第7回 解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会(議事録)

日時

令和元年6月19日(水)10:00~12:00

場所

厚生労働省専用第22会議室(18階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2 )

出席者(五十音順)

(かき)(うち)(しゅう)(すけ)     東京大学大学院法学政治学研究科教授
 
鹿()()()()()  慶應義塾大学法務研究科教授
 
(かん)()()()()  立教大学法学部准教授

()西(にし)(やす)(ゆき)    明治大学法学部教授

(やま)(かわ)(りゅう)(いち)      東京大学大学院法学政治学研究科教授

議題

解雇無効時の金銭救済制度の検討に関する議論の整理

議事

  

○坂本労働関係法課課長補佐 それでは、定刻より若干早い時間ですけれども、先生方も皆さんおそろいですので、ただいまより第7回「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会」を開催いたします。
委員の先生方におかれましては、本日も御多忙のところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
本日の出欠状況ですけれども、中窪裕也委員が御欠席ということです。
また、今回も法務省よりオブザーバーとしまして、民事局の笹井朋昭参事官に御参加いただいております。よろしくお願いいたします。
続いて、平成31年4月22日付で事務局に異動がございましたので、紹介させていただきます。
労働関係法課調査官の矢野でございます。
○矢野労働関係法課調査官 矢野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○坂本労働関係法課課長補佐 また、岩村正彦委員におかれましては、前回3月の検討会で御案内しましたとおり、本年4月から兼職ができない中央労働委員会の常勤委員になられましたことから、本検討会の委員につきましては御退任されることとなっております。
今回より、東京大学大学院法学政治学研究科教授の山川隆一先生に、新たに本検討会の委員に御就任いただいております。
まず初めに、岩村委員が御退任されまして、現時点では座長が不在となっておりますので、改めて本検討会の座長について、お諮りさせていただきたいと思います。開催要綱にもありますとおり、本検討会の座長につきましては、参加者の互選により選出するということにしております。この規定に従いまして、座長の選出を行いたいと思います。
座長の選出につきましては、事前に事務局より各先生方に御相談させていただきましたとおり、山川委員にお願いしたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○坂本労働関係法課課長補佐 ありがとうございます。
それでは、委員の皆様の御賛同をいただきましたので、山川委員に座長をお願いしたいと思います。
では、初めに、座長に御就任いただきます山川先生より御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○山川座長 山川でございます。
以前、透明かつ公正な労働紛争解決システム検討会の委員でございましたけれども、そのときは中労委の常勤委員になり途中で退任いたしまして、今回は逆のパターンで、途中から就任することとなりました。
これまでの議論を鋭意フォローしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○坂本労働関係法課課長補佐 ありがとうございました。
では、これ以降の進行につきましては、山川座長、お願いいたします。
○山川座長 それでは、初めに、事務局からお配りいたしました資料の確認をお願いします。
○坂本労働関係法課課長補佐 それでは、配付しております資料の御確認をお願いいたします。
本日、資料を3種類、配付しておりまして、まず、資料1はA3の横置きの資料でございまして「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関するこれまでの検討会における主な議論の整理(6月19日版)」というものでございます。
それから、資料2と3がA4横置きのものでございまして、資料2が「解雇無効時の金銭救済請求権(形成権)について」というものでございます。それから、資料3が「解消金の性質について」という資料でございます。
その他、座席表を配付しておりますので、不足がございましたら、事務局までお申しつけください。
○山川座長 それでは、よろしければ本日の議題に入ります。議題は「解雇無効時の金銭救済制度の検討に関する議論の整理」ということになっております。
本日の進め方でありますが、事務局から提出資料を説明していただきまして、その後、資料を踏まえて議論するという流れとさせていただければと考えております。
それでは、事務局から資料の説明をお願いします。
○坂本労働関係法課課長補佐 それでは、資料1、A3横置きのものに基づきまして説明させていただきます。こちらの資料につきましては、3月の本検討会におきましても同様のものを提出させていただいておりまして、青枠で括ってある部分が今回、新たに記載した論点、全部で9つございます。それから、地の文章の部分につきましては、若干の修正を加えておりますけれども、基本的にはこれまでと記載はほぼ同様のものとなっております。
修正している点としましては、例えば「権利の発生要件」から右にいっていただいて、これまでの検討会における主な議論の1つ目の丸ですけれども、この資料では「解雇無効時の金銭救済請求権」という形で記載しているところがございます。この部分につきましては、3月の資料では「労働契約解消金請求権」という名称で記載しておりましたけれども、解消金の請求権と書いてしまうと、一般的な請求権なのか、形成権なのか、混乱が生じるのではないかという御指摘がございましたので、その部分につきましては「解雇無効時の金銭救済請求権」ということで名称を変更した上で、残りの箇所につきましても同様に修正しております。
その他、若干の形式的な修正を加えているところでございます。
では、早速、論点①から順に説明申し上げたいと思います。従前「労働契約解消金請求権」と記載しておりました「解雇無効時の金銭救済請求権」は、これまでの御議論では形成権であるということで解されるものでありますが、この権利の行使の効果として、実際どのような権利変動が、いつの時点で起こるのかということにつきまして、資料2のほうで図解したものを御用意させていただいております。
資料2につきましては、これまでの御議論を踏まえまして、事務局のほうで解釈して作成したものになっております。左から右に時間が流れていく形になっておりまして、まず、無効な解雇が使用者からなされる。形成権につきましては、無効な解雇がなされたことによって権利発生要件を満たすことになりますので、このタイミングで金銭救済請求権という形成権が発生するという形でございます。
それから、この形成権の行使の方法につきましては、これまでの御議論を踏まえますと、訴えの提起または労働審判の申立てということで検討しておりますので、右のほうにいきまして、訴えの提起等が実際の形成権の行使ということになってまいります。
それから、形成権ですので、権利行使をすると、それに伴って権利変動が生じるということになるわけでございますが、具体的な権利変動の中身につきましては、訴えの提起の下の部分で書いております。恐らく2つの権利変動が起きるのではないかということで記載しておりまして、まず、権利変動①につきましては、形成権を行使した結果、具体的な解消金の債権、これは労働者から使用者に対する債権ですけれども、これが発生するというものが1つ目の権利変動でございます。
ただ、通常の債権とちょっと異なりまして、具体的な解消金の金額につきましては、これもこれまでの御議論を踏まえますと、判決確定等によって最終的な解消金の金額が定まるという形にしておりますので、判決が確定するまでは、金額については未定の状態という債権でございます。
それから、権利変動②でございますけれども、こちらは額が確定した解消金支払いの条件というものがついております。先ほど申し上げたとおり、判決で解消金の額が確定するという形で今、検討しておりますので、そのように額が確定した解消金を使用者が労働者に支払ったときという条件がついた上で、労働契約の終了という効果が発生するという権利変動でございます。
この権利変動の過程を少し見ていきますと、次に判決の確定がありまして、権利変動①のほうにつきましては、この時点で金額が確定した債権という、はっきりした形になるということでございます。金額が確定しますと解消金の支払いということが可能になりますので、右のほうにいきまして、使用者が労働者に対して解消金の支払いをするということであります。そうしますと、権利変動②のほうにつきましても条件が満たされるということで条件成就しますので、権利変動が完遂するということでございます。その結果、労働契約が終了していくという構成でございます。
論点①につきましては、これまでの議論を踏まえまして、形成権の効果とその時期については、このような形で解してよろしいかどうかと記載しております。
続いて、A3のほうにお戻りいただきまして、論点②でございます。労働契約解消金に係る遅延損害金については、どの時点から発生すると解されるかという論点でございます。通常の債権でありましたら、遅延損害金の発生については履行遅滞に陥ったときということになっておりますので、基本的には請求を受けたタイミングから遅延損害金が発生することになろうかと思いますけれども、労働契約解消金の場合は、右のほうにも記載しておりますけれども、判決で額が確定する前に使用者が一方的に支払うということをしたとしても、基本的には労働契約の終了という効果はもたらされないということで、これまで検討してきております。
そうしますと、仮に労働者が請求した時点から遅延損害金が発生するとなると、使用者のほうから見ると、支払いがまだできないという状態にもかかわらず、遅延損害金を発生させてよいのかというところが論点になってくるのではないかと考えております。
それから、次の論点はページが飛びまして、4ページでございます。4ページまでの間につきましては、意思表示の撤回、事前の権利放棄、相殺・差押えの可否について記載をしておりますけれども、この辺につきましては、前回までの御議論におきまして、ある程度論点のほうは消化できているのではないかなと考えております。
次の4ページの論点③でございます。労働契約解消金の構成に係る論点でございます。こちらにつきましては、資料3をごらんいただければと思います。横置きの資料3ですが、3月までの検討会におきましては、パターン1からパターン3までをお示ししていたところでございます。
恐縮ですが、念のため再度御説明させていただきますと、パターン1につきましては、解消金の債権とバックペイの債権と損害賠償の債権というものが、全て別の債権だということで解した上で、労働契約の終了のためには、解消金の部分を払えば契約は終了するという構成でございます。
それをベースにしまして、この検討会でも、そうした構成をとりますと、例えば使用者から一部弁がなされたときに、バックペイの支払いが十分に確保されるのかという論点がございまして、それをいかにして担保するのかというのが、パターン2から、後ほど御説明しますパターン4まででございます。
パターン2につきましては、パターン1をベースにしながら、もし弁済が一部しかなされなかったときには、まずはバックペイ等に先に充当されて、バックペイ等の金額を全て払い終わった後に解消金のほうに充当されていくという構成でございます。
それから、パターン3につきましては、いわば広義の解消金と狭義の解消金というものを設定しまして、広い意味での労働契約解消金、赤い部分ですけれども、その中に狭義の解消補償金なるものとバックペイというものを入れる形にしております。結局のところは、この両者を支払ったとき、すなわち広い意味での労働契約解消金を支払ったことによって労働契約が終了するという構成でございます。
それから、パターン4でございますけれども、これは今回、事務局のほうで新たに御提起させていただいたものでございますが、パターン3と労働契約の終了という効果をもたらすために支払う金銭の額は一致するかと思いますけれども、債権については、あくまで解消金とバックペイというものは別のものだと、パターン1と同様に解した上で、政策的な観点から、労働契約の終了のためには、解消金だけではなくて、バックペイも払わないといけないという形のもので仕組んでいるものでございます。
A3の論点のほうにお戻りいただきますと、1つ目の論点は、解消金の構成につきまして、今回新たに入れさせていただいておりますパターン4のような構成も可能なのかどうかというのが1つ目の論点でございます。
それから、2つ目のところは、前回までお示ししたものでございますが、パターン3、労働契約解消金の中にバックペイも含めるという形で仕組んだときに、同じA3のページの一番上に労働契約解消金の定義、無効な解雇として確認された労働者としての地位について、労働者の選択により解消することの対価という定義を記載しております。こうした定義で、バックペイも解消金の中に含む場合も読み込みができるのかどうかというところを2つ目の論点として挙げております。
それから、3つ目のところは、解消金の性質のやや本質的な部分でございますけれども、労働契約解消金というものについては、これは将来存続すべき労働契約の解消の対価ということで、いわば将来分というものを満たすような金銭だということで解していくのか、それとも、これまで過去に存続してきた労働契約に基づく貢献度、これは略称で「過去分」と置いていますけれども、過去分のようなものも含む金銭だということで解していくのかどうかという論点を3つ目に記載しております。
続きまして、5ページでございます。論点④につきましては、先ほどの③からの延長でございますけれども、先ほどの論点③の部分におきまして、解消金については将来分だけでなくて過去分も含むという解釈を仮にしたとした場合に、その両者と、その上の真ん中の「(例)」、客観的な考慮要素、一定の評価が必要な考慮要素というところで、勤続年数、給与額、その他調整率とか、解雇の不当性、労働者の帰責性という考慮要素を書いておりますけれども、この考慮要素と、それぞれ過去分、将来分というのはどういう関係にあるのかというのを前段で記載しております。
「特に」以下につきましては、特に将来分を考えるに当たっては、これは恐らくいろいろな考え方があろうかと思いますけれども、例えば将来分については、再就職の困難度ということを重視して見ていくという考え方も当然できると思いますし、一方で、逆の考え方ですけれども、定年とか有期雇用の期間満了というものから考えると、いわば残存の雇用期間のような労働者の地位継続の確実性といったものについて、着目して考えていくのかということもできるかと思いますので、将来分の捉え方につきましても、どのように解するのかというのを後段のほうに論点として入れております。
続いて、6ページ、論点⑤でございます。論点⑤も、その前の論点③、④と関連のものでございますけれども、これまでの御議論ですと、月給とか勤続年数に加えまして、例えば年齢とか企業規模といったものも検討できるのではないかという御意見がありまして、仮に年齢を考慮要素に含めるとした場合に、どのような位置づけとして考えていくのか。
具体的に申し上げますと、括弧の中ですが、年齢という指標については、過去分の指標として見ていくのか、それとも将来分の指標として見ていくのか。もし仮に将来分の指標として見る場合につきましては、先ほどと同様ですけれども、年齢が上がるに従って、再就職の困難度というものがどう変わるかということで代替指標として見ていくのか、それとも年齢が上がるに従って、例えば定年等との関係で見ますと、地位継続の確実性といったものの変化をどう見ていくのかということを記載しております。
企業規模につきましても、同様に入れるとすれば理屈の整理が必要になりますので、同様にどのように考えるかというものを論点として記載しております。
それから、その下の論点⑥でございますけれども、事前の集団的労使合意の関係でございます。これまでの議論を踏まえますと、一定の算定の方法みたいなものを、労働契約解消金についてはある程度定めるほうが、予見可能性という意味ではよいのではないかという御議論をいただいておりまして、この論点⑥につきましては、そうした形で定めた算定式といわば異なるような労使合意というものを認めるかどうかという論点でございます。
この部分につきましては、前回までの御議論においては、法的には認めることも可能であると解されるけれども、仮にそのような集団的労使合意をするということであれば、法令等で定める労働契約解消金の水準を上回るもののみ、認めるべきではないかといった御意見をいただいておりました。
論点⑥の部分につきましては、そうしたことを踏まえまして、事前の集団的労使合意というものをもしやるとすれば、これは労働契約解消金自体が無効解雇を対象にしておりますので、将来的な無効解雇というものを前提に労使合意をすることになりますし、かつ、法令等による労働契約解消金の水準を上回るもののみ認めるとした場合、実際にどの程度利用されるケースというものが想定されるのかどうかというところを論点⑥で記載しております。
それから、論点⑦でございます。これは、考慮要素の中で先ほど少し御説明しましたけれども、客観的な考慮要素と、一定の評価が必要な考慮要素ということで大別ができるのではないか。客観的な考慮要素としては、月給とか勤続年数とか、その他年齢、企業規模等が考えられるだろうということですけれども、一方で、一定の評価が必要な考慮要素につきましては、例えば労働者の帰責性とか解雇の不当性といったものが考えられるところでございます。
論点⑦につきましては、仮に労働者の帰責性があったような場合に、この解消金の金額を減額するという仕組みを導入した場合に、実際、どのような事由をどの程度考慮していくのかというのを前段で記載しております。これは、使用者側が主張している事由の中であくまで判断していくのかですとか、例えばかなり軽微な帰責性についても考慮するのかどうかといったところを念頭に置いて論点を記載しております。
「また」以下につきましては、それと若干似たような話ですけれども、労働者側の帰責性の減額の話と同様に、使用者による解雇の不当性というものが異なるような場合にどう考えるか。例えば、労働者の帰責性が全く同じだという2ケースがあった場合に、解雇の不当性について見ると、一方は禁止解雇に該当するような相当ひどい解雇で、もう一方は、解雇無効とはされたけれども、そこまで悪質性がないというケースが2つあった場合に、この両者については同じような形の算定にするのかどうかというのを念頭に置いております。
それから、論点⑧につきましては、制度の柔軟性という意味の論点でありまして、冒頭、御説明したとおり、労働契約解消金の請求につきましては、基本的には裁判の訴えの提起か労働審判の申立てということで検討しておりますけれども、一度、訴えの提起をした後でありますが、実際、判決が確定する前であれば、裁判上ですとか裁判外で労働契約解消金の支払いとして和解することができるという形で検討しているところでございます。
その場合に問題となるのが、もし判決が出ることによって解消金の支払いをするのであれば、裁判所のほうで具体的な解消金の金額を決めるわけですけれども、一度、訴えの提起をして判決が確定する前に当事者間で合意するとした場合、その算定の方法というのは、法令等で定める算定方法によることとするのか、それとも当事者間で任意に設定できるという形で組んでいくのかどうかというところを記載しております。
それから、最後は8ページ、論点⑨でございます。ここもなかなか難しい論点になっておりますが、まず、右側のほうで、本検討会におきましても労使関係の弁護士の方からもヒアリング等を実施しておりまして、その際にも御意見が出ておりましたけれども、今回、仮にこういう制度をつくったとして、金銭救済請求権を行使した後に辞職された場合の取扱いがどうなるのかという論点でございます。
3月までの御議論ですと、この形成権の行使と辞職の扱いですけれども、そこに記載しておりますとおり、労働者としての地位を解消する対価として解消金を請求するということと、その労働契約の終了の時期をいつにするかというものは、基本的には別の問題として整理できるのではないかということで、解消金の請求中、これは基本的には裁判の訴訟継続中ということになろうかと思いますけれども、そういう途中に辞職したとしても権利の帰趨には影響はないと考えられるのではないかという記載をしております。
そこを踏まえまして、論点⑨の部分ですけれども、仮にそのように権利行使後に辞職したとしても、権利の帰趨には影響ないという形で考えられるとしても、実際、権利の内容は、辞職がなかった場合と同一となると解していいのかどうか。これは、解消金の性質ですとか考え方とも深くリンクするかと思いますけれども、算定の方法等においても、辞職をした場合も辞職をしなかった場合も、全く同一の金額という形で解することでよいのかどうかという論点を記載しております。
それから、2つ目につきましては、3月までの御議論では、基本的に辞職というケースを念頭に置いて御議論いただいたわけでありますけれども、パターンとしましては、権利行使後に死亡ということでお亡くなりになられた場合ですとか、これは実際にもケースがあるかと思いますが、使用者のほうが別の解雇事由に基づいて解雇を行って、それが有効だということで判断されるようなケース。あと、「場合等」ということで書いておりますけれども、例えば訴訟継続中に定年を迎えることも十分あり得るかと思いますので、定年退職のようなケースと、かなりさまざまなケースが考えられるかと思いますが、そういったものも辞職の場合と同一に考えていくのかどうかということでございます。
それから、3つ目のところは、この金銭救済請求権に一身専属性はあるかというところで、具体的には相続等が可能になるのかどうかというところを記載しております。この一身専属性につきましては、もしかすると権利行使の前か後かによっても判断が変わる可能性もありますけれども、そういったところも含めて御議論いただければと思っております。
資料の説明は以上でございます。
○山川座長 ありがとうございました。
それでは、議論に入りたいと思います。ただいま説明していただきましたとおり、検討すべき点が多岐にわたっております。そのため、前回と同様に、今、御説明いただきました資料1の左端の6つの項目ごと、「対象となる解雇」「権利の発生要件」「労働契約解消金の位置づけ」「算定方法」「権利行使の期間」「その他」という項目ごとに御議論していただければと思います。
では、1つ目の項目「対象となる解雇」につきましては、論点ということで特に記載はされておりませんけれども、何か御意見がありましたら、お願いいたします。よろしいでしょうか。
私から申し上げるのも変かもしれませんが、雇止めの場合は無効になるわけではなくて、労基法19条で新たな契約が締結されるという効果ですので、書きぶり的な点では違いが出てくるのかなという感じを持ちました。
特にございませんでしたら、2番目の「権利の発生要件」につきましては、いかがでしょうか。
それでは、垣内委員、お願いします。
○垣内委員 論点①について、2点ほど発言させていただきたいと思います。
まず、1点目ですけれども、資料2で整理されております、いわゆる形成権構成での金銭救済請求権の仕組みというものについては、こちらの資料2で、おおむねこれまでこの検討会で検討してきた内容をまとめていただいているということになるかなと思っています。
ただ、1点、ちょっと細かいところですけれども、先ほど口頭での事務局からの御説明の中で、形成権行使の意思表示の効果として、権利変動①と資料2で書かれているところですけれども、解消金債権が発生する。これは、そのとおりかと思います。その金額が判決確定等により確定するというのも、そのとおりと言えばそのとおりですけれどもね。
何と申しますか、理論的あるいは観念的には、形成権ですので、もう確定した金額の債権として観念的には発生しているけれども、それが裁判等で確定されていないために、関係者としてはその金額を争い得る状態にあるというものが、判決確定等によって、例えば規範力が生じることによって争えないような形で、そういう意味で確定するということかと思いますので、確定という言葉がもともと多義的なところもあるかと思うのですけれども、実体法上は、観念的には一定の債権として発生していてというのが形成権構成ということをストレートに反映した場合の理解になるかと思いますので、念のための補足ということかと思います。
もう一点ですけれども、これまでこの検討会では、こういった形成権構成を前提として議論してきたと理解しておりますけれども、きょうも御説明ありましたように、こちらの形成権は裁判上での行使を前提としているということもありまして、その実質としては、形成判決で一定の法律関係、例えば解消金請求権を発生させるであるとか、停止条件付きで労働契約の終了の効果を発生させるであるとか、判決でそういった法律効果を発生させるという形成判決の考え方とも若干近いところも出てきているのかなという感じがいたします。
そうした中で、今後いかなる法律構成が適切なのかということを検討するに当たっては、こちらの形成権構成とあわせて、仮に形成判決のようなものを考えるとしたら、どういったものになり、それはこの形成権構成との関係でどういうメリットやデメリットがあるのかといった点もあわせて整理し、それを念頭に置いて検討を進めていくということが有意義かなと思いますので、これはお願いになってしまって申しわけないのですけれども、可能であれば事務局のほうでそういう資料をつくって整理していただくと、議論がさらにやりやすくなるのかなという印象を持ちました。
以上です。
○山川座長 ありがとうございました。
ただいまの御指摘、重要な点かと思いますので、私からも資料の作成等をお願いします。
鹿野委員、どうぞ。
○鹿野委員 ①に関連して、1つ質問させていただきたいのですけれども、ここで裁判上の行使をすることになった場合、判決主文としては、労働契約を解消させる、終了するということと、解消金の支払いを命ずるということ。そして、労働契約の終了それ自体は、解消金の支払いによって終了するという形になるのでしょうか。支払いを命ずるというところが主文に来ると理解してよろしいでしょうかということと。そういうことになると、判決が出たときに、それを債務名義として強制執行をすることが可能なのか、その点について質問させてください。
○山川座長 お願いします。
○坂本労働関係法課課長補佐 まず、判決の主文の関係と契約の終了ですけれども、労働契約の終了という効果につきましては、これまでの御議論を踏まえますと、例えば実体法の中に、解消金の支払いがなされたときには労働契約は終了するという規定を置くような形なのかなと事務局のほうでは解しております。そうしますと、判決で書くというよりは、解消金の支払いがなされたときに契約が終了するという実体法の規定を使って労働契約は終了するということかと思います。
それから、判決の主文につきましては、これはどういう訴訟を併合提起するかによって、少しバリエーションが変わってくるかと思いますけれども、例えば地位確認と解消金とバックペイを併合提起するようなパターンであれば、まず地位確認の部分で労働者の地位があるということが記載された上で、解消金、バックペイについての支払いを命じるという部分もあわせて判決のほうで記載されるのではないか。この金銭の支払いを命ずる部分につきましては、必要があれば強制執行等も可能になってくるのではないかと考えております。
○山川座長 よろしいでしょうか。
どうぞ。
○鹿野委員 恐らく、先ほど垣内委員がおっしゃったこととも関係するのですが、形成権構成というものは、賃貸借における賃料増減額請求権などに近く、意思表示で実体法上の権利としての形成権の行使ができて、客観的にはそこで権利変動が生じているということを出発点とするのでしょうか。賃貸借の場合は、手続的にはまず協議でその金額等について折り合いがつけば、それでいいし、それで折り合いがつかないときは裁判所でという順番になっているのだろうと思いますけれども、そういう形成権のバリエーションとして、ただ、ここでは裁判上の請求に方法が限定されるのだと考えるのか。
それとも、裁判上の請求ということなので、むしろ詐害行為取消しみたいなものに結果としては近くなってくるというイメージで、これを構成するのかということです。同じお願いになるかもしれませんけれども、先ほど垣内委員がおっしゃったことについて資料を少しいただければと思うところです。
それから、それともかかわるかもしれませんけれども、形成権構成というのは、無効な解雇が前提ですから、労働契約関係は存続しているということを前提に、それにもかかわらず、労働者のほうのイニシアチブによって、解消金の支払いがあることを条件として労働契約を解消させるという選択権を認め、そういう選択権を行使するという意味での形成権であるということだと思うのです。そして先ほどは、それを行使したときには、金銭の支払いを命ずることが主文として出てくるのか、そして強制執行できるのですかとお聞きしたのですが、ともかくその行使によって請求権的なものが出てくるわけですね。それを請求するということになろうと思います。
しかも、後の論点のところで、バックペイについてどうするのかということがありますが、そこになると余計に、そのうちのどこまでの請求をするのかという選択もかかわってきます。結局、この解雇無効時の金銭救済請求にかかわる訴訟においては、そういう請求権的なものを行使するという側面も出てくるのだろうなと思いました。
それから、もう一つ、これは質問ではないのですが、資料1の書き方です。右側の「これまでの検討会における主な議論」の3つ目の箱の2行目に「以下のとおり裁判外での権利行使を可能とするメリットは少ない」と書いてあるのですけれども、これが将来的にも絶対にメリットが少ないのかどうかというのは、わかりません。少なくともここでは、最初にこの新しい制度を導入するときには、裁判外での行使を考えたときに、いろいろと不都合とか不安定さというものが予想されるということで、労働者の利益とか安定的な運用ということを考えた場合には、広い意味での裁判上の請求に限ったほうがいいのではないかということだったのではないかと、私自身は認識しているところです。そうであれば、そこの表現ぶりをちょっと工夫していただいたらいいのではないかと思います。
以上です。
○山川座長 ありがとうございました。
最後の点は、書きぶりへの御要望ということであったかと思います。
その前の2点は、かなり重要な点を御指摘いただいたと思います。先ほどの垣内委員のお話とも関連していて、1つは、主文といいますか、どういうことを命じるのかというお話で、賃料増額請求権というのは民法の先生ならではで、勉強の必要があるかと思いますけれども、そのあたりも踏まえて資料に追加していただければと思います。おっしゃられた形成判決のような構成にするかどうかとかかわってくるような感じもいたしますので、その点も含めて資料の御検討をお願いします。
形成判決としますと、資料2の下のほうに書いてあることを主文に盛り込むかどうか、特に形成判決構成をとった場合には、離婚判決のようなことにするのか、それとも実体法上の問題として整理してしまって、金銭の支払いによる労働契約の終了は主文にはあらわれない形にするのかとか、いろいろなパターンが法的構成によっても違ってくるかと思いますので、特に裁判で使うときに主文がどうなるかというのは決定的に重要になるかと思いますので、それも含めて御検討いただければと思います。
あと、鹿野委員のお話の2番目のバックペイとの関係も重要でありまして、後のほうの資料で時系列的なバックペイとの関係が出てくると、これは性格づけにも関係するので、注文が多くなってしまって、徐々にということになるかもしれませんが、その辺も御検討いただければと思います。
ほかに、あるいは事務局から。
では、神吉委員、お願いします。
○神吉委員 先ほど坂本さんからの御説明では、地位確認請求が併合提起された場合には地位を確認するというのが主文に入るとおっしゃいましたが、逆にそれがなければ、幾らの支払いを命ずるというだけ1本になってしまって、無効な解雇がなされて、本来的には契約上の地位が続いていることは理由中の判断になってしまって、それに関しては主文にあらわれないことになってしまうのですね。
○山川座長 課長補佐、お願いします。
○坂本労働関係法課課長補佐 基本的には先生の御理解のとおりかと思います。仮に地位確認請求を併合提起しなかった場合は、あくまで解消金の判決の理由中で解雇が無効であるということが示されますので、規範力についてはそこの部分には及ばないということになるかと思います。
○山川座長 よろしいでしょうか。
ほかはいかがでしょうか。
垣内委員、お願いします。
○垣内委員 今の神吉委員の御質問に対する御回答は、そのとおりかなと思っております。この検討会だったか、記憶があれですけれども、そうであれば、併合提起を義務づけるということも必要ではないかという議論もされて、しかし、それもなかなかハードルが高いということになっていたかと思いますので、当事者が申立てをしなければ、裁判所が別の請求について判決主文で確認することは難しいだろうと思います。
それから、その前の鹿野委員の御発言の中で、賃料額増減請求との関係について御言及がありまして、確かにちょっと似たところがある制度かなと思います。賃料額増減の場合には、一般的には裁判上の争い方としては、確認請求して、増減額請求したときに幾らになったのかということを確認するということなので、多くの場合には、それに併合して未払い、あるいは差額分の賃料を請求したりという給付の訴えがされるということかと思いますけれども、理論的には確認請求だけしても構わないということだろうと思います。
ただ、賃料の場合には、例えば毎月、賃料請求権が発生していて、増減額請求があった時点の賃料額が確定されますと、その後に合意による変更等あるいは再度の増減額請求等がない限りは、賃料額は一定のまま継続して発生し続けるものですので、その時点の賃料額を確定することに確認の利益があるということかと思われますが、仮にこの制度を形成権構成で設けた場合を考えますと、発生する債権は解消金請求権という1本の請求権で、それについては、額を確定する必要がもちろんあるわけですけれども、あわせて、給付請求権ですので、給付の訴えを提起することは可能で、そのことに何の障害もないということかと思います。
この場合には、額の確認という形で訴えを提起すると、これは確認の利益に疑問があるということで、むしろ給付の訴えを提起すべき場合ということに、従来の一般的な理解からなるのではないかと思います。そうしますと、形成判決構成をとらない限りは、主文に出てくるのは、例えば500万円なら500万円を支払えという判決ということになるかと思いますので、形成判決構成をとれば、詐害行為取消しの形での判決主文というのも考えられるのかなと思います。
以上です。
○山川座長 ありがとうございました。
ほかに御質問、御意見等ありますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、「権利の発生要件」のお話をこれまでしていただいておりますが、4ページ目、「労働契約解消金の位置づけ」について、こちらも論点が記載されていますけれども、こちらについて御質問、御意見がありましたらお願いいたします。
どうぞ、小西委員。
○小西委員 この資料3のパターン4について、今回、新たに提示していただいているところですけれども、労働契約解消金というネーミングとの関係ですけれども、パターン1からパターン3までは、赤く塗ってある労働契約解消金というものが支払われれば、支払いにより労働契約が終了するという形になっているかと思います。パターン4は、労働契約解消金というのが支払われただけでは、パターン1からパターン3とは違って、それだけでは支払いにより労働契約は終了しないということになっているかと思います。
だから、どうだということはありますけれども、パターン4で赤く塗ってあるところ、労働契約解消金というネーミングでいいのかどうかというところは、パターン1からパターン3までとはちょっと違う意味合いを持つのかなということをちょっと発言させていただいた次第です。
○山川座長 ありがとうございました。
事務局から何かございますか。
○坂本労働関係法課課長補佐 恐らく先生の御指摘のとおりだと思います。確かにパターン1からパターン3までの解消金は、解消金を払ったときに契約が終了することになりますので、仮に条文をつくるとしてもパターン1から3まではそういう形になろうかと思いますし、パターン4の場合は、解消金だけでは契約は終了しないということになりますので、もし条文上、表現するのであれば、解消金とバックペイ、両方払ったときに契約が終了するということで、条文上の書き方もちょっと違いが出てくるのかなと思っております。
○山川座長 ほかはよろしいでしょうか。
垣内委員、お願いします。
○垣内委員 この解消金の性質あるいは定義については、非常に難しい問題かと思います。制度の実質が固まってから定義を考えるのがよいのか、それとも定義を出発点として実質を考えていくのがよいのかというと、鶏が先か卵が先かみたいなところもありまして、非常に難しい、悩ましいところだなと思います。
現在、こちらの資料1の4ページの一番上のところで労働契約解消金の定義として挙げられている、無効な解雇として確認された労働者としての地位を、労働者の選択により解消することの対価というのも、今までの議論を踏まえて非常に工夫された定義だろうと思うのですけれども、他方で、この定義ですと、どうしても対価というのは労働者としての地位の金銭的な評価と読み取られるようなニュアンスが感じられるようにも思います。
他方で、後のほうでの問題点にも関係しますけれども、例えば無効な解雇の意思表示に至る経緯であるとか、本当にこの労働契約を終了させてしまっていいのかというときに、両当事者間の公平をどう考えるのかといった点も、この金額に反映させるということを仮に考えたといたしますと、定義としては、もう少し広がりのある定義を考えていくということもあってよいのかなという気も、私としてはいるところです。
だから、どう定義すればいいのかというと、妙案があるということではないのですけれども、例えば一案といたしましては、無効な解雇によって生じた労働者の地位をめぐる紛争について、労働契約の終了によって紛争を解消させることの対価という形で定義しますと、若干広がりが出てくるのかなという感じもしておりまして、一案として、もし何か機会があれば検討の対象にしていただければと思います。
それから、もう一点ですけれども、こちらの定義をこれこれの対価というさまざまな形で工夫することは可能だろうと思うのですけれども、他方、ここでも問題提起されているバックペイとの関係を考えました場合に、対価という観点からしますと、バックペイというのは労働の対価であって、その他のことの、つまり労働契約終了をめぐる問題でバックペイそのものが何か対価であるという捉え方をするのは、どの道をたどっても難しいところは残るのかなと思われます。だから、パターン4のような御提案が今回出ているのかなと思います。
ですので、定義との関係でバックペイをどう位置づけるのかという点については、私自身、現時点でこう考えるのがいいという回答を持ち得ていないのですけれども、なかなか難しいところがそういう意味ではある。対価という観点からすると、位置づけが困難ではないかという感じを持っているということで、ちょっと発言させていただきました。
○山川座長 ありがとうございました。
この点もある意味制度の本質にかかわる重要な論点かと思いますので、御意見、御質問等ありましたらお願いいたします。
鹿野委員、お願いします。
○鹿野委員 定義との関係もあるのですが、もう既に従来からの議論にもありましたように、狭い意味での労働契約解消金というものとバックペイとは性質が異なるものです。だから、一番シンプルなつくりとしてはパターン1なのでしょうけれども、パターン1ではバックペイの支払いについて、この労働契約解消金に係る訴訟においては、支払い確保が十分に図れないということで、少なくともその訴訟で請求されたバックペイも支払ったときに労働契約が解消するのだという形で議論が進んできたのだろうと思います。
そうすると、今回で言うと、パターン4が、趣旨に一番対応したつくりなのかなと思うところです。もちろん、ほかの関連するいろいろな事柄を検討してからじゃないと、このパターン4が一番いいかどうかというのは決まらないと思いますけれども、そのように感じました。
以上です。
○山川座長 ありがとうございました。
パターン3、パターン4で、今、鹿野委員御指摘のように、バックペイも支払うことによって労働契約が終了するという選択肢が望ましいことは、この検討会の中ではかなり多数の御意見と見てよいのではないかと、これまでの経緯を見て思っております。
あとは、ネーミングの問題とかかわってくる点も、先ほどの小西委員の御指摘のようにあるのかなと思います。この点が論点③の一番下の矢印と言うのでしょうか、これもパターン3と4で随分意味が違ってきてしまいます。パターン3ですと、バックペイも入るものになりますから、その意味では過去分も入るのですが、この論点の提起の趣旨は多分そうではなくて、パターン4で言う労働契約解消金。パターン3では、労働契約解消金の補償金の中身をどう考えるかという問題提起ということでよろしいわけですね。
あと、垣内委員がおっしゃられた定義の点も重要な御指摘かと思います。確かに鶏と卵の関係で、いろいろなことを詰めながら最終的に確定していくのかと思いますが、紛争の解決という趣旨を入れていくというのが、もともとこの研究会の発端で、紛争の解決のための制度を考えていくということでしたので、これまでの定義ですと紛争解決という言葉が出てこないので、それは個人的には入れたほうが、入れ方はいろいろあるかと思いますが、いいのではないかという感触を持っております。これも、他の論点をどう考えるかによって、いろいろ調整の必要はあるかと思います。
あと、バックペイの点もいろいろ微妙な点がありまして、現行の裁判例ですと、判決確定までのバックペイを命ずるということで、将来分もある程度認めていますので、過去と将来を一体どこで区切るのかという点も、先ほどの時系列との話で今後課題になるかなという感じがしております。 事務局の皆さんに宿題が多々出てきて、申しわけございませんけれども、ほかに。
お願いします。
○法務省民事局笹井参事官 先ほどの垣内先生の御発言ともかかわるのですけれども、この論点③の過去分を含むものとするかどうかは、まさしく定義との関係で考えていくべき問題だろうと思います。その際、地位の対価に限定するのか、広げるのかという問題提起もあったところですが、現在お示しになっている定義からすると、過去分を考慮することがうまく説明できるのか、少し疑問に思いました。
ただ、そもそも過去分を含むものとするかという問題を議論する意味ですけれども、最終的な条文の形としては、さまざまな考慮要素が示されて、なぜその要素が示されているのかという理論的な説明に当たって、過去分が含まれているからという説明をするかどうかという問題なのでしょうか。仮にそうだとすると、きちんとした形で考慮要素が示されて、その実質についてコンセンサスが得られるのであれば、それに従った定義を与えていただければと思いますが。
いずれにしましても、過去分を入れるかどうかというのは、今、座長からも御指摘がありましたように、この制度の趣旨をどのように考えるかということともかかわってくると思いますので、そういった制度趣旨から、明確にどういう要素がどういう形で考慮されるのかということを示していただくことが、この制度のその後の使いやすさというところにもかかわってくるのかなと思っております。
○山川座長 ありがとうございました。
確かに具体的にどういうものを、制度の運用に当たって過去分という場合にイメージしていくかということが、最終的には議論された上で、さらにということですが、ただいまの笹井参事官の御発言は、御質問の意味も多少含まれていたかと思いますが、事務局から何かありますか。
○坂本労働関係法課課長補佐 ここの部分につきましては、垣内先生からも御発言ありましたけれども、確かに定義が先なのか、実質が先なのか、非常に悩みながら事務局としても資料をつくっているところでありますけれども、御議論いただきたい到達点としましては、解消金の定義と一定の考慮要素というものが最終的には何かしら出てくるかと思いますが、その両者の結びつけというか、定義からしてみたときに、どういう理屈で、なぜこの考慮要素というものを入れるべきなのかが説明できるようになるのかどうかというところを念頭に置いています。
過去分、将来分というのは、そういう意味で言いますと、そこが本質というよりも、定義から導き出される考慮要素を説明する際に、中間的なクッションとして過去的な要素と将来的な要素と少し分けて考えたほうが、説明の便宜のためにはいいのではないかということで、今回、問題提起をさせていただいておりまして、仮に将来分ということで全て考慮要素を説明し切れるようであれば、別に過去分か将来分かというものを観念していく必要は必ずしもないのではないかと思っております。
○山川座長 鹿野委員、どうぞ。
○鹿野委員 抽象的なレベルで、過去分と書いてあるところに貢献度と書いてあるのですけれども、貢献度というのは、恐らくいわゆる将来分を考えるときに、ある程度影響するのかなと思います。先ほど、どういう要素を考慮するのかということでしたので、過去の貢献度について考慮要素にすべきでないという発言の趣旨ではないのですが、それを将来分とは切り離して過去分という形で括るのがいいのかということには、ちょっと疑問も感じました。
○山川座長 ありがとうございます。
具体的にどういうものをイメージしていくかということで、さらに詰めるべき点があるのかなという感じがしております。これまでの御意見ですと、バックペイという解雇無効である場合の賃金に該当する額は別だという、それを除いた上での過去分ということは比較的共通の了解かなと思いますけれども、ほかにいかがでしょうか。
ございませんでしたら、5ページになりますが、「労働契約解消金の算定方法」、これまでも既に性格、位置づけとの関係等で御議論いただいておりますけれども、この4つ目の点につきましては、いかがでしょうか。
どうぞ、坂本補佐。
○坂本労働関係法課課長補佐 済みません、若干補足させていただきます。
先ほど鹿野先生からも御指摘あった点ですけれども、今回、過去分と将来分という考え方につきまして、先ほど定義と考慮要素の結びつけの際も説明申し上げましたけれども、一番最後の論点⑨との関係でも考慮が若干必要な点があります。具体的には、解消金の請求と辞職との関係でございますけれども、解消金というものの性質が将来的な要素のみなのだということで仮定していきますと、それで辞職された場合も、今、権利行使の帰趨には影響しないということで書いておりますけれども、その部分がうまく説明できるのかどうかというところがあります。
過去を見るのか、将来も見るのかというところにつきましては、請求した後に辞職された場合とか亡くなった場合とか別の解雇をされたような場合、そういうところとも少し関連づけて御議論いただければと思っております。
済みません、以上でございます。
○山川座長 ありがとうございました。その点は、また論点⑨のところでも御議論いただくかと思いますが、算定方法とも関連している部分がありますので、どの段階でも御質問、御意見いただければと思います。
どうぞ、小西委員。
○小西委員 論点④に対してですけれども、ここに記載されていますように、再就職の困難度とか労働者の地位の継続性の確実性ということも考慮要素にはなり得るところかなと思ってはいます。ただ、これをどの程度反映させるかというのが少し問題というか、ありまして、具体的にさまざまな事情を考慮するということになると、とても算定が複雑になってしまうというところがあるかなと思いますので、ある程度どこかで割り切ると言ったら変かもしれませんが、そういうところも必要なのかなと思っています。
○山川座長 ありがとうございました。
金額というのが、客観的に本来は確定していると考えるか、あるいは裁量的に確定すべきものなのかとか、そういうあたりの性格づけの論点とも、もしかしたら関係しているのかもしれないという感じもいたします。
ほかにございますでしょうか。
神吉委員、お願いします。
○神吉委員 まず、過去分と将来分で分けて考えたいということは、事前に事務局の方にお願いしたとおり載せていただいてありがたいです。ただ、自分で言っておいて何なのですけれども、鹿野先生が先ほど言われたように、実際、過去の評価なのか、将来の話かわかりにくい要素もあり、将来のことを考えると言っても、労働市場の状況など一般的な指標を除けば、個人の事情を勘案すると過去の勤続年数や給料といった事情を使わざるを得ないでしょう。それが過去を評価しているのか、それとも将来のことを考える契機なのかは、割り切れないとも思います。
ただ、5ページの考慮要素として挙がっている勤続年数・給与額については、これまで続いてきた労働者としての地位を評価する代表的な要素とあり、まさにこれは過去の貢献を評価していて、それは現在の定義と密接にかかわっています。すなわち、「無効な解雇として確認された労働者としての地位を解消することの対価」なので、それまでの地位がどの程度の重さであったかを評価するという趣旨で書かれています。そうなってくると、過去の地位の重さをなぜ解雇の金銭救済の場面で評価しなければいけないのかが改めて問われます。
というのは、過去から続いてきた、積み上げてきたものを評価するということになると、概念的には大規模な会社で長期雇用の正社員として長く勤めてきた中高年正社員の地位が最も高く評価されそうです。それでよいのかについては、政策的な判断も必要となるように思われます。
暴論かもしれませんけれども、そういう人たちは、それまで続いてきた安定的な雇用そのもので、これまでの地位は報われてきたと見ることもできます。逆に非正規でずっと低処遇で細切れで働き続けてきた人の地位は、それまで報われてこなかっただけでなく、解雇されるときにも軽い評価になってしまう。特に過去分については、政策的な不公平につながらないようにする必要があると思います。また、有期雇用を継続してきた場合には、どこまでを勤続年数と見るのかという問題もあります。継続期間がリセットされてしまうクーリング期間などがあった場合に、それは見ないのかということもテクニカルには問題になってくるでしょう。
そして、過去の分を評価すると明示してしまうと、退職金も要素としては重なる部分があるはずで、解雇した会社の側としては、退職金も結構支払ったにもかかわらず、それとは関係なく解消金が乗ってくるのかは大きな関心事になろうかと思われます。
諸外国では、勤続年数と給与額で計算式をつくっている例もありますけれども、そもそも退職金が日本のようにないことが前提とされるケースもあります。むしろ、退職金のようなものを社会的に支払わせる趣旨だともいえそうです。退職金が支払われない、あるいは薄い会社、たくさん支払われる会社とで解消金に違いを生じ得ないか、過去分との関係をもう一度整理する必要があると考えております。
以上です。
○山川座長 ありがとうございました。
今の点も、制度の性格にもかかわる点がかなり出てくるかと思いますし、確かに勤続年数掛ける云々で、諸外国の例が参考になるとすると、諸外国の制度の趣旨と日本の実態、それから、もし考えられるとした場合の制度の趣旨との関係をどう考えるかという点にもかかわってくるかなという感じがします。諸外国だと、有期契約の雇止めというのは多分余り想定していなくて、純粋に解雇なのですが、ここに有期契約という場合を考えると、神吉委員のおっしゃったような点とか、有期はいつまで続くのか。将来分についても有期をどう考えるのかが、また別個の問題として出てくるので、話が一層難しくなるかなと思います。
従来の議論、ここまではフォローしていないのですが、先ほど神吉委員のおっしゃったように、勤続年数が過去分の代表的な要素としてだけなのかというのは、ひょっとしたらどこかでもう一度議論の対象になる。ごめんなさい、給与額ですね。給与額は、将来分を考える場合でも、得べかりし給与ということで、将来にも随分きいてくる話じゃないかという感じが直感的にはしますけれどもね。
ほかにいかがでしょうか。
垣内委員、お願いします。
○垣内委員 今まで出ている御発言は、大体そのとおりだなと思って伺っているのですけれども、例えば勤続年数を考慮する、あるいはしないということを考えたときに、どういう形で考慮するのかということも非常に重要な問題かと思われます。例えば、勤続年数が20年の人は1年の人の20倍多くなるという形で、長ければ長いほど、どんどん保護が厚くなるということであるとすると、それはアンバランスじゃないかと、先ほど御指摘のような問題が出てくるのかなという感じもするのですけれどもね。
例えば、半年の人と10年の人を比べたときに、10年の人のほうが、ある程度安定した地位として保護に値するのではないかといった考慮はあり得るような感じもいたしますので、どういう形で考慮に入れていくかということもあわせて考えていく必要があるのかなと思いました。
○山川座長 性格づけをした上で、それがどう働くかについてもいろいろあり得るということでしょうか。
この項目は、5ページから7ページにも及んでおりまして、これまで④のお話が多かったかと思いますが、⑧までこの項目では続いておりますので、全体として御意見、御質問があればお願いしたいと思います。
笹井参事官、お願いします。
○法務省民事局笹井参事官 少し後ろのほうになるのですけれども、労働者の帰責性をどれだけ考慮するかという論点が論点⑦に挙がっておりまして、確かに労働者の帰責性を考慮するというのは自然なことのようにも思われますが、一方で、ここで言うところの帰責性は、私の理解では、例えば懲戒解雇がされたときに、その懲戒解雇の原因として何か挙げられたと。確かに、それは懲戒解雇をには不十分な理由だったということで、解雇は無効だけれども、労働者としても全く責任がないわけではない。こういうものがここで言っておられる帰責性なのかなと考えていたのですが、そういうことで、ほかの委員の先生方も認識は共有されているのか、それとももう少し広い意味での、懲戒解雇事由として挙げられた事由以外の帰責性みたいなものも入り得るという形で理解されている先生方がいらっしゃるのかを少し確認させていただければと思いました。
そのことに関連して2点ございまして、1つは、帰責性が小さい場合でも考慮するかという論点もどこかに挙がっていたかと思うのですが、もし私が先ほど申し上げたような、解雇事由として挙げられた帰責性というものを考慮するというのであれば、それは小さくても考慮してもよく、ただ、それは減額幅が小さくなるだけにすぎないのではないかという感じもいたします。
もう一つは、労働者の帰責性に対する形で、解雇の不当性をどこまで考慮するかという問題も挙げられておりまして、それは先ほど垣内先生がおっしゃったような、紛争解決において双方の当事者の公平性を考えていくのだという捉え方をすれば、一方の労働者の帰責性に対峙する形で解雇の不当性を置くというイメージなのかなと思う一方で、解消金が雇用契約上の地位を失うことの対価であると考えれば、地位を失うこと自体は、解雇の不当性の大小にかかわらず、同じなのではないかという考え方もあり得るのかなと思います。
そういう意味では、不当性というのは、解雇が無効であるという判断の中に、既に判断し尽くされているのではないかという感じもするものですから、その点の理論的な整理が必要なのかなと思います。
私が今、申し上げましたことは、いずれも政策的な判断なのかなと思いますので、先生方に御議論いただければと思いますが、一方で、最終的に裁判所が運用していくという中では、考慮要素というものが明確であることが必要になってくると思います。余り広がっていくと、それはそれで実際の訴訟の運営に当たりましても争点が拡散するということもあろうかと思いますので、その辺の理論的な位置づけ等を明確にしていただければ、そのほうがやりやすいのではないかと思います。
○山川座長 ありがとうございました。
2点ないし3点いただきました。1点目の労働者側のいわゆる減額事由に関しては、御質問の趣旨もありましたので、先生方からもし何かありましたら御発言いただければと思いますが。
垣内委員、お願いします。
○垣内委員 これは私の専門でないもので、少し前提がわかっていないところがあるのかもしれないのですけれども、例えば懲戒解雇があった場合に、その解雇事由として問題とされた点と申しますか、これというのは、例えば解雇の意思表示の時点で客観的に確定している。そのときに言ったものがそれだということであるのか、それとも後にその解雇の有効性が、例えば訴訟で争われる際に、懲戒解雇は正当なのであると。それは、これこれだからであるということで、どんどん追加して主張することができるような性質のものであるのかということがちょっとよくわからないところがあります。
もし後者のようなことだといたしますと、懲戒解雇の事由になるようなものに限られるという限定をすることが、実際にどういう意味を持つのかということがちょっとよくわからないところもありまして、その辺について、もしどなたか先生方からお教えいただければ大変ありがたいと感じるのですが、いかがでしょうか。
○山川座長 労働法の先生方、よろしくお願いします。
○小西委員 懲戒解雇を後から追加できるかということですけれども、当初、懲戒事由として挙げていたこと以降に裁判になって、新たに懲戒解雇の事由として挙げることはできないかなと思います。
後半の部分ですが、ちょっと私、理解がうまくできなかったので、答えられないのですけれども、懲戒事由を当初の時点で明確にしておくということは、非常に重要だということは言えるかなと思います。
○垣内委員 どうもありがとうございます。
○山川座長 よろしいでしょうか。今、小西委員のおっしゃられたとおりで、最初の時点で、少なくとも知らなかった懲戒事由を後から出すことはできないというのが判例になっています。
あと、笹井参事官がおっしゃられましたように、訴訟運営の観点から、その判例とは別に、この解消金の算定のために帰責事由と言われるものが後からどんどん出てくると、それ自体、別個の紛争になってしまって、政策的にもどうかという感じはありますので、少なくとも懲戒解雇として挙げられた事由とか、表現はいろいろあると思いますが、そういう形での限定は必要なのかなと個人的には思っているところです。
ほかに御意見ありますでしょうか。
どうぞ、垣内委員。
○垣内委員 今の点はどうもありがとうございました。そういうことであれば、そうした限定をすることには十分理由があるのかなという感じがいたしました。
それで、笹井参事官の御発言の、その後で言及された部分で、使用者による解雇の不当性の場合をどう位置づけるかという点に関してですけれども、確かに今、資料に載っている定義、地位を解消することの対価という形で考えていった場合には、そこは盛り込みにくいということになりそうかなという感じがしております。
私、先ほど少し広げて考えるということの一つの案といたしまして、紛争を労働契約の終了により解消させることの対価という言い方をいたしましたけれども、その問題意識の一つとしましては、無効な解雇の意思表示がされるという形で生じた紛争ということになるわけですけれども、そうした紛争を発生させるに至る両当事者の寄与というか、帰責の度合いというものが、そこで考慮し得るということもあるのではないかと思われまして、不当性の度合いが高いということであれば、それは使用者の側にそうした紛争を生じさせたことについての一定の、ある意味では「責任」を問うという基礎になるのではないか。
そうすると、それは算定式等を設定するのであれば、必ずしもそれを増額するということにはならないのかもしれませんけれども、労働者側の事情によって減額するという際に、あわせて使用者側の解雇の不当性も考慮し、減額幅を減じるということもおよそあり得ないことではないのかなという問題意識がありまして、そのようなことを発言したというところもございます。
ただ、ここも整理が必要だろうと思いますけれども、労働者の帰責性と言った場合に、その帰責性というのは絶対的なものなのか、それとも使用者の側の帰責性との間の帰責割合的なものとして捉えるのかということによっても、どうも違うように思われます。初めから帰責性というのは割合的なものである。過失割合みたいなものであるという捉え方をしますと、不当性というのは初めからその評価に組み込まれているという見方も、不当性の内容の理解にもよるのかもしれませんけれども、なるのかなという感じもしますので、そのあたりも含めて、さらに少し整理と申しますか、検討が必要なところがあるのかなと個人的には感じているところです。
○山川座長 ありがとうございます。
特に、労働組合法上の紛争ですと、そういったパターンというのはなくはないのかなという感じはあります。
ほかはいかがでしょうか。
神吉委員、どうぞ。
○神吉委員 今の点に関して、労働者側と使用者側の帰責性の評価を、紛争発生に対する寄与度と見れば、確かにそのとおりだなと納得しました。
ただ、地位の解消の対価というこれまでの定義からすると、労働者と使用者の帰責性の評価の仕方は異なってもいいような気もします。帰責性という言葉を使うかはともかく、労働者に何らかの原因があるときには、それは地位の安定性を害する方向に評価されるので、若干減額されるということもあり得ると思います。逆に使用者の寄与を考えると、不法行為で争われるケースとの関係が気になります。
というのは、基本的には使用者の帰責性は解雇が無効であるという判断で評価されているので、不法行為で争われるケースは、解雇無効を超えて人格を侵害するような言動などについて損害賠償で対応してきたわけです。ですので、今、資料3などで「損害賠償」とあるのですけれども、ここで想定されることは何なのか。これまで損害賠償で争っていたようなことを、解消金の算定に一部引き取るのか、その切り分けも定義との関係で考えておく必要があるのではないかと思いました。
○山川座長 ありがとうございました。
今の点も、制度の基本的な性格とある種かかわってくる論点になろうかと思います。確かに、判例では、解雇で損害賠償が認められるのは、不当な解雇でバックペイ等の支払いによっては補てんできないような損害が発生している場合ということですので、こちらの請求は別途可能であるとすると、そちらとの関係が問題になりそうな感じがします。
さらに、将来の金銭の関係も判例が定まってはいないとはいえ、将来の逸失領域も損害賠償で請求できるということになっていて、そちらもいわば別の制度とはいえ、横でにらみながらの制度設計になるような感じがしております。
鹿野委員。
○鹿野委員 今、山川座長がおっしゃったことに関連するのですが、今まではこのような金銭解決制度というものがなかったので、損害賠償の訴訟というものが、多いわけではないとしても提起されることがあり、それで請求が認められたケースについては、無効な解雇が一旦なされて、再就職等までに得られることが合理的に期待できたような収入分等も考慮して賠償を命ずるというものもあったのではないかと思います。
そうすると、この制度をつくった場合、将来分というものをどういうふうにカウントするかということとかかわるのでしょうけれども、その一部はこちらで引き取るという形になって、恐らくそれとは別個の損害賠償の請求ということになると、ここでは賄い切れない部分の損害のみが残るのではないかと思うところです。
そこで、たしかこの検討会のもう一つ前の検討会のときに、従来の裁判例とかの資料を出していただいたことがあると思いますけれども、それをもう一度出していただいて、それでその関係をもう一度検討することが必要なのではないかと思います。
○山川座長 ありがとうございます。
前の透明かつ公正な労働紛争解決システムの検討会のお話だと思います。確かに、あの検討会、その時点ぐらいまでは、私もまだ参加していて、随分充実した判例の整理の資料を出していただいたので、今までこちらで出していなかったとすると、済みません、もう一度事務局でお出しいただくということでよろしいでしょうか。
○坂本労働関係法課課長補佐 準備いたします。
○山川座長 ほかにございましたら、お願いいたします。
どうぞ、垣内委員。
○垣内委員 論点⑧についてですけれども、これは形成権構成を前提としました場合には、意思表示が裁判上のものであれ、されますと、実体法上の請求権として一定額の金銭請求権が発生する。発生した請求権について、少なくとも発生以後においては、労働者の側としても、使用者の側としても、それを処分できるというのが出発点だといたしますと、金額については、有効な合意によって決められたものであれば、それは当事者間の合意として有効なのであって、解消金は既に発生しているので、その金額として、これこれ払うという形になっていれば、それは解消金としてそうだということに出発点としてはなるのではないかと思います。
ただ、解消金という名称にかこつけて、こういうことは余りないと思いますけれども、本当は贈与なのに、莫大な金額を支払うということが仮にあったときに、例えば税制の観点から解消金だという合意をしていれば贈与税の対象に一切ならないかといえば、それは別途、実質的な評価が恐らくされるだろうと思いますので、そういう例外的な場合をとりあえず除外して考えますと、基本的には自由に金額を合意できるということにならざるを得ないのかなと思っているところです。
以上です。
○山川座長 ありがとうございます。
ほかに御意見はございますでしょうか。今、論点⑧について、これは確かに解消金としての和解をする場合の話ですけれども、それとは別に、合意解約パターンで和解することも可能なので、そちらは自由ですので、そうすると、こちらで制約してもほかの道もあり得るということになるかもしれないですね。
鹿野委員、お願いします。
○鹿野委員 私も、実際上、解消金という名前でするか、そうでない名目でするかはともかくとして、和解は事実上できるのでしょうから、それを妨げることにはならないのではないかと思います。
一方で、この金銭救済制度の方法を訴訟等によるのだとするのであれば、その趣旨を没却するようなものであってはいけないし、その訴訟等に限定する理由というものと整合的な説明がうまくできるかというところが気になるところです。これは、和解で認めるべきではないという趣旨ではないのですが、そこが気になるところです。
○山川座長 ありがとうございます。
今の点は、下限も定めるという制度にした場合の趣旨との関係ということが論点になり得るということでしょうか。
ほかにいかがでしょうか。
小西委員、どうぞ。
○小西委員 論点⑥についてです。事前の集団的労使合意についてということですが、将来的な無効解雇を前提に行うことになるから、実際に利用されるケースはなかなかないのかもしれないという点はそのとおりかなと思っています。
それとは別に、法令等による労働契約解消金の水準を上回るもののみを認めた場合というのは、これは現在、資料2で出していただいているような構成でいった場合に、法令等による労働契約解消金の水準というのは、これは事前に明確にされているという理解でいるでしょうか。そのあたりをちょっとお教えいただければと思います。
○山川座長 坂本課長補佐、お願いします。
○坂本労働関係法課課長補佐 恐らく御質問の趣旨は、実際、裁判をやってみて、最終的に決まる金額というものが、事前には労使ではわからないのではないかということかなと思いますけれども、ここもぜひ先生方に御議論いただければと思いますが、ここで書いています法令等による解消金の水準というものは、これまでの御議論におきましても、解消金の算定方式を仮に入れるとすれば、その上・下限というものを入れたほうがいいのではないかという御意見がありまして、もしやるとすれば、その上・下限の範囲の中で仮に算定方式みたいなものを置くとすれば、どのように計算しても、その算定方式を上回るようなものだけを認めるということです。
なので、これもたしか前回、御意見が出ていたかと思いますけれども、基本的にはもし算定式を置くのであれば、各係数のいずれか又は全てを高く設定するという形式が認められるのではないか。逆にそうしないで、全く独自のものを労使合意で認めてしまうと、結局、それが算定式と比較したときに、人によっては高く出る場合もあるし、人によっては低く出る場合もあるということで、実務的にもなかなか判別が不可能ではないかという御意見があったかと思いますので、この場合には、算定式を置くとすれば、そこを必ず上回るようなものを労使合意として認めるかどうかということかと考えております。
○小西委員 上回るというのは、下限を全て上回るという意味か、上限を全て上回る、イメージとしてはどちらでしょうか。
○坂本労働関係法課課長補佐 例えば、特定の個人の方について算定式を用いるのであれば、それで実際の金額を計算するわけですけれども、そこで出た金額を上回るという意味で、もし裁判をすれば、式で出た金額がさらに可変していくこともあろうかと思いますが、さすがにそこは事前に予見は不可能だと思いますので、式で出た金額を必ず上回るようにするということになるのかなと思っております。
○山川座長 よろしいでしょうか。
この論点⑥につきましては、実際に使われるケースが想定されるかという聞き方になっておりまして、余り想定されないということも想定されるような聞き方かもしれません。この検討会の趣旨として、詰めるべきところを全て詰めていこうということなので、論点に挙げられているのかなと推測します。
以上の項目、ほかの点についてもよろしいですが、いかがでしょうか。
ございませんようでしたら、「権利行使の期間」「その他」。「その他」のほうに論点が1つ挙げられていますけれども、最後までの項目で御議論いただきたいと思います。よろしくお願いします。
垣内委員、どうぞ、お願いします。
○垣内委員 論点⑨に関してですけれども、辞職等の事由で、その後に労働契約が終了する場合の取扱いということで、私自身は、これまでにこの検討会でも、辞職の場合については影響を及ぼさないということが考えられるのではないかという方向で発言させていただいていたかと思います。
そうした取扱いの実質的な趣旨と申しますか、根拠というのは、これも以前、発言させていただいたかと思いますが、この制度を利用するとしたときに、実際に解消金の支払いがされるまでは辞職はできない。したがって、ほかの事情で転職先との関係で辞職せざるを得ないという場合が生じたときでも、我慢して払われるまでは辞職しないで頑張るということになりかねないのだけれども、それはこの制度の趣旨との関係でどうなのかということを申し上げていたかと思います。
その種の考え方をもう少し整理して申しますと、結局、この金銭救済請求権の行使後の辞職というものは、金銭救済請求権の効果としての労働契約の終了の前倒しにすぎない。辞職というのは、この制度の効果としての労働契約の終了と同視すべきものであるという考え方に帰着するのかなと思われます。
そうしますと、辞職しても効果が左右されないというのは、一般的に言えば、無効な解雇の意思表示があって、この制度の利用がされた後に辞職する場合というのは、それは単に労働関係終了の効果を前倒しにしただけであり、かつ、それは労働関係を終了することによって紛争解決するという労働者の意思のあらわれとしても捉えることができるので、その場合に金銭請求権そのものが消滅しないと考えても矛盾はしないのではないかという発想かと思われますので、そういう考え方をとるのであれば、辞職の場合は別であって、残る。
しかしながら、その他の終了事由、例えば死亡等の場合については、必ずしもそういう評価をすることはできないということだと思いますので、権利としては消滅するということにならざるを得ない。もちろん、その場合でも、実際の死亡の時点、あるいは有効な解雇の時点までは解雇無効ですので、労働契約が存続していたということであれば、バックペイ等については当然清算が必要だということがあり得るかと思いますけれども、その限りで保護されることにならざるを得ないのではないか。
他方、論点⑨の最初の矢印、辞職したとしても、権利の帰趨に影響はないものと考えられるとしても、辞職がなかった場合と同一と考えてよいのかという、ここは非常に難しい問題かと思いますけれども、先ほどのような発想から申しますと、辞職はこの権利行使の効果としての労働契約終了と同視するということであれば、そこは権利の内容は同一と考えるという形で割り切るということもあり得るのかなと、現時点では考えております。
ただ、場合によって、辞職というものがそういうものとしては評価できない。もともと辞職するつもりであったような事情があって、たまたまそれに至る過程で無効な解雇の意思表示がされたということが客観的に認められるような場合が仮にあるといたしますと、それは例外として認めるべきではないかという議論もあるのかもしれません。仮にそうした議論があり得るとしますと、辞職がこの制度の枠内での終了と同視できるかどうかということが問題点として浮上してくることになりまして、その点の主張・立証責任を労働者側に課すのか、労働者側で同視すべき相当な理由による辞職であるということを立証させるという話なのか、それとも例外として使用者側に、これは違法な解雇の意思表示がなくてもされたような辞職であるという特段の事情を証明させるという話なのか。
そのあたりは、中間的な規律というのがあるいはあり得るのかもしれませんけれども、基本線としては、辞職を別扱いとするという考え方については、そういう性質のものとして捉えることができるのではないかと私自身は整理しているところです。
以上です。
○山川座長 ありがとうございました。
以上の点も、多分、制度の性格づけ、位置づけとも関連しているかと思います。
今おっしゃられたことは、請求権の消滅事由としては考えないということと、それから、いわば労働者側の帰責事由という表現はよくないと思いますけれども、労働者側の事由として何らかの減額要因にもならないということでしょうか。
○垣内委員 そこは悩ましい問題だと思うのですけれども、ならないという割り切りもおよそあり得ないわけではないのかなと、現時点では考えています。もちろん、その点は考慮事情をどういうものとして構成するかという、前に議論されてきた論点と密接にかかわるところなので、その観点から見て辞職というものを評価すべきだということになるのであれば、それはそういう考え方もあり得ないものではないと思います。
○山川座長 ありがとうございます。
これも難しい論点で、多分、委員がおっしゃられたように、辞職といってもいろいろなパターンがあって、損害賠償請求のときも、例えばハラスメントを受けて、辞職という形ではあったけれども、実際上、在職し続けるのが難しかったというパターンだと、不法行為では、解雇でなくても損害賠償請求を認めていますので、そういう辞職もあれば、もともと辞職したかったということもあるので、いろいろなパターンが実態としてはあり得るのかなと思っておりますが、法制度としてどう設計していくかは、また別問題というか、難しい問題になりますけれども、御意見、御質問等あったらお願いいたします。
鹿野委員、どうぞ。
○鹿野委員 ちょっと難しい問題なのですが、これも最初のほうで議論のあった形成権構成で、本来、意思表示によって形成権行使の効果が発生しているのだけれども、裁判上の行使ということにするのだという捉え方にするのか、それとも詐害行為取消しに近く、判決で形成的な効果が初めて発生するのかということにもかかわりそうな気がします。例えば、死亡をどういうふうにするのかということについては、訴え提起のときには本人は生きていらっしゃって、それで解雇が客観的には無効であったということであるとすると、そこで解消金の請求権というのは観念的には発生しているように捉える可能性も、さきの理論構成いかんによっては出てくるかもしれないとも思います。
それで何年も争っているうちに、別の原因で死亡してしまった。そのときに解消金がゼロということになるのかというところについては、少し先の基本的な枠組みとの関連も含めて、さらに検討する必要があるのではないかと思います。
○山川座長 ありがとうございます。
形成権行使ですと、抽象的とはいえ、既に権利が発生しているのだからというのが基本になるということですね。形成判決構成ですと、どうなるでしょうか。
○鹿野委員 十分に整理しているわけではないのですが、意思表示によって形成権行使がなされたと。ただ、額を裁判所に明確にしてもらうというイメージであれば、抽象的には意思表示によって金銭請求権も発生しているという説明もできそうな気がします。だけれども、判決によってということになると、判決が出たとき、確定判決によって権利変動が生ずるということなので、そうすると、また違ってくるのかなと思うところです。
○山川座長 ありがとうございます。
垣内委員、お願いします。
○垣内委員 今の点は、形成権構成をとれば、恐らくそういう考え方が出てき得るところだと思います。ただ、形成権構成をとった場合でも、例えば死亡時、これはそれがいいのかどうかという問題がありますけれども、結局、労働契約がこの程度の効果として支払い前に別の事由で終了した場合には、解除条件的な形で、その事由がこの権利の不発生を導くということも全くあり得ない理屈ではないのかなと思います。
他方、形成判決構成の場合には、判決確定によって権利関係が変動する、あるいは成立するということですので、それ以前、具体的には基準時以前に生じた事由は全て考慮すべきだということになるだろうと思うのですけれども、問題は、その考慮されるべき事由の内容として何を考えるかということで、これは形成判決をするための形成要件を実体法上、どのようなものとして設定するのかということになります。
なので、例えば、この権利の行使後に辞職したとしても、この判決を求めることを妨げないという趣旨の規定にするとか、場合によっては、死亡等でも影響を受けないという形成要件の構成をすれば、論理的には形成判決構成でも同じ結果を導くことは可能なのだろうと思いますが、やや不自然さは相対的には大きくなるということなのかなと理解しております。
○山川座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
鹿野委員、どうぞ。
○鹿野委員 意見というより、これもついでに質問なのですが、ここでの具体的な額の金銭請求権が判決によって確定されたということになると、それは通常の確定判決で確定されたところの債権と同様に、そこから10年の時効が適用されるということでよろしいのでしょうか。金銭請求権と言っても、労働契約の終了等とセットになっているというところに、通常の金銭債権とは違う要素もかかわっているので、それも含めて単純に通常の金銭債権の取扱いと同じように考えていいのかということについて、私、お休みをしたこともありますので、事務局のお考え、あるいは従来の議論を教えていただければと思います。
○山川座長 では、坂本課長補佐、よろしいですか。
○坂本労働関係法課課長補佐 解消金の額が判決で確定した後、時効がどうなるかというところについては、多分これまで明示的には御議論いただいていなかったと記憶しております。解消金につきましては、確かに先生おっしゃるとおり、支払うことによって労働契約が終了するということで、通常の債権よりもある種の特殊性があるのかなと思いますけれども、現時点の事務局の認識としては、何か特別な規定を置かない限りは、通常の金銭債権と同じように判決が確定して10年ということで時効になるのではないかと考えておりますが、もし先生方の御意見もありましたら、お伺いできればと思っております。
○山川座長 笹井参事官、お願いします。
○法務省民事局笹井参事官 今のところ、当然のことですけれども、基本的に弁済期がいつかが基準になってくると思います。最初のほうの論点として遅延損害金の話があって、そちらは御発言は特段なかったかと思うのですが、そこでも、弁済期をいつと制度設計するかによるのだと思います。
形成判決構成をとった場合には、判決確定によって権利が発生することになりますから、どんなに早くても判決確定時以降に時効期間が起算されることになる一方で、形成権構成をとった場合にどうするのかは、観念的には確定しているかもしれないけれども、具体的に額がまだ知り得ないということとの関係で、どうか考えるかという問題はあるのかもしれません。ただ、形成権構成をとった場合には既に権利行使がされていますので、時効の完成猶予の効力が発生しているわけですので、結局、更新が生じてもう一度実際に起算されるのは認容判決が確定してからということになるのかもしれません。
いずれにしても、弁済期をいつと考えるのかが基準であり、それに加えて、労働契約の終了という副次的な効果がくっついているという特殊性はあるのですけれども、金銭債権ということに限って見れば、既に請求できる状態になっているということであれば、特段その特殊性を考慮する必要はないのかなと思います。法務省としての見解ということではなくて、個人の直感的なところを申し上げました。
そのことと、ちょっと別のこともよろしいでしょうか。
○山川座長 どうぞ。
○法務省民事局笹井参事官 少し話が戻りまして、死亡とか辞職のときにどうするかという論点です。蛇足になるのかもしれませんけれども、先ほど垣内先生がおっしゃいましたように、形成権構成をとろうと、形成判決構成をとろうと、要件の設計の仕方によって、同様の効果が導けるのだろうと思います。
ただ、一方で、ここで問題提起されているのは、判決確定前にそういった事象が生じた場合のことであろうと思います。金銭債権として確定判決があるという状態になった後に、仮に死亡があったとしても、単純に金銭債権が相続されるということになるだけだろうと思います。そうだとすると、仮に形成権構成をとった場合には、観念的にはその形成権の行使によって、直ちに金銭債権が発生しているはずなのですけれども、その解消事由あるいは消滅原因というものが給付判決の確定によって変わってくるということになってくるのかなと。それは、実体法上、余りない制度なのかなという気がいたします。
もちろん、法制的に到底無理なのかと言われると、検討の余地はあろうかと思いますけれども、何か思い違いをしているかもしれませんが、形成権構成をとった場合にやや違和感のある制度かなと思いましたので、発言させていただきました。
○山川座長 ありがとうございました。
垣内委員。
○垣内委員 今、御指摘のあたりの問題も非常に難しい問題で、ややこしい話なのだろうと思います。
ただ、実体法上、死亡によって請求権が成立しなかったことになる、あるいは事後的に消滅するということなのだといたしますと、判決が確定しても死亡が同判決の基準時後に生じた事由であって、それによって権利は失われるということであれば、金銭が支払われるまでの間は、その請求権は消滅するのであって、それを請求維持事由として主張し、強制執行を妨げることが可能だというのが形成権構成からの一貫した考え方になるのかなという気もいたします。
他方で、形成判決構成をとった場合で、判決前に死亡等した場合には、もはやこの請求はできないという仕組み方がされているときに、判決で発生した権利について、判決確定後に形成要件が事後的に欠けるようになりましたという場合の取扱いがどうなるのかという問題は、私の知る限りでは、民事訴訟法のさまざまな議論の中でこれまで十分に議論されていない問題なのではないかと思います。したがって、仮にそういう制度を導入したときに、例外的な事態だと思いますけれども、そのような事象が発生して、どう解すべきなのかという問題は、かなり事前に検討しておかないとまずい問題なのかなという感じがするところです。
○山川座長 ありがとうございます。
今の最後の点は、形成判決構成をとって判決確定後に、いわば形成原因が消滅した場合にその判決がどうなるかという、基本的に実体法の話になるのでしょうか、済みません。
○垣内委員 形成判決による形成力というものがどういうものなのかという問題に関係しておりまして、形成原因の基準時における存在は、これは規範力によって確定されているわけですけれども、基準時後については規範力によっては決まっていないわけで、そうしますと、基準時後の事由だから争えるという考え方が一方であり得るところです。
他方で、しかし形成判決というのは、一旦、形成判決が確定したら、その法律関係は形成要件とは切り離された形で存続していくのであるという考え方がありまして、その考え方に従いますと、事後的に形成要件が欠けたとしても、それは影響を及ぼさないのだという議論はあり得るだろうと思います。ただし、現在、両説ともに有力に主張されていて、両者拮抗していると申しますか、どちらが通説となかなか言いがたい状況にあることに加えて、両説が議論する際に想定していた問題というのは、必ずしも事後的消滅の事案ではなかったということもありますので、実際にどういう考え方をそこから導くことになるのかというのは、今後いろいろ議論があり得る点なのだろうと理解しております。
○山川座長 ありがとうございます。
事務局への宿題が大変たくさんで、簡単で結構ですので、今の点も学説が対峙しているということでありますので、できましたらちょっと御検討いただきたいと思います。
おおむね時間になりましたが、ほかに何かございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
大変さまざまな有益な御意見をいただきました。訴訟法、実体法、両面にわたって考慮しなければいけない点が多々あるようでございます。議論も佳境に入ってきたところでありますが、予定された時間ですので、本日はここまでにさせていただきたいと思います。
では、次回の日程等について、事務局からお願いいたします。
○坂本労働関係法課課長補佐 本日も活発な御議論ありがとうございました。
内容が非常に高度になってまいりましたが、本日いただきました事項につきましては、事務局において宿題として追って整理させていただきたいと思います。その資料の作成状況等も踏まえまして、次回の日程につきましても調整させていただき、確定次第、開催場所とあわせて御連絡をさせていただければと思っております。
○山川座長 ありがとうございます。
それでは、これで第7回「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会」を終了いたします。
本日は、お忙しい中、大変ありがとうございました。
 

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