏差を平均値で割ったものになりますので、それをそれぞれについて計算して、単位集計区分ごとに示しております。規模と産業が、表頭が規模、表側が産業というもので、2ページと3ページと、縦の見開きで全産業を上から下まで通しで見ていただけるような形になっております。
これで共通事業所と本系列を各セルごとに並べて、その差を計算したのが3つ目の数字になります。これで、○1から○2を引いておりますので、マイナスになると共通事業所のほうが変動係数は小さい、プラスになると共通事業所のほうが変動係数が大きいというものになります。
「1,000人以上」のところで見ますと、どこもそうですが、同じぐらいか、「500~999人」ですとマイナスのほうが多く立っているのかなという感じがいたしますけれども、各規模においてプラスとマイナス両方とも並ぶということで、全部プラスが並ぶと共通事業所のほうが変動係数が大きいものになるのですけれども、そういうものでもないのかなと。基本的にマイナスも出ているということで、共通事業所が一定の特性を持ったところを選んでいる、すなわち1年前と共通している事業所を選んでいるということもあって、サンプル数が小さい割に変動係数はそれほど大きくぶれていないのかなというものでございます。
これは1月分が最初の2ページ、3ページ、次の4ページ、5ページは、また同じように2月からというもので、これについて、12月分まで計算したというのがこの資料ですので、これもどう見るかというところで、先生方の御意見を聞かせていただければと思います。
資料の説明は以上です。
○今野座長
どうぞ。
○神林構成員
途中で中座いたしますので、感想なのですけれども、500人以上の事業所というのは、基本的に全数調査になっているわけですね。なので、共通事業所と本系列というのは、本来同じものが出てきておかしくないはずなのですけれども、たしか共通事業所のサンプルサイズは85%ぐらいでしたか。
○今野座長
2割減ぐらい。
○神林構成員
ですよね。なので、いわばリサンプリングした系列が、この共通事業所の系列に入っているわけですね。なので、直感的に言うと、ここで出てきている500人以上の事業所の共通系列の変動係数と、本系列の変動係数の差は、これが統計的誤差に入れていいのかなと思うのですが。何となく直感的には、これをベースにして、ほかの規模の差を評価する方法はあり得ないのかなというのがアイデアです。
極端な仮定としては、500人以上については全数調査になっていて、サバイバルバイアスはない、生き残りバイアスはないと考えて、たまたま共通事業所は本系列に対して80%ぐらいのリサンプリングしかしていませんという状態だと考える。それで、この変動係数の差、標準偏差の差でも構わないと思うのですけれども、それが。
○今野座長
それぐらいの範囲内だったら、まあまあではないかと。
○神林構成員
そんな感じですね。そこから先に出てくると、何らかの作為がかかっていると考えてよいのかもしれないというのが、直感的な自分のアイデアです。
とはいえ、場合によっては結構大きい数字が、そうでもないですか。先ほど見たのは、30年1月分で見ると、一番大きいので8%というのが、窯業、土石製品でありますね。あとは、不動産は「1,000人以上」で15%で、「500~999人」で7%ぐらいの差がありますので、やはり大きいのかな。どうするのだろうというのが、対処しようがないかもしれませんが、それが感想です。
○今野座長
ありがとうございます。
樋田さん、どうですか。
○樋田構成員
まだアイデアはないのですけれども、神林先生が今おっしゃったのは、これの一つの使い方としては有効かなと思いました。確かに標準誤差の計算の手がかりとしては使えるかなという気がします。
○石原構成員
そもそも誤差を見なければいけないというのは、どこから出てきたのですか。お休みしていたのでわからないので、教えていただきたいのですが。
○瀧原統計管理官
共通事業所自身が何を代表するものかという議論はもちろんあるのですけれども、今回の議論のスタート地点として、共通事業所をとるときに、1年前と両方とも存在するというので、どうしてもサンプル数が少なくなってしまうという中で、共通事業所の数値は誤差が大きいものではないかという議論があったかと思います。誤差が大きいのであまり有効な数字になっていないのではないかということに対して、例えば時間相関などを分析したのは、一定の時間相関を持っていれば、サンプル数が少なくても、それなりの一定の精度は確保できるのではないかという議論もありましたので、共通事業所の数字はサンプルが少ないのだけれども、一定のそれなりの精度は持ったものであるのかどうかというところを見たいというものです。
○石原構成員
わかりました。私たちは割と偏りを考えてきたのですけれども、それとは別に誤差も考えなくてはいけないと。
○瀧原統計管理官
そうですね。
○今野座長
端的に言うと、別に本系列があって、本系列は一定の誤差の範囲内でサンプリングをちゃんとやっています。それがあって、今度は共通系列をつくりました。多分、サンプル数は半分ぐらいになってしまいます。そのとき、この数字は、本当に信頼が置けるのということはあるね。大丈夫とか、だめとかという、そのときに、大丈夫、だめを、できる限りこの程度の誤差で大丈夫というような、計量的に言えればいい。
そのときに、一番問題は、母集団に比べてこれだけの誤差がありますよといったときに、母集団を何にするかというのは、実はみんなイメージが違っていて、それを整理するのにここはすごく時間がかかったのですけれども、多くの人は、オールジャパンを母集団だと思っている。我々の考える、もう一つのやり方は、既存店を母集団だと考えている。どちらにするかによって、計算の仕方が違うなということはあるのですね。
先ほど、母集団がわからないから正確にはかれませんといったときの母集団というのは、瀧原さんが言っているのは、既存店のことを言っているのだろう。
○瀧原統計管理官
それが母集団であるという前提のもとですけれども。
○今野座長
でも、この議論が始まったときに、皆さん、何となく母集団はオールジャパンだと思っていたのだよね。だから、そこまでは整理ができてきている。計算するとしたら、このぐらいしかできない。どう評価するかとか、どう使うかというのはあるけれども。
○樋田構成員
変動係数の数字から私が感じたのは、共通事業所は意外にばらつきが少なかったのかなというところです。共通事業所に対する否定的な見方の理由の一つは、共通事業所については、サンプルの中でばらつきが大きいはずだから、十分な精度が得られないだろうと考えていたことです。ですがこの数字を見ると、区分によってはばらつきが大きいですが、予想していたほどのばらつきではありませんでした。
その原因はまだ分かりませんが、各セルにおいて平均的な事業所が共通事業所のサンプルとして残っている可能性は高いのかなという印象をもちました。
○今野座長
そういうふうに前向きに捉えたとしても、産業によってはおかしいものはあるよね。そこを気にするとしたら、例えば、一つは、今後の使い方としては、産業別にはデータを出さないほうがいいのではないかという対応の仕方もあり得ますね。
○樋田構成員
あるいは、区分をもう少し大きくするという選択もできます。
○今野座長
大ざっぱにしてしまって、変動係数を一定のところに抑えるというのはあるね。それはいいかもね。
今はどのレベルで産業別で出しているのだっけ。共通系列は、産業別で出したのだよね。
○瀧原統計管理官
出していますが。
○今野座長
これのレベル。
○瀧原統計管理官
これのレベルではないです。もう少し大きいものです。
○今野座長
丸めてね。
○瀧原統計管理官
通常見ているのは、大分類レベルのものですね。
実は、先ほどの伸び率の分布のときに、これと関係しているので戻るのですけれども、資料1の4ページ以降の散布図の話をしたときに、単位集計区分でやったときには、どうも相関が高く出ていない。それは伸びの平均と平均の伸びの差があるので、それは置いておいての話なのですけれども、仮に先ほどの話で、伸びの平均と平均の伸びは、かなりそれなりに近いものになるとすると、結果的に平均の伸びでそろえてもあの散布図は近いような形になると思うのです。そのときに、全体として見て、当然ですけれども、本系列というのはサンプルの全部で、共通事業所というのはその中の一部をとったものだけなので、もしそれがランダムにとれていたとすると、傾向としては何らかの相関は出てくるはずなのです。
ただ、それはトータルとしての話なので、細かい産業まで分けてしまうと、そこでのあらわれ方は全体の平均をあらわすものになるかどうかというのは別問題だと思うので、4ページ以降のサンプルというのは、単位集計区分ごとに見たときに、どこでも同じ傾向が出ているかどうかというところを見ているものなので、そこはもしかしたら、そういう見方で本系列の伸びと共通事業所の伸びを見比べたときに、細かい産業までおりていくとそこまで明確にあらわれているものではなくて、ただ、全体として見れば一定のものになり得るということなのかもしれないと思ったのですけれども、そのあたりはいかがでしょうか。
○今野座長
でも、これは普通に考えると、全体で考えればサンプルが半分ぐらいですね。本系列から共通系列として半分をとってきているのだから、相関するのだったら、相関するのではないの。何となく直感なのですけれども。
どうぞ。
○野口構成員
ちなみに、今、2ページの相関を計算してみたのですけれども、やはり結構相関はありますね。
○今野座長
今、入力したの。
○野口構成員
はい。エクセルでばばっと。「30~99人」の平成30年のものと、「500人以上」の平成30年のものと、「100~499人」は両方とも相関有意で、あとは「30~99人」の30年のものと「5~29人」の29年のもので、結構相関はありますね。0.7とか、0.8とか。
○今野座長
では、高いね。
○野口構成員
だけれども、あくまでもこの2ページのものですね。
○石原構成員
ただ、それは先ほど神林さんもおっしゃっていた、マクロのショックを拾っているのではないかという感じがしますね。これだけばらばらで時系列で相関というのは、やはりマクロのショックがみんなにきいているということなのではないかと。○今野座長 理屈を整理したほうがいいな。
○瀧原統計管理官
あと、山田先生におっしゃっていただいた、この4ページ以降を、単位集計区分を時系列で見る。縦で見れば、恐らく先ほどの2ページのほうが相関があれば、単位集計区分ごとに見れば、またあるということになるということですね。
○山田構成員
だから、まさに2ページの時系列で見るというのは、マクロショックが共通しているので生まれてきているわけだと思うのです。ところが、4ページ以降はマクロショックの話ではなくて、そのときの伸び、だから、基本的にそれは直接4ページに相関があるとかないからといって、2ページの時系列に対してインプリケーションというのは、なかなかストレートに言えないのではないかと思うのです。
何度も言いますけれども、瀧原さんがおっしゃったように、4ページ以降を見ること自体は意味があると思うのです。どういう性格を持っているのかということを調べるためですね。でも、最終的に2ページの時系列的な相関に対してのインプリケーションを持っていくには、私はかなり限界があるのではないかと。もしそれを言いたいのであれば、私が申し上げたような分析をやってみるほうが、意味があるのではないかと。
○瀧原統計管理官
単位集計区分ごとに縦で時系列で見た場合に、それも一定の相関が仮にあるとした場合には、動きの方向を見るのには、共通事業所は一定程度意味はある。ただ、共通事業所自身が、その単位集計区分、産業の中でどういう位置づけにあるかというのは、かなり各産業によって違うでしょうということですね。
○山田構成員
まさにそうだと思います。
ただ、共通事業所に本来本系列の題材として期待されているところから見ると、時系列に相関があったとしても、その相関度がかなり精緻でないと意味はないのですね。そこから見ると、これはどう分析するのかというのは難しいのですけれども、私の直感的には限界があるのではないかと思うのですけれどもね。
だから、これまでの分析でも一定の時系列には恐らく相関はあるのだけれども、例えば具体的には、伸び率が0.5とかマイナス0.5とかと、非常にコンマの世界で動いているときに、もともとの平均の乖離が0.5%ぐらいあったときに、0.2と出たときに、これが実は真の値があるとしたら、マイナスかもしれないというと、そういうお話のものとして使うということにあまり意味がないのですね。
○瀧原統計管理官
私の理解がどうかはあれなのですけれども、今回の参考資料1のほうで、前回の神林先生の分析の追加ということで、各単位集計区分ごとにβに当たる共通事業所と本系列の比を出したのですけれども、それの参考資料の続きのほうの縦紙のほうなのです。これは月々の時系列でのβの数字を見ているのですけれども、これはβ自身を横で見ると、各セルごとで時系列というか、各月での1年間の動きで見ると比較的各産業ごとに安定しているかなというところはあって、そうすると、共通事業所と平均賃金額は同じような動きをしていくというのが見られるのですけれども、ただ、一方で、各産業で見ると、βは1を超えたり、超えなかったり、ばらばらなのです。
そうすると、各セルの中での共通事業所の意味合いはやはり違っていて、それを単純に平均で数字はとれますけれども、個々で見ると結構ばらばらで、ただ、時系列で見ると一定の意味合いは見てとれるというところは、もしかしたら、先ほどの4ページ以降の分布の、どちらかというと、これはクロスセクションで見ると縦で見ていますので、各月で共通事業所の伸び率と本系列の伸び率を比較してしまっていることで相関がないということが出ているのかなと。
○今野座長
今、参考資料の話が出たので、ついでにほかの資料も説明していただいて、全体で議論したいと思います。
○瀧原統計管理官
では、資料3をまず説明させていただきます。
資料3は、追加的なものです、前回、前々回のときに、稲葉先生から労働者の入れかわりの話がありましたので、1ページのところは、前回お示ししたものと同じでございます。各規模ごと、かつ就業形態ごとに、1年間たったときに労働者がどれぐらい残っているのかというのを、単純な計算ではありますけれども、各月の残留率が毎勤ではとれますので、それの12か月分の掛け算ということで計算したものです。残留率○1のほうは、残留率の平均を12か月分掛けたもので、○2のほうは、12か月連続して存在する事業所に対して、各事業所の残留率を計算して、それを平均したものという違いがあります。数字については、○2のほうが少し高目かなという感じはありますけれども、かなり似たような値になっている。
それを産業別に今回お示しするというのが、2ページ以降です。残留率自身は、この○2のほうを使っております。12か月連続して存在している事業所についてのものです。産業によって差があるかどうかというところで見たもので、規模別に、2ページが「500人以上規模」というもので、サービス系、ここで言いますと「飲食サービス業等」あるいは「生活関連サービス等」「教育、学習支援等」「その他のサービス業」あたりが、就業形態計で80%を切るという状況です。
その次のページが「100~499人規模」、最後のページが「30~99人規模」ですけれども、似たような傾向があるのかなというところと、規模別で見たときに「30~99人規模」のところが、比較的残留率が高目に出ている部分もあるのかなというところがございます。特にパートタイム労働者あたりは「500人以上規模」のところで低くなっている部分が多いのですけれども、それに比べて、少し規模が小さいほうが高かったりするのかなというものがありますけれども、大きな流れとしては変わりませんが、前回、規模別のみをお示ししましたので、少し産業に分けてお示しさせていただいたというものが、この資料3でございます。
資料4は1枚だけですけれども、今回、実質化の論点整理という中で、一度一橋大学の阿部先生からデフレーター、実質化のお話はヒアリングさせていただきましたけれども、今、国内の統計の実質化をどうやっているかというのを調べた範囲内のものですけれども、お示しさせていただいております。統計としては、毎勤統計も入れて3つということで、そのうち、毎勤統計は御説明してきましたとおり「消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)」というものを使って実質化しておりますけれども、家計調査におきましても、実収入、可処分所得及び消費支出の実質化というものに同じ「持家の帰属家賃を除く総合」というのを使っているということで、この2つは使っているものは同じものになります。
国民経済計算、内閣府でやっているものですけれども、こちらもデフレーターを持っておりますけれども、こちらのほうはここに書いてありますとおり、消費者物価指数、国内企業物価指数、輸出物価指数、輸入物価指数、企業向けサービス価格指数の各品目の物価指数を用いてつくっているというもので、全体的なつくりをしているというものでありますので、個別に一本でやっているというところの毎勤や家計調査とは違うものでございます。
なお、消費者物価指数は、なぜ、今「持家の帰属家賃を除く総合」というものを毎勤は使っているかというところの流れとして、参考に下に消費者物価指数の沿革を示させていただいております。消費者物価指数自身は1946年に作成を開始して、当初の総合指数というのは「持家の帰属家賃を除く総合」というものであったと。1970年に、基準改定の中で「持家の帰属家賃を含む総合」というのが参考系列として作成されて、その15年後になりますけれども、1985年の基準改定時に、この「持家の帰属家賃を含む総合」というのを総合指数として、これまでの総合指数であった「持家の帰属家賃を除く総合」の指数が基本分類指数の別掲項目となったというところで、総合指数が入れかわったということがございます。
毎月勤労統計は1985年以前からずっとやってきているものですので、それ以前との接続等も考えて、以前と従来の総合指数であった「持家の帰属家賃を除く総合」というものを引き続き使っているのであろうと考えております。
デフレーターについての整理ペーパーでございますけれども、説明は以上でございます。
○今野座長
ありがとうございます。
これは理解のために、資料3の残留率の出し方ですけれども、例えば、前期末の労働者数が100人いましたと。100人いて、1か月たって、10人やめましたと。そうすると、90割る100で。
○瀧原統計管理官
0.9です。
○今野座長
でも、その間ふえているかもしれないけれども、それは無視する。ふえた分は、その次の前末労働者の中で加味されると。
○瀧原統計管理官
そうです。ですので、今の今野先生の例で言いますと、100人いて、10人やめて、90人になるときに、その月は0.9で出します。その次の月を出すときは、90でスタートするのではなくて、もし仮に5人入職した場合には、全体人数が95人になっていますから、95人のうち何人やめるかというので、95分の、例えば3人やめたら92というので残留率を出して、それを掛け算にしていると。
○今野座長
それを12か月ずっと掛けるわけですね。
○瀧原統計管理官
はい。
○今野座長
わかりました。
これだけ見ると、意外にパートは残るのだね。
○瀧原統計管理官
そうですね。
○今野座長
それでは、これも含めて何でも結構です。
先ほどの資料2の関係なのですけれども、変動係数については、個々の産業では変動係数が、ここで言うと本系列と共通事業所系列の差の大きいところがあったりして、問題の産業があるということで、そうすると、産業をくくっていけばどうにかいいのではないかというお話でしたけれども、その辺は検討としてはどうするか。少なくとも、個別で出してしまうといろいろ問題だよねというお話だと思うのですが。
○瀧原統計管理官
個別というのは、くくったものを。
○今野座長
これで言うと、資料2で個々の産業が並んでいるではないですか。一つのアイデアとしては、個々の産業ごとに全部共通系列の値を出していくというのは、論理的にはあり得るわけですね。論理というか、可能なわけですね。それで、それをやってしまうと、この誤差の問題は大きいから、少し丸めていこうかと。そうすると、丸めることによって変動係数はある幅に抑えながらやっていこうかということは、あり得るなというアイデアだったわけですね。
○瀧原統計管理官
そうですね。
○今野座長
そうすると、作業として、そこから先はどうしようかと思ったのですけれども、我々としては、そういうアイデアだけここで整理しておけばいいのか、もう少し前に進むのか。イメージは、大分類ぐらいでやっていればうまくいくぞとか、このぐらいでやったらうまくいくぞみたいなことを仮にやってみたらこうなりましたぐらいはやるのか、今言ったような、この検討会として、定性情報で整理して終わりとするのか。
前から言っていますけれども、データ自身が過渡期で最終データではないので、私はあまり最後まで詰める必要はないというのがあるので、だから、どの辺までこの委員会としては作業しようかなというふうに思ったものですから、そういう発言をしたのです。
○瀧原統計管理官
1つの参考の数値として、そういう形でくくってみるというのはあると思うのですけれども、このあたり、樋田先生にぜひお聞きしたいのですけれども、ただ、実際にそれを誤差まで続けていこうと思うと、セルごとに抽出率が違うので、どうくっつけていくべきかということと、最終的に復元はそう単純にはいかなくなるのがありますので、そもそもの抽出自身を大きくしてしまえば問題ないのですけれども、個々にとっている中でまとめるというのをどう考えていくかというところは悩ましいかなと。
○今野座長
悩ましいね。
○樋田構成員
ここは難しい問題だと思います。抽出自体は層別に行っているので、層ごとに計算した誤差を、層化抽出における誤差計算の方法に従って全体の誤差を計算するというのが、理論的な考え方だと思うのです。ですが、賃金の推定式と抽出方法に対応する誤差計算の理論式をつくることがなかなか難しいため恐らくリサンプリング法を使うことになります。
そうすると、各層におけるサンプルサイズは既に小さいので、そのままリサンプリングを利用することがなかなか難しく、あらかじめ層の統合などの検討をしたうえでなければリサンプリングはできないと思います。そうすると、層をどうやって統合するのかという検討をしなければならなくなりますので、こうやったらいいのではないですかというアイデアを出すのは比較的簡単かもしれないのですけれども、実際の作業はそう簡単ではないのかなという印象を持っています。
○今野座長
ということは、ここから先の作業は難しいということだ。とりあえず定性的に書いておけばいいかと。
○樋田構成員
ここは稲葉先生にぜひ御意見を伺ってほしいところですけれども、作業が難しいということについては、同じ意見になるのではないかと思います。
○今野座長
あまり難しいことを言わないで、これとこれをくっつけたらいいかとか、そんなことをしないで、まあいいや、中あるいは大分類ぐらいだけでやったらどうなるかというのはできないの。
○樋田構成員
それはできると思います。
○今野座長
あまり凝って違うまとめ方をしても世の中には通じないから、常識的なまとめ方をやったときに、誤差がこのぐらいにおさまるというぐらいだったら平気。
○樋田構成員
可能性はあると思います。
○石原構成員
それが前から問題になっていた、共通事業所の母集団は何かということにも通じるものですか。
○樋田構成員
それは前回、共通事業所の母集団は、全国の継続事業所であるということになったと思うので、全国の継続事業所の母集団の様子を何らかの方法で推計できたとして、そこに一般的な誤差の計算を適用したらどうなのかという話です。
○石原構成員
やはり継続事業所をとってくるというのは難しいですか。
○樋田構成員
継続事業所の母集団というのは、データとしては存在していないわけですから、それをどうつくるかというのはなかなか難しいと考えられます。単純な方法としては、たとえば直近の2時点間を使って線形補間を応用ウェイトをつくった上で推計値をつくり、その後、誤差計算をするというような整理だと思います。
○石原構成員
ありがとうございます。
○今野座長
その辺は少し、一番のプロの稲葉さんとお二人で、大体こんな感じと言ってもらえると。
○樋田構成員
アイデアとしては、今申し上げたような形だと思います。
それからに、資料3についてなのでけれども、これは非常に有用な情報だと思うのです。私は1年間でパート労働者は相当移動しているのだなと感じました。共通事業所についての統計委員会等の議論では、事業所が共通しているのだから、平均的な労働者の賃金の動きはより正確にはかれるのではないかということだったと思うのですけれども、ここで見るように、パートでも一般でも、そこそこの数が1年間に入れかわっているということがわかると、事業所は固定されていても、労働者は相当入れかわっていて、単純に比較しただけでは、賃金の平均的変化を捉えるのは難しいのではないかということになると思います。
もしそういったものを捉える必要があるのであれば、何らかの方法で補正をする必要があって、例えば、事業所内での労働者の数の移動がなかった場合には、こういう変化になっただろうというのを捉えることができれば、同じところで働いている労働者が獲得する賃金が全体的にどう変化したかというものの代替物になるのかなという印象を持ちました。
○今野座長
私はパートが一般労働者と比べて意外に動いていないなと感じました。ただ、今、樋田さんがおっしゃった点は、ここでもかなり前から議論になっていたことで、これは神林さんの基本的なアイデアですけれども、この共通事業所というのは、別に個々の労働者の賃金がどう動いたかなどは表現していない。これは単に、事業所の1人当たりの労務費がどう動いたかで捉えるべきだというのが、一つの典型的な見方です。
もう一つは、樋田さんが言うように、そうではなくて、1人の労働者の中でどのように変化したかというのを見るのだったら、今、言われたように、労働力構成などの変化を全部コントロールして、それで出せばいい。
とすると、問題は、そのときに毎勤にそんなデータは入っていないではないか、せいぜい入っているのは男女比率とパート比率しかない、したがって、そんなことは難しい。したがって、まだ、決めているわけではないですけれども、何となく共通系列というのは、個々の労働者の賃金の変化率をかなり遠く離れて表現している。そのものから遠く離れて、一番近いのは、事業所の1人当たりの労務費がどう変化したか。個々の労働者の賃金がどう変化したかということについては、それがないと言ってしまうと問題なので、かなり離れた指標です。離れたあるいは遠いという性格を持って、そういうことを表現している指標ですと言おうという感じには、何となくここではなったのですね。
ついでにもう一つ、労働力構成を全部調整して1人当たりの賃金変化率に見ようかというのは、神林さんがやってくれて、一応計算式はやってもらいましたけれども、あのときに入ったのは、結局、パート比率と男女比率だものね。そういうことだと思います。そのように私は全体としては理解しているのですけれども。
○瀧原統計管理官
その関係で、理論的には今野先生のおっしゃるような方向かなとは思っているのですが、実は前回、樋田先生に御指摘をいただいていた話で、この残留率を見たときに、残留率の高さと賃金水準に影響があるのかというお話がありまして、次回、そこをお示しさせていただこうと思っております。
ただ、今回、間に合わなかったのですけれども、ざっと見たところ、単純には、要は、残留率が高いところは賃金が高くて、残留率が低いところは仮に賃金が低いとすると、何となく残留率が100%になったときにはこれぐらいというのが、もしかしたら推計できるというのは理論的にはあり得るのですけれども、次回の議論になりますけれども、実はそこまで明確にはない感じはします。賃金が高いところはいいところなので安定するというのは、理屈的にはありそうなのですけれども、一方で、賃金を高くしてどんどん人を回していくという傾向のあるところもあるみたいで、そこが今回の共通事業所でとれるとすると、残留率と賃金水準というところは、次回、お示ししたいとは思っていますけれども、なかなかあまり関係はないかもしれないという状況ではございます。
○樋田構成員
事業所属性をコントロールして賃金変化を計算しなければいけないというのではなくて、そうしなければ、1人当たりの賃金変化は調べられないだろうということです。ですけれども、このデータにそこまでの情報はないので、そこに限界があるということを示すのがこちらのデータだと思うのです。
○今野座長
この残留率ですけれども、これは入れかわりの表現の一部しか表現していないからね。入ってきているのは入っていないのですね。だから、入れかわりといったら、もっと多いということですね。
○瀧原統計管理官
そうです。
あと、気になるのは、冒頭に書いてありますけれども、残留率というのは独立したものだということなのですけれども、でも、実際には新規に入ってきた人の残留率と前からいる人の残留率は違うはずなので、そこが全く加味できないというところが限界ではあります。
○野口構成員
関連して、確かに残留率と賃金水準はあまり相関がないみたいだということだったのですけれども、資料2の変動係数ですか。これは本当に目視なのですけれども、ひょっとしたら残留率が低いと、散らばりが大きいかなという気がしたのです。要するに、共通事業所との誤差が、絶対値がですけれども、大きくなっているのかなという気はしたのです。だから、ひょっとしたら、その水準には影響しないかもしれないけれども、ばらつきに、入れかわるとそれだけ新たに評価しなければいけない労働者が入ってきて、すごくいい人がやめる、生産性が低い人がやめる、いろいろなパターンがあると思うのですけれども、残留率が低いといろいろな生産性の人が抜けたり入ったりするので、ひょっとしたら偏差が大きくなっていくかなという気がしたのです。
○瀧原統計管理官
そうですね。だから、極論ですけれども、残留率100%だと、あまりぶれないでしょうね。
○野口構成員
ほとんどぶれないはずですね。
○瀧原統計管理官
もちろん残留率が低くなったからといってぶれるとは限らないのですけれども、ただ、そういう可能性は十分あるということですね。
○野口構成員
そうです。だから、誤差が大きくなっていってしまうかなと。これは大分類でされていますね。先ほどの話と共通なのですけれども、こちらをもし大分類でされてみたら、相関を見ていただけるとおもしろいかなと。
○瀧原統計管理官
なるほど。
○今野座長
いずれにしても、この共通系列を使うとしたら誤差評価はどこかでやっておかなければいけない。そうすると、誤差の問題をクリアするには、どういう形で共通系列を出すのかというのはテーマとしては必ず残るので、そのときに先ほど出たような産業をどうくくるかという問題は、どうしても残りますね。だから、その辺の作業をどこまでここでするかは別にしても、少なくとも私としては、方向性ぐらいはつくらないと、今度の報告書ができないかなとは思います。
○石原構成員
誤差の話なのですけれども、共通事業所というのを導入したときに、誤差の精度がどうなるかということを、統計委員会などでそういう議論をしているのではないかと思うのですけれども、それはあまり御存じではないですか。新しいことを始める、統計をつくりましょうというとき、新しい統計ではないけれども、ちょっとやり方を変えるときに、ローテーション・サンプリングを導入しましょうというのを統計委員会で議論して出てきて、そのときに、そこから出てくる共通事業所の数字をつくりましょうというのも一緒に議論しているのではないかと思うのです。そこで精度の話もしているのではないかと思うのですが、その資料があると、統計委員会が何をどこまで考えているかというのが、あまり考えていなかったかもしれないのですけれども、ないですか。
○瀧原統計管理官
結論的には、そこまでの議論はされていないですね。今回の共通事業所の導入自身が、ローテーション・サンプリングを入れて、ギャップ修正はしないという中で、そのギャップをどう評価するかという中で、共通事業所をとる。その共通事業所というのが実際にどれぐらいとれるのかということとか、統計委員会も議論することが非常に多岐にわたっていますので、方向性のみは示しておりますけれども、そこまでなかなか細かいものは。どちらかというと厚生労働省がそれに対してどこまで事前に検討を進めたかというところによるのだと思いますけれども、この共通事業所という参考値をつくることに注力した部分がメインでして、実際にどれぐらいの誤差になり得るのかというところ自身は、実際に数値を拾っていく中で見るということで、まさにこういう形で今やらせていただいていますけれども、事前に既にその辺は検討されていたというものではないです。
○石原構成員
もしかしたら、この毎勤ではなくて、統計委員会がこういう継続的なデータをとる場合の方針をどこかで話し合っているのではないかと思うのですけれども、そんなことはないですか。
○今野座長
例えば方針というのは、こういう重要統計を系列的にとるときには、誤差は大体この程度の範囲内でないといけないよという意味での方針ね。
○石原構成員
はい。あと、ローテーション・サンプリングを入れる、それで三角修正をするのをやめるというのも統計委員会で話し合われているので、やめるという決定をしてローテーション・サンプリングを入れましょうという決定をしているので、毎勤ではない、もしかしたら大きい方針があって、その方針にのっとって修正をやめたりということをしているのではないかと思うのです。そうすると、そこで修正しないほうがいいという統計的な議論をしているのではないかと思うのですけれども。
○今野座長
私の認識は、統計委員会は個々の統計についてそんなに細かくやるのは。
○石原構成員
毎勤ではなくて、全体として。
○今野座長
全体としてね。
○石原構成員
やっていない。
○瀧原統計管理官
もちろん、ギャップ修正に関して言うと、あまりそういう形で修正したものが多くないということと、データが過去に戻ってさかのぼることをどう考えるか。あと、ギャップ修正というのは、当然ベンチマークがあっての話なので、そのベンチマークを、明らかにそこが正しいというものに関しては、ベンチマークに合わせていくというのは意味があるので、労働者数、毎勤で言うと、常用労働者数に関しては経済センサスの数字がありますので、そこに合わせていくという修正は、これは今でもやっているのです。ただ、一方で、賃金とか労働時間というのは、何が正しいというのがない値だと、この経済センサスをやったときなりなんなりの時点において、これが世の中の真の値ですというものがある場合には、そこに合わせればいいのだけれども、賃金とか労働時間は、それに相当するものがないので、あえて合わせて修正するという形はとらなくてもいいという整理ではあるのですが。
○石原構成員
多分、その整理をしたときに、何かの方針にのっとって整理をしているのではないかと思うのです。毎勤に関してではなくて、継続してサンプルが重複するような形でとっていくデータは毎勤以外にもありますね。そういうものに関してはどういう方針で調査をするみたいなもの。
○今野座長
例えば、基本的にはサンプリングの方法はこうしましょうとか、そのときは誤差はこの程度の範囲にしましょうとか、あるいは、今言った過去にさかのぼる修正方法は、aとbとcの方法のどれかにしましょうとか、そういう意味だろう。
○石原構成員
そうです。
○今野座長
そういう方針があって、それにのっとって毎勤についてもリクエストしてきているのではないかという質問だよな。
○石原構成員
はい。
○今野座長
やっと理解できた。
○石原構成員
説明が下手ですみません。そこを見ると、もしかしたら誤差に関してこれだけみたいな理論があるのではないかと思うのですね。
○瀧原統計管理官
結論的には、ないですね。今回の場合、もちろん誤差は、標本設計をする際の誤差、統計をやる場合に、抽出でやる場合にはどう誤差を設定するかという、その標本設計という意味では確立されたものかと思いますけれども、一方で、今回というのは、ギャップは出る、それはデータが、サンプルが入れかわることによって出る誤差なので、この共通事業所で同じところをとれば、入れかわりの誤差は排除できるだろうという考え方で、こういう継続的なサンプルをとってみてはどうかと。それによるものが、参考系列として、参考値として示せるのではないかという段階のものですので、この参考値を一つの統計として確立するというところまでには至っていない。あくまでも参考に示すものだということが、そこまでの議論になっていないところだと思います。
○石原構成員
では、ここでやらなければいけないのですね。
○今野座長
我々が考える。
○石原構成員
わかりました。
○今野座長
それでは、そろそろ時間ですので、先ほど、私の言った誤差の問題は、どうにかいいのを考えて。
○瀧原統計管理官
はい。
○今野座長
樋田さんと稲葉さんと相談されて、ですから、先ほどからしつこいようですけれども、ここでどこまで作業するかというのは別で、大体こんなことが考えられるかなということでもいいと思うのです。
もう一つ、まだうまく整理できていないのですけれども、今日の資料1の2ページ目のデータと4ページ目のデータの関連ね。我々もそうですけれども、そこのロジックをもう少し整理することが大事かなというのが、今日の大きな成果だったかと思います。
それでは、今日はほかにありますか。
○瀧原統計管理官
特にございません。
○今野座長
よろしいですか。
ちょっと早いですけれども、終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
○細井統計企画調整官
本日も長時間にわたりまして、御審議いただき、ありがとうございます。
次回の開催につきましては、日程調整の上、改めて御連絡を申し上げますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、これをもちまして、第11回の検討会を閉会させていただきます。お忙しい中、御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。
(了)
照会先
政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室 政策統括官付参事官付統計企画調整室
電話:03-5253-1111(内線7609,7610) 03-5253-1111(内線7373)