第7回 社会福祉住居施設及び生活保護受給者の日常生活支援の在り方に関する検討会 議事録


 
○日時 令和元年6月4日(火)16:00~18:00

○場所 TKP虎ノ門駅前カンファレンスセンター 3階 ホール3A

○出席者(敬称略)
岡部 卓 (座長) 大西 豊美 (構成員) 奥田 知志 (構成員)
滝脇 憲 (構成員) 立岡 学 (構成員) 辻井 正次 (構成員)
菱田 貴大 (構成員) 平野 方紹 (構成員) 山田 壮志郎 (構成員)
高崎 弥生 (参考人)    
 
 
 
  
○議題

 日常生活支援について
 
 
○議事

○岡部座長 定刻となりましたので、ただいまから第7回「社会福祉住居施設及び生活保護受給者の日常生活支援の在り方に関する検討会」を開催いたします。
 皆様におかれましては、大変お忙しいところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
 本日の出席者につきましては、お手元の座席表のとおりとなっておりますので、これをもって紹介にかえさせていただきたいと思います。
 東京都坂本構成員、大阪市向井構成員、宮澤構成員、水内構成員は御欠席、立岡構成員は少しおくれての御出席、平野構成員は17時過ぎに御退室の予定となっております。
 冒頭のカメラ撮影はここまでとなりますので、カメラの方は御退室をお願いいたします。
 議事に先立ちまして、私より一言申し上げます。
 前回の検討会の後、一部の構成員がインターネット上で他の構成員の個人名を出して不適切な投稿をするという事案がありました。投稿は現在削除されておりますが、意見交換はこの検討会の場で行うべきであるものでありますし、検討会以外の場においても、節度ある行動が求められると考えます。
 これに関連しまして、東京都の坂本構成員からは、本日付で私座長宛てに、「検討会以外の場所で個人について批判を展開されることはふさわしくない行為であり、本検討会の適切な運営が確保されるまでは出席することを見合わせたい。本検討会を主催される厚生労働省においては、速やかに適切な対応をとられることを要望する」旨の文書をいただいております。
 本日はこのまま開催をいたしますが、事務局におかれましては、次回開催までに、私、座長とも相談の上、適切な対応をとられるようお願いいたします。
○矢田貝保護課長 では、私のほうから。今回の事案につきましては、事務局といたしましても、早急に適切な対応をとっていきたいというふうに考えてございます。
 また、前回、委員の構成についての御意見もいただいておりますので、それも含めまして、検討会のよりよい適切な運営について、座長とも相談の上、調整をさせていただきたいと考えてございます。本日はこのまま開催させていただきますが、次回の開催は、それが整った後に開催させていただこうと考えております。早急に対応をしてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○岡部座長 事務局、よろしくお願いいたします。
 それでは、早速、本日の議事に入ります。
 本日の議事は、「日常生活支援の在り方について」ということですが、前回まで議論いただいた「無料低額宿泊事業の最低基準の考え方」について、事務局から、議論等を踏まえた省令案の内容について報告をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○清水室長補佐 それでは、御報告をさせていただきますが、その前に資料の確認をさせていただきたいと思います。タブレットまたはクリップどめの資料を御確認いただければと思います。
 資料は、上から、議事次第、無料低額宿泊所の最低基準の関係の報告に関する資料といたしまして、資料1、資料2、資料3というところと、あと、別添ということで、サテライト型住居に関する一枚紙をつけてございます。また、資料4といたしまして、省令案ということで添付をしてございます。また、この後、日常生活支援のあり方の議論に関する資料といたしまして、資料5として、辻井構成員からの御説明をいただく資料、また、資料6として、立岡構成員からの御説明資料等がございます。また、席上には、同じく辻井構成員、また、立岡構成員から、それぞれの研究報告の冊子、席上配付をさせていただいておりますので、御確認をいただければと思います。
 それでは、無料低額宿泊所の最低基準について、前回までの議論等を省令案の策定について御報告をさせていただきます。
 前回、検討会の議論では、一時的な居住の場の記載方法とか、サテライト型住居の規定などについて御意見をいただきました。特にサテライト型住居につきましては、首都圏、8都県市からの要請書もいただいていたというところもあって、また、検討会の議論を踏まえて、また、その後の調整を踏まえて、厚生労働省として省令案をまとめることといたしますので、内容について御報告をさせていただきたいと思います。
 資料の構成につきましては、前回同様でございますけれども、資料1が最低基準の考え方の全体版ということで、これが省令案のもとになる考え方をまとめたもの。資料2が、それぞれこれまで御意見いただいた内容について、厚生労働省として対応方針ということでまとめたもの。資料3が、その最低基準の考え方とその解釈ということで整理をしたものということでございます。
 私のほうから、先に資料2に基づいて、前回からの改正点ということで御説明をさせていただきたいと思います。
この資料のうち、赤字部分が修正点ということになってございます。
 まず、考え方ということでございますけれども、1枚おめくりいただいて2ページ目、「基本方針」でございますけれども、前回、一時的な居住の場であることを最低基準上基本方針に明記をすべきではないかというような御意見をいただいたところでございます。考え方といたしましては、中段3行目からございますけれども、最低基準上、基本的に一時的な居住の場であることに鑑み、入居者が独立して日常生活を営むことができるか常に把握すること等々、基本方針の中に、一時的な居住の場ということで記載をしたいということで考えてございます。
 ただし書きのところで、これも前回検討会の場で御意見もいただいた方針について、事前に御説明をさせていただいておるところでございますけれども、一時的な居住の期間については、入居者の状況によりさまざまであること等々ございますので、解釈通知のほうで、一時的な居住の場というのは一律に入居期間を限定する趣旨ではない等々の旨の記載をさせていただくということで考えてございます。
 それから、3ページ目、「居室面積の経過措置」のところで、改善計画の策定に当たりまして、地方自治体、それぞれ地域の実情がございますので、それぞれ地域の実情が反映された形での経過措置が読み込めるようにというような御指摘があったかと思ってございます。こちらについては、最低基準上に、これはもともと解釈等々お示しをすることも考えてございましたけれども、改善計画は、都道府県等と協議の上、作成をするということを省令上も明記して、それぞれ事業所と都道府県等が協議の上、改善計画を策定していただくということにすることとしてございます。
 あと、資料の説明だけ先に申し上げますと、資料4がそれを踏まえた省令案ということになってございますけれども、こちらについては、これまでの資料1で整理をさせていただいたような考え方をその省令の条文に落とし込んだものということとなってございます。
 また、細かい文言等、法令的な審査、省内での審査等も踏まえまして、進めてまいりたいということで思ってございます。
 もう一つ、サテライト型住居の取扱いについては、課長の矢田貝から御報告をさせていただきます。
○矢田貝保護課長 サテライト型のところにつきましての調整の結果、状況を私のほうから御説明をさせていただければと思います。
 今、資料2のほうをごらんいただいてございますので、そのまま資料2の13ページ、最後のページをごらんいただきますと、先ほども清水から言いましたが、8都県市からの御要望書もいただいておりますし、その後も、8都県市含めて、調整、御意見をお伺いしてきたところでございます。
 その中で、事業要件の検証ということで、このサテライト型というものを来年すぐに施行するということではなく、支援の質の低下、事故リスクの高まり、居宅移行に向けた支援の在り方などの検討が不十分であることから、モデル的な事業実施など検証期間を設ける必要があるのではないかというような御意見をいただいていたと考えてございます。これにつきまして、厚生労働省の中で検討をした結果、別添資料のとおりということでございます。
 別添資料につきましては、タブレットのほうは04-1「別添サテライト型住居」と書いてあるものでございます。紙でお配りの方については、パワーポイント1枚で「サテライト型住居の設置に関する基準について」という一枚紙でございます。そちらで御説明させていただければと思います。
よろしいでしょうか。
 この別添に書いているとおりでございますが、サテライト型住居の設置に関する基準につきましては、まず1つ目の○で、「サテライト型住居については、貧困ビジネスの規制及び利用者保護の観点から、規制の対象とする」と。我々として、ここについて規制の対象外とするよりは、きちんと規制の対象として適正な運用をしていただくことが、貧困ビジネスの規制及び利用者保護の観点から必要と考えたわけでございます。
 2つ目の○でございますが、「ただし、」ということで、これまでガイドラインにも記載されていなかった形態でございます。また、十分な準備期間をとるという観点から、サテライト型住居に係る規定につきましては、来年4月からではなく、令和4年度からの施行とさせていただきたいと考えているところでございます。
 それまでの間どうするかということでございますが、3つ目の○でございますけれども、厚生労働省では、令和2年度、来年4月から省令の基準に基づいて事業を実施する複数の事業者の協力のもと、今、省令で示している、これまで御議論いただいている基準に基づいて御協力いただける事業者の協力のもとで、地方自治体等の参加を得て、管轄する都道府県・福祉事務所等の参加の上で検証事業を実施する。厚生労働省と事業者と管轄する都道府県・福祉事務所の参加のもとで、検証事業を実施し、施行までに、入居者支援、退所支援の適切な実施のあり方、事業運営の状況等について検討をして、必要な措置を講ずる。厚生労働省がこのような事業を実施して、施行までに必要な措置を講ずるということで、サテライト型の規定につきましては、施行を2年間おくらせていただいて、その間に、厚生労働省の責任のもとで、事業者の協力、地方自治体の参加を得て、検証事業を実施しして、検討して、必要な措置を講じた上で施行するという運びにさせていただければと考えているところでございます。
 御報告は以上でございますが、この件につきましては、本日、この場で御報告させていただくとともに、昨日、本日御欠席ではございますが、東京都坂本構成員、それと、実際に地域で小規模巡回型の事業をされている宮澤構成員のほうにも、別途、御説明をさせていただいた上で、本日、これを提出させていただいているというものでございます。いろいろ御意見をいただいたところでございますが、厚生労働省としては、御意見を踏まえまして、このような形で実施していきたいと考えてございますし、検証事業の実施に当たりましては、事業者さん、また、地方自治体の御協力のもとでさせていただき、よりよい制度にしていきたいと考えてございますので、よろしくお願いを申し上げるところでございます。
 その他、今後のスケジュールについて御説明させていただきますと、先ほど御説明させていただきました具体的な形は、省令案という形で本日も配付させていただいておりますが、資料の省令案につきまして、私どもとしてはパブリックコメントを実施いたします。パブリックコメントは1カ月間実施するということになってございますので、この後、7月上旬までパブリックコメントということで、広く御意見を賜りたいと。特に、地方自治体及びそれぞれの事業者に対しては、これについて御議論をいただいた、このもとにしました案につきまして、広く御意見をいただくように周知をしていきたいと考えてございます。
 その後、そのいただいた御意見を踏まえまして、それについての回答をパブリックコメントを実施した場合には必要になりますので、そうした手続を経た上で、実際のパブリックコメントの回答を含めて、省令の公布を7月末及び8月上旬までには実施したいと考えてございます。
 具体的には、その後、これは前回も御説明申し上げましたが、省令は厚生労働省で出すものでございますが、実際には、それぞれの地方自治体のほうで条例で基準を定めていただく必要がありますので、その作業のほうに移っていくという段取りで考えているところでございます。地方自治体に対しても、パブリックコメント実施後、省令の公布前後に、きちんとした御説明会などを実施するなどして、趣旨をきちんとこの場で御議論いただきました資料3のような詳細なところの考え方も含めまして御説明した上で、それぞれの自治体において適切な基準の策定と運用を図っていただくよう努めていくというところで考えているところでございます。
 以上、あわせまして、私のほうからの説明は以上でございます。
○岡部座長 どうもありがとうございました。
 事務局から、厚生労働省としてまとめた省令案について報告をいただきました。
 本日は、報告ということで、特段の議論の時間は設けませんが、厚生労働省には、最低基準の円滑な施行に向けて必要な手続等を進めていただければと思います。
 何かございますでしょうか。
 特段、御意見がなければ、本日の議事を進めたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、本日の議事である、日常生活支援のあり方について進めてまいりたいと思います。事務局から、本日の議事内容について、説明いただけますか。よろしくお願いいたします。
○清水室長補佐 それでは、本日の議事でございますけれども、「日常生活支援のあり方に関する議論のスタートといたしまして、2つの調査研究事業の内容の御報告をお願いしたいと思ってございます。
 1つ目は、中京大学の辻井構成員に実施をしていただきました、「無料低額宿泊所の入居者の支援ニーズ評定の調査研究」ということで、主に、無料低額宿泊所の入居される方、また、比較対象として、救護施設の入所者の方の状態像について調査をしていただきまして、どのような課題を抱える方がどの程度おられるのかというような分析していただいてございます。
 また、2つ目につきましては、ワンファミリー仙台さんが福祉医療機構の助成を受けて実施をされました、日常生活支援つき無料低額宿泊所の実践事業といたしまして、その施設運営、日常生活支援住居施設をパイロット的に事業実施をしていただきまして、入居者の支援に係る業務の支援者のタイムスタディという形で実施をしていただいてございます。
 それぞれ日常生活支援のあり方について議論をする上で、非常に有用な研究であるかと思いますので、本日は、それぞれの研究経過の御報告をお願いしたいということで、事務局からお願いをしてございます。
○岡部座長 ありがとうございます。
 では、2つの報告について。最初に、辻井構成員から御報告をお願いいたします。
 よろしくお願いいたします。
○辻井構成員 では、よろしくお願いします。
 最初の今回の会のところの説明がよくわからなかったのですが、東京都の方は、御予定ではなくて、来られないという御意向なのですか。大変残念に思います。
○矢田貝保護課長 きょうの御説明については、こういう説明があったということは、私どもから、急遽そうなりましたので、こういう説明があったということは、別途、御説明させていただきたいと思います。すみません。
○辻井構成員 はい。
 いろいろな検討会に厚労省で出させていただいたのですが、いろいろなやりとりはあるかと思うのですが、その状況の中で参加しないということを行政の方がおっしゃったというような会議は初めてなのでちょっと戸惑わざるを得ないということと、前回、春に網膜剥離をやったりしたものですから、ちょっと欠席させていただいたのですが、私も本務を休講にして来ている立場ですが、御意向が何かあるなら、出ていただいておっしゃるというのがやはり本筋だと思うので、特に、今回の無低の議論はまさしく東京都の問題ですから、東京都の方がおいでにならないというのは、どういう日本語を使ったらいいかわかりませんが、かなり遺憾の意といいましょうか、私は今回発表する者としては、こう表せざるを得ないというところがあるなというのはちょっとお伝えさせていただきながら、先に進めさせていただきます。
○矢田貝保護課長 すみません。そこは本当におっしゃるとおりです。私どものほうでそのへんの調整のところがちょっと間に合いませんで、今回、発表の辻井先生には大変失礼なことになりましたけれども、中身につきましては、きちんと別途報告させていただくなりの対応を事務局のほうでとらせていただきたいという考えでございます。大変申し訳ございませんが、よろしくお願いします。
○岡部座長 座長として一言申し上げます。
 行政機関の代表が出席をしないということは、それなりの重い判断の中でやられているということです。これは、今、事務局と座長である私は、その経緯については十分お聞きしております。今回について、辻井構成員が報告をされるという場にいらっしゃらないということは残念ですが、この報告に関しては、事務局と座長で、辻井構成員の報告皆さんの意見交換について詳しく御説明いたします。そのように受け取っていただければと考えます。よろしくお願いいたします。
○辻井構成員 いろいろなことが起こることは別にいいのですが、一構成員の立場としては非常に残念というふうに思います。やはり来ていただいて、いろいろな御意見をするべきであって、行政の方、特に、きょうなどは誰に一番聞いてほしいかというと東京都に聞いてほしかったので、その方がおいでにならないというのはちょっと。
○岡部座長 いろいろな経緯がございますので、その点は御承知おき下さいますようよろしくお願いいたします。
○辻井構成員 そこはわかっています。
 さて、すみません、進めさせていただきます。昨年度、一昨年度、推進事業のほうで取り組ませていただいた中身をとりまとめながら、少しお話をさせていただきます。
 厚生労働省として、「居宅生活ができると認められる者」の判断方法というのが「生活保護手帳」に載っておりまして、ここ(P2)では、このような形で出ています。こうした形で項目が出ていまして、これは後で出てきますけれども、心理学の観点から言うと、適応行動という観点のところで、非常に学術的ではないような形でざっくりは定義されているということがあったのですが、国際的には、こういう適応行動は客観的な数値で示すような形でということになってきていますので、それを実態に当たってどうなっているのかということをお示ししているというのがきょうのお話になるのかなと思っております。
 昨年度、一昨年度、たくさんの救護施設、それから、無料低額宿泊所事業所のほうでお世話になりまして、ここにもおいでいただいている皆様にも大変お世話になりました。
 昨年、一昨年とこの比較のところを行いました。少し違うのが、70歳以上のところを多少多めにとらせていただいているというところがあったものですから、データが、無料低額宿泊所のほうが、18年度のほうがちょっと知的には高い方が多かったりということは若干あったのですが、ほとんど変わらないデータでした。
 学歴的には、中学校とか高校年代で、高等教育に行く方たちはほとんどおられないという形になります。
 お勤めが長く続かない方たちが特に多い感じになります。ただ、無低あたりだと6~10年ぐらいの方たちが救護よりは多いという形にはなっております。ただ、長くお勤めすることは難しい方が多い。
 それから、結婚暦がない方のほうが多くてというような話になります。特に、結婚が続いている方たちというのは、当然とも言えるのですが、非常に少ない形になります。
 それから、犯罪歴のほうで、無低のほうで、特に犯罪そのものが窃盗が多いというとこすはもちろんあるなとは思うのですが、その犯罪を犯してというような形の経歴をたどってこられている方たちが多い。
 それから、これは最後のところで若干議論になってくるのだろうと思うのですが、救護の場合は、入ってから、それなりの障害者手帳をとらせたりということが行われてきているわけですが、無低の入所者についてはそこが行われていない。特に、後で議論というのはここのところだと思うのですが、療育手帳をとられる方は無低の方にはほとんどおられないという状況があります。救護も、ほかの手帳をとってもらいたいということがあるのでということかもしれません。
 精神疾患のところで言うと、この間に、精神病院の長期入院の方たちがその後救護のほうで来られるという形の方というのが、全国的にはある割合おられてという形があって、この部分は結構多いのかなと。無低のほうがうつ病などにおいては若干多めのところにはなっているのかなと思っています。
 仕事が長続きしないこと、それから、結婚の継続が難しいこと、それから、犯罪歴を一定持っておられる方がいること、それから、障害者手帳において、無料低額宿泊所の方たちというのが、基本的にはほぼ受給していないことというようなことが特徴として挙げられるのだろうと思っています。
 次は2つ目のポイントになります。無料低額宿泊所入居者の方たちの障害の程度というようなことに関してお話を少しさせていただきます。
ただ、ここ2つ目のところにもちょっと書いておいたのですが、我が国において、基本的には、障害があるかどうかというのは、知的障害においてのみは、児童相談所とか更生相談所とかいうところでの判定ということを行いながらということにはなりますけれども、それ以外は、医師によって診断されたかどうかということが障害においては非常に重要な項目になりますので、今回は、心理検査をとって調査をしただけですので、医師も入って診断をしたということはしておりませんので、特に、今回マスコミの方たちもおられるのだろうと思うのですが、入所者の方が障害者がどうこうだというような見出しだと、ちょっと何か実態を反映しないような形になってしまうのかなとも思うので、このへんの用語をどのように使っていくのかということに関しては、ぜひ御検討をいただきながら実態をうまく伝えていただけるとありがたいかなとも思っております。
 私自身の考え方としては、障害があるというのは、医学的に診断基準を満たすような機能の問題があるということでももちろんあるのですが、ただ、それよりは、社会的に本来支援を受ける権利を有する方なのだというのが、基本的には障害を持つと見なされるというふうに私自身は考えております。
 ですので、今回、標準化された知能検査ツール、実質的に特に知能検査などにおいては、更生相談所等であれ知能検査を行ってというような形をベースとして障害かどうかの判定を行われているということが実質的には業務として行われていますので、今回の数値はそれを示すものですし、実際、幾つかの無料低額宿泊所のところで調査にお伺いした後で、この方は知的障害が軽度のものがありますよねということを受けて、御本人とその事業所の方が御相談されて、実際にその後手帳を取られて、障害者雇用枠のお仕事をというような方たちも、この調査を受けてということでは生じておりますので、やはり支援を受ける権利を持っているというような形の観点であるということをお伝えいただけるとありがたいかなと思います。数値がひとり歩きして何とか障害者が何%というような形で出ることをちょっと恐れておりますので、そうではなく、実態をぜひお伝えいただけるとありがたいかなと思いますし、構成員の皆様にもそのように御理解いただければと思います。
 この知能検査というのが、まず基本的には知的なものを評価するという形になりますし、それから、発達障害の特性でPARSというのがASDと書きましたけれども、自閉症の特性。社会性の障害というのが自閉症の問題で、対人関係とかがなかなかうまくいかないという形になりますので、実際に仕事をずっと継続していくということではやはりある種の難しさを持つということ。それから、ADHDは注意の集中の問題という形になりますので、注意が持続できないとお仕事がうまくこなせないという形になってきますので、仕事を継続していくことの難しさは出てきます。それから、認知症の早期スクリーニングのツール(MMSE-J)も一応把握して今回使っておりますので、そうしたものを評価した上でどうなっていくのか。それから、身体疾患が現状どのぐらいあるという形で、御本人が身体機能の評価について、SSS8も評価しておりますので、これも後で出てきます。
 まず、知能の基本的な考え方ですが、平均が100です。一般的にはこういう正規分布と言いますけれども、こういう分布をとります。今回、調査をしました。調査の結果がこのようになります。1個前の図でいくと、100のところがピークになりますので、それが、明らかにその山がずれているという形になります。特に、左側が救護施設、右側が無料低額宿泊所という形になりますけれども、無料低額宿泊所のほうが今回メインでお話をすることになると思うのですが、本来はこういう分布に。100のところがこういう分布にならないといけないのですが、それが明らかにずれています。だから、これは本当に有意にグループとしてはIQが低いという形になります。IQが低いというのは、理解と判断が苦手な度合い。日常生活で必要な理解と判断が標準的に期待できるほどはない。ただ、度合いとしては軽度とされるものです。ですので、いわゆる特別支援教育から障害者福祉という形で今まで支援されてきた方たちはどちらかというと重度の方たちを中心としてきました。
 そういう意味では、救護施設は結構大変な方たちをきちんと支援をされておられるなという部分ではあるのですが、このぐらいの方たちは障害という枠組みで使わなくてもいいよねとされてきてずっと育ってきている方です。ですから、特別支援学校、養護学校などの出身者は、無料低額宿泊所で言うと割合は非常に低いです。ですので、そういう基本的な本人がもともと持っている知的理解と判断についての苦手さということに対して十分な対応がなされてこなかった方たちがとても多い。
 だから、軽度の値ではないかとか言われればそうなのですが、軽度で、十分できない状況で普通にやれということをずっと強いられてきた方たちというふうに御理解いただければいいのではないかと思っております。無料低額宿泊所で、割合がざっくり半分という感じです。救護で言うと7割とかという数値になってきますので、半分ぐらいの方たちは言ってみれば、障害者福祉の制度を利用することが可能である、権利を持つという方たちだと言えると思います。ただ、これは、本人が望むか望まないかということですので、IQが低いからそっちに行けという意味ではないです。ですから、そのへんの伝え方がとても難しいのですが、本人が望むように人生を生きていっていただくのが本筋だと思っていますので。ただ、もともと本人が理解と判断のところがとても苦手なのに、できないにもかかわらず、できるだろうという前提でいろいろなことを強いられてきたことは非常に大きな問題だと思っています。
 もう一個が認知症(MMMSE-J)のスコアですが、これのところも、知的能力と質問項目そのものがかなりダブるのですが、救護の場合はそういう行動は、知的な問題がかなり大きい。それから、統合失調症でかなり知的なダメージを受けておられる方たちも含まれてくるので、やはり救護のほうが高くなります。
 今回、このデータは一昨年度のデータなので、64歳以下でやっていますので、救護のほうも低くなっている。実際はもう少しおられるだろうと思います。
 それから、メンタルヘルスの状況ですが、両方とも2割以上のうつ状態。これもうつ病とうつ状態は違いますので、あくまでもうつ状態の方たちがおられる。中等度でも日常生活はできるのですが、毎日本当に楽しくなくて、意欲も出なくて、自分はすごくだめなのだということを意識としては持ちながらやっているという状態というのが中等度のうつ状態だと思ってください。ですので、かなりつらい状況の中におられる方たちが多いです。
 それから、先ほどちょっとお伝えましたSSS8。「今現在の体の調子はどうですか」という御質問についてです。これも2~3割ぐらいの方たちは、「今、体調がよくないです」というような形の方たちがやはりおられます。
 それから、PARS-TRという自閉症の尺度ですが、それでいくと、2~3割ぐらいの方たちがそういう特性を持っている。これも診断と違いますので、特性を持っているという形で、日常生活の対人関係等では一定の苦労があると言うことができるのかなと思っています。
 次がADHDの特性です。先ほどのPARS-TRもそのように考えていただければいいのですが、基本的には6.5~6.7%、そのぐらいのパーセンテージが一般のところですが、それから比べると3倍ぐらいこういう不注意等の問題を持っている方たちがおられるかなと思います。社会性の問題のある方だと、そもそも特に過敏性などがあると共同生活ができないのかなと。もう少し度合いが高いのかなと思ったのですが、実際にお会いしてみると、自閉症の特性の高い方がおられなくはないのですが、思ったよりはそんなに多くはなかったかなと思っていて、共同生活が一定できる人ということになるので、むしろ、ひきこもっておられたりとか、ほかの形をとっておられる方たちが多い。それと比べると、ADHDの方たちは本当にそうだよなという方たちが、実際に調査にお伺いしたときもおられましたので、知的にすごく重くはないけれども、少し理解と判断のところが苦手で、集中して仕事を遂行していくのも苦手なところがある方たちというのが一つの像になるのかなとは思います。だから、一般よりは3倍ぐらい不注意についても、こういう多動・衝動性においても少し多いかなと思います。
 この関連のところの最後ですが、救護と無低で何が違うのか。一番違うのは知的な能力で、より重い方たちを救護の方たちが見ておられるということは確かであるのかなと思います。首都圏が無料低額宿泊所が中心で、救護施設は全国各地にあるという形になっているものですから、全国で見ていくと、地方のほうで言うと、救護はもちろんいろいろな方たちがおられてということではあるのですが、もともとの陣容とかその施設の体系から考えても、より重い方たちを見ておられるなということが、ここが知的な理解と判断のところが苦手な方たちがかなりおられるのかなと思います。救護の話は後でします。
 それから、メンタルヘルスの問題に関しては、両方とも持っておられる方たちが多い。
 それから、身体的な問題ということで言うと、身体的にいろいろ課題があってという方たちは、ちょっと無低のほうが多いのかな。また、発達障害特性のところでいくと、救護のほうが割と多めという形にはなってくるのかなと思います。
 特に、今回調査してみて最も印象的だったのは、理解は判断の苦手な方の多さということです。本当半数という話になってくると、生活困窮でもちろん入所されている方たちという言い方もできるのですが、本来は、理解と判断で支援を受ける権利を持っておられる方たちが、結果、そこにおられるということになっていますので、これは何か考えていかなければいけない問題なのかなと思っています。
 時間がないのですが、若干余談を言うと、この調査をもちろん報告書としては出しているものですから、あれは立岡さんに言われたのかな。「辻井先生、何で隠しているのですか」と言って、「隠してないよ」という話をして、それで、某マスコミの方とお話をして、こういう話で知的な方が多いのですと言ったら、「ところで、正規・非正規は」と聞かれて、何か一定の枠組みのことある以外はマスコミの方は関心がないのかなという素朴な感想を持ったりしたのですが、実際困っているのは、もともと持っておられる理解や判断の苦手さのところで本当に困っておられる。そこは差別的な意味合いではなく、みんなで共有できるといいのかなということを強く思います。
 今回データを出しませんでしたけれども、女性の入所者の方のほうが知的な問題、理解と判断に関する問題は大きいです。
 それから、若い方は、抑うつとか身体症状の問題が多くて、年齢の高い方のほうが認知症傾向などで支援の必要な方が多いというような形になっていました。
 さて、今回、構成員の方たちにしっかり把握いただきたいのが「適応行動」という言葉です。この言葉は、その年齢の人であれば、平均的に当たり前にできているよねという行動を指します。もちろん、定義的にはこういう難しい「個人的・社会的充足を満たすのに必要な日常生活における行動」という言葉があったりするのですが、この適応行動は、その人の与えられた環境とか支援によって変わってきます。だから、現状どうであるのかということを示す内容になります。
 これはちょっと入っておりません。入ると版権問題があるので、ちょっとお配りできないので。
 Vineland-II適応行動尺度というので、先ほど、厚労省が保護手帳で示しているという項目とほぼ重なるような形で、コミュニケーションや日常生活などで言うと、身辺自立、家事、地域生活、それから、社会性の部分の項目、手先の器用さ不器用さみたいな問題というようなことを総合的に示していって、標準化作業と言うのですが、同年齢の人のデータと比較したときに、どのぐらいの本人の支援ニーズがあるのかというのを示していくのが、このVineland-II適応行動尺度というものです。
 世界的には、発達障害とか知的障害においては、9割以上の研究がこのVineland-IIを使っています。ほかにも適応行動尺度はあるのですが、唯一日本版で標準化されているのはこれですので、これをお示しします。
 これも、先ほどの知能と同じような形で、やはり100が平均という形と、それを示していきます。知能検査と全く同じような形です。ですから、70を切ってくると、軽度の知的障害と同等の生活上の困難さがあると見なされると思ってください。
 これを見ていきます。これで見ていくと、先ほどの場合、IQで言うと、こちらで7割ぐらい、こちらは半分ぐらいということだったのですが、日常生活がどのぐらいできているのかと考えると、この70という基準で示していった場合、大体9割ぐらいの方たちは、日常生活における支援を必要とする方たちということが今回のデータです。
 ですから、本来はできるはずの方がということよりは、もともと何らかの支援が必要だと言わざるを得ない方たちです。特にコミュニケーションに関して、その度合いが高いです。なぜかというと、コミュニケーションというのは知的なものを反映するからです。だから、もともとそうしたものが苦手な方たちが多いのだと思います。
 それから、日常生活のところは多少落ちている形のところがあります。ただ、日常生活あたりだと、例えば、家事スキルがあるのですが、食事をつくったりとかという家事ですけれども、掃除をしたりという。これは現在どのぐらいしているのかという評価をします。なので、そもそも救護とか無低の幾つかのところは、食事を提供されてしまうので、そうすると、よほど施設が意識してない限り、食事をつくることのチャンスがないのです。チャンスがない場合は、できない、していないという評価をしますので、だから、家事スキルは本来のポテンシャルよりはちょっと低くなっていることはあり得るのかなとは思います。
 それから、社会性あたりのところ、やはり少し苦手そうなところがあるという話ですね。9割以上の人たちが適応行動についての支援を必要とする。適応行動において課題があるということは、日常生活を支援なく過ごしていることに問題があるということを意味します。
 そもそもVineland-IIのつけ方ですが、項目ごとで評価していくのですけれども、支援がなくても一人でできるのか、支援があればできるのか、支援があっても難しいのかということを聞いていきます。だから、本当にちょっとの支援があれば、軽度のスコアの方々が一番多いわけですから、そうすると、ちょっとの支援があればできるのだけれども、そうでないと難しいということになっているのだと思います。
 最後、これは昨年度のものになりますけれども、この2年分のデータをいろいろ比較しながらクラスター分析という統計手法で分析をしていきます。これはどういうのかというと、今回は項目ごとで各個人を分類していく形で、どのクラスターに入っていくのかということを考えて分析していったのですが、2人の方がいるとして、その2人の方の距離がどのぐらい近いのかという。ですから、IQとか、自閉症状とか、ADHD症状とか、抑うつとか、身体症状とかについて、同じような特徴を持っている人たちを同じグループとしてまとめていきます。そうした形でクラスター分析をしていきます。
 そうすると、こういう樹形図が出てきて、それで、大きくは2つに分かれて、こちらがちょっと後でも出てきますけれども、知的にも苦手で発達障害の傾向も高い方たちという、支援上難しい人たちがやはり出てきます。それ以外の方たちがさらに、これもどこで切るのかということで、今回、ここで切っています。この4つのところで切っています。4つのところで切って、クラスターを分析していくということをしています。
 そうすると、どういう形のグループが出てくるのかというと、1つは、まず、このグループです。これはちょっと見やすいように変数を、本来は得点が違うのですが、整えて標準得点で示しています。標準得点は、平均が100になるように分析し直して示しています。
 そうすると、1つは、特に症状がない方たちという形。恐らくマスコミの方たちは、無低とかの利用者について取り上げていくときに、生活上いろいろな困難があって、結果、そう至ってのですよねと示すような方たちがこの場合。これは割合で言うと18%です。ですから、2割程度。それ以外の8割程度の方たちは、その方がさらにいろいろな困難さを持っていて、結果、無料低額宿泊所で今一時的に生活をしておられるというような形のところになっていると思います。
 もう一個のタイプが、メンタルな問題や身体的な問題がメインで、知的にもそんなに得意ではないのだけれどもという方たちです。恐らくこの方たちの中で、調査はいろいろなところで私自身もたくさんの方にお会いしましたけれども、飯場などを転々としてこられて、体を壊して、結果的に仕事が続かなくなってというような方たちが一定割合おられたり、あるいは、精神科に長期入院されていてという方がおられたりというような形のところで。でも、知的にはそう悪くない方たちなどはこうしたグループに多分入ってくるのだと思います。
 3つ目のグループが、知的に課題があって、それ以外はそんなに困難さは目立たないという形のタイプの方たちです。軽度の知的の問題を持っている方たち。
 それから、もう一個のタイプが、知的にも理解と判断の苦手さの度合いが強くて、対人関係も難しくて、いろいろなことを集中して取り組むことが難しくてという方たちという、そういうかなり難しさが重なっている方たちというのがおられて、その方たちの適応行動を4タイプで見ていきます。
 そうすると、症状なしに来られる方たちは、それなりにはできていて、困難度上の問題がそんなに目立たないという形になります。これが適応行動、これが不適応行動ですね。問題となるような行動が、この特に紫のところだと、適応行動上もかなり困難度が高くて、問題もかなり示していて、だから、入所して受けている状況でも、かなり大変だというふうに事業所の方たちが思われるような方たちがここに含まれてくることになるのかなと思います。
 個々の細かい項目でいきましても、先ほど言った4つの順番ごとで支援上の困難さが違ってきているという話。だから、支援ニーズの高さが違ってきているという方たちですので、従来の障害者福祉のいろいろなサービスの中でやってきた方たちよりは軽いのかもしれないけれども、でも、やはり支援が必要な人たちが確かにおられるということなのだと思います。今回、一応4つのタイプに分かれてという話で、生活歴等々の問題のところだけで説明がつくのかなという方は全体の中で言うと2割程度、それ以外の方たちは何らかの支援がちゃんと必要な人たちということでなってくるのかな。2割・2割で、6割ぐらい、少なくとも半分ぐらいは知的な問題と絡めたいろいろな支援が必要になってくるという話です。
 その他の分析もしたのですが、人口統計学的な変数と顕著な関連はないです。何か正規・不正規とかマスコミの方が関心があるような項目はないです。
 それから、知的障害・発達障害がある場合に、入所契約の理解がそもそもちゃんとできていませんというのがちょっと出てきていましたので、このあたりは今後かなり考えて、この後の施設体系や契約の仕方の仕組みを考えていく必要があるのかなと思います。
 それから、症状なし以外のグループでは、幼少期の学業の困難さというのが、御本人がおっしゃる形で顕著でした。ですから、恐らくこれは大人になってどうこうという話ではなくて、もともとその方たちがそうした形で言うと、十分なサポートが得られないような状況の中で育ってこられたということが背景にあるのかなと思います。
 それから、虐待等を含めた養育環境やライフイベントとの顕著な関連は見出せませんでした。
 ですので、やはりもともとの苦手さというようなことをどう考えて、どう支援していくのかということはかなり大きな課題ではないかなと思いました。
 30分になりましたので、以上です。
○岡部座長 どうもありがとうございます。
 平野構成員、何かありますでしょうか。
○平野構成員 ございません。
○岡部座長 わかりました。
 ほかはいかがでしょうか。
 山田構成員、お願いいたします。
○山田構成員 ありがとうございました。非常に興味深く聞かせていただきました。幾つかあるのですけれども、時間の都合もあると思うので1つだけ。
 対象者の方のサンプリングの方法というか、サンプリングそれ自体に関心があるというわけでは必ずしもないのですけれども、全国にある500カ所ぐらいの無低の中から無作為に抽出したわけではないと思うので、何か所ぐらいの施設に入所されている人たちなのかということをお尋ねします。というのは、今までの議論の中でも、無低と一口に言ってもいろいろな施設があるということが言われてきたと思いますし、東京なら東京でもいろいろな施設があると思うのですよね。そういうときに、今回の対象になった人たちが入所している施設には何か特徴があるのかとか、入所者像とか規模とかそういったところに特徴があるのかどうかとか。あと、さっき変数の違いは見られなかったというお話でしたけれども、その施設による違いみたいな、この施設はこういうタイプの人が多いとかというようなことは検討されたのかどうかとか、そのあたりをお聞かせいただければと思います。
○辻井構成員 サンプルについては、ピンクのほうの2~3ページに大体示してあります。一応そもそもの母集団、全国の入っておられる方たちの割合を反映しながらやっていったという形で、救護のほうは、全救協さんにエリアに基づいて御依頼いただいてという話で、無低のほうも、厚労省が、きょうは来ておられませんけれども、東京都さんとかと御相談いただいて、このようなところをお声がけしたらどうでしょうかというような中でやってきています。
 だから、無料低額宿泊所については、趣旨をお願いして、僕らが調査に入れるところというのはあるので、お邪魔できるような施設にお邪魔してきたということなのかなと思いますので、さらに、厳しいところがあるのかもしれません。
 それから、施設ごとの違いは、今回はやっていませんので、どう解釈したらいいかわからないので。また、むしろ、視点として、今後、さらに必要な、それこそ大規模と小さいところとみたいなことが、今後、もし必要であれば、また、おっしゃっていただければ、分析することは可能であるかなと思いますが、今回は全体像を示しましょうということでしたので、こうした形になってございます。
○山田構成員 ありがとうございます。
 施設ごとの違いについては、要するに、全国のこの手のどの施設にも同じような形で、今のクラスターでもいいのですけれども、分布しているのか。特徴的にこういうタイプの人が多い施設と、こういうタイプの人が多い施設というのがあるのかないのかとか、そのへんに関心があったのですけれども、そこは今回はわからないということですよね。
○辻井構成員 そうですね。
 ただ、あちこちお伺いして、救護のほうは、例えばアルコール専門のとかという形で特化されているところがあるので、そういう違いは微妙にはあるのですが、無低とかではそんなに大きくは変わらないだろうと思います。
○岡部座長 平野構成員、どうぞ。
○平野構成員 ちょっと教えていただきたいのですけれども、障害のハンディキャップの重さと利用期間との相関関係、あるいは、障害の種別で利用期間に長い・短いの特性があったかというのを教えていただければ助かります。
○辻井構成員 利用期間とかはちょっと分析ができてないので、それは至急、調査の担当の者と報告して、また、御報告できるようにいたします。
○平野構成員 ありがとうございます。
○岡部座長 ほかはよろしいでしょうか。
 どうもありがとうございました。引き続き、よろしくお願いいたします。
 それでは、次の報告に移りたいと思います。
 立岡構成員、よろしくお願いいたします。
○立岡構成員 おくれて来てしまいまして、すみません。
 それでは、私のほうから報告させていただきますけれども、今回、白い「日常生活支援付無料低額宿泊所の実践事業報告書」を皆さんにお配りしているかと思います。これに基づいて説明させていただければなと思っております。
 そもそも、この検討会の前に、「生活保護受給者の宿泊施設及び生活支援の在り方に関する意見交換会」というところで、実際に、無料低額宿泊所の現状を把握する中において、今回も議論になった社会福祉住居施設と日常生活支援住居施設と2つのパターンに分かれるのではないか。もともと中間的な無低だったのだけれども、実態として、支援つきの実際に住居的な施設的な日常生活支援住居施設というのが実際あるよねというようなことが、前回の意見交換会では一定結論として出された中において、では、その日常生活支援は何なのだろうかというようなことを考えていく中で、意見交換会のときには、日常生活支援住居施設、長期滞在型無料低額宿泊所と、そのときには言っていましたけれども、ここに検討委員でおられる滝脇さんのふるさとの会さんと抱樸の奥田さんのところが、長期滞在型無低というか、日常生活支援住居施設というのに該当するのではないかと、意見交換会でもそういうような話になったかと思っています。
 その中でどんな支援をやっているのかというようなことを一定教えていただきながら、実は、ワンファミリー自体、仙台の無料低額宿泊所は、基本的には、アパートを借り上げた形で、独居で生活できる方に住まいを提供するというのが一般的な形です。ただ、それ以降の部分に関しては、自分たちで支援できないときは、当然、救護施設さんにおつなぎをしたりというような形で対応等をとっていたのですけれども、なかなかそこにも該当するというふうにいかない方々が、ある意味、うちの独居で生活している人たちにも出てきたと。ある意味、何らかの支援を我々がやっていかないと、重い支援というか、ずっと見ているというような形での支援をしていかないと生活できないという人たちも出てきたというのもありまして、実際には、抱樸さん、ふるさとの会さんにいろいろ御指導をいただくような形もあって、WAMの福祉医療機構の助成金も取れたことから、日常生活支援住居施設というものを、意見交換会の議論とかでは出てきたけれども、実際にやっているところを踏まえた上で、何が日常生活支援なのだろうかというようなことをお試しでやってみようというふうに、実際には助成金をいただけることになったので始めたというのが実際のところです。
 今回、支援に関しましては、うちのスタッフの高崎のほうから説明させていただきたいと思うのですけれども、今回、この資料の報告書の中の17ページを見ていただければと思います。仙台市の青葉区の愛子というところで、実際に、そもそも看護師さんの寮だったところを、障害福祉の団体が借り上げて、そこをグループホームとしてやっていた場所。ただ、その障害福祉をやっていた団体さんが撤退するに当たって、オーナーさんのほうから、こういった場所があるけれども、ワンファミさんのほうでちょっと借りてみないかというようなこともありまして。今回のタイミングとまさにばっちり合ったような感じだったものですから、こちらを借りまして、実際に独居では生活するのはちょっと難しいなと思う入居者の方々に一定入っていただいた形の中において、今、生活してもらっております。
 その中で何をやっているのか、どんな支援をやっているのか、どんな支援が必要だったのかというようなことを、実際に3カ月という区間で区切りまして、実際、スタッフが2人ずっと24時間張りついて、一定程度そこに入居している方々にサポートをしてきた。そのサポートしてきた中身について、今回はタイムスタディというような形で、どの支援をどれだけ実施したのかというようなことを、スタッフたちはうんと頑張ってくれたのですけれども、やっていただいた部分もありまして、今回、これを御報告させていただきたいなと思っています。
 実際に報告書を見ていただくと、どんな施設なのかというのはわかりますし、36~37ページあたりを見ますと、実際には施設の中身もわかります。部屋の大きさがどのぐらいなのかとか、あとは、毎日の生活はどういうような生活をしているのかというようなことを実際に書かれていますので、あと、そちらをお読みいただければなと思います。
 今回、このWAMの事業を実施するに当たって、仙台市さんに多大な協力をいただいております。250人ほどいる仙台市のワーカーさんのうち79名の方に実際にアンケート調査をして、こういった施設が必要なのかどうかというようなこととかも聞いたりもしていますし、実際にケースワーカーさんのヒアリング等もやっています。それについてはこれに入っていますので、あと、そちらをお読みいただければなと思います。
 それでは、早速、日常生活支援住居施設的なパイロット的にやった、その日常生活支援というふうに私たちが最終的に結論づけたものは何かというものを、スタッフの高崎から報告させていただきます。
○高崎(ワンファミリー仙台) それでは、タイムスタディの部分について報告させていただきます。資料はPDFで配信されているものと、あと、お配りしている紙の冊子のほうで、冊子のほうでは、49ページからの部分を要約したのがPDFという形になります。基本的にはPDFを見ていただければと思いますが、PDFのページ番号が打ってある1ページからまいります。
 「目的と概要」です。ここでは、日常生活支援住居施設というのがどんなのかはまだはっきりはしていなかったのですが、こんな感じなのだろうかということで、日常生活支援どんなことをしたのか、内容、それから、どれぐらいの時間をかけたのか、量。入居している人たちはどういう支援が必要な人たちなのかというのを可視化することを目的に、全て記録してみたという、その3カ月の記録です。
 実施したのは、去年の8月から10月の3カ月間(92日間)でして、クラウドデータベースのkintone(キントーン)というサービスを使って、支援対象者誰に対して何時に始めて何時に終わって、それはどこで行われた支援で、業務の種類はどんな業務で、どんなことだったか、自由記述で詳しく書いて、どの職員が対応したのか。2人で対応したなら、誰と誰だったのかというようなことを記録していきました。
 スライドの2番です。
 「業務内容の分類」ということで、日常生活支援ではないかと思われる業務を112に分類しました。それは冊子で言うと50~51ページに詳しく書いてあります。112種類の中分類。一番細かいのが中分類ですが、その類似の業務を集めて、大分類というカテゴリーもつくっています。食事とか排泄とかそういうのが大分類ですね。
 業務コードというのを振りました。最初のほう、ちょっと別のコードを振っていたのですが、後から集計してきた中では、新業務コードというほうを採用していて、XとYが先頭についています。Xは現場の支援、「愛子ハウス」というこの施設の名前ですが、愛子ハウスその場でやっているものがXとついた番号のもの。それから、愛子ハウスにはいないのだけれども、別の事務所にいる職員が何らか電話連絡を受けて、そして、ワーカーさんとやりとりしてとかそういうのもあるので、そういうのはY、現場を支える支援ということで、分類をしています。
 ちょっと補足が必要かなと思われる業務についてですが、炊事という業務は、入居者全体向けです。愛子ハウスでは、3食の白御飯を提供しています。おかずは自分で用意してねということになっています。ただし、金曜日の夕食だけはおかずをこちらで用意して、みんなで一緒に食べましょうということになっていますので、炊事というと、特定の誰かのために御飯をつくっているのではなくて、炊事という業務は、みんなの白御飯を用意したり、片づけたりということです。
 それから、食事サポートアセスメントという業務がありますが、これは何をしているのかといいますと、食堂でみんなが集まって御飯を食べている、そのときにそっと見ているのですね。見ているだけではないかと思われるかもしれませんが、そうではなくて、こぼしそうになったというときにはさっと出られるように、あるいはこぼしてしまったというときにはさっと出られるようにずっと見ている、情報収集、この人にはどういう支援が必要かというのを把握するために見ているというアセスメントの意味があるだろうということで、こういう名前にしています。
 それから、通院同行という業務がありまして、一応は「外出」という大分類に入れました。どこに出かけるのかという意味で、たまたまその行き先が病院だったということで外出なのですが、ただ、見方によっては、ただ行くことが目的なのではなくて、ちゃんとお医者さんの話を聞いて、こういう治療方針だから、こうこうこういうふうに薬を飲んでねと言われた。それをちゃんと聞いてきて、実践するという、それが一人ではできないという入居者もいるので、それはただついて行っていればいいのではなくて、診察室まで一緒に入って、話を聞いて、また、それを翌日からの支援に生かすというか、ちゃんと薬が飲めるように、食べるなと言われたものは食べないようにとかそういうことをお世話するという意味では、ちょっとこれは別の健康管理というほうに分類したほうがいいのではないかという話もありましたので、ちょっと注記しておきましたが、2ページです。
 3ページはこんな感じの画面で入力してみましたという参考例です。各職員のIDでログインをしているので、誰が記録をしたのかというのは全部残ります。
 対象者が3名まで書けるようにしていて、4名以上のときには対象者は空欄としていますが、「支援内容」という自由記述欄を読めば、誰に対する支援だったのかがわかるということです。
 最後に、対応職員を入れる欄がありますが、ここには2人でやったならば2人、複数も入れられるようになっていました。
 4ページ。集計をしました。集計をするときには、112の中分類ごとに、この業務に3カ月間で一体どれぐらい所要時間がかかったかというのを算出しています。冊子で言うと、その集計した結果は54~55ページです。
 スライド4番です。
 この所要時間の単位ですが、ただ単に時間ではなくて、人の数を掛けています。「支援に要した時間×対応した職員人数」ですので、同じことでも、15分間2人の職員が対応したのであれば、それは30とカウントをしています。
 ただし、情報共有という業務がありまして、誰々さんに昨日こんなことがあったので、ここを気をつけてくださいみたいな申し送り事項とかですけれども、それについては、一気に3人に向かってしゃべっても3倍時間がかかるわけではないので、単に、「支援に要した時間(申し送りの時間)×1」としております。参加人数は関係ないというふうにしています。
 5ページです。
 概算値で集計したものがあります。冊子の54~55ページのうち、炊事、利用料収受、施錠・解錠、記録、事務所間情報共有、上長への報告・相談、利用料管理、仮払金管理というこれらの業務については、概算値で集計をしました。毎日あるいは毎週毎月、日々あることでありまして、そんなに時間が差が出るわけではないし、記録を全部打っていたのですけれども、さすがに抜けてしまうところもあって、この日の記録は、朝は誰も鍵を開けていませんが、でも、きっと開いていたのでしょうというようなこともあるので、もう漏れてしまっているのは仕方がないので、そういうのは概算で入れました。
 記録の時間もとってはいたのですけれども、やはり抜けてしまう部分がありましたので、1件3分というふうにして概算をしました。これ、何の業務をどうしたというのを1本書くのに3分という計算で、全部で4,302件ありましたので、それ掛ける3分というふうにして集計をしています。
それから、集計に含めなかった業務があります。これも関係しているよねということで、業務を一応立ててはみたのですが、コードは立てたのですが、ちょっと愛子ハウスだけを運営しているわけではないので、なかなか切り分けにくかったということで、入れると混乱するのでやめましょうということで、シフト作成、業務調整、スケジュール入力という、職員を愛子ハウスにやるのか、それとも別の事務所に行かせるのか、それとも、この日は研修があってどうなのかとか、そういう調整の部分は省いています。
 間違いがあります。PDF資料の業務調整(Y0403)は違います。(Y0402)の誤りでした。
 6ページにまいります。
 集計結果を分析してみました。冊子で言うと、54~55ページですけれども、これらの業務を4つに分類してみました。
 まず、冊子54ページに載っている部分まで、小計Aが一番下の行にありますけれども、このAが入居者の生活の直接的な支援、かなり見えやすいというか、支援しているなという感じの支援だと思います。直接的な、御飯のことだったり、外出のことだったり、お薬を飲んだり、トイレのこと、金銭管理のこと、あとは、社会サービスを調整したりとかというのがAの支援です。
 それから、冊子55ページの一番上の固まりがBというふうに分けてみました。これは、入居者同士がお互いに、誰々さんの様子を誰かが見守っているみたいなこととか、掃除を一緒にしたりとか、あと、御近所との関係ですね。地域との連携も意識した業務がBです。
 それから、その下の固まりの小計Cというところですが、これは、施設管理とか業務の記録とかの部分です。結構見えにくいバックヤードの業務かなとは思います。愛子ハウスの現場ではあるのだけれども、誰に対してということがない支援ですね。
 それから、Dが一番下の固まりですが、これは、施設外を含めた会議や会計処理のことで、かなり現場からは離れたYの業務ということになっています。
 これらを全部合わせると、冊子55ページの一番下の合計A+B+C+Dというところに行くのですが、1,557時間22分。これは人もかかっているので、厳密に時間ではないのですけれどもというところです。最低になりますが、食事提供は、白御飯と金曜夕食のみでこれの時間なので、もし、3食がっつり提供したら、もっと時間がかかるだろうと思いますし、勤怠管理に要する時間は集計からは省きましたので、それも入れたらば、もっと手間はかかると思います。
 スライドの7番で、今のA・B・C・Dに分けた業務を割合で示してみました。そうしたらば、直接的な支援が49.41%、ほとんど半分ということです。
 スライド8番に行きますけれども、直接的な支援が全体の約半分だったということは、逆に言うと、全体では、直接的な、目に結構見える、支援しているなという感じの支援の2倍程度手間暇がかかるのだなということがわかりました。
 スライド9番で、直接的支援の内訳です。Aに入る支援の割合を出してみましたらば、食事に3割ぐらい、それから、所在確認ですね。今どこにいるのか、大丈夫なのか、出かけるのか、帰ってきたのかという所在確認にも2割ぐらいかかっています。金銭管理も8%弱ぐらいあったりします。社会サービスを使うのにも1割ぐらい。サービスいろいろ介護とか使える人もいるのですけれども、誰かが手助けしてサービスにつながないと、一人では利用できないというところで、そこにはしっかり時間がかかったなという感じです。
 スライド10番は、先ほどちょっと申し上げた通院同行は単に外出なのか。健康管理なのではないかという話もあったので、ちょっとそれを切りかえて見た場合です。そうすると、健康のほうに入れると、健康が6%で5%を超えてくるので、やはり健康にかかる時間も結構あるなという感じはします。
 それから、11ページ以降に、入居者はパイロット期間に13名いたのですけれども、そのうち5名について、この人はどういう人なのか、この人にはどんな支援に時間がかかっているのかというのを集計してみました。冊子で言うと56ページから、Aさん、Bさん、Cさん、Dさん、Eさんといって、5人分細かい集計結果も載せております。
 12ページ、Aさんは若年性認知症で、この方は1日平均で言うと、92日間を全部割ると、1時間13分ぐらいかかっていました。失禁があったりする方で、排泄・清潔・居住環境などで3割ぐらいかかっています。このグラフは、左側が個人の方、全体の結果が右側ですので、右側と左側を比べていただくと、Aさんは清潔にすごい時間がかかっているのだなというのがわかるかと思います。
 それから、13ページ、食事サポートにも7.10%かかっています。全体で言うと3%ぐらいしかかかってないのですが、食事サポートというのは、その人個人のためのおかずをつくるのを手伝ったりとか、その人個人が片づけているのを手伝ったりとかということで、ちょっと食事にもお手伝いがないと、自分で全部おかずを用意するのは難しいかなという方です。結構難しい方なので、施設入所も検討したのですけれども、保証人がいないとか、ちょっと認知症があるので、この人がサインしたところでその契約は有効なのだろうかというような問題もあって、まだ進んでいなくて、今も愛子ハウスにおられます。
 14ページ、Bさんも認知症の方ですね。この方も、1日平均で出すと1時間52分かかっていました。かなり長いほうです。この方は出かけると自力で戻れない。大丈夫だと言って出かけるのですが、戻って来られないので、出て行くと言ったら、その都度、職員が説得をしなくてはいけないようなときもあって、「ちょっと今はやめようよ」とか声かけをしなければいけないときもあって、所在確認に3割以上かかっております。かなりですね。それから、介護保険サービスを利用しておりますので、一番下、社会サービス調整みたいなことに2割弱かかっています。それから、金銭管理8.48%のうち、お金関係の傾聴と言って、「俺のお金は、次いつもらえるのだ」というような問いかけに職員が答えたりとか、お金を出してくれと言うのをまあまあと言ったりとか、出したりとか、そういうお金関係が結構時間がかかった印象です。
 それから、15ページ。この方も食事サポートに7.86%の時間がかかっていて、自分でおかずを準備するのが難しい方です。それから、服薬管理もしなくてはいけないので、日付感覚とかないですので、毎食後、職員が渡して飲んでもらってというような感じです。この方も施設入所は検討しているのですが、保証人と契約能力の問題でなかなか進まないところです。
 そして、Cさん、16ページにまいります。この方は1日平均52分で、割と軽いほうということになります。入居期間が途中からですので、64日間の利用でした。金銭管理が13.28%と、全体よりもちょっと多めなのが印象的です。それから、傾聴19.55%。お話し好きというか、寂しがりというか、よく職員に話をしたい人という感じですね。
 それから、17ページへ行きますが、この方は退院されて、病院から愛子ハウスに入った方なので、入居までの間に、いろいろと病院のワーカーさんとのやりとりがかなりあったので、相談支援の割合が大きくなっています。社会サービス調整もその関係ですね。
 それから、18ページ、Dさんに行きます。Dさんも52分で割と軽いほう。軽度認知症状があって、服薬管理をしないといけなかったので、2割弱になっています。ほかのことが割とできるために、できないところの部分が顕著に見えるというところではありますが、金銭管理も実施していました。それから、介護保険サービスを使っていたので、社会サービス調整が多くなっています。
 19ページ。食事サポートアセスメントに20.52%。これは食事サポートではなく、それに至る前のアセスメントでありますので、こぼさないかな、お湯をひっくり返さないかな。IHコンロで、鍋を火にかけたままどこかへ行ったり、油がばちばちはねているのですけどとかいうのをとめに行ったりとか、そういうことに結構時間がかかっています。全くできないわけではない。なまじできているので、見ていないと危ないというところです。それから、排泄がうまくできない。お手洗いまでは行けるのですが、ちょっと汚してしまいがち、それから、喫煙は喫煙所でとなっているのですが、ちょっと守れずに、そこまで行くのが面倒くさいという理由で非常階段の裏でとか、自室で火をつけてから出てきたりとかやめてくださいという感じでした。
 20ページ、Eさんです。この方は1日平均15分で、ADL的にはかなり高い方です。食事・外出・健康・清潔にほぼ手助けは要りません。なので、大丈夫かな、ちゃんと御飯食べているかなというような見守り的な部分、あと、出かけたな、帰ってきたなというような出帰把握に割合が高いです。それから、外出から戻ったときなどは、事務室に寄って、結構お話しされます。きょうは何々があったのだとか、病院へ行って医者にこうこう言われたのだとか、そういう話をされますので、傾聴の割合も大きくなっています。Eさんの難しいところはどこなのかというと、21ページですが、家計のやりくりがちょっと難しいのですね。1,000円あれば、その1,000円の範囲内でお買い物をすることはできるのですけれども、月末払いみたいな、末締めで生協さんの商品の料金請求が来るとなると、目の前のお金ではないので、結構どんどん注文してしまって、ちょっと破綻してしまうようなことがあります。それから、お話し好きもあるのですが、宗教関係者の方で訪問をされる方がいるのですけれども、本人は何か断れないのですかね。訪ねて来る人が来ます。あと、新聞が届いたりします。だけれども、「本当は嫌なんだ」とか職員にこぼしたりして、でも、自分では断れないという方です。なので、社会生活、その他がちょっと多くなっているかなと思います。
 22ページですが、まとめますと、外出に伴う安否確認。出て行ったのだねとか、帰ってきたのでねというようなのを見ているとか、あと、お金関係の傾聴。お金を出してくれというのを聞いたりとか、相談支援、社会サービス調整などは、既存の社会福祉施設とは、業務の質がちょっと異なるであろうと思います。それは住居であって、施設ではないというところで、暮らし方の自由度が高いということで、自由を尊重するために必要な業務が、また、ちょっと違うのかなとは思います。施設はある程度制限がかかるところというようなイメージですので。あと、家族の代替機能が必要と書いてありますが、結局は、日常生活支援はそういうことなのかと。外出に伴う安否確認。出て行ったのだね、帰ってきたのだねというのは、家族がいれば家族が知っていること。あと、お金のこととかも、家族がいれば、きっと家族が面倒を見てくれることなのでしょうし、相談支援とか社会サービス調整も、恐らくは家族がいれば大体家族がするのでしょうねというようなことです。
 一方、支援内容には個人差もありまして、1日15分ぐらいの支援でいい人もいれば、1日1時間52分というような人もいますので、いろいろあります。
 それから、既存制度とサービスの代替が必要になる場合もある。これはAさんですけれども、住民票が最初どこにあるかわからなかったので、サービスが使えなかったというようなことがあって、それを職員がかわりにやっていた時期もありましたということです。
 それから、一番最後、パワーポイントではない表みたいなものですけれども、冊子とかこのパワーポイントでは、5人の方だけ抽出しました。ただ、13名おりましたので、ほかの8名はどうなのだということで、それも足した表にしてみました。グレーで塗ってあるA・B・C・D・Eさんは冊子やパワポにも載っている方で、それ以外の1番、4番、7番、8番、9番、10番、11番、12番はこの表にしか登場していない方です。1日当たりの時間を見ていただくと、1時間超える人もいれば、15分程度とか1時間切るぐらいで済んでいる人もいる。いろいろいるということがわかるかと思います。
 ただ、1番の人に*で注釈を入れていますが、地域生活定着支援センターの職員が同じ法人の中にありまして、刑務所から出所された方の支援ですけれども、この方は刑務所から出てきて愛子ハウスに入られたので、そのための入居支援の時間に物すごいスタッフの時間が割かれたようになって、1日5時間みたいになってしまっていたのですが、最後の3日間だけだったので、平均するとこうなってしまい、ちょっと外れ値として除いたほうがいいかなと思って、その下の平均支援時間では、外れ値を除いたほうを見ていただいたほうがいいかと思います。太い枠で囲っていますけれども、13人の1日当たりの時間を平均すると45分くらいということになりました。
 直接的支援の分だけを平均を出していますので、それ以外のそこには見えない分が倍というか、それと同じぐらいバックグラウンドの支援があると思います。※「直接的支援」とは、と書いてあるのは、先ほどから申し上げている、食事とか安否確認とか、目に見える、支援しているなという感じの支援のことです。
 以上です。
○立岡構成員 ということで、わかったことは、家族がいれば家族が普通に日常にやっていることをスタッフが代替してやっているというようなことが一定わかったのかなと思っております。
 時間ちょっと長くなりました。報告は以上になります。
○岡部座長 どうもありがとうございました。
 ただいまの御報告に関して御質問・御意見・感想をいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
 辻井構成員、どうぞ。
○辻井構成員 お邪魔もさせていただきましたけれども、目に浮かぶような愛子ハウスの様子で、本当に立岡さんのところだけでなくて、滝脇さんのところとか、奥田先生のところとか、どこの救護施設もそうですし、施設のところもそうですし、各施設では本当にこういう丁寧な支援をしているということは、調査にお伺いしてよくわかるような感じだったのですが、質問ですが、最終的なところの時間のこのぐらいかかるというのは、これを職員何人でやっているという形になるのですか。
○立岡構成員 基本的に、2人が必ず常駐しているという感じですね。
 ページ数で見ると、金額が書いてあるところがあると思うのですけれども、実際に利用料が36ページに書いているのですけれども、家賃が37,000円、共益費1万円、生活支援費36,000円に、米代と金曜の食事を含んで、全部で83,000円、1人から利用料としていただくという状況で、この2人をずっと担保するというのもなかなか難しい状況の中、今回は、ある意味タイムスタディをとるに当たって、どんな形であってもということで、24時間2人がいるというような形で対応をとらせていただきました。
○岡部座長 奥田構成員、お願いします。
○奥田構成員 済みません、私も、この調査研究の立岡さんのところのメンバーでもありましたので、立岡さんのところにということではなくて、お二人の関連で、タイムスタディのまとめとしては、外出を伴う安否とか、お金の傾聴というか、金銭管理も実際にはされていると思うのですけれども、相談とか、要するに、既存の社会福祉施設での業務とは異なるというところが1つ特徴であるというのは、これはよくわかるのですけれども、辻井先生の発表で言うと、どちらかというと障害とかそういうところが非常に注目されているところなのですね。
 ですから、私は「家族機能の社会化」などという言い方をしていますけれども、いわゆるここに書いている代替的な機能が意味するところと、辻井先生がさっき指摘してくださった、いわゆる身体とか知的とかそういうところの部分との兼ね合いというか、どう考えたらいいのかを、逆に、辻井先生からお聞きしたい。
○岡部座長 辻井構成員、お願いします。
○辻井構成員 知的にという意味は、理解と判断が、その多くの人ができるような量を、多くの人たちができるスピードでこなせないということになるので、一個一個のことができるかできないかというのは、もちろん愛子ハウスで暮らせるのだから、できないわけではないのだけれども、それをするために、誰かがついていてサポートをしてあげなければいけない。その障害の度合いが強いということは、その丁寧な食事のときに付き添って何かしたりとかという部分の量が多くなってしまうという話になります。
 ですので、さっきの18%の特に課題のない方で言うと、非常に少ない時間で済むわけでしょう。15分とかの方たちとかは、きっとそれでいくのかな。それ以外の一定時間のかかる方たちというのは、その方が、その行動がちゃんとできるための理解とそれをできるための確認。それから、対人関係でも、相手が言うことを、相手が言った意図で理解するということをするために、ちょっと仲介をしてあげなければいけないとかというのが、傾聴とは書いてあるけれども、多分そういう通訳に近いような部分というようなことがちょっとだけ必要になってくるという。だから、本当に重ければ、本当についてとなるのでしょうけれども、そうでもないけれども、でも、やはりそれが必要というような形で、それが個々でちょっとずつ違うという話で。例えば診断名みたいなものがついていると、そのポイントがかなり明確になっているという形。
 ただ、全体としても、「これをしようね」と言ったときに、そのやり方について教え、なおかつ、できているかどうか確認しとかというようなことがなぜ必要かというと、その人の理解と判断のところがちょっとだけゆっくりで、多くの人がぱっとできることができないからということになるのだろうと思います。
○奥田構成員 もう一つ聞いていいですか。
○岡部座長 どうぞ。
○奥田構成員 ということは、私も本当に目に浮かぶところでやっていますので、よくわかるのですけれども、私ちょっと言いたいのは、家族の代替機能である。本来、家族がいたらできる。本当にその理解でいいのかということ。要するに、専門性というものは、そこに辻井先生は見られているのですかという。
 それと、もう一つは、これはそもそも現代社会の現実からいくと、家族とは何かという話に戻るべきところを正直もう見失っていると思うのですね。今回のいろいろな一連の事件を見ていても、家族にみんな押しつけるのだけれども、家族幻想だとしか私はもう言いようがないと。日本の社会はそれをいまだに追いかけているのだけれども、そんなのは実はもう半分以上崩壊しているのですよということも、社会的背景としては、前提としながら、ここに書いている、家族がいたら本来家族だよねで済むのだろうか。
 私はさっき辻井先生の話を聞きながら、そこは専門性の問題が何割かは、本格的な社会福祉施設ではないのはもう重々承知の上で言っているのですが、それなりの専門性というのは何なのかというところを、理解が非常にし難いということを。しかも、小さいころから見ている人たちではない、いわば、よくも悪くも赤の他人がそれをしていくということの専門性というのは、正直苦労をしているのですよね。現場ですごく苦労しているのですよ。そのあたりを、もう少しお二人の話の共通部分のところを深めていただければうれしいなと思ったのです。
○辻井構成員 ありがとうございます。
 今回、僕はもともと障害福祉、特に発達障害のところが専門で、御紹介したVineland-II適応行動尺度が、僕が開発責任者で日本版をつくったという絡みなどで、今、御一緒させていただいたりという流れですが、発達障害の方たちは、むしろ、能力の高いほうの方たちは、就労をまあまあしたりとかするのだけれども、でも、続かず、結局やめたりというようなことが非常に頻繁に起こって、それで、それこそ8050問題とか7040問題になっていて、親御さんが高齢になってきて、では、この人をどうするのという問題は、今回は、無低に入ってきて、保護を使っている人たちですが、その寸前の人たちが実はめちゃめちゃたくさんおられて、そこのところで、今のところ、ぎりぎり親御さんたちが見ておられれば、まあ何とか暮らせているよねという感じにはなっているので。
 ただ、今後を考えると、それは絶対無理だよねという話にはなっていて。なので、そういう人たちなども含めて、本来は、こういうちょっと誰かがちゃんと見てあげるような仕組みが、今回は、生活困窮の枠組みの中でこうした形で実際にやって、それをどうしていくのかという話になってきてはいるのですが、今後、かなり必要になるのだろうと。グループホームという形で障害のところで出てきたのですが、グループホームのほうが単価が低かったりすると、職員の専門性が担保できなくて、十分見ていない。生活がうまくいかなくて、結局、入所のところへ行ったり、親のところへ戻ったりみたいなことが実は頻繁に起こっていて。
 なので、こうした形の専門性のある支援がある意味ちゃんと確立されてない。特に、障害というと、軽度圏のところの方たちの支援が本当に確立されないままずっと来ていて、それで、本当にうまくいかなくなってから難易度がすごく増したところで皆さんのところに来ているという話なのかなと思っています。
○岡部座長 ありがとうございます。
 奥田構成員、お願いします。
○奥田構成員 御時世なので、もう一言。私、きょうの話からちょっとずれてしまうのだけれども、今のところ、家族がいたら何とかなるけれども、それはこの社会8050においてももう続かないというのはみんな知っている。ただ、その認識は僕はちょっと違うと思うのですよ。何が我々の施設と従来の家族機能との違いというと、やはり社会性の広がりなのだと思うのですよ。私は従来の家族は密閉していると思うのですね。それは丸抱えになってしまって、それがよくも悪くもひきこもり現象というのが起こっているのは、日本型の身内の責任論一辺倒の引き受け方。我々はいい意味で他人なのですよね。他人が家族的な機能を果たそうとか、家族的な代替機能を果たそうというところのよさというか。つまり、丸抱えできないから社会資源を相当使いながら、うちで言ったら、例えばボランティア活動などを一緒にしましょうみたいな話も含めて、このあたりは、逆に言うと、家族になくて無低にはあるみたいな世界でもあると思うのですよ。
 だから、私は、代替機能だけの人たち。ごめんなさいね。立岡さんとか研究委員なのに、結果のまとめにけちをつけたら、おまえ何言っているのだと言われたら怒られるのだけれども、ちょっとこの2、3日の一連の事件を見ていると、我々がやってきたことは、「家族機能の社会化」と私は言ってきたけれども、それだけではないよねと。別に家族のかわりにやっているのではなくて、新しい社会資源、新しい社会的な広がりというものを求めて、無低といういわば手段を使ってきたということは、ちょっと私は言いたかったところなのですね。すみません。
○岡部座長 どうもありがとうございます。
 ほかの構成員の方、いかがでしょうか。
 立岡構成員、どうぞ。
○立岡構成員 すみません。家族の代替機能というだけではないですけれども、家族的機能的なことを実際にやっているよなという意味合いなのですけれども、ただ、さっき言った専門性とか何とかといったときに、今言われて、すごくはっとした部分があるのですけれども、基本的に、入居している人たちはどう思うかわからないけれども、かわるがわる、かわるがわるスタッフがかわって、違う目線でいろいろ見ていったりしていって、あ、こいつがきょうは来たのかと思われたり、あ、この人来てくれたのだという、スタッフがかわることによって、また、その入居者自体の態度が変わったりとか、よくも悪くも変化していったりとかとする中において、一定専門性だけでもないよなと思いますし、その中において、共通の趣味があると、そこではスタッフと入居者の中における関係図が、また、変わってきたりもするので、そこからすると、ある意味、いろいろなスタッフがかわるがわる関わりながら、違う目線、違う視点で一定物を見られたりして、それを情報共有していっているというところの中において、一定、その人を理解。他のいろいろな視点から見られているというところは、今回は非常によかった結果なのかなと、今もそういうような形で進んでいるところはいいのかなというふうには思っていました。
 あとは、いろいろなことがあってここに来ているわけですよね。関係性が切れてここに来ている人が多い中においては、スタッフでもいろいろな人が関わることの中において、この人には甘える、この人には突っかかるというようなこととかがあったり、それはそれで、また、家族的機能なのかなとも思ったりもするのですけれども、そういうこともあって、だんだん落ち着いてきている感じはあるかなとは思っていました。
○岡部座長 きょう御報告をしていただきましたことは、1つ無料低額宿泊所と救護施設はそもそも施設の性格が違います。その中でどのような方が入所しているのかその現状について報告していただいたことは非常に意義があったと思います。あともう一つ、立岡構成員のほうで行われていることは、ある意味では日常生活支援とは何か、それは家族代行的な支援を考えているか、また家族代行とは離れた、要するに、支援としてどの程度の専門的な支援が必要なのかを示していると考えます。ここでいう「専門的」とは、専門的な価値、専門的知識、その他先ほど、関係性をつくっていくと述べられたような専門的技術になります。そして入所されている方々をどのようにアセスメントをし、どのように支援していくかが専門的支援になります。そして、その人の持っている力をどれだけ伸ばしていくか。強みをどれだけ出していくかが専門的支援ということにもなります。そのことも含め、きょうの報告は、非常に意義のある報告をしていただいたのではないかなと考えます。
 本日、お二方の貴重な報告をしていただきました。検討会はこのあたりまでとさせていただきたいと思います。
 事務局のほうから、次回の予定についての御連絡をよろしくお願いいたします。
○清水室長補佐 次回の検討会の日程については、現在、調整を行ってございますので、また、調整状況が確定次第、御案内をさせていただきたいと思ってございます。
○岡部座長 それでは、本日の議論は以上とさせていただきます。
 御多忙の中ありがとうございました。
 これで終了したいと思います。ありがとうございます。