2019年5月30日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

日時

令和元年5月30日(木)16:00~

場所

厚生労働省専用第15会議室(12階)

出席者

出席委員(15名)五十音順


欠席委員(6名)  (注)◎部会長 ○部会長代理
 他参考人2名

 
行政機関出席者
 
 宮本真司(医薬・生活衛生局長)
 森和彦(大臣官房審議官)
 山本史(医薬品審査管理課長)
 関野秀人(医薬安全対策課長)
 新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
 森口裕(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
 宇津忍(独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)
 鈴木章記(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役) 他

 

議事

○医薬品審査管理課長 それでは定刻になりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開催させていただきます。本日はお忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。本日の委員の御出席ですが、浦野委員、川上委員、中野委員、南委員、山口委員、半田委員より欠席との御連絡を頂いております。また、少し御到着が遅れるとの御連絡を頂いている委員もおられますが、現在のところ当部会委員数21名のうち13名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。なお、本日は審議事項、議題5に関しまして国家公務員共済組合連合会虎の門病院の谷口修一先生、それから、議題6に関して、国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院の野口瑛美先生を参考人としてお招きしております。議題になりましたら会場に入っていただく予定としております。
続いて、部会を開始する前に事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について御報告申し上げます。今回、全ての委員の皆様より薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいております。委員の皆様には、会議の都度書面を御提出していただいており御負担をお掛けしておりますが、引き続き、何とぞ御協力、御理解を賜りますようお願い申し上げます。
それでは、清田部会長に以降の進行をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から配布資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告いただきます。よろしくお願いします。
○事務局 事務局でございます。それでは、配布資料の確認を順番にさせていただきます。本日、机上には議事次第、座席表、座席表の裏面に部会の委員名簿を配布しております。議事次第に記載されております資料1から資料10-8まではあらかじめお送りしております。会議のペーパーレス化に向けた取組として、本日の部会ではあらかじめお送りした紙資料と同様の内容の電子ファイルをタブレットに格納し、閲覧していただけるようにするとともに、机上に配布する紙資料を審議品目に係る諮問書、審査報告書及び添付文書とさせていただいております。このほか、資料11の薬事分科会における取扱い等の案を机上に配布し、また、タブレット内には資料12として専門委員リスト、資料13として競合品目・競合企業リストを格納しております。また、当日配布資料として、「過去の部会審議品目に関係した専門委員の利益相反について」も同様に格納させていただいております。タブレットの動作不良などがありましたら会議の途中でも結構ですので、事務局までお申し付けください。
続いて、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告させていただきます。資料13の1ページを御覧ください。「アジマイシン点眼液」です。本品目は結膜炎などを予定効能・効果としておりまして、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
2ページを御覧ください。「シムツーザ配合錠」です。本品目はHIV-1感染症を予定効能・効果としておりまして、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に記載しております3品目を競合品目として選定しております。
3ページを御覧ください。「ビレーズトリエアロスフィア56吸入他1規格」です。本品目はCOPDを予定効能・効果としておりまして、同様の効能・効果を有する薬剤としてこちらの品目を競合品目として選定しております。
4ページを御覧ください。「ビベスピエアロスフィア28吸入他1規格」です。本品目はCOPDを予定効能・効果としておりまして、こちらの記載の品目を競合品目として選定しております。
5ページを御覧ください。「ヴァンフリタ錠17.7mg他1規格」です。本品目は再発又は難治性のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病を予定効能・効果としておりまして、こちらに記載の品目を競合品目として選定しております。
6ページを御覧ください。「ロズリートレクカプセル100mg他1規格」です。本品目はNTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌を予定効能・効果としておりまして、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから競合品目はなしとさせていただいております。以上でございます。
○清田部会長 ただいまの事務局からの説明に特段の御意見はありますか。よろしいでしょうか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆様の御了解を頂いたものといたします。
それでは、委員からの申出状況について御報告をお願いします。
○事務局 事務局でございます。各委員からの申出状況については次のとおりです。議題1、アジマイシン、退室委員なし、議決に参加しない委員は亀田委員。議題2、シムツーザ配合錠、退室委員は菊池委員、議決に参加しない委員は亀田委員。議題3、ビレーズトリエアロスフィア、退室委員なし、議決に参加しない委員は亀田委員。議題4、ビベスピエアロスフィア、退室委員なし、議決に参加しない委員は亀田委員、長島委員。議題5、ヴァンフリタ錠、退室委員なし、議決に参加しない委員は亀田委員、清田委員、山本委員。議題6、ロズリートレクカプセル、退室委員なし、議決に参加しない委員は亀田委員、濱委員、渡辺委員となっております。また、議題7についても、各委員より寄付金・契約金等の受取りの申告を頂いておりますが、本議題は薬事分科会審議参加規程第18条の「個別の医薬品等の承認審査や安全対策に係る審議以外の審議」に該当しますので、部会後に厚生労働省のホームページ上で申告書を公開することをもって審議及び議決に加わることができるものとなっております。以上でございます。
○清田部会長 今の事務局からの説明で特段の御意見はありますでしょうか。よろしいですか。よろしければ、皆様に御確認いただいたものといたします。議題に入る前に機構から過去に本部会で審議した品目に関して御説明があります。よろしくお願いします。
○審議役 それでは、新薬の審査を担当しております私から、専門委員の利益相反について確認が不十分であった件がありましたので、その経緯と、お詫びを申し上げたいと思います。資料については当日配布資料、マイプライベートファイルの一番上にあります当日配布資料の「過去の部会審議品目に関係した専門委員の利益相反について」という資料を御覧ください。よろしいでしょうか。まず、1ポツの所に事案の概要が出ております。機構の規程上、申請企業等から500万円を超える寄付金等の受取りがあった専門委員は専門協議に参加できないというルールになっておりますが、これに抵触する事案が2件あったということです。その事案の概要ですが、(1)事案1については、今年2月ですけれども、過去にも専門委員としてお願いしている毒性の専門委員から、過去に遡って、マル1ファイザー株式会社から寄付金500万円を超える受取りがあったという報告がありました。そこでマル2の所ですが、遡って品目について調査したところ、ファイザー社が競合企業であった2つの品目、1つ目がシベクトロ錠、もう1つの品目はスマイラフ錠についてこの専門委員が参加をしていたということです。専門委員からは利益相反の問題がないと事前には報告があったのですが、参加していたことが分かったということです。これが1件目であります。
2件目は、マル1アクテムラ点滴静注ということで、今年2月に部会で御審議いただいた品目ですが、この専門協議に利益相反に問題がないということで御回答いただいていた臨床の担当の専門委員ですけれども、1名について、機構が専門協議後に行っている申請企業からの確認で500万円を超える事案があったということです。専門協議後に行っているというのは、専門委員の指名については品目ごとに行っておりますので、申請者には専門協議の前には氏名が分からないようにということで、専門協議後に企業に対する確認は行っているからです。
2ページを御覧ください。マル2の所ですが、企業による確認は専門協議後、速やかに行うということになっておりましたが、我々の作業が遅滞しておりまして、部会の審議後にその確認を行うことになってしまったということです。2ポツ目の審査結果への影響ですが、1つ目の事案については、専門協議は毒性については複数、2名で行っておりました。その意見について確認をしたところ、品目を承認するという結論に影響することはないということが確認できました。2つ目の事案ですが、臨床担当については複数、この品目は3名の臨床の先生方に御参加いただいておりました。その意見について確認をしましたけれども、承認をするということについての影響はなかったということを確認しております。しかしながらこういう事案がありましたので、改善策として3ポツ目の所ですが、昨年11月にも別の品目で臨床試験に分担医師として参加していたことが、専門委員について確認漏れがあったということがありましたので、改めて専門委員の利益相反についてということで文書を出して、専門委員の先生方に確認をお願いしております。また、こういう確認を引き続きしっかりと進めていきたいと思います。また、過去に遡ってそういうものがあった場合は、本件と同じように確認をしていきたいと思っております。
(2)の所ですが、企業からの確認についての我々の確認というのが後手に回ったことについては大変申し訳ないと思っております。やはり部会の前には必ず確認できるようにということで、その確認の手順をルール化するということ、それから、決裁においても文書としてきちんと確認することをしたいと思っております。以上でございます。大変申し訳ございませんでした。
○清田部会長 今の機構からの御説明に御意見はありますでしょうか。よろしいでしょうか。よろしければ皆様に御確認いただいたものとして議題に移ります。
本日は審議事項7議題、報告事項3議題となっております。それでは、審議事項の議題1に移ります。機構より御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、医薬品アジマイシン点眼液1%の製造販売承認の可否等について機構より御説明いたします。タブレットの資料1のフォルダを開き、審査報告書のファイルをお開きください。アジマイシン点眼液1%、(以下、「本剤」)は、マクロライド系抗菌薬であるアジスロマイシン水和物を有効成分とする点眼剤です。本申請の専門委員として資料12に記載の5名の委員を指名しました。審査内容について、臨床試験成績を中心に御説明します。
有効性について、審査報告書の通し番号22ページの上から1~4行目を御覧ください。7歳以上の細菌性結膜炎患者を対象とした臨床試験が、点眼期間7日間と設定され実施されました。治験薬投与終了時の臨床効果、著効率について基剤群と本剤群の対比較において統計学的に有意な差が認められ、基剤に対する本剤の優越性が検証されました。
次に審査報告書の通し番号28ページの表29を御覧ください。眼瞼炎、涙嚢炎及び麦粒腫の成人患者を対象とした臨床試験が、点眼期間14日間と設定されて実施されました。治験薬投与終了時の臨床効果、有効率について表の左から3列目、涙嚢炎においては低い傾向が認められておりますが、いずれの疾患においても初診時検出菌については、80%以上の被験者で投与開始後7日目以内に菌消失が認められました。以上より、成人及び7歳以上の小児の細菌性結膜炎患者並びに成人の眼瞼炎、麦粒腫及び涙嚢炎患者に対する本剤の有効性は期待できると判断しました。
安全性について、審査報告書の通し番号31ページの表32を御覧ください。国内第III相試験における安全性の概要を示しています。全体的な有害事象等の発現状況については、本剤群と基剤群とでほぼ同様でした。また、次ページの審査報告書の通し番号32ページの表34を御覧ください。非臨床試験及び海外において角膜障害関連事象が報告されていることから、国内第III相試験における角膜障害関連事象の発現状況を確認しました。いずれの症例も非重篤でしたが、本剤との因果関係が否定されない角膜障害関連事象が認められたこと、また、非臨床試験及び海外で角膜障害関連事象が報告されていることを踏まえ、角膜障害については添付文書で適切な注意喚起を行う必要があると判断しました。
以上の審査を踏まえ、機構は本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断しました。本剤は新投与経路医薬品であることから、再審査期間は6年、原体及び製剤は生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しています。薬事分科会には報告を予定しています。以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは委員の先生方から、御質問と御意見をお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。
○濱委員 添加剤のことですけれども、7ページに、この添加剤は初めて使われるという記載があります。これについての安全性のデータは一応示されていますが、例えばリスク管理計画の中にその点の注意喚起を行うとか、ユーザーに初めての添加剤であることの周知がちょっと見えにくいような気がするのですが、その点はいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘いただき、ありがとうございます。審査において新しい添加剤の安全性に懸念はないことは確認している状況ではあります。通常、新しい添加剤であることについては情報提供していないこともありまして、今回もその前例に倣い、情報提供は必要ないと考えております。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
○宗林委員 点眼薬の使い方として、一般消費者の立場からお聞きするのですが、要冷蔵で有効期限2年と添付文書はなっていますが、1回の疾病の用法・用量を見ると、とても全部が空になるような状況ではないと思います。そうすると、自宅にもらってきてから冷蔵保存はするとしても、1回の疾病が一応治まった後、また残りを入れておいたりとか、また同じような症状が出たときにまた使うことは行われるのではないかと思いますが、これは1回きりで廃棄するといったことは明記されているのでしょうか。その辺、26ページに安定性の試験をされているようですけれども、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○となっていますが、それと比べてはるかに長い期間、家庭の中での動きがあるような気がしますので、教えていただければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘いただき、ありがとうございます。本剤の残液の扱いですけれども、点眼剤が薬局で処方される際にチャック袋等に入れられて処方されることがあると思いますが、今回はチャック袋に必ず残液は捨てる旨の注意喚起を記載しております。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
○宗林委員 そうすると、1回この疾病でかかって治ったら捨ててくださいということですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい、さようでございます。
○宗林委員 分かりました。
○清田部会長 ほかにどなたか御質問はありますでしょうか。
○渡辺委員 有効性について伺います。表30でレボフロキサシンと本薬剤の比較の対比表みたいなのがありますが、大体効果的には同じぐらいだったという認識でいいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 はい。レボフロキサシンが投与された試験は細菌性結膜炎を対象とした3-01試験という試験でして、3-01試験においてレボフロキサシンは参照群として置かれているものなので、直接的に有効性を比較することはできないのですが、大体同じぐらいの有効率が示されているとデータからは判断しております。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
○大曲委員 主に添付文書の点ですが、2点ほどありまして、1つは、特に涙嚢炎等々ですけれども、あとは有害事象に関連してですが、専門委員の御議論の内容等も拝見しましたが、1つは投与期間が長くなってしまうことが有害事象としての角膜の障害につながっているようだとか、そういう議論にはなったのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 用法・用量に設定された投与期間と角膜障害の発現については、明確な関連性は認められていません。
○大曲委員 認められないということですね。
○医薬品医療機器総合機構 認められません。
○大曲委員 ありがとうございます。そうすると、もう1つは耐性菌を生まないような使い方をするということに関しても議論があったようでして、そういうことで今回のこの薬の使用期間に関しては、結膜炎だと5日間と、涙嚢炎等々だと12日間と示してあるのですが、この手の点眼液というのは、なかなか効かない場合に投与期間がどうしても長くなってしまうのがやはり1つの問題なのかなと思います。そのときは恐らく診断の付け直しとか、薬を変えるということが必要になるのだと思います。そうしないと、今回検討されていたような耐性菌のリスクというものも出てくるだろうと。正直なところ、添付文書を読むだけですと、やはり投与期間を超えて長く使ってしまうことの耐性菌を生むことに関する有害のリスクとかといったところは、ちょっと読み取りにくいなと思ったのです。ですので、これは変えられるものかどうか分かりませんし、添付文書に載せられるようなものかわかりませんが、こういう点眼薬を超えて長く使うことは耐性菌感染症等の、耐性菌の保菌なりのリスクがあるといったようなことを盛り込めると、よいのかなと感じました。意見です。
○医薬品医療機器総合機構 御意見を頂き、ありがとうございました。今後の参考にさせていただきます。
○清田部会長 いかがでしょうか。ほかに御意見はありますか。先ほどの濱先生の新規の添加物に関しての御説明は、あれでよろしいでしょうか。
○濱委員 はい、前例がなければそれでよいのですが、ユーザー側としては何に注意をしなければいけないのか、あるいは何が新しいのかという情報が公開されてもいいような気がします。
○審議役 前例という話で申し上げたのですが、添加物についても例えば感作性があるとか、そういう新規のものがあったら当然注意喚起はしなければならないと思っております。ただ、今回のものについては既に米国などでも2007年度から相当な実績があって、そのような安全性情報というか、特に注意を上げなければならないという情報は特にありませんので、そこまでの注意喚起は必要ないのかなと考えております。
○濱委員 資料の中にそのような記載は見られなくて、7ページですが、「点眼製剤においていずれも使用前例のない新添加物である」という記載があるので、もしそうであれば「国外においては使用経験がある」という情報は追記をお願いできればと思います。
○審議役 すみません、私の説明がよくありませんでした。「米国などでは同じ製剤ではなかった」ということです。そこだけ訂正させていただきます。私の説明が間違っておりました。
○濱委員 分かりました。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
○濱委員 はい、結構です。
○清田部会長 ほかに御意見、御質問はありませんでしょうか。よろしいですか。先ほどの大曲先生の御意見ですが、一応、用法・用量は決まっていて、効かなければそれ以上使うことはない感じに添付文書は書いてあります、その理解で。結局、耐性菌を生まないというので、ずっとだらだら使わないというのは大事で、ここの用法・用量の投与期間を守ってほしいという感じですね。
○大曲委員 はい、そうです、そこのところを。
○清田部会長 審議官 どうぞ。
○審議官 正しく今、大曲先生がおっしゃったことと、部会長がおっしゃったことを考えますと、添付文書の中で言うと、8の「重要な基本的注意」という所の1番目に、8.1「本剤の投与にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認すること」という、耐性菌の問題に対する注意というのが一番トップに書いてあるのですが、ここを少し文言を工夫して感受性の確認をするということとともに、「用法・用量に定める使用期間を守ること」というように書き加えるなど、工夫ができるのではないかと思いますので、検討させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○清田部会長 よろしいでしょうか。是非、よろしくお願いしたいと思います。ほかに御意見はありますでしょうか。御質問は大丈夫ですか。ありがとうございます。
それでは、議決に入ります。亀田委員におかれましては利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。
それでは、議題2に移ります。菊池委員におかれましては利益相反に関する申出に基づきまして、議題2の審議の間、別室で待機していただくことといたします。
                                 (菊池委員退室)
○清田部会長 それでは、議題2について機構から概要の御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料2、医薬品シムツーザ配合錠の製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。タブレットの資料2のフォルダを開き、審査報告書のファイルをお開きください。通し番号4ページの1.を御覧ください。シムツーザ配合錠(以下、「本剤」)は、プロテアーゼ阻害剤であるダルナビルエタノール付加物、CYP3A阻害作用を有するコビシスタット、核酸系逆転写酵素阻害剤であるエムトリシタビン及びテノホビル アラフェナミドフマル酸塩を有効成分とする配合剤です。本邦ではHIV-1感染症治療薬として、本剤の有効成分が、既にダルナビルエタノール付加物及びコビシスタットを有効成分とするプレジコビックス配合錠、エムトリシタビン及びテノホビル アラフェナミドフマル酸塩を有効成分とするデシコビ配合錠等として承認されております。
本剤の有効成分の組み合せでの臨床使用については、本邦の診療ガイドラインにおいて、HIV感染症に対する推奨レジメンの1つとされており、本剤は1日1回1錠で投与が完結する薬剤として開発されました。なお、本剤は欧米を含む5カ国で承認されています。本申請の専門委員として、資料12に記載の5名の委員を指名しました。
それでは審査内容について臨床試験成績を中心に説明いたします。有効性について、通し番号19ページ、表11を御覧ください。これまでに抗HIV薬による治療を受けたことのない、未治療の成人HIV-1感染症患者を対象とした海外第III相試験において、主要評価項目である治験薬投与開始後48週時のHIV-1RNA量が50コピー未満の被験者の割合は、本剤群91.4%、対照群88.4%であり、本剤群と対照群との群間差の95%信頼区間の下限値が、事前に設定された非劣性マージンの-10%を上回ったことから、対照レジメンに対する本剤の非劣性が検証されました。
次のページ、通し番号20ページ、表13を御覧ください。抗HIV療法によりウイルス学的抑制が得られている成人HIV-1感染症患者を対象とした海外第III相試験において、主要評価項目である治験薬投与開始後48週時におけるウイルス学的失敗例の割合は、本剤群2.5%、対照群2.1%であり、本剤群と対照群との群間差の95%信頼区間の上限値が、事前に設定された非劣性マージンの4%を下回ったことから、対照レジメンに対する本剤の非劣性が検証されました。これらの試験成績を踏まえ、未治療又は抗HIV療法によりウイルス学的抑制が得られている、HIV-1感染症患者に対する本剤の有効性は、期待できると判断いたしました。
次に安全性について、通し番号16ページ、表9を御覧ください。未治療の成人HIV-1感染症患者を対象とした海外第III相試験において、いずれかの群で発現割合が5%以上の有害事象及び副作用を示しています。続いて通し番号18ページ、表10を御覧ください。抗HIV療法によりウイルス学的抑制が得られている成人HIV-1感染症患者を対象とした海外第III相試験において、いずれかの群で発現割合が5%以上の有害事象及び副作用を示しています。これらの試験成績を踏まえ、本剤群における有害事象の発現状況は、各試験の対照群とおおむね同様であること、本剤の安全性プロファイルは、各成分で知られている安全性プロファイルと同様であることを確認し、適切な注意喚起を行った上で、本剤の安全性は許容可能であると判断しました。ただし、日本人患者に対する本剤投与時の情報は得られていないことから、本剤の安全性については、製造販売後に引き続き情報収集を行い、得られた知見は医療現場に適切に提供する必要があると考えております。
通し番号29ページを御覧ください。以上の審査を踏まえ、機構はこれらの承認条件を付した上で、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断しました。再審査期間について、本品目は新医療用配合剤ですが、本剤の有効成分の1つであるテノホビル アラフェナミドフマル酸塩を含有する「ゲンボイヤ配合錠」の残余期間である令和8年6月16日までと設定することが適切と判断しました。また、本品目は生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、製剤は劇薬に該当すると判断しました。なお、薬事分科会には報告を予定しています。以上、御審議のほど、よろしくお願いします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問、御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。
○亀田委員 2つの試験を通じて、本剤のほうで少し頭痛の割合が多いようですが、これはたまたまそうなったと思われるのか、それとも何らかの合理的な理由がありそうなのか、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 審査においては特段、何か要因があって多くなったという議論はしておりません。
○清田部会長 ほかに御質問はありますか。よろしいでしょうか。それでは、議決に入りたいと思います。なお、亀田委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。それでは、別室に待機されている菊池委員をお呼び戻しください。
                                 (菊池委員入室)
○清田部会長 それでは、議題3及び議題4に移ります。機構より概要を御説明ください。よろしくお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題3、資料3、医薬品ビレーズトリエアロスフィア56吸入他、及び議題4、資料4、ビベスピエアロスフィア28吸入他の製造販売承認の可否等について、両品目は有効成分が一部共通していること等により、並行して審査を行ったことから、併せて機構より説明いたします。資料3と資料4の審査報告書について、頭紙の部分はそれぞれビレーズトリエアロスフィアとビベスピエアロスフィアの内容で書き分けておりますが、後ろに続く別紙の部分は同一であることから、以降、資料3の審査報告書に基づき説明させていただきます。
タブレットの資料3のフォルダを開き、審査報告書のファイルをお開きください。なお、以下で審査報告書のページ数は、審査報告書のファイルの下部に青字で記載しているページを使用します。まず審査報告書の6ページを御覧ください。こちらには本申請の概略を示しております。ビベスピエアロスフィアは長時間作用性抗コリン薬(LAMA)であるグリコピロニウム臭化物(GP)及び長時間作用性β2刺激薬(LABA)であるホルモテロールフマル酸塩水和物(FF)の2成分を有効成分とする加圧式吸入エアゾール剤です。以降は有効成分名からGP/FFとします。また、販売名変更前のため、このページではトリベスピエアロスフィアと記載しておりますが、ビレーズトリエアロスフィアはGP/FFに加え、吸入ステロイド薬(ICS)であるブデソニド(BD)を有効成分とする加圧式吸入エアゾール剤です。以降は有効成分名からBD/GP/FFとします。両剤とも慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対する治療薬として、製造販売承認申請されたものです。
安定期のCOPDの薬物治療において、気管支拡張作用を有し、作用機序の異なるLAMA及びLABA、また、抗炎症作用を有するICSの併用は、臨床現場で汎用されており、両剤ともに複数の有効成分を1つの吸入器で投与でき、服薬アドヒアランスや患者の利便性の向上に寄与することを目的として開発されました。本申請の専門委員として、資料12に記載されております8名の委員を指名いたしました。
主な審査内容について、臨床試験成績を中心に説明いたします。まず、2剤配合剤であるGP/FFについて説明いたします。審査報告書42ページの表35を御覧ください。有効性につきまして、呼吸機能の低下が認められるCOPD患者を対象とした国際共同第III相試験であるPT003014試験の有効性の主要評価項目である「投与12~24週における朝のFEV1トラフ値のベースラインからの変化量」について、下から3段目にGP/FF群、GP群又はFF群とプラセボ群との対比較の結果を、また、最下段及び下から2段目に、GP/FF群とGP群又はFF群との対比較の結果を示しています。これらについて、いずれも統計学的な有意差が認められ、GP/FF群のGP群及びFF群に対する治療効果の上乗せが確認されております。
また、審査報告書43ページの上にあります表36に、日本人COPD患者の部分集団解析結果を示しております。こちらについては、全体集団における結果と同様の傾向が示されております。以上より、機構はGP/FF、ビベスピエアロスフィアのCOPDに対する有効性は示されていると判断しました。
次に安全性について説明いたします。まず審査報告書59ページの表51を御覧ください。こちらの表は、LAMA又はLABAの投与に伴って発現する可能性のある心血管事象の発現状況をまとめたものです。こちらからプラセボ群と比較し、GP/FF群でLAMA、LABAのクラスエフェクトと考えられる心血管事象が認められていることから、類薬と同様に注意喚起を行うとともに、引き続き注視していくことが適切と考えております。また、審査報告書60~62ページにおきまして、心血管系事象以外のLAMA及びLABAのクラスエフェクトとして想定される有害事象について、検討しております。この検討の結果ですが、本邦既承認の類薬を明らかに上回るリスクは認められておらず、既承認のLAMA、LABA製剤と同様の安全対策を行う必要があると考えております。
続いて3剤配合剤であるBD/GP/FFについて説明いたします。審査報告書45ページの上段にある表39を御覧ください。有効性につきまして、呼吸機能の低下が認められ、6週間以上前から安定期のCOPD管理薬として、吸入剤を2種類以上使用しているCOPD患者を対象とした国際共同第III相試験であるPT010006試験の有効性の主要評価項目である「投与12~24週における朝のFEV1トラフ値のベースラインからの変化量」について、下から2段目のBD/GP/FF群と、GP/FF群又はBD/FF群との対比較の結果、統計学的な有意差が認められ、BD/GP/FF群のGP/FF群及びBD/FF群に対する治療効果の上乗せが確認されております。
また、同じページの表40に、日本人COPD患者の部分集団解析結果を示しており、全体集団における結果と同様の傾向が示されております。以上より、機構はBD/GP/FF、ビレーズトリエアロスフィアのCOPDに対する有効性は示されていると判断しました。
次に安全性について説明いたします。まず審査報告書66ページの表60を御覧ください。表60はICSのクラスエフェクトとして想定される有害事象について、まとめております。続いて審査報告書68ページの表62を御覧ください。表62は同様に、LAMA又はLABAのクラスエフェクトとして想定される有害事象について、まとめております。いずれの結果もGP/FFを含め、本邦既承認の類薬を明らかに上回るリスクは認められておらず、既承認のICS、LAMA、LABA類薬と同様の安全対策を行うことが適切と考えております。
製造販売後の情報収集については、審査報告書79ページを御覧ください。COPD患者には、心血管系疾患のリスクが考えられる高齢者が多いこと等を踏まえ、製造販売後の調査等において、心血管系事象等の情報を収集し、新たな情報が得られた場合には、臨床現場へ適宜情報提供する必要があると判断しております。
以上の審査を踏まえ、申請効能・効果及び申請用法・用量にて、ビベスピエアロスフィア及びビレーズトリエアロスフィアを承認して差し支えないとの結論に達し、本部会にて御審議いただくことが適当と判断しました。再審査期間については、ビベスピエアロスフィア及びビレーズトリエアロスフィアは新有効成分含有医薬品及び新医療用配合剤ではありますが、新有効成分相当のGPについては、本邦のCOPD患者に対する既承認医薬品の使用経験が一定程度有することから、再審査期間は2品目とも6年とすることが適当と判断しております。また、いずれの品目も製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。
また、事前に川崎委員より御質問いただいておりますので、併せて御説明をさせていただきます。川崎委員から3剤配合剤であるビレーズトリエアロスフィアの原薬ブデソニドに関して「承認申請書に含量規格がありませんが、局外規に記載があるので不要ということでしょうか。定量法が局外規と異なるならば、試験方法と規格はセットで記載したほうがよいのではないかと思いました。」との御質問を頂いております。
局外規、正式には日本薬局方外医薬品規格ですが、こちらに御指摘いただいたブデソニドが収載されており、ブデソニドを含有する製剤については、この局外規の規格及び試験方法を引用する形で承認されているものがございます。本剤においては、基本的に局外規の規格及び試験方法を引用しつつ、一部、局外規と異なる内容を承認申請書に記載することとしているため、含量規格は局外規の規格値が設定されていると御理解ください。また、定量法につきましては、局外規とは異なる試験方法が用いることから、審査において、局外規の試験方法と同等の真度・精度を有することを確認しております。
以上を踏まえまして、承認申請書では、定量法は具体的に記載することとし、含量規格は局外規の規格が適応されると御理解ください。機構からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方からの御質問、御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。特にございませんか。よろしいでしょうか。それでは、それぞれの議題ごとに議決を行いたいと思います。まずは議題3について、議決に入ります。亀田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただきます。議題3について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。
次に議題4について、議決に入ります。亀田委員、長島委員におれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにします。議題4につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。
それでは、議題5に移ります。議題5について、機構から概要を御説明いただきます。よろしくお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題5、資料5、医薬品ヴァンフリタ錠17.7mg他の製造販売承認の可否等について機構より説明させていただきます。タブレットを御覧になる際には資料5のフォルダを開き、審査報告書のファイルをお開きください。FMS様チロシンキナーゼ3(以下、「FLT3」)は、造血前駆細胞の分化、増殖等に関与すると考えられている受容体型チロシンキナーゼであり、FLT3遺伝子の活性化変異が生じることにより、FLT3を介したシグナル伝達が恒常的に活性化されること等が報告されています。本剤の有効成分であるキザルチニブ塩酸塩(以下、「本剤」)は、FLT3等のチロシンキナーゼを阻害する低分子化合物であり、FLT3の遺伝子内縦列重複変異(以下、「ITD変異」)を有するFLT3に結合し、下流のシグナル伝達分子のリン酸化を阻害することにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられています。今般、本剤は「再発又は難治性のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病」を効能・効果として承認申請されました。
なお、本剤は平成30年8月の当部会における審議を経て、希少疾病用医薬品に指定されております。平成31年2月時点において、本剤が承認されている国又は地域はありません。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は資料12にございますとおり、8名の委員です。
以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明いたします。
今般の承認申請では、主な臨床試験成績として海外第III相試験である007試験が提出されました。
有効性について、審査報告書39ページをお開きください。39ページの表27及び図2を御覧ください。再発又は難治性のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病患者を対象とした007試験において、主要評価項目とされた全生存期間(以下、「OS」)について、対照群と比較して本剤群の優越性が示されました。
安全性について、審査報告書42ページの本文下から8行目以降を御覧ください。本剤の使用時に特に注意すべき有害事象として、感染症、出血、骨髄抑制、心臓障害、腎機能障害及び間質性肺疾患が認められております。これらの有害事象については、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識と経験を持つ医師による観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断いたしました。
ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。
以上のような審査の結果、機構は、「再発又は難治性のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病」を効能・効果として本剤を承認することは可能と判断いたしました。
本剤は、希少疾病用医薬品に指定された新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は10年とすることが適当であり、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は、いずれも劇薬に該当すると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。
なお、現在、本剤は欧米で審査中ですが、米国において今月開催された抗腫瘍薬諮問委員会の概要が公表されておりますので御報告いたします。
当該委員会では、主に007試験におけるOSについて、OSのハザード比の95%信頼区間の上限が1に近いことを踏まえ、OSの延長効果の大きさの臨床的意義やOSの結果に頑健性があるのかについて、また、安全性については本剤によるQT間隔延長を含め、心臓障害の発現リスクが高いのではないかということに関して議論が行われました。
これらについて議論された後、007試験の成績においてリスクを上回る本剤のベネフィットが示されているかという質問に対する投票がなされ、反対票が賛成票の数を上回る結果になりました。米国では当該委員会の結論を踏まえ、承認の可否等について今後検討がなされるものと考えられます。
次に、米国での議論内容について機構の考えを説明いたします。
有効性について、米国の抗腫瘍薬諮問委員会では、無作為化後に治療を受けなかった被験者数の本剤群と対照群との間の不均衡等が問題点として指摘されました。しかしながら、本試験は、事前に設定された試験計画及び統計解析計画に基づき実施・解析された結果、主要評価項目とされたOSにおいて、対照群に対する本剤群の優越性が示され、また、群間の不均衡に関する補足的な追加解析や部分集団解析の結果等を踏まえても、全体集団での結果解釈を明確に否定するものではないと判断いたしました。
安全性について、QT間隔延長は本剤の重要な特定されたリスクと設定しており、QT間隔延長を含め、心臓障害については添付文書において適切に注意喚起を行っていること、本剤は緊急時に十分に対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで本剤が処方され、投与が適切と判断される患者に対してのみ投与されること等から、本剤は忍容可能と考えております。
また、FLT3遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病は極めて予後不良であることが知られていますが、本邦において当該患者に対する治療薬が非常に限られている状況であり、医療上の必要性が高いことも踏まえると、007試験で認められた本剤のベネフィットはリスクを上回ると考え、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。
なお、米国の抗腫瘍薬諮問委員会は、専門協議後に開催されたため、専門委員に対して、FDAから公表された論点と諮問委員会での議論をお伝えし、改めて本剤の承認の可否等について御意見を頂いた結果、本剤を承認して差し支えないとする機構の判断を支持する旨の御意見を頂いております。
説明は以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○事務局 事務局より追加で御紹介させていただきます。本議題では谷口参考人にお越しいただいております。
○清田部会長 それでは谷口参考人から、本議題につきまして御発言をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○谷口参考人 虎の門病院の谷口と申します。よろしくお願いします。基本的には今の機構の判断に異論があるものではありません。臨床的なところを少しお話しますと、この39ページのOSの本薬群と対照群の比較の曲線なのですが、この対照群は通常の抗がん剤による化学療法が3種類ぐらい行われています。とすると、多くの患者さんが10か月以内ぐらいに亡くなっていますが、この期間というのは1つの化学療法で恐らく1か月半ぐらいは必ず入院しなければなりませんし、骨髄抑制も白血球は、恐らくは好中球はほとんどなくなりますし、白血球数も500、300以下ぐらいになり、必ず入院し、かつ、寛解率もかなり低いですから、このほぼ10か月の期間というのはほとんど入院となると思われます。本薬群におきましては骨髄抑制の副作用が挙げられていますが、好中球ゼロとか、白血球300以下のような強い骨髄抑制ではありませんので、ある程度の腫瘍のコントロールができれば、この期間はかなり外来で過ごすことができると思います。加えて再発、難治例のOSの延長というのは、我々の世界においては、平たく言うと、とてもすばらしいことでありまして、とても高く評価しています。かつ、今の機構の説明にはありませんでしたが、本薬群において、再発難治例で唯一の治癒をもたらす効果があると思われる治療は造血幹細胞移植だと思われますが、そこへ移行できたというか、移植ができた患者さんの数もかなり多くなっています。理由は、それほどの副作用なく腫瘍がコントロールできていて、次の移植へ移行しやすかったということが予想されます。強い骨髄抑制がある化学療法でいった場合には骨髄抑制期に感染症があり、感染症の治療と腫瘍治療でなかなか移植まで持っていくことが難しいことが多く、より安全にというか、副作用なく移植に持っていけたのではないかと思います。
あと、安全性の評価ですけれども、この骨髄抑制とか感染症、出血というのは、白血病がコントロールできなければ当然、起こり得る合併症でありまして、本剤のみによるものかどうかというのは疑わしいところもあり、かつ、血液内科医はその3つに関しましては、常に起こらないように、起こった場合にはすぐ治療できるように対応しておりますので、想定の範囲内の副作用ではないかと思います。以上です。
○清田部会長 ありがとうございました。事務局から何か追加ございますでしょうか。
○事務局 事務局でございます。本日、御欠席の南委員より、事前にコメントを頂戴いたしておりますので御紹介させていただきます。まず、007試験でございますけれども、「審査報告書の39ページに記載があります図2で、OSの曲線が長期観察後に閉じてしまったことは臨床医としては残念でしたが、OS全体としては、定められた点では臨床的意義は大きいと考えられます。安全性の観点からQT間隔延長が懸念されますが、非常に予後不良の疾患であること、OSの差を認めたことを考慮すると、厳密なモニター及び用量調節を行うことにより、QT間隔延長の懸念は許容範囲にあると考えます」とのことでございます。以上でございます。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは委員の先生方からの御質問と御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。
○長島委員 72ページ、下のほうの警告の所で、「緊急時に十分に対応できる」とか、「十分な知識・経験を持つ」とか、あるいは一番下の効能・効果に関連する注意で、「十分な経験を有する病理又は検査施設」に「十分」という言葉があるのですが、ある程度、客観的な目安とか、ある程度想定されている医師や施設というのはあるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 明確な基準は設けておりませんが、基本的には学会の認定医の資格を取られている医師等を想定しているところでございます。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
○長島委員 いろいろ条件を付けているので、そこのところがきちんと守られるような工夫というのも是非、お願いしたいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 しっかり遵守するよう申請者を指導したいと思います。
○清田部会長 ほかに御質問、御意見ございますでしょうか。
○菊池委員 今の質問に近いのですけれども、これのFLT3の診断のコンパニオンキットというのは、もう開発できていますかといつも聞くのですけれども、これの診断はかなり難しいような気がするのですけれども、これは大丈夫なのですか。その信頼性というか。
○医薬品医療機器総合機構 本剤のコンパニオン診断薬は現在、申請中でございまして、本剤の販売までには承認される予定です。このコンパニオン診断薬ですが、本剤と同様の作用機序を有するゾスパタ錠の適用の可否の判断の際に用いられる診断薬と同じ診断薬であり、ヴァンフリタ錠に対する適応の追加という形で一部変更承認申請を行っているという状況になりますので、診断薬としては既に世に出ているものが使用されるという状況になります。
○菊池委員 あと、この投与量なのですけれども、最初はものすごく多い量で始めて、QT延長とかが出たから用量を下げて、結局、最初の2週間は控え目でいって、それから増量するプロトコルになって、これが投与の申請になっていると思うのですけれども、その2週間のときのそのローディングというか、そこのときに本来だったらそこでどかんとやったほうが腫瘍に対してはいいとは思うのですけれども、その辺は何かどういう理由なのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 2週間を増量の区切りとした理由に関しましては、本剤の薬物動態が2週間後まで上がり続けていきますので、投与初期は低用量から始めて、慎重に患者の様子を観察し、2週間たって、QT間隔延長等が認められていないのであれば増量しましょうという意図で、この用法・用量が設定されているところでございます。
○清田部会長 よろしいでしょうか。先ほど長島先生の御質問、どういう施設で使うか明確に、余り記載に具体性がないですよね。機構のほうが、今後に具体性のある、例えばガイドラインか何かを出す予定はこれに関してないのですか。
○医薬品医療機器総合機構 現時点では予定しておりません。新規の作用機序の医薬品で最適使用推進ガイドラインを作るような品目であれば、そういう基準を設ける可能性があるのでしょうけれども、今回、同様の作用機序の医薬品としては2剤目ということで、新規の作用機序の医薬品ではございませんので、恐らく1番目の医薬品に準じたような形で医療現場での使用がなされるのだろうと考えております。
○清田部会長 長島先生、それでよろしいですか。
○長島委員 ただ、この十分というのが、勝手な自己判断に任せてしまうと、やはりこういう薬というのはよくないと思うので、ある程度の目安というのはあったほうがより安全に、あるいはここに書かれていることがきちんと遵守されるということで、そういうことはもう少し積極的にされたほうがいいのではないかと思います。
○清田部会長 いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。今後、厚生労働省と相談しながら検討してまいりたいと思います。
○清田部会長 では、今後是非、御検討をお願いしたいと思います。ほかに御質問、御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは議決に入りたいと思います。亀田委員、山本委員におかれましては利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。私につきましても同様の取扱いでございます。本議題につきまして承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。谷口参考人、どうもありがとうございました。御退席ください。
                                (谷口参考人退出)
○清田部会長 それでは議題6に移りたいと思います。議題6につきまして、機構からの概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題6、資料6、医薬品ロズリートレクカプセル100mg他の製造販売承認の可否等について、説明させていただきます。タブレットの資料6のフォルダを開き、審査報告書のファイルをお開きください。neurotrophic receptor kinase(以下、「NTRK」)融合遺伝子陽性の固形癌においては、NTRK融合遺伝子が発がん、腫瘍細胞の生存や増殖に寄与する重要な原因遺伝子であると考えられております。本剤の有効成分であるエヌトレクチニブは、NTRK遺伝子がコードするチロシンキナーゼを阻害することにより、NTRK融合遺伝子陽性の固形癌の増殖を抑制すると考えられています。
今般、本剤は、NTRK融合遺伝子陽性の局所進行又は転移性固形癌を効能・効果として承認申請されました。なお、本剤は、平成30年11月8日に開催された当部会における審議を経て、希少疾病用医薬品に指定されております。また本剤は、先駆け審査指定制度の対象品目に指定されており、平成31年4月時点において、本剤が承認されている国又は地域はありません。
本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料12にありますとおり8名の委員です。以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明させていただきます。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国際共同第II相試験であるSTARTRK-2試験が提出されました。有効性については、審査報告書42ページの表26を御覧ください。NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌患者等を対象としたSTARTRK-2試験において、NTRK融合遺伝子陽性患者における主要評価項目とされたRECISTに基づく中央判定による奏効率は、56.9%でした。
また、審査報告書46ページの表28を御覧ください。STARTRK-2試験の有効性解析対象となったNTRK融合遺伝子陽性の固形癌患者の癌腫別の結果は、表28のとおりであり、組み入れられたいずれの癌腫においても奏効が確認されました。以上の成績に加えて、NTRK融合遺伝子が癌のドライバーであること等を考慮すると、NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌患者に対する本剤の一定の有効性は、示されたと判断いたしました。
続きまして安全性については、審査報告書47ページ、7.R.3を御覧ください。本剤投与時において、注意すべき有害事象として、運動失調、認知障害、失神、間質性肺疾患、QT間隔延長、QT間隔延長以外の心臓障害が認められております。これらの有害事象については、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理等の適切な対応により忍容可能と判断いたしました。また本申請では、成人患者に係る用法・用量に加えて、小児患者に係る用法・用量も設定されております。
審査報告書62ページ、表44を御覧ください。小児のNTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌患者等を対象としたSTARTRK-NG試験が実施され、5例中4例に奏効が認められました。ただしSTARTRK-NG試験では、市販予定製剤とは異なる製剤が使用され、市販予定製剤と生物学的に同等な製剤を小児患者に対して投与した試験成績は得られていないことから、小児患者に対する用法・用量については、成人患者の用法・用量である600mgを経口投与した際と同程度のばく露量が得られるよう、母集団薬物動態解析(PPK)及び生理学的薬物速度論解析(PBPK)モデルを用いた臨床薬理学的な検討がなされ、当該検討結果に基づき、審査報告書65ページ末尾の表に記載された用法・用量が申請者により設定されていました。以上の成績に加え、NTRK融合遺伝子陽性の固形癌患者のうち、小児患者が極めて限られること等も考慮し、申請者が提示した小児患者に対する用法・用量を設定することは可能と判断いたしました。
以上のような審査の結果、機構はNTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。ただし、NTRK融合遺伝子陽性の固形癌患者の癌腫別の検討症例及び日本人における検討症例は限られていることから、使用実態下における日本人のNTRK融合遺伝子陽性の固形癌患者に対する、本剤投与時の有効性及び安全性を検討することを目的とした全例調査を実施する必要があると判断し、承認条件としております。
本剤は希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年とすることが適当であり、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は、いずれも劇薬に該当すると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しています。
なお、審査報告書に誤記がありました。審査報告書の50ページの表32を御覧ください。STARTRK-1試験のGrade3以上の平衡障害の発現状況に関して、空欄となっておりましたが、正しくは0になります。おわびして訂正いたします。申し訳ありませんでした。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○事務局 事務局より追加で御紹介いたします。本議題では、野口参考人にお越しいただいております。
○清田部会長 それでは、野口参考人から本議題につきましての御発言です。これをお願いしたいと思います。
○野口参考人 国立がん研究センター中央病院の乳腺・腫瘍内科の野口と申します。今回、対象としておりますNTRK融合遺伝子陽性のがんというのは、非常に珍しい希少な腫瘍となります。今回の、この提出されている試験に参加されたがんというのも、希少がんに当たるものというのと、あとは5大がんの中でも、この融合遺伝子を持つ患者というのは非常に限られますので、希少フラクションに当たる疾患が対象とされておりまして、ここで高い奏効割合を示す薬剤が入ってくるということは、非常に現場にとっては望ましいことであると考えております。
○清田部会長 ありがとうございました。事務局から何か追加はありますでしょうか。
○事務局 事務局です。本品目につきましても、本日御欠席の南委員より事前にコメントを頂戴しておりますので、御紹介させていただきます。
まず、有効性につい、「一般的に頻度の高い癌腫種では、NTRK融合遺伝子陽性の頻度が低く、また、NTRK融合遺伝子陽性の頻度が高い癌腫は、そもそもの頻度が非常にまれであるため、癌腫ごとの有効性評価はできなく、NTRK融合遺伝子陽性の固形癌全体でも比較試験は困難と思われます。このような場合、生物学的に特定の遺伝子異常で有効性が期待される理論的な妥当性があり、一定の腫瘍縮小割合が見られ、それがデュラブル(durable)であれば承認する世界的な傾向であり、本薬の承認も理解できます」とのことで、「癌腫ごとの有効性の信頼できるデータを、市販後に集積していく必要がある」とのコメントを頂いております。
また安全性について、「本薬は安全性のデータも乏しいため、注意が必要と考えます。特に本薬が標的とするTRKは神経細胞で発現していることから、神経障害も理論的に懸念されます」とのことで、QT間隔延長等の発現時には、減量により対応することとなっているものの、薬物ばく露との関係は明らかになっていないことについて御指摘いただいた上で、「承認後には減量により毒性が軽減されるかも含め、安全性に関する質の高いデータを収集することが望まれる」とのコメントを頂いております。
さらに使用する医療機関について、「腫瘍内科医、神経内科医、循環器内科医との連携がしっかり取れ、がん薬物療法専門医が在籍するがん診療連携拠点病院や、がんゲノム医療中核病院連携病院に限定する必要があるのではないか」とのコメントを頂いております。以上です。
○清田部会長 ありがとうございました。野口参考人からは、非常に期待されるお薬だという御意見を頂きましたし、今日御欠席の南委員からは今のコメント、期待されると同時に副作用に気を付けなければならないという御発言を頂いております。ここで委員の先生方から御質問を。
○渡辺委員 特に異論はないのですけれども、要するに局所進行、locally advanced or metastaticという、これはとてもいいと思うのですが、ちょっと前まで「手術不能」という言葉が入っていて、私はそれは大嫌いだったのですが、というのは、「俺がやれば手術できる」という外科医がいたりして、ですけれども、その辺というのは、今後は手術不能という曖昧な表現というのもなくなっていくということで、考えていっていいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構より回答させていただきます。現時点では、実際の添付文書を見ると、「手術不能」という言葉も付いた上で、「進行・再発」という効能・効果が付いているものもありまして、実際に今のところ、癌腫によって状況が分かれています。
現状では「手術不能」という言葉が付いている効能・効果で承認されている薬剤もありますので、今後、一律で削除するというのは、現時点では難しいのかなと思います。また、今後どこかのタイミングで、そういったことも見直す機会もあるかもしれないと思いますが、現状では、一律削除できるかというと、そういった状況ではないと考えております。
○渡辺委員 いや、確かに削除は全然期待していないのですが、今後新たに承認する疾患、それで固形癌で癌腫に基づいてというよりも、遺伝子の発現異常とか横断的に考えていった場合には、この局所進行又はmetastaticのほうがいいと思うので、多分、今後はそういう方向になっていくと思うのですが、一つそこで局所進行の定義ですよね、ステージIIIbとか、何かそのような概念はないのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 製造販売後には推奨される対象は、実際には臨床試験の中で組入れ基準として設定され臨床試験の対象とされた患者になりますので、臨床試験における組入れ基準については、情報提供していきたいと考えております。
○清田部会長 大丈夫ですか、よろしいですか。
○渡辺委員 もし可能なら、野口先生の意見も伺いたいのですが。
○清田部会長 野口先生、いかがですか。
○野口参考人 できるだけ、どういう対象患者かというのは、明確化されたほうが現場としては望ましいです。ただ、今、渡辺委員から御指摘のありましたステージなどについては、経時的にステージの分類が変わってくるということもあるので、添付文書に書くというよりも、その試験でどういった対象が参加していたかということが、適切に情報提供されればいいかと思います。
○清田部会長 ありがとうございます。ほかに。
○長島委員 本剤も先ほどの薬剤と同様に、83ページの施設とか医師の所に「十分」というのがありますので、それほど厳密にきっちりした基準でなくてもいいので、やはり一定程度の目安なり参考例というものがあったほうが望ましいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 先ほどと同様に、今後、厚生労働省とも相談していきたいと思います。
○渡辺委員 その件は確かにおっしゃるとおりなのですけれども、類似した要件で十分という経験でいいというふうに動いていたのですが、曖昧だというので、例えば5年以上の経験とかというのが付いたら、かえってそれがものすごくやりにくくなってしまって、具体的に申し上げると、外来化学療法加算の承認要件として、5年以上の経験のある看護師ということになると、これはもう看護師の中で5年以上の経験を有する者を見付けるというのは相当大変なので、要するに量よりも質というか、内容に基づいて十分というのを評価していただくほうがいいのではないかと思います。
○清田部会長 貴重な御意見ですので今後の参考にして、お考えいただければと思いますが、それでよろしいでしょうか。ほかに御意見、御質問はありますでしょうか。
○菊池委員 いつも聞いていますけれども、このNTRKの診断は割と容易なのですか、大変なのですか。
○医薬品医療機器総合機構 NGSを使って検査するコンパニオン診断薬等が審査中でありまして、それを使用することで一定の質で検査することは可能と考えています。
○菊池委員 先生、診断はNGSを使わなければできないのですか。
○清田部会長 野口先生、どうぞ。
○野口参考人 現時点ではNGSを用いてということですが、臨床現場ではコンパニオン診断以外でも、今後、がんパネル検査、NGSの検査が頻用されるようになっていきますので、そういうところで見付かった患者というのが、実際、改めて検査をするということになるのではないかと思います。
○菊池委員 実際、この遺伝子発現がどの程度というか、ものすごく少ないわけですが、これを疑ってやれば、ほかの遺伝子の検査もしたら、その検査だけですごいお金になるような気がするのですが、そういうものは仕方ないのですよね。
○清田部会長 いかがでしょう。
○医薬品医療機器総合機構 仕方ないというのかどうか、機構からお答えするのは難しいのですけれども、実際には調べてみないと分からないところもあるので、もしNTRK融合遺伝子を有しているという疑いがあれば、検査することは止めるものではないのかなと考えております。
この点は専門協議等でも御意見を頂きましたが、患者さんの多い癌腫では、NTRK融合遺伝子が陽性である陽性率というのはかなり低いので、そういった癌腫であれば、あまり早い段階から検査は行われないのではないか。一方で、それ以外の、いわゆる希少癌では陽性率が高いこともあるので、そういった患者さんであれば早い段階から検査されていくのではないか、というような御意見を頂いております。
○清田部会長 よろしいでしょうか。癌腫を問わずに認めていこうという、そういう動きですので、これは希少疾病の場合、致し方ない部分もあるかなと、私は思います。御質問は大丈夫ですか。ないようでしたら議決に入りたいと思います。亀田委員、濱委員、渡辺委員におかれましては利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。野口参考人はどうもありがとうございました。御退席をお願いしたいと思います。
○事務局 南委員からのコメントへの対応について、機構から説明をさせていただきたいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 先ほど南委員のコメントを読み上げていただきましたが、それに対して機構から回答をさせていただいてもよろしいでしょうか。
○清田部会長 これからですか。どうぞ。議決が終わった後ですが。
○医薬品医療機器総合機構 申し訳ありません。まず、有効性に関してなのですが、現在、調査予定症例数は200例と設定した上で、全例調査方式での製造販売後調査を実施しまして、その中で使用実態下での奏効率を評価することが予定されています。
加えて今回提出された最も重要な試験であるSTARTRK-2試験を今後も継続しまして、NTRK融合遺伝子陽性の固形癌患者における本剤の有効性を、引き続き検討していくということが計画されていますので、南先生から御意見を頂いた点に関しては、対応可能と考えております。
それから安全性についてですが、有効性の評価と同様に、製造販売後調査が実施されることに加えまして、STARTRK-2試験が継続して実施されることから、今後も一定の質の担保された安全性情報が収集可能と考えております。
もう一点、本剤を使用する医療機関に関してです。先ほど来議論もありましたが、がん薬物療法専門医が在籍するがん診療拠点病院や、がんゲノム医療中核拠点連携病院といった限定の仕方ではありませんが、本剤の使用に当たっては、がんの薬物療法に関する十分な知識と経験がある医師が使用する必要がある旨の医師要件、それから、認知障害や運動失調、QT間隔延長等が出現した場合には、神経内科医や循環器内科医との連携を含め、適切な対応が行える施設で使用する必要がある旨の施設要件を設定し、これらの要件を満たす医師及び施設で使用されることになっておりますので、南委員から頂いた御意見と同様の対応がなされることになると考えております。
また、機構としても、この点は非常に重要な点と考えておりますので、南委員の御意見を申請者にも伝達した上で、申請者に改めて本剤が適切な医師及び施設で使用されるように指示させていただきたいと思います。機構からの説明は以上になります。
○清田部会長 それでは改めて野口参考人、感謝を申し上げます。どうもありがとうございました。御退席ください。それでは議題7に移りたいと思います。議題7につきまして、事務局から概要を御説明ください。
                                (野口参考人退室)
○事務局 それでは、タブレットの資料7をお願いいたします。議題7、資料番号7番、生物学的製剤基準の一部を改正する件について、事務局より説明させていただきます。資料の1ページを御覧ください。「1.生物学的製剤基準について」を御覧ください。薬機法第42条第1項に基づき、保健衛生上、特別な注意を要する医薬品等について、薬食審の御意見を聞いて、必要な基準を設けることができるとされており、生物学的製剤基準において、ワクチン、血液製剤等に係る基準を定めております。
続きまして、「2.改正の内容」を御覧ください。(1)組換え沈降4価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン(酵母由来)については、ワーキングセルバンクにおける酵母培養確認試験を削除するものです。この酵母培養確認試験は、※1に記載させていただいたとおり、有効成分であるL1タンパク質を発現するベクターが、酵母に保持されていることを確認する試験です。
こちらについて、「改正の理由」に記載のとおり、ワーキングセルバンクより、下流の製造工程である単価VLP吸着バルクにおいて、別途指定されているVLP含量試験を実施することにより、酵母にL1タンパク質の発現ベクターが保持されていたと結果的に判断できると考えられるため、ワーキングセルバンクの酵母培養確認試験については、基準からは削除して差し支えないと考えております。
続きまして(2)乾燥濃縮人プロトロンビン複合体については、含湿度試験の試験方法として、従前の電量滴定法などに加えて、新たな試験法として、近赤外吸収スペクトル測定法の記載を加えるものです。従前の電量滴定法では、バイアルから試料を取り出して、直接計測する必要がありましたが、今回の近赤外吸収スペクトル法では、バイアルのまま非破壊で測定することができ、適切に含湿度を測定できることが確認をされたため、本基準の試験方法として追加して差し支えないと考えております。
いずれの改正案につきましても、新旧対照表などの詳細は、3ページ以降に記載しておりますので、後で御参照いただければと思います。
3の改正告示日等ですが、本年6月下旬を予定しております。なお、当該医薬品に係る一部変更承認の可否については、部会の審議又は報告事項に該当しないため、本日の議題には入っておりません。
こちらの議題につきまして、事前に川崎委員より御質問を頂きましたので御紹介をさせていただきます。「組換え沈降4価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチンの改正において、今回削除する酵母培養確認試験は、酵母の増殖性に関する試験ですが、L1タンパク質発現ベクターの有無と関係があるのでしょうか」との御質問を頂きました。回答でございますが、「この確認試験において用いる酵母を培養する培地には、一部栄養成分を除去し、また抗菌剤の添加を行っており、ベクターが入った酵母でないとこの培地では増殖できないものとなっております。すなわち、この培地で酵母の培養を行い、増殖性を確認することによって、ベクターが保持されていることを確認する試験となっております」。この回答で川崎先生からは御了承を頂いております。以上、生物学的製剤基準の改正につきまして、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方からの御質問、御意見、ございますでしょうか。
○大隈委員 少し質問させていただきたいのですが、乾燥濃縮人プロトロンビン複合体についてですが、3)でこの近赤外線吸収スペクトル測定法が追加されていることに異論はないのですが、記載法について、1)と2)は測定後は算出するという細かい記載があるのですけれども、これについては、測定するということまでで算出するという記載はないのですけれども、特にこれでよろしいのかということと、2)について、一般試験法の含湿度測定法の中には、水分定量法、いわゆるカールフィッシャー法が含まれておりますけれども、この記載は1)にもあるので、記載が重ならないかというのを少し心配しているのですが、それはよろしいですか。
○事務局 御質問いただきましてありがとうございます。まず1点目の御質問につきましては、今回の近赤外吸収スペクトル測定法は機械で測定することによって、直接含湿度も測定できるというふうに伺っておりますので、算出というよりは測定という形で今回記載させていただいているところです。あと、2点目の御質問は1)の記載のことですか。
○大隈委員 1)は水分定量法で求めて、それを生物学的製剤基準の一般試験法のカールフィッシャー法の算出法を使うことになっていると思いますけれども、そういう記載と、あと2)には2つ方法が含まれていて、1つはカールフィッシャー法での測定となり、最初のほうには記載してあるのですが、なので、記載がダブッているような気がするのですが、そこはもうそれでよろしいですか。
○事務局 御質問いただきましてありがとうございます。1)の前者と後者で、試料の調製法が異なるということで、それぞれで書き分けているということです。
○大隈委員 それはあえてそうされているということでよろしいのですね。承知しました。
○清田部会長 ほかに御質問は。
○川崎委員 質問といいますか、先ほど回答いただいた件に補足させていただきたいのですけれども、私がもともと質問いたしましたのは、削除すべきなのは、3の1の2の酵母培養確認試験のほうではなくて、3の3の6の確認試験ではないかということで、なぜ3の1の2のほうを削除するのかということで、質問いたしました。それで、先ほどのような御回答を頂いて了解したということです。
○清田部会長 ありがとうございます。質問や意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうごさいます。それでは、議決に入りたいと思います。本議題につきまして、改正を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、改正を可として薬事分科会に御報告させていただきます。それでは、報告事項に移ります。事務局から説明をお願いします。
○事務局 事務局でございます。本日、報告事項、議題1から3件ございまして、議題1の1と2が既存の承認品目に対する効能追加の御報告で、議題3が審査結果の御報告になります。まず、議題1から順に御説明いたします。議題1、医薬品サイラムザ点滴静注液100mg、同点滴静注液500mgの製造販売承認事項一部変更承認について、御報告をいたします。資料番号は資料8になります。本剤は、ヒト血管内皮増殖因子受容体-2に対する免疫グロブリンG1サブクラスのヒト型モノクローナル抗体であるラムシルマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤で、現在は胃癌、結腸・直腸癌、非小細胞肺癌を効能・効果として承認がされております。今般、日本イーライリリー株式会社から、がん化学療法後に増悪した血清AFP値が400ng/mL以上の切除不能な肝細胞癌の効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされております。機構における審査の結果、本品目を申請して差し支えないと判断をされております。
続きまして、議題の2つ目、医薬品リムパーザ錠100mg及び同錠150mgの製造販売承認事項一部変更承認について御報告をいたします。資料番号は、資料9になります。本剤は、PARP阻害剤でございますオラパリブを有効成分とする抗悪性腫瘍剤でして、現在は白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法、がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌を効能・効果として承認をされております。今般、アストラゼネカ株式会社から、BRCA遺伝子変異陽性の卵巣癌における初回化学療法後の維持療法という形で、効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされております。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断をされております。
最後の議題3、医療用医薬品の再審査結果について、御報告をいたします。資料番号は、資料10-1から10-8になります。
資料10-1につきまして、有効成分名は、沈降インフルエンザワクチン(H5N1株)、販売名は沈降インフルエンザワクチンH5N1第一三共のものです。資料10-2は、同じく沈降インフルエンザワクチン(H5N1株)のビケンのものになります。資料10-3が、有効成分名はカペシタビン、販売名はゼローダ錠300でございます。資料10-4が、有効成分名はクラドリビン、販売名はロイスタチン注8mg。資料10-5が、有効成分名はネララビン、販売名がアラノンジー静注用250mg。資料10-6が、有効成分名はイブリツモマブチウキセタン(遺伝子組換え)、塩化イットリウム及び塩化インジウム、販売名はゼヴァリンイットリウム静注用セット及びゼヴァリンインジウム静注用セット。資料10-7が、有効成分名はフェノトリン、販売名はスミスリンローション5%。最後の資料10-8が、有効成分名はパニツムマブ(遺伝子組換え)、販売名がベクティビックス点滴静注100mg及び同点滴静注400mgになります。これらの品目ですが、製造販売後の使用成績調査等に基づいて再審査申請が行われまして、審査の結果、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について、変更の必要がないカテゴリー1と判定しております。
なお、資料の10-1と10-2にあります沈降インフルエンザワクチン、第一三共のものとビケンのものでございますが、H5N1亜型のインフルエンザの予防に用いられる製剤ですので、承認以降、これまで製造販売がされておらず、承認後の使用実績は、再審査期間中に実施された臨床研究での使用に限定されております。H5N1亜型のインフルエンザによるパンデミック発生時に、多くの人に接種されると想定されますので、再審査自体はここで報告させていただくのですが、今後、そういったときに適切に報告いただけるように、医薬品リスク管理計画を策定していただいて、適切に実施することという承認条件を付すことと考えております。報告は以上になります。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見ございますか。
○菊池委員 使ったことのないH5N1の話を今、追加で頂いたので、大体納得はしたのですけれども、これは10年の再審査期間に全くないから、その後延長して、その次に起きたときに備えるということの審査で、その報告に私たちもそうですねと言えばいいんですよね。
○事務局 事務局です。再審査期間自体は定められているものなので、それ自体は終了するのですけれども、その後、何かパンデミック等が発生したときには、きちんと報告してくださいということを御報告させていただいたところです。承認条件のほうは、事務局のほうで適切に処理をさせていただきたいと考えております。
○菊池委員 ちょっと分かりづらいですね。あと、いつも毎回申し上げているのであれなのですが、この報告になるのと、審議にするのと、やはりよく分からないし、この辺りが簡単にこの報告で、はい、シャンシャンというのはすごく楽でいいのですが、こういうのもやはり全部隅々まで見たほうがいいのですか。今回そんなに見てないですけど、見てなくてこの程度を言うのでうるさいなと思われるかもしれませんけれども、そういうことなんですよね。
○事務局 審議事項、報告事項というのは分科会規程で決まっておりまして、なかなか委員の皆様には分かりにくくて申し訳ないのですけれども、基本的に報告事項という形で、今回の3つの議題はさせていただいておりますので、こちらについては御確認いただければよろしいと事務局では考えております。
○清田部会長 山本先生や大曲先生辺りから、何か御質問ありませんか。大丈夫ですか。では、大丈夫ということなので、御確認いただけたものとします。ありがとうございます。本日の議題は以上でございます。事務局から何か御報告はございますでしょうか。
○事務局 ありがとうございました。次回の部会は、8月2日(金)午後5時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございます。それでは、本日はこれで終了させていただきます。お疲れさまでした。
( 了 )
 
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 荒木(内線2746)