2019年7月10日 独立行政法人評価に関する有識者会議 労働WG(第30回) 議事録

日時

令和元年7月10日(水)10:02~11:35

場所

中央労働委員会講堂(7階)

出席者

今村主査、坂爪構成員、志藤構成員、関口構成員、高田構成員、土井構成員、戸田構成員、中村構成員、宮崎構成員

議事

 
 
○今村主査
 皆様、お早うございます。ただいまから「第30回独立行政法人評価に関する有識者会議 労働WG」を開催いたします。構成員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日は三宅構成員が御欠席です。議事に入ります前に新任の構成員を御紹介させていただきます。4月1日付けで、坂爪洋美法政大学キャリアデザイン学部教授に構成員として御就任いただいております。どうぞよろしくお願いします。次に、本日の議事について、事務局から説明をお願いいたします。
 
○政策評価官室長補佐
 政策評価官室長補佐の加藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。はじめに、議事次第にあります参考資料1から9に関して、お手元にありますタブレットに収納しておりますので、そちらを御覧ください。画面がスリープ状態になっている場合は、右上の電源ボタンを軽く指で押してください。本日は、「高齢・障害・求職者雇用支援機構」につきまして、「平成30年度業務実績評価」に係る意見聴取を行うこととなっております。御意見を頂くに当たり、今年は3月12日付けで総務省における「目標・評価の両指針」の改定が行われていますので、その中で、評価の枠組みに関わる事項について、簡単に御説明いたします。
 評価指針においては、「年度評価」について、「当該目標期間中の各年度において、中期目標の着実な達成を確保する上で支障となると考えられるものなどの業務運営上の課題を的確に抽出できることが重要である」との考え方から、評価書作成に当たり、「事務事業の特性や目標の内容、目標の重要性等、目標・計画の達成状況に応じて、重点化して評価を行う」こととされたところです。
 この「重点化」につきましては、参考資料2の2ページ目の「評価項目」の中に記載しておりますとおり、「目標期間終了時における目標達成の上で重要なもののみ従来の単位・精度で評価を行うこととする一方、それ以外の項目については、簡素・効率的な評価となるような工夫を促すことにより、評価にメリハリを付けようとするもの」と、評価指針において示されております。その上で、重要度又は難易度が高いと設定されている目標については、必ず重点化の対象とすることとされております。
 なお、改定後の評定基準の適用時期については、改定後の指針に基づいた新目標期間の開始時からとなりますので、当面の間、従来どおりとなっております。
 その考え方は、タブレットのほうですけれども、参考資料2の2ページの下段の※のとおりです。改定後の目標指針の下で目標を策定して以降の評価について、改定後の評定ルールを適用するということになります。高齢・障害・求職者雇用支援機構の場合は、平成30年度からの目標の次の目標期間の開始年度の翌年度、すなわち令和6年度に実施される令和5年度評価からとなります。
 また、今回は意見聴取の対象とはなっておりませんが、中期目標期間実績評価においては、参考資料2の2ページ目の上段に記載していますとおり、見込目標時に使用した中期目標期間終了時の実績見込みと実績との間に大幅な乖離がなく、かつ考慮が必要な状況変化もない場合には、数値の更新等の必要な修正を行った上で、見込評価を活用することができるとされたところです。
 これらの点を踏まえまして、今年度のWGにおきましては、年度評価において、重点化の対象とする項目を中心に御意見を伺うこととしたいと考えております。そのため、はじめに法人所管課室より、重点化対象項目選定の考え方を説明いただいた後、続けて、法人から「重点化対象項目」の業務実績及び自己評価の説明の上、有識者の皆様から御意見、御質問を頂きたいと存じます。
 その際、重点化の趣旨を踏まえて、単に、例えば「A」という評定が適切かどうかというだけではなく、法人の取組の中で、中期目標の達成に向けて優良と思われる点や、逆に課題があると思われる点については、評定に直接影響しないような場合であっても、積極的に御指摘を頂ければ幸いです。重点化対象以外の項目については、法人からの説明はありませんが、御意見がある場合には、議事の最後にまとめてお伺いすることとさせていただきます。法人からの説明項目は、資料1の「高齢・障害・求職者雇用支援機構評価項目一覧」の網掛けされているものとなります。
 最後にタブレットのほうですけれども、参考資料9について、若干、説明をさせていただきたいと思います。これは平成29年度の業務の実績に係る年度評価等について、「A」以上の評定の場合に、その根拠が具体的に説明されているか等の観点から点検した結果を、総務省が整理したものです。こうした点検は毎年度行われておりますが、今回、全体として、著しく適正を欠く評価の実施と考えられるものはなかったとした上で、  今後の評価のための参考例として、別紙1、2が示されております。
 そこの記述で、例えば「A」以上の評定において、難易度の高い項目について、定量的指標の達成状況は120%未満であるが、根拠を具体的かつ明確に記述した上で、「A」以上の評定としている例や、本来の定量的指標に加えて、定量的に把握が難しい業務の達成状況も含めて、根拠を合理的かつ明確に記述した上で、「A」以上の評定としている例などが詳細にまとめられております。評定に十分な根拠があるかどうかは、本WGでも議論となる場合がありますが、総務省の側で考えているレベル観として、参考としていただければと思います。
 なお、例年どおり、各府省別の評定の状況も、「参考」として示されておりますが、かつて問題となった「A」以上の割合について、前回の評価では年度評価において高いほうから2番目ではあるものの、特に突出はしていない状況となっております。事務局からの説明は以上です。
 
○今村主査
 念のための確認ですが、参考資料2というのは、ポンチ絵の所ですね。
 
○政策評価官室長補佐
 はい、ポンチ絵の所です。
 
○今村主査
 今の話は2ページ目の真ん中の下の段で、定例的指標が目標値の100%以上120%未満を消してありますが、ここの所は、今の「120%に達しなくても」という議論と関係するわけですね。
 
○政策評価官室長補佐
 こちらは改定後でありまして。
 
○今村主査
 未満というのは消してありますよね。
 
○政策評価官
 今回は、この考え方に、まだ従わないということです。将来的には、ここは消えるということです。
 
○今村主査
 分かりました。それを念頭に入れてということですね。それから、参考資料9の事例の話で、120に達していなくても、定量的指標で「A」と評価していいということは、これは我々が過去に既にやっていることなので、そんなに大きな変更はないと解釈してよろしいですか。
 
○政策評価官
 趣旨としては、総務省側でも、そういうことは一定に認める立場だということを確認させていただいたものです。
 
○今村主査
 すみません、私が先に質問しましたが、皆様、何か今の説明で、もし分かりにくい所がありましたら、どうぞ御遠慮なくお願いいたします。よろしいですか。
 それでは、議事に入りたいと思います。高齢・障害・求職者雇用支援機構の平成30年度業務実績評価について御議論いただきたいと思います。はじめに法人所管課室から、重点化対象項目の選定の考え方について御説明いただき、その後、法人から、法人の業務概要及び重点化対象項目の業務実績及び自己評価について御説明いただきます。この2つの説明が終わってから、質疑応答という流れで進めていきたいと思います。それでは、法人所管課室から「重点化対象項目選定の考え方」について御説明をお願いいたします。
 
○職業安定局雇用開発企画課長
 昨日、雇用開発企画課長を拝命しました松永と申します。よろしくお願いします。では、私のほうからは、重点化対象項目選定の考え方について御説明をさせていただきます。資料1の「高齢・障害・求職者雇用支援機構評価項目一覧」というものを御覧いただければと思います。この高齢・障害・求職者雇用支援機構の第4期中期目標期間における評価項目は、全部で17項目ありますけれども、そのうちの8項目については、中期目標におきまして重要度又は困難度が高い項目ということで設定したということで、独立行政法人の評価に関する指針に基づき、これらを重点化対象項目としております。
 1つ目は、「高年齢者等の雇用に係る相談・援助、意識啓発等」です。重要度、難易度ともに高い項目として設定しております。これは一昨年にまとめました働き方改革実行計画に盛り込まれました65歳以降の継続雇用延長や、65歳までの定年延長を行う企業への支援を充実し、将来的に継続雇用年齢等の引上げを進めていくための環境整備に直接寄与する極めて重要な業務です。また、65歳を超えた継続雇用延長・65歳以上への定年引上げは、事業主にとって法定義務を超えた取組であり、重大・慎重な経営判断を要する人事制度の改正を伴うものであるということです。
 2つ目は、「地域障害者職業センター等における障害者及び事業主に対する専門的支援」です。重要度、難易度ともに高い項目として設定しております。一億総活躍社会の実現に向けて、特に精神障害者等に対する個別性の高い雇用管理等を実現するための質の高い支援ニーズというものが増加しており、これに応えていくということが極めて重要です。また、精神障害者等への支援を一層重点化しつつ、それ以外の障害者にも的確な支援を実施するとともに支援実施事業所数の増加を目指し、かつ就職率、職場定着率を高い水準で維持するということは、高度な専門性に加え、きめ細やかな対応等を要するということで設定しております。
 3つ目は、「地域の関係機関に対する助言・援助等及び職業リハビリテーションの専門的な人材の育成」です。重要度の高い項目として設定しております。一億総活躍社会の実現に向けて、地域の就労支援機関や企業が連携し、障害者雇用に独自に取り組める環境を更に整備することが望まれ、その基礎となる人材の育成や助言・援助等の推進は極めて重要なため、重要度の高い項目として設定しております。
 それから4つ目は、「職業リハビリテーションに関する調査・研究及び新たな技法等の開発の実施とその普及・活用の推進」です。難易度の高い項目として設定しております。これまでの支援技法では対処困難な課題を解決するために、最新の知見の集約、それから新たな技法等の開発が求められることに加え、外部委員のうち3分の2の委員から最高評価を得るという極めて高い目標を設定しているためです。
 5つ目は、「離職者を対象とする職業訓練の実施」です。重要度、難易度ともに高い項目として設定しております。こちらは全国にわたり、離職者に必要な職業訓練を実施し、雇用のセーフティネットとしての訓練機会を担保する重要な役割を担っております。また、第4次産業革命の進展に対応した、ものづくり分野のIoT技術等のコースの実施に当たっては、技術革新が進む中で、短い期間で必要な技能・技術を身につけることができるように、新たなカリキュラムの開発等が必要になるということに加え、受講者数を平成28年度実績の2倍以上とする指標を設定しているためです。
 6つ目ですが、「高度技能者養成のための職業訓練の実施」です。重要度、難易度ともに高い項目として設定しております。ロボット技術は、製造業の生産現場等における人手不足の解消などを解決する可能性を有しており、少子高齢化等が進展する中で、ロボット技術を活用できる高度な人材を養成することは重要です。また、第4次産業革命の進展に対応した生産ロボットシステムコースを新たに開発することに加え、全ての職業能力開発大学校において実施するとともに、定員の90%以上が受講し、更に修了するという高い目標を設定しているためです。
 7つ目は、「在職者を対象とする職業訓練及び事業主等との連携・支援の実施」です。重要度、難易度ともに高い項目として設定しております。中小企業等の生産性向上のため、IoT等の進展に対応した訓練の充実や、IT理解・活用力習得のための取組など、「IT力」の強化等に向けた取組は重要です。また、在職者訓練は、技術革新等に対応した訓練を開発する中で、第3期中期目標期間の実績を上回る水準を設定しており、生産性向上人材支援育成支援センターは、ものづくり分野以外の訓練の開発等が必要であるということに加え、生産性向上に取り組んだ事業所数を指標として設定しているためです。
 最後、8つ目は、「障害者職業能力開発業務に関する事項」です。重要度の高い項目として設定しております。障害者が希望や能力、適性をいかして、障害の特性等に応じて働くことができるよう、機構営校においては、先導的な職業訓練の実施を通じて開発した指導技法等を、より一層普及させるという重要な役割を担っているためです。私のほうからの説明は以上です。
 
○今村主査
 質問は法人からの説明があってからとなっているのですが、念のため、資料1の「重要度」「難易度」「重点化項目」と3つの列がありますが、重点化項目にマルが付いているのは、重要度か難易度か、どちらかにマルが付いているということでいいのですね。それで、これは重点化して評価するということで、これから、この重点化項目、重要度、難易度が付いている所について、法人から御説明いただくということでよろしいですね。では、法人から説明をお願いいたします。
 
○高齢・障害・求職者雇用支援機構企画部長
 それでは、高齢・障害・求職者雇用支援機構です。当機構は、高年齢者の雇用の確保、それから障害者の職業的自立の推進、求職者をはじめとする労働者の職業能力の開発及び向上のために、総合的な支援を行っているところです。
本日は当機構の平成30年度の業務実績について、先ほど御説明がありました重点化対象項目の8項目につきまして、実績を取りまとめました資料2-1のポンチ絵で御説明をさせていただきます。なお、実績につきましては、全ての評価項目で目標を達成しており、また、機構の外部評価委員会において、外部の有識者に御審議いただき、自己評価について、おおむね妥当と認めていただいているものです。
 それでは早速ですけれども、資料に基づき説明をさせていただきます。まず、資料2-1の5ページを開けていただければと思います。これは「高年齢者等の雇用に係る相談・援助、意識啓発等」の業務です。この業務は、社会保険労務士等を65歳超雇用推進プランナーや、高年齢者雇用アドバイザーとして委嘱し、企業に対して定年の引上げや継続雇用制度の導入等に関する制度改善提案や、専門的な相談・援助を実施しているものです。また、実践的手法の開発・提供や、生涯現役社会の実現に向けた啓発活動等を行っております。次の6ページですが、この評価項目の自己評価は「S」としております。
 続きまして、ページを1つ飛ばして8ページを御覧ください。平成30年度から新しい中期目標期間が始まり、高年齢者雇用に関する相談・援助業務については従来の相談・援助よりも更に一歩踏み込んで、企業を複数回訪問し、定年の引上げや継続雇用制度の導入に関して具体的に制度改善の提案を行う業務を開始いたしました。この制度改善提案業務につきましては、実績が8,978件で達成度が149.6%、制度改善提案によって見直しを進めた事業主の割合は65.4%で達成度が163.5%と、ともに目標を大きく上回る実績を上げているところです。
 制度改善提案では、機構が委嘱したプランナー等が企業を複数回訪問し、高齢社員の年齢構成、活用状況、課題等を把握した上で、65歳以上への定年延長、65歳を超えた継続雇用延長等について具体的に提案します。そして、プランナー等の制度改善提案から4~6か月後に訪問等により見直しを進めたかの確認をしております。下の所に、制度改善提案を受けて事業主が実際に見直しを行い、定年65歳や継続雇用70歳などに取り組んだ例を掲載しているところです。
 次に、9ページを御覧ください。制度改善提案の具体的な流れを掲載しております。まず、最初の訪問で、ヒアリングシートで現状・課題を聴き取り、チェックリストで企業風土、働きやすさ、戦力化の度合いを把握し、人員フロー図で人材過不足の推移を「見える化」します。例として、その企業では、働きやすいが戦力化は進んでいないこと、10年後には人材不足が深刻化することが課題として浮かび上がったということで書いております。そして、再びその企業を訪問いたしまして、70歳までの継続雇用延長を提案したという例です。提案に当たっては、提案シートに就業意欲向上、企業イメージアップによる中途採用への効果、優秀な社員のつなぎ止めなど期待できる効果や、継続雇用年齢の引上げに向けて社内で行うべきことなどを記載しております。こういった流れで提案を行っているところです。
 次に、10ページを御覧ください。「サービスの質の向上及び実践的手法の開発等」についてです。効果的な提案を行うための研修、情報共有等として、まず1つ目は新規業務である制度改善提案について支部により取組の濃淡があったことから、全体の底上げを図るため、全支部に個別にヒアリングを行い、本部からは延べ40回以上、直接指導を行っております。さらに、プランナー等の提案力強化のために、提案に消極的な事業主に対する話し方や提案内容の好事例などを作成し、客観的かつ説得力のある提案を行うために機構が開発いたしましたツール・冊子等を活用し、先進企業の動向や課題なども分かりやすく提供し、研修カリキュラムにも様々な工夫を行っております。
 また、実践的手法の開発等としては、定年延長、継続雇用延長について、「定年延長、本当のところ」、「継続雇用、本当のところ」という2つの冊子を作成・配布し、調査結果から企業の本音を探り、何が課題で、実際のところ、どのような制度にすれば良いのかということを分かりやすく解説しております。そのほか、右下に書いておりますが、「65歳超雇用推進マニュアル」、「65歳超雇用推進事例集」を改訂し、企業の関心の高い評価や報酬体系の構築、退職金制度などの事例を充実したところです。
 次に、11ページを御覧ください。「生涯現役社会の実現に向けた啓発広報活動」についてです。まず10月の高年齢者雇用支援月間で、高年齢者雇用開発コンテストにおける表彰等を行いました。また、高年齢者雇用に関するシンポジウムは、従来は1か所だったのですけれども平成30年度は全国6か所に拡充して開催し、来場者は平成29年度の359人から、平成30年度は1,519人に大幅に増加しております。このシンポジウムでは、定年延長等企業による事例発表等を行い、情報共有を図っております。
 これらの業務実績を踏まえた自己評価案ですけれども、6ページから7ページにお戻りください。1つは難易度が高い業務に設定されていること、2つの目標については、それぞれ達成度が120%を大きく上回っていること、さらに、先ほど申し上げました様々な取組により、制度改善提案の質の向上を図り、また、啓発・広報活動を行ったことから、質的に顕著な成果があったと考えており、自己評価を「S」としているところです。この項目については以上です。
 次は、12ページを御覧ください。「地域障害者職業センター等における障害者及び事業主に対する専門的支援」です。各都道府県に設置している地域障害者職業センター、略して地域センターと申しておりますけれども、障害者と事業主の双方に対して、障害者が就業し、就業が継続できるようにするための職業リハビリテーションサービスを提供する業務です。次の13ページを御覧ください。この評価項目の自己評価は「A」としております。
 続きまして、15ページを御覧ください。地域センターでは、他の機関では支援が困難な個別性の高い支援を必要とする精神障害者、発達障害者及び高次脳機能障害者の支援を積極的に実施し、その対象者数は2万1,175人と、目標を上回るとともに過去最高の実績となっております。また、内訳で見ましても、発達障害者及び高次脳機能障害者が、それぞれ8,318人、1,087人と過去最高となっております。
 次に、16ページを御覧ください。精神障害者、発達障害者及び高次脳機能障害者等は、様々な特性が個々によって異なっております。そうしたことから地域センターでは、その特性と職業上の課題等を的確に把握し、それぞれの目標に応じた個別性の高い支援を実施しており、その例をそこに示しております。それぞれ障害特性等に応じて職業評価を行い、個々の課題に応じて支援目標を立てて職リハ計画を策定し、就職前から就職後まで職業上の課題等に応じた各種支援を行いますけれども、これはあくまでも一例であり、実際の支援では特定の特性や課題に対して、一律の支援方法で画一的に実施しているものではなく、個々の障害者の特性等に応じた個別性の高い支援を行っているものです。
 次に、17ページを御覧ください。「職業準備支援の推進」についてです。職業準備支援では、うつ病等の気分障害のある求職者の増加を踏まえ、ストレス対処等の適応力向上を図る専用の「適応支援カリキュラム」を新規に10都県で試行実施をしております。また、中段の実施例にありますように、キャリア・ストレス対処のほか、ストレス状況を想定した作業継続力の向上を図るためのジョブリハーサルや、ハローワークとの連携による求職活動などを組み合わせながら支援を行っているところです。こうした取組の結果、職業準備支援の修了者のうち、精神障害者、発達障害者及び高次脳機能障害者の就職率についてですけれども、一番上に書いておりますが、72.6%と目標を上回るとともに、過去最高となっております。
 次に、18ページを御覧ください。「ジョブコーチ支援の推進」についてです。精神障害者、発達障害者等の個々の態様が様々な対象者への支援に当たって、ニーズに応じて相談支援を中心としたジョブコーチ支援を実施しました。具体的には精神障害者に対しては、ストレスや疲労等を自ら把握できるようにするモニタリングシートを活用したセルフケアのスキルを付与したり、発達障害者に対しては、それぞれの職場で求められるコミュニケーションに関するアドバイスをしたところです。こうした取組の結果、一番上に書いておりますが、ジョブコーチ支援終了者のうち精神障害者、発達障害者及び高次脳機能障害者の支援終了6か月後の職場定着率については、88.1%と目標を上回るとともに過去最高となっております。
 次に、19ページを御覧ください。「精神障害者の総合雇用支援の推進」です。中期目標の指標には設定されておりませんけれども、精神障害者及び事業主を対象に、主治医との連携の下で、職場復帰等に向けた専門的・総合的な支援を行っているもので、リワーク支援対象者数は、過去最高となっております。
 次に、20ページを御覧ください。「障害者の雇用管理に関する専門的な支援の実施」です。新規の取組といたしましては、障害者雇用に関する事業主支援メニューを分かりやすく整理したツールに構成して全国の地域センターで共有いたしました。また、東京、愛知、大阪を中心に、当該ツールを活用して、右下の事例にありますように、採用、職場適応、職場復帰時の各段階における専門的支援の活用について、積極的かつ分かりやすい提案により、支援ニーズや個々の事業所の状況に応じた支援内容を効果的に組み合わせた体系的な支援を実施しております。こうした取組の結果、数値目標である支援実施事業所数については、右上に書いてありますけれども、実績値は1万9,185か所と目標を上回るとともに、過去最高となっております。
 これら業務実績を踏まえた、この項目の自己評価案についてですけれども、13ページのほうにお戻りください。まず1つは難易度が高い業務に設定されていること、また、4つの目標について、それぞれ目標を上回る過去最高の実績を上げたこと、さらに先ほど申しました様々な取組により、障害者及び事業主に対して、質の高いサービスを提供することができたことを踏まえ、自己評価を「A」としているところです。
 それでは、次の項目に移ります。資料の21ページを御覧ください。地域センターが関係機関に対して行う助言・援助や、ジョブコーチ等の人材育成の業務です。22ページですが、この評価項目の自己評価は「B」としております。
 続いて、24ページを御覧ください。まず、「地域の関係機関に対する助言・援助等」についてです。就労支援ネットワークが十分に機能していない圏域の中核的役割を期待される障害者就業・生活支援センターや、ノウハウが不足している新設された就労移行支援事業所等に対して重点的に助言・援助等を実施し、地域の就労支援の基盤強化に貢献いたしました。右下に、就労支援ネットワークによる支援体制と助言・援助の相関図を示しております。当機構の総合センター研究部門が開発した研究成果や支援技法を踏まえながら、各地域センターが、障害者就業・生活支援センターや就労移行支援事業所等に対して技術的助言や実習等を行っています。この結果、職業リハビリテーションに関する助言・援助等を実施した就労移行支援事業所等の設置総数に占める割合については、上に書いてありますが、57.4%と目標を上回り、助言・援助等を受けた関係機関に対する追跡調査において「支援内容・方法の改善に寄与した」旨の評価についても、96.1%と目標を上回っています。
 25ページは、「職リハの専門的な人材育成」についてです。右下の図にもお示ししておりますように、平成30年度はジョブコーチ養成研修について、訪問型、企業在籍型それぞれ、これまでの年4回から年8回に集合研修の開催回数を増やし、うち2回は、本部に加えて新たに大阪障害者職業センターでも実施したところです。また、実務経験者に対して実施するジョブコーチ支援スキル向上研修は、訪問型、企業在籍型それぞれ、これまでの年1回から年3回に増やし、これも本部に加えて新たに大阪センターでも実施いたしました。このように受講機会を拡充した結果、受講者数は目標を大きく上回り、過去最高の835人となっております。さらに、研修修了後には、各地域センターにおいてケーススタディや意見交換等を行うサポート研修を新たに実施し、1,817人が受講したところです。
 また、ジョブコーチ養成研修及び支援スキル向上研修の受講者の所属長に対する追跡調査において「障害者の職場定着に寄与した」旨の評価の割合は、上に書いてありますが、99.5%と目標を上回っています。こうした業務実績を踏まえた自己評価案については全ての実績が目標を上回っておりますので、先ほど御説明したとおり、自己評価を「B」とさせていただいています。
 次の項目です。まず26ページですが、職リハに関する調査・研究及び技法の開発を行い、その成果の普及・活用を図る取組です。27ページに書いてありますが、この評価項目の自己評価は「A」としています。
 28ページを御覧ください。昨年度、新規に取り組んだ調査・研究は、7テーマとなっております。また、昨年度に終了した研究は7テーマです。下の段にその概要と評価結果等を記載しております。各テーマにつき、職業リハビリテーションや医療・福祉の専門家3人を外部の評価委員として委嘱し、評価をお願いしています。延べ21人の委員のうち16人から最高評価の2点、7テーマのうち4テーマについては6点満点を頂き、7テーマの平均は5.29点と目標を上回っています。例えば、一番下の「視覚障害者の雇用等の実状及びモデル事例の把握に関する調査研究」のテーマでは、委員から「視覚障害者の雇用の現状を多角的に捉えようとしていること、さらに研究の成果を雇用拡大に向けたツールとして開発した点は高く評価できる。」とコメントを頂いたところです。さらに、眼の疾患による見え方を大きく4種類に分けて、職場の場面に応じた代表的な対処方法をまとめたマニュアルを作成し、これについては国会における障害者雇用促進法改正案の参考人質疑でも取り上げられて、視覚障害者の団体から「極めて分かりやすくて有用な資料」であると高く評価されたところでもあります。
 29ページは、「職リハ技法の開発及び普及」についてです。発達障害者については「アセスメント技法」、精神障害者については「事業主との復職調整に関する技法」、高次脳機能障害者については、「感情のコントロールに課題を抱える高次脳機能障害者に対する支援技法」を開発したところです。例えば、発達障害者のアセスメント技法の開発については、発達障害者の情報処理過程や特徴を踏まえた分析シート、個人と環境との相互作用に着目したアセスメントシートを作成したところであり、効果としては、対象者にとっては自己理解の促進、支援者にとっては状況と課題に応じたアセスメントを行い、支援者間で情報共有を行って適切な支援の提供が可能になることが見込まれております。
 続いて、30ページを御覧ください。「研究・開発成果の積極的な普及・活用、実践的手法の開発・提供」についてです。職リハ研究発表会については、過去最高となる1,229人が参加しております。また、右側のマニュアル等の作成についてですが、先ほど研究成果として作成した上から5つ目の「目が見えなくなってきた従業員の雇用継続のために」など、職業リハビリテーションの関係者や事業主にとって利用しやすいマニュアル等を9件作成し、目標を大きく上回りました。
 これら業務実績を踏まえた自己評価案ですが、ページを戻っていただいて27ページです。難易度が高い業務に設定されている項目であること、それから、3つの目標についてそれぞれ目標を上回る実績を上げたこと、さらには先ほど申し上げた様々な取組により、研究成果や技法の成果を普及し、職業リハビリテーションの充実・向上に資することができたこと、これらを踏まえて自己評価を「A」としております。
次の項目に移ります。ページが飛んで41ページです。ここからは訓練関係ですが、まず41ページは離職者を対象に、早期再就職に必要な技能・技術、関連知識を習得できるよう、全国のポリテクセンターにおいて標準6か月の職業訓練を実施しているものです。42ページに書いてありますが、自己評価は「A」としております。
 具体的な内容は、44ページです。一番上に書いてありますが、訓練終了後3か月時点の就職率は87.5%で、過去最高と同等の実績となっており、目標を大きく上回っています。また、就職者のうち正社員の割合も、66.8%と平成29年度を上回るとともに、正社員としての就職を希望するものの正社員就職率が83.1%と、就職の質の向上にも成果を上げております。雇用情勢の改善に伴い、離職者訓練を受ける方は、就職困難度の高い受講者が増加傾向にある中で、これらの実績を達成できたのは図の上部に記載しておりますが、生産現場で役立つ訓練指導を実施したこと、図の下のほうに書いてありますけれども、キャリアコンサルティングや求人企業の積極的な開拓等、計画的かつ、きめ細かな就職支援を実施した結果であると考えています。
 45ページは、今中期目標における新たな指標である第4次産業革命の進展に対応した訓練コースの受講者数についてです。そこに書いてありますように、691人と目標を大きく上回っております。これは主な取組内容の2に書いてありますが、工場における生産設備のIT化に対応するために開発した「スマート生産サポート科」について、機構のスケールメリットをいかした担当指導員の育成などの体制整備に取り組み、新たに3施設を加えた計14施設で実施したほか、プレスリリース等の効果的な周知・広報に努めた結果だと考えています。
 また、第4次産業革命の進展に関し、更なる対応を図るために、主な取組内容2の2つ目の○のとおり、新たに「IoTシステム技術科」の訓練カリキュラムを開発し、今年度試行実施するとともに、次の主な取組内容3に書いてありますが、平成30年度に研究会を設置し、育成すべき技術者像や求められる訓練内容等を報告書に取りまとめ、今後のカリキュラム開発等に取り組む予定としております。
 46ページを御覧ください。人材ニーズの変化等を踏まえて適宜、訓練内容を見直した結果、中段の右下のとおり、サンプル調査で9割を超える受講者から就職に役立ったとの高い評価を頂いております。
 47ページです。主な取組内容6のとおり、有効求人倍率が高水準で推移しており、求職者が減少している中で、相対的に就職困難度が高い者が離職者訓練を受講する傾向があり、特に訓練・学習の進捗等に特別な配慮が必要な訓練受講者に対して、機構のシナジー効果を発揮して、地域障害者職業センター等との連携により支援を行うとともに、機構ノウハウを活用し、「事例で分かる!伝わる話し方~訓練受講者との会話のケースブック~」等の支援ツールを作成して全施設に展開したほか、職業能力開発総合大学校で開催しているPTUフォーラム2018において、「特別な配慮が必要な訓練受講者の現状と効果的な取組」としてオーガナイズドセッションを開催し、好事例等を情報共有したところです。
 次に、48ページを御覧ください。女性の就業促進を図るための取組を実施するとともに、メディアツアーやハローワークと連携した求職者への周知・広報に取り組んだところです。以上から、この項目の業務実績を踏まえた自己評価案ですが、42、43ページです。1つは、難易度が高い業務に設定されていること、それから、2つの目標については、それぞれ目標を上回る実績を上げたこと、更には先ほど申しました様々な取組により、第4次産業革命の進展に対応した訓練を実施し、就職の質の向上に成果を上げたこと。こうしたことを踏まえて、自己評価を「A」としております。
 続いて次の項目ですが、49ページを御覧ください。これは、産業の基盤となる高度なものづくりを支える人材を育成するための訓練を、高校卒業者等を対象に各地のポリテクカレッジにおいて実施しているものです。自己評価については50ページに書いてありますが、「A」としております。
 具体的な取組内容は、52ページです。一番上に書いてありますように、就職率が99.7%と目標を大きく上回る過去最高の実績となっております。早期から計画的にキャリアコンサルティングを実施する等の就職支援に取り組むとともに、一番下の欄にあるとおり、全体の65%を実技・実習に当てた実学融合のカリキュラムを設定した成果であると考えています。
 53ページを御覧ください。そこに記載のとおり、正社員就職率も98.1%と高い割合をマークしております。また、平成29年度の未就職修了者へも継続的にサポートする等、手厚い支援に取り組んでいます。中段ですが、主な取組内容3のとおり、特別な配慮が必要な学生についても、1人でも取りこぼさないといった支援を強化することとして、機構が開発した「訓練・学習の進捗等に特別な配慮が必要な学生への支援対応ガイド」を活用するとともに、機構の障害者雇用支援部門とのシナジー効果を発揮して、地域障害者職業センター等との連携による支援や、家族等との連携など積極的な支援に取り組んだことが高率の就職率の達成につながった一因であると考えております。
 54ページです。今中期目標における新たな指標である第4次産業革命の進展等に対応した生産ロボットシステムコースの設置・実施についてです。3校に設置・実施し、目標を達成しております。一番下に書いてありますが、今後は先行3校の実施状況等を検証し、必要に応じて見直しを行い、後発校の担当指導員の研修や機器の整備を図って拡大していくこととしています。
 55ページです。訓練コースの見直しについては、右の参考事例のとおり、専門課程においても第4次産業革命の進展に対応した内容をカリキュラムに反映しております。また、主な取組内容6に書いてありますが、若年者ものづくり競技大会で、過去最高の32名の学生が入賞したことなどを通じて、カレッジの教育水準の高さをアピールするとともに、社会人入校の促進等の取組により、意欲のある学生の確保に努めております。
 そのほか56ページになりますが、受託・共同研究の事例です。そこに書いてありますが、鋳物製品の自動回転装置を開発し、省力化及び安全性の確保を実現するなど、地元企業の抱える課題に対してカレッジが有するものづくりのノウハウ等を活用しており、その成果は実際に生産現場で使用されています。また、右下に書いてありますが、ポリテクビジョン等を通じて地域社会との連携などにも取り組んでいるところです。
 これら業務実績を踏まえた自己評価案については、50、51ページです。難易度が高い業務に設定されていること、それから、2つの目標について、それぞれ目標を上回るとともに、過去最高を含む実績を上げたこと、更には先ほど申し上げた様々な取組により、職業訓練として新たな分野である生産ロボットシステムコースについて、カリキュラムを適切に実施し、「将来の生産技術・生産管理部門のリーダー」の育成につなげたこと、こうしたことを踏まえて、自己評価を「A」としております。
 次の項目ですが、57ページを御覧ください。生産性向上人材育成支援センターを通じて、職業能力の開発及び向上に関する相談・援助を実施するとともに、専門的知識及び技能・技術の向上を図るための在職者訓練等を行っております。58ページに記載していますが、自己評価については「A」としております。
 具体的な取組内容は、59ページです。今中期目標における新たな指標である利用事業所数の実績は4万4,264事業所と、達成度120%を超える高い実績を達成しています。60ページです。このセンターを幅広く御利用いただくため、関係機関や金融機関等あらゆるネットワークをいかして、効果的に広報したことが高い実績につながったものと考えております。また、そのページの下の主な取組内容3に書いてありますが、IT理解・活用力習得訓練は新規事業であり、上半期に効果的なカリキュラムを開発し、下半期に訓練を実施し、初年度から4,376人と、多くの方に受講いただきました。
 61ページですが、生産性向上支援訓練では、個々の企業の課題に合わせてカリキュラムモデルをカスタマイズするオーダーメイド方式を中心に、規模の小さな事業主でも利用しやすいよう複数の事業所が参加できるオープン方式を組み合わせて展開することや、企業が訓練計画を策定する時期を考慮して、早期にアプローチする等の取組により、平成29年度の実績が4,496人だったのですが、これを大きく上回る3万3,294人に実施したところです。また、左下のアンケート結果においても、受講者、事業主の双方から高い評価を得ることができています。
 次に、62ページを御覧ください。今中期目標における新たな指標である在職者訓練の実施人数ですが、過去最高の7万85人となっており、生産性向上につながった旨の回答は93.0%と、いずれも目標を上回る高い実績を達成しています。また、主な取組内容5の右に書いてありますが、在職者訓練地域サービス向上プロジェクトの全ブロックでの展開、カリキュラムの見直し、人材育成ニーズの把握等の取組による成果であると考えております。
 63ページですが、在職者訓練についても第4次産業革命の進展に対応した訓練コースの開発や、訓練コースの見直しに取り組みました。
 これら業務実績を踏まえた自己評価案については、58ページです。難易度が高い業務に設定されていること、3つの目標についてそれぞれ目標を上回るとともに、達成度120%超や過去最高を含む実績を上げたこと、更には先ほど申し上げた様々な取組により、在職者訓練の受講者数が過去最高となる中で、受講者アンケートにおいても99%の方から役に立った旨の評価を受けたこと等を踏まえて、自己評価を「A」としております。ちなみに、機構の外部評価委員会では、この項目については「S」でも良いと思うとの御意見も頂いたところです。この項目については以上です。
 最後の項目ですが、69ページです。機構が運営する2校(所沢市の中央校と岡山の吉備校)の障害者職業能力開発校の業務です。自己評価については70ページに記載しておりますが、「B」としています。具体的な取組内容については、72ページからです。「特別支援障害者に対する職業訓練の充実・就職に向けた取組」についてです。重度視覚障害者や高次脳機能障害者、精神障害者、発達障害者といった、支援が困難な特別支援障害者について、関係機関への訪問や周知・募集活動を実施し、積極的な受入れを行っております。併せて、下の図にお示ししていますが、訓練科ごとの技能訓練に加えて個々の障害者の特性に応じた支援を実施いたしました。こうした取組の結果、特別支援障害者の定員に占める割合は67.2%、訓練修了者の訓練終了後3か月時点の就職率は75.8%と目標を上回っています。
 73ページは、「障害者に対する指導技法等の開発・普及等」についてです。平成30年度は訓練場面の見学や、訓練体験等を通じて指導技法等を紹介する指導技法等体験プログラムにおいて、コースの実施回数を追加しております。こうした取組の結果、一番上に書いてありますが、指導技法等の提供に係る支援メニューの受講機関数は、130機関と目標を上回り、過去最高となっています。また、指導技法等体験プログラムの利用機関に対する追跡調査においても、「支援内容・方法の改善に寄与した」旨の評価の割合は、100%と目標を達成しております。このように、全ての実績が目標を上回っておりますので、この事業区分の自己評価は「B」としております。私からの説明は以上です。
 
○今村主査
 ありがとうございます。それでは、今、法人所管課室から、重点対象項目の選定の考え方についてということをまず御説明いただきまして、そして、法人から業務概要及び重点対象項目の業務実績及び自己評価について説明いただきました。ただいまの2つの御説明について、御意見、御質問等がありましたら、よろしくお願いいたします。
 
○高田構成員
 障害者の雇用について伺います。障害者の雇用に関しては古くからの問題でありまして、私も若い頃から断続的に勉強してきましたけれども、かつてと比べますと、障害者の雇用に関してはだんだん難しい状況になってきているといいましょうか、より重度な障害を持った方たちをどうやって雇用に結び付けていくかという課題が、特に最近出てきていると認識しております。中でも、身体障害だけではなくて、精神障害者に関しても就業に結び付けようという努力を、かなり前から取り組まれてきている。これはアメリカのほうがちょっと早く取り組みをしておりまして、アメリカでジョブコーチという技法が開発されて、障害者と一緒に企業に入って行って、現場の仕事をジョブコーチが手助けをしながら就業に結び付くような実践的な訓練をするという考えだと承知しておりますが、そういう努力の積み重ねでだんだん障害者の雇用は、じわりじわりと増えてきたことは大変喜ばしいことだと思います。特に精神障害の方たちの就業が非常に難題というか、難しい課題だと思いますが、その実現・解決に向けて日本でもジョブコーチの制度が随分前から導入されてきたということは承知しておりますが、ジョブコーチの内容というか、ジョブコーチの仕事を職業としてみると非常に不安定な仕事なので、専門家として定着するというのがなかなか難しい状況に置かれていると思いますけれども、最近は企業がジョブコーチの育成に努力するようになってきたということも伺ったのですが、企業側のジョブコーチに対する取組ということをお聞かせいただければ幸いです。
 
○高齢・障害・求職者雇用支援機構職業リハビリテーション部長
 職業リハビリテーション部長の三輪でございます。ジョブコーチについて、特に企業在籍型ジョブコーチの取組についてどうなっているかということだと思いますが、先ほどの資料の中だと、18ページの所がジョブコーチ支援の推進のことをまとめている内容になります。ここではジョブコーチ支援でどんな支援をしているかということで、支援の内容、例えば作業支援中心で従来はやっておりましたけれども、最近では精神障害者、発達障害者などが増えているということで、作業支援だけではなく、相談支援を中心にした支援ということで、18ページの左側のほうに書いてありますが、ストレスに対するケアとか、コミュニケーションに対するアドバイス等といった内容も含めて支援をしているようになってきているということが1つあります。
 それから、25ページの所を見ていただくと、職リハの専門的な人材の育成ということで養成研修の結果等々が書いてある所ですが、25ページの右上の所のグラフを見ていただくと、それぞれオレンジ色の所が養成研修の中でも企業在籍型のジョブコーチの人数、青の所が訪問型という社会福祉法人等に置かれているジョブコーチ、緑色の所が配置型という地域障害職業センターに置いているジョブコーチの平成30年度の養成研修をした受講者の数を一番右に載せています。これで見ていただいても分かりますように、オレンジ色の部分というのがどんどん増えてきていまして、企業在籍型ジョブコーチの部分です。背景としては、障害者の雇用についての理解が進んできているということとか、最近ですと、平成25年の法改正で精神障害者が法定雇用率の算定の基礎に入ることが決まりまして、平成30年度からは実際それに基づいた法定雇用率ということで、2.2%というのが適用されている。さらに3年を超えないうちに2.3%に上がるということが決まっているわけですので、企業のほうもそれを見据えて、やはり精神障害者の方も含めて雇用を考えていかなければいけない。そのためには自らの所、企業の中に在籍しながらジョブコーチの仕事をするための、企業在籍型ジョブコーチ養成研修を社員に受けさせて、その中で直接支援をしていこうという流れが大分強くなってきているということで、数の上でも表れているかと思います。
 
○今村主査
 今、高田構成員の御質問の中にジョブコーチは従来からステイタス、処遇が不安定だったという御指摘があったと思いますが、企業型のジョブコーチの場合の処遇等については何か御存じのことはありますでしょうか。
 
○高齢・職業・求職者雇用支援機構職業リハビリテーション部長
 その部分については、研究部門のほうの担当になりますが、昨年度と今年度で厚生労働省のほうからの要望を受けまして、企業在籍型ジョブコーチの配置と効果についての研究というものもやっております。その中で、事業主とそこで働いている企業在籍型ジョブコーチの本人の両方に対してアンケート調査を実施しておりまして、その中で、どのような立場で働いていますかということや、どのような内容の仕事をしていますかとか、それから、今後どういうことをするといいと思いますかといったことをいろいろ聞いておりますので、今年度の末には報告書としてまとまってくると思います。そういった中では、ある程度、企業在籍型ジョブコーチの実状というものが見えてくると思っております。
 
○今村主査
 では、それを楽しみにしております。よろしくお願いします。御意見等がありましたらお願いいたします。
 
○戸田構成員
 御説明ありがとうございました。高齢・障害・求職者雇用支援機構はかなり幅広い業務内容ですので、1度に全部説明していただくと、なかなか入ってこないなということで、幾つか区切って質問させていただきます。まず、項目の1-1-2の高年齢者雇用の関係の話ですが、こちらは「S」を付けていらっしゃるということで、評定の中でも質的に顕著な成果が認められるということがないと「S」評定にできないということで御質問させていただきます。この目標設定自体も、私自身も第4期の中期目標計画の策定の中では意見等をさせていただいて、ここの項目はなかなか難しいと、難易度が高いということは理解しているつもりです。その中で幾つか取組としてイベントをやっているとか、マニュアルを策定されているとか、そういったことを幾つか御紹介いただいたかと思いますが、これらは少し厳しい言葉で言ってしまえば、従来から結構、機構がノウハウを持って着実に進めていらっしゃるという観点の話で、なかなか質的に顕著な成果というところまでは言えないのかなと考えています。恐らく今回、この目標の中で重要なところとしては、プランナーが自ら事業主に継続雇用の延長とか、定年年齢の延長ということを説得しに行くというところが恐らく難しいところかと理解しております。そこの中で実際、機構が平成30年度に取り組んでいる中で一番大きな課題で、それをどう乗り越えたか、若しくは乗り越えていないのかみたいなところについて教えていただければと思います。
 
○高齢・障害・求職者雇用支援機構雇用推進・研究部長
 担当の雇用推進・研究部から回答させていただきます。今回、平成30年度からプランナーによる制度改善提案がはじまったわけですが、従来の相談・援助と比べて、そもそも何が難しかったのかについてお答えしたいと思います。従来の相談・援助は、制度改善に限らず幅広い相談・助言を行っておりまして、主に企業から、このような悩みがあるのだけれども、こういったときはどうしたらいいとか、企業からのオファーも結構ありまして、そういったものに一つ一つ丁寧に対応していたわけですが、今回の制度改善提案については企業からのオファーはないところがまず1つあります。どういった企業を対象にしているかというと、法律は守っているけれども、それ以上の制度は持っていないし、また、そこまで考えてはいないという企業を一つ一つ抽出しまして、それらをローラー作戦のように訪問して、提案をしていくという事業です。ですので、従来のノウハウではなかなかプランナーが対応することができませんでしたので、まず、プランナー自身のこれまでのやり方を大きく変えるということの意識改革、それから、提案の進め方について細かいテクニカルな部分を丁寧に各都道府県支部に対して指導を行ってまいりました。4、5月は非常に出足が低調で、なかなかやり方が分からない支部が非常に多かったのですが、一つ一つどういったやり方をしていくか、という事務指導を丁寧に行いまして、やっと軌道に乗り始めてきたわけです。これまでの相談・援助というのは口頭により悩みを相談して課題を解決していくという手法だったのですが、今回の制度改善提案は、まず企業の現状を細かくヒアリングしまして、それを一つ一つ分析して、どこに高齢者雇用を進める上での課題があるのかというのを様々なツールや、チェックリストを用いて、客観的な指標で企業の方に説明できるようなツールを活用しまして、客観性や説得力を高めた上で企業に認識をしてもらうというところが非常に困難だったところです。ですので、企業に対して制度改善提案でお邪魔した所でも、やはり7割の企業が、制度改善提案は、まだその時期ではないとか、高齢者雇用に関しては、従業員構成から見てまだ喫緊の課題ではないといったことで、7割ぐらいは提案自体を断られていた状態で、改善提案を受け入れてくれたのは大体3割ぐらいです。厳しい状況で進めてきたわけですが、これまでの相談・助言は、向こうからのオファーで解決策にお応えするようなやり方でしたが、今回はかなり営業マインドというものが、まずプランナーにはなかなか身についておりませんでしたので、効果的な営業のやり方を各好事例を持ち寄ってなど、経験交流会や各研修を行っておりますけれども、それらの中でグループワークを数多く取り入れて、いかに提案を聞いてもらえるかということから始めておりました。業務のやり方を大きく変えたところが非常に難易度が高かったのではないかと思っております。
 
○戸田構成員
 ありがとうございます。追加でもう1つお伺いしますが、ここの目標は5年間で3万件の制度改善提案という、件数は3万件を設定されていると思いますが、平成30年度が初年度ということで、高い成果を出しているわけですけれども、今後これを維持できるのかと、うがった見方をしてしまえば、訪問しやすい所に訪問に行って、そういった企業がなくなれば、なかなかこの数字を維持する、若しくは高めていくということは難しいことになるのかと思っていますが、その辺の今後の見通しについても教えてください。
 
○高齢・障害・求職者雇用支援機構雇用推進・研究部長
 確かに初年度は、行きやすい企業にまず行って慣れましょうということで、そういった傾向はありましたけれども、多くの企業では人手不足が非常に深刻ですので、これまで高齢者雇用について余り考えていなかった所も、やはり今後の10年後、20年後の従業員構成など、人員フロー図などを使ってお見せしますと、やはり今から考えなければいけないという新たな認識を持ってくださる企業も非常に多かったこともありますので、これからは様々なノウハウを横展開しまして、そういう難しい企業にもチャレンジしていきたいと考えております。
 
○今村主査
 今の戸田構成員の質問の最初に、冒頭で従来の機構はイベント型というか、割と講演会とかやって集めていることは得意であったと。そこから今度は、イベントからプロジェクトというか、より選択的な目的を持った活動へと、あるいは単なるプレイスではなくてスペース、もっと広がりを持った空間を作っていこうという努力はすごくよく分かるのですが。1つ、今、我々は大切なことと、大変なこと、大変でしたねという後者の困難度のところで、いろいろなグループワークをやったり、新しいノウハウを入れられたということですけれども、あるいは少しお互いにいろいろ議論をしたという、そのプラスアルファでどれぐらい大変だったかということで、ノウハウはどこから取り入れられたのか、内側から自分たちで学習して作っていったのか、あるいは外部の方をお招きして、こういったアドバイザーのノウハウをより高めていかれたのか、その辺の組織的な大変さについて、もうちょっと教えていただければと思います。
 
○高齢・障害・求職者雇用支援機構雇用推進・研究部長
 プランナーの皆さんはもともと社労士ですとか、中小企業診断士などで活躍されていた方、それから、企業の人事部などで人事労務管理をずっとやられてきた方と非常にいろいろな背景がありますし、また、経験値や非常に知識の深い方もいれば、社労士の資格を持ったばかりと、非常に個人差が大きいところでしたので、新たに営業活動をするということに関して、従来、企業の中でもそういったことを経験されてきた方が何人かいらっしゃいましたので、そういった方に、いかに提案できるか、提案を受け入れてくれるか、その提案を見て企業が見直しを進めてくれるのかなどといった好事例をたくさん集めて、研修等に取り込んできました。好事例も最初はなかなか集まらなかったのですが、だんだん皆さんやり方を覚えてこられましたし、普通の集合研修だけではなくて、各ブロック別に開催する経験交流会やアドバイザー、プランナーの自主勉強会に出掛けていって、そこで好事例を横展開し、ロールプレーなどで身に付けてもらうといったことなどに取り組んできました。また、提案を企業に断られるケースが非常に多かったものですから、企業にこう言われたら、このように返すというQ&Aのようなものを作って、それをみんなで共有しながら進めていったということです。外部の講師も招いていろいろお話を聞きましたけれども、アドバイザーとして長年活動されている方の知見というのは、非常に役に立ったかと思います。
 
○今村主査
 ありがとうございます。本当に大変だったということがよく分かりました。御意見はありますでしょうか。
 
○中村構成員
 中村と申します。全体的に今の話に関してですが、まず、営業等をお話されましたけれども、一歩足を進めたと、これは第4期の中期目標期間からの試みだと思いますが、これが首尾よくというか、滑り出し上々というようなところまできていること自体が高く評価していいのではないかと思っております。この後、この傾向は継続できるのかと御心配されましたけれども、その中でもいろいろな経験とか、そういったことも蓄積されていますし、初年度の成績を維持していければ新しい試みが定着して良い成績が上がるのではないかと評価しております。
 また、数値目標についても非常に高い水準ですから、「S」というのは十分納得できる評価ではないかと思っております。
 あと、ほかのところは、また、それぞれくるかと思いますが、こうやって見てみると、項目別の評定ですが、この基準を見ると、まず100%以上が「B」からスタートして、「A」が120%以上と、これだけ見ると、なるほどという気がするのですが、実際にこうやって見てみると、もう破綻しているというか、これ、本当に適切な目標のやり方なのかというのは、ちょっと。これは毎年言うわけですけれども、例えば13ページの所にジョブコーチ支援終了者の職場定着率、目標値85%以上とあります。これが120%ということで、100%定着しても、これは120%いかないわけですよ。そういうところがたくさんあるのです。だから何か別な、一応、ここは掲げるのはいいけれども、我々もこれに余りとらわれないで、実質的な見直しをということでやっていますのでいいのですが、この話が出てくると、ちょっと実際の現場との乖離があるのかなという気がしています。
 同じようなことで、27ページの所で目標と実績との比較、定性的目標が5点以上となっているのです。今回の実績が5.29だから、105.7%ということで、それでも自己評価を「A」にしておりますが、5点以上の120%というと6点になるわけですね。6点というのは全員の外部評価者が満点を付けなければ到達し得ないと、外部評価に値しないようなところを求めているのだという辺りのこともありますので、ほかにもそうやって見ると、ちょっとこれは違うという所が散見されますので、ここら辺を勉強していかなければならないのかなと思っています。感想です。
 
○今村主査
 ありがとうございます。ほかに御意見、御質問をお願いいたします。
 
○土井構成員
 いろいろ御説明いただきまして、ありがとうございます。2点あります。今の御質問にも絡むのですが、先ほど御説明いただいた中で、「在職者を対象とする職業訓練及び事業主等との連携・支援の実施」というところで、今、機構からの評価は「A」となっておりますが、外部評価では「S」としてもいいのではないかというのが少しあったのですが、外部評価が「S」で外部評価の方から「S」でいいではないかと言われて、なおかつ、「A」にされているというのは何か、やはりここは「S」にするのは駄目なのではないかという評価、判断をされたのか、まず、1点目はそこを教えていただけますでしょうか。
 
○高齢・障害・求職者雇用支援機構企画部長
 評価については、先ほど申しましたようにそういう意見も頂いたところではありますが、ただ、数値目標とかが難易度がない場合を前提とすると、「A」評価の場合は数値目標120%以上の達成率といったことがありまして、そういう数字に照らすと、ちょっとそこまでは付けられないのではないかということで、それで難易度を考慮して「A」ということにとどめたというのが実情です。
 
○土井構成員
 そうですか。そういう意味では、先ほど厚生労働省のほうからも御説明がありましたけれども、第4次産業革命、システィマティックな言い方に従えばSociety5.0に向けて、特に中小企業も受けることができる形で、コースを作って生産性への向上とか、あるいはIT理解を深めるというのは非常に重要なことだと思います。日本は御存じだと思いますが、OECDの中でも生産性は非常に低い。その理由は、ITのプラットホームができていないというところにあるので、やはりITを理解していただく方の裾野を広げるというのは、Society5.0で日本の経済力を上げていくためにも非常に必要なことだと思うので、個人的には、今日のお話とか、外部評価でも「S」というお話もあったので、「S」でもいいのではないかと思いました。
 
○高齢・障害・求職者雇用支援機構企画部長
 評価については、数値目標は必ずしも達成度120%でなければいけないということでもないと聞いておりますので、その辺は、ここでの皆さんの御意見とか、それを踏まえて評価は国のほうでされておりますので、お任せしたいと思っていますが、ただ、この取組は非常に重要だというお話を頂きましたので、今の御意見も踏まえながら、さらに力を入れてやりたいと思っております。
 
○土井構成員
 はい、その上のロボットの話も含めて、是非、よろしくお願いいたします。
 もう一点は、御説明の中で就職困難度が高い方の中で、特にケアをしないといけない方に関してのところで、地域センターのノウハウをいかしてやるというのを、機構の中の組織の壁を越えてきちんとそれを共有できるようになったという、そのきっかけというのはどのようなものだったのですか。結構、組織の壁を崩すのは難しいかと思うのですが、これはすごく良いベストプラクティスだと思いますが、それをどうやって、これが崩れたかというのを是非知りたいのです。
 
○高齢・障害・求職者雇用支援機構求職者支援訓練部長
 求職者支援訓練部の真下です。もともとは雇用促進事業団が発足したときが昭和36年ですが、そのときの障害者部門も、元雇用促進事業団だったということがありますし、そうすると、私も昔の雇用促進事業団に入職していた者なのですが、そのときから知っている者がカウンセラーでおりましたので、こういう壁とかはなくて、こういう人がいるのだけれども、どうしようかなということで、それぞれに相談しやすい者もおりましたので、そういう点で連携できたということでもありますし、また、統合のときにおいても、やはりシナジー効果を発揮しましょうということも、それは施設長会議とかで言われておりますので、その点については壁とかはなく、そのようにフランクに協力体制で連携しながら進んできたと思っております。
 
○土井構成員
 是非、今後もその土壌を風土をいかしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
○今村主査
 ありがとうございます。11時半が終了予定なのですが、是非、一言言っておきたいことがありましたら、あと、お一人ぐらいですが、どうでしょうか。
 
○宮崎構成員
 御説明ありがとうございます。高齢者雇用のところですが、参考までに、プランナー、アドバイザーの数が、大体、現在は何人ぐらいいらっしゃるのかを教えていただきたいということと、提案していくという形ですと、なかなかこれは大変だと思っていまして、これは個人的な意見ですが、是非、間口を広げていく施策として、人手不足情報をどうやって吸い上げるかとか、あるいは成功事例をどうやってもっと広く伝えていくかということを検討いただければと思いまして、参考までに、提案する先を今どうやって絞っていらっしゃるのかというのを教えていただければと思います。それが1点です。
 もう一点は、本日の説明の中には特になかったのですが、障害者雇用納付金に関して、要は、資料の納付金と助成金の事業報告書などを見ると、徴収して何に使われているかが、事業報告書などを見ても分かりづらいところが正直あると思っています。当然、徴収することが法定されているのですが、広く理解していただくという意味では、やはり何に使われているかということを、今後、もっと情報開示を充実していただければと思います。ちょうど令和元年度から事業報告書の様式などの制度も変わってきますので、そういう意味で広く国民全体に理解を促すというところも是非、努力いただければと思います。参考までに意見としてお伝えしております。最初の質問だけ教えていただければと思います。
 
○高齢・障害・求職者雇用支援機構雇用推進・研究部長
 まずプランナー、アドバイザーの人数については、平成30年度の実績は、合計で496名で行っておりました。今年度は若干増えまして、515名で実施しています。
 それから、提案先の企業ですが、これは、厚生労働省のほうで6月1日に実施している高年齢者雇用状況報告で、65歳を過ぎて働ける制度をもっていない企業の全数、今、約12万社ありますが、12万社の中から計画的に全てアプローチして、最終的には提案をしていこうということで、制度を持っていない全企業が対象となっています。ただ、アプローチした企業の全てに提案ができるかというと、先ほど申し上げたように、今のところ3割でとどまっているという状況です。
 
○今村主査
 ありがとうございます。取りあえず大切なことと、大変なこと、重要度と難易度について議論いただきました。それ以外の項目については、特に御質問の機会を設けなかったのですが、もし何かそれ以外の項目についてありましたら、御発言いただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 先ほど、土井構成員からも指摘されましたように、非常に今回は高障求機構のプレゼンテーションが非常に変わったという印象受けます。横の広がりを大切にして、横システムをよく育てて、なおかつ、個別の対象者に柔軟に対応しようという御努力も非常によく見えたプレゼンテーションではないかと思います。どうも長い時間、ありがとうございました。
 では、最後に、法人の監事及び理事長から、年度・中期目標計画における目標の達成状況等を踏まえて、今後の法人の業務運営等についてコメントを頂ければと思います。最初に法人の監事から、続いて法人の理事長より、お願いいたします。
 
○高齢・障害・求職者雇用支援機構監事
 監事を務めております中山と申します。資料については2-4、両面刷りの1枚物になっております。本文は、2の監査の結果の所に幾つか項目が並んでおりますけれども、適正に実施されているということです。以上でございます。
 
○今村主査
 ありがとうございます。それでは、理事長からお願いいたします。
 
○高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長
 理事長の和田でございます。本日は本当に貴重な御意見、それから、御指摘いただきまして、ありがとうございます。
 去年から始まりました第4期の中期目標を定めるに当たって、前もっていろいろ議論したのですが、そのときに、当機構の果たすべき役割というのは何なのだろうかということも、結構徹底的に議論しました。例えば、人生100年時代とか、それから、障害者の雇用率が上がるとか、それから、第4次産業革命とか、こういった時代の背景を踏まえて、そういう中で高齢者、障害者、求職者のそれぞれの個々の人について、だんだん難しくなっていく中で、個々の人についてしっかりアプローチする。これは、ある意味では当然ですけれども、それに加えて、先ほどから随分議論いただきましたけれども、例えば高齢者について、これを事業主に個別にアプローチしていくというようなこと。それから、生産性向上、これについても同じように、やはり事業主に直接アプローチしていく。それから、障害者については、機構がハブになって、周りの関係機関を巻き込みながらやっていくという、機構だけで全部自分たちだけでやるというのは難しい中でも、役割が少し広がって、そういうコーディネーターだったり、それからハブだったり、こういった機能というのが必要になってくるのではないかといったことを議論しまして、皆様にも、職員の皆さんにもそういうことを訴えてきております。
 初年度が終わりまして、本当に見ていただいたとおり、お陰さまで初年度としては、まずまずのスタートが切れたなと思っています。ただ、御指摘にもありましたように、息切れしないように、あと4年間もありますので、しっかりと実績を積み上げながら、また皆様のお役に立てるような機構にしていきたいと考えております。今後とも、よろしくお願いいたします。今日は、どうもありがとうございました。
 
○今村主査
 どうもありがとうございました。ただいまの御発言内容について、御意見、御質問等がありましたら、お願いいたします。よろしいですか。
以上で、本日の議事を終了いたします。最後に事務局からお願いします。
 
○政策評価官
 先生方におかれましては、大変有益なコメント、質問等を頂きまして、どうもありがとうございました。時間が目一杯になってしまいまして、構成員の先生方におかれましては、言い足りないといったこともあるかと思いますので、そういった点については、追って私ども事務局の政策評価官室にメール等でお伝えいただければ所管課と法人のほうに伝えさせていただくという取扱いをさせていただきたいと思いますので、引き続き、こちらのほうも積極的にお願いできればと思います。
 
○政策評価官室長補佐
 それでは、今後の流れについて御連絡いたします。本日御議論いただいた高齢・障害・求職者雇用支援機構の「平成30年度業務実績評価」については、この後、本WGにおける御意見や法人の監事及び理事長のコメント等を踏まえまして、厚生労働大臣による評価を決定し、法人及び独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに、公表いたします。決定したそれぞれの内容については、後日、構成員の皆様にもお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。
 最後に、構成員の皆様におかれましては、本日、配布した資料の送付を御希望される場合は、机上にそのままにして御退席いただけますよう、お願いいたします。事務局からは以上でございます。
 
○今村主査
 それでは、本日は、これで終了とさせていただきます。蒸し暑い中、非常に熱い議論をありがとうございます。言い足りなかった方は多分いらっしゃると思いますので、是非、事務局に直接お申し出いただきたいと思います。機構がこれだけ変わるというのは、私は非常に興味があることでして、シンポホールとか、イスラエルにイノベーションシステムを見に行って、日本の新卒一括採用がなくならない限り、日本にはイノベーションは起こらないという指摘を受けて、そういう縦割りの組織がどうやって変わっていくのかというのが非常に興味がある話で、また是非、お話を聞かせていただければと思います。今日は、ありがとうございました。どうもお疲れさまでした。
 
(了)