2019年6月17日 肺・心臓移植の基準等に関する作業班 議事録

健康局難病対策課移植医療対策推進室

日時

令和元年6月17日 (月) 11:00~13:00

場所

厚生労働省20階 共用第9会議室

出席者

委員(五十音順)

議題

(1) 肺移植希望者 (レシピエント) 選択基準について
(2) 心肺同時移植希望者 (レシピエント) 選択基準について

配布資料

■ 資料1  肺移植希望者(レシピエント)選択基準、心肺同時移植希望者(レシピエント)選択基準について
■ 資料2-1 肺移植希望者(レシピエント)選択基準について
■ 資料2-2 学会からの要望(肺移植希望者(レシピエント)選択基準について)
■ 資料3-1 心肺同時移植希望者(レシピエント)選択基準について
■ 資料3-2 学会からの要望1(心肺同時移植(レシピエント)選択基準について)
■ 資料3-3 学会からの要望2(心肺同時移植(レシピエント)選択基準について)
■ 参考資料1 肺移植希望者(レシピエント)選択基準
■ 参考資料2 心肺同時移植希望者(レシピエント)選択基準

議事

議事内容

○曽山補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、肺・心臓移植の基準等に関する作業班を開催いたします。班員の先生方におかれましては、お忙しいところお集まりいただき、誠にありがとうございます。前回の肺作業班の開催が平成25年10月2日ですので約6年ぶり、前回の心臓作業班の開催が平成27年5月19日ですので約4年ぶりの作業班となります。

前回から班員の先生方も変わっておられますので、班員の先生方の紹介をさせていただきます。まず、肺移植の基準等に関する作業班の先生方の紹介をいたします。石塚全先生、岡田克典先生、近藤丘先生、千田雅之先生、中島淳先生、肺の作業班の班長を林清二先生にお願いいたしております。続いて、心臓移植の基準等に関する作業班の班員の先生方の紹介をいたします。小野稔先生、齋木佳克先生、坂本喜三郎先生、福嶌教偉先生、心臓移植の基準等に関する作業班の班長を布田伸一先生にお願いいたしております。

本日は、久保委員、伊達委員、巽委員、賀藤委員、澤委員、筒井委員から御欠席との御連絡を頂いております。本日は、肺移植レシピエント選択基準と心肺同時移植レシピエント選択基準の2つの議題について御討議いただきます。肺移植の基準の議題については、進行を肺移植作業班の林班長にお願いしたいと存じます。続いて、心肺同時移植の基準の議題については、進行を心臓移植作業班の布田班長にお願いしたいと存じます。それでは、以後の議事の進行を、林肺作業班班長にお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。

○林班長 近畿中央呼吸器センターの林と申します。それでは、議事に入ります。今回の会議においても、タブレット端末を利用したペーパーレス会議を行います。事務局より、タブレット端末、資料について説明をお願いします。

○曽山補佐 タブレットは、議事次第を画面に表示した状態で配布しております。画面の左上にあるマイプライベートファイルという箇所をタップしていただくと、フォルダの中の資料一覧が表示されるようになっております。

資料について説明いたします。資料1は「肺移植希望者(レシピエント)選択基準、心肺同時移植希望者(レシピエント)選択基準について」です。資料2-1は「肺移植希望者(レシピエント)選択基準について」ということで、データ等を含んだシェーマを格納しております。資料2-2は「学会からの要望(肺移植希望者(レシピエント)選択基準について)」ということで、肺移植レシピエント選択基準についての御要望を格納しております。資料3-1は「心肺同時移植希望者(レシピエント)選択基準について」ということで、こちらもデータ等を入れております。資料3-2は「学会からの要望1(心肺同時移植(レシピエント)選択基準について)」、資料3-3は「学会からの要望2(心肺同時移植(レシピエント)選択基準について)」ということで、肺移植関連学会協議会、心臓移植・心肺同時移植関連学会協議会の2つの学会からの要望をそれぞれ格納しております。参考資料として、参考資料1「肺移植希望者(レシピエント)選択基準」、また、参考資料2「心肺同時移植希望者(レシピエント)選択基準」を格納しておりますので、適宜、御参照ください。

タブレットの操作などに御不明な点がありましたら、手を挙げていただければ事務局の者が参ります。また、お手元にタブレット操作説明書もお配りしておりますので、適宜、御参照ください。なお、タブレット及びタッチペンは、会議終了後、持ち帰らず、机の上に置いたままとしていただきますようお願いいたします。資料の説明は以上です。林班長、以後の進行をよろしくお願いいたします。

○林班長 それでは、肺移植希望者選択基準について議論を始めます。お手元の資料1、資料2-1、資料2-2、参考資料1に基づき議論を進めてまいりたいと思います。最初の検討事項、「肺移植希望者(レシピエント)選択基準について」の説明を事務局よりお願いします。

○曽山補佐 まず、資料1を御覧ください。今回の作業班開催の経緯です。(1)小児ドナーからの提供があった臓器の小児レシピエントの優先あっせんについてということで、御討議いただきたいと思います。

経緯としては、心臓、肝臓、腎臓において、現行のレシピエント選択基準では、小児ドナーから提供があった際は、小児レシピエントへ優先的にあっせんするというルールが運用されているところです。これを踏まえ、平成30年6月6日に開催された第49回厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会において、ほかの臓器に関しても同様の選択基準を導入するかどうか検討すべきではないかという御意見がありました。

これを受けて、平成30年6月20日、厚生労働省移植医療対策推進室から肺移植関連学会協議会に対して、小児ドナーから臓器提供があった際のあっせんルールについて検討を行っていただくように依頼したところです。平成31年1月28日、肺移植関連学会協議会から、肺移植における小児ドナーからの小児レシピエントの優先あっせんの導入に関する要望が提出されました。詳細は資料2-2を御覧いただければと思います。こちらに関しては、年齢区分、また、優先順位というところで御要望を頂いております。年齢区分、また、優先順位をどのようにするかということについては、後の資料の内容も踏まえ御討議いただければと存じます。

それでは、資料2-1を御覧ください。タイトルページの次のページを御覧ください。まず、現行の肺移植レシピエント選択基準における優先順位をお示しいたします。まず最初に「親族」ということで親族優先のルールがあり、次に「肺の大きさ」ということで肺の大きさによる条件が決まっております。その後に、「ABO式血液型(一致が適合より優先)」、その次に、「待機期間」によって優先順位が決まるということです。さらに、ここまでで選択できない場合には、「ドナー・レシピエントの年齢区分」ということで、肺のサイズの条件に一致するものの中で、ドナーとレシピエントの年齢が一致するものを優先するということで、こちらに関しては後ほど説明いたします。最後に「術式」ということになっております。

次のページです。「各臓器における優先順位(親族優先がなくドナーが小児の場合)」です。本日は、心臓作業班の先生方にもお集まりいただいておりますが、心臓では小児ドナーの年齢区分が18歳未満(登録時)のレシピエントを優先ということで、小児ドナーの年齢区分としては18歳未満からの臓器提供の場合には、18歳未満のレシピエントを優先するということになっております。肝臓でも18歳未満のドナーから18歳未満のレシピエントを優先ということで、腎臓は年齢区分としてはドナーが20歳未満の場合には20歳未満のレシピエントを優先ということになっております。

次のページです。「国内の小児肺移植」の状況です。1998年10月から2019年3月までの681例の肺移植の内訳です。こちらは、京都大学呼吸器外科の伊達先生より御提供いただいたデータです。このデータにおいては、小児は16歳以下と定義されていることに御留意ください。その条件の中で、681件中、小児が79件ということで、生体が62件、脳死が17件という割合になっております。一方、成人は602例で、生体が160件、脳死が440件という割合になっております。右には生存率を示しております。治療成績は御覧のような形になっております。

次に、下の左側のシェーマを御覧ください。2019年2月末までの脳死肺移植数のうち、レシピエント年齢が18歳未満のものが21件あったということです。18歳未満の脳死肺移植数は、2014年には3件であったところ、2019年には21件ということになっております。その21件の小児のレシピエントのうち、どなたから臓器が提供されたかということですが、ドナーの年齢で見ると、18歳未満が14件、18歳以上のドナーから頂いたという方も7件あったということです。

次のページです。「小児からの臓器提供 平成31年2月末時点」です。18歳未満のドナーからの脳死下臓器提供が、ここ数年で増加してきているというグラフです。18歳未満のドナーからの肺提供はどうかということですが、33件中24件で肺の提供があったということです。下のグラフを御覧ください。18歳未満の方から肺の提供があったときに、どのようなレシピエントに肺があっせんされたかということです。両肺の小児が13件、片肺の小児が1件ということで、両肺の成人、片肺の成人の合計で、成人12名に肺があっせんされております。

次のページです。これは2019年1月31日現在の「肺移植 待機登録者数」です。移植希望者数が353名という数字の中で19歳以下が17名、こちらは19歳以下ということで、先ほどのような18歳という区分とは違いますが、このような数字となっており、15歳未満は6名です。

次のページです。「肺移植希望者平均待機日数(2019年2月JOT調べ)」です。登録されている患者数は、18歳未満が10名、18歳以上が339名ということで、患者数自体はこのように異なっているということです。18歳未満平均待機日数が262日、18歳以上が967日となっております。

次のページです。こちらでは、18歳未満の中でも、10歳未満、10歳以上という年齢区分も設けております。日本臓器移植ネットワークに、18歳未満と18歳以上の方の年齢別の転帰のデータを出していただいております。患者数としては、2019年2月末現在で、10歳未満の累積登録者が19名、10歳以上18歳未満が69名、18歳以上が1,359名となっております。その中で転帰は、移植済、取消、死亡、生体移植済、海外渡航ということですが、例えば、死亡ということであれば、10歳未満が10.5%、10歳以上18歳未満が24.6%、18歳以上が40.8%ということになっております。生体移植済ということになると、待機中に生体移植を受けられたという方が、10歳未満では26.3%、10歳以上18歳未満では7.2%、18歳以上では3.3%という数字となっております。

次のページです。「小児からの臓器提供時 諸外国におけるあっせんルール」です。米国と欧州の例を示しております。米国では、ドナー年齢が18歳未満のときには、小児に優先的にあっせんするというルールがあります。まず、年齢区分が12歳未満の方に優先的にあっせんする。さらに、その中では、医学的緊急度の高い方にあっせんするということです。その他の年齢区分という所ですが、12歳以上18歳未満ということで、まずは、18歳未満の方に優先するということです。そこまでで適合するレシピエントがいない場合は、18歳以上にあっせんされるということになっております。

欧州でのルールです。こちらも小児のドナーからの臓器のあっせんということに関して、小児のレシピエントへの優先あっせんがルールとして定められております。ドナー年齢が12歳未満であれば、まずは12歳未満の方、その次は18歳未満の方となっており、12歳以上17歳以下は、18歳未満の方、次に12歳未満という形で、小児ドナーからの小児レシピエントへの優先ルールを設けているということです。

次のページです。ここで、現行ルールにおける優先順位の中の(5)肺の大きさの取扱について、最初にも述べましたが説明いたします。現行ルールでは、親族優先があり、次にサイズが適合するという条件の中の方から選ばれるということになります。次に、血液型が一致、あるいは、その方がいない場合は適合ということになるわけですが、その後に、待機期間を考慮して優先順位を決めるということです。

待機期間まで考慮した中でレシピエントが決定できない場合は、ここに肺の大きさと書いてありますが、年齢区分という概念が出てまいります。この年齢区分で、同一区分、異区分と書いてあります。同一区分は、ドナー及びレシピエントがいずれも18歳以上の場合、あるいは、いずれも18歳未満の場合ということです。異区分は、上記以外の場合ということです。

次のページです。今回、小児ドナーから臓器提供があったときに、小児のレシピエントに優先的にあっせんするかということで、選択基準について御討議いただくわけですが、学会からの要望の「ドナーが18歳未満の場合は、選択時18歳未満であるレシピエントを優先する」という案を設定した場合の図を下に示しております。ドナーの年齢が18歳未満の場合、まず最初に親族優先がくるのは同じですが、次に、レシピエント年齢がくると、この時点で18歳未満の方の中から選ばれるということになります。その後は、先ほど見ていただいた現行ルールと順番は同じになりますが、肺の大きさ、血液型、待機期間ということで、ここでまた年齢区分ということになりますけれども、18歳未満のドナーの方からの提供の場合には、既に親族優先の次の段階で、レシピエント年齢が区分されていてあっせんされていますので、この年齢区分は既に18歳未満が選択されているということ、レシピエント年齢が18歳以上の場合には既に18歳以上が選択されているということです。この(5)による優先順位の決定が今までとは違ってくるわけです。

次のページです。先ほど申し上げた選択基準案の中で、ドナーが18歳以上であった場合はどうなるかということです。親族優先があり、先ほどのように18歳未満のときには18歳未満のレシピエントに優先するという年齢による選択が、親族の次には出てまいりませんので、順番としては、サイズの中に入る方、次は血液型、次に待機期間ということになります。ここでまた年齢区分ということを考慮すると、繰り返しになりますが、同一区分ということになると、ドナーが18歳以上であればレシピエントは18歳以上の方、異区分ということになると、レシピエントは18歳未満の方という形になります。つまり、ドナーが18歳以上の場合には、レシピエント18歳以上がレシピエント18歳未満よりも優先されるルールということになります。

これを今までのデータ、また、現行のルール等を踏まえて御検討いただければと思います。最後のページです。今回の作業班にて検討していただきたい項目は、「現行基準における優先順位を変更し、小児から肺が提供される場合、小児レシピエントに優先的に提供するかどうか」ということです。学会からの御要望でもありましたが、年齢区分をどうするかということ、また、優先順位の中でどのような位置付けにするかということも御討議いただければと思います。もう1つは、先ほど説明申し上げた、現在、存在している年齢区分の取扱いという項目をどうするかということについても、御討議いただければと思います。事務局からは以上です。

○林班長 ただいまの説明について、事務局の用意された資料に関して、御質問ございますか。

○中島班員 待機期間について伺います。待機期間は、何日ぐらいまでを同一の待機期間と考えるのでしょうか。要するに、1月単位で考えるのか、日単位で考えるのか。

○曽山補佐 御回答いたします。日本臓器移植ネットワークに運用についてお聞きしております。秒の単位まで待機順位はカテゴライズできるとお聞きしています。

○中島班員 そうすると、待機期間で同一の人はまずあり得ませんので、その待機期間のところでもう決まってしまうということですね、普通に考えると。分かりました。ありがとうございました。

○林班長 ほかに何かございますか。よろしいでしょうか。それでは、先に関連学会協議会からの意見、肺移植に関する取りまとめの資料を見ておいていただくほうが議論がしやすいのではないかと。

○曽山補佐 そうですね。資料2-2を御覧ください。3つの項目について御要望を頂いております。小児ドナーにおいては、小児レシピエントへの優先移植を行うということが最初の項目です。2つ目は、年齢区分について書いており、ドナーが18歳未満の場合は移植時18歳未満という年齢区分での御要望を頂いております。優先順位に関しては、親族優先ということで、次にはABO式血液型と書いてありますが、これに関してはサイズ内ということが前提なのかと思いますけれども、親族優先、血液型、待機期間、これを親族優先の次には小児優先と、優先順位の中での位置付けをしてはどうかということです。この中で、また待機期間の後に肺の大きさということが出てまいりますが、先ほどの資料2-1の内容も含めて御検討いただければと思う次第です。

○林班長 事務局が用意した資料2-1の最後に、論点が2つまとめられております。1番目は、小児優先について、2番目は、これは要約すると成人ドナーの臓器をどうするかという話になるのでしょうか。成人ドナーは、同一区分を優先するのか、小児を優先するのかという議論です。2番目については、関連学会協議会からは明確な、この点に絞り込んだ御意見はなかったので、また別途最後に議論していただくことになると思います。

それでは、論点1、「現行基準における優先順位を変更し、小児から肺が提供される場合、小児レシピエントに優先的に提供するかどうか」から議論していただきたいと思います。つまるところは、どういう結論を出すにしても、公平性とその結論に至る議論が説明可能かどうかということに配慮して、議論していただく必要があると思います。移植というのは、そもそも症例数が限られていて、なかなかエビデンスが乏しいところがありますので、今日、お集まりいただいた専門の方の御意見はかなり有力な根拠にはなり得ると思います。ですから、その点を配慮して御議論いただけたらと思います。

小児優先ということについては、この資料にもありましたとおり、現状ではそもそも小児の移植症例が圧倒的に少ないわけです。それから、ドナーの臓器提供も少ないということです。そういう中で、小児への優先的なあっせんは1つの根拠になると思います。資料のスライド7ですが、待機期間について18歳未満が262.2日で18歳以上が967.9日、この点だけが小児優先的なあっせんをする場合に、1点、検討する余地がある点だと思います。まず、この点について御意見ございますか。ほとんどのデータは、諸外国の現状を考慮しても、小児優先は多分、すんなり受け入れていただけるような現状の数字だと思いますけれども、この点だけが1点。

○福嶌班員 心臓のほうからちょっと。心臓でルールを作るときにも同じ議論が出て、これはルールを変えると、多分、今待っている大人の順番が抜かれる可能性が出てくるわけです。それで、待っている大人を抜くのにはそれなりの根拠が必要であろうということで、どのようなことをしたかと言うと、まだそのときには実はアメリカもルールが変わって間無しだったのですけれども、以前、国際心肺移植学会で、子供から子供に移植した場合、子供のドナーを大人に移植した場合又は逆の場合の生存率を出して、子供から子供が一番有利だということが出たので、子供から子供を優先しようと。やはり提供する御家族の気持ちからすると、生存率が長いということは一番大きな項目になりますので、そのようなことをしました。申し訳ないのですが、肺にそういうデータがあるのかどうかは分からないので、それが根拠で心臓がそうなったことだけ報告いたします。

○林班長 ありがとうございました。肺について、今、福嶌班員がおっしゃったようなデータはありますか。

○福嶌班員 あのときに肺もやっているはずなのです。同じことの。

○近藤班員 あります、生存のデータなのですけれどもね。

○千田班員 小児から小児というデータではありませんが、生体込みの合わせた数字だと思いますけれども、小児と成人での肺移植後の成績は2年生存率までは変わらないけれども、小児は長期生存が多い傾向があると思います。

○林班長 スライド4の生存曲線ですね。そのまま要求されるデータではありませんが、こういうデータがあるということで、一応の根拠にはなり得るかもしれないということです。

あとは、先ほどの7の理解なのですが、圧倒的に症例数が少なく過半数以上の小児が生体に回っているということで、かなり成人との背景の違いがあります。ですので、単純に待機日数だけを数字で比較することが妥当かどうかという疑問が当然あるわけです。あとは、nが圧倒的に少ないので、小児の該当症例が全て移植対象として認識されているかどうかということもよく分からない点があります。ですので、この数字が独り歩きすると、これに引っ張られると、現状では議論が進まないようなところがあると思いますが、これについていかがでしょうか。

○小野班員 心臓から少し発言いたします。7ページに示されているのは、現在、リスト上で待機されている患者さんが登録してからどれだけ経過しているのかという数値であります。実際、18歳未満の方は現時点で統計時に262日であるわけですが、移植を受けるときは、もしかしたら1年後かもしれないし2年後かもしれないので、そうすると、実際に移植を受けるまでの待機期間はここでは分からないわけです。

もし小児がどのぐらい待って移植を受けられていたかということであると、実際、これまでに移植を受けた小児の方がどのぐらい待機されたか、移植を受けた成人の方がどれだけ待機されたかというデータも併せて表示するほうが、誤解が少ないのではないかと思います。

○林班長 数字はネットワークから可能ですか。

○福嶌班員 移植を受けた人の待機日数ですよね。

○中島班員 数が合わないです。移植を受けた人は17人脳死受け入れますけれども。

○小野班員 これは実際に、今、リスト上の方です。その前の6ページの肺移植待機患者数の353人が1月31日現在で349人ですので、これは多分、リスト上に待っている患者、現時点でon-goingでお待ちの方の登録からの日数になります。

○岡田班員 1つ、非常にcomplicatedなのは、例えば、肺動脈性肺高血圧症の患者で、日本でフローランが普及する前に登録された方で、すぐにフローランが導入されて長期生存している方が多数いらっしゃいます、もう10年以上待っているとか、あるいは20年近く。いいことなのですが、フローランの導入によって、そういう方が少なからずいます。それから、リンパ脈管筋腫症もシロリムスの導入前に登録されて、登録後に服用するようになり病状が落ち着いているという方も少なからずいて、そういう方の多くは待機オフという形で、待機リスト上にはいるのですが、ドナーが出ても移植は受けないということになっています。多分、これはそういう方も含まれているということですね。

○小野班員 それが、この18歳以上の平均待機期間を延ばしているということですかね。

○岡田班員 その通りです。このような事情で正確なデータを出すこと自体が難しいですね。

○林班長 だから、今後このルールを新たに設定した場合、この議論の俎上に載ったデータというのは、やはり公表していかないといけないですよね。ですから、今、ちょうど御指摘があったようなデータ、ある程度、小児最優先のそれ、結論ありきではないのですけれども、そういう御指摘があったようなデータというのは可能ですか。

○曽山補佐 全部が可能かどうかは確認しないと分からない部分はありますが、非常に重要なデータにはなると思います。

○林班長 ですから、岡田先生御指摘のデータというのは、これはなかなか疾患の構成も小児と成人で違うし、同じ土俵で比較することは、そもそも難しいし、今言った時代で治療法の変化、進歩の反映はありますので、これはなかなか難しい問題なのですね。だから、データを出すとしても、かなりの注釈が必要ですね。そうでないと、これは誤解を招く可能性がありますので。

○坂本班員 素人で分からないところがあるのですが、小児で圧倒的に多い生体肺移植について確認させてください。小児で生体肺移植をする前に、移植登録をした上でやっているかどうかというところはいかがでしょうか。

○千田班員 移植登録をしているものもあるけれども、していないものも多いと思います。

○近藤班員 していないほうが多いですね。

○坂本班員 していないほうが多いのですか、最近は。

○近藤班員 最近というか、余りしていませんね。

○坂本班員 そうすると、やはり小児のほうは、移植登録をして見付からないけれども、最後は家族を含めて生体肺移植に移行して、結果として待機時間が短いというデータになっている可能性もあるということでしょうか?

○近藤班員 今、疾患の構成が違うと思います。そういうこともありましたけれども、提供データをちょっと拝見していると、待機中の死亡率を見ると、小児のほうが24%で。

○坂本班員 登録した患者が生体肝移植を実施した場合も含めてですよね。

○近藤班員 成人のほうは40.8%となっています。ただ、死亡までの期間が、これではちょっと分からなくて、小児だとかなり短期間で死亡している、いわゆる長い期間待てないというようなデータが、もしかするとあるのかもしれないです。

○福嶌班員 待てなくなって生体移植をやっているのだと思うのです。

○近藤班員 途中で生体移植にいくということもあるからですね。

○福嶌班員 だから、その分も死亡にかわるという考えもできる。だから、心臓で言えば、待てなくて外国へ行ってしまうということもあるので、海外渡航と死亡を足して計算している。それと同じ扱いと、例えばなるのではないかと思うのです。

○近藤班員 そういうことで、今待機している人の期間だけ見ると、短い数字になってしまうというのはあるかもしれないですね。

○福嶌班員 そうですね。今、ここにISHLTのデータがあるのですが、ドナーの年齢が上がると、Hazard ratioが子供は圧倒的に上がっていくのです。だから、子供は子供で移植したほうがいいというデータは、間違いなく国際レベル、1,656人のデータでありますから。

○福嶌班員 肺です。ただ、大人でこの統計を逆に取っているかがちょっと分からないので、何とも言えないのですが、多分、見付けられるのではないかと思います。

○林班長 では、いかがですか。データの検討、問題点の指摘というのは、ほかにおありでしょうか。それでは論点1なのですけれども、今あるスライド7以外のデータというのは、大体小児あっせん優先でよろしいかと思うので、いろいろ問題のある7のデータは、今後、御指摘のあったような点でデータを付けていただくとします。これがあるから、この論点1、小児優先あっせんについて、ここで結論を出すには尚早か、あるいは、もうよろしいか。その点はいかがでしょうか。

○齋木班員 やはり、医療のグローバリゼーションという現代の趨勢を見たときに、欧米先進国ではいずれも小児優先の理念で進めていると。一方で、随分、前にありますけれども、イスタンブール宣言がなされて、要するに移植は自国の医療として行うようにと、原則、海外渡航移植、あるいは医療ツーリズムを制限するような宣言をしていますので、やはり国際間で齟齬があると、そういう国境をまたいでの移植を希望する心理も起こってくる可能性があると。そういう観点からも、やはり国際水準に合わせるべきではないかと思います。

○林班長 ありがとうございます。今の点について、ほかに。

○小野班員 やはり、小児の場合は生体移植が多くなっていますけれども、生体移植は世界的にもある程度されているものの、やはり死体移植にすべきだというのが一般的に言われていることで、これは小児のドナーが少なくて提供が少ないから、やむを得ずこういう数字になっているのではないかと私は感じるのです。生体移植は、もちろん必要な場合には是非ともすべきですけれども、それを少なくするための努力として、小児優先提供を進めていくということは、世界的な移植の趨勢から見ても、やはり必要ではないかと感じます。

○林班長 ありがとうございます。

○布田班長 補足なのですが、数年前に心臓移植が一番最初に小児優先を決めました。小児の心臓移植では生体移植ができませんので、渡航移植が比較的多かったのですが、イスタンブール宣言も出され、そういう状況の中で、様々な分析を行い、小児優先が決まっていきましたその結果はどうなったかと言いますと、最近、小児のドナーが増えていくとともに、小児の心臓移植は実際に割合として増えています。国際心肺移植学会のレジストリーでは全体の10%が小児心臓移植なのですけれども、今年だけですと、日本では10%以上、小児心臓移植は行われています。やはり小児優先の原則の効果が心臓では出ているのではないかと、コメントとして申し上げておきたいと思います。

○林班長 ありがとうございます。

○坂本班員 もう一点、確認させてください。小児では生体肺移植が多い、そして小児全体の成績は、生体肺移植を含んでいるデータだと思います。肺移植のディスカッションの中に、小児に対する生体肺移植の成績は良いので死体肺移植でなくても良いのではという考え方はないですよね。そのような視点での議論があると、この生存率の読み方が変わってしまい、異論を挟む方がいる可能性があるかと。心臓では生体移植というのはないので。

○岡田班員 成人と小児を全部含めた、脳死移植と生体移植の成績は、ほぼ同じです。それは、肺および心肺移植研究会のレジストリーで報告されています。ホームページにも載っていますし、移植学会誌にも掲載されていますので。

○坂本班員 異論を挟む方はおられないかと。

○林班長 ありがとうございます。それでは、今の議論の流れで、論点1の小児優先的なあっせんについて、ここで結論を頂いてもよろしいですか。これはどういう形で、多数決というわけでもないですよね。

○井内室長 皆さんでお話合いいただきまして、今、班長から言っていただいたとおり、現時点で決めるのが尚早か、それとも現時点、これだけのデータで有識者の御意見があれば、小児優先をするべきだということかを、まず、お決めいただければ有り難いと思います。

○林班長 今、結論を頂いてもよろしいですか。議論はいいですか。それでは、小児の優先的なあっせんが、現時点では、いろいろ現状に合わないと思われる方はいらっしゃいますか。それでは、小児優先的なあっせんは、学会の提案、要望どおり認めるということに、この場での議論は結論いたしたいと思います。

あとは、今、御指摘のあったようなデータを、もしも可能であれば付けていただくこと。それから、なかなかデータ的にこれは難しいところがあると思いますので、特にスライド7のデータについては、このデータをどう読むかという注釈は、やはり必要だと思います。これは数字が独り歩きすると、いろいろまずいと思いますので。それでは論点1は、これで。

○井内室長 すみません、1点よろしいですか。これからの手続としては、決めていただいたものを金曜日に行う予定の臓器移植委員会において、今の議論を踏まえて、こう決定したというようなお話をさせていただいた上で決まれば、実効上決定します。あとは、JOTのシステム等が変更が必要かどうかということも、準備期間を頂きまして、それに合わせたタイミングで我々のほうから健康局長通知を発出し、実施日が決まって、そこから変更になるということになります。

今、班長に言っていただきました、データを集めるという趣旨なのですが、一旦ここで決めていただきますと、例えばそのデータを集めて、また再度、我々のほうで調べさせていただいたものをお示しするということはできると思います。それができるものとできないものがあると思います。それを動かす一連の流れの中で、ストップを掛けるべきものなのか、それとも一旦は動かすという中で、念のために集めてという趣旨なのかということを教えていただきたいと思います。

○林班長 趣旨としては、小児優先あっせんを動かすということで、あとは補強的なデータという位置付けでの御意見だったと理解しておりますけれども、それでよろしいでしょうか。ですから、データがいかなるものであれ、ここの作業班の決定は恐らく覆らないという理解でよろしいでしょうか。

○小野班員 実際に、こういう決定をした場合に、何らかの形で情報公開されたときに、やはり座長がおっしゃったように、根拠というのを求められたときのタイミングより、この会議の中できちんとエビデンスに基づいてやっているということを理解していただくためにも、更新はしておくほうが、私はいいのではないかと思います。

○林班長 ありがとうございます。今、御指摘のあったような趣旨で作業を進めていただければと思います。

それでは論点2です。「優先順位(5)肺の大きさの取扱をどうするか」ということですけれども、これはつまるところは、成人のドナーの肺で、サイズがマッチするものを小児に優先的にあっせんするかどうかという議論ですね。それでよろしいですか。そういう議論ですね。

○井内室長 はい。結局、今、小児優先ということを決めていただきましたので、11ページになるのですが、ドナーが18歳未満の場合につきましては、肺の大きさというのは基本的には意味をなさないとなると思っております。我々のほうで議論をお願いしたいのは12ページのほうで、ドナーが18歳以上であった場合ということになるのですが、ここの(5)の肺の大きさの所で、「同一区分」「異区分」ということが入っております。ドナーは18歳以上と確定しておりますので、そうなると、(5)の所は、基本的にはドナーが18歳以上が優先されて、ドナーが18歳未満というのが、その次に来るという形になるということで、ドナー18歳以上の場合、18歳以上が優先になるというものです。

ただ、冒頭で御指摘いただきましたように、待機期間というので、ほぼ勝負が付くことになっておりまして、今までの運用では、基本的には待機期間のところで決め切れていると聞いております。そういった現状を含めまして、この(5)の肺の大きさの所を要らないということにするのか、大人であれば、これはしっかり残しておいたほうがいいのかということで、御議論いただければと思っております。

○林班長 今の御説明に対して、御意見ありますか。

○福嶌班員 一応、ネットワークに確認したいのですが、イーバスとファックス、両方を含めて、全く同時刻は今まで1例もないということでよろしいでしょうか。その根拠が大事だと思うのです。もしあったら、そのときには混乱してしまう可能性があるということで、それだけ教えていただければ、もうそれでいいのかなと。

○井内室長 今まで同一はないと。

○岡田班員 この「同一区分」「異区分」というのは、体格とかのマッチングの仕方が異なるというだけで、今までのルール上は、同一区分を優先するということでは恐らくないと思うのです。つまり、ドナー又はレシピエントが18歳未満の場合には、身長マッチングをする、そうではない場合には、予測肺活量でマッチングするというだけのものであって、18歳で優先順位を決めるという概念自体が、今までのレシピエント選択基準に入っていないはずですけれども、違いますか。

○井内室長 今のレシピエント選択基準は、この10ページにありますように、まず、親族の次にサイズがきまして、例えば18歳以上の片肺移植の場合は、予測VCDと、予測VCDの比較で、-30~30というようなことにしていただいていて、例えば適合基準自体は、片肺であれば、-30%以上ということになっていて、そちらよりせまくなっています。

なので、2のサイズの所で選んでいただいた後に、5の所で、いわゆる適合基準まで広げたサイズの中で、実際にあるのが、このレシピエント選択基準であれば、18歳以上の場合には18歳以上、18歳未満の場合には18歳未満というのを優先するということになっていて、いわゆるドナーさんが18歳未満のときのレシピエントが18歳以上とか、年齢がクロスしたものは、その後にくるというようなルール、レシピエント選択基準を単純に言うと、そういうルールになっております。

○千田班員 ここは、肺の大きさの計算の仕方を言っているというだけだと思います。

○福嶌班員 肺の大きさの基準が身長であるのと、そうでない基準と、子供と大人で違うので、そこだけを同区分か異区分で判定の仕方を変えようというだけの話で、順序を変えようというルールには、文章を読んでいただいたら、多分そうはなっていないです。

○井内室長 肺・心臓作業班の参考資料1で見ていただきますと、優先順位付けが2の優先順位の中の(5)という形になっています。これが1.(2)の1)又は2)を優先する。

○千田班員 計算式を優先するというのですよね。

○井内室長 1)、2)を優先するということで、いわゆる3)よりも1)と2)を優先すると。

○坂本班員 11ページと12ページの、肺の大きさと区分というのがちょっと。内容がちょっと分かりにくいです。

○井内室長 そうですね。

○岡田班員 最初の体格マッチングが外れた場合の規定ですよね。

○井内室長 そうです。本当のサイズは2番目に、親族の次にきておりますので。

○岡田班員 分かりました。そういうことですね。つまり、同じ体格マッチングのレシピエントの中に合う人がいなかったときに、体格マッチングを外して選び直すときのルールがなかったということですね。

○井内室長 そうです、そのとおりです。

○岡田班員 そういうケースは今までほとんどなかったと思うので、実際には。

○井内室長 基本、運用では待機期間でやっていますので、ここまでたどり着くことはないと聞いております。

○布田班長 (年齢区分)というのが分かりにくいです。

○岡田班員 これは部分移植を可能にするために作ったものですよね。

○近藤班員 待機期間までで、基本的には終わりなのです。ところが、それでも何か工夫すれば使えるのではないかと。そういうのを生かすために。

○福嶌班員 大きな肺で、小さな子供が待っているのに小さいがために使えない場合に、下縁を取って、上だけちょっとできるルールなのです。そのためのルールなので、子供が実際に優先されているルールだと思うのです。要するに捨てるということが問題とは言われていたのですが、子供を助けるためには、それが必要だろうというので付けた、そうですよね、確か。

○近藤班員 通常の術式の。

○小野班員 でも、そうすると、先ほどだと18歳以上は18歳以上になってしまうから、子供は助けられないと。

○福嶌班員 そう、18歳以上のほうは。

○小野班員 むしろ、そちらのほうが多いと思うのです。

○福嶌班員 だから、18歳以上のほうが子供に行くようにしなければいけない。だから18歳を優先するとしたほうがいいかもしれないですね、ここは極端な言い方。だって大人に行くことはないではないですか。

○坂本班員 この画面だけ見ると、非常に分かりづらいわけで、コメントというか、何か画面にちゃんと書かないと、混乱しますよね。だから、部分肺移植をする場合とか、何か。

○福嶌班員 それは基本的には捨てたら駄目なので、認められていないのだけれども、あえてこの文章でできるようにしただけだと思うのです。本当を言えば、伊達先生は片方を2つにひっくり返して入れろとか言っているわけですから、そこまでは許していないはずなのです、確か。そういうことですよね。

○井内室長 ただ、これは適合基準では、もともと-30%以上という括りになっていますので、優先はされないだけで、下位ですが移植はできるということになります。親族優先の次の肺の大きさは、今は-30~30ということで、適正なものが最優先をされて、それでレシピエントが見付からなかったときには、当然、それ以外の人にも広がるというのはあります。

○福嶌班員 同一区分で大人から大人に優先すると、多分そんな人はいないから子供に行くので、別に変えなくても、このままで、子供に行くのではないかと思うのですけれども。

○小野班員 いや、最後の体格条項にいくと、成人から成人にしか行き得ないですから。

○福嶌班員 でも、溢れたら子供にやるのですよね、これ。

○小野班員 先ほどの基準だと溢れたら大人は大人です。18歳以上は18歳以上なので。

○齋木班員 その大人から大人も溢れたら、その次に。

○岡田班員 そうです。

○福嶌班員 その次に子供が残るから、多分、大人には行かないから子供に行くのではないかという言い方だけど。あとは小さい大人にも優先させてあげたいという気持ちもあったのですよね。そこだけですよね。小さい大人には実は全然ドナーが出ないことがあるので、それで子供の移植が始まってしまうと、ほとんど死んでしまう可能性がありますから、その人を考えておいてあげないと、多分、いけないのかなと思います。子供ぐらいの大きさの女の人だったら、たくさんいますから。

○坂本班員 その場合に同一区分で、肺全部は使わないかもしれないけれども、移植ができる。

○福嶌班員 助けるということですよね。そうすると、子供を優先してしまうと、その人たちが助かるチャンスがもっと減りますから。今、十何人、その人たちは受けてきたわけですよね。14人受けているのですよね。子供からもらった人たちなのですよね。ということは、その人たちのチャンスを奪った分だけは、どこかで確保しておいてあげないと、ほとんどチャンスはなくなるということになります。

○井内室長 ただ実効上は、ここへいく前に、待機期間で切れてしまいますので。

○福嶌班員 今の量からいうと、そのとおりですね。でも、全然ババッと選ばれることはないのですか。だってレシピエントに選ばれなかった人がいるわけでしょう、。

○小野班員 それは全く体格が合わないからですよね。それは仕方がないですよね。

○井内室長 例えば-30~30%の人が、まずグループとして選ばれます。その人の中のABOが合う人が選ばれます。その中で待機期間が長い人から順番に選ばれる。ここが全員誰もいなかった、流れてしまったというと、この-30~30%の中で、いわゆるABO式が適合の人に今度は落ちて、そこで待機期間で選ばれます。そこでもいなかった場合には、-30~30以外の、-30%以上の、いわゆる適合条件に合った人の中でABO式の一致、不適合で待機期間という形で、順番に並んでいくことになると思いますので、その方が排除されるということはないのだと理解しております。

○坂本班員 実際に待機期間を超えて検討したことが今までにありますか。ないですよね。

○井内室長 はい、ありません。

○福嶌班員 ただ、体が大きくて誰もいなかったというときに、その肺には使われてないものがあるのですよね。特に上肺だけに肺炎がなくて、下が肺炎でということで諦められている症例があるので、その肺が使えないかというのも、肺の先生方にとってはすごく大事なことですよね。

○近藤班員 それによってルールを変えたのですが、実際にやってみたら、それを生かせるようなケースはまだないということです。

○小野班員 今後、EVLPなどが使えるようになった場合に、肺のresuscitationができるようになると、そういったことも生まれるのですかね。どうなのでしょうか。

○福嶌班員 それについては、まだエビデンスがあれだろうけれども、今の中でやれることで考えて、今必要があるかですよね。

○小野班員 そうです。

○福嶌班員 向かないという選択だけでいいかということですね。

○小野班員 そうです。

○岡田班員 小児優先にした場合に体格マッチングの上に入ると、18歳未満のドナーのときには移植施設の判断で体格も合わせて判断するという、つまり-30%以上でなくても、移植施設が移植可能と思えばいいという順番になりますか。

○井内室長 いいえ、例えば片肺の場合は、レシピエント選択基準に-30%以上と明記されていますので、それ以下の者については、リストに上がることはありません。

○岡田班員 そういう順序ですか。

○小野班員 その次のサイズ外の所で掛かるわけですね。その下にくるわけですね。

○井内室長 はい。1番が-30~30%で、+45%とか+50%の場合は声は掛かります。順位リストの中に入ってはきます。

○岡田班員 分かりました。上には声が掛かるのですが、下には掛からないと。

○林班長 実際の実施施設のほうから、どうしたらいいかという意見を頂くのがいいかと思います。私の司会の能力を超えるような議論になっているので申し訳ありません。この論点2については、18歳以上の場合ですね。

○近藤班員 18歳以上のドナーが出た場合は、どうするかということですね。従来と同じ対応がいいんじゃないの。どうなのだろう。

○千田班員 従来対応でも小児に行く可能性は残されていますよね。18歳以上のも全て小児優先とするとはいかないですよね。現実に肺が大きすぎて入らないでしょうし。

○林班長 あえて変える必要はない。

○近藤班員 私は実施施設ではないけれども、従来と同じで、18歳以上を18歳以上に優先するという必要はなくて。

○中島班員 18歳未満と言えども、体格的には大人の人も結構いるわけでしょうから、むやみに18歳以上の分は18歳以上を優先というのは大丈夫なのかというのが気になります。

○近藤班員 必ずしも優先しなくてもいいような。

○林班長 では、どうでしょうか。

○近藤班員 個人的には、従来どおり、サイズから始めてみるということでいいのではないかと思います。

○林班長 現状では。

○坂本班員 1つお聞きしたいと思います。中島先生が言われたことについて、素人の意見です。現状では待機期間で判断は終わるということですが、それでも残った場合については何も書かないのですか。肺の大きさという年齢区分がない場合に、漏れ出た肺はどのような判断経過で誰に決まるのかということについてです。待機時間で漏れ出た肺はどこかで誰か使ってくださいということになるのでしょうか。

○福嶌班員 それは使わないです。

○坂本班員 そうですか。使わないということですね。

○岡田班員 そうですね。例えば小児の下位に小児の患者がいて、下葉移植ならできそうだという場合は、多分ネットワークの方に上位のあっせんのときに伝えることが多いと思います。実際には今までなかったようですけれども、伝えようということになっています。それで全ての待機患者が、全ての施設が断念したときに、初めて回ってくるという形です。

○坂本班員 待機期間でほぼ決まるのですが、最後は別の使い道に関しての検討みたいなものを入れないでできるかということです。

○岡田班員 そのために先ほどの(5)というのができたのです。

○坂本班員 そうですよね。分かりました。だからここは残しておくということですよね。

○小野班員 でも、別の目的と言えども、待機期間のどこかで引っ掛かるわけですよね。つまり、待っている人1番目から100番目ぐらいまで全員に声が掛かるわけで、全員が断ったら、また次の基準で誰かが受けるということはあり得ないような気がするのです。

○岡田班員 大抵は施設辞退という形にしてしまうので、その時点で終わりになってしまいます。

○小野班員 そうすると、その時点で次は適合に回ればいいわけですよね。

○岡田班員 施設辞退になったら、それ以上その施設には当たらない。

○小野班員 そういうことですね。なので(5)は要らないのではないかという気がします。

○井内室長 今のところ、実効上機能はしていないです。例えば、全員が断ったときに他の目的で使えるかというのは、臓器移植法自体の問題となりできません。あくまでもリストの中で下位で、上位の方が全員断って順番が回ってきたという形でなければ、全員が断ったということにはあり得ないので、この優先順位下位のところにそのような仕組みを入れるというのは、レシピエント選択基準運用上は不可能だと思います。そうするのであれば、もっと上位のところから何らかの仕掛けをする。例えば術式も登録いただいておりますので、そういったところでどういった術式かで。今のところ、術式で優先はないのです。両肺なら両肺が優先というのはあって、そういったところで普通の両肺、普通の片肺とまた違った優先順位の術式を設けるということはあり得るかもしれませんが、この形で使えなかった肺を誰かに回すという仕組みにはなっていないという認識でおります。

○小野班員 むしろ(5)は紛らわしくしているだけのような。要らないような気がするのです。

○齋木班員 それと18歳以上のドナーの場合、最後のこの規定で18歳以上に行くというのは、ほかの臓器移植にはない独特の発想ということになるかと思いますが、その辺はどうですか。それが60歳以上だったら60歳以上に行くとか、また違う議論にもつながっていきますから、ここは企図したことと違う解釈がされるルールになりそうなので、私も削除がいいかと思います。

○千田班員 削除というのは(5)ですね。

○齋木班員 はい。

○千田班員 これがないと、大きい肺で上位の人が使わない肺を下位の人が使えなくなってしまいますか。

○井内室長 いや、それは使えます。これはあくまで優先順位ですので。どう使われるかと言いますと、待機期間が秒単位で全く同じだった人のどちらを優先するかというときにのみ、(5)は使われます。(2)の肺の大きさの-30~30%というのがまず優先されて、その中でABO式、待機期間順と順位が付きます。そこでいなかったときに、今度はいわゆる30%以上の方の同じようなリストがずらっと作られて、そこで選ばれる。それに関しては、(5)は必要ないという形になります。

○小野班員 そう思います。

○千田班員 「肺移植希望者選択基準」の資料の1が適合基準で、2が優先基準で、優先基準のほうは±30%という記載がありますよね。それが外れるという優先順位上の記載はどこに出てくるのですか。それが(5)ではないのですか。

○井内室長 (5)については1の適合基準というのがあって、いわゆるレシピエント選択基準に載ってくるための基準が1になります。なので1の基準の人、先ほどで言うと-30%以上の方については、全員がリストに載ってきます。このときに優先順位が例えば親族であって親族が外れ、その次に肺の大きさがきてというときに-30~30%という該当の方が選ばれ、その中でABO適合、待機期間とずらっとそれぞれのカテゴリーで並べる。その下は優先順位になくても適合基準に入っておりますので、(2)の優先基準に漏れたということで、いわゆる30%以上の人はそれはそれでリストになります。それで(3)(4)、血液型、待機期間の項目の中で選ばれて順位付けされるということです。

○石塚班員 私は素人なのですが、そうすると外科の先生のお立場からは-30%未満は絶対にないということですか。

○井内室長 現在のレシピエント選択基準では、いわゆる片肺移植の場合の-30%未満というのは、リストには全く載ってこないということになります。それは優先順位の(5)にかかわらず載ってこないということになっています。

○石塚班員 その-30%未満は、絶対にやってないのかということが分からないのです。

○岡田班員 肺が小さすぎる場合ですから、やってないですね。

○石塚班員 あり得ないということですね。

○坂本班員 術式による優先順位というのは、参考資料1の(6)に載っております。「術式は、片肺移植、両肺移植の2種類とし、第1術式、第2術式の2つまで登録可能とする」となっています。これは逆に言うと、部分肺移植を3番目にというのは、認められてないから入れられないということでよろしいですね。そのほかという術式があれば。第1、第2、第3でその他にすれば先ほどのがなくても良いかと。

○千田班員 ここの片肺というのはあげるほうの片肺なのか、もらうほうの片肺なのかというのが、結構混乱を生じます。両肺をもらってきて、両方の上葉を片肺に移植したという事例もあるのです。両方の下葉が使えなかったという場合にですが。

○福嶌班員 生体の話ですよね。

○千田班員 生体ではなくて脳死です。

○井内室長 そこは今回の話とは違うのですが、実は別途また御議論いただいております。ハイブリッドなど、この術式をどう当てはめるかというのは。

○福嶌班員 でしょ。両方脳死ではないでしょ。

○井内室長 それは別途議論をしており、結論も頂いています。それは臓器移植委員会に直接報告させて頂こうと思っております。

○近藤班員 ちょっと経緯を忘れてしまったけれども。

○福嶌班員 この経緯を知っているのは、もう近藤先生だけです。近藤先生が知っているはずだから。

○近藤班員 いや、経緯は忘れてしまって、よく覚えてないのですけれども、レシピエント選択の中で最終的に規定上の片肺移植とか両肺移植という範疇での選別ではもう該当者がないといった場合に、例えば部分的にだったら使えるから、それでも何とかなるのではないかというケースで生かせるようにするために考えたもので、規定は変えてなかったかもしれないですね。それは運用でやるということにしていたように、今思い出したのです。ですから(5)というのはそういう意味ではなくて。

○井内室長 (5)は、あくまでも待機期間が一緒になった症例が出てきたときに初めて機能するものですから、これでグルーピングという形にはなかなかならないかと思います。

○福嶌班員 心臓的ではないですけれども、肺の先生として、もう変えないでいいというのであれば、私たちももう。

○千田班員 変えるのだったら、もう少しよく考えてから変えたほうがいいかもしれない。

○福嶌班員 それこそ、なぜこれができたかとやめるかの理由をきっちりやらなければいけない。今日は討論し切れないですね。

○近藤班員 もしかしたら消してもいいかもしれないけれども、もう少し考えてやったほうがいいかもしれないですね。

○林班長 それでは論点2については、もう一度再整理をお願いするということで、この議論を終えたいと思います。肺のほうは以上です。それでは心肺のほうをよろしくお願いします。

○布田班長 肺のほうで非常に白熱した議論があり、心臓のほうもどうなるかドキドキしておりますが、資料1、資料3-1、3-2、3-3、参考資料2で議論を進めていきたいと思います。まず最初に、検討事項である「心肺同時移植希望者(レシピエント)選択基準について」の説明を、資料に沿って事務局からよろしくお願いいたします。

○曽山補佐 資料1の「作業班開催の経緯」の(2)、「心肺同時移植希望者(レシピエント)選択基準について」を御覧いただければと思います。ただいま、肺移植希望者(レシピエント)選択基準における小児優先ルールについての検討をしていただきました。皆様も御存じのとおり、心臓移植においては小児ドナーからの臓器提供時の小児優先ルールというのが、既に運用されており、この度、肺でも検討されるということに際し、心肺同時移植希望者(レシピエント)選択基準においても、小児からの臓器提供があった際に、あっせんルールに関して小児への優先提供を含めるかどうかということについて、既に肺移植関連学会協議会、心臓移植・心肺同時移植関連学会協議会で検討され、その結果が移植医療対策推進室に報告されたところです。

資料3-2を御覧ください。資料3-2に関しては、肺移植関連学会協議会から頂いた要望です。こちらに関しては後ほど資料3-1の中でも御説明したいと存じますが、小児優先というのをどのようにするか、又は年齢区分について書いてあります。

資料3-3ですが、心肺同時移植に関して、心臓移植・心肺同時移植関連学会協議会から御要望を頂いております。2ページの優先順位という所で、小児への優先という協議会案を記載していただいています。小児の定義というところも、こちらで御連絡いただいているところです。この度、心肺同時移植希望者(レシピエント)選択基準における小児ドナーからの臓器提供時の取扱いについて、御議論を頂ければと思います。

資料3-1を御覧ください。タイトルページの次のページですが、現在、心肺同時移植希望者は、心臓移植希望者リストと肺移植希望者リストの両方のリストに登録されています。心臓と肺それぞれの優先順位をお示ししており、親族優先があり、心臓はドナーが18歳未満の場合は、18歳未満のレシピエントを優先ということになっております。肺に関しては現行ルールをお示ししています。現行では親族の次は肺のサイズ、血液型ですが、本日いただいた御議論を基に、今後、小児優先を組み込んでいくというのが、先ほどの御討議の結果だと理解しております。

次のページを御覧ください。心肺同時移植希望者選択基準における優先順位です。先ほど申し上げたように、レシピエントはそれぞれのリストに登録されており、臓器の提供があった際、それぞれのリストで選ばれた希望者が心肺同時移植希望者だった場合、心単独あるいは肺単独希望者より優先されることになっております。その順番ですけれども、1の親族は同様で、2は今申し上げたとおりです。3、心臓と肺の各レシピエント選択基準で選択された待機者が別人であって、ともに心肺同時移植の待機者である場合には、1から4の順に優先します。血液型、心臓レシピエント選択基準における治療の状況による優先度、その次に心臓レシピエント選択基準におけるStatus1が長い順、待機期間というようになっています。

次のページを御覧ください。小児ドナーからの臓器提供があった際、心臓・肺待機希望者リストにおける小児・成人の構成です。小児ドナーに関しては、18歳未満の臓器提供者というように定義しております。現行の選択基準だと先ほども申し上げたとおり、心臓の待機者リストでは18歳未満の臓器提供であれば小児が優先されます。肺の待機者リストでは現行のところ、年齢による優先はないのですが、今回御討議いただいた結果を踏まえ、小児優先ルールを肺の待機者リストに導入するということになりますと、お示しするシェーマのようになります。すなわち、心臓待機者リストでは小児が優先されるわけですけれども、その際の小児の定義としては、レシピエントの定義になりますが、登録時18歳未満ということになります。肺の待機者リストは、先ほど御議論いただいたところでは、選択時18歳未満ということかと思います。

次のページを御覧ください。下のシェーマを御覧いただければと思いますが、今申し上げたように、心臓と肺の小児の定義が異なると、選択時18歳という方と登録時18歳という方の間に入る年齢層の方が出てくるということになります。すなわち、心臓レシピエント選択基準では、この間に入るところは小児扱いになるわけですけれども、肺レシピエント選択基準では成人扱いということになります。

次のページでは、心肺同時移植希望者と心・肺単独希望者の組合せとあっせんが、どのようになるかについて記載しております。現行基準では、年齢区分にかかわらず、心肺同時移植希望者が優先されることになっています。表の説明をさせていただきます。まず左の表ですが、一番左の列に心臓リストというのが書いてあって、一番右に肺リストというのが書いてあります。例えば、心臓リストの中でどういう方がレシピエントとして選択されるかという組合せで言いますと、小児にあっせんされる場合、成人にあっせんされる場合、心肺を希望している場合、単独の場合ということが出てくるわけです。一方で肺ということになりますと、同じように小児、成人、あるいは肺単独か心肺を希望するかという組合せが出てきます。この組合せになったときに、どのようにあっせんされるかということになります。

一番上の段から見ていただきますと、心臓リストで小児のレシピエントが選ばれ、その方が心肺同時移植を希望していた場合、一方で肺リストも小児のレシピエントで心肺同時移植を希望していた場合、現行の心肺同時移植レシピエント選択基準において、下の四角の中に囲んである1から4の順に優先されます。

 次の段です。心臓が小児心肺の希望者であった場合、肺のほうが肺の単独を希望する小児であった場合には、心肺同時移植希望者が単独希望者よりも優先されるということで、心臓リスト上で選択された心肺同時移植希望者にあっせんされます。

次の段です。心臓は同様に小児のレシピエントで、心肺同時移植を希望する、肺のほうは成人で心肺同時移植を希望されていた方が選ばれるということが起こり得ます。その際に小児心肺、成人心肺のどちらにあっせんされるかということに関して、現行はどちらの区分を優先するかということは決まっておりません。

下の成人心肺というカテゴリーを見ていただければと思います。これは、心臓リストで選ばれたレシピエントが成人で、心肺同時移植を希望していた場合です。一方で、この2段目を見ていただければと思いますが、肺のリストで選ばれたレシピエントが、小児で肺単独を希望していた場合となりますと、現行のルールでは成人心肺の方と小児肺の方だと、成人の心肺にあっせんされます。

つまり、このような成人と小児の組合せ、そして心肺と単独の組合せというのが、(A)(B)という形で出てきます。現在、小児優先というルールは心肺同時移植においてはありませんので、今回は(A)の成人心肺と小児心肺のどちらを優先するか、(B)の成人心肺と小児心あるいは小児肺それぞれ単独移植のどちらを優先するかということについて、御討議を頂ければと思います。

学会から意見を頂いております。先ほど申し上げましたが、心臓移植・心肺同時移植関連学会協議会においては、成人心肺と小児心肺でどちらを優先するかということになりますと、小児心肺を優先します。成人心肺と小児の心あるいは小児の肺のどちらを優先するかに関しては、こちらも小児の単独ということで、いずれにしても小児レシピエントを優先するということで、こちらに御連絡を頂いています。小児の年齢区分となりますと、心臓リストでは登録時18歳未満、肺リストでは選択時18歳未満でしたが、心臓移植・心肺同時移植関連学会協議会からは、各レシピエント選択基準の定義に従うことでどうだろうかという御意見を頂いております。肺移植関連学会協議会からは、成人心肺と小児心肺についての御要望は頂いておりませんが、成人心肺と小児の心あるいは小児の肺のどちらを優先するかということに関しては、小児のドナーからの臓器提供があった場合、まず小児の単独臓器の移植を優先するという御要望を頂いています。小児の年齢区分に関して肺移植関連学会協議会としては、選択時18歳未満という定義で御要望を頂いているところです。

次のページを御覧ください。こちらでは2月末時点の心臓移植希望者数、肺移植希望者数のデータをお示ししております。年代に関しては、こちらも18歳未満ではありませんが、19歳以下という数字で、赤の四角で囲んでいる所が20歳未満の移植希望者です。また、少し母数が異なりますけれども、そのうち心肺同時移植希望者数は3名で、小児が1名、この方は登録時18歳未満で、成人が2名です。

○坂本班員 今の件で、心肺同時移植者数というのは、移植が終わった方ですか。

○曽山補佐 そうですね。

○福嶌班員 これは待機ですか。

○曽山補佐 これは待機です。

○小野班員 これは待機ですか。希望者数ですか。

○曽山補佐 これは待機ですね。希望者数ということです。

○小野班員 待機が3人いる。

○福嶌班員 どれも移植時点では18歳を過ぎていたと思います。

○曽山補佐 これは待機です。次のページですが、これは心肺同時の累積登録者数です。18歳未満で登録された方が1名、18歳以上で登録された方が2名です。

○福嶌班員 18歳未満になっているか。

○曽山補佐 累計だと5名と6名です。一番上は希望中です。18歳未満と18歳以上ということです。先ほどの情報と少し混乱を招いてしまって申し訳ありません。

○福嶌班員 先ほどのは移植した人ですね。ごめんなさい。

○曽山補佐 現在までの心肺同時移植レシピエントは3名で、その3名ともが肺移植希望者リストで選択された患者です。

○福嶌班員 そうです。17歳で登録されて、9年後に移植していますから26歳です。17歳で登録されて、移植は18歳以上です。

○坂本班員 先ほどのと同じになってしまう。

○福嶌班員 同じです。

○坂本班員 いや、先ほどのは移植希望ではない。移植者ですよね。

○福嶌班員 移植者だと思います。3人です。

○千田班員 でも希望者は3人ですよね。

○小野班員 希望者も同じですから。

○福嶌班員 待っているのも一緒か。同じだから、これがどっちか分からないな。ただ、移植したのもこのとおりで間違いないです。

○福嶌班員 18歳未満で登録をして、26歳か27歳で移植をしましたので。

○曽山補佐 年齢別転帰の所を見ていただきますと、レシピエントは3名ということで、今申し上げたとおりです。

最後のページを御覧いただければと思います。今回の作業班にて検討していただきたい項目としては、心肺同時移植希望者(レシピエント)選択基準において、小児の定義をどうするか、そして小児のドナーから心臓・両肺が提供された場合のあっせんにおいて、現行基準どおり選ばれた心肺同時希望者を優先するか、あるいは小児を優先するかについてです。事務局からの説明は以上です。

○布田班長 どうもありがとうございました。今、事務局からいろいろ説明いただきましたが、討議を始めたいと思います。先ほどの肺移植の方での討議で、小児を優先することが承認されました。もともと心臓移植においては小児優先が決まっていますので、その状況を踏まえて御議論をしていただければと思います。よろしくお願いします。

 特に、「心臓、肺レシピエント選択基準における小児の定義」の心臓と肺のグラフ、心臓では登録時18歳未満とし、肺では選択時18歳未満ですが、そこで小児のドナーが出た場合にどういう問題が起きるのかについて、今、事務局から懸念点が示されましたが、いかがでしょうか。

○福嶌班員 ちょっと大阪大学がいないので私に代わりに話させてください。3例が移植になって、先ほども言いましたように、1例は17歳で登録して26歳で移植しているという、正にそこに係る症例です。1例は海外へ渡航しそこで血管抵抗が下がったので心臓だけの移植になり、1例は、海外渡航し向こうで移植後に亡くなっております。ですから、非常に予後が悪い症例で、選択時18歳となりますと移植まで辿り着けるかと考えますと厳しい状況です。今、心肺同時移植の待機期間は大体6年、7年ですので、10歳で登録しても実際に移植に辿り着けるのは18歳を超えてしまいます。体格差で選ばれてくるのであれば、優先していただけると有り難いのですが、、、以上です。

○布田班長 もう1つ、心臓のほうで登録時となっているのは、その後、今は植込み型補助人工心臓とか。

○福嶌班員 そうですね。

○布田班長 体外式もありますが、待機時間を補助人工心臓で待つということで、小児が年齢が重なっていくということ。もう1つは、植込み型補助人工心臓がbridge to transplantation目的で保険償還され、それで待っているという事情も同時に考えていかなければいけないのだろうと思います。

○福嶌班員 小児の心肺の場合、待っている患者で、心臓で当たってくることはまずないと思われます。補助人工心臓の適用にならないPHが主ですから。またカテコラミンで待つこともできないので、肺の順番でしか当たってこないです、具体的に言いますと。よほど小さいドナーが出て、ECMOでも載っている人が移植できた場合以外はあり得ません。今までは、子供も大人もなく待っていましたから、それよりは短くなるのかという気はしていますが、心臓も肺も体格が一致しないと入れられないものですから、かなり幅が狭い医療だと考えていただけると有り難いと思います。子供のときはなかなか大きくなれないのです。ですから小さなものがもらえないと駄目なので、年齢でいくと、まず入らない形になる疾患群だと考えていただけると有り難いです。

○近藤班員 小児の提供者からの臓器移植においては、小児に移植したほうが成績がいいというお話がありましたが、結局、小児というのは登録したときは小児でも、大人になってしまったら、そういう理屈が当てはまらなくなるような気がするので、私自身は、待機時ではなく選択時がいいのかと思いますが。

福嶌先生が言われたように、確かにそういう患者さんは体格が大きくなれないので、大人の、要するに成人の枠に入ってしまうとチャンスは極めて限られてしまうということですよね。

○福嶌班員 一応、数は少ないですが、移植された3例は10年間、誰も亡くなっていませんので、全て働いていますので、それだけは御理解を頂ければと思います。海外とは違う成績ですので。

○布田班長 先ほど福嶌先生が述べられました、ドナーとレシピエントの年齢差については、私も論文は読んだのですが、確かに心臓の場合は、冠動脈病変があるとどんどん進行して、やはり小児対小児のほうがそれが進まないという形で予後が良いという、そういうことがあるのだろうと思うのです。1つ、事務局に確かめたいのは、先ほど肺のところでお示しになった、海外のUNOSとEurotransplantの小児の年齢区分がありましたが、あれは登録時、若しくは移植時か、書いてありましたか。

○曽山補佐 ちょっと登録時という記載はなかったですが、明示されているかどうか、確認しないとはっきりしたことは申し上げられないです。

○布田班長 あの年齢というのは、やはり移植時の年齢でもってということですかね。

○曽山補佐 移植時と理解していますが。

○布田班長 12歳、18歳と書いてあります。

○曽山補佐 はい。

○福嶌班員 もう一回調べておいたほうがいいですよ。多分そうだと思います。

○布田班長 そうですね。ほかにいろいろどうでしょう。いろいろな症例を自分なりにも考えてみて、こういう場合はどうなのだろうと考えていたのですが。

○小野班員 議論の本質から少しずれるかもしれませんが、移植時選定ですが、どのタイミングをもって選定とするのか。例えば17歳の誕生日にドナーコールがあって、午前0時をまたいでレシピエント選定が行われていて、1日たったらもう要するに18歳を超えてしまいますが、選択時というのはどのタイミングを選択時と定義しているか。そこだけ明確にしておいたほうがいいと思うのですが。

○福嶌班員 ネットワークはイーバスしたときですよね。ですから。

○曽山補佐 承諾日時を。

○福嶌班員 承諾日時ですよね。

○小野班員 承諾というのは施設長ですか。

○福嶌班員 いや、でなくてドナーの承諾日時です。

○井内室長 ドナーの承諾時です。

○小野班員 ドナー承諾、つまり。

○井内室長 ドナー承諾時です。

○小野班員 という方は、脳死判定の前。

○福嶌班員 前です。数日前になってしまうこともあるので。

○小野班員 分かりました。ありがとうございます。

○坂本班員 質問です。阪大の経験から、状態が悪いお子さんでは、体格、心臓が大きくならないという話をしていましたが、肺移植でも、登録して時間がたつと肺、体格が大きくなるので、逆に登録時にまとめたら変になるということでよろしいですか。

○岡田班員 結構長期に待っている方も、先ほど申し上げたような理由でいらっしゃるということで。

○坂本班員 それと、低年齢で登録しても、心臓はなかなか大きくならないという話ですが、肺の方は結構、体格は大きくなるのですよね。それによって、選択時でないと大きさの問題があるのですよね。大分ずれてくる。

○岡田班員 レシピエントで10歳以下とかの方は極めて少ないのです、肺の場合は。

○坂本班員 そうですね。

○岡田班員 ええ。

○坂本班員 心臓のほうが小さい子が多いですね。

○福嶌班員 10歳未満の小さい子は全員受けずに死んでしまっています。その子たちは、7年後でもまだ小さいままで、やっと移植されそうなのにというのは、ちょっとかわいそうな気がします。

○岡田班員 肺単独に関しては、選択時18歳未満のほうが何か妥当だという気がするというか、そのように思って、この心肺の基準もそれに合わせて回答した方が多いと思うのですが。特にここに関しては、肺移植関連学会協議会の中では詰めた議論などがあったわけではないです。

○布田班長 やはり肺というと、どうしても、ドナーさんの年齢とレシピエントの年齢と肺のサイズが一番最初にありますので、どうしても年齢を移植時のというふうに自然にいくのだろうと私も解釈したのですが、そのように考えたほうがいいですね。

○岡田班員 はい。

○坂本班員 そうしますと、やはり選択時のほうが一般ということですね。しかし、日本の場合には、心臓に関しては登録時にするという積極的な何かがないと異論を挟む方がおられかねないということを議論しておく必要があるということでしょうか。

○布田班長 今まで全部肺のほうでトップになって、その方が心肺を移植希望されているので移植になっているのですが、心臓のほうだけで考えますと、心臓の年齢、定義だけで考えますと、心臓は登録時という形で、心臓の中にその方も入っていってリストが上がっていくと。今のところその方がトップにはなっていなくて、肺のほうで全部トップになっているのですが、その方がトップになったときに、この方だけ年齢が登録時ではなくてとなってしまうと、その仕組みが問われるのではないかとも思っております。治療法も、待っている間にいろいろなものが開発されるかもしれませんし、そうすると、やはり今まで積み上げたものはなかなか変えにくいのかとも個人的には思ってはいたのです。

○福嶌班員 肺で決められるのなら仕方がないかなとは思いますが、ただ一応、そういうことがあることについては。

○布田班長 ですので、これが両方とも必ず統一しなければいけないのか、離れていて大きな不都合があるのかどうかも、議論しておかなければいけないと思うのです。

○井内室長 ここで運用だけの都合で言わせていただくと、例えば心臓で選ぶときは登録時18歳で、その中で心肺になった途端に選択時18歳に変えるとなると、その人の順位が変わりますので、心臓のリスト、肺のリストの運用条件は同じであったほうが間違いは起きないというのはあると思います。

○福嶌班員 ただでも、肺のリストの中で選んでくる、心臓のリストで選んできている、どちらかで一番になったらだけの話ですから。

○井内室長 そうです。

○福嶌班員 多分、それほどはややこしくはない。

○井内室長 例えばそれを、選択時18歳、登録時18歳のどちらかにそろえると、心肺のときはどちらへそろえるのだということになると運用は複雑になります。

○福嶌班員 そういうことです、それが大変だと。

○井内室長 大変です。

○福嶌班員 ルールをそう決めていただいても仕方ないと私は思っています。ただ、一応、そういうこともあることだけ御検討いただいて。

○近藤班員 どちらかが極端に有利だというようになるのだったら問題ですが、それはちょっと分からないですものね、そういうのは。必ずしも。

○布田班長 そこで、もしも心臓が登録時18歳、肺は移植時18歳で、この差でどういう不都があるのかを考えても、なかなかないとした場合に、では、小児のドナーさんが心臓と肺を提供したいというときに、どちらかが1位のときに、今のところは全部肺ですが、心肺になります。では、ない場合に、今、もう1つ決めておかなければいけないのは、心肺同時移植という形で、成人心肺同時に行くのか、小児優先の原則という形で、そういう場合には心臓と肺と単独に行くのかということだけは、やはりここでコンセンサスをやっておかないといけないだろうと思います。

○福嶌班員 今の場合はもう単独に行くしかない。単独で、基本、それは変わらない。

○布田班長 そこはそれで、肺の先生方もよろしいですよね。

○福嶌班員 というか、心肺が長くなる理由はそうなって、どちらかで1番というのはすごくなかなか当たらないですよね。それと、心臓で1番になっても、結局は胸郭でドナーが決まるので、肺で決めないと実は移植もできないです。ですから、肺のルールでやらざるを得ないのですが、小さな肺がない年齢層にまで上がってしまうのがちょっとかわいそうだなという、それだけのことです。それほどはいないかも。

○布田班長 そうしますと、肺の先生よろしいですかね。齋木先生、何か御意見ございますか。

○齋木班員 現行で変えなくても混乱が少ないというのは分かるのですが、こういったルールは結局、現状に照らしていろいろ皆さんが議論しているので、レシピエントの数とドナーの数が将来変わってくることが起こり得て、そのときに再度見直すとか何か付言を付けておかないと、これでもう一旦決まったので未来永劫に変えないとなると、後で不都合がくる時代もあるかという予感はします。

○福嶌班員 ですから、17歳で登録して26歳で移植した子は、優先ルールがあったらもっと早く当たっていたと思います。間違いなく。

○布田班長 今の齋木先生の御意見は非常に貴重な御意見だと思うのです。ここで議事録に残していいものかどうかはまた別として、確かに、心臓で小児優先の原則になって、ほとんど小児ができなかった心臓移植が、今は小児が逆に増えてきてパーセンテージが上がっている。では、今から5年後のことを考えると、今度は成人がもう全然移植されないという、それはないかもしれませんけど、もっともっと増えて。そういう場合に、本当に小児のドナーさんが十分になった場合に、登録時から逆に移植時ということもあってもいいのかもしれないということでしょうか。

○小野班員 いや、それを途中で変えるのは。

○布田班長 なかなかきついですよね。

○福嶌班員 順番が変わりますので。

○布田班長 そうですね。

○福嶌班員 もう一旦決めたら、それで。

○小野班員 よほどの理由がない限り。

そういう成績の差が明らかになることはないと思いますが。ただ、見直しはやはり必要で、UNOSも昨年から心臓のアロケーションを。

○布田班長 アロケーションを変えましたね。

○小野班員 最低5年で見直すというスタンスで。

○布田班長 アロケーションの見直しはやはり最低5年後ぐらいにやっておくというのは妥当であるということでしょうか。

○井内室長 よろしいですか。段取りなのですが、今、我々のほうでお願いしているのが、大体12月ぐらいまでに学会から御意見を頂く。それを踏まえて準備をして、4月から6月の間に、今日やっていただいたような作業班、及び臓器移植委員会のほうでルールの変更をします。つまり、毎年1回は定期的に変更が可能というスキームに、昨年度からしております。各臓器のほうからいろいろな新しい薬が出たとか、いろいろな知見が出たとかいうこともあると思っておりますので、それは学会のほうで是非、相談をしていただいて移植室に頂けましたら、作業班で素案を固めていただくと、こういうことが毎年できるようになっております。

○福嶌班員 心肺のことで肺が遅れるのは余りよくないので、取りあえず決めていただいて、その上でまた討議させていただいたらいいのかとは思います。

○布田班長 中間的なまとめになるかもしれないのですが、心臓と肺のどちらかのリストで1位であれば、小児のドナーさんが心臓と肺の提供をする場合には、その方が心肺同時移植を希望されている場合にはできると。その方がいらっしゃらない場合には、やはり小児優先という原則を尊んで、単独の心臓が小児のほうに行くということで、年齢は今のところ、心臓は登録時、肺は移植時ということにさせていただくという御意見が多かったようにも思うのです。そうしますと、先ほどの事務局からの非常に複雑な表の所で、何か不都合なところはありますか。私もそれを考えていたのですが、この原則でいけば、小児心肺の次に成人がこなくて、単独でやるとすれば大丈夫なのかと思ったのですが。

○井内室長 おっしゃるとおりです。この表は複雑で申し訳なかったのですが、(A)とか(B)というのは、いわゆる小児ではなくて成人のほうに行ってしまう可能性がある所にマーキングしております。今、それを2つとも小児にということで御結論を頂きましたので、これで小児心肺、小児心肺とか、成人心肺、成人心肺のときには、現行のルールどおり優先順位付けがありますが、片方が小児になった場合は、単独であったとしても、心肺であったとしても、どちらか小児のほうに行くことになるということだと思います。

○布田班長 皆様、よろしいでしょうか。時間も大分押してきましたが、何か御意見、御追加ありますでしょうか。では、心肺同時移植の場合は、先ほど申し上げましたという形で、この作業班ではそのようにさせていただきたいということで、よろしくお願いします。それでは、事務局にまた戻したいと思いますので、よろしくお願いします。

○曽山補佐 本日は、御議論いただきまして誠にありがとうございました。本日、頂きました御意見を踏まえまして、レシピエント選択基準の改正に向けた臓器移植委員会への報告の準備をしたいと思います。事務局からは以上です。

○布田班長 どうもありがとうございました。

照会先

健康局難病対策課移植医療対策推進室

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内線:2365