第5回救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会(議事録)

医政局地域医療計画課 救急・周産期医療等対策室

日時

平成30年6月21日(木)
16:30~18:00

場所

TKP赤坂駅カンファレンスセンター ホール14A

議事

下記のとおり
○野口救急医療対策専門官 それでは、定刻になりましたので、引き続き、第5回「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会」を開催させていただきます。
構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
出席者に関しましては、引き続き、猪口構成員の代理として全日本病院協会救急・防災委員会の大桃丈知参考人、坂本構成員の代理として日本臨床救急医学会理事松田潔参考人、中板構成員の代理として日本看護協会理事井本寛子参考人、横田構成員の代理として日本救急医学会理事黒田泰弘参考人の御出席について承諾いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○野口救急医療対策専門官 また、参考人として、熊本大学医学部附属病院救急総合診療部の笠岡俊志参考人、北里大学医学部救命救急医学の浅利靖参考人に引き続き御出席いただいております。
まず、お手元の資料の確認をさせていただきます。お手元に、議事次第、座席表、開催要綱、構成員名簿のほか、資料1、参考資料1から4をお配りしております。乱丁・落丁等がございましたら、お知らせください。
報道の方で、冒頭カメラ撮り等をしておられる方がおられましたら、ここまででお願いいたします。
(カメラ撮り終了)
○野口救急医療対策専門官 それでは、遠藤座長に以後の議事運営をお願いいたします。
○遠藤座長 それでは、議事に移らせていただきます。
本日の議題は「救急医療体制の現状と課題について」でございます。
事務局から資料が出されておりますので、説明をお願いします。
○野口救急医療対策専門官 資料1「救急医療体制の現状と課題について」、御説明します。
まず、救急医療の現状です。
2ページ目でございます。「救急患者とは」ということで、こちらに記載させていただいておりますが、救急患者、消防が言う救急業務に当たる者に関しましては、こちらに表現される者でございます。
それ以外に、「救急医療体制基本問題検討会」報告書には、「救急患者とは、通常の診療時間外の傷病者及び緊急的に医療を必要とする傷病者をいい、これらの救急患者に対し、医療を提供する医療機関を救急医療機関という」と記載されております。
続きまして、3ページです。救急医療体制についてこれまでにいただいた意見をまとめさせていただいております。
本検討会以前にいただいた御意見としまして、救急救命センターが多くなり過ぎたのではないか。そのため、救急医が分散され、運営に負担がかかっているのではないか。
高齢者救急を背負うべき二次救急医療機関が減っているのではないかという意見や、今の救急医療体系は交通事故多発時代につくられたもので、現在の救急医療の需要にマッチしていないのではないか。二次救急医療機関でも、重篤患者を診られる病院がほとんどと考えており、重篤患者が救命救急センターに集中するのはよくないのではないかといった御意見がありました。
本検討会においていただいた御意見には、初期と二次の違いを独歩・救急車の来院方法で区別をする視点や、診断の結果帰宅する外来患者と入院患者で区別する視点などがあるのではないかという御指摘。プレホスピタル及びインホスピタルの質の評価に資する尺度を設定し、取り組みを進めるべきではないか。高齢者救急を主に担っている二次救急医療機関の数が減り、一方で三次救急医療機関がふえているが、役割の整理やあり方の検討が必要ではないか。かかりつけ医を持つことで初期救急医療機関を受診する人は少なくなるはずであるが、診療時間外には患者を受けない診療所が多く、救急病院が担っている。この現状は問題ではないか、といった御意見がありました。
続いて、4ページです。現状ですが、こちらは平成29年度版救急・救助の現況ということで、総務省消防庁から発表があるものでございます。こちらを見ますと、平成28年には562万もの搬送がありましたけれども、その内訳としまして、高齢者は5割以上を占めているとなっております。
続いて、5ページでございます。こちらも総務省消防庁のデータでございますが、傷病程度別の救急搬送人員を示しております。ここで傷病程度と言いますのは、救急隊が傷病者を医療機関に搬送し、その際、初診時における医師の診断に基づき分類したものを、消防庁がとっている統計でございます。その診断に関しましては、右の囲みにありますような基準で、初診時に判断しているということでございます。
このような傷病程度別でございますが、最終的に統計では、傷病者の半数が軽症と診断され、帰宅している現状でございます。あと、搬送患者のうち10%が重症以上の患者となっております。
続きまして、6ページでございます。こちらは、厚生労働省医政局地域医療計画かでとっている統計を示しております。そのうち、救命救急センターを設置する医療機関、いわゆる第三次救急医療機関と第二次救急医療機関の統計を出させていただきました。救急患者の中で、救急車で来院したとされる合計をこちらに示しております。
初期救急医療機関の救急車の台数がわかりませんけれども、こちらが全てと換算しますと、救急搬送のうち約75%、4分の3が二次救急医療機関に搬送されている。残りの25%、4分の1が救命救急センターを設置する医療機関に搬送されているという実情があります。一方、それ以外に救急患者として受け入れた数をとっておりますが、救急車以外の来院方法で見ますと、それぞれ2倍以上の患者が受診しているということになります。
合計は記載されているとおりでございます。この合計のうち、受診した結果、どうなっているかといいますと、下にありますように、二次救急医療機関でありますと約20%が入院、救命救急センターを設置する医療機関でありますと14.5%が入院しているという状況でございます。
続きまして、7ページ及び8ページを説明いたします。
実際に入院した患者という視点で見たらどうなっているかということでございます。こちらの出典は、平成28年度入院医療等の調査でございます。
こちらで見ますと、まず緊急入院に関して言いますと、45.7%は状態が安定している。残りに関しましては、時々不安定であるという結果となっております。
一方、救急車以外の来院方法、下にあります、外来時の初診後、外来時の再診後の緊急入院に関しましても、入院後、不安定であると判断された方々は一定数の割合であります。
続いて、8ページでございます。こちらは中央社会保険医療協議会議会で使っております資料ですけれども、実際に入院した後における、入院経路別の医師による診察、処置や判断を含む頻度を見ますと、1日1回以上、医師による診察が必要な患者の割合は、ほぼ同等でありました。
続いて、9ページの説明でございます。こちらは、救急医療体制を図で示しているものでございます。青枠で書いておりますのは、救急医療対策事業実施要綱の中で定めている救命救急センター、病院群輪番制病院、共同利用型病院、在宅当番医制、休日夜間急患センターという枠組みを示しており、実数も示しております。
続きまして、10ページです。こちらは、医療計画における第三次救急医療、第二次救急医療、初期救急医療における役割及び医療機関に求められる事項の抜粋でございます。
続きまして、11ページです。先ほど示しました第二次医療機関における1施設当たりの年間救急搬送患者数を多いもの順に並べたものでございます。全体としては2,8278278277でございますが、最大は1万319人、年間で受けておりますが、最小はゼロ人となっております。
また、12ページ、内訳でございますが、年間の時間外救急搬送患者数でございますが、最大で7,605人、最小はゼロでございます。
続きまして、13ページは救命救急センターの状況でございます。284施設ありますけれども、救急搬送患者数ごとに並べております。最大は1万3,108人受けておるという状況で、最小は824人でございました。
なお、ここで重篤患者というものをあわせて御紹介しております。この重篤患者と言いますのは、救命救急センターの充実段階評価における来院時の年間重篤患者数として、要件を事務局及び研究班で整えた上で、全国の救命救急センターで毎年調査を行っているものでございます。
あわせて、その調査において、各救命救急センターが所管する人口も都道府県より届け出ていただいておりまして、その所管人口10万人当たりでグラフを書きかえますと、14ページのようになります。救急搬送患者数は、最大で6,520人、最小で108人。重篤患者は、最大で1,133人、最小は22人となっております。平均、中央は御参照ください。
続きまして、15ページでございます。このように救急医療体制を整えてきておりますけれども、救急搬送における医療機関の受入状況(重症以上傷病者)に関しまして、照会回数4回以上の事案が1万39件、全体の2%あり、現場滞在時間が30分以上の事案が2万2,104件あるという状況でございます。
照会回数が4回以上、または現場滞在時間30分以上の事案いずれかに該当する都道府県は、下にありますとおりです。首都圏や近畿圏等の大都市部において搬送困難と呼ばれるような事例が多くなっております。
続きまして、16ページ以降でございますが、こちらは各地域における救急搬送患者の受入状況を示しております。これは、各消防本部より情報をいただき、提供させていただきます。
17ページでございます。A消防本部の管轄地域における状況を御説明いたします。こちらは、人口密度100未満という状況でございますが、救命救急センターが1施設、二次救急医療機関が6施設あります。管轄内に発生した傷病者の約6割が救命救急センターに搬送されている状況でございます。内訳でございますが、グラフにあるとおりでございます。
その中で重症程度別分類をしておりまして、各施設で全体にそれぞれ重症程度別でどれぐらいの割合を占めるかというのが、左側のグラフの2段目段になると思われます。こちらは、大きな差はないというところで、救命救急センターと第二次救急医療機関とで受け入れている傷病者の重症度の傾向に大きな違いがないという判断ができます。
続きまして、18ページです。こちらは、人口密度300という地方都市でございます。先ほどよりも人口密度が高い状況でございますが、救命救急センターはゼロ施設で、第二次救急医療機関は3施設ございました。こちらでございますが、管轄内に発生したほぼ全ての傷病者が同規模の二次救急医療機関3施設に搬送されています。左側グラフの2段目を見ていただきますと、傷病程度別に色分けもされておりますけれども、1病院、2病院、3病院、それぞれ似ているところでございます。
左側のグラフの一番下の段でございますが、こちらは緊急度というものも提供いただいております。こちらに関しましても医療機関間で同等でございました。
右側のグラフにありますように、病床や受入患者数の相関でありますとか、受入疾病分類も似ているという状況でございます。
続きまして、19ページでございます。こちらは、大都市、人口密度6,000程度でございます。こちらのグラフを見る際に注意いただきたいのが、左から1番目と2番目の医療機関に関しましては、同一病院でございます。同一病院でありますけれども、その地域において二次救急医療機関、三次救急医療機関という役割が求められておりまして、消防のほうで分けて統計をとっております。こちらで見ますと、管轄内に発生した傷病者の多くは第二次医療機関に搬送されている状況でございます。
救急救命センターに重症以上の患者が集中しており、二次救急医療機関と役割分担がなされていると読めます。
続きまして、20ページです。D消防本部の管轄地域、同じく大都市でございます。こちらは、救命救急センター等ということで分けておりますけれども、救命救急センター等が3施設、第二次救急医療機関が73施設ございます。こちらは、管内に発生した約8割の傷病者が二次救急医療機関に搬送されている状況でございます。
続きまして、21ページです。こちらを見ますと、救命救急センターの重症度から見た役割分担、右側の上のグラフ、及び下の疾病から見た役割分担というところを参照いただきますと、救命救急センターに重症患者は集中しているが、救命救急センターにおいても多くの軽症患者を受けている。及び、救命救急センターと第二次救急医療機関とで受け入れている傷病者の疾病の傾向が異なるという地域でございました。
このようにそれぞれの地域がありまして、22ページでございますけれども、データから見た救急医療機関の現状(イメージ)を記載しております。制度では医療機関の位置づけ(初期、二次、三次)を行っていますけれども、医療提供としては制度の位置づけよりも幅広に行っている医療機関があるという現状を示しています。
制度上の位置づけとしましては、主に独歩で入院しない患者を診る初期救急医療、入院患者を診る二次救急医療、重症・重篤、複数の科にまたがるような疾患を診る三次の救急医療という位置づけでございますが、下にありますように、標準的な体制を除外しますと、入院か外来で帰れるかわからないようなものを両方診る初期と二次を役割として担っている病院や、重症の患者、三次というレベルまで診る二次医療機関がございます。
三次医療機関でございましても、入院する患者だけ診るような二次と三次を役割として担っている病院もあれば、外来も診る、初期、二次、三次、全てを診る三次の医療機関もあります。
続きまして、23ページ以降は少し話が変わりますが、実施基準における重症度・緊急度について御説明させていただきたいと思います。
24ページでございますが、まず実施基準についてです。「傷病者の搬送及び受入れの実施に関する基準の策定について」という通知がなされ、下にありますとおり、消防法の中に記載されております。実施基準は、都道府県の区域又は医療を提供する体制の状況を考慮して都道府県の区域を分けて定める区域ごとに、次に掲げる事項を定めるものとする、という法律事項でございます。
この実施基準を検討した際の内容を御説明します。次のページ、25ページでございますが、「傷病者の搬送及び受入れの実施基準等に関する検討会」というものが設けられ、平成21年に報告書が出ております。その中で、医療機関を分類する基準として、どのようになっているかといいますと、優先度に応じて地域で適切な医療の提供が行われることを確保するために、緊急性、具体的には重篤であるものや、症状や病態等によって重症度・緊急度が「高」になるもの、専門性及び特殊性に応じて医療機関を分類し、適切な医療提供を行うようにということでございます。
続きまして、26ページです。実施基準の整備の経緯でございますが、平成3年に救命救急士法が制定され、平成13年から「救急業務の高度化の推進について」という通知がございました。その中で、平成16年で「救急搬送における重症度・緊急度判定基準作成委員会」報告書があり、重症度・緊急度という考え方が始まっております。それが最終的に平成21年の実施基準に反映されたところでございます。
続きまして、27ページで緊急度・重症度に関して説明申し上げます。
重症度に関しましては、病態が生命予後又は機能予後に及ぼす程度として定義されておりまして、時間の概念は含んでおりません。
緊急度に関しましては、時間経過による症状の変化の度合いに着目した言葉であり、言い方を変えますと、重症化に至る速度とか重症化を防ぐための時間的余裕というものでございます。
下にイメージ図がありますけれども、短い時間で重症化するものは緊急度が高いという判定をしております。
28ページでございます。緊急度に関しての話を進めてまいりますが、緊急度に関しては、総務省消防庁のほうで「救急業務のあり方に関する検討会」の中で議論がされております。現状は、時間の流れに合わせて、住民、電話相談、119番通報、救急現場において、それぞれ判断するためのプロトコルが定められております。総務省消防庁ではプロトコルを定めておりますけれども、この図で見ますと、医療機関を選定した後の医療機関においては、院内トリアージという考え方が緊急度の話になるのですけれども、こちらは緊急度に応じて診療の優先順位づけを行う取り組みということで、総務省消防庁では議論はされていません。
続きまして、29ページでございます。具体的に緊急度とはどういうものかということをイメージいただくために、病院に一番近い救急現場でのプロトコルの例を示しております。緊急度というのは、ここにありますように、赤、黄色、緑、白というように、サブカテゴリーもありますけれども、そちらに記載しておるような定義でございます。
また、緊急度をどのようななプロセスで判定するのかといいますと、下に書いてありますとおり、重症感や主訴を聞きき、その後の1次補足因子、2次補足因子にありますようなバイタルサインでありますとか、非生理学的な指標といったものを用いて客観的に判定するものでございます。
次のページ、30ページでございますが、実施基準が定められた後、緊急度判定に係る検討に関して、消防庁ではこのような取り組みをしております。
続きまして、31ページでございます。ここからは重症度の御説明でございます。そもそも総務省消防庁にとっていただいている「傷病程度分類」に関しましては、初診時(医師引継ぎ時)の医師の診断に基づく入院治療の程度を示したものであり、下に書いてありますような定義でございます。ただ、これは救急車による救急搬送の緊急性、緊急度を判断する基準とは異なるのですけれども、一般的な言葉のイメージと本来の定義の間に隔たりがあるということで、まず呼称のあり方に関して検討が平成28年「救急業務のあり方に関する検討会」にて、なされております。
検討の結果としましては、呼称は変更せず、赤字のような記載を併記することとなっております。
続きまして、32ページでございます。変わりまして、病院に入ってからの判定でございますが、重症の定義につきましては、アからコにあるような内容が、診療報酬の上では、特定集中治療室管理料でありますとか救命救急入院料といったところで言葉としては出てまいります。
続きまして、33ページです。具体的な指標・基準がないということでございまして、救命救急センターに関しましては、研究班及び厚生労働省のほうで検討した上で、こちらに書いてありますような具体的な基準に該当する重篤患者数というものを毎年統計しております。
続きまして、重症度の紹介でございますが、34ページ、いわゆる生理学的な指標に基づく重症度スコアというものは、ここにありますようなAPACHE IIスコアでありますとか、次の35ページにありますSOFAスコアというものがございます。こちらは中医協でも議論されていましたので、こちらの資料を御参照ください。
最後、論点でございます。救急医療体制についての論点ですけれども、1つ目、昭和52年に制度化された救急医療体制の体系は、高齢化等社会経済構造が変化した現在においても適切に機能するものとなっているか。
2つ目、質が高く効率的な救急医療体制の構築のためには、重症患者を受け入れる二次救急医療機関は、地域の三次救急医療機関とどのように医療機能を分化・連携すべきか。
3つ目、地域の救急医療提供体制を評価する指標として、これまで用いられてきた救急車受入台数に加えて、緊急度や受入疾病のデータ等を含め、どのようなデータを活用することが適切と考えるか。
こちらに関して御議論いただきたいと考えております。以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、ただいまの報告に関しまして御意見、御質問があればいただきたいと思います。特に、最後に論点ということで3つほど事務局が挙げておられますので、これについてもぜひコメントいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
加納構成員、どうぞ。
○加納構成員 ありがとうございます。
まず、6ページ等で救命救急センターを設置する医療機関という形と、二次救急医療機関という形で分けられて、二次医療機関は75%という数字が出ているわけですが、これは後ろのほうで地域ごとの救急搬送の受入事情というところで、例えば19ページですか、一つの病院で三次救と二次救としっかりと内訳を分けているところを見ますと、三次圏よりも二次救の割合がはるかに大きいということがわかるわけです。
これは表現を間違えますと、三次救が25%、二次救が75%という数字に、6ページのところに感じるような表現で出されているので、ここは例えば救命救急センター、プラス二次救を設置する医療機関といった形の表現をしてもらわないと、二次救の評価があたかも少ないような感じがするかと思います。本来、以前からの議論では、本当の三次救の救命を要する患者さんというのは100台中1台から2台と聞いていたのですが、この表現でいくと、25台が救命センターに行かなければいけないような数字に誤解されるのではないかと思いますが、この辺はきちんとした表現のほうがいいのではないかと思いますが、どうでしょうか。
○遠藤座長 では、事務局、コメントをお願いします。
○野口救急医療対策専門官 すみませんす、質問をもう一度お願いできますか。
○加納構成員 もう一度整理しますと、これで見ると三次救に運ばれる数が25%、二次救が75%とあたかもとられるような形になっているのですが、これは違うと思うのです。本来、三次救、プラス二次救の部分が左へ行き、右の75%から抜けているという形になるかと思います。三次救と二次救の本当の比率というものをある程度わかる範囲でも厳格に出すべきじゃないかと思うのですが、どうでしょうかということです。
○野口救急医療対策専門官 事務局でございます。
この6ページの資料に関しましては、そこの詳細でございます、重症度で分けて、こちらが三次でありますとか、二次でありますとか、そのような区分をせずに統計をとっておりますもので、紛れがある可能性がありますが、この統計ではこちらまでの数字ということになります。
○徳本救急・周産期医療等対策室長 補足でございます。
今、6ページについて加納構成員がおっしゃったのは、この二次救急医療機関と書いてあるものの中に、救命救急センターを設置している二次救急も含まれているのではないかということでしょうか。
○加納構成員 逆です。三次救の救命センターを設置する医療機関の中に、二次救の数字が入っているのではないかということです。
○徳本救急・周産期医療等対策室長 それで言いますと、救命救急センターを設置する医療機関、135万という数を、下のデータとの関係から一括で出させていただきました。この中には三次救急部門と二次救急部門の数が合わさっております。三次救急部門が100万件、二次救急部門が35万件程度だったと記憶しております。
○加納構成員 二次救と三次救の数を比較するなら、そういう表現をしてもらわないと、実際の三次救と二次救のイメージというものがきっちりと整理できないのではないかと思いますが。
○徳本救急・周産期医療等対策室長 それについては、また次回以降、そこの部分を分けて出させていただきたいと思います。繰り返しになりますが、救命センターを設置している病院の二次と三次を混ぜて御紹介したいという意図ではなく、この下の表との整合性の関係で提示させていただいていますそ。
まさに先生が今おっしゃった危機意識というか、課題意識というのは、この3ページの資料にも我々としては認識しているつもりでございますので、そういった意味で引き続き活発な議論をお願いしたいと思います。
○遠藤座長 山崎構成員、どうぞ。
○山崎構成員 4ページの資料ですけれども、平成28年度で高齢者の救急車の利用が57.2%という数字がありますが、次の5ページ、軽症の患者さんが49.3%ということで、救急車を利用している患者さんの半分が軽症の患者さんだというデータがあります。この50%近い軽症の患者さんの年齢別分布というのはないのですか。
○遠藤座長 事務局、お願いします。
○野口救急医療対策専門官 事務局でございます。
5ページにあります表を見ていただきたいのですけれども、赤字にあります合計のところです。
○山崎構成員 これで見ると、高齢者合計で49.3%で、18歳から65歳が60%。これはどういうふうに読むのですか。軽症の意味がわからない。
○野口救急医療対策専門官 この表に関しましては、パーセンテージに関しては縦で見ておりまして、す済みません、横は参照いただくと誤りが生じると思います。
○佐々木地域医療計画課長 補足ですけれども、横では足していただくと、軽症のうち高齢者が半分弱、占めているという傾向はあると言えると思います。パーセントは縦にやっているものですからわかりにくいですが、横で割れば、50%までは行きませんけれども、40%以上は高齢者が占めているということは言えると思います。
○山崎構成員 そうすると、平成35年度から平成40年という年になると、超高齢の高齢者がこれから急激に増えるわけですが、この統計から考えると、救急車の数をもっとふやさなければならないのか、あるいは軽症の患者さんをある程度制限するような方策を考えないと、救急の現場が多分回らなくなってしまう気がしますが。
○遠藤座長 石川構成員、関連でお願いします。
○石川構成員 佐々木さんが言ったのはちょっと違うのではないかと思います。私が自分の千葉県で統計をとったときも、高齢者というのは確かに人数的には絶対数としては多いのですけれども、どちらかというと非常に重たい方が多い。軽症者はほかの年齢層に比べて少ないといった統計が出ていたように思います。ですから、高齢者の場合には、意外に我慢して救急車を呼んでいるという傾向があるのではないかと思っておりますけれどもね。
○遠藤座長 それでは、消防庁のオブザーバー、お願いいたします。
○小谷オブザーバー 消防庁でございます。
今、このデータの見方の問題だけだと思います。軽症の横の割合で見れば確かに高齢者の数が多いのですけれども、高齢者の中で見れば中等症以上の方が半分以上を占めているということになっていますので、石川構成員と佐々木課長の御発言は、そこまで齟齬があるものではないかなと思っています。
あと、山崎構成員のほうからも御指摘いただきました。救急車の数等については、消防組織法の中で消防力という概念のもとで規定されているものになっております。ただ、これ自身も広域化を進めていく中で今後、検討が必要という形で消防・救急課のほうで今後議論されるものと承知しております。
また、軽症の患者の救急要請をどうしていくのかというところは、ずっと議論させていただいている問題になってきますので、それは消防庁のほうの救急企画室の検討会のほうでさまざまな施策として対応していっているところでございますので、引き続き我々としても取り組んでいきたいと思っているところです。
○遠藤座長 ありがとうございます。
では、山本構成員、どうぞ。その次に、阿真構成員。
○山本構成員 昭和52年に制度化されたというのは、多分、補助金の補助要綱に基づく体系で、初期、二次、三次、当時、二次は輪番制に対してはこうだとか、三次は救命センターを設置する。最近の補助金のシステムが認識できていないので、今、どんな構造で、まだそういう補助金みたいなものが引き続き行われていて、それで初期、二次、三次の議論につなげていこうということなのか、既にそういう補助金は世の中に存在していないという状態なのか理解していないのですけれども、これがそもそもどういう感じに今なっているのでしょうか。
○遠藤座長 事務局、お願いします。
○徳本救急・周産期医療等対策室長 基本的には、本日の資料の9ページにもございますけれども、昭和52年につくられました初期、二次、三次という体制のままでやっているところでございます。補助金等に関しては、時代に応じて一般財源化したり、そういったものになっております。
○山本構成員 ということは、今回の議論というのは、体系自体も、場合によっては、もちろん合意が得られれば見直しを行い、ある意味では改編していきたいといったことも事務局としてのお考えがあっての議論という理解でよろしいのでしょうか。
○徳本救急・周産期医療等対策室長 それにつきましては、10ページ目です。今、医療計画上、三次救急医療機関、二次救急医療機関、初期救急医療機関という昭和52年のころから脈々と続くをつくっているところでございますが、再び3ページに戻っていただいて、これまで本検討会、及びこの検討会以前にも別の検討会や部会などでいただいている御意見から考えると、時代にマッチしていないのではないかという皆様方からの御意見を賜っているように我々、考えているので、本日、このように議題として挙げさせていただいているところでございます。
○山本構成員 私が担当していた時代は、基本的には、救急というのは体制をつくっていても、肝心な患者さんの受診数が日によってばらばらな中で、来なければ診療報酬上の請求は当然できないということで、ある程度体制を整備しているということになると、診療報酬の収入だけには頼れない部分があるからということで、補助金を出していたという考え方だった気がしています。
ところが、今、診療報酬上の手当をかなりしている中で、患者が実際たくさん来ているということになれば、それなりに不採算という部分じゃない部分も出てくる中で、補助体系と診療報酬とをどう組み合わせているかというのが変わってきている気がしている中で、今後の議論の中には、そういう金目のほうも一緒にセットで資料か情報をいただけたら、さらに深い議論ができるのではないかという気もしているのです。
○遠藤座長 事務局、どうぞ。
○徳本救急・周産期医療等対策室長 診療報酬の話については、この場ではなく中医協などで議論していただくことだと思っておりますが、当然、この場では、救急医療体制、初期と二次と三次という体制なのか、また新たな体制なのかはこれから議論いただくことでございますけれども、まず救急医療体制としてどうあるべきかを議論していただいた上で、その体制を維持・発展させるためには、補助金プラス報酬体制としてやっていくかというのは、医政局と保険局の間でしっかりと連携をとって取り組ませていただきたいと思います。
○遠藤座長 よろしくお願いします。
お待たせしました。阿真構成員。
○阿真構成員 済みません、話を1つ前に戻してよろしいでしょうか。先ほどの5ページの話です。
東京都と東京消防庁の救急の委員を務めていまして、東京都について言えばこの表のとおりで、高齢者の中で中等症というのはほかの世代と比べると割と多いのですけれども、年で見ていくと軽症がすごくふえているというのが東京都の例であります。なので、この中で見ると高齢者は軽症が少ないのだなと見えるかもしれないですけれども、年で見ていかないと、今、どんな状況かというのが。都について言えば、かなりそれがふえていて、それが問題となっているのですけれども、全国的に見るとそんなことになっていないのかというのは、小児と比べると軽症が全然少ないので問題ないねと見えるのですけれども、全国的に見るとどうなのかなというのは気になりました。
もう一つ前の話に戻って、加納先生がおっしゃっていたことですけれども、先生がおっしゃっていた意味を教えていただきたいのです。これは、35万を二次医療機関に足すと100対435ぐらいになるかと思うのですけれども、それだと先生の印象としては、二次医療機関がとっているのは少ない。80%ぐらいじゃなくて、もっととっているのだよということをおっしゃりたかったということでしょうか。
○加納構成員 よろしいですか。済みません。二次医療機関に搬送されるべき数というのは、一番少なく見積もったとしても、本来は95%とか、そういったところだと思っているのです。それが75という数字で表現されているのはいかがなものかということです。ということは、左側の救命センターに二次救の患者さんが入っている。それを分けて、この表現でいきますと、あたかも三次救、対二次救みたいな比率で25対75という数字が出てきますので、それは誤解を与えますので何とかしていただきたいというのが私の質問です。
○阿真構成員 ありがとうございました。
○遠藤座長 では、事務局、どうぞ。
○徳本救急・周産期医療等対策室長 今、阿真構成員からいただいた御質問に関して、補足させていただきますと本日の資料にはつけておりませんので、口頭だけで申し上げさせていただくと、平成17年と平成27年という10年間の変化で、データも古くて申しわけございませんけれども、そのデータで言いますと、例えば高齢者を見てみますと、死亡とか重症がふえているのが10年間で9%、中等症がふえているのが43%、軽症がふえているのが54%と。先ほどのデータを10年前、平成17年と27年を比べると、数だけで言うとそういう形になっているというデータがございますので、阿真構成員がおっしゃったのは、東京のみならず、全国的な一般的な傾向だと言えるかと思います。
あと、2点目。加納構成員に補足いただきまして、ありがとうございます。先ほどの御意見の内容がよくわかりました。そういったことは、繰り返しになりまして恐縮ですけれども、3ページにあります。先ほど加納構成員が、救命センターに運ばれるのは、救急車100台のうち1台2台なのではないかということを言っていたというのは、それは昭和52年のころの初期、二次、三次のたてつけの時代の話だったと思っています。
3ページにもありますように、今の時代、いわゆる二次救急医療機関がそれなりに重篤な患者を受け入れられるようになっているというコメントもこの中にあるところでございまして、そういったことも含めて、先ほどの6ページの結果、75%というところに出ているのかなと感じました。
○遠藤座長 では、加納構成員。
○加納構成員 今の最後のお話は、全く逆に戻ってしまったかなと思います。本来、三次救に運ばれるのは、救命救急入院料を取れる人ですから、25%もいないのです。ですからおかしいのではないかということです。本来、二次救対象病院、二次救の患者さんは、僕が先ほど申しましたように、95%とか、それぐらいが本当の比率ではないか。それがあたかも75%という数字で出されるのはいかがなものかという質問です。
○徳本救急・周産期医療等対策室長 理解して説明したつもりですけれども、語尾が間違っていたようです。おっしゃられている内容と、もう一つ、追加で言うと、22ページにあります現状のイメージ図というものをあわせると、今の75%と25%という形になっているのかなということで、しっかりと理解しているということだけはここで改めて御説明申し上げたいと思います。
○遠藤座長 島崎構成員、どうぞ。
○島崎構成員 全体としてきょうの資料というのは、事務局としてどういうメッセージを送ろうとしているのかというのがクリアではなく、いろいろな読み方ができるような形になっているように思います。そもそも救急の問題に関して押さえておかなければいけないと思っているのは、きょうのデータに直接はついていませんけれども、消防庁のデータによれば、例えば、救急車を呼んでから実際に病院に到着するまでの時間というのが、今だと39分ぐらい、40分弱ですね。それが10年ぐらい前に比べて7分か8分か、そのぐらい長くなっています。これは、押さえておくべき結構大きな話だろうと思います。
それから、きょうの資料の15ページを見ると、特に首都圏とか近畿圏の大都市部において照会回数が多いとか現場の滞在時間が長い事案が結構見られます。これもよく言われる埼玉とか奈良とか大阪とかで起こっていることです。医療のシステムは複雑系で、同じ負荷がかかったとしても、それぞれの地域で一番脆弱なところに発現してくるという問題があります。
何を申し上げたいかというと、ほかの赤が引いていないところは問題がないかというと、救急以外のところではいろいろ問題があるかもしれないけれども、赤の色づけをしているところは救急に関しては問題があるところですね。一体、こういうことがなぜ起こるのか。医療の供給力が乏しいのか、搬送のルールなりがおかしいのか、何か違う別のファクターがあるのかが重要だと思います。
そういう観点で見ていったときに、6ページの先ほどからある議論というのは、先ほどの何が含まれているのかどうかということはともかくとしても、これを見る限りは、第二次救急医療機関と第三次を基本的に担う救命救急センターの属性が、実を言うとそれほど変わりがありませんということをこのデータからすると言っているわけですね。
それから、その後、幾つか地域ごとの分析をされていますけれども、これも地域によって、つまりそこは評価が入ってしまいますけれども、一次、二次、三次の体系をそれなりに維持している地域もあれば、そうじゃなくて、二次のところでそれぞれがほとんどドングリの背比べと言うと失礼かもしれませんが、同じような機能を担っていて、そこがお互いに競争しているようなところもあれば、そうじゃないところもある。こういうことを示しているわけですね。
お聞きしたいことは、それをどう評価しようとしているのか。つまり、実態が全然ばらばらだから、今となっては一次、二次、三次という区分そのものが必要ないかもしれませんから、その議論もしてくださいねということを言っているわけですか。いずれにせよ、まず、事務局として、ここでどういうことをメッセージとして伝えたいのか、ちょっと確認させていただきたいと思います。
○遠藤座長 では、事務局、どうぞ。
○徳本救急・周産期医療等対策室長 最後の質問の初期、二次、三次の体系から議論してほしいかということについては、第1回の検討会の中で、この議論というのは10年前からやっているという話があって、しっかりと対応するつもりがあるのかという御質問を他の構成員からいただいたと思っていて、事務局としては、この初期、二次、三次体系のあり方から、つまり根本から皆さんに御意見いただきたいと思っております。
今回、どちらかというと、事務局に何か意図があってデータを出しているように見えないという御指摘、まさにごもっともで、これを見ますと、17ページ以降の各消防本部のデータを見ると、地域の医療資源や人口密度など、そういったところで地域に求められている医療提供体制はかなり違うのだろうなというのがわかるところでございます。そういった中で、本日の論点のところにありますように、過去では救急車の受入台数しか評価軸がなかったということもありますし、救急車で来た患者をデータで見ますと、救急車に乗っていることでもって、その患者が重篤・重症であるということの裏づけも必ずしもないということも本日のデータで明らかになったところでございます。
そういった意味で、従前からは救急車の台数しかデータとしてとれなかったところがありますが、最近はこういう緊急度とか重症度というデータもとれるような社会的なインフラといいますか、環境も整ってきたところで、しっかりと改めて今の体制の初期、二次、三次体制を全て1から議論する中で、今、社会から求められている救急医療体制に対応するにはどのような体制があるのかというのを、一から皆様方に御議論いただきたいという意味で、我々がどこかに議論を持っていきたいという思いが余りないような資料で準備させていただきました。
○島崎構成員 それだったら、最初からそう言ったほうがよいと思います。地域によって一次、二次、三次の区切り方が違うというのは常識でもわかる話です。医療のリソースが乏しくて、三次の医療機関が倒れないようにするために、二次の医療機関が連携して軽度の患者が三次の医療機関に行かないようブロックして頑張っているような地域もあります。 その一方で、確かにおっしゃるように、それぞれの医療機関が一次、二次、三次を持っているというところもあって、どちらが効率的なのか、あるいは効率的なシステムに持っていくためにはどうすればいいのか、そんなことはそもそも観念的な議論なのかを議論すべきです。現在の救急医療体系はもともと交通事故多発時代に組まれたものですけれども、今日となってはそういうことは意味がないのかということも含め議論してほしいということですね。
であれば、きょうは時間がないけれども、例えば、そこのところはそれぞれの学会なりがどういうふうな議論をしているかということも含めて、きちんと議論・検討すべきだと私は思います。それぞれ救命救急、何学会があるか、正確に私が理解しているわけじゃありませんけれども、そこがそもそもどういう評価をしているのか。あるいは、疾病の中身によっても、そこの組み方が違うという考え方も当然あるわけです。そういうことも含めきちんと議論すべきだと思います。
その上で1つ質問させていただきたいのですけれども、参考資料4はなかなかおもしろいデータが出ていると思います。例えば、さっき言ったこととの関係で申し上げると、各都道府県のいろいろな受入状況の推移というのもそれなりに出てくるわけです。例えば経年変化で見てみると、29ページから30ページに、照会回数が4回以上、現場滞在時間が30分以上の事案の占める割合ということもあって、ここも本当は10年ぐらいで見たほうがいいのかもしれませんけれども、4年間という限られた期間ですけれども、経年変化が見られるわけです。例えば網かけをしているところもあるのですけれども、この網かけをしているのはどういう意味合いを持つのですか。まず、ファクトとして。これは、もともとのデータが網かけをしているわけですね。
○野口救急医療対策専門官 まず、この参考資料4でございますけれども、これは総務省消防庁の救急業務のあり方検討会のほうで実際に使われている資料でございます。今、御指摘のありました、29ページ、30ページの網かけに関しましては、全国平均よりも高いところを色づけしていると認識しております。
○島崎構成員 要するに、悪いところという意味ですね。
○野口救急医療対策専門官 そうです。平均より悪いところと理解されます。
○島崎構成員 わかりました。
もう一つ、これはむしろオブザーバーの消防庁にお聞きすべきかもしれないですけれども、先ほど色分けしたところで東京は色分けされていないわけですね。例えば東京ルールとかがありますね。そういうものが機能しているからなのでしょうか。つまり、そこのところは、例えば埼玉とかと比べてみると、医師数とかベッド数が違うとか、いろいろなファクターがこの搬送の時間のところに影響してきていると思いますけれども、それはどういう理由やファクターによって影響を受けるのかということについては分析されているものなのでしょうか。
○遠藤座長 では、お願いいたします。
○小谷オブザーバー 消防庁です。
御指摘のとおり、確かに東京には東京ルールというものがございまして、5回以上になってくると基本的には指定の病院で受けるという形をとると決めているところですが、埼玉とバックグラウンドの医療の領域において、どういう要素をもって、これだけの差が出ているのかということに関して詳しい分析というのは、今のところ消防庁のほうではまだしておりませんので、申しわけありません。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
山崎構成員、どうぞ。
○山崎構成員 ここで議論してもしようがないことなのかもしれませんが、今、国会に出ている働き方改革がありますね。あれが法律として通ったときに一番影響を受けるのが救急と産科救急だと思います。したがって、定時出勤・定時退社という形で法律的に義務づけられたときに、例えば聖路加病院の場合、監査が入って十数億円の返還があって、定時出勤・定時退社にしたところ、土曜日外来を休診にしたり、準夜・深夜の救急対応が半分近くまで減ってしまったということもあるわけです。今回の法律が通って働き方改革でしゃくし定規な話がこの救急現場に入れば、日本全国の救急現場は壊滅的な影響を受けると思います。
いくらここで一生懸命、救急車がどうのこうのという話をしていても、もっと大事な医療スタッフの状態が、医師や看護師を含めて労働制約がついてしまうと救急現場が回らなくなるということをここで発言しておこうと思います。
○遠藤座長 それは、御意見として承ればよろしいですか。
何か関連してでも御意見ございますか。
では、野口構成員。
○野口構成員 野口でございますけれども、今の山崎構成員のお話は大変重要だと思います。そのために何をすべきかがこの会議のメーンテーマになっていると思いますけれども、これは真剣にやらないと私はもうだめだと思います。例えば千葉の医師会の方がおっしゃいましたけれども、特殊ですね。びっくりしました。高齢者の重症者が多い。それしか搬送していないのだと言わんばかりのお言葉です。これは、まさに理想形でございます。どうしてそんなにいいのかなということに思いをめぐらしたのですけれども、MC体制がきちんとしているのかとか、ドクターヘリが機能しているから、それに触発されて、いいシステムができているのか。
よそは、ほとんど違います。例えば山崎構成員がおっしゃいましたけれども、いたずらに隔地から病院搬送までの時間を競っているのです。これは間違いです。軽症例であれば、救急車の運用が難しくなるだけの話ですから、時間をかけても関係ないです。重要なのは、重症者をできるだけ現場で処置しながら、そのためにドクターカーとかドクターヘリが出てくる。それは統計には出ないと思いますけれども、適切な病院を、いわゆるトラウマバイパスという古い言葉ですけれども、すぐ近くの救命センターへ搬送しても、ほとんどの場合は多発外傷なんか対応できませんよ。アメリカでもそうです。そういうことを考えれば、いたずらに今、この世においては、隔地から病着までの時間を競うのは、私は愚だと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
加納構成員、どうぞ。
○加納構成員 山崎構成員がさっきおっしゃっていただいたことですけれども、私が二次救急にこだわるのは、救命センターを持っている医療機関というのは、比率的に公が多いのですね。全部が全部じゃないのですけれども、二次救を担っているのは私的病院が多いということで、私的病院の経営的なものも考えてもらわないと、先ほどの働き方で、もしそういう人の配置の問題がかかわってくると、途端に私的機関のほうでは破滅するしかない、できないという結論になってしまうわけです。
公的であれば何とかできるかどうかという議論はあるのですけれども、そういう意味で二次救に関するいろいろな形での評価をしていただきたいし、先ほど山崎構成員がおっしゃった働き方の内容は、もしかしたらこの救急医療体制の現状に一番影響する問題かもしれませんので、これは議論すべきところかなと思っております。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかに何かございますか。
浅利参考人、どうぞ。
○浅利参考人 二次救急の評価というものをちょっとやらせていただいていたのですけれども、いろいろな指標をつくって評価すると、救命センターと比べると、救急の専門医が集まっている救命センターというのと、自分の仕事がありながら一生懸命やっている二次救急と違うのです。ですから、指標だけで見ていくと全然議論ができないので、それよりも地域に貢献しているという意味で言うと、二次救急の病院がないと地域の医療は崩壊するのです。
ですから、まずそこにベースがあって、その中で重症者を受ける救命救急センターがあってという形をうまく評価していかないと、単に医者の数とか救急車の数ということで言ったら、常勤の救急医の数が少ない病院はなかなか厳しくなりますし、地域での貢献というのも全部違ってくるので、そういう点をしっかり評価していかないと、ましてやこの働き方改革によって、二次救急の先生方は、当直をやって、そのまま次の日、働いている先生が多い。でも、救命センターは指導もあるので、交代勤務をして、あけたら帰りましょうというところが大分ふえてきているのです。
それで言ったら、救命センターはどうにか生き残っても、二次救急の病院はみんなそんな分の悪いことはやりたくないとやめてしまう可能性もありますので、その辺もしっかりと考えていかないと、この体制のピラミッド型の形というのはいいのか悪いのかの前に、現状が崩れていたら本当に困るなと思いますので、言わせていただきました。
○遠藤座長 ありがとうございます。
井本参考人、お願いします。
○井本参考人 当初御説明いただいたデータからすると、二次、三次救急の体制では重症度・緊急度を踏まえた役割分担がうまくいっていないように見えるのですが、いろいろな委員が御意見を出されたように、地域の実情も踏まえた上でデータとなる指標を把握していくべきではないかと思います。
意見です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかに。
どうぞ、島崎構成員。
○島崎構成員 役割分担のイメージについてですが、具体的なことで申し上げたほうがいいと思います。かなり事情が特殊なものですから、そういう前置きで申し上げると、長野県の飯田地区は医療資源が乏しい地域として診療報酬上も指定されている。つまり、診療報酬上の特例が若干設けられる地域として指定されている地域ですけれども、10年ほど前に、飯田市立病院が三次救急医療機関として指定されることになりましたが、そうすると、軽症患者等もみんなそこに集まってきてしまうのではないかという懸念があった。それに危機感を抱いた病院、医師会は、役割分担を図ることを考えた。つまり、患者がいきなり三次に行かないように、重症者だけがそこに行くように、ありていに言えば二次の病院のところでブロックする、もっと軽症なところは開業医で見ましょうということをやったわけです。それは、救急搬送のルールとも関係するわけですから、トリアージの判断まで含めて消防隊の搬送について評価もしました。
それから、患者さんが軽症の場合にいきなり病院に行かないように、行政を通じ働きかけていく、こういうルールでやっていきましょうねということを啓蒙・普及していく。そこが本当に機能したかどうかはともかくとして、そういう工夫をしていった。それは医療資源の効率的配分が有効に機能している例なのではないかと思います。
もちろん、それがかなり特殊だったというのは、そういう地域だからということで、ほかのところがそのとおり行くとは言えませんし、多様な形があってもおかしくはないのかもしれませんけれども、そもそも一次、二次、三次の体系が医療資源の配分の仕方として、アロケーションのあり方として好ましくない、そこは余り意味がないというのは、ちょっと違うのではないかというのが私の意見です。
もう一つ言うと、いろいろな評価の基準として、かつて言って全然取り上げてもらっていないのですけれども、救急搬送のときに断らずに引き取ったということをちゃんと評価するような指標はとれないものかなと思っているのですけれども、それは難しいのですか。例えば、東京あたりで医療機関がたくさんある場合に、どこかが引き受けてもらえるだろうから断ってしまうというのは、現実に結構ありますね。逆に言うと、二次医療圏の中で1つしかなければ、そこが断ったらまずいので引き取りますね。ところが、医療機関がたくさんあれば、いろいろ理由をつけて断るケースがあります。逆に、そういう場合であったとしても、リスクを背負って引き受けましたというところがきちんと評価されるような指標のとり方というのは、それほど難しくないような気がするのですけれどもいかがでしょうか。
○遠藤座長 事務局、お願いします。
○野口救急医療対策専門官 事務局でございます。
いわゆる救急患者を受けた、受けなかった、断ったかという話に関しましては、応需率というところで消防本部が統計をとったりしております。17ページから示しておりますような地域におけるものに関してですが、各消防本部は、各医療機関が実際にどれだけ断ったのかということを持っているというところで、応需率というものは実際あると思います。具体的にここにありますように、例えばA消防本部、17ページでありますと100に近いということで、しっかり受けていただいている。
ただ、ほかの医療機関に関しましては、応需率で見ますと60%であるとか70%というところはございますが、これも地域の実情というものも考えますと、ここにある医療機関、右上にありますように、病床数とか受入人数との相関というところを見ますと、小規模であると受けづらいというところも見え隠れするのかなというのがあります。なので、しっかり受けとめているという評価は、その応需率というものは一つの参考の指標となるものではないかと考えております。
○遠藤座長 ありがとうございます。
では、消防庁のオブザーバー、お願いします。
○小谷オブザーバー 消防庁でございます。
御指摘ありがとうございます。確かに応需率というのは、医療機関に要請した際に受けたかどうかという率ですが、それが島崎構成員の思っていらっしゃる、最終的に一番頑張ったかどうかという指標に直接つながるかと言われると、そうじゃない面も多々あると思います。各病院単位でそれをどう考えるかというのは、なかなか難しいかと思うのですけれども、この割合も全部出せるものではまだないですけれども、今回、出させていただいている情報をいただいた各消防本部の中では、地域の管轄している区域の中で、いかに患者を完結できたかという割合というのも一つの参考指標なのかなと考えています。
例えばA消防だと、病院の数も非常に少ないところなので、どうしても99.4%という割合になってきますけれども、お話しさせてもらっているのは、あくまで消防の管轄区域内ですけれども、それが医療の区域とどこまで合致するのか、どの単位で見るべきかという議論は必要かもしれませんが、議論する範囲の中でいかに患者を拾い切れたかというのが、各病院も含めて全地域で救急患者をしっかり引き受けているかという評価の根拠になるのかなと思います。データを出せる本部と出せない本部とあるのですけれども、管轄区域内での患者の受入割合というのは一つの参考にはなるのかなと考えています。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかに何かございますか。
どうぞ、お願いいたします。
○大桃参考人 全日本病院協会の大桃です。
私、東京都の区東部、区東北部で最後のとりで的な病院で勤務していたこともあるのです。東京ルールも年間で1,000件以上受け取るようなところで勤務しておりましたけれども、応需率だけだとちょっと問題があって、どんどん救急台数を受けていくと、浅利先生が先ほど言われたように、結局、スタッフが二次救はそんなに多くないので、とれなくなってきます。そうすると、待てない救急はそこを避けていくという状況になるので、応需率と救急の受入台数を両方うまいぐあいに総合評価しないと、なかなか難しいのではないかと考えています。
コメントでした。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
ほかの視点でも結構です。何かあればお願いいたします。
どうぞ、お願いします。松田参考人。
○松田参考人 日本臨床救急医学会の松田でございます。
論点を幾つかお示しいただきましたが、高齢化社会の中で蘇生を望まない高齢者の方の心停止、それは不搬送という選択肢もあるのではないかということで、日本臨床救急医学会として不搬送のガイドラインを提示させていただきました。それは、いわば限られた症例でございますけれども、今後、高齢者にあって高次医療機関で集中治療を受けるべき人なのか、そうでないのか、大変難しい問題ではございますけれども、こういった場で国民的議論に向けていただけるような検討をぜひお願いしたいと思います。
あと、先ほど来お話が出ておりますように、救命救急センターを持った施設が、救命救急センターのシステムとはちょっと違うかもしれませんが、二次救急患者さんを受ける数がふえているというのは事実だと思います。そうした中で、三次救急に特化しない中で救急医療をやっておりますと、入り口でのトリアージというものが大変重要になってくる問題でございます。
それにつきましては、この4月に院内のトリアージの保険点数を大変上げていただいたのは、救急病院にとって大きな進歩だと思いますが、それが形骸化したトリアージが行われている施設が現実には多いという中で、しっかりしたトリアージを日本国内に植えつけていくために、臨床救急医学会、救急医学会、救急看護学会等でJTASというプログラムを、資料のほうにもございますが、持ち込んで普及に努めておりますし、その保険点数が上がったことも含めて、さらに普及を進めるように学会としても努力しております。
そのJATS、ずばりとはもちろんいかないと思いますが、何らかの研修を受けた看護師さん等がしっかりトリアージをするということで、保険点数をいただけるというシステムをご指導いただきたいなと思います。
あと、指標に関しましては、台数を競う、二次、三次で台数がどうだということではなくて、それぞれの使命があって救急医療を行っているわけでございます。その中で、三次救急医療は重症の救急患者さんの救命がまず一番大事なテーマだと思います。そうしたときに救急車受入時の重症等の評価は、個人の医師が丸をつけているだけで、客観的なデータでは残念ながらございません。
地域でデータを、全ての症例は無理にしても、今、心肺停止に限れば世界に誇れるウツタインデータを総務省消防庁は持っておられるわけですから、そういったものを使って、地域での救急医療の評価というものを、救急車を受けるか受けないかじゃなくて、助けたか助けなかったかということを評価するような試みをぜひ行っていただきたいなと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかに御意見ございますか。
それでは、黒田参考人、お願いします。
○黒田参考人 救急医学会の、代理で出ました黒田でございます。
さっき松田先生が言われたこととかぶりますけれども、フレイルとかSOFAスコアとかAPACHEとか重症度のことを今回、提示いただいているのですけれども、ぜひ重度フレイルのことを考えてつくっていただきたいと思います。九十何歳で、ずっと施設でリハビリで家族の顔もわからなくて、最期の最期になって当直の看護師さんが、もうやばいからということで救急車を呼んで、来るのは救命センターという現実。来ていただいてから、主治医が家族に話をすると、いや、もう何も望みません。みとる。
そうしている間に、救命センターも医者がいっぱいいるわけではないので、そういう患者さんが2例3例続いたところに重症外傷が入ってくると、救命センターは大変なことになってしまうと。下手すると、そんなに重症じゃなければ断ることになりかねない。だから、応需率だけでは判断できないと思いますし、個々の意見、個々の患者にどれだけ対応しているかということをぜひ評価するようなことにしていただきたいし、重症度に関しては、その重度フレイルをどうしていくかということを一緒に考えていくように今後お願いしたいなと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでございますか。
それでは、消防庁のオブザーバー、お願いします。
○小谷オブザーバー 消防庁でございます。
松田参考人のほうから御指摘いただきました。お返事になっているかわかりませんが、今年度の救急業務のあり方に関する検討会の中の一つとしまして、傷病者の意思に沿った心肺蘇生のあり方についてという検討部会を消防庁のほうでは開催しております。厚生労働省とも十分協議させていただきながら、どういう形で取り組んでいけるのかというところも、我々としても何かしら一つの見解を示していきたいなと思っているところです。
また、同時に、今回御議論いただけるという形で考えておりますが、緊急度というもの。これは、消防庁がずっと取り組んできていたのですけれども、結果的に病院前、患者御本人、あとは消防庁でも#7119とか。あとは、119番時、もしくは現場でのトリアージ、それぞれが結果的にどうだったのかというところは、医療と連携しながら評価項目をしっかりつくっていただけると、もっと我々としても各消防本部、実際、119番とか現場でのトリアージ、緊急度の評価というのは、まだ十分ではない現状がありますので、こういう形で医療と連携することで、それがより普及する形になっていけるのではないかなと考えておりますので、引き続き御議論いただければなと思います。
済みません、意見だけです。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
大体予定した時間に近づいていますけれども、よろしゅうございますか。ありがとうございます。
それでは、事務局におかれましては、本日ありました御意見等を整理しまして、次回以降の議論に資する資料をお願いしたいと思います。
それでは、これをもちまして第5回の議論は終了したいと思います。
事務局から何かございますか。
○野口救急医療対策専門官 次回以降に関しましては、詳細が決まり次第、御連絡いたします。よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 それでは、これにて終了したいと思います。どうもありがとうございました。

照会先

【照会先】

医政局地域医療計画課
救急・周産期医療等対策室
救急医療対策専門官 野口(2556)
災害医療対策専門官 北久保(2558)