2019年6月21日 第50回厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会 議事録

健康局難病対策課移植医療対策推進室

日時

令和元年6月21日 (金) 15:00~17:00

場所

厚生労働省17階 専用第21会議室

出席者

委員(五十音順)

議題

(1) 移植希望者 (レシピエント) 選択基準の改正について
(2) 臓器移植医療の現状と課題
(3) ハイブリッド肺移植の取扱について (報告)
(4) 摘出臓器搬送の外部委託について (報告)
(5) その他

配布資料

■ 資料1-1 第49回臓器移植委員会にて承認されたレシピエント選択基準改正の運用状況
■ 資料1-2 肝移植希望者(レシピエント)選択基準の改正について
■ 資料1-3 膵臓移植希望者(レシピエント)選択基準の改正について
■ 資料1-4 肺移植希望者(レシピエント)選択基準及び心肺同時移植希望者(レシピエント)選択基準の改正について
■ 資料2  臓器移植医療の現状と対策
■ 資料3  ハイブリッド肺移植の取扱について
■ 資料4  摘出臓器搬送の外部委託について
■ 資料5  (公社)日本臓器移植ネットワークからの報告 -未確定リストを用いて移植施設への事前連絡を行った事案について-

■ 参考資料1-1 肝臓移植希望者(レシピエント)選択基準について -肝細胞がんに対する周期加点の条件-
■ 参考資料1-2 肝臓移植希望者(レシピエント)選択基準に関する学会要望
■ 参考資料1-3 膵臓移植希望者(レシピエント)選択基準について –小児優先及び待機Inactive 制度-
■ 参考資料1-4 膵臓移植希望者(レシピエント)選択基準に関する学会要望
■ 参考資料1-5 肺移植希望者(レシピエント)選択基準について –小児優先-
■ 参考資料1-6 心肺同時移植希望者(レシピエント)選択基準について -小児優先-
■ 参考資料1-7 肺移植希望者(レシピエント)選択基準、心肺同時移植希望者(レシピエント)選択基準に関する学会要望
■ 参考資料2  未確定リストによる移植施設への事前連絡を行った事例への対応に関する指示書

議事

議事内容

○磯部委員長 定刻になりましたので、ただいまから、第50回厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会を開催いたします。委員の皆様におかれましては、御多用のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。事務局のほうから出欠状況、資料の確認をお願いいたします。

○曽山補佐 初めに、委員に異動がありましたので申し上げます。新たに平川俊夫委員に御就任いただいております。本日の委員の皆様の出欠状況ですが、秋山千枝子委員、猪股裕紀洋委員、小笠原邦昭委員、加藤庸子委員、山本輝之委員から御欠席との連絡を頂いております。なお、横田委員は少して遅れて到着されるとお聞きしております。ここで、厚生労働省大臣官房審議官吉永和生より一言挨拶させていただきます。

○吉永審議官 大臣官房審議官の吉永です。本日は、委員の皆様におかれましては、御多用のところ御参集賜りまして誠にありがとうございます。また、日頃より移植医療の推進に当たりまして、各般の御支援・御協力を頂いておりますことを、この場を借りて厚く御礼申し上げます。本日の会議でございますけども、御提供いただいた臓器のあっせんに関わるレシピエント選択基準の改正、また、臓器移植医療の現状と対策などにつきまして御審議いただく予定としてございます。

本日の審議が臓器移植に関する課題の解消につながりますよう、委員の皆様には御忌憚のない御意見を頂戴できればと思っております。限られた時間でもございます。また、空調が余りついてない部屋で恐縮ではございますが、よろしくお願い申し上げます。

○曽山補佐 引き続きまして、資料の説明をさせていただきます。本日の審議会では前回同様タブレットを使用し、議事を進行させていただきます。お手元のタブレットは、議事次第を画面に表示した状態で配布いたしております。画面左上に「マイプライベートファイル」という箇所がありますので、そちらをタップしていただきますと、フォルダーの中の資料一覧が表示されます。

資料の説明ですが、資料番号1-1から資料1-4までがレシピエント選択基準に関する資料です。資料2が「臓器移植医療の現状と対策」。資料3が「ハイブリッド肺移植の取扱について」。資料4が「腎臓搬送の外部委託について」という資料です。資料5が、日本臓器移植ネットワークからの報告事項となっております。また、議事に関連した参考資料を格納しておりますので、そちらも御覧いただければと思います。タブレットの操作に御不明な点がありましたら、手を挙げていただければ事務局の者がまいります。また、お手元にタブレット操作説明書もお配りしておりますので、適宜御参照ください。

紙ファイルもお手元に用意しております。紙ファイルの中には、法令、ガイドライン等がつづられておりますので、適宜御利用いただければと存じます。なお、タブレット、タッチペン及び紙ファイルは、会議終了後持ち帰らず机の上に置いたままとしていただきますようお願いいたします。それでは、頭撮りはここまでといたします。これ以降はカメラ等による撮影は御遠慮ください。それでは、これより議事の進行に移らせていただきます。今後の議事進行を磯部委員長にお願いいたします。

○磯部委員長 それでは議事に入りたいと思います。議題に沿って進行いたしますが、本日の議事は、1つは、レシピエント選択基準の改正、2番目が臓器移植医療の現状と対策、3番目がハイブリッド肺移植の取扱いについての報告、4番目が摘出臓器搬送の外部委託についての報告等です。それでは、最初の議題でありますレシピエント選択基準の改正について事務局のほうから御説明をお願いいたします。

○井内室長 資料に従って御説明いたします。資料1-1を御覧ください。これが前回の臓器移植委員会までに、レシピエント選択基準でこう変えるべきということで本委員会において決定を頂きました事項です。それについて我々としては、臓器移植ネットワークのシステムを改修、周知等々を経て実行をしているものです。それについて御報告をいたします。

左側に臓器がありまして、それぞれ決定事項があって、一番右にいつから運用したか、若しくは予定かということをまとめております。1つ目の肝臓ですが、小児ドナー児にレシピエントの選択順位ということで、小児ドナーからの場合は小児レシピエントへ優先あっせんを実施するということです。これについては平成30年11月1日より運用を開始しております。」肝臓の2つ目ですが、あっせんの優先順位を決定する際の医学的緊急性、その項の中のStatusⅠ、StatusⅡで、そのStatusⅡの所をMELDスコアを採用するということでの変更を決定いただきました。これについては令和元年5月15日から運用を開始しております。

3つ目、肝腎同時移植希望者が肝臓をinactiveにした場合。このinactiveというのは一時的に待機者リストから外すということですが、inactiveにした際に、腎臓も同時にinactiveとすると。これは医学的理由等で肝臓が移植できない場合は、当然腎臓もできないということで連動させるというものです。これについては、令和元年11月からの開始目途です。

膵臓ですが、小児ドナーからの同時移植ということで、小児からの臓器提供事例で、膵腎同時移植レシピエントが20歳以上の場合であって、腎待機リストで選ばれたレシピエントが小児の場合。これはどういうことかと申しますと、膵腎両方を提供された場合に、膵腎同時移植が腎単体よりも優先されるということになりますので、膵腎のレシピエントに当たった場合は、それが大人であったとしても、その方に移植するつまり、腎臓の片方が大人の方に移植されるという運用になっておりました。それを、こういった場合は腎臓を2つとも小児に提供を優先するという取り決めを頂きました。これについても令和元年11月より開始目途としております。

腎臓については、小児ドナー時レシピエントの選択ということで、小児ドナーからの臓器提供があった場合に、小児の血液型一致・適合レシピエントを成人のレシピエントよりも優先する。つまり、小児を成人より優先するということで、これは平成30年11月1日より運用を開始しております。
一番下、無機能腎の取扱いということで、ドナー側の腎臓の機能が少し難しいと思いながらも、移植に至った場合ということで、いわゆるドナー側に特に要因がなく、腎臓が生着しなかった場合には、専門家による評価委員会で検討した上で、待機期間を戻した上でもう一度登録をしてもらうという運用です。これについては平成31年3月1日から運用をしているものです。これが過去に決めていただいたことについての現在の運用状況ということです。

資料1-2、これが今回、本委員会において検討いただきたい事項です。肝臓のレシピエント選択基準については、これまでの経緯ということで、今回検討するに当たりまして、平成30年12月26日、日本肝臓学会肝移植委員会から厚生労働省宛てに、関係学会により制定される脳死肝移植レシピエント適応基準において、肝細胞がんの方がレシピエントとなって移植をされるということがあるのですが、その場合、この移植の適応になるのが、ミラノ基準の方に限ってやっているという運用があります。それについて、ミラノ基準というのが中段にありますが、※2で、遠隔転移や脈管浸潤を認めず、最大腫瘍径5cm以下1個、又は最大腫瘍径3cm以下3個以内がミラノ基準ということで、ミラノ基準に合致する患者さんが臓器移植の適応となっていたというものです。

MELDスコアを昨年度変えていただいたのですが、そのMELDスコアを勘算するときに、下にあるように、90日経過するごとに画像検査を施行し、ミラノ基準の遵守を確認した上で、登録時のMELDスコアに2点を加算するというルールで運用をしておりました。ミラノ基準を見直したいというのが今回学会から頂いた意見です。

具体的には、ミラノ基準以外の5-5-500基準ということで、腫瘍径5cm以内かつ腫瘍個数5個以内かつAFPが500以下のものということで、こういった基準を提唱していただきました。これに関しては、学会で調査をなされて、いわゆる生体肝移植が中心だと聞いておりますが、どういった患者さんがミラノ基準に合致するような成績が出ているか調べ、今回の御提案をしていただきました。提案内容については、ミラノ基準で認めていたものを、ミラノ基準若しくは5-5-500基準にすればいいのではないかということが御提案です。その下に「作業班での検討結果」とまとめておりますが、作業班でもそういった形がいいのではないかということで御意見を賜ったということです。
参考資料1-1を御覧ください。参考資料1-1が基本的には作業班のほうで作っていただいたものですので、先ほどの簡単な説明では分かりにくいと思いますので、こちらのほうで説明をさせていただきたいと思います。2ページ、「臓器移植におけるレシピエント登録とあっせんの仕組み」を御覧ください。ここで「患者登録」と「あっせん」というのがあります。患者登録、いわゆるどんな患者さんを臓器移植ネットワークに登録するのかというのは、レシピエント適応基準に基づいて、それに合致する患者さんが登録されることになっております。これについては、学会で最新の医学的知見に基づいてルール決めをしているというものです。現在、御検討いただく範疇が、右の「あっせんに係るレシピエント選択基準」です。これは登録された患者さんが実際に移植を受ける際の順位付けのルールが「レシピエント選択基準」というものです。今回、学会のほうでレシピエント適応基準、肝細胞がんについては、今まではミラノ基準だったものをミラノ基準若しくは5-5-500基準に変えるという決定がなされたため、レシピエント選択基準にどう反映させるかというところでした。

3ページ、現行のレシピエント選択基準の優先順位は、親族優先があって、18歳未満のドナーの場合、あとはABO式、医学的緊急性、待機期間となっております。今回該当するのは、医学的緊急性の所です。

4ページ、医学的緊急性の所でStatusⅠ、StatusⅡと書かれております。このStatusⅡの所では、基本的にはMELDスコアで順位付けをさせていただくルールになっておりますが、注2、肝細胞がんについては90日経過するごとに画像検査を施行し、ミラノ基準の遵守を確認した上で、登録時のMELDスコアに2点加算した値を登録するということです。このMELDスコアに90日ごとに2点ずつ加算されるのが、今、医学的緊急性、肝細胞がんのStatusⅡの中でのMELDスコアを決めるときに、そういったルールで現在運用されているものです。ここの肝細胞がんについては、「ミラノ基準の遵守を確認した上で」という所を、「ミラノ基準」若しくは「5-5-500基準」ということで変更するということです。

7ページ、ミラノ基準と5-5-500基準ということで、関係性としてはミラノ基準と5-5-500基準がミラノ基準が赤、5-5-500基準が緑という位置付けになって、一部かぶさっておりますが、一部当然それぞれの所があるということで、今回は一番大きな両方、どちらかに掛かっていればいいということで運用すると決められたということです。

8ページ、それぞれのカテゴリーで5年生存率、5年再発率等があります。ミラノ内、ミラノ外、5-5-500内、5-5-500外ということで、いわゆる5-5-500のほうで見ますと、5年生存率75.8%、5年再発率7.3%ということで、一番上のミラノ基準のとほぼ同等ということです。先ほどのベン図にありましたように、細かく分けると、ミラノ基準も5-5-500も両方あるというものから、ミラノ基準にはあるのですが、5-5-500の外というのがありまして、下から3つ目の所で、ミラノ基準内で5-5-500外というカテゴリーを見ますと、5年生存率が62.5%、5年再発率が32.5%ということで、やや低くなっているということですが、これは作業班におきましても学会におきましても、実際、ミラノ基準がグローバルスタンダードであることから、これを排除するのは今回の調査のみでは難しいだろうという結論となり、ミラノ基準内、あるいは5-5-500内ということで792ということがありますが、一番集合の大きいもので、5年生存率74.8%、5年再発率9.1%、ここを基本的なルールにすればいいのではないかと言われたというものです。肝臓については以上です。

次は膵臓です。資料1-3、膵臓については2つあります。小児優先と待機Inactive制度についてということです。小児優先については、経緯のほうでは昨年6月6日に開催された本委員会において、小児臓器提供者から提供があった際に、小児移植希望者へ優先的にあっせんするルールを導入するべきではないかという御意見が出て、各グループのほうで検討するべきという御意見を本委員会で頂きました。これを受けて、我々移植室のほうから日本膵・膵島移植研究会に対して検討を依頼したということで、移植学会のほうから返ってきた答えが、小児優先の導入に関する要望という形です。作業班のほうでも同様の検証を行いまして、小児を優先するほうがいいのではないかという意見がまとまっているというものです。

次の待機Inactive制度については、昨年、肝臓と腎臓の同時移植のときに、肝臓がinactiveのときには腎臓をinactiveにすると決めていただきましたが、それを受けて、この学会のほうでも膵腎のほうにもInactive制度と同様なものを設けるべきではないかという御意見をまとめていただいて、それが作業班のほうでも同様の意見でまとまったというものです。膵臓については、こういった形でまとまっております。

資料1-4、肺移植希望者の選択及び心肺同時移植希望者の選択についてです。上から、肺移植における小児優先ということで、これも膵臓と同じで、本委員会より御提案を受けて、肺移植関連学会協議会のほうで検討をしていただいたというものです。これに関しても学会のほうで、小児ドナーからの臓器提供があった際には、小児レシピエントを優先するということで御意見を頂きました。

心肺同時移植がありまして、心臓については既に小児優先ということになっておりますが、心肺同時移植についても検討をしたというものです。作業班の結論については、肺移植についての小児優先、心肺同時移植についても小児優先をするということが適当ではないかという御意見をまとめております。これも作業班の資料で説明させていただきます。

参考資料1-6、心肺同時移植の3ページ、心臓と肺で少し煩雑になりますが、心肺同時移植の場合は、親族優先が当然ありますが、2番目には心臓レシピエント選択基準あるいは肺レシピエント選択基準で選ばれたレシピエントが心肺同時移植希望者である場合ということになります。選び方としては心臓、肺、それぞれのリストに心肺同時移植の方は載っておりまして、その方が例えば1位になったときに、心臓のリストで1位になった方が肺も、心肺同時だということになれば、例えば、肺のリストでその方が低かったとしても、心臓の心肺同時が上位に来た場合はその方が優先されるというルールになっております。両方のリストに載るというのが心肺同時移植は少し複雑になっております。心肺同時移植、心臓のリストと肺のリストで違う方が心肺同時で1位、1位ということであれば、3番のルールに従って優先をするということになっております。

5ページ、今回、心臓と肺ということで、小児優先ということを私は申し上げましたが、実は心臓と肺で小児の定義が少し異なっております。心臓のほうは登録時18歳未満ということで、登録したときが18歳未満。肺のほうは選択時、つまり移植をするときに臓器提供の承諾がされた時点で18歳未満であれば18歳未満。心臓と肺で、例えばここのシェーマにあるように、心臓と肺で例えば心臓は小児扱いになるのですが、肺は小児扱いにならないという層が一定程度出てくるというルールになります。ただ、これについても、例えばここの間の方は心臓のリストには小児という扱いで優先順位が決められて、肺のリストでは成人の扱いで順位が決められるということで、そういった運用でいいのではないかというのが作業班の結論です。

次のページで、複雑になって申し訳ないのですが、例えば、表に心臓リスト、肺リストと書いておりますが、心臓リストで選ばれた人と、肺リストで選ばれた人がどういう人になったかという場合のシェーマです。左側の上から3つ目、(A)心臓リストで例えば1位の人が小児心肺の方のとき、肺のリストで選ばれた人が成人心肺の人が選ばれた場合には、現行のルールでは1~4の順に優先ということで書いております。いわゆるABO式とか治療状況による優先度等々で決めていくということで、つまり、成人に行くか、小児に行くかというのはこの時点では決まらないということになります。この際、作業班では、こういったケースが出た場合には、小児心肺と成人心肺、2つが並び立った場合には、提供者が小児であった場合には、小児心肺ということでいいのではないかという御意見が出ました。

(B)で見ますと、心臓リストのほうが成人心肺ということになって、肺リストのほうが小児肺となった場合は、現在のルールでは成人心肺のほうが優先されて、小児の肺の方に移植されないということになります。これについて作業班でも検討いただきましたが、作業班では、こういったケースの場合は小児の肺を優先する。つまり、小児の肺、小児の心と成人心肺が当たった場合には、小児の肺、心、単独を優先するということでいいのではないかとまとめております。

簡単に申し上げますと、一番最後のページ、心肺に関しては、小児ドナーから心肺の提供があった場合の優先順位として、1番が小児心肺、2番が小児心臓移植及び小児肺移植の希望者、小児心臓移植及び小児肺移植のいない場合、1と2がいない場合には成人移植希望者のほうに回るということでルール付けをすることが、作業班の中ではいいのではないかという結論となり、本日移植委員会で審議していただくことになりました。今回は肝、膵、肺及び心肺ということで御検討いただければと思います。よろしくお願いします。

○磯部委員長 御説明ありがとうございました。少々長くなりましたが、3つテーマがあります。肝臓、膵臓、心肺です。順に臓器ごとで御議論を頂きたいと思います。まず肝臓です。肝臓は肝細胞がんのときの点数付けを変更するということだと思います。皆さんのほうで御意見、御質問があればお願いします。これは、基準を変更するそもそもの背景は何だったのですか。

○井内室長 これは学術的な理由で、学会のほうで調査をされて、ミラノ基準に匹敵する新たな基準がないかということを調査をオールジャパンでされた結果、それが見付かったということで、それに適応させるべきだという御意見です。

○磯部委員長 範囲を少し広げたほうが学術的に妥当であろうということで、この基準をアンドでつなげるという結論ですね。

○上本委員 私は学会の者ですが、1つは、ミラノ基準はもう20年以上前の基準で、今、画像診断の発達がすごいので、それに合わせると3個までというのは、5mmとかから分かってくると一気に適応から外れと、しかし、その人たちの成績は良いということが分かってきたので、画像診断の進歩が非常に大きいのではないかと思います。

○磯部委員長 ほかにいかがですか。

○横田委員 今、お話のあった先ほどの参考資料の8ページ、ミラノ内、5-5-500外という所がポイントだと思いますが、これは学会がお決めになったので特段の意見はないのですが、これだけ再発率が、ほかの32.8%ということ自体、学会での議論というのはないものなのでしょうか。単純な疑問ですが。

○上本委員 ミラノ内で5-5-500以外のはアルファフェトプロテイン、腫瘍生物学的なものが少し悪いのでという結果になっているのですが、再発率が32.8%、生存率が60何パーセントという生存率はアクセプタブルではないかという意見と、その領域の症例数が非常に少ないので、今後これを認めていただいて、症例を検討した上で、悪いようであればまた考えようという議論だったと思います。

○横田委員 専門外なので特に質問だけですが、この表で言うとミラノ外もほぼ同じぐらいの生存率、再発率ですよね。ですから、少し単純にミラノ基準自体の位置付けがどうなのかなと思って質問しました。

○磯部委員長 いかがですか。

○上本委員 これは先ほど井内室長からもあったように、国際的な、いまだにゴールドスタンダードですので、国際的にはミラノ基準を全く外すというのは少し難しいかなという議論をしました。

○磯部委員長 ほかにいかがですか。特に御異存の方がいらっしゃらないようですので、改正案をお認めするということにさせていただきます。次に、膵臓は小児優先です。残った臓器のうちの1つである膵臓も小児優先をするというルールを作っていただいたということです。御質問、御意見はありますか。

○木下委員 これも学会が決めていることですので、特にどうということはないのですが、小児の定義というのが20歳あるいは18歳、登録時、選択時というのがありますし、2022年になりますと、小児の定義は多分18歳に統一されてくると思いますが、どうしても学会が縦割なので、今すぐではないかもしれませんが、今後、小児の定義を年齢のことと登録と選択も統一されると、よりネットワークを含めて間違いというかトラブルは少なくなる。そういう意味だけではないのですが、ということは、今から準備されていくのもいいのかなと思いました。

○磯部委員長 事務局、いかがですか。

○井内室長 実際その話も作業班のほうでもしていただきました。実際、作業班のほうでは18歳で切る、20歳で切る、大体今まで優先ではないのですが、一応、それぞれの臓器で小児と成人の切り分けがこうだったというのを踏襲している形になっています。やはり、それを変えるということであれば相応のエビデンスがなければ変えられないというのが、各作業班の考えです。やはりそこを例えば今20歳になっているのを18歳に機械的に合わせると、その間の人にとって説明がないまま乱暴なルール変更になるのではないかと。それをするためには医学的な生着率だったり生存率であったり、そのようなものがないと難しいのではないかということで見送られているのが、各臓器の作業班の状況だと理解しています。

○木下委員 ですので、今はこのままで、およそ3年の間で今から作業をしていただいて、いつ統一に向けてデータを蓄積していくか、そういう作業が必要なのかと思いました。

○賀藤委員 私は小児科医なものですから、学会としては18歳というのは小児、18歳は当然診ると。アメリカの学会は多分21歳までが小児科医ですよと。国でも違いますし、厚労省の中でも課で小児と成人の年齢が違っているのだろうと思いますので、例えば小児慢性は20歳まで、20歳を過ぎると難病に行くという形になっています。そこはもう少し時間を掛けて、すり合わせをお願いできればと思います。

○井内室長 我々のほうとしては、何かの制度に合わせるというよりも、今まで移植は歴史があり、その中で登録されている方がいて、それぞれの臓器のレシピエント選択基準も様々なエビデンスに基づいて決めてきたということですので、何か厚労省のほかの制度に合わせてというよりも、やはり移植の中でのエビデンスがそろって、変更するなり新たに決めるというプロセスを取っていただきたいと思っております。今日頂きました御意見については、関係学会のほうにも我々のほうから伝えて、そういったことができるかどうかも含めて医学的な検証をお願いしたいと思います。

○賀藤委員 年齢でガチっとやるよりも、今、室長がおっしゃったように、いわゆる科学的なデータを加えるといいのかなと思います。全然反対するものではありません。

○有賀委員 今おっしゃっているそこそこのエビデンスをもって御自身の問題を抱えている患者さんに説明するというのはよく分かるのですが、もともと18歳とか20歳とか、選挙権ではありませんが、どこかで切って話をしているのですよね。ですから、そういう意味では、こういうルールにしましょうねというのも1つの決め方だと私は思うのです。言っていることは分かりますよね。それなりのデータを積み重ねてやりたいという話は、周辺で「いやいや」という話が出てきたときに、データはないよりあったほうがいいという言い方では、私はそこそこ理解しますが、もともと最も始めの頃の人たちは年齢を区切って出発していっただけの話でしょうから、大もとに限れば、別にデータに基づいて20歳にしたか18歳にしたかという話では恐らくないのではないかと想像しますよね。ですから、小児科の先生が何歳まで診るかという話にしても、老人は何歳かという話にしても、恐らく多くの人が、やはりそうだよねと思うような年齢で話が展開していくと思うので、やはりどこかでしっかり腹を固めて、バシっとやっていただきたいと。今みたいな話をしていると、無限大に可能性が延びるので、少し心配になって発言しました。

○小野委員 小児の優先提供の、少なくとも心臓・肺がなぜ18歳になったかというのは明らかな根拠がありまして、国際心肺移植学会と呼ばれる国際的に心臓移植、肺移植の登録をしている学会がありまして、その小児基準が18歳未満ということになっております。日本で小児優先の提供を初めてやったのは心臓で、2011年10月です。これは実はアメリカよりも少し早く、日本が世界に先駆けてやったシステムで、誇るべきシステムだと思っております。そのときに既に国際心肺移植学会でも小児優先提供の議論はされていまして、18歳未満にしましょうという当時世界的な、国際的な、40年以上の歴史的な背景があります。

なぜ日本が18歳未満を採用したかと言いますと、果たして18歳未満の小児優先提供がサイエンティフィックに正しいかどうかいろいろと議論がありましたが、その比較のために欧米から出ている国際心肺移植学会の小児のデータが比較の根拠になったために、ほかに年齢を適当に区切ってしまいますと、比較の対象がありませんので、国際的な共通ルールに従いましょうということで心臓が始まり、肺も18歳になり、肝臓も18歳になったということです。腎臓については私は全くタッチしておりませんのでコメントはできませんが、そういう国際的な基準とサイエンティフィックなバックグラウンドによるというところが実際はあります。

○磯部委員長 この議論を延々としているわけにもいかないので、申し訳ありません。最後に湯沢委員どうぞ。

○湯沢委員 腎臓の作業班での検討のことを少し付け加えさせていただきます。腎臓も本来国際的には18歳で切られているところですが、日本での臓器提供は極めて少ないことと、全く提供が少ない。一方で、登録されている患者さんも小児が極めて少ないという現状があります。その結果、膵臓もそうですが、膵臓の場合、糖尿病で腎臓が悪くなるというのは、そんなに小児で悪くなる訳はありませんので、そもそも膵腎の場合にも小児で膵腎同時移植を希望されている方が非常に少ないということがあります。そういうところから、小児から提供された腎臓なり、膵臓が移植されるときに、できるだけ広い範囲、小児の定義を広くして、少しでも小児の方に移植して差し上げたいという考えから拡大して、国際的には18歳かもしれませんが、我が国としては少し広めにして20歳にしようという考えで20歳になったという経緯があります。膵腎もそういう訳で極めて少ないというところから少しでも小児に行きやすくというか、結果的に行く形を取りたいということで18歳にしたという経緯がありますので、よろしくお願いいたします。

○磯部委員長 いろいろ御議論はあると思いますが、やはり、臓器によって年齢が違うというのは、国民の目線からすると理解し難い部分だと思いますので、今、御議論があったように将来は統一する方向で、御検討いただきたいと思います。既に登録されている方の不利益がとおっしゃいましたが、それはある程度の猶予期間というか、トランジションの期間を設ければ多分解決できるのだと思います。皆さんの御意見は基本的に統一するということだと思いますので、その方向で御検討いただきたいと思います。年齢の定義のこと以外について、膵臓の基準の改正について御意見はありますか。

○小野委員 参考資料1-3の5、6ページです。6ページは4月30日現在の膵移植の待機者の血液型や、年代別の待機者リストの数になりますが、5ページの下の表に715名の累積があります。そのうちの一番上の所が希望ということで、多分、これは209名なのでアクティブなオンゴーイングの登録者のことを指しているのではないかと読めるのですが。下の6ページも209名になっているのですが、これも4月末現在、下も4月30日現在になっているのですが、なぜか20歳未満が上のリストはお一人いらしたのですが、下のリストでいないのは何かどういう違いなのか少し不思議に感じました。

○曽山補佐 事務局より説明させていただきます。資料、5番の希望者が1名というのはなかなか分かりにくかったかもしれませんが、タイトルを見ますと、累積登録者の登録時年齢と書いてあります。次のページでは、2019年4月30日現在の膵臓移植希望者数ということで、先ほど小野先生からもコメントを頂きましたが、今のアクティブな状態をお示ししています。ですから、前のページでは登録されたときは20歳未満でしたが、現時点ではもう20歳以上になっているということで、ここで1と0の違いが出ているということです。

○小野委員 そうしますと、209という数字は偶然一致したということですね。

○曽山補佐 累積と現在ということになります。

○小野委員 累積の希望の209名と、4月現在の実際にJOTで公表しているリストの209名というのは全く違う209名ということなのですね。

○曽山補佐 同じです。

○小野委員 そうしますと、下のリストで20歳未満が数として入るはずなのですが。

○井内室長 4月30日の時点で、それまでに登録された方で20歳未満の方が1人いたと。その方が例えば4月30日になるまでに20歳を超えてしまうと、6ページでは0になってしまうと。

○小野委員 何となく分かりました。あんまり意味のある議論ではないので、すみません。ちょっと気にかかっただけです。

○磯部委員長 ほかに御意見はありますか。そうしたら、膵臓の基準の改正について、改正案をお認めするということでよろしいですか。御異議なしと認めますので、改正案はお認めするということになります。3番目に心肺の基準改正について、これも年齢の変更、小児優先についての御提案です。御意見はありますか。ここが一番18歳と20歳と分かりにくいところで難しいところがあると思います。先ほどの議論は蒸し返しませんが、今後の御検討をお願いしたいというのは皆さんの共通認識だと思います。いかがですか。この心肺の基準改正案についてお認めするということで御異存はありませんか。なしと認めますので、改正案はお認めすることになります。小児優先については、定義はともかくとして全臓器統一が取れたということでよろしいですか。

○井内室長 実際には小腸は入っていません。

○磯部委員長 まだ残っている。

○井内室長 はい。ただ、小腸は数が少ないのと、年間数例の希望者ということですので、おおむねのものは入って、これで完了したということです。

○磯部委員長 小児については予定はあるのですか、それとも、もうこれで改正は終わりということですか。

○井内室長 基本的にはこれで、数名のものを小児と成人に分けるというのも、もう余り意味がないかと思っております。

○磯部委員長 それではこの議題は終わります。2つ目の議題が「臓器移植医療の現状と対策」です。事務局より御説明をお願いいたします。

○井内室長 それでは資料2、臓器移植医療の現状と対策ということでお話をさせていただきます。この資料については、現在の数等についての現状の御説明と現在の厚生労働省での取組ということで、どういったことをやっているかということの説明をさせていただきたいと思っております。その中で本委員会で今後、どうしていくべきなのか、こういった方向はないのかとか、ここに挙げられたものについて意見等、今後、進めていく上での御意見を頂けると非常に有り難いと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

資料の3ページから入らせていただきます。現状ということで、ブルーが心停止、赤が脳死ということです。昨年については、平成30年と比べますと、平成29年をピークに一度落ちたと、数が減ったということになっております。令和元年ということで5月までの実績が、この色の付いた部分です。単純にということですが、5か月たったと、あと7か月あるということで予測をすると118ということで、このとおりにいけば少し今までよりは多くなるという状況と考えております。

次のページ、18歳未満の脳死下での臓器提供事例です。これについては右肩上がりで、5月末時点、令和元年については、平成30年の7を超えて9ということです。これが本当にあと7か月分、今のペースでということになれば、22ということになるというものです。

次のページ、臓器提供数。国内では少しずつ増加の傾向ではあるのですが、各国と比べるとということです。100万人当たりの脳死・心停止ドナー数ということで、日本は0.88、アメリカが31.96となっております。その下を見ていただきますと、ただ、脳死ドナー1人当たりの移植臓器数というのが日本が5.5、アメリカが3.5ということで、日本のほうがドナー1人当たりからの提供数、いわゆる臓器移植につながる数というのは多くなっている。下の右のほうを見ていただきますと、生存率/生着率ということについては本会でも何回もお話させていただいておりますので御認識かと思われますが、5年生存率、5年生着率、いずれの臓器を見ましても、アメリカよりも日本のほうがいい、世界的に見て、非常にいい成績で推移しているというものです。右上が各国の脳死・心停止臓器の移植数ということについても、もともとの提供数がかなり違うということで差は出ているというものです。

次のページ、臓器提供の意思の記入状況ということで、これが世論調査です。平成25年8月、平成29年8月ということで、法改正がなされた後、いわゆる免許証や保険証、マイナンバーカード等に記入ができるようになって、記入している方が12.6%、12.7%です。その下に、臓器提供に関する意思を記入していない主な理由ということで、そのときの調査結果を挙げております。

こういった現状を踏まえまして厚生労働省の取組ということで7ページ以降、8ページからです。まず、8ページにこれも今までずっと取り組んでいるということで、パンフレットを作成して、リーフレットを配布してということです。ここの1つ目で、中学生向けのパンフレットを作成して、中学生へ配布しているというものがあります。あと、毎年10月に「グリーンリボンキャンペーン」等をやっているというのが国民への普及・啓発という観点からの今までの取組です。

9ページ、本委員会でもいろいろ御示唆を頂いた上で今進めているのが、この研究班の中での取組です。授業実例集の作成、研究会・教育セミナーの開催ということで、実際、臓器移植のことを授業で取り上げることについて、どういった問題があるのかというのを、研究班のほうで様々な中学校の先生方に聞いていただきました。その中で、やはり学校の先生が臓器移植について取り上げるというのは、簡単に言うと難しいと、よく分からないと。生徒等に様々な質問をされたときの答え方も分からない。だから何を知っていたらいいのかも分からないし、授業の進め方も分からない。実際、授業の中身の責任を持つのは当然、そこでやっている学校の先生ですので、強制でやれと言われてもできるものではないというようなことをだと聞いております。ここでは授業実例集の作成ということで、今、臓器移植のことについて授業で取り上げたら子供のためになるのではないかと考えていただいている先生方、有志の先生方に集まっていただいて、授業実例集、どうやって授業をやっていくのかというようなものを、ツールを作っていただいております。指導案、ワークシート等、あと教育ツール等々、授業実例集で学校の先生が知識を付けて、どういうふうにやればいいのかが分かればできるのではないかということで、そういったものを作っていただいているというものです。こういったものが出来上がる形をまず目指すというのと、それで、今、中学校に配っているパンフレット等もこれに合わせて変更していくことも考えております。あと、研究会・教育セミナー等も定期的に開いて、こういったところの成果を学校の先生に直接、聞いていただいて、臓器移植の授業に取り組もうという先生方を増やしていきたいと思っております。こういったものが出来上がって、普及の段階になりますと、文部科学省ともどういった協力ができるのかというようなことも相談をさせていただきたいと思っております。

10ページ、ここからは提供施設における環境整備ということです。我々といたしましては必要なのが、1つ目が、国民への普及・啓発。2つ目が、いわゆる臓器提供施設の環境整備という整理です。現状は、院内体制整備事業ということで、各病院で院内各種委員会の設置、マニュアルの整備等をやっていただくというところに臓器移植ネットワークを通じて補助金、補助事業をやっているというものです。11ページでは、それを今、やっていただいている病院が89施設ということで、全国、多くの病院で手を挙げてやっていただいている状況があります。12ページ、提供施設における環境整備ということで、これは各学会で御協力を頂いて、医師、看護師、臨床検査技師等、いわゆる臓器提供に必要な知識、技能について、こういったセミナーを開いていただいているというのをずっと続けているという現状です。

13ページ、今年度の事業として募集を今、ちょうど始めたというところですが、新規事業を立てたというものです。これについては、拠点病院、連携病院とありますが、拠点病院というのは、今まで臓器提供の経験事例数が多い施設に拠点病院になっていただいて、その周りの施設を巻き込むということで、1つのチームとして臓器提供に臨んでいただくというイメージです。このチームの中で、例えば臓器提供が出ない普通のときには、いわゆるカンファレンスをやったり、余り経験のない連携施設の院内の体制を整備していくことの助言等をやっていただく、これが実際臓器提供になったということになると、連携施設への助言指導、人の派遣等をやっていただくということで、こういったことがそのエリアでできないのかということで、こういった連携体制構築事業ということをやっております。

次のページ、これも研究班でやっていただいたものですが、臓器提供時のハンドブックの作成ということで、ハンドブックの目次と書いてあるところから分かりますように、いわゆる急性期、重症患者への患者・家族支援、いわゆる入院のところから、臓器提供するしないという以前のところから、実際、臓器提供に至って、お見送りに至るまでといった中で、一連の中で、どういったことを取り組むかということを現場の先生の目で、経験の少ない先生がこれを見れば、分かりやすくできるようにという観点で、こういったハンドブックの作成をしていただいております。これも実際、かなりの部分まで出来上がってきて、もうすぐ出版されると聞いております。

さらに次のページです。提供施設における環境整備ということで、現在、御存じのとおり、我々のほうで全ての症例を毎回検証ということで検証をさせていただいております。ただ、その検証を作るときの作業が、提供施設にかなり負荷が掛かっているということも聞いておりますので、それを簡素化できないかということで、今、研究班で新しい案を考えていただいております。端的に申し上げますと、今の検証のスキームではかなり文章を書くところが多いのですが、今回は数字を入れる、プルダウンでいわゆる選ぶということがメインで、同じ検証をするということなのですが、しっかりと書かなくてもいいと、作業量自体は落ちるというものを目指して検討を頂いております。

16ページ、移植施設の負担軽減ということで、これは研究班及び臓器移植学会で検討していただいておりますが、移植施設の負荷ということで、1ドナーの評価から摘出チームの派遣、手術器材の搬送、摘出臓器搬送に関する人員、そういったことでかなりの負荷が掛かっていると。現在、少しずつではありますが、臓器提供数が増えてきていると、特に脳死については増えてきているという現状を踏まえまして、今後、臓器提供が増えたときに移植側がパンクをしないようにということで、どのような負担軽減ができるのかという検討をしていただいております。

次のページ、これは参考になりますが、入院時、重症患者に対応した充実した診療体制ということで、今、日本臨床救急医学会で検討いただいていると聞いています。これについては、ここのブルーの所になりますが、医師、看護師と患者家族が入院したときに、関係を円滑にできるようにということで、この薄いブルーでありますCの「入院時重症患者対応メディエーター」、この患者家族と医師、看護師の間をつなぐ方、こういった方が入ることで重篤患者が満足した、納得した治療を受けるために、こういったメディエーターを養成して配置をするということを考えていただいております。臓器移植が直接、関与する話ではないのですが、これについては、こういったいわゆる患者家族と医師、看護師がきちんと話し合える環境が整えば、臓器提供に関する話も円滑に進むのではないかということで期待をしているというものです。以上が参考も含めまして、現状と厚生労働省での今の取組ということでございます。御忌憚ない御意見を聞かせていただければ有り難いです。よろしくお願いいたします。

○磯部委員長 ありがとうございます。多岐にわたりましたけれども、ただいまの臓器移植医療の現状と対策についての御説明ですが、御意見、御質問、頂けますでしょうか。

○平澤委員 入院時重症患者対応メディエーターについて教えていただきたいのですが、これはどういうふうに病院にインフォメーションされるのでしょうか。

○井内室長 インフォメーションをするというものではないのですが、学会のほうでこういった方を配置するということを今、検討を頂いていると。私、最初、申し上げましたように今の院内コーディネーターとか、移植コーディネーターとかは、こういう方が配置されれば連携というのはあると思いますけれども、業務としては全く重ならないものだという認識です。

○平澤委員 そうしたら、看護師はこういったところには入ってこないということでいいのですか。

○井内室長 看護師さんが入ってくる前提だと聞いています。これは資格ではなくて、役割だと聞いておりますので、看護師の方がこういった役割をされる場合もあると認識をしています。

○平澤委員 当初、ソーシャルワーカーがこういったメディエーターの役割として設置をされると、前回の委員会でもお伺いしたところだったと思うのですけれども、そういった方プラス看護師も含めて、院内のスタッフがこういったところに入っていくという認識でよろしいのでしょうか。

○磯部委員長 はい。私はそう聞いています。これは学会が認定する資格ということで、講習を受けて、学会が認定する方がこれを担うということです。これは診療報酬的には現状ではどういうふうになっているのですか。

○井内室長 現状では当然、診療報酬にはないのですが、学会のほうで診療報酬になるようにという要望はされているように聞いております。

○磯部委員長 学会認定ということですね。

○横田委員 追加発言ということでよろしいでしょうか。今の平澤委員の御質問のお答えになるかどうか少し不安なのですけれども、まず職種に関して考えているのは、恐らく経験のある看護師、あるいは前回、この委員会でも議論がありましたメディカルソーシャルワーカーの役割も今までの通達を見ると可能だろうと。ただ、いくら経験のある看護師、あるいはケースワーカーとはいっても、やはり終末期の対応ということになると一定の、何と言うのでしょう、標準的なプログラムというのが必要だろうということで、実は今、先ほどお話があった臨床救急医学会が中心となって教材を作っています。

実は先月末に臨床救急医学会があって、その学会の中で議論をさせていただいたのですけれども、教材が今、大体8割方ぐらいできているのですが、それを受講していただいて資格認定というよりは、やはりこういった役割があるということを認識していただいて、そもそも私も今まで発言している中で、臓器提供ということは日本の今の現状だと看取りの医療の一環として対応しているということなので、その看取りの医療を本当に一番円滑にできるのは、主治医も当然担うのですけれども、担当看護師よりはもっとその患者さんに寄り添った形の職種があっていいのではないかという、そんな議論から出たこのメディエーターです。診療報酬のことに関しては、日本救急医学会が昨年末にこういったことに関して、診療報酬を外保連を通じてお願いしているところです。

○磯部委員長 確認ですけれども、これは臓器移植の提供施設に限るものではなくて、一般の救急病院に普及させる御予定なのでしょうか。

○横田委員 重症患者対応メディエーターということでそういうふうにはなると思うのですが、この資料の14ページを見ていただきたいのですけれども、今、ハンドブックを作っているというお話がありましたけれども、そのハンドブックの目次の1番目の「急性期・重症期患者への患者家族支援」で、ここに今のメディエーターというのが関係してくると思っています。右側の所にイラストがあると思うのですが、この「ハンドブックの内容(例)」の一番右側に赤い星印が3つあります。これは星印が1個、2個、3個ということで、このハンドブックの目次立てをしているのですけれども、この星印3つの所というのは、今まで一定以上の臓器提供の経験がある施設が特に参考になる部分ではないかという位置付けで星印を3つ付けています。例えば、この9番の法的脳死判定というのは、これは実際はもう、そういう症例があったらどんな施設でも法的脳死判定をしなくてはいけないので、こういう9番の所は星印1個になるのです。そんな形でハンドブックも作っています。

○磯部委員長 御意見、いかがでしょうか。

○渡邊委員 以前働いていた救命センターではソーシャルワーカーが介入しており、入院時から患者さんの御家族といろんな話をしたり、困ったことがないかなどを聞いていました。この診療体制は多分、そういったことをイメージできればいいのかなと思いました。病院で働く看護師、医師はもちろんチーム医療のメンバーだと思うのですがソーシャルワーカー以外にどういう職種が入るのでしょうか。

○横田委員 これも研究班でいろいろそのデータを取りましたら、もちろん看護師さん中心です。もちろん医師も当然、そういう役割を担うことができると思うのですが、実際は主治医ということでなかなか人数的にも難しいと思うのですが、そのデータの中には、これも意外だったのですけれども、リハビリのいわゆる先生といいますか、非常にその患者さんと近しい関係があって、そういう方もなり得るのではないかという議論がされています。もちろん、ですからそういった場合に、こういった重症患者さんの対応というようなところの教材は、やはりきちんと学習していただいて、こういったメディエーターになっていただくと、こんなイメージで今、対応しています。

○渡邊委員 救急医学会とか臨床救急医学会の中で今、理学療法士などのコメディカルの人たちの参加状況というのはどんな状況でしょうか。教育システムや教材などの情報がちゃんとそういったところに伝わっていくのかなと思いました。

○横田委員 臨床救急医学会の職種の分布というのは私、詳しくは承知していないのですけれども、臨床救急医学会にお願いしたという経緯は、そもそも非常に多職種で、かつ、ケースワーカー、メディカルソーシャルワーカーの方も入り、あるいはもちろん、ナースの方もたくさん入っていてというところで、臨床救急医学会のほうに教材をお願いして、しかもそのセミナーも臨床救急医学会で一応、企画して、この秋ぐらいを最初にやるという議論は進んでいます。

○磯部委員長 ほかに。

○有賀委員 日本救急医学会と臨床救急医学会の違いをちょっと説明しておいたほうがいいかと。日本救急医学会は日本医学会の、今でいう医学会連合ですが、一翼を担っていて、ほぼ99.9%ドクターばかりです。日本臨床救急医学会というのは、名前がこれでよかったのだろうかという黎明期の頃のディスカッションがないわけではなかったのですが、一番多いのはやはりドクターですけれども、今は2番目は薬剤師です。その次にはナースです。その後にリハとか、MSWとかが会員です。MSWも今は着々と増えています。なぜそうやって増えていったかというと、救命救急センターなどでMSWの活躍する場面というのは相当程度ありそうだと。患者が入ってきたときもそうですし、出ていくときもそうだという話があって、今、そういう人たちの勉強コースをかなりリジットに作ったのですね。薬剤師もそうです。

ですから、そういうふうな多職種が集まっている中での議論ということで、臨床救急医学会が本件について前のめりになっていると。なぜ前のめりになるかというと、そういうふうなところでドクターも苦労するけれども、ナースや、それから今言った薬剤師なども苦労しているということがあるので、本件に関してもやっている。臨床救急医学会というのはそういう学会だというようなことなのでございます。薬剤師さんたちがどんどん増えている理由も、今言った臨床救急医学会の中の薬剤師さんたちの勉強プロセスがものすごくいい塩梅にきているからですね。だから、これだけ勉強してこれだけ試験するとこんなによくできるよね、そういう感じ。今、臨床救急医学会の代表は坂本先生でしたか。

○渡邊委員 代表理事は坂本哲也先生です。

○有賀委員 そうですね。そこにMSWの方がもうどんどん増えています。ナースの方もいわゆる集中治療が大好きだったりとか、地域医療そのものにかなり視点のあるナースが恐らく入ってきている。そこで、拠点病院と連携病院との間をつなぐということになってくるのではないかなと想像します。

○水野委員 現場で本当にこれだけ御苦労なさっていて、そういう御苦心には大変感謝するのですけれども、ただやはり、この結論として0.88というのは、構造的な問題があるように思えます。諸外国が大体2桁いっているところに、日本は0.88ですので、これはもともと先生方、十分御存じですけれども、脳死の臓器移植を作るときに、脳死は死かそうではないかという例の神学論争に手を取られてしまって、結局、脳死臨調がドナーの自己決定だということで実現を図ったのですけれども、そのときにそういう神学論争に足を取られる形で、手続を非常に不合理に重くすることによって神学論争の妥協を図ったというところがございます。そして例えば、虐待のおそれのある児童からは取れないなんていうのは全く理由のない不合理な制限だと思っておりますけれども、そういう立法レベルでの不合理さというのを抱えていて、その中でこれだけ御尽力なさっているということは本当に大変なことだと思うのですが、やはり不合理なものは不合理だという形で根本的に手を入れていくことを考えないと、なかなか2桁には到達しないのだろうと思っております。

○見目委員 患者団体の見目でございます。今の御意見に同意です。私、法改正をするときに10年くらい国会に通って、結局、そこを正さなければ、もう前の法律では数が増えないと思って、法改正のほうに動いたのですね。その結果を見れば、今回のこの資料の平成22年以降の数というのは、簡単に言うと横這いなのですよ。法改正をしたけれども、トータルな数は増えていないという状況ですから、その枠組みの中でかなり努力を皆さんがやれていても、恐らくその努力が報われる効果は少ないのではないかと思うのです。報われる効果が少ないのは別に、それはそれでも構わないのかもしれない。でも一方ですね、亡くなってしまいますから、そこに対してやはり手を打たなければいけないと思います。

ここで必要なことは、簡単に言えば法改正をしたのがうまく機能していないということなわけですから、その行政というか法律側のほうに立ち返って、そこを動かすようなことをしなければいけないと思います。そのときに何を言うかは考えなければいけませんけれども、国会側でももちろんそういう委員会がありますから、臓器移植の会合がありますから、そこで今、どういう議論がなされているのかということをつかむことが1つ。それともう1つが、臓器移植ネットワークでも以前、門田先生が来られたときに何年までにどのくらいの数にもっていきたいと言われていましたから、それを目的としたときに、ネットワークとして何が欠けているのかと思っているのか、その辺も洗い出しをしたほうがいいのではないかという感じがします。以上です。

○磯部委員長 ほかの案件についてもどうぞ。

○木幡委員 そもそも脳死下臓器提供を増やそうとしているわけですよね。そんな中で脳死になる人は年間どのくらいいるのかということは把握されているのですか。

○井内室長 現在では把握していません。実行上、かなり難しいと思っています。というのは例えば、脳死が人の死であればその時点で死亡診断書等が出て、統計等も取れると思いますが、現時点では臓器提供を前提とした場合、脳死判定が終われば死亡診断書が出て死となりますけれども、全く同じ状態の人が臓器提供を希望しない場合は、生きているということになります。いわゆる脳死の基準というので、今、臓器提供をするに関しましては法的脳死判定ということで、一定のルールがある中で脳死かそうではないかというのがありますが、いわゆるそれがなされない中ではどこをもって脳死とするかというところで、かなりドクターによってもばらつきが出てくると思います。そういった中でなかなか正確な数字を把握するというのは、現時点では困難と考えます。

○木幡委員 つまり、臓器提供するときにだけ脳死ということになるということで、やはりそこもはっきりしないから把握できないということなのだと思うのですけれども、単純に言えば何となく、素人考えですけれども、それがきちんと把握されて、そこが全ての発端なので、その方全てにオプション提示をちゃんとしてあげる。それこそそのメディエーターの方だったりがやれば、国民の調査によると、意識的には提供したいという人が43%ぐらいいるわけですから、ある一定数はちゃんと意思がかなえられるのではないかなというのが1つあります。

それからもう1つ、国民への普及・啓発という点で言いますと、なかなか普段、健康に生活している人が臓器提供について、考えないと思うのですよね。メディアも正直言って興味は薄れてきているのかなという感じもあります。法律施行20年とかそういう節目では、わあっとやりますけれども、では次、30年までやらないのかというと、かなりの時間がたってきますので、逆にそういった、何かミスが起きたときとか、あるいは何となくイメージをミスリードするようなネット記事とかが出ると、そういうネガティブイメージばかりが積み上がっていくので、何かもっとネットワークや厚労省のほうから意図的に、何かポジティブな情報、客観的な数字でもいいのですけれども、節目節目で出されたらどうかなと思います。

もう提供500例は過ぎてしまったのですけれども、今、調べてみたら心臓移植というのが463例なのですね。ですから、この463例が500例になったときとか、また、これを見ますと、5年生存率92.5%という高い数字ですので、例えば、そういうときに移植を受けた患者さんも同席させてちょっと会見をしてみるとか、そういうふうに積極的にポジティブな情報を発信していくのもありかなと思いました。池江璃花子さんのニュースが出たときにあれだけ皆、骨髄バンクとかに電話をしたり、登録をしたいという希望があったのですから、もう少しそこを促すような、意図的にポジティブな情報を出して、ハートフルなエピソードとかあったらそんなものを出していくというのもありではないかなと考えます。

○有賀委員 今、ちょっと立ち上がって、横田先生と打合せをしたのですが、何年か前に日本脳神経外科学会と日本救急医学会が合同で厚生労働省からの研究費を頂いて、全国に脳死患者がどれぐらいいるかということをサーベイしたことがあります。それによると年間1,600ぐらいでしたか。各学会が各施設の専門医に聞いてそれを積み上げていったというような話になりますので、どのぐらいの人が答えてくれたかという細かな話もあるのです。私自身も覚えてはいないのですが、横田先生に追加してもらいますけれども、少なくとも1,600ぐらいあると、だからその倍はあるかもしれないよねという話はしているわけですよね。少し追加しました。

○横田委員 追加で、厚労科研の有賀班でその数を推定したことがあります。今、お話したように、報告書に書かれている数字は年間1,603例です。ところが回答率が38%、4割弱だったのです。そうしますと、大規模な施設からはほぼお答えいただいたのですけれども、1,600よりは少なくとも多いだろうと、2,000、3,000ぐらいのオーダーではないかというのがその報告書に書かれています。ですから、室長が言われたように、死亡診断書からその数字を出すことはできないのですけれども、大体2,000とか、あるいはもう少し多いというのが実際のところだと思います。

○磯部委員長 裾野は非常に広いということと、機会を捉えてイベントなり、宣伝活動をしてくださいという御意見だと思います。ほかに。

○有賀委員 9ページに今の御説明が、国民への普及・啓発という、臓器移植に関する教育の展開というところで、右側の令和2年度下半期、実例集を用いた授業を水平展開していこうと書いてあります。これは中学校ですよね、小学校、中学校の学校医の先生は医師会の先生になっていただいていますよね。学校医の先生に突然、臓器提供の授業をしろという話は普段の話から随分離れているので、大変といえば大変なのですけれども、少なくとも学校の先生が授業をするときに、その授業を聞きながら場合によっては学生さんが、少し先生が答えにくいような医学的な質問をしたときに、フォローアップしてあげるという形で、学校医の先生が少しコミットしてくれるといいかなという気がしました。学校医は日本医師会の傘下ですので、その辺はいいことではないかなと私は思うのですけれども、いかがなものでしょうか。

○平川委員 そうですね。日本医師会も臓器移植に限らず、健康教育というものを学校教育の中でもっと広げていきたい。そのために学校医も含めて医師会が積極的に関与していきたいということを言っております。特に今は中教審に医師会代表の委員も入っておりますので、そういったことを文科省に強く提言しているところでございます。その方向で同じ流れですので、是非そういったことも参考にさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

○磯部委員長 学習指導要領には臓器移植のどういう記載、あるいは記載があるのですか、ないのですか。

○井内室長 恐らく高校生の保健体育に入っていたと思います。ただ、今、学校の先生にお願いしているのが、中学校で道徳の授業とかが始まって、道徳の教科書にこの臓器移植の記載があるものもあって。ただ、道徳の教科書のどこを使ってその授業をするかというのは学校の先生の裁量になって、なかなか臓器移植が難しいので、使わないというような、そういう状況がある中で、我々としては臓器移植のそのページを選んでいただいて、授業をしていただきたいと思っています。

○磯部委員長 やはり、その辺の仕組みだと思うのですよね。

○渡邊委員 昨年、看護学科の大学院の授業で、移植医療の講義が半日ありました。その時にコーディネーターに来てもらって一緒に講義しました。具体的な現場のことや移植までの流れ等を話してもらいました。皆救急医療に関わっていた看護師の方々でしたが、直接そういった現場のことを聞いて勉強になったという意見がありました。提案ですが、そういった学校の先生たちの教育の中にコーディネーターや臓器移植ネットワークが入りバックアップするのはいかがでしょうか。私の経験から教育の場に臓器移植ネットワークの方々が介入するのが良いのではないかと思いました。

○磯部委員長 そろそろ、この話題を終える時間なのですけれども、よろしいですか。

○井内室長 それでは資料3で説明をいたします。これは、肺移植関連学会協議会から我々移植室に届いたもので、ハイブリット肺移植を含む肺移植新術式に関わるルールということです。ここにありますように、いわゆる典型的な片肺手術や両肺手術だけではなくて、現在、いろいろ学会、また各臨床の先生のほうで工夫をされ研究をされ、ハイブリット肺移植、左右反転移植、ダウンサイジング肺移植、両側上葉を左肺として移植する術式が開発されて、それが運用されている。1.「新術式施行のルールについて」ということで、現在まで、こういった形で各施設の判断で実施をされている。このときに、レシピエント選択基準の中で実際にレシピエントが選ばれるときに、いわゆる、こういった新しい術式での登録はできないので、ここにありますように、それぞれ、例えばハイブリット肺移植は片肺移植希望者として、左右反転移植は片肺移植希望者として、ダウンサイジングは肺又は両肺、両側上葉を左肺として移植する術式は第一術式片肺移植、第二術式両側肺移植希望者として登録をされて、先ほど一番最初に御審議いただきましたレシピエント選択基準に術式というのがありますので、そういった登録をされた中でルールを決めて運用をしているということです。

今般、これらが、こういった形での登録をしていることが妥当かどうかを、肺移植関連学会協議会で一度、まとまって相談をされたということで、こういった相談をしてこのような運用をこれからも続けていきたいということで報告を頂いたものです。レシピエント選択基準のルール運用に一部関わることだと我々は判断しましたので、本委員会に報告をさせていただいているものです。

2ページの2.「ハイブリット肺移植ガイドライン」ということです。ハイブリット肺移植については、このハイブリットというのは、いわゆる脳死の方から片肺を頂いて、もう片肺を生体の方から頂くというものだと聞いております。

3ページを見ていただくと、ハイブリット肺移植については、きちんとガイドラインを作られて、倫理的に、生体のドナーの方と一緒にするということで、そういったきちんとした体制も取っていないと駄目だろうということで、ここの協議会としてはこのような体制でやっていくと決めたということです。これも併せて御報告を頂いたということですので、本委員会に御報告をさせていただいております。以上です。

○磯部委員長 肺の脳死から生体同時に移植するハイブリット肺移植についてのルールを明確にされたという御報告だと思いますが、何か御意見、コメントございますか。よろしいでしょうか。ではこの報告を承ったということで、次の話題に進ませていただきます。4番目「摘出臓器搬送の外部委託について」の御報告です。本議題については、参考人としてお越しいただいております日本臓器移植ネットワークの関順一郎専務理事より御説明をお願いします。

○関参考人 御紹介ありがとうございます。臓器移植ネットワークの専務理事をしています関と申します。どうぞよろしくお願いいたします。では今、お話のように、腎臓搬送の外部委託についての、まず背景から説明をいたします。

○磯部委員長 資料4でよろしいですね。

○関参考人 資料4です。すみません。2018年3月20日、腎臓の小児優先ルールが開始になりまして、20歳未満のドナーからは20歳未満のレシピエントが優先となり、腎臓についても全国シッピング。それまでは地域限定だったのですが、全国シッピングになります。その結果、搬送エリアが拡大することにより腎臓移植医やコーディネーターの業務負担の増加が予想されることを受けまして、右にあります要望書が出てきました。日本臨床腎移植学会から昨年の8月末に要望書が提出されました。内容は、今、言いましたような、腎臓移植医やコーディネーターの業務負担に対応するために、運送業者などの民間のサポートも含めた対策を検討したらどうかという依頼を受けました。それを受けまして、私どもJOTとして、腎臓搬送に向けた臓器搬送体制の再構築の検討を始めました。

次ページです。その場合、外部有識者で構成されました移植施設委員会、あるいは、その下にある腎移植部会において協議を行いまして、腎臓搬送の業務委託の実施についての議論を行って決定をしました。まず搬送企業の選定です。そこに書いてあるとおり、全国展開をしていることで複数の企業といろいろ協議をしました。24時間対応が可能かどうか。それから定温輸送のノウハウをきちんと持っているか。それから社内の教育体制がしっかりしているかということと、その会社そのものの経営状況がきちんとしているのか、反社会勢力などと関係を持っていないかという信用調査等も行いました。総合的に判断して搬送企業を選定しました。

セルートという会社で、設立してから30数年たっているのですが、一応、バイオとかメディカル関連の搬送に非常に注力をしている会社で、真面目に努力をしている会社だと判断しています。そこと協議を開始して、どのような課題があるかということと、それから、課題解決のためのいろいろな検討を複数回にわたって協議をしました。その内容をJOTの理事会とか移植施設委員会へ適宜報告しながら、契約書、覚書、あるいはマニュアル等を作成して、実際に腎臓搬送業務に同行して、マニュアルに基づいたシミュレーション等を実施しました。そこまで詰めてきましたので、6月で契約も結びました。来週ですが、模擬症例によるシミュレーションの実施と最終確認を行いまして、7月から、もしこういう事例が起こったときには対応できるような形の業務委託の開始の準備を始めたいと思います。私の報告は、これについては以上です。

○磯部委員長 ありがとうございます。湯沢先生、何かコメントありますか。よろしいですか。

○湯沢委員 はい。

○磯部委員長 ほかに御質問。

○有賀委員 何という会社か教えてもらえますか。私は、単純にクロネコヤマトとかそのように思ったので。

○関参考人 セルート。

○有賀委員 ありがとうございます。

○見目委員 これは腎臓だけとなっているけれど、将来的にはもう少しほかの臓器にも展開する構想をお持ちなのですか。

○関参考人 それはうちが構想を持つというようなところではなくて、今は、小児を中心とした腎臓の全国シッピングという、そこに対応して考えて、将来ほかの臓器がどうかというのは、またそれこそここで御議論を頂くようなテーマではないかと思います。

○湯沢委員 質問なのですが、今、お話があったように、小児の腎臓に限定するのですか。ではなくて腎臓に限定ということですね。

○関参考人 そういうことです。

○湯沢委員 分かりました。それは全国展開した腎臓移植であって、例えば同一県内でとかも含んだ搬送なのでしょうか。いや実は、腎臓移植をやっている我々の身としては、隣の県、都道府県からの輸送ですら結構大変なことがあって、そのためだけに、現実的には医師を1人出してタクシーでわざわざ持って帰ってくるとかということがあるのです。ネットワークのコーディネーターは運んでくれませんので、基本的には。そうすると、そういうことを医師が1人付いてやっているので、全国展開どころではなくて、隣の県でも、近くでも可能になることを我々としては希望したいと思っています。

○関参考人 検討のきっかけは全国シッピングということで検討しているのです。それでそういう結論になったのですが、おっしゃるとおり、先ほど言った、腎臓医の移植医の方の負担の多さ、それからやはり、都道府県コーディネーターで私どものコーディネーターも含めて、業務が非常に今、繁忙というかそういう状態ですので。それは別に全国展開だからどこの地域だと機械的に決めるのではなくて、ケースバイケースで判断して、民間のそういうセルートという会社を使うことを柔軟に考えていきたいと思います。

○磯部委員長 事務局どうぞ。

○井内室長 今、JOTの関専務理事からお話を頂いたのは、今回、全国シッピングに小児の腎臓がなったということへの負荷に対して、JOTとして行うことの御報告を頂いております。我々のほうが現状と対策の所で挙げた、いわゆる摘出医、移植側の負荷の問題を将来的に軽減をさせていきたいという中で、まずJOTが具体的に動いたということで、この運用がどうなるかも我々も注視しておりますし、また、その運用実態等、この委員会でも御報告いだだければと思っています。そういったことを踏まえて、今、湯沢委員から出ましたのは腎臓の先生のお話でしたが、これは心臓も肝臓も全ての先生がそうだと思いますので、そういったところをどうしていくかという中で、ここで今回、JOTに取り組んでいただいた取組がどこまで使えるかということは、今後、議論をしていくことで、またこちらの委員会でもお話合いをしていただくのかと思っております。

○磯部委員長 ほかに。

○渡邊委員 送付者の選定をされたということですが、搬送する業者さんの人に対する教育は、やはりちゃんと教育を受けた人が搬送するとかという内規はできているのですか。

○関参考人 おっしゃるとおり、誰でもいいというわけではなくて、その会社の中でも特にちゃんと教育を受けて、こういうのにふさわしい態度、知識を持った人を選んで対応に当たってもらう予定にしております。

○渡邊委員 その教育は、JOTが一緒に教育をするということですか。

○関参考人 マニュアルを一緒にする。

○渡邊委員 一緒に検討されたりということですね。ありがとうございます。

○関参考人 はい。

○磯部委員長 シッピングの費用については、従来の枠組みで行われるということでよろしいですね。

○関参考人 このために掛かる費用については、このセルートの社員が運ぶ場合は、それに対する交通費、プラス、ある程度の、1日当たりと言いますか、1件当たり幾らと決めて支払う予定にしています。

○磯部委員長 よろしいでしょうか。

○木幡委員 1点だけ。余計な心配かもしれませんが、この資料がホームページとかにアップされるときに、腎臓搬送の外部委託についてというタイトルがワード的にどうなのかなという。やはりドナー家族さんからすると、少し何か言葉として冷たい印象というか、何となく外の人に委託みたいなことではなくて、これがオープンになるのであれば、より良くしようと思って迅速に運ぼうと、いい状態で、ということですよね。ですので、こういうところの言葉も少し、報告書の言葉ですか、昨今いろいろありますので、気を付けられてもいいかと思いました。

○有賀委員 いや、必ずしもそのようではなく、つまるところ総合的に考えると、搬送全体のクオリティをアップしているわけですよ。要するに、今まではいろいろな人たちが搬送していた。移植の先生は移植をすることが仕事で、ものを運ぶのが仕事ではないですよね。ですから、そういう意味で、ものを運ぶ人にものを運んでもらう。今、言った、全国的なシッピングへと考えると、それなりの体力がある所を選んでいるわけですよね。セルートというのは知りませんので、どのぐらいの会社なのか見てみたいとは思いますが。ですから、そういう意味では、外部委託というと、全く外部委託はそれ自体そのとおりなのだけれど、実は搬送業務全体のクオリティを上げている。そのような観点でターミノロジーを考えるという話ではないですかと私は思いますが。

○磯部委員長 そうだと思います。

○有賀委員 素直な、私としては。

○磯部委員長 工夫をお願いします。ほかによろしいでしょうか。それでは、御報告を伺いましたということで、最後の議題になります。日本臓器移植ネットワークからの報告で、「未確定リストを用いて移植施設への事前連絡を行った事案について」、こちらも関専務理事から御報告をお願いします。

○関参考人 資料5を御覧ください。 先ほどの話と違って非常にネガティブな報告になりますので御容赦いただきたいと思います。これについては、移植施設に対する事前連絡で誤りがあったということの御報告になります。報告書の1ページ、2ページ目を御覧ください。御存じと思うのですが、脳死下でのレシピエント候補者への意思確認の早期化を目指しまして、移植施設への事前連絡というのを2017年12月1日から開始をしております。1回目の脳死判定の後に事前連絡を行って、2回目の脳死判定の後に正式の連絡を行うという形で今、行っているわけですが、今回の事案は、今言った、1回目の脳死判定の後の事前連絡のときに、あっせん順位が確定する前のリストであることを認識しているにもかかわらず、当該リストを用いて誤ったあっせん順位を移植施設に連絡してしまったという事案です。

そのところにあります、今、どういう形であっせんの順位を決定しているかを簡単に申し上げます。適合者検索システム、E-VASと呼んでいますが、いわゆるコンピュータによる順位付けを1つ出します。もう1つExcel、これはいわゆる手作業で持っているデータから出します。メインは今のところExcelで、サブをE-VASという形にして、それをまず、そのリストに合うかどうかを行います。合った場合に、それで待機者の順位を決定して移植施設に連絡をするという段取りをしています。2つのリストが一致するまではあっせん順位は未確定として、施設への情報提供は行えないことにしております。

経緯を御覧ください。今年の4月2日に起こった案件です。Excelで作成したリストとE-VASで作成したリストを見たときに、これは午前中ですが、肝臓について一致していないことが判明しました。E-VASのシステムエラーが原因の可能性として考えられましたので、リストの作成責任者からE-VASを担当するシステムの管理担当者に連絡をして、事実確認の依頼をして、それから作業を進めてもらいました。その結果ということか、その結果を待たずに、当日の16時の段階で、その不一致の確認をしないまま脳死判定1回目の後の情報提供の開始を決定してしまいました。その結果、各施設に連絡をし、肝臓についても、3番目、4番目の候補の施設に連絡をしました。そうしたところ、肝臓の施設から、自分の所のあっせん順位が間違っているのではないかという指摘を受けました。それに基づいて誤ったあっせん順位の情報を提供していたことが発覚をしました。これがまた夕方です。先ほどからやられて、午前中から不一致の確認を施設でしていたわけですが、その確認が終わったのが夕方で、リスト作成責任者がリスト不一致の原因となった情報を修正した上でE-VASリストを作成し、E-VASリストとExcelリストとを比較して、リストが一致していることを確認したのが21時の段階で、それに基づいて、間違った連絡をしてからちょうど5時間後に当たりますが、再度、施設に対して確定したリストを用いて改めて事前連絡を行いました。

4ページです。翌日、4月3日には第2回目の脳死判定を行いました。その後に、移植施設に対して確定リストを用いて正式連絡を行ったところです。厚生労働省には、当日からもうすぐ連絡をして連携を取っていたのですが、指示を頂きました。厚生労働省からは、過去の事例において、そういう未確定のリストに基づいてあっせんを行ったことがあるのかどうか、その事例を調べろと。それから、ExcelリストとE-VASのリストが不一致となった事例、これもあったかどうかを調べなさい。それから、それに対してどういう対応をしたのかを報告するようにという指示を受けました。12日、10日ほどたって厚労省に対して口頭で報告した内容は、過去全ての事例において、未確定のリストに基づきあっせんを行った事例はないことをまず暫定的に報告をしました。

4月22日です。E-VASのリストを開始したのが2017年1月30日以降ですが、これ以降の全事例を、全部で252例あるのですが、それを全部チェックした結果、リストの不一致があったのは38件でしたという報告をしました。38件に対する対応を検証して、2019年4月2日に発生した肝臓のあっせんにおける未確定リストによる情報提供事例以外の事例では、全ての事例において、確定したリストを用いて移植施設に対して情報提供をしていたことを確認しましたということを一応、口頭で報告をしました。ただ、これをきちんと文書で報告するようにという指示を受けております。
この事案の原因ですが、ここに書いてありますように2つ考えられます。事前連絡に用いるとは言いながら、確定リストの確認に関する具体的な手順を整備していなかったという、具体的手順の未整備が1つと、それから、確定前のリストに基づいて、移植施設に対して事前連絡を行うことがあっせん誤りにつながるおそれがあることを認識していないという危機管理意識の欠如、この2つがあったのではないかと思います。先ほど言いました、厚労省からの依頼に対して、過去の事例の検証をきちんと行いました。252例の事例を全て検証した結果、本事例を含めて3事案の38事例についてのリストの不一致を認めました。

次ページです。3事案というのは、1番目は、腎臓リスト上の待機日数の不一致。待機日数の計算が、手作業でやるのとE-VASでやるのとどうしても微妙な所で不具合が起こるというのが1点。それから、E-VASシステムのマスター入力誤り。一番多いのは、今言った腎臓のリストの待機日数の計算にずれがあることが35事例です。2番目、E-VASのシステムのマスター入力誤りが1事例。3番目、承諾時刻における抽出データの不具合2事例。今回のこの肝臓の間違いというのもここがあったわけですが、これはちょうど4月1日が患者さんの更新の時期で、そこの、多分データを修正したりしたときの、やはりその時間によっての未更新であったりというか、更新ということのシステムの不具合がどうしても出てしまったという、この4月1日前後のことで起こったというのが事例です。ここで書かれていますア、イ、ウの3つの事案の38事例のうち、未確定のリストを用いて情報提供を行った事例は本件のみだということがきちんと分かりましたので、文書でもって厚生労働省に報告をいたしました。それを受けまして、また今度、再発防止策について検討するように、それを報告するようにという指示を受けまして、6月17日に提出したのが、その次の資料です。

再発防止策としては、チェックシートの改訂。先ほどの原因にあったように、やはり、きちんとチェックシートの中に確定しなければ絶対に出してはいけないことをもう一回明記をして、それをコーディネート責任者が確定リストであることを責任者の補佐を行うコーディネーターと共有をして、事前連絡担当コーディネーターとのミーティングの前にも確定リストであることをコーディネーター責任者が確認する。そして、改訂したチェックシートについて、全コーディネーターに対して周知し、移植待機者リストの最終確定の方法及び事前連絡に用いる確定リストの確認方法の適正を図るという、チェックリストの改訂を行いたいと思います。

次が危機管理意識の醸成です。コーディネーター全員でコーディネートの全過程がレシピエント選定に影響する可能性があることを再認識し、適切なあっせんを実施するため定期的にチェックシートの見直しを行うという再発防止策を出しました。その進捗状況です。5月17日にチェックリストの改訂を早速行いました。JOTコーディネーターが参加するカンファレンス等で全コーディネーターに本事案の詳細を報告し、チェックシートの改訂及び確定リスト作成までのプロセスや事前連絡の手順を確認しました。危機管理意識の醸成の進捗については、コーディネーター間での声掛け等による情報教育を含め、チェックシート及び業務手順書は追加等があれば適宜修正するとともに、定期的な見直しを1年に一度行ってその内容を確認することという進捗の報告をしました。以上のような内容で、今後もあっせん活動において、皆様の信頼に応えられるように、更に努力を重ねていく所存ですので、どうぞよろしくお願いします。私からの報告は以上です。

○磯部委員長 ただいまの参考人からの御説明について、御意見、御質問ございますでしょうか。

○有賀委員 経緯の18時20分のところなのです。ちょっと分かりにくいので、やさしく教えていただきたいのです。肝臓の第3、第4の候補を持っている施設の担当のドクターから、カギ括弧のはずだと言って照会があったのですよね。

○関参考人 はい。

○有賀委員 このカギ括弧の中は、自分の施設の中に、あっせん順位上位にあると連絡を受けた者よりももっと上にいると思われる患者がいる、登録されているに違いないと、そのように言ったということですか、これは。

○関参考人 そうです。

○有賀委員 ということは、ここの施設の人たちしか分からないのですね、その間違いをどこかで指摘しようと思うと。

○関参考人 そういうことなのです。

○有賀委員 つまり私は、最終的にリカバリーしようと思って、最終的にうまくいくと、何と言うか、実害が生じない形でうまくいったという話はそれはそれでいいとは思うのだけれど、ミスショットが起こったときにエラーを見つけるきっかけというか、違っていたといったそれが分かる場面は、この施設の先生が自分の知っているというか、自分の受け持っているというかよく分かりませんが、その患者さんがこちらにいるはずだということを知っていたので気が付いたと、それ以外では気が付きようがなかったということでいいのですか。

○関参考人 いえ、ではありません。これは仮にこの先生から指摘がなくても、この9時ぐらいの段階、ここにありますが、並行して不一致の原因をずっと夕方からやっていましたので、要するに不一致だということはみんなが気付いていたわけです。それでも事前連絡をしてしまった。不一致は必ず一致しないと確定には至りませんので、21日の段階では、この先生からの指摘があろうとなかろうと気付いたというように内部チェックができます。

○有賀委員 不一致は気付いたわけですよね。

○関参考人 ですから一致させることができた。

○有賀委員 では、どこがおかしかったのですか。

○関参考人 おかしかったのは、不一致があるにもかかわらず、まず移植施設に連絡をしてしまったことが間違いだったと。

○有賀委員 だから、そのことで先方の施設から指摘を受けているわけですね。

○関参考人 施設。

○有賀委員 違うのですか。

○関参考人 施設からも指摘を受けた。ですから、指摘がなかったら大変なことになっていたということではないです。

○有賀委員 ではない。では、この18時20分のこれは、そういう意味では付録ですね。

○関参考人 そうですね。

○有賀委員 分かりました。

○関参考人 ここは事実を述べているだけで、それが原因ということだとはちょっと違います。

○有賀委員 分かりました。ですから、今言った、究極のミスショットの部分がどこなのかということを思ったので聞きました。

○関参考人 はい。ありがとうございます。

○有賀委員 ありがとうございます。

○磯部委員長 ほかにいかがでしょうか。

○横田委員 横田です。言葉の使い方なのです。前回の待機日数の計算の仕方のところは、多分、システムエラーと呼んでいいと思うのですが、今回の場合、4月1日で更新する更新の作業ができていなかったというところをシステムエラーと呼ぶのは、ちょっと違和感があるのです。

○関参考人 そうですね。

○横田委員 システムエラー、システムエラーと書いてあるのですが、その辺はどのように考えたらよろしいのでしょうか。システムエラーだと、あくまでE-VASのソフトの問題になりますよね。

○関参考人 はい。

○横田委員 そうではなくて、あくまでネットワークの体制と言いますか、作業の問題だったと自分は今、聞いたのですが、その辺は。

○関参考人 全くそのとおりで、前の問題のあっせんミスにつながったシステムエラーとは違っていて、これは完全に人為的な問題だと起こっています。先ほど御説明したのは、E-VASとExcelとがなぜ違うのか、違ったのかという御説明だけであって、それ自身が別に人為的なミスを解消する問題だとは思っていません。

○横田委員 いや、ここに、E-VASのシステムエラーと言葉が出てきたので、今、質問したのです。

○関参考人 はい。

○湯沢委員 E-VASで待機日数の時間の差に応ずるうんぬんという、要するに、まだE-VAS自体のシステムの問題があるということなのですか。

○関参考人 はい。

○湯沢委員 これは、もう何年間にもわたって何億円も掛かったシステムを作っていながらも、まだ2年半たってもこのようなシステムなのですか。

○関参考人 それについては、本当におっしゃるとおり恥ずかしいということなのです。E-VASは、先ほどのレシピエントの選択基準とかがいろいろ変わりますので、それでいろいろなところのプログラムを変更するのですが、ですから私が聞いているところによると、変更したことによって思わぬ所に影響が出たりとかいうことがあるみたいなのです。しかしそれは言い訳にも全くならないで、やはり我々の管理不足だと思っていますので、今後、そのようなシステムのエラーみたいなのはできるだけなくすようにしていきたいと思います。

○湯沢委員 それで結局、手計算というか、Excelと常に突合させてチェックしているのをもうずっとやっているわけですね。

○関参考人 今、湯沢委員が言われた待機日数についての問題は、一応、今のところ解決はしていますので、今後は起きないようにやっていきたいと思います。

○湯沢委員 本当に大丈夫なのですかという疑問しか私らは持たないのですが、本当に大丈夫だ大丈夫だと言って、こうやって2年半駄目なのですよね。

○関参考人 そうですね。

○湯沢委員 非常に疑問を持っています。

○磯部委員長 よろしいでしょうか。それでは、この御報告は承ったということで。これで本日の議題は全て終了でございます。委員の先生方から何か御発言がございますでしょうか。

○見目委員 見目です。毎回お聞きするのですが、横田先生、小児の進展はいかがですか。

○横田委員 今、荒木班という班が、今年から、平成30年度からスタートしていまして、先ほどの資料にありましたが、様々な角度、教育も含めて今、活動していると思います。実際の成果が出てくるのは、恐らく今年度からと認識しています。

○見目委員 ありがとうございました。

○有賀委員 話をごちゃごちゃにしたくなかったので発言しなかったのですが、最後にちょっとだけ。確かにE-VASのシステムのプレゼンテーションをすると、あの部分の機械仕掛けという話になってしまうのですが、E-VASという方法論を使って、その組織のAさんが引き落とす、Bさんが引き落とす、Cさんが引き落とす、そのときにAさんはうまくいったけどBさんはうまくいっていないと、これはヒューマンエラーだとよく言いますが、それも含めてシステムエラーなのです。ですから、そのようにならないようにするのが話の筋なので、横田先生が、システムのエラーということでちょっと違和感があるという話は、そのような違和感があるような書き方をしたという話なのです。これは、いわゆる医療安全のときのターミノロジーで言うと、システムの不全があることはもう間違いがないので、そういう意味では、AさんがやってもBさんがやっても困らないようにしていくことを含めてシステムの問題であると考えてやっていただくといいと思います。これはもう議論の問題ではなくて安全に関するサイエンスの話なのです。以上です。

○磯部委員長 ほかにいかがですか。

○見目委員 もう1つお聞きしたいのです。先ほど私ちょっと意見を言いましたが、臓器提供の臓器移植の現状は、法律改正してかなりたつのに余り変わっていないというのが現状だと思うのです。厚生省の方々が一生懸命いろいろなことをやってくださっているのは十分理解はしているつもりなのですが、結局、それは、1つの決まった枠組み、法律の中でやっているだけの話であって、本当は、そこの元を正さないと、もう次の段階に行けないという可能性があるのではないかと思うのです。例えば韓国などでは、我々から見れば、もう私らの10倍ぐらいは提供しているというそこの1つのポイントは、例えば、脳死者が出たときに報告義務があるとかという枠がちょっと違うのです、日本と。そういうところで、厚生省の方々が見ていて、今の法律をどうすれば、あるいはどうしてほしいと思っているのかとか、そういう意見をもし分かればお聞きしたいと思うのですが。

○磯部委員長 いかがですか。事務局どうぞ。

○井内室長 今、見目委員からですが、基本的には言っていただいたとおり、我々は、これは議員立法ですので、議員立法で作っていただいた法律が最大限機能するようにということで、行政府として努力するというスタンスでいます。我々のほうで今、問題と思っているのが、今日もありましたように、国民への普及・啓発もそうですが、医療提供体制の提供病院の負荷の軽減というところが、変われば移植医療もより良く変わってくるのではないかという認識でおりますので、我々としては、そこに今、集中的にいろいろな施策をしていきたいというスタンスです。現在の枠組みでもうこれ以上どうしようもないという認識ではなくて、まだまだ努力して改善できる余地はあるという認識でいます。

○磯部委員長 ちょっと、質問と答えが違うように思いますが、よろしいですか。

○見目委員 おっしゃることは分かります。ただ、これを例えば10倍とか20倍とかそういうことにそれでなるかというと、ちょっとなかなか難しいのかという、今までの経緯からすると、そう思っています。この枠を外すことを考えたときに、何をすればいいのか、その辺はいかがですか。

○井内室長 我々のスタンスは、基本的には臓器提供をされたいと思っている方の意思を最大限尊重する。最大限尊重できる環境が整えば自ずと数が増えてくるのではないかというスタンスで、移植数をアウトプットとして増やすために何をするかというスタンスではありません。今、挙げた2つのポイントに尽きるのですが、そこをやっていけば、例えば10倍とか増やしていくのも、急に増えても今度は移植医が大変になるので、今度は移植医の負荷軽減もしていかないといけない。これは総合的にということで、一足飛びにというのは、正に委員におっしゃっていただいたように、急に世界が変わって明日から10倍になるというのは、多分、このスキームで進めていく以上はなかなか難しいかとは思っておりますが、ステップバイステップで少しずつ広げていく、広げた先にはまだまだ改善の余地はあるかというのは思っております。

○磯部委員長 ほかはよろしいでしょうか。そうしましたら、これにて議事を終了したいと思います。最後に事務局からお願いします。

○曽山補佐 本日は御議論いただきまして、誠にありがとうございました。事務局におきましては、本日頂いた御意見を踏まえ、引き続き、臓器移植の課題の解決に取り組んでまいりたいと存じます。また、次回以降の開催につきましては、別途調整させていただきますので、よろしくお願いします。事務局からは以上です。

○磯部委員長 それでは、本日の委員会は終了でございます。どうもありがとうございました。

照会先

健康局難病対策課移植医療対策推進室

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内線:2365