平成31年4月10日 第28回 社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会(議事録)

日時

平成31年4月10日(水) 14:00~15:00

場所

ベルサール御成門タワー 4階ホールC

出席者

委員 ※五十音順

議題

1.平成30年度 介護従事者処遇状況等調査結果について
2.その他

議事録

 
○新畑介護保険データ分析室長 定刻となりましたので、第28回「社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会」を開催させていただきます。

初めに、本日の委員の出席状況ですが、堀田委員におかれましては、おくれて出席されるとの御連絡をいただいております。

続きまして、事務局に異動がございましたので、紹介させていただきたいと思います。

介護保険指導室長の里村浩でございます。

私、介護保険データ分析室長の新畑覚也でございます。

議事に入る前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。

厚生労働省では、審議会等のペーパーレス化の取り組みを推進しており、タブレットを活用し、資料をごらんいただければと思います。

本日の資料ですが、資料1「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果のポイント(案)」。

資料2「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(案)」。

資料3「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果(案)」。

以上でございます。

資料の不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。

それでは、冒頭のカメラ撮影は、ここまでとさせていただきます。

続きまして、以降の進行を田中委員長にお願いいたします。

○田中委員長 委員の皆さん、こんにちは。

ここから議事次第に沿って進めてまいります。

初めに、議題1「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果について」、事務局から資料の説明をお願いします。

○説明者 それでは、平成30年度介護従事者処遇状況等調査の結果について説明させていただきます。

資料は、3種類用意させていただきましたが、調査結果のポイントをまとめた資料1と、調査結果を要約した資料2を中心に説明させていただきます。

なお、集計事項の中には、回答事業所数が少なかった項目もございますので、この点にも留意してごらんいただければと思います。

それでは、資料1をごらんください。

先に2ページ目の今回の調査結果の概要になります。

この調査は、介護従事者の処遇の状況及び介護職員処遇改善加算の影響などの評価を行うとともに、介護報酬改定のための基礎資料を得ることを目的としています。

調査時期は平成30年10月で、調査対象施設は介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設等です。

抽出方法は層化無作為抽出法により抽出しまして、調査客体は1万670施設、うち有効回答数は7,908施設で、有効回答率は74.1%となっています。

1ページに戻らせていただきます。

こちらには、調査結果のポイントを掲載させていただきました。

まず、介護職員の平均給与額の状況になります。

処遇改善加算(I)から(V)のいずれかを取得している事業所における平成29年と平成30年の平均給与額を比較しています。

平成29年9月は、29万120円であったところ、30年9月は30万970円となっており、1万850円の増となっています。

次に、中ほどの給与等の引き上げの実施方法になりますが、複数回答でございます。この中で「定期昇給を実施」が69.9%と最も高く、以下「手当の引き上げ・新設」が31.3%、「給与表を改定して賃金水準を引き上げ」が21.1%と続いています。

次に、加算の取得状況ですが、処遇改善加算のいずれかを取得している事業所は91.1%、取得していない事業所は8.9%となっています。

加算を取得している事業所の内訳ですが、加算(I)が69.3%となっており、以下、11.6%、9.1%、0.4%、0.6%と続いています。

次に、その右側にあります「加算(I)の届出が困難な理由」ですけれども、最も高かったのが「職種間・事業所間の賃金バランスがとれなくなることが懸念されるため」で44.4%、これに続いて「昇給の仕組みを設けるための事務作業が煩雑であるため」が37.2%となっています。

そのすぐ下にあります「加算(II)の届出が困難な理由」ですが、最も高かったのは「キャリアパス要件I(賃金体系の整備)を満たすことが困難」で62.1%、これに続いて「キャリアパス要件II(研修の実施)を満たすことが困難」が42.6%となっています。

その下ですが、加算を取得していない事業所に対して「加算の届出をしない理由」を聞いています。最も多かったのは「事務作業が煩雑」で53.2%、次に「利用者負担の発生」が33.1%と続いています。

続きまして、資料2をごらんください。こちらは、資料3の概要版になります。

1ページ目は、目次でございます。2ページ目は、今回の調査の概要になりますので、割愛させていただきます。

3ページをごらんください。

処遇改善加算の取得状況をサービス別に掲載しています。

全体の状況は、先ほど説明させていただいたとおりです。

加算の取得状況をサービス別に見ると、介護老人福祉施設が98.5%、一番下の認知症対応型共同生活介護は99.0%と比較的高い割合になっています。一方、介護療養型医療施設は70.0%となっています。

続いて、4ページをごらんください。

処遇改善加算(I)の取得が困難な理由になります。

全体で一番多いのは「マル4 介護職員の昇給の仕組みを設けることにより、職種間・事業所間の賃金バランスがとれなくなることが懸念されるため」で44.4%、その次に「マル2 昇給の仕組みを設けるための事務作業が煩雑であるため」が37.2%と続いています。

マル4については、特養、老健、療養型において60%を超えている状況です。

他方、マル2については、訪問介護でやや高目の傾向になっています。

続いて、5ページをごらんください。

処遇改善加算(II)の取得が困難な理由になります。

全体では「マル1 キャリアパス要件(I)を満たすことが困難」が62.1%で最も高くなっています。

ばらつきはございますが、サービス別に見ても、ここが一番高い状況になっています。

続いて、6ページをごらんください。

「キャリアパス要件(I)及び(II)を満たすことが困難な理由」になります。

こちらは、キャリアパス要件(I)を満たすことが困難と回答した事業所と、キャリアパス要件(II)を満たすことが困難と回答した事業所に対して、それぞれ具体的な理由を伺ったものになります。

「キャリアパス要件(I)を満たすことが困難な理由」としましては、「介護職員の任用の際における職位、職責または職務内容等に応じた任用等の要件を定めることが難しい」が66.4%で最も高くなっています。

「キャリアパス要件(II)を満たすことが困難な理由」としましては、「資質向上のための計画に沿って、研修機会の提供または技術指導等を実施するとともに、介護職員の能力評価を行うことが難しい」が62.9%で最も高くなっています。

続いて、7ページをごらんください。

処遇改善加算を取得しない理由をサービス別に示したものになります。

全体では「マル2 事務作業が煩雑」が最も高く、これをサービス別に見てくと、施設以外のサービスで比較的高くなっています。

また、2番目に高い「利用者負担の発生」についても、同様の傾向が見られます。

一方「マル1 対象の制約のため困難」については、施設サービスでやや高目になっています。

続きまして、8ページをごらんください。

処遇改善加算を取得しない理由のうち、対象の制約のため困難、事務作業が煩雑と回答した事業所に対して、それぞれ具体的な事情を伺ったものになります。

「対象の制約のため困難とする具体的な事情」としましては「介護職員のみを加算の対象者としているため、職種間の賃金バランスがとれなくなるため」が最も高く70.2%となっています。

また「事務作業が煩雑とする具体的な事情」としては「介護職員処遇改善計画書を作成するための事務作業が煩雑であるため」が最も高く77.1%となっています。

「介護職員処遇改善実績報告書を作成するための事務作業が煩雑であるため」も69.2%となっており、計画書と報告書の作成に負担を感じていることが伺えます。

続きまして、9ページをごらんください。

ここからは、介護従事者等の平均給与額等の状況をまとめたものになります。

9ページですが、給与等の引き上げの実施状況になります。

複数回答で、全体では「マル2 定期昇給を実施」が最も高く69.9%、その次に「マル3 各種手当ての引き上げまたは新設」で31.3%となっています。

続いて、10ページをごらんください。

処遇改善加算(I)から(V)を取得している事業所の平均給与額の状況になります。

月給・常勤の介護職員の平均給与額は、資料1で説明をさせていただきましたが、その他の職種につきましても、幅は異なりますが、増加が見られます。

次の11ページですが、こちらは基本給での比較になります。介護職員は29年9月に17万7,990円であったものが、30年9月に18万1,220円となり、3,230円の増加となっています。

その他の職種についても増加が見られます。

次の12ページですが、月給・常勤の平均給与額について、基本給、手当、一時金の内訳を掲載しています。

平成29年9月と30年9月を比較しますと、全体では1万850円増加しており、内訳を見ると、基本給が3,230円、手当が3,610円、一時金が4,010円となっています。

続きまして、13ページをごらんください。

月給・常勤の介護職員について、勤続年数別に平均給与額を掲載しています。

全体では、平均勤続年数が7.6年で、1万850円の増加となっていますが、1年以上2年未満以降を見ていきますと、1年以上2年未満では2万8,590円の増加、以下、1万2,230円、1万870円、1万710円と続いており、勤続年数にかかわらず、増加が見られます。

次の14ページですが、こちらは、基本給での比較になります。

こちらについても、勤続年数にかかわらず、増加が見られます。

続きまして、15ページをごらんください。

こちらは、月給・常勤の介護職員について、保有資格別に平均給与額を掲載したものです。

これを見ていきますと、介護福祉士の資格を保有している介護職員の給与額が最も高くなっています。

前年からの増加額については、保有資格ありが、平成29年9月に29万2,820円であったものが、30年9月には30万3,460円となっており、1万640円増加しています。

また、保有資格なしについては、25万2,490円であったものが、26万1,600円となり、9,110円増加しています。

保有資格の状況で平均給与額は異なりますが、保有資格ありの増加額のほうが大きい傾向が見られます。

続いて、16ページをごらんください。

処遇改善加算(I)から(V)を取得している事業所における時給・非常勤の介護従事者の平均給与額になります。

介護職員については、平成29年9月に10万3,300円であったものは、30年9月には10万5,030円となり、1,730円増加しています。

その他の職種については、減少しているものも見られますが、平成29年と比較して、実労働時間数が減少したことが影響していると考えられます。

次の17ページですが、こちらは、基本給での比較になります。

平成29年と30年で介護職員の基本給を比較しますと、29年9月に1,090円であったものが、30年9月には1,110円となり、プラス20円となっています。

その他の職種についても、管理栄養士、栄養士を除き、10円から30円の増加が見られます。

続いて、18ページになります。

こちらは、給与等の引き上げ以外の処遇改善状況です。

「資質の向上」に関する事項、「職場環境・処遇の改善」に関する事項、「その他」の事項の3つに分類して取り組み状況を把握しています。

まず「資質の向上」ですが、研修の受講支援に取り組んでいる事業所が最も多く69.3%となっています。

その下の「研修の受講やキャリア段位制度と人事考課の連動」も過半数で取り組まれている状況が伺えます。

次に、「労働環境・処遇の改善」ですが、「ミーティング等による職場内のコミュニケーションの円滑化による個々の介護職員の気づきを踏まえた職場環境やケア内容の改善」や「事故・トラブルへの対応マニュアルの作成による責任の所在の明確化」、「健康管理面の強化、職員休憩室等の整備」が80%を超えています。

「その他」については、「非正規職員から正規職員の転換」が70%を超える状況です。

こうした状況は、おおむね前回の調査と同様の傾向になっています。

続いて、資料3になります。

こちらには、個々の統計表を掲載しています。

表紙から進んでいただきますと、目次が出てきます。

この目次を簡単に紹介しますと、処遇改善加算の届出状況から始まり、表の1から3という形で、上からサービス別、種類別の単純集計、規模別のクロス集計、経営主体別のクロス集計になっており、このような構成で第52表まで続いています。

第53表以降は、平均給与額の状況で、月給、日給、時給に分類して、単純集計、サービス別の集計、規模別、経営主体別、職位別等々のクロス集計を掲載しています。

本日は、時間の関係もございますので、これらの説明は、省略をさせていただきます。

以上になります。

○田中委員長 説明、ありがとうございました。

ただいま、紹介のあった事項に対する御意見、御質問があれば、お願いします。

千葉委員、どうぞ。

○千葉委員 今回のこの調査の時期的な背景を考えますと、前回の調査と違って、処遇改善加算を新しく設けたとか、増進した、促進した、強化したということではない、ある意味、平年度の状況ということなのかなと思います。

ただ、その中でも、介護職種ですけれども、制度的な誘導がなくても平均で1万円を超すアップをしているということは、それだけ相当深刻な労働市場の需給アンバランスが進んでいるのだろうということが、1つ推定されます。

また、加算をとりにくい理由として、職種間のアンバランスとか、いろいろあるのですが、資料の後ろのほうを見ていると、どれだけ深刻かという、介護職員のみならず、それ以外の職種についても、いずれも上げ幅の大小はあるものの、かなり一律で上がっている。本当に介護職員が足りない、というよりも、職種全体を通じて人が足りないということが読めるのではないのかと思いました。

少し気になるのが、全体の傾向とか、取得しない理由というのが、毎回聞いているのですが、また来たなという感じで、今回は一歩踏み込んで、その理由とか、中身について聞いてはいるのですけれども、なかなか事情が、やはり、とらないところはとらないままという理由がずっと並んでいるなと感じました。これは、何らかの打開するような支援策というか、助長策みたいなものをとっていかないといけないのではないかというのが、このデータから示唆されると思います。

いずれにしても、本当に厳しい労働状況を反映したデータではないかと感じました。

以上です。

○田中委員長 全体の位置づけについて、的確な説明をありがとうございました。

藤井委員、お願いします。

○藤井委員 私も千葉委員と同様な、基本的な意見でございます。

あと1つ、30年改定を厚労省に頑張っていただいて、報酬がアップしたということで、事業所側も賃金にプラスすることができたというのもあったのだろうと思います。

今回、象徴的な意味で一人当たりが30万円超えたと、象徴的と申し上げましたのは、これは、事業所、サービス別に抽出率も違いますし、さらにサービス別、事業所別の職員数の抽出率も違いますので、この30万円という数字が、何かの代表性を持っているわけではないというようにもともと設計されていると思います。

これは、ずっとそう来ていますので、この数字は、この数字として時系列で見ればいいと思うのですけれども、介護職員の賃金関係のデータとしては、やはり、これほど信用できるぐらいの量をとっている政府統計はないものですから、30万とお出しになっているのは、基本的には、去年から幾ら伸びたかということを見る上では、非常に信頼性があるデータだと思うのですけれども、今の介護職員の給料としては、どういう給料なのかという数字ではないと思いますので、そういう代表性はないと思いますので、そのあたりが見られるようなものを副次的にというか、過去の調査の流れで同じようにとるというのは必要だと思うのですけれども、それが必要なのかなと、30万円を初めて超えたということで、そういうふうに思いました。

もう一件なのですけれども、いろいろ理由があってとっていないところがあるのですが、これは、前から申し上げているのですが、そんなにとるのが大変とは思えない。これは、私がいろいろ事業所の役員とか監事とかをやっている中で、4、5人の事業所でもとれる、そんな難しくなくとれるという実感を持って申し上げているのですが、逆に、むしろこれはとらなくても済んでいるところもあるのではないか。

つまり、全体的には、千葉委員のおっしゃるように、極めて厳しい、有効求人倍率でも、リーマンショック直前、平成20年が2.4倍ぐらいで、これが今、平成30年で介護関連職種ということで3.9ですし、これは、毎月毎月上がっている状況ですので、どんどん上がっている状況、非常に厳しいですので、これは、そういった努力をしていかなければいけないというのが全般にそうなのですが、実際には、厚労省に出しておられる都道府県別の有効求人倍率を見ますと、県によってかなり違いがございまして、東京、愛知では5.3とか5.4の一方で、介護職員の有効求人倍率が1.57倍といったような県もございます。

ですので、このあたり、千葉委員のおっしゃるように、積極的なサポートが必要であるということと、とらないところというのが、とらなくても済んでいるのではないかという仮説をもとに検証していく、つまり、この程度は、政策的に見てやむを得ないかどうかという検証も改めて必要ではないかと思います。

3点目、これで最後ですが、これも前回、前々回も申し上げたと思うのですが、介護療養型医療施設というのが明らかに低いということで、これは、この委員会でも法律上、将来的になくなるということになっているものですから、特に注目はしてこなかったのですが、介護医療院という形の、いわば受け皿ができたということでございまして、今後、きちんと、しっかり介護職員の処遇改善に取り組んでいただきたいと。

医療系ということですので、看護職等々もあるので、介護職になかなかというのはあるかもしれませんが、老健施設等では、かなり介護職員の専門性とか確保ということをしっかりやってくれていますので、介護医療院にも、ぜひお願いしたいということなのですが、今のデータで言うと、そもそもが百何施設で3割とっていないということですので、60とか、それぐらいのものでとれない理由を聞いているぐらいになると思うのです。介護療養型医療施設ですね。今度、介護医療院になりますと、もっとnが小さくなりますので、これは、前も申し上げたのですけれども、質的な調査をするぐらいのつもりで、介護医療院のほうにも、そういう介護職員の処遇改善というものをきちんと取り組んでいただくということは、ここだけには必要ではないか。

次回の調査からは、恐らく介護医療院ということも対象になると思いますので、その際に、似たようなデータが出るというのでは困ると思いますので、果たして、介護療養型医療施設というのは、今後、制度上ないということで、そういったことまで手を出していなかったということなのか、それとも、医療系ということで難しさがあるのか等々、原因の究明もあわせて、ぜひ介護医療院の介護職員の処遇の改善ということをよろしくお願いしたいと思います。

と申しますのは、やはり、療養型医療施設であるとか、介護医療院での介護職員の処遇というのは、アネクドータルに聞きますと、余りきちんとやっておられないケースをよく聞くものですから、そこはぜひ役所としても力を入れていただきたい。そうしないと、全体がアップしませんので、そういうデータがとれるようにということともにお願いしたいと思います。

以上です。

○田中委員長 千葉委員と同じく統計の読み方の話と、それから、将来のこの調査の方向について御指摘をいただきました。ありがとうございます。

山本委員、お願いします。

○山本委員 全体の数字として、1万850円上昇したという結論については、非常に望ましいことと言うのでしょうか、処遇改善の考え方というのがより浸透してきているのではないかというところで、1つの実績として出ているのではないかと思います。

それと、今後の課題のところを少しコメントさせていただきたいのですけれども、ここも藤井先生と同じ意見になるのですけれども、まさに取得していない施設、資料2の3ページのところの介護療養型医療施設が30%取得できておりませんという話と、その後ろの7ページのところで、なぜ取得できていないのか、介護療養型医療施設のところで、幾つか選択肢がございますと。

マル1として、対象が制約される、これは1つ理解できるのですけれども、次のマル2のところの事務作業が煩雑というところにも29.5%と結構なパーセンテージが計上されていると、私はこの数字を見たときに思っておりまして、介護療養型医療施設ですので、ある程度の規模感がある施設のはずだと思っております。

ですので、ある程度の事務員の方も入り、当然、施設の規模にもよるとは思うのですが、ただ、それなりの規模を持って運営されているであろうと推察いたしますと、この施設さんで事務作業が煩雑と御回答されるというのは少し違和感が、数字を見た限りでは思います。

ですので、ここをより、藤井先生がおっしゃったとおり、しっかりと原因を分析して、そもそも本当に、この加算が必要なのか、必要ではないのかというところも含めて、議論の余地があるのではないかと感じたところです。ぜひ、ここについては、しっかり原因を深掘りする必要があると理解をしました。

あと、これは、純粋に疑問ということで2点ございます。

1つ目が、資料2の12ページのところに、平均給与額の内訳というのがございます。

これで、手当のところが昨年度に比べて3,610円上がっておりますという数字が出ているのですけれども、これは昨今、働き方改革が非常に叫ばれておる中、かつ、残業時間の上限の規制等も4月から適用されております。

そういう文脈で見ますと、この手当のところ、注3のところに書いてあるのですが、残業時間手当も含まれると書いてございます。単純に残業がふえているだけということであれば、余り望ましいふえ方ではないと思いますので、もし、細かいデータが、下に太い資料もつけていただいておるので、そういうところもとられているかもしれませんけれども、ただ、この働き方改革の中で、適切な方向で処遇改善が進んでいるかどうかというところも、もし、わかるようであれば教えていただきたいというのが1つ。

あと、最後なのですけれども、本当にこれも単純な私の疑問ということで申し上げるのですけれども、16ページのところ、平均給与額、時給・非常勤の方のところで、介護職員の方がプラスになっておりますということで、非常勤の方も処遇改善が進んでいると理解するのですけれども、結構、それ以外のところがマイナスになっておるので、昨今の労働環境の中でマイナスになっているというのが、ちょっと私の見た感じで違和感がありましたので、この辺、原因がプラスとマイナスに分かれている理由で、統計的な集計作業の中で何か気づいたことがあれば、ぜひ教えていただきたいというところでございます。

○田中委員長 2点質問がありましたので、お答えください。

○説明者 御質問ありがとうございます。

まず、1点目の残業の関係ですが、資料3の第53表をごらんください。

この第53表には月給の介護従事者の平均給与額の比較を掲載しています。

上から順に平成30年、平成29年、差額を掲載していますが、実労働時間も把握していて、介護職員の場合はマイナス1.6時間になっています。

看護職員ですとマイナス2.4、生活相談員もマイナス3.6、他の職種も同様にマイナスということで、トータルの時間数としては減っているという状況です。

また、2つ目の御質問ですが、第55表に時給の介護従事者の平均給与額等を掲載しています。

「非常勤の者」という欄をごらんいただきますと、例えば、介護職員はマイナス1.3時間、看護職員であればマイナス2.1時間、同様に生活相談員はマイナス9.2時間というように、差額にマイナスがついている非常勤の方々は、いずれも時間数がマイナスになっている状況です。

この点から、勤務時間数の減がマイナスに働いたのかなと推察したところです。

以上です。

○田中委員長 よろしいですか。

○山本委員 はい。

○田中委員長 藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 今の点なのですが、以前にも問題になったことがあるのですけれども、いわゆる130万の壁とか108万の壁とかと言われる、非常勤の方の時給は上げないと来てくれないのだけれども、時給を上げると、その壁のせいで働く時間が減るということで、結局、痛しかゆしという状況ですと、報酬を上げるのも痛しかゆしという話になるのだと思うのですけれども、そういうことがあるのか、ないのかというのは、やはり、きちんと見きわめる必要があるかなと。

介護の職員の場合は、正規職員、フルタイムがかなりのシェアを占めておりますので、深刻な事態とまでは受けとめないのですけれども、やはり、その点を少し分析する必要があるかなと。

ただ、山本委員が御指摘のように、介護職員のほうは、先ほどの資料2の16ページで見ますと、給与額が1,730円とふえております。

それで、17ページの時給の20円で割りますと、ほぼほぼ、そんなに時間は変わっていないと。つまり、同じぐらいの働き方で給料が上がっているということで、これは恐らくハッピーなことなのだろうと思います。

ただ、実感とすると、人が足りないので残業がふえているという話をよく聞くのですけれども、それが出ていないのは、なぜだろうなというのが気になります。

もう一点は、これは、調査のそもそもになるかもしれませんが、これは、たしか派遣社員を対象にしていましたか。

○説明者 派遣職員は、対象にしておりません。

○藤井委員 しておりませんね。やはり、人が足りない中で派遣社員に非常に頼るという事態が出てきております。

これは、派遣社員にかかるコストというのは、かなりの部分が派遣会社に、当然のことながら入っているわけで、できれば、長くきちんと勤めていただいて、雇っている側は、派遣社員よりは、こちらで雇用したいと。

しかし、雇われる側とすれば、1つのところで人間関係が濃くなるとか、あるいは嫌な上司のところについたらどうしようとか、かなり属人的といいますか、人的資源管理的な部分で派遣社員になっていらっしゃる方もいますので、派遣社員のほうが、やはり給料も高いということはあるようでございますけれども、それでも事業所が払う、つまり、介護報酬から払っている部分に比べれば、大して上がっていないわけですから、派遣社員で人材を確保しているという状況というのは、余り健全な状況ではないと思います。

それが、どういうふうになっているかという実態は、この調査で捉えないということでやってきていると思うのですけれども、比率そのものが上がっているとよく聞くものですから、そういう状況を捉えたりとか、そうした人たちの処遇がどうなっているのかということも、前回調査と今回調査と、かなり結果が似てきていると。そして、安定的に処遇改善はなされているという中で見ますと、ここのデータ以外の部分が当然気になってきますので、そのあたりもよろしくお願いできればと思います。

○田中委員長 井口委員、お願いします。

○井口委員 他職種とか他産業との賃金比較というのは、極めて重要だということは言うまでもありませんが、介護職員という点でいきますと、また、前年度に引き続いて、1万余りの増ということは、非常にいい方向に行っているのではないかと思います。

これは、どうしてこうなったのかということですが、介護報酬の改定に関する審議報告等にもありますとおり、厚生労働省、特に老人保健課が大分頑張ったということも言えるのかもしれませんが、今回、介護職員の給与が増加したという要因は、どういうふうに捉えているか、御指導いただければありがたいと思います。

○田中委員長 お願いします。

○説明者 御質問ありがとうございます。

この調査結果について、大きく3つの要因があるのではないかと考えています。

まず、1つ目ですが、委員から有効求人倍率に関する御指摘がありましたが、事業者の自助努力が考えられます。

2つ目として、処遇改善加算の取得状況を見ていきますと、加算の(I)の取得状況が、前回から高くなっています。加算(I)は、高いほうなので、その分、報酬も高いということになりますが、こうした点が考えられます。

最後には、井口委員からも御指摘がありましたが、平成30年度の報酬改定において、プラス0.54の改定を行ったところです。これら3つの要素が、この結果に影響しているのではないかと捉えているところです。

以上です。

○田中委員長 よろしいですか。

○井口委員 はい。

○田中委員長 せっかく加算があるのに、とらない理由は何かをずっと聞いているけれども、まだ、本当に掘り込めているかどうかは、ちょっと疑問です。特に、加算をとっていないところが、定着率がいいか、悪いかといったものと比べてみないと、経営者に対する、せっかくの加算の効果を伝えることになりません。加算をとっていないと定着率が低ければ、それはそれで経営問題になります。

ほかに、いかがでしょうか。

山本委員、お願いします。

○山本委員 少し論点がずれるかもしれませんが、18ページのところで「給与等の引き上げ以外の処遇改善状況について」ということで、いろいろな施策がなされているということで、非常に好ましいことかと思うのですけれども、今、私自身が介護の事業者様、たくさんのクライアント様がいらっしゃるのですけれども、そちらのほうの現場に行って、運営者の方々とお話をしているときに、処遇改善という脈絡の中で、当然給与だけではなくて、より人員を拡充して一人一人の負荷を下げていくということを、いろいろお考えになっていらっしゃいます。

その中の1つの選択肢として、昨今、話題になっております、外国人の方の労働力です。非常にどこに行っても、今、そのところの議論をされていらっしゃいます。ですので、処遇改善状況について、いろいろ施策があるのですけれども、当然、外国人の方もせっかく来ていただいて、活躍していただいている。そういう方々に対して、そちらにも長く貢献していただくような施策というのをどんどんつくっていかないといけないし、運営者の方は、そこのところにも非常にいろいろ御苦労というか、職場でいろんな食事会をされたりとか、コミュニケーションが盛んになるような施策をしていらっしゃいます。

ですので、この調査の主たる目的ではないかもしれないのですけれども、今後、労働者の確保ということで、国を挙げて、今、この分野でいろいろ政策として取り組んでいらっしゃる背景があるので、この調査にどういう形で組み込んでいくのか、逆にそうではないのであれば、別途、外国人労働者の方に定着していただけるような施策というのを、どのように厚生労働省として調査されていらっしゃるのか、このあたりが、もしわかるようであれば、私の勉強のためにもという意味でも教えていただきたいと思います。

○田中委員長 いかがですか。

○説明者 御質問ありがとうございます。

外国人の労働者の件ですが、御承知のとおり、従来も受け入れる制度はありましたが、今後さらに別の制度も活用して受け入れていくことになります。

この処遇状況等調査でどういうふうに見ていくかという点については、委員御指摘のとおり、この調査の主目的かどうかという議論があると思いますが、今後の話として、どこかの場面では厚労省として、あるいは法務省かもしれませんが、何らかの形で把握していくことはあり得るのではないかと考えられます。



○田中委員長 藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 済みません、また、山本委員の御質問にインスパイアされまして、外国人材に関しては、社援局のほうで、老健事業で調査をやっているのですけれども、EPAに取り組まれたところ、EPAでは非常に縛りがございまして、かなり施設側の負担もあるし、それから、何よりも給料も日本人並みに払いなさいと、それで勉強もしてもらってくださいということで、EPAにお取り組みになっていらっしゃる施設が、これは、去年の11月に調査をやったものですから、ちょうど国会に上がったばっかりで、特定技能の話が何だかわからない状況でとった話なのですけれども、技能実習は始まっておりました。

それでも、このままの職員を採用したいとおっしゃっている方が最大多数なのです。予定がないとか、まだ決めていないというのが2割ぐらい、それから、とらないというのが1割ぐらいだったかな、合わせて2割ぐらいですね。8割の方は、今後、外国人を採用したいと、EPAですね。その8割の過半が、たしかEPAを今後とも採用していきたいと、つまり、コストをかけてもきちんとした人材をとっていきたいということを言っておられまして、EPAに取り組んでおられない介護保険3施設にアンケートをしましたところ、外国人を採用する予定がある、これも11月なのですけれども、そうおっしゃっていたのが、3割を切っておりまして、そこまで皆さん飛びつくという感じでも、私も山本委員のおっしゃるように、いろいろ飛びつく話系ばかり聞くので、どうなのかなと思っているのですけれども、アンケートをとると、3割にも満たないというようなところでございます。

何を申し上げたいかといいますと、外国人材が日本に来ていただくということには、日本は先進国の中でも極めて慎重にやってきて、これは、移民という問題もあるのかもしれませんが、1つは、介護職の専門性であるとか、やりがいとかというものを、やはり、他の先進諸国より維持することに努力してこられて、ある程度成功してきていると思っているのですね。それが、かなりしんどい場面になってきているということは、言うまでもないのですけれども、これを安い給料で雇う外国人材が入ることによって、せっかく今まで国内で頑張ってきたものが維持できないのではないかという心配が、多分、厚労省にもあったし、私たちにあったがゆえに慎重になってきたと思うのです。

そうしますと、やはり、雇い方ということもありますし、専門性ということもありますし、外国人の方であると、日本語の問題がありますので、例えば、認知症のケアのときに十分な日本語の理解力とかがなくて、どこまで可能なのかという細かい話があるのではないかと思うのですけれども、例えば、介護福祉士を取っておられる方が、今後ふえてくるわけですし、特定技能というのは、とりあえずは、今年度から入ることになって、技能実習がないものですから、いきなりのテストで、5年間で6万人ですから、事業計画上で毎年6万人ぐらい不足だと言っていますから、新規人材の2割ぐらいは外国人で賄うという計算になるのですが、それでも、2025年で数パーセントの低いほうの外国人ということになると思うのです。

こういった外国人の方が、やはり、専門性をきちんと獲得していただいて、しかも日本人と同様の処遇を獲得しているということを維持して、しかも、そういうところだから、ぜひ行きたいと、ほかの国々は、やはり、家事労働の延長で、安かろう、悪かろうで介護人材をとっている国が、特に東アジアの台湾、韓国、それから、中国もそうですけれども、そこで奪い合いが起きていますので、そうならないようにという視点ではないかということだと思うのです。

そうなると、外国人の数字を、これでとるとすれば、やはり、外国人というふうに一色ではないので、どういう専門性をお持ちになっているか、今、申し上げたいことが、最終的にはここなのですが、資料2の15ページで、介護福祉士という部分が、保有資格なしに比べれば、若干高いのですけれども、若干でしかないと。

これは、資格の問題ものあると言わざるを得ないのかもしれませんけれども、今回、消費税が入ったときに、資格をお持ちで経験がある方の給与を見るということなのでございますが、やはり、こういった専門性の高さというものが、きちんと評価されるという体系にしていくということを厚労省は言っておられますので、そこが分析できるようなデータに今後していっていただけたら、例えば、介護福祉士でも何年の経験があるとか、それ以外にもいろいろ指標があると思いますけれども、何かそういう分析をしていかないと、そういう分析をしていってこそ、外国人問題というものを、外国人の方に入ってきていただくということの分析がしっかりできるのではないかと思いますので、その点、よろしくお願いしたいと思います。

以上です。

○田中委員長 ありがとうございます。

時間になってまいりましたが、ほかにいかがですか。

お願いします。

○千葉委員 これは、この調査そのものではないと思うのですが、ことしの10月に一応予定どおりいけば、特定処遇改善加算が入ると思うのですが、それの効果測定のような形で、また、この調査をやられるのでしょうか。

○田中委員長 老人保健課長、お願いします。

○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。

千葉委員からの御指摘は、分科会でも同じような指摘を受けております。

また、きょう、御議論いただいておりますけれども、どういったことがちゃんと効いているのかということもあわせて調査をすべしという御指摘をいただいておりまして、10月から行われる予定の特定処遇改善加算の効果につきましても、これと全く同じではない形だと思いますけれども、何か工夫をして、きょうの御議論も受けとめて処遇改善加算に関する、あるいは、その効果に関する調査を組み立てていくことになると思っております。

○千葉委員 ありがとうございます。

○田中委員長 ほかによろしいですか。

御議論ありがとうございました。本日の議題1については、提示させていただいた内容で、当委員会としては了承し、この後に開催される介護給付費分科会に報告する案でよろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○田中委員長 ありがとうございます。

それでは、本日の審議は、ここまでといたします。

次回の予定について、事務局から説明をお願いします。

○新畑介護保険データ分析室長 本日は、ありがとうございました。

次回の日程等につきましては、事務局より追って御連絡させていただきます。

○田中委員長 では、本委員会は、これにて閉会いたします。

お忙しいところ、お集まりいただき、どうもありがとうございました。