2019年7月31日 第1回医療等情報の連結推進に向けた被保険者番号活用の仕組みに関する検討会 議事録

日時

令和元年7月31日(水)8:30~10:00

場所

中央合同庁舎5号館 18階 専用第22会議室

出席者

<構成員(五十音順、敬称略)>

 

<オブザーバー(敬称略)>

議題

(1)被保険者番号活用の仕組みを巡る状況
(2)被保険者番号活用の仕組みの基本スキーム
(3)仕組みの具体化に当たっての論点

議事

 
○田中補佐 それでは、若干定刻より早くはなっておりますが、委員の方々がおそろいでございますので、ただいまより、第1回「医療等情報の連結推進に向けた被保険者番号活用の仕組みに関する検討会」を開催したいと思います。
本日は、第1回目の開催となりますので、座長選出までの間、事務局において議事進行役を務めさせていただきます。私は政策統括官付情報化担当参事官室の田中でございます。よろしくお願いいたします。
構成員、オブザーバーの皆様におかれましては、大変お忙しい中、本検討会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。
開会に先立ちまして、政策統括官の鈴木より御挨拶を申し上げます。
○鈴木統括官 厚生労働省で情報政策を担当しています政策統括官の鈴木でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、第1回目でございますが、医療等情報の連結推進に向けた被保険者番号活用の仕組みに関する検討会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。開会に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
データベースの整備を通じまして、医療等分野の研究開発等を推進するためには、医療等情報の連結を推進することが重要でございます。こうした観点から、先月21日に閣議決定されました成長戦略フォローアップにおきましては、オンライン資格確認システムを基盤としまして、個人単位化されます被保険者番号を活用した医療等情報の連結の仕組みの検討を進め、必要な法的手当てを行い、令和3年度からの運用開始を目指すこととされたところでございます。
本検討会はこの閣議決定や、昨年8月の医療等分野情報連携基盤の検討会の取りまとめを受けまして、医療等情報の連結推進に向けました被保険者番号活用の仕組みについて、具体的な検討を進めるために開催させていただきましたものでございます。
本検討会におきましては、被保険者番号活用の仕組みにつきまして、スキーム、管理運営主体、活用主体などを御議論いただきたいと考えておりますけれども、秋以降の関係する審議会などへの議論につなげていきたいと考えてございますので、一定の取りまとめをお願いしたいと考えているところでございます。このため、構成員の皆様におかれましては、短期間の集中的な議論をお願いすることとなると思いますけれども、ぜひ活発な御議論をお願いしたいと思いまして、開会の言葉とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○田中補佐 続きまして、構成員、オブザーバーの皆様を御紹介させていただきます。資料1の別紙の名簿に従いまして、私から御紹介をさせていただきます。
石川日本医師会常任理事でございます。
宇佐見日本歯科医師会常務理事でございます。
田尻日本薬剤師会副会長でございます。
樋口武蔵野大学法学部特任教授でございます。
藤井全国健康保険協会理事でございます。
棟重健康保険組合連合会理事でございます。
森田津田塾大学総合政策学部教授でございます。
山口認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長でございます。
山本医療情報システム開発センター理事長でございます。
吉原京都大学大学院医学部研究科教授でございます。
続きまして、オブザーバーでございます。
上田社会保険診療報酬支払基金オンライン資格確認等システム開発準備室室長でございます。
長門国民健康保険中央会審議役でございます。
続きまして、事務局の紹介を簡単にさせていただきたいと思います。
大臣官房審議官、八神でございます。
サイバーセキュリティ・情報化審議官、椿でございます。
大臣官房参事官、三浦でございます。
政策企画官、笹子でございます。
保険局保険課長、姫野でございます。
続きまして、お手元の資料の確認をさせていただければと思います。
お手元に議事次第、座席表に加えまして、資料1の開催要項です。
資料2、横置きの厚い資料になっておりますが「被保険者番号活用の仕組みを巡る状況」でございます。
それから、資料3、こちらも横置きの資料になっておりますが「被保険者番号活用の仕組みの基本スキーム(案)」でございます。
それから、資料4、こちらも横置きでございますが「仕組みの具体化に当たっての論点(案)」でございます。
最後、資料5、縦紙でございまして「今後の検討会の開催について(案)」でございます。
資料の不足などがございましたら、事務局までお知らせください。
続きまして、座長の選出に移らせていただきたいと思います。
資料1をごらんいただければと思いますが、開催要綱3の(3)に「検討会に座長を置き、座長は検討会の中から選出する」とされております。本検討会の座長につきましては、津田塾大学教授の森田構成員にお願いさせていただくことについて、あらかじめ構成員の皆様に御説明をさせていただいておりますが、改めて森田構成員に座長をお願いさせていただくことでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○田中補佐 それでは、森田先生に本検討会の座長をお願いしたいと思います。森田先生におかれては、座長席へお移りいただき、以後の議事運営をよろしくお願いいたします。
(森田委員、座長席へ移動)
○田中補佐 なお、円滑な議事進行のため、撮影等につきましてはここまでとさせていただきます。
また、会議は公開で行っておりますので、本日の議事録などにつきましては、厚労省ホームページ上で公開いたします。
(カメラ退室)
○田中補佐 森田先生、よろしくお願いいたします。
○森田座長 皆さん、おはようございます。今回、座長を務めさせていただくことになりました森田でございます。構成員の皆様の御協力を得まして、円滑な議事運営に努めてまいりたいと思いますので、どうぞ御協力をよろしくお願い申し上げます。
なお、この検討会開催要綱におきましては「座長代理は座長が指名することができる」とされております。これはできる規定でございますので、座長代理につきましては、今後必要が生じた場合に指名をさせていただくということにさせていただきたいと思いますので、この点は御了承をお願いいたします。
では、座らせていただきます。
それでは、早速ですけれども、議事に入りたいと思います。幾つか資料がございますけれども、事務局から御説明をお願いいたします。
○田中補佐 改めまして、事務局でございます。お手元の資料2から資料5まで、まず私のほうから一括して御説明をさせていただきたいと思います。資料は大部になっておりますが、かいつまんでの御説明とさせていただきますことを御了承ください。
まず、資料2でございます。表紙をおめくりいただきまして、2ページでございます。タイトルは「被保番活用の仕組みに関する閣議決定」と記載しておりますが、先ほど統括官の鈴木からも申し上げましたとおり、本年6月21日の閣議決定「成長戦略フォローアップ」におきまして、資料の一番下の下線が引いてある部分でございますけれども、
医療等分野における識別子(ID)については、オンライン資格確認システムを基盤として、個人単位化される被保険者番号を活用した医療等分野の情報の連結の仕組みの検討を進め、必要な法的手当てを行い、令和3年度からの運用開始を目指す。
とされているところでございます。
また、ちょっと資料を飛んでいただきまして4ページでございます。こちらは本検討会に参画いただいている多くの先生方にも御参加いただいておりましたが、昨年、医療等分野情報連携基盤検討会が開催されております。本基盤検討会につきまして、8月13日に一定の取りまとめがなされているところでございまして、そちらの資料が5ページ、6ページになっているところでございます。
こちらは御案内のことと思いますので、かいつまんでの御説明とさせていただければと思いますが、まず、5ページの青枠の中の一番上の部分で「識別子の検討」のところでございます。
こちらの被保険者番号の個人単位化及び個人単位での被保険者の資格情報の一元的な管理が実現すれば被保険者番号の履歴を用いることによって、特定の個人の識別や同一人物の確認を効率的に行うことが可能とされまして、医療分野における情報連携の識別子として被保険税番号の履歴の活用が想定されるといった内容が記載されております。
若干飛ばしていただきまして6ページです。
「ユースケースごとの検討」の部分でございますけれども、こちらも大きく2つ御議論いただいておるものと承知しております。1つ目がデータベースの利用のところでございます。具体的にデータベースの利用の2つ目の○の部分をごらんいただければと思いますが、
○ データベースの間での被保番履歴を活用して医療情報等の連結を行う場合には、個人が識別できる情報の第三者提供が可能な場合を除き、被保険者番号履歴等の個人を識別できる情報を一方向に変換して容易に書き取れない当該データベース間で取り扱う共通の連結符号を作成し、当該連結符号を用いてデータを連結する仕組みとすべき。
といった内容が記載されております。
さらに、2つ目のユースケースといたしまして、医療情報連携での利用の部分でございます。こちらは2つ目の○の部分に記載しておりますとおり、
○ 地域を超えた医療情報の連携を可能とするには、患者の被保険者番号履歴と当該患者の健診・診療・投薬情報がどこで管理されているかについて情報を管理する仕組み(広域MPI)の構築が必要という議論がされたところでございます。
続きまして7ページの部分でございます。こちらも閣議決定の関係でございますが、本年6月の経済財政運営と改革の基本方針でございます。
こちらは医療における情報連携の観点で、記載しております文章の5~6行目ぐらいのところでございますが、さまざまな医師や患者の御納得ですとかセキュリティ、さらには導入するに当たっての負担、こういったさまざまな課題がございますので、こういった課題を踏まえた対応策の検討を進めた上で、2020年の夏までに工程表を策定するとされているところでございます。
こういったものを、今ほど御説明申し上げました成長戦略ですとか、基盤検討会の報告、それからこういった経済財政運営の改革の基本方針の閣議決定などなどを踏まえまして、識別子につきましては、被保険者番号の履歴を活用するといった一定の議論がされているところでございますが、先ほど申し上げましたユースケースで申し上げますところのデータベースでの利用といったところを、本検討会でも御議論いただきたいと考えております。
また、医療情報の連携の部分につきましては、先ほど申し上げました閣議決定の2020年の夏までの工程表といったところの議論と合わせて、議論をしていく必要があるのかなと考えておるところでございます。
続きまして8ページでございます。こちらも昨年の健康保険法の改正の関係の概要をつけさせていただいておりますが、簡単に御説明させていただきます。
改正の概要の1つ目でございますが、御承知のとおりオンライン資格確認の導入、それから、3ポツ目の部分でNDB、介護DBなどの連結解析などの規定が盛り込またところでございます。
9ページは「オンライン資格確認の導入」の関係の資料でございます。
こちらは御案内のとおり、オンライン資格確認が導入をされれば、オンライン資格確認の運営主体のところで、個人番号に基づくひもづけ番号で、被保険者番号の履歴が管理されるような仕組みになっているところでございます。
飛ばさせていただきまして11ページでございます。
こちらも御案内のとおりでございますが、被保険者番号が個人単位化されて、公布の日から2年以内の施行予定となっております。
さらに12ページございます。同じく今般の健保法の改正で措置をされておりますが、被保険者番号につきまして告知要求制限の規定が設けられたところでございます。具体的には12のところでございますけれども、健康保険事業、またはこれに関連する事務の遂行のため、必要がある場合を除いては、何人に対しても被保険者番号の告知を求めてはならない。
それから、4のところでございますけれども、こういって要求できる場合を除いては、そもそも被保険者番号の記録がされたデータベースを構成してはならないという規制が設けられているところでございます。
続きまして、15ページの部分でございます。
こちらもやや総論的、概念的なものでございますが、現状、データベースのところで、例えば、4情報で個人を連結して医療情報を解析しているものがあったとするのであれば、被保険者番号を活用することによって、より精度を上げた突合、もしくは簡便な突合が可能になるだろうと。
そこに加えまして緑の部分でございますけれども、健保法改正によって被保険者番号が個人単位化されている。さらにそこに加えて保険者をまたいで被保番が変わった場合であっても、複数の被保険者番号の履歴を活用することによって同一人物であるかどうかの確認が可能になり得ると。こういったものを活用することで、より精度の高い医療情報の連結が可能になるといった資料でございます。
続きまして、16ページ以降、こちらも御案内のとおりだと思いますが、公的な医療等の情報のデータベースに関して資料をつけさせていただいております。こちらは簡単に、それぞれのデータベースについて概要を述べさせていただきます。
まず、18ページでNDBでございます。
現在、約9年分のデータを格納しておりまして、もともと高齢者医療の確保に関する法律の16条に基づいて構成されております。保有主体は厚生労働大臣、中に入っているデータとしてはレセプトデータと特定健診・保健指導のデータになってございます。
重要な点として、19ページの部分でございますが、御承知のとおりNDBはサーバーの中にデータを格納する段階で、レセプトデータ、健診データにつきましては、個人情報が匿名化処理された形で格納されているところでございます。
一方でレセプトは毎月上がってまいりますので、同じ個人に関するレセプトデータを連結して解析するという観点で、匿名化処理の2でございますけれども、ハッシュ関数を用いて個人の特定につながる情報を削除しつつ、一方、ハッシュ関数を一定に振り出すことによって、個人のレセプトを連結しているところでございます。
その特徴の部分を簡単に御説明させてきますが、与えられたデータから固定長のハッシュ値を生成する。異なるデータから同じハッシュ値を生成することは極めて困難であると。さらに生成されたハッシュ値から元データは再現することもできないし、ハッシュ値と元データの対応表も持たないということで、匿名化を実現しつつ、このハッシュ値を使ってデータの連結を行っているところでございます。
このNDBのハッシュ関数についての留意点としまして、21ページの部分を簡単に御説明させていただきますが、左側の12の部分でございますけれども、ハッシュ値を大きくは2つ生成させております。
こちらは保険者番号・記号番号、いわゆる被保番、それから性別・生年月日から生成させるハッシュです。こちらですと、当然、現状では保険者が変われば被保番が変わってまいりますので、そうするとレセプトが切れてしまうということになってまいります。このため、2の部分でございますけども、氏名・性別・生年月日からハッシュの2を生成させるという方法で連結を行っているところでございます。
続きまして、22ページで介護保険総合データベースでございます。
こちらも御案内のとおりかと思いますが、介護給付の明細書などを電子化情報として収集して、厚労大臣が管理するサーバーに格納しております。こちらは介護保険法に基づくものでございます。3に書かれておりますとおり「地域包括ケア『見える化』システム」などにおいて、当データは活用されているところでございます。
具体的な格納をしているデータにつきましては、23ページに詳細に記載させていただいておりますが、大きくは要介護認定の情報、それから介護レセプトに記載されている情報というデータを格納しているところでございます。
24ページ、DPCデータでございます。こちらも御案内のとおり、DPCの対象病院からのレセプトデータを格納しているところでございます。こちらも収集規定につきましては、今回の健康保険法の改正で健保法の中に設けられたところでございます。
具体的な提出データの概要につきましては、25ページでございますが、こちらも御案内のとおりかと思いますので説明は割愛させていただきます。
26ページのところでございます。
今回の健康保険法の改正の関連でございますが、NDBと介護DBにつきましては、両データベースの情報のそれぞれの第三者提供、それから連結解析などについて規定が設けられたところでございます。
続きまして、27ページのMID-NETでございます。
こちらも協力医療機関からの患者のレセプトデータ、それから電子カルテのデータなどを匿名化、標準化した上で収集・構築しているものでございます。こちらも根拠規定はございまして、いわゆるPMDA法の第15条に基づいてデータベースが構築されているところでございます。さらにNDB、介護DBなども同様でございますが、第三者提供も既に実施されているところでございます。
さらに今ほど御説明申し上げましたのは、全て匿名化処理されたデータベースでございますが、31ページ以降、顕名のデータベースについての記載をさせていただいております。
32ページ、がん登録のデータベースでございます。
こちらもがん登録法に基づいて厚労大臣が保有するデータベースでございます。概要は33ページのところに模式図とともに大きく書かれておりますが、病院といたしましては全ての病院、それから診療所は指定されたものになってまいりますが、がんの罹患に関する初回の診断時の情報、がんの種類ですとか、進行度ですとか、治療内容、こういったものを収集して構築するものでございます。
こちらは市町村から提出される死亡情報と結びつけまして、患者数、罹患率、それから生存率の把握などに活用されているところでございます。
続きまして、難病のデータベースと小慢の関係が35ページにまとめて記載されておりますが、個別には36ページ以降を御確認ください。
まず、指定難病の患者のデータベースの概要でございますけれども、1年に1回の医療費助成の申請の際に提出される調査個人表を用いて指定難病の診断基準、重症度分類などに係る臨床情報を収集してデータベースを構築しているところでございます。こちらは現行、個別法は設けられていないものと承知しております。具体的な指定難病のデータデータベースに登録されている情報は37ページに挙げさせていただいております。
38ページは同じく小慢のデータベースでございまして、こちらも1年に1回の医療費助成の申請の際の医療意見書を用いて、データベースを構築しているところでございます。
同様に39ページに収集情報を記載させていただいているところでございます。
今ほど御説明を申し上げたデータベースの概要を41ページに記載しております。
続きまして、42ページで医療介護の解析基盤に関する有識者会議です。こちらも、昨年開催されたものでございますが、概要を簡単に御説明させていただきます。
NDB、介護DBなどの連結解析基盤に関して、有識者の皆様に御参画いただいて御議論をいただいたものでございます。
その報告書のポイントを43~44ページにまとめさせていただいておりますが、44ページをごらんいただけますでしょうか。こちらは今ほど申し上げたNDB、介護DBなどの連結解析について御議論いただいたものでございます。
3番の「運用面の課題と対応」のところでございますが、データベースの整備のあり方でございますけれども、まず2020年度に向けて、カナ氏名などを活用したハッシュ値の生成によって、NDB、介護DBの匿名での連結解析ができるよう、必要な対応を進めるべきということに加えまして、まさに今般、本検討会でも御議論いただく内容でございますが、2021年度以降、連結精度の検証、それから個人単位被保番を活用したハッシュ値の整備活用について検討すべきとされているところでございます。
5番でございますが、今ほど私が御説明いたしましたデータベースも含めまして、それぞれのデータベースの連結解析について関係が整理されておりまして、NDB、介護DB、それからほかのデータベースの連結解析については、一定の有用性が認められる中で、法的な対応の必要性ですとか、技術的な課題の検討が必要であるというところが個別に議論されたところでございます。
最後に、45ページ以降、こちらも御案内のとおりかと思いますが、次世代医療基盤法の認定事業者の関係でございます。
医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律、いわゆる次世代医療基盤法でございますが、こちらは29年の5月に交付をされておりまして、30年の5月から施行されているところでございます。
具体的なスキームは、こちらも簡単な御説明にさせていただきますが、48ページでございまして、特に機微な情報が含まれる医療情報につきましては、高いセキュリティを確保した上で、十分な匿名加工技術を有するなど、一定の基準を満たした管理や利活用のための匿名化、適正かつ確実に行うことができる者を認定する仕組みを設けるということでございます。こちらの認定を受けた認定事業者につきましては、医療機関から本人が提供を拒否しない場合、いわゆるオプトアウトで医療情報の提供を受けることができるとされているところでございます。
以上が医療情報を保有するデータベースの代表的なものの関係の御説明でございます。
続きまして、資料の3でございます。以上のような、それぞれの閣議決定ですとか基盤検討会の結論、それぞれの現行構成されているデータベースがある中で、具体的に被保険者番号の履歴を活用して、医療情報を連結していくというのはどういうことかというのを整理させていただいたものでございます。
1ページ目は非常に概念的な資料になっておりますので、簡単に意味合いだけ御説明させてきますが、例えば「現状」の部分に記載されております。医療情報のアからエまで、これが概念的に、仮に神様の目で見たときに、同一人物の被保険者番号だった場合であったとしても、現実的には、これらの番号は同一個人のものであるということを認定するのは難しいと。具体的にアとイに関しましては、番号自体は同じなのですが、現行は個人単位化されておりませんので、厳密な意味ではこれが同一人物のものであるということを認定するのはできないという意味合いでございます。
こちらが健康保険法の改正がされると、まず被保険者番号が個人単位化されてまいりますので、もともとア、イで世帯単位だったものが、右側のア、イで個人単位化されれば、まず同一人物であることへの認定が可能になると。
一方、保険者が変わって、被保険者番号が全く変わってしまっていれば、現行ではこれを接続することができない。逆に言えば、被保険者番号の履歴を活用することで、これの接続ができるようになるのではないかとかいう意味合いでございます。資料3は資料2の御説明と若干重複いたしますので割愛させていただきます。
最後に資料4でございます。
今ほど申し上げました被保険者番号の履歴を活用した医療情報を連結するというのを示したものです。
申しわけございません。資料3の4ページです。大変失礼しました。
こちらは被保険者番号の履歴を活用した情報の連携のイメージ図でございます。左側に「一定の基準をクリアした活用主体」ということで、※に書いてありますとおり、データベースの保有主体などが想定されるところでございますが、こちらが持っている医療データの被保険者番号をデータのテーブルとして管理運営主体の方に照会をするイメージでございます。
こちらの被保険者番号は全て今ばらばらに記載させていただいておりますが、神様の目で見たときに、仮にこの中で同一人物の被保険者番号があったとする場合に、こちらの被保険者番号の履歴を管理しているオンライン資格確認システムを基盤として、被保険者番号の履歴を管理している主体に対して照会をかけると、その履歴を活用して、この与えられている医療データの中で被保険者番号の同一性を確認することができるというイメージでございます。
こちらが確認できれば、例えば同一のレセプトであれば、そのレセプトの時系列での解析が可能になると。また、別のデータ、例えば医療介護のデータであれば、それを連結しての解析が可能になるといった意味合いでございます。
こういった基本スキームを前提にいたしまして、資料4をごらんいただけますでしょうか。
先ほどの資料3の4ページと関連しての御説明になりますが、仕組みの具体化に当たっての論点の案として御提示をさせていただいているものでございます。
先ほど御説明をいたしましたところでいう右側の緑の部分で「管理・運営主体」と書かせていただいておりまして、被保険者番号の履歴の照会を受けつけて回答する部分でございますけれども、この部分につきまして、どういった主体が考えられるのかということでございます。
その関係で幾つか論点、考え方を記載させていただいておりますが、被保険者番号に関する情報提供の仕組みであるとともに、機微性が高い情報を提供する仕組みになってまいりますので、例えば「1全国一元的な対応が可能であること、2公的な性格を有すること,3被保険者番号の管理と関連すること、4適切な個人情報保護の措置が講じられること」
といった条件が考えられるのではないかと記載させていただいております。
さらには2つ目の○の部分でございますが、具体的な仕組みの運用に当たってでございます。一般論としてというところもございますが、受益に伴って発生する費用については、どのように負担することが考えられるかといった内容を記載させていただいております。
続きまして、2ページの部分でございます。
こちらは先ほどの基本スキームでいいますところ、データベースを保有する主体に関連する事項でございますが、具体的にこの仕組みを活用して履歴を照会してくる、もしくはその回答を受けるデータベースの保有主体については、どういった論点が考えられるかということでございます。まず1は、被保険者番号の履歴の提供を受ける、回答を受けるということになってまいりますので、受ける先のデータベースが、顕名か匿名か、すなわち個人の特定が可能であるかどうかといった特性が重要ではないかと考えております。
さらに2は、これはある意味で当然のことでございますけども、具体的にこの仕組みを活用して情報を連携するニーズが明確に認められるのかどうかといった内容でございます。
さらに3は、これも当然のことでございますが、その保有する医療情報などについて、法令などに基づいて利用目的や必要となる個人情報の保護措置が明確化されているかということでございます。
続きましての○は、これに関連はいたしますが、個人単位化された被保番の履歴の提供を受けて、さらに活用する主体については、第三者提供を行う場合がそれぞれ規定されているとするならば、それも含めまして、どのような安全管理措置が講じられるべきかといった論点でございます。
最後の3ページの部分でございますが、こちらは冒頭御説明申し上げました告知要求制限との関係の整理でございます。
先ほどのスキーム図につきましては、基本的には被保険者番号を活用主体が持っていて、それで照会をかけてくることが前提になっておりますので、先ほど申し上げました告知要求制限はそもそも健康保険事業、またはこれに関連する事業を除いては、データベースの構築ができないとなっている規定との関係を整理する必要があるのではないか、といった論点でございます。
長くなりましたが、内容の説明は以上でございまして、最後、ちょっと続けて御説明させていただきますが、資料5でございます。今後の検討会の開催についてございますが、本日第1回ということで、今ほど現行の状況、それからスキーム、論点について御説明をさせていただきました。
本日、まず御議論いただきたいと思っておりますが、第2回以降の論点に関する議論の整理、月1回程度の頻度で開催をさせていただきたいと思っております。
さらに、冒頭、鈴木が申し上げたとおり、秋以降、この検討会の取りまとめを踏まえて、それぞれのデータベース等との制度所管たる関係する審議会などにおいて、御議論をいただく必要があると思っているところでございます。そういったことを踏まえての御議論をいただければ幸いでございます。私からの御説明は以上でございます。
○森田座長 どうもありがとうございました。
大変たくさんの情報量でございますけれども、ただいまの御説明に関しまして、これから御議論いただきたいと思います。まず、御質問、御発言が何かございましたら、手を挙げていただきたいと思います。
では、最初に山口構成員、どうぞ。
○山口構成員 1点だけ確認をさせてください。資料2の21ページの左側の1の御説明の中で「被保番」とおっしゃったのですけれども、資料には「保険者番号」となっているのです。これは資料のほうが正しいということでよろしいのでしょうか。
○田中補佐 御回答させていただきます。私が被保番と御説明申し上げたのは、保険者番号、記号番号を合わせて被保険者番号という意味合いで申し上げまして、多々、その意味で使わせていただいたシーンがあったかなと思いますが、御容赦いただければと思います。
○森田座長 山口構成員、よろしいですか。
○山口構成員 はい。
○森田座長 では、石川構成員、どうぞ。
○石川構成員 まず、最初に簡単な質問なのですけれども、2カ所ほど「神の目」という文言があったのですけれども「神の目」というのは神様の目ということですか。
○田中補佐 大変失礼しました。言葉をもう少し選ぶべきだったのですが。
○石川構成員 余り聞いたことがないので、それが確認できればいいのです。
ちょっと本格的な質問なのですけれども、資料2の2ページです。この「成長戦略フォローアップ」で、一番下の1の2つ目のポツで「オンライン資格確認システムを基盤として」というようなことが書いてあるのですけれども、ということは、オンライン資格確認システムを使っていないもののデータベースだとか、それから、あとは時期の問題ですよね。オンライン資格確認は2021年4月から、それ以前のものについて、きょうはそのことについて言っていないみたいなのですけれども、ちょっとそのことを教えてもらいたい。
1つは「オンライン資格確認システムを基盤として」というのは、これを使っているもので、今回のこの議論が成立するのか。それとも、その以前のものだとか、そういうのはどうなのか。
それから、顕名の中では保険情報が書いてないのがあるので、それはどうするのかということについて教えてください。
○森田座長 では、事務局お願いします。
○田中補佐 御回答させていただきます。
こちらで「オンライン資格確認システムを基盤として」と書かれておりますが、当方の理解といたしましては、まさに基盤検討会でも被保険者番号の履歴を活用することが想定されると記載されたところでございますが、オンライン資格確認の基盤ができれば、いわゆるひもづけ番号と呼ばれる番号で被保険者番号の履歴が、それ以降、管理されるということになるわけでございます。
被保険者番号の履歴がその個人を一意に特定する形で管理がされなければ、そもそも、履歴を活用したデータの連結はできないということになってくるはずでございますので、まず、履歴が管理されて以降に入った被保険者番号を持たないデータベースについては、それ以降、保険者をまたいで被保険者番号が変われば、そのオンライン確認システムを基盤とする被保険者番号の履歴を活用した連結は難しいのではないかと、考えられます。
それ以前のデータについて連結が可能かというところにつきましては、現行、そのデータベースでどのように個人が特定された上で管理されているかというところにもよると思いますが、被保険者番号の履歴を使って過去のデータを連結するというのは、恐らくはこのシステムを前提にする以上は難しいのではないかなと考えられるところかと思います。
〇石川構成員 ちょっと答えになっていないですけれども、いいですか。
だから、要するにそれ以前のデータベースについては、例えばNDB、匿名化したものであっても、NDBだとかそういった今までのやつはどうするのかということと、連結の対象にならないかということです。それから顕名のものもあると思います。それについてはどうするのかということです。この2点です。
〇田中補佐 大変失礼しました。分けて御説明いたします。
ちょっと議論をするために、まずNDBに限定して申し上げれば、NDBは仮に今回のシステムが導入されたとするのであれば、これから入ってくるレセプト、個人単位の被保番が履歴管理されてから入ってくるレセプトに関しましては、恐らく一意に連結してデータを取り出し、解析することは可能になろうかと思います。ただ、それ以前のデータにつきましては、現行でも先ほど申し上げましたハッシュIDの12を使って連結しておりますが、それ以上の精度で連結することは恐らく難しい。つまり現行のとおりになるのではないかなと考えられます。
顕名のデータベースにつきましては、例えば現行の顕名のデータベースで、4情報で連結しているとするのであれば、その被保険者番号が入る以前、今回のシステムを使う以前のデータは、その4情報での連結にとどまると思いますので、それ以上の精度での連結というのは、過去にさかのぼっては、難しいということになろうかなと思っております。
○森田座長 よろしいですか。
ほかに御質問はいかがでしょうか。
吉原構成員、どうぞ。
〇吉原構成員 京大の吉原です。
資料3の4ページ目、ここを御説明いただいたのですが、済みませんがもう一度、もう少し具体的に御説明いただければと思うのです。
〇田中補佐 失礼しました。もう一度御説明させていただきます。
議論を簡潔にするために、例えばレセプトデータであるとした場合で申し上げますが、例えば一定期間のレセプトデータがあるデータベースの中で管理をされていたとする。そのレセプトデータに被保険者番号が今入っている状態とお考えいただいて、この上の四角のところに設けられております縦6行、横で3列のデータの被保険者番号がそれぞれのレセプトデータについていたとする。その場合に先ほど申し上げました保険者が変わっていけば被保険者番号が変わってまいりますので、レセプトデータとしてはこのそれぞれの被保険者番号が振られているところでございます。
先ほどちょっと抽象的な意味合いで神様の目と申し上げましたが、仮にこの中で実は同一人物のレセプトがあったとしても、データベースの保有主体は被保番が変わっていれば、厳密にこれらのレセプトが同一人物であるということがわからないわけでございます。
ただ、先ほど石川構成員の御説明に御回答しましたとおり、将来、被保険者番号の履歴がオンライン資格確認のシステムを基盤として履歴が管理されたとするのであれば、つまりこの変わっていく被保番が誰のものかということが、同一人物のものとして認識することが、この管理運営主体のほうでは可能になってまいりますので、この被保番がついた医療データについて照会をかけて、その被保番の履歴を管理しているところが、このレセプトに関しては同一人物のレセプトで、同一人物ですよと返すのが下の絵でございます。
逆にこの赤、紫の丸で囲っているレセプト以外は、この被保険者番号で同一の人のものはなかったですということを返しているイメージでございます。
そうすると、紫の丸がついた被保番のレセプトについては同一人物のものとして、例えば国民健康保険、後期高齢者と保険者が変わっているとするのであれば、その方の医療がレセプト上、どのように動いていったかというのを解析することが可能になるといった意味合いでございます。
〇吉原構成員 もう少し質問しますけれども、下の例で、これは例えば顕名データベースを運営する、全国にたくさんあるのですけれども、EHR系のデータベースがあったとして、例えば下の赤の2つは同一人物なのですけれども、この右側の管理・運営主体に対して、どのような問い合わせをするのか。すなわち、例えばこの赤の例でいくと「この2つの赤は同一ですか」と聞くのか。または、上側の下3桁501がありますよね。「この501さんはほかに履歴上、番号を持っていますか」と聞くのか。それとも、EHRにある全体のIDを全部投げて「全部整理して返してください」と聞くのか。そこを聞きたかった。
〇田中補佐 御回答させていただきます。
先ほど申し上げた御説明の中で、私はデータベースの連結といった形で御説明を申し上げましたが、研究用のデータベースをデータテーブル、要はこの医療情報を解析したいということでデータテーブルを用意して、複数のデータテーブルを連結させるなり、そのデータテーブルが長期にわたるものであれば、その中で研究の観点から同一人物が誰なのかということを確認するスキームをイメージしておりますので、イメージといたしましては、先ほど先生がおっしゃられた中で言いますと、医療情報のテーブル全体を投げて、この中で同一人物が誰であるかということを被保番の履歴から回答することをイメージして記載しております。
〇吉原構成員 そうすると、それが毎日来ます。それこそ何十億レコードというIDの羅列が来ます。それをクラスタリングしてこの3つは同じとか回答を返すという、それが全国の100以上あるデータベースから毎日来る。ちょっとそれは大変なことのように思えてしまうのですけれども、それは大丈夫ですか。
〇田中補佐 御回答させていただきます。
私は具体的に活用するデータベースとしてどういったものが考えられるかと申し上げたところでございますが、例えばですけれども、ナショナルデータベースでこれを活用するということになるとするのであれば、月に一度上がってくるレセプトに。
〇吉原構成員 これは臨床応用のEHRの話をしていますので、研究はまた別の話です。
〇田中補佐 おっしゃられる御議論は全く重要だとは考えておりまして、臨床における医療情報の連携ですとか、活用という点につきましては、議論としては今後進めていかなければならない事項になっておりますが、政府のほうで取りまとめている経済財政運営と改革の基本方針と、先ほど冒頭で御説明申し上げたところでは、2020年の夏までに具体的にどういうデータ項目を連携させるのですとか、そういった事項について検討を進めていくとさせていただいているところでございます。
それはまさに先生がおっしゃられた医療情報の連携、例えば患者さんの同一性の確認をして診療に活用する、EHRに活用するという点につきましては、この夏までにまとめる工程表の議論と合わせて検討していきたいと考えているところでございます。
今回はまず、基盤検討会で識別子として被保険者番号の履歴を活用するといったお話をいただいておりまして、かつ、データベースの連結につきましては、この検討会に御参画いただいている多くの先生方にも御参画をいただきまして、医療・介護のデータの連結の有識者会議でもデータベースの連結に個人単位の被保番を活用するといったことが、まず提言されているところでございますので、今回の検討会は、まずその部分について、2020年の夏を待たずとも議論できる部分について御議論をいただいて、必要な法的整理等々を詰めていきたいと思っているところでございます。
〇吉原構成員 わかりました。ただ、この問題は解決できない非常に大きな問題になっていることだけは御認識いただければと思います。
〇田中補佐 ありがとうございます。
〇森田座長 吉原構成員、よろしゅうございますか。
〇吉原構成員 はい。
〇森田座長 では、ほかにいかがでしょうか。
樋口構成員、どうぞ。
〇樋口構成員 私も基本的なところで、やはり難しい問題なので、理解ができていないという形の問題になるかもしれませんが幾つか。
1つは、先ほど石川先生がおっしゃった、こういうスキームを構築したときに、結局、既往にさかのぼって、どこまでという話があります。どういうことが対象にできるようになるのだろうかという話なのですけれども、先ほどの説明だと、何らかのこういうスキームが構築された暁には、その時点で生まれた赤ちゃんは、このシステムでどこへかかろうが簡単に連結できるようになる。しかし、もう生まれている私については、そう簡単にはいかない。しかし、何とかはできる。しかし、このシステム自体ではうまくはいかない。
これは新しい制度をつくったときに、既存の制度までさかのぼって全部データを構築するのがいかに難しいかはよくわかるつもりなのですけれども、そういう理解でよろしいのでしょうかというのが第1点です。
2つ目は、これは前のこういう検討会でも出たと思うのですけども、被保険者番号を中心にしてというと、国民皆保険システムと言いながら、実際は国民皆保険システムから漏れている人がいますよね。そういう人たちのデータというのは全然対象外ですよという話だったのかどうか。
3つ目は、この後での論点になるのだと思うのですけども、資料4で、ここで議論をしていく論点案というのがあって、幾つかあります。資料4の1ページのところで、例えば、この費用をどうするかというところに、活用主体に受益が発生するという話があって、やはり、今、インフラをつくろうとしているわけだから、その後の話なのかもしれませんけれども、何のためにインフラをつくるのかという話があって、それは今の吉原先生の御質問と関係するのかもしれないのですけども、どういう活用主体が何の目的で利用するというのは想定していますという、例えば研究であれ、行政利用であれ、産業利用であれ、そういう話の中の、今回のこの仕組みの構築で、あるいはこの検討会での議論はほかでやられるかもしれませんけれども、こういうことが一応、とりあえずのゴールですけれども、考えられているのだというようなことを説明していただけるとありがたい。
〇森田座長 事務局、お願いします。
〇田中補佐 3点、御説明を申し上げます。
まず1点目、さかのぼってこれから生まれる赤ちゃんなのか、それから今、医療を受けられる方なのかという御質問がございましたが、先ほどの私の御説明が不十分で恐縮なのですけれども、これから生まれる方というわけではなくて、被保険者番号の履歴を管理するオンライン資格確認のシステムが整って、それ以降の被保険者番号が入った医療等情報、例えば、レセプト、もしくは、例えば、認定事業者がこれから出てきて、そこで保有している医療情報、それは電カルなのかもしれないし、研究用のまた別のデータなのかもしれませんが、そういったデータに入った被保番、いわゆる履歴管理された以降の被保番が入ったデータにつきましては、それ以降、保険者が変わったとしても、履歴で同一人物だけが判定が可能になります。
それ以降のデータは連結が可能で、先ほど石川構成員に御回答を申し上げましたのは、それ以前につきましては履歴が管理されておりませんので、別の被保番だとするのであれば、それを同一人であると認定することが極めて難しくなります。
それ以前は、先ほどNDBで申し上げました、2つのハッシュ値での連結を今でもしておりますが、その粒度の連結にとどまるのではないかと申し上げたところでございます。
続きまして、2点目は被保番を中心に考えるべきか、というところでございますが、これは全く御指摘のとおりだとは思います。レセプトの話が中心になって恐縮ですけれども、よく言われる議論といたしましては、生活保護の方は、いわゆる医療保険の被保険者番号を持っておりませんので、そういった方のレセプトについて、議論の俎上にのせる必要はないのかといったようなお話があることは承知しております。
この点、まずできることといたしましては、何らかのキーを使って連結していくというシステムをつくる以上は、やはり厳密な意味で確実に連結していくとするのであれば、まずオンライン資格確認システム基盤のようなシステムがあるところからではないと、この議論は難しいかなと思っております。公費負担医療で、そういった制度が整っていけば、その段階で、何か情報を連携させて、連結キーのようなものをつくって議論をしていくということは俎上に上るのではないかと思っておりますが、基盤検討会の報告書等々も踏まえまして、まずはそういったシステム基盤ができることになっているところからの議論であると理解をしております。
最後に、こういうことができるようになる、要は、行政で利用されるのか研究で利用されるのか、そういったことを明確にして議論すべきではないかというような御指摘であったかと思います。
こちらは、今回は被保険者番号の活用のスキームとして、履歴を活用とするのであれば、こういったスキームが考えられるという形で御提案をさせていただきました。データベースの活用主体のところに関しては、現行のデータベースを単純に御説明しただけになっておりますので、具体的に、昨年の先生にも御参画いただいた医療介護での有識者会議でも、データを連結することに伴ってどんなことができるようになるかといった内容が議論されていたところでございます。
そういった具体的に連結することによってどういうメリットが発生するのか、例えば、NDBの中でこれを活用すれば、研究者の皆様にどういったメリットが出るのかとか、どういう研究ができるようになるのかとか、連結すれば何が解析できるようになるのかとか、そういった内容を、今後の検討会の御議論の中で、より明確にした上で、その必要性を含めて御議論いただけるように準備をしてまいりたいと考えておりますので、この場はその御説明で御容赦いただければと思います。
〇森田座長 では、笹子企画官、どうぞ。
〇笹子政策企画官 補足だけさせていただきますと、昨年、先生に御参画いただきました医療等分野情報連携基盤検討会におきまして、この識別子の仕組みについてということで取りまとめをいただいたということであります。資料4の2ページ目に書かせていただいているとおり、活用主体につきましては波線で囲ったところでありますけれども、したがって、ということであります。
やはり被保険者番号、特に法改正で告知要求制限も入るという極めて機微な情報になっていくということでありますので、その履歴を活用する仕組みにおいてはという2つ目の○に書いてあるとおり、この提供を受けることができる者の範囲、これは先ほど先生がおっしゃったどういう活用主体なのかというところともリンクする話でございますが、原則として、この被保険者番号履歴の利用目的が、法令等において明確にされていること、適切な組織的、物理的、技術的、人的安全管理措置が講じられていることなど、一定の基準に該当するものに限定すべきであるという御提言をいただいてございます。
そういった観点から、私どもは今般、御提案というか想定をまずしているのは資料2にございますような、保健医療分野の主なデータベースの状況と、41ページ目にお示しさせていただいておりますけども、そういった一定の基準を踏まえますと、こういった公的なデータベースと民間のデータベースの中でも次世代医療基盤法による認定を受けたような事業者が構成するデータベースが、まず議論の俎上に上るのではないかということで、お示しをしているということございます。補足です。
〇森田座長 樋口構成員、よろしいですか。
〇樋口構成員 ありがとうございます。
〇森田座長 では、ほかにいかがでしょうか。
まだ御発言がない方を優先したいと思いますが、よろしいですか。
では、山本構成員、どうぞ。
〇山本構成員 今、笹子さんが言われたことは確かに前の検討会でそういうふうになったことで、この履歴を追えるというのは、相当、本当はリスクの高い話ですから、履歴を追えることに関して、一定の、やってもいいデータベースの管理者というのが、当然ながら限定されると思うのです。
ただ、そうは言いながら、そのデータベースの管理主体がとるべき安全管理として、資料3の4ページ、これが一体何が返ってくるのかというのが、やっぱり若干気になるところではあって、これによってとるべき安全対策が少し変わってくるかな。あるいは、ここは履歴を利用して、突合した上で、恐らくそこで利用するのではなくて、研究者あるいは調査者に対してそれを提供するわけですよね。その提供するときの条件が一体どうなるのかみたいなことを考えていかないといけないと思うので、この資料3の4ページのあり方みたいなのを、多分、検討がまだだと思うですけども、もう少し詰めて考えた方がいいと思うのです。
考えるべきこととしては、返る値が、関係を返すというのは非常に難しいと思うので、そうではなくて、上のに対して、全く別のIDが振られていて、そのIDが同じものは勝手に探してくれというのが、多分、合理的だと思うのですけれども、そのIDが誰が要求しても同じIDが返るのか、あるいは、同じ請求者が出せば、同じIDが変わって、請求者が変わると変わるのか、あるいは同じ請求者でも請求するたびに変わるのか、これによって随分扱いが変わってくると思うのです。このあたりを少し、次回以降で結構ですので、整理していただければと思います。
〇森田座長 事務局、よろしいですか。
〇田中補佐 御指摘を踏まえて整理して、次回以降、御議論いただきたいと考えております。
〇森田座長 では、石川構成員、どうぞ。
〇石川構成員 資料2の44ページの方でございますけれども、これは医療介護データ等の解析基盤に係る今までの議論で、取りまとめでございますけども、先ほどお話を聞きましところ、2021年の4月以降は、もしここの議論が充実してできれば、そこ以降はかなり確実な連結ができるというお話です。私はずっと、NDBと介護データの連結について議論をしてきましたけれども、44ページの一番上、データベースの整備のあり方のところに、「2020年度に向け、カナ氏名等を活用したハッシュ値の生成」ということで、連結解析ができるよう、必要な対応を進めるべきという結論が言ってありまして、このことについては、我々も大事かなと。ただ、これは確かに不備な点も出てくると思うので、そこをかなり補完しながらと思っていました。それが、2021年度以降は、より精度が高いことができると認識したわけです。
私が何を言いたいのかと言いますと、介護保険始まって以来の、初期のものも含むデータベースが構築されてきまして、これは悉皆性がある非常にすばらしいデータです。それから、NDBも悉皆性のあるデータということで、これは突合できれば、何で要介護度が悪化したのか、あるいは改善したのかということが、病名と連結することによって、より精緻にわかるということを、多くの研究者はかなり期待していたはずです。
ですから、2012年4月を待たずに、連結する方法を、それまではできませんと言い切るのではなくて、ここはここで、それは議論をするのもいいかもしれませんけども、そこもまた開発する必要があるのではないかと強く思いますので、ちょっと検討していただきたいと思います。
〇森田座長 事務局、どうぞ。
〇田中補佐 御指摘の点、大変重要な課題と認識しておりますので、担当部局とも御相談したいと思っております。具体的に何ができるかというところを、少し知恵を絞りたいと思っております。
〇森田座長 はい。ありがとうございました。
ほかにいかがでございましょうか。
では、田尻構成員、どうぞ。
〇田尻構成員 かなりベーシックというか、基本的な、素人的な発想を持っての質問なのですが、先ほど、新しくデータの連結ということで、例えば、今持っているNDBを含め、膨大な財産がありますよね。これから、被保番から発生したもので、同じ人のデータであるということ、その粒度というのはかなり違うのはわかるのですけれども、今ある貴重な財産である、今のデータベースと連結した場合、その信頼度が期待できるのか、非常に難しい話なのでしょうけれども、そこが一番の疑問で、何でもできそうな感じがしていたのが実はそうでもないのだなと思って、今、少しがっかりしているのが本当の気持ちなのです。
ですから、そこら辺は難しいのかもしれませんけれども、いかがなものなのでしょうか。お教え願えればと思います。
〇森田座長 では、事務局、田中さん、どうぞ。
〇田中補佐 先ほどから御議論いただいております、過去のデータについてという御趣旨で、その点につきましては、今、石川構成員からも医療介護の連結を中心に御指摘をいただいたところでありますが、現行でも研究者の方は研究の用途によって、例えば、比較的短期、かつ、それほど御高齢ではない、例えば40歳ぐらいの方の特定健診データとレセプトデータをひもづけてということであれば、それほど被保険者の番号が大きく変わっている方は多くない可能性が高いので、恐らくそれであれば、現行で言うところの被保番、性別、生年月日を活用したハッシュID、先ほど御説明した1で恐らく連結して、解析をしているのではないかと推察されます。
ただ、一方、研究の用途によって、例えば長期で、かなり多くのレセプトを解析することになってまいりますと、それでやはり被保番が変わってしまうという現象が多くなりますので、それがデータとして捨てられないと研究者が御判断されれば、恐らくIDとしては先ほど申し上げた2、氏名、性別、生年月日を使ったIDを活用して、レセプトを連結して解析されているのではないかと思います。
そのときには、恐らく、これは研究をやられている方にもよると思うのですけれども、必要に応じて、データの数によっては一定のクリーニングを行われたり、独自に解析のための何らかのツールを使って、コンタミネーションになるデータを排除するとか、恐らくそういった処理をやられていると思われますので、それはそれで恐らく財産ではあると思いますが、そこについて、今回のシステムを使って伸ばしていくというのは、もちろん、知恵を絞らせていただきたいとは思っておりますが、そういった課題が現状はあるというのは正直なところかなと考えます。
〇田尻構成員 ありがとうございます。
〇森田座長 よろしゅうございますか。
ほかに。
山本構成員、どうぞ。
〇山本構成員 NDBと介護DBの有識者会議の座長をしているもので追加しますと、医療レセプトに関して言うと、割とちゃんとつながるのです。介護レセプトも、介護同士だと、引っ越さない限りはつながるので、引っ越すことは余り多くないので、比較的よくつながると思います。
問題は特定健診で、特定健診が始まった時点で、既に日本はIT化社会だったものですから、その特定健診のシステムをつくるベンダーさんがすごくたくさんいて、そのベンダーさんの間で共通認識をつくるのが失敗をして、そういう意味では、ハイフンのコードに何を使うのかとか、そういうのがかなりばらばらだったので、NDBでもそれを全部自動的に正規化してやるようなプログラムを後で追加したのですけれども、それまでは相当ひどかったのです。
最近のレベルで言うと、結構、分析に耐え得る程度の追跡はできるのだろうと思っています。それ以外はちょっとよくわからないのですけれども、介護とNDBに関してはそうです。
ですから、制度が始まって、ほかのデータベースと結合して、それより以前のデータをNDBの中で連結をして使うというのはできると思うのですけれども、さっき言ったとおりなくなられていて、その新しい連結システムに入ってこない人は、多分、二度と出てこないデータにはなってくると思います。
〇森田座長 ありがとうございました。
では、ほかにいかがでしょうか。
山口構成員どうぞ。
〇山口構成員 資料4のところで論点が出ておりますけれども、今回のこのデータを使うということは、公的な利益に資するものとして使われるということで、ひもづけできる、認識することができるのはとても大切なことだし、そういったことで活用が広がっていくといいなと思っております。そういう点からすると、論点の1のところについては、ここに書いてある4つの条件は不可欠だと思っております。
ただ、それ以外の論点、例えば、さっきも出てきましたけれども、受益に伴って発生する費用については、具体的なものが見えてこないと、どれぐらいの費用なのかイメージができません。また、どんなときにどのような内容のものが受益者の利益になるのかについても共有し、イメージするのは現段階では難しいのではないかと、先ほど来のお話をお聞きして感じたことです。
その次の2ページのところにも、活用する具体的なニーズがあるのかと2に書いてあるのですけれども、これも先ほど田尻構成員が、いろいろなことがもっとできるかと思っていたら、結構そうではないみたいだとおっしゃったように、多分、構成員の方たち、皆さんのイメージしていることがばらばらではないのかという気がいたします。
例えば、次回以降、そういったものが共有できるような具体例とか、想定できるものということを出していただくことが必要ではないかと思うのですけれども、そういったこともお願いはできるでしょうか。
〇田中補佐 準備させていただきたいと思います。
〇森田座長 山口さん、よろしいですか。
〇山口構成員 はい。ぜひお願いします。
〇森田座長 ほかによろしいでしょうか。
宇佐美構成員、どうぞ。
〇宇佐美構成員 初めて参加させていただきました。大変重要な検討会であることを認識して出席させていただきましたが、私は医療人としましては、先ほどから申し上げる、同一人物であるかどうかというのは、我々は日常茶飯事、実は保険証等で、保険証が変わろうが、個人特定、同一人物は常にしているわけです。だから、そういうことが実はデータ上になると難しいのであるということが大変よくわかります。
ただ、やはり、今、おっしゃったように、その結果、何を得られるのかということを、もうちょっと具体的にしていただくと、積極的に参画、賛成できるのかなという感じがいたしますので、ぜひ次回のときに資料を出していただけることを期待します。
〇森田座長 どうぞ。
〇石川構成員 今まで、小慢だとか難病もどのように、このデータベースが、ほかのNDBだとかそういうものと連結できるかなということでずっと考えてきたので、医療等IDというのは、ある面では、要するに、その人の、その時点では唯一無二のIDということで、いろいろなところのデータベースにも、その人がそこのデータベースにいれば、突合してできる、そういうものが必要かなと思っていたので、今の段階で、2021年の4月以降、この被保番を中心に医療等IDということで考えるのはいいと思うのです。
例えば、難病、小慢についてですけども、臨個票のところに保険番号を必ず書くことになるのかどうなのかとか、そういうことが出てくると思うのです。がん登録においてもそうだと思います。その時点の被保番を書くのか、変えないとどうにもならないです。その辺も考えて、将来、2021年以降はしようということですね。
〇田中補佐 おっしゃられるとおりで、このスキームを活用する以上は、それぞれのデータベースに被保番を入れることが前提になりますので、そのためのワークフローもあわせて検討していく必要があると認識しています。
〇森田座長 ほかにいかがでしょうか。
棟重構成員、お願いします。
〇棟重構成員 資料2の41ページにはいろいろなデータベースがあるのですけれども、被保険者番号を使っているのはNDBだけなので、どうやって他のDBと連結をするのか、また今回の議論の範囲がNDBだけなのか、NDBと介護DBを連結するところにあるのか、あるいは他のDBともつなげるのか、その辺が明確にならないと議論が錯綜すると思われるので、そこは次回以降、整理して提示をしていただきたいと思います。
〇森田座長 特に事務局のコメントはありますか。
〇田中補佐 準備させていただきたいと思います。
〇棟重構成員 ありがとうございました。
〇森田座長 どうぞ。
〇藤井構成員 では、私も一言だけですけれども、先ほど来、何人かの先生方から、用途として、どんな活用ができるのかというお話がありました。ちょっと難しい注文かもしれませんが、現在でも資料2の21ページに記載されているような方法で、突合しているとのことですが、この被保険者番号の履歴を使えば、さらに精度は上がるわけだと思いますが、その精度が上がることで何ができるのかという、そこのところの差というか、相違について具体的に説明できるような資料をお願いできればありがたいなと思います。
〇森田座長 それもよろしいですね。
〇田中補佐 はい。頑張りたいと思います。
〇森田座長 頑張ってください。
では、大体よろしいでしょうか。
私も一言コメントさせていただきますと、今までの御発言を伺ってきて感じたのですけども、今回、この会議で決めるのは、資料4の論点に出ているところの、例えば、1ページ目ですと、管理運営主体を決定してはどうかについて、こういう条件でそれでいいだろうと、ここで承認をすることでございますね。
したがいまして、資料4に出ているところで、ここの項目について、これをここで承認する部分と、費用負担のあり方については具体的にこうすべきであるということを、ここで決めることになるわけです。
先ほどから何に使うのかというような御質問がございましたけれども、急いでここでそれを決定して、その後、これを動かすということを前提にして、次のいろいろな審議会でもって、先ほどございましたように、それをベースにしてさらに進めていくということになろうかと思います。
次にどういうところで、どのようにそれが反映されて、そちらの審議会でさらに進んでいくのかを、次回で結構ですので、少し御説明いただいたほうが、ここで何のために何を決めるのかということについてちょっと理解が共有されていないかなという印象を持ちましたので、その点についてもお願いいたします。
〇田中補佐 準備させていただきます
〇森田座長 それでは、予定より少し早いのですけども、特に御意見、御発言がなければこのあたりで締めさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、今、何人かの方からから出ましたけども、宿題のほうを次回までにぜひやってきていただきたいと思います。
それでは、ありがとうございました。本当に朝早くから御苦労さまでございますが、事務局のほうからさらにございましたらお願いいたします。
〇田中補佐 次回日程につきましては、追って御連絡させていただきます。また、本議事の議事録につきましては、作成次第、構成員の皆様方に御確認をいただき、その後、公開させていただきますのでよろしくお願いいたします。
以上です。
〇森田座長 よろしくお願いいたします。
それでは、本日は本当に朝早くから暑いところありがとうございました。これで閉会でございます。

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