地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会(第4回) 議事録

日時

令和元年7月5日(金) 13:00~16:00

場所

TKP赤坂駅カンファレンスセンター ホール13B

出席者

構成員(敬称略・五十音順)

・朝比奈 ミカ   中核地域生活支援センターがじゅまる センター長
                          市川市生活サポートセンターそら 主任相談支援員
・池田 洋光            高知県中土佐町長
・池田 昌弘    NPO法人全国コミュニティライフサポートセンター 理事長
・大原 裕介    社会福祉法人ゆうゆう 理事長
・奥山 千鶴子     NPO法人子育てひろば全国連絡協議会 理事長、認定NPO法人びーのびーの 理事長
・加藤 恵     社会福祉法人半田市社会福祉協議会半田市障がい者相談支援センター センター長
・助川 未枝保     船橋市三山・田喜野井地域包括支援センター センター長
・立岡 学     一般社団法人パーソナルサポートセンター 業務執行常務理事
・田中 滋     埼玉県立大学 理事長、慶應義塾大学 名誉教授
・野澤 和弘    毎日新聞 論説委員
・原田 正樹    日本福祉大学副学長
・平川 則男    日本労働組合総連合会 総合政策局長
・本郷谷 健次     千葉県松戸市長
・宮島 渡       全国小規模多機能型居宅介護事業者連絡会 代表
          社会福祉法人恵仁福祉協会高齢者総合福祉施設アザレアンさなだ 総合施設長
・宮本 太郎        中央大学法学部 教授
・室田 信一    首都大学東京人文社会学部人間社会学科 准教授

議題

(1)包括的な支援について②
   ・地域づくりの必要性とあり方
   ・地域住民のケア・支え合う関係性(福祉の観点からの地域づくり)
   ・多様な担い手の参画による地域共生に資する地域活動の促進
   ・包括的な支援体制の整備のあり方

(2)これまで(第3回まで)の主な意見等について

議事

○藤野地域福祉課課長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第4回「地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会」を開催いたします。
皆様におかれましては、大変お忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございます。
本日、加藤構成員、宮島構成員、奥山構成員については、おくれて御出席されます。
また、菊池構成員、助川構成員、堀田構成員、知久構成員からは欠席の御連絡をいただいております。
続きまして、資料の御確認をさせていただきます。
本日の資料は、全部で9点ございます。
上から順に御確認いただきますと、議事次第、座席表がございまして、資料1「包括的な支援について②」という資料がございます。
資料2ですけれども「ご議論いただきたい論点」。
資料3といたしまして「地域共生社会推進検討会におけるこれまで(第3回まで)の主な意見」。
資料4「中間とりまとめに向けた議論の整理(案)」。
参考資料1といたしまして「構成員配付資料」。
参考資料2といたしまして「『経済財政運営と改革の基本方針2019(骨太の方針)』等」。
参考資料3「『地方創生×全世代活躍まちづくり検討会』中間報告(まち・ひと・しごと創生本部資料)」。
参考資料4「本検討会構成員名簿」。
この資料となっております。御確認をお願いいたします。
なお、資料1の19ページが古いものとなっておりましたので、差しかえ版を各テーブルには置かせていただいております。ホームページに掲載する際には差しかえ版を掲載いたしますので、御留意ください。
それでは、ここからの議事運営について、宮本座長にお願いしたいと存じます。
カメラの方々は、これで御退室いただきますよう、お願いいたします。
(カメラ退室)
○宮本座長 きょうもお忙しい中、お集まりいただき、まことにありがとうございます。会議を始めていきたいと思います。
今回もいささか長丁場でございますので、前半と後半に分けて、間に10分間の休憩を挟む形で進めてまいりたいと思います。
前半では、包括的な支援について②ということになりまして、継続する議論でありますけれども、前回までの検討で残されている論点、すなわち、地域づくりの必要性とあり方について。それから、地域住民の支え合う関係性、相互のケアについてという論点。それから、多様な担い手の参画による地域共生に資する地域活動の促進という点。さらには、包括的な支援体制の整備のあり方、こうした論点について御議論をいただきたいと思います。
後半になりますけれども、先ほど、資料の説明にもありましたように、前回までの皆さんの議論に基づいて、事務局のほうで中間取りまとめに向けた議論の整理、その(案)がまとめてございます。
これについて、皆さんの意見を承っていきたいと思います。何とぞ、よろしくお願いいたします。
それでは、前半戦ということになりますけれども、包括的な支援について、事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。
○野﨑生活困窮者自立支援室長 生活困窮者自立支援室長の野﨑でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、まず、私のほうから資料1について御説明を申し上げたいと思います。
1ページおめくりいただければと思いますが、1ページですが、これは以前もお示しした資料になりますが、今回、御議論いただきたいのは、このうちの赤い枠をつけた部分、左側でいうと、丸ごと相談の実現のうちの「地域における伴走体制の確保」。これは、福祉的な観点からの地域づくりということを念頭に置いたものでございます。
また、一方で、地域づくりの取り組みのようなものは、必ずしも福祉分野だけで行われているものではないので、より多様な主体がつながって活動していくという意味で、右側にございますが、地域共生に資する取り組みの促進、そのための方策は、どのようなものがあるかということについて、大きな2つの軸で議論をいただきたいと思っています。
まず、その前提として「地域づくりの必要性とあり方」ということについて、3ページ以降になりますけれども、3ページから5ページまでは、地域づくりの政策的な位置づけということでございます。
3ページは、当方でやっておりますモデル事業の中で、この1番の紫色の囲いをつけているところですが「地域福祉を推進するために必要な環境の整備」ということで位置づけがされているということ。
また、4ページになりますけれども、介護保険の中でも、介護支援の、いわゆる地域の自助、互助の好取り組みを全国展開するであるとか、あるいは生活支援コーディネーターを置く、あるいは協議体を設置していくことで、その地域づくりの取り組みを進めていくということが、介護保険の中でも位置づけられている。
また、5ページになりますけれども、生活困窮者自立支援制度の中でも、2番の「制度のめざす目標」の中で、(1)の生活困窮者の方の自立と尊厳の確保という個別支援の中で、それを通じた地域づくりというものが(2)番として位置づけられております。
6ページからが、そういう中から生まれてきた、さまざまな実践の御紹介のスライドとなります。
6ページは、以前も御紹介をさせていただいておりますので割愛いたしますが、大阪府豊中市における住民主体の地域活動の事例です。
7ページ、8ページは、大田区のおおた高齢者見守りネットワークというところで、医療法人が母体となっている地域包括支援センターのセンター長さんが、その制度の外で取り組まれている「みま~も!」という取り組みでございます。
民間企業が協賛金を出し合って活動をするとか、商店街の空き店舗を改修してステーションをつくるとか、あるいは住民がやりたいことを実現できる場を提供すると、そういうような理念のもとでやっていらっしゃいます。
また、当初は、高齢者の方の見守りということでスタートした取り組みですけれども、一番下の四角になりますけれども、その母体である病院が、地域の居場所として「大森語らいの駅」というものを新しく設けまして、そこでは全世代全対象型の地域包括ケアを具体化していく、つまり多世代交流の拠点としての機能というものを、今、持っているということとなっております。
8ページは時間の関係上、飛ばしますが、9ページでございますけれども、また、別の実践例として、埼玉県幸手市杉戸町で行われている取り組みでございます。
この中では、若干資料が細部にわたっておりますけれども、Aのところのソーシャルワークというところで、ケアリング・コミュニティを手に入れることができるように、ソーシャルワークを通じて支援をするのだという考え方として、左下の留意点のころにあるように、3つ目の点、全ての住民が多様で複数の集団に接続、包摂されながら支え合い、QOLを追求することができるようなケアリング・コミュニティをつくっていくということ。
また、個人のQOLを目的とした継続的な支援活動をする。さらに、そこにおいて、支援をする人も支援の対象とするのだとか、あるいは地域は必ずしも福祉的ではないこともあるので、それを前提として、専門職によるソーシャルワークというものを不可欠な基盤として、そこに位置づけをしていくというような考え方で取り組まれている実例でございます。
また、10ページですけれども、こちらの生活困窮者自立支援の中から生まれている取り組みですが、里山の保全という地域の課題の解決を目指す中で、生活困窮者の方であるとか、障害者の方とか、そういう方々が社会参加する、社会とつながり参加していくと、その基盤として、この里山整備というものを用いて、その価値を両方実現するというような取り組みをされている例です。
このような実践も踏まえつつ、11ページを見ていただければと思いますが、以前お示しした資料でありますけれども、ここで言う、前回の検討会までで御議論いただいてきた、左上の専門職による伴走支援に加えて、右上にありますが、地域住民同士のケア・支え合う関係性というものがあって、その双方がセーフティネット構築の基盤となっていくのではないかという考えを、以前もお示ししたところでございます。
また、12ページも、以前提出した資料を若干改変してございますけれども、上の四角の2つ目の矢印が追記しているところですけれども、これまでの福祉政策は、ともすると、福祉サービス等の(準)市場の環境整備というところに重点が置かれてきたけれども、これまで検討会で見てきたように、血縁、地縁、社縁といった共同体の機能の低下を踏まえると、これら(準)市場、共同体・コミュニティあるいは行政という3つの機能のバランスを保つためには、共同体・コミュニティのケア・支え合いなどの機能の充実を図るということの環境整備が必要ではないかと。
1つは、この共同体・コミュニティの機能に対して行政から伸びているように、多様なケア・支え合う関係性を育むための環境整備を進めるということ。
もう一つは、左下にあります(準)市場の機能から伸びているように、コミュニティ活動に、例えば、福祉サービスの担い手から、それを支えるようなサポートをしていくというような2つの枠組みが考えられるのではないかという考え方を提示させていただいております。
14ページが、今、申し上げたようなことを踏まえた論点になりますが、少し割愛して3つ目の四角になりますけれども、地域における包括的な支援体制を検討する際には、断らない相談支援や、社会とのつながりや参加の支援のための方策とともに、多様なコミュニティにおけるつながりを育むための方策を検討する必要がある。
しかし、一方で、地域の暮らしを構成しているのは福祉だけではなく、本人や地域が抱える課題も直接福祉に関係するものではない。また、福祉を含む地域の社会経済活動は、地域社会の持続ということを前提としている。
このようなことを踏まえると、最後になりますが、誰もが多様な経路で社会に参加することができる環境を確保する観点からは、地域の持続可能性への視点を持つとともに、まちづくり、地域産業などほかの分野とのの連携・協働を強化することが必要なのではないかということでございます。
という意味で申し上げると、1つは、福祉の観点からの地域づくりをどのように進めるのかということ。
もう一つは、福祉の領域だけではなくて、他領域とも連携した地域づくりということをどういうふうに模索していくのかという2点、それが、今回の地域づくりの大きな枠組みということになります。
まず、福祉の観点からの地域づくりというのをまとめたが、15ページ以降のスライドになりますが、16ページは、検討会ないし自治体協議での御意見をまとめたものでございますが、これまでの検討会の中でも、地域づくりの重要性あるいは社会とのかかわりということが個別支援を生かしていくという上でも非常に重要なのだというような御意見をいただいております。
また、個別支援と地域づくりの専門性は分けて考えるべきだというような御意見も、これまでもいただいているところでございます。
17ページ以降は、少し福祉の分野からの地域づくりということで、幾つか大きく我々のモデル事業と、あと、介護保険の生活支援体制整備事業と、この2つからの実践例を取り上げております。
個々には御紹介いたしませんが、大きな視点として、モデル事業の取り組みも、生活支援体制整備事業、介護保険の取り組みも、例えば、17ページを見ていただくと、赤でくくっている場の機能と、青でくくっている人の機能というものが、両方に含まれるのではないかという分析を簡単ですが、させていただいております。
また、19ページからが介護保険の取り組みになりますが、大きく言って生活支援コーディネーター、コーディネーターの役割としては、1つは資源開発であり、2つ目、真ん中ですが、ネットワーク構築、3つ目はニーズと取り組みのマッチングというようなものが考えられていて、また、そこにそれを支える協議体として、多様な関係主体間の情報共有、連携・協働ということを進めるという枠組みが示されているということです。
また、介護保険の関係で少し補足をしますと、20ページの事例ですけれども、このコーディネーターの役割を必ずしも専門職が担っている場合だけではなくて、真ん中にございますが、地域住民がサロン立ち上げに向けて活動をスタートするというような、いわゆるコーディネーター的な役割を住民が担うというような実例もあり、そして、それをきちんと区役所などがバックアップをしていくというモデルが書かれているということでございます。
22ページになりますけれども、これまで、全体像になるので若干わかりにくいですが、これまで御議論させていただいてきた、左下にあるような断らない相談の機能と、右側にある前回出口支援としておりまして、名称に幾つか御意見をいただいたので、今回、参加支援と呼びかえておりますけれども、社会とのつながりや、参加を支援していくような機能と、そして、上にあります、地域住民同士のケア・支え合う関係性、そして、それをコーディネートするような機能と、このような機能が、これからの包括的支援というものの体制を構築していく上で必要なのではないかという俯瞰図を一旦描いてみたものでございます。この図についても、後ほど御意見をいただければと思います。
また、23ページからが、ここまで申し上げてきた福祉の観点からの地域づくりに関係する論点となりますけれども、まず、1つ目の四角ですが、地域づくりを進めていく上では、世代や属性にかかわらず、以下の機能の確保が必要と考えられるがいかがかと。
1つ目は、ケアを支え合う関係性を広げ、つなげていくコーディネートの機能。
また、2番目として、住民同士が出会うことのできる場あるいは地域における居場所というような機能という2つが必要なのではないかと。
特に、このうち1番のコーディネートの機能については、介護保険の今の取り組みの枠組みも踏まえた上でですが、1つは、3つの機能の役割があるのではないかと。
1つは、社会資源の開発であり、2つ目がネットワークの構築であり、3つ目が人と人、人と地域資源がマッチングしていくということではないかということで問いかけをさせていただいております。
さらに、先ほど介護保険の実例で見ていただいたように、地域の実践を見ると、今、申し上げた3つの役割のうち、3つ目の人と人、人と地域資源のマッチングという役割は、日常的なかかわりが基礎となるということから住民が担っていて、これを支援するために、行政や専門職が1番と2番の役割を担うということによって、持続する取り組みを進めているという例も見られる。
このように、先ほど申し上げたコーディネート機能を確保していくに当たっては、その機能の全てを1つの主体が担うという形態だけではなく、役割の性格に応じて異なる主体が連携して担うという柔軟性を確保するということが1つ。
また、特に、住民が役割の一部を担う場合には、それを行政や専門職がしっかりと支えていくというような視点が必要なのではないかという論点を提起させていただいております。
さらに、下から2つ目の四角ですけれども、先ほど、大田区の「みま~も!」の取り組みで見させていただいたように、福祉分野において講じられてきた地域づくりの実践では、1つの属性に着目して始まった取り組みが、属性を超える取り組みへと進化していくという例が見られると。
また、地域づくりの取り組みを参加という観点から見ると、子供から高齢者まで多様な住民が参加し得るものであり、また、そういう取り組みによって、生まれ広がる、ケア・支え合いの関係性というものが、世代・属性を問わず住民の暮らしを支える基盤となるということです。
このような福祉分野における、実際の取り組みを踏まえて、この地域づくりを推進していくための方策として、どのようなことが考えられるか、この点についても、御意見をいただきたいと。
最後の四角については、先ほどごらんいただいた俯瞰図です。全体の絵についても御意見をいただきたいというものでございます。
ここまでが福祉の観点からの地域づくりです。
24ページ以降は、福祉の領域を超えた地域づくりというところに入っていきたいと思います。
25ページは、以前にお示しをした図で、このような多様な主体が参画をして、真ん中にある地域共生に資する地域活動に参画を促していけるようなプラットフォームをどうつくれるのかというところが、以前より申し上げている論点であると考えております。
そのような多様な主体の参画ということを考えていくと、必ずしも福祉分野だけではなく、厚生労働省の取り組みだけではなく、例えば、26ページ以降に、各省庁の取り組みを今回紹介させていただいております。
例えば、26ページは、内閣府まち・ひと・しごと、地方創生の文脈での全世代・全員活躍まちづくりというものの政策の取り組みを御紹介し、また、27ページ、28ページでは、国土交通省のまちづくりの観点からの取り組みです。
例えば、28ページを見ていただくと、今、彼らが進めているものとして「『居心地がよく歩きたくなるまちなか』づくり」ということの中に、例えば、Dでありますけれども、ダイバーシティーとして、多様な人々の多様な交流を意識した空間の用途、使い方というものをどのように考えていくのかであるとか。
あるいは、Oのオープンのところにありますけれども、歩道や公園の環境整備をすることによって、そこにいたり、とどまったり、そして、また交流が生まれやすくするにはどのようにしたらいいのかというまちづくりの視点が描かれています。
また、29ページ、30ページは、地域自治の観点から、総務省が進めております、地域運営組織の取り組みというものを書かせていただいておりまして、この中で、活動実態のところ、29ページですが、主に小学校区の範囲で活動をし、86%が法人格を持たない任意団体が行っている。
それが、今、全国で711市町村にまで広がっているということでございます。
また、30ページには、それを地方交付税の中で措置をされている。その措置の内容は、運営支援も含まれておりますし、また、地域運営組織を形成していく局面での財政支援も含まれているということでございます。
さらに、地域自治の文脈で、31ページでございますが、最近、総務省が自治体戦略2040というものを進めている中でも、右側にありますけれども「公共私によるくらしの維持」というところで、新しい公共私の協力関係を構築していく、あるいは右下にありますが、暮らしを支える担い手の確保という中に、地域を基盤とした新たな法人類型というようなものも検討されているということでございます。
さらに、他分野ということで、32ページ、33ページは、環境省の取り組みでございまして、環境省も地域循環共生圏という考え方を掲げて、各地域が特性を生かした強みを発揮する中で、自立分散型の社会を形成し、また、地域の特性に応じて補完し、支え合うという考え方のもとで環境政策というものを位置づけております。
この地域循環共生圏の考え方は、環境省の中でも大分大きな政策のイニシアティブになりつつありますので、ここで御紹介をさせていただいております。
このような、各省における取り組みに加えて、34ページは、地域の実践で、厚生労働省のあるモデル事業の中で行われている事例なのですけれども、久留米市の実践を御紹介したいと思います。
この中では、左側にあります、関心縁と課題縁という大きな2つの縁のつくり方というのがあるのではないかという考え方のもとで、左側の関心縁の中には「メリコア」と書いてありますけれども、女性の活躍を促進していくというNPOであるとか、あるいはお母さん大学という、お母さんのコミュニティづくりみたいな、いわゆるこんなことをしたいとか、どきどきする、わくわくする、楽しいという観点から集まっていたコミュニティというものが、そのモデル事業を通じて、右側にある課題縁の観点から取り組んでいらっしゃるさまざまな主体と出会うということです。
例えば、一番右にある「S・ぱ~ぷるリボン」と書いておりますが、DVであるとか、性被害に遭った方の支援をしているNPOとかと出会い、その中で、この地域には、こんなに深くて重い課題があるのだということを、この関心縁で集まった皆さんが知り、これまでまちづくりを楽しいという観点からやっていた、自分たちのつながりづくりを、もう少し地域を意識して広げていこうと、そういうような変化につながっているということが見られ、下にありますように、関心縁と課題縁というものが相互作用することで、コミュニティづくりの視点が拡張していくということと、地域の課題を解決していくという力が高まっていくというようなことが、この実践の中から見られていると。
こういったようなことをまとめたのが、35ページになるわけですけれども、下の絵で説明をいたしますが、福祉サイドからのアプローチというのは、中心となるのは個別支援で、あるいは相談支援のようなものの中から、先ほど困窮者支援の中で、個別支援を通じた地域づくりというのを見ていただきましたけれども、その個別支援を行う中で、右側のほうに、いわゆる地域の課題解決ということを目指した地域づくりに発展していくという動きが見られると。
また、右側ですけれども、まちづくり・地方創生といった他領域からのアプローチでは、興味・関心から始まるまちづくりがさまざまな出会い、地域の課題とか、地域のほかの課題縁でずっとつながっていらっしゃる方々との出会いを通じて、人・暮らしを中心に据えたまちづくりに変化をしていくというような動きが、ダイナミズムが見られるのではないか。
このような相乗効果、ダイナミズムを生み出すような出会いと学びのプラットフォームというものを地域の中で、その機能が必要なのではないかというような形で絵として示させていただいております。
36ページが、そのような観点からの論点整理となりますけれども、上の3つは少し割愛をいたします、先ほど申し上げたとおりということです。
下から2つ目の四角ですが、地域コミュニティ支援の政策が重ね合わさることによる相乗効果を念頭に置くと、もちろん、各分野ごとの政策を、今後も一層強化していくということが必要なのですが、さらに、福祉、地方創生、まちづくり、地域自治、環境も含めて、地域を構成し、地域の持続に取り組む多様な主体が出会い、学び合うことのできるプラットフォームを構築することが必要なのではないか。
さらに、このプラットフォームにおける気づきを契機として、複数分野が協働しながら地域づくりに向けた活動を展開するための支援方策についても検討すべきではないかというような論点を提起させていただいております。
ここまでが、地域づくりの観点からの資料の説明となります。
済みません、さらに続けて、37ページ以降は、これまでの前回までの議論と、今回の地域づくりということも含めた包括的な支援体制というものをつくっていくときの体制整備のあり方ということについての御説明となります。
38ページは、これまでの検討会、自治体協議での御意見となりますけれども、39ページ、40ページは、今のモデル事業で展開をしている包括的な支援体制を、それぞれの自治体が、どういう形で整理をしていらっしゃるかという例を2ページにわたって整理をしております。
一つ一つ説明をしていると時間が足りませんので、39ページの上の四角の2つ目の四角を説明いたしますけれども、断らない相談から始まり、地域における伴走体制と、伴走支援を含む包括的な支援を実現するための体制については、相談窓口の配置、専門職の配置、また、それぞれの機関や人がカバーする圏域の範囲など、具体的な体制のあり方というのは、地域の実情、地域の人口規模等に応じて、非常に多様な組み方がされていて、各自治体の創意工夫というものが、そこの中に見られているということであるので、このような柔軟性ということは、今後もよく留意していかなければいけないのではないかということでございます。
41ページから44ページまでは、それぞれ、今、図にお示しした各自治体の実践例なので、説明は割愛いたしますけれども、45ページを見ていただくと、相談支援包括化推進員と、モデル事業の中で置いている機能ですけれども、その配置状況を見ても、例えば、役所に置いている自治体が27%、地域包括支援センター、自立相談支援機関に置いている自治体が、それぞれ16から17%、社福協さんに置いている自治体が42%となっているように、複数の場所に置く自治体さんも含めて、かなりばらつきがある。
これは、今回の資料にはお示しをしておりませんが、人口規模別に違いがあるのかということも見てみましたけれども、一定の傾向は見られず、やはり、自治体ごとの状況ないし資源の状況などを踏まえながら、自治体において創意工夫を持って体制を配置していらっしゃるということが見られるということでございます。
また、そのような体制の組み方ということに加えて、46ページでお示ししているのは、今回のモデル事業を数年間やる中で、三重県の名張市であるとか、福井県の坂井市であるとか、一旦体制を組んだものを、運営、運用をする中で浮かび上がってくるさまざまな課題を踏まえて、体制をもう一度見直すというような、言わば、時系列の中での柔軟性みたいなものも、このモデル事業の中では見られているというようなことでございます。
47ページからは、少し財政支援の観点からでございますが、47ページ、48ページは、これまでお示ししてきた資料となりますが、財政支援です。
49ページは、このようなそれぞれの財源を組み合わせた取り組みを行っていく際に、ベースとなる情報として、今の各制度に基づく相談支援事業等の財政支援というものを、一旦一覧性を持って整理をさせていただいております。
上から「介護」「障害」「子ども」「生活困窮」となるわけですが、例えば、実施主体は「介護」「障害」「子ども」は市町村までが実施主体となっておりますが「生活困窮」については、福祉事務所設置町村までが実施主体となっているということであるとか、あるいは、真ん中あたりに「国費の性質」とありますが「介護」「生活困窮」は、義務的経費として措置をされており「障害」「子ども」は裁量的経費として補助金、交付金として交付されている。
「障害」に関しては、一部は一般財源化されているという部分もあると、また、負担割合も大きく、それぞれの制度によって異なりますというような実情になっております。
このような状況を踏まえて、50ページを見ていただければと思いますけれども、相談支援など、地域における支援体制の構築に対する財政支援の仕組みは、属性(制度)ごとに事業の性格や、国による財政支援の性質などが異なっている。
市町村による運用において、今、一体的実施を進めようという対応をしているわけですが、それを超えて、市町村における柔軟な事業実施のための制度的な対応を図っていくためには、このような制度ごとの違いを整理した上で、新たな財政支援の仕組みを構築していく必要があると。
その際、1つは、自治体における事業実施の柔軟性と、もう一つは、自治体による積極的な事業実施の支障とならないような適切な財政保障というものを図っていくということの中で検討を行う必要があるのではないか。
つまり、柔軟性と財政保障という2つの側面からきちんと両方に留意しながら取り組んでいく必要があるのではないかということです。
最後に51ページが「包括的な支援体制の整備のあり方」ということで論点を整理させていただいております。
2番目の菱形でございますけれども、包括的支援体制の構築においては、モデル事業で見られたような自治体内における分野横断の議論や、試行錯誤を行えるようなプロセスの柔軟性を価値の1つとして位置づけ、新たな制度の創設を検討する場合にも、自治体の裁量の幅を確保できるような設計とすべきと考えるが、いかがかと。
その際、国による財政支援についても、地域の多様なニーズに合わせて、分野・属性横断的に一体的・柔軟に活用することができる。
また、煩雑な事務処理を行うことなく支援を提供できるなど、一人一人のニーズであるとか、地域の個別性に基づいて、柔軟かつ円滑に支援が提供できるような仕組みを検討すべきと考えるが、いかがかと。
最後に、同時に、自治体における事業の実施の支障とならないよう留意しつつ、経費の性格の維持など国による財政保障のあり方にも十分配意することが必要と考えられるが、いかがかという論点とさせていただいております。
以上、今、申し上げてきた論点を資料2に一通りまとめております。
前半部分は、論点1から論点3までを御議論いただくということで、時間を分けて裏側の論点4を御議論いただくということで考えておりますので、どうぞ、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○宮本座長 御説明ありがとうございました。
まちづくりという観点に関しては、他省庁含めていかに同じ方向を向いているのかということがよくわかる御説明であったと思います。決して領域侵犯をしていくということではなくて、いかに手を携えていくか、エネルギーを束ねていくか、今、まちづくりに、まさにそれが求められているのかなと思いました。
今もお話があったように、これからの議論ですけれども、資料2のところで論点が整理されておりますけれども、まずは、まちづくりにかかわる論点1から論点3まで、地域づくりのあり方、それから、福祉の観点からの地域づくり、さらに、多様な担い手の参画による地域共生に資する地域活動の促進、この3点を、まず、議論させていただきたいと思います。
それと区切って、幾分性格の異なる論点4、包括的な支援体制の整備のあり方についても、続いて議論をしていきたいと思います。
それでは、きょうも端から順番にということではなくて、挙手をいただいて、自由に議論をしていきたいと思います。
いかがでしょうか。
では、室田委員、お願いいたします。
○室田構成員 最初の発言にふさわしいかわかりませんが、2時過ぎに退室しなければならないので、最初に発言させていただきます。
今回、私のほうで構成員配付資料のほうに2ページほど資料を用意いたしましたので、そちらに基づいてお話しさせていただきます。
構成員配付資料は、参考資料1の5ページと6ページが、私の資料になります。
左側にA、B、Cと書いた青い塊のあるスライドになります。
これまでの議論と、あとは、事前にお送りいただいた資料を拝見させていただいて、私のほうで少し考えを整理させていただきました。
きょう挙げていただいた論点に関して言うと、大きく異論があるということではありません。強いて言うのであれば、先ほど御説明いただいた資料の22ページに俯瞰図があったのですけれども、その俯瞰図を少し立体的にあらわそうと試みたというふうに解釈することもできるかなと思いますので、この図を説明した上で、6ページの私の問題意識というところを説明させていただきたいと思います。
この図は、少しフロイトの自我を示した氷山の図のようなものなのですけれども、地域における住民活動というのは、大きな氷山のようなもので、表に出ているのは、その一部分なのではないかということをあらわしたくて、このような図をつくりました。
ただ、水面がAとBの間か、BとCの間か、これは地域によって異なるのではないかなと思っています。
Aの部分が、この検討会でも議論をしてきている断らない相談支援などの課題解決の機能であったり、新たに開発された活動やサービス、前回、出口支援と言っていた部分がAの部分として、地域活動の中で表面にあらわれやすいのではないかなと思います。
その下に、今回も議論していますが、プラットフォームであったり、生活支援コーディネーターがつくっていく協議体であったり、地域のネットワークであったりというものがあり、その下に、水中深くに隠れている部分として、従来から存続する地縁関係だったり、顔見知りやお互いさまの関係、地域の活動などに参加・協力する関係、問題意識を共有する関係、住民/当事者の中に培われるリーダーシップといったものがあるのかなと思っています。
この図に基づいて、6ページの私の問題意識について少しお話をさせていただきますと、まず、断らない相談支援や出口支援などの新たに開発された活動やサービス、図中のAの部分は、地域における活動全体のほんの一部分にすぎないと思います。ただし、表に出ている部分なので、目に見えやすく、議論されやすく、政策としても位置づけやすいのではないかと思っています。
しかし、下に隠れた部分であるBやCがなければAは成立しにくいと考えています。したがって、Aを各地につくるという政策が推進されると、BやC、特にCの存在を無視して、Aだけを構築するような結果になってしまいかねないのではないかということが、私が危惧していることであります。
地域によっては、既にBやCの体制が盤石で、Aができている地域やAをつくろうと思えば、BやCの性格に応じたAをつくり出せる地域が存在すると思います。
先ほども包括的な相談支援体制が地域によってさまざまだということがあったのですけれども、それは、BやCの体制が異なるからAも異なった形ができてくると思うのですが、いずれにしても、Aをつくるだけの体制がBやCは整っていると考えています。
一方で、BやCの体制が脆弱な地域もあるので、その場合、Aをつくることが非常に難しいと思います。もしくはとってつけたような形でAだけができるということが起こるかなと思います。
また、BやCが存在するが、Aを生み出すような性格ではない地域の場合、Aをつくり出す際の足かせになってしまうという可能性もあるということで、BやC、特にCが必ずしもAの資源になるとは限らないということも踏まえておく必要があるかなと思います。
Cの部分をつくることは、時間がかかりますし、活動にかかわる住民や当事者の動機が重要な働きをするために、うまくいかないことが少なくないと思います。それは、もう少し別の言い方をすると、ノウハウが十分に体系化されていないのではないかと思っています。
何度も住民や当事者と議論を重ねることが必要ですし、それを怠ると、Cは簡単に崩れてしまう部分でもあると思っています。
Cが福祉の活動に積極的ではない場合、さらに時間がかかる場合もあるということで、ここが、Cが必ずしもAの資源になるとは限らないということで、福祉活動に消極的である、もしくは反対の姿勢を示すということもあるかもしれません。
例えば、よく地域で聞くのは、子供の貧困に対して活動しようといったときに、地域では、うちに地域にそんな貧困な子供などはいないという声が上がってくると、そういった活動は、むしろ地域の人と協力して進めていくには時間がかかったり、納得を得てもらって初めて活動が進んでいくということがあります。
次に自治体の担当者の方は、そうしたCの構造を理解した上で、まずはCの構造をアセスメントすること、そして、BとCを構築することを中長期的に計画した上で、Aを構築していくことが重要になるということで、Aだけを構築すると考えてしまうと、うまくいかないだろうと思います。
また、BはCの活動の延長として、水面下でインフォーマルに取り組まれていることもあります。フォーマルな構造にすることのメリットもありますが、インフォーマルなままのほうがいい場合もあるということで、いわゆる協議体と言われるもの、特に第2層の協議体をフォーマルにつくっていくということが、地域にとってよい場合もあれば、既に第2層の協議体のようなものがインフォーマルにでき上がっていれば、それをあえて、第2層の協議体と呼ばなくても、既存のものを第2層の協議体と位置づけるなどということも必要になってくると思うので、その場合は、水面下と言っていいのかわかりませんが、表に見えないものだけれども、機能としては、そういった協議体のようなものが地域の中で成立しているということもあり得るのかなと、そんなふうに思います。
最後の2つは、質問の形式になっていますが、コーディネーターを配置する、先ほど、人と場所というお話がありましたが、コーディネーターを配置する場合、AやBのみならず、Cにもかかわると考えていいのかということ。
2つ目に、地域のアセスメントの結果、配置されたコーディネーターがCの構築に1年間集中するという場合もありますし、それでも結果がすぐに出ない場合もあると思います。少し極端な例かもしれませんが、でも、地域の中では、比較的よくあることだと思いますが、そのような実績を許容できるのかという言い方が正しいのかわかりませんが、それを、例えば、自治体の担当者が何年計画の中の1年として考えて、1年ですぐに結果が出なくても、それを2年後、3年後に向けての準備期間として捉えることができるような政策というのが組むことが可能なのか、そういったことも、私の中で少し疑問に感じたので、最後、質問形式で挙げさせていただきました。
以上になります。
○宮本座長 ありがとうございました。
室田委員の最後の2つの御質問というのは、事務局に対してか、それとも委員の皆さんに投げかけられたということか、両面あるのでしょうけれども、では、事務局のほうから、もし、リプライがあれば。
○野﨑生活困窮者自立支援室長 今回、地域づくりのパートを、2つのパーツに分けているというのは、まさに室田委員がお示しいただいたAからCというところまで射程に入れて考えなければいけないのではないかという問題意識です。
その上で、では、Cの部分を生かしながら、どういうふうにAの部分、Bの部分というものを、特にAの部分につなげていくかみたいなものを行っていく際に、どういうような機能というものが必要なのかということなので、必ずしもコーディネーターの機能がどこまでやるということまで十分整理できておりませんけれども、ただ、全体としては捉えていると御理解いただければいいと思います。
もう一つは、Aの部分ばかりに着目すると、Aをつくり出すためにCを使うのだとなると、これは、また、Cの自発性を失っていくことにもなるので、その辺のバランスが非常に難しいなと思いながら、今回は、むしろ事務局としての案という形で、こうですという枠組みまで示さずに、プラットフォームであるとか、コーディネート機能とか、いわゆる地域にこういう機能が必要なのではないかというところを一旦お示しし、先生方の御意見をいただきたいと考えているところでございます。
○宮本座長 ありがとうございました。
さっきの室田委員のおっしゃっていることは、きっと段階論ではなくて、BやCが確固として存在しているところも、これは太古の昔からあったわけではなくて、A的なものを通して、何らかの形でつくり出されたということだと思うのですけれども、そうなると、恐らくAのありようということが、BやCの、いわば増殖というか、形成に貢献的な形と、あるいは、それを前提にしてしまって、空回りしてしまう形と両方あるのかなと思うのですが、そのあたりは、どんなふうに、済みません、ちょっと難しい質問になってしまったかもしれませんが。
○室田構成員 そうですね、難しいですね。
Aができて初めてBやCができるというよりも、どこが最初ということではないと思います。地域はさまざまあって、過去にどういった政策、コミュニティ政策であったり、地域福祉政策であったりが影響を与えてきた部分もありますし、自治会活動の活性化が、どれぐらい進んでいるか、もしくは衰退がどれぐらい進んでいるかということにもよると思いますが、今、宮本委員長がおっしゃられたように、Aを構築するという目標があることによって、BやCというものの枠組みが、輪郭がはっきりしてきて、Aを構築するというゴールに向かってBやCがより機動していくということはあるのかなと思います。
ただ、今回の事務局の御提案もそうだと思うのですが、Aというのは、かちっとしたものではないというか、フィックスされたものではなくて、柔軟なものであり得ると思うので、そこが今回提案していただいた中でとても重要なポイントで、Aがもう固定したものとなってしまうと、どうしてもBやC側としては、その与えられたAをつくるために、自分たちが動員されていると感じてしまうと思いますので、そこの関係性をどうつくっていくかは重要な議論かなと思います。
○宮本座長 ありがとうございました。
大変大事な論点を御提示いただきました。
ほかに、いかがでしょうか。池田昌弘委員、お願いいたします。
○池田(昌)構成員 今の室田委員との関連なのですけれども、私は資料を出していないので、わかりにくいと思いますが、木一本を見ていただいて、このA、B、Cと全く同じ意図なのですけれども、少し違いがあるのは、Bは小学校区であり、自治会であり、地域での活動です。
土の中の根っこのところは、土の中なので見えにくいのですけれども、そこに住民の皆さんのつながりがあって、そこで支え合いがあるということが見えます。
実際に地域づくりや、介護保険の生活支援体制整備で生活支援コーディネーターの活動を見ていったときに、今、室田委員からも出ましたが、協議体のようなところで課題を探していくと、その課題解決を住民にやらせるのか、本来、行政がやるべきではないかという意見が出て、協議体が抗議体になることがあります。
最近、さらに出てきているのは、有償サービスを立ち上げたのだけれども、利用する人が1人も来なくて、やりたいという担い手のモチベーションをどうやって保てばいいですかという相談です。
課題を探すと、できていることまで、課題として出てきます。
実際に、ふだんの暮らしぶりをお聞きすると、足がなくて困っているのだけれども、隣の人が声がけして、買い物をついでにしてきてくれるとか、実はいろんな形で支えがあることがわかります。かえって移送サービスが始まったら、隣の人が移送サービスが始まったので、声がけしなくてもいいねといって関係が切れたという話もあります。サービスや専門職がつながることで、地域のつながりが切れていくという問題もあるという中でいうと、新しく開発とか、マッチングという前に、実は、まだやれている人たち、やれていることをしっかりと評価し、そこにかかわるということが、まずは最初にあるのではないかなと思っています。
出来ていることを見える化して、こういう暮らしぶりや、支え合っていくことはとてもいいことだねということを言い、それを発表会のようなところで見てもらって、こういうことがいいねという、ある種拡大協議体のようなことをして、そういう暮らしぶりを広げていくことが、とても大切だと思っています。
もともとサービスがない時代あるいはサービスのない中で、お互い知恵を出したり、工夫したり、いろんな技を使って、生活を何とか豊かにしてきたことを生かす視点が、まず、最初にあって、その上で、できないものを考えるということのほうが大切です。何よりも住民の皆さんは、自分たちの地域で、何とかうまく暮らしていこうと工夫をされているのに、「課題があるからサービスをつくりましょう」と言うことは、住民の皆さんのふだんの暮らしや活動を全く我々が評価しない、見ていないということにつながるのではないかと思っています。
もう一つ、つながりをつくるということで、居場所づくりをしているのですけれども、例えば、町内会で誰が来てもいいよというサロンには、余り自分が好まない人もみんな来ています。ここは地域で排除しないということなので、そこではいろんな人が来ているので、なかなか本音の言葉を出し合えないのです。
ところが、見ていると、必ず皆さん、ある程度親しい人と2次会に行っていて、そこではお互いに話している。さらに3次会に行くと、もっと親しい人といて、実は支え合いをずっと見ていくと、嫌いな人とは支え合っていないのです。支え合っているのは、自分の好きな人、自分の家に招き入れてもいい人とです。やはり、支え合いをしっかり地域でつくっていくということを考えていくと、もう少し住民の皆さんの暮らしぶりを我々が把握して、そこにかかわっていかないと、施策で落としても、なかなか住民の皆さんに伝わっていきません。それが、実は生活支援コーディネーターのストレスになっているという現実もあって、地域の暮らしぶりをもう少し評価していくことも必要かなと思っています。
○宮本座長 ありがとうございました。
B、Cのところから、変な形でAを抽出すると、逆にB、Cを壊してしまうというお話だったと思います。
なるべく報告書につながるような議論にしていきたいために、ここも少し池田委員に念のためにお伺いすると、むしろB、Cの暮らしぶりを評価しながらAをつくっていく、どんなころに気をつければいいのでしょうか。
○池田(昌)構成員 地域のつながりが弱くなってきていることや、課題が地域にたくさんあるということは、確かにそうなのですけれども、その中でもつながりをよくして、地域をよくしていこうというような町内会の活動や、いろんなつながりの活動があって、そういうところを、まずは、私たちは評価をして、何もできていない、何もないのではないということを考えていくというのが1つあると思います。
もう一つは、宮城県の生活支援コーディネーター研修では、住民の方と一緒に受講します。コーディネーターだけで研修をやると、なかなか研修が深まらないのですけれども、住民の方と一緒に研修をすると子供たちを含めて、住民はこんなふうに工夫して暮らしているよとか、こういう難しい住民の方には、こんなかかわりをしているのだというような話があって、実は、住民の方々のいろんな工夫を専門職の方が共有して、学んで一緒にやっていく場面が生まれます。住民の方は地域のプロなのです。専門職の方は支援のプロ、さらにコーディネーターは、それをつなぐプロだと思うのですが、こういうそれぞれの方々が一緒になって地域を考えていくということにならないと、専門職がかかわれば地域が何とかなるというようなことに読めてしまうことが、かえって地域住民を引かせてしまっているのではないかなという感じがしています。
○宮本座長 ありがとうございました。大変よくわかりました。
ほかに、いかがでしょうか。
それでは、本郷谷委員、その次に原田委員、お願いします。
○本郷谷構成員 室田先生のA、B、Cというのは、イメージをするのに、非常に議論をしやすい図かなと思って、この図で議論をしたいなと。
私のほうは、福祉という部分だけではなくて、まず全体、要するに、福祉も地域も、あるいはまちづくりもいろいろありますけれども、それ全体の中で、それぞれが、そのうちの福祉という視点で考えたときに、このAというのは出口ということで非常に重要で、福祉という、どちらかというと、専門的に議論がしやすい。また、ほかの分野であれば、環境は環境でとか、それぞれあるのではないかと。
Bもプラットフォームということで、何らかの形で集まってきて何かするというのも、機能的な部分で役割を果たしていく、これもまた充実させていく必要があると思います。
もう一つは、機能、どこかで総合化しないといけないのだろうと。この図でいくと、Cが総合的な分野かなという気がします。そうすると、総合的に環境的に、環境問題であろうが、まちづくりであろうが、福祉であろうが、それも問題がある、ないではなくて、日常的な生活の中でうまく回しながら、問題になりそうなものを、問題なくしたりとか、それぞれが活動しながら、それでどうしようもないのが、また問題になってくると、こう考えると、最後の総合的な組織もしっかりとしたものにしておかないと、上のほうに幾らいい絵を描いても支援からもれる人がたくさん出てきてしまってうまくいかない。
そういう意味でいくと、下の総合的なところが、なかなか難しい問題で、従来からある地縁関係ということで、自治会、町内会とありますけれども、いろんな問題もあるし、本当に機能するのかという問題もありますが、うちの市で言うと、70%の方が入っているというと、こんなにたくさんのメンバーの組織というのは、ほかに何もないのです。だから、1つの案としては、そういうところをどうやって総合的に、上を支えるような形にし切れるかどうかというのを、今後、大事な課題として議論していく必要があるのかなと、こういう気がします。もし、だめだったら、別組織をつくって、国民、市民みんなが入るような新しい組織をつくり上げていく必要があるかもしれませんけれども、そこをしっかりさせておかないと、日常的に支えるところですから、ということが1つ。
2つ目は、国とか県とか市、我々もそうですけれども、いろんな政策を打っていったり、あるいは意識の高い人たちがいろんな活動をしていっても、それは、全体から見たら、ほんの一握りで、大変多くの国民あるいは市民の方が、自分のことだけがよければと、こういう意識であったら、いつまでたっても、幾らやっても構築できない。
例えば、高齢者でも、70歳以上が2割ぐらいになってくると、松戸だって50万人の2割、10万人ぐらいの人がいたら、行政と国が何かやって、問題といったって、支援からもれる人ばっかりになってしまう。
そうすると、そういう意識、これはまだ、今後の議論になると思いますけれども、市民だとか、国民の意識を変えていく運動をしていく必要がないと、やはり、下支えができないのではないかなと、この2点をちょっと。
例えば、日本には、余りボランティア意識が根づいているという意味では、余り根づいていないわけで、こういうものをもっと根づくために、市民みんな、年に一日はボランティア活動をしましょうみたいな形で、何か意識改革をしていかないと、なかなか、いろいろ頑張っても、あちこちで支援からもれる人がたくさん出てきてしまうという心配があるので、今後の課題ですけれども、その2点が大変重要な課題かなと思っています。
○宮本座長 ありがとうございました。
Cの次元を充実させるためにも、そこでも何らかの制度デザイン、町内会のような、それが必要なのではないかというお話であったと思います。
原田委員からも資料が提出されているようでございますので、それに基づいて御発言をいただければと思います。
○原田構成員 先ほどの室田委員の前のところのページになります。
2ページのところですけれども、地域づくりということの議論をしていきますときに、地域力強化検討会の中間取りまとめのところで、地域づくりの考え方を整理をしておく必要があるだろうということで、検討会の中でさせていただいたものが①、②、③というものです。
①というのは、今回の議論でもそうですけれども、福祉、福祉した範囲の中だけではなくて、さまざまな地域の分野と連携していかないと、地域の生活基盤そのものができていかないという意味での、広い意味での地域づくりです。
②番目のところは、地域で困っている課題をというのは、例えば、認知症のことだとか、子供の貧困の問題とか、何か地域の問題をみんなで解決していこうという意味での地域づくりの部分。
③番目のところは、もっと具体的に、Aさん、Bさんの支えをしていかなければいけないという非常に個別具体的な、大きく言うと、ミクロの部分、メゾの部分、マクロの部分みたいな、3つぐらいの方向性が地域づくりという中にあるのではないかというのが、検討会のときの取りまとめでした。
実は大阪市立大学の岩間先生と議論をしてきたことなのですけれども、地域福祉援助という、コミュニティソーシャルワークのようなイメージをしたときに、左側の大きな円というのは、まさに福祉の支援の部分です。右側の基盤づくりというところが、今回の議論でもある、もう少し広い意味での基盤づくりです。実は、それは別々のものではなくて、真ん中のところに矢印がありますけれども、援助というところで行くと、一体的あるいは連続的に、そのことを考えていかないといけないだろうと考えています。
Aの部分がありますけれども、そこのところは限りなく、お一人一人を支えていくという、さっきの③の部分になりますし、Bの2つの部分が重なり合う、先ほどの議論でいくとプラットフォームのところは、まさに地域課題をどう解決していくかというところ。
さらに右のところは、もっと広く農福連携だとか、さまざまな分野と重なっていく。これが別々でなく、地域福祉援助として連続しているという議論をしてまいりました。
次のページは、カラフルになっていますけれども、そのときの議論で出てくる包括という言葉が非常に多義的に使われているので、何をもって包括的な支援と言うのかというのを整理しようということで、最初の2つは個人に関する視点です。また個人だけではなくて、世帯を支えていかなければいけない。さらには、多職種連携によってチームで包括的に支援する、さらに地域住民との協働も必要で、最後の包括というのは、まさに減災や居住や産業のことを含めた包括という、包括を構造的に整理しようということ。
さらに、生活困窮の議論の中で、社会的孤立ということもきちんと整理をしておかないといけないということで、何からの孤立なのかというときに、6つぐらいの孤立があるだろうとという整理です。
ただし、こういった孤立が自己責任なのではなくて、社会的排除という文脈で捉えないと、孤立しているのは個人の責任だということでは決してあり得ないと。
ただ、そのことが続くことで、セルフネグレクトのような状況が出てくる、こんな整理をさせていただいてきたところなのですけれども、それを踏まえると、きょうの資料1のところに出てきます、例えば、今、本郷谷委員が言っていただいたことと全く同じことなのですけれども、論点1の14ページのところで、◆の2つ目のところなどは、ある面、非常に前向きな地域住民の人たちがいる地域では、こういうことができるのだろうと。
ところが、先ほどの室田委員の言うCのところもそうですけれども、実はそこに排除があったり、抑圧があったり、もっと言えば、偏見や差別という問題があって、そこにしっかりかかわらなければ、単なる意欲の喚起だけで、住民の方がすぐに動くわけではない。
そういう意味では、コンフリクトみたいな問題をしっかり据えなければいけないし、そのコンフリクトの部分にソーシャルワーカーがどうかかわっていくかということで地域づくりを考えなければいけないのではないだろうか。
今のお話でいくと、16ページの左側「検討会での意見」というところで、先ほどもありました、個別支援と地域づくりの専門性は分けて考えるべきとありますけれども、先ほどの考え方で行けば、私は、これは決して分けて考えるべきではなくて、個別支援と地域づくりの専門性は、むしろ総合的に捉えるべきで、ただし地域づくりというのは幅がありますから、都市計画だとか、広いところはまた別だというのは、そのとおりですけれども、これを一体的に、あるいは総合的に捉えなければ、今回の検討会の福祉でやる意味が半減してしまうのではないだろうかという気がしております。
少し細かいことで恐縮ですけれども、そういう意味でいきますと、22ページのところで、参加支援という言葉が出てきたというのは、とてもいいことだと思います。決して出口ではなくて、そういう支援の結果、お一人一人が参加のスタートラインに立てるような支援をしていこうというイメージは、とてもいいと思うのですけれども、権利擁護のための支援が参加支援なのか、あるいはもう少しピンク色の相談の受けとめとか、課題に向けた対応、まさにソーシャルワークのところに権利擁護がしっかり入るべきで、この参加支援の中の1つになるのが、どうなのだろうかというところは少し疑問があるところです。
最後ですけれども、25ページのところで、これは、実は、初回のときにも申し上げたことで、繰り返しで恐縮ですけれども、今、話をしてきたような、ケアや支え合うコミュニティということを考えるときに、地域や住民を我々がどう捉えるかといったときに、サービスの担い手として捉えたら、さっき出てきたような、一方的なお仕着せのものになってしまうと思うのです。
そうではなくて、地域づくりの主体として地域住民を捉えないと、マンパワーやサービスの担い手ではないのだと。
そういう視点で行くと、住民のところが、有償ボランティアの促進と出てきますけれども、これは、初回のときにも申し上げたように、住民をマンパワーとして捉えて、ただでは動かないからお金やポイントで住民を操作しようというような、そういうような意図が、有償ボランティアというのに込められているとしたら、その地域の捉え方だとか、そういうところとは違ってくるのだろうと思うのです。
本郷谷委員がおっしゃっていただいたような、意識を変えていくとか、もっと住民の参加や自治みたいなことを捉えていかないといけないのだろうなと、そんなところの整理が必要かなと思いました。
以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。
委員の皆さんの理解の整理のために、原田委員のA、B、Cというのは、室田委員のA、B、Cと無関係ではなさそうですね。恐らく、福祉政策からの距離で見たもので、やはり、2つのA、B、Cは重なって。
○原田委員 はい。自分のところは、どちらかというと、平面で捉えているので、それを室田委員が縦に捉えてくださっているかなというイメージです。
○宮本座長 なるほど、それで、あわせてCの関係の中には、差別や偏見など、ネガティブな要素もはらまれているということから目をそらしてはいけないという御指摘であったと思います。
では、奥山委員、お願いします。
○奥山構成員 ありがとうございます。
本当に、室田先生が出してくださった資料を見ながら、私もいろいろ考えていたのですが、私は、子育て支援のほうをずっとしております。
そうすると、やはり子育て家庭というのは、非常に転入出が激しいですね。そうなると、地域といったときに、地域住民になるという意識を持てるには非常に何年もかかるわけです。
そうなりますと、やはりCのところに、今、原田先生もお話がありましたけれども、では、地域福祉計画の中に子供のサポートが入っているかとか、町内会、自治会にいつの時点で入るのだとか、子供会は小学校に入らないと所属できない、会長さんがどこにいるかもわからないというような形で、新住民になるわけなのです。
そうなると、なかなかCの構成メンバーにすらちょっとなれないというような状況があって、課題を抱えても、地域の人たちにサポートしてもらえない。児童虐待等も含めて、そのつながりのなさというのが表面化しているというのが、今の状況かなと思っています。
そういった意味では、私たちも、ある意味、当事者である子育ての母たちで居場所づくりを推進してきて、逆にそれを地域になじませていくという活動を、この十何年間やってきたと思っています。
最初は、何でお母さんたち仕事をしていないのに居場所が必要なのかというようなこともよく言われたのですけれども、今は、そこに地域のボランティアさんの方も入ってきてくださって、自分たちのときにはなかったけれども、本当にそれは必要なことだねと理解が進んできていると思っています。
子育ての分野だけではなくて、いろんな分野が、そういうことなのではないかと思っています。
その中で、地域の既存の団体と、今、課題を抱えていらっしゃる方々の、うまくコーディネートをしていくつなぎの部分というのは、非常に重要になってくると感じております。
それと、若い人たちや、子育て家庭のところが、やはり、関心を持って地域にかかわれるような窓口、入り口、そこが重要で、そういった意味では、35ページのところで、多様な主体による地域活動の展開における出会い、学びのプラットフォームでかなり大きな視点で書いていただいていまして、その入り口が多様にあるということが非常に重要で、今、いろんな省庁が、いろいろ取り組みをされているみたいですけれども、我が町は、どのところの入り口が準備されているのだろうか、どんな形で出会えるのだろうか、そこのアプローチは幅広にしておきながら、さらに、いろんな課題という個別の相談が入ってくるところの、そこの関心から入った人たちが、本当に地域の課題に気がついて、そこがうまく融合していくというところの、真ん中の部分のプラットフォームをどういうふうにつくっていくのかというのは、本当に地域、地域ごとに多様ではあると思うのですけれども、余り全員が所属して、全員で分科会をやって、全てが参画するというイメージは、なかなかこの時代にあっては難しくて、関心のある幾つかのプラットフォームが有機的に融合し合って、影響し合ってというのを俯瞰して見る人がどこにいるか、それを本当に行政の方ができるのか、それともコーディネーター役というものをしっかりつくっていくのか、そのあたりのところをもう少し皆さんと議論したいと、話を聞いていて思いました。
以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。
これまた、大事なポイントをつけ加えていただいたのかなと思います。やはり、Cへの入り口というのが非常に大事になってくる、それの入り口を多様に、先ほど関心縁という議論もございましたけれども、設定していかないと、そのCが育っていかないということなのだろうと思います。
では、田中委員、お願いいたします。
○田中構成員 今、35ページの右側の図について指摘があったので、私は35ページの図の左側について、質問を含んで申し上げます。
真ん中の赤い字で「地域の課題解決を目指した地域づくり」とあります。この意味なのですが、日本語として何通りかにとれます。左側に個別の支援があります。真ん中の赤い字で書いてあるのが地域の個別の諸課題解決を目指しているのか、2番目、個別課題に共通する地域課題の解決を目指しているのか、この「の」の意味が、地域の個別課題解決とも読めるし、地域課題の解決と、個別課題ではなくて、個別課題から抽出された地域全体の課題と読むこともできます。
もう一つ言うと、課題になっても大丈夫ですよ、この地域は解決することができるからでは、いけないのではないでしょうか。地域で起きるさまざまな課題の困難化を前もってとめるとか、地域課題の発生を減らす地域づくりならわかるけれども、地域課題の解決を目指した地域づくりが目標といわれと、課題をつくってください、でも解決しますよとも読まれてしまいます。それでは、後追いの感じがするので、真ん中の赤い字のところは、もう少し前向きに書いたほうがいいのではないかと感じました。
以上です。この言葉をめぐって三層ぐらいの読み方があるかなとの指摘ですが、事務局は、どの意味で書いたのでしょうか。
○宮本座長 室長、いかがでしょうか。
○野﨑生活困窮者自立支援室長 両方なのですけれども、地域の個別の課題というものを、個別支援の中から、一つ一つときほぐしていくわけですけれども、その結果、先ほど困窮者支援のところの実践の紹介でお示ししたように、それが地域課題にも発展していくと。
つまり、個と地域、個と面という2つの考え方があるとしたら、個の支援から面を意識した取り組みにつながっていくというようなことが、例えば、困窮者支援の実践などを見ると見られるので、ここは地域の課題というのは、どちらかというと、地域課題まで含むものとして書かせていただいています。
ただ、それのスタートは、個の課題の解決というものを目指していく中で、それがスタートとなって、それが広がっていき、地域課題ということを意識し始めるという意味で、ここは書かせていただいているということです。
発生を抑止というところは、少し書き方を考えたいと思いますけれども、御指摘の趣旨はよくわかりました。
○宮本座長 どうぞ。
○田中構成員 会社経営者でも、当社が抱えている課題を順番に解決すると考えるのでは、優れた経営者ではないですよ。今までよりも課題の発生を減らしたり、課題解決しやすい事前の仕組みづくりは経営の視点と言えるけれども、課題が発生したら解決します、では、おおよそいい会社ではない。同じことが、こちらについても言えるのではないかとの意味です。
○野﨑生活困窮者自立支援室長 そういう意味でいうと、よく言われる予防的な対応ということも、この前身というか、前にやった研究会でもよく言われていたのですけれども、ちょっと予防というのは余り強調したくないという気持ちが、全体として事務局にあって、やはり、全体としては、どんな方も取り残されないというか、取りこぼさないというか、そういうような支援体制をつくりたいというのが包括的支援体制の本意なので、ですので、余り予防を強調してはいないのですけれども、ただ、こういう地域のプラットフォームとか、地域の基盤ができていけば、その中から事前の問題が深刻化する前に、皆さんの支え合いの中で、ある程度課題が対応されるとか、そういうことも視野には入れてはいるのですけれども、ただ、そういう面も含めて、全体をどういうふうに、先ほどの包括的支援体制の概念図みたいなところも含めて、その予防というか、多分、この絵は片方しか捉えられていないので、もう少しどういうふうに書いたらいいかというのは検討していきたいと思います。
○宮本座長 ありがとうございました。
では、野澤委員、お願いします。
○野澤構成員 野澤です。
今までの議論と、余りかみ合いそうもないので、どうしようかと思っていたのですが、私も途中で出ないといけないので、2回目、3回目、出席ができなかったので、まとめていろいろお話をさせていただきたいと思っています。
おととい、大学生に厚労省に来てもらって、いろいろ厚労省の仕事とはみたいなことを話してもらったときに、すごくわかりやすくて、2つですと。
法律や制度をつくることと、お金を手当することですと、そうだなと思いました。
ただ、これからのことを考えていくときに、現役世代の人口がすごく減っていくということ、地域の多様性がすごく広がっていって、全国一律の制度は、限界が出てくるのではないかということを考えると、やはり、人づくりというのが、制度とお金以上に、人づくり、人の確保というものを考えていかないと、どうにも立ち行かなくなるのではないかと思っているのです。
断らない相談支援とか、地域づくりのコーディネーターは、難しいことだなと思って、これをやれる人をどうやって育てていくのだろうとか、どこで見つけてくるのだろうと思ったときに、やはり人づくりだと思うのです。
もう一つは、現在、地域は大変なのですけれども、本当に大変になってくるのは、2040年代に高齢者の人口がピークを迎えるころです。、独居の高齢者はすごく増えていくだろうし、認知症も増えていく。、そのあたりを視野に入れながら、いろんなことを考えていかないといけないと思ったときに、私は、小中高、大学生、ここの地域づくりにもっともっとリアルな情報と体験を与えなければと思っています。
都内の中学校で福祉教育の指定校で、発表を見に行く機会が何回かあるのですけれども、車椅子体験とか、目隠しして歩くとか、伝統的なことをやった体験を発表して、「大変人権意識が芽生えてすばらしい」と教育委員会が講評する場面を見るのですけれども、うーんと思ってしまう。すぐ隣には貧困家庭の子がいたり、虐待されている子がいたりするわけですね。
もっともっとリアルな、今の地域で起きていることをちゃんと直視してもらうような、もっと体験してもらうようなことが必要ではないのかと思います。私は6年ぐらい前から東京大学で行われている「障害者のリアルに迫るゼミ」の担当講師とか顧問のような立場で関っています。学歴社会の勝ち組の学生たちが、盲ろうの重複障害の方とか、ALSで全く全身が動かない方とか、自分たちとは対極にある方たちと出会ったときに衝撃を受けるのです。彼らの価値観が大転換していくのを間近で見ていて、やはり、もっともっと子供たちに対して、いろんなリアルな体験をもたらしていくことが重要だと思います。響く子と響かない子はいると思うのですけれども、福祉のほうに来いというつもりではなくて、そういうものを体験した子たちが、これからの社会に育っていくと、それが地域住民全体のソーシャルスキル機能を上げていく1つの土台になっていくのではないかということを思ったりしています。
もう一つは、ほかの領域で、他分野で潜在的な関心を持った人たちは相当いると思うのです。
例えば、ロースクールに入って勉強はするけれど、司法試験に受からない人たちはいっぱいいるわけです。この人たちは一般の会社に就職したりするというのです。でも、潜在的には、いろんな課題を解決したいというモチベーションが非常に高い。けれども、こういう情報を知らないがために、普通の会社に就職していく。こういうことがずっと起きていて、彼らに福祉でも法律の知識が求められる仕事があるのだということを知ったときに、もっとこっちのほうに向いてくるのではないかなと思います。あるいは今の企業の中にいる正社員の人たちにしても、今の仕事に飽き足らない人たちっていっぱいいると思います。
これからは、特にAIだとかで、産業構造が大きく変わっていくし、働き方が大きく変わっていく。そのときに、今、ビジネスの中にいるフルタイムの正社員がはみ出してくる。そういう人たちがいるはずなのです。副業も含めてですけれども、そういう労働力を、地域課題のほうに導入してくるような、そういうルートをつくるべきだと思うのです。
権利擁護の機能は地域に絶対必要だと思います。オレオレ詐欺とか、特殊詐欺犯がありますけれども、あれは警察の仕事としてしまっていいのだろうかと思うのです。あれは地域の課題ではないですかね。認知症の人もそうですし、中には、うすうすだまされているとわかっていてもお金を出してしまうと、なぜかというと、子供や孫も助けているという実感だけほしければ、出すお金はあるというのです。
それを警察の仕事ではなくて、地域の課題、疎外感とか孤立感というところにつけ込まれているわけです。そして、オレオレ詐欺の人たちの武器は個人情報ですね。子供や孫の名前と、どこの学校に通っているかという物すごい付加価値の高い情報が高い値でやりとりされていると。
その一方で、地域の福祉だとか、地域づくりをやるときの一番の壁になってくるのは個人情報なのです。お年寄りの孤独感や疎外感を知らないからですね。そうした矛盾につけ込まれて、オレオレ詐欺が跋扈している。これは地域福祉とか、地域づくりの敗北だと思うわけです。このあたりを、かなり注視していかなければいけないのではないかと思ったりします。
もう一つは、持続可能な地域づくりという言葉があったと思うのですけれども、これは、公的な補助金による活動とか、ボランティア活動だけではなくて、やはりローカル経済を回していかないと、持続はしていかないのではないかと思ったりするのです。
何ができるのだろうと考えたときに、2030年代には、全国の空き家率が3割を超えますね。あるいは、空き店舗だとか、中小企業の廃業。経営者がいなくて廃業するというのが、中小企業全体の3分の1ぐらいだそうです。経営者がいないのが。これが127万社ぐらい廃業するだろうと、その半分ぐらいは、実は黒字だというのです。後継者がいないがために閉めざるを得ないと、これは余りにももったいないし、こういうところを、地域づくりの核として使っていくと、ローカル経済を回していくところにも役立つのではないかなと思ったりします。
そのためには、やはり、ビジネスのセンスを持った人たちが必要だと思いますし、さっき言った、余剰のフルタイム、正社員、大企業とかに勤めている方たちが出てきたときに、こういうところの情報体験、成功モデル、それに見合う、できれば報酬があればいいのですけれども、あるいは副業として、こういうところにかかわってもらうとか、こういうことを考えていくべきではないのかなと思います。
最後に、お金ですね。やはり、公的なお金というのは、なかなか限界があるし、どうしたらいいのかなといろいろ考えるのですけれども、この前、日銀が発表していましたけれども、個人の金融資産の残高が7年連続でふえて、今、1830兆円ですか。ここを何とか活用しないと、ここを活用しているのはオレオレ詐欺の人たちだけですね。多くはお年寄りがためているというのですけれども、何でためているのかといったら、自分の老後とか将来が不安だからためているわけではないですか。将来、地域を安心できるものにするために、このお金を活用できるような算段を、どこかでつくっていただきたい。これは、制度なのか、あるいは実践なのか、わかりませんけれども、そういうことを考えていければと思っております。
以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。
野澤委員から、大きく5点なのですかね。御指摘がございました。あえて、これまでの議論に引きつけるならば、やはり、Cのところで人々のかかわりや、地域の持続可能性というのを高めていく課題と、我々が現実に直面している課題と、どう連携させていくのかということにかかっているのかと思いました。
では、朝比奈委員、お願いします。
○朝比奈構成員 朝比奈です。
多少、今までの方々の御発言と重なり合うところもあるかと思うのですが、まず、22ページの「新たな包括的な支援の機能等について」というところなのですが、先ほど、原田構成員からも御意見がありましたけれども、機能的に構成しようと思うと、どうしても、こういう書きぶりになってしまうと思うのですが、例えば、参加支援のところにある、社会との接点の確保や、包摂の支援というのが、上のところの支え合う関係性などと重なり合ったりですとか、これがあることで困りごとの発見につながっていったり、左側とも重なり合う要素もあるかと思いますので、それぞれがかぶっていくのだろうなとは理解をしています。そういう意味で、原田構成員がおっしゃった一体的にというところは、そういうことを指していらっしゃるのだと思うのです。
一方で、現実に相談の仕事を地域の中でしていると、一部、全体ではないのかもしれないのですけれども、公を支える地域をつくる援助であったり、地域福祉の基盤づくり自体がかなり手間暇、労力を要するものになっていて、一方で、支える基盤が弱い中で排除されたり、それから孤立をせざるを得なかったり、またはそもそも排除された存在であった人たちに対する個別のソーシャルワークが、その結果、なおざりになったり、場合によっては、排除された人のアドボカシーと、それから、地域の側以外というのでしょうか、そこがぶつかり合ってしまうということも現実には起きてきていて、もちろん、一体的にあるべきだとは思うのですけれども、その査定の資料にあった、そもそも地域が必ずしも福祉的ではないといった言葉ですとか、先ほど、池田構成員がおっしゃった嫌いな人は支えないというあたりですとか、そこも見過ごしにはできないなと思っているのです。
ですから、連続性であったり、つながり合ったりしながら一人を支えるというアドボケートが、そのまま地域を支えることにならないかもしれない、そういう側面もあるということも、やはり押さえておく必要があるのではないかと思っています。
○宮本座長 ありがとうございました。
では、立岡委員、お願いします。
○立岡構成員 ちょっと視点が変わってしまうかなと思うところもあるのですけれども、地域づくりのあり方というところの中で言うと、今、仙台市は1990年代の前半にゼネコンの汚職の事件等があって、宮城県でもそういうのがあって、やはり、市民力を高めるというようなところで、NPOとかの活動というのが盛んになっていって、今もNPOとか市民力を高めるというところで、さまざまな施策を打っている中において、今、協働事業の提案制度とか、あとは協働まちづくり推進助成制度というような形で、ある課題に対して、Aという団体とBという団体が一緒になって、その地域の課題を解決するのであれば、一定程度補助を出しますよみたいな形でコンペになっていて、それが採用されていく中で、地域課題を違った分野の方々と一緒になってというようなスキームでやったりとか、あと、役所のある課と、この問題を一緒に解決したいというような形で事業提案をする。
うちなども、具体的に言うと、うちの法人のスタッフががんになってしまったと。それで職場復帰するに当たって、結構大変だった中において、仙台市の市立病院と一緒になって、がん患者の方の就労をサポートしようとか、やめさせないような支援をしようとかというのを実際には、自立相談の窓口が中心になりながら、そのような取り組みをしていったのです。
そこからすると、何が言いたいのかというと、一定のそういった仕組みというか、そういうスキームみたいなものを1つ掲げる形の中において、1つの地域づくりのあり方というのをうたっていくというのも1つなのかなというのは、1点思った点です。
もう一つ、まちづくりで言うと、やはり、さまざまな産業においても困ったがあって、今回のもので、滋賀県の東近江市で、さっき野﨑室長が話をしていましたけれども、里山の手入れを後継者の方がやってという中において、あれは、本当に人手不足の部分を補う中で、里山を手入れしという中において、里山の活性化につながり、産業につながりという中で、困窮者の方々も、ある意味、自己有用感が高まっていくのもあるけれども、幾らかお金がもらえるという形であれば、それはお互いにとってウイン・ウインなのだろうなみたいな形で、そういうようなさまざま分野の困ったというのと、こちら側の困ったというものを、一つ一つうまくマッチングをしていくというような作業を、やはり、また一つしていく必要があるのかなと。
これは、すごく一粒で三粒おいしいかなと思うのです。同じお金を投下するにしても、里山もきれいになるし、産業としてまきが出てくるとか、それでいながら、人は人でいい形で育っていくと、だから、一粒で三粒おいしいみたいな、きちんとした、そういうような施策みたいなものを高く評価していくみたいなものが必要なのかなと思っています。
あと、福祉の観点の地域づくりとかというと、最初の検討会で、田中先生が言った、高齢者の方をどういうふうに生き生き活躍していただきながら、それでいて地域のために何らかサポートをいただくような形になればいいのではないかというのは、まさにそのとおりだと思っていて、ここで何が必要になるのかなと思ったときに、特に、いろいろお金も持っていて、実力もあって、知識も高くてというような方は、ある意味、具体的に言ってしまうと、公務員の方とか、教員の方とか、一定程度年金が少し高めにもらえている方は、余り働かなくてもいいというような形の中にある方々を、その気にさせてというのがいい言葉なのかわからないのですけれども、何らかの形で、本人が自分の好きなことをやってもらうのは介護予防になるので、それはそれでいいとして、その上で、その気になるように、こちらからうまい頼み方をして、何らかの形で引っ張ってくるというか、地域のところの部分に参画いただくというのは大事なのかなと、やはり、そういう仕掛けを持っていく必要があるのだろうなと思っています。
それと、今回のを全部見ていた中において、やはり、災害というところの視点がないのかなと思っていて、災害があったときは、そもそものつながりがあってという中においてサポートされていくものなので、この中にも、災害というような部分の位置づけを一定程度何らか入れてもらえるとありがたいのかなと思っていました。
あと、これは全部ですね、論点4のところまで。
○宮本座長 3までです。
○立岡構成員 では、以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。
若干時間も押してございまして、まだ地域づくりに関して御意見等ある方は多いと思いますけれども、ここで、論点4に比重を移させていただきまして、包括的な支援体制のあり方、その整備の方向性について議論をしていきたいと思います。
これまでの議論も、実は、その前提となるところをしっかり議論をしていただいてきたわけですけれども、そこを踏まえつつ、それでは、先ほどの言い方でいえば、Aの部分のデザインといいましょうか、ここはどういう形であるべきなのかというところで御議論をいただければと思います。
いかがでしょうか。
では、池田洋光委員、お願いします。
○池田(洋)構成員 私は、高知県の中土佐町という小さな町の町長をしており、全国町村会の副会長ということもございまして、今、論点4の部分で発言をさせていただきたいと思います。
昨日、参議院選が公示され、全国で各政党が主義主張を訴え、そして、候補がそれぞれの政治的な考え方を述べておられますけれども、実は、御案内のとおり、今、合区というのがございまして、前回の参議院選から取り入れられました。
高知県は、お隣の徳島県と合区でありまして、1人しか地方区で選べないのです。同じように、鳥取県、そして、島根県が合区になっております。
一方、格差の問題があって、これは今の憲法のもとでは致し方ないことかもしれませんけれども、実は、高知県と徳島県の面積を合わせると1万1250平方キロあるのです。わかりやすく言うと、東京都と千葉県と埼玉県、これよりも広いのですね。それでたった1人なのです。
それで、私が言いたいのは、地域共生社会ということで、今、2040年問題が取り上げられておりますけれども、この都市圏、大都市部分の老人が、これからどうなるのですかねという話なのです。
施設もない、マンパワーもない、では、ここの皆さんが、これからどうなるのか、やはり、全国に1,718の自治体があります。都市部だけではなしに、各市町村それぞれが、これからもしっかりと生き残っていくこと、これが非常に重要でありまして、このことによって、私は首都圏を初め、大都市圏の2040年問題は、ある程度解決の糸口が見出せるのではないかと思っております。
当然、全部移住するという話ではないのですが、今の状況が続けば、破綻することは目に見えていますので、そういったときに、いろんな問題がありますが、まず、高齢者の問題、そして、エネルギーの問題、食料の問題、国防の問題、これは、端的に申し上げますと、いろんな科学的な見地から防衛問題が検討されておりますけれども、実際は、全国津々浦々の、いわゆる港の集落、ここがあることによって、不審船ということについても、結構レーダー以上に監視ができるわけであり、
いわゆる国防にもつながっております。ですから、やはり、地域がそれぞれ、これからもしっかりと自立をしていく、存続できる、そういうような対策を講じなければならないと思っております。
今、第32次の地方制度調査会において、2040年問題あるいはそれぞれの自治体のあり方、都道府県のあり方、こういうことも議論されております。
しかし、私がいろんなところの自治体などをお伺いし、また、見聞をさせていただく中で、やはり、地方のなりわいといいますか、これを軽視する、そういった国であれば、日本の国力はどんどん低下するのではないかと思っております。
高知県は、本当に人口も少なく70万人を切って、徳島と合わせても145万人であるが、そういうような地域にあっても、やはり、我々の先祖が連綿と守ってきた、この地域を、これからも子々孫々に伝えるため、残していくために、また、さまざまなエネルギー、食料、そして、地球環境を守るために、我々は頑張っているわけで、経済的には条件不利地域でありますけれども、さまざまな支え合いを行っております。
そういったときに、こういう国の制度があることによって、行政としてさまざまな政策を打って出ることもできますし、日本福祉大学と私どもの町は、様々な支え合いの関係を持っていただいておりまして、あったかふれあいセンターですとか、また、地域をみずからの手で守っていこうということで、集落活動センターがございまして、その中で、いろんな取り組みをしております。
とにかく限られた予算、限られた人材、限られた経済環境で、何とか地域を守っていこう、残していこうという努力をしておりますので、ぜひ本日の委員の皆様、また、国においても日本全体を俯瞰したような考え方で、都市部の論理あるいは田舎の論理ということではなしに、融和を持った、それぞれの地域を考えた政策を行っていただきたい。
最後でありますけれども、お金の問題であります。老後の生活の話が、今、大変取りざたされておりますけれども、2000万円が足りないという話は、都市部で、その御家庭の生活状況にもよりますけれども、全くこれはまた足りない話であろうと思いますが、田舎であれば、年金だけで十分できます。これは、食料の話もありますし、相互扶助の話もあります。年金制度が劇的に改善されるということは絶対あり得ない話で、我々の子供たちや孫たちに、このツケを負わすわけにもいきません。
ですから、国全体で考える中で、今回の議論が、相互扶助の考え方、そして、都市部だけの話ではなくて、我々地方のほうもしっかりと支えながら、国全体を今後とも活力を持って前進させていく方向に少しでも資するということであれば、非常に幸甚に思うわけであります。
今の社会保障費が青天井の状態では、これは立ち行かなくなることは目に見えておりますので、やはり、自分たちでできるところは、自分たちでする、全て国や役所にお願いねということでは全くだめになるので、これは国民一人一人が今後しっかりと考えていかなければ私は厳しいのだろうと思います。
以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。
日本全体を俯瞰する視点、地域共生社会も、そこを一律には論じられないわけでございまして、大きな御示唆をいただいたと思います。
ほかにいかがでしょうか。
大原委員、お願いいたします。
○大原構成員 ありがとうございます。
今、お話もございましたが、私も今、当別町という1万5000人の町で社会福祉法人の理事長をしています。
小規模自治体で社会福祉事業を実施している立場と、社会福祉法人の理事長としての立場と、この2点で御意見を述べさせていただきたいと思います。
これは、これまでの委員会の中でも指摘をさせていただいておりましたが、野澤委員も先ほどおっしゃられていたように、やはり人がとても重要になってくると。とりわけ小さい自治体においては、非常に専門職の確保というのが難しい状況になっておりまして、これは、現段階でこのような状況が続いていけば、これからこの先、もっと厳しい状態が続いてくるであろうと。
我々の町は、まだ、例えば、包括にいろんな職種の専門職が辛うじて集まっている状態ですが、正直申し上げて、これは、人材の紹介業に電話をして、そこから紹介を得て、つまり、そこばっかりが、今、潤っている状況ですね。
これは、私は悔しいのですけれども、この資格者を整えないと事業ができないという、またこのジレンマの中で私も運営をしているのですが、この中に、そういった人の確保ですとか、人の配置などの柔軟さとか、弾力性みたいなことがありますけれども、これはぜひ進めてもらいたいなと思います。
例えば、ある町では、社会福祉士がいないですけれども、保健師がたくさんいるとか、逆に保健師はいないけれども、社会福祉士が非常に頑張っているとか、もしくは資格がないけれども、地域の中で、非常にコーディネーター的な役割を果たしているとか、もちろん資格というものの重要性は理解しているのですが、市町村の裁量で、この包括的支援もしくは相談支援をやるために、こういった形でやろうということを市町村の裁量で決められるような、そういったことをぜひ進めていただきたいなと。
もう一つは、ここにも書いてありますが、煩雑な事務処理を行うことが支援提供できるとありますけれども、これは、相談支援の私の職員を見ていると、本当に事務量が多くて、かつ、また断らない相談支援でいろんな人を受け入れるといったら、もうバーンアウトしてしまうのではないかと思います。
私は、テクノロジーというのは、人としっかり向き合って、その人と話をするために合理化するものだと思っていまして、いわばAIやコンピュータでできるようなものは、よりそこに対してテクノロジーを取り入れて、本来、人と向き合って、人に寄り添って尽くすべき時間をしっかり確保した上で、こうした改革を進めていただきたいというのが2点目です。
先ほど、人の育成という話がありまして、私は先日、自分の大学にいる学生たちを連れて行って、被災地に行ったのですけれども、胆振のほうに行きまして、今、個宅訪問をして、被災後どういう暮らしをされているかということで一軒一軒回るときに、今の若者がちゅうちょしているので、どうしたのと聞いたら、自宅にピンポンしたことないと言うのです。
こういう彼らが、将来、地域共生社会のコーディネーターになれるかというと、非常に疑問なのです。つまり、一定程度整った制度の中で、そこに車などで来る、利用者を受けとめて、そこのオペレーションの中で、また返すみたいな、こういうことを育てるような、今のあり方をもう一度見直して、地域の中にどんどん飛び込んで課題を見つけて、そこに向けてアプローチしていくような、そういう若者を一方で育てていくという必要もあるのではないかと思いました。
もう一つ、社会福祉法人の理事長としてお話をさせていただきます。
社会福祉法人、私はNPOから社会福祉法人になりました。非常に公共性の高い住民の方々からも非常に期待を寄せられ、行政に対してもしっかりとした役目を務めないといけないということで、非常に運営面ではNPOに比べると厳しい面がありますが、一方で非常に恵まれているなと思いました。NPOでやっているころは、税金を払ってやっていたところが、社会福祉法人になると、これは払わなくていいと、これでいいのかということを非常に思っていた矢先に、社会福祉法人改革で、内部留保のあり方、これについて問われたわけです。
私は、内部留保を吐き出すのは反対ではなくて、内部留保をもっと身近な地域に届けるような仕組みをとるべきだということをずっと申し上げていました。
例えば、これは自分の法人で内部留保を抱えているところがなぜやらないのかということを見たときに、単純にどう使っていいかわからないと。悪気はなく、これをどう使っていいかわからない。結局のところ、公的サービスをまた充足させるようなお金の使い方をしているのです。
むしろ、制度にない生活支援をつくるとか、それが自分たちでできないのであれば、これは、ぜひ認めてもらいたいのですけれども、そういうNPOとかに寄附できる仕組みをつくってほしいのです。もしくは市民活動団体。
それで、これのジャッジメントを、例えば、行政が行う。つまり、自分たちでそのお金を何かしらの設計をするのではなくて外に吐き出してもいいと、そういった仕組みをぜひつくっていただきたいと思います。
もう一つは、例えば、そういった制度に基づかないサービスをしている社会福祉法人に対して、しっかりと評価をして、例えば、入札のときのインセンティブが働くとか、何かそういったことを、ぜひ取り入れることによって、そういった法人がどんどんふえていくような仕組みをつくっていくべきではないかなと思っています。
最後ですが、よくある自治体負担何分の1というのがあるのですけれども、これは非常にやりにくいです。私らとしてはやりたいのですけれども、行政にお金がないと言われたら、何も言えない状態です。
これを、例えば、市民の寄附で集めるとか、そこに社会福祉法人の内部留保を充てるとか、市町村の中で、その何分の1を満たすようなお金の工面の仕方を民意で考えて、そこを行政がしっかりジャッジメントしていく。そういったお金の拠出の仕方、これは社会福祉法人としてしっかり留保としてあるお金の吐き出し方もそうですし、市民の人が、自分たちのつくりたい、例えば、相談支援をこれでつくるということを発信して、そこに個人から寄附を集めていく仕組みとか、先ほどもおっしゃっていましたが、新たに何か行政に言ってお金を集めるとか、行政がないからできないということではなくて、その二元論ではなくて、どうやったらここを、お金を集めてできるのだろうと、それに社会福祉法人もしっかりお金を出して、市民の公共的セクターとして胸を張って信頼の置ける経営をすべきではないかということを強く思います。
以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。
社会福祉法人の内部留保の扱い方については、直接、この検討会の課題とはなりにくいかもしれませんが、大変大事な問題であること自身は、私も承知しております。
それ以外の4つの論点、これは、いずれも大変重要で、制度設計に生かしていかなければいけないお話かなとお伺いをしました。特に、自治体負担3分の1、3分の2という形は、むしろ制度の展開を妨げてしまうところが現実にはあるというお話だったかなと思います。
それでは、平川委員のほうから、お話をいただいて、その後、本郷谷委員、お願いします。
○平川構成員 論点は全部で4つありますので、少し通して話をしたいと思います。
最初に、家族という殻がだんだん割れて溶けてしまう中で、さまざまな問題が生まれてきていると思います。自治体として課題をどう捉えて、どう解決していこうかというところで、相当いろんな問題で迷いがあるのかなと思いました。
そういった意味で、今までも人材という話がございましたけれども、それとともにコーディネート力をどうやって高めていくかというところで、様々な話があったと思います。
地域でのコーディネート力というのは当然必要なのですが、実は結構、自治体なら自治体の中でのコーディネート力が強く求められているということがあるかと思います。
特に、先ほど言った地域のいろんな課題があるかと思いますし、社会福祉関係だけではなくて、例えば、移動の問題、交通の問題とか、買い物弱者の問題とか、もしくは成年後見の問題もそうですけれども、そういう問題を発見できるコーディネート力が必要なのですが、それをどうやって人材として位置づけていくのかということも大きな課題なのではないかと思っているところであります。
そういった中で、やはり論点4の財源の問題でありますけれども、記載のとおり、先ほど言ったさまざまな課題をどうやって横断的に柔軟に活用していくかというのが重要かと思いますが、縦割りという形になると、どうしても役所の中でのいろんな壁を乗り越える力というのが必要でありますけれども、それがかなりな力仕事として必要だという実態もありますので、やはり、ここに書いてあるとおり、柔軟な対応というのが極めて重要なのではないかと思っています。
先ほど言ったように、地域ニーズがさまざまでありますし、もっと言えば、個別ニーズもさまざまな中で、その柔軟性というのは強く求められているところであります。
これらを総合相談や総合的に解決する場は、役所の中でどういうふうになるかというと、それぞれの自治体の判断になるかと思いますけれども、その担当部署からすれば、先ほど言った縦割りの壁をどうやって乗り越えていくのか、もっと言えば、財政担当者の壁をどうやって乗り越えていくかということも含めて、しっかりと考えていく必要がありますし、それを乗り越えられるような制度というのが必要だと思います。
その意味で、これは第1回のときに発言をさせていただきましたけれども、自治体に基金を造成し、それによって地方自治体ごとにやりやすい財政運営、組織運営ができるということも考えられると思いますので、その辺、御検討をいただければと思います。
確かに、補助金でやったらいいのではないかという意見もありますけれども、補助金だと、運用がどうしても全国一律になりがちで使いづらいという意見も結構お聞きしておりますので、この問題に関しては、少し工夫が必要なのかなと思っているところでございます。
もう一つ、既存の組織の活用というのも重要かなと思っています。交付税措置をされております、地域運営組織、29ページにありますけれども、この地域組織の運営が、どういうふうな状況になっているのか。せっかくの既存組織でありますので、しっかりと活用していくことも重要かと思っています。
ただ、これが実態として、本当に、こういう総合的な相談窓口に対応できているのか、どうなっているのかということについては、検証していくということも必要なのかなと思います。交付税措置なので、国が検証するというのもなかなか難しいのですが、その辺、少しどういう活用の仕方をされているのか、もしくはもっと前向きに活用されていれば、それでいいのですけれども、せっかくの仕組みでありますので、その辺の活用の関係についても検証していくことも必要なのではないかと思っているところであります。
以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。
では、続きまして、本郷谷委員。
○本郷谷構成員 論点4の財政的な問題については、基礎自治体から見ると大変重要で、ここに書いてあることを、ぜひ基礎自治体が運営しやすいような財政措置をしていただきたいということです。
現状でも地域包括とか何かだと介護保険を使ったり、あるいは使えないところは一般財源を使ったり、あるいはいろんな補助金をもってきたりして、何とかやってきているというのが現状だと思います。
これからは、さらに共生社会をつくったり、あるいは運営したり、いろんなことをしていくときに、今まで以上に広がりが出てきます。
1つは、福祉だけではなくて、いろんな横の広がりもありますし、福祉の中でもお年寄りだけではなくて、子供だとか、障害者とかいろんな課題がある。それぞれが目的になったり、手段をつくる、あるいは基盤をつくる、いろんなことをやっていかないといけない。
そういうときに、それぞれが細かく規定されたら、全く我々としては動きがとれなくなると危惧していますので、ぜひ一括して、こういう共生社会をつくるための財源を、地域によって大分違うところもありますので、ぜひ、一括して使い勝手のいい交付金措置みたいなことをお願いしたいと思います。
以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。
大原委員、平川委員、そして、本郷谷委員と、まさに地域目線、自治体目線で本当に使える仕組みというのを強く求めるという御趣旨であったと思います。ありがとうございました。
立岡委員のほうからも、先ほど4点目で、途中でおとめになったと思いますので、お続けください。
○立岡構成員 先ほど、池田先生のほうからもお話がありましたけれども、やはり、広域というところは、すごく相談を受けるにしても結構大変なのです。仙台とか都市部であると、ある意味、数が多くなって、相談の数をこなしていくというと言い方は悪いですけれども、対応していくということに時間がぐっととられますけれども、広域だと、1件アウトリーチかけるのに1時間以上かかるというような形だったりするのです。
そこからすると、包括的な支援をと進めているときに、まさに今の自立相談の枠組みで言うと、町村のところには、もう少しある意味人員等の配置の部分の中において、一定、考えていただかないと、ちょっと広域をカバーするというのは、なかなか難しいなと、ここでやれていないと言っているわけではないですけれども、包括的に考えていって、今後、本当に断らない相談を、まさにタイムリーにやっていくのだとなってくると、非常にその点に関しては考えてもらう必要があるのではないのかと思います。
あと、先ほど、大原委員のほうから話がありましたけれども、まさに自治体が手を挙げないと事業をやらないというのは、まさに財源がないから、でも、やらなくていいのですかというと、お金があったらやりたいと自治体は言ったりするけれども、お金を工面するのが難しいからやらないといったときに、ある意味、自治体の責任の名のもとにおいてやらなければいけないことかもしれないのだけれども、何らかの形で民間も、先ほど大原さんも話をされていたように、お金を何らかの形で手当さえできたとしたならば、協働という枠組みの中において、実際に自治体も、一応ない中、一応ちょっとだけは出すと、あと、民間ベースの中においても、何らかの形で財源を持ってきた形の中において事業を取り組むというようなことは、やはり認めていただく方向で行かないと、今後、厳しくなるのではないのかなと。
公的にやるべきことは、やはり、公的な金でやるべきだというのも意見としてはあるかもしれないけれども、そういう何らかの形で民間的なお金を活用しながら、協働という位置づけの中において物事を進めていくというのは、限られた財源で今後進めていく中においては、お金がないからやりませんという自治体で終わってしまわないというような形のものが、一定、そういうような枠はつけてもらったほうがいいのではないのかなと思います。
以上です。
○宮本座長 では、室長のほうからお願いします。
○野﨑生活困窮者自立支援室長 今の最初の御指摘で、町村における人員配置というのは、それは困窮の部分という理解でよろしいですか。
○立岡構成員 はい。
○野﨑生活困窮者自立支援室長 わかりました。ありがとうございます。
○宮本座長 では、池田委員。
○池田(洋)構成員 もう一点だけ、やはり、マンパワーの問題もそうなのですが、実際、各自治体には、専門職員がたくさんおります。
例えば保健師や、理学療法士、社会福祉士などの職員が調査ものと報告ものに追われてしまう。だから、本来の仕事ができないのです。
地域力強化推進事業にしても、多機関協働にしても、事業を実施すれば補助金が出るが、なかなかみんな手を挙げない。報告調査で手がとまってしまうからです。
しっかりアウトカムも見なければならないが、もう少し簡素化する、それから、縦割りの弊害というのをもう少しなくしていただくような方向をぜひとっていただきたいと思います。
以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。
事務量削減というのは、先ほど大原委員のほうからも出た件でございまして、これもリアルなお話と承っておりました。
では、原田委員。
○原田構成員 時間がないところ済みません。
包括的な支援体制ということを考えますときに、今、出てきていない議論で、少し中長期になるのだろうと思うのですけれども、福祉事務所のあり方というのをどう考えていくのか。
これは、さっき言った町村の部分のことも含めてですけれども、そういうようなものを従前の縦割りの仕組みから、地域福祉を中心とした行政体制に切りかえていく。
その中の1つは、調整や企画機能とか、あるいは、ここで出てくる自治体の裁量の幅を広げれば広げるほど、福祉部局の中の企画機能みたいなものを福祉行政の中にどう位置づけていくかみたいな、福祉事務所の再編も含めたグランドデザインみたいなものも、多分必要になってくるでしょう。
もう少し現実的なところでいくと、今回出てきた地域福祉計画が法改正されているのですけれども、上位計画といってもなかなかうまく進んでいないのです。それは、やはり、各分野横断の、児童、障害、高齢の計画をどう一元的にするかと、そこの部分のイメージがなかなか持てないとか、誰がやるのだ、どこでやるのか、そこに伴う財源はどうするのだというと、そこでとまってしまう。
きょうも参考資料で地域福祉計画のガイドライン、ハンドブックを出していただいていますけれども、モデル地域のところは、そこをいろんな工夫をしているのですけれども、非常に未策定なところも含めての格差が大きいというところも踏まえて、もう少し具体的なツールも示しながら、共生社会ができるような仕組みをつくっていくという自治体のあり方というのが問われてくるのかなと思います。
もう一つ余談ですけれども、さっき池田委員がおっしゃった、共生社会をつくっていくときの社会資源で、きょうは、社会福祉法人の話はたくさん出てきていますけれども、福祉系大学が全国に約200近くあるので、そこの大学生や研究者も含めて、福祉系の大学が、もっと地域に貢献したり、かかわっていくというのも1つの要素かなと、先ほどの話を聞きながら思いました。
以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。
では、後のほうで報告書に対する議論も承っていきますので、もし、そちらで重ねて議論できるようであれば、池田委員もいかがですか、もし今のほうが、では、どうぞ。
○池田(昌)構成員 平川委員から先ほど出た総合的なコーディネーターの話なのですけれども、コーディネーターもどうしても個人に依存されることが多いので、できればチームで取り組めるのがよいと思います。省庁を超えたさまざまなコーディネーターがいるので、自治体の職員も入って、あるいは民間も入って一緒にやらないと、うまくいかないと思います。
もう一つだけ、それを支援する都道府県の広域支援求められます。一部の市町村は頑張ってやられるのだけれども、県全体が盛り上がっていくためには、県が音頭をとって市町村と一緒に官民協働でやれるような中身が必要ではないかなと思います。
○宮本座長 ありがとうございました。
まだ、いろいろ御議論がありそうではありますが、もう会議開始してから2時間10分たっておりますので、後半が、これまでの主な意見等についてという形で、次回報告書をまとめていくための御意見もいただいていかなければなりません。
そういうことで、とは言いつつ、皆さん、お疲れでしょうから、ここで10分休憩を挟ませていただきたいと思います。
15時20分に再開をさせていただきたいと思います。
 
(休
憩)
 
○宮本座長 それでは、再開をさせていただきます。
後半の議論は、これまでの主な意見等についてということになります。
お手元の資料3で、これまでの意見等を事務局にまとめていただいております。それに基づいて、中間取りまとめに向けた議論の整理ですけれども、これは、資料4という形でまとめてございます。
この資料3、資料4について事務局のほうから、御説明をお願いいたします。
○野﨑生活困窮者自立支援室長 再び野﨑でございます。
資料3と資料4について御説明をします。
少し時間も限られておりますので、ごく簡単に御説明をしたいと思います。
資料3は、これまでの検討会の流れの中で御指摘をいただいた内容をテーマごとにしております。
お手元にございます、構成員の皆さんの机上にあるものには、わかりやすさの観点からお名前を入れております。公表資料には、お名前を落とした形にしております。まだ、皆さんの確認をいただいていないという前提なので、そういう形にしております。
この後、資料4の説明をした後、御議論をいただきますけれども、この資料3を参考にしながら、言い足りないこととか、追加で御意見をいただければと思います。
資料4についての説明をさせていただきますが、大きな枠組みや検討の経緯、その次、3ページからが「新たな福祉政策のアプローチ」ということで、ここは第2回の検討会の内容を書いていまして、7ページからは、各論ということで「断らない相談」「参加支援」という構成にしています。
資料の12ページからは「各論③ 地域づくりを考えるに当たっての視点」とありますけれども、ここは、今回まさに資料として提出した部分ですので、論点をそのまま張りつけるという形にしています。
全体の構成としては、基本的には、これまで事務局からお示しをした論点というか、考え方というものをなぞる形にしていまして、その事務局の考え方について御意見のあったところは、その御意見を紹介し、そして、その御意見を踏まえた、もう一歩深めた記載としているということです。
例えば、7ページから8ページをごらんいただきますと、ここは「断らない相談」の機能というところで、7ページの真ん中ぐらいから、モデル事業の実施自治体との協議の結果「断らない相談」にこういう機能が要るのではないかという整理をしていますということに対して、8ページの最初の○は、この検討会での御意見で、例えば、断らず受けとめるという入り口だけではなく、受けとめた後、継続的にかかわる支援が重要だとか、そういう御意見をいただきましたので、その次の○で、これを踏まえると「断らない相談」の機能について、事務局が想定していた2つの機能に加えて、継続的なかかわりを可能とする機能を確保することについて検討すべきであるというような書き方をさせていただいています。
また、8ページの下からですけれども「断らない相談」の機能を具体化するために必要な仕組みとして、事務局は、以下の3つに整理をしましたというものに対して、9ページに入ると、本検討会での御意見を御紹介した上で、真ん中の○ですけれども「断らない相談」の機能を具体化するための必要な仕組みとしては、事務局から提出した①から③までの仕組みをベースにしつつ、検討会での御意見も踏まえ「断らない相談」に求められる専門性、人員配置や資格要件などや、入り口の相談支援のみならず、地域とのつながりも視野に入れ、より具体的な制度設計を検討すべきであるという記載。
あるいは9ページの最後からですが「断らない相談」の実施体制の部分について、検討会の御意見を踏まえて10ページの最初の○ですが、このような「断らない相談」を中心とした包括支援体制を各自治体が、それぞれの状況に合わせて整備することを後押しする観点から、現在、それぞれの相談機関等の支援体制に対して、個別制度がそれぞれ補助することによって、市町村において体制が構築しづらくなっているという課題を解消するべく、属性や課題に基づいた既存の縦割りを再整理する新たな制度枠組みの創設を検討すべきであると。
あるいは、次の○ですけれども、最後のほうですが、本検討会において小規模市町村単位では確保しがたい専門職を確保し、必要に応じた助言・人材育成等に当たることも含め、都道府県の役割の具体化というものを図るべきであるというような御意見。
また、11ページですけれども、今度は「参加支援」の部分ですが、さまざま「参加支援」について、3つ目の〇、4つ目の〇が検討会での御意見ですけれども、最後の○で、今後「参加支援」を具体化していくに当たって、検討会での御意見も踏まえ、地域の実践や実際の制度に照らしながら支援メニューの具体化を図りつつ、現場において柔軟性を持って取り組むことができるよう、多様で継続的な仕組みを検討すべきであるというような形で書かせていただいております。
今のところが、事務局の整理に対して、検討会で御意見をいただいて、それに合わせて、このまとめの内容を追記した部分となっております。
このほか、先ほど申し上げたように、資料3を御参照いただきながら、さらに、こういう部分について議論を深めるべきだという点がございましたら、御意見をいただければと思います。
以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。
いかがでしょうか。
田中委員が、30分前に退室されるとあらかじめ承っておりますが、よろしくお願いいたします。
○田中構成員 では、一言言って帰ります。
資料4のほうです。これは、現段階でいいスタートラインをつくっていただきました。
各論で「断らない相談」、それから2番目の11ページの「参加支援」、これは大変結構ですね。参加支援もちゃんと確保して、社会とのつながりを表す意味で「参加支援」と書いてあります。
一方、私は前から伴走支援なる言葉に何となく違和感があります。生活困窮者、貧困家庭の子供とか、若者に伴走して社会に活躍してもらう。これは、いいのですけれども、介護の世界も、もし視野に入っているとすると、重度の要介護者や看取りに近い人を走らせるのかという語感が気になります。尊厳ある看取り支援のときに、誰が誰と一緒に走るのだと問いたくなる感じが否めません。困窮者支援などでは伴走はいい言葉なのですけれども、全体には当てはめないほうがいいかなと指摘したい。
もう一つ、6ページの下のほうの4です。○があって「いわゆる『自助・互助・共助・公助』のように固定的なものではなく」と書かれていますが、この解釈は間違いです。自助・互助・共助・公助は分析概念です。地域包括ケアの世界では、自助・互助・共助・公助が補完的に役割を果たすべきだと言っています。もちろん、固定的になってはいけないですね。
したがって、書き方としては、「いわゆる」ではなくて、「自助・互助・共助・公助を固定的に捉えるのではなく」としないといけないですね。これらは、補完的に相互にクロスして使うものですので、概念自体が固定的かどうかではなく、使い方の話です。なお中身については、なかなかいいことが書いてあると思います。
2つコメントをさせていただきました。
○宮本座長 大変具体的な御指摘をありがとうございました。お引きとめして申しわけございませんでした。
それから、先ほど、加藤委員のお話を、私がとめてしまいましたので、ここでぜひ御発言ください。
○加藤構成員 私は、さっき原田さんが言われた企画機能というところが、こういうことを考えるときにすごく大事かなと思っていまして、それこそ、市の中の企画機能というのもそうなのですけれども、その企画機能を、それこそ市町村とかというところだけではなくチームを組んでやる必要性があるというところは、すごくそうだなと思った次第です。
あと①から③のところかもしれないのですけれども、コーディネーターの必要性みたいなところの議論が幾つかあると思うのですけれども、私はコーディネーターの機能の中に、人材育成と基盤整備ができるようなところもすごく必要なのかなと思ったのです。
というのは、私、相談支援とかに入っていると、相談支援の現状は、ばっと飛んできた相談に対して、言い方は悪いですが、外科的な治療みたいにばっと解決しなければいけない部分と、さっき朝比奈さんが言ったみたいに、地域の中で取り組む部分というのが、相互に重なってくるのです。
そういう意味でいうと、ここは切り離せないなとすごく思っていて、さっきのアドボカシーの問題もそうなのですけれども、その部分を双方できるような相談支援のあり方というのがすごく必要なのだろうなと思うと、コーディネーターとか、人材育成というところはすごく重要だなと思っていて、さっき大原さんが言われていた、人材育成の仕組みの中に、今までの検討の意見の中にもあるのですけれども、今の障害の相談の中でもそうなのですが、それぞれの地域間格差はすごく大きくて、より高度な相談支援をやろうとしている現状が、横断的な相談支援は、より高度な相談支援になってくるかなと思うので、その相談支援をやる人のバックアップの人材育成みたいなものも、すごく必要だなと思っているということと、それが各地にいるということが、かなり難しい現場から考えると、それこそITみたいなところを使いながら、より専門的なバックアップみたいなところは、違う地域からも受けられるような仕組みが必要なのかなと思いました。
あと、チームというような支援のところで言うと、困難ケースになればなるほど、複数の複雑な課題というのが絡み合っていて、優先順位をどうつけるのか、誰にどういう指示を出しながらチームを組んでいくのかというところに、すごく能力が必要なのだろうと思っていて、そういう意味で言うと、その人自身、例えば、障害の相談をやっている私自身に高齢のところの専門的な支援があるわけではない現状の中でも、その場で采配を振るっていかなければいけないというのが、現場としては見えてくると思うので、そのバックアップの人材とか、チームでどう支援するのかといったところを、地域でつくるといったところと、それから、広域のところでより専門的な支援を受けられるというところの体制を2つ整備していかないと、少し難しいのではないかなというところを感じているところです。
○宮本座長 ありがとうございました。
先ほどの論点4のところに、主にはかかわって、私の采配の問題でございましたので、お話をいただきました。
引き続き、取りまとめに向けた議論の整理に対する御意見という形に重きを置きながらお話を承っていきたいと思います。
では、朝比奈委員、お願いいたします。
○朝比奈構成員 先ほどの田中構成員の御意見のところなのですけれども、資料1の12ページです。
伴走支援の話と、共同体の話と、(準)市場というのですが、福祉とか介護のサービスが三角形になっているところなのですけれども、先ほど、田中委員が例示的におっしゃられた最重度の要介護の方々だったり、ターミナルの方だったり、障害でも重症の方なども、それに該当すると思うのですけれども、日常的な介護とか障害福祉のかかわりが既にある方、ケアのかかわりの中で日常生活を送っておられる方々は、まさに介護やケアの人たちが伴走をする役割ということになるのだろうなと思うのです。
ですから、この三角の関係が、議論の整理の中でも生かされていけば、そこのところは十分に表現ができるのではないかと思いました。
○宮本座長 ありがとうございました。
では、宮島委員、お願いします。
○宮島構成員 どこの部分に当たるのかは、よくわからないのですけれども、私は高齢分野にいるので、よく地域の中では、川上から川下に切れ目ない支援をということで、よく障害に至る前に、医療の世界に一旦入って、そこで急性期を超えた後に、また、生活支援のほうに段階的に戻していくということです。
そうすると、どちらかというと、縦に動いているものと、今、議論されているものは、どちらかというと、横に動いているようなものの感じがするのです。
それは、生活困窮も同じなのかなと、朝比奈さんに聞いてみたら、例えば、一旦急激に生活能力が落ちたりとか、経済的に困窮すると、多分、相談の対象は回復とか、生活体験みたいな、だけれども、そこで伴走しないと、地域の中で、また破綻を繰り返す。要するに、縦の関係というか、高齢者でいうと、急性から生活支援に至るまでの治療というか、そういうものの話かと思うのです。
ですから、横の中だけでどう支えていくのかというのは、その先のつながりをどうつくっていくのかという話のような感じがしているので、どちらかというと、その縦の部分も少し考えておいてもらったほうがいいかなと思ったのは、特に高齢の分野とか、障害を持っている方たちの分野については、医療との関係というのは、私は非常に重要だと思うのです。
高齢の分野では、特に松戸の川越先生などがよく言っているのは、傾きとくぼみという言葉を使うのです。傾きとくぼみというのは、高齢期ですから、自然と生活能力が落ちてくる、それは傾きなのです。
ところが、それだけではなくて、至るところにくぼみ、例えば、病気の発作とか、転倒、骨折とかといって、急性期の医療が必要とする、そういうリスクがたびたびあるのだということです。
先生方は何をやっているのかというと、実を言うと、病院に担ぎ込むのではなくて、地域の中で、くぼみをいかに小さくしていくのかということなのです。
ですから、生活再建まで落ち込むのをどう抑えていくのかということが大事で、そうすると、縦の関係が余り多くなくなるので、横のつながりだけで支え切ることができるというような感じなのです。
ですから、そうすると、例えば、介護施設とか、そういうのでも、いかに急激なくぼみを小さくするのかというと、実を言うと、入院をしなくてもよかった。生活の中で支えられる。そうすると、医療が時々の医療で、大部分が生活支援で賄えてしまうみたいな、今、朝比奈さんが言ったように、介護スタッフが伴走をしながら支えていくと、実を言うと、時々の医療で、それを支え切ることができるというような感じなのです。何となく、そういうイメージがあったほうがいいかなと思うのです。
ですから、地域の中から表に出ていってしまって、それで戻ってきたときに、また、地域の中で、その人を支え切れるかといったら、そうではなくて、また破綻して、また表に出ていって、また戻ってきて、また破綻してということを、ただ繰り返していくだけになっていくような感じがするので、縦につながっていくものと、横につながっていくものをどう考えていくのかというのが必要なのかなと考えました。
○宮本座長 ありがとうございました。
今の縦、横あるいは傾きという考え方からして、この伴走という言葉自体の適格性、そのあたりは、いかがでしょうか。
○宮島構成員 私は、伴走というのは横のつながりの話があって、どちらかというと、時間軸で一緒に、その人の状態に沿って柔軟に支援していきましょう、そのときに必要なメンバーを集めてチームを変えていったりとか、そういうことで固定されたチームではなくて、もし、そこで医療が必要になれば、医療のチームが入っていたり、もし、そこで生活支援が必要であれば、生活支援だったり、もし、その中で子供の支援が必要になれば、そのチームの中に入っている。
しかし、多分、伴走するキーパーソンは、介護でいえば、ケアマネみたいな人たちが、伴走するというか、私は、前にデンマークに行ったときに、日本で言うところの生活支援コーディネーターみたいなものがいて、それが1人で365日、1回見守ったりとか、複数回見守ったりするので、2,000件ぐらい担当しているのです。その人は非常勤で、それで必ず顔を出す。必要に応じては、月に1回とか2回顔を出さなければいけない。
でも、そんなにリスキーな人ではなかったら、年に1回ぐらい顔を出して挨拶をするみたいな感じです。
私は、いつもあなたを見守っていますよみたいなメッセージを常に出し続けているみたいな感じの人がいるのです。私は、それが伴走者なのではないかなと。
そのときに、自分が、この人にお金の問題があるから、では、生活支援資金みたいなものを、使えるような仕組みを彼女のところに行って少し考えてみようかみたいな、あるいは最近糖尿病が悪化しているので、保健師や医療の人たちを連れて行って一緒にやってみようかみたいな形のものがあったのです。いわば、生活支援コーディネーターやリンクワーカーみたいな形のものがいて、そういうのが地域の中で、早期に問題を発見して、それで伴走するみたいな。
だから、私たちは、どちらかというと、急性期の急に困ってしまった、再建が非常に難しいという状況の中で取り組むというと、すごく大変になってしまうのですけれども、早目、早目にそういったことをするということであれば、介護の世界で言うところの予防みたいな形ですね。
例えば、糖尿病が悪化して急性期で入院したときに、また在宅に戻って、また糖尿病が悪化する生活環境にいれば、また入院するわけですね。アルコール依存症もそうだと思うのですけれども、それだと伴走し切れないですね。
ですから、横の地域の中で専門職が伴走する仕組みというのをつくっていかなければいけないのではないかと思います。
○宮本座長 ありがとうございました。
ほかに、いかがでしょうか。
では、平川委員、続いて原田委員の順番でお願いします。
○平川委員 ありがとうございます。
議論の整理案の6ページのところです。
さっきの資料1の12枚目のスライドのことが書いてあるのですけれども、ここで1つ押さえないとだめなのは、自助・互助・共助・公助のように固定的なものではなくということで書いてあります。
実は、介護保険の場合、そもそも社会保険制度でありまして、制度創設時の意図というのは、ある意味、措置制度に対する反省に基づいて、権利性の強い社会保険制度として制度が創設されてきたという経過があったわけであります。
今回、新たな仕組みを入れるとき、そういうふうな権利性の強い社会保険としての社会保険制度と、この仕組みをどうやって組み合わせていくのかというのは、もう少し深掘りをして記載が必要なのかなと思いました。
単純にバランスということだけではないような気がしているところでありますので、その辺をもう少し、その関係性の記載をしていただければと感じたところでございます。
具体的にどう書けばいいかと、きょうは、まだ思いつかないので、議論の中でちょっと考えていきたいと思います。
以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。
では、原田委員、お願いいたします。
○原田委員 取りまとめの(案)の12ページのところです。
これは、先ほどの議論の中でも出てきているところですけれども、きょうの議論を踏まえたところの地域住民同士のケア・支え合う関係性というところで、繰り返しですけれども、ケアとか支え合う、それを住民に対して押しつけるというスタンスではないということが、もっとはっきり出てきたほうがいいと思うのです。
それは、逆に言えば、ケアや支え合う関係というのは、本来、前提とあって、それができない状況が、今、いろんなところで起こってきている、ダブルケアの問題を含めて、そういうようなところをどういうような形で改善していくかというところに立ったときに、まさに共生という、共に生きるということは権利なのだという視点でしっかりいかないと、何となくマンパワーが足りないから押しつける、住民に丸投げみたいな構図にならないようなケア・支え合う関係性という理論構築が必要かというところが1点。
それをするときに、コーディネーターの機能ですけれども、3点ありますが、社会資源開発から入ってしまうというのではなくて、きょうの議論で行けば、室田さんが最初に提案していただいた根っこの部分というか、Cの部分ですね。そこのところで行くと、やはり、出会いとか学びとか、そこが豊かにあって、その中から初めてマッチングができたり、ネットワークができて、課題の必要性に応じて社会資源がつくられていくという順番だと思うので、資源開発ありきでケア・支え合う関係となると、やはり、人が足りないから住民に丸投げになるというのは、すごく出てきてしまうので、そうではないというところを丁寧に詰めていかないといけないのではないかと思います。
○宮本座長 ありがとうございました。
今の原田委員の御指摘、主には、12ページの最後の2つ○のあたりの書きぶりに反映させてはいかがかということでよろしいでしょうか。
○原田構成員 はい。
○宮本座長 それで、平川委員の先ほどの御指摘ですけれども、特に具体案があるわけではないというおっしゃり方でしたが、主には、6ページ目の4のところの書き方で、権利性の強い社会保険制度の場合と、困窮者支援の場合の、いわばスタンスの違いのようなものが反映できるようにということですね。
○平川構成員 はい。
○宮本座長 わかりました。
それでは、池田委員、お願いいたします。
○池田(昌)構成員 今の原田委員のところと同じなのですけれども、12ページの2の最初の○なのですけれども、1のところのつなげていくコーディネート機能というところに、「全世代対応の」という形で少し幅を入れていただけるといいなと思っています。
生活支援コーディネーターの仕事の中で、2040年とか2060年を考えていくと、今の子供たちが、いずれ担う時代、そして、自身が高齢になる時代というのが、その後にやってきて、その問題を今から考えていくと、今の高齢者だけを対象にするのではなくて、全世代と高齢期の問題を考えないとうまくいかないということで言うと、ここでは全世代対応のとかと入るとありがたいと思っています。
その下の2ですけれども、最後に居場所と書いてあるのですが、地域における居場所だけではなくて、居場所を通じて気にかけ合える関係づくりをすることがとても大切なのではないかと思います。
その下にさらに○があって、今、原田委員からも出てきましたが、同じなのですけれども、社会資源の開発というのが、どうしてもつくることをイメージしてしまうので、既存の社会資源の把握と、その生かし方、必要に応じて、さらに開発するというようなことが必要だろうなと思います。最後も、顔の見える関係性の中でということですが、マッチングというと、どうしてもできていないことと、できていることをつなぐということになって、少し狭くなってしまうので、つなげていくとか、人と人、人と地域資源をつなげていくとか、そんなような形の表現になったほうが、もう少しイメージが広がるのかなと思いました。
○宮本座長 ありがとうございました。
では、どんどん行きたいと思います。
奥山委員、お願いします。
○奥山構成員 少し戻るかもしれないのですが、伴走支援のことなのですけれども、子育てのところで伴走支援というと、やはり保護者が主体的にといったところに、支援者側は伴走者としているというようなイメージで、住民だとか、そういう人たちが主体であるというところが、まず、1つ出てくるというのがイメージとしてあります。
それから、日常的に地域子育て支援拠点などに通ってきてくださる方々が、やはり、お一人目のお子さんのときは大丈夫なのだけれども、2人目が生まれるときに非常に大変なことになると。つまり、パートナーの支援がないということだとか、上の子の調整もしながら、下の子、自分自身もということもあって、やはり、同じ家庭でも経過に伴って非常に大変さが変わってくるというところがあって、そういうような日常的にかかわっている居場所があるから、伴走支援をやって変化が見られるということでもあるので、専門職の皆さんが、ポイント、ポイントで見ていただくのと同時に、やはり、日常的な生活空間の中で、その変化を正しく感じとる人が周りにいるというのは、非常に重要で、それは、子育てだけではなくて、高齢のほうもそうだと思うのです。
ですから、参加支援のところなどでも、日常的な変化を住民がどういうふうに見ていけるか、そういった視点もどこか入れていくというのが非常に重要ではないかと。伴走支援もいろんなかかわりの中での伴走支援があるなと思いましたので、そこも指摘をしておきました。よろしくお願いします。
○宮本座長 ありがとうございました。
御指摘をできるだけ生かすために、もし、どのあたりの書きぶりに、そのあたりを反映させたらよいのかということをいただけると、より確実に。
○奥山構成員 見ておきます。
○宮本座長 では、また、後で御連絡をいただいてもいいかと思います。
ほかに、いかがでしょうか。
事務局のほうに確認ですけれども、これから、このまとめを、まさにまとめていくに当たって、次の最後の会議とのスケジュールといいますか、どんな段取りになっていくのかということを御説明いただけますでしょうか。
○野﨑生活困窮者自立支援室長 まず、きょうの御議論を踏まえて、この報告書というか、資料4でいうところの12ページ以降を少し修正したり、きょうの御意見を含め、11ページよりも前の部分も修正させていただくのですが、その上で、いつというのは、まだあれなのですけれども、できる限り早く一旦お送りして、事前に確認をいただいた上で、もし、その時点で御意見をいただけるものがあれば、いただいて、それをできる限り反映したものを当日に出したいと思っています。
ただ、一方で、各省との調整もあるので、若干どの時点のもので一旦フィックスとさせていただくかということを、また改めて御意見をしたいと思いますが、来週の半ばから後半の早いうちぐらいにかけて、一旦お送りできるように準備をしたいとは思います。
以上です。
○宮本座長 それで、各委員に届けられたものを各委員がごらんになって、その場で、コメントを返すことは可能であるということですね。
○野﨑生活困窮者自立支援室長 はい。ただ、それをそのまま反映した形で16日になるか、それとも、いただいた意見をまた別途、いただいた意見として整理させていただいて、もともとの案と並べて当日になるか、そのあたりは、多少、各省との調整との関係もありますので、そういう取り扱いは、一旦は事務局にお任せいただければと思います。よろしくお願いします。
○宮本座長 わかりました。よろしいでしょうか。
それでは、今、事務局から御説明のあったような進め方で次回につなげていきたいと思います。
きょうの段階で、もし、発言し切れなかったことがあれば、これはまた個別に事務局のほうにお伝えいただいて構わないと思いますので、この報告書、中間まとめをよりよいものにするために、引き続き御協力をお願いします。
それでは、事務局のほうから、次回の御案内をお願いします。
○藤野地域福祉課課長補佐 先ほどもありましたけれども、次回は7月16日火曜日の開催を予定しておりまして、時間や開場等の詳細も追って御連絡させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○宮本座長 それでは、きょうは、長時間どうもありがとうございました。これで4回目の検討会を終了させていただきます。
 

照会先

社会・援護局地域福祉課

(代表電話) 03-5253-1111(内線2233)