2019年度第1回化学物質のリスク評価検討会(ばく露評価小検討会)公開部分議事録

厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

日時

令和元年7月26日(金)13:30~15:39

場所

経済産業省別館 2階218各省庁共用会議室

議題

  1. ばく露実態調査対象物質の測定分析法等について【公開】
    1. カーボンブラック
    2. ジエタノールアミン
    3. アクロレイン
    4. 1-アリルオキシ-2,3-エポキシプロパン
    5. 2-(ジエチルアミノ)エタノール
    6. 4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド【確認事項】
  2. リスク評価対象物質のばく露評価について【非公開】
    1. アセチルサリチル酸(別名アスピリン)
    2. 塩化ホスホリル
    3. 2-クロロフェノール
    4. メタクリル酸メチル
    5. 2-ブテナール

議事

 
○阿部中央労働衛生専門官 そうしましたら、定刻ですね、定刻になりましたので、2019年度第1回ばく露評価小検討会を開催させていただきたいと思います。
本日は、大変お忙しい中、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
委員の出席状況についてなんですけれども、お一人、内山先生ですね、御欠席ということで、本日、5名の委員の方々に御参加いただいております。
本日は、事務局の支援として、本年度のばく露実態調査の委託事業の受託者である中央労働災害防止協会から山室様、東久保様、島田様、御出席いただいているところでございます。
そうしましたら、座長の名古屋先生に、以下、議事進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○名古屋座長 それでは、第1回のばく露小検討会を開きたいと思います。
まず事務局から、資料の確認をよろしくお願いいたします。
○阿部中央労働衛生専門官 そうしましたら、委員の方々にはお手元にタブレットを配付させていただいておりまして、傍聴者の方には資料をWebに掲載しておりますので、それぞれ御覧いただければと思うのですけれども。資料の1-1から1-5までということで、測定・分析手法に関する検討結果報告書を、こちら、例年、委託事業でやらせていただいておりますばく露実態調査の事業の一環として、ばく露実態調査に当たって採用する測定・分析手法に関し、各物質一つ一つ検討いただき、結果をまとめていただいている報告書を5物質分、おつけしてございます。
具体的には、カーボンブラック、ジエタノールアミン、アクロレイン、1-アリルオキシ-2,3エポキシプロパン、2-(ジエチルアミノ)エタノールと、この5物質です。
それから、資料1-6としまして、これも詳細は後ほど御説明させていただきますけれども、今年度のばく露実態調査の受託者である中央労働災害防止協会のほうから、4,4-ジアミノジフェニールスルフィドという物質の測定を実施するに当たり、ご相談させていただきたい事項があるということで、1枚、相談内容をまとめたペーパーをおつけしてございます。
そのほか、こちら非公開部分になりますけれども、個別の物質のばく露評価をやらせていただきたいということで、アセチルサリチル酸、塩化ホスホリル、2-クロロフェノール、メタクリル酸メチル、2-ブテナール、この5物質につきまして、リスク評価書の案、ばく露評価の分と、有害物ばく露作業報告の提出状況をそれぞれおつけしてございます。
それから、資料の3-1としまして、今申し上げた5物質についてのばく露実態調査の集計表をおつけしているところでございます。
資料2以降、3までにつきましては、非公開とさせていただいておりますので、こちらの御議論をお願いする際には、申し訳ありませんが、傍聴者の方々には御退席いただく形でとり進めさせていただければと考えているところでございます。
そのほか、参考資料としては、検討会の開催要項、それからリスク評価の実施状況というところの紙をおつけしているところでございます。
以上になります。
○名古屋座長 ありがとうございました。
それでは、本日の議題に入りたいと思います。まず第1ということで、ばく露実態調査対象物質の測定・分析方法、測定分析等についてということ、これは事務局のほうからということです。中災防さんだっけ。
○阿部中央労働衛生専門官 そうしましたら、中身としましては、中央労働災害防止協会さんのほうから御説明を順次お願いできればと思っております。
○名古屋座長 1物質ずつよろしくお願いします。
○中央労働災害防止協会/東久保氏 それでは、資料1-1のカーボンブラックについて、私どもの ほうで、測定・分析手法に関する検討結果という形で、報告書を出させていただきましたので、御説明させていただきます。
まず、カーボンブラックにつきましては、実は、もう既に多層カーボンナノチューブの分析手法を検討する際に、カーボンブラックについても同じ方法で分析出来るとのことで、以前に、測定手法についての検討結果を御報告しております。その方法は、一般的に熱-光学補正法と言われる方法で、カーボンブラックを構成している炭素量からカーボンブラック濃度を測定するという分析方法でございまして世界的にも評価を得た分析方法です。しかし、この方法では、分析機器を所有している測定機関が少ないことと、カーボンブラックを捕集するサンプリングろ紙が加熱しても燃えない石英フィルターじゃないといけないということで、カーボンブラック質量濃度を電子天秤で秤量することが難しいろ紙になります。実は、私ども、カーボンブラックについてはスクリーニングとして秤量値としての質量濃度と、それからカーボンブラックそのものの濃度を両方測定できないかということを当初考えていたのですが、1つのサンプルで両方出来ないということで、熱-光学補正法というものを最初に御提案させていただきました。
ところが、実際にばく露実態調査をしようというときになりますと、分析できる機関がなかなか見つからないこととスクリーニングとしての粉塵の質量濃度も、個人ばく露調査として測定していかないと、作業環境測定が義務付けられた時にちょっとまずいのではないかというお話が弊協会内で立ち上げているナノマテリアル分科会のほうでありまして、その結果、粉塵質量濃度とカーボンブラック濃度を両方一緒に測定する分析方法はないか検討して欲しいの要望がございました。そこで、昨年度、カーボンブラックを液体クロマトグラフ法で分析する方法を開発させていただきました。その方法につきまして、御説明いたします。
捕集条件は、先ほども言いましたように、ろ紙で捕集するということなのですが、そのろ紙につきましては、粉じんの作業環境測定で使うろ紙を使って分析ができる方法を目指そうということで、フッ素樹脂処理ガラス繊維フィルターT60A20を用いて分析の開発をしております。
カーボンブラック自体は、芳香族炭化水素に非常にくっつきやすいということがございますので、芳香族炭化水素をマーカーとしてカーボンブラックを液体クロマトグラフィで定量分析する方法を開発しました。
まずは、マーカーとしてはBenzo[ghi]perylenを使ってカーボンブラック濃度として実際に測定できるかということを、検量線をつくることで確認しました。
その結果、非常にシャープな直線性の見られる検量線ができましたので、この方法でいけるのではないかということで開発をしております。
まず最初に標準系列より定量下限を求め、ターゲットとなる濃度まで分析ができるかどうかということを確認しました。
そして、報告書8の添加回収率を求めるところでは、実際にカーボンブラックをチャンバー内で飛散させて、飛散させた粒子をPM4.0のCysloneを用いて捕集し、粒子の質量濃度として秤量したカーボンブラックの質量濃度と、それから液体クロマトグラフィにてカーボンブラックとして求めた濃度を比較しております。その結果、回収率としまして94.9%、約95%という結果が出ました。以上より、この方法で大丈夫ですと判断いたしましたが、実はここまでやった後に、実際に2事業場におきまして、現場測定をいたしましたので、熱-光学補正法と、液体クロマトグラフ法のカーボンブラックの濃度を比較検討いたしました。
作業者のばく露濃度と作業場に飛散した粒子を各々石英フィルターとT60A20フィルターを用いて、同時にサンプリングしたものを使わせていただいております。
その結果は、濃度の分布が、多少、液体クロマトグラフ法のほうが微妙に濃度が高いという傾向はありましたが、二つの濃度につきましては、かなりいい相関がとられたということで、低濃度側と高濃度側の全データn=20では、相関係数は0.995ということでございましたので、この方法で、熱-光学補正法と同等な濃度が出るであろうという結論をしております。
以上、去年1年間かけまして、この分析手法を、まず分析ができるかどうかを確認して、現場データを用いて、二つの分析方法を用いて、どのような結果になるかというところまで検討いたしました。
さらにろ紙からカーボンブラックを剥がしとる抽出方法としましては、抽出液0.1%、Tween溶液を入れ超音波でカーボンブラックを液中にはがし取ります。これにつきましては、抽出前後のろ紙の表面を電子顕微鏡で確認した結果を報告書に提示いたしました。
まとめでございます。一番最後にサマリーとして、A41枚にまとめていますのでこれを読み上げます。
サンプリングです。サンプリングといたしましては、フィルターに粉じん、カーボンブラック粒子を捕集するという方法でございますので、粉じん濃度測定に適したその方法であればいいということにしており湿度の影響が少ないテフロンバインダーフィルターとしています。サンプリングの方法としましては、日本産業衛生学会の勧告する許容濃度が総粉塵と吸入性粉塵ですので、サンプリングの方法として、日本産業衛生学会とNIOSHの方法を一通り書かせていただいております。また、できる事なら静電気の影響を小さくするために導電性素材のサンプラーが望ましいとしています。
回収率94.9%、それから定量下限値は個人ばく露の240分採気、作業環境測定の10分間採気で0.0015mg/m3、0.0104mg/m3となりました。
分析方法です。分析方法は液体クロマトグラフ、HPLCで分析いたします。
抽出方法としましては、抽出液0.1%、Tween溶液を入れて、それから超音波で分散して、カーボンブラックを液中にろ紙からはがし取った後に、Benzo[ghi]perylenをマーカーとしてくっつけて、その後、そのBenzo[ghi]perylenを分析することで、カーボンブラック濃度にしておりますよということが分析手法として書かれております。
適用です。今回のデータより、個人ばく露測定、それから作業環境測定において、当HPLC分析法適用ありますということで報告させていただいております。
以上でございます。
○名古屋座長 ありがとうございます。
熱-光学補正法で行うのは正確なのですが、やっぱりそれを実施する装置がなかなか一般の分析機関といったところでは無いというのが現状です。そこで、今回HPLC分析法が開発された結果、一般の分析機関でも分析可能となりました。検量線もいいですし、相関性もとれていますので大変いい分析法だと思いますが、何か、皆さんから御意見等ありますでしょうか。
どうぞ。
○鷹屋委員 一つ、本当は(中災防の測定方法の)検討会のときに気がつけばよかったのですけど、今後、(発売中止となった)T60A20の入手性が悪くなって、新しいフィルターでも、この脱着とかを検討されないと、結局、いつまででも、今回の調査の間だけは、例えば在庫のT60A20でやれるということもあるかもしれませんが、結構(後継のフィルターは)、フィルターとして、似ているようでどうも違う、実際、特性が違うので、重さをはかる分にはいいんですけど、界面活性剤を入れて、超音波で(捕集した粉じんを)はがすということに関しては、実際には、今度使われるフィルターでの、この回収率をしっかり押さえていったほうが、押さえていったほうがじゃなくて、押さえる必要があると思いますので、それは、ぜひとも。
○中央労働災害防止協会/東久保氏 ありがとうございます。
今回、フッ素樹脂系ろ紙も検討しておりまして、大丈夫ですよという報告は口頭でいただいていますので、そのレポートを今度おつけしたいと思います。
○鷹屋委員 ありがとうございます。
○名古屋座長 同じフィルターですが、メーカーによって微妙に違うけれども大丈夫ですよということ。わかりました。ありがとうございます。
○原委員 質問ですけど、このカーボンブラックの界面活性によって、このBenzo[ghi]perylenの吸着性というのは違うというのを書かれているのですけど、その界面活性というか、吸着性が樹脂等の加工がない場合に有効ということでいいですか。
○中央労働災害防止協会/東久保氏 はい。界面活性ですか。
○原委員 一般的に、その作業現場では、その表面コーティングや樹脂等への加工がない状態が一般的なのですか。
○中央労働災害防止協会/東久保氏 カーボンブラックについては、カーボンブラック自体を取り扱っているところを対象にしていますので、この状態であれば、それこそ粉状、粒状のカーボンブラックの状態の分析方法になります。
これが、例えば樹脂に混練されて、樹脂の中に入ったものが飛散して、それがカーボンブラックですよと言われて、測定すると、もう樹脂の中に溶け込んだものはマーカーが付いてくれないので、これでは、だめですという言い方になります。
○原委員 では、通常のそのカーボンブラックが使われている作業場では、もうこの方法は十分適用できるというふうに考えていいのですよね。
○中央労働災害防止協会/東久保氏 はい、適用できます。
○原委員 わかりました。
○中央労働災害防止協会/東久保氏 ただし、カーボンブラックごとに、このマーカーのつき方、つく量というのが変わってきますので。
○原委員 そのたびごとに検量線が必要と。
○中央労働災害防止協会/東久保氏 そうです。その取り扱うカーボンブラック製品ごとに検量線をつくる必要はあります。
○原委員 わかりました。
○名古屋座長 だから測定に行くときに、行く事業場からカーボンブラックをもらって、事前に特性を把握しておくということをやってから、行くということにしないとだめだよということです。
○原委員 なるほど、わかりました。
○名古屋座長 リフラクトリーセラミックスファイバーもメーカーによってコーティング剤が違うので、測定行く前にファイバーをもらって表面の特性を、分散染色などで予め見ておかないと、測定の分析結果に影響を与えることになってしまうこともあるので、カーボンブラックも、それと同じですよということですよ。
○原委員 なるほど、質問してよかったです、ありがとうございます。
○名古屋座長 よろしいでしょうか。
○中央労働災害防止協会/東久保氏 そこまで説明できずに申し訳ございませんでした。
○原委員 いえいえ、ありがとうございます。
○名古屋座長 よろしいでしょうか。
では、次に移りたいと思います。よろしくお願いします。ジエタノールアミンですか。
○中央労働災害防止協会/山室氏 私、山室から御説明させていただきます。
ジエタノールアミンですが、物性は、1ページ目にございますとおり、沸点が269℃、融点が28℃、蒸気圧が25℃のとき0.0373Paです。形状は、結晶または粘ちょう性の液体です。
許容濃度等としては、日本産業衛生学会からは提案されておらず、ACGIHのほうで、TLV-TWAがIFVで1 mg/m3、IFVですので、インハラブルと蒸気の合計でのばく露限界値になります。
それから、発がん性は日本産業衛生学会2B、IARCが2Bです。
今回の検討につきましては、暫定二次評価値を1 mg/m3ということで検討をしたというところでございます。
検討結果のサマリーのほうは、一番最後から2枚目のページにございます。
サンプリングにつきましては、硫酸含浸フィルターです。こちらを2枚使いまして、3ピース型のカセットフィルターに間をあけて、前段、後段という形でサンプリングをするということになります。サンプリング流量は1L/min、サンプリング時間は4時間で、240Lになります。保存安定性につきましては、冷蔵で5日間変化がないことを確認しております。ブランクとして、フィルター1枚につき、0.015μg程度が検出されるということです。
分析方法としては、高速液体クロマトグラフ分析法ということになります。前処理として、この硫酸含浸フィルターを0.15MのNaOH、5mLで抽出しまして、抽出液0.2mLに対して1Mのホウ酸緩衝液を0.3mL、それから15mMのFMOC-Cl、9-Fluorenylmethyloxy carbonyl Chloride 溶液を0.5mL加えまして、撹拌して5分間放置します。その後に、10%のN-メチルモルホリン溶液を10μLと酢酸50μLを加えまして、これを最終試料として、高速液体クロマトグラフ装置のほうに導入するということです。
カラムやカラム温度等の分析条件につきましては、こちらに記載のとおりです。
検出器としては、フォトダイオードアレイ検出器、それから蛍光検出器、これを直列でつなぎまして、低濃度側につきましては蛍光検出器で分析をする。高濃度側につきましてはフォトダイオードアレイ検出器で検出して、広い濃度範囲を分析できるようにしています。
分析精度のほうとしまして、添加回収試験につきましては88から99%でした。濃度範囲は、暫定二次評価値の1/2500から2倍の範囲で検討を行っています。
検量線の範囲としては、蛍光検出器につきましては、低濃度側ということで、0.00483から48.3μg/mL、フォトダイオードアレイ検出器につきましては0.0201から96.6μg/mLの範囲で検量線を作成しております。分析装置の定量下限値としまして、蛍光検出器につきましては、検出下限値が0.00816μg/sample、定量下限値が0.0272μg/sampleです。フォトダイオードアレイ検出器のほうが、検出下限値が0.0766μg/sample、定量下限が0.255μg/sampleです。最終的に、測定方法の定量下限値としては、添加回収試験で良好であった範囲の下限値ということで、0.1μg/sampleということになり、個人ばく露測定の定量下限濃度としては、0.4μg/m3ということになります。
この測定分析方法の適用としては、こちらには、個人ばく露濃度測定としてしか書いておりませんけども、十分低い濃度の測定ができますので、10分間の測定、作業環境測定でも適用可能ということです。
妨害につきましては、モノエタノールアミン、イソプロパノールアミン、それからジイソプロパノールアミンについて、検討を行っておりますけども、妨害とならないということを確認しております。
以上になります。
○名古屋座長 ありがとうございます。
何か御質問等ありますでしょうか。
○鷹屋委員 すみません。
○名古屋座長 はい、どうぞ。
○鷹屋委員 細かい話なのですけど、ガステックさんのフィルターをわざわざSKCの容器に詰めて、SKC自身も(硫酸含浸フィルターを販売しているのに、)多分、硫酸含浸フィルターの入手性の問題なのか、それとも何か比較、性能の比較検討をされたのでしょうか。性能の比較検討されたのなら、逆に、例えばOSHAの芳香族アミンの方法だと、硫酸含浸フィルターの調製法も載っているので、誰でも、自分でそれをつくってもいいのですけれども。例えばこれの、ガステックさんのこれがいいというのであれば、そこまで、ここで情報としては書いてほしい、それがキーになるのかどうかということなのです。
意外に硫酸含浸だと、つくり方とか、あと、もとのガラス繊維フィルターの銘柄とかによって、多分、表面の安定性とかが効いてくると思うので、比較して、これがよかったのか、入手性も考えて、このやり方をやっているか、どっちなのですか。
○中央労働災害防止協会/山室氏 入手性のほうということ。あと結構、SKC社製のものは値段が高いということもありましてということで。ガステック社で開発していただいたということです。
○鷹屋委員 逆にガステックさんが、今回、新しくつくられたということ。
○中央労働災害防止協会/山室氏 聞いているところでは、そのOSHAで公表している方法を参考につくってやられたということです。
○鷹屋委員 では、基本的には。
○中央労働災害防止協会/山室氏 同じような、品物だということです。
○鷹屋委員 手順としては、それに準拠しているものという。
○中央労働災害防止協会/山室氏 はい、そうです。
○鷹屋委員 だから、OSHAの方法に合致するフィルターで、銘柄は日本製のものがありますよというような形。
○中央労働災害防止協会/山室氏 はい。
○名古屋座長 やっぱり、もし、これが決まったら、ガステックさんは市販するのですか。
○中央労働災害防止協会/山室氏 まだ特注の段階ではあるのですが、ただ、一般にも受け付けてやっているそうです。近々、販売するような話も聞いております。
○名古屋座長 段階ですね。わかりました。
○鷹屋委員 いっそケースもつけて、製品化してくれたほうが。ただ、SKCも、ケースだけなら、入手性はそんなに悪くないですけど、あの硫酸含浸フィルターは、必要枚数を確保しようとすると、国内在庫を全部買うことになるという経験がしばしばあります。
○名古屋座長 微妙だよね。わかりました。それ以外は問題ないですね、大丈夫ですよね。
はい、ありがとうございました。
次、アクロレイン、お願いします。
○中央労働災害防止協会/山室氏 アクロレインになります。
アクロレインの物理化学的性状ですが、比重は0.8427g/mL、沸点が53℃、融点が-87℃、蒸気圧が29.3kPaということで、流動性の液体、無色で特有臭があるというものになります。水にはよく溶けるということで、206g/Lということです。
許容濃度等につきましては、日本産業衛生学会で0.1ppm、OSHAのPELが0.25 mg/m3、ACGIHのTLV-TWAが0.1ppm、ACGIHのTLV-STELが0.3ppmということで、暫定二次評価値(E)を0.1ppmとして検討を行いました。
サンプリング方法、分析方法の概要は、一番最後の5ページになります。
サンプラーとしては、0.03%のTEMPO DNPH-Sillicaカートリッジということで、350 mgの柴田科学社製の特注品になります。サンプリング流量は0.2L/min、サンプリング時間については480分ですね、8時間ということです。
保存性につきましては、冷凍で、-18℃の冷凍で少なくとも10日間までは変化がないことを確認しております。冷蔵では減衰をしていってしまうということですが、少なくとも3日間までは変化がないということを確認しています。
分析方法は高速液体クロマトグラフ法です。脱着溶媒はリン酸を1%含んだアセトニトリルで、5mLで脱着を行います。カラム、移動相、注入量、カラム温度、測定波長等の分析条件は、こちらに記載のとおりです。
検量線につきましては、0.08~80μg/mLの範囲で直線性が得られるということを確認しております。
精度ですが、脱着率につきましては、0.022から43.74μgの範囲で良好であるということを確認しています。回収率につきましても、同様の範囲で、若干低いですが、82.2から94.3%ということで確認をしています。
定量下限ですが、採気量96Lで8時間採気した場合につきましては0.1ppbということで、暫定二次評価値の1,000分の1というところでございます。採気量1L、サンプリング流量が0.2 L/minですので、5分間の採気では5 ppbということで、作業環境測定でも十分な定量下限の範囲であるというところでございます。
暫定二次評価値の1,000分の1から2倍の範囲で回収率の検討を行って若干低いところではありますけれども、測定ができるということが確認できたというとことでございます。
適用としましては、個人ばく露測定、作業環境測定ということです。
それから、妨害につきましては、もう、この検討の過程で、特に妨害があったということは、報告は受けていないというところです。
以上になります。
○名古屋座長 ありがとうございます。
何かありますでしょうか。
ちょっと気になったのは、別表のところで、産業衛生学会が0.1 ppmで、0.23で、ACGIHが、同じ0.1 ppmですけど、0.25と、この上の下の括弧の数値は、どっちが違うのかという、後でいいですから、直しておいてください。
○中央労働災害防止協会/山室氏 はい。
○圓藤委員 あれは温度が違うんじゃないですか、20℃と25℃で。
○名古屋座長 温度が違っていた。それは温度の表記が無いのでわからないね。
○圓藤委員 いいですか、一つ。
保存のことなのですけど、4℃と-18℃なんですけど、サンプリングした後、その日に、その直後に4℃にはできないですよね。常温では、どのぐらいもつのですか。
○中央労働災害防止協会/山室氏 常温では検討はされていないです。ですから、サンプリングが終わったら、すぐにクーラーボックスの中に入れるという形で、現場では対応しておりますけども。
○圓藤委員 ああ、クーラーボックスを持っていって。
○中央労働災害防止協会/山室氏 クーラーボックスに保冷材を入れて持っていって、ドライアイスまで持っていくことが可能かどうかというのは、ちょっとわからないので、最初の検討の段階では、冷凍でという話だけだったのですが、それだと、ちょっと実際に測定ができない可能性があるので、冷蔵での検討をお願いしますということで検討していただきましたら、一応、3日間は大丈夫だったという、報告をいただきました。
○圓藤委員 480分吸引しているとき、そのときにどんどん減っているということはないのですか。
○中央労働災害防止協会/山室氏 添加回収試験では、8時間空気を吸引していますので、その辺で一応、確認をしたということになるのだと思います。
○圓藤委員 あと、これは特注のサンプラーと書いてあるんですけど。
○名古屋座長 柴田さんのですよね。
○中央労働災害防止協会/山室氏 アルデヒド類ですので、最初、ジニトロフェニルヒドラジンのDNPHのカートリッジで検討されていたのですが、これがうまくいかないということで、環境省の大気のほうで検討されていた、このTEMPO DNPHのカートリッジを、メーカーの特注で作って、うまくサンプリングと分析ができるようになったという報告を受けているというところでございます。
○圓藤委員 あと、これは市販されるようになるということですか。
○名古屋座長 多分、これ、柴田が開発しているから、自分のところで開発した分析法の報告書だから、きっと、つくると思います。
○原委員 通常の、ホルムアルデヒドとかのカートリッジでは無理だということなんですか。
○中央労働災害防止協会/山室氏 はい、うまくいかなかったということです。
○鷹屋委員 逆に、このTEMPOでどんな反応をさせているのかというか。
○圓藤委員 そっちでは。
○鷹屋委員 最終的には、つまり、これを使うことによって、もしかして、これ、DNPHの誘導体として、最終にくっついているのが、例えば、液クロで、アセトアルデヒドとかの誘導体と区別できない形にしているのか、それとも、これ、要はアクロレインで、これを、単に、ラジカル誘導を防ぐために入れているのか、それとも、何かしら、一旦、これと反応させて、もう例えば、アセトアルデヒドとかに、あるいはホルムアルデヒドにして、DNPHとくっつけているのか。そうすると、例えば、メカニズムは置いておくとして、実際にホルムアルデヒドとか、そういったものが共存しているような環境で、この方法が使えるのかどうかということを、少し開発者のほうに問い合わせておいていただけませんか。
○中央労働災害防止協会/山室氏 はい。もともとは、この環境省でつくられている有害大気汚染物質測定法マニュアルのほうに載っていていることなので、それを参照で開発されているということです。そちらのほうに、もしかすると詳しいことは載っているかもしれません。
○鷹屋委員 もし、情報がありましたら、ちょっと。
○名古屋座長 一応、理由はなしと書いてあるからね。
○中央労働災害防止協会/山室氏 確認もしてみます。
○圓藤委員 このピークがどういう性質で。
○鷹屋委員 何のDNPH誘導体なのか、アクロレインの形のものにくっついているのか、アセトアルデヒドとかにくっついているのかが、ちょっと、いや、半分は(研究的な)興味からの質問なのですけど。ただ、(実務的にも)現実にホルムアルデヒドとかは、もしかして共存している職場があるかもしれないので。
○原委員 一般環境でやったら、ホルムアルデヒドの小さなピークは絶対出ると思うんですね。
○鷹屋委員 だから、これは分けられるというのは、もう非常にすばらしくて、それで、やっていけばいいと思うんですけども。
○名古屋座長 そこを、ちょっと聞いておいてください。そうすると、障害のところに、そのことが記載できるので。
○中央労働災害防止協会/山室氏 そうですね。
○名古屋座長 そこへ行ったときに、それはやめたほうがいいねという話になってしまいます。
○中央労働災害防止協会/山室氏 他のアルデヒド類の妨害データがあったほうがいいということですね。
○名古屋座長 そうですね。
あと、よろしいでしょうか。そうしましたら、次をお願いいたします。
○中央労働災害防止協会/山室氏 それでは、次の1-アリルオキシ-2,3-エポキシプロパンでございます。
物性につきましては、最初の開いたところのページにあるとおりです。比重につきましては0.9698です。沸点が154℃、融点が-100℃、蒸気圧が0.63kPaで、常温・常圧で無色の液体ということになります。
許容濃度等につきましては、日本産業衛生学会が未設定、ACGIHのTLV-TWAが1 ppmということになります。
暫定二次評価値を1 ppmとして、検討を行っております。
検討結果のサマリーにつきましては最終ページになります。サンプリングにつきましては、Waters製のSep-Park Plus AC-2です。400 mgというものを使用しております。こちらは使用前に残留農薬・PCB試験用のアセトン5mLで洗浄しまして、窒素で十分パージして乾燥するということで、洗ってから使うということになります。サンプリング流量は0.1 L/min、サンプリング時間には240分、4時間です。保存性が、冷蔵、5℃で少なくとも6日間保存可能と確認しております。
分析方法につきましてはガスクロマトグラフ質量分析法ということで、こちらのサンプラーを2 mLの残留農薬・PCB試験用のアセトン2 mLで脱着いたします。ガスクロマトグラフの分析条件、質量分析装置の分析条件、質量数等につきましては、こちらに記載のとおりでございます。
精度として、脱着率が添加量0.096から230μgの間で90%以上ということを確認しております。回収率につきましても、同じ添加量の範囲で、90%以上であるということを確認しております。
定量下限につきましては、試料濃度として0.0191μg/mLということで、個人ばく露測定で24L採気した場合については、0.00034 ppmということです。1 L採気、10分間採気の作業環境測定を見たときでも、0.0082 ppmということで、目標としております暫定二次評価値の個人ばく露測定では1,000分の1以下、それから、作業環境測定では、暫定二次評価値の10分の1以下まで測定分析できることを確認しております。
適用範囲としては、個人ばく露測定、作業環境測定ともに可能ということです。
妨害につきましては、この検討の過程で、妨害の情報はいただいておりません。
以上になります。
○名古屋座長 ありがとうございました。
何か質問等ありますでしょうか。
○圓藤委員 これ、このままの形で、結構安定なのですか、2,3-エポキシプロパンは。このまま捕集して、このままの形をしているのですよね。
○中央労働災害防止協会/山室氏 はい、このまま捕集して、このまま脱着しています。それで、きちんと回収できているという結果になっております。
○圓藤委員 ただ、検出質量数は、随分小さいから壊れていますよね。これ、分子量114なのに51と。
○中央労働災害防止協会/山室氏 そうですね、はい。
○名古屋座長 本当だ、そこをちょっと聞いておいてもらおうかな。
○圓藤委員 それで、こんな感じで、よく測れるの?本当ですか?
○名古屋座長 そこをちょっと聞いておいてみてくださいね。
○中央労働災害防止協会/山室氏 はい、安定性ですか。
○名古屋座長 そこはちょっと気になっています。それ以外は、多分、要らないと思いますので。
あと、よろしいですか。何かお気づきになりましたら、次以降のときに言ってくだされば結構だと思います。
そうしましたら、また次に行きたいと、エタノールですね。よろしくお願いします。
○中央労働災害防止協会/山室氏 2-(ジエチルアミノ)エタノールになります。
こちらの物性につきましては、1枚めくったところに記載をさせていただいております。比重につきましては0.884~0.886。沸点が163℃、融点が-70℃。蒸気圧が0.187kPaということで、性状としては、アミン臭を有した無色ないし淡黄色の液体ということです。
許容濃度等につきましては、日本産業衛生学会については、設定はされておりません。ACGIH TLV-TWA が2 ppmということで、この2 ppmを暫定二次評価値として、検討を行いました。
検討結果につきましては、最終ページの記載になります。サンプリングにつきましては、Waters製のOasis HLB PlusのShort Cartridgeです。225 mg、60μm Particle Sizeのものでございます。サンプリング流量は0.1 L/min、サンプリング時間は240分、4時間ということです。
保存性につきましては、冷蔵で少なくとも5日間まで変化がないということを確認済みでございます。
分析方法はガスクロマトグラフ質量分析法で、脱着溶媒はメタノール5 mL、バックフラッシュ法で、1 mL/minで抽出します。ガスクロマトグラフの分析条件、それから、質量分析装置の分析条件は、こちらに記載のとおりでございます。
報告書の中のほうに記載がありますが、注入口のライナーに、高濃度の試料を分析すると吸着が起こって、キャリーオーバーが発生するということで、この辺の検討をいろいろされておりますけれども、最終的にTopazライナー、ウール付シングルグースネックスプリットレスというものがよかったということで、報告書のほうに書かれておるということでございます。
検量線の範囲の一番高濃度の100μg/mLを分析した後、脱着溶媒のメタノールを分析しますと、直後で検量線の最低濃度0.04μg/mLの面積の116%が検出される。その次に、もう一回測定すると35%、3回目が22%という結果が出たということで、高濃度の試料を分析したときには注意しなければならないということが、この報告書の中から読み取れます。
精度ですが、脱着率は0.2μg~500μgの範囲で暫定二次評価値の1,000分の1から2倍の範囲におきまして、90%以上が得られています。回収率につきましても、同様の濃度範囲で90%以上の回収率が得られています。
定量下限ですが、濃度としては0.00653μg/mLということで、4時間のサンプリングでいきますと0.00028 ppmということになります。暫定二次評価値の1,000分の1以下を十分分析できるということです。それから、10分間の採気の場合につきましては、0.0067 ppmということで、こちらのほうも暫定二次評価値の10分の1を十分に分析できる範囲だということでございます。
そういったことで、適用としては、個人ばく露測定、作業環境測定、いずれに対しましても測定が可能ということです。
それから、妨害につきましては、特に確認はされていません。
以上になります。
○名古屋座長 ありがとうございました。
何か質問等ありますでしょうか。
はい、どうぞ。
○原委員 ちょっと1点だけ。
このサンプラーのこのPlus Short Cartridgeというのは、何か、その非常に一般的なものなのですか。つまり、その、何か特性があるのであれば、その特性を教えていただければ、ありがたいです。
○中央労働災害防止協会/山室氏 普通に市販されている固相カートリッジです。
○原委員 ODSか何か。
○中央労働災害防止協会/山室氏 はい。
○原委員 ODS。
○中央労働災害防止協会/山室氏 あ、中身ですか。ちょっと中身までは、すみません、確認しておりません。
○原委員 いや、これが汎用されるときに、このメーカーのこれを買わざるを得なくなると、高かったりしたらちゅうちょされると思うので、同じ性質というのがわかるようなものであれば、代替とか、安いものも買えるかと思うので、何か性質がわかるような紹介があると助かると思います。
○名古屋座長 代替品。
○原委員 より助かる人もいるんじゃないかなと思うのですけれども。
○圓藤委員 これ、固相抽出用なのですか。
○中央労働災害防止協会/山室氏 恐らく水処理用だと思います。水処理の固相抽出、小さなカートリッジなのですが。
○圓藤委員 これで捕集?
○中央労働災害防止協会/山室氏 はい、捕集するときは、襟元に取り付けてサンプリングを行います。
○原委員 何となくわかるのですけど、その成分なりが、DNPHカートリッジだったら、もう大抵わかると思うのですが、含浸させているものとか、その組成というか、フィルターの性質みたいなものについてコメントがあるとわかりやすいかなと思うのです。
○中央労働災害防止協会/山室氏 恐らく、ポーラスポリマーのビーズだと思います。
○圓藤委員 HLBは結構ありますよね。Oasisの。ただ、空気取るんですよね。
○中央労働災害防止協会/山室氏 購入するときにエンドピンがないので、多分、メインは水処理用だと思います。
○圓藤委員 そうか。
○中央労働災害防止協会/山室氏 Watersさんですので、特に水のほうが強いということだと思います。
○圓藤委員 それ、チューブで無理やり差し込むのですか。
○中央労働災害防止協会/山室氏 いいえ、チューブは無理やり差し込むわけではありません。
○圓藤委員 サンプリング用ホルダーがないわけでしょう。
○中央労働災害防止協会/山室氏 ええ、ホルダーがなくても、水処理に使うときと同じように差し込むアダプターがありまして、それを差し込んであげると、チューブがつながるようになります。本体は非常に小さいものですから、テープか何かを巻いて、安全ピンで襟元に固定してサンプリングをするということになります。
○名古屋座長 もしよかったら、この報告書のところに、サンプラーの写真を入れておいて、サンプラーがこういうふうになっているということが、皆さん、わかると思うので、よろしく。
○中央労働災害防止協会/山室氏 そうですね、はい。
○名古屋座長 多分、一般的なのでしょう、選んでいるものは。
○中央労働災害防止協会/山室氏 はい、そうです。
○名古屋座長 だから、それを入れておいていただければ。
○阿部中央労働衛生専門官 すみません、もう完全に外部のWebサイトの画像ですので、配布資料というわけにはいきませんが、検索して出てきた画像がありますので、こんな感じのもの、というのはこちらでご覧いただけます。
(手元のタブレットで表示したものを委員各位に)
○名古屋座長 普通ですよね。
○原委員 普通のやつですね。
○名古屋座長 まあ、入れておいてあげれば。
○中央労働災害防止協会/山室氏 はい、そうですね。
○圓藤委員 固相抽出用だものね。
○中央労働災害防止協会/山室氏 そうですね。次のところの資料に、資料1-5のほうに写真があります。
○名古屋座長 4,4’-ジアミノジフェニルスルフィドですね。
○中央労働災害防止協会/山室氏 そうです。
○名古屋座長 じゃあ、そのときに話してください。これは、一応これでまとめということで。
○中央労働災害防止協会/山室氏 こんな感じで襟元に付けることができるという写真が載っております。
○名古屋座長 この次に。これはこれでよろしいでしょうか。
○圓藤委員 はい。
○名古屋座長 では次に進みます。また確認事項ということで、今までの分析法では、これでオーケーなのですけれども、前回でしたっけ、何かこのときに、1回確認してほしいよということがありましたが。そのところの資料がありますので、4-6に。
○圓藤委員 4-6? 1-6じゃなくて。
○名古屋座長 1-6です。
○阿部中央労働衛生専門官 4,4’-ジアミノジフェニルスルフィドですね、資料1-6として。
○名古屋座長 1-6でしたね、ごめんなさい。
○中央労働災害防止協会/山室氏 失礼いたしました。
○圓藤委員 マイクロインピンジャー。
○中央労働災害防止協会/山室氏 安全上の配慮等の観点から再検討を要するのではないかということで、資料を提出させていただきました。資料1-6を御覧ください。
このまま、読ませていただきたいと思います。
○名古屋座長 はい、どうぞ。
○中央労働災害防止協会/山室氏 4,4'-ジアミノジフェニルスルフィドの測定分析手法についてということで、この物質につきましては、令和元年度、今年度、ばく露実態調査の2次調査を行うように指示された物質ではございますけども、その測定分析方法につきましては、平成24年度に検討を行った方法が、このばく露評価小検討会で承認されているということになっております。
4,4'-ジアミノジフェニルスルフィドのサンプリングにつきましては、0.1 Mの塩酸を捕集液として、図1にありますようにマイクロインピンジャーを使用して捕集する液体捕集法で行うということになっております。0.1 Mの塩酸につきましては、pH1の強酸性の液体でありまして、GHS分類でいきますと皮膚腐食性と眼に対する重篤な損傷性がともに区分1に分類されるものでございます。そのような有害性の高い液体をガラス製とかのポリプロピレン製の容器、マイクロインピンジャーに入れまして、サンプリングするということではありますけども、そういった液体を作業者の襟元につけてサンプリングを行ってもよいものなのかどうかという問題があるということになろうかと思います。容器の破損、それからホースが抜けた場合には、液漏れを起こすことになるということです。あとは、作業者が転んでしまった場合は、ポンプから液が、ポンプのほうに流れ込みまして、ポンプから、その液体が噴出するというようなことも考えられるだろうということです。被測定者がこの強酸性の液体に接触するというリスクが考えられるということですが、この測定手法の分析検討された当時につきましても、我々も、そこまであまり考えていなかったという部分もありますし、議論自体が全くされなかったというふうに考えております。
したがいまして、こういった有害性の高い捕集液を使う4,4'-ジアミノジフェニルスルフィドの測定分析手法については、再検討の必要があるのではないかというふうに考えているところでございます。
その後、平成24年以降、アミン類につきましては、いろいろ検討が行われておりまして、硫酸含浸フィルターとか、NDB-ChlorideコーティングのXAD-7捕集管、それから、今出てきました固相カートリッジのOasis HLB Plusですね、こういったサンプリングが行われていまして、液体捕集法以外の方法でも実施できる可能性があります。
当時は、硫酸含浸フィルターでの検討も行っていまして、うまくいかないという結果だったのですが、その後、ガステックさんのほうで、より高濃度の硫酸を含浸させたフィルターの開発も可能であるという連絡を受けておりますので、そういったものも、もう一回検討する価値はあるのではないかなというふうに思っております。
硫酸であったりとか、あと、何か薬剤が含浸されたようなものであるといったことではありますが、液体捕集法と違いまして、硫酸含浸フィルターにつきましては、図2にあるようなスチロール製のフィルターカセットの中に入れられていて、被測定者が、硫酸含浸フィルターに直接触れるような可能性は、非常に低いものであるということです。
それから、NDB-ChlorideコーティングのXAD-7ですが、こちらのほうは、ガラス管の中に捕集剤が充填されているという状態ですけども、そのガラスが割れないように、チューブホルダーに入れて、サンプリングを行っております。このサンプラーにつきましては、リン酸もあわせてコーティングされているものですので、そういった意味で、こういったチューブホルダーに入れて、サンプリングすることは必須であろうということでやっておるということです。
それから、Oasis HLB Plusにつきましては、図4にあるようなカートリッジに多孔質のポリマービーズが充填されているようなものということで、このように襟元につけて、サンプリングするということで、被測定者が直接そのものに触れるようなことは、極めて少ないというような状態であるということです。
ですので、これにつきましては、もう一度再検討させていただければというふうに考えているところです。
○名古屋座長 今、どれを採用するということでなくて、こういうものがあって、現場に持っていって、考えていますよと。
○中央労働災害防止協会/山室氏 検討する必要はなくて、もうこれで、0.1Mの塩酸を使って、サンプリングをやって構わないということであれば、我々のほうでも動けるのですが。なかなかそういう結論を出すのは、難しいと思います。それよりも検討をもう一回やり直させていただくというほうがいいのではないかと思っているところです。
○名古屋座長 硝酸のときに使うサンプルですもんね。
○中央労働災害防止協会/山室氏 酸ですからね、はい。対象物質がアルカリ性の物質ですので。
○阿部中央労働衛生専門官 こちらの委託事業として、何をどこまでやっていただくべきかという話でいうと、考えられるオプションは幾つかあるのですけれども。一つは、いや、まあ、このばく露実態調査という限定された場面であれば、特に取扱いに注意するという前提で、これはこれでいいんじゃないかと割り切ってばく露実態調査自体を進めていただきつつ、測定分析手法の検討は並行して進めていただくということも、もちろんあるとは思うのです。
とはいえ、ばく露実態調査という限定された場面とはいえ、これで協力してもらう形で実施してしまっていいのかなというのが、受託者である中災防、ひいては私たち厚労省側のためらいという部分がありまして。そこのところをどうするかといったときに、客観的にみて、実はそこまで心配しないでも良さそうな話と思えるものなのか、それとも、やっぱり相応のリスクがあるのは確かだと考えるべきで、とりあえず実態調査を進めること自体、止めておいて、もう一回測定分析手法の検討からやるべきだと思えるものなのか。どちらがいいかというのは、ここで取り上げているリスクがどの程度のものなのか、というところの捉え方次第だと思うのですけれども。
○原委員 こういう簡単な、その固相カートリッジとかで導入できるのであれば、トライしたほうが、私はいいんじゃないかなと思います。
○名古屋座長 いいですよね。
やっぱり、マイクロインピンジャーでよく出てくるのは液量がどうかという、これは、要するに、危ないというよりは、測定中の液量のもんだいですね。
○圓藤委員 減っちゃうんですよね。
○名古屋座長 測定中に減っちゃうんで、そのときに、どう補充するかということがいつも問題になっていて、どうなんだろうかと。やっぱり固相のほうが安心で、取り替えはないし、事故もないから、いいことは間違いないのですよ。
○圓藤委員 作業環境でしたらね、まだいいですけど。
○名古屋座長 個人につけていると。
○圓藤委員 長いから、時間が。
○名古屋座長 どう操作をするかによって、液が出てくるから嫌だねという。
○原委員 ちょっと振り返ったときに、機械にぽんと打つとこぼしてしまう。
○名古屋座長 嫌だねというのがあるのは確かなんですよ。
○阿部中央労働衛生専門官 そうしましたら、今年度の委託事業につきましては、一応、既存の測定分析手法をそのまま使う前提でばく露実態調査を進めるという方針で仕様書等も書かせていただいておりますけれども、本物質については測定分析手法からもう一度検討し直すという扱いで、受託者さんと協議しながら進めるという形でよろしいですかね。
○名古屋座長 そうですね。
○圓藤委員 はい。
○名古屋座長 さっきのことを考えると、エタノールのことを考えると、意外と固相カートリッジでもいけそうな気はしますよね。
○圓藤委員 うん、そうですね。
○名古屋座長 安全だし、楽だしというのはあって、それは中災防の方で検討してくれればいいのですけど。
○阿部中央労働衛生専門官 いや、幾つか示された測定分析手法のオプション、どれがいいのかは私もわからないのですけど。何かこう、今のうちに方向性などご示唆いただけるとありがたいのですが……。
○名古屋座長 だから、これを見て、これだけ見たとき、やはりこれが一番精度的に大丈夫だと思うのでちょっと、検討してみてください。
○圓藤委員 Oasisでいけるんじゃない。
○名古屋座長 どうです、何か鷹屋さん、何かありますか。大丈夫ですか。
○鷹屋委員 この前のことを、だんだん思い出してきているんです。確かに、フィルターの硫酸濃度を変えたくらいでは、なかなか解決できなさそうだったのですけれど、だから今回、別のオプションとして、その固相抽出のカートリッジとか、幾つか御提案されているので、せっかくなので比較検討されればいいと思うんですけれども。
○名古屋座長 後々のことを考えると、あったほうがいいかというのは。
○鷹屋委員 だから、捕集そのものはアミンのところでじゃなくて、多分、真ん中は、スルフィドなので、多分、固体状態に置いておくと、酸化して壊れるか、何かがある可能性があるので、そういった意味で、単純なフィルターじゃなくて、その新しい固相ポーラスポリマーか何の捕集を試す価値はあると思います。
○名古屋座長 なるほど、そういうこと。
○鷹屋委員 僕、個人的には、液体捕集はやりたくないです。ましてや、個人サンプラーは。
○名古屋座長 これは、わかりますよ。それは前から言われている個人サンプラーはやめましょうという話がありましたので。
○圓藤委員 インピンジャーだしね。
○名古屋座長 そう、嫌ですよね。
○阿部中央労働衛生専門官 そうしましたら、そのような形で委託者側としては、受託者さんと協議しながら進めさせていただくような方向で、はい。
○名古屋座長 よろしくお願いします。
○圓藤委員 お願いします。
○名古屋座長 分析方法なんか、若干直すところと、写真を入れるところがありましたけど、そこだけちょっと直していただけば大丈夫だと思います。一応、大丈夫だと思います。
○阿部中央労働衛生専門官 そうしたら、一応、その辺りにつきまして、本年度委託事業の中で、報告書を最終的にまとめていただいて、その報告書をまとめるプロセスで今回御指摘の点も反映できるように、ちょっと受託者さんと調整しながら、進めさせていただきたいと思います。
一応、公開の議論につきましては、ここまでということで、申し訳ないんですけれども、傍聴者の方々には御退席をお願いしたいと思います。
○名古屋座長 ばく露か。
○鷹屋委員 スルフィドは、なかなかに難しいような気もしますけれども。
○名古屋座長 やっておけば、後に使えるから、どれがいいかというのは、次の物質のときにできるから、今は検討するほうが楽は楽なんだよね、いろんなことに対して。
○圓藤委員 ただ、捕集した後、不安定と言っていたんでしたっけ。このマイクロインピンジャーで液体のままが、一番安定だったというような結果だったような気が。
○中央労働災害防止協会/山室氏 はい、ええ。その後も、液体クロマトグラフで、そのまま分分析しています。洗い込んで2mLに合わせて、5μLを注入というふうに書いていますが。
○鷹屋委員 回収率が悪かったんじゃなかったでしたか……。
酸性で溶けちゃうと安定なので、どうしても、たとえ酸があっても、固体で、フィルター上にとどめておく状況というのは、アミンだけじゃなくて、アルデヒドという、別の官能基があるので。だんだん思い出してきました、何か、あまりよくなかったんですよね、それで、成績は。
(傍聴者退席)
○阿部中央労働衛生専門官 そうしましたら、傍聴者の方々に御退席いただきましたので、これ以降、非公開という形にさせていただきたいと思います。
(公開部分ここまで)