第77回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会議事録

 

 
第77回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会(議事録)
 
1.日時 令和元年6月27日(木) 10:00~10:58
 
2.場所 AP虎ノ門貸会議室Aルーム
           (東京都港区西新橋1ー6-15 NS虎ノ門ビル11階))
 
3.出席委員
(公益代表委員)
○東京大学大学院法学政治学研究科教授 荒木 尚志
○慶應義塾大学名誉教授 大前 和幸
○名古屋大学大学院法学研究科教授 中野 妙子
○慶應義塾大学大学院法務研究科教授 森戸 英幸
  
(労働者代表委員)
○全日本海員組合奨学金制度運営管理部長代理 楠 博志
○全国建設労働組合総連合労働対策部長  田久 悟
○日本基幹産業労働組合連合会中央執行委員 坪田 英明
○日本労働組合総連合会総合労働局長 村上 陽子
  
(使用者代表委員)
○東京海上ホールディングス株式会社人事部ウエルネス推進チーム専門部長 砂原 和仁
○鹿島建設株式会社安全環境部長 本多 敦郎
○一般社団法人 日本経済団体連合会労働法制本部長 輪島 忍  

4.議題
(1)健康保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱(労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部改正関係)について(諮問)
(2)複数就業者への労災保険給付の在り方について
 
5.議 事
○荒木部会長 それでは定刻になりましたので、ただいまから第77回労災保険部会を開催いたします。本日の出欠状況ですが、公益代表の水島委員、宮智委員、労働者代表の酒向委員、浜田委員、使用者代表の北委員、二宮委員、山内委員が欠席でございます。田久委員は少し遅れての到着ということでございます。出席者はそうすると11名ということになりますが、公益代表、労働者代表、使用者代表、それぞれ3分の1以上の出席がございますので、定足数は満たしていることを御報告いたします。それではカメラ撮りはここまでということでお願いします。
 本日の議題に入らせていただきます。第1の議題は健康保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱(労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部改正関係)についてです。本件は、厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛ての諮問案件であります。では、事務局から説明をお願いいたします。
○労働保険徴収課長 労働保険徴収課長の河野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。まず、今般の改正に当たりまして背景事情でございます。お手元の資料4枚目、参考1-2を御覧いただけますでしょうか。昨年から行ってまいりました省令改正と背景事情は同様でございますが、平成29年6月9日に閣議決定をされました「規制改革実施計画」におきまして、平成31年度(令和元年度)までに政府全体で行政手続コストを20%削減することとされております。これを受けまして厚生労働省といたしましては、行政コスト削減のための基本計画に基づきまして進めているところです。この基本計画におきましては、あくまで電子申請の利用促進と、これによりまして行政手続コストを削減していくことがメインでございます。ただ、これを促進しても、なお一定程度残ると考えられます紙媒体での届出についても、行政手続コストが削減されますよう、いわゆる法人設立時等に提出されます厚生年金、健康保険、労働保険及び雇用保険につきまして、各手続で届け出るタイミングが同じ4種、下のほうに書いてある星印の4種ですけれども、この届出につきまして様式を統一化するとともに、この様式の受付につきまして、年金事務所、労働基準監督署及びハローワークのいずれにおいても受理をするというワンストップ化を図るものです。
 1枚戻って、参考1-1です。今般の省令改正につきましては、労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案を含む6本の省令案を、この標題にございますように、健康保険法施行規則等の一部を改正する省令案といたしまして1つにまとめております。この中におきまして労働保険関係につきましては、労働保険関係成立届を厚生年金保険法上の「新規適用届」、雇用保険法上の「適用事業所設置届」とともに提出する場合は、年金事務所やハローワーク等を経由して提出することができるものとする案です。なお、Ⅱの星印の所のように、今般の対象とする事業につきましては一元適用の継続事業(個別)としています。いわゆる有期事業や事務組合の委託事業は除かれるということです。また、通常、労働保険関係成立届と一緒に提出されます概算保険料申告書についても同様に、提出できる規定を整備するものです。
施行日につきましては、令和2年1月1日を予定しています。なお、この省令案につきましては本年5月28日から昨日、6月26日まで、パブリックコメントを実施しております。その結果、全体で8件の御意見があり、現在、御意見の精査をしているところです。労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案についての御意見は0件でした。私からの説明は以上でございます。
○荒木部会長 ただいまの説明につきまして、何か御質問、御意見があればお願いいたします。特段、御意見はないということでよろしいでしょうか。それでは特に御意見もなく、パブリックコメントでも特段の意見はないということでありましたので、諮問のあった件につきましては当部会としては妥当と認め、労働条件分科会長宛てに報告をするということにしたいと思いますがよろしいでしょうか。
                                    (異議なし)
○荒木部会長 ありがとうございます。それでは事務局に報告案を用意してもらっておりますので、まず、これを配布し、読み上げてもらうことといたします。よろしくお願いします。
                                  (報告案配布)
○労働保険徴収課長 それでは読み上げさせていただきます。「令和元年6月27日、労働条件分科会分科会長荒木尚志殿、労災保険部会部会長荒木尚志。
 健康保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱について、令和元年6月27日付け厚生労働省発基0627第1号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、本部会は、審議の結果、下記のとおり結論を得たので報告する。記厚生労働省案は、妥当と認める」。
 なお、労働政策審議会令第7条7項によりまして、部会の議決をもって分科会の議決とすることができ、同令第6条第7項によりまして、分科会の議決をもって審議会の議決とすることができると定められております。また、労働条件分科会運営規程第7条におきまして、当部会の議決をもって分科会の議決とすることになっており、労働政策審議会運営規程第9条におきまして、分科会の議決をもって審議会の議決とすることになっております。このことから御承認いただけましたならば、この報告が実質的には労働政策審議会長への報告となり、この内容で労働政策審議会長から厚生労働大臣宛てに答申されることとなります。以上でございます。
○荒木部会長 ただいま配布し、読み上げられ、又説明があったとおりでございます。そこで今のような内容で労働政策審議会長宛てに報告をし、この報告のとおりで厚生労働大臣宛てに答申を行うということにしたいと考えますが、よろしいでしょうか。
                                   (了承) 
○荒木部会長 ありがとうございました。それではそのように取り計らうことといたします。
 では、次の議題に移ります。第2の議題は複数就業者への労災保険給付についてです。未来投資会議等、一連の政府の動きを踏まえ、今後の検討に資するよう、現状の議論を整理するというものでございます。では事務局から説明をお願いします。
○労災管理課長 労災管理課長の田中でございます。よろしくお願い申し上げます。資料2-2を用いまして御説明を申し上げます。前回、複数就業者への労災保険給付についての検討状況ということで御議論いただきました。先ほど、部会長からもお話がありましたように、これまでの議論でありますとか、今後検討すべきもの、これをまとめるということでこのペーパーの案を作らせていただいています。資料2-2、赤字で書いてある所が前回から変更があった部分です。それを中心に御説明いたします。
 まず、冒頭の所で6行ほど書かせていただいております。これはこの検討状況のペーパーの位置付けというものです。長い名前の閣議決定がありますが、これは未来投資戦略2019の正式名称です。この閣議決定におきまして、「副業・兼業の場合の労災補償の在り方について、現在、労働政策審議会での検討が進められているが、引き続き論点整理等を進め、可能な限り速やかに結論を得る」と閣議決定をされています。これを踏まえまして、今後議論を加速するため、これまでの議論や今後検討すべき課題の整理を行ったものである、ということでこのペーパーの位置付けを書かせていただいているものです。
 第1の背景という所です。変更点はこの閣議決定の関連する部分を抜き出したものです。先ほど抜き出した部分以外の所も載っておりますけれども、兼業・副業の関係の所を抜き出したものです。
 各論点について委員の皆様方からの御意見を頂いております。前回、頂いた御意見もございますので、その御意見については各論点ごとに記載しているものです。これが2ページ以降、続いていきます。
 11ページです。(7)の「特別加入者の取扱いについて」という所を斜線で消しているのですが、これはこのペーパーの整理の観点なのですが、今後、整理すべき論点としての位置付けということですので、後ろのほう、第5の「今後の検討の方向性」という所に場所を移して、この論点については記載をすることにいたしております。
 同様の考え方で、14ページ、15ページ、負荷の合算の関係の論点ですが、これも新しい論点だということで、前回お示しをさせていただきました。今後、検討をすべき課題であるということで、第5の「今後の方向性」という所に移しました。
 18ページ、19ページ、今後の検討の方向性という所です。前回、頂きました御意見などを踏まえまして修正をいたしております。大きな構成は変えておりません。(1)として、いわゆる額の合算の論点、(2)として、負荷の合算の論点について書かせていただいております。こういう大きなフレームは特に変わっておりません。第5の所の冒頭、「以下のような方向性に沿って」という所ですが、慎重かつ十分な検討を行う。慎重に検討をするということを書かせていただいておりますが、同時に制度変更によって想定される様々な問題の解消を含めて、可能な限り速やかに結論を得るということで、閣議決定の文言に合わせています。こういう位置付けであるということを冒頭に書かせていただいて、(1)(2)の論点について整理をしています。
 (1)額の合算の所につきましては、①②ということで構成をしております。①のほうが、ある程度コンセンサスを得られているのではないかと思われるところについて書いています。②の所につきましては、次回以降、検討を進めるべきであるという論点について書いている構成になっております。①の所は、労災保険制度の目的である被労働者の稼得能力や遺族の被扶養利益の喪失の填補の観点から、複数就業者については、非災害発生事業場の賃金額も加味して給付を算定する必要性を踏まえるということで、必要性はあるのだというところを書いております。必要性を踏まえ、引き続き検討を進めるべきであるというところを冒頭に書いております。
 あと、「その際」という所から下は、余り修正はしておりません。
 ②に次回以降、検討すべき論点ということで、アからウまでです。アの部分が、いわゆる通算をすることで増額する給付の負担の在り方と、そのような制度改正をした場合に、労災保険率が極力引き上がらないようにするための対策ということです。これはセットで考えるべきであろうということで論点として書いています。
 論点のイ、これは少し前回からのものに説明を加えているのですが、非災害発生事業場における賃金額の把握の手続にかかる労使の負担軽減のための方策(非災外事業場に対する労働基準監督署の対応も含む)ということで、手続面の関係です。
 ウ、特別加入者の取扱いということなのですが、少し説明を加えまして、複数就業者が就業先のいずれも労働者である場合のほか、いずれかが特別加入者の場合の労災保険給付の在り方ということです。以上のような論点について、次回以降、御議論いただきたいということでございます。
 (2)が負荷の合算というところです。ここにつきましては現行制度の在り方について引き続き検討を進める必要があるということで、総論を書いております。次回以降の論点ということで、少なくとも以下のような論点について検討し、整理することが必要であるとして、先ほど斜線で消しておりましたが、業務上の負荷を合算して労災認定することとした場合の対象となる負荷の範囲でありますとか、認定方法、災害補償責任であるとか、保険料負担の在り方といったところにつきましては、次回以降論点として整理をしていただければということです。本文については以上のような修正を行っております。
 参考資料の2です。これまで御説明等いたしました資料を中心に、参考資料として掲載をしています。例えば3ページ目、右肩に「75回労災保険部会資料」ということで、いつの部会の資料かを書いております。今までお出ししてなかった資料ですけれども、前回も御議論がありましたものについて、補足的に参考資料として掲載しているものが幾つかありますので、簡単に御説明をしたいと思います。
 16ページです。これは労災認定の関係ですが、精神障害の業務起因性判断のフローチャートです。どのように認定をしているかというのを、簡単にフローチャートで書かせていただいているものです。この手順の所ですけれども、簡単に御説明いたしますと、まず、対象の疾病に該当する精神障害を発病しているかどうかというところが出発点となっております。うつ病であるとか、急性ストレス反応などの対象疾病に該当しているかどうかというところがスタートになります。
 それから業務による心理的負荷を評価するということです。特別な出来事に該当する場合がある、出来事がある場合、あるいはそういう出来事がない場合であっても、出来事の平均的な心理的負荷の強度の判定といったことを行いまして、その結果、心理的負荷の評価が「強」と強いということになった場合に、下のほうに移るわけですけれども、業務以外の心理的負荷があったかどうかというのを判断する。これは例えば、プライベートなことで、例えば、配偶者の方がお亡くなりになったとか、あるいは大きな天災に遭ったとか、そのような強度Ⅲに該当する出来事があったかどうかというところで、内容は違っているということですが、それとともに個体側の要因ということで、その労働者の方、御自身の既応症であるとか、そういったものも加味するということです。それらを判断いたしまして、業務上か業務外かということを判断しているということです。これは精神疾患の場合の判断基準、判断のフローチャートということです。
 次のページが、脳や心臓疾患の業務起因性の判断のフローチャートです。横書きで横のほうに進んでいく形になっていますけれども、対象となる脳・心臓疾患、これは脳出血であるとか、あるいは心筋梗塞、狭心症などですけれども、こういう対象の疾患になった場合に業務による過重負荷があるかどうかを判断するということです。一番左のほうですけれども、異常な出来事、短期間の過重業務、それから長期間の過重業務ということで、3つのパターン分けをしております。これらの事象が起こっているかどうかということにつきまして、異常な出来事、それから短期間で長時間労働が認められるかと、あるいは1か月から6か月平均で、月45時間以上、③になりますけれども、発症前の1か月間に100時間であるとか、2~6か月間平均で月80時間を超える時間外労働といったものがあるかどうかと、こういったものと労働時間以外の負荷の要因と、これらをその労働者の方の基礎疾患なども総合的に勘案いたしまして、業務上か業務外かを判断していく流れになっております。以上、前回、御質問があったことの関連する資料です。
 前回、御質問があった事項に関連する参考資料で追加したものといたしまして、31ページです。特別加入の状況というものです。特別加入制度につきましては前回も参考資料で提出をしておりますけれども、それに加えまして、特別加入の加入者の数であるとか、あるいはどういった業種の方々がいらっしゃるかということについて、現状を書いているところです。御覧いただきますと、類型が主に4つということなのですが、中小事業主等というところですが、事業主が65万人ほど、その家族従事者等が43万人ということです。その下が一人親方等ですが、加入者が56万9,918人で約57万人です。団体を通じて加入することになりますので、この団体数が全部で3,500ほどあるということです。右上のほうが、特定作業従事者ですが、これは農作業者をはじめとして、特定作業に従事されている方です。加入者数は約11万人、団体数が1,359です。右下のほうが、海外派遣者で約10万人、これは団体ではなくて事業場が加入しているということですが、1万事業場ほどになっています。以上が特別加入の状況ということで参考資料として付け加えさせていただきました。
 それから閣議決定が先般なされましたので、それを参考資料として34ページに載せております。先ほど御紹介した本文の中でも書いているものと同じ内容です。
 53ページ以降、これは副業・兼業の現状というところです。今まで雇用×雇用の場合というのを中心に数値を出していたのですが、今回、雇用×非雇用の場合と、あるいは本業が非雇用で、副業が雇用の場合といった方々がどれぐらいいるかということにつきまして、これは「就業構造基本調査」ですけれども、ここから数字を拾ったものを掲載しています。以上が追加した参考資料となっております。説明は以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○荒木部会長 それではただいまの説明につきまして、何か御質問、御意見があればお願いいたします。
○坪田委員 資料2-1の16ページにあります今後の検討の方向性という所で、慎重かつ十分な検討を行い、可能な限り速やかに結論を得ることとする、とされていますが、議論も昨年の6月から始まって、時間を掛けて議論をしてまいりましたが、今後速やかな審議をお願いしたいと思っております。今後、どのようなスケジュール感で議論を行っていくのかというところをお聞きしたいと思います。
○荒木部会長 今後のスケジュール感、これは事務局に対する御質問です。
○労災管理課長 今後のスケジュールということでございますけれども、ここで御議論の中間的な整理をしていただいて、それを踏まえて、また夏以降になりますけれども、月1回、あるいは2回程度になるかと思いますけれども、御議論をしていただきたいと思っております。可能な限り速やかに結論ということでございますので、自ずと期限があるとは思うのですけれども、大体いつまでというところを、終期について、今のところ事務局として、絶対ここまでというところまでは特に予定はしておりません。ただ、やはり可能な限り速やかにですから、常識的な範囲で早目に結論を得ていただければと考えているところでございます。以上でございます。
○荒木部会長 よろしいでしょうか。
○坪田委員 これはお願いになりますが、検討する議論については整理されてきてはおりますが、今後は、もう少し計画的に議論できるように準備をしていただきたいと思います。そしてまた、次回以降、議論を再開する際には、どれぐらいの回数で、どのような論点について議論していくかといった、進め方についても整理をして示していただきたいと思います。
○荒木部会長 ありがとうございました。それではほかに何か御意見ありますでしょうか。
○輪島委員 私は、新しく労災保険部会の委員になって3回目で、途中からの参画でしたので、これまでの状況も含めて定かに理解をしていない所もあるのかもしれませんが、現時点ではこのタイミングで、この労災保険部会としての議論の整理が適切にここでまとめられたのではないかと思っております。これを踏まえて、労働側委員の発言にもありましたが、閣議決定どおりのことで、これから「可能な限り」と書いてありますが、慎重に、かつ十分な検討をしてまいりたいと思っています。
 1点質問です。参考2の16ページ、先ほど御説明を頂いて、前回も事務局にお伺いをした点ですが、考え方としてこうなのかというところの確認です。16ページのものは、今、合算の議論をしている状況からすると、A事業会社とB事業会社があって、雇用+雇用で、B事業会社で、この精神障害の業務起因性の判断フローチャートによって判断をする。かつ、A事業所でも、このフローチャートによって判断をする。つまり、16ページで言うと、例えばこれが、1と2を判断すると強になって、3と4で判断をしますが、さらに、A事業所について別途判断をして、それを合算するというか、総合的に判断することになるというのが前回の事務局からの御説明だったと思いますが、それでよろしいでしょうか。そうなると、今のフローチャートでの判断+もう1つの判断が、それは足し算なのかどうなのかという別のフロー、別の判断基準も必要になるのではないかと思うのですが、それは正しいのかどうか。仮にそれを作る場合には、どういうものをどうするのか、それについてはどういう検討プロセスが必要なのかということがあるのであれば教えていただきたいと思います。以上です。
○荒木部会長 お尋ねでしたので、事務局からお願いします。
○補償課長 まず、このフローチャート、認定基準のフローチャートですが、このフローチャートは、そもそも2事業場の場合を想定して作ったものかどうかということがまずあると思います。負荷の合算をする場合に考えられるということで、前回、こういうことが考えられるということで御説明をしたと思っております。それと一方で、ではAとBで2つの事象、1つ1つの事象があったときに、今、1つの事業場でやっている足し算、これでいいのかどうかについて、今、どうかということはちょっとお答えしづらいかと思っています。場合によっては、専門家の御意見とか、もともとこの認定の中で、例えば中と中というのは、ではこれが強に行くのか、また中なのかというのは、これは非常に難しい話ですが、これについては、適宜、専門家の方、あるいは医師の協議会、そういうところで御意見を聞いて、どういう判断をしたらいいかということで総合的に判断をしています。繰り返しになりますが、元に戻りますが、2つ違うところの足し算についてどうしたらいいのかについては、すぐに答えは分かりませんが、場合によっては、今言った専門家の方々に再び御意見を聞いてやる方法もあるのではないかと思います。ちょっと答えになっているかどうかは、すみません、恐縮ですがこのように答えさせていただきます。
○審議官(労災、建設・自動車運送分野担当) ちょっと補足させていただきます。今日は、この点を議論することにはなっていなかったものですから、現状の今、認定基準の御説明をさせていただいたところです。したがいまして、次回以降、8月なり9月なり以降に、どういうことが考えられるのかについては、しっかり資料を出して御説明を申し上げたいと思いますので、その際にまた御議論をいただけたらと思っているところです。
○荒木部会長 よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。
○楠委員 先ほどの最後のほうに説明がありました参考2の53ページ以降に、(雇用×非雇用)(非雇用×雇用)(非雇用×非雇用)といった表がありますが、これらのデータは2017年のものですよね。
○荒木部会長 何ページでしょうか。
○楠委員 50ページ、52ページ、53ページ、54ページ、55ページです。
○荒木部会長 どうぞ。
○楠委員 これは、2017年度の資料で、一方、51ページの方は2002年と、大体15年開きがあるわけですが、こういった資料は年度を統一してもらったほうが見やすいと思います。もう1点は、52ページの就業形態についてですが、これを見ますと、 (雇用×雇用)の就業形態の中でも、本業がパート又はアルバイトのケースが年々増加していることがわかりますが、これについても、(雇用×雇用)だけではなく、(雇用×非雇用)(非雇用×雇用)、できれば(非雇用×非雇用)とか、そういったデータの入った資料を作っていただければ、これからの検討材料としては有意義ではないかと思います。
○荒木部会長 お尋ねがありましたので、事務局からお願いします。
○労災管理課長 まず1点目です。今回お出しした資料2017年の就業構造基本統計調査を基にしたものなのですが、すみません、ページを戻っていただいて、(雇用×雇用)の関係は、実は3つ表を出しております。49ページから51ページまでになるのです。2017年、2012年、2002年と比較ができるのです。すみません、(雇用×雇用)の場合は3つ表を出していまして、(雇用×非雇用)の場合は一番直近のものだけを出しているということです。昔のデータについても、同じように分類ができるかどうかやってみたいと思います。それから、52ページの就業形態別のものなのですが、(雇用×非雇用)のときにどういう、非雇用のほうはこういう形でなくて、例えば会社役員とか自営業者とかそのような感じになるとは思うのですが、そういう分類になるかとは思いますが、同じような表が作れるかどうかやってみようと思いますので、また検討したいと思います。
○荒木部会長 よろしいでしょうか。
○田久委員 2点ほどあります。1つは、今後の進め方の所でも、特別加入ということで在り方も検討されるということですが、実際、建設を見ていただくと、一人親方に入っているのは建設が大半であることも含めて、この給付と副業、兼業も含めたところがあると思います。のです。もう1つは特別加入の関係でいくと、働き方の関係も含めると、大分生産性向上という問題も含めて多能工が増えていることもありますから、是非、そういった意味でも、給付の在り方と同時に、業種とか労災認定も含めたところなども、議論は一緒に進めていく必要があるのではないかということで、意見として述べたいと思います。
 また、一人親方の関係での調査を昨年やらさせていただいて、労働者であったり、要するに請負であったりという人たちは、やはりアンケート4万枚のうちの2、3割はいるというのが数字としては出てきましたから、そういった意味でも、今後、そういった働き方をすることは考えられることでもありますから、給付を支給する、しないということもありますが、きっちり、業種の今の認定も含めて、業種の拡大も同時に進めていただくことが必要ではないのかと思っていますので、よろしくお願いします。
○荒木部会長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。
○村上委員 今の田久委員と同じ部分で、資料2-2、見え消しの資料の方ですが、18ページで第5今後の検討の方向性から次のページにかけて、今後何を検討していくのかがあります。特別加入については、前回、労側委員からも申し上げましたが、複数就業の場合の給付の在り方だけではなくて、制度の拡充や加入促進も必要だと思っています。その際、第二種特別加入の範囲や、労災保険事務組合などの在り方についても、このゾーンでどこまでできるのかということもありますが、検討していくことが必要ではないかと思っています。この間、大きな制度改正をしてこなかったということもありますので、この議論をするのであれば、その際、どこに課題があるのかを整理しておくことは必要ではないかと思っています。
 本日、追加資料として、参考2では31ページを追加で出していただいており、その30ページ、31ページなどを見ながら、次回以降、是非、この議論をする際にお示しいただけないかと考えていることがあります。1つは、30ページの右下に特別加入団体の要件がありますが、これについてもう少し具体的な判断の基準のような、どういうところを見て判断していくのかという目安みたいなものがあるのではないかと思っています。それが拡大していかない要件、ネックになっているものがあれば、そこも考えていく必要があるのではないかと思うのですが、そういった内容について教えていただけないかということが1点です。
 また、31ページでは特別加入の状況を示していただいておりますが、一人親方の所や、あるいは特定作業従事者で、現在、何か拡充のニーズがあるのかどうか、拡充してほしいという要請が寄せられているのかどうかについて教えていただきたいと思います。私どもとしては把握をしていく必要があると思っていますが、行政で何かなされているのかどうか教えていただければと思います。また、プラットフォーマーはどの類型に、どこに当てはまっていくのかについても教えていただければと思います。
 ただ、いわゆる雇用類似の方々だとか、フリーで働いていらっしゃる方々に対して、では特別加入を拡大すればOKかというと、多分そうではなく、労働者概念を、今、適切に広げていくことも一方では必要ではないかと思っておりますので、その両にらみでバランスを取りながら考えていく必要があるのではないかと思っています。以上がリクエストです。
 もう1点よろしいでしょうか。資料2-2の第5の検討の方向性の④の消されている部分の辺りで、これは確認なのですが、非災害発生事業場の賃金額の把握、A事業所の賃金額の把握の問題です。資料などを見ていてこういう話なのだろうと思っていたところは、基本的には、被災した労働者なり請求者が賃金をいくらもらっていたということを申請しながら、それを事業主にも署名を求めて、それを監督署に出していくことが流れであって、それと同様のことをA事業所においても行っていく、ということだと思っています。A事業所に関しては、特別請求者に対して負担が重くなるという話ではなかったと思っていますが、そういうことでよかったのかどうかということについての確認です。
○荒木部会長 御要望と質問がありましたが、事務局からいかがでしょうか。
○労災管理課長 御要望のところについては、また次回以降にお出しできる資料についてはしっかり出していきたいと思っておりますし、御意見についてはいろいろ検討させていただきたいと思います。
 それから御質問の所なのですが、資料2-2の18ページの旧④になりますが、賃金把握の所です。基本的には、要するに、非災害発生事業場の賃金額を確認するために、請求者の方に何某かの証明になるものを提出いただく。証明ですから事業主さんから何かを証明していただくというのが通常だろうと思いますが、いずれにしても、そういう、ある意味、今までなかった負担が労働者の方、つまり請求者の方、それから事業主についても増えることになりますので、やり方そのものについては、できるだけ簡単にいくようにということで、我々も今後検討していただければと思っているところです。基本的には同じような形でと思っております。
○荒木部会長 輪島委員。
○輪島委員 村上委員に確認したいと思います。特別加入者の話は、今、ここで今日一旦取りまとめようとしている複数就業者の特別加入の話ではなくて、特別加入者の制度そのものについて別途と聞こえたのですが、それでよろしいでしょうか。私どももその点については余り内部で相談しているわけでもないのですが、使用者側としては重く受け止めたいと思っております。
 それから、2点目です。村上委員が御質問になった18ページの第5の旧④の所は、できるだけ簡便な方法にしてほしいということもありますが、ここも、私どもの中で議論をしていても、やはりどうやって把握をしてそれが確定するのかというフローが、どういうプロセスが一番適切でリーズナブルなのかがよく分からないので、ここも秋以降のところで、A事業所で証明をするのが、A事業所での毎月の賃金の支払明細でいいのか、それ以外のものが何かあるのかとかいうことについても、同様に議論は深めたいとは思っているところです。以上です。
○荒木部会長 村上委員からはよろしいですか。
○村上委員 1つ目で御質問いただいた点については、この際、複数の就業先が特別加入である場合だけの検討だけではなくて、特別加入について少し制度全体を見渡して、改正するものは改正し、今できるものをやることと同時に、次に何の課題があるのかという整理もしていくことが必要ではないかという意見です。
 もう1つその関連で言うと、またこれもリクエストなのですが、特別加入について、特定作業であるとか、一人親方の部分で、詳細は施行規則の第46条などで定まっており、事業の種類だけは書いてありますが、なぜこの事業なのかということは書いていないので、どうしてこれが対象になっているのかについて、どのようにしてこういうものが選ばれてきたのかについても何か材料があれば、これも次回以降で結構ですので、教えていただければと思います。
○荒木部会長 特別加入制度自体については、雇用類似の働き方との関係でも話題になっているところですので、将来的には重要な問題と捉えていくべきだと思いますが、現在議論しておりますこの資料2-2は、複数就業者の労災保険給付についての検討の整理ということですので、背景にある事情についての御指摘と受け止めたいと思っております。ほかにはいかがでしょうか。
○本多委員 これまでの部会の中で、いろいろな意見とか御提案をさせていただきました。今回の取りまとめに当たりまして、少々かある程度か分かりませんが、考慮を加味いただいたことについては感謝を申し上げたいと思います。それで、今後の検討の方向性については現時点で特に異論はないのですが、2つほど質問をさせていただければと思っています。資料2-2、見え消しの18ページの一番下です。新しい②のア、イです。従来、アの後半、「制度改正をした場合にも、労災保険料の総額が」というものだったのがこういう表現になっておりますが、企業側としては、労災保険料の総額は非常に重要な問題であります。もちろん上限があるのは承知しておりますが、まずこの総額ということの議論はもうなされないと解釈せざるを得ないのかというのが1点です。それから、イの就業規則については、複数の使用者委員の方々から、非常に企業側としては大事なことだという問題提起もされたのですが、就業規則ですので、これは使用者側の団体、あるいは各企業で検討しなさいと解釈すればよろしいのでしょうか。その2点です。
○荒木部会長 それでは事務局からお願いします。
○労災管理課長 まず1点目の所です。総額を率に変えたのは、御意見いただいたものをよく見返しますと、保険料率が上がらないようにという御意見だったということがありましたので、率のほうを書いたということです。総額について御議論しないということではございません。もう1つ言いますと、保険料の総額、要するに、今、例えば8千数百億円、保険料がありますが、それが額として見ますと、こういう制度の影響ではなくて、例えば賃金が上がっていくとか、就業者数が増えるということで、言わば自然増と言いますか、自然に上がっていく分がかなりあります、現在。ということもありますので、額の議論をする、余り総額の議論だけでやりますと、今回の論点とはちょっとずれてくるのではないかということもありまして、御意見でも保険料率というお話でしたので率のほうを書いたということです。
 それから、就業規則の関係ですが、労災保険制度との関係では、今回はここの論点としては落とさせていただいておりますが、もしかしたら別の検討の場で、あるいは、そうでない場合には個々の事業者の方と労働者の中で、個別の労使間でということになるかと思いますが、御検討をいただくことになるかと思います。以上です。
○本多委員 労災保険部会以外の場という議論になりますか。
○労災管理課長 の可能性はあるかもしれませんが、それはまたいろいろな、何て言いますか、どういう制度を改正するかとか、そういうことに影響されるかと思います。
○荒木部会長 よろしいでしょうか。ほかにはいかがでしょうか。
○砂原委員 よくまとめていただいたと思いますので、引き続き検討を進められれば、慎重に、かつ可能な限りのスピードでということかと思います。その際に、基本は性善説でいいと思うのですが、いろいろな形で制度を変えたときには、その制度を逆に使って、違う意図で、言い方は悪いですが、不正が発生する可能性も一定程度は念頭に置いて、そういうのを極力防止するような観点も必要なのかと思いますので、そういう視点も今後入れて検討いただけると有り難いかと思います。それがひいては、ここに書いてある労災保険料が上がらないとか、そういうところにつながってくると思いますので、そういう観点も是非、よろしくお願いします。
○荒木部会長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。大体御意見は頂いたということでよろしいでしょうか。そういたしますと、今回、資料2-2ということで、検討状況の整理について文書が出されまして、いろいろ質問等もありましたが、この資料2-2について具体的に変更すべきという御意見というよりも、この内容について確認され、そして今後の議論についての一定の要望があったとお聞きしたところです。そういうことですと、今回の資料2-2については、こういう形でまとめるということで御了承いただいたということで、今後、更に議論を深めていくことにしたいと考えますがよろしいでししょうか。
                                     (了承)
○荒木部会長 ありがとうございました。
 それでは、本日の議題については以上となります。今後について、何か事務局。
○輪島委員 別件でよろしいでしょうか。前段の諮問の関係の参考1-2の資料の関係で、少し事務局にお伺いをしたいのです。規制改革実施計画自体は、平成31年度というのは令和元年度であり、それを取組機関、政府全体として20%削減をするということは、今年度中の一応、目標としているということだと思います。そのところにおいて、厚生労働省においては、その2段落目は基本計画を作って実施をしているということですが、基本計画なるものがどういうもので、それの進捗状況はどうなっていて、かつ、令和元年度までに20%の目標が、進捗状況がどうなっているのかは、どこかに示されているのか、又は個別にそれぞれの所掌される分科会で報告をされているのか、そういうのは何か分かるようになっているのかどうかをお聞きしたいのです。
○労働保険徴収課長 私から御説明します。只今、輪島委員がおっしゃられたように、今年度中を目途に20%削減するという目標でしたので、今年度が終了した段階で、今までの実績等を考慮して評価していくことになってくるかと思います。ただ、まだ現時点において、そのスケジュールが具体的に定まっておりません。現在、この基本計画自体も厚生労働省のホームページに出ております。いずれにしても、それぞれの中身は公表していくことになろうかと思っております。また改めまして御案内をさせていただければと思っております。
○荒木部会長 よろしいですか。ほかに何か御指摘、御質問等はありますか。よろしければ、以上で本日の部会は終了としたいと思います。本日の議事録の署名委員ですが、労働者代表の田久委員、使用者代表の砂原委員にお願いします。それではどうも、御協力いただきましてありがとうございました。本日は以上といたします。