2019年7月8日 第8回政策評価に関する有識者会議 医療・衛生WG 議事録

日時

令和元年7月8日(月)9:57~11:43

場所

中央労働委員会講堂(7階)

出席者

印南座長、井深委員、大西委員、河北委員、宮崎委員

議事

 

○政策評価官室長補佐

 おはようございます。定刻より少し前ですが、皆様おそろいですので、ただいまから第8回政策評価に関する有識者会議医療・衛生WGを開催いたします。政策評価の担当をしております肥沼です。どうぞよろしくお願いします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日の会議では、事前に御案内したとおりペーパーレスとして、タブレットでの会議とさせていただきます。資料となるファイルは、「マイプライベートファイル」に格納されています。

 それでは、本日の議事進行につきましては、印南座長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 

○印南座長

 おはようございます。本日は議事次第にありますように、5つのテーマの実績評価()について、委員の皆様に御議論いただきます。なお、本田委員におかれましては、都合により御欠席ということです。

 それでは、配布資料及び令和元年度に実施する政策評価の進め方について、事務局より説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 議事の進め方について、説明させていただきます。ファイル01の議事次第を御覧ください。本日は議事にあります(1)15の順番で、テーマごとに担当課の入替を行い、御議論いただきます。1テーマごとの時間については約20分程度とし、まず担当課より約5分程度で説明を行い、その後約15分程度で御議論を頂くということで、進めさせていただければと思います。

 今回は実績評価書を議題としておりますので、「測定指標の実績値」「評価結果と今後の方向性」を中心に御意見を頂ければと存じます。事務局からは以上です。

 

○印南座長

 それでは1つ目のテーマ、施策番号1-3-2、医療安全確保対策の推進を図ることについて、担当課から5分程度で説明をお願いします。

 

○説明者

 おはようございます、よろしくお願いします。医政局の医療安全推進室の渡邉と申します。お手元の資料1-1、並びに資料1-2を御覧ください。まずは資料1-1の実績評価書を基に説明させていただきます。

 医療安全対策は、医療を提供する体制の確保を図り、もって国民の健康の保持に寄与することを目的とした医療法におきまして、法第6条の9から法第6条の27から成ります、第3章「医療の安全の確保」の第1節「医療の安全の確保のための措置」として区分されていまして、国及び都道府県等が行う医療提供体制の確保において、重要な位置付けとされているところです。

 資料の基本目標の1に書いてありますが、「安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること」ということが大きな目標となります。達成目標としては、医療安全確保のための体制整備、それから、医療事故の収集・分析による発生予防・再発防止、そうした2つの柱がありますが、目標を達成するための8つの測定指標について、説明させていただきます。

 指標の1は医療安全対策加算と申しまして、これは診療報酬上の加算です。医療安全対策に関する適切な研修を終了しました、専従又は専任の看護師、薬剤師等を専門の医療安全管理部門に配置していること等が要件となっています。こうした医療安全対策加算の届出医療機関の割合を、指標の1としています。

 例年、この届出医療機関の割合につきましては、中医協にて秋頃に公表される資料を基に策定しておりますので、平成30年度の実績については集計中となりますが、実績値で御確認いただきますように、平成26年から平成29年まで、着実に目標を達成しています。

 続きまして指標の2です。医療安全支援センターにつきましては、医療法第6条の13の規定によりまして、患者さん、家族の方々からの、医療に対する苦情や相談に対応して、必要に応じて医療機関の管理者に助言することが求められており、医療安全支援センターで受け付けた相談件数を指標としています。なお、センターの設置に当たりましては、都道府県及び保健所設置市、並びに特別区に努力義務として課されていまして、平成29年、平成30年の相談件数は一部集計中となりますが、平成26年から平成28年に関しまして、10万件近くの相談を受け付けているという状況で、こちらも目標を達成していると考えています。

 指標の3ですが、院内感染対策講習会受講者に占める初回受講者の割合を設定させていただいております。医療機関においては、最新の科学的知見に基づいた、適切な院内感染対策の実施が求められており、医療機関全体として取り組むことが重要です。平成29年度が80.5%、平成30年度が77%となり、前年度を下回っている状況ですが、実情としましては、院内感染対策の講習会は、受講希望者が実際の受講者数を上回っており、受講者の取捨選択を行わなければいけない状況です。その取捨選択におきまして、初回受講者の方々に受けていただくことも、もちろん大事と考えておりますが、地域におきましては指導者の立場、そうした方々を優先して受けていただく場面もありますので、この初回受講者の割合という点では、目標を下回ったと評価しています。

 指標の4です。こちらは医療法第25条第1項の規定に基づきまして、都道府県等が実施する立入検査の実施状況、検査項目の遵守率を把握しており、平成29年度、平成30年度は現在集計中です。直近3年間において、目標を達成していると考えております。

 次のページにまいります。指標の5は医療事故情報収集等事業のWebアクセス数となります。この事業は、医療事故の発生予防、再発防止のためには、医療機関自らが分析・検証した情報を、医療法施行規則第12条に基づきまして、登録分析機関、こちらは医療機能評価機構にお願いしておりますが、そちらのほうで収集・分析いただいて、医療機関等にフィードバック、情報提供を行うというものです。平成30年度は集計中ですが、平成29年度にはアクセス数が急増しておりまして、こちらはスマホにも対応できるような改修をしていただいたと承知しており目標を達成したと考えております。

 指標の6ですが、産科医療補償制度は平成21年の1月から、安心して産科医療を受けられる環境整備の一環としまして、分娩に関連して発症した重度脳性麻痺児に対する救済及び紛争の早期解決を図ることを目的として、また、原因分析を通じて産科医療の質の向上を図ることを目的として、創設されております。この制度の再発防止に関する分析件数を指標としており、この分析件数は増加傾向にあり、指標は達成していると評価しております。

 目標達成度合については目標を達成しているという項目が多くありますので、目標達成はAと考えております。御審査のほど、どうぞよろしくお願いします。

 

○印南座長

 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等がありましたらお願いします。

 

○河北委員

 今、指標の中で、私が関係している公益財団法人日本医療機能評価機構の役割が結構大きいなと思っていますが、例えば医療事故情報収集等事業のアクセス件数は非常に増えてきているのですが、その中でも事例検索、あるいは医療安全情報、報告書年報と分けて見ると、それぞれが増えてきているということで、ただ単にアクセスをしていただいているだけではなくて、アクセスの内容がしっかりとした、対象を考えてアクセスをしていただいているということで、非常に良い事業に育ってきたのではないかと思っています。

 それから、産科医療補償制度の数字ですが、これは平成21年から始まった事業なのですが、平成21年から平成23年までですか、この審査の対象になっている子供の数が確定して、それで補償対象になっている子供たちの分析を主にしていますが、ここに出ている数字と、確定している数字というのは大分違うのですが、今まで我々、この事業を作ったときに、大体500800人くらいの脳性麻痺の子供を想定していましたが、大体360から一番多いときで400を超えるくらいの数の子供の認定をしました。それは想定していたよりもかなり低くなってきていて、それで原因分析をすることによって再発防止につなげて、この事業というのは国際的に非常に認められた事業で、これだけ制度化した制度というのは、今は世界各国の中で日本しかないということなので、世界各国からも注目を浴びています。そういう意味では、この産科医療補償制度の更なる充実をしていかなければいけないと考えていて、非常に厚労省からも応援をしていただいて、有り難いなと思っています。

 ただ、1つだけ今回我々が考えているのは、審査の対象になる、審査の基準が、一般審査と個別審査で違うということがありまして、2,400g以上、28週以上で生まれた子供に関しては、一般審査でほとんど全て、除外項目を除けば審査の対象として認定をするのですが、個別審査に関しては、その以下の子供たちは、一般審査で通るような子供たちも、個別審査で落ちてしまうということがあるので、そこの見直しをしていくということで、この原因分析、再発防止は非常に役に立っていると思っています。本当にありがとうございます。

 

○説明者

 ありがとうございました。委員から御指摘を頂きました、医療事故情報収集等事業のアクセス数ですが、スマホにも対応するという工夫をしていただいたおかげで、アクセス数は急増しております。公開データの検索や医療安全情報、年度ごとの報告書、いずれのページにもアクセスいただいておりますし、医療機関からも大変有用だというお声を聞いておりますので、私たちとしましても評価機構の皆さんと一緒になって、今後もこの事業を支えてまいりたいと考えています。

 もう一点の産科医療補償制度につきましては御指摘のように平成21年の1月から、産科医療提供体制の崩壊等、いろいろな問題がある中で始まった制度です。満5歳の誕生日まで申請できますので、数字確定まで時間がかかりますし、この制度が始まった当時には、重度の脳性麻痺児が国内でどれだけ発生するかも分からない中で、見切り発車で始めた背景がございます。

 これまでも剰余金の問題等、財政上の見直しが議論されてきましたが、現在の問題としては、この制度を11年運用してきた中で、補償すべき児が補償されていない懸念、つまり審査基準に課題があると認識しています。評価機構の皆様と一緒に整理していきたいと考えております。御指導、御協力を頂きたいと思います。ありがとうございました。

 

○印南座長

 ほかに御意見等はいかがでしょうか。それでは、担当課におかれましては本日の議論を踏まえ、実績評価書への反映をお願いします。それでは、次のテーマに移りたいと思います。

 続きまして、施策番号1-5-2、難病等の予防・治療等を充実させることについて、担当課から5分程度で説明をお願いします。

 

○説明者

 皆様、おはようございます。厚生労働省健康局難病対策課の田中と申します。本日、課長の川野がハンセン病の訴訟の関係でこちらに伺うことができませんで、私のほうから代わりに御説明をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 資料2-1を御覧ください。施策目標1-5-2、難病等の予防・治療等を充実させることについて、御説明をさせていただきます。まず、施策の概要ですが、難病・小児慢性特定疾病対策については難病法及び児童福祉法に基づき、良質かつ適切な医療の確保や、療養生活環境整備の質の向上を図ることとなっています。また、ハンセン病対策については、ハンセン病問題の早期かつ全面的解決に向けての内閣総理大臣談話等に基づき、ハンセン病及びハンセン病対策の歴史に関する知識の普及啓発による偏見・差別の解消、患者・元患者の名誉回復等を図ることとなっています。それらを受け、達成目標としては、難病・小児慢性特定疾病対策については良質かつ適切な医療の確保、それから療養生活の質の維持向上等を目標としています。ハンセン病対策については、ハンセン病の患者であった者等の福祉の増進、ハンセン病の患者であった者等の名誉の回復を目標としているところです。

 測定指標についてですが、難病・小児慢性特定疾病対策については指標1として、難病法においては症状が一定以上の方を医療費助成の対象としており、その対象者に交付される医療受給者証の交付数。その下段の指標2、難病の医療提供体制においては、できる限り早期に正しい診断ができる体制が必要であり、各都道府県において、その体制の中心となる難病診療連携拠点病院の設置数。指標3として、難病患者の家族からの相談に応じ情報を提供、助言等を行うことにより、難病患者の療養生活の質の維持向上を支援する施設である難病相談支援センターにおける相談件数としているところです。ハンセン病対策については、測定指標として指標4、ハンセン病及びハンセン病対策の歴史に関する知識の普及啓発を行うためのハンセン病資料館の入館者数。指標5、ハンセン病及びハンセン病対策の歴史に関する知識の普及啓発を行うための中学生向けパンフレットの印刷及び発送部数としています。

 評価結果と今後の方向性ですが、総合判定としてBとしております。指標1については、平成30年度中は集計中ですが、平成30年度末での概算で約91万人の交付数となっています。目標値である前年度を上回る見込みとなっているところです。なお、平成29年度の減少がこちらの表でお分かりかと思いますが、要因は平成2912月末で難病法施行後の経過措置が終了したことによるものです。また、指標2については都道府県ごとに少なくとも1か所整備をすることを目標として47としていましたが、平成30年度は41か所に留まっています。しかしながら、平成30年度から開始された事業であることを考慮すると、拠点病院の設置数も順調に増えてきているところです。難病医療提供体制の整備は進んでいると言えることから、目標はおおむね達成できていると考えています。指標3については、平成30年度の実績値は現在集計中ですが、平成29年度の実績値は前年度を上回る件数となっています。指標4については、平成30年度の実績値は目標値を若干下回っているものの、ほぼ前年水準である3万人を維持しており、目標をおおむね達成できていると考えています。指標5については、平成30年度の実績値は目標値を維持しており、目標を達成できていると考えています。

 続きまして、施策の分析の有効性・効率性の評価です。指標1については、先ほど申し上げたように、平成29年度の交付数が減少しているのは経過措置が終了したことによるものとして考えております。しかしながら、難病においては症状が一定程度の方を対象として医療費助成を実施することになっており、医療費助成が必要な患者に対し、十分必要な医療費助成が実施されていると考えています。指標2については、平成314月において65の医療機関が指定されており、医療提供体制の整備が進んでいるところですが、設置都道府県数は32に留まっており、引き続き少なくとも1か所の整備に向けて取り組んでまいりたいと考えております。指標3については、平成30年度の実績値は集計中ですが、12月末で約9万件であり、例年程度の相談件数になる見込みです。難病患者からの相談支援体制が有効に機能していると考えています。指標4については毎年度3万人台を確保しており、知識の普及啓発による偏見・差別の解消及び患者・元患者の名誉回復に資する取組が実施されていると考えています。パンフレットの配布数、指標5ですが、前年度よりも増加しており、普及啓発の実施は有効に機能していると考えています。次期目標等への反映の方向性ですが、難病対策及び小児慢性特定疾病対策については法の附則に基づき、現在関係審議会で見直しの議論を行っているところであり、この議論を踏まえた施策の見直しや、それに伴う測定指標の見直しの検討を行う必要があると考えています。また、ハンセン病対策については国立ハンセン病資料館における普及啓発の取組を強化するため、学芸員等の増員や展示物の見直しなどを図り、より一層入館者が増えるように見直しを図っていく必要があると考えています。また、パンフレットの配布についても引き続き指標として位置づけ、取り組んでまいりたいと考えています。資料についての説明は以上です。

 

○印南座長

 それでは、ただいまの説明について御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。

 

○大西委員

 では、2点質問させていただきます。まず、指標2に関して、難病医療の拠点となる病院の設置数が、平成30年度は目標値に対して41医療機関に留まったということですが、逆にその拠点病院の設置という目標が達成できていない都道府県に関しては、単純に分からないから教えていただきたいという趣旨なのですが、何かその地域的な事情等があって設置が遅れているのかどうかということについて、まずお伺いしたいと思います。

 2点目は、この時期なのでいろいろ微妙な配慮を要するタイミングなのかもしれないのですが、ハンセン病の指標4、指標5に関するところです。ハンセン病の家族訴訟で、先日の熊本地裁の判決などもありまして、正にその訴訟結果への対応をどうするかというところを今、担当部局のほうでも法務省などと御協議なさっている、正にその最中かと思います。司法の場において患者家族へのその偏見とか、差別の解消対策が問われる場面を言及した判決が、熊本判決以外にもあって、そういう対策に関する国の姿勢が問われる場面というのはこれまでもあったわけですが、そういう状況を踏まえて、例えばパンフレットの記載内容に関してもう少し患者家族への差別・偏見の解消対策に重点を置いたパンフレットの改訂ですとか、そういったことについて御検討なさっているのかどうかについて、担当部局の所感をお伺いしたいと思います。

 

○説明者

 ありがとうございました。まず、指標2についてですが、現在整備が進んでいない都道府県について、地域的な何か理由があるかというところですが、1つ言えることはやはり、この拠点病院になる病院は、多くは大学病院です。決まっている所も大学病院が非常に多い中で、なかなか大学病院が1つではない地域があったり、今まで難病と言われると、神経の病気というものが非常に多くありましたので、神経の難病の中心的な役割を地域で担っていた病院と、今回この難病法ができて病気が331指定難病になっており、それ以外の領域の病気も多く指定難病になってきている状況です。そういったことを勘案すると、各都道府県の事情として神経の病院が重きを置くべきなのか、それとも、もっと総合的なものに重きを置くべきなのかというところを各都道府県で現在検討をしているところと、私ども承知をしているところです。やはり難病法ができて、指定難病として病気が増えたことが、この医療提供体制を整備しなくてはならなくなった理由の1つですが、そういった背景が都道府県でやはり若干あるというふうには聞いております。

 それから2つ目についてですが、現在御存じのとおり訴訟中ということもございまして、私どもとしては今、患者様の意識調査をすることを協議会等でお話をさせていただき、御要望を頂いていて、今後実施していくこととなっております。そういったことも踏まえながら、今後動向を見ながら考えてまいりたいと思っております。現状では何かするということは決まっているわけではないということです。

 

○印南座長

 よろしいですか。

 

○大西委員

 はい。

 

○河北委員

 まず、難病のほうの指標123に共通することなのですが、ここにリストを持って来たのですが、333まで書いてあるリストを見ると、本当に幅が広いのですね。こういうことを、例えばこういう難病を診るドクターたちが、本当に日本でしっかり育っているのかどうかを、どのように専門医機構等々と厚生省は話をしているのかを、質問として1つ知らせていただきたいと思うのです。

 それからハンセン病に関しては、隔離政策をやめた後、まだ療養所に残っている方たちがいらっしゃるわけですね。もちろんいろいろな個人的なプライバシーの問題があるので、この数を示すことは非常に難しいと思うのですが、今、療養所で年齢分布、療養所で生活している方たちの数というよりも、年齢分布はどんなものなのか、教えていただけると有り難いです。

 

○説明者

 まず、難病のほうですが、専門医機構と直接、私ども難病対策課のほうでお話をしているかと言われるとそうではないのですが。ただ、指定難病の申請をする際に、患者様は必要な書類と臨床調査個人票という診断書が必要です。こちらは難病指定医という者しか書けない。この指定医の資格は、専門医であれば、皆さん指定医としてお認めしているという現状でございます。なので、ほとんど専門医機構の専門医を持っていらっしゃる先生方は、指定医として難病の診療に携わっていただいていると認識をしております。

 

○河北委員

 指定というのは、ある例えば分野に限って指定をしている。

 

○説明者

 いえ、そういうわけではなくて、それこそ日本専門医機構の専門医、若しくは各学会の専門医をお持ちの先生方が申請をしていただければ、指定医としてお認めをしているという状況です。ただ、先生御指摘のとおり、やはり本当に難病の患者さんのそういった書類もちゃんと書けるのか、若しくは診断ができるのかというような御懸念があるのはごもっともだと思っておりまして、現在、小児慢性特定疾病では指定医に対して、e-ラーニングの導入をしております。例えば、それぞれ脳疾患群でどういうことに注意をしながら診断をしていくのか、その申請のために必要なものは何なのかというようなことをe-ラーニングとして動いてきているところです。この指定難病についても来年度以降、そのようなe-ラーニングを導入し、より専門性の高い先生方に、この指定難病の制度の御理解をしていただくことに努めてまいりたいと思っております。

 それから2点目ですが、ハンセン病の患者様、現在入所者の数は1,211名。今年度の51日時点です。平均年齢が85.9歳ということで、細かな分布までは分かりませんが、かなり高齢化が進んでいるという状況です。

 

○印南座長

 よろしいですか。他に御意見、御質問等。

 

○宮崎委員

 難病に関しては法律ができた以降、いろいろなシステムが整ってきていると思うのですね。今日のこの資料2-210ページを見ると、難病の医療提供体制のイメージということで、非常にシステム的にはこのような体制でということでクリアーになってきていると思うのですが、これが実質的に機能しているのか稼動しているのかというところが、やはり課題ではないかと思っていまして、それの評価をするのが、この難病医療連携協議会ということですよね。先ほど連携拠点病院は41医療機関ということでしたが、この難病医療連携協議会は47都道府県でしっかりとやっているのですよね。そこの確認というか、これがやはりうまく機能していくことで、この連携の仕組みもうまく整っていくのか。あるいは課題というものがそれぞれの都道府県の中で浮き彫りになって、対策も進んでいくのかと思うのですが、この協議会のことについて伺いたいのですが。

 

○説明者

 ありがとうございます。委員御指摘のとおり、この協議会が機能している所は医療提供体制その他の難病患者の施策が非常にうまく行っている所です。残念ながら、現在都道府県においては設置率が約9割というところでして、まだ設置が進んでいない所、それから保健所設置市や、特別区などについては設置数が更に少し減るという状況です。現在、先ほど申し上げたように、法律の見直しの議論をしているところでして、こういった協議会の取組というのは非常に重要だということで、これを何とか設置していただくように、皆様に御議論していただいているところでして、今申し上げたような率を100%にしていくことを是非目指してまいりたいと思っております。

 

○宮崎委員

 是非その辺り、厚生労働省としても推進をお願いしたいと思います。

 

○説明者

 ありがとうございます。

 

○印南座長

 私もその関係で質問させてください。この場合の協議会の設置は法で定められているのですよね。その強制力みたいなものはないのですか。お願いするだけなのでしょうか。

 

○説明者

 努力規定なのですね。

 

○印南座長

 努力規定にすぎないのですね。

 

○説明者

 はい、そうです。なので、おっしゃったような必須としているわけではないので、やはり我々としては好事例などをお示しして、こういうものを作ることの良さみたいなことを地域に御理解を頂くということしか、現在やる方法がないのが現状で、その点は見直しの中でも御議論、問題点として御指摘を頂いているところではございます。

 

○印南座長

 その努力規定に留まってしまった理由は何なのか、知りたいのですが。つまり、義務規定ではなくて、努力規定になってしまったわけですよね。それは、だから恐らく反対があるということですね。その反対する実質的な理由は、何でしょうか。こういうことに対して反対する理由が、私にはよく理解し難いのですが。

 

○説明者

 難病については全て、やはり先ほどの医療提供体制もそうなのですが、やはり地域の実情に応じてというところを、この法律の中でもしっかりと書いているところがございまして、なかなかどのような反対があったかというのを、その法律ができるときの議論は私も承知をしていないところもあるのですが、やはり全てについて義務にすることは難しかったというようなお話のようです。

 

○大西委員

 よろしいですか。私が恐らくこういうことだろうと思って答えるような立場ではないのですが、やはりそういう機関連携的な協議会の設置を法で強制するというのは、なかなか立法技術としては恐らく難しい面があるのだろうと思います。むしろそういう協議会の設置によってこういうメリットがあるとか、こういうインセンティブがあるという、そういう法の仕組みを作ることであれば、それは十分検討に値するのだろうと思います。もし可能であるならば、そういう方向性での今後の政策立案なども御検討いただければというふうに思いますけれども。

 

○説明者

 ありがとうございます。是非検討をしたいと思います。

 

○印南座長

 大西委員に伺いたいのですが、では、保険者協議会とか、ああいうものも全部努力義務規定にしかできないということですよね、今の理屈からいくと。ちょっとこの問題と離れるのですが、保険者協議会とか、あるいは医療構想みたいな、皆、協議会という名前付いていますが、あれも全て同じように立法技術上難しいということなのですか。

 

○大西委員

 全てが一律にそういうわけではなくて、例えば、健康保険制度みたいな、皆保険制度を担保する仕組みとしてその協議会の設置みたいなものが必要というふうに政策判断がされれば、それは当然強制という立法者の判断がされることもあり得るとは思いますが。ただ、やはり要するに、関係機関に強制的に義務を負わせるわけですから、そこには一定の政策の目的とか、政策達成の必要性の度合いに応じた比例原則みたいなものが働く面はあるのではないかと思います。

 

○印南座長

 はい、分かりました。ありがとうございました。他に御意見、御質問等。

 

○河北委員

 今のことを踏まえまして、地域医療構想というのは今動いていますね。例えば、鳥取県と島根県は人口が非常に少ない県ですが、そういう所は、その各県に設置をするというのは非常に難しいと思いますから、連携を取るというような考え方はないのですか。

 

○説明者

 それは医療提供体制についてということ。

 

○河北委員

 提供体制は、今の例えば協議会の設置もそうだし。それぞれ47設置しても無駄ですよね。だから、もう少し広域で考えてみたらどうかなと思いますが。

 

○説明者

 御意見ありがとうございます。基本的に医療提供体制については、まず各都道府県に1つは必要だろうというふうに、我々は思っておりまして、それプラス分野別拠点ということで、先ほど申し上げたように神経とか、それぞれの領域で何か力を入れているような病院を指定することを、こちらとしては進めているところです。協議会などについても、やはり都道府県にまずは作っていただくというふうにはなっておりますが、やはり難病の患者さん、自分の都道府県ではドクターがいないとか、そういったことは十分考えられますので、そういったことを地域で連携していただく。今までもしていただいたと思います。ただ、今後もうまくしていただけるように、我々としては難病医療支援ネットワークという所で、地域で解決しない難しい症例などを相談する窓口みたいなものを作っておりまして、その機能ができれば、そのネットワークがなくてもお顔の見える関係で連携がしていけるような、そういう体制を作っていくことが必要だというふうに思っております。

 

○印南座長

 他によろしいでしょうか。それでは、担当課におかれましては本日の議論を踏まえ、実績評価書への反映、その他対応をお願いいたしたいと思います。それでは、どうもありがとうございました。

 続きまして、施策番号1-5-3「適正な移植医療を推進することについて」、担当課から5分程度で説明をお願いいたします。

 

○説明者

 それでは資料3-1に従って御説明をいたします。施策の概要の所ですが、臓器移植に関する法律に基づき、臓器の提供のあっせん体制の確保及び臓器移植に関する普及啓発という臓器移植の件が1つ。その次ですが、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関る法律ということで、白血病に有効な造血幹細胞移植の適切な提供という2本立てになっております。

 施策実現のための背景・課題の1つ目、臓器移植ですが、臓器移植法制定以来、海外と比較するとまだまだ少ないですが、国内では着実に増加をしてきております。また、全体として移植希望者には届かないということで、体制の整備、さらなる普及啓発が必要と考えております。造血幹細胞移植のほうについては、骨髄移植を待つ間に亡くなる方もおられるということで、引き続き白血病の治療に有効な造血幹細胞の適切な提供を推進するために、あっせん体制の確保及び普及啓発に力を入れております。

 今回、各課題に対応した達成目標は、目標1は臓器移植の普及啓発と体制整備。目標2は造血幹細胞移植ということで、これも普及啓発と体制整備です。施策の予算額・執行額等ですが、当初予算で執行率はおおむね100%に近い額で使わせていただいております。

 その次、目標1、目標2それぞれについての測定指標ということで、指標の御紹介をさせていただきます。まず、臓器移植です。臓器移植で、これは普及啓発がいかに広がっているかということの評価で、臓器提供に関する意思表示の方法は保険証、運転免許証、マイナンバーカードがあるのですが、それのほかにもインターネット及びモバイルから手軽に登録することができるシステムの準備をしております。その中で、指標1の登録者数の測定は、28年度から毎年増加をしています。これは年齢で90歳以上を超えると、自動的にアウトになったり、御自身で抜けるという判断もされる中でのトータル数です。

 指標2は院内体制整備事業で、こちらは医療提供体制です。院内で臓器提供、脳死判定等、特別な医療技術が必要になってくると。患者さんへの対応も特別な必要が出てくるもあるということで、院内でそういった準備をしていただく体制整備に取り組んでおります。そういった補助金の事業ですが、平成26年度から平成30年度、ここ数年にわたりましては、毎年多くの施設の方が御応募をしていただいております。これについても、1回やっている所は次の年も自動的にというのではなく、一旦整理が付いた所はやめて、新たに今回始めようという所もありますので、そういった全体の中で増加しているという評価です。

 指標3が実績で、臓器提供の実績数ですが、一応これを参考にさせていただいておりますのは、我々といたしまして、臓器提供したいという方の意思が100%に近く尊重されるように、臓器提供そのものを目的にして、いわゆる臓器狩りにならないように配慮しながら臓器提供の体制を充実させたいということですので、臓器提供の実績数は、あくまで参考とさせていただいております。

 次の到達目標ですが、造血幹細胞移植ということで、骨髄バンクの登録者数については、新規のドナー登録の評価をさせていただいておると。平成26年度から平成30年度は、一応今のところ毎年上がってきている状況ではあります。参考の指標5ですが、これが造血幹細胞移植の実績数で、いわゆる骨髄移植、非血縁間、他人から頂く、親兄弟からもらうものではなくて、他人からもらう骨髄移植と臍帯血移植のトータル数です。これについては、おおむね2,500で、大体オールジャパンのニーズがこの程度なのかなと理解をしております。その下の指標6ですが、コーディネート期間における採取行程日数は77から61日ですが、骨髄移植を希望してもらうまでに、ドナーさんを決めて、その骨髄を採取してもらうのにタイムラグがかかります。臍帯血の場合はすぐですが、骨髄のほうはそれをもらうまでに時間がかかるので、ここの日数を短くすることが実行上適切な骨髄移植につながるので、参考の指標にさせていただいております。

 評価結果と今後の方向性ですが、施策の分析で、有効性、効率性ともに目標を達成していると考えております。今後もこの方向で臓器移植、造血幹細胞移植の推進に努めてまいりたいと思っております。以上です。

 

○印南座長

 ありがとうございました。それではただいまの説明について御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。御意見、御質問等がなければ、このテーマをこれでおしまいにしたいと思います。ありがとうございました。それでは次のテーマに移ります。

 続きまして、施策番号1-6-2、医薬品等の品質確保の徹底を図るとともに、医薬品等の安全対策等を推進することについて、担当課から5分程度で説明をお願いします。

 

○説明者

 医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課監視指導室長です。どうぞよろしくお願いいたします。今、御紹介がありました施策目標名、医薬品等の品質確保の徹底を図るとともに、医薬品等の安全対策を推進することについて御説明いたします。こちらについては、品質確保や安全対策という観点で、複数の指標を設定させていただいておりまして、また、その内容も少し幅広になっているような状況です。

 では、順番に説明いたします。資料4-1の実績評価書を御覧ください。2ページ目、まず、達成目標1、一般用医薬品の販売制度の定着についてです。こちらについては、測定指標として指標1、第1類医薬品の販売の際の情報提供の実施率を設定しています。こちらの一般用医薬品の販売制度については、平成266月から、新たな一般用医薬品の販売制度というもので薬事法の改正法が施行されています。その一般用医薬品については、リスクに応じて、第1類医薬品、第2類医薬品、第3類医薬品と分類されていて、その中で最もリスクが高いものは第1類医薬品となっていますが、この制度改正の際に、一般用医薬品の第1類医薬品については、薬剤師の情報提供の義務が強化されたという経緯があります。この実績評価書の指標の設定理由の目標値の所にも記載がありますが、第1類医薬品については、販売授与の際に、薬剤師に販売授与させなければならないと。更には、販売授与に際して、授与する薬剤師に情報提供させなければならないとされています。この制度改正前は、実際にこの第1類医薬品の購入者から情報提供は特に必要ないというような意思表示、申し出があった場合には、情報提供義務というのは課せられなかったという経過がありますが、この制度改正で、そうした不要であるという意思表示があったとしても、薬剤師が適正に使用されると認められると判断した場合でなければ、情報提供義務は免除されないことになり、情報提供の義務が強化されたということです。

 こちらについては、目標値としては毎年度、前年度以上の実施率になっておりまして、実績値としては、こうした記載の数字が出ています。こちらは一般消費者である調査員が、実際に第1類医薬品を購入した際に、情報提供があったかどうかを調べるような実態調査を基にして、実施率を把握させていただいています。この情報提供の実施率ですが、これまで前年度以上の目標値は達成してきているというような状況になっています。

 続いて達成目標の2ですが、こちらは医薬品等副作用被害救済制度等による適正かつ迅速な救済の実施です。医薬品については、副作用などをどうしても完全になくすことはできないので、適正に使用されたにもかかわらず、副作用などで健康被害を受けた方々に、医療費や障害年金などを支給するということを事業として行っております。こちらが指標の2と記載していますが、この関係の部分で、医薬品等副作用被害救済制度や生物由来製品感染等被害救済制度における支給件数というものを設定しております。

 また、過去のいわゆる薬害被害者の方々であるスモン患者、エイズ患者、クロイツフェルト・ヤコブ病患者、サリドマイド被害者の方、C型肝炎訴訟の和解者の方々、また、そうした方々の遺族の方々に対しては、個別に予算事業ですとか法制度を設けて、様々な手当の支給ですとか相談事業等を実施しています。こうした取組に関しては、指標2~指標6で設定しているようなものに関連するものです。こうした救済の関係については、ある目標値の達成に向けて、努力するというようなものでもないので、達成目標ということではなくて、あくまで参考資料ということで、ここでは記載させていただいています。また、ここで記載しているこういった事業というのは、いろいろな事業は取組があるわけですが、その中で、国が費用を負担していて、かつ毎年度何らか継続的に実績が出るようなものを記載させていただいています。そうしたこの実績から、それぞれの取組については、有効に被害者の支援に役立っているものではないかと考えています。

 続いて達成目標の3ですが、こちらは都道府県のGMP調査に係る薬事監視体制の向上です。医薬品については薬事承認をされて、効能・効果とか安全性が確認をされるわけですが、ただ大事なことは、そうした確認された効能・効果、安全性がきちんと確保されるように規格通りに製造される、そして品質が確保されることが重要ということになります。そうした製造管理、品質管理の基準が定められているものがGMPというもので、そのGMPの遵守状況というものを実はPMDAとともに、都道府県が定期的に調査をして確認をしているということです。

 ここでは、この目標達成に向けて、その都道府県の監視体制の向上を特に目標として設定をしているということで、指標としては都道府県の職員に対する査察研修の実施回数、具体的には都道府県の職員が合同して行う、実際の製造所に模擬的に査察に行って学びをする模擬査察研修というのがあるのですが、その実施回数を設定しているということです。こちらについては目標通り達成して研修を実施しているということです。

 最後に達成目標の4ですが、こちらは医療関係者や一般国民における後発医薬品の品質に対する信頼の確保です。患者ですとか医療関係者の方々が安心して後発医薬品を使用するためには、後発品の品質に対する信頼の確保が重要です。そのため、現在、実際に市場に流通している後発医薬品について、品質検査を行う。そしてその結果を公表するという事業を行っております。この指標の8ですが、ここでは取組として行った後発医薬品の品質検査の実施件数を設定しているということです。目標値としては毎年度900件実施するということにしておりまして、実績から概ね目標を達成できていると考えています。説明は以上です。

 

○印南座長

 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。

 

○井深委員

 指標1について、質問させていただきます。この実施率の計算なのですが、調査員の方が、実際に情報提供が実施されたかどうかということを計算されているというお話だったのですが、この実績値を拝見していて、平成26年度から平成29年度まで全て同じ数値になっていまして、この90%という値が、ある程度丸められた値なのか、それとも調査員の方がどれくらいいらっしゃるかによって、またこの90%という解釈も変わってくると思うのですが、その辺りを教えていただければと思います。

 

○説明者

 こちらについては、1の位を四捨五入して出しているのが90%という数字です。これは実は店舗での情報提供の実施率なのですが、第1類医薬品を実際に購入してみたという調査対象の店舗数がある程度変動すると。あとは専門性のある調査員の方に調査していただくのではなくて、本当に普通の方々に委託してやっていただいているような調査ということでも聞いていまして、その質という点でもどこまで厳密にできるかという面もありますので、ここでは1の位は四捨五入した数字で実績値を出させていただいています。調査員の数は大体500人ぐらいでやっているということで、調査の店舗の数は1,100軒から1,700軒くらいまで、変動しながら動いてきているということです。

 

○印南座長

 ほかに御意見、御質問等。

 

○河北委員

 今のことも踏まえてなのですが、間接的に薬剤師の人たちは、教育が4年制から6年制に変わって、臨床薬剤師を育てようということに今なっていますが、この人たちが卒業後どのような事業、あるいは組織に広がって就職をしているかというようなことは、統計として持っていらっしゃるのですよね

 

○説明者

 確かありますね。

 

○河北委員

 それで、恐らく国家資格を持っている人たちというのは、結構動きますから、実際に新卒としてどう分布しているかということとともに、現在どう分布しているかというような、登録制度というのは薬剤師はあるのでしたか。

 

○説明者

 確かございます。2年に1回薬剤師届出ということで、そうした、どこで勤務しているかということも含めて把握はしているということです。

 

○河北委員

 先ほどの500人ぐらいの調査員がいらっしゃるということですが、薬剤師であるかどうかはどうやって、そこの調査の中で確認をしているのですか。

 

○説明者

 薬剤師である旨も、掲示というか、名札を付けなければいけないということで、実際に店舗の販売者に義務付けをしているものですから、それを見て薬剤師であるかどうかを確認する。

 

○河北委員

 免許証を見ているわけではないですよね。

 

○説明者

 免許証までは見ていないです。

 

○河北委員

 そうですよね。

 

○印南座長

 ほかによろしいでしょうか。では、私から1つ、指標8の後発医薬品について、これは件数を目標にしていて、そこの記述を見ますと、集中的に検査を行い、その結果を広く公表すると。この結果というのは、まさかこの何件やりましたではなくて、実際の試験結果ですよね。その試験結果をちょっと教えてほしいのですが、例えば900件ぐらいあって、本当にちょっと問題があるのがあったのかどうか。というのは、これは後発医薬品の普及促進はすごい重要な目標になっていて、医療安全にも当然関わってくるのですが、それ以外の分野でも、非常に重要な目標になっているので、この結果そのものが、本当に国民に伝わっているのかというのが若干。相変わらず医師と患者の一部には後発医薬品に対する信頼がなくて、後発医薬品の品質については国が保証すべきだという意見が、かなりいろいろな調査で出てくるのです。実際にこの結果は当然知りたいですし、それがどこまで本当に公表されているかというのはちょっと関心があるのですが、教えてください。

 

○説明者

 今、手元にあるものは直近のものしかないのですが、直近ですと、900品目検査をしたうち、3品目が不適合になったということです。そうした結果を報告書として取りまとめ、公表させていただいているということです。ただ、その公表の仕方について、どこまでいろいろな方々に広く公表できるかというのは、引き続きそこは検討課題だとは思っています。

 

○印南座長

 900品目中の3品目というのは、評価は難しくてこれだけでは安心とも思えないし、3品目もやはり合格しないのですかと見ることもできますよね。ちなみに、後発医薬品でない、先発は当然厳密で、かなりこういうことは安全性に関して厳密にやっていますが、でも、臨床的にあとでやっているわけでもないですよね。副作用はもちろんちゃんとやっていますが、それ以外の品質面の問題というのはゼロですか。先発、類似薬効2を含めてですね。

 

○説明者

 定期的に再評価のデータは今はありませんが、当然先発のものも承認通りに作られていないということで、自主回収が行われるというのはよくある話でありまして、よくというとまた語弊がありますが、そういった事例はあります。先ほどの後発薬の3品目についても、企業で自主回収ということでは対応させていただいているというような状況ではあります。

 

○印南座長

 分かりました。どうもありがとうございました。ほかによろしいでしょうか。それでは担当課におかれましては、本日の議論を踏まえて、実績評価書への反映をお願いいたします。どうもありがとうございました。

 それでは、予定以上に早く進んだ関係もあって、最後のテーマについては1110分ぐらい開始めどということですので、その前に、議事次第の2「その他」としまして、事務局より報告事項があるということですので、お願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 申し訳ございません。議題の順番を変更させていただきます。お手元のマイプライベートファイルの一番最後の資料18番、参考資料5という資料です。平成313月、前回の有識者会議で御議論いただいた際に頂いた御指摘への対応状況を整理しました。平成313月は全体会議でしたので、医療・衛生WG、福祉・年金WG、労働・子育てWG、全てに関する指摘をこの参考資料5では記載していますけれども、この場での御報告としましては、医療・衛生WGに関係するもののみに限定させていただきます。

 幾つかありますが、1ページの一番上の目標です。地域包括ケアシステムの構築に関することというのが施策目標1-1-2でした。この目標に対して、1-1-2の施策目標に「病床機能の分化・連携を推進するとともに」というフレーズが入っていたのですが、実際、施策目標の中に病床機能の分化・連携に関するものが全く設定されていないということで、これに関する指標等を設定するべきではないかという御意見を頂きました。関係課と調整した結果、病床機能の分化・連携に関係する指標として、地域医療構想の2025(令和7)年のゴールを目指し、必要病床数を達成するために増減すべき病床数に対し、実際に増減された病床数の割合を指標として選定することとしました。当面は、平成28年度実績で104.8%ですが、この数値を前年度と比較して低下させることを目標とし、2025(令和7)年までに100%とすることを目標としています。

 2ページに移りまして4項目です。今後の医療需要に見合った医療従事者の確保を図ることに関して、1つ目の御指摘が、医師国家試験に関係する費用が達成手段として記載されているけれども、そもそも医師を増やすということは、今、働いていない方に仕事をしていただくか、そもそも合格者数を増やすかのいずれかでなければ医師は増えないので、国家試験を運用するだけでは増加とは直結しにくい。そこがどうなるのか分かりやすく記載してほしいという御意見を頂きました。これに対しては、医師数の増加及び医師の偏在を是正する達成目標の設定部分について、医師国家試験においてもプライマリ・ケア等を重視し、医師偏在対策に資する対応をしているという文言を追加して記載を修正しました。

 同じ施策目標1-2-1に関して、「医師の偏在を是正する」がありますが、診療科別の是正のみならず地域別の是正も考えられますので、地域別の医師数も指標として重要なのではないか。測定指標を追加してはどうかという御意見を頂きました。これにつきましても、地域別医師数の分布状況を把握する指標として、「医師偏在指標」を令和元年度から追加することとし、この指標の算出に当たり、「医師の勤務実態把握調査事業」も達成手段に追加する予定です。

 1-8-1の革新的な医療技能の実用化の促進、医薬品産業等の実用化の部分ですが、再生医療に関して、安全性確保上の研究の提供計画だけを測定指標として設定していましたが、その根拠は何かという御質問を頂きました。今回の御指摘を踏まえ、1-8-1ではないのですが、1-6-1の有効性・安全性の高い新医薬品等を迅速に提供できるようにすることという施策目標において、今まで運用レベルで実施していた先駆け審査指定制度とか、この関連の指定品目数について、参考指標として設定することにしました。

 最後に、乱用薬物の関係につきましては、薬物の再乱用の防止関係も目標として記載していましたが、これに関する指標が設定されていない状況でしたので、これについて指標を設定するべきではないかという御意見を頂きました。令和元年度より新たな事業として「薬物乱用者に対する再乱用防止対策事業」を実施しますので、これに関する指標として、保護観察の付かない執行猶予判決を受けた乱用者等を対象として実施する、事業の目標値を測定指標として記載することにしました。

 対応状況の個票としてはこれが全てですが、一番最後のページに飛びます。御承知のとおり本年4月より入管法が改正され、特定技能の在留資格を持った外国人の受入れを開始しています。制度の所管自体は法務省ですが、これに関連して厚生労働省の関係でも介護分野、ビルクリーニングの分野で実際に受入れをする予定です。それに伴い適正な労働条件等々の確保、また、外国人が生活者として安心・安全に医療機関を受診できる環境の整備などに取り組んでまいる所存ですが、これらの施策が政策体系上、どのように位置付けられているのか明確にしてほしいという御意見を頂きましたので、今回、この個票のとおり整理させていただいています。考え方としましては、現状の政策体系が厚労省が所管している社会保障や労働政策、各政策の施策としての親和性の観点から柱立てをしていますので、外国人という横串で刺すのではなく、それぞれの施策目標を既存の施策目標に当てはめながら、それぞれの分野について落とし込んでいる状況です。医療・衛生WGに関するものとしては、⑦の安心・安全に医療機関を受診できる環境の整備ということで、こちらについては従前より目標設定していたのですが、具体的な目標として、外国人患者受入病院認証数、医療通訳配置病院数を記載していましたので、引き続き、これをウォッチしていく状況です。こちらの御報告は以上です。よろしくお願いします。

 

○印南座長

 今の事務局からの報告につきまして、御意見、御質問等がありましたらお願いします。よろしいでしょうか。それでは、引き続き担当課とともに今後の対応について検討を行ってください。順番が前後しましたが、最後のテーマである施策番号1-10-2、生活習慣の改善等により健康寿命の延伸を図ることについて、担当課のほうから5分程度で説明をお願いします。

 

○説明者

 よろしくお願いいたします。健康課長の武井と申します。生活習慣の改善により健康寿命の延伸を図るということについて、お手元の資料5-15-2になります。併せて参考資料4も御覧いただければと思います。政策全体の体系を見ていただく上で、最初に資料5-2のポンチ絵を御覧いただくと、1ページの所に健康日本21(第二次)の概要がございます。健康寿命の延伸と健康格差の縮小を目指して、生活習慣の改善、生活習慣病の発症予防と重症化の予防を行っています。併せて、社会生活を営むために必要な機能の維持及び向上とか、そのために必要な社会環境の整備、細かく申し上げると栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙の取組といったことを進めています。

 次の2ページに今の指標の動きが出ています。例えば食塩の減少ですと、直近値は9.9gですが、これを8gに減らしていく。次の3ページの所を見ていただくと、十分に改善を認めた項目と改善が不十分な項目がございまして、健康寿命のように改善しているものもあれば、メタボリックシンドロームのように改善が不十分な事項があります。こうした点を次の改定に向けて準備をしているところです。5ページの所に、健康寿命と平均寿命の推移がありますけれども、これは男性、女性でどちらも平均寿命を上回る健康寿命の延びが確認されたデータが出ているところです。こうした取組を進めるために、7ページの所にありますように、スマート・ライフ・プロジェクトなどで普及・啓発、参加団体の増加を進めています。

 こうした前提に立って、資料5-1を見ていただくと、実績評価書の中で、どういった点が進んでいて何が課題かになってくるかと思いますが、施策目標名の所にありますように、最終的には健康寿命をしっかり延ばしていく。それは子供から高齢者に至るまで幅広い世代にわたって対策を進めていくことであると思いますし、その上で、健康増進法に基づく健康日本21というところが施策の柱になってまいります。

 こうした生活習慣病対策の施策ですけれども、既に第4次の国民健康づくり対策まできていまして、その中でも直近10年間は健康日本21(第二次)を柱に対策を進めています。ちょうど昨年、中間評価が終わったところで、その結果は先ほどの資料5-2に示したところとなっています。

 各課題の達成目標がここにありますけれども、それぞれの項目において指標を設定し、その進展を見ているものです。健康寿命に関しては、平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加ですし、スマート・ライフ・プロジェクトを通じた参加企業数の増加については、当初、基準値が平成24年度は420社だったのですが、これを3,000社以上にしていこうということで、既に3,000社を超えているので上方修正し、次の目標に向けて対策を取っているところです。次の指標3が肥満者の割合で、これがなかなか難しい項目の1つになっています。指標4が喫煙率の減少ですが、これは徐々に低下していて、今後に向けても更に減らしていくという方向です。指標5の日常生活における歩数の増加、これはなかなか増加が厳しい状況です。指標6の運動やスポーツを習慣的にしている子供の割合は、一旦減ったりもしたのですが、横ばい的なデータになっています。

 最後のページに総合判定が出ています。先ほど申し上げましたように、健康寿命は改善していて企業数の参加も増えている。その一方で肥満者の割合などの課題がありますので、以上より、実績値が改善しているところと、健康日本21の目標年度である令和4年度に目標達成が可能であるところは、判定結果3に区分されると考えています。有効性につきましても同様の評価をしているところで、それぞれの項目について、肥満者とか女性の運動割合、男性も含めたスポーツの振興ということで、近年、スポーツ庁とも連携を深めています。

 次の方向性ですが、さらに参加を幅広く募っていく中で、幅広い活動につなげていきたいということと、健康寿命を延伸するプランを今年の夏をめどにパッケージとして提案していくということで、既に項目自体は「健康寿命延伸プラン」ということでオープンにしているところですけれども、具体的な予算も含めて更にこの健康寿命を延伸できるような取組を強化してまいりたいと考えています。健康増進法に伴い、受動喫煙対策の強化ということもありますので、喫煙率については更なる改善の達成を目指してまいりたいと考えています。説明は以上となります。

 

○印南座長

 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。

 

○河北委員

 健康局の健康課長と書いてありますけれども、ここで言われている健康寿命というのは身体的なことだけですか。精神的、社会的というのはどういうふうに取り組んでいらっしゃるのでしょうか。

 

○説明者

 御質問ありがとうございました。健康の定義は、WHOで示されている定義を参考にさせていただいているわけですけれども、今、委員から御指摘があったように、社会的、精神的な部分も含めてどうかというところになるかと思います。それで、結論から最初に申し上げますと、そういった側面も含めてこの健康というのを捉えていまして、それがどういう指標で今回、データを取っているかというと、国民生活基礎調査というものの中でデータを取っていますけれども、その質問事項が、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間であるのを健康寿命として捉えています。そうなりますと、多分、社会的な要因であったり精神疾患の有無であったり、様々な要因で日常生活が制限されるケースがあると思いますが、日常生活が制限されずに社会参加できたり就労できたり、身の周りのことができる。こうした制限がない期間を健康寿命の算定に使っていますので、今、先生が御指摘の点に関して申し上げれば、そういった社会的、精神的要因も含めた上での指標になっていると考えています。

 

○河北委員

 追加で、去年の11月でしたか、成育基本法というのが成立していますね。あれは五十嵐先生がアメリカのブライトフューチャーズというものを参考にしながら、子供の成育に関して制度化したものだと理解しています。それと、201612月でしたか、日本老年医学会が高齢者の定義を変えようということを出したわけです。高齢者は65歳でなく75歳にして、これはかなり政策的な意図があって出したと言われていますけれども、そういうものの組合せを、是非、考えていただきたいと思います。アメリカで小児科の先生たちが、年齢にかかわらず子供たちと関わっていくことが言われていて、今、日本で小児科の先生たちは、15歳を過ぎると内科に渡してしまうことが通常ですけれども、是非、これは20歳、25歳を過ぎても小児科の人たち、考えてみると小児科の先生たちというのは総合医なのです。もちろん臓器別に専門性は持っていますけれども、総合的に感染症も診ることができるし、臓器もある程度、内分泌等も診られるドクターたちですから、ああいう人たちがかなり長く子供と接していくことは非常に大切なことだと思います。それと同時に、小学校、中学校の保健の授業で、健康というのは、ただ単に体のことだけでなく精神的あるいは社会的に活動していることが健康なのだということを、子供の頃から教育の中で徹底していくといいのかなと思います。

 

○説明者

 先生、御指摘のとおりかと思います。今、頂いた成育基本法の内容でも我々は常に関係部局と連携させていただいています。子供については、健やか親子21という施策体系があるかと思いますけれども、それと健康日本21は連携するような形で進めていますし、高齢者の定義についても、高齢者の健康づくりをどうするかということで老健局等といつもディスカッションさせていただいています。それから、アメリカ小児科学会の御提言は正しくそのとおりで、多分、総合診療とか小児科の先生が、生涯を通じた医療面でのサポートをしていく点での重要性かと思います。そういう意味では、今回の健康寿命延伸プランですけれども、健康、医療、介護の3つの分野を総合的につなげていくような政策パッケージになっていて、今、先生から御指摘いただいたような点から全体の政策を見直しているところです。

 最後にございました学童期、いわゆる小学校とか中学校の保健分野についてですが、先週、私は文科省のほうに行ってきましたけれども、文科省の健康づくりと厚労省はもっと連携していくべきだという御指摘を頂いていまして、こういった取組は更に今後、強化してまいりたいと思っていますし、最後の部分で、ヘルスリテラシーという言葉が最近はよく言われているところかと思います。教育という側面だけにこだわらず、より広い意味で健康づくりの知識の普及・啓発、こういった点が重要になってきているかと思いますので、是非、先生から御指摘いただいたようなところを更に強化してまいりたいと考えています。ありがとうございます。

 

○河北委員

 もう1つ追加させていただきたいのですが、小児科の患者さんたちを診ていると、最近、発熱とか腹痛で病院に来る子供たちは本当に減ってきたなという感じがしますけれども、人間関係で悩んでいる子供たちが非常に増えている。これは精神科疾患として捉えてはいけないと思います。心のケアとして捉えなければいけない。我が国は精神科に関しては診療報酬体系がありますけれども、心のケアに関しては全くないのです。特に心のケアというのは人間関係から出るもの、あるいは発達障害等も含めてですけれども、親と子供の関係づくりというのが極めて大切だと思っているので、最近の子供の虐待等も含めてですけれども、親の教育というのか親の在り方、親が変わらないと子供が変わらないということはいっぱいありますから、そこも施策の中で何らかの取扱いを考えていただけると有り難いなと思います。

 

○説明者

 大事な点で、また非常に難しい点だと思っています。心のケアは、例えばコンサルテーションのような形で幾つか取組を進めているところかと思いますが、それを踏み越えて、より深く検討するためには、我々、地域保健を担当していますので保健所を通じたアプローチになります。一方で、虐待などは児童相談所を通じたアプローチになり、地域と児童相談みたいなアプローチで両者を連携していくと。今回のいろいろなケースに対して議論がありますが、我々、この児童虐待のセクションとも頻繁に打合せをするように最近はなっていますので、先生から御指摘いただいたような点で心のケアとか人間関係の重視、それから親の方に対するサポート、こういったことを今後は強化していく必要があると正に感じています。ありがとうございます。

 

○印南座長

 ほかに、いかがでしょうか。

 

○大西委員

 指標3から指標5にかけて軒並、達成の項目でバツの項目が並んでいて、要するに担当部局としては、これからも頑張りますということなのだろうと推察しますけれども、数年間にわたって目標値を大きく下回る状況が続いている原因としては、2通りくらいの原因が考えられて、そもそも目標値のハードルが高過ぎるのか。あるいは目標値の設定は適切だけれども、その目標値に向けて国民が運動とか自分の生活習慣を変えていく必要性を、まだ余り切実なものとして感じられない状況が数年間にわたって続いている。この2つの原因のどちらかなのかなと個人的には思うところがあります。恐らく健康のために運動しましょうと言われても、運動する側としては、健康になることによって自分の生活をどう改善するのか。あるいは健康になることで自分の趣味も長く続けられるとか、そういった必要性とかインセンティブみたいなものを感じにくい状況があって、特に肥満者の割合とか、日常生活における歩数の増加の指標の抜本的な改善が見られない状況が続いているのではないかと、個人的には思うところがあるものですから、そういった国民への生活習慣に関する意識付けとか、あるいは何のために健康になるのかというところの意識付けみたいなものを、もう少し強化していただくような施策が考えられないのかなと個人的には思っています。その点について担当部局の御見解をお伺いできればと思います。

 

○説明者

 ありがとうございます。先生から御指摘いただいた点は、昨年、中間評価を行った際にも各委員の先生方から同様の意見を頂きました。この改善していないところをどう改善するかというところが、今後の最も重要な施策上の柱になると思っています。意識付けは、今、先生から御指摘いただいたように、これは今後、アプローチを強化して対応したいと思っていて、具体的にどうアプローチするかになると思いますが、1つは対象者です。今まで我々が情報提供しても、健康リテラシー、ヘルスリテラシーの話が先ほどあったと思いますが、健康に関心がある人は自分で運動したり、自分で食生活に気を付けるのですが、健康無関心層という人たちがいて、この人たちは通常の情報のツールだけでは行動が変わっていかないところがございます。その無関心な人たちを層別に明らかにした上で、層別アプローチが今後は必要だろうと考えています。

 そうした中で、もう1つ、自然に健康になれるということで行動経済学ではナッジという言葉が最近はよく使われます。意識して頑張って運動しようというのはなかなか長続きしませんので、自然に暮らしていく中で健康になれる。これはイギリスなどの取組で減塩の取組をしたのですが、食パンの中に入る食塩をそもそも減らしてしまう取組がございました。これで国民全体の食塩摂取量が減ってきたのですが、そういうのを参考にしながら、頑張って鉢巻をしてやる健康づくりから、自然に健康になれるような社会全体の仕組みを作っていってはどうかと、今、考えています。

 それから、最近は健康経営ということがよく説明されます。個々人で頑張るのは大事なことだと思いますけれども、会社全体で応援してくれる。特に会社の経営者が健康経営という観点から社員の健康づくりに前向きになっていただく。そういった取組は、会社全体に非常に広まって社全体の健康度が上がるとも言われていますので、そうした健康経営の考え方を更に進めていくことによって、職員の健康度の全体的な底上げになっていくことも考えられますから、先生から御指摘いただいた点を十分に踏まえて、今後、働きかけ、アプローチの改善に努めてまいりたいと思っています。

 

○印南座長

 ほかに、いかがでしょうか。宮崎委員、どうぞ。

 

○宮崎委員

 今のやり取りとも関連するのですが、バツが付いている項目に関して本当に意識のある方はもう取り組んでおられると思います。だから個人への働きかけというのは、ある程度限界に近い部分が生じているのではないか。ですから、今、おっしゃってくださったように環境とか仕組みという外堀を埋めていく方向を、もっと強化しないといけないのかなと思います。そういった点では、先ほどから話題に出ている子供たちへの働きかけとして、教育の中で繰り返し繰り返し、こういう健康について考える機会を提供する。そういう子供たちへの働きかけや、あと、このスマート・ライフ・プロジェクトはすごく良い企画だと私は思います。こういったものを浸透させていくと。

 そこで伺いたいのですが、既に3,000団体が登録されているということで、これは年度ごとに更新なのですか。結局、登録して認証をもらって、おしまいというよりは、報告なり継続認証ということなのかどうか。それから、アワードという表彰式があってこれもいい仕掛けかなと思うのですが、伺いたかったのは、その登録が更新制度になっているのか。それから、このアワードの評価ポイントはどういう評価項目になっているのですか。インセンティブになるかなと思って質問したいと思いました。

 

○説明者

 ありがとうございます。最初に頂いた認証というか登録ですが、これは一旦、登録していただいて、その後、フォローアップしていく仕組みになっていますので、そのフォローアップの仕組みを改善していくことによって、もう少し今の現状はどうなんだというところを把握してまいりたいと思っています。

 それから、アワードですが、このアワードは健康増進に向けたユニークな取組、革新的な取組、参加者が非常に多くインパクトがある取組、そして、横の広がりを持っていて1つの自治体ないし1つの会社の取組でなく、それを横展開したときに汎用性がどれくらいあるかという点も議論いただいていて、その中でも最近注目されているのはインパクト、成果です。皆さんには運動とか食生活の改善、禁煙といったことにしっかり取り組んでいただいているのですが、成果が出ている取組とそうでないところがあります。成果が出ている取組を推奨していって、その違いは何なのか。巻き込み方であったり、情報提供の仕方であったり、フォローアップの仕方であったり、様々な優れたポイントがありますので、今までにない優れたポイントを示していただいた取組に対して、アワードを提供しています。今後は、1回、アワードを提供してしまうと皆さんは安心されてしまうところがあるので、ある程度定期的にフォローアップして、その後はどうですかということと、その後も含めて関係団体にしっかりと情報提供していくことが重要だと思いますから、その辺を今後、正に強化してまいりたいと思っています。

 

○宮崎委員

 よく分かりました。持続性につなげていただければと思います。

 

○印南座長

 ほかに、よろしいでしょうか。私のほうから1つ、健康寿命の延伸関係ですが、この全体の施策課題は、「生活習慣の改善等により健康寿命の延伸等」と「等」が2回入っていて、生活習慣の改善が手段のような書きぶりですね。最初の質問は、実績評価書の指標1の所で健康寿命の延伸とありますが、資料とかを見ると単なる延伸ではなく、いわゆる不健康な期間の短縮ですね、つまり、平均寿命の延びよりも健康寿命の延びを長くすること。これは期間のコンプレッションですね。これは単なる延伸が指標なのか、それとも実際の罹患期間というか、不健康な期間の短縮が目標なのか、はっきりしないというのが1点です。

 それから、生活習慣病の予防等にあって指標等にはそれが入っているのですが、資料のほうを見ると、これらは横並びになっていて必ずしも健康寿命の延伸の手段にはなっていない。例えば資料5-22ページを見ると①②③④⑤と並んでいますが、これは並列になっていて、必ずしも②以下が健康寿命の延伸の手段にはなっていないように見えるのです。そうすると、では一体、健康寿命延伸、特に不健康な期間の短縮みたいなことにつながる実際の手段は何なのでしょうか。8月までにまとめると何回も聞いていますけれども、それって一体、本当に何でしょうか。それが質問です。

 

○説明者

 御指摘の所は、恐らく一言で申し上げると、compression of mobilityといった概念の定義と政策的なリンクということだと思います。先生が御指摘のように、健康寿命の延伸というのは結果であると我々は認識していて、その手段としては、まず不健康期間を短縮するところが重要で、そうすると平均寿命の延びを上回る健康寿命の延びを達成できる。正しくここはコンプレッションの部分だと思います。そのために何をするかという政策的なパッケージの話に今度はなってくるわけですが、今までエビデンスとして出された中で大きいのは圧倒的にたばこだと思います。喫煙対策、受動喫煙対策も含めて、たばこ対策というのは最もインパクトがあると言われていますし、それ以外に運動と栄養も関連しているということで、よく御指摘を頂いているところかと思います。

 それから、今日も出ましたけれども、最近はメンタルな部分ですね。こういったところが非常に大きな影響を与えているということで、これは精神疾患までいかなくても、心の健康みたいなところになってくると思います。いわゆる睡眠時間も含めて改善していく必要があると考えているわけですが、こうしたものを中心に、今、パッケージの中身を整理していて、従来から進めてきたところはしっかり進めていくことを維持しつつも、今日、議論の中心にあった仕組みを変えていく。社会環境を変えていく。アプローチをよくしていく。自然に健康になれるようなところを今後の取組の中心的な課題として、今、捉えていますので、持っているツールは従来型のものをうまく使っていくということなのだと思いますが、その使い方を工夫していったり、行動経済学のような概念的なところをしっかり取り入れていって、そこで今までの取組を加速化するような動きを、是非、今回の政策パッケージの中で出していきたいと考えています。

 御指摘いただいたロジカルパスウェイと言うのでしょうか、どこをどういうふうにやったら、どういう結果が出てくるか。ここのところが今は弱いものですから、ここも調査研究を今後はしていきたいと思っていて、研究の中で、そういうロジックモデルみたいなものも明示できるような研究も進めてまいりたいと思っています。

 

○印南座長

 でも、8月に発表するのですよね。

 

○説明者

 政策パッケージは発表します。

 

○印南座長

 その後も研究するということ。

 

○説明者

 その後も研究します。

 

○印南座長

 そうすると、この指標のほうでずっとバツとかが付いていたのですが、compression of mobilityを測るためにナッジを活用した環境とかを含め、冒頭で出ていた無関心層への働きかけも含めて、これを短くするということですから画期的なものが出てくると私は期待しますが、8月を楽しみにしています。

 

○説明者

 是非、画期的なものを出せるように頑張ります。

 

○印南座長

 ありがとうございます。ほかに御意見、御質問等はないでしょうか。よろしいですか。それでは、担当課におかれましては本日の議論を踏まえて、是非、実績評価書への反映をお願いいたします。以上です。ありがとうございました。

 

○説明者

 ありがとうございました。

 

○印南座長

 本日、予定しておりました議事は全て終了いたしました。熱心な御議論を頂き大変ありがとうございました。それでは、事務局より本日の議論の取扱いについて説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 本日は誠にありがとうございました。本日頂きました御意見等の取扱いですが、実績評価書の記載に関する指摘につきましては、担当課において必要な修正を行いますとともに、評価書の学識経験を有する者の知見の活用欄に反映状況を記入させていただきます。会議の場でお伝えしきれなかった御意見等がございましたら、716()までに事務局まで御連絡ください。実績評価書につきましては評価官室で取りまとめの上、総務省への通知及び厚生労働省ホームページでの公表手続を進めさせていただきます。また、併せて皆様にも最終版を御送付させていただきます。以上です。

 

○印南座長

 それでは、これを持ちまして、本日の会議は終了させていただきます。ありがとうございました。

 
(了)