第4回精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会議事録

日時

令和元年6月28日(金)10:00~12:00

場所

TKP赤坂駅カンファレンスセンター 14A(14階)

議題

1.精神保健福祉士の養成課程における教育内容等の見直しについて
2.その他

議事


○溝口室長補佐 定刻より若干早いですが、皆様お揃いですので、ただ今より第4回「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」を開催いたします。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただき、誠にありがとうございます。
本検討会は公開ですが、撮影は審議前の頭撮りまでとさせていただきます。
また、傍聴される方につきましては、留意事項の遵守をお願いいたします。
初めに、本検討会の開会に当たり、橋本障害保健福祉部長より御挨拶申し上げます。
○橋本部長 おはようございます。部長の橋本でございます。本日は、皆様方、大変お忙しい中を、本検討会のためにお集まりいただきまして、本当にありがとうございます。
また、日ごろより、私どもの精神保健福祉行政に対しまして、格別の御理解と御尽力を賜っておりますことに対しまして、重ねて御礼を申し上げたいと思います。
御承知のとおり、前回3月に開かれました検討会におきまして、中間報告書の取りまとめをいただいたわけでございますけれども、その後、ワーキンググループを設置いたしまして、このワーキンググループの場で中間報告書等に沿った具体的な議論を重ねてきていただいたわけでございます。ワーキンググループの先生方の大変な御努力のおかげをもちまして、ワーキンググループとしてのお取りまとめをいただいたという段階に至りました。
本日は、社会福祉士養成課程との共通科目の調整ということも含めまして、精神保健福祉士の養成課程における教育内容等の見直しにつきまして、ワーキンググループで取りまとめた内容についてお諮りをさせていただきたいと思っております。
詳細につきましては、この後、事務局と、それからワーキングでの取りまとめに御尽力をいただきました田村座長のほうから御報告をいただきたいと思いますが、本検討会の目的であります新しい状況に的確に対応できる人材の育成ということに向けまして、より充実したものとなりますよう、皆様方から本日も忌憚のない御意見をいただきますよう、よろしくお願い申し上げて冒頭の私の挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○溝口室長補佐 次に、委員の出欠状況の報告をさせていただきます。
本日は、鹿島構成員、中島構成員から欠席との御連絡をいただいております。
また、関係部局より社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室がオブザーバー参加をさせていただいております。
また、厚生労働省が行う審議会の会議についてはペーパレス会議が推奨されておりますので、本検討会からペーパレス会議として実施させていただきますので、よろしくお願いいたします。皆様の目の前にありますiPadを使い本日は会議を進行させていただきます。
操作説明につきましては、お手元に「ペーパレス審議会タブレット操作説明書」という青いプリントを置かせていただいております。また、画面上は既に動かせるようにしておりますが、本タブレットを使いタッチパネルを押していただければ使用できるようになっておりますので、よろしくお願いいたします。
細かな操作内容を説明させていただきますと、画面を1回タッチすると資料が表示されます。あとは、他の資料を表示する場合は再度、左上の「マイプライベートファイル」というところを1回タッチしていただけますと戻る、という形です。
タブレットの説明につきましては簡単ではございますが、以上です。御不明な点等ございましたら、適宜、事務局がサポートさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
撮影につきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いします。
それでは、以降の進行につきましては樋口座長にお願いいたします。
○樋口座長 皆さん、おはようございます。
それでは、本日の議題に早速入りたいと思います。初めに、事務局のほうから資料の確認をお願いします。
○溝口室長補佐 先ほどお話ししました資料につきましては、iPadの中に入ってございます。iPadの画面を見ながらの御確認をさせていただきます。
まず、00ということで、議事次第、座席表、あとは日程表、04で委員名簿というのが入ってございます。
それから、資料1、本日の議題である「精神保健福祉士の養成課程における教育内容等の見直しについて」。
資料2は、カリキュラム(案)。
参考資料としまして、参考法令等がございます。
資料の抜けや漏れがございましたら、事務局までお申しつけください。
机上配付としましては、「社会福祉士養成課程における教育内容等の見直しについて(未定稿)」というパワーポイントの資料が1つ。
あとは、「社会福祉士養成課程のカリキュラム(案)(未定稿)」、合わせて2つの資料を机上配付してございます。
事務局からは以上でございますが、資料に過不足等がございましたらお申しつけください。
○樋口座長 ありがとうございました。画面のほうは、大丈夫ですか。
それでは、議事の1、「精神保健福祉士の養成課程における教育内容等の見直しについて」に入ってまいります。
議事の進め方でありますが、これまでと同様、事務局から資料説明をいただいた後に構成員の皆様から御意見をいただいて、議論を進めていくという形でお願いしたいと思います。
では、お願いいたします。
○得津課長 まず、事務局から御説明をさせていただきます。
資料1をごらんいただきたいと思います。スクロールアップをしていただいて、資料の1ページをごらんいただければと思いますが、こちらのほうは精神保健福祉士養成課程の教育内容の「見直しの背景」、それから「見直しの方向性」、スケジュール、こういったものを記しておりますけれども、これはこれまで説明してきたとおりでございます。
続きまして、スライド番号2になりますけれども、スライドの下に小さな数字で2と入っているページをごらんいただければと思います。これが今回、精神保健福祉士の養成課程の教育の見直しの案として、左側が現行、右側が今回の見直しの案という形になってございます。皆様方には、ワーキンググループの4回までの概要につきましては前回の検討会でお伝えをしておりますけれども、その後、ワーキングで議論してきたものを社会福祉士側の事務局と社会福祉士のカリキュラムの見直しの議論の内容等を踏まえて調整を行いつつ、5回~8回までのワーキングで議論を進めたという形になっております。
後ほど、田村ワーキング座長から御説明があるかと思いますけれども、2ページのとおりになっておりまして、一般養成課程につきましては1,200時間と変更はございませんが、現行の科目をこれまでの議論等を踏まえて分割、統合等行って新しく構成をしております。
2ページに書いてございます矢印につきましては、下の「※」の注書きにもありますけれども、代表的なもののみ矢印をつけてございます。
それから、短期養成のところにつきましては720時間が750時間というような変更になります。
次の3ページになりますけれども、こちらのほうは「通信課程における教育内容の見直し」ということで、左側が現行、右側が今回の見直し案の時間になるということでございます。
続きまして、4ページをごらんいただきたいと思います。ここから主な見直し事項ということで、幾つかスライドに基づきまして御説明をさせていただきますけれども、「養成カリキュラムの内容の充実」として幾つかございます。
1つは〔精神保健福祉士養成の中核を成す科目の創設〕ということで、「精神保健福祉の原理」という新たな科目を60時間設けてございます。
これにつきましてはスライドのほうにも書いてございますけれども、精神保健福祉士の理念、それから視点、関係性など、基礎的な枠組みを習得し、精神保健福祉士の存在意義や役割を理解するということを目的として、「精神保健福祉の原理」という科目を創設したということになっております。
それから、4ページの中段になりますけれども、〔精神保健福祉士の役割の変化に応じた科目の創設〕ということで、2つございまして、「刑事司法と福祉」というものを新たに科目として設けているということでございます。
また、この「刑事司法と福祉」につきましては、社会福祉士側の科目にもございまして、共通科目として創設をしたというようになってございます。
それから、「地域福祉と包括的支援体制」ということで、これも創設をしておりまして、60時間という時間数で設定をしてございます。これもスライドのほうに書いてございますけれども、地域福祉の展開過程、それから福祉行財政等の知識を基礎とした上で、地域共生社会の実現を推進する中で求められる役割を理解して、必要とされる知識を習得するための科目として創設をしたというようになってございます。
それから、〔精神障害者の保健及び福祉に関する指定科目、基礎科目の必修化〕というものがございます。ソーシャルワーク専門職のグローバル定義に基づき、ソーシャルワークの原理やソーシャルワークの基盤等がありますけれども、ソーシャルワークの基盤には医学、心理学、社会学というものが含まれているということでございます。
こういったことを踏まえて、現行では3科目のうち1科目を履修というようにされてございますけれども、見直し後は医学概論、心理学と心理的支援、社会学と社会システムというような3科目について必修とさせていただきます。
養成する学校において、この3科目については既に教育が行われているということと、それから国家試験でもこの分野から必ず出題されているということで、ワーキングでの議論を経てこのような形にさせていただいたということでございます。
続きまして、5ページをごらんいただければと思います。こちらは、「養成カリキュラム内容の充実」の続きになりますけれども、〔ソーシャルワーク技術を学ぶ科目の再構築〕というような形で幾つか書いてございます。ソーシャルワークの専門職である精神保健福祉士と社会福祉士につきましては、ソーシャルワークの基礎的な部分につきましては共通な部分があり、共通化、再構築を行ってございます。
表がございますけれども、黄色で示して更に赤で囲った枠がありますが、そこが社会福祉士と精神保健福祉士の共通的な共通基盤として位置づけられるものでございまして、そういった形で現行の14番、19番の科目を共通化しているということと、それから15番、16番の中に含まれている部分につきまして、「ソーシャルワークの理論と方法」という部分を抜き出して、ソーシャルワークの共通基盤的な部分がありますので、こちらも社会福祉士と共通化をしたという形になってございます。
それから、ソーシャルワーク技術とは別に、精神障害リハビリテーションに関する科目というものが、見直し後の17番にありますけれども、こちらは新たに創設をしております。こちらは、精神障害リハビリテーションの動向を踏まえて、依存症や当事者等を主体としたリハビリテーションを含めるなど、教育の内容の充実を図るということで、設けているということになります。
それから、精神障害者につきましては就労支援も重要な項目になります。
5ページの下段のほうになりますけれども、「精神障害者福祉」「精神障害者リハビリテーション論」「精神保健福祉制度論」の中で当該内容を充実するようにしております。
続きまして、6ページをごらんいただければと思います。科目の再編、再構築ということで幾つかございますけれども、まず1つ目は〔「低所得者に対する支援と生活保護制度」の再編成〕ということでございます。左側に現行の科目がございますけれども、こちらの科目につきましては重要な科目であるということは変わりないのですが、メンタルヘルスを切り口として支援をする必要があるということから、必要な知識、技術を習得できるように当該科目の教育内容を整理させていただいたということになります。
主には見直し案のところにありますけれども、6番と18番と19番、こちらにこれまであった要素を分割してそれぞれに入れ込んでおります。特に制度的なものについては、「社会保障」で60時間の中で学ぶという形に整理をさせていただいたところでございます。
それから「保健医療サービス」という科目につきましても再編成をさせていただきました。効果的・効率的な教育を可能とするとともに、学習内容の重複による学生との負担の軽減を図るという観点で、6番、11番、16番という新しい科目の中にそういった要素を溶け込ませているということでございます。
続きまして、7ページになりますけれども、「共通科目の充実」ということでございまして、これまでと重複はしますが、ソーシャルワークの専門職である精神保健福祉士と社会福祉士の養成課程において、相互に資格を取得することを希望する者の負担軽減を図るということで、それぞれの専門性に留意しつつ、共通となる課目数、時間数を拡充という形にしてございます。
左側が現行の共通科目、11科目、420時間でございますけれども、見直し後につきましては13科目、510時間というような形で変更をさせていただきました。
このような形で、学生の負担の軽減が図れる形になるわけでございます。
続きまして、8ページをごらんいただきたいと思います。「実習・演習の充実」というところで〔ソーシャルワーク技術を学ぶ科目の再構築〕でございます。先に説明した内容と重複しますけれども、「精神保健福祉援助演習(基礎)」というものを「ソーシャルワーク演習」として社会福祉士側と共通化をさせていただいたというところでございます。
それから、中段には〔実習時間の免除の実施〕ということでございますけれども、精神保健福祉士の資格を有する者が社会福祉士の養成課程において実習を行う場合、社会福祉士の職を希望する者の負担軽減を図るため、60時間を上限として実習を免除できるようにさせていただいたというのがございます。
それから、8ページの一番下の箱にありますけれども、「実習施設の範囲の見直し」というところでございます。精神保健福祉士の配置・就労状況、こういったものを踏まえて実習施設の範囲の拡充をするということでワーキングのほうでも御議論いただきました。
〔新たに実習施設の範囲に含まれる施設等の例〕として、赤字で書いてありますけれども、地域包括支援センター等を追記させていただくという形で案を考えてございます。
9ページには、指定施設、実務経験ということで書いてございます。こちらのほうも現行で抜け落ちていると思われている点につきまして赤字で記してありますけれども、こういったものも追記をさせていただきました。10ページも同様になってございますが、赤字の部分は社会福祉士のほうでは既に対応しているわけでございますけれども、精神保健福祉士のほうではこういった具体的な記述がありませんでしたので、そろえるような形でさせていただければということでございます。
11ページにつきましては、高齢者施設等の取り扱いということでございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、地域包括支援センターというものを今回つけ加えたいという案にさせていただいております。
下段の表には、有料老人ホームからサービス付高齢者向け住宅というような形で指定施設、それから実務経験が書いてございます。これは、社会福祉士側は対応しておりますけれども、今回精神保健福祉士をどうするかというふうな議論をワーキングのほうでさせていただいたところであります。
一番上の四角に書いてございますけれども、一律に高齢者施設を認めることについては慎重であるべきという意見もあって、結果的に地域包括支援センターを今回加えさせていただければということでございます。
それから、12ページは「実習先施設と指定施設の比較」を表にしたものでございますけれども、こちらにつきましてもバランスを欠く部分がありましたので、赤字に記したものを今回取り入れる形で整理をさせていただくというようにしております。
それから、13ページでございますけれども、中間報告の中では、実習演習を担当する教員について、対策を検討する必要があるというふうな形でおまとめいただいたところでございます。
今回、このことについてワーキングで議論をさせていただいたところでありますけれども、2つ目の「○」にあるとおり、精神保健福祉士として相談援助経験5年以上で、かつ精神保健福祉士実習演習担当教員講習会を受講した者とすることと、講習会を5年ごとの更新制にするということの提案をさせていただいたところであります。しかし、3つ目の「○」にあるように、新たな教員の確保を必要とする場合がある等、全ての養成施設が対応できるかについて懸念があるということとか、更新制とした場合に教員数が少ない施設においては更新できないことが生じる懸念があるといった意見があったということから、4つ目の「○」にあるとおり、「精神保健福祉士として相談援助経験5年以上で、かつ、講習会を受講した者」、それから「講習会については5年ごとに受講するということ」、こういったことを望ましいというような形で運用してはどうかという形でワーキングのほうではおまとめいただいたということであります。このことについてもこの検討会でも御意見をいただければと思っております。
それから、14ページにはスケジュールとして記させていただきましたけれども、今回この検討会でカリキュラムのほうを御承認といいますか、御了解いただければ、これから周知等々を進めて、あわせて準備を進めていくことを考えております。
特にパブコメをするということになりますけれども、そういったことを1年半ぐらいの期間を置いて進めていきたいという形で考えており、令和3年度から新しいカリキュラムの導入に入れればということでございます。国家試験につきましては、令和6年度からということになります。実際は令和7年の2月の実施から、新たな国家試験に新しいカリキュラムに基づいた試験問題という形になればと考えているところでございます。
それから、15ページにはこれまでの検討会の経緯等を記してございます。
資料の説明は以上になりますが、追加の御説明になりますけれども、前回おまとめいただきました中間報告につきましては、6月24日の社会保障審議会の障害者部会で御説明をさせていただきました。この中間報告につきましても、いろいろ御意見を頂戴したところでございますので、御紹介をさせていただきます。
多職種連携に加えて、ピアサポーターについて学んでほしいという御意見。
卒後教育が重要であるという御意見。
家族と社会の関係性を重視した内容を考慮してほしい。
地域社会の資源を活用できる人材を輩出してほしい。
地域の社会資源とのつながりが希薄であるとの指摘もある。
社会資源との連携の役割に期待したい。
実践的な知識はあるが、精神保健福祉士に関する歴史的な経緯といった根底になるものが押さえられていない。
歴史的な経緯とともに、人権問題も含めた教育内容も考慮してほしい。
医学的な知識も重要であるが、当事者の理解や支援をするような教育をしてほしい。
これらの御意見が社会保障審議会障害者部会でございました。
後ほど、田村ワーキンググループ座長からも御説明があるかと思いますけれども、こういった意見にもほとんど対応できていると考えておりますので、先生方につきましてもこういった意見があったということをお伝えさせていただきます。
事務局からの説明は、以上でございます。
○樋口座長 ありがとうございました。
引き続きまして今回の資料1及び資料2をまとめるに当たって、短い期間に前回の検討会からワーキンググループを4回にわたって開催をしていただき、内容の調整についても大変精力的に議論をしていただきました。
ワーキンググループで議論された意見や、取りまとめられた内容につきまして、この後、ワーキンググループ座長の田村構成員から報告をしていただきます。よろしくお願いいたします。
○田村構成員 それでは、御報告させていただきます。
お手元の資料を適宜参照していただければと思います。
先ほど得津課長からも御説明がありましたように、ワーキンググループでは年度末まで精神保健福祉士の養成のあり方に関して集中的に検討してまいりました。新年度に入りまして、先行していた社会福祉士のカリキュラム案との調整を厚生労働省内ではかなり丁寧にしていただいたと思っております。また、ワーキングの座長同士の協議の場なども設置していただきまして、非常に御配慮いただいたことにも感謝しております。ありがとうございました。
ワーキングでは、自由に討議をさせていただきましたけれども、まず昨年度末の中間報告でも示されて、きょうの資料の1にも載っていますが、精神保健福祉士が現在働いている現場でさまざまな問題が生じているということについて再確認をいたしました。もとからの課題になっています精神科、長期在院の傾向がなかなか解決できていないことや、認知症、あるいは高齢の精神障害者がふえているという現実もあります。
それから、貧困や格差が拡大する社会において、地域の支え合いが希薄化しているという指摘ですとか、それに関連して8050問題への対応が求められていること、あるいはアディクションに関連する問題などでも多様な支援を要する方々がふえていることも挙げられています。
そういった中で、特にメンタルヘルスの課題を持つ人がふえ、あるいは精神疾患や障害も多様性が増しているということを私たちは再認識いたしました。
それから、犯罪の被害者や加害者に対する支援において刑事司法との連携が重要になっていること、あるいはもとよりそうですが、精神科医療や障害者福祉に関係する、また高齢者介護に関係する方々との多職種連携も今まで以上に求められていることを確認いたしました。
こういう中で、多様な課題を別々の科目で学ぶことでは、結局それを結びつけて実践する力を育てることができていないのではないか。シームレスな教育になっていないのではないかということをもう一度確認した中で、どうやったらソーシャルワーカーとして応用力のある人を育てることができるのか。そういうことについて考えてまいりました。
今回の科目名称に幾つか「ソーシャルワーク」という用語が入っていますが、このソーシャルワークという言葉を科目名に用いることによって、人や社会への働きかけを精神保健福祉士がする上で、相談に来る人を待って、そして丁寧な援助や支援をすることに加えて、アウトリーチをして課題を発見することや、制度あるいは社会を変える、または足りない資源を新たに生み出していく開発といったことを通して、誰もが共生できる社会をつくっていける、そういう役割が求められている精神保健福祉士であるという認識が根底にあります。その役割を果たせるように教育しなければいけないと考えました。
ただ、一方で、精神保健福祉士の前身である精神医学ソーシャルワーカーがずっと支援の対象としてきた精神障害者の方々は、社会的な排除の対象にもなり、また、入院に目を向けますと、非自発的入院制度のもとで各種の人権侵害に遭ってきた歴史も踏まえなければいけません。それらの歴史的な経緯を踏まえながら、この先、実践力のある人たちを育てていけるような、そういうカリキュラムを検討したいというふうにまず確認をしました。
ことしの1月からカリキュラムの検討をワーキングでさせていただき、中間報告にも入れていただきましたように、精神保健福祉士に求められる役割を整理し、コアコンピテンシーを明確化しました。その上で、養成課程において基軸となる教育目標を明確化して、カリキュラム案を検討いたしました。その概要については、中間報告に掲げられているとおりです。
実際の科目数や履修時間数をふやすことよりも、重複している内容については整理、統合すること、そして精神保健福祉士の真価や理念、責務など、学生の皆さんに、基盤となる部分について染み渡るようにきちんと学習し、卒後の研さんの中でそれらが開花していけるような、そういう基盤をつくるということに主眼を置きたいと考えました。
検討の過程の中についてご報告します。今回初めてかと思いますが、共通科目とされている部分に関しても当ワーキングで検討させていただきました。そのプロセスにおいては、精神保健福祉士の養成に必要な教育内容が何なのかということを真摯に議論してきております。それをどこの科目に盛り込むのが適当かを考えた結果として、今、資料1の2ページにお示しいただいているような新しい科目構成になりました。
特に、この中でもソーシャルワーカーとして共通に必要な学習に関しては、社会福祉士と共通化することが望ましいと考えました。そのことによって、社会福祉士のカリキュラム案との調整を厚生労働省の中で中心的に行っていただいたしだいです。
「医学概論」「心理学と心理的支援」「社会学と社会システム」「社会福祉の原理と政策」「地域福祉と包括的支援体制」「社会保障」「障害者福祉」「権利擁護を支える法制度」「刑事司法と福祉」「社会福祉調査の基礎」、それから下のほうにいきまして「ソーシャルワークの基盤と専門職」「ソーシャルワークの理論と方法」、さらに「ソーシャルワーク演習」、これらに関しては共通科目化する提案に至っております。
それから、現在のカリキュラムの中では一部、分野別の学びという部分もあります。例えば、「低所得者に対する支援と生活保護制度」や「保健医療サービス」などに関してはその特定の分野についての支援ないしは法律制度等を学ぶ科目になっていましたが、多様化していくさまざまな福祉課題をそれぞれ分野別の科目にしていくと、際限なく科目が増えてしまうことから、今回そういった分野別の科目を設けるよりも、メンタルヘルス課題の切り口、あるいは精神保健福祉の切り口から学習する科目構成に変える形とさせました。そのうえで、「精神保健福祉制度論」、「ソーシャルワークの理論と方法」、そして「ソーシャルワーク演習(専門)」のところでこれらを統合させて理解できるような、そういう数え方に変えていく提案をさせていただいております。
ですので、先ほど得津課長から御紹介いただきましたように、資料の6ページにありますように、「低所得者に対する支援と生活保護制度」や「保健医療サービス」などに関しては、右側に書いてある科目に溶け込ませる形で、より精神保健福祉士にとって必要な部分を強調しながら学んでいく編成になっております。
今回のカリキュラムの改正の中では、もう一つソーシャルワーカーに求められる役割として、社会資源の開発ですとか、あるいは共生社会をつくり出していくというような創造的な仕事が必要になっていることを踏まえ、例えば法制度に関して正しい知識を学ぶことに加えて、その法や制度が及ぼす弊害についても考えたり、またメンタルヘルス課題への対応について意識する中で、法制度を批判的に捉え直し、不足を補うとか、変えていくといった考え方を育めるようにしたいと考えました。
そのために、社会福祉の思想の歴史的な変遷ですとか、法制度がどのような背景をもってつくられてきたかという意味を考えて、この先は自分たちがどういう役割を果たしていったらいいのかということについて、履修する学生が一人ずつ考えられるような科目になっていってほしいと願っているところです。
また、この資料の前のほうで「精神保健福祉の原理」という科目が4ページの一番上にありますけれども、精神保健福祉士養成の中核をなす科目として創設する提案をさせていただいております。この科目の中では、精神医療と精神保健福祉の歴史、精神疾患や障害のある人への処遇の歴史とそれに対する問題意識、精神障害者へのかかわりについて精神医学ソーシャルワーカーがその支援の価値を構築してきた歴史、そして現在の精神保健福祉士の倫理綱領に基づく職業上の責任を含めた価値観、また現在の精神障害者や精神障害のある人と家族の方々を取り巻く現状についての理解、これらを関連づけて学ぶことが望ましいと考えて創設しています。
この科目を中心に学ぶことによって、精神保健福祉士のアイデンティティーの基盤をつくりたいと考えました。
ただ、この基盤をつくるということにおいては、人の命とか、個人の尊厳に対する人権意識をきちんと醸成し、また人間の心と体に関して理解することや、社会の構造、仕組みなどを読み解いて理解していく力、それからクライアント一人一人に寄り添っていく心、そういうものが育っていくことが必要になります。
そのために、先ほども得津課長から御説明がありましたけれども、心理学、医学、社会学に関しても1科目のみということではなくて、いずれも学ぶ必要があるだろうと考えた次第です。
それから、「ソーシャルワークの理論と方法」に関しても、ソーシャルワークとして学ぶ基本的な部分もありますし、精神保健福祉士は精神科医療機関、あるいは介護領域やその他の福祉領域ともかなり協働、連携しながら仕事をしていくなかで、多職種が協働する「精神障害リハビリテーション」と、ソーシャルワークの技術に関しては、非常に近く重複するところもありますけれども分けて学ぶ必要があることを踏まえまして、「精神障害リハビリテーション論」という科目を立てることになっております。
ここで、精神保健福祉士がコアに果たすべき役割と、多職種の業務を理解して連携する部分を分けて学び考えることを重視しました。
その上で、多職種との連携、協働に関しては、「ソーシャルワーク演習」の専門で統合させながら、より実践的に学ぶことを目指したいと考えております。
教員が教育力をつける必要性について、カリキュラムを検討する中で非常に重要だということをワーキングの中では再認識いたしました。特に、一つ一つの講義科目を演習の中で統合させて考えることができるようにするためには、講義科目においても実践力につなげていけるようなテキストがつくられ、教授法がなされる必要があるかと思います。
そのために、教員の要件についても見直しを図る必要があるのではないかということで協議をさせていただきまして、教育力というものを恒常的に強めるような努力を重視し、更新制のような形で教員の講習会を実施してはどうか、それを教員要件にしてはどうかという意見を挙げさせていただきました。
もちろん、これによってかえって教員をする人が減ってしまって、養成しづらくなる事態は望んでおりませんので、現実に可能性のあるところで教育力を高める努力を一人一人の教員が行っていけるような仕組みを提案できればと考えました。
また、従来言われていますように、講義と演習、そして実習指導と現場実習、この連続性の重要性は自覚されているところですけれども、実習を終えた後にもう一度演習で統合させて学ぶことによって、実践力がよりつくのではないかということから、精神保健福祉の専門の演習に関しては時間をふやして強化したということになります。
資料2のカリキュラム案をごらんいただければと思います。この場では時間もございませんので、全てを御説明することは控えさせていただきますが、開けるかどうかを確認したほうがいいですか。
○樋口座長 資料2を出していただきたいのですが、大丈夫でしょうか。
大丈夫ですね。
○田村構成員 1ページにありますように、科目は実習、演習、実習指導も含めまして全部で22でございます。
例えば「医学概論」のところを見ていただきますと、まず「ねらい」と(目標)があって、その下に「教育に含むべき事項」が大きく一番左側に掲げられていて、その中に「想定される教育内容の例」としてさまざまな用語が挙がっています。それ以外に私たちのワーキングでは各科目についてこの科目を学ぶ意義とか、目的がどういったところにあるかということについても整理いたしました。それは、この資料の中には入っていないものですけれども、口頭で御報告というか、御紹介をさせていただこうと思います。
大きい4番の「社会福祉の原理と政策」という科目です。これは、社会福祉の成り立ちとか、その発展の過程を歴史的にきちんと学ぶということ、社会福祉とは何なのか、何を目指してきたのか。そういったことの本質を理解することを、まず主眼に置いています。その上で、社会福祉を運営する、実際の福祉政策を捉えていく目線も育てていきたいと考えたわけです。
精神保健福祉士にしても、社会福祉士にしても、社会福祉の視点に立って時代を読み解くこと、社会を捉え直すということ、その上で今後の方向性を描けるような、そういう教育がこの科目によって行われることが望ましいと考えています。
次の「地域福祉と包括的支援体制」ですが、ここは地域共生社会を創出していくことがソーシャルワーカーに求められている、あるいはソーシャルワーク機能を果たす人々が求められているという国の認識のもとに、精神保健福祉士はソーシャルワーク専門職ですので、この役割を果たしていくことの意義を再確認し、こういった科目が必要だろうということで創設しています。従来、「地域福祉の理論と方法」として学んできたものにもう少し厚みを持たせた内容になっております。
なお、地域にどう働きかけていくかといった具体の方法に関しては、「ソーシャルワークの理論と方法」「ソーシャルワーク演習(専門)」で実践的に学ぶことを想定し、ここではむしろ地域福祉の考え方ですとか、それを実践する体制がどういうものになっているかということについて、理論をきちんと学ぶ科目と位置づけました。
めくっていただいて、7番の「障害者福祉」です。この科目に関しては、中間報告のときには共通科目として障害者福祉論を置いたほうがいいか、それとも精神保健福祉士に関しては「精神保健福祉の原理」、あるいは「精神保健福祉制度論」などで学ぶことができるので、共通としなくてもいいのかということで御意見を頂戴したのですけれども、その後、今、三障害一元化を踏まえて、地域ではどの障害がある方々に関しても、または現在障害者福祉法に規定されていないけれども、現に障害のある方々に対しても支援をする必要性があることを踏まえ、またそれは社会福祉士も同様であるということを踏まえまして、共通の科目として障害者福祉の科目を置くことにしました。
この科目では、これまで障害者が置かれてきた状況について、障害者観のようなものの変遷と合わせて理解することや、各障害の特性を知ること、そしてその上でそれらの障害のある人々を支援するための法制度の概要を学び、支援の適切なあり方について考える科目になっています。
精神保健福祉士に関しては、障害者福祉として共通する部分についてまずここで学んだ上で、「精神保健福祉の原理」や「精神保健福祉制度論」などでさらに深めるカリキュラム構成となっています。
9番の「刑事司法と福祉」につきまして、こちらも先ほど得津課長さんから御説明いただいているのですけれども、刑事司法の領域で精神保健福祉士が果たす役割の増幅を踏まえ、これまで「更生保護制度」は社会福祉士の専門科目にあり、精神保健福祉士のほうは「精神保健福祉の制度とサービス」の中で更生保護制度について学んでいたところですが、改めて刑事司法の全体を学ぶということで新たな科目、なおかつ共通科目として立てております。
10番の「社会福祉調査の基礎」ですが、「社会調査の基礎」が今まで社会福祉士の専門科目としてあり、精神保健福祉士に関してはこちらも「精神保健福祉の制度とサービス」の中で学んでいたんですけれども、昨年度末に職能団体で行われた養成校教員対象の調査におきましても、この内容を精神保健福祉の制度とサービスの科目の中で学ぶのは、科目の構成として合わないのではないかという御意見が少し多くあったところでもあり、改めて「社会福祉調査の基礎」という科目立てになりました。
ここでは、ソーシャルワーカーが対象や関連する現象を分析的に理解できるようにしていく、そのための社会調査の基礎的な知識を学ぶことを目的としています。特にソーシャルワークというものは社会調査と密接に関連して発展してきた歴史があることを踏まえて、量的調査、また質的調査に関して学生の段階でも考えられるようにしていく。可能であれば、調査資料などについてきちんと読み解くことができ、必要に応じて実施できるようにしていくことを目指したいということで、この科目を用意しています。
11番以降、これまでにも比較的なじみのあった精神保健福祉の専門科目が並んでいますけれども、これらの一つ一つに関しても現状に合わせる形で見直しております。
12番の「現代の精神保健の課題と支援」に関しては、精神保健の課題がその年に応じてというか、時代状況に応じて変化していくところがありますので、この科目の中では随時その課題についてはアップデートする。この「想定される教育内容の例」の一番右側に関しては随時変更が予想されますけれども、特に近年、課題視されている多様なメンタルヘルス課題について学ぶことができる科目として構成をし、なおかつ単に課題がどういうものかを学ぶだけではなくて、それらに対してどういった支援のあり方が望ましいのかということについても学べる科目として現カリキュラムを多少、見直しました。
その次の「ソーシャルワークの基盤と専門職」は、今までは社会福祉士とは別々に学んでいたのですが、共通科目として改めて見直しました。そのため、教員要件として(エ)には「精神保健福祉士の資格を取得した後」と書かれているのですが、(オ)として社会福祉士の資格を取得した後、相談援助の業務に5年以上従事した経験のある方も加えられています。このように、教員要件も一部見直しました。
「精神保健福祉の原理」に関しては、先ほど御説明をしたとおりです。
次の「ソーシャルワークの理論と方法」ですが、これも社会福祉士と共通して学ぶべきソーシャルワーク理論の基本的な部分を一通り押さえる科目になっています。ですので、こちらも教員要件に(オ)で「社会福祉士の資格を取得した後」が加えられています。
16番の「ソーシャルワークの理論と方法」、こちらは専門科目になりますので、精神保健福祉士の実践により引きつける形で、ソーシャルワークの理論を踏まえて、具体的にどのような支援を展開するのかということを学ぶ科目です。こちらは、教員要件は変わっていません。
「精神障害リハビリテーション論」に関しては、先ほど御説明したとおりです。
「精神保健福祉制度論」に関しては、特に精神障害者に関連する法制度を体系的に理解する構成になっています。これまでですと「低所得者支援と生活保護制度」といった科目で学んでいたことも、生活保護と精神障害者支援というのは非常に密接な関係がありますので、それを関連させながらこの科目で学ぶことで、生活保護制度、あるいは生活困窮者自立支援制度に関しての理解を深めることを目指しています。
それから、「ソーシャルワーク演習」につきまして、この30時間の科目も社会福祉士との共通に、ソーシャルワークを実践する基本的な部分の演習の科目としています。これも、教員要件に社会福祉士の資格を持っている方が加えられています。
20番の「ソーシャルワーク演習」の専門に関してはこれまで御説明してきましたように、各講義科目を統合させる科目です。歴史や思想を踏まえ、そして各種法制度を学んだ知識を活用し、なおかつ援助技術をどのように提供するか、またはそれが拡大する精神保健福祉士の多様な職場において、それぞれの職場でどのように役割を果たせばいいかということを統合的に学べる演習科目としています。現場実習に行く前から学び始め、実習後にもさらに学ぶという息の長い科目として90時間をとっています。
実習指導と実習に関しては、主に教員要件や指導者要件について、特に見直す必要があるのではないかということで議論をしましたけれども、今後につきましてもそれぞれの従事者の方々が研さんに励むことが望ましいというふうに報告書の中で申し上げる形にできればと考えております。
長い説明になって恐縮ですが、ワーキングでの討議の説明は以上です。精神保健福祉士に関しては、資格ができる以前から精神保健福祉の領域でソーシャルワークを展開してきた人々がいますし、今も精神保健福祉士の資格を取って現場で働いている方々が多数いらっしゃり、その方々の実践的な知見を教育の中に改めて取り入れていくことが必要になるかと思います。
この検討会やワーキングは、この後、卒後の研さんについて検討することになっていくと思いますけれども、その協議を踏まえて、もう一度そこから教育のありように関しても何らかの提言ができるのではないかと考えております。
御報告は、以上となります。ありがとうございました。
○樋口座長 どうもありがとうございました。これまでの活発な議論をおまとめいただいて、大変わかりやすく説明をいただきました。
それでは、先ほどの事務局からの説明と、ただいまの田村構成員の御報告につきまして、この後、皆様から御意見を頂戴してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。1時間くらいございますので、活発な御議論をいただきたいと思います。どなたからでも、またどの部分に関してでも結構でございますので、よろしくお願いします。どうぞ。
○岩上構成員 岩上でございます。御説明ありがとうございました。非常にきめ細やかなカリキュラムをつくっていただいているのだというふうに思います。
田村さんは平然と、先行している社会福祉士のカリキュラムと合わせてとお話になっていましたが、それは今日初めて知ったことなので、やはり世の中には不思議なことがあるものだなと思います。
それはさておき、最初に厚労省のほうから説明がありました実務経験と指定施設のところで、基幹相談支援センターを位置づけておいていただけるといいかと思います。前もって確認しておけばよかったのですが、今、気がついたものですから、基幹相談センターは必ずしも指定特定、指定一般に市町村が委託するということにはなっていないので、実際にはかなり基幹相談支援センターを相談支援の中核として進めている現状がありますから、その位置づけを実習あるいは実務経験のところに入れていただく必要があると思いました。
それから、よく東京や埼玉には就業生活支援センターとは別に市町村の事業として就労支援センターというものを設けています。したがいまして、市町村が独自にやっているとしても、そこで精神保健福祉士は働いておりますので、少し何か位置づけられる方法を検討していただけるとありがたいと思います。
それで、カリキュラムについてですが、前回もお願いしたかとは思いますけれども、カリキュラムの細かい内容というよりは、よく起こり得ることは、私たちのような現場の者は学生時代に学校がもう少しきちんと教育しておいてくれればいいのにということを言うわけです。それに対して、教員の皆さんは、学校時代はよかったんだけれども、現場にいたら悪くなったと、これはよく起こり得る会話なんです。
したがいまして、何を言いたいかというと、もう現場が教育現場に教育をお任せしていく時代ではないと思っているんです。それは、先生方の力量がないとか、そういう意味ではございません。くれぐれも誤解のないように。
先生方が実習をぜひお願いしますということを依頼されて、こちらはお願いされて受けるような立場になるんですが、そこは現場側も改めて、現場が実践レベルで働ける人材を大学や専門学校の先生方にお願いをして育てていただいているんだという関係性にしていかなくちゃいけないと思うんです。お願いされてとか、大学時代は大学の責任で、働き始めたら現場の責任でということではなくて、学校時代から現場も責任を持って育てていけるんだということをしていかないと、良質な人材の確保もできませんし、育てることもできないんじゃないかと思うんですが、そのあたりをカリキュラム云々というよりも、このカリキュラムの使い方になるかとは思いますが、その辺でお考えがあれば教えていただきたいと思います。以上です。
○樋口座長 今の点につきまして、何かコメントをいただけることがありましたらどうぞ。
○田村構成員 岩上さん、御意見ありがとうございます。カリキュラムの使い方というと、ちょっとよくわからないところがありますけれども、まず教員による教え方を変えていかないといけないということはこの間も協議していたところで、特に精神保健福祉の現場の体験がないとか、接点がないという教員ももちろんこのさまざまな科目を担当することが当然あるんですね。
そういうときに現場の方々に、場合によっては大学や養成校に来ていただいて、実際のところをお話しいただくことも必要になるでしょうし、あるいは授業として現場へ出向き見学させていただくとか、実際にそこを利用されている方々とのコミュニケーションをとらせていただくとか、そういったことも必要になるだろうと思います。
それから、先ほどおっしゃったように、実習教育に関していうと、私も岩上さんとほぼ同じ発想で、学校側がお願いして、お願いする側だから余りいろいろなことは言えなくて、または受け入れる側も頼まれてしまったからやるしかない、ということではなくしていくのはすごく大事なことだと思っています。
同じように、もっとこういう人を育てていきたいという目標を定める中では、恐らくもうちょっと協議が必要なのかなと思っていて、都道府県によっては各養成校と、それから現場の集団、職能団体などが協働して実習教育について協議する場を設けていたりというお話も聞くんですけれども、どこでもやっているわけではないんです。また、各学校独自の取り組みや特定の実習先の取り組みなど、今のところは個々の取り組みに終わっているかなと思うので、この後の検討会やワーキングの協議の中では、それらをもう少し実態としてどんなものが行われているのかということについて情報を集めた上で、より確かな提言というか、こういう仕組みが望ましいのではないかということが言えるようになっていくといいかと考えています。
今の段階でワーキングとして出ている話としては、以上になります。
○樋口座長 ありがとうございました。よろしいですか。
ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。
○岡﨑構成員 私の主な関心分野である依存症関係は大分盛り込んでいただいたということで、そこの部分は大変よかったと思っているのですけれども、1点、言葉の使い方ですが、12の「現代の精神保健の課題と支援」の1の4の項目で、「生活と悪習慣」と書いてございまして、悪習慣がアディクションというふうに振ってあるんですけれども、この悪習慣という言い方は余り適切ではないのかなと思います。アディクションと振るのであれば嗜癖でありますし、やはりスティグマを排するためには悪習慣というのは臨床的にも余り使わないと思いますので、これは避けていただければと思っております。
○樋口座長 確かにそのとおりですね。
では、どうぞ。
○田村構成員 御指摘、ありがとうございます。おっしゃるとおりだなと、改めて思います。そのように持ち帰らせていただきます。
○樋口座長 ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。
○塚本構成員 1つが「刑事司法と福祉」の項目ですけれども、犯罪被害者支援というのが大きくどんと出ていますが、一方で加害者支援というような取り組みも徐々にではありますけれども、今後大きなテーマになっていくでしょうし、更生支援計画の作成とかありますので、大きく取り出していただけたらいいかと思いました。
それから、事例の見立てというところで最近余り事例性と疾病性ということを教わった学生に出会ったことはないんですけれども、多分ソーシャルワーク演習のアセスメントというところに乗ってくることでしょうが、事例例と疾病性とか、そのワードは生かしていただければいいかというふうに思いました。以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。
では、どうぞ萱間構成員。
○萱間構成員 岩上先生がこんなこともあるんだなとおっしゃったので、余りそのことには触れないほうがいいのかなと思ったんですけれども、中間報告のときからソーシャルワーカーのカリキュラムとの統合がすごく進んで、こういうふうにできるんだなと思って、すごいなと思います。それが1つです。
実習施設とか実務経験施設の中に高齢者施設を入れるということについて賛否があると書いてあったんですけれども、やはり患者さんの高齢化が進んでいて、介護保険のサービスも並行して受けられています。私どもも訪問看護でお年寄りセンターのソーシャルワーカーというのは不可欠の中心メンバーですので、地域包括支援センターが入るというのは当然のことと思いました。
多職種チームとか、インタープロフェッショナルワークについてもあちこちで触れられていて、これはとても大事なことだと思うんですけれども、16番の「ソーシャルワークの理論と方法」の科目でも触れられているのですが、そこには「チームの形態と特徴」というのがあります。資料2の52ページなんですけれども、マルチディシプリナリーチーム、インターディシプリナリーチーム、トランスディシプリナリーチームとここでは使われていて、ほかではインタープロフェッショナルとか、いろんな言い方が使われています。例えばクリニカルパスもクリティカルと言ってしまうと患者さんが重症だと誤解しちゃうからクリニカルにするとか、そういう用語のレベルで、たくさんの用語をどういう意図で使い分けていくのかということについては一貫性があってもいいのかなというふうに思いました。以上です。
○樋口座長 ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。
○柏木構成員 ワーキングの皆さんに敬意を表したいと思います。先ほど萱間先生もおっしゃったように、実習機関に地域包括支援センターが入るのは当然だということを思っているのと、地域包括支援センターの職員は本当に今の地域課題を丸ごと抱えているような機関であって、8050はもちろんのこと、それこそ子供の問題から、市町村によっては地域包括支援センターが基幹型の障害者相談支援センターと合併しているところもあるので、それこそワンストップの相談機関なんですね。私としては、精神保健福祉士はそこに専従配置してほしいと合わせて言いたいくらいのところなので、地域包括支援センターが実習機関に入ったことはとてもありがたいと思っております。
それと、感想です。貧困の問題のところをあちこちの科目に溶かし込んだという考え方自体には私は反対ではないのですが、精神障害と貧困というのは非常に密接なところがあり、例えばそれはなぜ貧困なのかといったら、就労が保障されなかった、就労のところから排除されたといったようなところも入ってきていたりするので、なかなか貧困というのを3つ挙げられている科目の中に全て盛り込むのは非常に難しいのではないかなと思います。多分教科書がかなり充実しないと教える側はとても大変なんだなと思いました。
それと、とても細かいことですけれども、36ページの「家族に関する精神保健の課題と支援」の中に、DVはDVと書かれていて、児童虐待とか高齢者虐待には「防止」というふうに入っているのは何かお考えがあってのことでしょうか。例えば、DV防止法だとか、高齢者虐待防止法だとか、児童虐待防止法のように、防止法ではなく、あえて「防止」とつけていらっしゃる意味は何かありますか。瑣末なことで申しわけないですけれども。
○樋口座長 今の点について、どなたかございますか。36ページですね。
○塩崎主査 事務局から御説明させていただきます。
こちらの児童虐待防止、それから高齢者虐待防止ということで「防止」をつけさせていただいた観点でございますけれども、昨今、虐待が起きてしまったことへの対応というところも非常に重要でございますが、一方で防止という観点も非常に重要でございますので、そういった観点も含めた意味を込めまして「防止」ということをつけさせていただいております。以上でございます。
○樋口座長 どうぞ。
○柏木構成員 つまり、予防ということを含めてという意味でおっしゃっていますか。
○塩崎主査 お見込みのとおりでございます。
○樋口座長 ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。
○岩上構成員 特にカリキュラムということではないので、また今後の検討課題にぜひ挙げておいていただきたいと、毎回繰り返している話ですが、このカリキュラムがスタートして授権するまで7年くらいかかるわけですね。
それで、この7年の間に何があるかということを考えておいていただかなくてはいけないのと、話を戻すと、やはりソーシャルワーカーとしての資格は1つであってほしいというのが出発点なわけです。ソーシャルワーカーの団体、社会福祉士や精神保健福祉士が誕生するまで皆さんにいろいろ御協力をいただいてできたわけですが、いろいろな資格をつくってもらおうとは思っていなかったわけです。ソーシャルワーカーとしては1つの資格をつくってもらおうと思っていたということが、30年来のこの間の変遷はございますが、もともとはあったということです。
それで、本来はやはり精神保健福祉士と社会福祉士の資格の在り方の検討があって、その上でカリキュラムというのはつくられるものだと思っています。ただ、そういうことでは進んでいないので、いまさらこれをひっくり返そうとは私は思っていないのですが、7年先を見据えたカリキュラムであるとするならば、10年後にはやはり資格は1つにしていく、ないしは、今回カリキュラムは相当連動性をつくっていただいて評価しているんですけれども、社会福祉士がベースになって精神保健福祉士がある。
本来は1つの資格でいいと私は思っていますけれども、法律もつくっていただいた経過がございますので、それを統合するというのはなかなか難しいのかなと思うと、少なくとも法律は残しながらも社会福祉士をベースとして精神保健福祉士をつくるという方向性で検討する機会をつくっていただきたい。
つくっていただく上で、もちろん少子化ですから、子供たちはふえるといいと思いますけれども、社会福祉士を選ぶ、精神保健福祉士を選ぶ、どちらを選ばせるかというよりは、むしろ社会福祉士の分野に入ってきていただいて、その中で選択として精神保健福祉士もあるという形にしませんと、人材確保というのが非常に難しいのではないかと思います。
もともとのソーシャルワーカーとしてのあり方からスタートはしていますけれども、現実問題として人材の確保という言葉がいいのかどうかわかりませんが、我々の分野で意気に感じて仕事をしていただく方々を育てていくためには、その検討をするということを前提としてこのカリキュラムでスタートしていただいてもいいのかなというふうに意見として持っています。以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。
先ほど冒頭に説明がありましたように、今回はこれまでのまとめで教育内容のカリキュラムの検討が行われて案ができたということで、この後、先ほど説明がありました今後のスケジュールのところにもありましたように、パブコメを経て、それから2年半先を目処に具体化されていって、その後、実際に国家試験にそれが反映されるようになるというプロセスが示されておりました。
そういう意味では、本日が一つの前段のまとめということですね。先ほどありましたように、卒後の教育等の問題はこれからさらに検討を加えていくということになりますが、前段が終わりますので、そういう意味ではきょう御発言をまだされていない構成員の方がありましたら、一言ずつでも今の内容に関して、あるいは感想的なことでも結構でございますが、いただければと思いますが、いかがでございましょうか。どうぞ。
○岡本構成員 立派なカリキュラムで感心しています。演習実習も増えていますが、評価について、非常に厳密厳格なものでレポートも「てにをは」から非常に細かく指摘していくということを他職種の実習の現場で見ているのですが、そういう細かなものではなく、もっと自由にいろんなものを見て、その感想レベルのものでも通すぐらいの穏やかさが欲しいと思います。そうしなければカリキュラムの内容が非常に密で、学生が消化不良をおこすのではないか、大変だろうと思います。
それで、萱間さんが怒るかもしれませんが、看護師のレポートの作成過程などを見ているんですけれども、ちょっと過酷になり過ぎてしまってそれで精いっぱいになってしまう。それでは何を見てきたのかわからないということになるので、精神保健福祉士の場合にはいろんなものを見て感じるところでもいいんじゃないかと思うんです。ですから、その辺をちょっと勘案してやっていただければ、これはかちかちの精神保健福祉士じゃなくて、いろんなものに適用できる柔軟な職種としての特性をそのまま残していただきたいと私は思います。以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。ほかにいかがですか。
では、岩本構成員どうぞ。
○岩本構成員 ありがとうございます。私もワーキングのメンバーでしたので、そのときにいろいろな意見を言わせていただいたのですが、今回、ワーキングの先生方でいわゆるソーシャルワークや福祉の分野ではない医学とか心理学とか社会学、法学の先生方の議論というのは非常に私たちも勉強になりました。やはりそうした基本的な学問ベースというものを学生時代に学ぶことの重要性というか、そうした学問があってソーシャルワークがどのように展開していくのかという連続性が見えたので、そうした示し方ができるカリキュラムになればいいなと思って考えてきました。
それから、今の岡本先生のお話で思ったんですけれども、今回は、実習のカリキュラムについては提案させていただいたのですが、これまでも議論のあった、例えば実習の評価表をどうするかとか、日誌の形態をどうするかとか、そこまでは議論ができなかったと思います。そこはやはり現場と協働して一つの枠組みみたいなものを考えていければいいなと思った次第です。
○樋口座長 ありがとうございました。
あとは、和気構成員、よろしければお願いします。
○和気構成員 今お話を伺っていて、やはり社会福祉士と精神保健福祉士の両方の資格というのは基本的には社会福祉学を基盤にしてソーシャルワーカーを養成するということでは共通をしているので、今、何人かの方が言われたように、両方の資格をどういった形で収れんさせていくのかというのは、中長期的な目で見ると課題になると思っています。
それで、これは学術会議などでも「提言」がされていますけれども、基本的なベースになる資格があって、その上に2階建てでそれぞれの分野が認定資格のようなものを作っていくというところにいくのかもしれませんが、現状ではかなり難しいものがあるのかもしれないと思います。
そう考えると、2つの国家資格を収れんさせていくためには、やはり共通科目をできるだけふやしていくという方向へ動いていくことが必要であろうと思っています。
最初のこの会議でお話をさせていただいたのですが、大学で教育をしていると、両方の資格を取ろうとする学生が非常に忙しい。学生らしい生活というと変ですけれども、2つの資格を取得しようとする学生は、見方によっては勉強ばかりしていて、学生らしい生活が過ごしにくい。それから、上級生になると、2つの実習に追いまくられているというようなこともあります。私は時々、本当にそれでいいのかなと思ったりすることがあります。私は、ソーシャルワーカーには何よりも「共感力」が必要であると考えていますが、そういうものを育む「人間性」を育てていくという意味では、勉強だけではなくて大学の4年間でいろいろな社会経験をするということは大事だと思います。その意味では今回かなり共通科目をふやして、カリキュラムを少し効率的にするという方向性でうまくまとめていただいているというのは高く評価されていいと思っています。これからも、大学などの養成校が、精神保健福祉士の資格をやめないように、できるだけそういう方向へ持っていっていただきたいと思っています。
もう一つ、少し話が変わるのですが、今回の実習先のところに地域包括支援センターを入れていただいたというのは非常にいいことだと思います。高齢化が進むし、文字どおり「地域包括」ということで、地域を包括的に支援していくセンターにいずれなっていくと思いますので、これ自体はとてもいいのですが、私が科学研究費などの研究費で、個人的に調査研究をしてみると、地域包括支援センターというのは随分、格差があることが分かりました。小さな職場でもありますし、地域によって、あるいは自治体によってかなり差があるという状況なので、そういうところで実習をするときに、とてもいいところに行った学生はいいのですが、余りレベルが高くないというところに行った学生は、差がついてしまうのではないかと思います。したがって、実習先をどのように評価していくのかといったことも、これから実習教育で課題になっていくでしょうし、これはある意味卒後教育でも同じ課題になるかもしれないと改めて思いました。以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。
では、伊東構成員よろしくお願いします。
○伊東構成員 私もワーキングに参加させていただいておりましたので、多くはその場で語らせていただいているところですが、本日岩上さんが言われたことを痛感しております。ワーキングでも課題は残っておりますので、今後カリキュラムの改変は10年後になるのかもしれませんが、この課題をちゃんと引き継ぐことが重要かと思っております。
それと、実習演習担当教員の要件でありますけれども、更新制が話題に出たわけですが、望ましいという形でとどまったわけです。講習会の内容が重要かと思っております。そういう意味では、ソ教連が担当教員の講習会を担っている部分もございますので、ソ教連としてもきちんとした講習会を展開するよう努力をしなければならないと思っております。
○樋口座長 ありがとうございました。ほかに、どうぞ。
○萱間構成員 実習のことで、さっき岡本先生から過酷な実習を指摘された看護でございますけれども、ちょっと文化的なこともあるかなと思っているのですが、実習指導者制度というのがございますね。看護のほうは教員だけではなくて病院に実習指導者という方を置いていただいて、研修に縛りがありまして、そういうところに行かせていただくということをしています。
やはりどうしても学生はやったことの意味がよくわからなかったり、あとはチェックリストが看護では指定規則があって、コンピテンシーのチェックリストなどもあるので、どうしてもチェック、チェックとしてしまうのですが、そういうことを目指すのではなくて、通訳といいますか、現実で起こっていることと習ったことがすぐには結びつかないということがあるので、そういう実習指導者のような、それが多分実習施設の要件ということともつながるのかなと思うんですけれども、そういう人がいると学生は教員から教わるよりもはるかにいいと思います。
○田村構成員 今も指導者はいます。
○萱間構成員 その研修制度はあるんですね。
○田村構成員 あります。
○萱間構成員 では、それで実習施設を選んでいけばいいんですね。
でも、それは現実的ではないんでしょうか。これからの課題なのでしょうか。
○樋口座長 どうぞ。
○田村構成員 今おっしゃっていただいたように、実習指導者の要件の規定があって、講習会は必須化されていて、ただ、2日間、14.5時間の講習の受講です。これも一度受講すればいいという形ですので、これに関してはこの検討会で柏木さんも、それでは弱いんじゃないかと御指摘をされていたと思いますし、先ほど岩上さんがおっしゃったように、大学側がお願いして何とか引き受けてもらうから質が悪くても仕方ないというふうにならないように、お互いに高めていかれるような取り組みは今後ますます必要だと思います。
萱間先生がおっしゃったように通訳の役割というのは本当に重要で、現場の指導者の方々にはぜひその現場で起こっていることを大学等で習ってきたことに引きつけて理解できるような、そういうスーパービジョンをしていただきたいと切望しているところなので、その力量を高めていただきたい。恐らくその力量がついていくと、現場の職員を育てる上でも当然役立つと思うので、そういう現場と養成の両方が育っていけるようなシステムがもっと必要だと考えています。ありがとうございました。
○樋口座長 全体を通していかがですか。
では、柏木構成員どうぞ。
○柏木構成員 まず、実習については以前もお話をさせてもらったと思いますけれども、実習記録が大学によってさまざまで非常に書きぶりが違っているということがあったので、それはぜひ大学、行政側のほうで共通シートみたいなものをつくっていただきたいというのが1点です。
それから、岡本先生がおっしゃったように、何を感じたのか、何を思ったのか、何を考えたのかといったところがすごくポイントになるのに、まるで小学生の日記のように、朝の何時にやってきてとか、スケジュールを羅列するようなものは要らないんじゃないかと思ったりするわけですね。ですから、そういうことを考えたような実習ノートというか、実習記録をぜひ御考案いただきたいと思います。
それと、岩上さんがおっしゃったように、私もソーシャルワーカーの統合をぜひ目指していきたいと思うと、今回共通科目をふやしていただいたのが一つのステップになったのかなとは思います。しかし一方で、千載一遇のチャンスだったけれども、あと10年も先というふうな気もしないではないので、これからぜひ卒後研修、継続研修のところで社会福祉士のチームと御一緒にそこを考えていただいて、実質的には養成の後、出てきてからの研修の中でできる限り同じような教育、同じようなソーシャルワーカーとしてのセンス、知識、技術を高めるようなやり方をしていただきたいと思っています。私は社会福祉士の検討チームにも参加させていただいたのですけれども、卒後研修の話し合いというのはこれからするんでしたか。継続研修の話とか、社士のほうはどうでしたか。
突然質問をして、すみません。
○冨原室長補佐 福祉人材確保対策室でございます。社会福祉士法のカリキュラムの見直しを行った作業チームは、厳密には3月の時点でもう任期が終わっておりますので、現時点で例えば卒後研修について国主導で何か議論するという体制にはなっておりません。そういった現場での課題といったものについては、調査研究事業で対応しているというのが現状でございます。
○樋口座長 そのほか、全体を通して御意見があればどうぞ。大体、よろしいですか。
では、どうぞ。
○岩本構成員 このスケジュールに関してなんですけれども、今回この検討会で御承認いただければ、それが公示されてパブリックコメントという流れを踏んでいくと思うんですが、そのおおよその目安と、あとはこちらのカリキュラム案の公開と、社会福祉士のカリキュラム案の公開は同時になされるのか。その辺のことを教えていただけないでしょうか。
○塩崎主査 事務局でございます。まず、こちらのパブリックコメントにつきましては、今後本検討会で御承認いただきました後、社会福祉士の養成課程との連動もございますので、社会福祉士側と同時にパブリックコメントを出させていただくことを事務局としては調整している段階でございます。
また、いつの段階でパブリックコメントをかけるのかという御質問につきましては、可及的速やかに、可能な限りなるべく早くやってまいりますので、時期の限定というところでどこまでお話しできるかというところではありますけれども、最初に事務局として御説明差し上げましたとおり周知期間が必要でございますので、そういった観点からもなるべく早くかけられるよう、尽力してまいります。よろしくお願いいたします。
○樋口座長 ほかには、いかがでしょう。全体を通して、今のスケジュールのことも含めて何かございますか。どうぞ。
○田村構成員 たびたびすみません。先ほどの協議のことと重なるのですが、資格のありように関して、今回岩上さんがびっくりしたともおっしゃったのですけれども、社会福祉士のほうは作業チームが昨年度末で終了されたということで、年度が明けてその案をもってこちらのほうで考えていた案との調整を厚労省でしていただいたんです。
その中で、きょういらっしゃっている課長さんを初め、皆さん方が相当連携をしてくださったことを感じていまして、これは恐らくソーシャルワーカーの資格の一本化を考えたり、ありようを今後一緒に検討するという土台がつくられたすごく大きなことだったのではないかと思っています。
昨年度中から今年度になって、前任者の方と今の方と少し顔ぶれも変わっているところはありますが、皆さん本当にそこは心を一つにしてよくやってくださっていたと思っておりますので、そのことをつけ加えさせていただければと思いました。
○樋口座長 ありがとうございました。
よろしいでしょうか。大体、出尽くしたようでございます。多くの御意見、御議論をいただきましてありがとうございました。全体の討論を通して、構成員のコンセンサスはほぼ得られたように思いますので、本日の議事である精神保健福祉士の養成課程に関する科目やカリキュラムの内容、指定施設や実務経験の整理案等につきましては、本検討会としてこれを了承ということにさせていただいてよろしいでしょうか。
(委員 異議なし)
○樋口座長 ありがとうございます。それでは、本議事は検討会で了承というふうにさせていただきます。
この後は、先ほど事務局から説明がありましたように、厚生労働省でパブリックコメントに諮られて、省令改正等の手続を経て、令和3年度からの新カリキュラム適用を目指して進められていくということでございます。この点も、あわせて御了承いただければと思います。
それでは、得津課長から御挨拶があるということですので、よろしくお願いいたします。
○得津課長 先生方には、本日いろいろ御意見をいただきましてありがとうございます。また、ワーキングで議論をしてまいりましたカリキュラム等につきましても、御承認いただいたことについて、改めて感謝を申し上げたいと思います。
本日は、言葉の使い方とか、そういったところの御意見がありましたので、それらにつきましては可能な限り反映して次のステップに進めたいと思っております。
それから、きょうもちょっと話が出ましたけれども、卒後教育だとか、そういったところにつきましては引き続き重要なテーマであって、先生方には引き続き検討会に御参画をしていただいて、いろいろな御意見を頂戴しながら、できることを進めてまいりたいと思っております。
予定では、ことしいっぱいくらいは検討会を引き続きできればと思ってはいますけれども、頻度につきましてはもう少し緩やかにさせていただければと思っております。
引き続き先生方にまた御協力をいただければと思いますので、お礼も含めまして会の終わりの私からの御挨拶とさせていただきます。
どうもありがとうございました。
○樋口座長 ありがとうございました。
今の話にもありましたように、本検討会はこの後も卒後教育、あるいは継続教育等について引き続き議論をしていただくということになりますけれども、本日でひと区切りということになると思います。
この間、構成員の方々を初め、特にワーキンググループの先生方、あるいは事務局の多大な御尽力に対して、私のほうからも御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
そのほか、事務局から連絡事項等はございますか。
○溝口室長補佐 ありがとうございました。次回開催につきましては、追って事務局より御連絡させていただきます。
○樋口座長 それでは、少し予定よりも時間が早いのでございますが、本日の検討会はこれにて終了したいと思います。
どうもお疲れさまでございました。ありがとうございました。