平成31年4月24日 第40回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、平成31年度第2回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)議事録

日時

平成31年4月24日(水) 14:00~16:00

場所

労働委員会会館 講堂(7階)
東京都港区芝公園1-5-32

議事

○事務局 定刻になりましたので、ただいまより第40回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会及び平成31年度第2回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同会議を開催いたします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中御出席いただきありがとうございます。開催に当たりまして、副反応検討部会の委員に改選がありましたので御報告いたします。桃井委員が本年1月、任期満了により再任いただき、稲松委員は任期満了により御勇退、濱田委員が新たに就任されました。また、多屋先生、永井先生、長谷川先生、山縣先生は今月21日で任期満了となりましたが、再任いただきました。濱田先生、多屋先生、長谷川先生、山縣先生のお手元に、厚生労働大臣からの辞令をお配りしておりますので、御確認の上お受け取りくださいますようお願いいたします。
安全対策調査会の委員につきましては、本年1月25日に改選が行われまして、いずれの委員も引き続き再任されております。また、3月11日に開催された平成30年度第12回医薬品等安全対策部会安全対策調査会において、引き続き五十嵐先生に調査会長をお願いすることとなっておりますので、御報告させていただきます。
それでは、本日御出席の委員を五十音順で御紹介させていただきます。初めに、安全対策調査会です。国立研究開発法人国立成育医療研究センター理事長で、安全対策調査会長の五十嵐先生です。武蔵野大学薬学部薬物動態学研究室教授の伊藤先生です。群馬大学医学部附属病院消化器・肝臓内科診療准教授の柿崎先生です。国立医薬品食品衛生研究所薬理部第一室長の佐藤先生です。亀田総合病院薬剤管理部長の舟越先生です。なお、慶應義塾大学薬学部病院薬学講座特任教授の望月先生は、本日欠席されております。
続きまして、副反応検討部会委員を御紹介いたします。国立感染症研究所名誉所員の倉根先生です。国立感染症研究所感染症疫学センター第三室長の多屋先生です。公益社団法人日本医師会常任理事の長島先生です。国立感染症研究所感染病理部長の長谷川先生です。東京医科大学病院渡航者医療センター教授の濱田先生です。自治医科大学名誉教授の桃井先生です。山梨大学大学院総合研究部医学域社会医学講座教授の山縣先生です。なお、桃山学院教育大学教育学部教授の永井先生は、本日欠席されております。
次に、副反応検討部会におきましては、委員改選後の初めての会議ですので、部会長を決めさせていただきたいと思います。厚生科学審議会令の規則により、委員の互選にて選任をお願いしたいと思いますが、委員の方々の御意見をお伺いいたします。
○倉根委員 本部会に関する造詣の深さ、それから、これまでも部会長をお務めいただきましたことから、桃井委員が私は最適であると考えますので、桃井委員を部会長として推薦したいと思います。
○事務局 いかがでしょうか。
(異議なし)
○事務局 それでは、桃井先生、引き続きよろしくお願いいたします。部会長席のほうに御移動をお願いいたします。また、部会長代理ですが、規程により、部会長のほうから御指名をいただくこととなっております。桃井部会長のほうから御指名をよろしくお願いいたします。
○桃井委員 御多忙のところ大変恐縮ですが、ワクチン行政、臨床、基礎全てにわたって御造詣の深い多屋先生にお願いできれば大変有り難く存じます。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。よろしくお願い申し上げます。
○事務局 続きまして、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。現在、安全対策調査会委員6名のうち5名、副反応検討部会委員8名のうち7名の委員に御出席を頂いておりますので、厚生科学審議会及び薬事・食品衛生審議会の規程により、本日の会議は成立したことを御報告いたします。なお、全ての委員において、関係企業の役員、職員等でない旨を申告いただいております。
また、前回の合同会議から事務局に人事異動がありましたので紹介させていただきます。4月1日付けで健康局予防接種室長に林が着任しております。なお、医薬担当の審議官は、公務のため少し遅れる予定となっております。
申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
本日の審議の前に、傍聴に関しまして留意事項を申し上げます。開催案内の傍聴への留意事項を必ず守っていただきますようお願いいたします。留意事項に反した場合は退場していただきます。また、今回、座長及び事務局職員の指示に従わなかった方や、会議中に退場となった方については、次回以降の当会議の傍聴は認められませんので、御留意願います。本日の座長につきましては、桃井副反応検討部会長にお願いしたいと思います。それでは、ここからの進行をよろしくお願いいたします。
○桃井委員 それでは、部会を開催させていただきます。今日は大変審議事項が多くございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。まず最初に、事務局から審議参加に関する遵守事項につきまして御報告をお願いいたします。
○事務局 審議参加について御報告いたします。本日御出席をされた委員の方々の過去3年度における関連企業からの寄附金、契約金などの受取状況について、これまでと同様に申告いただきました。本日の議題において、調査審議される品目は、MR、麻しん、風しん、おたふくかぜ、水痘、A型肝炎、23価肺炎球菌、インフルエンザ、HPVワクチンの各ワクチンであり、その製造販売業者は一般財団法人阪大微生物病研究会、第一三共株式会社、武田薬品工業株式会社、KMバイオロジクス株式会社、デンカ生研株式会社、グラクソ・スミスクライン株式会社、MSD株式会社であり、事前に各委員に申告をいただいています。各委員からの申告内容については、資料として配布しておりますので、御確認いただけたらと思います。本日の出席委員の寄附金等の受取状況から、柿崎委員がMSD株式会社から50万円を超えて500万円以下の受取があるため、23価肺炎球菌、HPVワクチンについて意見を述べることができますが、議決に参加いただけませんことを報告いたします。今後とも、各委員におかれましては、講演料等の受取について、通帳や源泉徴収票などの書類を確認いただくことにより、正しい内容の申告に御協力いただきますようお願いいたします。以上でございます。
○桃井委員 ありがとうございました。それでは、次に事務局から、配布資料について御確認ください。
○事務局 配布資料としましては、座席表、議事次第、委員名簿、配布資料一覧、資料1~13、委員の謝金等の受取の申告状況、参考資料として委員限りですが、1枚資料を机上に配布させていただいております。また、傍聴席の方の資料ですが、資料12-2の後ろ3ページに資料13が付いておりますので、その旨御注意ください。資料のほうを御確認いただき、不足の資料等ございましたら事務局にお申し出ください。
○桃井委員 資料はよろしいでしょうか。大丈夫でしょうか。それでは、早速議題1に入らせていただきます。各ワクチンの安全性についての審議です。まず資料の1から4まで審議したいと思います。事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 はじめに全体的な事項を御説明いたします。本合同会議での副反応が疑われる症例の報告については、平成25年9月の合同会議におきまして、定期的に検討を行うワクチンを選定し、比較的同時接種が行われるワクチンと、そうではない比較的単独接種が行われるワクチンにグループを分けて報告することとしております。本日は、比較的単独接種が行われるワクチンについて、その副反応が疑われる症例の報告状況について御説明いたします。比較的単独接種が行われるワクチンのうち、インフルエンザ以外のワクチンについては、前回11月26日の合同会議において、昨年5月から8月末までの症例について報告しております。本日は、昨年の9月1日から12月末までの4か月間に報告された症例について御説明させていただきます。インフルエンザワクチンについては、昨年10月1日から12月末までの期間に報告された症例について御説明いたします。
資料1~4について御説明いたします。資料1をご覧ください。MRワクチンです。具体的な製品名は1ページ上段の商品名に記載しております。1ページの中段に表がありますが、こちらには医療機関への納入数量を基に推定した接種可能のべ人数、製造販売業者及び医療機関からの副反応が疑われる症例の報告件数を記載しております。MRワクチンは今回の対象期間で、接種可能のべ人数が約81万人、製造販売業者から8件、医療機関から9件、重篤なものが4件報告されております。報告頻度は製造販売業者、医療機関ともに0.001%となっております。1ページの下段に、重篤症例の転帰等の情報をまとめており、今回の対象期間に後遺症、死亡症例の報告はございませんでした。
2ページに移る前に、本資料を含め、各資料1ページ目の見方について補足させていただきます。重篤症例の報告数については、製造販売業者と医療機関の双方から報告された場合、重複を排除するため、医療機関の報告として計上しております。また中段の表、報告数の所ですが、集計対象期間内に報告された症例を集計しているため、この件数には接種日や発生日が対象期間以前の症例も含まれており、接種日が今回の対象期間内にあったものについて、括弧書きでその件数をお示ししております。また、企業ごとの出荷量や発現頻度につきましては、委員限りの資料として1枚紙を机上にお配りしているところです。
2ページ目をご覧ください。報告された症例を症状別に集計したものです。縦に見ていただき、表の左側が前回の合同会議までに報告された件数、右側が今回報告された件数となっております。4ページ目は、予防接種法の報告基準に定められた症状について集計した結果を記載しております。こちらも左側が前回までの報告、右側が今回の対象期間に報告されたものとなっております。続いて5~7ページが報告された症例の一覧表となります。8ページをご覧ください。アナフィラキシーとして報告された重篤症例の件数をまとめております。今回の対象期間については、表の一番下に記載しておりますが、該当する症例はありませんでした。
続いて9ページをご覧ください。死亡症例についてです。こちらはMRワクチン、水痘ワクチン等を同時接種した1歳の女児が、接種翌日に呼吸停止状態となり、肺水腫、低酸素性脳症等を発現し、その後の検査で先天性のQT延長症候群2型と診断され、4日後に死亡したという症例となります。専門家による評価の結果、入院中の遺伝子検査によって、LQT2と診断されており、心室頻拍発作の発現から死亡に至った可能性があると考えられた。ワクチン接種と死亡との直接の因果関係は不明である。ただし、ワクチン接種による興奮が心室頻拍発作の起因となった可能性は否定できないとされております。10ページ以降に委員限りの資料として、詳細な経過や専門家の御意見を添付しております。その内容について御発言いただく際には、患者さん個人の特定につながらないよう御配慮いただきますようよろしくお願いいたします。資料1は以上です。
続いて資料2をご覧ください。麻しんワクチンです。接種可能のべ人数は約2万人ですが、対象期間、製造販売業者、医療機関からの報告はともに0件でしたので、御説明は省略します。
次に資料3をご覧ください。風しんワクチンです。接種可能のべ人数は約13万人、医療機関から非重篤報告が2件報告されております。報告頻度は0.002%でした。症例の詳細は4ページにお示ししております。続いて5ページをご覧ください。アナフィラキシー症例のまとめですが、今回の対象期間に該当する症例の報告はありませんでした。資料の3は以上です。
資料4をご覧ください。おたふくかぜワクチンです。接種可能のべ人数は約39万人、製造販売業者から11件、医療機関から10件、うち重篤なものが5件報告されております。報告頻度は、製造販売業者、医療機関ともに0.003%となっております。平成25年4月1日からの累計の接種可能のべ人数は、企業からの情報に基づきますと約680万回となり、この報告数を基に報告頻度を計算しますと0.002%、0.003%となり、これまでと大きな変化はございません。なお、前回11月の合同会議におきまして、平成30年8月末までの累積ののべ人数の数字を企業から頂いた情報に基づいて3262万8,600回と御報告しておりましたが、正しくは640万5,679回という数字でございましたので、この場を借りて訂正させていただきたいと思います。これに伴い、報告頻度も再計算いたしましたが、従来及び今回と変わりはありませんでした。のべ人数の数字とともに訂正をさせていただきます。2~3ページは症状別の集計結果、4~7ページが個別症例の一覧になります。
続いて8ページをご覧ください。後遺症症例です。こちらが以前の合同会議で報告済みの症例ですが、今回後遺症として初めて報告されたため、詳細について改めて御報告するものです。基礎疾患を有さない1歳の男児が、おたふくかぜワクチン接種後に脳炎、髄膜炎、てんかん重積状態を発現し、MRIでの側脳室の白質病変を後遺症として認めた症例になります。髄液と咽頭からムンプスウイルスワクチン株を検出しておりまして、専門家の評価の結果、いずれの委員からもワクチンとの因果関係ありとコメントを頂いております。
9ページがアナフィラキシーのまとめですが、今回の対象期間に該当する症例はございませんでした。10ページの死亡症例は、MRワクチンの資料で御説明したものと同じため、説明は省略させていただきます。資料4は以上です。資料1から4までの説明は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○桃井委員 ありがとうございます。それでは、御質問、御意見よろしくお願いいたします。
○多屋委員 麻しん風しん混合ワクチンの表ですが、5ページですけれども、ここには症状名として麻しんとか、ワクチン接種後の麻しんという方が数名おられるのですが、ワクチン株が検出された場合は麻しんという診断名にせずに、できれば発熱発疹等、麻しんと書かれる基となった症状のほうが、ここでは適切なのではないかと思います。なぜかといいますと、麻しんと言いますと、流行している自然に感染した麻しんのことですので、少し工夫が必要ではないかと思いました。以上です。
○桃井委員 ありがとうございました。事務局いかがでしょうか。
○事務局 こちらの症状名につきましては、企業、医療機関から報告されたものをそのまま記載させていただいており、このような表記になっている状況でございます。
○桃井委員 報告されたものを修飾して書けないということなのですね。
○多屋委員 もし企業の皆様にお願いできるのであれば、やはりこれは麻しんではないと思いますので、そのような記載ぶりを御検討いただけると大変有り難いかと思います。
○事務局 頂いた御意見を踏まえまして、少し今後の対応を御検討させていただきます。ありがとうございます。
○桃井委員 あるいは、麻しんに括弧して何かコメントを書くというのも1つの、報告の内容を変えずに修飾せずに、より医学的に正しい状態を残せるということもあり得るかもしれませんね。御検討ください。重要な御指摘だと思います。ほかにいかがでしょうか。特におありにならないでしょうか。よろしいでしょうか。
○多屋委員 ちょっと先ほどと別件なのですが、最近、同時接種を受けるお子様が大変多くなってまいりまして、今回は比較的単独接種を行うことが多いワクチンの分類になっていると思うのですけれども、最近MRワクチンですとか水痘ワクチン、おたふくかぜワクチンは、同時接種を行うことが多くなってきていますので、少しそういう認識で見ていったほうがいいかなと思いました。おたふくかぜワクチン株が分離されている方が、ほかのワクチンの所でも出てくるようになってきていますので、そんな表現も必要かなと思われました。
○桃井委員 ありがとうございました。何かありますか。
○事務局 すみません。先ほどの麻しんの件に少し戻ってしまうのですけれども、先生から御指摘いただきましたような、接種後に麻しんを発現した症例につきましては、こちらから企業に確認を取っておりまして、※書きで注を入れさせていただいておりますが、先ほどの御指摘を踏まえて、もう少し何か今後対応できないかというところは検討させていただきたいと思います。一応補足させていただきます。
○桃井委員 ありがとうございます。是非、データとして区別できるように御検討ください。以上でよろしいでしょうか。
それでは、資料1~4までまとめます。副反応疑いの報告頻度は、これまでに検討したワクチンに比べて特段高くない。後遺症症例は以前報告された例です。おたふくかぜワクチンの髄膜脳炎ですが、1例報告があります。死亡症例は、今回の集計対象前の症例ですが、MR、おたふくかぜワクチンを含む同時接種で1例報告されていますが、ワクチン接種と死亡症例との直接の因果関係は不明とされました。先天性QT延長症候群がある方でありました。このようなまとめでよろしいでしょうか。
では、このまとめに基づいて、現状の取扱いに関して、御意見がある場合はよろしくお願いします。変更する必要があるかどうかについて御意見をよろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。以上のまとめで変更の安全性において重大な新たなシグナルの検出はないということでよろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは次に進めます。資料5~7までお願いいたします。
○事務局 資料5~7について御説明します。資料5は、水痘ワクチンです。接種可能のべ人数が約67万人で、製造販売業者から6件、医療機関から5件、うち重篤なものが3件報告されています。報告頻度は、製造販売業者、医療機関とも0.001%となっています。
1ページ下の転帰ですが、今回の対象期間内に後遺症、死亡の報告はありませんでした。2~3ページが、症状別の集計結果。4ページ目が、予防接種法の報告基準に定められた症状の集計結果になります。5~7ページが、個別症例の一覧。8ページが重篤なアナフィラキシーのまとめですが、今回の対象期間に該当する症例はありませんでした。9ページ目の死亡症例については、先ほどMRの資料で御説明したものと同じため、説明は省略させていただきます。資料5は以上です。
資料6をご覧ください。A型肝炎ワクチンです。接種可能のべ人数が約4万人ですが、対象期間に報告を受けたものは0件でしたので、説明は省略させていただきます。
資料7をご覧ください。23価肺炎球菌ワクチンです。接種可能のべ人数が約129万人で、製造販売業者から85件、医療機関から84件、うち重篤なものが21件報告されています。報告頻度は、製造販売業者、医療機関ともに0.007%となっています。
また、肺炎球菌ワクチンに関しては、薬効欠如等のワクチンの副反応ではないと考えられる症状が報告されていることについて、これまで審議会で御指摘いただいており、内数として肺炎球菌感染、肺炎等を除くということで、それらを除いた値もお示ししています。今回の対象期間では、企業から肺炎の症例が多数報告されており、これらを除くと企業からの報告数は85から44に減り、報告頻度も0.007%から0.003%に減ります。医療機関からも、肺炎関連の症例が1件報告されています。
1ページ下の転帰ですが、今回の対象期間内に後遺症が1件、死亡が5件、製造販売業者から報告されています。2~6ページが、症状別の集計結果です。星印を付けている症状が、1ページ目で内数として集計する際に除外したものとなっています。7ページが、予防接種法の報告基準に定められた症状の集計結果。8~17ページが、個別症例の一覧となっています。
18ページは、後遺症の症例です。こちらは糖尿病等の基礎疾患を有する83歳女性で、無為や歩行障害、起立障害等を発現し、後遺症として立位維持困難を残したという症例になっています。一番右側のカラム、専門家の御意見の所ですけれども、いずれの委員からも情報不足により、判断ができないということで、最終的な御評価を頂いています。
19ページ、アナフィラキシーのまとめになりますけれども、今回の対象期間にアナフィラキシーの重篤症例として、1件報告がされています。しかし、専門家による評価の結果、ブライトン分類3以上とされた症例ではありませんでした。
21ページからが、死亡症例の一覧となります。No.1の症例は、対象期間前の報告ですが、追加報告にて死亡が判明した症例となります。65歳男性で、本剤接種10日後にインフルエンザワクチンを接種して、発熱や意識状態の悪化等を認め、65日後に死亡が確認され、死因が急性散在性脳脊髄炎とされたという症例になります。こちらの詳細な情報について、現在、調査をしていますので結果が得られ次第、改めて御報告させていただきます。
No.2の症例ですが、こちらは高齢男性で接種後、死亡、日付不明という症例になっています。専門家の評価の結果、情報不足のためワクチン接種との因果関係は評価できないとされています。
No.3については、肺炎球菌ワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種を受けた77歳の男性で、接種22日後に間質性肺炎により死亡した症例です。専門家による評価の結果、情報不足のためワクチン接種との因果関係は評価できないとされています。
No.4、高齢の男性で接種後に間質性肺炎により死亡、日付は不明という症例になります。専門家による評価の結果、情報不足のためワクチン接種との因果関係は評価できないとされています。
No.5ですが、対象期間後に報告された症例になりますけれども、骨粗鬆症や魚アレルギー等を有する65歳の女性が接種2日後から、発熱、皮膚の発赤等を認め、接種84日後に皮膚筋炎性間質性肺炎で死亡したとされる症例になります。詳細な情報は、現在、調査をしていますので、結果が得られ次第、御報告させていただきます。
23ページをご覧ください。No.6の症例ですけれども、喘息や腸閉塞を基礎疾患として有する95歳の女性が、肺炎球菌ワクチン接種後、肺炎により死亡したという症例です。専門家による評価の結果、肺炎で死亡したとされたが、情報不足のため、ワクチン接種との因果関係は評価できないとされています。
No.7は、脳梗塞や胃がん等を有する74歳の男性が、接種半年後にインフルエンザを2回発症し、その後、肺炎を発症して死亡した、死因は肺炎とされたという症例になります。こちらも、専門家による評価の結果、情報不足のためワクチン接種との因果関係は評価できないとされています。
24ページ以降に、委員限りの資料として詳細な経過や専門家の意見を添付しています。資料7は以上です。資料5~7の説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○桃井委員 ありがとうございました。それでは、御意見をお願いいたします。
○多屋委員 23価肺炎球菌ワクチンの資料7ですけれども、8ページあるいは9ページの基礎疾患、症状名と分けて記載していただいている表があります。この症状名の中に、基礎疾患に入れたほうが適切ではないかと思われる症状が、幾つか含められています。この分け方も、お届けされたとおりに書かれているということでよろしいでしょうか。そうしますと、基礎疾患なのか、ワクチンによって起こった副反応を疑っての症状なのかは、分けることを考えたほうがより適切かなと感じましたので、御検討いただければ嬉しいです。
○桃井委員 いかがでしょうか。明らかに基礎疾患と思われるもの、あるいは明らかに原因が分かっている肺炎と思われるものが入っているなどするのは、いつもこういう症例は紛れ込んでくるのですが、特に基礎疾患と症状名があまりごちゃごちゃなのはよくないので、これも原票どおりなのでしょうか。
○事務局 こちらは企業から報告された原票に従って記載しているものにはなるのですけれども、先生から御指摘いただきましたように、基礎疾患に記載したほうが適切と思われるような症状が散見されるのは確かですので、今後、報告の仕方等も含め少し検討させていただきたいと思っています。御指摘ありがとうございます。
○桃井委員 よろしくお願いいたします。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、まとめさせていただきます。これらのワクチンに関して副反応疑いの報告頻度は、これまでの検討したワクチンに比べて特段高くはない。後遺症症例は、23価肺炎球菌ワクチンの単独接種で1例ありましたが、情報不足で評価不可という症例でした。死亡症例は対象期間前に、同時接種症例で1例で因果関係は不明。同時に対象期間前で、23価肺炎球菌ワクチンを含む単独接種例1例、追加情報を報告されています。今回の集計対象期間に、23価肺炎球菌ワクチンを単独接種した例で死亡症例が5例報告がありますが、情報不足、調査中の症例が多く、内容は肺炎で死亡という例が多いようでした。特に因果関係については、肯定的あるいは否定できないと評価されたものは、なかったようです。情報不足の例については、追って情報が集まればまた御報告があると思います。集計対象期間後に、23価肺炎球菌ワクチンの接種例が1例報告されていますが、これは調査中ですので次回以降に情報が提供されると思います。以上ですが、このようなまとめでよろしいでしょうか。
それでは、このようなまとめにおいて、これらのワクチンに関する取扱いについて、御意見はありますか。特に変更を要するという御意見はありませんか。それでは、御審議いただいたワクチンについては、その安全性において重大な懸念は認められないという評価でよろしいでしょうか。ありがとうございます。次にいかせていただきます。資料8をお願いいたします。
○事務局 それでは資料8をご覧ください。インフルエンザワクチンです。こちらについては、今回、中間報告という位置付けで御報告させていただきます。昨年10月から12月末までの結果をまとめています。
1ページ目をご覧ください。資料の構成が、ほかのワクチンとやや異なっています。接種可能のべ人数は、表下の注意点2つ目に記載しています。約5,110万人となっています。報告数は表に記載していますが、1か月ごとの集計としています。合計は、表の一番下で、製造販売業者から39件、医療機関から177件、うち重篤なものが64件報告されています。報告頻度は、製造販売業者が0.0001%、医療機関が0.0003%になっています。死亡症例は、医療機関から3件報告されています。
2ページ目ですが、医療機関からの報告のうち、医療機関において関連があると評価したものと、そうでないものに分けたものです。
3ページ目の上段、中段は、患者の性別、年齢の内訳の集計となっています。一番下の段には参考として、2017/2018年シーズン、2016/2017年シーズンの報告を記載しています。表が2つに分かれていますが、上の表はそれぞれのシーズン全体の期間、下の表は昨シーズンの中間報告の報告数となっています。先ほど1ページ目で御説明した今回の報告頻度と比べ、特段高いという状況ではありませんでした。
4~6ページが、症状別の集計結果。7ページが予防接種法の報告基準について、集計した結果となっています。8~22ページが、個別症例の一覧です。
23ページをご覧ください。後遺症症例になります。こちらは今回の対象期間よりも前に報告されたもので、既に症例一覧でお出ししているものにはなりますが、下線部の情報が追加され、再度、御評価いただくものになります。てんかん等の基礎疾患を有する7歳男児が、インフルエンザワクチン接種後にADEMを発現し、精神遅滞・運動機能障害を後遺症として残したという症例になります。専門家の評価の結果、2名からADEMの可能性は否定できないと御意見を頂いています。基礎疾患として、てんかん等を有することから、因果関係についてはワクチンとは結び付けられない、基礎疾患の症状として矛盾しない、肯定も否定もできないといった御意見を頂いているところです。
24ページ、こちらも対象期間前の後遺症症例になります。尿膜管膿瘍を有する11歳の女児で、ADEMを発現し、後遺症として神経因性膀胱を残したという症例になっています。3名の委員から御評価を頂いていまして、ADEMの可能性は高い、ワクチンとの因果関係についても、時間的な関係でワクチン接種との因果関係は否定できないと、御評価を頂いているところになります。
25ページから、ギラン・バレー/ADEMについての資料となっています。今回、医療機関から4件、製造販売業者から4件報告がありましたが、専門家の評価によりギラン・バレー/ADEMとして否定できないとされたものは、医療機関からADEM2件となっています。
26ページ以降に症例の詳細をお示ししています。症例のNo.2とNo.8が、該当する症例となっています。一番右側のカラムに事務局の評価を記載していますけれども、いずれの症例もADEMの可能性は否定できない、ワクチン接種との因果関係は否定できないという最終評価となっています。
28、29ページから、対象期間前の報告でギラン・バレー/ADEMの可能性のある症例を掲載しております。28ページについてはギラン・バレー症候群ですけれども、一番右のカラムに情報不足で評価できないと記載されています。
続いて、29ページの症例。こちらはADEMの可能性は否定できない、ワクチン接種との因果関係は否定できないという最終評価を頂いたものになります。
最後30ページの症例について、先ほど後遺症の所で御説明差し上げたものと同一となっています。
31ページからアナフィラキシーの関係で、今シーズンのまとめになります。アナフィラキシーとして報告された症例数、ブライトン分類3以上とされたものの数、その報告頻度を企業ごと、ロットごとに集計したものになります。全体的な合計については、表の一番下に記載しており、今シーズン全体で15件あり、うちブライトン分類3以上とされたものが7件、報告頻度は10万接種当たり0.2となっています。
32ページが、昨シーズンの結果です。今シーズンと比較して、全体の報告頻度としては特段大きな違い等はありませんでした。
33~36ページに、アナフィラキシーの個別症例のラインリストを記載しています。こちらについては、詳細は省略させていただきます。
37ページから、死亡報告の一覧となります。対象期間内に3例の報告がありました。まずNo.1の症例ですが、高血圧、糖尿病等の基礎疾患を有する74歳の男性で、接種3時間後、搬送先で死亡が確認され、死因が急性心疾患とされたという症例となっています。専門家による評価の結果、ワクチン接種後、心室細動が確認され、その後死亡した。ワクチン接種と心室細動との時間的因果関係は否定できないものの、基礎疾患から心室細動に至った可能性も考えられ、ワクチン接種との因果関係は不明であるとして、御評価を頂いています。
No.2、95歳の女性の症例になります。接種45分後から嘔気等を訴えまして、救急搬送され、同日、心肺停止となり死亡したというものです。嘔吐により窒息したと考えられたという症例になっています。専門家による評価の結果、嘔吐による窒息で死亡した可能性が考えられたが、情報不足でワクチン接種との因果関係は評価できないとされています。
No.3の症例は、7か月の男児の症例です。接種翌日に心肺停止状態で発見され、救急搬送され、その後、死亡が確認されたという症例になっていますが、こちらは詳細調査中ですので、結果が得られ次第、改めて御報告をさせていただきます。
39ページからが、昨シーズンの御報告になります。昨シーズンのインフルエンザワクチンの副反応疑い報告状況については、昨年7月の合同会議で報告させていただいているのですが、それ以降に死亡症例として報告された2例について、資料を掲載しています。
No.1の症例は、逆流性食道炎等の基礎疾患を有する76歳の男性です。接種翌日から、発熱や食欲不振等を認め、最終的には接種130日後に死亡が確認され、死因はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌肺炎とされたという症例になっています。専門家による評価の結果、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌肺炎により死亡とされた。死亡に結び付く事象は、ワクチン接種から約4か月後に発現しており、ワクチン接種との因果関係は否定的であるとされています。
No.2の症例ですが、65歳男性で接種当日より発熱等を認め、会話がおかしくなった等の症状を認めたという症例です。最終的には、接種55日後に死亡が確認され、死因は急性散在性脳脊髄炎とされたという症例になっています。こちらは詳細を調査中ですので、結果が得られ次第また御報告をさせていただきます。
41ページから委員限りの資料として、経過や専門家意見の詳細等を添付しています。資料の8は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○桃井委員 ありがとうございます。それでは、資料8について、御意見等をお願いいたします。
○倉根委員 2つほどです。1つは、2ページのマル2です。これは、いわゆる関連性ありというのがマル1で、マル2はそれ以外ということだと思うのですけれども、関連性がないという評価と評価不能というのは、異なるものではないかと思います。1つにまとめた場合に、どういうメッセージになりますか。関連性があるという評価があったもの以外ということだとは思いますけれども、これはむしろ、更に分けて関連性がないと報告されたものと評価不能に分けたほうが、メッセージとして分かりやすいのではないかと思うのですが、そこはいかがでしょうか。
○事務局 今の御指摘としては、このマル2の表を今、関連なしと評価不能をまとめているものをそれぞれ分けたような表にしてはどうかという御指摘ですか。
○倉根委員 はい、そういうことです。つまり、先ほど申しましたけれども、関連がないということと評価不能と同じかと言われると、1つのグループにしていいのかという疑問です。むしろ分けたほうが、分かりやすいと考えたところです。
○事務局 そうしましたら資料の記載ぶりを、どのようにするかというところを含めて少し検討させていただきたいと思います。御指摘ありがとうございます。
○倉根委員 もう1つは、37ページです。右から2つ目のカラムに、調査の結果というのがあります。そこの上から5行目に時間的因果関係という言葉があるのですけれども、これまでこういう言葉、つまり時間的因果関係という単語、言葉が使われていましたか。いわんとすることは、分かるのですけれども、1つの言葉として、使っていいかどうかという疑問です。
○桃井委員 おっしゃるとおりだと思います。時間的関係と因果関係は全く違いますので、ここは厳密に時間的関係、あるいは因果関係と分けてお使いいただければ有り難いと思います。よろしいでしょうか。
○五十嵐委員 今まで、時間的前後関係という言葉をよく使っていたのではないかと思います。
○事務局 今回の時間的因果関係という言葉なのですけれども、専門家の御評価の所でそのような表現がされていましたので、それをそのまま記載したということです。意図するところとしては、ワクチン接種をした後に事象を発現し、因果関係が否定できない、ということにはなろうかと思うのですけれども、専門家の意見から取ってきたので、このような表現ぶりとなっているというところです。
○桃井委員 いろいろな誤解を招くような用語を使うことはよろしくないので、専門家の御意見に疑義がある場合には、是非もう一度、差し戻していただきたいと思います。大変、重要なことだろうと思います。ほかに御意見等はあるでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、まとめます。インフルエンザワクチンに関しては、副反応疑い報告数、死亡数、アナフィラキシーの発生頻度等については、昨シーズンと同等程度で大きなシグナルの検出はないというまとめでよろしいでしょうか。このまとめで、取扱いに関して何か変更を要するかどうかについて、御意見がある方はお願いいたします。特にありませんか。それでは、御審議いただいたインフルエンザワクチンについては、この報告によって、その安全性において重大な新たな懸念は発生をしていないという評価でよろしいでしょうか。ありがとうございます。次に進みます。資料9~11までをお願いいたします。
○事務局 それでは、資料9~11について御説明させていただきます。資料9をご覧ください。こちら、グラクソ・スミスクライン社のサーバリックスについてです。
1ページ目の中段には、医療機関への納入数量を基に推定した接種可能のべ人数と製造販売業者及び医療機関からの副反応が疑われる症例の報告件数を記載しております。今回の対象期間は接種可能のべ人数が1,447人で、製造販売業者から7件、医療機関から重篤なものが2件報告されております。また、これらのうち今回の対象期間内に接種が行われた症例の数をそれぞれ括弧書きで記載しておりますが、今回の対象期間内の報告は、該当するものはございませんでした。また、これまで同様、報告対象期間中の接種人数を分母に、報告された症例数を分子に取って頻度を計算しております。製造販売業者から0.5%、医療機関から重篤なもので0.1%という数値を出しておりますが、接種数が極めて少ない中で過去の症例が報告されていることから、当該頻度の数値自体はあまり意味のないものとなっております。なお、販売開始からの累計は、参考としてその下に記載しております。1ページ目の下段には転帰の情報をまとめておりまして、今回、対象期間の中で後遺症や死亡の症例はございませんでした。
続いて、2~7ページが報告を症状別に集計した結果、8ページが、予防接種法の報告基準に定められた症状について抜粋、集計した結果を掲載しております。今回の対象期間におきましては、血管迷走神経反射(失神を伴うもの)が5件報告されております。9~11ページが報告された個別症例の一覧になります。
続いて、12ページ目ですが、接種後の迷走神経反射が疑われる症例でのアナフィラキシーの可能性について評価した資料になります。下の表にお示ししているとおり、迷走神経反射が疑われる症例が5例ありましたが、ブライトン分類3以上としてアナフィラキシーが疑われる症例はございませんでした。
13ページがギラン・バレー/ADEMについての資料となっております。今回、医療機関から疑わしいものとして1件報告がございましたが、専門家の評価によりギラン・バレー/ADEMとして否定できないとされた症例はございませんでした。
17ページがアナフィラキシーの報告をまとめたものになります。今回の対象期間に報告はございませんでした。資料9は以上となります。
続きまして、資料10をご覧ください。MSD社のガーダシルについてです。接種可能のべ人数が1万42人で、製造販売業者から3件、医療機関から重篤なものが1件報告されております。また、これらのうち対象期間内に接種が行われた症例の数を括弧書きでお示ししておりますが、今回、企業から1件、医療機関から1件報告がございました。報告頻度につきましては、製造販売業者から0.03%、医療機関から重篤なもので0.01%という数値を出しております。
1ページ目の一番下の段に転帰の情報をまとめております。今回の対象期間に、後遺症、死亡の症例はございませんでした。続いて、2~5ページが報告を症状別に集計したもの、6ページが、予防接種法の報告基準に定められた症状について抜粋、集計した結果をお示ししております。続いて、7~8ページが報告された個別症例の一覧となります。
9ページをご覧ください。こちらは、接種後の迷走神経反射が疑われる症例でのアナフィラキシーの可能性について評価した資料になります。表にお示ししているとおり、迷走神経反射が疑われる症例が1例ありましたが、ブライトン分類3以上としてアナフィラキシーが疑われる症例はございませんでした。
続きまして、資料の10ページをご覧ください。こちらはギラン・バレー/ADEMの可能性のある症例をまとめた資料になります。今回、医療機関から疑わしいものとして1件報告がございましたが、専門家の評価の結果、ギラン・バレー/ADEMとして否定できないとされた症例はございませんでした。
18ページをご覧ください。アナフィラキシーの資料となります。今回、報告が1件ございましたが、専門家による評価の結果、ブライトン分類3以上とされた症例はございませんでした。資料10は以上となります。
最後に資料11をご覧ください。こちらは、HPVワクチン接種後の失神関連の副反応が疑われる症例をまとめた資料のアップデートになっております。2~7ページがサーバリックス、8~11ページがガーダシルについてまとめたものになっております。
資料の2ページ目、1をご覧ください。こちらは国内の発現状況です。サーバリックスの販売開始から昨年の12月末までの報告は989件、発生率が10万接種あたり14.12例でした。このうち意識消失のあった症例は660例で、発生率は10万接種あたり9.42例となっております。
3ページ目は意識消失までの時間を表したものです。上の棒グラフは接種後30分までに発現した症例を、下の表は接種後30分以降に発現した症例をまとめたもので、多くは30分以内に発現しているということが確認できます。
続きまして、4~7ページは意識消失があった症例の時期ごとの発現の傾向を示しております。7ページ目が最近のものになりますが、ここ最近の事例として報告された症例はございません。また、こちら、一番右のカラムにGSKの出荷数量ということで記載させていただいているのですけれども、前回の合同会議におきまして、例えば資料の5ページの右から2番目のカラムをご覧いただきますと、出荷数量が返品を含んだ数で「-」と記載されている箇所について、傾向をつかむ上で分かりにくいのではという御指摘を頂きましたので、今回より返品数を含まない出荷数量を一番右のカラムに追加するということで対応させていただいております。
8ページ以降がガーダシルの資料となっております。国内の発現状況をご覧いただきますと、国内の発現状況については、販売開始から昨年の12月末までの報告が397例、発生率が10万接種あたり20.2例となっております。このうち意識消失があったものが270例で、発生率が10万接種あたり13.7例となっております。
9ページ目はサーバリックス同様に、それぞれ、意識消失などの時間を示したグラフと表となっておりまして、傾向は、サーバリックスと同様になっております。
10ページ目以降は意識消失があった症例の期間ごとの発現の傾向を示したものですが、サーバリックス同様に最近の報告としましては、6月に1件、9月に1件というぐらいで、ほとんど報告はないという状況になっております。資料11は以上です。
資料9~11については以上となりますので、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○桃井委員 ありがとうございます。それでは、これらについて御意見をお願いいたします、いかがでしょうか。特におありにならないでしょうか。それでは、まとめさせていただきます。
今回の報告は、過去に発生した症例が大部分、この期間内に報告されたという例が大部分です。全体の内容としても、これまでの報告と大きな変化がなく、新たなパターンを示すような症例の報告はないというまとめでよろしいでしょうか。では、これらのまとめを受けて、取扱いに関して何か御意見があるでしょうか。特におありにならないでしょうか。新たなパターンを示すシグナルの検出はないことから現状の変更を求める理由はないということでよろしいでしょうか。それでは、この審議は終わらせていただきます。以上で議題1が終了です。
次いで、議題2に入らせていただきます。それでは事務局から、議題2に関して、資料12について御説明ください。
○事務局 資料12-1~12-6、副反応疑い報告等の確認について説明させていただきます。資料としては主として12-1をご覧いただければと思います。
1ページ目、HPVワクチンの副反応疑いに係る報告等の再確認についてです。先生方には既にご案内のことではございますが、HPVワクチン接種後に生じた副反応疑い、副作用につきましては、法令等に基づき、医療機関又は製造販売業者からこれらに係る報告を受けてございます。国においては、報告を受けた症例について、その下に参考として示しております、マル1性別、年齢、副反応等を記載したリスト、これは一覧表と呼ばせていただければと思います、マル2死亡症例、それからワクチン特有の重症症例に関しては、アナフィラキシー、ADEM、ギラン・バレー症候群、後遺症症例につきまして、更に詳細な情報を記載したリストも参考マル2としてお示ししております。これらを厚生科学審議会及び薬事・食品衛生審議会に提出させていただきまして、安全性の評価を行っていただいているところです。
今般、これまで審議会に提出した資料につきまして、改めて確認させていただきました。審議会に報告されていなかった症例がないかどうか、それから、死亡症例・重症症例の報告内容につきまして報告原票と審議会資料の突合作業、さらに、外部の専門家による再確認を行った結果を御報告させていただきたいと思っております。
2ページ目をご覧ください。再確認の結果の概要です。これまでに医療機関及び製造販売業者から厚生労働省又はPMDAに副反応等の疑いがあるとして報告された全ての症例、これは3,493例となりますが、これにつきまして以下の内容を確認しております。事務局といたしましては、いずれもHPVワクチンの安全性の評価に影響を与えるものではないと考えております。
(1)報告されていなかった症例の有無についてです。これまでHPVに関する議論が行われた審議会、これは計22回ございます。審議会に報告された症例が3,492例となっており、審議会に報告されていなかった症例が1例ありました。この1例につきましては、副反応が頭痛、全身倦怠感であり、それから、転帰が軽快で非重篤症例でした。こちらの症例につきましては、資料12-2に一覧表をお示ししております。資料12-2に「第4回サーバリックス」と記載しております。この第4回というのが先ほど申し上げましたHPVワクチンに関する議論が行われた審議会の回数を示したもので、その回数の詳細につきましては、資料12-6に、それぞれの開催日と開催回を表にさせていただいたものをお示ししております。
(2)死亡症例及び重症症例としての報告についてです。これまで審議会に報告されました症例は3,492例ですが、この中に死亡症例あるいは重症症例に該当するものが186例含まれております。そのうち、重症症例としての詳細な報告がなされていなかった症例が6例ございました。これらの6例につきましては、いずれも後遺症症例となります。症状等の詳細な経過は報告されておりませんでしたが、審議会提出の一覧表には後遺症症例である旨が記載され、報告されている症例となります。また、これら後遺症症例につきまして、その後の報告においては、6例のうち3例が回復、2例が軽快、1例が後遺症となっております。こちらにつきましては、資料12-5に最新の情報に基づく転帰が記載されております。この6例につきましては、数字の後ろに星印を付してございます。
それから今回、この6例につきまして外部の専門家によるワクチン接種との因果関係についてのご評価を行っていただいております。そちらの資料につきましては、資料12-3に専門家のご意見と詳細な情報が記載されております。また、委員限りの資料となりますが、添付文書等のファイルの下に各症例の報告原票を配布させていただいておりますので、適宜、ご参照いただければと思っております。また、報告原票の内容をご発言いただく際には、患者さんなどの個人の特定につながらないようご配慮を頂きますようお願い申し上げます。それから、先ほどの1例の件ですが、平成24年1月の審議会に報告すべきであった症例となっております。
続きまして、(2)の2つ目の○です。死亡症例・重症症例としての詳細な報告がなされた180例、これは先ほどの186から6を引いた数字となります。こちらの180例につきまして、審議会資料の記載内容に報告原票と相違がないかを確認した結果、相違があると判断された症例が45例ございました。その内訳ですが、接種後日数などの経過の記載、あるいは副反応、転帰、ロット番号、既往歴、報告医等の意見につきまして表記上の相違がございました。45例の詳細につきましては資料12-4に、審議会に報告した内容と報告原票を基にした内容の比較表としてまとめております。例えば症例として接種後日数などの経過につきまして、資料12-4の表紙にそれぞれの審議会の回数毎に重症症例の件数と、今回、相違があると判断された件数を表にしております。また、件数につきましては、既往歴欄あるいは副反応名欄、それぞれの内訳の数字をカウントした表をまとめています。
資料12-4の2ページをご覧いただきますと、45という数字が一番下の真ん中辺りにございます。こちらにつきましては、先ほど180例と申し上げましたが、実際の報告は複数回行われているケースがあるため、詳細な報告をされている件数としては198件となります。左側の数字、合計が198となりますが、重複、同じ症例が何回か報告されておりますので、重複を除いた実症例数が180となります。それらにつきまして45件の相違がございます。一番多いのが、経過欄のうち、接種後日数などの時間の表記上の相違となるものであり、こちらが26件となります。
資料の4ページ、5ページをご覧いただきますと、接種後日数に関しましては、例えば何年何月何日にこういった症状が出たといったような形で報告されるケースがございます。これらにつきまして、審議会においてご議論いただくために、年月日をワクチンの接種後から何日経過しているかというような形で変換させていただいております。この変換におきまして本来の報告原票の数字が、例えば接種11日後とすべきところが接種17日後といったような形での報告となってしまった、こういったものが全体で26件ございました。
同じく4ページ目をご覧ください。既往歴欄につきまして、報告原票では無と報告されているものが、審議会の資料の中では不明といった形で報告されています。こういったものが計45件ありました。
それから、資料12-4の別紙がございます。こちらにつきましては、経過欄に記載された分量が非常に多い症例につきましては、別途、記載したケースがございます。これは、今回、左右で比較できるような形で資料化させていただいたものです。資料12-4につきましては以上です。
資料12-1にお戻りください。3ページ目が先ほどご報告させていただきました、それぞれの結果の概要表となっております。
資料の4ページ目をご覧ください。今回の事案の発生原因と今後の対応についてです。
1つ目です。審議会へ報告されていなかった1例につきまして、発生原因については、医療機関から厚生労働省に報告されました2件の異なる症例に対しまして、厚生労働省で同じ受付番号を付番してしまった事例がございました。一方の症例につきましては全症例を管理するデータベースに入力していましたが、もう一方の症例が入力されていませんでした。こちらについての対応ですが、平成26年11月から、医療機関からの報告先につきましては、厚生労働省からPMDAに変更されております。PMDAにおいては、医療機関報告への受付番号付番につきまして重層的に確認をし、更に徹底をするというような業務フローを確立してございます。
(2)後遺症症例として詳細な報告がされていなかった6例についてです。こちらも、平成25年10月までの審議会に提出された一覧表のリストにおきまして、後遺症症例としては報告されており、データベースにも後遺症症例として記録されております。こちらは、報告先がPMDAに一元化された平成26年11月より以前には、後遺症症例の本審議会への報告に関する取扱いが不明確であったことにより、審議会に詳細な報告がなされていなかったものと考えております。本件に関する対応につきましては、報告先がPMDAに一元化された後に、後遺症症例の報告に関する取扱いについて明確化されております。また、今後につきましても、当該取扱いに基づいた報告を徹底してまいることとしております。
3点目、重症症例としての詳細な報告に係る報告原票との相違についてです。こちらの発生原因につきましては、報告原票に不明確な点がある場合の対応であるとか、記載内容を要約する、あるいは時点更新をする、こういった場合に関する取扱いについて明確に定めていなかったこと等に起因するものと考えております。対応でございます。報告原票に不明確な点がある場合の対応等につきまして、例えば、PMDAを通じて医療機関に確認をし、審議会資料にどうやって反映していくかといったような形での標準的な取扱いを明確化し、当該取扱いに基づいた報告を今後、徹底してまいりたいと思っております。
それから、上記のほかということで下に記載しております。医療機関、製造販売業者からの報告につきましては、報告を判読する過程でミスを生ずる可能性があります。この様な判読ミスを防ぐために、報告様式の見直し等による標準化を図り、現場の負担とならず、かつ報告の精度を高められるような、そういった記載要領の整理を行うなどしっかりと対応してまいりたいと考えております。また、現在、医療機関報告につきましてはまだ手書きで行われている部分がございます。手書きされ、ファックスで送られてくる報告原票について、やはりそういったものが残っておりますと、判読ミスであるとかがまだ起こり得ると考えております。こちらにつきましては、製造販売業者からの報告と同様、電子化による報告の仕組みを検討してまいりたいと考えております。なお、システムの導入に関しましては少しお時間を要するかとも考えておりますが、こちらについて、今後、しっかりと対応してまいりたいと考えております。
以上、12-1~12-6の説明を終えます。御審議をお願いします。
○桃井委員 ありがとうございます。これは予防接種の安全性に係るこれまでの議論にも関わる問題ですので、皆様の御意見を頂戴したいと思います。ただ、幾つかの異なる種類の問題がございますので一遍に御質問を頂きますと混乱いたしますので、資料12-1の2ページの順番に基づいて御意見、御質問を頂戴したいと思います。それでよろしいでしょうか。
それでは、まず(1)から、報告されていなかった症例の有無についてです。3,493例中、番号が重複したために1例が報告されなかったという問題です。非重篤症例です。これに関しまして御質問、御意見等はおありでしょうか。
○倉根委員 ここだけ。では、まずここで御質問します。当時、こういうデータを取り扱って集計されていた方は二重のチェックなり、あるいは三重のチェックなのかがありましたでしょうか。あるいは、1人でされていたのでしょうか、それとも、当時は二重のチェックがなかったということなのでしょうか。
○事務局 私どもとして過去にどういった取扱いをしていたかについて確認をさせていただいております。当時は、複数の職員がこの業務を担当しておりました。同じ日にファックスで何件も症例が報告されて参りました際、担当者のミスが1件あり、ダブルチェックによる確認もできていなかったものとは考えてございます。
○桃井委員 よろしいでしょうか。ほかに、(1)に関しまして御質問や御意見はおありでしょうか。今後の対応についてはまた後でまとめて御意見を頂戴いたします。よろしいでしょうか、後から御意見があれば、戻っていただいても全く結構ですので。
それでは(2)に進ませていただきます。(2)死亡症例及び重症症例としての報告です。これは、先ほどの御説明ですと、死亡症例及び重症症例186例、そのうち、重症症例としての報告はあったけれども、詳細な報告がなされていなかったという記載ですね。重症症例として報告はされていたけれども詳細な報告がされていなかった症例が6例あったということです。その後の転帰については、ここに書いてあるとおりです。これは委員の皆様方には事前に資料を見ていただいております。これに関しまして御質問並びに御意見、よろしくお願いいたします。
○倉根委員 この当時、重症症例として詳細な報告をするという判断にこの6例が漏れたというのは、しなくてもいいという判断だったのでしょうか、それとも6例見逃したのか。判断としてこれは重篤症例として報告する必要がないのではないかと考えられたのでしょうか、もしそういうのが分かれば。それから、当時、報告するかしないかはどうやって決めていたのかというのを、分かれば伺いたいのですけれども。
○事務局 私どもとしても、当時、どのような報告ルールであったかということについて、過去の審議会の中で御説明させていただいていれば確認ができたのですけれども、当時、報告をするというルールはなかったとは思われるのですが、それが明確にルールとして定められていない以上、報告すべきだったと考えております。
○桃井委員 確認ですが、これは、この審議会に提出されたリストにおいて、当時、重症症例としての報告はされているわけですね。
○事務局 はい、後遺症症例として一覧表に記載しております、後遺症ありという形での報告となります。
○桃井委員 失礼いたしました、重症ではなくて、後遺症症例としての報告がされていて、リストに入っていて、数にも入っていると。
○事務局 はい、そのとおりです。
○桃井委員 だけれども症例詳細が抜けていたと、そういうことですね。
○事務局 そのとおりです。
○桃井委員 ほかに御質問等はおありでしょうか。当時、症例詳細を書くか書かないかに関しての規程に関しては明確なものがなかったと、そう理解してよろしいでしょうか。
○事務局 繰り返しになりますが、先ほども説明いたしました資料12-1の4ページに記載したとおりです。発生原因と書いておりますように、後遺症症例の報告に関する取扱いが不明確であったため、後遺症症例であったにもかかわらず、詳細な報告をしておりませんでした。調査にかなり限界がございますが、現在分かった範囲ではこういったところが原因だということでお示しさせていただいております。
○桃井委員 この(2)に関して御質問ございますでしょうか。
○多屋委員 現在もそうなのですが、副反応疑いを報告するに当たって、後遺症と書くか、あるいは未回復という記載で書くかは、やはり混在しているのが現状だと思います。これが後遺症と明記するのは判断が難しいこともあります。取扱いが明確化されていると記載がされているのですが、未回復と後遺症の違いなども明確化されていると考えてよろしかったでしょうか。
○事務局 未回復と後遺症の報告基準については、現在、副反応疑い報告等の報告様式の中に記載をさせていただいております。ただ、分かりやすいかという話からは、もう少し見直しができる余地があるのではないかと思っております。後遺症については報告時点でその障害等がある場合といったような、正に報告時点の状態を報告する形になっております。未回復については未回復であるという、そういった形ですので、報告する先生方にとって、どちらとも取り得る表現にはなっているかもしれないと思っておりますので、その点についても今後検討してまいりたいと思っています。
○桃井委員 明確な区分が難しい例も中にはありますので、難しい問題ではありますが、できるかぎりにおいて未回復と後遺症は分けたいという御意見だろうと思います。ほかに何かございますでしょうか。
○山縣委員 これは報告時点でということなのですが、そうするとその後どうなったかに関して、どういう形でその情報を得るかに関しては明確になっているのでしょうか。
○事務局 先ほど6例の御説明の中で、その後転帰が回復をしたというような報告をさせていただいております。186症例については12-5に現在、一番新しい情報に基づく一覧表を掲載しております。この中でも、これまで後遺症として報告した中で転帰が変わっているものもございます。製造販売業者が後遺症症例について新たな情報を医療機関の先生から得られた場合などには、そういったものを追加報告いただくことになっております。したがってその転帰等については、そのときそのときの状況について把握させていただいている状況になります。
○山縣委員 今の状況は分かりました。そうすると状況が変わっても報告がなければ、この中に新たな情報として入らないとなると、本当にそれが未回復なのかどうなのかが分からないので、今後は例えばそういう情報を得る方法というのは今は何かあるのかという、そういう質問でした。
○事務局 これは一般論となってしまいますが、医薬品の製造販売業者等については、安全対策を進める観点で、そういった安全情報の収集、それから医療現場に対しての提供というものが、ある意味課せられております。したがって新しい情報を入手した場合には、国等に報告をする義務がございますので、そういった観点で私どもは最新の情報を入手をしている状況です。なお、例えば患者さんが医療機関に再受診されない場合であるとか、新しい情報がどうしても入手できないケースが当然あると考えておりますので、その時点での最新の情報の把握をさせていただいているとは考えております。
○桃井委員 山縣委員の御意見は大変重要で、転帰に関してはその後の報告があれば記載はされると。しかしなければ記載はされないというシステムで、全員をフォローするシステムではないので、転帰に関しては、情報の質は一定程度かなりの限界はあるということですね。この限界をいかによくできるかというところは、大きな課題であると思います。(2)に関してほかに御質問はございますか。
○長島委員 資料12-3で専門家の意見が付いておりますが、これは今回改めて専門家の意見を求めたのか、報告のあった当時に求めたものなのか、どちらでしょうか。
○事務局 これは当時の情報に基づいて今回、専門家に御意見を頂いたものでございます。
○長島委員 ということは、当時は専門家の意見を求めていなかったということですか。
○事務局 そのとおりです。
○長島委員 ということは、もしも当時、詳細のところで報告することとなっていれば、その当時、専門家の意見を求めていたことになりますか。
○事務局 そのとおりです。
○長島委員 というと、そういう違いが出ますので、これはやはり重大な問題かと思うので、絶対このようなことが再発しないということは極めて重要かと思います。
○桃井委員 御指摘のとおりだと思います。ほかに御意見、御質問等おありでしょうか。もしあればまた戻ります。それでは3番目に行かせていただきます。「重症症例としての詳細な報告に係る報告原票との相違について」です。重複を除けば180例です。資料12-4の表には198と書いてありますが、重複を除くと先ほどの御説明どおり180例。そのうち原票との相違に関しての内容はここの資料にあるとおり様々でございますが、総数45件ということであります。これに関して御意見、御質問をお願いいたします。なおこれに関しては、詳細を見ていただく必要があることから、委員の方全員に詳細な内容、原票とのどこに差があるかに関しては、事前に見ていただいております。御意見等をお願いします。
○倉根委員 これ、例えば何日後とか、数えたときに数え間違いと言いますか、そういうことも出てきているのだろうと思いますが、恐らくいろいろな書き方で報告がなされているので、それを個々の報告ごとに、考えつつやっていかなければならなかったということなのだろうと思うのです。ですから、これ自体はやはりきちんと数えていただかなければ困るということではありますが、一方、報告として書いていただくときにも、こういう形で書いていただくというようなことが例示なりされていれば、防げるものもあったのかなと思います。でないと今後もやはり報告する先生方は違う書き方をする。そうすると、それぞれについて、数えなければいけないということも出てくるのかなとは思うのです。ですから、そこのシステムの改良によっても直る部分もあるのかなとは思いますが。
○事務局 御意見ありがとうございます。先生がおっしゃるとおり何年何月何日という記載で、今はそれを接種後何日という形で報告をしているわけですが、報告の段階で例えば、何年何月何日(接種何日後)といった形で併記を頂くであるとか、システム上、先生方にそれを計算していただくというのも非常に大変ですので、例えばなるべくシステムでそこが自動に入力できるような、そういったものにしていくことにより、事務局の負担、ミスも減らせると考えております。御意見ありがとうございます。
○山縣委員 私もこれを全部見せていただいたのですが、いわゆるこういうエラーというのは、ランダムエラーとシステマティックなエラーがあるのですが、入力規則があいまいで、複数の人が入力しているという点で、これはランダムなエラーで、何が原因かよく分からないようなエラーです。だから今、先生が言われたように例えば、入力のしやすさのようなものなどで少し制御ができたり、ダブルチェックすることにより制御ができたりという、こういうランダムエラーというのは基本的には100%コントロールするのは非常に難しいと一般的には言われているものなのです。今回は比較的細かいものではあるけれども、多かったという点はランダムエラーの部分ではあるのだけれども、ここは丸めて記載するようなことが例えば担当者によって違っていたりすると、そういうことが起きていたので、そういうことを統一することにより、ある程度は制御することは可能なのではないかなと思いました。以上です。
○五十嵐委員 私は、疾病・障害認定審査会で、2か月に1回の頻度で予防接種後に重篤な副反応が出た患者さんについて評価させていただいています。HPVワクチンの接種後に様々な症状を呈する患者さんのカルテを評価することもあります。例えば23価の肺炎球菌のワクチンを接種後に皮膚に発赤や腫脹がでるなどの副反応が出て、入院をされることがあります。そのような患者さんのカルテはA4で30ページ程度の量です。ところがHPVの患者さんの場合は、症状の持続期間が長く、多数の医療機関を受診していることがほとんどです。それから、症状の表記のされ方が難しくて、ほかの予防接種の副反応とは全く違う内容なのです。結果として、一人の患者さんのカルテがA4のバインダー2冊に及ぶこともあります。このような大量のカルテの診療情報を読んで、まとめる作業そのものが大変です。診療情報をまとめる上で、HPVの患者さんの場合は他のワクチンの場合とは大分違うバックグラウンドがあることを、この審議会の先生方に御理解いただきたいと思います。
○桃井委員 ありがとうございます。ほかに御意見等、この(3)に関しておありでしょうか。(1)(2)でも結構でございます。
○濱田委員 すみません、非常に基本的な質問で教えていただきたいのですが、これは医療機関からの報告は手書きで寄せられるわけですよね。そうするとやはり、それを判読する場合、非常にミスが起こるのはある程度仕方がないと思うのですが、これを要するに電子化の予定はされていらっしゃるのですか。報告を出す方も、手書きというのは非常に労力がかかるので、早めに電子化をしたほうがミスも少ないし、報告も確実なものが届くのではないかと思うのですが。
○桃井委員 おっしゃるとおりです。事務局、よろしくお願いします。
○事務局 医療機関報告については、多屋委員に電子で提出をしていただけるようなシステムの検討を頂いております。ただし、まだこれらについては、医療機関の先生方にお使いを頂いている割合が少し低いのかなとは考えております。こういったシステム化をしっかりと進めて、医療機関の先生方もやはりそちらのほうがやりやすいと納得を頂くような形で、今後もしっかりと電子化を推進してまいりたいと考えております。
○桃井委員 ほかにございますか。
○多屋委員 ありがとうございます。今のことに少し補足です。実際にはWEB登録をすることができるようになれば、もう少し利便性も高くなると思うのですけれども、今のところはホームページからダウンロードしなければいけないというちょっとひと手間があるので、使っていただいている頻度が少ないかなと思うのです。もし可能であれば、今はPMDAにホームページがあり、そこから手書きの報告書もダウンロードできます。また厚生労働省からもダウンロードできるようになっています。今はアプリの状態、アプリをダウンロードしてということですけれども、もし一緒に掲載していただくことができればと思います。WEB化するまでの間だけでも使っていただければ、自動的に何日目に副反応の症状が出たかということは、計算するところまでは組み込んでおりますので、もしよろしかったら一時的でも使ってもらうことができると考えております。
○桃井委員 ありがとうございます。そのとおりだと思いますが、WEB化は必須でありますので、可及的早期にそれが実現するようにお願いいたします。手書きですと本当に読めない原票もたくさんございます。WEB化であれば必要事項において入力していなければ受け付けられないということになると、より正確性が増しますので、なるべく早くに迅速にその対応をよろしくお願いいたします。ほかに御意見等おありでしょうか。
○佐藤委員 ちょっと確認させていただきたいのですが、情報の流れという最後のページを見ますと、かなり途中から整理が進んだのではないかと思います。皆さんがおのおの使われている言葉をPMDAさんが汎用されている言葉の辞書を使って統一する方向にしなければということで、とても努力をされているのではないかと思うのです。ここにある45例というのはその以前の話だったということでよろしいのでしょうか。
○桃井委員 事務局、いかがでしょうか。
○事務局 先生、すみません、ちょっと確認ですが、今、先生がおっしゃられていた辞書というのは。
○佐藤委員 現在は、PMDAで情報が一元化されるようになっていますよね。45例というのが出てきた時期というのがよく分からなかったのです。その2016年より以前の事例という理解でよろしいのですか。
○事務局 私からお答えいたします。結論から申し上げますと、今ご覧いただいている資料12-1で言うと、45件に関しては12-1の資料の最後の5ページ目を見ながら説明いたします。5ページ目が以前と今現在との関係で、報告を受けた後どのように処理をしているかを示したものになります。このうち45件に関しては、それぞれ両方にまたがっております。ただ、これらの原因が果たしてミスと言えるものばかりなのか、あるいは資料で言うと4ページの所の(3)をご覧いただくと、発生原因がございまして、記載内容の要約や時点更新というような言い方をしております。したがって、ある一定期間に報告されたものをきちんと期間を決めて報告することを原則にしていますけれども、その後更に会議までの間に時点更新ということで、新たな情報がきた場合に、それこそ良かれと思って情報を更新したケースもございますので、この辺りは個々には原因が十分分からないのですが、この部分に関して対応策に書いておりますとおり、標準的な取扱いをやはりはっきりさせたほうがよいと考えております。
流れの中で説明いたしますと、そのほか今回報告いたしました4ページの(1)と(2)に当たる1例と6例、これらに関してはそれぞれ発生原因の所に書いておりますが、最後の5ページの図で言うと全て左側、ということは従来のやり方で、それぞれの局が報告を受けて、それを処理して、そして資料にしていたという時代のものです。それ以外に関しては右側で、システムが変わった後は、その(1)(2)にようなケースはございません。そこは改めて紹介させていただきました。
○桃井委員 ありがとうございます。ほかに御意見等はおありでしょうか。
○長谷川委員 資料12-4、別紙です。担当医がワクチン接種との関連ありと考えているものが、報告では関連を否定できないと変えられていると。その原因として、その症状のうちどこに関連があるかが不明であったということだったと思いますが、そういった不明な場合に担当医にもう一度聞くシステムなど、そういったものは存在しないのでしょうか。
○事務局 事務局よりお答えいたします。今現在、不明瞭な場合に主治医に確認をするといったようなケースはあるかと考えております。ただ当時、これは第1回の症例となりますが、その関連ありといった記載について、その後これは専門家の意見を参考にしたかどうかはっきりしませんが、関連ありというのを関連を否定できない、意味としては同じになるのですが、表現ぶりが少し変わっているような言い換えをされたのではないかと考えております。ただし今の時点で比較をさせていただいた結果、表記上の相違があるということで今回報告をさせていただいたものです。
○長谷川委員 今の話では、「関連あり」と「関連を否定できない」は同じ意味ということでよろしいのですか。
○事務局 関連がないというものではないという、言い方としては表裏の関係になっているのかなとは思いますが、こういった表現の言い換えをされたのではないかと考えております。
○事務局 補足させていただきますと、今、厚労省から主治医の報告された方に質問することがあると申し上げたと思いますけれども、この制度の途中でPMDAがそういった副反応疑い報告などの整理・調査をするというようなことが、法律上位置付けられて以降、PMDAで追加の詳細調査などを必要に応じてさせていただいております。
○桃井委員 よろしいでしょうか。
○事務局 事務局でございます。大変恐縮ですが1点、資料12-3について数字の誤りがありましたので、ご報告いたします。12-3の症例の最後2つの症例です。それぞれ第13回と第18回の症例と記載しております。こちらについては両症例とも第5回の症例の間違いでございます。大変恐縮ですが、修正してお詫びさせていただきます。
○桃井委員 分かりました。先ほどの長谷川委員の御意見ですが、作業全体に言えることで、特定の状況、例えばワクチン株が検出されたなど、そのような特定の状況以外は関連性を医学的には否定できない。正確には関連性は否定できないということになるわけで、ただやはり専門家の御意見は先生方によって使っている用語がまちまちで、極めてその辺は問題が多いという御意見を前に長島委員にも頂きましたし、専門家の御意見に関しても大きな課題で、関連性を否定できないにも否定できないグレーディングがあるはずですので、その辺をグレーディングすることを今後検討することが、以前の審議会で委員からも御意見を頂いて課題になっております。ほかに御意見等おありでしょうか。
○倉根委員 全体のことでもよろしいですか。
○桃井委員 はい、どうぞ。結構でございます。
○倉根委員 今回、多くのものを再評価していただいたことは非常に努力が要ったことだと思い、感謝いたします。我々委員として、いろいろな議論あるいは考えを進めていくに当たり、最終的にはここに出てくるデータが全てといいますか、それに基づいて考えることになっているわけですから、それの間違いというのはやはり非常に大きな問題だったろうと考えております。一方、間違いの原因もいろいろであり、システムとしてもう既に変わっているものもあるし、PMDAに一元化されてから比較的そこは減ってきているという事実もあることはあるのだろうと思いますが、これで全てが解決しているわけでもないとも言えます。
今回はまとめてサマライズしていただきましたが、今後、こういう問題が起こったときに、そこをきちんと整理して、原因を追及していくことが大事かと思います。担当者も代わるでしょうし、そのときの引き継ぎも、きちんとされていることとは思いますが、マニュアルなり何なりが必要かと思います。今回、拝見しますと、審議会としての判断に、非常に大きく変わるものは恐らくないだろうとは思いますが、それは結果としてそうだったということですので、今後、数の違いが出てこないように、是非お願いしたいと思います。
○桃井委員 ありがとうございました。(1)(2)(3)と、個別に御議論いただきました。それで今、倉根委員がおっしゃったように、この審議会や調査会における過去の審議に関する重要な議案ですので、これは委員全員から御意見をきちっと頂いて、改めて安全性に関する評価を下すという作業が必要だろうと思います。3ページ目に、「いずれも安全性の評価に影響を与えるものではない」と書いてありますが、それを評価するのはこの審議会であって、事務局ではありませんので、是非ここで評価させていただきたいと思います。
それでは、今までの(1)(2)(3)の詳細を御理解いただいて、本件に関して、これまでの本ワクチンの安全性の評価をどのように考えるか、影響をどのように考えるか、それから、本件に関する感想と言ってはおかしいですが、御意見の2つを全員から頂戴したいと思います。今後の対策についてはその後で御意見を頂戴したいと思います。それでは、こちらから行ってよろしいでしょうか。舟越委員からよろしくお願いします。
○舟越委員 今回の件に関しては平成25年以前のものであって、新たな検証をしたときにシグナル検出が出たわけではないので、HPVワクチンの安全性の評価に影響を与えるものではないと思います。今後の再発とかに関してはまた後ほど述べたいと思います。
○桃井委員 ありがとうございました。
○佐藤委員 私も、これまでの結論が大きくくつがえるようなことは決してないと思って拝見していたのですが、情報の管理という意味で、もうちょっと効率的にやっていただいたほうがいいのではないかと思い、その辺は医療機関とPMDAと厚労省で連携が非常に大事になるのではないかと思います。今後議論を深めて、一番いい方法を探していっていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○桃井委員 ありがとうございました。
○柿崎委員 私も、報告制度が以前のときのものが多いようですし、あと、手書きの資料から日数を計算して、それが1日違っていたとかという程度のものもあります。データが正確であるにこしたことはないかと思いますが、今回の訂正が安全性の評価に直接影響を与えるようなものではないと考えます。
○桃井委員 ありがとうございました。
○伊藤委員 私も、例えば、日付の日数の間違いとかは生じ得ることかとは思いますけれども、数としては結構多いのかなと思い、少し驚いたところはあるのですが、先ほどもお話がありましたように、結果的に、今回のことに関しては特に安全性評価に影響を与えることはないと理解しました。
○桃井委員 倉根委員、よろしいですか。
○倉根委員 全体を詳細に説明していただいて、これまでにここで議論してきたものの結論がくつがえる、あるいは安全性に更に何か大きな懸念を及ぼすものではないと考えることについては先ほども述べたとおりです。先ほど述べてしまいまして、申し訳ございません。
○桃井委員 ありがとうございました。
○多屋委員 私は、今回の違いというか、情報を拝見して、よくここまで、数字も一つ一つ確認して、ここが違っていたと、こんなに詳細に出していただいたことについては本当に大変な御苦労だったと思い、その御苦労は十分に理解したつもりです。それを全部拝見しても、これまで副反応検討部会で議論してきた意見をくつがえさないといけないような結果の間違いがあったとは思えませんでしたので、大変な御苦労の末、今までの議論を変える内容にはなっていないのではないかと思いました。
○桃井委員 ありがとうございました。
○長島委員 (1)(2)(3)それぞれに関して、きちんと判断ができるような情報を提供していただいたと思います。それを拝見した上で、安全性の評価に影響を与えるものではないと判断しました。それから、信頼性というのが重要ですので、今後の対応が極めて大切だと思います。
○桃井委員 ありがとうございました。
○長谷川委員 私も、特に今回、ミスによって安全性の評価に影響を与えるものではないと思いますが、一つ一つの症例で副反応を検討するときに、症状によっては、日数でその症状はあり得ないと判断される議論になることも多々あるので、やはり正確に記載をして、日数だから軽微なミスというのではなくて、正しい日数などのデータを記載していただきたいと思います。
○桃井委員 ありがとうございました。
○濱田委員 私も、特に今回の御報告で、このワクチンが安全性の面でいろいろ変わるものではないと思いますが、ただ、1番目の所で、1例欠けていたという報告さえされなかったというのは、患者さんといいますか、その人御本人にとってみたら残念なことだったかと思います。今後、こういうふうなことが起きないように、円滑にいくような対応を期待したいと思います。
○桃井委員 ありがとうございました。
○山縣委員 報告漏れは1例だったということで、幸い全体の0.03%のもので、基本的な数としては大きな違いはないかと思いますが、ただ1例であっても非常に重要なものなので、こういったようなことに関してはないようにと思います。後遺症症例に関しては、数としてはきちんと出されており、それから、その後のものに関しても、ここに書かれているように、これまでの議論を大きく変えるものではないということで、結論としては皆さんと同じで、安全性の評価に影響を与えるものではないと考えております。
ただ1点、先ほども言いましたが、これは私が見る限り、ほとんどランダムエラーで、きちんと制御する方法は、かなりちゃんとやらないと難しいということと、一方で、ルールを決めたら決めたで、それに関しては、とにかく入力者が判断しなくていいと。要するに、ここは一部入力者が判断を伴って入力してしまったというミスが入っているわけで、そうすると、どうして判断したのかが分からないわけです。だから、誰が入力しても同じような形で入り、後からそれが検証できるような方法を是非取っていただければ。ただ、今回のように、こういうものが透明性を持って出されたことに関しては敬意を表したいと思います。以上です。
○桃井委員 ありがとうございました。
○五十嵐委員 先ほども少しお話しましたが、物事を判断する上で、データは正確でなくてはいけない、あるいは基本であるわけですけれども、しかし、データ量が極めて多い場合には当然ミスが生じるのは、これはヒューマンエラーですので、仕方がないと思われるのではないかと思います。今回、残念なことに、データの正確性に一部問題がありましたが、その対応策も取られていると伺っておりますので、それを含めて、安全性の評価については、幸いにして大きな影響を与えるものではなかったのではないかと考えております。
○桃井委員 ありがとうございました。委員全員から御意見を頂戴いたしました。提出された問題に関して、内容及び件数に関して、これまでの本ワクチンの安全性の議論に、内容、頻度、最終評価共に影響を与えるものではないという御意見を全員から頂きました。大変幸いであったと思います。ただ、この議論の中で様々な御意見を頂戴いたしました。ヒューマンエラーはシステムによって克服しなくてはいけませんので、よりよいシステムを早急に作り上げていただいて、操作する方も入力する方も判断することなく業務ができる、そして、正確な結果を出せるデータづくりに御尽力いただければ大変有難いと思います。本件に関して追加の御意見はありますか。よろしいでしょうか。すみません。忘れました。今後の対応について御意見を頂戴していませんでした。失礼いたしました。何かおありでしたら。
○多屋委員 今後、できればと思っていることなのですが、例えば、ADEMとかGBSとか、専門委員の先生方の御意見、3人の先生の意見が出ているのですが、情報が不足して評価ができないという御意見がとても多いので、例えばADEMというふうに選んだ場合は、それを判断する根拠となるような情報が必ず入力されたり記載されたりすることで、委員の先生方も判断ができるような副反応疑い報告システムに今後は作り上げられたらいいのではないかと思います。判断する情報が必ず入力されるような報告システムができればと思います。
○桃井委員 ありがとうございました。入力されていなければ受け付けられないシステムがあると完壁ですね。ありがとうございます。ほかに御意見はありますか。
○舟越委員 今、この会場の中では、システム化をどんどん進めていくという話ですが、もちろんそうなのですけども、やはりシステムの限界ももちろんあります。AIもそういった入力をしても、その入力の限界点もありますので、そこを誰が責任を持つのかは、もちろんこの会と事務局になってくると思います。現場ですと、電子カルテも含めて、電子化が全く進んでいない施設もまだまだあることを御理解いただいた上で、紙を完全になくすことは現時点では検討していく必要はあると思います。実際に、これを直接入力するという、WEBにした場合に、現場では紙に書いてからインターネットで入力をするという、現場でのツーステップになるのか、それとも、今回のように、事務局のほうで変換して判読ミスをしてしまっているというところで、どこでそういったエラーの頻度をできるだけ減らすのかという、エラーマップをちゃんと考えた上でシステムの構成を組んでいただきたいと思います。
○桃井委員 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。今後の方策について何か御意見はありますか。よろしいでしょうか。それでは、今後の方策について、事務局からも具体的に御提案され、また御意見も頂戴いたしました。可及的早期に実現していただくよう、よろしくお願いいたします。また、本件の議論の中で様々な問題も出てまいりました。未回復と後遺症の問題、それから、その後の転帰の問題ですね。転帰をどのようなフォロー体制とするかなどの問題が挙げられました。これも継続的な検討事項としていきたいと思います。
それでは、本議題については終わりとします。次の議題を進めます。副反応疑い報告基準(水痘)について、よろしくお願いいたします。事務局から資料13です。お願いいたします。
○事務局 それでは、副反応疑い報告基準(水痘)について御説明いたします。資料13を御用意ください。1ページめくっていただいて、これまでの経緯を上の四角に記載しております。昨年11月27日に、乾燥弱毒生水痘ワクチン(ビケン)の添付文書の改訂が行われまして、重大な副反応の項に、無菌性髄膜炎が追加されたため、副反応疑い報告の報告基準の変更の是非について検討を行うこととなり、前回の副反応検討部会においては、予防接種との関連性が高いと医師が認める期間において、無菌性髄膜炎を副反応疑い報告の対象とすることの是非について御審議いただきました。その際に頂いた意見を下の四角にまとめております。
主な御意見としては、1つ目の○にありますように、無菌性髄膜炎は様々な原因で起こるため、期間を定めないのであれば、PCR等を行うことによって、水痘・帯状疱疹ウイルスのワクチン株が検出されたものに限るべきではないかといった御意見や、一方で4つ目の○にありますように、一般診療所で、無菌性髄膜炎のPCR検査が一般的にされていないのであれば、予防接種による無菌性髄膜炎について報告漏れが出る心配がある、報告をある程度絞るのは差し支えないが、絞りすぎて漏れが出るのは問題ではないか、という御意見も頂きまして、報告漏れを最小限にして、安全性シグナルとして有用な情報を集めるにはどうすべきか、もう一度検討すべきということになっております。
1ページめくっていただいて、今回の副反応疑い報告基準(案)を検討するに当たって、副反応疑い報告基準に関する基本的な考え方についてまとめております。上の四角で囲んでおりますように、副反応疑い報告制度につきましては、予防接種後に生じる種々の身体的反応や、副反応が疑われる症状などについて情報を収集し、ワクチンの安全性について管理・検討を行うことで、広く国民に情報を提供すること及び今後の予防接種行政の推進に資することを目的としております。
具体的に、副反応疑い報告基準を設定するに当たっては、下の四角の(0)にありますように、基本的な考え方として、想定される副反応をできるだけ統一的に類型化することとしております。また、できるだけ統一的に類型化する対象としては、(1)にあるように、添付文書において、重大な副反応として記載されている症状については、重篤であり、かつワクチンと一定程度の科学的関連性が疑われるものと考えられることから、副反応疑いの報告基準に類型化して定める必要があると考えております。また、報告基準に定める接種後症状が発症するまでの時間の設定の考え方については、(3)にあるように、好発時期に合わせて設定するという考え方を基本として、若干の余裕を持たせて定めることとしております。
1ページめくっていただいて、これらの考え方に基づいて、水痘に係る定期接種後の副反応疑い報告基準(案)を事務局で作成いたしましたので、当該報告基準(案)について御審議いただければと思います。
副反応疑い報告の症状の設定については、上の四角の2つ目の○にありますように、前ページ(0)と(1)の考え方に基づき、予防接種との因果関係が否定できる症例の紛れ込みを減らしつつ、できるだけ統一的に副反応を類型化するため、症状については無菌性髄膜炎(帯状疱疹を伴うものに限る)としてはどうかと考えております。この症状設定につきましては、PMDAに報告されている水痘ワクチンの副作用報告のうち、無菌性髄膜炎については、おおむね全ての症例で帯状疱疹を併発していることや、水痘ワクチン接種後に、水痘・帯状疱疹ウイルスの野生株による帯状疱疹を併発した無菌性髄膜炎の症例は、多くはないと考えられることから、このように設定してはどうかと考えております。
また、期間の設定については、これまでにPMDAに報告された副作用報告では、おおむね全ての症例で水痘ワクチン接種後、数年以上経過してから発症しており、前ページ(3)の考え方に基づき、好発時期を定めることは困難であり、そのため期限については、上限を設けず、予防接種との関連性が高いと医師が認める期間としてはどうかと考えております。また、前回御指摘いただいた、ワクチン株の同定を副反応疑い報告の条件とすることについては、下の四角の下3行に記載しておりますように、全ての水痘ワクチン接種後の無菌性髄膜炎疑い症例に対して、実質的にPCR検査等を強いることになることや、PCR検査等は実際の医療現場で必ずしも全例に実施されているものではないため、本来報告されるべき症例が報告されない可能性があるといったことから、副反応事例を幅広く収集する副反応疑い報告制度の趣旨に沿わないものと考えられるため、当該副反応疑い報告におきましては、PCR検査等は求めないものとしてはどうかと考えております。これらの基準(案)について御審議いただければと思います。
また、今回基準(案)を作るに当たって、参照とした参照条文と、水痘ワクチン接種後に報告された無菌性髄膜炎症例について4、5ページに記載しておりますので、適宜御参照いただければと思います。事務局からは以上です。
○桃井委員 ありがとうございます。この案につきまして、御意見を頂ければ有難く思います。いかがでしょうか。多屋先生、前にPCRの御意見も頂戴いたしました。御意見いかがでしょうか。
○多屋委員 理想的には水痘・帯状疱疹ウイルスのワクチン株が検出されたことが証明されるのが理想だとは思いますが、現状はそれが難しいこと。それから今回、添付文書に入った経緯が帯状疱疹を伴っている無菌性髄膜炎であったことから、前回の提案であった無菌性髄膜炎だけではなく、帯状疱疹を伴うものに限るということで、ある程度絞れてきます。ウイルス学的な検討をすることを否定するものでは決してないので、そういう方向で考えつつ、まずこれで始めてみることについては、現状では妥当かと考えました。
○桃井委員 ありがとうございます。ほかに御意見いかがでしょう。
○柿崎委員 最終的にPCR検査を求めないという結論には異議を唱えるものではないのですが、担当医が検査をしたいと思ったときに、検査ができるような体制があればいいとは思うのですが、前回の会議のときに、県によっては衛生研究所でできる県はあるが、できない県もあるということだったので、できない県は例えば、感染研に検体を送れば無料で測ってくれるとか、そういう制度を作ると、担当の先生が測りたいと思うような症例は測れるような体制を作れればいいのではないかと思います。今回の資料の5の5、6ページの重篤症例として2例挙がっていますが、この2例に関してはPCRまでやってあるということで、現場で測りたいときに測れるような体制ができればいいと考えます。
○桃井委員 ありがとうございます。ほかに御意見いかがでしょうか。医学的にどうなのかということは、できればなるべく情報を得たいという思いもございますので、髄液を採取するぐらいですから、検体保存は100%可能なわけで、測れる体制については感染研はいかがでしょうか、多屋先生。
○多屋委員 感染研でできるかは、また担当部の先生と御相談しなければいけないと思いますが、科学的な方法はもう確立されていますし、論文も幾つも出ていますし、実際に今日の水痘ワクチンの副反応疑い報告でも帯状疱疹からワクチン株と記載されていますので、技術的には十分可能だと思います。そんなにたくさんの症例が出てくることはちょっと考えにくいので、非常に少ない症例ですから、そういう技術をどこかでできるような仕組みを作ることはとても大事だと思います。
○桃井委員 ありがとうございます。ほかに御意見等は。
○倉根委員 私も今の考え方というか、提案については賛成です。ただ、現在、数が少ないので、これは数が増えてもらっては困るわけですけれども、将来報告が増えた場合に、帯状疱疹を伴わない症例が、どれぐらいのパーセント実際にあるかも将来的には明らかになってくると思います。ですから、今回、ほぼ全例で帯状疱疹を伴っているということは、このデータを見ればそういう考え方もありかなと思いますが、今後、帯状疱疹を伴わない例のパーセントもそれなりには明らかになってくれば、また、その時点で考えるのもありなのかとは考えております。
○桃井委員 ありがとうございます。それでは、この案に関しまして、特にこの案でしばらくどのぐらい集積されるものか見るということで、特に御異議の御意見はないでしょうか。よろしいでしょうか。
○長谷川委員 異議はないのですが、この資料の3ページの「水痘ワクチン接種後に、水痘・帯状疱疹野生株による帯状疱疹を併発した無菌性髄膜炎症例は多くないと考えられる」と、これは具体的に何かデータはあるのでしょうか。多くないというのは、どれぐらい報告されているのでしょうか。
○事務局 お答えさせていただきます。具体的にこの症例がどれぐらいあるかといったデータ自体は持ってはいないのですが、ただ、水痘ワクチンを接種後、2回接種した後の有効性につきましてはおおよそ95%程度あるというようにも伺っており、その後に水痘ウイルスに感染して、更に帯状疱疹を伴った髄膜炎を発生する症例というのは、それほど多くはないのではないかと考えた次第で、こういう記載になっております。
○長谷川委員 帯状疱疹の予防のために、水痘後に受けるパターンはないと考えていいのですか。
○事務局 水痘後に帯状疱疹。定期ではなく、現在小児に行われているワクチンではなくということでしょうか。
○長谷川委員 水痘後に受けることは考慮しなくていいのでしょうか。
○事務局 現在、1歳で接種されている以前に感染した場合にということでしょうか。もちろん、そういう例も少なからずあるとは思いますけれども、それを含めましても、それほど多くはないのではないかと考えております。前回御提出いたしました無菌性髄膜炎のみを報告対象とする案につきましては、そのほかの原因で起こる無菌性髄膜炎も種々あると御指摘いただいておりますので、それと比較いたしますと、帯状疱疹を伴う無菌性髄膜炎は、水痘ワクチン株によるもの、若しくは水痘ウイルスによるもの、どちらかに限定されておりますので、紛れ込みがあったとしても、それほど多くはないのではないかと考えております。
○桃井委員 ほかに御意見はよろしいでしょうか。特によろしいでしょうか。今後この基準でやってみて、症例集積がどうなるかということで、また必要があれば再検討を皆様にしていただきたいと存じます。本件に関しましてはよろしいでしょうか。それでは、議題3を終わらせていただきます。以上で今日の議案は全て終了いたしました。事務局から何かございますでしょうか。
○事務局 本日は長時間にわたり、御議論いただき、ありがとうございました。
○桃井委員 大変長時間の御審議をありがとうございました。これで終わらせていただきます。
                                                                                    (了)