地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会(第2回)議事録

日時

令和元年5月28日(火) 15:00~17:30

場所

TKP 赤坂駅カンファレンスセンター ホール13A(13階)

出席者

構成員(敬称略・五十音順)

・池田 昌弘   NPO法人全国コミュニティライフサポートセンター 理事長
・大原 裕介   社会福祉法人ゆうゆう 理事長
・加藤 恵    社会福祉法人半田市社会福祉協議会半田市障がい者相談支援センター センター長
・助川 未枝保    船橋市三山・田喜野井地域包括支援センター センター長
・立岡 学      一般社団法人パーソナルサポートセンター 業務執行常務理事
・田中 滋    埼玉県立大学 理事長、慶應義塾大学 名誉教授
・野澤 和弘     毎日新聞 論説委員 
・堀田 聰子       慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科 教授
・知久 清志         埼玉県福祉部長
・平川 則男         日本労働組合総連合会 総合政策局長
・本郷谷 健次    千葉県松戸市長
・宮本 太郎         中央大学法学部 教授
・室田 信一     首都大学東京人文社会学部人間社会学科 准教授

参考人(敬称略・五十音順)

・勝部 麗子   
社会福祉法人豊中市社会福祉協議会
・宮間 恵美子    松戸市市民部 市民自治課長
・正野 潔    たつの市健康福祉部地域包括支援課 総合相談支援係長


 

議題

(1)関係者からのヒアリング
(2)論点に関する議論

議事

○藤野地域福祉課課長補佐 定刻になりましたので、ただいまより第2回「地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会」を開催いたします。
皆様におかれましては、大変お忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございます。
初めに、本日は前回欠席されました堀田聰子構成員が御出席されますが、おくれて到着される見込みです。あらかじめ御紹介させていただきます。
また、本日、野澤構成員については出席予定でしたが、急遽欠席との御連絡をいただいております。
続きまして、本日のヒアリングを御快諾いただいた参考人の皆様を御紹介いたします。
最初に、社会福祉法人豊中市社会福祉協議会福祉推進室長の勝部麗子参考人ですが、10分程度おくれるとの連絡が入ってきております。
松戸市市民部市民自治課長の宮間恵美子参考人です。
たつの市健康福祉部地域包括課総合相談支援係長の正野潔参考人です。
続きまして、資料の御確認です。本日の資料ですが、全部で7点ございます。上から順に、まず議事次第、次に座席表がございまして、資料1「事務局提出資料(新たな福祉政策のアプローチ(案)について)」、資料2「御議論いただきたい論点」、資料3-1「勝部参考人提出資料」、資料3-2「宮間参考人提出資料」、資料3-3「正野参考人提出資料」、さらに参考資料1といたしまして本検討会の構成員の名簿をつけさせていただいております。御確認をお願いいたします。
それでは、ここからの議事運営について、宮本座長にお願いしたいと存じます。
カメラの方々は、これで御退室をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
○宮本座長 それでは、第2回の検討会を始めさせていただきます。
皆様、お忙しいところ、お集まりいただき、大変ありがとうございます。
事務局も会議が大変多くて、会場の確保に大変なようでございまして、きょうも立派な会場を押さえていただきましたけれども、なかなか見つけにくいところでもあって、迷われた方も多かったのではないかと思います。私も、ここに来るらしい方の後ろを歩いて、何とかたどり着いた次第でございます。
まず、議題(1)関係者からのヒアリングとして、また勝部さんは到着されておりませんけれども、3人の方に出席をしていただいておるということで、後にお話しをいただくわけですが、その前に事務局のほうから、資料1、資料2について説明をしていただこうかと思います。その後で、参考人の方から10~15分程度でお話しをいただくことにして、その後、お三方のお話しを伺った上で、まとめて質疑応答をしていきたいと思います。
それでは、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○野﨑生活困窮者自立支援室長 生活困窮者自立支援室長の野﨑です。よろしくお願いいたします。
私のほうから、資料1と2につきまして、続けて御説明申し上げたいと思います。
まず、資料1でございますけれども、1ページおめくりいただきまして、この資料は新たな福祉政策のアプローチとしてこういうことが必要なのではないかということについて、この時点で事務局としての考え方を一旦整理したものということです。なので、本日の議論ももちろんですが、これから検討会での議論を進めていく中で、当然ブラッシュアップしていくという位置づけのものですので、きょうの御議論の中でも、忌憚のない御意見をいただければと考えております。
そういう前提のもとで、資料について御説明をしますけれども、1ページですが、これまでの社会福祉政策の枠組みと課題ということで、1つ目の○ですけれども、人生において典型的と考えられるリスクや課題を想定し、個々のリスク・課題の解決を目的として特に現金・現物給付を行うという基本的なアプローチのもとで、公的福祉サービスの量的な拡大、質的な発展を達成し、経済的な意味での生活保障やセーフティーネットの確保が進展した。
一方で、専門性は高まったけれども、対象者別の仕組みとなったために、8050問題のような複合的なニーズに柔軟に対応できない。あるいは、人生を通じて一貫した支援が受けられないといった課題が指摘されているということです。
このような社会福祉政策の課題とあわせて、下にありますが、個人を取り巻く環境も大きく変化をしている。真ん中の社会の変化のところから見ていただければと思いますが、前回も御紹介したように、家族や地域、職場といったそれぞれの文脈で共同体機能が低下している。また、その経済環境も従来のような、30年前のような高度経済成長ということはなくて成熟化しているとか、雇用慣行も変化をしているということです。
それと軌を一にしてというか、並行して、左側にあります個人が抱える生きづらさやリスクが多様化し、複雑化しているのではないか。例えば、社会的孤立(関係性の貧困)が社会課題化しているという問題とか、あるいは複合的な課題や人生を通じてさまざま複雑化していく課題に対して、それが顕在化してきている。
このような課題は、かつて共同体、家族の機能がそれなりにしっかりあったときには、家族の中で受けとめられていた、家族というか共同体がある種、保護膜のように機能することによって守られてきた側面もあるのでしょうけれども、それが今、共同体の機能が弱体化している中で、このようなリスクに個人が直接さらされるということが各種支援の現場から指摘いただいているのではないかと考えております。また、雇用を通じた生活保障の低下も並行して起こっている。
このような生きづらさやリスクの多様化・複雑化ということと同時に、右側ですけれども、社会の変化に伴って、個人の価値観・ライフスタイルも多様化しているのではないか。
1番目に書いてあるのは、経済的な豊かさというよりも、むしろ他者や自然とつながりながら生きていく。そこに豊かさを追求していく、特に若い世代が生まれてきているとか、労働の形態、働き方の多様化といったもの、つまりライフスタイルが変わってきているという変化も見られる。
このようなことを踏まえると、元来、個人の人生は多様かつ複雑なのですが、近年、その多様化・複雑化が一層進んでいると言えるのではないか。
そのように考えると、社会福祉政策においてこれまで典型的なアプローチであった典型的なリスクに対応する従来の枠組みを園長・拡充していく、もちろん拡充していくということは必要なのですが、それのみでは対応に限界があるのではないかというのが2点目です。
もう一つ、このようなことを踏まえると、一人一人が課題を抱えながらも自律的な生、生きていくということを継続していくことを支援する機能を強化していくことが求められるのではないかと、まず課題設定をさせていただいております。
2ページに行っていただきまして、このような自律的な生の継続を支援していく機能を強化していく中で、一つ、2ページでまとめさせていただいておりますのは、主に専門職による対人支援のアプローチとして、今後、このあたりを強化していくべきではないかということをまとめさせていただいております。
左側ですけれども、一つは具体的な課題解決を目的とするアプローチが両輪の一つではないかと考えておりまして、その具体的内容は、本人が有する特定の課題を解決することを目的とし、それぞれの属性や課題に対応するための支援、特に現金・現物給付を重視した制度設計、また、このような支援の手法というのは、本人の抱える課題や必要な対応が明らかな場合には特に有効ということです。
先ほど申し上げた従来の社会福祉政策のアプローチというものは、どちらかというとこの具体的な課題解決を目的とするアプローチに少し寄っていたというか、そこに重点が置かれていたのではないか。
一方で、先ほど申し上げたように、さまざまな社会の変化で個人の取り巻く環境が変わっている。そして、また共同体機能が弱まっているということを踏まえると、左側のような具体的な課題解決を目的とするアプローチだけではなく、右側にありますようなつながり続けるということを目的とするアプローチもあわせて講じていく、これらを両輪として機能させていくことが必要ではないかということです。
つながり続けることを目的とするアプローチの中身ですけれども、本人と支援者が継続的につながっていくことを目的とする。また、暮らし全体と人生の時間軸を捉え、本人と支援者が継続的につながり、かかわるための相談支援、いわば手続的給付を重視した制度設計となるということです。
このような暮らし全体と人生の時間軸を捉えた支援というのは、かつては家族の機能の一部としてあったものですが、そこが弱まっているということで、専門的支援の中にもこのような要素が必要なのではないかということ。
最後にありますけれども、このような支援がどういう場合に有効かということを考えると、生きづらさの背景が明らかでない場合、あるいは8050問題などに見られるように、課題が複合化し、御本人のエンパワーメントが必要な場合や、ライフステージの変化に応じた柔軟な支援が必要な場合に特に有効と考えられるのではないか。
このような専門的な支援を両輪として進めていく必要があると考えるわけですが、一方で、両方に共通するものとして今後必要ではないかと考えているのが、青いところで書いていますが「本人を中心として、“伴走”する意識」ということです。
例えば、具体的な課題解決を目的とするアプローチの中にも、サービスにつないでそれで終わりということではなくて、むしろ伴走の意識を持ちながら、本人と継続的にかかわっていくという意識は、これからどちらのアプローチ、両輪のどちらにも求められていくのではないかということを我々としては考えております。
最後のまとめですけれども、いずれにしましても、個人が自律的な生を継続できるよう、本人の意向や取り巻く状況にあわせ、今、申し上げた両輪の2つのアプローチを組み合わせていくことが必要なのではないかということが2ページ目です。
3ページ目については、1ページ目で申し上げたような今後強化が必要な機能を確保し、セーフティーネットを構築していく上で必要と考えられる要素をまとめたものです。
まず、最初に、左上にありますけれども、主に専門職による伴走支援を念頭に置いておりますが、一人一人が多様で複雑な問題に面しながらも、生きていこうとする力を高めるエンパワーメントの機能と、自律的な生を支えていくという支援と、もう一つは、支える、支えられるという一方向の関係性ではなく、支援者と本人が支援の中で人として出会うことで互いに学び合い、変化する。このあたりは、ソーシャルワークあるいはケアとは何かという議論の中でも触れられていて、支援者、被支援者という関係ではなく、人間として出会い、その中で支援者も成長していくという考え方が述べられているということを簡単にまとめさせていただいたものでございます。
これは専門職による伴走支援なのですが、一方、右側を見ていただくと、一人一人の人生、生活が多様かつ複雑であることを踏まえれば、一人一人が社会にかかわっていく経路は多様であることが当然望ましく、それを想定すると、専門職による伴走支援のみがその経路であるということは適切ではないのではないかということで、むしろ、地域の実践を見ると、専門職がかかわる中で、地域住民が出会い、お互いを知る場や学び合う機会を通じて、徐々に住民同士のケア・支え合う関係性が生じ、広がっているというような事例が見られているのではないかということです。
下になりますけれども、以上をまとめると、セーフティーネットを構築していくことを考えていく、あるいは目指していくことを考えれば、一つの前提としては、人と人とのつながりそのものがセーフティーネットの基礎となる。それを考えていくときに2つの要素があるのではないか。
1つ目は、地域における出会い、学びの場をつくり出し、多様なつながり、参加の機会が確保されることで、住民同士のケア・支え合う関係性が生まれていくということ。
もう一つが、専門職による伴走支援の普及あるいは地域に開かれた福祉の実践によって、個人と地域、社会とのつながりが回復し、社会的包摂を実現していく。
この2つのアプローチを重ね合わせていくことで、さまざまな関係性が重なりあい、そしてまたその関係性同士がつながっていくことで、地域におけるセーフティーネットが充実していくのではないかと考えています。
最後になりますけれども、次回以降、制度設計の議論もしていただくわけですが、その中でもセーフティーネットを構成する一つである多様なつながりが生まれやすくするための環境整備を行うという観点と、もう一つが、専門職等の伴走により、コミュニティーにつなぎ戻していく社会的包摂の観点の2つを念頭に置きながら議論を進めていく必要があるのではないかということで、このページをまとめています。
最後のページですけれども、こういった今、申し上げたようなことを少し俯瞰して整理したものです。今、申し上げたようなアプローチを考えていくと、つまり国民一人一人が課題を抱えながらも自律的な生を継続していく。それを支援していく上では、自助・互助・共助・公助といった、これまでの役割分担論に基づくものではなくて、むしろ市場ないし準市場の機能を生かした福祉サービスなどの提供を通じた保障と、2番目にある共同体・コミュニティーの機能を通じたケア・支え合う関係性といったことを通じた保障と、3つ目にありますけれども、行政の責任のもとで確保される専門的な伴走支援や社会的包摂といったものを通じた保障、この3者がそれぞれ連携しながら、バランスのとれた形で役割を果たし、セーフティーネットを充実させていくという視点が必要なのではないかということで、簡単ではありますが、下にイメージ図で、このような3つの機能が連携をし、それぞれ本人との関係性の中で保障を提供していくということがこれからセーフティーネットを構築していく上では必要な視点ではないかということを、少し俯瞰的な視点でまとめさせていただいております。
以上が資料1の説明になります。
続きまして、資料2ですけれども、御議論いただきたい論点として整理をさせていただいていますが、今、私から申し上げたような事務局案というか一つのたたき台、あるいは本日それぞれ3人の実践者の方から御報告いただく内容を踏まえて、今後、対人支援をどのように考えていくべきかという、ある種、余り論点を絞らない論点立てにしています。
ここは、第1回目でも、社会の変化を踏まえてこういうことが必要ということをかなり議論いただきましたけれども、今回に通じても、ヒアリングの内容も踏まえながら、これからの対人支援のあり方という少し幅広い論点で議論いただきたいと考えています。
この※印にありますけれども、次回以降、第1回で申し上げた新しい事業あるいは新しい制度として今後検討していこうとしていく内容について、具体的な議論をいただきますので、今回は少し幅広い観点から御議論いただければと考えております。
以上で終わります。
○宮本座長 どうもありがとうございました。
今、野﨑室長からお話のあった最初の論点、新しい福祉政策アプローチを俯瞰的にお話しいただいたわけですけれども、この点については、実はこの検討会の議論の核心にかかわるものでありまして、これから、さまざまな具体的な論点を通して、具体的に議論していきたいと思っております。
それから、きょう御議論いただきたい論点としてお示しいただいた点については、きょうのヒアリング、質疑応答を終えた後に、まとめて議論をする時間を設けたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、これから3人の参考人の方にお話をいただくわけですけれども、事務局のほうから御紹介をお願いできますでしょうか。
○藤野地域福祉課課長補佐 それでは、事務局から参考人の皆様を御紹介いたします。
初めに、社会福祉法人豊中市社会福祉協議会福祉推進室長の勝部麗子参考人です。勝部参考人は、社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会の委員や、地域力強化検討会の構成員として、生活困窮者自立支援法の改正に向けた検討あるいは地域共生社会に向けた包括的支援体制づくり等の検討に当たられています。
本日は、総合相談の意義や役割、特に伴走型の支援のあり方等について、勝部参考人がこれまで取り組んでこられた内容について御発表いただきます。
続いて、松戸市市民部市民自治課長の宮間恵美子参考人です。宮間参考人は、昨年度まで福祉長寿部参事官兼高齢者支援課長として、松戸市における地域共生社会に向けたモデル事業に取り組んでいただくとともに、包括的支援体制の整備にかかる自治体職員との意見交換・協議の場、これは厚生労働省でやっておりましたけれども、こちらに御参加いただきました。
松戸市における福祉まるごと相談窓口の設置あるいは地域づくりフォーラムの開催など、先ほど資料の説明にもありましたけれども、地域住民同士のケア、支え合う関係性について、自治体の立場からそうした関係性を育む地域づくり支援の実践に取り組んでこられました。
本日は、本郷谷市長にも御出席いただいているところですけれども、事前に調整をさせていただきまして、今回のヒアリングでは、まず、宮間参考人から発表いただき、本郷谷市長には、後ほど意見交換の時間で御意見などをいただければと思います。
最後に、たつの市健康福祉部地域包括支援課総合相談支援係長の正野潔参考人です。正野参考人におかれても、地域共生社会に向けたモデル事業に取り組んでいただき、たつの市の相談支援包括化推進員として尽力されております。昨年度の自治体職員との意見交換・協議の場にも参加いただいております。
本日は、たつの市における実際のふくし総合相談窓口の取り組みについて、実施体制や業務内容あるいは実績、課題等について発表していただきます。
以上でございます。
○宮本座長 ありがとうございました。
それでは、ヒアリングに入っていきたいと思います。
まず、豊中市社会福祉協議会の勝部麗子参考人、よろしくお願いをいたします。
○勝部参考人 御紹介をいただきました豊中市社会福祉協議会の勝部です。よろしくお願いいたします。
資料の中に、総合相談の意義と役割ということで、きょうは用意させていただきましたが、これまでの総合相談とこのたびの総合相談は一体どう変わっていくのだろうかというところで、ワンストップで問題解決していくというのも言われて久しいといいますか、これまでもずっと縦割りの問題があったのですが、私たちが目指す総合相談というのは、住民とともに全ての人に居場所と役割をつくっていけるような、それぞれの人たちがエンパワーされていくというか、制度に当てはめる福祉からはもう卒業して、その人たちが自分の力を最大限発揮できるような支援が必要なのではないかということを考えています。
2ページ目で、地域共生社会への新たなステージということで、私たち豊中の社協では、一人も取りこぼさない、本当にSOSを出せない人たちを地域の中でどうやって発見し、つながっていくのか。これは住民と協働ということになります。
それから、排除から包摂へ。これは、町の中で困った人と捉えられている人たちを、地域の中でしっかりとつながりながら、その人を包摂していくという発想ですが、これは地域の二面性がありますので、なかなか簡単にはいきません。ここに介入していくのがソーシャルワーカーの役割であると思っています。
支えられた人が支える人に。全ての人に居場所と役割を。こんなことを考えながら、現在活動しております。
3ページ目をお開きいただきますと、私たち大阪では、2004年からコミュニティーソーシャルワーカーという断らない福祉がスタートしました。もう15年を超えました。
この中で、狭間の問題というところから町を見ていったときに、ごみ屋敷や子供の貧困、ひきこもり、8050、アルコール依存、刑余者等、制度でなかなか結びつきにくかったり、制度だけでは社会の中で孤立してしまって、その人の居場所がなかなか見えない、また、地域から排除されてしまうという問題にたくさん出会いました。まさに社会的孤立ということを強く感じるようになりました。
これまでの相談が、経済的困窮に対する相談であったとするならば、我々が今やっていることは人間関係の貧困に対する支援、人間関係をどう修復していくかというところが強く意義があるように思っています。
7ページをごらんいただきますと、コミュニティーソーシャルワーカーや生活支援コーディネーターや個別支援をしていく生活困窮者自立支援制度など、さまざまな伴走型の取り組みが広がっていますが、要は、いろいろな相談窓口があっても、本当に困っている人は届かないというところで、大切なのはアウトリーチと、この方々を地域で支えていく仕組み、あるいはその人たちを支えるつながりづくりという地域づくりの2つのポイントが今、大きく求められているのだと思っています。
8ページ、我々の総合相談は、まずは住民や何でも相談、事業所、大家さん、管理組合、貸付窓口、学校、民生委員等、さまざまなところから、毎日のように相談が上がってきます。ここが地域の中でSOSを発見するつながりというところになります。最近では、見守りローラー作戦なども行って、自治会に入っておられない方々や非常につながりの弱い方々の訪問もさせていただいています。100軒ぐらい行くと、5軒ぐらい問題が出てくる。外国人の方々が、一つのアパートにたくさん住んでおられて、地域そのものから孤立しているような状態に出会ったり、困り事はないかと尋ねますと、何も困っていないけれども6年間誰ともしゃべっていなかったという男性があらわれたりということで、困り事ということから始まるのか、つながりというところから始まるのか、ここも考えさせられるところあります。
アウトリーチをして、アセスメントをして、緊急対応・生活支援を行いますが、最終的にまた地域の中に戻していかないと、その方たちにずっと職員がついているだけということでは、職員が人事異動でかわりますと、また人間関係が切れますので、地域にその人たちを支えていくような住民とのかかわりを持ってきますと、結果としてそれがモニタリング、様子を見てその方の変化に気がついて、また状況が変わったときに我々に連絡が来るというスキームで対応しています。
9ページをごらんいただきたいと思います。まず、早期発見、アウトリーチの必要性を述べたいと思います。
措置から契約へ福祉制度が大きく変化しました。この20年の間、介護保険制度を初めとして、あらゆる制度が契約に変わったことで、SOSを出せない人やサービス拒否者の方々がサービスから完全に落ちてしまうという状況になっています。
ここは、意図的につながっていかなければ、サービスを契約しませんと言われて、みんなが手を出せないというのが現状です。本当に困っている人は、なかなか制度に結びつかない。
ここで、我々のところでは、3つのタイプ、地域の見守り、民生委員や福祉委員による早期発見や住民による見守りローラー作戦、多機関との協働や早期発見、行政の滞納情報や学校、病院などとのネットワークによっての発見に努めています。
10、11、12ページは見ていただきたいと思いますが、この取り組みが昨年の大阪北部地震の直後、4時間で地域の要支援者の方々1万2000人の見守り、安否確認ができて、その中で困っている方々、いろいろ課題がある方々500人ぐらいの応援を行うという体制にもなっています。
13ページは、先ほどお話ししましたローラー作戦のお話であります。
14ページには、早期発見のための検討会ということで、行政や地域の方々が一堂に会して発見をしていくことの意義、それから、その方々が出口でどういう支援をしていくかということで、しっかりとした解決策があれば、また皆さんが協力していくというような、発見と解決が両輪であるということの確認の検討会も行っています。
15ページをごらんいただきたいのですが、伴走ということで、先ほどからお話が出ておりますが、一般的に、例えば認知症サポーター養成研修であったり、研修会などで、障害がある方や、さまざまな生きづらさを抱える人たちに対して心を寄せようという勉強会はありますが、一般論でいくと、そのときはわかった気になりますが、自分の身近なところにそういう方々が生活していると、ごみ屋敷は何とかしてほしいとか、早く入所してもらわないと、火でも出されたら困るという、いわゆる排除が始まります。
そういう意味では、徹底的な本人尊重をしながら、制度へつなげていくだけではいけないということで、そこで本人と我々がしっかりとつながっていきながら、本人が変わっていく姿を周りの人たちが見ていき、関係性を修復していく。そして、制度のはざまの問題については、支えていく仕組みづくりを行っていくということを行っています。
例えば、世帯丸ごとの支援でいえば、お母さんが認知症、娘さんが統合失調症、その娘は未婚のシングルマザー、ネグレクト、その息子さんは知的障害、グループホーム。この世帯に対しては、おばあちゃんには包括がかかわり、お母さんには基幹相談支援センターがかかわり、そして娘には子家センや保育所がかかわり、息子にはグループホームの世話人さんたちがかかわっている。それぞれが、お金の問題がどうなっているかということがわからないままに、よかれとかかわっていくことで、世帯が全く前に進まないという状況が多数見られています。
こういうところの調整ももちろん重要なのですけれども、この世帯を地域で支える人たちもつくっていかないと、関係機関だけでああだこうだと言っていてもここの家族の異変や変化になかなか気づけないということになりますので、この問題は、一人の問題と、その周りの問題が重要だと思っています。
その後は事例を紹介していますが、例えば事例6、22ページをごらんいただきたいと思います。今、子供の貧困の問題については、7人に1人が貧困世帯と言われていますが、これまでの私たちの支援というのは、1人に焦点を当てて、その人の生活再建をどうしていくかということを考えてきましたが、我々がこれから目指す支援というのは7人に1人の1人を助けながら、傍観者である7人をどう変えていくか、あるいはその7人自体が予防的に同じような問題にかかわらないように、どうしたら救えるのかという、両方を考えていくことが重要だと思います。
事例6では、お弁当の時間に廊下に出ていく子供のことで、学校から御相談があり、フードバンクの食材を持って子供に会いに行きました。状況を聞くと、生活がかなり困窮しているということでしたが、御本人たちは生活保護を拒否したり、あるいはうまく自分のことが伝えられないという状況が続いていました。
これまでですと、この支援というのは生活保護につながると終わりということになりますが、我々の今、行っている支援は、そこからひきこもっていた息子の就労支援であったり、出会った子供の子供食堂への案内、学習支援、そして世帯そのものが地域食堂に来ることでつながりを戻して、この世帯が地域とつながりができていくことと、本人がそこで学習支援ができたことで、入学できて、入学できた後に、みんなに愛されたので、今度は自分がボランティアになりたいということで、地域の中で役割を果たしていきます。
多くのひきこもりの若者たちの支援の中で、みんなが言うことは、たくさんの人に大切にされたので、人を大切にしようという気持ちが芽生えたと言われます。そういう意味では、地域からとても疎外されているような状況、社会的孤立が進んでいる状況の中では、人を助ける側にはなかなか回れない。周りの人たちがそういう問題を一緒に考えることで、本人に力が戻っていくのではないかと思っています。
23ページ、24ページでは、いろいろな社会資源やプログラム開発をしていますので、またお目通しください。
社会資源の取り組みにつきましては、きょうはここまで言うと時間がなくなるということですので、資料で入れております。
最後に39ページをごらんいただきたいと思います。今回提案されました総合相談の中で、私は関係機関が連携をするだけの庁内調整としての総合相談であれば、従来からかけ声をかけつつなかなかやれなかった、狭間をなくそうということを進めていく。それも決して悪くはないのですけれども、早期発見や地域包摂を目指すということであれば、地域との連携が欠かせない。住民と協働できる相談窓口が重要ではないかと思っています。
そのためには、市役所に各セクションが集まって、総合相談ということで高齢、障害、児童、生活保護のような人たちだけで集まっている相談では、丸ごとの意味としてはこれまでと余り変わらないのではないかと思います。
2つ目は、断らない福祉を進めていくということが、生活困窮者自立支援の中でも、断らないことで、今の制度の狭間の問題であったり、社会的な課題が見えますので、そこをしっかり受けとめることで、結果として、その問題を、問題解決していける仕組みもしっかり行政の中につくっていくことが重要かと思っています。
また、3つ目は、地域と協働する相談職員は、どこかエリアの中に複数配置をしていかないと、今、よく丸ごと相談員がエリアで1人体制で頑張っている人たちが多くおられるのですけれども、1人だと、人がかわるとまた人間関係が切れてしまって、住民との関係性が切れるという問題があるので、ここもとても重要かなと思っています。横をつなぐスペシャリストの養成ということを考えていくことが大事かと思います。
4番目、制度につながりにくい人への支援ということでは、制度に当てはめるワーカーでは対応できないということで、今、ひきこもりの相談などが大きくクローズアップされていますが、そういう方々に障害の手帳をとりなさい、精神科の病院に行きなさい、あなたは就労する意欲があるのですかという問いで本人をますます傷つけてしまう。その人が今まで生きてきたことをそのまま受けとめていくというような、ソーシャルワーカーとしての養成が待遇改善とあわせて重要かと思っています。
5番目、本人支援と地域に我が事として捉える人をふやすということで、これは先ほど申し上げました。7人に1人の子供の貧困の問題は、1人の支援だけではなく、7人の予防や見て見ぬふりをさせない地域づくりをしていくという2つの取り組みを同時にしていくという総合相談であると、本人たちが元気になりながら、地域のつながりを回復できるのではないか。また、予防が進むのではないかと思います。
前回の議論を読ませていただいた中で、何でも地域づくりになってしまうのですけれども、本人を中心とした関係性を修復していくためのソーシャルサポートネットワーク、本人の地域の周りの人たちとつながるということや、制度のはざまの問題を支える仕組みをつくるという地域づくりや、福祉からだけではなく、楽しいというところからつながっていく地域づくり。結果としては、これは意図的に地域の人材として、いろいろな形で活躍してもらうという、この3つぐらいのことを今、我々はやっているかと思っています。結果として、福祉がまちおこしになると思っています。
現時点では、生活困窮者自立支援の相談窓口が非常に全国的に格差があって、アウトリーチが十分できていない相談窓口や、まだまだ申請主義に近いような、待っているだけの相談窓口もたくさんありますが、相談窓口、今回の政策が、ぜひアウトリーチやお困りになっている人たちを地域の中で包摂できる体制が十分に整うような相談窓口になることを願っております。
以上です。ありがとうございました。
○宮本座長 ありがとうございました。
豊中市での取り組み、さらには、総合相談に求められるものについてお話をいただきました。
既に、勝部さんにお聞きしたいことがたくさんおありではないかと思いますが、後でまとめて議論させていただきたいと思います。
続きまして、松戸市市民部の宮間さん、よろしくお願いをいたします。
○宮間参考人 松戸市の市民自治課長をしております宮間と申します。きょうは貴重な機会をありがとうございます。
私からは、私が昨年、高齢者支援課の立場で行いました松戸市版地域共生社会に向けた取り組みについて御報告させていただきます。
まず、松戸市の概要でございますが、人口がまだ増加しておりまして、もうすぐ50万になるというところで、高齢化率25.5%の、東京のすぐ隣にある大きな町でございます。
次に、松戸市の日常生活圏域ですけれども、前回の検討会で市長のほうからお話がありましたとおり、今、15の圏域を設定しています。そして、この15が町会・自治会連合会、そして地区社会福祉協議会のエリアと一緒になっているということです。地域包括支援センターも15、松戸市医師会がその15の地区それぞれに支援員を配置してくださっているということです。
この体制が平成29年度にできまして、非常に顔の見える関係がつくりやすくなったという状況にございます。
次に、地域共生の施策の方向性でございます。こちらにありますとおり、一つは包括的な相談体制を構築すること。また、もう一つは地域力の強化に取り組んでいくことというそれぞれを走らせながら、それぞれを連携させて、循環させていこうということで、施策の方向性を市長との政策協議の中で合意をいたしまして、取り組みをスタートしています。
次に、包括的な支援体制のところなのですけれども、多分野における相談機関の連携の推進ということで、平成29年度に官民合わせた形で相談機関連絡会を設置いたしました。この連絡会の中で、包括的な相談体制をどうしていこうかということをみんなで検討いたしました。
次に、福祉まるごと相談窓口というものを、その検討の中から平成30年度に、高齢者支援課が基幹型包括なのですけれども、そちらのほうに設置をいたしました。精神保健福祉士を新たに非常勤で2名配置してスタートということですが、四角で囲んであるのですけれども、前回議論にありましたように、こちらのほうで高齢者支援課だけではなくて、子供家庭相談課、障害福祉課と予算を按分して予算化するということをやっております。
市町村においては、按分して予算を組むというのは根拠をつくったりというところでは非常に厄介なところなので、ぜひ一括でできるような仕組みができるといいなと思っております。
昨年11月までの実績については、記載のとおりでございます。
次に、今年度の体制でございますけれども、昨年度1カ所で福まるをスタートいたしまして、今年度につきましては、さらに明第1地区、五香松飛台地区、小金原地区の包括を福まる化する予定でございます。そして、この表の右上のほうに、在宅医療介護連携センターがございますが、こちらのほうも高齢者だけではなくて、障害やお子さんの相談にも乗っていくということで、ここにも包括化推進員を配置しております。
この体制を組むに当たりましては、今年度、国の補助金を活用させていただいております。
次に、もう一つの地域力強化の取り組みでございますが、松戸におきましては、地域ケア会議をかなりしっかり、この3層構造で実施しています。数多くの事例を個別ケア会議で検討しております。
次のページに、個別の事例から課題を抽出したというところで、事例検討したものを一覧表にしているのです。そういたしますと、右側のほうの医療連携とか御本人の認知症の課題といったことは、この地域ケア会議の専門職のメンバーでほぼほぼ方向性を出したりとか、解決策が導き出されるのですが、左側のほうの地域関連、ごみ出し、見守り、地縁の薄さというのは、なかなか解決ができなくて、結局、市レベルの課題にどんどん上がってきて、市レベルの課題が山盛りになるという状況がございました。
これに対して、どうしていこうかというところで、次に地域ケア会議の共生対応化ということを考えました。地域ケア会議のメンバーをさらに充実させて、それぞれの持っている力や知恵や資源を持ち寄って、もう一回、地域でできることがないかということを考えてもらおうと考えました。その地域ケア会議を共生対応化するきっかけづくりとして、地域づくりフォーラムをやろうということになりました。
次のページの地域づくりフォーラムの開催でございますが、突然やったわけではなくて、29年度、30年度と野﨑室長や堀田先生のお力をかりて、市民向け、職員向け、支援者向け、民生委員向けといった研修をやって、意識を上げて、高めて、では15の地区でみんなでフォーラムを開催してみようという形でフォーラムの開催をするということで、これについては、昨年度、国の補助金を活用させていただきまして、9月補正をいたしました。
左下の具体的な取り組みということですが、それぞれの地区で実行委員会を結成してもらいました。コアになるところが地域包括、それからNPO協議会というのは市内のNPOの皆さんが連携している部分で、そこのNPO協議会が松戸市の市民活動サポートセンターの指定管理をやっている、中間支援をやっている皆様と連携することにしました。
きょうは、NPO協議会で市民活動サポートセンターの職員でありますマツムラさんが同席してくださっていますので、後ほど御質問などがあれば、お答えできると思います。
さらに、市内にある聖徳大学の学生、それに高齢者支援課が実行委員会を組んで企画を検討し、そこにさらにこういう企画をしたいからこういう人を呼びたいとか、もっとこういう人たちとつながりたいといったところで、それぞれの地区で実行委員会を形成しています。
次からのスライドは、私がつくったわけではなくて、これから2つの地区の取り組みを御紹介いたしますが、その取り組みをした後に、振り返りの会をやったときに、地域の方たちにつくっていただいたスライドになります。
1つ目は、小金地区です。小金地区は「小金発見!!ミステリーツアー」ということで、まちあるきを皆さんでしていただきました。様子は、次の写真で見ていただければと思います。
次に、小金地区のフォーラムの実行委員ですけれども、ここに記載のとおりのさまざまな方に実行委員に入っていただきまして、実行委員会は4~5回開催しているのですけれども、そこで話された課題感については、記載のとおりでございます。
フォーラムの狙いとしては、相談できる窓口を知ってもらう、地域の顔の見える関係をつくる、小金への愛着を感じてほしいといったことが出されています。
次に、当日の参加者なのですが、何と143名で、ターゲットは子育て世代の御家族でした。スタッフが約100名ということで、5~6人のグループをつくって、そこにスタッフが1人入って、まちあるきをしました。小学校を出発して、お寺、小規模多機能型居宅介護支援事業所、包括、地区社共、そして最後は障害の施設にまたみんなが集って、そこでは町会・自治会の方たちがおもちつきをして、子供食堂の方が豚汁をつくって待っていてくれたということで、参加した人たちの声についても、ここに記載してありますので、お目通しください。
その中で、今後の展望とアイデアを地域の方から出していただきました。一つは、新たな担い手を獲得していくときに、こういった楽しいエンターテイメントプラス福祉といったところで新しいつながりができるのではないかというのは、皆さんがこのフォーラムで実感されたのだと思います。
もう一つは、今までだと、A団体が主催するイベント、B団体が主催するイベントという形だったのですが、今回、全く実行委員会形式ということで、しがらみなく個人が参加するというところが、だからこそできたこともあったのかなといったイベント開催も地域づくりにはありなのではないかという御提言をいただきました。
次に、もう一つの地区は、新松戸地区です。こちらは「『食』でつながる、新松戸。」ということで、町会・自治会で会食会やサロン活動をしている方たちをターゲットにしています。
ここの背景、課題感としては、実行委員会のママが、子供が一人で歩ける町にしたいということがありました。一人で歩けるようにするには、A町会は見守り活動が進んでいて、みんなが目を配ってくれるけれども、B町会のエリアに行くとそうではないとなると、新松戸が面としては安心したと言えないのではないかという課題感で、お互いのやっていることを見える化しながら、新松戸全体を盛り上げていこうという、15地区を大変意識した取り組みをしていただきました。
フォーラムの様子は写真のとおりなのですが、町会・自治会で大変うまくサロン活動をして、見守りにつなげている町会の実践報告と、それから子供食堂の報告をしていただきまして、それを受けて、円卓をみんなで囲んで、自分たちの課題を話し合ったということです。
参加者の属性や参加者の声については、後ほどごらんください。
ここの地区で出てきたことは、展望というところでは、実はこの検討会の菊池先生がこの地区のフォーラムに参加してくださったのですけれども、非常にこのスライドをほめてくださいまして、これも市民の方から出た意見なのですが、縦軸に地縁の活動をとって考えたときに、地縁の活動というのは今なかなか活性化していない。そこを何とかしようと思っても、なかなか難しいので、横軸にテーマ型で地域で活動している人たちの活動を置いて、そこが交わることで両方が活性化していくのではないかという御提言をいただいたところです。
15地区それぞれにこういった提言が出されて、松戸市の地域力、市民力は高いなと私は思ったのですけれども、この活動をして感じたことを4点ぐらいお話ししたいと思います。
一つは、15地区でやったということです。かなり無謀なのではないかという御指摘もいただいていたのですけれども、ほかの先駆的にやっていらっしゃる地域を見ると、モデルをつくって、モデル地区ということでやっているところが多いように思うのですが、そこから全体に広げていくというのはすごく労力がかかっているなという感じがいたしまして、15でやってしまえということで、15地区やりました。
そうしたら、本当に15の事例ができ上がって、最後に振りかえりをやったのですけれども、湯浅誠さんにコメンテーターで来ていただいて、15事例ができてよかったねということを言っていただきまして、これからはTTPだという話だったのです。「徹底的にパクれ」ということを言われて、15あるのだから、ほかの地区を見てよかったなと思ったことを、新たなことを考えて奇をてらってやっていくのは大変だけれども、パクるのは簡単でしょうという話になって、実際にやった方たちは、そうだね、あそこの活動はよかったから、次はこれをやってみたいということが、もう終わった瞬間に次につながったというのはすごくよかったなと思っています。
もう一つは、さまざまな掘り起こしができたということで、地域で何かイベントをやると、どうしても市民センターを使いましょうみたいな話になるのですが、このフォーラムは、例えば神社だったりとか、地域にあるフィットネスクラブでやったところもあるし、カフェを使ったり、小学校を使ったり、障害の施設を使ったりということで、さまざまな場が活用されました。
そうすると、その場にかかわる人たちというのも掘り起こされて、また新たなつながりができたということです。
3つ目が、実行委員会形式ということで、どこかが主導でやらなかったというのもよかったのかなと思います。実行委員の皆さんからは、私のところに、高齢者支援課から町会の地区長さんに、回覧板を回してほしいから依頼文を出せとか、いろいろな御依頼がありました。けれども、そこで高齢者支援課から何かをやってしまうと、今までの活動と変わらないではないかというところで、徹底的に御説明には上がりましたが、市が主導ですとか、どこかが主導ですという形にはならなかったということで、町会長さんからは、依頼文も出せないのかみたいに怒られましたけれども、やってみたら意外と楽しかったというところで、今はこういう活動もあるのだねというところで、落ちついたということです。
堀田先生のほうからアドバイスをいただいて、こういう活動をやるときに、おいしく、おもしろく、おしゃれにやることが大切だということがあって、2地区だけですけれども、このチラシを見ていただいても、これもNPO協議会の皆さんがつくってくださったのですが、普通の地域のイベントよりはセンスがいいというところで、それを受けとるママたちに抵抗感がなくて、そういうところで新たな人たちが参加してくれたというところで、町会・自治会の方たちは、今まで自分たちがやったイベントでは出会えなかった人たちと出会えたというところでは、大変よろこんでいただいて、次につなげようという気持ちになっていただきました。
次に、そういう活動をして、私は市民部に異動いたしまして、今年度、市民部では何ができるのかということも今、考えています。地域力の強化というところでは、市民部もかかわるところかなと思っております。
次のページで、私のいる市民自治課というのは、市民活動や市民協働もやっていますし、町会・自治会と市民活動の両方をグリップしている課になります。でも、異動してみますと、町会班と市民活動班は全く交流がないのです。そこを同じ課なのだから融合させていこうということを今やっていまして、次に、地域力強化のための方向性ということで、24ページになりますが、私たちのほうで共生対応化した地域ケア会議に市民部も寄っていこうということを考えていますが、市長のほうからは、もう少し大きな視点で考えてもいいのではないかという御指示もいただいているところなので、福祉分野を広げていくことも大切ですけれども、市民部の立場として、地域共生をもっと広い視野で見ていくことも大切なのかなと思っています。
最後になりますけれども、人材の確保が町会活動にしても市民活動にしても今、課題となっていて、いろいろなことをうちの課でもやっております。人材もそれなりにいるのですけれども、それをうまく町会や地域とマッチングするということがなかなかできていないという状況がありまして、私たち市の職員に求められているのは、もしかしたらコーディネートなのか、ソーシャルワークなのか、マネジメントなのかはわからないですけれども、調整役になる職員の育成も課題だと思っているところです。
以上、雑駁ですけれども、御報告とさせていただきます。ありがとうございました。
○宮本座長 どうもありがとうございました。
前回の検討会で本郷谷委員に、どのように縦割りを超えているのかということをお伺いしたばかりだったわけですけれども、今、宮間参考人のほうから、まさに地域づくりと一体になって縦割り超えが進められている様子がお話しいただけたと思います。
あわせて、按分などで大変御苦労されているという現実も紹介していただいたところでございます。
今のお話に対する質疑応答も、後でまとめて行いたいと思います。
最後になりますが、続きまして、たつの市健康福祉部の正野さん、よろしくお願いをいたします。
○正野参考人 失礼いたします。兵庫県たつの市地域包括支援課の正野と申します。よろしくお願いいたします。
私の資料をめくっていただきまして、丸ごとの相談支援を目指してということで、ふくし総合相談窓口の取り組みに関して御説明をさせていただきます。
まず、たつの市なのですが、姫路市の西側に位置する約7万6600人の市でして、高齢化率は平成31年3月31日現在で30.1%ということになっております。
地域包括支援センターは直営で、ブランチといたしまして在宅介護支援センターを5カ所設置しているということになっております。
次のページをめくっていただきまして、ふくし総合相談窓口は、地域包括支援センターをもとにする地域包括支援課というところで実践をしております。18年4月に地域包括支援センターが設置されて、高年福祉課という、措置や介護保険などの担当課から28年に分かれまして、課として独立をいたしました。
そして、地域包括支援係から総合相談支援係、そして認知症支援係という3つの係を持った課ということで、その中で総合相談支援係のほうで取り組みを行っているという状況です。
次のページに行っていただきまして、実施の体制といたしまして、たつの市は1市3町が17年10月に合併いたしまして、支所が3つあるのですけれども、本庁の地域包括支援課という課に設置をしております。職員体制は保健師が2名、社会福祉士が2名、看護師で認知症地域支援推進員を1名と、生活支援コーディネーターを1名雇っております。合計6名なのですが、モデル事業として相談支援包括化推進員の予算は、看護師と社会福祉士1名を臨時で雇っているという状況です。
また、後にも出てくるのですが、精神科認定看護師の方に月に2回出務いただいております。精神に関する相談が長引くというか、伴走がとても長くなっていきますので、そちらの方を30年度から雇っています。
次のページですけれども、総合相談支援係が丸ごとの相談支援を行うに当たっての担当業務に関しての説明をさせていただきます。ふくし総合相談窓口事業が丸ごとの相談支援を行っている事業であります。また、多職種の連携といたしまして、在宅医療・介護連携推進事業の連携窓口の役割も担っております。地域共生社会の部分に関しては、後で説明させていただきます。出口支援といたしまして、生活支援体制整備事業を30年度から担当しております。権利擁護事業といたしまして高齢者虐待窓口を担っております。成年後見制度支援利用支援事業といたしまして、首長申立等の案件に関しての対応、⑦の西播磨成年後年支援センター事業に関しましては、たつの市は西播磨4市3町で成年後見支援センターを合同で委託しておりまして、なおかつそのセンターが成年後見制度利用促進法の中核機関を担っています。また、市民後見人の育成等の実施もこちらのセンターで行っております。障害者基幹相談支援センターの役割といたしまして、地域生活支援拠点事業も行っています。かなり幅広くこの係のほうで事業を行っているということになっております。
続きまして、ふくし総合相談窓口の役割としまして、次のページをお開きください。こちらを要綱で位置づけておるのですが、その中に、単独の課部署では十分に対応できない制度のはざまの相談支援を行うというように定義しております。
また、先ほどからよく出てきておりますが、伴走的なかかわりの中で、本人の意向等も十分に確認をとりながら、多職種によるアセスメントと多機関との協働による支援の実施を行っています。
また、モデル事業の中に相談支援包括化推進会議という会議があるのですけれども、そちらのほうに法テラスであったり、ハローワークであったりとか、司法書士・社会福祉士会といった多機関の方に参加いただいて、ネットワークの構築を行っているということになります。
続きまして、昨年度の活動実績に関しまして、御報告をさせていただきます。
相談人数に関しましては、全て延べになっております。29年度からこの窓口を実施しておりまして、そんなに多くは変わっていない状況です。性別に関しましては、多くは女性で61%で、男性が39%となります。年齢に関しましては、75歳以上。もともと地域包括支援課ということで、地域包括支援センターがメインの窓口になっておりますので、高齢者の相談が数も多いです。それに加えて、8050の話ではないのですが、50~59歳が意外と多いという実績になっております。
次のページに活動実績といたしまして、相談の内容なのですけれども、一番多いのは介護の相談になっております。続きまして、病気・けが、あとは先ほど認定看護師という話があったのですけれども、精神障害に関する相談、何度も相談にかけてこられる方がいらっしゃるのですが、そういった方の相談が多く、生活困窮に関する相談が複合的な課題を抱えているケースが多うございまして、そちらのほうが4番目に多いという形になります。
続きまして、相談経路でございますが、家族からの相談が一番多いのと、本人が不安で何度も相談をかけてくるということで、本人、家族の相談が多いです。うちの特徴なのかもしれませんが、市役所からの相談が14%ということで、かなり多いというのが特徴なのかなと思っております。
それの実績が次のページになりますが、かなり偏りが見られるのですが、一番左の地域福祉課(生保)ということで、生活支援係が生活保護の担当をしているのですが、こことの連携がほとんどになっております。なおかつ、こちらの地域福祉課のほうで生活困窮者自立支援法の担当もしておりますので、あわせて連携することが多いということと、地域福祉課の障害、措置等の分野を持っている高年、介護保険の担当と連携が多いのと、お子さんというところと連携という意味で、児童福祉課との連携。また、真ん中あたりに都市計画課というところがあるのですけれども、こちらは市営住宅のほうになっておりまして、市営住宅の方の相談も最近はふえてきているということがあります。
次のページを見ていただきますと、ふくし総合相談窓口の事例ということで、一つ典型的な例を報告させていただきたいと思います。
こちらの世帯はきょうだい2人暮らしでして、お父さんとお母さんに関してはもう亡くなっているということで、地域から孤立しているような状況の家でした。長男は無職で糖尿病性の網膜症があるということを聞いておりまして、ほとんど目が見えない状況でした。年金はありません。家でひきこもり状態で、弟からの食料支給を待って生活しているような状況です。
二男がこの度、仕事で両足を骨折いたしまして、3カ月の入院予定ということで、話している内容に関して、わかりにくい部分があって、病院のほうからは発達障害が疑われるような方なのですがという話をお聞きしたのですけれども、骨折に当たって、お兄さんが心配ですよねという話をしたら、兄はそのまま死んだらいいのですというようなことを言われるぐらい、お兄さんとのかかわりを拒否されている家でした。
こちらのケースに関して、病院のほうからですが、民生委員のほうからも同じような相談が実はありまして、同行いたしましたところ、自宅訪問で、通称ごみ屋敷と言われるくらいの室内で生活している長男を発見いたしまして、これからどのようにしていこうと思われていますかと言ったら、弟さんが骨折していたこと自体も知らなくて、そういうことであれば非常に困ると訴えられたのと、保健師も一緒に行っていたのですが、栄養失調も疑われたこともありまして、入院の必要があるのではないかということで、本人の同意のもと受診をしましたところ、やはり重度の栄養失調がありまして、入院となりました。
当初は年金もないということでしたので、生活保護を検討していたのですけれども、話を聞いていくと、年金の支給手続を行っていないということがわかってきまして、本人の同意を得て、年金担当の国保医療年金課というところも手続支援自体はなかなか難しい部分がありまして、相談支援包括化推進会議の中のネットワークに社会保険労務士もありますので、そちらの先生に御相談をいたしまして、手続の代行を行っていただきました。
そうしたら、3カ月後くらいに、遡及した分の年金が入ってきまして、課題であった税金の滞納や借金も300~400万ぐらいあったのですけれども、そちらのほうの自己破産の手続を法テラスを通じて司法書士の先生にしていただいて、また、ずっと眼科にかかりたいという意向を市営住宅の担当には伝えていたみたいなのですが、市営住宅のほうの担当もまだこちらとのかかわりが少なかったわけでして、こちらのほうにつないでいなかったということも反省材料としてあるのですけれども、お金がなかったという前提もあるのですが、受診をしていなくて、今回お金ができたので受診をしたところ、白内障ということがわかりまして、網膜症ではなかったということがわかりまして、視力が大幅に回復をいたしました。
現在、高齢者住宅には住まわれてはいるのですけれども、自身が過去に通われていた小規模多機能施設の掃除や剪定も行われていますし、ほかの利用者と一緒に畑仕事も行って、かつ、このたび認知症サポーターも受けて、ほぼ半分職員という形で雇っていただけるという話になりました。
弟さんに関しましても、今は自宅で生活をしておりまして、定期的な見守りと、民生委員のかかわり、仕事に対する就労支援等を今、行っているところであります。
結論です。こちらの事例に関しましては、障害、税務、生活保護、市営住宅などの庁内関係部署、また社会保険労務士や司法書士、入院にかかわる医療機関、ひとり暮らしでは難しかったということもありまして高齢者住宅であったり、小規模多機能介護事業所など、さまざまな機関がかかわった複合的な課題を持ったケースだったということになります。
ふくし総合相談窓口がなければ、こういった方のコーディネートはできなかったのではないかと考えております。
次のページをお開きいただきまして、ふくし総合相談窓口設置後の変化ということで、ありきたりではありますが報告をさせていただきます。
庁内ですが、もともと一つの課では解決できないことに関しましては、通常、たらい回しということで、あちらこちらの課に案内をしていたという現状がありましたが、そういった複合的な課題、自分のところでは解決できない相談が来た場合は、必ずふくし総合相談窓口につながる仕組みが構築できておりますので、市民の方を迷わせないという取り組みができていると思っております。
また、市民の方に関しましては、福祉に関する相談窓口を一本化という形でアピールしておりますので、あちらに行って同じ話、こちらに行って同じ話ということが現状はなくなっております。ですので、同じ話を何度もすることがなくなり、市民の時間短縮と負担の軽減が図られていると考えております。
また、ケースによっては障害を疑われる方は、あちらの窓口に行って、この手続をしてくださいねというだけでは不十分な部分もありますので、必要に応じて職員が同行して、この方の今回の主訴はこれなのですと。この制度を利用したいので、この手続をお願いしますということを明確に伝えることで、制度をスムーズに利用できる仕組みをつくっております。
また、早期発見の意味では、専門職の方のことに関しましても変化がございまして、一番多いのは介護支援専門員なのですけれども、専門職の業務の範疇を超える相談があったというのは8050が典型的な例かと考えておりますが、50の方に関しての支援をどうしたらいいかということに関して、ふくし総合相談窓口に御相談いただきまして、適切な窓口につないでいく。そして、制度につながるまで、ふくし総合相談窓口の職員が伴走していくという仕組みをつくっております。
続きまして、最後になりますが、課題に関して述べさせていただきます。
実際、今は福祉総合相談窓口を6名でやっておりますが、正職員は私を含めて2名でやっております。制度のはざまなどで利用できる制度がなければ、なかなか解決できず、ふくし総合相談窓口にケースがたまっているということが往々にしてあります。特にたまりやすいケースに関しましては、手帳を持っていない、障害が疑われる方が総合支援法等につながらない、また拒否するケースがたまっていく一方になっていると認識しております。
また、必要な出口支援の事業というのが、多岐にわたり他課が担当していることや、生活支援コーディネーターが行う地域支援創出には時間がかかるということに関しましては、主にはざまのことに関しましては、困窮者の自立支援法が有効かと認識はしているのですけれども、事業のことに関しましては、隣の地域福祉課が管轄している関係上、なかなかそこまで口出しができないというところもありまして、それ以外にも、まちおこしの部署、創生の部署との協働を進めているところなのですけれども、出口のところまではなかなか行きつかないという現状があります。
また、地域づくり第1層、第2層の協議体に関しましても、地域資源の創出等に関しましては、なかなか議論が及ばないという現状はあります。
最後ですが、医療、福祉、介護、法律など多岐にわたる相談に対応するための広い知識と高い専門性及び豊富な経験が求められるため、人材の確保は困難ということで、今、現状6名でやっているという職員は本当にレベルが高く、とてもよくやってくださっているのですが、この職員が万が一やめてしまった場合、次の補充がなかなか難しいのではないかと考えておりますので、正職員等の切りかえ等も検討しているところですが、現状としてはこういった課題があると思っております。
以上でございます。
○宮本座長 ありがとうございました。
たつの市のふくし総合相談窓口の大変興味深い取り組みについて、また、事例を含めて、さらにはそこにたまりやすいケース、つまりつなぎ先がなかなか見つからないケースについてもお話をいただきました。
それでは、今の3つのお話を全体として受けとめて、質疑応答に入ってきたいと思います。3つのケースから引き出す少し一般的な議論については、後半に討議の時間をとってございますので、今のお話に密接にかかわる質疑応答ということで、お話を進めていただければと思いますが、いかがでしょうか。
今、無理強いで池田さんに振りました。よろしくお願いします。
○池田(昌)構成員 池田と申します。
本当は私の前に「あ」と「い」の名前の方がいるのですけれども、きょうはいないので、先生の隣なので、気にしながら、気を抜いておりました。済みません。
御報告をいただいて、勝部参考人のお話は、いつお聞きしてもそう思うのですけれども、この取り組みができるのは、専門職の方、勝部さんもそうですけれども、住民の方との信頼関係があってこそできているのではないかと思うのですが、今の御報告はその辺のところが余り触れられていなかったので、そこを教えていただきたい。
関連でもう一つ、宮間参考人の地域づくりフォーラムも、お聞きしていると、楽しい形で住民の方と時を過ごすというか一緒のことを考えることが、住民の方が専門職の方に関心を持つというか、お互いの信頼関係を高めてきたということを感じたのですが、こういうふだん余りやらない取り組みが、どちらかというとこんな感じの会議が多いわけですが、そうではなくて、住民の方の土俵に乗って一緒に専門職もかかわるということの話だったと思うのですけれども、その辺をもう一度、それによって住民の方との関係がどのぐらい深まったかというところを教えていただければと思います。
○宮本座長 ありがとうございました。
それでは、勝部参考人からまずお願いします。
○勝部参考人 私たちの町は、実は全国で一番最後にできた社協でして、入職したころは、ボランティアセンターにはボランティアが一人もいなかったという状況から始まっていますので、今でこそ8,000人、地域の中で小学校区ごとにボランティアの方々や民生委員の方々が一緒に動くという体制になっているのですが、それは簡単だったわけではないということなのです。
信頼関係の話は、もちろん私たちの町では公民分館などいろいろとイベント型でつながっていくという取り組みをしているグループもあるのですけれども、一人の人を助けるということを一緒に成功体験を持っていく。ローラーで見つけた心配な人を、この人は一体どうやったら解決するのだろうかと思いながら、結果として、その人たちを地域のサロンで活躍する人に変えていくなどということが次々と行われていく中で、本当に一人も取りこぼさないということをやっていくのだなというのが、住民の中にも浸透していますし、心配な人がいれば、とりあえず連絡すれば、きっとそこから何かが始まるのではないか。
そして、例えば10日間のゴールデンウイークがこの間ありましたが、専門職の相談窓口がたくさんお休みになったときも、自分たちができる部分で、ここはやっておくから、また困ったことがあったら連絡するねというふうにやって、地域ができることと、専門職に絶対にそこはお願いするねというあたりのさじ加減がだんだんみんなわかってきたのではないかと思っています。
地域の方々は安心して掘り起こせると言っています。それは、安心して解決やつながりづくりをやっていく専門職が後ろにいるから、もう一歩踏み込んで見つけてくれるのではないかと、その信頼に応えていきながら、職員は成長していっているかなと思っています。
○宮本座長 池田委員、よろしいですか。
続きまして、宮間参考人、お願いをいたします。
○宮間参考人 松戸の場合は、ベースはあったというところもありまして、高齢者支援課の中では地区担当制を敷いていて、15の地区の担当がいて、私はこの地区の担当だということでずっとやってきているので、そのエリアに対する思いというのが職員にもあってという関係があるというところはあったのですけれども、今回は、そこにNPO協議会が入ってくださって、いつもだったら高齢者支援課の職員が仕切ったりとか、包括の職員が仕切り役になるわけですけれども、今回、NPOさんが入ってくれたので、私たちは意外と気軽に、いつもとは違う感じで包括の職員もそこには入れたというところがあって、一メンバーとしてみんな意見が言えて、それがすごく楽しかったというのが、楽しめたというところかとは思うのですが、そこに新たに入ったNPO協議会としては、すごく信頼関係というところでは御苦労されたのかなと思うのですけれども、そのあたり、マツムラさんのほうはいかがでしょうか。
○マツムラ氏 御紹介にあずかりましたNPO協議会のマツムラと申します。
信頼関係という部分では、基本的に地区によるのですけれども、会議を1カ月に1回とか2回という頻度でやって、半年かけてフォーラムをつくり上げるということをしたので、毎週のようにあってというわけではなかったのですけれども、その中で、フォーラムの関わり方としては、主に会議のファシリテートの役割をいただいたのですけれども、簡単なところで言うと、こういった会議の場で、実行委員が4~10人と地区によっても幅広かったのですけれども、最初に近況報告という形で、本当に関係性をつくるベースとして、その人となりを知ることから入っていったことで、その人は肩書の向こう側にそういうことを考えて、ふだんの業務だったりとか、生活の支援をしているというところの関係性を積み重ねていって、なかなか議論がまとまらないこともあったのですけれども、最終的にはすごくやってよかったねということが、15地区全部の意見から上がったかと思うので、実感はなくても、一回一回の工夫でそういう関係性ができたのかなと思っています。
以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。
この問題は大変大事ですので、正野参考人ももし一言おありでしたら。
○正野参考人 信頼関係ということですが、私どもはふくし総合相談窓口の対応をしていく中で、勝部参考人も言われていたみたいに、うちのほうで相談を受け付けて、各関係機関に制度等は振っていくのですけれども、最終的にその地域で暮らすことを考えるに当たっては、やはり地域住民との伴走も必要になってきまして、訴えはかなり強いといいますか、あれでこれで困るのだ、どうにかしてくれという意見が多数です。
そうではないのですと言うのではなくて、その方の気持ちも受けとめながら、小出しにこうなのですという話をしていく中で、そうかということで理解をしていただいて、先ほどの事例の方とかも、もともと地域から孤立していたのですけれども、今は民生委員さん等が通ったりとか、地域の行事とかにもこの方が参加できるようになってきているので、そういった専門職と地域とのかかわりの中で、信頼関係と学習の場というか、そういう方たちを知っていくという場ができていっているのではないかと思います。
以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。
きょうは特に池田さんに振ったのは、あいうえお順ではございませんで、たまたま視界に入ったというだけでございまして、自由に。
立岡委員、お願いをいたします。
○立岡構成員 まず、勝部さんに教えていただきたいのが、福祉便利屋事業住民主体の運営委員会というのが30ページにあるのですけれども、具体的にこれはどのような感じでやっているのかなというのが、まず1点目に教えていただきたいことです。
それと、宮間さんとマツムラさんに教えていただきたいのが、まさに地域とNPOは、なかなかNPOが地域に受け入れられない、地域は地域、NPOはNPOみたいな感じになっているところが、今回受け入れていただいてというか、うまく連合した形の中において進んでいったと思うのですけれども、それのコツ的なものはどういうものなのかということ。
あとは、NPO協議会というか、NPOの中間支援組織の存在意義というのが今、本当に求められている中において、どのような活動を展開する中において、地域の中で今後進めていこうと考えているのか、その辺を教えていただければありがたいと思います。
○宮本座長 勝部参考人からお願いをいたします。
○勝部参考人 30ページですが、生活支援体制整備事業、生活支援コーディネーターの活動の中でやっている取り組みですけれども、この地区は千里ニュータウンで、高齢化率が38%ぐらいの大変高齢化した町で、役員の皆さんが、若手がいない、ボランティアをする人がいないということで、諦めてください、この町にはいませんという話になって、でも、町の中に何もすることがない高齢者がいっぱいいるのではないかということで、全戸アンケートをとりまして、ニーズとシーズ、やりたいことと手伝ってほしいことのアンケートを全戸に配るというのをみんなで考えたのです。それを住民の人たちと一緒に、どうやったら集められるかとか、でも回収は面倒くさいよなと。全部回収して歩くのはすごく時間がかかるということで、地域のコンビニエンスストアとか、スーパーとか、学校の門の前とか、いろいろなところに回収ボックスをお願いして、そこにみんなに入れてもらいながらやると、高齢者の中で支えたいと言っている人たちが50人ぐらい。支えられたいと言っている人たちも同じぐらい出てきたのですけれども、その両方をフォローし合うというのを、ズボンの裾上げはできないけれども、電球交換ならばできるみたいな、支えたり、支えられたりみたいな人たちをいっぱいつくって、研修し始めたら、人材がすごく町の中に眠っていたということに気がつき始めました。
地域の何でも相談窓口のようなところも住民主体でつくっているのですけれども、いろいろな相談を受けていく中で、ちょっとした問題で介護保険につなげないことは、自分たちでコーディネートして、そういう便利屋事業にかかわってくださる人たちで回せるという体制を、今、2年目ですけれども、39の小学校区の中の14ぐらいでできるようになりました。
これもみんな同じような方式でやっていますが、31ページを見ていただいて、そうは言うものの、大型ごみを団地の5階からおろすなどとなると、これは高齢者同士でやろうということにはいかない問題が出てきて、そこで今度は生活困窮のほうのひきこもりの若者たちが就労体験や就労支援で15分200円ですけれども1時間やれば800円ということで、こういう場面でも役割を果たせるということで、この子たちもみんな登録をし始めて、そうすると、うちの町では、ひきこもりの若者たちのメンバーが物すごくみんなに重宝されている。来てほしいという依頼が出てくるようになって、当初はちょっと遠巻きに見ていたひきこもりの子と言っていた人たちが、実はうちも助けてもらってよかったということで、地域の中でもとても信頼される存在に変わっていっています。
以上です。
○宮本座長 宮間さん、よろしくお願いします。
○宮間参考人 説明の中でもお話ししたのですけれども、松戸NPO協議会は今、松戸市の市民活動サポートセンターの指定管理もやっていただいていて、その中では、サポセンさんとしてかなり市民に定着してきた部分もありまして、また、子供食堂ネットワークの事務局などをやっていたりというところもあって、NPOと近い人たちを実行委員会にも入れていたというのも一つあると思うのですが、とはいえ、NPOさんだけで地域に入っていくというのはまだまだ難しいなと感じているところがあって、そこは、私たち行政が一緒に入っているとか、いつもなじみの包括が一緒にやっているというところで、地域の方たちは受けとめやすかったのかなというところ。
また、NPOの人たちが来たというよりは、マツムラさんが来たみたいな感じで、実行委員会の一人として受けとめていたというところもあるのかなと思います。
○マツムラ氏 課題ありきかなとは思っていて、課題に対してどのように解決していこうかというところから始まって、何ができるという持ち寄りの疑問にも展開できたので、そこら辺は、お話があったように、NPOだからとか、自治会長様だからという背景は特に意識せずに議論が展開できたかと思っています。
あとは、例えばこういう会議の場で、先ほどの新松戸地区で言うとママの参加もあった中で、子供を連れてくるので、こういう場所で子供が走り回るわけなのです。そこに対して、例えば実行委員の地区の方も、最初はいらいらしていたそうなのですけれども、会議を重ねていくことで、これが地域なのだなと考えるようになったということで、会議の中でも地域共生を感じられたこともすごくよかったというお話を聞きました。
あと、もう一個御質問があった今後の展望というお話に移りますと、今年度、松戸市の市民活動サポートセンターの運営に加えて、協議会として、生活支援コーディネーターの2層というところで、松戸市では包括支援センターの職員と2名でタッグを組んで、地域の方の生活支援をどのように支えていくかという取り組みも今年度から始まっています。なので、より地域の方々のニーズに対して、特に直近の話題で言うと、若い人が地域に出てこないという課題がとても上がってくるので、そういった場所にテーマ型で参加できるということは、NPOとしては敷居が下がっていくかなと思うので、そこら辺でどんどん参加と協働というキーワードをもって一緒になって課題解決に向かっていけるのではないかと考えています。
以上です。
○宮本座長 立岡委員、よろしいですか。
それでは、まだお三方に伺いたい方はおられるかと思いますけれども、ここで一旦休憩を挟みたいと思います。
10分ぐらいの休憩ということで、45分ちょっと前くらいにはお席についていただければと思います。
それでは休憩とさせていただきます。
 
(休 憩)
 
○宮本座長 時間になりましたので、議事を再開させていただきたいと思います。
先ほどの3人の参考人の方からのプレゼンテーションへの質疑応答でも構いませんし、冒頭、事務局のほうからお示しいただいた論点に沿ってのお話でも結構でございます。いかがでしょうか。
田中委員、お願いをいたします。
○田中構成員 何よりお三方の発表に感銘を受けました。すばらしいと思います。
今、堀田さんと話していたのですが、10年前と比べて、これだけ社会が進化していることをまざまざと感じました。
ところで、皆さん方のところで働いている人たちで、燃え尽き症候群は大丈夫なのでしょうか。私が手伝っているある自治体では、地区担当者がうまくストレスを逃す技術がなかったのか、燃え尽き症候群になる方もいて困るという話を聞いたこともあります。皆さんのところでそれは問題ないのか。
それから、ことしの労働基準法の改正に従うと、労働時間が長過ぎる心配もないのか。さらに続けていただくために、老婆心ながらお聞きしますが、いかがでしょうか。
○宮本座長 ありがとうございます。
包括支援というのは、下手すると働き方改革に逆行するのではないかという御懸念でもあろうかと思いますが、勝部さんからお願いをいたします。
○勝部参考人 生活困窮者支援が始まって、全国で我々のような実践を目指しているワーカーもいっぱいふえてきて、出口をどうつくるかというところの仕組みのないままに始まっていったというワーカーは受けとめて、先ほどの話でどんどんたまっていくとなってきて、たまってきたときに、解決するということについての職場の理解や体制の理解がないところは、結局、自分一人でごみ屋敷を片づけに行って、泣く泣く頑張りつつ、みんながいろいろな問題をその人に押しつけるみたいな総合相談になっている人たちはとても苦しんでいます。
逆に、私たちのように、住民と一緒に解決の道を探っていると、励ましてくれる地域の人たちや企業、事業所の人たちがふえていくので、やればやるほど、相談も入るのですけれども、応援団もふえている感じなので、そういう展開になっていっているワーカーは、燃え尽きるというよりは、励まされてエンパワーされていっているということかなとは思いますが、働き方改革は大変です。
先般、全然違う会議で、スクールソーシャルワーカーが時間単位で仕事をしているということや、年次更新で仕事をしているということで、いろいろな見立てをして、熱意を持ってやろうとしても、2、3月ごろになると、次は自分はどこで働くのかみたいな感じになるという話が出ていて、非正規でそういう状況なのだという話が、そこにおられた方はみんなわからなくて、何でスクールソーシャルワーカーはそんなにころころかわるのですかという質問だったのですけれども、生活困窮のスタッフも年次更新でかわっていく人もいっぱいいるので、結局、つながりづくりとか、地域で一生懸命エンパワーして関係性ができたときに、みずから離れていかざるを得ないという部分はしっかりと身分保障をしていかないと、研修しても何をしても、やっていることが継続されないというのはとても残念だなと思っています。
働き方改革については鋭意努力中ですけれども、なかなか厳しいなと。土曜日、日曜日の休暇のときにしか会えない人たちもたくさんいるので、そういうところへの応援をさせていただいています。
○宮本座長 今、勝部参考人がおっしゃったうまくつないでいって、市民とともに解決できるパターンと、ためてしまうパターンの違いというのは、どこから来るのか。それは分野のことなのか、それとも支援員のスキルの問題か、それとも地域の違いなのか、そこはいかがでしょうか。
○勝部参考人 一つは、出口に住民とともにという発想をつくっているかどうかです。職員が自分で受けとめるということだけの仕組みでしか解決ができなければ、当然自分がやるか、断るか。断らない福祉だと言われたら、断らないで自分で受けとめるしかないので、そこでギブアップしていくことになると思うのですけれども、出口をつくっていくということに対して、例えば計画や相談のスキームの中に、出口づくりの協議をしていく場がちゃんとあるとか、はざまですから、行政の職員同士で集まったら美しい譲り合いしか始まらないので、結局押しつけ合いになって誰もやらないというのがこれまでのパターンだったところを、公民協働で解決していく仕組みをみんなで知恵を出し合うことができていると、思わぬ楽しい支え方ができたりすると、みんなやってよかったという気持ちになるので、そういうポジティブなやり方に、スキルもあるといえばそうかもしれないのですけれども、そういうことをやっていいという雰囲気にしないといけないのだろうと思います。
余計なことをふやすなというムードがあれば、結局この担当者は苦しんでいくということになるのだろうと思います。
○宮本座長 ありがとうございました。
引き続いて、宮間さん、よろしくお願いをいたします。
○宮間参考人 委託の地域包括については、松戸の介護保険運営協議会でも全く同じような御質問があって、職員の燃え尽きというところにどんな配慮がされているのかということが話題になりました。
その中で、ストレスチェックの活用とかを、母体の法人のほうにしっかり意識していただいてやっていただくこととか、今年度は市長との政策協議の中で、包括の体制を強化していくというところで、人員を6名ほど増員して、なおかつ福まるの職員ということで、人員体制を強化して、その辺の部分の緩和を図るということをやっています。
また、高齢者支援課の職員については、昨年度はフォーラムを毎週土日という感じでやっていたので、土日の出勤がかなりふえていたところですが、その仕組みづくりができたところもあるので、今年度は少し落ちついているとは聞いています。
○宮本座長 ありがとうございました。
マツムラさんも、はたから見ていて何か。はたからという言い方は適切ではございませんが、職員の働きぶりを見ていて、もし市民的立場から。
○マツムラ氏 市民的立場として意見を述べさせていただくと、私はテーマ型コミュニティーという部分で言うと、仕事ではなくほぼ趣味の一環でかかわってくださる方が多いのです。ただ、そういった部分で、時間に対してどのように考えていくか。ただの時間の浪費として考えるのか、投資として考えるのかで違うと思うのですけれども、松戸市では、私のような年代の方々も地域に出たいと。自治レベルとか、病院とか診療所とか、そういう制度を超えてより地域の方につながりたいという意欲を持った若者が結構いるなと私の身の回りでは感じていて、それは仕事としてではなくて、いろいろな捉え方はあるのですけれども、そういった部分で、時間を有効に使っていくという部分も一つの選択肢としてはあるかと思っています。
○宮本座長 ありがとうございました。
先ほどの勝部参考人のお話ともつながってくるのかなと思いました。
正野参考人、よろしくお願いをいたします。
○正野参考人 私のほうのふくし総合相談窓口は、田中委員のおっしゃるとおり、燃え尽き症候群というほどではないのですが、市直営で受けとめるというところで、ケースがかなり多くて、たまってくるということも考えられるのですけれども、一つの工夫として、事例対応する職員と事務をする職員を本年度から分けたのです。そうでないと、事業をやろうと思っても緊急事例が出てきた場合、その事例をとらざるを得なくなってくるので、事業がどんどん後手後手になってくるということもありますので、基本は事例対応をする職員は事例対応をするだけというように工夫を今年度からしたというのが一つあります。
あと、働き方改革のことに関しては、行政として月30などというところを決められているので、その範囲内でせざるを得ないというところで、正直、断捨離といいますか、効率化をかなり図るために、障害の係と困窮のほうの会議が一つにできないかとかいうところの話し合いを昨年からずっとしているのですけれども、今年度正式にしていこうかと思っているところです。
以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。
田中委員、よろしいでしょうか。
○田中構成員 ありがとうございました。
○宮本座長 それでは、知久委員、お願いをいたします。
○知久構成員 少し関連するかもしれませんので、人材の育成ということで、お聞かせ願いたいと思います。
お三方の発表、本当にどうもありがとうございました。大変参考にさせていただきました。
総合相談支援を実践する人材には、各福祉分野の制度に精通し、各課や相談機関との調整力、地域の住民や自治会などとの協力を築ける力が必要になるのだろうと思います。しかし、4人の方のような、そういう力のある人材はどこにでもいるわけではなくて、一握りの方々なのかなと思います。
それぞれの相談員が強みを生かして連携を強化するために、チームとしての機能が求められているのではないかと思います。そこで、埼玉県では高齢者や障害者、子どもなどの各分野の相談機関の職員を一堂に会しまして、複合的課題を各分野の相談員が連携して対応するための管理者研修や係長研修を行って、人材の育成に努めているところでございます。皆様のところでは、担当がかわると引き継がれないといった課題があろうかと思います。人材育成をどのように行っていくのかが大きなテーマだと思いますけれども、教えていただければと思います。
○宮本座長 いかがでしょうか。こういう言い方がいいかどうかはわかりませんけれども、皆さん自身がカリスマ的な部分がおありですので、その皆さんにお聞きするのも難しいところがあるのかもしれませんが、今の知久委員からの御質問、いかがお受けとめでしょうか。
勝部さんからお願いします。
○勝部参考人 1年目の職員もベテランの職員も同じ名前で相談員なわけですから、当然経験の違いもありますし、交渉力や地域の人たちを動かしていくというところになりますと、それはおのずと力の差はあるというものの、うちは18人、こういうことをしている職員がいるのですけれども、エリアで4人とか3人でチームを組んでいますので、そこで得意分野や力を出し合うということで、全体としてレベルを上げていくということ。それから、18人の研修はもちろん、どこまでの進捗かということについてのOJTは毎月それぞれエリア別にもやりますし、全体としてもやります。
それから、自主研修もやっていましたが、働き方改革で自主研修をどうしたらいいかとちょっと悩んでいるところもありますけれども、与えられた研修ももちろんするのですが、自分で学ぶという部分、それから人事異動した後も、そういうことについて勉強し続けたい。例えば総務に行ってもコミュニティーソーシャルワーカーとしての思いは継続して持ちたいという職員もいますので、そういうのは自主研修という形でさせてもらっています。
あと、庁内的には、福祉系だけではなく、いろいろな分野の人たちで、ワールドカフェで困難事例を解決するような仕組みをつくったりとか、全体としてのつながりということもやらせていただいています。
○宮間参考人 きょう御欠席なのですけれども、朝比奈委員と少しそういう話をしていまして、個別支援に当たる専門性を高めていくところと、地域づくりというところは少し分けて考えたほうがいいのかなというところです。
個別支援について言えば、きょうの私の資料の4ページで、相談機関連絡会をつくりましたというのがあるのですが、それぞれ決してスーパー職員がいるわけではないので、それぞれの守備範囲をお互いにわかり合って、これを総合的に進めていくには、自分の範疇を少し広げて手をつなぎ合わないとはざまはなくならないので、そういう連携を強化するというところでカバーしていくということで、この相談機関連絡会を今、3カ月に1回ずつ開催していまして、メンバーも今年度は教育委員会、スクールソーシャルワーカーなど、あとは子供の支援をしている人たちにも広げて、民間の方たちにも入っていただいて、初年度は体制づくりについて話をしていたのですが、今は困難事例の検討をしていて、こういったところでお互いのスキルを高めたり、足りないところを補うとか、顔の見える連携を強化していくということをやっています。
あと、行政の職員については、この分野は本当にほかを見ないと、自分たちで考えるだけではとてもスキルが上がらないので、研修や施設といったことにはかなり積極的に出させていただいている分野だと思います。
○宮本座長 ありがとうございます。
今、個別の事例の取り組みと地域づくりと、やはりちょっと技量が違うというお話がございましたけれども、地域づくりのほうはどのようにチーム的に扱っていらっしゃるのでしょうか。
○宮間参考人 地域づくりのほうは、本当に去年の9月から始めたところで、それをどういう専門性とか、どういう理論でやっていくのかというところは、まだまだ整理がし切れていなくて、例えば市民自治と共生はどう違うのかとか、協働とはどういうかかわりをするのかとか、そういったことも含めて、今後考えていきたいというところです。
○宮本座長 ありがとうございます。
先ほど正野参考人からも、出口とつなげる特に地域づくりとのかかわりに相談課の窓口の対応が迫られたときに、非常に壁ができてしまうという話もありましたけれども、その点も含めてお話しいただければと思います。
○正野参考人 うちの人材育成の取り組みは、毎朝、約30分~1時間のミーティングを行っているのが一番大きいのかなと思います。新規の相談もしくは継続的にかかわっていて、きょう行く事例のことに関して、必ず行く職員から、こういったケースで、これはどのように対応していく、課題は今、このように思っていますということを、うちは6名いるのですけれども、多職種でアセスメント、事例を出して、質問をしていって、最終的にこのようにやっていこうというところをみんなで決めていくというスタイルをしていますので、抜けのないようにしていくシステムを持っているということになります。
それは、職員の力量によって差が出ないようにしないといけない。特に市役所でしたら、税務課とかで働いている職員で過去に生活保護を担当していた職員であれば、この人はもしかしたら生活保護につながる人なのかもしれないというフィルターが立つかもしれないのですが、それがなければ生活保護の情報提供はできないということは、市民の人生を大きく変えてしまうことになってしまうので、誰がやっても同じ結果になるような形をとるのと、OJTといいますか、毎朝のミーティングでお互いの考え方を共有することで力量を高めていくというところと、多分野がまたがりますので、多分野からの研修等の情報提供を受けながらやっていくというのと、相談支援包括化推進会議を定期的に開いておりますので、他分野の社会保険労務士の方はそもそも私がつながっていた方ではあるのですけれども、今ではみんなのネットワークになっていますし、そういう多機関多職種との顔の見える関係の構築と、多職種のアセスメントを毎朝していくことで力量を上げていくということ。あと、本年度から生活支援体制整備というところで、出口の部分で地域に出ていっている職員もおりますので、この地域にはこういった取り組みがあるとかいうところの情報提供もあわせ持って、支援方法を考えていっているという形をとって力量を高めていっているような形になっています。
以上です。
○宮本座長 前回の検討会で、平川委員がこのあたりも強調されておりましたけれども、今のはよろしいですか。
○平川構成員 ありがとうございます。
まさにさまざまな人材の育成に向けて、努力されていると思いました。
もう一つ、人材とともにお聞きしたかったのは、今の体制をつくるまでの歴史、背景はどうなのか。話せば長くなるような感じがするのですけれども、簡単にお答えいただければと思います。多分、ほかの自治体の人から聞くと、すばらしいことをやっているけれども、うちはちょっと無理だなとか、そのような形になってしまう部分があるかと思いますが、皆さんからすると、こういうポイントがあるからこういうことができたというポイントを。例えば、その地域の資源を生かしつつ、今のような完成形みたいな組織ができましたということや、このような組織をつくって、今のような活動に至るまでの課題というか取り組みポイントがありましたら、お話をいただきたいと思います。
実は本郷谷市長にも、その辺のポイントは休憩中にお聞きしたのですけれども、やはり社会資源をどう生かすか。その歴史というのが重要で、アンサーが難しいと思いますけれども、少しポイントを教えていただければと思います。
○宮本座長 後で、休憩中にお話しになった秘訣もぜひお伺いするということで、いかがでしょうか。ともかくどの自治体でもできる仕組みというのがこの検討会の目的でもございますので、そのあたり、苦労話を含めてお話をいただければと思います。
勝部参考人から。
○勝部参考人 私たちは、阪神・淡路大震災のときに、地域の知っている人しか救えなかったというのが一番根底にあります。つながっていると思っていたけれどもつながっていなかったと。だから、本当に困っている人たちをなかなか発見し得ることができなかったのが25年前です。
地区社協というのは以前からあったのですけれども、イベントばかりやっていたのです。イベントは、何となくつながっている気分なのだけれども、本当に一人一人がつながるということにはならないし、SOSを出しにくい人はつながりにくいということがわかったので、地区社協を強化しようと思ったのですが、既存の人たちだけでやっていると、新しいことをやっていくのはなかなか難しいということがあって、ボランティアの人たちや、先ほどの便利屋さんもそうなのですけれども、今、都市型農園で、男性の農業で地域づくりに参加しながらという人たちも含めて、参加ということをメーンにして、住民の組織化を小地域でもやりましたし、ボランティアセンターでもやりましたし、当事者組織という形でもつくってきた。これは10年ぐらい頑張って、地域づくりの基本をやったのですけれども、これで完成形かと思ったら、つながって問題を発見するようになったら、実は縦割りで誰も解決してくれないということで、住民力がせっかく上がったのに落ちてきたというところがあったので、丸ごと受けとめるという部分をしっかりつくると、発見と解決が両輪になるということを思い出したということです。
どちらが先かというと、相談をしながら地域の課題を投げかけて、住民力を高めていくということもあるでしょうし、いずれもクローズの地域では、いろいろな問題は入ってこないですし、かかわる人が限定的であると、いろいろな問題につながっていきにくいので、地域をどう開いていくかということと、専門職が受けとめるというこの2つをしっかりやり始めていくと、解決していくような気がしています。
○宮本座長 平川委員、今のはよろしいですか。
引き続いて、宮間参考人、お願いします。
○宮間参考人 ベースの一つになっているのは、認知症対策かなと思っています。認知症の課題というのは、平成18年からサポーター講座を始めているのですけれども、市民の人たちにすごく自分事として受け止めていただきやすいというところがあって、松戸はサポーターになっていただいた方で、もう少し何か自分でできますよという方たちには、オレンジ声かけ隊ということで、何をやるわけでもないのですけれども、困っている人に一声かけようみたいな安心一声運動を始めました。
そうしたら、さらにもう一声頑張れますという人たちが出てきて、オレンジ協力員という形で、専門職と一緒に認知症の方が住みやすい地域をつくる活動をしますみたいなボランティアさんがふえてきています。今でも認知症の関係の講演会をやると、先日もあったのですが、市民会館がいっぱいになる。1,200人集まるという状況がありまして、そういったことがベースにはあるのかなと。その取り組みを包括が各地区で展開していくというところがあるのかなと思っています。
○宮本座長 ありがとうございます。
マツムラさん、何かつけ加えることはありますか。
○マツムラ氏 ないです。
○宮本座長 正野参考人、お願いいたします。
○正野参考人 たつの市に関しましては、正直、発起人といいますか、つくろうとしたのが私なので、正直、私の経験が結構大きいかなと思います。
私自身は、大学を卒業してから民間の福祉施設で介護員の仕事をしたりとか、神戸の地域包括、姫路の社会福祉協議会等を経て、たつの市の行政職に入ったのですけれども、民間で働いていると、行政の力の大きさを痛感することがありまして、行政がうまく起動しないがゆえに救えない命があったりするというのも現実的にあったのです。そこの経験があって、8050とか先ほど言った生活保護の話ではないですけれども、そういったものに直面してきたら、行政の職員で市民の人生を変えてはならないという理念が自分の中では起きて、たまたま平成27年にリーディングプロジェクトという市長が若手職員に市の課題を解決するプロジェクトをするので、何かいい提案をしてこいということで、これは特に市長のトップダウンがなければやりにくいというのは、富士宮市にいらっしゃった土屋さんという方にも聞いていたので、ぜひともこれはしたいということで提案したところ、ぜひやってみたらどうかということで提案をいただいて、28年に関係の税務であったり、福祉の分野全般、都市計画とかもそうなのですけれども、そういった職員を集めて、どういった窓口が必要なのかという検討会議をいたしました。
話はちょっとずれるかもしれないのですけれども、その中で、個人情報をどうするのかという問題も出てきまして、情報推進課というところを呼んで、それこそ制度はもちろん縦割りなのですけれども、個人情報もたつの市でいったら課で縦に割れているので、基本的には共有にならないというものがありました。そこに関しては、たつの市でいいますと、行政不服審査会という個人情報の提供と利用を審査する会に出して、市民の福祉の向上に努めるものであるので適正であるとそこで認めていただいたから、庁内の連携がスムーズに行けるというところがあります。そういった庁内連携がなければ、窓口は絶対に絵に描いた餅になってしまいがちですので、庁内連携を十分にしていかないといけないという頭を持っていましたらから、たつの市では、そちらのほうを重点的にしていったという歴史があります。
今はもう庁内の連携が十分にとれているので、もちろん本人が希望すれば、100%たつの市の行政で救うというスタイルはできていると自負はしているところなのですけれども、個人の経験であれなのですが、もともとは民間の経験があって、行政の体制をどうにかしないといけないというものがあったので、こういった窓口をつくろうと思ったということになります。
以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。
今、正野参考人がおっしゃったパーソナルな経験というか、行政が機能しないことで人生が変わってきてしまったことを見てきた。行政の中に入っていって、その経験を伝えて、どういう言葉が説得的に響いたのでしょうか。もしその言葉があれば。
○正野参考人 やはり行政は、それこそそのときしか見ていないのです。相談に来たその一場面しか見ていないので、その後、その人がどうなったかなんてわからないわけなのです。けれども、民間で働いていたら、その人がその後孤立したとか、引っ越されたとか、そういったことまで知っているわけなのです。
実際、私はたつの市のほうで一番最初に障害の分野のほうで担当になったのですけれども、事業担当ということで、その人のことに関して、通常ではそこまで行かないかもしれませんけれども、その人のサービスがうまくいっているかどうかというモニタリングなどもしていった中で、行政がかかわっていかないと、相談支援専門員、障害者分野のケアマネジャーみたいな方とかが困っていても、どこに言ったらわからないということが見受けられて、それは行政のかかわりというものが継続的に必要ではないかというところを伝えていった。これも個人の経験になってくるのですけれども、そういうことだったのかということをわかっていただけたのではないかと思っています。
○宮本座長 ありがとうございました。
行政の縦割りから見える場面というのは、その場限りでしかないということですね。そこをどのようにつなげた物語を共有していけるのかということだと思います。
さらに、勝部参考人のほうからは震災、宮間参考人のほうからは認知症という、いずれもはざまの極地のような問題が突破口になっていったという非常に大事なお話をいただいたと思います。
ほかにいかがでしょうか。堀田委員がお見えになっておりまして、皆さんは二度目ですけれども、きょうが初めてですので、一言、御挨拶もかねてお話しをいただければと思います。
○堀田構成員 1回目を欠席した上に、大幅に遅刻してしまって済みません。堀田と申します。よろしくお願いします。
資料2を見ながら、勝部さんも宮間さんにも日々、学ばせていただきながら、きょうはすっ飛ばしてしまったので、資料2にひもづけながら、3人にお尋ねしたいことが一つ。それから、初回にいませんでしたので意見を申し上げたいと思います。
1つ目は、資料2の四角の囲みの参考というところの4つ目のポツに関係してお三方にお伺いしたいのですけれども、地域共生と考えたときに、被支援者と支援者、利用者とスタッフという顔でなく、人として出会うこと、そしてともにする体験、さらにともにつくる体験があること、よりよく生きることができる町の基板になっていくのかなと感じています。
他方で、人として出会うという一番最初がうまくいかないと、出会って、知って、学んで、共感して、アクションへとなかなかいかないのではないかと思うのです。
特に、それぞれ最初はもしかすると、社会が追いついていなくて困ってしまっている人として出会う場合もあると思うのですけれども、それをその後、かわいそうな人、支援の対象者、利用者、患者としてということではない、わくわく、共に創りだすところに展開していくための出会いの場や出会い方の演出という点で、何らかの工夫があれば教えていただきたいというのが一つです。
もう一つは、こういったことを考えていったときに、学校教育との連動みたいなことを何らかやっていらっしゃるか。認知症サポーターの講座を小学校からやっていますとか、そういうことは結構広がっていたりすると思うのですけれども、そうではなくて、学校教育の中でも、一人一人がよりよく生きる。そして、地域をともにつくっていくみたいな発想を浸透させていくような手かがりを持っていらっしゃれば、どちらかお答えいただければと思います。
 
○宮本座長 堀田委員が最初にお尋ねになった出会いの場の演出はわかるような気がするのですけれども、具体的にはどんなことをお尋ねしたらいいでしょうか。
○堀田構成員 例えば、先ほど認知症のある方のお話がありましたけれども、今、介護保険サービスを使うようになったけれども、そして認知症の診断も受けているけれども、社会の役に立ちたいとか仕事をしたいと思う方々の思いを実現する場として機能している介護保険の事業所はだんだん出てきています。しかし、なかなか広がらないよねということを御本人、御家族、専門職の方、地域のいろいろなビジネスセクターの人とお話しをしたときに、介護保険事業所の職員が、利用者の自立と尊厳を支えたいと思いながら、認知症のある方がもちうるこうした願いをしっかり共有できているのかという話がありました。ずいぶん暮らしにくさの増えてきている利用者さんと、人手不足、働き方改革をすすめる事業所の職員として出会ってしまうと、まさかこの方がお働きになりたいという感じをどこか持てなくなってしまっている。そして助けられる・助ける側になってしまっているという側面があります。そうではなく、双方地域でともに暮らす生活者として出会うという意味合いです。
○宮本座長 いかがでしょうか。
勝部参考人から。
○勝部参考人 ごみ屋敷で生活している人は、実は自分もそうかもしれない人だったという出会い方。例えば、捨てられない人というのは一体どうなのかというのを、初めは遠巻きに見ていると変わった人、変な人と見ているのだけれども、聞いてみると、自分が嫁に来たときの着物がこうだなどという話をしていると、自分と延長線上にいる人なのだということを実感すると、人事にはならないということがあります。
先ほどの認知症の方のお話にもありましたが、最近、93歳の方がボランティアをしたいということを言っていることがあって、ケアマネジャーがびっくりして、93歳の人ができるボランティアはないですよねと言ったので、93歳は現役で戦争に行っているよねという話になって、そこの小学校が広島に修学旅行に行くのですけれども、そこの語り部として参加をしてもらうようにしようということでお話を聞きに行きましたら、実はその人はタイガー計算機をつくった人だったということがわかって、わかっている人は年代がわかります。それもまたすごくおもしろい話で、今回、豊中市社協では、生活支援体制整備の次の取り組みで、豊中ヒストリアというもので、いろいろな人の話をビデオで撮って回って、それを子供たちに見せるというのをやっていこうではないかという話に今、なっています。
結局、すごく特別な、何でもできる人たちとかではなくて、その人の強みに目を向けていくと、周りの人たちはネガティブなところに目を向けるのだけれども、そうではなくて、その人の歴史であったりその人の強みみたいなところに目を向けると、すごく親しくなるし、つながりたい人になるし、いとおしい人に思える。そのつながり方をしっかりと考えていかないと、ひきこもりの人で、すぐに病院ですねとかいうつながりではなくて、なぞなぞができるの、すばらしいと言って、その人のなぞなぞ100個で本をつくろうみたいな話になってくると、みんなが違う価値観でその人と接していけるのではないかと思っています。
こういう感じで、子供たちともリンクをさせていくような取り組みをしています。
○宮本座長 学校教育との連動のほうはいかがですか。
○勝部参考人 学校教育そのものに入ってくるので、それこそ働き方改革で、学校のほうもなかなか難しい面もあるのですけれども、今、子供たちと一緒に豊中あぐりという取り組みは、野菜づくりと地域づくりを一緒にやるということで、子供たちが買い物困難地域に野菜届け隊をつくって友愛訪問をしていくとか、子供朝市をやって地域の人たちと交流するような取り組みもさせていただいたりということで、特別に出会っていくというよりは、自然な出会いの中で、いろんな人たちが困っていることや、自分たちができることみたいなことを考えていくような演出の仕方はいつも気をつけてやっています。
○宮本座長 ありがとうございました。
宮間さん、お願いします。
○宮間参考人 私の希望的なところでもあるのですけれども、例えば子供食堂だったりとか認知症カフェだったりとか、そういう地域の中で出会ってもらいたいなというのがあって、松戸としては、カフェとか居場所づくりには力を入れているところです。
あと、学校教育というところでは、きょうの私の資料の最後にレッツ体験というのが入っているのですけれども、こちらは中学生以上の10代の方たちに、夏休みに体験型のボランティアをしていただくという活動で、私も異動してくるまで全然知らなかったのですけれども、実は17年も続いていて、夏に300人ぐらいの児童・生徒さんが体験をしている。
そのメニューもどんどんふえていて、今、受け入れ団体が50を超えているという状況で、里山ボランティアから、いろいろな福祉的なものもありということで、そういった体験型で感じとっていただける機会をつくっていくのがいいのかなと思っています。
○宮本座長 ありがとうございました。
正野さん、お願いをいたします。
○正野参考人 答えになるかどうかわからないのですけれども、出会いの場の演出というところは絶えずテーマとしてあって、マッチングがうまいこといかないと、本人が生きがいというか役割を持てないので、よく介護保険の自立支援ケア会議で、元気にするということで、その先にある何かを見ていないということを結構言われていると思うのですけれども、必ずうちの窓口とかでは、本人のしたいことと、出来そうなところを何となくぼやっと知っていることが多いので、その先の受け入れ側と十分念入りに協議を行った上で、ある意味ではマッチングをするように心がけているというところがあります。
最近では、ボランティアとかに行ってもらったりということもあったのですけれども、それもその方が気になるというか、こだわりがある方だったのですが、そこの部分を十分伝えて、それはこのように対応したらいいですかということを何回もお伝えしたということです。
基本的には、こちら側が思っているプランの延長でこの方がどのような役割を果たせるかというところを意識しながら、マッチングを行っているというのが1点。あとは、学校教育との連動というところで、ありきたりですけれども、認知症サポーターに関しては認知症支援係がやっていますが、全小学校に回っているのと、中学校も本年度、ほぼ全部回れるかなと。あと、市内の高校にも行っているのですけれども、技術系の学校が、電気関係、テレビや電球といったところの地域の困り事を学生で解決しようというプロジェクトが昨年から動き出していまして、とりあえず近場の地域から初めてみようということで動き出しているという話を、生活支援コーディネーターからは聞いています。
以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。
今の出会いの形・演出というのは大変大事なことだと思いますけれども、勝部さんは、相手の歴史を引き出すような出会い方、宮間さんは、地域の中で出会う、正野さんは、どこで元気になってもらうか、受け入れ側とのマッチングが大事だとおっしゃいました。さらにお尋ねしたいような気もするのですけれども、それを具体化するのが私たちの検討会の役割なのかもしれません。
堀田さん、今のことでよろしいでしょうか。
○堀田構成員 ありがとうございます。
一つだけ意見で、今の点から戻ってなのですけれども、資料2の参考の中の一番上のところが、1回目にさんざん議論されたのかもしれないのですけれども、ちょっと気になるのは、きょうの3人の資料やお話をお伺いしていても、個人の自立を支えるという方向性自体はもちろん賛成なのですが、やや強く捉えられないかなという懸念を何となく感じます。
そもそも参加あるいは働くというところに行く前に、誰もがう~んっとならない、今ここにこうしていていいと思える場があって、そこで仲間ができていって、だからこそその先に進んでいく。決めたい、決めていけるというような環境が生まれてくるというところではないかと思うので、方向性としてはこれでいいと思うのですが、出し方としては、まずは存在の承認、人としての権利が確実に守られるというところこそが揺らいでいるような感じがするので、確認して頂きたいと思います。
以上です。
○宮本座長 今、おっしゃったことは非常に大きな問題でもございますので、引き続いて議論させていただきたいと思います。
さて、そろそろ時間も参っているのですけれども、もし皆さんのほうでありましたら。
立岡委員。
○立岡構成員 たびたび済みません。
ちょっと勝部さんと宮間さんにお聞きしたいのが、町内会とかに加入していて、例えば社協であれば社協のちゃんと払っているよというような人だったらいいのですけれども、未加入のエリアとか、未加入の世帯という部分に関しては、実際にどのようにアプローチをかけて、漏れないようにされているのか。
あと、まさに15ブロックの中において、町内会や地区社協に入っているところは入っていると思うのですけれども、未加入にはどういうふうにアプローチをした形の中において全体を進めていったのかを教えていただければと思います。
○宮本座長 勝部さんからお願いをいたします。
○勝部参考人 私たちの町は66%が集合住宅でして、マンションが非常に多い。マンションは管理組合をつくって、もう自治会をつくらないところが非常にふえていますので、一つは、マンションサミットというものを始めました。マンションの管理組合サミットを始めて、マンション内の助け合いを、これはコミュニティーをつくっていく上で、校区福祉委員会に入れなどということではなくて、マンションとしてのつながりづくりのやり方を提供して、今回は大阪北部地震でマンションは大変な被害を受けて、エレベーターが全部とまって、電気がとまったので、水がポンプアップできなくて、マンション内で非常にいろいろな課題がありましたので、このたび、社協に入っていない人たちにもみんな無事ですシートという、マグネット式で、無事であれば無事と自分で出すようなシートを配布して、それを使った避難訓練をしながら、子供たちが14階まで上がっていろいろな人たちを見て回るみたいな訓練をやるような取り組みを皆さんで共有していくような応援を片一方ではしています。
片一方は、自治会に入っていない人たちに関しても、自治会費だけで社協運営はしていないので、社協の会費を集めていますので、自治会に入っていない人たちも含めて、地域の人たちは全部守るということを前提に活動しています。
そして、先ほどのローラーも含めて、当初はどうして地域につながっていない人たちまで私たちが支援しなければいけないのかという意見はありましたが、本当に厳しい人たち、例えば外国人であったりいろいろな人たちは、そういうルールがわからなくて、そういう組織にも加入されていないというのが経験の中でだんだんわかってきていますので、今は、そうやってつながってチームに入ってもらうということも含めて、チームに入らなくても、同じ町にいる人たちは支えるというふうに、大分意識の変革は進んだかなと思っています。
○宮本座長 ありがとうございました。
宮間さん、お願いします。
○宮間参考人 今、町会・自治会の加入率は70%ぐらいなのですけれども、もちろん入っていない方たちとか転入してくる方たちについては、すごくかわいいチラシをつくって、市民課の窓口でお配りするとか、宅建事業者と組んで新しいマンションができるときに配布していただくとか、そういう個別のアタックももちろんしているのですけれども、それとはまた別に、地区会ということで、15地区にそれぞれ地区会をつくっていただいて、面として考えていただくということで、入っていない人たちも含めて、地区会として、その地区を盛り上げるような活動をしていただきたいということで、交付金をお出ししたりして、地域の中で運動会をやったりとか、同じ場所に住んでいるということの意識を高めてもらうような活動につなげていただきたいということなのですけれども、まだ地区会ができて2年、ことしが3年目ということなので、その辺の取り組みは本当にこれから頑張らないといけないかなというところです。
○宮本座長 ありがとうございました。
よろしいでしょうか。
それでは、きょうは3人の参考人、正確にはマツムラさんを加えた4人の皆さんのおかげで、大変大事な議論ができたように思います。勝部さん、宮間さん、マツムラさん、正野さんには、改めてお礼を申し上げたいと思います。
私の不手際で10分ほど延びましたけれども、審議はここまでとさせていただきたいと思います。
事務局のほうから、次回の御案内をお願いできますでしょうか。
○藤野地域福祉課課長補佐 次回ですけれども、6月13日木曜日の16時からの開催を予定しております。会場等の詳細は、追って御連絡させていただきます。
以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。
それでは、きょうの検討会はここまでとさせていただきます。
どうもお疲れさまでした。

 

照会先

社会・援護局地域福祉課

(代表電話) 03-5253-1111(内線2233)