第4回建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会ワーキンググループ 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

日時

平成31年2月19日(火)14:00~16:00

場所

中央合同庁舎5号館 共用第6会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

議題

  1. 1.建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等の技術的事項について
  2. 2.その他

議事

○小林中央労働衛生専門官 本日は、大変お忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまより第4回「建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会ワーキンググループ」を開催いたします。委員の出席状況ですが、本日、中丸委員は御欠席となり、替わって、住宅生産団体連合会事務局の柳様に御出席いただいております。頭撮りについては、ここまでとさせていただきます。
 それでは、以下の議事進行については、豊澤座長にお願い申し上げます。
○豊澤座長 本日は、お忙しい中御参集いただきましてありがとうございます。それでは、議事に入る前に事務局から資料の確認をお願いします。
○小林中央労働衛生専門官 本日もペーパーレス開催ということで、タブレットを配布させていただいての開催に御協力いただいております。本日もタブレットの中に「建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会」というフォルダがありまして、その中に資料一式と、前回以前の資料一式を入れております。議事次第、資料1~資料6まで、それぞれファイルをPDF化しておりますので、不足等がありましたら随時御指摘いただけたらと思います。以上になります。
○豊澤座長 本日の議事に移りたいと思います。まず、(1)「建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等の技術的事項について」です。本日は、前回同様に第2回の合同会合で確認した論点について、技術的観点から論点を深めるために、事務局から論点資料が配布されております。論点ごとに議論を区切って進めたいと思います。それでは、事務局から最初の論点資料の説明をお願いします。
○中央労働衛生専門官 それでは、資料1を御覧ください。最初の議題が、「事前調査の方法(範囲)」ということになります。1の(1)ですが、前々回の12月に事前調査の方法(範囲)を一層明確にすることが必要ではないかということで、方向性について御了承いただきました。
 これまでの委員の御意見として、(2)ですが、含有なしの判断基準を明確に示すことが重要ということや、調査の発想として、含有なしの証明をするという基本スタンスにしたらどうかと。それから、3点目として、みなし規定は存続してほしい。4点目として、メーカーの出荷記録では含有なしとなっていても、現場施工の場合、現場で混ぜている場合があるので注意が必要という御意見などを頂いております。
 2の論点については、7月に1回御議論いただいたものとア~エまでについては同様です。一部、詳細すぎるという御意見を受けて、細かいところを少し省かせていただいております。アですが、現地調査は必ず行うこととしてはどうかということで、前回は特に御意見はありませんでした。イですが、現地調査については、内側まで確認をすると。解体・改修作業に関わる全ての部位を概念的には対象にするということでどうか。ただし、事前調査が困難な箇所については着工後、確認を行うことで差し支えないということとしてはどうかと考えております。ウとして、同一と考えられる材料範囲については、客観的、合理的に判断することとしてはどうか。また、その際の具体的な目安・基準としては、少し極端な例かもしれませんが、例えば、同一ロットということまで確認できれば同一範囲と判断できると示してはどうか。また、例えば、表面仕上げが同一色であることをもって、同一と考えられる材料の範囲だと判断せず、天井板であれば裏面を確認することとしてはどうかということです。エの石綿を含有する可能性のある建材については、なしと判断する方法として、分析によるというほかに、商品を特定して、かつその商品についてメーカーの証明と照合するという方法があるのではないか。商品を特定する方法としては、建材の表示を確認するということや、例えば、印字のない建材でも専門知識を有する方が商品を判断するということ。実態としては、例えばメーカーが出荷記録を確認して、現地に行って自社の製品であることを確認するような取組も行っていると聞いておりますが、そういうことを示してはどうか。
 上記の②メーカー側の証明については、例えば、原材料の変動性とか、異物混入の状況、品質確認といったことを示してはどうかということで、こちらは少し詳細すぎるということで、別の場で検討してはどうかという論点に変えております。オについては、後半の議題ということで、分析、試料採取を保留にしておりましたが、分析のための試料採取については、同一と考えられる材料範囲においても一様ではないということで、例えば、吹付け材であれば3か所から採取するなど、材料の変動性・均一性を適切に考慮するということを示してはどうかということです。一度御議論いただいている論点ですが、改めて御確認いただけたらと思います。以上です。
○豊澤座長 それでは、この資料の論点について、御意見を頂きたいと思います。よろしくお願いします。
○亀元委員 今の論点の整理の最後のところですが、吹付け材を3等分して3か所から採取するというのがあるのですが、実際、バーミキュライトの吹付けで、3か所それぞれ別々に分析すると、1サンプルに入っていて2サンプルには入っていなかった。これ、混合してしまうと、なしになってしまう。これはもめた案件でして、もう一回再サンプルを、実は全部で3社がやったのです。そうすると、1サンプルだけ入っているもののケースもあったり、それぞれ3か所から採っていますが、分析方法としては、それぞれを個別に分析するということをやって、少しずつ採った場所というのは、前の会社が採った場所よりも20、30センチずれた所から採っているのですが、その結果は、混合してしまうと、ありになったり、なしになったり。個別にそれを分析していくと、1サンプルに入っていたり、2サンプルに入っているといったパターンが出てくる。そういった場合に、混ぜて分析するということがどういう意味があるのか。結局、採取した場所によって違う。でも、工事をするときにはどこからどこまでが入って、どこからどこまでが入っていないなどと、なかなか言えないわけですから、実際、最終的には、これ、全部を対策しなければいけないというような結論になってしまったのです。3か所から採って混ぜるということは意味があるのか?日本独特のやり方だと思います。
 ISOの中でそういった質問をしたときに、建材を混ぜるというのは、分析室で建材を作っているのと同等だ。だから、採ってきた建材はそれぞれ、別々に分析して分布を見たほうがいいと回答されました。それで、リスクを考えて分析するべきだといった議論がヨーロッパ、アメリカ、韓国の考え方です。混合分析するケースというのは、ある商品にどれぐらいの濃度が入っているのかというのを、1商品について、どれぐらいの含有量が平均してあるのかというようなときには混合というのは意味がありますが、そうではないときには個別に分析するべきだという意見がほとんどでした。これがある意味日本独特で、これは2006年、JISができる前からですけれども、分析して、混ぜることによって出ないようにコントロールできる手法、3か所から採取して混ぜるというのは、あるというサンプルを、なしにできる手法としても使われるという状況が散見されます。そういったことに使われるおそれがあるので、私は個別に分析するべきだと思います、変動性のあるものについては。以上です。
○豊澤座長 ありがとうございます。3か所から採取すべきで、かつ、混ぜないほうがいいという御意見ですか。
○亀元委員 そうです。
○豊澤座長 これに対してとか、全体について何か御意見はありますか。
○小林中央労働衛生専門官 今の御意見について、一応事務局の考えを述べておきますと、法令上は「製剤その他の物」の単位で0.1%を超えているかどうかで判断するので、「製剤その他の物」が0.1%を超えているかどうかが法令上の、杓子定規なことを言うと判定基準ということにはなります。おっしゃるように、個別に更に追求したほうがいいということは、一般論としてはそうなのかなとは思いますが、法令の整合性等も考えながら、御意見をどう踏まえるかということは考えたいと思います。法令上の話はそのようになっているということになります。
○豊澤座長 よろしいですか。ほかにありますか。
○外山委員 エの最初に①②があって、「上記①の特定方法として」と。印字の確認はいいのですが、「印字等のない建材について専門知識を有する者が商品を判断すること」というのがよく分からないというか、これは何であるか、建材の名称を特定するという意味合いなのでしょうか。せっこうボードであるとか岩綿吸音板とか。
○小林中央労働衛生専門官 いえ、具体的に、例えばせっこうボードという建材の一般名ではなく、私がお聞きした事例ですが、自社の何々という商品ということを、メーカーの所で出荷記録も残っていて、これは、確かに自社の製品ですということをメーカーが現場に行って見ると。そのメーカーによると、今度調査者とかも採りたいという話をされていて、そこまですればいいのではないかというのを②として書いておりまして。
○外山委員 なるほど。
○中央労働衛生専門官 それを許容するかどうか、又は、この場で議論することではなくて、もうちょっと専門的に検討したほうがいいのかということで提示をさせていただいております。
○外山委員 専門知識を有する者が判断するというのは、専門知識を有する者というのは誰かということが問題なのかなと思うので、判断するということを、きちんと書かないといけないのかなと思います。以上です。
○豊澤座長 ありがとうございます。ほかにありますか。
○小西委員 イですが、これも当然分かっていることだと思います。イの「ただし」以降の所ですが、「事前調査が困難な箇所は、着工後、確認を行うことで差し支えないこととして」、差し支えないのですが、これは事前調査の結果の記録に必ず残すということですね、明記しておくということ。それを併せてやっていただきたいと思います。
○豊澤座長 ありがとうございます。ほかにありますか。
○姫野委員 他省庁の話をしたらまずいのでしょうけれども、事前調査というのを3つぐらいに区分してから記載すべきではないかなということを、この前、環境省のお話でやったのですが、それと同じように厚労省のほうも着工前の原料調査、受注者がやる施工調査、それから、先ほど言ったように、解体でしかできない現場での調査、この3つに区分分けしてするべきだろうと思うので、去年の記載を変えていただきたいと思います。
 もう1つは、分析のための同一材料の考え方ですが、同じ吹付け材であっても仕様が変わった場合、要するに、耐火時間が変わった場合は別物として扱ってほしいのです。というのは、厚みによって施工の方法が変わる場合もあるのです。だから厚みが違ったら、別材料だと。同じ業者が同じ材料で吹いても、1時間耐火と2時間耐火だったら、厚みは違うので、やり方も違うときもありますので、その辺は仕様書、仕様という言葉を入れていただきたいと思います。以上です。
○豊澤座長 今、どの辺を修正すべきだという御意見ですか、この文章のどこですか。
○姫野委員 「同一と考えられる」という所に、仕様が違った場合は同一材料ではないという考え方を入れてほしいのです。オの「分析のための試料採取に当たっては、同一と考えられる材料の範囲内において」、ここで同じ業者が同じ材料を吹いても厚みによって違ってくる場合があります。1時間耐火と2時間耐火では、当然吹付厚は違ってきます。だから、別材料として分析してほしい。
○豊澤座長 なるほど。
○姫野委員 だから、そこに「仕様」という言葉を1個入れていただければいいと思います。
○豊澤座長 材料、又は仕様ということですか。
○亀元委員 今のはウにも関連する話しかもしれません。
○小林中央労働衛生専門官 そうですね、オというか、その前段のウの同一材料範囲のほうかと思います。御意見を受けて、どちらにどう整理するか、一旦、事務局で整理させてください。
○姫野委員 はい。
○豊澤座長 貴重な御意見、ありがとうございます。ほかにありますか。なければ、次に移ります。最終的に何かあれば、追加の御意見を伺いたいと思います。本日、いろいろな御意見を頂きましたので、事務局で整理していただきたいと思います。
 続いて、事務局に資料2をお願いします。
○小林中央労働衛生専門官 それでは、資料2をお開きください。「新たな簡易届出の対象」ということです。前回、論点を提示させていただきまして、例えば、解体であれば80平米以上としてはどうかということを提示しておりました。(2)のこれまでの委員の御意見として、届出という文脈ではなかったかもしれませんが、改修工事については建設リサイクル法の1億円以上というのは、狭すぎるのではないかという御指摘もありました。2番の論点ですが、あくまで事前調査の義務は広くありますが、そのうちどこまで届出を義務付けるかということで、解体工事については80平米以上でいいのではないかということで、前回、御意見はありませんでしたが、改修のほうについて、どのような観点で検討するのがよいかということで、例を幾つか示しております。どのようなメリット、デメリットがあるか、様々な御意見を少し出していただけたらと思っております。
 例として、1つ目として、面積で切ってはどうかということで、合計の施工面積とか、あるいは床面積とか、解体が80平米なので、改修も80平米にしたらどうかといったことになると思います。それから、建築物の種類ということで、例えば、耐火被覆とかが特にされている鉄骨造りとか、吹付けなどRCでも使われておりますので、建物の構造とかに着目してはどうか。それから、分かりやすいということで、建設リサイクル法とか建築基準法など他法令と合わせてはどうかということで、幾つか例として挙げております。御意見を賜れば幸いです。
○豊澤座長 それでは、資料2の論点について、御意見を賜りたいと思います。よろしくお願いします。
○亀元委員 ばく露する人のばく露リスクというのを考えると、80平米未満の改修工事というのは、人が、マスクしないでいる人たちがすぐ近くにいながら改修工事をしているということなので、解体より改修工事というのは、面積が小さいのではないかなという気がするのですが、海外だと大体15平米とか何かを使っているのですが、その辺はどうなのでしょうか。この後のレベル3の話にも関連すると思いますが、レベル1のモニタリングを頻繁にやっているとレベル3の施工面積と関係なく、建物内にセキュリティーゾーンエリアで建物内で養生なしでやっているレベル3の工事で、飛散しているものが1本以上というのは、数本以上だったり、下手すると数十本だったりするレベルで出てしまう。それはマスクをしていない人がいるテナントたちにとって非常にリスクがあるのではないかという気がするのですが、その辺、改修工事の場合は、海外の例に倣って考えたほうがいいのではないかと思います。
○豊澤座長 ありがとうございます。
○出野委員 (1)従前提示した論点の四角の中の上から12、13行目だと思いますが、「事例が散見されており」の行の最後から、「石綿含有建材の有無にかかわらず、これらの石綿含有の吹付け材や保温材等の除去等を伴うおそれのある解体・改修工事については届出対象としてはどうか」ということですが、私の理解不足かもしれませんが、「おそれのある」というのはどういう意味ですか。
○小林中央労働衛生専門官 本日、論点の例で提示しているところでは、例えば、鉄骨造りとかいう規定の仕方をすると、吹付け材とか保温材が使われているような建物になるのかと思っております。「おそれのある」、こちらを、正に具体化するときにどういう観点に留意したらいいかという御意見を頂きたいというのが今回でして、「おそれのある解体・改修工事」、どういう切り口で法令上線引きして、届出まで出させるかという、すみません、お答えになっているか分かりませんが、そういうつもりで書いております。
○出野委員 「おそれのある」ということを、もう少し具体的に今から煮詰めるということですか。
○小林中央労働衛生専門官 そうですね。正に解体については80平米かということで考えておりますが、改修はもう少し何か、吹付け材とかが特にあるような改修工事にスポットを当てるとかということもあるのではないか。単純に分かりやすい観点から面積で切るというのもあるとは思います。石綿あり・なしを含めて出させますので、何か少し色を付けて切ったほうがいいのではないかというニュアンスで、ここは書いております。
○出野委員 今から具体化されると思いますけれども、解釈の仕方によって相当広がったり挟くなったりしそうな気がしました。
○豊澤座長 解体工事については床面積は80平米というのが、今のところ皆さんの合意を得た基準ということですね。
○笠井委員 全建の笠井です。解体工事については、建設リサイクル法に倣って床面積80平米以上ということですが、改修工事については、建設リサイクル法では、金額で1億円以上の工事が対象となっています。なぜかというと、改修工事には、様々なパターンがあり、床面積では規定するのは難しいからだと思われます。
 例えば、設備工事の更新工事でも石綿を除去しなければいけないような場合がありますし、耐震改修の場合も、吹き付けてある石綿を除去してから制震装置のダンパー等を取り付けるなどの改修をする場合がありますので、こういう場合は、面積を計算することが、かなり難しくなります。構造でというのも少々私自身は違和感があり、構造で規定すると、対象とならない構造は、何かということになり、私自身は、構造種別で規定することに疑問が残ります。それでは、何で規定するのがよいかというと、やはり金額ではないかと思っています。ただ、1億円以上というのは、いかにも大きすぎて届出から漏れる建物が多く出てくることが懸念されます。
 ちなみに、私どもの会社で改修工事の中で1億円以上というのは、どれぐらいの割合なのか調べてみたところ、これは各社によって違うと思いますし、時期によっても異なるとは思いますが、ざっくりと見ますと、1億円以上というのはほぼ半分(50%)くらいしかありませんでした。では、5,000万円以上はどうかというと、それでも75%程度でした。3,000万円以上では82%ぐらい、1,000万円以上で、ようやく90%ぐらいになりました。500万円以上で約95%であり、そのような割合です。これは、私どもの会社だけの話ですので、この割合で判断することが、良いとか悪いとかという話にはならないとは思いますが、この割合から考えても、いかにも1億円以上というには、かなり漏れる建物所が出てくるのではないかと思います。
 また、建築基準法の主要構造物という話は、これも考え方としてはあるかもしれませんが、調査者の講習では、この用語についてはかなり注意して説明をしており、主要構造物というのは、あくまでも防火規制に対する用語であって、いわゆる建築構造学的な主要な構造物というのとは区分していますので、このことをしっかり理解していればいいのですが、そうでないと、多分、用語の解釈上で混乱するもととなり望ましくと思っています。以上のことより、私としては、やはり請負金額で規制するのが妥当ではないかと思っている次第です。以上です。
○豊澤座長 ありがとうございます。
○浅見委員 今の御意見があった主要構造部、これも先ほどから考えていたのですが、主要構造部ですと、今ありましたように耐火構造その他が絡んでくる。例えば、マンションの外壁の改修工事の塗り直しは、主要構造部の工事に入りませんので、主要構造だけで切ってしまうと、やはり問題が出てくるのではないかということがあります。金額という新しい考え方でみると、面積的には少ないかもしれませんけれども、風呂とか、キッチンの改修がある場合ですと、最低100万円の単位からあるわけです。そこまで縛りをかけるかという考えはありますけれども、やはりどう考えても、1億円というのは大きいということがあります。
 前後しますが、建築基準法関係で言うと、建築確認が10平米というのがありますので、それも非常に小さい値ですけれども、主要構造部などよりは範囲が広くなってくるのかなという感じはします。以上です。
○豊澤座長 ありがとうございます。島田委員、お願いいたします。
○島田委員 この届出の意味を、もう一度振り返りたいと思うのです。簡易届出ということで出てきているのは、施工規制に対する届出ということではなくて、事前調査結果を報告するという、それが主眼だと私は認識しています。そうすると、事前調査ありきで報告が出されるというように理解していいのではないかと私は思います。あるかないか分からない状態で届出を出すということでは多分ないだろうと。事前調査をやってください、その結果を報告してくださいということなのですね。そうなると、事前調査の結果、いわゆる吹付け材と保温材等があれば、これは無条件で届出になるわけです。抜けるのは、いわゆる成形板、レベル3の話だろうと思うのです。しかも事前調査をやっているという前提であれば、レベル3の建材についてどれだけの施工面積があるのか、それ以上のものについては届出をするということが、合理的な話としてあり得るのではないかと思っています。以上です。
○豊澤座長 ありがとうございます。
○本山(幸)委員 改修工事ということにくくって言えば、その改修が終わったら、また同じ人、若しくは新たな人がそこに生活をするということですので、全ての改修工事は届出制にする必要があると私は思います。以上です。
○豊澤座長 ありがとうございます。
○米谷委員 先ほどの島田委員の御発言に関してですが、島田委員の御発言は性善説に立った話なのですが、実際上、一番問題となるのは吹付けであったり、レベル2であったりというものがあるにもかかわらず、それをないものとして扱っている人たち、そこを押さえたいというのが主目的であろうと私は思っています。そういった意味で、ここに従前、提示した論点でもレベル1、レベル2のことを書かれているのではないかなと考えています。最初のワーキングのときに、耐火建築物、準耐火建築物というような言葉を出したかと思いますけれども、分かりやすさという点からいけば、この構造でというのが分かりやすいのではないかと思います。笠井委員が言われたように、これ以外のものが出てきた場合ということを考えるならば、逆に、木造戸建て解体は除くとか、そういったような除外は、余りにたくさんあるけれども、さほど大きく問題視しないものを除くという形で対応するというような考え方も、1つあるのかなと思います。以上です。
○豊澤座長 木造の改修工事は除くという考え方もあるということですか。
○米谷委員 そうですね、木造全般にするかどうかは。
○豊澤座長 例えばですね。
○米谷委員 はい。
○豊澤座長 いろいろな意見が出ていますけれども、ほかにありますか。この場で、どういう方向にするかというのを決める必要まではないのですよね、どうなのですか。どのような感じで。
○小林中央労働衛生専門官 本日は御意見をたくさん出していただいて、1回事務局で整理をしたいと思っておりますので、本日は何かコンセンサスを得ていただく必要は全くありません。
○豊澤座長 それぞれの御意見は分かりますので、これを事務局で整理していただきたいと思います。ほかにありますか。なければ、次の論点に移りたいと思いますが、よろしいですか。
 それでは、「届出記載事項」、資料3に移ります。事務局から説明をお願いします。
○小林中央労働衛生専門官 資料3をお開きください。これまでの委員の御意見のところですが、建材の平米数の記載を入れておりましたが、平米数の記載まではなかなか難しいという御意見があり、それを反映しております。それから除去歴についても、必ずしも施工者が把握できないということで、そちらについても記入の必須の欄からは削除しております。また、石綿含有建材の合計トン数をきっちり書くのは現実的ではないという御意見もあり、そちらについても反映しております。それから対象建材、ばく露防止の観点も踏まえて検討すべきではないかという御意見がありました。
 それから、せっこうボードや岩綿吸音板よりもPタイルやフレキシブルボードのほうが適当という御意見を受け、せっこうボードと岩綿吸音板をそもそも1つにまとめております。Pタイルを追加し、フレキシブルボードについてはスレートボードに含まれるので、特に追加はしておりません。建物の構造・規模・使用箇所を記載してはどうか、あるいは明細を検討してはどうかと。図面等から分かるアバウトな数字は書いてはどうかということ。一方で図面が残っていないために、一律に図面まで求めるのは困難ではないかという御意見を受け、図面を届出上、法令上の義務として書くのは難しいと思い、そちらについては追加しておりません。アバウトな数字としては、その他、備考欄として書くようなことはあるかと思いますが、本日の議題の対象からは省いております。
 2ページ目に実際の届出記載事項を載せております。前回一度、7月に御議論いただいておりますが、少し建材の種類が多すぎないか、現場で見分けること自体に労力を割かせるのではなくて、とにかく広く出していただいて、工事が事前に把握できているようにと、必要に応じて立入りできるようにという観点ですので、何か少し細分化しすぎているようなところがあれば、御意見を頂きたいと思っております。以上になります。
○豊澤座長 それでは、御意見を承りたいと思います。よろしくお願いします。
○本山(幸)委員 このほかにも竣工年とか改修年とか、分かっていれば書き込むという形で出されたほうが判断がしやすいのではないかと思います。
○豊澤座長 もう一度、すみません。
○本山(幸)委員 竣工年とか改修年を記入する必要があるのではないかと思います。
○豊澤座長 竣工年とか改修年ですね。了解です。その他ありますか。
○笠井委員 全建の笠井です。工事の規模ということが書かれてありますが、規模を記載するのは全くやぶさかではないのですが、工事規模とその建物にどれだけの石綿建材が含まれているかというのと、直接的にはリンクしないと思っています。それよりも石綿除去の工事期間を記載させる方が、大体どれぐらいの期間で石綿の除去等の工事にかかるのかから、その建物の規模も推定できると思いました。以上です。
○豊澤座長 工事の規模よりも工事の期間を捉えるほうが。
○笠井委員 規模を記載しなくてもよいという意味ではありません。
○豊澤座長 期間が重要な指標だということだと思います。その他ありますか。
○米谷委員 延べ床面積という程度では。規模はやはりあったほうがいいと思います。それと、基本事項としての構造といったものはあるべきかと思います。
○豊澤座長 構造部分。
○米谷委員 ええ、構造です。鉄骨なのかRCなのかという。
○豊澤座長 ありがとうございます。
○外山委員 意見のほうで「使用箇所を記載してはどうか」というのが出ているようなのですが、使用箇所は入れないのでしょうか。使用箇所が入っていないのですが。あとは、今回、調査できなかった箇所というのを入れておいたらいかがかなと思いますが。以上です。
○小林中央労働衛生専門官 使用箇所については特に深い検討を行ったわけではないですが、建材名からおおよそ場所が分かるというのと、記載事項が増えれば増えるほど負担が掛かってしまうということもあって、バランスを取ってこのぐらいかなとは思っております。ただ、御意見があれば出していただけたらと思います。調査できなかった箇所というのは、選択式ではちょっと難しいですが、備考欄などに自由記述で入れられるかどうかは検討しうると思います。
○中村委員 最初に確認ですが、これは届出の内容ということですよね。図面とか、今、外山委員の意見もありましたが、どこに何があったかというのが分かるということは大事なのかなという気がしています。前回も図面のお話でいろいろ意見がありましたが、図面も1つのやり方ですし、例えば写真でもいいのですが、どこに何があって、どこを調査して、どこが調査されていないか分かるような形の、図面なら図面でいいですし、それ以外の方法でもいいのです。何かそれがあったほうが、やはり部屋が幾つもあって、全ての部屋が同じでなければ、天井もどこの天井かということが分からないということになると、後で見たときに「じゃあ、これはどこだ」ということで疑問が残るのかなと思いますので、そういうものが分かる方法、それは図面に限らない、ほかの方法でもいいかと思うのですが、そういうものはやはり記載があったほうがいいのではないかと感じます。
○小林中央労働衛生専門官 一応その議論の前提として、まず前回、それから12月と、特に記録をさせて、しっかり後からでも立入指導できるようにという観点で、記録のほうは少なくともしっかり取らせるという思想にしました。届出のほうは、なるべく出す負担を少なくするという観点で、項目を最小限にして、記録を義務付ける分、届出のほうは負担にならないようにという観点で、一応、案としてはお示ししております。今の御意見も踏まえて、改めて検討はしますが、全体の思想としてはそういう形で案を作っております。
○島田委員 当初、この届出については、電子申請も検討の視野に入っていたのかなと思うのですけれども、その可能性の話と、それとの絡みで、この項目を整理する必要があるのではないか。何度も言いますが、この届出の意味です。もともとは事前調査を確実に行っているかどうかということで、そこで漏れ落ちている部分についての話はあるのでしょうけれども、必要があれば立入りをしますという前提での話だったように記憶しているのです。できるだけ届出自体は簡素化をするということのほうが、私はいいのかなと、事前調査を確実にやっているかどうかということを確認できるための届出というように徹したほうがいいのではないかと、私は思っております。以上です。
○小林中央労働衛生専門官 電子申請についてお答えしますと、12月から電子申請システムを構築するための前段の調査・研究の事業の入札を既に行っております。来年度、そのシステムの仕様書を設計して、再来年度にシステム調達して、その後、電子申請システムを発足させたいと考えております。
○豊澤座長 だから、この届出も電子申請に乗る可能性があるということですよね。
○小林中央労働衛生専門官 12月の論点でお示ししているとおり、最大限電子申請を促進するということで、一律に全部電子というのは難しいかなとは思っているのですが、できるだけ簡易にすることで電子申請をしていただいて、そうすると選択式でなるべく記入したほうが楽ですし、スマホなどからでも出せるようにということも踏まえて案としております。現場にも今回、事前調査結果の記録の備え付けを義務付けますし、事務所にも記録を義務付けますので、取締り自体はそちらでできるかなと。あくまで工事を把握するということで、なるべく簡素にしております。
○米谷委員 先ほどの島田委員と同じ意見ですけれども、やはり届出自体は簡素にして、図面での表示とか、そういうことが本当に必要なのは現場で作業する作業員の方たちが分かるようにということですので、そちらのほうでしっかりやってもらうということにしたほうが良いのではないかと思います。
 この「あり・なし」のほかに、ここでは作業時の措置について申告させるようにしているのですけれども、ちょっとこの意味合いがどうなのかなという疑問を感じておりまして、少なくともレベル1、レベル2に関しては、かなりガチガチで法的にやらなければならないことというのは定められている。レベル3についても、今後、ある程度の規制を掛けていこうというような考え方がある中で、あえてこの項目を、簡素化しようという届出の中に記載する必要があるのかという点には疑問を感じます。
 その意味で言えば、やはり使用部位に関しての情報のほうが、どちらかと言えばあったほうがいいのかなと。先ほど言ったように図面を付けるというような細かい話ではなくて、壁、床、天井、外壁といったようなレベルで選ぶ程度でもいいので、何か有無以外に付けるとすれば、そちらのほうがいいのではないかなという気はしております。以上です。
○豊澤座長 ありがとうございます。
○小西委員 この下の(2)の所ですが、石綿則の「3条1項に基づき」ということで、これを書くのは当然なのだと思いますけれども、分析を行った者だけ書いてあるのですが、最近何か、誰が試料を採取して、その場所を誰が指示したのかということで問題になることが結構多いみたいなので、これは試料採取場所を指示した者と、それから試料を採取した人と分析者という形で書いてもらったほうがいいのではないかなという気がします。
○豊澤座長 ありがとうございます。そのほかありますか。記載事項について、何か御質問等ありますか。いろいろな貴重な御意見が出ましたので、それを事務局で整理していただいて、次回以降に提示していただければと思います。それでは資料4の「作業計画に基づく作業の実施状況等の記録」について、事務局から御説明をお願いします。
○小林中央労働衛生専門官 それでは資料4をお開きください。1の(1)ということで、前回提示した論点を記載しております。これまでも作業の記録については、1か月ごとに常時従事する方の作業記録を作ると。それから健康診断も、常時従事する方について健診を行うということとしておりましたが、そうした方がしっかり特定できるように、また、立入りしたときに行政も確認できるようにということで、現場ごとの記録をさせてはどうかということで提示しておりました。
 2ページ目の2の論点に移りますが、総論としては、特に作業の記録については、法令に基づいて実施したかどうかを記録に残してもらって、後からでも確認できるようにすると。そして一定期間保存させてはどうかということです。(1)ですが、作業の実施状況等の記録ということで、ポイントとしては、文字で記録させても捏造というか改ざん等ができますので、写真などによって行うこととしてはどうかということで提示しております。
 アとして、まず事前調査結果、その他様々な掲示・表示を義務付けておりますので、そうしたものの写真を撮っていただくと。それからイの隔離等の措置として、セキュリティーゾーン、集じん・排気装置、点検・結果等についても記録を作成してもらうと。ウとして作業順序ごとに湿潤化している状況、あるいは保護具をしている状況などの記録。
 それからエとして、石綿建材は梱包することになっておりますが、荷姿など包装した写真を撮っていただくと。それからオとして、作業場外に持ち出す器具・保護具等の付着物の除去や梱包ということで、例えば足場を雑巾で拭いているところの写真などになるのかもしれませんが、そうしたものを記録してもらうということで提示しております。
 (2)の従事労働者の記録についてですが、こちらは先ほど申し上げたとおり、1か月ごとに記録を作ることになっておりますが、今は実際に日報などを付けていると思います。それを法令上位置付けるという形なるかと思います。現場ごとに記録を付けてもらうということも法令上の位置付けを持たせて、指導対象にしてはどうかということで提示しております。以上になります。
○豊澤座長 それでは、この資料4の論点について、御意見を承りたいと思います。お願いします。よろしいですか。
○亀元委員 作業の実施状況の記録なのですが、それは例えば一連の作業だったら、代表写真みたいなイメージのものを付けるのか、それとも作業日報みたいな毎日の記録のイメージなのか。よく代表写真みたいなものをやると、チャンピオン写真だけ付けて、あとは全然違う行動をしているというケースがあって、結局、それは立入りか何かでしか見付からない話なのです。だから、儀式的にこういう記録を作るようにするのか、作業日報みたいなものにするのかというのは、やはり結構、法制度に魂を入れるのに重要なところのような気がします。意見です。
○豊澤座長 ありがとうございます。
○米谷委員 私も同じことを御質問したいと思っていたのですが、これを見ると、もしかして今、毎日付けている作業記録のことでこれをイメージされているとしたら、毎日毎日同じ写真を撮らなければいけない話になってしまいまして、その作業量は、途轍もなくなってしまいます。どちらかと言えばこれは、特にレベル1、レベル2での作業報告書のような形で全体をまとめて作成しているものですと、こういった写真もかなり付けておりますので、そういったレベルと解釈しております。
○亀元委員 この中でエの話ですが、外壁建材でレベル3建材を梱包しているのはほんの一部の代表写真で、ほとんどはたたき割ってトンバッグの中に入れているというケースもあるので、この辺はどうなのかなというのは。
○小島委員 規模とか工期とか様々な状況で、先ほど米谷委員のほうからもありましたが、日時とか記録ピッチというのを余り細かく決めてしまうというのはどうでしょうか。そこはどうも性悪説の話ばかり出るのですが、施工する側は、それなりの責任があると思うので、労働者を保護する立場として、少なくとも自分たちが不具合はない、きちんとやっていますよという証をするだけの話です。そこまで詳細な記録のあり方まで求める必要はないのではないかなと思います。
○豊澤座長 ありがとうございます。その他ありますか。
○笠井委員 同じような意見ですけれども、現実的な考え方をすれば、作業ごとの記録を必要とされていると理解しています。例えば、壁面の石綿を除去している場合、それが毎日毎日同じ作業を繰り返されるものであれば、日報的に付けるということではなく、この面はこのように除去しましたとか、ここの箇所はこのように工法を変え除去しましたとか異なった作業箇所や工法ごとではないかと私はイメージしました。それを毎日毎日の日報のように記録することを義務づけると、みなさまからのご意見にありますように膨大な作業になり負担が重くなりすぎると思います。
○豊澤座長 ありがとうございます。そのほかありますか。
○出野委員 また同じような意見になると思いますけれども、細かい作業等の記録というよりも、やはり今からの作業基準をお決めになると思うのです。その作業基準を決めた後、その作業基準をこのようにきちんと守りましたと、そういう代表写真といいますか、その程度の写真の記録でいいのかなと、私はそう思います。以上です。
○亀元委員 繰り返しになると思うのですが、現状のままでいいのだったら、今、おっしゃったような記録でいいかもしれないのですが、立入りをやらないのだったら厳しくしなければいけないし、立入りをやるのであれば、ここは代表でもいいと思います。
○本山(幸)委員 現実のことを思い返すと、立入りが今やれるほど人間がいません、お金がありません。だとすれば、ある程度ポイントを絞って、写真で提出をさせる義務を負わせたほうが、安全を保てるのではないかということを強く感じます。見に行っても、どうしても「やっていないだろう」と言いたくなるような現場に出会すことが多すぎるのです。是非、その方向で考えていただきたいと思います。
○小島委員 何をやっていないというのですか。
○本山(幸)委員 ちゃんと対応しなければいけない解体の仕方をしていないだろうという意味です。すみません。ありがとうございました。
○姫野委員 今のをちょっと補足します。例えば飛散防止だと、これを工事中にまくわけですが、まいている写真はいっぱいあるのです。では、この工区でどのぐらい使ったかという写真は1枚もないのです。写真用に撮っているだけ。それから、風圧集じん装置にしても、ちゃんとデータとして今のものは残せるのですよね。だから、そういうものにきちんと残しておく。要するに何と何を残すかは、皆さんで後でまた審議すればいいわけですが、今のままでは20年30年たったときに、きちんとやっていたという証明に一つもならないのです。
 第一、現場に中間検査というのですか、現場を見ると、本当に飛散防止剤をまいていない、それからマスクの点検もしていない、風圧集じん装置のチェックもしていない、それが現状です。それで今、施工屋さんのほうは、面倒くさい、非常に量がある。だけれど、これを積み重ねていって、やることをきちんとやらせるまでしなければしょうがないです。確かに大変です。だから何を残すかを議論すればいいのではないですか。最小限ここだけは毎日やろうとか。
○豊澤座長 米谷委員、よろしいですか。
○米谷委員 今の姫野委員の大枠の考え方には賛成です。データとして示せるものがあれば、そちらのほうがはるかに有効性はあると思います。写真というのは、毎日撮らせるとしても、それはただ単に、それまで期間中1回だったものが1日1回だけはやるという形になるか、あるいは前日、梱包しておいたものを、また翌日も撮るというような形を取っていくかという、基本的にずるをしようとする人たちというのは、何をやってもずるをしようとするのです。そこをどう押さえるかという観点から、まともにやっている人たちがとんでもない苦労を負わせられる。これだけ働き方改革が言われている中で、無駄なと言っては何ですけれども、資料をたくさん作って、それを全部保管してというような、そういった方向性というのは、考え直していただきたいと思います。
○豊澤座長 なかなか難しい議論ですが、そのほかありますか。
○浅見委員 (2)の話題が出なかったのですけれども、(2)で、これは今の35条との絡みがまた出てくると思いますが、作業の順序ごとというのが、結構負担にはなってくると思うのです。その日の日報で誰が何をやったかというのは、しっかりした現場だったらあると思うのですが、順序まで要求すると、新たに記録を作る負担が増えてくるかもしれないなという感じはします。以上です。
○豊澤座長 ありがとうございます。たくさん貴重な意見が出ましたので、それについても事務局のほうで整理していただいて、改めて出していただければと思います。よろしいでしょうか。資料5と資料6は重たい議論なので、少し時間を取りたいと思います。まずは資料5の「隔離・漏洩防止の具体的措置」について、事務局からお願いします。
○小林中央労働衛生専門官 資料5をお開きください。前回は1番ということで、石綿則に基づく隔離・漏洩防止措置の徹底が必要ではないかということで、12月に提示させていただきました。2番の論点ですが、隔離・漏洩防止措置の具体的な措置について、資料4については大変いろいろと御意見を頂きましたので、改めて整理したいと思いますが、それのほかに以下のとおりに検討してはどうかということです。その4ページ目の「参考表」と書いている所を御覧ください。「隔離空間外での石綿検出事案」をまとめた表です。一番最後の注釈に、いずれも平成26年6月の前回改正以降の事案ということでピックアップしておりまして、12月に挙げている事案のうち、原因が推定も含めて分かるものを全部挙げたのが、こちらの表です。
 1番から10番まで振ってありますが、漏洩の推定原因を一番右側に書いています。まずNo1は、こちらは持ち込んだ集じん機がもともと汚れていたことが原因ではないかという事案です。No2は、集じん・排気装置に不備があったというものです。No3とNo4は同じ事案で、除去作業中に集じん機とダクトの接合部分に足場、立ち馬が当たり、接合部、ダクトが外れてしまって漏洩した事案です。No5は、作業場への作業員の出入りの際の管理が不十分というものです。No6は、養生に不備があったというものです。No7は、吹付け材がもともと劣化し脱落しており、隔離養生前の機材の搬出作業や清掃作業に伴って、もともとあった機材に付着した吹付け材が飛散してしまったのではないかというものです。No8は原因が2つありまして、煙突断熱材の崩落により突発的に空気が逆流したことと、作業員による持出しも考えられたという事案です。No9は、退室時の前室での洗身の不備、No10も作業員による持出しという内容です。これ以上の詳細は不明ということで聞いております。
 戻っていただいて、1ページから御覧ください。これらの事案に対して、それぞれ対策を列挙しております。(1)のアです。集じん・排気装置の不備ということで、先ほどのNo1とNo2です。四角の枠囲みの中ですが、現状として隔離を行った作業場所において作業を初めて行う際には、作業開始後速やかに排気口からの漏洩を点検することを義務付けています。また、集じん・排気装置の保守点検を定期的に行うということと、それらを記録するということを示しております。集じん・排気装置の不備で漏洩したり、そもそも持ってきた集じん・排気装置の中に汚れがあったということで、こうした措置について引き続き実施の徹底等を求めてはどうかと考えております。イとしては、ダクト等の外れということで、足場が当たって外れてしまったということですので、作業中にダクト等に衝突しないように、また衝突した場合はすぐに補修等を行うように注意事項等を示すことを検討してはどうかということで、マニュアルか何かで検討するのかと、別の場所で検討するのかと思っております。
 続いて、次のページのウの出入りの際の石綿の付着です。こちらは参考表の5、8、9、10ということで、4つの事案が確認されております。四角の枠囲みの中ですが、1点目として、石綿等の除去を行う作業場所の出入口にセキュリティーゾーンを設置することを法令上義務付けておりまして、これらについては前室、洗身室、更衣室の順に設置するということを義務付けています。また、2番目として、作業場所や前室を負圧に保つことで、セキュリティーゾーンの中で洗身していても出ていかないように負圧を管理することを義務付けています。3番目として、入退室に当たっては出入口の覆いを開閉する時間を最小限にとどめるということを示していたり、隔離空間からの退室に当たっては十分に洗身するということ、それから作業計画を定める際にも洗身の時間を十分に考慮することをお示ししています。こうした措置については、引き続き実施の徹底等を求めてはどうかということです。
 続いて、エ、No6の養生の不備の事案です。法令上は、まず石綿等の除去を行う作業場所について隔離することということで規定しておりまして、また作業場所については負圧に保つことを規定しております。3点目として、吹付け材の除去等の作業を開始する前に、隔離が適切になされ漏れがないことを隔離空間の内部、行う全ての対象部分や床面、壁面に貼った全てのプラスチックシートについて目視やスモークテスターで確認するということを示しておりまして、こうした措置について引き続き実施の徹底等を求めてはどうかと考えております。オの既に機材等に落下した石綿の持出しということで、こちらについては隔離の不備ではありませんが、作業開始前に清掃すること等について、マニュアルなどに注意事項等を示すことを検討してはどうかと考えております。
 続いて、3ページ目を御覧ください。最後のカですが、除去建材の崩落による逆流ということで、煙突断熱材が一気に崩落したという事案がNo8です。1点目として、まず負圧管理をしっかりするということで、負圧に保つということを石綿則上は義務付けております。2点目として、煙突内の石綿除去時には、詰まった除去物がまとめて落下することでずい伴流が発生し、排出口から石綿粉じんが押し出されることがあるということで、煙突下部では特に粉じんの飛散漏洩を生じさせないように、出入口を含めた密閉化が重要となるということをマニュアルに示しております。引き続き、こうした実施の徹底等を求めるとともに、これもマニュアルの検討会などで検討することだと思いますが、作業方法等について何か示すことがあれば検討してはどうかということで考えております。
 続いて、また別の論点ですが、一番最後のページを御覧ください。(2)のグローブバッグ工法です。隔離の論点に入れるかは迷ったのですが、こちらに分類させていただいております。いわゆるグローブバッグ工法については、同等以上の措置に該当するということで通知上お示しはしていますが、具体的にどのように措置したらいいかということは示しておりません。一方で、そのグローブバッグについては広く用いられておりまして、中にはグローブバッグを市販品ではなくて自作するような事例も見られるということで、そうした場合もしっかりと措置の徹底を図るために、具体的な措置の内容を示してはどうかということです。
 まずアとして、グローブバッグにより作業を行おうとする箇所を覆って密閉するということを示してはどうかと考えています。グローブバッグとしては、例えば厚さ0.15mm以上とするなど丈夫なものにしてもらうと。それから、※2として、覆いの箇所としては、例えば石綿保温材であれば、その除去しようとする範囲より外側で目張りをしていただくと。イですが、作業開始前にスモークテスターで密閉の適否を点検して、漏れがあった場合は塞ぐということを示してはどうかということです。※3にありますが、湿潤化のために噴霧器などを挿入する場合があると思いますが、その場合はその後にテープで密閉していただいて、その後に漏れチェックを行ってはどうかということでお示ししております。ウとして、除去前に保温材であれば保温材を湿潤化すると。
 エとして、作業中に、もしグローブバッグが外れてしまったという場合は素早く湿潤化し、速やかに掃除していただくと。オとして、除去作業後にグローブバッグを開放する前に除去面について飛散防止処理をする。カとして、グローブバッグから工具等を持ち出す場合、あらかじめ付着物を除去するか、あるいは梱包して出すことが一般的だと思いますが、そうした措置を講じると。キとして、除去作業終了後に、グローブバッグを取り外す前にHEPAフィルタ掃除機などで中の空気を抜くと。その他、こちらのワーキングというより、マニュアルの検討会などになると思いますが、注意事項・適用用途を示してはどうかということで、例えば火気厳禁ですとか、破かないように作業するとか、グローブバッグが落ちないように重量物を入れないということ、その他、適用できる対象作業について示してはどうかということで考えております。以上です。
○豊澤座長 それでは、この資料5の論点について、御意見等がございましたら承りたいと思います。よろしくお願いします。
○外山委員 第2回の12月の検討会のときに申し上げたことなのですが、石綿則第6条ですが、現状で漏洩監視、デジタル粉じん計あるいはパーティクルカウンターを使ってやられているということなのですが、これはあくまでも次善の策であって、本来はPCM法でフィルタにろ過捕集したものを顕微鏡で数えるということをしなければならないと思います。というのは、それは石綿のリスクはそのやり方で検出されたものに対して、肺がんと中皮腫のリスクが出てくるということですので、現状でそれをやられていないということは解体の現場、除去の現場で全くリスクが管理されていないということを示しているわけですから、そこはやはり、必ずそれは実施する必要があると思います。
 排気口から漏洩してしまうと、その周辺にいる労働者がばく露してしまうわけですし、前々回に申し上げましたが、作業場の内部の測定も必ず必要で、これはもう欧米では常に測定しているという状態で、顕微鏡を現場に持ち込んで、すぐにその場で検出して結果を出しているということですので、やはりそういったことをしなければ作業者のリスクは分からないし、リスクアセスメントもリスク管理もできないという状態だということだと思います。そこは是非御検討いただきたいと思います。以上です。
○亀元委員 ここにいらっしゃる委員の皆さんで、こういった現場管理をされたことのある方は何人ぐらいいらっしゃいますか。2人ですか。あと、皆さんは負圧養生の中に入ったことはありますか。4人。
 重要なのは、中でどのようなことが行われているか。フルフェイスのマスクをして、負圧養生の中に入っていく。そのときに、何万本も飛んでいるわけです。下手をすると、イギリスの報告書ですと、大体100万本飛んでいるということです。負圧養生して、フルフェイスのマスクをして中に入っていくとしたら、99.97%です。100万本飛んでいたら、その0.03%で100本を超えてしまうのです。
 そういったことがベースになっていて、今、外山さんが言った話というのは、マスクをしていれば大丈夫だということでどんどん飛ばしてしまうという状況が、日本の現場で非常に起きています。あと、日本は海外と違って、乾式の除去方法を採用しています。乾式というのは、水が滴るように界面活性剤を吹付け材に滲み込ませて、ほとんどパンをこねたようなどろどろした状況で落とすということをしないで、乾いたまま、表面に儀式的に、おまじないみたいに水を掛けてやっていて、でも飛んでいる本数は数十万本、100万本ぐらいは飛んでいるわけです。そこをちゃんと見なければいけないというのが、外山さんの言っていることで、海外はほとんど作業員に、1日に1人か2人の新しい作業をする人、又は粉じんの高い作業をする人に、30分ぐらいのモニタリング時間で、作業中の個人ばく露を調べるわけですが、そういったことは全然やられていないということは非常に大きな話ではないかなと思います。
 やはりこういったことを身近に感じていないとなかなか分からないと思うのです。私は仕事上、今までも100か所以上の除去工事現場へ行ったことがあるのですが、それは外資系の仕事をしていたので、お施主さんを守るために、工事がちゃんとやられているような状況を作れという仕事で何回も行っているのですが、いろいろな現場がありまして、ピンキリで、悪い所は悪いし、一生懸命やる所は一生懸命やります。でも往々にして言えるのは、作業をやっている人たちがどれぐらいばく露しているかということを知らないことです。英国とかアメリカだったら、ここに一覧表がありますが、こういったデータがちゃんと出ています。日本のデータは、いつもそれよりも1オーダーか2オーダーぐらい低いデータが出ています。これはどういうことなのだろうかと思いますが、そういったことを常に測ることによってリスクを知るということは非常に重要だという気がします。1つその話をしたいと思います。
○豊澤座長 そのほかにございますか。
○姫野委員 この隔離・漏洩防止の具体処置、これをすると必ず集じん・排気装置の問題になります。それで、今、現場に行きますと、石綿作業主任者の仕事を日常管理をすると、ほとんど集じん・排気装置の点検とかチェックとか、これができないのです。また、石綿作業主任者に集じん・排気装置のメンテのやり方をどこで教育していますか。誰も知らないのです。今、法的にはそういう人にメンテをさせるようになっています。これ自体が、まずおかしいです。だから、いつまでたっても同じ間違いをしていると。
 そうであれば、集じん・排気装置のチェックをする主任者を新たに設けて、そういう人たちを教育して、それからマニュアルもどういうチェックをするか、悪かったらどういう処置をして集じん・排気装置を直すか、そこまでのちゃんとしたマニュアルを作る、あるいは現場に入るまでにどういうものをチェックしてから完全なものを現場に入れるか、こういうシステムを組まなければ、もう同じことを何年やっていますか。もう、いい加減にやめましょうよ。そうすると、今ここに飛んでいる半分以上がなくなります。
 それともう1つ、日本の養生の漏れのチェックの仕方ですが、スモークテスターで、吸い込むところをずっと見ていくとなっています。実際にやってみてください。まず、よほど大きな吸込み口でなかったら、破れていなかったら見られません。何でかと言うと、吸い込むといったら、煙が引っ張られるから見えにくいのです。逆に、養生内に煙を充満させたらどうでしょうか。そうすると煙が出てくるのです。これはライトで見れば簡単に見られます。イギリス、オーストラリア、そういう所はみんな煙発生装置を使っています。これで簡単に見ることができます。
 それから最後に、グローブバッグ工法です。日本でこのグローブバッグ工法は結構使っています。ただ、使い回しをしている業者がいます。グローブバッグ自体は一遍外したら、内部のものは飛散防止材をまいて、基本的に飛散しないようにしてすぐに捨てなければいけないのです。それを使い回して飛散させているのです。どこにも再使用は駄目とは書いていないのです。駄目と書いていないから再使用するのです。だから、その辺は法的に直していただきたいと思います。以上です。
○豊澤座長 ほかにいかがでしょうか。
○小西委員 順番にお話ししたいのですが、最初の集じん・排気装置の不備ということですが、ここは今も少しお話があったのですが、作業を開始した後、速やかにという形のものしかないのですが、本来はマニュアルには設置時、作業開始前に集じん・排気装置の設置時の点検をしなさいと、その手法も書いてあるわけですが、なかなかそのこと自体、今お話があったように教育する場所がないというのが現実だと思います。ですから、そこをきちんと徹底していただきたいと思います。
 それと、本来的には、どこかで集じん・排気装置を使っていい、漏洩していないという定期点検をする。そこに出して点検してもらって、OKだとシールが貼られているものを使うようなシステムが本来あれば、作業をする人たちは安心して使えるということになるのですが、以前から申し上げているのですが、何らかの形で制度が必要なのではないかと。機械的なものについては、それである程度は防げるのではないかという気がいたします。
 それから、今の養生シートの漏れのところについては、目視とスモークテスターと書いてあるのですが、今もお話がありましたが、確かにスモークテスターというのは分かりにくいのです。現実には触診というのを是非入れていただきたいのです。指先でずっとつなぎ目を見ていくということです。あれは意外と漏れていると分かりやすいのです。ですから、そういうことも入れていただくといいかなという気がします。
 もう1つは、ウの洗身室の洗身時間の不備ということで、これが持ち出す最大の原因ではないかと思うのです。これはマニュアルの部分かもしれませんが、一応30秒以上は必ず掛けろと書いてありますが、現場へ行くと、なかなかそれは守られていないのが現実だと思います。ですから、もうちょっとそういうところについては厳しく管理する必要があるのではないかと思います。作業者が、例えば10人現場に入っていて、休憩時間に出てくるときに、いわゆる前室、洗身室、更衣室を通って出てくるときに、手順をちゃんと守っていると、そんなに簡単に、自由にいっぺんに出てこられないのです。それが、時間を見ていると、あっという間に出てきてしまう。ひどいときになると、次の人のためにビニールカーテンを持ち上げているというのがあるわけです。ですから、そういうところは、作業者に対してのきちんとした主任者の教育でも何でもいいのですが、そういうところはきちんと徹底するべきだろうと思います。
 それから、逆流による崩落の煙突の件です。これは、私も直接現場で経験したことがあるのですが、最近、こういうずい伴流で落ちてきたときにピストン現象で、一気にセキュリティーゾーンの入口から抜けてしまうということが、実際に現実に体験したことがあります。最近、いろいろ煙突の所で工夫されているところなどでは、養生の一部に空気溜めを作っています。もし、ずい伴流が落ちてきて圧が掛かったときは、その空気溜めで一旦空気を溜めるというような工夫がされているところもあるので、そういう事例なり、そういったものをもう少しいろいろと工夫されている所を拾って、マニュアルなどに加えるといいかなという気がします。以上です。
○姫野委員 セキュリティーゾーンの話が出ましたが、特に法が改正されて、天井裏にアスベストが吹かれている場合、天井材を撤去するとき、養生して、負圧管理をして天井をばらしなさいと法律が変わっています。そうすると、セキュリティーを通して天井材を外に出すというのは、今の日本のセキュリティーは非常に小さいですから無理なのです。そうするとどうすればいいかと言ったら、諸外国のように人間が出るセキュリティーと物を出すセキュリティーの2つを設ける。こういうやり方もあるわけですから、参考にしていただきたいと思います。
○亀元委員 小西先生がおっしゃった、集じん・排気装置の不備のところで、大体集じん機が漏れる原因というのは、よく現場で聞く話というのは、初めて使うのにとか、メンテナンスをしっかりしたものを持ってきたのに出ているという話が多いのです。日本でよく使われている除じん機というのは、施工現場が3階であったものを2階に移したときに、移動中にフレームが曲がったりしてすき間ができたりといったことが起きるので、やはり現場での事前のチェックというのが非常に重要になってくると思います。除去作業をする前にやることです。
 今、更に問題になっているのは、午前中の9時頃から作業が始まって、10時半ぐらいまではよかったけれども、次に排気口にデジタル粉じん計を入れてみたら数字が30になっていた、100になっていたという。最初はゼロだったのにと。そういったこともあるので、1日のうちに何回か点検をする必要があると思います。そうしないと、その集じん・排気装置の不備というのはなかなか分からないです。それが、結局何時間も漏洩していたら、相当なものが外に出てしまうということがあると思います。そういったことがよく現場であります。
 それと、これはウの洗身について聞きたいのですが、JATI協会のほうに聞いたほうがいいのか、よく分かりませんが、日本だけがファンで体を洗っているのですが、最初に日本に、当時は、80年代ですが、EPAの方法を持ち込んだときというのは、水シャワー、お湯シャワーの洗いがあったと思うのですが、何で日本ではそれは定着しないで、こちらのエアーのほうになっていったのでしょうか。エアーのほうで問題になっているのは、今は30秒と言っていますが、ファンがちゃんとメンテナンスしてあったらいいのですが、ボタンを押してもファンが非常に弱くて、30秒浴びていても全然きれいにならないというファンも結構あるのです。
 そういう業者に限って、ファンの所に、メンテナンスをいつやったかという記録も残っていないのです。2、3回やらないと落ちた感じがしないという状況があるし、時間だけではなくて、先ほど姫野さんから除じん機のメンテナンスの話がありましたが、エアーシャワーを使うのであったら、エアーシャワーもちゃんとしたメンテナンスをしていないと、30秒だからいいという話ではないし、よくある話で、ワッと出てきてしまうというのもあるのかもしれませんが、実際に一生懸命やっていたとしてもそういうことがあります。
 だから、やはりそういったものにスタンダードがないし、知らないで持ち出しているというケースもあるような気がします。以上です。
○豊澤座長 そのほかにございますか。
○小西委員 先ほどのグローブバッグの件なのですが、グローブバッグについてはアメリカ等ではバッグ自体に規格があるのですが、日本には規格がないということですので、規格となるとJISだとかいろいろな問題があるのかもしれませんが、使われるグローブバッグというものの性能要件をきちんと決めておくべきではないかと思います。
 もう1つは、試作の禁止と、先ほど姫野さんからあったように使い回しの禁止ということを、そのバッグには明示する。それを性能要件の1つとして、表示要件として入れておくということをきちんと決めておくべきではないかという気がします。
○亀元委員 もう1つグローブバッグの話です。ちょっと困っているのは、グローブバッグを巻いてパイプの両側を重機でパチンと切って、グローブバッグが床の上に落ちてしまうという、そういう作業も駄目だということを言わないと、「それは書いていないから」という話になりそうな、訳の分からない状況が現場で起きるというのがあります。
 なぜかと言うと、これは誰がこの作業をしているかというのは分からないのです。グローブバッグをやっているのだから、レベル1の作業をしている人たちがちゃんと養生をしてやっているだろうと思うかもしれませんが、実は重機解体をやっている人が、グローブバッグを巻いたから後はよろしくといって、バチンととやって落としてしまう。教育をちゃんとやればそういったことはないのかもしれませんが、またレベル1の除去会社というのはプロ意識を持って、どんどんレベルを上げていこう、自分たちでデジタル粉じん計を持って、除じん機に突っ込んでやろうとやっている業者もいるし、全然やっていない業者もいるのですが、解体業者にそれをやらせるとするなら、その人たちもトレーニングしてあげると。
 その人たちは、パイプをカットして、マスクは手拭いだったり、よくて半面しているかどうかという、その周りでボンと落ちてモワッとしていて、しばらくしたらそれを回収する人たちが、またマスクをせずに手拭いでやってくるとか、そういう状況が現場で起きているので、そういった現場全体をコントロールするようなことを考えなければいけないのではないかという気がします。
 ここは完了検査の話が環境省のほうで出ていますが、アメリカにもイギリスにも、プロジェクトモニターとかアナリストという役割の人がいて、お施主さんの代わりに工事全体を見て、何か問題があるときは工事を止めて改善させるということをしながら、全体がアスベストを飛散しないようにしているという仕組みがあるのです。だけれども、日本は全部お任せになってしまっているので、なかなかそういったところについて、ちゃんとやれているかどうかというのは見えていないような状況があると思います。
 話がグローブバッグの話から広がってきましたけれども、何かそういう仕組みがない中でやっているということについて、相当いろいろなことを考えないと、何のためにこの法律を厳しくしているのかがよく分からなくなってしまうと思うのです。これ以上被害者を出さない、又は作業中の人たちが将来中皮腫を発症しない、又はその周辺で働いている人たち、作業している人たちが中皮腫を発症しないということを目標にしているのであれば、韓国でもそのようにやられていますが、ほかの国でやられているレベルの除去作業、除去管理の仕方をしていかないと無理なのではないかなという気がします。
○笠井委員 グローブバッグにつきましては、作業手順がグローブバッグのメーカーのカタログにも書かれてありますが、実態を把握するためにも専門工事会社等へのヒアリングを行うなどして整理していけばいいのではないかと思います。グローブバッグというのは、基本的に設備配管で部分的に隔離して石綿含有保温材を除去するために考案されたもので、アメリカのEPAなどに書かれてあるように、例えば、設備配管の保温材の除去に原則は限定するとか、レベル1建材の除去についてはグローブバッグは使えないなど密封できないような状況には、使えないという決め事を明確に示すことが大切だと思っています。
○豊澤座長 そのほかにございますか。
○米谷委員 煙突の断熱材に関してですが、これも経験上の話なのですが、ここでの例ですと、下部の排出口からの漏洩ということだったのですが、割と上部からの漏洩というケースも多いのではないかと思っています。ウォータージェットの場合ですと、煙突内部の空気が高温になるということもあって、上昇気流が発生するということもありますし、ドスンと断熱材が落下したときの空気の流れとしても上に行くという部分もあってかと考えているのですが、そういったこともありまして、当社の場合ですと集じん・排気装置を下だけではなくて上部にも設置するという形を取っています。そういったことも含めて、マニュアルの検討のほうで考えていただければいいかと思います。以上です。
○浅見委員 グローブバッグからの流れの話になるのですが、笠井委員からプラントの配管という話もありました。グローブバッグは実際に配管でということになりますと、今でもそうなのですが、建築物の解体業者だけではなくて、プラント関係の業者が入ってきますので、そういう関係の方への教育も必要です。更にそこから発展させますと、石綿則で船舶も対象になっていますので、船舶関係の作業をする方への教育などがまた必要になってくるのかなというのを感じたところです。船舶も必要になったというか、より意識が高まってきたかなという感じです。
○豊澤座長 そのほかにございますか。
○姫野委員 今やっている議論とはちょっと違うのですが、養生内というのは非常に密室の作業です。飛散事故を防止する、あるいは作業員の横着を防止するために覗き窓の設置を義務付けたらどうでしょうか。海外では覗き窓を付けて、第三者が見られるように必ずしています。この写真はイギリスに行ったときの写真ですが、外から作業員がどういう作業をしているかを見られるのです。そうすると、作業員もずるをしなくなるのです。だから、こういうような外から見られるような、そんなにお金の掛かることではありませんし、簡単にできることですので、こういう提案をしておきます。
○豊澤座長 そのほかにございますか。
○外山委員 本題からずれてしまうかもしれないのですが、石綿除去の作業場の中で、リットル何十万本のような濃度になってしまうものを管理する、漏洩させずに除去する、しかも100%きれいに取らなければいけないという、非常に難しい仕事だと思うのです。 本質的な話ですが、やはりこれを誰でもできてしまうというのは問題があって、ライセンス制なり許認可と言うか、そういった資格制度が必要ではないかと思います。事業者のライセンス制です。
 それから、あとは監視する人が必要であって、これはイギリスではアナリストと言われていますが、これも公的な資格としてありますので、やはりそのように枠組みをきちんと作っていかないと、マニュアルでいろいろな技術的なことを決めたとしても守られないということになってしまうのではないかと思います。以上です。
○姫野委員 今の枠組みの話なのですが、日本では第88条申請というのがあります。第88条申請の中に耐火建築物の石綿除去、これが対象なのです。そうすると、何で第88条があるかと言うと、事故を起こした場合に被害が大きいので、そういう工事を選んで第88条申請というのがあります。
 その中で、きちんと内部でチェックして、そのチェックした事項を申請書類に添付しなさいと第88条はそうなっているのですが、石綿だけは何もありません。せっかく法律があるのですから、この法律をきちんと整備して、石綿に対してきちんと社内でこのようにするのだ、このような対策をするのだということをちゃんともんで、それから申請できるようなシステムの補強をお願いします。
○豊澤座長 次の資料6の課題も今回初めて出る課題だと思うので、時間を30分ぐらい取りたいので、もしないようでしたら次の議題に移りたいと思います。よろしいですか。それでは、「隔離以外の作業現場(いわゆるレベル3)および建築用仕上塗材に係る作業現場」について、資料6の説明をお願いします。
○小林中央労働衛生専門官 すみません、1点ちょっと誤解させてしまったかもしれないのですが、完了確認については、12月に議題として提示しておりまして、また次回議題にしたいと思っております。
 それでは資料6番をお開きください。隔離以外の作業現場、いわゆるレベル3、それから仕上塗材をまとめて論点として提示しております。第2回会合における委員の御意見ですが、まず全体的な御意見として、アモサイトを含むケイカル一種は飛散性が高いということで、それをもって全体を演繹しないようにという御意見を頂きました。発散防止措置などの内容ですとか考え方について御意見を頂いておりますが、1点目として、レベル3であってもビル内の改修工事等であれば、養生等の措置を検討すべきではないかと。2点目としまして、破砕禁止の原則を規定しつつ、ガイドライン等でどういった場合にどうするかということを示すべきではないかと。それから、何でも破砕しないというのは現実的ではないため、負圧まで必要ないとは思うが、さらっと養生して集じん・排気装置を併用するということも必要ではないかと。また、本来隔離ということを原則として、発散の程度が低いなら隔離しなくても大丈夫という考え方にすべきでないか、という御意見などを頂いております。
 マニュアル等による具体化ということで、1点目として湿潤化は除外規定があるが、マニュアル等において具体的に示してはどうかと。それから破砕禁止についても、マニュアル等で具体的に示してはどうかと。次のページにまいりますが、ワーキンググループでは、細かい議論までは難しいとは思いますけれども、マニュアルを充実させてほしい。それから、例えば化粧したりタイルを貼っている成形板は湿潤化は意味がないということで、マニュアルで具体的に示してはどうかと。破砕をせずに湿潤しながら行うと費用負担も大きいということで、財政面等、全体的に守れる仕組みを作ることが必要ではないかという御意見を頂きました。
 2番の論点にまいります。本日(1)ということで、まず屋内から議論いただきたいということで、屋内のいわゆるレベル3でありますが、湿潤化の除外規定があるですとか、湿潤化が有効でない場合があるのではないかという御指摘を頂いておりました。屋内における石綿則の13条1項、湿潤化の規定でありますが、この措置については多様な措置の普及などに伴って、より効果的な措置が選択できるように、例えばアとして、現状の建材の湿潤化。イとして、切断面等の発散箇所において、粉じんを局所吸引するということなどの措置を、単独又は組み合わせて行い、それに併せて、著しく困難な場合における適用除外事由を廃止してはどうかということで御議論いただきたいと思っています。また、清掃用具を備えて、作業終了後に清掃を行うこととしてはどうかということです。アとイ以外に、どういったものを認めるかということで、※1として例えば除じんとか養生もあるのかということで提案をしております。
 (2)の建築用仕上塗材についても、屋内をまず御議論いただきたいと思っておりますが、仕上塗材について吹き付けられたものかどうかに関わらず、屋内の作業における発散源対策や清掃については、上記(1)と同様に検討してはどうかということで提示をしております。
 続いて、次のページの(3)にまいります。まずアとして、(1)(2)のほうで、発散抑制等措置、発散源対策や清掃を検討した上で、前回除じんをして、養生ですとか負圧隔離を基本にしてはどうかというお話もありました。発散源対策を講じても、特定の建材の特定の作業等については、そうした負圧隔離などの措置が必要か否か更に検討を深めてはどうかということで考えております。
 例えば、ケイカル1種など破砕等を行った場合には、特に高い濃度が確認されているがどう考えるかと。また石綿含有建材の切断等の作業に従事する場合、石綿が発散しやすいですが、作業者以外の労働者の保護具の着用などについてどう考えるかということで提示しております。イとしまして、(1)(2)、屋内をまず御議論いただきたいということで提示しておりますが、屋外について、また屋内についても、関係法令の動向を見ながら当省としては労働者保護の観点から検討していきたいと思っておりますので、ほかとのすり合わせも考えながら順次検討を進めていきたいと思っております。ウとしまして、マニュアルについての御意見を多数いただいておりますので、今よりも更に具体的に方法を示していってはどうかと考えておりいます。※2で、ケイカル1種の話をしましたが、けい酸カルシウム板第1種については、実作業で、例えば湿潤化を行った場合でも、377本飛んでいるというのが確認されております。またチャンバー内の重錘実験において、石綿繊維数濃度のデータがないのですが、総繊維が、いわゆるレベル2と同じような状況も確認されております。
 そちらは次のページの参考表の1になります。参考表の1がチャンバー内での重錘破壊実験で、上の3つがいわゆるレベル2で、まん中の太い枠囲みがケイカル1種になっております。下が、その他のレベル3建材、3つ代表的なものを挙げております。
 すみません、ちょっと訂正がありまして、備考欄の下のチャンバー体積33m3が間違っているかもしれなくて、ちょっと確認ができてないのですが、体積がもうちょっと大きい可能性がありますので、また次回までに事実関係を確認したいと思います。ざっくり数値を比べていただくと、ケイカル1種、条件が厳密に一緒ではありませんが、それなりに発散しているのかなというのがこちらのデータになります。
 それから次のページの参考表2は、前々回の12月にも御提示したものと同じということです。例えばNo1のディスクグラインダーケレン、集じん装置なし、というのを提示しておりますが、(1)(2)で御議論いただいて湿潤化、もしくは局所吸引が必須だということになると、この作業自体が禁止になりますし、そうではなくて除じんとか負圧隔離するならいいという考え方もあると思いますし、まずは発散源対策を(1)(2)で御議論いただきたいと思います。その上で(3)に提示しておりますが、追加的な除じんとか養生とか負圧隔離が必要なのかというのも併せて御議論いただきたいと考えております。
 それから、追加で直前になってしまいましたが、委員の皆様方には机上配布ということで、レベル3建材の主な発散データということで、紙でA3の資料をお配りしております。けい酸カルシウム板第1種、真ん中ほどに測定結果があって、左の列が総繊維数濃度で、右の列が石綿の濃度になっております。けい酸カルシウム板第1種ですと、3ページの上のほうからけい酸カルシウム板第1種になっております。
 先ほど申し上げた377本というのはNo57のところですが、作業環境中で石綿濃度376.57本ということで、作業内容としては、ジョウロや霧吹きで水を吹き掛け、電動ドライバーでボルトを外して、手作業で取り外しをしました。そこまではよかったのですが、フレコンに詰め込む際に、湿潤化しながらでありますが手作業で約30cm角に破砕したということで、個人ばく露だと2,000本ぐらいばく露しているということになります。
 一方で、ケイカル1種でも全部そのくらい発散しているわけではなくて、その下5現場ぐらい、どれも厚生労働省の測定結果ですが、散水しながらバールで一部はがして手作業していくという作業をしたときには、ほとんどNDだという結果がその下5現場ぐらい全部そうですけれど、出ております。
 それからケイカル1種以外で発散しているというのが、例えば2ページ目に戻りますが、石綿含有住宅用屋根化粧スレートということで、それの一番下のNo47~49ですね。こちら丸のこで切断する作業、あまり解体ではこうした作業はなくて、改修で一部あるのかなぐらいかもしれませんが、丸のことかで切ると。例えば管理濃度150本ですが、それを上回るような濃度も見られているということで、作業者以外も、そうした場合には保護具とか付けて入るべきなのか。そうしたことも御議論いただきたいと考えております。
 そのほか本日整理をしきれなくて、なるべく過去の文献を網羅的に調べようとしたのですが、また次回までにもう少し論文などをそろえて、更にデータを整理したいと思っております。最後の4ページ目のNo88、89ですが、こちら石綿含有セメント板と論文にあって、ちょっと建材の種類は不明なのですが、電顕でやった結果としては、石綿濃度1,000本を超えているという、ちょっと測定点も不明なのですが、そういうデータもございました。引き続きちょっとデータを整理しながら、まずは論点について、考え方をどうするかということで御議論いただきたいと考えております。以上になります。
○豊澤座長 ありがとうございます。それでは余り時間がないですけれども、この論点について、御意見を承りたいと思います。お願いします。
○亀元委員 イギリスだと、この粉じんの飛散濃度によって、アスベストの除去業のライセンスを持っている人たちがやらなければいけない作業か、そうじゃないかというのを分けるのですけれども、そのときに使われているデータというのは、イギリスの厚労省みたいなところで、HSEさんが1980年代にこういったデータを、いろんな作業分類ごとに出されているのですね。
 そのときのデータの整理の仕方なのですけれども、現場によっていろいろ条件が違うので、最大値をちゃんと整理していくような。そういった作業については、ライセンスを持った登録業者さんが除去しなければいけない。実際に今度現場では、個別にアナリストの人たちが、常時作業をモニタリングして、パーソナルモニタリングとかそういったやつをして、この作業だったらこのレベルの除去の工法、この工法だったら粉じんが出るけど、この工法だったら大丈夫だよとか、そういった工法を細かく現場で決めていくみたいな仕方で、現場で管理しているというような状況があります。
 何かそういうのがベースにあって、こういうレベル3建材の扱いというのを考えればいいと思うのですけれども、パッと一番最初に出てくる、「アモサイトを含むケイカル1種は飛散性が高い。レベル3全体の飛散性をケイカル1種を代表にして考えることは避けるべき」という。これは条件によって全然違うと思うのです。こちらの頂いているデータも全然違うので、物を考えるときには最大リスクに準備して、それに対して現場で調整していくという、2段階のような考え方をしたほうがいいような気がします。
 それを、PCMで現場で測定して、パーソナルモニタリングを確認するか、デジタル粉じん計、パーティクルカウンターで現場で確認するか。パーティクルカウンターはちょっと養生内に持ち込めないのであれですけれども、どれぐらい粉じんが発生するのかとか、そういったことを検討して、実際ある意味リスクベースでものを管理していったほうが、お金とか工期とかセイブされ、実効性が高いものになっていくのではないかと思います。
○豊澤座長 リスクベースで考えるべきだという御意見だと思います。何かございますか。余り時間がないので、手短にお願いしたいと思いますが。
○中村委員 届出のところで話すべきかなと思ったのですけれども。まずレベル3に関しては今後、今と同じような形になるのかというところで、やはりレベル3に関しても、そういう作業をするという届出をしていただくということが、どういう形でも、簡易的なものでもいいかと思うのですけれども、必要かなと思います。
 というのは、レベル3の現場を探すのに苦労するというような話を、自治体の方に聞いたりもしまして、結局レベル3でも飛散の事例があるので、立入りをしたいんだけれど、どこでやってるか分からないみたいな話は聞きますので、まずレベル3に関しても、やはりそういうことをしている作業が分かる、把握できるような形で届出をしていただくような必要が、今後あるのではないかと思います。
 あと、レベル3に関しても、レベル3だから安全だとか、レベル3だと石綿だけど、そんなに大して対策をしなくてもみたいなことを考えている現場の方が、たまに。聞いていると、この人は、レベル3だと現場を軽く見ているのかなというような方もいらっしゃるので。やはりレベル3であれ、作業内容によっては飛散するということをもっと周知して、基本的にはそういった飛散をしない作業をしていただけば、レベル1、2よりは簡易的な形での除去ができるとか、そういった形に話を持っていくというか。結局同じような形になるかもしれないのですけど、レベル3でもやはりリスクはあって、その中で飛散しないような形で作業することができるというように書き方を持っていったほうが現場の方にも、やはりそういう形で、レベル3でも作業をちゃんとやらないとばく露してしまうという可能性があるということを、もっと認識していただけるのではないかなと感じます。
○豊澤座長 ありがとうございます。論点に関して、そのほかございますか。
○亀元委員 湿潤化なのですけど。先ほど吹付け材のときも話したのですけど、日本だと1、2分で乾くような湿潤化が湿潤化だというような状況で、本当に塗装している表面に対してパーッと掛けて、それで湿潤化というふうな話にして、作業して20~30分していくと、もう乾いちゃって、どんどん粉じんが出てしまう。その湿潤化の概念というのが、ちょっと違う。
 私は日本でイギリスのアナリストがやっている工事現場で監視を一緒にやらなければいけなかったのですが、向こうのアナリストが怒っていたのは、何で塗装している側に一生懸命水を掛けているんだと。あれだと全然含浸しないじゃないかと。ねじ山を出したところで、さっきカッターで切ったねじ山のあそこを目掛けて、そこにブシュっと水を入れて、ねじが外せるようにするというのが1つと、あと裏側に回って、裏側の塗装していないところにたくさん水をまけと、天井に上がって。そういうことをしない、湿潤化になってないぞというふうに指導されたんです。
 ですから、日本で言っている湿潤化というのが、ちょっと儀式的になりすぎているような状況があるので、湿潤化については、本当に建材を湿潤化して飛散させないようにするんだと。そしたらちょっとぐらい割れても大丈夫なんです。そういったことを実際やったほうがいいような気がします。以上です。
○豊澤座長 ありがとうございます。そのほかございますか。
○笠井委員 質問ですが、(3)その他のところのアで、「切断等の作業に従事する労働者以外の労働者の保護具の着用」と書かれてますが、これはどういう人たちを想定されているのでしょうか。
○小林中央労働衛生専門官 ちょっと具体的にどういう人がというところまではないのですが、今レベル1レベル2ですと、隔離をしなくていい場合も一定の場合ありまして、その場合もただ立入禁止を課していまして、ただ保護具を付けている人は入っていいという規定の仕方をしておりまして、それと一緒のような枠組みを想定して書いております。周辺で働く方、基本的には入らないのとがいいと思うのですが、入る場合は保護具を付けてくださいという、そういうことを念頭に置いて書いております。
○笠井委員 それは例えば、工事を管理する者も含めてというお考えでしょうか。
○小林中央労働衛生専門官 そうですね、直接作業しない、例えば現場監督の方などが対象になるということです。
○亀元委員 行政の方で立入りに来られる方もそうですね。マスクはされていたほうがいいと思います。
○豊澤座長 特に丸のこ作業で、石綿の濃度が高いという結果が出ているということから、こういう文章になっているのだと思いますけど。その辺も含めて対応すべきだと思います。
○中村委員 今の関連で、具体的に自治体の方から、立入りのときにどういう形で入っていいのかということで、実はそこの自治体の方は、これまで特にマスクもせずに立入りに行っていて、マスクしなくて大丈夫なのかなと思いながら入っているという方の話を具体的に聞いたことがあって、やはりそういう立入りの方もそうですし、それ以外の方も、立ち入るときにはきちんと保護具を着用してということを明記していただけたほうが、やはりそういう方々も安心して立入りができるんではないかと思います。
○豊澤座長 そのほかございますか。
○小林中央労働衛生専門官 (1)(2)の論点自体の御意見があれば、特にお願いをしたいんですが。
○豊澤座長 (1)の論点、2の論点の(1)
○中央労働衛生専門官 そうですね、2の(1)と(2)の論点自体の御意見を頂いてないと思うのですが、ここはこれでよろしかったでしょうか。
○豊澤座長 この方向でいいかどうかというところの御意見は、確かになかったと思うので、どうでしょうか。
○亀元委員 これも現場でよく起きているのですけれども、清掃も水洗いしていいのか、HAPA掃除機でやったほうがいいのかとか、飛散防止剤で固定するだけでいいのかとかという、清掃のところがどれだけきれいにしてから飛散防止剤をまけばいいのかとか、そういったところがバラバラなんですよね。
 床面に付着した石綿の除去を行うことということについては、やはりある程度きちんと整理しておいたほうがいいと思います。箒でバンバン掃いても、養生内だったらいいですけれど、養生外だと大変だとか、HEPA掃除機で大量にあるやつを掃除するとHEPA掃除機が詰まってしまうので、最初に何か拾うとか、これ日本だとそれしか方法がないんです。海外は全部湿式なので、雑巾、おしぼりぐらいに絞った雑巾で全部手で拾うかそれで拭き上げるかなんです。日本だったら掃除機でやるか何かしかないので。
 これがやられてないと、養生撤去前の粉じん調査というのは、もうゆっくりゆっくり入っていって、絶対粉じんを立てるなよという感じでやって、エアモニスイッチを入れて、ゆっくりゆっくり出ていかないと、あっという間に1本超えてしまう。
 本来だったら1本超えてしまうと駄目なんで、清掃の仕方についてきちんと明記したほうがいいと思います。これを徹底させるだけでも随分違うと思います。
○豊澤座長 (2)についてはどうですか。伺わなくてよろしいですか。建築用仕上塗材。
○姫野委員 床面の清掃というのは、論点のイに書いてある。これは除去したときの粉を考えているのですよね。そうすると、飛散防止剤というのはポリマーです。はっきり言ったら糊です。そうすると、空中撒布すれば、当然それは糊と一緒にアスベスト粉じんが床に付着するわけですよね。そうすると、真空掃除機だけでしたら取れません。糊ですからね。やはり床の養生は最小限してから、あるいは壁を最小限養生してからしか、飛散防止剤はまけないんです。だから飛散防止剤をまくのであれば、養生しなくてはいけないんですよ。
○亀元委員 飛散防止材をまくのであれば、その前に清掃ですか。
○姫野委員 養生しなければ、壁に養生しなくて飛散防止剤をまいたら、既存の壁にアスベストがくっ付いたままになるんですよ。だからその辺をもう一遍整理して、どういうふうにレベル3の養生をするか。あるいはどういうふうな形でするか。ただ、粉じんは静電気を帯びていますので、壁にほこりとなって付着します。ですから本来であれば、全部水拭きしなければいけないんですよね。飛散防止剤をまかなければ。ですからその辺も考慮して、どういうふうな養生がベストなのか。その辺は特に改修工事においては、その辺を考慮した施工が必要になると思います。
○豊澤座長 ありがとうございました。そのほかございますか。それでは御意見を事務局で整理していただければと思います。よろしいですか、事務局。続いて議事2の「その他」について、何かございましたらお受けしたいと思いますが、なければ事務局にお返しします。
○小林中央労働衛生専門官 本日、レベル3のデータなど、全部まとめ切れていない部分もありましたので、特に論文なども少し整理しまして、また次回御意見を踏まえて提示したいと思っております。その際、特に分析関係の委員の皆様方には、論文等、もし御存じのことがあれば御提供をお願いすると思いますが、御協力をお願いできたらと思います。以上です。
○豊澤座長 それでは終了していいですか、事務局。次回は日程が決まり次第、事務局から御連絡ということでよろしいですか。
○小林中央労働衛生専門官 はい。
○豊澤座長 以上で、第4回建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会ワーキンググループを閉会いたします。ありがとうございました。