2019年7月19日 第8回政策評価に関する有識者会議 福祉・年金WG議事録

日時

令和元年7月19日(金)10:00~11:55

場所

厚生労働省 専用第21会議室

出席者

菊池座長、岩崎委員、平野委員、藤森委員、山田委員

議事

 

○政策評価官室長補佐

 定刻になりましたので、ただいまから第8回政策評価に関する有識者会議福祉・年金WGを開催いたします。政策評価の担当をしております肥沼でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 委員の皆様におかれましてはお忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。議事に入る前に、716日付けで事務局に異動がありましたので御紹介させていただきます。政策評価官の溝口です。

 本日の会議では事前に御案内したとおり、ペーパーレスとしてタブレットでの会議とさせていただきます。資料となるファイルはマイプライベートファイルに格納されております。それでは、本日の議事進行につきましては、座長の菊池先生にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○菊池座長

 おはようございます。御苦労様です。本日は議事次第にあるように、3つのテーマの評価書()について、委員の皆様に御議論をお願いいたします。それでは、まず配布資料及び令和元年度に実施する政策評価についての進め方について、事務局より説明をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 議事の進め方について御説明いたします。ファイルの01の議事次第を御覧ください。本日は議事にあります(1)1から3の順番で、テーマごとに担当課の入替えを行い、御議論いただきます。1テーマごとの時間につきましては約25分程度とし、まず担当課より約10分程度で説明を行い、その後約15分程度で御議論を頂くということで進めていただければと思います。

 今回は実績評価書を議事としておりますので、測定指標の実績値、評価結果と今後の方向性を中心に御意見を頂ければと存じます。事務局からは以上です。

 

○菊池座長

 それでは、早速1つ目のテーマ、施策番号11-1-3「総合的な日常施策を推進すること」について、担当課から10分程度で御説明をお願いいたします。

 

○説明者

 老健局認知症施策推進室長でございます。どうぞよろしくお願いいたします。まず、資料1-1の実績評価書を御覧ください。総合的な認知症施策の推進ということで施策目標を掲げております。概要、背景等については、事前分析のときと同じですので説明は割愛させていただきますが、それぞれ課題に対応した達成目標として、2つあります。1つ目として、認知症への理解を深めるための普及啓発の推進、認知症の人や介護者への支援です。2つ目としては、認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供ということで立てております。

 1ページ目の下のほうにいきまして、それぞれの達成目標について、指標を2つずつ設定しております。1つ目の達成目標の指標の1のほうですが、認知症サポーター数です。これは認知症の方々を理解し、温かく見守り、地域の中で見守りを行ったり支援をするために、認知症サポーターの養成を行っているということです。これは、新オレンジプランの中で、2020年度に1,200万人という目標値を掲げております。実績ですが、平成30年度末で1,144万人ということで、前年度よりも上昇しており、毎年上昇していることが実績として挙がってきております。

 指標の2の認知症カフェのほうです。これも、認知症の方同士、あるいはその家族同士、あるいは地域の人、専門家を交えて、相互に情報を共有したり、理解を深め合う、認識を共有していくという認知症カフェの設置です。こちらも、2020年度に1,741、要は全市町村に設置するということを目標に進めております。平成30年度の実績値は、まだ集計中で精査をしているところですが、平成29年度まで上昇を続けているということで、今現在の感じでも、平成30年度は平成29年度を大きく上回るような形になるのではないかと見込んでおります。

 次のページを御覧ください。達成目標2の関係で、指標3、指標4があります。指標3は、それぞれの認知症の対応力の向上研修などの修了者数です。指標3が、医療現場において認知症に対応できる医療職の方々を増やしていく、どれだけ増えたかということです。指標3も平成30年度については集計中のところはありますが、2020年度には32.7万人ということで目標値を設定しておりまして、それに向けて研修を進めているということです。例年上昇しているということで、これについても今現在集計中ですが、前年を上回る数値になるものと見込んでおります。

 指標4ですが、こちらは介護現場のほうです。認知症の方のケアを適切にできる介護職の方々を増やしていくということです。これが、2020年度に研修修了者を352,800人という目標値を立てておりますが、平成30年度はこちらも集計中ではありますが、平成29年度に向けて着々と上がってきておりまして、平成30年度についても前年度を上回ると見込まれています。

 実績値は以上ですが、その下の判定です。測定指標1は、目標値を達成していることもございますし、2から4についても、前年度を上回ることが続いております。これは目標を達成しているのではないかと考えております。有効性についても、それぞれ数値的にも年々増加しているということで、確実に新オレンジプランに基づいて着実に進められ、有効に機能しているのではないかということで、それぞれ記載しています。

 効率性については、それぞれ財源は違いますが、年々限られた予算の中で、例えば認知症サポーターであれば3,000万円弱の予算額の中で、年間100万人以上のサポーターの養成などが行われているということで、効率的な取組が行われていると評価できるのではないかということです。

 次のページは、現状分析と方向性です。認知症サポーターにつきましては、量的な拡充を続けておりますが、更に今後は活躍の場を広げていくということで、更に認知症の人と接することが多い業種のサポーター養成数の増加ですとか、具体的にそのサポーターが支援を行うような仕組みといったものを拡充していく方向性が必要なのではないかということです。

 測定指標2の認知症カフェについても、自治体内での複数箇所の設置などを、その支援の場として認知症カフェの取組が広がるよう、一層の推進を図っていくこと。それから、指標3、指標4につきましては、医療・介護従事者の認知症への対応力向上研修の事業、これは引き続き推進して、その対応を適切な医療・介護サービスが提供できるようにしていくことを引き続き進めていく必要があるかと思います。

 そして、施策測定指標見直しの部分です。いずれにしても、この数値については施策の効果が表れていると考えておりますので、先ほど申し上げた認知症サポーターの具体的な支援を行う、認知症サポーターが実際に地域で支援を行えるように仕組みを作っていくなど、こういった取組を更に推進していって、2020年度末までの目標達成に向けて推進していく必要があろうかと思います。

 それと、後ほど説明いたしますが、今年の6月に認知症施策推進大綱というものが関係閣僚会議で決定されておりますので、その大綱に沿った施策の推進といったものを行っていく必要があろうかと考えております。1-1は以上です。

 1-2の真ん中の辺り、14ページを御覧ください。「認知症施策の総合的な推進について」という題名が書かれております。これが大綱の概要を簡単にまとめたものですので、これを基に説明させていただきます。

 これまで新オレンジプランに基づいて認知症施策を推進してきたところですが、昨年の12月に関係行政機関の連携の下で、政府一体となって、この認知症施策を総合的に推進していく必要があるだろうということで、関係閣僚会議が設置されました。それで関係閣僚会議の中で議論を行って、推進大綱というものを618日に取りまとめたところです。

 基本的な考え方にもあるとおり、「共生」と「予防」というのを車の両輪として施策を推進していく。共生と予防の所は、それぞれ定義が書いてありますが、共生は認知症とともに生きる、あるいは認知症の方、認知症がない方が同じ社会で共に生きるという意味です。予防については、認知症にならないというような意味ではなくて、認知症になるのを遅らせる、あるいは進行を緩やかにするというような意味ということで記載しております。あくまで共生というものを基盤とした上で、予防についても、認知症になるのを遅らせるといったものを予防対策のようなものに取り組んでいくということです。

 それから、具体的な柱は5本の柱として立っておりまして、右下の部分にあります。普及啓発・本人発信支援、予防、医療・ケア・介護サービス等の介護者への支援、認知症バリアフリーの推進、研究開発等が記載されておりまして、この5本の柱になっております。

 主なものを掲げておりますが、1つ目の「普及啓発・本人発信支援」については、先ほど出てきた認知症サポーターの関係で言うと、日常生活の中で関わる機会が多い、小売りとか金融機関、公共交通機関といった企業とか職域での認知症サポーターの養成を講座の推進、講座を拡大していくというようなことを掲げております。

 その関係で申し上げますと、先ほど認知症サポーターの目標値を2020年度に1,200万人と申しましたが、これについては大綱でも引き続き維持しておりますが、更に企業・職域型の認知症サポーター養成数を400万人という数字を掲げて、新たにKPIとして設定しているというところが新しいところかと思います。

 それから、「認知症とともに生きる希望宣言の展開」の辺りも、認知症の本人自らが語って、認知症になっても希望を持って前を向いて暮らすことができている姿を積極的に発信していくというようなことを掲げております。

 予防の部分について、そこに2つ書いておりますが、1つは通いの場の拡充です。介護・予防に資するような、高齢者が身近に通える場を拡充していくとか、あと予防に関するエビデンスに関しては、自治体の認知症予防に関する活動事例の収集あるいは横展開。それから、国内外のエビデンスを整理して手引を作成していくというようなことなどを大綱の中に掲げているというところです。

 それから、「医療・ケア・介護サービス・介護者への支援」の所です。これは、先ほどの医療従事者の研修と関わってきますが、早期発見、早期対応が行えるように、そういった各かかりつけ医ですとか、それぞれの地域包括支援センター、認知症疾患医療センター等がありますが、そういう所の更なる質の向上を図っていくといったところが掲げられております。

 先ほど実績評価書で指標として掲げていたところですが、これについても引き続き研修の受講者数などのKPIを載せておりまして、医療従事者のほうについては、2025年度までの数値で、増加傾向を伸ばして引き続き設定していこうというようなことでKPIを設定しているところです。

 それから、次の「介護者への支援」の部分は、先ほどの認知症カフェの施策の推進などが記載されておりまして、家族の負担軽減などを図っていくということで、引き続き認知症カフェを全市町村に普及というようなKPIなども設定しているところです。

 4番目の「認知症バリアフリーの推進」ですが、利用しやすい生活環境作りというところですが、ここは生活の中で認知症になってからもできる限り住み慣れた地域で普通に暮らしていくための障壁、バリアを減らしていくということで、認知症バリアフリーということで掲げております。先ほど言いました認知症サポーターなどを養成もするのですが、できる範囲で地域の中で活躍していただくということで、具体的な支援につなげるチームオレンジというような仕組み、こういったものを地域ごとに構築していくというようなことを大綱に掲げております。

 最後の研究開発については、ここに書いてある薬剤治験に即応できるコホートの構築、あるいは認知症のバイオマーカーの開発・確立などの施策を記載しており、KPIなどでも記載しているという状況です。時間も限られている中でザックリした説明になってしまいましたが、説明は以上です。

 

○菊池座長

 最近出ました大綱につきましても、御説明を頂いたところです。ありがとうございました。先ほど事務局からありましたように、本日は、この実績評価書の測定指標の実績値、そして評価結果と今後の方向性を中心に御議論いただければということです。それでは、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問などはございませんでしょうか。

 

○平野委員

 個々の指標については、かなり説得力のある指標だと思うのですが、総合的という場合、認知症の地域支援推進員、つまりこういう個々の様々なサポーターだとか、後に出てくるような研修も含めてですが、それを自治体単位でうまく推進していくような役割として、地域支援推進員というのがあろうかと思います。個々の指標ということで、この指標にそれが該当していないということもあるのですが、全体としてその機能というものは、自治体を訪問しても、その研修を受けてその人が機能している実態というのはかなり知る機会が多いので、その辺でそういう推進員の確保と言いますか、それは順調にいっているというように理解してよろしいのでしょうか。

 

○説明者

 認知症地域支援推進員ですが、この新オレンジプランにおいても、実際の目標を立てて推進しております。認知症地域支援推進員の設置市町村という面でいきますと、どんどん増えてきて、20193月時点では、全市町村で設置しているというような状況になっております。基本的には順調に進んでいるという理解でよろしいのではないかと思います。

 

○平野委員

 その推進員が比較的、こういう総合的な推進の役目を果たしているというように一般的には認識していていいのでしょうか。それとも、そこまでの役割ではないということなのでしょうか。

 

○説明者

 地域のネットワークのコーディネートをしていくという意味では、重要な役割を果たしていただいていると認識しております。引き続き、この地域支援推進員の方々の活動というのは、更に推進していく必要があるかと考えております。

 

○平野委員

 2ページ目の一番下のほうに、指標2について、地域支援事業で217億円の内数としてという財源手当が認知症カフェについてと。認知症カフェそのものの、上は具体的なサポーターの財源額が出ているのですが、カフェそのものはなかなか集約が難しいという意味合いですか。

 

○説明者

 予算の額そのものということでしょうか。

 

○平野委員

 そうです。内数になっているので。

 

○説明者

 予算は切り分けていないということもございまして、地域支援事業交付金という形で市町村に流れている中での数字になっているということです。もちろん、実績等につきましては把握はしておりますが、予算上は切り分けられていないということです。

 

○平野委員

 複数設置も進んでいるという理解でよろしいのでしょうか。これは市町村の数が指標になっているのですか。

 

○説明者

 全体で5,800、約6,000ぐらいの箇所がございます。これも地方自治体が把握している数字ですので、例えば補助金等が出ていなくて、独自に例えばグループホームなどでやられているようなもので、市町村が把握されていないようなものというのはこの数には入ってこないので、実際にはそれ以上あるのではないかという認識です。

 

○山田委員

 指標1から4までで、一応アウトプットについて集中的にこれまで見てこられたのですが、今後の課題としては、この評価書というのは必ずアウトプットとアウトカムの両方を入れなくてはいけないということになっていますので、アウトカムのほうで、前の委員の御発言とも関係するのですが、アウトカムのほうでどういったことが今後考えられるのかということが1点目です。これは、多分評価書を作るときに必ず入れてくださいというのが入っていると思うのですが、今のところはアウトプットのほうしか入っていないのです。それはどうしてもアウトカムができなかったということであれば、一応全市町村にも、例えば指標2だと設置が行われということが達成した後になると、アウトカムの指標が必要になってくると考えられるので、今後のこととしてどういうように考えるのだろうかと。

 もちろん、いろいろなやり方があると思うのです。例えば施設であれば第三者評価を受けている割合とか、指標4などであれば、修了者ですが、パーセンテージで表示していただく。例えば既に資料の12ページ目にある認知症介護基礎研修については、全ての職員の受講を目指すと書いてあるので、こちらだと割合を意識していると。頂いた資料1-212ページの右側ですと比率で見ていらっしゃるので、そちらのほうを見ると、割合を意識しているので、どのようにアウトカムを測定しているのかというのが課題ではないかと。

 あと、指標4については、これはもし可能であれば、同じく12ページでは実績と目標値ということで、こちらはばらして書いてあるのです。指標4では、指導者研修とか、実践リーダー、実践者研修というようにばらして書いてあるようなのですが、指標4はばらして表示するというのは可能なのですかね。12ページの資料ではばらして書いてあるかと。これは全然違いますか。

 

○説明者

 いや、同じものです。

 

○山田委員

 同じですよね。でしたら、ボリューム的には、ピラミッドになって階層性があるようなので、全部丸っと35万人というのがあればいいというのではなくて、階層性があるのであれば、ばらして表示する。全ての年度について数値を集めるというのが難しくなければ、そのようなことをやってもいいかなというように思います。

 アウトカムの指標として、もう1つ付け加えるとなれば、質の評価的なものが入ればいいかなと思います。チームオレンジもどういうように機能するかというのが分かりませんので、その機能がちゃんとしているというのが分かるようなアウトカムの指標、資料1-26ページですが、これも非常にいろいろな方々を巻き込んでやっているので難しいとは思うのですが、何らかの形で、きれいな役割分担みたいなものが機能しているというのが分かるようなアウトカム指標が、今後の方向性として入ってくればいいなと思いますので、次の回からは入れていただければと思います。私からは以上です。

 

○説明者

 一つ一つお答えできるものが今の段階では余りないのですが、おっしゃるとおりアウトカムという視点は大変重要だと思っています。先ほどの認知症サポーターのほうも、例えば認知症サポーターの養成は進んで、増えていっても、どのように活躍しているか、地域でどういった支援をして効果が上がっているのか。そういったところをどうやって把握していくかというのは難しいところはあるのですが、今御示唆を頂いたような、チームオレンジみたいなところをこれからやろうとしておりますので、そのチームオレンジの活動状況みたいなところで、何か考えていけないかといったところは、引き続き今後の検討課題とさせていただければと思います。ほかの指標についても、同様に検討課題とさせていただければと思います。

 それと、指標をばらす話は、恐らく平成30年の事前評価のときは、多分全体の医療現場、介護現場で、それぞれの人材を増やしていくというところでまとめてやったということで設定しているのではないかと思いますが、分けること自体は、もともと分けたものを一緒にしているものですので、全く難しい話ではないと思っています。御意見ということであれば、そういう方向で検討させていただければと思います。ザックリとした回答になりますが、以上です。

 

○山田委員

 確認ですが、アウトカムは入れなくてはいけないということになっていますので、是非お願いしたいということです。

 付け加えれば、今、行方不明者のシステムというのができていると思うのですが、ああいったものもうまく利用すると、それによってうまく発見されたとか、そういったものがもし将来的に取れれば、1つアウトカムを示す指標となると思いますし、いろいろと御検討いただいて、また事前評価のときにでも幾つか御提案を頂ければと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 

○菊池座長

 アウトカムの指標の設定については、この案件だけではなく政策評価の全体の課題でもあると我々も認識していますので、難しいですけれども、やはりそこまで踏み込んでやっていくのは、これから政策評価に求められているということで、ここは事務局とも御相談の上、次期に向けてしっかりと検討いただければと思います。

 

○藤森委員

 私も今のアウトカムに関連したところなのですが、2点ございます。1点目が、有効性の評価の所に、例えば測定指標1の認知症サポーターという所において、応援者を増やすという形で書かれています。この認知症サポーターが増えたことによって、地域の具体的な支援者がどのように増えていったのか、地域が変わっていったのかというところをアウトカムとして示していく必要があるだろうと思っております。

 先ほど山田委員が御指摘になった資料1-26ページの所にあるチームオレンジで、右肩の所に見守り、声掛け等、具体的な地域としての支援で書かれていますが、こういったものに対して認知症サポーターが増えたことがどれだけ結び付いているのか。特に、これから大きな課題になってくると思うのは、独居の認知症の方々をどのように支援していくのかという点だと思います。その点、この地域の支援という点が大きな課題だと思いますので、ここをアウトカム指標としてどのように入れていくのかというのが、次期目標に関する測定指標として課題なのだろうと思っております。

 それからもう一点です。指標3と指標4ですが、ここの達成目標の下の所を見ますと、医療・介護の連携が不可欠だということが書かれていて、それぞれ医療従事者に対する研修、介護従事者に対する研修という形で指標が作られております。この研修自体はとても大切なものだと思っておりますが、連携というところに関しても、どのように研修を受けたことによって医療と介護が結び付いているのか、あるいはもっと別の形の指標を用意する必要があるのか。ここも次期目標のところで課題になってくるところではないのかなと。例えば顔の見える関係というのはどうやって作っていくのかといったところも、重要になってくるのではないかと思っております。以上です。

 

○説明者

 御指摘ありがとうございます。非常にごもっともだと思いますので、次期の目標に関しては御指摘を踏まえて考えさせていただきたいと思います。

 サポーターにつきましても、おっしゃるとおり地域でどのように支援につながっているかとか、そこはおっしゃるとおりだと思います。実際に、サポーターの活動状況についても、実際には見守りとか、例えばサロンの開催、あるいは実際のサポーター養成講座に協力いただいたり、様々にサポーターの活動自体はどのようにやっているかというところは把握しつつあるのですが、もう少しどのような指標が可能かどうかというところは検討させていただきたいと思います。

 

○藤森委員

 恐らく認知症サポーターだけではなくて、地域作りの枠組みというのはあると思いますので、そのようなことも今後指標の中に、認知症サポーターのみならずのところも入れながら作られたらどうかなと考えています。

 

○菊池座長

 事務局に確認ですが、今回委員から出されたいろいろな御質問について、それをすぐにフィードバックと言うか、検討していただく、今回はそういう形ではないということでいいのですか。

 

○政策評価官室長補佐

 今回頂いた御指摘については、次回の有識者会議ですので、令和2年の3月に開催予定の有識者会議、全体会議の場で、御指摘事項への検討状況の対応ぶりということで御報告させていただきます。例えば今日は719日ですが、8月末までにというわけには難しいのですが、年度末までお時間を頂ければ対応状況について御報告させていただくことは可能で、担当課ともよく相談していきたいと思っております。

 

○菊池座長

 ほかにはいかがでしょうか。

 

○岩崎委員

 直接指標に関連するところではないのですが、大きな目標のところには、常に最近は御本人の意思が尊重されるということなどが随分強調されているのではないかと思います。そういう点で、成年後見制度でも意思決定支援のことが注目されていますし、もちろん認知症の方に対しても意思決定支援のガイドラインというものも公表されているのですが、それはチームオレンジの運営のところでも少し取り上げられているようです。私が非常に気になるのは、後見人を担う方だけではなくて、やはり地域で活躍されるサポーターの皆さんも含めて、認知症になられた方のみならずですが、認知症の方たちの意思決定が尊重される、そういった実践が展開されるということが理想なのではないかと思うのですが、そういった辺りで何か工夫される点とか、何かあったら教えていただければと思います。

 

○説明者

 今、ちょうどそのサポーターの関係でチームオレンジのお話などが出たと思いますが、チームオレンジのチーム員というのはサポーター養成講座を受けた人であって、更にそのステップアップ研修を受けた人をチーム員にしようと思っています。そのチーム員になるためのステップアップ講座の中で、意思決定支援ガイドを厚労省から出していますが、それの簡易版のテキストを作りまして、それを講座でコマに組み入れて教えていこうと思っています。

 

○菊池座長

 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、担当課におかれましては本日の御議論を踏まえ、必要に応じて実績評価書への反映をお願いいたします。以上で終わります。御苦労様でした。

(メインテーブル交替)

 

○菊池座長

 続きまして、施策番号12-1-1「国際機関の活動への参画・協力等を通じて、保健・労働等分野において、国際社会に貢献すること」について、10分程度で御説明をお願いいたします。

 

○説明者

 大臣官房国際課長でございます。よろしくお願いいたします。すみませんが、座って説明をさせていただきます。

 今日の2つ目、「国際機関の活動への参画・協力等を通じて、保健・労働等分野において、国際社会に貢献すること」です。福祉・年金ワーキンググループの範囲から飛び出るところもあるかと思いますが、厚生労働省の国際分野を統括して、WHOILO等、様々な国際機関への資金提供等を通じた協力を行っています。

 お手元の資料2-1、実績評価書に沿って御説明申し上げます。1ページの一番上の施策の概要ですが、大きく4つの施策を書いています。1つ目が、国際保健の分野です。世界保健機関(WHO)、国連合同エイズ計画(UNAIDS)等の国際機関が行う国際保健関係の技術協力事業に協力をすること、これが1つ目です。2つ目、OECDに対して資金協力をして、研究・分析事業に協力をするということです。3つ目、国際労働機関(ILO)が行うディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)実現のための事業に対して協力をしています。4つ目、途上国向けの医薬品の研究開発の関係です。国連開発計画(UNDP)に資金提供して協力をしている。この4つの施策を対象としています。

 1ページ目の下で、各課題に対応した達成目標の所です。4つの施策の対応として、目標も大きく4つ掲げています。目標の1番目、これがWHO等に対応したところです。保健に係る国際機関への貢献を通じて、保健分野における我が国のリーダーシップを発揮すること。こういう目標を掲げています。

 目標の2つ目、これが2つ目の施策に対応しています。OECDの事業のうち、厚生労働省が拠出している事業において、OECD加盟国間で高く活用される成果を出すことです。

 続きまして、資料の2枚目に目標の3です。施策の3つ目に対応して、ILOが行う各事業に設定されている計画を達成することを通じて、アジア・太平洋地域のディーセント・ワーク実現に寄与することです。

 4つ目の目標は、施策の4つ目に対応しています。国連開発計画(UNDP)への拠出を通じて、開発途上国向けの医薬品の研究開発等の促進を図る。この4つを目標として掲げています。

 2枚目の下では、測定指標です。これも達成目標の4つに従いまして、幾つか指標を掲げています。まず達成目標1WHO等への貢献については、4つ指標を設定しています。指標の1番目、WHOの職員数に占める日本人職員の人数です。指標の2番目、WHOでの日本人インターンの人数です。指標の3番目、世界で新たにHIVに罹患した人数の動向です。4つ目、世界で抗HIV治療を受けている人数です。こちら4つの指標の平成30年度の達成状況を見ていただきますと、指標の34については実績値の集計中ですが、過去の実績値を鑑みると、目標を達成できる見込みだろうと考えています。

 他方、指標の12については、人的貢献ですが、受け入れる組織の人事状況、また日本人職員が既にいても、退職や異動、様々あります。そういった外部要因の影響もありますので、目標を現時点では達成できていません。後ほど補足しますが、WHOの重要なポストに日本人を登用する、こういう働き掛けを通じて、我が国の考え方、知見等を世界に向けて有効に発信することはできていると考えています。

 3ページ目ですが、達成目標の2OECDへの貢献については、指標の5として掲げています。OECDの事業のうち、厚生労働省が拠出している事業に対するOECD各国の評価平均があります。5段階評価のうち、3点以上の評価を得ることを目標としています。平成30年度の達成状況については、実績値は集計中ですが、新たな事業選定の際には、過去の実績等も踏まえて選定をしているため、目標を達成できる見込みと考えています。

 3つ目の達成目標、ILOへの協力です。これについては、指標の672つの指標を掲げています。指標の6が、ILOが行う事業ごとに設定されている計画の達成状況。指標7として、ILOの職員数、専門職以上の占める日本人職員の人数です。このうち指標6については、個々の開発途上国の状況に合わせて、効果的なプロジェクトを選定、実施をしています。その結果、計画の達成状況は、平成30年度実績値で100%となっていて、目標を達成できているという状況です。他方、指標7についてはWHOと同様です。ILOの活動、成果に関する日本国内での認知度が必ずしも高くはないということ、また語学力の観点、様々な理由から目標値を残念ながら達成できていませんが、平成30年から毎年、ILO本部と外務省も交えた日本政府との間で協議を行い、日本人職員数の増加に向けた取組を進めています。これに加えて、WHOと同様、ILOの重要なポストに日本人を登用することを通じて、我が国の考え方、知見等を世界に向けて有効に発信できていると考えているところです。

 達成目標の4番目、UNDPへの拠出を通じた開発途上国向けの医薬品の研究開発等の促進の関係です。こちらについては、指標8と指標92つの指標を設けています。指標8が、非臨床試験及び治験等の実施及び完了件数です。指標9が、選考委員会、理事会、評議会の開催回数です。このうち指標8については、開発途上国向けの医薬品の研究開発支援及び供給支援のために行っている非臨床試験及び治験などについて、目標値以上の実施ができているところです。指標9についても、これはUNDPに拠出をした後、GHITという基金、ここで様々な投資計画、実績評価を審議、決定しています。選考委員会、理事会、評議会、これを目標値のとおり、定期的に開催できているというところです。以上が、それぞれの指標です。

 続きまして、4ページが、以上を踏まえた目標達成度合いの測定結果と総合判定です。以上の結果を測定基準に当てはめますと、目標達成度合いの測定結果については、主要な測定指標以外の一部の測定指標、具体的には指標2と指標7の達成状況がバツですが、主要測定指標の半数以上がマルで、現行の取組を継続した場合、相当な期間を要さずに目標達成が可能であると考えています。そのため、相当程度進展ありの③に分類できると判断をしています。

 また、総合判定ですが、指標127については、国際機関における日本人職員数、インターン数という、ある程度、人の流動、外部要因に作用される指標であるため、実績値が目標値を下回っていることがありますが、そのほかの指標が目標値を上回っているということを踏まえると、指標目標の全体的な達成に向けて現行の取組が、有効、適切に実施されていると判断できるため、目標達成に向けて進展があると判断をさせていただいたところです。

 次の施策の分析です。そのうちにある有効性の評価については、各指標の達成状況の説明の際に申し上げたところと若干重なりますので、簡単に申し上げます。特にWHOILOの重要なポストに日本人を登用している点については、例えばWHOでは事務局長を補佐する事務局長補に日本人を登用してもらっています。またWHOの西太平洋地域事務局長、すなわちアジア・西太平洋の地域を統括するトップが日本人です。ILOにおいても、アジア・太平洋地域総局長が日本人です。日本人の登用も、数的には足らざるところがありますが、質、レベルという観点では補っているところもあると考えています。

 効率性の評価です。各国際機関への拠出に当たりまして、使い道を協議する、また事後的に評価をする枠組みが確保されていることから、効率的な取組が行われていると評価できると考えています。

 最後のページ、現状分析については、各事業を通じて設定した大きな4つの目標を一定程度、達成できていると考えています。

 一番最後の次期目標等への反映の方向性です。ここに書かせていただいていますが、まず達成目標の1については、指標12について目標を達成できていないため、WHOの職員に占める日本人職員数、インターン数が増加するように引き続き検討を重ねて努力をしていきたいと思っています。具体的には、指標1について、令和2年度時点で51人という目標値があります。ここに注で書いていますが、国際保健政策人材養成事業を実施しています。これを通じまして、WHOの日本人の派遣をより推進していく必要があると考えています。また指標2については、毎年度、前年度以上のインターン人数を確保するためには、WHOにより多くの日本人の学生に興味を持ってもらえるように、同事業を通じてワークショップ、セミナーで情報発信をしていく必要があると考えています。

 続きまして、達成目標2OECDの関係です。引き続いて日本の国内情勢、制度を踏まえた質の高い事業が実施されるように、国際会議を通じてOECDと積極的な意見交換・情報共有を行いまして、厚労省が拠出をしている事業において、OECD加盟国間で高く活用される成果を出すとともに、日本の雇用労働、社会保障政策等の改善にも資するような事業が実施されるように努めていきたいと考えています。

 達成目標の3番目、ILOの関係です。指標7について、目標を達成できていないため、引き続いてILO職員全体に占める日本人職員の人数が増加するように、引き続き検討を重ね、努力をしていきたいと思っています。若干、補足をしますと、先ほど申しましたとおり、平成30年以降、ILO本部と外務省及び厚労省との間で戦略的な政策協議を行っています。この中で、日本人職員の増加及び登用は大きな柱の1つです。今年2月に実施した協議においても、日本政府とILOの間で、日本人職員数の増加に向けて戦略的に双方の取組を進めていくことで一致しています。

 達成目標4ですが、UNDPへの拠出です。こちらも引き続きまして、計画に沿って効果的に研究開発への投資が図られるよう、実施状況等を把握して、必要な助言、支援を行っていきたいと考えています。私からは以上です。よろしくお願いいたします。

 

○菊池座長

 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明について、御意見、御質問などありましたら、お願いいたします。

 

○山田委員

 御説明ありがとうございました。特に指標等の評価についての意見というわけではなく、一番最後の次期目標等への反映の方向性について、コメントをしたいと思います。

 特に達成目標1と達成目標3については、いずれも国際機関の職員を占める日本人職員数の比率を増大させるということで、先ほどの御説明で政治的な任用の重要ポストについては、それなりに成果を上げているということですが、職員に関しての比率の増大について、多くの学生に興味を持ってもらえるようということですけれども、少なくとも私の限られた経験からすると、ヤングプロフェッショナルのような形で、大学院生などの何年か経験を積んだような方が入っていって、まずはパーマネントのコントラクトに切り替えた以降に昇進していくタイプではないかと推測されます。そうすると、学部生よりは、例えば大学院などの修士、博士号を持っているような方たちにアプローチして、ヤングプロフェッショナルのようなプログラムがILOWHOにあるとすれば、そちらに応募させるような形にしたほうが、う遠な方法ではありますが、職員数を徐々に増やしていく、そうした実現ができるのではないかと。ひょっとしたら違うとおっしゃる答えかもしれませんが、もしそういう可能性があれば、そういうことについても今後の施策として、ちょっと御検討いただければと思います。私からは以上です。

 

○説明者

 ありがとうございました。補足があればしてもらうかもしれませんが、取りあえず私から申し上げますと、御指摘のとおり正に国際機関で正規職員として採用されるためには、やはり修士号が基本的には必要だと思っています。WHOの場合では、看護師ポストもあるようですが、やはり昇進していくためには修士号が必要なことがありますので、学生、大学院、学士から声掛け、認知を高めて活用しながら、メインターゲットは恐らく修士の学生、博士だと思っています。御指摘のヤングプロフェッショナルのようなプログラムは、JPO(ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー)制度という形でやっています。最近、外務省でも、やはり人数、予算を増やそうという動きでやっています。外務省と厚労省が一体となって、WHOILO等、修士学生を中心にして働き掛けを含めて、どんどん土台を増やしていきたい、不断の取組をしていきたいと思っています。ありがとうございました。

 

○菊池座長

 ほかにはいかがでしょうか。

 

○藤森委員

 御説明ありがとうございました。国際機関の活動に参画・協力するということへの政策評価の難しさというか、奥深さを感じています。私自身が教えていただきたいところになりますが、2ページ目の指標の3の所にあります、世界で新たにHIVに罹患した人数の動向、アウトカムとして示されていて、この国連合同エイズ計画というものに、我が国は拠出金を出している。そして、ここで取組状況として罹患者が低下していると出ているのですが、この低下したというのは、国連合同エイズ計画の取組によって低下している。逆に言うと、拠出金は出していますが、それ以外の関与はないという理解でよろしいでしょうか。

 

○説明者

 国際課です。こちらは、世界全体におけるエイズの感染状況を見ている数値ですので、御指摘のとおり、UNAIDSだけ単独での効果のみかと言われると、それ以外のファクターも当然含んでいます。UNAIDSという組織自体は、治療のガイドラインを設定する、新しい治療薬が出てきた場合にそれをどう組み込んだほうがいいのか、各国でどういう計画を作ったほうがいいのかという、技術的な支援をする国際機関です。彼らのインプットは当然寄与しているということですが、エイズにそのほかの所が全くないかと、ほかの国際機関の働き掛けが影響がないかと言われると、それ以外の所の影響を含んだ全体での効果を見ているということです。

 

○藤森委員

 ありがとうございます。国連合同エイズ計画以外の機関も関与しながら、低下をしている。ただし、国連合同エイズ計画は、非常に大きな活動、重要な活動をされている機関だろうと理解しました。政府は、拠出金を出していますから、国連合同エイズ計画の活動がどのような成果を上げたかウォッチしていくというのは、とても大事なことだと思いますし、やるべきことだと思います。しかし一方で、それを目標として挙げるとなると、そこには主体的な関与が必要で、目標達成は主体的な関与によって達成されるというイメージを持ちます。そのようになっているのでしょうか。拠出金が有効に使われているか否かをウォッチすることは必要ですが、それがそのまま目標になり得るのかということが、やや疑問に思ったのですが、ここはいかがでしょうか。

 

○説明者

 冒頭申し上げたとおり、国際機関との関わりでの施策目標というのは非常に難しくて、我々も悩みながら設定しているつもりです。御指摘を踏まえて、何かいい目標が有り得るのか、これでいいのか、そこは今現時点で、こうしますと申し上げられないのですが、御指摘を踏まえて、中でも更に議論をしたいと思っています。

 

○藤森委員

 よろしくお願いします。

 

○菊池座長

 ほかにはいかがでしょうか。

 

○平野委員

 今、実際に評価をどう設定していくかということの難しさはあろうかと思いますが、一番最後のページで、方向性の達成指標2についてが少し興味深かったのです。一番最後の文章に、日本の雇用労働、あるいは社会保障政策の改善にも資するという、ここまで踏み込むと少し我々の領域でもリアリティを感じられる文言かなと思って、今、ここに触れさせていただいたのですが、こういうことまでを少し視野に入れているということは、それで何か新しい指標が設定できるというわけでは全然ないとは思うのですが、ここまで踏み込まれて、ここは書かれたという背景みたいなものは何かありますか。

 

○説明者

 国際機関も様々で、端的に申しますとOECDは先進国中心です。例で言いますと高齢化は日本が一番先頭を切っていますが、様々の欧米諸国、アジアもこれからですけれども、高齢化のスピードが増えてきます。それに保健分野でどうやって対応するか、高齢者の雇用にどう対応していくか、そのことは共通の課題で、関心事項が近い国も多いです。日本も抱える問題は、ほかの国も持っているので、例えば高齢化への対応に関する事業などに日本が拠出をして、材料を集めて、日本にもこういう提言をしてもらう、そういう意味では、おっしゃられた日本の政策評価にもとっつきやすい、分かりやすいことだと思っています。

 他方、ILOWHOへの任意拠出については、どうしてもアジア地域、アフリカ地域、途上国向けの支援、協力ということが主になります。大きい意味では人道支援、日本の国益、信頼というのはあると思いますが、具体的な政策レベルで日本国内に反映させることにはすぐにはつながらない、というところが現状です。

 

○平野委員

 何か具体的に想定されているような、高齢化という問題に触れられましたが、もう少し具体的な中身みたいなものが見えているようなものはありますか。

 

○説明者

 今、申し上げた高齢化の取組のほかには、各国とも労働分野で言いますと、働き方がどんどん変わってきていて、コンピューター、AIに取って代わられるのではないかと。また、今後人生も100年時代と言われますが、大学を経た後、社会人となっても、我々の歳になっても学び続ける、生涯教育が大事だと、そういった問題意識を持ちまして、加盟国間で議論をしていますし、そこに日本も拠出をして、日本にもOECDにリサーチに来てもらって、日本の取組を分析しながらアドバイスしてもらう。例えば、高齢者の保健や雇用に加えますと、スキルへの対応、能力開発、人材開発なども例として挙げられます。

 

○平野委員

 先ほどちょっと触れられましたが、インターンシップの件です。かなりいろいろな新しい大学院プログラムを作る際に、グローバルリーダー養成というのが大学側からすると補助金を取る1つのツールにはなっているわけです。その場合、必ず1年間ぐらいインターンシップで、国際機関に行くというプログラムを入れているという大学院も幾つかあると思います。やはり、そういう意味での大学単位のバックアップにとどまらない協力体制がないと、そこでキャリアを遂げていくようなことの準備を1年間のインターンシップでやるというのは、結構難しいという印象があるものですから、大学の運営からすると、そういうグローバルリーダー養成というものが、大学経営が戦略的に成立するためには、出口の確保というものが、今のところ大学責任な感じになっています。事実上、大学は責任を取らないのです。そういう面も含めて、かなり組織的に日本の大学のグレードアップも含めると、こういう形でのバックアップがインターンシップの確保の上であると、すごく効果的なのではないかなと思います。個人的なことも触れましたが、ちょっと期待したいということだけ付け足します。

 

○山田委員

 今の委員の御発言に関連してなのですが、実務経験も求められるとなると、大学院と実務経験と両方が必要なのです。そうすると、実務経験、特に政策系であれば、どこがそれをトレーニングするかということがあります。ひょっとしたら、こちらのほうで実務を経験して更に修士号を持ってからというようなことをすると、かなり国際機関側からすると、学問も積んでいるし実務もやっているという方になると思うので、何かしらの仕組みが必要だなと、今後、もし職員を増やしていくのであれば必要だなと思いました。

 もう1つは、既に完成された人を採用するというのは異動コストがあって、それは難しいと思うので、割とあるのが12年の、研究者としてだとミドルよりはちょっと若手だと在外研究などがありますので、そういう人たちをうまくすくって、12年入れると、学者としては完成されていますし、また、もしうまくいかなかったとしても、戻る場所があるので、結構パワーになるのではないかなと思います。実際、私の同僚たちも国際機関に訪問しながら、仕事をしていたという人たちを聞き及びますので、ちょっと目標が違うかもしれませんが、そういうことがあるということだけコメントさせていただければと思います。

 

○菊池座長

 ほかにはよろしいでしょうか。私もちょっと、自分の限られた経験からですけれども、今、お二方の先生からありましたが、私の所属する早稲田の法学部でも、やはり国際機関に就職したいと言っている人が一定数いるのです。国際法を専攻して、だけど結局、日本の大学院に行ってもしょうがないよねという話になるわけです。そうすると、多分、外国に行くのがいいのだろうと。アメリカだったらジョージタウン、イギリスだったらエセックスなど、そういう定評のある所に。結局、若手が国際機関で働くためのキャリアプランというのは、多分ちゃんとしたものが日本にないということなのです。WHOは医療保健職があって、これは独特の養成システムがあるので、例えば東大の有名な先生方がいらして、ハーバードと非常に密接な関係があって、若手を向こうに送り込んでなどです。そこからWHOへのようなルートがあるようなのですけれども、文系の学生などは余りそういうルートは、明確なものはない。

 そうすると、そういう若い人のニーズはあるのだけれども、しっかりそれを国内でキャリアプランを作ってあげるようなものを見せてあげられないというのがあって、だから、それをどうするか、これは教育に関わる話なのですよね。日本でもしそういうしっかりした人材を送り込みたいのであれば、例えば政策研究大学院大学みたいな所で、国としてしっかりそういう人材を養成して送り込んでいくという、そういうものを作っていかないと、なかなか差を埋めるということは、そうそう簡単ではないというのが私の印象です。

 ですので、ちょっとこうやって増えるかというのは、なかなか厳しい、難しいと思うのですが、そういう視点を持って、先ほど山田委員からの、若手研究者をキャリアのステップとして12年送り込むというのもあり得ると思います。その辺も含めて、是非、お考えいただきたいと。日本の若い学生、院生レベルでも、確実にそういうニーズはあるので、ただ、それが彼らが一体どうやっていいのかというのが見えないのです。日本国内で、どこでどうすればいいのかというのも見えない。では海外にするとどうなるのか、日本に帰ってきてそのキャリアがいかせるのかというのも、全く分からない。多分、海外の大学院でPHDを取って日本に帰ってきても、それをいかせる場所も明確には用意されていないのですよね。そういう結構深い問題だという認識を持っていただきたいと、私からのコメントです。よろしいでしょうか。

 

○説明者

 一言だけ、すみません、今日、政策評価の場ですが、非常に我々にとって大事な御提言、御意見を頂きまして、有用だと思っています。厚生労働省主体で、できることをやろうと思っていますし、特に国際保健の関係については予算事業をやっていますので、大学との連携等を通じて、強化したいと思っています。また、例えばILOであれば駐日事務所がありますので、駐日事務所に大学との連携を更にしっかり強めるように伝えたいと思います。なかなか厚労省だけでできないところもあるので、外務省に国際機関人事センターがありますので、今日頂いた御指摘も紹介しながら連携を深めていきたいと思っています。ありがとうございました。

 

○菊池座長

 ありがとうございました。それでは担当課におかれましては、本日の御議論を踏まえ必要に応じて実績評価書への反映をお願いいたします。どうも御苦労様でした。それでは、次のテーマに移りたいと思います。

(メインテーブル交替)

 

○菊池座長

 施策番号13-1-1「国立感染症研究所など国立試験研究機関の適正かつ効果的な運営を確保すること」について、10分程度で御説明をお願いします。

 

○説明者

 大臣官房厚生科学課長の佐々木です。よろしくお願いします。私からは、資料3-1に基づいて3点御説明します。1点目は、何が今回御評価いただく対象になっているのか。2つ目は、その評価対象はどのようなことをしているのか。そして3つ目が、どう評価をしていきたいと考えているのかの3点です。

 1点目の、何が、どこが評価対象かです。3-1の上から2つ目、施策の概要を御覧ください。ほかの政策評価とちょっと毛色が違うのが、厚生労働省が直接する施策というよりは、ここに書いております1から4までの4つの国の研究機関等を通じて、国民に対して施策を講じている点かと思います。今、申し上げた4つの研究所とは、1番、国立医薬品食品衛生研究所、よく国衛研と略されたり、かつては衛研、衛試と呼ばれていた所です。2つ目が、国立保健医療科学院。これは合併してできた組織でして、かつては公衆衛生院とか、あとGHQ時代の名残りの国立病院管理研究所、この2つが統合してできた組織です。3つ目は、国立社会保障・人口問題研究所。これも、人口問題研究所と特殊法人社会保障研究所が合併してできた組織です。そして最後4つ目が、国立感染症研究所。よく感染研とか呼ばれる所で、古くは伝研と呼ばれていた所が分離されて独立して予研、予防研究所としてできた組織です。

 この4つの組織に対して、2点目、では、この4つの組織はどのようなことをしているかです。3-1の真ん中よりちょっと上の「施策実現のための背景・課題」ですとか、その下にある「各課題に対応した達成目標」、これに対応させて御説明したいと思います。まず1つ目の組織である国立医薬品食品衛生研究所、国衛研です。背景・課題の所の1にありますとおり、一言で申し上げますと、医薬品、食品、化学物質といった、口に入るもの、体に入れるもの、薬とか食べ物ですから、そういった口に入るもの、体に入れるものに対して、これを、公平・中立に人への影響について科学的に正しく評価する必要がある。それに対して、下のほうですが、各課題に対応した達成目標にありますが、目標の1、課題1に書いているとおり、具体的に体に入れるもの、口に入れるものに対して、正しく影響評価をしているのか。そのための試験、研究、調査をしているのか。それだけではなくて、その結果が広く社会に提供される。例えば規制。薬品についても、食品の添加物、また残留農薬についても規制をしますので、その規制の根拠として、正しく国民のために使われているのか、これが何をしているのかにつながります。

 2つ目の保健医療科学院です。これは上の背景・課題にありますとおり2番です。2行目になりますが、「が求められており」の後ろの「自治体職員に対する研修等」。これは何かと言うと、今の時代、例えば医療政策とかは都道府県知事が行う事務となっています。よく厚労省がと言われていますが、権限そのものはほとんど今、都道府県業務になっています。となると、自治体職員が、政策を理解し行政権限を正しく行使するためには、ここでの研修が不可欠となります。なぜならば、都道府県職員も2年ぐらいで、衛生部門から農林部門、土木部門に行ったりしていますので、より早く自治体職員に政策を実施できる能力を身に付けていただく必要があります。ですので、その下にあります、各課題に対応した達成目標の2番にもありますとおり、今、申し上げた人の養成、専門的な教育が正しく行われている、このことが評価すべき対象になるかと思っています。

 3つ目、社会保障・人口問題研究所です。上の背景・課題にありますとおり、一言で申しますと、社会保障の政策の根幹となるデータ。社会保障ですから、年金もあれば介護も含めてです。その中には、人口の将来推計も必要になります。こういったものが、繰り返しになりますが、適正に推計されないことには年金等の推計が変わってきてしまいます。政策そのものの信頼性が揺らいでしまいます。ですので、こうした社会保障分野に関するエビデンス作り、データ提供が必要になります。真ん中より下の達成目標の3番についても、今、申し上げたようなことが、国民の福祉の向上に寄与するための必要なデータが正しく作られているのか、これが評価の対象になるべきものと思っております。

 最後4つ目、感染症研究所です。真ん中よりちょっと上、背景・課題の4番、西アフリカにおけるエボラ出血熱。これはちょうど昨日未明、WHOがエボラ出血熱の緊急事態宣言を行いました。この緊急事態宣言が出ていたときに、厚労省本省は、政策としては、例えば海外渡航者、アフリカへの渡航者への情報提供をしますが、それが医学的、科学的にどのようなリスクがあるか。ですから、海外渡航をする際には気を付けなければいけないのか。これを迅速に情報共有するためには、感染研の職員に専従的にやってもらう必要がある。正直言って、これによって論文を書いても、いつも起きているわけではないので論文にはならない。ですので、言い方は失礼ですが、大学等とかだとなかなか手が出しにくい分野ですので、これは国の研究所としてやっていく必要があることになります。真ん中より下の達成目標の4番にも、今申し上げた、危機管理的に起きるものもそうですし、例えば麻しん・風しん、これもこの春から夏にかけて話題になりました。毎年毎年の流行をちゃんとサーベイしていく。そのことも含めて、常時のもの、また更に危機管理的なものも含めて、感染研によって科学的な分析を求めていくことになります。

 今申し上げた4つの研究所に対して、御説明事項の3点目、どう評価したかは次のページを御覧ください。一番上、予算について触れます。実は、5年前の前回のときに、いろいろ当時のここのポジションも説明したのですが、そうは言っても予算が削られているではないかという指摘を座長、委員の先生方から頂いたものでした。その後5年間、ここにあるとおり、お陰様で予算については、一定額増加傾向の確保ができているところです。その上でどう評価したかの御説明をしたいと思います。まず達成目標1、つまり国立衛生研究所、国衛研、国立医薬品食品研究所ですが、どのような評価をしたかで申し上げますと、今申し上げたとおり結構、政策対象となるものが組織管理上広くわたります。ですので、目標値の設定に外部評価を入れる。しかも、外部評価を入れると、言い方ですが、お手盛り評価ではないかという指摘もありますので、それはきちんとこういう評価をしたというのをホームページに公表する。これによって、外部評価の更に外の目が入る仕組みを講じた上で、外部評価の5点満点の平均値、これを3.5点以上ということで目標値を設定しました。

 1つ目の国衛研については、平成30年度のがまだ評価途上ということもあって記載されておりませんが、目標の3.5に対して、基本的には4点以上のスコアを頂いていることになります。2つ目の保健医療科学院です。達成目標2についても、これも同様に4点以上のスコアを毎年頂いていることになります。3つ目の社会保障・人口問題研究所、社人研についても4点以上のスコアを頂いていることになります。4つ目、感染研についても、これも4点以上のスコアを頂いていることになります。ただ、これだけだと、当然ながら全体評価であって、では、どこをもっと伸ばすべきか、どこはもう少し頑張るべきかということのめりはりが付きません。そういったことも含めて、さらにその次のページです。

 まず、判定結果そのものをした上で、判定理由は先ほどの3.5以上ですが、ポイントになるのは、その下の施策の分析。今申し上げた全体評価はいいけれども、個別の評価がちゃんとできているかということになります。その点では、有効性の評価の所にも3点記載しております。時間の関係があるので個別には読みませんが、有効性の視点からの評価についても、個々の施策まで落とした上で行っているところです。また、効率性についても、国民に影響が大きいものに対して、ある意味で唯一行える機関だからといって、当然ながら組織効率も含めて、予算執行効率も含めて、その視点から研究費配分とかも含めて行っているところです。

 以上の上での現状分析を書いて、ここでサマライズをしているわけですが、外部有識者の評価については、この5年間高い評価を頂いているし、施策の有効性、効率性、結構これは、一つ一つの施策をブレークダウンした上でも認めていただいたところです。その上で、マターにありますとおり、それぞれの業務について、では、どう厚生労働省本省が着実に実施していくだけのサポートをしていくのか。なぜならば、これは競争的資金も、今の時代、やはり獲得していきながらやっていく必要がありますので。でも一方で、これはバランスなのです。競争的資金を獲得すれば、言わば本来業務の国の本省予算でやっている部分が、労力的にバランスがその分競争的資金部分に多くなるので、そこのバランス管理も必要になるかと思います。ただ、いずれにせよ、競争的資金も必要に応じて獲得をしていくことになります。その上で3つ目にあるとおり、では予算も取れただけではなくて、ちゃんと要求もするし人を育てていく。人を育てていく点については、組織内だけではなくて、それこそ大学の方とも、ポジションが異動していく中で交流していくことによって、人材養成のミッションも担っていけるものと思っております。

 次のページ、特にここについて、時期については、その都度対応ということで空欄にはしております。参考の所で、それぞれホームページがありますので、多分、ここはワイファイでつながっているので、必要に応じ、それぞれのホームページアドレスを御覧いただければと思っております。私からの説明は以上です。

 

○菊池座長

 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問などお願いします。

 

○山田委員

 非常に分かりやすい御説明を頂きまして、ありがとうございます。2つほどあるのです。1つは質問です。達成目標の1に関する測定指標の1で、平成30年度が入っていなくて、これはほかの所だと集計中とか何か入るのですが、これがどうなっているのかということと、あと2点目は、養成訓練を行っている研究所です。こちらに関しては、単にアウトプットではないアウトカムのような指標で、非常に訓練をよく行っていることが分かりますが、これは私のひょっとしたら思い違いかもしれませんが、ここの測定指標で測られているのは単に研究に関してですか。訓練とか何かについては含められていないということであれば、それも今頂いた御説明で非常に重要な機能であることを改めて理解しましたので、今後の指標として、訓練部分について何か入れるものがあったら御検討いただきたい。今後の施策指標の話の中身としては、技術上困難な生物学的製剤というのは、正に今、エボラの話もありましたので、そちらについてはアウトプットかなという気もするのですが、何らかの指標があると、国民にとっては、開示されたときにどういったことをやっているのかが伝わりやすいのではないかと思いました。以上です。

 

○説明者

 御指摘ありがとうございます。2点のうちの1点目の平成30年度の所は、まず紙での部分で申しますと、資料3-12ページ目の所に補足で、測定指標1の国立医薬品食品衛生研究所、国衛研の平成30年度がブランクになっている理由が、さらりとではありますが書いています。また詳細な説明が必要であれば、この後で説明します。2点目の御指摘の、例えば2番の保健医療科学院の業務であるような、人を育てていく関係。都道府県職員に対して研修を実施する点については、これは確かに、実際に外部評価の際には、その実績を基にして評価を頂いているところです。ただ、ここから先の毎年の目標にするかどうかは、政策課題そのものが、例えば昨今の政府全体の中で問題になっているのは、47都道府県の病院のベッド、これを規制的にやるという地域医療構想というのがあるのですが、これは5年前に法改正ができたので、その年、その翌年については集中的に人材育成をする必要があるので、その間については、言わば研修実施数は受講者数の上ではどっと伸びたりとか、そういうデコボコがどうしても出てきてしまうので、その意味では、アウトカム的に書ければ一番いいのかもしれませんが、政策対応的にやっている。その上で、もしかしたら、政策対応的にやった元の出席率9割以上とかというのは書けるのかもしれませんが、余りそれ自体がどれぐらいの客観性のある評価になるかということもありますので、外部評価のときには参考にしてもらいつつ、実際に数値化的にするものはちょっとしていないと言うか、それのみを大きな柱とはしていないのは、そういう背景があります。

 

○菊池座長

 よろしいでしょうか。ほかにはいかがでしょうか。

 

○平野委員

 評価点は平均値ということだと思うのです。実際の言わば外部競争的な資金の活用も含めて、仮にそれを研究プロジェクトと呼ぶと、プロジェクト数みたいなものがどれぐらいあって、それを増やせばいいという問題で、別に測定指標に入れるべきだとかということを言うつもりは全然ないのですが、こういう指標を出されるときに、少しやはり、プロジェクトの数みたいなものは一般的にあったほうがいいのではないかということが、まず1つです。それは単純な話なので、今後そのようなことをちょっと入れていただけたらということと、逆に言うと、動向によって毎年度新しく付け加わっていく部分が当然あろうかと思いますし、系統的にずっとその研究を続けることもあろうかと思うので、新規でこれぐらいの件数が追加されてくる、あるいは、この研究については継続的にずっと行くとか、何かちょっとプロジェクトの動態としてどのような感じなのかというのを、補強みたいなものを入れていただくといいかという感じを1つ持っています。

 それで、もう一点は、こういう研究所の場合、特に社会保障・人口問題研究所は、割に政策判断をされるときによく用いられるデータがあるかと思うのです。一般的なそういうデータはいいと思うのですが、今言った、あるプロジェクト研究みたいなものがあって、それがある政策の判断に非常に用いられたとか影響を与えたみたいな、政策判断において少しいい面、悪い面があるかもしれませんが、やはり政策へのコミットメントと言うか、そういうことが一体どれぐらいあるプロジェクトによって生み出されていくのかが分かると、こういう研究所の研究の、先ほどの予算の削減の話も最初ありましたが、何かイメージが湧くかと思って。ちょっとこれは余り具体的にこういうことを提案できればという提案にはなっていないのですが、感想として述べさせていただきました。

 

○説明者

 あえてコメントさせていただきます。1点目も2点目もありがとうございます。確かに、ある意味で、学問の世界ではちゃんとNを書くことは必要なことですし、またトレンドが分かる。実際、こういう動向に対してこうなったと。3つ目の御指摘の、言い方ですが、政策の紐付けです。これは確かに、外部評価の際にもそうですが、それに加えて、更に国民に対してこういうことをやっているのだという意味でも、N、トレンド、紐付け、これをできるだけ、評価の場のみならず発信をする点でも心掛けるようにしたいと思います。御指摘ありがとうございました。

 

○菊池座長

 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 

○山田委員

 よろしいですか。すみません、私の最初の質問で、達成目標1の平成30年度が入っていない理由というのは、ごめんなさい、今、ぱらぱらめくっていたのですが、どこにさらっと書いてあるのでしょうか。資料3-2の。

 

○説明者

 総合判定の補足の測定指標です。3-12枚目でした。3-2と聞こえてしまって、すみません。

 

○山田委員

 これはちょっと注で、こちら側に入れておいたほうがいいと思います。もしそういうことであれば。

 

○説明者

 分かりました。

 

○山田委員

 ただ、何の評価も行わなかったということですか、この平成30年度は、この期間は。何か毎年やっているようなイメージがありますが、どの機関も。

 

○説明者

 申し訳ございません。平成30年度については、国衛研は機関評価は実施しております。この機関評価を行った以外の年については、それぞれ研究部が評価を行うという形でやっております。

 

○山田委員

 括弧して、機関評価の結果も5点満点ですか。

 

○説明者

 そうです。

 

○山田委員

 そうだとしたら、何かちょっと括弧書きで、※で機関評価と。必ず集計中かどちらかで、これだと何もなかったと取られると変な誤解を生みますので、見せ方の問題ですが、そういった工夫をしていただければと思います。

 

○説明者

 ありがとうございます。すみません。

 

○菊池座長

 それでは、事務局におかれましては、ただいまの委員からの意見、特に最後の山田委員からの御指摘は、直接、示し方に関わってくると思いますので、それを踏まえた実績評価書への反映をお願いします。どうも御苦労様でした。

 

○説明者

 ありがとうございました。

 

○菊池座長

 それでは議事の2つ目、その他でございます。事務局より報告事項があるということですので、よろしくお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 最後になりましたが、事務局より前回の有識者会議、平成313月に実施いたしました政策評価に関する有識者会議で頂いた御指摘事項への対応状況について、参考資料5という形で整理表にして取りまとめておりますので御報告させていただきます。また、今回は福祉・年金WGではございますが、福祉・年金WGの先生から御指摘が出たものについては、他のWGの施策についても御紹介させていただこうと思います。

 参考資料51ページ目、施策番号1-1-2、一番上のセルでございます。病床機能の分化・連携に関するものに関して、全く指標を定めていないという御指摘がありました。これにつきましては、別途、新たに指標を設定することにいたしました。具体的な指標の内容につきましては、右に書いてあります。時間の関係で読み上げることは省きます。

 もう一件、介護医療院の創設に関して、何かこれに関する指標を設定するべきではないかという御意見を頂きました。これにつきましては、病床機能の分化・連携で別途指標を設定する関係で、指標の設定はしないという対応をしております。

 続きましてそのすぐ下、認知症対応型グループホームに関する指標設定はどのようになっていますかという御質問に対してです。これにつきましては、施策目標1-1-2ではなく、別の地域包括ケアシステムの構築で介護のほうにも施策目標を掲げているのですが、そちらのほうでグループホームを含めた地域密着型サービス事業所について既に指標を設定しているという回答でございます。

 続きまして、必要な生活支援・介護予防サービスの関係です。こちらにつきまして、個別ケースを扱う地域ケア会議に加え、地域の課題について話し合うような地域ケア推進会議に関しても何らかの測定指標を追加すべきという御意見を頂きました。これに関しましては、地域課題を検討する地域ケア会議を実施しております市町村数を指標として設定させていただくこととしました。

 続きまして、生活支援・介護予防サービスというように2つを謳っておりますが、生活支援に関する指標が特になかったので、これに関する指標を設定すべきという御指摘がございました。これにつきましては介護予防・日常生活総合支援事業というものがございますが、この中で実施をしております事業所数を指標として設定するという対応でございます。

 2ページ目の一番最後、薬物の再乱用の関係の防止で、これに関する指標を入れるべきではないかという御意見がございました。これにつきましては実際、令和元年度より新たな予算事業を開始しておりますので、これに関する指標を設定させていただきます。

 しばらく飛びますが、ページ数で行きますと6ページ、障害福祉の関係です。ここは幾つか御意見を頂いておりました。まず1番目、障害児の支援の提供体制ですが、こちらについては供給サイドから見た目標値の設定ではなく需要サイド、例えば障害児を抱えた御家庭から車で30分以内の箇所にというような形で、各市町村に1か所以上というような形ではなく、需要サイドから見た目標の設定が必要という御指摘がございました。これにつきましては引き続き検討ということです。

 続きまして9-1-1、施策目標に関する事前分析表を障害福祉計画の記載内容についてほぼなぞるような形で書かせていただいておりましたが、そうではないものについても設置してよいのではないか。具体的には、障害者就業・生活支援センター事業の相談件数を測定指標として設定してほしいという御意見がございましたが、こちらについても引き続き検討ということでございます。また、障害福祉の人材確保につきましても引き続き検討ということです。

 7ページを御覧ください。精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築の所で、実際に1年以上の長期入院患者数を減らすことを目標としておりましたが、それだけでは退院されたあと、地域でどのような受け皿があるのかということが不明瞭だということで、別途指標の設定をということでした。これにつきましては保健や医療など、福祉関係者による協議の場というものがございますので、そういうものを各市町村に設置することを目標として定めておりますことから、新たな指標を設定するということで対応させていただきます。

 残り2つ、達成目標の1の部分は障害者の地域生活を総合的に支援するという書きぶりであったかと思うのですが、この中には論点として、地域生活への移行という部分と地域での自立した生活を支援するための拠点の整備、実際に経済的な自立という意味での就労支援という複数の要素が入っておりましたので、ここは要素が3つに分けられるのではないか。3つ若しくは2つに分けられるべきではないかという御指摘でした。これについても引き続き検討ということです。

 最後は工賃の話です。前年度よりも上回るというような形ではなく、工賃倍増計画等々を踏まえ、もう少し具体的な指標を設定できないかということでしたが、景気の変動等もございますので、こちらについては対応困難ということでした。

 最後に福祉サービスの質の向上の所です。これは昨年の7月、8月に実績評価書を御議論いただいた際に指摘を頂いたものについて、これまでもやり取りを重ねている部分でございます。介護の質を測る指標として、これまでは基金を利用して人材の資質向上のための取組をしている都道府県数47ということで目標を立てておりましたが、前回の御指摘も踏まえまして今回、一般の介護従事者に比べてという意味で、介護福祉士の資格を持たれた従業者数を新たに測定指標として設定させていただきました。資格があるので、一般の方より質の高いケアが実施されるのではないかということで、このようなものを指標として設定したいということです。時間の関係で早口になりました、すみません。よろしくお願いいたします。

 

○菊池座長

 ありがとうございました。ただいまの報告につきまして、御意見、御質問などございませんでしょうか。

 

○平野委員

 1ページ目、私が発言した対応の所で地域課題を検討する、厳密に言うと地域ケア推進会議は、ここで地域ケア会議というのは総称で用いられたという意味ですか。1ページ目の下から2段目の対応で、地域課題を検討する地域ケア会議になっているのですが、厳密には地域ケア推進会議という名称が一応あるのですけれども、それが下の注になっていると思うのですが。

 

○政策評価官室長補佐

 ここは「地域ケア推進会議」の間違いだと思います。失礼しました。

 

○山田委員

 事務局にお伺いしたいのですが、引き続き検討となっているのはいつ頃まで、要するに対応困難と対応というのがちゃんと分かってくるのでしょうか。いつ頃を目途に、引き続き検討が対応か対応困難かに分かれるのでしょうか。

 

○政策評価官室長補佐

 対応する場合には、実際には事前分析表というものを毎年度各局で作成しているのですが、その中で実際に指標の追加ということをしております。今回、引き続き検討としたものにつきましては今年度、令和元年度の事前分析表の公表を8月末目途を予定しておりますが、その中では対応は難しいだろう。ただ、今後、引き続き検討していきたいというものです。ただ、それがいつ形となって事前分析表に現れるかというのは、恐らくそれぞれ事情が異なるのかなと。対応困難と明確に書いているものは今後、事前分析表をずっと見ていても、それは出てこないという意味だと思います。簡単に言えばそういうことだと思います。

 

○山田委員

 引き続き検討とは、8月までは要するに対応困難と同じ意味だということですか。

 

○政策評価官室長補佐

 おっしゃるとおりでございます。

 

○山田委員

 分かりました。

 

○菊池座長

 ほかにはいかがでしょうか。

 

○岩崎委員

 6ページの私が質問させていただいた所ですけれども、それも引き続き検討ということになっています。常に福祉人材というように語られるのは高齢者の介護人材が中心で、指標としてもそのような表記になっているわけです。是非、障害福祉サービス等についても高齢者に準ずるような処遇改善が行われている、あるいは今年の10月からもそれが追加されることももちろん承知はしているのですが、それに対して目標は難しくても、実際にこのぐらいの実績があったということに関して表記をしていただくとか、そのようなことというのは可能なのでしょうか。

 

○説明者

 ありがとうございます、障害福祉課のヨネザワと申します。実績を表記するということは、事前分析表の中に実質的部分だけを表記するということですか。

 

○政策評価官室長補佐

 はい、事前分析表の指標には、測定指標と参考指標という2種類がございまして、測定指標は目標値まで書いて実績値を毎年書いて、目標と実績を比べていくというものなのですが、参考指標であれば実績値のように毎年書くという指標でございます。

 

○説明者

 そういう仕切りであれば、10月からの処遇改定につきましては、正にどのような実績指標が適当なのかというところは、すみません、今、すぐに答えを持ち合わせておりませんで恐縮でございますけれども、どのような指標が適当かを考え、もし実績のほうに載せるものがあるようであれば、8月には間に合わないかもしれないですが、次のタイミングで何らか載せられないかということは検討させていただきたいと思います。

 

○岩崎委員

 ありがとうございます。

 

 

○菊池座長

 ほかにはいかがでしょうか。

 

○山田委員

 どれぐらい時間が残っているかにもよるのですが、まず対応をいろいろと御検討いただきましてありがとうございます。その上で幾つか、やはり気になる点がございます。1ページから参りますと、1-1-2で対応ということになっていますけれども、1-1-21つ目、これはやはり病床の類型ごとに減ったか増えたか、減らすべきところは減らさなくてはいけないので、増減全部足し合わせたものではなく、類型別に出していただくという形で対応を頂きたいなというのが1つあります。

 今度は11-1-21ページの一番下に行きますけれども、事業所数を指標として設定するということなのですが、いろいろなサービスがあるので、やはりいろいろなサービスごとに利用実績のようなものは見せていただきたいなというのが1つです。

 7ページに飛びます。8-1-2の直前に書かれているもので、障害者の地域生活を総合的に支援するということなのですが、平均工賃月額の指標については対応困難となっていますけれども、労災でも全く同じように景気変動によっていろいろ変わります。そういった注釈を付けながら、これは必ず対応していただきたいと思います。景気変動は分かりますけれども、それは労災についても全く同じことですので。だからといって労災を載せていないということではないので、これは対応困難となっていますが、是非とも入れていただければなと思います。

 一番最後、8-2-1なのですが、介護福祉士従事者ですけれども、これは単に数値ではなくて比率でも出していただければと思います。どれぐらい割合として高まっているかも1つの重要な指標になりますので、そちらも入れていただきたいなと思います。私からは以上です。

 

○菊池座長

 いかがでしょうか。この場で何らかの御回答を頂けるのであれば御発言いただきますし、対応困難に対する御意見もありましたので、それは持ち帰っていただいて、また御検討いただくということもあるかと思います。この場で何らかの御返答を頂ける方がおられたらお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 ちょっと時間の関係もありますので、1回先生方の意見を全部聞いたほうがよろしいかと思いますので、あとで事務局でまとめます。何か特段ありますかね、ないようであれば事務局で。

 

○説明者

 医政局地域医療計画課のイタイと申します。先ほど、病床の関係で御指摘を頂きました。地域医療構想の指標に関してなのですが、おそらく医療機能ごとに病床を4機能に分けて、それぞれ数字を並べて評価したらどうかという御指摘だと思います。

 こちらに関して、今問題とされているのは、確かに病床数全体の縮減ですが、実際は高度急性期、急性期、回復期という3つの機能があるのですが、実はこれらの機能を全部足し合わせるとおよそ90万床で、2025年の地域医療構想の実現の数字もおよそ90万床となっています。

 実は何が問題かというと、高度急性期、急性期が大体70万床ほどありまして、一方で回復期がおよそ20万床、2025年の地域医療構想の必要量としては高度急性期、急性期が53万床、回復期が37万床となっています。要するに、高度急性期から回復期への転換というところが、これからどんどん促進していくべきではないかということにはなっています。4機能を並べますと、高度急性期、急性期から回復期に出るほうと入るほうで、同じ事象を2つの指標で評価するという形になってしまうので、こちらに関してはやり方はいろいろあると思うのですが、今後検討かなと思います。

 今後の施策の方向性としては今、マクロの議論というよりも個別に重点化して、それぞれの地域の問題にどう携わっていくかというところを今、国としても対応を考えているところですので、そういう対応を踏まえてどういった指標を設定すべきかということは、今後検討させていただければと思います。

 

○菊池座長

 その他の点については所管課も来ていただいているでしょうし、事務局もお聞きいただいた上で一旦、また持ち帰っていただくという扱いでいいですか。

 

○政策評価官室長補佐

 はい。

 

○菊池座長

 それから、引き続き検討をどうするかについては、事務局を交えて引き続き検討ということで、引き続き検討にもいろいろな性格のものがありそうなので、これで対応はおしまいということなのか、また次期に向けて検討しますというお話もあったので、そこはまた事務局のほうで押さえておいてということになるのか。

 

○政策評価官室長補佐

 今の先生方からの御指摘を踏まえて、これまで引き続き検討というものについては、次回の会議で御報告しているものとしていないものがあったかと思います。今回、やはり引き続き検討がちょっと多めではありましたので、次回の会議はちょうど年度末でございますので時間も開きます。その時に再度、検討の進捗状況を御報告させていただいたほうが今の御議論を踏まえてよいのかなと考えております。事務局で関係課と調整して、引き続きの検討状況について御報告させていただくということでよろしいでしょうか。

 

○菊池座長

 よろしいですか。そのほうが各委員の皆様の発言がその後、どう反映されたのかどうなのかということにお答えすることにもなると思います。

 

○政策評価官室長補佐

 対応困難なり対応と区分したものにつきましても、今出された御意見を踏まえ、疑義があった部分については再度、令和23月、年度末の会議で御報告させていただく対応になるかと思います。

 

○菊池座長

 それでは、よろしければ、そろそろ時間が参りましたので。

 

○藤森委員

 最後に申し訳ありません。7ページで「対応」になっている所で、精神障害の長期入院患者数を減少させるという目標なのですが、前回、受け皿や支援体制の整備も目標に挙げる必要があるのではないかということを申し上げました。それに対して、「対応」が保健・医療・福祉関係者による協議の場を目標にして設置するとなっています。これも目標として、1つあってもいいと思うのですが、やはり受け皿や支援体制の整備というものを目標の中に入れるべきではないかと思っています。これだけ付け加えさせていただきます。

 

○菊池座長

 今の点も受け止めていただけるということですか。

 

○政策評価官室長補佐

 はい。今の点も含めまして、来月末に公表する令和元年版の事前分析表での反映というのはちょっと時間的に難しい部分もあるのですが、今年度末までに検討状況を報告させていただきたいと思います。

 

○菊池座長

 よろしくお願いいたします。最後、早足になってしまいまして、申し訳ございませんでした。本日は誠に有意義な御審議、御議論を頂きまして、ありがとうございました。それでは、事務局より今後の取扱いなどについて御説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 本日は誠に活発な御議論をありがとうございました。本日頂いた御意見の取扱いですが、まず実績評価書の記載に関する御指摘につきましては、担当課において必要な修正をするとともに、評価書の学識経験を有する者の知見の活用欄に反映状況を記入させていただきます。

 また、この会議の場でお伝えできなかった事項等がございましたら、726()までに事務局まで御連絡ください。実績評価書につきましては政策評価官室で取りまとめの上、総務省への通知及び厚生労働省ホームページでの公表手続を進めさせていただきます。また、併せて皆様にも最終版を送付させていただきます。

 

○菊池座長

 今日はこれで終了とさせていただきます。どうも御苦労様でした。ありがとうございました。

 

                                                                                                   (了)