2019年7月4日 第8回政策評価に関する有識者会議労働・子育てWG 議事録

日時

令和元年7月4日(木)10:00~11:43

場所

中央労働委員会講堂(7階)

出席者

玄田座長、岩佐委員、内田委員、正木委員、皆川委員

議事

 

○政策評価官室長補佐
 定刻になりましたので、ただいまから第8回政策評価に関する有識者会議労働・子育てワーキンググループを開催いたします。政策評価の担当をしております肥沼です。どうぞよろしくお願いします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 議事に入る前に、有識者会議の委員についてですが、日本経済団体連合会の遠藤委員から、同じく日本経済団体連合会の正木委員に変更がありました。お知らせいたします。本日の会議では、事前に御案内したとおりペーパーレスとして、タブレットでの会議とさせていただきます。資料となるファイルは、マイプライベートファイルに格納されています。それでは、本日の議事進行につきましては、座長の玄田先生にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 
○玄田座長
 おはようございます、本日もよろしくお願いします。本日は議事次第にありますとおり、5つのテーマの実績評価書案について、委員の皆様に御議論いただきたいと思っています。なお、渥美委員におかれましては、御都合により御欠席と伺っております。
 それでは、配布資料及び「令和元年度に実施する政策評価について」の進め方について、事務局より御説明をお願いします。
 
○政策評価官室長補佐
 議事の進め方について説明いたします。ファイル01の議事次第を御覧ください。本日は議事にあります(1)のマル1からマル5の順番で、テーマごとに担当課の入替を行い、御議論いただきます。1テーマごとの時間については約20分程度とし、まず担当課より約5分程度で説明を行い、その後、約15分程度で御議論いただくということで、進めさせていただければと思います。今回は実績評価書を議事としておりますので、測定指標の実績値、評価結果と今後の方向性を中心に御意見を頂ければと存じます。事務局からは以上です。
 
○玄田座長
 それでは、早速1つ目のテーマから入りたいと思います。1つ目のテーマは施策番号3-2-1「労働者が安全で健康に働くことができる職場づくりを推進すること」についてです。担当課から5分程度で御説明をお願いします。
 
○安全衛生部計画課
 労働基準局安全衛生部計画課長の久知良です。本日はよろしくお願いします。私から1つ目のテーマについて、説明をさせていただきます。資料1-1、実績評価書(案)を御覧ください。まず簡単に施策の概要を説明させていただきます。この施策の概要については、労働安全衛生法に基づきまして、労働災害防止のための対策を推進することで、職場における労働者の安全と健康を確保するというのが、施策の基本です。このために、安全衛生法に基づいて第13次労働災害防止計画を現在策定して、正に国と事業者・労働者等の関係者が一緒になって取り組もうということで、やってきているところです。
 続きまして、測定指標についてです。これについて、基本的には第13次労働災害防止計画、これが2018年度から2022年度までの5年間の計画でして、この計画の最終年度において、例えば死亡災害であれば第12次の災害防止計画の最終年度と比較して、15%の減少という目標を立ててやっておりますし、休業4日以上の死傷災害では、第12次防の最終年度と比較して5%以上の減少を最終年度において達成するということで、目標を設定しているところです。これに正に準ずる形で、測定指標の1と2については、これは労働災害による死亡者数と、労働災害による死傷者数で休業4日以上ということで、設定をしているところです。これは労働災害防止の取組の成果を測る大きな柱となる数値ですので、従前から指標として設定しているところです。
 また、測定指標3、4につきましては、昨年3月のこの会議におきまして、委員の方々から特にメンタルヘルス対策についても指標を盛り込むべきとの御意見を頂戴したということで、新たに指標3と指標4、指標3がメンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合で、指標4は仕事上の不安、悩み又はストレスについて、職場に事業場外資源を含めた相談先がある労働者の割合ということで、設定をさせていただいております。
 目標値につきまして、第13次の労働災害防止計画では、この指標3、4につきましても、最終年度での達成目標は掲げているところです。労働災害防止計画自体では、最終年度の目標だけを掲げていて、その間の年度ごとの達成目標というのは、この計画自体では設定しておりませんので、今回の評価をするための便宜上ということで、5年間で達成するという前提に立って、5で割ったという形で進捗を出して、それと照らして評価をするという形で行っているところです。
 指標の1と2については、既に今年5月に平成30年の労働災害の発生状況が確定して、公表されておりますので、この数字を使って評価をすることが可能となっております。
 一方で指標の3と4につきましては、平成30年の数字が公表されていない状況ですので、指標の3と4については、現段階では評価できる数字がないということになりますので、その点を御了承いただければと思います。
 評価の指標1、労働災害による死亡者数です。これについては平成29年が、第12次防の最終年度で、死亡者数は978人でしたので、これに対して令和4年の時点で15%減が目標なので、831人まで減少させるという前提で、その目標を年ごとの進捗でやった場合には、平成30年については948人まで減らしておく必要があるということになるわけです。それに対して、実績としては909人ということですので、この点については目標をかなり上回った形になっているということです。
 一方で指標2です。休業4日以上の死傷者数については、平成29年の数値が12万ちょっとなので、これを令和4年に11万4,437人まで減らすという前提でいくと、平成30年は11万9,255人というのが目安の数字ですが、これに対して。
 
○玄田座長
 大変恐縮ですが、あと2、3分でお願いします。
 
○安全衛生部計画課
 承知しました。これに対して、逆に増加していることになっています。評価結果と今後の方向性の説明に移ります。まず死亡災害についてです。死亡災害については、有効性の評価の欄を御覧いただければと思いますが、先ほど申し上げたような形の実績となっているということで、各施策が有効に機能していると考えています。業種別には製造業で増加しているという部分がありますし、依然として墜落・転落等の災害は多いということがありますので、引き続きしっかり取り組む必要があるということです。
 指標2の死傷災害です。判定理由の欄を御覧いただければと思いますが、対前年比でも増加しているということになっているわけですが、一方で働く高齢者が増えていることで、高齢者の災害が増えているという要因、それから、平成30年は例年よりも降雪量が多かったことで、転倒災害が全業種で増えているという要因がございます。令和元年に入ってからは、前年に比べて減少しているということを考慮して、一応、目標をおおむね達成と整理させていただいたところです。ただ、転倒災害、特に高齢者の被災が増えているということがありますので、しっかりと転倒災害防止等を中心に、高齢者の災害を防止するための取組を強化して進めていくことが必要であると考えているところです。
 最後に判定理由の欄に戻っていただければと思います。最も重要な指標であります指標1の死亡災害については、目標をかなり上回って達成しているということ、それから、指標2についてはおおむね達成という評価で、指標3と4については評価できる数字が現時点ではないということで、全体として目標達成に向けて進展ありという評価をしているところです。説明は以上です。
 
○玄田座長
 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明について、御意見、御質問などがありましたらお願いします。いかがでしょうか。
 
○内田委員
 最後の次期目標等への反映の方向性、これも併せてよろしいでしょうか。私から2点、意見を申し上げたいと思います。まず指標の1と2の関係ですが、確かに指標1では死亡者数が減少していると。しかし指標2については、傷病、けがのほうが増えていると。この要因については、先ほど口頭で説明を頂きましたが、増えているとか減っているということではなくて、やはりゼロ災に向けて進めていくというのは当然のことだと思います。
 例えばスポーツ界では結構AIなんかも入って、それを1つの判断要素として、様々な所が研究されているということです。厚生労働省関係で言えば、6月26日に労働政策審議会の基本部会が開催されておりまして、ここでAIとの関係についての報告書を取りまとめるという形になっていますが、そこにはこのような記載がされているのです。「AI等の活用を通じ、省力化を進め、人手不足に対応することや、労働時間の短縮や、危険を伴う業務の安全性の向上により、快適な職場環境を実現することが求められている」と。もう一方が「単純反復作業からの解放や、人為的なミスの削減も実現できることが確認されている」ということであって、人間はどうしてもエラーというのが付き物ですから、そのことも含めて災害を減らしていく努力が必要だと思います。
 そういったことになりますと、こういったAIを使いながら、新たな発想を持ちながら災害に取り組むと。これは、指標値に入れるというのはかなり難しい部分があるかもしれませんが、予算化の部分もあります。しかし、何らかの形で指標に入れて、この取組というものが、我が国の社会全体に広がっていくような、そういったことが必要だと思っておりまして、その辺のところについてコメントがあれば頂きたいと思います。
 もう1点、最後の所、外国人の安全衛生の所ですが、これは当然、日本人、外国人を問わず、安全衛生というのは同じレベルでやっていかなくてはいけないのですが、ここに記載されておりますように、技能実習生の様々な声というのも、我々連合には入ってくるわけですが、そういったところを見ると、必ずしも、事業主から見て、安全配慮義務だとかレベル観が、日本人と外国人と同レベルかという疑問を持つ声というのも、技能実習生から投げ掛けられているところです。そういったことから言いますと、事業主に対する指導です。ここに記載されておりますが、この辺のところも少し数値化をしていただいて、次期に向けた取組をお願いしたいと思っています。2点、よろしくお願いします。
 
○玄田座長
 いかがでしょうか。
 
○安全衛生部計画課
 AIの話です。世の中の流れとして、これからAIの活用がどんどん進んでいくと思いますし、それが労働の分野にも影響してくる、当然そういうことになってくると思います。労働災害防止という観点から、AIでどういう目標が立てられるかということを具体的に考えると、なかなか難しい面はあります。目標設定となると難しい面はありますが、私どもとしても今考えている中で、これからAIを使って自動的に動くような、自動的に作業現場で使われる、AIを使った機械が入ってくるというときに、人とAIを使った機械との共同作業みたいな形になってくるということがあると。そうするとAIを設計する段階で、その設計する人たちの頭の中に安全衛生に係る考え方をたたき込まなければいけないということも出てくるのだろうと思っておりまして、まだ具体的に事業としてこうだというのを示せる段階でもないのですが、そういうAIが使われるという前提での、安全衛生の側から見た対応というのを、今後はやっていく必要が出てくるのだろうなと思っています。
 それから、外国人の問題です。こちらのほうは当然、外国人と日本人、安全衛生の世界で言えば同じ扱いを受けなければいけないということです。ただ、やはり1つ、外国人に特別に配慮しなければいけない部分ということで言えば、日本人と比べれば、日本語の能力が低いという方が、一般的には多いということになってくる。そういう方に対して、安全衛生教育を事業主がやっていくときに、ちゃんと理解していただけるようにするためのツールというものを用意する必要があると我々も考えておりまして、これは今年度始めることですが、特に特定技能ということで、14業種で入管法上、新たに外国人が入ってこられるような業種がありますが、それぞれの業種について10か国語での視聴覚教材というものを作っていって、事業主がしっかりと安全衛生教育に使えるようなものを、私どもとしては作っていくということとともに、技能実習生に対する不適正な取扱い等がある場合にはしっかり指導していくという取組は、やっていきたいと思っているところです。
 
○内田委員

 1点目のAIと災害防止の関係ですが、例えば災害が起きるということは、不安全行為がどこかにあるわけなので、それを例えばカメラなどで監視をしながら、兆候をビッグデータなどで蓄積し、例えば顔だとか、手だとか、身体の反応でもって、その不安全行為の兆候を察知するようなことができれば、警報を鳴らすだとか、管理監督者に通報するだとか、そういったことをして未然に防止するみたいな、それはまだまだ実用は無理にしても、そういった研究をしていくというプロセスの中で、省内においてこういったことをステップ観を持って、目標を持ってやっていくだとか、そういったことはあるのではないかと思いますので、その辺も含めて今後検討していただきたいなと思います。

 
○安全衛生部計画課
 今の点については、実は研究段階では既に着手しているところですが、まだ3年間の研究段階ということですので、その研究の内容が固まったものを見て、取組としては考えていくというプロセスになっています。
 
○玄田座長
 では、研究がまとまった段階で、また御報告を頂きたいと思います。ほかに御意見はいかがでしょうか。
 
○正木委員
 この次期目標への反映の方向性についてもよろしいわけですね。指標2の所で、降雪量が多かったというのが、死傷災害の増加の要因として挙げられているということなのですが、そうすると対策と言いますか、目標への反映の方向性の所で、降雪対策というのがあって然るべきかなと思うのですが、この「転倒災害プロジェクト」の中に、雪対策は何か入っているのかどうかというのが1つです。
 2つ目は、今、内田委員からも御指摘があった外国人のことですが、安全衛生の対策の現場の方に聞きますと、そもそも外国人は入国前、水際での安全衛生対策を是非していただきたい。現地での定期健診がどれくらい信頼性があるのかということはあるかと思うのですが、ストレスチェックなどもここに目標が掲げられておりますが、入国前にもうメンタルに課題があって、入国してもすぐホームシックでどうにもならないような方とでは、なかなか一緒に仕事をするのも、入国しても難しいということになりますので、是非、水際での外国人の労働災害の防止対策というのを充実強化してほしいという声がありましたので、今の外国人のところに合わせて、充実強化というところに合わせて、申し上げたいと思います。以上、2点です。
 
○玄田座長
 いかがでしょうか。
 
○安全衛生部計画課
 転倒の対策につきましては、私どもは転倒災害防止対策について、社会運動として転倒防止のキャンペーンをやってきているわけです。その要綱に基づいて取組を行っているところですが、そのように降雪というのが、非常に大きく転倒に影響してくるという数字が明らかに出たことを踏まえまして、今年度に入ってからですが、要綱を改正いたしまして、降雪ということを念頭に置いた、転倒の防止対策というものを付記したという取組をやっているところです。
 それから、外国人の問題について、水際での安全衛生対策、入国を前提としての健康チェック、健康診断の議論というのは、例えば去年の入国管理法の提出前の、例えば与党手続の議論等でも、ずいぶん言われていたところです。一応、役割分担としては、入国の際のチェックというのは、入国管理の世界という分担になっておりますので、それ自体を今回、私どもの予算を使ってやっている事業の評価の指標の中に盛り込むというのは、なかなか整理としては難しいということです。
 ただ、入国する人の健康の問題というのは、入管当局でも意識をされているところでして、当方、厚生労働省でも特に健康局と入管との連携等を行いながら、対応はしているところです。ただ、個々での目標に盛り込むのは、整理上は難しいということです。
 
○正木委員
 転倒のほうは雪ですと、結局、ここが転倒しますと言っても雪で隠れてしまうとか、いろいろあると思うのですが、対策の中身としては床を変えるとか、そういうことでしょうか。
 
○安全衛生部計画課
 一番基本的な対策は、滑りにくい靴を履くということで、それは雪に限らず、いろいろな場面での転倒対策を考えたときに、滑りにくい靴を履くということだけで、相当転倒が減ることになります。
 
○玄田座長
 ほかにいかがでしょうか。では、私から1点、3番目の指標のメンタルヘルスということで、目標が80%で、現在6割弱というので、これがまだまだ取組が必要だと思います。具体的には有効性の評価の所でマル1からマル3、目標を見つけた取組というのを具体的に書かれていて、大変結構だと思うのですが、恐らくこれがまだ6割ぐらいにとどまるのは、事業所によってはまだメンタルヘルスの問題が発症していなくて、うちの事業所には必要ないとか、問題ないと考えていらっしゃるところが、恐らく少なからずあるのだろうと。
 そうなりますと、やはりメンタルヘルスの発症を予防することが、どれだけ価値を持っているのかという、事後的に発症しただけではなくて、それを予防することの効果のところに、現在も恐らく取組をなされていると思いますが、より重点を置いて、これが起こるとどれだけ大変な問題になるのかという辺りを、より強調する形で取り組まれるということが、まず1つ啓発には必要だと思いますが、その辺りの予防という観点からは、どういうことをお考えになっているか、よろしければお聞かせいただけますか。
 
○安全衛生部計画課
 やはりメンタルヘルスの問題は、いかに予防ができるかというところでやっていくということで、前回の安全衛生法改正の際にストレスチェックという制度を作ってやってきているところです。義務化されているのは50人以上の所ということになっておりますが、例えばそれより小さい規模の事業場がやったときに、助成をする、支援をするといったようなことでもって、より小規模な事業場の取組も進めていくということでやっていく。そうすると、ストレスチェックということで進めていけば、まだ実際にメンタルヘルス不調に陥る前の段階、予防の段階での気付きといったもの、それから、事業場側の問題といったものが見えてきて、対策を取っていくという流れにつながっていくことになりますので、これをしっかり進めていきたいと考えています。
 
○玄田座長
 ありがとうございます。もちろんストレスチェックは、より皆さんに有効に活用いただくべきだと思いますし、そのための取組もますます推進していただきたいのですが、私が申し上げたのは、やはりこれが起こることが、個人だけではなくて、職場全体にとってどれだけ大きなマイナスになるのか。よく聞くのは、一人だけの問題も、だんだんそれが連鎖すると言いますか、それによって他の方にも負担が大きくなっていくとか、その辺り、いろいろなデータや事例というのは、厚生労働省の中でも多分お持ちだと思いますので、ストレスチェックに合わせて、より広汎な予防に向けた取組なども御検討いただき、できれば実施していただきたいなという要望でした。
 
○安全衛生部計画課
 分かりました。
 
○玄田座長
 ほかによろしいでしょうか。それでは、担当課におかれましては、本日の御議論を踏まえまして、実績評価書への反映をお願いしたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、次のテーマに移りたいと思いますので、御準備をお願いします。
 
○玄田座長
 よろしいでしょうか。それでは続きまして、施策番号3-5-1「労働保険適用促進及び労働保険料等の適正徴収を図ること」について、担当課から5分程度で御説明をお願いします。
 
○労働保険徴収課
 労働保険徴収課長の河野です。どうぞよろしくお願いいたします。労働保険適用促進及び労働保険料徴収の制度全体について御説明したいと思います。労働保険と申しますのは、労災保険と雇用保険の総称です。給付はそれぞれで行いますが、労働保険料の徴収としては、一元的に私どもが行っているところです。労働保険料については、先ほど申し上げました給付の財源となりますので、労働保険制度の健全な運営また費用の公平負担、労働者の方々への福祉の向上という観点から、適用促進や保険料の適正徴収をしっかりやっていかなければいけないと考えています。 では、具体的にどのようなことをやっているのかということです。労働保険料については、年1回、6月1日から7月10日までの間に、事業主自ら申告納付をいただくという制度になっています。納付期限までに完納されない場合については、私どものほうから督促状を出します。これで督促をするわけですが、更にその督促状に指定しております、指定期限を超えた場合については、納付督励を実施し、更に納付されない場合については、財産調査等を行って、差押え等の強制措置を行うという流れになります。
 また、一方で、適用促進の関係ですが、労働保険においては、労働者を1人でも雇用すれば、加入していただくという制度になっていますので、その際には労働保険関係成立届を提出いただきますが、これが提出されない未提出企業が一定数あると考えております。これを解消すべく、都道府県労働局が行う加入促進業務に加えまして、労働保険加入促進事業を民間企業に委託をし、実施させているところです。
 具体的にどのようなことをさせているかということですが、未提出企業の事業場の情報収集と、所属している加入推進員が行う加入勧奨、更には全般に関して、労働保険に関しての周知や相談を受けることなどをやっております。
 続きまして、予算の関係です。お手元の資料を御覧いただきますと、中ほどに令和元年度の記載があります。当初予算案は228億円ということになっており、30年度はまだ集計中ですので、実績としては29年度の執行率は90%です。ここ数年ほぼ90%で推移している状況ということです。
 続きまして目標設定の指標の関係です。2つ掲げています。まず1点目は、労働保険料の収納率です。後ほど申し上げます指標も含めて、いずれの指標も、前年度以上とするという目標設定をさせていただいております。
 指標2は適用促進に関するものですが、未手続事業対策により労働保険に加入した事業場数について、目標設定をしています。評価のところですが、労働保険料の収納率については、高水準を維持しており、30年度実績値についても、これは暫定値ですが前年値を上回って、目標をクリアしているところです。一方、指標2の委託事業を中心とした加入促進業務においては、年度前半にはやや低調だったという結果です。実績としては上期が1万6,000数件でしたが、下期は2万8,000ということで、後半には前半を上回る実績を上げております。これは平成30年度から3年間での契約期間での業務ということもありましたものですから、先ほど申し上げました加入推進員の人員確保がなかなか難しかったということもあって、低調になったという経緯があります。
 そういうこともあり、今回はトータル的に見まして、判定結果は、達成に向けて進展ありというB評価にさせていただいたところです。
 いずれにしても、保険料については、費用負担の公平の観点から、引き続き収納業務をやっていきたいと思っています。
2番目については、先ほど申し上げた、年度初めは人員確保の問題がございましたが、具体的には実績が増えていくと思われますので、精度の高い情報を入手して、関係機関と連携を図りつつ、実績を上げていきたいと思います。以上です。
 
○玄田座長
 ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見などございましたらよろしくお願いいたします。
 
○皆川委員
 皆川です。今の御説明のところで、資料の総合判定の所、測定指標2の達成度について御説明がありましたが、そこでの記述で、測定指標2の加入促進業務(委託事業)については、平成30年度が複数年契約の初年度であるというのは、こちらの説明は複数年契約の初年度というのは、加入推進員の方の契約ということでしょうか。この辺りちょっと分かりにくかったもので。
 
○労働保険徴収課
 事業自体の契約自体が初年度だったという趣旨です。3年契約の初年度で加入推進員の任命というのも、ここから始まるということで、それがなかなか進まなかったというものです。
 
○皆川委員
 あともう1点御質問したいのですが、お分かりになる範囲で確認いただければと思いますが、これは雇用関係がありながら、保険料を納めていない事業所に対して促進するという事業ですね。その内訳で、前年度よりも件数を多くという目標を立てておられる。それ自体は1つの立て方として結構なのですが、具体的にその加入を促進する場合に、新しく雇用関係が成立した、あるいは事業を起こして人を雇用するようになったけれども、まだ保険料を納めていないという事業所が多いのか、それとも、ずっと未納の状態が続いている事業所が改善されないという傾向があるのか、その辺りの数字の傾向というのを、お分かりになる範囲で御教示いただければと思うのですが。
 
○労働保険徴収課
 委員からのご質問は、もともと既存の会社が加入されてないのか、それとも新規のもので入っていないのかというお話だと思います。ただ、申し訳ないのですが、事業の多くが成立・廃止を繰り返しており、これはフローなものですから把握が困難です。基本的には新規に加入されている所が制度のことを知らなかったりして、加入されていないウエイトが高いのだろうと私どもとしては理解をしています。ただ、そうは言いながらも、既存のところで加入されていない所もあると思われますので、そこについては合わせて引き続き加入をしていただくように勧奨していきたいと思います。具体的な数値は手元にはございません。
 
○皆川委員
 ありがとうございました。参考になりました。
 
○玄田座長
 よろしいですか。
 
○皆川委員
 はい。
 
○玄田座長
 では、正木さんどうぞ。
 
○正木委員
 初歩的な質問で、先ほどの複数年契約のところなのですが、予算としては年度ごとに立てているのではないかと思うのですけれども、そうすると初年度は徴収も進まないですけれど、予算も使わないので、その分を節約できるのですが、2年目に繰り越しできるとか、そういう形になっているのですか。
 
○労働保険徴収課
 これは3年間の事業ですので、3年間の国債を組んでやらせていただいております。ただ、繰り越せるかというと、やはりそこは年度年度で区切りがあって、精算をさせていただきますので、国の予算制度の中では繰り越しはできないということにしております。ただ、そうは言いながらも、3年間で一定数のものをやっていただこうと予算上は組んでおりますので、2年目、3年目において実績が出れば、それを払える範囲内での予算は組んでいます。ですので、それについて支障が生じるということはないと考えています。
 
○岩佐委員
 先ほどの御質問とも絡むのですけれども、指標2の関係で、ちょっと難しいのだろうなと思うのですが、全体として未手続なものがどれぐらいの規模あると想定されて、
主な原因がどれぐらいと考えられているのか。もちろん倒産していくような会社もあると思うので、それがどういう推移を経ているのか。つまり毎回未手続を潰していこうということではあるけれども、大きな枠組みの中ではかなりのパーセンテージが潰せているのかとか、やっていることが原因とマッチしているのかということについての、調査が難しいとは分かりつつ、どんなイメージでやっておられるのかとか、限界があるのかを教えていただければという質問です。
 
○労働保険徴収課
 恐らく、全事業場がどれぐらいあって、今どの程度それが進んでいるのかというお話であろうと思います。実は私どもとしてもそれをしっかりつかみたいところではありますけれども、全体像としての事業場数は、推移をするわけです。ですので、一定の時点を捉まえないと、なかなかできませんし、私どもではなかなかそこまで行き着かないところがあります。そうすると、他の指標、例えば総務省の経済センサス等々がありますが、それも5年間に1度の、一瞬の数値でしかないものですから、参考資料にはなりますけれども、なかなかそれでイコールにはならないということもあります。加えて、先ほど言いましたように、やはり改廃は非常に多いので、どこかのタイミングで捉まえたいと思いますけれども、それが現実にできていないというのが現状です。今、委員のお話がありましたように、どうにか何かつかめていければと思っていますが、今後、また探索していきたいと思います。
 
○岩佐委員
 それをするためだけに何か異常な手間が掛かって、結果において減らす事業をするのができなくなったというと全く本意ではないので、もし、余り多くの手間が掛からないで、ざっくりでも、何かこう枠組みが分かって、全体像から見た効果とか課題とかがもし検討できればと思って発言させていただきました。
 
○労働保険徴収課
 加えて申し上げるならば、おっしゃるとおり、政策評価という観点からすれば、それはしっかりとあるべきということはよく分かりますが、私どもとしたら、あらゆる手段を使って情報入手をして、それはある意味では潰していくという手法を取らさせていただいているものですから、このような指標になってしまうことについて、御理解いただければと思います。
 
○玄田座長
 私からも。今の点に関係しまして、やはり今後、未手続の事業者が手続をしていたただいたときに、なぜこれまで未手続であったのかという背景などが分かると、これが1つの対策になるのではないかと想像いたします。特に今後の労働政策全般の課題からすると、1つ考えられる理由は、いわゆる個人請負といいますか、フリーランスといいますか、事業所が雇用契約ではないというように前提をしていて、そもそもの労働契約が保険の対象と考えていなかったというケースが恐らく業種によっては少なからずあるのではないか。ただ、実際には労働法的には、法の適用対象になるということを、ちゃんと知っていただくためには、例えば雇用契約を前提としていないというような認識をしていたために未手続だったものがどのぐらいあるかとか、先ほど皆川さんが言われたように、当然、保険適用と分かっていながらも、あえて意図的に無視していたケースですとか、幾つか未手続事業をもう少し未手続の理由を掘り下げることによって、今後の対策を考えていくというようなことも、是非、御検討いただいたらどうかなと思いますが、いかがでしょうか。
 
○労働保険徴収課
 ありがとうございます。委員からお話がありました「なぜ未手続になったのか」というのを追求したいと思いますが、ただ、相対する事業場の方々が、率直なところの御意見を頂けるかどうかという観点があります。そのためにはどういう調査手法があるのかとか、そういうところも検討していかなければいけないと思いますので、今頂いた御意見をどういう形で反映できるか分かりませんが、検討課題とさせていただければと思います。
 
○玄田座長
 恐らく直接的な原因把握は難しいとして、しかるべき経験とか知識を持っていらっしゃる方が調査されており、又、そのようなところへ委託されているわけですから、間接的な証拠でも構わないと思うので、やはり印象も含めて、まずは内容を把握する取組が必要だと思いますので、是非、御検討いただければと思います。
 
○労働保険徴収課
 ありがとうございます。参考にさせていただきます。
 
○玄田座長
 ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。ありがとうございました。担当課におかれましては、本日の御議論を踏まえて実績評価書への反映などをお願いします。どうもありがとうございました。それでは次のテーマに移りたいと思いますので、御準備をお願いいたします。
 
○玄田座長
 よろしいですか。続いて、施策番号4-3-2「豊かで安定した勤労者生活の実現を図ること」について、担当課から5分程度で御説明をお願いいたします。
 
○勤労者生活課
 雇用環境均等局勤労者生活課課長の宇野と申します。お手元の資料3-1の実績評価書で御説明いたします。ここにおいては、大きく2つの施策が対象となっております。1つは、勤労者退職金共済機構が運営する中小企業退職金共済制度の普及促進、もう1つは勤労者財産形成促進制度の普及・活用促進、この2点です。この2点について、測定指標として、それぞれ指標を1つずつ用意させていただいております。
 まず、中小企業退職金共済制度は、独力では退職金制度を持つことが困難な中小企業について、事業主の相互共済の仕組みと国の援助によって退職金制度を確立させるという観点から、中小企業退職金共済制度での新規加入被共済者数をアウトカム指標として、目標値を設定し、それに対しての達成を見ております。ご覧いただきますと分かるとおり、平成30年度は年度ごとの目標値を超え、37万7,908人であります。
 続いて、もう1つの勤労者財産形成促進制度の利用件数についても、これは福利厚生の一環なので、特に義務ではないのですが、勤労者が安定的に生活できるように財産形成を促進していきたいとの観点からアウトカム指標として設定しております。これは、資料3-2で制度概要がございますので、もし分からなければ質疑の中でと思います。貯蓄について、一部非課税措置がありますが、利用件数は、金利等の金融情勢が影響しますので、直近5年間の平均の年間変動率を使って目標値を設定しております。平成30年度は、お手元では集計中となっておりますが、実は数字が出まして、764万267件です。年度の目標値を若干下回っております。これは金利が低い金融情勢もあるのですが、民間の金融機関を通じて数字を頂いておりますので、民間金融機関に確認したところ、やはり高齢化によって定年退職者数をはじめとした、退職者が増えていることも要因です。退職者がこれまでのトレンド以上に増えたということが、目標を下回った理由であります。
 評価結果と今後の方向性ですが、今、判定結果はAになっています。しかし、指標2については、平成29年度は達成できましたが、平成30年度は比率が99.5%であり、目標達成できませんでした。したがって、総合判定は、達成に向けて進展があるということでB判定であります。
 今後の施策の分析ですが、どちらの制度についても、まだまだこれから周知等で加入促進を進めていきたいと思います。その上で、特に次期目標等への反映の方向性について書いてありますが、指標2については、これは福利厚生の1つですから、同一労働同一賃金の待遇の1つですので、非正規雇用労働者も含めて、どうやって周知していくか、ここにある「就業形態等を把握し」という趣旨を踏まえて、今後の周知を考えていきたいと思っております。以上となります。
 
○玄田座長
 ありがとうございました。一応確認ですが、総合判定はここにはAと書かれてありますが、おおむね達成ということで、Bに変更されるということですね。
 
○勤労者生活課
 はい。
 
○玄田座長
 それでは御質問、御意見などがありましたら、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。先ほどの、就業形態等を把握し、という勤労者財産形成促進制度は、やはり現実的にはいわゆる非正規雇用の方の利用が少ないという理解でよろしいのですか。
 
○勤労者生活課
 JILPTの福利厚生の調査によりますと、この財形制度を施策として保有している事業所の中で、非正規雇用労働者にも適用している割合が39%程度という数字がございますので、やはりそこのところが問題であると認識しています。実は制度上は、一般貯蓄であれば3年以上を積み立てる見込み、年金や住宅ですと5年以上積み立てる見込みですので、3年や5年という形になると、やはり無期雇用労働者の方が対象だと皆さん思っていらっしゃる。ただ、この積み立てるというのは、別に雇用契約とは関係はありませんので、転職してもそのままポータビリティがあります。そういったことを含めて、どういう形で周知すればよいかは、工夫しながら考えていきたいと思っております。
 
○玄田座長
 どの辺りがメリットというか、利用する価値というのを強調されると、皆さんに関心を持っていただけるという印象ですか。
 
○勤労者生活課
 昔は、バブルで高金利のときは、金利が付いたので金融機関が一生懸命アピールしたということがありました。今、そういったメリットはございません。ただ、御案内のとおり、この制度は天引きという他の制度にないメリットがございます。天引きを利用された方にヒアリングをしますと、自然に貯蓄できていて、気が付いたときにここにお金が貯まっていたことで、いざという本当に困ったときに助かったという声を聞いています。金融機関の方にもヒアリングをするのですが、自分まで助かりましたという方も多いです。そういった現状から、今、なかなか貯蓄が貯まらない方や、所得が低い方、そういう方に5,000円でも1万円でもいいので、貯蓄を作っていく制度として天引きがあることの有効性をもっと強調しなければいけないと思っています。
 
○玄田座長
 なるほど。分かりました。ほかに御質問、御意見などいかがでしょうか。
 
○岩佐委員
 これはちょっと私的な感じの話になるのですが、この退職金の関係の制度は、うちの事務所もお世話になっているのですが、そう考えると、結構、弁護士会や税理士さんとか、そういう職能団体は、基本的には極めて零細企業がたくさん集まっているのですが、恥ずかしながらというか、弁護士会でも周りを見ても十分そこは広報がないような感じもします。口コミでたまたま私も聞いて、こんなのがあるからやったほうがいいよと言われてやったということなのです。何かそういう業界団体みたいな所を通じて広報していく、私どももちゃんと弁護士会でしなければいけないところではあるのですが、そういうような広報もあるかなと思いましたので。
 
○勤労者生活課
 ありがとうございます。勤労者退職金共済機構という独立行政法人が加入促進を行っているのですが、どうしても今までは、金融機関や社労士会などを中心に周知していたので、今先生がおっしゃったように、いろいろ視点を広げて周知をしていきたいと思います。今日はありがとうございました。
 
○玄田座長
 ほかにいかがでございますか。よろしいですか。それでは、担当課におかれましては、本日の議論を踏まえまして、実績評価書への反映をお願いいたします。どうもありがとうございました。
 それでは次のテーマに移りたいと思いますので、御準備をお願いいたします。
 
○玄田座長
 よろしいでしょうか。それでは、続きまして施策番号5-4-1「雇用保険制度の安定的かつ適正な運営及び求職活動を容易にするための保障等を図ること」につきまして、担当課から5分程度で説明をお願いいたします。
 
○職業安定局首席職業指導官室
 資料4-1に従いまして御説明いたします。施策の名称は、「雇用保険制度の安定的かつ適正な運営及び求職活動を容易にするための保障等を図ること」です。施策の概要を説明いたします。御案内のことと思いますけれども、労働者が失業した際の生活保障の給付及び早期の就職のための支援ということです。
 資料4-1の下ほどにいきますと、測定指標が2つ書いてあります。指標の1つ目を説明いたします。雇用保険受給者の早期再就職割合です。設定の仕方ですけれども、公共職業安定所におきまして、雇用保険受給者の早期再就職、これは支給残日数を所定給付日数の3分の2以上残して、例えば所定給付日数が90日の場合は60日以上残して再就職した者を早期といいますけれども、この再就職したものの割合を設定しております。これにつきましては、平成30年度は、年度目標37.5%に対して38.8%ということで、目標を達成しております。もう1つの測定指標ですけれども、不正受給の件数です。これは昨年度以下にするという目標を立てていますけれども、これにつきましても、平成30年度は3,364件ということで前年度を下回って、これも達成しているところです。
 したがいまして、いずれの指標も施策目標を達成しておりますことから、2ページの中程ですけれども、今後につきましては、雇用保険受給者の再就職につきましては、再就職支援プログラム事業を引き続き適正に行っていくということ、不正受給の防止につきましても、システムを活用した早期発見などを輻輳的に駆使しながら、効果的な取組を引き続き行っていくこととしております。以上です。
 
○玄田座長
 ありがとうございました。ただいまの説明につきまして御意見、御質問などございましたら、よろしくお願いいたします。
 
○正木委員
 施策の分析の所の効率性の評価で、「指標2については、システムを活用して、循環的な離職者や新たに被保険者を取得した基本手当受給者を把握し」、普通の日本語でまず分かりにくいのですが、被保険者の資格ということでいいのですか。
 
○職業安定局首席職業指導官室
 そうですね。企業採用されて雇用保険のステータスを取りましたという意味です。
 
○正木委員
 指標2について、雇用保険の不正受給について事前に御回答いただいた8割方が就職未届けによると聞いていて、その意味で、対策としてはふさわしいものがされているとみましたけれども、そもそも別の方法による不正受給、例えば内職収入未届けや不正な離職証明書が見抜けないということはないのですか。要は、発見できているのが就職未届けだから対策がこうなっているということで、なかなか不正のほうは見抜けていないから対策ができていないのか、あるけれど対策ができていないのかという意味で難しいと思うのですけれども、内職収入の未届けとか不正な離職票、離職証明書みたいなものについては、これはちゃんと見抜けているという、そういう認識でいいのですか。
 
○雇用保険課
 大変失礼しました。雇用保険課長です。不正受給に関しましては、システム上、一定の条件を設定して、不正受給の可能性がある群れを抽出した上で調査をしているので、設定した条件に該当する方については調査ができているという認識です。けれども、全ての類型のものを拾えるようにしようとすると、対象者が非常に多くなってしまうので、そういう意味で漏れる可能性があるという点は、御指摘のとおりかと存じます。
 
○玄田座長
 ほかにいかがでしょうか。
 
○皆川委員
 皆川です。今の御質問に関連したところですけれども、今、お示しいただいた測定指標の指標2で、達成目標が、法令等に基づき適正な給付を行う必要があるため指標として選定し、不正受給の件数が前年度以下となることを目標設定とされておられるわけですよね。今の御説明を伺いますと、その目標を達成するために、具体的にはハローワーク等での受給窓口で適切な確認を行うとか、そういった対策による改善を考えておられる、そういう理解でよろしいでしょうか。その点、お伺いしたいです。
 
○雇用保険課
 可能な限り、そもそも不正受給が発生しないようにするという取組が極めて重要であると思います。ですので、見つけて正すよりも、そもそも発生させないようにという観点で、窓口の御案内を丁寧にするということ、また、雇用保険の受給者は、まず最初に説明会で、雇用保険は、こういった場合には必ず届出をしてくださいということは以前からやっていますけれども、そういった事前の抑止という点にも力を用いなければいけないという意味で、とにかく防止が重要ということは意識しています。とはいえ、現実にこれだけ見つかっているということがあるので、そういう意味で、ちゃんと見つかって、いわゆる3倍返しといったような措置も取っているということを、誤解を受けないようにどう説明会で説明するかという点も、気を付けなければならないと考えております。
 
○皆川委員
 ありがとうございました。これは少し細かい点というか、うがった見方になるのかもしれませんけれど、このような目標の立て方ですと、御説明のとおりで、趣旨、骨子はよく分かりましたが、簡単に言うと、不正受給を見つけなければ目標達成ということになるので、そこら辺の目標達成に向けての全体としての動機付けというか、その辺りは、今のお話を伺うと、システムと設定した条件から調査をしてみてどうかという、そこの運用ですかね。客観的なある程度の基準があって、これは疑わしいところがあるので、そこは調査してみようと。不正受給があった、なかったということを判定するということになるかと思うのですが、そこの辺りの基準の立て方の公正さ、その辺りについては、どのような運用をされているかをお伺いしたいのです。不正受給を見付けるための基準の設定、そこが厳格でないと、この目標設定が機能しないように考えたのですけれども。
 
○雇用保険課
 近年、抽出する基準そのものを見直しているわけではありませんので、これによって数字が減ってきたのであれば、別の基準、より広く拾うような基準に変えなければ行けない可能性もあろうかと思います。そういう意味で、ここで下がってきたからそれで良しとするのではなく、事前の防止と、実際にたまたま発覚した事案はどうしたら見つけることができたのかといった点もつぶさに見ながら、基準そのものの設定の改善もしなければいけないと思っています。御指摘のとおりかと思います。
 
○皆川委員
 ありがとうございました。そのような方向で続けていただければ幸いです。ありがとうございます。
 
○玄田座長
 今の点に関連してやや踏み込んだ質問かもしれませんけれど、不正受給者というのは、複数回不正受給を繰り返すという傾向があるのでしょうか。もし、そういう場合には、実際にはそういう方をある程度重点的に、不正受給が繰り返されていないかどうかを確認するということはなさっているのでしょうか。
 
○雇用保険課
 手元にそのデータを持ち合わせておりません。不正受給者が繰り返しやるかどうかという観点でのチェックは、今の時点ではしていないという認識ですけれども、これは後ほど確認した上で、各委員の皆様にお知らせしたいと思います。
 
○玄田座長
 私のそういう予想が外れていることを期待したいと思っておりますけれども、多分、これは意図的に不正受給をされるケースと、たまたま何かある種偶発的に、そういう手続上の問題でというケース、幾つかパターンがあるように思います。非常に国民として関心が高いのは、悪意という言い方をしていいのか分かりませんけれども、不正の中でもかなり意図性の強いものがあるとするならば、それは是非積極的に対応していかなければいけない部分だと思いますので、もし、そういうデータとかございましたら、後で結構ですので、お願いします。
 
○雇用保険課
 承知しました。
 
○玄田座長
 もう1点、施策の分析の効率性の評価の指標1で、目標は達成されて素晴らしいと思うのですけれど、具体的には「個別担当者制による計画的で重点的な支援を行うことにより」というような文言があって、この辺りは労働市場全体のマッチングを高めるためのヒントが、ここに凝縮されているような表現のように思いますが、もう少し具体的に言うと、どういうことをやると早期再就職につながっているかというのを、個別の辺りか、計画の辺りか、重点の辺りか、もう少し御説明いただけると有り難いのですが、いかがでしょうか。
 
○職業安定局首席職業指導官室
 ハローワークでは、効果が非常に高いということで個別担当制を推進しております。ハローワークの方は民間の紹介所と違いまして、在職中に登録されるのではなく、一旦離職されている方が7割程です。そうしますと、前職を引きずっているというか、予期せぬ離職等によって、なかなか次のほうに向かっていない人、雇用保険もあるしということで、安易に失業状態にとどまろうとする人がいるわけです。そうしますと、個別支援でマインドセットと、その次のキャリアへの見通しというものは必定になってくるわけです。これは、現場では当たり前のように言われているのですけれども、再就職に向かって一番大事なのは、マインドセット、覚悟なのですね。そういったときにキャリアコンサルタンティングを行うことで、人はガラッと変わる。ある程度長期化すると駄目なのですね。ですから、雇用保険の喪失の届けが入りましたよというときには、すぐ担当者を付けてやる。そこで、このプログラムというのは、一定の効果が出ているのではないかと思っています。
 
○玄田座長
 分かりました。キャリアビジョンを明確に持ってもらうということだと思いますけど、一方で、確か高齢者就業率に関しては、別の指標で、チーム制による就労支援というのが高齢者の場合には効果的だと見た記憶を持っていますけれど、それとの関係でいくと、個別制とはどのように理解すればいいのですか。
 
○職業安定局首席職業指導官室
 高齢者も、ここ数年は個別支援に力を入れております。若い求職者との大きな違いは、高齢者というのは、自分のファイナンシャルプランとの兼ね合いで、フル就業ではなくて部分就業という選択もありますので、これは単にキャリアの専門家であるハローワークではなくて、社労士さんとかFPさんとかとチームを組んでやる。そこで効果を出しているということです。より支援の幅、協力していただく範囲が広がる、その辺りが違ってくるかと思います。
 
○玄田座長
 ということは、個別制とチーム制というのは決して矛盾するものではなく、状況に応じて、個別を置きながらチームでやるという感じですね。
 
○職業安定局首席職業指導官室
 そうですね。伴走型のナビゲーターは1人付くわけですが、その人が必要に応じて支援を仰いでチームをという感じです。
 
○玄田座長
 分かりました。ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。それでは、担当課におかれましては、本日の議論を踏まえまして実績評価書への反映等をお願いいたします。どうもありがとうございました。
 それでは、次の御準備をお願いいたします。
 
○玄田座長
 よろしいでしょうか。続きまして、施策番号6-2-3「福祉から自立へ向けた職業キャリア形成の支援等をすること」につきまして、担当課から5分程度で御説明をお願いいたします。
 
○特別支援室
 特別支援室の吉岡と申します。資料5-1の実績評価書について説明いたします。本施策の概要ですが、就職を希望する障害者の方の社会的自立を促進するために、職業能力開発促進法などに基づいて、障害者職業能力開発校での職業訓練、また民間の教育訓練機関や企業等に多様な訓練委託先を活用した委託訓練により、障害者職業訓練を実施するものです。
 測定指標です。指標1は、障害者職業能力開発校の修了者における就職率、こちらは障害者基本計画の中で令和4年度までに70%ということで目標を掲げております。指標2は、障害者委託訓練の修了者における就職率、こちらは55%という目標値を定めております。指標3と指標4は、それぞれ障害者職業能力開発校と障害者委託訓練における訓練受講者数の目標値で、障害者職業能力開発校においては1,980人、委託訓練は3,850人の目標を掲げております。
 これらの達成状況ですが、指標1の能力開発校ですが、こちらはまだ実績が全部まとまっておりませんが、推計値で72.9%と目標値を上回る見込みとなっております。このため達成状況を○としております。
 続いて指標2の障害者委託訓練の修了者における就職率については、平成27年度から平成29年度は目標を下回っておりましたが、こちらもまだ実績は全部まとまっておりませんが推計値で平成30年度で55.2%と、目標値である55%を上回る見込みとなっております。こちらも達成状況を○としております。
 最後に指標3と4は、こちらは訓練受講者数ですが、近年、訓練受講者数が減少傾向にあり、平成30年度の速報値でも目標は未達成となっていることから、指標3と4は×としております。
 続いて資料5-1の2ページの総合判定です。こちらはB判定ということで、達成に向けて進展ありとしました。施策の分析欄の有効性の評価ですが、指標1については、関係機関との連携も深めており、主に就職支援の取組などで平成30年度の目標値を上回る見込みとなっております。測定指標2は、平成30年度就職支援に係る各都道府県の取組好事例を収集し各都道府県で共有を図ったことで、就職支援の強化につながったものと思っており、目標値を上回る見込みであるということで、効果的に実施されていると考えております。訓練受講者数ですが、こちらについては年々減少傾向にあるということで、これはハローワーク等と連携を図りつつ、訓練ニーズを踏まえた訓練コースの設定等に取り組むことが今後の課題と認識しております。
 現状分析として、雇用障害者数は過去最高を記録しております。ハローワークを通じた障害者の就職件数も年々増加を続けている中で、また、法定雇用率の引き上げもあり、企業の採用意欲も非常に高まっているということで、職業訓練を経ずとも就職を実現する方が多く見られます。そのような中で、職業訓練が必要な方に着実にその機会を提供できるように、訓練ニーズを踏まえた訓練コースの設定等に取り組むとともに、就職率については目標達成見込みとなっており、成果を上げているので、引き続き効率的・効果的な業務運営を行ってまいりたいと思っております。
 最後ですが、障害者委託訓練の就職率の継続的な目標達成を図るため、ハローワークとのより一層の連携等、就職支援の強化を検討するとともに、引き続き訓練ニーズを踏まえた訓練コースの設定に取り組んでまいりたいと思います。それから精神障害者の新規求職申込件数が右肩上がりになっておりますので、障害者職業能力開発校においては、既に精神障害者向けのコースを設置している所もあり、今後コース設定を予定の所もありますので、精神障害者の方の訓練の機会も着実に進めている状況です。
 それと、事前評価の際に御指摘がありました、障害種別毎の就職状況が把握可能なのかということでした。こちらについては、都道府県等から定例業務統計報告を毎年取っておりますが、定例業務統計報告に、今年度、障害種別ごとに就職者数等の報告をもらうことになっておりますので、今年度からの実績、令和2年度以降から把握が可能と思っております。簡単ですが以上です。
 
○玄田座長
 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見などがございましたらお願いいたします。
 
○正木委員
 指標3と4について目標値に届いていない理由が、一つに、職業訓練を経ずとも就職を実現する方が多くみられると書いていただいていて、それほどまで需給が逼迫しているということで、私もその実感はありますが、それなら、なぜ指標1と2で訓練まで終わったような方の就職率がもっと力強くならないのかと思ったり、逆に職業訓練開発校も受講者が減るとか、そういうことにならないのかと、指標1、2と指標3、4の関係がよく分からないと感じます。それがやはり受講生の質が変わっていて、就職率も何とか目標達成の70%、55%になるのですが、一方で受講生の質が重度な障害の方が増えている、今、精神の方とおっしゃっていましたが、何か種別が変わってきて、やはり100%にはなかなかいかないというようなことなのか、そこら辺の分析が欲しくて、そのためにもデータを取っていただくことも重要だと思いますので、分かるところを教えていただきたいです。
 
○特別支援室
 今年度から障害種別に、受講者数から就職状況まで、実績が取れることになりますので、今後分析したいと思います。障害者職業能力開発校の就職率が70%となっており、委託訓練が55%となっております。委託訓練のコースが5コースあり、集合訓練で行うコース、事業所現場で訓練をやってもらうコースが主にあります。集合訓練は就職率がよくなく、事業所現場で訓練をやってもらう方が就職率が高い状況にあります。今も行っていますが、事業所の開拓をしていきたいと思っております。また、受講者数の確保の取組も進めていきたいと思っております。
 
○内田委員
 先ほど最後の補足で、精神障害を持たれている方の就職希望が右肩上がりで増えているという話がありました。私どもでも調べてみたところ、確かにそのような傾向はあるのですが、定着率が相当悪くて49%ぐらいになっているのです。1年後の定着率が49%。この離職の理由が、会社の配慮不足、それから作業能率面で対応できなかった、通勤困難など、こういったものが挙がっているのです。ですから事前に面接などを十分やればクリアできる問題なのか、様々な課題があるのでしょうが、やはり雇用率を上げるということももとより大切なことですが、継続的に就労できる環境や施策というのも一方で重要ではないかと思うのです。そういったところで検討課題が挙がっていることがあれば、御紹介いただきたいと思います。
 
○特別支援室
 定着率の話ですが、事前評価の際に委員の方から御指摘があったと思いますが、就職率を指標として目標を掲げております。先ほど障害種別で定例業務統計報告を見直したことを説明しましたが、ハローワークシステムというものが更改を予定しており、障害者職業訓練の関係のデータもそちらのハローワークシステムに今後入ることになりまして、来年1月をめどに運用開始ということで進んでおります。就職した訓練生の方が雇用保険の被保険者になった場合は、被保険者のデータとひも付けられますので、定着がどうなっているのかというのは、見られるかと思います。
 訓練が終わってからどの程度定着されているのかというところは見られるかと思いますが、定着の指導はハローワークの業務になってくると思います。
 
○玄田座長
 障害者の方の被保険率は、それなりに高さがあるのですか。障害者の方の被保険率、非常に短時間就業の方が多いような印象もありますが。
 
○特別支援室
 それは把握しておりません。
 
○玄田座長
 今、だいぶ被保険者が多いならば、今おっしゃったように雇用保険データでうまくつながると、いろいろなことが分かりますよね。是非、その辺りも含めて御検討いただければと思います。
 
○特別支援室
 はい。
 
○玄田座長
 ほかにいかがでしょうか。今のお話にも関係して、指標3、4が障害者の雇用率が非常に高くなったという、ある意味ではうれしい変化であることを考えると、何といいますか、働きながら訓練を受けるという、いわゆるデュアルシステムのようなことにもう少しウエイトを高めていくのかと。今おっしゃったように、実際、職業現場で必要な訓練ニーズもあるというようなお話だったので、今のように訓練を受けてから就職というだけではなく、場合によっては訓練を受けながら働くということで、その中で定着に関しても情報収集するとか、障害者にとってこそデュアルシステムのようなことがもう少しウエイトを高めていく時代になっているのかという印象も今の御質疑の中で受けましたが、今、その辺りはどのようにお考えでしょうか。
 
○特別支援室
 障害者職業能力開発校でも在職者訓練はやっておりますが、実績は少ないです。
 
○玄田座長
 そうですか。
 
○特別支援室
 委託訓練も在職者向けの訓練コースも設定されておりますので、周知等を図ってまいります。
 
○玄田座長
 少ないのは、ニーズがないのか、そもそもまだ周知がされていないのか、いろいろな可能性があると思いますので、是非、その辺りも幅広に御検討いただければと思います。
 
○特別支援室
 はい。
 
○玄田座長
 ほかにいかがでしょうか。
 
○岩佐委員
 私も仕組みがよく分かっていないところもありますが、今のような訓練との絡みで、労働者の人も、それから場合によっては使用者側の人も相談ができるというか、やはり障害を持っている方の障害特性をどう理解するのかというのが、事前にはそれぞれがやっているつもりでも、いざ仕事が始まると何でか分からないけどこういうふうにトラブルが起こってしまうとか、嫌になって帰ってしまうとか。それはそれぞれの御相談で、もう少し職場環境がこのように変わるとよいのではないかとか、もっとこのように構造化したらよい、時間数を短くしたほうがよいのではないかとか、そういう訓練校に行くと、そのような相談もできるようになるといいのかと。今も多分されているのかもしれませんが。
 
○玄田座長
 そのような取組を御紹介いただければ。
 
○特別支援室
 支援機関に関わっている方は支援機関と、また、訓練校には精神保健福祉士も配置しており、訓練生から相談を随時受けられる体制になっております。
 
○岩佐委員
 ありがとうございます。
 
○玄田座長
 ほかに、よろしいでしょうか。それでは担当課におかれましては、本日の議論を踏まえていただき、実績評価書への反映等をお願いいたします。
 それでは、本日の政策評価の5項目は全てこちらで終わりとなります。何か全体を通じてお感じのこととか、言い忘れたこと、思い出したことはありますか。特に大丈夫ですか。よろしゅうございますか。ありがとうございました。それでは議事次第(2)として「その他」があります。こちらについては事務局より報告事項があると伺っておりますので、よろしくお願いいたします。
 
○政策評価官室長補佐
 事務局から報告事項としまして、平成31年3月に開催しました有識者会議で頂いた御意見につきまして、その対応状況、検討状況につきまして御報告させていただきたいと思います。マイプライベートファイル内の18、一番最後のファイルを御覧ください。31年3月の会議は全体会議でございましたので、今回は労働・子育てWGの部分につきまして御説明させていただきます。参考資料5の3ページです。
 施策目標4-2-1の非正規雇用労働者の事前分析表に関する御意見として、3つほど御意見を頂いていました。対応となったものが、短時間正社員制度を導入している事業所の割合が、基準値に対して目標年度までにもうちょっと取組が必要ではないか、より効果的な施策を考えられないかといった御指摘を頂いたかと思いますが、今後は計画的な周知を行って、実際に導入している企業から事例を発表してもらうなど、プログラムの見直しをしていきたいといったことで対応となっています。
 その下の2つが、引き続き検討と対応困難です。引き続き検討となりましたのは、達成目標2として、パート労働者以外も本来は含まれる法改正がありましたので、パート・有期法施行後にはパート労働者以外の有期雇用労働者、派遣労働者も本来含まれるはずなので、そういった方々も含めた目標と測定指標を設定すべきではないか。実際、この評価をするのが令和2年の夏ですので、それに向けては、そういった指標も必要なのではないかと御意見を頂いていました。これについての対応状況ですが、実際にパートタイム・有期雇用労働法につきましては令和2年4月1日から施行されます。評価書の評価は令和2年8月で、御指摘のとおり、確かに令和2年の評価にはなるのですが、評価対象年度が令和元年に実施する施策ということですし、令和元年の時点ではこの法律はまだ未施行ということですから、今回は対応しませんが、令和2年度以降の評価書については検討していきたい。具体的には測定指標を何か立てていきたいといったことでした。
 同じ非正規の中でも、背景・課題2の所の記載ぶりについて、「「働き方の二極化」の解消」という表現では、非正規という働き方自体が悪いような働き方に見えてしまうので、ここの記載ぶりを工夫できないかという御指摘がありました。これについては対応困難ということでございます。理由としましては、「「働き方の二極化」の解消」という表現には非正規雇用労働者を否定的に、すなわち「解消」すべき存在として捉える意図は特になく、また、単に正規雇用労働者か非正規雇用労働者かの二択のみではなく、多様な正社員など、選択の幅を広げたいという意味でこの言葉を使っているということで、今回はこれは直さないとし、対応困難という整理をしたということです。
 4ページ、ハローワークの関係です。こちらも引き続き検討、対応困難と並んでいます。背景・課題3の所、「学卒未就職者等」に関連し、現下の雇用情勢の中では学卒未就職者は相対的に減少している一方で、中退者、早期離職者が高止まりしているので、こういった方々に対するアプローチを、具体的に指標として設定するべきではないかということでした。これは引き続き検討ということです。理由としましては、いずれも同じような理由ですけれども、要するに支援対象者それぞれの状況とか御希望が様々ということなので、現時点では定量的な目標設定に至っていないということです。
 ジョブ・カードですが、ハローワークにおいてジョブ・カードをマッチングに生かすためにも、それに関する指標を入れてほしいという御意見を頂いていたのですが、こちらは対応困難ということです。2が直接的な理由ですが、そもそもジョブ・カードというのは、ハローワークにおいては必要に応じて選択的に支援を展開する中で利用しています。また、そもそもジョブ・カード自体が、労働力需給のミスマッチを解消するツールとして開発されたものではないこと、自己理解のためのツールとして開発されたものということなので、ハローワークにおけるジョブ・カードの活用に関する目標設定は馴染みません。ただ、一方で、ジョブ・カード自体につきましては別な施策目標、多様な職業能力開発機会の確保の所で別途、ハローワークだけでなく、全取得者数を目標値として設定していることを書いています。ですから、ここは2が直接的な理由となり対応困難ということです。
 続きまして子育ての関係ですが、ひとり親の関係につきましても2つほど御意見を頂いていました。こちらについてはそれぞれ一部対応ということです。1つ目が、ひとり親家庭等日常生活支援事業の年間利用者数について、「ひとり親家庭」というふうに一括りにしてしまうと、その中に含まれる母子家庭と父子家庭で、利用状況が違うというのが見えなくなってしまいますので、ここを区別して指標化していただけないかと御意見を頂いていました。これにつきましては、実績値の記載の際に、内訳を母子家庭、父子家庭、そして、かつて母子家庭であった方でお子さんが成人し、現在も配偶者がいない状態にある寡婦の方に関してということで、3つの類型に分けて利用者数の内訳を書くことにいたします。そういうことで一部対応ということです。
 もう1つは、母子・父子自立支援員の相談件数に関して、これは目標値が150万件に対して、直近の実績値が大体その半分程度を推移しているので、何が相談利用の阻害要因になっているのかということ。また、そもそも目標値の設定水準自体が妥当なのかどうかという御指摘を頂いていました。これに関しては、目標値の見直し自体は行わないですけれども、実際、2倍程度の目標を達成することに向けて、今年度から各種支援に関して、あらゆる機会を捉えて情報提供を行うモデル事業を実施することにより、必要な方を行政の窓口につなげる取組をすることによって、目標を達成していきたいということで一部対応とさせていただいています。
 一番最後の8ページを御覧ください。こちらに関しましては既に御承知のとおり、本年の4月より入管法が改正されて特定技能の新しい在留資格ができ、新たな外国人材の受入れが始まりました。これに伴い、厚生労働省関係でも介護分野、ビルクリーニング分野において受入れが開始されますので、この受入れ環境の整備、また外国人労働者の方の適正な労働条件や雇用管理の確保、労働安全衛生対策の実施、適切な社会保険、労働保険の適用促進、そして実際に生活者として安心・安全に医療機関を受診できる環境の整備など、様々な施策を実施することとしています。これらが実際の政策評価の体系においてどのように位置付けられているのかといった御質問を頂いていました。
 これらにつきましては、現在の政策体系の作り方が社会保障や労働政策など、厚生労働省が所管している各種の施策との親和性が高いもの同士をグルーピングしている状況にございますので、外国人というような横串で見るのではなく、既存の個々の施策目標の中に新たに達成目標や測定指標を追加することなどによって、こちらで対応していきたいと考えています。
 具体の項目として、こちらのワーキングに関係があるもののみ御説明させていただきますと、例えば3の適正な労働条件の確保、4の労働安全衛生対策については、本日の議題の最初に挙がりました3-2-1の部分に、達成目標として、「外国人材の受入れ環境整備等を図るため、適正な労働条件と労働安全衛生の確保」を新設し、これに対応した測定指標も設定していきたいと考えています。このほか雇用保険の確保、社会保険の適用促進、また特定技能ではないですけれども、技能実習制度に関しても今まで以上に適正な運用を確保するために体制を強化していることもありますので、そういったことに関する参考指標も追加していきたいと考えています。以上でございます。
 
○玄田座長
 ありがとうございました。今の事務局からの御報告につきまして御意見、御質問などございましたら、お願いいたします。
 
○正木委員
 私の前任の遠藤委員の指摘で、3ページの一番下です。正規雇用と非正規雇用の働き方の二極化の件、表現の問題ですのでこれ以上言っても何ですが、非正規という言葉を大臣に使うなと言われたからではなく、対応困難な理由の所に書いてあるのだと、多様な働き方があるとか選択の幅を広げるという趣旨だったら、別に正規雇用と非正規雇用の働き方の二極化を解消しなんていう表現はなくても、例えば地域や勤務時間を限定した働き方など、ワークライフバランスの観点などうんぬんという文章で全然いいし、そのほうがスマートだと思うのに、何で頑に対応困難なのか、大臣に言われないと駄目なのか、ちょっと疑問に思いました。
 それから、最後の外国人のお話ですが、これについては是非、本腰を入れての取組をお願いしたいなと思っています。6月25日に二事業懇があったのですが、そのときに外国人労働者雇用対策費という指標があって、外国人コーナーにおける相談ケースというのがありました。それは事業執行率とともに外国人コーナー等を利用した外国人求職者の就職率21%以上とか、外国人就労定着支援研修受講者へのアンケートで、「満足」「やや満足」と回答する人が90%以上という指標が、そこではあったのです。一方、出入国在留管理庁の資料などを見ますと、ハローワークの多言語対応推進11言語、労基署の労働条件相談ホットラインの多言語対応8言語、外国人労働者相談コーナー、外国人労働者向け相談ダイヤルの多言語化というのがずらずらっと並んでいて、ワンストップと世の中で言いながら随分いろいろなのがある。しかも、ダイヤルとラインの使い分けがよく分からないと思うのですが、通訳の数の確保とか言語別の相談件数はどうなっているのか。指標化できるのではないかと思っています。
 先ほどのやり取りの中でもあったのですが、そこから先は入国管理庁ですと言われることが結構多いと思います。最後の技能実習制度の適正な運用の確保のところに関してですが、本来、監理団体は技能実習の監理目的として非営利であるべきで、ほかの目的で団体ができて、それで経営が成り立つ団体が前提ですけれども、最近は名称を見てもホームページの記載を見ても、明らかに技能実習目的で団体を作っているのではないかと疑われるものが見受けられます。
 一方、労政審の需給制度部会で扱っている、派遣事業者とか有料紹介事業者を見ると、外国人の派遣とか外国人の職業紹介がすごく増えてきているように感じています。どうも相当多くが登録支援機関と監理団体と職業紹介事業者が重なり合ったり、監理団体がややこしいから登録支援機関になっているとか、いろいろなことが起こっているようなのです。全体像を把握するというのができなくて、我々は非常にフラストレーションを感じています。ですから、技能実習生の適正な運用の確保というところも、戻って母国で技能を生かしているのか。逆に今度、移れるということで特定技能に移ったのか。特定技能に移った際に勤務先がどうなって、世の中で予想されているとおり賃金の高い大都市のほうに転職してしまうのか。それとも実習先に定着できているのか。新しい在留資格に伴う人の移動や労働条件の変化など、これは出入国管理庁と一緒に、是非、把握をしてもらいたいと思います。
 
○玄田座長
 ありがとうございました。ほかに御意見、御質問などいかがでしょうか。今の関係で、さっき障害者のデータをこれから雇用保険のシステムに取り込んでという話でしたが、外国人材に関するデータは、雇用保険のシステムにどうなっているのですかね。その辺りも確認して、今、答えられますか。是非、お願いします。さっきの全体を追跡的に見ていくとき、もしそうなっていればいいし、なっていなければまた検討課題かもしれない。貴重な御指摘、ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。岩佐さん、どうぞ。
 
○岩佐委員
 私は弁護士なので個別のことに目が向いてしまうし、そんなにたくさん経験があるわけではないのですが、外国から来られて作業等をされている方を見ていると、職場のこともありますけれども、結局、普段の生活とか、晩飲みに行ったらどうだったとか、要するに生活全般がいろいろな悪循環の中で職場でも力が発揮できない。それなりの志を持ってドンと来ている人は御自分で助けを求めたりもされるのですが、先ほどの事業者が中途半端な状態でドンと連れて来られてとなると、きっちりしようと思っても私が相談を受けた事例では、結局、会社のほうが日常生活とかいろいろなことで、こういうときはこうするんだよと助けないと職場では仕事ができないみたいなところがあります。先ほどワンストップという話もありましたが、多言語でとか相談でというのもありますけど、結局、その人が日本に来て受けている困難を相談するとき、どこが相談しやすいのかみたいなところも意識してもらえると有り難いなと思いました。何人かのケースをしたのですが、真面目に考えると非常にトータルな話で、かつ、それは突き詰めると母国に誰がいて、お金はどうで、どんな気分で来ているということで日常生活もどれぐらい一生懸命取り組むのか、取り組めないのか、何か非常にトータルな話だなと思いました。
 
○玄田座長
 そうですね。本当に貴重な御指摘ですね。一義的には、これから総合労働相談コーナーみたいな所に外国人雇用者本人とか事業主から、多分、まだそんなに多くはないと思いますが、今後、どのぐらい、どういう内容の相談・質問が集まるのか。今、おっしゃったように、いじめ、嫌がらせに近いようなものから、労働条件の不適切な取扱いとか、まずはその辺りで今の既存の仕組みで把握できる部分は、もっと積極的に把握していくべきなのでしょうね。何かございますか。
 
○政策評価官
 事務局からですが、外国人の問題に関して皆さんに問題意識を持っていただき、いろいろ御指摘を頂いてありがとうございます。この政策評価の個別の作業としては、既存のいろいろな枠組みの中に、どううまく入れ込んでいくかということで、いろいろ指標の追加などの工夫をしていくことで御理解いただければと思います。それはそれとしまして、今、頂いているような御意見につきましては、よく関係の部局のほうにも、このような声を頂いていると知らせていくような対応を取らせていただきたいと思います。ありがとうございます。
 
○内田委員
 私も外国人技能実習機構の評議員をやっていまして、実は6月27日に半期に1回の評議員会がありました。賃金の問題とか労働条件を含め生活問題など、技能実習生から相談なりいろいろな形のものが入っているのです。それはなかなかデータを表に出さないルールになっているみたいで、事業主に対する牽制も含めてきちんとオープンにしたほうがいいのではないか。一方、厚生労働省の監督官などが現場を調査したときに、労働基準監督官の調査は事業所に入るわけですが、指摘した相手は日本人と外国人労働者がセットで出てくる形なので、外国人に特化した形の評価が労働基準監督署から出ていない。さきほど、正木さんも言っていましたが、監理団体そのものが時間外の上限規制を決めている。これをどうしてやったかという背景は、賃金を上げたりすると高い所に行ってしまうので、それを防止するために上限を決めたとか、賃上げをしないようにやったといった背景もあるみたいです。実態をきちんと把握して、次の対策に持っていったほうがいいのではないかという議論も実はしています。ただ、技能実習機構の評議員会は非公開、非議事録という形になっていて、なかなか表に出てこないので、今後の課題として、厚生労働省管轄、外務省管轄、法務省管轄の3つが絡むわけですが、ここに横串を刺して連携しながら、この課題に取り組んでいくことが必要ではないかと思いました。
 
○玄田座長
 こちらも大変貴重な御指摘です。情報の整理、公開の仕方も含めてですね。若干、話が外れてしまうかもしれませんが、ここで基本的な考え方をまとめるとこのとおりだと思って、ただ、例えば若者雇用促進法などを設置した趣旨とか考えると、若年ということで、いろいろな職業経験の少なさから来る不利などが前提だとすると、理屈からすれば、外国の人も日本でのいろいろな知識・経験がないことからくる不利を受ける存在となるので、将来的には外国人の雇用に関する法律などがないと、それ自体を立て付けにするものというのはなかなかできないですね。ここに書いてある入管法だけだと、それ自体、外国人だけ取り上げて何かやるという立て付けにはならないですから、それも今後の実態を踏まえて、もし課題があるのだったら、最終的には今の法律のあり方、立て付けでいいのかどうかという議論になってきますね。
 
○内田委員
 御指摘のとおり、今回の入管法は、労政審を通っていなくて、きちんとした三者構成の中で議論はされなかったということもあり、課題は残ったということもあります。もともとの技能実習の問題もあるので、その辺も含めて議論していくことが必要だと思います。
 
○玄田座長
 貴重な御指摘だと思います。ほかに、よろしいですか。それでは、ただいま大変貴重な御意見をたくさんいただきましたので、是非、事務局におかれましては、ただいまの委員の皆さんからの御意見を踏まえて、担当課とともに今後の対応について御検討いただければと思います。よろしいですか。ありがとうございました。本日予定しておりました議事は全て終了いたしました。本日も誠に熱心かつ有意義な御審議を頂きまして、ありがとうございました。それでは、事務局より、本日の議論の取扱いについて御説明をお願いいたします。
 
○政策評価官室長補佐
 本日頂いた御意見の取扱いですが、まず実績評価書の記載に関する御指摘につきましては、担当課において必要な修正をするとともに、評価書の「学識経験を有する者の知見の活用」の欄に反映状況を記載させていただきます。会議の場で伝えきれなかった御意見がございましたら、7月12日(金)までに事務局までお知らせください。実績評価書につきましては、政策評価官室で取りまとめの上、総務省への通知及び厚生労働省のホームページでの公表手続をさせていただきます。また、併せて、皆様にも最終版を送付させていただきます。また、会議で宿題事項となった手持ちの数字がないといったものにつきましては、これよりも早く事務局で取りまとめて委員の先生方にお知らせする予定ですので申し添えます。以上です。
 
○玄田座長
 ありがとうございました。以上をもちまして、本日の会議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。
 
(了)