第24回全国健康保険協会業績評価検討会

日時

令和元年7月5日(金)
14:00~16:00

場所

全国都市会館 第1会議室
(東京都千代田区平河町2-6-2)

議題

(1)平成30年度全国健康保険協会業績評価に関する検討会の進め方について
(2)全国健康保険協会の平成30年度事業実績に関する評価の基準について
(3)平成30年度全国健康保険協会事業計画について

議事

 

○厚生労働省深谷全国健康保険協会管理室長 定刻前でございますが、皆様おそろいでございますので、ただいまから、第24回「全国健康保険協会業績評価に関する検討会」を開催いたします。皆様には御多忙のところ御出席いただきまして、ありがとうございます。
本日の事務局を務めます保険課の深谷でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
今回は、平成30年度の全国健康保険協会の業績を評価するための第1回目の検討会でございます。
まず初めに、今回初めて検討会に御出席いただく方を御紹介させていただきます。
学識経験者として構成員をお引き受けいただきました、明治学院大学法学部の教授をされておられます西村万里子様でございます。
また、協会の役員の方に異動がございましたので、御紹介させていただきます。
本年1月に船員保険担当の理事に就任されました井原辰雄様です。
どうぞよろしくお願いいたします。
次に、本日の出席状況ですけれども、花井構成員、森下構成員が欠席でございます。
会議を開始するに当たり、御出席いただいた構成員の方から座長を選出させていただきます。座長につきましては、小西構成員にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○厚生労働省深谷全国健康保険協会管理室長 それでは、これからは小西座長に進行をお願いいたします。
○小西座長 改めまして、小西でございます。土田先生には、座長として大変に深みのある進行とまとめをしていただきました。私は不慣れでございますので行き届かないところもあろうかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。座って進めさせていただきます。
それでは、この検討会開始に当たりまして、厚生労働省から御挨拶がございます。お願いいたします。
○厚生労働省高橋保険課課長補佐 保険課課長補佐の高橋と申します。本日は安藤保険課長が所用により欠席のため、開会に当たりまして私から一言御挨拶させていただきます。
本日は、大変お忙しいところ御出席いただきまして、ありがとうございます。昨年度に引き続き、本検討会に参加くださいましたことに感謝申し上げます。
西村構成員におかれましては、新たな参画を快くお引き受けいただきまして、ありがとうございます。学識経験者として忌憚のない御意見を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
さて、本検討会におきましては、平成20年10月に設立された全国健康保険協会について、毎年度、構成員の皆様から御意見をいただき、これをもとに厚生労働大臣が業績評価を行ってまいりました。理事長以下、協会の皆様の御努力もございまして、協会の事業運営は安定してきているのではないかと思いますが、中長期的に見れば必ずしも楽観視できるものではなく、今後は保険給付の適正な実施はもとより、データヘルス計画の着実な実施やジェネリック医薬品の使用促進などにより保険者機能をさらに発揮していただくことが求められます。
そのためにも、本検討会の構成員の皆様からいただく御意見、御指摘を事業運営のほうに積極的に活用していくことが重要ではないかと考えておりますので、ぜひ構成員の皆様から忌憚のない御意見、御指摘を賜りたいと存じます。よろしくお願いいたします。
○小西座長 ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。
続きまして、本日の議事と資料について、事務局より説明をお願いいたします。
○厚生労働省深谷全国健康保険協会管理室長 それでは、本日の議事の内容と資料について御説明させていただきます。お手元のタブレットの上から2つ目の議事次第をお開きください。
本日の議事でございますが、全部で3点でございます。そのうちの1点目が平成30年度の業績評価に関する検討会の進め方について、そして2点目が30年度業務実績に関する評価の基準について、そして3点目が30年度全国保険協会の事業計画についてでございます。最初の2つが、これから行っていただきます業績評価の今後のスケジュールでありますとか評価の基準を決めていただくものでございます。そして、3点目につきましては、協会から30年度の事業計画の内容について御説明いただくものでございます。
戻っていただきまして、資料のほうをごらんください。本日の資料は7点御用意させていただいております。資料1につきましては、従来からお示ししております、この検討会について定めました保険局長伺い定めの資料をおつけしております。そして資料2が、1番目の議事になります検討会の進め方についての資料でございます。資料3が、2番目の議事になります評価の基準についての資料でございます。そして資料4から資料7までが、3番目の議事になります30年度の事業計画について御説明いただく資料となってございます。
ご説明は以上でございます。
○小西座長 ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明につきまして、何か質問、確認等ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、早速、議事に入ります。はじめに、平成30年度の業績評価に関する検討会の進め方について、を議題とします。まず、事務局より説明してください。
○厚生労働省深谷全国健康保険協会管理室長 それでは、今後の進め方についての事務局案につきまして、御説明させていただきます。
お手元の資料2のほうをお開きいただきたいと思います。資料2をごらんいただきますと、本年度の進め方につきまして、こちらは昨年度までと同様に、全体で3回の開催を予定しております。本日は、1の1つ目の○のところですけれども、検討会の進め方について、今、御議論いただいておりますが、そのほか、評価の基準について決めていただきます第1回の検討会でございます。その後、評価の基準が決まりましたところで、協会におきまして事業計画の項目ごとに、それぞれの事業実績や、あるいは自己評価というものをおまとめいただく作業をしていただく予定でございます。その内容につきましてまとまったところで、2回目、3回目の検討会を予定してございます。
現在のところ、第2回目につきましては9月20日、第3回目につきましては9月26日、いずれも14時からを予定しております。この検討会におきまして、それぞれの事業計画の実績、あるいは自己評価について協会から御説明をいただいて、構成員の皆様に質疑を行っていただく予定にしてございます。
9月26日の3回目の検討会が終了いたしました後に、一定の期間を置きまして構成員の皆様方にそれぞれの評価をつけていただく作業をお願いしたいと思います。その作業が終了次第、事務局のほうでとりまとめをいたしまして、一番下の4のところにありますが、こちらは事務局の作業になりますけれども、皆様方の意見等を集約いたしまして、最終的な評価案を確定し、構成員の皆様方に御確認いただいた上で最終的な決定をしていきたいと考えております。できれば11月中には最終決定という形で進めていきたいと思います。
進め方についての御説明は以上でございます。
○小西座長 ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明について御質問、御意見などございましたらお願いいたします。
よろしいでしょうか。
それでは、特に御意見などございませんようですので、事務局案によりまして進めることにしたいと思います。よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○小西座長 ありがとうございます。この案をもって確定して進めさせていただきます。
次に、議事の2番目でございます全国健康保険協会の平成30年度業務実績に関する評価の基準についてを議題といたします。この評価の基準について、事務局から説明をお願いいたします。
○厚生労働省深谷全国健康保険協会管理室長 それでは、お手元の資料3をお開きください。平成30年度の評価の基準につきましては、基本的に前年度29年度までと同様の形で評価を作成していく案でございます。
まず、資料3の1ページ目ですが、2のところをごらんください。平成30年度の事業計画に掲げられております項目ごとに行います個別的な評価と業務全体の状況について行う総合的な評価、この2つを合わせて評価するという形を考えてございます。
まず個別的な評価につきましては、平成30年度の事業活動を評価するということで、事業計画の各項目の実施状況を確認の上、項目ごとに評価を行っていきます。具体的には、一番下のところですけれども、SからDまでの5段階での評価を行うこととしております。
次のページをお願いいたします。2ページ目の3のところでございますが、その評価を行う際には、この3に記載している事項、1点目でございますけれども、協会におきましては、平成30年度の事業計画から重要業績評価指標、KPIを定めまして、その達成状況を明らかにするという取組を行っておられます。したがいまして、そのKPIが設定されている場合には、それの達成度合い、それ以外の定性的な目標の項目につきましては具体的な業務実績を把握し評価するということが1点目でございます。
また、業務実績につきましては、KPIの達成度合いのみにこだわらずに、数量だけで判断するということではなくて、その具体的な内容でありますとか、3つ目にありますように、予期せぬ事情が起きた場合の要因なども考慮して評価するということでございます。
さらに、業績と計画に乖離が生じているような場合には、その理由についても把握し、妥当性について評価していただくということなど、そういった留意点をここに記載してございますが、こういったところに御留意いただきながら評価を行っていただきたいと考えてございます。
そして、総合的な評価はその結果を踏まえたもので全体の評価を行うものでございまして、この構成につきましては昨年度までと同様のもので行いたいと考えてございます。
私からは以上です。
○小西座長 ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、またこの評価の基準案につきまして、何か御質問、御意見などございますでしょうか。
どうぞお願いします。
○古井構成員 御説明ありがとうございました。私のほうから1点、お願いというか、御提案ですけれども、2ページ目の3の4つ目ですね。業務実績、それから平成30年度計画との間に乖離が生じた場合と。これは毎年、評価するときに、数値上は目標と実績とで乖離しているけれど、その背景として予期せぬ事情があった、実はこういう構造的な課題があるとか、そういうところを読み取って評価しているわけでございます。
したがいまして、ぜひ協会けんぽの皆様におかれては、評価されるときに、何でそういう乖離が生じたかという事情や背景を構造的に記述いただけると評価者としてはありがたい。またそれが施策の見直しにもつながっていくと思いますので、ぜひそういう点を意識していただけるとありがたいです。
以上です。
○小西座長 ありがとうございます。ただいまの御提案は、業績評価に際して、その事業実績と計画との乖離があった場合につきまして、その理由、あるいは事情、あるいは構造的な変化、環境といったようなことについて御説明をいただけると幸いです。私どももそこはしっかりと理解して評価作業をしたいという趣旨と思いますけれども、この点について。
どうぞ、お願いいたします。
○池上企画部長 企画部長の池上でございます。
ただいま御指摘いただきました点も踏まえまして、9月の資料を準備させていただきたいと思っております。
○小西座長 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
何かこの件について、ほかに協会の皆様からもコメントなり頂戴するようなことございますでしょうか。
それでは、こちらの構成員の皆様方、ほかに何かございましたら。
お願いします。
○西村構成員 私は初めて評価に参加させていただきますけれども、これまでの評価結果というのは時系列で知るということもできるのですか。
○厚生労働省深谷全国健康保険協会管理室長 先生、今おっしゃられたこれまでの評価につきましては、私どものほうで御用意しておりますので、別の機会に御説明させていただきたいと思います。
○小西座長 ありがとうございました。時系列での評価、参考にしていただくというか、私ども、参考にするということでございますが、よろしくお願いいたします。ほかにいかがでしょうか。
それでは、この基準案、今回、KPIという用語を示していただいております。これは先ほど御説明いただきましたように、平成30年度の事業計画で、従来、目標指標、あるいは検証指標といって整理なさっていたこと、私どもの基準では数値目標という言葉使いをしておりましたけれども、ここは協会の皆様が今までも非常に意識をして進めていただいている、そこのところの意識づけを改めるといいますか、増すというようなことでKPIということをこの年度採用していただいていると受けとめております。
それでは、この事務局案の評価の基準によって進めることについていかがでしょうか。構成員の皆様、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○小西座長 ありがとうございます。それでは、この基準をもって今年度評価を進めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、きょう3つ目の議題でありますけれども、平成30年度全国健康保険協会事業計画についてでございます。この事業計画について、改めてまた概要御説明いただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○安藤理事長 改めまして、理事長の安藤でございます。よろしくお願いします。座って失礼させていただきます。
委員の皆様には、協会けんぽの事業運営に関しまして忌憚のない、率直な御意見を承りたいと思っております。そして今後の事業にそれを生かしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、時間も限られますので、私のほうからは平成30年度の主な取組につきまして簡単に述べさせていただきたいと思います。
まず、私ども協会けんぽでは、保険者機能の発揮に向けまして、事業運営の3カ年計画であります保険者機能強化アクションプランを平成20年12月から策定しております。そして、平成30年度からは、先ほどお話が出ております第4期の保険者機能強化アクションプランの中で3年後の到達目標を重要業績評価指標、いわゆるKPIを導入させていただいて、可能な限りそれを設定することにおいて、達成状況の見える化であるとかPDCAサイクルの明確化を図ることにしたいと考えて実施をしております。
平成30年度の事業計画におきましては、アクションプランに連動する形で基盤的保険者機能の確実な実施、戦略的保険者機能の一層の発揮、そして組織体制の強化、この3本の柱に基づきまして重点施策と目標を定めさせていただいております。
基盤的保険者機能としまして、現金給付等の業務の標準化・簡素化・効率化の徹底であるとか、日々の業務量の多寡や優先度に応じた柔軟な業務処理体制の構築によりまして、業務の生産性の向上を図りました。
また、戦略的保険者機能といたしましては、ジェネリック医薬品にかかわるデータ分析であるとか、支部ごとの加入者の健康・医療データをまとめた支部版のスコアリングレポートなど、ビッグデータの活用による外部への発信力の強化に取り組み、そして、この分野におきましては今後ますます力を入れていこうと考えております。
また、こうした保険者機能の発揮のための組織体制の強化としまして、OJTや各種研修による人材育成、人的資源の最適配分、支部の業績評価の試行実施等、組織力の強化に努めてまいりました。
今年度につきましても、これらの取組の一層の推進に加えまして、全国47支部が地域性も踏まえた独自の取組を展開し、保険者機能をさらに発揮できるよう、支部保険者機能強化予算を創設し、支部予算の見直し・拡充を行いました。また、次期システム構想を見据えた業務処理体制の見直し、内部統制の強化等にも取り組んでおります。
この先も、協会設立の本来の目的であります保険者機能の強化発揮を一層進め、加入者の皆様の健康増進を図るとともに、良質かつ効率的な医療が享受できるように、職員一同力を合わせてまいる所存ですので、委員の皆様におかれましても、引き続き御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
それでは、平成30年度事業計画の詳細につきましては企画部長から御説明させていただきます。よろしくお願いいたします。
○池上企画部長 改めまして、企画部長の池上でございます。座って失礼いたします。
私のほうからは、資料に基づいて30年度事業計画について御紹介いたします。
資料は、資料4から7になります。中心的に御説明いたしますのは資料6になりますが、その前に、資料4「保険者機能強化アクションプラン(第4期)の概要」について、まず御説明したいと思います。こちらは30年度事業計画のベースとなります協会としての3カ年計画でございます第4期アクションプランについて御説明する概要の資料です。
それでは、実際には2枚目になりますが、ページとしては1ページ目の資料をごらんいただきたいと思います。ここでは、アクションプランの目指すものということで、基本使命と基本コンセプトを入れさせていただいております。
基本使命といたしましては、保険者として健康保険及び船員保険事業を行い加入者の皆様の健康増進を図るとともに、良質かつ効率的な医療が享受できるようにし、もって加入者及び事業主の皆様の利益の実現を図るというものでございます。
基本コンセプトといたしましては4つございますけれども、加入者及び事業主の皆様の意見に基づく自主自律の運営、それから、公正で効率的な運営、質の高いサービスの提供、それから最後に、健全な財政運営と記載させていただいております。
それから、アクションプランの全体像でございます。ただいま理事長のほうからも御紹介申し上げましたが、3本の柱でアクションプランを構成いたしております。まず、(1)が基盤的保険者機能と呼んでおります。これは保険者として従来から取り組んできたレセプトや現金給付などの業務になりますけれども、それについての目的・目標を掲げております。レセプトや現金給付の審査・支払、それから不正受給対策などについて盛り込んでいるところです。
それから、(2)戦略的保険者機能でございます。これは健康づくりや医療費適正化など、昨今の保険者を取り巻く状況を踏まえまして、保険者として取り組んでいくべき業務を位置づけたものです。
目的として、太字になっておりますⅠからⅢですが、医療等の質や効率性の向上を図ること、それから、加入者の健康度を高めること、医療費等の適正化を図ること、これらを目標として取組を行うこととしております。
それから、3番目が組織体制の強化でございまして、人材育成による組織力の強化、それから人的資源の最適配分などを掲げております。
1ページ飛んでいただいて3ページをごらんいただきたいと思います。これは先ほど御説明したその3本の柱がどのような位置づけになるかを図示した資料でございます。大きく3つの主体が書かれております。
一番左上が赤字で医療提供側(医療機関等)となっております。それから、右側が加入者・事業主となっております。その下、真ん中のところに協会けんぽが緑色で書いてあります。基盤的保険者機能は、この協会と医療提供側、それから、協会と加入者・事業主側を結ぶ細い線に関係するところであります。医療提供側との関係では、レセプトの再審査・支払を行っております。それから、加入者・事業主との関係では現金給付の審査・支払を行っております。それに加えて、戦略的保険者機能として、太い矢印、両主体に働きかけるようなイメージで書かせていただいておりますけれども、まさに協会としてどんどん外に出ていって、主体的に働きかけを行おうというものでございます。
左側の医療提供側に関しましては、地域医療への意見発信、それから制度改正に向けた提案を行ってまいります。右側の加入者・事業主のほうに関しましては、健診・保健指導の実施、ジェネリックの使用促進、それからコラボヘルスなどを行ってまいります。そういった協会の活動を行う体力を高めていくために、一番下にありますけれども、組織体制の強化を図っていく、このようなイメージで3本の柱を立てているところでございます。
それから、次の4ページをごらんいただきたいと思います。こちらはアクションプランに係るPDCAサイクルについて御説明するものでございます。30年度、アクションプランを策定いたしました。それとあわせまして、2番目の段になりますけれども、30年度の単年度の事業計画を策定したところでございます。内容的にはアクションプランの内容を踏まえたものとなっております。それについて、一番下のところ、業績評価検討会と書かせていただいておりますけれども、本検討会において事業報告の内容を中心とした第三者による評価を行っていただきます。そこでの評価内容を事業計画に反映して次の取組に結びつけていくと、このような位置づけで取組を進めていきたいと考えてございます。
それでは、次の資料にいきたいと思います。資料6は平成30年度の協会の事業計画及び予算の資料です。
2ページをごらんいただきますと目次がございます。簡単に構成を御説明いたしますが、一番初めに健康保険事業の関係で事業計画を書かせていただいております。事業計画について、それから運営の基本方針、その後、主な重点施策が並んでございます。柱立てとしては、先ほど御説明した3つの柱に沿って重点施策が並んでおります。最後に、KPI一覧表をつけてございます。
それから4ページのほうをごらんいただきますと、こちらは次の船員保険に関係する事業計画です。船員保険運営の基本方針、それから、主な重点施策については健康保険と同じ3本の柱立てで掲載させていただいております。それから、31ページ以降は予算という構成になってございます。
それでは、6ページをごらんいただけますでしょうか。ここからが健康保険事業に関する事業計画になります。6ページの中では協会けんぽの事業計画について書いております。冒頭は、先ほど御説明したPDCAサイクルについての記載でございます。
2番目の段落、今回アクションプランを策定するに当たりましては、3年後を見据えた重要業績評価指標、KPIと呼んでおりますが、それを定めるとともに、事業計画ではそれを単年度の進捗に置きかえてKPIを設定することとされたとしております。このため、本事業計画では、30年度の協会けんぽ運営の基本方針を定めるとともに、アクションプランの項目ごとに主な重点施策及びそれに係るKPIを定めるということでございます。
それから、7ページです。協会けんぽ運営の基本方針ですが、大きく3つほど挙げております。まず1つ目は基盤的保険者機能に関するものですが、現金給付等の業務の標準化・簡素化・効率化を徹底する。それから、業務の生産性の向上を目指すという内容です。
2番目は戦略的保険者機能の関係です。地域医療構想の実現に向けて効果的な意見発信を行うこと。あるいはアクションプラン、それからデータヘルス計画もございますけれども、これに基づく取組を着実に実施する。あとビッグデータの活用などについて検討するとしております。3番目が組織体制についてです。人的資源の最適配分、それから人材育成についても記載させていただいています。
8ページからが具体的な主な重点施策でございます。1本目の柱、基盤的保険者機能関係のまず1ですが、現金給付の適正化の推進の項目では、事業主への立入検査を積極的に行うこと、また傷病手当金と障害年金の併給調整を確実に実施することについて記載いたしております。
それから、2が効果的なレセプト点検の推進です。この項目につきましては、■KPIと書かせていただきました。主な重点施策に対応いたしましてできる限りKPIを設定しておりまして、ごらんいただいているような形で、KPIを関連する項目のところに記載させていただいております。
この2のレセプト点検のKPIといたしましては、社会保険診療報酬支払基金と合算したレセプト点検の査定率について対前年度以上とするというKPIを設定したところでございます。
それから、3は柔道整復施術療養費等の照会業務の強化です。加入者に対する文書照会を強化するということで書かせていただきました。
KPIといたしましては、柔整療養費の申請に占める、多部位、頻回の施術の申請の割合について対前年度以下とするとさせていただいております。
続きまして9ページをごらんください。4の返納金債権の発生防止のための保険証回収強化、債権回収業務の推進の項目です。資格喪失後2週間以内の保険証回収に向けた返納催告を行うこと、それから、発生した債権の早期回収に取り組むこと、保険者間調整を積極的に行うことなどを書かせていただいております。
KPIといたしましては、まず1ですが、保険証回収率、1カ月以内に回収できるものを93%以上とする。それから、返納金債権の回収率を対前年度以上とする。それから、医療給付費総額に占める資格喪失後受診に伴う返納金債権の発生割合を対前年度以下とするとしております。
5がサービス水準の向上です。お客様満足度調査を活用したサービス水準の向上に努める。それから、現金給付の申請を受けてから支給までの標準期間を設けております。サービススタンダード10日間ということで設定しておりますけれども、それを遵守するという内容でございます。
KPIとしては、サービススタンダードの達成状況を100%とする。申請に係る郵送化率を87%以上とするとしております。
6の限度額適用認定証の利用促進。さまざまな広報を通じて利用促進を図るというものでございます。
KPIといたしましては、高額療養費制度に占める限度額適用認定証の使用割合を83%以上とするとしております。
続きまして10ページ、7の被扶養者資格の再確認の徹底です。これにつきましては、被扶養者資格の確認対象事業所からの回答率を高める取組を行うということで書いております。
KPIのほうも、確認対象事業所からの確認書の提出率を87%以上とすると設定しております。
それから、8のオンライン資格確認の導入に向けた対応です。ポツが2つありますが、1つ目のほうは協会けんぽが独自に実施しているものの利用率向上に向けて取り組むということを書いております。それから2つ目のポツは、国がこの事業計画策定時においては検討中で、現在ではほぼ内容は固まっておりますけれども、そのオンライン資格確認について準備を進めるといった内容を書いております。
KPIといたしましては、これは協会のオンライン資格確認でございますが、医療機関における利用率を36.5%以上とするとしております。
それから、11ページからが戦略的保険者機能関係です。まず1のビッグデータを活用した個人・事業所単位での健康・医療データの提供です。1つ目のポツ、事業所単位につきましては、ヘルスケア通信簿という名前で呼んでおりますけれども、各事業所ごとで見た健康の指標の状況がわかる見える化ツールを各支部で今利用しておりますけれども、その標準化のための検討を行うということを書いております。個人単位の健康・医療データの提供につきましては、国における検討状況も踏まえて検討を行うとしております。
それから、2のデータ分析に基づいた第2期保健事業実施計画(データヘルス計画)の着実な実施です。ここのところで保健事業関係のものは網羅するような形で計画に落とし込んでおります。柱書きのところでございますけれども、全体の底上げに向けて、本部と支部間の連携を図ること、それから、支部ごとの状況をまとめたレポートを導入するといったことも記載しています。
それから、i)特定健診受診率・事業者健診データ取得率の向上です。これについては、支部ごとの弱点に応じた対応を行う。それから、都道府県労働局との連携などについて記載しております。
KPIのほうですが、3つに分かれております。協会が被保険者の方に対して行う健診、生活習慣病予防健診の受診率を50.8%以上とする。それから、事業者健診データ取得率を7.1%以上とする。3番目、被扶養者の特定健診受診率を25.9%以上とするとしております。
この3つのKPIにつきましては、ほかのところはアクションプランに基づいて数値を定めておりますけれども、今回の健診につきましては、国の特定健診等基本指針というものがございまして、それは令和5年度に協会全体の特定健診受診率を65%とするという目標になっています。それを踏まえまして6年間の実施計画を立てておりまして、平成30年度の目標値を掲げたものでございます。
それから、ii)の特定保健指導の実施率の向上及び平成30年度からの制度見直しへの対応です。平成30年度から、柔軟に実施できるよう制度の見直しが行われました。それを踏まえた記載となっておりますが、健診当日に初回面談の分割実施ができるように健診実施機関に働きかける。それから、新たな特定保健指導の手法の検討。これはアプリを利用したり集団指導を行ったりというものですけれども、そういった新たな保健指導の手法の検討を行うとしております。
KPIにつきましては、特定保健指導の実施率を14.5%以上とするとしております。これも、先ほどの6カ年の実施計画の内容を踏まえて30年度の目標値を設定したものでございます。
それから、iii)重症化予防対策の推進です。これにつきましては、未治療者が医療機関を受診していただけるように受診勧奨を行うこと。それから、糖尿病の方が重症化しないように重症化予防を行うということで、糖尿病生活指導プログラムを行うという内容を書かせていただいております。
KPIといたしましては、受診勧奨後3カ月以内に医療機関を受診した者の割合を11.1%以上とするとしております。
それから、iv)健康経営(コラボヘルスの推進)です。健康宣言事業という取組を行っておりますが、そこに参画する事業所数のさらなる拡大を図ること。それから、宣言事業所に対するフォローアップを強化するということで書いております。
13ページをごらんいただきまして、これは再掲の項目です。事業所ごとのデータをまとめたヘルスケア通信簿などの見える化ツールの標準化のための検討を行うことなどについて記載しています。
次、3の広報活動や健康保険委員を通じた加入者等の理解の促進でございます。広報に関しましては、加入者を対象とした協会の取組などに関する理解度調査を実施するということで書いております。それから、健康保険委員活動の活性化を図るということも書かせていただいております。
KPIといたしましては、広報活動における加入者理解率の平均について対前年度以上とする。それから、健康保険委員が委嘱されている事業所の被保険者数の全体に占める割合を36%以上とするとしております。
4はジェネリック医薬品の使用促進です。支部ごとの阻害要因を見た上で重点的に取り組むとしておりまして、KPIとしましては、協会のジェネリック医薬品使用割合を75.4%以上とするとしております。
5のインセンティブ制度の本格実施です。こちらは支部ごとの健診受診率などに応じて各支部の加入者の皆様の取組を評価させていただき、それを保険料率に反映させるという制度ですけれども、30年度から導入する制度ですので、まずは制度の周知広報を丁寧に行うということを書いてございます。
続きまして14ページ、6のパイロット事業を活用した好事例の全国展開です。全国展開を行うという内容のほか、2つ目のポツですが、本部主導型で行うパイロット事業を導入するということも書かせていただきました。
それから、7の医療データの分析に基づく地域の医療提供体制への働きかけです。地域ごとの診療行為別の頻度をはかるSCRという指標がございますが、そのツールなども活用して地域差の要因分析を行うこと、それから、エビデンスに基づいて意見発信を行うこと、それから、分析結果について加入者等への情報提供を行うということを書いています。
KPIといたしましては、地域医療構想調整会議というものが各都道府県の地域医療構想区域ごとにございますけれども、そこへの被用者保険の参加率を79.8%以上とするとしております。それから、データを活用した効果的な意見発信を全支部で実施するという内容となっております。
15ページからが、3本の柱の3つ目になりますが、組織体制関係でございます。1の人事制度の適正な運用と標準人員に基づく人員配置。2の人事評価制度の適正な運用。3のOJTを中心とした人材育成。これは、OJTを中心としつつ、効果的に研修を組み合わせるということを書いております。それから、今後の人材育成の検討に着手するという内容でございます。4の支部業績評価の本格実施に向けた検討。
それから、5の費用対効果を踏まえたコスト削減等となっております。ここにつきましては、入札を行ったものの一つの事業者しか応札しない、これを一者応札と申しますが、そういった案件の減少に努めるという内容になっております。
KPIといたしましても、一般競争入札に占める一者応札案件の割合を25%以下とするとしております。
16ページをごらんいただきまして、6のコンプライアンスの徹底を行ってまいります。それから、7のリスク管理を行うということで、情報セキュリティ対策につきましては、CSIRTという組織におきまして、迅速かつ効率的な初動対応を行うと位置づけてございます。それから、研修や訓練の実施についても書かせていただきました。
17ページから19ページまでは、ただいま御説明しましたKPIを一覧の形で掲載したものでございます。
それから、20ページからは船員保険事業関係になります。重複する部分が多いですので、ごく簡単に御紹介いたしますが、まず20ページが船員保険運営の基本方針でございます。3つの柱を書いております。それから、KPIを設定するといったことについて、健康保険と同様の取組を船員保険のほうでも行っております。3つの柱は、先ほどと同様になりますが、基盤的保険者機能、戦略的保険者機能、それから組織体制の強化について記載をいたしております。
21ページからが主な重点施策でございます。まず、基盤的保険者機能については、こちらにあるように、健康保険と同じような事項になっておりますが、23ページをごらんいただきますと、船員保険の制度の健康保険との違いを踏まえまして、7として職務上の事由による休業手当金等の上乗せ給付等の申請勧奨という項目が入っております。それから、9のところでは福祉事業の着実な実施という項目も入っています。
25ページからは戦略的保険者機能の関係です。項目としては健康保険と重なる項目が多くなっておりますけれども、26ページのiv)加入者の健康増進を図るための取組の推進、それから、27ページの2の情報提供・広報の充実のあたりにつきましては、個別具体的な取組についても記載させていただいております。
29ページからは、先ほどと同じく、KPIについて一覧でまとめたものとなっております。
それから、資料7について、どういった資料かということだけ補足的に説明させていただきます。こちらは28年度の業績評価でいただいた指摘につきまして30年度の事業計画でどのように記載されているかをまとめたものでございます。内容については、先ほどの御説明と重複いたしますので省略させていただきます。
以上で私からの説明を終わらせていただきます。
○小西座長 ありがとうございました。要点を取り上げて御説明をいただきました。私どもは、この平成30年度の業績評価に際しまして、この事業計画の骨子の部分をもう一度思い返して理解した上で進めるということで、今、御説明を伺ったところでありますが、構成員の皆様から何か、ここはちょっと確認しておきたいといったようなことがございましたらお願いいたします。
どうぞ、お願いします。
○古井構成員 簡潔にありがとうございました。最後にお話をされた資料7のところは、今までの検討会での議論を踏まえていただいて、いい整理をしていただいたなということで、改めて感謝したいと思います。本日は、御説明いただいた30年度のプランについてコメントさせていただければと思います。
3つぐらいあるのですが、まず、基盤的保険者機能の中で、理事長のほうからも、標準化を進めていって、最終的には業務の生産性を上げていくというお話があったかと思います。これは保健事業を含む戦略的保険者機能も基盤的保険者機能も同じだと思っています。
今、協会けんぽにあっては、厚労省さんからもお話ありましたが、安定期に入ったのかなあと。したがって、(3)にある最大の組織のインフラというのはやはり人材だと思いますので、ぜひ職員の皆さんの教育ですとか、業務の標準化を進めて、新しいことを考える時間をつくっていただくのが大事かと感じます。
戦略的保険者機能のところでは、事業所カルテがあります。今、厚労省さん、経産省も入って進められている健康スコアリングレポートというのが、大規模健保、あるいは共済のほうで進められると伺っていますが、協会けんぽさんもかなり前から各支部さんが事業所別カルテをつくっていて、これは本当にすばらしいと思います。
ただ、これも支部によってばらつきがあったり、作業が大変である中で、標準化・効率化を進めていただきたいと思っています。必ずしも全国統一のものをつくることが大事ではなくて、標準化を図る中で各支部の健康課題の特徴やそれに応じた作り方の知見が見えてくると思います。ほかの健保組合等にもいい知見になるかと思っています。
そういう中で、1のところだと思いますが、ビッグデータを使ったというのがあって、これは事業所単位とかいろいろ書かれているのですが、実はこの事業所単位だけではなくて、今、協会けんぽ支部の地区単位での分析は注目されています。
例えば静岡県のほうで、国保だけでは働き盛り世代がごっそりと抜けています。これを静岡支部のデータをいただくことで町名別に住民の健康課題の色づけができるのですね。したがって、どの地域で血糖が高いかとか、お酒を飲んでいるかというのが可視化され、自治体の健康施策に活用されます。また、私たちのチームも入って、教育委員会とやっているのは、小学校の高学年の保健体育の時間のいわゆる生活習慣病予防の授業に、協会けんぽさん、国保もあわせたそのデータヘルスのマップというのを教材として使わせていただいていまして、これは子供だけではなくて、保護者が、うちの地域にはこのような健康課題の特徴があるんだということで、家族単位の健康づくりというものに使われ始めています。なので、地域性の高い協会けんぽの支部で、自治体との共創を進められているということも、ぜひ本部さんも認識いただければと思っています。
それから、KPIは、お話があったように、うまく設定するとPDCAが回りやすいと思っています。その中で、特に保健事業に関しては、現場の保健師さんや支部の職員の方が、KPIの評価結果で、次どうすればいいのかというのがわかる指標がいいと思います。
そういう中では、KPIのカテゴリー化というのが政府の諮問会議の中でも進められていまして、例えば特定保健指導の全体の実施率も大事ですし、それを被保険者と被扶養者と分けてカテゴライズすると、次の一手が見えると思います。また、国保のほうでは、性・年齢階級別とか、あるいは健保だと事業所の規模別に保健指導の実施率を分けていまして、こうすることによって、実は実施率が14.5%であっても、例えば40代は低いな、高いなとか、あるいは国保ですと60代、協会から退職してやめて入ってきた人の実施率が悪いとか、カテゴリー化していくと、どの構造に次の年、力を入れればいいかというのがわかりやすくなります。
それから、最後に重症化予防のところも、KPIが11.1とされています。例えば、健保組合は協会けんぽの指標を参考に、自組合の事業評価を客観的に捉えることができるのです。協会けんぽで把握されている、3カ月後、6カ月後の受診勧奨の結果をベースに、それより下がったら、もっとテコ入れすべきというようなことがありますので、本当にこのKPIが保険者間で共有されていくといいのかなと。
重症化予防に関しては、今、受診勧奨のアウトプット、アウトカムだけですが、2年、3年後にはいよいよ治療に入った方をフォローする指標を入れていただけるといい。
それからもう一つ、全国支部さん、非常に頑張っている中で、新しいことを実施する際の決裁のタイミングとかスピードがすごい大事でありまして、現場のモチベーションもありますので、そういったことも組織運営では大事なのかなというのを申し上げたいと思います。
以上でございます。
○小西座長 ありがとうございました。今の環境下でこれというものをフォーカスしていただいたように思いますが、協会の皆様から何か説明を加えていただくようなことがございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
池上部長、お願いします。
○池上企画部長 何点か御説明させていただこうと思います。非常にいい御指摘を頂戴しまして、どうもありがとうございました。
まず1つ目の、事業所カルテの関係、これは支部によって違いもあるところでございまして、その地域性も大切にしながら、協会としてどういったものが、少なくともこういう要素はどこでもあるといいよねということも整理したいと考えておりまして、ちょっと今年度までかかってきておりますけれども、そういった議論を進めているところでございます。
それから、地域単位での分析が非常に重要という御指摘も頂戴しました。これも、特に保険者協議会なんかを通じまして、保険者がデータを持ち寄って地域の健康課題を浮かび上がらせるというようなことをやっております。協会としてもできるだけそういうことにも協力していこうと取り組んできたところでございまして、今後ともそのようにやっていければと考えています。
それから、保健事業の関係のKPIの設定の仕方についてでございます。確かに健診を見ると、属性によって高いところがあったり低いところがあったりというところがございます。大規模な市町村であったり小規模な町村であったり、あるいは事業所の業種によってどうだろうかとか、そのあたり、我々のほうも問題意識を持っておりまして、これは非常に細かくなってしまうので、KPIということではないのですけれども、各支部ごとで並べてみたときに、そういう細かいカテゴリーごとに見て、ここの支部ははかどっているねとか、ここの支部は取組がまだまだ足りないねということも見られるような分析も進めているところでございます。
それから、最後のところは、職員一同意思決定を迅速にできるように心していきたいと思います。御指摘ありがとうございました。
○小西座長 ありがとうございました。
どうぞ、髙橋理事、お願いします。
○髙橋理事 最後の点で1つ。協会の事業、それこそこのアクションプランのほうの、資料4の3ページの一番基本的なその図を見ていただきますと、先ほど企画部長のほうから説明しましたが、この大きい図の中の、登場人物が加入者・事業主と医療機関と協会けんぽ、この3つが登場するわけですけれども、社会保険庁時代から、旧組織の時代からきちっと決まっていた業務というのはこの真ん中の加入者・事業主から協会けんぽへの線、現金給付の審査・支払。それからもう一つは医療機関から協会けんぽに出てくるライン、これは医療費の請求ですね。医療費の請求の間に支払基金が入りますが、そこで審査をして支払う。これらが旧政管健保の時代からの従来の基本業務であります。
協会発足後、医療費というのはそもそも加入者と医療機関の間で、つまり、加入者の方が医療機関にかかって、医療機関が医療サービスを提供する、ここの場面で発生していますので、保険者から見ますと、そこは全然関与できないわけですから、そうすると、今までの業務では、現金給付の支払いというのは医療行為とは全然関係ない話なので、医療費の抑制に何もなっていないわけです。
もう一つは、医療機関からはレセプトの請求が出てきますが、これは払うことがまず基本ですので、審査して、払わないということはできませんので、まず払って、あとでチェックするという体系ですけれども、いずれにしても、基本的にそこでそんなに医療費が大きく変わるという要素はないわけです。
ですから、私の知るところでは、保険者機能がかなり話題になったのはここ15年ぐらい、平成14、15年あたりからかなり大きく関心を呼ぶようになったと見ていますけれども、平成20年からの特定健診の導入に伴って、今までの、請求があって支払うという全部受け身であった仕事に加えて、保険者のほうから加入者に働きかけるという仕事、これは特定健診、特定保健指導から始まったわけです。
さらに平成27年の医療法の改正で、保険者のほうから今度は医療提供側に対して医療計画その他、地域医療構想が今ありますけれども、それに対してものを言えるようになった。このように、私ども協会けんぽ、あるいは保険者から加入者、あるいは医療提供側に向かってこのラインが延びていくというのはここ10年以内の、まだ10年の新しい仕事です。
先ほど意思決定のお話が出ましたけれども、保健関係、私どもから加入者・事業主に向かって出るこのラインのところに位置づけられる仕事は特定健診・特定保健指導のように形の決まったものはいいのですけれども、その他の保健事業は全然定まった形がありませんので、発足以来全部手探りでやってきて、その中での、ちょっといい言葉で言えば最大のヒット商品はジェネリック通知ですが、これは協会発足後、もともと呉市の国保がやっていた事業を広島支部で採用して、全国展開しましたけれども、これは非常に大きいインパクトがあったものです。
その他についてもいろいろやっていますけれども、まだまだそれぞれの支部でやってごらんという段階で、ジェネリックカルテも始めましたけれども、今、全体としてはまだ、形をつくるというよりも、とにかくやってみようと。メニューもまだ手探りの状態ですから、まあやってごらんという感じで私ども支部に言っていまして、たまに本部のほうで何か標準品をつくってくれという話が出ますが、いやいや、まだ模索の段階なので、ともかくやってくれと、やってみようという段階ですので、そういった意味で、意思決定をやる場合に、支部長もほかを見てもやってないけれども、自分のところでこれやっていいのかみたいな判断は結構あると思いますので、そういうのはまだまだ模索状態にあるということはひとつ御理解賜りたいと思います。
○小西座長 ありがとうございました。基本的な枠組みというところからも踏まえて御説明をいただきました。
西村構成員、お願いします。
○西村構成員 御説明ありがとうございました。基本的なことを教えてほしい点もございまして、今年度からKPIという形で設定されたということですけれども、かなり細かい数値、小数点以下1桁とか2桁ございまして、それぞれの目標値というのがどういう根拠で、どういう考え方でつくられたのか、基本的な考え方を伺いたいのが1点。
2つ目は、組織体制の強化という3つ目の分類のところです。保険者の立場として被保険者や患者の方からの問題や問い合わせもあろうかと思いますがそうした対応は項目には入れられていなかったので、その点はどのように位置づけていらっしゃるのか伺いたいということです。
3つ目は、最初伺ったのかもしれないですけれども、いい事例というか、グッドプラクティスの事例の取り上げ方について、そういう個別のいい事例をそれぞれ取り上げて、そして情報共有していくようなこともしていらっしゃるのかどうか。その3点について伺いたいと思います。
○小西座長 お願いします。
○池上企画部長 御説明させていただきます。数値目標を設定させていただきますベースになりますのはアクションプランになります。アクションプランのほうで、3年後に目指す数値を設定させていただきまして、そこまでの道のりを基本的には3等分させていただくと。現状からアクションプランまでのすき間を3カ年かけて埋めていくという考え方で設定しておりますので、ちょっと数値としては細かくなるようなところも出てきます。
そのアクションプランの目標値をそもそもどう設定しているのかというところは、過去のこれまでの取組を見る中で、このぐらいの水準までは目指したいというようなところを目標に設定しております。
ただ、中には、先ほど少し御説明しましたけれども、特定健診・特定保健指導のあたりは、また別途、6年かけて到達すべき目標というのを国のほうで指針を出されていますので、それを取り込んだようなものもございますし、あと、ジェネリック医薬品の普及についても、国のほうで目標年次、それから80%を目指すというような目標値自体も出ていますので、そういったものも加味して設定させていただきました。
それから、お客様の対応などにつきましては、事業計画ですと、ぴったりの項目ということではないのですけれども、9ページのところでは5でサービス水準の向上ということで書いておりまして、ここではお客様満足度調査を活用してサービス水準の向上に努めるとなっております。この調査の中では、実際に問い合わせに来られた方が、いろいろやりとりさせていただいて、所期の目標を達成できたかとか、対応に満足していただけたかというようなことも調査の対象には含めているところでございます。
それから、よい事例をどう展開していくかというところでございます。それで申し上げますと、事業計画の14ページのところが典型例かと思いますけれども、6のパイロット事業を活用した好事例の全国展開という事項がございます。パイロット事業と申しますのは、各支部がやりたいことがありまして、それが費用対効果も含めて試しでやってみる価値があると本部のほうで判断して採択した場合には、支部のほうで独自の取組をやっていただきます。その効果検証というものも行っておりますけれども、結果としてそれが効果が上がっていて、かつ、全国に展開できるような事業モデルである場合には全国展開を行うということをやっております。
その一つの事例として健康宣言、これは大分の支部が一番初めに始めたものでございますけれども、取組自体は、もう協会を越えていろいろな保険者が取り組むいい事例ともなっているところでございます。
○玉川総務部長 総務部長でございます。
お客様の相談などの対応については、今、企画部長からあったように、アクションプランの基盤的業務の中で「サービス水準の向上」として書いてありますけれども、組織体制関係といたしましては、「OJTを中心とした人材育成」という中で各種の研修事業、そうした中には接遇とか、そうしたものの必須の研修も30年度実施いたしまして、基礎的なスキルを上げているという状況でございます。実施状況の詳細についてはまた秋口に御説明させていただければと思っております。
○小西座長 ありがとうございました。西村構成員、いかがですか。
○西村構成員 いろいろ御説明ありがとうございました。お客様対応とかはもう盛り込まれていてということ、また御説明いただけるということわかりました。パイロット事業のほうは費用を本部からつけてやってみるやり方もされているということですか。
○池上企画部長 はい。実施の費用については本部のほうから別枠で支部に対して交付するということでやらせていただいております。
○西村構成員 御説明ありがとうございました。
○小西座長 ありがとうございました。ほかに何かございますか。
よろしいでしょうか。
それでは、私どももこの先、具体的に業務実績の御説明をいただき、また自己評価も見せていただき、そして評価作業をいたしますが、事業計画について改めて頭に置きながら進めていきたいと考えております。
何か補足していただくようなことがございましたらお願いいたしますが、特によろしいでしょうか。
それでは、本日予定していました議事、議題はこれで終わりました。何か追加的に、このことはどうだろうかということはございますか。
よろしいでしょうか。
それでは、これをもちまして議事を終了いたします。
最後に、事務局のほうから今後のスケジュールなどにつきましてお願いいたします。
○厚生労働省深谷全国健康保険協会管理室長 御審議ありがとうございました。
次回の検討会のスケジュールでございますけれども、9月20日を予定しております。その次が9月26日。いずれも午後2時からの開催でございます。会場につきましては、また別途御連絡させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○小西座長 ありがとうございました。今回から、この会議の運営について、ペーパーレスということで、タブレットで資料を用意していただいております。ここは使い方になれていきながら工夫も加えてということかと思いますけれども、私ども利用者が特にそうでありますが、そのようなこともお気遣いの上で資料をつくっていただいていると思います。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、本日の検討会、これで閉会いたします。本日は、皆様お忙しい中、またこの議事進行について時間等御協力をいただきまして、ありがとうございました。