令和元年8月9日 第1回障害児入所施設の在り方に関する検討会 医療ワーキンググループ(議事録)

日時

令和元年8月9日(金)
15:00~17:30

場所

中央労働委員会会館 7階 講堂

出席者

構成員

議題

  1. (1)日本肢体不自由児療護施設連絡協議会ヒアリング
  2. (2)全国重症心身障害日中活動支援協議会ヒアリング
  3. (3)発達支援機能の課題について
  4. (4)自立支援機能の課題について
  5. (5)その他
     

第1回 障害児入所施設の在り方に関する検討会 医療型ワーキンググループ 議事録

 
○刀根障害福祉専門官 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第1回「障害児入所施設の在り方に関する検討会 医療型ワーキンググループ」を開催いたします。
 構成員の皆様におかれましては、大変お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
 なお、石井構成員につきましては、御都合により欠席との御連絡をいただいております。
 本検討会につきましては、資料、議事ともに原則公開としております。議事録については後日、厚生労働省のホームページに掲載予定となっております。また、ホームページでも御案内しておりますとおり、厚生労働省における審議会等のペーパーレス化の推進の一環として、本検討会の資料は紙配付を行っておりません。御不便をおかけいたしますが、御協力のほどお願い申し上げます。
 構成員の皆様には、卓上にタブレットを設置しております。使い方について御不明な点がございましたら、事務局までお問い合わせください。
 それでは、カメラ等の撮影はここまでとなりますので、よろしくお願いいたします。
 以後の司会は、田村主査によろしくお願いいたします。

○田村主査 医療型ワーキングの主査を務めさせていただきます、立命館大学の田村です。よろしくお願いいたします。
 今回、ワーキング第1回目ということですので、まずは自己紹介を構成員の皆様にお一人ずつ賜りたいと思いますが、余り時間がございませんので、お名前と御所属のみで自己紹介を次々としていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 では、宮野前先生からよろしいですか。

○宮野前副主査 このワーキングの副主査を担当させていただいています、国立病院機構南京都病院小児科の宮野前です。よろしくお願いいたします。

○石橋構成員 一般社団法人全国肢体不自由児者父母の会連合会の石橋と申します。よろしくお願いします。

○植松構成員 私も右に倣いまして、全国肢体不自由児者父母の会連合会の副会長をしております、植松と申します。よろしくお願いいたします。

○水津構成員 全国重症心身障害児(者)を守る会の会長代行をやっております水津と申します。よろしくお願いします。

○宇佐美構成員 社会福祉法人全国重症心身障害児(者)を守る会の常務理事をしております、宇佐美と申します。よろしくお願いします。

○有村構成員 日本社会事業大学で教員をしております、有村と申します。よろしくお願いします。

○菊池構成員 三重大学の菊池と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

○児玉構成員 公益社団法人日本重症心身障害福祉協会の理事長に5月から就任しまして、前任の木実谷理事長にかわりまして構成員にさせていただきました。よろしくお願いいたします。なお、続いて、石井光子という者が同じく理事会の理事として、このワーキンググループの構成員となりましたけれども、きょうは欠席ですので、次回にまた紹介させていただきます。

○小﨑構成員 全国肢体不自由児施設運営協議会の会長を6月からしております小﨑と申します。本職は、心身障害児総合医療療育センターの所長でございます。よろしくお願いいたします。

○朝貝構成員 同じく顧問をしております、朝貝と申します。よろしくお願いいたします。

○田村主査 ありがとうございました。
 それでは、早速ですが、議事に入っていきたいと思います。本日は、課題の議論とあわせまして、関係団体からのヒアリングの追加を行いたいと思っております。ヒアリング等の進め方については、事務局から説明をお願いします。

○刀根障害福祉専門官 事務局から御説明申し上げます。
 初めに、本日お越しいただいております関係団体の方々を御紹介させていただきます。
 日本肢体不自由児療護施設連絡協議会事務局長、市川進治様、事務局補佐、小池俊様。
 一般社団法人全国重症心身障害日中活動支援協議会事務局長、木村真人様。
 以上、2団体の方々においでいただいております。
 本日のヒアリングの進め方ですが、1団体10分程度で御説明をいただき、その後、構成員の皆様から10分程度御質問等の時間とさせていただきます。御発言・質疑それぞれ時間が来ましたら、事務局より合図をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○田村主査 それでは、日本肢体不自由児療護施設連絡協議会様、よろしくお願いいたします。

○日本肢体不自由児療護施設連絡協議会(市川氏) こんにちは。まずは、このような場にお招きいただきまして、ありがとうございます。私どもは、福祉型の協議会ではございますけれども、きょうは医療型の中でもこのような場を設けていただきまして、説明させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 まず、団体の概要でございます。
 旧種別の肢体不自由児療護施設というものが、大変数は少ないのですけれどもございまして、施設関係の連携を高めようということで、平成8年に発足しております。現在は会員数は6施設ということで、全国的には大変少ない状況になっております。定員数も中には児者一貫施設に変更しているところもございますので、定員数がおおむね200名前後という形で、本当に吹けば飛ぶような小さな協議会でございますけれども、主たる障害を肢体不自由としているところでは、重心とも関連する部分もあるかなということともに、それぞれ特徴的なものがございますので、そのようなところをお伝えしていきたいと思います。
 次のページに行きまして「在り方に関する意見」ということで、社会的養護、被虐待については、先般このような検討会の中でもかなり論議が進められてきていると思います。
 私どもの以前の統計で言えば、福祉型であれば約40%が虐待であり、措置は63.4%という数字が挙がっております。我々のところは、虐待は50%を超え、措置も80%を超えているようなところで、かなり地域の差もあるかなと思います。
 入所児童というのは、虐待措置以外でも家族から離れて過ごすという点では、社会的養護が必要な子どもである状況は変わりないのかなと思っております。
 被虐待児に関しては、最近の報道なども虐待と保護というのが取り上げられて大きく騒がれていますけれども、一番大変なのは保護されてからその後どうするかという点ではないかと思っております。虐待から保護されて、親と引き離されるということがございますけれども、そこからいかに家族関係の再構築を図るかという点が、一番時間がかかり、労力のかかることであると思っています。我々のところでも、虐待を受けながらも家庭復帰をしているケースもございます。これにもかなりの労力を払って、さまざまな関係機関と連携をとりながら進めている現状もございます。
 同時に、これは余り言われていないのですけれども、御兄弟の関係も実は非常に重大であると思っています。どうしても福祉型の施設に入りますと、健常の兄弟とは必ず分離されると。児童養護施設あるいは福祉型あるいは里親ということで、一緒に暮らさなくなるんですね。親と分離されるのは仕方ないのですが、兄弟というのは将来にわたり関係が必要ですから、いかに兄弟関係を維持するかという点にも非常に力を入れなければならないと思っています。我々も、児童養護施設にいる兄弟、里親さんのところに引き取られている兄弟、そういったところでさまざまに連携をとりながら、年に数回会う機会を設けていたり、例えば、うちなどでは三つ子のお子さんがいらっしゃいまして、ほか2人は健常で、児童養護からそれぞれ別の里親さんに預けられているというところでは、それぞれの里親さんと3名が連携していくということもやっているところもございます。
 ですから、こういった親だけの問題ではなくて、兄弟にも非常に力を入れてかからなければならないということで、こういったところでは本当に児童養護施設で先行されているような家庭支援専門相談員というものが本当に必要であると思っています。
 もう一点特徴的なところでは、小中学校は特殊支援学校に行っている子もいるのですが、肢体不自由の場合は、知的には健常のお子さんもいらっしゃって、現に普通級に行っているお子さんもおります。そういったお子さんは家庭的なハンディキャップ及び障害的ハンディキャップを負いながらも、いわゆる中学校から高校は一般受験されると。さらには、大学や専門学校を受験している方もいるというところでは、かなり学習力を問われます。ですから、我々もそういったところでは、独自で家庭教師を雇うとか、家族の協力で塾に通わせるということをして、一般のお子さんに引けをとらないように学力をつけているということもしています。そんなところも学習支援が必要かなと思っているところでございます。
 次のページですが、重度・重複障害の割合が非常に多くおりまして、重心の方も大変多く在籍している状況がございます。肢体不自由というのは、肢体不自由だけではなかなか施設の入所定員が埋まらない状況もありまして、知的や発達障害、さまざまな障害が入ってきております。ですから、我々のところも痰吸引の研修をしたり、あるいは強度行動障害の資格を取ったり、本当にさまざまな障害に対応して専門性の力をつけているということもございます。
 また、人員配置基準でございますけれども、実は乳児院から入ってくるお子さんも大変多くいます。今、乳児院でも小さな幼児を見ているところが大変多くありますので、そういったところから2~4歳くらいの間に入ってきます。乳児院は人員配置体制が大変大きくなっております。実際の発達段階は1歳未満のお子さんが来るわけなので、急に職員数が少ないところに来てしまうということもございまして、幼児は大変手がかかる部分がありますので配置の見直しが必要だということと、肢体不自由児は疾患、リハビリが必要であることから、将来の自立に向けて疾患の治療、リハビリテーションの充実といったところも図らなければなりませんので、理学療法士、看護師等の専門職をそれぞれの状況に合わせて配置できるような部分が必要であろうと思っています。
 学校に関しても、施設に備えつけである学校があるところもあれば、地域の学校に通っているところもあるんですね。地域の学校に通わせている場合は、4つからあるいは5つ、6つの学校に分かれて小学校、中学校、高校、特別支援学校とかなり数多く分かれて学校に通わせなければならないということがあり、登下校並びに学校行事の参加等もかなり煩雑になってきています。
 また、肢体不自由は車椅子のお子さんが多くおりますので、同じ送迎するにしても、車椅子対応の車両がなければならないというところで、一般の歩けるお子さんであればハイエース1台に10名定員ですから9名乗れるところが、車椅子ですと2~3人しか乗れない、何とか乗るとしても最大5人くらいかなというところで、倍の車両が必要であるということもありまして、送迎に対する支援も非常に大きな業務の負担があるところもあります。
 幼児の部分では、施設によって幼児の受け入れできるところ、できないところがかなりはっきりしております。最近では、我々はよく幼稚園などにも通ったりしています。これは学校の関係なので通わせることができるので行っているのですけれども、実は幼稚園に行ける子も行けない子も無論おりまして、中では療育もするのですが、内部の療育だけでは十分な療育ができないということと、幼稚園のほうからは週に1回児童発達支援に通わせて、並行してこの子を支援したいという意見も挙がっています。しかし、児童発達支援は同じ福祉の領域なので、入所している場合は現状、通えないということがあるのですけれども、地域のニーズや幼児の成長を考えると、専門療育を受けることで早く社会適応できる、将来の障害の重度化が防げるということにも十分つながるのではないかというところで、早期療育の重要性が必要であると思っております。
 次のページに行きまして、「在り方に関する意見」の視点の続きになりますけれども、措置と契約という問題も言われているかと思います。児童相談所によって措置と契約の判断基準が曖昧な部分がございます。また、措置と契約には手続、日々の対応がかなり異なる部分もございます。事務手続も大変煩雑な部分がございますので、社会的養護の視点を考えると、我々としては措置に一本化がふさわしいのではないかと思っています。
 また、成人の法律の仕組みと比べまして、報酬単価や加算の仕組みが大きく異なり、低い状況がございます。それぞれの現状に合わせて見直しができるといいのかなと思います。
 2番、3番については御参照ください。
 次のページに行きまして、期待することです。全て読んでいると時間がありませんので、かいつまんで御説明しますが、やはり乳幼児期から青年期に至る期間、本当に親にかわり施設で育てるということは大変職員の熱量の必要な、マンパワーの必要なことでございます。社会に向けて育てていくには、心をしっかり育てないと将来崩れてしまうということがあると思いますので、本当に職員との信頼関係を深めながら、個々の障害に対して必要な対応をして、さまざまな教育機関、さまざまな経験を通してやらなければならないということがあると思います。
 今、グループホーム、ファミリーホーム等の話題も出ているかと思います。さまざまな選択肢があることはとてもいいことだと思っていますので、障害関係でもこういった仕組みがあることが望ましいとは思っています。
 ただ一方、より重度なお子さんに関しては、こういった仕組みの中で対応できることが果たしてどうなのかなということもではございます。ですから、施設であり、こういったホームの形であり、さまざまな形態がそれぞれに合わせてあることが一番かなと思っています。一人一人のニーズに合うような形が地域ごとに満たされることが大事ではないかと思っています。
 次にいきまして、その他です。加齢児の問題です。さまざまな見直しがありながら、令和3年3月末をもちまして、福祉型・医療型ともに障害児入所施設ではいることができないともう決まっているかと思います。その部分に関してはかなり地域差がございまして、きょうの別の資料にもよく出ているなと思っているのですけれども、都市部においては成人施設の空きがない状態で、なかなか移行支援が難しいという状況がございます。特に重度・重複、重心系の方々に関しては、大変移行が難しい状況がございます。同時に、小さいころから育ってきた環境から18歳になって急に変えましょうというのも大変難しい問題があるのかなと思っていまして、本人中心の支援を考える上で、本人の希望、進路の選択、障害の特性、新しい環境へどうなじむか、そういうところの意思決定をしっかりと行って、時間をかけて進めなければならないなと思っています。
 今、我々も高等部に入ると、すぐに移行支援にかかります。福祉事務所、学校、児童相談所、相談支援、さまざまな関係機関と連携しながら、高校生になってからですから20人ぐらい同時進行で、さまざまなその子に合った行き先を探し、体験し、見学し、調整していくという支援がとても重要で、また、負担の大きな作業になっています。
 そもそも移行支援という問題は、児童施設だけの問題ではなくて、地域の問題であると思っています。地域がどう福祉型・医療型含めた施設からの受け入れをしてもらえるかというところに尽きるかなと思います。幾ら我々が頑張っても、地域の受け入れがなければ本当に行く当てがないという状況がございます。ですから、これは本当にまだまだ周知不足な点も多くあるかなと思いますので、地域でしっかりと受け止めるようにしていただきたいと思っています。年齢に限らず、段階的に本人の状態をもって移行していくことが一番大事かなと思っております。
 同時に、この部分は移行支援の担当者が、他の過程との相談員とは別に同じくらいの作業量が必要になってきます。今いる子どもたちの親子関係を見る専門職もいれば、こういった移行支援を専門に見ていく職員もいるといった中で、ようやく実現できる部分かなと思っていますので、それぞれの専門性を分化してやっていけることが大事かなと思っています。
 今後、令和3年に向けて我々も大変努力を進めているところですけれども、いざ時が来て本当に移行ができない状況があった場合どうしていくのかというは、一つ心配な点ではございます。できれば、本当に地域と一緒になって移行支援ができることがすごく重大なところかなと思っています。
 以上、簡単ではありますけれども、報告となります。

○田村主査 ありがとうございました。
 今の御説明について、御質問等ございましたら御発言をお願いします。いかがでしょうか。植松先生。

○植松構成員 全国肢体不自由児者父母の会の植松と申します。
 視点の3つ目に、さまざまな理由により、家族との生活が困難であるという御説明があって、最初のほうには虐待の方が40%になっているということも書かれておりました。こういった施設を利用する方の本来の目的は、さまざまな理由、被虐待が40%ということなので、それが大多数なのかもしれませんけれども、その被虐待から逃れるためにこの施設を利用されるのか、そうではなくて、発達を保障するためにこの施設を利用されるのか、入所される目的がどこにあって、それに向けてどういうゴールを定めているのかということが最初になければ、何を支援の主軸にしているのかが見えにくいかなと思うんです。虐待ということであれば、家庭環境であり、社会環境を整えていくということが一番必要になのかもしれないし、そうではなくて、障害のある子どもたちなので、発達を保障してあげるということなのか、そこによって力点が変わってくると思うのですけれども、その辺は現状と本来の目的とのギャップがあるとすれば、それを教えていただきたいと思います。

○日本肢体不自由児療護施設連絡協議会(市川氏) もともとの部分では確かに成長の保障とか障害に対するリハビリということもあったと思いますけれども、現状では家庭で育てられないケースが全員です。虐待以外では保護者に精神疾患等があり見られないとか、知的障害等で養育能力がないとか、両親が亡くなっていらっしゃるとか、経済的に困窮で家でどうしても見られないというようなケースになりますので、そういった意味では入っている方全員が社会的養護の対象であるかと思います。
 ただ、一方では、以前であれば計画的な入所というのもありまして、家庭の中でうまくいかない、学校にうまく通えないという相談がありまして、3カ月くらい医療機関の中で社会適応の訓練をしていこうというケースもございました。それは、親と話してこちらのほうで生活を主にして学校にも通えるようにして、そこから家庭復帰ができたというような、有期限的なケースではそういった例もございます。今のところ、長期の部分では社会適応が中心です。
 ただ、一方では、虐待を負いながらも家庭復帰させたいという親御さんもいらっしゃいますので、そういった場合は児童相談所と連携をして、徐々に家庭復帰できるようなスケジュールを組んで、この春も2件帰しているのですけれども、長期に預からなければならないケースと、家庭復帰ができるケースさまざまあるのですが、それぞれに目標を持って対応している現状がございます。

○田村主査 ほかにございますか。児玉先生。

○児玉構成員 重症心身障害福祉協会の児玉でございます。
 貴重な活動をされておられると思っていますが、医療的ケアは、大体どの辺までのケアをお受けしておられるか、ちょっと教えていただきたいと思います。

○日本肢体不自由児療護施設連絡協議会(市川氏) そもそも医者がいないという現状があります。肢体不自由を主として見ているところは看護師が必ずいるので、看護師対応できるのですが、24時間はいないという現状がありまして、現状では今、気管切開のお子さんがいる、ストーマのお子さんがいる、以前は、胃ろうのお子さんがいるという現状がございました。ただ、新規で胃ろうがあるようなお子さんを受けるには、職員も痰吸引の研修を済ませている人が多くいるのですけれども、やはり準備段階が要るので、最初から胃ろうケースを受けることが今は逆に難しくなってきたかなという傾向はあります。

○児玉構成員 ありがとうございました。

○田村主査 どうぞ。

○小﨑構成員 全国肢体不自由児施設運営協議会の小﨑でございます。
 「2.重度・重複障害児、多様な障害への支援について」というところで、今後の見通しとして、リハのスタッフの配置などが必要なのではないかという御意見なのだろうと思いますけれども、現状でも恐らくリハビリテーションの介入が必要なお子さんが利用されていると思うのですが、そのあたりは現状ではどのような対応をされているのでしょうか。

○日本肢体不自由児療護施設連絡協議会(市川氏) 地域や施設の状況によって割合は異なるのですけれども、月に数回理学療法士が来ているところもあれば、我々のところは常勤で1名理学療法士を雇用していますので、そちらで補装具の作成や修理、日々の学校に行っている間は小さい子を見て、帰ってきてから大きい子を見るというようなリハビリ計画も月に1回嘱託医で整形外科医が来ていますので、そちらの指示を仰ぎながら理学療法士が今入っているという形です。ただ、これは規定の中にはないので、独自に捻出してやっているという状況でもあります。

○小﨑構成員 そうすると、その部分は施設の持ち出しという形になるのですか。

○日本肢体不自由児療護施設連絡協議会(市川氏) そうですね。

○小﨑構成員 ありがとうございます。

○田村主査 どうぞ。

○石橋構成員 全肢連の石橋ですけれども、先ほど移行支援は地域の問題、地域の課題ということでしたが、この「地域」というのは地方自治体という意味ですか。

○日本肢体不自由児療護施設連絡協議会(市川氏) 地方自治体もそうですけれども、地域全体にある施設やサービスの問題ととらえています。

○石橋構成員 結構な子どもたちが普通級、特別支援級も含めて学校に通学されていると。特別支援だとしますと、高等部を卒業しますと、そこからその方の社会参加の受け手というのは、全肢連で調べてみても、親が頑張るか、それとも地方自治体がそれなりの場所を用意するか、大体大きく分けるとその2つになると思うんですね。住んでいるところが施設であっても、日常通っているのが学校であって、その学校から次のステージに行くといったときに使われる地域というのは、言い方はあれかもしれませんが、これから進む進路をだれが準備しますかというようなことで地域の問題と言われたのか、その意味合いをちょっと知りたいと思いまして。

○日本肢体不自由児療護施設連絡協議会(市川氏) 無論、次に行くというところは原則親元の地域が中心にはなってきますので、必ず施設の近くとは限りません。我々は神奈川県平塚市にありますけれども、神奈川県全域から来ていますから、遠くでは横須賀や三浦のほうになれば、当然そちらに出向いてやっていかなければならないというところでの、いわゆる相談をしていく段階での行政や地域の相談という問題もありますけれども、そこの地域の中にどんな社会資源があるのかというところが問題であり、その社会資源がこういった福祉型、医療型の児童を受け入れるためにどうすべきかということが、まだなかなか浸透できていないということで、地域におけるサービスもこういった子どもたちが社会に自立していくことがあると。グループホームや単身で住むようなお子さんも中にはいらっしゃるので、そういった方々をいかに理解していただきながら、行政等とも相談しながら、地域のサービス網の中に織り込めていくかという課題と思っております。

○小﨑構成員 ありがとうございました。

○田村主査 あと、どうですか。どうぞ。

○宮野前副主査 基礎的なことをお伺いしたいのですけれども、今6施設の協議会ということですが、年間に御利用される子どもさんの数、要するに出入りはどのくらいの人数になりますか。

○日本肢体不自由児療護施設連絡協議会(市川氏) 現在入所している数ですか。

○宮野前副主査 入所されて里親に出られるとか、地域に戻られるといった方で、年間に受け入れておられる子どもさんの数です。要は、どれだけ長くおられるかという。

○日本肢体不自由児療護施設連絡協議会(市川氏) 大体基本50人いた場合、そのときによって高校3年生の数が若干違いますので、例えば、5人いて5人出れば、5人入るというような。

○宮野前副主査 例えば、小学校1年生のときに利用されて、3年生のときに出ていかれるようなケースというのはほとんどない、18歳までずっとおられるのですか。

○日本肢体不自由児療護施設連絡協議会(市川氏) ことしは、たまたま我々のところは2名いたのですが、多いほうで、学年途中で出るケースというのは本当に数年に1人いるかどうかです。

○宮野前副主査 ギリギリいっぱい18歳までおられるのがほとんどですか。

○日本肢体不自由児療護施設連絡協議会(市川氏) ほとんどが満年齢までいるというような現状があります。

○宮野前副主査 ということは、これは障害児入所施設のあり方ということなのですが、いわゆる入所施設のほうでできることと言うと変な言い方ですが、そういった福祉型あるいは医療型に移るというケースは、現実に今この協議会の施設ではほとんどないという理解でよろしいのでしょうか。

○日本肢体不自由児療護施設連絡協議会(市川氏) 重心系の施設から入ってくるのは過去にはありました。重心の施設の中でも医療的なケアが低いお子さんで、理解力も多少高いと、さらなる刺激があったほうがいいということで御紹介いただくようなケースもあれば。

○宮野前副主査 逆のケースはないと。

○日本肢体不自由児療護施設連絡協議会(市川氏) 逆もあります。症状が重くなって医療的なケア度が高まって、重心系の施設に移るというケースもございますし、18歳を超えてから重心の施設に逆に行ったというケースもあります。

○宮野前副主査 基本的には、ほとんどのケースの場合18歳までおられて、それからの処遇でキャリーオーバーの方もおられるということですね。ありがとうございます。

○田村主査 あと、どうですか。あと1人、2人あればと思いますが。よろしいですか。
 では、日本肢体不自由児療護施設連絡協議会さん、ありがとうございました。
 続きまして、一般社団法人全国重症心身障害日中活動支援協議会様、よろしくお願いします。

○全国重症心身障害日中活動支援協議会(木村氏) 全国重症心身障害日中活動支援協議会の木村でございます。本日は、このような機会をいただき、心より御礼を申し上げます。
 それでは、早速、医療型障害児入所施設のあり方に関する意見等を申し述べさせていただきます。時間が限られておりますので、この場では視点2と3に絞って私どもの意見を説明させていただきたいと思います。4ページを見ていただければと思います。
 まず、視点2の医療型障害児入所施設の課題についてでございます。
 第1には、在宅支援と比較して入所施設は人員配置基準が手薄だと考えております。重症児対象の在宅支援と入所支援とを比較した場合、日中の人員配置はおおむね3倍もの開きがあるのではないかと考えます。このため、少なくとも入所施設では児童発達支援と比較して、福祉サービスとしての発達支援及び療育活動は十分に行われているとは言えないと考えます。
 特に、夜勤時間帯においては、医療的ケアを担当する看護職員を除けば、保育士または指導員が受け持つ重症児者の数は20名前後になる場合もあり、一人一人に寄り添ったきめ細かいケアの提供は困難であると考えます。
 家族の多大な介護負担に支えられている在宅重症児とは単純に比較はできないものの、1対1の福祉サービスの享受という観点からは、入所支援と在宅支援とでは大きな格差があるのが現実です。これを解消するためには、現在の入所施設スタッフとは別に、日中活動担当職員を配置する、あるいは他の在宅支援サービスを併用するなど、重症児一人一人に寄り添った制度の柔軟な活用が求められると考えます。
 在宅で暮らす重症児と施設に入所せざるを得ない重症児が、同じ重症児あるいは同じ子どもとして同等のサービスを享受できるよう、制度の改正が必要であると感じております。
 また、たとえ医療的ケアが必要な重症児であっても、担当職員と1対1のケアなどにより、特定の大人との愛着が形成されることが必要であると考えますが、現在の小規模グループケアの設備基準は、各種医療機器に加えて、ベッドやシーティングバギーなど、大型機器を必要とする重症児の特性にそぐわない点が多く、見直しが必要ではないかと考えております。
 超重症児等の濃厚な医療的ケアのニーズに応え切れていない点についても大きな課題があると考えております。他の施設種別では、障害のみを理由とする入所は既に過去のものになりつつあると思いますが、超重症児など濃厚な医療的ケアを要する児童の場合、その地域の在宅医療体制や家庭の養育機能等によっては、障害を主たる理由とした入所の必要性が高くなります。しかしながら、超重症児は施設の受け入れ負担が大きいなどの諸々の理由から、全ての入所ニーズに応え切れていません。また、施設間による大きな隔たりも見られているのが現状です。診療報酬上の超重症児加算の増額が見込めない場合には、福祉制度による新たな加算が必要であると考えます。
 次に、施設運営上の課題でございますが、医療型障害児入所施設の維持には、一定の病院規模が不可欠という点でございます。社会的養護機能に加えて、セーフティーネットとしての役割・機能からも、入所施設の必要性が消失することはないと考えられます。その一方で、重症児の入所施設は仮に都市圏であったとしても、単独での設置運営は極めて困難です。超重症児を受け入れるためには、医師、看護師、各種訓練士などの医療職を確保するとともに、必要な医療設備を整えるなど、診療体制を構築しなければなりません。したがいまして、療養介護との一体運用や他の病棟を併設するなど、病院としての規模と機能を一定程度確保する必要があると考えます。
 次の課題は、家庭復帰支援の視点についてです。在宅医療・福祉サービスの充実に伴い、医療型施設の入所ニーズも減少化傾向にあります。先行して取り組まれている社会的養護施設のように、ケア単位の小規模化、施設の多機能化・高機能化への取り組みは不可欠であると考えます。
 その1つとして、家庭支援専門相談員や医療的ケア児者コーディネーター等の配置により、地域の在宅支援事業所、かかりつけ医療機関、相談支援事業所等との連携・調整による地域在宅移行について、医療型障害児入所施設としても取り組む必要性があると考えます。その際、母子の愛着形成支援を含めた家庭復帰支援の視点が重要であると考えます。
 次に、視点3について意見を申し述べます。
 概括的に申し上げれば、さきに課題として申し上げたことが、そのままこれからの医療型障害児入所施設に期待したいことであると考えます。
 第1には、やはり超重症児あるいは医療的ケア児の受け入れについてです。NICUや小児科病棟と比較して、保育士等の福祉職が多く配置されていること、施設の構造設備も生活や発達支援をより重視していることなどから、医療型障害児入所施設は病院よりも家庭的な生活環境を整えやすいメリットがあります。NICUや小児科病棟からの退院を促進し、積極的に超重症児等を受け入れることは、超重症児とその家族の福祉を大幅に増進させるものであると確信いたします。
 また、制度の狭間で受け入れ先のない医療的ケア児についても、社会的養護機能、セーフティーネット機能の観点から、医療型障害児入所施設での受け入れが望ましいと考えられます。
 次に、医療型短期入所が全国的に不足していることから、この問題を解決するために、医療型障害児入所施設には短期入所のさらなる拡充を期待せざるを得ません。特に、超重症児等が必要としている濃厚な医療的ケアは、福祉型強化短期入所サービスでの対応は極めて困難であり、医師及び看護職員が常駐している医療型障害児入所施設を初めとする医療機関での受け入れがその前提となります。
 また、家族の立場からは、緊急時もしくは24時間対応、必要に応じた看護職員を添乗させての個別送迎、そして、制限なしの受け入れが求められております。一方、歩ける医療的ケア児についても、医療型短期入所サービスでの受け入れが望ましいと考えられます。
 これらの切実なニーズの全てに対応するためには、夜勤看護職員の加配、構造設備の一部改修など多くの人材的・財政的な負担が伴うがために、医療型障害児入所施設の努力だけでは達成は困難であると考えられます。行政によるさらなる、あるいは思い切った財政支援もあわせて期待させていただきたいと存じます。
 次に、家庭支援とコーディネート機能についてです。有期限有目的入所や母子ショートステイあるいはミドルステイなどの有効活用を通して、親子の愛着形成支援と家庭復帰支援を推進し、あわせて重症児とその家族の在宅生活を支援するためのコーディネート機能を充実させていくことについて期待したいと思います。
 また、18歳到達後の進路として、自動的に療養介護に移行するのみではなく、地域の医療・在宅支援の状況を踏まえた上で、本人と家族の意向を改めて確認する機会を設け、必要に応じた退所調整を行うなどの相談支援機能も必要と考えます。
 次は、医療型障害児入所施設が有する重症児医療、看護、リハビリテーション、保育、発達支援等の機能を積極的に他の在宅サービスに活用もしくは還元することです。
 第1には、家庭復帰支援を含めて入所施設自身が積極的に在宅支援に取り組むことが期待されます。次に、当協議会事業所のように、医療機能を有していない施設、事業所等への支援・ノウハウの提供が期待されます。また、市中の病院のように、福祉機能を有しない医療機関に対しての支援も期待されます。重症児者のケア経験の乏しい一般の病院で、重症児者の短期入所を実施できるようにするための研修・実習などが今求められていると思います。
 そして、在宅サービスの充実や入所児童の減少に伴い、これからの医療型障害児入所施設に対しては、ケア単位の小規模化、多機能化、高機能化が期待されます。すなわち、施設職員と入所児童の愛着形成、家庭復帰支援、入所施設が実施する在宅支援及びコーディネート等々、入所・在宅を問わず重症児者とその家族をあらゆる観点から支えるための機能と役割が挙げられます。これらの機能のうち、新たな機能なり役割は入所児童が減少してから取り組むものではなく、今から将来を見据えて取り組むべき課題であると考えます。このように、これまで蓄積されてきた機能やノウハウに加えて、これから新たに期待される機能と役割を通じて、医療型障害児入所施設こそが医療的ケアを要する子どもたちにとっての地域における医療・福祉サービスの中核センターの役割を担うことを、それこそ大いに期待したいと考えているところでございます。
 以上でございます。

○田村主査 説明ありがとうございました。
 今の御説明に対して、御質問等ありますか。割とコンパクトにまとめていただいたかと思いますが、植松先生どうぞ。

○植松構成員 ありがとうございます。全肢連の植松と申しますけれども、今のお話をお聞きしていると、医療型障害児の入所施設で昼間の活動も全部含めてパックでいろいろなことをするべきであるという御意見のように聞こえたのですけれども、説明をしていただいている方は日中活動支援協議会ということなので、昼間の活動の支援をどうするかという形での重症児デイのような施設の方々の団体かなと認識していたのですけれども、今述べられた御意見は、昼間の活動はどうこうではなくて、今現在ある入所施設の役割がどうあるべきかという御意見を述べられたと思うのですけれども、昼間の活動と施設との関係性といったものはどのように御理解されているのでしょうか。

○全国重症心身障害日中活動支援協議会(木村氏) まず、私どもの会員事業所は230ぐらいあります。今日は名簿を持ってきていないので正確ではありませんが、大体100カ所ぐらいが重症児施設を運営している法人が開設しています。30カ所ぐらいが国立病院機構、肢体不自由児施設あるいは診療所を擁するような法人さんが運営されています。残り100カ所ぐらいが知的障害と、その他医療機能を有していない法人さんということで今回意見を述べさせていただきました。その会員事業所からそれぞれアンケートで医療型障害児入所施設に対する意見等を募りまして、それをとりまとめたものがこの意見ということでございます。ですから、意見の中には、医療型の入所施設、重症児施設や肢体不自由施設を有している法人さんからの意見もありますし、有していない法人さんからの意見も入っていまして、それをまとめさせていただいています。
 2つ目としましては、医療型障害児入所施設に入所されますと、我々のサービスは今使えないことになっておりますので、そこでの我々のサービスと入所者との関係性は、事実上断たれているのが現状ではないかと理解しております。ということでよろしいでしょうか。

○植松構成員 私が言いたかったのは、先ほど、入所施設でこういう機能を持つべきであるという御説明をいただいたのですけれども、そうではなくて、入所施設と昼間の関係、今は療養に関しては、昼間のサービスとお泊まりサービスが一応分かれてお世話するという形に成人の施設などはなってきていますので、それが子どものところではまだ一体型になっているので、昼間の活動も夜のお世話も連携しながら見ていくというような役割、ワンストップ的な形をおっしゃっているのかどうか。

○全国重症心身障害日中活動支援協議会(木村氏) 例えば、具体的な意見があるわけではないのですが、資料で言いますと、ページ数がありませんが、視点2の初めのほうで、人員が足りないのではないか、それを解消するためには、例えば、今の入所施設とは別に日中活動等を担当する職員が配置されるとか、あるいは今の入所施設とは別の在宅支援を併用するなどが一つの案として考えられるのではないかということは申し上げました。ただ、実際にはおっしゃったように、昼も夜も全部一緒です。療養介護は日中活動サービスだと位置づけられていると法律上はなっていますけれども、そんなことはなくて、昼も夜も24時間、生活支援員と看護職が全部一緒になってこなさないと、夜の支援もできないし、昼の支援もできないのが実態なんです。生活支援員が日中活動要員として配置されている施設はどこにもないです。だから、その位置づけもおかしいのではないかと思っていますが、医療型障害児入所施設、特に重症児の場合には、療養介護と一体化してやっていますので、事実上は昼間に配置された看護職員と指導員や保育士さんが協力して何らかの活動をしている。夜は夜で、夜の児童指導員さんや保育士さん、看護師さんが一体化して夜の支援を何とかしているというのが現実だと思います。
 それが昼も夜も人が足りなくて不十分なので、例えば、在宅の重症児対象の児童発達支援と同等のサービスを受けるのであるなら、学校が終わった後でもいいですけれども、短い時間帯でもいいので、1対1でサービスが提供できるようにするためには、何かを考えないと無理ではないかということを申し上げたところでございます。

○田村主査 ほかにありますか。どうぞ。

○菊池構成員 三重大学の菊池と申します。
 先ほど御説明の中で、愛着の形成ということが1つキーワードとしてあるのかなと思ったのですけれども、1つは、職員の子どもに対する愛着の形成、一方で、母子ということで親の心が子どもから離れていくというか、そういうことを実際目の当たりにしてきているのか、それに対して今、具体的な改善をしているけれども、なかなかうまくいかないといったような実情があれば、ぜひ教えていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

○全国重症心身障害日中活動支援協議会(木村氏) そうなってきますと、私どもの団体の立場を超えてしまうといいますか、入所施設で行われていることで、我々会員の6割ほどはそういう医療型の施設を持っていますので、団体として申し上げるのは適切ではないように思うのですけれども、それは本当に御家族によるし、地域にもよります。だから、超重症児のお子さんを入所されても、児玉先生のところの親御さんは毎週のように面会に来ていて、そのまま親子関係を維持している、愛着関係を入所した後も深めていくという家庭もあれば、入所させた後なかなか面会にも来てくださらない家庭もいらっしゃるということです。
 これまで、いわゆる乳児院などで言われているような愛着形成を重症児施設も取り組もうということは、それほど大きく言われていませんでした。施設において、個別の家庭においては行われていたと思いますけれども、協会団体として愛着形成が大事だということは、今まではそれほど重視されていたわけではなかったように思いますので、今こういった社会的養護施設との関係が叫ばれている中、あるいは今回整理していただいた中で、社会的養護機能を明確に書いていただくことで、会員事業所の中からも愛着形成に対する意見が、親子の愛着形成支援という観点と、入所している子どもと職員の愛着形成という別々の問題として挙げられてきたという経緯がございます。

○菊池構成員 例えば、施設の職員の子どもに対する愛着形成支援であれば、施設側の職員が障害の重い子どもさん、特に超重症児であれば、超重症児の働きかけに対する応答がないだとか、あるいは反応が乏しいという問題があるでしょうけれども、そこをどうしっかりと見出すことができるかとか、細やかな子どもの変化の動きを職員の側がどう喜びを見出すかというところも恐らくかかってくるのかなと思うのですが、そうしたところを通して子どもに対する、これは職員であってもお預かりしている子どもさんに対する向き合い方は、施設の中でしっかりと教育が必要だと主張しておられるということでよろしいですね。

○全国重症心身障害日中活動支援協議会(木村氏) 重症児の現場で働いていると、本当に愛おしい存在ですので、職員の側から愛着とか愛情が芽生えてくるということはあるのですけれども、乳児院などで言っている愛着形成の取り組みのシステム、小規模グループケアに共通するところがあると思いますが、同じ職員は常に同じ部屋に勤務する、夜勤するときもその部屋にしか勤務しないという中で担当職員を決めて、できるだけ長い間いて、この人が自分にとって一番大事な存在、親のような存在だなということを認識してもらえるような取り組みなどをしています。そこには構造的な問題と人員配置、勤務のつくり方の問題などがあると思います。その意味において、そういうシステムを従来の入所施設、乳児院以外の施設が取り組まれてきたかというと、児童養護施設を含めてなかなかそうはなっていなかったのであろうと思いますから、それが一定の効果を上げていることは明らかになっているわけですから、それを取り組むためには、資料では間に合いませんでしたけれども、構造設備を含めて今はちょっと合っていないのではないかということを申し上げました。
 前々から重症児施設もそのように取り組んでいたので、それこそ、その重症児のことをよく知る保育士さんなどが継続してかかわれるような児者一貫が望ましいと言われているように、まさにそういう取り組みはしてきたけれども、これからはシステムや構造設備としてもやっていったらどうかという意見でございます。

○田村主査 児玉先生。

○児玉構成員 入所の生活とサービス等々につきましては私も意見がございますので、それはそれで、また後で私たちもお時間をいただいていますけれども、日中活動支援という意味では、全国日中活動支援の中に生活介護の大人だけではなくて、児童もかなり受けているところがございますね。その場合に、障害児の幼児の通園とはまた別に、基本は母子通園ではないですよね。そうすると、そこにおける今言われた愛着やさまざま述べられたようなことは、どのように展開されておられるのかをお教えいただければと思います。

○全国重症心身障害日中活動支援協議会(木村氏) 我々の事業所の中における愛着形成がどのように行われているかという観点からの調査は実施したことがないです。これからは変わってくるかもしれませんが、今までは重症児の通所施設は子どもであれ、大人であれ、人口・地域の守備範囲も結構広くて希望者も多いので、1人の重症児者が同じ事業所に毎日通うということはなかったんです。みんなで週1回とか週2回とか、週2回だったけれども、ニーズがふえてきたたら週1回に減らすということになってきて、昔からの重症児者の方は複数の事業所、2~4つの事業所を使い分けています。最近はだんだん新しいやり方が出てきて、そういった子どもを持つお母さん方を集めて事業所をつくったようなところは、毎日行けるようなところがあったりしますけれども、我々のころ旧重症児通園からある事業所が多いところでは、毎日通うということが十分取り組めない事業所も多いのかなと思います。
 今、御指摘をいただきまして、私も社会的養護にもかかわることがありますので、通所施設における愛着形成についての調査を今度実施したいと思いますが、今日までのところ調査結果は持っておりません。申しわけございません。

○田村主査 児玉先生、よろしいですか。

○児玉構成員 実は、昔、肢体不自由児の通園の多くは小学前の幼児通園は母子通園が基本だったんですね。そのころに重心通園が始まったときに、重心通園だと親は行かなくてもいいということで、結構そちらにシフトしてしまったような傾向があるんです。そのときに親が必要ではないかという議論もあったりして、それが記憶にあったもので改めてお聞きした次第です。

○田村主査 ほかにありませんか。どうぞ。

○宮野前副主査 視点2のところで、医療型障害児入所施設の維持には一定の病院規模が不可欠ということを書かれていまして、これは障害児入所施設の数、私の理解では重心の施設以外は数はふえていないという理解でいいのだろうと思うのですが、その場合、要は乳児の施設というのは重心単独ではなくて、例えば、病院機能を持っているようなところがつくるべきという御意見なのか、そのあたりはいかがですか。特に、超重症児などを見るためには都市部ではということだろうと思うのですけれども。

○全国重症心身障害日中活動支援協議会(木村氏) これからの時代は、もう今始まっていますけれども、入所ニーズというのは超重症児であっても家庭で生活できる人は環境が整えばしますし、重度の知的障害であっても、強度行動障害であっても、家庭で生活できる人はしていく時代だと思いますので、そういう中で入所せざるを得ない子どもたちというのは超重症児などがふえていると。そこは、受け入れるだけの病院としての機能や能力が必要になってくるので、小さいところはなかなか難しくなってくるのかなと思います。
 そういった意味では超重症児だと思うんですね。濃厚な医療的ケアの人たちを受け入れるような体制をつくろうと思えば、当然、医師、看護師、訓練士、それぞれ全部必要になってくると思いますので、小さい単位でそれを維持していくというのはすごく難しいので、一定規模がないと困難なのではないかと考えております。あくまで超重症児というものが一つのキー、濃厚な医療的ケアがキーなのかなと感じております。

○田村主査 ほかにありますか。いいですか。
 そうしましたら、全国重症心身障害日中活動支援協議会様のヒアリングをこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。
 今の議論の流れの中で、多分後半の、特に児玉先生の報告などでまた議論が深まるのではないかと思いますが、少し時間も長くなってきていますので、5分間休憩をとらせてもらおうかと思います。4時5分に再開しますので、よろしくお願いします。
 
(休  憩)
 
○田村主査 そうしましたら、5分経ちましたので、再開したいと思います。
 レジュメの議事(3)に入りたいと思います。これまでのヒアリングを通して上がってきた課題や議論の焦点になってきたことについて、4つの機能の中で少し説明を集約してみたところもありますので、そこで一旦議論を深めていきたいということになりますが、ここで事務局より、まず、発達支援機能の課題について資料の説明をお願いします。

○刀根障害福祉専門官 事務局より御説明させていただきます。資料3をごらんください。
 資料3につきましては、前回第4回に本検討会においてお示しいたしました、発達支援機能の課題整理についてになります。なおかつ、前回の検討会よりヒアリングを行いましたので、そちらの意見を反映したものを今回お示しさせていただいております。
 発達支援の課題といたしまして、まず、医療型の対象者の方たちにつきましては一般的という話ではございますが、状態安定のための支援が日常的に必要であると。ただ、それとともに、成長発達のための支援をどのように考えていくべきか。
 その中でまず、1つ目といたしまして、教育との連携強化や同年代との交流の推進ということで、インクルーシブをどのように進めていくか。2つ目といたしまして、日中活動も含めた暮らし全体のあり方。3つ目、医療的ケア児等への専門的支援強化。4つ目、施設の小規模化等の推進という形でまとめさせていただいております。
 続きまして、参考資料についてもあわせて御説明をさせていただきたいと思います。
 参考資料1及び2につきましては、第1回目の検討会の際にお出しさせていただいているものでございますが、参考資料2をごらんください。目次を見ていただきますと、1~14まで項目を振らせていただいておりますが、10番以降、10ページ以降につきましては、今回新たにつけさせていただいた資料となりますので、また議論の際に御参考にしていただければ思っております。
 続きまして、参考資料3をごらんください。こちらは医療型障害児入所施設の加算の取得実績となっております。なお、こちらの取得実績につきましては、国保連データの平成31年3月における1カ月分の実績ということでお示しさせていただいていることがまず1点。それから、契約の児童のみの実績となっているということで、そこをお含みいただければと思います。
 説明については以上となります。

○田村主査 ありがとうございました。
 今、議事(3)の説明をしていただいたのですが、これから議論していくのですが、その前に、構成員提出資料という形で資料を提出されています方が3名ほどいらっしゃいますので、朝貝構成員、石橋構成員、児玉構成員の順番で、それぞれ出している資料の説明を申しわけないのですが3~5分くらいの間でコンパクトによろしくお願いします。
 では、朝貝構成員からお願いします。

○朝貝構成員 全国肢体不自由児施設運営協議会の朝貝でございます。
 今回の意見は、全国肢体不自由児者父母の会連合会と連名で提出させていただきます。
2ですが、肢体の保育職員の配置加算の増額、これは一番最初に現状の基準が出ておりますけれども、平成28年度で見ますと、現状の基準の人数は84人となりますが、実際は554.3人であり基準とかなりかけ離れた保育士指導員の数になっております。障害の重度重複化、多様化に伴って保育職員の配置を厚くする必要があると考えております。
 3ですが、強度行動障害児支援加算は福祉型に限られていますが、我々肢体不自由児施設では常に見守りが必要な障害児への加算をお願いしたいと考えています。子ども特有の危険回避ができないとか摂食拒否、母親・職員からの分離不安などがありますと、長時間1対1の対応が必要になっているという現状がございますので、強度行動障害児と似ているのですが、常に見守りが必要な障害児への加算をお願いしたいと思います。
 それから、自立支援機能に関しましては。

○田村主査 済みません、一応今は発達支援のところだけでお願いします。

○朝貝構成員 そうですか、よろしくお願いします。

○田村主査 では、次に石橋構成員、発達支援の課題に関してということでお願いします。

○石橋構成員 全肢連の石橋です。
 私の意見に関しましては、これまでのヒアリングでお聞きしたことの疑問点と、自分の子どもがもう50歳になっていますけれども、入所を経験していない親です。発達支援でこれまで意見を聞いて、医療的ケアが濃厚ということで、なおかつ常時医療が必要ということならば、居場所は病院か病院に近い施設となるのではないかと感じています。その方々が次のステージに行くに当たって、どういうふうにその中で支援計画を立てられているのかにつきましては、このヒアリングで残念ながら私の聞く耳がなかったのか、そのことは理解できませんでした。
 教育については、院内教育というのはある意味では物すごく閉鎖的で、次の社会に行くときには他者との接触が少ないという弊害があることは御意見として承り、また、自分自身もそのように思っております。それから、親元で生活する道筋がある意味ではっきりしていなかったために、そういうことになるのかなという気もいたしますし、きょうのヒアリングの中にもありましたように、普通学校と特別支援学級、特別支援学校に通学するという手段につきましては、各都道府県によってバラバラであるということが私なりの調査でわかっております。スクールバスがきちんと制度化されているところと、そうでないところは完全に施設側にその負担がかかっている。その費用もさることながら、人員的なことも全ての負担がかかっていて、施設の持ち出しになっていると。より家庭に近い暮らしの場という言葉がありますけれども、家庭に近い暮らしの場というのは、どういう暮らしの場なのだろうかと。私自身は施設の大小ではなくて、人間性豊かな人材が子どもたちに接することが、より家庭に近い暮らしの場ということならば、そういう意味での人材を育成する必要があるのではないかと思っております。
 以上です。

○田村主査 ありがとうございました。
 では、児玉構成員、お願いします。

○児玉構成員 私のはパワーポイントとして結構枚数があります。箇条書き的にいろいろな整理や要望をするのは簡単なのですけれども、現状を少しリアリティー持って感じていただこうと思いまして、あえてこういう形にいたしました。なお、いろいろ整理した形での要望や短期入所等々地域との関係などは、次回あるいは次回以降に出させていただきます。
 最初のほうは、いわゆる重症児障害の知識でございますから飛ばしまして、重症児障害施設入所者の年齢分布が3枚目にございます。重症障害の施設は、誕生したころは児童を受け入れて、それが大人になってもいていいよという形で出発したはずですけれども、現状におきましては、全国の私どもの協会に所属しております施設数は134、入所者数1万2506名、これは去年4月1日現在です。その中で、20歳未満で見ますと14.1%、60歳以上が15.0%、6歳未満は1.8%で、65歳以上は7.7%と、全体の構成としては圧倒的に成人及び高齢化した方々が多くて、児童はその一部にしかすぎないわけです。したがいまして、重症児障害の施設は重症障害児の施設であるとは、もはや言えない状態になってきているわけです。
 次のページを見ていただきますと、千葉県での平成30年の実名での実態調査ですので、かなり正確なものですけれども、上のグラフに千葉県の重症障害者の年齢分布がございます。小児期15歳以上18歳未満を過ぎますと、有病率で同じ年齢の中でどれだけ重症障害児がいるかという割合が急速に下がってまいります。児童期においての超重症あるいは呼吸器の方々が非常に多いのは、残念なことに次第に亡くなっていくということを意味していると思います。
 そういう方々が頼りにしているところはどこかということで、下のグラフになりますけれども、小児期15歳以上18歳未満までで見ますと、施設に入所というよりは圧倒的に在宅のほうが多いわけです。30歳以上を過ぎてきますと、施設入所率が非常に高まってまいります。
 したがいまして、私たちの施設に要望されているものは、成人あるいは高齢化してくるに伴って、家庭の地域生活していた環境が悪くなってきて施設が必要となってくる。その意味での施設は必要でございますけれども、小児期は圧倒的に在宅の数が多いということで、これに貢献することなしに我々の小児の施設を考えることはできないということが大前提です。
 次のページで一応整理していますけれども、18歳以降の小児の有病率は下がっていく、18歳までは小児期は在宅が非常に多いと。したがって、小児期における重症障害児の支援は在宅地域生活が中心となり、施設も入所機能だけでなくて支援の役割が求められます。
 では、入所する児童期の方々は、医療や看護が家庭養育では困難なほど重度な児であると。家庭での養育環境が整わない場合、母子家庭や障害の病院に行く場合とネグレクトも含めて虐待が関係する場合、そういう方々であって、御両親あるいは御家庭が何らかの形で子どもを成育する意欲を持っている御家庭は、医療的に非常に重度な方であっても今は入所するという時代ではないということです。
 では、施設の役割はどうかということで、次とその次は大島分類や超重症児スコア、その次は医療的ケア児のことですので省かせていただきます。
 9ページに、医療的ケアを必要とする児童について、その生育の過程というのが出ていますけれども、どういう年齢のときにどういうサービスが必要かということで、成長に伴う各ライフステージの支援ということで10ページに出ていますが、特に乳幼児期は育児困難、育児障害、家庭をバックアップすることが非常に大事になってきますし、学齢期になりますと、いろいろな障害が重度化してきて、それに対しての対応が必要になってきて、学校や地域でそういうサービスが必要になってきます。
 実際に入所ではどういう形かといいますと、私どもの施設の例ですけれども、いわゆるナースステーションにはお子さんたちのモニターがついている状態。要するに、呼吸器をつけた非常に重度なお子さんたちを24時間監視させていただくという形での施設生活でございます。
 では、こういう方々をどう受けたらいいのか。多くの施設ではNICU等々からまとめて5人一度に呼吸器の方を受けたところが結構ございます。それはそれで必要なことなのですけれども、受けた後でそういう方々を1つのICUに入れて、24時間管理するという形のところが非常に多うございます。では、一人一人の生活はどうなるのかということが一つございます。
 それから、親から見れば、その子をどうしても見られないから施設に預けたといっても、親が子を見放したわけではないだろうと。では、施設生活になると、親が一緒に参加しての育児が断たれるのかどうか。施設生活は施設がお受けしながらも、親との関係を維持してあげるようなことが必要ではないかということがこの1例でございまして、これはNICUから小児科病棟を経てずっと寝たきりで、全く身動きできないで、呼吸器を使っている状態で反応もほとんどない方ですけれども、このようにいろいろな医療機器を伴って個室を提供しておりますが、個室の片隅にはCDが置いてあって、お母様はこれで音楽を流して、個室ですのでお母様は週に1回か2回来られて、一定の時間を過ごして帰ります。先ほど、愛着ということがありましたけれども、やはり親にまさる愛着はないわけで、その関係を施設が保障することが非常に大事だと思っています。
 同じお子さんですけれども、一人一人が呼吸器をつけてそのままベッドに寝かされるのではなしに、梅の香りがするときは表へ出してということで、うちのリハビリスタッフは呼吸状態も安定するような努力をしておりまして、訪問教育ですけれども、お部屋を出て、ほかのお子さんと一緒に教育という形で受けることができます。
 次のページは、もう少し年齢が大きくなったお子さんに対してですけれども、今、施設に入っている児童と言われる方々のほとんどは、反応がしっかりつかめないようなお子さんたちです。保育やそういうことが全く不可能なお子さんたちが非常に多いのですが、全く反応がないように見えるお子さんたちも、よく見ると、7段階くらいに分かれるのではないかと。触れ合い活動で触れ合いが必要な段階、一番下の満足感、達成感の活動。一定の活動をしたことに対して、そのお子さんが満足した顔を示すとか、あるいは期待する顔を示せば、その7段階のうちで発達したと言えるのではないかと。今、私どもの発達支援というのは、そういう細かい段階に来ております。
 16ページに、各7段階でこのように分けられて、こういう形で接してあげようということで、17ページは実際に接しているところです。これは静岡のある施設での報告をもとにしていますけれども、個別に接してあげて、それが発達の支援となると。少しの期待を持って私たちが近寄ったとき目を開いてくれれば、それはそれで大きな発達ではないかと。それが定着すれば、それはその子の活動ではないかと。
 次の18ページですけれども、お料理でレモンとかジュースをしぼって、そのにおいによって顔が動くということだけでも発達ではないかと。そのことを期待するようになると、その方の活動ではないか。活動レベルでいけば、これは明らかにこういう方々にとっては自立ではないかと。こういう形で私どもの施設で尽くさせていただきます。
 20ページですが、同時に私どもでは虐待という形でお受けしている方々もかなりおられるわけで、その中には呼吸器をつけて寝たきりの方もおられます。そういう方々の自立というのは、周りを呼吸器で囲まれている中で一生を過ごすということではなくて、できるだけ外に出るような形にしてあげなければいけないということで、このお子さんは知的障害が主ですけれども、気管切開しているので、なかなか外で受けてもらえません。このお子さんの自立度を高めるために個室を用意しまして、その中で自分の部屋としての生活が24時間できるように配慮してきました。今度は18歳を過ぎたら、今までは教育がありましたけれども、それからいよいよ外に出る体験をしようと思うときに、今の制度ですと療養介護に移りますと、外の生活介護とか作業所を受けることができないわけです。そうすると、外の体験をするという機会がございません。そうすると、私どもの施設でほとんど全てが寝たきりの状態で、この子は車椅子に縛られるような形で生活しなければいけない。できれば、自立するための制度の二重使用的なことを認めていただきたいと思っております。
 もう一つの例を御紹介します。施設入所と在宅とが相反するものではないということです。この間出てくる写真は全部御許可をいただいていますけれども、次の写真で出てきます、お母様がおられて子どもが3人おられますね。三つ子でございまして、全員超未熟児で生まれまして、一番右の方は重症児障害で気管切開して常時酸素が必要な方で、下のお子さんは重度の脳性麻痺で知的障害もありますけれども、医療的ケアはありません。上のお子さんは健常なお子さんですけれども、お母さんは母子家庭です。3人を育てるのは無理だということで、右のお子さんを私どもの施設に預けました、入所です。下のお子さんは、短期入所でしばしば私どもの施設を使います。そうすると、上のお子さんと元気なお子さんとお母さんとが一緒に過ごすことができて、時々短期入所に預けながら、右のお子さんには個室を用意していますので、そこで3人が一緒に過ごすことができます。
 私どもは訪問教育なのですけれども、お母様は訪問教育の週3回では絶対だめだということで、お母様は毎朝、近くの支援学校に連れていかれます。帰られてから私どもがお風呂などのお世話をするのですけれども、今では私どもも送迎に協力しております。このように、お母様にとっては施設入所したという覚えはなくて、施設を利用してお子さんとの関係を保っていると言えます。
 23ページは、このお子様に用意していただいた個室でございます。
 24ページですけれども、このような形で、私どもはもう少し年齢が大きくなった方々もとりあえずグループ活動していますが、ここにはお母様方がこの中で4人参加しておられます。私が今、施設長をしていますのは堺にある施設ですけれども、そこでは週に1回以上来られる一定の活動に参加する親御さんたちが全体入所の90%です。週に3回以上の方々が50%です。あらゆる活動にお母様方が参加して、大きな方々も含めて施設に入れてしまったというのではなくて、入れながら今までの家庭と同じように育てていく、生活しているという形が今まで続いているということで、新しい施設というのはこうあるべきではないかと。
 施設と地域あるいは家庭は相反するものではないということを実現させていただきたいのですけれども、27ページにいきますと、私どもの構造で個室が全部で10個あります。10個のうち7つくらいは短期入所で使わせていただいています。個別性あふれる生活ができるような環境。
 下は、横浜に最近できました施設で、これはユニット制みたいな形で小分けにした生活援助をしております。
 29ページにいきますと、私どもは週に3回お風呂を提供していますが、これはドクターとして私がバギングして呼吸器の方をお入れしています。先ほど申しましたように、親御さんたちがしっかりしている御家庭では、児童を施設に入れることはありません。しかし、親御さんたちが自分のところに置きたいけれども施設に入れざるを得ないような医療的な状態の方々もおられます。あるいは特殊な事情の方々もおられます。その方々と協力し合って、一緒に地域の中で育て合うような入所施設をできれば築きたいと思っています。しかし、施設のあり方というのは施設が決めることではなくて、地域が決めることです。先ほど地域というのがありましたけれども、私どもの施設の周辺は、近くにあります大阪府の小児病院でも70名以上の在宅人工呼吸器の方をカバーしておられますし、短期入所も私どものところを含めて全部で27~28のキャパがありますので呼吸器の方も受けられるとか、いろいろな形で地域支援が充実しているのと、親御さんたちの活動が非常にありますので、親御さんたちあるいは地域から、私どものところに入所してしまって、それ以外はないという施設にしてくれるなという要望のもとで生まれております。
 また、一方では、北海道のように非常に広大な地域で1つの施設がカバーしなければいけないところは、そういうわけにはいきませんし、東京のように非常に大きな人口で地域も何もわからなくなってきたところでは、そういう計画ができません。しかし、少なくともこういう活動をこれから10年、20年の経過の中で実現できるような新たな重心施設を、少なくとも育成できるようなこれからの施策ないし財政的な補助をお願いしたいと思っています。
 長くなりましたて申しわけございません。

○田村主査 ありがとうございました。
 随分新たな提起も含めて報告があったかと思いますが、発達支援の機能の課題ということで、今3人の構成員からいただいたわけですけれども、今からそれを踏まえながら、あるいはほかの出されている資料なども少し使いながら議論をしていきたいと思いますので、発達支援機能の課題で御発言をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 植松先生、どうぞ。

○植松構成員 一番最初に前回の資料をいただいたのですけれども、前の段階のあり方の検討会を始める前の段階で、障害児入所施設に4つの機能を持たせるというスライドを見せていただいたのですけれども、そのときから私はすごく違和感があって、障害児入所施設の中に発達支援を持たせながら、社会的養護機能を持たせるとなっているスライドだったのですけれども、児玉先生がおっしゃったように、発達の支援をしているときに社会的養護で虐待の人で家族分離がされているような人たちがそこに入っていると、家族が入ってこられないわけですよね。ですから、発達を支援していくという部分に特化していくのであれば、社会的養護というのを同じ場所で担うのではなくて、児童養護院があったように、社会的な基盤を集結させていくようなシステムが別に用意されていて、そこと連携しながら施設は施設で発達支援を特化してやっていくというのが本来ではないのかなという感じでワーキンググループには参加させていただいています。
 ですから、現状、虐待の方がたくさん入っているので、そういう現実をどうとらえて今ある施設をどうしようかという話の展開ではなくて、本来発達を支援していくような役割の部分と社会的養護をきちんと保障していく部分は、別の考え方が要るのではないかということを前もって感じていたのですけれども、その辺、皆様方の御意見を教えていただけるとありがたいのですが。

○児玉構成員 今のお話に全面的なお答えはしかねますけれども、私どもの重症障害のための施設にも虐待やネグレクトの方が入ってこられます。先ほどの個室を用意してできればという方は、気管切開しておりまして、胃ろう、アレルギーもたくさんありまして絶えず医療的な問題を抱えていた方で、親御さんたちが養育放棄という形でネグレクトという形で入ってきましたけれども、私どものところに来られてから呼吸状態は非常に安定しまして、気管切開は要らなくなりました。ただ、開けた穴が閉められないような手術の仕方ですので、気管切開そのものは残っておりますけれども、お食事も胃ろうから完全に口で食べられるように移行できまして、アレルギー除去も大分成功いたしました。そして、いろいろなところに参加できるようになったお写真とか報告を絶えずおうちに送っております。もちろん児童相談所も関係します。それで全く音沙汰がなかったのが、今は年2回ぐらい御家族が来られるようになって、最近は着るもの等々を持ってきていただけるようになってきました。
 やはり、お子様が育てられるという状態をお見せすることが非常に大事だと思いますし、もう一人のお子様は、お母様が精神的な疾患でとても出てこられないような状態でしたが、その精神科医療機関ともいろいろ協力し合いながら、今は付き添いの方と一緒になって私どもの夏祭りやクリスマス会には出てこられるようになりました。それで、お子様の状態を見て抱きしめて帰って行かれる。したがって、私どもで育てていることが目に見えぬ親御さんたちの子どもだよというところまでしてさしあげることができたかなと、そういうことが、そのお二人については私どもの使命を果たせたと思っているのですけれども、まだ一般論では全ては言えませんので、報告だけさせていただきます。

○植松構成員 ありがとうございます。本当に今のお話はいい問題を教えていただいたなと思うのですけれども、親御さんとつなげるために子どもを健康に育てて、育んでいたわけではなくて、子どものことを医療機関なり保育士さんなり看護師さんなりが一生懸命支援して、少しでも子どもの発達を保障していってあげた結果、それを受け入れるような家族関係が復活してきたのではないかと思うんです。だから、社会的養護のために発達支援をしていたわけではなくて、一生懸命発達支援をかけていたことが回り回って社会的に受け入れられるような仕事をつないでいってくれたのだなと、私は今お聞きして思っていました。なので、社会的養護という部分を最初からここに盛り込んでしまうと、子どもの発達は置き去りでいいので、家族との関係性をうまくやっていけばいいのではないかという視点にとらわれてしまうのではないかという危惧を感じていたんです。その辺をどう整理したらいいのかなというのを、もう少し自分の中の課題として考えたいなと思います。

○田村主査 どうぞ。

○有村構成員 日本社会事業大学の有村でございます。
 今の御発言で、社会的養護の部分について確認しておかないといけないところが大きいかなと思ったのですけれども、どうしても社会的養護というと子どもの虐待の話題と直結して考えてしまう、あるいは考えなければならないところが確かにあるのですが、一方で社会的養護、特に厚生労働省が出されているものの中には社会全体で子どもを育むといった部分もありますし、社会の中では虐待の加害者となってしまった親御さんを、どうしても加害した人、あるいは加害していない人という分け方で、我々としても見てしまうところがあるのかなと思うのですけれども、一方で、適切な支援が行われていれば関係性を築けていたり、親子関係を持てる場合もあったりするかなと思うので、そういう意味では、特に家庭への支援のニーズがあるところでは、社会的養護もとらえ方によっては一緒に考えていくことは可能なのではないかと思います。実際、支援というのが子どもの虐待の問題が入ると、なかなか調整が難しかったりするのはあるかと思うのですけれども、逆にニーズがあるところでは、決して虐待が起きた、起きないということだけではなくて、家庭支援という部分は先ほどのヒアリングでもありましたけれども、専門性を持った機関がかかわれることは大変意味があることかなと思っておりますので、発言させていただきました。
 以上でございます。

○田村主査 ほかにありませんか。発達支援と社会的養護という関係。
 私から少しだけ意見を述べたいと思いますが、発達支援から見るとそう見えるのですけれども、社会的養護、いわゆる親が親となりゆく支援をどうするのかといったときに、それは子ども抜きにできるのかということだと思うんです。親が親となりゆくためには、先ほど児玉先生のところの実践のように、子どもが変わっていく、子どもの生活が変わっていく、姿が変わっていくことをくぐって親は親と自覚していくということだったり、親と自覚することの中で自己調整をするとか、生活調整をするとか、社会調整をするということに気づきが生まれていくのだと私は思います。そういう意味では、社会的養護あるいは親御さんへの支援は単独で何かできるものではないのではないか。そこは、親御さんであれば子どもさんの成長を通して社会的な養護から脱出していくような力をつけていくのではないかという関係にあるのではないかと私は思ったりします。
 どうぞ。

○小﨑構成員 全国肢体不自由児施設運営協議会の小﨑です。
 今、社会的養護ということで、親がいらっしゃってというところもありますが、現実には入所されているお子さんの中には、親御さんがいらっしゃらないというケースもあるわけで、そういうお子さんにとっては施設の職員が親がわりとして、孫や子の愛着を育てていくという視点もあるわけで、そういう意味でいうと、社会的養護という言葉自体は少しインパクトがありまずか、先ほど来お話があるように、親と子の両方の発達を同時に支援するという機能が必要だと考えます。

○田村主査 そこは、また御意見があれば出していただきたいのですが、そのほかのところも含めて発達支援の機能に関して、医療型の障害児入所施設に求めること、課題となっているところは一体どこなのかということで、御意見等がありますでしょうか。
 どうぞ。

○菊池構成員 三重大学の菊池です。
 先ほど、児玉先生の資料の中で、16ページ目に7つの階層ということで、活動が7つに分けられて障害が重い子どもさんたちに対して、職員がその子どもをとらえるべき視点ということでお話をいただいたのですけれども、まさに先ほど来から出ている医療的ケアが濃厚に必要とされる超重度障害の子どもさんたちについては、こういうところをどのようにきめ細やかに見ていくかということはすごく大事かなと思います。また、これは職種に関係なく、医療職であれ、指導員、保育士であれ、そうした人たちが共通の視点を持って子どもにかかわっていくべきだと思うんです。実際、さまざまな療育現場などを見ていますと、活動そのものは楽しいのだけれども、その活動にどういう意味づけがなされているのかということについての落とし込みが十分になされないままにされている部分が、私自身の経験を含めますと幾つかあるような気がしていて、こうした7つの階層というのは、そうしたところをまさに位置づけるようなものであるでしょうし、また、これは1つの施設の取り組みの事例かもしれませんけれども、ほかの施設にもこうした形のものが波及して、全職員が共通した見解を持っていくということは、子どもの発達、特に超重症児の特有の発達というのはもちろんないのですけれども、健常な乳児の発達になぞらえた7つの階層という形で出てきているのでしょうから、そういうところを入所施設の職員がしっかりと持つべきであろうと、私自身はこの16ページの資料を見て思いました。
 また、教育の観点からすれば、私は今、教育学部の教員をやっておりますけれども、特に訪問教育を受けている子どもさんたちというのは、週に3回程度、1回につき2時間ということで、学校に通学している子どもさんたちよりもはるかに教育の回数、量、質が低いのだろうと思います。肢体不自由や病弱の学校に勤務している先生も、こうした子どもの発達の見方ができているかというと、法人的にはなかなか十分ではないのかなというところがありまして、入所施設のあり方を考えていった場合に、医療・福祉の側、重症児施設の側からの教育側へのアウトリーチということも、実際にそうした在宅で生活している超重症児の御家庭に、このような視点を持っている施設の職員が訪問して、学校の先生と一緒に取り組みながら子どもの発達支援をしていくことも、一方では大事なのかなと感じております。
 以上です。

○田村主査 どうぞ。

○児玉構成員 再び児玉ですけれども、今のコメント、ありがとうございました。
 今回のテーマの発達・自立ということは一体何なのだろうというのは、私も資料をつくるときに、普通発達といいますと勉強ができるようになるとか、言葉が伸びていくようになるとか、あるいは外に出かけるようになるとか、そういう大きな項目を意味するのでしょうけれども、ほとんど反応がないように見える方々の発達というのはどういうことかということで、これは静岡のある施設での発表ですけれども、私ども日本重症心身障害福祉協会では、療育学会の中でそういう体験を交流しておりまして、私が堺でつくりまして、ここから学ばせていただきまして、そういう取り組みを開始しております。
 現在、私どもの一番の目安は、ICFの最新版がございます。どんなに障害が重くても活動し参加するところに障害を持っている方々の生きる意味があるということで、こういう方々の活動と参加とはどういうことなのだろうかと考えて、少しでもそういう働きかけに期待するということだけでも活動であり、それをまた本人が期待するようであれば、これは参加であるということをもって、いろいろな職員に働きかけてこういうことをやるように努めさせておりますし、全部とはいきませんけれども、全国の重心の施設もこういう考え方が少しずつ広まりつつあるとは思います。
 そういう意味で、非常に重度な障害にとっての発達とは何か、自立とは何かということは、このワーキンググループのまた別項目かもしれませんけれども、新たに考え直すようなチャンスをいただきたいと思っております。
 どうもありがとうございました。

○田村主査 ほかはありませんか。
 今、出されているような子どもさんへの見方、あるいはその見方に基づいた活動の展開みたいなことは、もっと丁寧にやっていくべきだということが、だんだん実践的にも積み上げられてきているということなのだろうと思います。そこで、ヒアリングにもありましたように、そのことを実際に展開していく体制などはどうなっているのか、それで今いけるのかという話と、先ほど日中活動のところでは、全体が必死になってそこを支えているのが今の入所施設の実態なのではないかと。そういう意味では、そういうわずかな変化や横への発達みたいなことも含めたものをつくっていくときに、今の体制で本当に十分なのだろうか。少し制度的にも柔軟な利用の仕方みたいなことは要らないのかという提起だったかと思いますが、そのあたりも含めて、どうすればそういう発達支援が充実していくのかというところで、もし何か御意見等あれば出していただけるとありがたいのですが、どうでしょうか。

○宮野前副主査 児玉先生にお尋ねしたいのですが、こういったシステムをつくり上げる場合、職員・スタッフの教育・研修というのはかなりされたと思いますし、実際にかかわっておられる職種の方、経歴や人材的確保も含めてどういった課題があったのか、お伺いしたいのですが。

○児玉構成員 今、私どもの施設の最大の問題は、看護は看護師としての標準的な教育や研修がありますけれども、生活支援の方は児童も含めまして、現在はこういう重度な障害を持った方々への支援あるいは分析を学ぶような機会はございません。大人のほうになりますと生活支援になりますから、経歴はまちまちでございまして、介護福祉士であっても重度障害のことは学んできておりません。したがいまして、みんな素人と言えば素人なんです。どうやってこの人たちを見たらいいかということを本当に真剣に討議しなければ育たないわけで、1つは、そういう研修制度は非常に必要だと思いますけれども、私の施設で言えば、私がある意味でリーダーシップをとりまして、いろいろなところに見学に行っていただきます。それでグループ分けをしながら、繰り返し繰り返し積み重ねてきましたけれども、今制度としては個別支援計画をしっかりつくりなさということはありますね。個別支援計画をつくりまして、モニタリングを行いまして、親御さんとの情報交換がありまして、それをしっかり守ることをスタンダードとしてきちんとつくっていけば、おのずと全体のレベルが上がってくれるのではないかと期待しておりますし、私ども協会もそのために力を尽くすつもりですけれども、やはりこういうことに気づく人が数名いることが必要で、その場合に専門職という形でいるのはリハビリ職員なんです。私どものリハビリ職員の作業療法、理学療法、言語治療、それから心理職員も含めて、そこが専門的な分析をすることになれていますので、リハビリ職員が単にリハビリということではなくて、施設には入っている方々や外来も含めて、その方の全トータルに分析するという課題を与えれば、彼らはきっとやってくれると思っています。そういうことが私どもの経験ではあります。

○宮野前副主査 そういった中で、児童ですから教育というのも入ってくると思うのですけれども、いわゆる学校の先生方のかかわりも含めて、実際にこういった超重症児の場合はモニターをつけながら、それこそサチュレーションが下がったら看護師さんが吸引したりさまざまな、言ってみれば医療がしゃしゃり出なければならない場面も多いと思うのですが、そういったものも学校教育がどういったアプローチをしているか。特に学校の先生方というのは、医療的ケアの方に対してはかなり腰が引けていると言うと語弊があるのですが、そういったところもあって、そのあたりの工夫もいろいろされているのだろうと思いますが、いかがでしょうか。

○児玉構成員 特別支援学校に行きますと、こういう重度のお子さんに対してはほとんど1対1ですので、初めから濃厚な関係がございます。施設あるいは私どもとの交流が先生たちともあれば、やはり1対1の力というのは強いもので、私どもも非常に学ばせていただいているとは思っていますけれども、学校教育との関係は。定期的に先生方との交流はしております。
 また、親御さんたちが微妙な変化を感じ取ってくれるわけです。それは私どもにとっても非常に喜びになって、お互いが共通に感じることは非常に大きな力になっております。そういう場をつくる機会がぜひ必要だと思っております。

○宮野前副主査 そういった場合、いわゆる病棟のスタッフの支援計画、それから、特別支援教育の中で教育計画をつくっておられると思うのですけれども、すり合わせなどを具体的にされることはあるのでしょうか。

○児玉構成員 学校の教育計画、支援計画と私どもの個別支援計画は全く別につくられていますので、お互い一緒に協議することは余りないのですけれども、個別支援計画は繰り返し繰り返し、今バージョンも3つ、4つになって、ようやく少し実のあるものになってきたと思っております。

○宮野前副主査 私も現場の人間なので、一緒に活動するという場面は日常的にあるのでしょうか。

○児玉構成員 医療的に重い方々ですから、このお子さんをここから外に出せるかどうかという段取りを含めたことは一緒に協力しながらずっとやっております。ただ、プログラムはプログラムで学校の先生たちは学校の先生たちのプライドがありますので、そこはそこで。いろいろなかかわり方が同時にあってもいいのではないかと思います。

○田村主査 ほかにどうですか。どうぞ。

○小﨑構成員 今、主に重心の方々のお話にシフトしているというか、いわゆる医療型の中でも旧肢体不自由児施設に関しては、昭和20~30年代くらいの非常に皆さん知的にもよくて自立している方が今いらっしゃるわけではなくて、どちらかというと、先ほど朝貝から説明がありましたように、いわゆる大島分類で言うところの重心の周辺に属する方というのが非常にふえていて、そういった方はやはり一定の機能を持っていらっしゃるし、そういった人たちに対する発達支援というのは非常に個別性も大きく、いろいろな意味で手がかかるという部分がございます。そこに対して、いわゆる旧肢体不自由児施設の人員配置基準ではなかなか対応できなかった部分を、我々の施設の中では、個々の施設が少しでもお子さんたちにいい発達支援をしたいということで、基準を上回った人員を配置してきているという状況があり、それが結果として運営を厳しくしているところはあるので、例えば、先ほどの養護性がある方の中には18歳を過ぎた段階で地域の中で暮らしていけるだけの力をつけていけるお子さんもいらっしゃるわけで、そういったお子さんに対して、医療的なものとは別の視点での細やかな対応が必要になるということも御理解いただければと思っております。

○田村主査 あと、どうですか。
 課題整理のところに少し書いてある、例えば、支援をする規模、生活を支えていく規模、今の話でいくと、1対1の話だとかあるいは個別的な療育ということなども話されていたわけですけれども、そのあたりでの課題はあるのでしょうか。規模のところで、もし何か御意見があれば。

○小﨑構成員 よろしいですか。引き続き話をさせていただきますと、先ほどの機能が高い方から、ほとんど重心に相当する方、それから、いわゆる発達障害なり行動障害を合併している方になりますと、現状、私の施設もかなり大きなユニットの中でお子さん方をお世話しているという状況で、寝たきりに近いお子さんがいらっしゃる中で、危険認識が少ないようなお子さんがいらっしゃると、お互いにケガをさせたりといった危険もありますので、障害状況に合わせた、あるいはお子さんの状況に合わせたユニットをつくっていくことは必要なことかなと考えています。

○田村主査 どうぞ。

○児玉構成員 まず、施設としての規模ですけれども、重症障害の施設あるいは肢体不自由児施設関係もそうでしょうけれども、病院であることが基準になっております。病院であることが基準である限りは、一般に障害者施設と入院基本料という一般病院と同じような基準にのっとるのが普通ですけれども、そうしますと、病棟は必ず看護師が2人以上で夜勤をしなければいけない。そうすると、2人以上の夜勤をするための最低単位は、夜勤ができる看護師が15名くらい必要なわけです。それが10対1看護という大体2人に1人の看護師が配置されるという基準でいきますと、30名以上の病棟でなければ15名の看護師を配置することはできないわけです。しかも、医療的に問題がある方と少し動ける方が同じ病棟というわけにはいきませんので、2つの病棟を持つのが一般的です。そうすると、30と30を合わせると60になりますよね。それぐらいが重症障害で多様な方をお受けするところの最低単位になってきます。
 それから、医師の数は入院として数えれば10名でも20名でも、常勤として3名必要です。それに加えて薬剤師、リハビリ、検査技師、レントゲン技師あるいは厨房が必要でございます。そうすると、病院ということを考えますと、50~60名以下の規模で行う場合は、大きな病院の附属の1つの病棟としてやる場合は別ですけれども、単独の施設として、しかも民間でやる場合は、それ以下の規模にはなり切れないわけです。
 ですから、病院としての規模と、生活単位としての規模を分けて考えればいいわけで、病院としての規模はそうであっても、生活単位ではもう少し細かくしていけるということでは、細かさは限度がございませんので、そこはそれぞれの知恵の働かせどころだと思います。しかし、小さい単位で個室等々を多くしますと、民間にとっては建築のコストが非常に高くなりまして、面積も必要になります。したがいまして、公的なところ以外でそういうことをやろうとなった場合には、何らかの形で財政的な支援ないし、そういう個別環境をプラスするとか、そういうバックアップが必要になってくると思います。
 一応、規模についてはそういうことでございます。

○田村主査 どうぞ。

○植松構成員 先ほど児玉先生からも個別支援計画を立てて、きちんと教育関係との連携も考えていこうという話をされていました。発達の課題について考えたときも、当然、個別の支援計画の中に発達の課題というのは大きく出てくると思うんです。重心の発達年齢が0歳か、1歳か、2歳か、3歳かあるいは5歳かといった中で、この子の今の発達年齢からすると5歳程度の発達なので、5歳だったらこういう支援が必要だなというのが支援計画になってくると思います。ですから、実年齢は20歳であったとしても、18歳であったとしても、発達年齢が5歳であるということであれば、5歳の子どもに対する支援のあり方というのは、おのずとみんな見えてくるはずなんです。ですから、個別支援計画を本当丁寧に丁寧につくっていただいたら、マンパワーの数もその積算になってくるわけですから、もし理想的なことを言わせていただくとすれば、個別支援計画をしっかりと立てていただいた中で、その子に対しての支援はこれだけのマンパワーが要る、Aさんは要る、Bさんもこれだけ要る、その積算が集合体として交代勤務も含めて何人要るという形にならざるを得ないものではないかとも思ったりします。
 ですから、先にマスありきで、何人の体制で1対幾つという話は、ちょっと違うのではないかと思ったりもします。理想的なことを重ねて言いますと、個別支援計画を丁寧に丁寧につくればつくるほど、当然、重層的な配置は必要になってくるのではないかと思うので、その辺を詰めていただけたらなと思います。

○田村主査 今の御意見に対してどうでしょうか。
 どうぞ。

○菊池構成員 個別の支援計画を作成するときに、今の話だと、どなたがキーパーソンになっていくかというところが一つ大きな問題になってくると思うのですけれども、先ほど児玉先生の話の中では、リハビリテーションの方がある意味鍵を握っているというところもありました。そこも私は一部同意するところがありまして、例えば、作業療法の方ですと特に小児の作業療法を専攻されている方は、実は余り各病院などを見てみても多くないというか、肢体不自由関係のところであれば、子ども作業療法を専門的に実施しているような先生方、OTさんはいると思うのですけれども、重症心身障害児の方々が入院・入所している施設で、そうした子どもの作業を中心としたようなことを実際にリハビリとして提供できるような方がいるかどうかは、私自身は知らないのですけれども、もし、そういうところをしっている先生方がいらっしゃったら教えてほしいと思います。
 まず、1つは、OTさんがキーパーソンになってくるのではないかというところと、もう一つは、発達という観点からすれば、発達年齢というよりはむしろその子にとって次にクリアーすべき課題は何なのかというところを、どのように日中の活動を通して評価していくかというところからすると、指導医、保育士になってくると思うのですが、その方々と作業療法士の実際のすり合わせがすごく大事になってくるのかなと思っているのですけれども、なかなかそういうところは現実的には個別の指導計画には落とされていないのだろうなと私自身は思っています。
 これは、教育も同じで、教育のほうでも個別の教育支援計画やあるいは個別の指導計画があるわけですけれども、先ほど宮野前先生がおっしゃったように、医療と教育のプログラムのすり合わせは、重症児だけではなくて、例えば、発達障害・知的障害の子どもさんが特別支援学校が終わった後に放課後とデイに行くときに、放課後とデイの子どもさんの職員さんと連携がとれているかというと、とれていないところがいまだにありますので、ここは重症児に限らず、しっかりどうつなげていくかということは全体の課題かなと思っております。
 以上です。

○児玉構成員 ちょっとよろしいですか。再び済みません。
 リハビリテーションが非常に助けになりましたと申し上げましたけれども、最終的に一人一人の方のプログラムを考えるのは、現場の生活支援の人たちのチームでございます。リハビリはあくまでそういう機会を提供し、あるいはアイデアを出すということです。
 それと、リハビリテーションで重症児障害の発達月齢で言えば6カ月みたいな方々に一生懸命やろうという人たちをゲットするのは非常に難しい話だと思います。私のところは幸いにそういうことをやりたい人を集めましたのでいいのですけれども、外を見ますと必ずしもそうはいきません。したがいまして、やはりこの分野での先ほど申しました発達あるいは変化を本当にみんなで感じ取れるような成果を私どもが出して、リハビリの方々にも訴えていかなければいけないと思っております。それは、リハビリの皆さんに期待するところ大です。
 それとともに、主に重症心身障害という医療型障害入所施設には、定員として心理担当の職員を置く形になっています。残念ながら多くの施設の中には、心理担当という名前をつけて実は違う人がなっているところもあるのですけれども、心理の方々の役割は非常に大きいものがありますから、本当に心理の人をきちんとつけて、リハビリも組み、生活支援も組んでいけば大きな成果になると思っています。リハビリは確かに非常に苦労しております。

○田村主査 個別支援のところでの専門性やチームによる療育の展開みたいなところでのいろいろな留意点も含めていろいろ御意見を出していただけたと思いますが、時間も余りありませんので、発達支援機能の課題のところではそろそろ締めたいと思うのですが、何かこれは言っておかないといけないのではないかということはありますか。いいですか。
 そうしたら、議事の4番目の自立支援機能、今も自立支援機能は一部出ていましたけれども、自立支援機能の課題について入っていきたいと思いますが、きょうはこのままだと多分、議論ができる残りの時間がないかと思いますので、一応資料説明をして次回に議論という形にしたいと思います。
 まず、事務局から資料説明と、先ほど発達支援のところで区切りましたので、構成員の提出資料についても自立支援機能の課題についての資料説明をしていただこうかと思います。まずは、事務局から説明をお願いします。

○刀根障害福祉専門官 事務局より御説明させていただきます。
 資料4「自立支援機能について」でございますが、課題としてまず1、療養介護との児者一貫の仕組みの中で、成人移行期における支援のあり方をどう考えるかという中で、1つ目として、成人期に移行する際の本人の状況に応じた支援のあり方。暮らしの場であったり、日中活動の場であったり。また、2つ目といたしまして、都道府県、市町村や児童相談所、相談支援など、障害福祉サービスとの連携強化・仕組みづくりをどうしていくかといったことが挙げられております。
 2といたしまして、療養介護との児者一貫の仕組みの中で、医療型障害児入所施設の役割・機能についてどう考えるか。先ほどの1は、成人移行期における支援のあり方でしたけれども、2につきましては、医療型障害児入所施設の役割・機能についてどう考えるかということで、まず、有期有目的支援のあり方、そして、受け入れが難しい障害者のセーフティーネットとしての役割といったことが課題として挙げられております。
 事務局からの説明は以上になります。

○田村主査 では、本日出していただいている構成員資料の説明をしていただきたいと思います。
 まず、朝貝構成員からお願いします。

○朝貝構成員 全国肢体不自由児施設運営協議会の朝貝です。地域移行支援の役割をしっかり果たしていきたいという中での要望をさせていただきます。
 4ですが、MSW配置加算の新設。現状はMSWに対する配置加算はございません。地域に移行するための地域生活支援など、MSWの役割が高まっているところでございます。
 5ですが、退院時地域移行加算の新設。これも地域に移行するための準備あるいは環境調整、地域移行後のフォローアップなど、きめ細かな対応が必要な状況がありますので、お願いしたいと思います。
 6ですけれども、外泊支援加算の新設。これは在宅の移行に向けた週末などの外泊の際の保育士・指導員の指導・支援が必要な状況で、北住班の調査でも肢体不自由児は重心と比較して外泊が多く、地域移行のための外泊が運営を圧迫している状況がございます。外泊支援の加算をお願いしたいと考えております。
 以上です。

○田村主査 では、次に石橋構成員、お願いします。

○石橋構成員 私のほうは、また、これまでヒアリングを聞いた中での感想的な意見なのですけれども、現在行われている相互支援法の中における相談支援事業の内容を身近で見ていますと、施設退所後のアフターケアを受ける人材もいないし、マンパワーもないと見受けておりますので難しいのではないかと思います。特に、家庭崩壊という形で入所となった場合、両方をきちんとケアできるような相談支援事業をやっておられるところは、私の住んでいる近くではどこにもないと思いますので、対応できる人材がいない。逆に、そこにそういう負荷をかけると、既存の施設の機能を壊すことになるのではないかという気もしております。
 養育放棄、虐待等これまでの入所事由と異なる最近の事由に対処するためには、既存の施設に求めるのではなく、新たな何かをつくらなければいけないのではないかと感じております。
 地域でということが出てきますけれども、特に地域社会の中でも町会、自治会が一体となるような社会をどうやってつくればいいのか、移行するプログラムの中に組み込むことができるような社会をつくれば、少しはいいのではないかと思います。
 私の子どもが成長するときに自立という言葉に関しましては、何か1つできたらそれが自立だと療育のドクターにも言われましたし、私たち夫婦もそう感じて子どもを育ててきました。
 以上です。

○田村主査 児玉先生から、自立支援のところで何かありますか。

○児玉構成員 先ほど申したことに尽きるのですけれども、施設を出て、外の生活に移るということが望めないような重度の方々ですので、たとえ施設生活の中であっても自分の希望を感情表現でもできる、それを職員に訴えることができれば、私どもはささやかな自立だと思っております。それが全てに通用するとはもちろん思っておりませんけれども、重症障害の非常に重い方々の中での目標の一つでございます。
 もちろん、中には本当に外に出したいケースがいることはいます。先ほどお示ししたようなケースは、それはそれでまた別ですけれども、重心施設としては今言ったような自立の考え方を今、深めているところでございます。

○田村主査 ありがとうございました。
 本当は、ここでも議論したいところなのですが、この会場が5時半ぴったりまでなので、十分しても5分ぐらいしかできないので、中途半端なまま自立支援機能の課題の議論をするには少し時間が足らないかなと思いますので、自立支援機能の課題については、資料整理とあるいは本日の構成員からの提案あるいは状況報告があったということを踏まえていただいて、次回発言できるようにしていただければと思います。少し時間としては早いわけですけれども、きょうのところについてはここまでにしたいと思いますが、そのほか何かございますか。

○宇佐美構成員 全国重症心身障害児(者)を守る会でございます。
 先ほど、日中活動支援協議会の木村さんから、医療型の短期入所サービスを拡充する必要があるのではないかという御意見がありました。全国的に不足していると記述してあります。私どももそのように思っているのですが、厚生労働省でつくられております幾つかの資料を見てみましても、施設数や定員の記述はあるのですが、特に医療型の短期入所がどれだけあるのか、できれば地域別にわかるとありがたいと思っています。次回、私どもの意見を出させていただいて、そこでお話しさせていただきたいと思っておりますけれども、短期入所の数が非常に少ないと思っているものですから、そういうデータがありましたら、教えていただければと思います。

○田村主査 宿題ですね。
 どうぞ。

○児玉構成員 私どもの施設におきましての短期入所の実態調査は行っておりますので、それは出せるのですけれども、多くの医療機関・病院で福祉の短期入所ではなくて、入院という形をとってレスパイト受け入れという形で、表面上は短期入所としてあらわれない数がかなりあるんですね。それから、既存の私どもに所属している施設でも、入院という形で受けて、ちょっと前までは入院のほうがコストが非常に高くとれた時代がありますので、あるいはオーバーしてしまう数は入院として受けているという数もございます。したがいまして、公に出てきたデータと実際の利用のキャパとがかなり違うこともございます。少なくとも重心施設として受けている数は私どもから提供できますけれども、あとはよろしくお願いいたします。

○田村主査 入院のことなんか、なかなかつかめないですよね。レスパイト入院だとか、どうですか。

○刀根障害福祉専門官 障害福祉課ではつかんでいないです。

○児玉構成員 例えば、私どもの近くにある大阪府の小児病院では、人工呼吸器をつけたNICUから家庭に復帰するときの条件として、月に1週間は入院サービスを提供するとか、もちろん診断名をつけた上での入院になりますけれども、そういう条件で在宅に移行している方々は結構おられるんですね。それぞれはショートステイのような形ですけれども、数字ではあらわれてこない数になります。
 地域的な実態は御報告できますので、次回に参考までに出させていただきます。

○田村主査 では、児玉先生のところでもよろしくお願いします。
 そうしましたら、一応時間も時間になってきましたので、本日の議事については一旦ここで区切らせていただきたいと思いますので、事務局から今後のスケジュールについて説明をお願いいたします。

○刀根障害福祉専門官 次回の開催につきましては、8月28日(水)10時からを予定しております。会場につきましては、この建物の6階の612会議室となっております。詳細につきましては既に皆様にお知らせしてありますので、御案内した内容を御確認いただければと思います。
 本日は大変お忙しい中、御出席をいただき、ありがとうございました。また次回開催のときには、どうぞよろしくお願いいたします。

○田村主査 お疲れさまでした。これで終わります。

〈了〉