2019年5月28日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録

日時

令和元年5月28日(火)17:00~

場所

厚生労働省専用第15会議室(12階)

出席者

出席委員(17名)五十音順

(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(4名)

行政機関出席者

 森和彦(大臣官房審議官)
 山本史(医薬品審査管理課長)
 関野秀人(医薬安全対策課長)
 新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
 森口裕(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
 宇津忍(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
 鈴木章記(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役) 他
 

 

議事

○医薬品審査管理課長 それでは定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を開催させていただきます。本日はお忙しい中、また遅い時間ではございますが、御参集を頂きまして誠にありがとうございます。
 本日の委員の御出席状況ですが、大森委員、佐藤委員、武田委員、平石委員より御欠席との御連絡を頂いております。また森委員は、少し遅れての御到着のようですが、本日現在のところ、当部会委員数21名のうち16名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。
 続きまして、部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、報告申し上げます。今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいております。都度都度のことでございますが、委員の先生方におかれましては書面を御提出いただいており、御負担をおかけしております。大変申し訳ございませんが、引き続き御理解と御協力を頂けますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、杉部会長に以降の進行をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○杉部会長 それでは、本日の審議に入りたいと思います。まず事務局から、配布資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて、報告を行ってください。
○事務局 事務局です。それでは、配布資料の確認を順番にさせていただきます。本日、机上には、議事次第、座席表、座席表の裏側に当部会委員の名簿を配布しています。議事次第に記載されている資料1~12-3までを、あらかじめお送りさせていただいています。会議のペーパーレス化に向けた取組として、本日の部会ではあらかじめお送りした紙資料と同様の内容の電子ファイルをタブレットに格納し、閲覧していただけるようにするとともに、机上に配布する紙資料を、審議品目に係る諮問書、審査報告書及び添付文書とさせていただいています。
 このほか、資料14「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」を机上に配布し、また、タブレット内には、資料13「レパーサ皮下注140mgシリンジ他の最適使用推進ガイドライン」、資料15として、各審議品目に係る専門協議の「専門委員リスト」、資料16として、「競合品目・競合企業リスト」を格納しています。当日配布資料として、「コンサータ錠の流通管理について」も同じくタブレット内に格納しています。タブレットの動作不良などがありましたら、会議の途中でも構いませんので事務局までお申し付けいただければと思います。
 続きまして、本日の資料16「審議事項に関する競合品目・競合企業リスト」について、御報告をさせていただきます。資料16の1ページを御覧ください。「ロナセンテープ20mg他2規格」ですが、本品目は「統合失調症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 2ページを御覧ください。「インチュニブ錠1mg他1規格」ですが、本品目は「AD/HD」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 3ページ、「オンパットロ点滴静注2mg/mL」ですが、本品目は「トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 4ページを御覧ください。「ロミプレート皮下注250μg調製用」です。本品目は「再生不良性貧血」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 資料5ページを御覧ください。「ユルトミリス点滴静注300mg」です。本品目は「発作性夜間ヘモグロビン尿症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 6ページ、「ゾルトファイ配合注フレックスタッチ」です。本品目は「インスリン療法が適応となる2型糖尿病」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 7ページを御覧ください。「ミニリンメルトOD錠25μ他1規格」です。本品目は「男性における夜間多尿による夜間頻尿」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしています。
 8ページ、「デファイテリオ静注200mg」です。本品目は「肝中心静脈閉塞症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしています。
 最後に9ページですが、「アフリベルセプト(遺伝子組換え)」です。本品目は「血管新生緑内障」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。以上です。
○杉部会長 ありがとうございました。今の事務局からの説明に、特段の御意見等はございますか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆さん方の了解を得たものといたします。委員からの申出状況について、報告をお願いいたします。
○事務局 事務局です。各委員からの申出状況については、次のとおりです。議題1「ロナセン」については、退室委員、議決に参加しない委員は共になし。議題2「インチュニブ」については、退室委員はなし、議決に参加しない委員として代田委員です。議題3「オンパットロ」については、退室委員、議決に参加しない委員は共になし。議題4「ロミプレート」については、退室委員なし、議決に参加しない委員は飯島委員、代田委員です。議題5「ユルトミリス」については、退室委員、議決に参加しない委員共になし。議題6「ゾルトファイ」については、退室委員なし、議決に参加しない委員は代田委員です。議題7「ミニリンメルト」については、退室委員、議決に参加しない委員共になし。議題8「デファイテリオ」については、退室委員として柴田委員、議決に参加しない委員はなし。議題9「アフリベルセプト」については、退室委員なし、議決に参加しない委員は代田委員です。以上です。
○杉部会長 ありがとうございました。今の事務局からの説明に、何か特段の御意見はございますか。なければ皆さんに、御確認いただいたものとしたいと思います。
 本日は、今、お聞きになって分かるように、審議事項が9議題、報告事項は3議題、そのほか1議題と多くなっております。
 それでは、審議事項の議題1に移りたいと思います。よろしくお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料1医薬品ロナセンテープ20mg他の製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。タブレットの資料1のフォルダを開き、審査報告書のファイルをお開きください。
 本剤は、非定型抗精神病薬であるブロナンセリンを有効成分とする貼付剤です。本邦では、同一成分を含有する経口剤であるロナセン錠2mg他が統合失調症の効能・効果で承認されておりますが、今般、貼付剤である本剤について、統合失調症に対する有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認申請が行われました。2018年2月現在、海外において本剤が承認されている国又は地域はありません。
 本申請の専門委員として、資料15に記載されている6名の委員を依頼しております。
 臨床成績を中心に、審査の内容を説明させていただきます。まず有効性ですが、審査報告書の一番下、全59ページの通し番号で25ページの表19を御覧ください。統合失調症患者を対象とした国際共同第III相試験が実施され、主要評価項目である統合失調症の陽性症状、陰性症状及び全般的精神症状を評価するPANSS合計スコアについて、貼付後6週の変化量では、本剤40mg/day群及び80mg/day群とプラセボ群との間に統計学的な有意差が認められました。
 次に安全性ですが、審査報告書の通し番号32ページの表25を御覧ください。本剤の有害事象発現状況を左の列に、既承認の本薬経口剤の有害事象発現状況を右の列に記載しています。主な有害事象として、アカシジア、振戦などの錐体外路症状関連の有害事象、不眠症などの中枢神経系の有害事象が認められ、これらの安全性プロファイルは本剤と本薬経口剤で大きく異ならなかったことから、同様の注意喚起としています。
 一方で、審査報告書の通し番号46ページの表38を御覧ください。本剤貼付時に適用部位紅斑、そう痒感などの適用部位の皮膚関連の有害事象が認められることから、貼付による皮膚刺激を避けるために貼付場所を毎回変更するなど、添付文書において注意喚起を追加することが適切と判断しています。
 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断しました。本剤は、新投与経路医薬品であることから、再審査期間は6年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、製剤は劇薬に該当すると判断しています。なお、原体はロナセン錠2mg他の承認時に劇薬に該当すると判断されています。薬事分科会には報告を予定しています。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○杉部会長 ありがとうございました。委員の先生方から、何か御質問、御意見はございますか。
○長島委員 経口が問題なくできる患者の場合の、この貼付剤との使い分けや位置付けというのは、どのようになっているのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答いたします。審査報告書の通し番号で47ページを御覧いただければと思います。こちらで本剤の臨床的位置付けについて議論しており、箇条書にしている箇所に、どのような位置付けで本剤貼付剤としての使用が想定されるか説明しています。経口剤の適用が問題なくできる場合でも、例えば経口剤の服薬の管理ができない患者さんにおいて、介護者の方などが視覚的に貼付したのかどうか確認することも可能です。このような場合にも用いる可能性もあるということが説明されています。
○長島委員 添付文書には、そういった使い分けや、どう使ったほうがいいというのは、全く書いていないですよね。
○医薬品医療機器総合機構 そうですね、添付文書には安全性上の注意喚起などとは位置付けが違ってはいますので、記載していませんけれども、医療従事者向けの資材などには、どのような使い方が想定されるかなどは記載をして、医療従事者にも分かりやすくなるように情報提供しています。
○杉部会長 よろしいでしょうか。そのほか、先生方から何かございますか。
○堀委員 恐れ入ります。貼付時の注意点について、お尋ねします。この薬に関しては、例えば一般の患者が自宅などで貼付をする可能性はありますか。
○医薬品医療機器総合機構 自宅で貼付される可能性もあります。
○堀委員 そうですか。私自身がこのような形状や大きさのテープ、今ここにもロナセンテープのサンプルがありますけれども、例えば普通の湿布薬などのテープを貼る際に、特に一人で貼るときすごく困るという経験があります。患者さんにご自宅でどなたか御家族が貼っていただけるのであるならば、または病院などで貼っていただけるのであるならば、本当に問題はないのですが、例えば、患者さんがお一人で貼らなくてはいけないとき、このテープの貼り具合というか、貼る方法に配慮しないと、1回でテープがクシャクシャになってしまったり、くっ付いてしまったりなどの不安があります。そのようなことというのは、このロナセンテープに関してはいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答させていただきます。患者さんが実際に一人で貼られる場合にも、ある程度粘着力があるのでくっ付いてしまうのですけれども、問題なくは使えるように、それなりの粘着性が皮膚に貼ったときはあるのか、最低限の使用感があるのかというところは、貼付剤としての品質の観点から試験はなされています。
○堀委員 なるほど、今回サンプルが手元にありますが、今開封ができないので、ロナセンテープのその粘着力やシートの剥がしやすさが分からないのですけれども、例えば私たち一般市民がテープの湿布薬を使う際に貼りやすさを重視することを考慮し、市販の湿布薬などの開発に関しては、メーカーはいろいろな工夫をなさっていらしゃっていると思うのです。いかにこの湿布自身がしわにならないか、ほかの所に付かないか、湿布同士が付かないかなど、そういうことがどれだけ配慮されているかというところで、私たち市民はたくさんある湿布薬の中から、これを買おうと思うのです。しかしながら、このロナセンテープに関しては、選択の余地もないので、お一人で貼る場合、なかなかうまく貼ることが難しいのであるならば、とてもいいお薬であるだけにそこの部分は貼り具合なども含めて、もっと知りたいなと思いました。
 もう1つ、私の意見を申し上げます。このロナセンテープの添付文書の所を開けていただけたら有り難いです。上から2番目の1-8の添付文書の所を御覧ください。4ページの、「適用上の注意」という所に貼付部位や貼付時、貼付期間中の注意点が書かれています。特にこの「貼付期間中や使用済みの製剤は接着面を内側にして、貼り合わせた後、小児の手の届かない所に安全に破棄すること」と記載されていますが、実際に使用する私たちにとって、この部分は、とても大切なことだと思います。できましたらこれを家庭内で使用する際に確認すべきマニアルとして、患者又は御家族向けの使用時の貼付のときの注意点のようなものを作っていただき、普通の湿布薬とは使用方法が異なるということを、明確にしていただけたら幸いです。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えします。御指摘ありがとうございます。御指摘いただきましたような、患者さん向け、御家族向けの資材に関しては、我々としても重要と思っています。既に企業でも作成はしています。添付文書の記載にあるような、包装を開けて貼付するまで、どのように扱ったらよいかという点もイラストを見れば分かるようになっています。使用済みの製剤をどのように廃棄するかという点も含めて、情報提供はさせていただいています。
○堀委員 分かりました。ありがとうございます。では、より患者さんやご家族の方が使いやすいような形にしていただけたら、有り難いと思います。以上です。
○杉部会長 ありがとうございました。そのほか、先生方いかがですか。
○岡委員 49ページの表39、先ほど説明していただいた有害事象ですが、適用部位の紅斑やかゆみなどがプラセボ群では余りないのですけれども、薬のほうでは少し増えています。かゆみや紅斑などは、テープを貼っただけで起きてもいいのですが、それで起きないものが増えるということは、このブロナンセリン自体に皮膚を少し刺激する作用があるということでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。本剤では皮膚刺激試験も実施されています。そのときテープ剤とは違う剤形も使ってはいるのですけれども、その際にも皮膚刺激性はあったというデータもあります。ブロナンセリン自体による皮膚刺激性というものも、要因としてはあるかと考えています。
○岡委員 分かりました。
○杉部会長 そのほか、いかがでしょうか。大分、意見を出していただきまして、ありがとうございました。それでは議決に入りたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 議題2に移りたいと思います。議題2について、機構から概要を説明してください。
○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料2、医薬品インチュニブ錠1mg他の製造販売承認事項一部変更承認の可否などについて、機構より御説明いたします。タブレットの資料2のフォルダを開き、審査報告書のファイルをお開きください。
 本薬は、注意欠陥/多動性障害(以下「AD/HD」と略させていただきます)の治療薬であり、本邦では2017年3月に小児期におけるAD/HDに係る効能・効果で承認されています。今般、成人期AD/HDに対する有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。2018年3月現在、海外において本剤は小児期AD/HDに対して、米国、欧州等35か国で承認されていますが、成人期AD/HDに対して、本剤が承認されている国又は地域はありません。
 本申請の専門委員として、資料15に記載されている5名の委員を指名しています。
 臨床成績を中心に審査の内容を説明させていただきます。まず有効性ですが、審査報告書の一番下、全33ページの通し番号で8ページの表3を御覧ください。成人期AD/HD患者を対象とした国内第III相試験が実施され、主要評価項目であるAD/HDの不注意症状及び多動性-衝動性症状を評価するAD/HD-RS-Ⅳ with adult prompts日本語版合計スコアについて、投与10週後のベースラインからの変化量では、プラセボ群と本剤群との間に統計学的な有意差が認められました。
 次に安全性ですが、審査報告書の通し番号14ページの表8を御覧ください。本剤の臨床試験では、血圧低下、徐脈などの心血管系の有害事象、体位性めまい、浮動性めまいなどの中枢神経系の有害事象などが認められましたが、ほとんどが軽度又は中等度の有害事象であったことから、新たな注意喚起は不要と判断しています。
 一方で、審査報告書の通し番号25ページの表20及びその上の段落を御覧ください。本剤の投与中止に至った有害事象の発現状況を示していますが、成人期AD/HDを対象とした臨床試験においては、開始時及び用量調節時に傾眠及び血圧低下などの中枢神経系や心血管系の副作用が認められ、投与中止に至った症例が認められていることから、本剤の投与中、特に投与開始時及び用量調節時においては、患者の状態を慎重に観察し、用量調節を行うよう、添付文書の重要な基本的注意の項に注意喚起を追加しています。
 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断しました。本剤は新用量医薬品としての申請ではあるものの、既に付与されている再審査期間の残余期間が4年以上であることから、再審査期間は残余期間(令和7年3月29日まで)と判断しています。薬事分科会には報告を予定しています。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○杉部会長 ありがとうございました。委員の先生方から、何か御意見、御質問はございますか。
 私から確認ですけれども、これは有害事象というより効果かもしれませんが、血圧の低下、徐脈など、循環系でバイタルに関係するものがあるのですが、これはもともとが降圧剤としてできていたものということで、理解してよろしいのですか。それの作用が出ているということでしょうか。何か最初に書いてありましたが。
○医薬品医療機器総合機構 そうですね。本剤、有効成分がグアンファシンなのですが、もともとエスタリックというブランド名で降圧剤として販売されていたものになります。数年前に販売自体は終了したのですが、有効成分としては降圧剤として使われていたものです。その作用ということで、血圧の低下や徐脈などの心血管系の有害事象が認められるということになります。
○杉部会長 ありがとうございました。委員の先生方から、何かございますか。それでは、本日は議題も多いことですので、特に御意見がないようでしたら、これで議決に入りたいと思います。なお代田先生におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。特に御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題3に移りたいと思います。議題3について、機構から概要の説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題3、資料3、医薬品オンパットロ点滴静注2mg/mLの製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。タブレットの資料3のフォルダーを開き、審査報告書のファイルをお開きください。
 トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(以下、「TTR-FAP」と略させていただきます)は、トランスサイレチン(以下、「TTR」と略させていただきます)遺伝子の変異により、TTRタンパク由来のアミロイドが末梢神経や各種臓器へ沈着することにより発症するアミロイドーシスの一種です。主に30~50歳代で発症し、全身性の感覚神経障害、運動神経障害、自律神経障害及び心筋症等の臓器障害を引き起こし、生存期間の中央値は診断後4.7年と報告されています。TTR-FAPは、指定難病である「全身性アミロイドーシス」に含まれ、本邦におけるTTR-FAPの総患者数は約140人と推定されております。
 本剤は二本鎖の合成オリゴヌクレオチドであり、RNA干渉機構により、TTR mRNAを切断することでTTRタンパクの発現を抑制し、TTRの凝集や組織沈着を抑制すると考えられています。本剤は、米国及び欧州で2018年8月にそれぞれ承認されております。本邦では2013年12月から臨床試験が開始され、今般、TTR-FAPに対する有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認申請が行われました。本剤は、希少疾病用医薬品に指定されております。本申請の専門委員として、資料15に記載されている11名の委員を指名しております。
 臨床成績を中心に、審査の内容を説明いたします。まず有効性ですが、審査報告書の一番下の全86ページの通し番号で、53ページの表36を御覧ください。TTR-FAP患者を対象とした国際共同第III相試験が実施され、主要評価項目である補正神経障害スコア(+7)のベースラインからの変化量において、本剤群とプラセボ群との間に統計学的有意差が認められました。
 次に安全性ですが、審査報告書の通し番号61ページの表43を御覧ください。本剤は合成オリゴヌクレオチドを脂質ナノ粒子に内包した製剤であり、本剤投与により注入反応関連の有害事象が発現する可能性があるため、臨床試験では、副腎皮質ホルモン、抗ヒスタミン剤、アセトアミノフェンの前投薬を行っており、重度の過敏症を含む重篤な事象の発生は限定的でした。したがって、注入関連反応が発現する可能性があること及び臨床試験と同様の前投薬を行うことを添付文書に記載し、注意喚起することで管理可能と判断しております。
 また、心機能障害については、審査報告書の通し番号62ページの表45を御覧ください。国際共同第III相試験では、プラセボ群と比較して本剤群で心機能障害関連の有害事象の発現割合が高い傾向は認められませんでしたが、心臓関連死が本剤群7例(4.7%)、プラセボ群1例(1.3%)であり、本剤群で多く認められました。この理由として、本剤群において、予後不良のリスク因子を有する患者の割合が多かったことによる可能性がありますが、因果関係は明確ではなく、添付文書において注意喚起を行う必要があると考えております。
 最後に、効能・効果について、審査報告書の通し番号68ページ中段の「その上で申請者は~」で始まる段落を御覧ください。本剤の承認申請時の効能・効果は、ポリニューロパチー(多発神経炎)を有している患者に限定せず、「成人トランスサイレチン型家族性アミロイドーシス」とされておりましたが、国際共同第III相試験の対象患者はポリニューロパチーを有する患者に限定されており、主要評価項目は、末梢神経障害の評価指標である補正神経障害スコアと設定されていたことから、ポリニューロパチーを有する患者に限定すると説明され、機構は「トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューパチー」とすることが適切と判断いたしました。
 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年、生物由来製品、特定生物由来製品には該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しております。薬事分科会には報告を予定しています。
 なお、審査報告書に誤記がございましたので、訂正させていただきます。審査報告書の通し番号58ページの表41、日本人の評価例数について、プラセボ群○例、本剤群○例としておりますが、正しくはプラセボ群9例、本剤群7例となります。申し訳ございませんでした。
 また、事前に奥田委員より、「オンパットロ点滴静注の原薬の目的物質由来不純物の規格設定根拠に関して、以下お尋ねします。審査報告書の記載では、欧州薬局法ペプチド原薬の構造決定の必要な閾値、及び安全性確認の閾値を踏まえて設定されています。ペプチド原薬の不純物の場合とは異なり、核酸医薬の場合では不純物であっても標的部位とは異なる部位に配列特異的に結合し、特異的にRNAが切断され、副作用が発現することがあり得るのではないかと考えています。したがって、ペプチド原薬の不純物の閾値をそのまま当てはめることは、困難な場合もあるのではないかと思います。一方で、極めて多数の分子種の不純物が生成し、不純物の一貫性を保証することも低分子化学薬品とは異なり、極めて難しいと思います。作用メカニズムの異なる核酸医薬に対する不純物規格の設定根拠に関して、今後の方針はありますか。」と御質問いただいております。
 この点について、審査報告書の通し番号8ページの上から3行目、「各一本鎖中間体の分子量は」で始まる段落を御確認ください。御指摘のとおり核酸医薬品では、製造及び分析の技術的な観点からは、現時点では一般的な低分子薬品と同一の基準での不純物の管理は困難と考えております。また、こちらも御指摘いただいているとおり、核酸医薬品ではペプチド医薬品とは異なり、目的配列とは異なる配列に作用することによる毒性が現れる可能性があり、欧州薬局法のペプチドに関する規定を基に、一律閾値を変更することは適切ではないと考えております。
 本剤に関しては、一般的な低分子医薬品における安全性確認の必要な閾値を超えて含まれる可能性がある不純物については、臨床試験において安全性が確認された量を超えないよう管理されております。御指摘いただいております核酸医薬品特有の懸念である目的配列とは異なる配列に作用する可能性については、有効成分である全長型のsiRNAに関して、目的配列とは異なる配列に作用することによる毒性を評価するにあたり、全長型と完全に相補的な配列に加えて、ミスマッチを含む配列についても評価が行われています。したがって、不純物として多く含まれると考えられる○○○○○○○○○○○や、○○○○○○○○○○○についても、ヒトへのハザードは評価されており、更に個々の不純物量が微量であることを踏まえると、リスク評価の観点からも大きな懸念はないと考えています。
 以上を踏まえ、本剤の対象疾患が希少かつ重篤な疾患であることも考慮し、本剤の管理戦略として受入れ可能と判断しております。なお、現時点では核酸医薬品の不純物の規格設定に関して明確な基準等は設定されておらず、個々の医薬品の特徴や開発段階での検討内容を踏まえ、個別に判断することとなると考えていますが、今後より具体的な考え方を示すことができるよう、現在関連する研究班での検討なども行われております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○杉部会長 ただいまの御説明に対して、委員の先生方から何か御質問、御意見はございますでしょうか。
○長島委員 53ページの表36の004試験の結果を見ますと、本剤群のスコアがベースラインの80.93から18か月後、-6に下がるという効果がありますが、2ページ後の55ページの表38で、先ほどのものの18か月後でプラセボ群からの移行群を見ると、ベースラインの101から変化量が-1.36と。先ほどの-6から比べると大分小さくなっているということで、ある程度症状等が進行してスコアが悪くなった場合には、本剤の効果がかなり小さくなるという可能性も想定されるのですが、この件について専門協議や検討、あるいは何かほかの知見等はございますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただき、ありがとうございます。機構より御説明いたします。まず、臨床試験に関して、データを基に御説明させていただきますと、審査報告書60ページの表42を御確認いただけますでしょうか。こちらが国際共同第III相試験の主要評価項目であるmNIS+群の変化量について、背景因子等で層別若しくは部分集団での解析結果を記載した表です。先ほど御指摘いただいた疾患が進行した患者というと、この中では罹病期間が1.37年より長い患者やFAP stageが、下側のII又はIIIの患者がより疾患が進行した患者になります。いずれの集団においても、プラセボと比べると改善若しくは悪化を抑制する傾向にあると考えておりますので、有効性は期待できるのではないかと考えています。
 疾患が進行すると、有効性が小さくなるのかどうなのかという点に関して、専門委員の先生方から個別に御意見は伺っていないのですが、これらのデータを確認いただいた上で、どのステージの患者さんに対しても臨床的に意義はあるだろうという御意見は頂いておりますので、我々としてもこの薬剤を使う意義はあるのではないかと考えております。
○長島委員 表42を見ても、罹病期間で1.37年以下の変化量と比べて1.37年を超える所は、変化量としては小さくなっていることを考えると、例えば、余り症状あるいは兆候が進行する前、なるべく早期に使ったほうが効果が期待できる可能性があるのであれば、そのことを何らかの形で添付文書なりに書いたほうがよいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 背景によって本剤投与による改善具合に少し違いがあるかもしれないというところは、確かにデータから言えることかと思います。どのステージでも有効性は期待できるという点を考えると、添付文書で注意喚起というのは難しいのではないかと考えますが、医療従事者向けの情報提供資材を作成する予定ですので、そちらで情報提供をさせていただければと思いますけれども、いかがでしょうか。
○長島委員 よろしくお願いいたします。
○杉部会長 そのほか、先生方から何か御質問はございますか。
○山田委員 添付文書の書きぶりについて、ちょっと教えてください。添付文書を見ますと、商品名の所にはオンパットロ点滴静注2mg/mLと濃度で書いてありますが、ここの見本にあるように、通常は絶対量が書いてあるのが普通ではないかと思います。少し変だなと思って使用上の注意を読みますと、添付文書4ページの使用上の注意の(5)、一番最後、フィルター濾過により液量が減少し、濾過後の採取可能量としてはうんぬんということで、例えばこの外箱に原薬として10mgが取れないと書いてあります。普通は絶対量が書いてあって、それが取れる分だけ入っているのが通常のような気がするのですが、今回はこういう書き方でいくということなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明いたします。本剤が含有されている10.5mg若しくは10mgを採取できないというところは、御指摘のとおり本剤は使用する際にフィルターの濾過が必要になるので、その結果、液量が減ってしまって10mg採取できないということになります。我々としても本来であれば、必要な量が投与できるように、より過量に充填するなどして、それを基に販売名としても含量として記載するというのがより適切ではあると考えております。
 ただ、この薬剤はかなり希少な患者さんを対象としており、国内患者さんもかなり少ないところで、会社とも何度も議論をしたのですが、日本向けのバイアルを用意することがなかなか難しいということで、例えば販売名をオンパットロ点滴静注10mgとしてしまうと、書いてある含量(10 mg)は投与できないため、適切ではないと考えており、ルール上、濃度表記は許容されておりますので、販売名としては濃度で記載するという対応にさせていただきました。ただ、先ほど御指摘いただいた外箱等を見ていて、確かにこれだと10mg取れるという誤解を与えてしまう可能性もありまして、その辺りは医療従事者向けの資材等では記載していたところなのですけれども、確かに外箱等でも誤解を招く可能性があるかと思いますので、誤解を生じない表記にできないか検討させていただければと思います。いかがでしょうか。
○山田委員 そうしますと、一応1本10mgと書いてあるのですが、取れないということですと、例えば治療に10mg必要な人が1本ではできなくて、2本目が必要になるというときに、ここでの議論には関係ないのかもしれませんけれども、保険請求上の問題とか、そういうことが認められるのかということについても併せて検討する必要があるのではないかと思いますので、その点もよろしくお願いいたします。
○杉部会長 機構としてはどうですか。保険上の問題になりますし、使用量が増えることになってしまうわけですが。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明いたします。我々といたしましては、添付文書の3ページの適用上の注意の欄ににも記載しているとおり、1本で10mgではなくて、8.8mg取れる製剤だと考えています。保険上の取扱いについては、関係の部署とも協議いたしまして、対応を検討させていただければと思います。
○杉部会長 先生、御指摘ありがとうございました。機構はそれでよろしいですね。そのほか、何かございますでしょうか。奥田先生、先ほどのものはよろしいのでしょうか。
○奥田部会長代理 この薬は、siRNAは多分、日本で初めての承認で、しかも細胞に到達させるためにナノパーティクルに封じるという非常に特徴のある医薬品です。siRNAの不純物がどのように副作用に影響するかということは、恐らくまだ分かっていないのだろうと思うので、機構の現段階でこの管理戦略で支持するということについては、私も同感です。ただ、やはり注意して見ていく必要があるだろうなと思ったので、こういう指摘をしたということです。ペプチドのロジックがそのまま良いのだとは機構は考えていないことが分かったので、それで結構です。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。
○杉部会長 そのほか、特にございませんでしょうか。それでは、議決に入ります。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告させていただきます。
 それでは、議題4に移ります。議題4について、機構から御説明をお願いできますか。
○医薬品医療機器総合機構 それでは議題4、資料4、医薬品ロミプレート皮下注250μgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。タブレットを御覧になる際には、資料4のフォルダを開き、★が付いている審査報告書のファイルをお開きください。
再生不良性貧血の治療は、年齢、重症度、骨髄移植のドナーの有無や免疫抑制療法に対する反応性等により決定されます。移植の適応とならない患者に対しては免疫抑制療法が行われますが、当該療法で効果不十分な場合には、免疫抑制療法の再施行又はトロンボポエチン受容体作動薬であるエルトロンボパグ オラミン等が用いられます。
 本剤は、トロンボポエチン受容体作動作用を有しており、トロンボポエチン受容体の活性化を介して多系統の血球産生を亢進します。本邦では、本剤は2011年11月に慢性特発性血小板減少性紫斑病の効能・効果で承認されています。今般、既存治療で効果不十分な再生不良性貧血患者を対象とした臨床試験において、本剤の有効性及び安全性が確認できたとして、医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。なお、本剤は2019年3月現在、欧米等60カ国以上で承認されておりますが、再生不良性貧血に係る適応について承認されている国又は地域はございません。本品目の専門協議では、資料15に示します専門委員を指名しております。
 以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床成績を中心に説明いたします。有効性に関しては、審査報告書の通し番号11ページの表12を御覧ください。国際共同第II/III相試験の主要評価項目である「27週時の血液学的反応率」は83.9%であり、95%信頼区間の下限値が事前に規定した有効性判定基準の閾値である15%を上回りました。
 以上より、機構は、既存治療で効果不十分な再生不良性貧血に対する本剤の有効性は期待できると判断いたしました。また、本剤は既承認のエルトロンボパグ オラミンと同様のトロンボポエチン受容体作動作用を有することから、エルトロンボパグ オラミンと同様の位置付けで使用される薬剤であり、既存治療で効果不十分な再生不良性貧血に対する治療選択肢の一つとなると考えました。
 安全性に関しては、審査報告書の通し番号15ページの表19を御覧ください。国際共同第II/III相試験における有害事象の発現状況について、上咽頭炎、上気道感染、発熱、頭痛、筋痙縮及び下痢が10%以上に認められましたが、上気道感染1例を除き、軽度又は中等度でした。上気道感染1例は重度であったものの、本剤との因果関係は否定され、転帰は回復でした。また、通し番号16ページの表21を御覧ください。既承認効能の慢性特発性血小板減少性紫斑病患者における本剤の安全性プロファイルと比べ、既存治療で効果不十分な再生不良性貧血患者で臨床上問題となるような差異は認められませんでした。
 以上より、今般実施した臨床試験において有害事象の発現状況に臨床上大きな問題は認められなかったことから、機構は、既存治療で効果不十分な再生不良性貧血に対する本剤の安全性は、既承認効能と同様の安全対策を講じることで許容可能と判断いたしました。ただし、臨床試験における検討例数は限られていること等から、製造販売後調査において長期投与時の安全性について引き続き情報収集し検討する必要があると考えました。
 以上、機構での審査の結果、既存治療で効果不十分な再生不良性貧血に対する本剤の有効性は期待でき、安全性は許容可能と考えられたことから、医薬品リスク管理計画に係る承認条件及び一定数の症例データが蓄積されるまで全症例を対象とした製造販売後調査を行う旨の承認条件を付した上で、効能・効果等の追加について承認して差し支えないと判断し、本部会で審議されることが適当と判断いたしました。
 なお、本品目は希少疾病用医薬品として承認された新有効成分含有医薬品に対する希少疾病用医薬品に指定されていない効能・効果の追加に係るものであることから、本申請に係る効能・効果及びその用法・用量の再審査期間は、5年10か月とすることが適切と判断いたしました。薬事分科会では報告を予定しております。機構からの説明は以上です。御審議、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○杉部会長 それでは、委員の先生方から何か御質問、御意見はございますでしょうか。
○大賀委員 先ほどありました長期的な副作用というか、有害事象に関することについて、これが小児に投与された場合に、かなり長くなったときにクローナルエボリューションが一番心配になるわけです。この専門委員リストの中に小児領域の先生は入っていないのですが、大人と違った形での評価というのは、専門委員協議の中ではどのように評価されましたでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答いたします。本剤は、通常、成人に使用する薬剤であることから、臨床試験では成人のみを対象としておりました。小児に関するデータについては、本邦における小児の再生不良性貧血患者は極めて限られていること等から、小児患者を対象とした国内試験は実施されていません。
○大賀委員 そうしますと、小児についての投与は、機構としてはどのようにお考えでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 小児患者に対する本剤の安全性や推奨用法・用量等は現時点では明確ではないため、本剤の用法・用量は「通常、成人には」と記載するとともに、添付文書の小児等への投与の項で、小児患者を対象とした国内試験は実施していない旨を記載しています。
○杉部会長 大賀先生、それでよろしいですか。そのほか、いかがでしょうか。何かございますでしょうか。今回は、再生不良性貧血についての適応ということですが、よろしいですか。それでは議決に入ります。なお、飯島先生、代田先生におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題5に移ります。議題5について、機構から説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題5、資料5、医薬品ユルトミリス点滴静注300mgの製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。タブレットを御覧になる際は、資料5のフォルダを開き、★が付いている審査報告書のファイルをお開きください。
 発作性夜間ヘモグロビン尿症は、後天的な遺伝子の突然変異により赤血球表面上の終末補体制御因子が欠損し、慢性の血管内容血を主徴とする造血幹細胞疾患です。現在、発作性夜間ヘモグロビン尿症の治療薬として、国内ではエクリズマブ(遺伝子組換え)が使用されています。
 本薬は既承認のエクリズマブの重鎖の一部のアミノ酸を置換したヒト化モノクローナル抗体であり、エクリズマブと同様にヒト補体第5成分に結合して、その活性化を阻害します。本薬と補体第5成分が結合した複合体はピノサイトーシス後にエンドソーム内で乖離し、再び細胞外にリサイクルされることにより、本薬の終末補体阻害時間が、エクリズマブと比較して長くなるように設計された薬剤です。申請者は、発作性夜間ヘモグロビン尿症に対する治療の選択肢になり得るとして、本薬の開発に至りました。
 なお、本薬は、発作性夜間ヘモグロビン尿症を予定される効能・効果として、当部会での御審議を経て平成30年9月14日付けで希少疾病用医薬品に指定されています。
 海外では、本薬は2018年12月に米国で発作性夜間ヘモグロビン尿症に対する治療薬として承認されています。
 本品目の専門協議では、資料15に示す専門委員を指名しております。
 以下、本薬の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。主な臨床試験成績として、2つの臨床試験の成績が提出されています。1つ目の臨床試験は、補体阻害剤未治療の患者を対象とした国際共同第III相試験、2つ目の臨床試験は、エクリズマブ投与により血管内溶血が抑制されている患者を対象とした国際共同第III相試験です。
 有効性について、まず補体阻害剤未治療の患者を対象とした臨床試験における有効性について説明いたします。審査報告書の通し番号18ページの表17を御覧ください。この臨床試験では主要評価項目としてCo-primary endopointが設定されました。主要評価項目の1つは、「Day183までの濃厚赤血球(pRBC)輸血回避を達成した被験者の割合」、もう1つは、「Day29からDay183までの乳酸脱水素酵素(LDH)の正常化」です。両評価項目いずれも本薬群のエクリズマブ群に対する非劣性が検証されました。
 次に、エクリズマブ投与により血管内溶血が抑制されている患者を対象とした臨床試験における有効性について説明いたします。審査報告書の通し番号22ページの表23を御覧ください。この臨床試験の主要評価項目である「ベースラインからDay183までの乳酸脱水素酵素(LDH)変化率」について、本薬群のエクリズマブ群に対する非劣性が検証されました。
 安全性について、審査報告書の通し番号の30ページの表34を御覧ください。実施した2つの臨床試験の併合解析における有害事象について、全集団で本薬群とエクリズマブ群で有害事象の発現割合及び発現事象に大きな違いは認められませんでした。また、日本人症例数が限られていることに留意する必要はあるものの、全集団と比較して臨床上問題となる傾向は認められませんでした。
 本薬は、エクリズマブと同様に補体第5成分C5を阻害し、終末補体複合体C5b-9の生成を抑制するため、髄膜炎菌感染症のリスクがございます。そのため、エクリズマブと同様に、本薬についても発作性夜間ヘモグロビン尿症の診断、治療に精通し、本薬のリスク等についても十分に管理できる医師・医療機関のもとで、髄膜炎菌感染症の診断、治療に精通した医師との連携を取った上でのみ行われるよう、製造販売にあたって必要な措置を講じる必要があると考えました。また、国内での治験症例数が極めて限られていることから、製造販売後、全症例を対象に使用成績調査を実施し、本薬投与時の安全性情報等を早期に収集する必要があると考えました。したがって、これらの点については、審査報告書の通し番号3ページに記載しました承認条件を付すことが適切と判断しました。
 以上の審査の結果、発作性夜間ヘモグロビン尿症に対する本薬の有効性は示され、期待できるベネフィットを踏まえると、安全性は許容可能と考えられたことから、承認して差し支えないと判断し、本部会で御審議いただくことが適切と判断しました。本申請は、希少疾病用医薬品に指定されていることから、再審査期間は10年、生物由来製品に該当し、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しました。また、薬事分科会では報告を予定しています。御審議、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○杉部会長 それでは、委員の先生方から御質問、御意見は何かございますでしょうか。非常に希少な疾患ではありますが、いかがでしょうか。特に先生方からの御質問がなければ、議決に入りたいと思います。それでは、本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題6に移ります。機構から説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題6、資料6、医薬品ゾルトファイ配合注フレックスタッチの製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。タブレットの資料6のファイルをお開きいただき、審査報告書のファイルをお開きください。
 本剤は、Basalインスリンであるインスリン デグルデク(遺伝子組換え)とGLP-1受容体作動薬であるリラグルチド(遺伝子組換え)の2つの各注射剤の有効成分が、それぞれ1単位及び0.036mgの固定比率で配合された注射剤であり、50単位及び1.8mgまでの範囲で、患者の状態に応じながら用量調節が可能な製剤となっております。BasalインスリンとGLP-1受容体作動薬の併用療法については、2型糖尿病患者における治療として一般的に行われており、インスリン デグルデクは2012年9月、リラグルチドは2010年1月に承認され、その後リラグルチドについては、2014年8月に「2型糖尿病」の効能・効果を取得したときに、Basalインスリンを含むインスリン製剤との併用療法が承認されております。本配合剤の治療により、Basalインスリンのみの治療と比べて、少ないインスリン投与量で、かつリラグルチドのグルコース依存的な作用による食後血糖の抑制効果によって、血糖コントロールの改善等が期待されております。なお、本配合剤は2019年3月現在、米国及び欧州を含む世界58か国で承認されております。
 本品目の専門協議では、資料15に示す先生方を専門委員として指名させていただいております。
 以下、本配合剤の有効性及び安全性につきまして、臨床試験成績を中心に御説明させていただきます。
 有効性については、審査報告書の通し番号の14ページの表12を御覧ください。経口血糖降下薬による治療で十分な血糖コントロールが得られていない2型糖尿病患者を対象に、本配合剤を投与する4183試験において、1日インスリン投与量の上限を設定せず、患者の状態に応じてインスリン デグルデクの用量を調節して投与したインスリン デグルデク群に対する本配合剤群の非劣性、及びリラグルチド群に対する本配合剤の優越性が検討されました。その結果、表12にお示しするとおり、主要評価項目であるベースラインから投与52週時までのHbA1c変化量について、本配合剤投与のIDegLira群は、インスリン デグルデク投与のIDeg群に対して非劣性が示され、リラグルチド投与のLira群に対して優越性が示されました。
 また、審査報告書15ページの表13にある主な副次評価項目の結果について、本配合剤群では、インスリンデクルデク群と比較して投与52週時におけるインスリン投与量が少なく、平均食後血糖増加量の低下等も認められております。長期投与時の有効性については、同様に審査報告書15ページの先ほどの表の上にある図1に示すように、4183試験において、本配合剤における効果の持続性が確認されております。
 また、審査報告書17ページの表15を御覧ください。経口血糖降下薬とインスリン製剤との併用療法で十分な血糖コントロールが得られていない2型糖尿病患者を対象に、インスリン製剤から本配合剤に切り替えた4184試験におきまして、1日インスリン投与量の上限を50単位までとしたインスリン デグルデク群に対する本配合剤群の優越性が検討されました。その結果、主要評価項目であるベースラインから投与26週時までのHbA1c変化量について、本配合剤投与のIDegLira群は、インスリン デグルデク投与のIDeg群に対して優越性が示されました。また、審査報告書18ページの表16にある主な副次評価項目の結果について、本配合剤投与群ではインスリン デグルデク群と比較して、投与26週時におけるインスリン投与量が少なく、平均食後血糖増加量の低下等も4183試験と同様に認められております。なお、表16にあるインスリン投与量の「投与52週時」の記載については、「投与26週時」の誤りであるため、適切に修正させていただきます。
 続いて、安全性についてです。審査報告書23ページの下の段に示したように、低血糖や胃腸障害等の個別の事象について検討した結果から、適切な注意喚起等がなされることを前提とすれば、本剤の安全性は許容可能と判断いたしました。
 以上のとおり、機構での審議の結果、本配合剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で審議されることが適当と判断いたしました。本配合剤の再審査期間は4年、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。
○杉部会長 それでは、委員の先生方から御意見、御質問はございますでしょうか。森先生いかがですか。
○森委員 3点ほど質問させていただきます。まず、1点目ですが、この薬剤は米国と欧州で販売済みの薬剤で、添付文書等の情報が既に公開されていると思いますが、米国の添付文書で「1型糖尿病の患者の治療には使用しない」という注意喚起がされていると見たのですが、本日タブレットで出していただいている資料の資料6の「外国における使用状況等に関する資料」の米国の所。機構の方のほうが詳しいかもしれません。
○医薬品医療機器総合機構 4ページですね。
○森委員 そこに、「1型糖尿病の方の治療に使わない」という注意書きがわざわざ書いてあります。これは、恐らくビクトーザのときにはそのような注意がされていたのですが、今回はトレシーバとの合剤という位置付けですが、この治療薬を1型の方の治療に使用しないというように警告するような文章は今回の添付文書の中には入っていましたでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 1型糖尿病患者についての注意喚起については、具体的には添付文書の「禁忌」の2.3の項に1型糖尿病患者に本剤を投与すべきではない旨を記載しております。
○森委員 確認できました。2点目は、SU薬と併用する場合の注意喚起に関してです。スルホニルウレア薬を使っている日本人は多いのですが、その方々で効果不十分の方に、この注射薬を併用する場合には、SU薬の量もそのままでよくて、ゾルトファイの単位数も10ドーズでよいのか、どちらかを適切に調整して勘案すべきかという点の注意喚起はいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 同じく添付文書の2ページの「併用注意」の項に、他の糖尿病薬と同様の記載になりますが、本試験でもSU剤と併用する場合、低血糖が比較的多く認められたということで、その場合については「低血糖のリスクが増加するおそれがあるため、SU剤の減量を検討すること」と記載しております。
○森委員 どこに記載があるのでしたか。
○医薬品医療機器総合機構 2ページの10の「相互作用」の表の「臨床症状措置方法」の欄の下に記載があります。
○森委員 分かりました。SU薬の減量をすることが望ましいという注意喚起と理解してよろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 そうです。他の糖尿病薬と同様の注意喚起とさせていただいています。
○森委員 分かりました。3点目は、開始推奨量が10ドーズとなっていまして、これはインスリンのトレシーバ10単位分、ビクトーザ0.36mgの合わせたものが推奨量になっているのですが、日本ではトレシーバのインスリンの開始量は4単位から10単位というように幅があって、これはインスリンを使う患者は体重が40kgの方もいれば100kgの方もいるので、体格によっても変わってきますし、私ども通常インスリンの治療を開始する場合には、患者の体格のみならず、年齢、腎機能、またベースラインのHbA1cを考慮しています。今回の治験では平均8.2%ぐらいの方ですが、効果不十分の方というように用法を規定していますと、HbA1cが7%台の方でも、この薬剤を使用することが十分にあり得るので、それらの項目についても全くそれに関係なく、一律に10ドーズで使うということが書かれている点については、専門委員のときにも専門委員の先生方からも、「10ドーズの開始というのは慎重にすべきではないかという意見が出ている」という記載もありましたが、このままでよいのかという点について、機構はいかがお考えでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 その点についても、具体的に注意喚起をしております。添付文書の1ページの「用法及び用量に関する注意」の項を御覧ください。具体的には7.2の1)の項ですが、用法・用量については先生が御指摘のとおり、本剤については10ドーズから開始する旨記載しております。ただし、インスリン製剤以外の糖尿病薬による治療で効果不十分な患者に、本配合剤を投与すると低血糖のリスクも生じることから、患者の状態に応じて10ドーズ未満の低用量からの投与も考慮するなど慎重に投与を開始することという記載を添付文書上で注意喚起させていただいております。
○森委員 それは、どのような患者さんに慎重に投与しなくてはいけないのでしょうか。「患者の状態に応じて」という言葉で十分に尽くされているという理解でしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 この点については、専門協議の御意見等も踏まえて、インスリン製剤を使用していない患者、具体的には経口血糖降下薬又はGLP-1受容体作動薬を使用していても効果不十分な患者に、インスリンを含む本剤を初めて投与する患者に対して、10ドーズですと低血糖発現の恐れもあるので、10ドーズより低い、10ドーズ未満から慎重に投与してくださいとの注意喚起を記載させていただいております。
○森委員 申し訳ありませんが、もう1回初めから言ってください。
○医薬品医療機器総合機構 具体的にですが、10ドーズ未満の低用量から投与する患者については、経口血糖降下薬を使用しておりまして、効果不十分な患者、又はGLP-1受容体作動薬を使用して効果不十分な患者に初めてインスリンを含む本配合剤を投与する場合に、低血糖等の発現の恐れがあるので、10ドーズよりも低用量から投与を開始して、患者の状態に応じて慎重に投与する旨を注意喚起させていただいております。
○森委員 誤解がなければ、効果・効能の所では、食事・運動療法に加えて、糖尿病薬によって治療で効果不十分な方に使用を検討するわけですが、それらの方に使用する最初の開始用量を10ドーズと推奨されていますが、経口血糖降下薬で治療中の方で不十分な場合は10ドーズ未満から始めるようにとされているのでしょうか。今、このようにおっしゃいましたでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 基本的には10ドーズから開始するように、用法・用量を記載しておりますが、「用法及び用量に関連する注意」に記載があるとおり、10ドーズ未満の低用量から慎重に投与する対象について、この項に注意喚起しております。
○森委員 私がこのような質問をしていますのは、情報が公開されていないからなのです。と申しますのは、治験患者の平均HbA1cはもちろん開示されていますし、平均的な効果も分かるのですが、先ほど申し上げたように体重の少ない方、高齢の方、腎機能がやや悪い方、このような方々がどのぐらいのドーズを実際に使ってこの血糖コントロールを行われているのかに関して、層別化した情報が出ていないのです。あくまでも平均化されていて、10ドーズが妥当だというように言われているのですが、もし専門協議の際にそのような議論がされていて、そこで先生方が確認されているのであれば、是非そのようにお話していただきたいのですが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 4183試験が経口血糖降下薬で効果不十分な患者に対して本剤を投与した試験ということになりますが、審査報告書の36ページに、4183試験においてどのような開始用量で始めたのかの割合を提示しています。先ほどから御質問いただいているところの推奨開始用量から開始した被験者の割合は8割いたということでした。それよりも低用量から開始した被験者の割合は17.8%という結果でした。
 今提示できる情報としては、低用量から開始した理由についても、この審査報告書の同ページのもう少し下の所に記載していますが、系統的な情報というのは収集されていなかったのですが、治験責任医師のコメントからは、空腹時血糖値が低かったことが理由の1つとして挙げられたというところになります。
 先生からの御指摘としては、そういった理由がもし系統的に収集されていれば、そういった理由別で実際にどのような投与開始用量になっていて、その後の有効性及び安全性の管理としてはどうだったのかという話もあるかと思いますが、それらの情報の収集まではできていないということは確かなのですが、一方で開始用量別での、例えば6単位とか8単位とか、その辺りから始めた患者においてどういった有効性が得られたのか、どういった安全性が得られたのかという層別の結果については、提示することも可能だと思っています。
 そういったところを申請者に確認しまして、資材等で情報提供できないかということを検討させていただきたいと考えております。
○森委員 体重、年齢、腎機能はいかがなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 腎機能については、今回の試験については中等度以上の腎機能障害患者は除外されておりまして、腎機能が正常な患者と軽度の患者で、開始用量別ではないのですが層別し、そういった患者で有効性あるいは安全性について審査の段階で確認しておりました。その点については、特段注意喚起が必要となるような問題は認められなかったことを御報告させていただきます。
○杉部会長 年齢と体重はいかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 補足しますと、年齢に関しても層別の解析の結果は確認しておりまして、高齢者に関しては、開始用量とは別の話かもしれませんが、低血糖などの有害事象が高くなる傾向は確認しております。ただし、それは添付文書にも、これまでのインスリン製剤などとも同じように、高齢者の項で注意喚起をさせていただいております。
 体重に関しては、現状ではデータとしては持ち合わせておりませんので、申請者に確認するような形になると思います。その辺りを確認させていただいて、適切な情報を資材等を用いて提供させていただくような形で対応させていただきたいと考えますが、よろしいでしょうか。
○森委員 治験を行うということの限界だと思うのですが、臨床試験をなさる上で対象になる患者はどうしても65歳未満の方が中心になります。ただし、現在の我が国での糖尿病患者で、現に通院している患者の平均年齢は65歳を越えているのです。
 その中でインスリン製剤とGLP-1の合剤が発売されて、しかも中等度以上の腎臓障害の方に臨床試験を行っていないという現状で、この薬剤を発売するということで、どの程度注意喚起をすべきかということをよく考えておかないと、高齢の方、75歳の患者がこのインスリンを本当に10ドーズで使ってよいのか、体重が40kgぐらいの患者が本当にこの薬剤を10ドーズで使ってよいのかということを考えて添付文書を作らないと、日本国内で重症低血糖の発現がどのぐらい増えるのかを大変心配しているのです。
 表24を御覧いただくと分かると思うのですが、表24でこの治験薬を使用している4183試験で、低血糖が起こっている患者は65歳未満の方でも84.3%、65歳以上では94.9%もあるのです。ただし、これはいろいろな低血糖が含まれていますが、明らかにリラグルチド単独よりも低血糖が多いのです。重症低血糖の方が少ないという点は評価すべきですけれども、やはり用量を何単位で開始するかという点は本当に重要な問題で、臨床試験の限られた情報から広く使われるということを前提に単位数を設定しなければいけないので、もちろん添付文書では、患者の状態を見て減量してよいとされていますが、もう少し分かりやすくかみ砕いて説明すべきだと思いますし、また我が国ではトレシーバの開始用量は4単位から20単位とわざわざなっていて、少量から始めるように示されているのに、この合剤が10ドーズから始めてよいというのが、どうしても私は腑に落ちません。
 これは、やはり我が国で実際に使用してみて、実臨床で10ドーズがどのぐらいの患者にどう効くのかという点が、まだ結果的に不足しているのです。特に、クレアチニンが2台であったり、eGFRが30台だったりという腎機能低下の方に、実際に使ってみたというデータが全くない中で、10ドーズで使ってよいというように添付文書に記載するという根拠が私には理解できないです。
○医薬品医療機器総合機構 一般的に治験の段階では有効性及び安全性の評価という観点から、いわゆる特別な背景を有する方々の多くは除外されています。また、このような特別な背景を有する方が治験に組み入れられた場合であっても、これらの患者さんの例数が限られているところもあって、承認前の治験の段階では集められる情報には限界があります。
 その部分の限界について、全てを承認前に解決していくことは難しいと我々も考えております。超高齢者や腎機能の相当悪い方々に実施に使用してどうだったというところは、製造販売後の中でデータを収集し、その上で必要な注意喚起を見直していくという方法が現実的ではないかとは考えているところです。
○杉部会長 今の機構からの説明はよく分かるのですが、現実としてこういう注意喚起がないと、先生方はみんな10ドーズから使うということになってしまうのです。だから、森先生がおっしゃるように、そうすると副作用がかなり出るのではないかという懸念があります。前のプラザキサのときがそうでした。あれは震災があったので、その後の講演は駄目だということで、全部注意喚起がなくなりました。そしたら、夢のような薬だといわれていたので老人に結構使われました。その挙げ句、出血という合併症が多々出ましたから、ブルーレターが出たと思うのですが、それと同じような事象を森先生は心配されているのではないかと思うのです。それでよろしいですよね。
○森委員 患者の層別ごとに臨床試験の成績を丁寧に説明していただければ、実地の臨床の先生方も、その資料を参考に用量を決められると思いますので、現状の平均値のみの数値ではなく、もう少し細かな患者のバックグランドごとの情報を提示していただくと、減量の判断がしやすい。現状では判断しようがない情報しか載っていませんので、そのような丁寧な説明をお願いしたいと思います。以上です。
○杉部会長 機構としていかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 承知しました。コメントありがとうございました。懸念されるポイントとして、腎機能障害の有無、年齢といったところに関しては、先生からのコメントとして重々承りました。
 また、腎機能障害の有無での有効性及び安全性や、年齢の層別での結果については、審査の段階でも確認させていただいておりますが、今回の御指摘も踏まえて、今後の糖尿病領域の報告書に関しては、特別な患者集団として腎機能障害患者への影響や程度によって有効性及び安全性に及ぼす影響、また、年齢の影響は含めていくような方向で検討させていただきたいと思います。
 この剤に関しては、先生から御指摘いただいた点を踏まえて、年齢や腎機能に関してはある程度の結果はあるかもしれませんが、体重の部分も含めて、まず申請者のほうに確認したいと思います。それで、その結果をきっちりと現場へ提供できるような形で資材などを作成していただいて、添付文書に関しては、どういった形で反映できるかはまだ確定的なところはありませんが、もし何か反映できる箇所があれば反映できないかというのも検討させていただき、また森先生にも個別に御報告させていただきたいと考えていますが、よろしいでしょうか。
○杉部会長 それでは、処方の際の注意喚起をするということでお願いしたいと思います。そのほか、先生方から何かございますでしょうか。それでは、この件について議決に入りたいと思います。代田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。それでは、先ほどの注意喚起を促すということも含めて、本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、このまま承認を可としまして、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題7に移りたいと思います。機構から説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題7、資料7、医薬品ミニリンメルトOD錠25μg、同OD錠50μgの製造販売承認の可否等につきまして、機構より説明をさせていただきます。タブレットの資料7のフォルダーをお開きいただきまして、審査報告書をお開きください。審査報告書に各ページの一番下に付してございます全42ページの通し番号で3ページの上段、「1、起源又は発見の経緯及び外国における使用状況」の項を御覧ください。
 本剤の有効成分であるデスモプレシン酢酸塩水和物(以下、「本薬」)は、腎集合管のバソプレシンV受容体に作用し、水の再吸収を促進することで抗利尿作用を示す薬剤であり、本邦では「尿浸透圧あるいは尿比重の低下に伴う夜尿症」等の効能・効果で本剤より高含量のOD錠等が承認されております。今般、フェリングファーマ株式会社により、国内臨床試験成績等に基づき、夜間多尿による夜間頻尿に係る効能・効果で、本薬の25μg及び50μgのOD錠の医薬品製造販売承認申請がなされました。なお、国際禁制学会では、「夜間多尿」は24時間の尿排出量のうち夜間の割合が多い状態、「夜間頻尿」は夜間排尿のために1回以上起きなければならないという訴えと定義されております。
 本剤の審査に関し、専門委員として、資料15に記載されております委員を指名いたしました。本剤の審査の概略について、臨床試験成績を中心に説明をさせていただきます。
 有効性について御説明をいたします。本剤の開発におきましては、バソプレシンV受容体の発現量の性差に関する報告や、欧米では男女別で本効能における本剤の検証試験が実施され、男女で異なる用量が承認されたこと、国内前期第II相試験で、本薬の平均夜間排尿回数の変化量に及ぼす影響が男女で異なる傾向があったこと等から男性と女性の有効性をそれぞれ別試験で評価する開発計画がとられました。
 審査報告書の通し番号12~14ページ、「7.2.1.夜間多尿による夜間頻尿を有する男性患者を対象とした国内第III相試験(130試験)」の項を御覧ください。130試験は、夜間多尿による夜間頻尿を有する日本人男性患者を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験です。主要評価項目とされました3日間の排尿日誌に基づく一晩あたりの平均夜間排尿回数のベースラインから投与12週間の変化量(以下、「平均夜間排尿回数の変化量」)について、審査報告書の通し番号13ページの表11を御覧ください。プラセボ群に対する本薬25μg及び50μg群の優越性が検証されました。
 次に、審査報告書の通し番号14~15ページ、「7.2.2.夜間多尿による夜間頻尿を有する女性患者を対象とした国内第III相試験(129試験)」の項を御覧ください。129試験は、130試験と同様の夜間多尿による夜間頻尿を有する日本人女性患者を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験です。本薬25μgの1用量で検討され、主要評価項目である「平均夜間排尿回数の変化量」について、審査報告書通し番号15ページ、表13を御覧ください。本薬25μg群のプラセボ群に対する優越性は検証されませんでした。以上の結果を踏まえ、申請者は、本剤の投与対象は男性に限定する方針をとりました。
 機構は、129試験は、外国人女性を対象とした第III相試験や国内後期第II相試験を含む国内外の臨床試験の部分集団解析の結果や本薬の作用機序から本薬の効果が期待できる集団に限定して実施されたこと等を踏まえると、日本人女性患者で有効性が得られることの十分なエビデンスは提示されていないと判断せざるを得ないことから、今回は有効性が検証された男性患者に投与対象を制限することは妥当と判断いたしました。
 次に安全性につきまして、本薬の薬理作用や臨床試験での発現状況等から、本薬投与時に特に注意すべき事象として、低ナトリウム血症、うっ血性心不全が挙げられます。低ナトリウム血症につきまして、審査報告書の通し番号24~31ページ、「7.R.2.2.低ナトリウム血症(水中毒)に関連するリスクについて」の項を御覧ください。国内臨床試験では、血清ナトリウム値に関する投与制限等の種々の安全性を確保するための規定が設けられ、結果として、血清ナトリウム値の最低値が、海外の添付文書で本剤の投与中止の目安とされている135mmol/L未満となった症例が一定の割合で認められましたが、本薬25μg群及び本薬50μg群のいずれも重大な転帰をたどった症例はありませんでした。
 以上を踏まえ、機構は、本剤の製造販売にあたっては、臨床試験でのリスク最小化策に劣らない、血清ナトリウム値の測定規定を含めた注意喚起を行い、それを遵守すれば、男性患者に本薬25μg及び50μgを投与した際の血清ナトリウム値低下に関するリスクは、いずれも管理可能と判断いたしました。また、これらの注意喚起につきましては、添付文書への記載に加え、医療従事者及び患者向け資材をそれぞれ作成し、理解と遵守の徹底を促す必要があると判断いたしました。
 次に、うっ血性心不全につきまして、審査報告書の通し番号31~32ページ、「7.R.2.3.うっ血性心不全について」の項を御覧ください。国内臨床試験での発現は認められなかったものの、海外で本薬との因果関係が否定できない心不全が報告されており、本薬の作用機序からも本剤はうっ血性心不全を疑わせる症状の発現に注意して使用されるべきであることから、添付文書での適切な注意喚起が必要と判断いたしました。
 審査報告書通し番号32~33ページ、「7.R.3.用法・用量について」の項を御覧ください。国内臨床試験の解析で、低ナトリウム血症の関連事象の発現割合は25μg群と比較しまして50μg群で高い結果でしたが、安全性の検討で述べましたように、低ナトリウム血症を含めた有害事象のリスクは、使用上の注意の遵守により、いずれの用量投与下でも管理可能と判断でき、130試験において25μg群と比較して、50μg群で平均夜間排尿回数のベースラインからの変化量が大きい値であったことから、本薬の通常の開始用量は50μgとして医療現場に提供することが適切と判断いたしました。ただし、低ナトリウム血症の発現リスクが高いと考えられる患者に対する選択肢として25μgを提供することは妥当であり、現状、低ナトリウム血症の発現リスクが高いと考えられる高齢、低体重や、血清ナトリウム値や心機能の状態から、25μgからの開始を考慮する旨を添付文書に記載して注意喚起を行うことが適切と判断いたしました。
 以上の審査の結果、本剤を「男性における夜間多尿による夜間頻尿」の効能・効果にて承認して差し支えないとの結論に達し、本部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本剤の再審査期間は4年、また、本剤は生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、製剤は劇薬に該当と判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。
 なお、審査報告書に誤記がございましたので訂正をさせていただきます。審査報告書の通し番号で3ページ「1、起源又は発見の経緯及び外国における使用状況」の項を御覧ください。そちらの項の最後の段落、「以上の状況も踏まえ」で始まる一文を御覧ください。本申請が医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請である旨記載しておりますが、本申請は、新規の製剤である25μg、50μgOD錠の申請であることから、正しくは医薬品製造販売承認申請に該当いたします。本修正について、審査への影響がないことを確認しております。大変失礼いたしました。以上でございます。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○杉部会長 ありがとうございました。ただいまの御説明について、何か先生方、委員の方から御質問、御意見ございますでしょうか。特にございませんか。
○長島委員 男性だけに限定されているのは海外でもあるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。本剤につきましては、海外では男性、女性ともに承認されているという状況でございます。
○長島委員 日本人女性患者で有意差が出なかった原因としては何が考えられるのでしょう。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。明確な原因についてはどうしても確定が難しいという状況でございます。説明の途中でも少し触れさせていただいたのですけれども、本開発におきましては、男性と女性の患者さんでの有効性を別の臨床試験で検証するという開発の方針が取られております。その方針をとる理由の一つが国内前期第II相試験の結果でございました。その後実施された国内後期第II相試験は、海外の第III相試験と同じ患者集団で実施されましたが、その結果として日本人の女性の患者さんには望ましい結果が得られなかったということで、今回の適応である夜間多尿を有する、つまり夜間の尿量が多い患者に対象をしぼって第III相試験が実施された経緯がございます。その試験でも期待した結果が得られず、本剤の薬理作用から効きやすい人を選んでも効いていないという状況です。どういった理由で日本人の女性患者だけが有効性が検証されなかったのかという点は、申請者が検討しているという状況でございます。
○長島委員 明確な理由は分からないけれども、今回、有意差が出なかったから認めるわけにはいかないと。
○医薬品医療機器総合機構 はい。そのような判断でございます。加えて、本剤には大きなリスクも伴っているということで、リスクベネフィットのバランスから、効能・効果に女性の適応を今回、認めることは難しいという判断をいたしました。
○杉部会長 よろしいでしょうか。そのほかに何か御質問ございますでしょうか。それでは、低ナトリウム血症と心不全を注意喚起するということで、この議決に入りたいと思います。本議題につきまして承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。承認を可といたしまして薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは議題8に移りたいと思います。機構のほうから議題8について、これは審議事項でよろしいのですね。では、よろしくお願いいたします。
                                  (柴田委員退室)
○医薬品医療機器総合機構 議題8、資料8、医薬品デファイテリオ静注200mgにつきまして、医薬品医療機器総合機構より説明させていただきます。タブレットは資料8のフォルダを開き、審査報告書のファイルをお開きください。肝類洞閉塞症候群は肝中心静脈閉塞症(VOD)とも呼ばれ、主に造血幹細胞移植前の骨髄破壊的前処置(化学療法、前放射線照射等)により、肝類洞内皮細胞が傷害され、肝類洞の狭小化、血流停滞、凝固能亢進による血栓形成や肝類洞の繊維化が進行することで、肝類洞が閉塞する疾患であり、重症例では多臓器不全を続発し、死亡に至ります。
 本剤の有効成分であるデフィブロチドナトリウムは、ブタ腸粘膜由来のポリデオキシヌクレオチドナトリウムであり、作用機序は明確ではないものの、肝類洞内皮細胞の傷害や血栓形成を抑制することにより、VODの悪化に対して抑制的に作用する可能性が示されており、2013年に欧州、2016年に米国で「造血幹細胞移植後の多臓器不全を伴う重症肝類洞閉塞症候群」の治療薬として承認され、2019年3月時点で35の国又は地域で承認されています。
 本邦では、VODに対する既承認薬はなく、本剤は「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、医療上の必要性が高いと評価され、申請者に開発要請が行われたものです。今般、国内外の臨床試験成績等に基づき、製造販売承認申請が行われました。なお、本剤は、肝類洞閉塞症候群(肝中心静脈閉塞症)の適応症について、希少疾病用医薬品に指定されています。
 本品目の審査の概略について、臨床試験成績を中心に説明いたします。有効性について、審査報告書通し番号32ページ表29を御覧ください。造血幹細胞移植後の重症VOD患者を対象に、ヒストリカルコントロールを対照とした非盲検海外第III相試験が実施された結果、主要評価項目である造血幹細胞移植後100日目の生存率について、本剤群とヒストリカルコントロール群の間に有意差が認められました。
 また、審査報告書通し番号で29ページの最後の段落を御覧ください。国内において造血幹細胞移植後のVOD患者19例を対象に非盲検、非対照試験が実施された結果、主要評価項目である造血幹細胞移植後100日目の生存率の点推定値が事前に規定された閾値を上回ったこと、及び主要評価項目以外の有効性評価も含め、海外第III相試験の本剤群の有効性の成績と大きな違いがなかったこと等から日本人患者における本剤の有効性は示唆されているものと判断いたしました。
 次に、安全性について御説明いたします。審査報告書47ページ以降を御覧ください。国内外の臨床試験では、出血に関連する有害事象が多く認められたことから、本剤の投与中は、出血の発現に十分注意するよう添付文書で注意喚起することが適切と判断しております。また、低血圧等の発現状況も確認し、本剤によるリスクを評価した結果、認められた有効性を考慮すると本剤の安全性は許容可能と判断いたしました。
 続いて、効能・効果について御説明いたします。造血幹細胞移植を伴わないVODについて、審査報告書、通し番号で42ページの中段を御覧ください。VODは化学療法や放射線照射による治療後にも発症することが知られており、その発症機序や病態に造血幹細胞移植の実施の有無による根本的な違いはないと考えられ、本剤の想定される作用機除から本剤が有効であると推定できること、適切な対照群を設定した臨床試験成績はないものの、造血幹細胞移植を伴わないVOD患者に本剤を投与した海外臨床試験の成績からも、造血幹細胞移植後のVOD患者と大きく異ならない有効性と安全性が期待できることから、造血幹細胞移植の実施の有無によらず、VODと診断された症例であれば、本剤の投与対象に含めることが適当と判断いたしました。
 また、非重症VODについて、審査報告書、通し番号で43ページを御覧ください。非重症のVODであっても早期に重症化する症例が存在することから、重症化するまで本剤を投与できない状況は避けることが適切であり、欧米のガイドラインの記載等も踏まえ、十分な知識・経験を持つ医師が重症化する可能性があると判断した場合に使用できるよう規定した上で、効能・効果を重症VODに限定しないことが適当と判断いたしました。
 製造販売後調査については、本剤投与時の安全性、抗凝固薬・抗血小板薬との併用時の安全性等に関する情報を収集する、全投与症例を対象とした使用成績調査を実施することを承認条件とすることが適切と判断しております。
 以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、当部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。
 本剤は希少疾病用医薬品であることから再審査期間は10年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は毒薬・劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○杉部会長 ありがとうございました。柴田先生におかれましては利益相反に関する申出に基づきまして、この審議の間、別室で御待機いただいております。それでは、今の機構からの御説明に関して、何か御意見、御質問ございますでしょうか。よろしゅうございますか。これは前回も出た案件に近いですね。適用を変えたというところでございますが、いかがでしょうか。特に御意見なければ、議決に入りたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので承認を可として、薬事分科会に報告させていただきます。別室で待機されている柴田先生に入っていただいてください。
                                  (柴田委員入室)
○杉部会長 それでは、議題9に移りたいと思います。議題9について事務局から概要の説明をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。議題9、資料9、アフリベルセプト(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。資料9のフォルダを開いていただき、2つ目のファイルの「希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書」のファイルをお開きください。こちらは報告書になりますが、報告書1ページ中段にあるとおり、申請者はバイエル薬品株式会社、予定される効能・効果は「血管新生緑内障」です。希少疾病用医薬品指定には3要件ございますので、3要件を順に御説明いたします。
 まず、1つ目の対象患者数について御説明いたします。本邦における糖尿病患者数は329万人と報告されておりまして、糖尿病患者のうち増殖糖尿病網膜症を原因疾患とする血管新生緑内障の有病率は約0.5%と推定をされております。一方で、増殖糖尿病網膜症は血管新生緑内障の原因疾患の69~86%を占めることが報告されていることから、本邦における血管新生緑内障の患者数は1万9,000人から2万3,000人と推定されます。以上より対象患者数の基準を満たしているものと考えております。
 次に2ページです。医療上の必要性について、御説明いたします。血管新生緑内障は前眼部の虹彩及び隅角に新生血管が形成され、房水の排出が阻害されることにより眼圧が上昇する続発緑内障でして、失明に至る場合がございます。本邦においては、その遠因となっている網膜虚血に対する治療が実施され、網膜虚血に対する治療としては汎網膜光凝固術が行われているものの、新生血管の退縮に一定の時間を要し、速やかな眼圧下降作用が得られない場合があります。また眼圧降下剤による治療が実施されているものの、既存の眼圧降下剤の作用機序は新生血管の退縮ではないことから、眼圧降下剤の使用による眼圧コントロールには限界がございます。
 本剤は、VEGF阻害剤でして、直接VEGFに結合し、新生血管の形成を抑制すると考えられており、速やかな新生血管の退縮とそれに伴う眼圧下降が期待されております。以上より、2つ目の要件の医療上の必要性が高いと考えております。
 最後に、2ページ下段の「開発の可能性について」御説明いたします。血管新生緑内障患者を対象とした本剤の国内第III相試験が実施されておりまして、眼圧低下量は大きい傾向は本剤群で認められたものの、優越性が示されませんでした。○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○血管新生緑内障患者に対する有効性及び安全性を検討することを目的とした追加の試験を実施しております。以上より「開発の可能性」は高いと考えております。
 したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○杉部会長 委員の先生方から御質問、御意見ございますでしょうか。非常に希少な患者群となりますが、いかがでしょうか。特に御意見ございませんでしょうか。それでは議決に入りたいと思いますが、よろしゅうございますか。それでは代田委員におかれましては利益相反に関する申出に基づいて、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは指定を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは報告事項に移りたいと思います。事務局から説明をお願いします。
○事務局 事務局でございます。報告議題の1つ目、レパーサ皮下注140mgシリンジ、同皮下注140mgペン及び同皮下注420mgオートミニドーザーの製造販売承認事項一部変更承認について、報告いたします。資料10です。本剤は、LDL受容体の分解に関与しますPCSK9に対するヒト型IgG2モノクローナル抗体であるエボロクマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする注射剤です。本邦では、2016年に心血管イベントリスクが高く、スタチンで効果不十分な家族性高コレステロール血症及び高コレステロール血症に係る効能・効果で承認されております。
 今般、アステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社より、心血管イベントリスクが高く、スタチンによる治療が適さない家族性高コレステロール血症及び高コレステロール血症に係る効能・効果を追加する医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。
 こちらの報告書にございますとおり医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本申請を承認して差支えないと判断しております。以上でございます。
○杉部会長 では1つずつでよろしいですね。今の報告事項に対して、何か先生から御質問、御意見ございますでしょうか。特にないようでございましたら、報告事項の議題1については御確認いただいたものといたします。それでは事務局から引き続きお願いいたします。
○事務局 資料13、「その他議題」のフォルダをお開きいただき、「最適使用推進ガイドライン」のファイルをお開きください。今般、エボロクマブ(遺伝子組換え)の効能・効果の追加に伴う最適使用推進ガイドラインの改訂案を作成しておりますので、その改訂内容について御説明いたします。3ページの「1.はじめに」を御覧ください。改訂の対象の品目は、レパーサ皮下注140mgシリンジ、同皮下注140mgペン及び同皮下注420mgオートミニドーザーであり、HMG-CoA還元酵素阻害剤による治療が適さない患者に対しての効能・効果の追加を行う予定です。
 10ページから、今回の効能・効果の追加に係る臨床試験の成績を追加しております。13ページからは、心血管系疾患患者を対象とした心血管イベント抑制を評価した国際共同第III相試験(20110118試験)の成績を追加しております。
 17ページ、「5.投与対象となる患者」において、今回効能・効果に追加される予定のスタチンによる治療が適さない患者について、「「マル1副作用の既往等によりスタチンの使用が困難であること。」「マル2スタチンの使用が禁忌とされていること。」のいずれかに該当すること。なお、特定のスタチンの使用のみが困難な場合又は特定のスタチンの禁忌にのみ該当する場合には、他のスタチンの投与可能性も十分に検討すること。」と示しております。
 次に19ページ、「6.投与に際して留意すべき事項」の「マル2投与方法について」、今回スタチンの治療が適さない患者に対象を拡大することに伴い、「スタチンの投与が適さない場合を除き、スタチンと併用すること」に改訂を行う予定です。
 最適使用推進ガイドライン改訂内容案の説明は以上となります。
○杉部会長 それでは引き続いて報告事項の議題2及び議題3について事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。報告事項議題2、議題3続けて御説明いたします。まず議題2、資料11、医療用医薬品の承認条件について、事務局より御説明いたします。資料は報告議題でまとまっているフォルダの11番の資料です。2ページ、承認条件に係る評価報告書を御覧ください。今回は「メサドン塩酸」を有効成分とする医薬品メサペイン錠5mgほかの承認条件に係る報告となります。本剤は、平成24年9月に「他の強オピオイド鎮痛剤で治療困難な中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛」の効能・効果が承認され、その際、この2ページの下線部に記載しております承認条件が付されております。この度、帝國製薬株式会社から、医薬品の使用条件の設定に対する考察及び対応に関する報告書が提出され、機構において評価されましたので報告いたします。
 2ページ、「2.1.製造販売後調査の結果」を御覧ください。本調査は、平成25年3月25日から開始され、平成27年12月31日までに本剤が投与を開始され、かつ平成29年8月31日までに本調査に登録された症例821例のうち、調査票が固定された629例の情報がまとめられております。安全性について、3ページ「2.1.3.安全性」に記載しているとおり、本調査における副作用の発現状況は、承認時までの臨床試験と比較して大きな違いはないと考えることから、現時点で更なる注意喚起は不要と考えるが、今後も副作用の発現状況を注視し、添付文書の改訂及び安全確保措置の必要性について検討すると説明されております。
 続いて有効性については、4ページ「2.1.4.有効性」に記載されております。本調査における有効性は、他の強オピオイド鎮痛剤から本剤への切替えの成否で評価することとされておりまして、切替えが完了した症例の割合が84%であり、使用実態下においても治験で得られた成績と同程度であることが確認された旨、説明しております。
 5ページ、IIIの総合評価です。機構は、提出された資料から、承認条件は対応されたものと判断されております。以上を踏まえて承認条件は満たされているものと判断をしております。
 続いて、報告事項の議題3になる医療用医薬品の再審査結果について、こちらは資料12-1~12-3までにまとめております。資料12-1についてはリラグルチド(遺伝子組換え)、販売名は「ビクトーザ」、資料12-2が有効成分「ラメルテオン」、販売名「ロゼレム錠8mg」。資料12-3、こちらは「プレカバリン」でして、販売名が「リリカカプセル」と「同OD錠」となっております。これらの品目については、製造販売後の使用成績調査、特定使用生成調査及び製造販売後臨床試験に基づいて再審査申請が行われまして、審査の結果、医薬品・医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、即ち効能・効果、用法・用量等の承認事項について、変更の必要がない「カテゴリー1」と判定されております。以上、事務局より御報告いたします。
○杉部会長 委員の先生方から今の議題2及び議題3について、何か御質問、御意見、ございますでしょうか。それでは特に御質問はないようですから、報告事項の議題2及び議題3については御確認いただいたものといたします。本日の議題は以上のとおりでございますが、事務局から何か追加ございますでしょうか。
○事務局 事務局でございます。2月の本部会で御指摘を頂いておりましたコンサータ錠の流通管理について、その後の検討経過を御報告いたしたいと思います。最初のフォルダに戻っていただき、当日配布資料、コンサータ錠の流通管理についてとある一番上のファイルです。まず1ページです。コンサータ錠については、現在、AD/HDの効能・効果に対し製造販売承認を得ているところであり、承認に際して、医師登録や第三者委員会の設置等の流通管理を行っております。しかしながら、登録医による営利目的での不正譲渡等の事例が判明しておりまして、2月の本部会のビバンセの審議の際に、コンサータ錠についても流通管理を強化する必要があると御指摘を頂いておりました。以上を踏まえて、コンサータ錠について承認条件を変更して、ビバンセと同様の流通管理策の強化を行いたいと考えております。
 変更の概要について説明いたしたいので、2ページの上段の表を御覧ください。こちらはビバンセと同様に、医師の登録要件の変更、医師、調材責任者の登録更新制度の導入、さらに、表の一番下にございます患者登録制度の導入を新たに実施したいと考えております。こちらは下段に経過措置について記載がございますが、ビバンセと異なりまして、コンサータについては、現在処方されている医師や服用されている患者さんがいらっしゃるので、経過措置について併せて設定をしたいと考えております。
 新しい措置については、2019年12月1日より開始されますが、それ以前にコンサータ錠を処方している医師については2020年6月30日までは現行のルールの下で処方することができますが、翌7月1日以降は現行のルールで処方をすることができなくなります。また、現在服用されている患者さんについては、2020年12月31日までは登録なしでの服用が可能ですが、2021年1月1日以降は登録をしていただき、服用していただくことになります。
 以上の方向で進めてまいりたいと考えております。なお、今後ですが、関係学会等とも調整をした上で変更したいと思いますので、時期が見えないところでございますが、6月~7月めどで今回の変更を行いたいと考えております。以上、御報告いたします。
○杉部会長 今年の2月に行われた、この第一部会で議論が行われたところをこのように実行するという形にしていただいたと思います。先生方から何か御意見ございますでしょうか。それではなければこのコンサータ、本日の話題ですが、コンサータ錠の流通管理については、御確認いただいたということにしたいと思います。ありがとうございました。事務局からそのほか何か報告はありますか。
○事務局 ありがとうございました。次回の部会は8月1日(木)午後5時から開催予定ですので、よろしくお願いいたします。
○杉部会長 本日はこれで終了にしたいと思います。長い時間御参加いただきまして、本当にありがとうございました。
( 了 )
 
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局 

医薬品審査管理課 課長補佐 荒木(内線2746)